運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-09-26 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月二十六日(土曜日)    午前十時五十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員林了君辞任につき、その補欠 として三浦辰雄君を議長において指名 した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事            石川 清一君    委員            小野 義夫君            剱木 亨弘君            高野 一夫君            松岡 平市君            高木 正夫君            三浦 辰雄君            安部キミ子君            白井  勇君            山田 節男君            寺本 広作君            杉原 荒太君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   説明員    国家地方警察本    部次長     谷口  寛君    自治庁財政部長 後藤  博君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生省医務局医    務課長     内藤 誠夫君    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省児童局長 太宰 博邦君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君    運輸省鉄道監督    局民営鉄道部長 山内 公猷君    中央気象台長  和達 清夫君    建設省事務次官 稲浦 鹿藏君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省河川局次    長       米田 正文君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○現地調査に基く政府に対する要望事  項に関する件 ○水害地緊急対策法律適用地域指  定基準に関する件 ○台風第十三号被害に関する件   ―――――――――――――
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から本日の委員会を開会いたします。  報告事項を申上げます。去る九月十九日本委員会決議されました水害地緊急対策法律適用地域指定基準並びに現地調査に基く政府に対する要望事項、この二件につきましては決議通り吉田総理以下関係大臣に九月二十一日書面を以て手交し、なおこれに対する検討を要請し、その政府側答弁を本日捗委員会において求める言伝えておいたことを御報告申上げます。  なお委員各位から御要望のございました、衆議院特別委員会との連絡については懇談会のときに御報告申上げた通りでございます。  なお先日緒方総理から委員長を通じて本委員会連絡のあつた点についても、先刻懇談会のときに御報告を申上げた通りでございまして、これに対する協議は後刻いたしたいと思います。  先ず本日の委員会は先刻懇談会のときに申上げましたように、第一番に先般本委員会決議して政府に申入れ、その検討を要請しておきました点に関しまして、各省別にその答弁を聴取し、委員各位から質問をして頂く。次に昨日襲いました台風第十三号の被害状況について報告を聴取し、その後今後の本委員会の運営について協議をいたしたい、こういうふうに本日の委員会を運営して参ります。  只今大達文部大臣出席されました。先ず大連文部大臣から承わりたいと思いますが、それは先般本委員会決議として九月十九日付を以て申入れました適用地域指定基準、並びに現地調査に基く政府に対する要望事項、この双方に対して文部省において検討された経過並びに結果と、現在文部省考えられている点について御説明願いたいと思います。
  3. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 初めに地域の問題でありますが、これは目下政令案として大蔵省折衝しております。ただこの地域指定は御承知通り予算に根本的に影響いたします関係でまだ折衝が妥結に至つておりません。この点は他の関係各省も同様であろうと思います。そのようなわけでありまして、目下取急いで大蔵省折衝中であります。その程度で御了承頂きたいと存じます。  それから現地調査に基く政府に対する御要望のことでありますが、文部省関係といたしましてはその十六、十七、十八、十九と大体この四項でございます。そこでこれにつきまして一応只今文部省考えております点を申上げて御了承頂きたいと存じます。  第一には第十六号にあります設備基準額の問題でありますが、これは公立学校私立学校同一基準によるという点につきましては、文部省も御要望通り考えておるのであります。この基準額原形復旧を目途とする適正な単価にするという点につきましては、趣旨として文部省も同様な考え方でおるのでありますが、この原形復旧の点につきましては、学校校舎工作物或いは土地というものと多少違いまして、この設備の場合にはやはり一定の基準を設けなければ困難であります。一々の被害について原形復旧するということは事実上困難な点がありまして、特別法におきましてもやはり設備について基準を定めるのだということが特別法の第六条によつてつておりますので、お手許に廻してあります施行令の案にありまするような基準を以てこれを定めて行きたい、こういうことで今大蔵省折衝を重ねておる次第であります。施行令の第三条であります。これは相当まあ事務的にごたごたした規定になつておりますが、要点を申上げますと、大体各小学校中学校等のこれだけの設備はどうしてもなくてはならんという点を抑えまして、それが整備せられるような意味でその基準を定めておるのであります。  それから十七項にあります公立学校及び市立学校災害復旧に関する事務費は、その負担の主体を明記すること、この事務費はいわゆる事業費の一部になつておりますので、公立学校施設及び私立学校施設災害復旧事務費負担につきましては、法律において、公立学校の場合には国が四分の三、社会教育施設の場合は三分の二、私立学校の場合は二分の一負担するということになつております。その残りを工事の施行者負担する、こういうことにこれは事業費負担同一区分によつて負担がされるのであります。  それから建築費予算計上単価について、木材値上りその他の実情に鑑みて実情に即するように単価を定めるようにしたらよかろう、こういう御趣旨のように思いますが、これは文部省といたしましても同様に考えておりまして、木材値上りが甚だしいのでありますから、実は昭和二十八年度の当初予算計上しております単価は、木造造で坪二万四千円、鉄筋コンクリートで五万七千円という単価計上してあるのでありますが、今回の災害復旧関係につきましては、木造単価を二万八千円、鉄筋コンクリートのほうは六万二千円、こういうふうに単価引上げまして、この数字を以て只今大蔵省折衝しておる次第であります。できるだけ御趣旨に副いたいと考えております。  その次に復旧費予算編成は、最低基準等によるべきでなく原形復旧建前とせよ、こういう御趣旨でありますが、法律建前原形復旧という原則となつておりますので、この趣旨に副うように最低基準によらずに原形復旧にいたしたい、かように考えて今予算編成大蔵省折衝を重ねて努力をしておる次第であります。  その次に防火地域外においても鉄筋コンクリート造改良復旧を大幅に認めるごと、という御趣旨でありますが、この点につきましてもすでに法律によつて防火地域外でも鉄筋造を認めることができるようになつておりますので、予算要求におきましては鉄筋造の比率を従来の実績よりも大幅に引上げまして、できるだけ鉄筋コンクリート復旧ができるようにいたしたい。具体的に申上げますとこのたびは全体の復旧校舎のうち三〇%を鉄筋コンクリート復旧する。無論この三〇%ということも若し要求通りますれば、相当に大幅に防火地区外でも鉄筋コンクリートができる、こういうことになつております。これは従来と比べまして相当大幅でありますから果してこの通り予算編成できるかどうか、この席ではつきりお請合いするわけに参りませんけれども、この目標で私どもといたしましては鋭意努力をしておる次第であります。  その次には、この公立学校復旧事業を六割、四割という割合でニカ年度を以て完成をするようにせよというのでありますが、従来この公立学校施設につきましては、多少例外がありますけれども大体ニカ年度復旧を完成しておるのが例になつております。今回の災害復旧につきましても、二カ年の目標で大体御要望にあります通り六割、四割という率で、この補正予算に初年度六割分を要求をいたしたいとかように考えております。ただちよつと申上げておきますのは、非常に被害も多くて従つてこの補助費の支出が非常にかさみました場合に、従来普通二カ年でやるのを三カ年に延ばしてやつておる例があります。今回は補助率において非常に率が高まつております。し、又被害を受けた学校も非常に多いのでありますから、予算額としては非常にかさみますので、この二カ年復旧ということが私どもの希望するように予算計上ができますかどうか、この点に多少の危虞を抱いておるのであります。これも目下鋭意折衝努力を続けておるのであります。  それから私立学校災害復旧事業を施行する学校法人に対する私立学校振興会貸付資金は、昭和二十八年度予算枠外として補正追加をせよ、なお私立学校に対する融資は五カ年据置三十年償還とすること、というのでありますが、御承知のように一応の繋ぎ融資といたしまして、私立学校振興会から千六百五十万円をすでに貸付をしておるのであります。がこの特別措置法による本格的復旧に対する貸付金といたしましては、差当り本年度融資資金十五億という枠のほかで、私立学校振興会が昨年短期融資として融資いたしましたもので、本年の十一月頃に償還を予定されておるものが三億九千万円実はあるのであります。この中から取りあえず本年度におきましては融資をすることにする。殊にこの災害復旧資金も二分の一は国庫補助でありますが、残余の二分の一につきましては三億九千万円の返済金の中から取りあえず融資をすることにいたしたい、かように考えております。大体只今までの見込でありましては、私立学校復旧費総額が一億七千万円、このうち八千五百万円は国庫補助になるわけでありますから、あとの八千五百万円というものが振興会から融資をする、こういう勘定になります。この八千五百万円の特別の融資につきましては、本年度はかような措置といたしまして、二十九年度におきまして、その分だけ政府出資金を頂戴したい、そうしてこれは二十九年度予算の問題にしたい、かように考えております。それから償還期間の問題でありますが、これはやはり五年据置三十年償還ということでやつて参りたい、こう思つております。  この十一条の第五の最後の私立学校について基準国立並びに公立学校と同様にせよ、これは御要望通りにいたしたいと思つております。
  4. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大臣一つ答弁が落ちている。それは国立大学学生授業料減免、従来は五%だけ枠がある。ところが災害が大きいから、その五%の枠を拡げることについての大蔵省との折衝の結果。それから従来ずつと問題になつておりました被災学生援護についての大蔵省との折衝の結果はどうか。追加説明を願いたいと思います。
  5. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 罹災学生援護は、今大体罹災学生五千四百九人といたしまして、それに必要な給与経費として一億二千五百万円というものを計算いたしまして、大蔵省と実は折衝いたしておるのであります。ただ見込を申しますと、どうもこの金が全部いけないということにもならんかも知れませんが、実はなかなか相当困難のように思つております。併し今のところではこの数字を以て大蔵省折衝を重ねておりますが、内訳を申しますと全壊、流失の家の学生については一カ月六千円、半壊、床上浸水については一カ月三千円、こういうふうな数字を出しまして、折角大蔵省にお願いをしておるのでありますが、このほうはどうもこの通り要求通り得るかどうか多少心もとない、打明けたところそういう状態であります。  それから罹災学生授業料減免でありますが、これもやはり予算と一緒に相談をすることにしたい、そういう大蔵省の話であります。従つて予算との関係折衝中であります。ただこれはこの前のこの席でも申上げたのでありますが、只今どものほうで要求をいたしております九百二十万円くらいだと思いますが、この通り全部大蔵省が同意するかどうかわかりませんが、これはとにかく或る程度こちらの要求が容れられるものと私ども見込んでおります。
  6. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑ございませんか……大臣に対して更に一つ念のためにお伺いしておきますが、私立学校復旧費の二分の一の八千五百万円は本年度予算の十五億の中から出すのではなくして、来年度これは本年度予算枠外として確保すると、こういうふうに御説明なつたと了承してよろしいのか。又その大蔵との折衝の見通し、その点一つ。  もう一点は、政令による地域指定ですが、通産省関係或いは労働省関係はすでにそれぞれ都道府県別政令を出して、もう実施している政令もあるわけです。で、文部省関係政令都道府県単位で出されるのが適当ではないかとも考えられるわけですが、それについて大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。この二点お答え頂きたいと思います。
  7. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お答えいたします。初めのお尋ねの振興会からの融資の問題でありますが、先ほど申上げましたのは文部省としての考えと申しますか希望と申しますか、これは二十九年度予算折衝として大蔵省の同意を得なければならん問題であります。先ほど申上げましたのは文部省としての考え方を申上げたのであります。ただ実際におきましては、先ほど申上げましたように本年の十一月には今まで貸付けた金の償還が大体四億円近いものが見込まれておりますので、現実融資においては差支えは生じない。その分は文部省考えとしては来年、二十九年度予算として別に融資の額を計上してもらいたい、かように文部省として考えておる程度であります。その点御了承願いたいと思います。  それからもう一つ地域の問題でありますが、実は文部省としましては只今委員長お話のように都道府県という案を作りましたので、それで大蔵省と話合いをしておるのでありますが、大蔵省に多少の意見がありまして、やはりこちらの委員会のことでもそうでありましたが、やはり税収額災害復旧費と比較して研究するという大蔵省意見でありました。それでまだきまらない状態であります。
  8. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 文部大臣の退席を了承してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 異議ないようでありますからさよういたします。どうも御苦労様でした。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  次に運輸省山内民鉄部長出席されております。ので説明を聴取いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  11. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を付けて下さい。  山内民鉄部長委員会として伺いたいことは、地方鉄道等災害復旧のための特別措置法に関する法律、これは提案理由並びに当時の附帯決議にもありますように、大蔵省見解としては終戦直後三回ほど私企業に補助したことがあるが、原則としては補助金を交付すべきでないという大蔵省見解を持つているということが表明されたわけでございますが、このたびの災害が非常に甚大であつたので、国からの補助はないためにレールをはぐとか、或いはバス路線が廃止になるというようなことがあつてはならないから、二割を補助するところの法律作つたと、併上ながら附帯決議には、その会社補助金をもらわなければ潰れるという程度でなければこの法は適用すべきでないと記されておることは御承知通りであります。先般の委員会運輸省法律施行令案なるものを本委員会として拝見した結果、他の災害が殆んどなく、本委員会で問題にならなかつた一部県名もこの案の中に出ているようで、どうもそこに了解に苦しむ点がある。どういう根拠の下にあの提案理由附帯決議からこういう施行令案がでぎたか、一応当局の説明を聴取する必要があるというので本日の委員会出席を要請したわけです。御説明願いたいと思います。
  12. 山内公猷

    説明員山内公猷君) この件に関しましては七月中の大雨のために大井川が水かさが相当増しまして、そのために大井川鉄道橋梁ピアもろとも川の中に没落してしまつたという事故が起りましたために、運輸省といたしましては静岡県を指定して頂きたいというふうに委員会に御提案をいたしたわけでございまして、運輸省見解といたしましては、先ほど御決定を頂きまして成立をいたしました、法律の二十八年六月及び七月における大水害という中に含めて考えてもよろしいのではないかということが一つと、もう一点は附帯決議に、みずから復活する能力のない鉄道に限るというというふうにありましたのですが、この大井川鉄道は現在ダムの建設その他の資材の輸送をやつておりまして、非常にこの鉄道がないとそういう面におきましても困ります。かたがた非常に小さい鉄道でゲージも二フイート六インチというような鉄道でございまして、本格的に直すということになりますと、この会社能力だけでは到底不可能であるというふうにも見られますので、この法律を適用させたいというふうに考えた次第であります。
  13. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑のある方ございませんか。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 この静岡県の損害総額というのはどれくらいのものですか。
  15. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 約三千万円でございます。これは橋梁費用だけでございます。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 その会社一つ実情を……、何という名前会社ですか。
  17. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 大井川鉄道と申します。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 資本金はどのくらいのものですか。
  19. 山内公猷

    説明員山内公猷君) ちよつと手許にございませんので、のちほどお答えいたしたいと思います。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 これだけの県を指定して災害対策に援助しようというのに、会社の実体くらいはおわかりになりそうなものだと思います。
  21. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 至急に調べて下さい。他に質問願います。
  22. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はどうもこの委員会に留守して今日又入れてもらつたわけなんですから、或いは見当違い質問になるかも知れませんが、一体鉄道にお聞きするのですが、この静岡県の大井川鉄道橋梁を入れるというこの政令案、これをおきめになりガリ版にされるまでに関係方面折衝したのだろうと思うのです。この大蔵関係との折衝の点はどうなつていますか。
  23. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 大蔵関係との折衝は現在進行いたしておるのでございますが、この点はまた余り問題になつていないのであります。
  24. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 問題になつていないという意味はどういうふうにとればいいのですか。
  25. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 大体認めてもらえるのじやないかと我々は考えておりますが。
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 認めてもらえるように大体……。
  27. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 実は細かい私鉄につきましてはその話にまだ入つておらないのでございますが、一応法の精神といたしまして、金のやり方をどうしようかというようなことなども今会計検査院を含めまして相談をいたしておる段階でございまして、実は私のほうは会社の出した資料、及び技術者を派遣いたしました一応の調査に基いて数字を挙げておりますが、運輸省におきましてもこれは最終的な数字だというふうには考えておりませんので、最終的な数字をまだまとめておらない段階でございまして、予備的に話しているのです。
  28. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それでは重ねて今度は別のことをお聞きするのですが、例のここの委員会でも採上げている他の府県の中のこれらのいわゆる軌道自動車関係会社被害については、実はこの委員会の過程から見ると、只今名前はここでは言いませんが、某々会社はこのぐらいな資本金とこのくらいな損害であるならば適用しなくたつて自カで以てやつてもらつて然るべきじやないかと、こういう議論さえ取交されたのです。そういつた問題についてはどういうふうにお考えになられておりますか。一応政令では県全体を挙げておる。従つてその裁量は行政のほうの措置として某会社は入れる、某会社はオミツトする、こういうふうにあなたのほうだけで御査定をなさるという考え方なんですか。その点についてちよつと。
  29. 山内公猷

    説明員山内公猷君) その点はまあ非常にむずかしい問題があるわけでございますが、我々のほうの考え方といたしましては、一応政令にのらなくなりますと会社としては申請することができなくなります。一応政令としては被害対象のあつた県を全部のせて頂く。それでは一体どういうふうにその附帯決議現実に適用するか。結局自力復活能力のある会社はどういうものかという問題があるわけです。その点につきましては先般の委員会においてもいろいろ御質問のありましたように、利益を出しておる会社、それでなくても非常に困つて赤字を出しておる会社というものを一様に考えることはできまい。例えば一割ぐらいの配当をしておる会社、大体一割以下でございますが、そういう被害総額年間収入の一割以上に達するような所は、一応自力復活能力が非常に困難であるというふうに考えられるのではないか。資本金ではございません、年間の吸い上げの金の一割にも相当するような所については、黒字を出しておる会社にも一応みてやらなければならないのではないか。それから赤字を出しておる会社についても、それ以下でも考えてみよう、但し損害額が百方円以下というような所については一応二割でございまして二十万円でございます、その程度のものはオミツトしてもよろしいのではないかと一応現在考えておりますが、会社自体が非常に経理内容その他が複雑でございます、その点は十分に現実に調べましてきめて行きたいということを考えておるわけでございます。
  30. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 一応まあ考え方については私は批判を避けますが、最近の一体補助政策というものは、いわゆる大蔵省とその担当の行政府の或る程度了解においてやるという方式が排除されて、こういう今日の財政の使い方は成るべくいわゆるオープン的にやらなぎやならないということから、その基準を明らかにする方向を非常に強くとつているのですね。こういうような軌道のいろいろと批判をされる補助に当つては、そういういわゆる条件を成るべく明らかにそうして世の誤解を避けて行くという方式を更にこの政令を細かくしてでもおとりになる、非常にむずかしいことだがおとりになる、どうせやらなきやならないことだからおとりになる、こういう考え方があるかどうかだけを伺います。
  31. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 実はそういう方向でやることが非常にいいと思いまして、いろいろ考えてみたのでございますが、例えば只今申上げましたような数字的に申しましても一割以上というような数字をとりますと、九分九厘というようなところが落ちてしまうというようなことがあります。又会社によりましては配当しておつたといたしましても、現在中小電鉄は非常に収入状態が悪いために無理な配当をしておるという所も相当あるのでございます。これは金利が高いために或る程度八分ぐらい配当しましても、増資して自己資金で賄つたほうが会社の経営がいいというような点もありましたり、非常に会社実態を十分に見た上で、補助金というものはやらないと、血の通つた補助金にならない。或いは傍系事業で儲かつておりますために配当ができるのを相当抑えておるという会社も中にはあるわけであります。会社実態をいろいろ分析して参りますと、数字的にこういう原則だということが非常に出しにくく、一応の御趣旨のような線は出せますのでございますが、それでもどのようにやるといたしましても、どうしても或る程度弾力性というものをつけなければならないということになるので、その点で政令案でも一応そうして頂きました。或いは省令に譲らせて頂くというようなところも考え、或いは行政措置でお許しを願うとか、なかなかに悩んでおるのでございます。その点はまだ十分に確信を持つておらんのであります。
  32. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 一応考え方としてはわからんわけではありませんが、私は特にこの私鉄の関係、自動車の関係については法案のこの生まれる経過からも非常に行政措置としてやりにくいことであると考えますが、それだけに私は世間の疑惑が避けられるように成るべく明らかな線を公開して、そしてその中で一応情状によつてはいろいろと考えられる点があることは行政をやる場合にはあろうかと思いますが、大かたの線を明らかに打出して世の中の誤解をお避けになるように一段と御研究を願うことを希望して私は質問をやめます。
  33. 高野一夫

