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1953-07-07 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事            秋山俊一郎君            阿具根 登君            松浦 清一君            寺本 広作君    委員            小野 義夫君            重政 庸徳君            谷口弥三郎君            藤野 繁雄君            松岡 平市君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            安部キミ子君            吉田 法晴君            山田 節男君            松浦 定義君            加瀬  完君   委員外議員            内村 清次君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    内閣官房長官 田中不破三君    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室統轄    参事官)    久田 富治君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    国税庁長官   平田敬一郎君    文部省管理局長 近藤 直人君    水産庁次長   岡井 正男君    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    郵政政務次官  飯塚 定輔君   説明員    大蔵省主計局主    計官      柏原 雄介君    海上保安庁総務    部長      朝田 静夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水害地緊急対策に関する件   —————————————
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) これから本日の委員会を開会いたします。  運輸省から官房長壷井君、鉄道監督局長植田君、海上保安庁総務部長朝田君がお見えになつておりますので、報告を聴取いたしたいと思います。
  3. 壺井玄剛

    政府委員壺井玄剛君) 官房長壷井でございます。  お手許運輸省関係資料をお配りしてございますが、北九州災害状況並びに対策運輸省七月二日。九州地方水害による国鉄復旧状況、七月三日午前七時現在。私鉄水害状況調、七月三日現在。海上保安庁水害対策、七月六日海上保安庁気象官署被害状況、七月三日中央気象台。以上の資料で詳しく書いてございますが、概略御説明申上げますというと、陸上の被害は相当厖大に上つておりまして、鉄道だけの被害でも約四十億、私鉄が六億、不通箇所は新聞で御承知通り相当多数ございましたが、国鉄復旧は逐次回復いたして参りまして、幹線では関門トンネル開通が七月十五日と予定されております。それが通りますというと、大体主なところは復旧するということに相成るわけでございます。  海上関係は幸い暴風がございませんでしたために被害は僅少でございましたが、港湾がかなり埋没いたしまして、七億くらいの損害があるのではないかと見通されております。倉庫地帯はそれほど水没いたしたものはないような情報でございます。  航空関係といたしましては、飛行場被害を受けたのではないかと心配いたしておりましたが、御承知通り大体航空に差支えのない程度に、福岡飛行場その他ローカルの飛行場が使われるような状況でございます。  自動車関係は、バス路線通路決壊山崩れ等のために不通箇所は相当多数ございまして、回復には相当の時日を要するということでございます。  以上のような状況に対しまして運輸省といたしましてとりました措置の第一は、勿論鉄道の全通に努力いたしましたほかに、先ず第一に、航空関係といたしまして、日航に依頼いたしまして九州までのダイヤ一日二回を四回に殖やしました。緊急な救恤物資輸送については、貨物輸送について一日二トンの力になるまで努力してもらうことにいたしまして、必要な救恤品については無料輸送の手配をいたしたのでございます。それから小型の飛行機を数機現地に送りまして、緊急の需要に充てるようにいたしたのでございます。現在まで日航において取扱いました緊急畑物輸送は、薬品、応急的な救護物資等について、約十四トン緊急輸送いたしております。人員につきましては約二千人九州との間で四日間に輸送いたしておる情報がございます。小型機もそれぞれ現地連絡救援物資輸送等に従事したような様子でございます。  次に海運関係といたしまして、何どきでも旅客物資緊急需要に応ずるように、運輸省としての対策本部を設けまして、需要要請を待つてつたのでございますが、殆んど現在までのところ何ら要望がございませんので、もうそろそろこの態勢は解除してもいいのじやないかと考えておるような状況でございます。  海上保安庁では早速救護艇を総動員いたしまして、現地の川の入口であるとか、或いは都会地に配置いたしまして、警護、救援物資輸送郵便物輸送等に従事いたしたのでございますが、現在までのところ、旅客輸送に対して資料にございますように、七月四日まで累計千二百名、郵便物約五千個を輸送いたしておりまするし、又稲の苗を相当程度、八万三千束送つておるような状況でございます。  大体以上が被害状況及びこれに対する対策状況でございますが、国鉄被害状況海上保安庁対策につきまして、それぞれ関係局長部長が来ておられますから、詳細御説明を更にして頂くことにいたしたいと思います。
  4. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑あとにいたしまして、植田鉄道監督局長報告を聴取します。
  5. 植田純一

    政府委員植田純一君) 国鉄関係につきまして御説明申上げます。  お手許に配付いたしております不通区間の図面があると思いますが、その後鋭意復旧に努力いたしまして、鹿児島本線は一応開通いたしました。支線におきましてはまだまだ不通箇所はございますが、鹿児島本線長崎本線、それから日豊線、それぞれ開通いたしております。問題は関門トンネルでございます。関門トンネルにつきましては予想だにしなかつた水量のために、中央部分約二キロの区間に亘りまして満水の状態になり、これの排水に目下排水ポンプを動員いたしまして鋭意努力いたしておる次第でございます。開通見込を七月十五日ということを目標にいたしております。勿論水をすつかり出してしまいませんと、あとの泥の状態、或いはその他いろいろ被害状況が的確にわかりませんので、従いまして開通見込も的確には申上げられませんが、目下のところ七月十五日開通という目標を以ちまして、鋭意排水に努力いたしておる次第でございます。排水につきましてもポンプの備付その他なかなか思うように参りませんでしたのでありますが、ここ一両目来順調に排水をやつております。この関門トンネルが実は先申しましたように、輸送上の一つのネックになつておりますので、何をおいてもこの関門トンネルの一刻も早い開通ということを目下努力しておるわけでありまして、この不通区間対策といたしまして、この不通以来、関釜連絡船徳寿丸昌慶丸、この二隻を以ちまして、下関博多間の輸送に当てておつたわけであります。と申しますのは、九州に入りまして遠賀川橋梁不通でありましたものでありますので、下関博多間の船による連絡とつたわけであります。この遠賀川橋梁が一応開通いたしまして、鹿児島本線が通じましたので、この下関博多間の船による連絡は中止いたしまして、関門連絡線を回数を殖しまして、この関門間の連絡に当つておるわけであります。列車は東京から九州に跨がる急行列車等も、極く一部分を除きまして大体動いております。関門間は船によりまして、連絡時間も若干九州地内を変更いたしまして、それぞれ接続いたしますように運航いたしております。この旅客関係乗車券発売制限は行なつておりません。手小荷物も非常に制限しておつたのでありますが、この五日から大体従来の実績の半分くらい受付けるということにいたしております。貨物関係でありますが、貨物関係は、この罹災者救恤用品罹災者用物資、例えば生活必需品とか応急建築材料罹災者応急工事材料、又食料品、種もみ、稲の苗、これ以外のもので緊急を要するものだけを除きまして、九州行きの貨物受託を停止いたしております。小口貨物につきましては若干緩和いたしまして、割当制によりまして受託をすることに最近にいたしたわけであります。一時はこの九州行きの貨車がこの本土におきまして、約二千両余り停滞いたしておつたのであります。だんだんとこれも減少いたしまして、昨日現在におきましては約千二百両くらいに減少いたしております。関門間のこの貨物輸送対策といたしましては宗谷丸、これは国鉄事業用の石炭の輸送船でありますが、この宗谷丸を廻航いたしまして、下関博多の間の貨物輸送に当つておりますほかに、艀を利用しまして、約一日六百トン程度輸送力をいたしております。又この関門間に自動車を航送する船がございますが、これも一部分連絡貨物用に割きまして、輸送に当てております。又国鉄機帆船も二隻が輸送に当つておるわけであります。更に下関博多間に旅客輸送に当つておりました徳寿丸旅客輸送を終了いたしましたので、下関博多間の貨物輸送に更に徳寿丸を動かすということに決定いたしまして、大体、今日までこの船によります貨物輸送関門及び博多間の中継輸送といたしましては大体二千五百トン程度輸送実績を挙げておるわけであります。これは五日まででございますが、そういうような程度でございます。  大体国鉄の現在の状況並びに対策は以上の通りでございます。
  6. 矢嶋三義

  7. 朝田静夫

    説明員朝田静夫君) 海上保安庁総務部長朝田でございます。  海上保安庁関係損害は別に大したこともございませんで、ただ灯台の施設に約千八百五十万円程度損害がありました程度でございます。主として今度の水害に際しまして、海上保安庁のとりました対策といたしましては、先ほど官房長から申上げました通りでございますが、特に海上におきましては災害が発生いたしませんので、河口におきます救護態勢に万全を期するように中央より指示をいたしまして、本庁におりまする警備救難官現地に急派いたしたわけであります。そこで第七管区海上保安本部と申しますのは門司にありまして、九州全体を管轄いたしておる現地保安本部でありますが、この保安本部におきまして直ちに非常配備を発令いたしたのであります。管内所属船艇を総動員いたしまして、関係区間の情勢に応じまして、被害者の救助に当つておりますと共に、死体収容浮流物の除去といつたような作業に全力を挙げて協力をいたしておるような次第でございます。そのほかに救援物資郵便物或いは現地交通杜絶に対しまして人員輸送協力をいたしておるのでございます。そのほか他の管区におきまして軒神戸管区保安六部或いは広島保安本部からも巡視船港内艇補助巡視船等を応援に急派いたさせまして、阪神地区或いは広島地区からの応急救援物資、食糧でありますとか医薬品或いは衣料、そういつた応急救援物資輸送に当らせたのでございます。なお舞鶴管区保安本部所属巡視船の「おき」という船も舞鶴から京都府の救援物資を七月の二日に搭載いたしまして現地に派遣させたのでございます。今日までに輸送いたしております数は先ほど官房長からお話申上げましたが、只今入りました最も新らしい情報によりますというと、本日の午前八時現在におきまして郵便物が七千六十五個、人員輸送が千二百五十二名、苗の輸送が十六万七百束、主要巡視船が全部で延隻数といたしまして五十一隻に上つておる次第でございます。それから死体収容の判明いたしました分につきましては、六月三十日までにおきまして五十に上つておるのでございます。  以上、海上保安庁関係対策並びに被害の概要をお話申上げました。
  8. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  9. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  昨日本委員会の決議に基いて、政府中央対策本部西日本水害被害総額総括表、並びに福岡出先機関から政府要望して参りました二十億円追の問題について、本日午前十時までに文書を以て、政府は出すのか出さないのか、若し出さないならば、如何なる理由を以て二十億の要求に応じないのかということを明確に報告して欲しいということを政府側要求しておきました。只今までに机上に配付されていますように、西日本水害被害総額総括表要求に応じて提示されて去ります。本朝から副総理出席要求しておりますが、現在まで衆議院予算委員会関係で、本委員会出席しておりません。併しながら、幹事である田中官房長官出席されておりまするので、昨日の本委員会要求に対する御回答を求めたいと存じます。
  10. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) 先ず最初に副総理の御出席ができませんので、只今委員長からお話のありました通りに、ずつと以前からの衆議院の日程で副総理出席が定められておりまするために、出席がこちらに直ちに個人的の意思でできかねておるという点を、どうぞ御了承願いたいのであります。いずれ先ほどのお話通りに、当委員会に、予算委員会に正式にお話七下さるということで、向う委員会で了承して下されば、結構なことと思いますが、その点どうか悪しからず御了承願いたいと思います。  それから続いて昨日のお話なんでございますが、早速私といたしましても、関係当局連絡をとつたのでございます。御承知通りに昨日のここの会議でも繋ぎ融資三十億円の内容について、或いは私これが一方的であるかも知れませんが、内容そのものがどういうものを対象にしておるのかということについて、いろいろとお話合がありました。つまり三十億の内容政府請け繋ぎ融資を考えているのか、或いはつまり私の言葉で申しますと、財政的の融資であるか或いは又一般的な金融つまりいわゆる金融的の措置をも含んでいるのかどうかというふうなこと……。
  11. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと待つて下さい。政府委員の発言の途中でありますが、文書を以て明確に報告してほしいということを要求していたのですが、文書を以て準備していなければ、その先ず理由から一応本委員会に述べて、そうして報告して下さい。
  12. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) まあそういうふうな内容の問題がございまして、只今委員長からのお話でございまするが、これから述べまする通りにまだ文書でお答えするところまで行つておらないものでございますから、文書としてはお出ししません。勿論文書で表現いたしまするならば、これは誠にそつけのないといいまするか、ことになりまするので、この点は御遠慮申上げまして、どうしてそういうことになつたかと申しますると、実は昨晩現地大蔵省関係関係官が帰来いたしました。実はそれを大蔵当局は待つていた。実はそういうわけで、その実情を聞いたわけです。つまり劈頭に申上げました通りに、繋ぎ融資内容といいますか、内容言つても非常に細かい問題ですが、金融的措置がどちらにあるのか、どういう方面の金融措置をどういうふうに望んでおるのかという実情を、折角帰つて来ることがわかつておりまするので、その点を十分に打合せて、現地実情がどうなつておるのかというので、皆さんの御要望を合せて、一つ十分に検討をいたさなくちやならん、こういうので、実はその検討を待つておるわけであります。従いまして実はこの委員会が開かれましたので、早速大蔵当局関係で打合せをし、又皆さん要望を私が十分昨晩お伝えしたわけであります。大蔵当局はこの委員会の御要望とうものを十分基礎に置いて検討をしてもらいたいというので、頼んであつた関係上、只今まで検討をいたしております。従いまして委員会始つた、ここで一応大蔵当局としても見解を述べてもらいたい、そして又中央本部としても皆さんとお話合いをして対処しなければならんということで、只今実は私も大蔵当局出席を待つておるのでありまするが、まだ出席しておられない、遅れておられるようであります。まだ検討をいたしておると思います。そういう実情なものでございますから、文書についての御回答ということも、実は差控えたのでございます。以上でございます。
  13. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今報告質疑のあるかたは……。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 全く残念な報告で何ともあとが続かないような感じがしますが、さればといつて、あれだけ悩んでおる、今日も何とも手がつかなくて悩んでおる被害者のことを思えば、我々としては手を拱ているわけにいかない。そこでそうなると、だんだんと根本になるのですが、一体西日本にわざわざ大野国務相を置いて、中央政府各省の有力のスタッフをことごとくつれて行かれて設置をされたからには、非常な政府の決意があつたはずだと思うのです。で、政府はあれを設置するときにどういう権限を彼らに与えるということでやつたんだか、それは恐らくただ単にお話合い行つているのじやないと思うのです。その渡してある権限、それの写を是非至急にお出しを願いたい、私はそう思う。それと同時に、併せて中央本部との関連、そうして各省との関連、これらを一つお出し願いたい。
  15. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) 現地に先ず設置いたしました現地本部と申しまするか、西日本水害対策本部、これにつきましては特に書面或いはその他による権限内容等というものはございません。これは御承知通りに、全く早急の間に設置いたしまして、そうして各省設置法式のいわゆる政府行政機関としての権限機能を持つた形で向うに出すいとまもなし、直ちに出してしまつておりまする関係上、普通の行政機能というものについては、実は明確なる権限内容というものはないわけでございます。併し大きな未曾有の水書でございますので、簡単に申しますならば、常識を逸脱しては困りまするが、普通に考えられる、普通というと非常に緩慢に聞えまするけれども常識範囲で、迅速果敢に先例にこだわることなしに、応急処置をとつてもらいたい、こういうことで出ております。併しいずれにいたしましても、法律或いは予算というものは国会でおきめ下さいまして、各行政機関が自由自在に変更するわけには参りません。その枠内においての活動に縛られてしまうわけでありまして、この点は御了承下さると思うのであります。併しその枠内におきましては、先例にこだわらずに、十分思い切つた活動をするように。従いまして現地本部でその範囲でいたしましたことについては、これは中央本部としては、できる限りそれに協調して施策に移す、こういう覚悟で現地本部設置いたしました。従いまして皆さんの御指摘にありましたように、現地本部活動は、中央本部事後承認と言いますか、ような形でどんどん仕事は進行いたしたわけでありまして、このほどの災害本部設置というものは、行政機関としての権能はなかつたにしても、非常に迅速果敢に行われたということが言えると思うのであります。従いまして、現地本部でいたしましたことにつきましては、やはりこれは一応は閣議なり或いは閣議にかける必要のないものについては、各省所管の事項について、最後的には決裁と言いまするか、大臣決裁等を要するわけでございます。けれどもそれはむしろこの際におきましては、形式的に属すると言つてもいいくらいに、現地活動を認めるというわけであります。
  16. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 どうも田中長官の誠に懇切な長い言葉を以ての御説明でありますが、恐らく副長官自身不満に思つておるではないかと思う。つまり中央と折角大げさにやつた出先との円滑な、何と言いますか、敏捷な活動ができないことを不満に思つておるのではないかと想像して、その苦衷については同情を申上げるのですが、あれは設置法でやつたのじやない、これは誰だつてつておるのです。だから当然法律とか或いは規則の一応範囲内で、良識を超えない範囲内であることは当然です。そうかと思うと、又片方においては、あとで始末のできる程度におきましては、向うに委せるのだと言う。とに角私は何も徒らに時間を無駄にしようとは考えないのですが、そうとすれば、果して一方では、今日出して来ておるこの表において検討して行つてあとの十億や二十億程度では良識の外であるので、これは私のほうで決断をして上げるよりほかにしようがないのじやないか、こう思う。もうこれ以上私は聞かん。
  17. 松浦定義

