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1953-09-16 第16回国会 参議院 水害地緊急対策特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月十六日(水曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 九月十五日委員長東隆君辞任につき、 その補欠として松浦清一君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     矢嶋 三義君    理事            藤野 繁雄君            島村 軍次君            永岡 光治君            永井純一郎君            石川 清一君    委員            小野 義夫君            剱木 亨弘君            重政 庸徳君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            徳川 頼貞君            堀  末治君            松岡 平市君            北 勝太郎君            新谷寅三郎君            高木 正夫君            林   了君            安部キミ子君            白井  勇君            松浦 清一君            山田 節男君            杉原 荒太君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君    厚 生 大 臣 山縣 勝見君    農 林 大 臣 保利  茂君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    建 設 大 臣 戸塚九一郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   説明員    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室総括    参事官)    久田 富治君    文部省管理局長 近藤 直人君    厚生省社会局長 安田  巖君    農林省官房長  渡部 伍良君    運輸省鉄道監督    局民営鉄道部長 山内 公猷君    運輸省自動車局    財務課長    原山 亮三君    建設省官房長  石破 二朗君    建設省河川局次    長       伊藤 大三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水害緊急対策に関する件   —————————————
  2. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から委員会を開会いたします。昨日の理事会並びに本日の全員協議会で申合せました通り只今から質疑に入ります。山縣厚生大臣が出席されておりますので質疑のある方は発言を求めて願います。
  3. 高野一夫

    高野一夫君 厚生大臣に概括的のここで結構ですからお伺いしたいのですか、我々が臨時国会を早く希望したリ、予算措置を早く希望したりいたしましても、その前提といたしまして各地における被害実態を把握することが根本問題だと思う。それに対しては地方から報告されている、或いはそのほか各方面からの調査をもとにして、それに対して各省がそれぞれの所管において検査し、査定をされなければならないと思うのです。ところで厚生省からはいろいろ資料が出ておりますが、この資料を私は要求する前に建設省のを見ましたところが、その査定進捗状況が頗る遅々としているようであります。非常にこれは各地方、各町村亘つた災害であるから、この検査には相当のお骨折があるものだとお察ししておるわけでありますが、そういう意味において私は厚生省関係被害実態調査がどういうようになつているか、各県別でなくて結構でありますが、査定がどの程度済んでいるか、或いは又どの程度がまだ済まないかどうか。それから済まない点が若しもあるとするならば、それは従来査定をされた経験からしてどの程度査定額になるような見込が立つかどうか。立たなければ結構です。そしてそれが結局は予算措置になるものと考えますので、災害救助法関係と併せて二十四の特別法において、厚生省関係のほうと勘案されましてどういう予算措置になるかどうかという結論に導くために、この査定のその後の実情について概括お尋ねいたしたいと思います。
  4. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 仰せ災害実態調査につきましては、厚生省所管は御承知通り先ず以て災害救助法に基く応急対策並びにそれと並行いたしました伝染病予防法等公衆衛士の面、或いは又それに引続いて医療械関等復旧、或いは社会福祉施設等復旧或いは又厚生省関係水道とが、そういうものの復旧、段階的に多少差がありまするが、応急のほうの災害救助に関する調査は大体完了いたしまして、これには本省からも当該係官も出張いたし、なお又府県等当該係官も協力いたしまして、大体調査は済んでおりますが、まだ何分にも今回の水害が非常に各地方亘つておりますから、済まぬ点もありまするが、その点は大体完了しつつある。併しまだ済みません所につきましては、係官等を派遣して折角そういうふうな実態調査完了期ヒております。なお例えば災害救助法関係につきましては、それらに基いて、各県の要求に基きまして概算払いをいたしまして、現に五億出千万円ほど概算払いをいたしております。本省といたしましては、各県からできるだけ早くそれらの調査の結果の報告、或いはそういうふうな予算的のほうにつきましては要求を早く出して、そして府県が早く手が打ち得られますように、府県とも協力してやつている次第であります。今後とも、まだ完了いたしませんものにつきましては折角労力いたしたいと考えております。
  5. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ伺いますが、人体のお見込で、厚生省関係実態調宜の完了はいつ頃完了できるようなお見込でありましようか。見当がつきましようか。
  6. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) その点につきましては、やや数字もわかりますことでありますので、局長から答弁いたします。
  7. 安田巖

    説明員安田巖君) 応急救助費につきましては、先ほど大臣からお話がありましたけれども、私どももできるだけ早く数字をつかみたいと思いまして、係員を主な被害府県には差出しまして、調査をいたしたのでございますが、何分にも被害の範囲が広いのでございますので、町村あたりからまだ細かい数字が出ていない府県が相当ございまして、そこでこれを精算いたしますということになりますと、やはり半年一ぱいぐらいかかると思います。町村のほうを督励いたしまして、成るべく早く数字を出させまして御期待に副うようにいたしたいと思います。
  8. 高野一夫

    高野一夫君 私は安田局長に伺いますが、非常に細かに計算して精算をすることになれば今年一ばいかかるということになれば、水害対策に対する関係予算も組めないことになるわけですが、大体厚生省として水害対策に対する予算措置ができるような程度実態調査ができるようになるのはいつ頃ですか。およその見当で結構です。
  9. 安田巖

    説明員安田巖君) 精算払い原則になつておりますけれども、私どものはうは成るべく大づかみで払つて行きたいと思つておりますが、そういう資料もまだ出ていない所もあるようでございますけれども、今月中には第二回目はお払いいたしたいと思つております。大蔵省のほうとも予備金支出をして頂きますことについては話済みでありますので、資料ができ次第第二回目を早くやりたいと思います。今月中には第二回目ができると思います。
  10. 高野一夫

    高野一夫君 第二回目があると第三回目があるわけですが……、私のほうは総括的で結構なんです。
  11. 安田巖

    説明員安田巖君) 精算をするところまでどうしても行かないから、だんだんにやつて行くわけですから、まあ私ども見込でありますと、こちらで災害被害報告なんかを私どもの従来の経験でそろばんをはじいてみますと、大体十八億近くになりはしないかと思つております。ただ府県においては被害の出し方なんかにつきまして不馴れな点がありますので、町村から実態が出ていないのです。だからそういうことについて、どういうふうに使つたとか、どういうふうな炊出しを何日やつたかというようなことについては、町村のほうもどさくさのときで出ないということがありますので、成るべくこの点は私どものほうで指導いたしまして、こうい点うはこういうふうに出すということを早く指導をいたしたいと思います。相手のあることでありますから、ここで何日とお約束はできませんけれども、少くとも大体第二回目としては主だつたものは今月中に処置をとりたいということでございます。
  12. 高野一夫

    高野一夫君 そういたしますと、やはりこれは各省に関連したことにもなろうかと思うのですが、厚生省関係においても相当今まで実態調査は済んでいるけれども更にこれが完成されるのには相当の時日が必要である。殊に地方からの報告、そういうものが遅れれば遅れるほどこういうものはまとまらんわけですから、そういう点において非常に難関があるというふうに一応了解してよろしうございますか。
  13. 安田巖

    説明員安田巖君) 先ほど申しましたように、成るべく早く大づかみのところを支払うようにいたしますけれども、併し見当が違いますと府県のほうであとで返さなければなりませんので、そういう点も府県では考えておりますので、成るべく正確な数字をつかみたいとお互に努力をいたしておるわけであります。御質問趣旨は成るべく早く出せということであると思いますので、そういう点では十分考慮いたしますから、御了承願いたいと思います。
  14. 安部キミ子

    安部キミ子君 炊出し費ですが、私どもは八十円という要求政府に強く主張して来たのですが、併し未だに四十円の計算でここに報告が出ておりますが、実際にはこういうふうな少額の炊出し費ではどうにもならないのじやないですか。パン一つ買つても十円二十円かかりますが、一日四十円では現場人たちは急場の凌ぎをどういうふうに過ごしておるかということを御報告頂きたいと思います。
  15. 安田巖

    説明員安田巖君) 応急救助、つまり災害救助法建前が、災害がありました直後に、とにかく人命に関する問題でありますからして、早く救助しなければならんという問題で一応の対策を講ずるというのが建前になつております。従いまして炊出しにつきましても従来の例でみますと、大体六日ぐらいが限度になつております。併し今度は九州等につきまして相当浸水が長かつたり、土砂が長い間堆積したりいたしましたものですから若干延びましたけれども、そういう建前で行きますと、本当の炊出しというものを考えただけで、そこでいろいろ大蔵省折衝いたしまして握り飯にたくわんか福神漬を付けたり、梅干を付けるという程度のものを従来から予算要求しておりますが、今度は従来三十四円でありましたのが四十円に漸く上つたということで、まあそれで一つ応急凌ぎにするという考え方でやつております。
  16. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでは四十円をもう動かさないという御意向なのですか。
  17. 安田巖

    説明員安田巖君) 只今のところは、財務当局と相談をいたしまして四十円というふうにいたしております。
  18. 安部キミ子

    安部キミ子君 そのままにして現場が事実これでやつて行けたかどうか。その現実の問題をあなたはどういうふうに取扱つておりますか。
  19. 安田巖

    説明員安田巖君) これはまあやり方なんですが、又そういう咄嗟の場合でございますので、非常に炊出し等でもルーズになつておる所もあると思います。又丁度品物が揃わなかつたというような所ではそれ以上のことをされた方もあるかと思いますが、併し大体計算をいたしますとそういうふうな資料が出て来るのであります。それから特に熊本とか何とか非常に長く炊出しをするような所では例の栄養がそれじや足りないじやないかというような問題も実は出たのであります。そういう所にはいろいろ救恤用物資なんかほうぼうから集まりましたものを当てて頂くようにお願いをして、それでまあ実は過ごして来たようなわけであります。
  20. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでは一日の人間のカロリーが四十円で賄えるというこの原則に立つて四十円の価格が妥当とおつしやるのですか。
  21. 安田巖

    説明員安田巖君) これは先ほど申しましたように、応急のものでございまして、すぐ又自分の家に帰るとか或いは自分手持金その他の方法で補つて頂くという趣旨のものでございますから、その応急の場合だけの計算で出ているわけでございます。それで配給の米の量と副食物の値段というものを計算して出したのがこういうのでございます。それが六円だけ上つたというわけでございます。
  22. 安部キミ子

    安部キミ子君 今の答弁は最初から私は至つて不満足です。事実四十円というが、一食の食費にも値いしないというのは、あなた自身の今日の生活を考えておわかりのことと思う。いろいろの救援物資があるとか、ほかから援助を頂くというようなことは、それは後になつてからの現状であつて現実にはそこの村にはなすの木一本しかないといように荒れはてたところで、何を根拠でそういうような御答弁が出るかということを私は不思議に思つておるのですが、もう少し現実にしつかり目を見開いて頂いて、この問題について早急に補正のほうで予算を組んで折衝して頂きたいと思います。要望事項です。
  23. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私からもちよつとお伺いしたいと思いますが、今回の水害対策におきまして、最も我々が重点を置いているのは、国民健康保険事業方面で、国民健康保険事業資金とか貸付金というようなものは、いわゆる補助いたします貸付金というようなものが、大体もうすでにどのくらいというような見当がついておりますでしようか。又同時に、これは或いは大体のところでも、撃ぎ資金なんかでもよろしうございますが、一応幾らかの金でも組合に出される時期はほぼ大体どのくらいの見当になつておりますでしようか。それらの点について伺いたいと思います。
  24. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 仰せ国民健康保険保険者が、或いは一部負担金でありますとか、或いはその他減免をいたした際のことであろうと思います。これは実はあの六、七月の災害が起りました際に、直ちにこれは今回の特例によるものではございませんが、概算払いをいたしまして、それは御承知通りでありますから申上げませんが、私が丁度すぐに九州地区に参りました際に、概算払いをいたして各保険者に渡るようにいたしました。現地においても非常にその点は医師会或いは各市町村から感謝されたのであります。只今お尋ねの点は、これは一般の従来の法律による概算払いでございますが、特例法による概算払いにつきましては、只今折角実害、例えば保険者が、一部負担金或いはその他減免をいたしたものに対しての補助がどのくらいが適当であろうかということを今調査をいたしておりますが、大体これもまだ大蔵省折衝中でございますのではつきり申しかねますが、大体四億五千万円くらいを目途として、只今大蔵省折衝中でございまして、これらの保険者がこの災害によつてこうむつた損害に対して、或いは貸付金或いは補助金について折角今大蔵省と……大体数字を申上げてよいかどうか、まだ折衝中でございますが、只今申しましたような額を一応目途として折角交渉中でございます。できるだけ早く折衝いたしまして、これらの向に対して貸付金或いは補助金をいたしたいと思つております。
  25. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に厚生大臣に対してございませんか。
  26. 松岡平市

    松岡平市君 ちよつとこの報告書水害復旧措置水道復旧については約一億五千五百六十万円を要する、上水道下水道簡易水道と書いてございますが、この簡易水道につきましては特別立法をしてあるのではないか。この一千四百九十万円というのは特別立法関係なしの金額ですか、それとも特別立法趣旨を含んでの予算でございましようか。一応伺いたいと思います。
  27. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) その点は今局長も参りますし、或いは部長も参りますから、その点申上げますが、簡易水道お話がございましたので申上げたいのでありますが、今回の特例法には上水道或いは下水道は一応のけておりますので、恐らくこの簡易水道一千四百九十万円は特例法以外と思つておりますが、間違つておるかも知れませんから、今担当の部長が参りましたら御答弁申上げます。  なお簡易水道に対しては特例法によつて規定がございます。これに対しましては非常に要望がございまして、殊に又今回の災害に関しては簡易水道災害地復旧に非常にといいますか、貢献をいたしている事実は眼のあたり視察して承知いたしております。ただ何分にも只今簡易水道に対する要望が非常に厖大な額に上つております。大蔵省との折衝に非常に苦慮をいたしておりますが、なお今後努力をいたしたいと思つております。なおお尋ね簡易水道の千四百九十万円は、従来の一般法によるものか、特例法によるものか、直ちに調査いたしまして御答弁を申上げます。多分前のやつだろうと思つております。
  28. 松岡平市

    松岡平市君 そうしますと、簡易水道については、只今大臣の御答弁では、新立法に基いての要求は非常に厖大なものが出ておるというお話であり、而もここに出ておる数字は僅かに千四百九十万円ということであつて、これは新立法に対する予算ではなかろうということに了解いたします。
  29. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今申上げました通り、この簡易水道の千四百九十万円と申しまするのは、多分特例法に基いての支出でないと了解いたしておりまするが、なお確かめまして、その点を明らかにいたしたいと思つております。なお先ほど厖大数字と申し上げましたのは、簡易水道には復旧分新規分と両方ございましてむしろ新規分について相当厖大要求が出ております。復旧分というよりも、むしろ新規分について出ておりますので、いろいろ予算折衝苦慮をいたしておるということを申上げたのであります。
  30. 松岡平市

    松岡平市君 今大臣お話で、復旧分新設分新設に非常に厖大要求があるというお話でございますが、是非とも法律では、今回の災害のために井戸、流水、或いは湧泉等の水源、若しくは給水施設水害によつて破壊された、その復旧が困難である、そういう場合には簡易水道を新らしく作れ、作つたら二分の一の国庫補助をするという趣旨になつておるわけです。少くともこの法律に該当するものについては、よしんばそれが厖大であろうと、是非一つ十分なる予算措置を講じて頂きたい。今大臣も骨を折るとおつしやいましたけれども、非常に厖大数字だと言つて、非常に困難であるかのような、そういうふうにも考えられるような御答弁でありますが、よしんば厖大でありましようとも、法律に適合しないものは別でありますけれども法律に適合するものは是非厚生省においてその実現を期せられるようにお願いいたします。
  31. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に質疑はないようでございますから、私から大臣に三点について伺います。  第一点は、八月中旬に災害がありました滋賀県、滋賀県の、もうあなたのところに報告が来ておると思いますが、あの多羅尾村というような所は、もの凄い災害でございます。非常に僻地で、県当局連絡もつかなかつた関係上、更に連絡はついても県から食糧とか、衣料とか持つて行くこともできない。こういう状況下にあつた関係上、滋賀県は相当の被害を受けながら、全県に亘つて一村も災害救助法を発動いたしておりません。併し災害救助法を発動した以上のことを実際はやつております。あなたのほうから出た資料によりますと、九月十五日現在の災害救助費国庫負担額調の中に、滋賀県は救助法を発動していなかつたので、全然数字が出ておりません。更に国民健康保険に対する措置、この回答書の所にも、災害救助法が全県、或いは県内の一部に発動された場合には、国民健康保険復旧指導補助金の交付その他について特例的な措置をここに回答として出されておりますが、こういう滋賀県の場合、災害救助法を発動実施したと同様な国庫助成をやるべきものと考えますが、厚生大臣はどういうお考えでおられるか。そのことが一点。  それから第二点は、これは第十六国会中から本委員会で問題になり、委員長委員会の決議としてその執行方を命ぜられておつたものでございますが、それは先ほど安部委員から質疑のありました災害救助法による炊出しの費用、これは只今答弁を聞きますと、安田局長大蔵省主計官答弁のようなことを言われておりますが、厚生省自身一日四十円ではできないというので、六十円の線で大蔵当局に強硬に要求されたわけでございまして、私どもは今とやかく申しませんが、私どもが視察したところによりますると、パンを食べさしても一日六十二円五十銭は要つたということを言つております。そこで私が伺いたい点は、若し地方公共団体炊出しをして、最小限かくかくという領収書証拠書類があつたならば、それに基いて国庫補助金を出す考えがあるかどうか。書類は全部残つております。私は委員会の決定に基いて、閉会後安田局長に直接会つてそういうことも伝え、更にその足で大蔵省関係官にも会つて話をしましたが、検討するということでした。その後どういうふうになつているのか。その点と、それからそれと同じ種類の問題でありますが、例の生業資金、これは五千円を一万円に措置したが、御承知のように家屋の全壊、流失、いわゆる滅失戸数の二割五分程度しか生業資金を出さない。それはこの大災害地では非常に困るから、この二割五分という数字を上げて欲しいという要望があり、この委員会でも意思決定して、厚生並びに大蔵両省に私からその意向を伝え、考慮するということでございましたが、どういう取扱方をされたのか。この回答書にありませんので伺つておきます。  第三点は、仮設住宅の件ですが、これは大臣から答弁頂きたいと思うのです。先ず仮設住宅が、戸数が非常に制限される関係上、市町村は非常に困つているわけです。家でなくても四戸分といつて金受取つて、そうしてその金を適当に配分して、それに地方団体なり或いは個人の金をプラスして、家の潰れた被災者に家を建ててやるならいいのですけれども、三十戸潰れた家を五戸割当てられたのでは、五戸しか建てられない、五戸では当てられないというので、非常に執行地方町村は困つております。これが一つと、それからあの仮設住宅の六万円という家の構造というものは、都市の災害若向きなんです。農村の災害者には、一向家は向かないわけなんです。農家はいろいろ物置も要るし、相当広い家でなくちやならんのですが、国から補助された金に自己の金をプラスして、農家の方々に向く家を建てようと思つても、それができない。従つて非常に困つているのですが、その仮設住宅の件についてはどういう見解を持たれておられるか。以上三点伺つておきたいと思います。
  32. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 詳細の点は社会局長から御答弁申上げまするが、第一の滋賀県の件につきましては、私が承知いたしておるところでは、県当局からの災害救助法政府にも要請もなかつたやに承知しております。御承知通り災害救助法の発動は、ここにあります通り、やはり一定の標準もあることであります。災害救助法はあの場合発動されておりませんから、従つてその被害に対しては政府補助はいたしておりません。  なお第二点の炊出しの問題につきましては、先ほど安部先生お話もございまして、私も九州現地参つてお話と同様の気持にも打たれたのであります。たたこの単価の問題につきましては、あの際、例えば炊出し期間の六日間を一週間、十日間に延長いたし、或いは又熊本県その他におきましては更に延長いたし、その他単価の問題については大蔵省とも折衝いたして、最大限、当時なし得る限度の延長、或いは拡大をいたしましたのであります。そのうちで一番問題になりましたのは、今お話単価四十円を、これはたしか三十六円でございましたか、三十五円でございましたか、何とかしてこれをもつと上げたいといつて大蔵省折衝いたしましたことも御指摘の通りであります。ただなかなか予算的の問題もありまして、折衝が妥結いたしません。問題は、御承知通り、これは必ずしもその場合四十円というだけのものを確実に出すのじやなくて、県に対する補助一つ単価でございまするから、今御質問の、例えば領収書単価六十何円になつていれば、それだけ補助を出すかということには、これは法律或いは政令によつてきまつておりまする関係上、できませんのでございます。併しそういうふうな、ただ理窟だけじやなくして、現に佐賀県或いは熊本県だけにおいては、やや長期に亘つて炊出しをいたした場所もありまするから、それらの面に対しては、先ほど局長からお話いたしましたように、実質的にできるだけ救援の物資等の、罐詰でありまするとか、或いは栄養のありまするようなものをそれに加えて、そして実質的にできるだけ栄養価のありまする給食ができますることを努力いたしました次第であります。御説の通りこの四十円にきまりましたことにつきましては、必ずしも満足はいたしておりません。おりませんが、やはり財政という言葉を申上げますると、いつも御不満を買うのでありまするけれども、それらの関係で一応四十円で抑えて、そうして実質的にできるだけ栄養食をつけよう。今後とも努力はいたしまするが、只今までの経過はさように相成つておるのであります。  なお生業資金の問題につきましては、たしか二割五分も御承知通り、あの際に適用の枠を拡げましたのでありまして、これも或いは御不満があろうと思いまするが、少くとも当時のいろいろ大蔵省とも折衝いたしまして、二割五分まで枠を拡げましたのであります。  なお仮設住宅につきましては、これも現地でいろいろお話があり、殊に只今委員長の御指摘の中の仮設住宅につきましても、いろいろ陳情を受けております。ただ何分にも災害救助法に基きまする仮設住宅は、一応いわゆる応急の避難を中心にいたしました仮設住宅でございまするから、将来一定の期間、やや長期に亘つて農業を営むに適する規模の、いわゆる仮設住宅というところまで現在の財政事情では許されないのであります。将来財政事情が許しますれば、さようなことも或いはいいかと思いまするけれども災害救助法はどこまでも臨機応変の災害救助でありまするから、住宅につきましても一応農業の運営に適する規模の仮設住宅というところまで只今つておりません。  詳細の点につきましては局長からお答え申上げます。
  33. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) じや時間がかかりますから、もう詳細な点は必要ありません。ただ重ねて簡単に伺いますが、滋賀災害救助法の問題ですね、これは救助法が出ていないから支払えないというのは、これは御尤もです。併し今後の問題としてこれを多羅尾地区、信楽地区とああいう広汎に侵水し、あれだけの災害を受けて、それは標準からいつて立派に当てはまる程度のものですが、連絡不十分その他で出さなかつた、そういう所に今後の問題として、出さなかつたからといつて全部これを放つたらかして、一切助成をしないのか。それとも実質上これは何らかの形で助成すべきとお考えになつているかという点が一つとそれからもう一つは、仮設住宅の問題ですが、将来都市向と農村向ぐらいに、二つの形に或る程度に法の改正をするお考えはないかどうか。たとえ農村で六万円の家を造つても、それは役に立たなければ間もなく建て変えるということは、国家的見地から考えて実に私は無駄なことだと考えますので、その二点について大臣の所見だけお伺いいたします。
  34. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 第一点につきましては、多少事実を私も詳細に承知いたしておりません。局長から御答弁をお聞き願います。  第二の点につきましては、お説御尤もと考えるのでありますが、ただこの仮設住宅ということは、災害救助法に基く住宅を今後建て変えるのに不経済であるからというので、即ちそれを裏を返せば、相当恒久的に農業用の住宅として使うということになるのであります。そこで基本的の考えはどこに置くかということによつてもこの問題は左右される問題でありまして、国全体の資金というものを有効適切に使うという点から言えば、将来、国が少くとも少額であつても、六万円というものを将来のいわゆる住宅費の中の一部に活用することがいいのじやないかということが言えることと思います。いわゆるこれらの災害或いはその他の特例法に基きます予算措置全体の問題、そういうものも勘案いたして、考慮すべき問題でありまして、研究はいたして見ます。が、只今のところでは、先ほど申上げましたような考えで終始いたしておる。但し勿論これにもかかわらず、将来ともただ従来取扱いました方策に閉じ籠つて、ただ単なる御答弁を申上げるのが能でございませんから、研究は勿論いたします。  第一点につきましては局長から申上げます。
  35. 安田巖

