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1953-06-22 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十二日(月曜日)    午後二時三分開会  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            加瀬  完君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    国家消防本部長 滝野 好暁君    自治政務次官  青木  正君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    自治庁税務部長 後藤  博君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和二十八年度地方財政計画に関  する件)  (今期国会提出予定法律案に関する  件)  (町村合併促進に関する件) ○小委員会設置の件 〇小委員選任の件 ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開催いたします。  公報に掲載いたしておりまするように、七月分及び本年度地方財政計画について先ず政府から説明を聴取することにいたします。塚田自治庁長官
  3. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 実は私から詳細に御説明を申上げるのが当然のところなんでありますが、書類整理が遅れておりまして、私も今朝ほどこの書類事務当局から受取りましたような状態でございますので、若し説明に間違いなぞが起ると誠に恐縮でございますから、一応部長からお聞き取り願つて頂きたいと思います。
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは武岡財政部長
  5. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それでは私から昭和二十八年度地方財政計画について御説明を申上げます。なおこの算定に関しましての詳細な資料は別途作成をいたしまして、一両日中にお手許に御配付申上げますので、それによつて審議を頂きたいと存じまするが、本日は取あえずお手許にお配りしてございまする資料によりまして、概略の御説明を申上げたいと存じます。  昭和二十八年度地方財政計画といたしまして、歳入及び歳出の全体の財政規模を一応八千四百七十七億二千三百万円と作定をいたしておるのでございます。これにつきまして内容の御説明を申上げたいと存じます。  先ず歳出から申上げまするが、第一に既定財政規模といたしまして七千四百三億二百万円というものを前提といたしております。これは毎年度地方財政計画に当りましては、一応前年度までの既定規模基準といたしまして、それに対して当該年度昭和二十八年度におきまして殖えて参りまするところの新規財政需要額を積上げて計算をする、こういう方式をとつておるのでございまして、この既定財政規模として書きました七千四百三億二百万円と申しまするのは、昭和二十七年度修正地方財政計画におきまして、計画上見積られておりました財政規模でございます。この財政規模昭和二十五年度基準年度といたしまして、昭和二十五年度決算額、これに準拠いたしましてそれに対して昭和二十六年度及び昭和二十七年度にそれぞれ新規需要額として増加いたして参りましたものを加えまして、二十七年度規模といたしておるわけでございます。それに対しまして、昭和二十八年度においてどれだけ新らしい需要額が殖えて来るかと申しますると、ここにございますように一千三十九億三千八百万円ということになる見込みでございます。  そのうち各項目について御説明を申上げますると、第一は給与改訂に伴う給与関係経費増額三百三十二億千百万でございます。これは昨年十一月に行われました給与改訂に伴いまする経費の平年度化によりまして、二十八年度新規需要額として殖えて来る額でございまして、その計算方法といたしましては、二十七年度財政計画に用いました各職種別給与単価改訂率を掛けまして一更に昇給率を一・五%だけ見込んで、それぞれの給与単価算定いたしましてこれに財政計画上の定員数を乗じて算出いたしたものでございます。このうち基本給の関係で殖えて参りまするものが二百五十八億百万円でございまして、その他は各種手当勤勉手当でございますとか或いは期末手当等の諸手当並びに恩給費共済組合費或いは公務災害補償費といつたよう給与関係の諸経費を計上いたしたものでございます。  次に行政整理に伴う不用額といたしまして、十八億四千九百万円の減を立てておりまするが、これは昭和二十七年の財政計画の策定に当りまして、一般職員について五%の行政整理という計算をいたしたのでございまするが、その際に四カ月分だけ一般給与費並びに物件費を、取りあえず二十七年度分はこの行政整理が行われるまでの暫定的な処置として計上いたしておつたのでございまするが、二十八年度からはその関係経費が要らなくなりまするので、これを減に立てたわけでございます。  その次に教育委員会設置に要する経費として十四億千三百万円殖えて参るのでございまするが、これは昨年の十一月から発足をいたしました市町村の教育委員会に要する諸経費でございます。これは教育委員会教育委員会費並びにその事務局費とに分けまして都市分町村分をそれぞれ計算をいたしまして二十八年度においてどれくらい要るかという数字を出してみますると、二十八年度所要金額は二十四億九千七百万円ということになるのでございまして、そのうち昭和二十七年度においてすでに十億八千四百万円というものを見込んでございまするので、それを差引きました十四億千三百万円というものが、二十八年度にこの関係経費として新たに殖えて来る経費、こういうことに相なるわけでございます。  それから自治体警察廃止による不用額として二億三千三百万円を減に立ててありまするが、これは昨年の六月一日から廃止になりました自治体警察並びに本年の一月一日から廃止になりました自治体警察につきましてそれぞれ昨年度財政計画見込まれておりましたこの関係所要経費に対しまして、二十八年度不要になるものを計算をいたしまして、ここに減に立てたわけであります。  それから次に人口等増加に伴う経費の増、四十二億九千四百万円とございまするが、これは平衡交付金算定基礎といたしまする基準財政需要額算定に当りまして、人口或いは生徒数児童数というようなものを測定単位にとつておるものにつきましては、おのずからその自然増見込んで参らなければならないのでございまして、これがいわゆる一般的な行政経費における自然増の額と考えておるわけであります。そこでそれを人口につきましては、人口統計研究所等資料によりまして、二十七年から八年にどれくらい人口が殖えて参るか、或いは又生徒数或いは児童数につきましても、それぞれ二十八年度における増加見込数を推定いたしましてその増加伴つて基準財政需要額、つまりそれに要しまするところの経費がどれくらいかかるかということを算定をいたしておるのでございます。これが各種行政項目に亙るのでございまして教育費土木費或いは社会福祉費衛生費殆んど各費目に亙つて計算をいたしておるのでございまして、その合計が四十二億九千四百万円と算出されたのであります。  その次は恩給費の増でございますが、これは昨年成立いたしました恩給特別措置に関する法律案が本年の一月から実施されまして、これの施行に伴いまする経費は二十八年度から地方新規経費として殖えて参るわけでございます。その関係経費が十億七千四百万円あるわけでございます。それから次に給与改訂に伴いまする恩給費増加五億九千七百万円、合せまして十六億七千百万円の新規増ということに相なるわけでございます。  次は公債費の増でございますが、これも二十五年度以降におきまして、各地方公共団体が借入をいたしておりまする起債に対しまする償還金、これも各年度毎に計算をいたしまして、既定財政規模に含まれておるものを差引きまして、二十八年度には七十九億八千二百万円だけ元利償還予定し得る経費が殖えて参るのであります。この計算に用いておりまする地方債の額は、只今説明申上げておりまする地方財政計画におきまして二十八年度発行予定をいたしておりまする起債の額に対する元利償還の分も合せて計上いたしておるわけであります。  次は国の行政施策伴つて地方経費の殖えて参りまする分でございますが、そのうちの今法令の改廃に伴う負担減として十億八千三百万円の減が立つております。これは各種統制業務廃止に伴いまして、地方にその関係事務費が要らなくなつて参りまする分、又半面におきましては新しい法律等によりまして経費の殖えて参るもの等もございまするが、それらの詳細は別途資料によつて提出をいたしまするが、これを差引きまして計算をいたしますると、二十七年度に対して十億ほどの減になるわけでございます。その大きなものは、二十七年度におきましては教育委員会選挙が、ございましてこの関係選挙費に約十三億ほど使つてつたわけでございまするが、そういう大きな経費が二十八年度には要らなくなるというような関係から大体この程度経費の減が出て参るわけでございます。次は補助負担金増加に伴う補助負担の増でございまするが、そのうち児童保護費とその他というふうに分けて書いてございます。児童保護費は御承知のように、前年度までは全額地方負担といたしまして、平衡交付金を以て賄つてつたのでございますが、二十八年度から八割の国庫負担制度がとられることになりました。その関係で二十八年度は四十二億七千百万円の国庫負担金が交付されることになるわけでございます。これに伴いましてこれを前年度に比べて、全体の事業量として比較をいたしますると、十七億三千六百万円の地方経費増になるわけであります。なおその他の各種のいわゆる普通補助金増額等に伴いまして殖えて参りまするものが、三十七億五千二百万円、かように計算をいたしておるのでございます。  これが経営的な経費でございまするが、臨時事業費の増を次に申上げますと、第一は公共事業費の増でございます。公共事業費につきましては、二十八年度は前年度よりも国庫補助金におきまして百八十八億ほど殖えまして、一千二百十六億五千九百万円が計上されておるのでございまして、それに伴いまする地方経費増加額、これが三百四十四億六千九百万円ということになるのでございます。ただ一般事業費の分と災害復旧に要しまする分とが区別してございまするが、災害復旧関係におきましては、事業量が三十四億二千五百万円の減と立つておりますが、これはあとの歳入のほうをご覧頂きまするとわかりますが、災害関係におきましても、国の補助金は約十億ほど殖えておるのでございます。ただ昨年度法律が改正せられまして、災害復旧事業に対します国の補助というものは、土木災害におきましても、農林災害におきましても、若干ずつ引上げになつております関係から、事業量全体としては減になつている、こういう結果が出ておるのでございます。  次に失業対策事業費でございますけれども、これは国の補助金が九十七億今年度支出せられるのでございますが、それに伴いまして地方関係経費が殖えて参りまするものが十九億七千八百万円、これについて特に申上げておきますことは、従来この失業対策に関します事業費におきましては、補助基本単価実態に比べまして非常に低かつたのでございまするが、二十八年度からは労務費並びに事務費及び資材費、いずれにつきましても、補助基本額引上げが行われまして、大体労務費並びに事務費におきましては、ほぼ実態に近いような引上げが行われたのでありますが、なお資材費関係におきましては、若干現在の予算額におきましても、実際の地方負担額のほうが高いという部面がございますが、その部面地方財政計画におきましては、地方超過負担分として別途に計上をいたして、この数字を算出いたしたのでございます。内容等につきましては、更に資料によつて御覧を頂きたいと存じます。  次に単独事業費といたしまして明年度百六十五億九千七百万円の増加見込んでおりますが、従来からも地方単独に行いますところの事業につきまして、その増額をどう見て行くかということにつきましては、大体国の公共事業費が毎年度増加して行く割合とほぼ同じように地方単独事業というものも殖えて行く、こういうような計算方法をとつてつておるのであります。それによつて二十七年度から八年度に国の公共事業費がどれだけ延びたかという割合をとつてみますると、約二割四分八厘の増になつておるのでございまして、その割合で二十七年度財政計画に含まれておりました単独事業を延ばして参りますと、大体これが百五十億ほどの数字に相成るのでございます。正確に申上げますと、百五十億九千七百万円でございます。そのほかなお特に現在各地方で行つておりまする単独事業実態も見まして、特に老朽義務教育学校の改築に要しまするところの経費というものが、相当多額に上つておりまするので、その関係のものを特に十五億ほど追加をいたしまして、ここにございまする百六十五億九千七百万円という数字を算出をいたしたのでございます。  以上が大体昭和二十八年度におきまして新規財政需要額として殖えて参るものでございますが、なおこのほかに昭和二十八年度におきまして義務教育費半額国庫負担が実施せられることになるのでございますが、それに伴いまして従来からのいわゆる超過団体等に対しましても、負担金が交付せられます関係から、財政計画全体として申しますと、いわゆる超過財源というものが多少殖えて参るのでございます。その関係のもの並びに一方におきましてのちほど申上げまする地方税減収見込等によりまして超過財源の増減があるわけでありますが、それらを見込みまして二十八年度において大体三十四億八千三百万円ほど前年度よりも超過財源というものが殖えて行く、こういう計算をいたしております。この計算の根拠につきましても、詳細は資料で別途提出をいたしたいと存じますが、大体まあ考え方といたしましては、只今説明申上げましたように、義務教育費としては半額国庫負担の実施、並びに金額は余り大きくございませんが、児童保護費によりまして八割国庫負担が実施せられまするような関係、そういうようなものによりまして、この増加額が殖えて参るのでございます。  以上によりまして大体歳出総額を八千四百七十七億二千三百万円と算定いたしたのでございます。  次に歳入について御説明申上げます。  歳入につきまして先ず地方税でございますが、地方税昭和二十八年度見込額を三千四十七億四千七百万円と見込んでおります。これは前年度よりも百十二億八千七百万円の増を見込んでおります。これらの地方税収入見込内容につきましては、別途資料提出をいたしまするし、なお担当の政府委員から御説明を申上げたいと存じます。  次は地方財政平衡交付金でございますが、これを千二百五十億円と見込んでおるのでございまして、これは二十七年度財政平衡交付金総額でございます千四百五十億円から見ますると二百億円の減と相成つております。ただこれは御承知のように、本年度からは義務教育費国庫負担法が実施せられまして、別途義務教育国庫負担金として五百四十億円が計上せられておりまするのでこの分も合せて計算をいたして見ますると昨年に対しまして三百四十億円の増ということに相成つておるのであります。  次は国庫支出金でございますが、これはいずれも今回提出いたしておりまする政府予算案に計上せられておりまする国庫支出金金額でございまして、それぞれ経営的な補助金並びに臨時事業費に対しまするところの補助金はここに示してある通りでございます。  