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国務大臣(
岡野清豪君)
お答え申上げます。東南アジアの
開発に我々が寄与して、そして大いに提携して行きたい、こういうことは、長い間の希望でありますし、それから同時に今までの
実績といたしまして
日本の貿易のまあ輸出の三割六分ぐらいはやはり東南アジア向けにな
つておりますし、輸入が約二割だと思いますが、今の現状におきましても、東南アジアの貿易の
日本の貿易に対する比率から申しますというと、これは
相当な基礎を持
つておりまして、同時に、これを発展さして行きたい、というのが我々の念願であります。そこで外交交渉の点が
只今までも余り効果が挙らなか
つたとか、余りいい外交じやなか
つたという御批判もございましようが、私は、新市場の開拓と同時に今までの、この市場を拡張して行くということにつきましては、無論安い、いい物を作
つて行く、而も、
向うが、欲しが
つているものを作るということが通商産業行政としましては、大事なことでございますけれ
ども今、御
承知の
通りにこの貿易を発展さして行くのには、やはり外交というものはこの際非常に大事なことだと私は痛感している次第であります。今後私は外務省とよく連絡をとりまして、我々の通商が外交交渉に片棒をかついで、而も立派にや
つて行けるようにどんどん改善をして行きたいというようなことを、まあ念願しているような次第でございます。
それから中共貿易でございますが、これは、私もいろいろ中共というものは、非常に近いところである。同時に又、親密にや
つて行かなければならん
情勢で、今後善隣外交をや
つて行かなければならんという
立場にございますので、できるならば、中共貿易を進展さして行きたいと、私の狙いといたしましては貿易を通じてやはり民間、即ち国民外交によ
つて中共との間の感情を融和して行くというのも、これは貿易を通じて
一つの私の狙いでございますから、
只今のところでは正式に外交的にはやはり国連協力の線に沿
つて中共に対して余り差出がましい努力ができなくな
つていますけれ
ども、併し今後若し
日本というものが貿易上伸びて行かなければならんのは、中共をネグレクトするわけに行かんと思いますが、ただ問題は戦前に約九億からの、
数字が間違
つておりましたらあとで
事務当局から訂正して頂きますが、戦前九—十一年頃だと思いますが、九億ドルぐらいの輸出に対して、中共に対するものは一億八千万ドルと私は記憶しております。そういたしますと当時の輸出貿易から申しましても、中共は
日本の全体の貿易総額に対してウエイトを持
つてお
つたじやないか。それにかたがた加えまして戦後におきまして、即ち現今におきましては中共の貿易の仕方がすつかり形態を変えてしま
つている。先ず第一にこれはその
政府の管理貿易にな
つておるということ、それから
向うでも五カ年
計画とか何とかを立てまして、自分で外国から輸入するものについては
相当に制限しておりまして、元の
日本と中共地区における貿易の品目、品種、その他のものが完全に一致して若し国交が回復したら、すぐ元の
状態までに戻
つて来るという性質のものじや全然なくな
つてしま
つたのだ、こういう点に我々としまして中共貿易に非常に腐心しながら困
つたことだと思
つている次第でございます。これは何いたしまして、あれだけの大きな都市と資源もたくさんございますし、
日本の欲しいものもございますし、同時に
向うの国民が非常にたくさんおるので、それに対する需要というものは
相当あるものと先ず
考えてよろしいと思います。その意味におきまして
只今の国際
情勢において
日本が置かれているところの国際的地位に対する制限は受けますけれ
ども、その制限の範囲内においては私はできるだけ中共貿易ができて行
つて欲しいというような
考えを持
つてこれに推進をしておるわけでございます。
それから華僑の問題でございますが、私も支那の華僑の力というものは
相当強いものでございまして、無論台湾
政府というものの感化、若しくはその親しみのある華僑も
相当ございますが、だんだんと華僑が貿易の面におきまして中共というものを基礎にしてや
つて来ておるということも、大体中共の五カ年
計画あたりの発足から出まして実力をつけつつあると
考えますので、無論そういう
方面とも
日本の貿易
業者が十分な緊密な連絡をと
つてやらなければならんとこう
考えておりますが、何にいたしましても外交というものにつきまして
相当今までのきま
つた定石的な外交ではこの困難を打開することはできませんから、外交は時に
つて変
つて行くものとこう
考えまして、世界の
情勢の変化というものをいつも敏感に感じまして、そうしていい組織を持
つて行きたいとこういうように外務大臣じやございませんけれ
ども考えておりまして、そういうような意味のことを以て思想を以て外務大臣とよく連絡をして対外貿易の振興に努めて行きたいとまあ私
どもはこう
考えております。