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1953-07-18 第16回国会 参議院 議院運営委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十八日(土曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員松浦定義君、寺本広作君、矢 嶋三義君及び田畑金光辞任につき、 その補欠として石川清一君、最上英子 君、岡田宗司君及び村尾重雄君を議長 において指名した。 本日委員岡田宗司辞任につき、その 補欠として矢嶋三義君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     草葉 隆圓君    理事            寺尾  豊君            杉山 昌作君            相馬 助治君    委員            石村 幸作君            上原 正吉君            加藤 武徳君            剱木 亨弘君            榊原  亨君            高野 一夫君            松岡 平市君            横川 信夫君            赤木 正雄君            加賀山之雄君            上林 忠次君            楠見 義男君            岡田 宗司君            菊川 孝夫君            藤田  進君            松浦 清一君            石川 清一君            最上 英子君            千田  正君   —————————————    議長      河井 彌八君    副議長     重宗 雄三君   —————————————   国務大臣    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君   事務局側    事 務 総 長 芥川  治君    参     事    (事務次長)  河野 義克君    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君    参     事    (庶務部長)  佐藤 忠雄君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員辞任及び補欠選任の件 ○昭和二十八年度総予算取扱に関す  る件   —————————————
  2. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 開会いたします。  先ず常任委員及び特別委員辞任及び補欠に関する件をお諮りいたします。
  3. 河野義克

    ○参事(河野義克君) 日本社会党第二控室から、議院運営委員田畑金光君が辞任せられ村尾重雄君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。日本社会党第四控室から、議院運営委員矢嶋三義君一予算委員岡田宗司君、水害地緊急対策特別委員吉田法晴君が辞任せられて、議院運営委員岡田宗司君、予算委員矢嶋三義君、水害地緊急対策特別委員白井勇君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。改進党から、議院運営委員松浦定義君、同じく寺本広作君、水害地緊急対策特別委員寺本広作君がそれぞれ辞任せられて、議院運営委員石川清一君、同じく最上英子君、水害地緊急対策特別委員に武藤常介君を後任として指名せられたいというお申出が出ております。
  4. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今申出の通り決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 異議ないものと認めます。さよう決定いたしました。   —————————————
  6. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 次に、国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会議決を求めるの件並びに公安審査委員会委員任命につき本院の同意を求めるの件及び運輸審議会委員任命につき本院の同意を求めるの件をお諮りいたします。
  7. 杉山昌作

    杉山昌作君 緑風会のほうは、昨日時間がありませんで、総会にまだ話をしておりませんが、でき得れば、恐縮ですが次会まで御保留願いたいと思います。
  8. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは本三件は、次回の委員会まで保留ということに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) さよう決定いたします。   —————————————
  10. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 次に、予算取扱いについてお諮り申します。  これはかねてから本委員会理事会におきまして、予算案予算委員会に付託されまする前に、この委員会において協議することになつておりましたので、本日お諮りをいたす次第であります。
  11. 相馬助治

    相馬助治君 国会法の第五十六條の二の規定によりますと、「議院運営委員会が特に必要を認めた場合は、議院会議において、その議案の趣旨説明を聴取することができる。」という規定がありますので、私はこの予算取扱は、前例のない修正可決で本院に回付されております関係を以て、この際特に政府側所見を質したいと思います。緒方総理がお見えになつておるようでありますから、政府態度お尋ねいたします。  第一点は、政府予算というものについて増額修正できるものであるというふうに理解されておるかどうか。この点をお尋ねいたします。
  12. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 予算原案費目のあるものにつきましては増額されることを認めるというふうに解しております。
  13. 相馬助治

    相馬助治君 予算案というものは内閣のみが提出権を持つておるのであつて、その考え方から言えば、その費目について減額されることはあり得るが、これを増額するということについては、一つ提出権侵害ではないかという意味で、これは法的にかなり議論のあるところだと思うのです。法制局長官答弁を求めます。
  14. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おつしやる通りに、立法上いろいろ学説がございます。美濃部達吉先生のごときは、削減のみであつて増額は一切いかんということをはつきり言つて、それはもう旧憲法時代と同じだろうということを言つておられますが、ただその他の一般の学説は、新憲法によつて国会の地位が変つつたんだから、増額は一切できんというのはおかしいという見地で、増額修正権ありと言つております。併し増額修正権ありと言いましたところで、増額のやり方にも、今お話が出ましたような単に政府の出した費目の中で金額を殖やす場合もあろうし、新しい費目を創設される形による増額という形もあるわけでありますが、そこに今の提案権という関係の問題が出て来ると思います。そこでまあ我々、余りだびたび議会で見解を発表したことはございませんけれども、例えば地方自治法の改正のごとき際に、政府意見として申上げたところは、増額が一切不可能であるとは考えておらん。併し提案権政府が持つておるという建前から言うと、新しい費目の創設というようなものは、提案権侵害というと言葉が過ぎますけれども、それに触れて来るだろうというような趣旨考えを持ち続け、又ときにおいて、そういう見解を申上げておつた次第でございます。
  15. 相馬助治

    相馬助治君 このことは、学説的にも議論が分れているというので、私はそれ以上佐藤さんに物を尋ねることはやめますが、そこで副総理お尋ねしたいことは、とにかくこの増額修正については問題が存しておる。そういうことになれば、政府としては、当然議院内閣制の現段階において、与党を加えて修正がなされているという、あの姿においては、これは組替をして、政府自身責任において出すべきが至当ではないかと。かように考えるのですが、それらの経過並びにこの問題に対する政府見解を、この際質したいと思います。
  16. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 政府といたしましては、予算原案国会提出をいたしまして御審議願つてつたのでありまするが、その間、衆議院野党側から修正案が出て参りました。それに与党側におきましても、政治的に考慮を払いまして同調いたしまして、丁度修正案を出した次第でありまするが、この修正案が成り立つか、成り立たたんかは、衆議院並び参議院の御審議の後に確定いたすのであります。若しこの修正案が成り立ちましたならば、政府といたしましては、その修正発議者であり、修正案作成協力者でありますところの改進党、分党自由党協力を期待しながら、予算執行責任に当るつもりでおりますけれども只今のところは衆議院議決を経ましたけれども、更に参議院の御審議を煩わすという、その間に修正案を提案いたしました党派の協力を期待する。そういう立場におります。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 三派が積極的に修正したので、政府は積極的にこれに関与すべき筋合いではないという理由としては、参議院において成立を見ない暁……、参議院において審議中であるから、これが成立をしてから執行については当ると。こういうことですが、私はそういうことを聞いておりません。これは両院で通過した場合には、内閣は総辞職しない限りは、自然的にこれに従つて厳粛に執行する以外に手がないのでして、これは余りに当然です。で、問題は、ただ参議院において審議中であるからと申しますが、他の法律案違つて予算衆議院先議ということがきまつております関係上、衆議院に恥いて成立を見た現在においては、この衆議院において成立された修正可決案に対して、政府はどういう意図を持つているかということが相当問題だと思うのです。  それを聞く前に、今の副総理答弁によつて、私は次のことをお聞きしなければならない。それは修正可決する以前において、当然議院内閣であるから、組替の手続をして再提出すべき筋ではなかつたか。こういうことを私は聞いておるのであります。それに対してもう一度明快な答弁を頂きたいと同時に、積極的に組替がされないという、されなかつたという、この事態については、政府は飽くまで受身の形において、この問題に対応していて、すべては両院に心いて成立されてから、これが執行については考えるのだ。こういう態度なのであるかどうか。組替をしなかつた本当の政府の肚を重ねてお尋ねいたします。
  18. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 衆議院におきましては、常識的の問題といたしまして、法律的に考えましても、修正案が通過いたす前には、政府は組替すべきではない。かような考え委員会に出さなかつたのであります。
  19. 相馬助治

    相馬助治君 私は、予算案内閣のみが提出権を持つているという法的な解釈一つと、それから具体的には議院内閣の現在においては、与党自由党が昨日の修正案に対して白票を投じておる。閣僚も又、吉田総理を始めとして、あなたを含めて白票を投じておる。私の調査、に誤まりがなければ……。こういうことになれば、これは政府自身も、少くともこの行動の限りにおいては、積極的に賛成意思を表明していると思うのです。で私はあの段階において、閣僚の諸君だけが青票を出しているならば、これは極めて筋が通ると思うのです。内閣責任を持つて予算を出した。不幸にしてこれが修正されている。併し飽くまで我々としては内閣閣僚としては、そして衆議院に議席を持つ者としては、政府原案に固執するというような意味で、従つて修正には反対であるというので青票を投じたというのならば話がわかるが、与党が全部白票を出して、閣僚まで白票を出して賛成をして、而も組替を出さずに事を過したということは、甚だ腑に落ちないのですが、これらについての副総理見解をお聞きしたいと思います。
  20. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) なかなかこれはむずかしい問題でありまするが、私の意見としては、やはり先ほど申上げたことを繰返す以外にないので、常識的に見まして、多数少数見通しはつくのでありますけれども、併し形式的に、法律的に見まして、やはり院議を経る前に、決定を経る前に、予算の組替をすることはよろしくない、正しくないという見解の下に、委員会に出さなかつたのでございます。
  21. 相馬助治

