運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-10-22 第16回国会 参議院 水産委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十二日(木曜日)    午後二時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            松岡 平市君            森 八三一君            木下 源吾君            松浦 清一君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁長官   清井  正君    水産庁生産部長 永野 正二君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (北洋漁業に関する件)  (風水害対策に関する件)  (漁船保険に関する件)  (李ラインに関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではお待たせいたしました。只今から委員会を開きます。  今日は公報によりましていろいろ議題を御通知申上げておきましたが、都合によりまして、北洋漁業に関する件を第一の議題として取上げます。この問題につきまして質疑のあられる方は順次御発言を願います水産庁では岡井次長生産部長永野正二君、漁政課長家治清一君、三名出席になつておられます
  3. 千田正

    千田正君 北洋のことについて特に私はお伺いしたいのは、昨年と本年は一応水産庁の案の通り決行されて、相当軌道に乗つて来つあるようでありますが、明年度の問題に対して、仄聞するところによりますというと、北海道北海道独自の立場でやつて行こう、或いは青森県あたりの話を総合するというと、アメリカから冷凍船を買入れて、これ又独自の立場でやつて行こうとするというようなことを聞くのですが、この問題はどういうふうに指導して行かれるのかということと、北洋の周辺において最近拿捕される船があつたり、或いは先般スパイ船として北海道の沖で捕まつたソ連の裁判をめぐつて北洋漁業に対する影響は余り芳ばしくないように見られるのでありますが、そういう点について水産庁はどういうふうな手を打つていられるか。この問題を一応先ず先に承わりたいと思います
  4. 永野正二

    説明員永野正二君) 只今千田委員の御質問は、来年度北洋の「さけ」「ます漁業について、現在水産庁としてはどういう段階考えておるかという点であつたと思います。本年三船団操業いたしました結果は、幸いにして私ども考えますに、相当にいい成績を収めている、こういうふうに考えておるのでございまするが、その操業の結果をいろいろ検討いたしまして、来年度といたしましては、できるだけ大きい規模でこの漁業をやつて参りたいと思つて只今この点を検討しておるわけでございます。現在の北洋の「さけ」「ます漁業は、東北方面漁船にとりまして一つの大きな働き場所でございまするので、我々といたしましては、昨年及び本年の操業の結果を具体的に検討いたしまして、できるだけこれを大きい規模で伸ばして参るということを考えて参りたい、こう考えておるのでございます。ただよく御承知のことでございまするが、この「さけ」「ます」の漁場というものは、あの方面海域のどこででも、幾らでも取れるという性質ではございませんので、あの海域の中の一定の魚道に集中して初めて漁獲が上るわけでございます。でございますから本年の実際の操業成績によりまして、あの水域でどのくらいの規模流し網漁業が可能かという点の見当をつけなければならない、こう考えておるわけでございます船団が帰りまして早速その調査を始めておるわけでございまするが、現在のところまだその大体のスケールにつきまして、どのくらいがよかろうという結論を出すところまで行つておりません。併しとの問題は漁期関係、その漁期までに諸般の準備をいたさなければならない関係もございますので、できるだけ急いで大体の見当をつけたいと、こう今急いでやつているわけでございます。なお民間におきましては、この仕事について母船を出してやりたいといういろいろな計画があるのでございます只今指摘通りでございまするが、これらにつきましても、すでに私どものほうに非公式にいろいろな計画が集まつておりまするので、その全体の規模を睨み合せて、成るべく優秀な計画に対しまして来年度の「さけ」「ます漁業許可をして参りたいということで、この点も只今検討中でございます。問題は只今お触れになりましたように、北のほうでいろいろな事件も起つております。ただこの点につきましては、我々といたしましては、今からあの方面国際関係はかくあるべしと、或いはこうなるであろうと、或いはこういうふうに悪くなるであろうというような推定をつけることは、これは非常にむずかしい問題でございます。大体現状がそのまま続くという前提で今のとこうは考えざるを得ない、こう考えているわけでございます。そういう前提の下に、現場の操業成績から具体的な検討をいたしまして、できるだけ早く結論をつけたいと考えておりますけれども、現段階ではそういう状況にございます
  5. 千田正

    千田正君 もう一点、これは先般当委員会にしばしば陳情になつておりまが、「らつこ」「おつとせい」の捕獲に対する解禁に対して、政府としての見解はどういうふうに思つておられすか。
  6. 永野正二

    説明員永野正二君) その点は、すでにこの水産委員会でしばしばお述べになりまして、又それに対しまして一応政府の回答を申上げているのでございまするが、御承知のように、この「おつとせい」の資源につきましては、関係国がこの「おつとせい」の資源についての科学的な調査というものをいたしまして、それに基いて条約交渉を始めるという話合いの筋になつております。又「おつとせい」が日本近海漁業に対してどういう影響があるかというような点も、勿論この調査の重要な一つ項目をなすわけでございます。我々水産庁立場といたしましては、一日も早く日本沿岸漁業者の生計を維持するために、この「おつとせい」の猟獲に参加をするということを強く熱望をいたしているわけでございまするけれども只今申上げましたような具体的なデータなしに単に話合いを始めましても、これは相手のある国際交渉のことでございますので、なかなかいい結果は得られぬのじやないか、こう存じているわけでございます。この点につきまして、すでに昨年度カナダ及びアメリカ合衆国と共同いたしまして、日本近海の「おつとせい」の調査をいたしました。その調査報告書というものを、これは三国が相談をしてまとめ上げる段階にあるわけでございます。一応の原案がアメリカ側から提出されたのに対しまして、日本側としては、日本側の言い分を盛り込んでもらうようにこの点を今申し送つてつているのでございます。大体我々の申入れた点は、できるだけその三国の共同調査報告書に盛り込んでもらいたい、こういう交渉をいたしているわけでございます。又それとは別個に、本年度政府予算を以ちまして、前年の十二月から本年の六月にかけまして、日本近海、殊に昨年割合に調査が行き届かなかつたと思われます北海道漁場を主にいたしましてこの「おつとせい」の調査をいたしまして、この結果は、例えば胃の中に何が入つているか、つまり「おつとせい」がどういうものを食つてつたかというような食性調査ということが非常に重要な項目でございまして、これにつきましては、標本の処理、分析等、いろいろ時間がかかるわけでございます。今取り急いでそれをやつておりまするが、まだ本年度調査につきましては、結果がまとまつておりません。これらのデータをできるだけ有効に活用いたしまして、条約交渉をいたさなければならないと、こう考えておりまするので、その間のこの日本沿岸漁業者にとりましては、誠にその窮状はよくわかるのでございますけれども、これは将来長きに亙つて影響することでございまするので、我々といたしましては、有効な科学的なデータというものを提げてこの交渉に当りたい、こういうつもりでおりますわけでございます
  7. 千田正

