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1953-07-08 第16回国会 参議院 外務・農林連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)    午後二時四十四分開会   —————————————  委員氏名   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事      徳川 頼貞君    理事      佐多 忠隆君    理事      加藤シヅエ君            北村 一男君            草葉 隆圓君            古池 信三君            小滝  彬君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            曾祢  釜君            鶴見 祐輔君            杉原 荒太君   農林委員    委員長     片柳 眞吉君    理事      宮本 邦彦君    理事      森田 豊壽君    理事      白井  勇君            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 亦治君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事            徳川 頼貞君            佐多 忠隆君            加藤シヅエ君    委員            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君   農林委員    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            白井  勇君    委員            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            溝澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    外務省条約局長 下田 武三君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    外務省経済局次    長       小田部謙一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国際小麦協定を修正更新する協定の  受諾について承認を求めるの件(内  閣送付)   —————————————    〔佐藤尚武委員長席に着く〕
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では只今より外務農林連合委員会を開きます。  議題は国際小麦協定を修正更新する協定受諾について承認を求めるの件であります。  本日政府よりは外務省経済局次長小田部謙一君、同条約局第二課長佐藤正二君、食糧庁総務部長新沢寧君、同業務第二部長寺田庄次郎君、これらの方方が今見えておられます。このほか外務政務次官小滝彬君が出られることになつておりますが、現在衆議院の外務委員会で同じこの小麦協定採決をするところでありまして、外務大臣が出られ報いためにそちらに代理として出ておられるようであります。併しその採決も間もなく行われるということで、それが済み次第こちらへ廻つて来られるということでありまするからして、どうぞ御了承をお願いいたします。  質疑に入りまする前に農林委員方方に御了承をお願いしたいと思うことがあるのでありますが、それは外務委員会では目下日切れ関係で、これは条約でありますが、早急に審議しなければならない案件を実は相当数持つておりますので、申しかねますが、連合委員会は今日一日限りにいたしたいと存ずるのでございます。どうぞ御了承をお願い申上げます。では質疑のある方は順次御発言をお願い申上げます。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 先ず政府に伺いたいのですが、今回の国際小麦協定に当りまして、英国のとりました態度につきまして詳細を伺いたいと思います。と申しますのは、我が国よりも私が承知しておる範囲では三倍程度、即ち四百数十万トンの小麦海外に依存しておる英国におきまして、今回の国際小麦協定参加をしていない。これにつきましては非常なる私は大きな理由があると思います。我が国以上に小麦海外依存度が強い英国におきまして、而も国際協定参加するに当りましては、事前に国内において民間のあらゆる権威者を集めて議論をし、結論を出して国際協定参加しておる英国委員が、突如として不参加態度をとられましたことにつきましてはいろいろ事情があると思います。この事情伺つて我々も大いに参考としなければいかんと思うので、この間の事情を聞かして頂きたいと、こう思うのであります。
  4. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) 英国がこの小麦協定参加しなかつた唯一の理由は、英国側としては最低価格の一ドル五十セットから五十五セントに上りましたのには何ら英国側は異存がなかつたのでありますが、最高価格の二ドル五セントというのに最後まで反対いたしました。その理由は、英国側としては二ドルを最後まで主張しておりましたところが、どうしても輸出国側は二ドル五セントを主張いたします。輸入国側といたしましては勿論低い方がいいのでございますが、最後的に若し二ドル説を主張すればまとまらなくなる、そういうわけで輸入国側としてはたとえ二ドル五セントでも呑んでまとめたほうがいいのじやないかという考え方になりまして、英国以外の輸入国側がこれを呑んだわけであります。そしてこの表面上の理由は、会議におきましてもその後においてもただ二ドル五セントということの差だということになつておりまするが、これをよく考えてみますれば、実は英国小麦の例えば去年度の輸入先を考えてみますと、濠州とカナダアルゼンチンですが、例えば去年度は英国側は五百万トンと押えておりますが、これは一九五一年の七月から一九五二年の七月まででございますが、その中でアルゼンチンから二千トン買つておりまして、濠州から六十一万三千トン買つております。カナダから三百四十八万トン買つておりまして、米国から五十五万九千トン、その他三十四万七千トン買つております。即ち五百万トンと申しましてもその大部分即ち四百万トン以上を自治領というものに依存しております。実はこの小麦協定が一九四九年にできます。前はカナダ英国との間には特恵的な約束があつた模様でありまして、英国だけに安く売つてつた、そういうふうな関係があるのでございます。今後このようなことになるのかどうかそれはわかりませんが、少くとも自治領に大部分食糧を依存しておる、そういうところに英国の強味があつて二ドル五セントというものをけつてまで入らなかつたのはこういうふうな事情があるのではないかと、こう想像しております。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 三カ年の長期に亘る契約でありますから、その三カ年の間において過去一カ年に経過して来ましたような趨勢で、今後も世界小麦価格というものは漸落傾向をたどる、そういうふうな見通上の下に今回きまりました一ドル五十五セントですか、この最低価格はときとしてその最低価格さえもこの三カ年の間には下廻るのじやないか、こういうふうな懸念を持つて英国参加を拒んだということは違いますか。
  6. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) お答えいたします。英国が今回の小麦協定参加しませんのは、会議の席上を通じましてもその他から考えてみまししも、一ドル五十五セントということに反対して参加しなかつたのではありませんので、最高価格の二ドル五セントという五セントに反対して参加しなかつた、こういうことになつております。即ち英国ですらも一ドル五十五セント以下に下ることは先ずないだろう。つまり英国は一ドル五十五セントと二ドルとの間だつたならばこの条約参加しただろうと、こう十分の確信を以て言うことができると思います。そしてこの協定は三カ年間でございますが、一ドル五十五セント以下にならなければ日本としてはこれによつて何ら損害をこうむることはないと、こう確信したわけでございます。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 その点は私が承知しておる情報と違いますが、ここで議論をしても仕方がありませんから政府の見解をそのまま伺つておきます。  次に私は、英国が過去においてソ連地区から輸入しておる小麦数量並びに最近のソ連小麦価格について御存じでありましたらお教え頂きたいと思います。
