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1953-07-08 第16回国会 参議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)    午後二時三十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長      堂森芳夫君    理事            大谷 瑩潤君            常岡 一郎君            藤原 道子君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            林   了君            廣瀬 久忠君            湯山  勇君            山下 義信君            有馬 英二君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 會田 長宗君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○らい予防法案内閣提出、衆議院送  付) ○小委員会設置の件 ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今より厚生委員会開会いたします。速記をとめて。    午後二時三十一分速記中止    ——————————    午後二時四十六分速記開始
  3. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 速記を始めて、それでは暫時休憩いたします。    午後二時四十七分休憩    ——————————    午後四時五分開会
  4. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今から厚生委員会を再開いたします。  らい予防法案を議題といたします。  先刻委員会の決定に従いまして、我我委員会代表が、国会裏に坐り込みをやつておるらい患者代表緒君に、我々はこもごも、我々に無条件で任してここを取払つて帰つてくれと、我々は慎重審議して諸君の希望するように十分注意して審議を続けると、こういう意味合いの発言を各委員がいたしまして、彼らは我々の要望を了といたしまして、暫時相談をする間持つてくれと、こういう返答でございました。只今その返答がございました。その返答は我々の申入れを喜んで受けると、但し希望として小委員会作つてらいたい、参考人を呼んで審議参考としてもらいたい、こういうような希望を付しまして、条件ではなしに希望を付して、我々の申出を了としまして引下がる、こういうふうな返答を得たわけであります。以上御報告申上げます。他の委員から追加したいことがございましたら追加願います。  それでは御質疑を願いたいと存じます。
  5. 榊原亨

    榊原亨君 本日はもう時間が切迫しておりますので、詳しいことはいずれ後ほどお伺いさして頂きたいと思うのでありますが、この法案審議いたしますに際しまして、二、三私が心得ておきたいと思うことがございますので承わらして頂きたいと思います。  第一番目といたしまして、らい病伝染する病気でございます。又、伝染するということの医学的の証明がどういうことであるのでございましようか。こういうことについて先ず承わりたいと思います。
  6. 山口正義

    政府委員山口正義君) らい伝染性疾患であるということにつきましては、これがらい菌によつて伝染するというふうに現在学問的に考えられております。らい患者の病巣かららい菌検出できます。患者以外の者からそれを検出出きない。但し榊原先生もよく御承知のように、らい菌の純培養がまだできておりませんので、他の純培養のできております細菌につきましていろいろ血清学的に或いは細菌学的に実験的な証明が行われておりまするような事柄は、このらいにつきましては現在までのところ行われていないのでございます。これは伝染病疾患であるという点につきましてはこのらい菌によつて伝染するものであるというふうに考えているのでございますが、統計学的にらい患者に接触している集団からのらい患者発生率、而もそのうちでらい結節性らい、つまり菌を非常に多く排出いたします結節性らい患者に接触いたしております集団、それから斑紋性の、らい薗を比較的余り排出いたしません、或いは排出いたしましても非常に程度の少ない斑紋らいに接触しております集団からの発生率の間に、これはフイリピン、ブラジル、そのほか国々においていろいろ統計学的に調査されておりますが、その間にはつきり差ができておりますというような事柄、或いはらい患者かち生れました子供をそのまま放置しておきますと、両親と一緒に生活さしておきますと、相当多数に子供の中かららい発生いたしますが、これを出生後直ちに隔離いたしますと、別のところへ連れて行つて育てますと、そこかららい発生が殆んどないというような点から考えまして、私どもはこれを伝染性疾患というふうに考えて取扱つております。
  7. 榊原亨

    榊原亨君 大体わかりましたが、それではその伝染はどの道を通つて、どの経路で伝染いたしますのでございますか。又らい菌に触れましてから何年間経つてらい病が出て参りますのでございますか、その点伺いたいと思います。
  8. 山口正義

    政府委員山口正義君) らい伝染接触伝染というふうに考えられておりまして、而もそれが直接伝染であるというふうに考えられております。間接伝染も一応考えられておりまして、それに対する注意は行われておりますが、大体直接伝染というふうに考えられております。間接伝染可能性も十分ございます。  それかららい感染いたしましてから発病に至りますまでの潜伏期間でございますが、これは感染いたしました際の年齢によつて差がございまして、年齢の少ないものほど潜伏期間が短い。年齢が多くなりますと潜伏期間が長くなるのでございますが、せいぜい五年から八年のものが割合多いというように言われております。
  9. 榊原亨

