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1953-07-30 第16回国会 参議院 経済安定委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十日(木曜日)    午前十一時三十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員泉山三六君辞任につき、その 補欠として上原正吉君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            高橋  衛君            八木 幸吉君    委員            岩沢 忠恭君            上原 正吉君            奥 むめお君            永井純一郎君            鮎川 義介君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    公正取引委員会    委員      湯地謹爾郎君    経済審議庁調整    部長      岩武 照彦君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省企業    局長      中野 哲夫君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衞君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 只今より経済安定委員会を開会いたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、前回に引続き質疑を継続いたします。  この際御報告を申上げることがございます。先般通産委員会との連合の際、豊田委員から、独禁法改正により大企業中小企業に対する圧迫が強化される懸念がある、不況カルテルの認容については特に厳重に留意されなければならん、又下請工業者に対する支払遅延、百貨店の仕入先に対するサービスの強要は取引上の地位を不当に利用する不公正な取引方法に該当する場合が多いと思う。右の認定の基準、支払遅延等に対する取締手続について文書を以て明確に方針を示されたいとの発言がありました。これについて公取当局から去る二十八日文書による回答があつた次第であります。これは資料として委員の各位に御配付いたしましたから御了承を願いたいと思います。  それではこれより質疑を継続いたします。本日は通商産業大臣岡野清豪君が病気療養で引きこもり中でございます。政府委員として政務次官池信三君、企業局長中野哲夫君、公正取引委員会委員長横田正俊君、同委員湯地謹爾郎君、経済審議庁調整部長岩武照彦君、以上の政府委員出席中であります。
  3. 奥むめお

    奥むめお君 私は通産大臣質問をしたいと思つていたのでありますが。止むを得ませんから政務次官にお伺いいたしますが、私的独占禁止法の緩和の法律案を審議しています過程感じますことは、意図されておることは、むしろこの法律が要らないのだというふうな感じを受けるのでございます。併しこれは大衆から、日常生活から考えますと非常に重要な問題でございますので、それの運用の面におきまして二、三聞きたいと思います。  その一つは、現にこの法律修正するまでもなくカルテル行為というものは行われておると思います。中でも二、三日前に配付されましたあの資料紡績綿紡績勧告操短に関する件、これにつきまして本年の二月二十五日附並びに三月五日附の文書を以て通産省繊維局長より綿紡績各社に対して生産制限を指示し、一斉操短を行うことが勧告された。これに対して公正取引委員会はどうするか、これは私ども非常に関心を持つて見ておりました。この結果は御承知のように、非常な値下りが食止められたでございましよう。又たくさんありましたストックもだんだん消化されたでございましよう。併し下るべき物価が下らなかつたという点では、我々消費者犠牲において操短勧告が行われたと、こう見ておるわけであります。それに対しましてこういうことは公正取引委員会がどうするかという関心を持つておるにもかかわらず、公取から望ましからざるものであると考えるという文書が出ましたのは実に六月二十八日附、この間に四カ月以上時がたつておる、この間に公取は何をしていたか。  それからこれが出ますときに公取がきつと私は反対しただろうと思うのです。公取の性格から言いまして、目的から言いまして、これに反対をしたと思うのでございますが、それでもそれをおしてあえて行われてしまつた、そうして四カ月以上たつてから望ましからざるものであると考えるという文書抗議が出ております。現にこういう事実があるのでございますが、私はこれからも産業立場に立ちますところの通産省がいろいろこういう問題で先走つたことを私はするという感じを持つ、如何でございますか。
  4. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先ず最初に本日は奥委員から私のほうの大臣に御質問があるお話でありますが、只今病気ため出席できませんことをお断りを申上げまして、私からできる限り代つてお答え申上げたいと思います。  只今お尋ねの件でございますが、政府は現在の私的独占禁止法はなくなつたほうがいいと思つておるのではないか、こういうお話でございますけれども、我々は決してさようには考えておりませんので、飽くまで私的独占禁止、又公正取引確保というそういう基本原則は堅持して参らねばならんということにおいては毫も変つていないのでありまして、ただ実際面に当りまして行過ぎと申しますか、却つてこれがため我が国経済の発展の上において好ましくないという点だけを是正して参ろうというのが趣旨でございます。  それから只今消費者利益という点からいろいろ御心配の点がございましたが、これは我々といたしましても皆消費者でございまするので、消費者立場ということは十分に考慮しておるわけであります。ただ消費者生産者と申しましても、これはよく考えて見ますると結局は利害は一致するものであり、又せねばならんと思うのでありまして、消費者利益ため生産者のほうはどうなつてもいいというものではなく、生産者が非常に無理な境遇に押し付られるということは、結局それによつて生産コストも上る、又生産合理化もできないということになつて参れば、これがすぐに消費者のほうにはね返つて参るのであつて却つて消費者利益を害するような結果になるのではないか、かように思います。従つて今回の提案も決してこれによつて消費者利益を害そうとするものでもなく、又実際においても害することのないものであるという確信を我我は持つておるのであります。  それから第三に、今年の春の綿紡に対する通産省としての勧告問題について御言及がございましたが、これはすでに私ども政府委員からも御説明申上げたかと存じますが、あの当時の状況からいたしまして、特にその原料が重要なる輸入物資であるという関係から、その手持量を勘案し、又当時の値段が実際の生産コストよりも遥かに下廻つてつたというような状態等を考えまして、我が国綿業の健全なる発達、これによつておのれによつておのずから消費者のほうにも妥当な利益をもたらすであろうということを考えました結果ああいう措置を講じた次第でありまして、それから後公正取引委員会のなさいました御措置等につきましては、いずれ委員会のほうでもお話があると思いまするが、通産省といたしましてとりたる措置は決して紡績業者利益を不当に図ろうというような目的ではなく、この事業をして本当に健全に生産を続行させたいというところに目的があつたということを御了承頂きたいと存じます。
  5. 奥むめお