  8. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) ソ連英国との間に小麦についてソ連輸出がどのくらいございますかということは正確な統計はありません。といいますのは、過去においてもFAOにおきまして大体世界中の小麦生産高統計にとつておりますが、それを見ましてもソ連生産高が一九五〇年に三千万トンで、その輸出が同年度に三十二万トンということしかわかりません。それから新聞紙上によく英国ソ連との間にバーターが伝えられて、或いは五十万トンとか三十万トンとかいう数が出ておりますがはつきりしたことはわかりません。それからそのときの値段は普通の市場価格を少し上廻るのではないかという情報もございます。併しこれも確実なことははつきりわかりませんです。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 それも私が承知しておるのとは違うので、非常にソ連地区小麦の方が安いということを現実に私は聞いております。そこで私は英国は恐らく今後の外交上の問題にからんでソ連に或る程度小麦を依存する、その方が安い、こういうこともあるのじやないかと思つて、これは我が国の今後の小麦輸入の問題にも関連して我々も大いに承知しておかなければならん問題だと思つて伺つたのです。  それから農林省のほうに伺いますが、今回今までの五十万トンを百万トンに殖やした根拠はどこにあるのですか。これは今後三カ年間にあと国際小麦協定に依存して入れる百万トン以外の五十数万トンにつきましては、今後の国内における食糧増産によつて埋めることができる、こういうところから弾き出した百万トンでございますか。それともこの協定のほうから押付けられた百万トンでございますか、これを一つ伺いたいと思います。
  10. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。百万トンは大体協定におきまして全体の世界小麦貿易量とそれから協定によりまして取引されておる数量との割合等を考えまして百万トン、こういうふうに見当をつけたのでございます。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、どこまでも我が国の自主的に出したところの巨万トンでありますか。他の外国の意思協定意思、こういうものが入らんところの純然たる我が国意思によつてできた百万トンであると、こういうふうに承知してよろしいですか。
  12. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論協定でございますから、それぞれ協定国相互間のいろいろな何かございますから、我々としまして百万トンと見当をつけましたのは、今申上げました世界小麦貿易量と、それから協定による取引量との割合等を考えまして百万トンを妥当と認めて要求したわけでございます。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 この協定参加されて会議に臨まれた当時は、一般の国際価格の方が協定価格よりも上廻つてつたと思います。併し現在ではすでに一部にはこの協定によるところの価格以下に国際価格が下つておる事実があります。こうなつて参りますと、若しこの漸落傾向が今後一カ年続いた場合に、来年度におきましてこれをこちらの都合で七十万トン、五十万トン、若しくは三十万トンに数量を減らす自由というものは日本にはありますか。これを付いたいと思います。
  14. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。小麦協定の建前といたしまして、輸入国の義務でございまするのは最低価格の場合で御承知通りになつておるわけでございまして、最高価格におきましては、御承知のように輸入国としては最高価格での取引につきましては何ら拘束を受けてないわけでございます。現実に仮に市価最高価格よりも下廻つた場合においては、自由取引によつてこれを処理するごとには何ら制約がないと思うのであります。ただ現実の問題といたしましては、シカゴ相場におきましては二ドル五セントの相場が出ております。これは諸掛り等を何しますと、普通の我々が取引いたしておりますポートランド相場と比較いたしますと、大体二ドル二十セント程度のものになる、そのくらいに加算しなければならないことになるのじやなかろうかと思います。現在の六月におきまするポートランド相場は二ドル三十七セントになつております。その際におきまするシカゴ相場は二ドル五セント。これは一つのノミナルの相場でございまして、それにいろいろな諸掛りやその他を加えなければなりませんから、大体二十セント加える必要があろうかと思つております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 私は国際価格が下れば、それにスライドしてこの協定取引も下る、こういうことになつて来る。これはよく承知しておるのですが、たた自由市場国際価格のほうが今の協定価格よりもどんどん下つて行く場合に、何も協定参加していなくても協定外の者と取引しても同じじやないか、同じならそういうふうな拘束を受ける必要はないのじやないか、こういうような素人考えを持つておるわけなんです。それで伺つたわけでありますが、その点についてもう一遍、私素人でありますから御説明を願いたい。
  16. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) これは河野委員のお説のように、市価動向がどういうふうになるかということによつて問題が非常に変るかと思いますが、我々現在まで見ておりますポートランド相場から見ますると、まだまだその最高価格を割る相場に立至つていないのじやなかろうかというふうに考えられます。併し、これは将来の市価といたしましてどういうふうになるか、今後の予測の問題でございますが、今後としてはそういう最高価格を下廻る場合があるかどうかということであります。最高価格を下廻る場合におきましては、これはまあ或る程度自由取引の分に変えて行かなければならん、かように考えますが、まだ現在のところ今年の状態におきましては最高価格を上廻つておるような状態であります。その際には一つには有利な点もあるのでありまするし、国際市価動向にもよりまするけれどもアメリカは御承知のようにC・C・C制度を取つておりますし、カナダにおきましても小麦局がこれの輸出をやつております。まあ一つ国内生産的な関係におきまする点が相当国際市価動向に影響する場合があるのであります。かように考えまするし、又濠州におきましては今度の最高価格を上げますについて、従来の最高価格の場合におきましては濠州における麦の減産が非常に激しくなつておりますから、協定の途中においても協定数量を果し得なかつた。こういうような事実もございまするので、やはり各輸出国におきまする国内生産点等をも考えますると、やはり安定した一つの幅において供給を受けられるということは、日本のように対外的にいろいろ、従来英国のように確実に入手し得るというそういう枠のない立場におきまして欧州各国輸入国と同様な立場において考えますると、やはりこういう一つの安定した価格において一定数量供給を光けられるということは、供給の面からいたしまして非常に好都合じやないかというふうに考えます。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 他の委員のかたの御質問もたくさんあると思いますから、私はまだ伺いたいことがたくさんありますけれども最後に一言重ねて伺いますが、私はこの冒頭に申しましたように、小麦大口需要国である英国、而も事に臨んで非常に慎重である英国がとつた態度、これは、日本とは国情が違いますけれども、この英国態度というものは我が国国際小麦協定参加するに当つて、第一に私は参考にしなければならんところの条件だと思う。そういうふうな意味合から、私は今回は非常に政府のこの措置につきましては疑問を実は持つておるのです。  そこで、この問題は別としまして、いずれにしてもこれだけは一致すると思うのです。国際的に小麦価格が漸次低くなつておる。まああなた方はアメリカ行つて御覧なつたでしようが、アメリカの現在のストックの状態、今アメリカ政府がやつておるところの小麦価格支持政策、これもすでに行き詰つて来て、如何に大資本をかかえているアメリカでさえ、この支持政策は崩壊するだろうという議論さえ出ておる。こういう際で何と申しましても世界的に小麦国際価格というものは私は下ると思う。少し古い話でありますが、私は去年ローマに行きましてFAOでいろいろ世界的な需給関係も聞いて参りましたが、これもやはり小麦につきましては、将来赤常需給関係は楽観的な見方をしておりますが、こういう際に然らば、私の今の推測によつて国際的に小麦価格は下る、その場合に我が国農民に対して、今後国際価格が下るに従つて、漸次小麦生産費を下げるような農林省は何か施策をとつておられるかどうか。一方において食糧輸入を減らす意味合におきまして、小麦増産対策について今どういうふうな政策をとつておられるか。増産と同時に、繰返して申しますが、国内農民小麦生産費を如何にして下げるかということに対しての施策を持つておられるかどうか。これなくしては如何に補給金政策であるとか二重価格政策であるとか申してもこれは賛成でありますけれども、国家の財政にはおのずと負担力に限度があります。根本的に国内小麦生産費を下げなければなりません。下げるところの施策がなければならないと同時に増産対策もなければなりません。これらにつきまして具体的な農林省はどういう意見を持つておられるかお伺いしたい。それと逆に、君がいうように国際価格は下るのではない、これから上るのだというならば話は別であります。そういう御意見は恐らく農林省にも外務省にもないと思う。日本全体に、大きく言うならば世界全体にこれから小麦価格は上るというような見方をしておる人は一人もないと思う。そういう際におきましても、農林省小麦増産対策生産費低下対策、これを何かお持ち合せがあるか伺つておきたいと思います。