    榊原亨君 らい病は現在の医学で治る方法がございますか。又治つた実例がありますか。
  10. 山口正義

    政府委員山口正義君) らいに対しまして現在用いられております治療法スルフオン系統の日本ではプロミンが多く使われております。以前は大楓子から取りました大楓子油が使われておつたのでございますが、現在プロミンが使用されるようになりましてからその軽快する率が非常によくなつて参りまして、例えば非常に軽症なものでございますれば、鼻汁の中の菌が軽症なものでございますれば一カ月くらいから消滅し始めます。又軽症のものでございますれば鼻粘膜の中の菌は六カ月くいらいから消滅し始めるというような状況でございます。重症なものでございますとなかなかそう簡単には参らないのでございます。いずれにいたしましてもプミンの使用によりまして結節らいは非常によくなりまして七、八割軽快いたすのでございますが、果してこれが全治するかどうか、普通の方法ではなかなか菌が消滅できないような状態にはなりますけれども、果してこれが全治いたしますかどうかということにつきましてはなかなか疑問がございますので、プロミンは菌の発育を阻止するという性質のものでございますので、菌をすつかり殺してしまうということはなかなかむずかしいのではないかというように考えられまして、発育を阻止しておる間に体力のほうでそれに打勝つというような状況症状経過いたすのでございますが、全治するかどうかということにつきましては学問的にもまだ疑問がある点だと思うのでございます。
  11. 榊原亨

    榊原亨君 御提出法案の中に伝染の虞れあるという言葉が使われておりますが、伝染の虞れがあるのとないのはどこで区別することができますか。
  12. 山口正義

    政府委員山口正義君) 一応臨床症状、或いは細菌学的検査等によりましてそれを判断するのでございますが、特に菌を検査いたしまして菌の検出ができるというような場合には、これは伝染の虞れが非常に濃厚であるというふうに考えるわけでございます。
  13. 榊原亨

    榊原亨君 聞くところによりますと、菌の検出というものは非常にむずかしいので、場合によりましたら一年くらい調べて漸く菌が証明される場合もあるということでありますが、それでは、伝染の虞れがあるということをこの法案医師診断することになつておりますが、その標準はどういうことでございましようか。  又先ほど承わりますとプロミンを使いましても、らいは全治するということを言えないようなお話でございますが、そういたしますとどの標準によつて伝染のおそれあるということで収容強制するというような関係になつて来るのでございましようか。今日でなくても結構ですからあとでその点の限界を承わりたいと思います。
  14. 山口正義

    政府委員山口正義君) 強制的にやります場合にはやはり症状はつきりしておるというようなものでないといけないと思うのでございます。
  15. 榊原亨

    榊原亨君 どうも今の御答弁はつきりしませんが、改めてお考えおき願つてはつきり、この法案審議に当つても重大なことでございますのでもつと学問的にはつきりお知らせを願いたいと思うのであります。  ついでに承わりますが、先ほどあそこの議会裏でいろいろ陳情居坐りをしておれるかたがた、どれを見ましても、私ども一見いたしまして症状はつきりいたしておるのでございますが、あれは伝染の虞れがないということで表にお出しになつたのでございますか。
  16. 會田長宗