    奥むめお君 横田さんに伺いたいと思いますが、これの経過を概略伺いたいし、それから時日を経過した間には関連中小企業が破産に瀕しておることはこれは明らかでありますが、こういう問題が私が一番心配する点でございます。その経過ちよつと聞かして頂きたいと思います。
  6. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 綿紡操短につきましては丁度これと並んでスフ綿、いわゆる化繊操短が同時に行われたのでございますが、これに対して我々は先ずこれを独占禁止法上のカルテルということで独禁法違反の疑いがあるといたしましていろいろ研究いたしたのでございますが、綿紡につきましては成るほど或いは綿紡の一部の人から役所に働きかけをするというようなことが想像できたのでございますが、審査過程におきましてそういう関係の証拠が甚だしつかりしたものがつかめなかつたことと、それから大体操短そのもの通産省制裁付の非常に強い勧告で行われておりますので、これはむしろ業者話合つて操短をしているというよりは、政府命令によつてつておる、こういうように見ましたので、これは正式のカルテル違反問題としては法律問題として取上げなかつたわけでございます。但しその操短が行われまする当時はやや綿業界一般としまして多少気の毒のような事情もあつたようでございますが、だんだんそれが続けられて参りまして、今奥さんがおつしやつたように六月頃になりまして十万円もするというようなことになつて、なお操短を続けておられますので、我々としましては一日も早く操短をやめて欲しい、これにはやはり通産省命令によつて行われておりまするので、通産省もそういう操短の勧暑をやめてもらわなければならんわけでございますので、六月になりまして中小企業等への影響等も考えて、この際操短勧告について再検討して欲しいということを申出たのでございます。その後多少操短の枠が変つて参つたように聞きましたが、併し依然本年に至るまで続けられて参りました。この点は我々としましても非常に不満足ではございましたが、今申しましたような観点から、法律的に我々としてはどうもすぐ手が出なかつたわけでございます。今後も今度の改正案に伴いましてやはり同じような形式で操短勧告が行われるということになりますると非常に困つたことになるわけでございますが、この点は改正法不況の場合につきましてああいう厳格な要件をきめましてカルテルを認めた以上は、この要件に当てはまれば認可を受けて操短もできるわけでございますが、この要件に当てはまらないものについて若しも政府勧告というようなことで操短が行われるということになると非常に面白くないのではないかということが一応心配されますが、この点は先般衆議院におきまする審査の際に通産大臣から今後は独占禁止法を無視したような行政措置による操短等は行わないということをはつきり言明されましたので、今後はそういうことはないと私は確信している次第でございます。
  7. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 先ほど私お答えするのを漏らしたことがございますので、お答え申上げますが、それは今後ああいうようなことをやるかやらんかというお尋ねがございましたのですが、これは只今公正取引委員長から衆議院委員会における私ども大臣の言明について御引例になりましたが、その通りどもも考えておりまして、この改正ができました以上はそういう必要も無論なくなるだろうと思いまするし、さようなことも我々としては今後やらないつもりでおりますから、どうぞ御了承願います。
  8. 奥むめお