    高野一夫君 あまりこればかりに時間をとるのもどうかと思いますから、間単に二つばかりお尋ねしたい。静岡は大井川だけですか。
  34. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 大井川だけです。
  35. 高野一夫

    高野一夫君 これがないと、今度のとにかく特別措置法にはちやんと条件があるのですから、何か交通関係或いは産業上の関係に非常に障害が起るのですか。
  36. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 発電所の荷物を今盛んに迷つております。そのために発電所関係の応援で応急修理が早くできたわけであります。
  37. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ伺いますが、この政令案静岡その他北海道、北九州、近畿の県が挙げてありますが、これが各府県の中の私鉄に対する補助金総額は大凡どのくらいになる御見込ですか。
  38. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 先般御提出いたしましたのは約八千万円でございます。
  39. 高野一夫

    高野一夫君 これは細かい内訳はありましようか。
  40. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 先般御提出申上げました。
  41. 高野一夫

    高野一夫君 それでは見てみます。
  42. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他にございませんか。
  43. 松岡平市

    ○松岡平市君 私ちよつとお聞きしますが、先ほどもちよつと懇談のときに申上げましたけれども、大体近年は被害があつても私企業なるが故に、軌道乗合バスというようなものについて曾つてつてつた補助金をやめた。これは運輸省で御承知のような状況だつたわけですが、先ほど委員長からも申されましたし、私も懇談的に申しましたように特殊の理由で、今回は私企業にもかかわらず僅かだけでも補助金を出そう、こういうことになつておると私たちは了解しておるのです。そこえ今説明を聞くというと、一応六月と七月に雨の関係被害があつたのは、他に何の被害があろうがなかろうが、とにかく一応拾い出して、そういうところの軌道バスのある県を皆指定しよう、そしてあとで附帯決議趣旨その他を勘案して補助金を出すものと出さないものをきめる。こういうようなことなのですが、我々の感じとしてはこういうふうに他に被害というのが全然ない所にたまたま成るほど大井川の水がふえたということで、それが直接の原因になつたのかも知れませんが、いささか一般の我々が特別立法を措置したときの趣旨とは私は精神が違うじやないか、こういう感じを深く持つわけです。卒直に申しますと、この前の委員会で私は申上げましたが、運輸省のこの地方軌道或いは自動車というものについては当初の水害被害のここへ出された資料というようなものと、あとでお出しになつた実際調査をした結果、その調査も皆さんの御説明によると大体被害会社からの報告だ、まだ実態調査しておらん、こういうようなお話でありますが、そういうまあ調査の結果の資料と非常な食い違いがある。と申しますのは、一例を挙げれば一番初めこの委員会に出されたときには、或る地方の乗合自動車で二千万円の被害があるという資料が出ておる。ところが今日ではそういうようなものは全然消えてなくなつてしまつた、そしてそのときには全然被害などの資料としては出ておらなかつたバスや何かが、今日では相当な金額の被害があると出て来ておる。こういうような点についてもこれは別に他意があるわけじやないでしよう。お忙しいときのことであつたからそういういろいろの行き違いがあつたのであろうと思うけれども、それより今我々が非常にこれは私のみならず全委員がそうだろうと思うのですが、静岡県というものがここへ突如として、この特殊立法の施行に関する政令案として運輸省が出されたときには一応びつくりした、こう思うのでございます。これはいろいろな御関係もありましようけれども、私は卒直にこれについて非常な奇異な感を持つておる。先ほど申しましたようないろいろな資料の行き違いや何かから、それらともからみまして大変何だかおかしい感じを持つたということを申上げます。そして私はやはりこういうものの取扱いにつきましても、実際は近年は補助を打ち切つてそういうものはせんという方針のものを特別な災害だということで、特に非常な委員会においても難色があつたにもかかわらず、特別な措置として最後に立法された法律でもあります。そういう趣旨を鑑みられて、国家の予算も非常に少い、そしてもつと速かに復旧のために使わなければならん国費さえもなかなかめつからん。僅かなものではありますけれども一つ運輸省におきましてもそういう立法の事情等も勘案せられて、この静岡県だけとは申しません、ほかの県においても慎重な態度をとつてもらいたい、特に希望いたします。
  44. 高木正夫

    ○高木正夫君 大分静岡県の問題が出ているようですが、私もずつといろいろお説明を聞いておりますと、静岡県が特別な地区になつていない、にもかかわらず鉄道のために補助が出る、こういうことになつているように思うのです。先ほどの御説明を聞きましても、どうも卒直に申しますと、七月、八月の特別災害に便乗したような感じをちよつと受けるのですが、それは併し助けることだから財源さえあればいいと思いますけれども、ほかにもつとひどい所があるし、又若しそういうことになればその後同じような事件が起つたときにあなたのほうのお取扱いが面倒になるのじやないかという感じを私は受けるものですがね。その点もお尋ねしたいのと、それから補助金はまあ今度は再起できない所には二割ということになつているが、これは私は希望としてはもつと多く望みたいと思うのですが、今日これを持出したところで問題にならん。そうすると結局融資するよりほかしようがないと思うのですが、その融資はどの程度運輸省はお世話願つておるか、これを一つお聞きしたい。
  45. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 静岡県の問題につきましては御趣旨十分拝聴いたしましたので、更に検討さして頂きたいと思います。  融資の問題につきましては、中央におきましては開発銀行或いは中小企業金庫或いは長期信用金庫というような点につきましても、この公共機関でありますところの地方鉄道軌道、バスというものの復活について特別に御配慮方を要請しておりますし、我々自身参りまして要請をいたしております。併し大体におきましてそういう銀行におきましては、地方がまとまりませんとなかなか中央の問題になりませんので、現在の段階におきましては陸運局が中心になりまして、各そういう支店に連絡をいたしておりますが、自力復活のできないという会社中小電鉄につきましては相当困難を極めております。で、事実上の問題といたしましては、或る程度地銀、荷主というようなところからの資金によりまして、弱小電鉄におきましては一部復活をみつつある現状でございまして、相当まだ遅れる見込になつております。
  46. 高木正夫

    ○高木正夫君 地方銀行と荷主というお話でありますが、現実の事実はなかなかそれだけじや金が集らん。私の言うのは運輸省としてこの際に本当に補助金を出す代りに十分にその御斡旋を願いたいと思う。今承わればまだ具体的の数字まで出ていないわけですが、例えば開銀にお世話願えるとか何とかいう問題ですね。それを今お願いしているというような漠然たるお答えですがね。
  47. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 数字を挙げまして現在融資要望しております総額は四億六千万円でございます。その数字によりまして開銀或いは長期信用金庫というような所にそれぞれの連絡を今付けておるところでございます。ただ運輸省斡旋だけでございまして、これにつきまして国家補償とか或いは利子補給というようなこともございませんので、ただまあ頼んでおるという現状でございまして、なかなか銀行も動きにおいという実情でございます。
  48. 高木正夫

    ○高木正夫君 その運輸省の斡旋が従来の私の経験からみましても相当ものを言うのです。だからこの災害にうんと力を入れて融資の斡旋をお願いしたい。これで私の質問は終ります。
  49. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これは委員長にお聞きしたほうがいいのだと思うのですが、私がさつき言つたように暫く空けて申訳なかつたのですが、こういうふうに一つの、例えば大井川鉄道が六月、七月の範囲に入つておる、日本一あれは高い鉄道ですよ、運賃は。それで非常に気の毒だというので取上げたと思うがその経過はわかる。わからんわけじやないが、だがそれと同様にあのときの問題にならなかつた府県であつて、例えば町村が局部的に非常な災害を受けて、そうしてその町村財政の標準税では賄えないほどの、同額或いは倍、二倍といつたような被害を受けた所は、その故にその県を指定するという考えは今までこの委員会で議論されたのですかどうですか、それを一つ聞きたい。
  50. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員会としては指定基準にもありますように、県と市町村と両建で行つているわけです。で、具体的にどういう所があるか知れませんがそういう町村もあり得ると思うのですね。そういう町村は町村単位に指定するという考え方委員会は進んでおると委員長は思つております。ただ今問題になつておりますのは、この法律は成立に非常に複雑な過程を通つたわけです。それは公共関係にしろ或いは私企業関係にしろ、補助金がたくさん出ればたくさん出るほどいいのです。一歩譲つていいのです。併しいろいろ予算関係で今まで補助のあつた公共関係すら十分の補助は得られない。ところが特殊の場合として今度立法した私企業のほうに非常にその適用を拡げて補助が行くというようなことは、我々立法府の意思と相当にかけ離れておるようだから、その点この政令指定府県が問題に取上げられたわけでございます。
  51. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 大体わかつたような気がするのですが、そうするとこの間この委員会に付託されないところの府県にして、その府県の中に数ヵ町村或いは極端に言えば一町村が非常に災害を受けて、そうして今の標準税収入を超えて非常な損害を受けたというときは、その県は指定された県の公共事業としては関係がなく県という名前指定されないが、この委員会に付託されない府県の他の町村は、ぼつつとこの法律によつて指定されるということは前提としておられるかどうかということを私は聞きたい、それに関連があるのです。
  52. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) お答えしますが、付託されておる府県ということは、三浦委員承知通りに六月、七月に豪雨のあつた地域が次に付託されておるわけです。それで具体的に例を挙げて頂くと非常にいいと思いますが、今の御質問に対しては、本委員会としてはそういう町村があつたならば、基準に達したならば適用すべきだという考え方で行つておるものと私は思つております。
  53. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうであるなら今の大井川について私は実は釈然としないのです。総括的に慎重なる研究を頼んでおいたが、六月、七月の中であつて、而も大井川の鉄道は日本一高い運賃を以てさえもアツプアツプしておる、このような会社に対して一つ鉄道当局が取上げたということは、全体的に言えば肯定される範囲の中にあるということになるわけですか。
  54. 山田節男

    ○山田節男君 今の三浦委員質問は実は私も聞きたいと思うのですが、要するにこの六、七月の水害に対する緊急措置として特別法作つたのは、我々法を作る者としてはやはり地域を主体にした。ところが途中からこういう地方鉄道軌道並にバス企業体を主にした。これは当時壷井官房長が来られて、植竹委員がおられて、これは我我が並行してやるいわゆる地域というものをどうするか、地域別に我々はこれを議院からも付討されて、そうしてそれを対象としてこの法を作つた。ところが途中で運輸省からこういう地方の鉄道、バスというものについて事業体というものを持つて来た場合に、これは私は速記を御覧になればわかると思うが、飽くまで七月、八月の大水害によつて特別の措置を受ける法律を我々は作つておる。ところが今度一番重要な政令によつて地域を定めるという場合も、やはり法の建前からいえば飽くまで地域なんですね。ですから今突如としてこういつたような、運輸省側では今度十四県指定しておりますが、それは静岡県も入つておる、なぜ三重県が入らないのか或いは三重県はあるかも知れません、委員長みずからの報告を聞けば三重県、滋賀県の一部は非常にひどいということを聞いておる。そういつたような法を作るバランスからいつて七月、八月の大水害地域を主体にした、ところが事業体を主体にするようなものが出て来て、そうして今のような大体我々の通念からいえばそういうものが入つていなかつた、八月においても。それが事業体として静岡県も入つて来た。これは法を作る今までやつて来たバランスから見て、これはいろいろなことを行政府でやつておるわけです、それをどう措置するかということが先ほど来松岡君や高野君や三浦君から質問されれおるところです。我々法を作るときはそういうバランスを破られるかどうかという点から私は一応見ないといけないと思う。そういう点について委員長はどういうふうにお考えになるか、私はバランスを破るものだと思う。これを救済する途はほかにあると思うのです。運輸省に途があると思う。それがあるならばわざわざここに入れなないで運輸省は行政的に措置すべきだ。我々はニカ月間も措置しておる。この水害に対する特別措置法というカテゴリーにはああいういきさつで参議院は反対して、衆議院に妥協してこういう立法上からいけば法のバランスを破ることになるのですから、これはバランスをつける措置をつけなければ我々は承知するわけにはいかないのです。これは委員長どう  いうふうにお考えになるか。
  55. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員長に対する質問でございますからお答えいたしますが、先般の本委員会では今の山田委員意見に一致した意見が本委員会で可決されておつたと思うのです。従  つて委員長もその考えております。
  56. 松岡平市

    ○松岡平市君 ここに手許に来ておる、これは今月の十一日に配付された資料だと思うのですが、運輸省から二十八年六月及び七月の大水害による被害調査総括表というのが出ておる。この中で地方鉄道軌道にていつは県別でずつと大阪や秋田、新潟に至るまで並べてある。片方それと同じ取扱を受ける自動車被害状況という表には、僅かに西日本地区と南畿地区と、こういうふうに二つに分けて県名も何もなしに、私たちは一体鳥取、島根県というような所にはバスの被害県はなかつたのかどうか。これは同じ省内の中で、片方は県別に、先ほども言いましたけれども、ずつとあらゆる県の六月と七月の間に雨を原因にして被害のあつた地方鉄道軌道というものは全部拾つておる。こういうようにずつと県を恰つて、そうして自動車のほうにはそういう形跡は全然書類の作成の形式としてないのだこれは県ごとにないからこうやられたのか、或いはバスのほうは我々が今まで専らここで考えておつたような西日本、南畿のあのひどい水害地区ということを目標として調査をせられた結果が、僅かの被害のものも出ておるわけです。こういうふうになつて、そうして地方鉄道軌道だけについてはそうでなしに、ともかく水害被害の起つたというものがあれば全部拾い出してみるということをやられておるのじやないかという疑問を持つ、一つこれをお答え願いたい。  もう一点は、この地方鉄道軌道の中に滋賀県というのがある。これは京阪電気鉄道というものが七月十八日の被害月日で九百九十マイルの被害を受けておる。これは先ほどの説明によれば、府県の指定においても当然滋賀県はお入れにならなければならない、ほかの県並みに。静岡県の大井川鉄道も成るほどこれは四千六百五十万円、こういう被害のものがここにあるが、片一方滋賀県の九百九十万円を七月十八日に現に挙げておられる。ですからなぜ滋賀県というものをここに指定されんのか、その二点を資料についてお伺いいたします。
  57. 山内公猷

    説明員山内公猷君) 第一点でございますが、自動車と私鉄というものは一応省内で分科しておりまして、私は私鉄の監督をしておるほうでございますが、私鉄につきましては従来とも事故が起りましたらば即日連絡するように、或いは国鉄との連絡関係がありまして、そういつた点の連絡は非常に訓練されておるという実情でございますので、或る程度被害の状況その他を把握するのは迅速はでなかろうか。バ  スに比べてその点で現在大体会社別に資料を調製することが非常に可能でありますために、常に我々といたしましては会社別に資料を調製いたして来ておるわけであります。  それでこれは甚だ申上げて適当かどうかよくわからないのでございますが、実は立法府でお作りになりました地域指定を我々が単独に取捨選択してよろしいものであるかどうかということにつきまして、我々も非常に苦慮したわけでございますが、一応法律には七月、八月の水書によるものは対象になるということになつておりますので、最終決定はどういう形になるといたしましても、或る程度それを拾つて御参考に逐次御説明をして参つたわけでございます。で我々といたしましても、実は先ほど来問題になつております静岡県を入れるべきか入れざるべきやということにつきまして、省内でも相当議論はいたしました。併しまあ一応入れてお出して御批判を受けないと、行政府で勝手にこういうものは要らないとして切つてしまうことは行過ぎではなかろうかという意見がありまして、いろいろ御批判を承わりましたので、更に帰りまして見当をさして頂きたいとかように考えております。第二点の京阪電気鉄道の滋賀県をどうして入れないかというお話でございますが、この京阪電気鉄道は滋賀と京都両方にまたがつておるのでございますが、そうなりますと二府県に会社単位にするとのせるべきであるかも知れませんが、被害の起りました個所が京都府でありますために京都府をのせたわけでございます。
  58. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 時間が経過しますので、いろいろ質疑があるようでございますが、この程度で打切りたいと思います。よろしうでございますね。(「結構でございます」と呼ぶ者あり)要するにこの法律は議員立法である、我々立法者としてはその母法から出る政令の内容も、我々立法者の意向を尊重して作つてもらいたい。そういう立場からこの委員会も開き、皆様がたの御意見も承わつて質疑しておるわけでございますので、先ほど各委員から御意見なり質疑が展開されたその結果によつて、あなたも立法者の意向というものが大体おわかりになつたと思いまするので、その角度から再検討して頂きたいと思います。よろしうございますね。
  59. 山内公猷

    説明員山内公猷君) はあ。それから先ほど御質問のありました大井川鉄道資本金について申上げます。これは先ほど答弁を留保させて頂きましたが四千五百万円でございます。
  60. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 山内民鉄部長に対する質疑を終ります。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  61. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。  続いて中央気象台長和達清夫君に願います。
  62. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 昨日の台風第十三号について簡単に御説明申上げます。   ここに資料をお配りいたしましたからそれを見て頂きますと大体わかりますので御説明するまでもないと思いますが、この台風は潮岬沖から本州の中部を抜けて三陸沖に去りました。この台風によつて雨量の多かつた所では浸水を起し、又風速の相当強かつた所もございます。又東海道沿岸では高潮による被害も相当ございました。ただ幸いと申しては何ですが大都会の近所を避けておりますので、目につく被害はそれほどないようにも見えますけれども、各所における被害は相当に上つたと思います。東京における高潮の浸水は相当にありましたが、満潮時でなかつたために危く災害を免れたという有様でございます。  この第十四項につきまして御説明申上げます。今次の水害の頻発に鑑みまして、中央気象台におきましては二十八年度補正予算並びに二十九年度予算におきまして、水害対策の予算要求いたしております。  その趣旨は第一に観測を充実することであります。この観測は従来の観測に下足であつたものを補い、水害対策を的確に行うのを血眼といたしておりまして、第一に山地の雨量を主眼とした観測施設の整備を図りたい。従来の観測が平地に多くありまして山地には極めて少くありましたために、水害の防止に対しましては気象台の発表がもう一息迅速適切でなかつたといううらみを改めたいと思うのでございます。これは山地におきまして近代的の無線の自動的に発信する機械などを据付けまして、早く雨の降りますことを知り、又一方十分なる観測網をもちまして山地の雨量を把握し、治山治水対策の基礎資料たらしめると共に、大雨の警報、洪水の警報に対する有力なる資料にいたしたいと思う次第であります。  第二に水害を予防いたします、この大雨の予報を迅速的確にいたしますのには、どうしても一般の気象の大勢をよく把握しておらねばなりませんが、これには大気の上層における気象状態を十分知る必要がありまして、従来行なつております上高層観測は、その観測箇所の数におきましても、観測の回数におきましても、水害対策としては不十分でありますので、その充実を図りたいと存ずるのであります。  第三には気象用レーダーと申しますか、大雨が降りそうになつて来るような雨雲をレーダーを以て観測いたします、これを備え付けますとその所から機械の性能によつては百五十マイルくらい遠い所の雨雲をも見ることができます。これによつてどのくらいの雨がその土地に降りそうであるか、又は降つておるかということを知ることができます。又海上遠くの台風の位置をもこれを以て正確に知ることができるわけであります。このレーダーを備え付けまして豪雨予報に万全を期したい、こういう次第であります。  次には気象通信でございますが、気象の通信は現在は有線電信を基礎にいたしております。これは非常時の場合には故障を起すものでございます。それに悩んでおりましたが、この際重要箇所は無線の通信を併用して、そういうような非常時における故障を除きたいと存ずる次第であります。なおこういうようなことを行いますには、実際に予報を担当する職員の技術の向上と働けるだけの手当というようなものもここに強化いたしたいと思う次第でございます。大体水害対策といたしまして気象台が二十八年度補正予算と二十九年度予算要求いたしているものは、只今申上げました通りで、その双方を合せますと十一億ばかりになつております。  なおこの十四項にございますところの気象研究費の増額、海洋気象の観測につきましても、気象研究費も特に水害の対策に関係ある研究に重点をおきまして、従来の研究費としましては十倍くらいは増額して頂きたいという希望を持つております。なお海洋観測につきましては二十八年度予算におきまして、神戸の海洋気象台の春風丸という船が老朽いたしましたので、新らしい船を作るだけの予算を頂きまして、只今建造いたしておるのでございます。この整備と活用を図りまして、なお私どものいたしております観測の中に洋上固定点観測と申すのがございまして、太平洋のうち二点におきまして観測船を出し、そこにおいて気象観測とラジオ・ビーコンの業務をいたしております。この洋上固定点観測に使つておりまする船は六隻ございますが、その船が観測に往復する間に海洋観測を実行いたしております。これが非常に我が国の海洋気象に役に立つておるのでございまするが、この船が六隻のうち五隻はアメリカから貸与されたものでございます。併しその船はもと日本の海防艦でございましたので、現在老朽甚だしく観測に危険を来しておる状態でありますので、現在アメリカに買船を要求しております。この問題が非常に複雑でございまして、目下その解決に全力を挙げて努力いたしておる次第であります。
  63. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 気象台関係の質議ございますか。
  64. 山田節男

