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1953-07-23 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十三日(木曜日)    午前十一時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            藤野 繁雄君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    農林省畜産局長 大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    建設省道路局路    政課長     曾田  忠君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○証券投資信託法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○昭和二十八年度における特定道路整  備事業特別会計の歳出の財源の特例  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○資産評価法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○関税定率法等の一部を改正する等の  法律案内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第二十三回の大蔵委員会開会いたします。  証券投資信託法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を願います。
  3. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 前回の委員会に引続いてお尋ねいたしたいのですが、第四章の監督について大分改正になつておりますので、二十条の二でございますが、「委託会社常務に従事する取締役が、他の会社常務に従事し、又は事業を営もうとする場合には、大蔵大臣承認を受けなければならない。」、こうなつておるのですが、大抵この承認を与えない場合、こういう場合には駄目だということを明示しているのですが、ただ「大蔵大臣承認を受けなければならない。」、受けたらやれるというだけのことですか。どの程度までは承認して兼職制限をお考えになつているか。これは非常にこいつもやはりむずかしい問題だと思うのですが、大体制限はどの程度までお考えなつてこ条項を設けておられるか。特にこれは公務員の……、以前官吏の、本人又は家族が商売をやろうとする場合には直属上長承認を得なければならんとかいう規定がございましたですね。なかなかあれも実際上はうまく運用ができていないと思うのですが、これは証券投資信託委託会社取締役等については特にこの点は厳格にしなければならんと思います。併し余り厳格になつて人権蹂躪になつては困るから、どの程度のことをお考えになつておりますか。
  4. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) この二十条の監督規定でございますが、先日も大蔵大臣からお話がありましたように、私どもといたしましては、投資信託が今日のように相当大きく発達して参りまして、而もその投資者大衆ということになりますと、その大衆の金を預りまして銀行運用して行くということについては、よほど責任者責任を持つて毎日運用に気を使つて頂かなければいかんと思う。そういう意味におきましてこの規定がここに入つたのでございますが、書き方は大体金融機関銀行等書き方と同じでありますが、実質的に申上げまして例えば実際に責任を持つ人が遠隔の地に所在して、実際には委託会社仕事に殆んど目が通せない、或いは他の事業が非常に忙がしくて片手間にしかできないというようなことであれば、投資者保護のために甚だ欠けるところがあるのではないかというので、まあ大体そういうような気持で、本業としてこれを十分に責任を持つて運営して頂くだけの態勢をとりたい、それに支障ない限り承認しようという趣旨であります。
  5. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこの制限は大したむずかしいものではなくて、例えば現在の、具体的な例を挙げてみますると、山一証券の副社長が何々銀行常務取締役というような場合を禁じておられるだけでありまして、その「常務に従事する取締役」、こういう範囲でございますけれども、まあこれは常勤取締役だけを指しておられるのか、或いは社長、副社長というような人を考えておられるのか。
  6. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 社長、副社長は当然やはり責任者として「常務に従事する取締役」に入ると思います。それからそれ以外には、常勤を要する会社では普通専務とか常務とか言つておりますが、常勤をしておる取締役という意味であります。
  7. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 更にちよつとこれは飛躍し過ぎるかも知れませんけれども委託会社常務に従事するような人があなたの趣旨では……、それに専心するという意味でこういう制限を設けられたのですか、そうなると私の考えでは、これは他の事業をやつておると、その事業のほうの株を買つたり何かしてはいかんという意味でこれを制限されたのじやないか、こういうふうに理解しておつたのですが、この兼職制限がそういうふうなあなたの御説明のように解釈しますと、例えば極端な例ですけれども、ここには書いてございませんけれども国会議員になるというようなことについては、国会開会中は御承知のように忙がしい、それで常務に従事するということはあなたの今言われるような趣旨から言うと逸脱して来るように思うのですが、その点はどうですか。
  8. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 私が専念すると申上げました言葉の表現が多少いけないかも知れませんが、要するに投資信託運用について責任を持つてつて行けるだけの態勢になければならんというようなことでありまして、そうしてここで禁じておりますのは、他の営利事業に対する兼職を禁止しておる。例えば先ほどお話のありましたような山一社長云々であるというような場合には、これは両方仕事をやつていて両方とも仕事の量その他からいつて成立つということであれば差支えないと思います。それから投資信託山一との取引関係についていろいろなことが起るということは、これは別個の面で取締るということになろうと思います。
  9. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、僕の申上げたのは兼業云々ということを強調せられるものですから、そういうことになつたらどこまでも禁止しなければ非常に矛盾するじやないかということを申上げたので、これは立法の趣旨というものはわかつたようなわからないような条項だと思うのです。今のお話を聞いていると、大してその人の能力は、二つ会社社長をやつてつても、専務のしつかりしたのを置いておけばやれるという場合もあり得るのですが、従つてこれは判定もむずかしいのですが、ちよつとこの如何にも条文の体裁を整えるためにこしらえたきらいがなきにしもあらず、運用に当つてなかなかうまくあなたのお話のように二つつて必ずしもいかんというのじやないけれども能力があれば下に使う専務なり常務なりしつかりした者を置けばやれるということになると非常にむずかしい問題だと思うのですが、それは事故が起らないときにはいいのですが、そのことによつて二つ承認したために若しも事故が起きたというときに、このときに承認しておいたために専業できなかつた二つ会社を兼ねておつた、だから事故が起きたのだ、だからこの条項によつて大蔵大臣承認しておつたじやないかというふうなことも、理窟として発展できると思う。これはなくてもいいような条項に思うのだが、新設された真意がちよつとわからんのですがね。
  10. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 繰返しになるかも知れませんが、私どもは成るべく投資信託が今後発展いたしますためには、これは又相当大衆投資をそこに呼び込むのでありますから、それに支障のないようなという意味で、常務に従事する役員は少くとも相当毎日責任を持つて見て行けるという態勢にしたい。それが趣旨でありまして、先ほど申上げましたように非常に遠隔の地におる、そうして名義だけを社長とか副社長とかいうようなことにいたしまして、名義を借りてやるというようなことは少し責任がなさ過ぎるのじやないか。それから又一方に本当に他に営利事業に従事しておられまして、そちらのほうはとても投資信託責任を持つて運用して行くだけの余裕がない、手が出るはずがないという場合には、やはり名義を貸してこちらを片手間にやるというようなことでは余り片手間にやられて一般大衆に迷惑をかけるというようなことがありますと非常に困りますので、従つてまあ態勢といたしましては事業本旨とすると、ただ専業を本旨とすると言いましても、現状からいたしまして、すぐにそういう態勢にも参れませんし、まあ差支えない限り兼業は認めざるを得ないというのが実情であろうかと思います。
  11. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあそういう深くお尋ねすることを避けますけれども、じや具体的に今私ここで例を挙げてもう一遍確認をいたしておきたいと思います。今後投資信託はだんだんと発展して行く。そうすると、これもやはり信用というか、顔の問題、社長だとか、そういう顔の問題も使うようになつて来るのじやないか。例えば例を挙げて参りますと、藤山愛一郎だとか或いは渋沢敬三小林中というような人を持ち出して来て社長に据えようと、幾つかの数の顧問や委員をやつている人を、これを社長に据えるということは、これはあなたのほうでは認めないと、こういうふうに理解してよろしうございますか。
  12. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 具体的な場合に今挙げられた方々……。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、この人々の名前じやなくて、こういうようなことがまあ仮にあつたとして……。
  14. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 非常に多くの仕事兼業されて、週にほんの一時間しか見られないというようなことでは困ると思います。ただ兼業数が問題になるのじやなくて、要するにその人が占めておられる地位において責任を果し得ると、運用について誤りなきを期するための責任を果し得るという事態にあるかどうかということが判定の基準になるのじやなかろうかと思つております。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、どうもわかつたようなわからんような……。それじやまあ実際問題は今起きておりませんけれども、将来……どうも最近そういう傾向があつて、昔の財界におけるいわゆる顔役と称する連中を社長に担ぐ、そのことによつて大衆信用を得よう、こういう動きがなきにしもあらずと思うのです。今衆議院のほうで問題になつておりまする東京駅の会館の問題、あれなんかも渋沢敬三を担ぎ出して、そうして一つつておりますけれども、これは投資信託あたりにおいてはそういうような動き方については制限をするという趣旨のものかどうか、これを聞いているのです。
  16. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 極端に申しますれば、その投資信託というものはそう顔で動くべきものじやない。まあ事実今日まで相当投資信託の実績も挙つておりますが、これは半期々々に計算がはつきり出まして、その信託会社の業績というものは、投資信託配当金なり現在の投資価格なりそういうものがはつきり出ますので、そういう動きから判定が容易であります。大衆としてもやはりそういう点を見て投資しておられるように私は考えるのでありますが、おつしやるような顔で集めて行くというようなことは、投資信託としては行き方が少し如何かというふうに思います。
  17. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の問題ですが、これは大蔵省監督しておるわけなんでありまして、こういうような拘束事項のあるものが他にありますか。
  18. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) これは金融関係にございまして、金融公庫とか……。
  19. 土田國太郎

    土田國太郎君 銀行もそうですが。
  20. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 銀行は同様でございます。それで実際問題として銀行のほうは事実上ほかのものと兼業していることは殆んど稀と思います。
  21. 土田國太郎

    土田國太郎君 これは公取関係は何ら考慮しておらんということですか。ただ専心やれという意味からですか。
  22. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 公取法が別途に適用になることは当然でありまして、ここにこういう規定がありますが、公取法に違反するようなものは公取法自身において禁止されるわけであります。
  23. 土田國太郎