    奥むめお君 横田さんが例えばそういう操短が今年も続いて、そうして年末でも続いてだんだん犠牲が出て来た、必要がなくなつた以上に犠牲が多くなつたわけでございますね。それを認めていらつしやるのですが、今度の修正案によりましても同様なことが案じられると思うのです。まあカルテルを一応認めた、これを時期に合わないから外すべきである、外すときが来たと思うときに簡単に外されますか。これも私が安心できるような御答弁を聞かしてもらいたいと思います。
  9. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は今回の改正案に対しまして衆議院修正がございまして、認可主務大臣協議しまして公正取引委員会がやるといういわば一本建の形になりまして、カルテルを認めまする場合も非常にその要件を厳格に見て参りたいと思いますが、仮に認可をいたしました後も絶えず事業者のその後の動きにつきましては報告を徴する等の方法によりまして、必要がなくなつたということがはつきりして参りました場合は、直ちに認可の変更なり取消の手続をいたすようにしてございます。これがやはり通産大臣協議をすることにはなつておりまするが、この手続を迅速確実に行いますれば、カルテルによる弊害を急速に除去できると考えます。
  10. 奥むめお

    奥むめお君 綿紡操短のときに、六月にこういう文書をお出しなつていらしてもなおずつと続けて行われた。お出しになつたのはここにも書いてありますように、「関連産業においては、すでにこのような弊害が一部に顕在化し、綿紡績における一斉操短による品薄、或いはこれに基く、綿紡績会社価格操作等によつて、一部商社の営業に種々の支障を与えると共に、又一方、原糸不足並びに原糸高綿布安の逆ざやによつて不況の圧力が弱小企業なる織布専業者にしわ寄せされ、これがため休業倒産の止むなきに至つているものも少くない。」こういう明らかな事実が出て、そうしてこういう意見書をお出しになつてもなお続いて行われておる。これが私どもから考えますと非常に不安を与えられておる点でございます。六十何条でございますか、この法案には成るほどそのときに合わなくなつたらこれを止めることができると書いてありますけれども、去年の暮と今日と、迅速に行われるという私どもが成るほどと思われるような何か変つた事情ができておりますか。
  11. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は実はそういう申入れ自体が正確に申上げますと独占禁止法のどの規定からということではなく、独占禁止法の精神に照しまして面白くないと思われる他の行政官庁の処分につきまして、一つのいわば警告を発するというような趣旨でございまして、それ以上の手が実は独占禁止法では打てないのでございます。従いましてこれに対して通産省が独自の見解でやはり操短を続けるべきであるという観点から続けられました場合に、我々としては独占禁止法打つ手が実はないのでございます。ところが今度は認可をいたしましてもそれを取消すのは公正取引委員会でございまして、その点は成るほど通産大甲協議はすることにはなつておりますが、協議が整わない場合でも公取は独自の見解によりまして取消すべきものであればどんどん取消すことが今度は、正式にできるわけでございますから、その点はこの間の綿紡のような結果にはならないというふうに私は考えております。
  12. 奥むめお

    奥むめお君 政府委員にお伺いいたします。第二十四条の二、再販売価格維持契約の問題でございますが、これが一種統制価格制度の拡大に行く虞れが十分にあると私どもは見るのでございますが、そうしてこの前どういう商品を考えていらつしやるかと公取のほうに聞きましたら、薬とか化粧品とかいうふうな御答弁でございました。併しこの法律をそのまま読みますと、これは広くたくさんの商品をここへ指定することができると思うのです。そうなりますと一種統制価格制、以前に統制価格の時分に行われましたような姿を我々は想定することができるのでございますが、それについての政府見解は如何でございましようか。
  13. 中野哲夫