    ○山田節男君 今の将来気象観測のいろいろ予算的にも希望が述べられたわけですが、占領軍政中、又今日はアメリカの軍隊が駐留しておるわけですが、こういうアメリカのほうは相当気象観測というか、殊に航空気象の観測はレーダーなりあらゆるものを使つてつておるように聞いております。これはアメリカがいつまでここに駐留するかは別問題として、当座の問題として今のように予算がないために希望するだけの施設が十分できない。それを補うのにはアメリカの駐留軍が、殊にこういう気象の観測については相当協力すべきものであるし、又協力しておるものだと思うのですが、例えば今回のような台風の十三号のことで、ずつと南のトラツク島から四国の潮岬まで来る間の観測について、日本独自の施設、飛行機により位置を観測したということを書いておりますが、こういつたような発生のときから本土、潮岬まで来るまでの観測は一体日本の自力は何%でやつておるのか。アメリカのほうの観測機関、施設等によつて情報を何汚くらい得ておるのか。今回の台風十三号の観測の場合の、日本と向うの力を借りたその比率でもいいからわかれば知らしてもらいたいと思います。
  65. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この台風が南洋のほうにありまして、日本の観測がまだ遠い場合には殆んどアメリカ、或いは台湾とかフイリピンとかいう材料によるわけであります。だんだん得くにつれまして先ほど申上げました洋上固定点が四国沖にございます、それが日本が二五%、アメリカが七五%費用を出してやつておる観測でございますが、それが非常に約に立つております。併しだんだん近付きますと日本の観測がもつぱら有力になつて参ります。併しこの本当の中心の位置を洋上できめるにはまだ日本にはレーダーの設備がございませんし、飛行機も使用いたしておりませんから、アメリカの飛行機が出て参りまして観測をするのが最も有力な資料を与えるわけであります。ですから台風の位置によりましてだんだん日本の資料が多いというわけで、場所がわかりますとパーセントも申上げられるかと思います。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 私のお聞きしておるのは、特に洋上の観測はあなたの言われるように、日本に施設がないのでこれからやるのであつて、要するにアメリカのほうの施設を借りなくては観測できないわけです。これは私はウエーキ島を飛行機で三度通つて、あそこの飛行場の中に大きな気象観測所を見ました。しよつちゆうテレタイプで連絡しておるやつを見ると、これは硫黄島、遠く本土、それから我々ちよつと見ただけでもそういつたような連絡をテレタイプでずつととつている、そうして位置を示しているわけです。そういうようなものは例えば台風のような場合は硫黄島であるとか或いはウエーキ島であるとか、こういう気象に関するものは彼らは東京へよこしておるに違いない。そうすると少くとも東京の中央気象台に対して彼らも利害があることであるし、我々にとつては余計利害があることであるから、そういうような気象観測上のアメリカ軍のほうと日本側との緊密な連絡をもつてつておるのか。ということは又反対に日本からも向うへも気象観測の結果を与える、そういうような工合になつているのかどうか、この点をお聞きしたい。
  67. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 気象の仕事は御存じの通り国境を越えておりますので、世界各国におきましてその資料は交換するようになつております。日本は九月十日に国際気象機関に加盟いたしました。加盟以前からも勿論気象事業をやるからには世界各国、特にアメリカとは密接に両方の資料は交換されておつたわけであります。今後は世界気象機関にも加盟いたしましたし、ますます緊密に双方の情報は交換されることと考えます。
  68. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 和達中央気象台長に対する質疑はこれで打切りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは午前中の議事の最後として、国警本部次長谷口君から台風十三号の現在までにわかつておる被害状況について説明を聴取いたします。
  70. 谷口寛

    説明員(谷口寛君) 台風十三号の被害の概況につきまして、本日の午前六時まで、午前八時現在で関係管区から報告のありました概況につきまして資料を配付申上げると共に簡単に御説明を申上げたいと考えるのでございます。  何分御承知のように、被害地域との有線連絡につきましては、或いは切断をせられましたり、或いは故障いたしましたりいたしまして、主として無線の連絡を以て情報を得ておりますので、非常にこの資料そのものは不完全な中間的な報告でございます。更に詳細なものが参りますごとに追加整備をいたしまして、逐次正確な資料を御報告申上げたいとかように考えておる次第でございます。  今回の被害の発生方面は大体関東、近畿、東海、中国、四国というような方面になつておりまして、その各方面のそれぞれの府県の被害状況只今御配付申上げたような状況でございます。非常に甚大と考えまする地域は、今述べました地域の中で特に近畿、東海方面であろうかと現在の被害の概況からは考えておるような次第でございます。丁度これを印刷しましたときに中国、四国の関係の概況の数字が参りましたので、只今印刷に聞に合いませんので、無電記号を持つて参りましたので、併せましてこの機会に東京管区分と大阪管区分並びに広島の管区分の三つを合計いたしまして、ここに概況を御報告申上げたいと思います。  死者はその三つの管区で八時現在三十七名ということに相成つております。負傷者が百四十五名、行名不明が百十七名。それから全壊が五日二十七、半壊千三百四十三、流失三百六十五、一部破壊、破損四千六百二十戸、床上浸水が六万七千二百三、床下の浸水が十九万四千八百五十八戸、非住家の被害が八千百七十八戸。それから耕地の被害でございますが、流失、埋没の水田が千六百六十五町歩、冠水水田が四万四千三百九十六町歩、流失、埋没の畑が二百五十七町歩、冠水の畑が七千九百二十町歩、道路損壊箇所が五千六十二箇所。橋梁の流失が千八十四箇所、堤防の決壊が千百四十六箇所、山崩れ七百二十一、こういうふうな状況になつておるのでございます。非常に災害が続きまして遺憾なことだと考えるのでございますが、今回のこの報告を見まして、比較的人的被害がこの前の九州或いは和歌山を中心にした近畿の水害に比較いたしまして少かつたということは、非常に不幸中の幸いであつた考えるのであります。恐らくは先般の経験等に鑑みまして、或いは事前の広報活動、関係機関の準備その他が非常によく行つたために、比較的人的被害が少かつたのではないかと想像している次第であります。それ以外の物的被害等につきましては、必ずしも前回の被害に比較いたしまして、少いというようには考えられない状況でございまして、更に先ほども申上げます通り、詳細な報告が加わりますごとに、我々の想像といたしましてはこれよりも数字がふえて来るのじやないかということを心配いたしておるような状況でございます。甚だ簡単でありますが概況を御報告申上げました。
  71. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑ございますか……。  一つだけ伺いたいのですが、それは各県本部でそれぞれ県内の被害状況を収集しておると思うのですが、その連絡のとだえておつてこれから数字がふえるかも知れないというような府県はどういう所ですか。
  72. 谷口寛

    説明員(谷口寛君) それは主として通信線が非常に不完全である所でありまして、今度の区域では三重県、奈良方面がこれよりも若干ふえて来るのじやないかというように我々は現在のところ想像いたしております。
  73. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 午前中はこの程度にして暫時休憩して午後一時半から再開いたします。    午後零時三十九分休憩    ―――――・―――――     午後一時三十一分開会
  74. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から委員会を再開いたします。  先般本委員会決議によつて政府当局へ申入れました要望事項、並びに適用地域指定基準について厚生省関係について、厚生省の検討された経過並びに結果等について聴取いたしたいと思います。
  75. 安田巖

    説明員(安田巖君) 適用の地域の問題でございますが、昭和二十八年六月及び、七月の大水害被害地における災害救助に関する特別措置法、これに基きます特別地域指定は、大体六月及び七月に生じました大きな災害の府県を指定いたしたいと考えております。これはこの法律災害応急救助費が、県税、普通税の千分の一になりました場合に補助を開始しようという特別法でございますので、大体千分の一を超える府県をこの中に入れたいと思つております。これで全部が解決をいたすと考えております。  それから次に六月、七月の大水害による社会福祉事業施設災害復旧に関する特別措置法地域でございますけれども、この中には生活保護法の保護施設と児童福祉施設及び、公益質屋がございます。いろいろ詳細に調べましした結果、たまたま被害を受けましたこれらの施設が先ほど申しましたところの被害の甚大な府県に限られておりますので、大体それと揆を一にした指定をいたしたいと考えております。なおこの点につきましては私どもはそういうふうに考えておるのでございまして、なお又関係の各省とも十分打合せを今後いたしたいと考えております。
  76. 高野一夫

    高野一夫君 千分の一を超える府県と言うと、大体今お調べになつた結果はどの辺になりますか。
  77. 安田巖

    説明員(安田巖君) 福岡、佐賀、熊本、大分、長崎、山口、和歌山、奈良、鳥取、長野ぐらいが入ると思います。これだけで十府県でございます。
  78. 高野一夫

    高野一夫君 それからもう一つ、これは安田局長の御所管でないかも知れませんが、この病院、診療所の被害復旧に対しての特別措置を講じたのですが、この中からは当時この特別措置法で薬局を除外したのですけれども、その当時政府に対する申入れ事項には、同時に薬局に対する、やはり防疫対策、医療対策の建前から、災害復旧に対して融資斡旋をしてもらわなければならないという申入れをしてありましたが、そのほうに対する何か適当の措置が講じられておりましようか。
  79. 安田巖

    説明員(安田巖君) 厚生省関係、少しこのまだ仕事の範囲が広うございますので、ほかの主管局長から一通り説明をいたしまして、今の御質問のところは医務局の主管のところで、その点触れるかと思いますので、その辺で一つ……。
  80. 内藤誠夫

    説明員(内藤誠夫君) 医務局といたしましては、差当りましてこの法律に書いてあります病院と、診療所の融資をこの法律又それに伴う政令の構想ということでやつておるわけでございまして、薬局の分につきましては大変恐縮でございますが、今薬務局のほうへ連絡をとつております。
  81. 高野一夫

    高野一夫君 どなたか見えておりますか。
  82. 安田巖

    説明員(安田巖君) 只今は見えておりません。御了承願いたいと思います。
  83. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) では私のほうから一、二お伺いしますが、災害救助費の第二回目の概算払いはいつやつておりますか。
  84. 安田巖

    説明員(安田巖君) 第二回分といたしましては、この福岡、長崎、大分が残つております。それからほかにまだ概算が行つておりませんのが山口、京都、三重があるわけです。この前から実は督促いたしておりますけれども、山口、京都、三重はまだ出て参りません。これはやはり県のほから数字が出ませんというと、私どものほうも出すわけに参りませんので、折角督促いたしております。私どものほうも、早く出したほうがいいと思つております。それから福岡、熊本等につきましては、これはもうほんの残つたところは僅かでございまして、先般係官が現地に参りまして、いろいろ調査をいたしました結果、若干この補助額が殖えるということでございます。そういう点を指示して参りましたところ、そういう点につきましても考慮をいたしまして、併せて一つ申請したいということで、まだ第二回目の申請はいたしておりません。これは私どもといたしましては、もうできれば九月中にと思つておりましたが、そういうような事情でございますので、なお一層一つ督促いたしたいと思つております。
  85. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) もう一つ伺いたいのは、大臣がおいでになつてつたらいいのですが、大臣がおいでになつていないので、厚生省のお考えを承わりますが、それは参議院でこの適用地域指定基準というのを決議して申入れましたね。ここに公共事業復旧費と標準税収入を比べると、その公共事業復旧費の定義をこのように示してあるわけですね。即ち公共土木施設災害国庫負担、農林水産業施設災害復旧事業、堆積土砂の排除に関する議決措置、それから教育施設及び病院、診療所の災害復旧に関する特例法、これらの所要額を併せたものを公共事業復旧費と我々は解釈する。これと標準税収入と比べると、これがこの特別委員会決議事項なんですね。厚生大臣並びに厚生省としては、標準税収入とこの災害復旧事業を比較する場合に、こういうあなたの所管の病院、診療所の災害復旧費も包括したものと、標準税収入を比べるべきであるという、こういう御見解の下に立たれておられるかどうか。この点は将来厚生大臣が閣議において態度を決定される場合にも、重大な関係があると思いますので、厚生省当局はこの我々の申入れに対して、どういうふうに検討して、どういう結論を持つたかという点についてお聞きしたいと思います。
  86. 安田巖

    説明員(安田巖君) これは地域指定基準の問題になるわけでございますが、私が申しましたのは、災害救助に関する特別措置法地域指定関係と、それから災害地の社会事業施設及び、公益質屋の復旧について地域指定のことについて、今申上げたと思いますが、ほかにこの国民健康保険に関する特別措置法でありますとか、或いは母子資金の貸付法に対する関係措置法、それから医療関係特別措置法、その点一応説明させて頂きまして、その点触れて頂いたらどうかと思います。私ども関係のほうは、先ほど申しましたように、大体県税普通税の千分の一に応急救助費が達しました場合には、それに補助金を出すという特別措置法でございますから、そこにおのずから基準が出て参りますから、今申されましたようなことは考えなくてもそのまま出て来るのでありますから、その点は実は私どもの所管の仕事としては考えなかつたわけでございます。
  87. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 私の伺つていることは、具体的な法律はあなたもそれでいいですね。ところが、病院、診療所の災害復旧ができるかできんかということは、その地方公共団体が復旧所要額を幾ら抱えておつて町村の財政力はどうかということが非常に関係して来るわけですね。だから大きく一つ基準を設ける場合に、あなた方のところの病院とか、診療所の普及所要費というようなものも、これは基準の中に入れてやるべきものであるというような見解に立たれているかどうかという、その点厚生省のお考えを承わりたいと思います。
  88. 内藤誠夫

    説明員(内藤誠夫君) その問題につきましては、各県の災害復旧の所要額を全部取つておりますので、只今委員長の言われましたようにその中に加えるということを私どもといたしましては希望いたしておるわけでございます。
  89. 高野一夫

    高野一夫君 簡易水道の復旧施設に関する補助ということでこの特別措置法を講じてあるわけですが、地方の陳情を伺つたりいろいろな事情を承わりますというと、厚生省では簡易水道の復旧についてはとろとろ考えるけれども、新たに敷設するということは考えないというようなお返事があつたということを私は九州の或る県で聞いたのであります。これはどういうふうになつておりましようか。我々はこの措置を作るときには、この災害ということを基にしまして、止むを得ない事情であると認める場合は、復旧だけでなく新たに措置するということについても補助してもらいたいという意味の下に、この第三条を置いたつもりでありますが、何か厚生省のほうでは敷設するということはこの中に入つてはいないのだという御答えがあつたということで、これはまた聞きですから、わかりませんけれども一応一つつておきたいと思います。
  90. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 御答えを申上げます。只今御指摘のような簡易水道の親切分に対しては、厚生省としては補助を出したくないというような点は何かの誤解じやないかと考えております。むしろ私どもといたしましては、現にまだ濾器或いは救水車等によつて救水を続けております極めて気の毒な地域も多いのでありまして、かようなところにこそ率先して簡易水道を新設いたしたい。かように考えておるわけであります。むしい重点的には復旧分よりも新設分に力を入れたい。かような所存でございます。
  91. 高野一夫

    高野一夫君 九州の災害地におきましては従来取つてつた水が到底取れなくなつたというような、飲料水がなくなるというような村ができておりまして、早急に簡易水道でも敷かなければならんということがあるようでありますから、只今の御答弁で非常に安心いたしましたが、どうかよろしく御協力を願いたいと思います。
  92. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 厚生省関係質疑はまだありますか。
  93. 松岡平市

    ○松岡平市君 簡易水道の大体のお見込みは予算折衝をどの程度までしておられるか。こちらで取つた資料では、新設の分が大体七、八億国費を要するということになつております。今高野委員から言われましたようにこの災害を機会として、と言つちやおかしいけれども、厚生省の説明としても、水害地域に簡易水道を敷設することが好ましいことであるということは、委員会においても説明しておられる。我々もそれは非常に尤もなことだと思つて、簡易水道の敷設ということについては、非常な期待を持つておるわけですが、予算折衝の過程における大体のお見込みはどういうことでございましようか。
  94. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 只今各地の資料等を財務当局こ提供いたしまして、逐次説明をいたしておりますが、併しながらまた正式に予算査定の段階に入つておりません。そのためにここで何ともお答えをしかねますが、私どもといたしましては只今高野先生にお答えいたしました趣旨でございますので、できるだけ努力をいたしまして地方に著しい迷惑をかけないようにいたしたい。かように考えております。
  95. 松岡平市

    ○松岡平市君 私が質問いたしましたけれどもここでお出しになつた資料のうち、復旧の分は極く僅かで、新設の分は多分七億何千万出ておつたのですが、その註に新設分については未査定た。こういうことを挙げておつたことは確実に覚えておりますが、私たちはその新設の分に非常に大きな期待をかけておるのだ。それで査定の状況や何かについて未査定だと註をしておるようだが、もう査定は終つたのかどうか。なおあれは三月三十一日までということになつてつたのです。尤も予算の範囲内という制限はありますが、ああいうものに該当するかどうかというようなことについては、地方においもいろいろと疑いを持つておる場所もあるようでありますけれども、査定の状況等から言いまして、すでに申請されておるものは多くは該当するものと思うのでございますが、お出しになつた資料では、つい先だつて委員会に未査定と出ておる。その後査定はどういふうであるか、該当状況がどういうことであるか。非常にこれに便乗してたくさん作るということは避けなければならんけれども、私は無論特別法の立法の趣旨から考えても、この新設というものは特に厚生省において力をお注ぎを願わなければならんと思いますが、未査定というままで、まだ放つてあるのかどうか。それも一遍伺つておきたい。
  96. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) この一、二の県を除きましておおむね私どものほうでは実情調査いたしまして、その該当を決定いたしております。その結果は極く一部につきまして該当がどうかと思われる点がございますが、その他はおおむね地方の要望というものが認められるものと考えておりますが、従いまして金額といたしましては、先日お手許に差上げました資料に基きまして、更に査定を加えましても著しく金額の減ることはあるまいと考えております。
  97. 松岡平市

