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1953-10-21 第16回国会 参議院 建設委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十一日(水曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 清一君    理事            石川 榮一君            石井  桂君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            鹿島守之助君            小沢久太郎君            小滝  彬君           小笠原二三男君            江田 三郎君            近藤 信一君            田中  一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    経済審議庁審議    官      今井田研二郎君    経済審議庁計画    部調査官    藤波 恒雄君    建設省河川局開    発課長     小池  誉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (国土総合開発に関する件)   —————————————
  2. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  昨日議題にいたしましたが、時間一関係で御審議願えませんでした国土総合開発関係について、先般来資料をお手許に配付してありますが、この資料説明経済審議庁審議官井田研一郎君に願います。
  3. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) それではお手許に提出してございます資料につきまして簡単に御説明申上げます。  先ず最初に国土総合開発関係というのでお配りいたしました厚いものがございます。これに大体の国土総合開発関係の従来からの仕事経過を一応記載しておるのでございますが、これにつきまして若干御説明を申上げます。御承知のように国土総合開発法によりますと、総合開発計画には四つの種類があるのでございまして、第一が全国計画、第二が地方計画、それから府県計画及び特定地域計画四つ計画があるのでございます。  その第一の全国計画と申しますのは、これは法律によりますと、政府作成する義務を持つておるものでありまして、この計画ができ上りました場合には、他の三つ計画はこの計画基本として作成せなければならないということになつておるものでございます。この計画は、現在経済審議庁中心になりまして、計画立案中でございまして、年内には第一次草案というようなものができて、お目にかけることができるようになろうかと思うのでありますが、現在審議中のものでございます。  それから地方計画は、これは二府県又はそれ以上の地域に跨がる地域計画でございまして、これも大体計画といたしましては、全国計画をやや地方的に砕きましたものでございまして、我々の考えといたしましては、全国計画同様これは実施計画になるのではなくして、実施計画基本となる。即ち地方におきますところのもろもろの計画基本になる計画であるという観念をとつておりまして、これにつきまして、現在この計画作成義務者はこれは地方でございまして、これにつきましては、現在までに地方計画として提出されておりますものは、東北七県が、いわゆる東北地方計画といたしまして、地方計画を提出されまして、現存国土総合開発審議会におきまして審議中でございます。  次に府県計画でございますが、これは府県政府に提出し、政府がこれを検討し、審議会が更にこれを見るということになつておるものでございますが、この府県計画は、各県が現在それぞれ作成中でございまして、一応政府にその中間報告は提出されておるのでございますが、現在はまだ成案としまして政府に提出されたものはないというような状況になつております。  最後特定地域でございますが、現在の総合開発計画は、大体この特定地域計画というものを中心にいたしまして展開されておるのでございますが、この特定地域と申しますのは、御承知のように、政府地域を指定いたしまして、その地域につきまして府県計画作成し、これを漸次中央に提出する。政府はこれを国土総合開発審議会にかけまして、その諮問を経た上で閣議決定いたしまして最終的な決定計画にする。更に決定されました計画につきましては、政府が責任を持つてその計画達成に努力するという仕組になつているのでございまして、現行法制から行きましても、大体現在の段階におきましては、日本の国土総合開発は、今申上げました特定地域というのを中心にいたしまして進めるという建前になつておるのでございます。この行き方につきましてはいろいろ御意見もあり、問題もある点でございますが、一応現行法制におきましてはさような体制になつておるわけでございます。  この特定地域は、御承知のように、一昨年の十二月に政府全国で十九の地域につきまして特定地域といたしましてこれを指定したのでございます。現在までのところ、この地域から政府に提出されております計画は十三地域でございまして、他の六地域年内には大体政府にその原案を提出する運びになろうかと思つておるのであります。この政府に提出されました計画のうちで、最終的な計画といたしまして決定を見ましたものは、今年の一月に北上川地域特定地域計画ナンバー・ワンとしまして決定を見ました。続いて本月の上旬に、秋田県の阿仁田沢地域及び山形県の最上地域がそれぞれ特定地域としまして、特定計画としまして閣議決定を見たわけでございます。従つて十九地域のうちで三つ地域が最終的に計画として決定されたというような段階になつておるのでございまして、爾後逐次審議を終り次第、十九の地域につきましてそれぞれ計画を確定するというような状況になつておる次第であります。  よく、全国で十九も特定地域を作ると、これを遂行するのには非常な厖大な国費が要るであろう、或いは到底現在の財政状況から見まして、十九も特定地域を選ぶということはいささか多過ぎるという御意見がしばしば国会でもあつたのでございますが、この資料の次の二ページ及び三ページに、大体十九の地域開発しまするのにはどれだけの国費が要るかということが、極くラフな推算をここに書いてございます。この計画はそれぞれ先ほど申上げましたように、原案関係府県作成することになつておるのでありますが、この各府県から提出されました事業に対する事業費は、総額で一兆八千億になつておるのでございます。これは大体十年間で全部の仕事を完成するという目的の下にその数字は一兆八千億になつておるのであります。そのうちでいわゆる、種公共事業、即ち国費に期待するものは一兆億ばかりあるのでございまして、いわゆる公共事業費というものは一兆億ばかりになるのであります。そのうちで大体六千億程度国費に期待しておるものだというように我々は見ておるのであります。ところがこの十九の地域につきまして従来とも相当公共事業費国費が投資されておるのでございまして、その額は大体二千億余りになろうかと思つておるのであります。従つて六千億と二千億の差額がこの十九の特定地域開発するために新たに必要とする額でございまして、十年間でございますので、年々四百億程度金額を投入いたしますれば、全部の十九地域地方の要望しますように一齊に開発することができようかと思うのでありまして、これはしばしば申上げるのでございますが、必ずしも荒唐無稽な計画ではなかろうというように考えておるのであります。更に、この一兆億と言い或いけ六千億という金額は、これは地方要望額で、ございまして、我々から見ますと、適当でないと思われるような計画もそのうちには包含されておるように見受けられますので、これを調査審議いたしますならば、六千億という国費期待分は更に五千億、四千億程度に削減し得るのではなかろうかと思われますので、十九地域を一齊に同時に開発に着手いたしましても、国費に期待する分は必ずしも多くはないのではなかろうかというような考え方を持つている次第であります。併しながらこのほかに無論事業費といたしましては地方負担金も相当多くなることでありますし、又A種公共事業以外の例えば電源開発でありますとか或いはその他の鉄道敷設関係でありますとか、さようないわゆるB種公共事業というようなものに期待しておるものがなお八千億余り十年間であるわけでありますので、全体としての資金の需要額は相当多額になることは言うまでもないことありますが、一応国費分だけに限定いたしますと、かような状況になつておるということを申上げ得ると思うのであります。  以上が大体特定地域計画の概観でございまして、二ページの初めのほうには、そのうちに入つております、そのうちの何と申しますか、特定地域概要が大体記載してあります。それから土特定地域の以上申上げました四つ地域計画作成することになつておりますほか、総合開発法におきましては調査地域というようなものをなお予定しておるのでございます。  これはどういう地域かと申しますと、一応特定地域たり得る資格条件は備えておるように見受けられるけれども、なお調査いたしませんと、特定地域たり得る資格があるかないか、決定いたしかねるというものを調査地域といたしまして、若干の国費を投入いたしましてこれを調査しておるのでございますが、この地域全国で十ございます。これを一々申上げるまでもなく、この差上げました資料の中に図示してございますので、これを御覧願えればおわかり願えると思うのでありますが、これにつきましては現在よりより調査中で、ございまして、調査が完了いたしますれば、そのときの状況によりまして或いは特定地域とし、又は特定地域といたさないというようにして参りたい、かように考えておる次第であります。  なお、この際申上げておきたいことは、特定地域計画におきまして取上げておりまする計画は、当該地域開発のための根幹となるべき事業のみでございまして、その地域生活水準を向上し或いは文化水準を上げるというようなためには、或いは民生施設といたしましての学校でございますとか病院でございますとか、そういうものを作るという計画も当然包含すべきが理でございますが、一応政府で取上げております計画におきましては、産業の育成を図りますための基盤となるような公共施設の整備ということに重点を置きまして、他の施設府県計画その他におきまして取上げてもらうようにいたしておりますので、政府で作りました計画は、それに対して当該地域総合開発に完璧を期し得るものであることは考えておらないことをこの際申上げておきたいと思うのであります。  なお手許に差上げてございます他の資料は、総合開発計画の一つの例といたしましての北上特定地域計画の予算的な面を取上げまして書きました資料でございまして、これは例示的に差上げておるものでありますので、説明は省略さして頂きまして、後ほど御質問に応じまして他の資料は御説明申上げたいと思います。
  4. 石川清一

