運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-10-19 第16回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月十九日(月曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            館  哲二君    委員            西郷吉之助君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            若木 勝藏君            加瀬  完君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    国家地方警察本    部警備部長   山口 喜雄君   参考人    茨城県知事   友末 洋治君    愛知県知事   桑原 幹根君    大阪高槻市長 阪上安太郎君    三重町村会長    一志米ノ庄村    長       宇野 誠一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (災害地実情要望事項に関する  件)  (災害地治安状況に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) では只今から地方行政委員会を開会いたします。  今月の十日に地方行政委員会の席上で、町村合併の促進に関する財政的要望につきましての決議がございましたが、この決議取扱につきましては、委員長は十四日に、内閣総理大臣に対する要望書として、福永官房長官と面接をいたしまして委員会の状態を報告して決議手渡しいたしておきました。官房長官から閣議においてこの点を総理大臣によく伝えるという確答を得ました。  それから又同日小笠原大蔵大臣にも面会をいたしまして、この決議手渡しをいたしました。大蔵大臣から財政上困難であるが善処いたしますという確答を得ました。それから塚田長官には当日の委員会におきまして発言を得ましたし、又別途決議の要旨も自治庁長官には手渡しをいたしておきました。  大体目上の取扱をもつてこの決議案の貫徹に向いましての要望を強くいたしておきましたから、この点御報告申上げます。   —————————————
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に公報をもちまして議題の点につきましてはお知らせ申上げておきましたように、又過般の理事会決定いたしました議題といたしましては、先ず風水害及び冷害に対する災害地実情要望事項について、府県市町村代表のかたから参考人として意見を聴取いたしたいと存ずるのでございまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) つきましては、知事会代表として、冷害については茨城県知事友末洋治君、風水害につきましては愛知県知事桑原幹根君、市長会代表として大阪高槻市長阪上安太郎君、町村会代表として三重県の一志米ノ庄村長宇野誠一君に御出席をお願いいたしたのでございまするが、参考人方々には御多用中にもかかわらず御出席下さいましたことを、委員一同に代りまして厚く委員長からお礼を申します。  過般の風水害及び冷害に対しましては、それぞれ常任委員会におきましてもその被害状況につきましては政府に対し報告を求めておるので、ございま下るが、又風水害に対しましては災害特別委員会を設置いたしまして、すでにこの委員会を通じまして本委員会とも連絡をとりつつ被害地に対する対策をやつておりまして、特に又政令の設定の問題にいたしましても、財政的な措置にいたしましても、大体におきまして決定の段階に来ておるのでございます。この際決定をいたしまする前においても、是非一つ地方行政委員会といたしましてこの風水害及び冷害に対しましての点を代表のお方々からお聞きいたしまして、なおこの上とも御努力をいたしたい、かように考えて今日参考人としてお呼び申上げた次第であります。  どうかこの点もお含みを頂きまして、関係者といたしまして非常な御困難な中から復興に努力いたしておりまするところの皆様方の御意見を率直に申述べて頂きますることを、委員長から特に希望を申上げておく次第であります。  それでは先ず冷害につきまして茨城県知事友末洋治君から公述をして頂きたいと思います。
  5. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 冷害凶作の実状を申上げ、今後法律案或いは予算案等につきまして格別の御努力を賜わりたいと存じます。  本年の冷害状況は御承知通りその範囲が極めて広いのでございます。今まで冷害と申しますと北海道、東北ということに常識上限られておつたのでございまするが、今年は関東方面及び北陸方面にまでも亘つておるのでございます。この冷害の一般的な原因といたしましては、本年の気象状況が極めて異常であつたということが一つでございます。即ち冷温であり又雨が非常に多かつた。更に又日照りが極めて少なかりたということでございますが、茨城県の実情を統計的に調査いたしてみました結果、八日のうち二日雨が降つております、四日は曇天でございます、二口だけ日照りがあつたということでございます。普通の年はいわゆる三寒四温と申すのでございまするが、本年はその逆の状況になつて参りまして、六寒二温というようなことでございます。さような異常な気象でございまするから、稲作は勿論のこと農作物一般が非常に発育が悪く遅れて参つたわけでございます。これが一般的な気象状況から来まするところの冷害凶作でございますが、特にこの八月の下旬に五日乃至一週間の非常に低い気温が続いたわけでございます。北海道方面におきましては十度以下に下つたというのでございます。で関東地帯におきましても、地方によりましては十四、五度或いは十五、六度という極めて低い気温相当期間続いたわけでございます。これは寒流と暖流が北におきましてぶつかつて一つの冷たい気流というものが北から南に大きな幅で流れたというふうに言われておるわけでございます。従いまして太平洋岸冷害凶作は極めて深刻であるというふうに考えられておるのであります。かような異常な気象に基きまして特に稲作が悪いのでございます。その被害状況は明治三十一年或いは九年に冷害凶作があつたと、いわれておるのでありますが、その後昭和九年十年と二年続いてあつたようでございますが、昭和九年十年よりはひどく、三十八年九年に類するところ被害であるというふうに考えられておるわけでございます。  かような被害は特に関東地方におきしては全く今の農業者といたしましは経験を実は持つておらないのでございます。でだんだんと被害状況が深刻になりまして、収穫期に近づくに従いまして非常に悪いということを感まして、非常にあわてておるという状況でございます。で、すべてが本年は逆現象になつておりまして、精農家ほどその被害をこうむつておる程度が強いようでございます。むしろ堕農に近いような余り手を加えない、肥料も余りやらないというものがまあ少しは穫れておるという所があるのでございます。例えばこの精農家が一町四、五反を持つておりまして、それがおくて、まあ八州千本という種類でございます、全部植付けて殆んど現在なおまだ青立ちになつておりまして、全部穫れないというので気が違つてそうして田圃に出る勇気もなくなつておる。或いは又殆んど穫れない関係から自殺したという者も出ておるようであります。で、陸稲を水田に間違えて植えまして植付時におきましては非常に問題になつたらしいのであります。ところがその間違つたことが本年は幸いいたしまして僅かばかりでも穫れておるというふうな逆現象というものが、冷害地帯におきましては現われておるわけでございます。  被害状況につきましては、各府県調査を元にいたしまして集計はいたしつつあるのでありまするが、何分にも冷害凶作あとになればなるほど悪く出て行く、尻下りになりまする関係から、なかなか調査の推計がむずかしいのでございます。本年の被害は先ほど申上げましたように、一般的に発育遅延から参りまするところの不良というものもございます。大体総じて二週間乃至二十日間は発育が遅れております。それともう一つは、先ほど申上げました八月下旬の非常に気温の低い影響、これが開花期に或いは穂はらみ期にありましたものにつきましては、結実を実はしないのであります。これがなかて或いはなかての遅いもの或いはおくての早いもの、そういうものがまあ地帯によつても違いますけれども開花期、穂はらみ期になつた、そこに非常に不幸に冷気温というものが参りましたので、それがまあ大体三日くらい続きますると結実をしないというような学術的な結論が出ておるようであります。そこですべて粒は恰好はいたしておるのでありまするが、実際に結実をいたしたものが極めて少うございます。あとは実の恰好をいたしておりまするけれども結実をしておらない。一見いたしますると相当みのつておるように見えるんでありまするが、田圃の中に入つて見ますると不結実の粒が非常に多いというのが冷害の特長であるようでございます。  更にこれに加えまして最終期穂首いもち、或いは立葉枯病というのが地帯によりましては非常に出ております。で、病虫害は実は苗代の時期から出ておつたのでありまするが、これに対しましてはその後いもち、二化めい虫等に対してかなりの薬剤防除をいたしましたので相当効果があつたわけでございまするが、最終期におきまして穂首いもちは実は急に出て参りますので、手当の時期を失する場合が非常に多いのでございます。特に平坦地におきましては農林二十五号或いは農林二十九号、こういうふうなものにつきまして穂首いもちが非常に全面的に出ている。黄色い色はしておらんのである、白味がかつた色をいたしているので、一見してすぐわかるわけでございます。更に最近の台風によりまして倒伏のために被害をこうむつているというものもございます。  なお本年の冷害凶作を一層深刻ならしめましたのは、従来年々大体の平年作が続きました結果、品種がだんだんになかてからおくて、かように非常に転換をいたしております。茨城県の実例で申しますと、なかて、おくてが八割以上占めております。わせは僅か二割程度であります。おくては今まで大体まあ一割かそこそこだつたのでございます。おくてのほうの収穫が非常によろしいという関係もあり、又供出なかなか重い関係から収量の多い品種というものに農家がだんだん転換するので、この危険性指導の面において十分注意はいたすのでありますが、まあ平年に慣れますると凶作に最も弱いおくてというものをかなり大きい面積に植付けることが、農林二十五号、二十九号、或いは農林三十八号、或いは八州千本など或る面におきますると六、七割も八割も植付けしているというふうな状況でございます。特に八州千本はまだ穂が出ませんで青立ちの姿をなしている所も実はあるのでございます。このなかでの農林二十五号、或いは二十九号が平年ならばなかてでございまするが、本年は二週間も二十日も一般的に気象状況が遅れている関係から、これは本年は実質上おくてになつているわけでございます。かようにおくてにつきましての冷害というものが非常に深刻な関係から、実態調査なかなか容易でないという状況でございます。  で、この被害状況は、地帯により又品種によりまして非常に異つております。町村内でもそういう状況でございます。又県下を見ましてもさような状況に相成つております。又今冷害凶作の県が一道十五県というので、これで協議会を作りまして諸般の情報の収集、調査、或いは要望、陳情をいたしているのでございまするが、これを地帯別に見ましても特に八月下旬におきまするところの作付けでありました、なか、おくの品種又は数量というものによりまして、それぞれ被害の深刻の度合が違つているようでございます。で、この地域も必ずしも一道十五県でないかも知れませんが、最も被害のひどいと認められる県だけ集まりまして協議会を作つておるわけでございます。この協議会で最近各府県調査を集計いたしまして一応推定をいたしておるのであります。必ずしもこれが非常に強度な正確度を持つておるとも思えませんが、農家全体の減収の金額といたしましては千三百億円、これは勿論二毛作以外の農作物被害も含んでおります。  