    説明員安田巖君) 災害救助法につきましては、御承知のように知事が責任者になつておりまして知事がそういう災害救助法の施行を発動いたしまして救助を行うということになつておるわけであります。滋賀県の場合に、知事が町村長その他と御相談なさつただろうと思いますが、認定でそれを出す必要がないというお取扱になつておりますので、法律の上ではそれに対して国庫が負担するということができないわけでございます。併しなおよく研究をいたして見たいと思います。
  36. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ただこの席上、念のために局長、申上げておきますが、私は滋賀県を視察して参つたのですが、知事が災害救助法を出す必要がないと、知事が認定したとは申しておりません。私もいろいろ事情を聞いて参りましたが、副総理がおいでになつておりますので、時間がかかりますので、ここで質疑を打ち切りますが、その点は安田局長所管局長でありますから、十分滋賀県当局被害状況並びにその当時の状況について連絡をとつて、遺憾ないように処置して頂きたいということだけ申し添えておきます。  厚生大臣退席になつてよろしうございますか……。それでは副総理が出席されておりますので、質疑のある方は発言を求めて願います。
  37. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は緒方副総理にこれから少し質問をいたしたいと思います。昨日副総理以下政府当局者がこの水害対策委員会に対しまして出席を怠一つた件につきましては、もう余り私は申上げないことにしたいと思います。ただ非常にこの点は委員長から申上げました通り、遺憾の点が多かつたと思います一つだけ昨日申上げようと思つたが、遠慮しておつたわけでございますが、附加えて申上げたいと思いまするのは、副総理はすでに昨日、一昨日の夕刻か、通知を受けておる。何時から水害対策委員会が行われるという通知を受けておりながら、他の会合や、或いは大蔵省の事務の処理に行つてつて水害対策委員会があることを知つておりながら出席をしなかつたのだと思うのです。こういうことは、政府水害対策委員会について私はこれを処理しようという熱意を持たないというふうに考えざるを得ない。今日まで私どもはこの特別委員会では何党だとか何党とかいうことなしに、超党派的によく協力をいたしまして、そうして早急にこの解決を図つて、実際に農山村その他中小都市の中小企業者等が生活そのものに困つておるのでありまするから、非常な迅速な処理が必要である、従つて皆力を合して政府を鞭撻しながら早急に解決を図つて行くという態度をとつて来ておるにもかかわりませず、肝心の政府がそういうふうに逃げ廻るということではなかつたと思いまするが、昨日副総理が素直に答弁をされておりまして、それを聞けば成るほどその通りであつたかとも思うのでありまするけれども、一昨日聞いておりながら、あえて出席をして来なかつたという点は、私はその熱意を疑わざるを得ない。と申上げまするのは、今厚生大臣等の答弁をお聞きの通り、要は各省が政令を作つて、その範囲でできるだけ小さい予算を組んでやろうという方針を政府はとるのか。或いはこれは何物にも先んじてこの大水害のために困窮しておる府県の国民を救うことが何物にも優先してこれをやる。たとえ金が要つても、これを優先的にやるのだという方向をとるかに私は今日の段階では来ておると思うのです。そこで政府の決意如何を私は決定すべき段階に来ておると思います。こういう観点から私は本当に政府水害対策をやるつもりでおるかどうかということを、私はいろいろな質問をして結論を出してみたいと、こう考える。  私は先ず副総理にお伺いをいたしまするが、あなたの昨日の水書に対する考え方をごの委員会で述べられたのでありまするが、非常に五つほど挙げられた。大体言われたことが五つぐらいに分け得ると思いますが、その中では相当各事項間に矛盾があると思いまするし、又非常に不明確な点があります。去る国会予算委員会におきましても、副総理は今度の水害は本当の天災であつて、これはもう人災ではなく、我々の責任ではないのだというような意味のことを言つておられましたが、昨日の話の中にもそういつたような意味のことをあなたは言つておられるのであります。治山治水等で防げるかどうかはきまるのだというようなことをも言つておられるのでありますと同時に、財政の許す範囲内で抜本的な対策を立てるということ、こういうこと自体はこれは考えによつては非常に矛盾です。財政の範囲内で抜本的な対策を立てる……、同時に国会は十月末にも開けないかも知れんというようなことを言われておりまするし、これらはとりようによりましては、国民が、災害地の国民がこれを聞くならば、政府は熱意を持つてこの災害対策を本当にやろうとしておるかどうかということを私は疑うと思うのです。そこで私は先ず昨日副総理がお話になりました点について、先ずお伺いをして行きたいと思いまするが、財政の許す範囲で抜本的な対策を講ずるということは、一体どういうことであるか。又非常に国会が遅れる、早く開けないという理由は、補正予算の編成が困難であるというようなことをも言つておられます。その一つの理由には、小笠原大蔵大臣が米国に行つておるということも言われましたが、それのみならず、私はそれと関連して来ると思うのでありますが、補正予算を組むのに、災害とかみ合せて何が一体困難になつておるか。そういう点からいつて財政の範囲内で抜本的な対策が一体できるのか。それからなぜそういう理由が明らかにならなければ、これは十一月にならなければ国会が開けないということが明らかにならないと、その点が明らかになることによつて初めて、政府水害対策をいい加減にやろうとしておるのか真剣にこれを解決をしようとしておるのかが私は明らかになると考える。これらの点は各省大臣や事務当局ではできないことであつて政府の責任者がこれを本当にやろうという建前をとるならば、政令のきめ方もおのずから、その観点から政令のきめ方はおのずから私は出て来ると思う。その如何によつて政令はどうにでも作ることができる。この根本の点について、私は政府の責任のある考え方を先ず承わりたいと思います。
  38. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 最初に政府のこの災害対策に対しまする熱意を疑う意味におきまして、昨日の私及び閣僚の出席を怠つたことについて御追及がありましたが、今永井委員のおつしやつたことに事実に相違する点がありますので申上げますが、一昨日私が昨日の委員会のことを承知しておつたというのはその通りでありまするけれども、私のいないときに秘書がその電話を受けたので、明日は非常にいろんな予定のなにがあつて行けるか行けないか、出席が可能であるかどうかわからないということを言つて、時間のお示しも何も聞いておりません。昨日委員会が開かれることはよく知つでおりましたが、時間については聞いていなかつたわけであります。それで閣議その他予定の委員会等にも出たんでありますが、私といたしましては、勿論国会を尊重いたしまするけれども、やはり行政改革委員会等私が責任を持つておりまするものは、特に予定されておりまする以上、これはやはり重要な国務としてそのほうに参らざるを得ないのでありまして、昨日委員会が開かれることを知つておりながら逃げ廻つたとは仰せられませんが、あたかも逃げ廻つたかのような感じを与えるような感じがありましたが、それは事実と相違しておりますから、その点を私から釈明いたします。  それから政府の責任の問題でありますが、政府はすべてこれは天災であつて、人災ではない、政府措置を怠つて、いろんな対策を怠つてつたために起つたものではないというようなふうに私が申述べて、そうして責任を回避する態度を示したような、政府として責任を回避するがごとき態度を示したというようなお話でありましたが、それはそうでないのでありまして、第十六国会に本院の御決議であつたと思いまするが、今度の災害は主として戦時中の山林の濫伐、或いは治山治水の施策の不徹底というようなことが原因であるというようなことが書いてあつたのでありますが、現地に行つてつぶさに事情を究めまするというと、必ずしも戦争中の山林の濫伏の結果でなくて、私は学者でなく、専門家でないからはつきりしたことを申ませんけれども、何か雨が曾つて経験しない、六十年来と申しまするが、六十年前の雨量をどうして測つたかということはどうもわかりませんが、曾つて経験しないほどの豪雨のために、治山治水の不徹底というようなこと以上に、今まで予期しなかつたような災害が起つたという感じを私は素人ながら受けるのであります。そういう意味においてこれは天災である。別に私が天災と申しましたのは、政府の施策を怠つたことを何か逃げるような意味で申したのでは決してありません。ただ非常な大きな災害、全くこれは天災だという感じを持つたままを率直に申述べたのでありまして、その点について申上げましたので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それから財政の問題、財政の範囲において抜本的、私は言葉が足りなかつたかも知れませんが、この応急対策につきましては、すでに国会におきまして特例法が二十数件きめられておりまするし、衆議院におきましてはすでに政令の基準もおきめになつて、そこで、それを政府といたしましても一つのよりどころとして成るべく早く政令を出しまするように今折角勉強中なのでありますが、それ以外に抜本的な施策をすることにつきましては、やはり私は国家財政を考えざるを得ないので、災害応急と離れて治山治水の根本策につきましては、私どももこの災害を天災と言うべき、言わるべきこの災害を受けたこの機会に抜本的な治山治水をやるということは、政治をもつて参りまする上にも非常にいいきつかけだと思うのでありますけれども、併しながらほかにも国費を要しまするいろいろな事業がありまするので、やはり財政の許す範囲内と言わざるを得ない。それは決して今の特例法を述べられる前提に、特例法の適用を述べられる前提に申しておるのではないのであります。  それから国会の問題でありますが、これは補正予算を組みまする以上、この問題だけでは予算を組むわけには私は参らない。無論一番急ぐ問題は、この災害対策特例法による措置でありますが、それ以外にも給与の問題もありましようし、又義務教育半額負担の問題によつて生じました財源の欠陥を補わなければならない問題、いろいろの問題がありまして、本当に財源に苦しんでおります。そこでたまたま大蔵大臣がアメリカに行つておりまするので、そう長くかかる事態でもありませんけれども、この大蔵大臣が帰つた上で十分に財源を検討いたしまして、そうして補正予算の編成にかかりたい。この国会の会期が遅れ、補正予算が遅れるごとにつきましては、災害地における御迷惑は、これは御指摘にあずかるまでもなく明瞭なのであります。この点につきましては、繋ぎといたしまして政府はできるだけの努力をいたしたい。かように答えて参つた次第でございます。  以上お答えいたします。
  39. 永井純一郎

    永井純一郎君 今副総理が答えられました点に、私は副総理が少し、私も頷ける点もありまするが、やや間違いに近いような点もあると私は思う。それは非常な豪雨でそのためにこれはやつぱり防げなかつたというような感じを持たれておる。これは我々も初めは現場に、私は山奥まで全部歩いて見ましたが、初めはそういうふうな感じをやはり受ける。又雨の量にいたしましても三百ミリ以上くらいが一遍に降りますと、山地等も雨を包容するカの限度を超すというようなこともあるようでります。併しその点はだんだんと時日がたつに従いまして、学者等が相当組織的に今日これを調査しておりまするが、今それらの中間的な結果を見てみましても、例えば十年以上の植林をしておつた土地、それから二十年以上のもの、三十年以上というふうなものについて、地辷りの、山崩れ等のあつた所を十分に組織立つて調査をしてみますと、やはり若い木のあつた山地ほどその山崩れの率が非常に多い。それから伐採跡地等の崩れであるというものは非常に率が高い。そういうような率を以て比較してみますると、やはり若い木の所の山崩れというものが断然多い。その山崩れの率が高い。それから一般に、副総理が言われるようなことは、ちよつとした感じはそうでありますが、やはり如何に大きな雨が降りましても治山治水が、特に植林等がきちんとできておれば、その被害の度合いというものはずつと小さくなるものであるということが、これは学者等が組織立つてだんだんと調要しおりまする結果はやはりそういうふうに出て来ておるのであります。これらの点を副総理が、ただそういうふうにもうあれが非常な豪雨であつて、ああいう場合は今後起ると、やはり止むを得ないというような考え方だと、これは非常に私は考え方を異にしなければならない、こう思うのであります。で、これは建設省なり農林省等に話してあるので、又詳細のものが出て来ると思いますが、なお更に私はお尋ねをして行かなければなりませんのは、財源の点、今副総理のお答えでも、結局財源の点を考慮して、そうしてその財源の範囲内でこの水害対策をやるということにあなたの考え方の結論はなるのです、今の答弁を聞いておりますと。そうであるならば、若し逆に私どもが、建設省なり農林省等を初めとしてどれだけのものがあつたならば本当に今度の災害復旧ができるかという数字要求してありますから、近く出て来ると思いますが、その数字が、例えば千億なら千億と出た場合に、財減の点からその千億を容認することができないと、そういう立場を政府はとるのか。若しそうだとすればこれは私ども許されないが……。そういう考え方をしておられるのかどうか。で、その点が一つと、それから、今、現に大蔵省各省はそれについて折衝しておるようでありますが、政令についての予算折衝しておるようでありますが、一体政府はどういう予算の枠を一応予定して大蔵省の政令に伴う予算というものを当てはめようとしておるのか。この点私は先ずお伺いしてみたいと思います。
  40. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 数字は今ちよつと……。
  41. 永井純一郎

    永井純一郎君 数字はあとでいいですから、大体の考え方で……。
  42. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今の豪雨の問題でありますが、これは私は学問的に言つてどういうものかわかりませんが、先ほど私が申上げたのは、天災という言葉を使つて責任逃れをしておるつもりはないということを申上げたのであります。  それから、今この財源として政府がなにしておりますのが、財政の、租税の自然増収が百五十億、それから前年度の繰越が二百億、そのくらいの財源しか今はないのでありまして、それ以上にどういうふうに財源を捻出するかということに苦慮いたしております。先ほど永井委員仰せられましたようなこの災害査定について、びた一文なにはできないという考え方もあるかも知れませんが、政府としましても、私初め災害地をできるだけ見て参つたつもりでありまして、そういう甚だ現実に遠ざかつた、或いは人情に反した、実情に反したような施策は、結果において絶対にやらんつもりでありますが、その点が財源との話合いにらなざるを得ない。それは逐次政令の裏付け等も進めました上で、更に御了解を得る機会があろうかと考えます。
  43. 永井純一郎

    永井純一郎君 更にもう少し具体的にして行きたいと思いますが、財源の点、私はこの点は一番大切だと思いますし、又そのことによつて政府が本当に水害対策をやろうとしておるかどうかという考え方もわかつて来ると思いますが、今自然増収なり或いは繰越等によつて三百億そこそこくらいの財源しかないということを一面言われる。そうして又一面ではあなたも水害の各地を廻つて陳情などを受けてはいい返事をやはりしておられると思います。そこでそういう人情に反するようなこともしないということを言われておる。そこ私は三百億そこそこしかないものを、財源しかないのに、一方では私どもはここで査定が済んで、そうして建設省、農林省何かの大品のこの査定の決定額に基いて、基いたものはです、必ず特例法によるところの高率の国庫補助によつて、これが復旧されるという意味だと今のを私は解しますが、その場合にはこの財源等では到底覚束かないことは明らかであります。例えば今政府がやろうとしておるところの三カ年計画の三、五、二の比率の、二十八年度三に相当する分にも私はこれらの財源では満たない。そのほかに人事院勧告の給与ペースの問題があり、義務教育費の国庫負担の問題があり、その他米価問題に伴うところの一般会計の負担の問題も、政府が今日までやつて来た結果としてある。なお重要なことは、今大蔵大臣等が答弁しておるのは、やはり私はそういう問題だと思いますが、我が国の防衛計画に伴うところの経費の増ということが当然一番大きな問題として私は出て来ると思う。併し私どもはそれらの財源を考えまして何にも優つて、一番先に今日本の中でやるべきことは、二十数件に亘るこの水害による水害地の復旧と救済だと思う。これを最優先的に予算を確保してやらなければならないと私は思う。それができてほかのことは初めてしたければやればいいと思う。特に非生産的経費に関するものはそうだと私は考える。そこで当然考えられることは、今副総理の言われるように、財源が一方ではないのだ。併しながら災害復旧については十分誠意を持つて人情に反するようなことはしない。ちやんとした施策を講ずると言われるならば、これは一概には言えませんけれども、それを遂行するためには、場合によつては如何なる方法を講じて、例えば公債等を発行することによつても、水害対策については優先的に財源を確保してやる考え方をお持ちであるかどうか。どうしてもごのことを私は確かめざるを得ない話合いの筋になつて来ます。この点を例えば公債等を発行してでも水害対策だけは必ずやる。特別立法を生かして、これが無理にならないようにやるという考え方までお持ちになつておるのかどうか。この点を伺いたいと思います。
  44. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 同じようなことを繰返すようでありまするが、そういう今お述べになりましたような点すべて事実はその通りでありますが、それだけに財源について苦慮いたしているのでありますが、一つの例として申されました、災害についての公債発行、これは私も財政のことは甚だ素人でありますが、私が今聞き及んでおりますところでは、公債を出すごとには非常に難色がある。と申しまするのは、事実市場におきまして消化できないというのが殆んど金融専門家の一致した意見でございまして、これは事態の如何によつて、それに対する対策を更に検討する余地があるかどうかは、これは私にはわかりませんが、今のところは小笠原大蔵大臣が渡米に際しまして、一兆の枠を崩したくない、希望的ではありますが相当強い意向予算編成の根本方針として申して参つておりますので、私が留守を預かる者といたしまして、その枠を割つてもいい、割る場合もあり得るということは、この場合差し控えたいと考えるのでございます。
  45. 永井純一郎

    永井純一郎君 重要な点はその点だと思います。そのことによつて国会の開会も我々が決議を以て、院議を以て要求しているにもかかわらず、九月中までに開かないという理由であると考えますが、併し又我々から言うならば、この点こそが一番重要な点であつて、若しこの点に政府が熱意を示さたい、こういう点に適切な施策を講じないならば、水害対策が、結局一兆億円内にとどめようとする財政規模のしわ寄せをさせられるように私はなつて来ると思う。私どもも勿論公債発行の問題そのものについては賛成できないという考え方をとるのであります。このはね返りのほうが、却つて水害地の物価高を初め被害が大きくなつて来て何にもならないということを我々も考えるのでありまするが、それならば大蔵大臣が帰つて来なければわからないと言われまするが、今そういたしますと、公債発行も難色がある。併し自然増収等その他の財源が三百億そこそこしかないというような点を突き詰め、なお且つ国会をそういう理由で早期に開くことができないというような状態で十一月まで持つて行くということは、現在政府水害対策をどうしようという最高の指導方針も何も私はないことだと思う。そのことは、今副総理が答えられましたことを総合するとそういうことになつてしまう。そこで水害対策委員会としてはどういうふうに最高の、あなた方の政府の最高の指導者としては、水害対策は必ずやるのだということだけでもはつきりさせておいて、そうしてそれをやるための財源措置なり何なりは責任を以て政府は必ずやる。少くともその大筋の考え方だけをここで言わないと、今副総理が私の問いに対して答えられて来たことを総合すると、どうしていいのかわからない状態に現在政府水害対策についてはあるということに私はなると思う。それでは私はならないと思う。その考え方をはつきり私は先ずさしておいて頂かなければいけないと考えまするが、私どもにそうとられては私は政府も困ると思うのですが、併しあなたの答えられて来たことを総合すると、そうなつてしまう。今どうしよう、これをどう確実にこういうふうにしようという考えがなくて、ただ手をこまねいて、ただ困つたという態度でございますか。水害対策に対する考え方を承わります。
  46. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 只今衆議院では、すでに議決されました政令の基準によりまして政令を起草中であるのでありまするが、それが大体今月の末までにはできると思うのです。その特例法につきまして予算を裏付けいたしまして、それで今よりは多少見通しがつくと考えます。財源の点につきましては、先ほど申上げた以上に今のところは申上げられませんけれども、その財源の中からこの災害に対してできるだけの誠意を尽して努力をして行く。それから取りあえず特例法によりまする応急措置については最喜を尽し、更に治山治水の面につきましては、来二十九年度の予算についてもう一度考えるという態度でおりまして、決して手をこまねいて茫然自失しているのではございません。
  47. 山田節男

    ○山田節男君 今の永井委員質問に関連してでありますが、これはもう永井委員が指摘された通りに、結局当面の問題は、政府がこの特別措置法を裏付ける予算の処置をどうするかということにかかつていると思う。こうして今罹災地の者が家を失い、土地を失つて、明日にも困る。一昨日各班の報告を聞きましても、又緒方副総理も親しく罹災地を御覧になつた。この惨を極めたものを、これを一時も早く復活しなくちやならんということは、これはもう政府国会の最高の今任務である。そこで私は今永井君の質問に関連してお伺いいたしますが、これは我々が今見た資料で判断いたしましても、大体六月、七月、八月にこうむつた水害による損害というものは二千五百億を突破するのではないか。政府の最低限度査定を見ましても、やはり千数百億になるのじやないかと思います。でありまするから、我々がこの法律を作るにいたしましても、予算措置の伴う立法でありますから、国家の予算、財政を無視して、我々が徒らに立法するということの前例を残してはいけない。殊に参議院の水害対策委員会だおきましては、それぞれ政府各省の者を呼びまして、政府によるいろいろな資料を義々は参考とし、又どうしてもこれをやらざるを得ない応急対策と、更にこれを二種に分けて、応急対策と恒久対策を立てる。そうしてこの特別措置法を作つて、大よそ我我がどのくらいの金が要るかということを十分目算をつけてこの法律を作つた立法府が慎重に政府関係各省資料を取り、又政府委員を呼んで、単なるこれは空想ではない。又事実これだけは何とかしなくちやいかんという法律を我々は作つたのであります。然るに今緒方副総理のお話を聞きますと、結局これはもう財政上の見通しがつかなければ如何ともできない。これは私は大臣でありまするから、殊に副総理として政治的なことだけしかおつしやらんのでありますから、極めて漠然とおつしやるのでありますけれども、結論はそうだと思う。若し二十四の立法措置に対しまして予算措置が講じられなければ、これが進まないということになりますれば、この法律は死文化いたすのであります。而も家を失い、土地を失つて明日どうするかという者に対して何ら希望を与えないということになる。これは重大な問題と思う。こういうことになれば、私は政府は何をおいても財政的な捻出をいたして補正予算に組んで臨時国会を九月末に開くのが当然だと思います。然るに今日まで開かれない。補正予算の目安も立つていない。又我々官庁に行きますというと、二十八年度の予算の、あの予算の審議の経過は自由党、改進党の馴れ合いによつてできた予算で、官庁におきましては一種のサボタージユ、まじめに予算の編成をしておらない。かようなことで荏苒として全国の二度目の大水害による犠牲者を放つておくこ乏は許すべからざることである。政府も然りでありますが、我々もこのことについては重大な責任を感ぜざるを得ない。そこで私は今緒方副総理の永井君に対する御答弁をずつと伺つておりまするというと、結論を言うならば、政府においては何ら予算については対策がない。結局できるだけ今の予算でやるということしかない。これは私は何と申しても吉田内閣の非常な無責任であると思う。そこでお伺いしたいことは、補正予算が組めないという理由も私はわかりますが、当面しておる内閣の問題は結局MSAの問題、小笠原蔵相が行き、池田自由党政調会長が行くとか行かんとか言つておりますが、私は一昨年アメリカにおりましたが、そのときの講和条約を締結する直前に吉田総理は、日本は国氏の経済が復興し、安定しなければ軍備は絶対にやりません。こういうことを言つておる。然るに我々が新聞で見ましても、このMSAの問題に関しまして、自衛力を漸増せざるを得ない。ノーランドに怒られ、ダレスにはつぱをかけられ、かような工合で以て我々いろいろな情報によりますと、現在の保安隊の十一万を四万殖やさざるを得ないというのがぎりぎりなんだ。ワシントンはそれを聞かない。ここに少くとも吉田総理大臣が国民の生活が安定しなければ自衛力の漸増はできないということを我々に言明しておる。それなれば、今日二度の大水害によつて国民が塗炭の苦しみをしておる。これをやるには保安隊の増強などは問題ではございません。我々国民に先ず土地を与え、家を与えるのに二千億の金が要るのだということを堂々と私は言うべきだと思うのです。併し私は今までの緒方副総理の御答弁を見ますというと、政府には何らこれに対する施策がないととらざるを得ない。併しこれは何としても責任者でありますからして、予算措置努力をされておるということは確信いたしますが、この自衛力漸増というようなことを今私新聞で判断いたしまして、相当政府は困つておると思う。今伺いますというと、税の自然増に対しましても三百八十億、四百億ない。保安隊を四万殖やすには少くとも四百億の金が要る。かような矛盾した状態の下におきまして、今緒方副総理のようなお答えを聞きますというと、これは永井委員の言われますように、吉田内閣は今日この困つておる水害対策について根本的なものが財政的に行詰つておるのではないか、こういう懸念を私は深くするのでありますが、副総理は大蔵大臣を兼ねられ、又副総理の地位におられるのでありますが、吉田内閣の責任者である。でありますから、我々は今後の審議におきましても先ず副総理から、かような財政状態である。公債を発行することは大きなインフレの要因になるけれども、併しこれは何とか公債を発行して金を作らなければならんということは、十分これは焦眉の問題としてお考えになつておるのは当然であると思う。でありますから、今の永井委員質問に対する御答弁に対しまして、どうも歯に衣を着せたような御答弁でよくわかりません。この二十数名の委員がここに来て超党、派的な立場で以てこれを審議して何とかしたいということを考えておるのでありますが、私は緒方副総理にここでお願い申上げますが、一体この財政的措置ということが是が非でも、場合によつては自衛力の漸増というようなことも先ずモラトリアムを発してもらつて一つ国民を救うという、そういう肚が一体あるのかないのかということを私は伺う。でなければ、今のような御答弁ならこの審議を続けても何にも生まれないということになる。これは政府の責任であり、国権の最高の府である我々国会の責任でありますから、もう一回明快な御答弁を願いたいと思います。
  48. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) この場合に防衛力の問題を私から申上げることは遠慮したいと思うのでありますが、この両院を通りました特例法予算の裏付けにつきましては極力やつております。これは決して衆議院、参議院におきまして折角こういう特例法をなにしたにかかわらず、政府は荏苒それを無視しておると言われるようなことはありません。今その作業の最中でありまして、作業につきまして若し中間的にでもお聞きになる必要があれば、事務当局から説明をさしてもよろしうございますが、今のような、防衛力と関連して……防衛力の問題をやめて、そしてこのほうに入れるというふうな、その関連において今答弁をすることは申しかねます。
  49. 山田節男