    委員長石川清一君) 本日特に計画部調査官藤波恒雄君が出席しておりますが、同君は土地収用関係或いは土地補償関係担当調査官でございます。御質問がありましたら逐次……。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと資料の十四、十五も一緒になつておりますね、一緒質問していいわけですか、十四、十五。
  6. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今申上げました藤波恒雄君に、電源開発に伴う損失補償関係要綱対策、或いは各省申合せ等資料がお手許に配付しておりますので、この説明を願います。
  7. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 御指名によりまして、電源開発に伴う損失補償対策につきまして御説明を申上げます。  お手許昭和二十八年四月十四日閣議了解としまして、「電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱」という刷物が参つておると思いますが、これにつきまして御説明申上げます。御承知のように電源開発を強力に且つ円滑に進めるにつきましては、水没等による補償の問題をうまく解決しなければなかなか迅速に進まないという実情でございまして、昨年電源開発促進法が制定されましたときにも、特に第七条に公正な補償実施努むべきことを規定せられたわけでございます。その後その趣旨に基きまして、関係各省の間で半年間に亘りまして要綱案を練りまして、昨年の春になりまして漸くその成案を得まして、四月六日でございます。第七回の電源開発調整審議会におきましてそれを審議して頂きまして作りました。なおこの要綱政府関係各省一致してこういう線で補償問題について対処するという意思を鮮明にするために、四月十四日付で閣議了解事項といたしたわけです。これが大体この要綱ができました経緯でございます。  なお、この要綱性格と申しますか、特徴につきまして若干御説明いたしますと、この要綱は飽くまで補償基準を示したもので、電源開発に伴う補償につきましてはこういう考え方、こういう線で行くのが適正と考えられるという適正基準を明示したという性格でございまして、別に法的拘束力を持つものではございません。御承知のように今までの補償問題が非常にこじれたがために電源開発が遅延しましたもののうちの大きな理由は、その被補償者とそれから補償する者の電源開発事業者との間の見解が当初において非常に懸け離れておりまして、両方歩み寄りができる妥当な線まで話合いが行く期間が非常に長くかかつて、その間のトラブルが非常に多かつたという実情でございますので、こういう基準的な考え方を一つ打ち出すことによつて、両当事者間の話合いが迅速に軌道に乗るというところを狙つた、こういうわけでございます。飽くまで補償の実際の話合い当事者間において行われるということに待たなければならないという考えであります。従来こういう補償に関連しましたものとしては、駐留軍の用に供する土地等損失補償要綱というようなものがあるわけでございます。大体の線はその基準要綱を参照して作成されておりまするが、特に新らしい考えを盛り込んだ点といたしましては、先ず第一に補償対象としてどういう範囲考えるかという点につきまして、慣習上認められた利益というものをもその範囲の中に含めるという点が、若干駐留軍等の場合の要綱に比しまして違つていると申しますか、むしろ範囲を拡大して考えているということでございます。諸種の権利にとどまらず、慣習上認められた利益、例えば流水を使つて流木を流している。これは一回ごとに許可を受けてやるというような性質のものでございまして、通常権利という中に入らないわけでございますが、こういうものも慣習上認められた利益であるということで、その電源開発と密接な関係があるということをはつきり認められれば、そういうものも補償対象として考えるのだということでございます。  第二番目の特徴といたしましては、従来の駐留軍等要綱におきましては、いわゆる金銭補償という原則で打ち立てられているわけでございますが、例えば農地水没等につきましては、ただ金銭賠償というだけでは適当でない。できるだけ替地の斡旋をしなければいけないという考えを取入れまして、金銭補償というものといわゆる現物補償というものを並列的に考えまして、できるだけ被補償者意思を尊重して、いずれによるかということをきめるという考え方を取入れている。こういう二つの点が大きく違つている特色でございます。  それで一々の条項を御説明するまでもないと思いますが、目次のところで御覧になつて頂きますと、第一章の通則におきましては、この要綱を貫く根本思想が全部謳われているわけでございまして、その第二条には、先ほど申上げました範囲、いわゆる慣習上認められた利益であつて電源開発等伴つて損失をこうむる財産についてはその範囲を取上げるとか、こういうことが書いてございます。  それから第二章は、先ほど申上げましたいわゆる現物補償金銭補償というもののうちのいわゆる現物補償のほうに該当する事項を書いてあるのでございまして、「替地代替施設の提供による補償」ということになつておりますが、農地水没に対して替地補償をするという場合の条項を謳つてあるのでございまして、この場合に替地となるべき土地造成費が、仮にいわゆる金銭賠償に応じて算出したときの土地賠償価格というものよりも多少上廻つても、その替地となるべき土地造成費が、通常国開墾等で要する造成費程度であるならば、補償する側はそういう金を出して補償しなければいけないということがここに謳われてあるわけでございます。それから代替施設の例といたしましては、例えば鉄道、道路、水路付け替えの問題或いは損失防止施設とそこに書いてございますが、これは長い水路を使うとか、或いは高いダムを作つて底のほうから水を引張るというために、水温が低下して、下流の農業用水が、水温が下つて不都合が起るという虞れのあるような場合には、そこに遊水施設を設けるとか或いは水の取入れの設備におきまして工作をして、そういう被害が起らないように予防施設をするということがここに語われているわけでございます  それから第三章は、これはいわゆる金銭補償に属するものでございまして、主として駐留軍の場合の基準則つて大体できておりまするが、前にも申上げましたように、若干範囲が拡がつておりますので、例えば一番最後のページの、六十八条の流木補償或いは七十一条の温泉利用権というような、通常慣習上認められておる権利といつたようなものもその中に含まれており、なお、五十条、五十一条を見て頂きますと、これはいわゆる少数残存者に対する補償、まあ間接補償でございますが、直接水没しなくても、同一部落民の移住によつて著しく経済的損害を受ける者、例えば大部分のうち二、三軒残つたけれども、二、三軒残つた人だけでは経済的に存立し得ないといつたような場合に、やはりそういうものも補償対象として考えるというようなことが、比較的細かく規定されておるわけであります。   以上簡単に要綱特徴といつたところを重点的に御説明申上げました。
  8. 石川清一

    委員長石川清一君) この資料はい  いのですか。
  9. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) このガリ版刷のほうの「電源開発にともなう損失補償対策」という刷物がございますが、これの前半のほうは、私が先ほど御説明申しました要綱を作定した経緯とか、それから要綱骨子等が書いてあるようであります。なおこの中に書いてありますのは、実はこの補償要綱運用につきまして、一々の条項につきまして細部についての取扱い方といいますか、概略を各省申合せ事項が載つております。それで七ページに別紙一というのがございます。各省申合せ事項別紙一と別紙二に分れております。別紙一のほうは、これはちよつとわかりにくい表現になつているかと思いますが、「この要綱は、電源開発に伴う損失補償についての要綱である。公共事業施行に伴う損失補償については、場合により受益者又は県等においてこれを負担する部分もあるから、電源開発を伴う公共事業施行により生ずる損失に対する補償のうち国が負担し又は補助する部分は、必ずしも、この要綱により算出される損失補償の全額に対してではない。」若干廻りくどい表現になつておりますが、この要綱電源開発に伴うものであつて、国が行う公共事業のこういう精神則つてやりたいというのは、これは関係方面は皆そのつもりでやつておるのでございまするが、御承知のように、若干その事業性格が違う関係から、この各条項通り行かない項目もあるということでございます。なお聞くところによりますと、建設省におきましては公共事業関係に適用される損失補償要綱というものを目下作成中であるのでございます。それから別紙二のほうの申合せ事項は、これは先ほどの要綱の各条項についての、若干解釈がいろいろにとれるというような条項につきましての解釈運用について申合せたものでございます。それから最後別紙三のところには、土地收用法、それから駐留軍の用に供する土地等損失補償要綱というものとの相違点比較対比表になつてつておるわけでございます。御参考までに配付申上げました。
  10. 石川清一

