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説明員(米田正文君)
台風十三号は御承知のように九月二十五日に襲
つた猛烈な
台風でございまして、ルートは紀伊半島の南部をかすめて伊勢湾を通
つて北上いたしたのでございます。この
台風は従来稀にみる猛烈な勢いを持
つておりましたために非常な
災害を各地に起したのでございます。風を伴い且つ豪雨を伴
つておりました。特にこの
台風の特徴は、従来の、今年度当初からの豪雨が主として不連続線によるものであ
つたのが、これは
台風性であ
つたところに相違がございまして、特に伊勢湾を中心とする海岸地帯に非常な
被害を生じたのでございます。特に
愛知県、
三重県の海岸一帯が非常な
被害を受けたのは御承知の
通りでございます。殆んど海岸にあります海岸防護の
施設が全滅をいたしたような
状況でございます。碧南、一色、吉田というような地区或いは知多半島沿岸等の
施設は殆んど
全壊でございます。なお
三重県に関しましても四日市、津、松阪、宇治
山田というような地区の海岸
施設が殆んど全滅をいたしたのでございます。
非常に大ざつぱな
数字を申上げますが、
愛知県の海岸ではその
施設約四十キロが破壊いたしたのであります。
三重県で約三十キロというものが破壊をいたしました。
三重、
愛知合計七十キロに及ぶ海岸
施設が殆んど全滅をいたしたのであります。この地区はすでに地盤沈下を来たしている土地でございまして、そのために従来の海岸防護の
施設がすでに沈下をいたしてお
つたという条件も加わりまして、而も
台風が伴
つた強風及び高潮と同時になりまして、海岸の
堤防を乗り越して、
堤防の裏の士の部分を洗い去
つた。そのために
施設が
全壊をしたような状態でございます。現在この二県が今度の最も
被害の甚大な地区でございますので、その処置についていろいろ
対策を練
つておるのでありますが、河川の
災害でありますると、大出水がありましても漸次水が減水をいたしまして、決壊口等の流水が減
つて来るのでありますけれども、海岸はそれと趣きを異にいたしまして決壊口からだんだん入るのがむしろ殖えて来るような所もございます。一日に二回の高潮が参りまして、それが耕地に侵入して参りまして、だんだんとむしろ決壊口を拡大するというような状態でございます。で、その決壊口も非常に幅も広く且つ非常に深くな
つておる所が相当にあります。深さも地面下八メートルにも及ぶ、而もその決壊口の長さが百七、八十メートルに及ぶ所がございまして、これから入る潮の勢いというものは非常に強い。これの締切をやらないと、農地も人家もまだ水浸しという状態であります。その締切をやる準備をいたしておるのでございますけれども、何しろ尨大な資材が、特に石材、木材を中心とする資材が必要でございまして、それを集めることに相当な時日を要しますのでございまして、我々としては
復旧計画の確立と資材の収集というようなことについて
対策をいたしておるのでございます。そういう状態にありまするので、なかなかすぐ簡単には手がつかないというのが現実の状態でございます。且つ今手をつけておりますのは決壊口の小さい所、海水の入
つて来るのが非常に少い所では比較的簡単に締切工事ができまするので、実はそれから手をつけておるというような実情でございます。或いは一番堤、二番堤とありますが、それらの
復旧をやるというような
仕事を現在や
つております。又県だけではその実施の能力も不足いたしておる現状でありますので、中部地方建設局という
建設省の建設
関係を現場で担当いたしておる役所が名古屋にございますので、これに県の
復旧工事の委託を受けさせまして、現在一部着手をいたしておるような実情でございます。
これがまあ今度の
災害の最も甚大な地域でございまして、他は御承知のように
京都、大阪と流れております淀川水域でございますが、滋賀県の宇治川に発して大阪に流れておる淀川という川がございますが、これが例の昔の巨椋池の干拓地がございますが、その干拓地の
堤防が破壊をいたしましたために、旧巨椋池一帯が
浸水をして、三千
町歩に及ぶ
浸水地帯を生じたのでございます。且つ淀川右岸の高槻市を中心といたします芥川、檜尾川という支川が決壊をいたしましたために
浸水地を生じたのでございます。これは人口の棚密な地区でありますために、非常に
被害もひどいのでございまして、これらの
復旧工事については、現在仮締切工事は全部完成をいたしております。なお本
復旧に今着手をいたさんとしているのであります。なおこれについては
災害地の避難民の労働力を使うということによ
つて、避難民の救済の一助にいたしつつございます。
なお、
和歌山県については、この前の
災害を受けました地区を応急工事をや
つてお
つたのでございますが、それが今度の
災害で再び
流失をいたしたところが非常に多か
つたのであります。特に紀川及び有田川沿岸ですでにや
つてお
つた仮工事が、殆んど
流失をいたした、そういう状態であります。あとは奈良県にも相当
被害がございましたが、特に福井県の小浜市を中心とする地区が雨量が一平方約五百ミリでございまして、従来にない大
被害を生じたのであります。小浜の
附近の南川、北川という川がございますが、これはもうすでに改修工事の済んだ川でごさいましたが、これが増溢水をいたしまして、ずたずたに
堤防も切れたような実情でございます。なお福井については、福井市中心の地帯においても相当な
被害を生じたのでございますが、この激甚さにおいては小浜が最もひどか
つたのでございます。そんなわけで各地に
被害を生じたのでございますが、今申上げましたのは、特に激甚を極めた地区の
状況でございます。それらについては現在応急工事を実施いたしておるのでございまして、差当り
繋ぎ融資によりまして応急工事を進めておるのであります。
なお
直轄河川の
復旧については別途に
予算を支出いたしまして、それで実施をいたしております。
十三号による土木
被害の
総額、これは県の
報告でございまして、私どものほうで今各地に出かけて調査中でございますが、大体五百四十八億という
被害額の
総額にな
つております。県工事が四百六十五億、市町村が八十二億という内訳にな
つております。件数は県と市町村全部合せまして五万一千ケ所に及んでおる。これについては九月三十日及び十月二日に決定をいたしました緊急
繋ぎ融資十二億二千万円、それと昨日決定をいたしました十二億三千万、合計二十四億五千万というのが現在出しておる
繋ぎ融資でございます。概要以上であります。