    政府委員中野哲夫君) 御回答申上げます。この規定につきましてはすでに公正取引委員会から御回答申上げました通り化粧品等の非常に有名な商品についてこれがおとり販売に使われるということで、小売業者間に熾烈なる競争が行われるであろう虞れがある、中小企業者である商業者がそういうために不適当な競争を行い、その基礎も危くなる、こういうことでそういう商品法律に限りまして、そこで定価拘束契約を、これは結ぶ結ばんは自由でございますが、結ぶことによつて小売業者不当競争による弊害の面を除きたい、そのことは更に延いて消費者がおとりに使われた商品は安く買いまするが、その他の商品について粗悪な物を割高で買わされるいうような弊害も除けるのではないか、その点においては消費者についても利益があるのではないかということでございまして、主としてこの条文ができまする経過を御参考のために申上げますと、公正取引委員会に各そういう業者小売業の方面からさような希望の申出もあつたようでございまして、公正取引委員会においてアメリカの制度ども参酌されまして十分御考究の上、前国会において提案いたしました改正案の中にも挿入されておるのでございます。この件につきましては勿論私ども通産省に対しましても法案提出前に御相談がありまして、我々も一緒になつて研究相談をいたしました結果、小売業者における一種の安定と申しますか、秩序を維持しますためには必要である、かように考えまして同意をいたし、政府原案に入つておるような次第でございます。なお附加えますと、前国会におきましては、この第五項にありますような各種の組合協同組合に対する共同施設として物品販売をやつておるのでございますが、これについてはこの規定を外すということによつて組合員たる消費者が従来受けておつた割引利益を認めるというふうな修正と申しますか、前国会提案に一部修正を加えて本国会に御審議を仰いでおるような状況でございます。  以上のような理由及び経過から申しまして、通産省といたしましても、只今奥さんから御懸念を持ち御指摘がありましたように、この法案の書き方が非常に広く解されて、事実上一種統制価格制度ができるというようなことになりはしないかということはございませんと思いまするし、法文の第二項にも当該商品一般消費者によつて日常使用されるものである、或いは自由な競争が行われておる、或いは第二十四条の二の本文にもいろいろな限定がございまするので、私ども只今指摘になり、又公取が申されておりますように、化粧品とかいうような比較的限定されたものにこれが現実の問題として適用があるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  14. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  15. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。
  16. 永井純一郎

    永井純一郎君 今のにもう少し関連して伺いたいと思いますが、私も綿紡関係操短の問題についてお尋ねをしようと思いますが、現在の独禁法の下においても、私は考え方が少し先ほどの委員長お答えと違うのですが、ここに出されたようなこういう警告文書の中にありまするように、すでにこのことによつて弱小企業者なり中小企業者がたくさん倒産したのです。現実に私の郷里なんか特に綿布業者、織布業者というものは非常に多いのですが、たくさんの倒産者が出て一家心中だとかいうようなことがたくさんありました。と同時に、なお且つ紡績会社は馘首をやつたのです。たくさん首切りをやりました。これは私は明らかに今日あとでもう少しお聞きしますけれども憲法の中に規定してある公共の福祉というようなこと、それから労働者を保護しなければならないというようなこと、そういうことを中心に作つた民主憲法下における法律の重要な体系として経済民主化法律がある、労働関係法がある、これは民主憲法下において動かすことのできない一つ法律体系だと思う。これを崩すことは一切何人にも私は許されない、日本の今日の憲法下においては許されないということは、これは動かすべからざることであると考えておる。そういうふうな憲法の上から順次考えて来て、そうして現在独禁法下にあつてもこういう警告をされておるような内容のことがあれば、私は横田さんは今警告をしたけれども、それ以上公取としては法律上やるべきことができなかつたというようなことを言われまするけれども、私はできるじやないかと思う。現実にそれは公共利益に反すると同時に、迫しておる。中小企業者現実倒産とか一家心中とかいうようなことが起つておる。それが一つつても明らかに法律に触れるのだと思う。まして大量の首切りをやるというような現実である以上は、大して調査しなくてもすぐわかる。そういうことはわかる。そうであるならば警告にとどまらず、私はその原因をなした通産省勧告そのものがやはり独禁法対象となる。独禁法からいつて通産省役所だからといつてなされる何らの法律的根拠はないのだと思う。なぜ法律的に追及できないのか、その点を私はお伺いしたいと思います。
  17. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その点は私ども考え方は、先ほど御説明が少し不十分でございましたが、独占禁止法のいわゆる違反対象として取上げ得るものは事業者ということになつておりますので、結局この場合に若し取上げるとすれば、勧告従つて操短をしておる個々のメーカーをつかまえるということになるわけでございます。従いまして若し操短というものがメーカー同士話合いの結果、つまりカルテルが形成されて、そうして操短が続いておるという認定がつきますれば、これは公正取引委員会としましてもその面を取上げまして綿紡何十社かを被審人にいたしまして操短を止めるべきことの手続をすることができるわけでございまするが、この綿紡につきましては私どもはそういう一種法律上のカルテルができていないというふうに見ましたわけであります。ただ同じような事態ではございましたが、化繊スフ綿操短につきましては、通産省綿紡の場合と非常に違いまして、非常にゆるやかな態度で、大体大きな枠だけを示されて、それに基きまして業者がいろいろ各自の操短すべき率などを話合つてきめて、そうしてそこにやはりカルテル活動があつた。それに其いて操短が二カ月くらい行われておつたことがわかりましたので、これに対しましては直ちに審判開始といたしたわけでございます。なお行政官庁のそういう独禁法上面白くないところに対して公取が手を打てるような法律というものがあれば又勿論それでいいのでございますが、この点は又非常に公正取引委員会権限、それから一般の行政府権限の非常にむずかしい問題でございます。その点に現行法では公取を上の機関としておりません以上は、打つ手はないということになるかと思います。
  18. 永井純一郎