    委員長石川清一君) 以上で終りました。御質疑がございましたら逐次お願いをします。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 このあとから説明して頂いた損失補償要綱についてお尋ねしたいのですが、大体今の御説明のように、法的の拘束力がないということなんですが、今電力会社等電源開発をやつてるときに実際に出している損失補償というものは、これと比較して概要どういう程度のことになつているのか。或いは又これを作るときに、そういう主なる施行者というような者の意見を聞かれて、今後こういうものに副うてそういう事業体でもやつて行くということになつてるのかどうか。その辺ただ法的拘束力がないというだけでなしに、もう少し現状なり経過なりをお尋ねしたいと思います。
  12. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 要綱作成するにつきましては、施行者の側に立つべき電力会社関係、それから被補償者側の農民といつた関係意見調整の仕方といたしましては、それぞれ通産省、それから農林省等を通じまして、各段階におきまして意見を交換したわけでございますが、今の御質問の中にあります、例えば電力会社ではこういう案に対してどういう意見であるかということでございますが、例えば謝金、第八条でございますが、謝金等につきましては、電力会社側なんかの意見などから言いますと、こういうものを明文化しないで欲しい、実際はまあ出さなければならんかも知れませんが、こういうところへ義務付けのように明文化されるのは面白くないのではないかというような意見最後まで出ておつたわけでございますが、ただこれは各省申合せで書いてありますように、この謝金というのは、従来電力会社個々条項のいろんな項目を十把一からげにして皺寄せして謝金という名目で最後に片付けておつた例が多かつたんですが、そういう意味謝金とは性格が違うのである。大体のものは、すねての各条項で網羅されておるのであるから、この第八条の謝金というものは、墳墓の地を離れるためとかの精神的打撃というような意味の、非常に狭い意味謝金であるから、額も限定して考えなければいかん。そういう意味謝金であるということを運用申合せるというようなことで、大体各省との折合いがついたわけです。電力会社のほうでも、こういう要綱ができることは、事を運びやすくなるという意見でありまして、できるだけこれによりたいということで進んでおるのであります。  ただ御質問のように、具体的にこれよりどうかということになりますと、これは実のところ非常に千差万別でございまして、これより実際上廻つた補償をしておる実例もあります。それからこの要綱ができておる途中において、被補償者の側から、こういう要綱を参照して今までの補償を直してほしいというようなことで、この線によつて直したという例もあります。これは非常に千差万別でございまして、平均してどうかということはちよつと申上げられないわけでございますが、併し少くとも法的拘束力はなくても、実際の実情はどうかと申しますと、現在はあらゆる地点に大なり小なり補償問題があるわけでございまして、その解決が自然その地方の知事、県知事等が中に入つてその調停役を買うという場合が多いのでございます。その場合にこういう要綱が作られたということが非常に役立ちまして、話合いが早く進む、少くとも。数字的な結論はこの要綱では何も出て来ないわけでございます。どういう範囲のものを補償対象考えるか、その計算の仕方はどういう方法によるのだという方法論が書いてあるわけでございます。一応中へ入つて話をまとめるというようなときはこれによるということになりますので、そういう意味において非常に役立つておるということを聞いております。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 個々の内容は私も十分読んでおりませんので、読めばいろいろお尋ねしたい点が出ると思うのですが、その中で、特に先ほどちよつと説明がありました「損失防止施設の設置」という問題ですね。特にその中で、この建設委員会でも以前に問題にしたととがあるのですが、灌漑用水の水温低下の問題です。もつと詳しく説明して頂きたいと思うのですが、これで行きますと、一番終りの七十条。ところを見ましても、ただ抽象的になつていまして、用水に支障を及ぼすということだけで、損失防止施設というものの具体的に内容がよくわかりませんが、大体この案の精神から行きますと、そういう灌漑用水の水温低下に対しては、例えば取水塔を作るとか、或いはその他今まで使つておる水温を保持するようなことを先ずやれということが眼目になつているわけですか。
  14. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これは七十条のほうは、水利権の項目でございまして、既存の水利権の取消があつたり或いは制限された場合のことを語つておるのでございますが、今のお話の、通常起る水温の低下に対する補償のほうは、第十条のほうに該当するのでございます。十条の第三号に謳つてある「損失防止施設」というものに該当すると考えております。それで当然そういう水温低下による減産等の被害がないように予防するというのが建前でございます。そのすぐあとのほうに、それでも損害がある場合のことを謳つてありますが、「前項第二号及び第三号の場合において、なお、損失が発生するときは、その損失を金銭で補償するものとする。」と書いてありまして、そういう取水塔を作るとか、或いは水路のあとのほうに遊水池を設けまして、水温を上昇させるという施設を作るというようなことをしても、なお損失が出るときは、その損失を金銭で補償するという二段かまえになつておるのでございます。建前は飽くまで損失がないように手当をする、こういうのが建前でございます。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 最近取水塔のほうはやや認識が深まつて、設置されているところが出ておるようですけれども、我我はまあダムによつて底水の場合の水温の低下ということと、長い隧道による水温の低下というものを相当考慮しなければならんと、こう考えて来たのですが、そういう点についてはまだどうも、農林省のかんがい排水課あたりでは具体的のデータを出しているところがありますけれども、今ここへ出された中ではそういう点がはつきりしないのですが、やはりあなた方のほうでも長い隧道による水温の低下というものは相当著しいものがあるというようにお考えになつているのですか、どうですか。
  16. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) お話のようにダムの底水の問題ばかりでなくて、長い水路による水温の低下の問題もこれは重要なことでございまして、最近二、三の開発地点につきましてその問題が取上げられておる例がございます。それで今具体的に申しますと、北海道の忠別川におきまして同様な問題が、起きまして、現在農林省の研究所を中心にして関係の省の者が集まりまして、現在折角実地調査をやつておるような工合でございまして、それによります対策として考えられますのは、遊水池を設けて、水路を出たところに或る程度の溜池のようなものを作つて温めるというような方法があるわけでございますが、これには相当の期間の調査が要るわけでありまして、大分前からその地点ではやつておるのでございますが、今度は何らかそれの具体策、対策成案を得たいという目的で現在現地に出張してやつておりますので、そういう調査から何らか適当な方法が確立されれば、今後の同種の問題について非常に解決が軌道に乗るのじやないかという工合に期待しておるのでございます。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 そうしますと、まあ今まだデータが十分に揃わない、そうして今までのがサンプル、ケースになつて、そうして何らかここで、どういう解決になるかわからんが、若し……、我々まあ細かなことまではわかりませんけれども、相当何メーターの隧道のときにはどのくらいという概算は今までもわかつているのじやないかと思うのすでが、そういうことで長い隧道のために水温が何度か低下するということがはつきりした場合には、当然その損失を防止する施設を作るべきである。若しその損失防止の施設ができなかつた場合には、それを補うところの、損害の補償をする、こういうことになるわけですね。
  18. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 現在データが十分か不足しておるかという問題ですが、その問題は、隧道の中に距離とか温度という問題ばかりでなくて、隅道を出てから川の中を流れる、それが実際の田の水面へ行く間の温度の変化というものは、これはまあ専門家の話を聞きますと、非常に複雑なんだそうでございまして、実際隧道の中自身の水温の低下と収量に与える影響というものの関係は非常にむずかしい問題だそうでございますが、これは逐次データが固まつて行くのではないかと考えます。併しながらそういう水温低下が補償によりまして完全にキヤンセルできれば、これが一番理想的なわけでございまして、現在でも北海道等におきましては、すでに遊水池等を設けてやつておるところもあるわけでございます。全然やつていないというわけではございません。やつておるところもあるのであります。併しながらそれの効果がどれだけあつたかということにつきましても、これはまあ現在計測中でありまして、はつきりした結論は実はまだ出ていないわけでございます。そういうものも併せまして現在実地調査をやつておる、こういうわけでございます。  それからその損失防止施設補償考え方としましては、今おつしやられましたように、これは水温低下のために損失がありそうだということがはつきりする場合は防止施設を行い、それから若しそれが行なつて損失がある場合には、それを金銭で補償するという建前でございます。ただこの要綱としましては、具体的にその金銭の数字的なことはこの要綱それ自身からは生まれて来ないのでございまして、やはり個別の地点につきまして、実地調査関係の方面の協力によつて検討してきめるということになるのではないかと思います。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 これは一体工事認可をされる場合に、まあ誰がするのか、私はよくわからんのですが、従来水温低下の問題は非常に軽く扱われて、例えば百メーター上流へ持つて行けば、そうするとそういう施設ができる。併し百メーター上に持つて行くことによつて発電量が違うということになると、やはり発電量の一番大きいところへ持つて来られている。そのために、やればできるのだけれども、遊水施設等ができていない。今までもそういうものはもう全く、取水塔の問題でも、その他の問題でも、水温低下という問題は置き去りを食つていたと思うのです。そこで現実にそういうような水温低下を考えない工事のために、多くのところで減収を来たしている。併しこれは今までまだ補償はもらつていない。ところが今度こういうものができて、そういうものに対してはやはり十分な補償をして行かなきやならぬということになると、過去においての収穫と、現在の収穫とが、水温低下で著しく低下しているということがはつきりした場合には、これはやはり今からでも補償はすべきものとお考えになつているわけですか。
  20. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これはまあこの要綱ができたから、過去のものに遡るか遡らぬかという問題になりますと、私これは当然過去のものに遡るという考え方はとつてはおらないわけでございますが、併しそういう問題がはつきりした場合には当然何らかの処置がとられるべきものと考えます。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 それはほかの、土地であるとか或いは工作物であるとかいうものは、これより安いか高いかは別問題にして、ともかく一応形式的には納得して終つているわけなんです。ところが水温低下の問題というやつは、言うたつてどうにもならんのだというように、まるで不可抗力のように、押付けられて来ているのが今までの実情なんですから、その点やはりこういう問題が出た以上、こういう考え方がある以上は、而も閣議としてこれを認められている以上は、今まで押付けられて何らの補償をしてもらつていないというのは、これは当然適用されるべきものと、まあこの精神則つてもう一遍取上げてやるべきものと、こう考えるわけですが、そう解釈してもいいでしようね。
  22. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 今おつしやられたように水温低下の問題は、ほかの水没その他流木の問題等に比べますと確かに比較的新らしい問題でございまして、従来は比較的取上げられていなかつた問題でございますが、最近にはその問題が非常に大きく取上げられ、農林省等も非常にそれを、この要綱を作るにつきましても強硬に発言されまして、そのためにここに出した損失防止施設設置等云々ということも、その一番大きな内容をなすものは、そういつた水温低下の問題を考えておるというようなことでございまして、今後水温低下の問題は、先ほど申上げました、実際の実地調査の進行とも併せましてうまく行くのじやないかという工合に考えておるわけであります。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 工事認可というものは、正式には認可がなくても仮認可というような形で工事というものはどんどん進められている場合が多いと思うのですが、これは我々から考えると非常に不合理だと思うので、補償の問題も何も片付かないうちにどんどんやつて行くということは困つたものだと思うのです。これは当然監督をなさると思うのですが、そういう工事の正式の認可を得ていないで工作物を作つておる。たまたま災害等にぶつかつてその工作物が災害をより大きくするような原因になつたというような場合に、災害を受げた人に対する補償は誰がやつて行くわけですか。
  24. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 工事認可の問題は、これは発電所を建設するにつきましては、先ず水利権の許可を受けることが一つ、それから電気事業を営むという関係公共事業令による電気事業の認可というものと二本建になつておりますが、両方なければ実際の工事をやつてはいけない。この補償に関連しまして、それとどういう時期的関係があるかと申しますと、実際水利権を申請しますと、水利権の許可権は知事が持つておるわけでございます。その許可をする過程におきまして、当然地元町村に諮問が参るわけでございます。その間におきまして、今の水温低下の問題とか、或いは水没に対する補償の要望とかいうあらゆる問題がそこに提起されて来まして、そこで納得が行つた上でないと、実際問題として知事は水利権の許可を与えられないというわけでございますので、水利権の許可の際、具体的に地元の要望というものが出て来るという関係になると思います。  それからあとのほうの御質問は、工事ができたあとで災害でもあつたときこ……。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 例えば具体的に言うと、夜明ダムみたいな問題ですな。あれはやつぱり仮認可か何かでやつているんでしよう。たまたま。ゲートが上らないでそのためにへりが切れてしまつたというようなことを、我々現地へ行つたんでも何でもなし、新聞で見るだけですが、そういうときに、あの工作物があつたがために附近の人がこうむらないで済む災害をこうむつたとしたら、その災害の補償は誰がやるか。
  26. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これは場合によつて原因を調査した上できめるようなことになると思いますが、夜明ダムの場合にどういうことかということは、私の了解する範囲では、目下調査中であるように聞いております。若し詳細あれでしたら建設省の開発課長見えておりますので、或いは御説明するところがあるかも知れません。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 あとで開発課長にお尋ねします。  それから損失補償の問題でなしに総合開発関係の問題なんですが……。
  28. 石川清一

