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1953-07-30 第16回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十日(木曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員の異動 七月二十九日委員森田義衞君及び片岡 文重君辞任につき、その補欠として新 谷寅三郎君及び松浦清一君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            新谷寅三郎君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            松浦 清一君            木島 虎藏君   衆議院議員            有田 喜一君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省海運局海    運調整部長   国安 誠一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案大和与一君外六名発議) ○外航船舶建造融資利子補給法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  ちよつと速記とめて。    〔速記中止
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記始めて下さい。
  4. 岡田信次

    岡田信次君 私はこの法律は大変結構だと思うのでありますが、やはり国鉄職員と申しますか、国鉄業務重要性に鑑みまして、市町村議員の兼職という問題を無制限というのはどうかと考えるので、何らかの制限をいたしたいと思うのでありまするが、それに関しまして提案者なり、或いは運輸当局からこれがいよいよ通過した場合に実施をするに当つて業務支障のないようにどういうふうに制限をするかというような点を一つ伺いたいと思います。
  5. 大和与一

    大和与一君 私原案でも今御指摘のあるような点も十分に運用できると、こういうふうに思つておつたわけであります。例えば、当選をしてそして総裁と話をするのに、総裁のほうでは、それじや職員身分をやめさせるか、或いはその仕事がうまく行かんからといつてその仕事を変えさせるか、こういうことの問題が起るかと思いますが、その場合には勿論職員身分は保障され、どうしても仕事上重大な支障があるという場合にはその仕事を変えさせる、こういうことでやつてもらえばよろしいと思います。
  6. 岡田信次

    岡田信次君 実は、後刻討論の際に私一つ修正案を出したいと思つておるのでありまするが、その修正案は、大体市町村議員になる場合に、総裁承認を必要とするというような意味合いの修正案を出したいと思うのでありまするが、その場合に、逆に今度業務上に支障がない場合には、総裁承認をしなくちやならないということに相成るのでありまするが、そういうことまでこの法律の中に入れるのは、少し何というかしつつこいような気もするので、そういう修正案は入れたくないとも思うのですが、一それに関しまして運輸当局は実際上総裁承認を得た者がなるのだといつて総裁承認しないと困るのですが、どうですか。
  7. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 申上げるまでもなく、この日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、本院で議員提案されたものでございます。政府部内におきまして、只今お話になりましたような修正になる点について、確定的な意見を、政府としての最終的な意見を決定する手続も経ておりませんし、実際問題としても相談をまだいたしておらないわけであります。そこで運輸省としてどういうふうに考えるかというお話でございまするが、そういう前提意見を述べさせて頂こうと考えていますが、総裁承認が必要であるというふうな修正をしたらどうかということ、それに関連いたしまして、更に総裁は、職務の遂行に著しく支障を及ぼす虞れがないというふうな場合には、必ず認めなければいかん、こういうことはどうかというお話でございますが、私ども考えといたしましては、まあさようなところまでおきめ願わなくても、実際問題として運用上十分本委員会の御趣旨は達成できるのじやないかというふうに一応考えております。
  8. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御発言はございませんか。別に御発言もなければ質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして順次お述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文及びその修正の理由を討論中にお述べを願います。
  10. 岡田信次

    岡田信次君 私は本法案に賛成するのでありまするが、先ほど質疑のときにも申上げましたように、国有鉄道業務の性質に鑑みまして、無制限市町村議員を兼ねるということにつきましては、業務支障を来たす虞れもありますので、次のような修正案を出したいと思います。修正案を朗読いたします。    日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する修正案   日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二十六条の改正規定を次のように改める。  第二十六条第二項中「(町村議会議員である者を除く。)」を削り、同項に次の但書を加える。   但し、市(特別区を含む。)町村議会議員である者で総裁承認を得たものについては、この限りでない。   附則を次のように改める。     附 則  1この法律は、公布の日から施行する。  2 この法律施行の際、現に市(特別区を含む。)町村議会議員である職員については、第二十六条第二項但書規定による総裁承認があつたものとみなす。  以上の修正を提案いたします。
  11. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言はございませんか。別に御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。先ず、討論中にありました岡田君の修正案議題に供します。修正案を可とする方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  13. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて岡田提出修正案は可決されました。次に、只今採決されました岡田君の修正にかかる部分を除いて本案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  14. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致を以て修正議決せられました。  なお本会議における委員長口頭報告内容等事後手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  なお例によりまして、本案を可とせられた方の署名を願います。   多数意見者署名     入交太藏  植竹 春彦     岡田 信次  仁田 竹一     新谷寅三郎  大倉 精一     大和 与一  東   隆     木島 虎藏   —————————————
  16. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  17. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  次に、外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 運輸大臣は来られますか。
  19. 前田穰

    委員長前田穰君) 今呼びに行つております。
  20. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それではいずれ運輸大臣が来られましたら根本的にいろいろ伺いたい点がありますけれども、その前に、これは若しできましたら資料として出して頂きたいのですが、この外航船舶建造融資利子補給法修正案衆議院で三派共同で提出されております。そこで今出ておりまするこの法律案を見ますと、非常に政令で定める事項が多いのでありまして、非常に大事な部分政令に委ねられておつて、その内容がわからないという点がたくさんありますので、この政令委任事項についての三派の打合せがどういうふうになつているか。或いはこれはもう三派の打合せはなくて、全部運輸省当局に任せられているのか、その点若し資料として出して頂ければ頂きたいのですが。
  21. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私ども提案者から承わつているところによりますと、この点につきまして三党の間で正式な取極めはないようでございます。ただ提案者意向としては、第十二条で当該利子補給金に相当する額を国庫に返納する場合、この場合の利益率は大体一割の配当をなし得る程度利益を挙げた場合、こういうことでございまして、果して然らばその利益を、これは「当該会社資本政令で定める率を乗じて算出した金額」と、まあこれで出て来るわけですが、その政令で定める率を如何ほどにするか、これは今申しましたような提案者の趣意に副つて政府のほうできめるべきである、かような話合いつていると承知しているのでございます。一つはまあ早急の間でありましたので、この資本に対してどの程度の率にするかということが、相当技術的に検討を要する点がありまするので、まあそこで三党間で話合いをしないで、政府にその点は任せる、こういうことのようだつたと承知しております。  十三条におきましても同様でございまして、三党間に立案の具体的な話はございませんでした。十三条の場合も、大体一割五分程度配当をなし得る程度に至るところの利益を挙げた場合、或いはその程度以上の利益を挙げた場合、その超過利益の半分を国に納めるのですが、その一割五分の配当をなし得るのに必要な利益の額、これも十二条と同じように、政府のほうで、政令で定めるということに相成つていると承知しております。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうしますと、その他の政令で定める場合に、政令で定める事項というものは、運輸省当局でこの法律案趣旨従つておきめになるということになるわけですか。その条項について、政令できめると書いてあります事柄の内容を、運輸省当局としてはすでに腹案をお持ちでございますか。
  23. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この政令できめまする率につきましては、これは運輸省と大蔵省で打合せをした上で決定することになるかと思います。このまあ十二条の「その決算において計上した利益政令で定める範囲のものをいう。)」というふうにしておりますが、然らばその利益をどれにするか、これはなかなか問題でございまして、一応決算で計上した利益から法定準備金、或いは税金引当金というものを差引きますると同時に、まあ前期からの繰越金或いは繰越損金をも含めてその利益を見る、まあそういたしますと、あと利益がその資本総額に対して一割配当でありますと、或いはその総額に対する一割の利益が残つております場合、その場合に定率にするか、或いはその辺を一割にするか、一割二分にするかという、その辺をもう少し技術的に詳細検討しなければならないかと思います。まあ利率のきめ方で、非常に船会社に対して高率的になることがあります。或いはゆるやかになることもございまするので、それで少し期日をかけまして詳細検討いたしたい、かように考えております。
  24. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今のお話だと、まだ政府当局に任せられた範囲内においても関係庁との間に十分な打合せがされないで、而も確定案というようなものがないというお話でありますが、それならばなお結構なことですね。この委員会の審議を通じて意見を交えずして質問をして、その点は十分に、政令を制定せられるときに参照しておきめになればいいかと思うのです。それからこの五カ年計画についてですが、これは今度の修正案が出ます前提になつているかと思いますが、この五カ年限りの外航船舶建造五カ年計画は、これは運輸省としては是非年間三十万トンの外航船舶を造ろうということでお進めになつていると思うのですが、昨日でしたか、一昨日でしたかの新聞によりますると、大蔵大臣が電源とか、或いは海運とかの五カ年計画は、どうも今の財政状況では予定通りに遂行できないかも知れん、もう少し年限を繰延ぺなければならんかも知れんということを言われたことが新聞に出ておりました。そういつた何といいますか、交渉乃至打合せというようなものが政府部内のどこかにあるのですか。
  25. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 今後の船舶拡充計画をどういうふうにスロー・ダウンして行くかということにつきましては、現在のところ何ら正式の打合せとか、或いは交渉はございません。一応経済審議庁あたりでは、まあ外貨獲得の産業をいろいろ検討いたしました場合に、他にめぼしいものがない、外航船舶拡充を唯一のよりどころとすべきであるというふうな意見が相当強いというふうに承知しておりますが、併し一面大蔵当局におきましては、来年度の財政資金の見通し、それからまあ現在のような海運市況からいたしますと、建造いたしましたものに対して相当大きな利子補給をいたさなければならない、こういうような観点からいたしまして、運輸省の持つている三十万トン建造計画を相当削減することを希望しておるように見受られるのであります。これは今回の利子補給その他についていろいろ説明会などを催しましたときに、そういう意向が看取せられるのでございます。結局は一応計画計画といたしまするが、それに対するまあ財政資金が明年度どの程度確保されるかということによつて実際上は決定されるのではないかと思いまするが、仮に三十万トン建造いたしまするといたしますと、船価十四万円といたしまして大体四百二十億、その七割を財政資金といたしますと大体二百八十億、その三分の二がその年度に要るわけですが、更に前年度からの繰越等を入れますと、結局二百七、八十億の財政資金を投入しなければならない。これだけの額が果して来年度の予算上、船舶に対する投資として確保されるかどうか非常に困難視されるわけでございまして、まあ大蔵当局もそういう観点から或る程度計画の繰延べを希望しておる、かように見受られるのであります。未だ正式の話合はいたしておりません。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この問題については、これは根本の問題でございますから、あと運輸大臣に十分に質問をしたいと思います。それから海運局長に伺いたいと思いますのは、この案によりますと、或る程度の新造船とそれから外国からの購入船買船ですね、それが対象になつて今度の船価低減、それから対外競争力の培養ということを考えておられる。同様な問題がまだ他にもあると思うのです。例えば運輸省がむしろ実際上は慫慂をしてやらせられた戦標船改造船ですね、これに対しては何らの措置を講じないということになつておるようですが、まあ要するに問題は、個々船種に対して公平か不公平かという問題よりも、全体として非常に競争力の弱い、ちよつとマーケツトの変動があると外国に出て行けないような弱い船が日本商船隊構成分子として入つていることが、将来の日本海運にとつては困るという意味で今度の修正案が出たんだと思うのです。改造船のごときは或いは現在では割合に数も少くて、又一面から申しますと船種も一方に片寄つているかも知れません。私は誰が改造船を持つているかよく存じませんけれども、併しそれであつても、同じような趣旨から言いますと、要するにそういうふうにコストの高い船が取残されておるということは、これはまあ非常にこの修正案を作られた趣旨から言うと解しがたい問題だと思うのです。で、新造船に対してはこの程度競争力を持たせるようにしよう、それから購入船に対しては、これも老齢船で、或いはもう数年のうちに解体しなければならん船か承知らんが、この程度競争力を持たして働ける間は外国のほうに出そうということですから、そうなりますと、改造船に関しては、これを国内運送にでも使おうということであれば問題は別ですが、やはり外国に出して行こうというのには、なぜこれだけを分離して考慮外に置かれたか、よくわからないのです。これは海運局長にお聞きしても或いは無理かも知れませんけれども海運局長としては、この点に関してはどういう御意見をお持ちでございますか。
  27. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 運輸省といたしましては、特にどの船ということを限定しないで、一応すべての外航船につきましての或る程度負担軽減を図りますと同時に、特にそのうちでも金利負担の重いものに附加えて金利負担軽減の方策を講ずる、こういうような考え方がまあ一応妥当でないかと、かように考えておつたのでございますが、今度三党間の申合せによりまする措置は、一応こういう見解から出されたと了解しておるのでございます。それは、大体まあその船の稼ぎ得る力、それからその船の負担する金利、この両方のバランスをとりまして、そうして非常に金利負担が重い、いわゆる金利支払の能力が非常に低い、こういうものを対象に取られたものというふうに考えておるのでございます。そういたしました場合、今度の対象船として漏れておりまする改造船或いは五次船、こういうものは、今のマーケツトでも今日金利が払えるか、或いは改造船は少し金利支払力が不足いたしまするが、それでもまあ七、八〇%くらいの金利は払える。ところが六次船以降になりますると、その支払うべき金利に対してまあ五〇%くらいの支払力しかない。それから買船につきましては、非常に能率が悪くて、金利を支払うどころか、金利以外の経費を殆んど償い得ない状況にあるというふうな実情でございまするので、いわゆる金利負担カの弱いものを対象にした、こういうところで五次船それからE型改造船、こういうものが除かれたわけであります。一応の目的が金利支払力の低いもの、或いは、支払力と申しますのは何ですが、金利を支払う力と金利負担とのバランスをとつてそのバランスの非常に重いものを対象にした、こういうところから今日の結果が出た、かように考えます。
  28. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この点になりますと、これはまあ非常に大事な問題になるので、資料も出して頂かないとわからないのですけれども、例えば五次船と六次船とを比べまして、当時の船価金利等を計算してみて、五次船はもう今のマーケツトでも大丈夫、六次船以降は困るのだという前提で今のような非常な差別をして国家補助をやるかやらんかをきめて参りますると、或いは五次船の或る部分は、六次船でこういうふうな補助対象になるものよりも仮に補助を受けた場合には却つて採算が悪くなるという点も考えなければならんと思うのです。排し財政状況が十分でないのでどこかに線を引かなければならんとすれば、それは五次くらいのところが適当であるということは私も了解するのですがね。併し改造船になりますと、これは又別な見地から見なければなるまいと思うのです。恐らく改造をして、これも戦漂船改造したのですから能率も悪いだろう、いい航路には就航できないだろうということも考えられる。のみならず、どうせ改造船ですから、今後長い間それを使つて行くわけには行かないだろう、今後働ける就役年数従つてその償却年数なんかにつきましては、特別の考慮をしなければならんと思うひそういう点を考えますと、改造船と大次船と比べて、これはもう放つておいてもいいほうの部類に入るのだということを初めからきめてかかられることは、この場合お考え間違つているのじやないかという気がするのですが、丁度有田君今来られたから有田君に……。
  29. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止
  30. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  31. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今新谷委員のお説御尤もでございまして、今回きめられましたものが、その対象になりますものと対象にならないものの間に非常に際立つた形が生れて来るあけであります。ところが実際の金利負担力はそれほど際立つていない。従つて例えば五次船と六次船と比べましても、現状のままでは五次船のほうが遥かに金利負担力が強いのですが、まあ今度の助成で六次から適用されますと、或る程度六次のほうが少し上過ぎるのじやないかという事例も出て来るわけでありますが、併しこの新造船を持つておるという船主を通覧いたしますると、殆んど大きいところは五次船から六次船、ずつと引続いて持つておるわけでございまして、極く一部の船主が五次船だけを所有して六次船を所有しない、こういうものがあるわけでございますが、大体大きくつかみますると五次船所有者は同時に六次船も持つているというふうなことで個々船主を見ました場合に、或る程度差別ができるかも知れませんが、全般として見ました場合に、それほど問題にする部分はないのじやないかと、かように考えるのでございます。併しこれは私どもとしては、やはり適当な機会に、例えば改造船もさようでございますが、何らか平均化をするように将来考えなればならないのじやないか、かような気持を持つておるのであります。とにかく今度の決定が一応どつかで線を引かなければならん。線を引くとすれば、現状において金利負担力の少いものだけを対象にするということでうまく行く。政府側といたしましては、今後それがまあ是正或いは平均化ということについて力をいたさなければならない点が相当残つておる、かように考えて仰ります。
  32. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私がこういうことを言いますゆえんは、運輸省として、この修正案についてはじかに、直接の責任がないにしても、一体この日本海運の対外的な競争力というものをどういうところで押えようとしているのか、どういう点で進んで行けば今後とも日本海運が伸びて行けるかという、その一つ目標を持つておられ左ければならんと思うのです。それが私は海運政策だと思うのですね。今船主が困つておるからつかみ取りみたいにして補給金をやるのだとか、今マーケツトが悪いから何か助成してやるというのじやこれは海運政策で何でもない。恐らくあなた方はイギリス海運一つ目標にして考えられておると思うのですが、イギリス船との比較において一体直接船費のほうはどうしたらいいか、間接船費のほうはどうか、従つて船価をどうする、金利をどうするというような観点からの海運政策でなければならんと思うのですね。三派の修正案についてはその点はわかりませんが、運輸省としては少くともそうなければならん。そういたしますと、今海運局長から縷々御説明がありましたが、改造船についてはその見地から言うとこうしなければならないとか、或いは購入船についてはこうしなければならんというような、それぞれの政策がそこから生れて来るはずだと思うのです。従つて三派修正案関係がないにしても、今お話のように運輸省としては、これに並行して最近の機会において改造船のごときものについて特別の政策を立案し、これを実施する御熱意をお持ちになる必要があると思うのですが、如何ですかということを私はお聞きしたがつたのです。
  33. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 今度の措置によりまして、大体今海運業の負担しておりまする金利でございますね、利率は九分五厘でございますが、財政資金と今度の措置でずつと船腹と加重平均して平均した利率を出ますと大体五分六厘くらいのところまで下ると思います。まだ欧米諸国金利三分五厘とか、或いは四分とか、こういうところと比べまして相当割高である。他面御指摘のように改造船だとか、或いは五次船たとか、或いは買船の中にも財政資金使つてないもの、これが現状においてあるわけであります。我々といたしましては、もう少しこれを欧米並みに近付ける必要があるわけでありますが、この場合に少くとも現在そういうふうに取残されておりますものにつきまして何らかの措置をとる必要があると、かように考えておる次第であります。
  34. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうしますと、結論はそういういわば取残された、この修正案からは取残された外航船で、而も競争力の弱いと思われるようなものに対しては、この際運輸省において最近の機会に何らかの措置を講ずるように折角努力をするという御趣旨であると考えてよろしうございますか。
  35. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) そのようなつもりでおります。
  36. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 運輸大臣がおいでになりましたので、運輸大臣にお聞きしたいと思います。先ほど海運局長にもちよつと伺つたのですが、昨日か一昨日の新聞大蔵大臣が何か記者団か何かに話された言葉だと思うのですが、電力とか海運とかいうような基幹産業の五カ年計画というものは、財政の状況から非常に困難になつて来て、それを繰延ぺなければならんかも知れんというようなことを述べておられるのです。この新聞報道が事実かどうかは私存じませんけれども、そういつた事実がございますか。或いは閣議等でそういう話合いが出ておるのでございますか。
  37. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) まだ私は大蔵大臣からそういう言葉を直接聞いたことはないのであります。話として私どもの耳にも伝えられておるのでありますから、そういうことを大蔵省の事務当局あたりでいろいろお調べになつて考えておるかも知れませんが、大蔵大臣考えておられるかもわかりませんが、実はまだそれらに対してはつきりわかりませんのでございますが、大蔵省あたりの声として私どもに入つておりますのは、貿易の高についても、見込がだんだん下つて行く、そうすると船のほうもそれに調子を合せて苦しい財政の中だから、余り出さんで、船舶建造量を少し減らしてもいいのではないかというような、意味の話合のようなことを聞くのであります。私ども考えとしては、まだよく打合せて見なければはつきりいたしませんので、絶対的に今の三十万トンでなければならん、これでなければ日本は潰れるというような問題ではないのでありますから、事情によりましては、何らかの変化が生ずるかもわかりませんが、私どももできれば三十万トン造船あと三年ばかり続けて行きたいということを考えておりますのは、いろいろな資料にも差上げてあると思いますが、日本海運界を或るところまで持つて行きたいと思つております。それにはどうしても三十万トンでもう三年くらい続け得るならば続けたいという気持は持つておるわけであります。まだその問題については十分に話合いはいたしておりませんが、十分研究していろいろ話合いをして行きたいと思つております。
  38. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大蔵大臣は多少船のこともおわかりのはずだと思うのですが、これは私から申上げるまでもなく、例えば経済審議庁で発表しておりますような経済白書を見ましても、要するに自立経済なんといつても、今のような輸出入貿易の状況では、これはなかなか言うべくして、自立経済はできやしないと思うのです。そこで外貨関係に関しては、これは非常に将来日本海運が世界の各地にあばれまわつて、他国船を押しのけて、そうして無理な競争をして、外貨を取らなければならんというような状態ではなく、今日本の輸出入貿易の輸出入物資を運ぶことは、船さえあれば可能なんです。それで以て年間に、やろうと思えば、一億ドルや一億五千万ドルの外貨は節約できる。新らしく取つて来られるわけです。こういつたことを考えないで、貿易のほうが縮小するだろうから、船のほうも縮小するのは当然だというような考え方は、一体どこから出て来るかと私は不思議でならないのですが、私は運輸大臣の狂うはそういう点は十分御認識だと思いますので、三十万トンという数字がいいかどうか、これは問題だと思いますけれども、どんなに少くとも私は三十万トンくらい造つて頂かないと、今に数年たちますと、又日本海運が今度は船舶の量や質の上で参つてしまうのではないかという気がするのでありまして、この点はぜひ運輸大臣の責任を以ておやりになる必要があろうと思います。ただ一言申上げておきますが、御承知のように、日本船舶が外航のほうに出られるのは百数十万トンであると言つておりますけれども、併しその内容を御覧になると、これはすぐわかりますが、相当老齢船が多いのですから、而も改造船とか或いは外国から購入した船とか、これは合計すれば恐らくタンカーを合せて百三十万トンくらいになるのではないでしようか。これは普通の場合にも経済船として使うのには、恐らくここ四、五年のうちには解体をして、新らしい船に入替えなければならない。仮に五年で入替えるといたしましても、年間二十何万トン、二十五万トンぐらい船質改善で以てどうしてもやつて行かなければならないのです。それを三十万トンの新造といいますと、如何にも大きな新造量であるかのごとくお考えになるのだけれども、そういう新陳代謝をお考えになると、三十万トンというものは、日本海運をよくしようという点から言うと、極めて少いものだという結論になつて来るのであります。それを無理をして今お話のように、貿易も縮小するから海運建造量も縮小しなければなるまいというようなことでやつて行かれるならば、ここ数年のうちにはきつとしわが寄つて、今度は量においても質においても、動きのとれぬ日本海運になるということを覚悟しなければならないと思うのであります。でありますから、私はいつだつたかの予算委員会でも申したのですが、三十万トンという数字をお出しになつたのは、財政資金関係で止むを得ずこういう数字を出しておられるだけなんで、船主は無論高い船は造りたがらんかも知れませんけれども、併し日本の経済自立、日本海運界の将来をお考えになると、これはどんな方法を用いても、無理をしてでもこういう船を造つて行かれないと、経済自立が阻害されるだろうということをさんざん申上げたのであります。この点は運輸大臣よほどしつかりややて頂かんと、二、三年たつと又きつと参つて来る。この点是非運輸大臣の責任のある御努力をお願いいたします。  それからこれに関連して、今度の修正案が出て、私は一応これで当面の船主が潰滅する、日本海運が潰滅するという状況は、一応これで救う基になるのじやないかと考えます。併しこれに関しては、私は今度の三党の修正案に、大事なところが抜けていると思うのです。これは先ほど海運局長からもちよつとお触れになりましたが、将来の建造計画に対する財政資金を全然見ていないことなんです。電力なんかで言いますと、五カ年計画で少くとも千億なり千二百億なり要るということで閣議においても了承せられて、五カ年計画というようなものは、経済的にも一応スケールが出ておるわけであります。海運に関してはそれがないので、毎年毎年運輸省も困るし、従つて関係業者も皆目標がなくて困つておるわけなんであります。今度の三派修正案でもその点については、別に何ら触れておられないのですね、これは非常に私は手違いであつたのか、考え違いであつたのか知りませんが、とにかく非常に大きな欠陥だと思います。それで運輸大臣としましては、こういう法律案が出て、要するに趣旨は、自立経済達成のための外航船の確保、競争力の培養ということでございますから、これに副うてやはり今後の船の財政資金というものは、当然これは確保して行く措置をとられるのが、この三派の共同修正案を受入れられた政府としては、当然の責任じやないかと思うのです。近い機会において閣議等においてこういうことを御決定になつて、将来に対する目標を国民にお示しになる必要があると思うのですが、その点は御見解如何でございますか。
  39. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私どももそう考えておるのでございまして、大よその見通しを言つて、四年計画と言つておりますのも、それもただ運輸省だけの一方的な意見として出ておるだけでございまして、それは閣議の決定事項でも何でもないわけでございます。それでまあ予算のたびことに、そういう問題が財政資金をどうするか、どういうふうにするかということを一々年々相談しなければならん状態であります。併しこれは或る意味からいたしまして、予算技術上の問題も今まではあつたわけでもありまするが、海運界、造船界にとつても、何かの大よその見通しが早く付くことが大事であることは当然だと私どもも思います。この問題につきまして、よく大蔵大臣とも話合い、そのほかの方面とも話合つて、成るべく早い機会にめどを付けるようにいたしたいと思います。
  40. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 運輸大臣の御出席の時間も短いと思いますので、運輸大臣に余り私からだけ質問して他の方が御質問時間がないといけませんので、その点は委員長におかれまして適当にお願いしたいと思います。1私は運輸大臣に対して御質問したい点、もう二点ほどございますのですが、続いて質問させて頂きます。
  41. 前田穰