    ○松岡平市君 金額は殖えてもいいと思います。是非一つあれの立法の趣旨に鑑みて、この点については財政当局に強く要望して、必ず地方から申請のあつたものについては極端な場合、該当しないもの以外は、是非新設の実現を見るというように、将来のこと等にも鑑みて、一つ厚生省で特別なる御努力を払われんことを特に希望いたします。
  98. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 厚生省関係質疑はこれを以て……。速記をとめて。    〔速記中止
  99. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。
  100. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 私の一つの主管の関係いたします特別措置法では元ほど社会局長から申しました児童福祉施設災害復旧に関する法律のほかに、母子福祉資金の貸付けに関する特別措置法というのがございます。この法律の適用地域の問題につきまして、先般御要望になりました基準を以て適用いたします場合に、私ども行政当局としてこれを施行いたします際に、そのままやつた場合では、或いは却つて立法の趣旨に副はないんじやないかという虞れを抱かせるような事情がございますので、この機会にちよつと申上げてみたいと存ずるのであります。それはこの法律に特別措置によりますると、第二条のほうでは、母子福祉資金貸付に関する法律によつて生業資金或いは事業継続資金を借りておりました者に対して、それの据置期間を一年ほど延長するという問題がございますが、これも問題はございますが、特に大きな問題ほその次の第三条、これにございまして、これによりますると、その被害地域を含む県が母子福祉資金の貸付けのための特別会計に二十八年度分及び二十九年度の二年間にまたがつて繰入れます金額に対して、国が三倍に相当する金額を繰入れる。こういう規定があるのでございます。現在の母子福祉資金等貸付に関する法律によりますると、県が母子所帯に生業資金、或いは子供の就学資金などを貸縦けまするために特別会計を設置しまして、県の一般会計から金額を繰入れました場合に、それと同額を国からその特別会計に貸付ける。  こういう建前になつている。いわば県が一であるならば、国が一であるという割合で貸付けるということになつておりますが、この第三条の特別措置になりますと、県が一を繰入れますと、国が三を繰入れる。こういうことになるのであります。従いましてこの法律は、罹災をいたしました各県からは非常に喜んで迎えられておる筋合のものでございますが、同時にその非常な恩恵のある措置になろうかと存じまするので。  これの適用を若しルーズ、或いは考慮しないでいたしました場合に、他の適用を受けない県とのバランスの問題が生じて来るのではないかという点を心配しておるわけでございます。それで若し水害が県下全域に亘つておるという場合におきましては、恐らく問題はないと存ずるのでありまするが、水害が若し県の一部地域であつたといたしますると、この法律建前によりますと、その地域を含めて県下全部について県が特別会計に繰入れた額に対して国が三倍に行く。まあこいうことになるのでございます。従いまして県の一部の地域が罹災を受けたというそのために、その県下全体の母子所帯に貸付けます金額について国が三倍入るとこういうことになつて参るのであります。さようなことになりますると、この地域が仮に極く狭い地域であつたといたしますると、その一部の地域、狭い地域が罹災したということのために、その県全体の特別会計に対する国の出す割合が三倍に殖える。こういうことになりますると、今度は他の災害を受けなかつた県と申しましても、普段何かかんかとやはり多少の災害はある県でございますので、さような県との釣合がとれて来なくなる。かような点が起きて来るのです。さような場合に一体それではどの程度までのところを拾つたらいいかということはなりますると、これはなかなかむつかしい問題でございまして、例えば或る県が適用されたといたしますと、あの県が適用されるくらいなら、おれの県もというようなことで、だんだん範囲が拡がつて行く、こういうような倶れがございます。特にこれが二十九年度分についても国が三倍入れるというような非常に恩恵的な措置でございまするので、それだけに私どもは下手をいたしますと、県が相当無理してでもこの適用を受けたいというので、どんどん言つて参るのではないかとかようなことに考えております。それで先般来委員会で傍聴いたしまする度に承わつておりまするように、この特別措置法は従来にも稀な大水害であるので、さような県を考慮しての特別の立法であるというふうに私ども承知しておりまするので、かような点から申しますると、この措置に関しまする限り、他の一般的なその他の施設災害復旧などの法律と異なりまして、誰が見ても県下全部がやられてああ、あれだけの県に被害を受けたのだから、今年及び明年度において国の負担の率が三倍になつてもこれは止むを得ないと思われるようなところにだけ絞るのがいいんではないかというのが実は私ども見解でございます。ところがこれにつきましても、まあ問題がないところもございますが、やはりそのどこへ線を引くかということは非常にむずかしい問題でございまして、先般の衆議院の委員会におきましてもやはり異論が出まして、なお研究をするようにということになつておるますので、今日までのところ、私どもとしては最終的な結論までは得ていない状況でございますが、大体の気持として私どもはむしろこれは予算をうんと取るとか何とかいう意味よりも、他の県との均衡の問題からいたしまして、これらは或る程度絞らざるを得なくなるんじやないか、かように私ども考えておる次第でございます。ちよつと補足しておきます。
  101. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 児童局長の見解は承わつておきますが、念のために繰返してはつきり申上げておきますが、特別委員会としては、立法の趣旨からして災害のなかつた県にこの法律を適用しようというようなことは考えておりません。で災害復旧額と標準税収入と或る基準で比較すると、県としては災害が比較的軽いならばその県には適用しない。併しながら県の中で県は適用を受けないが市町村で非常にひどくやられた、或る一定基準を超えたところがあれば、市町村だけ指定しよう、飽くまでもこの被害のあつたところに救済的なこの法律を適用しよう、こういう立場をとつていますのでね、この点は十分考えておいて頂きたいと思います。  これと関連して私一つだけ聞いておきたいのですが、それは県が指定されなかつた。ところがその県内の或る郡が非常に大災害を受けた。他の非常はその郡には適用されたというような場合このあなたの関係する母子福祉資金の貸付に関する特別措置法はそういう郡には適用できないということになりますね。どうですか。
  102. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 只今の御質問でありますが、この法三条の文章を解釈いたしますると、被害地域にかかる県に対して云々ということになつておりまして、その県全体を相手とする、こういうことになるのです。そこに非常にこのむずかしい問題が起る余地があるわけでございます。
  103. 高野一夫

    高野一夫君 それは児童局長が勘違いされておるのじやないですか。被害地域にかかる都道府県ということになつておるけれども、この適用地域の所々が作つた指定基準によると、第一に県を指定するのだ。けれどもちやんと註がありまして、その県内において被害を受けない市町村は除外することになつておるので、それを除外してそして被害を受けた市町村だけにそれが適用されるようにして、そして而も県を指定するのだから、ちつとも私はこれに該当しないんじやないかと思うのです。どうですか。
  104. 松岡平市

    ○松岡平市君 その点については大体私ども今課長の御説明はこういうことだと思うのです。あれはあの貸付金が新らしい法律でまあ大体今までの状況を見るというと、各府県ごとに一定の標準を与えていらつしやいます。この県は一万まで、この県は二万まで、いろいろな点から算定して標準を与えて、その範囲内で特別会計を持たせる。それと同じ額だけを国から繰入れる、こういうことをやつておられると思うのです。それで今言われるように、その資金を全県下の母子福祉資金として生業資金なり、生活維持資金なりにずつと貸付けて行く。県全体に融資する。そうすると我々が考えたのは、結局災害を受けた母子というものが非常にたくさんあるから、その災害を受けた母子を救済するために、或いは据置期間も長くすると、それから資金が非常に少いからそれを潤沢に貸してやれるようにするということで、据置期間とそれから金額を県の特別会計の三倍まで国が繰入れろと、こういう法律作つたわけです。成るほど表から見れば、法律の正面からずつと見れば、県が一千万特別会計を作れば、国は当然それによつて三千万貸してやらなければならない。合せて四千万は県下の母子全体、即ち災害を受けない地域の母子にも据置期間の問題と同時に殖えた金額を貸してやる、こういうことになるということで困つておるとおつしやると思うのです。だけれども、国はその実際の取扱としてこれは私は方法があろうと思うのです。と申しますのは、現に今すでにそれぞれの都道府県について金額の標準をきめておられるというのは、これは大体そこにおいて救済しなければならん、ああいう資金を貸付けてやらなければならん母子の数、救済を要する母子の数というようなものを一先ず基準にして、逆算して或る県は一千万、或る県は一千五百万というふうに出しておられると思うのです。そして現実にはあなたのほうで立てておられる標準よりも以下の特別会計しか府県は作つておらん、一ぱい一ぱいのところもあるけれども、それよりも以下の特別会計を作つてつて、あの分に関する限りは予算はまだ余つておるはずだ。本年度予算は相当額残つておる、私たちはこう考えております。それで実際の施行としては今言うように、例えば例を挙げまして京都なら京都をとります。そこで京都において災害を受けた地域というものは部分的である。部分的でありましても、そこにおいては大体母子、あの法律の適用を受けさすべき対象、即ちそれに該当する母子という数字は、大体概算はつかめると思うのです。その分についてそういう措置を講ずることをちやんと県に内面的に指導を与えられれは、私は県を指定して、そしてそこであなたのほうではちやんと今出しておられるような標準を、あれだつて法律は出ているけれども、あなた方は頭から「お前の県は一千万円より以上はいけないぞ」「お前の県は二千万円だ」とやつておられるのだから、現実にあなたはあれと同じようなことでお前の県は指定するけれども、この分に関しては地域はこれだけだから、三百万なら三百万に限るものだけは講じてやるからというようなこと、私は実際におやりになれると思うのです。現実にああいう法律は出ておるけれどもあなた方はそういうふうにやつておられる、今まで……。だから法律のやり方だけを楯にとられて、私はそういうことはできないとおつしやるのは少しおかしくないか。京都のうちの三郡なら三郡の該当数を計算されて、そしてその分だけはその三倍出してやるというふうなことできませんか。実際において私は今現に法律でみんな貸してやるやつを制限しておられるのだから、県側で一億組んだら一億国が出すということをしておられない。大きな県でも二千万か三千万に初めから制限しておられるのだから、この分だけということを県に指示されれば私はできると思うのです。むしろそういう見解を私はお聞きしたかつたのです。
  105. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 只今松岡委員から、何と申しますか非常に裏までを見すかされた、私どものためにもわざわざ考慮して頂いたような御発言があつたわけでありますが、勿論現在の我々の実際の施行の面におきましても、大体その県の母子世帯の数とかいうようなものを加味しまして、各県に保護の基準を示しております。それで各県から出て参ります状況を見ながら、予算の範囲内でありますれば非常に操作はやさしいわけです。まあ今のところは御指摘の通り予算面では若干の余裕がございまして、又各県もなかなか今の財政状況といたしまして余分にうんと組みたいけれども組めないという実情でありますので、現在のところはそんなような実情で参つておるのであります。勿論私ども行政当局といたしましては、この法律が施行されまずれば、極力この法律制定の趣旨に副うような施行を考えて行かねばならないと思うのでありまするが、ただ如何にも、例えば奈良県というものを取上げて見ますると、奈良県は罹災いたしました地域は吉野郡の二カ町村でございます。奈良県に恐らく百数十カ町村あると思いまするが、そのために奈良県全部について三倍ということになりますると、他の府県などと考えますと、如何にもべら棒なことにもとれようかと存じます。今その場合に只今お話頂きましたようなことも私どもいろいろ検討いたしまして、県と連絡をとつて、できるだけこれの非常識なこと、或いはバランスをはずさないような方法でやりたい、やるということは、これはできるだけのことはいたしたいと存じまするが、やはりその場合に恐らく奈良県とか或いはその他の府県でも、国のやり方に対してはこれは法律違反じやないかというような見解で以て、まあ議論に出ることが予想されるわけであります。これはまあよほど、何と申しますか喧嘩をする立場で来ればでございますから、私どもの平素の話合いでは、大体そう無茶なことにならないで済むようにいたしたいとは存じますけれども、その辺が若し出ました場合には、私は非常に苦しい立場に陥るわけです。その辺のことにつきましては只今の松岡さんのお話は、私は非常に教えられることが多かつたことは多いのでございますが、その辺につきましてはなお研究させて頂きまして、又委員長か或いは小委員長に御相談もし、お智慧を拝借する機会もあろうかと思いますので、それでやつて行きたいと思います。
  106. 松岡平市

    ○松岡平市君 それは私はこうなさつたほうがいいと思うのです。この新立法を適用する金額の額をきめられて、今まででもそう一般、特別法にないやつは、ちやんとあなたのほうは予算、特別会計に組む額を指示しておられる。同じように今回の場合においてその適用するやつり予算特別会計というものは、お前の県はこの範囲までだ、一般法、三月から施行されておる一般法のほうにあなた方はそれをやつておられるのだから、この特別法の場合においては奈良県は五カ村なんだから、お前のほうでこの法律を適用するために組み得る額はこれまでだ、こういうものをされて予算と睨み合せて、そして制限額に亘つておるものについては母子数に対して新らしくお前のほうでこの部分、三倍もらい得る予算は一千万円まで組んでよろしいと、五カ町村しかないものは二百万なら二百万だけしかいけないと、こういうようなことは一般法でやつておられるのだから、特別法の場合でもできるんじやないか、こういうふうに、これはまあ一番初め私のほうの小委員会で立法をした関係もありますので、決して無関心ではないわけですけれども、何かそういうふうな方法を考えて頂かないというと、おつしやる通りの非常な不公正が出て来る。こういうことは了承いたし、ておりますけれども、何かそういう方法を私はとれなくはないと考えておりますので、然るべく一つとして、例え、ば奈良県の五カ村にいたしましても、そこの母子というものは非常な災害を受けておる。で、これは是非その県内のほかのところは放つて置いても、それだけは必ずこの特別立法の恩恵に浴し得るように、これは是非、大変御苦労でありますけれども、そういう方法は、この点は県当局といえども了承し得る範囲だと、是非お骨折りを願つて、そして折角こうした特別立法をいたしておりますにもかかわらず、非常な災害を受けたものが県の一部分であるために、その県を指定せんというようなことをなさらないように、なお一歩進んだ御研究をお願いしたい。若し  この法律の適用においてどうしても法律の解釈上そういうことはできないということならば、これは又我々は臨時一国会においても、これに対しての措置については新らしい考慮を更に加えなければならん。それほど私はこの法律自体というものは、災害、そのうち特に憐れなる母子である、僅か三万円ぐらいの金である。これぐらいのことは是非してやらなければならないのだと固く信じておりますから、若しあなた方のほうの行政措置においてどうしてもできないとおつしやるならば、この法律それ自体に、私どもは国会に訴えて改正をする。それまで考えざるを得ないものであるということを申上げておきます。是非一つこの上とも御研究を願つて、そうして災害の大きなところについては、どんな部分的なところであつても、この法律の特別立法の恩典に浴せしめることにいたしたい。それに便乗してほかのものが非常に不公平な優遇を受けるというような措置は、これは講じて頂く必要はございません。
  107. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 研究して頂くことにしてこの辺で如何でしようか。
  108. 山田節男

    ○山田節男君 今委員長が研究するというのは、すでにこの法律が出て、そうしてこの適用地域指定基準まで参議院の委員会としてはさまつているわけなんですが、そこで今厚生省当局が言うような不安があれば、これはもとより絞るということについてはこれは勿論異存ないわけです。併しながらこの法律作つた趣旨は、そういうようなたとえ一部でもこの我々の言ういわゆる適用地域指定基準に合うところのものについては、そういうような甚大な、異常な被害を受けた市町村に居住するものについては、母子福祉資金の貸付をやるということになつているのですから、今のような現行法から言えば、今厚生省が言うような非常に金をたくさん要すると言うならば、どういうふうに絞るかということも、ここで我々委員会に向つて児童局長は言えると思います。ですから児童局長はどういうふうにしたらば矛盾といいますか、余計要する金を少く、而も公平に、又これに便乗して他の府県がぶつぶつ言わないようにできるのか。その意見をむしろ我々は聞いたほうがいいと思うのです。だからこれに対してどういうふうにしたらいいかという厚生省の案があれば、我々今ここで一つ示してもらいたい。これが一番いいと思います。研究しているに違いない。そういう矛盾か、そういう結果を予想して心配しておるのであるからして、これに対する対策を行政政府として持つていなければならん。その意見を我々に参考のために示してもらいたい。
  109. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 先ほど太宰局長は鋭意研究中という答弁でしたが、重ねて山田委員からお聞きの通り質疑でございます。現在あなたの所管局でこうしたらいいだろうというような案があつたら、参考に説明して頂きたいと思います。
  110. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは先ほどもちよつと抽象的に触れましたが、さよう前に申しましたように非常にむつかしい問題を含んでおる。特に私ども心配いたしまするのは、この適用を受けない県とのバランスの問題でございます。あれくらいの災害を受けた。それは気の毒なことである。併し片一方にこれだけ恩恵ある措置をとられて見ると、どうも腑に落ちないということになりますると、困ると思いまして、その点非常に心配しておつたのです。それで私どものほうといたしましてはかような法律でありまするので、そう平素にはない特別の大災害のときの立法であるという趣旨からしまして、当然これは或る程度つてもいいのじやないかという考えと、それから今のような問題、他の県とのバランスの問題からいたしまして、これは誰が見ましても、あの県に適用されて、今年と明年度においては、国から繰込みされる額が三倍になつても、これはもう止むを得ない、尤もだと思われるようなところにだけするのが一番よかろうと思う。勿論すべての人が納得するようにやれない。納得するようなことになりますると、非常にこれは狭くなつて来るのでございます。その点について私どもは果してこういう狭く数県くらいになつて来るかと存じますので、かようなことになつた場合に、これは私どもだけですぐにバタバタと政令できめていいのかどうかという点をまあ迷つておると申しますか、なお検討しておつたわけです。先般衆議院のやはり災害特別委員会がございまして、やはり私ども検討の過程をそのまま御報告申上げたのです。と同時に私どもが悩みにしているところも申上げたわけです。そのときにやはり衆議院の委員会といたしましては、成るほど話を聞いて見ると非常に複雑であるようである。併し我々としてはなるべくこの適用を拡げてもらいたいという気持がある。併しこの点についてはなお検討するようにということで、私ども下駄をつけられたと申しますか、検討してなお御相談するということになつております。さような点からいたしまして、今日最終的な結論を得るまでに至つていない状況でございます。
  111. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をとめて。    〔速記中止
  112. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。
  113. 山田節男

