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1953-08-06 第16回国会 参議院 外務委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)    午前十一時五十二分開会   —————————————   委員の異動 八月五日委員曾祢益君、草葉隆圓君及 び亀田得治辞任につき、その補欠と して東隆君、鹿島守之助君及び岡田宗 司君を議長において指名した。 本日委員河井彌八君及び東隆辞任に つき、その補欠として井野碩哉君及び 三木治朗君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            徳川 頼貞君            加藤シヅエ君    委員            石原幹市郎君            鹿島守之助君            古池 信三君            小滝  彬君            井野 碩哉君            高良 とみ君            岡田 宗司君            中田 吉雄君            羽生 三七君            三木 治朗君            鶴見 祐輔君            杉原 荒太君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    外務省経済局長 黄田多喜夫君    外務省条約局長 下田 武三君    特許庁長官   長村 貞一君    運輸省航空局長 荒木茂久二君    郵政省電気通信    監理官     金丸  昭君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   説明員    外務省経済局参    事官      森  治樹君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国アメリカ合衆国との間の友  好通商航海条約批准について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○第二次世界大戦影響を受けた工業  所有権保護に関する日本国とドイ  ツ連邦共和国との間の協定批准に  ついて承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○第二次世界大戦影響を受けた工業  所有権保護に関する日本国とスイ  ス連邦との間の協定締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議  院送付) ○国際民間航空条約への加入について  承認を求めるの件(内閣提出衆議  院送付) ○国際航空業務通過協定の受諾につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付) ○国際電気通信条約批准について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。  ちよつとお断り申上げておきまするが、今朝の議運小委員会で、独禁法が本会議に上程の場合、各委員会はやめて、各委員会議に出席するようにという決定があつたそうであります。併しこの委員会は御承知通り極めて重要な案件を処理しておりまするので、特に議長の許しを得まして、独禁法がかかりましても、この委員会だけは審議を続行して差支えないということにいたしましたから、どうぞそのおつもりで審議を続行せられるようにお願い申上げます。  議題は日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海条約批准について承認を求めるの件であります。本件につきましては、一昨日逐条質疑終つたのでありますが、逐条質疑が一通り終れば、再び前文に還るということでありましたので、前文及び条約全体について残つている質疑を行いたいと存じます。質疑のあるかたの御発言をお願いいたします。
  3. 杉原荒太

    杉原荒太君 極く簡単な問題なんですが、ちよつとお尋ねしておきたいのですが、前文で明らかになつておるように従前の条約違つて最恵国待遇について今度無条件主義に変つておるわけなんだが、今、世界で、殊に日本との通商関係などがあるようなところで、有条件主義をとつておるところがあるかどうかということと、あるとすればどこかということを参考のため心知つておきたい。それから時間をなるべく節約する上で一度にもう一つだけ質問しますが、これはもう極く念のために伺つておくのだけれども、この前文のところに、この条約を「締結することに決定し、」とある、その締結というのを、どういう意味に解しているのかということを、一つこれもちよつと念のために聞いておきたい。その二つです。
  4. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 前段のほうのお答えを私から申上げたいと存じますが、只今ブラジル、それからトルコ、これはまだ共に……ブラジル日本国との通商航海条約はまだ復活いたしておりませんで、交渉中でございますけれども、これの条約の中におきましては、有条件最恵国待遇ということになつております。これはまだ復活しておりませんで、只今交渉中でございますが、ブラジルが有条件になつております。
  5. 下田武三

    政府委員下田武三君) 前文のほうの「締結することに決定し」と申しますことは、この条約を作つた以上は、それぞれの国内法の手続に基きましてこれを確定的に効力を発生させるというところまで意図して締結するごとに決定しておる。そう解しております。
  6. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 先ほど申し落しましたけれども、トルコとの間にこれは復活いたしておりまするけれども、これが有条件になつております。
  7. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 今あとでおいでになつたかたに申上げますが、本日は、独占禁止法がかかつても、この委員会だけは審議を続行するということに議長許可を得たということと、それから逐条質疑は終りましたが、そのあと前文に還つて来るということをお約束しておりますので、前文及び条約全体について残つている質疑を今お許ししているところであります。
  8. 高良とみ

    高良とみ君 何か小さい条約が幾つか残つているのじやないのでございますか。それを批准することがあるのじやないのでございますか。それは、いつおかけになりますか。
  9. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 今日通商条約あとでそれをかけたいと思います。この公報にも五件載つております。
  10. 高良とみ

    高良とみ君 そのほうを今簡単に行きませんですか。
  11. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) そのほうは簡単でありまするから、最後に……。
  12. 高良とみ

    高良とみ君 わかりました。
  13. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 全体のところでちよつと伺いたいのでございますけれども、アメリカ資本が入りまして、例えば日本会社ができまして、その会社が、内地で消費するような物資を営利の目的で輸入するというような場合に、今までそういうようなことが余り過去になかつたために、関税については別に特に高い関税というようなものを日本でそれについて考えていなかつた。ところが外資の入つた会社がどんどん或る物資日本に入れて、そして日本人がそれを消費することを非常に好むというようなことになりますと、今度はそういうものが余りどんどん輸入されちや困るというわけで、その特定物資に対して関税を、特別高い税をかけるというようなことにきめるとか、或いは何かはかの関税でない消費税とか何とかいう税目を設けて、そういうものの輸入を規制するというような処置をとりました場合には、この通商条約によつて、そういうことが不利になるというようなことで、アメリカのほうのその会社を持つている資本家から抗議を申込まれるというようなことはあり得ることでございますか。
  14. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これは輸入物資全体に対する問題でございまするけれども、御承知のように、我が国はまだ為替の自由ということをやつておりません。全部輸入物資につきましては外貨割当ということをいたしております。従いまして、その外貨割当をいたします際には、日本経済に最も寄与するという方法で、主として原材料とか食糧というふうなものに最も重点を置いていたしております。従いまして、その面では全部平等でございます。それから外貨のポジシヨンによりまして取扱いを異にし得る。例えば、ポンドが非常に足りない場合には、ポンド割当を減らすとか、或いはドルが非常に足りないというときにはドル割当を減らすということは、本条約でもできることになつております。従いまして、その方面から参りますところの差別待遇に対して抗議が来るというふうなことはございません。
  15. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私の知りたいと思うことは、為替のそういうような操作によらないで物が入り得るということを考えるのでございます。それは、例えば、アメリカ資本日本資本とで合弁のような会社ができまして、それで向うから物を取り寄せます場合に、ドル貨で支払いをしなくても、向うから物をどんどん入れて来るという場合もあり得ると思うのであります。そうして日本に物だけ入れて置いて、日本でそれを売却して、その円貨で以てだんだんにそれを積み立てて置くというような、そういうような場合もあり得ると思いますけれども、そういうような方法によつて物資制限できないで輸入されるという、そういうような場合のことを今伺つたのです。
  16. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) お説のことは無為替輸入になります。併しこの無為替輸入ということは原則として許しておりません。これの許可、不許可政府がなすことでございますので、お説のような場合、そういうことがあり得ることは極めて稀有だと存じます。若しそれがありましたにしても、それが害があるというふうな場合には、無論直ちにこれをとめ得るということになつております。
  17. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 その無為替輸入には制限があるという条項はどこにございますか。
  18. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これはこの条項にはございません。これは日本政府が無為替輸入許可するかしないかということは、一国のやり得ることでございまして、この条項には無為替輸入をいかんとか或いはよろしいとかいうことはございませんで、差別待遇でないということでありまするならば、これは一国に任されたことでございます。
  19. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういうことは、この条約のどこかにはつきり書いて置かなくても大丈夫でございましようか。
  20. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これは条約対象になるべき本来のものではございませんし、本条約におきまして、そのことに関係いたしますのは十二条でございまして、これでは為替管理をなし得るということになつておりますので、そのほうがこれに関係した条文でございます。それによりましてもできるということになつております。
  21. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは為替管理のほうのことはそれで一応わかりましたが、先ほどのお話で、為替管理にかかる物資で、例えば、日本では食糧なんかは非常に買わなければならない物資でございますが、その食糧さえも、或るものは余りに輸入されますと、内地のものとの競争上困るものが食糧の中にいろいろあると思うのでございます。そういうようなもので、例えば乳製品のごときもの、こういうようなものは、やはり食糧でございますから、食糧であるというようなことで為替管理上そういうふうなものの輸入ができるということになつても、やはり乳製品日本酪農奨励というような方針からして、これは余り輸入されますと困るものなんでございますけれども、そういうようなときに、何かトラブルが起きるようなことはないのでございましようか。
  22. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 例えば乳製品に例をとりますと、デンマークなんか非常にいい乳製品が非常に安くできます。それで、それを安く入れますと、消費者は喜ぶけれども、今度生産者のほうが困るということになります。乳製品と申しましても、日本でそれを元になるものを入れまして、それをミックスして又売るというようなものと、又直接消費者向けのものとございましてそういう前者のほうでありますならば、これは生産者消費者も共に苦痛を感じないというふうなものでございますけれども、後者のものでございますと、これは消費者は喜ぶけれども、生産者のほうは困るということになります。従いまして、乳製品と申しましても、どつちのものであるかということによつて取扱いが違いますけれども、一定外貨割当て、或いは輸入公表をいたします際に、もとになります数量、例えば何百ドルというようなことをきめます場合には、それらの要素を全部取入れました上で適当な量をきめるということにいたしておりますので、そういう操作によりまして、その辺の按配をうまくやり得るというふうに、只今のところではそういう形式でやつております。
  23. 高良とみ