    委員長前田穰君) どうぞ。
  42. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 運輸大臣にもう一つつておきたいと思いますのは、先ほどもちよつと触れたのですが、要するに日本海運対外競争力といいますか、国際競争力といいますか、これが非常に低い。これじやもう殆んど今の状態ではどこへ行つても赤字を出すのみならず、仮に赤字を出したところで荷物を積んで帰つて来ることができないというような状況だと思うのですが、そういうところに追いやられたのは、これはまあ総合的に、単に利子補給だけでなしに船価の問題もあり、税制の問題もあり、いろいろな問題がすべて海運の基礎を固める上には何らの考慮も払われなかつたというところから来ているのだと思うのです。そこで今度の修正案では、その一部分に触れられたわけです。この利子補給をやつて、間接補助をして船価を安くするということ、それから造船用鋼材に対して規格の割増料の補助をする代りに、金融上の特殊の措置を講じて、大体トン当り一万円程度補助を与えたと同じような結果を招来して船価を安くしようということが考えられておるわけですが、このほかにもまだやろうと思えば、これは大して障害もなくて行えることがほかにあるわけなんです。一例を挙げますと、税制関係の問題でございます。日本船舶に対する税制というものが、世界に例のないような税制をとつておるわけですね。御承知の通りでございますが、こういう固定資産税のごときものを船舶に課しているというのは、世界にはどこにも例がない。早くこれは国税にでもして、そうして船舶税というようなものにして、船舶の特殊性に応じたような税制に改めなければならんことは、これはもう占領当時からの懸案なんですが、これについては政府当局では腹案をお持ちでございますか。
  43. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 御承知のように誠に税制の上、特に地方税の問題で非常な無理な税があることは、これはまあ何人もこれを適当だという者はない状態でございます。今年の春頃から私はそのほうの係の大臣とも話合つたことがあるのでありますが、主として地方の財政上の困難を理由として、もう少し待つてくれというような程度の話でございました。つい最近になりまして、私どものほうは海運の問題、世界の競争場裡に立つて本当に日本海運の力を確立するというためにやる方策の一つとして、税を世界的の、先進国並みに下げる、利子を下げる、船価もそこいらまで下げるということであれば、もう一つ残るものは、税の適正化を図るということよりほかないんだというので、先頃から係の大臣とも話合つておりまして、そのほうでも研究いたしてくれておりまして、向うからの案も一応示されたのでありますが、すぐに私どもが応じるにはまだ不満な点がありますので、只今折衝をいろいろやつておるところであります。
  44. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今折衝中というお話でございますから、結局その折衝の結果が一日も早く出ることが必要だと思います。私からも詳しく申上げませんが、固定資産税及び事業税に関しましては、これは非常に船舶関係から見ますると不合理であつて、且つ不適当な税制でございますからして、この懸案を一日も早くこれも政府の責任において解決されることが、この三派の修正案を受入れられる政府当局の私は責任の一端を果されることになるかと思うのです。是非それは運輸大臣が先頭に立つて御尽力をして頂きたいと思うのです。  それからもう一点大臣にお伺いしたいと思いますのは、これはその法文に関係することですが、この法文そのものを私は大臣にお尋ねしようというのではありませんが、今度の修正案の十四条に関する問題でございます。字句等はどちらでもよろしうございますが、この考え方の問題なんですが、例えばこの十四条に書いてありますところを読みますると、船会社でこういう間接補助を受ける者は、これは相当恩典を受けるわけですから、運輸大臣が責任を以て或る程度の監督をしたり、いろいろ指導をしたりされることは結構だと思うのです。特にその経理方面についてはそうありたいと思うのです。そこで経理とは切離せないというお考えかも知れませんが、ここに書いてあるものを読みますと、例えば不当な競争の排除についての必要な勧告、業務の監査というようなことが書いてあるのです。若しこの勧告に従わない場合には、こういう利子補給を停止するとかというような条文があとにあるわけです。私はこれは考え方を、有田議員からもあとでいずれ伺いたいと思うのですが、趣旨はわかりますけれども、併しこれは非常にやり方が余りに私は独断になりはしないかということを恐れるのです。ここには書いてありませんが、これはやはり適当な機関に付議して大臣がそういうふうな結果を、重大な結果を招来するような行政処分をしようという場合には、もう少しこれは民主的におやりにならないと、大臣の意見でどうにもなるというような規定では、この運用上非常に私は懸念がある。例えば不当競争排除ということは、これは字句はそのまま非常に結構だと思います。不当な競争というものはあつては困ると思うのですけれども、その不当であるかどうかということを判断するのが問題なんです。その判断を一切運輸大臣に任しておるかのごとき感があるわけです。これは旧憲法時代でございますけれども、航路統制法というのがございまして、私が立案したのですが、そのときにも、そのときですらこれは或る航路をやめろとかいうような処分をするのには官民の専門家を集めて、そうしてその委員会に付議してその決定を得なければそういう行政処分はできないということにしてあつたのです。ところが今度のは、これは何らの方法も理由もなくて、運輸大臣がそう思えば、認定すれば、これは不当だからこうしなさいと言つて、それを聞かなければ、利子補給を停止してしまうというような非常に独断専行のやれるような規定がここに入つておるわけです。運輸大臣はそういうおつもりで御覧になつておるのじやないかと思うのですが、立法趣旨は又有田君から伺うとしまして、これの運用については、私はまあ非常に慎重におやりにならないと非常に間違つた結果が出て来るのじやないか、又これを悪用するような人が出て来ないとも限らないと考えるのでございます。この規定がこのままで両院を通過しました場合には、大臣としては、これを運用されるのにどういうふうな御方針で、どういうふうな方法を以てこれを運用されるのか、この点を開きたいと存じます。特に対外航路というものは、不定期船の場合はそうでもありませんが、定期船の場合には単に日本政府がやれとかやらんとか言つたつてこれはやれるものじやないのであります。御承知のように相手国の問題がある、外国船との関係がありまして、海運同盟の問題が非常に重要な問題であります。そこで入れとか入るなとか、やつて見ろとかやつてみるなとかいうことを言われたところで、これは容易にそういうことはやれるものじやない。それを不当であるとか不当でないという、単に運輸大臣だけのお考えで判断をされて、そういう重大な結果を生ずるようなことになるということは、これは私は規定の不備かとも思いますが、これは運用の如何によつては、或いはうまく運用されるかも知れんと考えまするので、こういうお尋ねをしておるわけです。
  45. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 不当な競争の排除について勧告するという問題、これは非常に幅の広い問題で今おつしやる通りだと思います。で、これが濫用されますと如何にも政府が、すべての業務が次の業務監査の問題にも関連しまして、何でもかでも指図をするという極端な場合も想像できるのでありますが、私は実際上の運営に当ると、こう規定されておりますが、今日の何と申しますか、政府の物の運び方、民主主義的に物を運ぼうというような心持を皆が持つてやります場合に、こういう規定があつても、逆に余り働かずに死文になるほうのほうが実際上多くなりやせんかとさえ私は心配するのでございますが、余りそうやかましく出て言えないのじやないかと、こう思つております。特にまあこの不当競争の問題の次には利子補給金をやめるとか、返還を命ずるとかいうような方法もありますだけに、そう激しくはやれないのじやないかと、まあ不正競争をしないようにいろいろ義務を監督する場合もありましようし、そうして実際上にうまく運べる問題が私はあると思う。例えば今度の、この間から問題になつておりますニユーヨーク航路の運賃同盟の問題でごたごたいたしました。これは私どもがそこまで言うていいかどうかわかりませんが、私は皆にああいうふうなまあ問題を見ていると、やがて日本海運全体の信用問題だ、だからその問題として諸君は考えるべきではないか。意地だというようなことで、競争して倒れるのなら倒れるところまでやるというのは面白くないじやないか、もう少し諸君は大きな立場で考えてやつたらどうですかと、まあ運輸大臣としての勧告じやないが、友だちとしてもう雑談の機会に申しておいたが、君、一つやるときに考えたらということも、これだけではないと思いますが、これが多少動機になつて皆が話合つて何とかやつて行こうというようなこと等がありまして、私はまあ良識ある者が大臣の地位につき、その部下をそのつもりで率いて行けば何ら御心配になるようなことなく却つて効果が挙るのじやないかと思うておりますが、十分注意いたしませんと、つい権力ある地位に立ちますと、こういうふうに法の上において、法文の上において力を与えられると、つい力が出やすい、出したくなるので、これはこの間からいろいろな問題でよくここでお話の出る問題であります。十分注意をしなくちやならんと考えておりますが、やつて行けるのじやないかと思うております。
  46. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大臣の気持は私もよく了承するのです。又恐らく石井さんならばそういう心配なことは私おやりにならないと思うのですけれども、こういう条文がありますと、あとになればなるほどこの条文は便利だから、一つこういう勧告をやつてやれというような問題が起つて来やすいのです。ですから私はこの審議の過程において、速記録にも明瞭に、これの運用に関する運輸当局の運用の方針を速記録にも残して遺憾ないように措置される必要があると思うのです。これについては、あとで結構ですから、この不当競争云々というような七とについては、運輸省としてはこういう方針でこれを動かして行くのだということを一つ御研究の上でこの速記録に方針を残しておいて頂きたい。これは大臣御承知であろうと思いますけれども、航路統制法なんかこしらえましたのは、これは昭和十一年だと思います。或る会社が白蘭会商をやつてつて、その場合にどうしても非常に何と申しますか、当時いわゆる国粋主義的な行動があるもので、海運の会商にもそれが反映して、どうしても妥結しないというので、その航路に割込を禁止する意味で航路統制法というものができたわけであります。勿論それだけを対象にしたのではありませんが、発動したのはそれ一回だけです。そういうふうな日本の全体の国益というようなものと天秤にかけた場合に、初めてこういつたものが発動されるのだと思います。それを例えば現在のニユーヨーク航路なんか、非常に各社とも競争をしてお互いに困つておる。で、外国船からコンブレインが来ておるような場合に、直ちにこれがあるから、ニユーヨーク航路にこの船を欲しいというので若し出すのなら、利子補給を停止するぞというようなことを簡単にやられたのじや困るのです。殊にこの適用船はいずれもこれは外航船舶で、日本の内地その他の間では問題はないのです。ですから相手国との関係もあるし、相手の外国船との関係考えなきやならん、この点から言いますと、運輸大臣は内部的にいろいろ指導をされることは必要かも知れませんが、こういう競争をやめろとか、これは不当であるとかいうことを十分事情も調査されないで、海運会社相互間の内情も十分知られないで、発動し得るような規定にしておくということは、これは極めて危険なことなんです。でございますから、先ほど申上げたように、この点はこの委員会の審議において、今申上げた点をもう少し何とかして頂いて、ここで運輸大臣が、この問題についてはこういう方針で運用して行きたいということを、はつきりきめてもらわないと、それが有権的な一つの解釈になつて、後までも残つて行くのじやないかと思います。そうしないとこのままじや私は安心できないと思うのです。そこでこれに関連して、具体的な問題で或いはお答えできないかも知れませんが、こういうふうな勧告をしようという場合に何か適当な機関、例えば海運造船合理化審議会という官民合同の何かいい機関があれば、そういう機関に諮つて、そうして万人の認めるところ、これは不当な競争であるというような折紙を付けられた場合に初めて発動されるというようなことについてはお考えになりましたかどうか。これは第一号の経理の改善に関する勧告と違いまして、この経理については、これは勧告でなしに命令されてもいいと思います。経理については十分お調べを願いたい。こういう業務の対外的な関係を持つ複雑な業務に関して、運輸大臣が簡単におやりになるということを極力防止し、これを慎重にする意味で、そういう官民の合同の適当な機関があれば、これに諮つた上で発動されるのが適当だと思うのです。そうお考えになりませんか。
  47. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 非常に実際節したお毒からのいろいろな御意見でございますが、私どもも今申しましたように、これによつて行過ぎにならんということを非常に念願するものでございます。政令とか、或いはそういうものによらなくてできるかどうか、この点は時宜に応じて、実際今お話なつたような線に沿うてやるような方法をきめたいと思つております。
  48. 松浦清一