    ○山田節男君 母子福祉資金の貸付問題については、本特別委員会が設立されてこの西日本の水害緊急対策に対する協議の最中において、例えば熊本、佐賀西日本、殊に九州の最も広範囲に甚大な、異常な災害を受けた地域からの要望が非常に熾烈であつたように思う。これは委員長又は我々委員の個別的にもそういう陳情を受けたように記憶しております。それで我々としてこういう措置の六月か、七月の異常な水災害を受けたものということになつて地域も西日本から更に近畿、或いは他の一部へもこの六、七月の水害程度がわかつて来て、我々の委員会にごの調査の対象として成規の手続をして附加されておる。そういうことになれば母子福祉資金の貸付問題も当然西日本の地域にのみ限定するのでなくして、その後の我々の調査の対象になつた道府県に対してもこの問題をひとしく公平に考えなければならん問題だと思うのです。そこで今の厚生省の言うのは、要するに非常に不公平なアン・バランスになつて来るということ、それから実際の行政的な方面において不公平を来たすのみならず厖大な予算措置が必要になつて来るというこの二点が一つの憂えておる、心配しておる点じやないかと思います。これは特別法の制定の趣旨から言えば、その趣旨を私どもは行政政府はあくまで尊重しなければならん。そこで今の政府当局が言う絞るということと、この特別措置法作つたという趣旨と、これは私は決して法を曲げるようなことがあつちやこの法の趣旨は没却されると思います。そこで行政的の方面の困るということよりも、この法律の精神を行政政府が如何に完全に活かすか、活かさないかという問題なんです。そこに私は今行政当局が言う問題も勿論考慮しなければならん点がありますが、我々としては、あくまでもこの法を厳密に、厳正に、併しながら洩れなく公平にやるというのがこの趣旨だろうと思うのです。そういう点で私は今の厚生省の言う程度ではこれは納得できない。ですからこれはもつと厚生省が実際的にできるだけ広い範囲で公平にやるということを私はもう一遍具体的に研究して、本委員会へも報告されることを希望いたします。
  114. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今意見ございましたが、これは我々立法者、特別委員会としてはアン・バランスを起すなんということは夢にも考えておりません。これは御承知のように参議院の議員立法ですが、その小委員長であつた松岡委員から先刻我々立法者の意思というものを明確にお話になつたのです。その角度から山田委員からの要請がありましたが、立法の精神に沿つた検討を特に要請いたしておきます。速記をとめて。    〔速記中止
  115. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して。  厚生省関係質疑はこれを以て終了いたします。  続いて建設関係に入ります。先ず台風十三号の災害状況について建設関係の極く重点的に報告を聴取したいと思います。
  116. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 台風十三号の被害について簡単に御報告申上げます。  台風状態については午前中気象台長が報告したはずでございますから省略いたしまして、被害について大体申上げます。昨日の早朝から十三号が丁度二十五年のジニーン台風と同じようなコースを辿つて参りまして、ことによれば阪神地方へ上陸するのではないかというような非常な心配をしておりましたが突如として潮岬で方向を変えまして、そして三重県、愛知県を通つて東北に進んだわけでありまして、その結果直轄河川としましては淀川の上流でありまする宇治川に決壊箇所二カ所を起しまして、そして例の昔巨椋池と申しましたあの干拓した地帯が浸水を始めて、大体三千町ぐらいの浸水が起りました。これがもと池でありましたので、非常に低いところで、これの復旧には勿論ポンプは据えてありますが、それによつて復旧しなければならぬ。それがために南郷の洗堰を全部閉鎖しました。こういうことは今まで曾つてないことであります。それの復旧を急いでおります。それが一番大きな被害でございまして、淀川の牧方から下流に小さい支川がありますが、そこで一カ所切れまして、高槻地方に浸水しておりますが、これは大きな決壊ではありません。そのほか漏水とかいろいろなことがありましたが、両岸の水防組合が非常な奮闘をいたしまして、計画洪水量を突発したにもかかわらず大水害を出さないで済みましたことは不幸中の幸いだと思つております。そのほか由良川と申しますと京都府に流れておりますが、由良川の綾部のところに一カ所切れました。それから福知山の対岸で一カ所切れましたが、それが直轄のもの。富山県へ参りまして矢部川で決壊しておりますが、これは改修してないところでこの前も切れたのでありますが、又切れまして誠に申訳ないと思つております。それから紀の川がやはり氾濫しまして、本川は大したことはなかつたのですが、この前の災害に決壊しました喜志川の仮締切が又やられまして浸水しました。大体さような結果で直轄河川としましてはそういうまあ状態であります。それから府県としましては詳細な報告がまだ参つておりませんが、主として台風が丁度伊勢湾を通りました関係上伊勢の海岸、それから愛知県の海岸に高潮が丁度満潮時に大体一致したような形になりましたので、相当大きな高潮を起して海岸地帯の浸水を起しております。それから河川の災害としましては各府県のまあはつきりしたことはわかりませんが、四国地方、それから九州にも或る程度ありますが、大体大きなものはさような結果でございまして、府県災害はもうちよつと数字が固りませんので、固りましたら又報告いたします。  以上でございます。
  117. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうでしよう。前回六月、七月或いは八月等の災害で仮工事をしておつたというようなものが今回九州なり南近畿等において再び決壊したという場所がどれぐらいありましようか。全然ございませんか。場
  118. 米田正文

    説明員(米田正文君) まだ詳細報告は出揃つておりませんのではつきりいたしませんが、一つわかつておりますのは、先般の和歌山災害のときに起きました紀の川の上流の喜志川の支川がございます。ここの仮工事が大分進捗をしておつたのが、今度の出水で殆んど潰滅したというのがはつきりした事例でございます。あと多少あると思いますがまだ資料はまとまつておりません。
  119. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうもあまり特別委員会が繁昌し過ぎて困るわけですが、併しまあこの台風が来て、別な地域に又災害を起したということは、これはまあ残念だけど止むを得ないけれども、前の災害復旧を急がなかつたために、或いは予算等の関係において十分なる仮工事なり或いは本工事なりをしなかつたために、又広汎な被害を起したということになれば、これは政府の責任としても容易ならぬことだと私ども考えるわけです。一つ至急に直轄河川のお話は今聞いたわけですが、府県等におけるそういう事例がどの程度あるかということを一つ至急にお調べを願つて資料を御提出を願いたいと思います。
  120. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) その資料は後刻出して頂くことにしまして、引続いて先般本委員会決議して政府に申入れました適用地域指定基準、並びに要望事項につきまして建設省で検討された経過並びに結果、並びに建設省当局が考えられておられる点について、なお大蔵省との折衝の経過その他一般的に承わりたいと思います。
  121. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 今日までの経過につきまして御報告申上げます。  建設省としましては先には衆議院の災害特別委員会の御決議あり、参議院の特別委員会の御決議も頂きまして若干の点では相違しておる点もあるようでございますが、大部分の点は一致しておるのでございまして、建設省としてはこれを国会の御意思、又国民の要望であろうとかように考えましてこの趣旨に副うてこういう地域指定が実現しますように実は大蔵省折衝しておるわけでございます。現在のところはやはり大蔵省としては全体の金額、いやしくも政令を作るという以上は、どの程度の経費がかかるということを検討したいという状況のようでございます。我々としましても、勿論それは当然そうあつて止むを得んことだと考えております。そこで実は困つております。と申しますか若干私のほうで、もたついておりますのは、建設省の災害関係だけでこの法律を適用するかどうかというのをきめるのでございますと、まあ不完全ながらも、相応の資料があるわけでございますけれども、農林省関係、厚生省関係、こういうものも、被害額、従つて復旧所要額も合算した上で考慮せにやならんということになつて参りますと、なかなかその計算に手間が取りまして、この点誠に申訳ないのでございますが、実情はそういう状況になつております。率直に申上げましてこの御決議にいろいろ意見を申上げるならこれは別でございますけれども、そういうことをすべきでもありませんし、と言つてこのほうで計算いたしますと大変時間もかかりますので、まあ適当なところで一つ我々のところでない、もう少し高いところで御検討、御決定願う以外には、事務的にやりますとなかなか時間がかかるのじやなかろうかと、かように心配いたしております。  それからなお、それが地域指定考えでございますが、やり方、今日までの経過でございますが、その次に要望いたしました事項、政府に対する要望事項につきまして、私のほうに関係しておりますと思います分につきまして一応現在のところの状況を申上げたいと思います。  第一番目の繋ぎ融資の件に関しましては、前回の委員会において御要求もありましたので、資料として今日刷物を御手許に差上げておりまして、一応御覧願いたいと思いますが、昭和二十八年発生災害復旧土木事業費に対する融資額調というのを差上げておりまして、御承知通り地方公共団体に対す、る融資総額八十四億、これに対しまして建設省所管の土木関係に使われたと県から報告が参つておりますのが四十七億でございます。まあ今回の災害地方の総被害額に対して建設関係被害の占める割合は大体こんなものじやなかろうかと思つておるのでありまして、配賦された、融通された繋ぎ資金の範囲内での使い方については、まあこんなものじやなかろうかと思つております。そこで今後繋ぎ資融をどんどん出して、そして復旧を促進すべきじやないかという御覧がたびたびあるわけでございますが、我々も誠に賛成ではございます。で、大蔵省も、必要なものならばあながちこれを締めるつもりはないと言つておるような模様でございますが、実はこういうところで申上げて如何かと思いますけれどもも、先般建設省で全国の土木部長を集めて会議をやつたのでございますけれども、まあ公の席上では繋ぎ資金を非常に早く出してくれなければ困るというような強い要望もありませんので、一応この程度で間に合つておるのじやなかろうか、かように考えておる次第でございます。これは或いは建設省も勿論、地方の土木関係職員の関心が薄い点に或いは原因があるのかも知れませんけれども、現在のところは土木部長会議を開きまして要望が大してありませんようだつたというようなことからして、一応この程度で何とか賄つておるのじやなかろうかと、かように考えております。  それから国庫補助金を概算交付することという点でございますが、実は概算交付というその文字は形式は別といたしまして、査定の済んだ分につきましては、どんどん出して頂きたいということを大蔵省要求いたしております。五月までの災害に対しましては、金額は少額でありましたけれども、一応国庫補助をいたしたわけでございます。その後の分につきましては御説明いたしております通り、大体緊急工事については査定も終つておることでありますので、その分だけでも至急に国庫補助をして頂くようにということを大蔵省と交渉しております。大蔵省もこれを抑えておるわけではありませんが、ほかの省の関係もあるから、もうちよつと待つてくれと言われておるような状況でございます。  それからたくさんありますので、六番目、堆積土砂の排除に関する特別措置法の異常に大量な泥土の、これは二千立方メートル以上とすること、こういう御要望でございますが、これに関しましてはやはり衆議院でも同じようなことがきまつておりますので、こういう計算の下に大蔵省に交渉いたしております。これにつきましては、お手許にお配りしました資料の中に厚いので、「昭和二十八年六月及び七月の大水害についての市町村別の泥土量、及びその排除事業費調」というのを差上げておりますが、この第一表には現在報告のありましたのを全部拾つております。これを総合計しますと、金額にして百二十九億、この泥の取除けに要すると、こういう一応の報告になつております。  その次にいろいろ基準考えまして、この御決議通り、二千立方メートル以上のところを全額国庫補助で排除するといたしますならば、百二十九億かかりますとか、仮にこれを三万立方メートル以上に絞つたと仮定すればどうなるかというような数県をあの表の中に差上げておりますから御覧願いたいと思いますが、やはり大きく絞つても細かく拾つても、そう金額には違いがないような、一応の報告になつております。  それから七番目の中小河川を再検討し、その公共の利害に影響すること大なるものは直轄河川とする。これは建設省としましても、至極く御尤もなことと考えまして、いろいろ検討しておるわけでございますが、目下政府において検討中の治山治水根本対策の一つとして当然若干のものは直轄河川でやるというようなことになるであろう、かように考えております。  それから八番目の長崎北松地帯をはじめ、和歌山、福岡にも若干ありましたが、そういうところの地辷りの危険家屋の退去に要する家を建替えるものの補助の問題でございますが、実はこの問題と、それから半壊住宅の補修費に対する補助の問題、これらの点につきましては起債について、大蔵省としよつちゆう相談しておるわけでございますけれども大蔵省としては法律の裏付のあるいろいろの事業の地方負債分についての起債ということも、まだはつきりきまらん現在、ここまで幾ら出しましようと言つて、どうもきめにくいというので、一向に交渉が進まんという状況でございます。私のほうとしては家の補修費の補助などというのは、いずれにしても大した金じやないのだし、急ぐのだから何とか一つ考えてくれということで、今日もまだ局長が大蔵省に出向いて交渉しておりましたけれども、はつきりした結論に至つておりません。  それから十番目の土木機械、これはすでに熊本地方西日本の災害に際しまして若干のものを災害対策予備費から購入して貸しておる状況でございますが、今後これを大いに活用してやつて行きたい、かように考えております。  それから十二番目の住宅の単価の問題でございますが、これは現在の単価ではやつて行けないという声は非常に強いものがあります。たしかこれは三割上げたらというような案が衆議院でございましたか、あつたのでございまして、どうもそこまではなかなか行きかねるかと思いますが、何とかしなければいかんということは大体皆も納得しておるようでございまして、できるだけこの御要望の御趣旨にも副うようにしなければならんと我々も身に泌みて考えております。  十四番目も大体同じような御趣旨かと思いますので省略さして頂きます。
  122. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑のあるかたは願います。
  123. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちよつと建設省にお聞きしておきますが、公共事業費のうちには単独災害復旧費を当然含むものと考えてよろしうございますか。
  124. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  125. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。只今懇談会中に話の出た点で改めて建設当局に御答弁頂きたいと思いますが、それは適用地域指定基準の件で、我が特別委員会では、公共事業復旧費を先般申入れたように四項目に亘つて定義ずけております。政令によつて地域指定をやる場合に一つの物差しとして標準税収入を比較する場合には、この規定してある四項目に関する災害復旧費総額を以て標準税収入と比較すべきである。こういうように本委員会は決定しておるわけでございますが、建設当局としてはこの参議院の特別委員会趣旨通りに今後大蔵省折衝を続けて頂けるかどうか。建設当局の御見解を明確に承わつておきたいと思います。
  126. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) この御決定の御趣旨従つて今後大蔵省折衝する考えであります。
  127. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それから次にこれも先般本委員会意見が一致して要請しておいた点ですが、排土量を測定する場合には、当初の建設当局の案では公共用地に堆積した泥土量だけを以て計るということになつてつたのに対しまして、本委員会としてはそれは公共用地の堆積土量だけでは不適当である。従つて計画局から出たこの表のその他というものも加えて公共用地プラスその他、その計の泥土量を以て泥土の量を計るときの基準とすべきだ。こういうように意見は本委員会としては一致しておるわけでありますが、そういつた問題に建設当局は再考して頂けたものとこう考えるのでありますがその点についてお答え願いたいと思います。
  128. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) その方針で考えております。
  129. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それから次に、それとも関連するのですが、これも先般問題の出た点でありますが、公共用地とその他ということになりますと、例えば建設省の計画局所管の家屋の排土量、それから農林省の農地局所管の農地の排土というようなものが同じ地域にあり得る場合があるわけですが、これに対しては先般の委員会で農林建設大臣立会いの上で、双方で十分連絡をとつて非能率にならないように一本の形でこの事業をやる、こういう答弁がなされておつたのですが、その後両者間の話合ではつきりこういう方針がきまつたかどうかという点もこの際承わつておきたいと思います。
  130. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) この問題はやはり適用する法律が別の法律になつておりますから、計算するについては第三条によるものが幾らと、第九条によるものが幾らというふうな計算の基礎はどうしてもつけなければいかんと思いますけれども、まだ排土していないところを排土するに際しで、工事を一緒にやつたほうがいいというような場合には、当然県としては一緒にやるだろうと、かように考えておりますし、我々もそう指導したいと思う。別にまだ農林省とは事務的な話合をしておりませんけれども、これは当然のこと私は考えておるわけであります。
  131. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 附加えて承わつておくことは、先刻第十三号の台風について松岡委員から質問がありましたように、再災害の直轄河川があるという報告を聞いたわけでありますが、先刻の本院の要望事項に対する、答弁では、若干の河川と直轄河川としてやるべく考慮しているという御答弁ですが、今のところ今次の災害に照らして、建設当局はどの程度の中小河川を検討した結果今後直轄河川でやるとう方針を示めされているのか。この点もこの際御答弁頂きたいと思います。
  132. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) これは具体的にまだ決定しておりませんが、今次の災害につきまして、治山治水の恒久対策を今検討中でございます。只今それによりまして処理して行きたいと建設省で考えておりますのは、河川は一水系について考えて、そいつを一元的に管理して行くという根本方針をきめて、それによつて河川を処理して行くということにして行きたい。それには河川法等の改正も伴つて参りますが、その方針はどうしてもこの際年来のそういう希望なんですが、この際是非ともそれを実行して行きたい。それにつきましても直轄河川の区域も相当拡がつておるのだろうと思いますが未だ具体的にどれを入れるということについてはきまる段階になつておりません。
  133. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) もう一点、それは排上法は当院の議員立法でありますので、それだけに当特別委員会関係の深いわけですが、先般当委員会は異常にして、大量な泥土量とは二千立方米であると、こう一応の解釈を下して申入れたわけですが、建設当局と、大蔵当局の交渉の今の段階は如何なる状況か御説明頂きたいと思います。
  134. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) まだ話は全然ついておりません。と言いますのは、御承知通り非常に以上に、多量な泥土というのをきめるには、何にもきめる物差はないのでありまして、我々としては止むを得ませんから、国の最高機関である国会の議決に従う以外には方法はないという考えを持つておりますけれどもやはりいろいろ意見がありまして、まだ話がついておりません。大蔵省はやはり財政の面から考えて行かなければしようがないのではないか。そつちのほうから非常に多量な泥土というのを結果的に割出そうとしておるのではなかろうかと思つております。私のほうと大蔵省と事務的に幾ら折衝しましても、これはどうにもきめ手は出ないと思つております。やはり私のうほとしては国会の御決議があり、更に地方の負担能力というものを考えて行くよりはかなかろうと思つております。ただ、ここで一言申上げたいと思いますのは、この泥に関する事項が法律できめられたのは初めてでございまして、国が関係したのも初めて県が関係したのも恐らく初めてだろうと思います。従いましてこの法律を適用するにつきましては、非常に面倒な問題がたくさんある。まあ例えて申しますれば、あの法律を拝見しますと、公共施設の上の泥土はこれがその公共施設の本来の機能に障害があろうとなかろうと、県知事が持つて出ると言えば、全額国庫補助をしなければならぬような一応建前になつておりますけれども、これもそういうことはそう非常識なことをやる知事もあるまいと思いますけれども、この辺もどの程度それじや排土しようかというようなことについてて建設省と知事とよく話合わなければならん問題だと思います。  それから又排土するよりか、適当な施設をして、今後それ以上もう崩れぬというようなことをしたほうがいいと言う場合も中にはあろうと思います。その点についても県当局とよく話合いしなければならぬ問題がございます。更に又すでに大部分の土はもう主要な箇所の大部分の泥土は排除されておるのでありまして、果してどれだけあつたかというようなことを通常言葉で言いますと査定と申しますが、そういう点についてもよく知事と話合わなければいけまいと思つております。これは若い職員をやつて村の当局とかそういう方々と直接折衝させますと、いろいろ問題を起す危険もありますししますので、建設省としても相当の責任者が現地に出向いて、知事なり土木部長というような人とよく話合いまして、経費も国費も余りかからず、地方民もそれで約得頂けるというようなところに落ちつけるように、実際の処置をとらなければならんと思つております。まあ非常に面倒な問題が起るだろうと思つております。
  135. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  136. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。建設関係の質議をこれを以て終ります。  続いて通産省関係質疑に入ります。  先ず中小企業庁振興部長石井君からその後の件について説明を願います。
  137. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 中小企業に関連いたしまする災害立法の附属政令につきましては、先ず被害中小企業者に対しまする金融を促進するために作られました中小企業信用保険法の特例に関する法律の施行例があるのでございます。本件につきましては法律が八月十五日に公布せられますると同時に、附属政令を以ちまして地域指定並びに特免いたしまする保険料率の指定をいたしておるのでございます。これは御案内のごとく信用保険制度それ自身が政府事業として行われておりまする関係上、法律通りますれば一日もこれなくしては作業ができないわけでございまするので、取りあえず地域は奈良県、和歌山県、山口県、福島県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県の八県といたしましてこれを指定いたしたのでございます。  又保険料率を逓減いたしたまするのでございまするが、これは一般の金融機関に対しまする保険料率は百分の五十四即ち年二分の割合でございます。それから府県にございまする信用保証協会、これに対しまする再保険料の特免につきましては百分の三十六、一分三厘と相成るのでございます。この政令を公布いたしましてすでに実施いたしておるのでございます。今日までのところこれによりまして公布されて資金の融通されましたものが百二十四件、九千百四十七万五千円という報告が参つております。但しこの報告は金融機関が貸付を実施いたしましてから三週間以内に事業主体でございまする中小企業庁に報告いたすことになつておりまするので、事実はこの数倍の資金の貸付が本制度によつて行われておることと推察いたしておる次第でございます。  次に中小企業者に対する、小企業者に対する資金融通の特別措置法、これに基いての政令でございまするが、この法律と同様な措置が、例えば農林漁業者に対しまする資金融通でございますとか、或いはたばこ耕作者に対する資金融通とかいつたような同様な立法が多数ございまするので、本件の政令につきましては、政府の行政に統一を保持せしめる必要があるという考えから、各省の間に地域等の指定でそう隔りがあつてはならぬという見地から、歩調を合せることに努力いたしておるのでございます。その丁度中途におきまして国会から地域指定についての御意見が出て参つたわけでございます。これによりますると相当我々が今まで考えておりました地域とは異なりまして、相当広範囲に亘りまして地域指定をいたさねばならぬかと思うのでございます。即ち九州及び近畿の八県程度では足りないのでございまして、細かく当りますると、これを府県を単位として数えますると、二十数府県になるということだそうでございまするが、勿論その地域には確たる中小企業者はなくて、単に農林漁業者だけが被害者である場合もございましようしいたしまするが、実は国会からの御意見通りにいたしますると、非常に山間僻地といえども小規模の、まあ山間僻地でございますればございまするほど、小規模の商工業者に相成るわけでございます。これがないというわけには保障できないわけでございまするので、この点につきましては各省と連絡をとりつつ、政府の方針がきまりました線に副いまして、地域指定いたそうと考えておる次第でございます。  なお政令そのものは、内容は極めて簡単でございまして、先ず第一に政令で定める事業、いわゆる中小企業者と小企業者の行いまする事業の種類を特定いたす必要があるのでございます。これにつきましては、おおむね現在行われておりまする中小企業信用保険の指定業種と同じ範囲、即ち物品販売業、物品製造業、或いは物品の保管業運送業といつたようないわゆる固い商売と言われるものを洩れなく指定いたす考えでございます。  それから第三番目の問題といたしましては、貸付の利子補給の手続の問題があるのでございまするが、利子補給の手続といたしましては、府県に法律が、きめられました二十億という利子補給の対象となりまする貸付の総枠の枠を配分いたしまして、その範囲内で府県で利子補給の措置を講じて頂きまして、その補給利子額の半額を国庫が負担するための請求の手続を明らかにするという考えでございます。  以上が政令についての現在の進行程度でございまするが、大蔵省方面におきまして、各省各庁の災害立法についての地域指定につきましては、これを調整して統一する御方針のようでございまするので、この政府の方針が明らかになりますれば、直ちに政令を公布して実行に移して参りたいと考えております。なお、九州方面乃至は近畿方面の各府県とは事実上の連絡はとれまして、府県におきまして、利子補給の地方条例、県条例等を公布条件もある程度までの段階に取運んでおる次第でございます。  続きまして、去る九月十九日に当委員会から私どもに対しまして御要望のございました点につきまして申上げたいと存じます。御要望の中心点をなしまするものは、第十三号にございまする中小企業の迅速なる復旧を図るため、国民金融公庫の融資の枠の拡大、並びに貸出手続の簡易化を図ると共に、商工中金、農林中金等の金利を引下げることという点でございまするが、国民金融公庫につきましては、先ほどの災害のための特別融資額といたしまして、十一億円を決定いたしたのでございます。これにつきましては、鋭意貸出しを急いでおるのでございまするが、現在私どもが手にいたしまする資料によりますると、貸出しの実行されておりまする額が、総額七億三百七十万円、件数にいたしまして五千百六十三件ということと相成つておるのでございます。公庫の方針といたしましては、九州方面につきましては十月十五日までに、それから和歌山、奈良両県についての貸出は十月一ぱいを以て、予定の資金量を全部貸出しを終了するつもりで業務を急いでおる状況でございます。当初和歌山県等につきましては、当委員会からも御指摘があつたのでございますが、非常に貸付が煩瑣複雑であるという御非難もあつたのでございまするが、調査いたして見ますると、例えば和歌山県御坊等におきましては、代理業務を行なつておりました信用金庫が壊滅いたしまして、その業務体系がなかなか整わなかつたというような事情によるものということが判明いたしたのでござごますが、これらの点は逐次改善されておるわけでございまするので、九州方面では予定の十月十五日、紀南方面におきましては十一月一ぱしで十一億という予定の枠をすべて貸出し得るものと思つておるのでございまするが、なおこれで足りませんという状況でございますれば、御要望に副いまして、融資枠の拡大を考慮いたしたく存ずる次第でざいいます。  貸出手続の簡素化につきましては、昼夜兼行、大いに努力をいたしておりまするのみならず、先ほど申上げましたような一時の手違いがあつたのでございまするが、現在では大いに改善されておりまして、担保等を取るのはむしろ異例の事例に属するような状況でございまするから、これはこの上とも督励いたしまして、御要望に副いたいと考えておる次第でございます。  最後に、商工中金の金利を引下げよという御意見につきましては、従来とも商工中金の金利は高いという評判がありまして、私どもといたしましても、できる限り資金コストを引下げまして、安い金が中小企業者の手に渡るようにということに努力を続いて参つておるのでございますけれども、どの程度に金利を引下げよという御要望なるやは、この文面だけでははつきりいたしておりませんけれども、そう大幅な金利を、現在の資金コスト、業務態容というものからは、容易に期待できがたいのでございます。併しながら災害復旧といつたような特例の場合でございまするから、こういう場合にはやはり今回の特別立法にございまするような、むしろ利子補給という積極策を講ずるにあらずんば、なかなかに御趣旨にございますような金利引下げはできないのではないかと思うのでございます。  考えて見まするに、今回の災害によりまして受けました中小企業者の復旧資金につきましては、国民金融公庫を十一億、中小企業金融公庫を、これが先頃から開発銀行でやつてつたのでございますが、中小企業金融公庫十一億、即ち二十二億という政府資金は六分五厘という一般市中金利に比べますれば、約五%低利の資金で供給されておるのでございます。又先頃の立法によりまして、二十億の資金は一口二十万円というような小口の業者に限つてではございまするけれども、これ又五%の利子補給を以て貸出されることに相成るわけでございまして、かれこれ考えますると、約四十二億の資金が五%程度一般金利よりも低率で供給されておることに相成るのでございますが、勿論今回の災害の規模の大なこと、並びに復旧費の莫大なことから考えますると、この程度を以て十分とは申しがたいと存ずるのでございますけれども、四十二億の五%の金利源は財政負担といたしましても、二億程度を中央地方を通じて、これを負担いたしておることになつておるのでございまして、今後一般的な引下げには、大いに私ども努力をいたす考えでございますけれども、今回の特別立法並びに政府自身において行いました施策によりましても、相当程度低利な資金は復旧資金として中小企業者の手に渡つておるということが言い得るのではなかろうかと存ずる次第であります。
  138. 高野一夫

