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1953-09-11 第16回国会 参議院 図書館運営委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月十一日(金曜日)    午後二時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            野本 品吉君    委員            大谷 瑩潤君            徳川 頼貞君            藤野 繁雄君            八木 秀次君   委員外議員            羽仁 五郎君   国立国会図書館側    館     長 金森徳次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国立国会図書館建築協議会に関する  件 ○国立国会図書館PBリポート利用料  金に関する規程案昭和二十九年度の国立国会図書館の  予算に関する件 ○国立国会図書館法第十二条の規定に  よる連絡調査委員会勧告に関する  件   —————————————
  2. 野本品吉

    理事野本品吉君) それではこれより図書館運営委員会を開会いたします。  高橋委員長が旅行中でございますので、便宜私が代りまして委員会を整理いたしたいと思います。  本日の議題といたしましては、資料としてお手許にお配りしてありますように、国立国会図書館PBリポート利用料金に関する規程(案)、昭和二十九年度の国会図書館予算概算見積りに関する件及び国立国会図書館連絡調整委員会からの当委員会に対する勧告、以上の三件を予定しております。  この議題に入るに先立ちまして、実は先般皆様の御承認を頂いてあります国会図書館建築協議会の第一回の協議会が昨日国会図書館において開かれたのでありますが、そこで決定されましたことを御了承頂いておきますことが、今後の御相談に何かと参考になろうかと思いますので、この際図書館長から御説明を願つたら如何かと思うのですが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野本品吉

    理事野本品吉君) では図書館長、お願いします。
  4. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 昨日、図書館建築に関しまする協議会を、かねて図書館規定でお認めを願つておりましたものの第一回を開きまして、たくさんの委員の方がお集り下さつたのでありますが、そのときに先ず第一回におきまして御相談を申上げること、又申上げたことの大体を御報告申上げておきます。従来から問題がだんだん熟して参りまして国会図書館建築ができるという段階に近付いて来まするときに、これが実施面におきましてはいろいろと議論が起つて参りまして、一番もとになりますのは、誰がどういう順序でこの建築を捗らせて行くのであろうか、この点であります。これは法律的に申しますると、もとよりその権能を持つているところは考えられるのでありますけれども、実際どういう手順でやつて行くかという開顕につきまして一番根本の問題は、国会建物でありますから、国会国会図書館の側の手で建築を実現して行くか、これが一つ考えであります。他の一つ考え方は、建設省の実際の力によつて建筆を進めて行くかというのが考えられまして、これが細かいところまで噛み合せて、どういうふうにしたらいいであろうかということで、何と言つても今まで問題でございました。  そこで昨日の協議会におきまして皆様がたの御意見を伺いましたところ、例外なく皆様の御意見の一致したところは、国会図書館を作るのは、図妻館のほうの使いやすいように作るべきものであるからして、その意味におきましての計画図書館でやるのが当り前である。又その予算要求するということもその面でやることが正しい。併しそのでき上りましたあらかたの計画を更に実行の面に移しまして、会度建築上の要件をよく考え合せてそうして建物にして行くということは、これはもう経験の豊かな、そうして今までのいろいろな手の揃つておる建設省仕事に移すほうがいいであろうというふうの方向に皆さんの御鷲見が進みましたために、その方法によつて、その方法と申しますのは、結局基本設計作成までは国会側で行い、その実施計画作成、施工、監督は国会の意向を十分織込む建前の下にこれを建設省に依頼する方法がよろしい、まあこういうことにきまりました。これがその協議会できまりましたので、図書館といたしましてはこの方向沿つて今後の手続を進めたいもの一考えております。それが第一の議決でございます。  次に第二の議決といたしましては、図雲館建築が具体的になつて行きますと、結局技術士の問題がどんどん出て来るのでありまして、その技術上の問題について遺憾なきを期しまするためには、主として技術的な経験知識にたけておらるる方によつて小委員会を設ける必要があるというのであります。勿論外に作るわけではございませんので、この協議会の中におきまして小委員会作つて、特定の問題について協議を進め得るようにあらかじめ協議しておこうと、こういうことでございまして、それも議決をせられました。  それから次に第三の問題になるのでありまするが、図書館基本設計は、もとより現にある図書館側技術者が工夫を凝らすことでありまするけれども、併しこれが実際問題になつて行く前に広く世の中の人に見てもらうほうがいいではないかという考えから、こういう国家的な建築につきまして成るべく世間からして良案を得ることが民主的な方法であると考えられまして、広く一般からいわゆる感官、募集の途を用いることにしたいというふうの御意見にまとまりましたわけであります。その御意見が一応まとまりましたから、これを実際それじやどうしてやつて行くかということになりまして、それは又先に述べました主として技術を担任せらるる方々の小委員会で準備を願うと、こういうふうに協議会協議の結果が出ましたわけであります。  以上御報告申上げます。
  5. 野本品吉

