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1953-09-24 第16回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月二十四日(木曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員の異動 八月八日委員加納金助君及び竹中勝男辞任につき、その補欠として小滝彬 君及び清澤俊英君を議長において指名 した。 八月十一日委員清澤俊英辞任につ き、その補欠として江田三郎君を議長 において指名した。   ————————————— 出席者は左の通り。   委員長      石川 清一君   理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君   委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            江田 三郎君            近藤 信一君            田中  一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設政務次官  南  好雄君    建設事務次官  稲浦 鹿藏君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省河川局長 米田 正文君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告建設行政に関する調査の件  (七月以降の水害状況に関する件)  (治水対策に関する件)   —————————————
  2. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は先ず派遣議員報告を聞いたのち、七月以降の水害状況及び治水根本対策について当局より説明を聴取いたしたいと存じます。  それでは小澤委員より第一班の報告をお願いいたします。
  3. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 御指名によりまして、私から簡単に御報告を申上げます。  第一班は、石川委員長と私が八月三十日から一週間の日程で、熊本佐賀福岡大分県と北九州四県の水害地を視察して参りました。途中水害地緊急対策特別委員会派遣団と落合いまして、佐賀福岡の二県は一緒調査を進めて来たような次第でございます。以下日程の順に従つて報告いたしたいと思います。  先ず熊本市に参りまして、県庁において県当局及び市関係者より概況説明を聞きました。そして市内子飼橋ほか数カ所の現場を視察した後に、阿蘇崩壊状況を見るために旧火口原の白水村まで参りました。本県における今回の水害原因は、六月二十五日から二十九日までの異常なる降雨量、これに伴う阿蘇崩壊土砂流出であります。降雨は主として熊本以北に激しく、阿蘇郡小田町においては、六月二十五日から二十九日までに、九百八十五ミリを最高としておおむね五百ミリ以上で、これは明治二十二年熊本測候所創設以来の記録と称されております。熊本市内における白川計画洪水量千三百立米に対して三千立米乃至四千立米が流れたと推定されております。その被害は、市内のみでも浸水面積は全市の六八%、罹災者も全人口の六七%で十九万五千人にも及んでおります。又堤防決壊は四十五カ所に及び、白川に架けられた橋梁は殆んど流失或いは破損し、堆積泥土は実に四百六十五万九千立方メートルにも及んでおります。なかんずく白川子飼橋左岸被害が一番大きいのでございまして、流失二百二十九戸、倒壊十七戸、半壊百五十九戸、死者百二十一名、行方不明八名、そういう惨害を生じたのでございますが、ここは白川屈曲部でございまして、昔から大洪水のときの遊水池に用いられた所でございました。近来白川に大洪水のないのに慣れまして住宅地化したがために、今回の惨事を引起したのは誠に遺憾であります。白川改修につきましては、現河川河積を拡げる計画市当局も了承しているそうでございますが、同河川は市街を貫流しているので、月日の経過するのに従いまして災害の惨禍を忘れ、次第に計画が縮小して将来又災害を繰返すというようなことのないように工事を進められんことを希望する次第でございます。  排土計画につきましては、市内の目貫きの個所は、当局の御奮闘によりまして応急的の仮置場に排除されたのでございまして、これは誠に感謝に堪えないのでございますが、今後捨土の一定計画に従いまして能率的に作業して行くということを希望するものであります。  又阿蘇崩壊に対しては、治山事業砂防工事を急速に施工する必要があるのでございます。  次いで佐賀県に参りまして、県当局から概況を承つた後に、嘉瀬川、城原川、筑後川、大木川の被害個所を視察して参りました。今次災害原因は、六月二十四日より二十九日に至る異常降雨によるものでありまして、降雨量平坦地において五百九十ミリ、山間部におきましては九百五十ミリにも達しておるのでございます。特に筑後川支流は、筑後川バツク・ウオーターと相待ちまして一斉に氾濫し、庄家の全壊五百戸、田畑流失五千町歩田畑の冠水四万五千町歩堤防被害五十カ所、被災民三十六万に達し、その被害総額は実に本県財政規模の四倍にも当る二百二十億にも達したのでございます。本県被害のうち、筑後川バツク・ウオーターによつて支川氾濫したのが一番大きいことから、県当局支川筑後川同様直轄河川として施工して欲しいというような要望があつたのでございますが、筑後川の本川とそれから支川とは、計画工事施工ともに総合的に且つタイミングを合わせる必要があるのでございます。或いは又これら支川を一括して筑後川から切断して海に流すというようなことも一つの方法であるのであります。又本県の地質の特異性から地すべり対策に特別の措置要望し、災害を蒙むつたものは補助の途が講ぜられておりますが、地すべりを起すと予想されるものについては、何らの措置がないのを遺憾として、基本的の調査被害拡大防止設備及び家屋の移転等予防措置を国庫の負担として要望しておるのでございますが、これは砂防等と共に将来考究すべきことと存ずるのでございます。  次いで翌日福岡瀬高町及び矢原町において矢部川決壊個所を視察し、八女地方事務所、久留米市、浮羽地方事務所において被害状況及び復興状況説明を聞き、同地の災害個所を見、更に筑後川上流夜明けダムに行き、筑後川沿いに朝倉郡の大福村等の状況を見て参つたのでございます。今回の筑後川災害原因は、上流地方においては六月二十四日から三十日に至る約千ミリ以上の降雨によるものでありまして、計画洪水量五千立米に対し、九千乃至一万立米流れたと推定されておりまするが、昭和二十三年度に筑後川改堤計画建設省で樹立したときに、その計画洪水量に七千立米というふうに想定したのでございますが、それを今回は遥かに上廻つておるのでございます。溢流による堤防決壊が二十六カ所にも及んでおるということを思えば、如何に今回の出水が異常なものであつたかということがわかるのでございます。夜明けダムにつきまして、その上流下流に対して被害を与えた範囲につきましては、現在調査委員会作つて調査中でございます。今回の洪水によつて政府当局筑後川計画検討中でございますけれども、治水方式について根本的な検討を要するのでございます。例えば治山砂防と共に上流における洪水調節ダム、或いは洪水のみのダムによつて下流に流下する洪水量調節するというようなことと同時に、又道路とか、支川堤防を利用して洪水を局限する、万一の場合に洪水を局限するというようなことも講ずべきことでございます。  又三井郡水害対策本部要望として、今次の河川災害の大部分は、井堰に関連するもので、これが復旧については、従来の弊を省み、総合的計画樹立の上、河川管理上再び今回のごとき轍を履まないように十分の策を講ぜられたいというふうに言つております。今回視察した瀬高町地元の矢部川右岸決壊も、その原因井堰及び樋管の欠陥によるもののように察せられるので、河川管理者に対しましては、この点十分に注意を喚起する次第でございます。  次に、植木町附近遠賀川決壊個所、直方市、八幡市、小倉市、門司市等において説明を聴取すると共に現地を視察いたしました。遠賀川における災害の特色は、鉱害による地盤沈下個所が弱点となつて水害の大きな要因となつておるのでございます。鉱害災害とのこの関係につきましては、今後十分注意を要する重要なる事項と感じたのでございます。八幡小倉門司地すべりは全く未曾有のもので、門司市だけでも道路河川及び山崩れ等決壊は六十九カ所にも上つております。この地すべり原因は、自然を無視して市街地を造成したことにあるのでありまして、治山対策の緊急なることが痛感されるのであります。  八幡市におきましては、背後の山地のうち八幡市として及ぶ範囲のものは全部植林をいたしましたが、民有地に対しては特に指定して植林を行うよう措置することが必要であるというような意見が述べられておりましたが、尤もなことと感ずる次第でございます。  かくして福岡県を終了、大分県に参りましたが、大分県は九州の屋根と言われる峻嶮な山々をその背後に擁して、戦時中戦後を通じて森林の濫伐による国土荒廃と待つて深刻な被害を現出し、被害額百七十八億、先の台風二号と加算するときは二百十億という額に上つております。大野川、大分川の被害個所と、それから砂防工事を施工した境川を視察いたしまして、砂防の効果に対する認識を深めた次第でございます。  このようにして四県の調査を終えましたが、最近どの河川洪水の速度が非常に早くなり、又水量も非常に大きくなりまして、これは山林の濫伐などによる水源地荒廃にもよることでございますが、又中小河川などの完成などによりまして、これまで氾濫、遊水をしていたものが一時に出て来た所もあると思うのでございます。  この災害を契機として政府治山治水根本対策検討に乗り出したことは誠に我が意を得たことでございますが、根本的には治山治水費をもつと増額しなければ国土荒廃を防ぐということはできないのでございます。又この機会に河川計画についてもこの際根本的再検討をする必要があるのでございます。その問題につきましては非常に長くなりますから省略いたしたいと思います。  三番目といたしましては、災害を早く復旧するということでございます。災害復旧しないために次から次と増破して災害の額をますます多くするということでございますから、一刻も早く復旧を完成するということでございます。  又第四番目といたしましては、河川管理に関する行政を一元化いたしましてこれを能率化し、強化するということを図らなければならないと思うのでございます。  簡単でございますが御報告をいたします。
  4. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて下さい。  第二班の石井先生ちよつと遅れますのであとに廻しまして、次に七月以降中国近畿及び中部地方の一部並びに北海道にかけて生じました水害について御説明を願います。
  6. 米田正文