    相馬助治君 法理論的にでなくて、政治の行われて来た今までの現案論からすると、政府予算案を出した。ところが与党を含めてこれの修正意見があつたという場合には、やはりそれを含めて、組替をして出して来たというのが、旧憲法時代からのしきたりであると、私の調査によれば理解されるのです。で旧憲法時代にも、こういう修正議決をされたという例を見ないし、特にこの新憲法になつて議院内閣制というものが持たれている現段階においては、どうもこの修正議決をして、それを参議院に回して来たという、前例のないことをされたことに対して、本院としては、この取扱に苦慮し、以て先ほど申しましたように、五十六條の二によつて、こうして運営委員会で、これは直ちに委員会に付託すべきが筋か、或いはこの際、政府所見を改めて質す必要がありやとして、こういうようにして我々は議論をしているところでございます。  で、どうしてもこの際、明確にしておかなければなりませんことは、然らばかくのごとく大幅に修正されたその修正部分について、私どもが見ますと、政党の政策を反映した部面がかなりあるのです。単に数字の増減に止まつていないのです。そうしますると、現在参議院に回付されたこの修正議決案の、特に修正部分については、本院の予算委員会等において問題になつたときに何人が責任を以てこれを説明し納得せしめ、慎重に審議せしめて、これを議決してくれというふうに持つていくのか政府見解を承りたい。
  22. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) これは憲法国会法等解釈に関連いたしますので、のちに正確な意見法制局のほうから申述べたほうが適切ではないかと考えますが、私の考えといたしましては衆議院におきまして多数少数見通しはつくのでありますけれども、今日の国会建前から申しますれば、やはり参議院に提案する場合、その修正説明は、発案者がするほうが正しいのではないかと考えております。予算両院を通過したのちに確定いたしまする関係もありまするし、発案者の発案した動機等修正に関する重大な要素であると考えますので、発案者説明が適切でないかと考えておる次第でございます。
  23. 相馬助治

    相馬助治君 今のお言葉は極めて重大です。恐らくそれは副総理がここで私の質問によつて、取敢えずあなたの意見として答えたのかも知れませんが、私どもはそう聞いておるわけにいかない。これは政府態度としてここで確認させなければならない問題です。併し事は重大で、私どもはこの審議に相協力してこの予算の編成に努力しなければならない立場があるので、私は念を押してお尋ねする。  国会法によりますと、本会議において説明のできる人というものは限定されております。即ち政府委員であるとか、或いは第五十六條の二に規定された人以外にはできません。先般スト規制法に連関して衆議院において発議いたして、多賀谷君、山花君、これらの人が発言したのは明らかに五十六條によつて、その発議者としてこれらの人の趣旨説明を聴取しなければならないので、本院の議運はこれを決定してその出席を求めたのです。ところが今回のこの予算案が、今若し仮にこの議運で本会議において取扱うということになつた場合に、その修正の面について一体誰が説明するのだ。こういうことが非常に問題になる。今副総理答弁によれば、それは発議した者がやるのだ。これでは、もう審議にもなにもなつていない。これらの点について政府の明快な一つ答弁を求めます。但し又わけのわからんことになつてしまつてもいけないから、その前にこの点について一つ法制局長官意見を質したいと思います。
  24. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 今お尋ねのことは、結局参議院における御審議方便の問題でありまして、結論参議院側の御審議上の御都合によつて如何ようにもきまることであろうというのが私は結論だろうと思います。従いまして今までの政府の経験を申上げますと、大体普通の法案の修正政府案について衆議院修正がありました場合に、こちらの委員会においては、政府側から便宜衆議院における御審議経過報告を申上げて、そうしてこういう理由通りというお取次を申上げて、大体の場合はそれでこちらの御審議が済んでおつたのが、普通の場合であつた。併し実例は存じませんが、併しその場合に委員会のほうの側から、それじや衆議院における修正議員出席を求めて説明を聞こうじやないかということをおきめになつて委員会のほうでその御要求があれば、それは衆議院のかたがいらつしやつて説明なさると思いますけれども、先ほど最初に申しましたように、それは結局参議院側審議の御都合によることであつて政府のほうから勝手にその修正議員をお連れして、ここでどうぞこの人の御意見をお聞き下さいということにはならない。そういうふうに言われたのは、そういうことが望ましいという感じだけを述べられたのだろうと思いますが、結論参議院の御審議の御都合ということに尽きるだろうと思います。
  25. 相馬助治

    相馬助治君 そういうふうな政治的な見解について、佐藤さんからそれをバツク・アツプするようなところまではお聞きすることは私は期待しておりません。賢明な佐藤さんは、私の質問を故意にそうしておる。私は委員会のことを聞いていないのです。委員会では明らかに公聴会という制度もあり、都合によつて衆議院議員の人にも御出席を求めて、いわゆる他院議員発言させた例も非常に多いのです。私が問題にしておりますのは、本会議取扱いなんです。ここであなたは方便という言葉を使つたが、方便でなくて、我々は予算案の内容は問題じやないのです。ここではなはだ前例のない修正議決されたものが、ここへ来ておる。そこで議運としてはこの法律案をどう取扱うかということが問題なんだ。従つて方便と言えば方便だが、我我はいわゆる方便というような簡単なものでなくて、飽くまでもこれらの経緯を政治的にも又法理論にも質さなくちやならんわけなんです。それで重ねて佐藤さんにお聞きしますが、委員会の場合はわかつております。本会議の場合には、参議院において議員以外に発言できる者は厳粛に限られているのです。そうしますと、その修正部分について政府が幾ら、具体的に申しますれば、改進党の某氏を連れて来て説明させたいと言つたつてできない。そういうことは積極的に議運がそれを認めればいざ知らず、さようなることは、とても本院の権威を守る上から、この議運に望めないのです。そういう場合にはどうなるかというのです。而もそういう場合が緒方さんの今の答弁で予想されるのです。従つて会議の場合にはどうなるのだ。私は何も政治論を聞いているのじやないのです。
  26. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 法律論としては参議院側衆議院議員出席を御要求になるという途があれば、議運でおきめになつて、それをお求めになることはできる。そうすれば先ほど今條文をおき引になりましたが、條文解釈問題として修正発議をした人までもそこに含むかどうかという問題に私は法律論としてはなると思います。併しそれは、政府側がとやかく解釈を申上げるべき筋じやないので、参議院側には又参議院側法律家もたくさんいらつしやるようでございますから、そのほうの御意見を御聴取の上で、こちらでおきめ願つて然るべきことじやないか。かように考えます。
  27. 加藤武徳

    加藤武徳君 関連して……。相馬君の御質問趣旨も、大体我々にはわかつたわけです。恐らく相馬君は、次に法制局長なり或いは議事部長見解を質されるということが一応予想されるわけですが、その際私は国会法の第五十六條の二に限らず、更に六十條等においても発言に関する規定があることだし、更にこれを受けての規則の百八條等にも及んで、相馬君の質問があつた場合には御答弁を願いたいということを関連して発言をいたします。
  28. 相馬助治

    相馬助治君 加藤さんのお察しの通りに、本院側議事部長なり又この関係の者に質問しなくちやなりませんけれども、私はこのことで議論を好むものじやないのです。ただ問題は、もう一回、今度は副総理お尋ねしなくちやならん。それは修正された理由については、発議したものが積極的な意思を持つて答弁するのが筋であろうという意味のことをおつしやつておるのですが、それは一つはそういうことで議論が分れ、そういうふうな政府見解があるから、我々としてはこの予算案に対して政府の最終的な意思は何なのかということをきめなくちやならんことになるのです。それで現実問題として、政府自身がそう考えていつても我々としてはそんな解釈が今のところできない。そういうことになるというと、それは非常に問題だと思うのです。要するにそうするとこういうことです、政府としては修正されたところについては、当然政府が積極的にこれを説明し、本院を納得せしめるような義務を持つていない。かように認識されているということですか。
  29. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私からお答え申上げますが、今の国会法條文に即して言えば、五十六條のニか三か知りませんが、それによつて要求があつたという場合に、今度は要求を受けたはうの側議院のかたが、それ灯慕いて出て来るという場面についてのお尋ねであつたと思いますが、その場合には、これは当然出て来られることになるだろうと思いますが、そこの御疑問の点をもう一度……。
  30. 相馬助治

    相馬助治君 私はわからないので、低能児先生にものを聞くような立場で聞いておるのじやなくて、はつきりさせたいのです。というのは、私ども見解を大胆に申せば、修正議決されて、本院に回付されたこの予算案についての提出責任というか、これはもう明確なんです。誰だとは言えませんが明確なんです。而も私どもはこれを提案した派の或る人に尋ねて見ましたところが、衆議院において議決されるまでは、我々は修正提案したものとして、これに向つて積極的に説明する義務感を持つておるが、参議院に回付された現在においては法理論的にも政治論的にも、いささかのさようなる義務感を持つていない。その通りなんです。そこでですね、私どもが問題にしたいのは予算委員会においてならば、委員会において、他院の人を呼ぶ場合にも、或いは委員外のものを呼ぶ場合にも、かなりその途があるが、本会議においては、積極的参議院において発言でき得る参議院議員以外を規定しておるから、規定されていない分については、発言できないと解釈するよりほかない。そこで政府自身修正した面については、他院のものを以てして説明させたいというふうな考えを持つていても、議運は、さようなことをきめなかつた場合には、これは取扱いとして非常に問題となる。それだから私は、この修正した面についての最終的な一体責任者は誰なんだということを聞いておる。従つて只今答えがズバリ政府から出れば、私はあとはそういう疑義なんというものはいささかもない。
  31. 加藤武徳

    加藤武徳君 関連して……。
  32. 相馬助治

    相馬助治君 いや、加藤さんに聞くのじやなくて、私は緒方さんに聞いておる。
  33. 加藤武徳

    加藤武徳君 それに関連して、相馬君の質問に対して恐らく緒方総理答弁があると思いますが、私も関連いたしましても旨伺つておきたい。それは先ほど副総理発議者説明に当る場合もあり得る。こういう御答弁のように了解したわけですが、恐らく私は副総理は、参議院における常任委員会での答弁の場合を頭に描いておられるのだろう。こういう工合に私は想像するわけであつて、本会議における発言者相馬君の発言にもあつたように明らかに限定をされておる。従つて法上明示をされたもの以外に発言はできないんだ。こういうふうに私は了解しておるわけです。従つて先ほどの副総理の御発言は、常任委員会における答弁等に関するお答えであつたかどうか。この点をお伺いいたしたい。
  34. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えあと先になりますが、加藤委員の御質問に対して先にお答えいたします。それは今御質問通りでありまして、私、これは平生の場合を考えて直ちに予算委員会に付託されるものと思つておりましたので、この常任委員会においての説明者、それも勿論参議院のお考えによるのでありまして)ただ誰が説明するのが説明者として、その内容的に説明者としてより妥当であるかということが問題になるかと思います。それから……。
  35. 相馬助治

