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1953-07-10 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(金曜日)    午前十一時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事            秋山俊一郎君            阿具根 登君            寺本 広作君    委員            剱木 亨弘君            西郷吉之助君            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            松岡 平市君            河野 謙三君            島村 軍次君            林   了君            三浦 辰雄君            安部キミ子君            吉田 法晴君            山田 節男君            加藤  完君   国務大臣    厚 生 大 臣 山縣 勝見君    国 務 大 臣 大野 伴睦君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君   説明員    大蔵省主計局主    計官      柏木 雄介君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君    日本銀行政策委    員会委員    三井 武夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員会の運営に関する件 ○第二台風災害対策に関する件 ○水害地緊急対策に関する件   —————————————
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) これから本日の委員会を開会いたします。  昨日の委員会決定に基きまして、保留になつておりまする台風第二号に関する本委員会の結論を先ず出したいと思います。御意見のあるかたは発言を求めます。
  3. 島村軍次

    島村軍次君 昨日も申上げました通り、農林省の目下大蔵省との予算折衝の金額は、六党並びに府県要求額に比しては相当距たりのあるものでありまして、これを以てしては、例えば災害地利子補給であるとか、或いは被害地の種苗の輸送或いは種子の購入、苗の仕立て、その他緊急に処置すべき事項が相当あるのでありますが、これらに関する措置がいわゆる六党議員連盟の線に従つて委員会としても措置すべきものと私は考えまして、この際政府に対して大覚議員連盟において決定をされました趣旨従つて速かに予算措置を講ずべきの必要を認めますので、本委員会においても、さよう意味における決定をいたしたいと考えまするので、各委員にお諮りを願つて、さよう意味決定をお願いいたしたいと思います。
  4. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今島村君から提案のありました通りに、本委員会の態度を決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ではさように取計らいます。
  6. 島村軍次

    島村軍次君 そこでこれらに関する具体的な措置については、委員長において然るべく取計らつて頂きたいことを附加いたしたいと存じます。
  7. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 承知しました。では台風第二号に関する本委員会調査、審査は一応この程度で打切ります。   —————————————
  8. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 次に、本日から小委員会調査審議に入るわけでございまするが、この際に改めて委員長から明確に申上げておきたいことがございます。それは本委員会発足当時から、一体被害県をどの範囲にするのかということが問題になつたわけでございまするが、そのときに各委員承知通り、確認したことは台風二号と、それから梅雨前線停滞による水害、これを取扱う、その六月下旬に同時に各地に起つた水害は否定するものではないが、本特別委員会の設置された目的からして、又使命からして、山口県と九州五県、合せて六県を重点的に取扱う、こういう大方針をきめておるわけでございます。各地からいろいろ御要望がございまするが、各小委員会審議を続けて行くに当りましては、山口県と九州五県を重点的に取扱い、同時に水害のあつた他の府県につきましては、その該当小委員会でどの程度損害があつたかという一応の調査審議だけは附随してなすべきものと考えますが、なおその後起りました島根鳥取水害について本委員会取扱つてはどうかという意見もございまするが、これは本特別委員会が設置された後に起つた水害でございまするので、議運で正式に決定され、本委員会に通達あるまでは鳥取島根水害を正式に取上げることは当を得たものでない、こういうふうに委員長は考えておりますので、各小委員会はそういう方針の下に審議を進めて行きたいと考えておりまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ではさようにお願いいたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。先ほどの本委員会取扱い事項について範囲を明確にされましたが、例えば梅雨前線停滞のために生じた災害のうち、我々すでに知つておるものは愛媛県というものはあるわけであります。これらについては本日まで殆んど被害その他の資料等が全然我我手許に参つておりません。これらが水害対策中央本部で現実に資料を集めておるのかどうか、私たちは明らかでないのでありまするが、若し本特別委員会が扱う対象にこれらが入るものであるならば、入ることは初めから入つておりますが、速かにこれらの資料を各委員のお手許に配付せられるようお願い申上げます。
  11. 安部キミ子

    安部キミ子君 運輸省のかたにお尋ねしたいのでございますが、慰問品が日教組や婦人会へ相当集まつて来るようでございますが、これらの扱い方について無料で送付してもらいたいということが一つと、その配付の方法につきましての御意見を伺いたいのでございます。それから二番目が西日本を襲いました豪雨のためにたくさんの在京学生が困つているのでございます。それらの学生は帰るには丁度月末でございまして、送金を断たれ、又自分たちの生活にも実に困つているまうな状態でございますので、とにかく何はおいても帰りたいと思う気持でおりますけれども、金がないために帰ることができない。そして金を借りて帰りました学生にいたしましても、再び学校へ来て勉強するということの見込みが立たないという非常に苦しい立場に追込まれている実情でございます。従いまして国家的見地から考えましても、それら学生の将来というものは、日本の国の復興再建に大きな役割を果す人たちだという考えの下に、私たちは何とかしてこれらの学生を安心して勉強させてやりたいというふうに考えておるものでございます。学生たち自分たちの最初の勉強したいという意思を曲げたくないという気持から、六項目に亘るところの請願を持つて参りました。このことにつきまして、先ず第一に、授業料全額免除してもらいたいということ。それから二番目は、罹災者に特別の育英資金を給与してもらいたいということ。三番目に、罹災者帰省費、これは汽車賃無料意味しているのでございますが、これらのことをしてもらいたいということ。それから四番目は、各大学宛救援物資を無制限無賃輸送してもらいたいということ。それから五番目が、各大学厚生課手持金罹災者に貸与してもらいたいということ。六番目に、罹災者救済金として二十八年度中、月額五千円を交付してもらいたいという、この六項目請願して参りましたので、このことにつきまして、何分の取計らいを考えて頂きたいと思う次第でございます。御当局の御指示なり、御意見をお伺いしたいと思います。
  12. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 国鉄営業局長をしております津田でございます。只今安部委員からお話のございました救恤品関係、それから学生帰省旅費に対する免除の問題につきまして申上げたいと思います。先ず第一は救恤品関係でございますが、これは只今提案がございましたような取計らいを現在いたしております。もう少し詳しく申上げますると、あの水害の起りました直後に、国鉄総裁の達しといたしまして、これは毎回非常に大きな災害等がございました際に扱つておりまする例に倣つておりまするが、先ず品物を三つに分けまして、その第一は罹災者用救恤寄贈品でございます。で、これは無賃で、救援学生会からも請願がありまするように無制限無賃輸送をいたしております。それから第二番目は罹災者用物資でございます。例えば食糧品でございまするとか、衣料でございまするとか、或いは応急建築材料木材でございまするとか、トタンでございまするとか、そういつたよう種類のものは運賃を五割免除いたしております。それから三番目には罹災地応急工事材料でございます。これ又木材とか、「かます」とかいうものでございます。これも二番目の品物と同じように五割の運賃割引をいたしておるのでございます。それぞれ只今申上げました三種類につきまして運賃減免をいたします期間は、それぞれ一カ月乃至三カ月というふうに区別はございます。それから着納荷主宛名人でございますが、これはその土地によりますると、都道府県知事地方事務所長市町村長というようなことに相成つております。で、只今問題になつておりまする点は、宛名人を単に府県知事市町村長というようなことでなしに、労働組合から労働組合に物を送りたい、救援物資を送りたい、救援物資を送りたいというようなこと、或いはこれは昨日起つた問題でございまするが、東京におられる朝鮮人のかたから、九州水害をこうむつた朝鮮人宛朝鮮人連盟宛名で送りたい、こういうようなお申出は非常にあるのでございまするが、従来までのところ、一切宛名人知事地方事務所長市町村長ということにいたしまして、そこで適当に配分をして頂くということにいたしております。ただ唯一の例外といたしまして、数日前に日本赤十字社、日赤関係政府のこういつた救援事業の代行をしておられる。これは法律に基いてやつておられるわけでございまするが、この日赤を荷受人……、荷受人と申しますか、宛名先に追加いたしましたのは例外でございますが、さようにやつておりまするのが現在の救恤品或いは復興資材等に対する国鉄取扱いでございます。  それから次にお話のございました学生に対する運賃免除の問題でございますが、この点は非常に御趣旨は御尤もの次第でございます。ただ問題は現在学生に対しましては、これは災害等関係なしに運賃割引の適用をいたしておるのであります。只今お話ではその五割を更に全額ということでございますが、これも学生だけを取上げてそういうことにやることは望ましいことではございましようが、一般に何と言いますか、バランスの問題から見てどうであろうかというような問題、それから先ほどお話がございましたよう授業料免除でございますとか、育英資金の貸付でありますとか、或いは父兄になるところの罹災者救済資金を交付するとかいうような問題と、やはり並行して、釣合いのとれた罹災地に対する、或いは罹災地関係のある国民に対する措置として考えなければならない問題ではないかというふうに、国鉄といたしましては考える次第でございます。
  13. 安部キミ子

    安部キミ子君 只今説明ですと、学生には全額免除ができないというふうなお説でございますけれども、ふだんでさえ学生は半額の特別な扱いを受けているんです、ふだんでさえ。ですから、ましてこういうふうに困つて、而も自分たちには生産能力のない人たちでありますので、金がなければどうにもならない。帰るにも帰れない。帰つたら再び来るということができないのです。ですから特別な法令でも設けて、それらの学生を保護してやるということが、私は今日の急務ではないか、あらゆる面でこの特別対策委員会が設けられたのも、平常時ならばこんな仰々しいものを設けて、このようにみんながあたふたと審議したり、たくさんの金を使つたりして苦労する必要はないはずです。非常時であればこそ、こういうふうなものが設けられているんでありまするから、学生にはそうすることが当然だと私は信ずるのでありますが、当局ではそうしようという御意思があるのですか、ないのですか、その点を……。そうしてやろうという善意の御意思があるかどうかということからお聞きしたいのです。
  14. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 只今私は気の毒な学生に対して免除と申しますか、無賃にしないということを申上げたわけではないのでございまして、ここに書いてありますようないろいろな措置と絡み合いまして、国会でそういつたよう法律というようなものができますならば、これは当然そういうことをしなければならない問題だと思つております。
  15. 安部キミ子