  18. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 小麦価格動向につきましては、勿論我々も商売人ではございませんからこれを予測することは非常に困難であります。農林省といたしましては、米麦につきましては、御承知のように毎年へ口の増加、潰れ地等による減産がございますので、食糧増産計画を立てまして、そうしてこれにつきましては、土地条件に対する改善の問題、或いは耕種改善等についていろいろ努力をしておるのでありまして、河野委員お話のように増産と同時にやはりコストを低下して行くということは、今後ともに絶対に必要なことでございますので、この点につきましては食糧増産計画の中におきましても米と麦とが取上げられておりますので、この食糧増産計画の推進によりまして、増産並びに生産費低下というふうな点については、十分努力をいたしたいと考えております。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 これは私が質問した方が悪いので、生産費低下を図るには如何なる施策を持つておるか、増産対策がどうかということは、食糧庁長官にこの問題は質問しても間違いで迷惑だと思いますから、今日は特に連合審査会でありまして、これは単なる農林委員会単独の問題だと思いますからこの問題はそちらに譲りまして、あと質疑を他の委員に代ります。
  20. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 数点御質問いたしますが、その前に、配付されました資料に食い違いもありますのでどちらが正しいかお示しを願いたいのであります。七月二日の小麦国内価格及び国際価格推移という、この資料の一番最後の所に、小麦国際価格推移という表があります。それからもう一つ七月六日付の資料がありまするが、この二枚目にやはり小麦国際価格推移の表が同じ見出しが出ておりまするが、カナダクラスIIですか、これが一九五三年の六月の数字が片一方は一ブツシェルが二ドル一セント、一方が二ドル四セントである。これはトン換算も違つておりますので、先ずどちらが正しいかを一つ示しを願いたい。
  21. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 今の点につきましてはのちほど調べまして早速御返答いたします。
  22. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それではのちほどどちらが正しいか資料によつて示しをお願いいたします。  そこで、私は基本的な問題として、先ずお聞きしたいのでありまするが、政府の配付された資料によりますと、大体小麦生産世界を通じますると逐次増産をされておりまするし、それと伴いまして今の若干の資料の喰い違いがありまするが、大勢としては小麦価喜格は漸次下向き傾向を辿つておりまするが、そういうような小麦増産は逐次進展をしておる。又これは先ほど河野委員からもお話がありましたが、FAOの過去の会議の結果から見て参りましても、世界全体を通じてみるとまだまだ食糧不足の国が相当ある。私の参りましたFAO会議においてもさような問題が中心題目になつてつた従つて先進国においては更に食糧増産して、食糧の足りぬ国々に供給をしなければならんという問題が出ておつたわけであります。そういう大勢からしてもこの際小麦アメリカカナダ等で大きな減産をするということも、これは私は国際信義からしてもできないのではないかと思うのでございます。従つて、どうも大勢としては私はアメリカ価格支持政策で或る程度チェックするにしても、逐次下るという大勢にあることは否定できないと私は思うのでございますが、それにもかかわらず、今回の新らしい協定で、先ほど御説明がありましたけれども最高価格最低価格、いずれも相当大幅に上げまして、而も価の協定でありますれば、逐次年次別に十セントずつ下るという仕組になつておりますが、これは三カ年高く上つたままで据置きだということは、どうも世界食糧の足らない国を救うという大きな精神からしても、又経済大勢からしてもどうも逆行だという大ざつぱな感じを受けるわけでありまするが、その辺がどういう事情でありまするか、私まだくわしいことを承知しておりませんので、先ずそういう問題につきまして明快なお答えを願いたいと思います。
  23. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 小麦がだんだん増産値段下向きにあるということは、私どももよく認めておるところでございます。併し不足すると困るから、どこまでも減産するというのは面白くない。誠にその通りでありますが、今の協定を作りましたときのアメリカ相場にいたしましても、支持価格で二ドル二十一セントに下げておる。そうすれば、最高価格の二ドル五セントというものは、とにかく日本として意義があるわけであります。併し、更にどんどん下つて行きまして支持価格というものも下げなければならなくなるだろうというお見通しもあろうかと存じます。併し、今アメリカのほうでは減産というのでなしに、作付反別を制限しようという法案が出ておりますことは御承知通りであります。現在としてはまだそういうことはやつておりませんけれども、この法案通つて結局価格安定政策をとるのだと私どもは見ておるわけなんであります。そういたしますると生産費関係もあるし、一ドル五十五セントまで下ることはなかろう。然りとすれば現在もこの協定によつて便益を受けて相当ドルの節約をしておるが、将来においてもこの協定があるがために、あの一ドル五十五セントに引つかかつて市価より高いものを買うことを強制せられることはないだろうという大体の見通しをつけたわけであります。勿論この点は食糧庁長官からもつと詳しくお話があると思いまするが。  そういう考え方ともう一つは、年々この前の協定では下げて行つたじやないか、なるほど最低価格については年年十セトずつ下げる形勢になつておりましたけれども、事実は最低価格というものは名義上、ノミナルのものにとどまつたのでありまして、最高価格というものが意味を持つておるのでありまするから、あの最低価格を漸減して行くという制度というものも、この協定は三年間でありまするので実際上はさして意味もないじやないかというふうに考えまして、この小麦協定に加入するという考え方を持つて来たわけであります。
  24. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 大体お話の経過はわかるのですが、大勢としては、この前の協定ができたときにおいても勿論アメリカ価格支持政策をとつておるのです。而もその当時よりも現在のほうが小麦価格は下つて来ておる。大勢として小麦増産され、而も一般の相場が下つて来ておるときに、逆に最高価格最低価格も上げるということが、どうも経済大勢と逆行する。ですから私は推測でありまするが、アメリカのCCCの制度が或る程度行詰つて、或いはアメリカの財政負担の点からこれはそういうふうな引上げをせざるを得ないというような、主として過剰国或いは輸出国のそういう国内の要請からこういうような問題が出たというように、私説明を聞きますると、経済大勢からすれば上げる後要はないのだ、何かそういう別途の理由の御説明がないと合点が行きませんので、重ねてその辺の事情を忌憚なくお願いしたいと思います。
  25. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 私ちよつとこの会議に出席したものでございませんので、内情がどうであつたか、耳打ちをどういうようにしておつたかは存じませんけれども、とにかくこれまでの四年前の小麦協定においては、勿論生産国のほうは一定量買つてもらうという利益を受けたでありましようけれども、とにかく最高価格というものによつて犠牲と言えば語弊があるかも知れませんが、とにかく安い値段で一定量は売つてつた。ところが、それが市価と比べると相当差があるので、今度はそれを是正してもらいたいという輸出国側の希望があり、又輸入国側のほうでもイギリスのように頑張り通して脱退した者もある。こういう外交交渉でありまするから、立場を異にする双方間の間で互譲妥協してできたのが今度の協定であるというふうに見ざるを得ないかと考えます。