    相馬助治君 修正された面が非常に大きいわけです。それについての本会議でこれが問題になつた場合に、積極的にこれを説明して本院を納得せしめる役割を果すものは、政府なのか、それとも誰なのかということを聞いておるのです。
  36. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 予算案両院を通過したのちにおきましては、これが執行責任というものは明らかに政府でありまするが、ただ修正部分につきましては、政府にまだ責任がないのでありまするので、これを政府が本会議において説明する場合には、政府がこれに当るといたしましても、はつきり政府意見を申上げることはできんのであります。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今緒方総理の言によりますというと、修正案成立するまでは、この修正案について政府は何ら責任がない。こう御答弁です。ところが修正案自体はそのもとをなす、前に提出なつ予算案と一緒にちやんと出て来ておる。そうしてこれは、例えば予算委員会にかかつたときに本当に修正案部分だけが、全く別個の問題じやない。これは織り込まれて、例えば米価の問題等を見ますれば、これは全部織り込まれておる。保安庁の経費の問題を見れば、これ又織り込まれておる。そういたしますと、修正の金額だけが問題ではなくて、その修正によつて生ずるところのいろいろな今後の予算執行の面まで関連しておる。それをただ責任がない。通るまでは責任がない。こういうことならば、政府は全体についてもやはり責任がないということと同じになつて来る。私は与党がこれを、この修正案を作ることに協力をし、そうして又この修正案を作つた以上、そうして政府がこれを承諾して、そうして閣僚諸君も白票を投じた母上、やはり政府責任を負うべきである。そうしなければ一体こつちに来た。政府責任を負わないような予算案を含めて、この参議院で以て審議するということは、これはでたらめなことになつてしまう。でありますから、もう一度、一体予算修正案部分についての責任政府は負わないのかどうかということをはつきりさして頂きたい。責任を負わないというなら、私は、これは政府執行すべきものとして今日ここで似て論議するわけには行かん。予算案というものは、これは政府執行すべきものということを前提として論議をするのであつて、架空の数字をここで以てただいじくるものではない。そこの点をはつきりしてもらいたい。
  38. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 責任がないという言葉を使つたのは、私の少し言い過ぎであります。これは修正案は、政府意見でないということが、少し言葉が過ぎたと思います。併しそれを何人がその説明の掌に当るかということは院議できめるべきでありまして、衆議院で採決を経たことは申すまでもないのでありますが、なお予算の本当の確定に至るまでは、この問に参議院審議を残しておりますので、私は実際の政治論として、そういうことがより適切ではないかと存ずるのであります。参議院の御希望によりまして御決定願いたいと思います。
  39. 相馬助治

    相馬助治君 他の議案の場合には、今副総理が言われたようなことが首肯される場合があると思います。ところが予算は、明らかに衆議院に先議権があるということになつて、而も私は今朝事務局に確めましたところが、衆議院の堤議長よりこちらに回付されているこの予算案というものは、政府原案の数字を全部活かして、それにラインを引いて、その上に一号下げた活字を以て訂正しておる。明らかにこれはその表題において修正可決したものを本院の議長に向つて回付しておる。  そこで問題は、修正された部面についての責任は、どこにあるんだと。私どもが飽くまでこれは質さなければならない問題なんだ。それを本会議に誰を我々は出席を求めてどうするかというようなことは、そんなことは、今我我ばここでは、我々の院自身の問題として副総理の御出席を求めて問題にはしない。あとで我々はこれは本院の運営は、与野党協力してちやんと御心配なくやります。そういうことを聞いておるのではなくて、飽くまで私どもは、その予算提出権を繞つて政府態度を聞いておるんです。  そこでそれなら言葉を換えて、もう一遍尋ねますが、大日本帝国憲法、いや大日本じやない、日本国憲法の第七十三條の六号によりますと、いや五号によりますと、予算を作成して国会提出するという、いわゆる内閣の権限が積極的に規定されておる。そうすると、衆議院のことは私たちは知らない。本院としてはですね。それが修正議決されて来たろうが、どうしようが、吉田内閣責任を持つて出して来たものであるというならば、我々はこれを審議の対象にするが、そうでなければ、これはこういうものを受取るわけには行かない。そこですね。先ほどから尋ねているのであつてですね、この修正可決された、今ここに問題になつておる、本院に回付された予算案についてはですね。最終的な責任というものは誰が持つておるかと。こういうことを聞いておる。審議の過程において予算委員会が参考人として誰を呼んで聞くかは、私どもの問うところではない。問題は、事と次第によつては、予算委員会に行く前には、本会議にかけなければならないから、我々は議運責任上、政府見解を質しておるんで、もう一度、この点については明快な一つ答弁を求めます。  なおですね、これが副総理が直接担当している、のじやないというのであるならば、私の質問が、あなたの立場上から御迷惑であつたならば、それは吉田総理出席を求めることは、私どもはもとより好むところであり、必要ならば大蔵大臣の出席をも、求めるところですけれども、まあ、さような余計なことはこの辺にして、とにかく率直大胆に政府見解お尋ねしておきたいと思います。
  40. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 政府衆議院に対して、予算先議権を憲法上の條章によりまして、衆議院予算提出いたし、それには責任を持つて提出をいたしておる。  修正衆議院から参議院に回付されましたその予算案に対して、説明を求められますれば、無論説明をいたしますけれども、改めて参議院のほうに組替をして提出をするというようなことはいたさない。衆議院から参議院に回付されますので、その責任は、予算が衆参両院によつて確定をされましたのちに、はつきり政府執行責任をとることになるのだと思つております。
  41. 相馬助治

    相馬助治君 執行責任の問題は、先ほども申上げましたよう、自動的に発するものですから、暫く問題にいたしません。そうすると、こういうことですね。修正された面についても、最終的但は政府責任を持つてお答えする用意がある。かように理解してよろしいわけですね。(「進行」と呼ぶ者あり)いやいや、これは聞かなければならない。
  42. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもは、普通の筋道として考えておりますところは、今御指摘になりました憲法第七十三條によつて政府提案権を持つております。そして衆議院に先に提出いた」ました。その後は、政府としてはもう完全に受身の形になつておる。旧憲法の時代では、予算の裁可権というものがありまして、予算成立に際しては、最終的には天皇の裁可があつて、その裁可に対して、更に内閣が裁可されてよいか悪いかという助言の機会を持つておりましたから、その審議の過程において、いろいろ強い立場国会に働きかける力を当時は持つておつたと思います。ところが新憲法の下においては、完全に、政府は提案した後には、すつかり国会の手に任してしまうという建前になつておりますから、国会提出された後は、もう完全に受身である。従つてそれに対する修正がありましても、政府が如何に反対をしようと、多数できめられてしまうので、その議院のものであるというのが根本の建前であろうと思います。  その場合に、今度は別の観点から見まするというと、およそ責任というものは、どういうところから出て来るかと言いますと、権限というものと、責任というものとは、私は裏はらの、ものであろうと思うのです。権限なくして責任がある。我いは権限があつて責任がないということはあり得ないと思いますから、そうしますというと、今の私の最初に申上げましたところからずつと辿つて判断をして行きますと、おのずからまあ結論が出るような気持がいたします。従いまして、政府から出て、完全にこちらに出て、参議院に出て、責任を以て説明をし得る部面というものは、はつきり言つたらどこの部面になるかと申しますと、政府の最初提案したこの部面、それから衆議院修正に対して、政府はどういう考えを持つておりますという、見解と言いますか、それを責任を持つてお答えする。それから仮に参議院でこの修正が或いはそのまま可決される。そして予算成立した場合には、どういう態度執行するか。これは誠実に責任を持つて執行いたします。そういうことは、勿論政府は全責任を持つて申上げ得ることだろうと存じます。(「了解」と呼ぶ者あり)
  43. 相馬助治

    相馬助治君 「了解」というのが、了解できないのです。私は佐藤さんにお尋ねしますが、内閣予算案を出した。国会に。勿論これは衆議院に出したのではなくして両院に出した。そうすると、どのようにきめられてもやむを得ないーその通り。それから衆議院においてきめられたものが、政府の意図と非常に違う場合には、これは政府が総辞職するという途があるでしよう。ところが総辞職はしていない。而も議院内閣制度において、自由党は全部白票を握つている。誠にしつつこいようですが、私は衆議院に行つて調べてみると、ここにいらつしやる緒方さんもちやんと白票を投じている。こういう経緯からすれば、この参議院に回付された予算案というものについては、吉田内閣が最終的にはその責任をちやんと自覚して廻したものである。こういう答弁を私は予想して、先ほどから聞いている。その通りに、これは最終的に吉田政府として責任を持ちますと言えば、もう私は何も聞くことはない。ところがそこがあいまい模糊であるから、私は確めているので、委員会の場合には問題じやないのです。  この修正された面について、取扱上、もうちよつと具体的に言うと、これを本会議においてどうしても説明を聞くということが正しいということで、ここできまつたとします。そうして、例えば米価の問題について質問があつたとします。そこに坐つている閣僚だけなんです。そうすると、いや私たちはこういう見解だが、どうも発議したほうの人の意見はようわかりませんと、ところが質問した者は、明らかにその閣僚答弁していることが、修正された面における発議者の意図と食い違つていることを知つた場合に、その質問あとどういうふうに処理するのか。こういうことになりますと、発議者のやつたことで、私たちは知りませんということで以て、私たち引下るわけに行かない。委員会なら、そこで休憩となり、そこで発議者を呼べという手段が講ぜられるが、本会議はそういうようなことにならない。そういうあらゆる不測の事態を我々は予想いたしますが故に、今問題になつている予算案について、最終的の責任は誰が持つのだということを、少くとも議運は明確にして、委員会に付託するなら付託する。本会議取扱うなら本会議取扱うという態度をきめなくちやならないので、これをお聞きしているんです。これを法律的に見るとどういうことになるか。重ねて一つ佐藤さんの答弁を求めます。そして又どういうふうに取扱うのがいいのか。
  44. 加藤武徳

