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1953-07-07 第16回国会 参議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)    午前十一時開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            西川甚五郎君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    外務省経済局長 黄田多喜夫君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省管財局長 阪田 泰二君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    通商産業省重工    業局長     葦澤 大義君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   参考人    日本輸出入銀行    副総裁     山際 正道君    全国銀行協会会    長      千金宗三郎君    日本機械工業会    会長      倉田 主税君    造船工業会会長 丹羽 周夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設委員会申入れの件 ○租程特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○酒税保全及び酒類業組合等に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○日本専売公社法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○外国為替資金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣送付) ○印刷局特別会計法等の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣送付) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第十三回の大蔵委員会開会いたします。議事に入ります前にお諮りいたしたいことがございます。先般建設委員会連合委員会を開き審議いたしました道路整備費財源等に関する臨時措置法案の取扱いについてでありますが、先般の連合委員会におきまする質疑応答によりまして大体質疑も尽きたことと思われますので、連合委員会は前回をもつて打切ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと参認めます。つきましては去る三日の本委員会におきまして一応御協議願いました結果に基きまして、次のように建設委員会に対し申し入れることにいたしたいと存じますが、先ず申入文を朗読いたします。   昭和二十八年七月七日       参議院大       蔵委員長 大矢半次郎君  参議院建  設委員長 石川 清一殿    道路整備費財源等に関する臨    時措置法案に対する申入の件   題記法律案については貴委員会との連合審査における当委員会委員質疑により明らかなる如く、特定税収入特定歳出目的に充当する目的税的な考え方は、予算の編成、税制改正等に関しその弾力性を失わせるのみならず将来他の事項についても同様な問題を引き起す懼れがある。   依つて右の趣旨を充分御考慮の上善処方希望する。   右申し入れする。  以上の通り決定するごとに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。よつて右通り決定いたしました。   —————————————
  5. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは本日は先ず一、租税特別措置法の一部を改正する法律案、二、通行税法の一部を改正する法律案、三、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案、四、日本専売公社法の一部を改正する法律案、五、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、六、印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案、以上大案一括議題として政府より提案理由説明を聴取いたします。
  6. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案外五法律案につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和二十八年度予算に関連して税制一般的改正を行うことといたしましてすでに所得税法の一部を改正する法律案等を提出し、御審議を願つているのでありますが、更に今次税制改正の一環として、ここに三法律案を提出することとした次第であります。  先ず、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申上げます。  本改正案におきましては、資本蓄積の促進に資するため、預金利子等に対する所得税源泉選択税率を五〇%から四〇%に引下げますとともに、同族会社積立金に対する法人税の非課・税限度額現行の五十万円から、百万円と払込資本金の四分の一相当額とのうちいずれか多い金額にまで引上げることとし、又価格変動準備金の対象となる資産のうちに新たに国債を加えることといたしているのであります。更に近代的な機械設備に対する特別償却につきまして関係命令改正により、その適用範囲拡張を行うことといたしますほか、新たに協同組合事業合理化に資する機械について三年間五割増の特別償却を認めることといたしております。  次に、貿易振興に資する等のため貿易業者について輸出損失準備金制度を設け、一定限度内の積立を致しましたときには、これを損金又は必要な経費に算入することといたしますほか、貿易業者等海外支店等を設けました場合におきまする設備費等につきまして特別償却を認めることといたしているのであります。  次に、食糧の増産に資するため本年以後五年間に開墾、埋立又は干拓をいたしました場合には、その土地から生ずる米、麦等の農作物の所得に対しては、その土地を耕作の用に供した年及びその後五年間所得税を免除することといたしております。  又、財産税調査時期後引続き有している山林について山林所得計算を簡素化いたしますため、概算経費控除制度を設け、納税義務者選択により山林の譲渡に因る収入金額一定割合相当する金額必要経費として控除し得ることといたしているのであります。  次に、国有林野整備臨時措置法に基く民有林野国有林野との交換の場合及び塩田交換の場合における所得税、再評価税及び登録税につきまして、農地交換の場合とおおむね同様な特例を設けましてその負担を軽減することとし、又塩田を買い換える場合及び袋待網漁業又はまき網漁業整理によつて船舶を沈船し、又は売却する場合の所得税及び再評価税につきまして、農地を買い換える場合及び小型機船底びき網漁業整理の場合と同様の特例を認めて、その負担の軽減を図ることと致しているのであります。なお、漁船損害補償法改正によつて漁船満期保険制度が設けられることに伴いまして、満期保険に付された漁船については、その積立保険料減価償却費とみなして特別償却をすることを認めることとしているのであります。  更に、最近におきまする国際海運状況に顧み、新造される外航船舶につきまして、今後五年間のうちに行われる所有権保存登記及びその建造資金貸付のため抵当権の取得の登記に対する登録税を軽減することとし、旧船舶公団との共有に係る船舶共有持分の内、国に引き継がれたものを他の共有者に移転する場合の登記に対する登録税所有権保存登記なみに軽減することといたしております。  右のほか旧再評価行なつたものにつきまして減価償却資産の再評価差額の内に耐用年数が三十年以上の資産に係る再評価差額が五割以上占めます場合には、今後納付すべき旧再評価税は今後五年間に均分して納付することができることといたしますと共に、更に航空機用揮発油に対する揮発油税免除期間を延長し、又新築家屋に対する特別償却期間の延長を行う等最近の情勢に応じて所要改正を行うことといたしているのであります。  第二に、通行税法の一部を改正する法律案について申上げます。  通行税につきましても、今国会提案せられております所得税法法人税法等改正と同様に、三百円未満の利子税額等を徴収しないことといたしますとともに、重加算税額計算基礎となる通行税額には隠ぺい又は仮装されていない事実に基く税額を含まないことにいたしているのであります。  第三に、酒税保全及び酒類業組合等に対する法律の一部を改正する法律案について申上げます。  酒税保全及び酒類業組合等に関する法律につきましては、前国会で御審議願つたのでありますが、その施行の状況に鑑みますと、酒類製造業及び酒類販売業につきましても、企業合理化等のための金融を容易にすることが必要であると考えられるのでありますが、このためには業者団体を通じて資金の融通が行われるようにすることが効果的であると認められるのであります。従いまして酒類業組合等資金借入の斡旋に代えて自ら資金を借り入れ、これをその組合員に貸し付けることができるようにいたしますとともに、中小企業協同組合調整組合と同様、中小企業金融公庫から借り入れることができるように改正することといたしているのであります。  第四に、日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  この法律案は、前国会提案し、不成立となつたものと概ね同様でありまして、専売事業企業的運営を図りますため、日本専売公社会計制度に関する規定所要改正を加えることを内容としたものであります。  その概要を申上げますと、先ず現行予算弾力性に関する条項改正し、予算需要増加経済事情変動その他予測することができない事態に順応し得る弾力性を与えますとともに、予算の流用及び繰越に関する制限を緩和いたしまして事業経営の一層の円滑化を図ることといたしました。  次に、能率向上により、収入予定より増加し、又は経費予定より節減したことによつて生じました金額のうちその一部を予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて特別の給与として給与総額にかかわらず支給することができるようにいたし、又専売納付金計算に当りましては、たな卸資産増加額を控除しないことに改め、企業体にふさわしい合理的制度といたすよう規定整備をいたしました。  最後に、業務内容に投資の条項を加え、また、業務に係る現金の取扱に関する規定及びその他予算の形式、内容、手続の規定等について所要改正を加えることといたしました。  第五に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について御説明申上げます。  外国為替資金特別会計におきましては、毎会計年度決算上の剰余金がありますときは、これを一般会計の歳入に納付することとなつておりますが、この会計においては、外国為替相場変動等に伴い損失を生ずる慣れがあり、これに備えまするため、当該剰余金の内、必要な金額を積み立てることが適当であると考えられます。  以上の理由によりまして、この会計の毎会計年度決算上の剰余金は、予算の定めるところにより一般会計へ納付するもののほか、この会計積立金として積み立て、決算上不足を生じました場合は、先ずこの会計積立金をもつて補足することといたしたのであります。  最後に、印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。  造幣局、印刷局国有林野事業アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計に属する「公共企業体等労働関係法適用を受ける職員」に支給されます給与は、その総額予算で定められているのでありますが、この給与総額につきまして弾力性を与え、能率向上により、収入予定より増加いたしました場合或いは経費を節減した場合におきましては、その増加額又は節減額の一部を特別の給与として支給することができることとしようとするものであります。  以上申上げましたのが、この六法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。   —————————————
  7. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案通行税法の一部を改正する法律案及び酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題として順次内容説明を聴取いたします。  ちよつと速記をとめて。    午前十一時二十六分速記中止    ——————————    午後零時九分速記開始
  8. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。  午前はこの程度で休憩し、午後は一時より再開いたします。    午後零時十分休憩    ——————————    午後零時十分休憩    午後一時三十一分開会
  9. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引締きまして会議を開き、日本輸出入銀件法の一部を改正する法律案議題といたします。本件につきましては、先般来大蔵省当局等から説明を聴取していたのでありまするが、今日は更に特に通産省外務省の御当局にも出て頂き又山際日本輸出入銀行総裁にも出て頂いて、十分御説明を伺いたいと思つております。そのほかに更に参考人といたしまして、千金良全国銀行協会会長倉田日本機械工業会会長丹羽准船工業会会長御三君に御出席を願いました。御三君非常に御多用のところお繰合せ御出席下さいまして誠に有難うございます。お礼を申上げます。  輸出入銀行は、昭和二十五年の十二月に設立せられまして以来、プラント輸出中心とする貿易振興に努めて参つたのでありまして、御当局努力も十分認められるのでありまするが、併しながら必ずしも当初の計画通り実績が参つていないようでありまして、最近我が国経済事情からいたまして、輸出貿易伸展が非常に大事になつておる。従つて今回政府においてこの輸出入銀行法の一部改正案を提出いたしまして、この銀行の活動を大いに促進して、我が国貿易伸展に寄与しようということでありまして、誠に結構ではありまするが、併しながらなお今後の計画或いは又貿易見込み等につきまして、十分に伺つてども審議参考に資したいと思う次第であります。先ず山際総裁からお話を伺い、次いで通産省外務省の御当局から御説明を伺い、更にその補足といたしまして、お三人の参考人のかたがたから伺つて、然るのち質疑をいたしたいと、こう存じます。つきましては、先ず山際総裁より御説明を願います。
  10. 山際正道

    参考人山際正道君) 従来のプラント輸出等趨勢並びに現在並びに将来の見通し等に関しまして、それが問題の中心になろうと思いますが、詳細は通産省のおかたも見えておりますので、御説明を頂くことが適当かと思いまするが、私は大体銀行仕事の面におきまして、今後どういうふうに発展して行くであろうかという点をやや具体的に申上げて御参考に供したいと考えます。  プラント輸出引合状況は極く最近に至りまして、これが伸展のために必要と考えられるいろいろな条件がだんだん好転いたして参つております。その結果、現在引合状況相当活腰に参つておるように思われるのでございまして、自然契約が成立いたして参るものも相当有望視せられて参つておると思うのでございます。即ち価格の点におきましても、漸次国内価格国際価格とが接近をして参つておる、或いは又プラント輸出をいたしますのに好適な国々に対して、通商協定が逐次成立しつつある、或いは各国が一昨年、昨年来とつておりました輸入制限措置も漸次緩和される方向に来ておる、又新興各国経済建設の熱望も漸次その熱度を加えまして、需要は引続き増大の方向を辿つておる、これらの国外の事情の好転と相待ちまして、国内における貿易振興、なかんずく輸出振興のための各般の施策は漸く揃いつつあるのでございまして、これがためのいろいろな措置も、今回の国会提案されているように伺つているのでございます。これら彼此相待つて、今後は相当その発展が期待されるのではないかとひそかに喜んでいる次第でございますが、先ず具体的の例といたしまして最初に、現在銀行におきまして、借入の申込乃至その内談を受けておりますものの例について申述べたいと存じます。簡単な計表をお手許に差上げておきました。即ちそれによりますと、輸出契約見込金額を対象といたしまする限り、電気機械において一件、繊維機械において四件、船舶二件、鉄道車両六件、その他十二件、合せて二十五件で、輸出契約見込は二百六十四億二千百万円となつておるのでございます。
  11. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  12. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始め  て下さい。
  13. 山際正道

    参考人山際正道君) なお、この際私は、私のお預りいたしております銀行事務関係からいたしまして、二、三御参考までに感想を申述べさせて頂きたいと思うのであります。  今後、我が国自立経済基礎を培養すべき貿易、その貿易重点は申すまでもなく重化学工業へその方向を向けなければならんということが頻りに言われておるわけであります。併し、御案内通りに、重化学工業製品輸出というものは、戦前若しくは戦時中は勿論でございますが、余りございませんでした。当時は国内建設植民地外地等建設に急でございまして、機械類というものは輸入すれば足るものということでありまして、これが輸出ということは考えられていなかつたのであります。然るに戦後になりまして、現在日本が持つておりまする相当強力なる生産力を活用いたしますために、この生産力を活用する重化学工業製品というものをどうしても海外へ向けて輸出して行かなければならん。そこで、戦後この新らしい貿易の部面が展開されたということになるわけでございます。然るに資本財輸出は御案内通り繊維製品雑貨類輸出と違いまして、手に取つて直ぐわかるという品物ではございません。慎重に設計をし、調査をし、而も買手側も一旦それを買取りますれば、物によつては半ば永久的に使わなければならんということで、非常に慎重なる研究が積まれるのが当然の結果でございます。従いまして、いよいよ話が始まりまして、それがまとまつて輸出の実現を見ますまでには、相当長い調査研究期間がかかるということは当然予想せられることでございます。併し一旦これが成約をみますと、それを手がかりといたしまして、或いは部分品が輸入せられ、或いは又技術が注ぎ込まれるということで、漸次そのあとが続いて参る。そこにプラント輸出の将来の効果が現われて参ると思うのであります。要するに、第一点といたしまして、この種の仕事はどうか相当長い目で御覧を願いたいということが我々当路者の切なる希望でございます。  次に、我が国プラント輸出いたしまする先は、御承知の通り経済後進国でございます。東南アジア諸国中近東諸国乃至中南米諸国でございまして、これらの国はいずれもこの際工業化の段階を進め、その他経済開発に非常な熱意を持つておる。それに対して、日本経済協力をするという形になつてつておるのでございまするが、後進国の例といたしまして、これらの国々は誠に資本に乏しいのでございます。自然その所要設備を売込みまするにいたしましても、長期にこれを取立てるということでなくては彼らの要求と合致いたさんのでございます。更に長期に分割で売込むということのほかに、場合によつては一歩進んで現物出資によつて合弁事業とでもするというところまで踏込まんと、なかなか日本機械工業製品が出て行かんというような実情になつているのでございます。加うるに、主として西欧諸国、ドイツ、イギリス、ベルギー、イタリー等、それらの各国はやはり日本と同じような事情に立つておりまして、これら後進諸国に対して猛烈なる競争を展開いたしておるのでございます。而も世界市場は、プラントものに関する限りは、だんだんと買手市場になりつつあるのでございます。自然各国長期年賦支払条件でそれを売つて参るということになりまするため、もとより我が国といたしましては、極力早く回収するような方法によつて売込むことに努力は続けておるわけでありまするが、勢い、その長期年賦の形をとらざるを得ない。その結果といたしまして、本邦の所要資金の回転もにぶり、同じ仕事をするにも余計資金量を要するという傾向がだんだんこれから現われて参るのではないかと思うのでございます。  それから、次に特に感じますことは、我が国プラント輸出につきましては、ここ一両年が最も大事な時期であると思うのでございます。即ち世界の各軍備拡張計画その他の趨勢から考えましても、この一両年の間に日本相当機械設備輸出市場を作るのでなくては、非常な困難がそのあとに続くのではないかということが身にしみて感ぜられる次第でございます。殊に、朝鮮休戦を迎えまして、平常貿易によつて重化学工業製品輸出して行かなければならんという決意は、業界にも一層この際新たにせられつつある次第でございまして、そのつもりで各般の機運はその方向に強力に向いて参つておると思うのでございます。それらの輸出業者なり、輸出品製造業者なりが、各国と競争して輸出商談を取りまとめまするに当りましては、その背後において、輸出入銀行がどれくらいの資力を準備されておるか、又どれだけの期限、如何なる利率、如何なる条件においてその資金の援助を受けることができるかということが、いわばこれら商談の、相当若しくは決定的なる条件とも言うべき状況に相成つておるのでございますが、その背景の下に、商談が進められ、条件が打合わされると申しましても過言でないと思うのでございます。そこで銀行といたしましては、今御審議を願つておりますような各改正法案によりまして、又他  の各種輸出振興方策と併せましの各種輸出振興方策と併せまして、この際万全の態勢を以てこの最も大事と思われる一両年を何とか十分なる発展の下に過して行きたいと考えておる次第でございまするので、どうか今申上げました諸点を今後における特徴として特におつかみ頂きまして、いま暫く時間を頂きまして、かかる態勢の下に業界一体となつて努力をしておりまするそのあとをいま暫く見守つて頂きたい。これが私どもの衷心の希望でございまするので、この際併せて申上げる次第でございます。
  14. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に通商産業省重工業局長葦澤君に発言を許します。
  15. 葦澤大義

