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1953-07-24 第16回国会 参議院 水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)    午後二時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            松浦 清一君            菊田 七平君   衆議院議員    水産委員長   田口長治郎君            鈴木 善幸君            中村庸一郎君   政府委員    調達庁不動産部    長       山中 一朗君    水産庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国に駐留するアメリカ合衆国軍  隊の行為による特別損失補償に関  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○漁船損害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○漁業法の一部を改正する法律案(衆  議院送付)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは委員会を開会いたします。  本日の議題の第一は、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案でございます。本法律案につきましては、これまで予備審査をして参りましたが、今月二十一日付を以ちまして、衆議院議長から修正議決されました御通知を頂いております。従いまして只今から修正点につきましての御説明発議者衆議院議員中村庸一郎君にお願い申上げたいと思います。
  3. 中村庸一郎

    衆議院議員中村庸一郎君) 私は中村庸一郎であります。只今議題となつておりまする日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案に対する修正案提案者を代表いたしまして、提案理由の御説明かたがた挨拶に伺いました次第でございます。  本法律案は去る十五国会におきまして、防潜網による損害補償せよ、この損害に対して法的根拠を与えよ、こういうことで議員立法を計画いたしましたるところ、農林省のほうから、農林関係におきましても間接被害がありまするので、これに附加えて一つ法律を作りたいということで、政府立法変つて参つた次第でございます。去る十五国会におきましては、本法案は原案通り衆議院におきまして可決を見まして、国会の解散からいたしまして遂に制定を見ることができなかつた次第でございます。かかる事情によりまして、同一内容の法律案が再び提出された次第でありまするが、この間内外の情勢その他の変化によりまして、三点だけ修正いたしたいということで、私ども修正案を作りまして、三点の修正をいたした次第であります。従つてこの三点につきまして御説明申上げたいと思うのであります。この修正をいたしまするにつきまして、農林委員会から強い申入がございまして、非常な多種多様な損害に対する検討をせなければ、その損害補償し得る立法をせなければならないといようなことになつて参りましたので、全く一つ一つ取上げて参りますると、際限のない状態に相成るのであります。又農林委員会のほうからいたしましても、将来起り得る損害に対しても補償できるような法案を作りたいというようなことも申入れ受けまして、完全なる法律を作るという建前からいたしまして慎重審議いたしたのであります。建前としましては、すべての損害に対して完全補償をするという建前で進んで参りました。又政府当局からもかような答弁を承わつて、かように了承して私どもは進んで参つたのであります。  その第一点は、主として水産関係規定でありまするが、原案の第一條第一項中第一号の「防潜網その他の水中工作物設置又は維持」とありました次に、更に政令で定める行為について幾分具体的に規定をいたしたいと存じまして、政令で定める施設除去損壊若しくは変更又は水質の汚毒、障がい物の遺棄その他水面利用を著しく阻実する行為であつて政令で定めるものということを附加えたのであります。この政令で定める施設除去、こういうことにつきましては、一々事例を挙げるということがなかなかむずかしいのであります。先ず考えられまることは、定める施設除去でありまするが、防風林を取払うとか、或いは橋を取払うとか、いろんなこういう細かい事例がたくさん出て参りまするので、そういう事例をこの字句の中で賄えるような訂正をいたしたのであります。  第二点といたしましては、主として農林関係規定でありまするが、この規定につきましても、以前の修正と同様の趣旨におきまして、原案の第一條第一項中の第二号の規定に、更に次の條項を加えたのであります。即ち「防砂施設」の次に、防災施設その他政令で定める施設除去損壊、若しくは変更、又は農地牧野若しくは林野等利用を著しく阻害する行為であつて政令で定めるもの、これだけ附加えたのであります。この点につきましては、農林委員会におきまして附加えたのであります。この事例につきましては、各地におきまして農林関係で種々なる問題が起つております。例えて申しますると、山形県の神町におきまして、川の水を駐留軍演習にとつてしまつた、そのために「ます」の養漁場がすつかり参つてしまつた。或いは非常に水田が水利の便を失つてしまつている、こういうような事例農林委員会のほうにおきましては挙げておられるのであります。この詳しい事例に対しましては、農地課長さんですか、出席しておられまするので、農地課長さんに詳しい御説明を願いたいと思うのであります。  それから第三点としましては、附則改正でありまして、本法の適用については、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約の最初の効力発生の日以降、即ち昭和二十七年四月二十八日に遡及することにいたしたのであります。従いまして、この間において見舞金等の形で支給された金額は、本法によりまして損失補償金の内払とみなすことに明確に規定をいたした次第であります。このことは、占領軍当時の損害見舞金でございまするのでありまするが安全保障條約の効力発生の以後におきましては、我が国民の独立意欲の点からいたしましても、完全補償することは当然考えられることでありまするので、遡及効法案の中に盛り込んだ次第であります。  以上三点を修正いたしました次第であります。どうぞ本委員会におかれましても、慎重御審議を賜わりまして、速かに可決下さいますようお願い申上げまして、御挨拶に代えます。よろしくどうぞ……。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 有難うございました。只今から御質疑のおありのかたは御質疑を願いたいと思いますが、衆議院修正されました箇所につきましては、先ほどの中村庸一郎、その他の内閣送付案につきましては、今日は調達庁のほうは山中不動産部長のほか一名、水産庁清井長官その他のかた、更に農林省農地局から和田農地課長が見えられておりますから、順次御発言を頂きます。
  5. 松浦清一

