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1953-07-03 第16回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三日(金曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     東   隆君    理事            長谷山行毅君            松平 勇雄君            大倉 精一君    委員            雨森 常夫君            入交 太藏君            植竹 春彦君            山本 米治君            奥 むめお君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君            岡  三郎君            永岡 光治君            八木 幸吉君            鈴木 強平君   政府委員    内閣総理大臣官    房会計課長   三橋 信一君    北海道開発政務    次官      玉置 信一君    北海道開発庁企    画室主幹    川戸 定吉君    保安庁経理局長 窪谷 直光君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    建設省営繕局長 木村 惠一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    農林省農地局か    んがい排水課長 小川  孝君    建設省河川局防    災課長     淺村  廉君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第三局    建設検査第一課    長       中島 尚文君    最高裁判所事務    総局経理局長  岸上 康夫君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 東隆

    委員長東隆君) それではこれより第八回決算委員会を開会いたします。  二十六年度決算三件、裁判所及び終戦処理関係の分を除いた総理府の分を議題に供します。  本日は都合によつて、初めに警察予備隊関係批難事項第二十一号より第二十五号まで、及び二十七号の一部並びに二十九号を問題にします。只今見えておりますのは、この予備隊関係としましては、保安庁経理局長窪谷直光君、会計検査院検査第二局長上村照昌君が見えております。それでは最初専門員から説明を願います。
  3. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 警察予備隊即ち保安庁関係の問題につきましては、会計検査院から出ております検査報告の第三十一ページの真中どころに一般事情が記されてありまするが、これを見ますると、「警察予備隊における物品調達業務についてみるに、警察予備隊創設当初に比べ機構整備し、経理も自主的に運営されるに至り、改善の跡が認められるが、なお不急品や不良品購入したり、又、納品についての検収状況連絡が不十分であつたため過払を生じたものなどが別項に記載したとおり六件ある。」というように記されておりまして、それから只今問題になつておりまするものが、先ず第一は第二十一号でありまするが、そこには(1)と(2)と二つございます。(1)は脱脂綿などが現に手許にたくさんあるのに、内部事務連絡が悪いので、又重ねて同じものを多量に買入れたという批難であります。これにつきまして当局からの弁明書を見ますると、当時立川補給廠整備の途上にあつたので、主として調達部門管理部門との間の連絡の不十分が原因でこんな結果になつたので、今後は十分注意をするということであります。これは御承知のことと思いまするが、この警察予備隊とか、それから、この次に問題にかるかと思いますが、特別調達庁などアメリカ風行政機構ででき上つておりまする役所は、従来の日本役所とやり方が違いまして、調達方面管理方面代金支払方面というような工合に縦割りになつておりまするので、その間の横の連絡が、ややもすると事務不慣れのために思うように動かないというような事情があるように聞いておりまするが、本件なども或いはそんなところに原因があるかと思われるのであります。  それから次の(2)であります。これは検査院批難によりますると、医療器械などをたくさん買入れたが、これは病院建物さえもまだできていないのに器械を先に買入れて、現に梱包されたまま在庫品になつているというので、計画が甚だよろしきを得ない。人員も揃い、建物も揃つた上で器械を揃える、それらの調子を揃えてやらなければいけないという批難であります。これに対する弁明書を見ますと、都合によつて一般病院開設をその後の事情の変化によつて暫く見合せなければならなくなつたので、こういう手違いを生じて誠に遺憾である。併し近くこれを活用するように努力中である。なおその後一般病院用資材購入は目合せている。という説明になつております。  次の二十二号は、石炭を買入れまするのに、カロリー不足しておる石炭が納入された。それなら相当代金減額して支払うべきはずであるのに、そのまま支払つておるという批難であります。これも当局弁明によりますると、取扱いの経験者が少かつた上に、係官の異動などがあつたので、事務処理に欠けるところがあつたので、誠に遺憾であるということが記されております。要するにこれも部隊総監部との間の事務連絡が悪かつたためというふうに検査院では認められているのでございます。  その次の二十三号、これは「ウオターかん」と書いてありまするが、飲み水を入れるためのものでありまするが、買入れるに当りまして成るべく安いものを買入れたいというので、内部錆止めなどについて十分な考慮を払わないで買入れてしまつた。ところが各地駐屯部隊でこれを使つてみたところが、すぐ錆がひどく発生するので、継続して使用することができない、従つて再びそれを全部回収をして、内部錆止めをするために相当な金をかけた。それで最初には安く買つたつもりでやつたが、あと加工しなければならないので、結局えらく高いものについてしまつたという、こういう検査院からの批難であります。当局からの答えでは、これ又技術に関する知識が不十分な者がこのようなことをやつて誠に申訳がないと、こういう弁明でございます。  次の二十四号は、梱包用に使いまする材木、松の板及び松の角材などを買入れたのでありまするが、長さ二間のものを納めさせるということで契約をしたのでありまするが、その大部分が二間のものが納まらなくて一間物を納めて来た。当局ではそれでも差支えないとあつて到頭それを受入れてしまいましたが、それならばもつと値引でもさせればよいものを、値引もしないでそのまま買入れてしまつた、こういう批難であります。当局答えを見ますると、この木材を集めることが甚だ困難であつたので、ぐずぐずしていると間に合わない。仕方がなしに一間物でも我慢すれば間に合うというので、そのまま受け入れてしまつたが、減額させなかつたのは悪かつたので、あと至つてこれを減額させましたと、こういう弁明になつております。  その次に二十五号でありまするが、警察予備隊豊川駐屯部隊ほか九カ所でありまするが、米や麦を多量に買入れましたが、その価格については物価庁告示によれば地域別卸売値段が定められているのに、地域別適用を過つたために余計に金を払い過ぎたという批難であります。これに対する当局弁明を見ますると、物価庁告示延着をしたり、或いは又事務担当者調査漏れであつたというような不手際のために、このような結果を生じて誠に遺憾であります、という説明であります。  それから次に少し飛ばしまして、二十七号のところを見て頂きたいのでございまするが、ここには、「職員不正行為に因り国に損害を与えたもの」としまして、二つ書いてありまするが、その中の警察予備隊福知山駐屯部隊というものだけを、言い換えれば前の最初三行だけを取上げて頂きたいのであります。あとのほうは別の関係でありまするので、別の機会に取上げて頂きたいと思います。これは検査報告にこういう違つたものを一カ所へ、どこまでが何であるかわからないような書き方になつておりまするので、その点御注意を願いたいと思いますが、福知山のものを見ますると、関係職員によつて渡資金、それから歳入歳出外現金等をほしいままに領得されたものがあるというように報告されているのであります。当局説明には、説明書の第二十ページのところに詳細記されておりまするので、御覧を願いたいと思います。  それから一つ飛びまして、二十九号、検収の不当により、不良品を納入させたということが批難されているのでありまするが、これはそこにも書いてありまする通りに、もうすでに検査院注意によりまして当局では是正済みになつているものであります。そして当局からの説明には、検収に当つた者知識が不十分であつたので、よく事情を知らないでこんな間違いを起して申訳けないという説明でございます。
  4. 東隆

    委員長東隆君) それでは検査院のほうから御説明を願います。
  5. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 警察予備隊関係検査報告でありますが、最初総括的に記述してございますように、警察予備隊創設当時、人員も手不足という点、或いは進駐当時でありますから、そういうような関係でいろいろの混乱もございます。又そういう関係機構整備しておりませんので、経理的にも必ずしも十分だというふうには行かなかつたわけであります。又経理運営進駐当時でありますから、自主的に運営されなかつた進駐軍の関与される面も或る程度つた。そういうような状況でありましたが、この当時におきましては、自主的に運営されるようになりまして、当初から比べますと、検査の結果を振り返つて見ますと、相当改善の跡があるというふうに考えておるわけであります。その検査の結果、検査報告に記載いたしまして不当と認めましたものは、先ほど専門員のほうから御説明があつた通りでありますが、簡単に私のほうからも御説明いたしますと、二十一の(1)は、先ほども御説明がありましたように、買う場合に物品在庫とか、そういうものをよく連絡して買えば、物があるのに更に物を買わなくとも済んだ、こういうような点は十分考慮すべきものであると、こういうふうに考えております。  それから二十一の(2)のほうは、予備隊創設当時はいろいろむずかしい面もあるでありましようが、すべてのものが必ずしもきちつと行くように行かなくとも、気持の上でも、或いは実際面でも、相当程度これが並行して行くような物の買い方、施設の仕方、こういうものをやつて行かなければ、国費の有効適切な使用ということにはならない、ここいうふうに考えて、器械類等買つても、病院施設が非常に遅れておる。而も二十七年度には間に合わなくて、二十八年度くらいから病院施設が起つて来るのではないかと思いますが、そういうふうな関係で、できるだけそういうものは有効適切に使用できるような方法で国費を使つて行くように心がけたほうがよかろう、こういうふうに考えておるのであります。  それから二十二号のほうは、結局代金を支払う場合に、検収との関係連絡が不十分であつたために、契約書によれば、カロリー不足の場合には減額措置を講じなければならないのに、そういう連絡が不十分のために、八十二万余円の過払いになつておるものがあるということでありまして、この点については、予備隊のほうでも今後の措置としては連絡をとられるようにしておられることと思います。  それから二十三号は、一口に申上げますと、安物買いの銭失い、こういうふうな問題でありまして、これは仕様書も必ずしも明確でございませんが、見本を注文しまして、ウオーター罐でありますから、錆びないのが適当でありますが、十分にその点が明確になつておらなかつたために、入つたものが出来が悪くて使いものにならない。そのために修繕するという事態が起つたものでありまして、これは当初から錆びの来ないものでやるとしますと、大体二千円程度くらいでございますから、この修繕費をかけたものと比較いたしますと、当初から使いものになるものを買うということができたならば、二百万円くらいは節約できた、こういうふうに考えておるのであります。  それから二十四は、これは梱包用材料でありますが、必ずしも二間物でなくても間に合うわけで、現に間に合つておりますから、これは一等材でありますが、常識上からも二間物と一間物は、一間物が安いということは明らかなことでありますから、できるだけ国費節約を図つたほうがよかろう、こういうふうに考えております。  それから二十五号は、これは食糧を買われる場合に、十分価格の点について検討がなされてなかつたというために高い米を買われたという事態でありますが、これは是正措置をとられておるように思います。  その次の二十七の犯罪関係でありますが、これは押麦を横領いたしまして五万九千円なにがしと、あとは結局物の入らないのに入つたというふうな嘘の事実を記載して前渡金を取つた、こういう事態で、結局三十二万四千円なにがしを不正に職員が領得した、こういう案件でございます。この点につきましても、当時前渡官吏が、これは福知山駐屯部隊でありますけれども、舞鶴におつたというような関係で、必ずしもその間の連絡が十分でなかつたということと、又物品についての監督も十分でなかつたということからこういう事態が起つたと思います。この点についても、予備隊のほうで今後その点については十分気をつけておられることと思います。  それから二十九号の事態でありますが、それについては、その後是正されたものでありまして、特に説明するところはございません。
  6. 東隆