    政府委員葦澤大義君) プラント類輸出状況につきまして、只今山際総裁からの御説明がありましたが、我々の見るところを更に附け加えて御説明を申上げたいと思います。  プラント類輸出通産省としましても非常に重く見ておりますゆえんのものは、やはりこの重化学工業としまして総合的な工業の代表的なものになるのでありまして、一つプラントが完成いたしますにつきましては、単にその主要部品のメーカーだけでなくて、あらゆる部品附属装置等の広く関連産業に亘る振興の問題になりまする典型的なものでありまするので、工業振興の上から申しまして最も重点をおかるべきゆえんのものがここに一つはあると思うのでありますが、更にこういうものが輸出をされまして、これはほかの種類のものにおいても同じでありましようけれども、それが国内需要コスト引下げ、又延いてそれが次の輸出コスト引下げというものに相関連して参るということにおいて重要性があろうかと思うのであります。只今説明がありましたように、二十六年におけるこれの輸出実績が八千七百万ドル、二十七年がこれは大分減りまして三千五百八十万ドルというふうに減少いたしたのでありますが、こういう情勢を今申上げましたような観点から是非本年においては回復したい。更に回復をいたすのみならず、本年度輸出金額十三億ドルの中におけるプラント輸出の一応の予想金額といたしまして、一億四千万ドルという数字を盛込んでおるわけであります。昨年一応この減少しましたものが今年それだけ出る予想があるだろうかということが先ず問題になるわけでありますが、現在の引合状況から先ずこれを見ますると、現在我々の調査いたしました引合金額は三億七千八百三十八万ドルに上つております。この引合が無論全部が全部実現するとは思われませんので、これを一応内容に亘りましていろいろ検討いたしまして、なかなか予想はむずかしいのでございますが三分の一ぐらいの一億四千万ドルというものに圧縮した計画を立てておるわけでございます。このプラント輸出の可能性が出て来るか出て来ないかというのは、やはり短い間ですぐ即断はなかなかできないのでありまして、大体六カ月から長いものは二年引合から契約の成立するまでにはかかるのでありまするが、一応この三億数千万ドルの引合の中から今年度計画を達成せしめたいというように考えておるわけでありますが、副総裁からも只今お話がありましたように、西独或いはイギリス等日本輸出市場における競争国においてもこの点には相当力を入れておりまするので、通産省としましてもこれを手放しにこの輸出の増進というものを見送るわけには参らんというふうにも考えられますので、いろいろこのプラント輸出の増進につきましての考え方を検討いたしておるのでありますが、先ず第一に輸出入銀行の金利の引下げ、これは現在五分になつておりまするが、これを三分にするとか或いは輸出信用保険料の引下げをいたしますとか、或いは税制面から西欧等においてもとつておる考え方なのでありますが、助成措置をするというような考え方も検討をいたしまして目下これが実現につきましてそれぞれ折衝をいたしておるのでありまするが、更にこのプラント類輸出増進の上に私どもは最も必要なことは実際にその現物を海外の百需要諸国において見てもらいまして、これが引合に応じて現地において説明ができ、或いは又すでに納入したものにつきまして従来のように売放しでなくて、そのあとをブレスしまして実際に納入したプラント類の成績を売込んだほうから更にブレスして見て廻るということが非常に大事なことである。これは海外の経済調査に行つて来られましたかたがたの異口同音に述べられたところでありまするが、競争諸国は相当そういう点について力点を置きまして需要国の主要都市のみならず、相当辺陬の地までそういつた現物を持つての実際に即応した啓蒙、販売、宣伝というようなものに力点を置いておられるのに反しまして、我が国はなかなかそこまで手が及んでいないのでありまするが、これは一つには先ほど申上げましたように、引合から契約の成立までに相当長日数を要するわけでありまして、その間の費用がなかなかメーカーなり貿易商において単独では負担し切れないという点があつたのであると思われますが、そういう面においても今度の本年度予算については七千万円計上いたして、不成立予算において三千万円の金額を倍額以上に増額されたのでありますが、そういつた面から重機械輸出相談室とまあ一応仮称の名前をつけておりますが、これを大体六カ所ぐらいに設置いたしまして、今申上げましたようなことに力点をおいて参りたいというようなことを計画いたしておるわけであります。こういつたようないろいろな措置と相待ちまして、今年度における計画は私どもは実現できるのじやないかということを考えておるわけであります。これが引合状況から見ました状況でありますが、更に単なる引合によらず、現在通商協定がそれぞれ結ばれておるのでありまするが、アルゼンチン、パキスタン、台湾、タイというようなところとの通商協定から見ました貿易計画によつて見ましても、プラント類として通商協定による輸出だけでも一億四百九十万ドルという額に上つております。更に鉄鋼製品につきましても、輸出入銀行の融資の対象としての幅が拡がりますと、更に八千五百九十万ドルというものが予想されるのでありまして、この協定の面から見ましても、相当年度プラント類輸出というものが行われ得るという考え方をいたしておるわけであります。そのほかにも先ほど割総裁からも御説明がありましたように、投資額、或いは東南アジアの経済協力関係からコアの鉄鉱石がこのような形式だと思うのでありますが、そういうものから見ましたものにしても、八十億円ぐらいのものが予想されるのであります。こういうようなものを総合して見ますと、我々の一応の計画というものは達成できると思うのでありまするが、更にこれが引続きまして、来年或いはその翌年というように、ここがプラント輸出、の非常に重要な時期であるということを痛感いたしておるわけであります。のみならずこの競争が相当激しくなりまして、先ほども説明がありましたように、買手市場になつておりますので、支払条件が延べ払い条件のものが相当やはりかさんで来ております。これはやはりそれだけの資金力がないと、そういう支払条件には応じ得られないわけでありますが、競争国がそういつた面において相当進出をいたしておりまするので、そういう面におけるやはり措置というものがなければならんと考えておるのでありまするが、こういつたものもやはりその根本は、一に輸出入銀行資金的な措置がとられておるか、とられていないかということにかかるわけでありまして、単なるメーカー或いは貿易商だけの資力によることはもとより、市中銀行のみの金融ベースによつては、到底その根底を培うことはできないと私ども考えておる次第でございます。概略でございますが、御説明を終ります。
  16. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に外務省経済局長黄田君にお願いします。
  17. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 私の申上げたいと存じますことも、大体通産省のほうからおつしやつたことと大同小異だと存ずるのでございますが、我が国貿易の構成図を相当長い間のチヤートにとつてみますと、商品の構成の仕方が少しずつ変つて来ておる。これは急カーブではございませんけれども、徐々に変更しておるということを認め得るのでございまして、その度合はやはり今までの大宗でございました繊維類が少しずつ減りまして、重工業品のほうが上昇カーブを描いて来ておるということが認め得るようであります。その現われは只今葦澤君からも御説明がございました通り我が国が結んでおりますトレード・アグリーメント、貿易協定でございますが、その中に必ずプラントもの、船、その他の重工業品の要求が非常に多いということは、只今仰せになつ通りでございまして、アルゼンチンの五千万ドルを初めといたしまして、東南アジア諸国との通商協定その他にも必ずマシーナリー・イクイツプメントというものが入つておるが、現に最近参りましたユーゴーの使節も、日本から数千万ドルに上るプラントものの輸出を願つておるということでございました。これは通商協定なんか結んでおる国ではございませんけれども、そういう要求もあるのであります。このユーゴー国の申出は未だ実を結んでおりませんので、先方の申出に全面的に応じ得るというわけでもございませんでしたけれども趨勢はそういう傾向を辿つておるのでございます。我が国貿易は不幸にして、これは世界的にそうでございますけれども只今のところは余り振いませんで、非常に残念だと思つておるのでございますけれども、これの原因を探究いたしますと、いろいろございまして、例えばスペシフイケーシヨンが違つておるとか、或いはその他の技術的なこともございますが、大体コストが高いということは、これは認めざるを得ない点ではないかと思うのでございますが、これはとにかく業界の御努力によつて、何とかしたいという御努力の最中でありますが、それを別にいたしまして、いい点は引渡しが早いということでございまして、相当量の注文は来ておるのでございます。又先ほども御発言がございました通り各国ともヘビー・マシーナリーとか、船とかというものに関する引合、売込み方が非常に盛んでございまして、買手市場というような状況でございますが、この競争は非常に熾烈でございまして、各国日本が出て行こうとすると、どうしてもその難関にぶつかる。而も各国とも延べ払いというものを認めましてやつておる。これはアルゼンチン然り、ブラジル然り、パキスタン然り、比々皆然らざるはないというような状況でございます。従いまして日本貿易振興させよう、而も今までの構造図を変えまして、少しでも今の機械、施設或いは造船というようなものを出そうという場合には、これは日本側も他国に劣らざる、或いはむしろ有利なる何かの便宜を図らなければ、到底やつて行けないということは明白なる事実でございます。従いまして、そういう観点を十分お考えと申しますか、十分それを胸中に蔵しまして対抗して行かんことには、我が国貿易増進ということは、これは望んで望み得べくもない状態であるということは確言できると存ずるのでございます。我が国只今スターリング地域等に関しましても輸出の増進がうまく参りませんので、折魚スターリング地域と交渉をいたしておるのでございまするが、こういうところに、東アフリカ或いは西アフリカという国におきましても、只今のところでは繊維製品というようなものはストツクがあるという一時的な理由ではありますけれども、買気を示さない、これに反し、その他の只今申上げましたようなものに関しましては十分買い得る余地があるということも申しておる現状でございます。施設、船、その他重機械類というものに関しましては、ますます力を入れてやつて行きたいと存ずるのでございますが、無論そのためには輸出入銀行に十分なる資金があつて、それでやつて行かなければならないということは、これは明白でございまして、そういう方向に進みたいと思つております。
  18. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に参考人として御出席願つた三人のかた、どなたからでもよろしございますから、一つお話願いたいと思います。
  19. 小林政夫