    松浦清一君 議事進行。いろいろ御質疑があるだろうと思いますが、会期が今夜中になつて、或いは延長されるというような予想せざる事態が発生するかも知れませんが、当委員会としてはでき得る限り審議の促進を図つて、早ければ今日中に挙げるべきだと私は考えておりますが、こうして質疑を行なつているときに、御出席になつていない委員あとで御出席されて重複されるような質問をされるということは、全体の審議時間を非常に長引かせるということになりますので、もう一遍委員部の諸君の御足労を願つて質問を希望される委員の御出席をされることを希望いたします。
  49. 前田穰

    委員長前田穰君) 只今催促いたします。
  50. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私はなお法文に関しまして疑義を質しておきたい点もございますし、多少意見もございますが、運輸大臣に対して概括的な問題をお聞きしたのであつて、他の委員から御発言があれば、その方に運輸大臣に対する質問を先にやつて頂いたほうがいいかと思います。
  51. 松浦清一

    松浦清一君 私一点だけ伺つておきたいのですけれども、御当局の造船計画に基くいろいろな資料によりますと、昭和三十二年すでに貨物船を二百七十七万総トンに達せしめる必要がある、又油槽船八十二万トンに達せしめる必夢がある、こういうことなんですが、この計画造船が大体結了いたしましたその後は一体どういうことになるのですか。
  52. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私ども日本経済の将来の規模或いは国際収支の関係等からいたしましてお説のような計画を持つているのてございますが、その後の計画をどうするかということにつきましては、これはもう少し年度が進行いたしました上で更に、一応これは昭和三十二年までの計画でございますが、更に昭和三十五年度の日本の経済機構がどうなるか、或いは三十八年度の経済規模がどうなるか、こういうふうな見通しを立て得るその経済機構の見通しに従つて、この計画を更に延長する、或いはその傍における新らしい新造計画、こういうふうにいたしたいと考えるのでございます。なお三十八年度まで参りますると、先ほどお説がありましたような、現在使用しております改造船とか、或いは外国からの購入船、又は在来船等で相当生命の尽るものが出て来るわけでございます。これの代替船の建造ということも、六つと明白になるものと思うのであります。そういうものを加えまして、その後の経済規模を併せ考え計画を立て直すといいますか、新たな建治計画を確立する必要性がある、かように考えております。
  53. 松浦清一

    松浦清一君 三十二年度になりましてから計画量の船舶に達したときに、現在の海運界における事情と変化がないというような状態でありますと、それ以上国内で使用する船舶は必要でなくなるという事態が起つて来はせんかと思うのです。大体代替船の建造と言いますけれども、その後になりましても、この計画造船に入りましてから造つて来た船はまだ新らしく建造し変えるという必要限度に達しない、そういうことに在ると、日本の国内で使用する船舶の必要量というものは限度に達して来る。而も三十二年度において、日本に油ける海運の運賃事情に今上り変化がないということになると、恐らく世界的な海運事情においても大きな変化が起こらない。国内で使用する船を造る必要がない。従つて国際的な運賃市場に大きな変化がないということになると、外注の船舶ということも非常に激減して来るという虞れ承ある。そうなると日本造船所は、今までは国内で使用するつまり二、三十万トン造つていればどうにか息がつけて行けたというようなものが、それ以降七万トン、八万トンの船を造つていればいいんだというような状況に到達したときに、造船計画を今からお考えになつているのですか、お考えになつていないのですか。
  54. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私どもといたしましては、三十二年度までは三十万トン計画を遂行して行く、その後におきましては、或いは多少のトン数が減るかと思いますけれども、併し代替船の建造、或いは経済機構が拡大して来るわけでありますから、経済規模の拡大に基く船腹の新造の必要性、こういうことであるから、更に日本海運としては、どうしても日本中心上りは第三国間輸送、こういう面に相当の力を注がなければならない。今後四年間に第三国間輸送の地盤を相当強化することによつて、そこに新造船の或る程度の量をつぎ込む、これは可能性が出て来るであろう、そういうことを彼これ考えますると、必ずしも五万トンとか、十万トンというふうな減少した規模まで縮小する事態は起つて来ない。少くとも二十万トン程度の需要量を確保し得る事態が続くのではないか、かように考えている次第であります。
  55. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  56. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて下さい。
  57. 一松政二

    ○一松政二君 運輸大臣は午後お見えになる時間ございますか。
  58. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私一時から衆議院運輸委員会衆議院決算委員会に、両方に鉄道会館問題で引張り出されておりますので、それが早く済みますれば……。
  59. 一松政二

    ○一松政二君 それじや午後の予定がよくはつきりわかりませんから、二、三一つつておきたい。昨日、一昨日、実は運輸大臣にお聞きしたいことがあつたのだけれども、一応法案は通つておるわけですが、私の満足しないようなことが多々あつたわけです。先ほど運輸大臣のお答えの中に、新谷委員がこの法の運用の方面について、この法律規定があつても、むしろ死文になるんじやないか、却つてそうあつても、実際の運用はそうは行かんのだ、法律があつてもその通りにはむしろ行かないで、新谷委員の要望される通りの運営になるであろう、私はこの答弁は実に結構だと思うのです。そうあつて頂きたいのであります。ところが運輸省のもろもろの我々が審議した法案を見ると、実に裁量の範囲が広汎であつて、そうして先ほども指摘されておるように、運輸大臣の認定如何にすべてかかる。すべてのことが運輸大臣に全部直結されて、そして運輸大臣の御判断を請われるならば大変結構でありますが、実際の運用上には、この法案などはよほど重要であるから、そういうときには勧告も要りましようが、本国会で通されました道路運送法の一部改正にしても、港湾運送事業法にいたしましても、或いは港湾整備促進法その池すべて運輸省の物の考え方に非常に統制力が強い。そして需給という問題を運輸省で非常にお考えになつて、そうして整備促進という言葉をしよつちう使われております。ところが世の中は非常に変化しやすいわけなんです。でありますから私は常に考える。昨非今是という言葉がありますから、今是は明非になるだろう。明非はその次には是になる可能性がたくさんあるわけであります。それを一々行政官庁、政府色体でお考えになるときには、又よほど違つた観点も出て来ようかと思うのでございますけれども、例えば港湾の運送にしましても、港湾の仕事、或いははしけ、機帆船その他の仕事なんかを睨んでお考えになると、或る場合には不当競争みたいに見えるけれども、世の中全体が血みどろの競争をやる。そうして日本全体の今後の経済の取り方が、どうしても原価を下げなければならんという立場に立つてつて、これらの港湾の費用にしても何にしてもできるだけ切下げて行こうという考え方に私は皆なつて来ると思うのです。ところが法の建前は秩序を維持する。そうして賃金をきめてそれに違反したものは三万円の罰金を取つたり、或いは五万円の罰金を取つたり、或いは事業の停止を命ずるというのが法の一応の建前になつておりまして、そうして港湾運送事業法のごときは、現在のものよりも更に範囲を拡大して、二十八カ所の港湾にこの法律を拡げよう、そういうことになつておりまして、それが昨日の本委員会で可決されておるわけであります。ところがその中には、別にさしてそういうものをやつても必要がない。又違反するような者を除く法文ができておれば、それを監視しなければ違反者は挙らない。そうすると結局業者同志が摘発行為をやつて、そうして何か訴えて来るようなことがあるか、あつて初めて発見されるようなことがあるし、或いはあつても発見はできないというので、いわゆる匙加減した、それからいわゆる手心、これが多くの場合に、私は当該担当者の、前線の者の判断によつて事が決せられることが常に多くはないか、そういう者の裁量の範囲が非常に多くなる。従つてその間にいろいろな請託なり或いは運動なりが行われて、その問題が私は将来何かの形で、又運輸省全体のむしろ非難をこうむるようなことがありはしないかと恐れるわけであります。この今審議されている利子補給法案にいたしましても、その業務命令におけるところの運輸大臣の判断それ自身もさることながら、今日各地の税務署の、いわゆる 職とか収賄とか、いろいろな問題が世の報道するところになつておりますが、こういうことは、私はこの法律通りますというと、これは通るでありましようが、私は頭痛の種にならなければ幸いであると考えておるわけであります。その人の報告如何が運輸省の判断の材料になります。その報告は実はどういうふうにでも、或る程度は軽重の差はありましようけれども、報告の如何が問題になるわけであります。とこ泉これは他のいろいろな同類のような仕事で、今まででもこの補給金或いは補助という問題にはこれはつきものであつたわけです。この法律は私は検査もしなければならんし、勧告もしなければならんし、ひどいのになると今のような補給の停止をもしなければならんと思いますが、それをする段階以前にかなりいろいろな問題がありはしないか、そこまで行くまでには私はよくよくのことであると思います。世間周知の事実になつて、どうにもこうにもならないので成るほどと思つておやりになることは結構でありますが、そこまで行かない前に、私はかなり気遣われることがたくさんあると思います。これは製鉄の補助金或いはその他について、経理に前の商工省から一々検査に行かれておつて、その検査を受ける者のその検査に来た人に対する醜事を一、二私は知つておるわけであります。この法律はその問題だけですが、他にこれと類似のものがあつて一そうしていろいろ服務規律その他の点について、世の指弾を買うようなことが間々起つたわけであります。でありますから私はそういう危険を包蔵していないか。それからとかく余るとか足らないとかという判断を、運輸当局がこれを判断するということは私は非常にむずかしいことだと思う。これは世界的な情勢の変化と、日本経済の変化によつて常に波動を受けておる。私の率直な考えから言えば、それは足らなければ余らないし、余らなければ足らない。どこが余つたとか、どこが足らんというようなことは、それはなかなか言うべくしてむずかしい問題です。お前余つておるから、船を造ることはならんのだと言いますと、一番船を造らなければならん時機を逸することになる。造船所でも船の安いときは船を一番造りたいときなのです。多少赤字でもこれはもうやらなければならんのです。そういうことの判断を私は運輸省が、需要供給の一番むずかしい面を運輸省が判断されるような法律案がしばしば出ました。今のように道路運送法とか、或いは港湾運送法とか、これらはみんなその需給の調整をとり、そうして秩序を維持するというような眼目が法律に盛られてあります。でありますから運輸大臣は、当時私は運輸大臣まで御質問申上げなかつたのですが、今丁度ことのついでに私は運輸大臣の心がまえをお伺いして、そうしてその方針に則つて、下僚がいやしくも過ちのないように、行過ぎないように、行過ぎないということと又行き足らんという問題も起つて来て、これがなかなかむずかしい問題になりまして、微妙ないわゆるそこに忌わしい問題がつきまとつて来る危険を包蔵しておりますから、その点について運輸大臣の心がまえをお伺いしておきたいと思うのであります。
  60. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 政府の、今までの利子補給を更に強化するこの案が成立した後においての態度といたしましては、どういたしましても相当日本の国民の租税等を入れて海運事業の発展のためにという睨みの下で援助をいたすのでありますから、相当それがその線に沿つて使われておるかどうかということを見て置くことは、国民に代つて政府仕事だと、こう思うのでありますから、こういう規定ができるのはこれは私はまあ止むを得んことだと思います。本来の行き方として、私はよく申しました、立法いたしたときも申したのでありますが、私どもはこういうものをこしらえる、政府も出資する、併しでき得る限り我々の力を入れないで、まあ監督とか何とかというものを余り強くどんどん進めて行くと、自分で商売はせずに商売の本体を左右するということになると、これは本当にその仕事の発展を助長することにならないのだから、大きな網でその中に入れて、間違のないように、やはり一つには横へ飛び出す馬を、まつすぐな道だけを走らすようにはするけれども、どう動かすかということは皆任せるべきだということを私はどの仕事にも考えております。この仕事におきましても同じような考えでありますが、いろいろ監督をする上におきましての心がまえというものも、私は業者が本体であつて、私は政府も国民の金をいろいろ出している立場上、勘定に間違いのないような線に動いてもらうように注意をして行くということが、この規定趣旨でなければいかんと思うのであります。それで実際上の動きにつきましては、さつき新谷さんの御注意もありましたように、或いは何かの機関を通して、不当な競争の排除について勧告する場合等については、相談をした上でやるとか、或いはどういう場合にどうするとかいうような、私どものほうの規定でそういうのを、準則みたいなものができるものはそれもやつて行くというようなことにして、この金を、政府のほうから財政資金を出したから、何でもかでも政府が監督の行過ぎというようなことになるというような虞れのないように、是非これはやつて行きたいと思つておるわけでございます。
  61. 一松政二

