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1953-08-04 第16回国会 参議院 厚生委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年八月四日(火曜日) 午後二時三十八分開会
—————————————
委員
の異動 八月三日
委員江田三郎
君辞任につき、 その
補欠
として
竹中勝男
君を議長にお いて指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
堂森
芳夫
君
理事
大谷 瑩潤君 藤原 道子君
委員
榊原
亨君
高野
一夫
君 中山
壽彦君
西岡 ハル君 横山 フク君 林 了君 湯山 勇君 山下 義信君 有馬 英二君
政府委員
厚生省保険局長
久下
勝次
君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
日雇労働者健康保険法案
(
内閣提
出、
衆議院送付
) ○
理事
の
補欠選任
の件
—————————————
堂森芳夫
1
○
委員長
(
堂森芳夫
君) それでは
只今
から
厚生委員会
を開会いたします。
日雇労働者健康保険法案
を議題といたします。先ず
政府委員
の
説明
を求めます。
久下勝次
2
○
政府委員
(
久下勝次
君)
法案
の一々の条文につきましての御
説明
は省略いたしまして、主要な点につきまして若干
数字
の問題などを加えました御
説明
を申上げたいと思います。 先ずその
内容
に入りまする前に
日雇労働者健康保険法
というものを私
ども
は
提案
をいたすようになりました
趣旨
につきまして申上げたいと思うのでございますが、これは
法案
の
理由書
にも書いてございますし、又
提案理由
の
説明
でも申上げました
通り
、
日雇労働者
に対して特別な
健康保険制度
を
考え
るということにつきましては、各
方面
からの長い間の
要望
であ
つたの
でございまして、私
ども
といたしましてはその
要望
に応えまして、何らかこれに対する
制度
を
考え
たいというので、昨年初め頃から検討を始めたわけでございます。この
法案
を作りますまでにいろいろの
考え方
が出たわけでございますが、先ず第一には
現行
の
健康保険法
との
関係
でございます。御承知のように
現行
の
健康保険法
からは
適用
を除外されておる
対象
でございまして、この
適用除外
を外すということも
一つ
の
方法
として
考え
られるわけでございますが、
何分
にも
日雇労働者
の
就労
の
実情
が不安定でございまするし、又その報酬も一般的に低額でございます。特に
就労日数
が少ないような
関係
からますますその
程度
が甚だしくなるわけでございます。さような
関係
上現在の
健庸保険法
の
適用除外
を外して、そのまま
健康保険法
を
適用
するということは、結局
現行健康保険
の被
保険者
の
保険料負担
を増額するというような措置をらなければできないことになるわけでございます。さような
関係
もありまするので、一応これは別の
制度
としてその
意味
において
考え
たほうがよろしい一いうことに
なつ
たわけでございます。一方又
地域保険
としての
国民健康保険
との
関係
があるわけでございます。一ころが申すまでもなく、
国民健康保険
はまだ
全国半数
の市町村に実施されておるに過ぎないという
実情
であります。而も大都市におきましては、殆んど
国民健康保険
は行われておらないと申してよろしいような
実情
でありますが、
日雇労働者
が多くおりまするところが
国民健康保険
のない都市であるというような
関係
もありまするので、
国民健康保険
との
関係
につきましては、これはどうしても
国民健康保険
では
日雇労働者
の
関係
は
調整
することができないということに
なつ
たわけでございます。だだ実際問題といたしましては、
国民健康保険
を
施行
しておりまする
地域
に住んでおる
日雇労働者
がどうなるかということでございます。これは
法案
の
内容
におきまして
調整
を加えることにいたしまして、本
法案
の第七条によ
つて
特別の事由として
国民健康保険
の被
保険者
でありますものは、その
本人
の
選択
によ
つて保険者
の
承認
を得てこの
法律
の
適用
を免れ得るようにいたして
調整
いたしたのであります。さような
関係
から結局これは別の
制度
として出発をするのが最も妥当であろという
考え方
になりましたのであります。そこで第一点は
適用範囲
の問題でございますが、表題にも書いてありますように
日雇労働者
という
言葉
で括
つて
ありまするが、実はいわゆる
日雇労働者
より
適用範囲
は広くしてございます。これは本
法案
の第三条に明らかにな
つて
おるのでありまするが、狭い
意味
で
日雇労働者
と申しますると場合には、日々の契約によ
つて
雇入れられる者を一般に言
つて
おるものと解釈されるのであります。併しながらこの
法案
で
日雇労働者
とい
つて
おりまするのはそれよりも遥かに
範囲
が広いのでありまして、いわゆる
臨時
的な
労務者
、
健康保険法
の
適用
を除外されておりまする「二箇月以内の
期間
を定めて使用される者」でありまするとか或いは
季節的業務
に使用される者でありまするとか、或いは
臨時的事業
の
事業所
に使用される者、こういう三
種類
のものは狭い
意味
のいわゆる
日雇労働者
以外のものではありまするけれ
ども
、
健康保険
との
関係
もありまするので、これらを一括して
本法
の
適用
をするように
考え
た次第でございます。いわゆる
日雇労働者
につきましては、この数がこの
制度
の
根本
になるわけでありますが、
内閣統計局
の
調査
によりますると、
昭和
二十六年
事業所統計調査
結果報告というのが
総理府統計局調
であろわけでありますが、これによりますると、いわゆる
日雇労働者
の
臨時
又は
日雇
の職員及び
労務者
中
健康保険法
に規定する
事業所
に働く者が九十九万人という
数字
が出ておるのでございますが、このうち
あと
で申上げまする
適用
の
事業
が
制限
されております
関係
で、私
ども
の
考え方
では三割は引いて
計算
をする必要があると
考え
ました。そういたしますと、大体約七十万ぐらいが形式的には
本法
の
対象
になるということが、この
統計調査
の
数字
からは出て来るわけであります。併し一方におきまして
失業保険法
の
適用
の
実情
から申しますると、
失業保険法
で
適用
しておりまする
日雇労働者数
は四十五万人ということにな
つて
おります。これより若干
範囲
が広い
関係
もありますので、私
ども
はこれに一割を加えた五十万人
程度
が先ず
初年度
の
数字
としては適当であろうというふうにいたしたわけであります。これは
一つ
には
最初
申上げましたように、
就労
の
実情
が不同でありまするので、実際問題としては
把握
が困難でございます。そこで被
保険者数
を過大に見積
つて
おきますると、
保険財政
