○
国立国会図書館長(
金森徳次郎君) 今日
御覧に入れました
図書館の偉大なる
計画について御
説明申上げたいと思います。
御承知のように
図書館の
仕事は大体
二つに分れておりまして、
一つは
国会のほうに
法律関係の
資料を
調査して差出すということ。これに
関係したことも含まれておりますが、大体
国会に関する奉仕という面。第二の面は、それより広いところのいわば
一般の
図書館に類似する
仕事でありまして、この
国会図書館が
昭和二十三年にできましたときに、大体力を両
方面に割いて、
調査立法考査の
仕事と
一般の
図書館事務とをやる。この
二つに
分けていろいろ釣り合いをと
つて発達させて来たのでありますが、実際におきまして
国会に対する
サービスがこの
図書館ができましたときの根本の狙いでありますので、そちらに重点を
相当強くおいて然るべきでありまして、
事業草創の際でありますから、
職員の訓練が次第に発達し、
仕事の面もだんだん受動的にも増えて来るような様子を眺めまして、漸進的な発達を
考えたわけでありますが、次第に
仕事は殖えて来ましたが、丁度今から三年程前に、何としても
調査立法のほうの
活動が飛躍的に発達せしめられる必要があるという
考えに基き、当時六十人ばかりの
職員を急に倍にいたしまして百二十人ほどの
職員にした。爾来
調査立法の局の
仕事はそれに応じて飛躍的な進歩をして来たけれ
ども、二年ばかりた
つてみて、
時代の発展と実際の
動き工合というものを対照して眺めて参りますと、あらゆる所に弱点が現われて参りまして、このままで
調査を続けて行くことは事実責任を全うするゆえんでないような気がする。
どういうところに欠点があるかということは
あとで当該の
局長から細かく御
説明申上げることと思いますけれ
ども、大体の感想を申上げますと、初め
調査部局ができましたのは、新しい
憲法の
制定に伴いまして、
国会自身が
法律を作る
中心点になるのでありまして、よそからの、言い換えると
政府の提出する
材料なりに基くのではなくて、
自分で
材料を整え、必要に応じては
自分で
法律案の或る
程度のドラフトを作る。こういうところに着想されてお
つた。実際に新しい
憲法の
時代においてもそんなに世の中が一足飛びに変ることはできませんので、初めのうちは
政府提供の
資料が重く用いられた。今も重く用いられておりますが、
国会がみずから
材料を
整備するということの必要は認めざるを得ない。そこで
関係部局の
任務としては、
資料が巾広く且つ迅速に集め得るということであります。
国会に対し
ます側からは間口の広いことでありますから、簡単な
教科書等は比較的役に立ちませんから、
国会に
関係を持つところのあらゆる問題について
資料を集めなければならぬということになりますし、迅速に
資料を集めるという点から見ますと、大体
書物にな
つた形のものは比較的新しくありませんので、どうしても
書物にならないもの、パンフレットのような
資料が極めて重大になる。それも
外国のものでありますから、迅速に送り届けられるということのためには、普通の船便、
郵便等では適切を欠くわけであります。そういう
材料をうまくこなして、わかりやすい形に直す、或るものは翻訳をする。或るものは節略する。或るものはそれを基礎にしてもつとまとま
つたものにするということがある。今までの
図書館の
活動は
資料が非常に制限されている。
航空便で送れるものは
外国の厚意によ
つて送
つてもらうのでありますが、民間の
通信社が非常に迅速にや
つておりまして、それらと比較しますならば、ただ恥かしいというほかはないのであります。馴れている
職員の数も今日いろいろの
事情で百二十人くらいで、実際に
調査の務を直接に担任する者を数えますと、ほんの五、六十人で、あらゆる
官庁の
関係しているあらゆる
部門に携わるということはできないので、
一つの
部門にもほんの少数の人しか担当できないということで、
一つの係のほんの二、三人しか携われないという形にな
つている。それからできたものを披露して、
議員のかたの
御覧に入れる。
印刷費は非常に欠乏している。
印刷をやるいたし方も時間が非常にかかりまして、極くのんきな
印刷物をやつとやれるということで、不名誉なことでありまして、更にそういう面から進んでもつと
立法に
関係して、手広に輿論のおすところを発見し、或いは又できました
法律が、実際国民の間にどんなふうに流れてどんな影響を持ち、どんな理解を得ているかということは、手不足と非常に
経費がかかるのとで
活動が十分でなくて限定されている。こういう形であります。
現在使
つている
予算は六百数十万円というのは、二十八年度の
予算でありまして、これだけのもので根本的な
調査資料ができるかというと、とてもできない。現在や
つているものでは間に合せに近いものが、人間の努力によ
つて或る
程度まで立派にでき上
つて行くということであります。そこでいろいろな変動を計算いたしまして、人と
経費の増額をいたしたいというのが今回の
予算に対する一応の
希望の姿でありますが、なお
一つそれと関連して、
資料の
整備の一端といたしまして、
国会で
立法機関であるということと関連をさせまして、
立法機関であるならば現在どんな
法律、或いは
命令が現存しているか、
役所に適用のある
法律命令というものが、その瞬間においてはつきり読み取れるというものがあるかというと、我々の
図書館にはございません。内閣のほうには幾分その
理想に適うものがあるが、その
理想に適うものはない。
従つて法律を
改正する。新しく
法律を作るというときにも、
現行法それ
自身を突きとめる場合にも非常に手数がかかる。新しく
研究を進め、各
時代時代の
歴史を、
立法の
歴史を追
つて駈けて
行つて条文を探し出すということで、こういうふうなことはおかしいのでありまして、何時だ
つて即座にわかるようにしなければならない。これは僅かな労力でできることである。そんなこともこの際補正をしたいと思う。
一応の
金額を計上してみますと、お
手許に差出してあります書類の中に現われているように、本年の
事業費の
予算は約六百七十八万円、私
どもの
希望している
事業費の
予算は四千二百六十万円、やや大巾の
増加ということになるのであります。この他に
人件費の問題がありまして、今申上げましたこともから見、必要な係を殖やすことから約二千万円くらいの新しい
増加を必要とするのであります。これがきまりましてもこれは決して贅沢でも何でもない。
国会図書館法の規定している
内容を比較的従順に行い得る
経費でありまして、これらのことをするわけには行かない。今までのものが甚だ心にかかりながらも、甚だ不十分に進み来
つたという筋について問題なんでございますので、この際若し四囲の情勢が許すならば、大きく規模を拡大し大きく
活動をしたいと思
つている。併しその思いは突如として起
つたものではなく、今までにも起
つておりまして、昨年も
相当予算の上に
金額を起しまして
要求をしたけれ
ども、目的を達しなか
つた点が大部分である。でありますから若し
委員会において特に御考慮下さいまして、何らかの
批判を聞き得ることができますれば幸いに思いますし、勝手でありますが、その御
批判の結果によ
つて将来の
予算が或る
程度拡充されることができるならばこの上もない喜びであるわけであります。
細かい点については
関係の
局長がおりますので、
局長から
お話を聞いて頂きたいと思います。