    政府委員會田長宗君) 伝染の虞れがあるかないかということの問題は非常に技術的にもむずかしい問題でございますが、実際に今日まで入所とか或いは退所を許します場合の基準は、今も公衆衛生局長からお話申上げましたように、入所いたします場合には入所強制しなければならんというに足りる相当確たる根拠がなければならん問題でありまして、この入所を命じますときにはより厳密なと申しますか、確かに感染の虞れがあるということがかなり高い程度に至りませんと必ずしも強制はしないというような立場をとつております。一遍患者として中に入りまして、それで相当長い期間経過を見ておりまして患者であるということが確認され、そしてその経過を見守つて参りました療養所医師といたしましては、先ほど榊原先生からお話がございましたように、その患者が十分治りきつたというふうに断定するのにはよほど慎重にかからなければ、逆の意味で慎重に考えなければなりません関係から、入りますときにはらい患者で、感染力あるらい患者であるということが十分確実でなければこれを強いない。又それに対しまして退所いたします場合には、その場合に比べますれば前からの経過がわかつておる関係からも例えは菌が一回、二回或いは一カ月というような程度証明されませんでも、まだそのニカ月後、三カ月後に出る虞れがあるというふうに考えられます限り、病院としては感染の虞れが全くなくなつたというふうには断定いたさないような状況であります。たださような状況でございますので、一時特別な用件がございまして、自分の故郷に帰るというような場合には、一週間或いは三週間の間菌を排泄するというようなことが先ずないであろうということが細菌学的にも又臨床的にも判定されまするならば、そのような場合には感染の虞れが極めて微弱なものというふうに考え外泊を許可するというようなことが実際では行われておるわけであります。勿論外泊を許可いたします場合には、そうは申しましても、今の療養所の医員の考え方といたしましては、決して万虞れがないというふうには断定いたしておらないのでありますが、外泊をさような場合に許しますときでも、感染予防の措置を十分に本人も講ずる。又行先地に対しましてもそういう感染の防止を十分やれるように教え、又そういうことに慣れております例えば家族等でありますれば、さような知識も可なり持つておりますので、行先等も勘案して期間と行先の如何によつて許可を与えておるというような状況であります。
  17. 榊原亨

    榊原亨君 これがこの法案の一番重大な点と思いますので、今のお話ではどうも納得できないのでありますが、何も揚げ足をとつておるというわけではございません。でありますから、この次までに当局の統一した御答弁ができるように御準備下さいまして、十分はつきりしたらい病患者の納得できる御答弁を頂かないと、この問題がこじれると私は思うのです。  もう一つだけでありますが、このらい病患者患者だという理由強制して収容するということになるのでございましようが、それは公共福祉に反するという意味だろうと思うのでありますが、その公共福祉に反するという意味をどんなふうに御解釈になつておられるのでございますか。例えば数人の人に伝染の虞れがある場合、或いは一人でも伝染の虞れがあるならばすぐ公共福祉に反するのか、そこらの点の話もこの次までに承わつておきたい。
  18. 山下義信

    山下義信君 時間がないから私は伺わないつもりでいたのでありますが、今榊原委員の御質問に対して当局の御答弁ですね。私ども素人でわかりませんけれども、極く素朴な質問をいたしておきまして、当局の根本的な方針只今榊原委員の質疑応答なされたその点を明らかにしておきたいと思うのであります。私ども素人考えておりますことは、らい対策につきましては一応或る程度、或る程度ということはまあ殆んどでありますが、隔離するということが非常に大切なことのように我々は考えている。それで療養所に隔離する、つまり入所させるということについて如何に人権を尊重するかということで法律の起案も当局も苦心しているのだろうと思う。強度症状のものでない限りには強制しないという建前だという御答弁であります。そうして私は素人でわからん、だから素人にわかるように説明して下さい、答弁して下さい。そうしてその全治とか伝染の虞れあるとかいつたようならい菌ですか、菌の状況診断と言いますか、その認定と言いますか、そういうものは誠に困難だと、こう言われる。いや治癒したとかしないとかということは、私は素人新聞を見るというと、五年も十年も先になつてみないとわからんということが新聞などに書いてございますが、ちよつとそういうことは、なかなか今日の学問上ではとの程度では伝染するとかしないとか治癒するとかしないとかということの診断というものはなかなか容易でないと言われる。そうすると強度でないものは強制しないという建前で今後のらい対策をやつて行くのだということで、この法律の骨子というものが一貫しているのですか。そうすると強度症状のないものは無理に強いて入所強制する意思はないというようなことならば、それは大変な私は大きな問題だと思うのですね。ですから素人はもうらい患者ということになると、雑駁な言い方をしますが一応隔離しなければ伝染の虞れがあるように解釈しておつたのですが、強度のものをこれをいわゆる俗に言うところの強制収容をしようというのであつて症状強度でないものはそのような強制はする考えはない、かような御答弁と解釈してよろしうございますか。私ども素人にわかるように一つ確たる方針をお答え願いたいと思います。
  19. 山口正義