の上からも心配な点が出て参ります。それよりも見込みが低くなりますると、いろいろ
財政
上の問題も起
つて
参りますので、私
ども
としては
財政当局
とも
相談
をいたしまして
失業保険
の
適用対象者
、現在四十五万人の一割増、五十万人というのを
本法
の
対象
として先ず
初年度
としては
考え
たのでございます。かような被
保険者
に対しましてどういうふうに
保険
を運用して行くかということでありますが、先ず第一にこの
日雇労働者
がどういうようなところに働いたときにやるか、少くとも
日雇労働者
が働いて、この働いたところの全部を抑えるというのが本来の建前であろうかと
思つたの
でありますが、実際問題といたしましては、個人の家庭に入
つて
働くというような場合も
考え
られますので、
保険事務
の運用の上から申しますると、さようなところまで
個々
に抑えて行くことは
保険料
の徴集その他非常に困難がございますので、
失業保険
、
日雇労働者
に対する
失業保険
の実施のやり方からも
考え
合せをいたしまして、
健康保険
の
適用事業所
に働いた、先きに申上げた
日雇労働者
を被
保険者
とする、こういうような
制限
を加えたわけであります。
健康保険
の
適用事業所
は、
健康保険法
で規定しておりますので、五人以上の
健康保険法
に定められた各種の
事業所
に働くものであります。そういう場合にのみ被
保険者
として
保険料
を納めなければならないというような扱いにいたしたわけであります。こういたしました
趣旨
は、
一つ
にはすでに現在これらの
事業所
におきましては、
健康保険
の
適用
を受け、
保険料
の
納付
もしておりますし、又
保険
の
給付
も受けておりますので、
社会保険
に対する理解も相当あるものと
考え
られますので、そういう
意味合
におきまして実際の
把握
にも困難がないのじやないか、かように
考え
まして、その点が
一つ
と、それからもう
一つ
は、この
健康保険
の
適用
の
事業所
に働いた場合に
適用
するということにいたしますと、結局
特定
の
事業所
で
健康保険
の
適用
を受けておるところで常雇のものは
健康保険
、
臨時雇
のものは
日雇健康保険
ということになりまして、結局名前は違いまするが、二つの
健康保険
の
適用
をいずれかの形で受けられるということにもなろうかと思います。そういう
方法
も考慮いたしまして、よさうなことにいたした次第であります。なお
特定
の場合でございまするが、
緊急失業対策法
に定める
失業対策事業
或いは又は
公共事業
を行います場合、これは
健康保険法
の
適用
の有無にかかわらず、当然に
本法
の
適用
を受けるようにいたし、その
事業
に働きました場合には
保険料
を納め被
保険者給付
を受ける
資格
を取得することがで送るというような取扱いにいたしたものでございます。先ほ
ども
ちよ
つと
国民保険
の
関係
で申上げましたが、一応そういうようなことでや
つたの
でありまするが、なお大事な点は、
保険給付
を受けます
受給要件
であります。これも
就労
が不動であるという点から、
従つて裏
を返して申しますれば、
保険料
をどの
程度
納めるかということが
保険
をや
つて
行く上に
根本
の問題になるわけであります。この点につきまして
日雇労働者
に対する
失業保険
の
先例
がありまして、
失業保険
の場合には、
失業
をいたしました日の属する月の前二
月間
に二十八日分の
保険料
を納めているということが、
失業保険
の
保険金
を受取る
受給要件
でございます。
健康保険
におきましても、この
法案
におきましてもその
先例
にならないまして、
病気
になりました日の属する月、例えば今日
病気
いたしますとすれば、七月と六月の二月を通じて二十八日間以上
保険料
が納められておれば、今
病気
になりました場合に
給付
を受けられるというような
要件
にいたしたわけでございます。
保険料
の納め方等は
あと
で申上げまするが、そういうような
仕組
でこの
仕事
をやりたいと思うのであります。そこで一応そういうような
適用範囲
で行いまするけれ
ども
、
日雇労働者
によりましては、実は本来の
仕事
が
農業等
をや
つて
お
つて
、時折
日雇労働者
として働くというようなものがありまして、これは一例でございますが、こういう
種類
の人の中には二
月間
に二十八日ということははじめからもう
受給要件
は満たすことができない。
言葉
を換えて申しますると、
保険料
をただ納めるだけというような人が想像されるわけでございますので、そういうふうに
最初
から今申上げた
受給要件
二
月間
に二十八日ということが満たされないのが明らからでありまする場合には、
保険者
の
承認
を得まして被
保険者
とならないことができるというふうに
本人
の
選択
を認めておるのでございます。 それから
健康保険
による
任意継続
被
保険者
と申しまして、すでに
健康保険
の
適用事業所
に働かなく
なつ
た場合でも、自分から
保険料
を納めことにより
健康保険
の被
保険者
としての
資格
を継続することができる
制度
がございます。そういう場合にも勿論
本人
の
選択
でこの
適用
を受けられるというように
考え
ております。その他は先ほど申上げた
国民健康保険
の被
保険者
である場合、或いは
尼ケ
市等に例がございますが、すでにもう小
地域
で
日雇健康保険
というものを事実上や
つて
おるところがございます。そういうものにつきましても、
選択
によ
つて承認
を得て被
保険者
とならないことができるというようにいたしております。これは以上申上げたのは大体四つの場合でありますが、
日雇健康保険制度
が
強制適用
の
社会保険制度
でありますが、実態から
考え
まして、さような
除外例
を認める
考え
でございます。 そこで
日雇労働者
の
資格
のありまするもの、これは
最初
に申上げた
範囲
のものでございますが、こういうものに対しましてはあらかじめ
本人
の
申請
によ
つて
被
保険考証
、
手帳
を渡しておきます。で、その人は
本法
の
適用
のある
事業所
に働きました場合には、その
雇用主
に持
つて
おる
手帳
を提出をいたしまして、
雇用主
はあらかじめ
郵便局
から
印紙
を購入しておきまして、その
印紙
を貼
つて
そうして消印を押すことによ
つて
、
事業主
が
保険料
を納める、こういうような
仕組
で
考え
ておりました。後に申上げるような
事業主負担分
は、当然
事業主
が
負担
をいたしますが、被
保険者負担分
は被
保険者
である
日雇労働者
に
賃金
を払いまする場合にそれを差引いて
賃金
を支払うことができるというような
考え方
をいたしておるのであります。これは
健康保険
の場合、
失業保険
の場合がいずれも同様でございまして、
保険料
の
納付義務
は一応被
保険者
及び
事業主
とな
つて
おりますれ
ども
、直接
政府
に対して
納付
の
義務
を負いまするのは
事業主
というふうな
仕組
で
考え
ておりました。それもその日その日のことでございまするので、
印紙
によ
つて保険料