    ○山田節男君 今の財政の捻出問題でございますが、私は何も自衛力の漸増ということを主にして申上げておるのじやないのでありまして、今緒方副総理からのなにでは、政府の余剰金と申しますか、これはもう四百億ない、かように申した。而もこの大水害による罹災者の窮状におきましては、少くとも政府の算定によつても千数百億要るんだ、こういうことになりますと、何とかしてこの金を出す工面をしなければならん立場に政府はあるわけです。そういたしますというと、これは吉田内閣の第一看板としておられる自衛力の漸増ということにつきましても、国民の生活が安定し、経済が復興しなければ私は一切自衛力の漸増はいたしません。ということを繰返して申されておる。国会においても、或いはサンフランシスコに飛行機で降りられて、そういうこともはつきり言明されておる。でありまするから、私はこの貧弱な苦しい財政の中で、まあ千数百億の金の中で、せめて七百五十億でも政府が出して、この法律の裏付けをしようという御誠意をお持ちならば、吉田政府のこの自衛力の漸増の根本方針、これは今日変つておらないのでありますが、そのうち四万も殖えれば四百億要る。それをお辞儀をして、この大水害があつたんですからどうかこの四百億は水害に出しますから、自衛力の漸増はやめさして下さい。このぐらいのことは当然言うべきだと思う。でありまするから、私の今御質問申上げておる重点は、この足りない非常に苦しい財政の中で、どうしてこの最小限度の、私の確信いたします千数百億のうちのせめて七百五十億でも出して、この罹災地を助けるということについて、捻出方法として私ほどお考えになつておるかどうか。又そういうような意味で、例えば行政整理を徹底的にやつて、これから五百億もとる。いろいろ政府として工面する策はあるだろうと思う。ですからこれは副総理、或いは臨時大蔵大臣といたしましても、私は当然お考えになつていることだと私は推察いたしますから質問申上げておるわけです。その意味で一つの御答弁願いたいと思います。
  50. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私は特例法予算措置を中心にしてお答えをしておつたので、御質問と少し食い違つておるかも知れませんが、その行政整理その他で財源を捻出する。次の二十九年度の予算につきましては、財源の点につきまして相当ドラステイツクなことを考えなければならんと考えておりますが、この特例法のことにつきましては、全体の災害は二千数百億になるかも知れませんが、この特例法の資金の裏付けというものは、それほどまあ大きなものではないのでございまして、これは両院のぴつたり御満足のできるほど行くかどうか知りませんけれども、私の今聞いておるところでは相当額行けるように思つております。数字の点は私甚だ不得手で間違うかも知れませんから、御必要でありましたら大蔵事務当局を呼んでお答えいたしたいと思います。
  51. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連して。実は只今答弁のうち、やはり私は気になる問題が一つあるわけです。と共に又それがこの災害復旧としてどれだけ予算が組まれるかという問題に関連して参りますので、特にお尋ねしたいんですが、只今予算が、どの程度組まれるかということについて、見通しがはつきりしないので、臨時国会もいつ開くかということもまだはつきりした目安もつかないという趣旨答弁が昨日からなされておりますが、そのあなたの理由として、私は大蔵大臣の代理はしておりますけれども、大蔵大臣の意見によれば、一兆億円以内に抑えたいということもあるので、その辺のことも考えてこの臨時国会を開かれないというふうに受取れる。そこでお尋ねしたいわけですが、そうすると、一兆億と言えば、あと差額は三百五十億です。それで今度の補正をやるとすれば、先低どから問題になつております緒方副総理が青森で十三万乃至十五万の保安隊の増強が必要だろうという趣旨の発表を新聞記者に言つておるように、僕ら新聞を通じて承知しているのでありますが、仮に四万の保安隊を増強するとすれば、それだけですでに四百億要る。而も共済の奨励金等も考えるとこれだけでも百億要るはずであります。或いは又義務教育の国庫負担のことを考えてもこれも新らしく四十八億を追加かしなければならんと思います。どの点から考えて見ても一兆億を超えることは明白だと思うのであります。而もなお且つそれ以内に抑えてその中で今緒方副総理が答弁を差し控えているようでありますが、この際明白にしてもらわなければ困るのでありますが、保安隊の経費等はこの中で目を落しておられるのか、これもやはり大きな問題でありますが、この点についてどうか一つ一兆億以上絶対に超えないということをどこまでも堅持するという愚意であるかどうか、それからその場合には保安隊費はそうするときわないということになると思うが、そういう考えも当然生れて来るが、私たちはもう一つ更に第三点として聞きたいのは、保安隊費よりはどうしてもこれは災害のほうが大事だと思います。もうちよつと台風が来てあと二百ミリか、三百ミリの雨が降ればこれ以上の災害をもたらすことは火を見るよりも明らかだと思うのであります。それは昨年の緒方副総理の本委員会における答弁を見ても明らかであります。非常に危険な状態にあるということを言われているのでありますから、そうして今一番大事なことは、そういうことよりはやはり一尺でも堤防を高くし、たとえ一尺でも河底を掘り弛んだ地盤を早く直すような砂防工事をする、そのことのほうが私は非常に大切だと思いますが、一体いつ頃終了すると考えておりますか。つまり保安隊増強を大事だと考えているか。それよりも先に災害復旧をやらなければならないと考えているか。併せて三つの点をお伺いしたいと思うのであります。
  52. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 初めは保安隊の問題、その次は……
  53. 永岡光治

    ○永岡光治君 二番目は一兆億を絶対に超えないかどうか。
  54. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 保安隊の問題は、私が十三万に増強するということを言つたようなお話でありましたが、そうは申しておりません。これはまだ政府として何もきまつておりません。ただ私はあのとき十五万というものが志願制度による徴募の限度で、その中で増強をすればという話をしたのでありますが、新聞の記事は私は旅行中で見ておりません。それが政府があたかも増強するようにきめたように伝わつたのだと思います。それから一兆以上には絶対になりはしないか。これは私先ほど申上げましたように、臨時の大臣とましてして一兆割つてもいいのだということは申上げかねます。
  55. 永岡光治

    ○永岡光治君 政府の責任者としての緒方副総理の意見を私は聞きたい。
  56. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) それを申上げたのであります。それから災害を優先するか。それは補正予算の場合には優先したいと考えております。
  57. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は只今順次この関連質問の意味で永岡君によりまして明らかにされまして大変有難いわけですが、私は成るべくここで財政計画等の基本的な政策については触れたくないのです。そうして触れずに、皆超党派的な対策政府と共に立てて、そうしてこの水害対策が十分に而も可及的速かに行われるということを望んでいるのです。ところが、私も財政経済の基本的な問題等については、どうしてもこれは水害の経費等とに関連して来るので、予算委員会等において更に明白にしたいと思つておりますが、副総理のそういう考え方でこの委員会を私どもはずつと超党派的にみんなでやつて来ておりますが、副総理の答弁を聞いておるとそうならざるを得なくなつてしまう。具体的な数字についてここで副総理からはつきりした答弁をとつておくということが困難であるならば、それに代るような私は答弁をもう少しもらわなければ、委員会としては四日間も開いても、これをどうすることもできない。先ほど来申上げますように、要約するならば、二十九年度も大体予算の規模というものは一兆円以内、それで又アメリカ等の要請によつての保安隊の増強というものを考えるならば、これがやはり最低五百億くらいはいる。そして公債は発行することは好ましくない。そして又一方では治山治水全般に亘る恒久対策も審議会等を作つてつて行こうというような、これらの答弁を、考え方を総合すると、結局私は災害地の国民の方々はわからなくなると思う。そうしてあなたが最後に締めくくりをされることは、先ほども二度ほど繰返しておられる通り、財源の中でできるだけやる。財源なんというものは、今のあなたの答弁を要約すると、ないのです。そこで二十八年度、本年度は恐らくその百億か、百五十億か、せいぜいそこらで、本年度の災害復旧費はおしまいなんです。二十九年度が一体どのくらいに見れるかというと、殆んど見ることができないというようなことになりそうな心配が出て来る。そこで財源の中でやる、できるだけのことをやるということは、結局数字的に言いまするとそういうことになりまするから、如何なる方法を講じても財源を作つて特別立法趣旨に副うだけの対策はやるという考えを私は少くとも副総理なり、吉田総理大臣としては私は持つべきだと思う。その点だけをはつきり私は緒方副総理には今日はして頂きたいと思います。財源の範囲内でやるということですと、先ほど来言う通りになりますから、財源は災害復旧についてはどんなことをしても捻出をいたしまして、そうして特別立法趣旨に副うところの災害対策をやりますというように考えるべきだと思いますが、この点をもう一度最高の方針として、考え方として私は副総理の答弁を促したいと思います。
  58. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 副総理の答弁の前に、委員長として答弁について要望いたしますが、それは先刻以来三人の方々からかわるがわる質問がなされております。或いはMSAの問題、或いは自衛力の漸増の問題、そういう問題が質疑されているわけですが、本特別委員会水害復旧に関する予算考える場合に、現代においてはそういうものと分離しては考えられないという状況だと思うのです。そういう立場から、委員各位から縷々質疑がされているのを委員長御尤もと思つて見送つているわけでございますが、それらの副総理の御答弁に当りましては、副総理には非常に水害対策のみを中心に限局して答弁に非常にぐるりをぐるぐる廻つて避けておられるように思うのですが、結局その点が或る程度明確にならなければ質疑の意味もないし、今後の委員会の運営にも資するところが少いのでありますから、実は吉田総理の出席を煩すところを、こちらとしては譲つて、吉田総理の代りに副総理においで願つているわけです。と同時に災害対策中央本部長でもあられるし、更に臨時大蔵大臣でもあられますので、御出席を願つているわけでございますから、その立場から委員各位の質疑に最大限に答えられる限度において答弁是非お願いしたいと思います。
  59. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 只今永井委員から御質問でありましたが、私は先ほどから苦慮と申しましたのは、永井委員の言われましたのと同じ意味である。苦慮という言葉は、如何にも消極的に聞えたかと考えますが、できるだけ極力財源を見出すことに努力いたしまして国会の御意思に副うようにしたいと考えておりますし、意味したつもりであります。
  60. 永井純一郎

    永井純一郎君 最後に余り長くなるとほかの委員の御発言があると思いますから、最後にもう一つだけ副総理に申上げますが、私どもは物を考え、いろいろな思想を持つた人が自由に活動することは少しもかまわないと思つております。従つて共産党の諸君が活撥に水害地において活動をしておられますことも、これはその人たち考え方として当然だと思う。私も農村の平地から中山間部、山間部全部入つて見ましたが、農村並びに山間、山村の共産党の工作隊の活動というものは全く非常な熱意を持つて非常な努力をして災害地中心に全力をかかげてやつておられます。併し私どもは左右社会党とも共産党について熱心な研究を重ねておりますので、その活動の状況なり、考えなりが一番よくわかるのでありまして、物の考え方を一つ考え方を持つて活動されております。共産党の諸君はそれはいいとして、私が最もこれが好ましくないと考えるのは、どこの農村に行きましても、私どもがその農村の人たちといろいろ集つて話をておりますと、必ず共産党の諸君の攻勢にぶつつかつてどこの村でもせり合いが行われたわけでありますが、こういう事態等をも十分に政府考えるべきだと思う。口だけでやたらに反共だとかどうとかいうようなことを言つてただ弾圧すればそれがひつ込むようなふうに簡単に考えておりますが、とんでもない話であります。こういう状態に一面水害地をおくことは今日以上許されないというふうに私どもの党では皆が相談して考えているのであります。これらが若しこの状態で行くならば、私はその責は全く政府の施策のよろしきを得ないためと言わざるを得ないのであります。この点は一つ政府の責任者はもう少し熱心にその点を考えて、水害地の救済の一つの重要な要素としてこれを考慮に入れるべきである、こういうふうに考えます。それからもう一つ資料要求しておきたいのでありますが、建設省から出ておりますが、各省被害総額と、それから査定の実際の数字、それからそれらの大体数字各省別のものを早く一括してちやんと揃えて、対策本部のほうで揃えて出して頂きたいと思います。もう一つは、建設、農林等に亘るところの治山治水の総合計画、国土保全計画といいますか、そういうものが新聞には農林省案、建設省案というものが発表されておりますが、これは試案かも知れませんが、試案であるならば試案でもよろしいから、それをまとめてこの特別対策委員会に提出をして頂きたい、こう思いますので、この点ここで附加えてお願いをしておく次第でございます。
  61. 永岡光治

    ○永岡光治君 質問いたします。先ほどの答弁で一部明確になりましたが、水害復旧は重点的にやる。従つてこれに保安隊の増強よりは優先する。こういう御答弁でありますので、それは尤もだと私も思うのでありますが、先ほど一兆の範囲内でとめるということで引延しせざるを得なかつたというお話は、そうではないということがだんたん明確になつたのでありますが、更に附加えて、そういう予算を最初から頭に入れるのでなくて、被害額はどのくらいあつて、どのくらいの復旧をするかということが先ずきめられて、それに要する経費は万難を排してでもとにかくどこからか見付けてそれを出すのだ、こういう肚であるということもいよいよ明確になりましたので、重ねて確認をしておきたいのでありますが、一兆億を越えても止むを得ない、こういうことにそういうふうな場合にはなると、こういうことに確認してよろしうございますか。そのことを先ず一つ聞いておきたいと思います。
  62. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 先ほども申上げましたように、一兆億を超えてもいいということを私は大蔵大臣としてこの席で申上げることは差し控えます。
  63. 永岡光治

    ○永岡光治君 大蔵大臣としての答弁でなくして、私は緒方副総理、而もこの水害対策の中央本部長である重要な責任を持つている緒方副総理に聞いておるわけであります。
  64. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 副総理といたしましても同様でございます。大蔵省の責任者の意思を無視して私はここで申上げることは差し控えます。
  65. 永岡光治

    ○永岡光治君 それではこの問題は誠意ある答弁は得られませんので、極めて不満である。不満でりますからいずれ又明確にしたいと思つておるのでありまするが、更に続いて質問をしたいと思うのでありますが、今一番困つておられるのは、政令をまあ早く出してもらいたい。それが実際に復旧できるような手続がなされて、而も昨日来地方からの陳情で明確になつているように、何としてもすでに資金は使い果してしまつて、資金の閉塞でどうにもならない状態になつているのだ。早く何とかして欲しい。ところが国会は開かれない、予算も組まない、といつてそれを拱手傍観するわけにも行かない。ここで一番欲しいのは先ず金だ。災害直後欲しかつたと同程度において金が欲しいということが頻りに言われておるわけでありますが、今予備費として六十億は残つているものとして私たちは解釈しておるのでありますが、それをすぐにでも出す用意はないものかどうか。是非私たちはそうして欲しいと思うのでありますが、その用意があるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  66. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今のお話は、俗に申しております繋ぎ融資のことであると考えますが、これは大蔵省としましても災害実態調査しておりまして、大蔵省が確認し得る災害に対する繋ぎ融資は先般来もまだぼつぼつではありまするが出しておるのでありまして、これはまだく余裕がありまするし、それから更に政令がきまりますれば、国庫補助見返りも更に出し得ると考えます。繋ぎ融資のほうはその窮屈に考えておりませんが、大体大蔵省自身査定では、各県別にしまするというと、まだ相当出せると思う所もありますると同時に、もう手一ぱいになつておる所もあるようであります。
  67. 永岡光治

    ○永岡光治君 重ねてこの点についてお尋ねいたしますが、これは繋ぎ融資ということになりますると、当然これは利子という問題も起きて参りまするし、その点で地方の財政の負担は又重なつて行くわけであります。そこですでに大体の地方査定も、それぞれの対象になる事項について、査定も一応終つているやに聞いておるのでありますが、そうすると今一地必要なのが金でありますが、その金の出し方も、繋ぎ融資というそういうやり方ではなくて、私は仮払い、つまり内払い、前払いといいますか、どういう表現を使つても結構でありますが、そういう趣旨の前払いの措置はできると思う。当然六十億やそこらで済ませるものではないということは、緒方副総理自身もお認めになつているのでありますから、そういう私は前払いの措置を講ずるべきであると考えますが、そういう前払いの措置の用意はないと解釈していいですか。私は是非つてもらいたいと思うのです。
  68. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 政令の決定をそのために実は急いでおりまして、それが決定すれば前払いということができると思うのであります。
  69. 高野一夫

    高野一夫君 簡単に一つお伺いいたします。先ほど来いろんな御質問を拝聴しておりましたが、結局できるだけ早く予算措置を講じてもらつて、そうしてできるだけ十分の被害対策を講じてもらいたいということは、これはまあ全委員同じ気持であろうと思うし、政府もその線で行つておるはずだと思うのであります。併しながら先ほどMSAの問題などもつて、ああいうふうなことになつて来ますと、これは幾らあつても足りないと思うのでありますが、要するに結局日本の置かれた複雑な情勢です、この立場から先ず国の立つこと、これをぶち壊すようなことを考えたり、やつたり或いは国家財政の破綻を来たすようなことをやつたりしたんでは、如何に予算を組んだところで、これは災害対策になるまいと私は思うのです。そこで先ず政府のほうとしては、国の立つ方法或いは国家財政の破綻をたさない方法について、それぞれ私はあらゆる角度から苦慮されておるに違いないと思う。それでなかなか予算措置、そういうあれも一向出て来にくいのではなかろうかと私はお察しておるのですが、仮に私は、これは建設大臣のほうにお伺いしなければならんことかも知れませんが、一例を挙げますと、仮に予算措置を講じて、金ができたとしても、それだけで以て私は災害対策が十分であるかどうかという点について疑問を持つ。例えば一例を挙げますと、これに私は厖大なる  一つセメントが要るのです。そうすると日本の生産するセメントで以て我々の要求する災害対策に間に合うかどうかという問題も出て来る。これはほかの資材についても同様だろうと思う。そうすると、どういう程度でセメントが間に合わないのか。日本においてはセメントが造りやすいから設備をすればできるじやないかと言えば、設備するには今度はそれにどれくらいの月日、金がかかつて水害対策のセメントを賄うことができるかどうかということも、政府当局としても十分私は研究中だろうと思つておるのです。それで、そういうようなこともいろいろ考え併せますと、これは私はセメントは一例として挙げたんですが、考え併せるというと、容易にその結論が出て来にくい。而も一方において早くやらなければならんという気持は、政府も我我もこれは共通した気持だと私は信じます。そういう資材の面の苦面、或いは金の面の苦面もお考えになつておるはずだと思うのです。その辺についての副総理のお考えを簡単に伺いたい。
  70. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 御指摘の通りでありまして、そういう災害の性質上、殊にだんだん寒いほうに向つて参りますし、政府としましても実は内心非常に焦つておるのでありまして、そういう今お話のような予算及びそれを更に裏付けるべき資材という点についても十分検討しております。
  71. 永岡光治

    ○永岡光治君 引続いて質問を続けたいと思うのでありますが、実は災害復旧についてのこの予算の成立の大体割合を三、五、二の割合で一応出したいという考えやに承わつたのでありますが、実は農地にしても土木にしても、今年度内に、来年の三月一ぱいまでありますが、これに非常にまあ重点を置いてやりたいというのが地方の希望であります。又現実に私たちも本年度内に多く復旧したほうが、来年の米の収穫高からいいましてもよいのだと考えたのでありますが、そうして又このことは地方からの要望が非常に強いようであります。できるということも言つておりますが、然らば、私は初年度に重点を置くべきだと考えておりますが、そのような考えはあるかないか。この点をお尋ねいたします。
  72. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私も現地を見て、今の御質問通りのことを実は感じを持つたのでありまするが、今のところでは例えば四、四、二とか或いは二年になにするというようなことはどうも困難である、従来のやり方以外にないように事務当局も申しておりまするが、そういう点につきましては御趣旨もよくわかりますので、更に検討を続けることにいたします。
  73. 永岡光治

    ○永岡光治君 先ほどの前払いの問題について、政令がきまり次第これはそういう措置をとるという答弁でありましたが、その前に何とかならないかどうか、それが一点。もう一つは、政令をいつ頃出すかという昨日の答弁によれば、大体今月の末までには政令を出したい、こういう答弁のようでありますが、その説明に当つては、衆議院の決議があるし一応のよりどころができたと考えるので、それによつてやりたいということであるが、参議院のほうの意向は無視されるのか。私たちは当然参議院もこれは入れるべきだと思うのでありますが、この意向を尊重して政令を出す意思であるかどうか。そのことも第二点としてお尋ねをいたします。
  74. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 第一点につきましては、私は財政措置のテクニツクを知りませんので、はつきりここで申上げかねますが、財務当局も参つていないので申上げかねますが、多少そういうふうにやつているのじやないかという気がします。ただ政令がきまりますれば前払いは早急にやれるのであります。そのために非常に実は大蔵当局におきまして大勉強で急いでおります。それから衆議院のほうでは二十一日までにその作業を終るべしという決議でありましたが、二十一日は少し困難じやないかと思つていますが、できるだけその御希望に副うように急がせております。
  75. 永岡光治

    ○永岡光治君 私の質問しておるのは、時期を早めることは勿論であります。でありますが、先ほどの答弁だと、何か衆議院の決議がなされたのが一応のよりどころができたのでそれで作業を始めておるというお話なので、それでは一方こつちのほうの意向はどうされるのであるか。参議院のほうの意向はまだあると思うのでありますが、参議院のほうの意向も出て来ると思いますので、それは当然考慮されるべきだと解釈しているのですが。
  76. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私まだ参議院のほうで政令の基準を御決議になつていないと思いますが、衆議院のほうでは取りあえずそれができましたので、作業を急ぎますので、それを一つのよりどころにして今大蔵当局で急いでおる……。
  77. 永岡光治

    ○永岡光治君 ですから、参議院の意向がきまつたら当然それを尊重さるべきだと思う。だから勿論のことであるが……
  78. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) それは勿論でありまするが、だんだん日がたちますと遅れますから……。
  79. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはいいのだが、もうちよつと念を押しておきたいのは、政令は実は今始まつたことじやない。私たちはもう一月もたつておるから当然出て来ると解釈しておるのです。未だに出ていないというのは、先日の衆議院の緒方副総理の答弁を聞いていますと、実は立法府の意向も尊重したいので今日まで延びておつたという趣旨答弁があつたので、それでは当然こつちのほうの意向も尊重さるべきであつて、勝手にやられては困るぞという趣旨のことを言いたいのであります。勝手に政府だけでやられては困る。参議院、立法府の意向も尊重してもらわなければ困るので、その点も念を押しておたきいということであります。
  80. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) それは御指摘になるまでもないのでありまして、国会の意思を十分に取入れてやつて行きたいという気持であります。
  81. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つだけ緒方副総理にお聞きしたいのでありますが、丁度建設大臣もおられますから、御存じであればお答え願いたいと思います。それは、大体災害の補正予算に関する政府考え方はほぼ明らかになつたわけでありますが、これに関連して先般来建設或いは農林等主ととて公共事業を扱つておる官庁の新親事業の予算の使用を大蔵省のほうでは全部差止めておるということを聞いております。これが事実であるかどうか。若し事実であるとすればこれは閣議決定等によつて政府がきめられたのか。或いは大蔵省の事務官僚でそういう手続をとつておるのか。その点を明らかにして頂きたい。と言いますのは、今もお話がありましたが、災害地関係のない公共事業費は或いはこれは当初の計画を変更して全部やり直しするということは当然考えられる。こういつたものは当然予算の成立当時にはすでに西日本の水害の事実もあり、和歌山、奈良等の水害もあつたわけでありますから、大体それは明瞭だつたと思う。そのときにも政府としてはこういう公共事業は二十八年度においてやりたいという説明をされて予算も通したことでありますから、今すべての公共事業に関する新規事業はこの際見合わせるのだという態度は、私は一応は了解しかねるのです。或いは政府が来たるべき臨時国会において公共事業費の予算を全部組み替えるのだというような考えを持つておられるかに見えるのですが、その点についての緒方さんの御意見を伺いたい。
  82. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 結果から申しますと、そいつはやつておりません。私先般衆議院の大蔵委員会で私の個人の意見として何か同じ公共事業の中から多少とも財源か絞り出せんだろうかということを言うたことがありますけれども、又大蔵省でそういうことをするというような噂が立つて一時質問を受けたこともありますが、大蔵省としては、公共事業をここで予算を通つたものを支払を中止するということは一切やらんことにはつきり決定いたしましたから、御了承願います。
  83. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうしますと、或いは私が聞き誤つたかも知れませんが、建設省においてもそういう事実はないのですか。丁度建設大臣もおられますから、建設大臣からもお聞きしたい。
  84. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 只今緒方副総理から申上げたようであります。一時そういうふうな噂ですか、何か聞いたことがあります。それは非常に誤つたことだと思います。今ははつきりさようなことはないということになつております。
  85. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 極く簡単に二つの点をお尋ねしておきたいのですが、第一は、この新らしい特例法を中心にした緊急対策に要する国の支出の経費の総額の枠ですね。まあきちんとしたというものは無理だと思いますけれども、極く大体の見当ですな、これすら或いは非常に無理かとも思いますが、併し一方お聞きしますというと、この月末までには大体政令の枠も政府側としても決める。そういうものを決めるに当つても大体は併し総額に対する見当というものを、而もこれが最低どれくらいは少くもかかる、或いはこれ以上無理だろうというような大体の見当をおつけになるのじやないかと思うが、その辺のところがわかれば率直にこの際お漏らし願いたいということが一つと、それから第二は、私今後防衛費との関係というものがやつぱり重要な問題だと思う、実際上。先ほども多少お触れになり、殊に今度の臨時国会における補正予算に関する限りは、このほうを優先するということをはつきり副総理も御言明なさいましたが、我々非常に関心持つのは、必ずしも本年だけのことじやない。この緊急対策に要する経費の総額と防衛政策との関係はどういうふうな考え方で進めて行かれるか。今後防衛費の経費の増額が避けられん場合に、当然財政上ほかにしわ寄せが来ると思うのですけれども、併し予算上他の費目にしわ寄せば来ても、少くともこの緊急対策のほうにはしわ寄せを及ぼさんというふうな、そういう方針、考え方の下にやつて行かれるのかどうか、その辺のところが大事でありますから、肚がまえでよろしうございますから、お聞きしたい。
  86. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 第一のほうは衆議院の委員会のほうのラウンド・ナンバーは聞いたことはありますけれども政府のほうの数字は確かめておりませんので、ちよつと申上げかねます。  それから防衛費の問題でありますが、これはMSAその他いろいろの関係もあろうかと考えますが、今の考えといたしましては、防衛とそれから治山治水というようなものに二つの重点を置いて参りたい、そういうふうに考えております。防衛のために治山治水の仕事をあと廻しにするというような考えはしておりません。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連して、先ほど私が質問したときには、防衛関係よりはこの災害復旧が優先するのだという話ですが、今はそうでないというのですか。
  88. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) それは、あなたにお答えいたしましたのは、補正予算を組む際のことを申上げたのであります。
  89. 永岡光治