    千田正君 経過の状況はわかりましたが、御承知通り「らつこ」「おつとせい」の捕獲禁止というのは、日本側曾つてアメリカ占領軍がおられた時の国辱的な法律であつて日本一体漁場に住んでおらない動物を、日本法律作つてそれを抑えなければならないという馬鹿なことはどこにもないはずなんです。而も一方においては日本魚族資源を保護する法律を出さなければならない。沿岸のいわゆる漁獲影響を及ぼすところのそうした海獣に対して捕獲を禁止しなければならないなんというような法律は、これは国辱的なことである。こういう問題は一日も早く解決しなければならないと思う。同時に今の段階においては国際的に紳士的な方法によつてこの問題を調整して行こうという水産庁の意向は十分わかつております。わかつているが、昨年は調査に参加して一応のおこぼれを頂戴したような程度しかできなかつた。本年度は更に北海道漁場まで手を伸ばして十分に研究するというお話がありますが、一体何頭くらいを調査対象として考えておられますか、捕獲対象は。
  8. 永野正二

    説明員永野正二君) これは私ども科学的な資料を収集したいという立場から申せば、多ければ多いほど実はよろしいのでございます。昨年度の三国の共同調査をいたしましたのは、大体三千頭くらいを目標にしてやつたのでございまするが、本年は日本側だげで、日本予算でやりました関係その他船の数も減つておりました関係で、実際捕獲いたしまして調査をいたしました頭数は四百十九頭であつたかと思います。その程度でございます。これは予算の問題とも関係いたすのでございまするが、今後もこういう調査は私どもとしては実はできるだけ大きな規模でやつて、正確な科学的な資料を集めるように努力をいたしたいと、こう考えております
  9. 千田正

    千田正君 「らつこ」「おつとせい」の問題は今年じやなかなか解決つかない問題であるのでありますが、水産庁努力も認めますけれども、これは外交問題からいたしまして、先ほど申上げた通り日本の如何なる領土にも棲息しておらない動物を、日本が取つちやいけない、禁止するという法律は、これは甚だ矛盾した法律である。日本が紳士的に参加する条件としてそういうことをやつているというようなことであれば一応了承されますけれども、大体「らつこ」「おつとせい」の海獣のいわゆる日本沿岸を游泳して魚族を食い荒すところのものは、まあ大体推定三百万頭から六百万頭に至ると言われております。そういう大多数の動物がどんどんどんどん魚族を食い荒よすうなことであつては、我々も沿岸漁業としてはよほど考えなければならない。紳士的な意味において法律を守つて行くという気持はよくわかります。併し一日も早くこの調査を完成されて、日本は当然与えられたところの権利は持つてそれを活かすような方法考えてもらいたい。私は今日はほかの問題で質問したいと思いますから、北洋とそれから「らつこ」「おつとせい」の問題につきましては、なお今後更に慎重にお互いに研究して討議したいと思います
  10. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 本件に関してほかに御発言ございませんか。
  11. 木下源吾

    木下源吾君 この間二、三日前の新聞に、今の「さけ」漁の船が二艘ほど捕まつたという新聞が出ておつたが、あれはまだ報告になつて来ておりませんか。
  12. 永野正二

    説明員永野正二君) どの船がどこで捕まつたのかという点が、只今ちよつとはつきりいたしませんが、私ども報告を受けておりますのは小笠原方面で……。
  13. 木下源吾

    木下源吾君 いや根室附近で。
  14. 永野正二

    説明員永野正二君) ああ、根室附近拿捕船の問題は、只今指摘の点につきましては、船名その他ここに持つておりませんので、早速調べまして御返事申上げたい、こう考えます
  15. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この件につきましては後日に譲ります。  北洋漁業につきまして御質問ありませんか。
  16. 木下源吾

    木下源吾君 北洋ですか。北洋というのは、日米加の三国の三国協定のことだけですか。
  17. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 「かに」工船の漁業と「らつこ」「おつとせい」だけの問題に一応限つて今日はおるわけでございますが、それ以外の議題は又改めて……。
  18. 木下源吾

    木下源吾君 やはり北の方は北と一括して、北の漁場はどうですか。
  19. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 時間の関係で、できるならば明日にして頂きましたら……。
  20. 木下源吾

    木下源吾君 それじやちよつと聞きます独航船の分は大分間に合つたらしい。四十七度以南のやつは皆不漁で困つておる。これの状況を調べたのがありますか、概略でよろしい。
  21. 永野正二

    説明員永野正二君) 母船式漁業の方は、漁獲統計が正確に私の方でつかめるのでございます。四十七度以南流し網漁業につきましては、一応報告書を出すことになつておりますけれども、なかなか実際問題としてそれが出て参りません。ただいろいろな人の話を聞いておる程度でございまするが、四十七度以南流し網につきましては、それほど漁はよくなかつた。それから殊に道庁で許可をされております小型のつまり三十トン未満の流し網が非常に漁が悪かつたというふうに聞いております。数字的にはこれは急にはまとまりにくいかと思いますが、できるだけ調べまして、適当な機会に申上げたい、こう思います
  22. 木下源吾

    木下源吾君 四十七度、あの辺にあんな船が行つておるが、大体あんな所で取れないですよ。やはり向うへもつと行かなければ駄目です。だから水産庁許可するなどというので、許可するのなら皆いいものだと思つてさつさといろいろやるけれども、あれはもう少し……、こちらでも随分行つておるんでしよう。調べていませんか。行かなければ商売にならない。それでそこのところをよく調べてやるようにしたいと、こう我々は思つておる。実際の実情を一つやはりあなたたちわかつておるんなら聞かして下さい。
  23. 永野正二

    説明員永野正二君) 只今木下委員の仰せのように、確かに北緯五十度以北まで参りますると、カムチャッカ及び北千島の三つの島を通ります所に濃い「さけ」の群に当ることができるわけであります。その辺から四十七度あたりまでの間は殆んどブランクであると思います。それから又それ以南北海道、南部千島を産卵場にする「さけ」というのが一つ漁業対象になるわけであります。両方を比較いたしますと、恐らく北の方が漁としてはよろしいということは、これは確かなことであると、こう思います。ただ現実の問題といたしましては、北洋の方の漁場もこれはできるだけスケールを大きくしたいということで考えておりまするけれども、なかなか全部の希望する漁業者が行けるようになるかどうか、行つて摩擦なく仕事が行われるかどうか、その点に問題があるわけでございます。私どもといたしましては、四十七度以南漁業につきまして、昨年先ず初年度といたしまして、ああいう形の許可仕事をやつてみたわけでございますけれども、この結果によりまして有望なものならばあの四十七度以南をできるだけ殖やすということも考えなければいけないと思いまするが、現状ではそれほど大幅の期待は立てられないんじやないかというふうに感じておるわけでございます。ただ東北方面漁業者といたしましては、北洋母船式漁業に出られないとすれば、せめて四十七度以南流し網でもやりたい、それでもいいからやりたいという希望が非常に強くあるようでございます。そういう希望考え併せまして、来年度の隻数というものをきめて参りたい、こう考えております
  24. 木下源吾