そこで農業共済金といたしましては約二百億円程度必要なのであろうというふうに出ております。更に救農公共事業を起して頂きましてどうしても賃金収入を得なければならんわけでありますが、それによつて二百四十億程度のものはお考えを願わなければならんのだろう。又営農資金借入額といたしましては六百四十億円程度、その他農家が別に収入の道を求め、或いは又農家自己負担といたしましては二百二十億円程度、まあ大ざつぱにかような数字を一応取りまとめておるわけでございます。  そこでかような深刻な被害に対しましての救農対策につきましては、お手許に差上げてあると思いまするが、或いは金融対策営農対策食糧対策或いは公共事業労働対策財政対策、それぞれ項目別に具体的にお願いを申上げておるところでございまするが、そのうちだんだんと具体化される傾向になつておるものもありまするし、相当困難な実情に置かれておるというものもあるのでございまして、特に困難と認められまするけれども是非高配を願いたいという項目だけについて申上げたいと存じます。  金融対策につきましては、被害の五割以下の農家につきましての金融営農資金貸付考えられるようでございますが、五割以上の農家につきましては特別に一つ一戸当り十五万円、利子補給といたしましては年八分、期間も五年以上というふうに差をつけてお考えを願うということが実情に適するのではなかろうか、かように思うのでございます。  なお自作農創設維持資金増額と反当り融資額でございまするが、現行は僅か五千円になつております。それでは到底体をなしませんので、まあ最小限度三万円に引上げてお考えを願いたいということでございます。  なお共済資金支払はやはり遅れるのでございます。少くとも冷害地につきましては仮払をしなくても済むように、事務的な手続を地方も急ぎまするけれども政府のほうで支払一つ急いで頂きまして、成るべく本年内にこの共済資金が手に入るように御処置を願いたいということでございます。なおこの農業協同組合取扱いまするところの米その他のものが絶対量が少くなりまする関係から、実は悲鳴を上げておりますが、農業協同組合財政の底は非常に浅い関係から、もう運営ができないというものも相当本年は出る見込でございまするので、農業協同組合運営資金につきましても特に御配慮を願いたい、かように考えておるのでございます。  次に営農対策につきましては実は来年の種籾というものが非常に問題でございます。冷害は二年続く、農家もさように申しております。来年こそは冷害に強い品種に切換えなければならんというふうに覚悟はいたしておるのであります。種籾確保が容易でないということと、貯蔵につきましても相当の金も要しまするので、種子の確保のあつせん並びに貯蔵施設につきましても、何か国庫助成の道をお考え願いたいということでございます。  それから来春の麦及び雑穀、馬鈴薯、これは各府県とも思切つた増産奨励対策をやる必要があると考えまするが、これらにつきましても或いは助成或いは金融その他の面におきまして、この際に御高配を願いたいということでございます。  次に病害虫防除薬の問題でございますが、これは茨城県の実例から考えましても、国庫助成等のありまするものは大体二割見当になつておりまして、八割程度農家負担、これは地帯によりまして又非常に不公平になる。特に当初起りました水害等につきましては全額国庫補助薬剤というものが相当散布されたわけでございます。あとになりましてそれがなくなつた予算もないということになりますと農家負担でやらざるを得ない。農家としては五回も六回も七回も薬剤を散布した者があるのでございます。これらがすつかり収穫皆無或いは大減収というのをくらつた関係から、二重に苦しめられておるということになりまするので、実際農家が使いました農薬代というものは明瞭に出ておるわけでございまするから、これを対象として少くとも二分の一の国庫助成をお考え願う。そういたしませんと農家の経済問題ばかりでなく、府県別に非常に不公平な事態が生ずる虞れがあるのでございます。  食糧対策につきましては飯米の貸付などというものはもうすでに認められております。ただ問題は供出とリンクいたしまするところの麦の払下市価の大体二割引になつておりまするが、でき得まするならばこれをもう少し大幅に値下げを願いまして、そうして農家が麦を手に入れて麦を食つて保有米を出して行く、麦で米を押出すということを本年は供出の面からやる必要があり、同時に農家食生活というものも特に単作地帯におきましては米ばかり食つておる地帯もございまするので、そういう面におきましては麦を食わせ、うどんを食わせ、その他の雑穀、いもも大幅に食糧にいたしまして、そうして保有米をさいて米を出すというような指導をする必要がありまするので、特に供出とリンクいたしまするところの麦、小麦等払下価格につきましてはいま一段とお考えを願いますれば、供出の面においても非常にいい影響があるのではないかというふうに考えられます。  なお消費者生産者双方亘つて食生活の思い切つた切替えをやらなければならん関係もありまして、学童給食というものはもう少し強力に奨励を願いたい。現在は小麦粉を大体市価の二割引程度払下げられる、それだけの奨励政策で、曾つては殆んど麦もそれからミルクも提供して学校給食が行われたのでありますが、その政策が打切られまして現在は非常に学校給食も少くなつた。それはそれぞれ弁当を持つて学校に行つているわけでございます。もつと小麦粉払下の値段を引下げてやられまするとこの学童給食相当進んで参り、食生活の改善にも又本年の非常に絶対量の不足した食糧事情の打開にも役立つのではないかというふうに考えられます。  なお救農の公共事業につきましては、地帯別によりまして国の土木、土土地改良、或いは道路河川いろいろ事業があると思いますが、地方財政が非常に窮屈な関係から国庫補助率というものをうんと一つ引上げて、少くとも五割以上の補助率にして頂きたい。なお地方負担分につきましては起債を認めて頂きませんと、折角の公共事業というものが実行できないということになる虞れがあると思うのであります。更に各府県市町村におきましては、或いは冷害凶作のために単独事業を起すとか、或いは国庫助成に伴いますところの施行負担分というものがそれぞれあり、又一面凶作のために税収入というものが非常に減つて参ると思うのであります。これら歳入歳出に亘りましてのどうしても調整を願わなければなりません関係から、平衡交付金或いは起債の枠の一つ増額も合せて御高配を願いたいと思う次第でございます。  以上冷害凶作実態と特に困難と見られまする事項につきまして申上げ、何分一つ高配を願いたいと思います。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは風水害につきまして愛知県知事桑原幹根君。
  7. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) 本年は何と申しますか非常に災害の多い年でございまして、誠に恵まれない本年にめぐり会いましていろいろと参議院の方々も、又特に当委員会にはいろいろと御高配を頂きまして誠に有難く存じている次第でございます。この機会におきまして本年に起りました災害につきましてその大要をここに御報告申上げ、今後更に一段の御配慮を頂きたいと思うわけでございます。  関係資料といたしましてお手許に二三の印刷物を配付いたしてございまするが、これは本日のために早急に作りましたものであります。従つて内容必ずしも正確ではないのでございまするが、大体の状況を伝えているのではないかと、かように考える次第でございます。従つて仔細の点につきましてなお正確を期さなければならん点があるのでございまして、これらは追つて調査の完了を待ちまして更に改めて資料として御提出いたしたいと、かように考えている次第でございます。  本年の災害はそこにあります昭和二十八年度災害関係要望資料全国知事会、とありますこの目次にありますように、四月から始まりまして先般の十三号台風に至るまで、又これと前後いたしまする冷害、即ち只今茨城県の知事さんから御報告になりました事柄等もそこにあるわけでございまするが、このうち特に九州山口、或いは引続いて起りました和歌山県の水害、更に先般の十三号台風、これらにつきましては相当資料を詳細にそこに集めてお手許に差上げているわけでございまするが、本年度におきまする災害はこの目次によつても御承知のように、冬期風浪及び融雪等災害及び六七月の山口九州和歌山県の水害、更に八月の南畿水害、それに加えて台風十三号の風水害でございまするが、そのうち大別いたしまして八月以前の災害と、台風第十三号の災害、この二つに大体分類いたしまして御説明を申上げたいと存ずる次第でありますが、八月以前の災害につきましては、すでに各種の機会におきまして関係方面要望をいたしてございますが、これらの要望に対しましては政府が今日までとられたところの措置というものは、私どもから見ますれば極めてなまぬるいものでございます。即ち八月以前の災害のうち例えば公共事業を拾つてみましても、これ又お手許に書類を出してございますが大蔵省調べによりますと、この調べの冬期風浪及融雪、次の六——七月水害、八月水害、そこで、一線を画して頂くわけでございますが、その被害報告額累計は千六百七十六億円に上りまするものを大蔵省査定をいたして、その査定額が千百八十五億になつております。これを仮に大蔵省査定通りにいたしますると、即ち被害総額千六百七十六億円から大蔵省が従来の実績によりまして補助対象とならないというふうなのを差引きまして、これこれは補助してもいい、こういつて算定いたしたものがそこにあります千百八十五億でございますが、このうち現行法律によりますと、即ち先般の二十四立法によらずに現行法を適用いたした場合におきましては、八百九十一億円の国庫支出になる、即ち補助額になるわけであります。これを先般の二十四立法を適用した場合におきましては千七十五億に相成るのでございます。この千七十五億を従来の補助についての政府のとつております例の三・五・二、三年にこれを実施いたしましてそれを三・五・二の割合として出して頂きます場合におきましては、特例法の場合におきまして三百三十二億円になるのでございます。  すでに政府査定そのものが現実に被害のあつたものを査定して、そうしてそれを少く見積つておるのでございまして、それを仮に認めるといたしましても、特例法の場合本年度所要額が三百三十二億円になるのでございますが、この八月以前の災害に対しまして、今日まで政府のとつた措置はどうであるかと見ますれば、災害対策予備費から支出いたしましたものが七十九億九千万円でございまして、これは災害救助法発動によりまして災害救助費をも含めてかような額でございますが、そのうち公共事業費はわずかに三十億三千万円でございます。而してさらにつなぎ融資といたしまして地方に融通願いましたものは八十三億七千万円でございます。  かような政府措置によりまして今日まで参つたのでございますが、大体引続き起りました台風十三号に対しましては災害救助法発動によりまする支出がいくらかあつただけでございまして、そうしてさらにつなぎ融資がこれまたいわば雀の涙ほどあつた程度でございますが、この台風十三号の被害は不幸にも愛知県、三重県、私どもの任を受けております中部地方が中心でございましたので、従つてこれらの事情につきましてはいささか詳細に述べたいとは存じているものでございますが、併しこれまた最近参衆両院議員災害対策委員会が現地を極めて迅速且つ詳細に御調査を頂きましたので、これらにつきましてはあまり詳しく述べることを差控えたいと存じますが、これを数字的に見ますと今回の台風十三号の被害総額が大体三千三百億、こう押えて頂いていいと存ずるのでございますが、お手許にありまする大蔵省の二十八年十月六日調査によりますと、被害総額被害報告額、これは今申しました総額の中の公共事業費に関するものでございますが、その被害のうち八百四十三億になつているのでございます。これを過去三カ年の平均率によりまして査定額を七〇%としまして査定見込額を五百九十三億円にしているのでございます。