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政府委員(
曾田長宗君)
只今の御質問に対しましては誠に御心配頂きまして、私
どもも非常に
責任を感じておる次第でございます。このような事態を起しました経過については、たしか前週の木曜日までの
事情は、一応この
厚生委員会で以て御
報告をいたしてお
つたと思うのでありますが、その後の
事情につきまして、簡単にかいつまんで申上げますれば、木曜日に約四十名ばかりのものがこの
国会へ、特に
衆議院に参りまして、
衆議院の
先生方にお目に掛かりたいというようなことを希望しておりましたのです。これが三々五々こちらに出て参りましたというような
事情で、少くとも全
生園におきましては
外出を許可したものではないのでありまするので、この者に極力
帰園を
勧告したのであります。いろいろ議員の
かたがたにお目に掛かりたい、又そういうような話が今進んでおるというようなことで、夕刻に至りましてもなかなか帰らなか
つたのでありますが、五時も過ぎ、こちらで
先生がたにお目にかかることももうできないような
事情にも至りましたので、
是非帰つてくれということを更に重ねて
勧告をいたしました結果、八時頃に至りましてこの
患者が
帰園いたすということを承諾いたしたのでありますが、その際にこちらに出て参りましたのは、許可を得ずに出て参
つたので、これはそれを防止し得なか
つたことは、私
どもとしても非常に
責任を感ずるのでありますが、出て参りました以上、これをできるだけ他に
病毒の散らばりますことを防止する方策を講ずる
責任がございますので、
バスを用意いたしまして、これによ
つてこの全
生園に送り帰そうというふうに努めたのでありましたけれ
ども、遂に
患者がそれをがえんじませんでして、
バスに乗せることができずに、
患者が又自由な行動をとりつつ
帰園をしたというような
事情でございます。そして……、今申上げましたのは、私
ちよつと心得違いしましたが、水曜日のことでございます。それで翌日は
衆議院の
小島厚生委員長ほか数名の
委員の
かたがたが全
生園においで下さいまして、
患者も
先生がたにお目にかか
つて、その一日は、木曜日は割合に平静な
状態を示したのであります。それで当日の夜遅くなりまして、この
多摩の全
生園の
園長から私
どものほうに
連絡がございましたのですが、
患者がしきりに、明日は
自分たちを連れて行け、
国会に陳情したいから連れて行
つてくれということをしきりにせがんでおる。
自分としては極力これを慰撫しておる
状況であるということを伝えて参りました。で、翌日金曜日になりまして、
多摩から又
連絡があ
つて、
患者の懇望を抑えることができずに遂に、
却つて三々五々出て参りますのは、結果として
らいの
予防上恐るべきところが
却つて多いと考えられるので、
むしろ園の
バスをこの際止むを得ずながら出しまして、これに
患者を乗せて参りたいと思う。但しこれは
バスからは絶対に出ない、又
園長の指揮に完全に服するという条件をも
つてこの
国会まで連れて来ざるを得ない
状況に
なつたという
報告が参りました。で、この
バスは当日の十一時十五分頃にこちらに着きまして、そしてやはりいろいろな
先生がたに御面会を願いたいということで、若干の
かたがたにはお目にかか
つたようであります。その晩に至りまして、もう
先生がたにもお目にかか
つたことだし、ここでも
つてそろそろと帰
つたらどうかということを
園長が奨め、又命じたのでございますけれ
ども、
患者が
バスから降りて、この
常任委員会の建物がございますあの前に座り込みまして、そしてどうしても帰ろうといたさないのであります。で、かなり遅くまで、たしか十時近くまで待
つたと思うのでありまするけれ
ども、とうとう
説得することができませんでした、又その間に留守の園内のことも、
状況も心配でございますので、
園長は
一つこれでも
つて帰る。だから
諸君のうちできるだけ多く帰
つてくれということを申しましたが、やはりきかない、それで
身体の弱い者或いは婦人というような人だけでも帰
つてくれと申しましたが、結局一人だけ
園長と
一緒に帰りまして、他の者はその儘そこに居座
つたような
状況に
なつた。そし
つてこれに続きまして又
多摩からの情報が参りまして、
患者が四、五十名園を脱出したようであるという
報告がございました。その晩のうちに今のように若干出まして、その後も
幾分ずつこの園の
職員の阻止をきかずに、数名
づつ外に出た
模様であります。翌朝土曜日になりまして、前の晩から出ておりました者、こういうような者が逐次
国会に集ま
つて参りまして、なお当日は今のように
患者が相当脱出して来る
模様でございますので、園の
職員をその
附近の電車の停車場に配置しまして、そして来た者は
説得によ
つてそれを園に帰すというような
措置をとりました。若干の者は帰
つてくれたと思うのでありますけれ
ども、
幾分ずつその間隙を縫いまして、そしてこちらに参り、前日は四十名ばかりございましたのですが、その当日のお昼頃は百五十名ばかりになり、更にその後も少しずつ殖えまして、多い時には百八十名
程度に
なつたと思うのであります。御
承知のように当日は
衆議院の
厚生委員会でこの
法案について慎重なる御
審議が進んでお
つたわけなんですが、その結果を見ないうちは、どうしても帰らないということを
