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1953-07-14 第16回国会 参議院 経済安定委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員の異動 七月十日委員泉山三六君辞任につ き、その補欠として西岡ハル君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            高橋  衛君            八木 幸吉君    委員            岩沢 忠恭君            西岡 ハル君            永井純一郎君   衆議院議員            綱島 正興君            大橋 武夫君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君   政府委員    経済審議庁次長 平井冨三郎君    経済審議庁総務    部長      西原 直廉君    経済審議庁審議    官      今井田研二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君            内田源兵衛君   説明員    大蔵省主計局主    計官      柏木 雄介君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○離島振興法案衆議院提出) ○日本経済の安定と復興に関する調査  の件  (経済自立政策に関する件)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは只今から委員会を開会いたします。  前回離島振興法案に関する政府側の一応の説明がございましたが、なお大蔵省主計局からも見えておりますから若しも質問がございましたならばこの際併せて御質問を継続して頂きたいと思います。
  3. 高橋衛

    高橋衛君 この離島振興法案で現在審議中の二十八年度の予算上予定せられておる予算の金額は幾らになつておりますか。
  4. 柏木雄介

    説明員柏木雄介君) 資料を持つておりませんから後ほど資料を以てお答えいたします。
  5. 高橋衛

    高橋衛君 同時にお聞きいたしたいのでありますが、その対象になつている離島について予算二十八年度の現に審議になつている予算がこの法律が出ることによつてその予算がどの程度に変更されるかという点と、又この法律に関連して新らしく予算を必要とするか否かという点、それからいま一つはこの離島振興法案対象になつているという事業とこれと割合に近似関係にある僻地等事業についてのバランスをどうとるかと、それが現在の法制上どの程度に可能なりや否やという点、その点だけ政府側の見解をお聞きしたい。
  6. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 審議庁でありますが、只今お尋ねのうちで本年度の事業費はどのくらいであるかというお尋ねでございますが、御承知のようにこの法律ができましてから離島振興対策委員会を作りましてその審議会におきまして事業計画を決定するわけであります。従つてこの国会での予算には恐らく事業費は組込まれないことになるのではなかろうかと思います。
  7. 高橋衛

    高橋衛君 只今の御答弁によりますと恐らくという言葉を使つておられますが、まあ絶対ないと承知していいのでありますか。その点は如何でありますか。新らしくこの予算をこの法律を作ることによつて新らしく予算を計上するという形になるのですか、その点一つお聞きしたいと思います。
  8. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 離島に対する本来の公共事業費は二十八年度予算には入つておると思います。併しこの法律に伴うところの補助率を引上げました予算というものは二十八年度予算には組込まれないことになろうかと思います。
  9. 高橋衛

    高橋衛君 二十八年度予算には組込まれないという意味は二十八年度は結局予算化することはないであろうという御答弁承知していいのですか。
  10. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) さようでございます。
  11. 高橋衛

    高橋衛君 この法律ができても二十八年度中にはこの法律が実効を表わすことがないと、こう承知していいのでありますか。
  12. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 予算補正機会でもありますればそのときには計上されることになろうと思いますが……
  13. 高橋衛

    高橋衛君 この法律予算成立前に出ればこの法律趣旨に待つて予算の変更が行われることが予算上当然だと思うのでありますが、そういうふうに政府側ではお考えではありませんか。
  14. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 先ほど申上げましたように、この法律が通過いたしますと、新たに離島対策審議会ができましてその審議会におきまして、事業計画を決定いたしまして、それで後に初めて如何なる事業を実施し、如何なる予算を必要とするかという問題が起つて来るわけでありますので、只今この時期に審議、仮に国会を通過いたしましても予算には間に合わないのではなかろうかというふうに考えております。
  15. 高橋衛

    高橋衛君 それから先ほど最後にお聞きいたしましたこの離島振興法案対象になる地域とその他の僻地とのバランスをどうしてとれるかという点についてのお答え政府側から頂きたいと存じます。
  16. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) 只今お尋ねちよつと御趣旨を了解しかねたのでありますが、近似地との比較の問題と申しますと補助率の相違を如何応ずるかというふうな御質問と了解していいのでございましようか。
  17. 高橋衛

    高橋衛君 その通りでございます。
  18. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) これはこの法律が出ましてこの法律対象となる地域はこれは当然もう補助率は変つて来るわけでございますが、それ以外の地域従前通り補助率で行くことに相成ろうかと思つております。
  19. 高橋衛

    高橋衛君 離島の問題についてはこの法律ははつきり明定しておりますから問題はありませんが、離島に相近似するような状態の下にこれらの地域においてこれらの事業をなした場合においては現在の法制上何かこれとバランスはとれるような実際上、行政措置によつてなし得る方策がないかということをお聞きしておるわけです。只今お答えによると、法律は違つておるのだからそうなるのだということですが、それも一つお答えではありますが、その点をお聞きしたいと思います。
  20. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 只今高橋さんの御質問離島というものが特に特殊な地域を指定されるということになりますが、併し広い国内でございますから離島に指定される地域以外にもいろいろ条件からみて補助率等は同じに考えたほうが適当ではないかという区域があるのじやないか、こういう御趣旨の御質問と存ずるのでございますが、この点は誠に同感でございまして、私どもはやはり国土の全般的な開発という見地から申しましてひとり離島ばかりでなくそうした僻陬の地にも必要な事業を進めるために必要があれば補助率を増すということができればそうしたいと存じているわけでございます。併しこの法案といたしましては差当りそういう僻陬地域の中でも、最も顕著なものといたしまして、差当り離島についてこれを実施しようということを目的とした法案なのでございますから、この法案自体において離島以外の問題を解決するということはできません。これは別途お考えを頂くべき問題であるとさように存じておるわけでございます
  21. 高橋衛

    高橋衛君 別途に措置をすべき問題であるということは私もよく承知いたしておるのであります。又、この法案自体についてもこれが反対だということを強いて言つておるのではないのであります。ただ現在の行政上の措置で以て何らかのモデフィケーシヨンができんかということを政府側にお聞きしておるわけであります。
  22. 柏木雄介

    説明員柏木雄介君) 詳しくは存じませんが、平衡交付金配分の際にはその各種のことを一応考慮して配分をきめるわけであります。その中に僻地というような問題もたしか考慮されておるように承知しております。
  23. 高橋衛