  26. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その辺は会議に御出席の方もあるようでありまするから、若しそういう事情がありますれば更にお聞かせを願いたいと思いますが、それは若しお聞かせを願えれば結構と思います。  そこでその次は、先ほど河野委員の質問に対して、食糧庁長官から御答弁がありましたが、ちよつと違つておるじやないかという意味で再質問いたしまするが、協定数量は百万トンと決定されましたけれども日本政府の当初の方針は私の聞くところでは、百二十万トンというところで行つて、ところが向うにおいていろいろ相談の結果二十万トンカツとされて百万トンに決定した、当初の日本の希望数量は百二十万トンと私は承知をしておりまするが、その点は如何ですか。
  27. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように小麦協定につきましては協定の更新の第一回の会議が七月にあつたわけであります。その前に休会に入りまする場合に、日本政府といたしましては一応御承知のように百二十万トンという要請をいたしたのであります。その要請上、又その当時におきまする輸入量の関係と、それから今回締結いたしまする輸入等の見通しとの間に多少、その当時におきましては、大体小麦輸入を百八十万トン程度に見ておつた、そういう事情の変化がございまするので、百二十万トンということをつの幅を持つた形で従来の申込と申しますか、大体昨年の七月にやりました当時は百二十万トンということを一応申込んでおるのでございます。そこでその申込等の関係もございまして、一応百二十万トンと百万トンの実は間の幅を考えておりまして百二十万トン一本やりではなかつたのであります。その点はさよう御了承願いたいと思います。
  28. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 ところが先ほどお話があつたように、一番大きな輸入国のイギリスがこの協定参加しないというところから、恐らく輸出国の過剰数量の処理という問題も若干私は狂いが来ておるのではないかと思います。この点は昨日か一昨日でありましたか、毎日新聞と記憶をしておりますがこの問題が新聞でも報道されておつたのであります。イギリスが脱退した精米数量に或る程度の余剰ができたので、日本政府の当初の希望といいますか二十万トンをプラスをしてもよろしいというようないきさつが出ておる。こういうことを聞いておりまするが、その点は事実でありまするかどうか、御説明を願いたいと思います。
  29. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 今の片柳委員のおつしやいました通り理事会としては百二十万トンを日本政府に振当てたいという意向を持つておるようでありますが、併し日本としては今年の輸入量が百六十万トシでありまして、そうしてアルゼンチンとの協定とか、或いはイラクとの話合で貿易を振興する上にほかから買つたほうがいいという考慮があれば、日本としては決して受諾する義務はないので、一にかかつて日本の選択によるのであります。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 それはさつきからの政府の答弁と非常に食い違いがある。国際協定の百万トンというものは、私の見込では非常に将来価格漸落するだろう、従つてこれについては非常に私は疑いを持つておる。ところがそれに対しましては、政府はいやそれは心配ない、簡単に損得から育つたらこれに入つたほうが得だ、百万トンのほうが損得の場合には得だと言う。私は損だ一と思う。百万トン百二十万トン、百三十万トンと数量が殖えるほど損ですよ、そこが非常に見解が違うと思うのですが、如何ですか。
  31. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 私が申上げましたのは百二十万トンにしようというのでは決してないのでありまして、今の義務は百万トン、併しほかの貿易協定などで有利な協定ができないとすれば、而も市価が依然として二ドル三十セント程度であるとすれば、最高価格で買つた方がいいからそういうことを申し得る余地があるということを申したのであります。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 私が伺つたのはそうじやないのですが、要するに百万トンできめては来たけれども英国の脱退その他で今片柳委員のおつしやるようなことが本当だとすれば、日本政府が最初に申込んだあとの二十万トンは追加してやつてもいい、こういう意見があればこれは日本政府は当初の希望通り百二十万トンにする、二十万トン殖やしたらいいでありましよう、殖やしたほうが得だというなら、先ほどからの意見を聞いていると、私はこれに参加した方が得だというあなたがたの方が私は危いと思う。そういう出発点に立つていて多々ますます弁ずるなら百二十万トン追加したらどうですか。
  33. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。御承知のように小麦輸入は本年度におきましては約百五十七万トンといたしております。それからIWAの関係から百万トン、それから現在アルゼンチンとの協定において大体三十万トンを予定しております。で今後の小麦輸入の問題につきましては、食糧庁と申しますか、食糧自給の立場のほかにいろいろ各国との間におきまして通商協定が予定されております。そこで今後の通商協定がどう結ばれるかというふうなことは、我が国輸出振興又国際的な経済交流という立場からいたしまして、或る程度のフリー・ハンドのものが必要ではないかという通商政策の面もございます。その点について通商当局ともいろいろ検討いたしておる次第であります。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと関連。甚だ恐縮ですが、アルゼンチンとかその他通商協定の申込の問題を勘案してということは、当初からあるわけでありましよう。でありまするから、そういうフアクターを条件に入れて、日本政府は最初百二十万トン出したのでしよう。その当時はそういうフアクターを考えなかつたのじやない、そこで当初百二十万トンという数字が出た。ところがいろいろ協定国の関係で百万トンに減らされた、ところが英国が脱退したので二十万トン殖やしてもいいということが本当に実現すれば、それは殖やしてもいい。あんたはアルゼンチンのことをいろいろ言われておるが、これは当初のことなんだ。そういうことを一切条件に入れて、日本政府は百万トンという条件を出したのでしよう。その当時とは条件が違うのですかということを私は伺つておるのです。
  35. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、IWAが一応ワシントンにおきまして協定ができました後におきまして、アルゼンチンとの協定ができたわけでございます。なお私が今後の問題として通商政策上考慮いたさなければならないと申しますのは、現在できておりまする通商協定ではなくして、今後我が国といたしましていろいろな通商協定ができるだろう、こういう将来の通商協定に対して、或る程度の自由な余地が必要ではなかろうかという通商当局の御意見もあります。そういう点と関連いたしまして検討いたしておる次第でございます。
  36. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私も河野さんと同じ趣旨でお聞きしているのでありまして、この協定に入つたほうが有利であれば、勿論それよりも有利な他の協定がほかの国とできれば別でありましようが、そうでなければ百二十万トンということを幅を持たして行くのであれば、欣然と二十万トン殖やすほうが私はベターだと思います。これは極めて論理がはつきりしている。だから私も私個人の見方では必ずしも三カ年据置の上げたものでこれで有利かどうか疑問を持つているのであつて政府がはつきりこれに入つたほうが有利だということになれば、百万トンを百二十万トンにしなければ理窟が合わないと思います。私は、外務省農林省両省の御主張でありまするが、このほうが有利であればこれはもう当然入らんと理窟が合わんと思いますが、その方針が決定されておるかどうか。その余裕があれば私は有利であれば申込まなければ相済まんという理窟になると思いますが、その点はどうなんですか。
  37. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、通商協定といたしましては食糧庁の立場食糧自給の立場のみならず外貨の点、それから又輸出振興の点といろいろな問題がございます。実はこの点につきましてはまだ本月の中旬以降におきまして、ロンドンにおいての理事会において、そういう議題が取上げられるだろうと思います。そういう点につきまして今関係当局において全般的な形において討議いたしておるわけでございますから、現在のところにおきましてはそういう先ほど申上げました通商関係、或いは外貨等の事情からして、速かに日本政府としては自由に買付け得る数量を或る程度持つことが必要ではなかろうかというふうな考え方が強いわけであります。
