○
政府委員(
瀧本忠男君)
人事院は、去る十月十八日に、国会及び内閣に対しまして、
給与水準の
改訂と、かねて懸案と
なつておりました
給与準則の制定につきまして、併せて同時に
勧告を
行なつた次第でございます。
只今よりその
勧告の要旨を申上げたいと思います。
先ず
給与水準でございまするが、昨年五月の
状況を
基礎といたしまして、
人事院は一万三千五百十五円の
給与水準の
勧告を
行なつたわけでございます。その一万三千五百十五円の中には、現在の電々
公社、それから郵政、印刷、造幣、アルコール、林野という五
現業、これだけを含んでお
つたわけでございます。で、現在は電々
公社はもうすでに
公社と
なつておるわけでありまするし、五
現業はこれ又
公企労法関係で
人事院の所管から抜けておるというわけで、今回の
勧告におきましては、その残りの
一般職につきまして
給与の
改訂について
勧告を
行なつた次第であります。それで、それでは現在
一体残つた一般職の
公務員の
給与水準がどう
なつておるかと申しますれば、お
手許に差出しておりまする
説明資料の十九頁を
御覧願いまするならば、
給与法適用関係者は三月現在におきまして一万三千五百八十七円と
なつておると推定されるのであります。又
公企労法適用関係者は一万一千四百三十二円と
なつておるのであろうと想像されます。両者を併せてみますと一万二千八百七円と、こういう
数字になるのであります。本年三月におきましては、このように
給与法適用者と
公企労法関係者を分けて一応考え得るのであります。更にこの
公企労法適用者の
内訳というところになりますると、これは又なかなか話がむずかしくなりまするので、一応、
公企労法適用関係者は五
現業を一纏めにしてここに
数字を掲げておるわけであります。で、昨年の五月の
勧告においてどう
なつてお
つたであろうかという
数字が我々把握したいのでありまするけれども、電々
公社の
給与体系、
給与水準というものがなかなか把握に困難がございまして、一万三千五百十五円の
内訳というものにつきまして、これを求めることが困難な次第でありますので、その
資料が作り得なか
つたのであります。とに
かく現在におきましては、
給与法適用関係の
一般公務員は、一万三千五百八十七円ということであろうというふうに想像されます。従いまして、今回の
勧告いたしまする
通し号俸並びに
俸給表そのほか各種の
手当の
増額等を図
つたものもありまするが、先ず
本俸、
扶養手当、
勤務地手当という
範囲に限りましてこの
給与水準ということを考えまするならば、これは一万五千四百八十円と
なつておるであろうというふうに考えられます。一万三千五百八十七円という
数字も、同様に、
本俸、
扶養手当、
勤務地手当だけを含むものと一応いたしたのであります。従いまして、一万三千五百八十七円に比べまして、この一万五千四百八十円というのは一三・九%増しに
なつておるわけでありまするし、
実額で申しまするならば、
平均千八百九十三円という
増加に
なつておるというわけであります。尤も一万五千四百八十円というものの中には、
給与準則に切換えまするために必要な財源というものを五十円ばかり含んでおるというわけでございます。
以上のようにいたしまして、概括いたしまするならば、
現行水準よりも約一四%増という
勧告に相成
つております。
その
俸給曲線はどういうふうにや
つて求めたかと申しますると、これは昨年の
勧告の場合と同様に、
民間給与調査並びに
標準生計費から求めておることは勿論でございます。大同小異の
方法をと
つておるわけであります。お
手許に差出しました
資料の十三頁を
御覧願いたいのでございまするが、現在の
給与法におきましては、
通し号俸というものがございます。その
通し号俸に対して
俸給額というものがきま
つておる、この
通し号俸を何遍か折り曲げまして、
職務の級の中の
号俸を定めまして、そうして
俸給表を作り上げておるということは申上げるまでもございません。で、
給与準則におきましても、やはり同様の
方法をとろうと思
つております。即ち
通し号俸制度をそのまま採用いたそうということは考えておるのでございます。ただ現在
職務の級の一号、二号というものはもう事実上使
つておりませんので、これは残しておいても無意味でございますから、今回はこれを省きまして、新
給与準則における
通し号俸の初号は現在の
給与法における
通し号法の三号からこれを始めたい。ただ二つずらしただけでございます。で、今
御覧願つておりまする表の真ん中のところに、
給与準則による新