次に地方債でございますが、地方債は、本年度一般会計におきまして九百二十八億と予定をいたしております。これは前年度と比べまして三百三億円の増加と相成るのでございますが、なおこの地方債発行計画につきましても、資料によつて説明を申上げたいと存じますが、特にこの際申上げておきたいと思いますることはこの九百二十八億のうち、政府資金引受けになりますものつまり資金運用部資金引受け並びに簡易保険積立金運用によりまする引受分、これが合せまして七百二十億円でございます。それから一般公募に出します分、一般民間市場において引受をいたしまするものが百十億、更にそのほか交付公債として九十八億を予定をいたしております。この交付公債の九十八億と言いますのは国が行いまする直轄事業に対する地方団体分担金でございますが、これを従前は現金によつて国庫に納付いたしておつたのでございますが、地方における財政状態の現状に鑑みまして、二十八年度からはこの分を公債という形で国庫に納付をするという形に改めたいと存じまして、別途法律案を御審議を頂くことに相成つておるのでございます。以上合せて九百二十八億という地方債が発行される計画になるのでございます。  次に雑収入といたしまして八百九十六億五百万円を見込んでおります。これは使用料手数料におきまして又雑入におきまして、それぞれ前年度より若干ずつ増額見込んでおります。使用料手数料等のうち、例えば水利使用料のごときにおきましては、昨年までは単価百七十円でありましたものを、二十八年度からは二百十五円に上げるというように、それぞれその内容におきまして若干ずつの引上げ措置を講じておるのでございます。なおそのほかの一般的な雑収入等につきましては、それぞれ前年度実績等によりまして、大体この年間に昨年に比べて増収になる見込のものを、大体総じて申しますると、二割前後でございますが、その程度増額を計上いたしておるのでございます。  以上によりまして歳入の総計が八千四百七十七億二千三百万円、かような計画に相成つておるのでございます。概略でございますが一応御説明を申上げました。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) それからちよつと委員の方々に申上げますが、塚田長官は丁度衆議院の郵政委員会から出席要求がなされております。爾後の質問は成るたけ一つ大臣に質問して頂きたい。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 只今財政部長から地方財政計画についての一応の説明がありましたが、これらにつきまして私は塚田長官に伺いたいと思うのでありますが、数字はそういうふうな方面の点で、財政部長のほうから代つて答弁されても差支えありません。  先ず第一に、私は長官に伺いたいと思う点は、これは今の御説明でみますというと、歳出方画におきまして、既定財政規模はいわゆる二十七年度の修正によつたところの総額七千四百三億二百万円、これに対して二十八年度新規部面を含んでプラスして全部で八千四百七十七億二千三百万円、こういうふうに立てられたというような話でございました。従いまして二十七年度の分は二十五年度のものを基礎にして、それに二十六年度新規の分を加えた、それに更に二十七年度新規の分を加えたということになるわけでありますが、ここで私の伺いたい点は、そうなりますと、二十六年度並びに二十七年度において相当これは赤字が出ておつたように思うので、再三に亙る地方要望、そういうふうなことによつて補正予算あたりでいろいろ問題になりましたけれども、平衡交付金のいわゆる補正予算におけるところの増額というふうな方面は、地方要望に対して非常に少いように思うのです。そこで二十八年度のこの財政規模から考えまして二十七年度赤字、二十六年度赤字はどういうふうに措置されておるのであるか。なお具体的に言いますというと、赤字の未整理の分を除去した分に、二十八年度新規の分を加えたのか、そういう点についてお伺いしたい。
  8. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 御指摘の点はまさに御尤もだと思うのでありますが、ただ政府財政計画、殊にこの地方財政の新らしい財政計画は、中央の国の財政計画とは少し要領が違いますので、一応こういう工合にあつて欲しいという数字を想定いたしまして、従つてそれを基礎にして平衡交付金の額や起債の額を計上いたしておりますので、現実にこれだけかかつたからという数字を必ずしも使うというわけには参らない事情があります。それからこの前本委員会にお呼出しを受けました際に申上げましたように、それでは赤字を生じておるものを認めないのか、認めておればそれをどうするのかという御意見でございましたので、私はその際には赤字が生じておるということは十分認めております。従つて過去に累積しておる赤字は、先般も御説明申上げました通り、これは二十九年度に本格的な解決をする際に是非これは解決したい、それまでは一応そのままで一つつてもらいたいと、こう考えております。二十八年度赤字を生じないようにということを頭に置いて、二十八年度計画は組みたいと、こういうように御説明申上げたのでありますが、その二十八年度赤字が、この計算で出た数字に生じないかということになると、残念ながら私はそのようにはお答え申上げられないのでありまして、どうもいろいろな事情がありまして、自分の力も及ばずして、こういうような平衡交付金起債の額の数字になりましたので、この問題は別といたしまして、いわゆるこの財政計画がそういうようになつておるということは、只今申上げました通りで御了承願いたいと思います。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、これは私は地方財政上非常に重要な問題になつて来るかと思うのであります。一応こういうようにありたいというふうな希望から、二十八年度財政計画を立てたということになりますれば、この計画は全くこれは実態からそれちやつた、いわゆる机上プランに過ぎない。そこで今ままでの二十六年度、二十七年度のこの赤字がやつぱりこれは地方財政上の非常な支障になりまして、折角こういうものの計画を立てられても、これは空なものになつてしまう、そういうふうに私は考えられるのでありますが、今の長官のお話では、二十九年度においてこれは総ざらいに始末をすべきものはしたい、こういうふうなお考えでありまするが、二十九年度においてそういうように始末をされるのであつたらば、なぜ一体二十八年度においてそれを始末した上に、立派な財政計画を立てられないのか、この点をお伺いしたい。そして二十九年度においてどういう方法によつて始末をされるか。
  10. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはいろいろに私も考えてみましたのでありますが、今の地方財政計画におきましては、地方財政におきましての赤字という問題、従つて赤字金額という問題と、それからして地方財政従つてまあ足りないというわけなんでありますが、地方財政窮状であるという問題、この問題は厳格に検討してみますと、必ずしも一致をしておらない。少し食い違つておるように自分には思えるのです。地方財政一体二十七年度まではどのくらい赤字が出ておるかという数字は、私どもまだ確定した数字を持つておりませんし、委員皆さんがたも御想像になつておるし、若しくはいろいろにお考えなつおる数字と、私どもの考えておる数字と必ずしも合つておらないのでありますが、併しその数字はどうであるにいたしましても、その数字がそのまま地方財政窮状実態と同じようになつておるかというと、そうは行かないのであると、そういうふうに考えるのであります。そこで別のように考えてみますと、それでは仮に二百億赤字があるからして、二百億殖やしたならば、地方財政窮状というものが全部解決されるか、赤字が、そのまま地方財政窮状というものが解決されるかというと、そうは行かない。又今度これを別の面から考えてみますと、地方財政が今窮状である、赤字が出るということを原因別考えてみますと、大体、例えば皆さんがたも強く御指摘になりますのは、給与単価を非常に理論的に考えておつて、実際の支出額というものを考えておらない。そこでその面の数字を数えてみますと、少くとも国家公務員の給与単価の平均くらいまで持つて行きますと、百四十億前後更にこの上に追加をしたらいいのじやないかという数字が出て来る。そのほか例えば六・三制の校舎の〇・七坪というものが、あれは実際には合わないということもあるらしいのですが、そこでそういうふうに計算の上で出て来ます。もう少し殖やしたらいいと考えられる数字どいうものを、仮にこの財政計画の上に載つけてみるといたしまして、赤字がそれで解決するかというと、解決しないのであります。なぜかというと、そういう形で出て来ますものは、配分の場合、殊に今7平衡交付金起債の配分の度合からしますと、おのずから数字が散つてしまう。ところが赤字があるというのは、地方財政赤字の場合では、各地方団体平均してそういうように赤字があるのでなくて、特定の個々の団体にある赤字の累積が、二百億なり三百億なりというような数字がある。この間に少し食い違いがあるように思います。そこでこの間非常に当惑いたしましたことは、十分に平衡交付金起債増額が得られなかつたのは、一つは今度の予算は一度出した予算の出し直しである、それから時期的に非常に急いでおつたという事情もあるのでありまして、自分としても十分に大蔵省側と折衝の時間的余裕がなかつたり、又力が足りませんで、目的が達せられなかつた面が多分にあるのでありますが、それではどれだけ殖やしたら、皆さんがたが御希望になつておるような、又地方団体側が希望しておりますように、地方財政窮状が打開され、そうして同時に赤字がなくなるかというはつきりした数字が出て来ない。これはどうしても見極めなければ、この問題の根本解決ができないので、やはりそういう問題は本質的な解決の機会でないとできないのじやないか、こういうような考え方をいたしましたのが、やはり二十九年度の本質解決の際に一度洗つてしまつて、それから赤字が出ない、ようにして、そこのところで過去の赤字をどうするかということを考えて、そこで過去の赤字をどうするかということを考える場合には、おのずから赤字が生じておる団体もわかつておる、原因も見当が付いておるのですから、何かそういうものを解決する特別法でも作つて、そうしてそれによつて一時長期な金でも貸してやつて、そうして逐次返して行くというふうにでもして解決したらいいのじやないかと、こういうように今のところ自分としては考えております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで今の長官のお答えで、随分いろいろと研究され薫ることについて私は敬意を払うのであります。本質的ないわゆる法的な措置などによつて赤字は別個にこれを整理して行きたい、これもよくわかります。そういう点から考えまして、併し、えらいそういう法的措置によつてとか、或いは特別措置ということはお考えがあつても、なかなか三年後或いは五年後に流れてしまうのです。そういう点から私は早急な解決法を別個に考えなければならんと、こういうふうにも思うのでありますが、それらについて先ず二十八年度において、或いは大蔵との折衝におきまして、補正予算という面はどう考えておられるか、これの解決の方法考えておるか、その点は……。
  12. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは私としましては、まあ幾ら殖やしたから、これで問題が解決するとは考えられないまでも、もう少し何とか平衡交付金にしましても、起債の枠の増加にいたしましても、殖やすことはできないものかということは相当折衝いたしたのであります。何にしましても、平衡交付金のほうは全体の国の歳入の枠の中にあるものですから、これはぎりぎりに、税源などで止むを得ない。やれるとい数字がとうとう出て来なかつた起債の枠はどうかということもいろいろ折衝しましたのですが、大蔵省当局との折衝の状況を申上げますと、起債の枠は、むしろ歳出の枠より一層窮屈であつて、初めは絶対に駄目だということになつておりましたのを、それではどうにもしようがないということで、十五億最後に殖やしてもらつたのでありますが、この十五億殖やしてもらいましたのは、内部のやりくりをいろいろ申上げますと、例の電信電話の値上をいたしまして、あそこに予定されておりました十五億というものをあれを向うの値上で賄うことにして、これを全部こちらでもらいたいということで、この十五億を持つて来たわけであります。そんなような状態でありますので、これを年度内にどういう工合に措置するかということになりますと、結局起債の枠の増加はそういう財政資金の増加というものがないとむずかしいのではないか。又平衡交付金増加というものは、自然増収その他で幾らかそういう枠にゆとりができるのでなければむずかしいのではないかと、こういうふうに考えております。併し今大蔵大臣は勿論、本日の予算委員会でも、補正予算を組む意思は今のところないとおつしやつておりましたが、過去の例を見れば、年度の途中において絶対必要なものが歳出面に出て参りますと、そうして又歳入面にゆとりさえあれば、過去に組んでおる実例が幾たびかあるのでありますが、そういう機会があれば、自分としましてもなお検討し、努力して、起債及び平衡交付金の枠、両方とも増加したい、こういうように考えております。
  13. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 只今若木君から御質問がありましたが、塚田長官がいろいろ努力されたけれども、力足りないでというお話であつたのでありますが、私たちが知りたいと思つておりますことは、まあ折衝の結果、こういうふうになつたということでなくして自治庁案と申しますか、自治庁としてはこの程度のものが平衡交付金なり或いは起債なりとして必要であるという一応の目安というものがあつて、折衝されて力足らずと、大変謙虚な気持でおつしやつておられる、その力が足りないために、こういう結果になつたのだ、でありますから、最初持つておいでになりました自治庁案というものがわかりますと、そうすると確定したものとの間に、どこがどういうふうな変化になつたということがわかるわけでありまして、その一応の最初の自治庁の案というものが、現在明確にならなければ、後日でもよろしいと思うのでありますが、一応出して頂きますと、若木君の心配されております過去における地方財政赤字の累積というようなことや、或いは又起債の問題が目途が付くのじやないかと、こう思いますのですが、この点最初どの程度の案から出発されて、こういうところに落ちついたのか、その辺のところをお聞かせ願えれば結構だと思います。
  14. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 御尤もなお尋ねでありますので、細かいことは後日資料をお手許に差上げて御検討願うことにいたしたいと思うのですが、大ざつぱに申上げますと、先ほどお答え申上げましたように、給与の分は約百四十億、それからして事業関係の分が百六十億、大体三百億ぐらいを目安に折衝しておつたのが、こういう結果になつた、このように御了承願いたいと思います。
  15. 加瀬完