  38. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私はこの議論は又別に。大体今年の食糧需給の点は非常に実は心配しておるのでありまして、今年の麦は決定的に悪い、米も悪いことはもうはつきりしておるのでありまして、従つてこれはもう別の問題でありまするが、政府食糧需給計画というものが前年度よりもむしろ輸入計画が減つておるというところに問題があるのであつて、私はこの点は別に農林委員会なり本会議で根本的な検討を政府に求めたいと思うのですが、大勢としては去年のような米、麦が大豊作な年とは全く違つておるのであります。従つて自由に買えるものは早く買付できるようなことを進めて行きませんと、私は今年の出来秋には重大な時期が来ると思うのであつて、そういう点は二十万トン殖やし得る、而もそれが有利であれば早くそれに気付いたほうがいいのでありまして、いつまでも研究研究で過していると私は重大な危局に食糧問題がぶつかるということを心配しておりますので、今日は余りはつきりした答弁がありませんが、とにかくそういう全体の需給とにらみ合して、やはり有利に買えるものは有利に早く買えるような取極めをしてもらいたい。無理であればむしろ別の方面において買付を進めてもらいたいということを希望いたします。  最後に私はもう二点だけ御質問したいのですが、先ほどアルゼンチン小麦の問題が出ておりますが、これは確か非常に値段が高いということを聞いておりまするが、どの程度でありますか。
  39. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) アルゼンチンにつきましては、日本からの輸出物資その他の関係によりまして具体的にはそのケースケースによつてつておりますが、現在予算におきまして補給金を計算いたしておる場合におきましては新価格百五ドルとして一応計算いたしております。
  40. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 百五ドルは大分……、たしか予算の全体からすると九十何ドルと見ておりますが大分高いので、この点は小麦の消費者価格との関係でも私は議論になると思いますが、本日はこの議論は差控えたいと思いますが、とにかくそういういろいろな日本の商品を売るという関係から高い小麦を買うということも或る一面からは理解できまするが、それが食糧管理特別会計だけの負担において処理されることについては私は一つの疑義があるのです。この問題も一つ検討を願いたいと思つております。  最後には、ややこれは突飛な私の質問でありまするが、私はどうも今回の最高最低価格を挙げましたのは、私の見るところではやはりアメリカを中心とした財政負担を軽減しようという趣旨からやはり出て来ているのではないかというふうに考えますが、そこで例の今度の国会でも最も問題になつておりまするところのMSAの援助という問題が、これは勿論まだどうなるかわかりませんけれども、一部の私の受けました情報によりますると、MSAの援助が実現した場合においては、すでに相当の滞貨がアメリカにはあるわけであります。これはCCCの相当の国家負担において小麦の滞貨がすでにあつて、倉庫も足らないというふうな状況でありますので、或いは経済援助の一方法として現物の小麦を以て日本を援助するというような動きがあるやに私は聞いておるわけでありまするが、この辺のことを、勿論MSAの問題はまだきまつておりませんからはつきりしないかも知れませんが、そういうことになりますると、この小麦協定で入つて来る数量プラスMSAの現物による援助ということになりますると、この辺も一つの大きな問題をはらんでおると思うのですが、そういうような情報外務省が御承知になつておりまするか。又仮にMSAを受ける場合にそういう現物援助を受けるお考えがあるかどうか。その辺につきましてややこれは先走つておるかも知れませんが、どうも問題は関連して来ると私は思うのであります。最後にその点を御質問いたします。
  41. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) MSAの援助につきましてはもう片柳委員がおつしやいました通り、まだ実質の交渉に入つておるわけでございませんので、どういう話合になるか予測することができないわけであります。が併し私どもアメリカの今のMSAの本年度の法案を見ますると、日本に対する援助はいわゆる軍事援助であるというふうに見ますと、これに小麦を充てるということはあり得ないのじやないかというように考えられるのであります。勿論日本側の受ける義務というようなものは五百十一条の(a)に規定してありますので、その範囲によつて話合をしなければならないのでありまするけれども、如何なるものを受けるかというようなことは相手方の日本側で十分取捨選択すべきことでありまして、そういうものを押付けられるようなことはないというように確信しておりまするし、又今度のMSAの交渉においてそうしたものが論ぜられるというようなことは今のところ承知いたしておらないのであります。
  42. 戸叶武

    戸叶武君 この国際小麦協定食糧自給と通商の二つの面から観察されなければならないと思いますが、それに関してはイギリスが今回の国際小麦協定参加しなかつたということは非常に大きな意義があるのじやないかと思います。この外務省農林省から発表したところの資料によりますると、協定の定める最高価格が高過ぎるというのでイギリスは署名しなかつたというふうに簡単に結論付けておりますが、これは表面の理由がそうであつても、それならばイギリスがこの国際小麦協定参加せずして、これよりも安い値段小麦を買入れるというイギリス側に何らかの確信があるのか。又それとは違つた立場から、イギリスは通商関係の打開に対する材料としてバーター取引その他によつて小麦問題を処理しようとしておるのか。そういう問題が十分考えられなければならないと思うのでありまして、日本におきましてもすでにアルゼンチンとの通商関係における小麦問題というものがバーター取引の材料になつている。ましてやイギリスにおいては日本以上にそういう手が考慮されておるのではないかと思うのでありますが、そういうことに関連しての外務省側においては何らかの資料が集まつているでしようか。
  43. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 英国はこれまで自治領であるカナダ及び濠州から相当の小麦を買付けておるのでありまして、英国小麦の総輸入量の五分の四程度はこの二つの自治領から買つておるのであります。而も濠州はこの協定参加いたしますに当つて留保をつけまして、お手許にあります協定の署名の所を御覧になるとわかりますが、伝統的であると「オーストラリア連邦政府が認めるものの政府がこの協定参加しなかつたか若しくはこの協定から脱退した場合又はその一若しくは二以上の国が自国の保証数量を同表にそれぞれの国について掲げる数量より少ない数量に削減した場合には」云々というように態度を留保しておるのでありまして、英国としてはこうした従来の関係のある所から相当量買付け得るという自信を持つておりましたがために、重要な輸入国であるけれども脱退したものと思います。価格につきましてはどういうような話合になりますかわかりませんが、カナダあたりも小麦局というようなものを設けて政府が管理しておりますので、これらの輸出国英国との特殊関係から考えてみれば、相当有利な条件で買付け得るという考えを持つていたのではなかろうかというふうに想像するのであります。他の国との通商協定の点を考慮しての脱退ではないというように考えております。
  44. 戸叶武

    戸叶武君 先に食糧庁長官からのお話だと、食糧自給の立場以外に通商協定のことを考慮してフリー・ハンドの立場を持たなけりやならんということを言われておりましたが、アルゼンチン以外に小麦その他の食糧問題をめぐつての通商協定の可能性があるのでしようか。又そういうものが現実において進行しておるのでしようか。外務省のほうから聞きたいのです。今は食糧庁のほうから話が出たのですが、そういう形で買付を百万トンで抑えておるというような説明でしたが。
  45. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 今直接の交渉には上つておりませんけれども、イラクでありますとかシリヤでありますとかブラジルでありますとかいうように中近東及び中南米諸国と通商交渉をいたしまする場合には、どうしても先方の日本に適した物資が非常に少くなる。穀類、特に小麦を選ばざるを得ないというふうな関係がございますので、こうした方面との通商関係も考えますときに、相当量の自由に割当し得る小麦量を持つておるほうが通商協定をする上に有利な一つの武器になるというふうに考えるのであります。