そうしてこれに対する国費の所要額も現行法によります場合は、平均負担率を七二%といたしまして四百二十七億と算定し、さらにこれをいわゆる二十四立法特例法を適用いたしまして算定いたした場合におきましては、その平均負担率を八八・三%といたしまして五百二十四億円と算定いたしているものでございまして、即ち現行法によります場合よりも九十七億円増加いたしているわけでございますが、この台風十三号被害のうちの公共事業関係大蔵省の算定も極めてこれは過少に評価いたしているのでございまして、先般、十三号関係府県がいち早く災害対策につきまして協議会を作つたのでございますが、この協議会調査によりますと、この三千三百億全体の被害、これには家屋建物等の或いは又農作物等の個人の被害もあるわけでございますが、その三千三百億のうち今申しました公共事業関係被害だけを調べてみますと千百九十四億円に相成るのでございます。即ちこれを大蔵省の案に見ますと、先ほど申しました通り八百四十二億に見ているのでございます。協議会の案を基礎といたしますと公共事業費の損害が千百九十四億、そうしてそれをまるまるいわゆる大蔵省査定見込額にして頂かなければならんのございます。なぜと申しますれば、今回被害の額として取上げましたその額は、大蔵省の即ち国家の助成対象となり得るものだけを取上げて集計いたしたのでございまして、これには水増しがないのであります。従つてその千百九十四億を現行法による場合におきましては八百五十二億、さらに二十四立法を全面的に適用して頂きます場合におきましては千五十五億になるのでございます。この数字の即ち台風十三号災害府県協議会の案によりますれば、千五十五億の国費の支出をお願いしなければならんのでございますが、これを先ほども申しました三・五・二の比率によつて本年即ち昭和二十八年度に国費より公共事業災害復旧費として支出をお願いたします金額は、現行法の場合で参りますと一年度が二百五十六億、第二年度が三・五・二の五の場合でありますので一番多く四百二十六億、第三年度が百七十億。こういうことになるのでございますが、特例法を適用して頂きます場合におきましては第一年度が三百七億、第二年度が五百二十八億、第三年度が二百十億に相成るのでございます。然るに大蔵省の計算を見ますと、本年の場合が特例法を適用いたした場合におきましても百五十七億に相成つているのでございまして、極めて過少に評価されているのでございます。  これを十三号の台風と八月以前の災害とを合計いたしました場合におきましてはどのくらいの額になるかと申しますれば、十三号台風の場合は比較的数字が詳細につかめたのでございますが、それ以前の数字は必ずしも正確でございませんので、どのくらいになりますか的確なところは申上げかねると存じます。八月以前の災害全体を合せますと、十三号台風災害よりやや被害総額は上廻わつていると存じますので、或いは四千二、三百億円になるのではないか。かように考えているのでございますが、そういたしますと、その中の公共事業費は或いは千六、七百億の災害額になるんではないか。かように考えているのでございますが、それらの数字を基礎にして出しますと、八月以前の災害と八月以後即ち十三号台風災害とを合せまして、大体本初年度において八百億円くらいの国庫支出をお願いしなければならんということに相成るのではないか、かように考えているのでございます。勿論これほ大体の見込みでございますが、十三号台風に関する限りにおきましては三日十七億という数字は大体正確な数字ではないかとかように考えております。従つて以前の災害を合せまして大体七百五十億から八百億という数字が出て来るのではないか、かように考えいるような次第でございます。それで十三号台風によりまする国家に対しまする要望は、又八月以前の災害に対する要望と大体同様であろうかと存ずるのでございます。  特に十三号台風につきましてお願い申上げたいと存じますことは、これ又お手許に書類を差上げてございますが、すでに被害が約三千三百億円に達しているのでございまして、八月以前の災害に大体において劣らない被害総額でございますが、すでに八月以前の災害につきましては、いわゆる二十四立法特例法ができているわけでございますが、この特例法を来るべき臨時国会におきまして是非十三号台風につきましても、全面的に適用して頂きますよう立法措置を講じて頂きたい。かように存ずるのでございまして、このことにつきましては参議院、衆議院又政府当局におきましても、大体において我々の要望を了としておられるようでございます。是非これは次の来るべき臨時国会におきましてお取上げ頂きまして、全面的に十三号台風災害につきまして二十四立法を御適用下さいますよう御措置をお願いしたい、かように存ずる次第でございます。併しかようにいたしましても十三号台風災害は従来の災害と著しくその性質を異にしておる点もあるのでございまして、特にあの十三号台風災害世帯にいわゆる地盤沈下の現象がひどいのでありまして、これを愛知県の例にとりましても、昭和十九年、昭和二十年の戦争中の地震によりまして非常に地盤沈下がひどかつたのでございまして、或る箇所におきましては二尺くらいの地盤沈下があつたのでございまして、従つて或る箇所におきましては海面よりも低くなつたという所があるのでございますが、これらの地震は当時戦争中でありましたので、これを公然と発表することがいわゆる利敵行為とされまして、公然に発表することができず歴史から抹殺されたのでございまして、従つてこれが対策につきましても当時なされなかつたのでございます。終戦後におきまして多少の施設がなされたわけではございますが、非常に不徹底でありまして、従つてこれらの折角なしました施設も、今回の十三号台風災害によつて全く烏有に帰した。こう申上げていいような状況でありまして、この地盤沈下という特殊の現象が今回の災害を非常に大きくした原因であることに御注意を頂きまして、是非この十三号台風災害に対しましては、殊に海岸堤防の災害復旧につきましては、特別な立法をして頂きたい、かように存ずる次第でございます。即ち三・五・二というふうな従来の方針、これも今日までは法律的には確立していない。ただ政府の心がまえと申しますか、はら積りであるのでありまして、それがその通りなかなか実施を見て来なかつたのでございますが、この地盤沈下地帯におきまする海岸堤防の災害復旧につきましては、特に特別の立法措置を講じて頂きまして一年以内にこれを全部完成して頂きたい、かように存ずるのでございます。而もそれが原形復旧でありますならば又同様の台風が参りましたときには同じような災害を繰返すことになりますので、原形復旧にとどまらず更に将来の災害を予防するという立場から十分なものを作つて頂きたい。これにはどうしても現在の法制では不十分でございますので、この点につきましても特別措置を講じて頂きたい、かように存ずるのでございます。  次は災害復旧費国庫予算措置についてでございますが、これはすでに説明の中に申上げた通りでございまして、災害の額の算定に当りましては国庫補助対象となり得るものを全部挙げたのでございまして、これに対して机上において査定を加える数字が、いかに被害の現状とかけ離れたものであるかということは十分御了察を頂けると存ずるのでございまして、従つて我々の提出いたしました数字を基礎といたしまして、これらを全部お取上げの上に立ちまする復旧費を国庫負担として出して頂く、而もそれを早急に出して頂きたい、かように存ずるのでございます。それは只今も申しましたように、今回の災害は特殊な災害でございまして、殊に海岸堤防が決壊いたしておりまして、それらの決壊口から流入いたしておりまする海水は、今日なお満々として被害家屋をうずめておるのでございまして、この海水が軒下から直ちに太平洋に続いておるというふうな状況でございまして、その惨状は、災害の起りました当初よりも今日において一層その程度を増しておる。かように存ずるのでございまして、従つて潮止工事いわゆる澪止工事は一刻を争う緊急を要する事柄でございますので、是非一つこれは、金額を大幅にというだけでなくして一日も早くこれを支出して頂きたい、かように存ずるものでございます。  次はつなぎ資金の点でございまするが、これは先ほども申しました通り、八月以前の災害におきましても極く僅か八十三億七千万円でございますが、今回の十三号台風につきましては第一回、第二回となされたのでございまするが、第一回が御承知のように十二億二千万円、第二回が十二億円、二十四億二千万円という誠に僅少な額でございます。これは今回の十三号台風被害、殊に県市町村で行いまする公共事業、それが受けました損害を急速復旧させるために要しまする金額に比しまして誠に微々たるものでございます。是非第三次におきましては十分一つ政府におきましても、はらを見せて頂きたい。又それが足りなければ、なお政府におきまして適当なる方策を御考案下さいまして、第四次、第五次と次々につなぎ融資の御融資をお願いいたしたいと、かように存ずるのでございます。  更に今回の十三号台風災害が一般の住宅建物或いは農作物に大きな被害を及ぼしたことはもとよりでございますけれども、併し今回の災害は高潮によるものでございまして、従つて海岸地帯におきます護岸なり、海岸堤防なり、或いは海岸近くの河川堤防、或いは道路、橋梁、又農業用施設の用排水路、樋門、排水機、これらのいわゆる公共施設の損害が非常に大きかつたのでございまして、これらは県市町村の責任にかかわるものが多いのでございます。県或いは市町村が単独地方費を以てやらなければならんものもあるのでございまするし、従いまして、今日の地方財政の現状からいたしましてこれらの経費を支弁いたしますために、どうしても起債の枠の拡大、そして同時に財政収入の減少に対しまする平衡交付金増額をお願いいたしたいと存ずるのでございます。  更にこの被災農家が非常に多いのでございまして、三重県の実情につきましても私は機会を得ましてあちらを見て参つたので、こぎいまするが、全く同様の状況でございまして、見渡す限りすつかり稲穂が赤くなつておるのでございまして、これら水田が流失しませんでも冠水いたしました所は全く収穫皆無の状況でございます。いわんや水田の流失、埋没したところにおきましては当然でございまして、これら被災農家に対しましては政府保有米を売渡しまして、その代金は都道府県の責任におきまして明年度まで延納するような特別の措置を講じて頂きたい。かように存ずるのでございまして、かようなことによりまして初めて明年以後におきます農家の再生産についての心がまえなり、或いは多少の余裕も出て来ると考えるのでございまして、この点につきまして特別に御考慮を願いたいと、かように存ずるのでございます。  なお干拓地の災害復旧工事の早期実施と、そしてその費用につきましての国庫負担でございまするが、今次の災害は、ひとり海岸方面ばかりでなくして滋賀県の琵琶湖の湖畔、或いは又京都の巨椋池等の沿岸、それらの地帯にたくさんありまする干拓地の損害が非常に多かつたのでございまして、これらの折角できました干拓地に入植者が営々孜々としてやつておりましたその努力が今回一朝にして烏有に帰したのでございまして、誠にその状況は見るに忍びないものがあるのでございますが、これは本格的に早く復旧工事をして頂きますと共に、全額国庫負担を以ちましてこれを実施して頂き、更にこれら農家営農資金の融資という方面につきましても特別にお考えを願いたいと、かように存ずる次第でございます。  なおこれは特殊の例でございますが、本年は災害が非常に多かつたのでございまして次々と災害がありまして、その一回の災害を取上げたのではいわゆる二十四立法の適用がなされない。併しその次に起りました二回目の災害を合せるとその被害の額が相当になりまして、この適用する被害の額に達するというような場合があるのでございます。被害が二回に分れておるから、一回、ことの被害はそれほどでないからこれは適用しないというふうなことでなくして、災害が二回以上重なりましてその損害額が法の要求する基準に達した場合におきましては、特別に一つ御考慮願いたいとかようなことを考えておるのでございまして、それにつきましては来るべき臨時国会におきまして、さような点につきまして立法措置をする必要があるといたしまするならば、これらにつきましても特例の御高配を願いたいとかように存ずる次第でございます。  