    委員長石川清君) 江田委員の前に私から質問したいのですが、今、藤波調査官の話を聞いてみますと、北海直の忠別川の水温上昇施設の効果がはつきりしておらない。併しあの附近の住民は相当効果がある、こういうように言つておるし、私は信じておると思う。更にあの上流に発電所の認可申請か出ておりまして問題になつておる。そういうような関係で、はつきり効果ありとすれば、次に許可した場合に水温上昇施設をしなければならん、こういう考えになつて問題になるので、その問題を恐れて、何か効果がないとあいまいな答弁をしているように思いますが、その点はもう少しはつきりできないのですか。
  29. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 先ほど申上げましたのは若干表現が或いはいけなかつたかと思いますが、別に忠別川の今ある水温上昇施設が効果がないのだということを申上げたのではなくて、あれだけの規模でどういう条件でどの程度水温が回復できるか、そのためにどういう程度の効果があるか、そういう関係を調べて、なお上流の御承知の奥忠別の、現在問題になつております新規開発候補地点につきまして、これはとういう規模の遊水施設を作るなり或いは別途の方策があるかどうかという具体案を確立しよう、こういう目的で現在調査をやつておる、こういうことであります。従いまして遊水施設というものが一般的に効果があるということは、これは認められることでございますので、そういう施設が適当な建設費で建設可能であるという場合に、そいうことが作られるということは当然であるというふうに考えております。
  30. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この補償の問題ですが、第十条のところで、少し細かいかも知れませんが、農地のいわゆる替地を提供することができそうだ、客観的にその実現が可能である、こういつた場合には替地を出す、こういうふうになつているのですが、この農地のつまソ造成に要する費用の大体の目安といいますかは、同じく資料として配つてもらつている「国が行う農地の造成に通常要する費用、」一町歩あたりで六十五万九千百六十円となつております川、これを基準にするのだろうが、そこの農民、追われるといいますか、沈んでしまう農民から言えば、或いは他の附帯的な財産、その他の関係があつて、あそこはできそうだから替地でほしい、こういうときにこの基準というものの何割程度に、およそ何割程度まではかかつても止むを得ないというふうに通念的に考えているのかどうか。これはそれぞれの事情、場所によることでしようが、この点を先ず伺いたい。
  31. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 只今の御質問ですが、具体的に何割程度までは持つてもいいかと言われると困るのでございますが、これはガリ版のほうの説明書の第十三ページにもありますように、各省申合せによりまして、「電源開発を行う者の替地又は代替施設の提供にあたつては、その委嘱に応じ国又は都道府県は適地を調査し、若しくは地区開拓計画作成し」云々という工合に農林省なり県なりは極力その土地を斡旋する。開発起業者の委嘱を受けて斡旋をするのだということになつておりまして、成るべく国がその通常要する費用、先ほど申しましたような数字で納まるようにやるということになつておるのでありまして、勿論それよりちよつとでもオーバーしたらもういかんとか何とかいうことはないのでございますけれども、又余りかけ離れた建設費になりますと、又一方電力単価を高めるということになりますので、その辺は具体的には当事者間の話合いになると思いますけれども、極力優先的にいい土地を斡旋をするからということになつておるわけでございます。
  32. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それはまあ普通のお答えとしてはそうとしかないでしようけれども、これは平均ですから相当に、この今の農林省関係でやつている殊に畑、この場合は畑の場合が相当多いだろうと思いますが、随分かかつているところがあるんで、ですから当然現に開拓で以てかかつている高いコストの、現実過去においてかかつた程度のその辺までは私は当然出すべきじやないか、いろいろと意見募れて、賠償関係の権威であるというあなたのところへ、どうしたらいいだろうと、こういう意見が仮に来れば、恐らく来るでしよう、そのときにはどういうふうな農林省の意見も聞くだろうが、あなたの態度として、恐らく私は、過去の開拓によつて相当多くかかつちやつた、そういう実例がある。そういつた線が私は或る程度止むを得ない線として出て来なければならんと思うのですが、これについてはどうなんですか。
  33. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これは先ほど申された六十何万円という数字も農林省から提示された現在においては、例えばこういう数字であるという例示でございまして、だんだん状況が進みまして、もつとかかる例が多くなつて来るというような場合には、当然そういう限度の数字も弾力性を持つて引上げて考えなければならんということは当然であろうかと存じますが、今あの数字に対して何割ぐらいを適当と考えておるかということに対しましてはちよつと答弁申しかねます。
  34. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それからこの第十七条の用材の立木買収についての評定の問題ですが、これは一のところに「伐期」として、「地方慣行の最低伐期」とあるわけです。つまりその地方で以ておよそ松は三十年ぐらいで切つているんだとか、杉なら三十五年なんて置かない、やつぱり三十二、三年だというような普通従来の慣行というものがスタンダードになつているんですが、これは森林法が一昨年か改正されてできた、いわゆる適正伐期という、最も、何と言いますかね、その頃が一番切るとしては適当である。いろいろな点から見て適当であると、法律に基いてきまつている年限をとるべきだと思うのですが、これについて農林関係とあなたのほうとお打合せの点はどうなつているのか、これが一つ。もう一つこれに対して、その二のところに行つて、二の一番しまいの、まだそういう伐期に達しない立木の評価というやつは、はつきりわかりませんが、私はこれは適切な伐期までその林を置いたとした場合に入る収入から、それまでにかかる費用、管理費或いは手入費、その他の費用を引いたものの差額で払うのだというふうに第一段のほうはとれるし、その次のほうの、若し値段があれば、市場価があれば、例えば稲の穂程度にまでなれば、三寸とか四寸とかで買手があれば、それはもうその値段でよろしいということとは矛盾があるのであつて、その点をどういうふうに考えておられるか、その点聞きたい。
  35. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) この十七条の立竹木の条項に関しましては、駐留軍のときの要綱と同じようにここに規定して、農林省との打合せもそういうことになつているという工合に記憶しておりますが、全然駐留軍のものをそこに引用をしたという関係になつているわけであります。  それからなお農林省との打合せでは、この要綱の内容につきまして若し実情に副わないということがありました場合に、変える場合には駐留軍のほうの要綱と同時に変えることにしようという申合せになつていると記憶しております。
  36. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 二号のほうは如何です一か、もう一遍言いましようか……。二号は、今の十七条の二のところは、これは読んでもらわないとちよつと文章がわからないのですが、「伐期未満の森林の立木価額は、その林令の、毎年の造林等の経費のその森林の収益率によるその林令までの元利合計額とする。」、この意味を先ず伺うのが筋なのでありますが、私は或る解釈に基いて質問したが、先ずこの解釈質問いたしましよう。
  37. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 少し表現を整理いたしまして、あとでお答えすることにいたします。ほかにありますれば……。
  38. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それでは、それの解釈がわかり、表現がわかれば、私はそれに関連してもう一つ聞きたい。  それは「但し、用材としての市場価額のある場合は前号による。」、つまりその値段によるということです。その利用値段によるということであれば、その前段も、今文章を整理されるでしようが、その解釈だと、恐らく地方慣行の最低伐期まで置いた場合にその木の値段が出る。又置くまでの経費が出る。その経費を差引いて置いたとしたときの首引値段を標準にするということを前段では言つていると思うのであります。ところが「但し」というのは、それが僅かなものであつても、例えば売れるならば、まだまだこれから伸び盛りという木であつても、その売れる値段で払つちまうというのが原則だというふうに、但書と前段とは矛盾がある。こういうふうに解釈されると思う。この点も一つ併ぜてあとで御答弁を願いたい。  その次に三十一条に行きまして、「薪炭生産者」とあるのです。ここに「財産の買収によりその業務が客観的に不能となるときは、推定年間収益の一箇年分を損失補償額とする。」、こうあるのです。薪炭生産者というのは、御承知の通り多くのこれは企業者があるのです。いわゆる炭焼きを使つて生産している。そうするとこの三十一条でお聞きしたいのは、その企業をやつている親方に当る人に対する補償をお考えになつているだけか、更にはそこに焼子として使われておる、毎日焼いておることによつて生活を支えておるその炭焼きの生活費の問題まで考えておる条項なのか、この点を聞きたい。
  39. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 三十一条の薪炭生産者というのは、薪炭生産を業務として行なつている者ということになつております。ですからその業務としてやつておる者に使われておる者、使われておる者だつたらそれに該当しないわけでございます。自分で業務としてやつておる場合に……。
  40. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それでは今の御説明を伺うと、いわゆる企業者にはやる。つまり親方衆にはやりますけれども、そこに使われておる労務者と申しますか、炭焼きさん、鼻を真黒にしている炭焼きさんには何ら関係がない。親方だけがもらつちやうと、そのことだけで終つちやうんですか。
  41. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 使われている雇用関係条項は又別でございまして、これは薪炭生産者ばかりでございません。第四十四条解雇予告手当、「財産の買収のため止むを得ず事業を縮少し又は廃止する場合において事業主が従業員を解雇し、」云々と、この条項によつてやるという関係になると思います。
  42. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  43. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をつけて。
  44. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 只今の三十一条の業務としてやつているという解釈の問題に或いはなるのじやないかと思いますが、実際それを生活の糧として、生業としてやつている者は、これに該当するという工合に考えているのでございまして、只今のお話の、実際山に入つて薪炭を生産している者というのは当然入るという工合に考えております。
  45. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 まあ今度は、製炭者というものを企業者、営業者、親方だけでなくて、焼子にもそれを適用するのだという解釈であるなら一応はわからんわけではないが、炭焼きは御承知の通り、今年はこれだけの山を対象として炭がまを五個なり十個なりを作つてやる。翌年はこれの続きをやるという、いわゆるそこで続けてずつとやるというのが普通の形態です。奥山のようなものは……、そうなれば今日焼いているところの一カ年の収益、或いは過去の収益の平均率で追払つていいか。一方においては離作料としては四年乃至六年ということは、これは当然です。それが一方毎年続けてそこを仕事場としてやつている焼子の諸君に対する一カ年のこの問題は、私はどうも実情に合わない。こういつたことが早く完成し、早く多く発電しなければならない。それがために作つたこの電源開発関係に非常に実情からいうと支障があるであろうと思うのです。で、この点については特にあなたのほうとして研究をしてもらいたい。これは実際そうだと思う。恐らくぶつかつているだろうと思う。
  46. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて。
  48. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 先ほど業務としてやつているものということで申上げましたのは、焼子と申したのじやないのでございまして、それを生業として実際やつている者、具体的に申しますれば、焼がまを持つて、自分が持つて、生業としてやつている者という意味で申したわけであります。
  49. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると焼子が又行方不明になるのです。
  50. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 これはつまりほかから雇つて来て焼いている。ほうぼう移動して歩く専門の焼子についての問題と、そこの僅か一反歩……そんなにありやしない、五畝くらい、そういう農家の方がそこに固定して、一カ年の大半というものをこういつた炭焼きで生活している者が事実問題としては非常に多いのですよ。これが救われていない。その四反歩に対する、いや、或いは一反歩以下の離作料を四年、六年もらつたつて、それに見合うだけのものをもらつたつて、それではどこにも行きようがないのですよ。その点を一つ。是非この場でどうとは申しません。真剣になつて考えて頂くことが是非必要だということをお願いします。  それから続いてもう一つ。これは私の意見なんですが、こういうふうに促進をする上において或る程度、被害者というと語弊がありますが、いわば被害者の側に相当に実情に合う程度の手厚さは我々は絶対に要望したいのだけれども、要するにダムができることによつて非常に便益を受けるその道、或いはその財産について、これは主として下流においてですが、便益を受ける者がある。これらの者から或る程度受益負担的なものを取つて、そうして今言つた被害者側に先ず筋の通つた程度のものはやるという考え方を研究されたか。或いはそういうものをどういうふうにお考えになるか。この点を一つ、私はやるやると言つて、上のほうの被害者だけにやたらに手厚きを主張して、徒らに電源のコスト高になることを望むんじやないのです。それは今日公正にみんなの協力によつて電源開発というものを早く完成したい。而も安いコストのものを出したい。これは当然なんです。利益があつてつておる連中には利益を持たしておいて知らん振りをしている。そうしてただやるやると言つて、上のほうの被害者のほうに手厚く手厚くと言つても、これは容易じやないだろうと思うが、それについてお考えなつたかどうか、又やつたことがあるかどうか。
  51. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 下流の受益者から金を出してその被害者のほうに充てるという考え方は、一応議論にはなりましたのですが、ここではこの要綱には取入れてございません。ただ電気の関係で、下流の発電所が自然に利益をこうむり、上にダムができたために下流の電力が増加する、こういうものにつきましては、考え方として、その利益分に相当するものを上のほうのダムの建設に充てる、或いは電気の卸売といつたようなときに電気料金として間接的に入れるという考え方になりますのですが、下流の農業用水その他による受益を取入れるということは、議論の対象には一応なりましたのですが、この要綱には取入れるまでに実は至らなかつたのであります。
  52. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私はこの要綱にないことはわかつておるのだけれども、そういうようなことをやつぱり考えても、上のほうの被害を受ける連中に筋の通つた一つ補償をして、早くその目的が実現できるようにやられて然るべきだと私は思うのです。一つ是非研究を願いたい。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は専門家のこの森林のほうの系統の買収に伴う問題に関連してお尋ねしたいのですが、実情としてはダムができる、そうすると水際の線で造林地が半分に横断せられるというような場合は、買収の対象は、その水没する部分の造林地だけを買収して、そうしてその水際から上のものは元の所有者に持たせるというような場合もあるでしようか。今一番問題に私の県でなつておるのは、そういう湖かできますと、そこに残された自分の値林地の立木を切ることが不可能になる、どこからも行けない、だからもう全部売つてしまいたい、そうして完全な移転をしたいという希望の人が相当あるわけです。それらはその個人の希望によつて買収の対象に全部して頂けるかどうか。
  54. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 今のお話のような場合、即ち実際水没するものに隣接した部分が実際伐採できなくなるといつたような場合には、一部分一緒に買収するという場合もあります。それから又或いは価値を減じた、要するに土地の大部分水没して、あと一部分伐るのだけれども、水没はしないけれども、価値は非常に減ずるといつたような場合には、財産価値の減少としてその価値の損失補償するということになつております。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから、これも薪炭生産者の問題から関連してお尋ねしますが、よく問題になりますのは、ダムを作つている地点が余りに奥地であつて、そこにおられる農家は零細な出地を持つておる、二反、三反百姓である。それで十分な生計が営めないから川で川魚を取り、山で栗、きのこを取り、拾う、そういう副業と申しますか、無形の収入によつて、一般の農家で言えば一町も一町五反も田地経営をしたと同じ収益を得て立派な生活を営んでおるというところが多い。それの補償が、離作料なり家屋の移転料なりという有形のものに対するだけの補償で、てれら無形のものに対しての十分な補償がない。従つて他に移転してもその土地における生活程度と同様の生活を営むことができない。一、二反の田地の買収をし、離作料或いは買収費をもらつて他に移転しても、それは一、二反の田地さえも買い得ないし、その田地の専門的な経営だけでは生活ができない、こういう問題が具体的に非常に大きく問題になる。それはこの兼業及び副業というところで計算でき得る範囲に限つて補償をして行こうという建前をとつておるのですか、そういう考慮が払われておるわけですか。
  56. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) お話のように専業だけで生活できなくて兼業或いは副業をやつているといつた場合の補償は、御指摘のように第三十二条に兼業及び副業という欄がございまして、それが適用されるということになつております。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところがそれの推定ができないということで、実際上の問題としては、これを手厚く補償するというようなことをしない。そうして一部見舞金とかその他のもので換算率をよくして出すというような補償の仕方が過去においてあつたようですが、不可能なような場合にはどうしますか。確かにそうだとは誰でもわかつている。併し換算して幾らくらいの金額になるか推定ができないというときにはどうしますか。
  58. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) まあこの要綱を作りましたときの精神と申しますか、考え方は飽くまで必ずしも形に捉われずに、実際の実情に即してやるんだということになつておりまして、その現われが例えば第二十八条を御覧になつて頂きますと、一応離作料等につきましても、年間農業収益額は、農業粗収入から農業経営費を差引き云々ということになつておりましても、例えば零細農家の場合等につきましては、実際の調査によつて別途算出してやるんだというようなことになつておりまして、まあ全然わからないという場合は困るのですが、わからない場合がないように、できるだけ実際の調査をして実情に即したようにやるという工合になつておるわけであります。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからこの薪炭生産の企業者に雇われておる焼子そのものに対する補償というのは、先ほどの話では、解雇予告手当という話もありましたから、従つてそうなりますと、第四十五条の退職手当ということで、労働量を換算して、その以上の補償をするということになるわけでございますか。そうなるとしましても、労働基準法の適用も受けない、それぞれの季節労務者として雇用されている焼子に対する補償というのは、これで計算ができるものでしようか。ところが又この焼子には、一、二反の田地も持つて農家経営もやつていると、こういうような場合は、副業としてそれは取扱われるものですか。この点は一番多いのですから、そのダム地点における補償の問題としては。それでお答え願えないならば、具体的に検討を加えられて、こうしたいああしたいというお話を承わると、私たち直接そのことを現地にも連絡できて、そのほうがいいわけです。
  60. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今小笠原委員の言つているのは私もさつきあれした問題です。これは何か答えられないようですから、文書で以て一つ答えてもらおうじやないですか。又お見えになるのを待つててもしようがない。文書で…。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 補足説明を、何か書いたものを出してもらつても結構なわけです。そのほうがまあいいわけです。
  62. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 三十一条の問題につきまして先ほどからいろいろ御指摘、御注意がございましたので、よく調査しまして、又農林省ともよく協議いたしまして、後ほど御説明いたすということにいたしたいと思います。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では次にもう一点伺います、が家屋の買収或いは移転、そういうことが現に行われるわけですが今一番困つている問題は、その土地を離れたくない、そして結局ダムによる、湖を利用して鱒の養殖をやるとか、或いは観光のためのボート業をやるとかいうことで、どうしてもその土地に、いたいというよう人は、この水際より上のほうに移転して行くという場合が多いわけです。ところが家は建つたが、さて電燈線の配線ができないという問題があるわけです。これは今後においても起り、個人の負担では到底堪えられない。里のほうから何里も電線を引直す、そのために電柱を何十本も使うなどということは、個人負担ではできないわけです。  私一例を過去の問題で申上げますが、川を利用して川流しでする木材を製材している工場があつたわけです。そこでは個人負担で動力線を引いた。その主人の言うのには、自分は移転料も何ももらわんでよろしいか、やはりこの水際のほうへ移転して製材業を続けたい。だから動力線だけは国なり会社なりで配線してもらいたい。それだけを補償さえしてもらうならば移転料も何も要らない、自己資金ででもやる、こういう話もあつた。ところが農家のほうではそれさえも無論できない。それで未だに解決しない問題がありますが、どこを見てもそういう施設をやつて預けるような点はないのですが、この工作物及び設備というようなところでも何かあるわけでしようか。まああるならどこの条項にあるのか、又そういうことも国なり施行者なりがこれをやるということなのか、お伺いしたい。
  64. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 今のお話のケースは、実情はどういうところか存じませんが、非常に特例に属する問題じやないかと思いますが、今のお話のようなことであれば、これはその実情に応じて当然起業者が何らかの形において、例えば金銭の補償をずるなり、金銭を出してやる場合だつたら、例えば第五十一条の少数残存者の場合に匹敵する部面もあるでしよう。例えば大部分の者が移転してしまつて自分だけがここに残つてやる、それには従来受けていた利益の一部が喪失をしてしまうといつたような場合、併しながら金だけもらつても困るので、起業者のほうで配電線を延ばして、新しい家のところまで延ばしてやつてくれなければ困るといつた場合だつたら、そういうこともあり得ると思います。これは実情に応じて当然補償は考うべき問題であると思います。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その起業者というのは、例えば工事を建設省がやつている。ダムのほうの工事は建設省がやつている。そうして発電所のほうは電源会社がやつている。こういう場合にどつちのほうの起業の補償になるのですか、建設省でございますか……。
  66. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 多目的ダムの場合のお話だろうと思いますが……。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうそう。
  68. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) その場合の水没農地補償はどちらが負担するかということですが、これは建設が両者合体でやられるわけでございます。従いまして両方一緒になつて補償をやるということになると思います。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことはわかります。電源会社のほうが分担金を出す、その分担金を分けるに当つて補償費の問題を……、恐らく分けるのだから、これは間接には両者合体した資金の中から補償される、それはわかる。掛合う相手は誰ですかということになる。
  70. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これはケースによつて若干違う場合もあるとは思いますが、大体工事は、金は出し合つておりましても、工事の分担が一応あるわけでございまして、例えば治水なら治水の目的を主としたものにつきまして、大体、ダム自身は国なり県なりで工事する場合が多いのであります。そのダムの金の一部は負担金で出す、けれども工事は全部一方でやるという場合には、そういう場合でしたら実際問題として、掛合う相手はダムの工事をやつている当事者ということになると思います。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで今私お尋ねしておるような問題は、この条項に照らせば五十一条によつてやり得る途が開かれておる。そして又そういう補償をすべきである。こういう見解だと承わつてようございますか。
  72. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 大体そういうことでございます。ここに五十一条にも書いてございますように、その範囲をどの程度に査定すべきかということは、ここに「個々実情に応じて適正に」という言葉で書いてありまして、ての電源開発とどの程度に密接であるかということを判断して個々にやるということになつております。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもそういうふうにあいまいに言われると、それは該当しないのだと現地でなつて来ると困るので、それではもつとしつかり承わりますが、個々の場合、特にこういう場合は私は必要でないかと思うのですが、水没のための道路の切り替、つけ替えが行われます。重要な県道というようなものができる。そうすると従来その道路沿いにあつた部落が新しい付け替道路際に移転する。そうなつたらその道路沿いに配線をして来るということの場合には、これは該当しますかしませんか。
  74. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 今の御質問は、どういうケースかよくわかりませんが、電柱も一緒水没する場合、それを付け替える場合というのか、或いは電源開発によつて道路が付け替えになる、そういう場合だつたら、大抵の場合だつたら電柱も家も大体一緒に動いてしまうというケースが多いのではないかと思いますが、そういう場合は一括して処理される場合が多いのではないかと思います。
  75. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  76. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて下さい。只今懇談中に小笠原君からありました点について答弁を求めます。
  77. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これは通常起る一般的の場合の例のように思いますが、当然そういう場合に道路が移転し或いは家が移転したという場合に、配電線の工事というものは電力会社が行うべきものです。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 電力会社が行うべきものだということで、電力会社に対してどういうふうに強制するのですか。何か法律がありますか。
  79. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これは一般家庭に対する、勿論農家も含めてでございます、に対する電気の供給というものは、原則として電力会社義務になつておりまして、それの家のとつきまでの配電線というものは、原則として電力会社が行うということになつております。特別の現在残つている未点燈部落に長い送電線を引つ張つているというようなところを除きまして一、般的には配電線は電力会社が行うということになつておりますので、配電会社に申込みをしまして、要求すれば引かなければならないということになつております。
  80. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をとめて。    午後三時四十八分速記中止    —————・—————    午後四時一分速記開始
  81. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて下さい。
  82. 石川榮一

