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1953-07-20 第16回国会 参議院 人事委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十日(月曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村尾 重雄君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            中川 幸平君            松岡 平市君            溝口 三郎君            岡  三郎君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君   事務局側    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    人事院事務総局    給与局給与第一    課長      尾崎 朝夷君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給与問題に関する調査  の件  (人事院給与勧告に関する件)   —————————————
  2. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 只今より人事委員会を開会いたします。  本日の議題は、国家公務員給与問題に関する調査であります。  先ず一昨十八日に行われました給与ベース等勧告につきまして、人事院当局から御説明を願いたいと思います。
  3. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院は、去る十月十八日に、国会及び内閣に対しまして、給与水準改訂と、かねて懸案となつておりました給与準則の制定につきまして、併せて同時に勧告行なつた次第でございます。只今よりその勧告の要旨を申上げたいと思います。  先ず給与水準でございまするが、昨年五月の状況基礎といたしまして、人事院は一万三千五百十五円の給与水準勧告行なつたわけでございます。その一万三千五百十五円の中には、現在の電々公社、それから郵政、印刷、造幣、アルコール、林野という五現業、これだけを含んでおつたわけでございます。で、現在は電々公社はもうすでに公社なつておるわけでありまするし、五現業はこれ又公企労法関係人事院の所管から抜けておるというわけで、今回の勧告におきましては、その残りの一般職につきまして給与改訂について勧告行なつた次第であります。それで、それでは現在一体残つた一般職公務員給与水準がどうなつておるかと申しますれば、お手許に差出しておりまする説明資料の十九頁を御覧願いまするならば、給与法適用関係者は三月現在におきまして一万三千五百八十七円となつておると推定されるのであります。又公企労法適用関係者は一万一千四百三十二円となつておるのであろうと想像されます。両者を併せてみますと一万二千八百七円と、こういう数字になるのであります。本年三月におきましては、このように給与法適用者公企労法関係者を分けて一応考え得るのであります。更にこの公企労法適用者内訳というところになりますると、これは又なかなか話がむずかしくなりまするので、一応、公企労法適用関係者は五現業を一纏めにしてここに数字を掲げておるわけであります。で、昨年の五月の勧告においてどうなつておつたであろうかという数字が我々把握したいのでありまするけれども、電々公社給与体系給与水準というものがなかなか把握に困難がございまして、一万三千五百十五円の内訳というものにつきまして、これを求めることが困難な次第でありますので、その資料が作り得なかつたのであります。とにかく現在におきましては、給与法適用関係一般公務員は、一万三千五百八十七円ということであろうというふうに想像されます。従いまして、今回の勧告いたしまする通し号俸並びに俸給表そのほか各種の手当増額等を図つたものもありまするが、先ず本俸扶養手当勤務地手当という範囲に限りましてこの給与水準ということを考えまするならば、これは一万五千四百八十円となつておるであろうというふうに考えられます。一万三千五百八十七円という数字も、同様に、本俸扶養手当勤務地手当だけを含むものと一応いたしたのであります。従いまして、一万三千五百八十七円に比べまして、この一万五千四百八十円というのは一三・九%増しになつておるわけでありまするし、実額で申しまするならば、平均千八百九十三円という増加なつておるというわけであります。尤も一万五千四百八十円というものの中には、給与準則に切換えまするために必要な財源というものを五十円ばかり含んでおるというわけでございます。  以上のようにいたしまして、概括いたしまするならば、現行水準よりも約一四%増という勧告に相成つております。  その俸給曲線はどういうふうにやつて求めたかと申しますると、これは昨年の勧告の場合と同様に、民間給与調査並びに標準生計費から求めておることは勿論でございます。大同小異の方法をとつておるわけであります。お手許に差出しました資料の十三頁を御覧願いたいのでございまするが、現在の給与法におきましては、通し号俸というものがございます。その通し号俸に対して俸給額というものがきまつておる、この通し号俸を何遍か折り曲げまして、職務の級の中の号俸を定めまして、そうして俸給表を作り上げておるということは申上げるまでもございません。で、給与準則におきましても、やはり同様の方法をとろうと思つております。即ち通し号俸制度をそのまま採用いたそうということは考えておるのでございます。ただ現在職務の級の一号、二号というものはもう事実上使つておりませんので、これは残しておいても無意味でございますから、今回はこれを省きまして、新給与準則における通し号俸の初号は現在の給与法における通し号法の三号からこれを始めたい。ただ二つずらしただけでございます。で、今御覧願つておりまする表の真ん中のところに、給与準則による新俸給額が書いてございますが、その中で一番左の欄に書いてございますのが通し号俸、その次がそれに対応します俸給月額ということになつております。で、この俸給月額現行給与法に対応いたしまする号俸と比較いたしてみれば、それがどれだけのパーセントになつておるかというのを、その増加率という欄で示してあるわけでございますが、そこを御覧願いまするならば、最初に一一%、それからずつと一〇%のところが続きまして、九%のところが一応出て参りまして、又一〇%、一一%、一三%、一四%と、ずつと殖えて参りまして、同頁の右の欄に参りますると、新通し号俸で二十八号、旧通し号俸で三十号あたりから一八%というところが始まつております。新通し号俸で三十三号、旧で申しますれば、三十五号までが一八%、これが増加率の一番多いところであります。それから又漸次減小して参りまして、ずつと参りまして一五%、一四%、一〇%とかいうふうに減少して行き、旧通し号俸の七十号、新通し号俸の六十八号くらいまで参りますと、なお一〇%程度なつておる、こういう状況でございます。即ち、今回作成いたしました新俸給額、新俸給曲線というものを、現行のそれに比較いたしまするならば、今言いました一八%程度のところ、現在の職務の級でいうならば、六級、七級、八級、新らしい等級で申しまするならば七等級、六等級、五等級というあたりであります。その辺が増加率が非常に高いところでありまして、上下共に減少しておるという状況であります。この俸給曲線を作成いたしまするのに、どういうふうにやつたかと申しますれば、先ほどから御説明申上げておりますように、民間給与調査、これは特に職務の内容、或いは複雑困難の度合責任度合が、公務の場合と同じような、まあ大体同程度のものをピツクアツプいたしまして調査をした、公務におけるポジシヨンと比較し得るようなポジシヨンを特に取り出しまして調査いたしておるというようなことになるわけでありますが、そのような結果、キイポイントとなるところが、参考欄に掲げてありまする、飛び飛びの欄に掲げてある数字でございます。ただ通し号俸の下のほうは、これは標準生計費というものを、通し号俸の五号、現在の通し号俸で申しまするならば五号に抑えましたために、この辺は若干持ち上げになつておるということになるのであります。即ち、昨年の我々の勧告によりますると、標準生計費は四千七百円、併しこれは政府によつて百円増額して四千八百円にいたしましたから、只今御覧願つております通し号俸の五号のところは四千八百円になつております。これに対応いたしまして、我々は新しい標準生計費の五千三百円を定めたわけでございます。ここのところを一つポイントにいたしております。従いまして、参考欄のところで、五千三百円よりちよつと右に四千八百四十円という数字がございますが、これと旧通し号俸の六と、新なる四号五千四百円と見合うべきでございますが、これは五千四百円が持ち上げになつておるというところでございます。それの下は五千八百二十一円、これは五千九百円、これも若干持ち上げになつております。それの下の七千八百二十一円あたりになりますると、これは七千八百円ということになつておる。右の欄へ参りまして一万二千六百三十八円というのが一万二千六百円、それから一万六千九百八十円というのが一万七千というふうに、これは新俸給月額がおおねむ百円の間差、場合によりましては五十円の間差もときにあります。これはラウンドにいたしておりますために、前後俸給間差を余り矛盾をなくするというようないろいろな配慮の下に、若干の操作はございますが、大体そういうふうにいたしまして、この通し号俸表ができておるということになるのでございます。それで先ほど御覧になりましたように、まあ、おおむね現在の職務の級、六級、七級、八級という辺が非常に率が高くなつているということを申したのでありますが、その状況は、今御覧願つております十三頁の二枚後の十五頁のところを御覧願いますれば、その関係がはつきりと図示されてございます。かくのごとく上下差として問題になつておるところでありまするが、今回は旧通し号俸の三号から始めておりまするから、三号と七十号を新俸給について比較してみるということをいたしますれば、現行給与法におきましては十・一倍である。これが新らしい給与準則案におきましては九・九倍となつている、このような次第でございます。これは民間における給与実情というものが、もうすでに或る一定の落着きを示したのではなかろうかというふうな観察が一応されるわけであります。尤も民間におけるボーナス状況を比べてみますと、これは非常に上下隔差というものがありますが、俸給額におきましては一応落着くところに落着いておるように見受けられるのであります。  それに関連いたしまして、この俸給曲線を作る基になりました民間給与調査のことに触れたのでありますが、その触れた中に標準生計費の問題を申上げました。この標準生計費は、五千三百円というものはどうして算定いたしたかと申しまするならば、これは昨年の方法と大差はございません。即ち、東京における非農家消費実態というものを一応捉えまして、それから成年単身者平均カロリーを算出するという方途をとつたのであります。で、これは去年と同様に厚生省でやつておりまする国民栄養調査の結果、東京都における非農家の一人当り昭和二十七年度における平均摂取カロリーは千九百五十二カロリーというふうな数字なつております。昨年、二十六年度はこれが千九百九十五・六カロリーという数字であつたわけであります。カロリーが去年より今年のほうが落ちておる。これは一体どういうことであろうかというので随分研究してみたのでありますが、まあいろいろ理由は考えられますが、先ず第一点として考えられますことは、国民栄養調査というものが全体調査でない抽出調査であります。従いまして、これは当然のこととして或る程度誤差範囲を含んでおる。その誤差範囲が十カロリーや二十カロリーくらいは当然あり得るのであります。従いまして余り小さい数字に拘泥することは少しおかしいのではないかというふうに一応考えられます。それから、昨年から、急にとは言えませんが、次第に外食する機会が非常に多くなつておる。そのために、これは調査でありますから外食のときに的確に書けばよろしいのでありますが、どうもやはり外食をしたときのことなんかというものは記憶がなかつたり或いは面倒臭いので書かなかつたということが、これは自然あり得るかと思うのでありますが、そのために外食分が若干落ちておるのではなかろうかというようなことが考えられます。従いまして去年は千九百五十五・六カロリーというものが出ておる。今年は千九百五十二カロリーというのが出ておつて、これは去年より少くなつているということではなかろうかというふうに一応考えられます。一千九百五十二カロリーというのは、老人、子供、女子、男子、あらゆる者の一人当り平均でございますから、これから更に単身成年平均に換算いたしますために、年齢別換算率というものを組合せまして、一人当りの額を出さなければならん。そのときに、昨年は十八歳から五十歳くらいまでのとにかく男子平均という点に着目して出して来たのであります。そういたしましたら、去年は二千四百七カロリーであつた。併しこれはやはり五十歳までとるということは、ちよつとやはり問題を研究して見ていいのではなかろうかというので、今年は特にその点を考えまして、十八歳乃至三十歳くらいまでをとつた。この辺はカロリー消費量が多いのであります。大体において五十歳くらいの人でも単身男子というものはおるかも知れない。併し我々が目標にします単身男子というのは年齢の若い層でありますし、カロリーを多く消費する層でありますから、おおむね十八歳乃至三十歳程度のその平均に換算するような換算係数を見たのであります。その結果、元の数字は去年より少いのでありますけれども、去年は一人当りカロリーとしまして二千四百七カロリーを出したのでありますが、今回は二千四百六十カロリーという数字を一応算定いたしました。これを根拠にいたしまして、マーケツト・バスケツトを組むということをいたしたのであります。