    ○永岡光治君 補正予算のときには重点を……
  90. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 補正予算のときに災害の問題を優先するかと言われましたから、優先するつもりでありますと申上げたのであります。
  91. 安部キミ子

    安部キミ子君 地域指定について御質問申上げます。先日来の衆議院の委員会の経過で、標準税収入によつて指定をきめるということになつておりますが、何しろ日本という国は長い国でございますので、毎年のように災害を受ける県が数県あるのであります。それらの県では、今までのやり方が三、五、二、とか、いろいろ不徹底な標準で工事を進めておりますので、過年度の災害の残額が莫大に上つておりますが、このままに放つておきますと、又その上に積み重なるように災害が起つて来ておりますが、これらの問題を処理する御意思はございませんか、お尋ねいたします。
  92. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 実は先ほどからだんだん伺つおつて、財源が極めて困難な場合に、恒久対策と言い、災害復旧と言い、非常に大きな金が要るわけで、非常にむずかしいところでございます。それに只今お話のように、過年度の災害でだんだん延び延びになつている事業の額も非常に多い。建設省当局としては、将来早く何とか解決をしなければ本当じやないという考えを持つております。それから先ほどからだんだんお話がありましたが、三、五、二という、いろいろ説が出た。この点も、これは二年でやらなければ本当じやないというふうに考えておりますけれども、やはり先ほどからだんだんお話が出るように、財政との関係やら、なかなかむずかしいと思います。私どももそういう意味では、なお財源ということについても、人の畑とばかり考えずに、いろいろ心配して参りたい。折角研究をいたしておるわけであります。
  93. 安部キミ子

    安部キミ子君 標準税収入と申しまして、収入の面だけを対象にしておられますが、そのような大きい県でしたら、支出のほうも相当大きい額に上つております。県営工事になつております分が相当に県の負担になつておりますので、例えば或る県で、一町村、或いは一村が今度の災害の適用の対象になつたとしましても、県営工事に直接繋つているものは県がしなければならない。そこに非常に矛盾がありまして、県の負担が過重でございますので、この際それも考慮に入れて基準の対象にしてもらいたい、こういう考えでございますが。
  94. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 標準税収入というお話がありましたが、条件はそれだけではないはずであります。県の力そのものをも合せて標準にして算出するわけであります。なお只今お話の意味は、たしか県の事業という場合と町村の事業という場合のことだと思いますが、私ども只今考えておりますのは、地域の指定も、県だけできめるとか、町村だけできめるという考え方で、いわゆる両建できめなければならない、かように考えております。
  95. 安部キミ子

    安部キミ子君 その両建で考えられた所が枠外に放り出されたわけなんです。それではいつまでたつても成り立たないという陳情が熾烈なんです。それで私どももこの際はつきりしてもらわなければ困る、こういうふうに考えるのでございます。
  96. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 枠外というお話でありますが、まだ指定はしておらないのであつて、いろいろの基準で計算をいたしております。私の考えとしては、これは一つ一つの県について、あなたの所は入るとか入らんとかいうふうにきめるのは非常に困難である。それで先ほどお話が出ましたが、いろいろな標準によつて一応の枠をきめる。それに今後税収入その他の計算が出た暁に、当てはまるか当てはまらないかというふうにするのがいいじやないかと只今考えております。
  97. 石川清一

    ○石川清一君 先ほどからの副総理の答弁を聞いておりますと、大体一兆以内で補正予算を組みたいというように大蔵当局も或いは政府考えていると聞きましたが、これは省議としておきめになつたことであるか、或いは政府の閣議で一応そういうふうな線で行こうという申合せをしたことがあるかどうか、この点を先ず承わりたいと思います。  第二点は、先ほど公共事業費の新規事業は予算通り執行する、こういうような発表がありましたが、単に公共事業費の新規事業ばかりでなく、政府の組んだ予算政府みずから防衛費を含めて補正をしようという、減額をしようという意思があるかどうか、そういう決定も併せてしたかどうか、こういう点を第二点として伺いたい。  第三点は、補正予算の場合には災害関係予算を優先するという御意思でありますが、今の第二点を中心に考えますと、三百二、三十億乃至四、五十億よりございませんが、その過半数を災害に向けるとしても、いわゆる優先するという意思を含んでその半分以上を仮に組むとしても、百七十億前後しかありませんが、百七十億前後であつて、現在の二十四の特別立法並びにそれに基いて衆議院並びに参議院の地域その他で希望するものを組んでそれを実現する、いわゆる現在の罹災民の要求するもの、或いは建設省並びに大蔵省査定しているものを三、五、二の線で実施できるという確信を持つているかどうか、この点をお伺いいたします。
  98. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 予算の枠を一兆にするということは、まだ省議も閣議も決定しておりません。それから将来政府自身予算の繰延べをやるかどうかというお尋ねのようでありましたが、それは将来のことで、今何とも申上げかねます。財源の必要上そういうことがあるかも知れません。
  99. 永岡光治

    ○永岡光治君 さつきので建設大臣に関連質問をいたしますが、災害復旧額と標準税収とを見合せてきめようということになるわけですが、その際今度の災害復旧額だけで見るか。或いは問題として考えられるのは、過年度支出の分でも相当大きな犠牲を負つてる所がありますが、そういうものも或る程度考慮に入れる必要、災害復旧額の中に、こういう必要があると私は考えるのですが、その用意があるのかないか。そういう私たちの見解に対してどういう考えを持つておられるか。
  100. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 只今お話のは、特例法は、本年の六、七月の災害、私どもはこれを標準にして考えております。
  101. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 或る県には百数十億の過年度災害の残存額がある。そうして今度は非常に大災害をこうむつておるが、今度の災害額よりも多い残存額を有しておる。こういう状態の所があるのであります。これを委員会で今度の指定の基準をこれから決定いたすのでありますが、過年度の災害残額について今度の法律を適用してくれとは言わない。だが併し、基準をきめる上において過年度のそういう甚だしい例を有しておる地方に対しては、過年度の災害残額をこの際指定する、今年度の災害総額と勘案して指定をきめる必要があると私は思うのであります。建設大臣はどういうふうにお考えでございましようか。
  102. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) ちよつと、只今お話は御意見として伺つておきます。研究はいたしておるのでございますが、今まで私どもが、今度の特例法について地域の指定について考えておつたものはそういう点を含んでおらないのでございます。
  103. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 質疑する方に申上げますが、いずれ我々は委員会を開いて審議、協議し、結論を出して政府に申入れるべき点は申入れて、その善処方を要請するわけでありますので、一応政府はどういう今考えを持つておるかということだけ聞いておけばよろしいと思うのです。そういう角度から、時間も相当延びていますので、一つお願いします。
  104. 永岡光治

    ○永岡光治君 建設大臣お尋ねいたしますが、土木災害復旧工事であります。これが実は県営工事が十五万、市町村が十万ということになつておりますが、それを引下げて欲しいということを頻りに要望したのであります。これをたしか衆議院の水害対策委員会と私は記憶しておりますが、これらの諸君が建設大臣と話合いをしたときに、十万円以上或いは五万円以上にそれぞれ引下げたいという考えを持つておるのだがというお話があつて、それについては一つ平衡交付金で考慮してみたいということを建設大臣答弁されたやに承わつておるのでありますが、それは今でも変りなく、又その通りやるつもりでおりますか。確認の意味でお尋ねいたします。
  105. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 恐らくその問題は、衆議院のみならず参議院の建設委員会でもさよなことをお話したと思います。お話通りであります。ただ当時の考えは、今年の災害が非常にひどかつた一つの村でも被害個所の多い所がある。そういうふうな意味で従来の、府県で十五万円、町村で十万円というのを引下げて欲しいという希望が非常に地方に多かつたというようなことで、或いはそういうことについての考慮をする必要があろうということを申しました。そうしてこれは例えば建設省関係で申上げますと、一々査定するとか何とかということはとても複雑で実現が困難なのであります。それで府県町村でその工事をやつて、それに対する費用について特別の交付金を交付したらということを考えております。これは大蔵当局、自治庁ともそれぞれ協議をいたしております。それで只今自治庁でこの点について研究していてくれておるようでありますが、私が当初申上げましたのは、そのことについての交付金という意味であつたのであります。その後だんだん研究の結果は、交付金というのはむしろ無理であれば、一部を交付金、或いは起債を認める。起債を認めた場合には今後これもやはりその補助の率も自然出て来るわけでありますが、それの元利の償還分を今後の交付金でみよう。つまり地方の負担から考えれば同じことになるわけであります。そういう考え方で目下進んでおるのであります。自治庁と大蔵省との間で交付金の出どころについての話合いが進んでおる段階だと私は考えております。従つて府県に対しては、その趣旨が通るということになります。
  106. 永岡光治

    ○永岡光治君 その結論はいつ頃大体話合いできまりますか。自治庁との話合いをされておるそうですが。
  107. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) ちよつとそこまで、いつということははつきり私は申上げる段取りまでわかつておりませんのですから、なお自治庁等とよく連絡をいたして改めてお答えをいたします。
  108. 永井純一郎

    永井純一郎君 建設大臣に御質問いたしますが……
  109. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  110. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を起して下さい。  それでは最後に委員長から副総理に今後の委員会の運営上要望と、それから一、二お尋ねをいたします。  それは先ず第一番は、私ども十六国会立法しました二十四の法律、これについてはちやんと提案理由も附いておりまするし、又委員会意向も伝えておきましたので、我々立法者の趣旨に副つた政令が早く決定されて施行されるものと期待しておつたわけです。副総理は十分衆参の意向を尊重してやられるということも言明されておつて、期待しておつたのでございますが、提出された案なる資料を見ますと、私どもの期待に反するものがございまするので、至急に本委員会としましても何らかの意思表示を政府に対してなす予定でございまするので、現在政府の行われておるその作業を続けると同時に、先ほど言明された通り、当院の意向を十分尊重して一刻も早く政令を施行されるように取運んで頂きたい。これは一つ要望でございます。  次に一、二お伺いいたしますが、念のために、すでに政令が出されて施行中のものが幾つあるか。その法律の名前を事務当局から念のためにはつきり答弁して下さい。
  111. 久田富治

    説明員(久田富治君) 中小企業信用保険法の特例に関する法律、それが一つ、それから失業保険法の適用の特例に関する法律、これが二つ、以上二つでございます。
  112. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 次に、さつきの杉原委員質疑に関連するのですが、どうしてもこれは委員長として聞いておかないと、あとの委員会の運営ができないのですが、この点は先ほど副総理は、衆議院がきめられた点をよりどころとして作業を続けておると、即ちこういう内容の政令を出して欲しい、それに基いてこういう予算を組んで欲しい、こういうふうに衆議院が意思決定したものをよりどころとして、それを尊重しながらやつておる。而も相当額までそれの期待に副い得ると思う。これまで各委員質疑答弁されておられるわけです。そうなりますとね、少くとも内閣の責任者としては、災害対策の責任者としては、衆議院の考えられたのはどの程度の金額になる、相当額というのはどの程度の金額ぐらいを大まかに考えておるというものは私は持つておられるだろうと思う。幾ら事務当局でないから数字は……何といつてもその程度数字是非とも私は一応承わりたいと思います。
  113. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私が先ほど申上げましたのは、衆議院の政令の基準、それは一つのよりどころと申上げましたので、実は私も参議院のほうでも同様の趣旨の基準決定が、或いはその他の御決定があるのではないかと考えておつたのでありまして、先ほどちよつと委員長にお伺いしましたら参議院のほうでもそういう考えがあるということでありましたので、その出来上りを待ちまして、参議院の御意思もできるだけ取入れて参りたいと考えております。  それから相当という言葉をどの場合に使つたか存じませんが、私が衆議院の委員会で聞きましたその特例法の裏付けの衆議院の委員会考えておられる額は、そう莫大な、莫大と言つてはい悪が、災害の額に対して、この特例法の裏付けはそれに比べて低いものであります。仮に財源の点におきましていろいろ問題があるにいたしましても、相当程度それに副い得るものじやないか。その今の衆議院のなにを一つよりどころとして研究しておりますので、そういうことを申上げただけでございます。
  114. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) そこで私承わりたいというのは、衆議院は政令基準をきめました。それは三、五、二という数字を出したわけですね。そうなると衆議院のその線で行つたらどのくらいになるということをあなたはここでつかまれておると思うのです。幾らとつかまれておるか。
  115. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 政府がですか。
  116. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ええ。
  117. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) まだつかんでもおりませんし、作つてもおりません。
  118. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) つかんでいなければ、相当額期待に副い得るというようなことは言えないと思います。
  119. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 衆議院から聞いておる額が百七十億くらいというようなあれでありましたので、それに対しては……。
  120. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 政府のほうでは研究していない……。
  121. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 政府のほうで検討しつつありますが、まだ結論を得ておりません。少くとも私聞いておりません。
  122. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 久田参事官そうですか。
  123. 久田富治

    説明員(久田富治君) 私は衆議院のほうから直接聞いておりませんので、それについては申上げかねます。
  124. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それはその程度にしてもう一つつておきますが、それは昨日本委員会で決議して決議文を手交したわけですが、それに対して副総理の御所見をこの際本席で承わつておきたいと思います。
  125. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 昨日三つの御決議を頂いたのでありますが、第一の速かに国会を召集し先に成立した災害特例法に伴う予算措置を講ずると共に治山治水の根本策を樹立し、これを直ちに実行に移すべきである。という決議につきましては、先ほど来繰返して申上げた通りでございまして、新たにこの場合附加えることはないように考えます。  第二の八月以降生じた異常災害についても、災害特例法を適用するよう法的措置を講ずることとし、政府においても他の災害県と同様な諸措置を講ずべきである。これは現在の特例法が六月、七月の災害となつておりますので、八月以降に生じましたあれに類する災害につきましては、国会におきましても法的の措置をいずれお講じになると期待しておりますし、政府におきましてもその場合におきましては同様の措置をするつもりでございます。  第三の、第二号台風において政府が講じた同種の措置を今次の災害においても講ずべきである。これは今次の災害というのは、この西日本の二号台風に襲われた方面のことが入つていないのであつて、先般来北海道或いは東北の冷害が主なのものではないかと考えておるのであります。若しそうであるならば、政府はその措置をしなければならんと考えております。
  126. 島村軍次

    ○島村軍次君 一番最後の点は第二台風の際に七億五千万円の予算措置を講ぜられて、農作物に対し或いはその他の対策に対する予算措置を講ぜられた。併し今度の特別立法の場合に属するものは多く施設が主体になつている。それでそれらと切離して第二台風にとられた農作物等に関する災害についても同様に考えてもらいたい、こういうことが地元の要求でありました。昨日の決定の最後の線でした。最後の、意向はその意味でありますので、その点に対してのお答えを願いたい。
  127. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 第二台風の襲来した地帯において、その後の農業災害と申しますか、それに対するなには二十四の立法の中に含まれておる。
  128. 島村軍次

    ○島村軍次君 第二台風でとられたと同様に、九州及び近畿或いは今回の水害についても、施設以外の農作物に対する予算措置を講じてもらいたい。こういう意味になつております、
  129. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  130. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。
  131. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたしますが、その問題につきましては、午後農林大臣の出席ができると思いますので、農林大臣から答弁をいたすことにいたします。
  132. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 私もう一つお伺いしたい点があるのですが、それは先刻厚生省安田局長から事務当局からの答弁を頂いたのでありますが、災害対策部長である緒方副総理から答弁を煩わします。それは滋賀県の災害救助法の問題、これは随分多羅尾地域というのは僻地で、政府の公務員の方もどなたか視察に行かれたはずです。そのときに連絡がつかずに災害救助法を出さなかつた災害を非常に多く受けているわけです。それを事務当局は滋賀県知事が災害救助法を発動する必要がないと認定して出さなかつたのであるから、一切国庫の助成というものは考えられない、こういう事務的な取扱ではこれはあの大災害を受けた地区の人は勿論、滋賀県知事としても非常に私は困る問題になつて来るのではないかと思いますので、災害対策部長という緒方副総理の立場で、この問題をどういうようにお考えになりますか。一応御意見を承わつておきたい。
  133. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 滋賀県に対します繋ぎ融資等は、災害救助法の発出如何にかかわらず同じような扱いをしていいと考えるのでありますが、今お話の点はこれに法規もありませんが、私としましてはできるだけ政治的に滋賀県の対策に役に立つようにやつてもらいたいと、よく研究いたします。
  134. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 副総理に対する質疑はこれを以て打切つて差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 午後二時再開することにしまして、暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  136. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 只今から委員会を再開いたします。  午前に引続いて建設省関係質疑を始めます。質疑のある方は発言を求めて願います。
  137. 永岡光治

    ○永岡光治君 この排土の特別立法でありますが、これについては、その地域町村を限つておるのでありますが、それを単位にして十万立米、それ以上は異常災害とみなしておるようでありますが、この資料によれば、一体これは若しそうだとすれば酷に失すると思うのでありますが、その算出の根拠となるものは、如何なる根拠でそういう案を擁しておるのか、その点を知りたいと思います。
  138. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 只今皆さんのお手許に建設省の事務当局の調査したものについての案がお配りしてある。実はそれは私はまだお配りすべきものじやないというつもりでおりましたのですが、いつの間にかお配りしてある。そう決定的なものでも何でもない。御意見をよく伺つておけば私は又参考になると思います。ただ私ども考えておりまするのは、異常災害と認むべき限度というものについては、そう別にむやみに辛くばかり考えようとは思いませんけれども、適当なところにすることがいわゆる異常災害を受けた土地とさもない土地との比較といいますか、最も穏当になるんじやないかという気持を持つております。
  139. 永岡光治

    ○永岡光治君 わかりました。それではそれらのことはいずれ又参議院の意思も表示されると思いますので、その上で更に御考慮を願うことにいたしまして、もう一つ承わりたいのでありますが、こういう考えがあるかどうかということであります。それは例えば排土の特別立法を適用する地域ができた、そこでその地域に幾らそれらの金を支給するかという場合に、一体トラツク、或いはその他の作業についての単価ですね、どの程度見るかという問題があるわけです。そこでこれはトラツクの一台の借上げといいますか、使用料といいますか、それは一体どの程度考えるかという問題でありますが、これも噂のようでありますが、現実には大体一日やはり八千円から九千円はかかつておるやに承わつておりますが、それらのことは十分実情に即応して現実に従来やつておるはずであります。例えば熊本等についてもやつておりますから、その現実に即応した単価が私はその額算定の基準になるものと考えますが、そう解釈してよろしうございますか。それとも何か建設省ではそういう単価について用意をしておるのかどうか。
  140. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) お話通り考えてよろしうございます。
  141. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうですか。
  142. 安部キミ子

    安部キミ子君 先ほどお尋ねしました水利地点についてはまだ政府でははつきりした案をきめていないというお話でございましたので、私は大変希望をかけておるわけなんでございますが、山口県の実情を見ますと、過年度の災害のまだやつておらないところの工事が二百四十七億七千万円という多額の金に上つておるのであります。このような状態でそのままおきますと、ちよつとした雨でも降りますと、毎年のように定期的に招かざる客が来るのでありまして、私どもは大変心配な状態にあるのであります。何とかこれを、全額みて頂くというような大それた要望は持つておりませんけれども、この際何とか一応安定がつく程度補助を頂かなければ、このままでは放つておけないという実情にありますので、その点も今後の査定におきましては十分御考慮頂きたいと思つております。それからあるとすれば、前年度の、今までの残額の三分の一程度でもお含み置き頂いたら大変仕合せだと思つております。希望としてお願いしておく次第であります。
  143. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 先ほど来お話がございましたけれども、私は実は今度の特例法では、災害復旧法の特例法災害復旧法では、先ほど申上げました税収入なり何なり、基準がたしか法律にきまつておるのじやないかと、こう思つております。で、過年度災害が非常にたくさんある所では、その意味で、地方にこれだけの今度は負担といいますかがあるのだから、そういうことも加味したらどうかという御意見が先ほどもどなたかからあつたと思いますが、これは、そのときに一応研究はいたしてみましよう、かように申上げておきました。今まで考えておつたのは、そういうふうには考えておらなかつた、で、研究の余地があるので、改めて研究いたします。
  144. 安部キミ子

    安部キミ子君 お願いいたします。
  145. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) ただ申上げましたように、仮に山口県の場合におきましても、異常災害と、さもない所との区別はどこかでつけなければならない。そういう意味で行きますというと、今まで調べたところでは、山口県のほうは、県としては他の異常の災害の非常に大きな所と比べては比較的少いということはこれは事実でございますから、その点を御了承置きを頂きたいと思います。
  146. 安部キミ子

    安部キミ子君 曾て私どものほうで受けましたキジア台風でもルース台風でも、その現場におきましては、このたび受けた台風と比較して部分的には差はないほど被害が大きかつたと思います。ただ範囲が狭かつたためにこういう適用はされなかつた政府でとり上げなかつたということだけでありまして、その比較においては、私は岩国地方の玖珂郡、佐波郡、阿武郡あたりの去年、一昨年の被害は相当なものでありまして、私どもとすれば実質的には相違はないと思うが、ただそういう制度がなかつたこういうことに過ぎないと、従いまして補助の率も悪い条件できめつけられて、こういう積み重ねたいわゆる借金がこんなに溜つたという形になつておりますので、その点早くこれを根本的にというわけにも行きますまいが、何とか急場凌ぎでもして置かなければ、次に来ることを恐れるのでありますが、この点を御了承を頂きたいと思うのであります。
  147. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 補助の率の問題は、従来の災害補償につきましても、山口の場合等は九割八分というようなところまで行つておる所もあるのでありまして、今度の特例法の場合にも、私は申上げたと思うのです。特例のほうとそう違いはないということを申上げておつたと思います。それでなお過年度災害が殊に山口県のようにたくさん残つておる所は誠にお気の毒で、私は先ほど申上げましたように、今後の災害、治山治水の恒久対策の費用というものは莫大になる。それから又今年の災害というものも随分多い。それから又過年度災害として残つておるものも随分ありまして、これも処置には実は非常に頭を痛めておるところであります。併し過年度災害が残つておるためになお余計悪くなるというような場合もあり得ることでありますので、過年度災害の所にも、特に山口県のようにたくさんさる所については十分考えて何とか早く解決するように心配して参りたいと私は考えております。
  148. 永岡光治

    ○永岡光治君 先ほども緒方副総理にも質問をしたのでありますが、更に建設の所管大臣からその状況をお聞きしたいと思うのでありますが、一応繋ぎ融資で地方には応急措置は講じましたけれども、どこも資金の欠乏でどうにも仕方がないという段階で、早く予算がきまるまでの間の応急措置を講じて欲しいという声が強いわけです。そこで建設関係についてのこの応急処置をどのように今考えておるのか。それは勿論政令がきまれば、それに応じての措置は講ずるのでありましようが、それまでの間にもやはり地方としては非常に声が強いようであります。併しその出し方も、これは大よその査定も済んだろうと私は思うのですが、そうすれば大体この全額ということではないのであるから、前払いという措置が当然講ぜられると思うのでありますから、そのような前払いという措置で、而も応急に或る程度の金額を出してもらうと、こういうことを非常に望んでおるのでありますが、それについての考え方、同意というものを一つ聞きたいと思います。
  149. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 査定の済んで大蔵省と話がついたところでは、金額にしては余り多くはありませんけれども、すでに決定をして上げておる所もあります。……、これはあとで申上げます。それから今お話のように査定もだんだん済んでおる所もありますので、こういうようなのは努めて早くきめてやりたい。大蔵省と非常に折衝しておるのでありますが、そのほうがなかなかはかどらない。お話のように私も努めてこういうようにきまつたならば早くできるようにして上げたいというつもりであります。  それからこの政令との関係でありますけれども、地域の指定ということは、抽象的にはきめ得ても、精密なものは、つまり税収入なり何なりが済んでしまわなければわからない。自然、仮払いの形になりますから、従来の災害復旧程度で支給しておくという考え方もあるのでありますが、そういう行き方もできるだけ早くとつて行きたいと思います。今申上げたことは或いはおわかりにならないかと思いますが、特例法による九割なら九割というものが、従来の復旧法で行けば八割五分ということもあるので、特例法のすべての計算ができなければきめられません。そこでそういう所は従来の復旧法でやつて置く。さつき政令で地域指定がきまればすぐわかるということをさつき副総理も言つておられましたが、それとは少し違うのであります。そうは行きません。本当にわかるのはもつともしまいにならなければわからない。年度が過ぎなければわからない。併しそれは成る程度、つまりそのうちのきまつたうちの九割なら九割というところまではいつでもやれます。そういうような行き方で……。なおお話の、一番のお話の要点の少しでも早くということは、大蔵省とも努めて折衝をして、査定の済んだ所はできるだけ早くやつて行きたいと考えております。
  150. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは一応査定の終つた所は、大蔵省折衝されて早期に結論を得て政令できまろうときまるまいと大よその計算を見積つて前払いの制度でやる、こういうことに了承してよろしうございますか。
  151. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) その通りでございますけれども、金額は多くなるということも、今予算との関係でそこまでできるということは、今のところでは考えられません。
  152. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは更にお尋ねいたしますが、これは事務当局のほうにお尋ねしていいかと思うのでありますが、この政令が出ましても、これは一応の基準でございまして、何町、何村というところまで行く、或いは何水系ということになるとかなりの日数が私は事務的に出て来る虞れがあると思う。そうしますと大体最終的にその地に資金が渡されるその何といいますかね、期日は一体どの程度、いつ頃になりましようか。大よその見当でよろしうございますが。
  153. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) これは特別法によらなくてもですね、現在の普通法におきましても、標準税収がきまりますのは随分あとに、年度の……下手すると翌年の一月以降というようなことになるのが従来の例であります。そのほかに今度は特別法を施行するかどうかということがなかなかきまらんものですから、実際に補助率ということがはつきり確定するのは、来一年の一月以降になるのではなかろうかと思います。
  154. 永岡光治