    安部キミ子君 了承しました。
  16. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) じや私から若干お聞きしますが、営業局長発言によると、授業料全額免除とか、育英資金の特別の枠を設けることと並行して云々と言われましたが、これは或いは文部省なり、或いは中央対策本部で総合的に考えられるかも知れませんが、必ずしも私はそういうものができなければ罹災地の非常にお困りになつておる家庭の子弟に、帰る汽車賃無料にするということを切り離してやらなければならんということはないと思うのです。これは実際自分の家が流れて完全に河原になつているとか、或いは全壊したとか、或いは保護者がなくなつているというよう学生は、これは私は僅かのものだと思うのです。そういう学生は一日も早くやはり自分の家に帰つて、バラックを建てようとか、或いは肉親の面倒を見ようとか、或いはお父さんのお葬いをしようという気持は同情に余りあると思うのです。それに安部さんの質問趣旨でも、それは山口から九州出身の全学生を全部無料で帰せというよう質問をしておるのではないと思います。例えば全壊とか、或いは流出とか、保護者が亡くなつたとかいうような、そういう気の毒な学生というものはすでに調査はできるし、或いは学校当局に或る程度任せれば後で精算する方法もあるし、これはそういう人だけでも応急無料切符を出して帰してやろうという親心は、私は国鉄としてもこの際示してやるべきじやないかと思うのですが、如何ですか。これは技術的な、具体的なやり方というものはもう被害県でも相当落着いて来ていますし、国全体としては混乱状態にあるわけではないのですから、今応急措置をとつていても、あとでこれを技術的に整理する方法は幾らでもあると思うのです。だから取りあえず、そういう非常に悲惨な一部学生諸君で、予算的に見ても僅かなものですから、学生諸君を激励するという意味からも、私はこのくらいの措置はとつて頂いていいんじやないかと思うのですが、どうでしようか。
  17. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) よく文部省とも相談いたしまして……。
  18. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) そういう学生一般とは違うと思います。不公平ということではないと思います。学徒と一般とは……。そういう学生にそういう取扱いをするということは、ここで何か文部省と協議しなくても、国鉄営業局長責任者として一つ善処して頂きたいと思います。
  19. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) これはやはりあれでございますね。罹災学生に対する一般的ないろいろな措置があると思うのです。そのうちの一つとして運賃免除という問題も、やはりこれは文部省と一遍相談しまして、それの一環として、国として、政府としてどうしてもやるべきだというような方向になれば、それはもう国鉄としてもそういう線に沿うて善処したいと思います。
  20. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ではお尋ねしますが、文部省のほうから何かあなたのほうに相談があつたでしようか。
  21. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 学生から直接聞いておりますが、文部省からはございません。
  22. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) そこで文部省に二、三日前に聞いたら、国鉄に御相談をいたしているというのです。国鉄のほうでは文部省に御相談してという。これじや災害地学生諸君は救われないと思うのです。いつまで御協議して御返事が頂けるのですか。早急にやつて頂きたいのです。いつまで本委員会に報告して頂けましようか。
  23. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) そうでございますね。来週早々にでも御返事できるようにいたしましよう
  24. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) もう少し早くやつてくれませんか。災害が起つたのは二十六、七日ですからね。あなたは災害地を御覧になつたかどうか知りませんが、かわいそうですよ。中共引揚者無賃輸送しておるでしよう
  25. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) あれは無賃じやないのです。全部厚生省から運賃相当額を頂いております。これは厚生省と十分打合せまして、運賃相当額は国費で全部国鉄は後払いで頂いておるのであります。
  26. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それは文部省から後払いしてもらおうという点で交渉なさろうというつもりですか。
  27. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) いやそういう……。
  28. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) できるだけ早く回答して頂きます。
  29. 河野謙三

    河野謙三君 私は国鉄営業局長に伺いたいのですが、災害地のその後の滞貨も順次対策によつて減退しつつあると思うのですが、滞貨状況並びに災害地へ向けての物資輸送状況一つ伺いたいと思います。同時に災害地に対して特別の計画輸送を実施しておられると思いますが、そういう計画輸送内容等を簡単で結構ですから、一つ伺いたいと思います。
  30. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 極めて最近の状況を御報告申上げます。御承知よう九州一円或いは山口県にかけまして鉄道が寸断されたというよう状態でございますが、その後逐次復興いたしまして、現在一番の問題は関門隧道が閉されておるということでございます。そこで事故の起りました当初から、あそこに対する貨物の押しかけが非常に強いのでございますが、関門隧道がそういうことでございますので、関門隧道を通過になりまする貨物は上りも下り受託を停止いたしたのでございます。ただ一部先ほども申上げました救恤品復興資材食料品というようなものに対しましては特別承認の形をとりまして、後ほど申上げまする輸送方法によりまして運んでおりまするが、一般貨物は閉じたのであります。それで一時は、事故の起りました当初におきましては、殊に下り貨物が問題でございまするが、本州本土に約二千車の貨物貨車が溜つていたのでございますが、漸次これがはげまして、又一部には荷主さんの御要望によりまして発駅に送還するとか、或いは着駅変更とか、そういうよう方法を講じまして、昨日の朝六時の現在では千百車ございますものは半分に減つて参つたのであります。それから貨物列車状況は、山陽線糸崎ロヘとりまして、平常の大体半分程度しか動いていないということでございますが、一方貨車貨物の押しかけそのものは受託を停止いたしました関係もございまして、それほど強くございません。鉄道といたしましては、下関、博多間に鉄道の持つておりまする旅客船のハッチを利用いたしまして貨物輸送をいたしておりまするのと、関門では簿輸送をいたしておりまして、それからトラックの渡船がございます。それから機帆船を使つておるというよう方法によりまして、約千五百トンから二千トン程度輸送力を付けておりますのでありますが、現在の状況では、まだその設定の輸送力によりまして荷物の押しかけのほうが弱いという次第でございます。併しながら大体開通の見込みも十五日頃になるだろうと思いまするので、漸次受諾制限を解除して参りたいというふうに考えております。以上でございます。なお救恤物資輸送が、昨日までに先ほど申上げました三種類のも一のを合計いたしまして五千七百四十二トンの救恤品復興材料の託送がございます。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 まだ完全に受諾停止を解除するわけに行かんという状況でありますし、従つて従来平常時の陸上輸送というものが海上輸送に相当転嫁されておると思う。現在では……。でありますから、陸上輸送と同様に海上輸送減免をやつておるでありましようけれども、同率に若し海上陸上運賃減免をやつておるということは、大体が海上輸送物資が多くなる現状においては、結局運賃負担が多くなつている。そういうような点がある。言葉を換えて言えば、従来陸上輸送で安い運賃行つてつた物資相当量海上輸送に転嫁されている。その結果あの被害地運賃負担が非常に高くなつている。ひいては物価高になつて行く、こういうふうに私は想像されますが、そういうことはありませんか。
  32. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 鉄道といたしましては、平常時に比べまして相当細い関門間の輸送力でございまするので只今御指示がございましたような、平常鉄道輸送されておりまする貨物海運によつているという事実は、殊に関西方面から九州宛貨物につきまして相当ございます。私海運のほうのこういつた救恤品なり、復興資材に対する取扱いにつきまして、現在明確に申上げかねるのでございますが、恐らくやはり運輸省として、こういつたような手立てはもう講じておられると思うのでありまするが、今もお話がございましたように、例えば五割と申しましても、もともと海難賃のほうが高い。従つてその五割海運賃はやはり鉄道に対して高い。鉄道の五割に対して高いというような事実はあるのではないかと私は想像いたします。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 私はその陸上輸送海上輸送に相当量転嫁されている。それによるところの罹災地運賃負担が非常に大きいものだと思う。この際は救恤物資その他につきましては、その他重要物資につきましては、陸上運賃割引等、絶対額において同額の海上輸送を一時適宜な措置で行うということにしないと、これは表面的には海陸とも運賃を五割引だとか、六割引だとかということでありますけれども、その内容において非常に大きな罹災地運賃負担というものが起つておるのであつて、一応輸送平常に復して、従来の海上陸上、これが八割、二割であつたか、三割、七割であつたか、それは私つまびらかでありませんけれども、少くとも従来の平常輸送に復するまでは陸上輸送から海上輸送に転換された分については適当な措置をとるということでなければ私はいけないと、こう思うのですが、今日こうした関係政府委員のかたがお見えにならんようでありますが、これを一つ次回までに、現在の陸上輸送から海上輸送に転換された率は、どのくらいであるか、海上輸送陸上輸送との運賃差額はどういうものであるか、それによつてどのくらいの罹災地運賃負担が殖えているか、理論上の数字の提示を願いたいと思います。一つ資料を出して頂きたいと思います。
  34. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今の御趣旨関係の向に申し伝えまして、資料を出すことにいたします。
  35. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 運輸省国鉄政府委員に対して御質疑のかたはございませんか。
  36. 山田節男

    山田節男君 国鉄のほうに、これは運輸省でもよろしうございますが、若し私の質問が重複しておつたならば、これは返答に及びません。今回の九州ですか、西日本水害による国鉄の損傷の額はこれは莫大なものがあろうと思いますが、公社として国鉄が、これは予算も始まつておるわけでありますが、特に予算で賄えない、或いは予備費で賄えないものは、これは予算的にどういう措置をする方針なのか、それがきまつておればちよつとお知らせ頂きたいと思います。
  37. 植田純一