    永井純一郎君 私はこれからいろいろ発言する中に少し出過ぎたことを言うかも知れないが、私は非常な公取支援者であつてその応援をしたいと思う。そこでいろいろのことを言うかも知れないが、決して悪い意味で言つておるのではないので、あらかじめこれは委員長に御了解を得ておいて、頂きたいと思います。今のお答え法律事業者ということを謳つている、そこで事業者が例えば綿紡の場合ですと明らかに操短などによつて首切つて中小企業が困つたりしておることが私はたとえ一つつても二つあつてもいけないと思う。そういう事実があればそのことによつてこういうことがあるから通産省のやつておることは間接的にも間違いだということでやめるまでやはり極力やらなければならん。どうも独禁法に該当するようなことがはつきり認められなかつたというようなお答えですけれも、それはもうちよつと調べれば、そういう末端の事業があるのですから、特に首切なということはやはりいけない著しい一つの事実だと思います。ですからこれをやろうと思えば公取はやれたのだと思う。まあ一回、二回だけでなくて、何回もやつたらいいのです。その一回や二回やつてどうも相手が通産省だからやりにくいということでやめるのでなくて、私の言いたいことは、もつと強力に積極的にやるということも私は公取のやり方としては必要なことだということを感ずるのが一つと、それからもう一つは、通産省がういう勧告出したのはあれは明らかに業者との話合いなんです。これは何人も知つているのです。我々内容もいろいろな抗議等や何かの情報を持つてつておりますが、明らかに話合いのうちで何とかして逃れる脱法的なあれはないだろうかということでこれはやつたのです。そこで私は直接そういうものに対する法律が今ないと言われますけれども、これは業者がやつた独禁法に触れる違法な行為を明らかに通産省が助けておるのである、幇助罪に私はなると思う。それは一般的な刑法の規定によつて追及できるのじやないかと思います。私はこまで公取は積極的に研究をされてこまでやるならばこれはもう何人が見ても、我々は素人ですけれども、何人が見ても通産省一つ独禁法違反に対する補助をやつておる、その助けをやつておる、こう見ることが最も正しいのです。何人も一般消費者はそう考えている、被害を受けた大衆がそう考えているのです。そういうことはできないのかどうか、公取としてはそこまで行くことはできないのかどうかを私はお伺いしたいと思います。
  19. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) その問題は実は相当我々も研究いたしたのでございまして、中には行政官庁のいろいろな勧告そのものが正当な法律上の権限に基かない場合は、その勧告をしたことを利用して業者が実質上カルテルをやつていると認められる場合には、これを独占禁止法上取上げられるというような考え方があるのでございますが、現にこれは問題が少し違いますが、新式焼酎の庫出の制限をこれは何社でございましたか、焼酎を造る会社がございまして、それが非常に値が崩れましてお互いに困つた結果庫出の制限をする、ところが自分たちの話合いだけではうまく行かんということで、大蔵省に協会で決議をいたしまして働きかけて、これは大蔵省なかなか動かなかつたのでありますが、二度も働きかけましてその結果たしか課長クラスのかただと思いますが、その名前によつて各社に対して庫出の制限を一種命令ではない、あとでそういうことになつたのでございますが、そういうような指図をされまして、それに基きましていわゆる庫出の制限ということが行われました。これに対しましては我我もいろいろ議論がございましたが、大蔵省にいろいろ聞いて見ますると、これは単にその課長の一存でやつたので、酒税法に基く正式の指図ではない、命令ではないということがはつきりいたしましたので、この場合は違反といたしまして協会のそういう行為を取上げて現にこれは同意審決で審判が確定したのでございます。