    石川榮一君 じやもう一つお伺いいたします。ダムの建設による水没するところの土地は、思わざる犠牲を国家或いは公益のために払わされるわけでありますが、いわゆる戦争において、戦地に、戦野にあつて倒れ去る者と同じ立場をとつておるものだと思います。その他の道路とか或いは河川改修による犠牲者等とは、その質を異にしまして、全然何ら予測せざるところの犠牲が湧いて来たという建前を重視しまして、特に私はこういう電源開発というような国家的な要請に基いてやるものは、国の経済に重大な役割を演ずるために、やはりこういうふうな事業に対しては特別な措置を講ずべきだと思います。普通の土地收用法で律すべきものじやない。従いましてその観念は、飽くまでもその犠牲者に対する生活権を絶対に擁護してやるという建前をとつて扱わなければならぬと思います。そうなりますと自然今までの電源開発による電力のようなものは、その土地が必要とするものはあらゆる犠牲を払つてでもそれらの生活を擁護し、明朗な生活を打ち立てるためになすべきではないか。問題は、電源の基地でありますのにもかかわらず、永久に無点灯の部落に住まなければならぬという運命に落すことは甚だ忍びない。こういう点は私は相当考えて行かなくちやならぬと思います。単に一般的な収用法だけでこれが解決できるなら結構ですが、現在これが、要綱をお作りなさる前のことはわかりませんが、最近起つておりまする、電源開発の地点に各地に起つておりますが、熾烈な苦情が出ております。要するに忍びがたきを忍び得ないほどの状況になつておりまして、非常に渋滞しております。中には亡のダムを建設する以上は、当然電力は我々が使用するだけは無料でやつてもらわなければならぬというようなことを絶対の条件として掲げているところさえある。でありまするから先ほどあなたのお話の中にそういう点も幾らか話も出たという程度のもので片付けるべきものじやないと思います。そういうものであつては、結局要綱も何ら大した役割をしないということになるのだ。要するに基本的な考え方が、ただおつければいいという考え方、損害を賠償すればいいという考え方だけでは、とてもこの多くのこれからダム建設をする場合に、電源ばかりではありません、治水による洪水調節、ダムもあります。こういうようなものに対しては、それは到底私は開発の見通しはないと思う。こういう点で御考慮を願いまして、特別に土地收用法以外に、それにプラスしたところの、こういうような特別な犠牲を払う、思わざる犠牲を、川べりにあつて、川が拡張して犠牲になるのとは事が違う。道路を移転したために少し遠くなつたのとわけが違う。全然考えないところですぽりとこういうふうな大きな工事が始まつて、その要請に従つて亡び去つて行くと言つてもいいような状況に追い込まれる人たちに対しては別途な考え方を以て講ずる必要がある。御研究をなすつて頂いて、成るべくそういうような線に沿うて、こういうふうな要綱中心といたしましようけれども、もつと。プラスしたところのものを立法化してもらつて電源開発がスムーズに行くように、又犠牲に立つ人が喜んで犠牲に立ち、協力するという態勢まで持つて行けるような方法を立法的に考慮してもらいたい。  これはここであなたからはつきりした、そうやるという言葉を承わることは困難と思いますが、成るべくそういう線に沿うて御研究を願いまして、早期にそういうふうな案が出されますように願いたい。これは私の希望であります。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は基本的に補償の問題では石川さん以上に各種の問題で希望はあるが、今は私は質問している段階ですから質問させて頂きますが、こういう場合はどうなりますか。借家に住んでおる。そうして定職というものがない、こういうふうな者が奥地の部落には相当多い。使い走りをし、行商をし、或いは山林に入つて季節労働を営んでおる。こういう人は、補償があるとすれば何によつて何を補償してもらえるのか。水没のために他に移転する。家屋を見付けるから何からが心配です。その地域にあつてこそ生活ができるが、他になれば確実な職業を求めなければならん、こういう場合がある。このときにはどういう補償の仕方をするか。  もう一つは、国鉄職員とか、一般公務員のように借家に住んでおつて、そうしてたまたま汽車の利便があるので通勤しておる。それが水没のために借家がなくなる。従つてその土地に定着しておれない。こういう場合にはどういう補償があるのか。これはこの条項ではどこを適用してどういう計算でやるのか、この二者の場合を御説明願いたい。
  84. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これはこういうことになると思います。財産も持つていない、それから職もない、失業者ですか、そういうような場合でしたらばここの各条項では補償する対象がないわけでございますので、ただやろうと思えば、この第八条の謝金というところで何らか考慮するということになると思います。
  85. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  86. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をつけて。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 営業権の問題ですが、この営業権を補償するというその時期、又営業権を算定する時期というのはどういう時期をとるわけですか。
  88. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 二十四条の営業権の算出の問題でございますが、これは現在の価格、現在といいますのは、第三条にあります買収の時期、三条にきめる買収の時期でございますが、その価格において過去五カ年間の収益の平均をとるということになつております。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そんなら運が悪く、建設省関係で言えば、用地の関係の買収は一挙にはできませんわ。土地から始める、何から始めるとかいろいろやつてもできない。そうすると補償を受ける各商人の中の部分的な者は、どんどんどんどん、ダムの工事着工前後からそれぞれの土地を捨てて動いて行く。そのダムは一六年も七年もかかる。それで一番どん詰りでそれを、営業権を補償するとなると、物の売行きがどんどん下り坂になつた時分の過去の五カ年の平均ということだつたら、それが正当な補償になりますか、そういう場合は。そのことだけで律しては、これは実情に合わない場合が出て来ますよ。現にそういう運命に会つた豆腐屋さんを私は知ている。
  90. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) これは大抵飽くまで当事者間の協議で納得して行くということが大原則でございますので、この買収の時期と申しましても、両者の協議できまることでございます。お互いに納得した線できめられるように取運ばれるべきものと考えております。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。ところが従来の補償の問題は、納得したのではなく、納得させられてきまる。まあ無知文盲に近いという地方の人が、そこにおる有力な、まあ権力者の方や何か中に入つて、何やらわからんではんこを捺させられるだけです。ついたはんこの裏を見るというと、この協議にはいささかも異存がありませんというので、判を捺すとき、裏には判をついた以上はその後の異議の申立は受けないことなんだと法律や何かによつてさあつと書いてある。そんなことはわからない。私は現に知つていますが……、もう判をついたら内容を説明してやる。まあはんこを持つて来い、持つて来なければ説明してやらないと追つ払つてつたところが多数ある。それは納得させられてするのだから、そういうことはすぐそれを言わんでも、このことなら客観的にいいのじやないかという基準を求めて処理されるべきものと思います。まあこれはあとで具体的な問題が起つたとき調査官のほうにお話しますが……。  それで漁業権ですが、こういう場合は一号、二号と申しますか、二通り書いてありますが、どつちが適用になるのですか。具体的にこれを例で申しますと、岩手県の猿ケ石川の田瀬ダムによつて猿ケ石川が分断されてしまつて、そうして魚族の通路等も、これはもうつけるなんということは分断されてしまう。そうして上流部には、鮎の漁業組合があつて、下流部にもある。下流部においてはこれは水の関係が変つて来て、魚族が減るというような問題もありますが、私は、この下流部は今のところは尤も下流からも普通魚が遡つて来る場合もあるので、この場合は申上げませんが、分断されたらこの上流部のほうは鮎は上つて来ない。完全にこれは放流によつて今後漁業を継続しなければなりません。その場合にこの二号が、仮に一部制限ということで適用になつたとしますと、初年度から数カ年間は平年度以上の稚魚の放流をしなければなりません。そういう場合にこれによつて、この算定によつて補償されるということが実情に適しておるとお考えになりますか。現に昨年から三十万円か四十万円ぐらい放流する。ところがその収益というものは、その放流した額には遥かに遠い、今のところは。けれどもあれは一年魚ですから、毎年この問題は繰返されるかも知れない。で私は、全部制限せられた、この漁業権が喪失したものとしての補償か、それに近い補償かであつてそうして継続する部分について又手当がなされるというようなことが行われなければ、これは確実にこの仕事というものはもうできなくなる。じやあできなくなることをこの一号で補償すればいいのだということになるならば、私は実情には遥かに遠いものがあると思う。まあこれも問題点だけ指摘して申上げておきますが、鹿島委員のほうでいろいろ……。
  92. 藤波恒雄