    ○加瀬完君 この前若木委員から長官に質問された事項でありますが、今の問題で、具体的に答えて頂きたいと思うのですが、〇・二五の分は五十億で賄つたというように財政部長もお答えになつたのですけれども、都道府県の知事から要求された赤字の補填額は、たしか八十億だつたと思います。それで五十億追加されたということでありますと、八十億から五十億引いてもまだ三十億の赤字というものが地方にある。それに〇・二五という分がどういうふうに補填されたかということが一つ、それから今百四十億給与の分に廻したということでありまするが、この算定基準というものをもつと明確にしてもらいたい。  それから更に長官も、部長説明なつた国のほうからの義務的経費地方がしよつておるということについての、国のほうの何と申しますか、それのカバーの仕方というものは、何ら説明がありませんが、義務的経費が相当毎年々々膨脹しておるのでありますが、それに対する国の考え方、政府考え方というものはどんなふうに考えておるか。それらが平衡交付金なりその他にどう出ておるかということを関連いたしまして伺いたい。
  16. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 昨年末に行われましたいわゆる公務員の待遇改善に関連しての地方財政における財源補填の問題でございますが、昨年末に、年度末に特にそういう事情もあろうということで、地方団体に対しまして五十億円の特別融資を行なつたわけであります。いわゆるまあこれは〇・二五というものを地方が必ず出す、それに対して財源の補填をする、こういう建前と申しまするよりは、そういうような措置を国が国家公務員についてとりました関係上、地方においても、地方公務員についても大体同じような措置が或いはとられなければならん、その場合に、地方として財源に非常に困窮する、かたがたそういう問題がなくても総体的に地方の財源が不十分なんじやないだろうかというような御意見等もございまして、そういう事柄を考え合せまして、政府といたしましては、そういう措置とつたわけであります。〇・二五ということを仮にそのまま計算いたしますれば、大体地方におきまして四十億程度歳出増ということになるわけでございますので、一応それだけを若し財源補填をするのだという簡単な考え方でございますれば、五十億のものがあれば、四十億程度歳出はでき得ないとも言えないのじやないかと思います。ただ私たちといたしまして、あの特別措置をそのまま〇・二五の財源というふうには直接考えておらないのでございますが、そういう事情もございまして、特別措置が行われたもの、そういうように考えております。それから給与関係につきまして、大体只今大臣から御説明申上げました百四十億というものはどういう考え方であるかということでございますが、これはこの前の給与の問題について、どういうふうにしたら一番合理的な財源措置ができるかということについては、いろいろ皆さんがたにも御意見があろうと存じます。それで政府がこれまで現在とつております財源措置のやり方は御承知通り、国家公務員についていわゆるあるべき給与額というものを抑えまして、従来地方財政計画策定の際に、地方公務員の給与単価として見込んでおりましたものが、それぞれ若干ずつ高い、三百乃至四百円くらい高いということで、その調整をいたして参つてつたのでありますが、これにつきましてその点のそういう調整を全然やめて、従前通り計画に戻すべきだ、こういう御意見もございましようし、或いは又政府措置のとり方につきまして、一部の御意見では、地方公務員についてだけいわゆる実態調査をやつて、それがあるべき給与額に対して低過ぎるとか高過ぎるということがどうも片手落なんじやないか、国家公務員についても全く同じようなことをして、そうして国家公務員と地方公務員との間の給与の均衡を図るという措置ならば、まあ納得ができるのであるが、片一方だけ調べることが片手落だ、こういうような御意見等もあつたのでございますが、そういう考え方に立ちますれば、現在国家公務員について政府がとつておりまする現実の給与額と申しましようか、そういう程度において地方も我慢をする、こういうような意味で計算をする方法もあるわけであります。只今大臣から   申上げましたが、私たちが一応今回の予算折衝に当りまして考えておりましたのは、その後者の考え方でございまして、政府職員と同じように、地方も同じに考えてもらえないだろうかというような考え方から一応数字をはじいてみますと、大体百四十億くらい必要なんじやないかという計算が出ておつたのでございます。
  17. 加瀬完