    ○一松政二君 私は運輸大臣に更に希望を一つ申述べておきたいのですが、この利子補給と言い、或いはその他の保護奨励策等と言い、これはすべて直接の国民の税金であるか、或いは間接的な税金であります。政府には一厘、一銭も国会で許された以外の金は使えないわけであります。国会が許すとか許さんとかいつたつて、これは国民の金でありまして、予算はすべて先ず税金と言つて差支えないはずであります。補助をするとか、補給をするとかと言えば、何だか行政官庁が自分の金でも出すかのごとく場合によつては勘違いされたような、極くそれは主だつた人は大体そういうことはないのですが、私が一番心配するのは、一番前線にいるような人は、何か自分の匙加減でこういうようなことをやるんだというので、とかく虎の威をかる狐みたいで、自分の金でも振舞うかのごとくやりかねない事例が過去においてもなきにしもあらずです。特に海運業者というものは非常に現金なんです。もう悪いときには泣きつきますが、よければ前悪かつたときのことなどは殆んど忘れてしまつて、そうして自分たちの思いのままに振舞いたがるものであるということを私は身を以て経験しておるわけであります。でありますから、私は国家がこれほどのことをするということはよくよくのことであつて、而もこれは国民の膏血を搾つた税金でやるのであるということを強く海運業者に認識せしめて、そうして海運業者は国民に対してこれだけの実はことをやつてもらつてあるということを、それをやつてもらつている間は忘れないようにして頂きたいと思うのです。今日の世の指弾を招いておるのは、いわゆる公用族とか社用族とかよく言われておりますが、国家がこれほど保護をして、これは今後私は海運業者なり造船業者なりが、どういう交際費を使つて行き、どういう経費を使つて行くかということは、国民のこれから監視の私は的になると思います。でありますから、その経費の使い方その他については、運輸省で御監督になるように法文の規定はなつておりますが、それはなかなかむずかしい問題で、意気沮喪させるわけにも行かず、それから国民の指弾を紹かないようにするということも必要であるというので、私はそれは非常に匙加減もむずかしいと思いますが、国家にこれほどの保護を受けながら、もう土曜日から日曜にかけてはゴルフへ行つてしまつておるとか、或いはどこかで宴会をやつておるというようなことは……、それかと言つて今日ゴルフをするなと私は言うほど野暮じやございませんが、やり方もあります。殆んど今日はいろいろな税制の建前、個人の収入の問題もあるものだから、会社の経費でゴルフをやつて、戦前におけるがごとく個人のふところでゴルフをやつて心る人が殆んど少くなつておる。殊に海運業者がこれだけの保護を受けて、海運会社の名前においていろいろな費用を使われるようになると、かなり私は問題が深刻になると思うのです。そういう点について、私は別にこの法律を楯にとるというわけではございませんが、国民の税金を納める者の立場及び感情を考えて、そうして大きく自粛を促して頂きたいと考える。  それは私の希望でありますが、私は大臣にちよつと聞いておつて頂きたいことは、これは海運局長で結構でございますが、今度の法律案買船、いわゆる輸入船に対して利子の補給が考えられておりますが、輸入船は当時政府は奨励されたのですか。或いはむしろとめたけれども、当時市況がよかつたので、どうも止むを得ず結局事実は輸入になつてしまつたのか、一体どちらでございますか。
  62. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 丁度船腹の不足が昭和二十五年の暮から二十六年の初めにかけまして非常にひどくなつて日本の輸入も思うように行かないというふうな事態になりまして、急速に船腹を拡充するということで、そのための方策として新造船計画を早急繰上実施する、それから買船を、今まで買船の補充を禁止しておりましたが、買船の禁止を緩和する、或いは助成とまで行きませんが買船による船腹拡充を期待する、こういう方策をとりました。従いまして買船に対しましては、その当時におきましても、開発銀行で買船資金の一割を肩替りをしたというふうなことになつております。その後買船の申請者が相当多数出ましたが、併しこれは新造船とのバランスその他を考えまして、或る程度チエツクをいたしましたが、当時の情勢としては、買船はやはり船腹不足を緩和する応急的な手段であるというので、これを新造船ほど積極的に奨励はいたしませんが、政府としては或る程度のそれに期待をかけたというのは事実でございます。
  63. 一松政二

    ○一松政二君 長くは取りませんが、私これは運輸大臣は聞いておいて頂きたい。運輸大臣に答弁は求めませんが……。それは丁度朝鮮事変が起つた直後の世界的の物価暴騰時代なんです。従つて日本政府も備蓄輸入を奨励したり、非常に世界的の物価暴騰をして、これはどんな事変が起るかわからんというので、備蓄奨励の意味で政府も奨励している。併しながらそれが今日の日本の経済界の癌をなしておるわけなんです。今日商社が潰れたりもろもろの製造業者の中で、今日いろいろ生存が困難になつて倒れて、そうして整理されている会社は殆んど枚挙にいとまがないというほどたくさん出て、不渡手形の問題が世に論議されておるのです。私はその責任は一体政府にあるかないかということについて、私は政府にあるという観点から、昨年の、二十七年の一月二十七日だと思いますが、私は本会議大蔵大臣にその点を質問した。これは正式に私が党を代表しての質問演説で質問したのであります。それで大臣の答えに曰く、政府と銀行と輸入業者、輸入業者とメーカーは同じものですが、その三者におのおの責任があるという答弁をされておる。そうして責任はわかつたけれども政府はそれに対して何らの対策をとつておりません。金利補助もせず、それから値下りに対しては、損失の補償に対して何らしておりません。それに対する利息なり何なりが雪だるまのようになつて、今日日本の私は経済上の癌をなしておつて、恐らく日銀の今のオーバー・ローンと称するものは私は殆んどこげつきの債務であると考えております。船会社のほうは、今回政府の責任もあるが、業者が思惑輸入したのが私は六分以上あるであろうと思う。その六分、或いは七分も業者の思惑、これは皆見込違いなんです。見込違いした結果を政府がこれほどの援助を、援助よりは利子の補給金まで出してやるということは、私は他の産業のことと比較して見ると、釣合いがとれていないと思つているのです。運輸省がこういうことをお考えになることは、私は自己の管掌する業務について非常に御熱心である、私はむしろ熱心過ぎるという感じが非常に強いのですが、通産省にいたしましても、大蔵省にいたしましても、農林省にいたしましても、そういう思惑で輸入されて、それかために倒産している者は枚挙にいとまないと思う。ところがそれに対して政府が奨励しておる。それは戦時中に船がひどい目に会つたということをよく言われますが、それは通産省関係には又枚挙にいとまないのです。戦時中に命じてこしらえたものに対して何らの補償もせず、みんなこれは占領政策からして打切りになつております。で、私はこういう一つの民間の思惑輸入の、かなりな部分が思惑輸入になつているものを、一応それが又健全な立場に立つて営業ができるようにやられるということに対しては、私は別にそれを不当であるとも何とも言うわけではございませんが、運輸大臣は国務大臣として、私は他の産業の関連に責任がないというわけではないと思うのです。そういう問題に対して、この船というのは外貨を稼ぐのだということを言われておりますが、それと政府が命令して造らせた建造船か何かなら私は別ですが、思惑輸入によつた船の跡始末を政府の責任において或る程度つけてやるというのが、この法律案の一部であろうと思いますが、結構です。然らば他の産業からそういうものの要求が出た場合に、私は拒否し得る根拠がなくなりはしないかということを考える。それでそれは或る程度片手落になりはしないかということを恐れておるものであります。その点に対する運輸大臣の御見解を承わつておきたい。
  64. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 私どもこの案が通りますれば、これは非常に結構なことだと思いますのは、これによりましてこの船が、さつきお話になりましたように、外貨獲得の一翼をかついでおるものでありますから、それが立てるような状態にしてやるというのでございますが、これはそのほかの産業の部門にも恐らくあるだろうと思います。果して我々の海運に使うがごとく、外貨獲得とかいうようなことで船等に比敵する、更にそれよりも大事なものでありますれば、今度の機会にはその問題が坂上げられなくても、次の機会には取上げられるようなことにもなるだろうと思います。私はそういう場合において、国家の立場上その問題が非常に有効適切に今後も日本の経済の伸びて行くのに役立つものでありましたならば、私は賛成するつもりであります。
  65. 一松政二

    ○一松政二君 もう一つでおしまいにします。今の船会社が朝鮮事変以来一時的なブームがありまして、そして今のように国際的に運賃が暴騰し船腹不足の状態だ。船腹不足が運賃暴騰、運賃暴騰即ち船腹過少と言いますか、ただ一時的に足りないというだけで、決して足りないのじやたい。船はあるのだが、ただ一時的にそういう現象を呈しているに過ぎない。海運局長にお尋ねしますが、ここに今の輸入船舶の持主のトン数或いはその所有者の表が出ておりますか。
  66. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 輸入船の表はお配りしてないかと存じます。
  67. 一松政二

    ○一松政二君 私はそれをそうたくさんじやございますまいと思いますから、午後に間に合うように、所有者別に一つお示しを願いたいと思います。というのは、他の産業においては非常にたくさんの犠牲者が出て倒れておるわけです。船会社で現にどのくらい倒れて、どういうふうになつておるかを知りたいわけです。というのは、先ほど申上げました通り、片手落だという感じが私は非常に強いのです。外貨獲得と申しますれば、輸出産業は全部外貨獲得になるのです。でありますから、それは私はそうして、それの船の船主がどういう状態におるのか。それが現に倒れておるのか。会社は倒れたつて船はあるのですから、会社の倒れることと日本が船腹を持つておるということは別の問題だと思う。船が欲しいのであつて、会社を救済することは私は別問題に考えなければならんと考えるということは、それは日本全体の経済を助けることを考えなければならん。個人々々の起伏に対して、余りに大きな関心を払つておれば、それは或る程度考えなければなりませんよ。なりませんけれども船会社が窮状に陥つているということと、船の不足していること或いは日本の船の競争力を強めるというのとは、これは別個の問題であるわけなんです。でありますから、そういう輸入船腹業者が一体どのくらいの割合でどういう会社が持つておるか。それは現に不渡手形を出し、現にもう支払停止を受けているような会社がどのくらいあるかということをお示しを願つて、その上で私はその問題を論じたいと思います。私は午前の質問並びに大臣にお聞きしたがつたことは、一応この程度で打切つておきます。
  68. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩    —————・—————    午後二時三十二分開会
  69. 前田穰

    委員長前田穰君) 午前に引続きまして運輸委員会を再開いたします。  外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案議題に供します。  午前に引続き御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  70. 木島虎藏

    木島虎藏君 海運局長ちよつとお尋ねしますが、この法律が施行されると今年度の予算でどれくらいの利子補給がなされ、平年度はどれくらいに左るでし上うか。
  71. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この法律実施によりまして、二十八年度におきましては、利子補給の金額は、開銀に対して三億二千万円、市中銀行に対しまして七億二千九百万円余でございます。開銀の利子につきましては、この利子補給一分五厘のほかに、七分五厘から五分まで引下げますることは開銀自体で行うわけでございまして、この開銀自体における金利引下額の予想が大体五億三千万円余り、かように考えております。二十九年度におきましては、開銀に対する利子補給が九億四千八百万円、市中に対する利子補給が四十四億八百万円で、只今申しました開銀自体の金利引下が約十五億程度このほかにあるかと思います。これは来年度は一番金利負担の高いときでございまして、これを平均して考えますると、即ちこの利子補給は市中融資に対しましては五カ年間でございます。それから開発銀行に対しましては十五カ年間、こういうことになつておりまして、その利子補給の方法といたしましては、たとえ融資残高が当初の額のままに残りましたといたしましても、毎年一割ずつ減らして行つた額に、市中のほうは六分を補給する、こういうことに相成つております。従いましてこの五カ年間の毎年平均受けまする利子補給の額は大体三十二億九千万円、約三十三億円が各年の平均の利子補給の額でございます。
  72. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると外航船舶日本海運を世界市場で競争さすために、今のお話で相当の額が税金から振向けられるわけですが、その海運会計の経理の関係とかいうようなことは、どういうふうにしてなさるつもりですか、又はどういうことになつておりますか。
  73. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 今度の船舶建造町費。利子補給法の修正案につきましては、大体この利子補給は、一種の金利の前貸金的な思想をとつておりまして、海運会社が一定率以上の利益を挙げた場合、これは午前中御説明申上げましたが、大体一割配当に必要な利益以上の利益を挙げた場合には、その期の利子補給に相当する金額を海運会社から取戻し、更に一割五分配当に必要な利益以上の利益を挙げました場合には、その期の利子補給に相当する金額を取返すだけでなしに、その超過利益の半分を国に返えさせる、こういうことによりまして、できるだけ国の負担を少からしめるということにされているのでございます。而ういたしまして船会社が実際その得た利益を償却その他社内の充実に帳向けないで、無駄に経費を使うことに対して如何なる監査をするかということにつきましては、実際問題としては非常にむずかしい問題でございまするが、私どもこの法案の趣旨に従いまして、船会社が国家から多額の援助を受けながら、一方において無駄な金を使うということのないように適切なる監査方法を樹立したい、かように考えておるのでございますが、まだその具体的な成案を得ておりません。御承知の通り海運業は非常に機敏な活動を必要とする事業でございます。余り政府の干渉が過ぎますると、海運企業活動を阻害するという憂いもございます。又その経理内容が非常に複雑なものでございまするから、全然政府が眼を届かせないということになりますと、御指摘のような経費を無駄に使うという傾向が非常に強くなつて来るという点もございますので、今後どういうふうな監査方針を立てるか、十分部内で慎重考慮、或いは部外者の御意見も聞きまして、適切なる方法を早急にまとめるようにいたしたい、かように考えております。
  74. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうするとこの一〇%、一割の利益が出せなかつたときは取返ししないで、このあとのほうにあるように何年かの年賦償還にするのですか。
  75. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 海運会計ガ、ここでは大体利子補給を受けてから十五年以内としておりまするが、十五年以内に一度も一割の配当をし得るだけの利益を挙げなかつた場合には、取返しというチヤンスはないわけでございます。併し海運は少くとも十年に一遍、或いは五年に一度ぐらいは必ず景気の出るもので、その時には相当厖大な利益も挙がるわけでございまするので、この法案では十二条及び十三条にその規定がございまするが、この規定によつて相当額が国のほうに返つて来る、かように考えております。
  76. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると今の、海運ブームが或る波であるとおつしやつたのですけれども、それは予想で、まあないことも考えんならんのですが、まあなかつたらやつてしまうわけですか。
  77. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この十五カ年間にそういう事態が起りませんと、この利子補給金はそのまま海運業者のふところといいますか、金融機関に入るわけですが、海運業者から取返す方法は講じてないわけでございます。
  78. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると経理の監査なりを相当厳重になさらんといかんと存じますが、その対策は、先ほどのお話では具体案がしつかり立つておらんというお話でしたが、そうですが。
  79. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私どもといたしましては、この修正案衆議院を通過し今参議院で審議中のような事情でございまして、まだその監査方法についてどういうふうにするかということを十分検討する時日を持ちませんので、そこまで至つてないのでございます。この法案が成立いたしました場合に、直ちにそういう面についての具体策を樹立するようにいたす考えでございます。
  80. 木島虎藏