    松浦定義君 今私が副長官の話を聞きまして、三浦委員と同様に非常に不満なんです。大体私どもは、これは院議を以て代表いたしまして、過般各県下を廻つて参りまして、実際にその実情を見ておるわけなんです。それで政府もその意図に副うべく福岡出先本部を作られた。そして大野国務大臣をしてその掌に当らしめた。我々は帰りに全部そこによりまして、大野長官に対して、その事実を詳かに報告をした。そこでみずから大野本部長は御尤だ、自分も見て非常にこの点は責任を感じておるので、今日直ちに二十億の追加を要請しておる。このことは少くとも皆さんの御意思に副えるだろうということを腹をたたいて言明しておるわけです。従つてその内容を聞くというと、恒久的な問題についてすら相当地方は努力しておる。併し自分権限では、恒久対策は別であるが、緊急止むを得ない対策については、政府出先機関であるから責任を持つということについての二十億であると、私ども承知して、我々は我慢しておるわけです。これは三浦君の言われるように、二十億や三十億でこの問題が解決されると考える政府自体がおかしいと思うので、現地から二十億の追加が来ておる、この後はどうするかということについては、本対策委員会が善処して頂きたいということを報告してあるのにかかわらず、僅か二十億出す云々ということで、この問題は私は停頓さしておるということは、対策委員会として面目次第もないのです。これが九州であるからいいと思うのです。若し利根川だつたらどうするか。総理初め関係大臣が行けないくらいに陳情団がここに来ると思う。九州であつても、北海道であつても、関係のものが陳情して参る。従つてそういう煩雑を避けるために政府出先機関を設けたのです。従つてそれに対して権限は与えないということであるならば、この浪費こそ莫大なものであると思う。今国会議員歳費値云々について問題にしておりますが、私はそんな問題じやないと思う。従つて全国でも現在街頭救援金をやつておる。その心を考えましても、政府は十億ぐらいの問題で、まだ現地に対する責任者意向に副えないという態度では、完全な古今未曾有の大災害に対する政府のとる措置としては誠意がない。従つて委員会としては、この措置に対する責任は当然負えない。従つて三浦君が言われたように、政府意向にかかわらず、委員会としては見た範囲内において、或いは聞いた範囲内において適切妥当な線を出す。その結果において、政府は飽くまで原則を守つて委員会の意見に十分副い得るだけの意思があるかどうか、この点について承りたいと思います。
  18. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) 只今お話御尤もなんでございまして、私どもとしましても十分に認識をいたしておるわけでございます。殊に私といたしましては、私自身の県は年に七度も八度も台風を受けるような県でございまして、その点につきましても私自身も十分に認識をいたしております。ただ先ほどの話題に上りました三十億の融資の問題については、現地から帰つて来ました当局者が折角今検討大蔵当局でいたしておるのであります。その点で私もこちらにおりまして、向うにいないわけでありますから、その三十億の実情等についてどういうふうな心組であつたのかというふうなことが、只今検討話題になつております。これは私がここで、現地にいないわけでありますから、そう立入つて申上げられませんが、この三十億そのものは、先ほど申しましたように金融的措置、それも一般的な金融措置を、政府からの金融措置と併せての一応の数字を要求されたようだというようにも聞き及んでおるのです。それにしましても、昨日委員会お話申上げました通りに、今の二十億と、それから救助法による予算的裏付の四億、つまり二十四億は出ておるわけです。従いましてあと三十億を基準にいたしましても、六億の差がそこに話題になるわけであります。三十億の中に私の聞き及んだところでは、一般的な金融措置も含まれておるというのが、現地からのお話のようでございます。それでありますると、昨日申しましたように、約十五億の政府預金をいたしまして十五億流しましたし、或いは国民金融公庫のほうでも金融的措置を講じておりますので、三十億の御要求は実は満たしてあるのではないかとも思われますが、これは全く大蔵当局のほうで十分御説明願わなければならないと思いますが、一応私の聞き及んだところでは、現地からの他の帰還者の話ではどうもそのようで、三十億が要求されておるというふうに思われるので、只今検討いたしておる、かようにお伝えいたします。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はこういう緊急対策委員会ができて、これを今のような姿で行くならば、何のための緊急対策委員会かと疑がわざるを得ないのであります。政府大野国務相九州本部長にしてやつた際に、大野国務相は何と言つておるのか、あなたが今おつしやつたものと全く反対のことを言つておる。あなたはそういう手続とか或いは法制のみにこだわつておられる、そうして判を捺して、持つてつたようなことをしなくとも、今までのような官僚主義ではなくして、そうして自分は思切つてやる、こういうことを言つてつておる。それが私は緊急対策だと思う。それをその金額で、私たちはそれで十分だとは思つておらない。まだ我々は、それにもかかわらず、九州本部から二十億送れと言つて来たのに対して、中央でこれを渋るという形に今はなつておるのですが、我々は緊急のうちの先ず緊急として、そうして大掴みな問題を考えて、そうして少くとも九州本部から言つて来た金だけは出せ、政府の与党がやつておるのです。政府がやつておるのです。これに対してすでに私たちが同調して、それだけでも早く出せといつておるのに、それすらできんなら、この緊急対策委員会は何を一体やるのかということになる。四回も五回も委員会を開いて何一つ結論が出ておらない。こういうことをしておる間に、もうすでに生活のできないような人が出て来ているじやないですか。これを我々こういうたくさんの人間が、何回も何回もここでやるなら緊急対策委員会じやない。これは当り前の委員会だ。そういう緊急の上にも緊急を要する三十億の金が地方から言つて来ておるなら、先ずこれをやつておいて、そうしてその次の手を我々は考えて行くべきだ、こういうふうに考えておるわけなんです。ところが地方から、而も政府出先機関から言つて来ておる金でも出せないような、今日こういうことをやつてつても何にもならないと私は思うんですよ。あなたがたはそういうことばかり考えておられるが、大野国務相から言つて来た二十億はやらなくても、迷惑は全然かけておらない、地方では十分乗切つておる、あなたはこういうお考えですね。ちよつとそれをお伺いします。
  20. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 東介する前に、私は委員長として念を押すために阿具根君にお尋ねしますが、あなたの発言の中に緊急対策委員会が何もやつていない、設けた趣旨に副わない、こういうような御発言がございましたが、これは立法府が緊急特別対策委員会を設けて、我々緊急対策委員会としては緊急に処理しなければならん目標を立てて、本委員会は本院の院議の趣旨に基いて動いておるが、政府は、市いは福岡出先機関を設け、或いは内閣に中央対策本部を設けたけれども、緊急な処置をやつていない、こういうふうな、私は今の発言だと思うのですが。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 いやそうではない。我々は緊急対策委員として先ず緊急にどうすべきかという問題を審議してから、そうしてこれでも足りないのでありますけれども政府出先機関から言つて来ておる金額は先ず直ちに出すべきだ、これが緊急対策の第一番の仕事だ、こういうことを決定したはずなんです。ところがそれが政府で全然、今日の回答のような回答であつたならば、どんなにここで我々が審議をして、金額を出そうとも、緊急に間に合うようなことはできないではないか、こういうことを言つておるわけなんです。
  22. 山田節男

    ○山田節男君 関連して、今阿具根君の御意見ですが、行政府が二十億出すか出さんかという問題よりも、私はこの委員会が設立されて委員となつて会日まで数回の委員会を開いて、未だに略中模索のような恰好になつておる。なぜかといえば、要するに我々は国権の最高府なんです。我々が取扱うべきものは、先ず第一に立法措置を如何にすべきか、第二は予算措置をどうするか、これは緊急融資を含めての立法措置関連して、私は問題はこの二つしかないと思う。ところがこの委員会を開いても総理大臣も来ない。副総理も古私の知つておる限りは一回しか出ない。来たのは、今日も内閣の副官房長官一人だ。こういうふうなことでは、少くとも国権の最高の立法府としての特別委員会としてやるべきものは——これは行政的方面は政府がやるべきものである。併しそれで足りないもつと緊急を要する措置を、立法的な予算的な措置をこの委員会で考えなくちやならん。今福岡に西日本水害総合対策中央本部ですか、そういうものを設けられて、大野君が行つておられる、而も国務大臣として本部長をしておるというのでありますが、これは何も行政組織法から言えば権限のあるものではない、我々が欲するのは、これは一つの立法府として、それでは西日本水害総合対策中央本部に対して、農林省、建設省、大蔵省、或いは政府各省のものを総合して、そうして適宜建設省或いは農林省或いは文部省、所管のものを統合的にそこにやる。この権限を与えなければ大野君が幾ら頑張つてもできるわけのものではない。我々この報告を見ますと、各省から得手勝手な報告書を出しておる。併しこの数字は間違いないと思うけれども各省の、相当私は不正確のものがあるのじやないかと思う。とにかく我々国会議員としてここに委員会を設けた以上は、政府の最高責任者、或いは出先の大野料が飛行機ででも一日でも来て、一体どこに根本的な隘路があるか、どうしたら総合的なことができるかという責任のある証言を聞いて、それならば、ここは災害補助法というものを提出するにしても、もつと総合した臨時の立法措置をすることもできるのです。ところがそれの責任のあるものから聞かない。これは何ら資料がない。ただペーパーで各省から、でたらめとは申しませんけれども、こういうこまごまと総合したようなものを書いたものを、我々徒らに見ておるのでは、我々立法措置をしようと思つてもできない。ですから、この委員会としては、先ず第一にこれはやはり西日本水害総合対策中央本部というもの、これに対して、大野君に対して各省の行政部門の、この水害対策に対する総合的な権限を与える。これでなければ幾ら大野君が頑張つても、できるわけのものではな。でありますから、この委員会としては、先ず第一に、これは総理大臣もそうでありますが、先ず福岡に総合対策中央本部本部長をしておる大野君に、もうすでに行つてから一週間以上もたつておる。どこに隘路があるということはわかつておるだろうと思う。向うから電報を打つても、大蔵省は金を出さん、こういうようなことでは、さつき阿具根君が言われたように何にもならない。我々立法的な或いは予算的の措置をやる権限を持つておるのですから、どこがポイントで、こういうふうにしたらいいということを、我々が先ず現地について知らなければどうにもできないのです、ですから我々は何も官房副長官から経過報告なんか聞いたつて何もなりはしない。ですから我々少くとも立法府として特別委員会を作つた以上は、先ず我々がやることは立法措置なんです。その次に予算措置です。大蔵省が出し渋つたつて、出せと言えば出さなくちやならないのです。ですからもう少し我々最高立法府の特別委員会だという一つの尊厳さを持つてやらなければ、今阿具根君の指摘されたように、我々は政府の電話で以て知つておる情報をだらだら聞いたつて何にもならない。ですから私は今後の本委員会の議事進行上、先ず第一に大野君をこちらに呼んで、現地で大野君がやられておつて、どこに隘路があるか、どういう立法措置をするか、これは各省でおのおのセクシヨナリズムをやつてつては、現地は有難迷惑です。荏苒日が過ぎてしまつて、全くその日の生活に困るようなものができておる。伝染病もどんどん続発しておるというので、厚生省だけで伝染病の蔓延を防げるものではありませんから、又国費を節約する意味から見ても、総合的な、能率的な緊急な対策を講じてやらなくちやならん。我々の課題は、要するに立法措置予算措置しかないということを頭において、議事進行しなければ、いつまでも堂々廻りをしておつても何もならない。
  23. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) わかりました、ちよつと速記をとめて下さい。    午前十一時四十九分速記中止    —————・—————    午後零時七分速記開始
  24. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  只今大蔵省主計局主計官柏木君が出席しておりますので、簡明に報告を聴取したいと思います。
  25. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) 私は大蔵省の柏木でございます。  先月の三十日に大野国務相の随員として九州へ参りまして、昨晩十二時に飛行機で帰つて参りました。実は簡単にお話するということでございますから、簡単に申上げますと、三十億の内訳につきまして、大野国務相の御決定により、資金運用部より十五億、簡易保険より五億の継ぎ融資を行う、それから別途指定預金十五億円を地方銀行、相互銀行等に行うということに決定して頂きました。繋ぎ融資二十億の計算につきましては、現地における農林当局、建設当局とよく協議いたしまして、大体繋ぎ融資の対象となります被害総額は、農林省系統、建設省系統合せまして四百二十億円前後かと思います。それの国庫負担分は大体三分の二でございますが、これに対しまして従来のいわゆる査定率でございますが、査定率によつて計算いたしますと、実は繋ぎ融資の所要額は大体十七億円程度になりますが、今次災害の規模等を考慮いたしまして、二十億円程度が適当かと思いまして、そのように国務相に意見を具申し御決定を願つた次第でございます。
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ちよつと簡明と言つたので極めて簡明になつて少しわからないのですが、今の十七億というのは、四百二十億の、いわゆる補助対象になる各種の仕事の従来の率、例えば三、五、二、こういうようなことで計算して行つた場合に十七億になる、で、この融資というのは大野さんが、三日の日にあなたがたがおきめになつた二十億の根拠だと、こういうことですか、その前の十億とは別かという意味です。
  27. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) この二十億は中央で一応きまりました十億を含めての二十億です。
  28. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうなれば、私ども三日に本部に立寄つたときにあなたもいらつしやつた。そのときに二十億の枠を要望したのだということを本部自身が私ども言つておられたのです。で、私どもとしてはただ単に現在法規に基いて国庫補助になる対象の仕事の向うの負担分の繋ぎという非常に狭い意味じやなくて、もつとあれだけの大げさなスタッフであり、本部長で行つているからには、総合的に考えて、或るものは府県の単独、いわゆる県費的なものになるものもあろうし、場合によつては単なる県保証の融資になつてしまうものもあるかもしれないし、いわゆる金融機関を通じて信用のあるものだけ貸すというのじやなくて、信用のあるものだけ貸すという金融機関のセンスだけでは間に合わないから、県自身が保証してそういうものもやるという場合もあるし、そういうものも含めて広い意味での二十億という問題だと私どもは考える。現に私ども殊にあの悲惨な熊本を見たものから言うと、当然しかあるべきだということに考えるものだから、なぜ本部の広汎なる委任といいますか、或いは信頼を受けて行つたあの本部が出して来た二十億に対して、政府は答えもしないで、向うからきまつたぞと言われて、初めて月曜日になつて処置したという非常にのろい悠長な態度をとつておるのが、こういうことが問題だつたのです。ですから私ども今あなたの御説明を聞くと、公共事業関係の繋ぎになるだけのものの繋ぎという意味から言えば、或いはそういうことになるかもしれませんが、もう少し広い意味の考えからいうと、非常に簡明に過ぎて実はわからない。だから結論的に言うと、二十億を本部長のほうから要望されたというときの内訳ですね、考え方ですね。これと合せて今の今朝から御検討なつた線との関連をお聞きしたいわけです。
  29. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) 繋ぎ融資と申しますと、大体将来国電補助金によつて返済されるということを、まあ担保と申しますか、引当てにしまして、融資する分でございますが、そうしますと、大体公共事業関係が主たる分になるわけでございます。そういたしますと、只今申上げましたような二十億という金額がこの際適当ではなかろうか。で、そのことを国務相に申上げて御決定を願つたということであります。
  30. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この前の理事会で話合いました事柄は十億、あとの十億を至急に送るということになつたのでありますが、必ずしもそれは我々の考えは、公共事業費とかというようなことに限定していなかつたはずです。で、現地を視察して来られた団長なんかのお話を聞きましても、もう現地には金がないのだ、救済しようにも何をしようにも、金が詰つておるから、一時も早く極み金でいいから送れ、こういうふうな切実な報告がありましたので、尤もだと我々も考えて、取りあえず現地本部長の要求した十億というものを至急に送るべしだ、こういうふうに我々は考えて決定したように思うのです。ところで今のお話を聞きますというと、二十億あれば大体いいのだというようなお話であるが、現在罹災地の各県において、これを救済し、又いろいろな応急復旧の作業をするための経費というものは、十億あればほかにはもう供給せずに、大体現地で賄い得るというふうなお見込でありましようか。その点を一つお伺いしたい。
  31. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) 実は六月二十三日に三億五千万円の繋ぎ融資が一応きまりまして、これは五、六の長雨と冬期風浪波等の関係繋ぎ融資でございますが、この分でも実はまだ現実に金は出てないのでございます。私が昨日福岡県を出るときにようやく福岡県の中の配分がきまつた次第でございます。各県が或いは各市町村が非常に現金にお困りだろうと思いますが、先般きまつた三億五千万さえまだ取りに来ないという状況でございます。ですからこのとき二十億出れば、これは十分行渡るのではないかというふうに考えまして、勿論状況により二十億が殖えることもあるかもしれませんが、取りあえず現在では二十億で十分やつて行けるのではないか、そういうふうに考えております。
  32. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、我々が報告を受けたのと大分違うのであります。どうもその辺、私どもはかような殆んど前代未聞とも言うような大きな災害の際に、取りに来るとか来ないとか、そういうふうなまだろこしいことをしている状態でないと思う。現地に私行つて見ませんからわかりませんけれども、御報告を聞いたところによりますと、現地は大変な混乱状態で、そうして幹部の人達も金を受取りに行くとか行かんとかいうようなあれじやないのじやないか。もつと困つているのじやないかというように考えるのですが、今のお話であると、二十億、このくらいで災害の差当つての緊急措置は講じられるように思うのですと聞き受けるのですが、さように受取つていいのでありましようか。現地に視察になつた考えと大分違うものですか。行つたことのないものはよくわかりませんが、その辺をどういうふうに考えたらいいのか。若し今主計官のお話しのようだとすると、我々が十億送れ送れということも意味のないようなことだと思う。その辺の判断がさつぱりつかなくなつたような感じがします。
  33. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省にお尋ねしたいのですが、今の答弁でありますと、この繋ぎ融資というものは単独災害は全然含まれてないわけですね。
  34. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) 単独災害は一応入つておりません。
  35. 加瀬完

    ○加瀬完君 私どもがずつと調査いたしました日本海岸といいますか、玄海灘寄りといいますか、そのほうは単独災害が非常に多いのですね。そういう町村に対する一体資金の心配というものは全然しなくてもいいのか。で、さつきお話のようにこの前の融資関係のものが町村に届いておらないような始末だから、ここですぐ割当てなくてもいいというふうなお考えのようでございますが、この前が届いておらないほど、考えようによつては資金には枯渇しているのだから、この際、何とかしてやらなければ、一体市町村財政というものはどうなるのだという考え方も成立たん。町村財政のこうむつた単独災害に頬被りして、この点だけ片付いたから、これは国として政府としての応えは万全だという結論は出て来ないと思う。それらの町村が現在こうむつております財政的の逼迫状態或いは被害、それらについての政府のお立場をもう少し御説明願いたい。
  36. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) 実は現地被害額と申しましても、恐らく各市町村、県においてもまだ十分把握しておらないのでありまして、現在全力を挙げて被害の確定をやつておられると思います。そういう状態でございますので、ここで二十億ばかり出しますと、当分は少くとも十分やつて行ける。そのうちに現地状況も確定いたしまして、その上でまだ資金が不足だとすれば、その上で考えたらいいのじやないか。
  37. 加瀬完

    ○加瀬完君 この政府からの提出されました総括表を見ましても、全然まだ連絡がとれないために、我々が見て来て被害が甚大だと思つている町村でも、被害報告が全然載つておらない町村すらある。そういう状況にある町村は現在県の救援もなし、政府の手も差延べられないで、自分達でやろうにもやりくりがつかないで、どうにも路頭に迷つておるという状況だと思う。それで連絡もできないという状態にあるのに、連絡が、報告が十分つかないのだから、金を送るのはあとでもいいだろうという結論が、どうして出るか。そうじやなく、連絡がつかないほど困窮しているのだから、政府のほうから、今までの災害とは別の形の緊急性を持つものだから、政府のほうから先に手を差延べるようにして行かなければ、駄目じやないかというふうな立場に立たなければならぬじやないかと私は思う。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  38. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 答弁を求めますか。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 答弁を求めます。
  40. 柏原雄介

    説明員(柏原雄介君) 先ほど申上げました被害総額約四百二十億という数字の中には、そういう音信不通の町村の分は或いは入つてないかと存じます。併し四百二十億の金額は、それら市町村を含めまして、五百億台になるということは恐らくないのじやないか、十億台の移動は勿論あると思いますけれども、百億台の移動は恐らくないのじやないか。そういたしますと、まあ取りあえず二十億を出すことにいたしますれば、当分当座の間は十分やつて行けると……。
  41. 山田節男

    ○山田節男君 議事進行について……。さつき松浦君が議事進行について言われたように、もう大蔵省の一主計官の意見を、ここで国会議員が押問答をしても始まらん話です。これは委員会の運営について邪道です。我々はそんなものじやない。もつと立法府の議員として——、勿論参考に聞くなら必要ですけれども、さつき松浦君が言われたように政府の、今の大蔵省の報告なら報告として聞き、早くやつぱり責任ある者の発言、それからできれば、もうこれは各省の出しているいろいろな資料がありますから、これでもう最低限度幾ら要るのだ、これで見て大蔵省で二十億円で大丈夫と言いますけれども、我々から言えば五十億、三十億、これを命令すればいい。ですからそういう建前にしないと、これはただ政府委員とか説明員の意見を聞いても始まりません。ですから一つ松浦君の動議に対して採決を求められて、もう一遍新しく行かんと軌道に乗りません。
  42. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今……。
  43. 小野義夫

    ○小野義夫君 議事進行について……。今の秋山君が質問された問題に回答を与えてもらわないと、どういう方向に進むにいたしましても、二十億の電報というのは、前の十億と切離して、別に十億にプラス二十億の電報であると考えたのですが、今の御説明によると、もう前の十億もらつているから、それに追加して十億あればいいので、二十億という数字の出所は甚だちよつと了解に苦しむのでありまして、前に出したものを更に申請してくるという必要はなかろうと思う、でありますから、二十億を十億出したのか、それとも合計三十億という要請に対して二十億出したのか。現地からお帰りになつたのですから、現地にあなたが行かれたのは、一体現地の大蔵省としての見解を明らかにするためにお出でになつたのか、大野国務相の補助官としての任務でお出でになつたのかを明瞭にして頂かないと、この二つの点を一つの明瞭にしなければ、他の如何なる方向もとれないのじやないか。我々に誤解があつたのか、そもそも電報の打ち方が杜撰であつたのか、それをはつきりとしてもらいたい。
  44. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) その点は院議に基く調査団が福岡大野国務相とお会いしたその結果も、本委員会に昨日来発言されておつたわけです。それから昨日の当委員会における田中官房副長官の発言から、二十億と前の十億を合わして三十億になるかという数字の問題については、本委員会としては明確になつていると思う。私は改めて柏木事務官に聞く必要はないと思うのですが、委員会としては……。
  45. 小野義夫