    委員長東隆君) それでは警察予備隊関係ですが、保安庁経理局長説明を願います。
  7. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今問題になつております各件につきましては、専門員のほうからお話がございましたようでございますが、やや当時の状況を附加えまして、御報告をいたしたいと思います。  先ず二十一の件でございますが、二十一の件の第一の、脱脂綿在庫量があるにもかかわらず買つたというような点につきましては、確かに在庫量はあつたのでございます。二十六年の八月の頃に、警察予備隊員の欠員の補充のための募集の仕事を始めたのでありますが、その応募隊員身体検査に使います脱脂綿調達をいたしたのでございます。その当時立川補給廠は二十六年の八月十日に開設をされまして、まだ整備段階にありまして、この問題になつております在庫は、久里浜部隊に格納をいたしておつたのであります。従いまして、久里浜部隊から立川部隊のほうに転管をいたいなければならなかつた品物でございますが、まだそこまで取運びが行つていなかつたというふうなことと、それから仮に久里浜にございましても、当然そういう連絡をとつた上でやるべき事柄には間違いないのでございますが、その間の連絡が不十分であつたというふうなことからこういう手違いを生じたのでございまして、非常に遺憾なことに存じておる次第でございます。専門員からもお話がございましたように、この部内の機構縦割りと申しますか、調達部門、それからその物を受けまして管理をいたす部門というものが、それぞれ分れておりますので、組織の整備をいたします段階におきまして、えてして相互間の連絡に不十分の点が見られたのでございます。それらの点につきましては、その後十分の注意をいたしまして、今日におきましては、そういう機構運営につきましてもそれぞれ慣熟をいたして参りまして、こういうふうな不手際なことは将来はなかろうというふうに存じております。  それからその次の医療器械買つた件でございますが、これは本来病院用のものでございます。これを急遽調達をいたしましたのは、当時既設建物改修をいたして病院開設するという案が出て参つたのでありまして、大蔵当局ともそういう線で打合せをいたしておつたのでありますが、その後建物改修ができ上つて、それと見合いをとつて調達をすべき事柄であつたのであります。一応候補にいたしました既設建物も二、三あつたのでございますが、いずれも当時の国立病院移し換えを受けようと考えておつたのでありますが、一つは厚生省のほうでどうしても手離すわけにはいかないということでありました。もう一つ候補建物につきましては、余りに建物が老朽をいたしておりまして、これに改修を加えましても国費むしろむだ使いになりはせんかというようなことから、いずれも候補建物がうまく行かなくなつたというようなことのために、器械だけ先に入つてしまつたという結果になつたのでございます。現在これは立川補給廠に大部分梱包のままで在庫になつておりますが、そのうち約三百万円相当額器械につきましては、今久里浜衛生部隊教育をやつておりますが、その教育用資材と申しますか、備品に充てておるわけでございます。なお一般病院計画につきましては、二十六年度及び二十七年度の予算におきましては、先ず隊員居住施設その他差当り必要とする施設整備に追われまして、病院建設まで財政の余裕がないということで、二十六年度及び二十七年度は病院計画を実現することができなかつたのでございます。二十八年度の予算におきましては、東京に中央病院、九州、北海道にそれぞれ地区の病院、それから更に非常に不便であつて、而もその附近国立病院の利用すべきものが非常に少いというふうな地域につきまして、極くわずかのベッドを持ちます病院計画の案を立てまして、今国会に提出をいたしまして、御審議を願つておるような状況でございます。それができ上りますと、今しまつてあります器械も活用ができるということに相成ろうかと思います。いずれにいたしましても、先ず建物を建てて、それから建物のでき上るのに見合いをとつて、こういうふうな器械類は発注をいたすべき事柄なのでございますが、当初若干既設建物が利用できるのじやなかろうかというふうな楽観的な見込の下に調達をいたしまして、こういう手違いを生じました次第でございます。甚だ遺憾なことに存じております。  それからその次の二十二の石炭購入でございますが、これは契約におきましては保証カロリーをきめまして、それに足りませんときには、契約条項の定めるところに従つて減額をいたすという契約条項にいたしておつたのであります。この石炭につきましては相当大量の調達になりますので、現地の各部隊でそれぞれ所要量調達するという方式をとりませんで、中央で一括して契約をしたほうが安価に取得ができるという判断から、現在もずつと中央契約をいたしまして、現物は勿論それぞれ所要各地に、山元から直接に発送をいたすことに相成つているのでありますが、この件につきましても、中央契約をいたしまして、現物山元からそれぞれ所要の地に発送をされて、各部隊において受取りをいたしましたのでございます。当時各部隊におきましては、石炭カロリー検収をする設備がございませんで、それぞれ最寄りの通産省の工業試験場でございますとか、或いは国鉄の試験場でございますとかというものに委託をいたしまして、そのカロリー検収をいたしておつたのであります。又当時創立間もないことでございまして、幹部が非常に不足をいたしておりましたので、人事の都合上止むを得ず係官を異動させなければならなかつたというふうな事情も重なり合いまして、こういう結果に相成つたのでございます。それでその後それぞれ回収の手続をとつているのでございますが、一つ会社につきましては、当時の回収については、一応とにかく検収になつたものだから、目分会社としてはそのカロリーがあつたと認定をして、警察予備隊側検収をしたものと考えるというふうな異議がございまして、その異議の調整に今努力をいたしております。私どもとしては、やはりどうも若干そういう当時の検収設備関係から、時期は遅れましたけれども、カロリーがやはり不足しておつたというふうな判断をいたしておりますので、回収努力を続けて参りたいというふうに考えております。  それからその次の二十三の事件でございますが、これはウオーター罐と申しますが、水を入れます罐でございます。部隊が水のない地方において行動をしなければならん場合に持つて参ります携帯用の水の罐でございます。当時水の罐の資材及び中に塗ります塗料につきましては、それぞれ乏しい知識ではございましたが研究をいたしたのでありますが、どうも自信のあるものができない、それで当時占領下でございましたので、進駐軍側の顧問の意見も聞いたのであります。それで大体こういうことでよかろうかということでやつたのでございますが、その結果はどうも思わしくなかつたということでございました。どちらかと申しますと、安く調達するということのほうに気をとられ過ぎて、適正なものを買い得なかつたということに相成つた次第であります。その後この中に塗ります塗料につきまして、アメリカの文献、或いは日本におきますいろいろな経験等を参照いたしまして、これの再加工をいたしたのでございます。その再加工の費用がここに検査院から指摘になつておりますような経費がかかつたのでございますが、当初からそういうことでやつておりますれば、相当経費節約できたということに相成るのでございます。これも検査院で御報告になつておる通りでございます。  次の二十四は、木材のこの一間物と二間物との違いでございますが、これは梱包用にいたしますために、成るべく長いものを買つたほうが切れ端が少くてすむというようなことから、若干二間物のほうが値段は高いけれども、使用度状況を考えて見ればそのほうが節約になるであろうというふうな判断から、この二間物の調達をいたして契約をいたしたのでありますが、たまたまその産地附近が異常な降雪、雪が相当多量に降りましたために、その搬出が不可能だということに相成つたのであります。ところが宇治の部隊におきましてはそれぞれ発送の荷物を梱包しなければならんというふうなことから、二間物が手に入らなければ一間物でも止むを得ないということから、一間物に変えて納入することを認めたのでございます。ところが当時の天候の状況からやはり一間物の集荷にも相当業者のほうで苦労をいたしたようでございまして、予想外経費がかかつたというふうなことから、特別に減額措置をとるのは適当でなかろうというふうなことから、当初は減額措置をいたさなかつたのでございますが、その後当時の一間物一般市場相場等をも参酌をいたしまして、その後におきまして減額措置をいたしたのでございます。  それから二十五の主要食糧購入でございますが、これも専門員のほうからお話がございました通りでありまして、物価庁告示延着をいたしましたこととか、或いは仮に延着をいたしましても、それぞれ調査を綿密にいたしますればこういう手違いは起らなかつたと考えられるのでありまして、御承知のように主食の価格地域によつてそれぞれ地域特価格がきまつておりましたために、その地域別価格適用間違つたということでございまして、その後再調査をいたしまして、それぞれ回収をいたすべきものは回収をいたして、措置をいたした次第でございます。  それから一つ飛びまして二十七の事件でございますが、これは福知山部隊におきます隊員犯罪行為でございまして、検査報告及び説明書のほうに書きましたように、食糧の納入、或いはこの押麦業務上の横領というふうな事件でございます。この事件につきましては、京都地方裁判所福知山支部で、説明書にございます一等警察士大塚某という者につきましては懲役が一年、執行猶予二年、それから河合、丸藤という者につきましては、懲役が一年八カ月、執行猶予五年の判決があつたのでありますが、予備隊におきましても当時これを免職処分にしたのでございます。被害の金額につきましては今日までに三万二千三十九円を回収をいたしております。その残額につきましては、なお回収に努めておるような状況でございまして、甚だ遺憾なことでございます。この種の事件につきましては、隊員の精神的な教育訓練もございまするし、又事務上或いは又それぞれ部内における監査機構等を強化をいたしまして、こういう不正のないように処置をやつて行きたいというふうに考えておる次第であります。  それから二十九のこの自動車用の整備用工具の購入でございますが、これは当初入りましたものの中に不良品がございまして、これはいずれもその不良品につきましては取替えさせて、今日におきましては優良なものが全部取揃えられたということに相成つておるのであります。これもやはり創設の初期におきまして、検収官の専門的知識が十分でなかつたというふうなことから起つたものと考えられるのであります。将来検収等につきましては逐次設備整備をいたして参りますし、それぞれ経験を積みまして、こういうことが出て来ないように努めておる次第でございます。  以上を以ちまして当時の状況等につきまして概略御報告を申上げた次号であります。
  8. 東隆