    政府委員植田純一君) 国鉄の今回の災害は、現在判明いたしておりまするもので大体五十億と見ております。これの措置、更に収入の予定に対する減少ということもございますが、少くとも災害復旧につきましては、御承知通り国鉄財政自己資金のほかに政府運用部資金借入、それから特別に本年度からは鉄道債券の発行ということで賄つておるわけであります。政府財政資金借入と申しますか、融資ということを要望したいと思います。
  38. 山田節男

    山田節男君 損害五十億円として自己資金でどのくらい賄い行るか、賄えないものは公債或いは政府からの借入資金、これが大体現在運輸省として国鉄に、そういう足りない金でどうしても自己資金でやれないという、五十億といたしますと、大体どのくらい政府から借入れするか、或いは公債によつてやるかというその大まかなパーセンテージでもわかりませんでしようか。
  39. 植田純一

    政府委員植田純一君) 国鉄自己資金は、いわゆる日鉄の施設の維持のためのいわゆる減価償却費に相当するような額、これは収益のほうから勿論工事勘定のほうに繰入れしているわけであります。それ以外に自己資金で賄う余裕というものは全然ございません。国鉄の本予算におきまして予備費は二十億計上しております。併しこれは従来の例、実績と申しますか、いろいろと今回ほど大きくない災害がたびたびございますので、大体平年度におきましても、予備費というものは二十億ぐらい大体要るわけであります。従いまして今回の約五十億という損害に対しましては、今年度の今後のどういうふうな推移を辿りますか、見当が付きませんが、取りあえず五十億程度のいわゆる融資、政府資金の融資ということをお願いしたい。かように考えているわけであります。
  40. 河野謙三

    河野謙三君 それから先ほどお願いいたしましたもののほかに、国鉄調査に基く災害前と災害後の、大体半月以上経過しておりますが、その災害地区の物資の動きの比較ですね、これは現在でも国鉄で毎月おとりになつていると思います。物資別に細かいものは要りませんけれども、大体主な物資別の災害後と災害前の動きを一つお示しを頂きたいと、こう思います。
  41. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) そういうふうにさして頂きたいと思いますが、全国の例えば石炭がどうなつているか、或いは鉱石はどうなつているかというようなのでよろしうございましようか、或いは関門通過となる貨物がどうなつているかというところまでの資料が御必要なんでございましようか。
  42. 河野謙三

    河野謙三君 それは後段におつしやつた関門関係の、要するに門鉄関係と言いますか、その統計で結構です。
  43. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 承知いたしました。
  44. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは運輸省並びに国鉄政府委員に対する質疑はこれを以て終つたものと認めます。
  45. 安部キミ子