    ○小野義夫君 皆さんがそういうふうに了解されておれば、今の説明でわかります。
  46. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 私は政府側に特に希望しておきたい点は、随分答弁が食違うのです。柏木主計官は一説明員としてさつきのような答弁をされておりますが、昨日地方財政の擁護の立場から、自治庁の次長或いは建設省或いは農林省の応急措置に対するところの被害額について見解に相当のズレがある。そのために総合対策中央本部ができたのですから、もう少し緊密な連絡をとつて統一ある答弁を願いたい。それから田中官房副長官自身、昨日の二十億と十億の問題に対するところの答弁と本日の答弁とは全く変つているという点は、誠に委員会としては遺憾に思つております。従つて中央対策本部ができておるのでありますから、各省緊密に連繋をとつて、この善後措置に遺憾なきを期して頂きたいという点を特に要望しておきます。  それでは松浦君の議事進行に関する動議に基いて、一時半再開を目途に休憩いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後一時四十五分開会
  48. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) じや午前に引続いて再開いたします。  午前中の委員会出席要求に基きまして、只今緒方国務大臣、小笠原大蔵大臣が本委員会出席されております。そこで両大臣に答弁頂きたいと思いますが、その点は先般資金運用部資金から繋ぎ資金として十億円を災害府県に届けたということは、本委員会報告を聴取しておるのでございますが、その後三日の夜福岡現地に派遣されている大野国務大臣から二十億円の追加要請が政府にもたらされた、ところが早急にこれに対する回答がなされなかつたので、五日に至つて現地大野国務相から回答はないので十億だけ配分を処置したという通知が政府に参つた、そこで政府は六日の朝に至つて二十億の要請のうちの十億だけについて承知した旨の回答指示を福岡現地に出された。こういう答弁を昨日田中官房副長官から受けたのでございますが、当委員会としては詳細なる調査団の報告も聞いておりますし、現地に派遣された大野国務大臣から二十億円の追加要求がなされているのに、何が故にそれを半額の十億円になされたかという点を聞きたいと思う。更に大野国務相の要請された二十億円の繋ぎ融資を出されるのか出されないのか、出すとすれば、いつ出されるのか、それらの点について本部長である緒方国務大臣並びに小笠原大蔵大臣から聴取いたしたいというので、出席を求めた次第でございます。
  49. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 只今委員長からお話がございましたように、私はその三日の電報を四日に見たような気がいたしますが、五日が日曜で昨日の朝、六日の朝処理をいたした。これも少し手ぬるかつたような気がいたしておりますが、大野現地本部長から二十億の繋ぎ融資、それを十億しか送らなかつたということは、二十億はいけないという意味は少しもないのです。その点について何かこちらで査定をしたかのごとき印象を与えているとすれば、この機会に私から説明をいたしたいのでありますが、それは大蔵大臣のお考えによつて、ただ送り方をそうしただけの話でありまして、今後も大野本部長からの申出の二十億は勿論今後も必要に応じまして繋ぎ融資というものは出して行くつもりでございます。私も先ほど来委員長お話を聞いて、説明が足りなかつたために、或る所だけに、不必要なと申しますか、思いがけない誤解を生じたのではないかということを懸念しておるような次第であります。この新たな十億についての配分等につきましては、すでに御承知のことと思いますが、これにつきましても、現地本部長に、更に現地としての判断を加え得る余裕を存して本部長に連絡をしたような次第でありまして、今委員長のお取継ぎになつたような、東京の本部において折角現地本部長に大物を出しておきながら、その意見通りに扱わずに、こつちで勝手に査定しておる意味ではないということだけを、私から申上げておきます。
  50. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私のほうとしては、こちらの本部長をしておられる緒方副総理官房長官を通しまして、それですべて毎日連絡をとつておるのであります。そこで私が承知するところでは、六日の朝早く、今日十億更に送ることになつておりますから御承認が願いたいということであつたから、九時頃でありましたか、よろしい直ぐ送つてくれということを実は言つたのでありまして、私どもはこの十億で足りるというふうに実は承知しておつたわけです。勿論その以前に十億出してありまして、合計二十億になつていることは御承知通りであります。ただ今二十億向うから言つて来たからどうかというようなことは、実は自分承知しなかつた。これはきまりましたから十億出すことに御承認を願いたいということでありましたので出しました次第であります。従いまして私どものほうも、今緒方副総理からお話がありましたように、何も査定をして半分にするとか、こういうことは考えておりません。必要な金は必要な時期に出しますことは当然なことでありまして、私どもこういうときに機宜を失せんようにやろう、こういう考えでおります。今伺つて、三日の日とか四日の日とかいうことは、それは私も承知しておりません。これは率直に申上げておきます。ただ六日の日の早朝送りたいから今日承認を願いたいということでありましたから、それではよろしい、こう言つた次第であります。
  51. 島村軍次

    ○島村軍次君 昨日の委員会で問題になりましたのはその点が一つと、それから繋ぎ融資の使途についての問題であります。それは従来の考え方から言えば、いわゆる公共の応急施設に対する融資であります。ところが今回の災害が非常に広汎に亘つておる。従つてこの繋ぎ融資については従来の公共施設だけでなくして、例えば市町村の財政の問題とか、或いは単独県費に要する費用とか、或いは町村における単独工事に対しても、必要に応じて出し得るという説明が或る政府委員からあり、而して或る政府委員からは、繋ぎ融資はどこまでもいわゆる応急施設だ、こういう二つの答弁があつたわけで、そこで委員会において問題になつたわけですが、この点は現地報告を聞きますというと、只今お話のあつたように、或る程度の余裕を持つて現地国務大臣が処置して行くということだと思うのでありますが、その点に関しまして、政府のほうではつきりと従来の繋ぎ融資の出し方の範囲を拡げて、そうして単独県費或いはその他の町村とか単独県費とかいうような方面にまで、或いは又市町村の財政等においても、他に方法が講ぜられん場合には出し得る措置が講ぜられるかどうか、この点について一応伺つておきたい。
  52. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもはその繋ぎ融資というものは、現在の法律で許す範囲は差支えないと、こういうふうに考えているのでありますが、或いは今お話の中に、従来の繋ぎ融資と違つて、多少特別の根拠が要る、そういたしますれば、これは私はよくその点を承知しませんが、事務的に今検討しておりますが、そういうことでありますれば、この点については考えなければなりませんが、法の許す範囲措置はいたしております。なお、一つ申添えて置きますが、或いは各銀行等に対して、この際指定預金をするという計らいにいたしまして、十五億円別に銀行に指定預金をいたしました。従いまして指定預金によつて市町村なり或いは個人なりが借り得るという特別な措置が講ぜられておるわけ合いであります。ただお話のような点までそういうものを含めてやり得るかどうか、ちよつとここでよくその経理関係のことを存じませんから、事務当局とも打合せの上で、どうなつておるか、こういうことについて正式にお答えいたしたいと存じます。
  53. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで希望を加えまして、もう一点伺つておきたいと考えすする点は、市町村の財政が窮乏して、すでに固定資産税或いはその他住民税等の資金にも困つておる、お話のように他の金融機関等から借りる場合もありましようし、或いは県が中央政府の資金を待たずして、取りあえず措置し得るものはあろうと思います。併しこれらの問題は、今回のような災害については、昨日の答弁によりますと、こういう問題も現地国務大臣に任しておる、こういうことを或る政府委員から答弁があつたわけであります。従つてこの問題は対策本部としては御協議になつておるものと私は了承いたしたいと思うのであります。従いましてこの点は従来の大蔵省の取扱いよりは、更に進んで拡充してやるということに対して、大蔵大臣として更にもう一遍御検討願い、その問題については積極的に出られんことを希望いたしまして質問を打切ります。
  54. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 了承いたしました。
  55. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今島村委員と両大臣との間に質疑がされたのでおよそわかるような気はするんですが、私どもはもう一つ更に突込んで御意見を承わりたい。繋ぎ融資と言えば、それは公共事業費で、而も従来の例によれば、その被害総額のうち、補助対象となる工事費を三、五、二の割合で先ず当初三だけやる、こういうようなことで、そうしてそれの本年度予算から出しそうな、その三のうちの内訳を先ず差当り金融するのがいわゆる繋ぎ融資なんで、ところがそれでは何らこの大水害のこの際に、新たに福岡本部まで作る必要のない程度の問題なんです。今度御承知のような水害で、あのような政府とつた態度から見ても、あの三などということは私は問題にならないんじやないか、こういうふうに思うのが一点でございます。  それから更に今は町村におきますところの税の入る時期でもあるし、何と言つても今日最小限度助けなければならないのは、災害扶助法によつてやるとは言いながら、いつまで一体炊出しを食わしておつても、これは自活の途を与えなければ駄目なんです。彼ら災害自身の奮起によつて自分たちの生産手段に訴えて、そうして早く自立して生活の安定をしてもらわなければ困る。例えば農地の問題からいえば、熊本のごときは阿蘇の火山灰が二尺、三尺とたまつているんです。それをどけて、そこに折角政府が心配している種籾から恐らく成長する稲苗を待つというような時なんでありますから、折角繋ぎという意味でなしに、端的にいえば最小限度の掴み金というものを福岡大野本部長を経由して各府県に渡しておく、そしてその金の使い方については、勿論現行法規の中で、更には良識を以て運用をしてもらうのであるが、その結果については、これから本委員会でもいろいろと論議されて立法するかも知れない。そういう手続によつて、或るものは公共事業費のいわゆる繋ぎの金となり、或るものは政府が折角政府資金を預託して金融機関をして金融をさしておるのに、救えなかつた、借りられなかつた、併し救わなければならない人たちに対して、この非常時のおり、県知事が思い切つて出した金をその県の責任において行う。これは起債の問題になるかも知れません。こういうふうに広く使えるところの財源として私どもは是非今度のこの応急の金というものは、今度の大水害に当つては、政府は今までの考えとは違つた融通の利く金にしてもらいたいと、こういうふうに思うのです。これについての一つお考えを伺いたい。
  56. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 御趣意はよくわかりますが、事務的に今どういうふうになりますか、ここに官房長が来ておりますから……。
  57. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 官房長が御説明になられる場合は、いろいろと研究してということになるかも知れないし、又お話になるとすれば従来取扱われていた款項の範囲内においての取扱いになることは、これは事務当局の当然な立場だろうと思うのです。今度のような大きな水害に当つては、私は従来扱つていたという範囲内ではいけないのだというところに問題があると思う。従つて私は政府自身が肚をきめておやりになるということが先ずなければ、私どものお願いいたし、訴え、そして希望しておるところのものは何ら満たされないといいますか、答えにならないことになるので、この点については十分お考えを願いたいと思います。
  58. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 政府が資金運用部或いは簡易保険の資金から出しております資金は、いわゆる繋ぎ融資ということでございまして、後に政府の補助乃至は地方の起債なりによつて支出されるまでの繋ぎということが前提になるわけでございます。従いまして各項目別にそういう政府の補助金なり起債なりのあてのあるものにつきまして、差当り必要な金を出すという建前でございますので、そういう項目にとらわれないで、一般的な資金のために緊急に融資するということは、今の制度ではちよつとむずかしい、さような実情になつております。併し各項目別に考えまして、例えば地方公共災害復旧については更に二十億出しましたし、それから災害救助関係ではすでに三億出しましたし、それからこの関係では補助金の支出も本明日中に予備金から出すことを取計らいたいと思いますが、各項目で可能なものをできるだけ早く、一日も早く実行する、さようなことで地方団体の資金需要全般を賄つて行きたい。まあさような建前であることを一つ承知おき願いたいと思うのでございます。
  59. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは官房長としては当然そうだと思うし、更に一つ研究しようという気分が現れているので、その点は有難いと思うのです。けれども要するに現在のやれるところの法規の範囲内であることは勿論でありましよう。併し私ども要望し、この委員会でも早く結論を見出さなければならんというのは、この現実、今日も恐らく困つておる北九州、山口方面の罹災民を、何とかして早く立直るようにしなければならんという問題なんです。一例を挙げれば、起債なんかでも、起債は何ぼの起債を府県に許すかということは、従来の標準であるならば行詰るにきまつておるのです。一県で年間の財政は五十二億だということです。そうして損害は百五十億だというけれども、その中で、当然何ともならない損害があつて、これはもういわゆるまあ泣き寝入りといつて何とも仕様のないのもありましようが、そうでないものだけの額を集めても、非常なものなんです。それを例えば三、五、二の割合だとか、或いは起債の範囲は従来の観念の範囲内だというならば、至るところに落ちこぼれて救えない。そうして何年も何年も災害救助法によつて飯を与え、何年も何年も食わして生かしておかなければならんというような階層が出るのは明らかなんです。私はそうでなくて、この際もつと罹災民の奮起を、今の気持にのつて政府もみずからの手で、やはり自分の生計を営み、自分の家を復興して行こうという、この線に一層の力を入れて頂きたいというのが、私の気持なんです。
  60. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 御趣意はよくわかります。ただ今のについて申しますと、生業資金というものも従来よりも大体五割増し、今までの災害に比べますると二倍お出しすることにしておるような工合で、できるだけ実情に副うようにやつておりますが、なおこれから取調べまして善処いたしたいと考えております。
  61. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今生業資金の話が出ましたが、これは私どもも先日来本部でとられた態度は知つておるのです。  それでは重ねてお伺いいたしますが、農民の人が今日農地改革によつて自作の形をとつておる。従つて昔のように、大きな地主さんの所に行つて金を借りて来るなり、ものを借りて来るなりして復興できない。それぞれが自作農なんです。ところが起債の補助が十五万だと思いますが、でなければ補助の対象にならない。ところがそれでは十万円ならば、どうしてその農家は、自分のこれからの食物を作り、そこで自分の労働を、働らき場所を、何といいますか、求めて一家を維持して行かなければならない。その仕事をどういうふうに彼は繋いで行くか、私どもはこういうところにも、この委員会としてはいろいろな問題が今後あると思うのですが、それらの問題に対して一体政府はどう考えるかということも聞きたくなるくらいなんです。
  62. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今ちよつと私数字を持つておりませんから、よく調べまして実情に合うようにいたさなければ、罹災民のかたも困るでしようから、よく一つ考えます。
  63. 小野義夫

    ○小野義夫君 私もむしろお願いに属するかも知れませんが、先ほどの両大臣の御説明によりまして頗る問題の真相が明らかになつたのでありまして、今後必要に応じてどしどし送るというお言葉があるのでありますから、その必要性があるかどうかというようなことは、更に現地からもいつて来るものであろうと思います。これらのことを見合わして、我々としても考慮しなければなりませんが、問題はこの委員会を設立する当時にも、私どもは内々言つたことであるのでありまして、今年度の予算の組替えとか或いは本年度の直ぐ追つかけて追加予算等で措置をとるというのには、余りにまだ損害の実態を把握しておらない。かるが故に今日の二十八年度予算の中のやりくり操作、それからその予算の中の金融のやりくりというようなところで、当面の急を救うほかはないという考え方を基礎にいたしておるのでありまするが、併しながらこの委員会は目的とするところは、今回の千何百億の損害に対して、全部直ちに復旧とは申しませんけれども、或る程度復旧を急速にやるにあらざれば、只今三浦委員からお話のあつたごとく、貧乏人を非常に続発せしめるということは、いろいろな面から見て、私は避くべきことであろう。従いまして我々の調査は、進んでこれこれの臨時対策を必要とする、或いは進んでは補正予算を早いところ出してもらわなければならんというようなところまで進展すると思いますが、これは衆議院の同様の委員会においても、それぞれの研究があるのでありますが、政府におかれましても、むしろ先手を打つて、大体委員会の空気というものはおわかりでありまするから、今のでは不十分であるから、こういうことを先ず進んでやらざるを得ないであろうというくらいなことは、この際国民にも、又我々委員会にも進んでお示しになることが、この我々の緊迫せる空気を緩和するゆえんではないかと存ずるのでありますが、御意見を拝聴したい。
  64. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 誠に御尤もな御意見でございまして、ただお話の中にもありましたように、災害の実相がまだ十分に把握されておりませんので、その把握ができましたならば、できるだけ早い機会に、又実情に即応した対策を立てなければならんと思つております。大野国務大臣現地行つてもらいましたのは、そういう意味もありましたので、今お話を聞きながら考えまするのは、場合によりましたらば、中間的にその報告を求めて何することも必要じやないか、いずれにしましても、できるだけ御趣旨に副うように対策を立ててやつて参りたいと考えております。
  65. 阿具根登

    ○阿具根登君 只今大臣からお聞きしますと、二十億は査定したのではないのだ、又必要に応じてはいつでも出す、こういうことを言つておられるのでありますが、本委員会といたしましては、政府が言われるように、まだ細部のことは我々にもわかつていない。併し今急にもう十億くらいは必要だ、それで三十億を繋ぎ融資として出してもらいたい、こういうことを考えておるわけなんです。そして決定して昨日もお願いしたわけなんです。政府では今その必要はないとお考えになつておるか。そういう実情はわからないけれども、このくらいの金額は向うにも必要だと、こういうふうにお考えになるか。それをお尋ねしたいと思うのです。勿論私たちも数字を確実に掴んで言つておるわけではありませんけれども、緊急に、今立ち上れない、こういう人たちを救済するためには、九州本部からも言われて来ておるような、この三十億なら三十億の金を直ちに送つてもらいたい、こういうような考えを持つているのであります。
  66. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 今のに附加えて私もお伺いしますが、本委員会は昨日来、最初の十億と、あとから二十億の追加要求ですね。この三十億というものは、早急にともかく出さないことには災害地が立上り得ない。こういう立場で昨日以来、全員一致で要望しておるわけなんです。で、先ほど二大臣からああいうお話があつたわけですが、二十億だけ取りあえず処置するわけですが、あとの十億はいつ処置して頂けるか。それについて御答弁願いたい。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これはこちらのほうの対策本部できまりさえすれば、お出しすることにしてよいと私どもは考えておるのでありますが、実は現地のほうに大蔵省から五人出しておりますが、現金がそう今直ぐ入用なんじやないというような実は報告も受けておるのでありまして、今皆さんお考えになつてもわかるが、送つたつて直ぐその金が右左に使えるものでもないので、私どもは査定するという意味じやございませんが、この間本部できめられた十億、又その次に十億、こういうふうに考えておりまして、六日の朝、私は直ぐ手続きした次第でございますが、こちらのほうで必要があるということでございますれば、必要に応じてその問題は考えたいと思つておる次第でございます。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 私たちは議員の方々が決定に従つて視察をされて、帰つて来られました報告を聞いて、市町村も現金がないので非常に困つておる。なお又新聞で見ましても、一昨日の新聞等も御覧になつておると思いますが、協議をする前に、早く金をくれということを市町村は全部言つております。それが金を送つても直ちに手に入らない。それだから急がんでもいいじやないかというような言い廻しであつたと思うのですが、実際私たちが聞いておる範囲内では、金が手に入らないから、役人のかたがそういういろいろな協議をする前に、先ず金をくれということを言つておる。この現実を見て、それで先ず金を送れ、こういうことを決定しているわけなんですが、随分違うようですね。
  69. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) よく御趣旨はわかりました。よく私どものほうも本部のほうと相談いたしまして考えます。なお今申上げたのは、いわゆる繋ぎ資金のことでありますが、さつきも申したように、商工業者のかたには指定預金を十億いたしておりますので、この金はとつくに届いておりますから、このほうのことはできると考えております。
  70. 松岡平市