  46. 戸叶武

    戸叶武君 イギリスがアメリカよりもカナダ、濠州の立場を優先的に考えて、この小麦豊作に対処してカナダ、濠州から小麦を買おうとしているような場合、この食糧需給の関連性から小麦問題と同時に日本立場においては当然米の問題が出て来ると思いますが、アメリカの豊作に対処して日本アメリカから大量に小麦を買うという形も一つ考えられるけれども、今までの通商関係においてタイなり或いはビルマなりから日本は相当額米を買つておりますが、それをアメリカ小麦に振向けて行くというような考えはあるでしようか、どうでしようか。
  47. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) そういう考えは毛頭ございません。現にタイからでございますと政府貿易のベースでGG米を二十万トン、自由市場から十五万トン、ビルマがたしか十五万トン、それからアメリカの加州米、これは品質も考えなきやなりませんのでこれが十万トン、こういう工合で大体九十五万トン程度の米の輸入を予定しておるのでございます。ただ最近は台湾もございます。最近はだんだん治安もよくなり生産も殖えているようでございますが、御承知のようにまだ品質のいいものを十分な量日本に入れることができない。先ず九十五万トン程度が最も適当なところではなかろうかと思います。事実、買付には相当困難があるということは議員の皆様もすでに御承知通りであります。
  48. 戸叶武

    戸叶武君 小麦は一九五二年以来世界的豊作が伝えられている際に、先ほど他の委員からも質問がありましたが、この協定において値段が高くせられたということは何人といえどもこれは納得できない点だと思いますが、そういう点を納得して協定に応じたからには、納得した何らかの理由を持つていたと思うのですが、その理由をお示し願いたいと思います。
  49. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 御承知通り、我々といたしましては必ずしもこれを十分に満足すべきものであるとは考えないのでありまするが、併し入らないよりも入つたほうが有利であるという考え方で入つたものであります。今まで輸出国は不当に安い値段を押しつけられたという感じを持ちまして、最初から二ドル二十セントを固執しておつたのをイギリスは二ドルを主張し、そこでいろいろ話合をしましてやつと二ドル五セントというところにきまつたものでありまして、この協定に入つて現に外貨の節約をしておるのであります。昨年五十万トンのときも九百万ドル程度、大体平均市場価格の一ドル八十セントと比べますと九百万ドルぐらいの利益になる。又現在の二ドル三十セントと二ドル五セントを比べましても大体七十五万トン程度を入れたらもうすでに昨年と同じ程度外貨が節約できる。こういうような現状もありますので、これから下つて行くかも知れませんが、それにしてもこの協定によつて損を受けることはない。結局歩み寄つたところで話合いをつけたほうが日本のためになるということで加入を決したわけであります。
  50. 戸叶武

    戸叶武君 この問題はいろいろ論争の余地があると思いますけれどもそれはあとに譲りまして、問題はこの国際的な小麦の値下り、国際小麦協定というような問題をめぐりまして日本の内地における小麦価格にどういう影響が来るか。この間も内田農林大臣の首がとんだのは、三%と池田政調会長の二%との対立によつて僅か一億程度であるが、といつたことで内田さんがふつとんでしまつたのでありますが、これは一内田池田の対立の政争の問題ではなくて、やはりこういう小麦の国際的な価格の変動というものが日本国内小麦価格にまで影響付けられることを物語るものでありましようが、こういうふうに日本小麦値段が国際的な変動によつて影響付けられる場合、特に値段が下つて行くような場合には小麦の作付にも非常に影響がある。ここ数年来の調査の統計を見ましても値段の下つたときに小麦の作付というものは非常に減じておるのであります。これに対して政府においてはそういう農民の不安を除くため農産物価格安定法なり何なり早急に成立せしめて、それに対処するような考えがあるかどうか食糧庁長官からお答え願います。
  51. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。その前に先ほど片柳委員からございました数字の違いでございますが、前の二ドル十セントは時間の都合上六月一日現在の価格をとつております。それで七月六日のものは六月一杯の平均価格をとつております。その点の違いでございますことを御説明申上げておきます。  それから只今の戸叶委員の御質問にお答え申上げますが、御承知のように麦につきましては米と共に食糧管理法の規定に従いまして、農民からの買入価格及び政府がそれを売渡す場合の価格というものがそれぞれ規定されておりますので、国内価格につきましてはその規定によつてつて参りたいと存じておるわけであります。輸入関係におきましての影響は、売渡価格の面におきまして外麦が如何ような価格で売渡されるかということが内麦関係に影響があるのではなかろうかと存ぜられます。現在の建前におきましては内麦の売渡価格に対しまして、それから品質上の差を技術的に見まして、御承知のように小麦は外麦のほうが歩留りがよろしいようでございますから、その割合だけ国内価格より高く売つておるわけでございます。外国の小麦との影響によつて国内小麦関係が影響を受けるという点につきましては、我々輸入管理を続けて参りまして、小麦国内価格と外国価格とを遮断することによつて国内小麦生産については十分これを守つて参りたいとかように考えておるのであります。
  52. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私が聞かんとすることは只今戸叶委員が大部分聞いておりますけれども食糧の絶対不足しております日本におきまして、できる限り外麦或いは外米の輸入をするということは当然であると考えられますが、これの数量価格というものが窮極においてこれを生産する全国民の大半を占める農民に非常な影響を及ぼして参りますことは当然であります。従いまして、いろいろ論議を聞いておりますると、できる限り大量の確保をしておくことが安全であるというような考えを持つておられるようでもありまするが、一面におきましては農林省では食糧増産の見地から、できる限りいわゆる生産コストを下廻るようなことのないような価格を以ちまして、十分な増産ができるような方策をすべきであると考えます。その意味におきまして、農産物価の安定法というようなものができることは農民として非常に望ましいところでありまするが、どうか今後におきましてはこういうものと睨み合せて、その数量並びに価格というものは国内増産に刺激を与えるような方針を以ちまして、でき得る限り食糧の確保を努められるように私はお願いしたと思います。なお農産物価の安定法というようなものが将来農林省として考えておるかどうかにつまして、明確に一つ御答弁願いたいと思います。
  53. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答えを申上げます。農林省といたしましても国内生産の量並びに出廻りの量と需要量と比べまして、必要限度までのものしか輸入をいたさないわけでございまして、だんだん将来その米麦増産されまするにつれて輸入量が漸減して参るということは当然でございまするが、御承知のようは現在人口増或いは潰れ地等関係で毎年相当量の需要増或いは供給減がございますが、これをカバーし更に増産を進めて行くというためにいろいろ食糧増産計画その他をやつておるわけでございます。  なおお話価格安定法の問題でございますが、我々の考えといたしましては、米麦につきましては食糧管理法を以て、政府が無制限に農民の希望に応じまして、米の場合は違いますが麦の場合におきましては農民の希望に応じまして、一定価格で無制限に買入れるということで価格の安定を図つております。その他の農産物の価格安定につきましては目下検討中でございます。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連で長官に一つ。昨晩かの新聞に麦の買入トン数は百三十六万トンと出ていたと思いますが、違つておりますか。
  55. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように国内におきましては、農家の希望に応じまして麦を買入れるわけでございまして、一応その予算面では大麦、裸麦で十五万トン、それから小麦で三十六万トンを予定いたしております。これは農家の希望によりまして増減をし得る性質のものでございます。本年度の計画といたしましては百五十七万トンの小麦と六十二万トンの大麦というものを予定いたしまして、そのほかに勿論米もございますことは御承知通りであります。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで百万トンは小麦協定できまつたとして、あとの三十万トンはアルゼンチンときまつたというさつきお話がありましたが、それでいいでしようか。