    安部キミ子君 只今運輸省の回答で、それで一応了承しますが、あと文部省のほうの回答がここではできませんでしようか、呼んで頂けませんか。
  46. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今文部省の監理局長の出席を要求してあります。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  47. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。只今大野国務相が本委員会に出席されましたので、大野国務相から一般状況について一応報告を聴取いたしたいと思います。
  48. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 私は今月の三十日の日に現地福岡に晩に飛行機で到着いたしまして、直ちに県庁内の対策本部へ参りまして、災害地各県の知事或いは副知事等から状況一般を聴取いたしました。今月の一日から本格的に災害対策にかかつたのでありまするが、大体応急対策だけは万全を期したつもりであります。もとより完璧とは申しませんが、拙速主義で、現地でできる限りの措置を講じたつもりでおります。昨夜帰りまして、まだ皆さんのお手許へ届いていないと思いますが、西日本災害対策中間報告というものをタベ帰つて来て徹夜で取りまとめまして、まだ印刷中で、漸く閣僚だけには今一応配付を終つたのでありますが、後刻お手許へ提出いたしたいと思うのでありまするが、それだけのものですから、全部読み上げるというのは時間的にも皆さん御迷惑と思いますので、後刻必ずお手許へ差出しますから……。そこで私が災害地行つて驚いたことは、東京で、中央で想像した以上の大災害であるということを先ず現地へ入つて第一番に感知したのであります。その後、然らば応急対策としてどういう対策とつたか、先ず衣食住の安定を期することが言うまでもなく一番の問題であると思いまして、これに全力を最初二、三日は尽しまして、先ず食糧対策では罹災市町村内の希望者に対しては五日分の食糧の繰上配給を行いました。その調整は八月から十二月の間に毎月一日分を差引くことによつてこれを断行いたしたのであります。又罹災農家及び一般消費者のうち、困窮者に対する米の配給は政府米を一括県知事に売却して、その代金は一カ年間無利子延納を認めることといたしました。農家保有米を流失、毀損した農家に対しては一般消費者と同量の配給を行うほか、完全保有農家に対しては被害を受けない場合の量を確保すべき措置をいたしました。政府手持食糧の被害は極めて軽微であつて、今申上げました三の農家保有米を流失、損失した農家に対しては一般消費者と同量の配給を行うほか、完全保有農家に対しては、被害を受けない場合の量を確保すべく措置したと申しましたが、その三の加配分を見込んでも、十月まで配給に支障なく罹災地の食糧生活安定のため罹災地政府が合計三万石を緊急補給した、こういう対策をとりました。医療品等の物資給与対策罹災者に対する医療品の給与等、応急救助に必要な物資として政府保有物資、ララ物資、ケア物資等の罹災各県下の相互融通、米軍等の放出等によつて遺漏のないように努めておりました。併し末端においてその配給が遅滞して行くということは、御承知通り役場の吏員等においても、この災害にみずからもかかつておるし、あとからからと病気で倒れるという実情にある町村もかなり多いので、その点が非常に遅れていることを遺憾として、折角厚生省をして速やかに配給するように万全の策を講ずべく、県知事等に、或いは市町村長に向つても十分督励をして帰りました。もう余ほど円滑に配給の途は開かれたと存じております。次に住の問題であります、家の問題でありまするが、これは流出者等の家屋がたくさんあつて、直ちに早々に建築しなければならない問題であります。これについても木材或いは必要な、物資の入手に万事遺漏なきを期して、そのように手配いたしております。或いはその他に対しては防疫、こういつた災害のあとに必ず伴うであろう悪疫予防に対しては万全を期して今措置をいたしておるのであります。これに対しては各方面から、赤十字或いは米軍等からも次々と応援が来る、オランダからも応援隊が来てくれておるということで、完璧を期して今折角実行に移つております。それで今日までの状況は殆んど伝染病患者の数は昨年の今までとほぼ同じ、この水害のために特に集団赤痢が発生したというような兆候は今のところでは現われておりません。この問題は仮に災害本部を切上げましても、特に防疫本部というのを福岡に設置して、被害県に対しては引続き防疫の強化に専心をいたしておりますし、又中央対策本部が解散しても防疫本部だけは福岡に設置して完璧を期したいと、その方法をすでに講じて参りました。  地方団体に対するいわゆる繋ぎ資金と申しまするか、これは中央において十億円と決定されたことを新聞やラジオで承知いたしました。私が行つたときには、まだ各県から繋ぎ資金に対してはどれくらい要求するか、要望されるかということを、ちよつと見ておりましたところが、どうしても三十億は出してもらいたいという要求が強かつた。事実それだけの十億の繋ぎ資金が要るかどうかということを係官等をして検討せしめたところが、どうしても三十億くらいは要するであろうという結論になつたので、それで私は中央へ向つて二十億円追加を要求しておりました。十億円は決定をしているので、あとの二十億円は直ちに決定されたいと、これは現地で処分できると思いましたが、一応中央に連絡しましたところが、一日経つて電報が参りましたときにすでに私のほうで十億円は現地の責任において出そうということで配分もすでに決定、発表してしまつたのでありまするが、その後又私が言うた通りに二十億円はどうしても要るということで、十億円は私が中央へ帰つたときに必ずその日に決定させるから、今ここに二十億を配分する、これで罹災県の諸君は大体異議がないかと言つたところが、福岡県等ではこれは少なさ過ぎるからもう少し考慮してもらいたいという話がありましたから、それは自分帰つて必ず十億の繋ぎ資金は直ちに決定させるから、そのときに考慮するが、今回は取りあえずこれで満足してくれ、満足じやないが止むを得んだろうということで了解を得まして、そうしてあの金額を発表して、それでタベ帰つて今日の閣議に臨んで、どうしてもまだ十億は必要であると、直ちに今十日や一週間を争う問題じやないけれども、とにかく十億を決定したと言えば安心するから、どうしても今日の閣議においてこれを決定してくれと言つて強く要望しまして、閣議においてもすでに今朝十時頃に決定しまして十億繋ぎ資金の追加を決定いたしました。それでよほど罹災県が安心されるであろうと確信いたしております。後刻お手許にこの中間報告書を提出いたしまするが、これによつてよく御了承を願いたいと存じます。なおいつでも御指摘があれば委員会に出席して説明いたすことに決して躊躇いたしません。まあそういうふうな極めて簡単なものですが、後刻これを差上げますから、それで御承知願います。
  49. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大野国務相は、昨夜帰京されて只今御報告の通り、閣議並びに中央本部の幹事会に出席されてお多忙のようでありますが、折角御出席になつておりますので、委員各位から大野国務相にお質疑の点がございましたならば暫く質疑を願いたいと思います。
  50. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 この緊急対策については私どもも、私どもの任務として調査を重ねまして、鋭意その結論を急ぐために努力して来たのであります。只今御報告にもありました十億の、これは追加十億を含む繋ぎ融資の増加の点について私どもも努力して参つたのでありますが、帰られて閣議決定を見たということは感謝をいたしますが、問題はそれで十分であるかどうかという点にあろうかと思うのであります。これは私どもとしてもなお調査を続けて参りたいと思いますが、そういう問題をここでなお検討をいたします余裕も実は持たんのであります。昨日からのラジオ、新聞等のニュースによりますと、筑後川或いは遠賀川、或いは佐賀の、私よく知りませんので、名前を失念いたしましたが、河川等の決壊箇所等から再び浸水をして、浸つているという情報を得ております。聞いてみますというと、六億の融資をやつて塞止め工事をやつているはずだという政府の報告でありますが、現地から昨日、今日参りました県民の話等を聞いてみますと、桟を打つて、土の丈を築く途中にある。あれは百五十ミリであろうと、百ミリであろうと、雨が降つたら必ずああいう現象は起つて来る実情であるということを聞きました。そこでこれはどれだけおやり願つたかということもございますけれども、誠に憂慮すべき実態だと考える。それで現地で、ここではつきり申上げますけれども、河川局長でさえ予算の修正をやつて、急いで塞止め工事その他をやらなければ秋の台風時期には再び同じ惨事を繰返すということを言つている。六億の直轄河川塞止め工事は進められておりますけれども、昨日、今日の重なる水害を目の当りに見ますと、御苦労ではございましたけれども、大野国務相をはじめ現地でどれだけのことをしてもらつているのか、政府にしても国会にしても、何をしているのかという非難を私ども現地で受けている実情で、この点における大臣の一つ御所見と、それから対策をお願いしたいと思います。
  51. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 御尤もですが、六億円の直轄河川に対するあの金を以て、鋭意建設省はまあ応急手当をしているのでありまするが、何しろ筑後川だけでも何十カ所という決壊箇所があります。或いは遠賀川、これは一番大きな被害箇所だけは一通り工事の進捗状態を見て参りましたが、小さい所は時間がありませんで全部見るという余裕はありませんでしたが、私が現地で関係担当官にその旨を常に質しておりました。どこの地点はこういう準備にかかつているが、あそこはまだ資材を運ぶのに道路決壊、損傷しているから、或いは橋梁が流失している、そういう所から始めなければその地点へ到達することができないので、資材を運ぶごともできないのだと、勿論それの復旧を急いでいる、併し今月一杯は全部の応急……遅くともですよ、早い所は十日、十二日というふうに順次締切工事応急手当もできるが、全部一応の応急手当をするには今月一杯、七月一杯には全部を締切ることができるという返事を受けております。昨日私が飛行機で発つときは福岡は豪雨でありましたから、私はこれも非常に心配をして各新聞社のかたに、どつか今又折角締切工事が完成した部分も、完了した部分もあるが、それも又決壊したようなニュースは出ないかといつて、発つまで、十二時半飛行機が発つたのが遅れたわけであります。二時何分かで、一時間以上も飛行機の出発が遅れたのでありますが、その間新聞社等に向つて新らしい事態が発生しやせんかということを憂慮して聞きましたが、私が来るまでにはまだ何も情報がないという話でありましたが、今朝新聞を見ると、やはり佐賀、福岡県においては相当の豪雨で、多少決壊、又再び決壊したようなことがあつた旨が伝えられているので、非常に今心配いたして建設省に向つてどこが決壊したかということを今報告するように言うてありますから、遅くとも今月一杯には全部の締切り工事といいますか、応急手当が完了するということは、はつきり厳命いたしておきましたから間違いないと思つております。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 六億の災害復旧費の中から融資してやつて頂いておるのでありまするが、結果から見ますとそのテンポ、それが災害の再発を防止することができなかつたということを考えますと、工事のやり方或いはテンポ、それから六億の金額等にも問題があるのじやないかと考えられるのですが、その点はどういう工合に考えておられましようか。六億の災害復旧工事費の融資でできると、今の月末までには万全の措置ができると、こういう御答弁でありましたが、それらの点についてはどういう工合にお考えになつておられましようか。
  53. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 大体六億の予算で一応の応急工事だけはできるという見通しの下に、六億を以て予算として工事にかかつたのでありますが、今のところはそれ以上要求もいたしておりませんんから、できるものと私は信じておりますが、併し今度又河川が氾濫したとか、折角やつたところが再び決壊したとかというならこれは又別個の問題で、予算を要求しなければならんかと思うのであります。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど御答弁の中にあつた道路が決壊して資材が送れなかつたというようなところで云々ならば別でありますけれども、例えば遠賀川のあの植木の下の地点のごときは、これは一番早く締切工事に着手して、一応締切工事としては或る程度のものができておつたように私どもは了承するのです。それがあそこで再び決壊か浸水か知りませんけれども、あの遠賀川流域の浸水が再び起つたことを考えますというと、私はやはり締切工事の今までのやり方についても検討を要するのではないか、更にテンポの点については問題が私はあると思う、その点は一つ再検討を願うこととして、それから先ほど伝染病については普通年度と同じ程度の伝染病が発生していると、こういうことでありまするが、私ども承知しておるところでは、これはもう二、三日前でありますが、八百名を越す赤痢患者が出て、すでにそれはどんどん殖えつつある、而もその中から四十名死亡が出たと、これはラジオ・ニユースでありますけれども、私ども聞いておるのでありますが、その辺は認識が違うように思うのであります。或いはこの家屋の外の消毒等は、私どもニユースで見ましても見受けるのでありますが、防疫対策についてもなお手落があるのではないか、或いは最も問題なのは、食糧のことも御報告になりましたけれども、五日分の前渡しということで、価格の点についても福岡市内で三百数十円、四百円近い闇値を見ておる。或いは筑豊についても二百数十円、三百円近い闇取引がされているという点から見ても、手当が十分であつたとは言われません。水に浸り、或いは腐りかけている食糧を摂つたりしているようなことにも原因があるんじやないかと思う。或いは御承知かも知れませんけれども、筑豊一体は井戸を使わずに川の水を飲料水に使つて来た、従つて市内はとにかく、農村地帯になりますと、飲料水の手当等もまだ十分ではないのではないかという点を心配するのであります。結果から大野国務相は伝染病は例年の通りだと言われますけれども、そうではないように私ども思つております。或いは衆議院の調査団の報告電報によれば、罹災者手許に一文もなくて人心不安であるという報告も来ておりますが、そういうものが私は末端に至つてはまだ施策が徹底しない点があるのではないか、こういうことを考えるのであります。そこで問題はテンポでありますが、これは現地本部から或いは県を通じ、末端に至りますまで、或いは締切工事等についてもそのテンポが遅いように思うわけでありますが、その点については、これは責任を追及するわけではございませんが、一つ明快なる御答弁をお願いいたしたい。
  55. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) テンポの遅いことは或いはお示しの通りかもわかりませんが、何しろあの大水害の直後でありまして、これは非常に急いでおりましても実際御承知通り交通機関が杜絶し、これはもう遅いというお叱りは御尤もかも存じませんけれども、担当官は昼夜を忘れてその復旧に当つているのでありますから、これは遅いとおつしやつても、まあ人力の如何ともすることができなかつたのだろう、運輸機関も杜絶してしまつて道路、橋梁があの通り状態で、手を拱いておるわけではない、万全を期したのでありまするけれども、如何ともできなかつたというのが実情であろうかと思うのでありまするが、併しながら台風期を前にした今の時期でありまするから、非常に急いでおることは事実であつて、少くとも全部の決壊箇所を今月中には締切つてしまう、それに向つて進んでおるのでありますから、御不満なところもありましようが、事情止むを得ないということでありまして、御了承願うよりほかに仕方がないと思います。万全を期してやつておるのであります。本当にそれだけは断言するに躊躇いたしません。
  56. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 大野国務大臣は本部長としていろいろ御苦心の点、私どもも現地にまで行つただけに、罹災者と共に御苦労については、感謝申上げます。お帰りになつた早々先ずこの委員会で非常に問題になつていた、いわゆる応急資金の十億不足の問題、大野本部長から折角言つて来たのに、なかなかこの東京本部ではどうのこうので十億しかやらなかつた。我々はそれに対して非常に不満を持つて、この数日来盛んにこの場でやつてつたのですが、ともかく十億を附加えられたという点については、その報告を私どもは喜ぶものですが、ところでお聞きしたいのですが、繋ぎ資金という言葉を用いられた。私ども繋ぎ資金ということであるならば、狭い意味で解釈するというと、やがては国庫助成になるところの金の行くまでの間の繋ぎというのが、いわゆる繋ぎ資金と言われているのですが、私どもはそれも勿論でございますけれども、同時に特にこの大水害について考えなければならないのは、一般の金融機関からはどうしても今日における信用度においてなかなか貸出しを受けられないという点、その一角から見ればどうしてもしなければならないといつたような復旧の仕事に使う金の問題、これらは政府の預託資金を、引上げようという三億七千万を引き上げないで済ました、更に十億を渡したというようなことで済まされない問題があると思うのであります。更にもつと深刻なのは、例えば御覧になられてわかつた農家の災害、農地の災害、これは農家としてはいつまでも災害救助法によつてただ僅かの飯をもらつてつて行けるものじやない、それよりは早く自分の本然の生業に励んで、そうしてそこにいわゆる労作をやつて、一家を持つて行くという希望があるわけです。ところが十五万円といつたよう一つの従来のいわゆる国庫助成といえば限度がありまして、なかなか従来の考え方では補助の対象になるということができない河川におきましても、限度があつて、決壊箇所が僅かの十万円程度の復旧のところであるならば、それは対象にならない。ところがともかくそいつを直さなければあとの仕事ができないのだから直さなきやいけない、こういうような問題が幾多含まれているわけなんであります。そこでお聞き申上げたいのは、私ども現地で聞いた話では、ともかくこの際短期融資でも一応金を預けてもらう、そうして責任のある、良識に基く止むを得ない支出を、知事あたりに任してもらう、そうしてあとからそれぞれその金については厳格に整理をする、繋ぎとしてするものは繋ぎとし、そうして或いは県の単独に出すものは単独にする、或いは起債に切換える、こういうようなことにしなければ、到底今日のあの災害人たちに向つては、知事としても容易じやないという話を盛んに聞かされた。その十億、お出しになつたというその十億は、そういう意味において、いわゆる今日の法令に基くところの公共事業関係の、やがては国家補助になるだろうというものに対してだけのいわゆる繋ぎなのか、そうでなくて先ほど申上げましたように、或いはそれは結果において県の、町村の起債になるかも知れないけれども、とにかく今差当り要るものには止むを得んと、こういうふうな意味での資金であるのか、恐らく先ほど応急にされた施策の一端を御報告になられましたが、大臣としてはあとのような、つまり現実切羽詰つた場合における即ち応急の資金なんだと、こういうふうにお考えになつているのだろうとは思うのですが、この点を一つお聞きしたいのと、更にそれとの関連がございますが、恐らくあの福岡におきまする本部に対して、あとはあとのこととして、現在の法令で言うところの補助対象になる以外の仕事も一つさしてくれと、そうしてそれについてはあとからその法令を変えて、この大水害なのだから特例として補助対象にしてくれという問題もやかましく言われたのだろうと思うのです。大臣はこれに対して、よし引受けたと、こう言われたのじやないかと思うのですが、この点について一つお伺いしたい。
  57. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) お答えいたしまするが、成るほど十五万円以下は国家の補助対象にならんという、或いはどうか、こういう緊急の場合というか、災害の場合には特例を開いてもらいたいという、本当に切なる要望が各県ともありました。そこで私は、法律法律であるが、こういう場合には、法律を無視するわけにいかんが、従来の慣例等は大分無視してやるつもりであるということは確かに言明いたしました。引受けた、まあ大きく言えば引受けて、それで今日閣議で建設大臣に向つて、従来の十万円以下の小債券では実は補助の対象にはならなかつたのだが、これは何か災害地に対しては、殊にこういう大きな災害に対しては、特に考えなければならん問題だと自分は思つて帰つてきたが、なかなか建設省等においては、難色があるかわからんが、何とか特別に考える余地がある。そこで私は思うに、成るほど一村で五カ所なり七カ所なり、十万出品以下の災害、これを一つと見れば、広義に解釈すれば、十万円のところは五つあれば五十万円だから、当然国家の補助の対象となるのじやないか、そういう工合に解釈してはどうであろうかということを私は今力説したところが、十分に一つ考慮しよう、考えて早急に結論を見出したいという話でありましたから、先ずそんなところで、一つ小さな災害に対する国家の補助対象によつて行きたいという鋭意努力を続けるつもりであります。もう一つは繋ぎ融資ですか。
  58. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 内容です。考え方です。
  59. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 繋ぎ融資は、私は各県の事情を聞いて、これはあと二十億円くらい要るだろうということで二十億を要求したところが、十億ということになつたけれども、私は各県の知事等に向つては、必ず自分は中間報告に帰れば即日決定をするから、今のところは二十億で我慢せい、必ず帰ると同時に十億円は追加するということで安心させて帰つたわけですが、その通りになりました。併しこれは御指摘のあつた通りでありまして、これはやがては返さなければならんいわゆる繋ぎでありますから、この繋ぎに対してはそう大蔵当局も固執しているわけじやありませんが、併しあと財源がなくちや困るのだというお話でありましたから、まあとにかく今日は十億出す、殆んどこれで落着くのじやなかろうかという見通しを持つておりますが、足りない場合には又追加も止むを得ん、かように考えております。
  60. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 ちよつと補足的に一つ……。お答え頂きまして大体わかりましたが、今の応急の十億の問題、大臣の幕僚として福岡に駐在した大蔵省の主計官が戻つて参りまして、そうしてこの席にきて、いろいろとこの問題がやつぱり出ました。そこで、主計官でありますが、事務的に伺いますと、繋ぎと言われるとすぐ公共事業費の補助の差当りの金と、こう考えます。そこで彼は、従来現行におきまするところの補助対象をあの災害の中から拾い上げまして、そうして従来の慣例による初年度の事業分量を想定してそうして十七億という金を算出している、で、最初の十億と、後、大野大臣がこちらに要望した二十億のうちの十億が行つた。その二十億で、十七億以上だから足りるという、誠に事務当局としては止むを得ん立場かも知れないが、そういう答弁があつたために、当委員会でもいろいろとそれを巡つて問題になつた。大臣の言われるように、当然やがては返さなければならん金である。で、私どもは併しながら公共事業費、今きまつている補助の対象になる仕事の繋ぎというだけに考えないで、やがてはこれは起債に持つて行つてもいいのだ、当然始末しなければならんものですから。そういう意味での繋ぎの使い方に、是非あの十億の考え方を明かにして、だが適切に使うように一層本部長として御指導頂くならば、災難に遇つた罹災民の諸君或いはそれを対象として日夜奮闘している知事市町村長、これらは非常なそこに明るさを見出すだろうと思うのです。どうぞこの点についてはよろしくお願いします。
  61. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 三浦委員のおつしやる通り、私も至極同感でありまするから、せいぜいそれそういう工合に持つて行きたいと存じております。
  62. 松岡平市