    ○松岡平市君 只今大蔵大臣の御答弁のうちに、大蔵省から行かれたかたの報告によるというと、現地においては別に現金の不足はないのだ、現金というものをどこに積んであるか私は知りませんが、私は今回の参議院の現地の調査団の団長でありまして、少くとも私は三県の知事にみずから会つて参りました。その際三県の知事はこもごも租税の、私は租税の内客等は余りつまびらかにいたしませんが租税の納期等が丁度この災害と一致して、なかなか租税も思うように入らない。町村等においては、特に財政疲弊しておる際、現今の余裕がないのだ、で、あとではいろいろな補助や何かもしてもらえるだろうが、今目前に急ぐものは、物か或いけ物を得るための金だ、堤防をすぐ直す、直したものについてのあとの補助金というようないろいろなことで、県もやり国もやつてもらえるけれども、今要るものは例えば佐賀県だけで九十万俵のかますがいる、県で調達できるものは二十何万俵しかない、あとは遠く関東地方まで電報を打つて買い集めておる。併しそれらの支払をする金が第一に要る。毛布も何千枚大阪へ頼んであるけれども、どうしてもこれらのものは金をやらなければすぐは来ないのだ、そういうことなんです。これは県には金が僅かしかないので敏速な手配ができない。少くとも各府県知事は、めいめいの責任おい政府からお叱りをこうむらないだけのことは果せるのだから、何としても今は直ちに政府が我々の活動を信頼して、相当な資金を使えるようにしてもらうということが、一番適切な最初の施策である、こういうふうに私たちは承わつて来たのであります。ところが只今大蔵大臣の御答弁によるというと、大蔵事務当局は現地からお帰りになつて、そういうものは必要ない、現金は余り欲しておらないので、こういうようなことになつて参りますと、私たちの調査が誠に疎漏でないか、疎漏どころではなくて、甚だ反対な調査をしたということに相成るわけでありますから、その点について私は少くとも、或いは私が帰りましたのは三日でありますが、三日後に情勢が著しく変化したのかも知れない。大蔵省事務官の方々の御報告はそれから後の状況であれば、私は別段何も申上げませんが、若しそうでないとすればゆゆしいことであると私は職責上感ぜざるを得ないのです。その点について大蔵省当局の大臣に御報告になりました経緯について、責任のあるお話をここでして頂きませんと、私は本院に報告をし、更に特別委員会状況報告いたしました調査団の団長としての責任において甚だ困惑いたします。一応その点について大蔵大臣に御答弁を頂きます。
  71. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと私の言葉が足らなかつたかもしれませんが、向うで特に急いでおりますのは、つまりどれだけのことをしてくれるかという枠のことでありますが、非常に急いでおります。その意味を申上げたんで、松岡さんおつしやる意味もよくわかりますが、その意味で私申上げた次第であります。なお年末にいつも出す特別平衡交付金ですね。それを五億円差上げてあることになつておりますので、金の面は枠の点から申しますと、十分でないことは、今後御相談をして出さなければなりませんが、私の言うのは、そこに払う現金がないから、物を買えないという問題ではなくて、今お話なつた佐賀の実情等でも、二十億の金が行つておりますから、佐賀には三億五千万の割当があるんですから、それを買われるのに何にも私は支障ないというふうに考えております。
  72. 松岡平市

    ○松岡平市君 一応現金が要るとか枠が要るとかいうことは、私もその点つまびらかにいたしておりませんので、お答えの点について私は一応結構だと思いますが、私が改めてお聞きしたいのは、今回の災害は誠に未曾有災害であつたと考えますが、この未曾有災害対して従来いろいろと災害もありましたが、それらの災害の場合とは異なつて、どれだけ特別な手配をこの災害に対して特に急いでお取りなすつたか、その点をちよつと副総理からお聞きしておきたいと思います。
  73. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) この前ここにまかり出ましたときにも、一応対策本部を作つた以来の経過を申上げたのでありますが、今度の災害が当るか当らんか知りませんが、私らの感じでは、関東大震火災以後の大きな災害と思います。そういう心構えで現地対策本部というものも、余り前例はないと思いますが、大野国務大臣行つてもらつたことにつきましても、成るべく大胆に現地で取捌いてもらおう、今非常に陳情がはやりますけれども、わざわざ東京に来られるのも大変だし、こつちも現地で実際の事情と睨み合せながら、陳情を聞くことも実情に即応するゆえんであると考えまして、現地対策本部を作つたような次第であります。この前も申上げましたように、或いは現地対策本部には多少の行き過ぎがありましても、私いたし方ないと思います。勿論これは法規を超えて国の予算を使うことはできませんけれども、その一応繋ぎ融資等でやつている間に国会対策というものがきまりましようし、それによつてあと法規的に裏ずけされるものも或る点できる場合もあろう、そういう意味から法規を超えることはできないにしても、その成算をつけるまでの間には、相当自由に判断をしてよくなると考えましたのが、現地本部を作りましたゆえんでありますが、交通が甚だ不完全になつておりましたけれども、できる範囲現地中央本部との連絡をとつて、多少役所仕事の点もあるかと思いますが、できるだけのことはやつておるつもりであります。今一番大きな問題になつております繋ぎ融資については、先ほど来、大蔵大臣から説明がありました通りでございます。今後もそういう線に沿つてできるだけすばしこくやつて参りたい、さように考えております。
  74. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと私からも申添えておきます。実は今度特別にどういう措置とつたかというお話でありますが、金の面だけについてちよつと簡単に申上げますと、従来繋ぎ資金というものは査定に大体一カ月ぐらいかかつておる、これは役所の仕事ですから従来はそうでありますが、今回は急いで二十億出しました。それから今度の災害救助費は二億九千八百万円出したのでございます。更に指定預金としてさつき申した十五億出してございます。それから特別平衡交付金を五億出しております。更に直轄河川に対しまして六億出しております。国民金融公庫に六億出し、住宅金融公庫に三億出しておりまするが、実はこれは金の点だけを申上げますと、五十八億を処置しておるわけでございます。
  75. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 緒方副総理は忙しいそうですから、先ず緒方副総理にお願いいたします。
  76. 山田節男

    ○山田節男君 これは私あとから来まして、すでに他の委員から御質問があつたかも知れませんが、若し重複しておつた場合にはお答え願わなくてもよろしゆうございます。今朝来問題になつた点は、こうして西日本のこの災害総合対策中央本部ですか、こういうものができて、現地大野国務大臣本部長としておられる、そうして指揮してやつておられる。我々手許に受けておるいろいろな書類の調査報告を見ますと、おのおの政府各省自分の立場から見た被害額或いは被害数というものを数字的にこれは羅列しております。併しこれほど、今副総理も言われたように、関東大震災に次ぐべきこれは非常な惨事である。而も一千億以上の損害だ。これに社会的或いは人的な損害が誠に重大なものがありますので、こうして中央対策本部というものをお設けになつて国務大臣現地におる。併しもうすでに一週間以上たつていろいろな報告を受け、昨夜遅く帰つて来たという大蔵省の事務官からも話を聞きましても、やはり大蔵省、農林省、建設省、厚生省その他各省のこれは総合的な緊急の措置が必要である。どうも私どもがこれを見ておりますというと、遺憾ながらこれはやはり各省のセクシヨナリズムである、おのおの勝手なことをやつておる、そこに何ら総合統一性がない。先立つものはやはり金である。又建設省、農林省、これが中心でありますけれども、今のようなままでやりますと、どうも総合性がない、午前中の委員会におきましても、委員長が再三指摘されたのですけれども、昨日言うたことと今日言うたこととは、同じ政府政府委員でありながら言葉が違う、こういうようなことでは、我々が最高の立法府機関としまして、小くともここで国会の、最高の立法府の委員会といたしまして、若しこれがもう緊急の措置に対して、法的にはこういう隘路があります、或いは予算的に、大蔵大臣はこう言うておりますが、現実に金はどうしても三百億要りますけれども、何とか方法がありませんかというようなことになつて国会が取上げて行くべき問題じやないか。  そこで私がお尋ね申上げたいことは、これは今日あそこに何百万という被害関係者がその日の生活に困つておる、その日に寝る所もない、こういう緊急措置も勿論必要でありますが、これから将来長い目で、今回のああいうような大なき水害がどうして起きたかということも、これは同時に私は大いに調査し、対策を立てなくちやならんと思う。それがためには、一建設省、一農林省で、これはできる問題ではございません。そこで折角国会にこういう特別の緊急委員会ができましたのですから、今朝も申上げたのですが、政府が行政の責任者としていろいろこうしておやりになつて、こういう所に隘路がある、金も大蔵大臣に、例えばこれはもう今月一ぱいで三百億出せ、これは出ません、大蔵大臣はこういう理由で以て出しませんと言つた場合に、これを出さなければ、この緊急対策が実現できないということになります。これはやはり政府としては国会にお諮りにならなくちやならない。そこで今朝我々が問題にしましたことは、こうして大野国務大臣本部長としておやりになつておる。これは緊急的な措置は、私は十分いろいろな不便を忍びながら、万全を期しておやりになつておるのだろうと思う。併しその緊急措置のやり方においてこれはやはり、何と申しますか、セクシヨナリズムの弊害が現われておる。被災者、罹災者に対する統一的な、決定的なものがどうもできないのじやないかという、現にそういうような例が多分にあるわけです。そこで、まあ副総理といたしましては、この行政の最高の責任者といたしまして、現在のままのようなこの対策本部で、大野国務大臣現地に派遣して、それで概括、包括的な、効果的な救済ができるかどうか。そういうふうに自信を待つておるかどうか。私どもといたしましては、勿論政府のおやりになることについて、成るべく能率的に、成るべく迅速に、成るべく十分な、これは緊急な援助を与えなければならないと思つていますけれども、今の対策本部で、大野国務大臣現地にいらつしやつて、これができるかどうか。それから緊急対策と同時に、これは日本は財政的にも非常に困つておるときでありまするから、臨時緊急措置であると同時に、恒久的な措置というものと睨み合してやらないと、非常に財政的にも無駄になると思う。そういうような方面に政府としてはどういうふうにお考えになつておるか。又我々特別委員会に対して、副総理としてどういうことをやつてもらいたいかという、こういう御希望の点があれば、これは大蔵大臣からでもよろしうございますが、副総理並びに大蔵大臣から一つ具体的な御希望なり御意見なりお伺いいたしたいと思います。
  77. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) こういう突然の大きな災害に対しまして、被災害者の生活等も考え、それに政府がどういう心構えを持つて見ておるかということを示す意味もありまして、早急に、大野国務大臣を中心とした現地対策本部を設けたのであります。その対策につきましても、段階がありまして、今朝現地から帰つてつた厚生大臣の話によりますというと、一応あらましの何はついたのではないかと思われる一方に、今お話のようなこのセクシヨナリズムを総合する、むしろ事務総局のようなものが欠けておるような感じがしておるという意見もありましたが、実は御意見と吻合するわけで、そういう意味で、場合によりましては、大野国務相報告を中間的に求めまして、そうして第二の段階に入ることを考えなければならんのではないかと思つております。報告がまちまち来るということも或いはあるかも知れませんが、そういうことにつきましては、現地の事情、現地報告をできるだけ聞いて対策を誤らないようにして参りたいと考えております。それから、恒久的な、今後の治山淡水を初め、水害災害に対する対策につきましては、これは余ほど根本的に考えなければならん問題も恐らくは起きるであろうということから、災害が起りますと同時に、建設大臣現地出張を求めたような次第であります。建設大臣現地行つて非常によかつたと、今後公共事業等の対策を立てて行く上に非常に参考になつておると言つておりましたし、先般の総理大臣の議会に対する施政演説の中にも、国土の荒廃について特別の関心を述べておりまする通りに、この災害を機会に、財政的に許す限りできるだけの対策を考えて行きたいと思います。それから第三番目の、この委員会に何を期待するか、これは私のほうから差出がましいことは申しませんが、どうぞ国会として自由なる御意見を闘わして頂きまして、そうして国会良識によつて、将来に対します根本的な対策、或いは現在の災害に即応する対策等を立てて頂きたい、それ以上申上げることは差控えます。
  78. 山田節男

    ○山田節男君 大野無住所国務大臣向う本部長としておられるわけですが、勿論最高責任者、最高指揮者としておられるのだろうと思いますが、法的にと申しますか、行政組織法によつて各省権限というものがきまつております。併し、今度のように総合的な、名前に書いてあるように、総合的な救済をしなければ、そこに凸凹があり、不徹底であるから、私は総会本部中央本部とされたのだろうと思いますが、大野国務大臣は、国務大臣として、あらゆる官省、大蔵省、農林省その他関係の諸省を含めて、これに対して指揮、調整監督してやる権限が与えてあるのかどうか。この点をお伺いいたします。
  79. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 指揮監督ですか。いや、そういう意味はございません。ただ現地要望を十分聞いて欲しいと、それから十分に現地を見て欲しいと、そのために殆んど関係各官省から事務官をつけまして、そしてその間に、大野国務大臣の監督の下に十分対策を研究してもらう、こういうつもりでやつたのであります。
  80. 山田節男

    ○山田節男君 それではこの総合対策本部を設けられて、現地大臣が置かれてあるという以上は、ただ調査するものではなく、各行政のものを指揮して、最も効果的に、例えば、郵政省関係のもの、それから建設省関係のものが、これがおのおの勝手なことをやつた場合には、これは非常に労力的に経費的にダブルことがありはせんか。こういうような場合に国務大臣ならば、一つの企画をもつて現地の意見を聞いて企画をもつてやれば労力が少くてすむし、能率的に行くのではないか。そういう意味で、私は本部長というものが任命されているのではないかと思います。
  81. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 現地の機関ですか。
  82. 山田節男

    ○山田節男君 現地罹災者要求等がございますから、現地各省の意見を総合した最もツー・ザ・ポイントの救済ができるようにするために、大臣をあすこへ置かれているのじやないですか。
  83. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 現地でできることは、それぞれの事務当局が行つておりますから、その意見に従つて大野国務大臣がそれを判断して、いいものはどんどん現地で処理して、奥と連絡して、中央と協議した上でなければきまらんものは、刻々に中央連絡をしておる。全体を、すべてを大野国務大臣が……大体その対策本部というのは、現地の意見を聞いてやるということが主でございます。
  84. 山田節男

    ○山田節男君 少くとも一国の大臣を現場に本部長に置かれる以上は、これは今朝ほどからも問題になつておるように、金の問題なんです。そうなれば、これは私は少くとも国務大臣として向うにおつて、二十億円をくれといえば、これは各官省と相談して、緊急に必要だから要求したに違いない。それを値切るといつてはおかしいけれども、二十億といつたのを十億しか送らない、こういうようなことでは、実際の緊急措置というものにならない。ですから、少くとも総理大臣、或いは副総理大臣としては、現地国務大臣に対して、例えばこの問題に対してこの緊急の対策の面については、五十億なら五十億の一つのクレジットを与えて、自由にやれ、その代り、各関係省と慎重に協議してやれ、それだけの自由裁量を与えませんと、今罹災者はその目に困つておる、これでは甲論乙駁で以て、何ら統一性も何もない、これは現、地からの非難です。そうするならば、もつと現地国務大臣に対して、三十億や五十億を自由にこれを使えるだけの信用を一つ与えてやるというだけのことがなければ、これは大野国務大臣が幾らがんばつてもできないと思うのですが、この点はどういうお考えですか。
  85. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) これは、先ほどのあなたのおいでになる前に申上げたのですが、大野国務大臣からの繋ぎ融資二十億、それを査定するというような意味は少しもございません。ただ、大蔵省の事務当局から一時金が使い切れていないようだからというようなことで、送り方をああいうふうにしましたけれども、必要であれば、向うの要請に応じ対策本部できめまして、いつでも送るつもりでございます。
  86. 山田節男

    ○山田節男君 大蔵大臣にお伺いしますが、今も十億とか二十億、その他六億とかいろいろな処置をなさつていることは今お伺いして、総計すれば四十億、五十億になるのじやないかと思いますが、併しほかの方法によらないで、例えばここに三十億乃至五十億の金がきまつておるということになれば、大蔵大臣として、これはもう金を出す御意思はございますか。
  87. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) どうも金の問題というのは程度問題でございまして、今の……。
  88. 山田節男

    ○山田節男君 三十億乃至五十億ということを言われた場合には……。
  89. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) それはこちらのほうで、何と言いますか、緒方副総理を中心にしておる対策本部のほうで是非必要だと言われれば、これは何とかして捻出しなければならないと思いますが、或いはそれがためには特別な予算措置等が何か必要になつて来るかもわかりません。ただちよつと申上げておきますが、実はさつきから二十億二十億と言われるのでありますが、私から申しますと、繋ぎ融資二十億に対して二十五億送つておるのです。それは特別平衡交付金から五億円余計送つておるのでありまして、二十億は繋ぎ融資でありますが、そのほかに五億送つておるのです。だからそれと今副総理から話がありましたように、これは何も値切るとかそういうことは毛頭思つておりません。必要なものは出す、こういう考え方で臨んでおるのでありまして、それが総計してさつきまだあなたがおいでにならなかつたかも知れませんが、今までに五十八億ばかりお出ししておることになつておるのであります。
  90. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) そこで、私から念のためにお伺いしますが、昨日もさつきも、ちよつと委員からお話が出ましたが、繋ぎ融資内容についていろいろ論議されたのです。今大蔵大臣は早速今度又平衡交付金の五億円と一緒にして二十五億云々と言われているので、時と場合で若干数字やら内容が狂つて来るのです。そこで私は端的に伺いますが、大蔵大臣中央本部のほうで必要ということになれば、限度はあるけれども、今二十億とか三十億とか問題になつている点については用意があるということを、さつき発言されているわけであります。そこで中央本部長である緒方副総理に伺いますが、先ほど申上げましたように、本委員会としてはどうも取りあえず三十億の繋ぎ融資というものはすぐ出すべきであるということは、昨日から議論沸騰しておるわけです。そこで大蔵大臣からそういう言明があるのでございますが、本部長として今二十億承知されていますね、あとの十億、これを明日の午前十時頃までに取運んで頂けますね、念のために……。
  91. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今御意見を伺いましたが、対策本部会議にかけずにやるわけには行きません。かけてそういう必要があればやります。
  92. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) かけてこの委員会の期待に副うようにやつて頂けますね。
  93. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) かけてやります。かけずにやるというわけには行きません。大蔵省の事務当局も参加しておりますし、いろいろな角度から検討して、これは当然だということになれば出します。
  94. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それに関連して、かけて至急実現を図ることは是非お願いしたいんですが、先ほど大蔵省の午前中向うから帰つて来た主計官のお話もあつたのです。その人の算定によりますと、いわゆる従来から使われている言葉の繋ぎ資金、公共事業を補助するであろう公共事業費に見合うところの金の意味の繋ぎ資金ならば、十七億程度でいいんだと考えておるというお話があつたのです。これは事務当局としては従来の災害と同じ態度で行くのだとすれば、そういう見方もせざるを得ないでありましよう。ところが今日御承知通り非常に大規模の災害なのでありますから、私どもは是非、これらのもらつた資料からいつても、又それだけ信頼している今日の大野本部長の立場からいつても、要求されている二十億をなぜ一体仕切りするんだろう。こんなわかつたことまでやらないで、一体何が本部だ、こういうようなことなんです。ですから、従来のような感覚でなく、御審議を是非お願いしたいと思います。
  95. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今ちよつとお話がありましたが、実は最初十億繋ぎ資金を出す。二十億来ましたのに対して繋ぎ資金は十億出して、繋ぎ資金は二十五億であります。それはそのほかに十五億指定預金をいたしておりますので、つまり向うの二十億に対して二十五億金が出ているとも言えます。従いまして大野本部長のほうもこれで何も不満がないということでございましたので、私ども承知しておるところではそういうことであります。
  96. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは私から言うのはおかしいけれども、指定預金の引上げるべきものを、三億七千引上げない。更に今度十億渡した、それぞれ金融機関の責任において出すのです。それですから回収ということを当然考えますと、運用ということになると幾らでもない。ところが今度近隣均しく全部総嘗めにやられたこの際に、そうして而も有力なる使途においても、それは有力なる使途だけに、非常に大きい災害を受けているから、それは金融機関に余計きつている、金融機関というものは貸出準備というとおかしいですが、要するに枠を設けてやるのが普通の形態であります。私どもはそうでなく、而もこの際としては何とかしなければならんものを、その地区の行政担当者である知事が自分の肚で何かやるにしても、それが全然ない。こういうような際においても、できるだけ多くの範囲内において、或る程度活動のできる意味合において、いわゆる融資なんということではなく、応急財源ということで、繋ぎという言葉は誤解があるからいけない。応急財源として処置をして頂きたい、こういうことであります。
  97. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  98. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。
  99. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 先刻の私の答弁中、大野国務大臣も満足だ云々ということを申しておつたような気がいたしまするが、それであればこれを取消して、大野国務大臣も了解済みである、こういうことに改めたいと存じます。誤解があつてもいけませんので、この点申上げたいと思います。
  100. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員長から申上げますが、午前中大蔵事務官から承わつたところによりますと、如何にも今の手当で一応よろしいのだというような意味の発言がこの委員会でございました。只今大蔵大臣の御発言もあつたわけですが、又一方政府部内で現地を親しく視察して参りましたそれぞれの所管省の或いは局長、課長の報告に基いての各所管省の今度の緊急対策に対するところの予算要求というものも、本委員会で承わりましたが、随分と又違う報告がされております。これはまあ緊急の間に若干の齟齬があるのはいたし方がないかも知れませんが、余りにも齟齬を来たしていると思うのです。それから本院の調査団の報告は御承知通りです。又その報告に基いての本委員会の期待、要望というものも先ほどから懇談会中縷々述べられた通りでございます。従つて本部長である緒方副総理としてはよくおわかりだと思いまするので、大蔵大臣とも御協議の上、明日の午前十時頃までにこれに対する御回答を本委員会に求めたいと思います。如何でしようか。
  101. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 承知しました。
  102. 松浦清一