  57. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) アルゼンチン協定につきましては金額を以て規定されておりまするけれども、大体年間三十万トンということになつております。それで本年度の買付といたしましては時期等の関係もございまして、この三十万トンがまるまる本会計年度として買うかどうかということは執行上の問題としてやや違いがあろうかと思います。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで額は決定しておらんのですが、先ほどから三十万トンということに対しての額は決定しておりませんか。
  59. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 貿易協定におきましては、御承知のように附録のトレード・プランにおきましてはそれぞれの品目について総金額はきまつておるわけでございます。その総金額から算定いたしますと大体三十万トン、こういうわけでございます。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほどからバーターに関する貿易で大分緩和するとか何とか面倒なことを言われておりますけれども、この計算で見ますとあとは二十七万トンだ、こういう恰好になりますが、これは結局しますならば先ほどどなたかがそれに対して意見を吐いておられましたが、日本の国策として中小企業の育成並びに輸出の増大等を加味したこういう一つの方策があるとするならば、二十七万トンでこれから何ができるか、又金額にしてもどれだけのものになるか。余り大きなことを言い過ぎはせんかということが考えられますが、そういう点は通産省当局はどういう関連において後に計画として二十七万トンを残されるようになつておるのか、どういう関連でそういうものができ上つておるのか。百万トンとそういうものを仮に三十万トンときめられて、あとはそういうものに振向けるものが二十七万トンでは誠に少い量であるがこういうようなものを百万トンとおきめになるとき或いは通産省等と御相談をしておやりになつたのかどうか、こういうことをお伺いしたい。
  61. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この問題は或いは外務省なり通産省なりからお答えがあると思います。一応食糧庁としましてはこの協定につきましては通産、大蔵、外務等と十分なる連絡の下にこの数量を考えたわけでございます。御承知のように小麦輸出国世界的に申しますとカナダアメリカ、濠洲、アルゼンチン世界の大部分を占めております。ただその他の国にもそれぞれ輸出はあり得るわけでございますけれども、その量はアメリカその他の四大輸出国に比べますると非常に少い量かと考えます。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は食糧庁長官にそれをお伺いしておるわけでない。結局こういう大局をきめるときに、協定をする際いろいろ事情を勘案して、そしてこれくらいのものは輸出代償として残そうというようなことが基本的にきまつて、百万トンという御契約をなされたのかどうか、こうお聞きしておるのです。ただ小麦の需給バランスの上から食糧庁が中心になつてこれだけのものを入れていいじやないか、これのほうが得じやないかという問題だけで百万トンをおきめになつたのか、もつと総合的な大きな線でそれを皆勘案して百万トンとおきめになつたのか、こういうことをお聞きしておるのです。
  63. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) これは非常にむずかしい問題でありまして、とにかくこの協定というものに三年間縛られるわけでありますから、本年度だけを見てもきまらないわけで、三年間の大体の情勢というものを考えまして、この協定に入りますととにかく百万トンは義務として必ず入れなければならん。そこで残つたところの国から貿易関係で入れなければならない。併し貿易関係で二十七万トンぐらい残しておいてもそれじや少いじやないかという御懸念誠に至極御尤もでありまするが、併しアルゼンチンのこの三十万トンにいたしましても、アルゼンチンとしては多少無理がある数量じやないかと思うのです。日本の鉄鋼関係のものを買いたいとか車輌を買いだいとかいう希望がありましてこの数字まで持つて来たので、この点私は多少疑念を持つているものであります。責任は勿論通産省でありますけれども、私これまでこういう交渉をした者として懸念するわけであります。そのほかの国を考えますと、例えばカナダの、ごときはバーター的に日本のものを買つてくれる国じやございませんので、いわゆるオープン・アカウントの制度などを持つている国じやないので、これらの国とは小麦を余計買つたから日本輸出が殖えるという関係じやございません。ところが小麦輸出国で主要なものをとつて見ますると、そういう関係アメリカであるとか、カナダであるとか、濠州であるとかいうような所がある。そのほかの比較的小麦生産が少いけれども併し日本のものを買つてもらうのには小麦をこちらのほうが買付けてやらなければならないのじやないかという国、例えば先ほど申しましたブラジルとかシリヤとかイラクとか、そういうような国の生産量、輸出可能量というようなものを考えてみると、先ず二十万トン余りを自由に割当て得る量を持つておればそういうことは話合が付くだろうというのが私どもの大体の見通しでございます。
  64. 河野謙三

    河野謙三君 今のお話ですが、国際協定の百万トンとアルゼンチンの三十万トン、それで行くとあとのご十七万トンは東亜の市場その他の群小の小麦生産国の生産額等も考慮してここにリザーブしてある、こういう恰好ですね。そうしますと一体これは外務省農林省と相談して数量をきめられたのでしようが、特にこれは農林省が重点はなつて仕事をしておる。最初私が申上げましたように国内でもこれから食糧増産計画を立てて、幾ら何でも小麦でも一年に三万トンや五万トンは増産して行かなければいけません。そうしますと、すでに百三十万トンというものはきつちりと、別にアルゼンチンも大体三年間は減らさんでしよう。そうすると二十何万トンというものは国内増産によつてつて行くでしよう、今年は二十七万トンだけれども来年は二十万トンになるかも知れない、国内増産で再来年は十五万トンになるかも知れませんよ。そうなると先ほどのお話のように、余りにこの通商協定等を考慮してあなたのほうの現実にリザーブしてある数量が少な過ぎるので、理想と合致しないという点が私はあると思うのです。この点を一つ伺いたい。  それから時間の都合上私は食糧庁に伺いますが、今国内の製粉の能力というのは非常に過剰でありますね。稼働率は四〇%か五〇%か知りませんが、とにかく製粉の能力というものは非常に過剰であります。従つてこれを紡織のように外国から綿を入れて加工貿易にするという点になれば、製粉というものは非常に加工貿易の適格者だと思う。これは一体将来製粉に対して、加工貿易として製粉業者を扱うことを考えておられるかどうか。若しそういう方針が立つた場合に、それらの製粉業者の原料というものは政府が買付けたこれらの数量の中からこれを供給するのか、全然政府の枠の外に置いてそれをやるのか、これを一つ付いたいと思うのです。
  65. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 最初の点についてお答えいたします。成るほど今後国内でも増産が行われなければならないし、行われると思いまするが、併し食糧庁長官も申しましたように、人口増の関係もありましようし潰れ地の関係もあるでございましようからして、それで急にごの小麦輸入量を減さなければならないというようなことが果してあり得るかどうか、この点は私ども疑問に思つておるものであります。殊に米が百万トンぐらい予定してありまするが、国民の粉食を奨励する、成るべく安いものを買つて日本人の趣味に合うようにするということになれば、バーター的な取引の点も合せ考えて、而も減し得るなら米の方を減す余地が或いは出て来るかも知れない。そうすると大体輸入量が百五十万トンと見るというのは妥当なところではなかろうか、こういうように考えたのでございます。
  66. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 加工貿易の点でございますが、我々といたしましては目下加工貿易につきましてはまだ確たる見通しは持つておりません。まあ大体輸出される見込としましては韓国、台湾等が主たるものだろうと考えております。併しこの加工貿易につきましては目下その方法につきまして検討いたしておりますが、大体の考え方といたしましては、需要を国内需要と輸出の場合とは別個に取扱うことが必要ではなかろうかと考えておりますが、一方におきましては先ほどもございましたように、食糧麦につきましては輸入管理が食糧管理の一つの大きな柱になつております。この輸入管理との調整が可能かどうかというふうな点につきまして目下検討中でございます。