    土田國太郎君 いや、私のお聞きしたいのは、公取関係を考慮したものは含まれておらないかということです。個々の制約は……。
  24. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 公取関係を考慮してここにこういう規定を入れたのではございませんで、先ほど申上げましたように相当大衆的になつて来た投資信託を間違いなく運営して行くために少くとも業務に従事する方々責任を以て仕事をやれるだけの態勢にして頂きたいという趣旨でありまして、公取法とはおのずから別個であります。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二十二条と二十三条と併せて御質問申上げるのでありますが、これはいずれもこの二十二条の場合には七条違反の場合、二十三条の場合には事業をやり出してうまく行かないときの責任について大蔵大臣がこういう処分をするということに規定をされておるわけでありますが、この二十二条の免許取り消し、「取り消さなければならない。」となつておるのでありますが、七条の各号に違反した場合或いは免許取り消しということになります。今のような大きな何十億、何百億の信託財産を運営している信託会社が、このような免許を仮に取り消すということになると、その及ぼす影響というものは極めて大きいことだと思います。又二十三条の処分を受けるにいたしましても、これは当然もう信用は一遍になくなり、致命傷だと見なければならん。当分これは起ち上り不可能だと見なければならん。それによつて投資者にこういう処分を受けたということだけで非常な大衆にシヨツクを与え、且つその今の受益証券なんかも幾ら幾ら言つて相場が出ておりますけれども、それは問題なく下る、こういうふうに見なければならんと思いますけれども、これに至らない前に審問をしたり何かすることになつておりますけれども、こういうふうになつてしまつてはもうおしまいだと思う。こういう事業銀行にいたしましても、証券会社にいたしましてもおしまいだと思うのでありますが、これに至らない前の措置、これを生かすか殺すか、処分できるものは処分するという取計らいは必要と思うのでありますが、これは運用の面でやる、こういうお含みを持つた二十二条、二十三条の規定でございますか。
  26. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) お話は御尤もでございますが、ここに掲げてあります免許取り消し、その他の処分につきましては、いずれも投資信託委託会社としては設立のときにこれだけの要件は備えておらなければならん。これはまあ非常にわかり切つたはつきりしたことであります。こういう原因ができていた場合に、これを漫然と見逃しおると、結局ずるずる深みにはまりまして、却つて大衆に迷惑をかけることになるというので、やはりそういう場合には免許取り消しをするとか、今後新たに信託契約をさせないとか、いろいろなことでそれ以上に損害が及ぶことを防止する必要があると思います。  そういう処分をした場合に非常に甚大な影響があることは御尤もでございまして、例えば二十三条の二あたりでは、そういう場合には他の委託会社の同意を得てそちらに承継させるとか、そういう規定もありますし、又それからあとにございますように、大蔵省といたしましても常時検査をいたしまして、多少ともそういう虞れのある場合には早期にこれを発見いたしまして、注意して改善させるというような措置で、そういう不測の損害大衆に及ぼすということは防いで参りたいと思つております。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二十三条の規定、私は、「その指図が適正を欠くため信託財産に重大な損失を生ぜしめた場合において、」とあるわけですが、これはまあ株を買つて、これはまあ上るし、将来見込があると思つてつた。ところがたまたま判定狂つてむずかしいだろうと思う。その買つた株会社の経営、事業会社のほうで悪くなつて来る。或いは世界的な景気変動によつて、この事業はいいと思つたのが、今軍需産業平和産業かということが言われているけれども平和産業がいいと思つたが、そうでなくて軍需産業のほうがいい、或いは逆に平和産業のほうがよくなつたということがある。一方に世界的の平和、ソヴイエトとアメリカについての動き如何によつてはぐつと響いて来ることが多いだろう。「その指図が適正を欠くため」というのは、そういうようないわゆる財界変動によつて信託財産に重大なる損失を与えたものを含むものではない、こういうふうに理解してよろしうございますか。そういうものを含んでの「適正を欠く」ということになると、適正を欠くという意味が理解に苦しむが、私が今申したのは、これに該当しないのかどうか。
  28. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) お話のような場合には該当いたしません。勿論財界一般が不況になる、世界的景気変動ということで株式その他の証券市場変動することはこれは止むを得ないと思います。その先行に対する相場の強弱なり見通し、判断というものは、これは各人においていろいろあるであろうと思います。それが不当であるというようなことはなかなかむずかしい。それにはいわゆる当然に受託者としては注意すべきにかかわらず、そういう普通の人ならば注意できたであろうようなことが注意できなくて……、普通の人というのは勿論専門家でありますが、これは相当程度専門家でありますが、そういうことによつて不当に重大な損失を与えた。まあ言葉は非常に違いますが、まあ何ですか、いろいろ疑義があると同じような意味で「適正を欠く」と考えております。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 同一事業会社株式に主として振り向けるということは、これは信託約款のほうで、あなたのほうで承認される場合に勿論制限される。例えば一つ会社の株を買占めるということは、勿論信託約款承認する際に制限されることで、この大きな資力を以て買占め、或いは白木屋の買占めをやつたとか渋沢倉庫に出動するということは、まあ信託約款のほうで制限をされておることと思いますが。
  30. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) その通りでございまして、信託約款におきまして、同一会社株式を取得する金額は、株式総数の百分の二十を超えてはならないということで押えております。二割以上にその会社の株を持つてはいけないということで、一つ会社について二割以上持つてはならないということになつております。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その二割以上というのは、その会社の二割をですか。
  32. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) その会社と申しますか、例えば何といいますか……。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 三越なら三越……。
  34. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 三越なら三越の総株数の二割以上持つてはならんということを信託約款にきめております。従つてそれ以上買占めをするということはいかんということになつております。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると「適正を欠く」というのは、具体的に申しましてどういうような場合には「適正を欠く」と判断されるのですか。信託会社に、今のようにいろいろ信託約款でも監督をしておられるということになりますと、それから経済上の変動によつて信託財産に重大な損失を生じたということは含まないといたしましたならば、「適正を欠く」ために信託財産に重大な損失を生ぜしめたという場合ということは、一体殆んど起り得る余地がないように思うのですが、そのような条文を設けて、厳しい制限規定を設けておりますが、これをうまく運用された場合にはよろしうございますが、ちよつと運用を一歩誤りますと処分を受けるということになると、その証券会社致命傷で、四、五年は起ち上れないということになりますが。
  36. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) おつしやるように「適正を欠く」という、これに引掛る場合は本当に多いとは思いません。例えば甲という会社資産内容が、普通のこういう投資信託を運営して行く者が、本当に内容が悪いということを知つておるにかかわらず、その会社の株を買つて、その後値下りしたということもあり得るわけであります。これは勿論経済界変動によつて下つた場合はいたし方ありませんが、一般的の傾向によつて言わせればそうでもないし、一般の株価もそうでもない。例えば指図をした場合に当然知つておくべき会社内容の不良というようなことを見逃して指図をしたというような場合がこれに当てはまるわけです。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう大体わかりましたが、第五章の雑則について、効力の失効の問題でございますがね、従来よく鉄道の建設の免許なんかの免許制も、或いはバスの路線にいたしましても、バス免許だけ、鉄道免許だけを持つておりながら、なかなか免許だけ取つておりながら仕事をしておらないのが、事実何十年か放置されておるのがあるのです、極端なのは。六カ月以上というのは相当あるのですが、この六カ月以上云々ということが厳守される御意向を持つておられるのかどうか。
  38. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 考え方としては、厳守するつもりでおりますが、併しまあ世の中にはいろいろ止むを得ない事情が生ずる場合がございます。従つて真に止むを得ないと常識的に見て判断される場合には六カ月を更にそこに延長承認するということがあり得るかと思います。併しながらこれを延長々々で何年にも亙つて免許だけを取るということは本旨でございませんので、心持ちといたしましては厳守したいというつもりでおります。
  39. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ほかに御質問はございませんですか……。他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。証券投資信託法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  42. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     菊川 孝夫  岡崎 眞一     藤野 繁雄  青柳 秀夫     平林 太一  西川甚五郎     土田國太郎  前田 久吉     三木與吉郎  森下 政一     小林 政夫  堀木 鎌三   —————————————
  43. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、証券取引法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を願います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  45. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 証券取引法の一部を改正する法律案賛成をいたします。  併しこの法案の審議におきまして、質疑応答の過程においても明らかになりましたごとく、投資者を保護するということは、まだまだ業者の昔からの古いしきたりと申しますか、これが新らしい証券取引法に本当に調子が合つて来てない面があるのじやないか。従いまして未だに思惑によつてその店の繁昌を図ろうとする会社取締役等が一部においては多いことを認めなければならんと思います。それからもう一つの問題は、大証券会社と俗に言われまする四大証券或いはその他の大証券会社とその他の中小証券会社との間に資力の差がだんだんと大きくなつて参りましたために、一般投資者信用というのも大証券会社に集中いたしまする結果、小証券取引業者は手数料だけでは店舗の維持が困難になつて来る。そういたしますと勢い思惑に走る危険性が極めて多いのであります。その結果投資者に対しまして不測の損害を与える結果を誘発することになると思いますし、昨年から今年初頭におけるような株式市場が非常に繁昌をした場合であつたならば、その怪我人も余り出なくて済むのでありまするけれども、今後の世界の政治情勢、経済情勢の動きを憶測、推測してみましても、極めて波瀾に富んだ推移をすることは、これは誰でも考えなければならんところであります。これにつれまして敏感に株式市場に響いて参りまして、その結果変動が極めて激しい波を繰返すだろうと思います。その波にうまく調子が合つたものはいいけれども、合わない店が思惑に走つた場合には、これはもう打撃をこうむることは火を見るよりも明らかでありますが、その結果大衆に迷惑を及ぼす。ところが質疑応答の過程におきまして、大蔵省がこれが指導と申しますか、監督に万全を期するような御答弁でございましたけれども、なかなかそう一々個々の証券会社に対しまして財務局が全部目を配つておるというわけにもなかなか行かないだろう。或いは又帳簿や報告書だけを徴しましても、そう大蔵省の公務員だけで以てこれを完全に取締ると申しますか、育成して行くということは極めて困難だ。従つてどうしても業界の相互牽制と申しますか、共同責任によつて少くとも大衆にだけは、一般のお客にだけは迷惑をかけないというだけの一つの共同責任体制というものを打立てさせるように私はリードして行かなければならんと思う。ところが法律条文を見てみますと、そういう育成方法は若干欠けているのじやないか。それは勿論行政の面において理財局のほうで指導して行かれるという御答弁でございましたが、これは非常にむずかしい問題でございますが、そういうふうにやつて行かんとなかなか目が届かん。だからしてこの法律運用に当りましてはその点特に注意されんことを私たちは望むのであります。  それは法律の目的に掲げてありまする投資者を保護して、日本の経済を健全に発展させるために大衆の資金をここへ集中して行く、こういう目的がだんだんと殺がれて来まして、一部の思惑投機に好奇心を持つ者だけが集まつた投機市場に化してしまつたのでは、折角の証券取引法の精神が蹂躪される結果になると思うのであります。最近の市場の動きを見ておりますと、若干そういうふうになつて来るということは、大衆が寄りつかないというようなことは、どうしても思惑に走る結果になるだろうと思うのでありますが、特に今度の改正の重点でありまするところの信用供与率の引上げが、ややもいたしますると健全なる投資から投機に走ることを誘発する要素を提供することを一番恐れるわけであります。というのは去年の暮から今年の春にかけての株式市場が非常に繁昌いたしました当時も、一部識者の間にはこれは投機市場に流れている。証券取引法の本来の目的を逸脱しているのじやないかという批判さえも起きておつたわけであります。これを今証券市場が若干あの当時と比べまして閑になつた。そういう際にこれを閑になつたのを挽回しようとして信用供与率が引上げられるということであつたならば、投機という一つの要素を加味しまして、そうして大衆の投機に対する好奇心を集めようというような誤解を与える結果になると私は思いますので、この点を一番この証券取引法の一部を改正する法律案について私たちいろいろの角度から検討いたしたのでありますが、業者間におきましても、或いは大蔵省においてもこれが投機に走ることのないように万全の処置を講ずるという答弁がございましたので、私たちも暫らくその適正なる管理行政を期待いたしまして賛成するわけでありますが、これが仮に今の法案審議に当つて答弁されましたとおのずから違つた方向に走るということになりましたとするならば、国会におきましても更に再検討されなければならない結果になるのではないかと思うのであります。  現に巷間伝えられるところによりますと、もうすでに法律は……、信用供与率が引上げられるのであるからというので、すでに引上げられないままで、一部証券業者の間においては信用供与率を引上げた信用取引が行われておると伝えられておるわけであります。これらについては勿論大蔵省当局においては事実無根であると言つて否定されておりまするから、大蔵当局の説明を一応了承いたしまするけれども、仮にそういう面があつたとするならば、これは証券業界がみずから墓穴を掘ることになると思いますので、あとで十分そういう事実がなかつたかどうかについても監督官において調査をして、警告を与えるという措置をとられるようにしなければならんと思うのでありますが、昔のように一部財閥が殆んど株を持つてしまうというのではなしに、大衆がたとえ百株ずつでも持つて、そうして大衆の資金で以て日本の産業を大いに発展さして行こうという趣旨の下に施行されておりまする証券取引法が、更に一段その精神を取り入れた体制とされるのでございますので、ここに賛成はいたしますけれども、以上申上げました点が一番危険な要素であつて、逆の結果を生む点が極めて多いということを申上げまして、この法律運用について最善の御注意を払われんことを期待してここに賛成いたす次第でございます。
  46. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。証券取引法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  48. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     森下 政一  三木與吉郎     前田 久吉  土田國太郎     西川甚五郎  菊川 孝夫     堀木鎌三   平林 太一     青柳 秀夫  藤野 繁雄     岡崎眞一 小林政夫   —————————————
  49. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計の歳出の財源の特例に関する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 この前事業資産説明ができなかつたのですが、それを説明して下さい。建設省のほうでも大蔵省のほうでも、どちらでもいいです。
  51. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 二十八年三月三十一日現在の事業資産が二十九年三月…十一日現在の事業資産よりも多いと、二十九年のほうが減少するのはどういうことであるかという御質問でありましたのでありますが、その内訳を検討してみますと、二十八年三月三十一日現在の事業資産四億四千三百万円余は、材料が三千万円、現金が四億一千三百万円余というように相成つておりまして、これが二十九年の三月三十一日現在におきましては、材料が八千万円、現金が一千六百万円余というように相成つておるわけであります。従いまして現金の四億一千三百万円が千六百万円程度に減少したことによりまして、事業資産が減つておると、こういうことに相成つておるわけでありまして、これは二十八年三月三十一日現在におきましては、事業の繰越の関係で経費の支出が翌年度に繰越されたために、それが現金の形において残つたと、これが二十九年三月におきましては、それほど繰越が予定されませんので、現金が減るというためにこのような減少になつておるわけであります。現金を事業資産として経理したことが適当であるかどうかという問題があるわけでありますが、これは他の会計におきましては、現金は流動資産として整理しまして、事業資産あたりと区別して整理しておるというような関係もありますので、そういつた点におきまして検討の余地は若干あるわけでありますが、ここは便宜上事業資産の中に含めて経理をしたという関係上以上のような結果を来たしたわけでございます。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 現金を事業資産として経理するということはどうなんですか、今まででもほかの会計でやつておることなんですか。余つた現金を……。
  53. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 他の例はちよつと私今ここに承知しておりませんので、その点につきましてはなお検討の余地があると考えます。ほかの会計におきましては、只今申上げましたように、大体原材料費あたり事業資産として経理いたしまして、現金は流動資産というように経理しておるわけでありますし、或いはそういつた区分をせずに、細かくただ現金、土地、建物というように、各項目そのまま挙げて貸借対照表を作つておるという例もありまして、必ずしもその点統一されていないという状況でありますので、この点は将来なお検討の余地があるかと考えております。
  54. 小林政夫

    小林政夫君 そういう現金を事業資産として経理するというようなことは、一体どこがやるのですか。大蔵省か建設省か、特別会計を担当しているほうがそういう経理をするのか。
  55. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは共管になつておりますので、双方の責任に帰着するわけであります。
  56. 小林政夫

    小林政夫君 共管ということはよく承知しておりますが、一体どつちが……、あなたのほうはただ報告を聞いたのか、建設省がそういうふうな経理を持つて来たのを呑んだというのか、イニシアティブはどつちがとつたのですか。
  57. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは建設省のほうで先ず作業をいたしまして、それをまあ大蔵省のほうで検討してきめるということになつておりますので、責任は共同の責任に帰着するわけであります。
  58. 小林政夫

    小林政夫君 まあ余つた金を現金でずつと持つてつたという、そういう意味においては、それをむちやくちやに使つてしまうということになつては困りますが、この会計は別に次年度に繰越して使つて差支えないのですから、そういう意味において現金で保留したと思うのですが、どうも折角予算の参考資料として当然予算書と附随して出すべきバランス・シートに対して、一覧してわからんようなあいまいな勘定科目を用いるということはよろしくないと思うのです。現金なら現金とはつきりして、その現金が一体四億一千三百万円も二十七年度において余るというのはどういうので余るのですか、その点を一つ……。
  59. 曾田忠

    説明員(曾田忠君) この会計は昨年の六月に始まつたわけでありまして、予算的には年間の枠を一応考えたわけでありますけれども、資金運用部よりの貸付が若干遅れました関係上、特に関門におきまして相当の繰越金ができたということでございます。
  60. 小林政夫

    小林政夫君 関門の関係で余つたというわけですか。
  61. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 関門につきましては予算額五億七千六百万円に対しまして支出済みが四億一千八百万円、差引一億五千約八百万円、それから戸塚、伊ノ浦、三重国道の三種がございますが、戸塚におきましては二千七百万円、伊ノ浦橋におきましては八千百万円、三重国道におきましては六千百万円、そういう状況でございます。
  62. 小林政夫

    小林政夫君 その工事が予定だけ進捗しないということはどういうところに原因があるか、又本年度には相当手も拡げていろいろの新規工事を殖やそうとしておる。一体この経済効果を挙げるという点から行くと、有料道路のことでもあるし、関門なら関門に集中してそれを短期に仕上げることによつて資金効率を発揮するということが望ましいのじやないか。ほうぼうからいろいろ要望があるからといつて間口を拡げて、どれもこれも皆続けさして収入が入らないというようなことよりは、一つ関門国道なら関門国道を完遂し、更に戸塚国道なら戸塚国道を完成するというふうに、一件々々完成したものとして収入になる、こういうふうにして行くべきじやないか。余りにも間口が広過ぎると思いますが、その点は如何ですか。
  63. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 只今のお言葉は誠に御尤もと存じ上げます。いろいろ有料道路の制度につきましては、まあどういう箇所を選ぶか根本問題がいろいろございますわけでありまして、前国会におきます参議院の附帯決議によりまして、我々としましては非常に規模の大きな金のかかる隧道或いは橋梁、そういうもの、又観光道路或いは生産道路、そういうような箇所につきましていろいろ取上げておるわけでございますが、各現地におきましても非常にこの制度につきまして要望も多うございますし、大体この特別会計でやりました結果におきましては、十分償還が可能であるという箇所を選んでいるわけでございまして、又関門等におきまして若干やや予定よりも三カ月程度仕事が遅れてございますが、これも資金の関係が若干遅れまして、大体昨年の九月頃から現場は三交替制を実施しておりまして現在順調にやつております。
  64. 小林政夫

    小林政夫君 そういう三交替でやつておるというが、資金的に何かずれがあつて工事が進捗しない、年度末には今の一億数千万円という金が余つたというような実情ですが、一方にはやつてくれやつてくれというものがあつて、間口を殖やす、そうして集中的にやれないものについては、どうも捗らなくて金を余らすというようなことはどうなんですか。あなたのほうでよく工事費等について十分徹底しておらないのじやないか。  それから仄聞するところによると、有料道路を申請するときには非常に多くの交通量があるように申請をして、如何にもペイするような申請ではあるけれども、やつてみたら申請のときの交通量の三分の一にも満たない。従つて到底これは予定の償還等おぼつかないというようなものもあるやに聞くわけです。そういう点についてのあなたのほうの査定、取上げ方というものはどういうようにして審査をしておるのですか。
  65. 曾田忠