    ○松岡平市君 只今三浦委員質問で、私の伺わんとしたことの要点は明かになりましたが、たたこういうことであります。ここで再三我々は、少くとも最初の十億に追加して二十億の繋ぎ融資を送つておやり願いたい。緒方副総理なり小笠原大蔵大臣にもお願いした際に、大蔵当局のほうでは、金だけ送つてつても仕様がないのだ、それを処理できない現状である、こういうふうな御答弁でありました。私どもの考えるところでは、この梅雨空に直轄河川だけでも、二つか三つの直轄河川だけでも、応急六億の経費を要するよう損害を受けている。直轄河川以外の小さな河川のごときは、それこそ文字通りに堤防は寸断されている。道路のごときも、或いは橋梁のごときも、あの大きな橋梁が流れるくらいでありますから、町村の小さな川に懸つている橋梁のごときは殆んど全部ない。こういう状況になつておる。而も田植時であつて、苗代をもう一遍作り直して、少くとも七月一ぱいに終れば、二割か、三割の減収で済むのだという現状を前に、そういつた一面には、いつ来るかわからん台風時期であります。毎年七月、八月、九月は九州は必ず台風が一度や二度は来るわけであります。それが早く来るかもわからん、こういう際に農民は寝食を忘れて堤防を何とか補修する、橋を仮橋でもこしらえる、こういうようなことをしたい、するにきまつておりまするが、それには現在府県においても、市町村においても金がない、財源がない、こういうことが私は各現地の切実な声であると私たちは考えております。ところが二十億の繋ぎ融資で到底……これだけ置いておけば、幾ら枠だけやつてもはけ切れないのだと、こういうような話でありまするが、私は大野国務相にお聞きしたいことは、現在恐らくあの被害六県、広汎な地域に亘る被害六県では、寝食を忘れて、夜を日についで、それらの災害の復旧に努力していると思うのでありますが、二十億ぐらいな、これは繋ぎ融資という言葉で言うから変に事務当局はお答えになるけれども、やがてこれらのいろいろな災害はまあ補助金をもらえる。公共事業費として起債をしなければならんだろうし、或いは一般単独災害として、これもやはり同じく起債に求めなければならん。それらの起債額は恐らく今回の災害に鑑みて、数百億というものになつて来ると思うのでありますが、それらのものの手続は将来に残して、今やがて起債によつてカバーし得る事業を、どんどんもう一瞬、一日、一刻を争つてやらなければならん。その財源たるべき資金の枠がない、こういうことだと思うのでありまするが、如何でございましよう、現在のあの六県の広い広汎な地域に亘つて、二十億ぐらいな繋ぎ融資という形で政府から出された金が消化しきれない。まああとの十億もまだゆつくりでよろしいのだというようなくらいな……、災害各地方でありますか。県の直轄河川ではございません。地方の単独災害その他の河川道路の復旧の仕事に対しては、現地民はそれくらいの微々たる熱意しか示しておらんのかどうか、私はそうではなくして、金さえあれば土俵ももつと買える。仮橋も造れるというが、その枠が県にも町村にもないということが現実の悩みであろうと私は考えるのでありますが、その点について現地本部長の御所見を承わりたいと考えます。
  63. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) お答えいたします。今御指摘になつ通りでありまして、私どももここに鑑みるところあつて、繋ぎ融資というような、まあ言葉はどうか知らないが、今まで使われておる繋ぎ融資三十億万円でいいか悪いか、それは足りぬじやないかというお話でありまするが、一応現地の着任者から承わつたところでは、三十億あればとにかくまあ緊急その場は必らずそれで処置七きるというのでありましたから、二十億を要求したわけですが、中央はやはり現地と違つて多少事情もある、連絡がよろしきを得なくてわからなかつたかと思いまするが、併し今日閣議で十億決定いたしました。これで私は現地の責任者は一応納得したであろうと存じます。そこで或いは今後足らなければこれは又追加するよりほかにはどうしても途はないのでありまするが、これが金が使い切れない、ところが実際においては私の知る範囲内においては、金はもうどうなろうとこうなろうと、とにかくやらなきやならんというので、相当肚のある当時者ならば、金の如何にもかかわらず、かますも買えば、莚も買うということで、相当肚をはつてつて、着々復旧を急いでおる地帯もあります。例えば佐賀県知事、鍋島知事のごときは、どうなろうとこうなろうと、将来のことは将来、やるだけのことはやらなければならんというので、思い切つた、まあ大胆な復旧資材等を集めてやつておるところもありました。それと同じことで、町村長においても終いには何とか県なり国家なりが見てくれるであろうというので、金をかけてこの際実行いたしておる地帯もあつたので、今十億あとから又追加という朗報を聞けば、一応安心するであろうと私は確信いたしております。
  64. 松岡平市