    ○加瀬完君 一つ質問が残つておりますが、その前に、そうすると結局自治庁は七十億乃至八十億の赤字というものを認めるのか認めないのかということが一つ。  それからもう一つ百四十億と踏んだその基礎は、昨年のベース・アツプの基礎と同じ基礎計算して百四十億で足りるか、その二点。  それからさつきの義務的経費が非常に地方政府の分をかぶつておる分がある、それについてどう考えるか。
  18. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 二十八年度地方財政赤字見込を七十億或いは八十億というお話でありますが、それをどう考えるかということでございますが、これは先ほど大臣のお話にもございましたように、地方財政の運営上各団体の中で或る特定の団体に赤字が出たということで、その赤字の額を想定いたしまして、それをそのまま次年度財政規模に加えて財源措置考えるというような考え方は私たちとつておらない、これはその赤字措置をどうするかという問題は大臣からのお話にあつた通りでございまして、私たちやはり……。
  19. 加瀬完

    ○加瀬完君 赤字があるということは認めるのかどうかということです。
  20. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 二十六年度につきましては、地方団体からの決算見込数字が大体正確にまとまつておりますので、その赤字見込についての自治庁としての見解と申しまするか、みるべき数字を持つておるのでありますが、二十七年度の決算見込につきましては只今のところまで、まだ自治庁として正確なみるべき資料を持つておりません。従つてこれの見込につきましては地方団体のほうではいろいろ、百億くらい赤字になるであろうとか、或いはただ単に歳出歳入との差額だけを比べた数字によりますれば、五百億、六百億赤字になるというような御報告は頂いておりますけれども、二十七年度にどれだけ実際地方団体赤字が出るかということについては、まだ自治庁としてお答え申上げる数字はございません。  それから政府の義務費を地方がかぶつておるかどうかという問題でございますが、これは財政計画の建て方の問題になつて参ると存じます。で、一例としてさつき大臣も申されましたように、六・三制の校舎建築に関しまする経費につきまして、国では〇・七坪というものを基準にして計算をいたしておりまするが、実際には〇・七坪では学校にならない、実施の計画は〇・九、或いは一・〇以上になつておるじやないかというような問題があるわけでありますが、これにつきまして、どの程度一体その義務経費として地方が当然にいわゆるかぶつておるという考え方にするかの問題でありまして、その基準の問題のとり方と思うのでございます。只今のところ政府としては、今の国の財政なり、或いは国民負担の現況からいつて、学校は先ず〇・七坪という程度で以て授業をやるべきだ、こういう考え方で以て予算も編成されておりまするし、地方財政計画もそういう考え方になつておるわけであります。現実に地方が行なつておりますものとの差額をのまま地方の義務負担として、つまり国の施策の結果、地方が負つておるものだというふうには、一概に考えられないのじやないか、これは基準のとり方として絶対的な基準というものが仮に〇・九である、それに対して〇・七しかないというのであるならば、今御指摘のような数字が出て来るかと思うのでありますが、そこらはその基準のとり方の問題でございますが、一概には申上げかねるというふうに私は考えます。
  21. 加瀬完

    ○加瀬完君 数字をそれじや申上げます。一つの県で、平均を示すものでなければ、特殊な例になるかも知れませんが、二十五年、二十六年、二十七年、二十八年を通じまして、大体県税の収入というものは殆んど変化がありません。そういう一つの結果を抑えてみますと、二十六年度平衡交付金が二十四億に対して、義務経費の支出が三十四億。二十七年度になりますと、平衡交付金が三十一億に対して義務的経費四十七億、平衡交付金の殖え方と義務経費の殖え方というものを比べると、ひどく義務的経費の殖える率が激しい、ほかの特別収入というもののないときに、この義務的経費というものをどこから府県は出すかという問題が当然起つて来ると思います。こういう問題について政府のほうではどう考えるか。
  22. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今の御指摘のお話でございますが、財政計画といたしましては、一応歳出歳入とを毎年度数字においては合せてこれを作つておるわけであります。従つてこの財政計画に従つただけの支出というものが、各地方団体で行われておりまする限りにおいては、少くともその意味における歳入としては、地方税であれ、或いは平衡交付金であれ、或いは国庫支出金であれ、何かそれに見合うものは見ておるわけであります。とろが現実の問題として、只今指摘のような場合があるといたしますれば、これは勿論平衡交付金だけで以て、それらの義務経費を賄うという建前になつておりますので、財政計画の中に平衡交付金を入れて、基準財政需要額の範囲内において、その歳出と、それ以外のいわゆる標準財政需要というふうに一応私たち言つておりますが、平衡交付金のほか地方税等の一般財源において見るべきものとがあるわけであります。従つてただ平衡交付金としてその団体が受けました金額と、その団体の義務支出との金額だけをお比べになりましても、それはちよつとそのほかに地方税その他の一般財源を加えてそれと義務的なと申しますか、一般的な歳出とが多くなつておるか少くなつておるか、こういう比較でないとちよつと比較にならんのじやないかと思います。
  23. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこが問題だと思う。地方税一つも伸長しておらない。ところが義務的経費だけが殖えて来る。こういう傾向は相当各市町村も都道府県もあると思う。それを自治庁はどれだけ考慮しておるか、例えば平衡交付金なりその他の支出の面についてどれだけ考慮しておるかという考え方ですね。それを聞きたいのです。一方的に平衡交付金というものを、この前の大臣の説明のように出し渋るような態度をとつてつて、今度は逆に義務的経費はぐんぐんと地方に押付けて行くということでは、当然地方財政は破綻を見ざるを得ない。そういう傾向があるということを一体認めるのか認めないのか、又その傾向に対してどういう手を打とうと考えておるのかという点を聞きたいのです。
  24. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今の義務的な地方歳出が殖えて来るのに対してどういう財源措置考えておるかということになると、その点は申上げておりまするように、先ほど御説明申上げました二十八年度財政計画におきましても、二十八年度にどれだけ地方歳出の増があるかということを計画上ここに策定しているのです。それに対して財源措置というものを税収なり、或いは平衡交付金なり、或いは歳出で見ている、財政計画上は今申上げましたような点についての政府としての財源措置は一応できておるわけです。実際問題としてただここに計画に載つておる以上の支出というものを地方においてやらざるを得ないし、又やつておると思うのですが、そういう財源は一体どこから出て来るかということになりますと、これは地方の中では、例えば一時借入等によりまして取りあえず仕事をする、その尻はいわゆる赤字として繰越して行くというようなことをやつておる団体もあると思いますので、それらが赤字の額として出て来ると思うのです。政府は別に義務的に地方に殖えて来るものに対しては、その額は一応財政計画の上には載せておるので、それに対する財政計画というものは計画上は見ているのです。そういうふうに我々は考えているのです。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 失礼ですけれども、見ておる見ておると言つて見ておるはずのものが、具体的になつて来ると、こういうふうに赤字が出るので僕らは質問しているのです。あなたがたはこういうふうに財政計画を立てて、地方の収入も見ているのだ、何も見ておるのだと言うけれども、見ているはずのものが現実になつて来ると矛盾を呈するので、そこで一つ例を言うならば、義務的経費のために地方赤字で苦しんでおると私は思う。政府がこれに対して事務配分の妥当を欠くために、非常に義務的経費赤字地方が苦しんでおるということは、絶対に認めないのか、或いはこれに対してどういう措置考えようとなさつておられるのかということを聞きたいのです。
  26. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) どうも私の言葉が足りないので、御了解を得ないようでありますが、義務的な経費につきましては、これは地方財政法の中にもはつきり明文があるわけなんでありまして、政府法律或いは命令その他によりまして地方に或る義務を賦課しようとする場合には、必ずその財源を見なければならないと財政法の規定があるわけです。そういう規定によりまして、各省においていろいろ法律などの立案をいたしまする際には、自治庁長官に協議もして参りますし、その義務的なものにつきましては、財政計画上これは拾い上げておるつもりであります。ただおつしやるように、現実の問題としてそれじや財政計画歳入歳出の辻棲が合うようになつているのに、なぜ赤字が出るかということになりますが、それはむしろ単独事業、その他の事業計画以上にやられておるということになると思います。これは現に二十六年度の例につきまして、その決算見込額と、二十六年度財政計画と比べてみてもわかるのでありますが、その一例を指摘いたしますと、例えば単独事業のごときでありますが、これは財政計画で約四百億程度のものしか計画上では見ておらないのに、実際地方が施行いたしました単独事業は六百億に上つておる、その間すでに二百億というものが財政計画上は財源措置が行われていない。それは一体計画以上の仕事をしたほうが悪いか、それにマツチしただけの財源を見ないのが悪いのかという議論になると思いますが、勿論財政計画というものは、地方歳出を拘束するものではございませんから、地方地方の御事情によりましてたとえ明確な財源がなくても、まあ借入金その他によつて、とにかく仕事だけはしなければならんということもございましようし、殊に災害復旧の場合などにおきましては、そういうような例もよく聞くのでありますが、とにかくそういうようなことで、財政計画予定しておる以上の歳出が現に地方で行われておる。それは明確に計画上の歳入欠陥になつているのでありまして、現実の措置は借入金その他支払繰延べとか事業の延期とかの措置によつてそれがだんだん赤字となつて累積しておる、こういうふうに私たちは考えるのです。そこで義務的経費が非常に殖えたため、地方財政は苦しくなつているのではないかというお話でございますが、これも勿論実際事業費等につきまして、例えば単価のとり方が現実よりも非常に低いという問題もございましようし、或いは人件費等についてさえ政府で見ておる予算単価が非常に低い、そのため地方は事実上の持出しと申しますか、平衡交付金或いは地方財政計画見込んだ以上の財源の支出を余儀なくされておる面もあると思います。ただ財政計画上そういうものについてどうするかという問題は、これも先ほど大臣の申された通りでありまして私たちは二十八年度計画におきましても、できればそういつた部面におきましても、給与費なり事業費なりという面でなるべく実態に即したような計画に直して行きたいという考え方は持つておるのでありますが、いろいろ国家財政等の関係で実現しないことを遺憾に考えておる次第であります。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 長官は席をはずされましたが、帰つて参りますか。
  28. 内村清次