    説明員米田正文君) 七月以降の水害状況を御説明いたします。  七月になりまして災害が四回ございました。で、第一回は七月三日から六日のものでありますが、これは中国近畿中部地方の一部から北海道にかげてでございます。総額二十四億程度のものであります。これは異常に大きいというものではございません。で大きかつたのは七月中旬、即ち十八日から二十四日にかけての和歌山県及び奈良県を中心とした地域被害でございます。御承知のように和歌山県下の日高川及び有田川、或いは紀ノ川支流、貴志川の流域に非常な被害をもたらしたのでございます。これも長雨のあとに来た豪雨でありましたために、著しい特徴としては土砂崩れを各地に生じたのでございます。その被害が非常に大きかつたのであります。そのほかにも各地被害がございまして、三十道府県に関係いたしております。総額二百七十五億となつております。被害としては大被害の部類に属するものであります。  次のが八月中旬でございまして、八月中旬、十四日から十五日に……印刷がちよつと抜けておりますが、八月中旬の十四日から棒を引いて下に書いてございませんが、十五日でございます。これは御承知のように京都の木津の町から上流地域中心とした被害でございまして、あの地帯は古くから砂防地域として工事を実施をいたしておつたのでございますけれども、御承知のように非常に土砂流出のひどい所でございまして、殆んどの川が天井川と申しまして、附近土地よりもずつと高い所に川底があるのでございまして、川の下を鉄道が通つておるというような地域でございます。そのためにその氾濫をいたしました水は滝となつて落ちましたために、この地域一帯に非常な被害を生じたのであります。京都府の木津川沿い地域、それから三重県の上野市の一部、それから滋賀県の信楽地方というのがこの災害の激甚な地域でございました。  第四番目では九月初旬の被害でございます。八月三十日から九月一日に至る間の雨であります。これは地域的のものでございまして、大阪府の一部兵庫県の一部に四億円程度部分的な被害を生じたのでありまして、これはこの四億円と申しますのは、その後判明したところでは相当増加をいたしておる模様でございますが、まだはつきりはいたしませんが、そういう状態でございます。  で、七月以降九月にかけての今の四回の被害中心にいたしまして、すでに四百億を突破いたしました。各都道府県の報告額の集計でございますが、四百八億になつております。一月からのものを総計いたしますと、これで八百二十億の程度になつたのでございます。今後なお台風等の襲来が予想されますので、今年の災害総額は相当巨額に上るではないかと想像いたしております。七月以降の概要は以上の通りであります。  引続きまして、その後のそれらの災害についての処置がどうなつておるかを申上げます。次に縦の紙で表になつておる二十八年発生災害復旧事業検査進捗状況調、二十八年九月十二日現在というのがございます。これはこれらの災害査定がどういうふうに進捗をしておるかという一覧表でございます。この表は五月以前の災害についての検査進捗率でございます。北海道から青森とずつとございまして、これは五月以前の分は融雪災害分等が含まれてございますので、下のほうが出て参つております。被害額の欄は、これは各県からの被害発生当初に申請をして来た、被害復旧額として申請をして来た額でございます。その次の欄が検査対照額でございまして、建設省から査定に参つたときに県が実際に提出した復旧設計書でございます。それが検査対照額になつております。で被害報告額検査対照額は少し数字が違つて来ておるのでありますが、検査対照額なつたものは実際の設計を立てて出したものでございまするので、これのほうが実際に合つておるのであります。でこの検査申請に対しまして、査定をして決定をいたしました金額が次の決定額でございます。その次がまだ今後検査をいたすべきもので未検査額御覧になりますように、北海道青森、宮城、秋田等は一番右の欄で検査進捗率と書いてございますが、一〇〇%でございます。五月以前の災害については検査を全部完了いたしておるということを表わしております。でまだ中には県でさほど急いでおらないというようなその他の事情もあつて、まだ検査をしていない所もございます。例えば千葉県、或いは長野県の一部、これは又特別な場合で、別にその後の災害がございましたので、それで一緒検査をするのでございます。というような事情があつてつてないのがございますが、大体は終りまして、進捗率の一番下の欄にございますように、九〇・一%の進捗率でございます。  その次のは六、七月災害でございます。これは非常に大きな災害検査でございます。これは一番右の摘要というところに目下検査中というのがございまして、今検査に行つておるのでございますが、このほかに今日から検査に出かけますのが四県ほどございまして、岩手県、福島県、新潟県、富山県というのが今日から検査に出かけることになつておりますが、六、七月災害は現在のところ検査を終えましたのは四八・二%でございます。約半分でございます。  次は八月以降の災害であります。これはまだ八月以降の分については、今検査中、及び今後検査をすべきものでございまして、その表に書落してございますけれども、検査中というのがそこに上つておるのは三カ所、秋田、山形、石川になつておりまするが、その後今検査に行つておりますのは、三重滋賀、東部という三県は現在検査中でございます。これは一両日中に帰つて来ることになつております。それらを全部合せまして、今年度の災害総額は幾らかと申しますと、その次の今年度発生災害調九月十九日現在というのがございまして、五月以前と、六、七月と、八月以降とに分けでございます。これが検査対象なつ被害総額は八百十三億、今検査に行つて検査したものが三百五十五億、決定をしたものが二百五十三億、今後なお検査をするもの四百五十二億、全体として四三・七%という検査進捗率になつております。  それからその次の紙は二十八年発生災害復旧土木事業費に対する融資額調、二十八年九月十九日現在でございますが、一番右の欄で御覧になりますように、被害額というのが今年度発生した総被害額でございます。で、その一番下の計を見ますと八百十三億となつておりますが、本年度の八百十三億の総計被害に対して融資をいたしましたのは八十四億三千万でございます。その内訳はその右の欄の上にずつと書いてある通りであります。結局今年の災害を受けたものに関しましては、直轄事業に関しては現在の今年度の成立予算の中に災害対策予備費というのが百億ございまして、その中から必要な金額を支出をして工事を進めておるのでございます。府県の災害についての補助は、分担金検査が完了しないと正式に交付できないのみならず、又金額も手持ちの今年度の予備費百億は非常に減つて来ておりまして、もう五十億ちよつとしか残つておらんような状態でございますから、今度の補正予算等処置を願うこととして、差当り融資復旧事業を急いでもらうという方法をとつておるのでございます。融資も八十四億三千万ございますが、従前よりも、去年以前に比べると相当政府としては出しておるのでございますけれども、現地実情は非常に繋ぎ資金融資に対する希望が熱烈でございます。なお今後もこの災害について、この被害額について融資をするものも出て来ると存じます。  大体以上のような程度でございます。
  7. 石川清一

    委員長石川清一君) 第二班の報告者がまだ見えませんので、更にお手許に配つてあります治水根本対策要綱について政府説明を伺います。
  8. 米田正文

    説明員米田正文君) こういうふうに非常に今年の災害は激甚を極めまして、その原因先ほどお話もありましたが、水源荒廃、或いはその後の河川流域一体開発状況というような問題、或いは異常の降雨があつたということ、或いは今年度のように非常に長い雨であつたというような種々の原因が重りまして、今度のような災害を引き起したのであります。政府はこの際根本的に、抜本的に治山治水対策を確立しようという趣旨で、政府の部内に治山治水対策協議会というのが設置をせられたのでございます。そして緒方副総理が会長になつて関係閣僚及び学識経験者会員になりまして、八月二十六日に発足をいたしたのであります。で、八月二十六日に第一回の協議会を開催せられたのでありますが、このときに緒方会長から、建設農林両省からそれぞれの根本対策概要説明があつたが、この根本対策概要については内容を更に幹事会検討をするようにということで散会をいたしたのでございます。その後第一回、第二回、第三回と幹事会を開催いたして両省の案の内容について検討をいたしました。その作業の主なる点は、両省の案が根本的に内容に食い違いがあるかないか、あればすぐにそれを是正すること、それから両省計画水系別に取りまとめるというような点がこの是正の内容でございました。それらを順次各水系について今日まだ進めておるのでございますが、第二回の協議会は九月十八日に開催いたしました。その後の幹事会で練りました経過を第二回の協議会では報告をいたすと同時に、今後の方針についての指示を受けたのでございますが、そのときの指示としては農林建設の両案を更に一本に早急にまとめることということと、各水系別計画案を整備、更に促進をするようにということでございましたので、来週早々から両省の案を一本にまとめたものについて協議会会員専門のかたがたに内容的に御審議を願うという段階に来ております。協議会の今日までの進んでおる状況は大体今申上げたような程度でございます。  そこに当初の建設省として出しました治水根本対策要綱というのがお手許に差上げてございます。先ほど読みました次のページから始まつております。で、この案の概要は、今日日本では水害を受ける危険のある水害地というのが二百二万町歩あるというのです。それからそれが年々終戦後の毎年の平均が約五十万町歩ぐらいこの二百万町歩の中を循環しつつ水害を受けておるということがこの治水対策対象になる地域でございまして、これらを根本的に水害を根絶しようという趣旨計画を立てたわけでございます。計画内容については各河川ごと計画を立てておるのでございます。計画根本は、極力上流部において洪水調節する、それから土砂流失をとめるということに重点を置いておるのでございます。例えば各渓流に砂防堰堤造つて山脚の防護をやると同時に、出て来る洪水流勢を緩和する、及び出て来る土砂をその堰堤に貯溜するということを水源処置として先ずやり、その次にそれらを通じて、それらの砂防施設をやつたものからなお出て来るところの水については、これを極力上流洪水調節池設置して、洪水調節池調節をして成るべく下流洪水量を軽減するということに重点を置いておるのでございます。そういう方針で進んでおりますが、なお雨量についても、各河川についての現在の計画について再検討をする必要のあるものについては、この際再検討をして計画洪水量を所要の量に引上げるという処置をとつております。例えば筑後川のごとき、或いは白川のごとき、或いは有田川のごときは現在計画洪水流量を再検討いたしておるのでございます。なお他の河川についても計画洪水量増加をする必要のあるものについてはこの際検討を加えることにいたしておりますが、大部分河川については現在までの計画洪水流量で大体支障がないと考えております。ただ計画洪水流量は相当大きいものをとつて今日まで実施しておりますけれども、それがなかなかできない、なかなか工事が進まないというのが今日の現状でございまして、治水現状から申しますと、現在の計画洪水量河川改修をするといたしましても、今後三、四十年は必要な実情でございます。そして下流では河川にこの計画洪水量だけを流す方式を緩和いたしまして遊水池或いは洪水調節池というものを下流部には設置をすることにいたしております。これは従来日本徳川時代から明治の初期にかけてはこういう施設が各所にあつたのでございますけれども、だんだん土地河川流域の開発されるに伴い、且つは戦争直前から食糧増産政策からそういう川の遊水池等を成るべくなくして行く、そして洪水土地に入れないという、田畑に入れないというような方式を非常に強くとられたために、現在まであつた遊水池等が、いわゆる霞堤等がなくなつて、今まで水が入つて来ておつた地域堤防で守られるというような方式がとられたために、一層河川としては窮屈になつて来ておる現状でございますが、今後こういう河川遊水池等は極力尊重して行く、むしろ新しく設けて行くという方針をとりたいと思つております。と申しますのは、そういう遊水池等は今度の災害でも各地に御視察においでになつて御覧頂けたかと思いますけれども、下流から徐々に入つて来る洪水というものの害はさほど大きいものではございません。上流から堤防を切つて乗越して入つて来る洪水土砂を伴つて田畑を非常に荒すのでございますけれども、下流のほうから徐々に洪水が入つて来る場合には、その田畑被害というものは殆んど大したことはないのでございまして、これらの現実から眺めましても、こういう方途を極力とりたいと考えておるのでございます。そのほか河川の管理についての問題になりますけれども、橋梁の架設地点等についても、洪水疏通を阻害するような位置にはその橋梁を架設しないような方法をとつて行くというような計画にいたしております。なお今度の災害で非常な特徴であつた流木対策でありますけれども、一般流木については河川法等で管理をして行く法をとると共に、実際にどうしても流れて出て来た流木の対策としては上流洪水調節池でとめる、この流木をとめるということも一つの目的として洪水調節池を考えております。  そういう要領で計画を各河川ごとに立てておる。もうすでに立つた……、大部分のものは従前から計画はできておりますのでそれが立つたのでございますが、それを次の第五の治水事業実施計画というのがございますが、そとに書いてございますように、直轄河川以下書いてございまして、直轄河川として九十三河川事業費が三千二百七十三億、工事の期間は十カ年とする。二十九年度から十カ年で九十三河川を完成させる。この九十三河川には北海道の国費河川を十四本入れております。そのほかは今日直轄河川として実施しておるもの七十八本及び白川を来年度から直轄にやるものと予定してこの中に入れておるのであります。特殊河川三十五河川というのは、これは北海道河川だけでございます。中小河川一千百七本、事業費二千三百九十億、十五カ年となつております。これは中小河川直轄河川上流部或いは支流としてある中小河川と、それから単独の河川とにこの中は分れるのでありますが、直轄河川上流部直轄河川に属するものについては、下流直轄河川を十年でやるとして中小河川の分はややこれを五カ年ほど遅らせて十五年にする。下の本線の改修が完成してなお五年ほど遅れるという順序にいたしたのでございます。勿論これと並行してやる分はございますけれども、最後を五カ年ほど延ばしたのであります。なお単独の中小河川については、これは十年程度にみて完成をいたす予定でございます。その次の局部改良というのは、これは多くは河川の極く部分的な改良でございます。  次は直轄堰堤五十三カ所、補助堰堤五十四カ所、これらは洪水調節池としての役割を果すものでございまして、洪水調節重点に考えたい。他の利水事業は、治水の許す限りそういう他の利水事業も同時に施行して行くという方針を立てたい。あとは直轄砂防及び補助砂防でございますが、直轄として実施する砂防については二十五水系事業費三百億で九カ年、それから補助砂防として府県の実施いたしますものは、これが大部分でございまして、一千九百六河川、三千五百二十五億、十五カ年として実施する。これは十五カ年として砂防を五年ほど延しております意味は、決して砂防をおろそかにするという意味ではございません。むしろ私ども先ほど申上げましたように、砂防重点的な問題として取上げて行つておるのでございますけれども、御承知のように砂防というのは一水系に五本とか六本とか、或いは多いものは十本とかというような堰堤を入れておりますので、それを全部一挙に十カ年に見る必要はないのではないか、そのうちの一部を実施しながら全体の状況を見て行くという方針をとりたいという意味で十五カ年にいたしておるので、砂防は実際の工事としては十カ年程度に全部終るのでございます。ただそれを更に補足的に工事を進めて行くものを五カ年延ばしておる次第であります。  最後の……。
  9. 田中一