なお災害地の供米でございますが、すでに農林省が割当のために個々に折衝をいたしておるのでございまするが、災害地のうち特に早期供出を要請せられておる地帯におきましては、その災害状況に鑑みまして早期供出奨励金の期限の問題が相当重大なことになつておるのでございまして、従いましてそこにありますように、特に供出の第三期は十一月二十五日になつておりますのを十二月十日、又第四期が十二月十日になつておりまするのを十二月末日と、かように延長して頂くような方法を講じて頂きたいとかように存伸するのでございます。  なお災害救助法の適用は今回は災害後いち早く適用されたのでございまして、一応罹災者はそれによつて救助を受けたのでございますが、災害が前々から申します通り今日においてなお一層その惨状がひどくなつておる。即ち海水がその家の周辺をまだめぐつておるという状況におきましては、災害救助法に限定されておりまする期間では、到底これらの罹災者に対する救助は満足なものではないのでございまして、従つてその期間を延長いたしたりしまして適切なる事柄は地方においてなされておるのでございまするが、なお住宅の被害がそこにありますように八十万戸を越えておるのでございまして、これが四、五月頃の災害でありまして暑さに向う折でありますれば別としまして、厳寒を目前にしております今日でございますので、仮設住宅の建設につきまして特に御考慮をお願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。地方におきまして勿論今日持つております力の限度において、できるだけのことはやつておるのでございまするが、併しこの八十万戸のうちこれを必要とする者、幾人か何戸かは相当の数に上ると思うのでございまして、親戚故旧に身を寄せておつて一時をしのぐことのできる者は僅かでありまして、多くは住むに家ない人々でございまするので、これらに対しまして仮設住宅、今日これは一坪一万円であります、六坪六万円の限度においてなされておるのでございますが、それだけのものを作るにいたしましてもその戸数はおのずから限定されるのでございまして、特にこの点につきましては更にたくさん作れますように一つ御考配をお願いいたしたい。かように存ずるものでございますし、なお只今申しました通り災害救助法は期間が短かく限定されておりますので、これはその期間を幅広く認めるにいたしましてもおのずから又それには限度があるのでございまして、従つて生活保護法等に切替えなければならんのでございますが、生活保護法の規定によりましてもいろいろと制限がありますので、この生活保護法の適用範囲の拡大をして頂きまして罹災者に対しまして温かい措置が十分になされるように特別の御考配をお願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。  以上をもちまして大体災害につきましてお願い申上げることを申上げたような次第でございます。  なおいずれ資料等も万全なものができましたならばお手許に差上げ、一層の御考配にあずかりたく存じます。
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) ありがとうございました。次に市長会代表高槻市長阪上安太郎君。
  9. 阪上安太郎

    参考人阪上安太郎君) 本年の六月初旬におきまして九州地方を襲いました台風第二号、それから今回におきましては災害復旧対策につきまして各方面に善処方を要望して参つたのでございますが、国会におかれましては、つとにこの問題をとり上げられまして、すでに第十六国会におきまして六、七月における大水害に対する災害復旧等の特別措置法案を極めてスピーディに審議成立せしめて頂きました。誠に感激に堪えないところでございまして先ずもつて厚く御礼申上げます。  本年六月以来九州地方、南近畿地方、東近畿地方と相次いで大豪雨に見舞われまして未曾有の水害を受けたのでありますが、更に九月には例の台風十三号の襲来によりまして四国、近畿、東海及び北陸地方の広範囲に亘る風水害により多数の都市に甚大な損害を与えましたことは、すでに各位御案内の通りでございます。  今二三の都市における災害状況を申述べてみたいと存じますが、先ず六月下旬北九州地方におきますところの水害は、熊本市を初めとしまして二十数市に及んでおりますが、熊本市におきましては市内を貫流いたします白川の氾濫と堤防の決壊によりまして同市の全面積の六八%が浸水しております。罹災者は五百六十八人、家屋の流失によりますものは三百四十一戸、全半壊六千二百四十一戸、浸水が五万五千六百六十四戸に及びまして、全戸数の八九%が罹災したのでございます。特に同市は阿蘇火山灰と田畑の流失による泥土の堆積は実に四百六十五万立方メートルの莫大な量に達しております。そのうち道路・宅地分といたしましても二百四十五万立方メートルの除去費のみでも十数億円を要しておるのでございます。なお同市における田畑二千町歩のうち約一千町歩は泥土が堆積いたしております。白川の橋梁十三橋のうち完全に残つたのはただ二つでございます。その他の道路損害が六十八カ所、堤防の決壊が四十五カ所等に及びまして、その損害総額は実に三百四十五億円と推算いたしております。  次に司門市におきましては六月二十八日早朝おりからの満潮と山崩れに伴う山津浪によりまして、一瞬にして全市は岩石と木材を混じた濁流にふるい流されまして、死傷者は三百六十八人、家屋の流失は九十八戸、全半壊一千四百七十八戸、浸水が一万三千三百六十四戸に及んでおります。なお河川・道路の決壊は百八十一カ所、田畑の流失は二百町歩、冠水四百二十町歩の致命的な損害をこうむりまして全く惨憺たる状況を呈しております。被害総額はこれ又四十二億円と推定することができるのでございます。  次に台風十三号によりますところの高槻市の実情を申上げますと、これは主としまして淀川の支流の堤防の決壊によりまして、浸水地は全市の約二分の一に及びまして浸水家屋が六千七百三十戸、埋没農地は六十六町歩に達しまして、而も低地でありますが故に一昨昨日やつと水がひいたという状況でありまして、五百万トンの水が滞水いたしたのであります。田畑はすべて収穫皆無であります。その総額にいたしましても十億円を突破いたしておると推算いたしております。  以上は三市の実情を申述べたのでありますが、その他の罹災いたしました都市におきましてもいずれも相当甚大なる損害を受けておるのでありまして、今回の報告のあつたる十八市のみにおきましても死傷者は二千四百七十人、人家の被害は二十三万五千戸に及びまして、土木、農林、公共施設等の被害額は、お手許に配付申上げました資料に示してあります通り総額百八十二億円に及ぶのであります。併しこれは只今申上げましたように僅かに十八市の報告に基くものであります。これらのものに減免しなければならんところの税の分を加えまして、なお未報告の分を加えますと、三百億は突破するものと考えております。これが恐らく山かけのない確実な公共事業災害であると我々確信いたしております。このほか農作物、家屋、商工業等の被害を加えますと、実に一千億を突破いたすものと考えております。同時に未提出の分を推算いたしましても恐らく千人百億円に達するものではないかと考えております。  以上は災害の概要でございますが、申すまでもなく各被害都市におきましては直ちに応急策を講じまして、成るべく早期にこの災害を復旧し民生の安定を期したいと各市町村は苦心いたしておるのでありますが、何分各市とも急迫いたした現在の財政能力でございます。又その技術能力を以ていたしましてもその実現は殆んど不可能ではないかと考えます。先ほど知事さん方からいろいろ御陳情がありましたが、市町村府県とを比べて見ますならば、おのずからここに復旧対策等につきまして性格的な相違が出て来ると思います。我々市町村長は避難民と直結いたしております。従いまして、ただ単に公共事業の復旧だけでは到底この避難民は救うことができないのであります。彼らの熾烈な要求というものはそこに集中いたしておるのであります。我々はこの点に思い悩んでおるのであります。一体これはどうすればいいかということを考えておるのであります。各位におかれましてはかねて地方財政の窮状は御承知のことと思いますが、この未曾有の災害復旧につきましては格段の一つ配慮を下されておるのでありますけれども、本会といたしましては特にこれから申述べます要望事項について、更に一段の御努力をお願いいたしたいと思うのであります。  次にお手許に御配付申上げております風水害被害調べに基きまして、災害対策について要望を申上げたいと存じます。十六国会で成立いたしましたところの六、七月における大水害に対する災害復旧等の例の特例措置法を、八月以降の風水害被害地にも適用して頂きたいと思います。このことにつきましてはすでに委員各位の非常な御努力によりまして、我々といたしましても安心いたしております、適用されるものと確信いたしております。そこでこの場合に我々として非常に恐れております問題は、新聞等の報道によりましても、いろいろな国家財政的な面からみて、指定基準等につきまして相当の圧迫を受けるのではないかということを恐れております。法が出庫したので法を忠実に政府は施行しなければならんと思いますけれども、ところが予算措置等の事情で非常に困難な状態にあるということになりますと、これは当然実際に指定の際に非常に圧迫になるのではないかということを非常に恐れております。法の建前を十二分に尊重してそうして徒らに地域圧縮をすることのないように、特に政府に対して御鞭撻を願いたいと思います。  次に災害復旧事業特例法等によりますと、三・五・二の三年計画になつておるようでありますが、市町会といたしましては少くともこれは六・四の比率、で二カ年以内に完成するように、速かに予算措置を講じて頂きたいと思います。少くとも災害年度におきましては六〇%程度は復旧しなければ、次の災害が恐ろしいのであります。従いまして、三・五、二のようななまぬるい計画では、とても将来襲うてくるところの災害を防止することはできないと思います。どうかこの点についてもよろしくお願いいたしたいと思います。  次に前年度災害復旧費につきましては、補正予算措置対象を十万円にいたしまして、既定の公共事業費、殊に過年度災害の復旧費等の予算を削減しないこと、そういうことをやられますると結局のところあぶはちとらずになつてしまうのであります。殊に農林、建設等の既定の事業費につきましてそれぞれ削られるということになりますと、ますます災害を将来において増加する結果になると思うのであります。どうかこの点につきましては、特に過年度災害の復旧につきましては既定の公共事業費を削らないように一つお願いいたしたいと、かように存ずるわけであります。  次に災害復旧費の補助対象となつております現行法によりまして十五万円以上、特例法によりましては十万円以上に繰下げられて頂いておるのでありまするが、この十万円以下の単独の復旧事業というものが市町村には山積いたしております。過般のジエーン台風以来市町村はこのために泣いて来たのであります。今日全国都市の九六%を占めておりますところの赤字の大半の原因は、こういつたところの補助対象とならないところの、曾ての十五万円以下、将来における十万円以下の損害の復旧の堆積であります。どうかこの点につきましては特段の一つ配慮を賜りたいと存じます。御承知のように府県はそれぞれ災害対策予算を計上いたしております。殆んどがこれは国の手当を見越しましたところのトンネル予算式の予算になつておるように我々は見受けます。国の事務が八〇%で財源は七五%以上も国に依存しなければならん府県でありますから止むを得ないと思うのであります。でありまするから特にこの点につきまして府県補助を求めようといたしましても非常に困難な状態に入ります。どうか繰返すようでありまするが、一カ所の工事の最低十万円以下のものにつきましても、全部これを補助対象にして頂かないと、この復旧は成り立たんということでございます。よろしくお願いいたします。  次に災害復旧補助率は、先ほど愛知県の知事さんからもお話がありましたように原形復旧主義を一つ放擲いたして頂きまして、飽くまでも改良復旧という点に重点をおいて頂きまして、そうしてこれの改良につきましても復旧の比率と同様に大いに補助率を盛り込んで頂きたい。