    高橋衛君 そういたしますと、平衡交付金配分計算をいたします際には、離島振興法案ができ、これに基くところの予算化ができた場合においてはおのずから基準も変つて来ると、こう考えてよいのでありますか。
  24. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 便宜私から提案者として考えておつた点お答え申上げます。お答えになるかどうかわかりませんが、現在地方の市町村の財政を解決する方法として平衡交付金があることは御承知通りでございますが、この離島振興法案によりまするというと、離島振興計画というものができまして、そして特に必要性の大きな事業が大幅に取上げられて行くということになります。従いまするというと、これだけの財政需要というものが自然に殖えて来るわけでありまするから、これに対しまする地元負担相当するだけの平衡交付金というものは、これはおのずから計算考えなければならんということになると存じます。
  25. 高橋衛

    高橋衛君 只今の御説明によりますと、この離島振興法案によつて、むしろ離島のほうに平衡交付金が殖えるという條件が殖えるのであつて、その他の僻陬地とのバランスがとれる方向に行くと、平衡交付金の算定の上において逆のようにお聞きしましたが、その通りでございますか。
  26. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) これは離島振興法という法案自体が本来離島を特に開発の必要を認めて開発して行ごう、こういう関係でございますからほかの僻陬地と同じようなバランスで以ては開発できない。従つて特別にこれだけを財政的に開発しやすくしてやろう、こういうことになつておりますから、バランスがほかの僻地とどうしてとれるかという御質問でございますが、まあ趣旨からいうとバランスをとつてつたのでは開発ができないから、それ以上に開発ができるような好條件をつけてやろう、こういう趣旨ですから、結局バランスがとれないということになるのは理窟の上で当然だろうと思うのであります。ただ離島以外においてもバランスがとれないままに舞阪のままで開発ができないという所もたくさんあるじやないか。それをどうするかということ、これが確かに全国的な問題でございまして、離島の問題と並んだ問題でございます。これらにつきましては又別途に他の機会考えるべきものと、こういう考え提案者としては一応持つてつたということを御了承願いたいと思います。
  27. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  28. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。  別に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認め、直ちに討論に入るごとに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もないようでありますから討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  離島振興法案衆議院送付の原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  31. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を御報告することにして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりまするから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名  西岡 ハル 高橋  衛  岩沢 忠恭 八木 幸吉  永井純一郎   —————————————
  33. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 前回委員会におきまして日本経済の安定と復興に関する調査に関して岡野経審長官から説明を聞いたのでありますが、引続き経済自立政策構想に関する質疑を継続したいと思います。岡野長官はいつ何時呼び出されるかわからないのでそれまでの何でありますようですから御質問のおありのかたは一つこの際御発言を願いたいと思います。
  34. 八木幸吉

    八木幸吉君 この間食糧増産の五カ年計画のお話がございまして、在来の食糧増産計画実績についての資料の御提出をお願いしておつたのですが、まだできませんでしようか。
  35. 平井冨三郎

    政府委員平井冨三郎君) 只今計数を整理しておりますのでもう暫らくお待ちを願いたいと思います。
  36. 八木幸吉

    八木幸吉君 今日の新聞農林省食糧増産五カ年計画内容というものが発表されておりまして、この間長官仰せられました千七百万石と雑穀類を玄米に換算しての数字であれば大体似ておるのですが、この農林省計画と同じようなことをおつしやつたのでしようか、或いはこれは農林省単独の発表でしようか。
  37. 平井冨三郎

    政府委員平井冨三郎君) 今日新聞に出ております農林省食糧増産五カ年計画は二十八年度の予算、現在提案しております予算における食糧増産費前回申上げましたように、前回といいますか、千七百万石の増産計画の場合の予算要求に関しまして約五割程度になつておるわけであります。従いまして二十八年度の予算を現在提出しております予算ベースとして二十九年度からこの予算増額を図つて行くということにいたしまして、三十二年度が千五百六十四万石、こういうふうな計算をいたしておるわけであります。詳細はまだ農林省から聴取いたしておりませんが、数字の食い違いは今申上げたようなことであります。
  38. 八木幸吉

    八木幸吉君 長官がご出席でありますから特に長官にお願いしておきたいと思いますが、食糧増産の費用はとかく実績を伴わないというのが過去の実情でございまして、今後相当厖大財政上の負担になるわけでありますからこの金が効率的に使われるようにということを経済審議庁立場におかれましても十分関心をお持ち頂くように特にお願いをしておきたいと思います。且つ従来の実績長官自身で十分御検討頂くようにこの機会にお願い申上げます。
  39. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 御答え申上げます。只今のお説至極御尤もでございまして、只今相当政府資金を入れましたが、この実績如何になつておるか、まだ検討中でございまして、いずれ資料が出ると思いますが、併し他の重要産業にも相当資金が要る時代でございますから、この食糧増産に対して相当の四千億くらいのお金が要るのでございますから、そういうものを投じながらその実績が挙らんようなことは見逃すわけには参りませんと思います。今後審議庁といたしましてその実績並びにこれを多くするという方向にできるだけ側面から促進して行きたいと、こう存じます。
  40. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは長官にこの前私はいなかつたのですが、この前御示し願つた経済自立についての試案ですが、これについて、少しお尋ねをしたいと思います。この基本構想の所に「右の目標を、相当高水準の特別外貨収入を期待し得る間に実現する」とこう書いてあるのですが、この点について相当高水準の特別外貨収入というのは、どういうものとどういうものを指すのか知りたい。
  41. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 御答え申上げます。特別高水準と申しますのは、只今高水準になつておると私は考えております。これが大体の見通しといたしまして両三年は紡ぐものとこう考えておりますので、その続いておる間にと、こう申すわけでございまして、苦しい御疑問があるかとも存じますが、これを考えました当時は、只今問題になつておりますMSAというようなものは考慮に入れておりませんので、今まで通り特需ということを考えておる次第でございます。
  42. 永井純一郎