    加藤武徳君 佐藤さんの答弁のある前に発言をしておきたいのですが、どうも相馬君の意見を聞いていると、本会議質問を行うという前提での御議論のようであつて、私たちは本会議では質問は行い得ない。こういう立場をとつているのであつて従つて相馬君は、前提は飽くまで本会議で質疑する、ということでお進めになつておられるのか。或いは曾つて、先刻相馬君の発言なさつたように、本会議における発言は明らかに限定されておつて、法上明示されておる場合に限るという御鷲見で終始されておるのかどうか。私は飽くまで、委員会におきまする質疑なり応答は、先ほど来の御発言のような方法でいいと思うわけですが、このことは、本会議では極めて困難だということを申上げておきます。
  45. 相馬助治

    相馬助治君 加藤さんの発言は、意識していないかも知れないが、私を侮辱している。私は本会議でこの問題を議すべきであるという前提に立つて尋ねているのじやないのです。当初から申しましたように、五十六條の二によつて、本会議で聞く場合も予想される。そこでちやんと理事会灯おいて自動的にこの法律案が本院に廻つて来たときに議長予算委員会に附託してはならないということを、我々はきめたわけです。そのことは、会議議論しろということを積極的にきめたわけじやない。本会議議論することもあり得るという前提に立つて、我々は議長が持つている付託権に対して、議運理事会において制約を加えておるわけです。そこで私は本会議において質問することもあり得るから、あり得た場合に困るから、これらの疑義を晴しておるわけなんです。本会議において質問すべきであるなんていうことには、私はいささかも触れていない。だからそういうことは問題は別です。質すことは質さなくちやなりません。
  46. 加藤武徳

    加藤武徳君 本会議における質問を前提としてじやない御意見なら、私も了承します。
  47. 相馬助治

    相馬助治君 その通り
  48. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 今の責任関係の問題は、私は先ほど申上げた通り考えております。要するに内閣が提案したものについて、国会は更に国会意思によつて立派なものにしてやろうという、その御協力によつて予算というものが成立するのでありますから、国会内閣とが一致して、その結果できる予算であります。従つてその責任関係は、先ほど申上げたように、分析すれば分析できますけれども、これはお互いの総合された責任としてここに出て来るというふうに一口に言えば言えることだろうと思います。あとは、こちらのお尋ねによつて、その都度政府としてお答えのできろものはお答えいたしますし、お答えのできないものについては、更に他の……先ほど方便という言葉を使いましたが、これは取消します。他の手段方法によつて、又この参議院側において適切なる処置をおとりになるということで尽きるのじやないかというふうに考えます。
  49. 千田正

    ○千田正君 只今相馬君の質問に関連してでありますが、国会法でなくて、憲法内閣に関する規定のある七十三條の五号以外に、予算提出する義務と権利を負うている何かがほかにありますか。その点聞きたいと思います。
  50. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 予算提出権については、内閣のみが持つております。
  51. 千田正

    ○千田正君 予算提出する権利は内閣しかない。而も内閣を構成しておるところの自由党が、今度の修正案に対して全部賛成をして、衆議院のいわゆる審議権を執行しようとしておる今日において、当然内閣を形成しておる自由党と、並びに……勿論ほかの党もありましようが、全面的に自由党は賛成しておる。而も自由党によつて形成された、組織された内閣であるこの内閣が、予算提出するのは当然であるのでありますから、修正した予算に対しても、当然この内閣責任を持つて参議院なら参議院提出すべきものと私は断定しますが、その点について御意見は如何でございますか。
  52. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど来、議院内閣制度を前提として、いろいろ相馬委員からお尋ねがございましたのですが、政治の運用の面においては、正に議院内閣制でありますし、又憲法におきましても、この内閣制度の裏付けとして政党というものを予想はしておると思いますけれども、ただ法理論といたしましては、憲法の中には政党に関する條文は全然ないわけであります。ただひとえに三権分立という点に重点を置きまして、国会内閣ということだけできめているのであります。  従いまして予算提案権その他につきましても、修正権につきましても、すべて国会修正し、内閣が提案するという形で、権力分立の建前で全部を捌いておりますからして、今の与党或いはその他の関係というものは、私は法理論の表には出て参らないというふうに考えるわけであります。
  53. 千田正

    ○千田正君 そういたしますると、今の法制局長官説明によるというと、いわゆる国会内閣、こういう点から言いますると、憲法規定によるというと、参議院といたしましては、当然、内閣提出した予算以外に我々は審議する何物もないということになります。でありますから、当然、内閣即ち政府責任を持つて修正可決された衆議院予算を、内閣責任を以て参議院提出するのが当然の義務だと私は考える。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  その点に対してはどういう見解を持つておりますか。
  54. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) すべて内閣の提案した予算を、そのまま丸呑みすべしということが、憲法のどこからか出て参りますれば別でございまするけれども、これは衆議院或いは参議院の御審議知かける。そうして適当な措置を、削減すべきものは削減を加え、或いは増額すべきものは増額をするというところまでの御審議審議権というものは、私は限度はあるにいたしましても、憲法は、これは明瞭に保障していると思います。  仮に衆議院で加えられた修正というものについて、これを、今の仮にお言葉を更に極端に申しますというと、それは全部政府の側として出した原案というものがものを言うのであつて参議院に辿り着いて来た衆議院修正は、全然無視されてしまうということは、これは憲法から申しましても、衆議院の地位というものをどう考えるということになりますか。やはりそこに衆議院修正権というものを考えなければならんのじやないか。或いは参議院における修正権というものを重く考えているのじやないか。そういうふうに考えるわけであります。
  55. 千田正