    ○小林政夫君 今副総裁、並びに政府委員からいろいろ説明を聞きましたが、このプラント輸出重要性、大いにやらなければならんということはよくわかつておる。ここで問題になつておるのは、現在輸出入銀行には二百十億の資金がある、そのうちで今までの実績は最高ピーク時において貸付残が六十七億ある、最近は五十二億数千万円というような状態であつて、非常に余裕金があるわけです。百五十七億五千万円くらいの余裕金がある、そういうようなことは勿論、大いにプラント輸出をやらなければならん、その金が足りないというくらいになることは、我々望ましいと思つておるのですけれども、現実の事態はそのような余裕金が輸出入銀行にあるということは考えなければならんのではないか、むしろこの貴重な資金を日銀に預けたり、或いは食糧証券を買つたりというようなことで、寝かしておくよりは、むしろ他の緊急を要する部面に場合によつては使つて、そうしてただ幸い我々の望むようにプラント輸出が十分に行つて、金が足りなくなつたというような場合には、資本相当額借入金ができる、場合によつてはその借入限度を、資本相当額より幅を拡げても借入ができるような途を開いておいて、将来入用の場合においては或る程度金が出せるという弾力性を持つた取計いをすることによつて、一応今の当面の余裕金については考慮を要するのではないかというのが、この問題の焦点なんです。その点お含みの上いろいろ御高説を承わりたいと思います。
  20. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 今御質問も出ましたが、なおいろいろな前のおかたがたと重複いたしますので、要点だけに触れたいと思います。  先ず結論的に申しますというと、私今日は造船工場の観点だけから申上げたいと思います。  終戦直後、昭和二十一年から昨年末までのプラント輸出、即ち船舶鉄道車両電気機械、通信機械繊維機械その他というようなものを取上げてみますというと、年度ごとに、相違はいたしておりますが、これを平均でとりますというと、プラント輸出のうちの約七〇近くを占めておつたものが造船の輸出であります。即ち造船は、プラント輸出の大宗であつたということが言えると存じます。その前にちよつと申上げたいと存じますが、これはもはや言い古されたことでありますので喋々を要しませんが、我が国のような国情におきましては、相当思い切つて、他のことを殆んど犠牲にしてでも輸出振興による外貨獲得ということを以て第一義にしなければなるまいと思います。若しこれが徹底いたしませんというと、すぐ近い将来に米すら買えなくなるということであろうと存じます。勿論戦後家もない、道路も悪い、いろいろなことがありますが、現に西ドイツのごときは、昨年も私調査して参りましたが、御承知のように、一九五一年の六月に、いわば輸出振興奨励法というようなものを作りまして、その法律の中に盛られておる到底十指を以て屈し切れない程度の有効適切な輸出振興法によりまして、只今着々と西ドイツは成功しつつあるのであります。その結果我が国は、妙な言葉でありますが、着々として負けつつあるというのが現状であります。イギリスにおいてはなお更然りであります。而も彼らは飢餓輸出と言つていいくらいな覚悟を以て輸出第一、外貨獲得第一ということをやつておるのであります。西ドイツは御承知のように、五五%の食糧を輸入しなければならんという国でありますのでなお更切実ではありましようけれども、併しながら彼らはかくのごとくやつておりまして、その結果、と同時にわが国の物価高、これは朝鮮動乱に原因するのが主でありますが、そのためにだんだんと輸出がこの一、二年は伸びなかつた、こういうことでありますが、昨今幸いにして政府当局或いは議会当局輸出振興をしなければならんということでやつておいでになるのでありますが、それで船舶只今申しましたように、過去における輸出プラント輸出の大宗であつたのでありますが、遺憾ながら昨年あたりは最も量が少なかつたのであります。然らば今造船界はどうかと申しますると、世界各国の造船所はおおむね……尤も我々の競争相手はイギリス、スエーデン、ドイツといつたような国でありますが、英国は昨年末の調査によりまして、四カ年半ばかりの仕事を持つております。スエーデンが三・七カ年、ドイツも三年半の仕事を持つておる。ドイツの造船量の約六割五分は輸出品であります。イギリスもおおむねそんなものであります。なぜかくのごとく、而もついこの間のアメリカのジヤーナル・オブ・コマースの調によりますと、六月三十日付の調でありますが、昨年中にアメリカが発注いたしました船舶は合計百七十八万四千トン、これを海外に発注いたしております。英国、西ドイツ、日本、オランダ、フランス、ベルギー、スエーデンその他の国々に三百三十隻を発注いたしております。これらは何でかと申しますると、アメリカが一番発注高が多いのでありますが、欧州及び極東市場において米国の油糟船の航行権が非常に拡大したという事実及びこれによつてポンドその他の外貨収入が非常に増加した。アメリカはこれらの外貨はそれら各国の行政措置のために米国本国に送金の困難な点があるというような点も加わりまして、こんな大量の発注になつたのでありまするが、なお又世界の船腹を見てみますると、船腹の何と申しますか、老朽度と申しますか、それをみますると、おおむね五年未満の船というものは世界中の船腹におきまして約三割三分しかないのであります。なお四〇%が戦時標準船であります。そうしますと、十年以上の船腹がせいぜい二、三割しかないということでありまして、特にオイル・タンカーのごときは十五年たてばもはやそれは使いものにならないということでありまして、世界は着々とこれら老朽船のスクラツプ・アツプ及び新造代替ということをやつておるのであります。現にそれでは我が国はどうかと申しますると、今年四月の調査でございますが、それ以上又殖えておりますので、いま少しくこの数字は殖えておると思いまするが、只今その四月頃の調査によりまするというと、我が国における各造船所が外国から建造の引合を受けております数量が二百五十五万五千トンに上つております。この中には勿論ちやちな引合もございましよう。又ダブつたものもございましようが、かくのごとく過去において外貨獲得、プラント輸出の大宗であつた船舶でありますので、せめてこの一割くらいはとりたい、二十五万トンか三十万トンくらいとりたいということは当然であります。又過去においてはとれておつたのであります。海軍なき今日、終戦後我が国の造船会社は輸出船によつて代替し、それによつて外貨を獲得し、それによつて生きて来たのであります。而ももう一つ忘れて頂きたくないことは、この船舶というものは成るほど東南アジア諸国にも若干輸出いたしましたが、おおむねアメリカ、フランス、イギリス、デンマーク、ノルウエー、スエーデンといつたような一流先進国の船主の注文品であります。現在の引合もこれらが大部分であります。勿論先ほどのお話のように東南アジア或いはインドネシアあたりからも相当引合がございます。というわけで一流先進国へ売れ得た商品でございます。ただ遺憾ながら現在オイル・タンカーにおいて一割足らず、いろいろな事情によつて高いというようなことのために途絶えておるのでありますが、先ほど来のお話のように、今いろいろの手段をとられておりまして、私は只今でもその手段の中の若干が実現するならば、すぐ様でも契約できるのが相当ございます。現にこの数日間に契約を見るのであろうと思われるもの、或いはひよつとしたらそこまで輸出入銀行あたりにお話が行つていると思われるものに約十万トンのものがございます。まだ勿論契約成立はいたしておりません、というわけでありまして、仮に十五万総トンの外国船を引受け得られたと仮定いたしまするというと、若し契約金額の八割までを輸出入銀行が単独融資して頂ける、先ほど来のお話のように完成払い或いは一、二年延べ払いというのが多いのでありまして、これは完成払い、それまではレター・オブ・クレジツトを立てるという条件の下に計算いたしまするというと、たつた十五万総トンの外国船をとつたと仮定いたしましても、輸出入銀行から拝借しなければならん金は百二十億六千百万円になるのであります。八割の融資を願うとしまして、若し二十万総トンを注文をとり得た、勿論このくらいはとりたいのでありますが、そうしまするというと、百六十億八千六百万円という金が忽ち拝借しなければならん金でありますが、若し二十五万総トンとり得たならば二百一億八百万円という金を拝借しなければならんことになるのであります。而もこのうち十万総トンくらいは直ちに今契約を見られようとしておるのでありまして、なお我々はこんなことでは利底満足できない数量であります。こういうことからいたしましても、なお又輸出入銀行資金相当あるという裏付けがなければ我々輸出の商売をいたしまする時に到底商談に応じ切れないのであります。輸出入銀行相当な金がある、だから相当の金が拝借できる、OK、よろしい、一年払いよろしい、或いはほんの完成までには三割しか払わない、あとは延べ払いでよろしいという商談に応じられるのでありまして、万一輸出入銀行に僅かの金しかないというときには、商談にすら応じられないということになるのであります。こういうふうに申上げまして、過去において実績のある造船業だけについて申上げましても現在の輸出入銀行資金というものは、私はむしろ不足であると申上げたいような気がするのであります。まだほかに申上げたいことがありますが、取りあえず端的にこの点だけを先ず申上げたいと存じます。
  21. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に倉田君。
  22. 倉田主税

    参考人倉田主税君) 先ほど来山際総裁並びに重工業局長からお話のありましたような事柄については、私ども痛切にその必要性を感じておるものでありまして、その必要性であるということと同時に資金が潤沢であつて欲しいというようなことについて簡単に御説明申上げたいと思います。私どもは日立製作所としては戦前においても輸出をやつてつたのであります。これは恐らく電気機械とか何とかいうものの輸出においては非常に目覚ましい存在であつたかと思うのであります。それから終戦後になりましても勿論国家の要請を以ちまして、機械工業界として或いは重工業輸出振興会等としまして、どうしても輸出が大事であるというようなことを力説いたしておつたのでありますが、たまたま私、重工業輸出振興会というものの会長をやつておりました関係輸出入銀行というものの痛切なる必要性を感じまして、それからこういう銀行ができたことを私ども非常に有難く、而もこれを活用しておつたのであります。ところが二十六年の頃になりまして、この銀行が開始になりまして以来、私どもはこの恩恵をこうむることを非常に有難く恩恵を受けとつたのでありますが、その後御承知のような世界的景気の後退がございまして、私どもが戦前にやつておつた輸出の状態と戦後の輸出の状態とは全く変つておりまして、過去の経験とか、過去のいろいろな機関というようなものが殆んど役に立たん。或いはなくなつたというような関係においてめくら貿易のような恰好になつておりまして、そういう中立を一生懸命で輸出を開拓しまして、二十六年のような形が出て来たと思うのでありますが、二十七年は先ほど申しましたような世界的な景気の後退によりまして非常に伸び悩みの形になつて、折角輸出入銀行ができて而もそれがだんだんと我々の希望によりまして、金利の改正或いは引下げ、或いは輸出入銀行になるとかいろいろ業務要領の拡張等によりまして我々も便宜をいたしておつたのでありますが、二十七年の経験を見ましてどうしてもまだまだ輸出入銀行業務拡張であるとか、或いは貸付期間の延長であるとか、或いは又通産省からお話のありましたような金利の引下げでありますとか、或いは為替保証法であるとか或いは輸出信用保険とか或いは私どもが一番めくら貿易で困つておりました重機械相談室を海外に設けるとか、或いは原料価格の高いものを税法上の措置によつて何とかこれを引下げてもらう、或いは又通商協定に則つて輸出をするとか、なお決して忘れるのではありませんが、我々の自体の合理化によつてコスト引下げるというようなことによつて、どうしても輸出振興しなければならんというようなことを深く感じております。併しながら先頃お話がありましたように、二十七年は甚だ遺憾な数字で終始したのでございます。で二十八年はいろいろのこういう輸出入銀行業務要綱の拡張或いは通産省のいろいろの措置によりまして何とかして我々はこの国家的に要請されております機械輸出、重工業機械類重化学工業類の輸出をうんと伸ばしたいということを考えておるのでございますが、最近コスト引下げも、或いは又今いろいろ措置がとられております金利その他の関係が、これが若し認められますならば、必ずや輸出が推進できる、十分伸びるというような自信を持つて、今非常に多くの見積引合に対してこれを勇気を持つて見積り中でございまして、先ほど副総裁からお話しのございました今輸出入銀行に申込んでおります関係の二十五件、二百四十六億というようなものも勿論ございますが、今私どもが手許で見積ろうとしておるものに相当の数がございまして、今手持のものだけでも二百億近いものがあるのであります。これは金額その他は或いは差障りがあると思いますから記録をやめておいて頂きたい。
  23. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  24. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。
  25. 千金良宗三郎

    参考人千金宗三郎君) 私は全国銀行協会の千金良でございます。今度の輸出入銀行法の一部を改正する法律案、これにつきまして考えを申上げたいと思います。  この案の要旨は申すまでもなく、輸出入銀行業務の範囲を拡張しまして、輸出金融を従来より一層自由に行えるようにしよう、その一つは、海外投資のための金融には十年からして最長十五カ年期限の延長をすると、又第二には、海外における生産事業資金にも投資の場合に準じて資金の供給を行う。即ちやはり期限の延長であります。それからして第三は、輸出金融業務の範囲を拡張する内容でありますが、海外における入札の保証金であるとか、海外におけるいろいろな雑費の支払であるとか、又海外における輸入に関する前払金の支払等の融資を行、い得る。第四には、この一般の融資期限を従来の最長五カ年間であつたものを十カ年間に延長することができる。第五には、融資は、従来の取引銀行といいまするか、市中銀行との協調融資であつたものを輸出入銀行で単独の融資ができるようにする。第六には、この業務を行うために必要な範囲で外国為替の業務を営むことができる。こういうところが改正案の大要であります。  輸出入銀行がこの機械設備であるとか、或いは技術の輸出というものを促進するためにできましたのは二十五年の末、資本金五十億円でありましたものを、その後二十七年に鉄鉱石、石炭等の輸出振興上に必要な重要原材料の輸入を促進するための融資も併せて行うことができるようにするために輸出入銀行と改称しまして、資本金が、政府の出資金ですが、政府の出資金が二百十億円になつたのであります。当行の融資の方法は法律規定によりまして、必ず市中銀行との協調融資によるということが必要になつております。いわゆる市中銀行のスクリーンを通すというのが狙いであつたのであります。貸出の返済期限は原則として六カ月以上三カ年以内、特別の場合は三カ月以上五カ年以内というふうになつてつたのでありまするが、今度の案によりまして、これが延長されるわけであります。で、これまでの融資の状況を見ますると、最近の数字は六月末で融資は三十五件、五十六億円になつております。一方保有金は、先ほどもお話のある通り、食糧証券であるとか、外為証券等の短期証券に投資されておる、こういうわけであります。当行の実績が挙がらなかつたのは、実を申しまするというと、これは銀行の罪では全然ないのでありまして、我が国の物価の割高のためであるとまあ言えば言えるのであります。プラント輸出は二十五年が四千六十九万ドル、二十六年が三千七百万ドル、二十七年は三千五百万ドルと漸減しております。これはむしろ融資の関係ではなくて、価格の引上げの関係であると思います。従つて、これは最近のお話によりますると、只今山際総裁並びに工業会両氏のお話によりますると、だんだんと輸出環境が好転しつつある。従つて、今後は輸出銀行の活躍というものが見られるわけであります。私が大体この改正案の要旨につきまして考えを申述べますると、第一に輸出振興は刻下の最緊急のことでありまして、英独等西欧の諸国が国策として、国家の総力を挙げまして輸出増進に邁進しつつある。我が国はいつもこの点では立遅れの感があつたのであります。こういう時に遅蒔きながら本法の改正によりまして、金融面からも輸出の増進を図つて、東南アジア開発の便宜を与えるとか、又は安い原料の買付によりまして、国際収支の改善を図ろうということは、趣旨におきましては極めて妥当でありまして、賛成であります。但し我々銀行業者といたしましてこの改正法案が極めて広汎であり、且つ又活動の自由を非常に与えるという面がありますることに鑑みまして、多少の老婆心を申上げたいと思うのであります。  その一は、所詮この金融であるとか、或いは外交面のいわゆる通商協定であるとかというものは貿易の補助となるものでありまして、従つて貿易自体の基礎の欠陥を補整するということはできないのであります。これまで同行の融資が進まなかつたということは決して同行の業務範囲の制約であるとか、或いは融資の条件が不適当であつたというばかりではないのでありまして、根本的には我が国の物価の国際的割高であるということが主な原因であります。なおこれから先、国際競争はますく激化して行くであろうということの公算は非常に大でありまするからして、一層この点が感ぜられるのであります。それで、これから先輸出の見通しは頗る明るい。そうなりまするというと、輸出入銀行資金というものは一層豊富でなければならないのでありまして、只今あいている金が百六十億円とか申しまするが、そのぐらいの金は、百六十億でありますからして僅か五六千万ドル、これは少し大きな輸出の相談がまとまる時にはすぐなくなつてしまうのであります。そのためには是非とも多少豊富な資金を貸付けてもらいたいのであります。この改正によりまして、同行の分野が拡大しまして、海外投資、又製品輸出に対する金融等が認められまするというと、ただ一つ我々が考えてみなければならないことは、よくこの国民経済を勘案しまして、資金の効率的な使用の方法を考えてもらいたいということであります。五年、十年、十五年というような融資を少しやりまするというと、すぐ資金が枯渇するという虞れがあるのでありますからして、できるだけ効率的にこれを使つて頂きたい。これが考えられるところであります。なお又この海外投資という面がありまするが、これも銀行は飽くまで銀行でありまして、政府の機関である場合には、金利等は資金コスト関係上必ずしも市中の金利と同等であるということは必要でないのでありまするが、併し回収の確実性ということは当然必要なことでありまして、輸出の補助金とは違うのでありますからして、やはり金融の本質は誤らないように、銀行としての銀行らしい活動が望まれるのであります。  それからしてその次は輸出入銀行の単独融資であります。これは従来は市中金融の補完機関であるということになつておりまするが、併し只今申しましたように、非常に銀行の活動の分野が広汎になつて来まして、到底市中金融では協調できかねるという程度になる面もできるかと思います。かような場合には止むを得ないという意味におきまして、この同行の融資を単独でやるというようなことは必要であると思います。ただ単独であろうと、協調融資であろうと、やはり前に申しました通りに、金融の本則を誤らないということは必要であろうかと思います。なお又外国為替の業務を行うこと、これもやはり海外投資並びに海外における長期金融という面では必要でありますので、併しこの点につきましても、やはり必要性の最小限度というところに限るべきものではないか、これがむしろ同行の活動のためによろしいのではないか、こう思うのであります。いずれにしましても、恐らく業務方法書というようなものがこの法律のほかにできるでございましようが、そういう面で以上の点は十分補足できるものと思います。私の申上げることはこれだけであります。
  26. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  27. 小林政夫