    ○永岡光治君 それからもう一つお尋ねしたいのですが、従来繋ぎ融資をやつて応急措置を請じておりますが、実はそれに対しての金利負担で相当の而も災害府県では財政的に相当逼迫しておりますが、その負担にはかなりの苦痛があると思うのであります。相当の苦痛をなめておると思うのでありますが、災害府県に対してのこれはまあ財政の豊かな所は別でありましようが、まあ大体そう豊かではないと私は解釈するのでありますが、それらの災害府県の財政上の過重を何とか救つてやるという意味で、起債についての特例に関する法律を適用して、国庫負担とするとそういうような考えがあるかどうか、利子の……。
  155. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 利子も国の負担にする考えか……。
  156. 永岡光治

    ○永岡光治君 ええ、起債として、それを国の負担とするか……。
  157. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) そこまでは実は私どもとして考えておらないのでありまして、御意見は十分考えて……。
  158. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に質疑がないようですから……。
  159. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 二、三点伺いたいのですが、第一は、堆積土砂の排除に関する法律の適用範囲ですがね、法律の第三条の第一項に書いてある分は、一応の建設省の基準の案が示されておるのですが、この第二項の関係のほうですね、これは建設大臣がここに指定するという意味でございますか。例えば個人のこの住宅とか個人の私有地なんかで、相当土砂が堆積してどうにもならんというところは、ここに書いてあるような「公衆衛生上又は正常な社会活動を維持する上において著しく支障がある」ものというところに入るものが相当多いと思うのです。私たち各地を視察いたしましても、山間部などでは殆んど一村やられてしまつたり……、併し公共施設の上に堆積した土砂は、これは国が十万立米のこの基準によつて国費で除いてやる。併しそれに隣接しておる住宅なんかのまあ宅地なんかに堆積しておる土砂は、これは一応個人がやれるのはやれという、こういう意味ですか。その点が非常に不明瞭なものですから、どういうお考えか伺いたいのです。
  160. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) この慰設省案なるものは、先ほど大臣が申上げました通り、実は事務当局において各省ともまだ十分相談してなかつた。我々が研究しておつた案のそのままであります。そのきにたまたま議院の水害委員会が開かれまして、そのままでいいからともかく見せろということで、お出ししたものであります。それが衆議院水害特別委員会で非常な地域指定についての御決議があり、当然政府はこれを尊重して考え直すというような答弁がしてあるようでございますから、その意味でこれは一つお読み願いたいと思いますが、私ども考えは、この案を作りました考えは、只今質問があつた民有地の所は全然考えなかつたという趣旨ではございません。ただどの程度つたものを異常の堆積土と見るかどうかという測り方を、個人の民有地まで全部測つて異常かどうかということを認定するのはなかなか面倒である。公共用地に溜つているのがこのくらいあるということがきまれば、民有地のほうも大体それに応ずるものが出るだろうということで、異常な堆積かどうかを判定する資料を、公共用地分だけ測つて、そこできめてしまおう。それを適用になるとすれば民有地のほうにも勿論適用する。こういうまあつもりでございます。
  161. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体わかりましたが、若しそういうお考えであれば、その衆議院のいろいろ御意見も出ておりますけれども、小さな町村では、一つ町村で十万立方米という土砂の推積量というものは、相当、災害が非常にひどい所は勿論これ以上になつておりましようが、先般の山間部の災害地なんかでは、十万立方米に達しなくても、これは到底自力では回復できないという町村も多いだろうと思うのです。それらの点について、建設省としては実情に応じて十分お考えになる必要があるだろうと思いますから、これは意見があつた言つてくれというお話ですから申上げておきます。  それからもう一点は、この公共土木施設等についての特別法関係ですが、法律には一応地区を指定するということになつておりますが、道路とか河川とかを見ますと、必ずしも町村を単位としての地区では、これは十分復旧の目的を達しないという所があると思うのです。言い換えますと、河川については水系別に、或いは道路については路線別に考慮したほうが復旧の目的を達するというようなものが相当あると思うのですが、そういう点については、建設省はお考えになりませんか、どうですか。
  162. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 只今の我々の考えは、この特別立法は、要するに財政的の国の援助を厚くしようというのが狙いのようでございますので、市町村が工事主体になるものについては、その市町村区域を限つで、その市町村の財政力と市町村の責任において復旧しなければならん事業との比率によつて適用するかどうかをきめよう。それから県が事業復旧の責任を持つている工事については、県全体の工事量、それから県の財政力と比較したやろうというつもりでございます。只今のおつしやいますようないい例がちよつと、道路で甲の村と乙と村とに亙つて一連の災害がある、こうまあいたします。県道だと県が施工主体になりますから、どつちもこれは問題になりませんか、村道だと、こういたしますと、甲の村は非常に財政力も豊かで被害額も少いということになりますと、まあ普通法でこれはやつてくれ、その隣りの6の村は、被害額は大きいし、而も税収入は少い、財政力が貧弱であるというようなことならば、これは特別法でやつてつたらというようなことにならざるを得ないと思います。工事そのものの規模とかいうものは、大体同じ基準でありますけれども、財政の補助の点になりますと、被害が少くて裕福な村のほうは薄くして、被害が多くて貧弱な町村には補助は厚くすることでかまわんのじやないかと私ども考えております。
  163. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私も、大体その点はやはり特殊立法をした目的、即ち自力では復興できないという地方自治団体の財政の点も考え立法されたものですから、負担力のある所に国費をつぎ込む必要はないかと思うのですが、ただ今私が申上げているのは県道とか、或いは主要河川でなくても小さな渓谷のようなもの、そういつたもので町村自分の費用で直さなければならんという所が相当あると思う。その場合に必ずしも災害の発生地が一町村内に限らない。その場合にはやはり一連のものとしてお考えにならないといけないのではないか。多少今おつしやつたように甲の村と乙の村とが被害額が違うために補助率が違うことはこれはあり得ると思う。併し復旧事業をおやりになる場合には、それを一連のものとして考えて、被害が非常にひどくて町村の負担に堪えない分は高率補助で行つて、それに隣接しておる負担力の多い村の範囲に属する部分は一般災害なら一般災害として取扱つて、一連の復旧事業をおやりにならないと復旧できないのだから、そういうことをおやりになりますかということをお尋ねしているわけであります。
  164. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) それで只今の、例えて申しますと、査定は同時にする、それから復旧補助の年度割にしましても一緒にやるというようなことで、その点は御希望に副うようにいたしたいと思います。
  165. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうするとやはり路線別、水系別に復旧事業というものを考えて行くということでございます
  166. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 災害復旧の緊急性とか、そういうものをいろいろ勘案して行かなければならんと思いますが、要しまするのに、この特別法を適用するのと適用しない場所、これの如何によつて復旧を早くするとかどうとかということをしてはいかんと思います。その点はやはり復旧工事そのものの緊急度から考えてやるべきだと考えております。
  167. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点はわかつているのですよ。まあいいです。
  168. 高野一夫

    高野一夫君 私は建設省大臣でも事務当局者でもどちらでも結構ですから、一つ伺いたいのですが、先ほども私ちよつと申上げたのですが、皆さん災害対策に早く金を出せ、予算を組めという要望が強いわけでありますけれども、金ができた、予算措置ができたということだけで以て直ちに対策が講ぜられる面もあれば、又その金ができて、それから資材を用意していろいろやらなければ工事に着手できないという面もあると思う。そこで私はそういうような資材の点について当局もいろいろ苦労されておることと思つておるのですが、例えば私は一例を先ほどセメントを挙げてお尋ねしたのですが、建設省関係で河川、橋梁、道路、或いは運輸省関係になるかも知れませんが、漁港、港湾のいろいろ施設に厖大な私はセメントが必要だと思う。そうすると仮に金ができたところで、若しもセメントが間に合わなければ工事に着手できないと、こういうことになると思うのですが、それをお尋ねする前に、大体今度の災害地が非常に全国的に広いわけですが、この復旧工事にどれくらいのセメントが一体必要であるかということと、そうして現在日本においてどれくらいのセメントが生産されているか、そうして現在大体の大ざつぱの。パーセンテージで結構ですから、どういう方面にセメントが使われておつて、そうして果してこの復旧事業に相当大量のセメントを向ける余地が日本の国内にあるのかどうかということ、こういうことを私は一応建設省当局に、事務のほうの方で結構ですから伺つておきたい。
  169. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 実は誠に迂潤と申上げれば迂潤でございますが、そういう具体的の筋をまだ弾いておりません。大体被害額八百億、西日本に限りませず、大体今年の被害額八百億と一応推定されるのでございますが、これについて資材費と労力費の割合は大体半々です、従来の土木の工事の例からいうと。
  170. 高野一夫

    高野一夫君 金額でなくて量でわかりませんか、大ざつぱでいいですから。
  171. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) これでどうこうということはまだ検討しておりませんけれども、よく資料を十分検討いたしまして又明日にでも資料にして提出したいと思います。
  172. 高野一夫

    高野一夫君 それだは私の申上げることは、大体大ざつぱで結構でありますから、大体どのくらいのセメントの所要量になるかという見込量とそれから現在の生産数量との過不足の問題。これは委員長にお願いしておきますが、通産関係に亘るかも知れませんが、若しも非常にここに不足額が生ずるということになれば、復旧工事に着手するということがむずかしくなる。幾ら金ができても工事に着手できないということになるわけですが、そうすると非常に不足量があるとするならば、それを新たに生産するためにどのくらいの設備が必要であるか。そうしてそのためにどれだけの年月を要するかというようなこと、そういう点についてこれは通産省関係に亘るならば、そのほうからの資料も明朝までに御提出願うようにお願いしておきたい。
  173. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私からただ一つお伺いしておきます。今までの、殊に新谷委員の御質問で大体はわかりましたが、この堆積した土砂、これを排除いたしますのに、ここに出ておりますのは、第三条には「公共用又は公用の施設」ということだけを書いてあるのだが、これをどういうふうに直してもよいというようなお話でしたが、実は熊本で堆積が非常に多いので、而もそれは非常に不潔なものがたくさん入つておるから、公衆衛生上一軒だけでも残してはいかんのです。全部排除してもらいたいということがこの案の初めできる骨子であつたと思う。ところが単に「公共用」ということを書いてありますが、例えば私立の学校というようなところにも官公立同様にやはりやるべきものである、又やつてもらいたいということをこの前も言つてつたのですが、再確認するために一応御説明頂きたいと思います。
  174. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) それは私立学校でも何でもかわらないと思います。それから初めは個人の住宅の中は、何か法文に少し支障があつたもののですから入れなかつたのでございます。家の前にでも出してもらえば、道に積つたものというふうに考えてやればいいのじやないかというくらいの考えであつたのです。
  175. 高木正夫

    ○高木正夫君 お尋ねというよりもむしろお願いになるかも知れませんが、第二種公営住宅なんかに官有林、即ち官材を相当お使いになつておられるのですが、その値段は大体どのくらいになるか、ちよつとお聞かせを願いたいと思います。
  176. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 国有林の払下げについても、事務当局としてはいろいろ話合つておるのでございますけれども、まだはつきりしたここで御報告をするまでに至つておりません。
  177. 高木正夫

    ○高木正夫君 私は現地を歩きましたところが、何でも石千円でしたか千二百円でしたか、そういう話をしておりました。運搬費や実費が加わつて千七百円くらいになつて相当の値段になるらしいのですね。これは国の金を出すのではなしに、ある資材を提供することであるし、できればこの方面でお差支えない範囲で相当出して頂きたい。又その値段もずつともつとまけてやつてもらいたいと、こう思うのですが、これは差当り現なまが出るというのではないのですから、割合にやりやすいほうではないかと思うのですが。
  178. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) よく又承わりおきまして……。
  179. 高木正夫

    ○高木正夫君 一つよろしくお願いいたしたいと思います。
  180. 松岡平市

    松岡平市君 現在復旧工事を進めておつて、各府県からの強い要望は、金が足りないということ、繋ぎ融資として相当額出ておるが、いずれももつと金が欲しい、繋ぎ融資というよりもむしろ概算払いでもいい、前渡しでもいい、早くしてもらいたい、そうでなければ繋ぎ融資でもいい、とにかく金をもらいたいという要望が強くある。ところが今までのところでは、特に大蔵省あたりでは消化し切れない。これだけ金をやつてつて、要るならば幾らでも出す、併し現実に消化し切れないのだ、こういうことがしばしばこの委員会で繋ぎ融資の要求をする場合の返答として現われたわけです。これは一建設省だけでわかることでないと思う。併し一番余計に金が使われる、復旧費として使われるものの一番大きなものは、やはり建設省、幸い農林大臣も今御出席になつておられますが、農地復旧の、農地関係のもの、こういうように一応了解されるわけです。果して現在各府県に或るものは、十何億、或るものはなお何億何千万と繋ぎ融資というものを出しておられまするが、これらのものが現在までにどういうふうに消化されておるか、建設省から、或いは農林省から見て、果して大蔵省が言うがごとく、実際は金はまだ消化されていないのだというのが真実なのか、それとも地方要求する、一日も早く、金が足りないということが事実なのか、判定の資料がないわけです。一つもはや、大体府県或いは町村のやつておる工事等についても絶えず監督しておられるわけでありますから、どういうふうな工合で金は、大体やつた金のうち何十%までは、もうすでに使われておるかということの資料があろうと思うのでございますが、それをお出し願えるかどうか。
  181. 伊藤大三

    説明員(伊藤大三君) 融資の問題でございまするが、最近までに出ました融資が、大体八十四億ばかりになつておるわけでございます。ただこの融資は何を使途として出すということでなく、知事におきまして、最も必要且つ緊急なものに支出するということで、知事におかれまして、又県並びにその管下の市町村に分けてやつておられるわけでございます。従つてその使途が土木にどれだけ廻つておるかということはなかなかつかみにくいのでありますが、今までの実例などに徴しますと、大体建設省所管の事業に三分の二程度使われておるというのが今までの実情でございまして、但し今回の場合におきましてそれが当てはまるというわけには参りません。我々のほうにおきまましてもこれについて今後の関係もありまするので調査を進めておりますが、なかなかこの報告は十分集りませんので、只今の御要求もありましたから、一つ取急いでそういう問題も各府県に照会いたしまして集めて見たいと存じておるわけでございます。
  182. 松岡平市

    松岡平市君 繋ぎ融資でありますから、それは今おつしやる通りに、知事がいろいろ使つておられるわけですが、ともかく今非常に急がれることは、先ず例えば三・五・二というようなものを、三年間でやつてもらつては困る、できれば一年でも、せめて二年度で完成さしてもらいたいということは、この復旧のことなんでございます。その復旧の主なるものは、主として土木関係並びに農地関係であると考えられるわけでありまして、繋ぎ融資を要求するものは、もとより財政面において非常に窮迫をしておる所は、公務員の給料、その他にもそういうものを廻して行く場合もありましようし、税収も足りない所を補つて行くという措置をしておられるかも知れんけれども、現在の状況から鑑みて、やはり私は繋ぎ融資を熾烈に要求されるものは復旧工事費だと、大体かようにに了解できると思う。それで是非それを出してやつてもらいたい。工事面から見て、これは先ほども高野委員質問にも関連するわけですが、金だけはやつて見ても資材が間に合わないのだとか、とても同じようなこんな一つの地域でそういう労力がないのだとか、こういうことで金だけやつてもしようがないのだという議論が本当に正しいのかどうかということを、我々はもう初めから問題にしておるわけです。大体併し資料を急いで集めるとおつしやるけれども、今やつて監督しておられるのだから、全国的に或る日にちを限られて、そうしてどれくらい土木関係の工事費に金を使つておる、農地関係復旧費にどれだけの金はもうすでに支出済みであるというようなことは、これはもう私はそういう概算でよろしいのですから、すぐ資料はお集め願えると思います。一応そういう趣旨からも、真実足りなければこれは是非委員会としても大蔵省その他にも更に要望して、繋ぎ融資か、或いは概算払なりをお願いするように、多少ともお役に立ちたいと思うわけです。是非それらのためにもそういう資料を速かにお示しを願いたい。
  183. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 建設省河川局から九月十二日現在で昭和二十八年発生災害復旧事業検査進捗状況調というのが出ております。これによつて見ますというと、六、七月の災害被害額、検査対照額、決定額、未検査額、検査進捗率というふうなのが出ておりまして、検査進捗率は四五・二%になつているのであります。そこでお伺いしたいのは、今度の補正予算予算を組もうと旧しておられるのはこの四五・二%を対象として予算を組まれる計画で進んでおられるのかどうか、これを先ずお尋ねしたいと思います。
  184. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 私の気持としては、検査を済んだ所はすべてでも要求したいと勿論思つているのでありますが、大蔵省と話合いがどういうふうになりますか、先ほども申上げましたように、災害復旧は務めて早くということを本旨として考えておりますので、できるだけ執行し得るものは早くという気持でやりたい、かように思つております。
  185. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今建設大臣お話のように、検査が済んでいるのが四五・二%あるから、これだけは今のお話によるというと全部予算化したいというような意見でありますからそれで了承いたします。そうしますというと、検査が未定なものがあります。又検査が済まないものがあります。これは補正予算に組む方法がないから次年度の予算に組むというようなことになるお考えであるかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  186. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 私の気持は、先ほども申上げましたように、成るべく災害復旧というふうなのは少くとも次年度までに済ますという希望を持つているのでありますから、御承知のように、従来も三・五・二という比率でやる一応の話合いになつておりまして、而も実施にはそれさえなかなかできなくて過年度災害も増しているという状況であります。それが悪いのだから気持としては、それが悪いのたからどうしてもやりたいというところなんですが、この話合いがなかなか面倒になりまして、どういうふうに落ちつくものか、私としても甚だ頼りないことを申上げるようでありますが、わかりませんが、何分にも今年の災害は非常に多い、過年度の災害は溜まつている、これを考えるというと、そういう如何にもやりますという、景気よくやるといつたところで、本当にできるかできないか、余り無責任なことを申上げてもいけませんから、努力はそういう気持でいたしたいと思つております。
  187. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうしますと、未検査のところはいつ頃までに検査を終了せられるお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  188. 伊藤大三

    説明員(伊藤大三君) 本年の災害も非常に多く、而もたびたび参つておりますので、而も早いものからやはり検査を進めなければならないというようなのがこれは順序でもありましたのですが、特に西日本におきましての災害が非常に激甚であつたというので、而もこういう特別立法まで出たというような観点からいたしまして西日本、特に九州、それから近畿地方という方面に特に主力を注いで査定に参つてつたわけであります。ただ査定の人員が思うようにたくさんございませんので、事務的には遅れておりまして、誠に申訳ないと存じているわけであります。ここに出ております以外にも摘要にも書いてあります通り、検査中のところは今出て参つているわけであります。而も検査いたしておりまする所は、大体その災害度の多い所でございますので、日数も相当かかるかと存じますけれども、この表にもございますように、東北方面におきましては、災害地といたしましても比較的少いというような現状もございますので、現在検査の連中が帰れば早々そちらへ参つて早急にその検査に着手するというので、現在の私どもの予定では十月末までぐらいまでには支給の何をいたしたい、こう存じておるわけでございます。ただ予算要求の問題でございまするが、結局この査定によりまして或る程度査定率というものが出まするので、こういうような観点からして万一遅れました場合におきましても、予算要求におきましては、この査定率というものを一応概算いたしまして、これによりまして何らかの災害復旧費というものは一応査定予算要求をする。配付となるまでには全部査定が終りまするので、未査定の所といえども、これを配付しないというような問題は起らないと存じておるわけでございます。
  189. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 皆さんに申上げますが、災害に最も関係の深い建設大臣と農林大臣が出席されております。農林大臣は本日知事会議が開かれておりまするが、時間を割いて出席されてやや時間的に急いでおられます。従つて並行的に質疑願いたいと思います。
  190. 山田節男

    ○山田節男君 私はちよつと遅れて参りましたので、若し他のかたから質問がありましたらば御回答に及びません。幸い農林大臣も見えておりますので、私は一つ建設大臣と農林大臣にお伺いしたいんですが、今回のこういう未曾有の大水害を来たして、天災か人災か、これはとにかく、政府国会議員も根本的に問題を考えなくてはいけない。そこでこれは新聞で報じる範囲しか私はわかりませんが、建設省か、或いは農林省が主体になつて、治山治水審議会、とにかく今回のような大水害を再び起らないようにする何か政府機関ができたように聞くのでありますが、これはすでに発足して作業しておるとすると、それはこうして特別措置をとりまして応急措置を講じつつあるわけでありますが、応急措置をしながらも恒久対策というものの一つのプランがなくてはうまく行かない。殊に私まだ実地を見ませんけれども、実地を視察したかたがたの報告によりまするというと、新らしく川を作り、新らしく道路を作らなくてはならん所もたくさんあるやに聞くのであります。そういたしますと、これは二面は農林行政の立場から、他の方面は建設行政の立場から、又その一町村の希望だけで許されるものでなく、全体としてその一郡なり、大きく言えば一県を単位としてのプランを作らなければ抜本的な対策ができないこともあるんじやないかと私は思う。そこで政府としては、そういつたような一つの特別の、今度の水害を繰返さないための根本的な調査をし、対策を講じるか、これは少くとも今度の応急措置と並行して行うべき、抜本塞源的な対策、これを時間的にすれないで、期を同じくしてやるのかどうか。それから先ほど申上げましたように、この復旧工事は性格は建設省であるかも知らんけれども、少くとも農地、農林行政から言えば、これに合致しない建設事業というものは考えられないのでありますが、そこで従来、私は建設省と農林省は何も対立しているとは申しませんけれども、この不可分な農林行政と建設行政、これは今後もつと有機的に、もつと総合的に案を立てるのが抜本塞源対策一つじやないかと思う。そこで私は農林大臣でも建設大臣でもよろしいのでございますが、そういつたような意味に対する政府の所見を伺いたい。  もう一つは先ほど申上げましたように、応急対策をしながらも、これは根本対策を睨み合せないと、非常に国費の無駄になる点もあるんじやないかと思いますが、こういう点においてはどういつたようなことで、そういう無駄を避けるか、併せて抜本塞源的な対策を講じつつあるか、その現状を建設、農林両方から一応お伺いいたしたいと思う。
  191. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 恒久対策といたしまして早く見当をつける必要があるというので、治山治水協議会、只今審議会と仰せられたのはそのことを仰せだと思いますが、治山治水協議会を作りまして、先般委員をお願いして一回会合を催し、それで今もお話がございましたように建設農林関係がまちまちになる嫌いもある、両省の間で一応の試案ができたのでこれをずつと調整をいたしております。で、目下調整を進めつつあるわけでありますが、明後日第二回目の協議会を開く予定になつております。勿論一刻も早く恒久対策を立てるということがが大切であろうと思います。又応急措置と併せて考えなければならんというのも御尤もだと思います。応急措置が将来の恒久対策に無駄にならんように、重複しないと言いましようか、食違いがないように十分考えてやるつもりで進めているような次第でございます。
  192. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 大体建設大臣から御答弁をいたしましたことで、そういうことでやつておりますから……。
  193. 山田節男

    ○山田節男君 今回のこの水害は南は九州から北は北海道までかなり広範囲に、而も多数の個所にこの水害亘つているわけでございますが、この本委員会委員報告を聞きましてもまあ道路がなくなる、川がなくなつた、こういう極端な個所も相当あるし、それから今後のこの水害を予防するためには現在ある河川或いは道路も或る程度までこれは変えなくては将来の危険を予防することができないというような所が私はあると思います。すでにもうこうして災害を受けまして場所によつては二カ月有余に亘つているのでありますから、そういうことになれば先ほど申上げましたように応急対策と同時に恒久対策というものを考えなければならない。又農林行政から言えば田やなんか全部潰れてしまつて、例えば阿蘇郡の一部のごとき火山灰でもう全部田畑が灰に埋つてしまつたというようなものをそれじや再び昔の畑等に返すのかどうか、或いはそれはそのままにしておいて移民ということを、分村ということを考えるのか、これは少くとも応急措置として政府は何か手を講じて頂かなければいけないと思います。でありますから少くとも二カ月有余の間において新らしく道路を作つたり、或いは川をきめる、或いはさもなくてもこの川をこういうふうに変えなければならんというようなことを今まで一カ所、二カ所おやりになつている所があるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  194. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 先ほど私恒久対策と申上げましたのは、今後川の始末をどういうふうにして行くということを先ず根本の策を立てなければいかんという気持で申上げたのであります。で、各具体的の地方一つ一つの川につき、或いは先般の災害を受けた所については県と連絡をとつてそれぞれ今後の措置を講じているわけなのであります。この一つ一つについての実績をまだ明確につかんでいるものがありません。こちらにわかつている程度のものもあり、又この川についてどうする、殊にお話のありました全滅したような地域で、今後そこの住民をどういうふうにするかというようなことについては、それぞれ県において考究をいたしておるところと存じますが、又農林省のほうで考えておるところもあろうと思います。まあそういうやり方についても、少くとも道路を先ず早く回復する、それから川の堤防の切れた所を一番早く回復するというように、急所を、一番主な所からだんだんやつておるのであります。まとまつて移動するというような大きなことについてはまだ……。
  195. 山田節男