    ○田中一君 ちよつと聞きたいのですが、今の表の補助堰堤補助砂防、この事業費というのは補助額ですか。
  10. 米田正文

    説明員米田正文君) これは全部事業費になつております。ここに挙つておるのは全部事業費であります。
  11. 田中一

    ○田中一君 全額の事業費でありますか。
  12. 米田正文

    説明員米田正文君) 全額の事業費であります。
  13. 田中一

    ○田中一君 補助額はどうなんですか。補助額はこの何パーセントになりますか。
  14. 米田正文

    説明員米田正文君) それはあとに表がついております。  最後に高潮対策として二地区挙げておりますのは、これは東京と大阪の現在の高潮対策としてやつておる事業でございまして、特に大阪の高潮対策は非常に緊急を要するので、この際治水事業としてこの二カ所だけは早期集成を図る意味でこの中に入れたのでございます。  これらのすべてを合計いたしまして、一兆一千七百七十三億というものを今日工事費として計上いたしたのであります。あと細かいととはずつと書いてございますが、一番重要なところは五でございまして、この予算一兆一千億という問題でございます。これは今の御質問のありました国費と地方費に分けますと、今のページから二枚めくつて頂きますと、治水事業実施計画に基く国費及び地方負担額調というのがございます。これは各事業別に国の負担と地方の負担の率が違うので、それぞれの項目ごとに挙げてございますが、一兆一千七百四十四億という数字を分けると、国費で七千四百三十二億、地方負担額四千三百十二億、こういうふうになるのでございます。  そこでその次の表でございますが、これは直轄河川改修事業実績調というのでございまして、現在の直轄河川の最近の実情を知るために、二十六年度から七年、八年と三カ年の事業費を書いてございます。それから二十九年度以降、来年度以降残つておる事業費を書いてあります。一番右の欄には計画洪水流量を書いてございます。実は計画洪水流量は各河川についても上流から中流、下流と流量を異にするのでございます。非常にここに一口に書くというのはむずかしいのでございますけれども、場所をきめて、代表的な所の洪水量を挙げてございます。だからこの河川の或る地点の計画洪水流量であつて上流、中流には又別の洪水流量があるということを御承知おき願いたいと思います。  その次の表は二十六年度、七年度、八年度の砂防事業費の総括表でございます。これも二十六年、二十七年、二十八年という三カ年の事業費を挙げてございます。それからその次の表は二十九年度以降の砂防事業費を挙げております。それからその次の表に全国治水計画総括表というのがございます。これが一兆一千七百四十四億の内訳年次計画表でございます。直轄河川以下高潮対策に至るまでの九項目に亙つて年次計画を書いてございます。これは全部事業費で挙げてございます。この事業費の総括を国費と地方費の分担割にしたのが次の表でございます。事業費一兆一千七百四十四億を国費と地方費に分けまして、純国費というのがございまして、これは国費というのは予算面上の国費でございまして、直轄河川等で国費を出す場合に、仮に五億の国費として出すと、そのときにはその国費に三分の一の地方分担金が入つておるのでございます。だけれども予算面上では国費ということに挙げて来ておりますので、国費というのは予算面上の国費でございまして、更にそれを純国費、国の財源だけから出す国費というのがございます。それはその下の(純国費)と書いてあるものでございます。そこの下り備考に二十八年度分事業費は一体どのくらいの予算であるかというのを参考までに掲示をしてございます。事業総額三百五十七億、治水事業でございます。三百五十七億でございまして、国費として予算に上つておるものから申しますと、国費が二百六十七億、地方費が九十億でございます。この三百五十七億に相当するものが毎年の年次割になつておるのと対比される数字でございまして、二十九年度予算として一千一百四十四億というふうに書いてございますが、これは今年度は三百五十七億、三倍ちよつとになりますが、本年度予算の三倍強の計画でこの治水根本計画というのが出ておるというおよその規模を御説明するために書いたものでございます。  それから一番最後に、先ほどお話も出ました災害復旧の基本対策について申上げたいと思います。これは今まで建設省も大蔵省も自治庁に話合いをつけた上の話でありますが、大体災害復旧を三、五、二というような比率で災害復旧を進めておりましたけれども、最近のような災害がますます激化して災害災害を生むというような実情になつて来ますと、戸塚大臣も災害復旧は短期完成を目指さなければいけないというような強い御方針もあつて、ここには災害復旧二カ年完成で六、四比というので一応計算をいたしたのでございます。それで一、二、三と分けてございますが、二の方法の中で一番最初には本年度災害がどうであるかということを書いてございます。その(イ)に、災害復旧事業費を査定すれば七百二十二億になるであろうという見通しでございます。そのうちに今検査が済んでおるものがこれだけで、まだ未検査のものがこれだけであるということを書いてございますが、これだけ事業費が決定すれば、これに対する国の負担は六百二十二億、これは今度の災害特例等で従来の補助率よりも上つてつて来ておりますので、六百二十二億と推定をいたしております。これを六、四で行くとすると本年度に、次の行に書いてございます三百七十三億、来年に二百四十九億、要するに六百二十二億今年度災害は今のところ災害復旧として国が負担する分がある。それから過年度の、昨年以前の分については、現在事業費として七百十一億残つてつて、この国の負担額は五百十八億、これはもう殆んど債務のようになつて今日残つておる金額でございます。こういうような分け方にして六、四制をとつて国の支出負担額を計算してみると、二十八年度三百七十三億、二十九年度七百六十七億、合計一千一百四十億は今後支出をしなければならない総額でございます。これは今日の発生した災害を推定いたしたものでございますが、今後なお本年内に相当の被害があるとすれば、更にこれが増加をいたす性質のものでございますが、現在のところ一千一百四十億の災害に対する国の負担額があるという現状でございます。  以上御説明を終ります。
  15. 石川清一

    委員長石川清一君) 第一班の御報告に続いて、残してありました第二班の御報告をお願いします。
  16. 石井桂

    石井桂君 それでは第二班の御報告を申上げます。第二班は七月十八日の和歌山、奈良地方の水害とその復旧状況について視察して参りましたが、その大略を以下御報告申上げます。  小笠原議員と私とは張る九月十人日に東京を出発しまして、奈良県の吉野郡野迫川村地方、和歌山県の貴志川、有田川、日高川の中流部、奥地の各地日程と時間の許す範囲におきまして視察をして参りまして、二十二日帰京いたしました。先ず奈良県について申上げますと、すでに御承知通り七月の水害は十津川下流流域、十津川村と同じく吉野郡の野迫川村とが最も大きな被害をこうむつておるのであります。十津川村はまだ道路復旧が車両を通すほどに至つておりませんので、日程の都合上野迫川村を視察して参つたわけでございます。野迫川村は高野山の奥地に当る海抜九百メートルから千メートルに及ぶ山間僻地の所でありまして、人口約三千、戸数五百八十戸ばかりの村でありますが、地域は南北三十キロに及ぶ大きな村であります。野川の上、中の部落と池津川の部落及び北股川に沿う上垣内、北股の大体三つの部落に分れておりますが、この地方が大きく被害をこうむつておるのでありまして、この地方は七月十七日から十八日の未明にかけて約九時間の間に六百ミリの雨量があつたと言われておりますが、上、中の部落は住戸約百戸のところ住家三十戸、工場十戸が流失、埋没し、損害を受けないところは殆んどないという状態でございます。池津川、上垣内、北股の部落もほぼ同様でありまして、これらの水源地の異常の出水と山崩れによりまして、人家もろとも一気につぶされ、押流されております。この山地の状況を見まして感じましたことは、これまで砂防施設が一つもないということで、これはどうしても砂防をやらなければならんということでございます。  これらの部落は耕地は誠に僅かでありますが、林業、高野豆腐の手工業的生産によつて辛うじて生計を営んでおるのでありまして、その人口の半数が土地も生業手段もなく、木材の伐採、運送、或いは高野豆腐の製造を手伝うという日雇労務者に近い貧しい住民でありまして、生活の手段を失いかけておるのであります。これらの人々の救済は家屋の復旧と共に急を要することと思います。目下道路復旧重点を置いておりまして、奈良県の応急復旧費につきましては、県費の分として約二億三千万円を要すると言われておりますが、一件当り十五万円以下の土木災害事業費だけで総計約一億円の県支出を要し、県の年間税収約六億円の財政に対して余むにも負担が大きいことと、この種十五万円以下の災害につきましても、税収に見合うような取扱い方を強く要望しておりました。又道路については、今度の災害が奥地にありますので特に被害が大きいことと、工事が極めて困難でありまして、例えば十津川筋ではただ一つの幹線が断崖三百メートルの絶壁の個所を約四百メートルに亙つて決壊しておりまして、復旧を阻まれておるということであります。又桟道は県内に約七百三十カ所のうち過去の災害復旧は未だ三〇%でめりまして、五百カ所の改修が残つているところへ、今度の災害で非常に困難に面しておることを訴えております。  次に和歌山県について申上げますと、有田川の下流部は箕島町、野村、宮原村、田殿村、徳田村、御霊村等いずれも護岸堤防を大きく破壊され、耕地はその大半を砂礫地と化し、住家は宮原、田殿、徳田の三村だけでも千数百戸を全壊、流失しておる惨状を呈しております。下流部堤防復旧は目下急速に進められておりまして、大体仮工事を終つておりますが、特に宮原、野村の一カ所千数百メートルの堤防復旧には建設省からブルトーザー六台が協力しておりまして、非常な能率を上げており、地元に大いに感謝されておりました。宮原村の大被害も、上流にかかる有田鉄道の鉄橋と有田橋で無数の樹木にせき止められた異常な洪水が霞堤から堤防と鉄道路線を決壊し、村を泥海と化しておるような状態であります。又御霊の町は金屋駅、この駅は鉄筋コンクリートでできておりましたが、この駅を除いて百数十戸全部流失しておりますが、川幅八十メートル、水面から橋床までの高さ六メートル、スリー・スパンのコンクリート鉄骨ガーターの金屋橋が流出して、それと同時に町は孤立化し、遂に護岸から地面まで根こそぎ洗つて河原と化しでおりますが、最高水位は金屋橋流失後更に三メートルも増嵩している状況であつたと言われております。又二川村の附近では、山崩れによつて河床は四メートルも上つておりますが、八幡村の地先では八メートルも河床が上つてしまつたということであります。日高川は有田川のようにまとまつて大きな被害を受けてはおりませんが、全河川、それからそれに沿う道路が殆んど全部切り目ないほどに破壊或いは決壊しており、橋という橋は下流から上流まで全部流失しております。これらの橋はコンクリートの吊橋が多いのですが、これらは鉄筋が入つておりませんでしたために、根つぎのところから全部倒されております。これらは最近ジェーン台風後に竣工した橋梁をも含んでおりまして、今後の構築について大いに改めなければならない点であろうかと思います。日高川流域で最もひどいと言われる川上村は河口から三十キロ余の所にありますが、ここでの死者は百二十四名、家屋の全壊、流失三百六十二戸、水田は百二十町歩のところ百十町歩流失、埋没、山地山林の崩壊は千二百個所、村内の道路は殆んど全部破壊されるという惨状であります。食糧を絶たれ、道路復旧に専心してようやく通行が今月初めから可能になつておりますが、まだ役場から先は人力によつて行なつております。これら山間地の復旧について関連して考えられますことは、村の住民が生業の手段を失い、失業の状況にあることでありまして、この一策として同郡の寒川村西の川国有林の開発を許可してもらいたいということでした。  次に地元で目下問題としている点をもう少し申上げますと、河川については下流部堤防復旧事業を単に決壊個所復旧にとどまらず、当然次の出水で決壊の予想される非決壊個所災害防除の工事を一貫してやるよう方針を立ててもらいたいが、その決定が遅れているので、工事を担当しているものとしては、極めてやりにくい状態にあること。道路決壊について、山腹の崩壊がなお続いて、次に大きく崩壊することが明瞭であるところの道路復旧をどうするか、その土砂の処理について、河川改修計画と併せ考えてもその方針決定に窮していること。河川敷となつた御霊の町の復旧は、洪水量二千立米くらいの計画変更を行わねばならないということであるが、堤防拡張に伴う旧民有地の補償問題と工事決定とが急がれないと、将来工事の施行に相当の障害になる虞れのあること。建築関係については、先ず公営住宅の標準建設費の単価が現行坪当り一万千三百円では実情が三割高となつている現在、町村が施行を渋つているので、どうしても三割方高くしてもらいたいこと。政府の国有林の払下げもすでに七月二割価格を上げて民間の木材価を吊り上げる素因をなしているが、少くも石当り千五、六百円で払下げてもらいたいこと。一般民家の半壊以下の修繕補修費が何ら実際上は救済される措置政府にとられていないので、この措置を具体化してもらいたいこと。又箕島、御防、花園、御霊等多数住宅を失つているので、公営住宅の建設に当つても個々に取扱わずに五十戸ぐらいの団地として扱いたいが、その敷地造成について都市計画的な援助を急速に講じてもらいたいこと等でありました。  以上が非常に簡単でありますが、第二班の報告であります。いずれプリントにして御報告をして、委員諸君に配付したいと思います。
  17. 石川清一