    木下源吾君 摩擦が起きるということは、どういうことですか。
  25. 永野正二

    説明員永野正二君) 結局、先ほども触れましたように、あの広い許可水域の全面に等しく魚が泳いでおればそういう心配はないのでございますけれども魚道というものはきまつておりまして、そこに多くの漁船が集中するということになるわけでございます。これは漁業者としては当然のことだと思います。そういたしますと、流し網漁業というものは非常に長い網を流すわけでございます。その網がお互い同士に当然網を切るとか、絡まるとか、魚が盗まれたとかいうようないろいろな問題が起る可能性があるわけでございます。そういう点を摩擦という言葉で表現いたしたのでございます
  26. 木下源吾

    木下源吾君 カムチャッカ接岸距離は、今度はどのくらいなんですか。
  27. 永野正二

    説明員永野正二君) その点はまだ検討中でございます
  28. 木下源吾

    木下源吾君 本年度は去年よりもいいですか、あれだけ延ばして……。
  29. 永野正二

    説明員永野正二君) 昨年度許可水域から横の幅にいたしまして三十浬だけ漁場を拡張いたしたわけでございます。その漁場がフルに利用されたかどうかという点は若干問題があるかと思いますが、この「さけ」「ます」の性質上、当然陸に近付けば近付くほど漁業としては成績がよろしいということが当然予想されるわけでございます
  30. 木下源吾

    木下源吾君 今の四十七度以南のほうでも、許可して、利権的にやつているのが大分あるように聞いておる。そういうことは水産庁じや聞いていませんか。
  31. 永野正二

    説明員永野正二君) 私どもとしましては、許可が利権化して、実際やりたい人以外の人が権利を空で持つておるということは非常に困る状態だと思います。今年の許可をいたします際には、従来三十トン以上の船であの水域流し網漁業をやつた船というものをもとにいたして、そのほかに各県に御相談をいたしまして、こういう船は適格な船であり、確かに操業をする船であるということを各県の県庁から御推薦を頂きまして、それに基いて許可をいたしたわけでございまするから、我々としては実はそういう事実はないつもりでおるわけなんでございます。ただ事実をいろいろ調べまして、若しそういう事実があるとすれば、それは適当に処置をいたさなければならんのではないか、こう考えております
  32. 木下源吾

    木下源吾君 それはもう少し実際を見ないと、三分の一くらいインチキだという報告は、私のほうの調べでは聞いておるのです。そうして実質は一人で二つも持つている、こういうようなことです。そうしてみんなその権利を闇で売買している。そういうことでは、今のほかの国と漁業のことを話すのにも、そういうことが公になると、正当なこちらの要請なんというものは通らなくなつてしまう。そこで水産庁は、県庁推薦によつてとこう言つているが、やはり水産庁十分調査をしてやらねばいかんと思う。ただ県庁にばかり責任を負わして、そうして今のようなことになつて三分の一くらいはインチキだと、これは私のほうの国際漁業調査によつてですが、公然に皆一応知つている。それで地方ボスがそういうことをやつている。これは十分調査をして、何も私は報告しろと言いませんけれども、目的は、将来我々は国際的にいろいろ漁業のことで話合いをしなければならん、こう思つている。そういうことに対して非常に障害になりますから、十分一つあなたのほうで良心的に調査をしておられたらいいと思つております。  そこで第二は、先般私は根室川の沿岸地方漁民状態ちよつとここで話したのですが、どうしても日ソ漁業話合い日本が進んで努力いたさなければいかんと思うのです。日本というのは、政府がです。私どもはそういうことを考え希望しているのです。これはもう現実要請ですから、水産庁あたりはどういうようにお考えか。一つ責任ある御答弁はどうか知りませんけれども、あなた方事務的にいろいろやつておられる過程において、その点についてはどんなことを考えているか、ちよつと話して頂きたい。
  33. 永野正二

    説明員永野正二君) 先ほどお触れになりました四十七度以南鮭鱒漁業実態が、必ずしも我々が考えているように行つていないという点につきましては、私ども十分調査をいたしたい。ただこの点は漁業者が各地に散らばつております関係で、なかなか水産庁が直接に全部をつかむということはむずかしいかと思いますので、地方庁とよく協力して実態を把握したい、こう思います。  それから只今お触れになりましたソヴイエトとの漁業についての話合いの問題でございます。これは今お触れになりましたように、ちよつと我々の段階ではとの問題について、こういう公の席上でどうこう言う筋合いの話ではないと存じますので、個人的な考え方をここで申述べるというようなことは差控えさせて頂きたいと思います
  34. 木下源吾