    委員長内村清次君) 帰つて参ります。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは一つ事務的なことでお伺いしたいのですが、この平衡交付金算定基礎に、地域給は、今後総理府令を改正して、考えないというふうなことが言われておるのではないかと思うのですが、これは本当ですか、その実態について……。
  30. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この点につきましては、後刻別途資料によつて又御説明申上げてもよろしいと思いますが、これは一部にそういうふうにお聞きとりになつておられるような向きもあるようでございますが、実際はそうではございません。これは平衡交付金の中の問題は、いわゆる態容補正と申しておる補正係数の算定のやり方の問題でありますが、従来この市町村の態容によりまして、市町村或いは府県、つまり公共団体の態容によりまして、経費のかかり増、或いはかかり減のあるものを態容補正というものによつて調節をとつているのです。その場合にこれまでのやり方は、大体地方団体人口数、それから経済構造、或いは可住地の密度でありますとか、各団体間の物価の差、本来から申しますと、物価指数というようなものをとりたいのでありますが、そういうものがとれないために現在のところ取りあえず国家公務員の給与、地域給の係数、これをとつて使つておるわけでありますが、要するにそういうように各地方団体人口でありますとか、或いは密度でありますとか、そういうようなものによつて地方団体を大体七種類に分別をいたしております。一種地から七種地まで分けて、それにはまるような係数を一応は用いておつたわけであります。それと更にそのほか、それと合せまして全国の地域を国家公務員の勤務地手当の支給率の地域区分に従いまして無給地から五級地まで六段階に分けて、いわば縦と横と両方に分けまして、併せて四十二種類の補正係数というものを使つて補正をいたしておつたのであります。ところがこれは実際用いて見まするというと、やつた結果から見ますと、必ずしも各団体を通じて四十二種類というような非常に複雑な、繁雑な係数がございませんで、実際に適用されるものは、そのうちの数種類の係数しかないということがわかつて参りましたのが一つと、それから総体的に平衡交付金算定というものがどうも余り複雑過ぎるのじやないかというような御非難等もございまするし、私たちもできるだけ、これは簡素化して一般にわかりやすいような係数にやつて行く必要があるということも考えておりましたので、今回この点を改めまして、人口段階、それから経済構造、それから各土地における宅地の平均価格というものが、大体その土地々々における財政需要額を或る程度現わすのじやないかというようなことで、そういう数字を取り入れましたり、或いは又今の国家公務員の給与地域の区別、こういうもの等を取合せまして、従来七種類に分けておつたものを十種類に分けた。その代りそれと別途に用いておりました給与地域区分だけの六種類でございますが、六つに分けておりました給与地の区分というものを廃しましてそれをむしろ一本に併せて十種類だけの区別にした、補正係数の種類としては簡単に申しますれば十種類のものにした、こういうふうにいわば簡素化を図つたわけなのでありまして、地域給の支給地区分によりまするところの、何と申しますか、要素というものも全然排除したわけではございませんで、簡素化した形で以て取上げて行きたい、こういうことで只今一つの案を作つて研究をしておる段階でございます。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の補正係数のお話、なかなか専門家でなければわからんように思うのでありますけれども、結局まあ巷間に流布されておるのは、とにかく地域給は算定基礎にならない。今のお話によると、給与差の方面で幾分改善の余地がある、こういうようなお話でありますが、実際に今度の改善というか、改訂して行く方向においては、今までの地域給の算定基礎なつた場合と格段の差が出て来るんじやないか、その点を一つ伺いたい。
  32. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 先ほど、御説明申上げたときわかりにくかつたかと思いますが、要するに、従来の考え方では地域給の区分というものを、いわば二重に使つてつたわけであります。縦に七種類に分けるものの中にも地域区分というものを入れておりましたし、その他に六種類の地域区分というものを掛け合せて、いわば地域区分というものが二重に使われておつた、まあそれを一本にした、こういうことなんであります。ということは、一本にいたしました結果、どういうことになるかと言いますと、特にこれは実際に試算をして見ませんと余りはつきりしたことは申上げかねるので、いろいろ私のほうで事務的に計算をしておりますが、大体の傾向から申しますると、人口の多少でありますとか、或いはその団体の経済構造の状況でありますとかというものに比べて、級地の指定において非常に高かつたところがありますが、そういう地域は多少影響を受けまして、前の方式で行くよりは、今度のやり方で行つたほうが多少下つて来るかということもあると思いますが、これは併し現実に各団体毎に計算いたして見ませんことには、前のものとあとのものと比較して計算いたしませんことには、その増減のはつきりしたことは掴みかねるのでありますが、大体の傾向はそういうことになるだろうと思う。これは簡単に言いましても、従来二重に使つてつたものを一本にするわけでありますから、その係数のウエートというものは若干減つて来ると思う。ただ現実問題といたしまして実際に計算をして見た結果、非常に大きな影響を受ける、非常に財政需要額が激減するというようなことが、大体そういうことはないと思うのでございますが、万一出て参りました場合には、これは別途特別交付金の算定の際に、十分財政需要の激減の緩和という方法によりまして実現して行きたい、かように考えて行きたいと思います。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のお話にございましたけれども、ちよつと私の勘では、大都市の周辺の方面の調査には非常に変化があるのではないか、こういうふうに考えます。結局はこの問題は相当私は巷間には敏感に響いて来ると思う。というのはまあ地域給がそういうふうに非常に平衡交付金算定に重要なるものでなくなつたということになれば、率直に申上げますと、町村の理事者はこれに対して熱を持たなくなる。そうなりますと、地域給というものに対する今後の趣きが非常に変つて参る。地域給は人事の交流とか、そういうような方面関係があることは御承知通りであります。そういうことが非常に基礎が、どうも平衡交付金基礎として重要な部面でなくなるというふうなことになりますと、これは今後における一つの相当大きな問題になると思うのであります。若しそういうふうに改正して行くというようなことがありますれば、十分その点を考慮せられて、そうして誤りのないように考えてもらいたい。と同時に、そういう点について今まあ試算をして見なければわからんというようなお話でありましたが、この次あたりまでにそれがどういうふうな恰好になるか、特殊な例或いは近似の例、そういうものにつきまして計算の結果、どういう変化が起つて来るかということについて資料を頂きたい。
  34. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 承知いたしました。
  35. 内村清次

    委員長内村清次君) 今資料の要求がありましたが、私からも先ほどの自治庁長官の御説明の中にもありましたように、地方の財政の赤字の累積、それからそういう箇所、原因、そういうような点を資料にして是非一つ出して頂きたいことが一つと、それから先ほど武岡財政部長が御説明になりましたより少し詳しいような点があれば、この二十八年度地方財政計画のあれを一つ出して頂きたい。数字だけでなくて説明を加えて頂きたい。この点一つ要求いたしておきます。
  36. 堀末治

    ○堀末治君 政務次官にお願いいたしますが、本来ならば長官にお願いしたいと思うのですが、実は先ほどこの財政計画について縷々御説明がありました。なかなかいろいろと細かい説明ですから、ちよつと聞き洩らした点もありますし、数字のことなんかわかりませんが、私の希望ですが、国の予算のほうは必ずこういう説明書が早くに各議員に配付されるのです。それですから、説明を受ける前に、大体これを頭に入れておきますというと、それで非常によく説明がわかる。ところが今まで地方財政のほうは、こういう説明があらかじめ配付されないのです。そうしてきわになつて、こういうガリ版ばかり出て来るのです。資料としては余りにお粗末、而も金額は国家財政と殆んど同じくらいに大きい金額のものだのに、自治庁のほうは頗るお粗末なガリ版ばかり出して来る。国家財政のほうは丁寧に印刷局で印刷したやつをあらかじめ配付するので、説明を受ける場合、前以てそういうものを読んで頭に入れておきますから、一遍でよくわかる。ところが地方財政のほうは、今までの長い経験ではそういうものがないのです。今後は一つ初めにこういうふうにやつてもらうわけに参りませんですかね。是非これは一つやれないなんということを言わないで、やるというふうに、(「賛成」と呼ぶ者あり)実は長官にお願いしようと思つたのですが。
  37. 青木正

    政府委員(青木正君) 只今の堀さんのお話、誠に御尤もでありまして、従来どういう慣例になつておりましたか存じませんが、今後は十分御期待に副い得るように努力いたします。又今年度の分につきましては、両三日中に、委員長からも御指摘のありましたように、説明書を提出いたすように取計らいたいと思います。
  38. 堀末治

    ○堀末治君 成るべくこのガリ版でない、印刷局で印刷したやつをやつてもらいたい。資料をとつておくのに便利です。速記録をこつちのほうにつけても始末が悪くなつてしまう。それですから成るべくこういうふうにして置いて頂きますと全部資料をまとめておくのに非常に便利ですし、今まで我々もずぼらにしてやつてつたけれども、どうもこれをよく見て説明を受けるのとは非常に違うのですから、今後は一つ自治庁のほうでも、印刷局のほうに早く書類を廻して勉強して是非やるようにお願いいたします。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のに関連して、私も要望するのですが、今日の御説明で見ますと、二番目の昭和二十八年度新規財政需要額ですが、これに関する説明書、これでは到底我々にはわからない。これについて、例えば小学校なら小学校の先生がたの給与についてはどういう規模に行われて、人員をどういうふうに見るとかというようなものがあるはずです。そういうものについて資料を詳しいものを頂きたいと思います。平衡交付金もその通り
  40. 青木正

    政府委員(青木正君) 只今の御希望の点了承いたしました。できるだけ御満足の行くように調製いたしたいと思います。  なお両三日中に提出いたします分につきましては、印刷といつても或いは間に合いかねるかも知れませんが、その点はガリ版ででも……。
  41. 堀末治