    政府委員山口正義君) 先ほど榊原先生質問に対しまして申上げましたことと只今山下先生の申上げますことのうちで、私菌の証明によるというふうに先ほど申上げたと思うのでございますが、菌の証明だけによるというと、菌の証明がなかなかむずかしい場合もございますので、私どものほうで診断基準というものを一応作つておりますが、らい症状のひどい場合には菌の検出が簡単な普通な方法でできるのでございますが、それで普通の方法ではなかなかできない、例えば皮膚を極く簡単にとるというだけでできない、もつと深くとらなければできないという場合も起つて参ります。従いまして只今山下先生の御質問に対しまして菌の検出出来る或いは強度のものだけしか収容するのかどうかというお話でございますが、それはらい患者でいろいろな診断基準によりまして伝染させる虞れがあるという患者はやはり収容するという方針をとるわけでございます。ただ私先生ほど榊原先生にお答え申上げました点で言葉が足りませんでしたが、或いは表現が間違つてつたかも存じませんが、お許し願いたいと存じますが、その「伝染させるおそれのある」ということを診断いたします。私どもの確実な方法は菌の検出でございますが、そのほかにやはりいろいろな診断基準によりまして患者であるということがはつきり診断できるものにつきましては、やはりこれを隔離するという方針をとつて参るつもりでございます。先ほど榊原先生にお答え申上げました点と食違いがございますれば、お許し願いたいと存じます。
  20. 山下義信

    山下義信君 素人というものは一遍聞いてもわかりませんから、あとで今の御答弁をじつくり又勉強さして頂きます。  それからい一つ伺いたいのは、今持つております国立療養所ですね、十の療養所その他一時救護所があります。その国立療養所を更に新設する計画があるかどうか。現在の国立療養所拡充強化計画があるかどうか、或いは又療養所職員等についてこれを増員するような計画があるのかどうか、或いは又来年、再来年、この二カ年なり三カ年の間に療養所を充実するといつたような何カ年次計画でもあるのかどうかというような点の当局の持つておる計画の、私たちのわかるような資料一つ出してもらいたい。それでこういう法律作つても、私は議論はしませんが、療養所内容が充実しなかつたら何にもならない、その点患者にプラスに何にもならない、法律ばかり作つても何にもならない、それで今一つは、その資料の中にはこの二十八年度予算の編成に際して、当局が各療養所施設改善その他内容充実について、どれだけの当初予算の見積りをしたかどうか、その点大蔵省の査定は十六億になつておるが、厚生省は一体どれだけの要求をしたか、これは当然ある資料ですから出してもらいたい。それからこの十の療養所に対して厚生省はどういう計画を持つておるか、裏からひつくり返して、この法律作つたあとでどういう計画でやるのかという計画の我々にわかるような資料一つ提出願いたいと思います。これは一つ委員長から要求して頂きます。
  21. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 承知いたしました。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 先ほどの榊原委員山下委員質問に関連してお尋ねしたいのでありますが、第五条に「患者又は患者と疑うに足りる相当理由がある者を診察させることができる。」ということになつておりますが、「患者と疑うに足りる相当理由がある者」というのは、どういうふうにして発見するのですか。
  23. 山口正義

    政府委員山口正義君) 第四条によりまして医師から患者疑いがあるという届出があつた者、或いはみずから申出た者、或いは顔貌その他の症状から見まして疑いが非常に濃厚な者というものを考えております。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 この顔貌から見ても、どうもらいじやないかということはよくわかるのでありますが、若しこれが被服を着ておつて現われない、着物やずぼんをつけておつて、その中に症状があるということで、曾つて医師の診療を受けたことがないという者に対してはどういうふうにして発見し、どういうふうに措置されるのですか。
  25. 山口正義

    政府委員山口正義君) そういうものはどうも患者と疑う根拠を持ち得ませんので、それをこの五条によつて診察をさせることはできないじやないか、そういうふうに考えております。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 これはやはり「診察させる」ということを未然に予防対策を講ずる必要があると思いますが、私は医学のことをよく知りませんが、着物を着ていてわからないが、着物の下に明らかに症状がある、併し発見することができないというようなことになれば、この五条は非常に私は死んで行くと思うのです。この着物の下に症状があるかも知れないというような者にも何らか診察するような方法はお考えにならないのかどうか。
  27. 山口正義

    政府委員山口正義君) これは今まで一遍も医者の診察をしてもらつたことのない者といつた者に対してはなかなか困難かも知れませんが、現在結核予防法その他の法律によりまして、健康診断とか集団検診をいろいろ実施いたしますので、着物に隠れてわからないような症状というようなものは、そういう際にできるだけ気を付けるというようなことをやらなければならないと思いますし、又そういう疾病を発病するかも知れないというような人に対しましては、今後はできるだけ教育をしまして、そうしてみずからそういう診察を申出るというようなことをさせるように指導して行かなければならないと考えております。
  28. 高野一夫