    理事野本品吉君) それでは先ず国立国会図書館PBリポート利用料金に関する規程(案)を議題といたします。金森図書館長からの御説明を願います。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) かねがね申上げておりましたように、PBリポートという一組のリポート資料図書館で入手いたしまして、今年からこれを利用に供するという方針を立てました。まだ全部着きません。一部分だけが到着しておりますが、それを公開いたしまして、今までも或る期間は事実上一般の人に見てもらい、それから今月の初めからは正式に一般の人に見てもらう、こういう方法をとつておりまするが、ここに問題が起りましたのは、このPBリポートは、これを入手するに非常に特別な経費がかかつておりまするし、これを一般閲覧に供しまするについても、誠に物が物で、つまり原則としては写真フイルム機械にかけて見るということでもありまするし、相当手数がかかるわけであります。それから又或る見解によりますると、これは比較的少数の人の経済的利益等になると察せられるのであり、つまり利用せらるる人が少数であつて而もそこに経済的な利益が伴つておると、まあこういうような点もございするので、いろいろ考えてみましたが、図書館自身としては余り手数料使用料というものは一般的には取りたくないのです。ただ併しそれがために特別に経費を要するとか、一部分利せられるとかいうことがございますると、国費を節約する関係から極く僅かの手数料を取るということは、結果においては止むを得ないことではないかということの考えを持ちまして、そこで今日お手許に出しておりまするこの利用料金に関しまする規程案を作りました。  この考え方によりますると、このPBリポート利用せらるる人は、原則といたしましては閲覧をする際に一人一回五十円の料金を納めてもらう。それからそのPBリポート写真によつて複製してもらいたいという希望を持たるる方は、写真複製料のほかにそれを依頼するための手数料として一件について十円だけを納めてもらう、これが案の骨子であります。併しこのPBリポートを使う人は学問のために使う人もありましようし、或いは又官庁の人がこれを使うという場面もございましよう。従つて料金を取ることが不適当なる場合もあるのでありますから、それについて特例を設けまして、無料利用制度考えておるのであります。それは第三条に掲げてありますように一号、二号、三号に掲げてある人は無料である、こういうふうの研究を遂げたのであります。これはこの図書館ができましたときから幾分私どもの頭の中に雲のようにかかつておつた疑問があつたのであります。それは図書館については一般料金を取れという希望でありましたが、私どもそれを希望する理窟は決してございませんけれども、併し国家の手足は広いものでございますから、料金は取つたらよかろうというような気持が流れておりましたが、今日までは一般利用については取つておりません。今回の場合は、PBリポートという特殊な性質を持つておるものだけ料金を取るということでこの案を作つたわけであります。  以上概略御説明申上げました。どうぞ御審査をお願いいたしたいと思います。
  7. 野本品吉

    理事野本品吉君) 只今館長から御説明がございましたが、この規程案につきまして御質問なり御意見なりがございましたならばお願いいたしたいと思います。なお、本日は羽仁議員から委員外発言を許可されたい旨の御希望がございますが、これを許可することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 野本品吉

    理事野本品吉君) 異議ないものと認めます。それではさよう決定たします。じや羽仁さんどうぞ。
  9. 羽仁五郎

    委員外議員羽仁五郎君) 只今PBリポート利用料金に関する規程について館長に御意見伺つておきたいと思いますが、その第一は、一般的に国の施設国民利用する場合に料金を取るということが好ましものでありましようか、或いは好ましくないものでありましようか、その点について憲法などとの関係から特に館長の高邁な御意見伺つておきたいと思うのであります。  それから第二には、続けて伺つておきたいと思いますが、仮にPBリポート利用について、その性質只今説明の御趣旨のような意味で特に料金を取るということでありますと、この一回の料金が余りに安過ぎるのではないか、意味をなさないのじやないか、こういう程度料金であつたならば取らないほうがすつきりしておるのじやないかと思うのですが、この程度料金で、先ほどおつしやいましたような御趣旨ですね、つまりPBリポートの購入に国が相当費用をかけた、そうして又そのPBリポートが経済的な利益を伴つておるというような点、そうして特にこの際、他の場合には料金は取らないけれども、この際取るというような意味から、この程度料金で大体どれくらいの一面からいうと収入になるというふうにお見通しでございますか、又他面かち言うと、この制度によつてどの程度何といいますか、プライベートの利益というものが国に返されるというようにお考えになつておられましようか、以上二点についてお伺いいたします。  殊に第一の点については、まあやはりこれは図書館の場合でも特にこのPBリポートだけ除外的、例外的になされようというあれでしたけれども、先ほど御説明の場合にも、一般的に料金を取つてもいいじやないかという御意見があるようにも伺つてつたのですが、私の今まで了解して来たところでは、成るべく料金は取らない、国の施設は成るべく料金を取らないということがいいのじやないかというふうな感じがしておつたのです。それからまあ各国の図書館などの場合にも無料ということが原則じやないか知らんというようにも思いますのですが、或いは私の考え方が間違つておるかも知れないので、特に我々ぶ憲法というものを考えたりする関係から、料金を取るということが差支えないものであるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  10. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この図書館のような公共施設につきましては使用料を取らないことが好ましいということは私の確信しておるところであります。日本図書館も今までたびたび料金を取れという要求を或る種の面から言われておりましたけれども、私は図書館に関する限りでは取らないという線を堅持しておりました。ところが博物館が国の施設でありましても若干料金を取つておるのでありまして、これなど図書館と比べましてどこに差があると考えていいのかということは一応疑問にしておりますけれども、併しそれを突き詰めて結論をつけるほどのまだ機会は持つておりませんです。そういうふうにして料金を取らないという方針をきめて来ましたが、併し私ども一人だけで仕事をしておるわけじやございませんので、国の制度になればいろいろ各方面の助言やら批判やらを受けておるのでありまして、この問題をどうして押切つて行くかということについては相当今まで苦慮しておりました。そこで今までの例でも、非常に特別なもの、普通の利用方法と違いまして特別なものについては、これは釣り合いの面からいつてつていいのじやないかという議論は起つておりました。そのうちまだ本当に実行しておりませんけれども、例えばレコードで音楽を復元するというような場合には、これは手数もかかりまするし、危険……危険といいますか、物のこわれるような危険もございまするので、これを何とかしなければならんということは、それは考えておりました。けれどもまだ今日そのレコード公開使用を認めておりませんので、問題が解決せずにそのまままあ手加減で適当にやつておるという段階であります。  ところが今度このPBリポートをやるときに至りまして、又その問題が外部より持つて来られたのでありまして、これは外部より問題を持つて来られたにしても解決は私どもの責任ですから、自分考えできめなければなりませんが、その実頗るみずから迷うところが多いのであります。ただ併し実際機械を設置いたしまして、そうして個々にフイルムを出して当てはめるというところを見ますと、あのフイルムというものは操作の面倒なものでありまして、これを格納いたしますにも鋼鉄のケースも要りますし、それから十万五百点という数の中から或いは番号によつて出すというのも、普通の書物とは大分扱いが違いますし、第一電気が要るし、それから機械もきつとどこかときどき故障を起すようになる。こうなるというと、こういう特殊な利用をするものは或る程度つてもいいのじやないかと、こういう気持になつて来たわけせあります。ところが実際やつてみますと、そういうフィルムで見るとは必ずしも限るわけでもありませんので、中にはフオトスタットでできておるものもある。これは目で見られるのであります。一々一人の人が来たときにフオトスタツトとフイルムの両方を見るというような面倒な計算をするわけに行きませんものですから、これは一つPBというものに限つて行こうという方針をきめまして、先ほど利益が特にその人に帰属するからという……実はこれはどうも私は本当はわからんのでありまして、本を読んだから利益が出た、だから図書館に金を出せという理窟はどうもわからんのですが、わからんことをここに持ち出してお叱りを受けるということは甚だ気が誉めるのですが、こういうものはやはり常識的に自分で買うべきやつを国家で買つてもらつたのだから、こういうことに余り深く立入らないで、少しぐらいこの際取つて、この範囲を拡張しないで行こう、こういう方針を立てたわけであります。  ところが今おつしやつたように、これで幾らの金が入るかというと、それはものの数にもならん。私ども予算では、そこに必要な特別な雑費の一部がカバーせられるだけじやないかと思います。どのくらい人が来るかということは、今のところわかりませんけれども日本人の学問程度、興味のありどころというものを察しまして、そんなに人が来るわけはございませんので、マイクロフイルムリーダー差当り十台備えておりますが、これだけで仮に仕事ができるとして、一つリーダーを三人が代るがわる見ることにして三十人しか使えません。それを五十円取つても大したことはございませんのです。併し何かその中に極く常識的ですけれども、併し国民に対する関係で、こういう人たちは少しは手数料払つてもいいのじやないか、こういう気持でこの案ができたわけでありまして、非常に突き詰めて理論的に行くと幾多の疑惑があるわけでありますが、大体の常識ということできまつておりますけれども憲法の目で見てどうかということになりますけれども、これはまあ特殊の手数のかかるものの使用料は特別な人が利益を受けるものだから、憲法のほうは支障はないと思いますけれども、こういうものが拡つて行くのは非常にいやなのでして、ちよつと言いにくいのですけれども、相当内部で抵抗をしたのでありますけれども、いろいろ考えるところがあつて、ここに落着いたわけであります。
  11. 羽仁五郎