    松浦清一君 午前中から当面の緊急な措置が問題になつておりまして、更に十億の繋ぎ融資の問題につきましては、大蔵大臣水害総合対策本部のほうで必要であるということならば出すのだ、こうおつしやつておる。それから緒方副総理対策本部で相談して見る、こういうことだつたのですが、その点緒方副総理の言われるのは、相談をして見ても、出すことが妥当であるかどうかという結論が出るかどうかわからんという意味でしようか、それとも十億円を出すということに対策本部で努力をすると、こういう意味なんでしようか。
  103. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 繋ぎ融資でありますから、向うの人々の説明を聞きまして大体それでいいんじやないかと思います。こつちでそれをいいとか悪いとかいう資料を持つていないわけであります。
  104. 松浦清一

    松浦清一君 それから、それは緊急な繋ぎ融資なんですが、それを使つてみて更に又十億必要である、二十億必要であるという問題が起つて参りましたときには、大蔵大臣どういうことになりましようか。
  105. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 繋ぎ融資のことでござしいますので、一体どれだけのものを出すことになるかという査定ができませんと、これは出せませんが、今のところそれは程度問題になつて参りまするが、今の二十億が更に十億殖えるくらいなところでありますれば、これは現在のところ出し得ると私は考えております。
  106. 松浦清一

    松浦清一君 今の問題になつておる二十億、三十億というのは限度なんですか更に二十億、三十億になるということなんですか。
  107. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) それは今繋ぎ融資でございまするから、あとで公刊手業費その他のもので決済さるべき分でございます。それでございますから、それがわかりませんとお答えができないわけでございます。
  108. 松浦清一

    松浦清一君 出す必要があるということを対策本部で決定をすれば、それはお出しになるわけですね。大蔵省としては金があるとかないとかいうことをおつしやらないわけですね。
  109. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) それは補助金としてどれくらい国が出すのだということがきまりませんと、出しようがちよつとございませんですが、だから今の十億かそこらであれば、これは常識上わかりますけれども、これがそれじや三十億でも五十億でもいいかとおつしやると、常識上ちよつとその点が補助金のことですから、はつきり御返答はいたしかねます。
  110. 松浦清一

    松浦清一君 私は端的に基本的な対策の方針として伺つておきたいのですが、只今手許に配られております資料によりますと、文部省の二十億をはじめ、農林省の二百七十億、通産省の三十億というような数字が挙られて、トータルで一千九十億、こういう七月六日現在の災害の調べの結果が出ておるわけですね。これは恐らく多くなつても少くならんと思うのですが、現行の法律に基いて、各省別にこれだけの被害に対して国が一体幾らその補助ができるのか、幾ら金が出せるのか、こういうことを一つお答え願いたいのです。若し今直ちに法律と対照して数字がわからなければ、明日委員会が開かれれば、それを詳細に教えてもらいたい。国が幾ら出して、そして地方の県なり或いは市町村なりが、そのうちで幾ら出せるかということも併せて、パーセンテージでも結構ですから、お知らせを願いたい。それで国が出す金、それから地方において、県や市町村が出し得る金を合計して、そうしてこの損害のどの程度復旧ができるかという問題が起つて来ると思うのです。そうなつたら結論として、これでは、到底この大きな水害復旧はできない、こういう結論が出た場合口に、この特別対策委員会で西日本水害に対する対策の緊急措置に関する法律を作つたとすれば、それに対応する政府の用意があるかどうかという予算的な考え方を承わりたいと思います。
  111. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 御承知のように現在のところは災害に対する予備費というものは、この二十八年度本予算が通つて百億しかございません。従いましてそのうちすでに使つておるものもございまするし、例えば冷霜害対策のごときすでに使つておるものもありまするし、どれだけがどういうふうに補助金に向けられるかということは、これはよくその何を検討して、出ましたものを閣議で決定しなければならん事柄であります。従つて今日からこれがどうなるということをちよつと予測して、かれこれ申しにくいのであります。但し最高が今のところは百億しかございません。このことは御了承願わなければなりません。
  112. 松浦清一

    松浦清一君 最終的に百億程度の金を国が出しても、この災害復旧は到底できないと思うのです。曾つてどもは十勝沖の地震に対して特別の法律を作つて、これが災害に対する予算範囲内であつたかも知れませんが、今度の災害の規模の大きさと深刻さに鑑みて、やはり特別なこれは措置を講ずる必要があると思う。そのために私がお尋ねしておるのは、災害に対する特別の臨時立法を作つた場合に、予算を補正する御意思はないかどうかということを伺つておるのです。百億円の範囲でどうこうということを伺つているのじやないのです。
  113. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) それは必要がございますれば、補正予算を組まなければならんだろうと存じます。
  114. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 緒方副総理にもう一つお伺いしたいと思うのですが、今度の災害が余りにも大きかつたものだから、非常に要望があるのは、補償、補助の法規の適用される枠内に入つているのですね、それでその枠を拡げてほしいという要望、例えば具体的な事実で、或いは対象の枠を広げてほしい、そういう要望があるのですが、それに対してはどうされようとしておるか。それからもう一つは、さつきから意見が出ましたが、法規の裏付のない被害、というものが非常に大きいと思う。それらをどういうふうにして救済しようとされているか、それらの点について承わりたいと思います。
  115. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今度の災害の今まで予想されなかつたような性質の点があつて、新たに法規を要するということで、今委員長から御質問になりましたようなことについては、もう少し研究しないと私はここで即座にお答えができません。
  116. 松浦清一

    松浦清一君 先ほど私お伺い申上げた各省別の被害総額の表がここに出ておりますけれども、それに対する、現行法に基いて政府がどれくらいのパーセンテージで金を出せるか、地方の県なり、市町村なりが、どれだけ出せるかという、その調べをして頂くことはよろしうございますね。
  117. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) よく調査の上御返事申上げることにいたしたいと存じます。
  118. 寺本廣作

    ○寺本広作君 先ほど委員長から緒方副総理にお尋ねをされました従来補助対象になつていなかつた災害で、今度非常に大きい被害を及ぼしておるという問題については、特に御考慮を頂きたいということを委員長言つておられましたが、特に熊本におきましては、多量の泥土が阿蘇のほうから流されて、それが道路や河川を埋めておる。その道路に残つた泥土の排除であるとか、河川、下水、そういうところに溜つた泥土の排除というものは、群来の災害補助の中には恐らく入つておらん。そういうことは、到底国家の補助なくしては、自力ではでき得ない問題でありますので、特に御考慮を頂きたいと思います。
  119. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 只今の問題はよく検討いたします。
  120. 山田節男

    ○山田節男君 九州の今度の水害で、政府機関のうちで国庫が支弁するのは、これは非常に大蔵大臣としていろいろ御調査になり、わかつていると思いますが、国鉄それから電信電話公社ですね、この二つの公社の被害は相当あるのじやないか、ここに出ている電電公社、郵便物、電信電話二十億と申しております。それから国鉄関係もこれは相当私は被害が多いのじやないか、そういたしますと、やはり公社は予算というものを前国会で承認を得てやつておるわけですから、こういつたような場合に、年度予算にこれほどの莫大なそういう被害をこうむつたような場合には、こういう公社に対しましては、政府として、大蔵大臣として何か公社から要求があれば、その被害状況程度に応じて国会が承認する条件の下に、何か臨時的な緊急措置ができるものでございますか。
  121. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 只今お話鉄道とか電々とか、そういうものにつきましては、あのうちに予備費が若干あるはずでございます。各公社とも、それから又流用し得る分も若干あるはずでございます。併しそれで足りないような場合に、又別に考えなければならんと存じております。
  122. 山田節男

    ○山田節男君 その考えるということは若し鉄道公社或いは電々公社が流用その他でどうしても応じ切れないという莫大な被害額に達したという場合には、それは政府が何と申しますか、政府の資金を融通するという意味ですか、或いは公社の社債か何か発行する、そういうような立場でやるのか、政府としては、そういう要求があつた場合には、どういう融資をなさるか。
  123. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 緒方副総理衆議院出席の必要上退席したというのですが、緒方副総理よろしうございますか。    〔「どうぞ、了承」と呼ぶ者あり〕
  124. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) どうも有難うございました。
  125. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今の問題は一般会計としては、これは役に立ちませんが、特別会計の範囲で、どういうふうになつて行くかという問題であります。それで公社会計等でどうなつて行くかという問題でありますが、或いはその実情に基いて今の予備費で足らんところについては、例えばそれが自力で起債をするということになつて行くか、そういうような問題もありましよう。国債とか社債を出すやつですね、公社債を出すという問題もありましよう。そういうようなこともありますので、実際問題をもう少し調べてみませんと、ちよつと今のところその点まで御返事ができかねます。
  126. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちよつと私は新まいでよくわかりませんが、災害救助の国庫の負担額、従来そのうち生業資金の貸付五千円というのは、いつ五千円になつておるのですか、いつ頃ですか。生業資金が五千円ときめられておつたのはいつのことでございますか。
  127. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 二十五年以来五千円になつておりましたのを今般一万円に改訂いたしました。
  128. 松岡平市

    ○松岡平市君 二十五年から五千円ですか。
  129. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ええ。
  130. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうでございましよう、これは一万円の生業資金というものを、而も貸付対象は前回の一割を二割五分に拡大しておられるのですが、一万円の金が実際生業資金として、百姓に対しても或いは商人に対しても、どれだけの用をなすというふうに大蔵当局は、現在の貨幣価値において一万円、政府の施策として、貸付金一万円貸したらば、一体生業資金として役に立つとお考えになつていらつしやるのでしようか。
  131. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それは私の質問を合せて答弁して頂きたい。今松岡君から質問がございましたが、厚生省のほうでは、この五千円では駄目だというので、三万円をあなたのところに要求して、昨日の委員会ではその報告を我々にしたわけです。ところが所管である厚生省のほうで承知しないうちに中央本部で、恐らく大蔵省でやられたと思うのですが、決定してここにプリントとして配られるというのは、どうもおかしいと思います。それらの点もどうぞ合せて答弁して頂きたい。
  132. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 災害救助法に基きまして出す生業資金、これはまあ本当の緊急の、特に困つておる方々にお貸しするわけでございまして、まあ五千円を一万円に上げましたのでございますが、勿論これだけでは十分でないという場合もあるかと存じます。そういう場合には、まあ一般の金融機関と申しましても、おのずから限定がされるわけでありまして、例えば国民金融公庫から出す生業資金とか、商工業者でございますれば商工中金乃至は今度の中小企業金庫とかいうものができますが、そういつた一般の金融機関の作用に負うところも多いかと思うのでございまして、財政負担、租税負担の中から出します生業資金は一万円ということで御了承頂きたいのであります。なお一万円がきまりました経緯につきまして、委員長から御質問がございましたわけでございますが、私が承知いたしておりますのでは、二万円にすることにつきましては、厚生事務当局と打合せの上、本部に待ち出しまして御決定願つた、さように了承いたしておるのでございますが、私は直接の関係者ではございませんので、よく取調べてみたいと思います。
  133. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうしますと、まあ結局この災害については、現在のところ法律、法規上の裏付のあるものは、まあずつと今後やつて、五千円を一万円にする、或いは対象を一割を二割五分に拡大するということで、まあ精一ぱい政府としては現在の法律に基いてやれるだけのことをやつてみる、こういうことでございますが、先ほど松浦委員でしたか、現在ここで予定されておる一千九十億の災害に対して、国家がこれに対してどれだけ一体負担するか、その見積額を要求しておられるのですが、その負担額のほかに、まあこれは、緒方国務相がおられないのですが、大蔵大臣としてまあその負担をすれば、大体この災害については国としてはおさまりが付くだろうというふうな御認識でございましようか。それでは到底この災害はカバーできない、できないから何らかの特別の措置をとらなければならんというふうな、すでにお考えでございましようか。念のためにちよつとお聞かせ願つておきたいと思います。
  134. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君)  私どもまだ実は細かい調べのものをもらつておりません。今日も例えてみますと、厚生大臣が帰つて、今朝報告がありましたが、それによると、災害総額が六百億近くで、これとは四割も違うのであります。又私ども聞いておるほかの数字も相当違つておるのでございまして、これがどの程度かということについては、よくまだ実は掴んでおりません。併しながらこういう異常とも言うべき災害のことでありますから、国の財政困難なときではありますけれども、できるだけの措置はいたしたい、かような心構えは十分持つております。
  135. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 内村君から委員外発言を求められておりますが、許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは内村君。
  137. 内村清次