    木下源吾君 つまり先ほどもあなたが言われたように、沿岸に近ければ近いほど漁がある。これだけでも昨年よりも三十浬拡げたと言えば、四十浬ですね、本年は。更に十でも二十でも拡げればいいことはきまつている。そういうことをすれば、要するに摩擦が起きるという心配があるだろう。心配がなければ水産庁は当然魚が余計取れるだろうからするだろうと思う。それで今の問題が出て来るのですね。つまりカムチヤツカにおけるそういう漁業協定というものを、協定というか、何ができるか知らんけれども話合いというものを……、そういうことに対して、今行つている限りの独航船では、これだけでも許可にならないのだということで、その枠内でやつていると思う。併し政府は、やはり余計漁獲のできるようにすることが政府責任だと私は思う。その政府の中のあなた方……。併しながらこれは多分に政治的な意味を含むものだからして、あなた方にその答弁をしろということは無理かも知らんけれども、今のような接岸すればするほど余計取れるというような観点に立つて、できないということは、何によつてできないのかということを言えば、結局漁業話合い日ソ間にすることはいいということになろうと私は思う。併しそれをそうだというようにあなたに答弁しろと言わぬが、あなたの話を聞けばそうなつて来る。そこで私どもはもつと近い国の歯舞、国後、択捉、色丹、この附近からカムチヤツカのペトロパブロフスクのほうの沿岸までもつと接岸できるような方法がいいのではないか、こう考えているわけなんです。そうして今皆さんに御相談願つて、できれば国会でそういうことを一つ決議できればしたい、こう思つているので、何もあなた万に今聞いて、そうしてそれを材料にしてあなた方を責めるとか、そういう考え方を持つておりません。率直にその意見を聞かしてもらいたい。どうしてもそれが言われなければよろしい。で、私が今申上げた中心は、やはりお魚を余計取れるように、又業者も経済的に引合うように、こういうことが基本です。そうして日ソ間の漁業話合いを進めることを政府が積極的にやるようにしてもらいたい、こういうことです。それと同時に、これと関連するのですがね、やはり中国との話合いも私は必要じやないか。この点については今日は北洋ということに限定されておるのだがね、併し北洋の中心問題は今言う日ソ漁業話合いということにあるのであつて、それによつて今日取上げてもらえるならば、最近の中国沿岸における漁業状況拿捕状況、又釈放の状況、こういうことを一つお聞きしたいと思つておる。今日はそれを聞くことが許されぬとするならば、次の機会に十分に一つ説明できるようにして頂きたい。私は日ソ日中漁業話合い政府みずから進んで早くやつてもらいたい、こういう考えから今質問しておるわけであります委員長、今の日中の、中国の話は今日はやめますか。……それではこの次にこれでまとめて、今の話どうですか。差支えなければ、そういう漁業話合いを進めるほうか日本漁民にとつてもいいか悪いかということの答弁はやはりできませんか。
  35. 永野正二

    説明員永野正二君) 勿論漁業だけの立場から考えますと、そういう機会を与えられて、できるだけその結果日本漁民の働く場所が殖えて行くということは、これは私としてはいいというふうに考えておるのでございます。ただ現在現段階において、そういうことを政府が直接積極的にやるべきであるという只今の御意見に対しまして、我々程度ではそういう点につきましてのお答えは差控えさして頂きたいということを申上げておるのであります
  36. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは木下委員から申されました対中共関係その他の問題につきましては後日に譲りまして……。
  37. 木下源吾

    木下源吾君 中共ではない、中国です。これはみんな中共々々と言つて中国共産党というのは皆今大陸地区の中国を皆中共と言うがね、これは改めてもらいたい。
  38. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これは中国と言つて中共と言つても変らない。やはり共は共産党ではなくて、共和国でございます。その意味でございます
  39. 木下源吾

    木下源吾君 そういうようにとつてくれればいいが、一般にはそうとらんから。
  40. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 中華人民共和国政府となつております
  41. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは次の議題に移りまして、災害対策に関する件を議題に供します
  42. 千田正

    千田正君 長官も見えておるようでありますし、我々委員会がこの休会中においても特に災害に対する対策、そのためにこの委員会を開いておるので、一番先に聞きたいことは、先般長官並びに次長からも予算その他の説明があつたのでありますけれども現実に災害に対して水産庁としてはどういう措置をとつて来たかという点を先ず一点伺いたい。  もう一つは、これは海と山と違うような感じがするのでありますけれども、実際は不即不離の立場にあると思う。東北大県及び北海道が冷害に苦しんでおる。これのいわゆる冷害を救う意味からいたしまして、公共事業その他に沿岸或いは沿岸に近い農民の人たもを一応冬期において救つてやるという、この救農国会も間もなく開かれるのであります。そうした面を、例えば漁港であるとか、或いはその他の漁村対策に水産庁として盛り込んでおるかどうか。この二点について長官から一応承わりたいと思います
  43. 清井正

    説明員(清井正君) 只今千田委員より御質問の、今回の水産関係の災害に対して、水産庁としてとりました措置でございますが、この点は若干昨日も触れたのでございますけれども、私どもといたしましては今回の災害、特に台風十三号等の災害が非常に水産関係に重要な影響を与えたということを注目いたしておるのでございます。特に西日本等、或いは近畿地方の災害等についてもいろいろ関係がございましたのでありますが、特に十三号につきましては、当該各県が非常な災害を受けたのであります。私どもといたしましては、農業災害と並びまして、水産業の災害につきましても速かに予算の措置を講ずべく目下努力をいたしておるのであります。その要点といたしましては、先ず漁港の施設或いは養殖施設、養鰻或いは養蠣その他真珠養殖等、或いはいろいろの施設がございますが、そういつた施設についての復旧及び協同組合のいわゆる製氷、冷凍倉庫等、協同組合の施設の損害等につきましては、これは補助金によつて処置をいたすということに只今進めておるのであります。漁港等の補助金につきましては、すでに決定しておりますところによつてやるのでございますが、特に養殖施設或いは協同組合施設につきましては、今回の法律によつて改正になりましたところに従いまして、高率の補助率を以て実行をいたして参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。その他漁船、漁具或いは種苗等の施設につきましては、この点は私どもも初めは何とかして補助金等の措置を講じたいと思つてつたのでございますが、ただ諸般の事情より鑑みまして、思うようになりませんので、只今はそういつたような漁船、漁具等の問題につきましては、これを融資によつて解決いたす、最後的に公庫の融資によつてやりたいと思うのでございますが、取りあえずの繋ぎ融資としましては、それに対して利子補給をいたすという方法によつてこれを措置して参りたいというふうに考えておるのでありまして、目下大蔵省とこの二、三日折衝を続けておるような状況でございます。数字の点につきましては、もう少したちませんというとはつきりした点は申上げられませんが、要するに施設については補助、その他のものについては融資、こういう二つの方法によつてつて参らなければならん、こういうふうに考えておる次第でございます。御承知通り何しろ全般の財政的な枠が極めてせばめられまして、当初私どもが予期いたしましたよりも相当金額が低めになつてつておるのでありまして、勢い一年でやるべきことを二年間でやるとか、或いは三年間でやるとかというふうに、これを年次計画に引直したようなものもあるのでございますが、私といたしましては、できるだけ努力を払つて所要の補助金或いは融資の必要な措置をとつて参らなければならんというふうに考えておるのであります。それから更に冷害対策についてのいわゆる土木事業といたしまして、私ども只今漁港の修築につきまして相当程度の金額を補助金として今年度支出をいたしたいというふうに計画をいたしております只今お話がありました通り、これはいわゆる農漁村と申しますか、或いは農民に対する賃金収入と申しますか、そういつた農業の賃金収入の一つの政策としまして今までやつておりますところの漁港の修築事業に加えまして、今回特別措置といたしまして、修築事業を更に若干追加するということにいたしたいというふうに考えまして、その点も目下所要の予算も計上いたしまして、大蔵省と折衝いたしておるのであります。この点につきましても、金額の点はまだきまりませんけれども、我々といたしましては、努力を払いまして、できるだげ多くの一つ修築の予算を取りまして、目的達成に努めたいというふうに考えておる次第でございます
  44. 千田正