    委員外議員羽仁五郎君) 只今の御説明でよく了解することができたのですが、いま一つ伺つておきたいのは、やはりどういう方面から料金を取れというふうな御意見があるのかは、館長は慎重におつしやつているので、よく想像ができないのですが、他面料金を取るなという、取るべきでないという意見を持つておられる面もあるのじやないかと思うのです。その中でもやはり恐らく新聞その他言論機関はそういう問題に対してはやはりかなり敏感であるのじやないか。従つて折角国立国会図書館言論機関から相当の支援を受けておられる際に、殆んど実際上大した効果も挙らないものであるような金で、それで国立国会図書館が何か無料金主義から料金主義に変つたような誤解を与えるということも残念のような気がするのでありますが、今の館長の御説明についてもう一遍伺つておきたいのは、第一には館長は、国立国会図書館原則的に無料であるべきだというお考えだというふうに伺つておりますが、それでよろしいですか。  それから第二に、このPBリポートの場合は従つて除外例的なものである。而もこの規程が果して妥当なりや否やについて館長自身としても問題なしとしないというふうにお考えになつておるか。以上二つは、そういうふうに了解してよろしうございますかという質問です。  それから第三は、こういうものをお取りになる上に、特に言論機関などの批判などというものを十分にお考えの上立案されたのかどうかということであります。
  12. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 初めの二つはその通りと、こう申上げるよりほかにしようございません。  それから言論機関相談いたしたかという面も、実は相談しておりません。これは本当に内部関係で、これはもつと砕いてものを申上げるときになれば、それは申上げる途もございますけれども、実際大局を察してこういう途をとることが先ずいろいろな意味で無事だ、こういうところへ行つたのでありまして、言論機関までには相談をしたことはございません。  ただ、それに関連することでありますが、日本図書館そのもの、つまり国会図書館でなくして、日本図書館そのものの中に料金を取れという一つの空気もあるようで、而も図書館を動かしておる人の側にその気持があるようでございまして、この問題は非常にうるさい問題でして、成るべく刺激を与えないで、のつぴきならん部分だけをなしくずしに行うとか、こういう考えで来ているのです。先ほどちよつと口がすべつてといいまするか、これで儲ける人がどこかで儲けるから、こういうことをちよつと申しましたが、それは余り強い意味でお聞き取り願わないほうがいいのであつて、私ども今後いろいろなこのPBリポートに似たようなことをやつて行く面もあろうと思いますけれども、成るべく取らないで行くという趣旨だ。この場合少し虫休めになりますのは、これで儲かる人もありましようからまあこのくらいはよかろう、そういう消極的な意味一つお聞き取り願います。
  13. 野本品吉

    理事野本品吉君) ほかに御発言ございませんですか。
  14. 羽仁五郎

    委員外議員羽仁五郎君) 八木先生意見如何でしようか。
  15. 八木秀次

    八木秀次君 別段そう深刻な問題とは感じておりません。
  16. 羽仁五郎

    委員外議員羽仁五郎君) たびたび発言して恐縮ですが、これは最後に一言だけ委員外議員としての希望なんですが、国立国会図書館いろいろな困難を持つておられ、而も新らしく充実せられなければならないことについての各方面の理解を得られなければならないということについて、その点について館長は非常に苦心しておられることは私もよくお察し申上げるのですが、他面国立国会図書館全国図書館に対してその基準を与え、或いはその基準を与えるというのは少し言い過ぎかも知れませんが、どうしても模範的な地位におられる。従つて国立国会図書館がなされることは、場合によると全国図書館にも影響なしとしないという点もあるのじやないか。それから或る部分的な問題についての解決方法ということから原則的な点にだんだんひびが入つて来るというふうなこともあるのじやないか。館長の御説明の中にも、一面から言うと、まあこういうふうにして行くことが国会図書館全体の運営の上に有利であるというお考えと、それからもう一つは、こういうことをすることがどうであろうかという点とあるのじやないかと思うのです。それでこれは図書館運営委員各位並びに委員長委員外議員としてお願いしたい、こういうふうに思うのです。館長にもその点をお願いしたいのですが、何かもう少し研究の結果結論が出たほうがいいように以上の二点から思うのでありますが……。以上で私の発言を終ります。
  17. 野本品吉