俸給額が書いてございますが、その中で一番左の欄に書いてございますのが
通し号俸、その次がそれに対応します
俸給月額ということに
なつております。で、この
俸給月額を
現行給与法に対応いたしまする
号俸と比較いたしてみれば、それがどれだけのパーセントに
なつておるかというのを、その
増加率という欄で示してあるわけでございますが、そこを
御覧願いまするならば、最初に一一%、それからずつと一〇%のところが続きまして、九%のところが一応出て参りまして、又一〇%、一一%、一三%、一四%と、ずつと殖えて参りまして、同頁の右の欄に参りますると、新
通し号俸で二十八号、旧
通し号俸で三十
号あたりから一八%というところが始ま
つております。新
通し号俸で三十三号、旧で申しますれば、三十五号までが一八%、これが
増加率の一番多いところであります。それから又漸次減小して参りまして、ずつと参りまして一五%、一四%、一〇%とかいうふうに減少して行き、旧
通し号俸の七十号、新
通し号俸の六十八号くらいまで参りますと、なお一〇%
程度に
なつておる、こういう
状況でございます。即ち、今回作成いたしました新
俸給額、新
俸給の
曲線というものを、
現行のそれに比較いたしまするならば、今言いました一八%
程度のところ、現在の
職務の級でいうならば、六級、七級、八級、新らしい
等級で申しまするならば七
等級、六
等級、五
等級という
あたりであります。その辺が
増加率が非常に高いところでありまして、
上下共に減少しておるという
状況であります。この
俸給曲線を作成いたしまするのに、どういうふうにや
つたかと申しますれば、先ほどから御
説明申上げておりますように、
民間給与調査、これは特に
職務の内容、或いは複雑困難の
度合、
責任の
度合が、
公務の場合と同じような、まあ大体同
程度のものをピツクアツプいたしまして
調査をした、
公務における
ポジシヨンと比較し得るような
ポジシヨンを特に取り出しまして
調査いたしておるというようなことになるわけでありますが、そのような結果、
キイポイントとなるところが、
参考欄に掲げてありまする、飛び飛びの欄に掲げてある
数字でございます。ただ
通し号俸の下のほうは、これは
標準生計費というものを、
通し号俸の五号、現在の
通し号俸で申しまするならば五号に抑えましたために、この辺は若干持ち上げに
なつておるということになるのであります。即ち、昨年の我々の
勧告によりますると、
標準生計費は四千七百円、併しこれは
政府によ
つて百円
増額して四千八百円にいたしましたから、
只今御覧願つております
通し号俸の五号のところは四千八百円に
なつております。これに対応いたしまして、我々は新しい
標準生計費の五千三百円を定めたわけでございます。ここのところを
一つの
ポイントにいたしております。従いまして、
参考欄のところで、五千三百円より
ちよつと右に四千八百四十円という
数字がございますが、これと旧
通し号俸の六と、新なる四号五千四百円と見合うべきでございますが、これは五千四百円が持ち上げに
なつておるというところでございます。それの下は五千八百二十一円、これは五千九百円、これも若干持ち上げに
なつております。それの下の七千八百二十一円
あたりになりますると、これは七千八百円ということに
なつておる。右の欄へ参りまして一万二千六百三十八円というのが一万二千六百円、それから一万六千九百八十円というのが一万七千というふうに、これは新
俸給月額がおおねむ百円の
間差、場合によりましては五十円の
間差もときにあります。これはラウンドにいたしておりますために、前後
俸給間差を余り矛盾をなくするというようないろいろな配慮の下に、若干の操作はございますが、大体そういうふうにいたしまして、この
通し号俸表ができておるということになるのでございます。それで先ほど
御覧になりましたように、まあ、おおむね現在の
職務の級、六級、七級、八級という辺が非常に率が高く
なつているということを申したのでありますが、その
状況は、今
御覧願つております十三頁の二枚後の十五頁のところを
御覧願いますれば、その
関係がはつきりと図示されてございます。
かくのごとく
上下差として問題に
なつておるところでありまするが、今回は旧
通し号俸の三号から始めておりまするから、三号と七十号を新
俸給について比較してみるということをいたしますれば、
現行給与法におきましては十・一倍である。これが新らしい
給与準則案におきましては九・九倍と
なつている、このような次第でございます。これは
民間における
給与の
