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政府委員(
天野武一君) 先ず四十六の
登録税の賦課当を得ないものについて申上げます。
先ほど森さんからもお話がございましたように、船舶の
登録税の賦課当を得ないという点につきしましては、実は毎年問題にな
つているのでありまして、私ども
法務省といたしましても、何とか
中央で確つかりした
基準を
作つて、それに
各地方において則らせるようにしたいということも
考えましたし、それから又もつと根本的に船舶の
登録税問題そのもの、
登録税制度そのものを
考え直して見ようかというようなこともいろいろ
考えました。例えて申しますと、この
土地とか建物、船舶、こういうようなものの
価格の認定
基準は
法務局がやらないで、むしろ国税局でや
つて頂いたらどうだろうかというようなことも
考えましたし、それから又固定資産税というのがございますから、固定資産税の
課税標準価格によ
つて土地なり建物なり船舶の
価格をきめたらどうだろうか。それから又税をとるほうは
法務局がやりませんで、登記の申請書には、固定資産税の
課税標準価格を証明した市町村長の証明書をつけさせるというようなことで認定したらどうだろうか。或いは又税というけれども、むしろ手数料式な、或いは言葉を換えて言えば定額税のようなものに改善したらどうかというようなこともいろいろ
考えました。そして
大蔵省当局ともいろいろ折衝いたしましたが、
大蔵省のほうでは、やはりこの点は制度の改革ということはお
考えにな
つていないようでありまして、まあいたし方なく今年も、先ほどお話がありました二十六年十月末の
民事局長から
各地に出しました
資料、これをいつまでもこのままではいけませんので、今年の八月くらいまでには新らしい
価格をきめて、そうしてこれを
全国に流すというようなことをやろうというようなことを
考えております。それについては勿論
法務省だけではその
価格の
基準はできませんから、
関係省と協力いたしまして、而も登記所で非常に
利用のしやすいような認定
基準を作らなければならない、かように
考えておるわけであります。その準備を進めておる次第であります。
それから余談になりますけれども、
一般の
土地、建物につきましても、実は
各地では固定資産税の税額と一致していない。或いは高く或いは低いというようなところがございます。船舶についてだけかような食い違いが実はあるのではないのであ
つて、これは制度として
本当に根本的に
考え直す必要があるのではないかということを
考えているのであります。
本件は
東京の
法務局で、折角
中央から流した
基準があるのに、忙しいということでその改訂を遅らしたというのでありまして、誠にこれは、ほかの
法務局ではすでに改めているのにかかわらず、
東京法務局がこれをやらなか
つたというのは申訳ない次第でございます。実は当時
登録税のほうは、
東京法務局長の下に民事行政部長、それからその下に登記課長というものがおりまして、そういうものの
所管になるわけでありますが、その後この人たちを優秀な者と更迭いたしまして、間違いのないようにいたしたわけであります。次の四十七、綿布の購入に
当り処置当を得ないもの、これは私どものほうで弁解といたしましても、とにかくちやんとした
書類を作らずに
契約に入
つて、
あとから
書類を整えるという、これは何とい
つても手落ちでございまして、申訳ない次第であります。
会計検査院が批難されるのも御尤もでございまして、あえて異を立てるつもりはございませんが、ただ当時の真相というものをありのままに一つ述べさして頂きたい、かように存じます。
批難の要旨は、
東京拘置所が
昭和二十六年十月
中央装備株式
会社ほか二社から拘置所に収容しております収容者の被服用の綿布紺染のものでございますが、これを十四万二千五百二十ヤールを、その当時の市場
価格ヤール
当り八十二円よりも約十円くらい高い
価格で買
つている、
従つて約百四十万円を不当に支出したということになるわけであります。私のほうでいろいろまあ調べましたのでありますが、この
昭和二十六年の三月中に実は当時これは
法務省の
中央矯正保護局というのがございましたが、
中央矯正保護局で当時の経済安定本部の割当てに基きまして、通産省の繊維局長から収容者被服用綿布として合計十四万二千五百二十ヤール割当証明書を受けました。その購入すべき綿布の銘柄は天竺の二Aというのでございまして、いわゆる
政府綿で製造した綿糸を原料としたものを予定したのでございます。そして矯正保護局はこの三月二十日頃
中央装備株式
会社、菊池商工株式
会社、それから日本繊維株式
会社の三社に対してそれぞれ合計八万ヤール、それから四万六千ヤール、それから一万六千五百二十ヤールの割当証明書を渡しまして、綿布購入の手続をと