    理事野本品吉君) ほかに御発言ございませんでしようか。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ちよつと速記をとめて下さい。
  19. 野本品吉

    理事野本品吉君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  20. 野本品吉

    理事野本品吉君) 速記を始めて。それでは本件に関しまする採決は後刻へ廻しまして、次の昭和二十九年度の国会図書館予算概算要求に関する件を議題といたします。  先ず金森館長から御説明をお願いいたします。
  21. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 毎年丁度今頃になりますると予算概算大蔵省へ出しまして、そして予算についての考慮を求めるという時期でございますので、図書館側といたしましても今回予算概算要求を出したわけであります。これは本当に正式に国会側から大蔵省に提出する、こういう段階ではございませんけれども、事実上の意味を強く含んでおるものであります。  そこで本年出しましたのは、この印刷物に出ておりまするように、二十九年度の予算概算として十五億四千八百十九万円というものを計上いたしております。ちよつと見ますると非常に大きな額のように見えまするけれども一つ一つ相当搾つて出したものでございまして、成るべくこれに当るような予算がまとまることを実は期待をしております。  これを事項別に分けて申上げますると二つになりまして、一つは、国立国会図書館管理運営に必要なる経費七億八千九十万一千円であります。一つ営繕工事に必要なる経費でありまして七億六千七百二十八万九千円でございまして、今年度の予算に比べますると四億三千七百七十一万九千円及び六億八千百五十一万五千円、いずれも相当増額されております。合算いたしますると十一億一千九百二十三万四千円を増額するという形になるのであります。  そこで中に入りまして御説明を申上げまするが、新しく要求しておりまする項目は大きく言えば三つあります。先ず第一が調査立法考査業務拡充であります。これはかねがね御説明をいたした機会もございまするが、調査立法考査局を中心にいたしまして広く立法考査仕事を充実しようというところが眼目でありまして、調査員司書等九十名を増員いたしまして、且つ又立法考査に必要な書物その他の資料、それを収集いたしまして、調査力を増強して、立法考査業務拡充を図ろうというのが狙いどころでございまして、前年度に比しまして七千二百万円余の増額を要求しております。  それから第二は、図書館の本建築に要する経費でありまするが、これもかねがねいろいろな機会に御説明を申上げておりました通りに本建築一万五千坪の中の先ず八千坪、これから三ヵ年で完成をするという目途を以ちまして、その工事費昭和二十九年度分の年度割りを六億一百八十万円を計上しております。で、これは図書館といたしましては非常に強い眼目として考えているところであります。  それから第三は、PBリポート閲覧拡充に関するものであります。PBリポートとは申しますが、そのほかの学術資料の一部をも含んでいるのでありますが、これは本年度予算で修正追加せられました予算趣旨拡充し、完成しようという趣旨でございまして、今までPBリポート関係のものは東京に備えておきました。読みたい者は東京においでなさい、こういう立場であつたわけであります。でございまするが、どうも材料の数量の関係から一ヵ所に置くということは止むを得なかつたのであります。ところがだんだん希望者も多くなりまして、東京に来て調査をすることは困難であるから、関西地区においてもその場で利用のできるような便宜を図るがよろしい、こういう空気が湧き起りまして、そこでPBリポートを関西地方に一組持つて行こうという計画ができ、今年予算にそれが計上せられております。ところが今年の予算だけではまだそれだけのことはできません。まだ残つているものもございまするので、そのPBリポート資料の複写の残りのものを完成する必要がありまするし、更にその趣旨を拡張いたしまして九州地区にも利用のできるように資料を複写したいという考えがございまして、それらのPBリポート資料を複写いたしますることを中心とする経費が一億二千万円ばかりでございます。そのほかにお手許に配付いたしました説明資料に書いてありますような、図書館運営について差当り起りますいろいろな必要な事項が、ございましてそれの各種の経費の増額要求を計上しております。かなり細かい問題を含んでおりまするので、一応この辺のところで説明を打切りまして、なお詳細につきましては御質問によつてお答えいたしたいと存じます。  以上が説明でございます。
  22. 野本品吉

    理事野本品吉君) それでは只今説明に対する質疑に入ります前に、前に戻りまして、PBリポート利用料金に関する規程に関しまして御相談を進めたいと思います。  徳川委員に申上げますが、先ほどこのことにつきましていろいろ館長から詳細な御説明がございまして、羽仁君から委員外発言がございまして、ほかの方には別段の御発言はございませんでした。何か御意見がございますれば……。ちよつと速記をとあて。    〔速記中止
  23. 野本品吉

    理事野本品吉君) 速記を始めて。それでは別に御発言もございませんようですから、PBリポート利用料金に関する規程案につきまして採決をいたします。御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  24. 野本品吉