    委員長東隆君) 御質疑はございませんか。
  9. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今いろいろな物品を高く買つたり、或いは適当でないものを買つたりしたお話を伺つたのですが、警察予備隊全体として物品購入の組織が一体どういうふうになつておるかお伺いしたいのですが、と申しますのは、例えば一定の金額若しくは種類を限つて各地調達することを許しておられるのか、或いは中央なら中央でまとめてお買いになるという組織になつておるのかということが一点。  それからもう一つは、そのお買いになるときに、金額を限つて随意に或る指定商人からお買いになるということであるか、或いは或る資格のある商人から入札方法でお買いになるのか、この二点伺つておきたいと思います。
  10. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 先ず第一点の調達の方法でございますが、こういうような部隊の必要な物につきましては、これらの部隊が相互に移動をいたしますことが予想されますので、規格の統一をいたす必要がございますので、これらの部隊が出動乃至例えば今般の水害救助等のために派遣をいたされます場合に使われます物につきましては、全部品質でございますとか規格でございますとかいうものを統一いたしますために中央調達をいたしております。そのうちでも例えば机でありますとか椅子でありますとかいうふうに輸送に相当経費を要し、又輸送中の損傷も多いと思われる物につきましては、地方で調達をいたしております。それから地方で調達をいたしております主な物は主食類、それから生鮮食料品、それから更に各地で使います筆紙墨文具と申しますか、中央調達して部隊に配給するには余りに輸送の経費がかかり過ぎるというものは地方で調達をいたします。従いまして金額で申しますと、相当中央調達になるものが多うございます。部隊で使います物につきましても、先ほど申上げましたように、石炭等につきましては地方で調達をいたしますと、やはり小口の調達になりまして相当高く契約しなきやならんというふうなことから、これも中央契約をいたしまして、納品はそれぞれの所要の場所ということにして契約をいたしております。  それから更に入札か或いは随意契約かという方式につきましては、原則としては入札をやつております。予備隊ができました当初におきましては、信用ある業者の調査というものが不行届でありましたために、一般入札の方法を原則といたした時期がございます。これは一般入札にいたしますと、値段相当安くなる傾向がありますけれども、品質の保証が非常に困難になつて来ます欠点がございますので、その後そういう品質の点について配慮しなければならないようなものにつきましては、その信用のある業者を調査の結果指名をいたしまして、指名競争入札にいたしております。随意契約にいたしておりますのは極めて例外的なものでございまして、予決令、予算決算及び会計令で、例えば物品につきましては三十万円以下の小口のものについては随意契約でも差支えないというふうなものがございますが、そういう非常に小口なものでございますとか、それからそうでなく大きなものにつきましては、日本で製造しておる会社が限られておる、一軒しかないというふうなものだけに随意契約をやつておる次第であります。それで部内におきまする手続といたしましては、一般入札については今実際の事務をやつておりますのは第一幕僚監部及び第二幕僚監部というものでございますが、指名競争入札及び随意契約につきましては、それぞれ長官までの決裁を仰がしめるということで最近までやつて参りましたが、指名競争入札、一般入札につきましては、第一幕僚監部及び第二幕僚監部におきましては、相当事務に慣熟をして参りまして、弊害も生ずる余地は殆んどない状態にまで参りましたので、長官までの決裁を仰ぐことを省略いたして事務の簡素化を図つております。ただ単純に契約担当官だけの独断でやりますと、得てして間違いが起りやすいのでございますので、部内におきましてそれぞれ関係の部課から人を出しまして、部内限りのものではございますが、委員会のようなものを作りまして、そこで公平な審査を経た上で調達をやるということに極く最近改めて参りました。随意契約につきましても、非常に小さいもの以外につきましても大分事務に慣熟をして参りましたので、やはり同様の委員会の議にかけまして、それぞれの公平な見地から意見の調整をいたしまして、これが適当であるという結果に基いてそれぞれ第一幕僚監部及び第二幕僚監部でやつておるのでございますが、随意契約につきましては、なお金額の相当大きいようなものにつきましては、従来同様長官の決裁まで仰がしめるということでやることが適当であろうというふうなことで現在やつております。
  11. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 例えば机とか椅子とか、運送に手のかかるものは現地で調達するということですが、中央から規格を統一して、常に相場を定めて大体これぐらいの値段で買うという一定の標準的な指示をなさいますか、或いは現地にそれぞれお任せになりますか。
  12. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 机、椅子等につきましても、営舎の中で使いますものにつきましてはそう規格をやかましく言う必要はないかと思います。従いまして各地状況によつて机の大きさ等も当該地におきますもので間に合うというようなものにつきましては、むしろそういうものを買うほうが廉価に調達できますので、特別の指示はいたしておりませんが、外に持つて出るようなものにつきましては、中央でやはり規格等はきめて、その規格に従つて地方で調達をいたすというふうなことにいたしております。
  13. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから入札と入札でないものの全体の金額における割合はどんなものですか。
  14. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今ちよつとはつきりした記憶を持合さないで恐縮ですが、随意契約にいたしますものは、大部分一般乃至指名競争をいたしておるのでございますが、さあ一割程度まで行つておりましようか、今のところ記憶がはつきりいたしておりませんので……。
  15. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから極く金額の大きいものは長官の承認を得るというお話でしたが、例えば今日ここの不当と言いますか、会計検査院が指定している医療器械の二千五百万円の器械を、病院はできていないが買うという決裁はどの辺でなさつたんですか。
  16. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これはこの長官までの決裁という手続をきめましたのは、こういう事件がいろいろ出て参りまして、部内においてもう少し統制をとる仕組を考えなければならんというふうなことから出たのでありまして、これは一応こういうものとして予算の積算の内訓にはなつてつたのでございますが、ただ執行の時期について誤りがあつたということでございまして、一々の調達につきましては、殊にこの当時は進駐軍管理上にございまして、一々その調達については向うの承認を得なければならなかつたというような特異の状況にございました。従いましてここに上げております件については、当時といたしましては長官の決裁まで個々に来ておるというふうな事情にございませんでした。
  17. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 医療器械の二千五百万円、例えば民間会社あたりなら無論社長まで行くはずなんですが、この買うということを許可された一番上の責任者はどの程度でございますか。
  18. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは予算が成立いたしまして、その実行の計画をそれぞれ立てるのでありまして、その立てますのは、これは第一幕監部で案を立てまして、現在でございますれば保安庁の内局になりますが、当時では警察予備隊本部というのがございまして、本部に申請をいたしまして、それでよかろうという承認をいたしました。それでその承認が当時の総隊総監宛に参りまして、それに基いて第一幕僚監部で調達するということに相成つておりました。従つてこの件につきましての最高責任者と申しますと、或いは当時の予備隊本部長官ということに相成ろうかと思いますが、こういうふうな実施の段階になりますと、実際にはもう少し下のところで十分に審査をいたすべき事柄でございます。或いはこの予算の承認の起案をいたしました局は私のところでございます。勿論当時は医務局というのがございまして、医務局長とも打合せの上でやつたのでございます。大体局長のところ辺にあろうかと考えます。
  19. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 実際知つていらつしやる一番上のかたは、つまりあなたなり局長級はお知りになつておる、こういうわけですか。
  20. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) そういうことになります。
  21. 東隆

    委員君(東隆君) ほかにございませんか。
  22. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それからこの物品購入機構というようなものでもあれば、次回にこちらに御提出を願いたいと思います。
  23. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 機構は極く概略のことを表にして報告を差上げたい思いますが、概略申上げますと、第一幕僚監部と第二幕僚監部にそれぞれ調達部門を持つております。当時の警察予備隊の時代におきましては、総隊総監部の中に調達課というのがございまして、各課はそれぞれ、そのほかに例えば通信でございますとか、或いは武器でございますとかというものを専門に管理している課がございます。そこにおきまして所要の品物と、それからその規格と、それから数量というものの要求を調達課のほうに廻すことになります。勿論その課がそれぞれのもとの課でそういう購入の立案をいたします場合には、長官から示された方針に従つて立案をいたすわけでございますが、それが調達課のほうに廻りますと、調達課で原価計算、これは官庁内部における原価計算でございます。原価計算をして予定価格を作成するわけでございます。それから予定価格を作りましてから入札の公告を調達課でいたします。それで入札をいたしまして、予定価格の範囲内でございますれば、それの最低落札者と契約を結ぶ。又入札予定価格を超過いたしますれば再入札する。そうして調達課において契約を締結いたすのでございます。それで契締結いたして、業者のほうで、物品を製造して納入いたします場合において各地でそれを契約いたしましても、各地にそれぞれ現物が送付されますために、各地でその品物の受取をやるわけでございます。その受取をやりまして、業者のほうからは送りましたという証憑書類、それから部隊内部におきまする確かに受取つたという書類、それからそれについて検収報告書が来るわけでございます。例えば石炭等につきましては、こういうカロリー契約通りつたとかなかつたとか、それにつきましてその報告中央に集りますと、今度は代金の支払いという段階になりますが、その段階では、今度は支出官のところでございまして、これは第一幕僚監部の中に中央会計隊というのがございます。これは普通の官庁でございますれば会計課ということになろうかと思いますが、そこで契約金額を支払うということになります。従つて調達につきましては三つの段階があるわけでございます。一つは要求を出すところ、それからそれを厳密に原価計算いたしまして契約金額を決定し、契約を結ぶ調達課と、それから品物が納つて金を払うところという三つの段階ありまして、単純に一人の人が契約から検収、金の支払いまでやつてしまうということを避けているのであります。そうしてお互いに牽制し合つて、不正の介入する余地をなからしめようという配慮からそういう仕組になつておりますが、詳細につきましては、一覧表にして御提出いたしたいと思います。
  24. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その請求するほうの側と現在の在庫等を睨み合せる、その連絡の仕組についてはどうですか。
  25. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) この請求をいたします課は、それぞれ全国にどこの部隊にどれだけのものが格納されているか、それと又使用されつつあるかという状況を十分承知すべき責任を持つております。従いまして、それを見まして調達の要求をいたすわけでございまして、ただ従来の経緯に見ますと、なかなかどうもその間の運用が当初の時代においてはうまく行かないというふうな状況があつたのでございましたが、だんだんに全国的な把握ができつつあるような状況でございます。
  26. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 在庫品の棚卸は例えば毎月するとか、隔月にやるとか、隔月に定期に棚卸がされるのですか。どの程度されるのですか。
  27. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは三カ月に一回現地においてそれぞれ現地の部隊長の責任においてやることになつております。各部隊には物品会計の係りがございまして、それのつけております帳簿と現品とを調査をいたします。それから年に一回更に徹底的な棚卸をやるという仕組にして管理をいたしております。
  28. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の徹底的というのと、普通の棚卸と何か違うのですか。
  29. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 徹底的と申しますのは、各部隊限りでなしに、更に管区からも人を派遣して、更にまあ同じ人だけでやつておりますと、その間ちよつと何か数字の開きがあつたり、間違いがあつたりするものを避けますために、その部隊を、更に監督するところから行つてやるという意味でございます。別に初めのほうを粗雑にやるというわけではございません。
  30. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 一点伺いますが、石炭購入の件ですが、先ほどの御説明を伺うと、当時カロリー検収設備がなかつたためにこういうふうな結果になつたということでありますが、現在はこれはかような設備を各現地で持つているのですか。
  31. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは各部隊に持たしますことは非常に経費が量みますので、各管区に一カ所くらいカロリー検査のための設備を今現在作りつつございます。まだ全部完了はいたしておりませんが、たしか一カ所は完了いたしたと思います。その間は最寄りの国鉄でございますとか、通産省の試験場等に委託をしているという状況でございます。
  32. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 これは検収設備を完備することは経費も大変かかると思いますが、もう検収を怠つたり、後になつたりして過払金がわかつて、後で回収しなければならないということになると非常に費用もかかるし、又いろいろな抗弁が出て来て回収困難な場合が相当多いと思いますので、その辺は若し経費が非常に多くかかるとするならば、今申されたような、附近の何かを利用するなりしまして、こういう事故を起さないような十分な検収を何かの方法で講ぜられるように措置されたいと思います。
  33. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 現在までも検収の問題につきましては相当配慮をいたして参つたのでございまして、設備が必ずしも十分でない、それから職員の訓練がまだ必ずしも十分でございませんし、それらの点につきましては十分に配慮いたしまして、更に二十九年度の予算の要求におきましては、もう少し徹底的な一つ財政当局に要求をして見ようじやないかということでまあ研究を進めております。その間は尤も止むを得ませんので、通産省の試験場等に頼んでいるんです。ところがそれぞれの機関もそれぞれの仕事を持つておりますために、なかなか早急にやつてもらえないという不便がございまして、非常に苦労をいたしております。
  34. 東隆

    委員長東隆君) ほかにございませんか……ほかに御質疑がないようですから、第二十一号から二十五号、二十七号の一部、二十九号、これは一応質疑が終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 東隆