    ○山田節男君 いや、私のお伺いしておるのは、今申上げたように応急措置をしながらも、将来の再び災害を繰返さないための恒久対策というものも睨み合せて考えないと、土手が切れたから仮工事を一生懸命やつたと、これではいわゆる将来再び起らんようにするというための考えに基いてやつたものじやない。少くとも私は中央政府機関としての、そこに考えるべき問題があるから、一つ応急措置でありながら恒久対策というものを考えないでやることはできない、又そうしなくちやいかんと思うから、今言うように和歌山県下におきましても熊本県下におきましても、もう土手は切れ、川はなくなつちやつた、道路もなくなつたという極端な場所が多数あるやに私聞いておりまするから、そういう場合にただ一町村、一郡の問題じやなくて、一県の問題じやなくて、国家的な見地で将来のこういう恒久対策はどういうふうにする、前の道はつけちやいかんとか、このくらいのことをしなくちや恒久対策はできないわけなんですね。今大臣のおつしやることは、応急措置をやつておるだけのことで、土手が切れた所を築くのが応急対策、これは応急対策かも知れんが、恒久対策も睨み合せてやらなければ、国費の消費の二重性を帯びて来まして、非常な無駄になるから、大臣としてはこの点は十分に考えておられるだろうと思う。又これに深く関係のある農林大臣としても、ただ建設省で道をごつちにやればいいのだ、川をこつちにやればいいのだということも、農林行政の点から考えて、又農林行政の面からの高い見地からの意見があるだろうと思う。これを一元的にやらなければ、それはもう私は決して完全な又完全に近い恒久対策というものはできないんじやないかであるから今私のお尋ね申上げておるのは、この広い地域の水害地の中で、もうそういうものが起きておるに違いない、一県の知事がやる問題にいたしましても、これは建設省の中央の問題として、もつと計画的にやらなければいかんというのが、これが今回の水害で我々の頭に滲んでおるところで、今までそういう報告がないというのはおかしいと思う。これは大臣は御存じなくても、今河川局の次長もおるし、官房長もおられるのですから、そういう事例が中央に一つ報告がないということはあり得ないと思うのです。
  196. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 報告がないということを申上げたのじやない、私がまだ十分に捌えてないということを申上げたわけでありますが、勿論県でいろいろ考えておつて、又私のほうと連絡すべきことについては、常に事務当局と連絡してやつておるはずであります。
  197. 伊藤大三

    説明員(伊藤大三君) 御質問に若し正鵠に当らなかつたらばお許しを願いまするが、河川局といたしまして、この災害地の否定に参るわけでございまするが、査定に参りました場合におきまして、一例を挙げて申上げまするが、これがまあ今後二カ年にどうなるかという問題を離れましてお話申上げまするが、例えば八幡、小倉などを流れておりまする板横川を一例にとりましても、これの災害復旧のみでは、この川の流量を流すことは、今日の水害の状況から見て駄目だと、こういう判定の下に、板横川の改修につきまして、根本的に考えましてこの災害復旧費に併せていわゆる災害助成というような経費も加えまして、そうして川を根本的に考える、又矢部川なら矢部川の上流につきまして、従来の川幅のものにおいてはこれの災害復旧をいたしましても、将来のまた破堤の問題が起るというようなものにつきましては、更にその全体の川の流量を勘案いたしまして、川の拡幅の問題と堤防の拡大とかいう問題を考えております。又道路につきましても県道がどうしても復旧できないという場合には、この県道と比較いたしまして別の路線というものも勘案いたしまして、災害査定において、そういうような問題を査定して参つております。併しこれば災害復旧のみでやるわけに行きません、これにつきましてはほかのいわゆる一般経費を出してやるということで、そういうような予算折衝にも入らなければならない。こういうようにやつておるわけでございまして、従来の災害の場合におきましても、こういう点は考えて事を進めておるわけでございます。
  198. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと皆さんに申上げますが、農林大臣は知事会議が三時半から開会され、極めて重要な会議であるから、それの終了後再び本委員会へ出席する予定であるから退席さして欲しいという要望がありましたので、了承し、退席いたしましたので、御報告申上げます。
  199. 安部キミ子

    安部キミ子君 建設大臣にお願いして置くわけなんでございますが、私がこの間から各方面を視察して参りましたところ、今日も又いろいろ予算の問題、金の問題でこのように議論が紛糾しておりますが、そうしていろいろ苦労して持つてつた金が十分にその金の力を効果あらしめているかという点でお尋ねしたいわけなんです、と申しますのは、九州の筑後川の沿岸で行われ設ている今或る建設会社のとつておる態度でございますが、そこの地元の人たちは、土地は流れたし、家は流れたし、自分たらはアルバイトをしなければ食べて行かれない、そういう意味で何とか自分たちが働いて自分たちの川を作つて行きたい、こういう要望があつたわけなんです。自分たちが使つてもらえれば、一つシヤベルを持つにも力の入つた。そうして専門的な技術以外で、ただ労働を提供するという意味であれば、非常に熱意のある工事ができる、ところが会社に、建設会社に請負制度でございますが、その会社に請負わしたために、よそからたくさんの人が入つて来ると、野菜が、或いは米がない上に、又それらの人を賄わなければならないので、徴用される形、或いは安い値で提供させられる、そういうふうな犠牲を払つてでもまあしてもらわなければならないのだが、している仕事を見ると、夜のうちに或いは杭が、この線まで堤防を築かなければならないという杭の印しがしてあるのに、それが夜のうちに十センチも十五センチも切つておる、そうして堤防の状態はブルトーザーで、二、三回だらだらと撫でている程度で、もう本工事にかかつている。こういうような実情では何としても我々は不安でしようがないし、もつと身を入れて責任のある工事をしてもらいたいという声を聞くのであります。こういうような声を聞きますと、或いは何億という金で建設会社に請負わせたといたしましても、それが果して半分もその工事には使われていないのだろうというふうな声を村民たちは漏らしておりますが、当局の責任においてそれらの監督はどういうように行届いておるのでありますか、御返事頂きたいと思います。
  200. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 工事の監督は勿論十分にいたしておるつもりでありまするけれどもお話の具体的のことについてどういうことがありましたかなお調べて見たいと思います。  それから地元の職を失つたと言いますか、職を失つた人が働く場所、これは私も今後殊に我が国の今の状況はだんだん失業者も殖えるという状況、或いは被害地の人もあるでしよう。そういう人たちが成るべく働けるようにして行くのは結構だと思つております。それが或る意味では一石二鳥の役目をするものだと思いますが、只今お話の所が具体的にどういうふうになつておりましようか、これはあとでお伺いして見たいと思います。
  201. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでその村民の人たちの意見では、請負制度でなくて国の直轄工事にしてもらいたいというのが結論でございましたので、そういう御意思がございましようかしら。
  202. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 村民にもいろいろありまするら、どういう人がどういうふうに言つておりましたか、その人の見方と又はかの人の見方と違つておる点もあるかも知れません。なおお漏らし願えればその場所をお伺いして……。
  203. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 災害復旧建設省でやる場合と農林省でやる場合とがよく連絡をとつて行かなくては復旧の効果を現わすことができないのでありますが、勿論この方面については連絡をとつてつて頂いていると思つているのでありますが、地方によつてはそういうふうな所がないとも限らないのでありますから、よく御連絡のほどをお願いしたいと思つているのであります。例えて言いますると、地辷りについても、農林省でやるべきか、建設省でやるべきか、或いは運輸省でやるべきか、その他でやるべきかというようなことで査定が進捗せないというような地方もあるやに伺つておるのであります。そういうふうなことであるというと、さつきお尋ねいたしました未決定のものは十月頃までには決定する予定であるというようなことでありましたが、又それについては未決定のものもあとで予算化したならばそのようなところも加味して実際に支障がないようにするというようなことだつたのでありますから、その点は誠に適切な方法であると思つておるのであります。そういうふうな点についてそういうふうなことが若しあるとしたならば、今建設大臣からのお話、或いは次長からのお話もあつたような方法でやつて万遺憾ないように期して頂きたいと思うのであります。  次に地域指定にも関係があるのでありますから、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の附則の二項によつて見ますると、「昭和二十一年に発生した南海震災及び昭和二十二年に新潟県において発生した融雪地辷りによる農地及び農業用施設の災害復旧事業の事業費に対する昭和二十五年度における補助の比率については、第三条の規定にかかわらず、左の区分によるものとする。」、こういうふうなことで、南海震災の場合においてはその地域を高知、和歌山、徳島、三重、香川の県に指定してあるのであります。それから融雪地辷りは新潟県というものを指定してあるのであります。そこでお尋ねしたいのは、地域指定にも関係があるのでありますが、この場合において県を指定せられたほうがどういうふうな理由でよかつたのであるか、又県を指定したためにどういうふうな欠点があつたのであるか、過去の実績をお伺いしたいと思うのであります。
  204. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 両大臣から答弁ある前に、私も一つ全く似た問題を両大臣お尋ねいたしたいと思います。それは、今度排土法の法律ができたわけですが、非常に広大な地域に土砂が堆積した、それが大部分は農地である、その基準はどう設けられるか知りませんが、この地域の土の量というものは排土法が適用されそうな広大な地域である、その中にある部落の家の中に非常の土砂が入つて家が埋もつている、こうなると、農林省関係査定官が来ると、自分は農地だけだというのでその家のことは全然触れない、これを都市局か何かに持つて行くとなりますと仕事の上で非常に非能率だと思うのですが、こういう場合やはり農林省と建設省で別々にやられるのがいいのか、それとも建設省と農林省の話合いで同じ人夫を同じ時期に使つてその地域一帯を農林省関係の手でやられるのがよろしいのか、問題点だと思う。それらについて両主管大臣の見解も併せて答弁頂きたいと思います。
  205. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お尋ねの農林水産業施設の災害復旧の臨時特例に関する法律の南海震災の指定を県別にしておる、それと今度やろうとするのを市町村別にしようとするのと、指定の仕方の相違、利害得失、こういうお尋ねでありますが……。
  206. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうじやない。県を指定したというのは如何なる理由で指定したか、又県を指定したために如何なる利害得失があつたか。
  207. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 今度の場合は、県によりますと全県非常に被害が多い所……特別法の審議されました当時対象とされておる県が二十二県となつております。県ごとに指定いたしますると、被害の非常に程度のきつい地帯とそうでない地帯があります。そうしますと、限られた財政支出で非常に被害程度のきつい所に重点的にやるためには、そういう地帯をはつきり抜き出したほうがいいじやないか、こういうので、いろいろ検討を重ねまして、初めは府県を指定してその中から被害程度の軽微な所を除外するようなことも考えて見ましたが、結局結論は最小の行政単位である市町村を対象にしまして、県営事業とか市町村事業とか団体事業とかいろいろありますけれども、指定の基準は市町村ごとに程度のきつい所を指定したほうが、これからの行政をやつて行く上に便宜じやないか、こういうのでやつたのであります。前の場合には震災の被害のひどい所ははつきりし、それから融雪の地辷りもはつきりしておりましたので、頭から県で指定しましてもそういう問題が起らなかつたように承知しておりますが、今度の場合は、只今申上げましたように、或る程度軽微な所は同じ県の中にありましても従来の補助率でやつて被害程度のきつい所に高率補助を適用したほうがいいじやないか、こういうので市町村別にやつたほうがいいのじやないか、我々はそういうふうに考えたのであります。
  208. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私が質問しているのは、全県を指定したためにどんな利益があつたか、どんな不利益があつたか、その利害得失を過去のものについて説明して下さい、今度のは尋ねておらない。
  209. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) この前の場合には被害の状況がはつきりしておつたのであります、その震災による或いは、融雪地すべりによる関係は。従いまして、県を指定しましても、今度の水害みたように被害程度がピンからキリまであるというような問題がなかつたから、県で指定しますれば事足りたのであります。今度はそういうふうに行かないから町村別にやる、こういうのであります。
  210. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 藤野君は、農林、建設両省の緊密なる連絡ということが必要だということを前提に質問されましたから、私も今両省の連絡上極めて重大な点について質問しましたので、その御答弁を頂きたいと思います。
  211. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 一応農地は農林省、住宅は建設省で取賄うようになつておりますけれどもお話のごとく、連絡をとつて無駄を省いてやるほうがいい場所も随分あると思います。そういう点については、十分注意しましてやりたいと思います。
  212. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 例えば熊本県の陣内ですか、あの広大な地域が、私も拝見をしたわけですけれども、大変な、灰、土をかぶつている。これは無論農地の関係につきましては、私どもの係によつて農地査定をいたしております。住宅も殆んど泥をかぶつている、道路然りということで、これはそれぞれ分担をきめて査定をするようにはいたしておりますけれども、なお実際上行届いていない点も、多くの個所でございますか、なきにしもあらずだろうと思います。御注意の点は十分に伺いまして、両当局において行違いを起しませんように一つ気をつけて参りたいと考えております。
  213. 山田節男

    ○山田節男君 今問題になつている、地辷りの根本対策についてでありますが、これは今朝緒方副総理も言つておられましたが、今回のように、三百ミリ以上の雨が数日間も続くということになると、これは濫伐したというようなことは、もう余り問題じやない。と申しますのは、たとえ本があつても、今回の各県の水害地の状況を私は写真で見たのでありますが、それを見ましても、木が密生している場所、相当の密生地帯でも、山が崩れるということが非常に多い。ということは、あれほどの異常な雨量になつて来ますと、もう折角の根で支えている地殻の堅さというものも、水が飽和点に達してしまつて、そうして堪え切れなくなつて山が崩れて行くという地帯が相当あるように私は想像するのであります。そこで私は一昨日でありましたか、参議院の赤木博士でありますが、今回の大水害につきまして、非常に研究しておられます。今朝の緒方副総理のお話等から勘案しまして、今回の非常に広い範囲に亘つての異常な雨量のためて、地辷りの現象が非常に多かつた。このときこそ私は建設者として今後の、将来の地辷り地帯というものを診断する、いわゆる恒久対策の意味から言つても、一番のチャンスだろうと思う。そこで、これは同僚赤木氏の御意見でありますが、こういうようなものは一つの堰堤を設けて置いて、水が飽和点に達してしまつて、どんどんそれが下に流れて行くことになるから、であるからむしろそこに堰堤を置いて、或る程度の水を止めてやると、何と申しますか、ちよつとした雨量のために地辷りは起きないのだ、こういう説もあるわけであります。これが本当かどうかわかりませんが、少くとも私は今回のような非常に広い範囲の地辷りが農地を潰し、あれほどの惨害を起したということになれば、少くとも建設省としては根本的にそういう診断をして、予防策はどうしたらいいか、それから今長崎県等にあるような広範囲の地辷りで、いつこれが地辷りをしてそこの農家を潰すかも知れん、こういう危険のままに放置している、これをどういうふうにするか、こういうことが、当然私は建設省としてこれはもう研究されているだろうと思う。そこで私は建設大臣に、この地辷り根本対策というものに関して、今は起きていないけれども、将来起きるかも知れない。国鉄に乗つて我我が窓の外を眺めて感じることは、国鉄が非常に線路保持のために地辷り等に気をつけてやつてるように思うのでありますが、建設省としても一つの国土の保全という意味からそんなことは当然やるべきであり、又やつてつたと思うのでありますが、今回の大水害に鑑みてそういう地辷りの予防或いは応急策におきまして、そういつたような根本的な理論といいますか、そういつたものをよく研究して何かの、建設省建設省としてのそういう理論と申しますか、そういうものがあるかどうか、これを一つお伺いいたしたい。
  214. 松岡平市

    松岡平市君 今の山田委員質問に関連いたしますが、新立法で地辷り防止の事業を施行する場合においては、十分の九の補助をするという規定をしておりますが、現在すでに御調査になつていろいろ府県等から防止事業の計画が出て来ているだろうと思います。それはどれくらい来ておつてどれくらいの経費が要求されているかということを、今建設省でお持ちになつているものだけについて概況をお話願いたい。
  215. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 地辷りにつきましては、これは御承知と思いますけれども、私もそう詳しいことは存じませんが、単に一口に地辷りといいましても、最近常習的にあるといいましようか、ちよいちよいあるところが数十カ所あるように聞いておりますが、それがその地方々々でいずれも性質が違つている。それで今まではその違つた場所に応じたような地迂り対策をやつた来ている。これは私は今ここで、今までのやり方が不十分であつたということは私としては甚だ申しにくいことでありますが、非常にこの地辷りの防止ということがむずかしいことであつたらしいのでありまして、それこそその地方々マによつてやり方を考えてやつて来ておつたというようなのが本当の実情であつたように承知いたしております。併し今度のようにだんだん各地で地辷りもあり、殊に山の様相が変つて来たために、山のほうで辷るところが多く出て来るというようなこともありまして、これはどうしても地辷りに対してはもう少し根本的に考えて行かなければならんということを省内でもしばしば話合つているようなわけであります。今後の恒久対策にも、是非地辷りに対して対策をはつきり立てたいというように考えているようなわけであります。今まで何をやつていたかと言われると誠に申訳がないのでありますけれども、専門家がいずれも口を揃えて言うことは、非常に各地によつて違うのでむずかしいのだということは確かに私も聞いております。併しそれだからといつてどうというわけではありませんで、今お話のありました砂防と睨み合せて地辷りを防くというようなやり方もありましようし、いろいろあろうと思います。十分研究して参りたいと思います。
  216. 山田節男

    ○山田節男君 これは今建設大臣が言われるように、その土地の地質とか或いは山の形とかいろいろあるでしよう。土質だとかいろいろな条件があるのはもとよりでありますが、私今回佐渡を初め北陸、信越を廻りまして、佐渡の山でも大きな地辷りがあつた。日本アルプスに行つて……私上高地に参りましたが、これはしようちゆうあるのでありますが、あの裏のほうの日本アルプスの地帯におきましても、我々が汽車から見えるほどの地辷りが一ぱいあつた。これは全般的に言えば、何か共通した大きな、一つそういう地辷りする理由がある。地質が違つていようがどうであろうが、ああいう現象は起る、今回のような異常な雨量があつた場合には起る。今大臣がおつしやつたように、佐渡の地辷り、和歌山あたりの地辷り、福岡、長崎の地辷り、ああいう大きなところは違うかも知れないけれども、併しその根本的な理論は私は同じものだと思います。ですから私がお伺いしていることは今日までの地辷り或いは山崩れ、山津浪等で非常な災害を我々はなめておる。それは少くとも建設省としては、これは、建設省は終戦後発足になつたか知らんが、元の内務省といたしましても、こういうような山国であり罹災国である以上は、過去の幾つかのこの惨害に鑑みて、そういうものに対する根本的な理論があつて然るべきじやないかと思います。今大臣のお言葉では、今まで建設省としてはそういう根本的な対策、それからもつと進めば、こういう所は将来危い、丁度国鉄が線路保全のために将来を案じて鉄筋コンクリート或いは鉄骨等で予防しておるようなことを、そういうことを建設省が全然やつておらなかつたのである。私はこの建設行政というものが終戦後におきましてもすでに七、八年、その終戦後ああいう水害があつたり、地辷りがあつたりする今日、まだそういう根本的なセオリーもないということは非常に私は悲しむべき建設行政の貧困だと思いますが、建設大臣がそういう専門家がいないなんていうことを言うようなことになると、非常な重大な不安を感ずるのでありますが、今大臣のお言葉は、建設省としてはそういう山津浪、山崩れ、地辷りというものに対しての根本的な診断をしたり、或いは根本的な改革をするだけの技術者がいないということでありますかどうか、その点をお尋ねしておきます。
  217. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 学者の間にも随分この地辷についての理論がいろいろあるように先だつて私ちよつと本で読んだのでありましたが、建設省の技術の貧困だとおつしやられると誠に遺憾でありますが、一貫したこういうことだという理論は今までになかつた。それでそれぞれの地帯について研究を重ねて、そうして少しずつでも防ぐということに進んで参つておるように承知しております。併しもつと地質の学問なり、或いはこれに対するすべての研究家の意見を聞くことも必要でありましようし、又建設省当局としても十分研究せなければならんと思つております。今後はそういう点について成るべく御安心が頂けるような研究を続けて参りたいと、かように思つております。
  218. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 松岡委員質問答弁願います。
  219. 伊藤大三

    説明員(伊藤大三君) 六、七月の災害によりまして、山地の崩壊とか地辷りの対策としては、建設省関係のいわゆる砂防事業、それと府県のほうからの御提示になりました数字は大体百七十億ということになつております。併しこれにつきましては、まだ我々のほうで厳重にその内容について精査いたしてはつきりとこれをどれくらい査定するという何につきましては、もう少し日にちを貸して頂きたいと、こう思つておる次第でございます。  それからこれも先ほど……、私は技術官でなくてこういう御答弁を申上げては悪いのでありますが、建設省におきましても従来の内務省のバトンを受け継ぎまして、河川局に砂防課というのがございまして、勿論この全国の渓流並びにそれに沿うた山地の地質につきましては、絶えず調査もいたしておりまして、そして崩れやすき土質とか崩壊しやすき場所、現実に地辷りが起きているというような場所についても調査いたしておりまして、これに対する対策を全然考えておらんわけではなくて、いろいろとその方法等につきましても、例えば普通の山地崩壊の問題についてはどういう方法をとるか、或いは地辷りの、同じような問題についてはどういうような方法をとるかということについては研究もいたしておりまして、そうしてその結論も相当得ておるわけでございます。ただ現在におきまして、これも申上げて又お叱りを受けるかも知りませんが、現実の問題は、今後山林が密生しておる場所において雨が降りました場合に崩れるという可能性がありましても、そういう場所に金を入れるという、そこまでの支出をするという、それまでの操作至らず、現在崩壊しても、土砂が下流に流出するというのをとめるというのが漸く今は精一ばいというようなわけでございまするので、そういう点からいたしまして、只今の御要望のような点について遅れておる点は当局としては遺憾に思つておる次第でございます。
  220. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員各位に申上げます。農林大臣は四時過ぎに退席の予定でございますので、農林大臣是非質疑なされるかたはお願いします。
  221. 島村軍次

    ○島村軍次君 お急ぎのようでありますから簡明にお伺いを申上げたいと思います。  午前中本委員会の決議によつて提出いたしました第三号……いわゆる今回の二十四の特別立法以外に、各災害地における農作物その他の被害が相当甚大でありまして、これらに関しては第二号台風の例によりますと、予算措置によつて解決されておるわけであります。緒方副総理はよく御存じなかつたようでありますが、農林省関係ではこれが一番多いのでありまして、この問題に関する調査は先の特別委員会においてお願いを申上げておつたのでありますが、例えば農地の災害、或いは農業用施設の災害は、農林省では農地局ではつきり出ておる。併しその他の一般災害等については調査事項もまだ出ていないというような現状であつた際でありますけれども、その問題と併せて農作物に対する処置をどう考えておられますか、併せてお伺いいたします。
  222. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) これは、御決議の御趣意を拝見いたしまして、恐らく今日農地の……御心配になつております北日本の冷害地帯の土地等すべて第二号台風とはいろいろ内容が変つて来るかと思います。当然やらなければならない予算措置を講ずべきものは予算措置を講じなければならないという考えを以て準備をいたしております。
  223. 島村軍次

    ○島村軍次君 例として冷害の例をお挙げになりましたけれども今回の災害九州及び近畿の地方における大災害は、単なる施設だけでないのです。施設については二十四の立法ができましたけれども、その他の農作物等に対する災害は第二台風の七億五千万円の予算措置をやつたことはよく御存じなわけであります。それと同様に農林大臣が冷害だけに頭をお持ちになつたのは遺憾であります。(国務大臣保利茂君「そればかかりではありません、それは勿論ですが」と述ぶ)  それから農林省が提出されました政令案について見ますると、最初農林省が考えられておつた原案と、それから今回衆議院の委員会において審議されました事項とを、それを基準にして恐らく農林省の事務当局でお考えなつた案であろうと思いますが、二つが今この委員会へ参考案として出ておる。これは一体どちらを主体にお考えになつておりますか。先ずその点から伺つて見たいと思います。
  224. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 只今お話の点は、先ほど建設省のほうからもお話がありましたように、私のほうでは緊急の案を衆議院の委員会で承わつてつたのであります。問題がこんがらがつたような関係もありますが、それに対してこんな程度のものでは駄目だからというので、衆議院の委員会のほうで決議をされたのであります。その結果衆議院の決議通りやれば、従来農林省等で考えておつた中間案よりもどれだけの財政支出が多く必要であるかということを算定しまして本月の二十一一日までに衆議院のほりに出せと、こういうお話でありますので、衆議院の決議に基きまして地域指定をやればどういうふうになるかということを今推定中であります。そういう関係になつておりますので、衆議院の決議の内容につきまして農林省関係の事業にそのまま適用すればおかしいような点もありますので、そういうおかしいところはおかしい、やればこの程度ということを数字に基いて検討を加えつつあるのが現状であります。
  225. 島村軍次