    永井純一郎君 MSAの問題を考慮に入れておらないところの高水準の特別外貨収入、こういう説明ですが、それでは今の特需はいろいろに分け得ると思うのです。当然最もMSAがどういう援助の具体的な内容を持つかということが未だ政府説明等でもはつきりいたしておりません段階ですが、特需の中の実際のこの軍需品の下請なり、軍需品そのもの注文なりというものが、試験発の形で今日まで発注されて来たということになつております。併し試験発注とはいいながら、実際は業界が相当大きな注文を受けております。日本における軍需品特需の中のその軍需関係注文によつてアメリカは非常に安い戦争朝鮮で遂行できるということを政府当局者新聞等でも盛んにそう書いております。従つて日本が受けました特需というのは、軍需品中心にして大体出血受注つたとこう言われておるわけです。今日の経済界の私は不況がやはりこの出血受注基本にして漸次不況がやつて来ておるように思います。又外資の導入の問題のときにもアメリカは明らかに特需その他はコマーシャルベースによつてでなければやらないで、特別の借款の形などは考えないと、こう言つておるわけなんです。そうすると基本構想で完全に逃げておるところの高水準の特別外貨収入を期待し得る間にうまくやつて行くのだという考え方は、私は成立たないのだと思います。何か特別なMSAだか何かを中心としたコマーシャルペースに乗らないところの格別の外貨収入でもない限りは私はこの基本構想が全然壊れてしまうのだと思う。そこのところの考え方を先ずお伺いしたいと思います。
  43. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えを申上げます。私の記憶しておりますところによりますと、朝鮮事変が起きまして以来兵器と称するものの注文が総計六千五百万ドルくらいになつておるわけであります。この兵器の問題につきましては、只今出血受注というような仰せがございましたが、私の見るところでは、この方面に対しては大して出血受注をしていないんじやないかと思います。と申しますことは、アメリカ向う値段から申しますというと、非常に高い値段でとにかく今のところはとつてくれておりまして、詳しい数字事務当局から申上げますが、相当日本ではいろいろの事情もございましようが、高い値段でとつてくれておりますので、出血受注にはなつていないと存じます。併しお説の通りに若し今後MSA如何なる形で出て来るかも知れませんし、又今までのいろいろな注文MSA方面に切替えられるということが、仮に仮定でございますが、考えますというと、国際的の水準で競争しなくちやならん。その場合には相当日本経済としては苦しい立場になるだろうと私は考えております。それから特需と一概に申しますけれども、この害もいろいろございまして、昨年度の約七億八千万ドルくらいな特需というものを区分けして見ますというと、大体兵器を含めた狭義の特需というものが三億ドルくらいになるわけでございます。それから駐留軍役務として日本でこれに投じております金が、一億四千万ドルと私は記憶しております。それから駐留軍の兵隊、家族日本で落しますのが、一億八千万ドル前後と私はラウンド・ナンバーで覚えておりますが、そうすると約三億ドル、大体、このくらいになります。そういうことになつておりますので、日本のいわゆる生産というものにとつてのウエイトは七億八千万ドルから考えますと、非常に低いウェイトを持つておるということでございます。併し今後MSA如何になりますか、わかりませんけれども、若し向う注文というものを国際競争に付するというMSAの原則でやつて来られますというと、業者といたしましてはいわゆる出血するか、コストを引下げてそうして国際競争に負けないように安くして行くような方法をとるか、どちらかしなければいかんという情勢になつております。
  44. 永井純一郎

    永井純一郎君 ここのところが基本構想の根本であつて、これが砂上の楼閣に私はなりがちだと思いますが、そうすると、この計画試案というものは全くナンセンスなものになると思いますが、今おつしやるようなことでは実際はないと思います。と申しますのは、御承知通り手形不渡りは非常な危険な状態まで来ておる。これは勿論中小企業者崩壊寸前にあるものが勿論大きな原因なんですが、最近は御承知通り三菱系統軍需品会社が、この特需受注を受けておる会社相当なものが不渡りを莫大に出してそれが順次波及して行きつつある。これは明らかにMSAになつてそれが国際競争に堪えなくちやいかんのだということを言われました。これは現在の特需もやはりそういう実情の下にあるのです。又アメリカ自身もそう言つているのです。国際価格を上廻るようなものでは買わないということを明らかに言つている。そうして非常に難問を押付けて安い価格でやつておるのであつて、その程度朝鮮戦争を遂行するのには当然日本はその程度のことはするのが当り前だということも言つておるのです。そういう結果が年々重なつて来て今日の金融恐慌状態が私は来ておると思うのですが、今日のようなこの不渡りなんかああいうふうに盛んにある。この経済界実情のままで私はこの基本構想の二にあることは成立たないと思うんです。で、現実にそういう今おつしやるような意見であれば独禁法を改正して不況カルテルを認めるなどということもこれは言わないわけであります。ですからそこのところはこういうことでは切抜けられない今日の出血受注をもとにした日本企業が危機に来ておると思う。それを救うむのはほかに特別の何か強く援助でも受けなくちやならんということではないかと私は思うんです。今の政府の行き方からすればそこのところは私は全然違うと思うのです。高水準の特別外貨収入というものはあり得ないとそういうふうに思うのです。
  45. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上けます。最近に出ましたところの手形不渡りとか又いろいろ会社が苦難の途を辿りつつあるということはこれは現実の事実でございます。これは若し押付けるならば出血受注でもやつたためにこうなつたとこういうふうな点がないとも限りませんけれども、併しこれは私の見るところによりますというと、只今までの不渡手形の出方という、ものはこれは業者経営士の無理をして来たのだ、それは正当なる金融機関から融資を受けたということでなしに、いわゆる非常に高日歩の闇金融をして、そうして金融を続けて来ておつた形跡があるのでございまして、その点は経営の不合理ということに私は尽きると思います。その点におきましてそういうような会社はこの機を逸せず経営合理化をやつて行かなきやならんとこう思つております。それから特需の問題がそういうような情勢で若し今後続けられないのじやないかというような仰せでございますけれども、私どもといたしましては少くとも先ほど申上げましたような向うが使う役務費とか、又駐留軍のこちらにおります軍人家族というものが使う金とかいうようなことは、これは余り動かないことだと思うんです。それから注文が出まして企業内容並びに受ける期間が如何ようにありましようとも、少くとも日本において注文をするということはこれはいずれかの形において日本内地においてこれを受け得られるというようなことでございますから、大体今まで受けておつたところのいろんな会社が潰れると申しちやおかしな話でございますけれども後退しまして、又新らしいような会社が出て来て、これを受けるというようなことになりますから、向う注文というもの並びにこれを受けようとする意欲と、それから同時にそういうものでなしに向う始終使つてくれるものを合計しますというと、やはり特需というものは或る程度まで日本を確保されておるんじやないかと、こう私は考えておる次第でございます。
  46. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは長官の御説明のように特需はすぐなくなるというふうには私ども考えないのです。勿論何がしか減つて行くと思いまするが、ただその特需も先年でしたか米国政府の声明した通り国際価格を上廻るようなものでは買わないということを明らかにしておるわけでありまして、どこまでもコマーシャルベースに乗つてでなければ注文はしない。これは米政府基本方針なんです。そういう点を考えると特需が高水準の特別外貨収入にはこれは勿論日本ではなり得ないと思います。ですから若しそれをいうならば、それ以前に特需といえども、このそういう高水準の特別外貨収入にはなり得ないのですからどうしても今すぐやはりなさねばならないことは石炭なり電力なりの、先ずこのカロリー源のコスト高、それから世界の市場が半分になつており、そして狭い日本の市場での競争を日本が正常貿易を発展させて行こうとする今の政府の外交方針の下に、その狭い市場での激しい競争をしなければならないという状態になつておる。而も輸入のほうでは非常に安いいい原料を買うことができないということになつておりますから、この石炭と電力との非常なコスト高と、それから狭い市場の中における自由主義国家群のお互いの激しい貿易の競争というようなことの解決を先にされない限りは、私はこの基本構想の二というものは立論の基礎がないから、ただこう書いただけで、ここがもう逃げ品になつてしまうよりほかはないと思うのであります。根本的に我々はこの立論の基礎が間違つておると言いたくなるわけであります、特需がそのコマーシャルベースだということは明らかに米政府も言つているのですから。
  47. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私は特需は外観的に見て先ほど申上げましたような情勢で今後恐らく競争が非常に苦しい立場に追込まれるということは事実と認めておりますけれども、併しこれにつきましては特需のみにかかわらず輸出貿易につきましても考えなければならんことでございして、いろいろ機械とか何とかというものを東南アジアのはうへ出るものがありまして出そうといたしましてもその出す場合に、やはりお説のように電力とか石炭というものが高いとか鋼材が又高くそのためにコストが高くなつておりまして、これは東南アジアの五カ年計画方面におきましては鋼材については、その他の意見もございますが、コストの引下げの方法を講じておりますが、併しいろいろいわゆる基幹産業につきまして、五ケ年先の長い計画を一応認めますと同時にまあ通産大臣といたしまして考えなければならないことは五ヶ年先のコスト引下げということは無論年次計画でだんだんと下つて参りますけれども、併し目先この国際間の貿易の非常な激化ということを頭に入れましてそして目先如何にしてコストを引下げるかという方法をいろいろ私ども考えて見ますと、只今のところは二十八年度予算では我々予算上の措置によつてコスト引下げの速力効薬を作るわけに参りませんが、併し予算以外に予算に影響せずにやつて行ける、税法上の優遇とか、又金融方面の適当な措署とかいうことでいろいろコストを、目先のコストを下げて行くという方向にいろいろ努力をいたしておる次第でございまして、この点はお説の通り何とか考えなければならん事態に直面しておるわけであります。折角、今努力しつつある次第でございます。
  48. 永井純一郎