    ○堀末治君 遅れても結構ですから、ガリ版でないものでやつて下さい。
  42. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではもう一つ私文部省の御当局にお伺いいたしますが、それは政令の第百六号でございますが、即ち義務教育費国庫負担法第二条但し書の規定に基く教職員給与費の国庫負担額の最高限度を定める政令、この政令について質問を申上げたい。  そこでこの問題は御承知通り、この義務教育費国庫負担法がいろいろないきさつがあつて、現在施行されておるものが出たわけなんでありますが、現在施行になつておるこの法律審議の際に、私はそのとき地方行政委員でありましたが、これはまあ文部委員会あたりでも合同審査を持つたりして、相当この問題は審議されたんです。それで我々の考えておるところのものは、この本質は、結局日本の教育水準を維持して行かなければならない。低下さしてはならないというふうなことから、平衡交付金と別個にこれは考えられたところの法案なんです。従つてこの法案の趣旨というものはは、この法案によつて、いわゆる半額負担によつてこれを平衡交付金の調整に使つてもらうというような考えは絶対になかつた。ところがそういう点から見まして問題になつたのは第二条の、いわゆるこの国庫で二分の一を負担する場合の最高限度をきめる場合があるとこの問題であつたのであります。それでこれが従来のいわゆる定員定額というふうなことに及んで来るならば、折角この法案を作つた趣旨に相反するものである。こういうふうにいたしまして、衆議院においても、参議院においても、文部委員会で決議まで作つておるのです。そこで、まあ参議院の付帯決議を見ますと、「教職員給与費の最高限度を政令で定める場合、その限度の基準は、少くとも各都道府県の従来の実績を下廻らないように定めること」としてある。これが非常に重要なんです。いわゆる国家が二分の一を補助するという建前から最高限度を抑えるということによつて地方の実績を下廻つてはならない。これは非常に、先ほど話したこの法案の趣旨から見て重大な問題でありまして、この審議の焦点がここに来た。ところが、今回第百六号の政令に上りますと、その最高限度を幾らにするかというふうなことがきめられた。このきめられた限度が妥当であるかどうかというようなことにつきましては、これからもいろいろ伺いたいのでありますが、若しこれが当を失しておつたならば、この法案の趣旨は、法案そのものは無茶苦茶になる。と同時に、この日本の教育の水準がこれによつて低下の一方に走つてしまう。こういうふうに考えられるのであります。そこで、これは自治庁と、それから文部省とにおいて十分検討の結果、きめられたものだと思うのでありますが、まあ一例を取つてみまするならば、給料について、小学校にあつては十六万一千六百四十円、中学校にあつては十六万三千百七十六円に、それぞれ小学校又は中学校ごとの校長及び教員の定数を乗じて得た額、これの二分の一ということが決定されるわけなんです。そこでこういう数字を出したところの根拠はどういうふうになるのであるか。これが一点。  それからこの政令によつて、実際においてこの実績が下廻らないかどうか、こういうふうなものについて伺いたいと思います。  もう一つ、これに関連しまして、こういうふうの提案は自治庁がなされたか、文部省からなされたか、そういうふうなことを付帯してお答え願いたいと思います。
  43. 田中義男

    政府委員(田中義男君) いろいろ只今御意見がございましたように、文部省といたしましても、この国庫負担法のできましたいろいろな情勢からいたしまして、成るべくこの例外措置となります政令につきましては、慎重にこれに対処して参りたいと存じておるのでございまして、従つてこの政令を作りますに至りますまでには、相当ないろいろないきさつを経ておるのでございます。この第二条の但書において例外措置をいたしますその場合は、当時修正提案理由にもいろいろ御説明にもなつてつたのでございますが、国の一方的な財政事情によつてはこれを制限するということはしない、ただ各府県間の著しいアンバランスというようなことが或いは給与の面等におきまする場合には、これは考えなければならないかも知れない。併しそのことはお話のように実績を下廻らないというようなことであつたのでございます。そこで実際を申上げますと、この国庫負担法を完全に実施いたしますためには、当然各都道府県間のアンバランスを起しますので、そのことのないように、税、財政等の措置がとられることが期待されておつたのでございますが、遂に本年四月一日にそういうことなしに実施せざるを得ないことになりました。そこでいろいろ問題が複雑になつたのでございますが、この特別な政令を作りますために考えられたことは、ともかく現状のままでは余りに各府県間の給与の面につきましても、確かにアンバランスがございまして、基本給について考えましても、非常に低い県とそうして最も高い県とを比較いたしますと、二千円乃至三千円が先ず普通でございまして、年限がたちますにつれまして、より以上の差異を来して参るようなことでございます。そこで一般の府県につきましては、全然この負担法の趣旨そのままで、実績の二分の一というこの原則は崩しておりません。ただ特殊の数府県についてのみ適用できるこの最高限を定める。従つて全体としては国庫負担法の実績主義をとりながら、ただ特別に給与その他についても高いところのいわゆる超過団体についてのみこの最高限を定める、極めて例外措置をとる、こういうことに考えましたのが、この政令の趣旨でございます。そこでこの適用を受けますのは数府県になるのでございますが、実績が下廻らないかというお話でございますが、その最高限を定めましたその基準は、これが当然やはり特殊な県のみとは申しましても、他の多数の府県にも影響のあることを考えましてそこで、単に例外として数府県にのみこれが適用されて、その他の府県には全然基準としても影響のない程度のものにいたしたいというのが根本の考え方でございまして、従つて、今回定めましたその最高限は決して他の多数の四十府県等に関しましては全然関係のない、相当上廻つた基準にいたしておりますから、従つて、大多数の府県にはその実績を下廻るというような基準にはなつておりません。  それから、第三点の、提案はどちらかというお話でございましたが、この事柄は大体すでに予算の決定の際に、政府として定められた事柄でございまして、国庫負担法に関する事柄でございますから、文部省としてその措置を各関係庁と密接に相談をしながらも、文部省として提案をせざるを得ない実情であつたのであります。
  44. 若木勝藏

    若木勝藏君 それから更に今のお話について、御説明を元にして伺いたいのですが、ここに出ておるころの小学校十六万千六百四十円というふうなものは、これは何を基準にして定められたかというのは、およそこういうふうなものを定める場合においては、先ほども私どもは資料を要求したように、学校の規模であるとか、或いは人員であるとか、そういうふうなものが全部総合されて考えられて定まつて来なければならないものだろうと思う。単位費用というものは、そういうふうなところから考えまして、これは特殊な富裕府県の一部分だけがこういう実情にあるから、直ちにそれに対してこういう措置を適用するということにはならないのじやないか。十分そういう方面を、全国におけるそういう規模というようなものを考慮してやらなければならんと思うのでありますが、それについてこの根拠を伺いたい。
  45. 田中義男

    政府委員(田中義男君) この最高限の考え方は、国が負担をする限度、こういうのでございまして、その限度をどこにするかということが問題でございましたが、結局ここに掲げました基準は昨年の十一月一日現在におきます国立学校の教職員の給与の実体を元にいたしまして、そうしてそれに二十八年度における昇給の見込み等をも考えましたその給料単価をここに担げたのでございまして、すべて給料その他の手当等につきましても、一応国家公務員としての教職員の昨年の十一月の現給、こういうものを元にとつておるわけでございます。
  46. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、在来我々、或いは教職員、地方公務員の問題にしておつた点が、今回はつきり文部省のというか或いは国の措置によつて提示されたということになるのではないか。というのは、これは在来においては地方公務員の俸給は国家公務員より月額教職員においては三百四十九円ですか、或いは地方公務員については四百何ぼかというふうなものか高いこれを国家公務員と同様にしなければならないというふうなことが従来叫ばれておつた、そうして政府としてそういう方針で進もうとしておつた。ところがこれは実態においてはそうなつておらない。我々がいろいろ機関にかけて調査したその調査の資料と或いは文部省、大蔵省、そういうような資料とには食違いがある。そういうふうなことが未だ決定しておらないのに、一方的に国家公務員の線に下げて来た、こういうふうなことになりはしないかと思うのであります。ここに私は問題があると思う。そうしますと、先ほど富裕府県においては特別な事情があるので、それを国家で以てその二分の一を負担する、限度としてこれを定めてやつたということは、結局これは富裕府県だけにとどまらず、この考え方は一般の他の府県においても、国家公務員の教職員について言うというと、国立の教職員の程度地方公務員を均してしまうそういうふうな考え方がここに動いておると思われるのでありますが、その点が一つ。  それから結局どちらから提案したかということに対しましては、国のこの予算上政府としてそういうふうに来たので、国庫負担であるからして文部省もまあそういう線に沿つた、こういうふうな答弁でありまするが、これは誠にまあはつきり正直に答えたところではありますけれども、要するにそうしますというと、こういう問題は、地方実態とか、或いは地方公務員の待遇とか、地方教職員の待遇とかいうものの実態に立つたものでなしに、国家のこの予算の枠からこれをそういうふうに押付けてしまう、そういう形に進んでおるのじやないか、こう思うのであります。特にこの問題は、現在言われておる富裕府県に対するところの二分の一の国庫負担廃止するところの特別法を作るんだ。すでに予算にはそういう形でもつて出しておる、こういうことが言われておるのでありますが、その線から考えて見ましても、正にこれはそういう特別法の前哨であるとも考えられるし、それから又これを機会に地方公務員の給与というものを全部国家公務員と同一にしてしまう、こういうふうな考え方が政府としてあるのじやないか、こういうふうう思うのでありますが、根源がそういうところからこの政令が発しておる、私はそう見るのでありますが、この点についてどうお考えでありますか伺いたい。
  47. 田中義男