    説明員(曾田忠君) 交通量につきましては五年に一回大規模な交通調査をやつておるわけでございまして、その間に毎年府県の責任におきまして小規模でありますが、交通量の調査はやつてございます。我々といたしましては、この前の本省での大規模な交通の調査は昭和二十三年度にやつておりました。今年が又その年度になつております。大体そういう交通量の調査資料に基きましてその交通量の真偽を確かめて参つておるわけでございます。  それから大体ここに取上げております個所につきましては、一応交通量が三百台程度以上になつておりますが、そういう交通量と、それから有料道路のために受けます利益を基礎といたしまして料金をきめまして、大体十五年間で償還ができるというふうな個所につきまして選んでおるわけでございます。
  66. 小林政夫

    小林政夫君 余り満足しませんけれどもいいです。
  67. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 一言承わりたいのは、この道路整備五カ年計画と有料道路とはどういう関係になつているのですか、これは。
  68. 曾田忠

    説明員(曾田忠君) 有料道路の性格でございますが、これは先ほど申上げましたように大規模な隧道或いは観光、生産道路というものを対象としておるわけでございます。まあ先般五カ年計画に伴います道路整備財源の関係の法案が成立したわけでございますが、まあ現在のところまだあの程度におきましては十分なる道路の整備は確保できないという考えでございまして、当分補足的にこの制度を続けて行きたいというふうに考えておるのであります。
  69. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 あなたに聞くのも困るのだけれども、一体わけがわからないのは、一方においては道路は大体国の費用で以てあれだけ金をかけて五カ年整備計画、これをやるのに、有料道路と称して部分的に随分刻んで有料道路に放り込んで行つたらば、つまりいろんな手ができるわけです。本来有料道路というのは非常に限定された分でなければ私はおかしい。それでなければ国中有料道路にしたらこれは一番ペイしますよ、率直に言つて。大体道路というものはそういう料金を取らずにやる、基本方針は有料でないのが当り前で、特別の高いものをと言つて、特別の所にだけかと思うと、率直に言えば、例えば伊東、下田間なんていう道路を作る。これは観光道路と言うけれども、これは国の道路ですよ、伊東から先は。だからこういうふうになつて来ると、技術家というのは何でもやりたいから、これは取入れるにきまつておるのです。我々の経験から見ても、そういうような点からも有料道路については非常に限定された特殊の場合に限る。それでなければ道路を作るだけで、橋は金がかかつて非常にしようがないにきまつている。橋が一番金がかかるから、そこだけでずつと押えて有料橋にしておけば、これはもう一番やりいい。そこら辺に方針がないと、これも有料道路で取上げる、あれも有料道路で取上げる。而も一つをやつていると面白くないからという意味もあるが、非常に運動も激しいからだんだん取上げる。これでもうあらゆるところ日本中有料道路を通らなければ行けないということになつてしまう。これは私は非常に危険だと思うのです。それで而もさつき小林君の指摘したように、又今手許に頂戴したように、見てみると進捗率が非常に少い、これは衆議院で取上げられたはずだと思うのです。本来有料道路で取上げられるのは、こんなにばら撒くのじやなくて、一つ一つ完成して、それに所要の資金だけを盛つてそうしてやつて行くものです。そんな道路の計画と同じようにあつちこつち取上げられて有料道路にされたら堪まらんと僕は思う。そういう点が大蔵省も実は建設省もしつかりした方針を立てていると思えない。この点については相当見直さなければならん部分がある。実は会計の建前を聞いたのも、実際はそういうところに狙いがあつたのです。そういう点から見ますと、まあこれはこの法律自身は一般会計からの繰入をどうするという問題だけだから大したことはないのだけれども、実際の問題としてそういう基準がなしにばらばらやつて行かれて、いつの間にか全国有料道路にならざるはなし、どこか戸塚のところをやられたら全部東海道線は有料道路になつてしまう、率直に言つてそういうふうに考えられるのですが、そういうふうなやり方で今後行かれるとすれば、一体全国皆有料道路になる。だからほかに金の要るところだけはみんな有料にしてしまう。而もそれが大体において路線の一番重要な部分になつて、その道路を使用するものは必ず有料道路を通らざるを得ない。そうなつて来るにきまつているのです。そういう点について一応事務当局の見解を承わつておきます。
  70. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは道路局のほうからの答弁が或いは適当かと思いますが、私から簡単に申上げますと、誠に御説の通りでございまして、道路整備特別措置法の第三条におきまして、如何なる場合に有料道路を作るかという規定を設けておりまして、その中の第二号に「通常他に道路の通行又は利用の方法があつて、当該道路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと。」という条項がありまして、御説のように有料道路を作る場合は一定の条件が規定されておるわけであります。従いましてどこでもここでも有料道路を作れるというようなことには法律の建前として相成つていないわけであります。具体的に現在予算を組んでおりまするような箇所はやはりそういう趣旨に則つてつておるわけでありまするので、只今お話のような結果には相成つていないというように考えるわけでございます。又将来ともそういうことにならないように、極めて限定的な場合におきまして有料道路を作るというふうに、予算作成上におきましても努力しておるわけであります。
  71. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 法律の建前はわかるのですが、そんなことをおつしやるけれども、ここに書いてあるあなた橋を見て御覧なさい。この橋を通らなければ行けやしませんよ、率直に言えば。それから例えば今例に挙げたものは、伊東から下田へ行くのは、つまりほかの道路を通つてもいいんだ、ほかの道路があるんだ、こう言うけれども、その道路は放つたらかされるのだ。だから有料道路を通らなければ実際上の交通としてはできない。自動車交通から見れば……。そういう点があると思うのです。そういう点は、法律の建前と実際の問題とは私は違うと思う。だからそういう点は一ぺん方針をきめて頂きたいと思います。
  72. 曾田忠

    説明員(曾田忠君) 誠に御尤もなことと拝察いたします。橋につきましては御趣旨通り現在大体ここに掲げます箇所は渡船によりまして有料になつておるわけでございます。若し橋を通行しようといたしますと、大体前後十キロくらいの所まで歩いて行かなければいかんというような現状のところにつきましての橋につきましてここでは予定せられておるわけでございます。道路につきましては一応まあ現実には他の迂回道路がございます箇所につきましてそれを決定いたしておるわけでございます。で、勿論実際の場合におきましては有料道路をまあ通行しなければ行けないということになると思いますが、まあ従前の道路を通りますよりは、この会計によりまして作りました道路を通りますほうがどれだけ利益があるか、その利益の範囲内におきまして料金を徴収するわけでありまして、現実の問題といたしましては、そういうふうに有料道路になつたがために利益以上の料金を取るものでは決してございませんので、その点を一つ御了承願いたいと思うわけでございます。
  73. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 私は原案に賛成をいたします。賛成をいたしますが、質疑の際において私の意見は明らかなごとく、この特別会計の勘定科目等について、次回には必ず質疑で表明した意見はつきりさして、資産の状況がわかるような勘定科目に変えて頂きたい。特にそういうような資産のごときは甚だ不適当な勘定処理たと思います。  それから特定道路のきめ方についてはいろいろ陳情なり、又政治的な圧力も加わつて来るであろうけれども、有料道路という本来の目的に合致して、速かに経済効果を挙げるような重点的な選択の仕方をするように特に要望を付して賛成をいたします。
  76. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私今御質問したような、実際のところそれは道路がよくなれば、そこを通る人は受益者としての利益を受けるということは確かだと思うのです。だけれども実際の問題としてこれが法律の建前の通り行くかどうかということは、単に道路整備五カ年計画なりその他と併せて見ても、国の道路の計画そのものを見ても、ここだけはこうなるという特殊の理由がなければいけない。それでなければ自然の結果と法律の建前は、大蔵省法律さえ見ていれば御満足なさるかも知れないが、実際の経済効果として片一方の道路は整備されていない、片一方は整備されている。通らざるを得なくなる。そういうふうなことになり勝ちですよ。とにかくこういう有料道路を作る、そういう点について将来の御方針を至急おきめになり、そうして各方面に万遍なくばら撒くという思想、まだその点は、今の現在の状態ではそこまで行つていると思いませんけれども、そういう点について十分配慮されて出て来ることを希望いたして賛成いたします。
  77. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計の歳出の財源の特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  79. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     前田 久吉  三木與吉郎     土田國太郎  小林 政夫     西川甚五郎  堀木 鎌三     平林 太一  青柳 秀夫     岡崎 眞一  森下 政一
  80. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後二時四十七分開会
  81. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び資産評価法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する等の法律案(いずれも予備審査)を議題といたしまして、質疑を願います。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 所得税法第五条の第一項の第二号、これはまあ字句をはつきりさす意味でお尋ねしますが、「株主の有する株式に対応する部分の金額」、所得税法第五条の第一項の第二号ですね。
  83. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今度御承知のように有価証券の譲渡所得に対します課税をやめようということを提案してございます。従いまして現行税法におきましてはシヤウプ勧告に基いての所得税の構成をとつておりまして、従いましてその基礎になつておりますものは、譲渡所得に対する課税というのが一つの大きな支柱になつておりまして、従つて法人が解散した場合は勿論でありますが、減資或いは株式の消却という場合におきましても、出資を取得した価額と減資によつて得た価額との差額、それがプラスであれば譲渡所得は課税すると、まあこういう建前をとつてつたのでありますが、今度譲渡所得税の建前をやめましたものですから、昔の姿に帰りまして、結局当初出資した額、それに対しまして減資等によつて取得しました額のほうが大きければ、その分だけを配当とみなしまして課税したいと、こういう考え方になつておるわけでありまして、従いまして二号におきましては、普通の場合でございますと、まあ積立金がありますと、増資しようとする場合にはこの積立金を崩しまして、配当として配当の課税があり、そしてその配当を出資に充てる、これがまあ積立金を崩しての一つの増資の姿でありますが、そういうことをしませんで、直接に直ぐ資本に積立金を組み入れるという場合におきましては、その積立金の中の出資に当つている部分というものはこれは一種の配当とみなすべきものじやないか、こういう考え方でできている規定でございます。
  84. 小林政夫

    小林政夫君 その「株主の有する株式に対応する部分の金額」というのは、一つ金銭的にまあ設例を設けて数字的に話してみて頂きたい。字句のおよその見当はつくのだけれども、字句の解釈に正確を期するために……。
  85. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちよつと私の先ほどの答弁が不十分でございますので、もう一遍はつきり答弁さして頂きたいと思いますが、結局法人が積立金の一部を資本に組み入れます。その場合に、例えば百万円の会社がありまして、百万円なら百万円の積立金を持つている。これを全部資本に組み入れる。そうしますと法人という立場からしますと、百万円のまあ増資になるわけでございますが、所得税法は御承知のように各株主に課税する関係になります。従いましてその法人を二人の人が半分々々に持つていたということになりますと、五十万円に相当する株式を持つていた。甲の人が五十万円、乙の人が五十万円持つていた。で、今言つたように法人全体としては百万円になるわけですが、甲にとつてはその部分が五十万円、乙にとつては五十万円、各株主に対応する、甲なら甲の株主、その株主の持つている株式に対応する金額、こういうつもりで一応立案してあるわけでございます。
  86. 小林政夫

    小林政夫君 結局その持株数に按分だと、こういうことですね。
  87. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  88. 小林政夫