    永井純一郎君 これはまだ試案ですから率直に政府当局と話合うという態度で話を願えば結構ですから……。私どものほうではそういう気持です。五年先にこの生産コストを下るということを目標にして行くんだ、ところがその五年までの間は特需によるところの高水準外貨収入でやつてつて、その五年までのうちにうまくやる、こういうことがその考え方だと思うのです。ところが今言うように私が申上げるのは、その特需が、日本が儲けるようにはできないわけなんです。コマーシャルベースに乗るものでなければ、注文しない、そのことによつで現実日本のそういつたような鉄鋼初め、企業経営が非常に不振になつて、尤も闇金利の金を使つておるというようなことも、一部分にはコスト高の要素になつておると思いまするけれども、やはり根本は、私はアメリカのその注文の単価だと思うのです。そこでこの特需によつて四、五年のうちをうまくやつて行こうということ自体がやつぱりできない、特需自体でこの五年間やつて行こうというこの五年間がすでにもう、私は政府の今のやり方ではできないのだ、ですから一番先にしなければならんことは逆であつて、例えば中共貿易から安い強粘結炭、鉄鉱石その他の原料を持つて来るとか、それから市場を拡げるとかいうようなことが先に行われない限りは、私は特需によつてこの五年間のうちにうまくやろうといつたつてそのこと自体がすでにできないんだ、ところが今の政府の最高の指導方針から行けば、中共貿易もできないし、市場を拡めることもできない、安い原料を近距離から持つて行くということも不可能なんです。そうとすれば特需によつてはできないのであるから、私はどうしてもそこに特別の、仮に百歩を譲つて今の政府立場に立つて考えても、こういう構想を五年先に実現するためには、私は二のこの項、基本構想の一、二ではなくして特別の私は政府借款のようなものがない限りは、不可能だと思うのです。そのことは今の政治の方向、外交政策の方向をとる以上はその範囲で、若しこれに考えておるようなことを案現しようとするならば、コマーシャルべ一スの特需によつてはできないのであつて、より以上の何か政府借款の特別な外資の導入を入れてコストを引下げるへ基礎産業を培養するようなことをやらない限り、今の政府立場でやれることは、私はそれ以外にないのだと思う。ところがそういうものは、事実一つ政府は努力もしていないし、話合いもしておらないのかどうか、私は率直に言つて、それよりほかないと思うのです。今の外交方針の下における日本経済自立の基礎を作るという作り方は……。併しそういうものは全然何らか電源開発の何か、極く一部分を世界銀行に話している以外には、何にも政府はやつておらんのだと思うのですけれども、むしろそのほうでなければできないのじやないかと、こういう意見なんですがね。そう考えまして、これは全く試案だけれどもまあ砂上の楼閣に私はなると思う。そういうことが一つと、それからこの前、丁度選挙期間中に私どもは非常にそれで打撃を受けましたが、ダレスだか何だか余計な二カ年特需の保証をするとかいうようなことを言いましたが、あれはどうしてああいう声明をアメリカ政府が出したのか、その理由をここで一つつておきたいと思うのです。この先ず二つですね。
  49. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これはもうお説の通りに、ただ単純にこの二だけで行くわけではございませんが、この二の基礎をなすものはやはりコストを引下げて行く。それからどこにでも安くして売れるというような調子にして行かなければならんという政策をとらなければ、これにつきましては我々としまして貿易振興の上からコストの引下げということにつきましては相当に努力しておる次第でございます。そのために又市場の開拓につきましても本予算でいろいろお願いしてございますが、アメリカ日本の展示会を作るためとか、又東南アジアの方面に技術相談所というものを作りまして、新市場の開拓並びに今までの市場でありますけれどもこれを確保して行く、拡張して行きたいと、こういうような努力もしておりますし、我々としまして全部の輸出貿易の基礎といたしまして、取引の上から行きますれば輸出法の改正とかいうようないろいろなことを並行して構想と練つているわけでございます。少くとも近い五年先のことでなしにすぐに着手できるような方向ヘコストの引下げ並びに市場の開拓というような方面に努力しておる次第でございます。  それから政治借款の問題でございますが、これはお説のように只今のところ電力のことにつきましていろいろ骨折つておるわけでございまして、最近に四千二百万ドルぐらいのものがこれは輸出入銀行から借りるということになつておりましたけれども、世界銀行がまとめていろいろやりたいということで世界銀行に移し換えしてそのほうから融通してもらうということになつておるわけでございます。そのほかにまだいろいろこちらで計画しましたことにつきまして、相当な外資を申込みしております。ただ問題はこの四千二百万ドルの問題を世界銀行にこれを移したという手続がいろいろ複雑でございまして、そのためにほかの方面には向つておりませんが、やつておる次第でございます。そこで我々といたしましてはお説のようなことを考えますならばやはりインパクト・ローンで行かなければならんと、こうも考えておりますけれどもインパクト・ローンというのはなかなか向うでもむずかしいという話を聞いておりますので、併しこれは国際収支のバランスの上からも若し必要とあれば相当強力に推し進めて行かなければならんと、こう考えております。併し先ほども仰せのように砂上の楼閣と申しますが、併し計画というものは初めは砂上の楼閣のようなものでございますが、それをだんだんとコンクリートに打ち固めて行つてそうして確固たる基礎を作る、こういう意味におきまして各省ともよく連絡をとりましてもう少し強力に、この計画を精密に、同時にコンクリートのものにしたいという考えを持つております。  それからダレスの声明が三月にありました。この事情は私よく存じません。ただ我々も選挙中に新聞に出たことを知つておる程度でございまして、向うでそういうような発表したと、当時あれから聞きましたところによれば、何か保証するのじやなくて、アメリカがそういう見通しを持つておるのだということを重ねて説明したということを聞いておりますが、併し如何にしてそれが出されたかというその辺の消息は私よく存じません。
  50. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうするとダレスの保証というのはただ向うが一方的に丁度勝手にやつたという状態つたのですね。
  51. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) どうもそういうことらしい。
  52. 永井純一郎