    高良とみ君 関連いたしまして、今の乳製品でありますが、すでに御承知通りに、濠洲及びカナダからバター類がたくさん入りますために、北海道バター、大島、三宅島バターの値下りをいたしまして、消費者側としては喜んでいいことかも知れませんが、ああいう場合に、濠洲カナダからああいうものが入るというものは、あれは何かはかの日本から輸出したものに対する交換であつたのでありましようか。これは外務省にお伺いするよりも農林省にお伺いすべきでありましようが、そういうことを、私どもは末端の消費者から訴えを聞くのであります。非常に消費者的な物の輸入が多くて、そうして値が下ることは結構のようでありますが、日本酪農業等に打撃を与えつつある、その他いろいろな贅沢品、香水その他の高級品が入つて参りますことによつて、これは消費者が本当は喜ぶのではなくて、国の産業が、民族資本的なものが育たない、産業が育たないことについてどうお考えになりますかしら。
  24. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 濠洲等からチーズとかバターとかいうものが入りましたのは、これは我がほうからの輸出の兼ね合いというわけではございません。これらの国とは輸入超過でありまして、輸出に見合うがためにそういう物を入れるという関係にはないわけでございます。関係はございません。入れましたのは、これは先ほど申上げましたように、保護する一定産業があると同時に、入れなければこつちのものも育たない、つまり何と申しますか、自動車なんかもそうでございまするけれども、保護に余り傾き過ぎると、いつまで経つても伸びるものも伸びないようになり得ることもございますし、又一般の消費者のほうの保護という観点もございまして、この点が非常にいつでもむずかしい問題でございますけれども、それらのことを勘案いたしました結果、一定数量を入れていると、こういうわけでございます。  それから贅沢品なんかは、これは今まで御承知のようにSPSというものがございまして、外国人のために一定のものを入れるというふうなもので入つておりますものが、これが大部分でございます。これに関しましても再考慮をいたしておりますので、将来は或いは多少窮屈になつて行くのではないかと存じますければも、今まで入つておりますものは、主としてそういうもののほうから入つたものでございます。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 今の高良さんや加藤さんの御質問に関連してですが、実はその乳製品輸入問題は、昨年私が農林委員長を勤めておつた当時、農林大臣と通産省の貿易局次長ですか、御同席願つて、そこで一時取止めて頂いたことがあるのです。大臣もそのとき確約しておるし、中止しておつたのが、最近又入つて来ている。そして消費者立場もよくわかります。それからもう一つは刺戟を与えて日本競争力を増させて行かなければならんということもよくわかります。それは前提条件だと考えていることですが、同時に、政府有畜農業奨励のために、家畜導入の資金には利子補給をして国策として振興しておるのですね、有畜農業を……。片方ではそういうことをして政府利子補給までして振興しながら、片方においてはそれを潰すような政策がとられているわけですね。二つの相反するコースが今進められているわけです。そういうような場合に、先ほど申上げた消費者立場もよくわかるし、それから国際的競争力を作ることもよくわかるが、一応政府農業政策の振興としてそういう法案を作つておりながら、過大なこの乳製品輸入をやつて、殆んど脆弱な酪農家は没落に瀕しておる状態もあるわけです。どうもこの点は、やはりもう少し若干の強靱性ができたところでそういう処置をとらんと、高良加藤委員が言わたような杞憂というものが漸次濃厚になつて来るのじやないかと、こう思うわけです。だから私はその矛盾について、一体外務省はどういうふうにお考えになつているか、お尋ねしたい。
  26. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これは先ほど来申上げましたような理由でいろいろのことの考慮を入れなければならない問題でございますので、非常に困難でございます。御指摘のごとく、一方では家畜類を今でも現に濠洲、ニュージーランドから相当数量入れようといたしております。その有畜農業奨励しながら一方ではそれと相反するようなことにしているということは、これはどうしても理窟に表面上合わない問題であります。ただそのために片方のほうの乳製品なんかをゼロにするかどうかと、これは必ずしなければならんかどうかということも、これも又問題だろうと存じますが、只今のところ乳製品なんかは私の知つております限りでは多量には入つておりません。むしろメルテイング・チーズというような、先ほど申上げましたチーズを作るためのミックスするためのその元のものというふうなものだけしか入つていないというふうに考えております。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 それは確かにお説のように大量ではないと思います。併しそれは前からのお約束もあつたことで、それを或る程度守つてつて頂いたと思うのですが、ただあの場合、昨年私はその委員会質疑応答をしている際にわかつたことは、それは先ほど高良委員の御質問があつたときのお答えのように、別に見返りみたいな形でもない、何かの破きめという形でもない。何らそういう日本貿易政策上の関連はないのですね。それで、それより前に或る特定の商社がもう話を進めてしまつて政府のほうはあとからそれに認可するかしないかというようなことになつておるということを私は回答を承わつたのですが、結局併しそれは或る程度政府統制力があれば許可したりしなかつたりがあるでしようが、大体既成事実を作つてつて止むを得ないということになつて行きますと、やはり不要の消費品が過当に入つて来るという危険がありますので、それらについては十分の考慮をされることを希望いたします。
  28. 高良とみ

    高良とみ君 輸入税を、これは為替管理だけで以てやつているので、日本は殆んど輸入税というものはないし、それから輸入制限も殆んどまあ為替管理のほかはないのでございますね。今回の改正におきましても、片方ガット並みの扱いをしてくれるということで、こちらも殆んど輸入税という考えは、今の通商条約の場合には、日本輸入税操作行政面で以てして、そして日本の物価なり産業保護するというお考えは、殆んどこの条約には出ていないと考えてよろしゆうございますか。
  29. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これは例えば自動車完成品なんというものには、たしか四〇%かけておるのでございまして、本条約の狙つておりますところは、差別待遇をやめて最恵国待遇を与えよということだけでございまして、従いまして差別待遇をせず且つ最恵国待遇を与えます限りにおいては、これは現行関税率が尊重される、こういうわけであります。成るべくその関税を安くしてそしてお互い物資の交流を図ろうという含みは無論含んでおりまするけれども、現行関税率はこれは尊重されると、こういうわけであります。
  30. 高良とみ

    高良とみ君 もう一つ伺いたいのは、日本で先に作りました輸出取引法は、一種の十八条の独占禁止でもありませんが、そういう保護的なものでありますし、それから又なお今回の輸出に関して、輸出業者がその利益の何パーセントかを貯蓄して将来の損失に充てて行こうというような措置は、これは大蔵関係の問題でありますが、これに対して、十八条を盾にとつて独禁法独占禁止考えに反しない、反するというような抗議を持ち込まれる虞れはございませんか。
  31. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 只今独禁法改正をやりまして輸出組合等を許すというふうな程度のものでは、我々はこれは、取引制限したり、或いは独占を助長するというふうな効果が現われて、よつて以て第十八条の対象となり得るというふうには、これはどうしても考えられないのであります。マーケットもまだ日本が出て行くぐらいのところでは、まだ、たかが知れたものであつて、それくらいのことによつて取引制限し、従つて十八条の協議対象になり得るというふうには考えておりません。
  32. 高良とみ

    高良とみ君 それについては何か保証がありますか。これは大蔵関係のほうの委員から御希望があつて伺うのでありますが、それは何か保証がありますか。今後輸出組合などがどんどんできて行く、世界各国つておることだから大変結構なんですが、それから独禁法改正……或いは公正取引委員会許可範囲でありましようけれども、価格協定等についても、相当な融通がついて来る。日本の弱体な産業輸出とを保護するのに非常にいいことでありますが、これが十八条から文句が出ては困るという御懸念があつたのでありますが、如何でございましようか。保証がありましようか。
  33. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 将来只今独禁法というようなものを全く無効ならしめるというふうな段階に発達した場合というふうな場合には、或いは十八条の対象となつて向うのほうから協議を申込まれるということがあり得るかも知れませんけれども、只今段階くらいのところでは、我々はそれが直ちに十八条の対象になり得るものと考えておりません。又将来そういうことがありました場合におきましても、本条約はこれは相寄つて協議をしようということに第十八条は書いてあるのであります。従いまして、直ちにそういうことがあつたと法的に認定したときにそれをやめなければならないというふうな条項ではありませんで、相寄つて協議するということになつておりますので、御懸念のようなことが直ちに起り得るということはあり得ないのであります。
  34. 高良とみ

    高良とみ君 的確な保証があるのではないということ、又交渉をする余地があるというふうに了解いたしましたが、もう一つ、二十一条で承わつておきたいことは、勿論、国内法によつて、火薬、武器、弾薬、軍需品等生産が阻止されておるわけでありますが、併し、それらについてのこのパテント料というようなものが現に行われておりましようし、米国特需を発注されるときに、今後米国機関軍需品についてのパテント料というようなものがやはり請求される。そういう場合には、この二十一条には関係なしに、それは一つ技術料であるというふうに了解して、それが一億になつても一億になつても、相当長くなつてもこれは二十一条に関係なしと考えてよろしうございますか。
  35. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 特需なんかでパテントが含まれております場合に、そのパテント料なんかを払うというふうなことは、これは二十一条と関係なしにやり得るわけであります。
  36. 高良とみ

    高良とみ君 それから十四条ですが、それを少し御説明願いたいのですが、第三国と取引をする場合には、今まで輸出取引をしていた輸出実績と比例するものを確保しなければならないということかあるわけです。この実績割合を、まあ例えば石炭をたくさんに入れていたならば、その比例によつて、ほかから、例えばインドから石炭を持つて来るというふうな場合には、それとはどういう割合に維持して行こうということになるのでしようか。
  37. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 御指摘の点は、両締約国とも勝手に輸入量を大幅に減らすというふうなことをやりまするというと、各国とも、例えばアメリカのほうから日本が買つております綿花を例にとりますと、綿花を百万ドルなり百二十万ドルなり買つている。ところが、それをもう今年は二十万ドルしか買わないのだというふうなことにいたしますと、通常の取引というものを非常に阻害することになるから、過去の実績みたいなものを十分考慮した上でなければ、そういうことをお互いにやることは、やめようじやないかというのが、これがまあ精神であります。それは、そういうことをやらないと、それを植え付けるほうでも、どのくらいの需要があるのかわからないというふうなことから、そういうことはお互いに避けようという趣旨でありまするけれども、但しこの十四条の七項に又すぐこの例外がございまして、為替のポジシヨンを考慮に入れた上でやるということはこれは差支えないのだ、つまり日本のほうはドルが非常に足りない、従つてドル綿をやめまして例えばパキスタン綿に移るというふうなことは、これはでき得るのだということを規定しておるのでありまして、これらの狙いといたしますところは、通常の取引がうまく行われるようにということを狙つておるわけであります。
  38. 高良とみ

    高良とみ君 その場合に、この為替操作のときに、今日の外貨の範囲において、例えば今まで或る会社が、綿のための、或いは石炭のためのドルの枠を持つておりましたものを、今度はパキスタン綿に変えた、インド石炭に変えたためのドルの枠を減らして行くということは、国内の操作だと思いますが、そういうことはこの条約には全然関係なしにやつて行く、そして先ほどの今までの実績の率を以て行くということは、その総量の比率のことなんでございますか。それともドルの価格のことなんですか。どつちですか。
  39. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) お話の前段の点はその通りです。それは国内的にそういうことはやり得る。それからあとのほうの御指摘になりました点は、これは一定の商品を基準とした考え方であります。アメリカから去年八億買つたのを今年は、二億に減らすというふうなヴアリユウによる標準ではありませんで、一定のアイテム、商品別による規定であります。
  40. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今の高良さんの御質問ちよつと関連していることを伺いたいのでございますが、十四条の(a)項の「特定の期間中に輸出し、又は輸入することができる産品の総数量又は総価額及びその総数量若しくは総価額又は期間の変更について、原則として事前に公表しなければならない。」これは期間はどのくらいの間のことなんでございまするか。過去の例えば日本が原綿を買つていた数量とかいうような、この過去の期間をどのぐらいをいうのでございますか。例えば日本から戦争前にアメリカに買つていてもらつたもの、非常に必要な絹とかお茶とかいうようなもの、そういうふうなものに対しても、もう一度考えてもらうというわけには行かないものでしようか。
  41. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) ちよつと森参事官から……。
  42. 森治樹