    木島虎藏君 それから第二十条を見ますと、「第十六条の規定による報告をせず、若しくは」云々と書いてありまして「三万円以下の罰金」と書いてありますが、これは安いように思うのですが、これはどうなんですか。
  81. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 三万円の罰金は、報告を徴した場合に報告をしなかつたり或いは虚偽の報告をしたり或いは虚偽の記載をした書類を提出した、こういう場合でございまして、大体こういう場合は、ほかの例によりましても三万円程度の罰金を科するのが通例でございますので、これに倣つたのでございます。この法案で重要なのは、先般御質疑がありました第十四条でございます。この十四条の督促に従わなかつた場合、こういう場合にはこの利子補給に相当する金額の全部又は一部を国庫に納付することを命ずることができる。これは第十五条でございますが、ういう規定がございます。これはこの利子補給によつて金利負担が非常に低減されておる海運業者が、この恩典を剥奪されるということになると非常に大きな打撃を、或いは致命的な打撃を与えることになるわけでございます。そこで十分不届な船会社に対する罰則的意味を持ち得るものと、かように考えております。
  82. 木島虎藏

    木島虎藏君 先ほど利益が一〇%に満たないときには云々という話でございましたが、貸借対照表なり決算の方法を虚偽に一〇%に満たないようにしたことがわかつたときには、やはり罰則は先ほどの第二十条のようなことになるのですか。
  83. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この決算において、虚偽の計数を計上したという場合ですね。この二十条をなにするかどうかというのですが、そういう点は考えてないのでございます。一応私どもは、会社が決算報告で報告したその決算書を見て処理する、かようになるのでございます。
  84. 木島虎藏

    木島虎藏君 その決算書は、税務署が確認した決算書ですか、それとも会社の重役会できめた決算書ですか。
  85. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 会社できめた決算書を一応基礎にするわけであります。
  86. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると税務署で調べ、あつちこつちつつ突いてこの決算書はやりくりがある、これは本当でない、実際はもつと儲けておるということがわかつたときは、どうなのですか。
  87. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この点につきまして、その経理内容まですつかり洗いまして、報告に計上された利益が果して真の利益であるかどうかということまで入りますと、非常に強い経理監査或いは干渉になるわけであります。そこまで私どもとして果して入り得るかどうか。一応私ども考えとしては、決算報告に出ておるその利益を基礎にしてやる。併しその場合に或いは税務署と連絡をとつて税務署の査定した利益というものを取る場合があるかとも思いますが、その点はなお今後十分研究をしたいと考えますが、一応私どものこの修正案の運用について考えておりますところは、決算報告書に会社が計上した利益、これを基礎にしたいと思います。
  88. 木島虎藏

    木島虎藏君 質問の要旨がよくわからなかつたかと思いますが、そうでなくて、会社の決算書が出て、その後で税務署のほうでこれは間違いだ、こういうふうに利益が出ておる、実際はこうだという事実が判明したときには、どういうふうに扱いをされるかということです。
  89. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) その場合、私どもは二十条の虚偽の報告というふうにとることは如何かと考えるのでございます。会社の計上した決算書の利益、これをそのままとるということになります。それを税務署の査定で、それは虚偽であるといつて罰金を科するということは妥当でないのではないか、かように私ども考えておるのでございます。なおその点につきましては、この法案が成立し運用いたします場合に、十分検討をいたしたいと思います。
  90. 木島虎藏

    木島虎藏君 罰金の適用はそれで研究するということでわかりました。そうでなくて一〇%以下としておいて、税務署が調べたところ、それは一〇%以上利益があるとわかつたときに、前の返させるという規定、それを適用されるかどうかということです。
  91. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私どもの今の考えでは、一応税務署の考えとは別に会社の決算書そのままでいいのではないか、かように考えております。
  92. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、会社がうまく表面をつくろつて決算書を出せば、実際の利益があつても一〇%以下と出せばそう認めるという御答弁ですか。
  93. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 一応そういう考えでおるのでございますが、併し後において税務署が非常に大きな利益が出ているというふうな査定をいたしました場合、或いは次の期においてその面についての何か調整方法を考える、かように考えます。
  94. 一松政二

    ○一松政二君 私は岡田海運局長にこの間、今年度の計画造船について、新聞紙上で拝見したことについて一応御説明願いたいと思います。何か市中銀行との間にいきさつがあつて、貸付の確認証を先に持つて来いという岡田さんのほうの御要求であり、市中銀行のほうはそいつはあと廻しにしてもらわなければ、それは到底やれるものじやないというようなふうに新聞紙上で拝見しておるのでございますが、あれはどういう意図であり、どういうことであるか、一応説明願いたい。というのは、この本案と密接な関係があることは御承知のことと思いますから、一応どういういきさつになつておるのか。それは又確認証を先に持つて来なければ、どういう運営上の支障をお考えになつておるのか、それを一つ承わりたい。
  95. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 運輸省におきまして、財政資金を付けて新造をこれまでずつとやつて来ておりますが、その場合に、最初から第六次の造船までは私どもが今主張しておりますような船会社が新造の申込をする場合には、先ず市中銀行から必要融資分についで融資を受け得る見込がありますという市中銀行の融資確約書をもらいまして、こういうものを付けて申込むように、こういうふうにやつて来ておるのであります。ところが市中銀行としては、その融資確約書を付けるのに、まあ船会社が盛んに銀行に運動する、銀行としてはその煩に堪えないということと、銀行としては造船に対する融資を余りやりたくないのだ、こういうことを言つて来ておるのに、実際融資確約書を全部出させてみると、計画建造量の二倍或いはそれ以上もの融資確約書が出ておる。そうすると銀行として新造融資に余り乗り気でないのだというのと反対の結果が出て来る。これは誠に銀行としては面白くない現象であるというので、強くその面を第七次造船のときに主張されまして、それ以降まあその当時何とか市中の協力を得ませんと新造というものが進め得ないという当時の事情もございまして、銀行がそういう要望が強いならば、それは政府側のほうで先に決定するような運びにしようというので今日に至つたのであります。今回この利子補給その他の助成政策が行われて、海運業者としてはどんなに赤字が出ても何とか造らしてもらうならばこの際持つておきたいという本能的な欲望もあるわけであります。それに今御審議を願つておりますような非常に有利な条件が付きますると、海運会社としては何とか融資を受けたいという非常に強い熱意があるようであります。その場合に私どもとしては、当初私どもがとつておりましたような方法、先ず申込む場合に市中銀行の融資確約書を付けて、これは私ども考えとしては、丁度立候補の際の供託金と同じようなもので、ただ何でも申込むということだと、ひやかしでも何でもとにかく出して見よう、こういうやつが出て来る。それを銀行の融資確約書を付けるということになりますと、銀行のほうでもこの船会社ならばまあ貸そう、この船会社なら困る、こういうふうな或る程度の取捨選択がされるわけであります。それによつてどもとして無制限な申込をそこで一度チエツクして、市中銀行から見て融資する対象になり得るというふうな会社だけに申込をさせるというのが私どもの希望でございます。当初からずつとそういう方針をとつておりましたが、途中におきましてその方針が崩れたのを、それを又再び元の姿に返したいというので折衝をしておるのであります。市中銀行側としては、これは最初と同じような事情でございますが、銀行も商売ですから、だからお得意といいますか、取引相手の船会社が頼み込んで来ると融資確約書を出さざるを得ん。その結果が非常にたくさんなものになると、実際金融業者が肚で考えておることと外に現われた現象が反対の現象になつて来る。これは非常に困わますから、一つその点をやめて従来通り確約書或いは開発銀行のほうできめてもらいたい、こういうので、その折衝をやつておるのでございます。くどくど申上げましたが、端的に申上げますと、一応融資確約書を付けることによつて、何でもかんでも申込もうという船主を節にかけるというのが真意でございます。
  96. 一松政二

    ○一松政二君 ところが千金良銀行協会長はその点については同意をしていないと思うのです。海運局長に対して、運輸省に重ねてそういう要望があつたけれども、それは銀行として非常に困難だということを申入れておるように新聞には報道されておるんですが、どうお見込になつておるんですか、今のところでは。
  97. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 新聞通りでございます。銀行協会の会長が大臣のところに見えまして、この方法は銀行側としては、立場として非常に困るというお申入がありました。運輸大臣はそれに対して、融資確約書に代るべき何らかの適当な措置がないか、それを一つ銀行側でも考えて頂きたい、運輸省でも考えましよう、こういうので立別れたままでございます。私どもといたしましては、何か適当な方法で一応我々に申込むまでに船主の申込を篩にかけるような措置考えるという念願は変らないわけでございます。
  98. 一松政二

    ○一松政二君 海運局長のその希望はよくわかりますが、運輸大臣もそうしたいということはよくわかりますが、それはこの建造を許可する前提として許可の一つの条件としてそういうことを申入れておるのか、或いは行政措置としてそういうことを申入れておるのか、その点をはつきり一つ伺いたい。
  99. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 許可と申しますより、開発銀行と打合せをいたしまして、財政資金の貸付に対して申込をする、その申込の条件、それから知のほうといたしまして利子補給或いけ損失補償契約、そういうものの対象にするための新造の申込、その申込の条件として付けておるのであります。
  100. 一松政二

    ○一松政二君 それは何の法律にその根拠があるのですか、それを承わりたい。
  101. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 法律ではございませんが、併しこれは何といいますか、任意の措置として海運業者か二希望を募ります場合に、こういう条件を満たしてもらいたいということを条件にすれば、あながち法律の根拠がなくてもやれる問題じやないか、かように考えております。
  102. 一松政二

    ○一松政二君 それは一応行政措置としてそういうことをおやりになつておると、私はそれは了承いたします。私はこういう法を、今審議中のこの外航船舶建造融資利子の補給法、その他至れり尽せりの、而も法が完備されれば完備されるほど、私は運輸省はお困りになると思うのです。もう一つの権利ができます。若し建造許可ということなら、もうその選に当るか当らないかということは、一つの産をなすかなさざるかという大きなチヤンスを、いやしくも事業に志し、海運に志す者は、その一隻を所有することは、一万トンの船にして約十五億円、十五億円というものが殆んどただ博打的な将来の値上りによつてこいつは返せるのだ、値上りがなかつたら返さなくてもいいのだ、あとは損失は政府が補償する、担保を処分されてあとのものは三割は銀行が補償せる、自分は逃げさえすればいいのです。極端に言えば何にも責任がないのです。でありますから、私は船会社でなくして、私でも若しそういうことが許されるならば、私で承これはやりたいのだ。そこで運輸省はこれをチエツクする方法として、一応そういうことを申込んでおるが、出されておるが、それは法律上の根拠はない。そこで問題が起ることは非常にこの造船所としても……、今ちよつと伺いますが、今の段階ではこれは海運会社のほう、オペレーターのほうが申込んでおるわけであつて造船所が申込んでおるわけではないのですね、その点は如何です。
  103. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) それは海運業者が建造の申込をするのであります。
  104. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると今度は海運業者にそういうことを、選に入つて海運業者に建造の許可を許すことになるわけですか。その点はどういうことになりますか。
  105. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 臨時船舶建造調整法によりまする許可は、造船業者が申請します。
  106. 一松政二

    ○一松政二君 造船業者が申請すると承わつておるのです。そうすると運輸省が今やつておる計画船に対する選定は、これは建造を注文する前なんです。だから臨時船舶建造調整法にはこれは引つかからないわけです。けれども事実問題としては、船会社建造の許可を与えることになると思うのですが、その点は如何がですか。
  107. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 実際のやり方といたしましては、まあ海運会社に新造の申込をさせるわけであります。その申込が海運会社で、まあ運輸省並びに開発銀行でそれぞれの見地から審査いたします。そうしてこの船主に造らせようじやないかという建造船主圧を決定するわけであります。これはそれが建造許可ではございません。その決定した後において、さて今度のように先融資、確約書が付いておりますと問題ありませんが、融資確約書が付かない場合は、その決定する船主が更に市中銀行から残りの分についてはこれだけの融資が付けられますという、こういうものを持つて来るわけであります。同時にその船主と組んでおります造船所というものが確定いたすのでありますから、その造船所は船主と連名で建造の許可申請をする、こういうのであります。
  108. 一松政二

    ○一松政二君 どうもそれは二重になるような気がいたします。最初に海運会社が、実際のところは海運会社の資金、資力及び経営能力によつて一応選定されるように実際はお運び願つておる。これは法律上の根拠はない。そうするとここで臨時船舶建造調整法とからん、だ問題が起つて来るわけです。恐らく今度はまあ最後まで私は運輸省は困られると思うのです。こういう法律ができればできるほど押すな押すなど我にも許せ許せと言つて来ると思う。そこで今度は合理化審議会左り何なり一応の機関で、或いは開発銀行に申告された基準に従つて開発銀行が一応選定する。これは開発銀行だけに委せておけば、これは開発銀行がその金融的或いは将来の見通し、いろいろな銀行の立場から選定してしまえば、これは問題ないのです。これは貸金をする建前からこれはここでなければならないという認定をすれば、それは一応の権利がある。そうしてそれはそういう法律上のことでなくても、法律上何も必要としないのです。運輸省がそこヘタツチしようとすると法律上の根拠が一応の問題になつて来ると思うのです。そうするとオーバ一したものを筋にかけるということをさつき言われましたが、篩い落された者は私は承知しないと思う、何の根拠によつて筋い落されたか……。同じ申請しようと思う船会社と連名で建造許可を申出た場合に、資金の枠で一応は篩つたけれども、篩い落された者が船会社造船業者と連名で建造許可の申請を申出た場合には何の根拠によつてこれを拒否なさるのか。
  109. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) まあ篩い落す場合は、融資確約書を先に出さして篩い落してしまう場合と、それから融資確約書を出さないで運輸省、開発銀行で選定をして酷い落す場合、こう二つがありますが、仮に融資確約書を先に出すということになりました場合、融資確約書を受入れてない会社は、たとえ運輸省、開発銀行で先にきめまして、あと融資確約書を付けて出しても、市中銀行から残りの分の融資が得られないということを証明しておるのであります、従いまして、そういう資産状況というものが割合に悪い船会社へは財政資金を出したり、又利子補給の援助を与える必要はない、かように考えております。
  110. 一松政二

    ○一松政二君 利子補給の、或いは損失補償の恩典は浴さなくてもいいのですが、建造の許可を取つて行くわけです。建造の許可はそう自由には出せない。一応外航船舶に適合した、国際海運の健全な発達に寄与する建前から出された建造許可申請書を、まさか開発銀行の財政資金或いは市中銀行の融資の枠がないからという理由では、ここで昨日明白にその基準では縛れないから、その理由のために不許可にはできないということをはつきり申されております。又委員長もたしかそのように本会議に報告されていると思うのですが、そこで今度は計画造船以外の外航船舶に適合する、或る意味においては宙に浮いた問題に或る期間はあるかも知れません。併し建造許可のあるということは、今度はその次の段階においては市中銀行から融資を得、或いは又開発銀行に融資を求める一つの有力な武器にはなり得るわけです。第一許可があるかないかわからんで最初に行こうと思つたら、入学試験を求めて行つたところが、それはどうもえらい条件付けられたから、条件付けられて落第したかも知れんが、予備校か何に入つて、そうして別な資格を以て今度は願書を持つて行つたら、それは今度は無条件で通さざるを得ん規定になつているから無条件で通つて来た。通つて来たから今度は私は融資の途がおのずから別に考えられると思うのですが、そういうことの危険は海運局長としてはお考えにならないですか、どうですか。
  111. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 成るほどお説の通り運輸省並びに開発銀行でこの船主には財政資金を貸付ける、或いは利子補給の恩典を与える、こういうふうにきめた船主建造許可申請を出しました。これに対して許可した場合に、併しそれ以外の船主が出して来ます場合には、これは財政資金なり利子補給の恩典を受けないで船を造ろう、こういう場合です。こういう場合にはその船主が本当にそれを造り得る力があるならば、而も法律の文面からいつて、これを拒否する何らの根拠がないといたしますと、当然これを許可することになります。併しその許可を受けたからといつて、その船主が更に次回において財政資金が受けられるかというと、これは別の観点から検査するわけでございますから、財政資金は受け得ない、かように考えます。
  112. 一松政二