    小林政夫君 第六条の第九号ですね。「命令の定めるところにより計算した金額」、証券投資信託の場合、この計算方法ですね。
  89. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 実は具体的な計算につきまして、今どういうふうな按分にしたらいいかということは研究しておるのでございまして、考え方といたしましては、投資信託によりまして金を投資し、それから最終の段階までの間、投資信託が終了するまでの間に、或いは配当に対応する分、或いは利子に対応する分、或いは譲渡所得に対応する分、そういうものが順次投資をした人のふところに入つて来るわけでございます。従いましてその中にあります譲渡所得に対応する分は、これはまあ非課税にしなければ理論が一貫しないだろう。そこで現在考えておりまするのは、期の途中に分配されるものは金額も割合に少うございますから、大体これを利子又は配当に相当するものにみなしまして、最後に信託契約の終了する期間において相当まあまとまつた金が分配されることが普通じやあるまいか、最後の残つた金額を以て譲渡所得に対応するものとしましてその分を非課税にして行く、こういう考え方をとつたらどうだろうか。そういう意味で大体法文を作つて行きたい、かように考えております。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 徴税技術上の立場から行くと、信託契約二カ年ならニカ年を一期とした決算報告をとつて、その中の収益を分析して譲渡所得だけを抜き出す、こういう扱いになりますね。
  91. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、最近信託契約が済んで、一応投資信託を解約したものが現在までの間にある。そうするとそういうものは譲渡所得に相当するものは、まだ譲渡所得税は廃止ということになつていないのだから或る程度つている、そういう現実の事例はどうなつておりますか。
  93. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 投資信託が始りましてから最終の解約となります分は、それが一番最初顔を出しますのは極く最近でございまして、今月ぐらい実はやかましく言うと出て来るのじやないかと思つておりますが、一応従来の扱いでやつてしまいますと、恐らく確定申告で以てやり直しをしなければならないと思いますが、清算することになると思いますが、証券会社のほうといろいろ話合いしておりまして、便宜支払を、まあこの法律が成立するかどうかは別といたしまして、成立の時期までちよつと待つたらどうかということを事実上の指導でやつております。  それにもかかわらず分配したらどうするかということになりますれば、確定申告の機会におきまして一応清算をし直すという問題になろうと思いますが、そうしますとまあいろいろごたごたする問題もございますので、現在といたしましては、信託会社のほうもちよつと分配を法律の成立まで待つているという状態でございまして、同時にそれが事実の問題としまして余り、長期間待たせるわけにも行きませんので、何とかその辺で工合よく行くのじやないかと、かように考えております。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 あなたの話を聞いていると、まだ終了で分配したものはないということになるわけでございますが、最近証券業者の陳情ではないのですが、僕のところへ聞きに来たのによると、その証券業者の投資信託はまだ終了しないが、どこかの投資信託で終了したものがある。すでに分配したものがあるというようなことを言つてつたが、違いますかね。
  95. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私のほうで理財局の証券課と打合しております限りにおきましては、一部解約の分は、従来の分は現在のところでやつてしまつた分があるかとも思いますが、いわゆる全部終了するというものにつきましては、大体その最終の時期がこの法律施行後が大部分でございまして、施行前のものでも極く短期間、法案の成行きを見送れば、それによつて何とか処置できる、こういうような話を聞いておりまして、大体その両方の、先ほど申しましたようなやり方で以て問題が解決できるのじやないかと、かように聞いております。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 確かにこれを延ばさないと、無記名証券を発行しているんだし、その一々について確定申告して払戻しをするということは大変だろうと思うのですね。まあそこは一つ工合よくお願いします。  それから次の第十号の「当初信託された金額のうち当該受益証券に係る部分の金額」というのがちよつとわからないのですがね。信託された金額は即受益証券だと考えるべきじやないか。何でこう廻りくどい書き方をしなければならないかということです。
  97. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結局この金額に相当いたしますものは譲渡所得の性格を持つているものであろうと……、従つて譲渡所得に対して課税しない限りにおきましてはこの金額は非課税所得に該当するものとして扱うべきじやないか、こういうような趣旨でこの規定が入つているわけでございます。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 全体の調子はわかるのですよ。わかるけれども書き方が「当初信託された金額のうち当該受益証券に係る部分の金額」と、こういうことであると、当初信託された金額のうち、受益証券に係る部分の金額とそうでない部分の金額があると、こういうことになると、当初信託された金額に見合う受益証券というものが出ていなければならん、受益証券を出さない信託金額というものがあるのかというふうに思われるのですよ。
  99. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 「当初信託された金額のうち当該受益証券に係る部分の金額」と書いてありますのが多少理解しにくいように伺いますが、結局ここで考えておりますのは、証券投資信託の終了或いは一部解約といつたようなことがあつた場合におきまして、終了した部分或いは一部解約した部分、その当該取得者の持つている受益証券の終了又は一部解約したその受益証券に係る部分、従つてまあ当初信託された金額のうちには他の部分も含まれていることもあり得る。そこで一部解約になつた或いは終了したその受益証券に係る部分、こういうような趣旨の下にこう書いたわけでございます。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 当初信託された金額のうちで受益証券にならない分がありますか。
  101. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 例えば五万円なら五万円まあ受益証券へ当初信託した。そのうちの二万五千円なら二万五千円が一部解約になつた。こういうような場合も予想されますものですから、一応当初信託したものが全部終了する或いは全部解約するという場合におきましては、これは全部のはずなんですが、一部解約とかいうものも考えられるものでございますから、従つてその終了又は一部解約による受益証券、それに係わる金額、まあかようなつもりで以てこう書いてあるわけでございます。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 一部解約した場合には、当然その一部解約に見合う受益証券を委託者、委託会社である証券会社は受取らなければならないですね。それは投資者の手許にあるわけはない。
  103. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 十号の書き方は、証券投資信託の終了した場合或いは証券投資信託の一部解約によりまして証券投資信託受益証券を有する者、これが所得税の対象になつた場合の問題でございますが、この人に支払われる金額と、それからこの当初信託された金額のうちその当該証券に係る部分、証券投資信託というものについてこれは全体を考えたらわかると思いますが、証券投資信託がまあ一応総括的に何百万円か信託される、これがまあ受益証券という姿におきまして何口かに分れている。従いましてそこに書いてございます「証券投資信託について当初信託された金額」という場合におきましては、甲の組といいますか乙の組といいますか、その分の信託された金額と、こういうふうに考えた場合、総体的のAの組ならAの組の金額を一応頭におきまして、それが幾つかの受益証券に分れておりますから、この問題になつている甲なら甲という人の持つている受益証券に対応する部分の金額、こういうつもりで以て書き分けてあるわけでございます。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 わかりました。前段の終了又は解約により支払われる金額と、それから今の説明による受益証券に係る部分の金額と差が出るというのはどういうところから来ているのですか。いずれが高いか低いかという金額に差が生ずると……。言葉で言つているとどうも紛わしいから、一つ具体的な設例で説明して下さい。数字を入れてやるとすぐわかると思いますね。
  105. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) こういうふうに御説明したら或いはおわかり願えるかと思いますが、証券投資信託が終了しまして百五十円まあ帰つて来た。こういうようにいたしますと……。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 百五十円というのは支払われたる金額ですね。
  107. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 支払われた金額が百五十円であつた。その場合にこの「証券投資信託について当初信託された金額のうち当該受益証券に係る部分」というのは百円であつたというのです。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 いや、その百円というのがどうして違いが出るかというのです。
  109. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これは要するに先ほどお話にも出ましたが、証券投資信託いたしまして、その信託によつて株を買つている、それが値上りになる、その値上りによつて高く売れた。或いは配当が入つて来る、利子が入つて来るといつたようなことがございまして、例えば某証券会社の第一回の分は一番初めのやつがまあ倍ぐらいになつてつて来た。こういう実例はすでに御承知だと思いますが、そういうような意味におきまして、当初百円で信託しておいたものが百五十円になつてつて来た、こういつた場合にこの受益証券をまあ私なら私が九十円でよそから買つていた。百円信託した受益証券を私が九十円で買つた。こういつたような場合をお考え願うとわかると思いますが、そうした場合におきましては百五十円と百円のいずれか小さい金額の、百円ですね、この場合におきましては、百円と九十円との差額であります十円は、これは正に譲渡所得に対応するものじやないだろうか。従いましてこの分は非課税になる。それから更にその百円と百五十円との差額の問題につきましては、これは九号にございますあの規定によりまして、一応一部は譲渡所得になり、他は利子又は配当になる、こういうことで分類ができて行くのじやないだろうか。それから若しこれを百十円で買つていたということになれば、超過額がございませんからそこに超過額の問題はありませんが……。
  110. 小林政夫

    小林政夫君 わかりました。大体わかつたけれども、まだ……、要するに後者の分は元本だということですね。元本なんだ。
  111. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) たまたまその受益証券を持つている人の当初出した元本……。
  112. 小林政夫

    小林政夫君 それならこういうややこしい書き方をせんでも、これで見ると、今お話受益証券の一件の額面金額が一万円とすると、一万円を転々売買されるから、九千円で買つたとか或いは一万一千円で買つたというような場合のその一万一千円とか九千円とかいうことを言つているのでもなさそうなのですね。一万円を言つているのでしよう。  「当初信託された金額のうち当該受益証券に係る部分の金額」なんだから、甲組の私がナンバー・ワンの受益証券を持つているという、その一万円の受益証券のことなんですね。その一万円とそれに対する払い戻しというか、支払金額が一万五千円だという場合には、一万五千円との差額があるということになるのだから当初信託……、受益証券の額面金額ということだけでもいいのじやないか。
  113. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今小林委員のおつしやいました問題は、九号の問題として解決すべきものとして一応規定ができているわけであります。それで一万円の当初信託されましたものを八千円で或る人が手に入れた。そういたしますと九号で解決しておりますのは一万円と返つて来る一万五千円との問題だけが解決しておりまして八千円と当初払い込みました一万円との差額に相当するものにつきましては九号では問題を片付けておりませんものですから、それでやはりその人は結局八千円なら八千円で一万五千円返つて来た。差額七千円のうち、上のほうにのつかります五千円につきましては九号で解決されている。併しまだ二千円の問題がある。この二千円は現在の所得税全体の建前からいたしますと、何かしら手当をしておきませんとやはり一時所得なり何なりに入つて来るのじやないか。こういうまあ慮れがございますものですから、一応文面もややこしくて恐縮でございますがその二千円もこれは譲渡所得の性格を持つているから課税しないところだ、かように書いてあるわけでございます。
  114. 小林政夫

    小林政夫君 それはわかるのですよ。当初一万円で出資したものを実際には八千円で買つたとしても、取得をするために要した金額を超過する一万円と八千円との差額は課税しない。こういうことなんです。これはわかるのですが、その元本ということであれば、「当初信託された金額のうち当該受益証券に係る部分の金額」というような書き方でなくたつて、当該受益証券の額面額と、これを私の言うように書き変えると、「証券投資信託の終了又は証券投資信託契約の一部の解約に因り証券投資信託受益証券を有する者に対し支払われる金額と当該受益証券の額面金額とのいずれか低い金額が」云々と書けば十分意味が通ずるのじやないか。殊更に難解な文章をお作りのようではございませんか、お伺いいたします。
  115. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 支払われる金額と額面金額との差額では……。
  116. 小林政夫

    小林政夫君 いや、「とのいずれか低い」ですが。
  117. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ああそうですが。「いずれか低い」ですか……。
  118. 小林政夫

    小林政夫君 どうも税法はむずかしくても仕様がないと思います。
  119. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 額面金額と書けば一応よりわかりがよいじやないかという御意見はよくわかりますが、一応額面金額とか何とかいうような用語が余り正確な用語かどうかという点について疑問があるわけでございますが、結局証券投資信託法などに使つてございます用語をできるだけ使おうといたしますものですから、多少そういう御非難を受けて恐縮なんですが、そういうような問題があるのではないかと思います。
  120. 小林政夫

    小林政夫君 僕は成るべく税法をやさしくする意味において再検討を願います。合同修正しようとは思いませんけれども……。  次の十二号、これは前に内容説明のときに説明を聞いたかと思うのでありますけれども、今まで「法人からの贈与」というものがあつたのをここでは省いているわけですね。それはどういうことですかね。前の七号と十二号との違いです。
  121. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 前回の提案におきましては、法人からの贈与につきまして贈与税を対象にするといつたような法制の建前で、従いまして所得税のほうとしてはこれは非課税にする、こういうことになつていたのでございますが、贈与税の考え方からいたしますと、これはまあ相続税の補完税という性格を持つべきものじやないだろうか。さようにいたしますと個人からの贈与こそ相続税の補完税である、贈与税の対象としていいと思いますが、法人からの贈与、これはまあ贈与税というほうへ持つて来るのもあながちいけないとも言えないと思いますが、併し贈与税というものの性格を貫き通すためにはやはり個人からの贈与というようなものだけを贈与税の対象にするほうがいいのじやないか。従いまして法人からの贈与というものはむしろ所得税における一時所得と考えるべきものじやないか。かように一応考えましたものですから、相続税のほうの贈与税の対象というものからは抜かしましてこちらのほうへ入れる。従いましてここに列挙してございますものは、これはまあ所得税の非課税所得になつております。その非課税所得からは外す。従いまして法人からの贈与は課税所得になり、所得の分類から行きますと一時所得になる。同時に相続税法におきましてはこの分は贈与税の対象からは抜かす。こういうような整理をしてみたわけでございます。
  122. 小林政夫

    小林政夫君 それで整理の仕方はわかりましたが、そうすると今までは法人からの贈与は贈与税がかかつている。今度は所得税で行くことになる。一時所得で考えることになると重税になりますね。今度は相続税のほうでは、贈与税については基礎控除が十万円で、所得税のほうの一時所得の控除は十五万円で、むしろ軽くなるのですか、軽くなりますね。
  123. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 贈与税のほうに取込みますと、ほかの税と一緒になりますけれども、一応控除は十万円、税率はまあ贈与の税率、所得税のほうに取込みます。と控除は十五万円、それを半額にしまして、そしてただ他の所得と合算されまして税率が適用される。半額になることによりまして相当のまあ負担軽減になると思いますが、税率は他の所得との如何によりましてまあ割合高い税率を適用されることになることもある。ただどちらにしても半額になつて課税されますから、そう高い税率にはなり切らん。例えば最高の六五がよし適用される事態になりましても、その半額になりますから三十二半でございますか、そう負担の上におきましては大きな違いはないのじやないか。ここは実は負担の問題よりも物の考え方だけの考え方で以て整理し直したわけでございまして、負担の上におきまして特にこれによつてそう重くなるということは考えておりません。
  124. 小林政夫