    委員長石川清一君) 以上で報告並びに本日予定しました治水根本対策関係に関する政府説明が終りました。質疑のあるかたは逐次御発言を願います。
  18. 田中一

    ○田中一君 委員長にこれをお願いしたいのですが、治水根本対策要綱、これは建設省所管と思いますが、農林省所管の治山計画治山根本対策要綱ですね、これを一つ委員長からお取寄せ顧つて御配付願いたいのが一つ。  それから次に伺いたいのは災害の基本対策要綱ですか……
  19. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 ちよつと議事進行について、これの報告に対する質疑はあとに廻して、政府説明に対する質問を先にやるのか、どつちか。
  20. 石川清一

    委員長石川清一君) 治水根本策については政府の要綱がありますのと、調査に参りました人の御報告と共に調査しておる委員に対する質疑も兼ねなければ私は出ないのじやないか、と、こういうふうに存じまして、それで一緒にまぜていたしたいと思います。
  21. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 僕は政府説明に対して質疑をしたいと思いましたが、それではあとで……。
  22. 石川清一

    委員長石川清一君) 一緒でよろしうございます。
  23. 田中一

    ○田中一君 この災害復旧基本対策要綱、これは省議できまつた問題ですか、或いは省議できまつたとしても閣議はどうなつたのですか。
  24. 石川清一

    委員長石川清一君) 只今の御質問に対する治山治水基本対策要綱は農林省でデーターを一応作つたのもあるようでありますから、これを取寄せて御配付すると同時に、水害緊急対策委員会政府要望する事項を十数項目決議したのがありますから、これも明日御配付いたします。
  25. 南好雄

    説明員(南好雄君) 田中さんの御質問でございますが、これは建設省の一つの案でございます。ただ省議も正式に決定を見ておりませんし、それから閣議もきまつておりません。きまつておりませんが、御承知通り閣内におきましても閣僚懇談会もやつておりますし、それから幹事会も開いておりまするし、一応政府の案といたしまして、建設省当局の案といたしまして一案を出して皆さんの参考にしておる、その参考案を皆様がたに御配付申上げたと、かような次第でございます。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつとはつきりしてもらわんとよくわからん。
  27. 石川清一

    委員長石川清一君) 今のですか。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 ええ。何か……、はつきりして下さいよ。どうなのか、わからん。
  29. 石川清一

    委員長石川清一君) 先ほど河川局長の話によりますと、治山治水協議会にかけまして、この要綱に対する経過の説明がありましたから、それらも併せて政務次官の説明を願います。
  30. 南好雄

    説明員(南好雄君) これは閣議できまつたか、或いは省議できまつたかという御質問でございましたから、この案は治山治水協議会建設省案として出しまして、そうして今御審議を願つておる案だと、で建設省当局としてはまだ正式に省議でもきまつておりませんし、案そのものはいろいろ議論をしたことはありますが、省議として決定したものではないのであります。これは一つの河川局の案といたしまして治山治水対策協議会のほうに参考案としし出したものだと御説明申上げたのであります。
  31. 田中一

    ○田中一君 そうすると、我々この審議するにも審議のしようがないのだが、もう一つ聞きたいのは、第何表か知らんけれども、治水計画に対する国費、地方費の負担割合、ここに純地方費負担というものはこれははつきり出ておりますが、これは現在の税制或いは地方財源によつて可能なる額という見込でこういうものを出されたのか、或いは河川法はどうしても改正しなければならん、改正する場合にはこれが相当軽減されるのだとか何とか含みのあるものか。計算が単なる現在の河川法並びに公共土木災害復旧国庫負担法で以て現われた計算か、これをよく御説明を願いたいと思います。
  32. 南好雄

    説明員(南好雄君) お答え申上げます。ここに出ておる数字は現在の法律を基礎にいたしまして算出した数字でございます。
  33. 田中一

    ○田中一君 そうすると、この地方負担費というものは、これは政務次官の御意見を伺いますが、こういうものが地方財源において負担し切れるかどうかという見込はどう考えていらつしやいますか。
  34. 南好雄

    説明員(南好雄君) こういう数字でやらなければ、或る程度建設省として自信のある案ができないというので案は作つたのでございます。田中さんの御質問のように、私個人といたしましては、こういう数字では相当地方には地方財政の上に負担になるのではないか、そのほうは別途に何かこれは考えてやらなければならんものじやないか。若しこれが政府案といたしまして決定されましても、地方負担分については相当考えてやらなければ、現在の地方の財政では負担し切れないのじやないかとは私も考えております。
  35. 田中一

    ○田中一君 私はこの政府内に持たれたところの治水治山対策協議会というものは、そのような画仙紙に絵を画くような計画であつてはならないと思うのです。実際の災実対策なり、実際の治山治水根本対策を立てるならば、この要綱の中に示されているように法律から変えなければならんと思うのです。従つてこういうものを閣内で以てただ画仙紙を開いてお互いに絵を画いたり計画したりすることでは根本対策にならないのですよ。一日も早く臨時国会を開いて、これのネックになるところの法律をどうするか、資金関係をどうするかという問題をきめなければ、こういうものをあなたがた政府で以て海手にやつたところで何もならないのですね。これに対して建設省並びにこの協議会で学者を集めてどうこうしたところが、裏付けるものは財源なんです。こういうものを考えずにやつておるのか、それとも並行して考えながら治山治水対策協議会はやつているのか、これはまあどなたが建設省から出ているか存じませんけれども、どういう態度で臨まれておるか、伺いたいと思うのです。
  36. 南好雄

    説明員(南好雄君) 誠に御尤もな御質疑でございます。勿論一つの計画が本当に実行性を持つことは、それの裏付の財源というものを考えなければならんと思つておりますが、併しそこが非常にむずかしいところであります。治山治水の責任と申しますことと、日本の現下の財政と申しますことの調整は、これは内閣の全体の私は責任じやないかと、こういうふうに考えております。で、閣僚懇談会或いは治山治水協議会でいろいろ御審議を願いますのも、建設当局としてはこういう案が望ましいことだ、こういうことでございますが、それで財政の見地からどの程度にその案が実現可能かというような点も併せて御審議を願つておるものと考えております。
  37. 田中一

    ○田中一君 建設省からどなたが出ておるのですか、治山治水対策協議会に、大臣ですか。
  38. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 大臣です。
  39. 田中一

    ○田中一君 大臣だけですか。
  40. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 委員は大臣でございます。それから幹事は事務次官になつております。
  41. 田中一

    ○田中一君 じや事務次官に伺います。この厖大な国の治山治水の、まあ国の財源といいますか、国富を守るというような大きな対案を練つているこの協議会が、立法上の欠点、立法上の間違いというような、法律の改正を考えるとか、或いは財源の使い方を考えるとかいう根本的なものから出発して考えておられるのか。ただ現象を捉えて、その現象にはこうしたほうがいい、ああしたほうがいいというような学問的な見地から、或いは統計的な見地からのみこの協議会の運営をなすつているのか、そうして緒方会長がどういう態度で以てこれに臨んでいるか、その点を明らかにしてもらいたいと思う。ただ我々はこういう建設省の事務局の案というものを示されても、御報告は伺つてもよろしうございますが、これが結局何らの価値がないと認めたければならない。ただ一応現在の政府としての気休めに過ぎない、或いは国民に対するゼスチユアに過ぎないということを断定する以外に何物もないのです。これを実際やるとするならば、実際に抜本的な治山治水対策をするならば、これは明治二十九年の河川法をそのままやつておるような政府です、それであつてはならない、実際抜本的に立法上の欠陥を補い、殊に財政上の年次計画というものをはつきり立てて、その上に立つて案を練らなければ何にもならない。単なる国民に対する気休めに過ぎないと思うのです。その点はどういう態度で協議会に臨んでいらつしやるか。これは事務次官が幹事として出ていらつしやるようですから、事務次官から一応御説明願いたいと思います。それに又そうしたプリントでもあるならば、それも配付願いたいと思います。
  42. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) まだ委員会を二回開いただけでございまして、結論になかなか達しない。それは田中さんの言われる通り財源難の現在において、どういうふうにしてこれを切り抜けて行くかということが一つの大きな問題だと思います。ここで説明申上げましたのは、勿論建設省の立場から、現在の我が国としましては一番大きな重大な問題はこれは治水であろうと思います。建設省の責任の上からして、責任の持てる案を作つて委員会に提出したわけです。勿論これは一夜漬でやつたのではありません。もう明治時代からずつと我々の先輩が築き上げて来た基礎の上に立つて確信のあるものを作つておるわけです。具体的なものは、個々別々の河川についてはいずれ御説明する機会があると思います。中途半端なものを出すことは責任上として我々はどうかと思いますが、本当の責任のあるものを出したい、かようなことで一応二千億近いものを大体十カ年計画なり十五カ年計画で出しましたが、果してこれを日本実情で実行し得るかどうかということが、一番私はこの委員会の大きな問題だと思います。そこで関係の閣僚が寄り集まりましていろいろ検討されておりますが、この財源をどこから持つて来るか、どういうふうにするかということは、また二回寄り集つただけでございまして、そこまでの結論になかなか到達しておりません。現状といたしましてはさような状態で、先ず方針としましては、技術的に河川をどういうふうに取扱つて行くか、将来治水の完璧を期するにはどういう方法をやるか、それを先ず立てて、そのうちから、到底恐らくこの一兆二千億は十年ではできませんから、重点的にこれを取上げて行くべきものだろうと私は考えております。現在の段階においてはまだ田中さんに御説明を申上げるまでに行つておりません。併し御趣旨通りのような考えで以てやつておりますから、それを一つ御了承願いたいと思います。もう暫らく御猶余願いたいと思います。
  43. 田中一

    ○田中一君 協議会というものは、すべて結局つまるところは現在より五分増し或いは一割増し程度で終るのが従来からの行き方なんです。これは技術的に見れば、最大効果のあるところの計画が出ております。併しながらそれが国の経営となると圧縮されるのがいつも常なんです。それだから私は、吉田内閣の持つておるところの今日までの政策を或る場合には大変更を来たしてもこの問題の解決をするというような考えがなくしてはこの問題は解決されないのですよ。ただイージー・ゴーイソグで以て、五年間内閣を取つてつたという吉田内閣のそのままの姿で以てこの問題を解決しようとしたならば到底できません。又する意思がないと断ぜざるを得ないのです。それで副総理がせめてこの会長になつておられる限り、副総理がどういう発言をして、どういう点についてこの問題の解決をお考えになつておるかということを伺いたいのです。こんな生半可のまま、事務次官は技術的な面からこうなくちやならないという点で以て参加したと思いますけれども、併しこれは結局国の経営の大きな問題なんです。これに対して根本的な案というものを立ててやつておるのか、そうでなくて、ただお座なりでやつておるのか、私は吉田内閣の閣議なり何なりで発言された、これに対するエッセンスというものを説明して欲しいと思います。
  44. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 非常にむずかしい問題で、まだ二回の委員会だけでございますので、そう確信のあることは申上げられませんが、副総理が非常な熱意を持つてつておられることは、これは申上げてもいいだろうと思うのであります。まあその程度でまだはつきりわかりませんが、熱意は非常に持つておられます。だから我々としても非常に心強い気がして、この幹事としていろいろの作業をやつておるわけであります。まあこれから会を重ねるに従つてだんだんと全貌がわかつて来るだろうと思います。
  45. 田中一