    説明員藤波恒雄君) 今のお話はいろいろなケースが指摘されましたのですが、いろいろあると思いますが、第二十七条と三十八条とが関連して来ると思いますが、なお詳細研究いたしまして、後ほど又お答えいたします。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はまだまだ具体的なことでお尋ねしたい点はございますが、時間もございませんので、本日はこれでやめますが、いつの機会にか時間が取り得るならば、もつとこの問題は話合いを進める必要があると思います。  治山治水基本対策要綱で九十九カ所もダムを作るなどという問題もあるのですから、十分これは忌憚なく話合いを進めて、万全の措置をとるべきだと思いますので、委員長に然るべく取計つて頂きたいと思います。
  94. 石川清一

    委員長石川清一君) 電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱を本日今まで御審議願いましたが、今回政府が強力に推進しようとする治水の計画を見ましても、単に電源開発に伴うばりでなく、洪水調整ダム或いは川幅の拡張、その他堰堤の設定等をめぐりまして、関連する問題が非常に多く出て参ると思いますので、損失補償に関する御審議は、後刻御相談の上十分いたしたいと存じます。
  95. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 もう時間もございませんから一言お尋ねしたいのですが、この要綱はまあ観念上の一つのエクイテイーの、正義公平の観念から出ておるのか、それとも電源開発を促進さそうというそういう意思からか、この要綱の趣旨ですね。それで恐らく官吏が立案されるというと、どうしてもやはり正義公平ということが離れない。併し実際の今の事情から言いますと、一つの例をとつてみますと、佐久間ダムあたりは三十五万キロワツト、それが一年用地買収なんかでごたごたしますと三十億違う、それは電源開発会社で売る値段です。それが国民経済に及ぼす影響は、アメリカでは大体その電力を使つて硫安を作るとか何とかというと八倍乃至十倍、恐らく日本のような電力の少いところになると。十五倍に廻るだろう。そこで一年遅延いたしますと、佐久間の場合、に仮に十倍とすると三百億になる。するとそれだけでできてしまうのですよ。ところがその補償を惜しんで、官吏のことだから惜しむことはございませんが、余り細かい正義観念は、やるのに時間がかかるために、その損失は莫大なものなんです。佐久間もそうだし、田子倉もそうです。ぐずぐずしているとこの渇水期にはやれないものだから、又一年遅れてしまうということになるので、立法論と申しますか、要綱を作るときに促進ということを念頭に一つ置いて頂きますと、今石川委員がおつしやつたような希望も達せられるのじやないのですか。これは私は国民経済の上からいつて、この補償なんか決して……、電源開発会社にしろ、それから九電力会社にしろ、これは大企業家なんです。炭焼の問題なんか問題じやないのですから、そういう促進という趣旨からこの要綱をもう一遍再検討して、一日も早く促進できるようにして頂きたい。これだけ一つお願いしておきます。
  96. 石川清一