たとえば三百万円の橋梁が流失いたしましたのに対して鉄筋コンクリートその他により堅固の改良復旧工事に持つて行きたい、その費用が五百万円かかる、ところがこの差額二百万円につきましては地元負担ということになつておるのであります。特例法につきましても同様の趣意かと存じます。これらの点につきましても特に一つ配慮を願いたいと存じます。  次に県及び市の所管区分にかかわりませず、市が水防のために緊急措置として行なつた作業費に対しまして、国庫負担の措置是非とも一つ講じて頂きたい。恐らくこういつた応急作業費は、公共事業費の一割近くになるのではないかと我々は考えております。こういつたものが何らの補助対象、負担対象にならんということになりますると、先ほどの十万円以下の場合と同じようにますます市町村の赤字に拍車をかけて行くのであります。これらの点につきましてもよろしく御配慮を賜わりたいと存じます。  なお災害復旧につきましては、先ほどお話がありましたごとく単独事業費につきましても全額国庫補助をして頂きたい。なお又地方債等に対しまする特例法に基きます起債の額は主としてつなぎ資金の財源になつているように思うのでありますが、先ほどもお話がありましたごとく、つなぎ融資が非常僅少であります。もつともつと起債増額して頂くように御配慮願いたいと存じます。なお又災害復旧の起債につきましては、補助金以外の市負担分は一つ是非とも全額承認するようにお願いいたしたいと存じます。  災害に対しますところの地方財政特別平衡交付金でございますが、これはいろいろとむずかしい問題があると存じます。都道府県市町村から相当やかましく申入れるということでございますので、早急に決定すると同時に、迅速果敢に行われなければならんということはわかつております。併し自治庁としてももつと積極的に一つ災害実態をみずからつかんで、そうしてこれに対しては特別平衡交付金災害概算交付をできるような態勢にできるだけ早く導かなければならんと思うのでありまして、この点についてもう政府に対しまして督励して頂きたいと思います。  次に災害救助法発動でございますが、これは災害事業の量とは違うのでございまして、御案内のごとく人命救助に関するところの法律でございます。従いまして極めて迅速果敢な措置が必要なのであります。ところが現地の法によりますると市町村長にはこの発動権がないのでございます。過般の十三号台風等ながめておりますと、適切な措置をとられたところの府県におきましては極めて迅速に災害救助法を発令されたようであります。或る府県におきましては災害救助法を発令しなければならんような状態にあつたにもかかわらず、二日もこれを放置しておつたというような所もなきにしもあらずであります。恐らく府県によりますれば、通信交通等が途絶いたしておりまするところの災害のまつただ中におきましては、恐らく知事はこれを全面的に承知することは困難だと私は思います。従いまして、さような事態に而も迅速果敢に人命救助をやらなければならんところの法の目的でありまするが故に、将来市町村長をして災害救助法発動するところの権限を附与するごとく法の改正をしてもらいたいと思うのであります。  次に治山治水の恒久的な対策を早急に確立して頂きたい。このことにつきまして特に申上げておかなければならないのは、建設省その他におきましても例えば大阪の場合、淀川とか大和川その他各府県の本川につきましては相当の増補工事を実施いたしておるのであります。速度は非常に遅いようでありまするけれども実施いたしております。ところがみずから守らなければならんところの維持区域内にある、本流に合流するところの支川に対するところの増補工事はなおざりにされております。今回各府県災害、ことに河川の決壊の実情考えてみまするならば各所にさような場所が出て来ておるのであります。御案内の通り国の河川に対する維持区域というものは、その本流の逆流点を以て定めておるのでございます。各河川とも年々歳々土砂が堆積いたしまして河底は逐年高くなりつつあります。これに伴いますところの増補工事が行われておる。従つて本川の堤防はどんどん高くなつて行く。この逆流地点というものは理論的に申上げましても支流にどんどんと延びて行かなければならないのであります。いつきめられたか知りませんが承知いたしておりませんけれども、昔決定されましたところの逆流点を依然として固持いたしましてこれを維持区域といたしておるのであります。私、高槻市におりまするが今回二カ所も支流の決壊を見ておりまするが、すべてこれは淀川本川の逆流によつて与えたところの損害でございます。一つは明らかに建設省の維持区域の中に入つております。こういつた弱点がことに乱伐をいたしまして砂防工事等がなおざりになつております支川に将来続々発生するのではないか、かように考えます。どうか本川同様もう少し国の維持区域を延長して、そして府県財政にも援助を与えて確実なる一つ対策を講じて頂きたいと思うのであります。  次にお願いいたしたいのは、災害復旧用の土木機械類を常時一つ全国の各所に備えつけて頂きまして、非常災害の場合に、もよりの災害地方団体において無償で借付けうるようにして頂きたいと思うのであります。ブルトーザーその他相当な機械力をもちましてやらなければ恐らく遅きに失するのではないかと思いますので、こういつた点につきましても特段の御配慮を願いたいと思うのであります。  次に申上げたいことは、罹災中小企業者並びに農家等の生活確保のための個人補償の措置でございます。これが現行法で見まするならばどこにもこういつた個人補償の措置が講じられていないのでございます。年々歳々風水害、火災、地震等によりまして非常なる災害を市町村民は受けるのでありまするが、その場合市町村の公共施設につきましては非常に少いとはいいながらも、何らかの形におきまして国の補助等によつてどうやらこうやらやつて行けるのでありまするけれども、直接に災害を受けましたところのこれらの罹災民に対するところの補償というものはどこにもない。今回の特例法を眺めてみましても僅かに出して頂きました線は、営農資金等に対しまするところの利子補給程度であります。申上げるまでもなく元金は返さなければなりません。而もその利子補給におきまして、殊に先ほどもお話がありました、今回の農業協同組合等を通じましてやりますところの、農家営農資金の場合におきます利子補給のごときに至りましては、法の措置を受けるまでの間における中金の金というものは極めて高率でございます。今回大阪府でとりましたところの措置を眺めてみまするならば大阪府で四分五厘の利子補給をいたしております。そうして中金から金を借り出しておるのであります。それが末端におきまして七分五厘になるのであります。その間各系統団体の手数料その他で利子をとるのであります。ところがその利子補給をいたしました分と合わせまして、大体におきまして一割一分から一割一分五厘というような高い金になつておるのであります。農家の系統団体であるところの中金から出る金が、如何なる理由であるといたしましても一割一分五厘というような高率で災害罹災民に渡すということは断じてこれは許せない。今市中銀行から金を借りるといたしますれば二銭六厘で借りられるのであります。一割一分五厘と申しますと恐らく三銭以上になるのであります。今回の特例法を眺めて見ましても我々市町村長は直接に銀行から借りてやりたいという考え方を持つのでありますが、法を眺めてみますると、府県知事がこれに利子補給をした場合に国がこれを見るというようになつておりますので、この場合我々が直ちに銀行相手に安い金を借りるということは結局においては高いものになるのであります。銀行から二銭六厘いわゆる九分一厘の金を借りましてこれに府県が四分五厘の補給をいたしましたならば四分六厘で農家に渡るのであります。併しながらまとまつた金を府県が非常に長期に亘つて借りるということは困難でありましよう。いずれにいたしましても系統団体である中金等の金が非常に高率であるということを一つ御認識願いまして、この点よろしく御検討を願いたいと思うのであります。いずれにいたしましても現在のところ食うものも一つもなく一年間というものは一粒の米も手に入れることができないというような農家に対しまして、その他全壊、半壊いたしましたところの中小企業等の建物等にいたしましても、現行法によりましては殆んどこれに対する個人補償ができないのであります。  そこでお願いいたしたいのは、いろいろと問題はありましようが、公営災害の保険等によりましてこれを解決しないと、只今のごとくインフレになるとかインフレにならないとか、このことのみによつてこういつた罹災民を見殺しにしてしまうような結果に相成ります。インフレは防止せねばならないのであります。かと言つてこれを見殺しにするわけにいかないということになりますと、やはりここに何らかの公営保険制度、災害保険制度を持ちまして、火災、風水害、地震等に対しまして市町村民みずからの手によつて或いは国のこれに対するところの補償によりまして、そうしてみずからの力でこの個人の罹災者を助けて行くための制度が確立されなければならないと思います。かような点につきまして、議院におかれましても是非とも一つこの公営災害の保険等の問題は単独法として、社会保障制度として成立さして頂くように御配慮を賜わりたいと思います。  次に冷害を含みましたところの今回災害のための保有米を皆無に、又は欠糧いたしました農家に対しましては、今回臨時措置法が出ましてこれに対しまして手当を加えて頂いております。これらの農家に対しまして、三百六十グラムに米食率というものをかけまして、これは各府県によつて異なつておりますが大体八〇%、三百六十グラムの八〇%といたしまして二百八十八グラム、一カ月にその半分でございます百四十四グラム、これに加配米三十日分百四十グラム加えまして、即ち全部で米が二百八十四グラムということになつております。これに要する米の数量はどの程度になりますか十二分に承知いたしておりませんが、大体三十万世帯とみましても恐らく百四、五十万石から二百万石近くなるのじやないかという考え方があるのであります。かように考えて参りますると非常に消費者全体に大きな影響を与えることは我我も十二分に承知いたしております、けれども、この数量では到底農業の再生産はできません。これに対しまして先ほどお話がありましたごとく、政府が買受けましたところの精麦は、大体二十キロ一袋といたしまして八百円程度で売渡して頂けるように相成つております。現在の市価が大体千円以上でございますので約二割減の価格でこれを売渡して頂くのであります。こういつた点につきましてもう少し先ほど友末知事さんからもお話がありましたけれども、少くとも四割減くらいの価格、或いはもう少し、半分くらいの価格でこれを売渡して頂くような措置を講じて頂きませんとどうにもならないのでございます。  それから保有米につきまして延納の道が講じられておるのであります。そこで特にお願いいたしたい食糧対策といたしまして、来年の米の供出につきましては、一つこういつた災害を受けました者につきましては、災害程度に応じまして一つ供出を減免して頂きたい、そうして食いつなぎして金を払つてこの米を食つてつたところの農家が、来年分にとれます米をとることによつてこの金を返済して行くというような方式になつて行きませんと、農家は全部倒れてしまいます。こういつた点につきましても一つ特段の御配慮をお願いいたしたい、かように存ずるわけであります。なおいろいろと御希望を申し上げたい点があるのでありますが、大体におきまして特例法は立派な措置でございまして、只今申上げましたような点は特に特例法を施行された場合にもお願いしたいということでございまするが、その他の点につきましては労働関係、厚生関係等につきましてもどうかこの特例法政府が忠実に一つ実施するように各位からお願いいたしたい、かように存じます。  申上げるまでもなく近代民主主義政治は、曾て自力復興だとか何とかそういつた理由で罹災民を見殺しにして来たのとは違いまして、近代の都市行政というものにおきましては断じてこれはもう罹災民を見殺しにするようなことはできません。併しながら私たちが恐れておりますのは公共災害は勿論のこと、それの何十倍に相当するところのこの個人の生活をどうして確保するかということであります。こういつた点につきまして一つ特に御配慮をお願いいたしたいと思います。  以上非常に簡単で、ございましたが、なお不確定な分につきまして、まだ相当資料が集りませんので、至急これを取りそろえまして更にまとめ上げましたものを本委員会に御送付申上げたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) ありがとございました。  次に町村会代表米ノ庄村長宇野誠一君。