    理事野本品吉君) それでは全会一致と認めます。よつて規程案を承認することに決定いたしました。
  25. 野本品吉

    理事野本品吉君) 次に先ほど御説明のございました予算概算要求に関しまして御質問並びに御意見がございましたらばお述べを願いたいと思います。
  26. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この概算要求書は、ただこういうふうな希望だというて出されるだけの概算要求書であつて大蔵省意見図書館のほうの意見とが違つたならば、国会二つのものを出すという段取りのものにまで行かないということなんですか。
  27. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) さようでございます。これは例年の順序に従いましてかような案を出しておらまするが、どうぞ一つ委員会で御了解を願つて、九死一生の場合には御援助を願いたいと、こういう気持を持ちつつこれ自身はまだ漠然たるものであります。
  28. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、こういうふうな概算要求を一応出しておいて、そうして査定されて図書館運営委員としてはどうもそういうふうに削減されては困るというような場合においては改めて更に考慮をして、これだけのものは絶対的に必要だから査定された金額では困る、こういうふうなことも将来においてはなされる意思があるのであるかどうであるか、若し査定されたならば査定されたままで行くというようなことに考えられておるのであるか、そういうふうな点についての心組だけお伺いしたいと思います。
  29. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これはまあ非常にお答えすることもむずかしいのでございますけれども、年々その予算がまとまつて行きまする途中にはいろいろの話の段階があるわけでございまして、これは最初の段階の問題おりますから、一つ一つにはいろいろの持ち味がくつついておるものでありまして、四囲の情勢等によつて最後の決ができるということになり会を通して図書館予算の計上をお願いするという段階が出て来まして、そのときにはつきりした数を持つて来て御議決を願うことになります。まあ将来のことでございますから、どういうふうになるか予想もつきませんが、極めて最悪の場合を考えると、大蔵省予算を削つても、併しこれに私どもは反対をして、予算国会側で御支持を願いたいということを願い出ないという保証はつかんと思つております。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると図書館としてはこれだけのものが必要であるから要求をするんだ、それで最後の査定がある場合においてはそれに承服することができるかできないかは次の委員会にかけて最後の決をとる、併しさつきも申上げたように今のところは絶対的にこれだけのものが必要だと、こう信ずる金額がこの金額だということを承知してもらいたいという今日のお話になつて来るのですね。
  31. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) さようでございます。先ほど御説明を私はちよつと抜かしてしまいましたが、今回図書館で三つの重点を以ちまして、調査立法考査事務というものの拡充一つと、それから建築費というものが一つと、PBリポートに関するものが一つと、こういう三つを申上げましたが、そのうち建築費の問題と調査立法考査業務拡充につきましては、今までたびたび図書館運営委員会に情勢を述べまして、或る程度の御支持を得ておるのでありまするが、これは今後とも格別の御支持を願いたいという気持を持つております。  それから、以上申しまげしたことのほかに、図書館の表芸としては書物でありまして、書物を蓄えなければ本当の図書館の役には立たんのであります。ところが我々の図書館が本当に書物を集め得たかというと、これはもう余り褒められた話ではございませんので、非常に不十分であります。その不十分の中に最も不十分でありますのは、この外国の書物を集めるという点でありまして従来日本がまだ独立をしておりませんときには、外国から物を買うことが非常に不便であつてつてそれで諦めておりましたけれども、今はそうではないのでありまして国際連合のほうの何か調査か何かによりますと、世界で毎年出版せられる価値ある書物が八万書ある、こう言われております。その八万書というものを念頭に置きますと、我々の図書館は一体どれくらいそれを買つておるであろうか、誠に憐むべきものに過ぎませんので、その欠を補いまするためにいろいろ交換をしたり、外国から寄贈を受けたりしておりましたけれども、これとても知れたものであります。現在日本で外国の書物を非常にたくさん自由に読む人は、それは少いかも知れませんけれども、併し少いからといつて図書館が本を蓄えることを怠りますと、後に何も本が手に入らないことになりますので、何とかして外国の書物を相当量図書館に蓄積して行くようにしたいという願望を持つておりまして、そんな意味も含めて今回の予算の中に書物購入の経費を入れております。これが独立前と独立後では少し様子が違つておりまして、違つておりますが、四囲の空気というものは、独立前の空気で今日もまあいいだろうというふうに抑制せられる虞れもあるのでありまして、こういつたところに相当主力を注ぎたいし、又皆様方の御援助を得たいものと実は心の中で思つております。
  32. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 説明資料の第三のPBリポート閲覧拡充ですね、これによつて見ると、人員が十二人で、人件費だけが四百万八千円になつておりますね。それだけの人件費が要るのだが、今可決された、了承された利用料金を取れば、その料金はこの約四百万円の何%くらいに当る御予定ですか。
  33. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これはどのくらいPBリポートを人が使うかという目算がつきませんのでわかりませんが、来年度は極く僅か、約百五、六十万になるというような計数を立てて大蔵省に収入の報告をしようとこう思つておりますが、実際どれくらいになるものであるか、私ども本当に見極めがつきませんので……。
  34. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 百五、六十万というのは百五、六十万円ですね。
  35. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) そうでございます。
  36. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると人件費に対して約三分の一くらいの収入がある、こういうふうなことが言えますね。
  37. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) それはとてもそういうことにはならんと思います。これはもう来年度の極く一部分の仕事の職員でございまして、全体の経費というものはこういうふうの額で計算することはできませんので、ここに書いてありますのは先のことですから、今はつきり具体的には言えませんけれども、私ども考えですと、資料を作りまして、この資料は相当の金がかかりますが……、そうしてそれをどこか適当なところ、つまり関西なり九州なり、この目的に当てられたところに一括して貸付けるという方法をとつて、向うの経費で実は運用をしてもらう途も一つの予想としては含まれております。これは先のことですから何とも言えませんが、そんなことを考えますと、これはただフイルムをこしらえて、それを世話して送り届けたりする程度の費用でございますから、今の経費というものは極く僅かのものです。第一本館に今ありまするPBリポートを買つた費用だけでも当初の予算で六千五百万円頂いておりましてそれがなし崩しにフイルムがだんだん廃物になつて消えて行くものと思いますが、そんなことを考えますと、この利用料というものは閲覧その他の手近なことに特別に要する経費を或る程度負担させる、こういう程度のものだと思つております。