を
納付
する、その
印紙
が二十八日分貼
つて
ありますれば、
病気
に
なつ
た場合に医療が受けられる、こういうふうに
考え
られた
仕組
でございます。そこでいろいろ
財政
上の
計算
をいたしてみたのでございまするが、問題は
最初
に申上げましたように
日雇労働者
の給与が低いということ、
就労
の
日数
が平均二十一日
程度
であるということなどから、月割の
収入額
が
多額
でございません。そこで
保険料
としてもそう
多額
を要求するわけには参りません。私
ども
の
考え方
としてはせいぜい
健康保険
の
保険料率
以上のものの
負担
は無理であろう、
言葉
を換えて申しますると、
本人負担分
は
健康保険
の場合は千分の三十でございますが、千分の三十以上の
負担
は困難だろうと思いまして、大体その線に
保険料
の
負担
を抑えまして、
最高本人負担
八十円、
事業主
はそれと同額の八十円の
負担
をしてもらうということが原則であります。
日雇労働者
の中には日給百六十円
未満
という低い
収入
のものもありまするので、百六十円
未満
のものは特に二級
制度
を設けまして、
保険料
を
本人負担分
を五円に減額をいたしてございます。
事業主負担分
は八円であります。併せて申しますると、一級の
日雇労働者
につきましては十六円、二級の
日雇労働者
は十三円日額の
保険料
を納めるということになるのでございます。この
程度
で一本の
給付
を
考え
なければならないわけでごいますが、
何分
にもさような
関係
上
保険収入
としては多くのものを望めませんので、従いましてこの案の
内容
によりまする
給付
は、
健康保険
に比較いたしますと著しく
制限
をされておるものにならざるを得なか
つたの
でございまして、大事な点だけ申上げますると、先ず療養の
給付
の
期間
を三カ月にしております。それから
健康保険
の場合に、或いはその他の場合に支給されております
傷病手当金
、
病気
で休みました場合の
傷病手当金
は、この案では全然
給付
をいたさないことにしてございます。それから歯科の場合には補綴の
給付
をいたさないことにしております。なお
埋葬料
、
分娩料
等々の
健康保険
で
給付
をされておりまするようなものも
制限
をせざるを得ないような結果に相成
つて
おるのであります。結局これは
保険料
の
収入
が少いために、問題はこの
内容
をよくするためにはどこかに財源を求めなければならないわけでありまして、本来ならば
国庫
の
負担
或いは
補助
を以ちまして
給付
の
内容
を上げるということも
考え
てみたのでありますが、
政府
といろいろな折衝をいたしましたけれ
ども
、そこまで実現をみることができませんでした。
政府案
といたしましては、今申上げましたような
給付内容
の
制限
をいたしておるわけでございます。 ここで最後に
予算
の
内容
を申上げておきたいと思いますが、
予算
の立て方は
現行
の
厚生保険特別会計
というものがございますが、この中に織り込みまして
日雇健康勘定
というものを新らしく別途
厚生保険特別会計法
の改正によりまうて新設する
予定
でございます。これも本国会で御審議を頂いておるのでございます。一方
事務費
その他の
保険給付
、
保健福祉施設等
につきましては、
現行
の
厚生保険特別会計法
の中の
業務勘定
の中に
日雇
の必要な費用を組込んでおるわけでございます。
個々
の
勘定
に分けた
数字
を申上げますと混乱をいたしますから、両方を一本にしたものを御
参考
に申上げておきます。
事務費
と
給付費
と合せたものでございますが、そういたしますと
歳入総額
が五億五千八百五十二万九千円でございます。
歳出総額
もそれに合せてございます。この五億五千八百五十二万九千円のうち、本年
保険料
として入
つて
参ります額は三億七千五百万円でございます。一方
歳出
のほうは同じく五億五千八百五十二万円とな
つて
ございます。
保険給付費
は一億四千二百万円、
事務費
が一億二千六百万円、
保険福祉施設費
が三千六百万円、
予備費
が二億五千三百万円、こういうふうに
予備費
が非常に
多額
にな
つて
おるのでございますが、これは
法律
の
施行
の
関係
からかようになるのでございます。現在私
ども
が
考え
ております法の
施行
は、一応全面的に若し通過をいたしますれば、本年の十一月にこの
法律
全部を
施行
する
予定
でございます。
施行
いたしますけれ
ども
、先ず第一にやりますることは、五十万人を
予定
しております被
保険者
に対して、一人々々に
申請
に基いて
手帳
を交付する
事務
がございます。これが相当手間のかかる
仕事
でありまするので、おおむねこれに二月半を
予定
いたしまして、明年の一月十五日までに
手帳
の交付、
帳簿整理等
、具体的に
法律
が動いて参りますような諸準備を完了したい
考え
でおります。そうして一月十五日から
保険料
を徴収する、こういう段取で進める
予定
でございます。そうなりますると、二
月間
に二十八日という、先ほど申上げた
受給要件
が生きて参りますのが三月の初めからであります。二月が二十八日、一月が十五日でございますので、従いまして中には、その二カ
月間
で二十八日の
受給要件
を充たす人が出て来ると思いますので、三月早々から実際の
給付
が始まるということにな
つて
来ることを予想いたしておるのであります。その
関係
上
保険料
は二月半、
給付
は
受給要件
の
関係
上一月ということになりますので、従いまして今申上げましたように、
予備費
が相当余ることになるわけでございますが、これは必然的に後へ送られて行くものであります。本
年度
としては
予備費
にな
つて
おりますが、順次これは先々の
給付
のためにと
つて
おくべき金であると
考え
ておるわけでございます。 若干くだくだしたことを申上げたようでありますが、
日雇労働者健康保険法
の
内容
につきましてひと亘りの御
説明
を終りましたわけでございます。
堂森芳夫
3
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 御質疑を願います。
高野一夫
4
○
高野一夫
君
ちよ
つと
保険局長
に伺いますが、この表を見ますと、
事務費
の全額が三億とな
つて
おりますが、
給付費
は結局総額幾らかかるということになりますか、大体見当は……。大よそでいいですから、七十八億とか八十億とかその辺ですか。
久下勝次
5
○
政府委員
(
久下勝次
君) 実は本
年度
の
給付費
というものは先ほど申上げたように、一カ月だけでございますので、
予算
上は一応……。
高野一夫
6
○
高野一夫
君 一カ年ですね。
久下勝次
7
○
政府委員
(
久下勝次
君)
年間
で申しますと、この
制度
をこのまま
年間
に延ばして五十万人の被
保険者
を
対象
として
考え
ますると、
年間
の
給付費経額
は十七億四百万円になる
予定
でございます。これは尤も
事務費等
は入
つて
ございません。
保険給付費
だけでございます。
高野一夫
8
○
高野一夫
君
局長
に
ちよ
つと伺
つて