言つて、その結果がわかるまでもう少し置いてくれということを申してお
つたのでありますが、それが
厚生委員会の
審議が大体済みました頃に、更に
帰園を勧誘いたしましたけれ
ども、今度は本
会議にかかるか否か、本
会議にかかるならば、その結果を見届けたい、そうでなければ
自分たちが
帰つて他の
患者に会わす顔がないというようなことを申して、もう少し置いてくれということを言いました。それでは四時まで待
つて、四時までには本
会議の決定も見るであろうから、それまで待とうということで四時まで待ちました。四時に
なつてこの
法案が
衆議院の本
会議で可決いたされました。このような決着を一応見た以上取りあえず
帰園して、そうしてその後この次に
参議院で
審議をいたされるに対して、いろいろ
諸君の
意見を申し述べたいということに対しては、私
どももその間にこの仲介の労をとり、何かのできるだけの
方法を講ずるように取計
らいますからとにかく園に帰
つてくれということを申しましたが、これもすぐには
承知いたしませんでした。なおこちらの
参議院の
草葉議運委員長もおいで下さいまして、
参議院においては
十分諸君の意を酌み取
つて、そうして
諸君と十分に意思の疏通を
図つて、そうして
法案の
慎重審議をやるから、とにかく園に一応帰
つてくれということをお奨め下さいましたのでありますが、なかなかすぐにはうんと申さなか
つたのであります。で、暫く
自分たちに考えさしてくれ、又私
どももそれではもう少しみんなで相談して見るがよかろうということを申して、一応私
ども待
つておりましたのですが、
患者の
意見といたしまして、若干名のものをここに残してくれ、そうしてここに居残
つていることを認めてもらえるならば他の大多数の者は私
どもの勧誘に
従つて帰つてもいいというようなことを申して参
つたのでありますが、私
どもといたしましては扱
つております
患者をこの野天に置いて、そうしてそのままでよろしいということは申すことがどうしても
責任上できませんので、私
どもとしては
諸君にどうしても帰
つても
らいたいのだ、併し
諸君が帰らんというのではこれは何とい
つても今のところやむを得んのであるから……。そうすれば大多数の
人たちだけでもつれて帰る、成るべく一人でも多く余計に帰
つても
らいたいということを申しました。私
どもとしても満足とは思わないのでありますけれ
ども、止むを得ずさような
措置をとりまして、
バスを七台ばかり動かしまして、そうして午後の十時頃にここを立
つて、そうして
帰園いたしたような次第でございまして、
帰園の途中及び
帰園いたしましてから後はおおむね
患者は平静にいたしておるわけであります。ただこちらへ残りました二十七名の者、そうしてその大多数の者を帰すといういろいろ準備をしております頃に
駿河の
療養所から
バスに乗りまして十九名の者が到着いたしましたので、これが、初めに
患者二十七名だけ残して
あとの者はみんな帰ろうということを言いましたが、この者にも取りあえず全
生園に帰
つてくれということを申しましたけれ
ども、この者は到着したばかりでなかなか気が昂ぶ
つておるものでございますから、とうとう二十七名の者と
一緒に
あとまで
残つたというような
状況でございまして、その後、昨日はそのままの
状況で続きまして、それから本日はやはり同じような
状況が続いておるのでありますけれ
ども、
草津から参
つておりました
患者のうち十五名が、
園長も出て参りまして
説得いたしました結果、本日午前中に
草津に帰りました。こういうような
状況で、又
園外に出ました
患者がまだ
帰園の
勧告及び
命令に服しないで
只今四十五、六名の者がまだ残
つておるというような
状況でございます。私
どもとしても今のところ若干名の
職員を出しまして、そうしていろいろと監視し、又見守
つておるような
状況でございます。今のようにこの多勢の者が外に居りまして園の
職員としても十分な
世話がやき切れませんので、
是非園に帰
つてくれと極力
勧告いたしたような次第でありますが、それにもかかわらず
残つた者に対しましてはなかなか園としても十分な
世話をするということができませんので、ただそうかといいまして体の弱い
病人たちでございますので放置して置くわけにも行かず、今日は、毎日この園の
委員と
看護婦をこちらに派遣いたしましてその
患者の
身体の
状況というものに、この放置できない者は無理をしてでも園に帰
つてもら
つていろいろな僚養を続けさせるというような
医療措置を講ずるというようにいたしておるような次第でございます。これを今日もその
勧告を続けておるような
状況でありまして、殊に初めに残りました二十七名のほかに十九名の者も参
つておるような次第でありますので、こういうような
人たちに
是非少くとも
多摩の全
生園へ帰
つてもら
つて、できるならばもとの、
駿河から来てあります者は
駿河へ、
自分の出て来ました園に至急帰
つてもらうように極力
勧告いたしておるような
状況でございます。
なお
患者がおりますところのいろいろな清掃の問題でありますとか、或いは
患者の大、
小便というようなものにつきましては成るべくその
病毒が散乱いたしませんように
便所を指定するとかいうような
方法を講じて、極力その弊害の少なからんことに努めておるような次第でございます。
大体今日まで前回御
報告申上げました後の
状況を
お話申上げたような次第でございます。