    委員長東隆君) 御異議がないようでございますから、次の問題に移ります。  次は裁判所関係でございます。第一号から第三号まで全部を問題に供します。おいでになつている人は、説明員として最高裁判所事務総局の経理局長岸上康夫君が見えております。最初専門員のぼうから説明を願います。
  36. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 第一号の問題は、検査報告に非常に詳細に記してありまするが、ちよつと読みにくいものでありますから、それを別紙に一覧表のような形にしてお目にかけるようにしたのでございまするが、事柄は最高裁判所が鹿島建設株式会社に随意契約で大阪の家庭裁判所の庁舎の建築を請負わせた、その工業費を積算するに当りまして、鉄材を過大に見積つた。それで検査院がそれを調べてみると、第五期の工事で七百万円ほど高価になつている。続いて行われた第六期の工事でなお若干が高価になつているという点を検査院が指摘されたのであります。この第五期工事と第六期工事とは実は一つの工事なのでありまするが、予算の金額の関係から予算に制せられておのずから二つに分れたのだということであります。それでこの第五期工事を見ますると、裁判所で積算しましたところのものは、鉄材を素材で以て四百七十七トン余りに見たのでありまして、これを不用な部分を削つたり何かいたしまして、結局製品として使われるものが四百八十八トンばかりになるのであります。そうして又鹿島建設会社使用書を出しました中にも、大体これと同じ数量が積算されておつたというのであります。ところが検査院において図面に基いて精査し、計算してみると、素材は三百九十四トンくらいでよいはずだ。そうしますると四百七十七トンと三百九十四トンとの差額の八十三トンほどが多過ぎるということになつているというのでありまするが、検査院におきましては、この建築工事は鹿島建設会社が請負いはいたしましたけれども、実際にはこれを日立造船株式会社に下請に出しているということを見まして、その日立造船についてこれを調べてみましたところが、素材は三百九十トンというふうに積算をしておるということでおりまするので、やはり検査院の見方が正しいということがこの点からも証明されるという、こういう意味なのであります。  なお、同様に第六期工事のほうを見ますと、裁判所の積算は二百五トン、なお検査院で計算をすると百七十五トンでよいという、約三十トンほどが多過ぎる、こういう指摘になつているのであります。そこで最高裁判所におきましては、よく事情も検討しまして、業者とも厳重に折衝をした結果、第五期工事を第六期工事と両方を合せまして五百五十五万円を返納させることにした、こういう結果になつて、計算を誤つた点は甚だ遺憾であるという弁明でございます。  その次は職員不正行為によつて国に損害を与えたものというのでありまして、ここに書いてある通り関係職員によつて訴状に貼付してあつた未消印の収入印紙、領置金等を領得されたものがあるということでありまするが、その内容を、実は私もこういう方面のことをよくわかりませんけれども、当局の方に聞いて見ましたところが、古い訴状に貼り付けてあつたところの印紙で、これは消印の印紙でありますが、その書類を取出してその印紙を剥がして、そうして新規に受付けたところの訴状に貼付しておるところの未消印の印紙と取替えてそれを使つて、そうして未消印のほうの印紙を横領したのだということであります。それから没収をした領置金等は、これを訟延課のほうから検察庁へ引渡すべきはずのものであるが、これを係の者が、係りの者といいますのは、女の子がその係をしておつたのだそうでありますが、これを引渡したような工合に作為して、実は横領をしておつたのだということであります。それから未消印の収入印紙がどうしてここへ現われて来るかという点につきましては、裁判所におきまして登録税などについて未消印のままの収入印紙を保管するということが事実起つて来るので、その場合にそれを横領されたのだ、こういうことでございました。  それから第三番目の没収金等の処理を遅延していたというもの、これはもうすでに是正された事項ではありまするが、その一つは東京の事件でありまして、没収となつた保釈の保証金を訟延課のほうから検察庁へ通知はしていたのである、ところが訟廷課のほうから会計課のほうへの連絡をよくしなかつたので、手続をせずに放置されていたのだということであります。それから横浜のほうの事件裁判所と検察庁とが分離をすることになつたことがございましたが、その際にこの領置金などは、本当を言えば検察庁が保管すべきはずでありまするが、当時検察庁が手ぜまであつたとかいうような事情のために、従来から置いてあつたまま、裁判所が預つたままになつていたというのでありまして、従つて歳入に納付する手続が遅れていたというのでありまして、その年度を言いますと、昭和八年度から二十三年度までというので、随分長い間のものが言わばうつちやりになつてつたようなわけでありましたが、これらは検査院の御注意があつて、直ちに検察庁に引継ぎをいたしました、こういうことなのでございます。
  37. 東隆

    委員長東隆君) 検査院検査第二局長上村説明員説明を願います。
  38. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 御説明いたします。裁判所の案件の第一号でありますが、これは工事費が高かつたということでございます。その点については只今御説明がありましたが、結局におきまして、これは鋼材が主になつている請負工事でありますが、その鋼材の計算が設計書から見ますと、成品重量が三百七十トンになるわけであります。これを普通の計算によつて見ます場合には、スクラップとして減少するものを見込みまして、大体三百九十四トンくらいで素材重量が足りるわけでありますが、これを裁判所のほうでは多く見積られた関係上高くなつているという案件であります。でこれは鋼材の点については、鋼材自身の値段は大体予定価格に含まれているのも当時の相場から見て支障ないように思いますし、又諸経費の点につきましても大体一六%見ておられまして、これも大体普通の工事と大差ないようでありますから、結局において鋼材が高かつた、こういうふうに考えるのであります。でどれほど高くなつているかという点は必ずしも正確には出て来ませんのでありますが、予定価格の算出、積算の方法に準じて一応計算して見ますと、大体本件の請負金額の五千二十四万三千円に対しまして四千二百万円くらいになりまして、七百万円くらい高価になつた、尤も只今申上げましたように予定価格から一応計算したものでありますから、これだけがすぐ高いそのものだというわけには参らんかも知れませんが、一応の目安としては七百万円くらいが高かつたであろう、こういうふうに考えているのでございます。  なお只今のは五期工事の分でありますが、次の六期工事についても同じように鋼材の量を多く認められて、これが三十トンばかり多くなつておりますので、この点についても相当高価になつているわけであります。一応まあ仮に予定価格の点から計算して見ますと、二百万円前後の見当になるのだろうかと思います。  只今専門員のほうから御説明がありましたように、裁判所といたしまして五百五十万円を業者から返納させることにせられたのでありますが、この点につきましては、契約上から言つて必ずしも取れるというわけに、返納させるというわけに行くか行かんか疑問がありますし、又只今申上げました損失金額についても一応はじきましたもので、必ずしもこれで、仮定の問題でありますので正確というわけにも参りませんし、業者のかたがたの納得する範囲で裁判所努力せられて返納されたものであると思います。  次の不正行為の二号の案件でございますが、そのうちの東京の分は、立会封金とか換価代金を検察庁に送るとか、或いは裁判所で没収するということで引出して使つたという東京裁判所の案件でありまするが、これが防止対策といたしましては、一人の人に任せないで、あとまで見届けて、どういうふうにやつているかというような点を十分やつて行けば或る程度まで防げるのではないかと考えるのであります。  それから札幌のほうの、訴状に貼付する印紙を剥いで横領した案件でありまするが、これも訴状が印紙が貼られてからどういうようになつているかということをもう少し注意されるような方向に向つて行くならば、こういう事態も起らないのではないか、かように考えている次第でございます。  次の是正させた事項の(三)でございますが、これは処理が遅いということを申したのでありまして、いずれも是正措置がとられたものでございます。
  39. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 只今専門員及び検査院の御当局から御説明になりましたことで大体尽きているように思いますが、若干その間の事情等につきまして申上げます。  先ず第一番は、番号の(一)の分でございます。工事費の積算が当を得ないものというものでございますが、これは先ほど専門員のほうから説明がございましたように、現在大阪市で建築中の大阪家庭裁判所の工事費について起つて問題でございます。本件の工事の積算いたしますにつきまして誤算のありましたことは、検査院のほうで指摘になつております通りでございまして、誠に遺憾に存じております。その後裁判所といたしましては、その関係機構を改めるとともに職員の配置替ということもいたしまして、今後こういうことのないように注意をいたしております。こういうふうな誤算がありました事情といいますか、経過といいますかを概略申しますと、この工事に使いました鉄骨は量の点でも相当の量になりますし、その積算は、これは技術的にかなりの手数を要する関係のものでございますが、当時朝鮮事変以後鉄材の価格は値上りの傾向にあつたということ、それから更に前から噂のありました建築制限令がいよいよ実施されるというふうな噂も当時ございまして、裁判所といたしましては予算が入つている関係から、急いで契約を締結したいという事情で、かなり急いでおりました関係にあります。なお職員のこういう計算の不慣れということもございまして、先ほど御指摘のような計算違いを招くに至つたのでございます。なお事後の処置といたしまして、監督責任者の処分につきましては、昨年の講和発効による公務員等の懲戒免除に関する法律の規定の関係から免除されておるのでございますが、内部的に将来こういうことのないように自粛する目的で、係りの者の配置替をいたしました。  それから第二番目でございますが、これも今御説明がありました通りでございます。そのうちの一つ、東京地方裁判所の分は、刑事事件の証拠品還付とか移送という係の補助をしております吉野某という雇員が、取扱中の証拠金十一万一千円ばかりと、それから金塊、金ペンを百七十三グラム、腕時計一箇、時価にいたしまして約六万八千円のものを横領した、こういうことでございます。これは発見いたします前に本人はやめておりまして、その後やめた後に発見いたしまして、裁判所といたしましては検察庁に告発をいたしました結果、検査庁のほうにおいては取調べの上、これは不起訴になつております。  それからその次の札幌地方裁判所事件は、これは民事部勤務の雇上杉、田口の両名が共謀の上民事事件の訴状に貼つてある印紙を消印してないやつを剥がして、そして既済記録から消印済の印紙を剥ぎとつて、それを新らしい事件のほうに貼つておいてごまかし、そしてその印紙を売却した、こういうのでございまして、金額にいたしまして三十万四千円ばかりでございます。でこれにつきましては、その本人は、上杉のほうは昨年の十二月に札幌地方裁判所で懲役二年、実刑でございます。それから田口のほうは懲役二年執行猶予四年という判決がありまして、それはそれぞれ確定をいたしております。このような職員不正行為で国損を与えたということは誠に裁判所といたしまして遺憾に存じております。一部補填されておりますが、なおまだ両件で合計三十七万円ほどは回収ができておりませんですが、これは本人或いはその関係者と折衝いたしまして、回収努力いたしております。それからなお内部的にこういう事件の発生を防止するために監督の方法を強化する、或いはこういう金品を扱う職員の配置ということにも厳重に注意をするというふうな方法で事故のないことを期しておる次第でございます。なおこの関係の監督者の行政上の処分でございますが、これは先ほど述べましたような懲戒免除の法律の関係で、行政法上の懲戒処分はしておりません。  最後に三番目の分でございますが、これは先ほど来御説明がありましたように事務処理が遅延いたしておりまして、検査院のほうから御指摘があつて、早速規定の手続きに従つて処理をいたしました。遅れておつた点は誠に申訳ないと存じております。大体以上であります。
  40. 東隆

    委員長東隆君) この問題に関して検査院のほうからは、上村検査第二局長以外に井上司法検査課長が見えております。それから裁判所関係では岸上最高裁経理局長のほかに吉村最高裁技官が見えておりますが、御質疑はありませんか。
  41. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この建築工事のざつと五千万円以上のものでございますが、やはり随意契約にしていらつしやるのはどうも私了解ができませんが、原則はやはり入札ではないのでございましようか。
  42. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) この工事は、問題になりました五期、六期は随意契約にいたしておりますが、これはその前年度あたりからの継続工事でございまして、つまり第一期から引続いた工事でございます。そこで最初は入札にしてやつておりますが、その後は場合によりますが、普通の場合はその仮設物がある関係とか、或いは技術上別の業者に任すことが却つて不利だというふうに考えまして、その後の継続の分につきましては、最初に入札をしたと同じ組に随意契約でいたした次第でございます。
  43. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 全体の金額は幾らぐらいですか。最初と全部を引つくるめて請負総金額……。
  44. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 第一期から六期までございますね。問題になりました第六期まで通算いたしまして、約一億四千万円でごいざます。
  45. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それからもう一つでございますが、あとの三十トンはやはり二百四、五十万円高いということになるだろうと計算上思うのですが、そうすると両方で九百五十万円前後つまり高かつたのを五百五十万円で話をつけた、こういうふうに思うわけなんですが、これは無論当初の契約から言えば全部返せということは無理な話だと私も思いますので、その点は別にどうということはありませんが、こういつたような非常な計算違いができた鉄筋、或いは建物の鉄の計算などということは、これは非常に技術を要することであつて裁判所の中にさような技術者をあらかじめ職員の中に持つということは、経費関係から言いましても私は万全を期するのはむしろ無理なので、今機構をちよつと私記憶いたしませんが、例えば昔なら大蔵省の営繕局とか何とかいうような専門なところにあらかじめ相談をするというような、何か防止的な機構というか、手続というものがあるだろうか、伺つて見たい。
  46. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 今のお話の点につきましては、最高裁判所事務総局の中に経理局の一課としまして営繕課というのがございまして、そこに若干の技官が配置されております。その技官のほうでこういう技術上の仕事、こういう積算、或いは設計ということをいたしておるのでございます。ただ職員が十分というほどでもございませんので、ものによりましては詳細な設計は外部の工務店に依願するといつた場合もございます。本件の場合は、そういう詳細な設計は山下建築事務所に依頼いたしたのでございますが、その契約するにつきまして積算といいますか、鉄材数量を拾うことは、私どものほうの係の技官でいたしました。そうして参つたその結果こういう不始末が起きた、こういう状況でございます。先ほど申しましたように、或る程度契約を急いでおつたという事実もございまして、こういう結果になつたのでございます。
  47. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうすると、非常に複雑な設計は外部に出される場合もある。併し本件は部内でおやりになつたのであるから、この積算の出遣いは部内の間違いである、かように承わつてよろしいのですか。
  48. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) さようでございます。
  49. 東隆