おきたいのは、現在は金がないからしようがないですが、将来、仮に来
年度
、
再来年度
でなくても、できるだけ近き将来において
事情
が許すならばこの
年間
の
給付費
の何%かを
国庫負担
にする、したいというような御希望でも
厚生省
はお持ちでしようか、それは好ましくないとお
考え
なんですか。
久下勝次
9
○
政府委員
(
久下勝次
君)
厚生省
といたしましては、この
給付
をこの
法案
で
考え
ておりますような
給付制限
をや
つて
いつまでもおくつもりはございません。できるだけ
給付制限
を撤廃をして行くような方向で進みたいと
考え
ておりますが、問題は結局
本人負担
にかけるわけに参らん
事情
がございますので、結局それは
国庫補助
ということにしわ寄せられると思います。その辺の
関係
は今後の
交渉
に待たなければならないと思いますが、私
ども
としてはそういう
交渉
をいたしまして、できるだけ
給付制限
は緩和して行くように今後努力をいたす所存であります。
榊原亨
10
○
榊原亨
君 先ほど
ちよ
つと人数の
統計
をお話下さ
つたの
でありますが、これは
参考資料
の七十四頁あたりのところから出ておるのでございますか。
久下勝次
11
○
政府委員
(
久下勝次
君)
参考資料
の六十三頁のところで申上げたのであります。ここにありますことを申上げたのであります。
榊原亨
12
○
榊原亨
君 その場合の
家族
の
罹病率
と申しますか、
家族
の医師にかかる比率はどのくらい、どこから
統計
が出ておりますか。
久下勝次
13
○
政府委員
(
久下勝次
君)
受診率
と申しましたほうが正確かも知れませんが、
受診率
は
日雇労働者そのもの
につきましては何も
資料
はございません。私
ども
は
政府管掌
の
健康保険
の
資料
をとりまして、ただ
政府管掌健康保険
をそのまま使うわけに参らない
事情
があります。それは
給付制限
の
関係
があります。そこでこの
給付制限
による
受診率
の減をどうみるかという問題が
一つ
でございますが、
日雇労働者
の
失業保険
の例によりますと、
一般労働者
に比較いたしまして
受給制限
の
関係
から二割くらい
受給
が減
つて
おるようでございます。そこで
一般健康保険
の場合の
数字
を
本人家族共
にそのままとりましてそれを二割減いたしまして、更に
安全率
を一割みております。そういうふうな
計算
の仕方をいたしております。
榊原亨
14
○
榊原亨
君
兵庫
県の
日雇労働者
の小さい組合におきますところの
家族
の
受診率
についてお
調べ
に
なつ
たことがありますか。
久下勝次
15
○
政府委員
(
久下勝次
君) 或る
程度
の
調査
はいたしておるのでございますが、具体的に何か……。
榊原亨
16
○
榊原亨
君
兵庫
県の
日雇労務者
の
健康保険
はうまく行
つて
おりますのは
家族
の
受診率
が非常に低いことであります。と申しますのは、
家族
の
診療費
を半額
負担
にいたしますために、
日雇労働者
がその現金を払うことができませんから、
従つて家族
の
受診率
が非常に低くな
つて
来ておるのであります。そういうふうな
統計
に基く御
調査
がこの
法案
の
基礎
に
参考
とな
つて
おりますか、或いは単に普通の
健康保険
の二割減とかいうことで御
計算
にな
つて
おりますれば、この
法案
の
基礎
が甚だ
実情
にそぐわないものじやないかと私は思うのでありますが、その点についてお
調べ
に
なつ
たことがあるかということをお聞きしたわけであります。 それからその次には
学生
の
アルバイト
について、何かこういう
方面
についてお
考え
にな
つて
おることがあるのでございましようか。又
学生
の
アルバイト
は、若しもこの
法律
ができますというと、
学生
の
アルバイト
をそれによ
つて
やろうというお
考え
でございますか。それをお聞きいたしたいと思います。
久下勝次
17
○
政府委員
(
久下勝次
君) 先ず、前段のお話でございまするが、
尼崎
の
事例
につきまして、私
ども係官
を派遣いたしていろいろ
調査
をいたしたのであります。実は、その結果によりますると、
尼崎
の
実情
は、被
保険者
に或る
程度
の
制限
が加えられておるようでごごいます。従いまして、これを直ちに取
つて以
てこの例とすることはできないということは多々ごごいます。それのみならず極めて小
地域
の特別な
事情
でありますので、全体を推す
資料
として……。 この
尼崎
の
事例
というものは、
一つ
の例ではごごいましようけれ
ども
、こういう
制度
を始めます上には、少し
資料
としては不十分ではないかという
考え方
の下に、それよりもむしろ
健康保険
の永年の実績を
考え
まして、
只今
御引例の
家族
の問題につきましても、その点は
健康保険
でも同様でございます。その点を
考え
合せまして、
健康保険
の
事例
をとり、それに若干の
調整
を加えて
基礎資料
にいたしたのでございます。 第二段の
学生
の問題でございますが、これは前々から
国立大学等
の
関係者
から話がありまして何か
制度
を作る必要があるということで、私
ども
のうほへも
相談
に来られまするし、又文部省のほうとも
話合
をいたしておるようでございますが、まだいずれとも結論が出ておりません。
学生
アルバイト
でありましても、この
法律
が全然
適用
ないということはないと思いますが、
学生
アルバイト
をそのまま捉えて特別な措置を講ずるという点につきましては、それは、むしろ
学生
全体の現状から
考え
まして、別個の問題として
考え
たほうがよろしいのではないかと思います。
榊原亨
18
○
榊原亨
君 この現実の面におきましては、
学生
アルバイト
がだんだん殖えて参りまして、怪我をいたしますとか、或いは
病気
になるとかいうことがあるのでありまするが、一方におきまして、
事業主
は、常雇をいたしておりまして、ストライキその他によ
つて
非常な打撃を受けますよりも、むしろ
学生
アルバイト
を日々雇として雇つたほうが得だということで、
学生
の
アルバイト
を盛んに使
つて
おるという傾向が殖えで来ておるのであります。そういたしまするというと殊に
学生
は勉強をするために、そういうふうな
アルバイト
をしなければならん状態でありますのに、それらの傷害或いは疾病につきまして、何ら
政府
がお
考え
にならないということについては、私
ども
としては大いに関心があるわけでありますが、その
アルバイト
の
学生
が
日雇
として働きましたところの傷害は、当然これに入ると私は思うのでありますが、その点は如何でございましようか。又今後におきまして、今お話になりましたような、特別に
学生
の
アルバイト
については
考え
るというお話でございますならば、成るべく早い機会におきまして、こういう
学生
の
アルバイト
の擁護をして頂くことによりまして、日本の教育という上においても大きな問題があると思うのでありますが、その点のお話を承わりたい。
久下勝次
19
○
政府委員
(
久下勝次
君) 先ず前段のお話は、お話の
通り