    高野一夫君 先般先週の十七日、私は和歌山の御坊の例を挙げてお尋ねいたしたわけですが、それを中心として只今説明もありましたので、おおよそわかりましたが、当時お願いしたのは、国民金融公庫の金の貸出しについて、どういう条件が要るか。簡単で結構ですから、それを今度の災害復旧のために中小商工業者に貸せるためにはどの程度緩和しているか。例えばもうこれこれの担保は必要なのだけれども、担保は要らんとか、そのほかもつと今度の場合に迅速に、そして簡単に貸出させるために、どの程度の具体的の緩和策を講じて指令されているかどうか、それをちよつと簡単に伺いたい。
  139. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 高野先生から御指摘の点につきましては、先頃小委員会に刷物を以ちまして一応の要綱をお配りいたしたのでございまするが、要点といたしましては小委員会に提出いたしたのでございますが、なお後刻届けさすことにいたしたいと考えております。中小企業金融公庫、国民金融公庫におきましては、担保関係を申しますと、先ず担保は取らないのが普通なのでございまして、担保がなくてよろしい、人的保証、或いは従来の納税の実績、そういつたような極めて卑近な外形によつてどんどん貸付けをいたしておるわけでございます。なお営業時間等は昼夜兼行でございまして、大阪方面からも応援を出しまして、応接に当らしめておつたという報告が参つておるのでございます。ただ所在地が和歌山県自身でございまして、和歌山に出向いての折衝乃至は借入れの申入れということにつきましては、非常に不便が多かつたということは公庫自身も自認いたしております。御坊の信用金庫が代理業務で主としてその代理店を通じての融資を期待しておつたらしいのでございまするけれども、これが暫くの間全然営業はできませんで、そのために起つた困難であつたということを公庫から申しております。国民金融公庫の融資単位というものは担保は取らないで、貸出しますのが原則なのでございまして、この辺からの不便摩擦というようなものは先ず私どもなかろうと考えておる次第でございます。
  140. 高野一夫

    高野一夫君 先般も詳しく私は申上げた通りに、とにかく御坊の町においては只今調査の結果の通り、そういうような不便なことがあつた結果であろうと思いますが、至るところでどうも国民金融公庫から金を借りるに、平生の場合とちつとも変らないような態度で我々に迎えるというような非難を頻々として受けるので、質問申上げたわけなんですが、どうかこの点は極めて大事なことであるし、殊に今伺うと、十一億の国民金融公庫の枠をすでに設定した。ところが実際において貸出したのは七億三千万円余りだという説明であつて、皆金を欲しがつているのに、まだ十一億のうちに四億も貸出すことができないで余つているということが私はどうも不思議でしようがない。みんな金を欲しがつているのだから、十一億でも足りないはずで、十一億の金があれば右から左に金はなくなるはずだ。それをまだ四億も残つているというのなら、私はどつかに欠陥があるのだろうと思う。それがあなた方の説明を聞くと、成るほどその御努力の点も、又お考えの点も我々ぴんと来るのですが、未だに四億も金が余つているというのは解せないのです。
  141. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 大体公庫の貸出方法といたしましては各資金額の半額程度は公庫が貸出す。残り半額は代理金融機関を通じて貸出させる。従いまして代理金融機関、即ち信用金庫等について貸出を受けます時分には、これは公庫自身と申しまするよりも代理金融機関の融資方針、これも若干の保証責任を負いまするので、そのほうの態度の固いことから来ておる御非難ではなかろうかと思うのでございます。十一億のうち七億しか貸出がなされていないというお話でございますが、只今申上げました通り十月十五日までで九州方面は予定額十億を全部貸出してしまうという予定でございまするし、奈良、和歌山につきましても十月三十日までで全部貸出をいたすという基準でいるのでございますから、その点は今後とも督励をいたしまするということで御了承願いたいと思います。
  142. 高野一夫

    高野一夫君 これは別に中央のあなた方を責めたところで始まらんので、別にどうこうということではないが、あなた方のお考えは我々の考えにぴつたりしているというので、その点は安心でありますが、これは結局末端の問題なんです。ですから十分末端に適切な指令を今後とも出して頂いて、迅速に貸出し借受けをできるように一つ督励をお願いしたいと思います。以上で終つたわけであります。
  143. 松岡平市

    ○松岡平市君 行商人、これは田舎に店舗も何も持たないで魚を買つて来て売り歩く、或いは野菜を売つて歩く、蜆貝を売つて歩く。これは一体どういう業種でございますか。
  144. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) これはやはり物品販売業として取扱うつもりであります。但し営業所という観念はないのでありますがその居住所を営業所と見て中小企業信用保険法、或いは利子補給法を適用して行く考えでございます。
  145. 松岡平市

    ○松岡平市君 中小企業庁ではそういう旨をそれぞれ隷下機関にこれを中小物品販売業者として店舗を持たないけれども、取扱えということの御指示をしておられるでしようか。
  146. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 先頃成立いたしました信用保険法の特例の解釈といたしましては、その向きを各金融機関及び府県庁通産局等に指示をいたしております。
  147. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) これを以て中小企業庁関係質疑は終了いたします。  なお只今緒方総理が本委員会出席されました。そのほか現在本日審議未了の各省関係では自治庁の財政部長、農林省官房総務課長大蔵省の主計局次長が出席されております。副総理から発言を求めておりますので、これを許します。
  148. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) この前の本委員会におきまして委員長から御質問がありまして、大体二十五、六日頃までには政令を御内示し得る段階に参るであろう、何らかの御連絡をとり得るようになるということを実は申上げたのでありますが、その後大蔵省としていろいろ研究をしおりまする間に、衆議院側の委員会から一度懇談をしたいという申出でがありまして、私その席に出ていろいろ懇談を重ねたのでありまするが、大蔵省調査の途中、我我が考えておりましたことにつきましても、衆議院側の意向を重ねて質すことができて、非常に便宜を得た次第でございます。そういうことから思い付きまして、実は昨日朝矢嶋委員長にお目にかかつて参議院の委員会とも一度御懇談をしたいということを申出たのでありまするが、すでに本日公報を以て委員会が召集されておりましたので、取りあえず委員会を開いてその上にそういう機会があるかどうかは相談の上にしようというお話であつたのであります。  で私どもの立場で御懇談をできれば得たいと思いまするのは、この二十四の法律考え方、これはもう国会の考え方で行政府のほうからかれこれ申すことではないのであります。これを実施するに当りまして、政令基準ができたのでありまするが、その基準によつて政令を起草いたして参ろうとする場合に、行政府側としての一つの問題点は、この基準で参ると、大体すべての地域が入る、殆んど九分九厘入る。そこで我々のほうの考え方は、今度の災害が稀有の災害であつたので、できるだけこの対策につきまして最善を尽すことは申すまでもないのでありまするが、できるだけ重点的にやるのが筋ではなかろうかという考えで見まするというと、多少この政令基準をおきめになる考え方についてはかれこれ申しませんが、多少絞る余地がないかどうか。それからもう一つの問題点は、この高率補助一つの先例ができました場合、日本は何と申しましても御承知のような災害国でありますだけに、今年も昨日のような台風が参り、今後も又それが繰返されぬとは期しがたいのみならず、今後将来に亘りまして災害がないということはこれは何人も保障ができんのです。そういう点を考えまするというと、この稀有の災害の善後策をどこまでも厚くしたい気持は申すまでもないし、又補正予算を組むに当りまして、優先的に災害対策考えるという気持に動きはありませんけれども、ただ財政の点から見まして、若し多少とも絞れる点があれば絞つてもらえないかどうか。繰返して申しますが、考え方についてはかれこれ申すのではないのであります。ただ今のところ一兆の枠で、その枠内で補正予算を作るといたしまするというと、如何にも窮屈でどうも十分のことができないのであります。そういう意味から重点的に、多少とも重点的にやつたらどうかというようなことに考えております。  一度御懇談をしてみたい。衆議院の考え方は私ども確めた点でありまするけれども、参議院は又別なお考えがあ、るかどうか。矢嶋委員長も重点的に考えるほうが考え方としては正しいのではないかというお話もちよつとありましたし、それがこの基準を扱います上にどういうふうに具現されますか、そういう点も一度御懇談をして、そうしてその上で政令の起草を急ぎたいとさように考えておる次第でございます。そういう点につきまして今日いろんな御意見を伺い得れば仕合せだと思います。
  149. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 副総理から御要請のありました懇談会の件については、後刻委員会で御相談して、そして御返事申し上げたいと思います。ただここで委員長として一、二お伺いいたしたい点は、実は先般申し上げましたように、この政令については我々は関心を持つておると同時に、この立法者の意向も織込まれたところの政令が出て欲しい、ついては政府は大体責任答弁のできる時期を見計らつで、委員会を開いて政府政令に対する考え方を承わつて、一応政令が出される前に検討する機会を持ちたいという立場からお伺いした結果、まあ二十五、六日頃一応政府政令に対する考えが固まるからという副総理の十九日の御答弁に基いて、まあ本日閉会中委員各位に集まつて頂いた次第でありますと同時に、十九日副総理にも手交しましたように、政令に対する基準、それから調査に基くところの要望事項、この二件を決議いたしまして、各省に申入れて、それに対する検討を要請し、それに対するところの各省の見解並びに大蔵当局との折衝の経過並びに結果について本日の委員会報告してほしいということを申入れると同時に要請しておきました。その角度から本日午前中以来各省にその答弁を求めた結果、集約するところ、大蔵省に全部行つてしまうわけなんですね。それで結局大蔵大臣並びに事務当局がこの各省の考え方を如何に取入れ、如何に調整して行くかという、まさに大蔵省の一点にかかつている。而もこの政令災害地としては一刻も早く出して欲しいこういう要望がありますので、ここでまあ我々が是非承わらなくちやならぬ点は、各省では相当に考えもまとまり、進んでいるようですが、先ほど申し上げましたように、大蔵省の一点にひつかかつているわけですが、大蔵当局としては、或いは災害対策本部としてはいつ頃の見通しを立てておられるのか。その点は今後の私どものこの委員会の運営とも又至大な関係がありますので、その大体見通しというものを一つお聞かせ願いたいと思います。
  150. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 先般来大蔵省考えました結果、今のような懇談の機会を得まして、それはもう余地のない話になりまするかどうか、それを一度確めますれば、そのあとはそう長い日はかからないと思います。その点今事務当局からお答えをいたします。
  151. 原純夫

    説明員(原純夫君) 政令地域指定いたします場合に、このいろいろ研究を進めておるわけでありますが、遅れておつて誠に申訳ないと思います。御懇談の結果この大きな線がまとまりますれば、あとの整理は恐らく出ますまでに一週間か十日ぐらいは出るのではないか。なお今若干待つておりますのは、一部のこの資料、つまりこういう基準をきめたならば、増加所要額が幾らになるだろうかということにつきまして、或る分については資料がまとまつておりますが、まだまとまつてないというような部面もございまするので、そういうようなのも只今待ちながら一方で研究を進めておるという状態でございます。
  152. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑のあるかたは質疑を願います。
  153. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 だんだんお話を伺つておりますと御尤もなことだと思うのです。要は得て選挙をされた人たちが主張し勝ちな、いわゆる薄くても広くと考えるか。そうじやなく、もうすでに或る一部新聞の論説には批判して載せているように、そういつた傾向をこの際やめて、そうしてやつぱり重点的に行くべきかと、まあこういう問題と来年度予算の規模という問題との関連であろうと思うのです。で、一部には立法府であるから、我々の立場、我々の考え方というものを端的に述べ、そしてそれを要求し、そうしてその実現を図ればいいんだという説も勿論ないわけではないが、私の考えに従えば、全体としてですね、やつぱり予算全体としてのいわゆるインフレの虞れありとか言われるような議論もありますが、規模というものとその財源というものとの関連の中において我々の主張というものを反映してもらうという線をどこに見出せるかという点が結局は問題点だと思うのです。だから私は今大蔵省のほうからもお話がございましたが、恐らく大蔵省の事務的な立場から言えば、この基準というものを、標準税収入の何倍までを被害を受けたところを、この特別立法を適用し、他の問題についてはどういうふうにして、そうしてそれを年度別に、例えば二年間で、今時期も遅くなつたから五・五にするとか、或いは又心ならずも三・五、二・五を少し曲げた程度の三年計画にするとかといつたようなことでの、いわゆる機械的なことで大蔵省自身の作業はもう行くまでに行つているべきはずであり、行つていると思うのです。だから根本はその問題を一つ裸になつて話ができるものであるならば、懇談という機会で大蔵省も入つてもらつて、いろいろと話合うということが、端的に言えば、私のような緑風会に所属しておる者の立場から言えばそういうふうに思うのです。
  154. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 三浦君から意見が出ましたが、その点についてはあとで更に協議をいたしたいと思いますが、私もうちよつと委員長として若干承わりたいと思うのです。それはこの災害復旧については、ともかく早くやらねばという基本的立場に立つて第十六国会の終りに九月下旬国会開会ということを決議要望したわけです。衆議院側は成規の手続をされたわけですが、それが非常に国会開会が延びておる。一方その災害地から早く国会を開いて予算化して欲しい。政令を出して欲しいと矢のような催促でございます。そこで私は、これは原主計局次長に事務的な立場から承わるのですが、これから方針がきまつて政令をこしらえる、予算編成する、それはどのくらいかかるかですね。それを政治的でなくて、事務当局のあなたの立場から、これから政令を作るのに何日、それを予算化して、まあ事務当局の能力補正予算を作り上げるのにどのくらいかかるか。それを一応私は次の点を承わる必要上、お答え願いたいと思います。
  155. 原純夫