そこで、マーケツト・バスケツトはそういうふうにして組みましたが、それ以外の例えば被服費でありまするとか、或いは光熱住居費でありますとか、雑費でありまするとか、そういうものはどうやつて出したかと申しますれば、これは去年と同じような方法によつて出した。即ち、五人世帯、四人世帯というふうに、世帯員数別に、一応食糧費とか或いは光熱費被服費住居費等を分離いたしまして、そういうものの曲線を出してみる。これは凹凸がございます。それをなめらかにしまして、一つ傾向値というものを求める。そういうことを一遍やつておきまして、そうして本年の三月について、東京消費実態から、仮りに四点何人世帯というものが出て参ります。そうすると、そこにおける光熱費がどれくらいであるか、その曲線数字を用いまして単身世帯数字を出せばどうなる、いわゆるマルテイプロ方式であります。それによつて出したわけでありまして、そのようにいたしまして食糧費以外の費用を算出いたしたのであります。これは大体において昨年と同様の方法をとつております。その結果、東京におきましては、成年男子として一カ月に六千七十円かかる、こういうことになつたのであります。我々が俸給表を作ります場合に、勤務地手当の付かない地域に比べれば、東京は二割五分付いておるわけであります。それで、勤務地手当の付かない地域に直さなければならない。而も手取りとしてこれだけなければいけない。税金その他の掛金を控除いたしましたものがこうならなければならない額を計算いたしまして、勤務地手当の付かない地域においてそれの金額がどれだけになるかと計算をしますと、五千三百円、こういうことになります。このようにして五千三百円という数字を算出いたした次第であります。  で、別の統計で、一体成年単身者、十八歳者というものの平均号俸というのをどこに置いたらいいか。これは従来我々は昭和二十四年の統計を用いておつて、その後においていろいろ変化があつたであろうということは考えられます。殊に新制高等学校を卒業いたしますと、これは十八歳になるのです。というようなことがあつて制度の上から行けば、新制高等学校を卒業して入つて参りますと、例えば試験を通つて来れば四級一号、試験を通らない選考の場合は三級三号というような号俸になる。そういうところを抑えるのが、一応の理窟が立つのではなかろうかという感じがしておる。而も従来の二級三号というのは、いろいろ動いて来て遂に動かせなくなつて来ておる従来の場所であつたわけです。今回我々は公務員級別号別人員分布調査をいたしたのでありまするが、その結果によりますると、現在においてもやはり二級三号、通し号俸で五号あたりに相当の十八歳者がおるという実状が明らかになつた。従いまして二級三号というのは、今回は動かさないということにいたしたわけであります。即ち通し号俸の五号、新しい通し号俸で言いますならば三号、従前と同じ場所に五千三百円の標準生計費をあてがうということにいたした次第であります。  次に期末手当でございまするが、期末手当勤勉手当を一緒に考えるわけでありますが、民間において、定期的給与を除いた不定期給与或いは臨時の給与と言いますか、普通ボーナスと称せられておるものが大部分でありますが、それと一応見合わすべき数字のものではなかろうかというふうに考えるのです。で、その民間におきまする手当実情を調べましたものが、お手許に提出してございまする参考資料終いから三枚目の七十四頁というところにございますから、御覧願いたいと思うのでありますが、大きな会社なり小さな会社なりいろいろ率に違いはございます。それからこれを更に職種別に分けてみますると、まだまだ開きが大きいのであります。併し、我々は全体としてこの平均値に着目いたしたのであります。というわけは、フリー・ハンドで我々が期末手当なり勤勉手当なりの率をきめることができない。何か寄りどころがなければいけない。ところが性格が、民間におけるボーナスと、公務員における期末手当勤勉手当というものは違うのではなかろうか。民間におきましては利潤分配というような考え方からこれは成り立ち得るでありましようが、公務の場合におきましては、生活補給金或いは将来に対する励みを与えるという程度のものしか出て来ない。従つてその中の隔差というものを直ちに導入することはこれは困難であります。従いまして全体として約二カ月分、二〇四%という数字が出ておるのでありまするから、これだけに着目しまして、公務員は上から下までこの数字ということに着目して、これを六月の〇・五の期末手当を〇・二五殖やし、それから十二月も〇・二五殖やし、合して一・五とし、勤勉手当従前通り〇・五とする体系にいたしたら如何なものであろうかというふうに考えた次第であります。従前勤勉手当というものは、名前はそうなつておつても、事実上成績差等を付すというようなこともなかつた次第であります。そもそも客観的な資料に基いて差等を付すということが去年はむずかしかつたのであります。こういう状況なつて参りますれば、やはり勤勉手当というものはその本来の姿を現わすような配分が行われる必要があるのではなかろうかということも考えておる次第であります。そのほかの手当につきましては、現在の特別調整額二五%ということになつておる。まあここで私がくどくど申上げる必要はないのであります。今回はこれを二〇%最高を落したわけであります。隔遠地手当宿日直手当につきましては、それぞれ現行の九百円を千八百円に、現行三百六十円を三百八十円にそれぞれ増額を図りました。勤務地手当につきましては、かねて当委員会においていろいろ御検討つておるのでありますが、人事院といたしましても、現在直ちに現行体系のままで是正を図る、或いは新しい制度に移り変るについてなかなか結論が出ません。目下十分にこの検討を急いでおります。まあ今回の勧告には間に合わなかつたという次第でございます。それから扶養手当につきましては、先ほどお手許に出しております資料のしまいから二枚目を御覧になりますれば、おおむね公務員の現在受けております六百円、四百円の基準というものは、大体まあそのままにしておいてよろしいというような結論に相成りまして、これは率を動かさなかつたと、こういうことに相成つております。  まあ以上が今回の給与勧告の中の給与水準変更に伴うものの主なる点でございます。今回はこういう給与改訂給与準則でやろうというわけです。先ほどもちよつと触れましたが、給与準則におきましては原則として通し号俸を使つております。この通し号俸は現在の通し号俸と二号ずれておるという意味から、これは一対一の関係があつて、現在の給与法通し号俸から混乱なしに関係づけ得る。その通し号俸基礎にして俸給表を構成しておると、こういうことになつております。  新しい給与準則における俸給表は、この職務種類に応じまして、職階制分類に即応いたしまして、八種類俸給表といたしております。更に教育職は三分いたしておりますが、今回の俸給表は、現在の俸給表における職域別俸給表に比べまして一層その職種の特性に応じ得ておるというふうに考える次第であります。即ち技能職或いは研究医療職教育職それぞれ適応したような俸給表なつております。現在は職務の級が十五ありますが、この十五の級というものは、これは職務責任に応じた区分であるかのごとくであり、なきかのごとくであり、この運用が分明でございません。併し今回我我が設定いたします七つの段階というものは、これは飽くまで職務責任段階でございまして、はつきりいたすのでございます。現在の職務の級を十五に出しました俸給の幅というものは非常に狭い。昇給速度というものが全給与体系の中で必ずしも均衡がとれておりませんので、現行給与法におきましては、直ぐ頭打ちになり、枠外になるというケースが多いのであります。現在におきましても二割五分程度のものがあるでありましよう。ところが、今回は各俸給表等級に対しましておおむね従前俸給の幅の三割程度の幅が設けてある。なぜこういう広い幅を設けたのかと申しますれば、現在どの職務の級かにおる人が新らしい俸給等級に移つて行くわけでございますが、それが一体職務分類の結果どういうふうに入つて来るであろうかということを研究して見まして、それからおおむね俸給の幅というものを見当をつけたのであります。一方、又、初任給の規定なり或いはその等級におりまする期間というようなものからも検討を加えまして、かくは長い俸給表の幅になつたのであります。これは現在の我が国の給与実情から申しますれば又止むを得ないことであろうかというふうに思つております。幾ら職務責任段階は変りませんでも、年をとつて参りますれば、家族も殖えて参るでありましようし、それに応じての生活費増嵩ということは当然あるでありましよう。その際に、もう給与増額にならないという体系は好ましくないのでありまして、昇給制度一つの特長であります職員に刺戟を与えるという面から考慮いたしまして、一つ等級におります間に、一般的に申しますならば、おおむねその人が長年その等級におり得るというような体系を設立したのでありまして、見方によりましては、今回人事院のやつておる給与準則はインチキではないか、これは職階制職階制といつておりながら実は職務段階も少くしてしまつておるし、俸給表の幅はやたらに伸ばしておるし、何のことはない、羊頭を掲げて狗肉を売るというような御非難があるかも知れません。併し我々は現在の給与水準の下において新しい職務の観点から給与体系を作るといたしましても、なお且つその根本に生活給が確保されておる、こういう条件があつて初めてなし得ることでありますから、今回やりましたのは、そういうむしろ基礎工作であるというふうに考えてもいいかも知れません。若し将来我が国の給与水準が向上するということがありますれば、今後この体系において、そういう制度が大いに職務給的な要素を帯びて来るかも知れません。併しながら若し給与水準が上らないとするならば、やはりこういう体系で行くより仕方がない。まあ職務給といい、生活給といい、截然二分し得るものではなかろうというふうに考えますが、そういう意味におきまして、やはり現在日本の実情に即応したものであろうか、このように考えておる次第でございます。  今回の給与準則におきましては、給与の根本法であるという観点からこの法体系を一応はつきりいたしたものにしたのであります。即ち、従来は給与の問題がいろいろな法律によつて運営されておつた、今回はこの給与準則にすべてを統合いたしまして、そうしてこれが給与の基本法であるという根拠を一新したつもりであります。尤も現行給与法の中で、現行給与を、いろいろ規定されております給与の中で、止むを得ず本法にその根拠を引きまして残しておるものも二、三ございます。併しそれはやはり将来そういう問題が全体的に考察される場合に、更に検討さるべき問題と存じます。今回は形の上で一応こういうふうに一つ体系に整えた次第であります。即ち、第一章総則におきましては、給与の基本法としての各種の規定を設け、第二章の給与という章におきましては、俸給手当或いは給与の特例関係を設け、我々は分類職を対象といたしまして給与準則というものを作るのでありますが、いわゆる非常勤職員というようなものは、これは現在まだまだ問題が多分に残つておるわけであります。これは職階制に基いてきめて行くということはできない問題かも知れません。併しこれはやはり大きな問題でございますので、やはりここに根拠をおきまして、将来こういう非常勤職員の給与について適正な運営がされる基礎を確立いたそう、こういうふうに考えておる次第であります。それから給与準則というものは、これは国家公務員法でいろいろ要請されておる給与準則に規定すべき事項等も規定してあるのでありますが、勤務時間或いは休日の関係とか休暇の関係でありますとか、およそ給与関係がありますものは給与準則として設定しなければならない必要条件になつておるというわけではないのであるが、併しながらやはり相当程度関係の深いというふうなものがあるわけなんであります。そういうものをやはり別の法律にごてごていたしますよりも、ここにまとめたほうがよろしいというので、勤務時間、休日とか休暇に関しますものも、給与関係のある面のみを特に取上げまして、ここに取上げた、こういうことになつております。附則におきましてはいろいろとこの附則事項を書いておりますが、なお附則に切替規定等を書きまして、全体といたしまして法体系を整えて、従前労働基準法等に準用されておつてもなかなか法体系で明らかでないものを盛り込んでおるというふうにいたしたのでありますが、切替規定におきまして現行給与法との関係を分明にいたすということになつております。  もう一つ附け加えて申上げたいことは、現在の給与法におきましては、人事院規則への委任事項が非常に多いのであります。このために、例えば人事院規則の九の八或いは九の八の二という細則によりまして、給与法を相当運営しておるという面があります。これは九の八乃至は九の八の二を理解するということだけでも相当困難です。結局、現行給与法においても、俸給表の数は多くはございませんが、級別資格基準表というものを四十何種に作りまして、俸給表が四十幾つあるのと同じ、或いはそれに俸給表の数を掛け合せたものだけあるのと同じような複雑な運営をいたしておるのであります。今回は、この人事院規則に委任いたしますところは、現在の九の八の二と比べますと、相当程度簡素化されておる、そういう意味におきましても給与体系として整備されることになるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  以上、給与の水準の改訂並びに給与準則の制定ということにつきまして大まかな御説明を申上げたのでございますが、一応これで説明を終りたいと思います。
  4. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 尾崎朝夷さん、何かこれに補足説明ございませんか。
  5. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 別にございません。
  6. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) この際、只今勧告説明につきまして御質疑のあるかたは御発言を願います。
  7. 千葉信