    委員長東隆君) ほかに御質疑はありませんか。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 先ほどの御説明ですと、継続事業であるために、第二期工事というか、継続はどういう継続か、年度を改めて継続でございますか。その継続工事であるが故にやはり同じ業者に随意契約契約したほうがむしろいろいろな点で安くつく、有利だということで契約をされたというようにまあ承わたのですが、そうしますと、この契約というものは、最初からその継続工事になるべき工事というのは全然別個に切離されても差支えがない工事になるのか、それとも一連として見なければならない工事なのか、その辺のところをちよつとお尋ねをしたいと思います。
  51. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) この工事は第六期までで、最初計画は鉄骨で地下二階、地上六階までやる、こういう予定で始めまして、本件の第六期工事まででそのうちの一部、即ち地階一階、二階と地上の二階の一部、地上一階は全部いたしまして、地上二階の約半分ほどの鉄骨工事をいたすというところまで行つております。で今お尋ねの趣旨から言いますと、全然別個の工事ではなくて、一連の工事というふうに言えるのではないかと思います。
  52. 永岡光治

    ○永岡光治君 その一連の工事というのは最初第一期工事のときに総体として計画されておつたのか、それとも工事が進むに従つてそういう工事を追加されて行つたのか、最初はわからなかつたのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  53. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) その点は全体的に設計をいたしておりました。ただ細かいといいますか、細かい図面が要るらしいのでございますが、私も専門家でないので詳しいことは知りませんが、細かい図面等は工事が進むに従つてつて行く、併し計画としては最初から今申上げました規模のものをやる、配置図等も作つてつて来たわけでございます。
  54. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは最初の第一期工事に着手されるときに総体として計画ができ上つたものと、まあそれを頭に入れて計画されたと思うんですが、総体の契約をこの業者と契約をされたんですか、それともそういう総体の契約がわかつてつたにかかわらず、一部だけについて入札契約最初行われたのですか、その一辺の事情はどうなつておりますか。
  55. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 只今の点は最初二十四年度からの工事でございまして、二十四年度に予算が入つた、その当時は裁判所のほうは継続工事、予算的に継続工事というのは認められておりませんので、一年々々に入るというふうな建前であつたもんですから、二十四年度は第一期でございますが、二十四年度入りました千三百七十五万というものについて契約をした、こういうことになります。二十五年度は二十五年度で入つた予算の範囲内で契約をして行く、こういうことに相成つております。
  56. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうしますと、事業の性質から継続工事の場合はやはり最初契約された会社のほうでやつたほうが便利であり、又いろいろ有利になるというふうに考え、又最初契約者に従つて落着く可能性が非常に強いと常識的にこれは言うのが普通だと私は思うんです。そうしますと、最初契約のときにはあと一つ儲けてやろう、そうして随意契約になるので最初思い切つて安くしてもいいじやないかというようなことで、相当最初の入札のときにいわば割つた金額でも入札するという可能性もあると思うのです。そういうあとの継続事業について、従つてその当時にこれを必ず、必ずとも限らないのですが、全然別個だぞということを強く念を押して、最初の入札の本人に示しているか、それとも又継続して事業が予想されているということを本人に、その入札に来られた契約者のかたがたにそういうことも説明して入札をさしておつたのか、全然これは継続事業であるということを話さずに、これだけで終りだというはつきりした意思表示をして入札に当らせておつたのかどうか、その辺の事情一つお尋ねしたいと思います。
  57. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 最初にいたしますときの状況は、私、直接やつたわけでありませんのでなんでございますが、聞きますところ、それからほかの例から推察いたしまして、別にこれを継続工事で今後やらすというようなことは勿論言つていないと思います。併し工事の性質上第一期工事ということは基礎工事的なものでございますので、恐らく工事は続けて施行されるのだろうというくらいのことは、私は業者のほうで推測ができた事情にあつたろうと思います。
  58. 東隆

    委員長東隆君) ほかにございませんか。
  59. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 第二の問題ですが、この古い訴状に貼付してあつた印紙を剥がして、それを新規書類に貼付するというやり方、これは部内で組んでやれば案外発見困難な事案だと思うのですが、こういうことを防止するために、何か特に今裁判所のほうで監督とか或いは事務の手続の改善等に対して、何か考えておられることがありましたら……。
  60. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) この点は技巧的にどういうふうにするか、防止のためにどうするかという点につきましては、実はなかなか名案がないものですから、現在最高裁の訟廷課のほうでこの問題を契機といたしまして研究いたしております。まだこうしたら最も的確に防止できるという具体案は今のところできていないのであります。ただ札幌の場合には、地裁記録の印紙を剥がしてやつた、その地裁記録の何と言いますか保管場所に、関係のない者でも割合事実上ルーズに出入しておつた、そういう関係からこの犯行を容易にしたという形跡もありますので、そういう点につきましてい、これは札幌だけじやなくほかもそうでありますが、地裁記録の保管、それから出し入れということにつきましては厳重にいたしまして、用のない者はそういう所に出入りができない、或いは出し入れには一々係りの者が確めてやるという工合に、従来札幌でやつてつたようなことがないように、これは厳重に注意をいたしております。
  61. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 只今のに関連するのでありますが、これが発覚した動機はどういう動機だつたんですか。
  62. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) これはちよつと詳細は今私は記憶がないのでございますが、たしかその印紙を売つたそうであります。つまり買取つたほう、故買のほうからほかのそういう故買の事件に関連してそれが検挙された、それで出て来た、こういうことです。
  63. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 発覚の動機を伺つたのは、こういうことは未発覚のものが相当あるんじやないかという感があるものですから伺つたんですが、今御説明程度だと、たまたまそういうことが外部から売つたことによつてわかつて来た。これは常時監察する制度というものは、只今他の委員から御質問もあつたんですけれども、これについて何か的確なる制度というものがないということ自身が非常に不思議に思うわけなんですが、消印済の書類の保管方法というものはどういうふうになつていましようか。
  64. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) ちよつと今お尋ねの趣旨がわかりかねたのでありますが、消印済の印紙でございますか。
  65. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 いや消印せられたその記録書類ですね、それの保管はどういうふうになつておるか。
  66. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) これは既済記録は、つまり事件の済んだ記録は一まとめにして大体倉庫に入れております。それから進行中の未済事件、これはたしか執務時間中は大部分の庁におきましては、各書記課の戸棚に入れておつて使用する。それから退庁時にそれを一まとめにして倉庫に入れて鍵をかける、こういうのが大体のやり方でございます。
  67. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そとへは関係のない者で出入できるというようなことになつているんでありましようか。
  68. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) その今の既済事件の置いてある所へ出入りと言いますか、関係のない者が出入りするというのは、札幌ではそういうルーズと言えばルーズだつたんですが、そういうようなことに事実上なつてつたようでございます。その点は先ほど申しましたように厳重に用件のある者しか出入りは許さないという方法を講じておるのであります。で、普通のその他の庁においては、今申しました倉庫に入れておる間は勿論これは自由に出入りはできませんが、執務時間中に書記課の戸棚にあるというときには、勿論書記課の部屋には濫りに入れるわけではないのでございますが、まあ記録その他を見るというようなことも事実としては或いはあり得ることじやないかというふうには考えておりますが、まあ併しこういう事件がありましてから、会合等の席上で、そういう犯行について一般注意を喚起して、とにかく内部の監督を厳重にして、できるだけ防止しなくてはならんということは申しておりますので、まあそういう方針でやつているんだろうと考えております。
  69. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この不正行為をした職員はどういう地位にあつた職員ですか。
  70. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 札幌の件は雇でございます。書記課の補助の雇でございます。
  71. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その雇員はどういう係りの雇員ですか。
  72. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 事務局の中の訟廷課の証拠品係だつたそうであります。証拠品係のつまり補助者でございますね。
  73. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 消印の済まない書類が廻つて来たためにそれを利用した、悪用したということになるんでありましようが、消印はどういう段階においてせられることになつておりましようか。
  74. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 消印は各庁で受付けますと、そこですぐに受理と同時に消印をするということが扱いになつております。今の雇員の両名は訟廷課でその当時受付係の補助をいたしておりました際に、殊更らにそれを押さないで、今言つた既済事件の他の消印済のものとすり換えたという状況でございます。
  75. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 伺つていますと、こういう事件は幾らでも起きそうなことに相成ろうかと思うのでありますので、事務手続の改善、監督、こういう制度について管理せられるように希望いたします。
  76. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 これは消印はただその裁判所の名前を……、消印そのものはどういうふうなあれになつておりますか。
  77. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 普通は穴をあけますと、穴がこうあきまして、そこに何々裁判所と書いてありまして、スタンプを押すと同時に穴があくようになつております。
  78. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それでしたら郵便局のあの消印のように月日でも入れるとか何とかやれば、やはり防止の一助になるようなことになりませんか。
  79. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) お話のような点も確かに一つの方法になると思いますが、先ほど申しましたように、まだ研究中で今のところは名案がないのでございます。
  80. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 先ほど豊田委員から御指摘になつたように、これはやる気ならば非常にやり得る犯行だと思います。十分そういう点を御研究されて、防止せられるように希望いたします。
  81. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 裁判所の中の事務の方法は私はよく存じませんが、何といいますか、収入印紙なら収入印紙を貼らなければならん人が貼つた目の前で、すぐ消印を押してしまえば何ら犯罪の起る余地はないと思いますが、そういうことはできないものですか。
  82. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) この民事の事件の訴状は提出前に、即ち当事者が貼つて出して来ます。
  83. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 貼つて出して、受付けるときにすぐ目の前で判を押してしまえば、もう悪いことをするような余地はないのじやないか。
  84. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) さようであります。本件は係の者が扱い中にやつたということであります。
  85. 東隆

    委員長東隆君) ほかに御質疑がなければ、裁判所関係の第一号から三号までの質疑を一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 東隆