    松浦清一君 衆議院修正部分についてお伺いを申上げたいのですが、配付されておりまする修正議決された部分と、只今中村議員から御説明になつた字句の中に若干相違があるように聞取つたのですが、御迷惑ですが、もう一遍修正部分だけお読み願えませんか。
  6. 中村庸一郎

    衆議院議員中村庸一郎君) 「一、防潜網その他の水中工作物設置若しくは維持水面利用上必要な施設であつて政令で定めるものの除去損壊若しくは変更又は水質の汚毒、障がい物の遺棄その他水面利用を著しく阻害する行為であつて政令で定めるもの  二、防風施設防砂施設防災施設その他農地牧野若しくは林野等利用上必要な施設であつて政令で定めるものの除去損壊若しくは変更又、農地牧野等利用を著しく阻害する行為であつて政令で定めるもの」次に、附則中第一項を次のように改めます。「この法律は、公布の日から施行し、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約の効力発生の日以降生じた損失について適用する。」、附則中第二項を第三項とし、更に第一項の次に一項を加える。「前項の損失に関して見舞金その他の名目で国から支給を受けた金額のうちこの法律規定による損失補償金に該当するものについては、この法律規定による損失補償金の内払とみなす」、以上でございます。
  7. 松浦清一

    松浦清一君 前におつしやつたのが間違いで、只今お読みになつたのが正確なものですね。
  8. 中村庸一郎

    衆議院議員中村庸一郎君) 前に読みましたのは、説明を少々加えながらいたしましたので、それから本文全体を読みませんで、何項の次にこれだけを附加えるといたしましたので、その点よろしくお願いします。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この第一條の中で「政令で定めるその他の事業を営んでいた者が」とあるのですが、これに学校なんかがこの行為のために、或いは施設のために、その場所に置くことができなくなつて、他に移転をしなければならんといつたような場合の補償については、果してこの中に含むかどうかということに多少の疑問があるのでありますが、その点はどういうふうに考えるのでありますか。前国会においてこれが制定されようとするときには、さようなものを含むのだという解釈で進んで来ておつたようでありますが、一応念のためにお伺いしておきたいと思います。
  10. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) お答えいたします。只今秋山委員からの御質問でございますが、この点につきましては、我々といたしましては正確にこれを規定いたしまして、駐留軍行為によるところの事業障害の防止を図りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ現在まで経過を更にちよつと御説明いたしますと、そういう心ずもりで我々は政令規定すべき事項を整理しておるのでありまするが、関係各省との協議のうちには果して学校事業であるかどうか。経営損失がどこから出るかというようなことも一応問題にしておるところもあるようでございます。それから文部関係学校の何か法規の中にこれが救済手段があるじやなかろうかというようなことも言つて議論しておるかたもあつたようであります。この点につきましては、一応文部省が主体になりまして、大蔵省と事務的に折衝を進め、更に我々が政令規定上これに斡旋と申しますか、介在いたしまして、この事業を今進めておる状態でございます。我々といたしましては、先般も衆議院のほうで質問があつたのでございますが、これをできるだけ早く政令規定いたしたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 このところ私は気にかかつてつたのですが、そうすると、学校は一体含むという意味なんですか、含まないという意味ですか。含むか、含まないかということについて研究中だと、こうおつしやるのですか。
  12. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 我々としては含んでおると、こういうふうに解釈しておるわけなんでございますが、ただ別にほかに文部省関係法規の中にそういう救済規定があれば、無理にここに規定しなくてもいいじやないかと、こういう議論があるということを御紹介した次第であります。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、文部省関係にそうしたものがなけば、当然この中に含まれると、こう了解してよろしいわけですね。
  14. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) さよう私も考えております。
  15. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑ございませんですか……。それでは私から一言政府委員の方にお尋ね申上げたいと思います。これは参議院農林委員会から要望事項として申入がございます。これについて一つはつきりした御所見を伺いたと思います。その第一は、本法一條第一項によつて損失補償対象となるべき行為は大幅に政令に委ねられており、更に衆議院における修正はその感を一層深からしめるものであるが、これら対象となるべき行為の決定に当つてはあらゆる行為を取り上げ、いやしくも遺漏なからしめるというような要望水産委員長宛にありますが、この要望につきまして御所見を伺いたい。
  16. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 只今委員長お話政令の中に含むものについて遺漏なからしめるという関係でございまするが、我々といたしましては、少くともこの特別損失補償法におきまして、事実損害のあるかたがたに対するこれらの行為を、最大限度に公平に取上げて万遺漏なきを期したいと、こういうように考えております。
  17. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 第二の條項について御所見を承わります。第一には、本法一條第三項の補償程度について「補償する損失は、通常生ずべき損失」となつており、而して政府の見解によれば「通常生ずべき損失」とは、平年の収入対象行為の下における収入との差額の八〇%として算定されるようであるが、かかる算定方法は全く了解しがたいところであつて、実損失に対してこれを完全に補償することとすることという要望がございますが、これについて以前にも質疑もございましたが、この際農林委員会要望が強うございますので、御所見一つはつきり伺いたいと思います。
  18. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 第一條第三項の補償程度でございまするが、補償につきましては、我々は一応損害基準というものを完全にこれを算出するという方法作業はいたしております。然らばそれに対してどれだけの補償額を算出するがいいかということにつきましては、いろいろと関係方面にも異論はございまするのでありまするが、現在までとつて来ました漁船操業整備その他につきましては、昨年の七月四日の閣議了解で一応八〇%と算定しておる実情でございます。只今審議願つておりますところの本法案につきましても、現在のところ、これを算定すべき算定基準各省間において完全了解の域には達しておりませんが、大体寄り得べきものは、この閣議了解の線における算定基準作業ができるのじやないかと、こういうふうに考えております。併し只今お話のように八〇%が妥当であるかどうかということにつきましては、我々といたしましても十分検討いたして見たいと思つております。ただ現在までの行き方から言い、或いは各省からの要求、或いはどうも過去の経緯等から鑑みますと、大体今までの例が八〇%が最高じやないか、こういうような議論もあつたようでございますが、この点につきましては、更に我々といたしましても十分研究をいたしたい。こういうように考えておる次第であります。
  19. 千田正