    ○一松政二君 そこが問題になる。今年は落第したけれども、その次の年には優先し得るチヤンスが非常にたくさん出て来るわけです。船会社がもう建造許可を持つているのだから、もう改めてそんなところへ行かなくてもその建造許可権を売つたらいいじやないか。建造許可権を持つてつて、そうして三井なら三井、或いは飯野海運なら飯野海運が自分で又余計に建造許可を申請し得ることもあるであろうし、或いは他の者をしてそれを得しめておいて、そうして次の年にそれを利用して、私は余分に割込み得るということは考えられないことじやないと思うのですが、そういう点について、海運局長はそういう弊害は想像しないのか、或いは法の不備のためにそういうこともあり得るとおつしやるのか、その点どういう御見解を持つているか承わりたい。
  113. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 財政資金貸付の対象、或いは航路計画の面から見て、又は航路計画その他経理状況から見て、財政資金の貸付の対象、或いは利子補給対象の資格のない船主、この船主に対してまあ全般的に日本海運の発展を阻害すことはないということで許可することがあり得る、あり得ますが、併しその船主が次に財政資金の融資を受ける特権を得ている、優先権を得ているかと申しますと、これはその点については何らそういう権利を与えられていない、又与えないという考えでございます。
  114. 一松政二

    ○一松政二君 法律では、そういう恩典を受ける権利は何も得ていないことは私もわかるのです。併し現在の許可権、船を建造する許可は得ておるわけですから、そのあとはただ融資の問題だけなんです。それを私はその三十万トンはおよそ三十隻か、たかがた三十四、五隻か、多くて四十隻に達せぬと思う。そうすると試みにこのことを先に伺つておきたいのは、非常に信用もある、開発銀行もよろしいと言うのだから、欲を言えば一社でそれを持ちたいのです、許されるならば。併しそれはまあ常識上そういうことは無理だろうというので、これが何軒か何十軒かの間に割り振らなければならんと思うのです。割り振るということもこれは一つの問題になり得る。甲には三艘を許し、乙には二艘、或いは丙には一艘も許さんということは私はなかなかこれはむずかしいことだと思うのです。そこでこういういい法律が、船会社の経営から見りやいい法律なんですから、そういうものができればできるだけ多くこの枠の中で建造許可をもらいたいのは事実なんです。そこで私は三井なら三井、或いは飯野なら飯野、日本郵船なら日本郵船が、私は三艘も或いは四艘も或いは五艘でも多々ますます弁ずるのです。これがこの船は私が引受けるということを契約書を取交して、そうして自分が代行するんだというようなことが実証されれば、融資の対象と私はなり得ないことはないと思うのです。そういう場面も私は絶無じやないと思う。そこで私はこの臨時船舶建造調整法というものが非常に不備である。だから私は昨日この法律は一のままでいかんというので反対したわけなんですが、そういうことがどうしても起り得る。そうして若し資金の枠で以て蹴落されて、そうしてそれが甲の者は三十億も四十億も国の恩典に浴し、乙の者は一厘にもならんということであつて、そうして落された場合には、私は必ずそこにややこしい問題が起つて来て訴訟沙汰まで起つて来ると思うのです。若しそれが許可になつてしまえば、又許可を活かす方法があるであろうと思うのです。で、許可になつても、これは去年あんなインチキをして、インチキじやない、法律上正当な権利によつて法律上許可を受けているから、許可権を金に換えることは私はそうむずかしいことじやない、そういう危険のある、或いは弊害をかもすような法律が昨日本委員会を通か、今日本会議で多分通つたのでありましようが、あの法律にはそういう危険がある。そうすれば、たださえがややこしい、運輸省できめかねて市中銀行にきめさせようと思うけれども、市中銀行でもきまらない、思い切つて開発銀行にさせればいいのだけれども、それだけじや運輸省が手放しのような気がする、それもよかろう。併しそれに運輸省が介在して善処しようといたしましても、私は手をやかれると思うのです。そうして建造の許可については、資金の枠は全然触れていませんから、問題が残る。そうして建造の許可だけは、三十万トンに対して四十万トンできた場合に、あとの十万トンは建造の許可はあるが、資金の枠がないからというので、許可権がある場合には宙に迷つているが、建造許可だけはやらざるを得ない立場に追い詰められる、そういう場合は絶無とおつしやいますか。又はあつた場合にはどうなさるというお考えがありますか。一応この席で承わつておきたいのであります。
  115. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 財政資金を付けることと建造許可とは一応無関係考えていいかと思います。財政資金を貸付けることが決定した船主は、造船所と組んで、それからいよいよ建造に着手するわけでございます。そのときに造船所と連名で建造許可を出します。併し財政資金範囲内で自分だけの金で造ろうというほうには、これはそれでも結構なんでありますが、建造の許可制をとつております。これは建造許可を得たからといつて、先ほど言いましたように、財政資金を借受ける権利を得たわけじやない、全然別でございます。  それからもう一つ建造の許可というのは、今年三十万トンきつちり造つて、こういう船はこれだけしか造らないのだというふうに、非常に固い計画を立てまして、それでありますと、その枠内に入るかどうかということは、これは一つの権利になるかと思いますが、それほど固いなんでやつておるわけじやございませんから、その建造の許可を得たものがそれがすぐに一つの権利と化するということはないと思います。それから実際問題といたしまして、今海運会社、或いは海運会社以外のものでも、現在では財政資金を借受けなくては船が造れないわけでありますにもかかわらず、建造許可だけを受けるということは、結局自分の醜態をさらけ出すということに結果的にはなると思います。従つて実際問題としては、そういう船主は起つて来ない。若しあるとすれば、それは船主よりもむしろ荷主側で非常に資力があつて、そうして自分の力だけで船を造る、こういうものは或いは出て来るかと思います。こういうものは許可して差支えないだろうと思います。許可した場合には、自分の力だけで造るのですから、差支えないと思います。
  116. 一松政二

    ○一松政二君 外航船舶建造融資の利子の補給を受ける者は、これは今の開発銀行と市中銀行の融資の斡旋を受けた者だけに一応限つてあるわけでありますね。これはそうですが。
  117. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この法律の建前では、それだけに限定はいたしておりませんが、併し予算面その他すべて開発銀行の融資を受けた者だけを対象にして計上をされておるわけであります。
  118. 一松政二

    ○一松政二君 この法律の「日本船舶を所有することができる者の請求により、」と、その者が利子の補給というものを結局申請して来るわけですか。申請して来て、これはその条件には、今の開発銀行とか或いは運輸省の御厄介になつたということは、別に条件ではこの法文の建前からはなつていないのじやないですか。
  119. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) その通りでございます。
  120. 一松政二

    ○一松政二君 そこで私は問題が起つて来ると思うのです。それは海運局長は非常に純真に物をお考えになつておるからさように言われるけれども、実際問題としては、これはいろいろな、政治問題とか何とか、私は午前中に質問いたしましたように、思惑で輸入した船に行政措置として金利を今度は低減するというような措置まで、これは三派の修正によつてそういう措置がとられる。私はこれは他の産業の倒産者相次いでおる状態と比較してみて、絶対に均衡のとれない政策であると私は考えておる。でありますから、そういう許可権を出さざるを得ない。許可権を得た者が、それだつて、私はまだ頂きませんけれども外航船舶を輸入した思惑的の船会社が、今頂きますればわかりますが、どの程度の信用があり、資産があるか、恐らく一杯船主か二杯船主であろうと思う。そういう者に対して利子の補給の措置をするというのであれば、それ以上の船会社が許可権を持つて、そうしてこれを造つて市中銀行から借りるなり、或いは開発銀行といつても私はそうむげに断わり得ない状態に追込むことはできると思う。そういうことは、一応ただ事務的にはそうでないということが考えられるかも知れませんけれども、それは過去においても御承知の通りいろいろな世の中には事件が起伏しておりますから、そういう余地がこの法律の中に私は包蔵される、そういう危険があるという観点に立ちますから、そういうことは予想していなくても、法律というものができますれば、もう昨日も言つたように、法律法律だけでしかものを言えない。そういうつもりじやなかつたと言つても追い付かない。もうそれから先には法律を改正し、そういう裏をくぐる者がないように、その網の目をつめる以外には方法がない。そうすると網をくぐつて行くのはこれは大きな魚がくぐるのであつて、小さな雑魚はくぐらんけれども、大きな魚はくぐる。そうしてそこへ、いろいろ過去においても、将来においても絶無を期しがたい、いわゆる政党献金その他のいろいろな問題が、みんなが憂うるようなことが起らんとどこで保証ができるであろうか。なぜならば、私ども考えでは、船が日本国に輸入されて、その船会社が困つておるということと、その船を運営して日本外国どんどん外航船に出て行くということとは別問題だ。今困つておるのは、船が困つておるのじやないのだ、船会社が困つておるのだ。船はどなたが使つても一向差支えない。人間のように人格があるわけじやない。誰でもチヤーターし得るし、裸傭船でもできるわけなんだ。船会社が動かなくとも、船は立派に日本の国際海運に役立ち得る。そうして大部分が思惑で輸入したものなんですから、それは利子の補給をやるというような、行政措置によつてそういうことをやるということが、この法案と同時に一応審議の対象なつたわけであります。であれば、一応許可ができたからといつて、どうにもできんというようなことは、私は非常に甘いのじやなかろうか。現に今融資確約書を先に持つて来い……、銀行は、船会社は如何に損失補償があつても、それを競売した後に損害額の三割まで補償するというのですから、銀行としては随分補償があるとしたところで、いやな貸金の、長い間利子もろくに取れるか取れんかわからんが、そうして最後に破産か何かして、或いは競売処一分にして、そうしてその残額が三割までだつたら三割は国家が補償する、そういうことであるから、貸付けることは欲しないが、さればといつて得意先から何かそういう建造許可が前提に要るということになれば、先ほど岡田局岳が言われたように、確約書が倍額も三倍も出て来る。それは何にしろいよいよのときは又別ですから、ただ資格を取るためだということであれば、銀行としてはそれはなかなか拒絶し得ないのだ。それで岡田さんがお苦しみになつておると思うのですが、そこで実際問題にはそういう食い違が起つて来て、そして運輸省としては処置に困る問題を包蔵しておるということをお考えになりませんかなりますか。そういうことは断じてないと言い切れますか、どうですか一つ……。
  121. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 一松先生の御質問は、外航船舶建造融資利子補給法は、法文の建前では、財政資金の付かないものでも一応対象にし得ることになつております。そういうものに対して、財政資金の付かない者が建造融資に対する利子補給を強引に申請した場合にそれを防ぎ得るかどうか、こういうふうな点じやないかと思うのですが、これはまあ私どもといたしましては、若しそういう者を対象にいたしますると予算が不足いたしまするし、財政資金の付いている者に対する完全な利子補給というものができないわけでございますので、これはこの法律の運用に当つて、そういう面を何らかの形で明白にしておくということが必要かと存じます。従つて今後そういうものがむやみに割込んで来るという余地を残さないようにしておくという必要があろうかと思います。
  122. 一松政二

    ○一松政二君 それで海運局長のお考え方は、将来そういうことはあり得る、あるかも知れない、従つてそういう措置は、今後この法律案が通つた左らばそういう措置もいずれ考えなければならんということでありますから、それは一応了承しておきますが、私には今の思惑で輸入して来た船に対して利子の補給ということがわからないのです。これは今丁度衆議院から提案者がお見えになりましたから、如何なる根拠と如何なる理由によつてこの買船のほうに利子の低減をされるようにしたのか、そのお考え方を伺いたいわけです。
  123. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 御承知の通り買船業者は非常に利子負担能力が左いのであります。従いましてこの外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の対象とはいたしませんでしたが、別途開発銀行の金利を五分にする、或いは又日銀の外貨貸しのほうを二分五厘低下するというような金融措置を講じまして、この負担能力の低減ということを図つたのでありまして、新造船或いは計画造船を合せて、買船のほうを別途において救済方法を講じたような次第であります。
  124. 一松政二

    ○一松政二君 私はそのやつた結果を聞いておるのではなくして、如何なる理由によつてそういうことをやるのか、その理由を承わりたいわけです。
  125. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) その理由は、先ほど申しましたように、買船業者がこの買船に対しまして利子の負担能力が非常にない。今日御承知の通り、その外国船の、輸入いたしましたその船舶能率も余りよくなく、運航いたしますと非常にマイナスができておる。これは午前中政府説明しておりましたように、あの当時の政府の方針としまして、輸入船を奨励した節もありますので、さようなものに対しまして利子の低減方策を図つて、これが救済を講ずることが至当である、かように考えてこういう措置を講じたのでございます。
  126. 一松政二

    ○一松政二君 然らば伺いますが、この輸入した船の平均船齢とその平均トン数はあらましどういう程度のものでございますか、それを承わりたい。
  127. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 船齢の細かいことは一々記憶しておりませんけれども、船齢は相当古いもの、およそ二十年前後のものでなかろうかと記憶しております。そうしてそのトン数はここへ表で提出しておる通りでありますので、それを以て御承知願いたいと思います。
  128. 一松政二

    ○一松政二君 私はこれはもう大体二十年と言えば、外国ではおおむね償却し尽した、ゼロに来ておる船下、あろうと想像されるわけなんです。素がたまたま朝鮮事変が起つた結果、世界的暴騰に際して、この大部分が思惑で輸入した船であることは間違いございません。而もこれは船は物なんです。船という形はしておりますけれども、物です。あの当時あらゆる商品の輸入を政府が積極的に或る意味において奨励しました。そうして備蓄輸入のような恰好をとつて、それが今日まで経済界の癌をなして、そうして倒産者が相次いで更に今日倒産に瀕しておる会社がたくさんある。ただ表に出ないだけである。私はこの十月、十一月頃に至つたら惨憺たる状態を呈するだろうと思います。それに対して政府としては何らの措置をとつていないから、私はとるべしという考え方を持つております。むしろ積極的にとらなかつたからますます病は深くなるだけである。それをほかの産業に比べて等しく思惑輸入でそうして因つてつて、それは金利も払わなければならん。金利をただ手形で払つているだけで、その手形も不渡手形で、銀行は皆証書貸付の形になつている、船会社は恐らくそういうのがあることだろうと思います。私が伺うのは、これだけの船会社の中に、どれだけの倒産者が出ているかを伺いたい。
  129. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 倒産者とは言えないかも知れませんが、相当この輸入船を抱えて苦しんでいる会社があることは御承知の通りであります。従いましてかような問題に対しまして、私も衆議院におきまして政府当局に対しまして、おつしやる備蓄輸入の措置なんかにつきまして、今日経済界の癌をなしていることは了知しております。政府にも問い質したのであります。私の見解も、これは業者の思惑があるから、業者みずからも負担しなければならん、が、併し政府みずからもできるだけの措置を講じなくちやならん、いわゆる金融業者のほうも又その責任の一半がある、三者分け合つて共同責任を持ちながらこの癌を解決すべきだということを強調したこともございます。この買船の問題につきましては、我々がこれを取上げましたのはその一つの現われでありまして、金融の面に政府が力を入れて、今申しましたような開発銀行と日本銀行の外貨貸付に対する引下げの措置をとる。従いまして業者のほうにもその責任の一端があるというので、このいわゆる外航船舶建造融資利子補給並びに損失補償法の対象、即ち政府が利子の補給までしな誉やならん、これは金利を低下する措置まで講じて政府並びに金融業者の責任の一端をここに現わす、こういう意味でありまして、多少新造船とはちよつと手心を加えた措置をとつておるということを附加えて御了承を願いたいと思います。
  130. 一松政二

    ○一松政二君 結果においては同じことだと思うのです。多少手心が加わつておるだけで、結果については同じと思うのですが、この四十一社は、今日の経営状態でどの会社も苦しいには違いないけれども日本ではいわゆる一流会社が相当並んでおるし、全然それとは縁もゆかりもない一杯船主と俗に称するのも顔を出しているわけです。普通の貿易業者及び生産業者においては今日倒産者が相次いでいる。これだけの船会社の中でどれとどれとが倒産しておりますか、ということを伺いたいのです。
  131. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 私からお答えいたしますが、或いは多小間違つているかと思いますが、橋本汽船、これは相当由緒ある船会社でございますが、最近、別に会社を解散はしませんが整理をいたしまして、そうしてすつかり川崎汽船におんぶしてやつている。一応今までの陣容なり会社の内容なりを整理して、会社は潰れませんが、内容はそういうふうになつておる。それから南国汽船というものも、これは先般新聞にも出ておりましたか、不渡手形を出しまして破産状態になつておる。ほかの会社は、まあ歴史も古うございますが……、それから第一汽船がすつかり社長、会長、重役全部変りまして、会社の内容を整理して、大阪商船から副社長なりその他を派遣して事実上大阪商船の一部というふうな形になつておる状況であります。その他のものにつきましてはつまびらかではありませんが、今非常に苦しい状況に至つておりまして、中には、外国への分割払の金が残つているわけですが、その金の支払が非常に困難でまさに破産の一歩手前にある会社が相当あるということを聞き及んでおります。
  132. 一松政二