だと思います。結局この
法律
に定めております
受給要件
を満たしさえすれば、
学生
であると否とにかかわらず、
給付
を受けることができると思
つて
おります。ただ、実際問題としては、
学生
は、お話のように、学業が本分でございますから、果して月に十四日という
受給要件
が平均的に満たされますかどうか、その辺は相当問題だと思
つて
おります。そういう
意味合
におきまして、その
方面
の
関係
のかたは何か特別な
制度
を作りたいということで、現在熱心にいろいろ駈け廻つたり検討いたしたりしておるようでございます。ただ、具体的な問題として、さてそれをどうするかということにつきましては、なかなか問題がむずかしうございまして、
言葉
を換えて申しますと、
学生
自身の
保険
療養費
負担
能力というものは、大して多くのものを期待できないという
事情
がございますので、何かこれは特別な措置を講じませんと、普通の
社会保険
の観念では少し無理がありはしないかというふうに
考え
ております。
榊原亨
20
○
榊原亨
君 是非、この
学生
の
健康保険
というような広汎な
意味
でなくても、一応前段階としてはいいのであると私は思うのでありますが、
学生
の
アルバイト
に出ました際の疾病については、是非とも何かの手をお
考え
下さいますことを
厚生省
に強く私は
要望
するものであります。 次に、この
日雇労務者
保険
の実施の面でありますが現在の
健康保険
におきましても、診療担当者が、窓口において、本当に被
保険者
の
家族
であるかということの判定に苦しむことがありますし、実際上のこれらの点についての被
保険者
の違反というものもあるわけでありますが、そういう点についてお
考え
にな
つて
おられるでございましようか。承らさして頂きたいと存じます。
久下勝次
21
○
政府委員
(
久下勝次
君) 前段の御
要望
につきましては、文部省も関連をいたしておりますので、よく
相談
をいたしまして、御
要望
に副うように検討いたしたいと思います。 それから、
あと
のお話につきましては、
本法
によりますると、
個々
の場合に、受診ができるかどうか、
受給要件
を満たしておるかどうかという認定が必要でございまするので、診療を受けまする場合には、その都度受診券を発行することにいたしております。従いましてその点が具体的にはそう御心配はないと思うのであります。
榊原亨
22
○
榊原亨
君 同じくこれは診療担当者の面の心配しておることでございまするが、被
保険者
が一部
負担
をいたします額が、若し金を持
つて
いないとか何とかということで、事実上未収になるものが多いと私は思うのでありますが、その点について、診療担当者の迷惑にならない工夫を
考え
ておいて下さいますでありましようか。又もう
一つ
は、現在におきましても、救急病院等に担ぎ込まれます患者は、殆んど着物を持
つて
おらないのであります。従いまして、救急の場合、止むを得ませんから、病院の看護婦の着物を着せますとか、病院の当直員の蒲団を着せるとかいうことでや
つて
おりまして、この被害が相当あるのでありまして、場合によりますというと、或る消防のところから電話がかか
つて
、
只今
急患であなたの所へ入れろと言うて、連れて来た患者が重症の結核患者であ
つて
、それが着物も何も持
つて
おらないので、先生方の着物を着せた、一度入るとなかなか退院しない。それで生活保護法その他の措置を講じようと思
つて
も、なかなか取次いでくれないということが実際の面でありますが、ところが実際この
労務者
のかたがたには、可なり
収入
のあるかたもおられますが、中には着のみ着のままというようなかたがあるのでありますが、そういうことについて、この
法律
を
施行
されて、診療担当者が現実の面において困ります面について、具体的にどういう御処置が講ぜられておるか、承らさして頂きたいと思うのであります。
久下勝次
23
○
政府委員
(
久下勝次
君) 先ず
最初
の
家族
の一部
負担
と申しますか、むしろ一部
負担
と申しますよりも、これは
家族
が診療を受けました場合に、
保険者
のほうから療養に要する費用の半額を支給する、こういうことにな
つて
おりまするので、この点は
健康保険
の場合と同様であります。その半額分の保障につきまして、この
制度
としてはどうも如何ともいたしがたいと思います。
健康保険
の場合と同様な考で診療担当者に御診療を願うより以外には
方法
がないと思
つて
おるのであります。 それから、第二のほうの問題でありますが、実はそこまでこの
制度
それ自身としては
考え
ておらないのでありますが、ただお話の点は、病院に入院をいたしました場合に、寝具、医療等を病院そのものが支給をいたしました場合というような味で、実は中央
社会保険
医療協議会におきましても、すでに話題に上
つて
おりまする問題であります。一般的に入院患者に全部そういうようなことをやる場合が主たる問題としてそういう話が出ておるのではございまするけれ
ども
、
個々
の場合には、お話のようなものも、
特定
の場合にのみ支給するというようなことも
考え
る必要があるかも知れません。ただ、それにつきましては、まだ話題に上
つて
おるという
程度
でございまして、それの具体的な処置につきましては、医療協議会におきましてもまだ結論が出ておりません。従いまして、この問題と関連をいたしまして、御
趣旨
の点につきましては、何らか善処するように
考え
たいと思
つて
おります。
榊原亨
24
○
榊原亨
君
只今
のお話でありますと、
法律
だけは作る、そしてそれに協力いたします診療担当医に対するところの未収、或いはそのほかの迷惑ということは何も研究しておらない、そのままでよろしいのだ、一応
法律
を作つたからこのままだということにつきましては、私は少くとも賛意を表するわけにいかんのであります。これは、若しもその未収ができますような場合におきましては、
保険
医が何かその帳面に記入することによ
つて
、次の日の
収入
の
印紙
を貼ります場合、それを差引いて
事業主
が金を渡してやるとか、或いは何とかという
方法
を講じられなければ、
収入
の少いこれらのかたがたの医療をやるということ、それが診療担当者の犠牲において行われるということは、何といたしましても承服することは私はできないと思うのであります。殊に第二段目の、医療の面についても、それはまだ研究中だというようなことでございますというと、本当に迷惑するのは診療担当者だけでございますので、この点のはつきりした点を御研究下さいまして、次回にでもお話を願いたいと思うのであります。殊に医師の、診療担当医の苦情を処理するという機関、或いは
法律
条項というものがこの中にはないと私は思うのでありますが、被
保険者
のこの苦情処理の機関はこの
法律
の中に謳われておりますが、診療担当医が、不当なる処置に対しまして、苦情を処理し得る機関がこの中に認められておらん。これは、在来の
健康保険
においてもさようでございますが、殊にこういうふうな特殊なる立場に置かれたかたがたを治療いたします場合の、それらの苦情処理の機関というものを一体誰によ
つて