    ○千葉信君 この勧告の内容等については、いろいろの問題があるようであります。その問題の内容によつては、どうも瀧本さんに御答弁を求めることは無理かと思われる点もかなりありますので、大体そう考えられる点については、あとから総裁がおいでになられてから御質問申上げることにして、先ず第一点として御質問したいのですが、さつき瀧本給与局長の御説明の中で大幅に今度給与の引上げが行われる。一七%乃至一八%というような上昇を示したのは、主として五級職、六級職乃至七級職というふうに、公務員の構成人員もかなり多い階層に重点を置かれたと、これは非常に私はいい方針だと思うのですが、御説明の中に、これは民間給与との対比によつて民間のそれぞれのポイント国家公務員職務の内容に該当すると思われる給与額を参考にしてこういう上昇率を示す結論に至つたという御説明でございましたが、果してそうでございますか。
  8. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御指摘のように、民間給与というものを参考にしておるということは勿論のわけでございまするが、たまたま民間におきましても、このように、やはりこの間の公務員ポジシヨンに相当いたしますような所が比較的上昇しておつたという事実がございます。そういうことでございます。
  9. 千葉信

    ○千葉信君 そうしますと、従来も人事院では、勧告をする場合には、民間給与の状態を調査し、民間におけるそれぞれのポジシヨンに応じて公務員給与を当てはめて考えてあつたはずですが、今の御答弁によりますと、民間給与の状態は、昨年勧告をしました当時の条件とは、かなり今問題になつておる点について相違があつたということになると思うのですが、そう了承して差支えございませんか。
  10. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 大体のところにおきましてはそういうふうに御了承願つて差支えないと思います。ただ職種の選定或いは当該職種に従事いたしております人々の年齢を或る程度幅をつけまして、そうして比較するというような、昨年に比べまして調査方法におきまして数段の工夫を加えておるところもあるのであります。そういうことの結果がこういうところに反映して来たものというふうに考えます。
  11. 千葉信

    ○千葉信君 これは御承知のように、現行給与法の審議に当つてかなり問題になつた点でございまして、そういう点が、期せずして、今度の人事院勧告の中で、民間給与の実態の調査の中から符節を合して改善される段階に至つたことは、これは誠に御同慶に堪えない次第だと思います。そこで問題になりますことは、今の御説明を聞いておりましても、人事院では、昭和二十四年に行なつ公務員給与の実態調査をまだそのまま使つておられて、新しい状態、現在の実情に応ずる的確な資料はお持ちでないようなお話でございましたが、その通りですか。
  12. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 私は先ほどちよつと違うことを申上げたのであります。というのは、昨年まではそういう資料がなかなか得られませんでしたから、昨年までは二十四年の資料を使つたのであります。本年は級別号別人員分布から資料を得まして、その結果から判断をいたしたものでございます。本年は今年の三月現在で行いました調査資料を使いました。
  13. 千葉信

    ○千葉信君 その昨年まで使つていた公務員給与の二十四年度の実態調査、あの程度調査をされたのか、今の級別号別分布状況という調査は、あのときの調査とは内容等でもかなり違つておるし、範囲等でも相当違つておると思うのですが、その点はどうですか。
  14. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 級別号別人員分布調査公務員全体に亘つてつたのでありますが、環境調査のほうは、それをやることができませんので、これはサンプル調査でやつております。併しながら二十四年のときの資料に比較いたしますれば、より的確なものであろうというふうに考えております。
  15. 千葉信

    ○千葉信君 どつちが的確かどうかは別として、そこで問題になつて来ますことは、級別号別人員調査だけで今度の公務員に対する給与改訂勧告がなされているわけですが、一体その場合に問題となることは、公務員の家族の構成の状態が、その年令等によつていろいろな変化が起つておると思いますし、それから又、等級号俸平均の水準にあるものが、一体年齢平均してどれくらいであるか、こういう点については、殆んど、頂いておる資料では想定という恰好で出ておりますが、この想定はどういうやり方で以て出されたのですか。
  16. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今御指摘のような資料も実はあるわけでございます。ただ資料をまとめますのに間に合いませんでしたので、殆んど資料には計算してございませんが、必要に応じまして資料を提出いたしたいと思います。
  17. 千葉信

    ○千葉信君 それから今のお話のありました特別執務手当を二五%から、これはたしか従来人事院規則でやつてつたはずですが、これが今度の給与準則勧告では最高二〇%というふうに抑えて来ておりますが、それはどういう理由によるのですか。
  18. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 俸給特別調整額につきましては、現行一般職給与法の第十条の二の二号に、「前条第二項の規定は、前項の規定による俸給特別調整額について準用する。」ということで、ここに率は書いてございませんが、二五%ということが明示してあるわけであります。で、法律に書いてあることでございますから、我々が変えようと思いまするならば、これはやはり勧告して変えたいということに考える次第でございます。で、なぜ二〇%にするかというお話でございまするが、まあ我々は、この現行法律がきめられましたものは、必ずしも人事院の考えだけというわけではございません。結果において二五%と相成つたわけでございまするが、我々は更に研究いたしてみました結果、この今回の給与準則の案の第二十六条にそのことを書いておるのでありまするが、特別執務手当ということで書いております。この中におきまして、特に御注意願いたいと思いまする点は、「勤務の特殊性に基き、第二十二条、第二十三条及び前条の手当にかえて、」ということを特に書いてあります。これはどういう意味かと申しますと、超過勤務手当、夜間勤務手当宿日直手当に替えてということを特にここに謳つておるのであります。この特別調整額といいますと、どうも本俸と紛らわしいから、これは名前を変えまして、併し、その骨子といたしまするところは、やはり超過勤務手当、夜間勤務手当宿日直手当に替えてでございますから、そういう内容が十分出ていなきやならんものであります。即ち、少くともこういう手当が出るということの根本は、従前そういう人に支給されておつた超過勤務手当なり、これらの手当の実績というものが、やはり一応の目安になるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。そういうふうにいたして参りますると、この二五%という現在のきめ方では、少し説明に苦しい点があるのであります。従いまして、この最高は二〇%程度にいたすのが適当であるという判断に立ちまして、ここに人事院勧告をいたした次第であります。
  19. 千葉信