    ○千田正君 今の法制局長官の言い方は、僕は言いのがれだと思う。という点は、私はさつきから言うてる通り、たとい修正議決されたものであつても、当然内閣修正されたらされたものとして、執行機関であるところの内閣は、それを承知した上で、第二院であるところの参議院提出すべきところの義務と権利を負うているものと我我考えるのでありまして、我々に附託されている問題は、審議権しかない。我々はこれを提出する権利は持つておりません。衆議院といえども参議院といえどもない。でありますから、修正議決され、而も修正に全部賛成したところのいわゆる議員によつて構成されているところの現内閣は、当然責任を負うべきものであつて、その責任を負つて執行すべきものと我々は解釈する。でありますから、内閣は当然その責任を負つて、且つ又予算提出するところの義務を負つて参議院にそれを回付し且つ又提出すべきものと我我考えるが、その点についての疑義を我々はもう少しはつきり釈明をして頂きたいと思います。
  56. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 繰返しますと、これは論議になりまして、結局尽きないと存じますけれども、もう一度、先ほど申上げましたところを他の面から申上げますと、旧憲法時代から、衆議院で例えば政府予算案に対して削減の修正等がありましたら、それが貴族院に廻つて来たという場合に、貴族院が審議する原案は、一体政府原案審議するのか、衆議院修正によつて変更されたそれが原案として貴族院の審議の対象になるのかという議論がありまして、私の記憶では、これは衆議院で変更されたものが、今度は貴族院において審議の対象になるという扱いのように思つておりましたわけですが、そういう点から申しましても、先ほど私の申上げましたのは、筋合としてはそういうことになるという気持でおります。(「了解々々」と呼ぶ者あり)
  57. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ちよつとニ、三の点をお尋ねしたいのですが、その前に、相馬君の質問に対して佐藤君からお答えなつた点について、まだ明確を欠いている問題がありますので、その点……。  第一番には、増額修正可能であるという考え方を、今の政府も、与党である自由党もお持ちになつている。その点については佐藤さんから、はつきりとお答え願いたい。増額修正可能である。こういう憲法論を、解釈をとつているということをはつきりしておいてもらいたい。どうも明確でなかつた。これは増額修正可能であるというのと、修正削減はできるけれども増額ということは、あとで税金の歳入の面を考えなければならん。これは政府がやらなければならんのであるからして、増額修正というものはすべきでないという憲法論者もあるわけです。  それは佐藤君のほうでは、はつきりと増額修正可能である。こういう憲法解釈をしているかどうか。これを明確にしておいてもらいたい。
  58. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは結局、国会の御審議権の幅の問題になりますから、私どもは割合に言葉をやわらげてお答えを申上げておるわけで、御参考意見として申上げておるわけでありますから、言葉がおのずからやわらかくなりますが、先ほどお答えしました趣旨は、結局増額修正権はある。併しながら、それにはやつぱり提出権内閣にきめられておるという点から、おのずがらなる制約があるのであろう。然らばその制約は何かというと、例えば新しい款項の創設というようなことは、やはり提案権侵害になるというような面から、その点の制約があるのではあるまいかということを申上げたのであります。
  59. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、新しい款項の創設はいけない。額については款項の創設ではなくして、額の増額はいくら増額してもいい。こういうふうに考えていますか。
  60. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これもやつぱり合理的の限界はあると思います。でありますけれども、まあ大ざつぱに申上げれば、さようなことがけじめになるであろうという趣旨を申上げたのであります。
  61. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは緒方さん、これと同じような考え方をもつて臨んでおられますか。
  62. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) それは、法理論としては止むを得ないと思います。
  63. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に緒方さん、分自党並びに改進党の予算執行について協力を期待しつつと、こういうお答えがありました。これは予算執行は、何も政党は権利はないのでありまして、これに対して協力を期待しつつという意味は、やがて連立内閣でもやろう。こういうお考えですか。よくわからんのですが……。予算執行について協力を期待しつつというのは。
  64. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 予算執行ということは、政治の主なる部面でありまするが、その予算が確定いたしましたのちに、政局を担当して行く上に、この修正案を出された政党もやはりその修正に対して責任を感じられてその修正に対してできるだけの協力をしてもらうということが望ましい。そういう意味のことを申上げたのであります。
  65. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは一体、政党ができるだけの協力ということになれば、執行協力ということになれば、当然内閣に入らなければ、執行協力は私はできないと思う。それをここで答弁をされたのか。そういう呼びかけをしようという……。
  66. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 必ずしも連立ではございません。いろいろな協力の形があると思いま。
  67. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いろいろな協力言つて緒方さん政治論を振かざしておられますので、次にお尋ねしたいのだが、佐藤君が先ほど予算政府が編成して一旦国会に預けたら、旧憲法時代とは全然趣きが違うのであるから、だから、もう国会灯任すのである。こう言つているのだが、そうすると政治論から言つたならば、その予算の性格に重大なる、額の変更の多少は別といたしまして、審議権の問題は別といたしまして、性格に重大なる変更を加えられた場合には、当然これは政府に対する不信任案と同じような性格を持つた予算修正だ。こういうふうに解釈して行くのが大体政治論として正しいのではないか。又旧議会当時においてさえも、その解釈をして来ておるのである。ましてや新らしい議会において、すべて国会に任してしまつた。その国会が、その予算の性格に重大なる変更を加えるような修正を加えた場合におきましては、当然政治論として不信任案と同等の価値を持つたような大修正であると解釈するのが正しい解釈ではないか。私はこういうふうに思うのですが、緒方さんどうです。
  68. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 政府提出いたしました予算原案が否決を見たような、その根本の方針を変えるような修正であつた場合には、今お話がありましたように政府は総辞職をするか、或いは国会を解散するか、そういうことになるだろうと思いますが、今回の修正につきましては、政府与党と改進党、分自党との間に了解をつけたので、この委員会の性質上、案の内容には立入りませんけれども、私の了解しておりますところによりますと、政府の主義政策の根本には触れていない妥協である。これは政治論であります。そういう考えから。
  69. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、今のお話では、根本には触れてないという御解釈をとつているという御答弁だが、先ほどの御答弁では、分自党もあれだけ、人員は別としても、仲の悪い自由党が分自党の協力を期待する。或いは改進党の、野党の協力を期待しながらこれを執行して行くのだ。そういうお話からするならば、協力がなければやつて行けんということになる。
  70. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 協力がなければやつて行けんとは少しも思つておりません。ただ分自党も、改進党も、それぞれの意見によつて修正案を出した。この修正案を幸いに参議院におきましても衆議院議決通り議決されまするならば、その修正面の執行につきましては、分自党の修正いたしましたことについては分自党の協力を必要とするのであります。協力が望ましいのであります。私はそれをしなければ、内閣として責任を担当できんということではございません。協力というのは主体がありまして、それに対する協力、そういう意味でございます。
  71. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それは緒方さんは、修正した部分については云々と言われますけれども予算というものは全部の釣合いから私はできていると思うのです。それで一部修正したから、その修正部分、あつちを取つて来てこつちへ廻したというような修正部分ではなくして、全部の均衡を考え予算というものは成り立つていると思う。修正部分にだけ協力を期待するのだというような考え方、御発言は、どうも脇に落ちんと思う。  予算をそういうふうに考えておられるのですか。修正をした、筆を加えたところだけということではなしに、全般に影響して来ると思う。
  72. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 例えば、妙な例えでありますが、分自党が百のうち五の修正をいたした。その修正が結局国会の決議によつて政府執行責任を持つようになつた。その場合に分自党に対して百の責任を負わせるか。そういう意味ではないのでありまして、分自党もできるだけの協力が望ましい。これは分自党自身がやるのであつて、その結果がどう現われて来るか政府としてはわからないのであります。ただ、むずかしい政局を乗切るには、そういう協力支持が望ましいということを申上げたのであります。
  73. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 引続きまして緒方さんにお尋ねしたいのは、それだけの御見解の上に立つて、この第十六国会の冒頭におきまして総理の施政方針演説、それから小笠原大蔵大臣の財政演説が行われたのでありますが、財政演説の内容と、今修正されまして本院に回付されました予算案というものを比べて見ましたところが、大分財政演説の内容と変つて来ているということ。数字の面において具体的にこういう数字が変つて来ている。小笠原さんは、「これだけの予算の金を以てやつて行きます。」こういう財政演説を本会議においてやつている。ところがそいつと変つたやつが、今度は修正議決されて当院に回付されたということになりましたならば、予備審査をやつたり、これに対して我々は小笠原さんの財政演説に対して、いろいろの角度から質問して、これに対して政府の所信を国会を通じて明らかにしてあるわけです。ところがそれと、小笠原さんの意図とは、およそ違つたような予算案が今度は回付されて来たわけであります。従いましてこれは改めて小笠原さんは新たな見地に立つて、今緒方さんが言つたような見地に立つて、本会議において或いは小笠原さんが、更にこういう事態でむずかしくなつたのだが、止むを得ん事態になつたので、こういうふうに先に言つたやつは取消しだ。それで数字も修正するのだ。そういうふうにやらなければ、折角速記をとつて記録にも残つておる。ところがこれから審議する予算違つて来るということになつたら、極めて私は重大だと思うのですが、この点について政府の御見解を伺いたい。
  74. 相馬助治

    相馬助治君 ちよつと関連して。  結局ここでは、この予算案をどう取扱うかということが、終局の目的できめることなんです。それに関連して、修正議決であるから、それらの疑義が問題なのです。話が連立内閣に及んだのは、やや脱線気味で、ここでは深く立入る必要はありません。  そこで財政演説をするつもりか。それとも大蔵大臣が本会議で何か意思を発表するのかという質問が、今同僚の菊川委員から出たわけです。これはそういう質問にかかわらず、この際、若しも政府が自発的にこの案について、何か本院に総括的に要求しておるものがあれば、それを尋ねておきたいとす思います。従つてその今の菊川さんの質問に答える場合にですね。それらの意味を拡充して、一つ政府見解を尋ねておきたいと思うのです。そうすれば、こちらの態度はつきりきまる。だから具体的には、この事態によつて財政演説をやるとか、或いはやらんとか、こうするとか、ああするという見解を、総合的に承わつておきたいと思います。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  75. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私、了解いたしておりまするのは、今回の修正は、政府の施政方針の根幹に触れるほどの主義の変更ではないと了解しておりますので、只今のところ財政演説等を新たにやり替えるつもりはございません。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  76. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ところが速記録を調べてみますると、大体小笠原さんの本会議において言明した数字と、数字が狂つて来ている面がある。速記録に現に現われている数字と狂つて来ておるのです。それについて頬被りのままやつて行こうと、あなたのお考えではそういうことなんですか。少なくとも本会議において……、これをこういうふうに共通のこの施策を打出して行くのであると、大見得を切つておきながら、この数字が変つて来ておる。而も減額されておる面もあるわけであるし、増額されている面もあるわけでありますが、この減額されている面については、共通のこれだけの予算を以つてつて行こうとしておるのですけれども、財政演説というものには、これで一つ予算案というものを出すから審議をしてもらいたい。こう言つておきながら、ところが今その数字が狂つて来たということになれば、取消しをするなり、或いはその正誤を出すなり、何らかされなければ、これはおかしなことになつちまうと思うのだ。これをそのまま頬被りでいいと考えておられるのですか。
  77. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 加藤君。(「加藤君に聞いているのじやない」「関連質問か」と呼ぶ者あり)
  78. 加藤武徳

    加藤武徳君 財政演説の中に持込まれておつた数字の中に若干の異同があるのも、これは事実です。併しながら財政演説の中心の、中を流れている精神には異変がちつともないのであつて、私はその必要はない。従つて早く委員長は議事を進行なされ、結論に導いて頂きたい。    〔菊川孝夫君「それは違う。関連質問じやない。それは意見だ。何を言つているのだ。おかしいじやないか。」と述ぶ。「議事進行」「委員長進行々々」と呼ぶ者あり〕
  79. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 数字の増減はあると思いまするが、繰返し繰返し私が申しておりまするし、政府の施策の方向、主義の根本には変りがない。かような理由から、財政演説をしないつもりでございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  80. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一つある。それでは小笠原さんの財政演説に対しましては、我々のこれは見方によるのですから。あなたのほうでは、性格は殆んど変つていない。今まで言うたのと殆んどちつとも変らないというのだけれども、具体的に数字が違つている。これはもう否定することのできない事実だ。こういう数字の変り方からするならば、これは何と言つても、性格そのものに影響をしているということを私たちは言わざるを得ないのです。それだから、その金額が少いからして、これは大したことはないとあなたが仰しやれば別でありますが、我々は金額のことを論じているのじやなしに、その影響するところは大きな性格に変更を来たしている。こういうふうに認めているのでありまするけれども、あなたのほうでは、どうしても認めてないとするならば、これは若しもこちらから要求した場合には、これらの修正を何らかの方法によつて処置をしなくちやならん。せめて具体的に現われた数字だけでなくて、処理をしなければならんと思うのでありますが、これらの処理をどう……、そのまま放つておくと。こういうことになるわけなんですか。
  81. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 同じようなことを繰返しますが、新しい憲法の下に、新しい国会の運営につきましては、すべてが先例になつて参りまするので、政府といたしましても出まかせのことを言うておるのではないので、慎重に考えておるのでありまするが、今お話の数字の増減につきましては、ここに政府から衆議院修正につきまして、これは非常な根幹的な修正になれば、当然に政府意思表示すべきものであります。その点で根幹に触れていない場合に、財政演説をやる必要はないという政府としては見解を持つておるのであります。  この審議につきましては、審議の間につきましては、十分に御検討を頂いて、又御質問に対しましては、政府もそれぞれの意思のあるところを、できるだけの説明は申上げようと存じております。(「了承」と呼ぶ者あり)
  82. 杉山昌作