    ○松岡平市君 大野現地対策本部長のお話を聞いて、我々もやや安堵いたしました。併しながら少くともあなたと一緒に福岡に滞在しておつて、あなたの命を受けて帰つて来たという大蔵省の主計官は、この席に来て、先ほど三浦君も指摘されたごとく、これでまあ間に合つておる、これだけであります。何遍我々が聞き質しても、まあ間に合つておるということであります。今お聞きしますと、佐賀県知事鍋島君のごときは、あとはあとのことだということで、財源の裏付も、確固たる自信を持たずして、自己の責任において、どんどん必要なる資材の買付をしているというお話でありまするが、私はとにもかくにもこの大災害政府が知つてつて、そして現地に対策本部ができておるならば、渺たる一知事が、自己の責任をかけて、あとはあとのことだという、悲壮な決意を以て、なんら財源の裏付けなしにこれらの断固たる手段を取らなければならんというような窮地に追い込まずして、政府はみずから進んで先ず以て安んじてやれという金を、五億なり、十億なり、なぜ現地……、かような悲壮なる決意を持たざるを得ない知事にお渡しにならないのか。私はぜひこの際大野本部長は、中央統合本部の遅々たる現地の被害に対する認識対策というものに一つ十分叱正を加えて頂きまして、速やかなる施策を講じて頂きたい、かように考えます。あなたの部下であつた、今日帰つてつた、あの主計官がここへ来て、そういう必要はないという意味のことを強調いたしております。我々は現地視察の結果に基いて、そうでないと如何ように申しましても、これは政府当局に到達しなかつたのであります。止むを得ずして、明日は現地の関係知事を全部この委員会に招致して、我々の言うごとと、政府の現在中央の認識と、いずれが正しいかということを、ここに明らかにしようというところにまでなつておりまするが、私どもは只今現地本部長のお話を聞きまして、必らずしも我々の憂えたことは杞憂に止まらない、なんとかこの際特別なる施策を政府に迫らなければならん、かように考えるわけでありまして、是非……、今までの本委員会審議状況からいたしまするというと、誠に我々がここでただ悲憤慷慨しておつたに過ぎない。現地本部長として、中央統合本部に対して一段の一つ声をかけて頂きたい、お願い申上げます。
  65. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員長は適当なときに申上げようと思つてつたのでありますが、この時期が適当かと思いますので、申上げたいと思います。実は院議に基く視察団の報告があつたのです。それから内閣内に設けました中央総合対策本部、これから又資料が出たのでございますが、非常にこのズレがあるわけなんですね。それから現地に派遣されておる大野本部長からの要望というものがどうも中央対策本部に正しく伝わつていない。そこで本委員会としては審議が行詰りまして、実は福岡まで出かけて大野本部長を中心に実情を十分キヤツチする必要があるというところまできめたわけですが、大野本部長が昨日お帰りになるということが明確になりましたので、本委員会としては福岡に出かけることを中止いたした次第でございます。それで本日御出席を願つたわけでございますが、緒方本部長、それから田中官房副長官、それからあの中央本部を構成しておるスタッフ、こういうかたがたの西日本水害に対する認識というものは極めて不十分な状況にあるわけでございます。そこで当委員会としても本部長が親しく被災団体、それから被災国民の実情をつぶさに見聞されておりますので、非常にその善処方に大きく期待いたしておるわけでございますが、そこで今の松岡さんの質問と合せてお答え願いたい点は、やがて委員諸君には配付されますが、ここに詳細に西日本災害対策本部長として報告がなされて、第九に懸案事項並びに要望事項としてまとめられて、約十項目に亘つて懸案事項並びに要望事項というものが、まとめられておるわけですが、ちよつと見たところ非常に緊急を要する点を適切にまとめられておると思うのですが、これをどういう政府の機関で審議し、いつを目標に結論を出すべく取運ばれるのでございましようか、それらの点について併せてこの際本部長としての御所見を承わりたいと思います。
  66. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 私が要望いたしておることは緊急必要なことばかりでありまするから、早く速かに結論を出してもらいたいということは、今日閣議の席上でも要望し、先ほど中央総合対策本部の幹事会にも臨席いたしまして、そうして関係各省において、私が要望いたしておることを速かに検討して適当な結論を出すようにということを今強く要望して参りましたので、まだ然らばいつまで結論を出せということは要求いたしておりません。おりませんが、至急この要望に向つての結論を出すように今強く要望いたしておきましたからそう長くはかかるまいとみずから期待しておるわけであります。まあ先ほどお話がありましたが、現地の主計官が何を答えましたか存じませんが、私はどうしても繋ぎ資金は三十億を要するであろうという各県知事等の要望によつてそれは一日も早く実現しなければならんというので、主計官は何と申しましたか存じませんが、最初から繋ぎ資金三十億を主張した私であります。やはり事務官は事務官だけの答弁をいたしたものと存じます。御了承願います。
  67. 河野謙三

    河野謙三君 私この際にちよつと災害地の物価対策についてお尋ねいたしたいのですが、その前に大野国務相は国務相の人柄として法令の末節にとらわれて処理するというようなことでなしに、すべて肚でやつて来られたというのですから、その点は私非常に安心するのですが、ただ従来の災害その他の、例えば大震災であるとか、又戦争戦後の日本挙げての災害、こういう場合の災害対策のときに、私が過去の災害を見ますと、どうも旅に水を盛つておるように、片方で救援だ、片方で補助だといつてつても、その陰において非常に物価が上つておるということであつて、結局プラス、マイナスすることで物価高によつて苦しめられたということが多いと思うのです。今度の場合現地に行つておりませんが、先ほどから伺いますと、米が三百円となつている。三百何十円とか、ちよつと私の承知している範囲でも水害に一番必要な叺、俵にしても、又叺がこれまでに五十円くちいのものが七十円ちよつとから八十円していると聞いております。こういうことを聞いておりますと、結局一番並行して大事なことは、災害地の物価対策だと思うのです。これは災害の起つた直後に物価が上つたが、現実どの程度まで落ちついているか、この点を伺いたいのですが、同時に災害地について何か物価騰貴鎮圧のため政府は準備しておられるか。先ほど一つの例を申上げましたが、叺にいたしましても、今五十円のものが七十円も八十円もしている。こういうことなら国が如何に補助をしましても、その補助というものは物価高によつて大部分食つてしまう。こういうことになるのであつて、その場合に例えば農林省が腐るほど持つております帆よりも安いところの麻袋を臨時に放出するとか、いろいろ災害地物価対策というものはあると思うのです。  それから先ほど運輸省が来ましたから聞いておりますと、輸送等も災害地に向つて必ずしも円滑でない、円滑でない結果物価は高くなつているはずだ。その結果緊急配船等の措置をとつて、瀬戸内海等を通じて、陸上輸送できないものは海上輸送によつて災害地物資を急送しておる。おのずとこういうよう災害の場合には物価対策というものは当然出て来なければならんと思うのですが、それについて何か御協議になつたことがあるか。又その必要がない程度にもう物価は安定しておる、こういうことか、こういうことを私は伺いたい。
  68. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) そういうことについては十分私ども心配いたしまして、幸い政府の農業倉庫の被害が極めて軽微であつた。現に九州にはこれだけの保有米がある、故に食糧のことについては余り心配するなということを盛んに放送もし、闇米が三百円、三日五十円ということは、あの水害の直後はそういう呼び値があつたそうでありまするが、実際においてその売買が行われたということがあつたかどうかということは大いに疑問があるわけであります。  それから今物価は、成るほど叺などは私の聞いたところによると遠賀川ですか、十万俵の叺を用意した、およそ幾らであつたかと聞いたら、やはり六十円乃至六十五円で、それに土を入れるとすると一俵七十円くらいになるということは聞きました。  それから野菜、殊にきうり、トマト、なす、こういうものは殆んど災害県では全滅でありますので、こういうきうりとかなすとか、いわゆる季節物、これに対しては今のところ三割くらいの値上りを見せておるようでございまするが、その他の野菜物に対しては災害前とほぼ同指数を保つておるということでありました。これは国警本部の毎日の情報であります。そうして農林省としては淡路島方面に向つて野菜類をどんどん災害地に入れるような万端の手配を尽して、それがどんどん災害地にそういつたキャベツであるとか何とかいつたそういうものを満載した船がどんどん行くようになりつつあるから、とにかくそれで季節物以外の物価は殆んど変りがないという私は報告を受けております。まあ大したことはないようで、その点は安心して私は帰つて来ました。
  69. 河野謙三

    河野謙三君 私現地を知らんものですから実はその点非常に心配しておつたのですが、今御報告を頂いて非常に安心したのですが、ただまだ暴利取締令等もあるのでありますから、若しそういうふうな物価が、例えば家庭必需品の野菜にしろ何にしろそういうものがありましたらそういうものの発動により、そうして一方において補助金を出して又一方において高い物を買う、プラス・マイナス・ゼロというような過去の災害においての我々が歩んで来たような道を歩まないようにということを実は心配したのですが、なお一段と物価の点については御留意頂きたい、こう思うのです。
  70. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 実はそういうことも非常に憂慮して、この間国警と協力いたしましてとにかくそういつた悪徳商人を取締る、又そういう暴利取締令によつて断乎処断するというような、これが治安上一番大事なことでありますから、その他のことについて飛行機で各被害県にビラを撒布した、これでそれがきいたかきかんかわからんが、よほど闇商人が影をひそめたということは間違いないてき面な効果があつたという話を聞いて喜んでおつたのであります。なおその点については今国警のほうにも命じてなおよく十分警戒をするように注意いたします。
  71. 山田節男