    永井純一郎君 それから貿易の市場も拡げて行くのだということを今もこれはすでに御説明を頂くところですが、そうして結局東南アジア市場を拡大して行く。ここにもそう書いてある。東南アジアの方面に開拓して行くということは、アメリカの東南アジアに対する援助と見合いながら、進めるというようなことだろうと思います。この具体的な、例えば、商社を強化するとか、いろいろなことを言われたのですが、それだけでは、やつぱりこの前も総理にお尋ねしたときに岡野長官もおいでになりましたが、これをいろいろ調べてみると、東南アジア貿易というものは、今御承知通り、東南アジアがその経済外交の推進ということを書いておりますが、先ず実際の日本の外交のやり方が変らない限りは、東南アジアでは、日本との貿易はしたくないと、こう言つているのです。特に日本人が入つて来ることさえ好まない、或いは拒んでおるところが多いわけなんです。そこへ持つて来て、大使だの公使だの古い例えば実業家か何かを持つて行けばいいとか、貿易商社の展示会をやるとか、貿易商社の強化を少しぐらいやるようなことは枝葉末節のことであつて、東南アジアでは実際は御承知通り、約一千万近い華僑が殆んど全部貿易と、それから工場、農産物関係の農場、そういつたものの実権を全部握つておるのは御承知通りだと思います。そしてそれらの中心としての華僑が八百万人少くともおるということですが、それらの人々が漸次国民政府のほうから離れて、もうとつくに離れておるようですが、中共との結付きは年を経るに従つて密接になつてつておるようですが、これは又当然華僑が中共と商売するほうが実に得ですからそうなることは、私も当然だと思いますが、そこで東南アジア貿易に、結局この世界市場が半分になつて狭くなつ日本が困る。吐け口を東南アジア、東南アジアと政府が言つてからもう長いのです、三年このかた……。一つも東南アジア貿易というものが発展を実際にして行かないという実情にあるわけなんです。それは只今申上げましたようなふうに企業、産業の実権を握る華僑が日本の今の外交方針なり、政治のやり方というものを必ずしも喜んでおらない。ですから東南アジア貿易を振興させようと思えば、どうしても中共を通じる、或いは中共と共にやるよりほか実際上日本の収支のバランスを引合わせるまで拡大して行くということは、それ以外にできないのだ、ということをいろいろな数字を以て、私ども説明を聞いているのですが、そういつた東南アジアの貿易の拡大を具体的には、実際どういうふうにしてやろうと言われるのか、それからその辺の東南アジアの華僑の政治的或いは民族的な運動認識というものを政府がどういうふうに一体外務省あたりの情報で把握しておられるのか。こういう点は、この基本的な自立経済の政策を立てるには非常に重要な根本だと思うのです。華僑のそれらの動きに対する実情をどういうふうに先ず政府は把握をいたされておるのか、それを聞きたいと思うのです。
  53. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。東南アジアの開発に我々が寄与して、そして大いに提携して行きたい、こういうことは、長い間の希望でありますし、それから同時に今までの実績といたしまして日本の貿易のまあ輸出の三割六分ぐらいはやはり東南アジア向けになつておりますし、輸入が約二割だと思いますが、今の現状におきましても、東南アジアの貿易の日本の貿易に対する比率から申しますというと、これは相当な基礎を持つておりまして、同時に、これを発展さして行きたい、というのが我々の念願であります。そこで外交交渉の点が只今までも余り効果が挙らなかつたとか、余りいい外交じやなかつたという御批判もございましようが、私は、新市場の開拓と同時に今までの、この市場を拡張して行くということにつきましては、無論安い、いい物を作つて行く、而も、向うが、欲しがつているものを作るということが通商産業行政としましては、大事なことでございますけれども今、御承知通りにこの貿易を発展さして行くのには、やはり外交というものはこの際非常に大事なことだと私は痛感している次第であります。今後私は外務省とよく連絡をとりまして、我々の通商が外交交渉に片棒をかついで、而も立派にやつて行けるようにどんどん改善をして行きたいというようなことを、まあ念願しているような次第でございます。  それから中共貿易でございますが、これは、私もいろいろ中共というものは、非常に近いところである。同時に又、親密にやつて行かなければならん情勢で、今後善隣外交をやつて行かなければならんという立場にございますので、できるならば、中共貿易を進展さして行きたいと、私の狙いといたしましては貿易を通じてやはり民間、即ち国民外交によつて中共との間の感情を融和して行くというのも、これは貿易を通じて一つの私の狙いでございますから、只今のところでは正式に外交的にはやはり国連協力の線に沿つて中共に対して余り差出がましい努力ができなくなつていますけれども、併し今後若し日本というものが貿易上伸びて行かなければならんのは、中共をネグレクトするわけに行かんと思いますが、ただ問題は戦前に約九億からの、数字が間違つておりましたらあとで事務当局から訂正して頂きますが、戦前九—十一年頃だと思いますが、九億ドルぐらいの輸出に対して、中共に対するものは一億八千万ドルと私は記憶しております。そういたしますと当時の輸出貿易から申しましても、中共は日本の全体の貿易総額に対してウエイトを持つてつたじやないか。それにかたがた加えまして戦後におきまして、即ち現今におきましては中共の貿易の仕方がすつかり形態を変えてしまつている。先ず第一にこれはその政府の管理貿易になつておるということ、それから向うでも五カ年計画とか何とかを立てまして、自分で外国から輸入するものについては相当に制限しておりまして、元の日本と中共地区における貿易の品目、品種、その他のものが完全に一致して若し国交が回復したら、すぐ元の状態までに戻つて来るという性質のものじや全然なくなつてしまつたのだ、こういう点に我々としまして中共貿易に非常に腐心しながら困つたことだと思つている次第でございます。これは何いたしまして、あれだけの大きな都市と資源もたくさんございますし、日本の欲しいものもございますし、同時に向うの国民が非常にたくさんおるので、それに対する需要というものは相当あるものと先ず考えてよろしいと思います。その意味におきまして只今の国際情勢において日本が置かれているところの国際的地位に対する制限は受けますけれども、その制限の範囲内においては私はできるだけ中共貿易ができて行つて欲しいというような考えを持つてこれに推進をしておるわけでございます。  それから華僑の問題でございますが、私も支那の華僑の力というものは相当強いものでございまして、無論台湾政府というものの感化、若しくはその親しみのある華僑も相当ございますが、だんだんと華僑が貿易の面におきまして中共というものを基礎にしてやつて来ておるということも、大体中共の五カ年計画あたりの発足から出まして実力をつけつつあると考えますので、無論そういう方面とも日本の貿易業者が十分な緊密な連絡をとつてやらなければならんとこう考えておりますが、何にいたしましても外交というものにつきまして相当今までのきまつた定石的な外交ではこの困難を打開することはできませんから、外交は時につてつて行くものとこう考えまして、世界の情勢の変化というものをいつも敏感に感じまして、そうしていい組織を持つて行きたいとこういうように外務大臣じやございませんけれども考えておりまして、そういうような意味のことを以て思想を以て外務大臣とよく連絡をして対外貿易の振興に努めて行きたいとまあ私どもはこう考えております。
  54. 永井純一郎