    委員長東隆君) 御異議がないようでありますから、それでは次は北海道開発庁関係に移ります。先ず第四号議案から十八号議案までを問題にいたします。専門員から説明を求めます。
  87. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 北海道開発庁のことにつきましては、会計検査院検査報告の三十一ページの終りのほうに記されてあります。これをちよつとここで読上げたいと思いまするが、北海道における農林、運輸、建設各省の直轄工事は、従来公共団体である北海道庁の各土木現業所等に委任し施行してきたところ、昭和二十六年七月、北海道開発局が設置され、その管下各開発建設部等において施行することとなつたが、本院においては、新機構の下における経理運営、工事の施行が順調に行われているかにつき特に留意して管下の全開発建設部及び石狩川治水事務所の実地検査を施行したところ、経理の著しく不当なもの、工事の施行が不良なもの及び営繕工事の代金支払が不当なものが別項に記した通りにたくさんある、という書き出しでありまして、すぐ次に四号以下一覧表の形で列挙されておるのでございますが、御参考のために別紙にちよつと一、二行書いておきましたが、北海道開発庁の予算は工事関係などの点につきましては、農林省、運輸省、建設省に移し換えをするのだそうであります。それをぱ更に北海道開発局及び各建設部などに支出が委任されておる、こういう複雑な関係になつております。従つてその事務の指揮監督などにつきましては、北海道開発庁自身が行われる部分も、例えば人事に関することとかはございますけれども、公共事業とか営繕建設工事などについては当該事務に関する主務大臣のみが開発局長を指揮監督する、こういうふうになつておりまするので、今ここに議題になつておりまする四号から十八号まで、並びに続いて議題になろうとするものなどにつきましても、或るものは農林省、或るものは運輸省、或るものは建設省、或るものは開発庁自身において御説明、御答弁になるという、こういうような事情でございます。  先ず四号から十八号までを見ますると、北海道における直轄工事の不当なものが列挙されておりまして、四号から八号までは工事の施行が粗漏のため手直しを要するもの、次に九号から十五号までは出来高が不足であつて過払の結果になつておるもの、次に十六号から十八号までは、工事の施行に当り経理処置が不当なもの、こういう部類分けになるわけであります。なおその答弁書を見ますると、いずれも皆誠に不注意であつて、将来注意するということでありまするが、ただその中に仕事が冬の仕事であつたために十分な竣工認定ができなかつたという事情を御了承願いたいという意味の記載が若干のものについて現われておるのであります。それで例えば検査報告を見ますると、第四号というところを見ますれば、その真中の所に、工事費が全体で幾らかかつたか、その下に手直しのために必要な金額がこれだけかかつたということが記してありまして、その下のほうの摘要の欄に、例えば蛇籠をこれだけ必要とするとか、栗石がどのくらいであるとかいうのにこういうような欠点が現れておつたということが一一詳細に記されておるのであります。特に十六号、十七号、十八号につきましては、その内容についてこの一覧表から外して別段の説明がありまするので、ちよつと附加えて申上げます。  十六号はいわゆる切投工事と称せられるものであります。直営工事となつておりまするので、帳面の上では直営工事でやつたようなふうに装つてそして実は請負工事に出してその金を支払つているという件なのであります。なお立入つて聞いてみましたところが、こういう拙いやり方をしたのは申訳ないわけですが、併し特に使つては悪いようなものに使われているという、そういう点は含まれていないというような説明でございました。  それから次の十七号は少し混入つておりまするが、二十五年度及び二十六年度にやらせたところの仕事が未完成であるにもかかわらず、完成したこととして、その代金全額を支出しまして、現金を手許に持つてつた。而も二十五年度の未完成工事は二十六年度にやればいいものを二十六年度には全く実施をしておらない。そこでその残つたところの工事をやらせようといたしましても、その請負人は工事施行能力を失つておる。仕方がないものですから他の業者に実施をさせたのでありまするが、物価の値上りその他の関係で幾らかの金が不足になつた、その不足の金を出す予算がないものでありまするから、ブルドーザーを無償で使わせて、それで以て不足額を補うことに充てたというこういう事件なのであります。なおこの工事はその後竣工いたしております。  次に十八号は、これは比較的簡単なことでありまして、二十六年の十一月に完成した工事として代金の金額を支出しておるが、三十七年の五月に検査院が実施検査を行なつたときに、保安装置一基だけがまだ施行されていなかつたということを注意されたのであります。すぐこれを完成させたと、こういう説明なのでございます。
  88. 東隆

    委員長東隆君) 会計検査院のほうから御説明を願います。
  89. 中島尚文

    説明員(中島尚文君) 御説明申上げますが、只今専門員のほうから詳細に御説明がございましたし、なお北海道開発局におかれても検査院の指摘しましたところを認められまして、遺憾の意を表しておられますので、私どもから特に申上げるべき点はございませんのですが、各案の批難の要点を申述べてみたいと思います。  第四号から第十五号まではいずれも工事の施行に当りまして非常に粗漏であるとか、或いは出来高不足をいたしておりますとかいうたような問題でございまして、鉄線蛇籠及び栗石張の法覆工等におきまして非常に工事が粗漏でありまして、検査に行きましたときに蛇籠の一部が陥没しておりましたし、或いは法覆工の栗石が二五%、切込砂利が八〇%も脱落しておりまして、そのままでは災害復旧の目的を達したとは申しがたい。そこで当局は十九万円なにがしを使つて手直しをするということになつたわけであります。そういつたように鉄線蛇籠とか或いは築堤の土量とか、或いは掘さく土量、切土量が不足をしておりましたり、或いは施行が粗漏でありましてそのままでは遺憾な状態にあつたのでございまして、これはいずれも工事の現場監督が十分に行われなかつたこと、それから請負工事か不徹底であつたという点に原因があると存じまして、これらの点の是正をされる必要があるということを現地のかたがたにも御注意を申上げておいたのであります。  それから十六号は、これの批難の趣旨は直営工事を施行いたしまして、人夫賃の名義で出面から二百七十一万円を支出したようにされておつたのでございますが、実際は玉石の採取等について工事の一部の切投げが行われておりまして、やはりいわゆる不実の経理が行われておりました。これは内地の各地建設局にかかつておりましたようないわゆる架空経理の一種でございまして、この点を取上げているのでございます。  十七号のほうはこれは少し混み入つておりまして、二十五年度、二十六年度両年度に工事が跨がつているわけでございます。その二十五年度の工事も二十六年度の工事もいずれも年度内に完成をしていないし、而もこの二十五年度の未完成の残工事が二十六年を通り越しまして、二十七年度の五月になつてもまだ完成をしていなかつたというわけでございまして、そうしてこの二十五年度の残工事分につきましては、十八万円の現金を請負人から入手をして、それをそのまま一年余も保管をしておりました。それから二十六年度の残工事につきましては、最終の支出額百二十二万円を業者に渡さないので、小切手のまま年度を越して保管をしておりました。ところが請負人が二十七年度に入りまして、経済的な理由で工事を続行する能力を失いましたので、当局はこれを契約を解約をして改めて他の者に工事を請負わせるといつたような、正規の手続をとらないで、ただ事実上他の業者をして残工事を施行させましたが、契約上は依然として元の能力を失つた業者が契約の当事者になつてつたわけでございます。そうしてその結果他の業者にやらせることにいたしましたが、結局差引十四万円だけ高くなりまして、十四万円だけが工事費が足りなくなりましたので、ブルドーザー二台を残工事を請負つた業者に無償で貸付けまして、工事を終つたのでございまして、その無償に貸付けました点がいわば国損になるわけでございます。  それから十八号は、これは石狩川治水事務所で二十六年度に施行いたしました幾春別川桂沢ダムの工事において、新設道路の保安装置二基を請負わせたのでございますが、一基はでき上つたのでございますが、他の一基は年度内にでき上ることに相成りませんで、而も年度を越して直ちに施行するという見込がなかつたにもかかわらず、二基分の代金を請負業者に払つてしまつたという問題でございます。これは二十七年の八月末に至りまして漸く着手をして、九月には完成をしております。
  90. 東隆

    委員長東隆君) 関係各省のほうから御説明願います。
  91. 川戸定吉

    政府委員(川戸定吉君) 四号から十八号までの案件につきまして、専門員並びに検査院のほうから詳細御説明がございまして、御指摘の通りでございまして、大変遺憾に存ずるのであります。ただ先ほど専門員から御説明がありましたように、開発庁の北海道開発事業費は予算に組みまして、これを執行するにつきまして各省に移し換えをいたしまして、各省が事務監督をいたしまして、北海道開発局、現地の局が実施をいたしているのでございます。でありますので、内容につきましては、各主務省のほうから御説明があることと思います。
  92. 東隆