    千田正君 只今の陸上設備、或いは漁場の設備等に対しましては、補助金の制度及びその他漁船、漁具等については一応融資の枠で行こう、大体それでこの漁民或いは漁業者の要求される損害に対する補填が達成されるという見込を立てて、現在は折衝されておりますか。
  45. 清井正

    説明員(清井正君) その点は私どもといたしましては、各県間の御要望、或いは各直接損害を受けられました関係の組合等の御要望等もあります。我々といたしましては、できるだけ予算を計上いたしたいというふうに努力をいたして参つたのであります。主峯窮極のところは、只今申しました通り、施設については補助金、その他については融資ということになつておるのであります。無論これによつて被害を受けられた方の全体を御満足するわけには到底行かんと思いますけれども、私どもといたしましては、全般の財政の許す限度において、できる限り今後努力をいたしまして、主要な予算を計上して参りたいというふうに考えておる次第であります
  46. 千田正

    千田正君 衆議院の農林委員会の一致した決議といたしましては、大体この冷害対策について、約百十億の支出を要求しておるようでありますが、仄聞するところによると、参議院の農林委員会、或いは災害対策の委員会としましても、衆議院の農林委員会の決議に同調するやに聞いておりますが、仮に百十億という冷害対策に対する要求が通るとするならば、今の農漁村に対する冷害に対する補給の意味における土木事業の増加というような点については、大体どれだけの、何割くらいの見当にあなた方が見ておられるか、その点はどうでありますか。
  47. 清井正

    説明員(清井正君) 只今のお話の点でございますが、私のほうといたしましても、その点はななか判断はむずかしいのでございまするけれども、一応私どもといたしまして、大体冷害対策の農林土木事業として、只今四十億程度の枠があるように聞いておるのであります。そのうち大部分は農業関係、或いは林道関係、農業、林業の予算でありまして、私どもといたしましては、大体漁港関係につきましては、四億足らずのたしか予算を計上いたしておるのであります。この点は割合と申しましてもちよつと困難でございますけれども、当初は相当の予算を計上いたしたいと思つてつたのでございますけれども、いろいろな財政等の関係で、止むを得ないこれは限度の金額というふうに私ども考えておりますので、この程度の金額でありましても、何とかして最終決定に持込みまして、冷害対策に遺憾なきを期さなければならない、こういうふうに考えておる次第であります
  48. 千田正

    千田正君 今の長官の御説明は、大体この国会召集の期日がきまらない、いわゆる閣議が決定しない以前において、大蔵省側としてはその程度、冷害対策に向けたいというのは四十億であつたはずであるのであります。それから最近、一昨日あたりは五十億、今日の新聞を見ると七十億を一応冷害対策に見込んでおる、こういうふうに大蔵当局の発表が出ておりますが、そうすると四十億の場合においては、四億という要求額をあなたのほうで出しておられますならば、七十億という場合においては、それに対して増加した意味において、その割合で要求されるはずでありますか、その点どうでありますか。
  49. 清井正

    説明員(清井正君) 実は私御説明を少し簡単に申上げたので、恐縮でございましたが、これは実はその冷害対策としては七十億と私ども聞いております。そのうち救農土木事業の農林省の分が四十億、建設省の分が十億、全体で救農土木事業が五十億ということになつておりまして、その他土木事業、でない救農冷害対策が二十億ということで、全体で冷害対策として七十億ということになつておりまして、従つて大蔵省関係の救農土木と、或いは林道その他の林業施設、或いは漁港施設、こういうふうに分れるのであります。漁港の観点は、やはり農林、林業に比べますと、やや重点を低く見られておりますので、この点は地形上或る程度は止むを得ない点もあろうかと思いますが、やはり先ほどお話の通りに、農村と漁村と兼ねておる所も相当多くございますし、或いはそうでなくとも近場の農村の能力を補充するという仕方におきましても、是非その漁港の修築に必要な、或る程度相当の経費を加えなくちやならんものと、こういうふうに考えまして、私どもも初めは相当の金額を予想したのでありますけれども只今も申上げます通り、四十億の額を一応計算をいたしてある、こういう状況であります
  50. 千田正

    千田正君 大体そうしますというと農業土木……、農林省として見られた予算の四十億の約一割を見込んでおる、一〇%をとれそうだと考えておられるわけだと思います。今の御説明によると。すると、先ほど申上げましたように、衆議院の農林委員会は、一致して絶対に百十億乃至百二十億を確保する。国会としてこれは政府に要求する強力なる意思表示をやるらしいのでありますが、そういう場合において、勿論参議院も或いは多少の修正はあるかも知れませんが、同調すると思うが、そういう場合も、やはり我々から言えば、仮にそういうものが通つたとすれば、四十億の大体四億を、大体一〇%くらい、百十億の農林省予算の分が仮にそうなるとすれば、その一〇%くらいは漁港その他に対する救農土木に振り向けられるという強い要求を出してもいいと私は思うのだが、その肚はどうでありましようか。
  51. 清井正

    説明員(清井正君) 先ほどお話の率の点でございますが、その点はちよつとなお一言附加えさして頂きたいと思うのでありますが、実は農林省分の救農土木費が四十億と申しましたのは、これは閣議で決定された金額がこういうように盛つてあります。それから四億足らずというのは、農林省の要求が四億足らずということでございまして、ちよつと実はなかなか食い違いがあるのでありまして、これは大蔵省の査定が四十億で、農林省の漁港の要求が四億足らずという金になつておることを御承知置き願いたいと思います。私どもといたしましては、先ほど御質問のように、私も申上げました通り、結局これでいいと思つているわけではないのでありまして、実はもつと相当多額を要求したのでありまするけれども、財政上の状況、或いは大蔵省等との振合い上、そういうようにこの程度の要求で抑えておるのでありますけれども、これは私どもといたしましては、救農土木事業としての重要性を極めて重視いたしておるのであります。仮に今後救農土木事業等の金額の枠が減るということでありますれば、当然率についてはかれこれ申上げませんけれども、なお更に相当金額はそれに応じて殖やして行かなければならない、こういうふうに考えておるわけであります
  52. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかにこの問題につきまして……。
  53. 木下源吾

    木下源吾君 水産庁長官一つお伺いしますが、今のなには、融資ということを言われたのですが、融資はやはり経営が対象になるのですか。経営者の、つまり経営をしておる者が融資の対象ですか。
  54. 清井正