    永井純一郎君 非常にお話が抽象的でこの場合は止むを得ないと思いますが、ただ、今の中共貿易中共貿易と我我が非常に言つておるのは、勿論戦前も我が国の総貿易の中における率はそんなに大きくなかつたことは知つておる。ただアジアの中だけを取れば殆んど五五%だか六〇%だかが中共貿易だつたんですね。これはやつばり非常に大きいですね。今ここの中に言われるアジア貿易ということを考えれば、そういう意味で言えばそれが今では非常に小さいの手からこれはなかなかゆるがせにできないことですが……もう一つのことは我々が中共貿易と言うのは日本企業或いは産業のこのコスト高を、その生産コストを低めるために、中共貿易が非常に意義がある、量も勿論そうですが、それよりもそのことをその観点から言つておる。先ほど来申上げますように今の我が国の基礎産業を初め、中小企業は勿論のこと全部の産業がこのままで行けばこれは又実際今の政府の制限外交の枠の中でやるならば、私は合理化というものはできないと思うのです。先ほど言うように、特別の借款か何かによるほかは、産業或いは全企業に亘つて合理化というものはできないと思うのです。先ほど言うように特別の借款か何かに上るほかはない。産業或いは全企業に亘っての合理化というものはそれ以外にできない。そこで結局この不況を乗切つてつてそうして貿易を一時でも拡めるということを考えれば、合理化にもどうしても限度がありますから、今のアメリカ依存の範囲内におきましては限度がありますから、結局為替レートの切下げをやるか、或いは特別の借款をもらうか何かそういうことよりほかにこういう計画を作つたつてやれないと思うのですね。そうでなければ全然外交方針を変えて、石炭と鉄鉱石と塩、これらが非常に安いのですからこういうものを持つて来て原料を安くするということによつてコストを引下げるということ、これは一番今行詰まつた今日では簡単であると思います。併しそれを今おつしやるようにしないということならば為替レート切下げというようなことでもやらなければしようがない。合理化合理化といつて合理化をする條件が揃わないわけですから、ということに私はならざるを得ないと思いますね。そういう意味で私どもは中共貿易の重要性を我が国の特に重工業方面における原料の重要な所だという意味で言つているわけなんです。ですからそれに対してそういうふうにお答えになると、それだけの問題としてはいいのだけれども不況を切り抜ける、合理化をするという面からはやつぱりその理由が成立つて来ないと思うのです。ですからそういう点はこの計画でやはり私はそういうことは為替レートは変えないんだと、こう言われるだろうと思います。そうすると結局はそのコストを引下げる方法というものは実際上できないんですね。
  55. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これは近所に良い原材料がある、それが比較的安く買える、そうしてコスト引下げなんかにはこれをするに限る。こういう御説なんでございますが、これは至極御尤もと思います。そのいい意見としてとれればとりたいとこう考えますが、まあ御承知のように原料の重要な輸入地として中共あたりがどうしても必要だというようなことが言えんとも限りませんから、外交上とは言いながら只今可能でないところの條件を希望意見によつてどもがこの大事な計画の基礎にするということには少し慎重を欠くんじやないかと思いまして、不可能若しくは可能性が余りないというような基礎はこれは省きまして計画を立てておる次第でございます。それからもう一つ、レートの切下げでありまするが、これはまあいろいろ為替論議はございましようが、日本が輸入超過になつておるときにレートの切下げということは果してどういうような結果を来たすかということにつきましては相当疑問がございますし、又只今のレートの下において日本の産業が過去相当合理化され、又デコボコが平均されておる次第でございますから、而も只今全く感心しないときにレートを変えるということは日本の産業の基礎に対して如何かと思つて切下げの方向は私どもは一向に考えていない、こういうことでございます。借款の問題は今後に持越すことでもございますし、それからもう一つ申上げたいことは今塩とか石炭とかいうようなものが例に出ましたが開ラン炭あたりを我々できれば入れたいと思いまして何しておりますが、あの開ラン炭の値段から申しますというと只今値段に関する限りは私に余り採算上においては差がないのじやないかと、こう考えておる次第でございますが、先般これは一カ月ばかり前の研究でございますから只今はどうなつておりますか、只今情勢を申上げるわけには参りませんが、一カ月くらい前に聞いたところによりますと、開ラン炭はやはり十一ドルくらいでなければ入らん。それからアメリカ方面ではやはり十九ドルかかる。十九ドルと十一ドルは金にいたしますと約ハドルの差がございますけれども、開ラン炭に非常に灰分が多くて、そうしてメリット計算から行きますとどつちが高いか安いかわからんというような結果が出ております。これは一例でございまして、その他の面は或いはそれと同じように結果が出て来るかどうかはわかりませんが、併し少くとも只今のところ石炭に関する限りはそういうような結果が出ましたもので……それから又塩あたりにつきましても調べてみようと思つておりますが、何をいたせ貿易が外交上の制限によりまして十分発展し得ない今日におきまして、中共貿易に非常に重点を置いて外交上即ち可能でない基礎を大事な基礎に置いて我々計画的のことをするということは不用意じやないかと思いまして、そういうことを抜きにしまして今度の試案を作つておる次第でございます。
  56. 永井純一郎