  38. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今の館長説明は僕の質問を誤解している。例えばこの資料第三によれば、人員が十二人というようなことになつて、人件費が四百万八千円となつているが、この人件費の何%ぐらいが利用料で上るかということで、全体の費用の何%ということじやない。それだから百五、六十万円というようなことであれば、人件費の三分の一くらいは利用料で上るかと、こういうような質問なんです。
  39. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) そこのところは、ここに出ております経費は、PBリポートを公開することの経費じやございませんので、今回の増加に関しまする部分の人件費でございますから、それは数学的には割合は取れますけれども、直接関係のないものの割合を取つたことになりそうでございますね、それは……。本当に今PB業務をやつております経費は相当たくさんでございますから、何%か……。
  40. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 どうも質問と答とが違つているのですよ。このPBリポート閲覧拡充に対する説明によれば、PBリポート関係で人員が十二人となつております。要求額がそこに書いてある。その内訳を見れば、人件費が四百万八千円となつているから、別な費用はともかくとして人件費から考えて見れば、拡充費に要するところの金というものは、一方のほうから利用料として取られるのが百五、六十万円あるとしたならば、三分の一に当りますね、こう言うのです。
  41. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) たびたびどうも話を私のほうが誤解しておりまして恐縮いたしましたが、この資料の第三にございまする人件費というのは、PBリポート閲覧拡充するという、増加する部分だけについての費用でありまして、基礎になりますものは、この中に現われていないわけでございます。そうしてそこでただ数字だけを比較いたしますれば百五十万でございますから、その三分の一強が戻つて来るという計算にはなりますけれども、実際の運営は別の数字が動いていると、こういうことを申上げたかつたのであります。
  42. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 僕の言うのは、一方のほうでは新たに収入が百五、六十万円の収入の方途ができた、一方のほうでは新たにこれだけの拡充をしようと思うから、新たなものを双方比較したならば、人件費からだけから見たならば三分の一ぐらいになるんじやないか、そういうふうに考えていいかと、こう質問しているのです。
  43. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) その数字はその通りでございます。
  44. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この原子力関係はどういうふうにやられるのですか、もう少し詳しく説明をお願いします。
  45. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この原子力関係というのは、今年初めて私のほうに与えられた問題でありまして、今まで日本で原子力の研究をするということが、やつてはならんとかやつていいとかいう論議も相当にあつたものと思つております。ただそれがだんだんと問題が熟して来て、原子力を研究する機運が各学会等に起つているように私ども伺い及んでおります。ただ併し私どもの立場としましては、そのほうの要求に応じましてそれでは資料一つ提供しよう、使う人があれば使つて下さるし、使う人がなければこれは止むを得ん。とにかくたくさんな資料を買うことはできないからして一組だけは日本に完全な資料を置いたらどうかというところに着想して私ども計画を立てております。事の起りは私どものほうからできた問題では、ございません。この間の衆議院で予算の修正がございまするときに、私どものほうにこれに該当いたしまする予算の増額が認められたわけであります。そこで予算がきまりましたから今度は私どものほうで如何にしてこの事務をやるかということに研究を進めておりまするが、大体原子力に関しまする資料の数が非常にたくさんあるような気がいたします。というのは私どもの持つております資料では、国際的の、或いは国際連合関係の調査によりますると、非常に部厚な調査資料目録がございまして、これはなかなか勘定はし切れませんけれども、細かい字で作つた目録で、厚さ一寸五分ぐらいあるような書物になつております。それからいま一つ資料の目録を私ども手にしておりますが、これはアメリカの国会図書館が多分毎月一冊ずつ、これはそんなに部の厚いものではございませんけれども、あらゆる資料を網羅した目録を出しております。私どものほうはこの二つを一応研究をいたしましたが、併し立直つて自分たちの立場でどんなふうにして原子力の研究資料を集めるかと言いますと、何しろこういう学問については素人でございまして、大ずかみのことしか考えられませんが、大体原子力の研究というのは危険なるもののみを作るというほうにのみ限定さるものではございませんで、例えば医学に非常に関係をいたしまして医学が十分研究せられていなかつたということが日本の場合でも相当不幸な人を生み出したのではなかろうかと思われます。それから経済の面にも響いて来まするし、国際法の面にも響いて来まするし、そのほか物理学は直接これに響いて来ると思いますが、そういうふうに原子力というものを中心として考えられる各方面の問題を念頭に置きましてそしてそれに必要な資料を集めたいという考えであります。  ただこれがついこの間の議会で予算がきまりまして、その細かい予算上の数字のごときも殆んど今までまだ確定的にはきまつていないような状況でございまするので、まだ深入りした計画までは行つておりませんけれども、大体の方針といたしましてはそういう問題、つまり原子力を中心としてのいろいろな専門家の力を借りまして、それらの人によつて助言をして頂いて書物を集めようという気がしております。書物の数は一体どれぐらいあるかというそれさえもわかりませんで、今までの大ずかみの考え方では約一万二、三千点を買入れよう、そしてこれに対しまする経費は千九百二十万円ぐらいこれに要るだろうというのが今年度の、昭和二十八年度の私どもの現在の考えでございます。併しもう予算を使い得る期間というのも非常に短かくなつておりまするので、世界に手を伸ばして果してこれらの資料が買い得るであろうかということも考えて目下衆智を集めておるわけです。そしてこの予算の中に出て来ておりまするのは、これは今年のではございませんで来年度のものでありまして、ここにありまするように一応の予算の計算は四千冊という狙いを持ち、そして何とか当面の目的に応えて行きたいと思つております。
  46. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今お話で大体わかりましたが、そうするとその資料の四千冊というのは主として外国の本になりますか、内地の本になりますか。
  47. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 私は学問のほうはよくそう通じておりませんが、今まで専門家から聞いたところによると、主として、或いは全部として外国の書物である。かように考えております。而も書物は、我々がこれだけという、この数字は四千冊あるということにしてございますが、実際価値ある原子力の書物がこれだけできておるかというと、多分これは薄い書物、パンフレットに近いもの、或いは雑誌の論文等の中に含まれておるものが多かろうかと思つております。それらの目録等は印刷されたものとしてはかなり国会図書館の中に完備しておりましてまあこれから操作を加えますれば本の摘出ができるように存じております。
  48. 野本品吉