    説明員(森治樹君) 只今の御質問は、十四条第三項(b)の御質問だと思いますが、この場合に以前の代表的な期間というのはどういう期間をとらなくちやいけないかということは、全然条約では拘束されておりませんので、若し我が国でそういう割当を行う場合には、我が国で特定の期間を基準年次として勝手に選び得るわけでございます。
  43. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それならば、日本の戦争前の、アメリカに対して輸出することができた期間をもこの中に入れるということが、これから新らしく交渉することもできるわけでございますか。
  44. 森治樹

    説明員(森治樹君) これは只今申上げました通りに、勝手な期間を我が方で選択し得るわけでございます。ただ特別の産品の貿易に影響を与える特別の要因を考慮しまして決定し得るわけであります。で、この条項輸出入共に関係がございますけれども、我が国で輸出制限をやるということはちよつと考えられないことでございまして、我が国の場合は主として輸入制限に適用ある条項だと考えます。
  45. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 輸出制限ということは、少く制限することも多く制限することも制限できるのじやないでございましようか。
  46. 下田武三

    政府委員下田武三君) 輸出制限ということは、我が国ではございませんが、仮にやるといたしますれば、これは日本から余り出ては困るようなものをこれ以上出してはいかんという、そのマキシマムの限度を定めることになるだろうと思います。又各国でもそういう考えからマキシマムをきめてやつているわけでございます。
  47. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大体質疑も尽きたように思うのでありますが、ごこらで質疑を打切りまして、直ちに討論、採決に入られたら如何でございますか。さような動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  48. 羽生三七

    羽生三七君 まだ質問は若干あります。
  49. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 一応羽生委員の御質問があるそうですから……羽生君。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 先日私のお尋ねしたこと、或いは他の議員の御質問に対して、政府では、仮に外国資本日本へ入つて来て、相当な、まあ何と申しますか、投資が行われても、現在の情勢から言うならば、その総額は僅かに百億程度で、総稼働資本の〇・五%程度だ、だから大してそんな御心配になるようなことはないと、こういうお話だつたわけです。そうすると、一方においては外資導入ということで非常な大きなウエイトをおかれておりながら、一方においては我々の杞憂する将来の外国資本日本に対する支配というものは、そんなことはもう御心配要らない、これはどうも私はロジックが合わんと思います。どちらにウエイトをおかれておるのですか。
  51. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これはたびたび御説明申上げます通り、その点が常に一番微妙な点てありまして片方では外資導入を大いに奨励いたしたい、これは実際奨励いたしたいのでありまするけれども、併しそうかといつてそれを又野放図にやりますれば日本産業に重大影響がある、それの妥協ということを常に考えなければならん点であります。従いまして、一方ではこの外資の導入がやりやすいようにやりつつも、而もそれが悪影響をミニマムにとどめるというふうな規定をおきました次第でありまして、それが制限業種とか或いは株式の取得とかということに現われており、且つ又為替制限をなし得るということに現われているわけでありまして、つまりどつちの両極端に行つてもこれは困るという問題でありますので、そこにおのずから妥協点を見出さなければならない、その妥協点の現われが御審議を願つておりますような条文に現われているというわけでありまして、従いまして、御指摘のように、右に行きたいならば、ずつと極端に行つたならばこれは辻棲が合うのでありますけれども、そういう問題点がありますために、右へも行かず左へも行かず、妥協点に落ち着いたというわけであります。
  52. 羽生三七

    羽生三七君 外国資本が非常に国内産業を支配する場合の杞憂に対して、昨日のお話では、中国の状態を見ておるというと、結局むしろ国内資本と言いますか、国内の政府の方針が、むしろ外国資本を自国に同化してしまつた、だからそういう点で余り心配ないということも言われたのですが、それは、中国は一定の何か政治的な方針を持つてコントロールしておる、或いは場合によつては問題をセーブしている、だから、かようなことで日本が若し何か一定の確たる方針がない場合においては、それは当然外国資本が、一応日本経済が安定すれば、それは投資価値があると見て相当入つて来た場合に、強大な支配力を振つてやるということは、私は想像に難くないと思います。特に、日本の国民のような、又企業家の一部にもそういうことがあると思いますが、非常に何というか、外国の影響力というようなものを、何といいますか、拝外主義的な考え方から、何でも外国資本と合弁すれば何かそれが非常に日本における国内の有力な産業或いは会社であるかのごとく考えて外国の資本と提携することは、幾らでもあり得ると思います。だからそれは外資の導入ということはもとより重要でありますが、その支配力が日本の基幹産業等に及んだ場合には、私は将来重大なことになると思う。而も制限業種があるからと言われますが、その制限業種はこの程度では私は問題にならんと思う。もつとその範囲を鉄鋼その他に私は拡大すべきだと思います。従つてそういうことでだんだん考えて見ると、どちらにウエイトがあるかと言えば、私は外資の導入よりも、その価値よりも、むしろ外国資本が将来日本産業を支配するその危険性のほうが非常に大きいし、その間バランスをとつて落ち着いたところがこの条約だと言われますけれども、私は、かれこれ日本の将来を考えると、外国資本日本産業支配の憂いというものは非常に大きくなると思います。そういうふうにお考えになりませんか。
  53. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) これは、これまでも何遍か御説明申上げたはずでありますが、これは制限業種だけでなしに、この日本の通貨価値を維持するためには措置がとり得る、従つて今、外資法を適用して適当に按配している次第であります。この条約を結びましても、現在とどれだけ変るかと申しますれば、このために特にアメリカ資本が容易に入つて来るということにはならないわけであります。この平和条約の十二条にも、相互的に事業活動というものは許さなければならないのだ、アメリカのごときは日本にそうした制限を設けておりません、そこで現に為替立場からして、外資法によつて日本では制限をしておる。この条約ができたからといつて外資法の適用を妨げるものではない。ただ三年後におきまして、旧株の取得について、今までのような許可制度ではなしに、届出制度でできるという点が違うだけでございまして、この条約ができたからといつて、特にアメリカ資本が入り易くなるわけじやないんです。アメリカ資本はそんなに日本で円をだぶつかせておいてもしようがないから、必ず許可を求めに来ます。我々から考えると、五百万円、六百万円に匹敵するような投資なら日本においてもよさそうに思うようなのが、実は外資審議会のほうへ申入れをしておるというのが現状であります。私も長い間この問題を取扱つて参りましたが、そういうところで結局送金保証のない外資というものはなかなか入つて来ない。ところが送金保証が付いているからには現在の外資法を適用することができる。そうなれば、この条約ができまして早急に殖えるということは考えられない。それではなぜ条約を作つたか、向うに「うまみ」がないじやないかとおつしやるかも知れませんが、平和条約の十二条というものは四年間であります。これは十年、又ずつと末長く今までの日米条約考えましても、長い間有効であります。でありますからして、この投資についても枠を長くそうした保障を永久的に経済的にもらおうというわけで、こういう条約ができたのでありまして、私はこの条約ができたからといつて、決してそう殖えるものではなしに、現在通り重要な産業については外資法の規定によつて許可することでありましよう。で、それが殖えることは我々として歓迎するわけであります。あの外資法には、御承知のように、日本産業を発達させるに都合のいい、又日本の対外支払環境を改善するというようなプライオリティがずつと付いておるわけであります。これに従つてやるわけでありますからして、そうした日本の希望するものが入つて来るということは好ましいことであります。が併し、今までのところでは、先ほど御指摘になりましたように、必ずしも十分な外資の導入というものができなかつた。が併し、今後の経済情勢によつて、できるだけ外資が入つて来るように、而もそれは外資法の枠内において日本の欲するものを入れるというふうにすれば、決して産業を支配する、悪い影響を及ぼすというようなことはないであろうということを私は確信いたしておるのであります。
  54. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、まあ外資法や或いは為替等の関係で、いろいろ問題をコントロールすることはあり得ると思います。それは考えられますが、将来いろいろな抜け道をとつて、それが非常に強い支配力を持つような場合には、この条約の仮に批准が成立したあとでも、何らか、国内法と言いますか、法律でなくても行政措置でもよろしいですが、そういうものでそういうことをコントロールできる途はありますか。今の外資法等の存在だけでは補えないような問題が将来予想される場合ですね、それをコントロールして行くことは可能ですか。
  55. 下田武三

    政府委員下田武三君) 将来その必要が起りました場合には、現実にはこの制限業種についての制限立法というものはございませんが、先ずその立法をなす権利は留保せられております。なお、ここに条約並びに議定書に掲げてあります制限業種の範囲だけでは狭いという事態が起りましたならば、この条約協議条項に基きまして、協議をした上でそういう措置をとることもできると思います。これは一方的にはできませんが、そのために協議条項というのがありまして、この条約の実施の経験に鑑みて、どちらかの国にやはり重大な支障を来たした場合には協議することができることになつております。
  56. 羽生三七

    羽生三七君 それで、私は外資の導入に一から十まで反対するわけではないのですが、日本に或る相当な外資が入つて来て、或る産業については、その産業の中のウエイトから見れば非常に比率としては少い、併しいろいろな産業全体から見れば相当外資が入つた、これは私は好ましい一つの姿だと思う。併し或る特定産業なり企業に集中的に投下されたというような場合の支配力を非常に今心配しておつたわけですが、今お話のようなことで、協議の上で、将来制限業種の枠を拡大したり、或いはその他のコントロールの手段があれば、それはまあ私たちの考えは一片の杞憂に過ぎないかも知れませんけれども、感じとして私は相当考えておかなければならんと思つております。  それからちよつと只今どなたかお尋ねがあつたかと思います。それならばお答えはどうでもいいのですが、第十九条の六項のところに「沿岸貿易」というのがありますが、この沿岸貿易というのは、この日本の北海道、本州、四国、九州のうちだけのことですか。琉球とかその他の諸島、そういうものは含まれないのですか。
  57. 下田武三

    政府委員下田武三君) 琉球は日本が潜在主権を持つておりまするが、現実の施政は米国が行なつております。従つて十九条の沿岸貿易というのは、北海道、本土、九州、四国に限られまして、琉球への貿易は沿岸貿易には含まれません。但し、議定書で、琉球の特別な日本との関係に鑑みまして、琉球に対して日本が与える待遇はアメリカ側に均霑させなくてもいいという自由を日本側は留保しております。
  58. 羽生三七