    杉山昌作君 本日の場合は、予算案取扱に関することになつております。具体的には、本会議説明を聞くか、すぐ委員会に付託をするかという、単なる取扱の問題だと思います。特に今までは、予算の内容が以前と違つていたとか、或いは政府が総辞職をしていたとか、いないとか、これは予算審議しての上の内容の審議になるかと思いますが、もつと議論を進めて、本会議で聞くか、その必要なしかということだけに集中して、早く結論を出すようにお取計らい願いたいと思います。(「その通り。」「必要なし」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  83. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) お諮りいたしますが、今の杉山君の発言は……。    〔菊川孝夫君「今の杉山君の発言に対して……。」と述ぶ〕
  84. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 理事会での申合せは、これは普通であるとすぐに予算委員会に付託されるのでございます貧ども、いろいろ関係があるから、議運で暫らく検討の時期を与えるようにしてくれという申合せであります。そこで本日その一つの議題として取上げた次第であります。  従いまして、その内容は、先ほど相馬君からお話がありましたが、五十六條のニ等も勘案しての話でありましたので、この点につきましては、その当時の申合せ等も考えましてこの程度で理事会の申合せを終了いたしたものと存じます。  従いまして、只今の御意見の中には、五十六條の二による取扱いというのは出て参りませんから、直ちにこれらは予算委員会に付託するように進めるということで、取り運んで御異議ございませんか。    〔「異議なし」「それは異議がある」「そんな馬鹿なことはないよ」「意見も吐かずに、そんな馬鹿なことはない」「何を言つているのだ」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  85. 相馬助治

    相馬助治君 五十六條の二によつて……(発言する者多し)ちよつと待つて下さい。五十六條の二によつて、ここで持つている理由を明らかにし、そこで間違いがない運営を期すために、政府の御出席、及び緒方総理に対して質疑のこれは時間だと思うのです。(「そうだよ」と呼ぶ者あり)で、突如としての杉山君からの動議も頷きます、私どもは……。併し、だからと言つて、それの委員長の今の取上げ方は、これは誠におかしい。というのは、質疑をしておるのであつて政府側に退席を求めてから、本院としてどうするかということが問題なんだ。(「その通り」「そうだよ」と呼ぶ者あり)それをせずに、それから積極的に本会議に出すという意見がないから、それで意見がないというのは、それは加藤ざんが釘をさしておる。相馬君なんかの意見なんか聞くと、本会議にのせたというようなことになるので、それは怪しからんぞというから……、私どもはそれは別だと言つているのです。だから、いささかもそういう意見には誰も触れていない。ですからこれから問題なのは、委員長のさような気分、気持はわかりますが、それは、誠にあとあとのためによくない。どうか今のことを取消して、杉山君の動議を取扱うなら、その動議として取扱つてほしい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  86. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 今の杉山君の動議の内容を、そういう動議の内容と心得た……。もう一遍承わります。
  87. 杉山昌作

    杉山昌作君 今相馬君がおつしやつたような、ここでは本会議にかけるかかけないかということをきめることなんで、今までのお話は、そごまで行つていない。早く、かけていいのか、かける必要がないがを早く論議して、きめてほしいということなのです。
  88. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それで杉山君の意見について、杉山君、えらい誤解しておられるようだが、本会議にかけるか、このまま予算委員会に付託するかということをきめろ前に、いろいろの点について我々は疑問を持つているから、政府の今までは見解を質し、法制局長官見解を質しておるのです。従つて大体政府見解だけは明らかになつて来たが、政府解釈とおれらのはうの解釈は又別なんだから、論議をしてどういうふうにするかというふうにきめて行くべきなんだ。
  89. 相馬助治

    相馬助治君 杉山さんに伺いますが、動議の提案者に伺いますが、あなたのおつしやるのは、政府に対する質疑打切りの動議なんでしよう。どうですか。
  90. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) ちよつとお諮りします。政府のほうは、何か用件があるから退席さして頂きたいということですが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 相馬助治

    相馬助治君 今の動議が成立したならば別として、これは退席するなら、休憩して次の議運においてやるよりほかなくなる。私たちは今の政府態度明確ならずとして、こうして粘つておる……。
  92. 杉山昌作

    杉山昌作君 はつきりしなかつたようでしたから申上げますが、大体これで政府見解を質すというようなことはほぼ尽きておるものと思いまして、政府見解を質すことは、これを以て終了するということの動議です。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今杉山君の動議に賛成がありますので、議題として取計らつてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」「反対々々」と呼ぶ者あり〕
  94. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 多数の方が御賛成のようですから、杉山君の動議を議題といたします。  質疑打切の動議に賛成のかたは、挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 多数と認めます。よつて質疑打切は決定いたしました。  従つて予算案取扱について、更にお諮り申上げます。
  96. 千田正

    ○千田正君 時間も、相当論議で疲れたようですから、一旦休憩に入ることの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  97. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 今の動議は賛成がありましたから、これを議題とし、賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 少数と認めます。よつて千田君の動議は否決されました。(「人道上の問題だよ」と呼ぶ者あり)
  99. 加藤武徳

    加藤武徳君 大体議論も尽きたようですし、予算委員会も付託される時機を待つておるように私は了解いたしております。従いまして直ちに予算委員会に付託いたします動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  100. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行……です。  その動議を取上げることは無理です。議論も尽きたようですがと言うが、対政府と本院とで議論をしたのであつて、未だ与野党間において議論は何ら尽されていない。一音も触れていない。その動議は取消しなさい。
  101. 加藤武徳

    加藤武徳君 只今に至る質疑の間で、すでにその殆んどが尽きておるわけでありまして、委員長は動議を取上げて議事の進行を願いたい。
  102. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今加藤君の動議に賛成がございましたが、これに対する賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕    〔何を言うのだ、足りないぞ」「少数少数」「はつきりやれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  103. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) もう一遍はつきり、加藤君の動議に賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕    〔「まだ早いよ」〕「一言だつて審議しない」「こんな形でやるなんて馬鹿なことはない、滅多にないことだ」「ゆつくり審議をやれ」「論議もしないで何が動議だ」と呼ぶ者あり〕
  104. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 少数と認めます。よつて加藤君の動議は否決されました。
  105. 杉山昌作

    杉山昌作君 私がさつき動議を出しましたのは、御承知のように質疑打切の動議を出したのであつて、そうして、これを本会議にかける必要ありやなしやについては、やはり若干の考え方を披瀝されるほうが適当であろうかと思います。それで我々は今直ちに加藤君の動議については決しかねたので、何ともしなかつたわけですから、やはりこれをもう少し今までの質疑と別に、本会議にかける必要ありやなしやについては、もう少し考える必要があろうと思います。
  106. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今杉山君から、いわゆる五十六條の二によつて会議にこれをかけるかどうかということについては、もう少し検討をいたしたいという御意見でございまするが、如何ですか。
  107. 相馬助治

    相馬助治君 やはり一応身を入れて、議論を尽すべきことは尽して、どうあろうとも事をきめ乙べきだと思う。我々は議論のための議論をして、議事を引延ばそうと論争しているのではない。これは、この予算は特殊なものです。  そこで、今までの前例その他からいたしますならば、杉山君おとりなしのようにおのおの意見を述べて、これが取扱は、従前ですと理事会において事をきめて来たわけです。私ども理事会にこれを廻せというのは、先ほど来申しますうる通りに、引延ばしであるとか何とかいうことではなくて、これが特別な事態であるという、引延ばしと委員長が認識するならば別ですが、そうでない限りは議論をして、そうして一応理事会に渡して、そうしてこれが取扱いをきめるというのが私は筋だろうと思う。  従つてとにかく私は、ここではこれをどうするかという基本的な議論だけはすべきであるということを意見として申上げます。
  108. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 本日の委員長の議事の取運び方については、我々もちよつと戸まどつたが、今日まで議院運営委員会において、このような取扱い方は殆んどされておらない。今日だけは委員長、血迷つたか知らんが、馬鹿に焦つておられるようで、与党の諸君も殺気立つている。そんなことではここで幾ら採決できめましても、又予算委員会において野与党の面倒が起つて来る。そういう覚悟でやつてくれることと、今後あなたのほうで議院運営委員会も、そういう覚悟でやつて行くのだというふうにやられるならば、やられるでよろしいが、今までの慣例としては実際、今日だけは特別な取運びをしようとしている。特に今日は土曜日である。今頃から我々としてはこの問題をきめてみたところで、どうなるものでもないので、各派の十分納得の行くようにして、まあ休憩するなり、理事会を開くなりして、十分納得した上で一つお取計らい願いたい。そうぜんと、折角議運においてはいろいろ問題になつたのですが、各派の話合いにおいて了解に達する点に努力して来たのです。それを今度、一番国会の終末に参りまして議運においてそんな取運びをされるということになつたならば、我々もその覚悟を以てこれからすべての委員会に我々は臨まなければならん。
  109. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 杉山君の御意見賛成がありますので、そのように取計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは、杉山君の御意見のように決定いたします。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 私のほうから委員の変更通知が出ておるので、これを先ず諮つて頂きたい。これはやはり採決の上にも関係があるものですから、なぜそれを先に諮らなかつたかという点が一つ。これは今朝からしている話です。  それから第二に、いよいよ今度これを本会議に上程するかどうかという問題が出て来るわけです。  これは今度は、当院においてきめなければならん。そこで私は当院において、今度は法制局長を中心にして、この問題について、いろいろ意見も聞かなければなりませんし、それからなお我々は、こういうふうな修正が行われているということが前例のないことでありまするけれども予算修正という問題については、これは量と質との問題はありますが、前例もなきにしもあらず、帝国議会時代に若干の例はある。それらの例について正確なるものを資料として一つ法制局長のほうから、或いは議事部長のほうから、ここに御提出を願いたい。それを基として論議を進めて行きたいと思う。
  112. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今岡田君のほうから、議員の差替えが出ておるから、これを先に諮つて欲しいという申出があります。皆さん御異議がなければ、議事に繰入れて、協議中でありまするが、途中でこの問題を、議員の差替之を諮りたいと思いますか。
  113. 相馬助治