その苦情が、診療担当者の苦情が解決されるということが何ら書いてない。これらの点につきましては、次回でよろしうございますから、私が満足し得る御研究をお願いいたしたいと思います。
久下勝次
25
○
政府委員
(
久下勝次
君)
最初
のお話は、次回を待ちましても、実は私
ども
の
考え方
としては、先ほど申上げた以上のことは申上げられないのでございますが、
考え方
といたしましては、この
保険
制度
ができまして、できるとできないとにかかわらず、
日雇労務者
の
家族
が
病気
にかかつた場合には医者の門を叩くだろうと思います。ただ、これができますると、その頻度が多くなることは
考え
られましようけれ
ども
、
程度
の問題といたしまして、いずれにしてもそういうことはあり得ると思います。この
保険
制度
ができますると、
考え方
としては、
健康保険
の場合と同様に、
家族
の療養に費用がかかつた場合には、
本人
に対してその半額をこの
保険
から見てやるというような
考え方
でありますので、当然
あと
の残つた半額につきましては、お医者さん、診療担当者と、その被
保険者
の
家族
、或いは被
保険者
との
関係
になるわけでございます、それまでを
保険
の
制度
で引受けるというふうなことには参らないかと思うのでございます。 それから苦情処理の問題につきましては、御尤もでございまして、この点私
ども
も遷延いたしておりますことは大変申訳ない。お話のように、
健康保険法
そのものにつきましてもさような御意見がかねてからあるわけでございます。これは、単にそれだけの問題のみでなくて、いろいろ
保険
医の身分その他に関連をいたしました問題として、総括的に善処する
考え
の下に、実は検討はいたしておるわけでございます。一連の
関係
でもございまするので、この
制度
にのみ特別な措置を講ずることをいたさなか
つたの
であります。結論も出ておりませんので、すでに検計いたしておりますが、結論が出ましたならば、各種の
社会保険制度
を通じて善処いたしたいと思
つて
おる次第であります。
堂森芳夫
26
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 他に御質疑ございませんですか。
ちよ
つと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
堂森芳夫
27
○
委員長
(
堂森芳夫
君) じや速記を始めて下さい。質疑ございませんですか。
湯山勇
28
○湯山勇君
日雇
でございます。
堂森芳夫
29
○
委員長
(
堂森芳夫
君) そうです。
湯山勇
30
○湯山勇君
日雇労務者
の実態生計費ですね、その実態生計費の中で、医療費が大体どれくらいな割合を占めておるか、そういう点について、この
資料
の中にはそういう点が出ていないものですから御
説明
を頂きたいと思います。と申しますのは、一般に人事院その他で
賃金
をきめます場合に、食糧費、それと関連してエンゲル係数によ
つて
それを修正いたしまして、大体理論生計費をきめるわけですが、その場合に食費の占める割合が、
日雇労務者
ではかなり大きいと思うわけです。その大きい食費の占める割合をと
つて
除けました残りの中の、一般公務員等の給与算定の場合は、何%が医療費になろ、従
つて
そういうことから
健康保険
の掛金はどれくらいまでが限度であるというような算定がなされると思うのですが、で、そういう
日雇労務者
の実態生計費、理論生計費、そういうものが明らかになりましだ場合に、初めてこの
日雇労務者
の
健康保険
の掛金八円というものが、果して妥当なものかどうかというようなことの判断もできると思いますので、その点、若し
只今
ないようでしたら、次の機会でも結構ですが、成るべく早く御
調査
頂けたらと思います。
久下勝次
31
○
政府委員
(
久下勝次
君) お尋ねの問題につきましては、お尋ねのような理論的な
数字
でないと思いまするが、確かお手許に
資料
としてお配りいたしました
現行
社会保障における
日雇労働者
の現状という
資料
をお配りしてあるのじやないかと思いますが、それのうち
日雇労働者
生活実態
調査
結果表というのが終いのほうにございます。それの更に又
あと
のほうに、頁数で言いますと七十七頁になります。一番最後のところでございますが、それに傷病の状況及び治療の状況というのがございまして、
日雇労働者
一人当りの費用が出ております。この
数字
によりますと
日雇労働者
一人当りは医師の治療を受けだ者、その他の治療をした者含めまして五十九円九十銭でございます。同じく
日雇労働者
一人当りの被扶養者分は百一円にな
つて
おります。そのうちそれぞれ医師の治療を受けて医師に支払いをいたしましたものは、
本人
の分が四十円、
家族
の分が七十八円にな
つて
おります。この治療費の支出の状況はその次の頁にございまして、百分比で申しますと、自費でや
つて
おりまするものは、
本人
分は四七・八%、被扶養者の分三六・四%でございまして、生活保護法による医療扶助の
本人
の分が三九・三%、被扶養者分が五五二%、
社会保険
が一二・五%、これは
本人
分であります。被扶養者分が六・三%というような、その他も若干ございまするが、こういう
程度
の
数字
つきり、実はないのでございます。
湯山勇
32
○湯山勇君 私も今
局長
の御
説明
にあつたような
資料
から何とかそういう結論を出そうと思
つて
みたのですけれ
ども
、これは治療を受けた人だけのことしか出ていないのです。
保険料
というのは治療を受ける人を、まあ言い方は悪いかも知れないのですけれ
ども
、救済するために、受けない人も
負担
するわけであります。受ける人、受けない人、そういうものを総合して、一体実態生計費、それにおいて受ける人、受けない人を合せての平均がどういうふうにな
つて
おるか、それが生活費のどれくらいな割合にな
つて
おるか、その割合は一般の公務員、或いはその他の労働者の
賃金
と比べてどうな
つて
おるか、こういう比較をしてみたいと思いまして、いろいろこの
資料
を拝見いたしましたのですけれ
ども
、それが見当らないものですからお尋ねをしたわけですが。
久下勝次
33
○
政府委員
(
久下勝次
君) 御
趣旨
御尤でございまして、そういうような
数字
がなければ本当の
意味
の正確な計画は立たないのでありますことは私
ども
承知をいたしております。ただ問題は、
一つ
は
日雇労働者
全部につきまして、おつしやるような
意味
における
資料
が何もございません。そういうことが
一つ
と、それからもう
一つ
は、こういう
保険
制度
ができますると、現在
保険
制度
のない場合の医者にかかる率というものが大きく変
つて
参ります。そこでいずれにいたしましても、現在におきましては
保険
を実施したものとしての
数字
というものは、
日雇労働者
それ自身については推定以上のものはないと思うのです。そこで私
ども
としては、結局とりました
数字
は、先も申上げだのでありまするが、
健康保険
の被
保険者
本人
及び
家族
の状況、現状を抑えてみたのであります。これも、
健康保険
は私から申上げるまでもなく、ここ七八年の間に
受診率