    委員長東隆君) それでは建設関係の分は防災課長さんが見えておりますから、四号から八号まで、十二号から十四号まで、十六号から十八号、それだけが建設関係です。それについて説明を願います。
  93. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 私建設省で災害復旧の関係の仕事を所管いたしておりますので、このうちの災害復旧関係のものについてお答えを申上げたいと思います。いずれも工事の施行が粗漏で、若干の手直しが要るという性格のものでございますが、先ず四号につきましては、ここにございますように、要するに鉄線蛇籠、栗石張法覆工等で護岸を施工いたしたのでありますが、そのでき方が粗漏でありまして手直しを要するということになつてつたのであります。で私どもといたしましては、常に北海道開発局と連絡をとりまして、そのような事態のないようにいろいろ督励をいたしておるのでございますが、かかる事態が発生いたしましたのは、誠に申訳ないことでありまして、これは十分注意もいたしまして、手直しを命じまして、これはこれだけのところは手直しを済ましたと聞いております。  それから次の五号、これは同じく北海道の開発局で施行したものでありまして、鉄線蛇籠栗石張の法覆工等を以て護岸を施工したという点はやはり同様でございますが、これも又工事の仕方が粗漏で手直しを要するというお叱りを受けたわけでございます。同様に厳重に注意をいたしまして、開発局を督励いたしまして、これも検査院の御指摘の通りあと先になりまして申訳ございませんでしたが、手直しをいたしました。  それから第六号これもやはり同様な事例でございます。鉄線蛇籠、木工沈床、方形牛水制等を用いました河川の災害復旧の工事でございますが、これに対してやはりでき方が悪いというお叱りを受けておるのであります。これも私のほうで北海道開発局に命じまして、請負人等に対しましても、開発局を通じて注意を喚起し、規格以下の詰石等につきましては、請負人からの申出もありまして、手直しを命じ、これも完全に手直しを完了いたしました。これについてはちよつと金額も張りますので、特に調査いたしましたところ、昭和二十七年の六月二十五日に手直しを完了したということを申しております。  それから次は第七番目でございますが、これは実は私直接の関係はございませんので、大変恐れ入りますが、同じく建設省の所管のことでございますので、代りましてお答え申上げますが、これは川の護岸の新設工事でございます。これに蛇籠を以ちまして護岸を完了いたしたのでありますが、その据付工事が粗漏であつたために蛇籠が非常に不揃いでありまして、一部は川の中にすべり落ちるというようなことなので、これを手直しを要するというお叱りを受けたのであります。これも同様に開発局に注意を喚起いたしまして、手直しを行なつたのでありますが、これは先ほどもちよつとお話のございましたように、工事が冬期中でありましたために、十分な竣工認定ができなかつたという点で遂にお叱りを受けたようになつたのであります。昭和二十七年六月三十日に確認いたしまして、十分なる手直しをいたしました。設計通りの工事を只今では完了いたしております。  その次は八番目でございますが、これは石狩川の排水掘さく及び築堤というような工事でございます。同様にこれも手直しを必要とするという検査院の御認定でございまして、私どもの調査いたしました結果、確かに手直しを要するということを確認いたしまして、二十七年の六月二十八日に手直しを完了いたしまして、設計通りの工事を完了いたしました。  その次は少し飛びまして十二から十四まででございますが、これがやはり災害復旧工事でございます。十二番目は道路の工事でございますが、設計に比べまして盛土の量が不足である、栗石、切込砂利が足りないという関係で工事のでき方がやや粗漏であるというお叱りを受けました。これに対しまして調査の結果、遺憾ながら会計検査院の御指摘の通りでございますので、直ちに着手いたしました。昭和二十七年の六月二十日に手直しを行いまして、設計通りの工事を完了いたしました。これも先方の申出によりますと、冬季中の工事であつたために十分な竣工認定ができなかつたというために、かような申訳ない事態を起したと言つて非常に恐縮しておりました。  第十三番目は、これは河川工事、川の護岸の災害復旧をやつたものでございます。これは鉄線蛇籠、粗だ、沈床等を以て護岸の復旧工事をいたしたのでありますが、やはり工事が粗漏であるということでお叱りを受けたのであります。これに対しましては調査の結果、冬季施行の工事であつたために竣工認定ができないということを理由に遺憾の意を表しておりますので直ちに手直しを命じまして、二十七年六月十六日に、これは特に先方の報告によりますと、請負人の負担において設計通り工事を完了したということを申しております。  それから十四番目は、これは川の護岸の災害復旧工事でございます。これも設計通りの工事ができていないというお叱りを受けまして、盛土の量が不足だということを特に挙げられております。これに対しましても早速手直しを命じまして、昭年二十七年六月十四日に設計通り工事を完了いたしております。  それから少し飛びまして、十六から十八、十六でございますが、十六は、災害復旧工事数カ所について、この切投げによりまして工事を実施し、これを人夫賃の名義の支出という、いわゆる不当経理を行なつて、帳尻を合せたという、曾つて私どもの地方建設局において一時かようなことが間違つて行われまして、大変お叱りを受けた結果、最近はすつかり是正いたしましたが、かようなことがたまたまやはりこの北海道開発局に行われたということは甚だ遺憾であります。それについては開発局も非常に遺憾の意を表しておりますので、今後このようなことのないように自粛させ、又私どもとしましても、厳重に監督いたしたいと思つております。  それから十七と十八につきましては、これは実は直接の私の所管ではございませんので、或いは十分なお答えをいたしかねると思いますが、十七につきましては、只今いろいろお話がございましたようなわけで、非常に遺憾の意を表しております。で、工事は二十七年の五月三十日に設計通り竣工したと申しております。なお責任者に対しましては、厳重に注意を喚起いたしました。  十八番目は、これはダム関係の仕事でございますが、会計検査院の御指摘になりました通り、いろいろ不都合がございまして誠に遺憾でございます。十分今後注意をいたしたいと思います。なお工事は昭和二十七年の九月に設計通り竣工いたしまして、責任者に対しましては厳重に注意をいたしております。  以上私として説明を申上げたのでありますが、なおこの災害復旧の工事につきましては、いろいろと検査院からもお叱りを受ける問題が多いのでございます。これは私どもといたしましては、誠に貴重な国費を扱つていることでありまして、申訳ない次第だと思つております。ただ何分にも災害の件数が非常に多いということ、それからこの査定等を殆んど突貫工事的にやらなければならない。現に今回の九州の台風等におきましても、すでにいつから査定をして行くのかということを、只今も別の委員会でお尋ねを受けたのでありますが、とにかく非常に急がなければならないということと、それから又、その査定にかかりましてからそうぐずぐずいたしておつては、直ちに国費を要する手続に齟齬を来たすので、これ又急がなければならないということと、それから又それに関連していろいろ工事の施行を急がなればならないという関係から、普通の改良工事に比べまして、どうも遺憾の点が多いじやないかということは、私ども率直に認めております。これにつきましては、間違つた場合はどしどし直しまして、是正を図つて行きたいと考えておる次第であります。
  94. 東隆

    委員長東隆君) 十五号を運輸省の港湾局長から……。
  95. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 運輸省の関係といたしまして、十五号案件について御説明申上げます。  本件は釧路市の東部にございます厚岸港の問題でございまして、全く工事につきましては御指摘の通りでございまして、誠に申訳ないと思つておるのでございますが、厚岸港の外郭をなしておりまする砂止堤の復旧をいたしまする際に、その尖端部の石垣の部分に粗漏な部分があつたという御指摘でございまして、全くその通りでございまして、その後直ちに督励いたしまして、松丸太の打込み、或いは筋違いの追加とか、或いは打込ボルトの締付等を指示の通りいたしまして、二十七年の七月十日に完了との報告を受けております。直接工事に関係いたしました者に対しましては、不慣れのためにやりましたこともございますけれども、厳重に注意いたしまして、今後このようなことのないように十分注意して行きたいと存じております。
  96. 東隆

    委員長東隆君) 九号から十一号議案、農林省農地局かんがい排水課長から……。
  97. 小川孝

    説明員(小川孝君) 九号、十号、十一号について御説明を申します。  この三つはいずれも排水路を掘鑿いたします仕事でございまして、その工事につきましては会計検査院の御指摘の通り、掘鑿いたしました土量等が不足いたしておると、こういうことでございまして、誠に遺憾に存じます。この工事に対しまして、補助金、事業費を支出いたします前に、竣工検査もやつたようでございますが、まだ雪があるというようなことで部分的に一部分だけしか検査ができない、こういうことでこういうようなことになつたようで、誠に遺憾に存じておりますが、すべてその九号につきましては二十七年の六月二十日、十号につきましては同年の十一月三十日、十一号につきましては二十七年の七月二十日設計通りの工事を完了しておる、こういう報告を受けております。
  98. 東隆

    委員長東隆君) 今の問題になつております議案関係で出席をされておるかたを御報告します。北海道開発庁政務次官玉置信一君、北海道開発庁企画室主幹川戸定吉君、北海道開発局営繕部長笹間一夫君、それから北海道開発局会計課長近藤亮一君、運輸省港湾局長の黒田靜夫君、農林省農地局かんがい排水課長小川孝君、建設省河川局防災課長淺村廉君、これらのかたが見えております。御質問があれば願います。
  99. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の指摘の事項のうちには、冬季施行の工事のために竣工検査が完全に行われなかつたという事案が相当多いようですが、これは積雪地帯では、雪の一杯ある所では工事の竣工検査も十分行われないことがままあることだと思うのですが、そういう場合にはどうすれば完全な竣工検査が行われるかという点を一点伺いたいのであります。  又もう一つは、これは故意に粗漏な工事を行なつたとか、或いは技術がまずいために工事が完全でないという点は遺憾ですが、或いはそうじやなくして、この工事の施行時期が悪いためにその予算内ではどうしてもそれ以上の工事ができ得ないというふうな事情にある事案もあるのかどうか、その点もお伺いしたいと思います。
  100. 東隆

    委員長東隆君) 申し遅れましたが、内閣総理大臣官房会計課長三橋信一君も見えております。又建設省営繕局長の木村惠一君も見えておりますから、これも申し添えます。
  101. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 ざつくばらんに、冬の間だと竣工検査というものはでき得ないものか、それともやればできるのか、そういう完全な検査が……。会計検査院のほうからお伺いしますが、それはやる方法があるということであれば、それを各省とも励行して頂かなければいけないし、そうでなければ或いはこういう検査は適当な時期に竣工検査をなさるということもあり得べきではないか、或いは更に会計検査院のほうから見られれば、今の会計年度がどうも適当でないのだ、日本の国は北から南まで随分長い国で、これを同じ時期でやつておるような今の会計年度の制度そのものがどうも非常に実情にそぐわないために、こういうふうな財政的に非常に無理をしたようなことをやらなければいけないのじやないかという点もあり得ると思うのですが、そういう会計検査院のそうした積極的な御意見があるならばお伺いしたい。
  102. 中島尚文

    説明員(中島尚文君) 只今の御質問にお答え申上げます。この冬季における工事の検査ができるかできないかという点につきましては、これは冬季に工事を施行いたしておるわけでございまして、而も大部分請負工事でございまするので、これは施行中に現場監督が毎日々々行つて、設計書なり或いは使用書の通りに施工させるように絶えず施行を監督しなければならない性質のものでありまして、工事ができておる限りは現場監督もできるわけであります。従いまして工事の検査もできなければならないと考えます。而してここに取上げておりますところの問題は、これは実は一部でございまして、このほかに同種の問題がございましたが、それらは実は後請保証制度というものが北海道に従来からございまして、只今の御質問にありますような雪中において検査が余りできないようなこともあり得る。或いは吹雪であつたりして検査に或る時期に行けないといつたこともあるかと思います。そういつたときのために請負代金は一応或る程度検査をして代金を支払いますと同時に、いわば一定の保証期間を設けまして、雪が解けたあとで再度厳重な検査をする。そのときのために一定の保証金をとつておいたり、そういつたようなふうに処置しておられれば、まだ事態は軽度じやなかろうかということで、そのような案件は実は全部報告から削除いたしてありまして、これはそういつたような保証金をもとつていなかつたというような問題であります。  それから北海道における施行につきましては、これも私見に亘るわけでございまして、極力そういつたような施行困難、或いは検査困難な冬季の工事を避けたほうがいいと思いますけれども、或いは予算の配賦等の関係でそうも行かないと思います。まあ北海道とか、或いは内地でも北のほうの地域の工事のことを考えますと、現在の画一的な予算の配賦制度には検討を加える要があるのではなかろうと、私見でございますが、こういうふうに感じます。
  103. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 何か今のことに関しまして、建設省の御意見を伺いたいと思います。
  104. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 検査院お話通りでございまして、冬季であるからして工事の検査が十分できないということは、これは私は言訳にはならんと思います。これはやはり冬季であろうが何であろうが、大事な工事をやる場合に十分注意してやるという以外にないのであります。ただ冬季になりますと、いろいろ工事なども急ぎますので、だんだんに工事ができない時期が参りますので、急ぎましていろいろ障害を生ずるのではないか。従いまして、お尋ねの予算上の問題がからんでいるのじやないかという気がいたします。あのような寒いときに金を使いますには、手廻しよくやりませんと、内地のような考えで行きますと、行つたときには工事ができないということがあり得るのであります。そのようなことは私のほうとしても現在の制度におきましては、できるだけの範囲の注意はしておるつもりでございます。併しながら私ども仕事を直接担当しております者といたしましては、もう少しこういう面に早く金がつくような方法がお願いできないものかということを実は考えておる次第であります。
  105. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の予算の配賦の問題ですが、雪の降る地帯、こういうことに対して建設省あたりで何か一年度の予算配賦計画を立てて、そつちを優先的にやるというふうな考えを持つておられるのですか。
  106. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 勿論考えております。ただこれも限度があることでありまして、まあ本年度はやや平常の場合と異りますが、普通予算が編成されますと、やはり四半期別にいろいろとこれを分けて、どういうふうに金を出すかということをきめるのでありますが、この場合には、この寒冷地帯には特に多くの額を初期においてつけるという操作が必要かと思います。
  107. 東隆