    相馬助治君 賢明な議運委員長にも似ない、委員会の横成は、あらゆる案件に先んじてやつても何ら差支えないのですから、賛成、反対する者があろうがあるまいが、諮つて下さい。
  114. 加藤武徳

    加藤武徳君 一つの案件を審議しておりますのに、仮に議院の構成であろうとも、これを諮るということは、議事の進行としては、これは邪道でございます。併しながら採択には是非加えたいという他の会派の御要望のもあるわけでありますから、質疑を終了いたしまして採決に入ります前には、私は院の構成に関する案件を取扱うことに賛成でございます。  それまでは保留を願います。
  115. 岡田宗司

    岡田宗司君 加藤君が言うことを聞いておると、全く理不尽です。今休憩の動議が出て、その動議につて採決が終つたから、一つの議題が終つたから、私はこの問題を持出して、まだ次のことをやるかどうかという問題は、はつきり取上げて、そのことの審議が始つておらん。その間に私が議事進行について発言をした。加藤君は何を血迷つておるか知らんけれども、少々耳をよくあけておいて頂きたい。
  116. 加藤武徳

    加藤武徳君 どうも血迷うという言葉を常套的にお使いになつておるようですが、決して血迷つてはおらないのであります。  なお、本日の議運が始つて間もなく、一つの案件として予算をどうするかということを言つておるので、案件としては、明らかに初めから継続しております。
  117. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは先ほどお諮りいたしましたように、この際、議員の差替えをいたすことを御異議がなければ議題として取運びたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは、常任委員辞任及び補欠に関する件をお諮りいたします。
  119. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 その差替えは何時頃出たのですか。
  120. 河野義克

    ○参事(河野義克君) 御承知の通りに本委員会を開会いたしまして、常任委員及び特別委員補欠に関する件をお諮りを頂いたわけであります。その後、他の議題に入つたのちに自由党及び社会党第四控室から、委員の差替えが出ております。
  121. 加藤武徳

    加藤武徳君 自由党からの委員の差替えは、一つの案件を審議している途中で差替えを行つて欲しいというのではないので、委員長のほうで適当に処置して下さい。
  122. 杉山昌作

    杉山昌作君 只今事務次長のお話だと、前の委員の差替えが終つたあとだというだけで、はつきりされない。今問題にしておる予算案取扱いをどうするかという案件にかかろ前にやつたか、それからあとかの問題ですから、私の考えとしては、若し前にやつたとすれば、これはやはり構成に関する問題だつたら、なぜまずそれを取上げなかつたか。若しこの予算案の問題の審議に入つたあとであるなら、案件の途中で新しい案件をやるということには、疑義を持つております。
  123. 河野義克

    ○参事(河野義克君) 事実を申上げます。予算案取扱に関する件が、本委員会の議題になつたのちに出て参つたのでございます。
  124. 杉山昌作

    杉山昌作君 若しそういうことであろならば、予算案審議を終つたあとでやるべきと思つておりますので、一つの案件の審議の途中に、ほかの案件を持つてくるのは、私は非常に疑問を持つております。
  125. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 どうも、いつもの議院運営委員会の雲行とは違つて、馬鹿に殺気立つて委員の差替え一つについても、えらい気が立つております。今まで出たことがないので、私も最近、ちよつと欠席して申訳ないのですが、ところがこういう情勢になつたときには、どういうふうに調整しようかというのは、今までは理事会を開いて話合いをすれば決まる。なぜ慌てて今日採決に持つて行こうという気構えであなたがたは攻め寄つて、盛んにのしかかつてきておられますけれども理事会できめて、直ちにやるならやるということにして、私はこの際、余り殺気立たないように運営してもらいたい。従つて採決なんか急がんように、御忠告申上げておきます。  従つて委員の差替え問題についても、今までもいろいろ、それは疑義についてはあるだろうと思いますけれども、一名や二名で争つてきめてしまつたところで、予算委員会下、必ず問題になろ。併し会期の関係と睨合せて、非常に切迫いたしておるのでありまするから、我々野党は野党的な立場で、やはり審議には十分努力しなければならんということは考えてわろのであります。そういうところも考えて、早く問題を解決するためには、各派了解していつたところでないと、相当な数を持つた会派の、而も野党の主勢力の一方を、本当に無視してしまつて、強引に押切られましても、それは必ず不測の事態に直面するだろうと思います。この点十分委員長はお考え願いたい。
  126. 相馬助治

    相馬助治君 杉山さんのおつしやることも御尤もだと思うのですが、私ども発言しておりますことは、やはりこういう問題は、前例によるほかないと思うのであります。今一つの案件が議論されているときに、突如として委員の差替えは、これはまずいのです。ところが従来、一つの案件が各委員会い付託されて、議論が継続しておる最中に、その委員会が開かれている、開かれていないは別として、一つの案件が委員会で継続している状態において、例えばスト規制法ならスト規制法というものが、労働委員会で案件として議論している過程において、与党みずからの委員の差替え等はなさつたわけであります。それで議運に瞬ける仁義と申しましようか。よほど重大なる限りにおいて疑義がある場合は別といたしまして、委員の差替えについては、理窟を用いず、あらゆる便宜を好意的に図つて来たと思うのであります。従いまして、そのことは草葉委員長はよく知つておる。知つておるにもかかわりませず、どうしたらいいかということを諮ることは、委員長自身としては、何とかこれは差替えてやりたいと。こういう意思が見えている。従つてこれは、そういう議論を言わずに、この差替えは行なつてほしいと私は思うのです。
  127. 杉山昌作

    杉山昌作君 只今相馬君の、一つの案件がかかつているときに休憩になるとか、或いは本日は延会で明日にするとかというときにはやつていると思います。ずつと審議をやつているときに、やつたということはないと思います。従つて今は、現に発言をして、ずつと審議をしてやつている途中でございますから、相馬君の前例は当らないと思います。併し相馬君のおつしやるように、こういうふうな杉山、理窟は言うな、委員の差替えは別だというなら、私は先ほど、反対とは申上げておりません。疑義が存すると言つておりますので、皆さんがたで、そのほうが議事の進行上いいというなら、私は疑義のままでも従います。
  128. 相馬助治

    相馬助治君 杉山さんも、実によくわかつたお方ですから、社会党の私たちの問題ですから、自由党のほうは今急に必要としないというのですから、菊川さん、これはどういうふうにするか、あなたのほうで。
  129. 加藤武徳

    加藤武徳君 前例は御承知の通りに、採決に入る前に、案件の継続中でも、委員の差替えをいたしました例がございます。現に破防法を審議のときに、そういう工合にいたして灯ります。この点、実は質疑等をすつかり終つて、採決等をやる前には前例があるということを申上げたのであつて、その時期の差替え知関しては、私は前例があるということを、重ねて申上げたいと思います。
  130. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 我が党の関係でございますので申上げますが、私は、先ほどから繰返して申上げておりますように、委員の一名や二名の差替えによつて、一、二名の差によつて争うというふうな議決をして行つてみたところで、円満に行くものじやないと思います。従つてそういうふうな印象を与えて、この殺気立つた中で審議をするというのではなしに、各派了解の点に達するように努力するということを私は繰返して申しておりますので、この際は委員の差替えの審議は、一応この議案が終つてからにしてもらうということに了解いたしまして、従いましてこの審議に当りましては、先ほどのような自由党や、委員長の取計らいのようなことも、いつもの委員長とは違うようなお取計らいについては、十分御戒心願いたい。
  131. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは常任委員辞任及び補欠につきましては、後刻、適当な時期にお諮りをいたすことにいたします。質疑を続行いたします。
  132. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 議事進行について……。  この際、やはりこのままの空気で、どんどん、議事進行をやつて行つた場合に、又いつ動議を出すというようなことになつてもいかんと思いますので、一応やはり、先ほど千田君から動議が出まして否決をされましたけれども、ちよつとこの際速記をとめて御懇談願いまして、そしてその上で議事の進行をお諮り願いたいと。こういうふうに考えます。
  133. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 速記をとめて下さい。    午後零時三十二分速記中止    —————・—————    午後一時一分速記開始
  134. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 速記を始めて。
  135. 相馬助治

    相馬助治君 いろいろ議論も出ているようですが、丁度一時となつたので、要求もありますから一時三十分まで休憩。ただ問題の重要性に鑑みて、各党とも一時三十分には出席して継続をしてこの案件に当る。こういうことを協定の上、一時三十分まで休憩の動議を提出いたします。
  136. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私も相馬君の動議に賛成いたします。
  137. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今相馬君から動議が出ましたように一時三十分まで休憩をし、一時三十分に再開をする。但し一時三十分には全員御出席を願うことにしまして、暫時休憩いたしたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩    —————・—————    午後一時四十分開会
  139. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 休憩に引続いて、再開いたします。
  140. 杉山昌作

