○
衆議院議員(青柳
一郎君) 青柳でございます。
衆議院におきまして
政府提案にかかる未
帰還者留守家族等援護法案を修正いたしました点につきまして簡単に御説明を申上げます。
〔
委員長退席、
厚生委員会理事常岡
一郎君着席〕
お手許に修正案要綱をお配りしてあるはずでございますが、それによりまして申上げたいと存じます。
先ず第一でございますが、第一條に未
帰還者が置かれている特別の
状態にかんがみ、国の
責任において
援護する旨を明記すること。」こうございます。この点につきましてはすでに御存じのように戦傷病者戦没者
遺族等
援護法におきましてその第一條に一
国家補償の精神に基き」とあるのでございます。この
政府原案にかかる
観念的なものが必要であるという主張が強く述べられたのでございます。併しながらいろいろと
考えてみますると、
国家の公務と申しまするか、
国家の強制力によ
つて引つ張り出されておられた
かたがたと御
自分の御
希望によ
つて外地におられた
かたがたと、その間にはおのおの区別があるべきはずであるという
観点から、
国家の強制力によりまして引つ張り出されてなお外地におられる
かたがたにつきましては、勿論
国家補償の精神に基くのは当然であるけれども、
本人の御
希望によりまして行かれました
かたがたにつきましては、そこまで言うのはどうだろうかというので、ここにその折衷的な案といたしまして国の
責任において
援護するということを表わすことにいたしておるのでございます。
第二の点につきましては、実は第五のほうからちよつと見て頂きますると順序上都合がよろしいと存じます。五には「
昭和二十八年四月から七月までの間において、未
復員給与法又は特別未
帰還者給与法による
扶養手当を受けた者には、
扶養手当を
増額し、これを追給する
措置に準じた
措置をとること。」こうございます。すでに御存じのように、
政府の原案におきましては今回の未
帰還者留守家族に与えられまする
手当は八月の一日から第一順位者に月二千百円、それらの
家族に四百円というふうに改められておるのでございます。そういたしますると、本年の四月からこの七月までの間は従前の
通り、これは御存じの
通り本人に対する
俸給制限でございま六が、妻六百円、第一子六百円であるのでありまして、その点は他に御審議に相成
つておりまする戦傷病者戦没者
遺族等
援護法におきましては四月から
増額せられております。これと
均衡上どうだろうか、できれば四月一日に遡
つて今回の
増額せられんとする額を支給すべきであるという議論が勝を制しまして、従前からこの
手当を貰
つておりまするものにつきましては、四月一日から七月までの間は従前
通りの
手当を貰えまするが、その後において本法が施行になりましてから遡りまして、即ち二千百円の
金額に合うように追給を行うというふうに改めた点でございます。而うして第ニの点でございますが、今度は「
留守家族手当の
月額を
昭和二十九年一月一日より二千三百円に
増額すること。」こういたしたのでございます。
この点につきましてもすでに御存じのように
恩給法におきまして仮定
俸給において二等兵、
一等兵、上等兵を
兵長と同様にいたすことにいたしました。ここに二等兵、
一等兵、上等兵の仮定
俸給が上りまして、現在の月二千百円という
金額は
政府当局より承わりますると、ニ等兵と
一等兵の間である。こういうお話でございます。やはりこれも
兵長並みに上げる必要があるというので月二千三百円にすべしという議論が強く闘わされました。而してでき得べくんばこれを八月一日より行おうとしたのでございますが、予算の面からいたし方なく来年の一月一日より二千三百円に
増額するといたしたのでございます。
次に第三、「第二十九條において、国は、未
帰還者の状況について
調査究明するとともに、その
帰還の促進に努めることを明記すること。」
政府の原案におきましては未
帰還者の状況について
調査究明する云々だけでございますが、それになお現在多数外地に残
つておられる
かたがたのその
留守家族のことを思いまして、
帰還の促進に努めることを明記することといたしたのでございます。
第四は、「増加
恩給、障害年金、傷病年金又は傷病賜金を受けるべき者或は受けた者につ、いても、厚生大臣が必要と認める場合は、この
法律による療養の給付を行うことができるものとすること。この場合においては、政令で定めるところにより実費の一部を徴収すること。」
政府の原案によりますと、
恩給或いは年金を受けたものは療養の給付を打切られることに相成
つております。然るに現在も
恩給或いは年金を受けながら国立病院におきまして
国家の療養の給付を受けておられる
かたがたが相当おられるのでございます。これらの
かたがたに対す
恩給、年金が上るとは申せ、この際療養の給付を打切
つてしまうことはそれらの
かたがたに対しましてお気の毒であると存ぜられますので、年金、
恩給をもらいましても、やはり療養の給付を
国家が行う。両方併せて支給を受けられるということにいたしました。ただ併し
恩給、年金の
金額も上りましたこの際でございますので、この受けました
恩給、年金の中から一部を療養のために支払いをさせる。こうするものでございます。
大体以上御説明申上げました五点が
衆議院におきまする修正案でございます。