    千田正君 関連して……。今の山中部長さんの御説明によりますと、八〇%、これはまあ閣議で決定したからというお話でありまするが、我々はこの日米安全保障條約の第三條に基く行政協定條項を、どこを見てもそういうパーセンテージで定めてということはない。残念ながらあなた方の考えるのはいわゆる一方的な考え方であつて、実害を受けた農民漁民にとつては、完全に補償してもらいたいというのは、これは当然であります。先般の合同委員会の際にも、どなたであつたか知りませんが、二〇%残したのは、完全に補償しないのは、農民漁民が働かないで怠け者になつちやいけないからということを答えたかたがありましたが、これは農民漁民を侮辱するのも甚しいことである。むしろ農民漁民はこういう施設除去してもらいたい。我々はこういう施設の中で百姓や漁業をやるのじやない。専業に戻つて働きたいのだから、やめてもらいたいというのが、農民漁民の働く者の意向であつて、そういう人たち損害に対しては完全なる補償はしないで、二〇%ぐらいでとめておけ、あとの二〇%ぐらいは怠けちやいけないから自分で働いたらよかろうという考え方は私は甚だ遺憾に存ずるのであります。而もどの法案を見ましたもどの法律にも、この安全保障條約に基くところのどの條項を見ても、そんな一部補償なんということは書いてない。私が質問したいのは、安全保障條約におけるところのこの行政協定、第三條なら第三條、或いは第二十五條におけるところの補償條項がありまするが、その中でもそういう八〇%補償してもいいなんということは書いてありませんね。そうすると、勝手ないわゆる都合によつて農民漁民が怠けちやいけないから八〇%くらいでいいだろうというようなことは、こういうようなことは法律で個人の財産なり生命を守られておる今の日本民主主義憲法下において、こういうやり方はやるべきでないと思うが、その点あなたの御所見を承わりたいと思います。
  20. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 補償建前といたしましては、只今お話のように、成るべく現実の損害の実態を把握いたしまして、財政上その他いろいろ都合がございますでしようができるだけその実被害に、或いは損害に近いものを補償するということは、これは我我としても希望するところでございます。ただ只今お話の二〇%は惰民を作る一つ抑制剤に残しておる、こういうふうな御説明はどこであつたのですか、よく私聞いておらないのでございますが、そういう意味で二〇%残したというように我々は承知しておらないのでございます。
  21. 千田正