は急激に増高いたしております。そういうような
実情
でもありまするので、これもいつの時期を抑えるかということになると、なかなかこの新らしい
制度
との絡み合いで私は非常にむずかしいと思うのでありますけれ
ども
、この
計算
等の、
制度
を立てます上の
計算
の
基礎
といたしましたのは、二十五年の歴史を持
つて
おりまする
健康保険制度
の現状における
本人
及び
家族
の
受診率
を見まして、ただ先ほど他のかたの御質問にお答え申上げたのでありますが、これには
受給要件
がございます。これは
一つ
の
制限
になります。これを
失業保険
の例に倣
つて
二割減と見まして、つまり
健康保険
の
本人
及び被扶養者それぞれの二割減になるものと見ますと、更に最後にこれを
安全率
を見るために一割の
安全率
、こういうような
計算
の
基礎
をとりまして推計をいたしに過ぎないのであります。これをおつしやるような理論的な
数字
で分析をするのが最も正しいと思
つて
おるのでありますけれ
ども
、先ほど来申上げたような
事情
もありますので、結局はこれは三年も五年も実施をして参りまして漸次その
実情
に応じて計画を
考え
て行くというようなことにならざるを得ないと私も
考え
ております。
湯山勇
34
○湯山勇君 今のお話で大分よくわかつたわけですが、ただ私が心配してお尋ねしたいことは、
健康保険
の相似形的な縮小、そういうことだとやはり問題が残ると思うのです。と申しますのは、例えば一万円で生活しておる人が二分の一の五千円で生活せよということにな
つて
も、これはできるかも知れない。併し五千円で生活しておる人を同じ率で縮小いたしまして、二千五百円で生活せよということになるとこれは生きておられないかも知れないのです。つまり
保険料率
等が、
健康保険
の
保険料率
が大体
収入
に対してこういう割合だ、従
つて
日雇
も大体同じような率ならばいいだろうというような、そういう、
健康保険
におけるいろいろな
計算
の
基礎
よりも、
日雇
における
基礎
が縮小された形で、大体の割合は同じだというようなことで料率を出されたとすれば、これは非常に大きな
負担
が、規模が小さいだけに
日雇労務者
にかか
つて
来るわけなので、そこでこの八円というものが、一体私
ども
共済組合その他から見ますと、かなり高いのじやないか、率から言えば似たような率なんですけれ
ども
、率が同じであるということは、生活規模の小さいものにと
つて
は
負担
が多いということも
考え
られまして、そういう心配の点のあるかないかを私は明らかにしたい。こういうつもりでの質問でございますから、必ずしも
一つ
一つ
の、
日雇労務者
について実態生計費を集計してその平均を出すという必要はないわけでございます。若しその辺につきまして、
資料
がなくても、これはこうだというような御
説明
が頂けるようでしたら、それでも結構だと思いますから……。
久下勝次
35
○
政府委員
(
久下勝次
君) 先ず申上げたいと思いまするのは、お話の問題は二つに合けて
考え
られると思うのでありますが、先ず
最初
に申上げたいと思いますことは、これは疾病の
保険
が主体でございまするので、従いまして生計費の問題と直接は
関係
がないので、ただ
日雇労働者
という特殊な勤労状態にありまするかたがた、及びその
家族
の
病気
にかかる率がどういう率であろうかというような問題を判定をしなければならないことだと思います。その点は結局どのくらい医者にかか
つて
おるであろうかというのが現在の状況及び
保険
を作つたならばどの
程度
に
保険
を利用して医療を受けるであろうかというようなことの推定と、この二つがあるわけでございます。前者につきましては、先ほど申上げた
数字
以上のものはないのでございますが、後者につきましては、私は現在の、私が先ほど御
説明
申上げた推定の仕方は決してこれは
安全率
の点から申しますれば心配はないと思
つて
おります。と申しまするのは、こういう
種類
の医療
保険
の
制度
というものは、私
ども
の判断では
制度
のできたてはそう利用者がない。だんだんこの
制度
の実態がわか
つて
来て利用者が殖えて来るというようなことになろうと思いますので、少くとも当初の間の計画といたしましては、
健康保険
の現在の受診状況を抑えて行くという
考え方
は、私
ども
としてはそう
財政
の上でも実施の上でもその他の点でも心配はないと
考え
ておるものでございます。もう
一つ
は、先ほ
ども
触れたのでございますが、
健康保険
は二十五年の歴史を持ち、而も最近十年近い間というものは急激に利用率が殖えているのでございまして、随分急激に殖えて漸次最近の状況は殖える率が停滞をしつつございます。殖えてはおりまするけれ
ども
、ここ二、三年前ほどな殖え方をいたしておらない。そういうことで或る
程度
、どこまで行くかわかりませんがだんだん
受診率
というものもおのずから限度に来るのではないかというふうに
考え
られまして、相当に
制度
が普及して理解が行届いて参りました
健康保険制度
がさような状況でありまするので、その現状をとりましたことは私
ども
としてはそう無理はないんではないかというふうに
考え
た次第でございます。それから最後に
保険料
の問題でございますが、
保険料
につきましては、確かに同じ比率でありましても少額所得者のほうが苦しいということは私
ども
わかります。ただ理屈を言えば、同じ率で払うわけですから、苦しさは違うとい
つて
もそう大費なことはないんであろうということが
一つ
と、もう
一つ
は、実は
健康保険
の
適用
を現在受けておりまする被
保険者
の中にも、いわゆる常雇の人たちの中にも、私から申上げろまでもなく
現行
では二千円、今度の改正で三千円に最低が上りましたが、少くとも三千円
程度
の月額
収入
の者がまだ相当、何十万といるわけでございます。そういう人たちはやはり同じ率で千分の三十の
本人負担分
を
負担
しておるわけでございますが、そういう
意味合
いにおきましては、
日雇労務者
のかたがたといたしましてもやはり平均
賃金
から申しますれば月に税込五千円、恐らく税がかからんと思いますが、五千円くらいの
収入
になるわけでございますので、私
ども
の
考え
ではそう無理な要求ではないであろう、八円ということがそう無理ではない、何とか凌いで頂けるであろうというような
考え方
をいたしたわけでございます。
湯山勇
36
○湯山勇君 私がお尋ねいたしておりますのは、結局これが妥当かどうかということについての理論的な根拠をお示し頂きたいということだけなんですが、これはなお
一つ
御検討頂きまして、もう少し明確にお示し頂きたいと思います。 続いて、
局長
から
安全率
というお話がございましたのですが、これはこの
資料
の
制度
実施に要する経費概要の所を見ますと、歳入の所で郵政
事業
特別会計から受入れる、これが大体
保険金
、
負担
する、納めるほうの
保険金
になるわけでございますね。それに対して
歳出
の所では
保険給付費
とそれから最後に
予備費
というのが相当たくさんございます。二億五千万幾ら。この
予備費
とそして
保険給付費