    ○島村軍次君 農林省が従来おとりになつた例えば八万円とかという数字は……。
  226. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  227. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。
  228. 島村軍次

    ○島村軍次君 大体この点は地方一般の今回の災害地の希望は役所で計算を弾いて八万円なんかというようなことは絶対にやめてもらいたい、こういうことが強い要望なんです。この計算の基礎を一遍大臣は農地局のほうでお調べになつたらよくわかると思うのです。そういうことをやめて衆議院のほうがまあいいか悪いかということは参議院のほうは別途に研究しますが、その点もよく一つ随分忙しいと思いますけれども、よく御検討になつて参議院は参議院としての独自の案を出したいと思いますから是非それを取入れてやつて頂きたい。それからなお併せてちよつと堆積土の政令と、それから今度の農林災害復旧に関する政令とは多少今お考えになつていることと矛盾しておるところがあるように思います。これは官房長でもいいと思いますが、お耳に入れておきたいと思います。それは第三に堆積土のほうでは農地、農業用道路というものが入つている、ところが一方の林業の施設には貯水場、苗圃、それから木材の流送路というようなことになつておる。農業については堆積土は道路も堆積土で指定する。併し林業については林道だけ外されてのけてある。恐らくは林業は別途の災害復旧費でやるということになつたのではないかと思いますが、この政令の基準について同じ農林省内においてちよつと矛盾したような感じがあるようです。一方林道を外す、一方は農道を入れておる。こういう矛盾があると思います。この点はあとで御研究になつて結構ですが、わかつたら官房長のほうから一つ御説明を願いたいと思います。
  229. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 地域指定の問題は地域を妙な指定の仕方をして特別立法の精神を失うようなことがあつてはならん、これはもう私どもそう思つております。ただ先ほどにも御意見がございましたように激甚なる被害を受けた、而も地方の力の弱い所を国の力でとにかく早く復旧するようにしなければならん、少くとも農地等につきましては来年の植付ができるように持つて行かなければならんという御趣意から、こういう立法措置が講ぜられているのであります。本来から言いますとどこまでも重点的でなければならんと思いますけれども、併しそう申したからと申しまして、搾り上げるということもできない。衆議院に当初出しましたものは、そんなものは出したつて怒られるだけになるからやめたらどうかということを申したくらいでありますけれども、実際のところは衆議院の委員会でも地域指定について御審議のその準備の相談をされる、そういうことで資料としてお出しをして、それについて御意向がまとまつたものがあるからそれについて政令を施行したならばどういう、ふうになるかということを研究してできるだけ、とにかく、できるだけではございません。国会の御意思が一たびきまつていることでございますからこれを損うということはできませんからその趣意で政令も本当は考えて行きたい、かように考えております。あとの問題につきましてはよく調べまして、そういう不都合があれば手直しをして参りたいと思つております。
  230. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員各位に御質問があるかと思いますが、先ほど申しましたように農林大臣に対するものは承認したいと思います。農林省関係は渡部官房長以下残つております。それから更に建設大臣は午前からずつと出席されておりますし、本当の御病気でございます。(笑声)従つて建設大臣質疑のあるかたは一つ先に願いたいと思います。建設大臣が退席されましても他の建設省説明員は残つて頂きますので、願いたいと思います。
  231. 山田節男

    ○山田節男君 これはさつき地辷りの問題で大臣に申上げて御回答があつたわけですが、これは私は希望になつて来ますが、大臣一つお願い申上げたいことは、今回地辷り、山崩れ、それから山津浪、これがさつきの河川局次長はそこまで今考える暇もないというようなお答えでしたが、日本はこれだけの山国であつて建設省がただ物が壊れたらこれを修理するというのではなくて、それも重要な職務ではありますけれども、国土保全ということをすることが一番大事だ。今の河川局次長のように予算関係もあるかも知れませんが、将来、今木の生えている山は崩れようがかまつちやおられませんというのは、これは私は建設省としては甚だ不まじめ極まると思う。例えば建設行政にしましても、港湾管理にしましても、都市計画にしましても、いわゆる建設省セオリーというものを作つておる。他のいい説があつても排外的である。これは建設省ばかりでなくほかの省を見ましても、従来の公務員の悪い癖はとかく自分の省のものが一番いいというこの実に固随な考えを持つておる。これは私が先ほど申しているように今日建設省は戦後八年たつが、尊い日本のこの狭い山河を如何に保全するかということを根本的に考えているかどうか。公務員はもう少し謙虚でなければならない。いろいろな説があるが、科学ですから客観的に一つしかない。これを建設省セオリー、A、Bのセオリーということで、ただそれだけで以て山は荒れて水が出て壊れて田や畑を失う、家を失うということでは、建設省は何のためにあるかということになる。建設省の任務は国土保全というものが主たる目的であつて、安全第一ということを考えないなら名前を変えたほうがいい。ですから私は今大臣に申上げましたが、先ほど言われたように治山治水の根本的な対策の審議会ができたならば、従来の官僚の陥りやすい排他的な独善的なそういうものを排して、飽くまであらゆる知識、叡智を動員してやれば、セオリーは根本的に一つしかないと思います。建設省セオリーとか、A、B、Cセオリーがあるわけでない。医学の点におきましても実際遺憾な点が多い。余談になりますが、東京大学、慶応大学というような何で、これは単に一つの例に過ぎませんけれども、私は事今回のこれだけの大水害で国民が非常な惨害を受けている。それを今の河川局次長の言うようなまるで放言的なもうしようがありませんというような、こんなものは見ておりませんというような態度ではこれはいけないと思う。少くとも私は建設大臣としてもつと謙虚に、そうして国土保全、それから将来起るかも知れないということを、これは私はもう十分一つ今回の災害をいろいろ研究されて診断ができるだけの専門家がいなければならんと思う。それに対して大臣は専門家は幾らでもいると言うけれども、実際動かなくちや何にもならん。ですから私は大臣にかような惨害をなめた機をいいチヤンスとして、一つ建設省を中心に、山崩れというようなものも、或いは水害もそうでありますが、これをもう少し今回の事実に鑑みて、あらゆる知識と経験を生かして、一つ根本的なものを考えて頂きたいということが先ほど質問申上げた理由なんですから、よく一つ頭に入れて頂きたいと思います。
  232. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 先ほど伊藤次長のお答え申上げた中に、ちよつとお気にさわつたようなところがありましたが、私も余り正直というか、ちよつと言い方がまずかつたというように聞きました、決してさようじやありません。御心配のように、殊に砂防などというものは、今まで崩れておつた所を直すばかりではなしに、これから崩れそうな所というような見極めのついた所を是非やらなければならん、それが予防でありますので、勿論そういう所もやつて行きたい、現にそうであつて、研究をし、話合うということを先ほども言つておるわけであります。伊藤君のたまたま言い間違いであつたことでございますので、悪しからず御了承願いたいと思います。決してさようなことは考えておりません。十分考究いたしたいと思つております。又専門家もたくさんいると私が申しましたのに、外部から専門家の意見をよく聞いて、そうしてよい対策を立てたいというふうに申上げたに過ぎないのであります。御了承頂きたいと思います。
  233. 石川清一

    ○石川清一君 大体緊急の対策が諸般に亘つてつたようでありますが、特に半壊の住宅になお住んでいる者、或いは床上浸水をして漸くそこで壁も落ちておるけれども生活を凌いでおる者が、やがて寒くなつて参りますけれども、それらの人に対して住宅の復旧に対する融資その他について、非常な強い要望があるようでありますが、お考えになつておるか、或いはそういう点について厚生省なり大蔵省と計画をお立てになつておるかどうかお伺いいたします。
  234. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 半壊住宅のことにつきましては、要望があることを承知いたしておりますが、どう取扱うかというので大蔵省ともいろいろ話合いを今しておるところでありますので、もう少し御猶予願いたいと思います。
  235. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 最後に私から建設大臣一つだけ伺つておきたいと思うのですが、それは災害復旧に当つて必要なのは予算だ、その予算を組むに当つては、農林大臣と共に閣内でも最もこれに発言権を持ち、又責任のある立場に建設大臣は私はあると思う。本日の午前中緒方副総理に対する委員各位の質疑には、午前中御出席になつて脇から質疑並びに答弁をお聞きになつておられたわけでございますので、誠に私は幸いだと思つたのでございますが、その立場から河川局次長もおりますから、私ちよつと伺いたいと思います。それは私も災害対策委員として視察したのですが、例えば熊本の白川、これは何にも手当していない。雨が降つた災害を起すのは当り前で、自由に暴れなさいと言わんばかりの恰好である。更に三重県で非常に広範囲の災害を起した木津川の上流の服部川は全く同様である。それから大分県の日田市が大災害なつたのでありますが、あの筑後川の上流の附近は直轄河川になつていない、そういう関係災害を起している。更に大分市の郊外におけるあの堤防の高低のある所、低い所から水が入つて堤防を崩壊して大災害を起している。更に又鳥取の日野川を見るというと、日野川の堤防も非常に危険な状態にあつて、民心の不安を招来している。更に島根県に参りますというと、あの斐伊川は直轄河川として年五千万円の金をかけて砂をさらさせておるのだが、年五千万円の金をかけて砂をさらさせても、又砂が流れて来て同じことを繰返している。ところが穴道湖の水位等の関係で、何百町歩という水田が常に流されてしまつて、農民は三回も四回も稲を植付けても、殆んどとれないという状況である。或いは京都の天井河原の災害、更には遠賀川の折尾の近くの直轄河川の直線コースにおけるあの堤防が、百数十メートル崩壊して大災害を起した大きな教訓を持つていると思うのですが、こういうような私が見て印象に残つている点だけ挙げましてもそうであります。こういうことと併せ考えて見たときに、一体責任の立場にあられる主管大臣として、本日の予算の問題に関するああいう質疑を聞いて、一体それでどういう感じを持つておられるか、如何なる抱負と決意を持つて当面の災害復旧を完遂し、日本の山を、水を治めようとする決意を持たれているのか。私は国民の大臣に期待するところは極めて大であると同時に、大臣の責任は極めて重大だと私は思うけれども、その立場から一つ最後に承わつておきたいと思います。
  236. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 今だんだん例を挙げて各所に未改修の所、或いは不完全な所が多いというお話でありますが、まさに実情は御覧になつたような所がだんだんあることを、私も遺憾に存ずるわけであります。殊にこうした災害を受け、先ほどから繰返し叩上げますように、従来の災害復旧さえ十分に行つておらんような実情でありまして、どうしてもこの際に根本的な対策を立て、少くとも国民に或る程度安心を与えるような行き方をしなければならんというふうに私考えておりますが、まさに午前中副総理と皆さんとの御問答も一応承わつてつたのでありますが、どうかしてこの対策が立てられ、皆さんにも御安心を頂けるようにやりたいと思つておりまするが、なかなか財政等の関係もむずかしいと思いますが、そうばかり言つてもおられんという気持で私はおります。できるだけ努力をいたして行きたいと思います。
  237. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 重ねて伺いますが、所管大臣として閣内において、その点に善処される決意を持つておられますか。
  238. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 今申上げた通りの気持で、私はやつて参りたいと思つております。
  239. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つだけ建設大臣に確めておきたいのですが、堆土の排除の法律の施行についてですね、これの問題ですが、第九条の農業施設いわゆる灌漑排水施設とか、農地というようなものについては、農林大臣であることは明瞭なんでありますが、公共用の施設、これは建設大臣であることは明瞭なんであります。それ以外の第三条の二項にあるような、先ほどどなたからか質疑が出ましたが、農家住宅ですね、私有地等のあるものは、これはどちらかに主管大臣がきまらんと困るわけであります。仮にそれが農民の、農家の私有地、住宅地等に関するものでありましても、これは建設大臣が主管大臣であるということに了解してよろしうございましようか。
  240. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) よろしうございます。只今そういうふうに連絡してあると思います。
  241. 山田節男

    ○山田節男君 今の最後の委員長の建設大臣に対する御質問は私非常に重大だと思うのです。これはもう今朝緒方副総理が永井委員質問に対して、財政の許す範囲内においてということを言つておられる。それからまあ最後には、この補正予算に関しては防衛関係予算よりも、今回の水害対策に対する予算を優先的に扱うということを言つておる。これはもう所管大臣として委員長も言われたように、これほどの罹災者が困つておるのを、主管大臣としてこれはもうよほどの肚はきめてもらわないと、この予算の裏付けの或いは半分も取れないようなことになるのではないかと我々は懸念をする。補正予算におきましても、優先位をつけてもらつても、これはよほど建設大臣が褌を締めてもらわないと、三分の二も取れないということになる。半分ということに若しなつた場合に、これは先に、午前中にも永井君が言われたように、共産党はこういうひどい罹災地に対して非常な工作をしておるということは、あなたも御存じだと思う。我々あらゆる情報を得て来ておる、こういうような、延いては政治の不安定を強化し、或いは民心を悪化せしむる、これは自由党は最も警戒しなくてはならない。そういうことを放つたらかすようになつたら、建設大臣の責任を問うだけじやない。これは建設大臣自体、墓穴を堀つて、国民の犠牲によつて墓穴を掘つておるという妙なことになる。であります。今の融資も、委員長の御質問に対して、できるだけやります、これでは私は罹災者も満足しないと思う。ですから、ああいう御発言、ここで速記の下におやりになるということは、私は誠に歎かわしいと思う。そこで私は、我々委員会に対してこの予算措置に対して審議いたすことについて、大臣は善処じやない、自分の職責を賭してもやるというくらい、閣内に大いに発言権を持つて措置すべきだと思う。ですからどうぞ、私は大臣に重ねてお願い申上げますが、この重大な経済問題であり農村問題であり、社会問題であるところの問題を、私はナンバーワンとして補正予算においてはこれを格付けをするということを緒方副総理も言つておられるのでありますから、建設大臣は今度の格付けにおいてその緒方副総理のあの証言を一つ生かして、どうぞこの補正予算においてはこの特別法の裏付けにおいては、一〇〇%確保するというだけの決意を持つてもらわなければならん。この決意を私は伺いますが、重ねて私はお伺いいたします。
  242. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 私は私の気持を先ほど申上げたつもりであります。ただ大きくこういう所で見栄を張つて見たり、何か極端な言葉を引いてどうこうというものだとは私は考えておりません。私はできるだけのことをする。先ほどからもお話がありますように、この水害対策は、或いは治山治水の恒久対策というものは、国民がどれほど欲しておる、望んでおるか、又は委員会の諸君が欲しておるかということを十分私存じておる。それ以上は申上げても如何かと思つて口に出して言わないだけで、十分考えておる。
  243. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) それでは委員各位に申上げます。只今出席されている政府の各関係機関の説明員は、文部大臣ほか大蔵省、労働省、文部省、運輸省、自治庁、通産庁、農林、建設の大臣以外の説明員のかたが出席されています。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  244. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて。
  245. 松浦清一

    松浦清一君 僕もそれを言おうと思つたのですがね。私も農林省に対する若干の質問があるのですが、建設省のほうを先にしまして、順次廻つて行くことのほうが議事進行上効果的だ、能率的だと考えて、発言を控えておるのです。先に建設省を済まして頂いて、それから農林省も、大臣のすべてではありませんが、若干の質疑も行われたわけですから、農林省を済まして、そして文部省と、こういう順序で一つ議事進行をして頂きたいと思います。
  246. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 松浦君の意見もございますので、さよう取計らいます。
  247. 高野一夫

    高野一夫君 私先ほど官房長にお尋ねした件についての御答弁は、明朝に延期されたわけですが、明朝に延期されたならば、ついでにお伺いしたいのですが、セメントだけに限らず、建設省関係復旧工事に使用される重要資材、例えば鋼材とか、建設省でお考えなつた、先ほど私がお尋ねした線に沿うて、明朝説明をお願いしたいと思います。
  248. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 畏りました。
  249. 山田節男

    ○山田節男君 建設省関係資料で、お願いするのですが、この対策委員会が特別措置法を審議する過程でですね、応急措置を二つに分けたわけです。一つは七月の末まで、これは農林省関係であるわけですが、それに含めて、七月末まで。それから第二が八月一ぱい台風のための災害応急措置、それからその後は恒久的な対策と、こういうように大体分けて考えたわけですから、それでできれば、八月の末でありますから、まだ時日が余りだつておりませんから、地方からの情報が全部集まつておらんかも知れませんが、できるだけ七月の末までの第一の応急措置、八月一ぱい末までの第二の応急対策、こういうふうに区別して頂いて、そうしてできればどういう応急対策をやつたということを数字的に、或いは個々別にできれば分けて、できるだけそういうふうに明日までに知らして頂きたいと思います。
  250. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) お話通り前回の特別国会におきまして、一応の期限を切りまして予定申上げた次第でありますが、直轄工事につきましては、始終絶えずそれらの報告が参つておりまして、どこの破堤個所はいつ何日完了した、という報告が参つておるのでありますが、遺憾ながら府県以下の工事につきましては報告はまだ隻まつておらん実情でございます。但し明後日全国の土木部長会議が丁度やることになつておりますので、先ほど来御意見のありました繋ぎ融資が土木工事にどの程度使われておるかという問題とか、差当りどういう工事をやりたいので、それに何ぼ銭が要るというような点をはつきりした全国的な一覧表というようなことには行かんかも知れませんけれども、その代り土木部長の生きた声を集めて御報告申上げたいと思います。
  251. 山田節男

    ○山田節男君 明日は真轄河川で、わかつているだけでよろしうございます。
  252. 松岡平市

    松岡平市君 先ほど私地辷り防止の事業についてちよつとお伺いしたが、約全国から百七十億程度の事業をしたいという申入があつたということであります。細かな数字をお聞きするには及びませんが、その中で一番余計な工事費を要するもの、一つの場所でそれはどれだけ以上、そうしてこの一体地辷り山崩れというものを防止するのにどういう工事をするというのか、大体おわかりだと思うのですが、概略で結構ですから御説明を願つておきたいと思います。
  253. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 地辷り対策の事業費として大きい個所ははつきり私からここで御説明申上げかねますけれども、大体同じような場所に集中しておるものと考えて頂いて結構だと思いますが、やはり福岡、熊本、長崎、こういう所が大きうございます。それに和歌山、奈良、こういうのが大部分でございます。なおこの地辷り対策について先ほど来種々御意見があつたわけでございますが、実は一番問題になりました、一番でもありませんが、非常に大きな問題になりました北松地帯につきましては、正直のところああいう地辷りを確信を持つて建設省の役人の力だけであれをうまくやるという自信はなかなか持ちにくいというようなのが実情でございまして、幸い災害対策予備費で調査費も取れましたので、先般来京都大学数名の教授のかたに委嘱いたしまして、それと私のほうの職員とが合同いたしまして、一応の北松地帯の調査完了いたしております。県からは、そこの長崎県全体では百数カ所の工事をやりたいという御要求でありますが、一遍にそれだけの調査もできませんのでそのうち緊急と思われます三十八カ所、そのうちでやはり建設省でこれは当然やらにやいかんと思われるような大体二十カ所ばかりの現地につきましては、事業の調査完了し一応の対策のめども立てて、まあ一例を申上げますとそういう状況でございます。
  254. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 建設省関係質疑はこれを以て終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) さよういたします。  大達文部大臣が出席されておりますので、大達文部大臣質疑のあるかたは質疑を願います。
  256. 松浦清一

    松浦清一君 先ほど僕が議事進行について発言したのは、変更されても結構ですよ、建設省が済んだらその次に農林省を始末して、それから文部省への順序でやつてもらいたいということで皆さんの御承認を得たわけです。若し大臣がお見えだから変更されて文部省のほうを先にやるならそのようにお諮りをした上でやらないというと、先ほどの決定はそういう順序です。
  257. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  258. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。  先ほどの決定も一応ございましたが、都合によりまして大達文部大臣に対する質疑を先行いたしたいと思いますから、質疑のあるかたは願います。
  259. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つだけ伺いますが、文部省で立案されたというこの公立教育施設の災害復旧事業についての特別措置施行法令です。
  260. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ちよつと大きい声で願います。
  261. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この別表を見ますと中学校や小学校の復旧校舎の算定の規準が非常に実情に副わない点があるのじやないかと思います。と申しますのは、これは私から言うまでもなく御承知だと思いますが、今度の災害九州のような平坦部をやられたところもありますし、近畿地方のように山間部が中心にやられたところもある。この山間部の学校は申すまでもなく非常に面積が広いけれども人口が小いというので、一つの村でも中学校が二つも三つもある所が少くないんです。そういう学校では収容しておる生徒数も五十人とか百人とかいうのが多いのです。私の知つておるのでも五十人程度の中学校も少くないんです。その場合にこの基準で参りますと到底復旧は勿論でませんし、殆んど学校にならんだろうと思います。法律の表から行きますと、まあ原状回復といいますか、原形に復するというのが主たる目的になつておりますが、この原形が、或いはこの基準でいつて一五乃至六というのが、或いは五になつたり六になつたりするような校舎もあつたかと思います。それは今日国庫補助でこれだけの校舎を復旧するのはむずかしいかも知れませんが、学校にならんようなものをお建てになつてもこれは使い物にならん、結局町村の負担が増すばかりです。これを二百九十九人以下というふうに切らずにもう少し切り方を変えて、そういう山村の中学校、小学校が学校として成立つような程度にこの基準をお変えになつたほうがいいんじやないかと思うのですが、その点はなぜ二百九十九人でお切りになつたのか、これは余り実情と離れておるんじやないかという気がするんで、この点についての文部大臣のお考えを伺いたい。
  262. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) この政令案は一応文部省で案をこしらえまして、そうして今大蔵省折衝しておるのでありますから、大体この別表は御指摘の通り不十分の点が相当あるかと思つておりますが、とにかく災害復旧でありますから、原状回復という観点からこの案ができておる次第でございます。実際予算折衝、まあこれは直接予算関係をするのでありますから、予算折衝の場合におきましては、実はこれでもなかなか大蔵省との間に今頻りと話合いを続けておるわけでありますが、文部省としては勿論お話になりましたような非常に不完全なものであるということは望ましくないのでありますが、とにかくこの別表は一応原状回復、こういう建前で作られましたものであります。
  263. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それはよくわかつておるんですが、仮りに五十人の生徒ということを考えられてやつて御覧になつたら教員室なんかできません。教員室のない中学校はあり得ないんです。そういうことをおつしやるよりもむしろこの別表を早く直されるほうがいいだろうと思うのですが、ですからこれを大蔵省に持出して折衝をされて何がしかの予算がきまりましたら、これは大蔵省折衝したんだから直さんとおつしやるにきまつております。そういうことでなしに悪いと思つたらお直しになつたらいいんで、今の段階ではこれはお直しになることができるのじやないかと思います。学校を復旧するというなら学校として曲りなりにも教員室もあり、小さい講堂もあつて講義ができるような最小限度の施設をされなければいけないんじやないかと思います。そういう山間部の学校の実情を申上げて注意を喚起しておるんですから、その点十分に御留意願つて、この別表を至急にお直し願いたいと思います。
  264. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) お話通りこれは少し遠慮し過ぎておる点があろうと思います。なおこれにつきましては十分検討しまして、却つて無駄なことにならんようになお大蔵省とも折衝したいと、こう思つております。
  265. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) いや、それについて私からも聞きますが、大臣これは、大臣遠慮じやないのです。設備費の額を算定する一つの係数を出しておるわけです。ところが学校は二百人であろうが三百人であろうがオルガン一つが要るにしても設備費は同じです。それから理科の器具でも三百人でも五百人でもそれは教具の要るものは一定基準というものは同じです。ところがそういう要素は全然入れないで生徒数一人に当つて或る係数をかけるようになつておる。そこがこれは私は非常に杜撰だと思う。これは遠慮じやなくて作つた人の頭がどうかしておる。これが一つと、更に児童生徒一人当りの基準額というものも中学校は九千五百円で、高等学校の普通科は一万二千円と出ておる。これはまあ中学校は職業教育も幾らかあるということを考慮したのかも知れないが、こういう中学校一人が九千五百円で、高等学校の普通科は一万二千円、こういうような数字、更にこの別表三の〇・七メーター以上二メーター未満の浸水の場合は十分の五だが、それが床上〇・三メーターから〇・七メーターになると一躍十分の二と、半減以下に減るということですね。これは普通は床上浸水すれば大した違いはない、同じ程度災害を受けるんだということは、これは災害地の人々の言つておる常識なんですが、そういう点から考えるときに、この数字をどういうふうにして出したのかという点どうも納得できない点があるわけですが、これを一つ管理局長から答弁を求めると共に、早急に再検討する意思はないか、大臣に貢ねて答弁頂きたいと思います。
  266. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) お答え申上げます。  只今お手許に差上げましてございますのは、これは私どもの案でございまして、これにはいろいろ議論はございます。只今お話がございましたように、設備費につきましてはこのように児童生徒一人当り幾らという基準でやらないで、現実被害のあつたピアノとかオルガンとか、理科設備、そういつたものを個々に捉えてそれに対して何割やるという見方と二通りあるわけです。そういうものにつきましていろいろ議論したのでございますが、大体これは両説ございます。大体の考え方といたしましては、やはり一番実情に合うのは個々の設備を捉えてそれを復旧するというやり方、これが一番実情に合うんじやないか、それから併しながらそれはなかなか困難であろうからその場合には児童生徒一人当りという一定の基準を設けて、その基準の中で個々のものを拾うといういわば折衷案でございますね、大体そういうことで、今更に考えを練つておりますので、お手許に差上げましたのは本当にこれは試案でございますので、御意見もございますのでその点は今後検討いたしたい、かように考えております。
  267. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) もう一つ指摘しておきますが、私立学校の場合は中学校は一坪当り一万五百円で、高等学校普通課程は八千五百円と、高等学校のほうが安い。それから公立学校の場合は、中学校のほうは九千五百円で、高等学校普通課程が一万二千円と高い、これはどういうわけでこういうふうに私立学校の場合と公立学校の場合でそういう基礎的な数字を変えられたのですか。
  268. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) 私立学校と公立学校を差別をする理由はこれはございませんので、実は我々の考え方におきましても私立は公立に準ずるというような方針で参つております。只今御指摘ございました点につきましてはなお検討をいたしたい、かように考えております。
  269. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) ほかに文部省に対する質疑はございませんか……。なければこの際私から一、二お伺いいたしますが、この回答書にありますこの繋ぎ融資の配分ですね、これは間違いない数字ですか、どうですか。教育関係に出た繋ぎ融資、これはどこから報告を求めてこういう資料を作つたかお伺いしたい。
  270. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) 県の教育委員会報告であります。この中になおただ和歌山が載つておりませんが、まだ報告が未着でございます。
  271. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 次にお伺いしたい点は私学の復旧について私立学校の復旧について今度立法措置がなされたわけですが、国会が開かれない、予算化されないというので金が流れて行かないで、私学復旧は非常に困つておる、公立のほうは理解のある公共団体から繋ぎ融資をもらつてできておる、そういう私学の復旧に対して何か考慮さるべきだと思うが、大臣の御所見は如何ですか。
  272. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私学につきましては御承知の私学振興会のほうに話しましてそのほうから金を出すということで、金額は僅かでございますけれども、そのほうで融資をしてもらうようになつております。
  273. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) もう一、二お伺いいたしますが、これは希望ですが、私学のほうに、私学振興会のほうに話して融資をしてもらわなければ、私学振興会は、地方公共団体が繋ぎ融貧を出すような恰好で私学復旧費は出せないのです。それで大学以下幼稚園までもものすごく私学は被害を受けておるのですから公立学校の繋ぎ融資に相当するものが出るように金融の世話をやつて欲しい、これは希望ですが。  それから答弁を求める点は、第一点は先般の国会で本委員会の決定において強く要望しておきました被災学生の授業料減免ですね、これは従来大学の一割、その一割枠があつたのですが、その枠を拡げるということについて決議して要望しておきました。で、文部当局は大蔵と折衝中で見込ありということでございましたが、どういうことになつたか、この報告書にないので答弁を求めます。これが第一点。  それからもう一つは私、島根、鳥取に視察に参りまして、そうしましたところが、島根県や鳥取は地方財政が非常に窮迫しておる、その上に災害が来た、更に過年度災害も持つているのでいよいよその地方財政が窮迫した、従つて活路をどこへ求めたかというと、比較的県の予算を食つているところの人件費に目をつけた、小学校、中学校、高等学校の教職員の昇給昇格を四月からやめて、一切予算に組んでありません。のみならず、月給の高い先生と月給の安い若い先生を取替えるためにおおむね五十歳以上の比較的高給の教職員に退職を奨励する基本方針をとつております。これは私は由々しい問題であると思う。人事院ではベース・アツプを勧告しておるのにそれを反対に一切昇給昇格の財源も組まない、而もその教職員が五十歳で首を切られた場合に、一体子供の教育などができるかということを考えるときに、これは災害復旧予算とも関連があるのです。で、私はこの際文部大臣として地方財政の窮迫、その一番大きな原因はやはり災害復旧費になつておるのでありますが、そういう点はあなたの所管のどういう面にしわ寄せになつておるかという点についてどういうふうにお考えになり、更に如何に善処されようとしておるか、この二点について答弁を頂きます。
  274. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) あとの問題でありますが、その辺は実は十分承知しておりません。ただ島根県で何かそういうことがあつたということを聞きまして、これは私のほうで十分実情を調べましてそういう点のないように注意をしよう、こう思つております。
  275. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) これは委員会から文部関係といたしまして政府に対する申入事項がございました。そのうちに免除の、被災学生の免除の応急措置をなすことというのがございまして、これにつきましては目下文部省におきまして具体的に調査を進めております。大体調査の結果被災学生に対しまして昭和二十八年度の後期分、十月から来年の三月に至ります後期分の授業料を全額免除するという考え方でございます。これによりますと大体後期授業料の減免予定額が七十七万二千八百円に上つております。なお授業料年額の二分の一を減額するというものはございますんで……失礼いたしました。授業料の年額の二分の一を減額するというものが、大体九百九十七万ございます。そのうち授業料を全部免除するというものが、先ほど申上げました七十七万ございいますんで、従いまして被災学生中後期授業料の減免予定額を差引きまして、これは結局歳入減になるわけでございますが、これが約九百二十万、一応かように推算いたしまして、目下手続を進めております。
  276. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 大臣、それはできるんでしようか。事務当局に二カ月前から伺つていると、いつも調査中だ、交渉中だというので、一歩も進まなかつたのですが、大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  277. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 授業料の減免のほうは、私はできると思つております。なおこの上とも大蔵省と話合いを進めたいと思います。
  278. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に文部省関係について質疑ございませんか。  石井運輸大臣が出席されております。質疑のあるかた願います。
  279. 島村軍次