    永井純一郎君 それからこの前のあれは水田君だつたでしようかね、前の審議庁長官の、そのときにこれは新聞発表が、長官の発表としましてそのときには、ちよつとうろ覚なんですが、明らかにこの我が国の自立経済構想としてこういうものを作りたい。その構想としては防衛生産ということと、それから資本の蓄積ということと、それから防衛生産を含む各産業に亘つての生産の増大、そういうことを言つて、そして経済審議庁長官としての談話を新聞記者会見で発表した。その中に明らかに防衛生産の計画的増大という言葉が使つてつたのです。そこでお尋ねしたいのは前長官の水田君が在任当時作られた案には防衛生産計画というものがあつて、そして今度岡野さんになられてからそれをやはり眼を通されたと思うのですが、これには防衛生産という言葉はどこにも実際ないのですが、まあそれらしきものはあつたと思います。その間のいきさつは一体どういうことであつたのか、これをお伺いしたいのです。
  57. 平井冨三郎

    政府委員平井冨三郎君) 前長官のときのいきさつでございますので私からお答え申上げます。水田前長官が検討したいと考えられておりました案は昨年の十一月頃でありましたか世界銀行の副総裁がこちらに来ましたときに借款の問題に関連しまして三十二年度の経済循環を予想したものを提出したわけでございます。これが、この計画もやはり重点は日本の国内における資本蓄積の限度はどの程度まで可とするか。どの程度まで日本自体において設備資金を賄えるか、どの程度が外資に依存せざるを得ないのかという限度の測定を審議いたしたものであります。その後水田長官としてはこれは今度の試案についてもいろいろ議論になつておりますが、三十二年度における経済循環を一応想定したわけでありますが、これを更に具体的にいたしますためには、或いは年度別に積み立てて行く必要がありはせんか、という御意見が水田長官として強く感ぜられましてその面の検討を始めてはどうか、こういうことを言われたわけであります。従つて前回の三十二年度の経済指標の中にも自衛力の漸増ということは触れておりませんし、ただ年度別にこれを更に詳細に当つて行く必要があるだろう。つまり三十二年度ということを目標にした一つの構造を先ず先に描いたわけであります。それの橋渡しとしての年度別の計画考えて行く。そういうことになりますと、例えば二十八年度についての計画にいたしますれば大体予算がどういうふうなことになるかというような財政計画的なものも考えて行かなければならんという考え方長官として述べられたのであります。経過としてはそういうわけでございます。
  58. 永井純一郎

    永井純一郎君 併しあの新聞には防衛の生産の計画的な遂行とか何とか書いていましたね。それを聞きたいのです。
  59. 平井冨三郎

    政府委員平井冨三郎君) その点は当時の予算委員会、安定委員会でやはりその点について質問が出まして、水田長官から只今申上げましたような趣旨で、つまり三十二年度の経済指標というものを更に具体化して行くため灯は年度別の一つの見通しと申しますか、年次計画的なものを検討して行く必要があるだろう。つまり地についた計画を作りたい、三十二年度の構想を作るということはどうだろうかという感じを持たれた。そういうふうに水田長官予算委員会、或いは安定委員会でも当時の経緯を御説明になつております。
  60. 永井純一郎

    永井純一郎君 それからもう一つは、これは岡野さんの試案ということで、こういうことに見せて頂いたということですが、これをどういうふうに今後取扱つて行かれるのか、それをちよつとお伺いしたいのです。
  61. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これは私が事務当局にお願いしましてそこまでの中間のものができたのでございますが、これを年次別に、それじや二十九年度はどうする、三十年度にはどうなる、三十一年度はどうなるという詳細なものをもう一つ作りまして、そしてその構想が果して日本経済にこれはぴつたりと役立つものであるかどうかということを細目検討しまして、若しその検討がつきましたら今度は各省と打合せまして、我々経済審議庁としましてはこういう構想日本の産業貿易を進めて行きたいと思うから、一つ具体的に各省の政策と審議庁考えるごととぶつつけて行つてそしてこれを鉄則とまでは行きませんが、およそこういう方向に進んで行くという各省の腹ずもりをきめて頂いて、そして政策の面に資して行きたい。こういうようなためにこの案の完成を急いだわけでございます。
  62. 永井純一郎

    永井純一郎君 この前或いは三カ年計画というものを作つたときはやつぱりそういう方針で作つて、そして必要なものは予算化をして行く、そして各省が具体的な計画を作つて必要なものは予算化して行くということを周東長官のときだつたと思うが、何遍もこの予算委員会でもどこでも答弁をされたんですが、実際はただそういう作文をしただけに終つて具体的な計画というものも、それから予算化を、成るほど予算の中を見ればこれは個々の部分は、これに相当する部分だと言える部分は相当たくさんあるんですが、併し計画的に積極的にそういうふうにはなつて行かなかつたと思うのです。なつて行かなかつた。今度は各省がずつと相談をされて具体的な計画数字を作つて必要なものはこの計画に基いて予算化ということをして行かれるということになるわけですね。
  63. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私のこれは理想でござ、いますが、やはりこういうような経済界の苦難の時代におきましては乏しさを分け合うというようなこともございましようし、又重点的に物事をして行かにやならんということもございますから、各省々々で皆大事なことはございましようけれども総合的に国力と合せた一つの政策を行なつて行くのには、こういうような調整機関が私は必要だと思います。そこで私幸いにして通産大臣と両方兼ねておりまして、貿易政策なんかにつきまして一番大事な通産相而も経審長官を兼ねておるという点を、まあその点におきまして一つやりやすいわけでございますが、そのほか農林にいたしましても建設にいたしましても、今後は日本経済の根幹はやはり経審で一応検討しまして、そしてやつて行くようにして行きたい。というのは、これはそう行きますか、行きませんかわかりませんけれどもそういう理想を持つてつております。併し只今でも各省との間のいろいろの調整の役割は努めておりまして、例えて申しますれば政府資金の放出にいたしましても、これを各省間の連絡をよく経審でとりましてこれを分け合うというような意味で調整をとるという役目は果しております。これをもう少し一歩前進さして行きたいというような理想でございまして、理想が果して実現するかどうかは疑問でございますが、そういう考えを持つて今後努力して行きたいと、こう考えております。
  64. 永井純一郎