    政府委員(田中義男君) お話の点誠に御尤もでございますが、私どもがこの政令を作りますについて一番実は心配をいたしましたのも、その点でございまして、そういうことにならないようにいたすために、ここに第一条の書き方におきましても苦慮をいたしましてともかく原則として特別な府県を除いては、従業と申しますか、国庫負担法の実績主義と全然変りはないのでございまして、そのほうには無関係に、たた例外として、いわゆる超過団体等についてのみ考えるという厳重なそこに一線を画したわけでございます。そこでその超過団体等につきましては、従つて国家負担をする、その国家負担としての基準をどこに求めるか、こういうことになりますと、これはしばしば三百四十九円問題について論議を受けておりますように、国の財源措置ということになりますと、一応国家公務員というものの基準をそこに考えざるを得ませんのと、従つて而もその国家公務員としての基準をとります場合に、文部省としては他府県にも影響のないうふうな措置になりましたので、この法律法律として厳格に実施されますならば、私どもは相当御心配の点になるようなことはなく行くものだと考えておるのでございます。
  48. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこでそうなりますというと、国家公務員の基準に求めたということは、どうしても一つのしこりになると思います。そこで東京都なり或いは大阪府なりというふうなものが、この基準によつてやられたら非常に私は切下げになつてしまうと思う。若し切下げなければ、その部面は、東京都なら東京都の自己財源なら自己財源によつて、これを賄つて行かなければ、これによつて先ずこのままで進めて行くということに東京都が考えたとするならば、これは当然首切に行かなければならん、そういう幾多の問題が私は考えられるのでありますが、恐らくこの問題は東京都ほか富裕府県にとどまらず、右へならえでもつて地方へ行くだろう。この問題については相当私はこういう政令が出たということは、文部省自体にも或いは長官もおいでになりますが、自治庁自体として地方公務員の体系の上から、相当この問題に対しては考えなければならない点があると思います。そこで私は実際この線で規定された場合に、東京都並びに大阪等の富裕府県の方面にどれだけの一体その差が出て来るか、これらについて一つ資料を出して頂いて、その上で更に今後私は質問したい、こう思うのであります。そこで私は自治庁長官としての塚田さんからこれに対する御意見を伺いたいと思います。この政令はあなたもこれについて与つたろうと思うのでありますが。
  49. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは只今田中政府委員からお答え申上げましたように、大体あの法律を作りますときに、原則として実額の半分をという考え方ではあるが、併し国から出して御援助するのであるからして、その実額が非常に高いという場合には、やはりそれを全額面倒見るというわけに行かんからして、或るところで抑えようということであの但書の趣旨があつたので、それに基いてこの政令が出たものであり、従つてこの政令が出る以上は、どうしてもこういう形にならざるを得ないのであつて自分としては賛成せざるを得ない、こういう考え方であります。
  50. 若木勝藏

    若木勝藏君 長官にもう一つ伺いますが、そうしますと衆議院でも参議院においても、先ほど申上げた通り、日本の義務教育の水準の維持ということから、これは非常に重大である、両委員会において同様趣旨の決議をしておる。この決議を私は無視されたんじやないか、こういうふうにも考えられるのであります。無視された根本の問題は、何といつてもそういう教育の水準を維持するというふうな根本問題でなしに、いわゆる国の予算というふうな方面から締め上げて行つて、そういう枠に無理に当てはめてしまつた、こういうふうに考えられるのでありますけれども、長官地方公務員の待遇というものに対しては誰よりも一番心配されておる立場にあると思いますので、この問題について十分一つどういうふうにこれを進めて行かなければならないか、或いはこの整理に対してどう取扱つて行かなければならんかということに対して十分御検討願いたい、そういうことを要求いたします。
  51. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか。
  52. 若木勝藏

    若木勝藏君 もう一つ、先ほどの財政計画の御説明の中に給与改訂の部分がありますが、〇・五の問題、夏期手当の問題は、あの中に含まれておることになるわけですか。
  53. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) いわゆる期末手当につきましては、現行法の規定の建前によりまして年間一・五ということであります。
  54. 若木勝藏

    若木勝藏君 含まれておりますか。
  55. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) そうです。
  56. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで今、今日もこの国会に陳情に来ておるようでありますが、全官公では在来のベース改訂の場合に、人事院の勧告すらこれを政府は認めておらない。そのために累次赤字が集積して来て生活が困窮の一途を辿つておる。そういうところから〇・五の期末手当では到底我々はこの夏をしのぐことができない。こういうふうなところから、先ず全官公も一斉にこれに対して陳情を行つておる。自治庁の長官としましては、現に我々の交通機関であるところの電車であるとか、バスだとかという方面に携つておる都市の交通労働組合を初め、都労連が、これに対して必死な要求を掲げておる。これについては閣議おいていろいろ日刊新聞で見ますというと、考慮するというふうな面も出ておるし、或いは自由党としては出せない、こういうふうな線も出ておるようであります。一体閣議でこれがどういうふうに取扱われておるか、これは長官一つお伺いいたしたいと思います。
  57. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは閣議におきましては、座談的に話が出たことはございますけれども、正式な閣議の議題としては全然まだ話合いはできておりません。この問題は勿論私の所管事項ではございませんので、官房長官及び大蔵大臣において、予算委員会その他において答弁されておりますが、私の承知しておる範囲では、出したい気持はあるが、財源的には殆んどむずかしい。こういうふうに只今のところ伺つておるわけであります。
  58. 若木勝藏

    若木勝藏君 地方公務員の優遇の立場から、長官としては、今言われた閣僚の座談会ということではなしに、本当に地方公務員の味方になつて、これを切実な問題として、ああいうふうにいろいろ要求なり或いはデモなりをやつておるのでありますが、そういう点閣議にこれを提案して何とかしようではないか、そういうふうな御意思があるかどうか。
  59. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私個人としては、勿論できるならば何とかしてやりたい、こういうふうに考えておりますし、又努力するつもりであります。
  60. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか。
  61. 秋山長造

    ○秋山長造君 先ほどの長官が席をはずされる前に問題になつておりました地方赤字の問題でありますが、その問題につきましてもう少し長官のお考えを聞いておきたいと思うのですが、先ほどいろいろ御議論がありましたように、いずれにいたしましても、地方が非常に赤字で困つておるということは事実なんですが、その赤字の根拠につきまして、まあ自治庁のほうでは、先ほど財政部長の答弁でも、府県が大体単独事業をやり過ぎるというようなところ、或いは又中央に比して使途を贅沢に使い過ぎるのではないかというようなところに地方赤字の最大の原因があるというようなお考えのようでありますが、併し又我々は必ずしもそう考えないで、むしろ私自身も県会を六年やつて来て、或る程度は経験をいたしているのでありますが、やたらに中央の委任事務が殖えて行くというところに、むしろ地方の一番赤字の根本があるのでじやないかというように考えるのでありまして、まあ自治庁のほうではいろいろ財政計画を立てまして、相当数字の上では合理的にやつておられるつもりかも知れませんけれども、併し地方の立場から考えますというと、中央の各官庁が次から次へ法律を作つては、無統制にいろいろな仕事地方へ押しつけて行く。そうして地方のほうでは人件費なりなんなりに非常に困る。中央へ言うと、中央のほうでは、いや、その費用は平衡交付金に入れてあるのだから大丈夫であるというような返事をもらつて、又地方地方で各部課がそれぞれ使途を殖やし、仕事を殖やして行かざるを得ないというようなところが段々集積して、そうして赤字の一番大きな原因になつておるのじやないか。だから少々の地方団体行政整理をやりましても、半年か一年経つか、経たない中に、元に返つてしまう。その元に返つてしまう原因は、中央の役所が、厚生省は厚生省で思い思いのことをやる、農林省は農林省の思い思いのことをやる、建設省は勝手なことを地方へ押しつけるというようなところが一番大きな原因じやないかと思うんです。そこで地方団体が、少々事務費の節約をやつて見ましても、或いは使途を少々減らして見ましても、そういうことでは追つつかない。これはどうしても、単に自治庁だけでなしに、政府全体として、もう少し統制のある地方行政ということをやつてもらわない限りは、この赤字の問題は解決しないと思うんです。そこで塚田長官にお願いをしたいことは、今までのように各官庁が無統制に思い思いに、法律を作つたり、或いは出したりして地方へいろいろな委任事務をこれ以上殖やしてもらわんように、もう少し統制を取つてもらいたい。新らしいそういう仕事が出て来ることは極力抑制しなければいかん、そういう点について国務大臣としての塚田長官、何か御見解なり、御構想がないかということをまずお尋ねしたい。  それからもう一つは、この問題と並んで重要なことは、やはり地方税法の改正問題だと思うんです。地方財政赤字で困つているもう一つの大きな原因は、何と申しましても、あのシヤーブ勧告による地方税法というものが、特に府県なんかの場合には非常に片ちんばな形になつている。そのために地方財源が枯渇している。そこで中央からは委任事務がだんだん殖えて来る。それに併行しただけの中央からの平衡交付金なり何なりは地方へ与えられない。そこでもうしようがない、窮余の策として新税を地方では考えなければいかんというような、切羽詰つた段階に殆んどの府県は来ていると思うのです。そうなりますというと、中央のほうでは、政府のほうでは国税について一千億の減税だと言つて減税々々と言つて宣伝をやられるのでありますけれども、結局地方税というものは或る程度殖えて行く傾向にある。特に新税を創設するというようなことになれば、政府ばかりが減税々々といい顔して地方の府県知事や何かは増税ばかりやらなければならん。政府の責任を地方団体が肩代りしなければいかんというような状態にならざるを得ないと思うのです。幸いにいたしまして、最近自治庁あたりでも、この地方税法の改正というようなことをいろいろ御研究になつているようでありまして、先般も新聞紙上に報道されているところによりますと、或いは以前の府県民税の復活だとか、或いは所得税附加税の復活だとか、或いはその他いろいろな案が出ておりましたのですが、併し我々はやはり政府の減税を地方で肩代りして、逆に増税するというような新らしいこの負担増加というようなことについては賛成しがたいのでありますけれども、何でもかでも中央へ吸収してしまうというような、今までの税法の建前をもう少し合理的にして頂いてそうして地方財源をもう少し豊富にしてもらいたい、こういう強い希望を持つているのでありますが、そういう地方税法の改正というような点について、相当新聞へ出るくらいでありますから、長官手許でも御構想がまとまつているのじやないかと思いますので、この機会にその構想について一つ御発表を願いたい。
  62. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 誠に適切なお尋ねでありますので、ただどういう工合になるかという最終的な結論は、勿論中央の場合におきましては機構の問題は行政審議会、地方の場合におきましては地方制度調査会に今諮問をいたしておりますので、それを待たなければなりませんのでありますが、併しどちらの問題にしましても、勿論私個人として若干の考え方を持つておりますので、新聞などにぼつぼつ自治庁の意向として出ておりますものは、恐らくそういうものだろうと思うわけでありますが、そのような意味合においてお聞き願いたいと思うのであります。  第一の中央と地方の事務の配分の結果、仕事がどんどんと地方へ行つてそうしてそれに対して必要な財源がついて行かん。その面から地方財政の困難が出て来るということは、まさに今日の地方財政の困難の一つの大きな原因であると私も考えております。勿論地方財政法に基いて中央が地方に事務を任かした場合には、それに必要な財源は、これはつけてやらなければならんということになつているのでありますが、実際に過去のやりくちを見ておりますと、必ずしもそれに十分なだけは行つておらないというように、これは承認せざるを得ないと思うのであります。そこでまあこの問題はどういう工合にして解決するかは、これは将来中央の事務をもう地方にやらないようにするかという問題でありますが、私はこの点は今実は中央と地方を通じての機構改革というのを自分でもいろいろと検討し、想を練つているのでありますが、むしろ私の今の考え方としては、むしろ中央の出先機関は廃止して、そうしてこれを自治団体に成るべく任かしてしまうというようにするほうがいいじやないかというふうに自分では考えている次第であります。そうなりますと、事務を地方に任かさないというのでなしに、事務はもつと中央から地方にお願いする。そういうほうが機構全体のあり方としてはいいんじやないか。その場合には勿論中央で節約ができるわけでありますから、従つてそういう形において地方に事務が殖えます場合には、地方財政法の規定を正確に履行して、十分なだけの財源措置というものは、これは別途に考慮するというように勿論しなくちやならん。まあ自分ではこういうふうに考えているわけであります。  そこで地方財政というものをどういう工合にして今日の窮乏状態というものを解決をして行くかということでありますが、その基本の考え方といたしましては、これはやはり余り平衡交付金というものに、今後も深く頼るという考え方でなしに、独自の財源をやるという考え方に持つて行かなくてはならんのじやないか、こういうように考えているわけであります。そこでその場合におきまして、独自の財源を地方に与える、ただ税目を与えても国税が減らない、地方税が殖えるということになると、国民負担というものは当然総体として殖えるということになるので、それは今日の政府が成るべく国民負担を軽減できるようにしたいという強い考え方と、まあ矛盾するわけでありますから、できるだけ避けたいと思うのであります。従つて国税を減らして地方税を殖やすと、こういうようにまあ考え方としては是非持つて行きたいと思つている。併しそのようにいたしましても、国税は御承知のように所得税にいたしましても、法人税にいたしましても、大体そういう直接税系統のものは、相当程度地方の住民に対しては、もう課税の圏外に置かれている人たちがおりますのでありまして、従つて今度国税を減らすということにいたしましても、そういう人たちの分はもう実質的には何も影響を受けない。そうすると、国税を減らして地方税を殖やすという場合に、国税の減つた人にだけ地方税を殖やすという形に持つて行くのでなければ、この方法による解決策は国民負担を殖やさない結果にはならないので、実は心配しておる。併しこの点につきましては私は是非その考え方は是正する必要があるのじやなかろうか。つまり国税は勿論減らすと、そうして地方税を殖やすという構想で行くのはいいが、その殖やす場合に、今まで恐らく負担されていない人にも若干殖えるということは、これはこの機会に御辛抱願うほうがいいのじやないかということは、国税と地方税はおのずからものの考え方が違うのでありまして、まあ国税は御承知のように大体能力に応じて負担をするということであり、それは全般的に国全体の用に使われるということになつているのですから、併し地方税の場合には住民が御負担下されば、その自分の自治団体のためにそれがそのまま還つて来るのだから、国税はもう負担しない限度の、その程度負担能力の方々のところにも、地方税が若干かかつて来るという形に、勿論大きな負担をかけるというわけに行きませんが、そういう形に持つてつて、そうして一つには、住民と地方団体との関連というものをもつと密接につける。従つて自分負担している県税だから、県行政のあり方というものに注意する、自分が相当重く負担している市町村税だから、市町村の行政のありかたに注意をする。こういうような形に持つて行くほうが、今日中央及び地方で、全体として御心配になつておりますどうしても財政が膨脹しがちな傾向があるというのを、国民の、若しくは自治団体でありますなら自治団体の住民の力でチエツクして、そうして本当に必要ならば必要だけしか出さない。併し本当に必要な費用ならば自分負担をして出すと、こういうように持つて行くほうが、ありかたとしてはいいんじやないかと、こういうように考えているわけであります。
  63. 内村清次