    委員外議員(内村清次君) 私も今回の院議によりまして派遣議員の一員として、昨日帰つて来たのでございますが、これはまあ各県の被害状況の基礎がどういうふうに集計されて、大蔵大臣の耳に入つたか知りませんが、これは熊本一県にしましても七百億を越すと、こう言つておるのです。この点は一つ認識して頂きたい。勿論熊本県におきましても、まだ阿蘇地区の白水あたりの被害状況の進度はつまびらかにされておりません。それで概算七百億以上だと、一県でですよ。そうしますると、福岡県、それから私は大分県、これを受持つて参りましたが、それにいたしましても、大分県は一応百二十億ぐらいと言つておりました。併しながら、全体を総合いたしますと、これは恐らく私たちが想像した以上、想像と申しますか、私たちは一千三百億か五百億ぐらい、こう思つたのが、二千億近い予想がされておると、こう言つております。そうしますと、政府の今日の資料では、一千九十二億ですか、こういうような数字が出ておるのですが、この数字の基礎というものが、勿論政府におきましても、非常に収集に困難されておることは私たちも想像します。併し、あなたがおつしやるような、六百億程度ではないということだけは考えてもらいたい、認識を新たにしてもらいたいことが第一点ですが、その次には今回の災害予算としての充当は、これはもう七月分の予算で蔵相が確約されたところの十五億の予備金、これしかまだ手当ができないでしよう。あとは資金融資というような問題でございましようが、問題は、八月からの本予算ですね。これに政府はどういうふうな修正態度で以てこの災害に対応されて行くか、その予算の増額というものは、どういうふうに大蔵省で今算定をされておるか。この点を聞かせて頂きたい。
  138. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは、今申上げました通り、私どものほうも十分の資料がまだ整つておりません。調査に基きまして、今例えば、これが千億というのと、全体で二千億にも達する、倍にも話が違つてしまうということで、どの程度が実際の数字かということは、今後の的確な調査によらなければならんだろうと思います。併し、まあ今朝も話がでましたが、差向きやるべきことは、即時やるべきことは九割まで片付いておるように思われますという報告がありました。併し今後やるべきことは、これはたくさん残されておるわけであります。併し、直接に申しますと、二十八年度本予算には通計して百億円の災害予備費を盛つてございます。そのうち四、五の両カ月で十億、六月で五億、それから七月分は十五億、三十億ございまして、これは成立した分です。その三十億、その三十億中使いましたのは、凍霜害その他で六億足らずであります。従つて十九億円ほどはここに残つておりますわけでございます。更に本予算通りますると、八月以降の分が七十億あるわけで、八十九億円ほどのものがあるわけです。併しそれで足りるかどうか、若し足りん場合にはどうするかということは、的確な資料を得ました上で私ども考究してみたい、考えてみたいと思つております。こういう災害に対して、これは国民的の災害ですから、大蔵省といたしましても、政府といたしましても、これはできるだけのことをするのは当然でございまして、できるだけの努力はいたしたい、かように考えております。ただ、ちよつと念のために申上げて置きますけれども、口でこれを八十億と言つてしまえば簡単でありますけれども、これだけの金を使うにはそれだけの順序がある。一遍に使うのではございませんで、それはどの程度不足するかということは、まだ的確な数字を掴みませんとわかりませんでございますが、ありますことは、今申上げた通り、仮りに七月三十一日に本予算が成立いたしますれば、そうしますと、六億使つただけですから、八十九億……いや、違いました、九十四億です九十四億だけあることになります。そのうちで六億使つておりますから九十四億あるわけです。
  139. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつとお諮りいたします。衆議院予算委員会から先刻来大蔵大臣出席要求がなされておるのでありますが、委員長はここで大蔵大臣の退席を認めようかと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは退席を認めます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  141. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。これから大蔵省、水産庁、文部省、郵政省、中央本部の順に報告を聴取いたします。
  142. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大蔵省関係予算の問題につきましては、大分この委員会ですでに議論が出ておりまして、すでに御承知のことが多いのでございますが、取りまとめまして、簡単に御報告申上げたいと思います。予算関係の先ず第一は、災害救助費の関係でございます。災害救助に対して国庫補助をいたすわけでございますが、この補助は、精算補助でございまして、後日精算をした上で確定するという仕組みになつておるわけでございます。目下のところ、予想されます金額は、総額におきまして、八億四千四百万円、内訳を申上げますと、福岡県が四億六千万円、佐賀八千六百万円、長崎二千百万円、熊本が二億二千九百万円、大分が五千七百万円、山口が三千百万円でございまして、これに対しまして、法律の規定に基きまして、国庫が補助いたします金額は、四億円、残り四億八千四百万円ぐらいのものが県の負担額になるわけでございます。このうちで、国庫補助として考えております四億円に見合うものといたしまして、昨日繋ぎ融資として二億九千八百万円を決定いたしまして、この内訳は、特に金額の多い福岡に一億五千八百万円、熊本に一億五百万円、佐賀に三千五百万円を予定いたしております。なお七月分までの暫定予算における予備費が残りがございますので、できれば、そのうち、繋ぎ融資でなくて、国庫補助そのものを予備費から概算払で支出することを考慮いたしております。資料の配付が、遅れまして申訳ございませんが、取調べまして早速お配りいたします。  次に、予算関係で大きな問題は、災害復旧費の関係でございます。うち直轄河川につきましては、六月の三十日に御承知通り六億円を予備から支出いたしまして、直轄河川の緊急締切を行うに遺憾なきを期しておるわけでございます。六億円の内訳は、筑後川五億円、遠賀川五千万円、大分川三千万円、菊池川二千万円となつております。直轄以外の補助河川並びに河川以外の公共土木災害、農業を含めまして、これにつきましては、国庫補助が特に問題になつて来るわけでございますが、その点につきましては、災害被害状況の調査その復旧の計画、それに基きまして、初年度にいくら復興する、そのうち国庫が負担するという計算で国庫の補助金がまとまつて来るわけでございますが、現在のところは、そういつた補助金の計算をするまでに被害状況の調査という、大体の調査が及んでおりません。従いまして、先ほども問題になつておりますように、緊急繋ぎ融資をなす必要が起つてつておるわけでございますが、建設省、農林省から報告のありました被害状況調査に対しまして、従来の査定率等を勘案いたしまして、一応二十億円を支出するということにいたしましたことは御承知通りでございます。それにつきましては、先ほど問題もございまして、経過等につきましては、先ほど申上げました通りでございます。そのほか各省各庁の公共物の被害等につきましては、それぞれ各省におきまして被害状況の調査を実施いたしておるところでございまして、目下のところ、まだこれにつきまして予算措置云々するという段階に参つておりません。予算関係といたしましては、以上の二点を御報告いたしまして、次に国税庁関係の税のほうを御説明願いたいと思います。
  143. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君)  私から税の減免の関係につきまして御説明申上げたいと思います。  現在のところ、税につきましては、法令が比較的完備しておると申しますか、相当大部分整備しておりまして、その法令をうまく運用しますれば、大体において目的を達成し得るということになつておる次第でございます。私ども、運用よろしきを得まして、万全を期する考えでございます。法令の内容をちよつと概略要点だけを申上げます。  先ず、災害によりまして被害を受けました納税者に対しましては、被害程度に応じまして、一年を限り徴収猶予することができるという包括的な規定がございます。差当りといたしましては、この規定をできる限りうまく運用いたしまして、先ず被害を受けた納税者の方々に対しまして、必要な徴収猶予の措置を行う。これが第一に考えておる点でございます。  それからその次は、これは租税の災害減免法によりまして、所得税につきましては、大体次のような減免規定があるのでございます。それは、少額所得者、即ち年所得二十五万円以下の所得者に対しましては、今年の一年の所得税を全部免除する。それから二十五万円から五十万円までの所得者に対しましては半額を免除する。それから五十万円から八十万円までのところにつきましては、二割五分を軽減する。こういう規定でございます。規定の条件といたしましては、住宅又は家財の半分をいかれた人、借家に住んでおる人でございますれば、家財だけでもいいことになつております。勿論自分の家は流れないが、家財だけが流れたというような場合におきましても、この規定の適用がございます。で、浸水の程度が相当激しいものにつきましては、大体におきまして、この規定が適用になるものといたしまして運用いたしておる次第でございます。そういたしまして今まですでに納められました源泉所得者に対しましては、上期の分を払戻しております。一月から六月までに納められました源泉所得者の場合におきましては、二十五万円以下の所得者でございますと、今年全免いたしますので、それを払戻すということに相成つておる次第でございます。それから申告所得者の場合におきましては、丁度又予定申告が七月一杯になつております。従いましてこの予定申告の運用によりまして大体の措置ができる。で、災害によりまして被害を受けました場合におきましては、前年度実収額によらないで、今年の損害額を引いたところで所得を見積つて課税するということになつておりまするので、その規定をうまく運用いたしまして、実情に即するようにいたしたい、これは災害減免法ではございません。所得税法でそのような規定に相成つておるような次第でございます。でそれによりまして大体におきまして被害額というか、損害が相当大きかつた人につきましては、見積所得から控除することによりまして、予定申告の際にそれぞれ妥当な処置ができると考えておる次第でございます。なお、勿論確定申告の際におきましては、その年の一年間の所得もわかりまするし、更に損害額等も的確につかめますので、その際にはつきり精算いたしまして減免をするということになつております。で、その際におきましては所得から被害額を控除するという所得税の行き方、それから先に申上げました住宅又は家財の半分を滅失又は毀損した場合には、極く簡単な方法で税額を軽減免除する規定がございます。そのうちいずれか有利なほうを選択できるということになつておりまして、その際においていずれか有利な規定を選択して頂きまして救済するということに相成る次第でございます。なお、その他の税につきましては、先ほどから申上げましたように、それぞれ徴収猶予その他の措置によりまして、大体におきまして運用上行き得るのではないかと考えております。ただこの七月の予定申告の期限が七月一ぱいでございますので、この期限がどうも少し無理ではないか、この規定をやはり或る程度延長したほうがいいのではないかと考えております。ただこれは地域を指定いたしまして、全般的に延長するか、或いは被害納税者ことに延長する措置をとるか。この辺のところは現地実情を更によく調べまして、その上で近々決定する方針でございます。いずれにいたしましてもこの措置国税庁長官の告示によりましてできることになつておりますので、その措置よろしきを得まして、実情に即するようにいたしたいと考えておる次第でございます。なお、法令上の点におきましても、細目の点につきましては若干補正を要する点があるかと思いますが、そういう点につきましては、現地の意見なり実情をよく聞きました上で、然るべき措置を講じて参りたいと思つておる次第でございます。なおこの減免の関係につきましては、多く納税者の申請を必要とすることになつておりますが、まあこういう際におきましては、税務署に対しまして申請を待つというのではなく、こちらから積極的に調べまして、一人も漏れなく法令の適用を受けるように親切に指尋してやるように、これもすでに訓令いたしておる次第でございます。で、国税庁といたしましては、災害直後に電報を以ちまして管轄の局長に対しまして、法令をうまく運用して万全の措置を講ずるようにという指令をいたしました。なお、その後更に七月の暫定予算が成立いたしましたのですぐ、払戻金の中から他局の分を繰合せまして、先ほど申しました少額の勤労所得者の払戻金、それに対応する分といたしまして、差当り福岡の局に一億九千万円、熊本局に約一億二千万円、合せまして三億一千万円ほどの払戻の予算を配布いたしまして、成るべく速かに返すべきものは返すようという指令をいたしておる次第でございます。概要税の関係といたしましては以上の通りでございます。
  144. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大蔵省関係に対して質疑のあるかたは簡単に願います。
  145. 松岡平市

    ○松岡平市君 国の税金の減免等のことにつきましてはわかりましたが、同じようなことで県若しくは市町村が税金を減免してやることになつて、税収入がこの災害のために減るというものが相当あろうと思いますが、各県別について、大体大蔵省のほうで、その県なり市町村なりが、この災害のために税金がこれだけ取れなくなるだろうという見込数量を作つて頂けましようかどうでしようか。
  146. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 国税の関係におきましては、災害によりましてどれくらい税が減収になるか、先ほど電報で照会しておりまして、本月中頃までには数字がまとまるつもりでおりますが、地方団体の減税、市町村の税の分になりますと、これは私どものほうでまとめるのがなかなか困難でございまして、或いは自治庁のほうからそのような指令が出ますれば、或る程度の数字は出るのではなかろうかと思つております。
  147. 松岡平市

    ○松岡平市君 そうならば、その県或いは市町村のこの災害による税の徴収不能に陥つたと考えられる金額を、自治庁なりに頼んで一つ資料を頂きたいと思います。
  148. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 承知いたしました。
  149. 内村清次

    委員外議員(内村清次君) 大蔵省のほうにちよつとお尋ねしますが、この八月からの本予算に、どうしてもこれはやはり予算修正の態度を政府から明らかにしてもらいたい、これは実は先ほど大蔵大臣に最後に聞きたかつたんですが、これはやはり政府のほうから、そういう修正の態度を以て行くことが私はこの際誠意ある態度ではなかろうか。勿論集計することは相当又は時日を要するかも知れんが、大体の大きな見積は、これは各款項別にできているだろうと思いますが、これは集計できるだろうと思うんだが、その集計もやはり一応予算の決定前に出すのが必要でないかと思いますが、その点に対してどうお考えであるかということが一点であります。
  150. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算の修正を要するかどうかという問題は、これはなかなか重大な問題でございまして、事務当局から御返事申上げるのは憚りたいと思います。なお、罹災の被害金額の調査につきましては、各省、各庁から大蔵省のほうにも数字がたくさん集まつて参りますので、できるだけ早くそれを取りまとめたいと存じます。
  151. 内村清次

    委員外議員(内村清次君) そうしますと、これは大臣は実は僕は先ほどちよつと聞きたかつたんですが、併しこれはやはり事務当局でも金額の集計というものはしなくちやならん。そうすると、これは八月からの二十八年度予算一ぱいには、どうしてもその金額だけは余計にしなくてはできない。そうするとこの予算審議までに間に合わないという事態を私たちは第二段に考える。併し第一段的に先ほど私が言つたように、大体大まかな集計ができるからして、現在の政府が提出しておられるところの予算額では足りないことはもう明瞭ですから、それにプラスしたところの問題を一つ政府から提出をしてもらいたいというのが第一点、これは先ほどあなたの答弁があつたわけでありますが、第二点は、やはりこれは補正予算でもする気かどうか、この点事務当局はどうお考えでありますか。
  152. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算の修正の問題につきましては先ほどお答え申上げました通りでございますが、ただこのことを一つ御了承頂きたいと思うのでございますが、従来の災害予備費は、これは公共土木災害復旧費に対する補助金でございます。従いまして今度被害が千億とか二千億とか言われるのでございますが、そのうち対象になりますものは、先ずそういつた公共施設の災害復旧ということが第一点でございます。  それから公共施設の災害につきましても、被害報告と、それから実際の査定額とは毎年度の例でございますが、相当の開きがあるのが例でございまして、査定によりまして数字が多少減つて来るという、そのことも念頭において頂きたいと考えております。  第三番目に問題になりますのは、その被害のうち、本年度に何割ぐらいを復旧させるかという問題があると思います。今持つております被害復旧率は、例えば初年度二割、次年度五割、三年度三割というようなのがあるわけでございますけれども、そこで大きく金額が減つて来るわけでございます。それから更にその被害復旧費のうち、何分の一を地元が持ち、何分の一を国が持つかという、そういう問題が次に出て来るわけでございまして、そういつた幾つかの過程を経て来ますと、被害の金額は非常に大きくなつて来るのでございますが、予算に計上せられる、或いは補助金として支出を必要とする金額は相当減つて来る、そういう場合に百億で足りないかどうかということが問題になるわけでありまして、そういう調査を取急いで今進めなくちやならん。その結果殖やす必要があるかどうかということが出て来るわけでございますが、そういう技術的な、又厖大な調査を控えておりますので、ここでは事務当局といたしましても何とも申上げかねます。果して補正が要るのか要らないのか、そこのところの見当がつかないということになるわけであります。御了承願いたいと思います。
  153. 内村清次

    委員外議員(内村清次君) あなたがおつしやるのは、公共事業費関係だけで、勿論これは公共事業費では現在政府が計画しておる費用、これは二十八年度予算には盛つてあるのでございましよう。併しそれ以外の今回のは不測の災害でしよう。だからしてこれに対しては当然やつぱりプラスしたところの計画が必要であるわけです。同時に又先ほどの税の減免もあつて地方平衡交付金の問題もやはり増額しなければ、これは立つて行かない。年度の計画といたしましては、こういう点を増額して、そうして二十八年度一杯の計画が予算として現われなくちやできないはずです。そうしてみたならば、やはりいつの時期にかこれは修正をせなくちやならん、補正をせなくちやならん、こういう時期が私は来ると思います。その時期というものはやはり政府で大まかにわかつたものだけは、この本予算の通過する前に、先ず政府が誠意を示して出すべきだ、これは当然なことだということが一点と、第二点は、やはりこれは補正か何かする時期を考えてやらなくては、現在の政府が組んだ予算だけでは足りないことはわかつているでしよう、この点は。だからあなたのほうで集計するその集計というものは一体何カ月かかるか、本年度一杯集計をしておりますか、といつてもやはり二十八年度の通過したところの予算を逐次繰上げてでもやはり応急の措置は講じて行かなくちやならんのですから、そういう点をあなた方に聞いているのです。
  154. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほども申上げましたように、被害状況の調査、復旧所要費の確定、確定というのは少し言い過ぎかも知れませんが、あらましの見当をつけませんことには、果して百億で足りるか足りないかということは申上げかねるわけでございまして、目下我々としては各省各庁から出て参りますところの、これも十分には出揃つてはおりませんが、報告検討中でございます。従つて当然足りなくて補正が要るということは、ちよつと事務当局としても申上げかねる、今後の調査検討の結果に待たなければならない、そういうことでございます。
  155. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員長から一つ要望しておきますが、先ほど大蔵大臣が、この災害復旧のために単独立法をやるとか、或いは調査その他の結果によつては補正も必要になることはあり得るということを松浦君の質疑に対して答弁しているわけなんです。だから事務当局としては、大臣がそういうことを答弁しているのですから、その角度で内村議員の期待に副うように事務当局としてもやつて頂きたい、これは要望です。
  156. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大臣が必要があれば補正予算も出さねばなるまいということをおつしやいましたのですが、それは今私が申上げておりますような調査検討を経た上で、若し足りないということであれば出すということでございまして、目下事務当局としては、そういう調査研究をやつておる段階であるということであります。
  157. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大蔵省関係はございませんか。それでは次に郵政省の飯塚政務次官の報告を聴取いたします。
  158. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) 郵政省関係の罹災状況について申上げます。  郵政省の担当しておりますのは、御承知のごとく本来の郵政関係の事業と電々公社、即ち電信電話公社の問題、それから電波の関係と、この三つの部門を担当しておるのでございます。この三つの部門について、その罹災状況及びその応急対策、更に復旧に対しての極めて要点だけを御報告申上げたいと存じます。  災害地域における郵政関係の庁舎、即ち郵便局は大体二百局ぐらいございますが、そのうち今度の災害によつて浸水以上のものが、全壊を含めまして、大体全壊、半壊及び流失その他浸水を合せまして百五十九局に及んでおります。あの災害が起りましてから、門司及び下関等において交通杜絶によつて大切な郵便物、いわゆる郵体が門司局においては大体七千、下関局においては三千の滞溜を見るに至つたのであります。その門司の七千のうち二千七百体が水浸しとなつたのでありますけれども、これを筏等によつて救出いたしましてこれを乾燥して配達をするという状況でございました。又この配達等につきましては、鉄道不通になりましたために、鉄道の運行の不可能な地域におきましては自動車を以てこれを運搬し、自動車運搬のできない所には、原始的ではありますけれども、人夫送りというようなことまで実行いたして御不便をかけないように努力して参つたのであります。又郵便貯金、簡易保険等の加入者に対しましては、その通帳のなくなつた人に対しても、郵便貯金におきましては緊急対策といたしまして保証人を付けて頂いて、一人一回三千五百円までこれを応急対策としてお払いするという実情でございます。又電信電話関係について申上げますけれども、これはかなりひどい損害を受けておるのであります。電信柱が倒れる、電線が切断される、従いまして電信の回線の被害は全体の五六%罹災しておるのであります。併し今日では従事員の熱心な復旧作業によりまして、大体罹災の一〇〇%に近い、これはほんの仮でありますけれども、仮の復旧を見るに至つたのであります。ひどい所といたしましては、福岡の例をとりますと、大体あの地区における電報局の電報の父は、やはりその災害地における安否を問合せるというような思いやりからして平常の二倍にもなつておる。多い所では福岡の周辺では四倍の多きに達しております。従いまして一本の電報を打ちましても、その電報が配達されるまでに約三昼夜の長きに亘つて停滞しなければならないようなひどい状況でありましたけれども只今申上げましたように、本当の仮ではありますけれども災害前と同じような早さに復旧できましたことは皆さんの御安心を敬いたいと思つておるのであります。  又電波円係について申上げますると、これは放送その他無電関係でありますけれども、放送局としては水の天井まで届いたのが一局ありますけれども、その放送も一回も休んだことはない。又無電関係は応急対策をいたしまして、御不自由のないように電波関係はこれを使うことができておるのであります。  又郵政、電通関係の職員の罹災状況について申上げますと、郵政関係といたしましては、死傷者の総数が大体今日まで判明したところによりますると、職員の死亡が三名、家族の死亡が十一名ございます。これに軽傷、軍傷者合せますると三十七名に上つております。家屋の浸水、流れたのも合わせまして三千戸に達しております。  電信電話公社関係の罹災状況を見ますと、職員の死亡、これも丁度三名でございます。家族の死亡が十名、その他軽傷等を全都合せまして六十名に上つております。又家屋の浸水したものは郵政関係よりも多く五千戸に及んでおります。電波関係では軽傷者が一名おりますけれども、人命における何らの罹災者を出さなかつたことは不幸中の幸いだと存ずるのであります。  郵政関係損害の額につきましては、これは復旧の問題になりますけれども、大体今日までの報告では三億から五億に達しております。これは詳細に調査をいたしますれば或いはもう少し殖えるかも知れませんけれども、大体五億程度と存じております。又電々関係といたしましてはケーブル線その他の資材等によつてその損害は十五億から二十億という報告を受けております。これらに関しましては最も近い中国或いは四国方面の局から船或いは貨車運びによつて殆んど毎日その復旧資材を送つておりますから、その復旧も余り遠いことではないと思いまするが、電々関係としてはなお仮復旧をいたしますにも十日ぐらいの余裕を頂かなければならないという状態であります。  大体以上のような報告でありますが、さて天災とはいいながら暫くの間でも皆さんに御不自由をかけましたことを心からおわびを申上げまして、簡単ですが御報告を終ります。
  159. 山田節男

    ○山田節男君 電々公社関係損害が十五億乃至二十億、これは勿論電信柱が流れたり或いは電線が切れたり、或いは施設が浸水で使用に耐えなくなつた、こういう額だろうと思うのですが、これは不幸中の幸いといいますか、公社として今度将来計画的に経営しなくちやならん、それから北九州の電信殊に電話は必ずしも従来余り能率がよくなかつた。今度のような大水害一つ機会に、いわゆる禍を転じて福となすというような、復旧するよりは流失して全然新規のものを新設する場所もあると思うのです。そういう場合に大蔵大臣鉄道それから電々公社の二つの場合の予算措置をどうするかということを確めたのです。殊に電々公社としてはこういつたような一地域について非常な損害をこうむつて復旧を急がなくちやならん、同時にその復旧は従来のような非能率的なものに、殊に電話設備というものを、多少の金が要つて一つ一気にこれを復旧すると同時に、これを改善するというようなことができるかどうか。又そういうような計画はまだ被害早々の目でありますからそういう案はないかも知れませんが、そういうようなことが私は考えられるんじやないかと思うのですが、これは政府或いは電々公社として若し今日まで何かそういう方面に立てられた案があれば承つておきたい同時にこのことはやはり今回の西日本の大水害における全般的な大罹災だということに関係して、これは便乗するということではございませんが、この機会を利用するということは非常にいいじやないか、かように考えるから、今のような質問を申上げた次第でございます。
  160. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) 只今の御質問に対しましてお答え申上げます。今お話のごとく禍を転じて福となすということもございますように、今度の災害地に対してはお話のごとくやりたいと考えております。私先ほど申上げましたことはほんの仮復旧という問題でございますけれども、将来の電信電話に関しての本格的な改善、復旧、この点については今日も電気通信委員会において御審議を願つておるいろいろな計画もございまするから、これはお説のごとくに改善をして行きたいということを考えております。
  161. 山田節男

