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国務大臣(
塚田十一郎君)
只今提出いたしました
地方財政平衡交付金法の一部を改正する
法律案の
提案の理由及び
内容の概要について、御
説明申上げます。
各
地方団体に対して交付すべき
地方財政平衡交付金の額の算定に用います単位費用につきましては、給与改訂に要する経費や市町村教育
委員会設置に要する経費の年間所要額等を算入することとするため、これを増額する必要が生じている反面、別途国から
地方公共団体に交付されることとな
つた義務教育費国庫負担金
相当額等を控除することとするためこれを減額する必要も生じているのであります。
これに加え
地方税法の改正案との
関連におきまして、個人に対する市町村民税の所得割に係る基準財政収入額の算定
方法に関する規定を整備する必要があるのであります。これらがこの
法律案を提出する理由であります。
以下改正しようとする
内容の概要について申上げます。
改正の第一は、単位費用を改正しようとすることであります。その一は、義務教育に従事する教
職員の給与
関係費、児童保護措置費及び義務教育教材費に対し、それぞれ国庫負担金制度が復活乃至新設されることになりましたので、これらにかかる基準財政需要額から国庫負担金
相当額を減額することに伴う単位費用の改訂であります。即ち道府県分の小学校費及び中学校費並びにその他教育費に含まれている盲聾唖学校費のうち義務制の児童生徒にかかる基準財政需要額から教
職員給与
関係費の五割を減額し、道府県及び市町村の社会福祉費にかかる基準財政需要額から児童の保護措置に要する経費の八割を減額し、市町村の小学校費及び中学校費のうち学級数及び児童又は生徒数を測定単位とするものから、国が負担する教材費担当額を減額する方針の下に、それぞれ当該単位費用を改訂することといたしました。
その二は、給与改訂に伴う単位費用の改訂であります。昨年十一月から行われました給与改訂の結果、標準的な団体又は、施設に配置されるものとされた
職員の給与に要する経費は増加いたしますので、これらの団体又は施設において、当該
行政項目について必要な経費を測定単位の数値で除して定められる単位費用は、それぞれ増加するわけであります。従いまして反面、または橋梁費、戦災復興費及び災害復旧費の単位費用については、その算定に当り
職員の配置を予想しておりませんため、給与改訂による増額はないのであります。
その三は、恩給費の算入が之に伴う単位費用の改訂であります。
恩給費は、従来、各
行政項目に配置された
職員に伴
つて、各経費ごとの単位費用中に算入致しておりましたが、
地方団体ではこの種の経費は一括して経理していますので、
警察、消防費及び教育費を除きその他の経費の単位費用中に算入されておりましたものは一括してその他の
行政費のうちのその他の諸費の単位費用中に算入することとしたのであります。
その四は、各種法令の制定改廃その他に伴う単位費用の改訂であります。
即ち、石油
関係資材統制の撤廃によるこの種経費の産業経済費からの減額、市町村教育
委員会に要する経費の平年度所要額算入のためのその他教育費の増額、学校建物単価の引上げ等による教育費等の増額などであります。
改正の第二は、測定単位を改正しようとすることであります。その一は、港湾費にかかるものであります。現在港湾における船舶の出入トン数を測定単位としておりますが、トン数が毎年度かなり大幅に変化いたして参りました上に、その変化が港湾費として
地方団体が出費いたします港湾管理費や港湾施設費と必ずしも、直接の
関係があるとも考えられないのであります。勿論港湾の態容というものは、千差万別でありまして、それぞれの財政需要を機械的に、而も的確に測定するということは、技術的に困難なものでありますが、種々検討の結果、港湾における船舶の出入トン数よりも、港湾における繋船岸の延長と港湾における防波堤の延長とを併用いたしましたほうが、合理的であると考えられましたので、これをも
つて測定単位としようとするのであります。この改正の結果は、個個の港湾について財政需要額に若干の異動は免れないのでありますが、総額においては従前の額を維持することにな
つております。
その二は、社会福祉費にかかるものであります。
社会福祉費の測定単位につきましては、人口の外、当分の間、児童福祉施設入所者数と被生活保護者数を用い、それぞれ児童保護措置費及び生活保護費を測定することといたしてお
つたのであります。
然しながら、経費を余り細分して測定いたしますことは、一般財源としての
地方財政平衡交付金について、とかくひもつき財源のごとき感じを与える虞れがあります上、本年度からは、児童保護措置費が生活保護費同様、八割国庫負担となる
関係もありますので、この特例は廃止することといたしたのであります。
その三は、公債費にかかるものであります。公債費と云いますと、土木、衛生その他各種の
行政費に充てた
地方債の元利償還額を全部ここで測定するかの誤解を与えますので、この本来の趣旨に鑑み、その名を災害復旧費に改める外、測定単位は、現在災害復旧事業費及び防空
関係事業費の財源に充てた
地方債の元利償還金とな
つておりますのを、災害復旧事業費の財源に充てた
地方債の元利償還金のみに改めたいのであります。
防空
関係事業費の財源に充てた
地方債の元利償還金を廃止いたしましたのは、この事業は直接には災害復旧費には該当いたしませんのと、インフレーシヨンの影響を受け、その元利償還金は現在では極めて少額なものとな
つているからであります。
改正の第三は、道府県を通じ義務教育にかかる経費に必要な財源の保障を厚くするため道府県基準財政収入額の算定に用いる基準税率を
地方税法で定められました標準税率の百分の七十から百分の八十に引上げようとすることであります。普通交付金の算定に用います基準財政需要額は、特別交付金及び
地方税の収入のうち基準財政収入額に
相当するもの以外のものを財源とすべき部分を除いて算定されるため義務的経費についても、或る
程度圧縮されており、昭和二十七年度分についてみますと、義務教育教
職員の給与
関係費にかかる基準財政需要額は、
地方財政計画上のそれに対し、八八%
程度とな
つていたのであります。そこで基準財政需要額に充てられるべき財源たる基準財政収入額を標準税率で算定された税収入見込額の七割から八割に増額する反面、この種の義務的経費は
地方財政計画に算入されているとおおむね同額を基準財政需要額として算定することとして、すべての道府県に対する財源保障の
程度を高くすることといたしたいのであります。
改正の第四は、あらたに個人に対する市町村民税の所得割に係る基準財政収入額の算定
方法に関する規定を設けようとすることであります。
市町村にかかる基準財政収入額は法定普通税について標準税率の七八%、即ち基準税率で算定した収入見込額であります。
而して、個人に対する市町村民税にかかる所得割については、現在、
地方税法上、課税方式の選択が許されておりますが、基準財政収入額の算定においては、所得税額を課税標準とし、その標準税率百分の十八を用いてお
つたのであります。然しながら、今回予定しております
地方税法の改正
法案によりますと、この種の標準税率が削除されますので、
地方財政平衡交付金法中に、基準財政収入額算定の際用いる課税標準を所得税額とし、その税率を百分の十八とすることを規定することといたしたのであります。
以上
内容の概要について御
説明申上げました。
何卒慎重御審議の上速かに可決されんことをお願いいたします。