    ○田中一君 いつそれを出すとおつしやるのですか。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 議事進行について……。まあこの雄渾な構想のゼスチュアであるか、国民を安心さすためか、何かそういう根本問題をここで言うてみたところで仕方がないのですから、答がわかつていることを質問したつてしようがないから、そうでなしに、もう少し技術的な面についての質問があれば質問してやつて行かなければ、ちよつとそれ以上のことは無理だろうと思います。
  47. 田中一

    ○田中一君 この協議会はいつまでの計画で運営しておるのですか。
  48. 南好雄

    説明員(南好雄君) できるならば政府といたしましては早急に案を得まして、二十九年度からの予算に計上いたしたいと、そういう趣旨でお願いしておるのであります。今稲浦君が申しましたように、まだ二回しか開いておりませんが、大体資料もぼつぼつ揃つて参りましたから、今後は頻繁に委員会が開かれまして、これもはつきりしたことは申上げられませんが、我々が考えておりまするように、二十九年度予算からこの計画を実行して行きたい。どういう規模においてこれをするかが恐らく委員会の一番の山になると思います。今日の日本の国情から見ますと、治水の面が政治の面において大きな問題になつておりますことは、田中さんもおつしやつた通りであります。今までのような心がまえでこの問題は扱えなくなつて来ておるのではないか。そうなつて参りますれば、この一兆一千数百億の計画がどういう程度において政治の上に浮上つて来るか、そこをこの委員会がやつておるのではないか。私たちといたしましては、本当に建設省といたしまして責任のある治水計画を立てさして頂くならば、こういう程度金額が必要である。併しそれは御承知通り内閣は連帯制でございますので、財政の点もございますので、そこで政府の責任といたしましてどの範囲内でこれを認めて行くかが恐らく閣僚懇談会の一番重要なあれなんだろうと思います。いずれこれは非常に大きな問題でありまして、一建設省だけの問題ではございません。私たち今日は補佐官ばかり出ておりますが、いずれ大臣も御出席になりまして、田中委員の御質問に対して明快な回答があろうかと存じます。今日は一つその点で御辛抱をお願いしたいと思います。
  49. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 石井議員の御報告の中に、はつきりは聞き漏したのですけれども、奈良県下の或る川は計画洪水量を変えなければならないという意見であると、こういう御報告があつた。で、先ほど河川局長さんからお聞きしておるというと、計画洪水量というものは変えないで行くんだという御説明があつたように思うのです。この根本方策を見ておりますると、或いは川幅を洪水量従つて拡げるとか、或いは改修をやつて行く、或いは上流にいわゆる洪水調節のための貯水池を作るという方法をここに謳つておりますが、それとの関連においてどういうことになりますか。最高の洪水量というものは変えないでおくが、いわゆる土砂が溜つた河川の中の改修をやるとか或いは洪水量の……、洪水を防止するための貯水池を上流に設けてその平均化を図るとかいう、その程度でとどまると考えておるのか、これは根本問題です。或いは石井さんの言われたのは、現地建設省の人の一意見であつて計画洪水量というものは本省がいろいろ検討すれば変えないでよいというのか、これは川によつて違うと思うのです。例えば、少し長くなるのですけれども、筑後川でしたかは、毎秒七千立米を考えておる。ところが今度、従来一時考えておつた五千五百立米で、あとは上流のいわゆる施設等によつて行くというふうな説明を或る報告書ではしているのです。又淀川については、四千六百五十立米のあれを変えるというふうにも報告があるのですが、その辺はつきりしない。これは大きな根本問題だろうと思うのです。で河川局長さんにお伺いしたいのですが、洪水量は何か変えないというふうにも聞えたのですが、その点はどういうふうになりますか。
  50. 米田正文

    説明員米田正文君) 洪水量を変えないというふうにお聞きになつたのつたら、私もう一度御説明申上げたいと思います。  計画洪水流量はこの際変えるべきものは変えるのであるが、大部分のものは変えんでもよい状態にあるということを私は申上げたのでございまして、今のような特別に事情があつてこの際変えるというものは当然変えることになります。
  51. 江田三郎

    江田三郎君 さつきの説明の中で、農林省の案と建設省の案とできるだけ一本にするか、その農林省案と建設省案の主なる食い違いはどういう点にあるのですか。
  52. 米田正文

    説明員米田正文君) 両省の案は、建設省はお手許に差上げましたような治水根本対策として、これは省としてまとめた意見として出しております。それから農林省のほうは、林野庁が中心となつて治山計画というものを立てて、治山根本対策というものを立てております。それを出しております。で、先ず両方から出しましたけれども、数字は挙つておりますけれども、実際一本の川についてですね、その事業を図面に写してみないと総合的になつておるかどうかわからんじやないかということから、両方で、両者で図面に事業を皆書き入れました。で、そこで大体は御存じのように林野庁の関係は山の区域、治水関係はその山から出た河流の、河川中心でございますから、山と平野で大体ははつきり分れておるので、そこに食い違いはございませんが、ただ重点の置き方が、この川を川として見て、土砂が非常に出て来る川か、或いはこの川は水源林野の悪いために流量が非常に殖えておるというような見方をしておるか、していないかという見方の相違が先ず計画根本としてあるわけであります。そこでこの川は、先ず治山治水の両方をどの程度にやるべきかという考え方をはつきりきめる必要があるということで調べたのでありますが、その結果は、内地の直轄河川で言いますと、七十八本あるのですが、その七十八本について大体七十五本は合つておりました。根本的に合つておりました。ですから大体合つてつたというふうなこういう結論でございます。  そこで次の問題は、然らばその今度の事業の所管の問題になりますけれども、砂防施設の問題について来ると、従来からもお耳に入つていると思いますけれども、建設省砂防農林省の砂防がダブつておらないか、地域的にダブつておらないかという点で検討をいたしました。その点では多少……極く少なかつたのですけれども、多少ありました。全然なかつたわけではございません。そこで建設省堤防砂防治山砂防との地域を調整いたしまして、で、それも完全に計画としては解決されましたから、現在のところは計画は一本にまとまり上りました。で、問題点は今申上げましたように全体としての川の見方の問題と砂防施設地域の問題とが、二つが検討中心になつていると思います。
  53. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 本日この治水根本対策要綱を発表せられたのですが、これについて、今年の災害に対して建設省は非常な意を用いられて、昼夜これに対下る対策を考究せられた。その御尽力に対しては我々は深く敬意を表するものでありますが、この要綱は、第一これは閣議を経ておられるものではなかろうと思いますが、閣議を経て決定したものであるか、又そうでなく今日我々に参考のためにお示しになつたのか、それといま一つは、この治水計画の確立であるとか或いは河川計画の樹立であるとか、治水方式というものは今日に始まつたものじやないのだから、そもそも内務省の土木局が始まつて以来、大体これはどこにできていても研究しているものだ、内務省の土木局から国土局になり、建設省に独立して以来、なお更これは研究を強化して行くべきもので、今日に始まつたものじやないと私は思います。だからかようなものに対しては従来からある計画を強化して、或いは又今回の災害によつてこれを変更して行かんけりやならんというようなものも十分一つ挙げられてもらわんけりやならんと思う。  それからもう一つは、この治水方式について多年の経験を取入れて、単に事実上の計数からでなしに、多年の体験上、その河川附近の人の言うことを取入れて計画をしてもらわんけりやならんと私は思う。大体河川を馬鹿にするからいかん。おとなしい川はいつでも川幅を狭くしてやさしい工事をしておけばそれでいいと思つてつたら、何ぞ図らん、上から出て来る水の量は飛んでもないことになる。やはり長い経験から申してみると、川幅というものは広くしておけば災害が少い。それをややともすると狭くしておくと、橋など狭く架けると、遂には両岸から崩れて、真中に橋が遊離して行くという状況になつておる。こういうことはたびたびある。この点は私この治水工事を施行せられる際に御参考になつておられるのだろうけれども、よく注意してもらいたい。  今日一つ私お聞きしておきたいことは、霞堤、遊水池を設けるという計画がここに一つ出ておるのです。当然それはあるべきだ。ところが我々が見ておるのは、折角できておる遊水池を埋めて、堤防を一本にして強化して、堤防に蒿上げをしてあるし、根固めも十分できておりますから安全ではあろうと思います。ところが附近の者にしてみると、地面ができて、大変広い地面ができたと言つて喜んでおりますけれども、私はこれは大災害に関しては非常に考え物じやないか。一例を挙げますと、私の県の常願寺川のごときは、非常に長い経験を以てやられたのだろうけれども、霞堤を埋めてしまつて一本にして、そして高い砂利取りの機械を持つて来て、堤防を固くしてくれたのでありますが、さようにして堤防を固くすると、若し河川が乱流してその堤防にぶつつかると、その反動で片一方の対岸に持つて来てぶつつかつてしまう。その反動で又川の片一方にぶつつかる。川がまつすぐに流れてくれればそれに越したことはないけれども、その通りには参らん。ここにおいて霞堤のごときものを設けて水を遊離させるということになると抵抗が少なくなる。私はこのやり方というものは、折角良田をつぶして、日本の狭い国において誠に惜しいことであるけれども、どうも災害を防ぐ点においてはそういう点がいいことではないかと思うし、これにはそれを織込んである。ところが実際においてはつぶしてしまつておる。常願寺川のごとき又或いは庄川のごときつぶしてしまつております。それは附近の人は田畑が出て来るから喜んでおる。ところが我々利害関係をなくして、これは治水上非常に考うべきではないかということを我々は目のあたり見ておる。そういうのは今後どうなさるのか。  それからもう一つ、河川の浚渫されるその土砂堤防のうちのほうへ持つてつてやれば皆やれる。河川を折角浚渫したのだから川は少々狭くなつてもいいから、堤防の中へ持つてつてどんどん高くして行つたほうが、その堤防つて堅固になつて行くのじやなかろうか。そして堤防をもう一つ新設してくれんかというと、土捨て場がないから新設できん、なに川の真中へどんどんやれば幾らでもできる。もう一本堤防を作つたつていいのだ。並べて作つたつていいのだ。それを土捨て場がないからそういう所は着手せずに、そして土捨て場のある所だけをやる。こういうことはどういうものだろうか。これは実地において我々は、計画に書いたものを一つの作文に終らないようにしてもらいたい、その考えはどうか。  それからもう一つは、この計画について、非常に長い計画を立てている。長い計画というものは、これは河川の維持管理に属するもので、治水計画というものはそんな長いことを言つていたらその間にどんなことが起るかも知れん。今までやつたことがみんな無駄になるかも知れない。例えば長い間かかつても、五年、六年がかり、せいぜい十カ年ということにしないと我々一代の間にどんなことになるかわからない。そんな生ぬるいものでは、我々が折角決意するからには、やはりやるならば五年ぐらいにしてどんと大計画でおやりになつたらどうか。長い計画でおやりになるならば、河川は当然管理……、直轄河川なら維持管理が必要であるから、維持管理は百年でもかまわない、治水計画として立てられる以上は早急にやつてもらわなければならないと私は考える。それについてのお考えはどうであるか。  それからいま一つ災害に対する基本計画というものは拝見しましたが、これは災害に対して早速方針を立てなければならんけれども、基本計画となつて恒久ということになりますと、これは河川根本計画とダブる計画で、同じ性質のものでなければならない。そこで災害査定に、あえて基本計画ということは単に査定する方針であるとおつしやるならば、一つこれは政府のお考えを聞いておきたいことは、今まで堤防のなかつたところで良田を浸蝕して行つておる。そこへ堤防を作るのでも、それは今までなかつたのだというて堤防を作ることをしない、そういうようなことはこれはよくないと思う。そういうことは当然そこへ流れて行つたのだから、そこへ堅牢な堤防をしてやるということにしなければ、今まであつたものだけ復旧して行くということは、これはどうもそれでは災害対策というもので私はなかろうと思う。さような災害を再びせざるためにここに相当の施設をすべきであると、かように考えます。私一人質問しておるのじやいかんから、これだけ一つ答弁をして頂きたい。
  54. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 霞堤の問題は非常に結構なことでございますが、あれは戦争当時食糧増産などの激しかつたときで、小規模の霞堤はしめたという話であります。我々としては反対でありまして、霞堤は是非今後のやつは作つて行きたい、現在も霞堤で施工したやつもあります。ただ現在塞いであるやつを開けるということになると、そこへ補償とかいろいろな問題が起つて参りますので、それに対してどういうふうに解決するかという問題が非常に研究問題だろうと思います。この間の委員会でもそれが出まして、大規模なものは補償しなければならんというようなこともありまして、これはまあ技術的には是非やらなければならんことであると思います。計画洪水量を仮に五千立米ときめましても、異常洪水がありまして五千五百以上出る場合は、これは我々にも予測できないものもありますので、こういうときはどうしてもやはり霞堤なり或いは溢流堤というようなものを作つておきまして、計画洪水量の余裕として是非やりたい、こういうつもりで今回の計画の中に織込んだわけであります。これは我々としては是非やつて行くつもりでございます。  それから浚渫の、場所がないので非常に困つておるのですけれども、これは大規模に一つ埋まつたところは掘つて河川の流量断面を殖やさなければ、どんどんと川敷が小さくなりますので、これはまあ機械的にやつて行きたい、かように考えております。実際の例は私は存じませんが、或いはそういうあなたのおつしやるようなことをやつてつたら、これは訂正をしなければならんと思います。  それからもう一つは、期間を短くしたほうがいいとおつしやることは、これはもう非常に結構なんでございますけれども、結局まあ財源の問題でございまして、と言つてまあどうするかということが責任ある我々の立場としては考えなければならん問題で、ときどき余計なことをしやべつて叱られるのですが、私は先ず利根川で申しますれば、沼田に大きな洪水調節ダムを作つて、普段は開かないようにして置く、そうするとダムは大体五年くらいで完成しますから、一応沼田から下流は安心感を与えられる。だからその下流については現在の方式で以てやつて行く、或いは筑後川で申しましても、先ほどのお話の通り五千立米のやつが七千立米に二十四年に一応変更したのですが、結局下流は御承知通りああいうふうに立派にできておりましたし、上流ダムを作つて調節を行うのが最も合理的だというのでその計画をしたのですが、結局これが実現できなかつた。と申しますのは、行政区域が違いまして、下流福岡県で上は大分になつておりますので、犠牲になるのほ、大体大分で、利益を受けるのは大部分福岡だというようなわけでもありますし、又もう一つは、まとまつてダムとなれば事業費がまとまつて来ますので、その点でまあ行詰つたわけですが、今度はもう是非これは一つ実行して行きたい。建設省としては固い決意を以て臨んでいるわけですが、だから川全体の一兆二千億を五年でやるということは、恐らく現在の財政上むずかしいだろうと我々は考えているのですが、これはできれば非常に結構なことです。若しできない場合は、そうした重点的に一つの急所を押えてそれを実行して行きたいというかような考えで臨んでいる次第です。
  55. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 もうちよつとこれについて。只今の御説明のその金の都合で止むを得ないとおつしやるが、併し災害を再びせんというくらいな確信で以てやられなければ、片山内閣のときに片山君は、災害に対して今後はかようなことは再びせんつもりで政府は大いに本腰を入れてやると言つて、それきりやめてしまつて何もやらなかつた。それが吉田さんも施政演説にいつも唱えている、災害対策を堅固にする、そう言つているが、いざやるときは金を惜しんでいる。これは一時の彌縫策ということはわかつているけれども、ただ一文吝みの百知らずでやつているということであるので、それは一つ賢明なる建設省の官僚諸君はうんと一つ腰をすえて、これでは確信がないから、我々が確信のつくような計画を立てて行かなければ、そうでなければ嘘ではないか。いい加減なことではだめだということになるけれども、財源の都合上こういうふうに遠慮したと、それは多少国家財政ということを考えなければならんけれども、損をすれば何百億、これも八百二十億になつている。八百二十億からの損をしていることを思えば、それは早くやつたほうが私はいいのではないかと思います。それで私は立て方が、年次計画というものは、十年、二十年の後のものは、それは継続費と言いながら、毎年出るべき維持管理の費用を計上すべきもので、改良費或いは根本治水策というものは早くやるべきものである。こういう私は根本施策を申上げるので、それだけのことを申上げます。  それから堤防の土のことですが、これは私は実例を申上げる。常願寺川の右岸と左岸では、右岸だけに堤防を設けてどんどんやつた。そうすると左岸のほうは、どうもわしらのほうは手薄いと、こう言つている。ところが土捨て場がないから困る。私はそれならば堤防の上にどんどん上げる、堤防をどれだけ高くしたつていいじやないか、前へ持つてつて捨てたつていいじやないか、そうすれば堤防が強くなる。必ずしも堤防のうちへ捨てなければならんというのじやないから外へ出てもい。それをあなた方に聞いてもらいたい、この席上において。そう思つて申上げた。それを堤防をきれいに面を揃えて立派にしておかなければならんというものじやない。飾り物じやないのだから、かかる水さえ防げばいい、それを私申上げる。今の説明で、半分わかつたようなわからんようなことですが、これで一応やめます。
  56. 江田三郎