    ○千葉信君 この特別執務手当をこういう率に切下げた理由の中に、この国会で問題になりました行政費の節約という問題が何かの関連があるのかないのか、その点、如何ですか。
  20. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 行政費の節約のことは私よく知らないのでありまするが、この特別執務手当というものは、絶えず非管理乃至は非監督的職員の超過勤務手当というものとの関連を考えなければならんのじやないかというふうに考える次第であります。で、最高のところはそういうふうにしてきめますが、そのうちの更に何段階かに分けまして率をきめるあたりなつて参りますると、いろいろと工夫して参りたいというふうに思うのであります。併し、それにいたしましても、最高二五%というのは如何にも多いというふうな感じで、二〇%にいたした次第であります。
  21. 千葉信

    ○千葉信君 どうも、この問題に深入りすることは好みませんけれども、併しやはり一応明確にされなければならない点があると思うのですが、確か現行給与法の審議のときに、超過勤務手当に振替わる特別調整額、管理者諸君に対する給与は、これは全体の職員に対する超過勤務手当の支給率の標準を越えない支給額にするという人事院の方針だつたはずです。そして又、明確に人事院当局から私の質問に対してそう答えられているはずなんです。速記録にちやんと載つております。ところが、その後、その超過勤務手当を振替える特別調整額、今度特別執務手当というふうに変えられたようでありまするが、そのときの特別調整額に関する超過勤務手当と振替えの支給額は、人事院の規則で二五%まで支給することができるということに人事院のほうから規則が出されたのです。ところが、これは給与局長だけにここで御答弁を頂くことは無理なことは私もよくわかつておりますが、大体においてその超過勤務手当最高二五%を支給するという最終決定の際には、大蔵省当局のほうから強い意思表示があつて、そういう最終決定になつたということを聞いておりますから、この点については人事院当局の御答弁の如何によつては、私は十分究明しなければならない問題を含んでおるものですから、まあその問題の究明についてはいずれ席も改めて新らしくいたしたいと思いまするが、果して人事院側の規則を出しまする当時、そういう状態が人事院規則を出す場合にあつたのか、なかつたのか、この点だけでも今日は承わつておきたいと思います。御答弁によつては大蔵省当局の責任者を呼んで私は聞かなければならない点だと思うのです。明らかに国会に対する答弁と食い違つた人事院規則が出たわけでありますから、この点一つ……。
  22. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今、千葉委員のおつしやいましたことが、十分、私、お言葉の意味が了解できないところがあるのでありますが、従いまして、もう一度お話の趣旨を伺いまして、更に取調べましてお答え申上げたいと思います。ただ人事院規則で、二五%まで出し得るとおつしやるのですが、現在の給与法におきましても、すでにこの特別調整額範囲が二五%と法律できめてあるのでありまして、そこのところ、ちよつとどういうことをおつしやつたのか、ちよつと私、了解できませんので、もう一度重ねてお願いします。
  23. 千葉信

    ○千葉信君 こういうことですよ。特別調整額に対する最高二五%の条文は私も知つておるのです。併し今この特別調整額という名目で超過勤務手当の渡らなかつた理事者に対して、特別調整額という形で、超過勤務に対する支給というやり方が、いくらでありますか。
  24. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 一番おしまいにおつしやつたお言葉は何ですか。幾ら出ておるかとおつしやつたのですか。
  25. 千葉信

    ○千葉信君 ええ。
  26. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 現在の特別調整額といつたものは、この現行給与法の条文の上から読んで見ますと、いわゆる管理監督的な職務の者にそういうものを出すということが書いてあるわけでございます。それで、今、私が申しました特別調整額というものの精神はそういうところにあるのではないかということを申したのでありまするが、それはやはり全体といたしまして、管理者層、管理者群といいますか、そういうものの全体の超過勤務手当というものの平均的な率というようなものを超えるということはおかしいので、その精神はやはりそういうところに狙いをつけるということを申上げたわけでございます。現定といたしましてはこれは一々お前は超過勤務を従来やらなかつたから、やつたから、と個別に細分して行きますことは、これはなかなかむずかしいことでございまするから、大体同じような仕事の忙しさがあるであろうというようなものを捉えまして、そうして、それの段階に分けておる次第でございます。
  27. 千葉信

    ○千葉信君 一体、本省の次官だとか部長とか局長というかたは、どういう程度の超過勤務に該当する程度まで超過勤務手当に該当する給与を支給されておりますか。
  28. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 現行の取りきめによりますと二五%支給されております。
  29. 千葉信

    ○千葉信君 速記録によりますと、そういう措置はとらないということになつておるのですが、その点はどうですか。御承知の通り、超過勤務手当の大体の平均額というものは、公務員全体で一三%なんです。そうして、そういう措置を講ずる場合には、この平均超過勤務手当額を上廻らないような措置をとるという御返事がはつきり速記録に残つておるのですが、如何でございますか。
  30. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) これは的確な資料を後に御覧に入れたいというふうに考えますが、現在におきましてもこの総平均で申しますと大体そういうところに落着いておるように考えております。
  31. 千葉信

    ○千葉信君 まあ、これは罪が給与局長にも人事院にもないようだから、これは改めて別な責任者を一緒にこの委員会においで願つて御質問申上げたいと思います。  それから次にお尋ねしたいことは、これも瀧本さんにお尋ねするのはちよつと無理かと思うのですが、今度の勧告には、いつから改訂しろという時期には全然触れておりませんが、これは一体どういうおつもりで、はつきり期日を明示して勧告されなかつたか。成るほど成るべく速やかにという注文は出ておりますが、成るべく速やかにというような注文では、問題を正確に把握していない人々は、成るべく早くやればいいんだろうというふうに問題を誤解せられる虞れが多分にあると思うのですか、人事院ては、一体、どうして明確に、例えば一万五千四百八十円に切換えられるというようなことで勧告を出しておきながら、その実施の期間がズレたり変つたりすれば、折角人事院が出している一万五千四百八十円というような給与改訂も事実上非常に不利に扱われることになると思うのですが、どうして人事院では、少くともこの人事院勧告は、いつ頃までに切換えられなければならんということをはつきりしなかつたのか。この点を承わりたいと思います。
  32. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ちよつと真正面からの御答弁にならんかと思うのでありますが、この程度でお許し願いたいと思うのであります。人事院勧告は本年三月分の給与について調査を行い、そうして、それを基礎にいたしまして俸給表というものを作成しておるわけであります。最後に、この勧告が成るべく速やかに実施されまするように、国会、内閣で適切な処置をとられますことを希望しておるわけであります。
  33. 千葉信

    ○千葉信君 重ねてお尋ねいたしますが、今度の勧告の主文の五のところに、「本年二月現在におきましておおむね一万三千五百八十七円となつておるが、この金額の実施により、平均千八百九十三円程度増加して、おおむね一万五千四百八十円となる見込みである。」ここまではいいと思うのです。ところがそのあとのほうが、成るべく速やかに実施されるようにということになりますと、この勧告の五の主文は崩れているじやないか。それはどうしてかといいますと、本年の三月現在においては一万三千五百八十七円であるけれども、これが四月、五月、六月と期日がズレて来るに従つてこの額は変るはずなんです。これはもう私が重ねて数字を申上げなくてもおわかりのことだと思うのです。そうすると、基礎になるこの数字が変つて来るとすれば、仮に政府のほうで、これから五カ月なり六カ月なり給与改訂を遅らせる。五カ月や六カ月どころじやない。場合によつては八カ月も九カ月も遅れてやるのが政府の従来のやり方なんです。そうなりますと、政府のほうではここにある一万五千四百八十円という数字だけを考えて、その改訂のズレのために公務員諸君のこうむる不利益に対しては全然これを問題にしないのです。これは人事院も十分政府の従来のやり方で御承知なんです。そういう不利益を起させないためにも、一体この給与改訂人事院勧告通り一万三千五百八十七円から一万五千四百八十円に引上げられた、平均いたしまして千八百九十三円上がるのだという、この給与の引上げが基準になつている三月若しくは四月に改訂されなければこの条件が整わないはずなんです。そういうことを十分今までの経験で腐るほど知つている人事院が、なぜそのあとにもつて来て成るべく速かになどというこの勧告をなされたのか。これは給与局長にお尋ねしても無理かと思うのですが、何かこの点については理由があるのですか。
  34. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) なお又、私が申し上げますると、十分な答えでないというようなことになる懸念があるかも知れませんが、私として一言申上げたいと思いますことは、こういうことを的確に言い得なかつた一つの点は、今回給与準則を適用して行かなければならん。これにはまあ三月まで遡つてやるということが事実上困難な点がありはせんだろうかという点が一点と、それから人事院は一万五千四百八十円という数字が、これが主要な点ではないのでありまして、あとに書いておりますように、通し号俸ですね。この俸給表、それから各俸給表の構成の数字でございますが、そういうものが非常に重要であろうかと思うのであります。そういたしますれば、三月現在においてこの俸給表を適用いたしまして平均を出して見ますれば、一万五千四百八十円になるでありましようし、又、例えば定期昇給の時期を過ぎました後に、この俸給表を適用いたしてみますると、又異つた数字が出るのではなかろうかと、まあ、このように考えております。
  35. 千葉信