    山田節男君 大野国務大臣が現地で本部長として非常な御努力を願つて、緊急措置に対しましても我々委員会としてまあ実は非常に心配しておつたわけですが、まあここ当分は緊急応急対策ということに全く寧日ないわけでありますが、殊にこういう建設関係、河川、道路、その他熊本におきましては火山灰の流出が非常に多いということでありますが、これは応急対策と同時に、やはり国家としましては将来かような大惨事を再び招かないという一つの恒久対策も必要ではないかと思います。勿論大野国務相としては現地の緊急の対策のための御要務でいらつしやつたのでありますから、又あれほどの広い範囲の、又あれほど多くの対象を持つ緊急対策として今日その余裕はないかと存じますが、併しこの緊急対策応急対策を講じつつも再びこういうことがないようにする、例えば河川の決壊でございますが、これにしても取りあえず決壊個所を埋めるということは勿論必要でありますが、同時に今回の惨事を再び繰返さないという国土建設から考えれば多々考慮すべき点があるのじやないか。そこでお伺いしたいのは昨日こちらにお帰りになりまして政府等へもこういつた意味を建言をして頂きたいと思うのです。政府としても非常に大きな緊急対策を講じつつ速急やはり国土建設の建前から、又かかる惨事を再び繰返さないという見地から恒久的な根本対策というものをお立てになる必要があるのじやないかと思います。これについて出先の本部の意向等をおきめになりまして、吉田内閣におきまして速急ということをして頂きたいと思うのでありますが、そういうような御計画がおありになるのかどうですか。
  72. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 私は御承知通り応急緊急の対策のために出向いたのでありまするが、もとより私もそう思いますが、これは毎年々々災害を繰返すというようなことは実に愚の骨頂である。どうかして再びかような轍を踏まんように国家財政の非常に苦しいときではあるが、併しどうしてもこれは恒久対策を我々樹立しなければならんということを痛感いたしておるし、例えば私の感じたことでありまするが、佐賀県の決壊場所数カ所を見ましたが、成るほど見たところはセメント等を使つてコンクリート堤防でありますが、一たび決壊したあとを見ると、あれは地帯も悪いのかも存じませんが、殆んどその状態というものは砂利ばかりなんです。川に面したところだけは見たところは如何にも立派で頑丈な堤防のように見えますけれども、一たび決壊のあとを見ると砂ばかりです。或いはその地盤一体がそういう地帯なんですか、一遍侵されたらあとは極めて脆弱な脆いものであるということを痛感して来たのでありますが、これらに対してもこれはもう強固にするために砂利の代りにうんとセメントを入れるような大きな規模でやつたならばああいうことは再び起らない、併しこれは言うべくして行うことはむずかしい。あの蜿蜒筑後川の流域を全部コンクリートで固めるということは到底行われんことでありますが、あれを見ればそのくらいの徹底した恒久対策を立てなければならんのではないか、こういうことに対しては私思うに何か特別の立法措置か又は特別の機構を作つて本当に百年の大計を立てなければならんということを痛感いたして、今後こういうときには遠慮なく閣議等で意見を発表するつもりでおります。どうしても必要であるということを痛感いたしております。
  73. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 最後に委員長として一つお伺いしたいのですが、それは西日本災害対策本部長としてお帰りになつて内閣に報告並びに要請されると思うのでございますが、西日本災害対策本部をいつ頃まで設置されておくように要請されるおつもりか。それが一つと、それから只今山田君からも質疑がございましたが、当面応急要望事項と、それから恒久的に各政策を修正してほしいというような一応の今度の災害の結論から要請されるだろうと思う。例えば具体的に申上げますというと、先般内閣にある総合対策本部から本委員会に報告された河川の氾濫の中には白川の氾濫が報告されていない。ところが白川の氾濫が如何にひどかつたかということ、如何に災害が及んだかということは只今大臣が報告された通りでありますが、そういう河川は今まで放置したために堤防は朽ちはて、川底は上つて、要するに白川のようなああいう結果になつた。そういう河川というものは直轄河川に入れて処理すべきであるというような点とか、或いは今まで河川修理費というものは全予算の僅か二、三%しか組まれていないのでありますが、今後こういう河川修理費というものはどの程度に引上げなければならないかというようなこういう一応の結論というようなものを出されて、西日本災害対策本部長としては、本部をいつ解散するようなお考えか、それらの点の見通しについて一応承わりたい。
  74. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 西日本災害対策本部は御承知通り緊急応急対策をすることを目的として現地に初めて今度試みたのでありますが、これは私から申上げますとどうかと思いまするが、少くとも今まで先例のない現地に対策本部を設けて緊急応急対策をしたということは、民衆を安定せしめる上において非常に効果的であつたことを私は確信いたします。ただ本部長たる私の力が及ばない、これは私の不徳のところでありまするが、併し最善の努力を払つたつもりでありまするが、そこでこの本部をいつまで置くかということでありまするが、これは実は私はもう或る意味において対策本部の現地の仕事は終つた。但し防疫、今後に或いは集団赤痢等が発生しやせんかということを恐れるところに、防疫のことはたとえ災害本部を引上げても罹災県に対する防疫本部はどうしても残さなければならん。或いは又いろいろな問題、運輸の問題とか或いは通商の問題には通産局長がその連絡の機関に当るとか、そういう機関を残してもう引上げてもいいと思うのでありまするが、現地の要望が非常に強かつたので、また引上げないでそのままの姿で私は中間報告で帰つて参りましたが、近くもう一度私が対策本部へ参りまして或いは大分県或いは山口県等切なる要望がありましたけれども、まだ視察もいたしておりませんから、そういうところも視察してそうして引上げよう。その時期は今月の二十日前後じやなかろうか。私の考えはそういうのでありまするが、併しこれはよく対策総合本部とも打合せして引上げの時期等は決定いたしたいと思いますが、まだ全然いつということは決定いたしておりません。そういうわけであります。白川は私が思うに報告は直轄河川だけを対象とした報告だろうと思うのです。白川は私は当然直轄河川であると思つたところが、直轄河川ではないということは、かねて直轄河川にするべく調査は完了いたしておつたそうですが、ところがその後地元負担金の問題か何かで、熊本県及び熊本市が非常に熱意がなくて、今直ちに直轄河川にならんでも筑後川が五十年も六十年も氾濫したことはないからもうそう慌てたことはない。慌てて直轄河川として地元負担金に悩むことはなかろうというような考えかどうか知りませんが、そんなことで直轄河川に入る機会を失つてつたことは事実でありますが、ああいう大きな都市の咽喉部を流れておる川を堤防が破壊したままに任しておつた。これは一つは六十何年来の大洪水であつた。今まで災害県も少し楽観しておつた。例えばこの間聞いた話に、筑後川の沿岸で老人と青年と意見が対立した。どういうわけかというと、年寄はそんな筑後川は氾濫してここへ水が来るような……、この村まで水が来ないから安心せよ、逃げる必要ないと言つて泰然自若としておる。ところが青年はそうじやない。この水の出方を見ると危いから早く年寄や子供を先ず避難させなければならんというので、若い者と年寄との意見が対立した。もう泰平になれて何十年間もそういう目にあつたことがないものたから、筑後川が氾濫してここへ水が来るようなことはないから安心しろというのが議論じや勝つたそうです。ところが事実は水が押寄せて来たというようなことで、少しく安心楽観しておつた嫌いがあるということを私は痛感して参りましたが、今後はこういう問題については委員長の御指摘のあつたようにやつぱり都会地を流れる川なんか直轄であろうと直轄でなくても、十分ふだんから心してこれが改修、それが補強に当らなければならん。直轄河川でないからといつてこれを放任することはけしからん。直轄河川でなくとも非常に危険な状態にあるからと言うて県或いは市を督励してこの補強改修をやらせることは当然建設省の責任である、さように考えております。殊に白川においても今度非常に要望しておりました。どうしても直轄河川として早く改修してもらわなければならんという要望がありました。これは私としては当然である、かように考えております。
  75. 松岡平市

    ○松岡平市君 只今現地対策本部を今大野国務相のお話で二十日頃にはしまつて帰りたいというようなふうに受取れるようお話でございますが、同時に現地はまだあのままで置いておつてもらいたいというよう要望があるということも言つていらつしやる。先ほどお話では政府の施策を待つておれないで、みずからの責任でどんどん仕事を進めておる知事もあるというようお話も承わつたのでありますが、それは私は少くとも大野国務相が現地におつて下さるというようなことが十分後押して頂けるというような安心感で知事たちが思い切つた施策をやれる一つの大きな原因と考えております。緊急対策いえば、いろいろと解釈のしようはありましようけれども、まだあそこで破れた川は又すぐ水が入るよう状況にしか直つておらん。果してこれから蒔いたものが苗になつて植付けられるかどうかということもまだ見届けておらん。多分、であろうというくらいなことであります。  なお災害は或る一面にはちつとも停止せずに、この梅雨空、この台風期を控えて、緊急の対策はとられていない、かように考える。現地の要望があることならば、国務大臣も国務誠に御多端でありますけれども、一つ枉げてもう暫らく現地の要望に応えて現地対策本部は解散しないように、一つ現地対策本部長みずからそういう気持でやつて頂きたいと私は熱望するわけでございます。この点について御所感をもう一つ伺いたいと思います。
  76. 大野伴睦