    江田三郎君 三つほど聞きたいことがあります。さつきの説明の中で、この計画治水事業との関係ですね一余り簡単過ぎて要領得んのですが、例えば砂防ダムとか治水ダムとかいつたところで、それが多目的ダムになる場合は建設の地点等も違うし、いろいろ違つて来ると思うのですが、そういうようなことの利水事業の調整ということは、これをやる間にずつとやつて行くのかどうか、そうなるというと、例えば農林省だけでなしに、通産省の関係もありましようし、いろいろあると思いますが、或いは厚生省の関係もある。そうした点は一体どうしておるのか。  それから水系ごとに砂防ダム治水ダム河川改修をやると、こういう際に山の姿というものを現在あるもので考えて行くのか。勿論木が生えてないところに木を植えることは当然のことでしようけれども、或いは将来日本の食糧問題とか人口問題の立場から農業というものがだんだん山に上つて行かなければならんということもあるのじやないか。ただ普通の畑地或いは田圃にして山に上げるというのでなしに、広い意味の牧畜という意味で牧草を作るということもあろうし、果樹ということもあろうし、だんだんと農業が山へ上つて行くことは避けられんのじやないか、そういう問題についてはどう考えて行くのか。ただ今ある山で計画を立てるのか、或いはそういうことを織込んで総合計画としてやつておるのか、この二点を先ず先に聞きたいのです。
  57. 南好雄

    説明員(南好雄君) 江田さんにお答えいたします。  第一の問題は、本当に目下一番大事な御質問なのであります。私たちの考えでは、やはり何と申しましても河川を一元的に管理しなければならない。やはり治水があつて初めてそこに利水があるのでありますから、これはときどきその時代の要求によりまして利水の面が強く出て参りますこともありますが、根本は何と言つて治水が元である。治水が成つて初めてそこに利水の問題が出るのでありますから、新らしい河川法の改正をやりたいというのも今の御質問のような点に法制上或いは機構上一つの解決を与えて行くようにいたしたいと、こういう考えで河川法の改正も考えておるような次第であります。  もつとわかりやすく申しますならば、現在の河川法は、何でも建設大臣が主としてやるということになつておる。それが利水の面で或いは今お尋ねになりましたように、農林大臣と協議して行かなければならん場合も出まするし、電源開発等をして通商産業大臣と協議しなければならん面も出て参りますし、或いは水道の水源といたしまして厚生大臣と協議しなければならん面も出て参ります。そういう面をうまく調整して行くためにはどちらを主としどちらを従として行かなければならんかということを法制上或いは機構上はつきりこの際現行河川法の足らざる面を補なつて行きたいというのが、御承知通り今考えておりまする河川法の改正要旨なのであります。これは非常にむずかしい問題ではありますが、これを解決しなければ本当に河川の完全治水と申しますことはなかなかできないのじやないか、こういうふうに考えております。
  58. 米田正文

    説明員米田正文君) 今の政務次官からの御答弁で大体御趣旨は尽しておると思うのであります。利水事業との関係については、この協議会の発足のときも内部で協議したのであります。みは今度の治山治水協議会は今次の災管対策中心にやろうというのが先ず今度の計画の骨子になつております。てこで今の治水、利水の関連は、当然今後の問題として残つております。が、併し治水事業を先にやつたらあとで利水事業ができなくなるということのないだけの配慮はしておる。で、根幹でのる河川を治める治水計画及び治山計画というものを立てておる。そして今後その川について利水事業計画は漸次これに乗せて行くというような行き方をとる方針で今計画を進めております。  で、その理由と同じ理由でございますけれども、農地がだんだん山に上つて行くという御説でございますが、我我もそういう傾向にあるということは承知をいたしております。併しながら今の治山計画を含めた治水計画では、今の山地が農地に在るということを前提にいたしておりません。現在の山の状態を更に改善するということを中心に考えておりまして、将来農地が山に上るという事態の計画を立てる必要が来たときにはそれに相応する山の開発計画を立てるべきだ。で、そのときには治水関係の考慮をして山の開発をするというように行くようにしたら計画として齟齬はないのではないかと思います。
  59. 江田三郎

    江田三郎君 まあ第一の点はわかつたようなわからんような答弁ですけれども、これはまあいいですが、第二の問題は、私はやはり今の山が牧草地になるとかいろいろなことが出て来るのは、こんなに片方では治山治水ということをやかましく言われる。併し同時に今年は又食糧問題というものを又やかましく言い出します。その二つの問題が競合して来ると思うのです。どちらも大きな問題として、そういうときにやはり根本的な総合開発の上に立つて計画が立てられなきやならんというのを、ややもすると、まあ悪い言葉で言えばセクシヨナリズムというようなことになつて、お前はお前、わしはわしということになりはしないかと思うのですがね、そういう点を十分考えて頂きたいということだけで、まあそれ以上のことはいいです。  もう一つは、いろいろ細かいことが十三まで書いてあるのですが、その中でこういう工事をやつて、その工事が極めて不正とまで行かなくても、問題になる工事がたくさんあつて災害復旧をやつたために災害が起きるというようなこともあると思うのですが、そういうことの監察制度というようなものは大きな重要問題とは考えておられないかどうか、その点。
  60. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) これはまあ非常に大事なことでございまして、建設省の部内でも監察官に相当な人がおりまして、しよつちゆう監察に歩いております。又検査院からも厳しい監察を受けております。まあ戦後非常に乱れておつたのですが、だんだんよくなつて来て、我々としてもできるだけそうした御説のようなことのないようにみんなが緊張して、そうして自分たちの責任を全うするというような教育と申しますか、方向に進めることに、折につけ時に触れて注意をしております。まあ過去においてはそういう不正工事とまで行かんでも、非常に不注意工事が相当ありましたので、非常に現在としては弱つておりますが、今後はさようなことのないように監察制度を強化し、又我々としても十分に注意して行きたい。まあ現在その気分でやつております。だんだん緊張味と申しますか、気分が変つて参りますと、恐らく昔内務省当時やつてつたような形に盛り返すという……、まあ絶望しておりません。御了承願いたいと思います。
  61. 江田三郎

    江田三郎君 それを、私はやはりここに十三ほど列べて行けば、その中の一つに入るほど重要性を持つておると思うのですが、それでいやしくも不正に近いようなことがあつて、多数の公衆に迷惑をかける、累を及ぼす、これは極刑を以て措置しても然るべきものなんですね。そういうことがだんだんよくなつておると言われたところで、どうも現地を見ると必ずしもそうでないので、その点は一つの番号を付ける対策として載せるべきじやないかと思うのです。まあそれだけです。
  62. 石川榮一