    ○山田節男君 これは現実の罹災状況から見て、電話の何万個が通信不能になつたのか、それが何日間に復旧するかと、こういうことは今私はここでは伺わなくてもいいと思うのです。要は将来この機会をどういうふうに公社としてやるかということにあると思うのです。この点はまだ電々公社としは何ら案が郵政省に示されておらないというふうに解釈していいですか。
  162. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) その問題につきましては、只今災害ということを抜きにいたしまして、今度の参議院の電気通信委員会には予備審査をお願いしておる電気通信関係の法案も出ていますし、それには五カ年計画を考えて御審議を願つておる次第でありますから、いずれそれらの点につきましても御報告申上げる機会があると思います。
  163. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 次に文部省関係の近藤監理局長から聴取いたします。
  164. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) それでは文部省関係被害状況につきまして概略御報告申上げます。  文部省関係被害と申しますのは概して学校の建物の被害でございます。御承知のように、公立学校の被害が主でございまして、これに国立大学の被害、それに若干の社会教育関係の施設、例えて申しますならば公民館とか博物館とか図書館とか、そういつた建物の被害及び文化財関係被害でございます。只今までのところ完全な被害総額の報告が参つておりませんので、経過的に申しますと、国立大学の被害といたしましては九州大宇、長崎本学、大分大学、山口大学等の被害が判明いたしておりますが、それによりますると約一億五千万、その他各大学からも調査中の入電がございました。  次に公立学校でございますが、山口、愛媛、佐賀、長崎、熊本、大分、福岡でございまして只今までの報告によりますと約十九億の被害額でございます。  なお申し落しましたが、私立学校の被害が若干ございます。これは只今数字が判明いたしておりますのは、山口、大分だけでございますが、なお福岡、佐賀、熊本等でも目下調査中の入電がございました。  以上集計いたしますと、学校の建物の被害総額は約二十億に上つておる上げでございます。  次に社会教育関係施設でございますが、これは目下被害額を調査中でございまして、被害数のみ判明いたして去りますが、たとえて申しますれば、佐賀県におきましては公民館におきまして三百六十九館の被害を受けておる。福岡におきましては二百七十五館、熊本におきましては三百八十五館という状況で、相当社会教育施設におきましても被害があるように見受けられるのでございます。  最後に文化財関係でございますが、これは勿論中間報告でございますが、只今のところを総計いたしまして、重要文化財の建造物関係におきましては約五千二百万円、一番被害の多いのは熊本県でございます。  それから史跡名勝天然記念物関係におきましては五千万。以上を集計いたしまして、約一億二百万円というものが報告されておる、こういう状況でございます。勿論これは中間報告でございますので、今後も相当被害額が上るのではないかというふうに考えられるのでございます。  文部省関係被害は以上申上げましたように学校施設が主でございますが、なおそのほか災害救助法によりまして児童、生徒に対し、学用品費の給与がございますが、従来小学校、中学校に対しましては、児童、生徒一人当り二百七十五円以内ということで支給いたしておりましたが、今回は特に学用品費につきましては、小学校児童におきましては一人当り五百円、中学校生徒につきましては千百円と引上げられたのでございます。  甚だ簡単でございますが、以上文部省関係被害額並びにその状況を御報告申上げました。
  165. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 御質疑ございませんか。
  166. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私立学校の福岡、佐賀、熊本関係はあるのですか、あつてわかつておるのですか。
  167. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 私立学校につきまして只今まで報告が参つておりますのは、先ほど申上げましたように山口と大分との二県でございます。山口県が七百万、大分県が八百万、福岡、門佐賀、熊本は目下調査中でございます。  それに関連して申上げますが、私立学校に対する補助というものは、御承知通り特殊法人私学振興会というのがございまして、こちらから貸付をいたして救済するということになろうかと考えております。御承知のように私学振興会は二十七年度に三億九千万円の政府出資があり、二十八年度は十億の政府出資がございました。幼稚園から大学に至る私立学校に対して施設の助成をいたしておるわけでございます。従いまして私立学校の被害に対しましては、この振興会から貸付をいたして救済するという方法がとられるであろうと考えます。
  168. 松浦定義

    松浦定義君 これはちよつと小さい問題ですが、私ども丁度災害実情を見て参りましたときに、教科書が非常に水浸しになり或いは泥まみれの中で、いたいけない児童が一枚々々はぐしては乾かしておるという実情を見まして、相当九州全体にいたしますとたくさんな数があると思いますが、そういうものに対する手配等は十分できておるか、或いはできないとすればどういうふうな方法をとつておられるか。又災害を免かれました学校は罹災者収容所になつておる。そういう点等について、小学校においては今後いろいろ暑中休暇等にもなつておると思いますが、災害を受けたほうは、いずれ繰上げ休暇は止むを得ないと思いますが、そういう場合でも学校が収用されておる場合においてはどういうような措置をとられておるか、こういう点についてちよつとお伺いしたいと思います。
  169. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 教科書の流失の関係でございますが、御承知のように一年生に対しましては、算数と国語の教科書を無償で給与いたしております。今回の災害によりまして、報告によりますと小学校の児童につきましては、一年生で六千五百人余り教科書を流失しておる状況でございます。中学校には一万九千四百二十という報告が参つておりますが、無償給与をいたしております教科書につきましては、これは誠にお気毒でありますので、既定予算の中から再給与をするということを目下検討いたしております。  それから校舎を被災者の救済に使つておるために学校か休校しなければならないという場合の措置でございますが、この点につきましては、やはり現状に即しまして、事実学校が授業ができないということになりますれば当然休校いたしまして現状が回復いたしまして学校教育ができるようになりますれば、そのときにその不足分を取返すような授業を開始するというような措置になろうかと考えております。
  170. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) この際私から一つお伺いいたしたいのですが、それは昨日当委員会災害地出身の学生が陳情に参つたわけです。その件に関連してお伺いしたいと思いますが、その要旨は自分の家は潰れたのか流されたのか問合わしておるがわからない。そういう学生が相当数ある。この災害が月末にあつたので、丁度学資の送金期に当つておる。従つて今夏休に入つたからといつて帰省する金もない、東京に滞在しようと思つてもなお困る、ついては帰省の旅費を運輸省と交渉して無料切符を出して頂けないか、これが一点。  それからそういう全壊或いは流失ということで生活困窮をいたした家庭の子弟について授業料免除の措置をとつて頂けないか。  第三点としては、日本育英会の奨学金を罹災学徒に別枠を設けて優先的奨学生の取扱いをして頂けないか。この三点について当委員会に陳情があつたわけなんですが、それらに対して研究されたことがあられるかどうか、なお見解を一応承わりたいと思います。
  171. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 只今お話でございますが、そのうち生活困窮家庭の子弟の授業料の減免につきましては、只今文部省といたしましても研究を進めておる段階にございます。  それから育英会の奨学資金の別枠を設けて、特別に貸付けるというような方法を考えるということにつきましては、戻りまして育英会とも協議いたしまして、できますればこういう措置も考えなきやならんというふうに考えております。  それから旅費の無料についてでございますが、この点につきましても運輸省のほうと打合せまして、可能な範囲におきましてできるかどうか一つ協議を進めてみたいと考えております。
  172. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 重ねて切望しておきますが、帰省の無料切符、この程度は本当に全壊或いは流失の家庭の子女は数も少いのだし、この程度のことは私は早急にできるのではないかと思います。それで文部省で運輸省と早急に交渉して、その結果をできるだけ早く当委員会報告して頂きたい。
  173. 加瀬完

    ○加瀬完君 教科書の問題が出たのですけれども、文部省で現在支給しておる範囲において支給するようなお話で、それに該当しない学年の教科書の紛失に対しては、文部省としては何も御心配をして頂けないようなお話ですけれども、さようでございましようか。  それからもう一つは私学の復興でございますが、現在の私学の復興をするといたしましても、現在の私学援護の機関だけの振興に任せておいて私学の振興ができるかといつたような問題もあるのじやないかと思うのでございます。それを文部省はどんなふうに考えておられるか、二点について伺いたいと思います。
  174. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 教科書の給与の点でございますが、先ほど無償給与の教科書の点につきまして申上げたのでございますが、報告によりますると、無償給与の教科書以外のものについても相当流失しておる報告がございますので、それらの点につきましても、政府は何らか措置ができるかどうかよく検討いたします。  それから第二段の私学の復興でございますが、只今のところ私学に対する政府の助成の方策と申しますか、私学振興の方策といたしましては御承知の私立学校法がございます。これによつて監督をするという面と、私学振興会法によりましてその出資金を以て貸付をするという面だけでございますので、只今のところはやはり私学振興会からこれに緊急に貸付をいたしまして救済する。勿論貸付の条件等につきましては長期低利の資金を以てすることになろうと思いまするが、只今のところはその方法が考えられておるのでございます。
  175. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局私学振興会法はこういう災害などというものを予期してのものではなくして、平常の場合の私学振興に要する資金関係を裏付けてあるに過ぎないと思います。で、それだけの資金で今度のような災害に会いましたところの私学の振興ができるかというと非常に疑問じやないかと思います。そこで現在私学を援助しておるほうの枠だけでこの問題が解決つくかというと、私は解決がつかないと思いますので、文部省ではそれだけで解決がつくというめどがあるのか、ほかの方法を考えなくてもいいのかという点を伺いたいと思います。
  176. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 御説御尤もでございますので、その点はなおよく検討いたします。
  177. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今お話によりますと、私学振興会から私立学校の方面にできるだけの援助をしてやろう。これに対しまして私学振興会会の会費が幾らというのは大体きまつておるのだししますので、この場合に特に今度のような災害を受けた所には是非そこを先ず優先的にやるようにというお世店をしてもらうことができるのでしようか。
  178. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 先ほどもお話がございましたように、私学振興会は勿論災害の場合の私学を救済することを目的としておりませんが、併しかような場合も勿論あり得るということから、相当予備的資金をとつておりますので、今回の九州災害に対しましてもその予備資金から急速に、優先的にこれら地方の学校に貸付けまして速かに救済をいたしたいと、かように考えております。
  179. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今の予備資金というのは一体どれくらいあるのですか。
  180. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 二十七年度の資金の残が約一千五百万円程度でございます。併しながら二十八年度の資金といたしまして十億を目下予算要求中でございますが、このうち七月の暫定といたしまして一億計上されておりますので、この資金から場合によつては速かに九州地方の私学の救済に充てるということも考えられるのじやないか、かように考えております。
  181. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 この表には出ておりませんが、例えば福岡でも久留米の大学だけでも今度一億一千万円とかいつてつたのですが、それから熊本大学は国立じやないですか。
  182. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 国立でございます。
  183. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 そうすれば熊本大学の国立のところでもかなりの損害があります。これは表もまだ出ておりませんがそういう私学方面に対しましては、文部省としてできるだけのことは一つ援助しようというお考えであるということを確認しておいてよろしうございますね。
  184. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 承知いたしました。
  185. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部省にもう一つお尋ねしたいのですが、校舎の流失とか崩壊とかいうことに対しては、これは補助対象として扱つておるようでございますが、校地の流失や崩壊ということに対しては今まで扱つておらないように記憶しておるのです。今度の九州災害を見ますと、校舎そのものよりも校地の流失或いはがけ崩れ等の災害が相当多いのです。これは非常に無理をして山の中段をならしたり或いは高く土盛りをいたしましたりして、せつかく町村民が作りました相当の費用のかかつている土地でありますけれども、これが流失や崩壊をしておるのでございますが、これが全然補助対象にならないということになりますと、校舎は流れないけれども校舎以上の損害というのも所によつてはあるのです。こういう問題をどういうふうに扱つて頂けますか。
  186. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 併せてお伺いしますが、いま加瀬委員の言われた通りなんです。それと浸水したために備品が流れている、そういうものが今まで補助の対象になつていない。それと中破、そういうものが非常に多いのですが、こういうものも今まで補助の対象になつていないのですが、今度どういうふうにされるか、併せて伺つておきたいと思います。
  187. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 只今のお尋ね誠に御尤もでございまして、従来国立学校の災害復旧費補助予算の場合におきましては、御承知と思いますが、補助率は二分の一で対象は施設、建物のみでございます。従いまして校地は入つておりませんのです。併しながらこの点につきましては我々といたしましてその必要を痛切に感じておりますので、従来とも大蔵当局に対しましては要望して参つたのでございますが、今回そういう校地の被害も必ず含めて査定の対象にしてもらうというように大蔵当局に申入れる予定をしております。  なお只今お話の備品等でございますが、これも今回はお説のように非常に備品の流失が多いように聞いておりますので、この点につきましても是非査定の対象に持つて行くように考えております。それから従来の査定は全壊と半壊と大破ということになつておりまして、中破、小破以下はオミットされておつたわけでございますが、これ又我々の従来から要望し続けておつた点でございまして、是非全壊、半壊、大破、中破まで補助の対象に加えてもらえるように努力いたしたいと考えております。
  188. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 文部省関係を打切つて水産庁関係報告を聴取したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 水産庁岡井次長。
  190. 岡井正男

    政府委員(岡井正男君) 台風第二号の災害及び西日本の水書、この両災害を通じましてめずらしい大変な豪雨ではございましたが、水産関係にとりましては暴風を伴わなかつた関係上、不幸中の幸いとでも申しましようか、比較的総体といたしましては被害の総金額が割合に少いわけであります。前二号災害の場合には総額において七億、西日本水害の場合には約十三億でございまして両方合せまして、大体二十億見当でございます。併しこれは只今まで判明いたした計数でございますので、実は離れ島、或いは交通不便な漁村の的確な被害件数並びにその様相を把握いたしておらないところもございまするが故に、これはなお後刻被害の総額は上るものとかように思われます。明八日に、私のほうからいち早く派遣いたしておりました技官が、福岡関係府県の水産担当者を集めまして、極く最近の計数を更に取りまとめるという情報が先ほど入りましたので、二、三日も待たずにやや固い計数が出るものと思われまして、その際には先生方へ御配付申上げることにいたしたいと思います。  大体水産の従来の被害のケースと今回と多少異りまするのは、次に申上げるような諸点でございます。今回の災害によりまして被害が一番大きいと思われるのは、河口に近いところの漁港が勿論あるわけでございますが、その他従来水産の被害として認められないもので今回特に大きく出ましたものは、沿岸の浅瀬を利用して貝の養殖をしているというような所の被害でございます。これは常識的に先生方が御判断頂けまするように、河口から大水が流れましたための水質感度の異変、このためにせつかく養殖をしておつた貝類等が死滅してしまつた。なお上流から流されて来ました泥土によりまして、その漁場がことごとく汚されてしまつたために漁場が当分使えないであろう。これらにつきましては従来ないケースではありまするが、我々の目下鋭意検討いたしておりまするのは、漁場のこれらの回復を如何にしてやるかということでございます。  なお種苗等につきましても、漁場の回復工作と並行的に種苗を入れてやらなければ、種苗は当分壊滅するという段階にあるのでございます。  そういう点と、なお台風によりましてせつかく漁獲されておりましたいわしなどが製品にする途中でこの豪雨のために処理ができない、折からの気温が高いために腐敗せしめたという数量が相当出ております。又網も網納屋が壊れてしまつて、放置した網がやはり相当使用に堪えなくなつた、御承知通り網も腐敗が割合に早いものでございましてそういうものもあるというようなことが相当各府県から出ております。  これらの点につきましては、従来ケースがないものはせめて営農資金程度のような予算措置を講ずるか、或いは又それのみで救済し得ない場合には助成もこれに考えてやろうという点で、目下事務当局としてはその立案に苦心いたしております。併し明八日の先に申上げました最終的にほぼ固まつた計数を待ちまして、その操作も共に成るべく迅速に固めて行きたい、かように存じておるわけでございます。細かい計数はお手許へ御配付したもので省略させて頂きます。
  191. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 別に質疑ございませんか。
  192. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ちよつと簡単に水産庁にお聞きしますけれども、あなたのほうの農林水産業施設関係西日本等水害緊急復旧額調の農林省二十八年七月三日の表ですね、それから今度あなたのほうが資料を持つて来て出したと思うのですが、今朝我々がもらつた西日本水害総合対策中央本部、これの農林水産関係被害高には行違いがあるのですね。
  193. 岡井正男

    政府委員(岡井正男君) あります。
  194. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうしてそれは御承知ですね、それは施設だけを出せとでもいわれたのですか。総合対策本部からのは施設だけしか載つていない、あなたのほうでは……。
  195. 岡井正男

    政府委員(岡井正男君) それは只今先生から御指摘になつたのは、実は私のほうでも最初に施設の被害が大きい、そしてそういうものは現場へ派遣した者の報告を以て固めたい、かように思つてつたのです。その後そういう報告が出ましたので、私どものほうで訂正いたしました。その点は誠に申し訳ないのであります。
  196. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 申訳ないのはどつちが申訳ないのですか。これは今朝もらつた新らしいほうには載つていない。総合対策本部から来たのには載つていないで、それも三日も前に作つたあなたのほうの農林関係のには載つているが。
  197. 岡井正男

    政府委員(岡井正男君) それは項目が施設……。
  198. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 施設だけじやありません、全部載つております。だから何か総合対策本部は、施設のようなもの、或いは補助の対象になるようなものだけを載せろというふうなことにでもなつているのかどうか。それはあなたは対策本部じやないからわからないかも知れないが、併しあなたは知りませんかということを聞いているのです。
  199. 岡井正男

    政府委員(岡井正男君) それは先生の御見解の通りと思いますが、なお答弁が間違つておるようでありましたら訂正いたします。
  200. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) では最後に今朝提出されました西日本水害被害総額総括表について西日本総合対策本部の久田参事官に説明して頂きます。
  201. 久田富治

