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政府委員(
大江晃君)
平和条約が発効いたしましてから今日までにこういう事案の例といたしましては、
昭和二十七年に退官をいたしました
日本人七名がシンガポールに
保護されております。これが困窮いたしまして
旅費が出せないということで、当時の
日本におりまする
英連邦の
代表部から
日本政府に対して
送還方の請求がございまして
外務省から経費を出しまして
送還をいたしました。
その後中共から
香港に引上げました親子三名が、
香港で
船持ちの間に金がなくなりましてどうしても帰れないというので、これも同様な
措置をとりましたが、この場合は一時
香港政庁で
滞在費を立替えてございましたので、後刻
政府がこれを弁済いたしました。
それから
ヨーロツパにおきましては、終戦前から長くずつと向うに滞在しておりました
日本人の一人が
精神病者になりまして
ドイツで、病院に入
つた。これに対しましてたまたま
日本に参りました
ドイツのお坊さんからこういう人がおるという通知がございまして、
留守宅その他身寄りもそれを帰すだけの
負担能力がないということで
政府から
旅費を送金いたしまして帰国さした例がございます。
これは最近でございまするが、
スペインに興行に多分
行つた人だと思いますが、それがうまく行きませんので帰る
旅費に困りまして
スペインの
大使館がら連絡がございまして、これも
政府の
費用で帰しました。
又
フランスにおきましては、やはり長く向うに
行つてお
つた連中で四名ばかり
生活の糧が十分でない、
フランス政府に迷惑をかけるというような者が四名ございまして、これもいずれも
政府の
費用で帰しました。
それから最近
日本の漁船で海難いたしまして、
インドに漂流して、これも金がないというわけで
政府の
費用で
送還した者が二十三名ございます。これが大体沖縄の
出身者のものでございます。
今まで判明いたしました例は大体以上のようなものでございますが、だんだん海外の
渡航者も殖えましてこの種の
該当者がふえて参るのではないか、こう
考えております。