    羽生三七君 この沿岸貿易の問題のみならず、本条約の中に琉球なんかが含まれなかつたということは、講和条約関係からなんですか。私はあの程度は差支えないように考えていたのですが、前の条約の制約から参るのですか。
  59. 下田武三

    政府委員下田武三君) これは平和条約の第三条の関係からの考慮で、この留保を入れたわけでございます。従いまして、将来仮に潜在主権が顕在主権となりまして、内地と同様な施政権を日本政府が行使し得るようになりました場合には、この議定書を改めまして、この条約をフルに適用するようにいたさなければならないと考えております。
  60. 高良とみ

    高良とみ君 この制限業種の中に「天然資源の開発」というのがあつたのですが、どうしてそのときに石油或いは製鉄というようなものをもう少し詳しくお入れにならなかつたのでしようか。造船その他のものに並んで、そうして天然資源の開発という中に漠然と全部入れてしまつてあるのですか。その点は、実際かなりほかの外国資本が入つて来つつあるものですから、この制限業種というのは非常に不明瞭で、これは謳つてはあるけれども、実際にはかなり造船も行われ、或いは輸送も行われ、原油の持込みから鉄鋼等も行われているということから考えると、これは大変に将来ともに問題になると思うのですが、どうですか。
  61. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 石油のほうは、これは採堀するほうは無論「天然資源の開発」というほうに入ります。それから精製、リフアインのほうは、これは入りません。それから製鉄業とか或いは自動車工業であるとか、まあそういうものでございますけれども、そういうものは、むしろ外資を導入し、技術を入れることによつて、もつと発達せしめるほうが適当である業種であるというふうに、関係各省の意見が一致いたしましたので、それらはこの中に入れなかつたわけであります。
  62. 高良とみ

    高良とみ君 その場合に、これを又東南アジア諸国や、これから締約する国にも、この原則を大体において敷衍しだいというお考えのようでありますので、その場合にも、かなりフィリピンとかビルマ、インドネシア、それらの国の天然資源に対してその開発を行うことは、日本制限業種に入れておりまするから、やはりこれと同じプリンシプルで折衝なさるお考えと了承して間違いはありませんか。
  63. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) この条約の底を流れておりますプリンシプルは、これはこのまま貫きたいという希望でございますが、ただ制限業種でありますとか、或いはこの為替制限をどういうふうに行うべきであるかとか、或いは例えば議定書の一番終りにあります旧株の取得を何年ぐらい留保するとかというふうな問題は、これは各国によつて事情が違いますので、その客観的情勢を十分取入れた上できめなければなりませんので、底流をなす主義というものは貫きたいと存じますけれども、それらの只今申上げましたような点が果してこの通りに行くのかどうかということは、これは各国との交渉によつて具体的にきめるより仕方がないと考えております。
  64. 高良とみ

    高良とみ君 日本の鉱業法の十七条及び八十七条では、外国人は鉱業権及び租鉱権を有しないということになつておるのでありますが、それが「条約に別段の定があるときは、この限りでない。」ということになつており、併し実際には、そういう、例えば日本石炭山とかいろいろな鉱山等に、日本で蓄積した円で以て、これを日本人の名義で、名義書換をしないでやつて行くときには、実際に外国人が鉱業権を取得することがあり得るのではないかと考えられるのであります。それは表立つて外貨を持つて来てのやり方でありませんから非常に微妙なやり方だと思いますが、そういうことはあり得るんじやないですか。それから炭鉱或いはその他の鉱山の開発機械、開鑿機械というようなものを入れたり、技術を導入したりすることによつて、天然資源の開発ということも制限業種には実際入らないで、例外が幾多行われて行くと考えて間違いはありませんでしようか、どうでしようか。
  65. 下田武三

    政府委員下田武三君) 鉱業法の「条約に別段の定があるときは、この限りでない。」という、まさに条約に定めある、この「別段の定」に該当するわけであります。アウトライトに禁止又は制限はしておりませんが、その制限禁止する権利は留保しておりますので、この「別段の定」になるわけであります。又日本人の名義を使つて株を買うとか投資をするとかいうことは、これは実は条約の取上げる問題でございませんので、たとえ条約の面で絶対的に禁止してみましたところで、そういうもぐりということは誠に好ましからざる現象でございまするが、これは実は根絶し得ないことでございまして、これは条約の問題よりも国内の取締の内部の問題だと存じます。(「議事進行、急いて下さい」と呼ぶ者あり)
  66. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 高良委員の今のような御質問は、この条約質疑を開始しました最初の段階においてもすでに非常に論議された点でありましたし、それから逐条審議の際にも取上げられた問題でありましたし、でありまするからして、この際としては是非心要な質疑に各委員限定されて質疑をされるようにお願いしたいと思います。先ほど石原委員から……。
  67. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は動議は一応出しておりますが、皆さん質問があると言われれば動議の採決までして欲しいとは申しませんが、速かに議事の進行をお願いしたいと思います。
  68. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 岡崎大臣にお願いしますけれども、朝鮮の休戦協定の調印をきつかけにしまして冷戦は一応緩和すると思うのですが、そういう情勢に備えての通商政策といいますか外交政策経済外交といいますか、そういうものに対する新情勢に対してどういうふうにお考えでありますか。その点をお伺いしたいのです。それは、七月二十九日にアメリカの国会を両院協議会で通過しましたアメリカの軍事予算を見ますると、三百四十三億七千万ドルぐらいで、これはピークの時の五百億ドルぐらいに比べると百六十億ドルにも達しまする非常に大巾な軍事費の削減のようでございます。従つてアメリカといたしましては、軍需産業によつて景気を支えるという政策から、商品のために国際市場を求めて大巾に進出されることが予想せられるし、更に蓄積されました過剰資本対して、その投下資本の市場を求めて出るように、新情勢から大きく変化すると思うのですが、そういうことについて、何か外務省とされては、経済外交について、特に貿易逆調にからみまして新情勢に対応されるような御準備というものはないものでございましようか。
  69. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういう問題は勿論外務省としても十分研究しております。又、外務省ばかりでなくて、経済審議庁、通産省、又外貨予算との関係上、大蔵省等とも協議をしておりますか、大体のこの原則は、政府としてはできるだけ通商を自由にしようということで行つております。そういう問題と本日御審議のこの日米通商航海条約との関連につきましては、特に直接の関連はないように思います。ただ、その一環として、この通商航海条約が早く批准ができて動き出すということになれば、少くともアメリカとの関係においては、やはり貿易という面で相当の大きな収穫があるだろう、こう考えております。
  70. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はこの日米通商航海条約だけで対米関係が全面的に是正されるとは思つていないので、関税その他広汎な関連におきまして対策を立てねば、特に対米貿易のアンバランスというものは是正されないと思うのですが、アメリカに対しまして我が国は二億少し超すぐらいな輸出でありますし、輸入は七億数千万ドルで、三倍以上にもなつている状態ですが、そういう逆調というものは相当程度これが是正されるようになるものでございましようか。
  71. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) この通産航海条約の面では、そういうものも或る程度是正し得るような仕組になつております。ただ実際その仕組を利用して是正するようなことになるかどうかの結果につきましては、これは日本経済界の実情その他今後のやり方によるのでありますが、ただこれはそういう途が開けておるというだけでございまして、実際の流れはこれは実情でありますから、これだけでは解決できないわけであります。
  72. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう冷戦が緩和したことについて、アメリカはこの資本の対外市場を求めて安全な地帯には来ると思うのですが、駐米大使からはそういうことについては何か新情報というようなものはないものでございましようか。
  73. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) まだそういうことについても新しい情勢という報告は聞いておりません。実際上まだアメリカ政府なり、アメリカの実業界等がそういう方向に向つておるような形勢は、はつきり出ておりません。勿論研究はしておるだろうと思います。その程度であります。
  74. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 タフトがお亡くなりになつたのですが、アイゼンハワー大統領の下で或る意味では孤立政策を掲げて一敵国をなしておつたような状態でしたが、そういう非常に力を持つておりましたタフトが亡くなつたことは、アメリカの外交特に経済外交等について影響は予想されないものですか。その点、伺います。
  75. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) タフト上院議員は大統領選挙の時は非常な争いをしたわけでございますが、その後いろいろ新聞では批判もありますようですが、実際上、私は政府政策に非常に力強い寄与をいたしておつた一番有力な政府の協力者であつた考えております。従いまして、タフト上院議員が亡くなられたことは非常に残念なことでありますが、今までの政策が、これによつて、つまり逆に孤立主義とか何とかということで牽制されておつたその支え棒がなくなつたというようなわけでなくして、ただ有力なる政府の味方が一人なくなつたという結果であろうと思つております。
  76. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この冷戦の緩和に備えまして、我が国の通商外交政策と言いますか、それにおいて取るべき政策というものは、アメリカだけではなしに、できるだけ広汎な部面に多面的に市場を開拓せねばならんと思うのですが、外務省経済局ですか、そういう部局におきまして、通商関係担当の職員を増置されたりしまして、市況調査その他に備えまして、来るべきこの通商戦に際して備えるというようなことはないものですか。
  77. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 冷戦緩和というふうに世界的にこれがそうなるかどうか、これはまだ私はわからないので、今はつきりしておることは朝鮮の休戦という事実だけと思います。併しそういうことに関係なく、政府の対外貿易、経済関係を促進するためには、できるだけ予算の許す範囲では人も殖やし設備もしてやりたいと思つております。従つて領事館等も増設いたしたいと考えて、来年度の予算に計上されるように努力をいたしております。まあできるだけは、やりたいと思いますが、予算の制限がありますから、その結果どの程度までに行きますか、ここで具体的に申上げることはできないのですが、できるだけのことはいたしたいと思つております。
  78. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 アメリカ日本と中国との貿易に対しまして好意的でないようでありますが、伝え聞くところによりますと、すでに四億七千五百万人もあります世界最大の市場である中国に目を向けまして、アメリカの実業団が香港等には乗り込んでいるという新聞の情報なんかもありますが、外務省におきましてはそういうことについては情報はキヤツチされていないでしようか。
  79. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) そういうことは聞いておりませんが、ちよつと想像ができないように思つております。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 併しそれは例えば先般のマッカーシーの、この中国との、自由諸国との取引において、MSAの援助を台湾にアメリカの船が持つて行きながら、そのついでに石油なんかをかなり中国に持つてつたということをマッカーシー自身も報告しておるような状態でございますし、我々としてはあり得ることではないかというふうに考えて、これは先般の我が党の羽生議員の質問もあつたりして、我々としては日本が中国市場において遅れをとらないようにというような焦慮を持つものですから、そういうことをお尋ねしておるわけなのですが、その点につきまして、先般の質問に対して、中国貿易については新らしい観点から考慮するということを申されたようでございますが、具体的にはどういうことを意味するものでありますか。
  81. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは朝鮮の休戦その他新らしい情勢を勘案しまして、列国と協議をしつつ考慮したいと思いますが、これは今後如何様になるか、その成り行きによるわけであります。ちよつと今具体的に申上げられません。
  82. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 経済局長にお尋ねしますが、外資が入つて来て日本産業を支配するかしないかという問題について問題になりますのは、日本の企業の自己資本と他人資本の比率だと思うのですが、それは大体最近の動向はどうなつておるのですか。
  83. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これは再評価というふうなことで大体補おうという方向に行つているのでありまするけれども、まだ満足と思われるほどの数は進んでおりません。三年間の期間がございますので、その間には是非やらなければならないと考えておりまするけれども、只今のところではパーセンテージから行きますと、まだ満足すべき程度ではございません。
  84. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私もその数字を調べてみたのですが、ちよつとわからんですが、大体どのくらいですか。非常に日本のは自己資本が少くて他人資本が多い関係から、割合少い額でも経営の支配やコントロールができるのじやないかと思うのですが、その具体的な比率というものは、年次別にどういうふうにこの自己資本割合が動いておるというようなことを伺いたい。
  85. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 具体的な的確な数字をここに持合せておりませんけれども、実績はまだまだ満足からは相当遠いという極めて抽象的なことしか申上げられないのは遺憾と思います。
  86. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ではもう一つ、我が国の輸出入貿易のアンバランスの調整には、対米貿易の逆調を是正することが必要だと思うのですが、ずつと最近の動向を調べてみても、余り輸出というものが伸びないようですが、これはどういうところに原因があるか。七億数千万ドル輸入しながら、輸出は二億数千万ドルで、三分の一だ。それも、さして年次別に伸びた形跡がないということなのですが、これは一体どの辺に原因があつて、将来どういうふうにしたらこれが是正できるというふうにお考えになりますか。
  87. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 我が国の貿易は大体一応スターリング地域に四五%ぐらい出ておりましたのが過去数カ年の統計でございます。これが最近ではスターリング地域の輸出というものは少し減りまして、ドル地域への輸出が伸びております。たしか一昨年は一・四半期に四千五百万ドルぐらいしかアメリカに出ておりませんでしたのが、今年の統計によりますと一・四半期に五千二百万ドルから五千五百万ドルぐらい出ておりまして、これは相当な増加だと思います。これは鉄製品なんかが出始めたということに原因があるようでございますが、それがバランスするまでに行くかということはこれはなかなか困難だと思います。と申しますのは、只今も申上げましたように、日本は、向うから買いまするものは、食糧とか或いは石炭とか鉄鉱石という、どうしてもなければならない原料品でございますので、これをカバーするためにはどうしてもアメリカから入れなければならないということになりますので、このアンバランスをバランスまで持つて行くということは、これは相当難事業だと思いますので、他地方への輸出ということにやはり力を注がなければならないと思います。
  88. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 アメリカの議会で、先般、互恵通商法というのですが、この一年延期が可決されたようですが、これは対米貿易においてどういう影響を及ぼしますか。なおこの相互通商法等をめぐつてアメリカ関税政策の動向というようなものはどういうふうな状態なんでしようか。
  89. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) 互恵通商法の一年延期ば、これは六月十二日からでございますが、これは今までありました互恵通商法というものを単純に一年間延長する。つまり今までやつて来た以上に大幅な管理通商政策というものは各国ともやらないということでございますので、そのことに関しまする限りは、アメリカの今までやつて来ましたところの低関税政策或いはガットをもう少しゆとりのあるものにして、アメリカへの輸出入をもつと殖やそうという観点から見ますと、ちよつとチェッキングパワーというようなことになるものと考えております。但しアメリカのほうは、これは一年間だけ単純延長して、その間にとつくりと十分取るべき関税政策なり経済通商政策なりというものを考えたいということを言つておるのであります。而も最近の動向は、この間からここでも申上げたのでございますけれども、アメリカのほうも、この低関税、それによつて援助よりも通商という各国の要望を充たそうという方向に向つておりますので、恐らくそのほうに向つて将来の互恵通商法というものは動いて行くだろうと思つております。
  90. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、大体今後一年延期されたのですが、関税方面では対米関係はあまり従来とは好転しない、こういうふうに見ていいわけですか。
  91. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) それは直ちに我が国とアメリカとの二国間の問題ではございませんで、互恵通商法が直接的に影響のありますのはこれはガットのほうであります。両国間におきましては、この二十一条に規定いたしております通り向うのほうが事実上今与えておりますガットの税率を日本にも好意的にくれるということになつておりますので、そのことに関します限りは、やはり日本の法律が少しは伸びて、少しではございません、伸びて行くという方向に進んでおります。
  92. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この条約批准をきつかけに、アメリカとの関税につきまして何か交渉されて、もう少し是正してもらうという用意はありませんか。
  93. 黄田多喜夫