    石川榮一君 私は今日御発表頂きました治水根本対策要綱、非常に立派な要綱であると思います。折角発表されまして、現在治山治水協議会は持たれておりますが、そのときにこれを建設省がお出しになつたということを伺いました。この問題を如何に治山治水協議会が取扱うかというのがこれからの問題であろうと思うのです。我々建設常任委員といたしますれば、長い間治山治水問題については悩まされて来ました。歴代内閣がややもすると治山治水を軽視するような予算措置をしておつた、その罪悪がここに固まつてつたわけでありまして、その結果が北九州の災害、南近畿方面の災害として浮び上つて来たのであります。すでにこのことは二十二年九月のキャサリン台風の利根川の災害においても同様なんです。今日八年間治山治水対策根本的な策が何ら実施を見ておらなかつたのが今日の災害を呼んだ私は根本原因だと思います。この治水根本対策要綱につきましても我々に意見があります。意見がありますが、少くとも建設省が責任を持つて立てましたこの要綱に対して、我々はでき得る限りこの要綱が一日も早く予算化いたすことを期したい、こういう意味合いから一応委員長並びに委員の方々にお諮りいたしたいのですが、今日というわけにも参りませんが、明日治山治水協議会の中核体である緒方副総理に御出席を求め、主管大臣である建設大臣、農林大臣及び自治庁等の臨席を求めまして、そうしてこの治水根本対策要綱なるものを、治山治水協議会は如何にあるべきものかを、その意見によりましては皆さんから十分に意見を発表してほしいと思うのであります。そしてあとの技術上の問題についていろいろと議論もありましよう。ありましようが、いわゆるそういう線を本委員会においてまとめますならば早急にまとめてほしい。すでに補正予算は組まれようとしておる。二十九年度予算もすでに各省からぼつぼつ出ておる状況であります。そのときにこの大きな一兆一千七百七十四億ですか、これと過年度災害五百十八億、本年度災害八百二十三億、これらのものをどうするか。これは党派を超越しまして、建設委員会としては最大の課題を与えられたものだと思います。我々は国民の代表でありますから、完膚なきまで政府当局要望すべきであると思うのでありますが、委員長からお諮りを願いたい。そして更に私は二、三の質問をいたしたいと思います。
  63. 石川清一

    委員長石川清一君) 只今石川委員から御発言がありました治山治水に対する現政府根本施策に対して関係各省大臣を呼んで御協議したい、こういう御意見は、私もあとで御相談をしようと存じておりました。明日自由党の総会のように聞いておりますが、予定のこの道路整備或いはその他に関するものを早く終らして、そういう点を早く運びたい、こういうように考えておりますから、その点については本日の委員会が終りましたあとで御相談をしますか、それとも政府に通告、要求をしなければなりませんから、今しておいたほうがよろしうございますか、その点を協議してからおきめをしようと思います。その点どうしますか……ちよつと速記をとめて。    午後三時五十五分速記中止    —————・—————    午後四時十三分速記開始
  64. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記をつけて下さい。
  65. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 河川局長にちよつと伺いたいのです。実は今度ずつと九州を見て廻つたのですが、或る箇所ではつまり昭和十年に切れて、それから昭和二十二年に切れて、二十六年に竣工した、それが又切れたのですが、そういう三回も同じ所が切れておる。今度は又別に溢水したわけではないが、そういう所に対する査定方法ですが、つまり前に切れた所は別に取上げて査定するのか、或いはそれを全然考えずにずつとやつてしまうのですか、どういうふうにやられておるのですか。
  66. 米田正文

    説明員米田正文君) よく御質問の趣旨がわかりませんが、災害の箇所があつて、その箇所がもう二回なり三回なり復旧したのに又災害を受けた、そういう意味ですか。
  67. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 つまり何回も同じ箇所がこわれるのですが、これは何か原因があるのだけれども、そういうことに対して、災害査定の際に注意せられているか。要するに我々は同じ所が何回もこわれちや困るので、それに対してどういうふうにあなたのほうはやられるかということを伺いたいのです。
  68. 米田正文

    説明員米田正文君) 災害復旧は原則として再度災害を受けないように復旧するというのが、これが今の災害復旧法の根本なりであります。そこで流勢にしろ水量にしろ、それからその河状に照らしてこういう工法が適当だという査定をして来るのですが、原形のみならず、再度災害を受けない程度の工法までは災害としてとることにしておるので、今までのところそう多くのものについてたびたび災害を受けるというようなことはないわけでありますが、そういう特殊の例の所があれば、私たちのほうでも調査して善処をいたしますが、特にそういう所があれば一つ御指示を願います。
  69. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これは矢部川ですが、矢部川の矢原の護岸堤ですが、今度溢水したわけじやないのですが、二十六年に竣工してすぐこわれているのですが、そういうことに対しては工法の上に研究すべき点があるのか。災害査定の際に、前にこわれたような所は特に注意して査定するのか、再びこわれることのないようにお願いしたい、こう思うのですが……。
  70. 米田正文

    説明員米田正文君) 何しろ毎年五、六万カ所という非常な箇所数を持つているものですから、一々詳細に承知をいたしておりませんけれども、そういうふうに続けて災害を受ける所については、特別に査定に行つた連中にも注意をして見せておりますけれども、遺漏の点があればなおよく私のほうでも調査したいと思います。
  71. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それから又災害の問題ですが、昭和九年、十年に大災害があつた。その後は協議会を作つて、例えば遊水的なところにはいろいろなものを作るとか、或いは橋の径間の問題とか、それからクリアランスの問題とか、技術的にいろいろきめたのだけれども、そういうものがなかなか今度やるのでも守られていないので、それがために今度こわれた所があるのですが、そういう所は河川局として指導してやつてもらつたらそういうことがないと思うのですが、それに対してどういうふうにやつておられるか或いは今後どういうふうにするのか、それを一つお伺いしたいのですが……。
  72. 米田正文

    説明員米田正文君) そういう特に技術上の問題については今日非常に問題があると思うのです。以前内務省時代に災害に鑑みていろいろな規定をこしらえておるものがありますが、あれが戦時或いは戦争前から非常に崩れて来て、そうしていわゆる戦時工法と称して非常な簡略工法をとる、これはひとり土木だけではないのですが、あらゆる面で非常な簡略工法をとる、でそれがために脆弱な工作物ができておる。特に戦時中或いはその直前においてそういう工法が相当あるのは事実です。で最近漸くそういう域から脱却をして、正規の工事の工法設計に返りつつあるところです。それでいろいろな災害未然防止の基準等も、戦前曾つてつてあるものを、あれはみんな必要なことを全部書いてありますから、あれを再び厳守させるように今日は復帰しておるのです。最近のものは殆んど昔に返りつつあるということを申上げられます。
  73. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それから今年のつまり災害査定についてですね、予備費からどのくらい出ておりますか。
  74. 米田正文

    説明員米田正文君) 災害査定についてですか。
  75. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 査定が終つたものに対して百億の予備費から出ておりますか。
  76. 米田正文

    説明員米田正文君) 建設省の分ですか。
  77. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうです。
  78. 米田正文

    説明員米田正文君) 今お手許に差上げた表の中に書いてありますが……。
  79. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうするとそれが査定に対して何割ぐらいになつておりますか。
  80. 米田正文

    説明員米田正文君) 全体から言いますと二割強なんです。特別な内容では、北海道は特によく見てあるところがありますが、全体として二割強であります。
  81. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうするとさつき災害対策の問題で、初年度六割ということで、その余りは今度の補正予算で要求しようというわけですね。
  82. 米田正文

    説明員米田正文君) 今政務次官から省議できまつておらんという話は、あれはそのことなんです。その災害の基本対策の、田中さんから御質問のあつた災害対策と言われたものですから、一番最後に表をつけてあつて災害対策の中に六・四制ということを書いてある、そのことを申上げたので、全体が省議でどうという意味ではないので、訂正して置きますが、早期に復旧をするという意味で最も理想の姿で言えば、災害が起きた年に二分の一強、即ち六割やり、翌年四割出せば、次の翌年の洪水に対処ができるというのでそういう考え方をいたしておりますけれども、そうでなければ今までの三・五・二というのでも非常に不徹底であつて、それでは来年の災害に大丈夫かという御質問を受けると、三・五・二では来年やはり若し同じような水が来たとすれば災害が又増加する、災害災害を生むということはどうしても避け得られない。どうしても最も理想の姿で六・四という制度を事務当局として考えて見ておるのであつて、こういう基本の下に計算するとこうだということが書いてあるのです。これは省議にも出しておらんというものでございますから、誤解のないように……。
  83. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それからもう一つ伺いたいのですが、例のあなたのほうで作られた一兆何千億の河川計画ですが、あれは直轄ですね、大は利根川のような大きな危険のあるものから、小さいものもあるけれども、同じようなウエートで計画されたか、又大きくて危険性の多いものを重点的に考えられたのか、その点ちよつと伺いたい。
  84. 米田正文

    説明員米田正文君) あれは現在直轄河川の実施をしておる七十八本の河川については一定の計画を持つております。その一定計画でその流域の大部分水害を根絶するという基本方針から計画ができております。で、その計画で七十八本の直轄河川については全部管理をするという趣旨で予算も出しておるので、利根川も全部を出しております。他の河川についても全部を出しております。
  85. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうするとつまり各河川についてどのくらいの金額かということの表を一つ頂きたいと思うのです。
  86. 米田正文

    説明員米田正文君) それはいずれ……、もうできておるものがありますから……、今日の差上げた資料の中にも今後所要額というものがありますが、あれと大体一致しておりますから……。
  87. 近藤信一

    ○近藤信一君 河川局長にちよつとお尋ねしますが、先ほどから要綱の中にもいろいろございますが、この河川法を改正しなければならんという答弁がしばしばなされております。そこで今度の要綱の中にも河川の管理の強化、河川愛護運動と、こう出ておりますが、現在河川法の改正ということは第十三回国会でもこれは問題になつたそうですが、なかなかこれは各省のセクヨナリズム的な関係からまとまらない、そうするとこの河川法というものは改正しなければならんという要望も出ておるのですが、いつになつたら改正できるかということは甚だ遠いと思うのです。そこで当面問題が河川中心にして各省においていろいろ起つておるわけなんですが、それに対して政府当局はそうした当面起つておる問題についてどのように解決をして行かれる考えであるか、先ずこの点を一つお聞きしたい。
  88. 米田正文

    説明員米田正文君) 今度の災害に関する特に恒久対策及び河川管理という面からはどうしても河川法の改正をしないと解決ができない、だが個々の問題について、例えば最近洪水予報というような問題があります。そういう問題、個々の問題については別途に法案を作つて提案をしたいと思つておりますが、河川管理の全体としての面からは河川法の改正で行きたいと思つております。個々の問題を切離してやるというようなことは今のところ考えておりません。
  89. 近藤信一

    ○近藤信一君 現在のこれは河川法の盲点から河川のほとりにたくさん工場があつちこつちできるわけなんですね。それに対する廃液の問題ではいろいろと各所に問題が起つておる。例えば現在愛知県と岐阜県の境の木曾川流域に対して東洋化成という化学工場があつて、そこから廃液されるであろうという予想の下に、名古屋市の水道の問題で相当今問題が起つておるが、こういう問題が発生して来た場合に、建設省としてはどういうふうに考えて行かれるか、解決に対してどのように考えておられるか。
  90. 米田正文

    説明員米田正文君) 水質汚濁の問題については、現行の法制の中では河川法にそういう規定が簡単にあるだけでございます。ほかによるべき法的な根拠を持つておりません、取締の……。現行河川法でもこれは取締れるようになつておりますから、これで下流の全体の保健衛生或いは諸産業等に重大な影響を及ぼすということになればこれで取締りができる。で今じやどう取締るかということについては、実はまだ岐阜県から詳細な報告が来ておりませんから、むしろ今現地の、愛知県側のいろいろなこれに対する反対その他の状況が現われておりますので、我我としては今それを聞いておるところで、いずれ岐阜県から詳細な計画を聞きたいと思つております。
  91. 石川清一

    委員長石川清一君) 私からちよつと。昨年の暮から今年の初め頃、災害公庫ですか、金庫ですか、そういうことが大分論議されて、自治庁と府県知事会議から出ておりまして、一応建設省もこれに或る程度の厚意を持つてつたように聞いておりますが、今度の災害を見ても、地方公共団体が非常に財政面で窮迫をしてつなぎ資金の要求が非常に強い。又災害復旧に対しても一般行政を捨てておいて復旧のために東京に陳情その他に来ておる。こういうような形で現在の公共団体が悩んでおるようですが、今度の一兆一千億という計画の中にはそういうようなものも含めて、いわゆる資金の裏付けを災害公庫というものに求めるような上で計画を立てようとしておるのか、これは又今まで通りにしておるのか、その点を承わりたい。
  92. 米田正文