    説明員(清井正君) そうでございます。例えば漁港で申しますと漁港の管理者ということになります。漁港の管理者が管理の責任がございますから、漁港の管理者に対する融資ということに相成るわけであります
  55. 木下源吾

    木下源吾君 いや、漁船、漁具なんというのも融資でしよう今のお話では……。
  56. 清井正

    説明員(清井正君) さようでございます
  57. 木下源吾

    木下源吾君 そうするとどの程度までの分は融資、協同組合を通じてですか。個人にはやらないということになるのか。その辺のところはどうなるのですか。関係法律はどうなつておるか、私はよく詳しくない。
  58. 清井正

    説明員(清井正君) その点は協同組合の分は、従来の公庫よりも多少枠がございますが、併しそれは協同組合を通じて協同組合のほうに行きます。それから個人経営の分につきましても、今度は持に枠を設定いたしてございますので、個人経営の分につきましても、これは組合でない限りは、個人に融資が行く、こういうことに相成つておると思います
  59. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると個人というとどの程度ですか、誰でも漁船、漁具が被害を受けた者は皆それを借りられるのですか。
  60. 清井正

    説明員(清井正君) その点もちよつと枠の問題と関連をいたしますので、やはり全体の枠が十分ございますれば極く程度の軽い被害を受けた方でも融資を受けられると思いますけれども、やはりそれぞれに枠が或る程度割当てられまして、その枠の範囲内において融資の査定をいたすことに実際問題としてはそういうことになりますので、やはりそれぞれの市におきまして相当被害の程度の高かつた分から実際問題としては融資を受けることになるのではないかというふうに考えておるのであります。その枠が十分ございますれば、被害を受けられた方全部に行渡ると思いますけれども、残念ながら不十分でございますので、実際問題としてできないと思いますが、そういつた場合には被害の程度に応じて実際問題としては融資を受けるということに相成るのではなかろうか、こういうふうに考えております
  61. 木下源吾

    木下源吾君 それはどうも私は解せないのです。余計被害を受けた者が優先する。私はやはりこれらの一面においては経営に対する恩典でもあろうが、やはり漁民それ自体の生活というものに対することも重大ではないかと思う。そうなると零細な漁民が船をちよつと傷めたというと非常に困る。そういう者が枠が少いからといつてオミツトされるということになれば、ますます小さい者は困つてしまう。食つて行けない。そういう点はどうも今のお話では反対じやないかね、それは。被害の大きい者ばかりに、それはそういう者は信用があるから借りようと思えばどこでも借りられる。借りられない困る者を先ず対象にする。その辺は今の災害救済の法律はそうなつておるのですか。
  62. 清井正

    説明員(清井正君) 別に法律につきましては、被害農林漁家ということになつておりますので、被害を受けた農林漁家ならば貸すことができるということになつておるのであります。従つて只今申しました通り、枠が相当大きく割当てられますれば、恐らく全部が借りられると思いますけれども、これが枠が少い場合は、やはりこれは災害対策復旧の融資でございまするから、やはり災害の点が重点になつて行くのじやないかと私ども考えておるのであります。併しこれは只今もおつしやる通り、極く零細で一隻しか持つていない者は一体借りられないかというと、単にそうだとは申し切れませんで、それぞれの事情によりまして、例えば相当被害が大きくても、融資する場合にいろいろなその議案すベき条件があろうかと思いますが、その条件を勘案して貸付が行われると思つております。これは実際問題でありますので、政府の方針としてもこういう者は貸すとか、こういう者は貸さないとかということではなく、被害漁村ならば貸し得るという建前になつておりますので、そこは金融機関としての判断に待つべきものと考えております
  63. 木下源吾

    木下源吾君 あなた方一生懸命努力して漁業者を助けるとか、漁民を救うために努力しているのでありますが、末端に行くと通つていない。例えばこの前の漁民救済の問題のとき、その後零細な漁民は貸さない、こういうことになつておる。而も協同組合を作つてつても貧乏なやつばかり集まつておる組合には貸さない。これは北見の斜里町の場合。それで水産庁に私行つて、そんなことになつているのか。農林中金かどこかに電話をかけたら、これは北海道の札幌の支店のほうでやつておる。支店にすぐ聞いて見ろ。ところが統合すれば貸してやる、大きいやつと一緒になれば……。ところがその統合というのがされるというと、彼らはますますピンが、頭がはねられて困る。そういろわけで、こういう金を皆さんが一生懸命にやつて、国民の金を出して、国民のほうではそういう零細な漁業者とか、ウトロのほうの組合、ウトロというのは、有名な樺太引揚者で、半島ですね。そういうふうに皆が国民の税金だから、税金というか、国の金なんだから、それを勝手に金融機関が、お前には貸さない、お前には貸すという権限を持つて、一番困る者をますます困らせる。若しそれを借りるとするならば、大きいやつにくつけてなんということが行われる。私は前にそのことで水産庁に行つたことがある。今のあなたのお話を聞くと、何だか水産庁の方針もそうらしいような感じで私はけしからんと思う。今聞いていると、細かい者は信用がないからそんなものは駄目だ。大きい者だけに貸してやる。枠がきまつているから、下の者は貸さないというのだつたら、これはとんでもない話だと私は思う。この点については、一つ実際に行われるときには今度再検討してもらう。一つそういうでたらめな金融機関は水産庁が監督するくらいの法律改正をしてもらつたらいいでしよう。水産庁漁民は皆自分の子供だから……。そうならけしからん。金融機関にまで水産庁の権限が強くなるように法律を改正してもらう。向うは利息さえ取ればいい。完全に払えばいい。そういう建前から魚を取ろうが取るまいがどうでもいいのだ。そういうものではちよつと困る。  それからもう一つは、漁港の今の補助とか、融資と言つておるが、そこに働く人間に対する賃金その他の保障については水産庁は何もそういうことに関心を持つておらんのか、どういう点で関心を持つておるか。若しあつたらそれを聞かしてもらいたい。
  64. 清井正