    ○小林政夫君 外務省から経済局長が来られたようですから、経済局長への質問を先にいたします。  先ほど通産省説明によつて通商協定によるプラント輸出が一億四百九十円ダラーということだつたが、それについてあなたのほうからも詳しく説明をして頂きたいと思います。
  28. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 通商協定によりますプラント類輸出計画は、日本からの輸出がアルゼンチン、これが一番大きいのでございますが、五千万ドル、それから。パキスタンが二千八百万ドル、台湾が千七百九十万、タイ国が、これは二百万ドル等となつております。合計プラント類で一億四百九十万というふうになつております。
  29. 小林政夫

    ○小林政夫君 その通商協定というのはどういうことなんですか。今のそれぞれのアルゼンチン、パキスタン、台湾、タイ国、このそれぞれの金額というものは二十八年度中にそれだけを出すという約束なのか。
  30. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 協定の始期と終期が国々によつて違いますので、何月から何月全部ということに当篏るわけではございませんけれども、大体いずれも一年間を基準といたしております。従いまして、いつからいつまでということではございませんけれども、大体今年中或いは来年四月から始まつて三月までという差はありますけれども、大体一年間限つてこれだけのものを日本から輸出しよう、決してこれは確たる約束と申しますか、コミツトメントというわけではございません。と申しますのは値段とか、或いは大きいものは値段でありまするけれどもデイリヴアリイの時期とか何とか一つ一つは個々の商売に任してございますので、これが必ず実現し得るという金額ではございませんけれども、これを作りますときに与えられました情勢の下において予見し得る額はどのくらいであるかというものを作りましたのが、只今申上げました数字になるわけであります。
  31. 小林政夫

    ○小林政夫君 順々に御質問申上げますが、副総裁から輸出入銀行が当面受付けておる借入申込状況、それは内談程度のものを含むということでお話があつて相当金額の御発表があつたわけでありますが、併しこれはプラント輸出の性質上、二十八年度中に必ずこれだけのものを銀行が融資しなければならんということでもなかろうと思います。万一幸いにこれだけのものが契約成立したとしてですね、月別の融資予想額というものはわかりますか。
  32. 山際正道

    参考人山際正道君) 従来の経験に鑑みますと、申込みを受付けまして、いよいよそれが諸般の条件が整いまして融資の段階に行きますまでには、その問必らずいろいろ複雑な手続が起ることがあり得ると思います。単に国内的手続きのみならず、先方の、例えば輸入の許可の問題でありますとか、いろいろ為替の関係の許可とか問題が、ございまして、そのために時期がずれることは相当ございます。従つて個々の申出につきまして、いつ頃それが成約されて、いつ項金が出て行くかということがなかなか目測が立ち難い状況になつておりますのみならず、今受けております申込額はございますけれども、過去の実績に鑑みますと、思わぬ故障のために途中で破談になる場合も勿論ございます。と同時に日が経つに従いまして新たなる申込みが又出て来るということもございますので、実は丁度今お尋ねのございました、私が申上げました申込の状況に属する月別の計数というものはちよつと手許に用意いたしておりません。大体の資金の受払いという資金計画の面からの全体としての数字は計表を持つておりますが、それは今申上げましたことばかりでなしに、既往貸付の回収もございまするし、既往の約束で、約束はいたしましたがまだ貸出しの手続を取つておりませんものもございます。それらの出入りを操作いたしました金繰りの表はございます。
  33. 小林政夫

    ○小林政夫君 山際総裁は、先だつても申上げたように、非常にあなたに対して申上げるのは私は恐縮ですけれども、これは銀行の責任ではなくして、今も千金良さんからお話があつたように、日本情勢から説明されているわけで、又特に輸出入銀行に対して我々どうこうという感じを持つて申上げているわけではない、本当に財政資金を効率的に使いたい、こういう意味からの検討でございますから、その点は悪しからず御了承願いたいのですけれども、従来の、輸出入銀行に出資を殖やすというような場合における銀行当局その他政府当局の見込は、すでにこれだけのものは必ず年度内に要るのだ、輸出はこういう状態で是非やらなければならんということは確かなんですけれども、やれるという見通しが今日までどうも残念ながら実現して来ておらない。こういうふうな申入状況がある、申込を受けておる、或いは内談を受けておると言われても、もうすでにこの予算が通過して、幸いに順調に行つても八月一日からの施行で、四カ月はもう二十八年度は経過しておるのであつてあと八カ月間のことになつてしまいますが、それが五月末現在では五十二億何がしの融資しかない。こういうような状態で、あとの八カ月間で百五、六十億の融資をするということを建前として考えますと、なかなか意気込みとしては是非やりたいと言われても、今の月別くらいに、もうこれくらいの成約があつてこうだ、こういうことでないと、今の御説明の範囲から行くと、確実に要るのだということが受取りにくいのですが、その点は如何ですか。今度は間違いなくこれだけは、年度内に貸付残が二百十億一杯ぐらいは必ず間違いなく実現するのだという強い御確信があるかどうか。
  34. 山際正道

    参考人山際正道君) 従来幾たびかここで御説明いたしました結果が、只今一応御指摘のような計画で今日に至りましたことは非常に私自身遺憾に考えております。併しながら顧みますならば、輸出の増進のことが叫ばれております折から、皆さんのお話の通り、やるにはその道具立が未だ揃わざる観があつたのでありまして、我々は非常に焦燥を感じておつたのでありますが、一面において国際競争は日に日に熾烈になるということで、今までの道具立だけではますます減退を予想されるような際に再会いたしまして、今回はただにこの銀行法の問題のみならず各般の、先ほど来御説明のありました各般の施策が轡を並べて用意せられて行くという本格的な展開の段階に参つたのであります。而して只今説明のありましたように、非常に有望な申込等が相当つております。これに対する業界の勢いも非常に意気が盛んでございます。私は今回は特に只今申上げましたような資金状況は十分に年度内に活用できるという確信の下に現在進ん  でおります。
  35. 小林政夫

    ○小林政夫君 それでは通産当局に聞きますが、先ほど本年度輸出助成策として考えております、こういうことで輸出入銀行の金利は現在五分であるが、三分に下げたいと思つておる、輸出信用保険料の引下もやりたいと思われるのであるが、一体どれだけ実現させるつもりであるか、この金利の引下げははつきり三%にするかどうか。それから税制による援助と言つても、今我々が承知しておる税制面においては、貿易商社の助成或いは輸出損失金に対する引当という程度のものであつて、直接輸出コストを下げて云々というような税制面におけるものではない、貿易商社を強化するという税制面からする措置はあるが、直接輸出コストを下げるための助成策その他の問題について何を具体的に、今までよりも積極的にプラント輸出が増進できるかという具体的な助成策があるかどうか伺いたい。
  36. 葦澤大義

    政府委員葦澤大義君) 今年度の見通しの問題について先ほど申上げたのでありますが、現在の実績から今年度はこうあるだろう、こういうので、私はまだ時期が早過ぎると思うのでありますが、これは契約の成立はその時になつて初めてわかるわけでありまして契約成立の可能性ということが問題になる、引合従つてその根拠になるのでありますが、先ほど御説明を申上げましたほかにも、実はインドで相当の車輌の入札があるのであります。これは今年の秋に行われる予想でありますが、この内容を見ましても、機関車が二百輌、貨車が七千輌、電車が五十輌その他ボイラーとかそういつたもので三百億円ぐらいに上る車輌関係の入札があるというようにも現地からも報告を受けております。こういうものが仮に三分の一ぐらいに落ちましても百億というものがそこで契約が成立して参り、それの製造資金というようなことになりますので、これは将来にかかる問題でありますから確言は申上げかねるのでありますけれども、併しその可能性は十分に私ども確信いたしておるのであります。助成の具体策として先ほど申上げたのでありますが、これの実現は、これは関係のところとそれぞれ相談をいたさなければなりません。只今考えております我々のほうの考え方としては、金利のほかに信用保険料を、現在二%になつておりますが、これを〇・五%ぐらいに引下げて、而もこの附保率が八割でございますが、九割に引上げまして負担の軽減を図りたいということを具体的に考えておるわけであります。又税制面におきましては、我々の一応の案といたしまして、輸出業者のみならず製造業者につきましてもその売上額の一定パーセントのものを輸出振興の準備金として積立てまして、その積立金計算上損金に算入いたしまして、課税の対象から控除する、こういうような措置が考えられるわけであります。これもまあ関係のところと相談をいたしたいと思つております。具体的にはそういうようなものを考えておるわけであります。現在の国際価格との比価でありますが、物によつて大分違うのであります。日本のものが高い、これは無論日本繊維機械というふうに安いというものもありましようけれども、その他高いのは一割から二割程度のところでありまして、これは今申上げましたような若し措置がとられるならば、総合しまして八房上廻るくらいな我々の計算では対策になろうというふうに考えておりますが、その他やはり何と申しましても啓蒙宣伝と申しますか、こういうものは非常に重要であろうと思うのでありまして、こういう機械類は無論この安いに越したことはないのでありまするが、併しながらこういうプラントを買うだけの需要者というものは、私どもやはりそれにその需要者が馴染んでもろうということが非常に大事なことで、例えば一万円高いから、こういう大きな機械類のものは、AとBと比較して、Bのほうが一万円高いから買わないというようなことではなくて、一万円高くても仮にAのほうが馴染みがある、使つてみて工合がいいからというようなところにやはり需要というものがついて来るというように思われますので、普通の商品と違つた面もありまするので、こういつた輸出ドルと申しますか、販売ドルと申しまするか、そういうものまで計算上では出て参りませんけれども相当やはり効果の挙るものだというふうに考えておるわけであります。
  37. 小林政夫

    ○小林政夫君 輸出が有望だ、引合はたくさんあるということは、私はプラント輸出をやつておるが、ほかのほうの輸出もやつておるが、引合はたくさんある。その成立するまでになかなか骨が折れる。そういうちよつと何千万ダラー引合があつたからといつて、すぐ輸出になつて現実の受注となつて実現するというものはそう何ケースもあることじやないんです。幾らでも世界の相手から引合はたくさん来るけれども、必ずそれが受注の形になつて現われるということは考えられない。まあ何億ダラー引合があろうともその何分の一が実現するかということは、今までの実績によつて考えてみなければならん。特に国際情勢が去年よりも今年のほうが遥かにいいということは見通せないんじやないか。むしろ今までよりは、この軍需生産のテンポが緩慢になるに従つて、ほかのほうに我が国の競争が相当の力を持つてプラント輸出の面において我々の競争相手として現われることが予想される。だから今まで以上の何か策がある、こういう策を実施するから間違いなく今度はこの程度の輸出の伸びがございます、こういうことならわかるけれども、ただ漠然とこういう引合がある、こういう引合があるから大体行けるということでは我々は納得できない、これは見解の相違だけれども。  そこで今の助成策ですが、私のあなたに対する質問のポイントは、この助成策をどうするんだということなんだ。で、今の啓蒙宣伝のために、或いは馴染みをつけるための技術相談室の七千万円というものはわかる。それから今の税制面におけるメーカーであるとか、輸出業者が輸出金額の何パーセントのものを積立てる、準備金として積立てさせる、そしてそれを損金に算入させるということは、租税特別措置法の一部改正で今出ておりますか、それが一点。  いま一点は、今の輸出保険料の引下げであるとか、或いは輸出入銀行の金利引下げというものは、これは予算関係することですよ。予算案にそういうことは載つておらない。政府が提出する予算案ではそうやろうと思つても、関係当局と相談しなければならんと言つたつて、今この問題について、この一連の予算案にはそういう引下げたということで予算には載つてない。言うだけじや駄目ですよ。実際こうやるんだから必ず伸びますという話ならわかるんだが、こうやりたいと思つても現実の数字になつて現われない。
  38. 葦澤大義

    政府委員葦澤大義君) 引合があつても実際に契約するのは少い、御説誠に御尤もであります。従いまして、我我も契約数量そのものの半分というものではなくて、低目に押えまして、可能性の上から低目に数字を見込んでおるという状況でございます。そこはやはり小林さんと見解の差違になるところであります。
  39. 小林政夫

    ○小林政夫君 その点を問題にしているんじやないが……。
  40. 葦澤大義

    政府委員葦澤大義君) なお金利の引下げと保険料率の引下げにつきまして、現在そういう具体性はないではないかという御指摘でございますが、我我としてはこれを実現をいたして行こうということで折衝をいたしておるわけでございます。
  41. 小林政夫

    ○小林政夫君 いや、あなたの希望はそうしたいと思つておるんだけれども、実際に今、あなたも政府委員ですよ、今政府の提出されておる予算案にはそういう措置は盛られていない。だから或いはこうしたい、こういうことが実現できれば輸出が殖えるだろう、私もそう思います。あなたの言われるように今までの五%を三%に金利を下げる、或いは輸出保険料の料金の引下げ、或いはその保証率を低くするとか、輸出金利のコストを下げる、こうなれば今までよりも輸出がしよくなることは、これは当り前なんですね。ところが政府の施策としてはそういう施策は現われていないということ。だから言つてみてもそう今助成策として予算に盛られ、実現性のあるのは七千万円の宣伝費とそうして税制面による今の準備金の損金算入、この二つだけじやないかとこういうのです。それは認めるでしよう、その事実は。今実現してないということは、実現したいと思つても実現していない。
  42. 葦澤大義