それと同じように綿紡操短を見ますと、或いはおつしやいますように正式に取上げて多少の法律上の疑義がございましても、これは裁判所まで持つてつてこういう点は明らかにさすべきであつたかも知れません。何分綿紡操短につきましてはすでに省議に付せられまして、なお一面におきましては例の原料の割当権というものを通産省が握つておるというような関係もございまして、今の大蔵省の一課長の計らいとはよほど程度が違つているように思いましたし、それから先ほどもちよつと申しましたように、業者からの通産省への働きかけというような面につきましては、我々の審査能力が甚だ不十分だつたせいもございまして、十分な事実を把握し得なかつた結果等いろいろ相待ちまして正式な事件として取上げることを差控えたのでございます。
  20. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は公取が十分な活動をするために陣容が整つておらない、非常に不足しておるということもよく知つておる。これはあとで又お尋ねをしたいと思うのですが、私が今申上げるように、今すでにこれは改正しようとしておるわけですが、今の独禁法がある間にこれはやはり裁判所まで鉄鋼関係も、綿紡関係も、全部持つて行くべきだと思うのです。そのことが公取の重要な任務だと思う。これは多少疑義があつてもそのことは通産省への警告のような文書を一回くらい出しても通産省が正当な権限に基くいろいろな行政の行為をやる以外に、実質的には商行為と変らないようなことをやつている、もつと非常に大きな取引の実態を侵すようなことをやつているのです。通産省あたりそういうことをやりがちなんです。これは歴史が証明しておる。ですからその辺の実態を見逃すわけには参りませんが、私は鉄鋼関係、肥料関係綿紡関係といつたような全部の消費者、農民といつたようなものに関係する重要な物資というようなものに対する独禁法違反のものは、その官庁を相手にして裁判所までとにかく持つて行く、それがうなろうと持つて行くということが非常に大きな警告になる、そのことがどう結末がつこうとも実際上の非常に大きな警告になるし、国民大衆がそのことによつて非常に支援をしてくれるし、わかつてくれる、こう思うのです。ですから私は公取はこれは全く独立の機関なんですから、まあ総理大臣から任命はされますけれも、任命されて職責を担当された以上は堂々と本当に常に消費者の或いは農民のことを考えてやつてもらつて参る、裁判所までどんどん持つて行くというようなことを、私は今からでも遅くないからやるべきだと思うのです。ところが改正して緩和してなお且つ員数も少いということで、引込思案になりますというと、独禁法というものは実質的には私はあつてないものに等しいものになつてしまうと思うのです。このことは質問するというよりも私はそう思うし、そうやつたらどうか、そういうようなものについてはこう思うのです。これはお答えを得るというよりも、このままにしておきますが、更にそこでもう一つお尋ねしたいのは、それでは通産省のような綿紡関係のようなことが起つてしまう、委員長が言われるのは認可についていろいろちやんと要件を付けて、そこでその要件というものが整わなければ認可しない、今度はまあこう言われるわけなんです。その点は成るほどよくなつたようにも思いまするが、それでは通産省が原綿の割当をやつておる、必然的に原綿の割当をやることによつて操短ができるのですね。これは今度の法律はどういうふうにできますか。
  21. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 原綿の割当、これは通産省の全く権限でありまして、その結果いわゆる一部競争制限的なことが起りましても、これはどうも独占禁止法上は取上げないというふうに私は考えます。
  22. 永井純一郎