    ○島村軍次君 今回の災害で特に私が視察の結果、痛感いたしましたことは、海洋気象というものが如何に重要であるかということであつたのであります。特に長崎の気象台及び大学の先生に承わつて見まするというとですね、今の施設が非常に不完全であるばかりでなく、大陸と支那海との間の気候が十分キヤツチできないのみならず、大体ででき上つた通報のあるものが、各地に通報する通報の規定がない。従つてこの住民には知らせたいが、どういう方法によつて知らしていいか、全く今ではその措置がとり得ないというのが実情であつて、どうしたらいいのかということを聞いて見まするとですね、或いは警察——国警又は自警を通じて、通報施設を作るというようなことも一つの方法だというようなお話があつたわけであります。今回の災害は全国的に考えましても、気象通報が如何にこの災害防止に重要な問題であるかということが窺われるわけでありますが、これらに関しての所見なり或いは運輸大臣の今後の措置、どうお考えになつておるか、お示しを願いたいと思う。それが第一点であります。  それからもう一つは、今回の特別立法の場合に、地方鉄道及びバスに対しての非常な被害があつたので、助成をするという、運輸省の調査によりますというと、相当厖大なる被害額が出ておるようであります。私の見ました範囲におきましては、例えば和歌山県等においてはこの被害が大きいということは考えられるのでありますが、他の府県を見まして必ずしもそうでもない。県の当局に聞きましても、そんなものがあつたのかというような所もあつたのであります。或いは所管が、府県当局連絡が不十分であつたかとも思いまするが、これらの点は運輸省直接おやりになつている関係かも知れませんけれども、私の調べたところによりますと、このような問題は少し被害の額がどうも実情に合つておらんような気がいたすのでありますが、この問題に対して事務当局からでもよろしいが、数学的にお示しを願いますと同時に大臣の所見を承わりたい。
  280. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度の水害に当りまして、気象通報の不十分であつたということ、これを将来の問題として、是非もう少し整備しなくちやいかんという声は各方面から承わり、又その実際に当つている者からもその申出を、その理由を私どもいろいろ聞いたのでございます。海洋の気象のお話がありましたが、海洋気象もそうでありまするし、又あれたけの雨が降るか降らんかというようなことを或る程度予知し得る途はないものかというようなことについても、私いろいろ質問して見たのでありまするが、高層気象の観測をもう少し完備すれば完全とまで行かんが或る程度の梅雨や何かのときの雨の降る量の推定もできるのじやないかというようなこと等も聞きまして、これは損害の大きいことを考えまして、あらかじめ知ることができれば相当これを予知し得るがために損害を少くするということを考えますと、気象台の設備、観測所の設備に相当の費用を出してもそのほうが国家のためになるのじやないかということを話しておりました。これによりまして、私ども、今、次の国会予算を提出するに当りまして、できるだけの、これが完全だというまですれば相当大きな金額が要るようであります。今までとても必要を感じながらほかの予算に押されながら苦しがつておりましたので、今度はこういう機会に一つできるだけの予算措置をとらして頂きまして、そうして被害の減少を図るようにいたしたいと念じております。  それから第二の地方鉄道、バスの調査のことでありますが、只今どもは一応の調査を終つて大蔵省のほうと話をいたしておりますが、その個々の場合につきまして民鉄部長からお話申上げます。
  281. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 私鉄の関係につきまして、私担当いたしておりますのでご説明いたしたいと思います。  私鉄につきましては、当初損害額といたしまして九億七千万円、先般ご説明を申上げたわけでございます。参議院の附帯決議、主として大企業で、自分復旧能力のあるものについてはやるべきではないという御趣旨を尊重いたしまして、約八億に削つたわけでございます。で、その二割でございますが、一億六千万円現在大蔵省に要請をいたしおります。で、その節にも御説明いたしましたように、まだ水害直後でございまして、線路がどこに行つているかわからない、或いは状況がわからないというので会社の数字をそのまま寄せておつたわけでございますが、昨今大分情勢が明らかになつて参りました。もう一遍数字的な検討をしたい。かように考えております。手続といたしまして、この法律にありますのは、被害復旧に要する費用ということになつておりますので、先ず第一に会社に復旧計画を出させなければ先ずなるまいといふうに考えております。まあどういうことかと申しますと、従来一億程度の施設を持つてつたといたしましても、今回の補助金が二割でありますので、二千万円、全部いたしますとしても二千万円の補助しかありません。それで小さい会社ではそれだけの額の金融の措置只今運輸省といたしましてもこの特別措置法律によりまして斡旋をいたしておりますが、なかなか困難であるということもありまして、会社の復旧がどの程度になされるのかということをはつきりつかみませんと、その二割の額が出ませんので、従前通りにすれば、勿論この費用は出るわけでございますが、それよりも少し費用を落すということになりますと又減るという事態にもなりますので、先ず第一に会社から正確なる資料を提出しろというふうに現在私鉄におきましては連絡いたしております。当時におきましては大体二十九社の会社が殆んどとまつたわけでございますが、その後応急措置によりまして復活いたして参りまして、只今では大体におきまして大きな橋が落ちたというような所を除きましては大体復旧いたしております。これも仮復旧の状態でございまして、輸送力その他を従前に戻しますためには相当まだ金を入れて直さなければならないという現状になつております。
  282. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) バス関係及びトラツク関係被害でございますが、一部に相当被害が少なかつたのじやないかという御批判がございまするが、西日本地区におきましては、福岡県地方におきましては一部バス関係は高地に逃げた関係もありまして、福岡県、佐賀県等におきましては相当の被害がないというような状況からそういうような御疑問も出たと思うのでありますが、和歌山地方におきましては相当数の車輌の流失等もございまして、西日本及び和歌山地方の損害状況につきまして我々に判明した今日までの状況を申上げまするというと、西日本地区におきましては、一般路線ハスにおきましては、大体補助の対象となると予想せられる会社が六社ございます。それからトラツク関係におきましては六社ございます。それから南畿関係におきましてはバス関係では三社、トラツク関係におきましては二社、それから郵便逓送関係が南畿地方に二社ございます。損害復旧額でございまするが、西日本関係におきましては、バス関係が二千四百万円、路線トラツク関係におきましては八百十万円、それから南畿地方におきましては、バス関係におきましては三千万円、路線トラツク関係におきましては七百四十七万円、それから郵便逓送関係におきまして五百三十三万円、こういう恰好になつております。それ以外に、西日本地区におきましては、自動車施設としましての自動車道路が傷んでおりまする地区がございますので、この点につきましては自動車については車両だけという問題も残つておりまするのですが、道路というものは自動車と一体となつているものでございますので、一応自動車道を挙げたのでございますが、その額が七百三十万円、こういう恰好になつております。そこで復旧額の南畿地方と西日本地方とのトータルで一億四千八百六十八万円、それで今回の特別措置法に基きます補助額がそれの五分の一、二千九百七十三万円と、こういう数字になりまして、その数字に基きまして現在大蔵省折衝いたしております。
  283. 島村軍次

    ○島村軍次君 今回の道路の問題は、これはバスの専用なんですか。
  284. 原山亮三

    説明員(原山亮三君) バスの一般自動車道でございます。
  285. 松浦清一

    松浦清一君 運輸大臣にちよつと伺いたいのですが、今度の水害で余り大きな問題になつていないのですが、実際にはその被害の量、範囲等がかなり大きな範囲に及んでおる和歌山県の水害による流木の問題なんですが、これは兵庫県、それから大阪、徳島の三県に及んでおるわけですが、その流木の漂着をした推定量が三府県で十五万三千石、それから漁場、漁港等に沈んだ根つこの付いた材木が大体十万八千石、こういうデータが出ておるわけですが、これは一体どういうことなんでしようか。海上保安庁の所管する関係において、どの辺まで流木を片付けることが保安庁所管になつておるのでしようか。私の承知しておるところでは、沿岸一マイルから沖合は航路掃海という意味で海上保安庁がやるのだ、このように了解しておるのですが、そのようになつておりますか。そうしてその作業はどの程度まで今進捗しておりますか。
  286. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 流木の問題は お説の通りに、沖のほうに流れておりまするものが航路の障害になり、又誰も片付け手がないという問題で、私のほうの海上保安庁で九百四十万円の予算をもらいましてその処理に当つておるのでありますが、私今日あいにくと資料を持つて参りませんのですが、あとで書面か何かでどのくらいな量を処理したかという数字等をお答え申上げたいと思つておるわけであります。
  287. 松浦清一

    松浦清一君 航路掃海の意味で大体一マイル沖合ということになつておりますと、港湾、それから……港湾はやるかも知れませんが、漁場、漁港等に沈んでおる根つこの付いた材木、根株と言いますが、そういうものは海上保安庁の手で片付けるということにはなつておらんわけですね、所管事項としては。
  288. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは海上保安庁の所管事務の中に入つてないと思いますが、なお詳しく調べまして申上げます。
  289. 松浦清一

    松浦清一君 そうするとこれはやはり農林省のほうの関係予算を取つて漁場、漁港等に沈んでおるものは片付けなければならん、こういうことですか。
  290. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 漁港等の問題になりますと、そうだと思います。これは大体地方庁で以て処理をするように沿岸はなつておるということを私は承知いたしておるのでありますが、その辺はつきりいたしておりませんが、詳しく調べましてお答え申上げます。
  291. 松浦清一

    松浦清一君 漁場、漁港等に流れておる材木は、これは片付けませんというと一隻も漁船が沖合に出ることができませんから、止むを得ず市町村が責任を持つて取りあえず片付けておるというのが現状なんです。市町村がその責任において片付けなければならん、市町村がその費用の負担をするのだ、こういうふうにはなつていないように私は了解しておる。これは農林関係になりますから農林省にあとで伺いますが、市町村の責任において片付けるという建前にはなつていないというように、こう私は了解しておりますが……
  292. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 他に運輸関係質疑はございませんか。
  293. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今気象問題について島村委員から質問があつたのでありますが、私もお尋ねしたいと思つておるのでありますが、今回の災害については各気象台或いは気象の調査をやつておる所ではいろいろと調査を済ましておるけれども、その調査をした結果を速かにその府県関係方面に通知するところの組織になつていない。であるから材料はあつて報告ができないというのが現在の組織であります。こういうふうなことは簡単に直ちにできるのでありますから、そういうふうな事実があるといたしましたならば、運輸省のほうでは、そういうふうなのは直ちに是正して、そうして災害がないようにすべきものであると考えておるのでありますが、現在の気象通報で各地方において調査したところの気象の連絡が、どういうふうにやつて悪いのであるか、その欠点を御調査になつて、それをどう是正されたかという事実があつたらば是正された点をお尋ねしたいと思うのであります。
  294. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 現在の水害後どういうふうにいたしたかという問題については、詳細私只今承知いたしておりません。これも直ちに調べまして、書面を以て詳しく御報告申上げます。
  295. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 日本の大風水害というものは、すべて西のほうからやつて来るのであります。そのためには支那大陸の気象を知ることが最も必要であるのでありますが、不幸にしてこの気象は知ることができない。可能な点は、東支那海におけるところの海洋において高層気象を観測いたしまして、それによつて台風の動きを知ることが最も必要であると考えるのであります。而して現在においては高層気象の観測をやつているのは、鹿児島と、それから福岡県にある、これはアメリカ軍がやつているのであります。この二カ所であるのでありますから、更に東支那海におけるところの高層気象を観測いたしまして、日本におけるところの大風水害を未然に防止するということが今日最も必要であると考えるのであります。こういうふうな点について、東支那海の定点観測をされる意思があるかうか、これは要望のうちにも出しておるのでありますが、その後この要望についてどういうふうな検討を進めておられるかお尋ねしたいと思うのであります。
  296. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題は、誠に困つた問題と思つております。支邦大陸の気象がわからないというために、台風の行方が判断に非常に困るということで、只今おつしやつたように、東支那海において高層観測をしたらどうだという話は御尤もであります。これには相当大きな予算が伴うものでありまして、測候所としては希望しながら今までも実現していない状態にあります。今度のような水害の機会に、測候というものが、気象観測というものが、どんなに重要かということが皆さんがたにもいろいろご心配頂いている際に、できるだけこういうものの実現ということについて省部内においてもお話を進めて行きたいと考えます。私どものほうといたしましては、運輸省内だけでは何とかしてこういうものを実現したいと思つて努力を続けて参つておるわけであります。
  297. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 東支那海の高層気象を観測するのには、或る程度の資金が要るのであります。私の知り得た範囲内においては、約四億円ぐらいの金があつたらできると考えるのであります。日本におけるところの大水害を未然に防止することができる方法を講ずるためには四億円くらいの金は出してでも未然に防止する方法を講ずべきであると考えるのでありますから、大臣においても十分御検討の上に、できるだけ大水害が起らないような方法を講じて頂きたいということを希望して、私の質問を終ります。
  298. 松岡平市

    松岡平市君 先ほど島村委員から御質問になりました地方軌道、鉄道若しくはバスの災害についてのことでありますが、今私は個人的に部長資料を拝見いたしますというと、当初災害地方軌道、鉄道、バス等の被害として本委員会資料を提出されたものと、それから今日調査されたのか、今日挙げておられる被害とは著しく相違があるようであります。先ほど伺いますというと、当初ただ各会社の通知でああいう数字を挙げたのだ、その後はなお、実際の被害を会社に届けさしている、そういうことでありますが、合計いたしますというと八億、当時九億何千万のものからすでに減つてはいるけれども八億のものであります。これの調査を大体私はどういうふうにやつておられるのか、地方の陸運局なら陸運局の報告に基いてやられるのか、或いは会社の報告をどういうふうに調査しておられるか、それを一つお聞きしたいと思うのであります。
  299. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 詳細な数字を固めますためには各方面に技術者を派遣いたしまして、最後には実地調査の上決定をしたしたし、かように考えておりますが、現在の段階では大体一、二名各地に、これは地方鉄道軌道についてでございます。派遣をいたしまして陸運局と協力をいたしまして、腰溜めの数字を固めております。地方鉄道におきましても或る程度数字が動いておりまして、ほかに熊本市電の数字が相当大きく減るのではなかろうかというふうにも考えられておりますのは、きまらない点がまだあるのであります。これは熊本市電のこの被害数字の中には排土の費用が入つているわけであります。当時にはきまつておりませんので、従来の例でありますと、軌道敷の上のそういう障害物は会社なり、市なり自身が除かねばならんということになつておりましたので、一応数字を載せてあるわけであります。今回の法律でこれが或いは地方建設局でおやりになるということになりますと、この数字は減つて参るのであります。まだこの点大蔵当局と話をしておりますが、はつきりいたしておりませんので、当然こういう数字はダブつて与えることはないのでございます。それがはつきりすれば除かれるということになります。その他につきましては目下腰溜めで、会社の数字現地に行きました者との間で或る程度行違いが出て来るのではないかと思いますのは、和歌山地方の有田鉄道或いは御坊臨港鉄道の被害が、前回のは、法律が御提案になりました頃にはまだ水のかぶつてている状態でございまして、御坊臨港のごときは殆んど流されてしまつたという、関係者が見て参りまして、こういう数字になつておりますが、これは或る程度つて来るということは言えます。もう一つ線路が長く敷かれておりますために、水がありましてレールが流れ、どこにも見えなくなつたというようなものも出て参りましたり、まだその点積算の過程でございます。詳細な数字を御提出する段階にはなつておりませんので、結局の場合におきまして民営鉄道に対する補助がございますので、最後は詳細に或いは大蔵御当局の御要求があれば共同で現地について査定をいたしましてその上数字を決定をいたしたい、かように考えているわけであります。現在の段階では各技術者をずつと線路を見させまして、従来の経験からこの程度被害であろうというような数字を今固めつつあるところであります。御了承願います。
  300. 松岡平市

    松岡平市君 是非一つ正確な調査をして頂きたいと思います。私たちは、例えば今私が申しましたように、お手許の資料を一見さして頂きますと、この委員会に取急いで、被害があつたとして、或るバス会社について、二千万円の被害の届けをしておる。資料にそれは載つておる。今調査の結果から見るとこれは一文もない。全部落ちておる。そうしてその当時全被害度については報告としても資料としてもなされなかつたバス会社について何百万かの被害が届けられて、そうしてそれは僅かではない、二千万円。一つのバス会社について二千万円被害があつたというその資料は一体何から得られたか。そういうことで、運輸省のそうした資料について私たちはやはり疑いを持たなければならん。先ほどの昂村委員の御質問のごときも、恐らくは、私たちは委員会といたしまして、最近の運輸省のそうした資料は頂いておりません。当初お配りになつたバス会社は、今言うように、今日では全然落ちておる。併しそのときには二千万円の被害としてお出しになつ資料に基いての御質問であつたかのように私は思うのでありますが、これは誠に資料をお出しになつた運輸省としても甚だ不親切であると思う。少くとも二千万円の被害があつたという資料を出しておられた。それが全然なかつたことになつておる。それをそういうふうになつたという数字上の、或いは調査上の齟齬というものは、これは何らかの方法で、この委員会にお知らせを願いたい。ここに運輸省の対策本部から来た資料がありますが、この中にも当然お挙げになつて、曾つて二千万円の被害一つの会社についてありという数字を出しておつた、それがゼロになつておる。そういうものについては、こういうふうになつて調査の結果なくなつたというぐらいのことは言つて下さらなければいけないと思う。是非一つそういうふうに一応あなたがたのお出しになつ資料について、私たちは甚だ遺憾の意を表します。そういうことのないように、殊にこの地方軌道、或いはバスについての補助金については、当委員会においては特別に論議があつたことであります。こうした私企業に補助金を出すことの可否については非常に問題のあつたところでありまして、これは成るほど補助額は五分の一に過ぎないけれども、何しろ私企業に対する補助金であります。そういう点も合せて考えられて、是非それらの数字、或いはその結果の報告ということについては、間違いのないように万全を期して頂きたい、特にお願い申上げておきます。
  301. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 委員会を代表して委員長から資料の提出を要求いたしておきます。災害直後の混乱のときで正確なデータがつかめなかつたことも我々も予想できるのでありますが、念のために、先般西日本水害対策中央本部を通して本委員会に出された資料と、現在運輸省で握られている数字とを対照して資料として出して頂きたい。府県別、会社別にはつきりわかるように明日までに御提出願いたい。よろしうございますか。
  302. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 了承いたしました。
  303. 高野一夫

    高野一夫君 私質問申上げるのですが、この予算措置をするためにはやはり被害実態把握査定ということが先ず先に大事な根本の問題だと思うし、而もそれはまあ非常に各省とも苦心があり、困難をされていることと思うが、大体運輸省関係でその査定完了するのはいつ頃の予定でございましようか。実態調査ですね。いろいろな申入のある被害額、それに対する検査査定……。
  304. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 実は早くやればやるほどよろしいわけなんでありますが、非常に人手がかかりますことと、費用がかかりますのでできれば一遍にやりたいと、かように考えております。それにはやはり大蔵当局と或る程度予算折衝に入りまして、できれば大蔵当局も一緒に査定をして頂いた低うが我々としてはよろしいのではないか、こういうふうに考えておりますので、まあ成るべく早く数字は固めたい、こういうことを考えまして、会社の資料の提出、その後のいわゆる復旧費が、どの程度に直すのかという数字をつかむべく今陸運局に連絡をいたしているわけでございます。
  305. 高野一夫

    高野一夫君 それでは大体いつ頃完了できそうですか。まだ相当の日数がかかると思いますが、大体の見当で結構です。
  306. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 大体十月には陸運局からまあ取りたいと思つているのでございますが、結局どうしても最後には予算支出される額が幾らかということになりますと、大蔵当局と一緒に行かなければならんものですから、何遍も行くということは役所としましても非常に旅費の関係その他がありますので、会社は現在復旧をやつておりますからその関係書類は明らかにするようには言つてあります。その場合実施をいたしまして従来の例から見ますと払つておりますので、かからないものについては払わないということにしておりますので、何遍もできるだけ行くことを略したいということを考えているわけなんでございます。
  307. 高野一夫

    高野一夫君 皆んな待つておりますから成るべく早くできますようにお願いいたしておきます。
  308. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 運輸省関係質疑はこれを以て終ります。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  309. 矢嶋三義

    委員長矢嶋三義君) 速記を始めて下さい。  只今全員協議会で申上げましたように、本日はこれを以て散会いたしまして、明日午前十時から残余の質疑を行い、明後日本委員会の結論を出すように本委員会を運営して参ります。本日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十一分散会