    ○千葉信君 あとの問題については、人事院のこの勧告した俸給表がそのまま適用になれば、あなたのおつしやるように、それでいいと思うのです。併し、これは給与局長はどのように考えておられるか知りませんけれども、私どもの経験からすれば、この俸給表が適用になるということについては、十中八九、恐らく今の政府の態度からいつてあり得ないと思うのです。実際にこれがもうこの通り勧告されれば私はもうそれでいいと思うのですが、それがないという、非常に希望の持てないという条件があるために、私はこの点を問題にしなければいけないと思うのです。で、御承知の通り政府では、従来もやつておりましたけれども、例えば人事院から一万五千四百八十円の勧告が出る、人事院勧告ではこれは三月乃至四月に切替えなければならないという立場に立つてのこういう勧告を出しておる。ところが政府のほうでは一万五千四百八十円に対して又何がしかの減額を行なつて、その減額した水準に合せるように本俸を切替えて来るのです。いつでもそういうふうに政府は出て来ているのです。ですから、この点がやはり問題にされなければならないと思うのです。あなたのおつしやるような恰好に若し政府のほうでこの給与準則に附属している俸給表でやつて来るなら、これは問題は起らない。そうならないから問題なんです。それからもう一つの点は、今の瀧本さんのお話では、給与準則を同時に勧告しておいてこの給与準則を制定するということになれば、従来の単に給与の引上げの問題だけの勧告とは条件が違うから、そのために、いついつかから改訂しろという方針に出ることが困難のために、成るべく速かにという恰好になつたとおつしやいますけれども、それなら、これは給与準則を付けて出したためにみすみす公務員諸君にとつては不利になつてしまつたという結論になると思うのです。この点はどうですか。第二点です。
  36. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 今回勧告いたしましたものは、従前人事院勧告がそのまま通り政府で取上げられないということは誠に遺憾なことでありますが、併しやはりこれは、はつたりも何もないのでありまするから、人事院勧告俸給表数字がそのまま実施されるように一つ特にお願いいたしたいというふうに考える次第でございます。なお、その給与準則とくつ附けたという点で、みすみす損だというお話でございますが、これも特にそのために遅らすというような意図があるわけでは勿論ないのでありまして、給与準則になりますれば俸給表の幅もずつと伸びることでありますし、枠外、頭打ちも解消することでございますので、成るべく我々は、速急とまではこれは言えないまでも、成るべく近い機会にこれを実現して頂くようにお願い申上げたいと思うわけであります。
  37. 千葉信

    ○千葉信君 私はもう、いずれも、これ以上の質問は、やはり給与局長にやることは少し苛酷だと思われますから、私は淺井総裁の御出席があつたときに又御質問いたします。
  38. 岡三郎

    ○岡三郎君 一つ質問しますが、このデータですね、給与勧告説明資料、これは大分時間がかかつたんだが、本当のところを言つてこれの元はいつ頃できたのですか。
  39. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 印刷は……。
  40. 岡三郎