と併せましても実際はこの郵政
事業
特別会計からの受入れに達しないわけです。つまりこれだと実際に
政府
がやると言いながら、むしろお互いに相互に助け合うということにしたほうがもつとこれは安くて、
本人
にと
つて
も有利なのである、こういう
考え方
もできるので、
安全率
というのはむしろこういうところにからくりがあ
つて
、これでは出しただけのものが本当に
日雇労務者
に返
つて
来ない、こういう規模にな
つて
おると思う。勿論
事務費
は国のほうでお持ちになるということはこれは結構ですけれ
ども
、それにしてもとに角使用者並びに
日雇労務者
が出しただけのものが
本人
に返らない、他の
保険
ではむしろ出した以上のものが返
つて
来る、こういう形にな
つて
おるのですが、これは一体甚だ私は不合理じやないかと思うのですが、如何でしようか。
久下勝次
37
○
政府委員
(
久下勝次
君) これは
昭和
二十八
年度
だけの
数字
を出しましたものですから、かようにな
つて
おります。実は法の
施行
関係
からかようになるのであります。なぜかと申上げますと、先ほ
ども
申上げたのでありますが、この
法案
が御審議の上通過いたしますれば十一月から
法案
を
施行
することにな
つて
おります。そういたしますと十一月に
施行
いたしますが、すぐに
保険料
の徴収はできない、先ず私
ども
の
考え
では五十万人の
対象
に対して一一
申請
を取り、
手帳
を交付するという
仕事
が全国的に行われます。又
事業主
におきましてはそれぞれ帳簿に記載したり諸準備万端整えないと、一斉に
保険料
徴収ということができません。その
期間
は、法が十一月一日に
施行
するといたしまして大体二カ月半かかると思います。二カ月として年末までには終りたいと思いますが、正月に
保険料
を取り始めるということもできませんから、そこで正月の十五日間を避けまして、十五日から
保険料
を具体的に徴収する、こういうふうに
考え
ておるのであります。
手帳
を一斉に持
つて
おりまする人々が、この
対象
になる人々が所定の
事業所
に就業しますその都度
保険料
を納めることになります。その一斉に納め始めまする時期を一月十五日に
予定
しております。そういたしますと、先ほ
ども
申上げましたが、
受給要件
が二ヵ月二十八日というのがあります。そうすると
給付
の実際に始まるのがどの被
保険者
につきましても三月一日以降になります。そこで結局は一月半というものは先ず
保険料
を納めて
受給要件
を満たして、
病気
に
なつ
た場合に医者にかかるこういうことになりますので、従いまして二十八
年度
だけを区切
つて
申上げますと、
保険料
は二月半納めて
給付
は一月きりしかない、こういう結果になりますので、そこで
只今
おつしやる
通り
郵政
事業
特別会計からの受入れ三億七千五百万円というものは二月半の
保険料
でございます。それから
給付
のほうは一月だけでございます。丁度二倍半をいたしますと、大体それにむしろ足りなくなるくらいな
計算
でございます。これは結局
保険
の実態の費用というものは大体これで一ぱい一ぱいぐらいになるはずでございます。 なおここで細かい二とを申上げて恐縮でございますが、
印紙
売捌手数料というものは、ここに一月十五日からの二月半分、千九百七十七万円が歳入に計上してございます。これは理論的に申上げますると、
保険給付費
、つまり
保険料
から支弁すべきものなのでございますが、この
保険
につきましては、特に
政府
の
国庫補助
で以て賄うことにしてございます。そういうような
関係
もありますことを御了承願いたいと思います。
湯山勇
38
○湯山勇君 今の御
説明
はよくわかりました。それは
保険給付費
が少いということはそれで了解できるわけです。ところがそれではやはりお金がたくさん余
つて
来るわけなので、余
つたの
が恐らく
予備費
に廻ると思うのですが、その
予備費
と
保険給付費
と合せればこれはやはり
収入
よりも多くないと工合悪いのじやないかと思うのです。今の御
説明
によりましても、支出するものは少く受けるむのは多い、従
つて
支出と受入れたものとの差はこれはいい、併し余つたものは
予備費
に廻しますから、少くとも納めたものが全部
労務者
のために全部廻るとすれば
予備費
とそれとを合せたものが
収入
、郵政
事業
特別会計から受入れた額よりも多くなれば初めて納めた以上の恩恵を受ける、こういうことになるわけですね。ところが実際は
予備費
とそれとの合計がそれよりも少いということは私
ちよ
つと納得行きかねるわけです。
久下勝次
39
○
政府委員
(
久下勝次
君) おつしやる点が少し私には理解いたしかねますが、
保険給付
と
予備費
を合せますと三億九千五百万円ほどになるのであります。
保険料
は三億七千五百万円でございますから、そういう
意味合
いにおきましてはおつしやる
通り
にな
つて
おるのでございますが。
湯山勇
40
○湯山勇君
予備費
は幾らですか。
久下勝次
41
○
政府委員
(
久下勝次
君) 二億五千三百万円。
湯山勇
42
○湯山勇君 失礼しました。私のほうは一億幾らにな
つて
おるものですから。
堂森芳夫
43
○
委員長
(
堂森芳夫
君)
ちよ
つと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
堂森芳夫
44
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 速記をつけて。じや暫時休憩いたします。 午後四時二分休憩 —————・————— 午後四時三十九分開会
堂森芳夫
45
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 休憩前に引続きまして再開いたします。
日雇労働者健康保険法案
に対する審議はこの
程度
にいたしまして、残りは次回に廻したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
堂森芳夫
46
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 御異議ないものと認めます。
—————————————
堂森芳夫
47
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 次に
理事
の
補欠
互選を行います。
湯山勇
48
○湯山勇君
理事
の互選は成規の手続を省略し、
委員長
の指名とせられんことの動議を提出いたします。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
堂森芳夫
49
○
委員長
(
堂森芳夫
君)
只今
の湯山君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
堂森芳夫
50
○
委員長
(
堂森芳夫
君) 御異議ないものと認めます。 それでは藤原道子君にお願いいたします。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十二分散会