    理事野本品吉君) ほかに御発言ございませんでしようか。
  49. 羽仁五郎

    委員外議員羽仁五郎君) 委員外発言をお許し願いたい。  私の知る限りではこの国会図書館予算に関する基本的な資料がいわゆる予算折衝が行われる前に図書館運営委員会において討議されたということは今回が初めてじやないかというように思うのです。これは国立国会図書館法第二十八条というもの、これに対し我々が忠実であらうとする努力を館長がとられたものとして、私は誠に喜びに堪えない。併し同時に館長国立国会図書館法第二十八条に忠実たらんと注意された蔭にはなかなか容易ならん御意があろうかと思う。先ほど来藤野委員からも御質問があつたのもその点にあるのではないかと思うのです。  私はその点について特に参議院図書館運営委員会にお願いをしたいというふうに思うのでありますが、図書館予算は、国立国会図書館法制定及び図書館が創立せられて以来館長並びに議会図書館運営委員会の努力によつて逐次増加されつつあるとは言え、国立国会図書館の本来の任務を隊行する上においてはまだ極めて不足であることは言うまでもなく御了察して頂いておるところだと思うのです。その一つの例として、特に議会にとつて国会図書館が一番役に立つ調査立法考査業務というものでありますが、これについては図書館のほうからも資料が配付されておりますが、大体現在国会図書館の蔵書はおよそ七十万程度に過ぎないのじやないかと思つております。で、それだけで以ては国会議員が両院において立法活動せられるのに到底不十分たる非難を免かれない。ところが幸いにこの支部図書館の組織というものが国会図書館法の中で確立されておるために、行政各省の図書館国会図書館の支部として、二十四の図書館に恐らく二百万に近いのではないかと思いますが、資料がある。そこで本館ではおよそ七十万或いは六十万程度であるけれども、支部図書館におよそ二百万或いは百七、八十万の図書があるので、初めて両院の国会議員各位から立法関係の調査を依頼せられても、多少その役に立つような調査が遂行されるんじやないかと思う。そうしてみますと、現在支部図書館が、今の比率から申せば本館のおよそ三倍近い図書を持つておるわけです。従つて極く大雑把に考えると、本館のおよそ三倍に近い仕事をしているというふうに考えてもいいと思う。まあ本の数だけから仕事の数を算出するということはできませんけれども一つ基準にはなると思う。そうすれば本館で立法考査関係仕事に使つておるところの費用、それからそれに伴う一般図書館業務に必要な予算というものは、およそ三倍の予算を支部図書館に与えられていなければならないと思う。ところが残念なことに実際は、今まで我々の努力が足りなかつたためにそうなつていない。それで従来は各省の支部図書館に年額僅かに五十万の予算しか最初に配賦されなかつた。而もその後のいろいろな節約措置によつて現在三十万以下になつておる。そうすると二十四の支部がおよそ三十万ずつの予算をもらつて僅かに……その全額を合せましても幾らですか、およそ一千万円程度のものじやないかと思うのです。ところが本館のほうではどのくらいの費用がかかつておるかと言えば、仮に本館が立法考査関係で以てどのくらい今……、この算出もなかなかむずかしいのですけれども、私の概算ではおよそ一億か或いは一億五千、そんな程度じやないかと思う。そうするとその三倍なんですから、本来ならば支部図書館にまあ三億とか四億とかいう予算が行つて然るべきなんです。だからそれを二十四で割れば、各支部図書館が一千万円ぐらいの予算をもらつて仕事をして妥当なんです。一千万円ぐらいの予算が入用なのに五十万円という最初の配賦しか行われない。而もそれが三十万円に現在削られており、私はどうして現在支部図書館の業務が行われておるかということが不思議であると思う。我々国会議員が立法活動する上に欠けてはならないこの支部図書館、何かちよつと調べて頂きたいというのでも我々自身が調べることはできない。この調査立法考査局にお願いし、従つてそこを通じて支部図書館にお願いするわけですが、そうして国会議員としての活動をしておられるわけですが、それをお助けして下さる支部図書館が、まあ概算一千万円ぐらいの金が要るんじやないかと思うのに、五十万、而もそれが今削られ三十万、これは一例でありまして、この支部図書館予算如何に実際に必要な額を割つているか、そのために支部図書館において調査活動に従事している方がどんなに苦しい調査をして、国会議員の立法活動に支障なからしめるために努力しているかということは察するに余りあると思うのであります。これは調査立法考査局及び支部図書館だけでありますけれども、併しこれが国会図書館の最も主なる仕事でありますから、この点から考えましても、今審査要求せられました来年度の予算というものが最低限度であるということ、而もこの最低限度まで割るようであると、恐らく実際に活動する上に理論上許されないような犠牲が要求されるのじやないかというふうに考えるのです。そういう点はすでに本図書館運営委員会においては十分御了察のことだろうと思います。而も九月十日に国立国会図書館連絡調整委員会はその会議を開かれ、慎重審議の結果、国立国会図書館法第十三条によつて勧告をせられることを決定しておられます。その問題は次に御審議に相成ることであると思うのでありますが、そういうこともありまするし、それから過去におきまして調査立法考査局拡充整備の必要についてこの委員会でも決議が行われたという事実も承知しておりますが、そういう意味から、私は何とかして最初に申上げましたように、館長予算査定という上に、従来ありましたところのいろいろな慣習というものを或る意味において脱却せられて、国立国会図書館法第二十八条の精神に思事に、図書館運営委員会にこの予算の審査、館長作成されたる予算の審査を請求しておられることに対して特に参議院の図書館運営委員会がこの館長のそうした新たなる決意というものを十分バツクして頂けることを信じて疑わないのであります。
  50. 野本品吉

    理事野本品吉君) 先ほどの藤野委員からの御質問に対して館長から、この案は明年度予算の当初の原案でございまして、本委員会に対しまして正式に提出せられたものではないというお話がございましたが、館長におきましてもこの予算の確保にできるだけお骨折りを頂きたいと思いますと共に、委員会といたしましても必要に応じましてできるだけ御協力申上げるということで本件についての御相談を打切りたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 野本品吉