実情というものが、もうすでに或る一定の落着きを示したのではなかろうかというふうな観察が一応されるわけであります。尤も
民間における
ボーナスの
状況を比べてみますと、これは非常に
上下の
隔差というものがありますが、
俸給額におきましては一応落着くところに落着いておるように見受けられるのであります。
それに関連いたしまして、この
俸給曲線を作る基になりました
民間給与調査のことに触れたのでありますが、その触れた中に
標準生計費の問題を申上げました。この
標準生計費は、五千三百円というものはどうして算定いたしたかと申しまするならば、これは昨年の
方法と大差はございません。即ち、
東京における非
農家の
消費実態というものを一応捉えまして、それから
成年単身者の
平均カロリーを算出するという方途をと
つたのであります。で、これは去年と同様に厚生省でや
つておりまする
国民栄養調査の結果、
東京都における非
農家の一人
当りの
昭和二十七年度における
平均摂取カロリーは千九百五十二
カロリーというふうな
数字に
なつております。昨年、二十六年度はこれが千九百九十五・六
カロリーという
数字であ
つたわけであります。
カロリーが去年より今年のほうが落ちておる。これは
一体どういうことであろうかというので随分研究してみたのでありますが、まあいろいろ理由は考えられますが、先ず第一点として考えられますことは、
国民栄養調査というものが全体
調査でない
抽出調査であります。従いまして、これは当然のこととして或る
程度の
誤差の
範囲を含んでおる。その
誤差の
範囲が十
カロリーや二十
カロリーくらいは当然あり得るのであります。従いまして余り小さい
数字に拘泥することは少しおかしいのではないかというふうに一応考えられます。それから、昨年から、急にとは言えませんが、次第に
外食する機会が非常に多く
なつておる。そのために、これは
調査でありますから
外食のときに的確に書けばよろしいのでありますが、どうもやはり
外食をしたときのことなんかというものは記憶がなか
つたり或いは面倒臭いので書かなか
つたということが、これは自然あり得るかと思うのでありますが、そのために
外食分が若干落ちておるのではなかろうかというようなことが考えられます。従いまして去年は千九百五十五・六
カロリーというものが出ておる。今年は千九百五十二
カロリーというのが出てお
つて、これは去年より少く
なつているということではなかろうかというふうに一応考えられます。一千九百五十二
カロリーというのは、老人、子供、女子、
男子、あらゆる者の一人
当りの
平均でございますから、これから更に
単身成年の
平均に換算いたしますために、
年齢別換算率というものを組合せまして、一人
当りの額を出さなければならん。そのときに、昨年は十八歳から五十歳くらいまでのとに
かく男子の
平均という点に着目して出して来たのであります。そういたしましたら、去年は二千四百七
カロリーであ
つた。併しこれはやはり五十歳までとるということは、
ちよつとやはり問題を研究して見ていいのではなかろうかというので、今年は特にその点を考えまして、十八歳乃至三十歳くらいまでをと
つた。この辺は
カロリーの
消費量が多いのであります。大体において五十歳くらいの人でも
単身男子というものはおるかも知れない。併し我々が目標にします
単身男子というのは
年齢の若い層でありますし、
カロリーを多く消費する層でありますから、おおむね十八歳乃至三十歳
程度のその
平均に換算するような
換算係数を見たのであります。その結果、元の
数字は去年より少いのでありますけれども、去年は一人
当りの
カロリーとしまして二千四百七
カロリーを出したのでありますが、今回は二千四百六十
カロリーという
数字を一応算定いたしました。これを根拠にいたしまして、
マーケツト・バスケツトを組むということをいたしたのであります。そこで、
マーケツト・バスケツトはそういうふうにして組みましたが、それ以外の例えば
被服費でありまするとか、或いは
光熱、
住居費でありますとか、雑費でありまするとか、そういうものはどうや
つて出したかと申しますれば、これは去年と同じような
方法によ
つて出した。即ち、五人
世帯、四人
世帯というふうに、
世帯員数別に、一応
食糧費とか或いは
光熱費、
被服費、
住居費等を分離いたしまして、そういうものの
曲線を出してみる。これは凹凸がございます。それをなめらかにしまして、
一つの
傾向値というものを求める。そういうことを一遍や
つておきまして、そうして本年の三月について、
東京の