    ○岡三郎君 印刷でなくて、これの元は……。
  41. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 印刷は今朝できたのであります。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 この元は……。
  43. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 元はいろいろと取まとめをしておりましたから、最終にできましたのは土曜の日の午後でございます。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 土曜日の午後に何をやつたか、どういうことを土曜日の午後やつたんですか。
  45. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) とにかくこれの元本が完成いたしましたのが土曜日の午後でございます。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 私の聞いているのは、そういう形式的なことでなくて、勧告するところのいわゆる内容ですね、こういつたものが、そうするというと一年になんなんとして、まあ去年やつたから半年に亘つてこれを作られたといつているけれども、実際問題として、いろいろと資料のとり方があると思うけれども、我々の聞かんとしているのは、いつでも同じことを繰返して来ている。これはまあ、今、千葉委員から言つたように、あなたに質問するということではなくして、これは総裁にすべきが至当かと思うけれども、まあ我々の考えは非常にごまかされて来たという感じが非常に強いわけです。いつでもごまかされて来ている。そういう点で、給与局長として、良心があるならば、こういつた勧告はもつとずつと早くなされて来たのではないかと私は思うのです。私の推測するところ……。そういう点で、総裁の許にこの資料を殆んど大体のものが出されるようになつたのは、いつ頃ですか。
  47. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほどから申上げておりますように、それは原稿等の一部分はそれは一週間くらい前にできたものもあります。併しながら全部の取まとめをいたしまして、これの決議を仰いだのは先週の土曜日だつたということを申上げます。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 私が聞くところは大分食違つているわけです。瀧本さんはなかなか言えないと思うから、これ以上、私もとやかく言いませんが、良心があるならば、資料を作つた給与局全体が今の言葉に果して賛同するかどうか。これは別の言葉で言えば、給与局というものが誠に無能者が揃つているという判定をなされても私は止むを得ないと思う。私の聞くところはそうでなくて、人事院給与局にも相当のエキスパートがいるというように確認しておるのです。そういう建前からいつて、大体の計数ということよりも、殆んどこの資料全部がつとに完成されているということを聞いて、これは大部金庫の中に眠つていたのじやないかというふうにも漏れ承つておるわけです。そういう点で、私は次回に総裁が来たときに、なお詳しく調査して質問したいと思いますが、でき得る限りこういつたものは公務員に対して損害を与えないようなやはり資料の出し方をしてもらわなければ困ると思います。これは計数そのものをどうのこうのということよりも、この資料を今回の衆議院の予算審議に間に合わすように出すことが公務員の利益を図ることの最大なる私は要件ではないかと、こう思うんです。それが、その中の少々の修正がああのこうのといつて、今まで遅らされて来たというのは、耐え難いこれは公務員に対するまあ損害を与えているというふうに私は断定して憚らないと思います。従つて、この資料の出し方は非常に遅かつたために、本国会において公務員給与改正は非常な障害に今突き当つている。而も期末手当の問題にしても、〇・五カ月分だけ増額するということをしばし早めてくれるならば、そういつた点についてどれだけ資料を調製するのにかかるかわからんけれども、これを早めてくれるならば、衆議院の決議も、予算委員会におけるところの〇・二五の問題も、つとに解決しているんじやないかというふうにも考えられるわけであります。そういう点で私は資料の調製その他が非常に遅れておるような今の報告があつたんですが、そうではなくして、私の見解によれば、早期にできているものを政治的に遅らして来たという点を今後とも継続されては堪らないので、十分一つその点は良心に基いて反省してもらいたいと思います。これ以上追及してもしようがないので、今、課長のほうも下を向いてもじもじしていたようだけれども、そういう点について、一つ人事院というものは中立的な立場にあるので、十分今後とも御配慮願いたいと、こういうふうに私は思います。
  49. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 勧告の内容は今日資料を配付して頂きましたが、内容を拝見いたしましてから詳細に御質問申上げたいと思いますが、二、三の点だけ大筋のところをお聞きいたしたいと思います。  今度の勧告が一万五千四百八十円になるんだ、そうして本年三月現在では国家公務員平均のベースが一万三千五百八十七円になつているが、それは電信電話公社が分離されたり、現業職員が分離された結果、残りの国家公務員給与が一万三千五百八十七円になつているということになつておりますが、昨年十一月一日に一万二千八百二十円という公務員給与ベースがきまつたんですが、それが三月現在になりますと、現業職員が抜けたので一万三千五百八十七円というふうに増加しておるのでありますが、そうすると、現業職員や電々公社給与ベースは非常に低いようなふうになるはずだと思いますが、それは今お調べがありますか。
  50. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) お手許に差出しておりまする十九頁にその間の事情を若干表にしたものを提出上ておるのであります。この昨年十一月の切替当時というのがどうもはつきりいたしません。というのは、すでに当時におきましては電々公社はもう設立済みになつております。ところが大蔵省がその切替当時に一万二千八百二十円という数字を言つたんでありますが、そのときの数字の内容には電々公社も入つてつたはずなんであります。従いまして、どうも大蔵省と資料と我々の資料と若干食い違いがございまして的確な比較ができないのでありますが、二十八年の三月一日現在で、まあ電々はどうもよくわかりませんから、これは除きまして、五現業を入れて申しますならば、二十八年三月一日現在では一万二千八百七円ということになります。その五現業、これは各現業によつていろいろ水準が違うわけでありましようが、これを一緒にいたしますと、一万一千四百三十二円ということになりまして、残り公務員が一万三千五百八十七円、こういうことになるのです。尤もこの一万三千五百八十七円の内容は、俸給扶養手当勤務地手当だけでございます。それで公労法適用者がどうも低いのではないか、或いは公社関係が低いのではないか、どうも従来の常識に合わないのじやないかという点がございまするが、併しまあ考えてみますると、五現業というようなもの、まあ例えば郵政等を例にとりましても、現業として出て参りました部分は、おおむね職務の級の低いところから出て参つておりまして、そうして職務の級の上の者はこちらに残つておるという状況がございまするので、若し職務の級の同じ程度のものを比較いたしてみまするならば、現業とそれから一般に残りました公務員とは、或いは公務員のほうが低いかも知れませんが、その構成内容が違いまするために、やはり総平均数字におきましてはこういう数字が出ておるのであろう、こういうふうに推察いたしております。
  51. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 一万五千四百八十円という勧告でございますが、給与べースの勧告をする場合は、CPSとか民間給与の変化に基いて、それを基礎にしてきめて行くというように承わつてつたのでございますが、一万五千四百八十円をきめられるには、CPSとか民間給与基礎にしてこういうものをお出しになつたと思いますが、前に新聞等に拝見していたときには、民間給与の実態調査は三月から五月までの間に実態調査を従来もやつていたんだ、本年も多分私はそうだと思つてつた。そこでそれを三月から五月までのものを実態調査をして、そうしてあと作業をして行くと、従来とも八月の一日頃でないと作業の上からも勧告ができなかつたのであります。そうして五月の一日を基準にして、二十七年も二十八年も、三月から五月の間の実態調査をやつてこうなつたのだから、だから給与は五月一日に遡つて引上げるんだというようなふうに今まではなつておつたのでございますが、給与なりCPSは、一万五千四百八十円というものが出るには、昨年の五月一日からどんなくらいに上つていたのでございますか。
  52. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) CPS或いは毎月勤労統計というような経済指標について申しまするならば、民間企業の毎月勤労統計のこのきまつて支給いたしまする給与、それは昨年の五月に比べましで本年の五月は一四%増になつております。それからこの物価のほうでございまするが、物価のほうは、東京の小売物価は、昨年の五月を基礎にいたしますると、本年は一〇〇・九という数字で、これは余り上つているというふうには申されないというふうに考えるのでございます。それからCPIで見て参りますると、この全都市で、昨年の五月を一〇〇といたしますると、本年の五月は一〇四・七という数字で、これ又CPIのほうは余り上つておるというふうには考えられません。ただ五人世帯の支出金額、東京の五人世帯の支出金額という点を見て参りますると、昨年の五月を一〇〇といたしまして、本年の五月は一二三・四で、二三・四%増しという数字が出ておるわけでございます。で、我々の勧告数字は、CPSなり或いは毎月勤労統計から出すというよりも、先ほど申上げましたように、民間の、公務におけると同様な転務内容を持つ、そういうポジシヨンというものの調査をいたしたわけでございます。本年は調査を実施いたしましたのは四月から五月にかけてではありますが、その調査の対象といたしまして時期は本年三月分の調査でございます。で、御指摘のように今年は非常に大規模な調査をやりましたから、従いましてそれを全部集計をいたすといたしまするならば、これは現在でもまだ恐らく集計が終つていなかつたであろうというふうに考えるのであります。というのは、その事業場につきまして、約五千事業場ぐらいなものを対象にいたしておるのであります。ところが、そういうことを言つておりましたのでは、これは間に合いませんから、従いましてそのうち約三千ぐらいを再抽出いたしまして、実態調査は五万ぐらいやつたのでありますが、集計期間を早めますために、五千のうち三千ぐらいを再抽出いたしまして集計をいたした次第であります。まあそうして間に合わしたつもりでおるわけであります。あとの集計も引続いてやつて来てはおりますが、これはまだちよつと現在のところは出ておりません。
  53. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 昨年の給与ベースが変りまして十一月一日から今年の五月一日までにCPSと民間給与の上昇率はどんな工合になつておりますか。大蔵省ではいつもそういう昨年上つたときからのものをやつておりますから、それもちよつとお伺いしておきたいと思います。
  54. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 計算すれば直ぐできるのでありますが、今数字が間違いますといけませんから、あとで直ぐ差上げます。
  55. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 一万五千四百八十円の平均でございますが、昨年、不合理だということを、私、指摘いたしておりましたのは、四級、五級、六級、七級というような、いわゆる中堅層の中だるみということになる、それが非常に不合理じやないか、そうして四級の者は政府できめました給与ベースでは、標準生計費に対して二割六分不足している。五級の者は三割不足している。六級の者は二割三分五厘不足している。六級は二色ありましたが、もう一つ上のほうは一九%不足している、七級は九%不足している、それが五十二万人くらいの公務員で六十三億は標準生計費を割つているんだ。それを今度は是非直して頂きたいということを我我は要望いたしていたのでございます。そこで先般の新聞に出ておりましたが、三月現在の一万三千五百八十七円に対しては千八百九十三円上げるんだから、約一割二分上げたんだ、そうして五級、六級ぐらいの所の平均は一割三分ぐらい上げて、前に参議院で合理的に改訂しろという趣旨に副うようにおやりになつたというようにも伺つていたのでありますが、その附近の上昇率と平均の上昇率を、凡その概数でよろしうございますが、御説明願いたいと思います。
  56. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) お手許に差上げてあります説明資料のほうをちよつと御覧願いたいと思います。説明資料の中の第七表に、新俸給額現行俸給額との対比をお示しいたしておるのでありまするが、現行俸給と対比されまする号俸の上昇率というものを見て参りますると、現在の号俸で申しますならば、通し号俸の三十号から三十五号くらい、これが最高の上昇率になつておりまして、一八%ということになつております。それからずつと上のほうに参りまして、現行七十号くらいのところに参りますと、ずつと下りまして一〇%程度なつておるのでありますが、この三十号乃至三十五号という辺はこれは現在の職務の級で申しますならば、六級、七級、八級というところに相当いたしております。これは一番高いところであります。更にその辺を中心にいたしまして、六級、五級というあたりがやはり相当の上昇率になつておりまして、先般御指摘の点は、十分これでよろしいというわけには参らないかも知れませんが、大体において応じ得たのじやなかろうかというふうに考えております。先ほど千葉委員から御指摘のあつたように、民間給与調査に合わしてやつたというが、そこのところが特に改善されていないじやないかというお話でありますが、勿論我々は民間給与調査によつてつておるのでありますが、こういう職務内容の人を選びまする際に、特に公務年齢があまり違つてはいけない、職務内容が同じであつても、年齢が違います場合には、これは比較がちよつとむずかしい点がございますので、特に年齢を限定いたしましてとりましたというようなことがございますので、そういうことがやはりこの結果に現われておるのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
  57. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 只今の御説明でよくわかりましたが、一割八分くらいの上昇をみまして、その階級のところの標準生計費を割つているようなことはないのでございますか。
  58. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) この標準生計費の問題も、資料が十分間に合いませんでしたので、このお手許に差出しておりますものにはよく入つておらないのでありますが、その後の計算は近く御提出できると思います。これも、標準生計費というもの、例えば何級何号というふうに抑え得るものではございません。我々の統計の結果によりますると相当の幅がございます。従いまして、どこを抑えて行くかということは、これは非常に問題だろうと思うのでありますが、先ず二人世帯なら二人世帯が何級から何級まで分布している、その平均値はどこであるというような平均値で見て参るということが、ポイントの抑え方としては的確じやないかと思います。従前そういう十分な資料を持つていなかつたのでありますが、今回そういう調査をやつてみますると、大体扶養手当まで考慮に入れまして対比いたしまするならば、大体において間に合つておるということが申上げ得るのじやなかろうかと思います。いずれこの点は表にいたしまして、御覧に入れたいと思います。
  59. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 瀧本さんの御説明よくわかりましたが、今度標準生計費をまとめて御発表になるときは、四級、五級、六級というところの世帯人員、これは二十四年くらいの資料しか前になかつた、その辺を十分関連を見て頂いて、御説明のつくように資料をお作りになるようにお願いいたしたいと思います。  もう一点お伺いいたしたいのでございますが、一応こういう勧告をお出しになつて、政府のほうで、或いは尊重はするけれども財政上止むを得ないからこれを又引下げる。昨年は人事院の一号から七十二号までですか、それをずつと一割平行線で切つたのだというようなことがやられたのですが、今年はどうなるか。財政上の理由からそうなると思いますが、私は標準生活費は絶対に割つてもらつては困るのだ。併し財政上どうしてもこういう平行線で切るということが或いは出るかということを考えるのですが、民間給与を元にして一万五千四百八十円というベースが一応出て来たのですが、そこで一番問題になるのは、民間給与には超過勤務の時間が非常に大きな要素に私はなつていると思う。公務員の超過勤務の時間はおよそ十五時間くらいじやないか。三千カ所でおやりになつ民間給与の実態調査では恐らく超過勤務の時間は三十時間から四十時間になつているのじやないか。そこで基本給と超過勤務手当と合せて生計を維持して行くようなのが民間の実態じやないかと思うのですが、そこで給与の一万五千四百八十円というのは、民間給与に合わしているというが、そのほかに実際に収入になつている超過勤務手当というものが国家公務員のほうが半分以下じやないかと思います。その超過勤務手当という制度を私は是非はつきりすることが、こつちのものと関連して、先ほど千葉委員からお話がありましたが、基本給に対して一割三分くらいの平均つたということですが、あれは私に言わせれば二割五、六分くらいになるのが当り前なので、そこを是非この次に政府のほうと御折衝になる場合に、大きな要素があると思いますから、それの資料も十分整えておいて頂いて、やたらに切つてしまつて、そして超過勤務手当には何ら触れないということのないように私はお願いいたしたいと思うのであります。なお超過勤務のあの時間の算定表なんかも参考になると思います。民間では恐らく一月に百八十二時間くらいでやつているのではないか。そうして国家公務員のやつは、法律で百九十時間働くようになつている。そんな暦は日本にはないのだ。一万五千四百八十円を百九十時間で割つて、その二割五分が一時間の超過勤務の手当になるのだ。そうでなくて一万五千四百八十円を百八十二時間で割つて、そうして、それの二割五分増の手当を出すというのが私は当り前じやないか。あの法律についてはもつと御研究を頂く必要がある。時間も切つてしまつて、そうして基本の金額も切つてある。私は一番問題が残る点がそこにあるのじやないかというような気がいたすのであります。基本給と併せて超過勤務の制度について、時間の点、超過勤務時間、あの法律をどういうふうに将来お取扱いになるかということにつきまして、今日でなくてもよろしいのですが、御研究の上で、この次の機会に御説明頂きたいと思います。  私の質問はこれで終ります。
  60. 千葉信

    ○千葉信君 淺井総裁にお尋ねいたします。  やつと総裁の御努力並びに人事官の諸君の御努力によつて給与改訂勧告が国会の開会中に出て参りましたことは、感謝に堪えない次第です。特に昨年は七月三十一日というギリギリの段階で出されましたのが、今年は七月の十八日に出されましたのですから、この意味では人事院の大きな進歩だというふうに私どもは考える必要があろうかと思いますが、ただ併し、ここで、この勧告を拝見いたしまして、一番昨年の勧告に比べて不思議に思うことは、去年の勧告の場合は、人事院勧告をいつから切換えてもらいたいということを、はつきりその勧告の中に明示されて出されております。二十七年の五月一日現在で切替を行うということを人事院では、はつきり主張しておる。今年は、それが、この勧告では成るべく速かに実施されるようにという形に切替えられておりますが、一体、果して人事院が、こういう態度の変更によつて公務員の利益が侵されることがないとお考えになるかどうか。なぜこういう形式で勧告されたか、先ずこの点を承わりたい。
  61. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答え申上げますが、その勧告の時期の問題は、人事院がこの給与をいたしまして以来、いろいろな方法がありますので、何も書かなかつたこともあります。又成るべく速かにと書いたこともございますし、勧告のときから実施を希望したような表現をとつたこともありますし、又基準となる月からという表現をとつたこともあります。今回は成るべく速かにという表現をとつたのでありますが、これはどうも、これ以上、これ以外には、書き方が勧告書としてはないように思われます。というのは、即ち、今度は給与準則のほうと一緒になつているものですから、給与準則を遡及して実施するということは、どうもこいつはできにくいという理由からであります。それでは公務員のほうが不十分でないかとおつしやれば御尤もでありますが、これはどうも給与準則を一緒にやる関係上、遡つてやるということが困難だからであつたのであります。
  62. 千葉信