    理事野本品吉君) それでは御異議ないものと認めましてさようにいたします。
  52. 野本品吉

    理事野本品吉君) それでは最後に国立国会図書館法第十三条の規定にありまして国立国会図書館連絡調整委員会から昨十日本委員会に提出されました、行政司法各部門支部図書館予算及び人員に関する勧告について御審議をお願いいたします。  館長から委員会の経過並びに勧告の内容につきまして御説明を願います。
  53. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今問題になつております点について図書館側意見を申上げます。  この連絡調整委員会は、或る意味におきましては図書館を監督するような意味も持つているものでございまして、図書館としては受身の形に表面はなつているのであります。そこで正式にはその調整委員会の内容に関知するのではございませんけれども、併し実質的には非常に利害関係の深い立場に立つております。今回連絡調整委員会において御決定になりました二つの項目は第一と第二に分れております。  この二つの項目の第一は、図書館運営の規模と企画の重要性に応じて合理的な予算を配賦し得るよう措置されたきこと、この点でありますが、従来各官庁等にありまする支部図書館はそんなに傷遇せられておりません。従来はその官庁のただ一部分としてのみ見られておつて、特別扱いはされていなかつた。その結果自然軽視されておつたという傾きでありました。国立国会図書館の支部図書館ということに名義がはつきりいたしましても、まあその進歩の程度は漸進的であつて、そんなに飛躍的に進歩するとも言えなかつた。これはよそから見ておりますから真実とは違うかも知れません。従つて各支部図書館の方々は一方ならざる苦心をして順調なる発展をお図り下すつたのであります。ところが今度我々の中央館の立場から見ますると、中央館のたくさんの職務の中におきまして、この支部図書館と連絡して仕事をして行くという」とは非常に重要でありまして、又その行き道が今まで非常に滑らかに行つておりまして、図書館機能はこの方法によつて著しく完備して来たということは言を用いません。そういう貴重な支部図書館に対しまして、我々は何とかしてよき努力をしたいと思つておりまするが、万事必ずしも意のごとくにならないのであります。先ほどお話がありましたように、或るときに各支部図書館には標準的な書物を買入れる費用として五十万円の予算を組んでもらいたいということを大蔵省側に努力をしたことがございまして、それによりまして当初五十万円の図書購入費を中心とする経費が織り込まれておりましたけれども、それとても時代の浪によつて減るほうに向いまして、先ほどもお話があり三したように、三十万円に落されてしまつたというところもございます。さような方法によつて図書館が合理的な活動をし得る理窟はございません。殊に図書館の種類によりましては非常な重要な幅の広い仕事をなさるところもございまするので、それでは工合が悪いということは言を用いません。そこでこの決議の一におきまして「規模と企画の重要性に応じて合理的な予算を配賦しうるよう措置されたきこと」ということは、我々国会図書館本館側としては何よりも希望するところのものであります。で、これがどうして行われるかと言えば、今日のところ各官庁、大蔵省とも、その努力によつてできるものと思いまするので、それに何とかして協力と刺激とを与えて立派な結果を得たいものと思つております。  それからこの二に示されております。るのは、「図書館全蔵書を活用し支部図書館の使命遂行上必要な基礎をかためしめるため、」という理由によりまして、あとのほうに若干の人的改善というようなことが予想してございまするが、これは今日支部図書館というものは実際行つてみますると非常にお気の毒な境遇に置かれておるものが多いのでありまして、本を置く所も不自由であり、中におる人も数が少いというのでありまするが、仕事の分量は恐ろしく殖えて参りまして、図書館利用するという面から言うと有卦に入るとでも言つていいくらいでありましよう。利用者は非常に殖えて来る。又そこに寄託せらるるところの書物も随分殖えて来る。又そこでレフアレンス・サービスをする中身も年々殖えて来るのでありまするが、予算の点、人の点というものはさほどに発達しておりません。その結果一番止むを得ないところに重点をおかるるのでありましよう、幾らか余裕を見得るような仕事はどんどんあとのほうに残されてしまいまして、いわば経営的事務ともいうべき業務の基礎となりまする多くの仕事が甚だしく停頓しまして、折角立派な書物があつても目録にも載らない、本は殆んど自然の運命に任されて埃だらけになつて行く、こんなふうになりておるところが非常に多いのであります。こういうところを何とか適当に援助して立派な業績の挙げられるようにするという方法はいくつも考えられるに相違ございません。各官庁の予算をうんと殖やしてそうして図書館に金を入れてもらう、これがまあ一番簡単な方法であろうと思います。併しいろいろの面を考えますると、できるだけ経済的な面を行かなければならんとなりますると、ここの二にありまするようにもつと簡便な方法をとることが考えられます。ここに掲げてありまするのは、我々の図書館の本館に関係の司書要員を増加いたしまして、これを利用して、一番必要を感ずる支部図書館に機動的にいわば手伝いに行くというような気持で、その支部図書館の基本的業務の改善を援助するということが考えられるのであります。これはまあ非常に意気地のない方法と言えばそうも言えますけれども、併しだんだん専門家が育成されますると、そういう人が機動的にお伝いに行きますれば、行つておる間に従来の停頓したところの書物の整備の事務なんかが補い得まするので、そうやつてお手伝いしておけば、あとは又自然の道順によつて発展する途もあろう、こういうふうの議決であろうと思つております。  その議決につきましては私どももとより賛成でありまして、そういうような方法で努力して、一日も早く今日のいわば受難の支部図書館というものに協力したい、かように考えております。
  54. 野本品吉

    理事野本品吉君) ちよつと速記をやめて。    午後三時四十八分速記中止    —————・—————    午後四時十二分速記開始
  55. 野本品吉

    理事野本品吉君) 速記を始めて下ざい。それでは当委員会といたしましては、勧告趣旨を尊重いたしまして従前の例に従い必要に応じて立法の措置を講じ、或いは各省庁の長に対して要望書を送付するなど、その善後措置をいたして参りたいと思いますが、就きましては支部図書館を所管する各省庁の長官に対しては、支部図書館の充実と発展のため予算の増額について所要の措置をとられたい旨、又本院の関係各常任委員長に対しましては、その所管に属する各省庁の長官に対して、本件について適切な措置をとるよう勧告されたい旨、特に大蔵大臣及び予算委員長に対しましては予算措置につき配慮せられたい旨、それぞれ要望書を送付することにいたしたいと存じますが、なお衆議院の図書館運営委員会におきましても同様の取扱をすることに決定したそうであります。その内容その他につきましては委員長に御一任を願うことにいたしまして、先ほど申上げましたように措置することに御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  56. 野本品吉

    理事野本品吉君) 全員一致と認めます。それでは御賛成の方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     藤野 繁雄     八木 秀次     徳川 頼貞     大谷 瑩潤
  57. 野本品吉

    理事野本品吉君) それでは以上を以ちまして本日の案件は全部終了いたしましたので散会いたします。    午後四時十五分散会