    説明員(清井正君) 只今の前段のお話でございますが、前段のお話の御趣旨の点は十分拝聴いたしました。  それから後段の点でございますが、これは実は災害だけの問題でなしに、漁港の建設全般の問題と関連をいたすものと考えます。実際漁港を建設する場合に相当大工事になりますと、やはり或る一定の請負業者に請負わせて実際仕事をさすという場合が多いのであります。そうでない場合もございまするが、そういう場合が多いわけでございます。その他小さい工事でありまするとそうでない場合もございまするが、概して大規模な工事は請負業者をして仕事をやらしておるのであります。その場合の賃金についてどういうような考えを持つておるかという御質問でございますが、その点は私どもといたしましても、十分実は考えなければならん問題たと思つておるのであります。殊に先ほども御質問でありました冷害対策の問題につきましても、結局災害復旧としての漁港施設等をやる場合は、特にこれは現金収入を対象の農家なり漁家なりに与えるということが趣旨でありますので、総額の工事の金額をみましても、実際それによつて出役する人々の賃金がどのくらいになるということについて十分我々としては考えなければならんことだと私たちも思つておるのであります。御質問の点は十分私どもにはわかるのでありますが、まだ実際問題としてはそこまでなかなか手が伸びない状況であります。やはりそういう点も十分注意をして考えなければならんということを我々は考えておるという程度で御了承を願いたいと思います
  65. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題は非常に大切な問題でございまするし、やはり労働対策という観点からも考えなきやならんと思います。今日は相当緊急な問題を控えておりますので、後日又議題に供したいと思います
  66. 木下源吾

    木下源吾君 もうあと一点だけ……。
  67. 森崎隆

    委員長森崎隆君) どうぞ。
  68. 木下源吾

    木下源吾君 その一点というのは、請負とか何とかいう一般の場合のことを言うが、私は救農救漁民立場から行くもの、そうすればその生活から漁民を救う、農民を救うということになるのだから、往々にして今日までの状況をみると、金は僅かしか出ない。その困つておる農民でも漁民でも義務奉仕させる。殊に漁村の田舎に行くとそういうことをやらせておる。これでは享く漁民を困らせることになる。ですから私はお聞きしておるのです。これは漁業政策の重要な一環だと私は思つておる。それからもう一点というのは、それは補助をやろうと思つたけれども融資よりできない状況である。一体今日の漁民でも農民でも借りた金を払えると思つているのかどうか、水産庁あたりでも政府でも……。大体税金でこつぴどく取つてしまうでしよう。まるで税務署と喧嘩だ。そうして借りた金を払えるようなつもりで一体融資を考えているのか。利子補給とか何とかいうが、大変なんだ。やはり借りたものは返さなければならない。そういう一体、全体の政策がそうなつているかどうか。恐らく今日の漁民の場合でも農民の場合でも、大多数の者は今年の一年のつまり生産で翌年に幾らかでも貯めて行くなんというものは絶対にない。それがないからこそ払えないのです。それに一体融資をするというのは、払えると思つてそういう政治をやつているのかどうか。これは長官には無理かも知らんけれども、あなたたちにとつて漁民は皆子供だ。払えると思つて融資というものを政府、大蔵省その他に折衝しておられるのかどうか。これはデータ一つ調べてお答え願いたい。今日の漁民は、零細漁民は、零細とまで行かなくても大部分の漁民は借りた金が払えませんよ。そんな払えるような余裕のある生活じやない。それを一つよく検討してみて下さい。私はこれは非常にあなた方遺憾だと思う。融資だとか補助だとか言つているが、今は魚を取つてもらつているところにお金を積んで行つてつてくれというよりほか仕方がない。政府みずから船を修繕するか漁港を修繕するか。蛋白資源も必要であるし、漁民の生活を維持して行くのならそれよりない。融資なんと言つたつて、中間の金融機関がまるで天下でも取つたように漁民を目下にしている。これはどこの県に行つても皆そうです。そしてその間にボスが入つて、いろいろなことをやつて零細漁民をいじめている。これを根本的に変える工夫をしてもらいたい。これだけ最後に申上げておきます
  69. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに災害に関しまして御発言ございませんか。
  70. 千田正

    千田正君 今の冷害対策その他に対しての詳細なことはまだきまらんと思うが、大体確定したら一応各県別のものを報告願います
  71. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この際お諮りいたしますが、十月九日付を以ちまして、河井議長の手を経まして私の手許まで二つの意見書が参つております。  一つは、李承晩ライン撤廃並びに拿捕漁船及び乗組員の即時返還に関する意見書、静岡県より参つております。いま一つは、マイク地区演習場廃止等に関する意見書、同じく静岡県でございます。この意見書につきまして丁度只今静岡県から多数の陳情の代表の方々が見えておられますので、この際二つの意見書につきまして陳情を受けたいと思います。速記とめて。    午後三時三十八分速記中止    —————・—————    午後四時二分速記開始
  72. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは速記をつけて下さい。  陳情は一応これで打切ります。  それでは漁船保険の問題につきまして、先般の続きでございます。秋山委員からどうぞ。
  73. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回の未帰還関係におきまして、朝鮮に拿捕されている船が最近大分たくさんあるわけであります。その船に対して、いわゆる特殊保険に加入しておるものの拿捕船に対する水産庁の処置がどういうふうになつているかということをこの間御質問したのであります資料の持ち合せがなくて今日まで延びておりましたので、その御報告を承わりたいと思います
  74. 清井正

    説明員(清井正君) この問題につきまして、先般御質問があつたのでございますが、大変お答えが遅れまして恐縮に存じます。  只今どもの手許でわかつておりますところでは、御承知通りこれは拿捕に関する保険は、拿捕事件が起りましてから一月たちましてから請求権が発生するということになつておりますので、まだ請求権が発生しないものもある、こういうような状況になつておるわけであります。私どものところで整理をいたしまして、只今、今月中に支払うことになつております船は、船別に申上げますと、これは東光丸、これは中共拿捕されたかと思うのでありますが、東光丸という船がございます。これはトロールの船でございまして、この船が一隻、それから第一伯洋丸、第二伯洋丸、これは鳥取の船であります。それら十三秋田丸、十五秋田丸、これらの只今わかつておりますのは合計六隻でございますが、これが実は支払請求が我々のほうに参つておりまして、まだ未支払になつておりますが、これは十月中には少くともお支払できるというふうに考えております
  75. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 六隻というのは。
  76. 清井正

    説明員(清井正君) 東光丸と第一伯洋丸、第二伯洋丸、十二秋田丸、十五秋田丸。
  77. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 東光丸というのは二隻ですか、六隻とおつしやつたのは。
  78. 清井正

    説明員(清井正君) 失礼いたしました。五隻であります。これは十月中に支払う予定で目下事務を進めております。それからなおこれは中共拿捕されたと思われております船として第七雲仙丸、第六あけぼの丸がございますが、これはまだ、第七雲仙丸は九月の二十九日に事故が発生したと推定されるのであります。それから第六あけぼの丸は十月一十五日でございます。これはもう少したちますというと請求権が発生するわけでありますが、なおまだ韓国関係も相当ございます只今わかつておりますだけでも大体十二隻ございます。併しこれは初めに拿捕されたもの、九月二十三日、丁度今日あたりで一月目になるのでありますが、やがて今日明日中に請求権が発生いたすのでありますが、この分につきましては、実は資金繰りの関係がありますので、只今大蔵省と借入金について折衝いたしておるのであります。大体一億三千万円の十一月収支のうち不足を生ずる見込でございますので、一億三千万円程度の分につきまして、先般来大蔵省と借入金について交渉いたしておるのであります。まだ話ははつきりきまつておりませんけれども、できるだけ早く借入れを了しまして現金の支払に間に合うように努めたいと考えておる次第であります
  79. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、この特殊保険に加入しておる船で拿捕されておるものは以上の二十九隻でございますか。
  80. 清井正