  67. 河野謙三

    河野謙三君 今の食糧庁長官お話ですが、私は詳しく知りませんけれども国内の製粉能力の僅か四、五〇%であつて稼働率が非常に低いと思う。そういう関係から今の国内の粉の消費者価格も高いわけです。それは補給金が非常に加工賃に余計食われておる。加工賃が非常に高い。その加工賃は補給金によつて補なつておる。その補給金は国民の税金である。こういうことになつております。だからこの補給金を減らして消費者価格を低くするためには、何と申しましてもいろいろな問題があるでしようけれども、その一番大きな問題は加工賃を低下させる。それには稼働率を私は上げなければいかんと思う。そういう意味合において私はこういう問題は国内市場とは遮断して、保税工場その他で勇敢に即時加工貿易として製粉業というものは扱うべきである。これにつきましては私は改めて農林委員会で意見を申上げます。  その次に今の政務次官の御答弁でありますが、これに関連してやはり農林省に伺いたい。農林省はこの国際小麦協定に臨むに当つて今後三カ年間の国内小麦の需給推算というものはあると思う。別に食糧五カ年計画、十カ年計画がありますが、その一環としてこの三カ年間の国際協定に臨まれての小麦の需給推算というものは当然持たなければこの協定には参加できません。その場合にこの三カ年間に国内小麦を一体幾ら増産するのか、まさか減産しようとは思つてないでしよう。そういうことは逆に小麦をどんどん輸入して米は幾らになつてもかまわないということはあるかも知れないけれども、私はそういうことはないと思う。やはり食糧増産の一環として小麦増産三カ年計画、五カ年計画というものはあると思う。この需給推算を私は伺いたいと思う。
  68. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。先ほどの河野委員の仰せの加工貿易につきましての保税倉庫等につきましては、勿論御趣旨のような点もございますので十分研究いたしたいと思います。  なおこの協定食糧増産計画との関係でございますが、御承知のように食糧増産五カ年計画は最終年次におきまして千七百万石又は千五百万石の増産が期待されておりまするが、大体その増産量の非常に大きくなりまするのは三年以後の計画になろうかと思います。御承知のように、人口増その他の潰れ地を以てして二百四、五十万石の減産が予定されますので、それをカバーいたしまして更にプラスにして行く。こういうふうな計画になつておりまするのでその点も十分噛み合しまして、現行の事情におきます人口増によります小麦の消費増というふうな点と増産計画と見合いまして、この需給の見通しをつけまして百万トンというものを考えたわけでございます。
  69. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、この国際小麦協定との関係において三年ということにしますと、三年間は要するに輸入量は減らすわけに行かない、大体三年間は毎年百六十万トンのものを輸入して行かなければならん、こういう需給推算でございますか。
  70. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 大体人口増によりまして七十万石以上のものが原麦で要ると思います。その点を勘案いたしまして、大体三カ年間程度のものは現在の増産計画が進みましてもその程度輸入量が要る、こういうことで考えております。
  71. 高良とみ

    高良とみ君 衆議院の小麦価格の問題のときに、何か最近小麦が大分海外輸出されたようなことがございましたのですけれども、その数量価格を伺いたいのですが。
  72. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 昨年度におきまして小麦につきまして全体といたしまして原麦でございますから小麦粉に直しますと違いますが、大体十六万トン程度のものを輸出いたしております。これは韓国に対しますアメリカ食糧援助の関係でドルで行なつています。そのほか沖縄につきましても同様の事情がございます。それから台湾につきましては米とのバーターで輸入をいたしております。香港、タイにつきましては五十ドルかそこら程度の殆んど見本的なものでございますが、御承知のようにタイにつきましては日本側が入超の状況を辿つておりますので、まあ将来の市場として只今河野委員からもお話がございましたように、加工貿易の点もございますので見本的に輸出いたしております。
  73. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、小麦協定に入つて政府の御説明によると非常に安い小麦が入るというふうに考えて、そうしてそれを売られたときはドルでもつて韓国、沖縄等に、或いは台湾もドルかも知れませんが、そういうふうにしてドルで入れたものをドルでして、そうしてそこでさやをとつて輸出するというようなことも将来も考えておられるのでありましようか。
  74. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 昨年度におきましては御承知のように五十万トンのIWAの輸入があつたのでございますが、これは勿論安い価格でございまするから国内に配給いたしております。そうして畠に買付けたものにつきましては、その原価に諸掛を加えまして原麦を売却いたしまして輸出を見ておるわけであります。
  75. 高良とみ

    高良とみ君 この協定において安いもので入れたのは国内に流す、併し先ほどから各委員からお話のあつた通り、百万トン或いは百三十万と約束された場合に。これで安いものも大大大東南アジアの各国に加工をして、或い場合、輸出国事情小麦粉で押付けられることはないのでしようか。
  76. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 原則といたはその安い価格で入れたものを輸出する自由を持つているかどうかを外務省に付いたいんです。
  77. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) IWAのこの協定によりますと、別に日本が買つたものを輸出してはいけない、殊に非加盟国の場合にも加盟国の場合にも輸出してはいけないという規則は、ございませんが、ただ併し加盟国に輸出した場合には、日本輸出をしたことにならないで、その加盟国のほうの輸入ということになります。それから非加盟国に若し輸出するというようなことの場合に、日本が将来是非百万トンIWAの値段で買いたいということがございましても、若し日本から輸出した量がありますると、その量だけは確保できないということになつております。
  78. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 高良先生の御質問でございますが、外務委員会をももう一度この小麦関係で開くことになりますので、今日は主として農林委員関係のかたにお願いいたします。若しなんでしたらこの次の外務委員会でお願いいたします。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと一点だけ万トンの計画協定によつて輸入する場合、輸出国事情小麦粉で押付けられることはないのでしようか。
  80. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 原則といたしましてIWAの場合は原麦でございますが、協定の場合に輸入国側の必要がある場合には粉で以て原麦換算をし得るということになつておりますが、現在の我が国事情としましては粉で以て輸入する考えはございません。
  81. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 大体私どもの側の質問は済んだそうでありますが、重ねて希望といいまするか、この協定に入ることが三カ年の見通しでありますから困難かとは思いまするが、やはり国際経済推移をよく研究して頂きまして、先ほど育つたようにこれに入るよりももつと有利な買付ができますれば勿論結構でございますけれども、そうでなければやはり数量を殖やすことにつきましても至急検討を加えて頂きたいという希望を強く持ちます。一応我々の側の質問はこれで終りたいと思います。
  82. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは外務委員のかたは外務委員会で発言して頂くようにお願い申上げまして、連合委員会質疑も大体尽きたようでございますからして、さつき御了解頂きました通りに、連合委員会はこれを以て終了したことにいたしたいと存じます。どうかさよう御了承を願います。  それでは連合委員会はこれで散会いたします。    午後四時十九分散会