  11. 宇野誠一

    参考人宇野誠一君) 当委員会が平素全国の町村の上に深い御理解と御支援を賜わつておりますことは、特に町村合併促進法案の成立におきましては多大の御心配をされましたことにつきましては、ここからお礼を申上げたいと存じます。  何分全国の町村状況につきましては、災害状況又その及ぼした数字等につきましては、資料的にまとめかねる事情にあるのでございますので、おおむね現段階におきましてその数字的な資料政府のほうで御提出願つておるような事情であります。私属しております視野の関係からおのずから身近な自分の村の状況等を御報告申上げまして、全国におきます災害地実情につきましての御類推をお願いしたいと考えておるような次第であります。先ほど愛知県知事さんからお話願いましたように、異常な降雨と異常な高潮に台風が加わりまして、而も根本的に申上げますと我々の村の附近におきましては確実に八十センチの地盤沈下を来たしておりますので、満潮時を待たずして海岸堤防は、伊勢湾の場合においてほ南部から続々と決壊し始めまして、三重県の例を挙げますと県下で百二カ町村災害救助法の御厄介になるようなことになつております。現に海水が全村を出入りしておるような状態でありまして、いろいろとお話につております数字を挙げたり又はその他の措置を講ずる余地がないような実情にあるわけでありまして、本日実はその  災害地町村長を帯同したかつたのでありますが、現に予報されております高潮が二十日前後にあるということでありますので村を離れ得ないような状態であります。私の村の事例を挙げさして御類推を願うわけでありますが、委員長さんのお手許にあります地図で御覧願いますと、インキで横線の引いてあるのが私の村であります。海岸よりは少し入つておるようなわけであります。貼附してある写真の通りの海水が現に出入りしておるような状態であります。概略一百町歩が海水に浸され百五十数戸が床上浸水をしたのでありまして、災害救助法を適用されます大体最低位の村に属しておるわけでありますが、いろいろと措置等の問題につきましては知事さん初め高槻市長さんから適切な御要望がありましたわけでありますが、町村といたしましても全面的にそれらの要望を掲げておるわけであります。私の村の事例におきましても概略五、六十町歩の田面がありますが、数年は生産に堪えない状態でありまして、又二十数戸が半壊の状態にある、その残余が床上浸水という状態になつておりますので、本年度見通し得る歳入の欠陥は大体年間を通じますと二百万円を超過するわけであります。私の村の年間予算は八、九百万円でありますが、二百万円以上の歳入欠陥がここで生じて来るわけであります。又国の応急施策、県の応急施策を待つまでに一日も早く田面を助けたいと思いまして応急措置をとりました。その経費が大体六、七十万円に達しておるわけでありまして、先ほど来お話になつております国の御救助を願う面のほかに町村はこのような痛手を現に本年こうむつたのでありますが、なおこの創痍はここ数年間継続するわけでありまして、府県の段階その他とは違つて町村におきます痛手というものはあとを引くおけであります。この問題につきましては特別平衡交付金等で十分御配慮願いたいと考えるわけであります。  御承知つておきたいのは、私の村の場合は御承知のように床上浸水が百五十戸の程度でございますが、恐らく救助法を適用された最低位にあるわけでありまして、それにおきましてそのような状態でありますことを御承知つておきたいと思います。  なおいろいろ、と国会におきまして国民経済生活安定のために大きく御配慮は願つておりますが、而もなお現に海水が日夜浸水しておる状態でありまして、納税者といたしましては何と国家の救援の手の遅きことかとなげいておるようなわけであります。ややともすると納税をしておる意義を見失うのではなかろうかと考えておるのでありまして、その間町村長はみずから机の前に政府の代弁としてその応接にいとまない事情でございます。何とぞ至急この応急措置等をお講じ願いまして、又恒久的な処置といたしましては平衡交付金、差当りましては繋ぎ資金等を急速に一つ配慮願いたいと考えておるような次第であります。海水の浸入しておる事情等につきましては、私の村でも富農の階級に属する二、三町の耕作農民でも皆無の状態になつておりますので、その家庭の女子はすでに女中奉公に都会に出つてつているような状態で、誠に同情すべきことが山積しておる事情にありますので、何をおいてもこの復旧を急いで頂く。なお恒久的な考え方として、先ほど高槻の市長さんのお説のように改良復旧工事をして頂く。それは合せてその地元の匡赦事業的な性格を帯びるものと考えられるわけでありまして、これを至急にやつて頂き、完全にその地域に対する匡救事業的な性格を帯びさして頂きますならば、生活援護その他でいずれ御面倒をみてもらえる経費を償つて余りある関係もありますので、その点についての御配慮を願いましたならば誠に仕合せと存ずるような次第であります。  又本年度は災害がなくても大変米麦のみのりが細く、いずれも低温寡照の影響を受けておるわけでありますが、その間町村長が供米に努力することは終戦後最も難事業考えておるわけでありますので、合せて貸与米制度等を適切に運用して頂きますと、災害に便乗する農民をも排除することができまして最も結構だと考えておるようなわけであります。それらの点につきましては、農村一般として痛切に要望しておるようなわけでありますので、合せて御配慮願いたいと思います。  いずれ各種の資料等も町村会でまとめまして参考までに提出したいと考えておりますが、いずれにしても一つ深く御配慮を願いたいのは、罹災民を擁しておるのは市町村であるということの御認識に立たれまして、財政措置等につきましては十分御理解のある御配慮をお願い申上げたいと考えておりますような次第であります。  甚だ資料等が不十分で、ございまして、雑駁な陳述をいたしたわけでありますが、災害地に赤旗がへんぽんとしておるような状態さえ見受けるようなわけでありますが、大きな日本の思想国策の上におきましても、この復旧の問題につきましては適切迅速な対策を強く要望申上げる次第であります。
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) 有難うございました。  では参考人の公述は終りましたが、委員の各位から参考人に対しまして質疑等がありましたらお願いいたします。
  13. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 桑原さんに伺いたいのですが、この資料の三ページのところに三番として「本年度予算措置の必要額」というところがありますが、公共災害復旧費というのは公共事業費というだけに限るのですか。
  14. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) さようです。そこに第一ページにあります「公共事業団体」とありますのは公共事業関係ですが、そのうち「冬期風浪及融雪、六—七月水害、八月水害、一三号台風」これは皆公共事業関係の内訳なんです。
  15. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ああそうですか。私の伺いたいのは、先ず第三番目に数が載つておりますね。そこで第一年度が特例法の場合を含んで三百十七億となつておりますが、これに対して協議会の案によるとそれがどのくらになりますか。
  16. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) 実はこれは第二にあります台風十三号だけのがあります、見出しの書いてないのが。
  17. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 この三百十七億ですか。
  18. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) その三百十七億、二の台風十三号公共事業関係、それが特例法の場合が三百十七億、現行法の場合が二百五十六億。
  19. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それでは伺いますが、私は十三号台風ばかりでなしに全部含んだもの、第一の表にあるところを見ればわかるのですが、これを年度割にして行つたならば、協議会の案としては、三年間として第一年度はどのくらい必要なんですか、第二年度はどのくらい……
  20. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) それは実は先ほど申上げましたが、八月以前の災害につきましては数が的確でございませんので極く大ざつぱを申上げたのでございますが、十三号台風はそこにありますように第一年度が三百十七億、第二年度が五百二十八億、第三年度が二百十億……
  21. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 先ず協議会案はどのくらいか。
  22. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) この三百十七億と申しますのは実は協議会案でございます。協議会案ではございますが、それは十三号台風関係だけでございます。
  23. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それではすべてのものを含んだ場合の概略でもようこざんすから、第一年度、第二年度、第三年度どのくらいになるか協議会の案を伺いたい。
  24. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) 大体そうしますと余り正確でございませんが、被害総額は、公共事業だけを申上げますが、大体二千九百億ぐらいになると思うんですが、それを我々のほうは被害総額全部をいわゆる大蔵省査定として頂きたい、こう思うんです。そうしますと、それの三・五・二となりますとその三割ということになるわけでございます、次が五割、それから二割ということになりますから。
  25. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 これは公共事業費ですね。
  26. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) ええそうなんです。
  27. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その他文教、厚生というものを含んだらどういうことになりますか。
  28. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) それが実はそういう数字もまだその全体で大事な所が来てない所がありますので、で先ほど申上げましたように、それが揃いましたらなおお手許に早速、取寄せておりますが今朝まで間に合いませんでしたので……。
  29. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 わかりました。更に伺いたいのでございますが、簡単に願いたいと思いますが、この風水害に対する都道府県自体の負担といいますか、措置といいますか、これはどういうふうになつておりましようか。いわゆる国で負担したものに対してそのうちの幾らかの率を都道府県で負担ずるというものでなしに、都道府県自体でどういうふうな措置をされているか、これを伺いたい。