    永井純一郎君 そのために公正な取引が行われないのですよ。そうしてそれによつて現実操短が行われる、ここにあなたが勧告されたような、又その結果が同じように中小企業なりにしわ寄せされてしまつて、原料高の製品安に中小企業者はなつてしまうのです。
  23. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) これはやはり先ほど申上げましたそれと並んで、若し何か業者のほうの活動というようなことで独占禁止法上取上げ得る面がございますれば、その面において取上げられる場合があるかも知れませんが、併しただ通産省の原綿の割当の結果そこに或る業者に非常に有利で、他の業者が非常に不利な立場に置かれるということになりましたら、どうもこの点はそれだけでは独占禁止法の問題にし得ないのではないかと思います。
  24. 永井純一郎

    永井純一郎君 通産省にお聞きしますが、原綿の割当というのは何か明らかにそういう権限があるのですか。或いはただ行政上便宜割当をしているのですか。別にこうこうだといつて通産省設置法の中にそんなものはないでしよう。
  25. 中野哲夫

    政府委員中野哲夫君) 原綿の割当と申しますのは外国為替の割当でございます。そういたしますと私該当条文をここに記憶しておりませんが、為替管理法の中にそういう外貨割当の権限が、メーカーの場合には通産大臣として法律、政令或いは省令もありますか、はつきり明定してあると思います。為替割当の場合……。
  26. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は法文は別に調べていないのだが、見なければわからないが、常識から言つて外貨の割当権限あるとちやんと書いてあるのではなくて、外貨については外貨の予算を組んでどうのこうのというふうに書いてあるのじやないか、そういう統制法規にむしろあつたような、法規にはないのでこれは行政庁でやることであつて、附随的に、便宜的に割当をやらざるを得ないので私はやつておるのではないかと思う。そうだと非常に私は問題だと思う。正式の権限に基く、法律の根拠に注ぐ割当権というようなものじや私はないと思うのです。これは資料を調べれば恐らくそうだと思います。そうなれば今横田委員長さんがおつしやることも、法律的には私はまだなかなか疑義があり得る、この点はよく一つ研究をしてもらつて、原綿の割当権を持つておるかのごとく通産省が言いふらして、それによつて自由に紡績会社話合いをして原綿の割当を通じて実際上操短をやつてつて、そのことによつて大きな紡績会社の独占価格を維持して行つておるのです。そういうことが明らかに独禁法違反なんです。何らかの方法を講じてそれをやはり私は防がなければならないと思う。特に原綿の割当というようなものが明らかに通産省設置法か或いはその他の外為関係法律か、為替関係法律か、何か知らんが、私はそういうものにないと思う、なければその適切な対策というものを一つ公取で講ずるように考えて頂きたい、そうして原綿の割当によるところの実質的に操短されることによる独占価格の維持というものに対して、適切な措置をとるということを是非しなければならんものだと、こう思うのです。尤もそういうことをされるように法律がぴたつと行けばいいのですけれども、それは到底できておらないと思いますが、併し今も申上げるように、私は努力をして頂かなければならんと思うのですが、この点相当研究の余地があると思うのだが、委員長の所見をお伺いしておきたいと思います。
  27. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 只今行政官庁権限に基いていろいろ業者間の競争が制限せられて、その結果独占禁止法の精神に照しまして面白くない事態が生じて来る、この場合の措置につきましては、先ほども申上げましたように、法律上の問題としましても、なお私どものほうで検討すべき余地があることを私も認めますが、この点はこの改正を機会に構想を新たにいたしまして、十分研究いたしたいと思つております。
  28. 永井純一郎

    永井純一郎君 先ほどちよつどお話申上げたのですが、今公取に二百何名でしたかの陣容があると思うのです。今度の衆議院修正によりまして幸いに認可権が公取一本になつたということは私は一つの非常にいい修正であつたと思うのです。そこで一本になりましたからこれはそれだけ公取の責任は半面非常に重大だと思うのです。そうして先ほど来委員長がおつしやるように、認可をする要件を一々自分が認定して認可して行けるわけでありますから、或る意味においては事務的には従来よりも成るほどやりやすくなつたというようなこともあるかも知れませんが、併しそれだけに能率を挙げようと思えばこれは相当その陣容が整わないと今までのようなことになつてしまうと思うのです。そこで陣容がどのくらいあつたならば折角一本になつた認可権に基いて十分な活動ができるのか、これをお伺いしたいと思います。
  29. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 今回のカルテル認可につきまして、特に不況カルテルの場合につきまして一番むずかしい点は、いわゆる生産費の計算等の問題だと考えますが、これは外国の丁度公正取引委員会のような仕事を、アメリカでは連邦取引委員会と申しますか、フエデラル・トレード・コミッシヨン、それからアメリカの司法省内の反トラスト部、ここに相当大きな陣容を擁して、殊に原価計算等につきましては相当のエキスパートを抱えておるように聞いております。理想的に申しまするとそういう専門家を相当たくさん、而も殆んどあらゆる業種に亘るのでございまして、贅沢を申上げますとこれは切りのないことでございますが、現在の日本の貧困の状態におきましてそういう贅沢な官庁の施設を持つこともどうかと思いますが、我々とましては何人を、又予算をどのくらいということをはつきり只今申上げかもるのでございますが、エキスパートが集められるということでありますれば、或いは十数人、二十人くらいでも相当改善されると思うのであります。この点は先般も、昨日でございましたか岡田委員から御質疑がございまして、それに対して緒方副総理から、事務の殖えることはわかるが一応やつて見て、いよいよいけないということになれば、公取委員長とよく協議をして適当に考慮したいというお話もございました。この点は一応只今の陣容でやつて見まして、いよいよいけないということになりましたら急速に政府のほうへ働きかけまして、適当な措置をとつて行きたいと考えております。
  30. 永井純一郎