    ○一松政二君 海運局長に伺いますが、大体においてそうはつきりしたことは無論わからんと思いますが、この輸入船価のデツド・ウエイトートン当りは、輸入された時は大体幾らぐらいで、今の船価では一体幾らぐらいになつておるか。それから今度利子の低減を図るとこれが直ちに船価に影響を与えて来ると思いますが、それらの輸入船価と現在の船価はおよそおわかりでございましよう。それからこの利子の補給を、補給という言葉は違うかも知れませんが、低減によつて船価がどのくらい上るというお見込でございますか。海運局長でも、提案者からでもよろしうございます。
  133. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) ちよつと今手許に資料を持つておりませんが、三井船舶あたりで買いました船は相当性能が優秀でございますので、たしか六億か七億ぐらいに付いたかと思います。その他は平均いたしまして二億乃至三億で、安いものは一億五千万円、こういう船の値になつております。それらの船の船価がどのくらいになつておるかということでございますが、私最近の買船船価の点は調べておりませんが、或いは値段として半分近く下つていはしないだろうか、かように思います。それから今度の金利引下げで船価が上るかどうかということですが、金利を引下げましても、国内における買船の売買ということは、今こういう市況でございますから、そう行われるということはないかと思います。買船舶主の金利負担はそれだけ低減する。金利負担といいましても、大体今度の措置によりまして金利が下りますと開銀から貸付を受けております六億ばかりと、日銀の外貨貸付から貸付を受けております十六億円ばかり約二十二億円について二分五厘が下るわけでございます。従いまして年間の金利負担の低減が六千万円、五千五百万円ぐらいの程度でございます。
  134. 一松政二

    ○一松政二君 結局煎じ詰めて言えば、これは船を対象としたものじやなくて、結果はただこの船会社をそれだけ救済しておるという印象を与えると思うんですが、そうは考えないのですか、御意見を承わりたい。
  135. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 別に船会社対象としたわけではありません。先ほども申しましたような理由によつて買船に対して何らかの措置を講じなければならんというので、開銀と日銀の外貨貸付に対する金利を引下げたのであります。併し御承知の通りこの買船たけを持つておる会社も或いは例外的にありましようけれども、ほかの船舶と総合して会社を持つておるので、一方この法律案対象となつておりまするところの新造船外航船と併せて、間接に会社に対する対象ともなり得るものと思います。従いまして利子補給をやりまして、その一定の配当利益率を挙げますと、それを停止したり、或いは一定の利益率になりますと、今まで出した補給金を取上げるというような措置も講じております。そういうところも併せまして、この買船措置が会社に対する措置になるかとも思いますが、それは相関的なものであります。
  136. 一松政二

    ○一松政二君 私は、こういう時代にはいわゆる合理化が行わるべきであつて船会社の救済に出しておるという言葉はございませんが、一杯船主が思惑をやつて、その思惑が外れて苦しむのは私はこれは止むを得ないことだと思うのです。今海運局長から承わると、輸入船価と今の日本船価は大体半分ぐらいじやないかというのは、これもまあ別にそう権威をあらしめるようなふうに私は聞いたわけじやないんだから、ただ想像でございますが、一昨昨年のあのブームの時代に輸入されて、国内で、或いは国外でも日本が輸入して来て価格が三分の一に落ちている商品は幾らもあるのです。それがために日本国内においてもそれが一波万波を呼んで、それがだんだん化膿しつつあるのが今日の現状です。だから私は改進党でそういう問題をお取上げになつて、そうして一般的に日本の経済界がだんだん醸しつつあるこの状態に対して、船会社に伸べたと同じような手をお考えになつておるかどうか、一つ伺いたい。
  137. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) この間提案理由をちよつと御説明しましたが、あの際の前提として、船会社自体の合理化を図らなきやならんということを御説明申上げましたが、法律の面では、単なる健全なる振興を図ると書いてありますが、我々のかようなことを考えました前提としては、船会社並びに造船業者の合理化、企業努力を引上げるということを前提としてやつており、又衆議院におけるこの法案を通しましたときの附帯決議におきましても、その点を明らかにした。一松さん御承知でありましようが、この処置は改進党が最初提唱しまして両自由党と相談し合つての共同提案であります。この買船の問題はむしろ自由党の政調会のほうから出されました。そして我々もそれに共鳴して来たものですから、詳しい買船趣旨はむしろあなたのほうのお党にお伺いになつたほうが適切ではないかと思つております。
  138. 松浦清一

    松浦清一君 関連して。今まで質疑の過程をずつと聞いておりまするというと、今度の利子補給は特定の会社を助けるのか、船を助けるのか、大まかに言つて、そういう質疑が行われておるのですが、私の了解しているのは、若し買船にかかわらず、新造船にかかわらず、船の売買が行われて甲かち乙へとその債務が引継がれた場合に、やはりその債務について国の救済というものがあるなら、船主についているのでなしに船についているものだと了解しているのですが、その通りですか。
  139. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 私はさように了解しております、船についておるものと。
  140. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、この法律案の精神というものは、特定の船主を助けるというのではなしに、新らしく船を造る場合には、やはり船そのものを容易に建造し得るという状態に置こうとすることがこの法律の精神だと、こう了解しておりますが、間違いございませんか。
  141. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 大体さような趣旨で作つたものでありまして、我々は海運企業の健全なる発達と、それから外航船舶建造の促進ということを目的としてやつておる。併し先ほど言いましたように、船舶自身を助けるということが、それがやはり総合して企業となり、企業が会社となつておりますから、全然会社に関係ないというわけには行きません。海運事業の健全なる振興ということを目標としているということを御了承願いたいと思います。
  142. 一松政二

    ○一松政二君 今の説明買船については、むしろ自由党の政調会が音頭をとつたように承わりまして、私は甚だ不明で意外な感じがいたしますが、それは一つその点で御了承を願いたいが、併し提案されたのは、結果から見てそうでずが、そういう点は私も一応了承いたしました。ただ私は船についての補助でありますことは、今の説明通りでありますけれども、それが従つて会社の救済になる。私は救済になることを全面的にいかんという主張ではないわけであつて、ただ私が一番今日の日本の自立経済の建前から憂えていることが一つある。それは提案者も御承知でございましようが、第二次欧州大戦、昭和十二、三年、昭和十二年支那事変が起る前のあの十五年間、二十年間のあの惨澹たる経験をなめて、日本の初めて……、いい悪いは別問題でありますけれども、支那事変から遂に大東亜戦争を戦うだけの国民的素地があの陶冶によつてできたわけです。負けた日本はあの当時以上の或る場合においては耐乏とそれから独立心とそれから忍耐心といわゆる臥薪嘗胆というか、古いと申されるかも知れませんが、それだけの国民の勇気を振い起して日本の自立経済に向わなければ、私は到底日本の自立経済なんぞ及びも付かんと思うのです。ところが戦時中及び戦後に非常に経済の或い一は企業の経営のやさしい時代が何年か続いております。そうして皆さんが非常に不足経済に慣れておりますから、余つた時代に、世界的に物が過剰な時代に処している経験が非常に乏しいと思う。従つてすぐ物が売れない、或いは荷物がない、物が下るというと、あわてふためいて救済を政府に迫る。政府は金は一文もない。政府のある金は予算の金以外には一つもない。国民が税金を納めて政府に初めてその金が出て来る。従つて政府が出す金はことごとくこれは国民の膏血なんであります。膏血を或る産業にやれば、それは非常に公平にやらなければならん。併しやる前提にはそれだけの苦難に耐え、それだけの覚悟を持つている人間にやちなかつたら害になります。かわいい子に旅をさせろという言葉があると同様に、私はこの感じから言えば、日本外航船舶に対する融資も補助も結構ですが、船会社が今悲鳴を挙げているからということで、今直ちにこの法案を通して船会社を……、私は船会社の救済とあえて言いたい、船の救済でありますから。船会社を救済することは却つて他日に癌を残すのじやないか。もう一年か二年ぐらいは苦しんだほうがよろしい。非常に悲鳴を挙げておる、倒れるように言いますが、皆さんがそれほどの資格を持つていれば結構なんです。今日やつても結構なんですよ。尤も私はその苦しみ方の限度が、戦前の経験者よりも後の人のほうがものを私はイージー・ゴーイングに考え過ぎると考えます。従つてよほど手綱を締めておかなければ、救済の目的を達せずして、安易に流れやすい危険があるのじやないか。そこで私は今日救済すれば立ち上る、来年では遅過ぎるのかという論議を、一応は我々はこの法案を審議する建前としてとるべきが我々の任務であろうと思う。船が率先してこのことをやり出す、そうしてそのよつて起ることは外貨の獲得、貿易が不振であるから外貨を獲得するといケことを金科玉条としておる。外貨の獲得という建前から言えば、これは輸出産業はことごとく外貨の獲得なりと言いたい。然らば百姓の作る米は外貨獲得じやないのか、私はこれは同じことだと思う。米がうんとできればそれだけ外貨の節約になるのだから、米をうんと作ることも私は決して甲乙を言うべからざるものと思うのですが、どういうものか、今までの概念から殆んどこの船だけが外貨の対象となるように、それは現実に外に出て働いて、丁度移民が金を送つて来るようなもので、それだけが目につくから私はそういう感じがするのであると思いますが、そういう感じが非常に深いもので、従いまして私はまだ今日の段階で直ちにこの三分五厘まで、三分五厘と言えば、もう世界の一番競争のできる英国あたりの標準まで来てしまつておる。私は大体日本金利が高過ぎると思う。これは金融政策のまずさもあるし、貸本の蓄積の少いということも一つの理由でありましようし、社会情勢の悪いことも一つの原因でありましようが、金利が高過ぎる。三分五厘くらいになるのがまあ当然でありますが、銀行金利でさえ年一割程度になつてしまつて、多くのものはまだ非常に割高の金利使つておる。これでは日本の独立はできない。そこに持つて来て精神状態がまだ自立に行つていない。精神状態が自立に行つていないところにおいて、競争のほうだけが一遍にそこまで行つてしまつておるような感じを受けてしようがないのである。これを私はあえて、今日皆さんがこの三派で提案されておるものを、私がここでこれに正面から反対しようとは考えておりさせんし、そういう気持はございません。ございませんけれども、私は運輸大臣にも午前中に申上げておきましたが、船会社の気分が果してこれに値いするか否か、運用する虞れはないか。そうして又造船船価を引下げる、その他の措置が講ぜられるのでありますが、大体造船企業者は、或いは造船の従業員は一体どういう気持なんですか。国の乏しい財源の中から、直接にしろ間接にしろ、それだけの保護を受ける建前に立つて、それの経営者及び従業員は、一体それに値いするだけの心がまえ矛持つておるかどうかということを、私は一応提案者に伺つておきたい。若しそういうものがまだ不足のような感じがするならば、どういう方法をおとりになろうとするのか伺いたい。
  143. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 一松さんのおやしやることに私も賛成するところが多いのであります。今日海運業者並びに造船業者が大いに自粛を図り、企業努力をいやが上にも発揮して、そうして大いにやるべきことをやり、合理化を図つてみずからの力で伸びて行こう、この心がまえの必要なことは全く同感です。そこを私たちも一人前提といたしまして……、併しながら如何に企業努力をやり、如何に合理化を図つて見ましても、今日の日本海運業を見ますというと、このままではどうしても国際競争に立ち行かない、それが遅れれば遅れるほど、日本海運の進展を妨げる。今このときこそ、どんどん外国に進出して行かないというと、お得意をここ一、二年の間に失い、新造船もできないということにたりますと、この海運の再建を図る上において、非常な支障を来たす。一日も早く日本海運の再建を図りたい、かような趣旨から、運輸省その他関係各省に対して業者の自粛、業者の奮起ということを、業者と共にしつかりやつてみたいということを期待しながら、この金利を国際水準まで引下げる、そうして日本海運の振興を図りたい、こういう気持から提案いたしたのであります。他の産業との関連もあることは実はよく承知いたしております。併し何と申しましても、基幹産業のうちの最も最たるものと私たちは考えております。而も御承知の通り海運業というものは、他の産業に比して一層好景気、不景気の荒波の変動の激しいものですから、この時代に底を割つてしまうということになるとなかなか再建ができないから、この際国の力を以てこれを助成したい、そうしてこの日本海運を順調に振興させたい、そういう今気持であります。併し同時に我々も、おつしやる通り、この補給金ということは国民の尊い税金からこれは直接間接毎年上げて行くのだから、従いまして海運業が一人前になり、例えば相当の配当もできるようなことになれば、この補給を停止する、又より以上の配当ができるようなときには、我々は今まで補給金として与えておつたものを巻き上げてしまう、そういう措置をとりたいと思つております。海運業みずからの力によつていやが上にも発達させる、こういう気持からこれを提案いたしたのであります。私は一日も早く、この日本海運が順調に参りますように、一年延びればそれだけ遅れる、かように考えております。
  144. 一松政二

    ○一松政二君 そこで多少私見解が違うのでございますが、今日の場合に利息を払えといつたつて払えなければ放つておくような状態なんです。結局手形上の債務がそれだけ殖えるわけです、私の感じから言えば。今度のこの法案によれば遡る、ずるく考えれば、もう一年苦しませて、同じことをやることができるのだ、この法律の建前から言えば。私はなぜそういうことを考えるかというと、昨年でしたかのストライキに、船会社配当もできなかつた。たしか退職金の要求か何かだつたと思いますが、船の出航をとめてかなりのストライキをやつたと思うのです。その造船所においても仕事がないよりはあるほうがいい。六割の利息払いを食うよりも、安くても働らいたほうがいい。解雇されるよりも安くても働らいたほうがいい。或いは残業を或る程度犠牲にしてもやる。私は先ほどのことを繰返すようになりますが、そこまで精神が来ないというと、私は将来において却つて甘やかすことになるのではあるまいか、大事な国民の膏血をその方面に割いて甘えたのでは国民に対して申訳ないことだと思う。この点をよほど私は把握してその線を従業員に……、若しこの法律案が今日ここで通つて、そうして施行されるならば、私はむしろこれは通らない前に、先にそういう証拠を見て、これならやつても大丈夫だというふうに行くほうが堅実であるような気がするのです。併し不幸にして衆議院からごこいう案が出されて来て、大体皆さんも恐らく了承するであろうと思いますが、そうなると私の感じから言えば、本当の目立経済の建前から言えば、少し早過ぎるような気がするのだが、併しそれでも、今度は実施するときにそういうことを従業員に心から徹底して、そうしてこれは多額の国民の税金を注ぎ込んで我々の事業を支えておるのであるということが従業員の一人々々に、経営者だけじやございません、従業員の一人々々に浸み渡るように措置をしてもらいたいと思うのですが、その点に対しての御意見を承わりたい。
  145. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 一松さんのお気持はよくわかるのです。而も会社に対して協力、並びに従業員に対してよりよく協力してやる、そういうことにつきましては、先ほど繰返して申しましたように、私たちもこれを前提としてやつております。ただ一つ違うところは、一松さんはもつともつと苦しめて、極端に言えば、会社がもつと行詰つて降参した、その辺のところでやつたほうがいいのではないか、こういうふうに受取れるのですが、そこは私少し見解が違うのでありまして、私はやはり業界が混乱に陥つて、どん底に行つてしまつてはなかなか蘇生するのに厄介である、先ずどん底に陥ろうとする見通しのあるところで、まあ救済といいますか、そこに育成助長の途を講じたほうが適切じやないか。転ばぬ先の杖と申しますか、完全に行詰らん先に措置を講じたほうが、日本経済の自立の上にいいのではないか、そういう気持で私は衆議院から幸いにして送つたものだと考えておるのであります。これはただ繰返して言いますが、業者の自粛並びにそれに関係するところの従業員諸君の自粛、これは全く賛成でございまして、この点は私たちも政府当局に、かような措置を講ずる前提としては、十分にその措置政府にとれということをやかましく申しておるのであります。
  146. 一松政二