  30. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) それは従来は、即ち現行法で参りますと大体七二%を国で負担し、あと地方が二八%ということになるわけでございますが、実はこの今回の十三号台風につきましても特例法を全面適用して頂きたいということになりますから、従つて新らしい立法によりますと、そこの説明にもありますように八八・三%というものが国の支出になり、残りが地方支出になるというわけでございます。
  31. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうするとその八八%に対した残りの部分というほかには、都道府県自体としてはおやりになることはないんですか。特別の支出をして府県なりのこういうふうな災害に対する措置をとるということはありませんか。
  32. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) それもはれも先ほど申上げましたが、県なり或いは市町村単独事業費としてやるものがあるんですが、それはここへは入つてはおらないわけです。
  33. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると災害の起つた府県では議会なりを召集して、そういうふうな自己負担、自己資金によつてやるということが議決された場合があると思うんですが、そういうふうな場合はどういうふうな額になるかということは全くなかつたんですか。
  34. 桑原幹根

    参考人桑原幹根君) 今度の災害につきましてはまだやつておりません。併しこれは国の補助を見込みましてやつておりますが、県の単独或いは市町村の単独というふうな、もうこの際まだいろいろと標準がきまりませんので、その標準がきまりましたときにその枠で計つてやる。そうは言つておられないからかまわずやれ、金のことはあとでいいじやないか、こういうふうな気持ちでやつておるわけです。
  35. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それでは友末さんにちよつと伺いますが、風水害の場合は住宅をなくしたとか家財をなくしたとかで早急に措置をとらなければならん、冷害の場合には家がなくなつたわけでもない。併しそういうふうな違いはございますけれども、現在において冷害方面の緊急な措置として何かとられておられますか。
  36. 友末洋治

    参考人友末洋治君) 冷害対策として最も地方で急いでやらなければならんことは実は実態調査でございます。農家個々につきまして作付の状況、或いは品種別、被害程度、これを精密に実は調査いたしませんと飯米対策及び救済対策はできないわけでございます。これにつきましては県及び市町村の協力を得まして調査班を作つて綿密なる調査を大体各府県ともやつております。これに対しましてのいろいろ費用もかかるわけでございます。  その次にいたしますることは、農業手形の支払というものが、もう期限が来ているのに支払ができないためにやむを得ず闇に流すという点も実はあるのであります、そこで農業手形の支払の延期というものが現行法じやできません。従いまして現段階におきましてつなぎ的に過渡的に金を県信連に融通いたしまして、単協と県信連が契約をいたしまして、肩替をいたして地方支払にしておく。これは臨時的な措置が国において講ぜられておりませんので、現段階で例えば一億円とか二億円とか、この最低現金を農協に預託をいたしまして、そうしてそういう手当をいたしているということが一つございます。  それからも5一つは飯米代金の延滞、これが実はどの程度になるかもわかりませんので、取りあえずその三億円とか五億円とかいうのを限度といたしまして、それに即応いたしまするところの利子補給の一応措置をとる。これは予算措置でなく予算外の負担契約で恐らく各府県ともやつている、こういうことでございます。  それからもう一つはどうしても生産者消費者両方に亘りまして食生活を実は切替えなければならん。その関係から全県的な運動を展開する、或いは講翼その他の協議会、いろいろに各県ともありとあらゆる手を実は打つております。一面学校給食に対してなんらかの各県手を打たなければならんというので苦心をいたしておりますが、一人あたり幾ら程度補助するかという問題になりますと実に大きな額になりますので、取りあえずの対策といたしましては学校給食をこれからやつて行く。或いは現在やつているところに対しましては、人を雇つて実は学校給食の世話をしておりますので、一人当りの人件費の半額程度、或いは三千円とか四千円とかそういう僅かばかりの実際かかりまするところの費用、これを各県に負担する、市町村に負担する、市町村もやはり負担をされておる、市町村に対して県もやはり負担をする。かような臨時的な応急措置というものを茨城県では講じておりまするが、これに似通つた応急措置というものは大体各県で講ぜられている模様でございます。これは国の政策が確定されまするそれまでの繋ぎ的な過渡的な措置でございますので極めて不十分でございます。財政関係もあるので現段階でやるのはそう大したことはできないという状況でございます。
  37. 内村清次

    委員長内村清次君) 実はこの参考人代表のお方々の公述を聞きましたことは、私当初に申しましたように、政令及び予算額の政府のほうでの決定も間近になつております関係で、これに実は反映させたいというのが大きな重要な問題でございました。特に参議院におきましては十月の六日、七日二回運営委員会を開きまして、政府に対しまして参議院自体といたしましても早期臨時国会を召集するようにという正式な申入もやつておる今日でございます。当初の水害から考えてみますと足かけ五カ月になつているのでございまして、先ほど各代表から言われましたように、その間の政府措置といたしまして繋ぎ融資その他をやつておるようでございますけれども、併し実情においてはなお深刻なこの復興対策に対しましての御苦労があつておることは、前々から私たち重々と存じておるのでございます。是非とも臨時国会の召集を要求いたしまして、国会席上におきまして早い予算の手当及び又法律、政令の手当をこれに充当いたしまして、一日も早い復興を希望いたしているような次第でございます。今日も実はその一環といたしまして、地方行政委員会関係常任委員会、約五つの常任委員会が十九日から六日間或いは四日間開きまして、この問題を中心として政府には先ほど申上げました臨時国会の早急開会を要求するとともに、立法機関といたしましてはこの措置に対しまして万遺漏のないようにという見地から、関係常任委員会が開催をいたしているような次第でございます。  今日はお忙しい中、又適切なる公述を頂きまして私たち感銘いたしているような次第であります。誠に有難うございました。  これで委員会は休憩いたします。    午後一時四分休憩    —————・—————    午後二時三十六分開会
  38. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続きまして委員会を開会いたします  議題災害地治安状況に関する件、これを先ず山口警備部長から説明を求めます。
  39. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 先日十三号台風被害状況についてお話をいたしましたが、その後本日現在でまだ復旧しない地域が、復旧しないと申しますのは現に被害を受けております地域で、相当ありますのでそれを御参考までに申上げたいと思います。一つは、三重県の津市の大字高茶屋、ここに田が二百五十町歩、浸水家屋が二十五戸残つておるのであります。この辺はまだ満潮時には国道一号線が約千メートルに亘つて浸水をいたしまして深さが一メートルくらいに達するという状況であります。二番目は同じく三重県の一志郡鵲村というのがあります。これが水田の冠水が約百三十町歩、浸水家屋が八十七戸あります。三番目が同じく一志郡の天白村が水田約四百五十町歩、浸水家屋が八十六戸ということになつておるのであります。かようにまだ復旧と申しますか、応急の復旧も十分行なつていない理由にはいろいろあると思いますが、被害の規模が大きいという点或いはそのために復旧の資材、労力、技術というものが不足しておるというような点が主な原因になつておるのであります。  なお次に京都府で若干やほり浸水をみておる所があります。  それは宇治市の小倉町、伊勢田町、久世郡の御牧村、佐山村この辺の家屋がやはり非常に被害を受けたのでありますが、現在水田約千町歩ばかり冠水しておる状況であります。排水ポンプで盛んに排水をいたしておりますが、復旧には先ずあと一週間近くはかかるのではないかと見られておるのであります。  それから次に愛知県幡豆郡一色町の南部海岸で約七百戸、それから同じく幡豆郡の吉田町の南部の海岸で約百戸そのほか平坂町或いは福江町等で百戸ばかり浸水を見ておるのであります。この地方にまだ浸水を見て仮復旧が遅れておりますのは、堤防決壊をした個所が非常に多く、而も規模が大きく、長さ数百メートル、深さ四、五メートルにも上るような個所がありますので復旧が依然として進んでいない。大体十三号台風によります被害地域で、まだ非常にそういう浸水等のために困窮しておるという地域は、大体以上申上げたような地域であります。  被害状況につきましては先般申上げましたので、本日は省略をいたしまして、お手許に配りました冷水害地における治安状況について要領をお話申上げます。先ず冷水害地の生活状況でありますが、水害地で申上げますと、食糧事情につきましては今直ちに配給の不円滑を来して災害地に不安を生ずるというようなことは一般的には起つておりませんが、併し局地的には相当問題を持つておる点があると思うのであります。  一つは福岡県では被害を受けました農家が米を流したり、或いは水につかつて腐敗をしたというような関係で、六千三十三戸の農家が還元配給を受けておるのであります。この量が福岡県の応急救援米の大半を占めておるというのであります。次に和歌山県におきましては水害のために米の搗精能力が非常に減少いたしましたので、大阪兵庫方面から精米を運んだのでありますが、海岸から持つて参りますので、奥地の地帯の道が壊れておるというような関係で輸送ができなくて非常に困つたのであります。食糧不足に基きましていろんな流言等もありましたが、その後道路も応急復旧がされまして一応現在危機を脱しておるという状況であります。  三番目に福岡県の大福村の問題でありますが、この村では僅か四町歩が復旧したのみでありまして、現在こういう災害地の農民が辛うじて復旧工事の人夫として生計を維持しておるというような悲惨な状態にあるわけであります。  で、住宅、衣料の問題につきましてはだんだんに軌道に乗りつつあると申しますか復旧工事が行われつつあります。福岡県の場合について申上げます。と全壊戸数が約三千五百戸あります。そのうち三千戸の住宅が現在一応確保されたという状況でありますが、なおよそに転居したり或いは間借をしておるという者が相当数残つておるのであります。罹災地の復旧資材の値上り、或いは大工の手間賃が相当つておるこいうことが復旧についての一つの障害ということになつております。それから衣料も相当に値上りをしたのでありますがその後だんだん平常に復しつつあるとわけでありますが、併しこれかつ冬を迎えますので住宅問題、或いは衣料の問題につきましては相当注意をしなければならないというように考えておるのであります。  なお災害地全般に通ずる問題としまして御承知のように応急復旧事業を市町村等でやつております。で、当初は復興事業費でやつてつたのでありますが、だんだんと財政上の都合もありますために失業対策事業に漸次切換えつつあるわけであります。失業対策事業に切換えるということになると日当が若干下がる、或いは失業対策に出るには一定の登録をする資格というものが要る。又枠が自然にきまりますのでその間にあぶれが出るというようなことがあるわけであります。そういうような点から問題が起るのであります。和歌山県に御坊という今度災害を非常に受けた町があります。