    小林政夫君 今の説明で、要するに納税者のほうから言えばあなたのような説明の仕方になるし、国のほうから言えば税収を考えてこういうことをやつたのではないということですね。ただ建前上こう書いたと、こういうことですね。
  125. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  126. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと伺いますが、私は所得税のことはよく存じませんのでお伺いするのですが、今度基礎控除が五万円が六万円に引上げられたということのようですが、基礎控除というものはどういう理念で当初できたのですか、お伺いしたいのですが。
  127. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 基礎控除というものは余り御説明するのも一応どうかと思いますが、お尋ねでございますから、御答え申上げますが、日本の所得税法におきまして過去を考えてみますと、免税点があつた時代がございます。それはまあ要するに考え方といたしましては、少額の所得者にまで所得税の形で以て課税をするということは、一面においては少額所得者の負担という問題も考えなければなりません。又徴税技術の面から言いましても、余りに小さな所得の人にまで課税する、これは勿論そう大きな税が課税されるわけでもございませんし、とてもそれはできないというので、各国とも主としては負担の点だと思いますが、少額所得者には課税しないと、こういう建前をとつて来ておるわけでございますが、その場合におきまして免税点という考え方と基礎控除という考え方と二つあるわけでございます。  曽つては所得税におきまして年額千二百円が免税点であつた。税率が比較的低い時代におきましては免税点という考えもいいのですが、免税点と言いますと、丁度千二百円未満のときは課税しないということになつております。で、たまたま千二百円の人が途端に千二百円全体について課税を受ける。あの当時で千二百円にたしか十円何がし課税になつたと思いますが、千百九十九円までの人はゼロでありまして、千二百円の人はまあ十円ぐらい課税になる。そうするとまあ最後に税引で比べてみますと、むしろ千百九十九円の人のほうが所得千二百円の人よりも税金を引いたところはむしろたくさん残るというようなことになりまして、どうも免税点の考え方は、丁度境目の人の負担の工合が割合になだらかに行かない。そこで基礎控除というような制度をとつて参りますと、千二百円基礎控除をするということになりますと、千二百一円という人であればその一円だけについて税率が適用される。少くとも千百九十九円の人と千二百円の人とその間に負担の上で以て結果としまして税引きだけが減るようなことがない。こういうような考え方がずつと出て参りまして、現在におきましては大体基礎控除という制度で以てやつているわけでございますが、ただまあ基礎控除の額というものが一体何によつてきまるべきか。最低生活を確保するというところに基礎控除の額をきめて行くべきか。まあいろいろ御議論があるわけでございまして、現在の六万円でこれが最低生活になるかならぬかといつたような問題もあるのでございますが、最低生活というところに余り重点を置いて参りますと、勿論六万円という額にはいろいろ議論があると思うのでございますが、併し税そのものがそれでは生活必需的なものとどういうふうに結び付くかという点にもいろいろ議論がございますし、まあ理論的には大分問題があると思いますが、我々といたしましては、国家財政の許す限りにおきましてできるだけ基礎控除の額も上げて行きたい。扶養控除の額も上げて行きたい。まあ併しそこにおのずから税収との見合いもございますので、或る程度の限度を置かざるを得ないのでありまして、現状といたしましては基礎控除を六万円というところに、まあ税収の面から見ましてもこの辺で我慢して頂かざるを得ないだろうというので、六万円という額をきめたわけでございます。  ただもう一つ申上げておきたいと思いますが、基礎控除と扶養控除との関連でございますが、基礎控除の額を非常に引上げまして、扶養控除の額を割合に小さくするという、こういう実は考え方もあるわけでございまして、曽つての千二百円の免税点の時代におきましては、扶養控除の額はたしか一人について百円ぐらいだつた思つております。で現在におきましてよその国の例を見ますと、基礎控除の額と扶養控除の額とがアメリカなどですと基礎控除が六百ドル、扶養控除も六百ドル、こういうようなふうに両方の額が非常に近付いている場合がございます。結局基礎控除の額が小さくて扶養控除の額が大きいということは、独身者に対しては割合に負担が重くなつて、家族持については割合に負担が軽くなつている、こういう税の建前でございます。現在我々が提案しておりますものは、丁度昔の時代のようなものとも違いますし、といつてアメリカなんぞの例とも違いまして、まあその中間を行つている。従いまして基礎控除の額は昔に比べますと非常に低うございますが、扶養控除の額で比較してみますと、これはかなり大きく昔よりは膨んでいる。そのような点は、結局基礎控除と扶養控除とをまあどういうふうに考えて行くべきかという議論から解決さるべきではないかと、かように考えております。
  128. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の御説明ですね。この基礎控除の六万円の理念というものは、最低の生活保障にもあらず、ただ最低の納税者のために多少でもそれを引いて上げたということと同時に、税の行政上も非常にこれは楽になるというようなことで、今の御説明の範囲では、そう納得できるような理論でもないように拝聴できるのだが、以前の千二百円の免税点というのはこれは生活の保障がはつきりできたのです。現在の物価から言えば三十万円以上になりましようから、非常にこれは楽なんだが、今の六万円というような貧弱なものではどうにもならぬというのでありますが、国家財政上これは止むを得ないということでありましようから、これはいたし方がないでしようが、一面御説明通り扶養控除のほうから比較してみますと、扶養控除はよほどこれとは違つておるという点もありまするが、この点は結構だと思いますが、六万円の基礎控除というものは如何にも安くなり過ぎる。これはまあ仕方がないのじやないか。併し理論的にはどうも余り我々国民としては納得できないというようなふうにも私は考えております。  ついでに伺いますが、青色申告をいたしております専従家族ですが、そのうちで本年はこれを何といいますか、五万円を六万円にですか、一万円だけまあ増額されるというようなお話でありまするが、まあそのように見るというようなことでありまするが、妻を排除しておる理由はどこにあるのですか。
  129. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 専従者控除の制度は、青色申告の方につきまして、結局家族の方が働いていらつしやる場合の負担関係ということを考えて作つた制度でありまして、その控除の金額におきましては基礎控除の額と合わせて行くという意味におきまして、基礎控除額五万円から六万円に上つた。その意味におきまして専従者控除も五万から六万に上げたと、こういう次第でございますが、配偶者を排除したということにおきましては、結局配偶者はその家庭にありましてどうしてもやはり家事を見るということがあるのじやないだろうか。完全に家事を放擲して、そして全部専従ということもこれはちよつと考えられない形ではないだろうか。かような意味におきまして妻は除く、これが息子さんでありますとか娘さんであれば、これはもう一応奥さんが別におりますから、全部専従という姿になりますが、奥さんであればちよつとそれは無理な姿ではないか。ただその代りというのは少し語弊があると思いますが、といつて奥さんが相当働くということも考えられますので、これはまあ勤労者の場合にも、給与所得者についても考えられる問題でございますが、いろいろ御議論も伺いました結果としまして、扶養控除の中につきまして最初の扶養家族ですね、一人については従来の二万円を三万五千円に上げる。まあこういうことで、一応いろいろな御議論につきましても御尤もな点については十分考慮した結論としまして、最初の一人は三万五千円、六万円に比べますと多少そこにまだ開きはございますが、そういう措置によりまして幾分でもそうした意味の御不満をなくすということを考えたらどうだろうかと、かように考えておる次第でございます。
  130. 土田國太郎

    土田國太郎君 これはおのおのその家庭の事情によつて違いまして、本当に小さな雑貨屋で、店も奥もお勝手も一緒だというような状態ならばあなたの御説明も結構なんですが、普通もう今日表通りの商店は、まあ奥に女中を頼んでおいて煮炊き、裁縫をやらせておる。細君は店頭に立つて第一線で指揮して営業しているというのがかなり多いのですがね。これらはやはり当然何と言いますか、専従者家族であつても殆んど雇入れた店員と同じ仕事をしておるわけです。そういうように楯の一面だけで妻を排除してしまうということもどうかと思うのですが、実際において店頭に立つて奥のことをかまわずに店員として一緒になつて営業されているというようなものについては相当にまあ見てやつていいのではないかという感じを納税者とすれば主張できるのでございますが、今のあなたのお考えは、これはまあ扶養控除の三万五千円で見るんだ、この辺に兼合いがあるという、こういう御説明ですから、一応それはそれとしていいのですが、専従者家族の五人いても三人いてもただの六万円だと、誠に情けないようで、女中一人置きましても五万円や六万円は一カ年に食事と安い給料でもかかるわけです。それを専従者家族が二人も三人もいて家の子供を使つて、よそへ行けば月に一万円でも二万円でももらえる人が家にいて三人も四人も働いて、そして僅か六万円というのは何だか情けないような気がするのですが、お考え如何ですか。
  131. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 先ほどの話の女中さんを使つているような場合におきましては、まあどういうことになりますか、今お話のようにもう家事は全部女中さんがやつて、奥さんは全然店でやつているということの極端な事例になりますと、確かにお話のようなことになると思いますが、女中さんが或る程度店のほうもやつている。奥さんも或る程度家事のほうを見ているということになれば、女中さんに対する給料の中で一部は営業関係の経費と、まあこういうふうに考えることもできるのじやないだろうかと思う。従いまして表と奥とが截然と区別され、而も奥さんは奥のほうは全然用事をしない。女中さんは表のほうは全然用事をしない。こういうような極端な事例がありますと、御承知のように多少ちよつと不合理じやないかということに考えられるだろうと思いますが、まあ普通の場合は或る程度奥さんも奥のことをやる代りに、女中さんも表のことをやる。こういうことになれば、表のほうをやるということについて女中さんについての或る程度の経費は必要経費として考え得るのじやないかというふうに考えております。  それからもう一つ、六万円の専従者控除につきまして額が低過ぎるのじやないか、これはまあいろいろお考え方があろうと思いますが、給与として考えて参りますれば、その子供さんたちに六万円の基礎控除こそありますが、別途所得税は給与所得としてまあ課税されるわけでございまして、この場合におきましては、結局子供さんたちにはもう課税がない。これは課税がないというよりも、御主人と一緒になつて課税されているといつたような考え方でございまして、給与自体を六万円に限定するというほどの意味とも思つておりませんのでございますが、ただ結局子供さんたちの所得と御主人の所得とが一緒になつて合算課税される。その場合におきましての控除を一応六万円ずつになると、かように考えることによりまして、まあ大体これを給与として全部割り切つてしまうという考え方をとれば別でございますが、そこまで割り切るのもどうだろうかということも考えられる現在におきましては、大体こんな制度が適当なものではないだろうか、かように考えております。
  132. 土田國太郎

    土田國太郎君 六万円で結構だということなら、政府のお考えがそこにあるのだから止むを得ないと思いますが、一般とすれば、この水掛け論でこういうことを言つても仕方がないのですが、家中稼いで六万円というような小さな金で、それが何といいますか、専従者の給料だというようなふうに一応見るのですが、余りに情けないような感じがするのですが、まあ国家財政上から行きまして、財源関係で仕方がないと言えばそれまででありまするが、これらはもう少しお考えを願えれば結構だと思いまするが、ちよつとこれは方面が違いまして……。
  133. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと関連して質問いたしますが、私は委員部のほうから資料を要求していますけれども、専従者控除を十万円にした場合に幾ら減収になりますか。
  134. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 成るべく速かに出します。ただ申上げておきますが、青色申告の実は最近普及運動をやつておりますので、過去の数字がすぐそのまま十万円にした場合にそのままの姿、以て現実の姿になるかという点については、いろいろ問題があろうと思いますが、その辺はよく御理解になつた上で御覧願いたいと思います。
  135. 小林政夫

    小林政夫君 承知しました。
  136. 土田國太郎

    土田國太郎君 さつき局長が、女中が表も手伝い勝手にもいる場合に、多少表の経費から俸給として出してよいという発言があつたのですが、これは地方の税務署へ参りますと、女中はもうお勝手の人間じやないか、その女中の俸給を店から支出することについては認め得られないというのが今の慣例になつておりますが、局長のようなお考えは非常に結構だと思いますから、そういうことは一つ地方のほうに流して頂きたいと思いますが……。
  137. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 従来の考え方でございますと、家事関連の経費はいかんということに一応書いてありますものですから、そういうような場合におきましてそれが果して家事関連というと恐らく全部が家事……、  多少例えば百の中で五十ぐらい家事に関連しておつて、百まで行けないというような解釈が従来からとられていたように思いますが、こういつた点についてはもう少し家事関連の範囲といつたものについて検討してみるべきじやないか。国税庁のほううともよく相談してみたいと思います。
  138. 土田國太郎

    土田國太郎君 私の申上げていることは、中小企業を中心として論じているのでございますから、そのつもりで聞いて頂きたいと思います。とにかく中小企業に女中を置きましても、少くとも店も手伝わせなければ店がやつて行けないというのが今日の実情になつているのですから、その点はよく一つ御了察願いまして、地方の税務署の御指導を願いたいと思うのでありまするが、今申上げましたように、中小企業の経費の問題でありまするが、如何にも地方は税務署におきましては店の必要経費というものを厳重に区分けするのです。でありまするから殆んど店の経費というものは圧縮されてしまつて、奥の経費にばかりかかつてしまつて、そうしてその利益の計算を自分の予想以上に出されてしまつて、それで税務署で査定された額に対する納税ができないということはここにそのもとをなしておるのです。  それで小さな店舗では多少利益があるということは全部……これは全部とは言えないが、大体まあ自分で儲かつたのだというふところで家計をやつていますから、さて税金が来るというと納められないという実情なんです。  それから何といいますかね。地方の中小企業者に対する必要経費の査定ですね。これも一つ、これはもうここで言うべき問題じやないが、行政的にうまく一つつてもらわないと、実際今のこの日本の中小企業の状態は税金を納めるのに苦しんでおるというのがもう何人もこれはいなめない事実であります。今日は警察官より税務署のほうが怖いというようなことになつておりますので、どうかそういう事情を御推量下さいまして、中小企業のためにこの必要経費は……、この電気はこれは店じやない、奥だ、これは炭を五俵使つた、これはそんなに店に使うはずはない、大体奥じやないかと、それは大変厳密にやつております。誠にそれらはその上司の指導如何によつては末梢官庁はどうにでもなるでございましようから、よく一つその辺のところをお考え下さらないと、世の中が非常に空気が悪くなりまして、共産党が殖えて参りますよ、実際。私はそういう点には上司が気を付けて頂きたいと思います。
  139. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御趣旨の点は十分検討してみまして無理なことにならぬように十分気を付けてやつて行きたいと思います。
  140. 小林政夫