    委員長東隆君) ほかにございませんか。
  108. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 施行の粗漏のために手直しがいろいろここに書いてございますが、手慣しに要する費用は請負の場合は請負人から或る程度取るのですか、その辺はどうなるのですか。
  109. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 請負いたしました工事が手直す場合には、請負人において負担をいたさせます。
  110. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 全部請負人が出すのですか。
  111. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) まあこれは個々の場合に当つていろいろあろうと思いますが、やはり請負に出しまして、設計通りのものを仕上げてもらえない場合には、我々としてはやはり請負のほうに手直しをしてもらうということを原則に考えております。
  112. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 例えばこの六号の場合に、六十四万五千五百十九円手直しに要したというときに、この全額を請負人が出しておるわけでございますか。
  113. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 実はこの場合に全部請負になにしたかどうか、私ここでちよつと記憶しておりませんが、この場合は先ほど申上げましたように、規格以下の詰石の分につきましていろいろ粗漏の点がございましたので、この点については請負人の申入れもありまして、請負人が全部負担をして直しております。
  114. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 十七号の案件なんですが、約六百万円ばかりの工事をまだ百万円未完成のものがあるのに金を全部払つてしまつた。こういうことがここに書いてあるわけですが、それのつまり六百万円、まだ未完成が百万円あつても払つてよろしいという許可を与えた最高の責任はどなたにあるのですか。
  115. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) この場合においては制度上は北海道開発局の建設部長であると考えます。
  116. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 実際この払つてよろしいというつまり許可を与えた人、機構上の責任者じやなくて、この六百万円払つてよろしい、こういう実際事情を知つての責任者の最高者は誰ですか。
  117. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) これは会計法上も北海道開発局の建設部長が支出負担行為担当官であり、支出官であることになつておりますので、責任ということになりますと、やはりその部長が責任者ということに了解いたします。
  118. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 こういう未完成のものを完成したとして金を払つたということについては、公務員法といいますか、何かそういつたような規則でどの程度のつまり懲罰というか、処置をするといつたような規則はあるのですか。民間会社では非常なことですが、先ほどあなたは厳重戒告をしているということですが、それで一体官庁というものは済むのですか、それをちよつと伺つておきたい。
  119. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 公務員法上別に直接そういう規定は私も存じませんが、併しこれはやはり行政官として仕事いたしております上において、やはりこの仕事のことでけしからんことがあれば、当然その責任は法律上どうということでなくて、やはりとらなければならんと思つております。
  120. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この北海道開発局関係の今日の議題になつております最高の責任者と、その人の何と言いますか、責任上の処置、それの一覧表を頂戴いたしたいと思います。
  121. 東隆

    委員長東隆君) 印刷物がありますが、只今のそれでよろしうございますか。
  122. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ちよつと印刷物を拝見しますと、処分という項にどこもなしとなつておりますが、これは今の厳重注意したいといつたようなことが処分の中に入るかも知れませんが、私たちから見ますと、非常に異様に感じるということを申上げておきます。
  123. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちよつとお伺いしたいのですが、この北海道の案件をずつと聞いておりますと、災害復旧は突貫工事をやらなければならない、突貫工事をやらなければならないからこういうことは止むを得んというようなお話があつたのですが、従来災害復旧工事についてこういうような事例があつたかどうかということをちよつと聞きます。
  124. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 突貫工事で止むを得ないというわけじやございませんので、北海道あたりでは時期的に非常に工事を急ぐという意味のことを申上げたのでありますが、災害復旧工事につきましては非常に制度も複雑でございまして、普通の補助金というものとやや趣を異にいたしまして、国庫負担法という法律が出ておりまして、いろいろむずかしい計算方法等がございますので、普通の場合に比べまして、ややその事務をとります職員事務に対する理解というようなものが制度ができてからやや暫く経ちませんと、十分に習熟しないという面がございます。そこで検査院のほうにおかれましても、いろいろと御指摘頂くわけでございますが、私どもといたしましては先ほど申しましたように、何か過ちがありました場合には、これはどしどし直して行きたいというふうに考えております。
  125. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで例えば二十五年度、二十四年度にもこういうような工事があつたと思うのですが、その場合にもやはりこういう手直しというような事態があつたかどうか、どうでしようか。
  126. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) これはやはり多い工事でございますので、二十五年度等につきましても、どこがどれくらいあつたか、私もちよつと存じませんけれども、例えば手直しを要するものも若干あつたのではないかと思います。さようなものにつきましては、別途検査院から又御指摘を受けてもおりますし、私のほうに実は監察官制度もございまして、検査院のお叱りを受けるのみならず、私のほうの省自体としての監察官が災害復旧というものをもう少し軌道に乗せたいということで非常に働いておりまして、それらと協力いたしまして、いろいろな措置を講じているわけでございます。
  127. 大倉精一

    ○大倉精一君 当面やはり九州あたりに災害復旧をやらなければならん工事が殖えて来るのですが、災害復旧は突貫工事だから、こういうようなものは付きものだというような恰好で何らの対策も講じられないということでは非常に困るのですが、具体的にどういうような対策を考えておられるか、あつたら聞かせてもらいたい。
  128. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) 実は私のほうでまだもう少し研究を要する問題があろうかと思いますが、私の所見を述べることを許して頂きますならば、従来は災害個所の非常に大きなものを直接実地に検査をするということができなかつたのであります。と申しますのは、非常に広範に災害が発生するのが例でありまして、先ず人的に申しましても、或いは予算の面におきましても、この検査がなかなか短時日に全部実施ができない。従つて若干のものは一応県の資料等を、県から提出されますところの写真その他を参考にいたしまして、これを査定をするというようなことも止むを得ずやつておりましたし、又現在でもさようなことを止むを得ずやつたおるわけであります。一つ原因はさようなところからも出るんじやないか、とにかく災害の個所は一応実査をして、目で見て個所を確かめて、いろいろ設計などを立てて復旧事業費などを決定するというのが正しい行き方、これも併し限度のあることでありまして、現在の人員を然らば幾ら殖やしてもらえるか、なかなかこの定員を増加するということも困難だと思います。それから又旅費を倍にしてもらうというようなことも、これも又なかなかできないことでございますので、只今はいろいろと研究をいたしておりますが、まあ単に私たちばかりでなくして、局或いは省といたしまして、全部一般協力いたしまして、現地へ出かけまして、一つできるだけ現地を見た上で設計なりを立てさせるということを励行したいと思つております。  それからなお中間的な検査なども、従来からやはり追われ追われておりまして、とかく遅れがちであつたということも私ども認めておりまして、これも一つその合間々々を縫いまして、できるだけよその応援を求めてもこれを一つ励行して行きたいというふうに只今考えております。
  129. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、この原因は結局手不足ということになるわけですね。
  130. 淺村廉

    説明員(淺村廉君) これは手不足原因だということになるかどうか……結局手不足ということが原因一つにはなつておると思います。
  131. 東隆

    委員長東隆君) ほかにありませんか……私それでは、委員長から少しお聞きしたいんですが、雪が降つて工事ができないという問題が大分あるのでありますが、これは会計年度の関係に非常に関係があるので、政務次官の玉置信一氏の意見があると思いますので、この際意見を述べて頂きたいと思います。
  132. 玉置信一

    政府委員(玉置信一君) 只今委員長からのお尋ねの点に関しましては、私どもといたしましても常に痛感いしたておる問題でございまして、御承知通り予算が決定いたしまして、四月に予算の令達させられてから、当初予算要求通りのものが来ればまだしもいいんですが、殆んどそういうことは考えられないことで、従つて予算令達後において設計変更等をなさねばならんのが殆んど大部分のように私ども今日まで見て来ております。そうしたことから積雪寒冷地、特に北海道のごとき領土の最北端にあつて仕事をする場合に、予算令達後に工事にかかるということになりますと、六月、七月になるわけであります。従つてこの時期から着工して、而も十一月にはもう雪が降るというような関係で、勢い突貫工事をやらなければならない事態に追込まれておるのが現状でございます。道路にいたしましても、土地改良にいたしましても、河川工事にいたしましても、なかんずく港湾漁港の工事に至りましては、八月以降九月になりますともう波が荒くなつて来る。こういうようなことで、常識的に考えられておりまする常に内地ということがよく言われておりますが、内地の事業とは全く趣を異にいたしているのであります。従いまして、会計年度に対しての批判もかなり最近出て参りまして、実は先般来北海道開発審議会においての審議の過程におきましても、この問題が取上げられている現状でございます。私どもといたしましては、できることならば会計年度の特別な変更を狙つて止まないのでありますが、併しこのことのみを以て北海道の特殊的な会計年度の変更ということもむずかしいだろうということを想像いたしておりますので、何か特別な立法措置によつて北海道の事業が少くとも内地並みに事業の着手を行えることにできるならば、こうした好ましからざる事態もなくなりはしないか、少くとも或る程度防止できるのじやないか。かように実は考えておりますので、委員会の委員の皆さまにおかれても特別の御考慮を願えれば非常に幸いと存じます。
  133. 東隆

    委員長東隆君) 私から、いまの玉置信一君の発言に対して官房会計課長の三橋信一君のこれは個人的な意見になるかも知れませんが、お考えを委員長としてお聞きしたいのです。
  134. 三橋信一

    政府委員(三橋信一君) これは全く個人的の意見になるわけでございますが、お尋ねがございますので申述べたいと思います。この問題につきましては、実は私内閣へ参ります前には建設省におりまして、そのときからあちこちの寒冷地のかたがたからいろいろそういう御意見を伺つておりました。そこでその当時私も又会計事務をやつておりました関係で、先ほど建設省の防災課長から御発言のありましたように、要するに今の予算制度或いは予算執行の制度というものが四半期に分けられている、四半期に分けた支払計画によつて執行して行くというようなことになつておりますので、これを年度の初め、つまり四月から寒冷地において施行の可能な十一月頃までの間に重点を置い配賦するということを実はその当時実行したわけであります。且つ当時会計法の改正、或いは予算決算会計令の改正等もございまして、或いは又その会計法の改正の際に継続費の制度の改正がございました。継続費というものは新憲法の下で初めてできたわけであります。これの制度を何らか活用するようにしてもらいたいということで実は些か努力いたしたわけでございます。そこで昔の土木工事の施行の状況を見ておりますと、いわゆる河川改修、例えば十年計画に基く河川改修というようなものは、直轄でいたします場合におきましても、相当な長年月に亘りますものはすべて継続費によつてつてつたような状態でございます。そこで新憲法の後におきましても、継続費にそういう河川改修工事等を入れることができないだろうかということで実は案を立てたわけであります。実は只今の河川改修状況から参りますと、戦時中の森林の濫伐等によりまして大分計画を立てることが非常にむずかしくなつておる、従つてまだ十分な計画ができておらんというようなことで、先ずその計画を立てることが最初ではないかというようなことになりまして、そこで比較的計画の立てやすいダム工事につきまして継続費の制度を入れたわけでございます。それやこれやから考えて見まして、要するに予算を年度当初に重点的に配置すること、それから只今申述べましたように河川の改修計画、まあ河川だけを取上げますが、河川の改修計画というものを十分に立てまして、そうして予算が評しますならば、これを継続費の制度に持ち込んで行く、そういたしますれば、例えば石狩川の改修計画に百億円なら百億円要るということになつて、それが継続費になりますれば、これにつきまして請負に出す場合には相当の年月間の長期の請負にすることもできますし、そういう関係で非常に工事の施行上便利になるというようなことで、継続費に持ち込むことが第二、それから第三点といたしまして、只今問題になりました会計年度を改正する問題でございますが、これもここ数年間実は問題になつておりますが、問題は土木工事或いはこれに類する工事のみの会計年度を別にするということは、現在の憲法に基きます財政法、或いは会計法等の制度の下ではいささかむずかしいのじやないか、これだけのみをきめますことはちよつとむずかしいということになりますれば、会計年度の改正ということではなくて、只今も政務次官の申述べましたような、何か特別の何と申しますか、立法措置と申しますか、それによつて何らかの策を見出して行くより止むを得ないじやないか、大体そんなように考えております。全く私見でございますけれども、そこらのところで何らかの解決方法を見出す以外にはちよつと方法がないように考えております。
  135. 東隆

    委員長東隆君) 救済方法について、一つ研究して頂きたいと思います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  136. 東隆

    委員長東隆君) 速記をつけて。  それでは本日はこれを以て散会いたします。次回は公報でお知らせをいたします。    午後四時五十三分散会、