    永井純一郎君 公取は予算について特別の会計検査院や裁判所のようなあれはなかつたのですか。
  31. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) ございません。
  32. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこでもう一つお伺したいのは、今のようなことを早急に計画してもらつて、そういうものを見せてもらいたいと思うのですが、それは公取委員会にはいろいろ自分の、公取委員会の業務と言いますか、事務について国会意見書を提出することができるというような規定がありますね。ですからその規定に基いてその陣容、こうこういう仕事をこういうふうに今度はしたい、それについてはこれだけの予算が要つて、これだけの機構、人員が要るのだというようなことを、これは今までも私は公取委員会は積極的に国会にその意見書を出すべきだつたと思います。経済民主化の基本法と言われるものの実施なんですから……。そういうことが一回も公取からは出されたこともなく、そうして常に少い人員で重要な仕事の調査が十分手がとどかなくて、独禁法が死文に等しいような状態になつてしまつているのです。そのために多数の消費者なり勤労大衆が非常に困難を来たしておるということでありますから、これは私は重大だと思う。国会でもこれは十分に取上げ、検討をしなければならん問題でありますから、法に基くところの今申上げたような意見書を私は早急に公取委員長から出してもらいたい、こう思うのです。その意見書の中に、私が特にお聞きしたいのは、これは地方の組織というものは要らないのかどうか。又従来地方に経済調査庁でしたか、そういうようなものがあつて、今もたしか行政管理庁の、各府県の支局だか何かになつていますが、ああいうようなものを使えば、法律改正してあれを公取が使うことができるのじやないかと思いますが、そういうことも研究してもらつて、できるならそういうことを加えた意見書をこれは一つ国会に出せるのですから出してもらう、こういうふうに思うのですが、この点について委員長の御意見を承わりたいと思います。
  33. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 非常に適切な御指摘を頂きまして、私どもとしましては大変有難く思うわけでございますが、実は今までの状況を申上げますと、その全く反対の状況で。ございまして、昨日も申上げましたが、最初三百五十人ほどでございました定員が現在は二百四十五人に数次の行政整理を経まして減りました。なお委員の数も七人から現在は五人になつておりますが、そのようにいたしまして、大体他の行政官庁並みでございますが、こういう小さい役所でございますので、同じ率で減らされるような場合には非常な影響を受けて来ました。我々としましては、その都度いろいろこちらの意見を申してあるわけでございますが、常にそれがうまく参りませんので、だんだんと細つて来ておるわけでございますが、おつしやいますように、国会に対する意見の提出という立派な権限もございますが、今までは大体いろいろな各種の法律の中に独占禁止法の精神を入れることについてはかなり努力をして参りました。或る意味では非常に他の官庁から攻撃されるというような、非難を受けるほどその点はやつているわけでありまして、大体官庁間の話で法律問題は解決しておりますので、法律の点につきましては国会に意見を申上げることはなかつたのでありますが、今後独禁法施行全体の問題、殊に公取委員会の機構の問題等につきましてはこれほど国会において公正取引委員会に理解を深めて頂きまして、今後この方法によりまして若しも適当な予算人員等におきまして政府の理解が得られません場合には、国会にお願いをいたすというようなことも今後は起るかと思います。その点は今まで甚だ消極的に過ぎておりましたが、今後はこの点は検討いたしまして御趣旨に副うようにいたしたいと思つております。
  34. 永井純一郎

    永井純一郎君 今まで公取委員会は非常に重大な任務を持ちながら御上品に過ぎたと言いますが、私どもから見ると非常にはがゆかつたのであります。今度も予算の節減等については最高裁、会計検査院等も積極的に自分の機関の独立性に鑑み、財政法が保障するところの権限に基いてどんどん書類を出して来ております。従つて公取も少しもその点遠慮することはないと考えますので、至急そういうものを出すようにして頂きたいと考えます。
  35. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは一応午前の質疑はこの程度で打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは暫時休憩をいたします。    午後零時四十分休憩    —————・—————    午後三時二十三分開会
  37. 早川愼一

    委員長早川愼一君) これより休憩前に引続き経済安定委員会を再開いたします。  前回に引続き質疑を継続いたします。  質疑者が出席になつておりませんから、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会