    ○国務大臣(大野伴睦君) 私は成るほどやるべき対策はやりましたが、現地は切なる要望をいたしております。不肖のごとき者でも非常に信頼されて、どうぞここに一日も長く滞在して、帰京するにしてもすぐ帰つてくれというような本当に強い要望があつたのでありますが、こういうことは私はまだやるべきこともありますし、又実際視察もしていない地区からは、どんなことがあつても、引きずつてでも、私を現地に連れて行くというような非常な意気込みだつた。必ず又視察に来るからということで確約して帰つたのでありますから、近く又帰りますが、これについて営農資金であるとか、いろいろな問題の要望を持つて来ておりますので、これの目鼻をつけて帰りたい。かように考えておりますが、いつまで対策本部を置くかどうかということは、次の閣議等で決定いたしたいと存じております。
  77. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大野国務大臣に対する質疑を打切りまして、続いて先般災害地を視察されて帰京された山縣厚生大臣が出席されておりますので、山県厚生大臣から報告を聴取いたします。
  78. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) 今回の災害に際しましては、これはいずれの災害の際にもそうでありますが、最初にとられます政策は、災害救助法に基くものであります。なお又かよう水害等の災害に際しましては、伝染病という問題がありまして、いわゆる防疫対策という問題があります。従つて緊急の対策といたしてとらるる災害救助法に基く災害救助並びに伝染病予防法等に基いてとられます防疫対策、これは厚生省の所管でありますので、直ちに社会局長を急派いたしまして、なお又引続き大野国務大臣と一緒に薬務局長を急派いたしまして、なおその間これは災害救助法、或いは伝染病予防法等に基きまして、各府県に厚生大臣の命令を以て救護班或いは防疫隊等を急派いたしまして、万全の措置をとりましたのでありますが、同時に所管大臣といたしまして、なお又中央の総合対策本部の委員閣僚といたしまして、本部から派遣を命ぜられまして現地に参りまして、何分にも私は二日に参つてなか三日、丁度五日間おりまして帰りましたのでありますが、その間できるだけ航空機関を利用して罹災各県には参りたいと思つたのでありますが、そのうち長崎県には、御承知通り小型の飛行機でありまするから、途中風雨のために。パイロットの判断によつて途中から引返しました。なお又大分県は日田地方の手前まで参りましたが、これ又小型機のために途中から引返しました以外には、各県に参つておる次第であります。時間もありませんから極くかいつまんで申上げますれば、災害救助法の関係については、これは御承知通り焚出し、医療、衣料、或いは応急の仮設住宅、その他のいろいろな問題でありますが、大体これは応急の手配を了した次第でありまして、例えば焚出しにつきましては災害救助法に基きまして六日間となつておりますが、これは熊本地方、久留米地方、或いはその他の地方において、六日間を超過いたしまして、なお且つ集団的に避難いたしておる久留米とか、熊本のごときは多分先ほど報告があつたと思うのでありますが、家は潰れておりませんが、家に帰れないというような家庭も相当あり、従つてこの災害救助法に基く一番大事な焚出しの期間を現地の対策本部で十日間にいたしましたが、その他基準の引上げ等も実行いたしまして、なお中央から政府の持つておりました物資等を保安隊が空路、或いは鉄道によつて現地に持つてつて遺憾なきを期した次第であります。なお防疫対策につきましては、一番懸念いたしたのが赤痢でありまするが、これは私は現地に参つて事情を聴取し、なお又私の滞在期間中衛生部長会議並びに本部から参つております防疫官を招いて防疫官会議を聞きました。災害救助につきましては、民生部長会議等を開いたのでありますが、防疫対策につきましては、例えば赤痢でありますが、赤痢をありていに申上げますと、現在集団的には余り起つておりません。それから昨年の統計と比しますと、昨年の六月の十五日から本年の七月三日までの累計をいたしますと、昨年が千十六に対して、本年は八百九十三名であります。これは各県に参つて、現地の報告を受けましたので、大体において現在では憂慮すべき集団的な流行の兆はありません。併し何分にも未曾有の災害でありますから、防疫対策に対しましては今大野国務相のお話のごとく、今後重点的に完全を期したいと思つております。これに対しましては、直ちに伝染病予防法に基く、いわゆる地区の指定をいたす、或いは又一応現地調達が可能と言れておりました消毒剤、薬品或いは器材、こういうものにつきましては、特に水害地におきましては水が非常に問題でありますので、濾水器等については現在二十八台動いておりますが、神奈川県からも空輸いたしまして、保安隊、或いはその他の府県からも動員いたしまして活躍いたしております。なおカルキとか消毒薬、これも当初懸念されましたが、現地の状況におきましては遺漏はありません。その他の医薬品等におきましても現地調達が可能であるということでありますが、中央におきましては現在の在庫品や、或いは製薬会社の在庫品、つまり緊急対策その他によります配置を終つております。なお又ヘリコプター等を利用いたしまして器材或いは薬品の現地の配給に対する手配は整えております。なお当時これは東京の新聞には載らなかつたかと思いますが、現地の新聞で相当大きく取上げられましたので御報告を申上げまするが、私は久留米に参りましたが、久留米市の上流筑後川が決壊いたしまして、久留米市が三角州の底辺に当るような位置に置かれて、非常な水害をこうむりましたが、その際久留医大の細菌学教室にありました二百本の細菌が保存されております試験管、これが流出いたして久留米市が伝染病の脅威の中に置かれたという記事が新聞紙上ございましたが、これは私翌日ヘリコプターに乗りまして現地に参つて、医大の責任者、県、市の責任者、本部派遣の係官立会の上で検査をいたしましたところ、この二百本の管は綿栓をいたして無事にそのままでありました。なお又菌を培養いたします試験管等がございましたが、これも水が入つておりませんで、大体遺漏なきを確かめましたような次第であります。なお今回は濾水器が非常に活躍いたしておりまするが、保安隊が衛生班を久里浜からも送つてくれまして、給水、衛生或いは緊急な救助、これに対して非常な活躍をいたして来たのであります。  なお巨細な点は省略いたしますが、予算的な措置といたしましては、御承知の伝染病予防法に基く各府県に対する補助は、年度末に決済をいたします。併しこれでは及びませんので、今回は一応第一回といたしまして四千六百万を送りまして、各府県にこの配付を急いでおります。なお国民健康保険等が相当、現地の水害によつて今後の運営に問題がありましようから、これに対しましては、貸付制度等を活用いたす、或いは又保険医等が罹災地において報酬がとれないので、非常にその間困つておられるので、一億五千九百万円でございましたか、今確かな数字を持つておりませんが、これを一応概算払として送りましたり、いろいろな措置を講じて参つた次第であります。特に私ども厚生省といたしましては先般新聞紙上において御承知通り厚生省主唱の下に日本赤十字社等を中心にいたしまして、救難国民運動を展開いたしておりますような次第であります。  なお今後残りまする問題は、伝染病予防法に基くいわゆる防疫対策を完全にいたしまするためには、現地におきまする器材或いは薬品等の備蓄或いは配置、これらに対して今後は万全を期する必要があると思うのであります。なお又災害救助法に基きます国庫負担は、現在御承知府県税収入のほうの百分の一を超過するものについて五割乃至八割ということになつておりますが、百分の一では現在の甚大なる水害に対して府県財政が許しませんので、百分の一という限度を引上げる必要があるのじやないかと、かように考えるのであります。なお災害に対する単価の引上げは先般いたしましたが、今後にも問題が残つているので、焚出しのごときは一応十日といたしましたが、厚生大臣の指令によつて延ばす必要があるのではないかと考えております。  只今予算委員会質問を受けております最中でありまするので、甚だ簡単な御報告でありますが、一応この程度で終ります。
  79. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 山県厚生大臣よりかなり詳しい報告を聴取したのでございますが、厚生大臣から述べられましたよう只今衆議院の予算委員会から出席を要求されております。従つて厚生大臣に対する質疑は、緊急を要するものがあればして頂き、それでなければ次回に持ち越したいと思いまするが……。
  80. 寺本廣作

    ○寺本広作君 お急ぎのようでありますから一言だけ、災害救助法のいろいろな給付の基準を改訂されたということは罹災者が非常に喜んでいると思います。罹災者が非常に災害救助法だけでなく、現金の入手をあせつておる様子が先ずありまして、ここへ電報がいろいろ参つておるその中の一つで、戦死者の遺族に先般給付されました五万円の公債を至急現金にし得るように即時換金方に努力してくれという電報が来ております。幸い日銀の政策委員もお見えになつておりますので、先般六億の国民金融公庫の融資など行われたようでありますが、あれで、五万円の遺族の公債が即時換金できるような手配ができておりますかどうかお伺いしたいと思います。
  81. 山縣勝見

    ○国務大臣(山縣勝見君) この点につきまして、厚生省と大蔵省と相談して、できるだけ実情に副う、それだけの十分な考慮を払いたいと思いますが、これはやはり大蔵省の主管でもありまするので、大蔵省のほうから……
  82. 三井武夫

    説明員(三井武夫君) 只今お尋ねの点につきましては、国民金融公庫としては、先般の貸付措置につきまして十分な用意をいたしておるはずでございますから、それの範囲で差当り必要なものはどしどしやつておる。それで足りなければなお次の資金措置を考えるということで、早速、公庫としては十分手配はいたしておると思いますけれども、なお只今お話がございますのでよく伝えまして十分な措置を至急にやるようにいたしまして御要望に副わしたいと思います。
  83. 寺本廣作

    ○寺本広作君 厚生大臣は今の問題が引揚援護庁の所管で大蔵省と交渉中であることをよく御承知なかつたようです。それで大蔵省のほうでこの間融資された六億から十分換金ができるようにということの通達かなんかやつて頂くようにお願いいたします。
  84. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) この際委員長から大蔵省の柏木主計官が出席しておりますので答弁を求めます。  即ち先般柏木主計官から、それぞれ現地から帰京せられて本委員会に出席の上、本委員会質問に答えられた点と、本日大野国務相から聴取した点については相当の相違があると委員長は認めます。特に柏木主計官が帰る前における中央本部の田中官房副長官の言明と、柏木主計官が帰京した後における田中官房副長官の本委員会における答弁とは著しき相違を来たし、特に大蔵大臣のごときは柏木主計官の報告を基として、大野国務相は二十億の繋ぎ融資で満足している、了承しているという答弁を本委員会でなしたのでございます。従つて委員会が当面の目標としている、一刻も早く被災地の金融措置をいたしたいという大方針に基く本委員会の運営に、柏木主計官の言明は相当に支障を来たしたのでありますが、柏木主計官から委員長として承わりたい点は如何なる経緯を以てそういう相違を来たしたか、それらの経過と釈明を求めたいと思います。
  85. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) 只今大野国務相がどういう発言をされたか実は私本省で会議をいたしておりましたので承知いたしておりませんが、又先日田中副長官がどういう発言をされたか実は私出張中で聞いておりませんので、あとでどういう点が第一に違つているかよく調べましてお答えいたしたいと思います。
  86. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは速記録等を調査の上後日本委員会において答弁を求めます。速記をとめて。    〔速記中止
  87. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 本日の委員会はこれで散会いたします。    午後一時二十七分散会