    政府委員黄田多喜夫君) これはガットのほうに又関係して来るのでありまして、シンプル・エクステンシヨンをやつたということは、これはアメリカのほうとしては、その間には大きな関税等の交渉を行いたくないということでございますので、大きな問題で、関税を両国間に議するということは只今のところ考えておりません。
  94. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  95. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは速記をつけて下さい。  ほかに御発言もないようでありまするから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを顔います。
  97. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 私は自由党を代表いたしまして、本条約に対し賛成いたすものであります。  この条約は、我が国の経済の自立を図り、各種重要産業の合理化に役立ち、資本及び技術の導入の促進を図ることを目的としたものであります。勿論、現況に照らしまして好ましくないと見られる外資の流入及び活動を抑制する保護措置が講ぜられております。又一部におきまして、外資活動に危惧の念を抱かれ、既得権条項が不平等であるという意見がありましたが、既得権につきましては、これを尊重することが文明国の法制の基本原則であります。本条約発効によりまして、我が国が戦後初めて完全に対等の関係におきまして、米国との間に諸般の通商上の待遇について相互に十分な保障がされることになるのであります。なお政府の説明によりまするというと、米国政府は、この条約批准するに際しまして、条約の第八条第二項に掲げられているところの職業の中で、米国の各州において米国人のみに就業を許しているものにつきましては、これを引続いで米国人のみに許すことができるように保留をする意向があるということでございます。若し米国政府からこのような意向を正式に申出て参りました場合におきましては、我が政府におきましてもこれに対応して、相互的措置をとる権利を保留する手続をとられることを切望する次第あります。本条約は極めて多くの切実なる利益をもたらすものでありますので、我が自由党といたしましては本院が速かに本条約批准承認されることを求め、簡単ながら私の本条約の賛成討論を終ります。
  98. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は日本社会党を代表しまして、只今議題になりました日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海条約に反対するものであります。  申上げるまでもなく、この条約は、両国間の外交、通商、経済関係、事業活動、文化関係等、広範な関係を規定するところの基本的な条約でありますが、私たちの見るところを以てしますと、本条約は講和、安保両条約並びに行政協定とその軌を一にしまして、我が国とアメリカとの経済力の比較において格段の差がありまして、互恵平等が却つて不平等を招くものであるというような、日米の経済力の非常な差というものが十分に織り込まれていないところに多くの問題があると思うわけであります。特に本条約が一九五「年の四月二十六日にアメリカとコロンビアとの間に取極められましたこの種条約を範とされたということでありますが、御存じのようにコロンビアは極めて小さな南米の一小国であります。而も曽てスペインの植民地でございまして、そうして現在輸出入貿易は、その八割をアメリカに依存し、特にコーヒーと共に同国の主要産業である石油のごときは、七〇%をアメリカに占められておりまして、同国の経済貿易は完全にアメリカの隷属下にあることは明らかであります。その条約を範にされたというところに、この条約の持つ全貌を察知するに難くないと思うわけであります。特に我々がアメリカの文献を見ます際に、日米経済協力或いは提携ということが、例えばコオポレーシヨン、アライアンスというようなことでなく、インテグレイシヨン、統合というような言葉を以て表現されておることからしても、アメリカの思考するところがどの辺にあるということがわかるのではないかと思うわけであります。詳細につきましては本会議の討論に譲りたいと思いますが、二、三申上げますと、  第一に、占領中の既得権を認めた点あります。占領中の既得権は、占領というところの全くの特殊事情によつて一方的に取得した権限であります。それをこの条約に認めるということは、理論的にも実際的にも妥当でないと思うわけであります。特にこの点を弁護するために、政府におかれては、アメリカにいます「世の土地所有の既得権を認めることに引換えられて弁護されているようでありますが、これは実際は二世の名義で土地を所有しておりまして、我が国はこれによつて大して利益を得ない実情でございます。  第二には、蓄積されました円によるところの旧株の取得を三年に限定された点であります。我が国のような資本蓄積が少くて、自己資本よりも他人資本に依存します度合が非常に大きい経営状態におきましては、僅かの外資によつてその経営を支配するような株の買占めとか或いは投機的な目的を持つところの株式取得等が行い得るわけでありまして、私は日本資本蓄積の現情からいたしまして、三年で以て十分に資産評価その他の措置によつてこの憂いが除かれ得るものではないというふうに考えるわけであります。若し紛争が起きた際には、両国間の話合いによつて調整するように条文にありますが、併し財界筋におきましても、この話合いは困難であろうと言われているような点もありますので、我々といたしましてはその点が非常に反対の理由であります。  更に制限業種におきまして我が国の基幹産業である鉄鋼、金属、化学工業等にも、我々としてはこの制限業種を拡大するような措置をとつておかねばならんわけである。特にそういうことがありませんと、競争産業をネグレクトするためにいろいろな外資による支配が行われまして、我が国の経済自立に対していろいろな不合理なことが起るではないかと思うわけであります。いろいろありますが、更にこの期間を十年とされた点におきましても問題を含むものといわなくてはなりません。今後の経済情勢は急速に転換することが予想されますので、この期間は私は長きに失すると思うわけであります。  これを要しまするに、本条約というものは、外資の導入に急な余り、国内資本の擁護という点について十分な用意がない点に問題があるではないかと思うわけである。アメリカが戦前に結びました通商航海条約におきましては、大体関税と航海等が主でありましたが、最近の取極を見ますると、殆んどが投下資本保護という点に中心をおいておる点を以て見ましても、アメリカの指向するところが奈辺にあるかということがわかるわけでありまして、そういう点からも反対するものであります。この条約を我々が目を皿のように大にいたしまして、一体どういう利益があるかということを探しても、僅かにこの条約がないために従来アメリカに行つた人が旅行者として滞在したものであるというようなものが、居住者としての資格が与えられるという程度に過ぎないので、失うこと多くして得るところが極めて少いではないかと思うわけである。更に、この条約だけでは対米関係は何ら好転しないわけでありまして、日米の租税協定関税問題、中共貿易その他の広汎な関連において取上げなくてはなりませんのに、これだけが取上げられ、その他の問題が殆んど不問に付されようとする只今の発言を以てみましても、私はこの法案は一部の人が、実際何らの実益を伴わないものであるという財界筋の批評を以ていたしましても、私たちといたしましては、日本の長きに亘る通商航海を規定する条約としてはふさわしくないものであるという立場から反対するものである。詳細は本会議に譲りたいと思います。
  99. 杉原荒太