    委員長石川清一君) ほかに御質疑は……。
  97. 江田三郎

    江田三郎君 この質疑じやないのですけれどもね、さつき総合開発の……、いいですか、時間がないから簡単に質問しますが、総合開発のさつきの中でいろんな地域計画が出ているわけですが、この中にある国土保全というようなことは、治山治水ということと大体同じように考えていいわけですか。
  98. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) お尋ねの御趣旨に或いはそのままのお答えになつておらないかも知れませんが、国土総合開発法におきましては、国土保全及び治山治水ということは一つの大きな考えと申しますか、目的の一つになつておるわけでございます。従いまし、私どもの考えといたしましては、治山治水対策協議会のほうでお作りになります計画も、国土総合開発関係で作ります治山治水計画も、全く同一のものでなければならないと考えているわけでございます。
  99. 江田三郎

    江田三郎君 そこで今ここに出ておる特定地域の中の国土保全というのがのるわけですから、治山治水ということもお考えになつているという場合に、この中にいろいろダムが出て来ますが、これらのダムが治水だけを目的としたダムがありますか、或いはいずれも電源開発等のいわゆる多目的ダムになつているのかどうか。
  100. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) 先ほど申上げましたように、只今まで計画として決定いたしましたものは北上とそれから阿仁田沢と最上だけでございますが、その他の地域におきますところのダムは、治水だけではなしに多目的なものが殆んど全部であります。
  101. 江田三郎

    江田三郎君 先般建設大臣は、従来のいわゆる多目的ダムというものが、治水の面から考えて却つて弊害の起つたようなことがあるという答弁をこの委員会でしておられますが、そういうような事例がどこか具体的にあるわけですか。
  102. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) 私は、弊害が起つたということはまだ承知いたしておりません。ただ最近の考えといたしましては、多目的ということでなしに、治水だけを考慮しましたダムを作つたらどうか、極端に申上げますと、平素は空堀にしておきまして、治水のときにだけこれを治水目的に使うというような堰堤を作つたらどうかというふうに一歩進みました考え方があるわけであります。それは併し現在までのところ、まだ総合開発計画におきましては考慮しておらないわけであります。
  103. 江田三郎

    江田三郎君 一歩進んだということなんですが、実際一歩進んだのかどうか。今の日本の狭いところで、金のないところで、公共事業になるのか或いは個人の私の投資になるのか、いずれにしてもダムというようなものを大きな金をかけて作るのに、治水だけのダムを作るというようなことが正しいのかどうか、この問題についてこの総合開発のほうでは検討されておるわけですか
  104. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) 総合開発のほうではできるだけ一つの施設で多目的な経済効果を成るべく挙げたいというのが、総合開発の目的だろうと思いますので、私どもといたしましては、成るべく一つの施設を多目的に用いたいというふうに考えております。  今御質問の治水だけの目的のダムを考えておるかというお尋ねでございますが、現在考えております地域計画につきましては、さようなと申しますか、平素空堀にしておきまして、治水だけにこれを使うというようなことはまだ研究は開始しておりません。
  105. 江田三郎

    江田三郎君 我々も従来のダムは弊害がないというのではないのでして、これはいろいろ電力会社等余りにも先の見えない計画をやつてつて弊害を起している面があるが、これは多目的というのだが、実際に多目的になつているかどうか。設計の拙さ、或いは金の出し憎み、いろいろな問題があると思うのですが、そういうような治水だけのダムというような意見があるというのは、主としてどういう方面からそういう意見が出ているわけですか。
  106. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) 私ども実はその話を正式にと申しますか、はつきり聞いておりませんので、如何ようなものになるかよく存じませんが、恐らく平素貯水をしておきますと、水没その他によりまして相当弊害が、弊害と申しますか、経済的に損失をこうむる。併しその治水目的のために使いますケースは、何十年に一回という確率が考えられます場合には、平素はこれを空堀にしておきまして、洪水がありました際にだけこれを洪水の溜池として使うというような治水を目的とした溜池、こういう意味考えられるのではなかろうかと思うのであります。私どもが聞いておりますのはさような場合と、それから当然利水にも関係があるわけでありますが、一定の洪水量を調節します際に利水ということを考えないで或る程度の幅を持ちました計画を作りまして、たくさんの堰堤を作つて行くというような場合には、或るそれらの一つのものだけをとりますと治水だけという場合も起り得るのではなかろうか、そういうようなことではなかろうかと私は想像いたしたのであります。
  107. 江田三郎

    江田三郎君 今度この政府のほうで出された治山治水の根本対策要綱というものについては、総合開発の何といいますか、審議会ですか、そのほうではこれに関与されましたか。
  108. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) 総合開発審議会としましてはまだ治山治水協議会から正式に何と申しますか、話合いはできておらないのであります。ただ私ども総合開発のお世話をしております経済審議庁は、これは委員又は幹事ということで列席をしております。更に又総合開発審議会委員のうちから三名の方がこの協議会の委員になられまして、人的な交流も図つているということになつております。私が承知しております限りにおきまして、現在まで決定されました総合開発計画はすべて治山治水協議会におきましてはそのままこれを取り込んでおり、即ち治山治水協議会の決定事項とそれから総合開発審議会におきますところの決定事項は、全く決定されましたものにつきましては同一である。即ち総合開発計画を尊重しまして治山治水計画が出来上つておるという建前になつておるわけでございます。
  109. 江田三郎

    江田三郎君 今の場合はいいですが、その逆があるわけですね。こちらのほうが先にできて、まだ計画が立つていないところについては、今度これが一つの制約になつて来るわけです。例えばこの中でも利根川外六十六河川の九十九カ所の洪水調節ダムを作るとか、それも十カ年……、九十九カ所というと、例の九十九カ年というああいうものでなしに、具体的の九十九だろうと思うのです。而も九十九カ所という以上は具体的に場所がちやんとあると思う。そういうところに洪水調節ダムを作るということになりますと、今後総合開発地域計画という案が立てられる場合にこれが一つの制約になるわけですね。尤も緒方さんの説明を聞くと、その制約というほど強くはなくて、そのうち消えてしまうかも知れませんが、一応なると見なければなりません。そこで当然この治山治水計画というものに対しては総合開発審議会としては重大関心を持つて当られなければならんと思うのですが、これはあなたに申上げていいのかどうか、経済審議庁の長官としては、ただ審議会の個人が何人か参加しているとか、幹事として誰か出ているとかいうことでは済まんのではないかと思うのですが、そういう点は審議会のほうではまだ問題になつておりませんか。
  110. 今井田研二郎

    説明員(今井田研二郎君) 私は総合開発審議会の事務局として、意見と申しますか、経過を申上げるだけでございますが、治山治水協議会ができることが新聞等で報ぜられました際に、たまたま総合開発審議会が開会中でございまして、総合開発審議会におきましてはこれが非常に問題になりまして、現に国土保全、災害防除ということが重要な使命になつておる総合開発審議会を無視して、政府がかような二重機構的な治山治水協議会を作ることは間違いではないかというので、会長以下代表の方々が副総理にもお会いになりまして、十分その点の御意見を御開陳になつたようであります。それに対しまして副総理から、仄聞いたしますと、治山治水の基本的な計画はこれは総合開発審議会のほうで作りたい、それの実施の促進と申しますか、具体化と申しますか、予算化、そういう面を担当するのがこの治山治水協議会である。かようなお話がございまして、会長以下御納得になりまして、お帰りになつたという経過も拝聴しているわけでございます。なお総合開発審議会のほうでは然るべき機会にこの治山治水協議会の決定事項は十分聞いてその是非を判定したいというような御意見審議会の中にあることをこの際申上げておきます。
  111. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  112. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記始めて。先ほど江田委員から御質問がありました夜明ダムの損害に対する問題について河川局開発課長から答弁を求めます。
  113. 小池誉

    説明員(小池誉君) 夜明ダムにつきましては、現地に調査委員会ができまして、去る十九日でございますが、第七回の調査委員会の催しがございまして、今月末に最終の決定をいたすということになつております。先ほどお話がございました補償の問題はどうなるかというお話かと思うのでございますが。
  114. 江田三郎

    江田三郎君 それだけではなしに、大体調査委員会で取上げられて報告されることをずつと。
  115. 小池誉

    説明員(小池誉君) その点につきましては、向うの調査報告の内容をまだはつきり私ども承知しておらないわけでありますから、中の構成メンバーといたしましては、九大の先生、それから地建の局長というようなものが入つて構成メンバーになつております。  そういたしまして現実にわかつておりますのは、夜明の、ダムにつきまして、最大洪水流量は何立方メートルであつたかということが先ず考えられるわけであります。この点につきましては、九千三百立方メートル乃至九千五百立方メートルというような数字の間ではなかろうかというような結論に大体なつておるようでございます。その洪水が参りまして上流にどういう影響があつたか、或いは下流にどういう影響があつたかというような問題になるわけでございますが、上流に対しましては、夜明のダムが災害を受けました当時は、ゲートが八門ございますが、堰堤はそのうちの六門、六門のうちの三門は先ずゲートが完了いたしまして、すべて捲上げ装置で上るというような態勢にありまして、あとの三門は現在たて込み中であります。その六門によりまして、もともと夜明のダムは計画をいたします場合には七千立方という、下流は筑後川になつておりますが、そのうち七千立方どいうものを基本にいたしましてゲートの八門というものをきめたわけでありますが、そのうちの六門によりまして、上流にそれがなかつた場合、そのゲートがもうたて込んでしまつて、捲き上げることができたという場合と、現実には捲き上げられなかつたわけでございますが、捲き上げられなかつた場合にはどの程度影響したかということを計算で我々が当つてみますというと、大体二メートル八〇上つたわけでございますが、九千何がしという洪水流量では二メートル八〇上つたわけでございますが、そのうち六門ゲートがありましたということで一メートル八〇、そのゲートが閉つてつたということで一メートル八〇上るということになるわけでございます。でございますから七千立方流れたとすると、若しも決定いたしました洪水流量で来たということになりますと、そのゲートが六門塞つておりましたので上流に影響があつたということになるわけであります。それから下流に対しましては、これはまだはつきり私どももつかんでおりませんのでありますが、三キロばかり下流に鉄道橋がございます。その鉄道橋の約八百メートルばかり下流に発電所ができるわけでありますが、その発電所の放水口附近まで影響があつたかどうかということははつきりいたしておりませんが、実はそのダムが九千何がし流れたために、左岸と右岸が欠けたわけでございますが、右岸のほうにつきましては約五十メートル、それから左岸につきましては百二十メートル欠けたわけでございます。その欠けたのが一挙に流れたか或いは徐々に流れたかということになるわけでございます。ところが調べて見ますといと、約半日の間に両岸とも徐々にこわれて行つておりますので、下流の今お話申上げました発電所の放水口附近までは或る程度影響があつたのじやなかろうかというような、結論にはまだ到達しておりませんが、現在ではそういうふうなことに大体なつているようでございます。
  116. 江田三郎