    政府委員葦澤大義君) 現在としては御指摘のように認められていないのでありますが、これは又予算関係におきましては補正予算という場合もありましようし、年度内に実現されるかされないか、これは折衝によるわけですが、御指摘のように現在の段階ではないわけでありますが、これを仮に小林さんのおつしやるように、こういうものを実現されないというふうになつた場合、どの程度影響するかということが問題になろうかと思いますが、私どもの一応の計算によりますれば、現在の保険金利の五分を三分に引下げるということになりましたならば、大体どのくらいに、機械にして下るか、我々の計算によりますと二・九%というものを見たんです。それから保険料率のほうは〇・六%というものを見ておりまして、従つて三・五%ぐらいのものは影響する。これは紙の上の計算に過ぎないのではないかというお叱りがあるかも知れませんが、一応見当はそういうことであります。そうしますとほかの関係のもの全部を合せて、先ほど申上げましたように八・二%くらいのものを見ておるわけであります。約五%くらいの影響しかない、それで一体そのくらいの影響で先ほど申上げましたようなプラント輸出計画は実現できるかできないか、こういう結局問題になるわけであります。これもやはり先ほど申上げましたように数字を以て計算をし尽せないところのやはり輸出努力というものも、七千万円の私ども努力の期待にこれは相当幅があり、全然これは上らんと言えば上らんでしようし、相当上ると言えば上るという面があろうかと思いますが、そういう面の努力によりまして、事態の新解決を見たいと、こう思うのでありまするが、なおこういつた関係は無論この原材料の値段が下るか上るかというところにも一つの非常に大きな問題がありますので、只今御指摘になりましたように世界の軍需というものはスローダウンいたしておりまして、非常に競争力が激しくなつておりまするが、それの競争となるところから、例えば石炭においても相当貯炭ができて参つておりまして、値下りの交渉が相当行われておる。鉄鋼におきましても最近銑鉄の外販を最も余計いたしております富士製鉄が、トン当り千円の値下げをいたしております。こういつた原材料の値下りというものがやはり響いて参るのでありまして、かれこれ勘案いたしますときに、私どもはやはり現在の段階に、おいては、我々の考える措置が十分にできなくても、計画は一応遂行できるのじやないかというふうに考えているわけであります。
  43. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 議事進行について……。小林さんの質問に関連して申上げたいのですが、今政府委員をとつちめたつてしようがないので、これは大蔵大臣と通産大臣に一遍この法案を審議するために出て来てもろう。輸出振興の問題は事務当局のほうで来て、その事実を事実として聞く程でとどまらない。今度は全部の関係法案、輸出入銀行及びこれに関連する輸出振興方策については、一つの一貫した同じような政策が行われなければいかん、こう私は考えるので、まあ大蔵委員会はとかく政府委員だけを呼んで事を片付ける癖があるが、この法案を審議する時には是非大蔵大臣と通産大臣の出席を要求して下さい。そうでないと困る。
  44. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の通産当局の答弁では私も満足していないのです。堀木さんの言われるように、通産大臣、大蔵大臣を呼んでもらおうと思つております。ただ一点、堀木さんも予算委員でありますが、只今の通産当局の補正予算案という言葉は相当注意して言わないと問題になりますよ。そういうことを簡単に言うようではここに予算委員もおるのだから……。
  45. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 その点は実は予算関係なしにできるのですよ。来年度日本銀行予算と、それから輸出入銀行予算にも関連して来る。
  46. 小林政夫

    ○小林政夫君 予算に関連するのですよ。
  47. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 まあ来年度出て来る分は……。政府のほうは別にして、参考人のかたにお聞きするところから先にやつたらどうですか。お待たせしておくのも悪いと思うんです。
  48. 小林政夫

    ○小林政夫君 千金良さんにお伺いしたいと思いますが、今、今度の改正案についての御意見を承わつたのでありますが、私が一番問題だと思うのは、設備以外の製品について、プラント輸出じやなく、製品についてこの銀行は融資をする。政府委員説明によるとプラント輸出に関連したものに限定したい。その中には国民生活の必需物資で是非輸入しなければならないものがある。その見返りとして何かこちらから製品、鉄材等を出す場合においては、これもこの銀行の融資の対象とする、それは相当期間が長くかかる虞れがある、こういうようなことですが、併しこれは今の業務方法書で相当制限するといつても、なかなか、だんだんやつていると、而も今度のような状態で金が余つているじやないかという話があつて、どんどん融資実績を挙げて行きたい、こういうことになつて来ると、あなたがた一般の市中銀行でやれる部分までこの銀行業務拡張して来る虞れがあると私は思う。輸出入銀行という特別な政府機関を作つて他の市中銀行がやりにくい融資をやる、こういう本来の目的から逸脱して、普通の市中銀行と競合的な面が現われて来るのじやないか、この点についての御
  49. 千金良宗三郎

    参考人千金宗三郎君) 御質問にお答えいたします。私の考えでは市中銀行と競合する面はないと思われます。と申しますのは、大体今まで輸出入銀行が市中金融機関の補完機関であつて、というのは市中銀行と共にやるという意味で補完的機関であります。併し現在のしかたで国際貿易競争という面に直面しますというと、市中銀行が全然やれないところをやるという意味でないかと思いますので補完的機関であります。只今御質問のような、製品を海外輸出する。まあ近い例が仮  にフランスならフランス、パキスタンに出すというような現状、これは直ぐは売れない。向うにそれを或る期間、即ち需要期まで持つていなければならないというような事態じやないかと思います。そういうものは大部分の資金をこの輸出入銀行が出しませんとできないのじやないか。従つてやはりプラント輸出もありますけれども、製品の場合でも市中銀行はなかなかやれない、これが相当あるのじやないかと思われます。
  50. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから先ほど特別の理由があるときは例外によつて単独融資を認める。これはだんだん資金長期化して行く。今の市中銀行でもやりにくい面が出ておるから、これも止むを得ないんじやないか、こういうことでありましたが、我々は従来輸出入銀行の融資については非常に安心をしておつたのです。市中銀行との協調融資だから、もうあなたがたのそろばんに合わせてやることだから心配はない。絶対この融資は間違いないということで、殆んどこの委員会においては融資先は問題にしなかつた。開発銀行の場合は単独融資が原則でありますから、この融資先も明らかにしろというようなことで相当問題にして来たわけです。もう山際さんのような人格者がいらつしやるから、この輸出入銀行は間違いないと思うんですけれども、一応単独融資ができるということになると、或る程度考えなければならんという面も出て来るわけであります。そこで期間的に協調融資では市中銀行がついて行けないというような場合は十五年というようなことで、十年も市中銀行資金を寝せるということになるとこれはいかんということになるわけでありますが、この協調融資の形を変えて、初めの二年は市中銀行、後の八年はこの銀行でやるというような協調融資の形も考えられるのじやないか。例外にしても単独融資ということを認めていいかどうか、認めなくてもやれる方法があるのじやないかと、こういうふうに考えられますが、如何でしようか。
  51. 千金良宗三郎

    参考人千金宗三郎君) 御質問にお答えいたします。今の単独融資の面は、これは全く市中銀行が扱えないということだろうと思います。従つてこれはもとよりただ法文ばかりでなくて、業務方法書に十分説明があるものと私たちは思つております。それから只今お話の最初の三年を市中銀行、後の八年を仮に輸出入銀行、一種の肩代りが途中で行なわれるということになると、これはやはりそういうことができるならよろしゆうございますけれども、まあ別な考え方じやないかと思います。一つの考え方とも思いますけれども、私今まで考えたことはないのではつきりしたお答えはできないと思います。
  52. 小林政夫

    ○小林政夫君 市中銀行で絶対にできないという判定なんですけれども、これは非常に問題で、すでに開銀等においても長期信用銀行等々と或る程度融資分野において競合の面も起つていると認められる節もあると私は考えます。そういう点で全体に市中銀行で取上げない業務を取上げる。今は市中銀行はうんと借手が多くて、我々のほうでそういうふうなものは何でもやらんということも言えるかも知れませんけれども相当一つ金融機関としてのありかた、金融制度のありかたという点から考えて、独特な政府機関としての輸出入銀行がやるべき分と、それから市中銀行が受持つべき分、市中銀行資金量がすでにどうしてもやれないということであれば、或る程度殖やす方法を考える。例えば私は今問題にしている金が余つているというようなことも、強ち取上げるばかりが能でないので、そういうのを今の日銀とか、国債を持つというようなところだけに限らずに、外国貿易をやる為替銀行へ預託するという方法もあるのじやないか。そういうようなことで資金量を殖やして行くというようなこともありますから、ただ現実の問題として今市中銀行は金が忙しいからやれないのじやなしに、金融制度としてお考え願つて、こういうことが望ましいかどうか、頭では割切れるけれども、これは市中銀行で取上げられないものを輸出入銀行でやるのだということは、頭では割切れるけれども、そういうことは単独融資が多くなつて来る原因になつて来ると思いますが、如何ですか。
  53. 千金良宗三郎

    参考人千金宗三郎君) お答え申上げます。御尤もな御意見なんで、まあ今ここで輸出入銀行がやるという単独融資というようなものは、私たちの解釈するところによりますると、全く市中銀行がその持つている資金の性質等からして参加できないというようなものを取上げられておるものと解釈しております。従つて私は今この業務方法書などにお書きになるときも、やはりそういうことが相当詳しく書かれるものと了解しておるのですけれども、又そう希望している。事実普通の銀行は大体要求払いの債務をもつてつておる。又定期性のものでも一カ年ですか、そう十年とか十五年というような長期の融資はできないのであります。
  54. 小林政夫

    ○小林政夫君 造船のほうで今特別な助成措置が講ぜられつつあるというようなことで、それが実現すればというようなお話でしたが、現状ではなかなか今おつしやつたような輸出が十分にはできないのである。こういう助成をすれば、これこれのものが出るのだというお話と思いましたが、現実に造船工業会として、今通産省政府委員と私と質疑応答をした問題、そのほか造船工業会としてどういうふうにやつてくれれば出る、こういう何か腹案がおありでしようか。
  55. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 造船工業会として希望する輸出振興対策、或いは造船量増加に関する対策、これらは各政党の政調会或いは大蔵省、運輸省その他に数回ずつつぶさに申上げてあります。承わるところによりまするというと、或る方面ではすでに予算委員会に提出してあるというお話も聞いております。ここで御説明することもできますが、それより私先ず申上げたいことは、今申しましたように、プラント輸出の七〇%を占めておる造船業でありまして、これが衰微することは関連産業を最も余計持つている造船業としては、我が国相当の問題であろうというふうに考えまして、強くお願いしておるのでありますが、これが実現しませんでも、先ほど申上げましたように、海軍なき今日幸いに昨年までは輸出船の受注で置き換えてやつて来た我が国の造船業が、どうしてもやらなけくばならんという立場で只今私の存じております範囲でも四、五隻、金額にしまして四、五十億円の商談は恐らくごく近い将来に実現するだろうと私は想像される向きがあるのでありまして、これらについてはまだ輸出入銀行にお話しておるまい。ただ原則としてこんなような条件でいいかということは申上げておりますが、幾ら幾らどういう時期にお金を頂きたいということは申上げておるまいと思います。と同時に、これは私の想像ですが、私自身のやつております会社のことも含んでおります。その商談は恐らく一艘につきまして一億或いは二億、或いはもつとの損を覚悟しているだろうと思います。そんなことを今申上げたいと思います。若し御必要があれば造船工業会が各政党、各省その他に申上げました相当いろいろな輸出振興対策、或いは外貨獲得について、要するに造船奨励に関する希望、要望と申しますか、これを申上げることもできますが、申上げましようか。
  56. 小林政夫

    ○小林政夫君 私も緑風会の政調を預つておりますから、御要望の出ている点は承知いたしておりますが、あの要望を全面的に受け入れればこうだ、受け入れなくても今の当面四、五十億円の受注はきまると言われるわけですか。
  57. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) それは相当のロスを覚悟しております。
  58. 小林政夫

    ○小林政夫君 政府の助成措置といいますか、現状のままで行つて四、五十億は受注が可能だ……。
  59. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) だろうと私は想像いたします。というのは非常な出血を覚悟して……。
  60. 小林政夫

    ○小林政夫君 それでその造船部門で、今からこの年度末まで、即ち来年の三月末までに大体月別に言つてどのくらいの融資を輸出入銀行から受ける必要があるとお考えであるか。
  61. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) それは非常に困難でございますが、先ほどからお託がありますように……。
  62. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 小林君に申上げます。大分長時間に亘りまして参考人のかたの御負担にもなりますし、又他の委員のかたからも御質問があるかと思いますので、極く簡潔に要点に触れて一つお願いします。
  63. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 商談というものは御承知のように、仮契約をいたしましても翌日流れることがございます。又来ないと思つておつたやつがひよつくり来ることもありまして、今予想を申上げることは非常に先ほど来お話の通り困難であります。ただ私がここで強調したいことは、先ほど申上げましたように、昨年の暮までは船はプラント輸出の大宗であつた、七〇%であつた。毎年少くとも、二十五年だけが少いのでありますが、六、七年のごときは四千五百万ドルくらいの輸出をして来た、合計一億三千万ドルの輸出船舶だけでしている。それが今のプラント及びその他を含めますと約六〇%を占めている、それで今引合が約三百万トン近くある。そうして今それを盛んに見積つているということであります。それがいつ実現するか、明日十万トン実現するか、或いは一月先か、これはちよつと私造船工業会長としましてもわかりませんが、ただ今の正にというやつを若干承知いたしております。それが今申上げたように四、五十億の仕事は恐らく相当の出血覚悟でこの一カ月以内には私決定されるであろう。私の推察でありますが、そう思つております。と同時にそんなことでは到底参りませんので、せめて先ほど申しましたように、輸出入銀行から八割単独融資を受けるとしましても、せめて百四、五十億のお金が拝借できるようにしたい。従来はそれより多かつたということであります。
  64. 平林太一

    ○平林太一君 参考人にお尋ねしたい。主として山際君にお尋ねしたい。御承知のようにこの日本輸出入銀行の規則に対しての国家の意図、目的がどこにあるかということは、けだし山際若御承知で副総裁の職を毎日お勤めになつていると思います。それはよく了承いたしております。それでありますから、この資金は国民の全部血税である。その狙いは言葉通り輸出、輸入というものが我が国の経済の興廃を決するものである。それが国民生活に及ぶものである。こういうことで、この輸出入銀行に対しては非常な決心をいたして財政等の面においてこれを扱つているのであります。従いまして融資先というものに対しは、いやしくも正鵠妥当を得なければならん。これが不正鵠、不妥当に終つた場合には、これは誠に容易ならない事態になる。若しこれが不正鵠、不妥当に亘るということでありますれば、この種のいわゆる金融を利用することは、極端に言えば、国民の血税というものの対象から申せば、こういうものを作つたために一部の国賊を作るというようなことだと、誇大に申せば言わなければならないのでありますから、これは非常な責任を持つてその融資先の、融資したところの機関、会社は、これを本当に輸出入のほうにその金が全面的に活用されておらなければならないのでありますが、これに対しては常時厳重なるこれに対するところの監視、それを怠らないところの会社の経営内容にこれをしなければなりません。多くの場合におきまして、遺憾ながら惰性というものほど恐ろしいものはない。大きな機構なり、大きな輸出、輸入などをいたしておるものに対して無批判に貸付けをしてしまえば、国民は血税を出しておりながら、それをどうというわけには行かないんですから、そういうことを一つ念頭に置いて、いわゆる与えられたこの輸出入銀行資金をそれをできるだけ一つ最高度に活用する。金というものは使い方によつて、例えば百円の金も使う人によつてこれが千円、二千円に使える腕を持つておる人もある、百円の金が二十円か三十円にしか使えないという腕しか持つていない者がある。殊に金融方面においてそういうことは極めて厳たるものであります。それでありまするから、実は先日ここに資料として提出を求めてありまするこの融資先に対しまする会社の名前がこういうふうに列記いたして我々の手許にありますが、これらに対しまして、例えば山際君からお話があつたんですから、このうちで最も正鵠、妥当を得ておる、それが日本輸出に非常な貢献をしておるというものは定めし御承知のはずであると思う。この中から一、二、三ぐらいまででよろしいと思いますが、どういうものがこの会社のうちでいいものであろうか、現在輸出入に最も国家的な使命に合致せられておるか、それから最も不良であると思われる会社を三つぐらい挙げて頂きたい。最も優秀なるものを三つ、最も不良なるもの三つ、これを一つ挙げてもらいたい。
  65. 山際正道