    小林政夫君 その問題について、今度の予算でも税収見込で何パーセント前年度よりもあるというようなことで、おおむね全体の収入見込として、今度は物価と生産とを兼ね合わして一〇八・一と、とにかく前年度よりも八・一%上昇したから、税務署のほうでは一〇二%殖えると、こういう所得上昇歩合というものが計算してある。これが又業種別にして恐らく国税庁内ではさまつており、それが又甲地区、乙地区、丙地区というような地区で或る程度きまつておる。これが国税庁から国税局へ行き、更に税務署へ割当てられる。税務署で非常に署長の腕節の強い人は国税局と喧嘩のようなことをして、うちの管内はそうは行かないのだというような話も行われる。そこでなかなか一般の収入上昇歩合というもので非常に徴税の無理をするという結果になるのです。終戦直後の非常にやかましく言われた各税務署ことの割当てということは成るほどなくなつておるけれども、その業種別における収入歩合、前年度よりもこれだけアツプだというような指数の出し方というものが、必ずしも同じ業種であつても一律には行かないのではないか。そこに或る程度の弾力性を持たし、実情をもととして課税する。これはまあ言えば恐らくそう言われるだろうけれども、その実際の取扱いはかなり……、小心翼々たる税務署長は自分の成績を挙げるという意味においてなかなかそこに融通がきかない、そこで納税者に無理が行くという結果になつて行く。その点はこういうことを聞けば必らずそうではないとおつしやるだろうが、そういう点を兼ね合わして徴税をしてもらわなければいかんのじやないかと思います。
  141. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) お話のように現在は収入割当てとかそういうことはやつておりません。ただまあ一面で考えて行かなければなりませんことは、甲の税務署におきましてはまあ非常に苛酷なことになつている。乙の税務署では非常にそれが緩になつている。これは一つのやはりその面からしての弊害が実はあるのじやないか。こういう面が考えられますので、各税務署の調査した結果を国税局なら国税局へ持ち寄りまして、そしてその数字をいろいろまあ突き合してみる。やはり東京の真中ならこのくらいになるのじやないかとか、田舎だからこれも止むを得ないのだろう、こういうことは一応検討はしてみております。その場合になかなかそこがむずかしいわけなんでございますが、税務署の主観的な見方で以てまあ上り方といいますか、下り方といいますか、上り方が少なかつた、或いは下り方が多かつたというのか、或いは客観的な情勢の故にそういう結論が出たのか、これが実は一番大きな問題でありまして、我々としましてはどこまでもそれを税務署の主観の故にそうした無理が行つているとか緩に流れていたとかということでなくて、数字の上り方が少なければそれはやはり客観的な事情がそうなるが故にそうなければならんというところへ持つて行かなければならんと実は思つておりますが、その二つが結果として現われますところは、やはり一つの歩合にしか出ないものでございますから、余り歩合にこだわるということは私は妙な行政だと思つておりますが、これも一応の参考にしか過ぎない。どこまでも税務署として努力すべきところは客観的な実態をつかまえるということでなければならんのでありまして、客観的な実態がそうであれば、例えば或る署では殖えており或る署は減つておる、これは当り前の話でありまして、ただそれがそうでなくして、税務署の主観の上で、或る署は殖えていて或る署は少くなつていた……。これはやはり国税庁としましては各税務署のそうしたやり方を統一総合して当らなければならんという責任からしまして、それを徒らに傍観するわけにも行かない。そこに実はなかなか行政の上におきまして困難があるわけでございますが、我々といたしましてはどこまでも事実をつかまえるということに努力することによつて、徒らに数字の上で以てこれはこうなつたからどうだというようなことだけにこだわらず、むしろそれを主としてやつて行く。過去の点につきましては我々もやはり相当反省すべきものがあろうと思つております。どこまでも併しそういう点は直して行きまして、どこまでもやはり実態に合うような課税をして行くという点にこの上とも努力して行く、そういうつもりでおります。
  142. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の局長のお話で我我としても異議ないのでありますが、特にあなたは国税局長を長くおやりになつてつたのだから実情は御承知の通りなのです。私の知つている範囲では徴税方法は、某県なら某県の税務署長会議を先ずやりますね。その地元におきましてその直税の連中が行つて、それで打合せをして、本年は何々の業態は幾ら以上というような申合せが先ずできて、その署長会議の結果がその県一般に行政的に現われて来るようになることになつておりまするので、非常にうまく行つている税務署と、非常に或いは苛酷に見られたりして、非常に苦しい思いをするような納税者もできて来ることは事実である。特に青色申告を政府が奨励をなすつておるが、これは青色申告すれば赤裸々に現われてしまつて、そして高い税金を取られるのだからという疑念が非常に民間に現在多い。それは青色申告をして事実必要経費の査定の場合に真に適正を得ればそういう問題は起きないのですが、今言うように、かの枠というものが署長会議できめられておりますので、税務署の職員も署長の命令を受けておるから、どんなに青色申告でもその枠の下にはなかなか持つて行かない、事実の把握如何にかかわらず、命ぜられた枠で押えつけようというのが今日の徴税のやり方です。恐らく私は日本中そうではないかと思う。ひとり私の県のみならずと私は考えておりまするが、そういうことでは青色の申告なんというものは意味をなさなくなる。そういうところが真に納税者の実情を把握するところに重点を置かれて初めて青色申告の価値とこの申告納税というものが自然に殖えて行くというところへ私は持つて行かれるように税務行政をして頂かなければ、近い将来申告納税というものは恐るべき問題に、結果になるのじやないかということを痛感いたしております。  特に私はこの必要経費の問題が出たから参考に具体的にお聞きしたいのですが、先ず自分の店舗を修理いたしますと仮定いたしました場合に、これが一万や二万の小さな金ならば、それは税務署が認めるか知れませんが、少くとも店舗で十万円程度以上のものを、これは中小企業ですよ、修理いたした場合に、その十万円を修理費として、修繕費としてよう認めないのです。私のお聞きしたいことは、この認めないという理由は直税のほうはこう言われています。それだけ資産が増したのであるから十万円は認めないのだ。そのうちの一万円程度しか、例えばですよ、認めることができないのだと、こういうふうに税務署の連中は主張するわけです。そこでその修理した店舗の評価の方法ですが、この店舗が十万円の修理をする場合に、それを資産に計上するか経費に計上するかというところに大きな問題ができて来るのでありまするが、そういう場合に店舗を修理をしたような場合の評価の基準というものはどこにあるのでございますか、それを伺いたいと思います。
  143. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 最初にお話になりました青色申告をしている方におかれましてもまあ一定のいわば見当で以てこれに課税がなされている。こういうことは私は実際には或る程度やはりあるのじやないかと思つておりますが、これは私は青色申告の納税者を取扱うやり方としては適当でないというように考えております。国税庁も大分その辺最近考え直して来ているようでございますが、問題は本当にまあ青色申告が信頼される場合である場合と、形だけの青色申告である場合、特に後者の場合にとかくそういう問題が起るのじやないかと思います。むしろ青色申告におきましては、折角納税者がその気持になつているのですから、例えば確定申告といつたような最終の時期に初めて税務署が行つて而も結果を見てこれはだめだというのは不親切なやり方でありまして、むしろ年の中途なぞにもときどきお邪魔して、帳簿のつけ方なりを、精密にそこに記帳ができているかどうか、或いはうまく記帳ができているかどうかという点をむしろ指導的にお話し合つて、この人は青色申告をしているとは言いながら、実際はとても駄目だというなら、むしろ早い機会に青色申告を取消すという措置をとるべきであつて、同時に青色申告をして認められます限りにおきましては、やはりどこまでもその数字を尊重するという方向に持つて行くべきではないかと思つております。  それからその次の御質問でございました、修繕費として一体どの程度を認めるか、なかなかこれは実は私は具体的な基準の作り方というのはむずかしいと思います。本当の意味の修繕費であれば、例えば五万でも十万でもそれが毎年例えば繰返されて、それがかけられて行かなければ旧態が維持できないという場合には、これは勿論全部が修繕費として認めてもいいと思いますが、相当その方の仕事の商売から見まして、いわば一種の臨時的な金になつて出て、何年に一回ぐらいの臨時的な金になつて相当な多額の金になつて出ているとすれば、修繕費として認むるのはその一部であつて、あとは資産であり、むしろそれは減価償却として計算して行くべきではないか、結局その問題はどうも抽象論といたしまして、どの程度のものを認めるかと言えば、結局やはり抽象的にお答えせざるを得ないわけでありまして、まあそれぞれの具体的事実に応じまして考えて行くべき問題で、結局結論としましてはそれだけの費用をかけることによりまして財産が特に殖えたといつた場合には、ちよつとこれは経費には認めにくいし、結局まあ旧態が維持できる程度、まあせいぜいそれはその範囲を出ないという場合においてはこれは勿論修繕費……、ただそういう抽象的なお答えを申しましても、なかなか具体的な事実になりますと議論は残ると思いますが、考え方としましてはやはりそういうふうな考え方以外にないのじやないか、かように考えております。
  144. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつとお諮りいたします。主税局長は先ほどから衆議院大蔵委員会のほうに出て来るようにという要請が参つておるようでありますからして、この際所得税関係質疑は今日この程度にいたしまして、関税部長が見えておりますから関税定率法等の一部改正の問題に移りたいと思いますが……。
  145. 小林政夫

    小林政夫君 まだ聞きたいところがたくさんありますが、次回に譲ります。
  146. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  147. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。都合によりまして次に関税定率法等の一部を改正する等の法律案議題といたしまして、質疑を願います。
  148. 小林政夫

    小林政夫君 衆議院で大分審議が進んでいるようでありますが、今衆議院でどういう意見が出ているかということを一つ部長から衆議院の空気を知らして下さい。
  149. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて。    午後四時四分速記中止    —————・—————    午後四時二十七分速記開始
  150. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をつけて。質疑を願います。
  151. 前田久吉

    前田久吉君 この五%の関税になりますと大体現在ポンド当り国産品では二十九円から三十円、こういう価額なんですが、五%の関税にしまして輸入をいたしましても、運賃、持ち込み料、保険料、それから庭まで入りまして、やはり余り大差はないのです。これはいずれ詳しい価額を出すといたしまするが……。それから新聞紙が下級紙の中に今まで入つてつた。下級紙というものは一〇%、こういうことですね。新聞紙は下級紙の中に入つてつたですね。一般下級紙の中に。今度の問題は一般下級紙の関税を引下げてもらうというのではなくして、新聞紙だけ別に建ててもらつて引下げてもらう。こういう問題なんです。さつきちよつとこれも説明を聞きましたが、パルプは原材料は五%で、精製されたものはどの製品もまあ高いのだというちよつと説明も伺つたのですが、殊に新聞紙は国内においてもまあいろいろ保護を受けて免税になつておるとかいう点からいたしまして、ほかの商品と同一に扱つていいのかどうかということを考えて頂きたいということを一つ。それから日本のどの県の山を見てみても、これ以上むやみに新聞用材の赤松を切るというても私はなかなか至難である。北海道においても御存じのようにえぞ松ですか、北海道材にしましても非常に窮屈で、一頃国内でトン当り千円ぐらいの時代においても北海道では二千円もしたということになつてつたわけです。幸いに北海道は王子製紙が自家発電の電力、その他資材、設備が戦前償却済みのものであつたためにポンド三十円くらいで賄つて来られた。内地の森もだんだんと少くなつてだんだんと上つて来て、現在は千四百円乃至は千五百円まで上つて来ておる。これ以上山を切つて行くとすると、この木材が一石当り恐らく二千円近くなつて来ると玄人筋では言つておるのです。そういうことになつて来ると、今のポンド十五円のものが又大巾に上つて、ここに新聞代を引上げなくちやならん。これは又国民大衆の家庭経済に大きな影響を及ぼして来る。新聞代が上つて来ると電話料が上るというようなことになつて来ている。ですから或いは又電気も上る、ガスも上るというようなことで、それこそ又インフレの私は先駆のようなことになつて来る。こういう点から考えてみても、そういうメーカーの輸入外貨の割当は知れているのですから、影響は与えないし、すべての点から見ても五%の引下げ、一〇%を五%に引き下げるということは妥当じやないかというように考えておるのでありますが、この問題一つ
  152. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 新聞用紙につきましては、一昨年の秋、各新聞が頁数の増加を御計画なさいました。ところがその際に、日本の生産がまだ電力事情その他のために十分に供給を満たし得ないという事情でございましたので、その当時の外紙の価格をも調べましたところ、輸入する新聞用紙は、国内産の価格に比較いたしまして相当程度高額でございましたので、政府におきましては新聞の公益性にも鑑みまして、暫定的に昨年の三月まで免税する案を提案いたしまして、国会におきまして御審議願い、成立を得たのでございます。昨年その免税期間が切れました際に、政府の原案におきまして更に一年間免税の継続を内容といたしまする改正を御提案申上げたのでありますが、国会におきまして御修正になりまして、昨年の九月までで免税は打切られている状況になつております。今回関税定率法の一部改正法律案等を国会に御提案する前に、一応新聞協会側におかれまして、大体差当り八千五百トンの新聞用紙を輸入されるという御計画を伺いまして、新聞協会側からは政府に対しまして免税、又は少くとも五%に減税してもらいたいという御要求があつたのでございますが、事務当局といたしましては、昨年における国会の御修正の経過等を考えまして、政府原案といたしまして、これを五%なり或いは免税するという点はとてもできなかつたわけでございます。殊に価格の点につきまして調査いたしましたところ、今回の輸入される新聞用紙の輸入価格は一〇%の関税をかけましてもほぼ国産品と大体同額程度、これは計算によつて多少違うのでございますが、同額程度でございますので、なお更原案といたしましては、これを引下げる案は提案できなかつた次第でございます。只今前田先生からいろいろお話を承わつたのでございますが、新聞用紙が一〇%で、その原材料のパルプが五%というのはどういうわけかというお話がございましたが、これはまあ関税定率法のパルプの構成といたしましては、加工の程度が進むに従つて税率は高くなる。御承知のように日本は原料を輸入しまして、そうしてそれに加工を加えて輸出するというような建前でございますので、原料に対しては無税又は低い税、加工の程度が進むに従つて高くかける、こういう恰好になつております。新聞用紙よりも更に加工度の低いパルプにつきましての五%に対しまして、まあ新聞用紙全部とは申しませんが、印刷用紙が普通紙が一〇%という税率を盛つたわけでございます。只今新聞用紙のような公益性を持つたものに対しては別に考えるべきだという御議論もございました。誠にこれは御尤もな御議論とも思いますが、政府が一昨年新聞用紙の免税を提案申しましたのは、専らやはり新聞用紙の公益性に鑑みたのでございます。ただこの公益性の問題につきましては、関税とそれから消費税とは多少趣きを変えて考えなければならん、こういう点がございます。その当時若し新聞用紙の公共性を強調するの余り、仮に非常に安い新聞用紙がだんだん入つて来るということになりまして、これを仮に免税或いは低い税率にいたすということになりますと、一方国内産業を圧迫するということにもなりますので、関税はいわばこれによりまして一応国産品とのバランスをとる。そうして流通過程に置くという考え方でございまして、物品税とは多少趣きが違います。物品税は関税をかけられたものとそれから国産のものとをレベルを整えた上で更に物品税を免税するかどうか、新聞用紙は前から免税になつております。関税の問題につきましては一概に必ずしも公益性があるというのですべて無税、免税ということには必ずしも参らんということは御了承願いたいと思います。  又日本の森林資源の点等につきましてもいろいろ御高説を拝聴いたしまして、誠に御尤もな点もあるのでありますが、他面メーカー側から申しますと、メーカーその他から申しますと、それならば原木を輸入して、或いはパルプを輸入して、そうして新聞用紙を作れば日本の森林資源は枯渇しないはずだという、こういう議論も出て来るわけでありまして、なかなかこの点どつちがいいとも軍配は挙げにくいような感じでございます、私の私見といたしましては。
  153. 前田久吉

    前田久吉君 新聞用紙を加工紙に包含されたということは、これは占領軍の方針だつたのですか。
  154. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は関税定率法の別表の輸入税表に新聞用紙ということは謳つてございません。印刷用紙というのがございまして、その中のアートペーパーが一五%、「その他(一平方メートルの重量が三十グラムをこえ、三百グラムをこえないのもに限る。)」、これを甲と乙に分けまして、甲のほうが、「一平方メートルの重量が五十八グラムをこえないもの(砕木パルプを含むもので巻取のものに限る。)」、乙は「その他」となつております。この甲、乙共に一〇%ということで、特に新聞用紙というような分類はいたしておりません。
  155. 前田久吉

    前田久吉君 新聞用紙はそこへ入つてつたわけですね。
  156. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 普通通常使用されます新聞用紙は甲のほう、「一平方メートルの重量が五十八グラムをこえないもの(砕木パルプを含むもので巻取のものに限る。)」、これが大体新聞用紙に使用されます。併しこのものも新聞用紙に使われるとばかりとは限りません。
  157. 前田久吉

    前田久吉君 占領軍が指示した通りになつておるわけですか、関税は。
  158. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 関税定率法の一昨年の全面改正に際しましては、政府におきまして種々司令部と折衝いたしまして、最後の線は司令部のアプルーヴアルを経たと、そのときの情勢といたしまして、最後の法案を出します場合には、すべて司令部のアプルーヴアルを経なければならん、こういう状況になつております。
  159. 前田久吉

    前田久吉君 若しも関税が下げられないということになりますと、日本の現在の生産状況、又原木の関係からしまして、必然的に新聞の価格というものが上つて来ますが、どうお思いになりますか、これは……。
  160. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 新聞用紙の国内生産は大体逐年増加いたしておりまして、最近における新聞用紙の生産状況を申しますと、昨昭和二十七年の生産実績は六億一千四百五十二万六千ポンドでございまして、月に平均いたしますと五千百二十一万一千ポンドでございましたが、今年に入りましてから一月が六千六百四十一万九千ポンド、二月が六千五百二十八万ポンド、三月が七千三百九十四万ポンド、四月が七千四百七十七万三千ポンドと、殆んど月ごとに増加いたして参つております。只今のところ通産当局の新聞用紙生産の昭和二十八年中の見込数字は、大体八億九千七百万ポンド程度である、こういうことになつております。昨年の、昭和二十七年が六億一千四百万ポンド、それに対しまして二十八年度の生産見込が八億九千七百万ポンド、こういうことに相成つております。
  161. 前田久吉