    千田正君 まあ山中部長さんはそう承知しておらないだろうけれども、あなた方の政府委員の一人はさような意味もこの中に含んであるのだというようなことを委員会で発言されたことを私は記憶しておるので、そこで私はそう言うのであります。そこで本日審議中のこの法案につきましても、第一條におきましては、ここに明記されておるように「海軍又は空軍の左に掲げる行為により、従来適法に農業、林業、漁業又は政令で定めるその他の事業を営んでいた者がその事業経営損失をこうむつたときは、国がその損失補償する。」こう明記してある以上は、その算定において少くとも一定年度平均値を求めたならば、その平均値に対しては完全補償すべきものであると我々は考えておるのであります。でありますから、この点は十分にこの法案趣旨を生かすように、執行機関は徹底してやつて頂きたい。これは私の要望なのであります。
  22. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 先ほど農林委員会から水産委員長申入れました事項といたしまして、第一條第一項第一号及び第二号について、政令に委ねるものが衆議院水産委員会でなお更多くなつたじやないか、こういようなお話があつたようでございますから、その点について衆議院水産委員会考えなり、又こんなふうに修正した経路について一言申上げたいと思います。  この演習補償の問題につきましては、直接被害程度では大体そうもむずかしいとは思わなかつたのでございますけれども間接被害本法制定で実は非常にむずかしいことにぶつかりまして、衆議院といたしましては前後八回、この第一号、第二号の問題で審議を重ねたのでありますが、衆議院農林委員会におきましても、参議院農林委員会申出のような申出が実はあつたのでございます。従つていろいろ政令で盛らんとするものをできるだけ本法に掲げよ、こういうような考え一つの過程として研究されたのでございますが、いろいろ研究して見ますというと、今いろいろな事例は次々と出て来ておる、今日までは出ていないけれども明日も出る、明後日も又新らしいものが出る。こういうような状態でございまして、本法にそれを掲げますと、法律改正をしなければ新らしく出て来たケースについては補償ができない、こういうようなことになりまして、法律改正が時々刻々起つて来るケースを取入れることが便利か、或いは政令譲つてそういうものを直ちに取上げて、そうして補償すべきものを補償する、さような処置をするのが都合がいいか、この二つの問題について役所ともいろいろ研究いたしました結果、結局時々刻々起つて来るケースに対しましては、どうしても改正しやすい政令のはうに譲つておいたほうが都合がいい、こういうような結論に第一点はなつたのでございます。ただこの政令制定の際に、それでは議会において考えておるような、さような問題を落されたら困る、こういうような意味におきまして、一応かかる問題については政令に入れなければならん、こういうような枠だけを一つはめておこう、こういうようなことを衆議院農林委員会といろいろ御相談申上げまして、そうして枠だけをはめて、この枠も何か制限をして置かなければ切りがないから、言換えますというと、役所運用される場合におきまして非常に困る、こういうような問題もありますから、この枠内で一つ政令に定めるもの、こういうことにしておきますれば、新らしいケースが起つたときに迅速に処理できるという問題と、そうして間接被害でございますから、実はどこまでが該当するかということも非常にむずかしい問題で、湖水の中に石を投げて波が立つて行く、で、波がずつと最後まで出て来る、これが間接被害でございますから、そこらの運用面、いわゆる行政面から考えて、何かやはり運用のできるような部門を行政官庁に一応十分研究をさせる、かような必要があるのじやないかということで、一応枠をはめるが、この枠内の問題について一つ政府政令できめたものについてと、こういうような意味にいたしまして、衆議院農林委員会といろいろ相談いたしました結果、成るほどそれもそうだ、新らしいケースが時々起りつつあるからということで、この程度修正にとめたような次第でございまして、この修正のために特に政令できめる問題が多くなつたということではなしに、第三号の、その他の政令で定めるもの、このうち農林委員会或いは水産委員会考えを最も重要視しておるその枠を一号二号にはめた、こういう意味でございますから、一つ御了承を願いたいと思います。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 速記等の時間を制限されておるのに甚だ御迷惑かと思いますが、先ほどの千田委員質問に関連して、私はまだちよつと得心の行かない点があるので、伺つておきたいのですが、私の了解では、政令というものは法律を施行実施するに当つて法律條文従つてそれの実施行為として必要なことを細目にきめるということがその生命だと、こう了解をするわけですが、この法律案條文を初めから終りまで読んで見ますと、通常生ずべき損害に対して補償しなければならんということは明確に書いておるが、その補償金額を八〇%にする、或いはその金額政令によつてどうきめるというようなことはどこにも書いてないと思うのですが、どういう根拠によつて八〇%という数字が出たのでしようか。先ほどあなたがおつしやつたように、単に閣議了解事項があるからということで、この法律條文の中にもないけれども、八〇%という補償額を割出したというのか、どんなものでしようか。
  24. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) この八〇%というのは、現在この法律に適用する八〇%という意味じやございませんのですが、我々が現在まで八〇%、ほかにもパーセントがありますが、使つておるのは最大パーセントでありますが、これを出されておる意味は、過去の漁船操業制限、昨年の法律二百四十三号でありますか、そういうものに使われておるパーセンテージをここにお挙げになつたのだろうと思います。で、只今も御説明申上げましたように、それで適用できるものは、今度の法律案が施行されました暁にも十分検討いたしますが、一応の基準にはなるのじやなかろうかと、こういうように現在では考えておるわけでありますが、これは昨年の七月四日の閣議了解で、こういう補償のあらゆる手続を、算定基準その他の手続をきめた規定があるのですが、その規定によつたと、こういうふうに説明申上げる次第でございます。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、そういう損失補償額を割合できめるという権限は、この法律の中のどこででも、誰にも委任されておらないわけですが、法律と全然違つた政令というものは出て来ていいわけですか。私は法律学というものを知らないから……。
  26. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) お答えいたします。私も別に法律専門家じやないので、その方面関係につきましては、具体的に法理的にどうこうということは申上げかねまするが、現在のところ同一のような法体系におきましては、大体補償すべき対象とか、その補償のよつて起る行為その他について、国が通常生ずべき損害補償すると、こういうふうに規定してあるわけです。それではどういう手続においてどういうふうに補償するかということも、決して我々個人的な悪意でやつておるわけじやありませんが、これはそれぞれのあらゆるものの最大値と申しますか、関係各省のそれぞれの見方からいろいろ検討いたしまして、これを一つの案として現在は閣議了解事項で実施しておるわけであります。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 閣議了解事項というものは法律よりは強いものでしようかね。
  28. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) 閣議了解事項というのは別に、本当の行政行為の一応の指針を示す閣議決定とかいうあれでございまして、法律より強いか弱いかということにおきましては、法律的に全然違うのでありまして、法律規定されたものを更に運営する上において、我々だけではできないと、こういうようなときに関係方面の事務的な打合をし、その上において国の行政機関のいろいろの運営をする閣議に諮つて、これをきめるという意味に私はとつておるのでございます。
  29. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、補償の額を八〇%にきめるということは、條文の中のどこかで拾い出して来れば、第二條第三項ですが、「内閣総理大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失補償すべき場合には、補償の額を決定し、」と、その三項にこう書いてあるから、八〇%で予算上都合が悪いということになれば、総理大臣が額を決定するときに、閣議に諮つて六〇%に下げられてもしようがないと、こういうことですか。
  30. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) この問題につきましては、この法律においては総理大臣が一応有無と額とを決定するごとになつております。これによつてその通り総理大臣がきめるわわけでありまするが、これによつて八〇%をきめるということに必ずしもとらなくてもいい、結論としては額の決定、有無の決定ということは、この法律規定したような工合になりまするが、その経過的な行き方といたしましては、この法律の額を決定し、有無を決定する前の予備行為が相当あると思いますが、予備行為一つ作業といたしまして、只今申しましたような閣議了解の線で作業をいたすわけであります。
  31. 松浦清一