消費実態から、仮りに四点何人
世帯というものが出て参ります。そうすると、そこにおける
光熱費がどれくらいであるか、その
曲線の
数字を用いまして
単身世帯の
数字を出せばどうなる、いわゆる
マルテイプロ方式であります。それによ
つて出したわけでありまして、そのようにいたしまして
食糧費以外の費用を算出いたしたのであります。これは大体において昨年と同様の
方法をと
つております。その結果、
東京におきましては、
成年男子として一カ月に六千七十円かかる、こういうことにな
つたのであります。我々が
俸給表を作ります場合に、
勤務地手当の付かない
地域に比べれば、
東京は二割五分付いておるわけであります。それで、
勤務地手当の付かない
地域に直さなければならない。而も手取りとしてこれだけなければいけない。税金その他の掛金を控除いたしましたものがこうならなければならない額を計算いたしまして、
勤務地手当の付かない
地域においてそれの金額がどれだけになるかと計算をしますと、五千三百円、こういうことになります。このようにして五千三百円という
数字を算出いたした次第であります。
で、別の
統計で、
一体、
成年単身者、十八歳者というものの
平均号俸というのをどこに置いたらいいか。これは従来我々は
昭和二十四年の
統計を用いてお
つて、その後においていろいろ変化があ
つたであろうということは考えられます。殊に
新制高等学校を卒業いたしますと、これは十八歳になるのです。というようなことがあ
つて、
制度の上から行けば、
新制高等学校を卒業して入
つて参りますと、例えば
試験を通
つて来れば四級一号、
試験を通らない選考の場合は三級三号というような
号俸になる。そういうところを抑えるのが、一応の理窟が立つのではなかろうかという感じがしておる。而も従来の二級三号というのは、いろいろ動いて来て遂に動かせなく
なつて来ておる従来の
場所であ
つたわけです。今回我々は
公務員の
級別、
号別、
人員分布の
調査をいたしたのでありまするが、その結果によりますると、現在においてもやはり二級三号、
通し号俸で五
号あたりに相当の十八歳者がおるという実状が明らかに
なつた。従いまして二級三号というのは、今回は動かさないということにいたしたわけであります。即ち
通し号俸の五号、新しい
通し号俸で言いますならば三号、
従前と同じ
場所に五千三百円の
標準生計費をあてがうということにいたした次第であります。
次に
期末手当でございまするが、
期末手当は
勤勉手当を一緒に考えるわけでありますが、
民間において、
定期的給与を除いた
不定期給与或いは臨時の
給与と言いますか、
普通ボーナスと称せられておるものが大部分でありますが、それと一応見合わすべき
数字のものではなかろうかというふうに考えるのです。で、その
民間におきまする
手当の
実情を調べましたものが、お
手許に提出してございまする
参考資料の
終いから三枚目の七十四頁というところにございますから、
御覧願いたいと思うのでありますが、大きな
会社なり小さな
会社なり
いろいろ率に違いはございます。それからこれを更に
職種別に分けてみますると、まだまだ開きが大きいのであります。併し、我々は全体としてこの
平均値に着目いたしたのであります。というわけは、フリー・ハンドで我々が
期末手当なり
勤勉手当なりの率をきめることができない。何か寄りどころがなければいけない。ところが性格が、
民間における
ボーナスと、
公務員における
期末手当、
勤勉手当というものは違うのではなかろうか。
民間におきましては
利潤分配というような考え方からこれは成り立ち得るでありましようが、
公務の場合におきましては、
生活補給金或いは将来に対する励みを与えるという
程度のものしか出て来ない。
従つてその中の
隔差というものを直ちに導入することはこれは困難であります。従いまして全体として約二カ月分、二〇四%という
数字が出ておるのでありまするから、これだけに着目しまして、
公務員は上から下までこの
数字ということに着目して、これを六月の〇・五の
期末手当を〇・二五殖やし、それから十二月も〇・二五殖やし、合して一・五とし、
勤勉手当は
従前通り〇・五とする
体系にいたしたら如何なものであろうかというふうに考えた次第であります。
従前、
勤勉手当というものは、名前はそう
なつてお
つても、事実
上成績差等を付すというようなこともなか
つた次第であります。そもそも客観的な
資料に基いて
差等を付すということが去年はむずかしか
つたのであります。こういう
状況に
なつて参りますれば、やはり