    参考人山際正道君) 輸出入銀行を設立せられました趣旨並びにその運営の衝に選ばれましたる者の責任、御指摘の点は一々私もその通り考えておりました。不肖そのつもりでその衝に当つておるつもりでございます。只今従来融資をいたしましたもののうちで最も典型的なものについて二、三例をというお話でございました。私のほうといたしましては、今まで貸出をいたしましたものはいずれも我が国の重工業方面の発展を期する上に最も重要度の高い輸出品であつたと思うのであります。例えば先般来お話がございました船舶の問題にいたしましても、これなどは先ほどもお話がございました通り非常にこれは総合産業でございます。単に船体のみならず中に附設せられまするものは各般の殆んど機械工業の全体に及ぶくらいの広範囲の関連を持つ造船、これなどはやはり最も典型的なものの一つであろうと思うのでございます。それから更に変つたもので而も非常にこれは意味があると思うことは、一昨年でございましたが、ポルトガル領のコアという所で鉄鉱石を開発いたしました。このためにインド出身のポルトガル籍の者と鉄鋼三社が主として折衝いたしまして、その鉱山を開発するための機械設備一式を輸出いたしました。その輸出資金を私のほうで融資いたしました。これはその機械設備により、且つ日本の鉱山経営、技術を先方が導入いたしまして、これによつて鉄鉱石を開発いたし、それを年々五十万トンずつ日本へ輸入をいたしまして、一トンについて一ドルずつ返還をするという契約になつております。これなどは一昨年実行いたしまして以来非常に順調に経過をいたしまして、今年の春から約束通りのトン数が毎月入り、順調に決済を続けられておるのでございます。そのほか電気機械にいたしましても、繊維機械にいたしましても、いずれもこれは劣らぬ我が国機械輸出振興に役立つものばかりであると思うわけでありまして、ただ比較的重要度が少いと思われるものについて申上げまするならば、沖繩のアメリカの軍工事施設に関しまして、いろいろな例えば吸水設備であるとか、火力発電の設備であるとか行われたことがございます。これに対しましては、私のほうはそれを市中銀行が融資いたしておりますその融資手形の再割引の形において出しております。これも任務からいたします場れば、まさに合致するものと思いますが、その重要度は優先順位から申しまするならば、これは直接造船にするとか、直接電気プラントその他の工場設備を出すということに比べれば、一段その次の位に位するのではないかと思います。幸いにいたしまして開店以来二百億を超える融通をいたしております。回収は極めて順調でございまして、目下のところ滞りは一件もございません。その意味におきましては、いずれも目的を達成しつつあると存ずるのでありまして、なお、だんだん先ほど御指摘になりましたように、若し今後法律改正の暁におきましては、一層注意を要する問題が起るということは全く御指摘の通りと存じまするので、今後も従前に引続いて一層の注意をいたしてその衝に当りたいと思います。殊に従来いたしました融資は、すべてこの市中銀行の協調融資といたしまして、市中銀行と常に連絡をとり、監査その他の方法を打合せまして、常時監査をいたしている結果でもございましようが、常いにして今日まで順調に推移いたして参つております。
  66. 平林太一

    ○平林太一君 私が質疑をいたしましたことについては、必ずしも正鵠を得た御答弁とは言えない。併し一応概念的に了承をいたすのでありまするが、この会社の名前をこれこれ言えば、私のほうではすぐそれで勘がつくのです、且つこれが輸出入銀行の使命を全たからしめているということが出ると思うのですが、これは一つ頭において今後おやり頂くということで、今日はその程度で私は了承いたしますが、私のほうでお聞きいたしたいのは、更にそういうことによつて検討を加えようというところにあつたのでございますから、その点よく御了承願いたい。御承知のごとく今回は貸付期限というものを、従来五年であつたものが十年、特別の場合においては十五年、こういうのでありまするから、これは十五年となるというと、今日の世界情勢の進み方、いわゆるテンポといいますか、そういう動き方という面から見まするというと、驚くべき常識では判断のできない金融に対する貸借、いわゆる貸し借りであります。これを融資と言つているから世の中はそれで通つておりますが、これは常識では判断できないと思います。併しそれを長期になお且つしなければならない。そうしてこの輸出、輸入の財政投資というものに対する完璧の陣を敷きたいということで、国家の意図がそこにあるのでありまするから、その点一つ非常にお考え願わなくちやならん。従つてその回転と申しますか、十五年、十年となつて来ると、先刻の百円のものを千円、二千円に有効的に使える、或いは三十円、五十円にしか使えない、そういう点にも非常に関連しているのです。そういう期限の規定は十年、十五年となつてつても、できるだけこれは会社というものに対しまするところの注意を怠らずして、そうしてできるだけ短期に回収できるようにして、それだけ回収したものを輸出入銀行が必ずしも重点的にやるものであるとは考えられない。事いやしくも輸出入に関連するものに対しては、零細融資をやるということを一つお考えにならなければならんと思う。それでなければ輸出入銀行の真の総合上の目的というものは達成ができない。ここに報告類を受領しておりますものに対しましては、やはり輸出入銀行というような大きな看板というようなものを誇るような、私、感覚を持つのですが、これは数をもつと貸付けるべきものである。輸出は殊にその輸出させようという何かに対しましては、相当それに対しまする技術とか、施設というものがおのずからそこに必要が生じて参るのでありますから、そういうものは必ずしも大企業、大工場のみではない。又船舶の事例も大いに今日は重要視しなければならない。いわゆる船舶というものは日本資本主義の最も代表的な何の上から資金運用のできる性格を持つておるのです、船舶というのは。それだからそういうものに対するところのものも大切であるが、これは安易の道を求めれば国家資金を使うということもできるのであります。船舶なんというと看板がいいですから……。そうでなく零細のところにもそれが利用、活用されて行くように輸出入銀行というものはそれをお考えにならなければならないと思う。だから今日提出をしておりまするこの融資先では私は甚だ不満足なんです。その点に対して山際さんお考えになつたことがあるかどうか、承わりたい。  それから第二には融資に対しまして、財政投融資金に対して世間識者の間に極めて峻厳なる批評が今日行われておる。日本の財政経済を根本的に建直すには先ずそこから解決しなければならない。その対象になつておるものがいわゆるこの財政投資融資の融資先決定に対する利権グループ、名前を申せば、識者が言つておることでこれは差支えない。小林中、麻生多賀吉、白洲次郎、これは利権クループの中心なんです。そうして開発銀行及び輸出入銀行の融資総額は莫大なものです。それは年々国の名において出ておるのです。その融資先というものはそれら小林中であるとか、或いは白洲次郎であるとか、或いは麻生多賀吉であるとか、そういう者のいわゆる動きによつて融資先が決定せられるのだ。だからこの利権グループを解消するにあらざれば、日本経済の再建というものを根本的に建直すことができないと言つている。国民の血税に対して我々国会として強くこれを指摘する。今日は参考人としてひとり山際君だけではない、全国銀行協会の会長である千金良君もここにおられるが、関連して市中銀行ども大いに考えなければならん。重点的に大品のみに貸付けて、そうして国民全体のそれが活力となり血肉となるように貸付けていない。全国の銀行に、おいても極めて零細なものに対しては厳重な取立てをして、そうして莫大な何千万、何億というものに対しては取れなくてもあとを貸付けて、そうしてますます固着せしめておる。資本主義がこういう傾向を持つて行くというと、私は第一に日本の経済というものは、今日のようないわゆるこの市中銀行金融機関のような重役の心構えであれば、一番先にこれは崩壊して行くのです。現に最近はいわゆる全銀連というものができて、そうして非常な何か動きをしておる。これらは銀行重役の内部というものをちやんとキヤツチしておるから、そこでそういう運動が出て来たということを考えなければならん。まさに銀行資本主義体制の中にいわゆるそういうものが内部崩壊をする一つの何かが出て来た、こういうことを一つ深く御注意申上げておきます。その点は一つお考えになつてつて頂きない。あなたも亡びるし、日本も亡びるようになつては困る。往年の軍閥のようなものをよくお考えになつて頂きたい。大蔵省の銀行局あたりとよくお打合せになつて、そういうことの最悪の事態にならないように事前に一つ重大な決意を以て、いわゆる銀行法の改正をみずから国の行政の上に訴えてするというようなことをしなくてはいかんと思う。今日最も最高に労せずして利潤を得ておるというものは金融機関である。金融資本である。これ以上私は申上げるのは差控えますが、十分に一つそれはお考えになつて頂きたい。  そこで山際さんに申上げますが、そういうことで零細な金融ということを一つお考えになるつもりはないか。又そういう申込も今まであるはずである。そういうことをなすべきである。輸出入の重要性は別に今申上げまでもなく、機械や車両を作つたり、それから汽船を作る、船舶を作るだけではない。生活必需品一切のもの、社会の必要上求めることにおいてはそういうもののほうが大きいかも知れない。日本の優秀な技術、日本の民族の持つておるところの技術、技能というものはすばらしいものを持つておるわけです。それが資金の国家的の裏付がない。そうして市中銀行などはそういうものには全然眼を触れないでおる。そういうところに秀れた日本のいわゆる中小工業、いわゆる零細企業、零細工業、零細製造業の技術を持つてつても、それが国際市場に進出ができないということなんです。どういうふうにお考えになるか、山際君にお答え願いたいと思います。
  67. 山際正道

    参考人山際正道君) 輸出入銀行の運営に当りまして、特にその責任者が留意すべきことについての御指摘は篤と我々十分に注意いたしまして、今後そのようにいたしたいと思います。本行の貸付が従来大口のものに多いという点は御指摘の通りでございまして、これは実は日本輸出入銀行は現在のところいわゆるプラント輸出に限定をされております関係上、プラント輸出引合につきましては、対外折衝に相当経費を要するのは当然でございます。或いは電報料、その他の人の往復旅費にいたしましても、数百万円或いは場合によりましては千万円になるということになります。自然大きな取引でございませんと、その経費が出て来ないということになりまするので、結果がそうなつておるのでございまするが、我々といたしましては、無論比較的小さなものでございましても、法律規定に合致する限りのものにつきましては勿論差別するところなくこれをとり上げる考えでございます。従来取扱いました件数のうちで一番小額なものは五百五十万円を貸出したのが一番小額になつております。事柄の性質上こういう結果にはなつておりまするが、心掛けといたしましては特にそれを差別することを考えておるのではございませんので、その点は御了承を頂きたいと思います。
  68. 平林太一

    ○平林太一君 私の質問は時間がないようでありますから……。
  69. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 平林君に申上げますが、御意見に亘らないで質問の要旨を……。
  70. 平林太一

    ○平林太一君 只今白洲或いは小林、麻生というのを例に挙げましたが、こういうものから融資の際に圧迫を感じたような事態があるかどうか。輸出入銀行のいわゆる融資先の決定に対してそういうことがおありになるか、山際君に伺いたい。  それから融資先の決定に対してはどういうつまり順序をとつておられるか、この二点について伺いたい。
  71. 山際正道

    参考人山際正道君) 前段お尋ねの他の何かインフルエンスを受けたということはございません。又仮にございましても、毛頭我々はそれに左右されることは考えておりません。  貸付をいたします場合の審査の手続でございますが、これは法律規定に従いまして、申込書その他は窓口として市中銀行と契約をいたしまして、大体あらかじめ協定いたしておりまする条項についての不審査を頼んでおります。その報告書を得ました上で、更に必要に応じて私のほうで直接に実地の調査もいたし、審査もいたします。又問題によりましては、各関係官庁、通産省はもとより為替の関係では大蔵省、外務関係におきましては外務省等と連絡をいたしまして、各方面から検討の上法律の目的に合致し、支障なしと考えて、初めてこれを実行する、こういう手続にいたしております。
  72. 森下政一

    ○森下政一君 丹羽さんにお教えを頂きたいのですが、私たちはこういう委員会で、通産省の局長さん、課長さんから輸出振興に対する方策を聞かしてもらつても滑稽くらいに考える。自分の計算において輸出なんというようなことを取扱うこともない役人であつて、結局業者側からいろいろ教えられることを取上げて政府の施策として指示しているという役柄の人なんです。こんな人の頭の中から輸出振興のいろいろな名案が生まれるとは考えていない。結局業者であるあなたがたの政府に対する要求というものが、熱意がそれを具体化するのだとこう思うのですが、先刻山際総裁からおつしやつたように、今ここは日本輸出振興に極めて重要な、肝要な時期だ。例えば朝鮮特需なんというものに依存しておるに非ずして、正常な貿易によつて自立経済を確立しなければならん。私全くそうだと思うのですが、そうすると世間一般的に論議の重点の指向しておるところは東南アジアに新しい市場を開拓する、特に重化学工業の面における輸出の増強ということを言われる。先刻来いろいろ承わつておると引合いがかなり多い。引合いは多いに違いないと私は思う。小林さんの指摘した通り引合いが多いからといつて楽観しておるわけにいかん。非常に多い引合いも、実は手落があつたというものが少くなかつた。そこに輸出入銀行資金が遊んでおるものがあるというような事情が生まれて来たのだと私は思うのですが、これらの新市場日本が断然優位を占めて行くということには、やつぱりイギリスや西ドイツなりの激烈な競争を克服して行かなければならんと思いますが、そういう点で日本の製品はどうしてもコスト高だということを言われる。それだから結局入札が何回繰返されても落札しない。その根本はやつぱり原料資材が乏しいというようなことにありやせんかと私は思う。これらの面について見通しとしてどうでしよう。何とかこれをコスト高ということのないような工合に隘路を打開して、而も諸外国の競争に打ち勝つて、東南アジアの市場というものが開拓できるというような見通しをお持ちになつておりますか。それと同時に、過去の実際の入札の状況等から考えまして、まあ物にもよるでしようが、一体イギリスなり或いは西ドイツあたりの入札に比較してどれくらい日本が高いということになつておりますか。そういうようなことと、或いは過去の実際の実例等について御所見を承わりたいと思うのです。
  73. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 先ず造船関係でお答え申上げます。御指摘の通りに一昨年末までは先ほど来申上げましたようにプラント輸出の約七割を造船が占めておりました。そして先ほど申上げましたように、諸外国からの引合いが恐らくその後殖えましたから、現在のところでは三百万トン近い引合いがあるだろうと存じます。それがなかなか契約をみない。それはお説の通りどもから言いますという、止むを得ざるコスト高による原料、材料高によると、こう見るのであります。なぜかと申しますと、一ぱいの船舶、これは船舶の種類にもよりますので一概に申上げられませんが、大体の平均でございます、一ぱいの船の値段の中で造船所のそとへ注文されるもの、即ち原料、材料、機械類、これらが七割乃至七割五分を占めております。その七割乃要七割五分を占めておる所外注文品の中で鉄鋼が約三割を占めております。その三割の値段を占める鉄鋼が、例えば二重価格制を布いておる英国の約倍近く日本が高い。即ちそれだけで以て一割五分近く高いということになります。併しながらその他の事情によりまして、我が国只今の船価はオイル・タンカーが世界的の引合としまして、約九割を占めておりますが、オイル・タンカーにおきまして極く正確に申上げますというと、約九%最も強敵であるイギリスの値段より高いのであります。それから貨物船、これは一万トンクラスの貨物船でありますが、これにおきまして約一割五分内外高い。こういうふうに考えております。その高い原因は今申しましたように鉄鋼、これが最も大きな原因であります。従いまして、今各政党或いは政府当局には提出してあるのですが、これはまあ少し細かくなりますので結果だけを申上げますが、我が国の造船会社だけが払わせられておるところの造船用特殊規格鋼材、これはやかましい規格を必要とする鋼材でありますが、それの特別規格料、これが約一万円でありますが、これだけでもせめて逓減して頂きたい。これは単なる鉄鋼値段の引下げじやないということを申上げております。そんなことをお話してみたり、或いは先ほど申上げましたように西ドイツが到底我が国では立ち打ちできないところの有効適切なる輸出振興対策をやつておりますので、そのうちの二、三でも実現して頂きたい。二%でも三%でもコストを下げるようにして頂きたい。こう申上げておるのであります。大体そんなのが現状であります。
  74. 倉田主税