ここで応急復旧事業を失業対策事業に切換えたために、三千五百人について適格審査をやりましたところが、二千四百人ばかりがいわゆる失業対策事業労務者としての適格性が欠けるというようなことから非常に問題を起したことがあるのであります。  大体以上申上げましたのが災害地の全般の模様でありますが、次に冷害或いは病虫害による被害状況について申上げますと、御承知のように北海道の北見地方、東北各県特に太平洋岸稲作状況は御承知のように非常に悪いのでありますが、収穫皆無に近い状態に陥つた町村が部分的に出ておるのであります。特に岩手県の北、青森県側ですが、下閉伊郡地方の米作が殆んど全滅に近い状況にあるのであります。而もこの地方は今年の春の霜の害によりまして、ひえ、そば或いは陸稲というものも収穫が殆んどなかつたというので非常に困窮をしておるのであります。これらの災害を受けた所では結局飯米をどうするか、それから収入がなくなりますので今後食つて行くにどうやろうかという問題が今残つて、まあ深刻な状況になりつつあると思うのであります。一部ではすでに家畜或いは土地を手放す農家も現われておる。或いは又失業者に転落する農民がだんだんふえて来る。或いは子供を身売するというようなこともふえて行くというような傾向が見えておるのであります。差当りましては日傭をやる、或いは製炭によつて辛うじて生活を維持しておるというのが、こういう米作の特に悪い地方における現状であろうと思うのであります。  で、供米の割当につきましては、大体北海道東北その他の早場米地方は県の割当が大体折衝が終つておるのでありますが、今後これが市町村の割当に下つて或いは又市町村から部落なり個々の農家に対する割当が具体的な問題として出て来る場合に、保有米、飯米を確保するということから、或いは供出の拒否とか、或いは又供出した食糧を自主的にその村や部落で管理するという問題、或いは又山林原野を開放しろというような要求から盗伐といいますか、実力でどんどん伐つて行くというようなことが起るような懸念があるわけであります。凶作の問題で一部飯米をよこせという米よこせ闘争というのが宮城県、青森県で一部起つておりますが、全般的な状況にはまだなつておりません。  それから都市労働者の間で具体的にそういう問題が起つておるというのはまだありませんが、ただ後ほども申上げますが、共産党の今回の凶作に対する一つの闘争の方針としまして、都市において米よこせ闘争をやる、それから農村においては自主的な供出、即ち飯米を確保する、そして又供出したものも自主的に管理するということ、この二つの大きな線を出して盛んに宣伝をやつておるのであります。今後まあ米の闇値がどう動くか、それにつれて食糧問題につきましては私どもといたしましても非常に大きな関心をもつて眺めておる次第でございます。  それから次に冷水害地における各種団体の動向というのがございますが、これはまあ各県においてどういう動きがあるかというと、主にそこに書いておきましたが、各県に大体民主水害対策本部というものができております。復興予算の要求、或いは復興県民会議を開いて罹災民の救援に非常に努力をいたしておるのでありますが、大体その概要につきましてはそこに書いてございますので、それを一つお読み願いたい、かように思つております。要するに農民が自主的な独自の動きを多少始めておる、今までは市町村なり県なりの救護なり、或いは中央政府に対するいろいろな予算の案とか、そういう動きをやつてつたのでありますが、最近まあ非常に農民の独自な活動がだんだんにふえ来ておるということが一つの事実として現われておるのであります。  冷害或いは病虫害地の状況につきましては、そこに各自治体の動き、或いは農民団体の動き、特にこの農民団体の要求といたしましては、営農資金或いは農業災害補償の要求、飯米の確保、免税、供米の免除等が現実の問題としていろいろと要求をだす動きをやつておるのであります。特にこの方面につきましては、日農の関係団体がいろいろな会議をやつておるという状況になつております。  それから最後に日共の水害闘争でありますが、これは九州水害が起りましてからあと非常にあれを重要視いたしまして、中央から指示も出しますし、活発な活動をいたしたのであります。根本的に申上げますと、要するに今回の災害は天災ではないのだ、これは人災だという一つの見地からやつておるのであります。そして結局この水害闘争を目下共産党が当面の直接的なスローガンとして掲げております。反米、反吉田、反再軍備、統一政府樹立というために統一行動を盛り上げて行く一つの宣伝活動と結び付けておるのが非常に特徴と申しますか、党としては当然であろうと思いますが、そういう動きをやつておるのであります。九州の場合は勿論のことでありますが、和歌山、或いは今回の水害等に際しましても、ほかの地方から大量の、ここへ軍事部隊と書いてありますが、彼らの遊撃隊を送り込んでおります。これは私どものほうで相当つかんでおりますが、例えば九州におきましては、主に中国の各県或いは関西地方大阪兵庫、或いは東京から相当の党員を送つて、救護活動、復旧工事その他のいろいろな活動をやりながら、党の一つの宣伝活動を行なつて、そうしてそこに罹災者を中心とした一つの罹災者の同盟のようなものを永続的に組織として作り上げて行こうという活動をやつておるのであります。これらの現地に派遣されました人たちは非常な苦労をしてやつておる。その体験或いは報告等を見てみましても、非常な苦労をやつておりまして、現地に行くと所によりましては御承知のように宿舎を提供されないというようなこともありまして、橋の下に長い間泊つて活動しておる、食うや食わずでやつておるというような……。それにもかかわらず非常に何といいますか、一生懸命に復旧関係の仕事或いは党の宣伝活動に従事をいたしておるのであります。こういう活動状況を見てみますと、そういう人たちの何と言いますか熱意というか努力というか、そういうものには私どもといたしましても何か非常に打たれるような感じがしたのであります。そのくらいに党としては非常に今度の水害闘争に力を入れておつたということを申上げたのであります。  で、日共のこの冷害或いは病虫害の闘争につきましては、共産党としましては農村に足場が弱いということが非常に大きな悩みになつておるので、そこでいろいろな活動をやつておりますが、うまく行かない。現在非常に強く主張しておりますのは労農同盟、労働者と農民のつながりを強めてその統一闘争によつて農民の政治意識を高めて、そうして農村の解放をやつて行こうということに主力を注いでおるのであります。そこにも掲げましたように党の中心機関紙に農民組織者というのがございますが、この中でもやはり冷虫害は決して天災によるものではなくして、まあ彼らの言葉で言えば現在の植民地的な政府施策のしわ寄せから当然に起り得べくして起つた人災であるということを盛んに宣伝をしておるというのが現状でございます。先ほども申上げましたが都市における米よこせ闘争、或いは農村における飯米の確保、自主供出、米の自主管理、併せて米価の一万二千円の要求というのを大体出しております。この米価の一万二千円というのは、農家の自家労働を一日八時間だつたかと思いますが一日何でも六百円に見て、そうしてそれから米価をはじき出しておるようなやり方をやつておるのであります。昨年は一万円をよこせというのが統一された要求でありましたが、現在は一万二千円の米価というものを要求をいたしております。この冷害地或いは病虫害等の凶作地帯の闘争の状況は、水害地の場合と違いまして目下のところ党の思うように進んでいないというのが現状であろうかと思いますが、併し今後先ほども申上げましたように米がとれない、飯米もない、併し又ほかに収入の途もないというような所につきましては、相当まあ党の食い込んで行く所もあろうかと思いまして十分に注意はいたしております。現在の日共の農村における工作は専ら各地のいろいろの農民団体の中にグループ活動を強化して行く、或いは農村の現地に、農村の総合工作ビューローと言つておりますが、現地に数名或いは十名ぐらいの工作の一つの組織を送り込んで現地でいろいろ指導をするというやり方をやつておりまして、何とかして農村における党の主体的な影響力を強めて行こうという方向に工作を続けておるのでございます。極く大ざつぱでありますが、只今申上げましたのが現在の治安の状況であります。  凶作関係の党の指令としましては、八月二十四日にやはり「農民組織者」が出ております。この「農民組織者」の中で具体的に先ほど申しましたように、今回の凶作は天災ではなくして人災だという考え方を盛んに吹つ込んでおりますが、具体的な要求としましては、長期無利子の営農資金、生活資金を無条件に貸出せ、或いは生活保護法を拡大して適用する、或いは供出の減免、或いは税金の減免、授業料の免除、それから肥料、農業薬品、その他農業用の資材を安く配給ぜいとか、それから電源開発に対しても反対の動きを示しております。なお政府が備蓄米を持つているからその備蓄米を放出せよという要求をやつておるのであります。まあ私の聞きましたところでは、政府としては配給操作上の一つの米は持つておりましようけれども、何か別に党の言うような備蓄米というようなものを持つておるわけではないのであります。まあ党に言わせますと政府に七百万石の備蓄米があるからそれを放出せいということを盛んに宣伝をいたしておるのであります。  大体以上簡単でございますが御説明申上げます。
  40. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちよつと速記をとめてお聞きしたいのですけれども
  41. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  42. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとつて下さい。
  43. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今農村なんかに基礎の非常に薄弱な、本社があるのかないのかわからんような金融機関が非常に入り込んで相当大きな詐欺的な行為をやつておるようですが、そういうことで今顕著な例はありませんか。
  44. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) その問題は実は私余り存じません。大変失礼しましたが、刑事部の防犯で恐らくやつておると思いますが、私は直接担当しておりませんので今確実なことは申上げられません。
  45. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今冷害やら何やらで各農協や何やら大きな打撃を受けておるわけですが、それについて農民というか組合員が金融の面でいろいろ心配しておる際に、非常にいい配当をするというようなことを言つて相当この被害にかかつておるのがあるらしいのですけれども被害者も余りそれを表面に出すことも恥かしいような気持でやらないけれども、これはやはり相当取締つてもらわなければ、この零細な農民からこういう金を吸収していろいろなインチキな投資をやつておるらしいのですけれども、若しわかりましたら一つ次回にでも取締状況をお聞きしたい。
  46. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それに関連して。これは結局私らの東北なんかも非常に多いのですが、やはり大蔵省の何と言いますか金融課と言いますか、主務省が一体どういう方針で、どういう取締をし、どうやつているのか、これは一遍なんでしたら議題に取上げてやつてもらいたいと思います。これは地方としては相当大きな問題だと考えております。
  47. 内村清次

    委員長内村清次君) この取扱は四日間の委員会のうちにあなたのほうでおまとめ願つて一つ大蔵省のほうにも通知いたしたいと思います。  それではちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  48. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて閉会いたします。    午後三時二十七分散会