つたのでございます。御存じのように当時
公定価格がございましたから、随意
契約でや
つたわけであります。これらの証明書の有効
期限はいずれも
昭和二十六年の七月三十一日でございました。矯正保護局といたしましては
昭和二十六年の第一四半期に収容者の被服地を購入する計画を立てました。そして新年度の始まる前にその準備的な
措置をと
つた次第であります。ところが実は矯正保護局の綿布を容易に手に入れることができなか
つたのでございます。なぜかと申しますと、これは
中央装備株式
会社ほか二社でございますが、これが割当証明書を以ても
政府綿によ
つて生産された綿糸を原料とした綿布、これを取扱業者から入手することができなか
つたためであります。矯正保護局の調査によりますると、この
昭和二十五年十二月まで
一般市場にはいわゆる
政府綿しか存在しておりませんでした、当時の需給調整の
関係でございますが、二十六年一月以降は
政府綿と並んでいわゆる民有綿が市場に現われました。原綿取扱業者にと
つては民有綿の取扱いのほうが有利だ
つたらしいのです。そのために
政府綿の入手が困難に
なつたということであります。それから綿布の染色につきましては品種の統制がございませんでしたので、染色業者のほうは利益のある民需品の染色を望みました。利益の少い官需品、この収容者被服のようなこういう官需品の受注を喜ばなか
つた。特にこの二十六年の三月末日頃には、よく四月になると綿布は
公定価格の引上げが行われるぞというようなことが唱えられまして、それが自然に業者の察知するところとな
つており、そのためにいよいよ
政府綿系統の綿布の入手が困難に
なつたということがあ
つたのであります。そうするうちに
政府綿系統の綿布を入手する見通しが付かないままに二十六年四月と
なつた、そして四月の十四日に物価庁告示九十四号の
公定価格の引上げが行われたのであります。矯正保護局におきましてはいわゆる民有綿系統の綿布以外は
本当に入手困難と
考えるに
至つたのでありますが、それでもやはり安価な
政府綿系統の綿布に関する割当証明書を
中央装備株式
会社等に渡しておりますから、これらのものから民有綿系統の綿布をそういう高い
公定価格で購入するのは、如何にも不合理であるというふうに
考えまして、再三業者に折衝した上、新らしく出ました
公定価格の約一割引程度下廻
つたところで綿布を買受けるということの承諾を得たのであります。ただこの際現品納入
期限等の細かい点に亘
つてまで書面で取交す、
契約をはつきりするということをとらなか
つたことは、先ほど申した
通りであります。これは誠に職員の手落であります。ところがこの
中央装備株式
会社ほか二社は依然として綿布を持
つて参りません。この間矯正保
当局では再三勿論督促いたしました。そのうちに二十六年の六月となり、その頃にな
つてこの業者から漸く分割払的に引渡し可能であるという返事が参りました。ところがすでにその頃には近い将来に綿製品の統制が撤廃されるかも知れないという噂を耳にするようになりましたし、統制が撤廃されればその
価格が上るのだろうか、或いは非常に下るだろうかといういろいろ思惑があ
つたわけであります。そこで矯正保護局といたしましては、統制の撤廃後綿布の
価格が下
つた場合は、統制撤廃前の購入計画に基きまして、なお時価に比べて高い綿布の引渡しを受けなければならないという
事態になることを心配いたしました。それでどういうふうにこれを切抜けようかというようなことでいろいろ苦慮いたしまして、結局まあ購入
価格が余り高くなければ差支えないだろうということを
考えたわけであります。その結果矯正保護局といたしましては、
中央装備株式
会社ほか二社のこの業者から、前の
契約に基く綿布の引渡しを受けることになりまして、履行を盛んに督促したのでございます。その結果
昭和二十六年六月の二十八日から八月三十日まで、十数回にこまごまに分れまして、
契約通り十四万二千五百二十ヤールの綿布が
東京拘置所に引渡されたのでございます。それでこの支払でございますが、この
代金の支払は二十六年の十月の五日、それから二十九日の二回に亘
つて行われました。この支払に当
つて実は初めて正式の
契約書を作
つたのであります。結局
契約書によりますると、
会計検査院の御批難の
通り、あたかも
東京拘置所が二十六年の十月に購入
契約を結んだという記載があるのであります。若しそれが事実であると、
本当にそのときの
契約であるということになりますると、
会計検査院のおつしやる
通りに約百四十万高い
代金で買
つておりますのでありますが、
事情は
只今申しましたようなわけでありまして、
契約書は実は
あとから、つまり何とかして半年かかりまして、割当証明書を渡したその綿布を手に入れたいということばかりのほうに力を入れまして、
契約書というようなはつきりしたものを作るということに