    松浦清一君 私はまだ疑問の残つたままですが、余り長くなりますからやめますが、もう一つ聞きたいのは、申請書で損害の額が現われて来ますね、申請者から額が現われて来るでしよう。それをそのままを損失額と決定するのか、その申請書に現われて来た損失額というものをやはり査定するのでしようか、本当のものか、掛値があるかということを……。
  32. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) お答えいたします。我々といたしまして事務的に最も好ましい姿というものは、その中に現われた計数がそのまま実在であれば我々の作業としては誠に結構なことなのであります。併しながら国のそういう有無なり額の決定につきましては、一応の試算をやらなければならない。これを査定の意味が、普通の公共事業とか、予算の補助金の査定とか、こういう工合じやありませんが、一応計数の把握が正しいか正しくないか、或いは正しくないとすれば、どういう点が違つておるかという点につきまして検討すすことが、行政当局としてはやらなければならん義務じやないかと思つております。従いまして、それより大きくなることも、或いはそれより下ることもございますと思います。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 ですから、この申請書の結論に現われて来た損害額というものに対して、これを所管する役所が、実際に申請書に書いてある通り損害があつたかどうかということを査定、査定ということがきつ過ぎれば、円満な言葉でもいいのですが、とにかく調べるでしようが、そうして一応役所側の数字を出して、そこで数字的に頭をはねておいて、又損失補償をするときに八割にする、二重に頭をはねることになるのでしようね。
  34. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) いろいろやり方につきましては、ケースにおいてそれぞれ御説明したほうがいいかと思いますが、二重に頭をはねるという観念は私は出て来ないのではないか。これは査定という言葉がどういう意味ですか、査定と言えば査定ですが、一応試算なり念査をする、検討するということにおいて、真実のものがはつきりわかれば、これはこれに越したことはありませんが、真実でなさそうな場合には、真実に近い計数をとる、只今申しましたように、申請者が恐らく思い違いされておることもありましようし、故意の場合もありましようし、或いはいろいろなその他原因があろうと思いますが、必ずしも余計書いたから余計やると、こういうのじやなくて、成るべく真実に近い数字をありのままにとつて、それによつて一応計数を積上げて行く、こういう気持で作業をいたしたいと、こういう考えであります。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 ただそこに非常に気にかかることは、これは私が若し行政官になつても、持つて来た通りそれを認めるかどうかということに対しては、いろいろ疑問があると思います。大体損害補償に対する補償の総枠というものがきまつておるでしよう。これだけじやないのですよ。全体のことですよ。六十二億とか、五十七億という総枠がきまつておるでしよう。こういう損害補償について特調がいじくつて行ける額というものは大体そういう見当なんでしよう。僕はそういうように了解しておる。総枠というものは大体見当がきまつておれば、やはりそれを扱つておる役人としては、その予算の枠というものをはみ出さない限度において、損害の額というものを査定して来る虞れがありますね。あなたはそんなことはないかも知れませんけれども、三十億でいいだろうと思つておるところへ、申請に八十億出て来た。こういうことに若しなれば、それはやはり行政官としてはできるだけ削つて行かなければいかんという心理が起つて来ますね。そうなつて来ると相当頭をはねるというわけではないが、申請額を削り取つたその上に、又損失補償をする額を八〇%にするというのだから、損害をこうむつた側から見れば二重にやはり押えられると、こういうことになる心配があるのだが、そんなことはないでしようか。
  36. 山中一朗

    政府委員山中一朗君) お答えいたします。この問題につきましても、衆議院水産委員会でも相当問題になつたケースでございまするが、確かにお話のように、一応予算というものは編成上枠というものを作つておかなければならないことは事実でございます。但しこの予算というものが総枠において一応作つておりますが、区分につきましては弾力性のあるものでありまして、普通の公共事業とかいうような、一応財政の枠があつて、それから下へ割つて行くというのではなくて、我々のほうは原則として下から積み上げて行く、又その積み上げる対象が我々の計画に従つてやれるものではない、残念ながら駐留軍一つ行為によつて起る場合が大部分であります。従いまして大蔵当局におきましても、我々におきましても、この点において末端のほうの制約というものは非常に弾力性のあるものに作つておるわけであります。それでは三十億しか予算総額がないのに四十億になつたらどうするかという問題でありますが、これは行政当局でできる流用その他はできるだけやる。できない場合には補正その他のときに計上するということに現在の法制上はならざるを得ないと思いますが、我々の気持といたしましては、三十億しかないから四十億のものは十億削つてしまえという観念で作業する気持は毛頭ありません。ただ主観的にそういう気持になるのじやないかと言われたときに、我々は客観的にはなれないと申しますが、個々の問題について誰の誰兵衛がそういう主観を持つておるらしいと言われるようなことにつきましては、我々としては十分関係者を戒しめるつもりでおります炉、現在までの運営から行きますと、無論被害のあるほうにおいては公平な立場において、財政上あらゆる努力を払つて多数の被害者を救済したいという精神を持つておることは、この事務をとる者の一貫した気持だろうと思つております。従いまして、そういう心配の起らないように努力をするのは我々の当然の義務でありまするが、恐らくそういう観点に立ちました問題は、私といたしましては万々ないと、こういうふうに考えております。
  37. 松浦清一