    ○千葉信君 そうしますと、若しも成るべく速かに勧告されるという、去年の勧告のやり方と変つたこの勧告のやり方が、現実に公務員の不利益になるということがありました場合には、それは今おつしやるように、人事院として給与改訂勧告給与準則勧告と一緒にしたからそういう不利益な条件になつたのだというふうになるわけですから、そうなりますと、給与準則を一緒にしたということは、明らかに公務員に不利益なやり方になつたという結論になるわけですね。
  63. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 成るべく遠くまで遡らせればそれに越したことはないのでありますが、人事院といたしましては、どうしても、給与準則と同時に勧告をする。つまり給与準則の中に盛つてベースの勧告をしなければならん立場にあるので、そうなつたのでありますが、その給与準則の実施ということは、私は決して公務員の不利益にはなつていないと、こういうふうに考えております。
  64. 千葉信

    ○千葉信君 何と言いくるめて見ても、給与準則を一緒に勧告するという条件のために、去年のように遡つて実施せよということを主張することが無理があるから、成るべく速かに実施されるようにと変えたということであれば、去年五月一日に改訂しろという勧告で、やつとそれで公務員諸君に対する給与改訂が或る程度条件がよく問題が審議されたという点から考えて見ても、今度の場合には、期日も明示していないという条件のために、必ずこれは私どもの考えでは不利益になると思う。不利益になつた場合に、給与改訂と一緒に給与準則勧告をしなければならなかつたという人事院の理由は、私は理由にならないと思う。大体今までも人事院では、いろいろ、例えば恩給法の勧告等でも、もう、とうに勧告しなければならないものを今以て勧告しない。而も今度だけ給与準則勧告給与改訂と一緒に出さなければならないという理由は、理由にならないと思うのです。而もそのやり方が公務員の不利益にはつきりなるということになつたとしたら、これは人事院がもう卒先して公務員の不利益になるような勧告の出し方をしたということになるじやありませんか。
  65. 淺井清

    政府委員(淺井清君) そう仰せられれば御尤もでありますが、昨年人事院が遠く遡らせるような勧告をしたから政府が考えたのではないと私は思つております。人事院勧告があれば、それは成るべく速かにと書こうが、或いはこれを何月に遡らせるとしろと書いてあろうが、それは、当然、政府としては公務員給与改善ということについて考えなければならん、こういう立場にあるように考えております。
  66. 千葉信

    ○千葉信君 どうも淺井総裁は感違いしておられるようだが、給与改訂はこれは政府だけでやるのじやないのです。人事院から政府と国会に勧告が出されて……勿論政府のほうに予算の編成権があつて政府はその予算上の関係からいろいろと考察をして来ますが、最終的にはこれは国会で決定されるのです。ですから、そういう条件から考えますと、仮りに政府のほうから、どういう予算、どういう給与法が提出されても、これは明らかに国会の論議の対象になると思うのです。そうすると、その場合に、国会の論議の過程の中で、若しも人事院勧告に、いついつかから給与改訂を行えという明示がある場合と、ない場合とでは、論議が変つて来るということは、これは淺井さんといえども否定できないだろうと思う。のみならず、こういう条件は淺井さんも御承知だと思うのです。例えば去年の勧告の場合、給与の引上げの問題を通観しましても、人事院のほうからは一万三千五百十五円という給与改訂を五月一日で行うべきであるという勧告を出された。政府はそれに対して臨時国会に、一万二千八百二十円という給与改訂の法律案の提案を行なつて来た。そうすると一般の印象では、人事院勧告政府の当時の提案した法律案との相違は、一万三千五百十五円から一万二千八百二十円を差引いただけが人事院勧告政府の原案との差額だ、この点だけが公務員の不利益に扱われておる数字だというふうに考えられがちなんです。ところが事実上は、更に、一万三千五百十五円と一万二千八百二十円の差額のほかに、五月一日現在から給与改訂の実施されるまでの間の公務員諸君の給与の自然増加というのがプラスされなければならない。プラスされて計算されなければならない。この点は官房長官もはつきり認めておる。こういう点は淺井総裁はどうお考えですか、
  67. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは千葉さんのおつしやる通りなんでありますが、併し私のほうで今度成るべく速かと書きました意味は最前から私ども申上げた通りであります。
  68. 千葉信

    ○千葉信君 どうして淺井総裁は、みすみす公務員の不利益になることがはつきりしておりながら、それでも給与準則を一緒に出さなければならないとお考えになつたのか。
  69. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 給与準則というものが、私は公務員のやはり利益を保護する結果になつておると思います。それで、どうしてもこの際一緒にやることを併せて利益と考えた次第であります。
  70. 千葉信

    ○千葉信君 私は給与準則の制定が公務員の利益になるだろうということについては決して否定しません。否定しませんけれども、給与準則の制定によつて保障される公務員緒君の利益よりも、遥かに給与改訂のほうが具体的じやありませんか。而もその具体的な公務員の利益を幾らかでも、仮に或る程度公務員諸君の利益を保障することができる給与準則であるとは言つても、一緒に出すということによつてみすみす不利益になる条件がこの国会に審議される過程の中から出て来るとしたら、これは淺井さんの立場から言つても、十分考慮する必要があつたのじやないか。従来いろいろ論議された或いは又いろいろお尋ねの場合の質疑応答の中でも、給与準則給与改訂とを一緒にするとかしないとかという考えがいろいろ述べられた、或いは又その問題については甲乙の議論があつたことを、淺井総裁も承知だと思う。それを殊更に一緒に出し、而もそれを理由として成るべく速かになんという、こういう勧告の仕方をしている。そのために公務員の不利益になるとしたら、これは勧告が遅れて批判を受けた問題よりも、もつともつと具体的な公務員の不利益を人事院みずから犯していると言わなければならない。一体、淺井総裁は、もうここまで勧告を出してしまつた以上、これを更に変更するということは無理でしようが、人事院としてはこの勧告給与改訂を、一体、いついつかを基準として改訂せらるべきであるという明確な意思表示をこれからでもされる御意思があるかどうか。これも承わつておきたい。
  71. 淺井清

    政府委員(淺井清君) だんだんと御尤もでありますけれども、人事院といたしましては、給与準則を施行するということは、公務員、殊にずつと下のほうの等級にある人たちの利益ということも大きいのでありますから、それは申上げるまでなく千葉さんも御承知の通りであろうと思いますので、人事院としてはどうしてもこの際給与準則を実施したい、そうなりますれば、これは成るべく速かにこれを実施するというような書き方しか勧告書としては書き方がないように思つております。若しそうでなければ、この際、給与準則勧告しないで、先ず現行法について給与ベースの改訂勧告する以外には手はないのでありまして、そうすれば給与準則も実施できない、こういうことに相成りますから、そこで只今から申上げておるように二つ一緒にした、こういうことであります。
  72. 千葉信

    ○千葉信君 只今私がお尋ね申上げた、人事院としてはこの勧告はいつ現在改訂されることを希望するという態度を表明される御用意があるかないか。
  73. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは申すまでもなく、成るべく速かにということは、結局最も速かに実施して頂きたいと、こういうことでありまするから、私は勧告がありました以上、即刻にもこれが実施できるようにして頂きたいと、こういう意味であることは申すまでもありません。
  74. 千葉信

    ○千葉信君 重ねてお尋ねいたしますが、この給与準則の場合は別として、給与改訂行なつてもらいたいという人事院勧告は、給与改訂の場合には一体いつ現在でお考えになられたのですか。
  75. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは只今申しましたように直ちにでもやつて頂きたい、直ちにという言葉は形容詞でありますが、それは、この国会ならばこの国会で速かにやつて頂きたいという意味には、少しも違いはないわけであります。
  76. 千葉信

    ○千葉信君 淺井さんにお尋ねいたしますが、この勧告の主文の文意によりますと、「公務員給与は本年三月現在においておおむね一万三千五百八十七円になつておる、そうしてそれがこの勧告の実施によつて一万五千四百八十円になる見込である、そうしてその平均増加する金額は千八百九十三円である、」こう言われております。この基準は三月現在です。三月現在であるし、少くともこの勧告から行けば四月一日に切替えられたときでなければこの数字は合わないのです。五月、六月と公務員諸君の給与も自然増加があれば、人事院のほうで千八百九十三円上がるように勧告しても、その数字は狂うのです。そうなりますね。ですから、そうなりますと、人事院は少くともここでは四月一日現在で給与改訂を行うべきであるという勧告を……この主文の中ではなつていると思うのですが、その点でどうです。
  77. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは、これまで過去の勧告において見ましても、一定の時を捉えて勧告をするということは、これは当然のことであつて、それが只今七月の終りでありまするが、七月の終りであり得ないことも当然のことである。どうしても統計その他の関係上、二月、三月は過去に遡るということはこれは当然のことでございまするから、これをその後の上昇傾向を更に見て、現在でこれを切替えるということは困難であろうと考えております。
  78. 千葉信

    ○千葉信君 そういたしますと、言葉には出しておらないし、勧告の主文には書いてないけれども、只今の御答弁では、これは結論として四月一日から切替えるべきものであると、人事院は主張していると了解して差支えございませんね。
  79. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 給与局長……。
  80. 千葉信

    ○千葉信君 待つたつた委員長、これは淺井さんから答弁を……。
  81. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それは四月一日で切替えるということを言つておるものではありません。
  82. 千葉信