注意が行届かなか
つたわけでございます。そこでまあこういうときに実際上の
契約はいつあ
つたのだろうかということは、いろいろ
あとから事実の認定の問題になろうかと思います。或いはこれを実際品物の入
つたその都度
契約があるというふうに見ることもできましようし、そういうことであれば、その当時の
公定価格よりも安い
価格で
政府は買うことができているのですが、その当時
公定価格は民有綿と国有綿と区別しておりませんので、いろいろその
価格については疑問があろうかと存じます。何分にも全体の
過程を振返
つてみますと、拘置所の職員が業者によ
つて非常に巧妙に引廻されたという憾みは確かにこれは認めることができるのであります。誠に遺憾に堪えない、こういうふうに思います。今後は十分に自重いたしまして、こういうふうな同じような間違いを決して起すことのないように防止するつもりでおります。
それから
不正行為、これはいずれも実は検察庁とそれから
法務省の出張所が一つございます。殊にこの検察庁にこういう職員の
不正行為による涜職というものが起きるということは実に残念なことでございまして、検察庁の面目にかけても、こういうことはなくなさなければならないものでございます。そこで私どももいろいろ
考えまして、証拠品の取扱規程或いは執行
事務規定というものを殆んど一年がかりで研究いたしました。ようやくこのほど成案を得まして、明年の一月一日からこれを行うということにして、実は目下検察庁の庁員に対する教育をや
つております。それから又こういう
不正行為をなした、例えば最初にございます大阪の高等検察庁、こういうふう
なつまり何と言いますか、大きな検察庁でこういう不正があるということは今まで余りなか
つたのでございまして、田舎の監督の目の行き届かない、而も職員が五人とか十人とかという小さい所でよくあるのが今までの例でございましたが、大阪のごときは高等検察庁に起
つたということで非常に残念に存じております。この職員は一人は大阪商大を出て、入りまして二、三カ月のうちにもうこういう悪いことをしているというようなことでありまして、どうも職員に対する監督というものも確かにな
つていなか
つたようでございます。いずれもこの
批難事項に挙
つておりまする職員は採用後古い経歴を持
つているのは殆んどございませんで、皆採用後間もない人たちでありまするし、それから前の経歴も必ずしもこういうような
仕事に適当なものじやなか
つた。たまたま商科大学を出たとか、或いは前にそういう
関係の
仕事をしてお
つたということだけで簡単にこういうような地位につけているきらいもございます。今後はそういう人事
管理の面において厳重にこういうことのないようにいたしますと共に、今申したような各監督官に対しても厳重にその検査を励行してもらいたい。例えば月に必ず一回とか定時的に検査をしようというようなことも先般来口頭で申し、又刑事局長からの通牒ではつきり出しております。
処分につきましては、この大阪高等検察庁につきましてはこの印刷物では控訴審理中とな
つておりますが、その後判決がございまして、現在本人は上告いたしております。
それから五十一の青森地方検察庁の八戸支部、ここではこれは公判中でございまして、第一審懲役五年の判決がございました。
それから五十三の控訴審理中とございます、これは釧路の地方
法務局でございます。これは刑が確定しております。それで問題は監督責任でございますが、本人に対しては非常に厳重な
処分をすると共に、監督者については当然厳重な
処分をなさなければならないのでありますが、例の公務員等の懲戒免助に関する法律の結果懲戒の免助を受けている者が多数ございます。
それから次の五十四の
保管金の処理が当を得ないものでございます。これは森さんから御
説明がございましたが、司法省は従来裁判所の会計、検察庁の会計と本省の会計と全部持
つておりました。ところが裁判所は分れますし、それから検察庁の会計も
法務省と分れるというようなことで、実はごたごたいたしたのであります。而もこの
保管金というのは非常に金がたくさんございまして、
事務職員としては常に一々細かい
書類を作らずに、一括したトータルを書き込んで
書類を
整理してしまうという当時状況にございました。その結果一つ一つ細かく調べて行くと、そういう面からの
整理ができていないわけであります。現在
東京地方検察庁ではこういうふうなことがあると又不正の起きる基でありますから、非常に人を殖やしまして、専門的に、不正でもあるのじやないかというような見地からしまして検事が主任とな
つて一生懸命
整理に着手させております。従来の帳簿式のものを全部カード式に直しまして、一々確かめてや
つております。今日幸いに不正があるということは出ておりません。今日のところでは百円とか何とか計算の合わないものがあるという程度でございます。以上でございます。