勤勉手当というものはその本来の姿を現わすような配分が行われる必要があるのではなかろうかということも考えておる次第であります。そのほかの
手当につきましては、現在の
特別調整額二五%ということに
なつておる。まあここで私がくどくど申上げる必要はないのであります。今回はこれを二〇%最高を落したわけであります。
隔遠地手当と
宿日直手当につきましては、それぞれ
現行の九百円を千八百円に、
現行三百六十円を三百八十円にそれぞれ
増額を図りました。
勤務地手当につきましては、かねて当
委員会においていろいろ御
検討願
つておるのでありますが、
人事院といたしましても、現在直ちに
現行体系のままで是正を図る、或いは新しい
制度に移り変るについてなかなか
結論が出ません。目下十分にこの
検討を急いでおります。まあ今回の
勧告には間に合わなか
つたという次第でございます。それから
扶養手当につきましては、先ほどお
手許に出しております
資料のしまいから二枚目を
御覧になりますれば、おおむね
公務員の現在受けております六百円、四百円の基準というものは、大体まあそのままにしておいてよろしいというような
結論に相成りまして、これは率を動かさなか
つたと、こういうことに相成
つております。
まあ以上が今回の
給与勧告の中の
給与水準変更に伴うものの主なる点でございます。今回はこういう
給与改訂を
給与準則でやろうというわけです。先ほども
ちよつと触れましたが、
給与準則におきましては原則として
通し号俸を使
つております。この
通し号俸は現在の
通し号俸と二号ずれておるという意味から、これは一対一の
関係があ
つて、現在の
給与法の
通し号俸から混乱なしに
関係づけ得る。その
通し号俸を
基礎にして
俸給表を構成しておると、こういうことに
なつております。
新しい
給与準則における
俸給表は、この
職務の
種類に応じまして、
職階制の
分類に即応いたしまして、八
種類の
俸給表といたしております。更に
教育職は三分いたしておりますが、今回の
俸給表は、現在の
俸給表における
職域別の
俸給表に比べまして一層その
職種の特性に応じ得ておるというふうに考える次第であります。即ち
技能職或いは
研究医療職、
教育職それぞれ適応したような
俸給表に
なつております。現在は
職務の級が十五ありますが、この十五の級というものは、これは
職務と
責任に応じた区分であるかのごとくであり、なきかのごとくであり、この運用が分明でございません。併し今回我我が設定いたします七つの
段階というものは、これは飽くまで
職務と
責任の
段階でございまして、はつきりいたすのでございます。現在の
職務の級を十五に出しました
俸給の幅というものは非常に狭い。
昇給速度というものが全
給与体系の中で必ずしも均衡がとれておりませんので、
現行給与法におきましては、直ぐ頭打ちになり、枠外になるというケースが多いのであります。現在におきましても二割五分
程度のものがあるでありましよう。ところが、今回は各
俸給表の
等級に対しましておおむね
従前の
俸給の幅の三割
程度の幅が設けてある。なぜこういう広い幅を設けたのかと申しますれば、現在どの
職務の級かにおる人が新らしい
俸給の
等級に移
つて行くわけでございますが、それが
一体職務の
分類の結果どういうふうに入
つて来るであろうかということを研究して見まして、それからおおむね
俸給の幅というものを見当をつけたのであります。一方、又、
初任給の規定なり或いはその
等級におりまする期間というようなものからも
検討を加えまして、
かくは長い
俸給表の幅にな
つたのであります。これは現在の我が国の
給与の
実情から申しますれば又止むを得ないことであろうかというふうに思
つております。
幾ら職務と
責任の
段階は変りませんでも、年をと
つて参りますれば、家族も殖えて参るでありましようし、それに応じての
生活費の
増嵩ということは当然あるでありましよう。その際に、もう
給与は
増額にならないという
体系は好ましくないのでありまして、
昇給制度の
一つの特長であります職員に刺戟を与えるという面から考慮いたしまして、
一つの
等級におります間に、一般的に申しますならば、おおむねその人が長年その
等級におり得るというような
体系を設立したのでありまして、見方によりましては、今回
人事院のや
つておる
給与準則はインチキではないか、これは
職階制、
職階制とい
つておりながら実は
職務の
段階も少くしてしま
つておるし、
俸給表の幅はやたらに伸ばしておるし、何のことはない、羊頭を掲げて