    杉原荒太君 私は成るべく短い時間で以て意見を述でてみたいと思います。先ずこの条約の内容ですが、政府側では我がほうの要望を十分に取入れたというふうにここで言われたんですが、私の見るところではそうは行つていない。又、私は必ずしもそうは行つていないからといつて、そういう理由で別に、条約だからそんなに十分に取入れられるはずはないので、それだからいかんということを理由にするのではない。併し私は今まで質疑応答の過程で、もう随分長い時間かかつて、いろいろな点、具体的には明らかになつた点があるのでありますから、一々これを申上げませんけれども、その規定の内容において相当不満足な点や不適当な点、或いは不備の点等が随分ある。それは事実です。而もその間にあつて、これはいろいろ日米の双方の政策上といいますか、非常に政策上からして利害が衝突して、向うがどうしても譲らぬという点、これは止むを得ない点もいろいろありましよう。併しそうではなくして、こつちが理を尽しておるのに、そういう入れていいはずのものがそうなつていないものがある。そういう点など、これはもう少しそれこそ十分な努力をしてもらいたかつたという意見を私は持つておるわけです。それで、こういう点については、これの運用面、それから、これは運用といいましてもいろいろ国内法などに譲つておる面もあるし、そういうもののきめ方という点は、これは条約の実態と関係を持つて来るのでありますが、そういう点だとか、それから、この条約自体の中にこの条約の実施に関する協議条項などが入れてありますが、ああいうものを十分活用して、今言つたような不備な点とか何とかを補うように一つつてもらいたいと思う。  それから第二には、まあそうは言いますけれども、この条約締結関係された諸君の相当の努力のあとというものは、これは私は認めるに吝かではない。又こういう条約を仮りに否決するとか、これが成立に至らぬとか、効力を発するに至らぬ場合の結果の影響ということを考えて、そういう点からいたしまして、これがひとりただ単に通商航海条約関係だけでなくもつといろいろな点に影響するところが大きいので、そういう点などを考慮して、私は大局の見地からこれに賛成しようと思う。  ただ私ここへ最後に一つ強い要望を付しておきたいのですが、それはこの条約に限らないのだが、特にこの種の通商航海条約というものは、これは事柄の性質上からいつても、これはそう国民の間に秘密にすべきものではない。むしろ国民の声を聞いて、業界その他国民の意見を聞いて、ずつと作り上げ、積み重ねて行かなければならん性質の条約なんです。それだからして、こういうものなどは特に国民の輿論、代表の意見を聞かなければならんものだから、この条約を作る過程においても、国会などでも説明をし、又聞くべきものは聞いて、そういうふうにして僕はやつてもらいたかつたと思うのです。今後もこの種のものは随分あることだと思うから、特にその点を要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、これは言うつもりではなかつたけれども、条約締結に関する憲法の規定に関して外務大臣が昨日触れられたから、二言、言つておきますが、政府の今とつておられるあの条約の解釈には私は賛成できないのです。あれは私の見るところでは、もつと考えてみられる必要があるのだと思うのです。その内容は、今その場所じやありませんから申しませんが、ただそれだけを申上げておきます。  それからもう一つ、その要望として今後の日本の対外経済関係、これは非常にむずかしく且つ重要なことですが、それらに関して私の率直なことを申上げますと、今まで政府でいろいろと苦心してやつておられる点はわかるけれども、何だか率直に申上げるというと、前に非常に資本導入という大きな大はいを掲げて、この頃は東南アジアということをしきりに言つておる。私は、こういうものは、資本の導入にしましても、二十五年の六月からこの年の六月まで、まる三年かかつても僅か七千六百万ドルぐらいしか入つていない。これは当然だろうと思う。そんなに私は入るはずはないと思う。然るに何か外資導入をするのが非常になんだというような、非常に実際の事実とあまりにもかけ離れ過ぎた、輪をかけ過ぎたことを標榜されたようなことがあつたように思う。今度は東南アジアの関係でも、客観的に冷静に我々が見るならば、非常にむずかしい条件がそこにあるのです。だから何だかこれによつて国民にあまりにも淡い幻想を抱かせるようなことがあつてはいかんと思う。何か皮肉に解すれば、如何にもホーム・コンジャンクシヨンというような、率直に言つてそういう感想を持つのです。そうして現に昨日、一昨日も外務大臣にお尋ねしたのですが、今度行かれるかたなども御苦労な話ですが、併しその任務の内容等についても極めて漠然たるものである。ああいうことで、実際又それほどでないかも知れませんけれども、私はこういうことはもう少し……対外経済には重要であるし、それだけに、もつと地道でいいから、少しずつでも、本当に実効を収めて行くような点について努力されたい。こういう要望を付してこの条約に賛成いたします。
  100. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私もこの日本アメリカ合衆国との間の友好通商条約承認の件については反対の立場をとるものでございます。私どもは、元来、日本アメリカ合衆国との間に友好的な通商航海条約が結ばれるというそのこと自身には、決して反対をいたしませと。非常に結構なことだと考えます。又、政府がこの大きな而も十年間というような長い生命を持つ条約をお作りになりましたことについて、大変な御苦心をなさいましたことは、これは多といたします。併し問題は、先ほど羽生委員の御質問の中にもちよつとそのことに触れられたのでございますが、問題は、日本が外資を導入したいというその問題と、又この条約が互恵、平等というような、そういうことを謳つてはおりますけれども、実際に日本アメリカの国力の差というものは、これは非常に大きいものがございますから、求めていた外資が導入されまして、それが果して日本のために、本当に又国民の生活のために、或いは日本の将来の経済界の正常なる発展のために、これが有効に都合のいい方面に使われるかどうか、或いは却つて国内産業がそのために非常に隷属的な地位に置かれる危険性があるか、このどちらにウェイトを置くかということが、この条約にかけられた一つの大きな問題だと思います。それで政府当局のそのときの御答弁によりますと、この問題については、その悪影響をメニマムにとどめるために努力をする、そうして制限業種、為替管理その他によつて、いろいろのコントロールを考えて妥協点に落ち着いた、こういう御答弁があつたのでございますが、私どもが一番心配いたしますことは、今申上げましたように、もともと国力において非常な格差があるときに、こういうこの条約が本当に友好的な通商条約というその名に背かないものであり得るかどうかということは、一にかかつて政府の外交方針にかかるものだと私は思います。そのときに、従来の、吉田内閣の外交を拝見いたしておりますと、心ずしもアメリカに対して、対等というような立場で以て強く要求すべきを要求していたというような実績を拝見するということがどうもできないことは非常に残念だと思います。それで今のような、誠に失礼な言葉でございますけれども、軟弱外交、こういうふうに言われております、そういうような態度で、今後外交が進められますと、さつき申上げました外資導入、それが却つて日本に悪影響を及ぼす結果のほうが多くなるかも知れない、こういうようなことも考えられますので、こういうような点から、私はこの条約に反対しなければならない。そして、更にもうつ残念に思いますことは、こういうような重要な条約が、選挙管理内閣というような、ああいうようなときに調印をなさつたということも、一つの国民にとつては大きな失望であつた。今杉原委員から言われましたように、こういう各方面に大きな影響を持つておる条約である以上、その交渉の過程においても、国民の強い輿論に支持されてお作りになる、こういうやり方のほうがよかつたのではないか。そんな意味からも、私はこれに反対の立場をとらざるを得ないのでございます。  なお反対の論旨につきましては、本会議の討論に譲ることにいたしまして、一応私どもの会派の立場を表明いたします。
  101. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに御発言はございませんか。ほかに御意見もないようでありますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは討論は終結したものと認めます。  これより採決に入ります。日本国アメリカ合衆国との間の友好通商航海条約批准について承認を求めるの件について採決をいたします。本件を承認することに賛成のかたの挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  103. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 多数であります。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは前例の通り委員長に御一任願います。  それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     鹿島守之助  杉原 荒太     井野 碩哉  徳川 頼貞     古池 信三  石原幹市郎     小瀧  彬  鶴見 祐輔   —————————————
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 本委員会を閉じる前に、一言委員長に対しまして要望いたします。先ほど羽生委員からも申上げたと思いますけれども、MSAによる対日援助の交渉が目下行われております。衆議院におきましても、この交渉についての中間報告を岡崎外務大臣より求めるということが問題になつております。当然今日これをなさるべきものと私は考えておりますが、一つ委員長よりも、この点につきまして岡崎外務大臣に対しまして、本日或いは明日の本会議で、この中間報告をなされるよう要求されることを委員長に要望いたします。
  105. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 先ほどの御了解では、明日午後、本委員会を開きまして、そうして外務大臣から衆議院においてなされると同じ範囲において、同じ趣旨に副うてこの委員会でも説明を求めるということになりまして、外務大臣も御異議がないようであります。只今岡田委員の御発言のように、明日、本会議において委員長から何かそういう趣旨の……。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうではないのです。本会議においてもなされるようにということを要求して頂きたい。
  107. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 外務大臣から本会議においてなされるようにというですか。それでは先ほどの御了解とは違うのですね。我々は外務委員会において外務大臣から聴取する、こういうように先ほどのお話ではなつておるのであります。
  108. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは衆議院との睨み合せもありますが、とにかく衆議院において本会議でやるようなことになりました場合には、こちらでも本会議でやつて頂かなければならん、こういうこともつまり含んでおるわけであります。でありますから、こちらはここだけで済めばいいのだという考えでなく、先ほどの決定のほかに、今申上げましたような本会議の問題も御考慮願いたいというので、私が発言したわけであります。
  109. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) わかりました。問題はこれは外務委員会のみの問題ではなくて、本会議、つまり参議院全体に関しての問題でありまするからして、必要な時期に際しましては、外務大臣に本会議で以て説明して頂くということも勿論あり得ると思いますが、ただ明日のところは、衆議院におきまする外務大臣の行動は、先ほどの外務大臣のお話では、外務委員会乃至は予算委員会で説明をするということになるかも知れない、まだこれはさまつていない、こういうようなお話でありました。それでありますから、我々のほうは、この外務委員会でお話を承われば承わる、こういうことにしておいたと思います。
  110. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほどのお話がちよつと誤解があつたと思いますか、私が予算委員会と申したのは、例の戦力問題等に関して質疑が残つているのが、明日予算委員会質疑が継続されるかも知れないと、こう申上げたのであります。
  111. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 今のMSAに関する中間報告は……。
  112. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは別の問題として、通商航海条約審議に差障らない限りは、本会議で報告を求めるというような手続がとられておるように思つております。
  113. 羽生三七