    江田三郎君 それでこの災害を受けた者に対する賠償の問題はどうなんですか。
  117. 小池誉

    説明員(小池誉君) その問題につきましては、結局事業者が九州電力でございますので、九州電力と実際に被害を受けたでありましよう方々の間の交渉ということになると存じますが、それがまあ相整わない場合におきましては、第一次監督者が県でございますので、これは両県に跨がると存じます。福岡県、大分県でございますので、それに入つて調整がなされるものと考えます。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連してお尋ねしますが、民間の被害者はそういうことで補償になるということですが、下流の両岸の決壊した県道、これはやはり会社に交渉する、県も又取立てることはできる、こういうことでございますか。
  119. 小池誉

    説明員(小池誉君) 下流のほうの県道の問題でございますが、具体的にどの箇所ということがわかりませんのでございますけれども、水害によりまして県道がこわれたか、又堰堤によりまして、水が或る程度下流に対して殖えて、それによつて県道がこわれたか、その判定になると思います。でございますので、若しもこれは仮にでございます、仮に堰堤によりまして、流量が殖えてこわれたということが明確になりますれば、これは当然事業者が負担しなければならん、九州電力が負担する問題であろうと思います。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 客観的に調査ができるのかどうかわかりませんが、下流県道に対してなかつたとは言えないと思うのであります。ところがそういうのは案外県民の負担なり或いは国民の負担で賄つて行くというようなことに実際上はなるのじやないかと思うのですが、こういうことは厳正にこの会社の責任を明らかにして、取るべきものは取るということでなくちやいかんと思うのです。私も現地を見て、誠にけしからんと思つて話を聞いて来たのですが、もう一点お尋ねしますが、その補償の問題でなくて、確かに影響があつたということが明らかになつたならば、その電力会社に対してですか、その請負業者に対してか、何らかの罰則というものはないのか。
  121. 小池誉

    説明員(小池誉君) 只今のお話でございますが、補償以外に罰則というものは現実にございません。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では監督不行届な部分については行政責任者を処分することができると思うが、そのほうは断固としてやりますか。相手の会社はやれないにしても……。ということはですね、初めから工事の工法が規格通り行われていないということは事実なんです。それを監督する責任者が大分県側の土木部長であるとか或いは県知事であるとかいうようなことにならば、それが実施に対しては国が何らかの措置をなし得るものですか。若しもそこに行政責任があるということになつたならなし得るものですか、国か或いは県として、県自体でやるという問題ですか。
  123. 小池誉

    説明員(小池誉君) この問題につきましては、若しもそういう行政的な措置に誤りがあつたというような場合があるとすれば、第一次監督者であります県、これは第二次監督者が建設省になつておりますので、建設省がその内容をとくと調査いたしまして、その行政的な処分まで行くかどうかというような問題につきましては、私から簡単に行政的な処分をするんだというようなお話まで申上げられないと存じます。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では第一次の監督者には行政責任はないとお考えですか。
  125. 小池誉

    説明員(小池誉君) 若しもそういう事実があるとすれば、当然やらなければならないと思います。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 若しもそういう事実があればでなくて、現地で伺いますと、大分県の土木部長等は再三に亘つて、何と申しますか、この扉ですか、それを上げろとか、上げておつて工事をせいとか、電気設備をぜいというような勧告をしたということで非常に良心的に努力したということはわかつておる。けれども結果としてそれが守られないでああいう事態が起つたということは、私は行政責任が当然あると思う。監督不行届であると言わなければならん。自分が良心的に主観としては立派なことをやつたとしても、結果としてああいう事態が起つた。それがこの工事の工法の手続が悪いから起つたという事実が現われたら、これは当然監督者が理由の如何にかかわらず、客観的に責任があると私は思いますが、それは調査して見なければ、責任があるかないかわからんというような不明確なものですか。
  127. 小池誉

    説明員(小池誉君) その点につきましては先ほど申上げました通り、今月末に大体その内容が来ますので、委員会の報告によりまして、私どもが第二次監督者といたしまして、内容を検討して、はつきりした見通しをつけた上でなければ、あるかないかということははつきり申上げられないと思うのです。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 列車が転覆した場合においてもその機関士なりその他が直接の責任を問われるばかりでなくて、監督の責任にある者は逐次責任を問われているじやないか。そういうことを考えたならば、何といいますか、そういう公務員の当然職責として果すべきことが結果としては果されないでそういう事態が起つたということは事実であると思う。そういうような、私はその方を処分ぜいなどとは一言も申上げていない。これは主観においては、それは監督者でございますか、土木部長その他に責任があると、主観的にはその人たちがいけ在のだとはさらさら思つておりませんけれども、一般の行政として、そういうことが起つた以上は不幸なことではありますけれども、責任がある。服務上の責任がある。監督上の責任があると言わざるを得ない。それさえも調査しなければ認められないというのはどういうことですか。調査してみなければわからないなどというそんな不明確なものですか。私の聞いて来た事態とあなたが聞いた事態と或いは現地に行かれた建設当局の方が聞いた事態と違つているものだとは思われない。電気設備のなかつたということだけは確実なんだ。大体その門扉がしまつてつたということだけは厳然たる事実なんだ。私はそういう形式的な議論を今言つている。実質に触れて真の責任がどうのこうのということを言つているのじやない。監督責任があるではないかということを申上げる。  それからこれはいろいろ立法上の今後の研究課題にしなければなりませんが、何としても、会社側も請負者側もどうしてこれを処罰する根拠規定が或いは公共事業関係にはないのか。やるとすれば何いかはあるのですか。全然しでかしたことは野放しで、ただ補償さえすればいいのだ。人命までも失うというような問題に何ら処罰できないのか。これは一般の被害者が刑事訴訟的に訴え出るというような、そういうことが起訴条件としてなるかどうかわからんけれども、そういう方法でもとらない以上、どうしても国として、県として制裁を加えることができないものですか。その点もう一度はつきりお伺いして置きたい。
  129. 小池誉

    説明員(小池誉君) 私ども河川法を取扱つております者といたしましては、そういう場合につきましての罰則と申しましようか、それが公共のために非常に支障がある、かような場合には停止を命ずることもできますし、或いは工作物を撤去するというようなことは河川法上の規則には調つてございます。ですから河川におきます工作物についての監督権は持つているわけでございますが、罰則というようなものについての点は、私どもの建設省としてのものの中には語つてございません
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや今後そういうようなものについて厳重な工事施行がなされ、又監督が十分行われるということを目的として、そしてそうした工事方法において妥当でない方式をとつたなどというものについて何らか措置するというようなことを、今後お考えになる必要があるように思いますがということについて、御所見は如何ですか。
  131. 小池誉

    説明員(小池誉君) 私どもは水利権を取扱つておりますので、そういうような事態が発生しないように内容を検討し、或いは監督の立場から、第一次監督者等に協議をいたす場合もありますし、或いは文書によりましてそういうことの起きないように厳重に監督をして行くというような態勢に、県に対しましては両三度通牒を出しておるわけでございます。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私のお尋ねしているのは、端的に今後を戒めるために、又そういう事態を惹き起さないがために立法的な措置ですね。万一の場合があつたら厳重な責任追及ができるというようなことをすべきではないかと考えますので、そういう点について今後考慮を払われるお考えがあるかどうかという点を伺いたいと思う。
  133. 小池誉

    説明員(小池誉君) お尋ねの点につきましては、河川法の改正の問題についても関係するわけでございますが、今度の我々が持つております河川法の案につきましても、その罰則まで規定をしてはまだございませんような状態でございますが、私どもといたしましては、そういう点にも十分研究を重ねまして、今後こういうことがないような措置を考慮して行きたいと考えます。
  134. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと簡単なんです。今の答弁、私ちよつと答弁になつてないと思うのですよ。もつといい答弁があるのだけれども、まあそれはいい。これは工事認可は正式に下りておつたのですか。
  135. 小池誉

    説明員(小池誉君) 下りていました。
  136. 江田三郎

    江田三郎君 いつ工事認可が下りたか。
  137. 小池誉

    説明員(小池誉君) たしか六月十八日に第一次監督者であります県から、両県から九州電力に出ておつたと思います。
  138. 江田三郎

    江田三郎君 まあ実際に工事を始めたのはそうすると六月じやなしに、ずつと前ということになりますが、若したまたま、工事認可のあとでこういう災害が起きておりますけれども、工事認可なしに工事をするという例はここだけじやなしに、ほかにもいろいろあるようでありますが、一体工事認可が下りていないときに工事をするということに対して建設省ではどう考えておるのか、もうこれは従来の慣例だということで放つておくのか、若しそういう工事認可が正式に下りていないときに今日のような事故がたまたま起きるようなことがあつたら、これは誰が責任を持つことになるのか。建設省なり県のほうは知らん、請負組或いは電力会社が勝手に構造物を作つたのだ、こういうふうになるのですか、どうですか、そこのところ。
  139. 小池誉

    説明員(小池誉君) 先ほどお話がございましたように、水利使用の認可と、それに附随いたします工事実施認可が下りない前に工事をやつている実例が非常に多いというのがこれはまあ現実にあるわけでございます。建設省といたしましては、実施認可が下りなければ絶対に工事には着手してはならないという方針をきめまして……。
  140. 江田三郎

    江田三郎君 いつから。
  141. 小池誉

    説明員(小池誉君) それは最近でございます。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)きめまして、それをまあ流しておるわけであります。
  142. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記とめて。    〔速記中止〕
  143. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて。明日公報に御通知申上げました通り治山治水の根本対策について御審議を願うことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会