    松浦清一君 まだ若干法律條文政令等の関連において得心の行きかねるところもございますけれども只今お答えになつたように、無闇やたらに切り捨てる査定をやらない、若し予算が足らなくなれば補正でもやつて、できるだけ損失に近い額を支給して行く、こういう政府委員の御答弁と了解して私の質問を終ります。
  38. 千田正

    千田正君 私はこの際只今松浦委員からもいろいろ疑義について御質問もあり、且つ又先般参議院の農林、水産合同委員会におきましても、一応の結論として出て来ました案につきまして、この際この法案、勿論衆議院を通過しましたこの修正案に対しては賛成でありますが、疑義もあり、且つ又この法律を完全に施行する方向に行くべく附帯決議の動議を出したいと思いますが。
  39. 森崎隆

    委員長森崎隆君) その問題は質疑を終りまして、討論のときにお願いいたします。
  40. 千田正

    千田正君 それではその際改めて申上げます。
  41. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今の二つの問題につきましては、農林委員会のみならず、水産委員会におきましても強く要望いたしますので、是非御研究の上善処方を政府にお願いしたいと思います。  別に御発言もなければ、これを以て質疑を終了したものと認めたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に移ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにして御発言を願いたいと思います。
  43. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 原案及び衆議院修正点に対して私は賛成するものでありますが、特に過般来審議の過程において質問し、論議をした問題の補償算定に要する手続の問題、これが今日様式等を拝見いたしましたが、これもよほど簡素化されたと言いながら、実際補償を受ける漁業者の身にとりますというと、かなり大変な様式なのであります。勿論これだけの資料がなければ金額算定もできないということにはなりましようが、この取扱いについては、でき得る限り親切に、且つ簡素化し得るものはなお一層簡素化する、そうして速かに算定額を出すという努力をして頂きたいのであります。殊に組合等に所属する漁業者は組合で取りまとめて損害額を申請することができるということでありますが、組合というものにもいろいろ組合があります。漁業協同組合とか、或いはその他の協会等のようなものもございますので、そういうふうな一つの団体は同じ組合と認めて共同の申請のできるような取扱いにして頂きたいという要望を附しまして本案に賛成いたします。
  44. 松浦清一

    松浦清一君 私も不本意ながら本法律案に賛成をいたします。その不本意だという理由は、只今質問の過程において申上げましたように、実際の漁民なり、農民のこうむつた損害を、法律條文を見ましても損失補償するということは明記されておるにかかわらず、結論的に補償される金額が八〇%にされる、こういう取扱い方に対して若干の不満を持つております。併しながら、これらのアメリカ合衆国行為が始まりましてから、実際に損害をこうむつております漁民農民等から、単なる一片の見舞金でなしに、早く法律を作つて補償してもらいたいという熾烈な要望があつたわけでありまして、会期末を目前に控えて若しこれが徹底的な検討を行います場合には、会期中に審議が終らないというような懸念もございまするので、この際取扱い方の面において、損害の申請をした場合の補償額の最終的の査定の場合において、できるだけ厚意的に査定を行うことによつて、その八〇%と数字は出しておりましても、損害の大部分が救済せられるように配意せられることを希望して賛成いたします。
  45. 菊田七平

    ○菊田七平君 私も只今原案並びに衆議院修正点に対して賛成するものであります。ただ私が要望しますのは、この補償の査定に当りまして不公平のないように、できるだけ一つ公平なる措置をして頂きたいということを附して賛成いたします。
  46. 千田正