    政府委員(久田富治君) それでは御説明申上げます。お手許に配付してございます資料西日本水害被害総額総括表各省所管項目別)と書いてございます数字につきまして簡単に御説明申上げます。  以下項目的に書いてございますのは各省から提出を求めまして、そしてそれを文部省につきましては学校施設等、農林省につきましては農林水産業施設と、そういうようにピツクアツプいたしました。以下この項目に書いてございます通りの項目につきましてずつと計数整理をいたしまして、総計いたしまして千九十二億七千百二十一万三千円、そういうようになつたものでございます。注といたしましてございますのは、これ以外に法務省関係、裁判所、検察庁等でございますが、これは大部分が調査中というのでございまして、数字に現わしかねるというので一応この表から除外してございます。それから外務省関係はないという見込でございます。それから厚生省につきましては国立病院とか国立の診療所施設、そういうものでございますが、これも極く僅かで、今調査中ということでございます。それから大蔵省につきましても専売公社その他公社も含めまして被害は極く僅少、いずれも調査できたら連絡するということでございます。それから自治庁も今のところない、そういう見込でございまして、恐らく計数といたしましては十億とか五億とかいう数字にはならないだろうというところでございます。なおここに計上してございます数字につきましても、現地の調査に行つております出先の係官を帰つて参りまして、ぼつぼつこの数字を変更しなければならんという事情が出て来ておるところもある模様でございます。ですからこの数字は相当変動があるという見込でございます。  それから第一枚目をめくつて頂きまして次の表でございますが、これは只今文部省の監理局長さんのほうから御説明ありました通りでございますので、省略させて頂きます。  それから農林水産業施設というのがございますが、これは以下続きますところのその次の頁、これを総括したものでございまして、農地関係といたしまして百九十七億四千三十万八千円、林野関係といたしまして六十億二千七百八十万円、それら水産関係といたしまして二億九百四十二万八千円、合計いたしまして二百五十九億七千七百五十三万六千円というようになつております。  それからその次の頁が農地関係を更に府県別に農地及び農業用施設というように分けまして、農地につきましては面積、金額、農業用施設につきましてはその施設の箇所数、金額、そういうように分けまして合計百九十三億四千九百二十四万三千円という数字の内訳を項目別、県別に出しておるのでございます。その次の表が入植施設被害額、これは県別に戸数と坪数というようになつておりまして、ここに山口、福岡、佐賀、熊本とございますが、あとの長崎、大分につきましては今のところまだわからない、調査未了というようになつておりますので、省略してございます。  次の頁の山林関係被害でございますが、これは山を治める治山関係と林道というように分けまして、これを県別に山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分というように挙げて、合計いたしましてその報告総計が六十億二千七百八十万円の数字の内訳をしてございます。  それから水産関係被害額が只今水産庁の次長さんからございましたが、施設だけにつきまして県別に二億九百四十二万八千円という数字を計上いたしております。福岡、熊本県につきましては推定額でございます。  その次に行きまして、これは鉱業、炭鉱、その他の金属鉱山、電気事業、ガス事業、それから工業の中で大企業と中小企業に分けまして、次に商業、それの合計というように出ております。これも比較的新しい数字でございますが、なお計数の異動があるという汗を承わつております。合計いたしまして設備関係といたしまして百二億三千六百八十万円、全部の設備でございます。それから原材料と製品関係といたしまして百六十一億九千四百九十万円、それから生産減によりますもの、これが十六億四千七百六十万円、それから送炭不能によるもの、炭鉱なんかが関門トンネルが埋まつたとか或いは船が動かないというようないろいろな関係で、輸送力の足りないために損害と月積られるものが二十一億七千九百九十万円、全部〆めまして三百二億五千九百二十万円というように計上されております。  それからその次が四項目ございまして国鉄私鉄、港湾、その他というようになつておりまして運輸省の所管の項目でございます。国鉄関係といたしまして四十億、施設が二十六億、電気関係が六億その他でございます。次に私鉄関係といたしまして六億六百五十万円、自動車関係が六千八百万円、港湾関係が七億七千三百七十五万九千円、倉庫以下省略させて頂きまして合計いたしまして五十五億九千三百六十四万四千円。  郵便、電信関係は先ほどお話がございました通り二十五億の推定でございます。  それから河川住宅関係、これが直轄河川は先ほど御説明があつた模様でございますので省略さして頂きまして、総計といたしまして四百億九千十四万八千円となつております。その内訳といたしまして、地方公共団体関係、都市関係被害額、建物関係被害額、これのまあ大体の推定でございます。  第七項目に至りまして警察の施設通信等でございますが、二億三千九百万円。これは国警だけでございまして、自治体の警察関係の分はまだ調査ができておらないということでございます。  あと小さいものといたしまして労働省の所管の建物施設関係でございますが、職業安定所、公共職業補導所、労働基準局同監督署、そういうもので四百三十九万五千円となつているのでございます。  簡単でございますが。
  202. 松岡平市

    ○松岡平市君 ちよつとお尋ねしますが、例えばこの表のうちで今度植付不能によつて生ずる米の減収被害というようなものはどこに出ているのでしようか。
  203. 久田富治

    政府委員(久田富治君) それは出ておりません。
  204. 松岡平市

    ○松岡平市君 そういう被害はどうしてお出しになりませんか。
  205. 久田富治

    政府委員(久田富治君) それは早速調べましてこれに計上するようにいたします。
  206. 松岡平市

    ○松岡平市君 それは現在不明だからということですか。これにはかなり詳細に書いてあつて、一番初め我々が早急に西日本の現地対策本部から得たそのときの取りあえずのやつは千六百幾らという被害であつた。ここへ来たやつには千九十億に減つて来た。先ほど大蔵大臣は、誰かの話では六百億くらいだと、こういうよう話でだんだん被害が減つて来ておるのですが、現にこの中で我々が今回の被害のうちで厖大な数量に上るであろうと考える、或いは冠水、或いは田地の埋没等によつて植付不能に陥つたもの、或いは種籾を補給しても、これは農林当局からの説明でありますが、若し七月二十日頃に植えることができれば植え付けた部分については二割くらいの減収で済むと、こういうような御説明を私たち聞きましたが、二割の減収で済んだにいたしましても、この被害面積の上における農産物の被害額というものは甚大な数量だと思つておる。これが何ら被害総額の中に現われて来ておらんということは、正確な数字がわからんからということなら別ですけれども、この数字の中には推定数字まで入れてある。なのにこの特別委員会にお出しになる数字にそれが全然顧慮されておらん。それから何らその註の中にも書いてないということは甚だ私おかしいと思うのです。これは一体どういうわけでございましよう。
  207. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それに関連して。私ももうこれは実に説明を聞きながら、言葉を荒つぽく言えば、何とばかにした資料を出して来るか。例えば、恐らく今本部の人も聞いていたでしよう。さつき説明した文部省関係の学校の施設、国立学校というのは七月三日のプリントは一億五千八百十五万円載つている。この七月六日の本部の表によれば一億四千七百十五万円、「その他の大学からは被害甚大目下調査中と入電あり」といつてよそ事のようにやつているんだね。いいですか。その次の公立学校だつて同様です。七月の三日に出している東京の、これは東京ですよ、文部省は。東京の、而も距離にすれば極く僅かだ。そこの原省の表をこつちへよう写していないのですよ。そうして同時に、今松岡委員が指摘されたように、例えば通産省の関係においては関門トンネルが止つちやつたために出べきものが出なかつた、或いは坑道に水が入つちやつたから掘れるものが掘れなかつた、そういう損害まで載せているんだな。そして一方例えば魚はどうです。これは成るほど施設という名目はあるよ。施設という名目の中だから、まさか獲れる魚が獲れなかつたとは言えないでしよう。併し皆ちぐはぐなんだね。極めて不統一ですよ。何ら本部の自主性がない。恐らく僕の想像であるなら、君早く最近の資料を出してくれ給えというだけで、何ら統一ある表を作ろうという、そして成るべく正しいもの新しいものを出そうという努力というものの実に片鱗さえもないと言つて私はいいと思う。これを元にしてこの忙しい、我々の忙しいのはどうでもいいとしてもだ、この毎日困つている二百万に及ぶ災害地の人たちの応急対策をする特別委員会にこういうものを、よくもまあしらじらしく出しておられる。私はもうこれを聞いていながら腹が立つてしようがない。これを併せて御答弁願いたい。
  208. 加瀬完

    ○加瀬完君 あの災害に使用された経費、損失した財産、資材、そういつたものはどこに入つているのですか。それから二番目に復興労力の見積、三番目には僻陬地等の調査例えば離島関係の損失というのはどこにあるのか。
  209. 久田富治

    政府委員(久田富治君) 一番最初に、誠に申訳ございませんが、この資料につきましては、大体各省から出ましたのを私の方で思想統一するひまがございませんでしたので、各省のこれによつてくれと言われたまま提出いたしまして十分検討することができなかつたことをお詫び申上げます。  それから農地関係の中の農地の中に植付による被害その他が或いは入つているかとも思いますが、この点につきましても私自身自信がございませんので、後刻調べまして御返事申上げたいと思います。  それからこの資料を作つてくれという小野委員からの昨日のお話では、直接の被害に大体限定されたように了解いたしまして、これに要します復興のための経費とか、或いは応急救助に要します労力とか、そういうようなものを要求されたようには私考えておりませんので、その点或いは誤解があつたかも存じませんが、若しその点につきましても御必要ならば時間を頂ければ資料を提出いたしたいと存じます。
  210. 島村軍次

    ○島村軍次君 例えば鉱工業の関係では出炭減、選炭不能、生産減によるもの、貯蔵品その他の被害というものまで上つているわけです。これは御覧になればすぐわかるのです。農林省関係でも、入つておるか入つておらんかわからんなんて言われるが、これは農業施設として上つておるのです。だからこれはもう農作物の被害というものは当然入つていないということは一目わかる。これはあなたが局の内容を御存じないからなんです。農地関係なり林野庁あたりの施設をやつておるやつだけがここに出ておる。農作物全体のは入つていないと言つておる。今の水産の被害でも、水産庁の資料課の七月七日現在のを見ますと、これは単位がちよつとわかりませんが、恐らく千円単位であれば十二億七千四百万円と、こういうことになつておる。ここに出ているやつは僅かに二億ですね。だからして、調べてみると、恐らく十六億や二十億は超さんという先の御答弁は非常におかしいですよ。だからそういうことは、昨日もちよつと言葉は過ぎましたけれども、もつと至急に御勉強なさらんと、対策本部は一体何をしておるのだといつて天下の笑いものになるというようなそしりを免れんと思うのです。その点は各省について、なかなか手も急がれてお困りだろうということは想像いたしますが、統一して出されることをお願いいたします。
  211. 松浦定義

    松浦定義君 今の説明各省から正確なものが出ていないのでやむを得ないというということはわかると思うのです。先ほど松岡委員が言われたように、本会議で建設大臣その他が説明した場合には一千六百億以上になるだろう、まだ不明の点があるということを言つてつて、ここへ出て来たのは数百億の違いがある。これはそういう内容は当然あとから出て来ると思いますが、私が聞きたいことは、参議院だけが特別委員会を持つておるのじやない。衆議院も同様特別委員会を持つておりますが、衆議院のほうへはどういうような資料をお出しになつておるか。或いは又衆議院はこういうような資料要求していないかどうか。衆議院のほうの審議と参議院の審議とおのずと自主性はあつても、政府の出すほうは同じだと思うのですが、そういう点はどういうような実態か、お伺いしたいと思います。
  212. 久田富治

    政府委員(久田富治君) 衆議院のほうは特別委員会は開催されておりますが、まだこういう資料を提出しろという命令はございません。
  213. 松浦定義

    松浦定義君 今聞きますと、衆議院のほうはこういう要求がない、こういうお話ですが、これはもう緊急必要性を感じてできた、衆議院のほうがやらないで、参議院がやつておる。従つて参議院の審議は、場合によると衆議院のほうが意見がまとまらない、或いは又要請がないし実情がわからんから決定されないというようなことが若しあるとするならば、あえて今日まで五回も開き、更に午前中から午後に至るまでやる必要がなくなつてしまう。飽くまで参議院に出した数字について決定或いは要求されたものについては衆議院のほうを必ず同調せしめるというくらいに政府にはらがないと、こちらのせつかくのあれが無意味になると、こう思うのですがね。従つてそういうことはよほど本部のほうでも、衆議院はいろいろ予算その他の問題で忙しいと思いますからやむを得んとしても、少くとも参議院が今慎重審議していることについては、参議院のほうの決定はこうなつておる、従つて政府もこういうふうにするからということを強硬に衆議院の特別委員会に対しては一応要求があろうがなかろうが、これはやはり両院の上に立つ政府機関でありますから、十分私は連絡してもらいたいと思います。若しこちらの進行状態に異議があるなら、すぐに開かしめて、或いはその意向を体してこちらへ順次御報告願うことが政府としては正しいやり方ではないかと思うのです。折角五回も開いた委員会を無意味に終るようなことのないように一つつてもらいたいと思います。
  214. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員諸君の言われるのは御尤もだと思う。私代表して要望しますが、各省から出たやつをただプリントして綴じただけじや駄目なんですよ。統計数理に立脚してやらなければ。だから統計局の職員くらい入れてそうして思想統一をして出して下さい。  それから先ほど松浦さんからも要望があつて総理にもその資料を頼んでおいたのですけれども、要するに各省別の損害、それから地域別にも損害がわかるもの、それからその損害額のトータルというものを正確につかまえなければならない。最も大事なことなんですからね。そしてその中で補償或いは補助の法律の裏付のあるものが幾らか、そういうもののないものが幾らか、それから国費によつてこれを賄うのがどのくらいあり、地方公共団体でやるものはどれだけあるのか、そういうことが的確に本委員会としてはつかみたい。そういう立場から資料要求しているのですから、明日の正午までで結構ですから、正午までに正確のものを一つ出して頂きたい。
  215. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の委員長の発言に関連して。例えば大蔵大臣のように百億しかないということがいつも頭の中にこびりついちやつていてそれで例えば従来の災害復旧のように三・五・二で行こうというような、そういう旧慣を墨守するなんというのでなくて、今委員長の言つた法令に基いて補助できるものという、その性質を持つた被害と、こういう意味ですよ。どうかそれを誤解なく。今予算がこれしかないのだからどのくらいをこつちへ計上しようなんでよもや思わないと思いますけれども、あなたがよほどよくその点を言いつけませんと、下の連中が迷つて来るのじやないか。ですから統一あるやつでもつて、足らない資料については原局からとつてそうして思想統一をした、そうして今までの要求に合うようなやつを是非お願いしたいというのです、私は。
  216. 松岡平市

    ○松岡平市君 議事進行について。今聞くと、衆議院はどういうふうな審議を進めておられるのか、資料要求もない。そうしてこちらへ出た資料については、今言うように非常に忙しくもあるし、不完全なことはもとよりでありますけれども、今頂いた資料、最近最も新らしい資料においても私の指摘したような点において明かでないのであります。参議院だけがもう昨日のごときも前後九時間に亘つて特別委員会は審議をしておるわけです。今日もこの時間までやつておりますけれども、私はこのような状態で審議を続けて行きまして、果してこの緊急対策特別委員会設置せられた趣旨に合致し得るや否やということについて多少の疑問なきを能わないのであります。願わくは、私は一つ委員長から衆議院のほうの特別委員会委員長に交渉せられて、要すれば両院の合同の委員会を開催してそうして一日も速かにこの問題について解決を図つて頂きたい。緊急対策の特別委員会でありまして、だらだらとここで政府政府委員のいろいろな説明を聞いておるだけが能でないと私は思う。一つこの委員会の運営につきましてはぜひ至急に委員長並びに理事の会合をお開き下さいまして、只今申しましたような衆議院との合同委員会にするというような措置を講じて頂きたいと、かように希望いたします。
  217. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 承知しました。善処いたします。
  218. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私新聞で見たのですが、大好本部長が六日とか七日に一応中間報告のために帰京するというようなことが新聞にあつたのでありますが、お聞きになつておりますか。
  219. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員長まだ聞いておりません。
  220. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その点本部のほうでは如何でございますか。
  221. 久田富治

    政府委員(久田富治君) 私もまだ新聞で拝見した程度でございまして、何ら地方本部からは連絡ございません。
  222. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それではその点を確められて、若し今日なり明日なり帰つて来られれば、早速この委員会に来て頂いて現地実情報告してもらうと同時に各委員の質問に答えて頂くような機会を作つて頂きたい。果して新聞の通りつて来られるかどうか皆さんおわかりにならんようですけれども、新聞に出ておりましたから。
  223. 加瀬完

    ○加瀬完君 先ほど私は質問したのでありますが、それについてどうもまだ御答弁は納得しない。と申しますのは、どうも今までのこういう災害対策政府のやり方を見ておつても、政府の直轄的な面においては大づかみなところをすぐ作り出すけれども、国民の個々の被害状況までつぶさに統計の中に入れておるかどうかというと、そういう傾向は薄いと思う。そういう点で、例えば今度のような場合も、私は災害に費消された経費とか損失した財産、資材といつたものを明確にこの中に出してあるのか、或いは又特に単独災害などにおいては、それを復興するのにどれだけの労力が要るかというふうなことが一つのめどとなると思います。そういうふうな観点からこの災害の統計をとつてあるのか。特に先ほど委員のかたからも出ておりますが、あと伸びても十五くらいしか伸びないというけれども、我々は長崎県を見て参りましたが、長崎県は北松浦郡が一番被害が大きいのでありますが、この表を見ても北松浦郡は一カ町村も入つておらない。結局僻陬町村とか離れ島とかの関係は殆んど入つておらない。それをそのままに十五しか伸びないであろうという結論を下すことは早計ではないか。非常にどうもそういつた何と申しましようか、僻陬地とか或いは個人の個々に亘るような調査というものにまだ十二分の手を差延べておらないうちにすぐに総計幾らときめてその対策を急ぐということは、私は策としては上策とは考えられない。そういう点は今後調査を更に進められるならば綿密を期して頂きたい。
  224. 久田富治

    政府委員(久田富治君) かしこまりました。
  225. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 議事進行ですが、先ほど来議事進行に関連した発言がありますが、私は今の本部のほうの側に立つても、或る意味じや同調しているのです。刻々に変る数字をいつかんでいいかといつたような段階にあつたとするなら、或る意味では同調しているのです。併し先ほど委員長から、又我々からも頼んで、今日における統一された被害の新しい状況のものをあの様式によつて頼んだからこれはいいとして、例の懸案であるところの第二台風の処置の問題ですね、これは明日の午後でなければ恐らくいくら急いでも新資料は出ないと思うのです。急いでも晩までがせいぜいじやないかとさえ考えられる。そこで議事進行に関連する意味になるのですが、あれも捨ててはおけないのです。地域の違つたところなどはもう首を長くして待つている。ですから明日は早速あの問題を取上げて結末をつけられるように、私は一つお諮りを願いたいと思います。
  226. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 実は昨日の申合せで今日あたり取上げたいと思つてつたのですが、今日こういうようになりましたので、委員長としては、三浦君の動議の通りにこの第二台風を取上げて審議したい、こういうふうに思つております。それは委員長及び理事の打合会の結論でもありますので、そういたしたいと思います。
  227. 松岡平市

    ○松岡平市君 それに関連しましても、是非一つ衆議院の特別委員会委員長委員長で交渉されて、向うがどういうふうになつているのか、内輪だけでやつてみても要するに施策として政府が出してくれなければ幾ら論議をしても始まらんわけですから、衆議院がどういうふうになつているのかその点を確かめて、要は一日も速かに解決をつけるということでありますから、大変申訳ありませんが、委員長から衆議院のほうの特別委員会委員長に絶えず連絡をするようにお取計らいを願いたいと思います。
  228. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  229. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。
  230. 松浦定義

    松浦定義君 只今こちらのお話合について、衆議院のほうと連合委員会でも開いて早急にこの問題を解決したいというくらいに参議院の特別委員会が熱意を持つていることはわかるのですが、聞くところによりますと、衆議院の特別委員会現地に調査に行つていることを仄聞しているのですが、それが事実であるかどうか。政府関係のほうから御説明願いたいのです。
  231. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それは先般本委員会でも懇談会のときに報告をいたしました。十日間の予定で行つております。
  232. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと十日間以前には帰らんわけですね。併し例えばこちらでやることが委員長一人の考え方ではどうにもならんと思う。衆議院のほうはそういう意味から言つて非常に私は……私どもは、調査に行きましたときの衆議院の慰問団のメンバーを見ますと、地元出身の議員の諸公が地元に行つて、それぞれ行つた途端に全部地元のうちの又地元へ分散されているこういうような結果を聞いているのです。だからまとまらんから、更に別な調査団を私は出したと思うのです。参議院のような性格で出しておれば、こんな調査というものは不必要だと思うのですね。そういうことを私は一つ委員長から厳重に衆議院対策委員長を通じて、こういう問題に対しては、それは十分見ることはいいのだが、前回やつた点が非常に調査上不十分だということから、更に又十日間も出しておいてその結果緊急対策に間に合わないようなことをやる。而も参議院の審議をやはり促進する意味においては支障があるようなことをやられるということは、非常に困る。やはりこういうことは、衆議院と参議院と十分連絡をとつてつてもらうということは、これは又特別委員長ばかりでなく、或いは決定された議運なり或いは両院そのもの責任でもあると思う。こういう意味で特別委員会から、我が参議院のそれぞれの関係の議運或いは又議長等にもあらかじめこういうことを一つ申上げて、委員会においてはこういう意見もあるのであるからそういう問題についても協議ができ得るように、我々の真意が遂行できるように一つされたいということを是非附加えて持つて行つて頂きたいと思います。
  233. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  234. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後五時二十分散会