    杉山昌作君 休憩前に、まあ大体いろいろな話合いが出ましたけれども、それぞれ党派へ持帰つてということだつたと思うのであります。従つて各派へお持帰りになつて相談の結果を、各党派から順次一応お聞き願つて、それで結論を出すようにして頂きたい。
  141. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今杉山君の御意見にもありましたが、休憩前は、各派おのおのお持ち帰りになりまして態度を御相談ということになつて休憩になりましたので、先ず各会派の御意見を御発表願います。
  142. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今回衆議院において修正議決されて参議院に回付されました二十八年度の一当初予算案につきましては、先ほど来の政府当局に対する質疑を通じまして、我々が考えておることと政府見解の間に、相当の食違いがあるということを発見いたしました。  特にあの予算修正については、単なる数字の修正ではない。これは予算の性格そのものに及んでわるものである。例えば保安隊の問題或いは米価の問題、補給金の問題等から考えまして、どうしても予算の性格を根底から覆すものである。かような考え方を持つておるものである。これは変らない。どうしても政府見解とは違う。特に、又これは法律的に考えました場合には、正面解釈した場合においては、政府や或いは法制局長官答弁が、一応法律論の正面解釈としては成り立つかもしれないけれども、政党内閣制をとつておりまする今の新国会におきましては、これ通用しない。ただ何と申しますか三百代言の法律論としてであつて……、我々はそういうふうに考えるというのは、政府予算案国会提出するというのは、これは「番大きな仕事だと思います。その政府の出しましたところの予算案に対しまして、野党から僧正をされた。或いは野党連合或いは参議院その他において修正をされたというのならいざ知らず、内閣成立の基本的な勢力である衆議院与党が、先ずこの政府提出予算案に対して斧鉞を加えたようなことは、これは政治的に考えましたときに、極めて私は大きな問題がある問題だと風います。野党によつて少数の差によつて修正された。そうしてこちらに廻つて来たというのであつたならば、これは法律論、或いは先ほど佐藤君が見解を述べたところの法律論答弁を、僕らも一応受取るのでありますが、与党、而も相馬君が先ほど申上げましたように、政府、大臣、閣僚がこれに対して白票を投じたというがごとき、政治責任極めて重大だと思います。なお又過般本会議において行われました小笠原大蔵大臣の財政演説と、今の予算修正案との間には、かなり距離があることも事案であります。  以上のような見解に立ちましたときに、これは将来に非常な悪例を残し、且つこれは一つの慣行にもなることであり、諸外国に対して、日本の議会制度というものはどういうものだということを示す一つのモデル・ケースにもなろうと私は考えるのであります。このような考え方の上に立ちまして、本予算案予算委員会において審議される前に、本会議におきましてこれに対する政府の所信、見解というものを明らかにし、これに対しまして質疑のある会派は質疑を行いまして、そうして問題の所在点を明らかにした上で、予算委員会におきまして審議に入られるということが、最も民主的にして、且つ参議院の性格を遺憾なく発揮し得る議院運営である。このような見解に立ちまして、我々は予算修正案に対するところの政府見解を本会議において、明らかにし、且つこれに質問を行う。こういうお取運びを願つた上で、予算委員会において審議に入る。こういう手続をおとり願いたい。で、これを当委員会に我が党から提案をいたしたいと存じます。
  143. 相馬助治

    相馬助治君 二十八年度の当初予算を現在審議しているというこの不幸な段階を私どもの党としてもよく存じておりますので、これが一日も速かに決すべきことは、皆様と共に同感でございます。ただ問題は、或る費目に至りましては増額修正となつておりますし、且つ議院内閣制度である現在において、与党自由党がその発議者の一会派であり、閣僚又、白票によつてこの予算案には積極的に賛成した行動を衆議院において見せたという経緯に鑑みまして、私どもの党といたしましては、現在の吉田内閣憲法上の規定通りに全責任を持つて、この修正部分についても積極的に説明意思を含めて、本院に提案されたものと期待しておりましたので、念のために先ほど政府にその見解を質したわけでございます。政府見解は、必ずしも明瞭でありませんが、結局のところ、最終的にはその責任を持つという意図でありと私どもは一応やむなく了解して、反対はいたしましたけれども政府に対する質疑打切という事態を迎えたわけであります。  そこで私どもとしては議長協力する意味合いにおいて、前例にもありますことでありますから、理事会にそれを持込み、そこでこの法案の版扱いをきめて、相成るべくならば、全会一致を以て決するようにお運びを願いたいと主張したのですが、どうも今の段階では、それらが容れられそうもない。そこで我が会派では、どういうふうに最終的に考えているかということに相成るかと思うのでありますが、私どもといたしましては、当然政府は財政演説をすべきであると基本的には考えます。併しながら財政演説は、予算案の提案理由説明ではありません。そこで若しも政府が自発的に大蔵大臣をしてこの修正案を含めての提案理由説明に類するものを本会議において発言するとするならば、それによつて我々は財政方針演説の要求はしまいと存じていた次第でございます。  従いまして私どもの会派では飽くまでもこの事態においては、何らかの方法にあいて政府の意図を本院の本会議を通じて闡明せられ、而してその上に自動的に予算委員会にこの法案が付託されるのが筋であると考えるのでございます。実際問題としては、予備審査の段階で本法案が予算委員会において審議されておりますが、修正の分が非常に広く、且つ重大なものを政策的にも含んでおりますので、それらの事情は知つておりますけれども、本会議において何らかの方法において政府の意図を飽く左で質したいというのが、私ども考え方でございます。
  144. 石川清一

    石川清一君 先ほど懇談会でも、ちよつと申上げた通りでありますが、修正議決された予算案に対して、政府が存続する限り予算提出した政府責任は消えるものでない。参議院における審議は、そういう政府の存続する限り責任が明確になつておるのでありまして、本会議で改めて説明を聞く必要はないと思います。ただ修正の内容等については、部分的に経過的なものの含んでおるもののあることは了承しますが、それは予算委員会に付計されて、十分論議されて然るべきである。又それは参議院においても修正議決されることも可能でありまして、その自由はございまするので、それは予算委員会にかけて、本会議にかけずにいいと思います。
  145. 千田正

    ○千田正君 この点に対しては、すで忙社会党の菊川君、相馬君から述べられましたと同様でありますが、我々の会派といたしましては、更にこの修正されました予算が、仮に参議院においても通つたという場合においても、いずれは補正予算必至と見なければならないという段階に至つております。それで政府はこの間一応、この修正予算衆議院を通過したのに鑑みまして、或いはこれは政府が担当して実行しなければならないだろうから、その責任を本会議において、十分にその信念のほどを発表すべきである。こういう我々の意見であります。
  146. 杉山昌作

    杉山昌作君 私のほうは、今度の予算修正が、新聞紙等で拝見しますと、前の予算に対して相当広い。単に数字に増減があつたということでなしに、政策的にも、若干政策の上にも触れるところがあつたと思われるものがある。従つてこの修正案に対して政府見解を十分に質すべきであるということを考えます。質すとすれば、前の財政演説との関係もありますので、本会議で質すほうがより広くの議員が直接聞けるからいい方法だと思いますけれども、まあ先ほど懇談のときに申上げたように、二十八年度の予算は、今日までできておりませんので、非常に予算が遅れておるために、これは官庁が仕事ができないというよりも、そのあおりを食つた一般国民の迷惑も非常に大きなものがあると思いますので、従つて予算審議を促進すために、本会議にかけないで、予算委員会へ出す、その代り私の承わつておるところによりますると、予算委員会においては、修正点について政府並びに発案者等から十分の説明を聞き論議をして、今、私の申上げましたような、本会議場で明らかにしようというような点は、予算委員会でもやる見込であるというようなことを承わつておりますので、実質的にはそれで審議が済むから、さようなお取計らいがこの際適当であろう。かように考えております。
  147. 加藤武徳

    加藤武徳君 理由は詳しく申上げません。結論だけを簡単に申上げますと、緑風会さんの御意見と同じように、直ちに予算委員会にかけて頂きたいというのが結論であります。
  148. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) これで各派の御意見は終了いたしたのでございますが、お聞きとりのように、大多数は直ちに予算委員会に付託すべきものという御意見と了承いたします。従つてこれが取扱い方の御決定を頂きたいと思います。  直ちに予算委員会に付託することに決しますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」、「異議あり」、「採決」と呼ぶ者あり〕
  149. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) それでは、直ちに予算委員会に付託することに賛成の諸君の御起立を頂きます。    〔賛成者起立〕
  150. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 起立多数でございます。よつて直ちに予算委員会に付託することに決定いたします。   —————————————
  151. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 次に、常任委員辞任及び補欠に関する件をお諮りいたします。
  152. 河野義克

    ○参事(河野義克君) 自由党から、予算委員の伊能芳雄君、同じく岩沢忠恭君、同じく大谷贇雄君、懲罰委員の関根久藏君がそれぞれ辞任せられて、予算委員佐藤清一郎君、同じく小沢久太郎君、同じく関根久藏君、懲罰委員に大谷贇雄君を後任として指名せられたいというお申出がございました。又社会党第四控室から、予算委員矢嶋三義君、議院運営委員岡田宗司君がそれぞれ辞任せられて、予算委員岡田宗司君、議院運営委員矢嶋三義君を後任として指名せられたいというお申出がございました。
  153. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 只今のお申出の通りに決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 御異議ないと認めます。さように決定いたします。   —————————————
  155. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 次に次回の本委員会は、月曜日、午前十時にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) さよう決定いたします。本日はこれを以て散会いたします。   午後一時五十八分散会