    千田正君 只今同僚議員から御賛成の言葉がありましたが、私も同様でありますが、先般参議院におきまして農林水産合同審議の結果、両委員会とも結論においては同じところに到達いたしましたので、只今の同僚議員の要望する案件を中に入れまして、附帯決議の動議を提出いたしたいと思います。つきましては、その案を読み上げますが故に、何とぞ皆様にお諮りを願いたいと思います。    日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案に対する附帯決議政府本法の施行に際して特に次の点に留意し措置すべきである。   一、損失補償の申請手続はできるだけ簡素化を図ること。   一、本法一條第三項の補償算定において「補償する損失は、通常生ずべき損失」となつており、政府の見解によれば、その通常生ずべき損失とは、平年の収入対象行為の下における収入との差額の八〇%と算定しているが、かかる算定方法了解しがたいところであつて損失に対して完全に補償することとすること。   一、損失補償に当つて各省間の緊密なる連絡の下にこれが損失の的確なる調査及び補償金の迅速なる交付を期し、いやしくも削減繰延べ等のないよう留意すること。  この三項目の附帯決議案を動議といたしまして提出いたします。
  47. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御発言はございませんか……。別に御発言もなければ、これを以て討論は終結したものと認めたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に移ります。  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案、この法案原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  49. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、只今の討論中に千田委員から提出されました本案に対する附帯決議案を採択いたします。この附帯決議案に賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  50. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 全会一致でございます。よつて本案は附帯決議を附することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容と爾余の手続は慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。   次に本案を可とされましたかたは、例によりまして順次御署名を願います。   多数意見者署名     秋山俊一郎  千田  正     青山 正一  野田 俊作     松浦清一   菊田 七平   —————————————
  52. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 次に、漁船損害補償法の一部を改正する法律案議題に供します。  本法律案衆議院におきまして修正議決されまして、七月二十一日付送付であります。修正議決の箇所につきまして、発議者代表の衆議院議員鈴木善幸君に御説明を願います。
  53. 鈴木善幸

    衆議院議員(鈴木善幸君) 衆議院水産委員会におきまして、本法律案修正いたしたわけでございますが、その修正点は、第百十二條の第一項中「政令で指定する漁船」とございますのを「指定漁船(一年を通じて六十日以上漁業に従事する総トン数百トン未満一トン以上の動力漁船であつて、当該地区内に主たる根拠地を有する漁船を言う。以下同じ。)」、なおもう一点は附則の二項の『改正後の第百十二條第一項の規定の適用については、昭和二十九年三月三十一日までの間は、同項中「百トン」とあるのは「二十トン」と読み替えるものとする、この二点でございます。  その修正の理由を簡単に申上げますと、ここに申上げますまでもなく、二十トン以上、百トンまでの漁船は我が国沿岸漁業の中堅であり、又漁村におきましても中心勢力をなすところの漁船でございまして、この漁業生産力の発展の上からいたしましても、又漁業経済の上からいたしましても、漁民生活の安定の面からいたしましても、この二十トンから百トンまでの中堅漁船を、これを救済して参りたいという念願からでございます。御承知のように、二十トン未満の漁船におきましては、農林特融におきまして、漁業組合の共同経営或いは漁業生産組合の自営というような場合におきましては、漁船の建造資金は農林特融資金から融資が得られております。又指定遠洋漁船等の大型漁船になりますと、開発銀行等から融資を受けられるように措置いたされておるのでありまするが、漁業の中堅でありまするところの、この二十トンから五十トンまでの個人企業或いは会社等の漁船にいたしましても、この一番大切な中堅漁船が融資の対象からも外されておる、今日金融が非常に逼迫しております際に当りまして、これからが保険にできるだけ多く加入をいたすというようなことは、建造資金融資の対策からいたしましても堅実なことと考えるものであります。  以上のような観点からいたしまして、この二十トンから百トンまでにトン数の引上をいたしたい、これが従来政令で以て定めるように相成つておるのでありますが、これを第百十二條の法律條文に明記いたしまして、ひとしく漁船損害補償法の恩典に浴するようにいたしたい、こういう考え方でございます。  なお附則修正点につきましては、二十九年三月三十一日までの間は百トンとあるを二十トンと読み替えをいたしまして、即ち今年度中、二十八年度予算に計上いたしております予算は二十トン未満を対象として計上いたされておりまするし、すでに予算案は衆議院を通過をいたしておるような事情にもございまするので、二十九年三月三十一日以降のこの法律の適用に当りましては、二十トン以上百トンの船もこの恩典に浴する、こういうようなことにいたしたいというのであります。なおこの際申上げておきたいのでありますが、二十トン以上九十九トンまでの漁船の隻数は六千三百三隻に相成つておるのでございまして、その五〇%が加入をいたすものと考えますれば、予算の増額必要分は一億一千四百五十四万八千円、こういうことになるわけであります。僅か一億一千数百万円の予算措置によりまして、これらの中堅漁船がひとしく漁船損害補償法の恩典に浴する、こういうような修正でございまするので、慎重御審議の上御採用あらんことを希望いたしまして、私の御説明に代える次第でございます。
  54. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 本法律案についての修正の個所について御質問がありまするならば、鈴木衆議院議員にお願いいたします。その他の原案につきましては、水産庁長官がいらしておりますから、順次御発言を願いたいと思います。  別に御発言もなければ、これを以て質疑は尽きたものと認めたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  56. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 原案衆議院修正点につきまして、いずれも賛意を表するものであります。  本来漁業に対しましては、他の農業等と比較しまして、国家が補償するような恩典を与えること極めて薄かつたのでありますが、僅かに過般制定されました漁船損害補償法に二十トン未満の船が国家の補償によりまして、僅かではありましたけれども国家補償の恩典に浴して来たのであります。只今鈴木君の御説明にありましたように、従来漁船の中堅をなす漁船がその対象から漏れておつたために、国内の漁業者は絶えずこれのトン数の引上方について熱烈なる要望を持つてつたのでありますが、今回この法案がここに提出されまして決定を見ようとすることは、誠に利用者の喜びは偉大なるものがあると思います。私はかような意味におきまして満腔の賛意を表するものであります。
  57. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 別に御発言はございませんですか……。別に御発言もないようでございますから、これで以て討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。漁船損害補償法の一部を改正する法律案原案通り可決するに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 全会一致でごいます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容と爾余の手続きは慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされましたかたは、例によりまして順次御署名願います。   多数意見者署名     秋山俊一郎 千田 正     青山 正一  野田 俊作     松浦 清一  菊田 七平   —————————————
  61. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 衆議院水産委員長田口長治郎君並びに発議者鈴木善幸君に厚く御礼を申上げます。  速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  62. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。  次に、漁業法の一部を改正する法律案議題に供します。  本法律案は目下予備審査でございまするが、発議者代表衆議院議員鈴木善幸君から提案理由の御説明を伺いたいと思います。
  63. 鈴木善幸