    説明員(原純夫君) 政令の仕事でありますが、これも今お話の出ました補正予算とやはり実際上からんで参りますので、実際上は大きな県等は補正予算の作業の進行というようなものにかなりに影響されるのではなかろうかというふうに考えますのですが、この仕事だけの見地、政令だけを固めるという面で行きますれば、只今もう法律適用の対象を如何なる基準政令をきめたならば、どういう結果になるかと、つまり増加所要額の数県的な見当が、大体見当が付くというようなものが揃う段階になりますれば、そして補正予算についての大きな肚がまえがおできになる時間になれば、できるんじやないかというふうに思います。  補正予算のほうの作業についてのお尋ねでありますが、これは補正予算をどんな形で、そしてどういう項目までを入れて参るかというようなことにも関連いたしまするので、私からはちよつと事務的な見地だけでは申上げかねますので、御了承頂きたい。
  156. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) そういうことは、じや副総理にお伺いいたしますが、政令を作つて補正予算編成して臨時国会を召集する、その補正予算の審議にどのくらいかかるかということは大体目安は立つと思うのです。そうなると議決されたところの予算というものは、災害地に現金が流れて行くのはいつか、こういうことが計算上出て来ると思うのですね。それを一体どのくらい目安を立てておられるかということ、それと関連して参ることは先般の委員会でも副総理はここで答弁されたのですが、国会は延びたと、災害復旧に困るから査定が済んだら繋ぎ融資を或る程度出すなり、或いは前払いということもできると思うから考えたい、こういうふうに答弁されておられる。ところが今日午前中建設関係を聞きますと、建設省は大体査定が済んだので、それは済んだ分については、災害復旧その他で出して欲しいということを大蔵当局に強く要望しておる、こういう報告がありました。併し現在まだ出ていないわけですね。そこでその予算編成、国会にその予算が流れて行く時期、それまでのブランクを繋ぎ資金なり或いは前払いで如何にこれを付けて行くか、この点についてのお見通しをお聞かせ願いたいと思います。これは災害地としては非常に災害復旧の計画を立てるのに密接な関係があり、是非とも或る程度明確な答弁を頂きたい。
  157. 原純夫

    説明員(原純夫君) 補正予算提案されて、御審議されますまでのいろいろな措置予算といたしましては災害の予備費を出して参るという問題でございますが、これは先般も委員長お話の通りの御要望がございまして、できるのではないかというふうに申上げてあるわけでありますが、取りあえずペンデイングになつておりますのは約十億に近い金額、これはお話の補助の部分ではございませんで、この千曲川等直轄河川の直轄工事をやりまするすでにこの金が十五億ぐらい災害予備費から出て、それでスピード・アップをして工事をやるというふうになつておるのでございますが、それが切れて参るというので、それの継続を賄いますための予備費を只今考えております。それからその他災害関係でいろいろ補助以外の雑件でいろいろな案件がございます。これも只今審議いたしております。極く近い時期に出て参るというふうに考えております。補助の部分につきましては一部極く初期に出ております。これは五、六億であつたと思います。前払いと申しますか、当時私おりませんでしたので、詳しい内容は存じませんが、恐らくそういう極く概算的なものだろうと思います。その他の補助関係につきましては繋ぎ融資が大きく当座を賄うという作用を営んでおりまして、御承知通り只今まで八十四億円ばかりが繋ぎ融資で出ておる恰好でございます。今当座それだけの処置でやつて頂いておるのでありますが、今後につきましては直轄文は大体臨時国会の時期にもよりますが、何とかそれで繋いで行けるのではなかろうか。補助の分につきましては各省からのそういう概算での何といいますか、要求というよりも、今お取り上げになつておる、はつきり被害額をきめ、復旧額をきめての形で持ち込まれておる。全部ではございませんけれども、持ち込まれておりますので、その面で只今作業をいたしておるわけであります。臨時国会までの間に、資金が非常に詰つて来る一方、補助は多分出るであろうというような補助の最終的な形がだんだんとはつきりいたして行くにつれまして、繋ぎ融資にしましても先般申上げましたそういう今後に大きな裕りはないけれども、まだ若干あるというようなものが出て行けるのではなかろうか。補助のほうはなお場合によつて必要であれば概算ということも考えるというような段取りに相成ろうかと思います。なお災害予備費の経理でありますが、只今つておりますのが、五十五億円でございます。これが先ほど申上げました直轄河川、或いはその他の農業災害等の分に出ますのが、二十六億ちよつと上廻る程度のものが極く最近に出て参る見込みでございます。そういたしますと、三十億ちよつが、なるほど実は官庁営繕その他一般災害に待たしてある分もございますので、そういうようなものもいたします。昨日の颱風がどういうふうな被害か、だんだん詳報が入りますれば、その分について直轄河川が切れましたというような部分は繋ぎでは参りませんので、やはり災害予備費を出しまして、すぐ緊急の工事にとりかかるということにもなりますので、只今お話の概算で予備費を出して参るということはできることはできるのでありますが、非常に大巾にできるというふうにはちよつと行きねるのではないか。概算災害予備費並びに繋ぎ融資両方そんなような感触でおるわけであります。大体そんなふうな見当でございます。
  158. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) この点副総理から伺いたいと思いますが、今日の国警本部の次長の報告によると、和歌山では直轄河川でも仮締切りの更に切れて再災害が起つた例も報告されたのですが、とにかく復旧というのは急ぐと思います。我々委員会としては本日まで政令が遅れ、予算が審議する臨時国会が遅れているということは非常に遺憾なわけですが主計局次長は必要あらば概算払い云々と言いますが、必要あらばというのは、これは必要があることははつきりしております。今から予算編成で国会を召集して審議すると言うと、大体これは常識から言つて計算が出て来ると思いますが、査定も済んだものとすれば、これはあらゆる方策を講じて政治的にもこれを処理をして私は利息のつかない概算払い、前払いというものを是非やらなければ災害地は納まらないと思います。副総理如何でしようか。
  159. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 昨日の台風被害について実は非常にびくびくして懸念しておつたのでありますが、只今御指摘になりましたような地方の仮締切りのために云々というようなこと、これは繋ぎ融資、とにかく法規の許す財源を求めまして、これは現地の要望に応じて早急にやらなければならんと考えております。実は今朝から昨日の災害の情報の集まるのを待つて、こちらの会議と睨み合せながら、災害対策本部の作業をしなければならんと思つてつたのであります。まだ十分に情報が集まつておりません。併し只今委員長からお話のことは問題としては私も全く同感でありまして、どういうふうに支出するかということについて、技術的な面を私十分に知つておりませんが、できる範囲において必らずやるつもりでおります。
  160. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど来諸方副総理出席要求されて発言されている。これは副総理であり、水害対策本部の本部長としてそれからまあ大蔵大臣代理である。こういう地位にあられるわけです。これは私の想像ですが副総理の御発言から私は察するのですが、要するに予算の問題なんです。補正予算が非常に遅れた。これは今問題になつているMSAに関連しての防衛力の漸増の問題とか、非常に複雑な問題があるから遅れるということはわかります。わかりますが、政府としてはこれはすでに第十六国会でこういつたような特別措置法ができて、而もこの委員会としたらば、九月の末には必らずこのためにも臨時国会を開いてくれという申入れをして、過日の今月の初めのこの本委員会の開会に当つて総理は見えて、で十月一ぱいはどうもこれは開けそうにない。ということは、まあ結局十一月になつてみなくちやいつ開けるかわからない。併しまあ少くとも本予算に着手すると同時に、この補正予算は少くとももうこれは十月一ぱいに出せなかつた場合には、年内にこれが審議できるかどうかということ、例年のこれはいつも問題になつているのです。で併しこれはもう政府はこういう法律予算措置を伴う法律ができたからには、これはもう補正予算に当然組むべきであると思うのです。これは今まで政府がそんな文句を言うことはあり得ないわけです。ところが今のような申入れをされるということは、要するにこの補正予算並びに二十九年度予算というものをここに睨み合せて非常にこれはまあ何といいますか、一つの一兆以内に抑えるとか、一兆二千億で抑えるとか、それに準じての補正予算というものは睨み合していろいろ大蔵省当局は今案を作つていると思うのです。そこで私は今のこの副総理の御発言は、非常に予算がかかるからして特別措置法に基く政令で定める適用地域指定基準というものもなるべく絞つてくれ。絞つてくれという御発言の意味は、要するになるべくとめる、予算措置の総計というものを或いは百五十億か、或いは百二十億か、とにかくなるべく少くしてくれという御意見だろうと思う。こういうことは曰く副総理として而も水害対策の中央本部長としてここへ来てそういうことをおつしやるからには、これは大蔵省当局にもいよいよ相談されるだろうし、又水害対策本部長としてはこれはもう当然一文でも余計出すだけの強いこれは責任を持つて総理はおやりにならなくちやいけない。これは私はもう常識上緒方総理はそういう本部長としても或いは閣議において、或いは大蔵省当局に対してその点強く発言されたかと私は思うのです。これはもう当然然るべきものだ。そうして今ここで先ほどのよもうな御発言があるということはこれはう結局私は今予算が非常に、補正予算はすぐにも他のどうしても金を殖さなくちやならんようなものがあるから、これは一つなるべく少くして補正予算を組まなくては、その目度が立たんと私はこういうような意味に解せざるを得ない。そこでこれはもう我々第十六国会、殊に参議院の特別委員会としてはそういうことも考慮してやつた。これはもう初めからこの予算措置を伴うときの立法となれば、これは国会でもそういう議員立法はたくさんございません。殊にこういう厖大なものであるから、その点は特に我々は注意してこういう措置法を作るには、各関係建設省、文部省、或いは農林省、又副総理にも再三出て頂いて、こういうことも我々は常に睨み合せながら作つた。ところがいよいよこの法案ができて衆参両議院の協議会で以てこれをいよいよきめるとこういうことになつた場合に、これは衆参両議院でもそうでしたけれども、参議院においても与党の諸君は最後になつて超党派の態度を捨てたような形になつてしまつて、まあ私らから言えば何だかこの法案を葬つてしまうというような態度に出た。これは僅かにこの予算措置を含んでおるから、与党の諸君はかような豹変した態度を以て出たのであると思う。  然るにこの法案は第十六国会でできた、衆参両議院とも協議会において全会一致を以てこの法律ができたのですから、ですからこのことはもうすでにこの法律ができた瞬間に今日の事態はこれは予想されるのです。そうしてもう国会が終つちまつて、すでにもう一カ月有余半を経て補正予算をいよいよ組まなくちやならんというときになつて、私は、こういうことをおつしやるということは、他の補正予算上にもつと政府としては重要視しなくちやならんフアクターが出て来たからこういうことをおつしやる。これは私はそういう事情はたとえあろうとも、政府として以上申上げましたような経過でできた法律です。今になつて予算上においてどうも困るからこれはなるべく絞れ、その絞るということも、これは私は紊りに絞ると、或いは他の府県に対して非常に不公平な、バランスのとれないような行政効果になるということはこれはもう私は勿論反対です。それも今の基準設定においても、本委員会でもしばしば論議された点なんです。要するに我々として最大限度のこれは予算的な問題、或いはこのバランスのと一れない不公平に陥らないような措置をすべく今日まで努力して来ておる。ですから我々から見れば最小限度のことなんです。而もこれは緊急を要する問題であるだけに最小限度に而もこれは非常にスピーデーにやつてもらいたいということを初めから論じて来ておる。そうして今のようなことをおつしやると、どうも私は結局この予算の問題だからできない。で絞つてくれこれは先ほど厚生省の一課長ですか、言うことも母子福祉資金の貸付問題について成るべく絞つてくれということを申入れておる。これは私は一つの今緒方総理のおつしやつたことと共通の点だろうと思う。そこで私はこのそういう政府予算上においていわゆるもう大胞よりもバターこういうような意味でなくして、この明年度の本予算との関連から、補正予算上において財源上こういうような点でどうしても困るから、この水害に対する緊急対策についてこれしか金がどうしても出ないんだ。そう言つて一つ是非この点を強く絞つてもらいたい。例えば作りました措置法の、この本法においても、こういう点は何とかしてもらえんかというような極めて具体的な話をして頂くのならば、これば我々としては成るべく国の財源を濫費といいますか、非常に罹災者には迷惑であるけれども、又第十三号の台風が出たようなことでありますから、政府としては極めて経済的な意味においては、我々は若し政府がそういう具体的な又なぜそういうことを一体言い出したのであるかということを、これは秘密会でもよろしうございますからはつきり言つてもらわなくちやならない。我々の態度は今日まではつきり一貫して来ている。ですからこの点ははつきりしてもらわぬと、我我として而も二十五名のうちで六、七名しかいないんですから、このことは若しこれは秘密会でもそういう点をお話願えるならば、委員長から取計らつて頂いて、これははつきり聞かなくちや我々が今まで審議したことが何のことやらわからないですから、今副総理のおつしやつた肚を、もつとすつきり、我々にこういうものを作つた責任者ですから、むつしやつて頂かなくちやいかん。或いは理事会ぐらいで、委員長と理事ぐらいでもいいから、そういう申入れがなくちや、いきなりここでそういうことをされたところで、これはどうするということは結論が出せません。この点一つ委員長はこれも一つ早く政府の肚を本当に示すように、隣の部屋へ行つてでもいいから、一つそれに対する回答を頂かなくちや、今どんなに申上げても言えない。過日の大蔵省における三計局長が向うへ行かれたのだろうと思うが、これは私は衆議院の態度というものは参議院もやつぱり同じような態度になる。これを繰返したつて何にもなりませんから、むしろ副総理一つ肚を聞かれることが一番だと思うのです。それが議事進行の一番の条件だと思う。
  161. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) その点については後刻全員の協議会をして、そしてまとめたいと思つております。公開でなくて副総理が肚を割つて話すべき点があらば、我々は協議会の結果によつて承わる機会を持ちたいと思うのですが、まあそういう隠れたものでなくて、今山田委員のに関連するのですが、表に出た問題についてはやはり災害地の国民が納得だきるだけの説明がやはりなければならんと思うのです。結局の問題は予算がないというところから問題が出て来ておるわけなんですが、まあ私は具体的に数字を挙げて一応ここでできるだけの答弁を求めますが、それは九月二十一日付の大蔵省から出された、我々の要求によつて出した昭和二十七年度一般会計歳出予算年度繰越額調、この繰越額調に防衛支出金九十一億、安全保障諸費は五百三十一億、保安庁経費が二百八十億、平和回復処理費、これは五十八億、連合国財産保障費が九十五億、これだけ合して千五十五億という金があるわけですね。これは政府政府として、それぞれ自衛力に関する政策があると思うのです。併し本年度、二十八年度は二十八年度として本予算があるわけです。昭和二十七年度の繰越金がこれだつてあるわけです。こういう災害というものは何十年に一遍しか来ない珍らしい年だと思うのですが、こういうものを災害の一部に廻すような手続をとるお考えはないかどうか。又吉田総理にしても、或いは大蔵大臣にしても、これは日本の国だけで勝手になる金じやない金が相当あると思うのですが、アメリカ大使館に対しても、或いは池田さんがアメリカに行かれるのであるが、これらの問題について了解努力をされるようなお考えがないのかどうか。やはり災害地の方々としては、この千五十五億というのを、この何十年に一遍しかない災害に、ちよつと了解を得て廻して頂けんものだろうかという気持は、これは私は自衛力漸増を認めている国民でも持つていると思うのです。それらに対するこれは表面に出ている数字ですから、やはり緒方総理、並びに事務的な立場から主計局の次長の或る程度の納得のできる説明を承わりたいと思います。
  162. 原純夫

    説明員(原純夫君) 年度繰越は多くのものは契約ができまして、ただ事故によつてこの年度内に完成し、支払いが終らないというので繰越したというものでございまして、つまりこの予算目的を引続いて完成するために必要なものということに相成りまするので、それらの予算目的となりましたいろいろ、なこの機能を我慢してやめようということにいたしませんと、財源にはなり得ないということは、実質論として先ず第一でございます。  それから第二に形式論といたしましても、この本予算予算修正で、一部を不用にして使うということは、財政法上はつきり認められておるやり方でございますが、繰越分を移してと言いますか、そういうことについてはかなりにこの財政法、会計法の面における問題があると考えております。なおこの第一段の繰越項目のうち、御存じの安全保障諸費におきましては、そういう契約が全部済んだというのでなくて、相当額を繰越しており、これにつきましては、その一部がなお契約が済まないで残つておるということから、お話のありました焦点は、恐らくその辺に置いておつしやつたのだろうと思います。この辺は財政全般につきましての大きな方針の問題として、補正予算及び、二十九年度予算考えます場合の不可決の一環として、それらとの相関的な関係考えをきめられることになると考えております。
  163. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 私はもう多く申上げませんが、あなたのようなことを言われると、もうここで言わないが、問題が起つて来るのですよ。それは契約の関係で支払いがまだ終つていない云々と言つたら、これだけの年度末が来て、而も十月ですよ。これだけの金が余るような予算を組んだその予算編成の方針まで問題になつて来るのですが、そういうことは私は申しません。ただ緒方総理ちよつと承わりたい点は、緒方総理はこの前、補正予算編成に当つては、自衛力漸増よりも、これも大事であるが、今度の災害予算を重点的に編成するつもりだと、将来においては双方対等にどちらも注意して行くつもりだと、こういう政府の基本方針をこの前答弁されたわけです。このたびの補正予算については重点的にという答弁をされているのですが、先ほど私ちよつとお伺いしたのは、これは自衛力を否定するとしないのにかかわらず、災害地の国民は相当やはり関心を持つているのですね。どうでしようね、或る程度了解を求めて、どうしても予算編成に行詰つたような場合は、これは成る程度廻わすというような、そういう努力をして見るというようなお考えはございませんか。
  164. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今委員長からお話の問題は、安全保障諸費が問題点になるのではないかと思うのでありまするが、先ほど来私がこの特別立法に関連して御懇談を願いたいというものは、それほど深刻なと申ますか、何か秘密の何があつて云々、というところまでの考えで申しておるのではない、ので、我々のほうから考えまして、こういうことは一遍お考えを願つてもよくはないかという程度のことを、懇談的に諮つておるのでありまして、法律そのものの考え方について行政府のほうから、かれこれ申そうとしておるのではないのです。今矢嶋委員長から御指摘の問題も、一兆の枠というものにつきましては、行詰つた場合にこれは考えなければならん問題だろうと思いますが、今これをすぐはつきりどうするということはこの席では申しかねます。ただ防衛の問題は今のところそう差迫つて大きなことと考えておりませんが、すべてに亘つて一兆の枠が保てるか保てんかということは、相当深刻な問題ではないかと考えます。そういう点から見まして、補正予算は防衛の問題に入りませんが、それと関達して、やはり二十九年度予算考えるなら、その場合にすべての財源について、これは非常に編成難でありますだけに、あらゆる角度から深刻に考えなければならんことは、今から大蔵省としても覚悟いたしておる次第でございます。
  165. 原純夫