    永井純一郎君 もう一つですね。時間がないようですからもう一つお伺いしたいのはこの国内自給度の向上ということの中の具体的な計画になるだろうと思うんですが、特に作つて頂きたいと思うものがあるのですが、それは今度のこの九州水害だと考えるのですが、これは毎年、あんな大きなものでなくても、日本全土に亘つて風水害が非常にあるのです。そのことがあらゆる産業の自給度の向上を実際、風水害が阻んでおると言つても私はいいと思うのです。特に食糧を中心とするものはそうです。そこでこの国土の総合開発計画はいろいろあるわけですが、差当つてこの計画をやつて行くのにこの国内自給度の向上の具体的な計画として災害、風水害の基本対策というものを私は経審で作るべきだと思うのです。今度の九州水害を契機としてどうしたら、ただ復旧するだけでなしに、災害を未然に防いで国土や農地、道路すべての産業経済の基礎になるところのものを維持して行けるかというための単なる復旧でなしに、次の災害が起つても、大丈夫だというまでにしなければならんわけですから、そういつたものの基本的な計画を、風水害防止の、予防の基本対策というようなものを作つて頂く。それには一体金が幾ら要るのか、これは建設、農林、運輸いろいろな方面に亘ると思うのですが、そういうものはこの際是非作つてもらいたいと思うのですがね。公益事業局ですか、まあそういうところだと思うのですが、これは一つ、別途に成るべく早く経審でその予防対策というものを作るべきじやないかと思うのですね。
  65. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これはお説至極御尤もでございまして、私は自治庁長官をしておりましたときもやはりお説のような考えを持つてつたのでございますが、今その永年の習慣でございましようが風水害とか台風の害とかいうようなことが臨時突発的な事件であつて、そのときに適当な処置をすればよいのだというようなことでおるのかどうか知りませんが、法制等の、政策といたしましては臨時的なものであつて、そのときに臨時の対策を講じて行つて済んで来ておつたのですけれども日本のこの特に山の非常に荒れておる土地、即ち風水害がありましても山さえしつかりしておれば、これは一つの理由でございますけれども、ああいうふうにもならなかつたと思います。そうすると今の日本の現状から行きますというと、ちよつとした台風とか何かが来ましても、すぐ財政に非常な影響を及ぼすというようなことはこれは臨時的じやなくて日本の現状からすれば多かれ少なかれ、大きいか小さいか、これは別問題としまして、毎年出て来るもののように私は感じておるのです。そうとしますと、これに対して或る程度の予備的の準備が財政的にもそれから制度的にもあつて欲しいということは、これは全く同感でございます。それで先般私どもは風水害が出ましたのでこの際はいたし方ございませんが、今度はやはりお説のような趣旨に副うて何とか一ついつ起きてもこれを取扱う何かの機関があり、同時にそれに対する予算の裏付けが常時にできておると、こういうふうにやつて行かなきやならんものだと考えております。そういう方向に進んで行きたい考えを持つております。これもいろいろ各方面との協調並びに同意を得なければなりませんので、まだそこまでは参つておりませんけれども考えといたしましては全く御同感でございます。
  66. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで予算を伴つてすぐにできないかも知れませんが、先ず計画審議庁で作つて頂く、これだけのことをすれば風水害があつても国土を守ることができると、或いは中途半端な工事が皆行われているものですから、ちよつと大きな水害があるとすぐに壊れちやうものですから、きちつとした風水害の予防対策といいますか、基本的な計画経済審議庁で作つてもらう。それに恐らくそれを予算化すれば何千億という金になるかも知れませんが、それを一応計画としてそういうものを作つてもらいたい。どれだけあれば予防かできるのかという計画を実現できる、できないは別として作つて、そうしてこの安定委員会へ示してもらいたいと思うのですが……。
  67. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これは私予防と同時に、事が起きるにきまつておるのですから、起きた場合にどうするかという二つのことを考えてやつて行きたいと私は思います。これは昔のことでございますが、自治庁におりましたときに堤防が壊れたときに法律の規則で行きますというと、原状回復という、即ち五尺の堤防が崩れるときには五尺までは直し得る、五尺までに復旧し得る、それ以上は許さんというような制限があつたらしい。これは五尺で流れたのだから、これを復旧するならば八尺にするとか、十尺にしなければいかんのじやないかと言つたのですけれども、これは通らなかつたのです。将来そういう点を私は直して行かなければとそう思います。そういうことがも昔からのやり方としまして甚だ遺憾な点が多いのでございます。地方の財政が困つておるというのも、たびたび去年も流れたから今年も直しておけばいいものを今年も流れるものだからそれでそれだけだぶつて、又余計巨費が要るということになりますものですからそういうことも考えなければなりませんし、予防的に如何にしたら雨が降つても、風が吹いても大した損害を受けないようなことに相当な努力をし、それから又同時に、今の現状では出たら損害が出るにきまつているから、それは三、四年以前に、若しくは終戦直後、終戦以前でもございましようが、統計でもとりまして一年で約どれくらいの費用で復旧しなければならん災害が出ておるかという統計も出て来るはずでございますから、そういうことから考えて適当な準備をしておかなければならんと、こう私は考えております。
  68. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 時間も迫りましたからここで一応散会いたしたいと思います。なお午後通産との連合委員会がございます。午後一時からは輸出取引法の一部を改正する法律案と、特定中小企業、これの経安との連合会であります。これは通産が主となりまして、こちらがそれに連合を申込んだのであります。午後二時からは経済安定のほうが申込れた独禁法の質疑を継続したい。本日はこれで散会いたします。    午後零時十分散会