    説明員(清井正君) 韓国関係只今わかつておりますのは十二隻であります。それから中共関係ですでに十月中に支払う予定になつておるものが五隻、それから将来支払うものが二隻、七隻でございますから、十二隻と七隻、十九隻が対象になつておるわけでございます
  81. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いろいろ伝えられるところによると、韓国に拿捕されたものは四十隻にも及ぶというようなことを新聞等で見ておりますが、これは特殊保険に加入していないものも無論入つておると思います。あと特殊保険に入つておる船はこれだけのものと承知してよろしいですか。
  82. 清井正

    説明員(清井正君) この点はまだはつきり申上げかねるのですが、実はまだ全部調ベ切つておらんのでありまして、私どもの調べで現在までに判明いたしておりますものは、只今韓国関係が十二隻ということになつております。今後調べが進みますれば若干殖えるかも知れない。現在においてわかつておりますのが十二隻、こういうことになつております
  83. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今静岡県から陳情等がございましたが、ああいつたような「さば」のはね釣船のようなものは特殊保険に入つておらないのではないかと思うのでありますが、この韓国に拿捕されておるという船、最近にこの李承晩ラインというものを強調し始めて、八月からですか、例のクラーク・ラインが撤廃されてからあれが急に強化されて来たので、その後に拿捕された船でまだ帰らない船がどのくらいあるのですか。
  84. 清井正

    説明員(清井正君) 今般の事件が起りまして拿捕されておりますのは一隻も帰つておらないのでありますけれどもちよつと手許に数字を持つておりませんが、現在までに判明いたしました数字では、確認いたしました未帰還漁船がたしか三十三隻と思つております。未確認が二隻ございますので、未確認を含めますというとたしか三十五隻になるというふうに考えております。後日誤りがありましたならば訂正いたしますけれども、三十三隻が確認、二隻が未確認ということになつております。ところが韓国の新聞報道によりますと、三十七隻を捉えたと、こう報道いたしておりますので、そこに二隻の開きがあるのでございます。ところが実は私ども調査もだんだん業者からの報告、或いは組合からの報告によつてわかつて参りましたので、或いは三十七隻というのが本当かもわからないのでありますけれども只今海上保安庁並びに水産庁において各県と連絡してわかつている数字が以上の数字でございますので、ちよつとこの点は二隻ばかりまだ符合いたしていない点があるのであります。この点私どもも甚だ遺憾と思つております。以上でございます
  85. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは非常に業者としては重大な問題であつて、大勢の人間を乗せた船が帰つて来ないというのがまだわからないということはあり得ないと思うのです。そんなことじや交渉も何もできないのですが、韓国の言うこととか、或いは日本の言うことよりも、船主たちが何とか意思表示をすべきものだと思つているのですが、この点一つはつきりと、関係の県にでも照会してはつきりさしておいて頂きたいと思います。そうしませんと今後の交渉等についても、あやふやなんじやとても話にならんと思いますが……。
  86. 清井正

    説明員(清井正君) お話の点はよくわかりましたが、実は私のほうが調査の疎漏があるということを申したのではないのでありまして、私どもといたしましては、保安庁とも連絡いたし、各県に照会いたし、各組合にも照会いたし全力を尽しておるのであります。それでもわかつた数字が、だんだん少しずつ判明いたしておりますので、甚だ残念だと思つておりますけれども、私どものほうといたしましては尽せるだけ手は尽しておるつもりでありますが、今後なおこの点は十分注意いたしたいと思います
  87. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私は水産庁を責めておるのではありません。業者そのものがそんなルーズなことじやどうにもならんだろうと思うのです。それだからして必ずそれはどつかに拿捕されたということはわかつておるはずなんです。それが中央に取りまとめるような段階にならないということは不思議でたまらないのでございますがね、我々としては。これは小さいそこいらの伝馬船が取られたのでないのですから、人間が乗つているのですから、これがはつきりしないようなことじやどうもおかしくてかなわんのです。これは一つ、是非水産庁もこれ以上に入念に一つ早く調べ上げておいて頂きたい。これだけを申上げます
  88. 清井正

    説明員(清井正君) わかりました。
  89. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それから一つ、今の拿捕船に対する朝鮮関係のものは、過日も私が申上げましたが、拿捕抑留の危検がればこそ特殊保険に加入しておるのです。ところが抑留はされたが政府の金の工面がつかないから払えないということで延ばすということになりますと、その損害はだんだん大きくなつて来る。そこで、いずれ払うには払いましようが、至急にこれを一つつて頂きたい。今日までの赤字については大分解消して来て、漸く楽になつたと思うときにこういう問題が起つたのでありますから、是非これは至急に支払をするようにして頂きたい。で、勿論この漁船なり、船員の返還方については強く交渉して取戻すことになると思いますけれども、これはいつのことになるかわからないし、取戻したとするならば、それを処分して、その金は全額でなくても、或る程度は入つて来ることでありますから、これは至急に一つ支払を開始するように一層の努力をお願いしたいと思います。    —————————————
  90. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは次に李承晩ラインに関する件を議題に供します。この件につきましては、特に韓国政府が李承晩ライン確保の政策を強行し始めてからすでに二カ月近くになつております日本の出漁船その他の犠牲も非常に大きうございます。ただ一つ、日韓会談の再開に希望を繋いで今日まで参つたのでございまするが、御承知のように昨日のお昼ちよつと前頃に遂に会談が決裂するに至りましたことは、非常に我々としましても残念でたまらないのでございます。聞きますると、韓国水域対策本部におきましても重大な決意をなされたように聞いております。この問題につきまして、緊急に只今から一応懇談会に移りましていろいろ皆さん方に御意見を聞きたいと思つておりまするが、懇談会に移りましてよろしうございましようか。
  91. 千田正

    千田正君 議事進行について。時間も大分過ぎておりますので、一旦これを閉じて、速記を帰して懇談会に入られたらどうですか。
  92. 森崎隆

    委員長森崎隆君) そのようにして異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではそのようにいたしまして、委員会はこれを以て終了いたします。    午後四時十七分散会