    説明員(原純夫君) 私のほうから差上げました資料に註が足らなかつたために、委員長より誤解を受けて恐縮なので申上げておきたいと思います。その表に掲げました繰越額は昭和二十七年度末から昭和二十八年度の初めにかけて繰越された額でありまして、現在その額が使用されないで残つておるという額ではないのであります。殆んど大部分はもう工事も進み、諸般の手続が済みまして支出を終つておるというものでございますから、この年度の移りますときに繰越した額であると、現在は大部分がもう使用済みになつておるというふうに御了解願いたいと思います。
  166. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは現在昭和二十八年度の一般会計歳出予算年度繰越額調と、あなたが言われる二十七年度の残つている金額ですね、それを項目別に明後日までに資料として出して頂きたいと思います。よろしうございますね。
  167. 原純夫

    説明員(原純夫君) 取調べて差上げますが、明後日では無理であろうと思います。これは各支出官、全国に亘つております支出官のところにその支出の予算が配賦されて、そして支払計画を立てて、やらしておるわけでありますから、全国から集めて参りませんと、本日現在の明後日というのはむづかしいと思います。早急にそういう運びにいたしますが、それに必要な時間をおかし頂きたいと思います。
  168. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) おおよその昭和二十七年度の繰越が幾らで、その前年度の残りは幾らという、大きく数字大蔵当局のつかんでおられるはずですから、正確でないものは或る程度推量をしていいですから、月曜日に資料として出して頂きたいと思います。よろしうございましよう。
  169. 原純夫

    説明員(原純夫君) それは帰りまして、調べました上で余り推量過ぎるようになりますと心苦しいと思いますから、調べまして後日御連絡申上げたいと思います。
  170. 山田節男

    ○山田節男君 今日副総理がこちらへお呼びしないのに、発言したいからというのでお見えになつたのは、かように想像する。今の副総理のおつしやつたことは、要するに今言つておられるように補正予算、並びに二十九年度の本予算が一兆の枠で抑えるということの非常に今重大な局面に面している。さようにおつしやつている。ところが副総理は本委員会がさる七日に開かれたときに、とにかくこの水害の対策にとられた応急的な措置としての法律に対する予算措置というものは補正予算においては優先的にやる。こういうことを二度も、三度もここで確認されておるわけですから、副総理としたら当然政府大蔵当局に向つて関係政府当局を出して、大蔵省も当然これに対する予算措置をしなければならん段階に入つておるわけです。そして一カ月以上も経つているわけです。そこで今日副総理がお見えになつたのは先ほどちよつと申しましたように、要するに予算措置がむつかしい。だからもつと政令で以て地域指定基準をからくして、絞つて、そうして要するに政府の支出する予算をできるだけ少くしてくれと、こういう意味でお出でになつたならば、もう私はそれで副総理に御退席願つていいと思います。その趣旨がそうであれば。そうしてこれは衆議院もそのことについては関係がありますが、少くとも本委員会として我々今日まで意図したことと副総理がここで以て補正予算では優先的にやるということになれば、少くともそういう絞るとか、何とかいう問題はないものだと思つている。ところがそういう申出があつたとすれば、これは本委員会としては改めてできるだけ多数の委員が集まつて、そうして今の副総理の言われたことは政府のこの法律に対する申出をどうするかということの基本的な態度をきめなくては、私はもう幾ら話しても駄目だと思います。
  171. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  172. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。委員会として原主計局次長、それから自治庁の後藤財政部長、それから農林省の奥田官房総務課長、この三人の方に一応承わることがあるのです。それは十九日付で決議して申入れました適用地域指定基準、この公共事業復旧費の定義を申入書にありますように四項目にわけて、定義ずけたわけです。この地域指定するに当つては、公共事業復旧費と標準税収入とで比較するもの一つの物差しの作り方だという立場から、私たちはこういう結論を出したわけであります。公共事業費復旧費の解釈についてはそこに書いあおりますように公共土木施設災害国庫負担、農林水産業施設災害復旧事業国庫補助云々と、堆積土砂の排除に関する云々、公立教育施設及び病院診療所の災害復旧に関する特例法の云々、こういうように規定付けたわけでありますが、これを各省で御検討つたと思いますが、先ず自治庁の後藤部長から承わりますが、自治庁としてはこの見解に対してどういう討議をなされたか一つこの際承わつておきたいと思います。
  173. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私、最近財政部長なつたばかりでありまして、結果だけを承わつておるのでありまして、討議の状況は大体まあ公共事業復旧費の解釈につきましては大体この方針で喜いいのではないか、こういうふうに私ども承わつておるわけであります。
  174. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 第一項の公共事業復旧費の中に農林水産業施設災害復旧事業を入れるかどうかという問題でありますが、私どもの事業では二以下の基準でやればそちらのほうの基準のほうが優先的に適用される結果になる。これは規模が小さいから、従つてそれを入れて計算することは従来の取扱い方とも違うし、それから又非常に規模が小さいので、今度更に特例法では、十万円から三万円程度のものを間接補助という恰好で、府県の査定によつて府県が出すものに対して国が補助するという規定を入れましたから非常に整理が複雑になつて来るんじやないか。こういうふうに考えますので、これをそのまま全部入れるのは、事務を執行する上において相当時間を要すしるのじやないかというふうに思つております。
  175. 原純夫

    説明員(原純夫君) この註の三は一の註の三でありますので、これに関する意見を申上げることは、つまり公共事業のこの意味における公共事業復旧費と標準税収入とを比較して、それによつて地域指定を決することの可否という御質問になると思うのでありますが、これにつきましては先ほど来申しました通りいろいろなデーターを待ちましていたしたいという考えでまだ意見を留保さして頂きたい。併しそれは恐らく御反問があると思うのは、標準税収入が或いは何割増したか何倍かというような意見になるので、定義としては今言つてもいいんじやないかというお話が出ると思うのでありますが、この点につきましてはこれはまだ私ども最終的な結論を出しているわけではありませんが、この本文の二の各号にありますいろいろな基準、このそれぞれ例えば公共事業復旧費でありますれば、この公共土木施設災害国庫負担関係の特令法の適用をどの基準できめるかという場合においては、やはり公共土木施設災害というものを基準になさるのがよろしいんじやないか。といいますことはこの指定基準を全部に共通な基準とされるのではなくつて、この公共土木の場合はこの基準、農地農業施設の場合はこの基準というふうにそれぞれ特例法の目的とされる対象が違つておりますからその対象に応じた基準考えるというのも有力な方法ではなかろうかと、只今まだ、申しました通り、最後の結論を出しておりませんが、そういうような結論に持つて行くほうがよろしいんじやなかろうかという感じが強いようなところであります。そういうような状況でございます。
  176. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) これで終りますが、最後のあなたの発言は非常に重大で、この特別委員会考えと随分違うわけです。ではつきりこの特別委員会の意思を改めて申上げておきますが、特別委員会はその地方公共団体が負つておるところの復旧所要額ですね。それとその地方公共団体の財政能力とを比べにやなるまい。非常に災害がひどくやられたのであるから、それを救済する意味で立法をやつたわけです。従つてその地方公共団体の財政力は標準税収入で見よう。それから地方公共団体が負つておるところの復旧所要費はここに書いてあるように公共土木関係、農林水産業施設関係、堆積土砂関係、公立教育施設関係、特に病院診療所関係、これらのトータルと比べて、そして只今基準を超える程度災害を受けておつたならば、二十四の法律原則的に全部適用して、その地方公共団体の復旧を一日も早からしめよう、こういう考え方適用地域指定基準を法の立法精神から、我々は決議として政府に申入れているわけであります。この意味を取り違えないように十分尊重して検討して頂きたいということを強く要望いたします。
  177. 松岡平市

    ○松岡平市君 私主計局次長にお尋ねいたしたいのですが、結局まあ災害があつて厖大な復旧費が要るということは、これは一年で復旧するにしても、三年、五年で復旧するにしても要るわけですね。そしてそれを国の補助金法律でやるものを減らせば、結局それは地方公共団体が負担するわけです。ところがその負担する場合に、その財源というものはもうきまつているわけです。大体まあ税収入そのほかに、特別な財源がこれから先ぽこつと出て来るわけはないですから、そうするというと財源がもうきまつちまつておる。もつぱら殆んど大部分税収入だ。ところが地方の税収入を殖させる、即ち地方公共団体が増税をするというようなことがにわかにできないことも明かである。そうすればいずれにしてもそれは若し国が高率の補助予算の上で見てやらなければ、これは平衡交付金か、特別平衡交付金かで結局は賄つてやるわけですね。結局賄つてやると、起債を認めて賄つてやるより以外に復旧はできない、こういうことになるわけですね。それでとどのつまりは今ここで予算に組んで、何百億か、或いは一千億なら一千億ぱつと予算で組んでやるか、それはまあ予算の組み方は、一兆億なら一兆億の枠でそれを崩したくないから、その分は百億にしておくと、その代り要るあとの八億なら八億というものは起債を全額認めてやる。そして将来に亘つてその起債は、平衡交付金なり或いは特別平衡交付金なりで逐次国が見てやるとこういうことをはつきりすれば、私はその予算の上の措置はそれで何とかけりがつくだろうと思うのです。併しいずれにしても、若し国がここで相当高率な補助金を国が予算の上で見てくれなければ、地方公共団体がやはり復旧しなければならぬことはこれはあなたがたもお認めになると思うのです。放つておいてもいいと、金がないから堤防が切れたものをそのまま放つておけ。橋が落ちたものをそのままにしておけというわけにはこれはいかんということは、これはさまつておるのですから、そうするというと、要すると思い切つて一千億なら一千億の予算を、一兆億のその枠を超えて予算をどかんと出すか、それは嫌だからともかくそれをとめる。その代り起債を十分認めてやるということをとるか、どつちか一ついずれにしても、しまいには国が私は負担をしなければならんことがらだとこういうふうに私は理解しておるのですが、何かそこに違いがあるのですか。
  178. 原純夫

    説明員(原純夫君) 只今のお話は当座補助金で出すにしても、その残を起債でやつておいてもらつてあとで特別平衡交付金なりなんなりで出すにしても、結局国の負担に帰するという前提でのお話でございますが、まあ非常な災害でありまするので、そういうふうな御意見も出ることはよくわかるのでございますけれども、まあ全部を将来この起債分も国が見てというところまで行けますかどうか。やはりまあ大変な災害でありまするけれども、地方団体もできる限り御努力願うということも考えて頂かなければいけないのではないかというふうに思いますので、その点はちよつと私ども考えが違うということを率直に申上げさして頂きたいと思います。なおその中で国が負担すべきものをなるたけ早くということは、今日重々伺いましたので、又そういうつもりを一層新たにしてやつて参りたいと思います。
  179. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうすると地方公共団体が負担するということはですね。財源として増税以外に何か目ぼしいものがこれからまあ努力をすれば出るのでございますか、増税以外に……。何も別に地方公共団体が公共団体としての財源が例えば村有林なら村有林を持つておる。県有林があるというものを売つ払つて払えということなのか。私はそれは負担をさしてもいいのだが、増税ということ以外に何か負担する方法があるかどうか。それを一つ教えて頂きたい。負担はします。しますが努力をして一体どういうふうなことをすれば負担できるか。現在の地方公共団体が僅かな財源しか持たない。大部分の有力な財源は全部国家が抑えておつて、そして地方公共団体がこれはまあ表を見てみても二百億の被害があつたところで、標準税収入というものは七億しかない。年間を通じてあとは殆んど全部平衡交付金で賄われておるという府県がどういうふうにしてやつたらば、努力して負担する方法はあるか。これを一つその財政当局から教えて頂きたい。増税以外に……。
  180. 原純夫

    説明員(原純夫君) 地方財政の歳出いにおきまして災害復旧の費用乃至そのために起債面たしたものの元利償還費用というものが或る程度出ておるわけでございます。従いまして、まあおつしやる趣旨は、今回は非常にそれが集中的に或るところに来たからということでございましようが、従いまして、それをこの前地方団体の負担も、又場合によりましては個人のほうの負担も、そういうひどい場合においては楽にしようというのが特別法の御趣旨であろうと思うわけであります。で、爾余の分につきまして、爾余といいますか、国が余計負担すると同時に、地方もあと全部財源がないと御覧になりますか。或いはそこのところは地方も一つ将来何とかするように計画を立てようというふうに考えられますか。まあ一緒に地方団体も考えるようにやつて頂きたいというふうに私どもつておるんでございますが、丁度後藤さんもおられますから、地方財政当局はどうお考えになるか……。
  181. 松岡平市

    ○松岡平市君 それは、私はこういう意味ですよ。例えば今度の法律補助というものはせんと、これを立法しなかつた。そして地方公共団体が今のように努力するというけれども、それは努力するということはどういうことかというと、これから先、まあ今財政の大きな部分を占めている公務員なら公務員をずつと減らして県の年間の支出を、或いは町村の年間の支出を減らすように努力するということか。これが一つあると思う。併しそれが容易でないことは、例えば国ににおいて今日行政整理というものを随分やろうとおつしやるけれども、結局容易なことではない。地方公共団体といえども幾ら努力すると言つたところが、それによつて浮かし得るもの、今日の社会情勢、経済情勢の中においてそういうものが現実にできがたい。要請はするけれどもできがたいことであるということは、それは国と同じだ。そうして努力をするということは一体どういうことをしろとおつしやるのかということ、増税はこれはできないこともまあよくわかる。国のほうだつて減税は図られるけれども増税は容易でないということ、これはよくわかります。町村においては町村民税というようなもの、そのほかのいろいろの地方公共団体の直接税収になるものを殖やす方法があるとお考えになつておるかどうか。だから今のようにあなたが言うのは地方公共団体に背負わせよう。この厖大なものでも、例えば和歌山県なら和歌山県というものが年間にこれだけの標準税収入があると、来年どうやつて見ても幾らも殖えやせん。そうしてその税収から考えれば何十年かかつて得る税収入に該当するものの被害が起きておると、こういうのです。それをどうすればいいかということを教えて頂きたい。そうすると私のごときはこの法律の適用をされる場所というものは極く小さくして、よい方法があるならば大蔵省で教えて頂きたい。地方公共団体は努力せよ、国も負担するから、今のように首を切れ、公務員の首を切つてそうしてこれこれの地方公共団体の支出を極端に減少する余地があると、だから減少しろとおつしやるのか。増税以外にこういう方法があるからこれをよく取つて歳入を図れとおつしやるのか。これを一つ大蔵省の財務当局としてどういうふうに考えておられるか、その方法を教えて頂きたい。努力はいたしますから、させますから、どういう途があるかということを……。
  182. 原純夫

    説明員(原純夫君) 自治庁の領分を侵すことにもなりますが、只今お話がありました特別平衡交付金でございますね。これは私特に災害がひどい場合に特別平衡交付金が或る程度出るというふうに記憶いたしております。これがどんな基準で、例えば非常に大きい災害の場合に過年度のもの、つまり今年の災害に対して何年度か続いて出すようになつておりますかどうですか、そこまで私存じませんけれども、特別平衡交付金の中の成る程度、相当程度だと思いますが、災害の地方団体に廻るというようなことはあると思います。その他このお話のありました節約なり整理なり、こういうようなことにつきましても、私どもとしては大いにそういうことは要望いたしたいというつもりでおりますが、まあ何と言いますかこれをこうすればという差出がましいような言い方はなかなか言いにくい。要するにこれだけの災害で大変だというので特別法をお作りになり、余計な普通の何よりも高い補助を出すという。地方も大変でしようが一緒に努力して、まあ今年は恐らく、たださえ災害被害がある上に歳入も減るというふうなことで、大変地方のお苦しみは多いと思いますけれども一つ将来の年度においてもだんだん若干の元利を返すというような形で、その他いろいろお話の出ましたような点に努力して頂いて、一緒に一つつて頂きたいという誠に抽象的な答弁で恐縮でございますが、そういう気持でおります。
  183. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうも努力しろとおつしやるけれども、具体的にあなたが、いや、あなたが今一つ災害県の知事になつたとお考えになつて、そうすれば和歌山県なら和歌県の知事、山口県なら山口県の知事と自分がなれば、こういう方法があつて国家がそれほどの高額な補助をしてくれなくても、或いは平衡交付金を将来に亘つてたくさんもらわなくても、特別平衡交付金を今年なり来年なりもらわなくてもやつて行く方法が具体的にこうすればあるはずだというやつがあるかというのです。今日の地方の公共団体の財政実情から見て、国が大きな租税源を地方公共団体に委譲してやるというようなことをなされば別ですけれども、今日もうきまつているんじやないかと、これをやる方法は、増税をやるか、今言うように県の、或いは市町村の年間の歳出予算を減らすかと、二つしかないんだ。ところが今日見て、今より人件費等を幾らか減らす以外に、この災害を受けている府県が皆見てみて多くはそういう権利はない。そしてこれらが不必要な事業を年間にやつているはずはないんです。自治庁においても大蔵省においても随分やかましく言つて起債等も締めておられるのだから、特別な、これからたとえやめてもいい、こんなのは急がんでもいいというような事業を今日各地方公共団体がやつておる事実はないんだ。学校なら学校を新らしく起債で建てているやつをやめろとおつしやるのか、そういうことはないんじやないか。今日の地方公共団体の財政力というものはもうわかつているんじやないか。それで辛うじてどこか国家がやるような行政整理というようなことをやり得る余地はあるだろうけれども、それは先ず国が容易にやれないような事柄なんだそうしたらこれを地方公共団体にだけやれやれと言つて要望して、やらなければ知らんというようなことを言つたつて、地方公共団体はなくなつて潰れちやいますよ。現実にそういうふうにお考えにならんか。あなたが今言うように、俺が山口県知事ならば、或いは佐賀県知事ならば、こうして、そうこういう法律補助金をもらわなくて、二百億や三百億の災害は、而も片つ方は、今言われるように植付のできないようになつている田が何百町歩何千町歩片つ方にはあつて、百姓は一作はともかく、二作も三作も田の植付ができなければ生計の方法はない。全然ないという事柄が一つ。堤が切れておる。そしてそれは仮の工事をしておる。現に今日も仮工事をしておつたところが又切れた。こういうことになつてつて、これはもう一日も速かにやらなければならないのだが、これは一体どうしろとおつしやるかということを教えて頂きたい。そういうことを申上げたい。我々も国の予算が非常に行詰つてつて、多くの金をお出しになることは困る、非常に無理をすれば、インフレも火を睹るよりも明らかになるんだ、とめたいんだけれども、併し私はこれのほかは方法はないんじやないか。せめて今年の予算に組めなければ起債を認めてや、つてそしてそれを将来に亘つて年々にその平衡交付金に見てやるということ、これはあなたは、それはそうはできないとおつしやつたけれども、これはあなたが突然おつしやつたことで、塚田自治庁長官なりは今度の災害につ  いては地方公共団体のそういうものは全部起債を認めて、将来平衡交付金なり、或いは特別平衡交付金の増額によつてつてやる。これは何遍も言つていらつしやるのだから……。
  184. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) これは原主計局次長、松岡委員からさつき質問があ  つて、あなたの名答弁がなされないのは、示すごとく実際方法はないんですよ。その点についてはいずれ自治庁の財政部長からも十分資料的に調査して頂きたい。だからこそ私たちは二十四の立法をやつたわけですから、極力私たちの意のあるところを汲んで努力して頂きたい。これを要望しておきます。  本日はこれを以て閉会いたします。    午後五時二十分散会。