    羽生三七君 ちよつと外務大臣にお尋ねしたいのは、通商航海条約に差支えないと言つて、何かMSAの質問なり中間報告をやると、通商航海条約に差支えがあるのじやないですか。
  114. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは例えば討論採決に欠席するということじやいかんし、本会議審議されるときに私がしなければならない、そういう時間をわざわざ割いてこちらへ行くというわけに行かない、こういうことでございます。
  115. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではどうなりますか。明日の本会議において、こちらも外務大臣の説明を求める、こういうことになりますか。私は委員会のことた考えておつたのであります。
  116. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは衆議院のほうでもやり方がいずれきまるでしようから、それと睨み合せまして、御処置を願いたい、こういうふうに考えます。
  117. 羽生三七

    羽生三七君 それで衆議院の本会議でやるようなことがあればよろしい、そうでなければ、どういう形をとるか、それは外務委員会か予算委員会かわかりませんが、それに倣うように、それは成るべく本会議でやることを希望いたしますが、そこで、衆議院で若しそういう中間報告がされる場合、こちらは少くとも委員会だけでもお話し願いたい。
  118. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ただ衆議院の本会議は明日は午後でしよう。我々のほうは午前ですから、その点に何か食い違いがあるかも知れませんけれども、併しおよそ今日中には衆議院のほうもきまるでしようから、そうしたら明日の午前中にこちらもやつて頂く、こういうふうに外務大臣にお願い申上げます。
  119. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それは例えば参議院議長なり、然るべき手続で以て御要求頂いた場合のことでございます。
  120. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それはいずれそうでしよう。衆議院においてなされたという場合に、参議院においてなされないということになれば困りますので、それは当然参議院としては外務大臣に要求しなければならんことになるわけであります。  それでは午前のこの委員会はこれで休憩いたしまして、午後三時から再開いたしまして、日程に残つておりますあとの五条約について本日審議、そうして又採決までお計らい願いたいと思います。  それでは午後三時に再開いたしますまで休憩いたします。    午後一時五十四分休憩    —————・—————    午後三時四十二分開会
  121. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では休憩前に引続きまして外務委員会を再開いたします。  第二次世界大戦影響を受けた工業所有権保護に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定批准について承認を求めるの件、  第二次世界大戦影響を受けた工業所有権保護に関する日本国とスイス連邦との間の協定締結について承認を求めるの件、  以上二件を一括して議題といたします。  先ず最初に内容の概略について政府の御説明をお願いして、そのあと質疑に入りたいと存じます。
  122. 下田武三

    政府委員下田武三君) 御審議の便宜のために、極く簡単に掻いつまんで内容を御説明申上げます。又率直にこちらから問題となる点をあからさまに申上げまして、御審議を頂きたいと思います。極めて技術的な条約のみでございますが、先ず第一に、この工業所有権保護に関するドイツ及びスイスとの協定について御説明申上げます。  この協定はどういうことかと申しますと、工業所有権というものは、発明者なり或いは実用新案、工業的の意匠若しくはひな形を作つた人の国だけで保護されているものではないのでございまして、御承知の万国工業所有権保護同盟条約というものがございまして、国際的に保護されておるわけでございますが、この協定で取上げました問題は、こういうことでございます。特許権を例にとりますと、或る発明をいたしまして、特許権、特許の申請を日本なら日本でいたします。そうしますと、一年間は、どこの国に参りましても、その人間が発明者として申請すれば、特許権を優先的に承認してもらう、こういう一年間の優先期間がございます。ところが、戦争が勃発いたしましたために、この一年間の優先期間が切れる前に戦争が始まつて、平時でありましたならば、郵便その他の通信機関で申請ができたのでありますが、それができなくなつた人もございます。又戦争中、途中で切れたのでございませんで、戦争中に発明して、或る国では出願ができたが、日本では出願することができなかつたという国がございます。そこで、一般条約で定めました一年間の優先期間というものを、この協定の効力発生後六カ月経つまで延長してやろうというのがこの協定の狙いでございます。従いまして、六カ月間は日本或いはスイスでお互いに申請を受理して、そうしてあたかも一年の優先期間に行われたと同じように取扱つて、特許権なり何なりの申請を受理してやろうというのがこの協定の狙いでございます。そこで、問題となります点は、現在の日本とドイツ、或いは日本とスイスとの関係におきましては、事実的にはドイツ或いはスイス側のほうが進歩しておる部分が多々ございますので、日本人がドイツ或いはスイスへ参りまして申請する件数よりも、ドイツから、スイスから日本へ申請して来る数のほうが実際問題として多いわけでございます。法律的には平等であるが、実際的には不平等であるという関係があるのは、これは否定し得ないところでございます。そこで、そういたしますと、影響を蒙むる問題は、長い戦争期間中に同じ発明を日本でしておるような人もございます。又この特許権というのは、これは人々に知れ渡つていないところで発明したから初めて保護するという問題でございますが、これが公社のものとなつた場合には、もはや保護する必要はない。そこで、長い戦争期間中に公知、知れ渡つてしまつておるからして、日本ですでにその特許を実施しておるというような人もございます。でございまするから、この協定を実施しました結果、日本で同じような特許を取つておる、或いは知れ渡つたような特許をすでに実施しておる企業がございました場合に、この協定で特許権を認めることになりますと、影響するところ重大なわけでございます。そこで、どういう取きめをいたしましたかというと、善意の第三者を保護しなければならないということで、ドイツとの協定の第三条、スイスとの協定の第四条で、善意で発明、実用新案若しくは工業的な意匠若しくはひな形を実施し、又はその実施のため必要な準備をいたした者は、それぞれの締約国の法令によつてその実施を継続することができる、こういう規定を設けたのでございます。更にこの規定に関連いたしまして、議定書で細かい規定も設けまして、実施を継続するについては、特許料のような何らの対価を納める必要がない。それから今まで実施していたことについて、何らの対価を支払う必要がないというような点まできめまして、先ほど申上げました実際上の不平等から参ります我がほうの不利を是正する手段はこれは十二分にとつてあると存ずるのでございます。これが工業所有権協定につきましての一番大きな問題でございます。  なお詳細に亘りましては、特許庁長官がおいでになりますので、御質疑がございましたら、長官から御返答頂けることと存じております。
  123. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 質疑のあるかたはどうぞ御発言を願います。
  124. 羽生三七

    羽生三七君 私、具体的なことを全然知らないのですが、このドイツ国とスイス国両国のこの案件に関する具体的なこの実態といいますか、工業所有権に関しての実態が若しおわかりになつてつたら、日本の場合もそれをちよつと御説明願いたいと思います。
  125. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お答えいたします。具体的な実態と申しまするのは、例えば日独間の協定でございますれば、この協定に基いてドイツからどういう出願が出るだろうかというような意味じやないかと思いますが、これはその協定が発効しましてから、先方の者がその出願を持つて来るわけでございます。今のところは、どういうものが出るか正直のところ見当がつかないのでございます。ただまあ一つの傾向を申上げますと、恐らくは従前のドイツ人の日本に対しまする、従前と申しますか、ちよつと前でございます。出願から推定しますれば、ドイツからこちらへ来ます出願は、機械関係の出願、或いは化学関係の出願、こういうものが比較的多いのじやないかと思います。スイスについて申しますれば、無論こういうものもございまするけれども、スイス国は、化学関係とか、或いは薬の関係、これが非常に発達しておりまするので、そういうものを内容とした出願が相当あるのではないだろうかという想像を持つておるわけでございます。
  126. 羽生三七

    羽生三七君 現にまだ協定が効力発生しておる段階でないのですから、何かそういう案件が先方から我が国、又、我が国から先方に発せられて必要上に迫られておるということから起つたのではなしに、やはりこういうものがなければ不便だという程度でございますね。今の段階では。
  127. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お話の通りでございます。具体的にどういう申請をお互いに出そうかというところから始まつた話ではないのであります。
  128. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに御発言ございませんか。
  129. 羽生三七

    羽生三七君 どうですか。これは政府側で考えて、実際問題にこういう協定が結ばれた場合に、日本がこの締約相手国に対して、相当に件数として持ち出し得るほど持ち出せるようなものが日本と外国の工業の現状から見てあり得るかどうか。その辺はどうでございましよう。
  130. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 具体的に非常に多くの出願がこれによつて日本人からなされるということは、実は想像を余りいたしておりませんでございますが、ただ事柄の性質上、先ほど条約局長からのお話もございました。同時に平時の状態でございまするならば、万国工業所有権保護同盟条約というものがございまして、日本も入つております。明治三十六年でございましたか、古くから入つております。数多くの国が入つております。それに基きまして、締約国の出願が保護されております。第二次世界大戦のようなもので、やりたくてもできなかつた、いろいろな点でできなかつた、それからそれを戦争後に是正しようじやないかというような話が、これは第一次大戦当時の一つの何と言いますか、建前の問題と考えなければならない問題でありまして、ヨーロッパ各国の間では、同種のものが協定ができております。日本につきましても、ドイツ、スイス等からの申入れに応じまして、同じような精神で戦争中当然やればできるものが、交通の途絶のためにできなかつたものを戦後に是正しようという考え方でやつたのであります。具体的に何名出そうというような具体的な目安は持つておりません。
  131. 羽生三七

    羽生三七君 いや、その目安でなしに、日本の現在の工業の発達力ですね。そのものから見て、外国と較べた場合に、締約相手国と較べた場合に、非常なアンバランスになりそうなのかどうか。日本の過去の実態から見て、相手国との比較を伺いたいと思います。
  132. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) これは必ずしもこの協定の問題でなく、協定を離れておる問題だと思うのでありまして、すでに平時にございます万国工業所有権保護同盟条約の場合にもそうでございまするけれども、これは両国間のために技術の進歩の程度というようなものからすでに出て来る結果と思いますが、ドイツ或いはスイスに較べますると、遺憾ながら現状では日本の技術の水準というものはそれに及んでおりませんので、両方の出願件数を比較しまするならば、ドイツ或いはスイスの日本に対する出願のほうが相当多いだろうとは思つております。工業所有権の制度という、制度の建前から申しますると、やはりこの種の取極は戦争中の一つの変態的な状態を戦後に是正するという意味で必要であろう、こういう見地から話を進めたわけでございます。
  133. 井野碩哉