狗肉を売るというような御非難があるかも知れません。併し我々は現在の
給与水準の下において新しい
職務の観点から
給与体系を作るといたしましても、なお且つその根本に
生活給が確保されておる、こういう条件があ
つて初めてなし得ることでありますから、今回やりましたのは、そういう
むしろ基礎工作であるというふうに考えてもいいかも知れません。若し将来我が国の
給与水準が向上するということがありますれば、今後この
体系において、そういう
制度が大いに
職務給的な要素を帯びて来るかも知れません。併しながら若し
給与水準が上らないとするならば、やはりこういう
体系で行くより仕方がない。まあ
職務給といい、
生活給といい、截然二分し得るものではなかろうというふうに考えますが、そういう意味におきまして、やはり現在日本の
実情に即応したものであろうか、このように考えておる次第でございます。
今回の
給与準則におきましては、
給与の根本法であるという観点からこの法
体系を一応はつきりいたしたものにしたのであります。即ち、従来は
給与の問題がいろいろな法律によ
つて運営されてお
つた、今回はこの
給与準則にすべてを統合いたしまして、そうしてこれが
給与の基本法であるという根拠を一新したつもりであります。尤も
現行給与法の中で、
現行給与を、いろいろ規定されております
給与の中で、止むを得ず本法にその根拠を引きまして残しておるものも二、三ございます。併しそれはやはり将来そういう問題が全体的に考察される場合に、更に
検討さるべき問題と存じます。今回は形の上で一応こういうふうに
一つの
体系に整えた次第であります。即ち、第一章総則におきましては、
給与の基本法としての各種の規定を設け、第二章の
給与という章におきましては、
俸給、
手当或いは
給与の特例
関係を設け、我々は
分類職を対象といたしまして
給与準則というものを作るのでありますが、いわゆる非常勤職員というようなものは、これは現在まだまだ問題が多分に残
つておるわけであります。これは
職階制に基いてきめて行くということはできない問題かも知れません。併しこれはやはり大きな問題でございますので、やはりここに根拠をおきまして、将来こういう非常勤職員の
給与について適正な運営がされる
基礎を確立いたそう、こういうふうに考えておる次第であります。それから
給与準則というものは、これは
国家公務員法でいろいろ要請されておる
給与準則に規定すべき事項等も規定してあるのでありますが、勤務時間或いは休日の
関係とか休暇の
関係でありますとか、およそ
給与と
関係がありますものは
給与準則として設定しなければならない必要条件に
なつておるというわけではないのであるが、併しながらやはり相当
程度関係の深いというふうなものがあるわけなんであります。そういうものをやはり別の法律にごてごていたしますよりも、ここにまとめたほうがよろしいというので、勤務時間、休日とか休暇に関しますものも、
給与に
関係のある面のみを特に取上げまして、ここに取上げた、こういうことに
なつております。附則におきましてはいろいろとこの附則事項を書いておりますが、なお附則に切替規定等を書きまして、全体といたしまして法
体系を整えて、
従前労働基準法等に準用されてお
つてもなかなか法
体系で明らかでないものを盛り込んでおるというふうにいたしたのでありますが、切替規定におきまして
現行給与法との
関係を分明にいたすということに
なつております。
もう
一つ附け加えて申上げたいことは、現在の
給与法におきましては、
人事院規則への委任事項が非常に多いのであります。このために、例えば
人事院規則の九の八或いは九の八の二という細則によりまして、
給与法を相当運営しておるという面があります。これは九の八乃至は九の八の二を理解するということだけでも相当困難です。結局、
現行給与法においても、
俸給表の数は多くはございませんが、
級別資格基準表というものを四十何種に作りまして、
俸給表が四十幾つあるのと同じ、或いはそれに
俸給表の数を掛け合せたものだけあるのと同じような複雑な運営をいたしておるのであります。今回は、この
人事院規則に委任いたしますところは、現在の九の八の二と比べますと、相当
程度簡素化されておる、そういう意味におきましても
給与体系として整備されることになるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
以上、
給与の水準の
改訂並びに
給与準則の制定ということにつきまして大まかな御
説明を申上げたのでございますが、一応これで
説明を終りたいと思います。