    高野一夫君 未だ曾つて一度も診察を受けたこともないし、又今まで患者を出した家庭でもないというようなところに事実患者があつたということは有り得ることでありますので、近所の噂話でもあつて、例えばどうもあれは変なところがあるがらい患者ではないだろうかということであつた場合、これを第五条に該当さして診察させることができるかどうか、伺いたい。
  29. 山口正義

    政府委員山口正義君) 聞き込みだけでそういうことをやりますことが「相当理由」と考えられるかどうかということは、いろいろ検討しなければならないと思うのでございますが、そういう人はらい目的としないほかの集団検診健康診断の際に、これは患者の秘密ということも考えてやらなければなりませんので、ほかの疾病目的としたような健康診断をやりまして、その際にそういう注意をするというように持つて行かなければならないのじやないかと思つております。
  30. 高野一夫

    高野一夫君 患者が出た家庭、その家族或いは同居者、その中にらい患者がいるかどうかわからない、疑わしい者がいるかどうかわからないが、一応患者が出た家族疑いがあるなしにかかわらず、健康診断をしてみよう、こういう方法ができるかどうかということをお考えなつたことはありませんか。
  31. 山口正義

    政府委員山口正義君) それは第四条の医師がそういう患者或いは患者疑いのある者を診断しまして届出がありますときに、患者家族などにいろいろ指示をすることになつておりますが、そういう際に、そういうことを勧めるというようなことを一応考えております。
  32. 高野一夫

    高野一夫君 そういう自発的申出ではなくして、できるだけこれは隠したいわけですから、それを強制的にと言つては甚だ語弊があるかも知れませんけれども、無理にでもその同居者なり家族に一応の健康診断をするということはできるかできないか、又或いはできないとお考えになつてこういうふうになつたのかどうか、この点を伺いたい。
  33. 山口正義

    政府委員山口正義君) 聞込み程度で余りはつきりした理由のないのをいわゆる第五条によつて強制的にやるということは、私どもとして差控えなければならないではないかと考えておりますが、但し片方におきましては衛生教育を、これは相当時日がかかると思いますが、衛生教育をいたしまして、そういう疑いのある者は、自発的に申出させるように指導して行かなければならないので、そつちのほうをやつて行きたいと思います。
  34. 高野一夫

    高野一夫君 私の申上げておるのは多少違つておるのです。第五条をこのまま適用するという意味ではなくて、疑わしい患者診察させるということではなくして、その患者が出た家族なり、同居者は、疑いのあるなしにかかわらず、強制的に健康診断をする、こういうような方法が行われるか行われないか、この五条を離れてそういうことについて別に御研究になつたことはないかどうか、そうすれば疑しいかどうか、着物の下に隠れておつて健康診断をするとわかるというように素人には考えられるのですが。
  35. 山口正義

    政府委員山口正義君) 家族であるということだけで強制的にやるということはちよつと無理だと思うのであります。ほかに何かそれにプラスする根拠があれば、この相当理由の中に考えて行くベきじやないかというように考えております。
  36. 有馬英二

    有馬英二君 それに関連して、今の局長の御答弁では、少し私腑に落ちないのですが、今までの予防の実際の面においては、一家族から一人でも不幸な患者が出ればその家族はみんな健康診断を受けておるはずです。私はそういう工合に心得ておりますが、如何でございましようか。
  37. 山口正義

    政府委員山口正義君) 実質的には相当受けておると思うのでございますが、強制的にそれをやるかどうか、この法律に基いてそれをやるかどうかということは考えなければならないものと思います。
  38. 有馬英二

    有馬英二君 そういう場合に、うちの人が全部診断を拒絶すれば、それは行われないかも知れないが、ここのうちから患者が出たら、あなたがたはどうしても早目にそれを診断をしなければならない、早目に治療をすれば治るのだということを説得して、そうしてそれじや診断しますと、うちの人は納得して診断させると思うのです。それを強制と言うか言わんかということが今問題になつたかと思うのですが、実際においてはそういう工合にしなければ予防にはならないむ思うのです。
  39. 山口正義

    政府委員山口正義君) そういう場合におきましては、これを指導によつてできるだけたくさんの人が健康診断を受けるようにやつて行きたい、そういうふうに考えております。
  40. 横山フク