    井野碩哉君 これはドイツとスイスだけですか。アメリカその他とはこういう協定はないでございましようか。
  134. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 旧連合国につきましては、すでに前に、包括的な協定はございませんけれども、国内立法ができております。それによつてつておるのです。残つておりますのは、旧枢軸国、或いは旧中立国の関係だけでございます。これを今回やるわけです。
  135. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに御発言ございませんか。なければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでありまするから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより採決に入ります。第二次世界大戦影響を受けた工業所有権保護に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定批准について承認を求めるの件、第二次世界大戦影響を受けた工業所有権保護に関する日本国とスイス連邦との間の協定締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して採決いたします。両件を承認することに賛成のかたの挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  138. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致でございます。よつて両件は承認すべきものと決定いたしました。   —————————————
  139. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に国際民間航空条約への加入について承認を求めるの件、国際航空業務通過協定の受諾について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。内容の概略について政府より先ず御説明を願います。
  140. 下田武三

    政府委員下田武三君) 国際民間航空条約は、実は皆様にとりまして目新らしい条約ではないと存じます。今まで各国との民間航空協定におきまして、必ずこれに関連を持つておりまして、締約国は相互に国際民間航空条約の原則を遵守するということを第一条で約束しております。又平和条約の第十三条におきましても、この条約の国際航空に適用し得る部分は日本側は実施するということを、すでに一方的に約束してあります。そこで、この条約に加入いたします効果としまして、すでに平和条約で一方的に引受け、又個別的の各国との民間航空で相互的に或る国との間には遵守を約束しておりましたこの条約に対して、今度は各国と全く対等の地位で、この条約の完全な当事国として、従いましてこの国際民間航空機関の会議にも完全な権利をもつて参加することを得るに至るわけでございます。  この国際民間航空条約と業務通過協定との関連を御説明いたしますと、国際間の航空をいたすことにつきまして、俗に空の自由ということが言われております。空の自由には五つの自由があるわけでございまするが、第一の自由は、他国の領域を着陸することなしに横断し得るという、それができないと空の自由は先ずなくなるわけでありますが、無着陸横断の自由というのが第一の空の自由であります。第二の空の自由は、商業的な営業の目的でなしに着陸するという権利でございます。これがございませんと、やはり空を自由に飛べないわけでありますので、商売する目的でなければとにかく他国に着陸し得るというこれが空の自由の第二のものでございます。第三の空の自由は、自分の国で旅客や荷物を積んでこれを他国の領域に持つてつて積みおろし得る、これが第三の自由であります。第四の自由は、自分の国に来る旅客なり貨物なりを他国の領域で積み込む権利、これが第四の自由。それから第五の自由といたしまして、これは自国と関係なしに、第三国間の間で旅客、貨物等を運搬する権利、およそこの五つの自由がございませんと国際航空ということはできないわけであります。どれが欠けてもできないわけであります。ところがこの五つの空の自由を全部認めるということはなかなか各国とも支障がある問題でございまして、そこまでには到底できないわけでありまするが、一九四四年にシカゴで開かれました会議におきまして、大体各国の意見が二つに分れまして、大いに空の自由を認むべしというアメリカを旗頭とする派、それから、いや、今そこまで世界の情勢は行つていないのだ、むしろ一定制限なり秩序の下に空の自由を認むべきだというイギリスを旗頭とする他の派がございまして、そこで妥協の産物として、一つ条約でなしに、この二つ条約に分れてしまつたわけでございます。  そこで第一の国際民間航空条約というものは、不定期航空、只今日本に飛んで参つております外国のあれは全部定期航空でございますが、そういう定期航空については空の自由は認めないが、不定期航空、不定期のものには認めたらいいじやないかというので、不定期航空についてのみ空の自由を認めましたのが国際民間航空条約でございます。  それから更に進んで定期航空についても、空の自由を、全部ではなくて、先ほど申しました第一及び第二の自由、他国を無着陸横断する権利と、全然商売の目的はなくて他国に着陸する権利、その二つだけの空の自由を定期航空にも認めましたのが業務通過協定のほうでございます。  この条約の条文に立入りましての御説明は、技術的の問題で余り長くなりますので、極く端折らせて頂きます。  国際民間航空条約のほうは、国際航空の原則を定める部分と、国際民間航空機関、ICAOと言つておりますが、そのICAOの設立並びに構成、運営を定めました部分とがございます。この国際航空の原則を定める部分につきましては、先ずこの条約に入りましても、各国は自国の領空に対して完全な排他的主権を持つのであるという領空に対する主権の原則を語つております。又丁度船舶について沿岸貿易を各国に留保いたしますように、航空業務でも、国内航空、つまり東京——大阪間という国内航空は、これはその国に留保するという原則も謳つております。なお注目すべき規定は、戦時その他の緊急事態については航空の協定の適用を停止する、全面的に又は部分的に停止する。そういうような、現在の国際情勢に鑑みて、各国の主権の発動を妨げないだけの用意はいたしておりますことを特に申上げる必要があると存じます。  業務通過協定のほうにつきましては、別に御説明申上げることがございませんが、先ほど申しました無着陸横断と、商売の目的でなしに他国に着陸する権利、この二つの空の自由を定期国際航空についても保障しているということであります。もう一つ注目すべき点は、商売するつもりでなしに着陸する権利を認める場合には、俺の国に着陸さしてやるのだから或るサーヴイスをしろと言つて、今度着陸されるほうの国で業務の提供を要求することができるようにいたしました点が注目すべき規定かと存じます。  簡単でございまするが、問題となるような条項はそういうようなところでございます。なお航空局長が見えておられまするので、御質疑がございましたら荒木局長から御説明頂けると思います。
  141. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御質疑のおありのかたは御発言を願います。
  142. 羽生三七

    羽生三七君 私まだ条文をよく読んでいないのですが、今お話の第三点の着陸を許すほうの国が相手国に求めるサービスというと、具体的にはどういうことになるのですか。
  143. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 例えばそこの国の荷物を運んでくれ、運べ、降りた序でだから運べということを言うようなのが先ず一番考えられる具体的事例と思いますけれども、条約上にはございますけれども、実際にはそういうことは先ずないようでございます。
  144. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めまして、討論は終局したものと認めます。これより採決に入ります。国際民間航空条約への加入について承認を求めるの件、国際航空業務通過協定の受諾について承認を求めるの件、以上両件について採決をいたします。以上両件を承認することに賛成のかたの挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  147. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて右両件は承認すべきものと決定いたしました。   —————————————
  148. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に国際電気通信条約批准について承認を求めるの件を議題といたします。先ず本件の内容について概略政府の御説明を求めます。
  149. 下田武三

    政府委員下田武三君) 我が国は国際間の電気通信に関する条約には非常に古くから加入いたしておりまして、明治十二年に万国電信条約という条約に加入いたしました。更に万国電信条約が後に無線電信条約となりまして、一九〇六年にベルリンで締結された無線通信条約、これも当初から主盟国となつてつたのであります。この国際電気通信条約は五年ごとに当事国の会議を開きまして、五年間に起りました技術的進歩その他の情勢の推移に鑑みまして、改正を加えられることになつておりましたのでありまするが、この前の条約は一九四七年のアトランテイツク・シティでできた条約でございます。この条約は我が国が占領下にありましたために当初からは参加できなかつたのでございまするが、一九四九年に日本はこの前の条約に加入いたしております。この条約も、国際電気通信連合と申します国際連合傘下の専門機関の構成、目的、組織等を定めまする部分と、それから国際電気通信の原則を定める部分からなつているのでございます。極めて専門的な条約でございますので、金光さんから簡単に御説明を願いたいと思います。
  150. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではどうぞ……。
  151. 金丸昭

    政府委員(金丸昭君) 只今条約局長から国際電気通信条約についての現在までの概要についてお話がありましたが、私から今回のブエノスアイレス会議におきまして改正された条約が、その前に一九四七年にアトランテイツク・シテイで開催されました際の現行条約とどの点が違うかということにつきまして、極く概要をお話申上げたいと思います。  只今条約局長のお話がありましたように、この条約自体非常に専門的な条約でございますが、今回の改正点につきましては、特に日本におきます国際通信の業務関係に非常に大きな影響を与えるといつたふうな改正はないのでございまして、主として国際電気通信連合の運営に関しますいろいろの事務的な面についての規定の改正点が多いのでございます。まあ、いろいろとそれらの点につきましては具体的な改正点があるわけでございますが、極く一例として申上げますれば、例えば国際電気通信連合というもののいわゆる本会議と申しますか、それに当ります全権委員会というものが五年に一度あるわけでございますが、その中間におきまして管理理事会といつたものを毎年開くことになつております。その管理理事会の議長議長というものの選挙につきましては、最初の会合で五人を選挙して一年ずつ順次持ち廻りで職について行く。それを今度は毎年の年次会合の都度選挙することにしたといつたような点だとか、或いはこの国際電気通信連合につきましてはいろいろの技術的な問題がございますので、その連合の附属の、諮問委員会というのでございますが、その諮問委員会が従来は総会を二年毎に開いておつたものを三年毎に改める、そういつたような誠に事務的な改正が多いのでございます。ただこの中で一応業務関係といたしまして改正されたという中で、一つだけ、まあ多少今回の改正で従前と変つて参りますものを申上げますれば、海上又は空中におきまする人命の安全に関する通信については、これは御案内の通り優先的に扱うということになつておりますが、それに附加えまして世界保健機構、WHOの扱います緊急な伝染病通信というようなものをこの優先通信の中に加えたといつたような点が、業務関係改正点として挙げられる程度でございまして、その他の点につきましては、先ほど申上げましたような主として電気通信連合の運営に関します事務的の改正に止まるわけでございます。簡単でございますが一応御説明申上げます。
  152. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御質疑のあるかたはどうぞ御発言を願います。  別に御発言もないようでございまするから、御質疑はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国際電気通信条約批准について承認を求めるの件について採決いたします。本件を承認することに賛成のかたの挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  155. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。  以上五件の案件に関しまする本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりまするが、これは前例の通り委員長に御一任願います。  なお本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりまするから、五件を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     鶴見 祐輔  羽生 三七     中田 吉雄  鹿島守之助     徳川 頼貞  石原幹市郎     小満  彬  井野 碩哉
  156. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それじや速記をとめて。    〔速記中止〕
  157. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは速記をつけて頂きます。  では、本会期中、本委員会に付託されました議案は、旅券法を除き、残余の部分は全部終了いたしました。種々重要な、且つ困難な議案が上程されておつたわけでありまするが、委員諸君の極めて友好的な御協力によりまして、すべての案件が滞りなく解決されましたことに対しまして、不肖委員長といたしましての私から、厚く御礼を申上げます。超党派的な見地に立たれましての御努力に対しまして、心から感謝をいたし、且つ又敬意を表する次第でございます。これを以て本日の委員会は散会いたしまするが、明日は国際情勢に関する調査の議題の下に、午後一時から委員会を開くことに日程に載せておきまするからして、どうぞそれも併せて御了承願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会