    参考人倉田主税君) 今お話のございました機械、二重価格製品の輸出の不振の原因でありますものは、勿論コストの高いことであります。これは私ども先ほど申上げましたように重工業輸出振興会というものを作りましたのも、如何に下げるかということによつてこの輸出を促進しようというので出発したのでありまして、私どもは勿論自力で二割下げたい、これは希望ではありましたが、それによつて相当下りました。併し原料が何としても下らなければ……。この造船を除きました機械工業と言いますか、そういうものの原料の割合が四割乃至六割くらいを占めております。これがやはり高いということで全体の値段がどうしても下らない。自力で仮に二割下げましても、本当に一割に当らないということでありますので、どうしても原料方面などと話合いをしなければいかんというので、製鉄業者さんと話合いをしまして、輸出するものに対しては特別に値段を何とか勉強してもらいたいというようなことをやつて一時を糊塗いたしましたのが二十六年頃の話であります。ところがその後情勢が変りまして、そういうこともできないような形になつて参りましたので、どうしてもこの方面もやはり合理化して下げてもらうというようなことが私どもの切なる願いであります。それと同時に先ほど御指摘のありましたお役所のかたにお願いしまして、もう繰返す必要もないと思いますが、輸出入銀行業務拡張、いろいろの我々の原価の下るような方面の施策、並びに通産省でお話のありましたようなものを加えて頂きますならば、私どもが今海外において競争に負けているものが大体十四%前後であります。ものによつては二〇%を越すものもあります。或いは又値段が我々のほうは安くても、注文のとれないものもあります。これらは通商協定等によつてこれを補い、又値段が安くても注文のとれないものには、技術方面の宣伝、或いは向うの認識が足らないものもあります。これらは今の重機械技術相談室の活躍によつて、これは何とか宣伝し、実際よく見せるというようにしたい。ちよつと先ほど手前みそを申上げましたが、私ども戦前輸出しておりましたタイ方面の車両、インド方面の車両のごときは今日もなおその評判がよろしくて、行けばすぐ我々の製品を指定してくれるというくらいになつておりますが、残念ながらいろいろ発注機関の下に行きますと、向うの政治性を以ていろいろと困難な面に逢着しますので、すでにきまるといつたようなものがもう一年も遅れて、又今調査団が来てとれは世界各国をめぐるわけです。そうしてこれの最後の結論というようなこともありまして、なかなか値段だけでも行かない面が多多あるということも御了解頂きたいと思います。
  75. 森下政一

    ○森下政一君 丹羽さんに伺いますが、各政党にお出しになつているいろいろな御要求、これはすでに印刷したものがお手許に残つておりますか。
  76. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 今もたしか持つておると存じますが、今日は遺憾ながら一番大きな鉄鋼関係だけを忘れて参りましたが、その他税制上の特別措置による新造船船価低減効果の測定というものを持つております。これはじかの要望書じやございませんので、こうやつて税法の上でいろいろやつて頂いたならば、どのくらい原価が低減するであろうということで書いたものでありまして、要望書そのものは持つて参りません。何なら早速お届けしたいと思います。
  77. 森下政一

    ○森下政一君 若し印刷されたものがあつて残部がございましたならば、大蔵委員の諸君は恐らく皆さん要るだろうと思いますから、そういう材料を頂けたら大変結構だと思います。
  78. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 承知いたしました。事務当局のほうから早速お届けいたします。
  79. 森下政一

    ○森下政一君 同時にこの御説明なり御意見なり伺いまして、例えばターンカーの場合はイギリスの値段と比較して九%、或いは倉田さんのお話によりますと一四%くらい高いということですが、その原価高ということを何とか解消しなければ、これを何とかしなかつたら輸出しようと思つてもそれは無理だと思う。根本はそこだと思うのです。だからそういう点ではやはり業者のあなたがたの実際にそろばんをはじいて競争場裡に伍して入札をやつて行く皆さんがたの体験を通じこの要求がどこにあるのだということを聞かしてもらつて、これを政府に向つてども協力して何とか途を打開して行くというのでなければ、これは折角輸出入銀行を作つても何にもならないのじやないか、こういうように思うのです。どうぞお願いします。
  80. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 皆さんからいろいろお教え頂きましたし、又我々のほうからもお聞きしたのですが、私最後に一点丹羽さんと倉田さんに伺いたいのは、今新聞雑誌、言論機関を通じましてそれぞれ論議をされておりまする問題、中共との貿易の問題でございますが、これも輸出入銀行の副総裁が言われましたように、ここ一、二年が非常に大事なときだ、ここ一、二年を逸してしまうと殆んど向うに占められてしまう、ところが一番お隣りで、大きな国で、而も需要が多いと我々常識的に考えて見なければならないのですが、そこヘソヴイエトの品物がどんどん入つて来てしまつてあと話がついて日本が乗り出そうと思つた時分にはソヴイエトの技術、ソヴイエトの品物ばかりで輸出して行けんという事態になることを一番憂慮するわけですが、勿論共産党はいやだ、共産主義はいやだということと、商売ということとを業界のほうではどういうふうにお考えになつておられるか、調査もしておられるのか、これらの見通しについて、造船にいたしましても機械にいたしましても需要はあり、今後は相当売れるのではないか、昔の支那と今日の中国とでは大分認識を変えなければならんのじやないかと私は思うのですが、私はこれらについて業界のほうでは調査をしておられるのか、或いはまあこれは素手で向つておられるのか、この点一つお伺いしたいのですが。
  81. 倉田主税

    参考人倉田主税君) お尋ねの問題は私どもも十分調査はしておるつもりでおりますけれども、何しろ調査する方法その他について非常に私どもは不便でありまして、完全な調査ができないという憾みを持つております。なおいろいろの隠れた機関その他によつて承知いたしております方面から、ほかの国が相当輸出しておるであろうというような想像もいたしておりますし、併し私どもとしても何か許可品目の中は我々の製品が許されるならば許してもらいたいというような希望は持つております。又そうでなくても何か香港あたりを通じて相当の物が出ておるように我々も承知いたしております。ですから怠つてはおりませんが、今具体的にこうするというところまでは行つておりません。併し数量のごときは非常に大きなあれはやマーケツトでありますために相当これに関心を持つております。
  82. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 船舶は戦前は御承知のように上海、或いは天津、香港は勿論のこと、相当の船を持つた商社があつたのであります。ところが只今はよくは存じませんが、中国本土それ自身には殆んどこのあれはないのじけないかと存じます。昨年も一昨年も私ヨーロツパや或いはタイやなんかへ行きました途中で香港に寄りましたが、なお又最近も人を派しまして香港及び台湾に寄らしておりますが、このいわゆる曽つての中国と申しますか、中華民国と申しますか、これらの関係の船会社は大部分は自滅したかも知れませんが、残りは殆んど香港と台湾に集中しております。なかんずく香港に一番集中しております。只今でも香港からは新造船の引合もあれば又修繕船もある、具体的に只今でも相当やりつつあるのであります。台湾も同様であります。従いまして若し中国というものが自由になり、且つ我々の方面へ造船関係仕事をしてもよいというような状態になりますれば、恐らくあれだけの四億の人間を擁し、且つ恐らく自国船で相当の物資を運びたいと思うのは当然であろうと思うのでありますが、船舶工業というものは相当潤おうのはなかろうかと存じておりますが、何分船舶なんというものはまあどういうふうに考えますか、相当の国力に関係のあるものであろうと存じますので、今では到底我々はそこまでは手が出ない、引合も全然ございませんし、もた若干漁船を造らんか、小さな二百トンとか五十トンとかいう漁船を造らんかという話が曽つて、ございましたりしますが、今修繕船すら殆んどないというような状態でございます。従つて希望することは当然でございますけれども、今到底我々のほうはそこまで考えていないのであります。
  83. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一点だけ。これはまあ各国と競争場を作るようで変だとは思いますが、船をこしらえてからということと、もう一つは造船設備というものについて将来政治的にもその市場は中国との関系はなかなかむずかしい問題で、ここでそんなことまで論じておつてはこれはきりがないと思いますので、それぞれ考え方は違つた考え方を持つておりますので、この点は私省略することにいたしますが、中国のみならず東南アジアにいたしましても、フィリピンにいたしましても、造船設備そのものを輸出するには、これらについての引合というようなことはないのかどうか、こういう点についてお伺いたしたいのであります。
  84. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 終戦までは御承知のように私どものほうの会社で、はつきり申上げますと、三菱造船株式会社でありますが、上海に当時の中華民国としては唯一の造船所であつたところの江南・ドツクというものを我々のほうの会社でオペレイトいたしておりまして、それは今何かやられておるやに聞いておりますが、大した生産はやつていないじやないかと想像いたします。そんなことでありましたが、只今では最近石川島重工業さんが曽つて我我のほうの会社でオペレイトいたしておりました基隆ドツクというものと特殊契約いたしまして、あそこでプラント輸出の造船設備整備をされ、あそこを通してプラント輸出をしたいということで着々やつておられるやに聞いております。  次に造船所を是非造りたいと言つてどものほうに要求のありますのは先ず第一番にタイ国でありまする。一昨年私は見て参りましたが、タイ国海軍が曽つてつておりました、バンコツクに造船所がございますが、これが老朽化しておる、これを非常に新しくしたいというのでやつてくれという話があつて、今取りあえずは技術援助の程度のことをやつております。できれば合併会社にしてくれんかという話があるのであります。技術折衝には入つております。なお又造船会社はメキシコに一つ造船所を造りたい、造つてくれという話で人も行かれ、且つ只今相当具体化して折衝しておるやに聞いております。又もう一つアルゼンチンに一つ造船所を造りたい。南米という国は御承知のように船を非常に欲しがつております。従つて造船所を欲しがつておりますが、今殆んどないのであります。従つてアルゼンチン、ブラジルあたりも造船所が欲しいということで、盛んにこの造船所建設としてのプラント輸出の相談があるが、要請があるが、まだ併し本当のどれも実現はいたしておりません。基隆ドツクが実現した恐らくただ一つのものだろうと思います。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一つ極く簡単に、今イギリス、ドイツ等の技術面と比べまして割高、品物の値段が高いということは、今お話がありましてわかりましたが、やかましく言われておると承知しておりますが、技術面において見劣りするかどうか。例えば発電機であるとか、船であるとか、車両であるとか、機関車にいたしましても、俗に戦前は日本の国鉄は世界一だと言い、或いは連合艦隊は無敵艦隊だと言つて国民に知らせて、技術はいいんだいいんだとこう言つて来ましたが、戦争に敗けてアメリカのいろいろな機械文明に接してみると、とてもこれでは技術は世界一とは言われない。卑近な例をちよつと申上げてみますと、時計一つにいたしましても、せめて精工舎の時計はもう少し狂わんような時計ができてもよいと思う。時計一つ比べてもスイス製もある。今日におきましても時計はスイスに太刀打ができない。スイスはアメリカでも太刀打ができないのですが、極端な例をとりましても、あの安全剃刀の刃一枚にしましても、日本の剃刀で十ぺん剃れるのに、アメリカのジレツトだと二十ぺん剃れるのであります。従つて鉄道の方面、造船その他におきましても、それらは大きな開きがないといたしましても、相当そこに落ちるというところが、実際の面として落ちる面があるのじやないかという疑問を我々持つのでありますが、それは丹羽さん、倉田さんは戦前からその状況にタツチしておられました我が国の権威者でありますが、その点率直に申上げまして、これは負けないという自信がおありになるかどうか、むしろ優秀かどうか、この点について一つお伺いしたいと思います。それが輸出に非常に影響するだろうと私思います。
  86. 倉田主税