    ○千葉信君 そうすると、違つていませんか今の答弁は……。只今淺井さんの御答弁を聞いておりますと、公務員給与は本年三月現在で一万三千五百八十七円になつている、それがこの勧告によつて俸給表の切替が行われれば一万五千四百八十円におおむねなるであろう、そうしてその引上げられる平均増加額というものは千八百九十三円平均、こう、この勧告は言つておられるのです。ですから、千八百九十三円の引上げが行われるためには、そうして一万五千四百八十円に給与改訂が行われるためには、四月一日に切替えられなければこの公務員の利益は保障されないということなんです。
  83. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お説の通り、これは三月の基準でやつておりまするから、それを基礎にして切替えておる、こういうことであります。但し今日におきましては、現行給与水準はこれよりもう少し上つておるだろうと思いまするから、それから又計算が切替えのときに始まる、こういうことになると思います。
  84. 千葉信

    ○千葉信君 そういたしますと、今度は話が少し発展して来ましたが、淺井さんのお話によると、三月現在では一万五千四百八十円の平均給与改訂を行う、ところが、その後二、三カ月を経るごとに少しづつ給与が上昇して来て、今では一万三千五百八十七円ではなくて、それよりも殖えて来ておる、併し給与増加については、これは大体において人事院勧告した通り少くとも千八百九十三円程度の引上げは必要であるから、今自然の増加した公務員給与の水準にこの金額で増加せしめる必要がある、そういうことになりますと、改訂の時期が遅れれば、人事院は一万五千四百八十円という金額はもつと多くしなければいけないということになるわけですね。
  85. 淺井清

    政府委員(淺井清君) そうです。その通りです。
  86. 千葉信

    ○千葉信君 そうすると、若しそういう条件が整わない場合には、この勧告通りの利益を保障するためには、少くとも見通しから言つて、この勧告の金額よりも上廻わるということはなかなか至難だと思うのですが、そうですが。
  87. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ちよつと私から補足させて頂きます。先ほどからまあ千葉さんから私にも質問があつたのですが、総裁が来られたので、改めて正式に総裁に御質問になつた次第でありますが、勧告で言つておりますことは、一番大切なことは別表に掲げる左の俸給額改訂するということでございます。従いまして、三月現在におきまして、これを現行公務員級別号別人員分布で適用いたして参りますならば、この数字は一万五千四百八十円となるというわけでございますが、先ほど総裁からちよつと申上げましたように、三月現在では一万三千五百八十七円でございます。四月一日に昇給昇格で更にずつと推移して参りますならば、この数字は当然上つており、従いまして、この若しも三月以降の時期に切換えをいたすとするならば、この計算をいたして見まして、一万五千四百八十円という数字はこれは当然変るということが予想されるわけであります。我々は勧告いたしまする重要な点は俸給表自体でございます。まあ併しそうは言いましてもこれは成るべく早く実施せられるということがこれは望ましいことには変りはないわけでございます。
  88. 千葉信

    ○千葉信君 そういたしますと、時期がずれればずれるだけ一体幾らの平均給与に切換えなければならないのか。その点が、順次自然増加するごとに不明確になつて来る。こういうことになるわけですね。
  89. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それは、やはり我々が持つておる資料が三月現在の資料でございまするから、三月で申しますれば一番はつきりいたすわけであります。併し、その後におきましては、年間四回の昇給期がございまするが、一回の昇給期を経過いたしまするごとに、一人平均で申しまするならば百二十円乃至百四、五十円程度の昇給はいたすのでありましようから、従いましてそういうもので概算はできます。併し、三月現在で捉えますほどはつきりしたものにはならないというふうに考えます。
  90. 千葉信

    ○千葉信君 おつしやる通り、月日を経れば経るほどその基準の給与一体幾らであるかということも不明確になるし、従つてその給与に対してもどの程度増加すれば幾らになるかということもだんだん不明確になつて来ると思います。従つて人事院勧告しました、はつきりと何カ月間かかかつて研究されて、公務員給与は千八百九十三円程度増額されなければならない、そうして増額されたものが一万五千四百八十円でなければならないということが、はつきりこれは人事院として主張しているわけですから、そうなりますと、人事院の主張通り改訂を実施するためには、最も明確に基準がわかり、そうして改訂された金額によつてどの程度公務員が利益になるかということの明らかなときに改訂されなければならない。こうなると、結局この主文は、人事院結論として四月一日に改訂されなければならないということを主張をしていると同じことになるわけですが、どうですか。
  91. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 千葉さんのおつしやる通りなんです。併し、このベースというものは、これは日々変つておると言つても構わないので、一人死ねば数学的には何ほどか変るわけのものでありまして、私どもが主張しているのは、俸給表に切換える、つまり人事院の唱えております俸給表に切換えることでありますから、それほどこのベースというものが重大だとは考えていないのであります。ただ問題は、一番これが、給与水準というものがよくわかりやすいものでありますから、先ず一番先にベースのことが出るのでありますが、これはおおむねそうなるはずであると申しておるような次第でありまして、問題は人事院の主張する俸給表に切換える、これが一番重大点だろうと思つております。
  92. 千葉信

    ○千葉信君 今淺井さんの言われた点はこれは別問題だと思うのです。これは今殊更にその問題に触れられるまでもなく、現在の給与改訂の場合に取上げられておる平均給与額そのものの取上げ方がおかしいのです。絶えず変動している、基準の給与が絶えず変動しているその給与平均額を捉えて、そうしてこれを幾らかの平均額で上昇せしめろとか、増加せしめろという、今の平均給与額を対象とした給与の論議の仕方がおかしいのです。まあそれは淺井さんが今言われたように、その問題についてはこれは別問題である。その問題を抜きにして、私たちは今遺憾ながら今日取られているこの平均給与額の論議の仕方を中心にして問題を論議せざるを得ない段階に置かれているのです。ですから、若し一体給与改訂の問題が、従来言われておりましたいわゆる給与ベースの算定の仕方に基いて論議をするか、それとも絶えず変動をしているこの平均給与額というような状態において論議するか、どちらがいいか悪いかについては、これは、はつきり結論が出ていて、今のこのやり方は不適当であるということは、はつきりしているのです。はつきりしているけれども、その不適当なやり方で絶えず改訂は行われていますから、絶えず改訂が行われている限りにおいては、この問題を中心にして論議しなければならないということに今なつておるわけです。そこで、そういう点から言いますと、成るほど問題は俸給表がどういうふうに切り替えられるかということも問題になるかも知れませんが、今のこの場合は、その問題を通り越えて、今の段階に適合するような状態で問題の捉え方をしているわけです。淺井さんも御承知の通りに、一体今までの給与改訂の場合に、例えば去年の例なんかはどうですか。人事院のほうから一万三千五百十五円の給与改訂勧告をされたのです。それに対して政府のほうではどういう態度をとつたか。淺井さんも御承知の通り、財政上その他の関係から一万二千八百二十円に改訂された。平均給与額を一万二千八百二十円に改訂された。而もその実施は十一月一日からだと、こういう恰好で問題の捉え方をしているじやありませんか。そうして政府のほうでは一万二千八百二十円の平均給与額に合致するような俸給表を作つてつて来ておるのです。だから、そういう恰好で公務員の不利益が平均給与額の問題を中心にして議論されるために起つて来る状態から、成るべく公務員給与に不利益な結論が起らないように、私はそのために、不確かな、而も適正でない論じ方ではあるけれども、現在この段階において平均給与の問題をどうするかという立場に立つて私は論議しているのです。これは淺井さんも御承知のはずなのです。ですから、そういう不適当なやり方ではあるけれども、平均給与額が絶えず問題の焦点として論議されておるときに、ここに再び人事院のほうから一万五千四百八十円に改訂しろ、こういう勧告が出て来ておる。そうして、一方ではおおむね千八百九十三円の増額を行えといつて人事院は三月を基準にして勧告行なつた。ところが若しもこれが淺井総裁の言うように、一カ月経つても二カ月経つても、だんだん月が経つうちに基準の給与額がだんだん上つて来る。だんだん上つて来るのに、問題にされるのは一万五千四百八十円という人事院勧告した平均給与額が絶えず問題にされているじやありませんか。そうして、この平均給与額が財政上の理由でこれができないで、やれ一万四千五百円とか何とかいろいろな数字が又政府のほうから出されて来ておるのです。そうなると、先ほどお話申上げたように、人事院勧告しました三月の公務員給与額と、それから現行公務員給与額一万三千五百八十七円と、勧告しました一万五千四百八十円の人事院勧告する平均給与額だけの間で、政府のほうはこの間の数字を出して来た場合に、その政府の出した数字人事院勧告した数字との差額だけが、政府によつて公務員に対する不利益な取扱いになるだけではなく、基準になつた三月から改訂されるそのときまでの公務員諸君の給与の上昇率がプラスされて、その不利益が公務員におつかぶさつて来るのじやありませんか。そういう条件が起ることを防ぐためには、どうしてもやはり、一定の、明確な、折角人事院調査した一万三千五百八十七円という給与を一千八百九十三円増額して、そうしておおむね一万五千四百八十円にするのだということを何とかして守つてやるためには、この明白な数字のはつきりしている四月一日現在で公務員給与を切替えること以外にはできないじやないですか。
  93. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ちよつと話が脇道へそれたようですが、今おつしやつたところは、結局本筋の問題だろうと思うのですが、それに対しましては、最前私が答えましたように、我々といたしましては給与準則を施行することも公務員の利益でありますから、この二つを併せてやらなければならない。それがためには勧告書としては今言つたようにやるよりほかには書き方がないと、こういうことであります。
  94. 千葉信

    ○千葉信君 まだこの問題については十分に究明しなければならない点があると思うのですが、溝口君のほうからも今お話がありまして、次回に譲りたいということですから、私、今日は質問を保留しておきます。
  95. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  96. 村尾重雄

    委員長村尾重雄君) 速記を始めて下さい。  ほかに御発言者がなければ、本日はこれで散会いたします。    午後三時四十九分散会