    ○横山フク君 第二条に「らいに関する正しい知識の普及を図らなければならない。」とありますが、こういうことに対してどういうことを御計画になるお考えなんでしようか。
  41. 山口正義

    政府委員山口正義君) この「らいに関する正しい知識」と申しますうちに、らい予防及び医療に関する知識の普及も勿論でございますが、現在らいに関しましては因襲的な偏見を持つておる人が相当ございますので、それを打破して行かなければならないと考えておりますので、そういうらいが遺伝性の疾患でなくて伝染性疾患である、そうして現在はこういうふうな治療法でやれば、こういうふうに軽快するものである、或いは癩療養所に入ればこういうふうになるというようなことを、映画とかパンフレツト、或いはそのほかの印刷物、或いは座談会、講演会というようなものでやつて参りたいと存じております。
  42. 横山フク

    ○横山フク君 お話程度のことは私も想像がつくのでございますけれどもらいに対しては本当の知識というのは余りないと思うのですね、でございますから相当これは知識の普及を図ることが必要でございますし、そういうことも今お話なつたことくらいは当然なさるべきでありましようが、ただじやできない、いずれこういう法律作つて図らなければならないとすれば、それに裏付けするものが、何かなければならないと思いますが、そういうものがどこかに裏付けがあるのでございましようか。
  43. 山口正義

    政府委員山口正義君) これは私ども現在は藤楓協会、元の癩予防協会の仕事としてやつてらいたいというふうに考えておりまして、藤楓協会のほうでもそういう仕事を計画してやつて頂いております。国といたしましてはそういう知識普及に関します仕事をやつてもらうというためには、二十八年度の予算の中に極く僅かではございますが、百万円の藤楓協会に対する補助金、委託費として計上させて頂いております。将来こういう予算はもつと殖やして行かなければならないと、そういうふうに考えております。
  44. 横山フク

    ○横山フク君 そうすると藤楓協会ですか、そこに百万円出しておる、そちらで今までしていた、今後も又するでしようが、こういうものに対するパンフレツト或いはリーフレツト、映画とかいうことについての実績がありますかこういうものについて具体的に。
  45. 山口正義

    政府委員山口正義君) 従来藤楓協会は昨年の四月一日から藤楓協会という名前に変りまして、その以前は癩予防協会でございました。その癩予防協会に対しまして国が、これはもう非常に僅かではございますが、やはり或るときは補助金という恰好、或るときは委託費という恰好でございましたが、それを出しまして、パンフレツトなどを作つてもらつておりました。ただその活動が非常に微弱でございましたので、今後これを伸ばして行かなければならない、こういうように考えております。
  46. 横山フク

    ○横山フク君 私実は多少自分の身近に、弟子の中でらいが出たのでございますが、多少関心を持つておりますけれども、そういう点について正しい知識を知る機会が殆んどなかつた言つてもいいと思うのでございます。或る伝染病院の院長の姪も私のうちに弟子に来ておるのですが、そういう点についての普及の面のことも、私みたいな立場にあつたものも、そういうことについて聞く機会がなかつたのですけれども、そういう点は実際以上に怖れられておる。それが今度ああいうような死物狂いの運動になつて来たと思います。でございますから、そういう点に対してもつと積極的にして頂きたい。外廓団体に百万円ぐらいつてそれを応援して、あと法律に書いてのほほんとしておるということは、少し無責任と思います。もつと積極性を持つて活動をして頂くということを特にこの際お願いしたいと思います。
  47. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 質疑もたくさんあると思いますが、今日はこのくらいにして頂きまして、らいに関する小委員会を設置するの動議を提出し、その小委員の数なり、小委員の指名なりは、委員長に一任することの動議を提出いたします。
  48. 山下義信

    山下義信君 常岡委員の動議に賛成いたします。
  49. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今の常岡君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。らいに関する小委員を設けることに決定いたしました。氏名その他は後ほど指名いたします。
  51. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は本法案審議のため、患者の座り込みについて東京都の責任者を参考人として呼ぶこと、及びその人選、手続等は委員長に一任するの動議を提出いたしました。
  52. 山下義信

    山下義信君 只今の湯山委員の動議に賛成いたします。
  53. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 只今の湯山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 堂森芳夫

    委員長堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。よつて東京都の責任者を参考人として呼ぶことを決定いたします。今日はこれくらいで散会いたします。    午後四時四十八分散会