    参考人倉田主税君) 御尤もだと思います。私ども先ず非常に技術の劣つておるものから申上げますと、電気工業面は非常に劣つております。それからその価すべての元になります原材料方面の質の問題、こういう面では劣つておる面が非常に多いと思う。併し例えば発電機とかいうような水車発電機というようなものは、これは甚だおこがましいのでありますが、我々創業以来この水力方面に非常に力を入れましたが、これは世界に伍して余り劣つていない、先日も電源開発の高碕総裁が、まあ私が言うよりもその言葉を借りて言うほうが一番いいと思いますが、今度佐久間の発電機を外国から買いたいという意見がありましたが、その後工場を見られ、或いは丸山の七万二千の発電機等の試運転の状況を見られまして、これはどうも日本は決して劣つていないというようなことも言われたのでありますが、私どもも劣つておると思つてはおりません。併し今の原料方面から来る問題は、これは甚だ残念ながら、例えば大きな発電機のローダー・シヤフトを一本打ちますのに、日本の造船技術を以てしてはどうも満足なものが直ちにできない、一つを造るために数本乃至十本を打たなければいいものができないということは、今まで我々の技術でその判定をしておりましたために、判定の基準というようなものは非常に躍進して参りました。そういう目で見ますと、従来はそれで間に合つておるもの、だというようなものでも、この際輸出ということを考えれば、どこの製品にも負けない製品を造りたいというようなことから、そういうことが違うんだが、良心的に気が済まんということからそういう結果が出る。水力の発電機や水車を造りますにしましても、従来はただ設計をして造るというくらいの考えであつたのが、私どもそれじやいかん、どうしてもここにモデルを造りまして、キヤパシテーシヨンの試験をして、その試験で立派なモデルを完成して、それを製品にして渡すというところまで参りますと、これはもう決して負けない。今私どもが工場に持つております五〇メーターのキヤパシナーシヨンの試験装置は世界に有数なものでございます。それから火力におきましても、これは高温高圧というような方面に行きますと、なかなか今の材料問題で太刀打ができない問題がございますが、これは特殊の材料を特別にいたしますれば、あとはそんなに劣つているとも思いません。
  87. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 全般論としましては、只今倉田さんのおつしやつた通りでありますが、造船につきましては、先ほど申上げましたように注文国という点から言いますと、諸外国の税制上の措置でリベリア、モンロヴイア、パナマというような国籍の船がたくさんあつたことをお気付きだろうと思います。それは実は大部分はアメリカであります。その他フランス、イギリス、デンマーク、スエーデン、ノールウエーといつたような、いわゆる先進国とも称すべき国からの注文が大部分であります。従つて彼らは日本の造船技術を信用してくれるのであります。一番簡単な例として実例について申上げますというと、これは私の会社で造りました船で恐縮でありますが、スタンダード・ヴアキユームという会社、世界第一の会社である石油会社があります。それから二隻一昨年注文をもらいまして、一隻はすでに二、三カ月前に引渡しをしまして、他の一隻は近々引渡すのでございますが、この船は陸上の火力発電所といたしましても稀れなくらいな高圧高温の蒸気を持ち、いろいろな機罐部や何かが自動装置になつておりまして、人間は殆んど手を狭いていても動くといつたような非常に世界的最高級の船であります。ところが先ほど倉田さんのお話のように主機罐、つまり罐だとか、或いはプロペラを動かすタービン機械だとか、造船所自体が造りますメイン・エンジンというものは、殆んど何も問題はないのでございます。ところが先ほどのお話にもちよつと触れましたが、造船業が一ぱいの船を造るために社外に注文いたします注文の種類が二百二十種ぐらいあるのです。同じものを二、三軒に分けて注文をいたしますのに注文書を書く分量は一千枚を越すのであります。そのうちの鉄鋼とか大きな機械類というものは、これは大企業によつて造られておりますが、大部分は日本工業の特異性といたしまして、中小企業のメーカーの製品であります。これらのものは遺憾ながら中小企業の合理化が伴わないためにそれらによつてつまらない部分がそれぞれ試運転のとき、或いは引渡してから故障が起つては、それを我々の手で止むを得ずみずから出張して或いはドックを調節して直している、こういう状態でありまして、これら中小企業メーカーの製品が非常に故障があつてつている。然らば故障はどうかと申しますと、これは日本ではこれらのものが中小企業によつて造られておることが原因の主なるものであると思います。昨年見て参りましたが、これは補機……、補機というものは大企業によつて造られておる、従つて製品もよい、それから値段も安いということなんです。これが相当に大きな問題でありまして、昨今私どもはいろいろな方面で、お役所としましても中小企業の合理化合理化という意味は政治的なという意味じやなくて、技術的な合理化ということを非常に取上げて問題にしているのであります。と同時に政府或いは各政党に要望を申上げておる要望の中にも中小企業の合理化という問題を取上げているのであります。これが一番関連産業の最も多い造船工業としては問題であろう。なお火力発電所、水力発電所でも、これを造られた人は多分御同感だろうと思いますが、同じような点があります。簡単でございますが……。
  88. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点について最後に、よくわかりましたが、今もお話がありましたように出血受注といいますか、相当出血して仕事を取る。そういう関係上中小企業にあなたがたのほうで又注文をされる場合に、或る程度叩かれる。出血をするとか、或いは手形がどうとかということをよく言われておるのですが、こういうことは三菱さんあたりはそういうことはないだろうと思うのですが、頭を叩くものですから、従つてこれを受けるほうでもどこかで手を抜いて、余りえらい出血することはできないということで、犠牲がそちらにしわ寄せせられる関係上、従つて納品に欠陥が出て来るという面も大分あるんじやないかというようなふうに思うんですが、そういう点の嫌いはないですか。
  89. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 終戦直後は、私、正直なところないとは申されなかつたんであります。昨今はですね、中小企業の中でも、たとえ企業が小さくて二、三百人しかいない工場でも、非常によいものを作るところもあるのです。従つて我々は注文先の選定ということを非常に厳重にやつておると同時に、納品の際の検査、或いは試験というものを非常にやかましく言うようになつたのであります。金払いの点は、むしろ早めに前払いすれば安くなるという点もあつて、どつちかといえば、それこそ輸出入銀行に金を借りまして、早く払つてやる方向に向いております。従いまして、一時は造船業では非常に下請けを叩く、金払いが悪いという声は一昨年あたりまでは聞いたようでありますが、昨今はややそれとは逆なような恰好になつておるように私どもは承知しております。併し皆無とは申されません。
  90. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点につきまして、中小企業の人たちの意見を聞いてみますと、これは最近、昨今流行の日本全般を覆つておる風潮でありまして、誠に悲しむべきことでありますが、銀行に金を借りに行くときには、先ず御招待をしなければ貸してくれん。それから大企業に注文をもらいに行くには、担当者を御招待をしなければならない。その招待費も輸出の中に入つておるというような、こういう嫌いがあのではないか。これは又国外に何する場合にはやはり呼ばなければならない。こういう悪い習慎が貧乏国でありながら、その面だけは非常に繁昌しておるということは、お互いに反省しなければならない問題だと思うのですが、やはり大企業におきましても、この銀行における融資の場合、或いは大企業が中小企業に対する発注の場合もそういう嫌いが非常にある、全般として。これはお宅さんの会社がそうであると言うのではなくて、これらの点は相当我々は百反省しなければならないと思うのですが、これらはお気付になつて、そういう点は全然ないのだということは言い切れないと思うのですが、これは日本人全般の問題として考えなければならないと思うのですが、先ほどいろいろ輸出入銀行が国の血税を、平林さんの言われたように使う場合に、しわ寄せが一般国民にかかつて来るという結果になるのではないかと思うのですが、これらについても十分お考え下すつておるとは思いますが、一つこういう嫌いを何とかしなければならないのじやないかということを、あなたがたの属しておられる会社は別といたしましても、全般としては相当お認めにならなければならんと思うのですけれども
  91. 倉田主税

    参考人倉田主税君) 私、全般を批評することはどうもできないのでありますが、業界を代表していろいろな会合等で金融なら金融問題対策というものをやつておりますと、困難であるということは十分承知いたしますけれども、然らばそういうことが現実に行われておるかどうかというようなことは、勿論あるんでありましよう。なければそういう声があるわけはないんでありますが、私どもはできるだけそういう中に入つて業界として金融のお世話をするというようなこともやつたごとはありますし、それからまあ我々自身としても本当にそれは本当の知り合いとしての交際程度はやりますが、ここにいらつしやる山際さんのところに始終昼飯に呼ばれることはありましても、こちらから呼ぶことはないのでありまして、その点は一つ御了承を願いたい。
  92. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) 私も殆んど同じことでありますが、事実、山際さんを一ぺんも私はお呼びしたことはありません。こういうわけで、成るほどそれは日本の国情としては接待する、注文をもらえば有難うございましたという意味で接待することはございますが、これは私は正直に申上げて全然ないとは言えないと思います。この点は確かに我が国商談上の悪弊であるというふうにつくそれ感じます。これは国情の然らしめるところでありまして、外国船なんかの商談をいたしますときには、我々には向うに行つて、例えば外国に行くときには、真珠の首飾りぐらいを細君に持つてつてやるくらいで、向うから来るときには、そんなお土産を持つて来たことは殆んどない。これは日本人、東洋人の悪弊であると考えます。勿論これが改たまればこれに越したことはないと思います。
  93. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 大分時間が経つておりますから、一言だけお伺いいたしま正す。国際の経済情勢も非常に複雑で、輸出の競争ということは極めて激甚でございますから、輸出銀行なり、輸出に御関係の皆様の御苦心も極めて多いことと思います。是非一つ日本のために御努力を願いたいと思います。  そこで私がお伺いいたしたいのは、この為替銀行にも関係がございますが、外国為替に関する專門の銀行と言いますか、そういうものが現在必要になつて来たのではないか。これに対する政府のお考え、又折角千金良さんもおいでになつておりますので、その点を私お伺いしたいと思います。
  94. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 現在のような情勢の下におきましては、貿易、殊に輸出振興いたしますために、この金融的バツクになります為替銀行整備育成強化いたして参らなければならんことは緊要だろうと思います。そのために先年来いろいろ構想を練つてつてつたのでありますが、現在私どもといたしましては、この育成強化いたしまする問題につきまして、その唯一の方法ではありませんが、幾つかの方法の一つとして、やはり為替を専門に扱う銀行を育てて行くことが必要ではないかという考え方に到達しております。その場合において、これをどういう形でそういう為替を扱う専門銀行を作つて行くかにつきましては、方法はいろいろある思います。例えば行政上の措置で以てこれをやつて行くか、或いは何か特別な法的措置を講じてそういつたものを作つて行くか、これらについてはいろいろ議論があると思いますが、私どもといたしましては、現在までのところでは、何かやはり法律的な措置で以てこういつた外貨為替を取扱う専門銀行を育てて行くべきが必要ではなかろうか、というその考え方に現在のところは到達しております。併し何分にも法律を作るという問題につきましては、各界の御意見も十分伺いたいと考えております。金融界並びに貿易関係のある貿易商社のかたがた、或いはメーカーのかたがたの御意見も十分伺つた上で、今申上げましたような方向において考えて参りたいと、かように存じている次第でございます。
  95. 千金良宗三郎

    参考人千金宗三郎君) お答え申上げます。本日は、輸出入銀行法改正案が主な議題かと思つておりましたが、只今為替専門銀行の問題が出ましたので、私今日は全国銀行協会の会長としての資格でなく、私個人の資格としてお答えしたいと思います。と申しますのは、協会としてはまだこれは検討中でありまして、結論は出ておりません。私の個人の考えとして申上げますと、為替専門銀行というのは、特にこれから新らしく作る必要はない。こう思つております。従来数行の外国為替に必要な経験のある、殊にスタツフも非常に鍛錬されたスタツフを持つている銀行が各方面を受持つてつております。これをむしろそのまま育成すればよろしいので、新らしく銀行を作りまして、新らしく支店を作るとか、新らしくスタツフを揃えるというようなむだなことをこの際しなくても、十分貿易の伸張は賄え得ると思つております。
  96. 小林政夫

    ○小林政夫君 甚だお疲れのところ恐縮ですが、質問を一人独占したらいかんと思つて控えていたのですが、先ず一点お伺いしたいのは、特に業界のかたに御質問したいのですが、最初のお話を聞いていると、もう殆んど何らの助成措置を講じなくてもどんどん輸出ができるというようなお話であり、だんだん聞いていると、助成をするということが前提で輸出をする。今の造船の問題についても我々はこういうふうな助成措置を講じてもらわなければ困るのだという強い陳述をされておりながら、最初のお話ではどんどん注文はありますというようなお話で、一体どつちが本当なのか迷わざるを得ないという気持ちもあるのですが、いろいろ今日それぞれのお立場から率直なる御意見がはつきり出なかつたと思うのですが、今のそういう点については、私はどうしても前提があつて、まあ業界から訴えられている輸出助成措置をやつてくれるならばどんどん輸出ができる。現状では相当困難なんだという見通しじやないかと思うのです。それが一点。  それから今の菊川君の質問とも関連いたしますが、私は輸出振興のやはり相当まあ政府の助成もさることながら、お話のような関連企業としての中小企業を育成しなければ真の輸出振興はできない。そういう意味において、このような状態において輸出入銀行に金を遊ばすのがいいか、或いは中小企業金融公庫等に対して金を当面一廻して、そうして今の中小企業の振興と言つたつて、技術指導もさることながら、非常な金詰りという問題を解決しなければ、御説のような合理化等はなかなかむずかしいのではないか。而も長期安定した金を流して行くことが必要だと思います。そういつた点から、むしろこういう余裕金を以て当面中小企業金融公庫あたりを強化して行くということも必要じやないか。併し私は全然その輸出入銀行の金を取上げるというのではなくて、必要な場合には金がどんどん出せる仕組を考えて、そういう措置を講ずるべきだと、こういう気持を持つているのですが、それについての業界の御意見をお伺いしたい。
  97. 丹羽周夫

    参考人丹羽周夫君) このままで野放しのと申しますか、現在の瞬間におきましては、我が国といたしましては輸出振興対策は零であると、こう申上げていいと存じます。すでに二、三年前からイギリス、ドイツあたりでは、フランスも同様、イタリーも同様着々とやつている。そうして我が国は外貨獲得の面でじり貧になりつつある。これは私は事実だろうと思います。従つてこれをやるのは国家の至上命令であると思いますし、又昨今各政党、各官庁その他では相当取上げておいでになりますので、私はこの実現を若干でも期待しているものであります。若干でも期待すればそれだけでも出血は減るのであります。併しながら業界はみずからの常業を続けるという意味もあるし、又偉そうなことを申上げれば外貨獲得にもなるということにもなりまして、例えば一ぱい二十億の船の中で二億、三億、三億までなるものがあるかどうかはわかりませんが、それに近いロスを覚悟してでも実現しようとしている。而もそのアマウントが、今の瞬間における私の想像であらますが、少くとも五十億やそこらは極く最近にきまるのではなかろうかと、こう思つているわけであります。併しこれじやいかんので、どうしても一つやらなければならん。併しもつと激しくこのまま推移すれば、ロスを覚悟してやつて行くかどうか、これは会社の存立にも関係しますので慎重に考慮して見なければなりませんが、単に船ばかりでなく、ほかのプラント関係もありましようし、私は船だけでも只今でも四、五十億のものは目の前にぶら下つていると申上げたのでありますが、それらは皆出血であります。併しこれを防ぐ防がんはこれは国の問題であります。このまま推移していいかどうかということであります。ただ私一つ御了解願いたいことは、先ほどから、取上げてしまうというものではないということですから、これはよろしいのでありますが、輸出入銀行がいつ何時でも出してやるぞという銃後と申しますか、背後のギヤランテイがない限り一切商談することすらできない。こういう場合におきまして、その意味におきましても昨年度までくらいの実績を持つためには今持つているくらいの金ですら足らんということを申上げたいのであります。いつそれが成立つかわからんが、今でもぶら下つているやつがあるのでありますから、その意味において十分なお金を積んでおいて頂きたいということを申上げるのであります。
  98. 倉田主税

    参考人倉田主税君) 私は先ほど申上げましたように、二十七年度の体験から、どうしてもいろいろ今とられよ合理化を忘れてはいかんのだ。自分でも合理化をして、最近は、もと二割も三割も開いておつたものが一割五分前後まで詰つて来た。ここで助成をしてもらつたならば伸びるのだということを申上げたつもりであります。それからその金を中小企業に廻して、中小企業がよくならなければ行かんじやないかという御説、これは中小企業を助成育成して頂くということは誠に結構だと思うのであります。併しながら輸出入銀行資金がこの輸出の方面に融資されますならば、それは必ずや中小企業にも潤つて行くし、廻つて行く。これはやはり私ども仕事の系列において育成助長するというような気持がなければ日本の産業も伸びないじやないかというふうに考えております。
  99. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本法案の審議は本日はこの程度にとどめたいと思います。  この際一言御挨拶を申上げます。参考人のかたがたは非常に御多用な際お繰合せ御出席下さいまして、長時間に亘るいろいろ有意義な御意見をお聞かせ頂きまして、私ども審議の上に非常に参考になり、厚く御礼を申上げます。申すまでもなく輸出振興我が国の現下の至上命令でございまして、参考人のかたがたが日夜これに対して努力しておられることに対しては私も非常に敬意を表する次第であります。私どもも又できる限りこれに協力いたしまして、今後の我が国輸出振興のために寄与したいと存ずる次第であります。本日は誠に有難とうございました。  ちよつとお諮りいたします。先ほどの平林委員の御要求によりまして、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案に関連して、明日の本委員会参考人として日本開発銀行の理事中山素平君の出席を求めることに御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十八分散会