    前田久吉君 成るほどあなたのおつしやるように数字は上つて来ているのですが、日常新聞を御覧になつていると思うのですが、新聞紙と言えないようなものがまだたくさん入つているのです。いわゆる仙花紙ですね、そういうようなものも、国内生産の不足のために近視眼の人を多く出すようなことになつて来ている。新聞社も、ないから止むを得ないということでやつてつて、決して新聞紙らしいもの、曽つての戦争前のような新聞らしい新聞紙というものは苫であるとか十条であるとか本州であるとか、旧王子系以外は大よそ仙花紙でできた粗悪品なんですね。こういう状態であつて、そういうものを差引けば、本当は止むなく使つているだけで、読者に非常に迷惑をかけておつて、止むなく使つているだけで、実際は生産が増加しているといつてもそういうものは本当の新聞紙と我々は言いたくないのです。止むなくやつているわけですね。そういう観点から、よし生産が増加されても、価格の上ることは間違いないのです。どうしても原木が余計使われれば、国産品が余計できれば原木が余計要つて来る。多く要つて来れば価格が上つて来ることは限度が来ているわけですね。そういう、新聞代が上つてもいいのだ、輸入しなくてもやはり内地に坐つていて新聞代は幾ら上つてもいいというお考えなんですか、一つ伺いたい。
  162. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 価格の今後の推移につきましては、私どうもなかなか予想がつかないのでありますが、只今までの紙の国産品の価格の推移を考えますと、只今までのところ国産紙の値段はだんだん下つて来つつあるのではなかろうかと、こう考えるのであります。ちよつと例を挙げますと、昨年の二月当時、新聞用紙の免税の延長につきまして御審議を願いました当時であります。その当時におきましては、一ポンド当りの国産品が苫小牧、北越三十五円四十銭、十条その他が大体三十六円、こういうことでございました。ところが最近の値段は大体三十円見当、一ポンド三十円、こういうふうに値段は下つております。今後のことにつきましては、私ちよつと予想いたしかねます。その点御了承願います。
  163. 前田久吉

    前田久吉君 これは苫、十条系統で、全体の新聞紙のパーセンテージはどのくらいにお考えになつておられますか。
  164. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 最近の新聞用紙メーカーの会社別の生産実績をちよつと調べて見たのでありますが、昨年の一月から十二月までの間におきまする全生産を、各会社の生産によつて比率を見ましたところ、王子製紙四五・三%、十条製紙が一六・三%という状況でありまして、両者合せまして約六一%、その他は北越製紙、中越製紙、大昭和製紙、本多製紙その他相当多くの会社がございます。
  165. 前田久吉

    前田久吉君 さつきの、料金を御修正になつた昨年の二月ですね、三十五円、現在は三十円という価格ですが、これはちよつと私控えがなくて数字的なことは今申せませんが、逆にこの苫小牧というものが大体新聞用紙の一番多く生産しているところであつて、この新聞の、あなたが先ほどおつしやつたような朝刊が八頁、夕刊が四頁というように昨年の十一月頃に新聞が全部揃つて来て、その後価格はこの社は変つておらない。ところがその他のメーカーはみなポンドで二円くらい値が上つて来ている。それをよくお調べになつたらいいと思います。或いは中越にしても本多製紙にしても、或いは大昭和製紙にしても二十七円くらいのものが二十九円から三十円に上つて来ている。ただ動かなかつたのは苫、本州と十条、これは本州、十条は極く新聞用紙は僅かです。苫が大半で、昨年十二月以来新聞が本当に戦前の姿に立ち戻つて朝夕十二頁という戦前の姿に立ち戻つて後は新聞紙は動いておりません。併し苫以外のところはポンドで二円くらい上げて来ている。それは私が事実買つているのだから、全部のメーカーのことをよく知つているわけで、上りつつ今あるのです。そうしてなかなか購入はむずかしいのです。購入がたやすいことであれば、御承知の通り他の新聞もそうであるが、我々の新聞のほうも誠に見にくいのですね。印刷をしても見にくい新聞紙が相当出ているということは、入手がなかなか困難であるために、そう洋紙界の言つているように潤沢じやないのです。今日、明日新聞社が買いに行つても買えるものではないのです。そういうものですから、実際の、どうお調べになつておられるか知りませんが、その点はもう一度一体新聞紙はあなたのおつしやつたように、昨年十一月以後において下つたか上つたか、もう一辺一つお調べを願いたいと思います。
  166. 平林太一

    平林太一君 関連して。関税定率法の一部改正に関して新聞紙のことが前田君から極めて実際に即した御意見があつたのでありますが、私はそれを伺いまして非常に了承されたわけでありますが、大体これは政府の考え方が根本的に違つておる。それはどういうことかというと、国内産業としての国内製紙が影響を受ける。そのために外紙の国内に対する定率の問題を考えるということで、言葉はよくわかるのでありますが、ところがこの問題に限つては、我々から言いますれば、国内産業としての製紙というものは、殊に新聞紙を生産する製紙業における生産というものは、これ以上増産をするということに対しては重大なる反省の時期に入つたということを根本的に考えてこれを取扱わなければならないのです。ところが業者はそういうことは一向、肚ではこれは恐らく重大視しておると思いますが、やはり今日のこの資本主義の、殊に製紙業というのは往年の歴史を見ましても、富士製紙でありますとか四日市製紙であるとか、王子製紙であるとか、伝統を持つたものは非常に資本主義の最高峰を行つた事業である、産業といたしましては。従つてつまりこれを経営しておるところの人的要素、それからその持つておる人々の思想というものが、依然として私は変つていないと思う。なぜかと申しますれば、先刻前田君のお話のありましたように、これは重大なる問題、いわゆる紙を製造する元であるところの木材に対する考え方であります。今日もう日本の木材というものは、恐らく日本だけです、このくらい木材を粗末にしておるのは。世界各国いずれの国におきましても、木材というものに対してはいわゆる天然資源として、これは科学が如何に今日進んで参りましても、木材をして半年、一年の間にそれを完成せしめるというほどに科学は進んでおりません。いずれにしても何十年という歳月を経て、そうして或る場合にはもう鉄鋼というようなものにも優るところの非常な耐久力においてもそういうものを持ち、それから又それが人類の生活のあらゆる方面に如何に必要欠くべからざるものであるかということは、よく了承されておるはずであります。だからそれをどうしても今後もこれは人類としましては、衣食住といいますか、昔の言葉のある通り、もう食に次いで最も木材というものを大切に保存しなければならないわけです。ところが紙に対しましては、最近は殊にパルプ事業というものは、何か紙は儲かるというので単なる重点事業としてのみではない、いわゆるあらゆる方面において中小企業の対象となつて、これは中小企業が盛んになることはいいのでありますが、中小企業の対象にまで範囲が増大いたしました。こうなつて来ますと、日本の製紙産業というものは、発達して行けば行くに従つて日本の国土というものは荒廃、破壊される。それがむしろ亡国的な径路を辿つて行くということを考えなくてはならない。今回のいわゆる九州の水害、西日本の水害、殊に顕著なる和歌山県の水害を見ればよくわかる。和歌山県の木材といたしましても、ああいうものが如何に戦争以来ずつと無反省に濫伐されておつたか、それが単に国土を荒すのみではない、遂にそれが人の生命にまで及んでおる。何千人、五千人も六千人も水害によつて死傷者を出すなどということは、これは世界の歴史にも曽つてないことなんです。こういうことの原因するところは木材の濫伐、木材というものを今の通りただ事業の対象にのみしてこれを伐採しておる。ところがその木材を伐採しておるところの最も大半のものというのは、いわゆる新聞用紙等を生産するものに利用されておる。この際は何も小さいことを考える必要はない。外紙が新聞紙で入つて来るならば、私はこれは大歓迎すべきだと思います。而も或る時期において日本の山林というものは、一応の治山治水に対しまする整備ができて、そうして安心して行けるようになれば、又そのときになつてすればよろしい。併し今日は何としてももうこれ以上伐採するということは、何らかの法律においてむしろこの際打止めをしなければならんときである。そういうことを考えますれば、国内産業としての製紙というものをこの際はむしろこれは殺すべきなんだ。そしてそれに対するいわゆる何は外紙からこれを求めて、いわんや外紙においてもそう高くないというのでありまするから、それでありまするからこれに対しましては、新聞社の方の、今前田君のお話を聞きますというと、それで差支えないというようなお話でありまするから、一つこれはこの根本をここに置いて、そして関税定率に対する新聞紙の問題というものを考えなければならん。この取扱いに対する政府の根本的な考え方というものをそこに置かれて、そうして定率の改正というものに対して非常に反省を求めなければならないことがあると思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  167. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 日本の乏しい森林資源を保存いたすばかりでなく、これを更に培養しなければならんということにつきましては、私も実は門外漢でございますが、個人的には全く同感でございます。但しその場合に、完成品を輸入したらいいか或いは又原材料を輸入して、それで日本で加工をして、新聞用紙にしたがいいかという点は、これは又別途考えなければならん問題ではなかろうか、こういう感じも実はいたしておるのでありまして、若し支障なく原木、これは現在無税でございます、原木を入れまして、そうして日本の森林資源の荒廃を防ぐ、その原木によりまして製紙会社におきまして加工して新聞用紙に生産するならば、日本の森林資源も保存されると同時に、国内の製紙業も育成保存されるわけであります。まあこういう点は私も実は門外漢でございますが、ちよつとそんな感じもいたすのであります。
  168. 前田久吉

    前田久吉君 木材が入るというお考えありますか。若しも入るお考えがあつたら、どのくらい入るというお考えがありますか、それをちよつと伺いたいのです。
  169. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは実は私のほうは為替の割当のほうをいたしておりませんので、通商産業省で御計画を立てるべきことと存じますが、若し入れようと思えば入らないはずはないのではなかろうかと、こんな感じもいたしておるのです。
  170. 前田久吉

    前田久吉君 石当り幾らぐらいで入つて来るお考えですか、製紙との睨み合いですね。
  171. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私は実はちよつと思い付きを申上げただけであつて、原木で幾らで輸入できて、それを製紙にすれば幾らかという計算はいたしておりません。
  172. 前田久吉

    前田久吉君 今言つておる問題は、内地のメーカーを殺すという点でお話もありましたが、この程度の輸入で内地のメーカーはお困りになると思われますか、どうですか。
  173. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 関税というのは、実は国内産業保護の最小の限度の障壁でございます。輸入の数量は仮に入れないということになりますれば、これは国内のメーカーは喜ぶでございましようが、併し入れないとか入れるとかいうことは、一時的な政策の便宜でありまして、関税はそれよりももつと根本的に、基本のベースにおいて国内産業に安全感を与えるという点に大きな使命があるわけであります。まあ輸入の割当などにつきましては、そのときどきの政策によりましていろいろ変るわけでありまして、必ずしも業者は実は安全感を持つておりません。関税によつて何%かが保護されるということで事業の基礎が成り立つという性質のものかと私は考えております。
  174. 前田久吉

    前田久吉君 この問題は重大でありますので、通産省のほうから一つ係の者か局長を呼んで頂きたいと思います。
  175. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 今すぐはむずかしいと思いますが、さよう後刻取計らいます。
  176. 平林太一

    平林太一君 今この関税の問題については、関税の原則について話がありまして、国内産業を擁護する。これは如何にもその通りであります。だから国内産業を擁護すると、そういうことは国を守るということですから……、ただ国内産業を守るぞということで、その産業がいわゆる総合した国家の国力進展のためにこれが役立つ、それからそれが相並行して国力の増進に努められるという場合にのみその国内産業を擁護しなければならんと、こういうことになる。木材をつぶして紙を作るというような今日の現状においての日本の製紙事業の国内産業というものは、むしろこの際いわゆる国力の維持、国力を総合したいわゆる民力涵養のためにこれは抑えなくちやならん。それを大蔵省は十分に一つ御研究になられて、これはいわゆる製紙に対する一つのけじめですから、いわゆる日本の製紙の産業としてやらなければならんということは、これは今日まで何十年の間伝統の不滅に変つて来ない今日までの状態であります。併し今日はもはや日本の、殊に新聞紙に対しまして木材以外のものを使うということであればこれは格別、併し先刻外国から木材を買つてやるという、これは私も、前田君とは意見は違うかも知れませんが、これは或いはいいかも知れないと思います。併し今日では業者はそういうことはしないのです。やはりもうすでにそういうことをしないというところを見ると、外国からの木材というものよりも現在の木材というものが採算上必ず、これは何と言いますか、そのほうがいいのであるからそういうことをしているのだと、そうしてこれが一年間も半年も急速度に消化されて行きますから、これは時間的に遅疑を許さない問題であると思う。だからこれに対して関税に対するところの問題は逆なんです。この事業にだけはそういうことを一つ考えになつて、これに対する処置は、これは別個にこの問題だけは処理すべきだと思います。ですから関税に対しまして、製紙業なり国内産業を助けるのだという、むしろこれは国内産業を抑えるために関税の障壁は高く上げるべきだと、こう製紙に対しましては考えるのですが、これはどうなんですか、根本の問題ですがね。
  177. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ちよつと実は御質問の趣旨が最後聞き取れなかつたのですが……。
  178. 平林太一

    平林太一君 もう一度申します。だから製紙の、紙を入れる関税に対しましては今考えているような処置でなくて、関税の障壁というものをきつと高く上ぐべきであると思うのです……、高いじやない、安くして向うの紙が入れるように……。言葉の言い現わし方が違いましたが……、そうして外紙が入れるようにして、そうして国内産業としての製紙、それがいわゆる今日とられておる税率の問題を大蔵省は逆に考えて行かなければいかんと、こういうふうに思うのですが、どうお考えになりますか。
  179. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 平林先生のお話の御趣旨はよくわかるのでございますが、先ほど申上げましたように、政府といたしましては、実は一昨年新聞用紙に対して免税を提案いたしまして、昨年更に一年間の免税の期間の延長をお願いいたしましたところ、国会におきましては、十月以後免税すべからずという御判定によりまして、昨年の九月で実は免税が切れておるのであります。政府といたしましては、その国会の御趣旨に逆つてまで果して免税又は低減をお願いすべきかどうかという点につきまして実はいろいろ問題点もあろうかと存ずるわけであります。この点につきましては、目下衆議院でも慎重に御検討中でございまするので、若し参議院に免税或いは減税案が参りました際には、更に皆様方から一層慎重な御審議を頂きまして、その御判断に仰ぎたいと思う次第でございます。
  180. 平林太一