    説明員米田正文君) それは、実は今度の治水根本対策というものは災害復旧を含んでおりません。災害復旧は別途にこれは復旧するという建前で進んでおりますからして、今のようなお話の分は根本対策の中には含んでおらず、別途にこれは又進めるという趣旨でできております。
  93. 石川清一

    委員長石川清一君) もう一点お尋ねしますが、大蔵省の査定を見ますというと、やはり資金の効率的運営といいますか、そういう点から会計検査院の監査なんかも引張り出しまして、何か刑罰的に査定をしようとするように感じられるのですが、そういうような形で査定を受けた場合には、やはり原形復旧という、元の形に辛うじて戻そうというふうに考えますが、今度の計画の中には、やはり今まで残つておる七、八百億と今度の七、八百億を加えた一千五、六百億というものは、今度の改修、一兆一千億というものを早急にやればそういう原形復旧的なものはこの中から相当減りますか、それとも減りませんか。
  94. 米田正文

    説明員米田正文君) それは一挙に今一兆一千億をやるとすれば、これらも或る程度やらんでいいというものも出て来る、やらんでいいというものというのは、災害復旧をこの際やらないで、改良でやり得るというところも出て来ると思いますが、まあそれはどのくらいあるというような具体的な話になるとはつきりいたしませんけれども、考え方としては或る程度は出て来るということは言えると思います。
  95. 石川清一

    委員長石川清一君) もう一点、これは今度の災害地を廻つても或いはその他調整ダム地点の水没関係土地所有者の意見を聞いても、今までの、これは電源開発の水没地を含めていわゆる土地収用法、あれに適用された人々のその後における生活というものは非常にみじめな結果を現わしておるように考えます。従つて現金で補償せずに、別に何といいますか、国が恩給までに行かんでも、相当高い金利でその金を運用をして、或る程度生活の安定をさすという機関を、或いはそういうようなものを作るように、作らなければならんように感じましたが、政府はそういう点についてお考え何も持つておりませんか。
  96. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 用地買収の問題は、これはまあ非常に最近になつてむずかしい問題になりまして、これが解決すればもう仕事の半分以上ができ上つたというような形でございますので、我々としてもいろいろ研究しておるのですが、ただ金をくれて買収するからということじやもうすぐに……、できるならばその替地をどこかに作つてつて、そうしてそこに住まつてもらおうというようなふうに持つて行かなければならん。これはまあ電源開発の問題で農林省、通産省、それから建設省、それから審議庁など集つて、そうした一つの標準を電源開発についてきめたわけです。あの標準によつて行けば、替地を作るというようなことも一つの問題になつております。それからもう一つは、例えば金で補償したら、そいつをだまされてこれをどつかに投資してしまつた。入用になつたらなくなつたというようなこともありますので、やはり我々としても誠意を以て世話して行かなければならんというふうなことでよりよりやつております。現地へ余り何といいますか、若い下の者ばかりやらずに、局長あたりみずから出て行つて、いろいろ現地の人と折衝したりなどして、まあできるだけのことをやつて、一つ誠意を以て臨んでおるのですが、まあいい一つ方法がありましたら教えて頂きまして、それについて検討して行きたいと、かように思う次第であります。
  97. 石川清一

    委員長石川清一君) 実はこの間九州でも或いは沼田のダムでも陳情がありまして、私こういうような一応の試案を話しておいたんですが、現在政府資金の農村関係に出ている農林漁業の資金は最終はおおかた八分くらいになるのです。それに代つて農林中金が出す金は年一割一分くらいになるのでよす。そうすると今の国の土地の補償する価格を仮に一反二十万円にしますと五反で百万円、そうするとそれを一割の金利だとしますと十万円、その十万円という金を一応の普通の一般経費にして、その他その土地を失つてから得られる収入で生活ができるかどうかと一応私が話しましたところ、それなら少し考える余地があると、こういうように漏らした人がありました。一つこのためには、政府が或る程度そういうものの利子補給といいますか、それを八分のものは一割にするとか何とか考えて、土地問題が簡単に解決して、それを国或いはその他に提供した者の生活不安をなくすると、こういうふう方法に出ればまあ案外簡単でないかと思います。併し土地の一反の二十万円が適当かどうかはこれは別でありますが、一応私がそういうふうに申しましたら、大分考えるべきだ、こういう意見がありましたから、それを一応御参考に申上げておきます。
  98. 田中一

    ○田中一君 三月ほど前に官房長に要求しておいたんですが、今年のような数々の災害に対して災害保険を創設するつもりはないか。若しないならば我が党として、個人でもいいが、これを研究したいから、すぐにこれに対する今までの災害のデータを集めてくれと要求をしておいたんです。今度の治山治水対策協議会でも、少くとも公共土木費に対する補償はありますけれども、個人に対してはああした二十幾つかの立法をしなければ政府は金を出さん、又国が金を出す根拠がないということになる。それで一人当り十万乃至一十万の保険料を払つておいて、そうすると一カ月乃至二カ月或いは半年くらいの生計の足しになる、或いは起上りの呼び水になるというような見地から、災害に対する保険の制度を考えろということを官房長に要求しておいたのです。その資料は一体どうなつておるか、又それがこの対策協議会でもそういう問題を取上げて考えておるかどうか、これを伺いたいと思うのです。
  99. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 只今の御質問でございますが、経過を申上げますと、主としてあのときは住宅災害のように私承わつたのでございますから、住宅局長とそれから文書課長のほうに連絡いたしまして、時あたかも国会中でもありましたし、私が勉強する暇がなかつたものですから、よく田中先生と連絡して検討してくれ、これははつきり、先生から何遍も催促がありまして、言つておるのですが、今日のところその後の結果がどうなつておるか、実はまだ聞いておらんような次第でありまして、誠に申訳のない次第でありますが、よく田中委員のお考え方をもう少し私詳しく承わりまして、検討すべきものは十分検討さして頂きたいと思います。
  100. 田中一

    ○田中一君 私が申上げたのは住宅災害じやないのです。一般風水害並びに天災地変に対する災害ですね、これによるところの取りあえずの保険金支払いということなんです。そういうことはいろいろな問題があります。日本台風の進路というものは大体同じような進路を通つて本土に入つて方向を変えるということはいつも常のように考えますから、四国、南九州は常に脅かされておるということになる。そうするとこれに対しては料率の問題、災害の補償の問題、個人々々の損害の問題というもののデータを集めて料率が出なければならんと思うのです。最高二十万円程度の保険支払いということをやつたらいいと思うのです、私の構想としては……。これを実施しなければ、御承知のように損害保険制度がありながら損害保険というものがとられておりません。従つてこれを一般の損害保険会社に扱いをやらせまして、或る限度をきめて、その後の問題は国がけつを拭く、大きな問題に対しては国がけつを拭く。併しながら結局全国的な加入者があるとすれば、それに対する平均したところの料率……、一時的な、バランスの食い違いはありましても、一応の料率というものが算定されるのではないかと思うのです。そういう点で以てこれを根本的にやらなければ、国自身が常に個人の生活、個人の損害までも補償しなければいけないのです。いけないから今度のような二十幾つかのような法律を作つて政府に向つて詰め寄るということになるのです。二十幾つかの法律を作つて、ああいう形をとつて災害に対する対策をとれということは、少くとも立法府としてはとるべきではないと思うのです。現行法で立派にできると思う。現行法でできないものを何らかの形で以てやらなければならないということは事実なんです。従つて災害に対する保険制度というものを考えて欲しい。これは個人に対する問題です。地方庁並びに国有財産に対するものではなくて、個人の保険制度というものを一つ建設省から提案して頂きたいのです、治山治水対策協議会に……。これがなければ常に災害に際しては怨嗟の的になります。今日のような政府の態度でございますと……。そうすると二十幾つかの特別法を常に出さなければならん。これを若しお好みならば八月以降の災害に対して又二十幾つかの法律を作つて差上げます。ああいう悪例といいますか、前例というものを後世に残します。ああいうものを、八月の災害に対しても九月の災害に対しても作つて差上げます。それに対して政府対策を立てるということであるならばそうしなければならん。その前に個人の生活の起ち上り資金を求めるというならば、天災地変に対する損害保険制度というものを確立する意向をお持ち願いたいのです。同時にお考えがなければ、官房長に今申上げてあるのですから、これに対してデータをお集め下さつて私に下さい。そうすると私のほうで各党の委員にも相談しまして立案いたします。
  101. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 大変伺つておりますと結構なお考えのようでありますけれども、もう少し事務的に検討さして頂きませんと、これを検討しますと言うと、もうこつちの責任になりますし、と申しますのは、二十幾つ法律ができたわけでありまして、ああいう法律を作ることがいいか悪いかは別として、ああいう法律を作らなければならなかつたという事態はまさに困つた事態でありますが、先生のおつしやいますような保険の方法で果して災害が防止できるかというような問題もありましようし、それから又この間の二十幾つかの特別法も、個人の起ち上り資金とか救済資金に関するものは極めて僅かであると思うのでありまして、大部分は公共の施設とか農地とかいうものでありまして、そういう点にも問題がありましようし、これが果して、私は成るべく余計仕事をしたい質ではございますけれども、問題が広くなりますと、建設省の所管であるか大蔵省の所管であるか、或いは民生の安定というような意味で厚生省の所管とすべきものであるかどうか、まあそういう点が相当事務的に考えまして問題があろうと思いますので、もう少し、この機会でなくても結構でございますが、先生の御意見もよく承わりまして処置さして頂きたいと、かように考えております。
  102. 田中一

    ○田中一君 農林省側でも漁船に対する保険制度があるのです。耕地に対する保険制度もあるのです。同じことなんですね。だからこれは研究が足りないのなら研究をうんとして下さい。恐らく次官は対策協議会に出られたならば、幹事会で以て発言されてよいと思うのです。それはどこの所管であつてもかまわないのです。少くとも個人の損害を見てくれないから、そういう天災地変に対する保険制度を設けてくれ、個人がお互いに救う保険制度を設けてくれということなんです。国は法律を作ればいいのです。ただ我々が作るには余りに災害に対するデータがないのです。あなたのほうはその資料を持つているはずなんですから、それを全部下さればこちらで考えますから……。
  103. 米田正文

    説明員米田正文君) 今の、ちよつとお伺いしております点は、今度治山治水根本対策を立てる対策協議会では災害は扱わない、災害は今の災害対策本部というのがございますね、あれでやるということになつて、今度の協議会では恒久対策を扱うということになつておりますので、今のお話の分は別に建設のほうの建設委員会でおやりになるとか、或いは災害対策本部でおやりになるというような趣旨になると思います。
  104. 石川榮一

    石川榮一君 一つ協議会に申入れてもらいたいのは、今の情勢から考えると、折角立てました治水根本対策要綱も、恐らく建設省の予期するような財政措置は困難だろうと思います。そこで治山治水公債、いわゆる治水公債というものを大幅に売り出して、そうしてこの案を実現するということが必要だと思う。それにはいろいろ議論がありましよう。インフレを起すとかいうこともありましようが、少くとも災害を呼ぶような大きな川の周辺におる農民は、貯蓄を割いて治水公債に応募するという空気はどこにもあります。でありますから私は百億や百五十億は毎年そこらの面から幾らでも出て来ると思う。殊に農村の貯蓄は、現在では土地を買うことができませんで、若し余裕があれば生活の改善とか或いは農機具の買入れとかいうものに費しまして、それが済みますと殆んど闇金融に廻して貯蓄をなくしておるという状態である。農村は何故に勤労をして行くかという、そういう目標を持つていない。それに対して治山治水公債というものを与えて、そうして自分の再生産、自分を災害から守るという意味合いから、この際治山治水公債を大幅に発行してこの問題を解決する意図があるかどうかということを一つ幹事会等で論議をして頂きたいと思います。
  105. 石川清一

    委員長石川清一君) では本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時より道路整備計画、都市整備事業及び住宅建設等について委員会を開きます。  散会いたします。    午後四時四十八分散会