    衆議院議員(鈴木善幸君) 只今議題となつております漁業法の一部を改正する法律案につきまして提案者を代表いたしまして提案理由の御説明を申上げます。  御承知の通り我が国民主化の一環といたしまして、昭和二十四年十二月十五日、新らしく制定されました漁業法により漁業制度の改革が行われました。昨年三月の新旧漁業権の最終的な切替によりまして、制度的には一応第一段階を画するに至つたのであります。今後はこの漁業法の精神を生かしまして、漁業制度の民主的改革、漁業生産力の発展に努力いたすべきものと考える次第であります。併しながら現行漁業法に対しましては、業界を初め幾多の批判の声が全国津々浦々において聞かされております。特に免許料、許可料の徴集制度については、業界におきましては、この制度の撤廃について熾烈なる運動が展開されており、去る七月十日には全国漁民大会が開催され、又全国八十三万余の漁民の署名陳情がなされております。即ちこの免許料、許可料の徴集制度の根本的且つ抜本的な改革が要請されておるのであります。漁業法規定による免許料、許可料の制度は、旧漁業権等の補償金約百八十一億円に、五ヵ年の利子約五十億円を加算した約二百三十一億円余を昭和二十七年度以降二十五年間に免許料、許可料として毎年漁民から徴集せんとするものでありまして、現在すでに昭和二十七年度分六億円余の徴集が行われておるのであります。この免許料、許可料の徴集制度は、その制度上における幾多の矛盾と欠陥を内蔵いたしておりますと共に、又他面現下の漁業経済の逼迫せる諸情勢に鑑みまして、この各派共同提案になりました法律案のごとく、抜本的にこれを撤廃すべきものと考えた次第であります。  先ずこの免許料、許可料の制度が制度として如何なる点において矛盾と欠陥を露呈しておるかと申しますならば、その第一点は、他事業の許可と同様な本質を持つておりながら、漁業の許可だけが何故許可料を負担せねばならないのか、まさしく憲法第十四條の法の下の平等の思想に背馳するのではないかという疑問も持たれております。又漁業許可料の前提をなすところの許可は、いわゆる警察許可の一種でありまして、特典を付与するものではないという意見が強いのであります。更にその徴集の基準を旧漁業権に対する補償金に見合せることについては、何らの合理性がないということが指摘されているのであります。又特に補償金は、すでに消滅した旧漁業権者に交付されたものでありまして、許可漁業者は何らその対象となるべきものでないという議論が強いのであります。又漁業制度改革は、一連の日本民主化立法の一環をなすものでありますから、漁業権の補償の見返り財源として漁業者のみに負担せしめるべきものではないのであつて、国全体として負担すべきものであるという意見も非常に強いのであります。これらの制度上の欠陥と矛盾は、私どもも現行漁業法制定当時におきまして、いろいろ各委員から強く論議がなされたところでありますが、皆さんも御承知のような経緯で漁業法の中にこれが盛込まれるに至つたのでございます。  更にもう一点は、現下の漁業経済は皆さんすでに御承知の通り、魚価は非常に安く、資材その他漁業経営費は逐年累増いたしておるようなことでありまして、漁民の困窮、漁業経済の逼迫は、ここに指摘するまでもないのであります。  以上のような制度上の欠陥並びに漁業経済の実態からいたしまして、この免許料、許可料の制度はこの際これを撤廃することが妥当と認めまして、この法律案を提案いたした次第であります。  次に法律案についてその概要を御説明申上げます。先ずその第一点は、漁業法第五章の「免許料及び許可料」の規定を削除することであります。即ち法第七十五條から第八十一條までを削除して、本制度を撤廃せんとするものであります。  第二点は、第一点と同様、法第百二十九條の規定を削除して、内水面漁業の免許料及び許可料を撤廃いたしたわけであります。その他は第五章を削除するための関係條文の整理でありまして、目次を改め、或いは法第十四條において、削除される第七十五條の引用條文規定し、文法第三十九條「公益上の必要による漁業権の変更、取消又は行使の停止」には、免許料、許可料の徴集規定を準用いたしておりますため、このなくなる部分について、新たに規定いたす等、関連條文を整理いたした次第であります。なお附則において、この法律は公布の日から施行し、昭和二十八年度分の漁業の免許料及び許可料から適用すること、昭和二十七年分までの漁業の免許料及び許可料については、なお従前の例によることといたしました。  以上極めて簡単でありますが、提案理由説明を終る次第であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御議決あらんことをお願いいたします。
  64. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 有難うございました。本法律案その他の法律案につきましての御質疑は次回に譲りたいと思います。  今日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十四分散会