    平林太一君 只今昨年の九月まで免税をしておられたということですが、国会の意思と言いますが、国会の意思というのはそのときどきによりましてその状況が変るということがあるのでございますが、そういう国会の意思によつて今度は免税を有税にしようと、こういうことなんですが、やはりこれは免税にしておくべきために、本年のこの災害の実情などを目前に見た実証によつて、免税の問題は更にこれは継続すべきである、有税にしてはいけない、こういうことを、これは一つの技術上の問題ではない、政治上の大きな、つまり国土を維持するという大きな問題のためにこれは考えるべきで、これは一つ免税ということで政府が国会に臨む態度を改めて要求いたしておきます。意見として申上げておきます。
  181. 小林政夫

    小林政夫君 今の新聞用紙に関連して、先ほど部長から口頭で一応の数字は説明されましたけれども、資料として二十七年から成るべく最近までの新聞用紙のメーカー別月別生産統計及び月別国内産の価格、これを一つお願いしておきます。
  182. 前田久吉

    前田久吉君 さつきお話がありましたが、昨年九月に免税すべからずときまつたというお話があつたのですが、そのときはどういうことでそうなつたかという、その事情はわかつているのでしようね。
  183. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) そのときの速記録に詳細に出ておりますので、御参照願えれば事情がおわかりかと思います。
  184. 前田久吉

    前田久吉君 もう一遍私から申上げておきたいのですが、当時新聞界にごたごたがありまして、丁度終戦後の新聞が軌道に乗るか乗らんかという場合に、増頁をする大発行部数の新聞社あり、又地方に何百というつまり発行部数の少い新聞社があつて、この中で判断が二つに分れたわけなんです。輸入すれば大きな発行部数を持つ新聞社に利益があるが、我々はないというようなことで、歩調が一つにならなかつた。これは非常な誤解だつたのですが、その誤解の解けないままに、対立したままになつちやつたのです。で歩調が揃わなかつたために、そういう国会の決議に止むなく持つて行かざるを得なくなつたのです。それはよく衆議院のその当時の委員も言つておられるので、今度は全部一つでしようということを聞いて来たのですが、それを以てしてもそれが今度はよくわかつたわけなんですね。新聞界全体のために関税を引下げてもらわないと大変だということがわかつて今度の問題が上つて来た、こういうことなんですから……、これで終ります。
  185. 森下政一

    森下政一君 昨年政府が新聞用紙の免税措置を更に延長したいという提案をされたときの政府の考え方はどうであつたのですか。どういう考えに立脚して新聞用紙の関税は免税を更に継続すべきだと、こういう趣意であつたのか、それを一遍お伺いしたい。
  186. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 先ほどちよつと申上げたかと存じますが、昨年私どもで更に新聞用紙の免税期間の延長をお願いいたしました当時の気持といたしましては、その当時の輸入外紙の値段が国産紙よりも相当高かつた従つて関税の一〇%全部免除いたしましても、なお国産品より高い状態でありましたので、新聞用紙の公益性に鑑みまして、これは免税を続けるのが正しいと、こういうふうに信じまして、期限の一カ年延長をお願いいたした次第であります。
  187. 前田久吉

    前田久吉君 どなたかから御質疑があつてお答えになつたかも知れませんが、現状はどうなんですか、今日の外紙の価格というものは……。
  188. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実はこの外紙の価格につきましては、新聞協会の御提出の資料と、それからメーカー側の御提出の資料と違うのでありまして、一応両方御紹介申上げます。  メーカー側の提出いたしました資料に先ずよりますれば、今回輸入いたしますカナダ製品は、一ポンド当り輸入CIFが百四十ドル、そうして一〇%の関税及び諸掛りをかけまして、埠頭の倉庫渡の価格、これが東西交易、第一物産、高田協会の三つの貿易業者の協定価格は一ポンド当り二十九円七十銭である、こういう資料であります。これは事実貿易業者との間の協定価格は二十九円七十銭であるようであります。着駅渡価格でございますと二十九円九十六銭七厘、こういう資料でございます。
  189. 前田久吉

    前田久吉君 これはどつちの資料ですか。
  190. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) メーカー側の資料でございます。  これに対しまして、新聞協会の御提出になりました資料によりますと、最終的におきまして横浜沿岸倉庫渡の価格が三十円四十五銭……、ちよつと失礼いたしました、関税一〇%の場合の価格は、横浜沿岸倉庫渡の価格が一ポンド当り三十一円八十銭、それに倉敷料、輸送費、陸上保険料を加算いたしますと三十二円十二銭になるという資料でございます。
  191. 前田久吉

    前田久吉君 むしろ三十二円になれば、一カ月二百八十円の新聞は三百何十円かに値上げしなくちやならんでしよう、そんなものを買えば……。
  192. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) それは全部外紙で賄つた場合の計算ですか。
  193. 前田久吉

    前田久吉君 ええそうです。三十二円に上つたらですね。  それからいろいろのメーカーがありますが、今の王子系その他では大体ポンド二円違うとお考え願いたい。二円ほかのものが安い。そうでしよう、全然紙が違うのだから……。二円安く入つているとお考え願いたい。
  194. 小林政夫

    小林政夫君 それでは新聞のほうは通産局から来て慎重審議されるとして、前回の内容説明のときにちよつと部長にお尋ねをして、そのとき一応の説明は聞いたのですが、話の繋ぎがあるので、恐縮だがもう一回説明をしてもらいたいのは、このこうりやん及びとうもろこしの輸入税免除のことを今度本法へ組入れて、餌用のものに限り免税にすると、この免税は二十九年の一月一日から適用する。で本年の年末までは現状通りすべて免税だと、これはどうしてそういう区切り方をされたのか。
  195. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まあ技術的に申しますと、こうりやん、とうもろこしの一般的免税をやめました場合に、飼料製造の用に供するものについて免税する方法は二つあると思うのです。一つは保税工場制度を利用する場合、これは戦前におきましては実はそういうふうな状況でございまして、こうりやん、とうもろこしを入れまして、保税工場においてこれを混合飼料にする、配合飼料にする。そうすると、保税工場を出るときには完全な飼料になつておる。飼料は無税でありますので、保税工場を利用することによりまして無税にすることができる、これが一つであります。ただ保税工場にいたしまするときには、比較的大工場に利点が多いわけであります。小さな工場では簡単に保税工場という制度にはなりにくい点がございます。そのために実は関税法上免税規定をおきまして、別個に飼料製造の用に供するところのこうりやん、とうもろこしの免税規定をおきまして、このほうは比較的地方の小工場或いは農業協同組合あたりの小さな規模の工場でもできるように考えております。それならば同時に同じような方法で以て八月一日からそれでやつたらどうかということも一応考えたのでございますが、農林省におきましては実は飼料品質の改善に関する法律、これが前国会におきまして通過いたしまして、来年の一月から実施になるわけでございますが、その間に地方のこういうふうな小工場につきましても関税定率法の恩典を受けられるように実はだんだん持つて行きたい。それには今すぐ八月一日からやられますと、大きな保税工場に利用できるようなものだけが先にスタートして恩恵を受けられるようになるので、それは農林行政上、畜産行政上非常に工合が悪いから、歩調を揃えてもらいたい、こういうようなお話がありまして、私のほうといたしましては、来年の一月一日から飼料の品質の改善に関する法律が施行されますので、それと歩調を合せまして只今の措置をとりました次第であります。
  196. 小林政夫

    小林政夫君 畜産局長にお尋ねいたしますが、今の飼料の品質改善に関する法律は、一体どういうことをやろうとしておられるわけですか。
  197. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 飼料の品質改善に関しまする法律は、来年の一月一日から施行するものでありますが、これは希望検査を実施いたしまして、できるだけ飼料の品質を改善し、不良の飼料が出廻らんように措置いたしたい、こういうような目的から一月一日から実施することに相成るわけであります。
  198. 小林政夫

    小林政夫君 希望検査ですか。
  199. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 強制検査ではありませんで、希望する工場だけを対象といたしまして、希望いたしました場合にはそのものを全部検査をする、こういうような恰好になつたわけであります。
  200. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、今の税関部長の、無税の段階を区切つて、今の品質改善に関する法律の施行ということにつきましては一月一日から施行だから、餌用のこうりやん、とうもろこしの免税も一月一日からする、こういう品質改善に関する法律案の施行期日と餌用のこうりやん、とうもろこしの免税の施行期日とを合せる、今税関部長の言つたようにはつきり餌用のこうりやん、とうもろこしだということが、小工場、家内工場的なものも含まれるであろう。地方のどんなものでも見分けがつくということは、その品質改善に関する法律の施行とどうか……。
  201. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 関税をかけるかけないという問題と飼料の品質検査に関しまする施行の問題とは必ずしもこれは直接の関連はないと、かように私は存じております。
  202. 小林政夫

    小林政夫君 関係はない、私もそう思うんだが、それで一体餌用のものとそうでないものという区別がどうしてつけられる、この課税手続上どうですね、うまく見分けがつきますか。
  203. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 保税工場になりますと、最初に保税工場に移し入れいたしましたときから出ますまでずつと税関の官吏が参りまして見ております。これは相当大きな大規模な工場でしたらどうしてもそうしなければならんと思つております。小さな工場になりますとそこまで行かなくても、税関長が承認した工場で手数料を徴収しないでやる制度がございます。これが関税定率法の第九条の免税でございますが、もうあとはトレースいたしまして、仮に飼料以外のほうの用に供した場合には追徴する規定があるわけでございます。保税工場のような終始一貫して監督して行くというようなやり方ではないのであります。それが実際の姿におきまして比較的小さな工場には適当しているのではないかという感じがいたします。
  204. 小林政夫

    小林政夫君 畜産局長に尋ねますが、そういうトレースできる範囲の工場ですべての餌用の飼料は製造されると考えていいんですか。
  205. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今小林先生から御質問のような憂いがございましたので、当初私どもといたしましては四月からに、三月まで待つて頂きたいという御希望を大蔵当局に申上げておるのでありますが、餌用のものは除外するので、保税倉庫を畜産局のほうでできるだけ整備してもらいたい、特に生産者団体のほうの保税倉庫を各輸入港に整備してもらいたい、そのほかに陸地にある、大蔵当局からお話がありましたように、陸地にも相当数の簡易の指定工場を認めよう、それで大体まあ飼料の品質改善に関する法律が施行されます一月一日を目標にそれをできるだけ整備してもらいたい、こういうようなお話がありまして、結局その辺で一応妥協をいたした、かような事情になつているわけであります。  ただお話のような完全に飼料に廻りまするとうもろこしが全部免税されるかどうかにつきましては、非常な現在のような段階におきましては憂いがある、かように申上げて差支えないじやないかと思つております。
  206. 小林政夫

    小林政夫君 結局飼料メーカーの企業整備みたいなものが起るのですが、その免税指定工場になつたものはどんどんやれる。勿論それは品質改善という意味から行けば一応或る程度の企業整備が必要でございますが、そういう点が一点。  それから一応これはどちらからでもいいのですが、答弁してもらいたいのですが、餌用以外に、こうりやん、とうもろこしを輸入するといつたらどういうものに使うのでしようか。
  207. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 餌用以外に輸入いたしますこうりやん、とうもろこし等の用途でございますが、醗酵原料、コーン・スターチ、麹に使います。それで飼料と、醗酵原料とコーン・スターチ、大体この三つが用途だと思います。
  208. 小林政夫

    小林政夫君 この輸入こうりやん、とうもろこしの数量の中の今までの実績でいうと、そういうものはどのくらいになつておりますか。
  209. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは推定でございますが、昨昭和二十七年におきます輸人とうもろこしの用途別使用割合を申しますと、飼料で約六八%、醗酵原料で約一五%、コーン・スターチで約一六%、この程度の推定でございます。
  210. 小林政夫

    小林政夫君 その醗酵原料、コーン・スターチで税関収入は幾らですか。
  211. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 只今ちよつと手許に資料がございませんので、計算いたしまして御報告いたします。
  212. 小林政夫

    小林政夫君 非常に今まで暫定的に免税々々と来たのだけれども、多少今の指定工場等にするについては実行上においても、又具体的な指定を受けるもの受けないものというような点について、飼料メーカーといいますか、飼料を作るに課税上の公平が期せられないという面も、今の畜産局長の答弁だと、どうもそういうふうになるわけですし、又すでに或いは指定工場を作つてつても、だんだんそれ以外のものは飼料を作らなくなるというようなことになるのですが、そういうふうに工場を整備して、実際の飼料の需給に差支えないものかどうか。
  213. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 大蔵当局におきましても、輸入港以外の陸地の工場につきまして相当多数免税工場として指定をするという予定でありまするので、その指定が順調に、而も又整備されて参りましたならばこれは支障はない、かように存じております。  ただ現段階におきましては、そういうふうな整備が本年一ぱいで済むかどうかということにつきましては非常に疑問があります。こういう趣旨におきまして、当初は来年三月まで待つて頂きたいということを一応申上げておきましたが、大蔵当局の希望もありまして、できるだけそれを畜産局のほうでも急いでもらいたいということで、本年末を以て一応飼料の分を除きまして税をかけるということにつきまして了承をいたしたような次第でございます。
  214. 小林政夫

    小林政夫君 大蔵当局の税関部のほうで施行を是非一月一日からにしなければならん、もうあと三カ月待てというのが待てない理由はどういうわけですか。
  215. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実はこうりやん、とうもろこしにつきましては、全般的に免税することにつきましては、かねてから反対が相当あるわけであります。飼料のために入るものが免税されるのは仕方がないけれども、それがアルコールの醗酵原料とか、又菓子のほうに廻るとか、それは国内産業では困るという非常に強い御意見もございまして、私どもといたしましては、できるだけその筋を早くはつきりさせて、飼料用のだけを免税するというように持つて行きたかつたわけであります。従いまして当初は畜産局長にお話いたしました際に、とにかく飼料用は免税にするのだから、御異存はないじやありませんか、実際はできるだけ早く税金を徴収しなければならん、何とぞ了解してもらいたいということを申立たわけでありますが、事情をよく聞いて見ますと、畜産行政についてもなかなかむずかしい点もあるようでありまして、私どもといたしましても、できるだけ畜産行政に協力することも大蔵省としてはなすべきことであると、こう考えまして、今年の末までは免税を続けて行くけれども、一月一日からとにかく飼料の品質改善に関する法律というのができるのでありますから、畜産局としては準備のために早く仕事を進めて、あとになつてものんべんだらりとすべて免税するといつて大蔵省も困るだろう、農林省のほうもほかの方面から非難を受けるのじやないかということを申上げまして、結局飼料の品質改善に関する法律の施行期日に合せてこういうふうにいたしたわけであります。
  216. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの衆議院の審議の模様を聞いて見ると、その点については何らの議論がなかつたので、特にこういう御質問をしたわけですが、一応今日はこの程度にしておきますが、私ども緑風会においては、農林委員は全部三月三十一日に延ばしてほしい、こういう強い意見を持つておられる、そういう意見があるということを今日は伝達しておきます。どうするかということはこれから……。
  217. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十二分散会