    委員長内村清次君) それではお諮りいたしますが、先ほど委員の各皆様方からも資料の要求が、財政計画の中に大分要求されておりました。この資料が揃いましてから、なお質疑をするということにして、今日は一応この問題はこれで打切ることに……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 内村清次

    委員長内村清次君) そういうことにいたします。   —————————————
  65. 内村清次

    委員長内村清次君) それから今国会に提出予定の法案について説明を聞くことにいたしますが、よろしうございますか……。では簡単に一つ説明をお願いいたします。
  66. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 大体自治庁関係で今国会に提出して御審議を願いたいと考えております法律案は六つございますのでありまして、その第一は、これも新聞などで御承知の自治大学設置法案でございます。これはまあ一種の研修所のようなものでございますが、これを自治庁に附置させまして、ここで地方公務員の再教育と申しますか、こういうものをして素質の向上及び事務能率の高進をしたいというのが狙いとなつておるのでございます。次に地方自治法の一部を改正する法律案でありますが、これは法律の制定又は改廃に伴つていろいろ別表の改正をしなければならないものがありますのて、そういうものを改正いたしましたり、それからして御承知のように今市町村の教育長を、助役を兼任させるという規定が問題になつておりますが、これなどもこの法律の改正の中で整備したいと考えておる。第三には地方自治法の一部を改正する法律案に、附則第二項に基く関係法令の改正法律案でありますが、これは前のやつに附随しましてそれに関係して、いろいろ関係法令を整備しなければならんのでありますが、それをどうするかということをきめるのであります。それから第四に、地方財政法の一部を改正する法律案でありますが、これは公共施設の建設事業費の財源を地方債で賄うことができると、こういうように改めまして、そうしてその地方債を発行いたします場合に、どういう工合にしたらいいかというような規定を設けておるわけであります。それから第五には地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案でありますが、これは今度の義務教育費国庫負担にいたしました等の関係からして、若干平衡交付金の配分をいたします場合の単位費用の計算の仕方、そういうようなものを改める必要があるというので、この法律案考えておるわけであります。それから最後に地方税法の一部を改正する法律案でありますが、これは前国会にやはり出ておりましたので、その後あの税法改正案に、国会においていろいろ御意見がありまして、大体各党で意見のまとまつておりました部分だけを、新らしく政府案に取込めまして提出をしたい、こういうように考えております。以上六案でございます。
  67. 内村清次

    委員長内村清次君) それから国家消防本部長
  68. 滝野好暁

    政府委員(滝野好暁君) 消防関係といたしましては、提案予定法律一つでございまして、消防施設強化促進法案でございます。これはこの前の国会に一度出されたのでございますが、不成立に終つております。これは市町村の消防施設を強化するために国が補助する、その補助するために必要な事項を内容とする法案でございまして、全体七条文から成るような簡単なものでございます。内容はありふれたものでございまして、補助の趣旨、或いは補助の対象、補助の基本額、或いは補助率、或いは補助の申請手続というふうなものでございます。多年消防界から要望されている事柄でございまして、消防組織法の第二十五条に基く法律というので、今回漸く提案になる予定の法案でございます。以上簡単でございますが……。
  69. 堀末治

    ○堀末治君 自治庁に伺いますが、今大分出る法律がたくさんあるのだが、会期は余り長くないが、いつ噴出ますかね。
  70. 青木正

    政府委員(青木正君) 先ほど大臣から申上げました六つの法律案のうち自治大学校のほうは、御承知のごとく参議院のほうに提出済みでございます。それから地方財政法の一部改正がすでに衆議院のほうへ提案になつております。それ以外の法律案につきましては、閣議を通つたものもありますし、又明日あたり通るものもありますが、大体今週の金曜頃までには全部の法案が提出になる見込みであります。
  71. 内村清次

    委員長内村清次君) それではいずれ提出されてから、いろいろ審議することといたしまして、実は地方行政委員会委員のお方々のうちで議員立法をするという、即ち町村合併促進法案、この問題がございますが、今日この立案の中間報告を実はお伺いしたいとかように思つておりますが、よろしゆうございますか。
  72. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のは委員会としてですか、懇談会ですか。
  73. 内村清次

    委員長内村清次君) それではちよつと速記をとめて……。    午後四時四分速記中止    —————・—————    午後四時四分速記中止    午後四時五十一分速記開始
  74. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは速記をとつて下さい。
  75. 秋山長造

    ○秋山長造君 只今石村委員から縷々御説明がありますところによりましても、この町村合併という問題は今日の時勢の要求でもあり、又我々といたしましても最も関心を持つ問題でありますだけに、更に慎重を期するために、又各派の協同提案、でき得べくんば参議院全会一致というところまで持つて行かなければならないと思いますので、この際慎重を期するために、この地方行政委員会の中に更に小委員会を作つて頂きまして、その小委員会で慎重に且つできるだけ速やかに審議を終りまして本会議へ持つて行きたい、こう考えますので、この際委員長手許において小委員の決定をお願いしたいと思います。
  76. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今秋山君から町村合併促進に関する小委員会設置を当委員会になして、その委員の任命については委員長に一任という動議が出ておりますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 内村清次

    委員長内村清次君) 異議ないと認めましてそのように決定いたします。それでは小委員には、石村幸作君、堀末治君、館哲二君、秋山長造君、松澤兼人君、苫米地義三君、加瀬完君、以上をお願いしたいと思います。小委員会の件につきましては、又小委員の方々において運営、日取りを御決定なさいまして、促進法案の一日も早く成立いたしますことを希望いたしておきます。   —————————————
  78. 内村清次

    委員長内村清次君) 次にお諮りいたしますが、連合委員会の件についてお諮りいたします。去る六月十九日、労働委員会におきまして、日産化学工業熊本県鏡工場の労働争議に関し、警察介入の事件につきまして連合委員会を開くことを決定いたしております。当地方行政委員会に対しまして連合審査の申込みがなされておりますが、どのように取計らいましようか、連合審査いたしてよろしゆうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように取計らいます。期日は、委員会で決定いたしましたように、二十五日の午前十時から参考人の方々の召喚ということになつておりますから、さように取扱わして頂きたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会