    ○一松政二君 私は意見だけを申上げておきます。今のあなたのお話に、業者は、先ほど申上げましたけれども、非常に混乱する混乱すると言うて驚かしたり、いろいろ陳情して来るのです。私は第一次欧州大戦からずつと経験がございますが、船は混乱したり、運賃は暴落して若浜の石炭運賃が六十銭まで行つたことも、自分でも知つており、契約したこともございます。繋船をしたこともございます。併しながら政府は何ら措置をとつておりません。併しながらそういう事態においては立ち直る者は立ち直り、潰れる者は潰れ、起きるものは起きて、船も変る者は変り、持つ者は持つて、それがために日本海運の困つたことは今まで聞きません。併しながら戦後には非常にそういう例をたくさん聞くのです。でありますから私はそういう点は、私は実業家の出でありますから、自分で企業の何ものかということも、あらゆる経験を持つておりますから知つておりますが、おおむねつまり声が高い、丁度国会に陳情攻めに来ると同じような、丁度そういう声がありますから、それは我々として或る程度割引をしてものを考えたい。私はちよつとそれだけのことを申上げて、あなたに対する質問は一応これで打切りたいと思います。
  147. 木島虎藏

    木島虎藏君 関連質問ですが、今の一松さんの質問ちよつと関連するのですが、ここで表を見ますと、非常に海運会社の数が多いようですが、こういう税金から補助をするときに、この会社の整理統合をなさる、例えば外国にやらなければならない、外国に支店を持つにいたしましても、一人の出張員を出すにはなかなか金がかかる、この会社はどういう会社か知りませんが、何軒か合同して一人出しても間に合うようなことがあるのじやないか。そういう意味合いにおいて、できるだけこういう機会に企業の合理化という観点から、会社の合同なり合併なりというようなことを慫慂なさるような御意思はないのですか。
  148. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) それは私よりも政府が答弁したほうが適切かと思います。私はさような海運企業の合理化ということには賛成です。ただ併し一般の国内産業とは多少趣きを異にしておるところがあります。御承知の通りこの船会社にはオペレーターとオーナーとあるわけでずが、今おつしやる外国に支店を持つたり何かするというものは、オペレーターがやつておるのであります。オーナーは船を造つて、それをオペレーターに貸しておるというのがあれでありまして、普通の或いは電気産業とか、或いは鉄道軌道とか、バスとかいうような、合同して一つにすれば、非常に無駄が省けて、施設の重複をさいて非常に合理化になるのですが、船会社のそれは合併したほうがいい場合が多くありますけれども、電気屋とか或いは鉄道とかいうように、それほど顕著に合併の利益が出て来ないということだけは、一つ了承を願いたいと思います。併し合理化をやるということは、私も賛成でありまして、これは政府の方針をお聞き下すつたらよくわかると思います。恐らく政府もそういう方向で進んでいらつしやるのではないかということを私は推察いたしております。
  149. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今の御質問に対する政府の見解を提案者から述べられたことと大体同様の気持で進んでおります。船会社の数が少ければ少いほど結構だ、こういう気持であります。併し船会社は数が多うございますけれども、これは皆それぞれ長い歴史を持つた会社が多うございまして、そう一朝一夕に整理統合して行くということはなかなか困難かと存じますが一又或る場合にはいわゆるオーナーたるものを利用することが得策である点もあるわけであります。傾向としてはそれを望みますけれども、今それを直ちに実施するかどうかということは、相当慎重に考慮した上やらなければならない、かように存じます。差当り今船会社の数が多くて少し考えなければならないのじやないかというのは、むしろオペレーターの数でございます。オーナーはその船をオペレーターに提供して、船はオペレー夕ーが動かしておるのですが、そのオペレーターの数が戦争前に比べて割合に多い。併しそのオペレーターはこれ又相当の歴史と基礎を持つておる会社でありまして、これ又直ちに合併するということは非常に困難かと存分ます。そこで何らか海外航路を経営いたします場合に、経営の協調といいますか、そういう面で無用の競争を避ける方法を講じて参りたい、或いは無駄な出費を防ぐ方法はたいか、こういうことを考えまして、目下そういう線に沿つて各社の指導をいたしておるのでございます。それぞれの歴史、地盤、こういうものがありまして、一朝一夕には行きませんが、そういう気持で進んでおるのであります。
  150. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この法律案について内容を少し明らかにする意味で、事務的な問題が多いのですが、お尋ねをしておきたいと思うのです。一番重要な問題は十二条、第十三条の問題だと思いますが、この十二条、十三条に書いてある決算において計上した利益というところですが、政令に委任することになつておりますから、一番重要なポイントは、政令できまると思いますが、先ほど伺うと、別に三派で政令内容について打合せたり、或いは覚書を交換したものはないという話ですが、そこで当然のことのようですが、念のために伺つておきますのは、利益の計算方法なんです。これには普通の法人の積立金や法定積立金や、或いは税法上当然認められる特別償却、それから恐らく現在船会社は非常に欠損を繰越しておると思うのです。そういう繰越した欠損、そういつたものを刀バーして、そうしてなお且つ利益があつた場合のその利益率を見るという趣旨だと思うのですが、そう解釈してよろしうございますか。
  151. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 利益の計上につきましては、今新谷君からおつしやつたような気持で提案者考えております。三派の間に口頭の上の申合せがあるのであります。それを書き物にして判を押すことは別問題でありますけれども、そのときは一定の利益という言葉を使つております。併し一定の利益と申しましても、その気持があるわけです。これはまあ最初は改進党から提案したのですが、改進党から提案いたしました気持は、大よそ配当一割ぐらいができる、それを超ゆるものに対しては停止しよう。それからなお配当が一割五分を超ゆる、そういうようなときになれば、既往に遡つて今までの補助金を出しておつたものも一割五分を超ゆる利益の半分ぐらいは過去に遡つて返さして行く。そして今まで補給金としておつたものをだんだんと全部返すように処置しよう、こういう気持で行つておりまして、それを配当率で現わそうかということも考えたのでありますが、配当率ということだけで現わしますと、その会社の経営政策によりまして、高配当主義で行つたり低配当主義で行つたりするところもありまして、配当でやりますということは面白くないというので、利益率で行こう、こういうことにしたのであります。政府にその政令で委ねることにしたのでありますが、これは御承知の通り金利状態というものが、経済状態というものがいろいろ変遷いたしますので一余り法律で固定するのもどうかと思う。先ほど言いましたように、資本構成が非常に今日は変態的でありますので、いろいろと変つたところもきめなくちやならん、又今あなたみずからがおつしやるように、前期の繰越損金をどうするとか、或いは特別償却をどうするというようなことを法律でくどくどしく書くのは、立法技術上相当むずかしい節もありますので、それを政令に譲つたのであります。提案者の気持は先ほど申しましたように、配当一割五分を超えるものは既往に遡つて返させる、こういうまあ大体の骨子でおるということを御了承願いたいと思います。
  152. 東隆

    ○東隆君 今の配当の一割ですが、これは非常にむずかしい問題なんであります。例えば資本の再評価をやる場合、それから増資をする、これはもう当然起きて来るのじやないかと思うのです。そうすると、これは永久に問題が解決されない。それからこの場合に元金のほうの回収は相当延ばしてもいいという方面もありますが、こんなふうに考えると、非常にやり方によつては無利息の金をたくさん借りたというようなことも出て来るので、この辺はどうなりますか。
  153. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) おつしやるようなこともある場合が想像できると思います。従いまして政府に経理上のいろいろな監査権を与えたのもさような意味から出て来ておるのでありまするが、併し大体の点から申しますと、今の海運界で再評価をするという余地は現在のところでは余りあるとは私考えておりません。ほかの陸上設備はいわゆる旧円時代の評価になつてつて再評価の余地は非常にありますが、今の海運は古船というものは殆んど全部戦争のためにやられました。多少戦時標準船が残りましたが、これらは皆改造をやつて相当に金がかかつております。概括論から申しまして、ただ増資ということは考えられる。併し今の海運企業の資金構成を見ますと、非常な日本海運界は変態です。戦前は大体資本構成を見ますというと、自己資本が七割程度、外部資本が三割、これはイギリスなんかも大体そういう傾向で、むしろ八割程度自己資本で、外部資本は二割程度と記憶します。ところが現在の日本海運界は、自己資本が一割七分、二割以下であります。そうして殆んど外部資本に頼つておるというのが現状であります。企業の健全性から申しますと、やはり自己資本がもつとより多くなつて外部資本が少いということになると、そうすると、資本も非常に弾力性があります。今日日本海運界が非常に困つておるのも自己資本が多ければ、例えば七割ぐらい自己資本でしたら、七割のものを無配にしてしまう、そう行けると思うのでありますが、外部資本が多いために非常にやりにくい面があります。従いまして長い目で見れば、例えばこの補給金をもらいたいために増資をして行く、いわゆる補給金の停止を免れるために増資をして行く、この補給金を停止することを免れるという点から言えば、非常に脱法行為のように見えますけれども、ひどく大きく海運企業の健全化を図るという意味ならば、増資のほうに向いて来ることがむしろ歓迎すべき二とだと思います。要するにこれは海運企業の基盤をしつかり作るということでないか、そのほうに向くことを歓迎すべきじやないか。併しそれも程度がありまして、余り極端に濫用される虞れのあるときは、そこは政府のほうで経理上のいろいろな角度から見てそのほうを抑えたい、こう思つております。その辺は適切な運用によつて万全を期したい、かように立案者は考えたわけです。
  154. 東隆

    ○東隆君 今の、政府が監督をするという点ですが、私はこれを見まして、二十三条ですか、実は罰則が三万円というのは、これはまさか自己資本の増額を、蓄積をやるのに都合のいいようにしたわけではないと思いますが、これは何か使われる資本の額が非常に大きいのに反して、それが余りに問題にならないように私は思いますが、これは何か特別な考慮を払われたのですか。
  155. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 実はこの経理上の問題につきましては、罰則の三万円という問題よりも、むしろ何条でございましたか、勧告をいたしまして、そして返還命令という規定がございます。十四条と十五条でありますか、今まで補給したものを返せ、これが一番実質的な規定でありまして、又こういう監督規定ができたのも、補給金をやるためにこういうものをこしらえたのでありまして、三万円の罰金とか何とかということは、ただ諸般の報告事項は怠つているというときに三万円を取るだけでありまして、実質的には今まで補給しておつたものは返せ、そこに重点を置きまして、実は提案者のほうは、この十四条、十五条に重点を置きまして、今の三万円の罰則の点は一般の立法例に従つてつたのでございます。これは諸般のいろいろな業務報告を怠つたり、いろいろな虚偽の報告をやつたというようなときには、単にこの法令ばかりでなくて、一般のかような立法例にある原則に従つたのでございます。さように御了承を願います。
  156. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 有田君のお答えの通りであると非常に結構なんですが、なおこの運用については、例えば船会社によりましては、船舶の保険料の一部分を自家保険をやつて、一部は他保険でやつておる。名前は何となつておりますか、保険積立金という名前になつておるだろうと思う。積立金でやつておる。これは実は保険料に類するそういう種類のものもありますし、それから四年に一回受ける定期検査のために、修繕をするための積立金、これは修繕積立金というような名前になつておるかも知れませんが、併しこういつたのは毎年起ることじやないので、やはり四年間の蓄積によつて修繕の準備をしようというので、これは当然経費であります。ただその場合に、積立金に関しては、法定積立金以外はいかんというようなことになつて海運の実態に副わないようなことになると困るということを考えますので、この点はあなたからもそういう御答弁があつたし、なお政府委員も来ておられますから、海運の実態に即した政令政府においてお作りになるように特にこれは御注意を願いたいと思うのです。  それから十二条、十三条に関しましてこういう点はどうお考えになるでしようか。例えば今お話なつたような配当一割というようなことを仮に仮定いたしますと、恐らく利益率から見れば、一割プラス、アルフアーだろうと思うのですね。そこで、この補給を停止したり、或いは十三条によつて返還さしたりする場合に、いやしくも一割を超えたら、例えば一割一分であつても、今度はその決算期の補給金は全部停止してしまうというような規定のように、読んだらそう見えるのですが、その場合はどうなんですか。一割を超えた部分について、超える部分だけ補給を停止する、或いは一割を超える分だけ、これだけの利益率があつた場合には、十三条によつて返還させると、つまり、海運会社で配当を一割以上やれるというのは、恐らく何年に一遍しかないだろうと思います。そういう場合に、一割以上になつた場合には、すべて何といいますか、この期間中の決算期の補給金を停止したり、或いは前に遡つて返したりというふうになりますと、大体、まあこの政策として、何もその海運会社が補助を受けて多額の配当をしたり、高率の利益率を挙げさせる必要はないと思いますが、併し、これは殆んど国からの借金によつて今まあ船を造つているのですが、やはり自己資本というのが基準になつておるわけです。今後4増資等のことがあつて、成るべくならば資本蓄積によつて増資をやつてもらいたいというのが政府政策だろうと思うのです。そういう点からいうと、非常に増資の場合にも差支えて来るだろうし、他からの民間投資というのが、むしろ逆に非常に抑制される結果になるのじやないかという点を考えると、或る程度やはり利益率というものは認めてやらなければなるまい。いやしくも一割以上になつたら過去に遡つてまで返してしまうというような御趣旨ではないように思うのですが、法文を読んでみると、そういう場合は返してしまうのだというふうに見えるのですが、この点はどういうふうにお考えなんですか。
  157. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) まあ第一点は、政府に対して、この計上した利益の率のきめ方に対して適切にやらないというと、非常に変な結果が出て来ると、その点を政府は注意しろというお話です。これは我々が立案をやりますときにも、政府当局にはよくその点を実情に合うようにやれということはしばしば申しておいたのでございます。でございますが、いずれ政府からもあとで正式の御回答があると思いますが、提案者といたしましては、政府に対してその点は十分話しておるわけでございます。  それから次の、例えば配当一割を超えたときに、ちよつとでも超えると皆ストツプすると、ストツプすると又却つてマイナスになりはせんかと、この点はどうかと、それから又十三条で一割五分を超えたときに返したらどうかと、そのときも変になりはせんかと、こういうお尋ねですが、私はこの十三条のほうは、もう大体一割五分を超えると考えておるのですから、ストツプすべきものはストツプして、そうしていわゆる政府補給金に頼らずして、自前で一割五分ならできるというのですから、それからこういうものは半額を返すというのでありますから、そのほうは余り疑義がないと思います。併し十二条のほうは、例えば市中銀行、実際は一割一分だが、六分の補給をもらう、そうして五分の支払をして行く、そうして五分の支払をすると一割の配当ができる。それを超える、それでストツプされるというと、六分の補給をストツプされると今度はマイナスが出て来る。それがどうもおかしい。そうすると配当が大体九分くらいのものは助かつて、一割一分になつて来ると配当はもうもらえなくなつてしまうというような場合が出て来やせんか。併しそれはもう御指摘通りなんてありまして、そういうことを恐れて、政令にこういうことを委ねたのもその理由の一つでありますが、1提案者の気持としましては、さつき言いましたように、およそ一割足らずを固守するものでありませんが、ノルマルの計上方法をやりまして、一割の配当ができるということにめどを置いて適切な政令をきめて欲しい、こういうことを政府のほうに申しておるのでありますから、政府は今申したような、あなたの御心配のようなこんな矛盾したような政令はきめないだろうと提案者のほうは確信しておるわけであります。併しそれはいずれ政府のほうから正式にあなたのほうに御答弁があると思いますけれども提案者としては、そういうことを政府お話し、そういうことはしないだろうという確信を得たから、政令に委ねたような次第であります。
  158. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 時間もないようですから……、政府側で今有田議員が言われたことに若し反対なら一つ御答弁願いたいのですが、大体その趣旨でやるんだということであれば、別に答弁は要りませんけれども、とにかくこの政令に委任された事項は非常に重大な問題だと存じます。で、勿論国費を濫費するのは困るのですが、そういう点について或る程度の制約をしなければならんということは勿論だと思いますけれども、一方で海運事業が将来伸びて行くことを考えますと、今例に挙げたようないろいろなケースがあると思いますけれども、余りに抑え過ぎるために海運産業が将来とも興つて来ないで、その結果誰かさつき言われたような、政府に頼り過ぎちやつて自分の力で伸びようとするような気持をなくして行ぐようなことは非常に私はこわいと思うのです。ですからやはりこの点で政令をお作りになるときに十分その趣旨をくんで、今有田君が言われたような趣旨を十分盛るように政府側でも特に配慮して頂きたいと思います。  それから次は十四条に書いてあります勧告なんですが、先ほど運輸大臣とも話合いましたけれども、特に私は第二号の不当競争の排除についての勧告について質問をし、運輸大臣からは、そういう乱暴なことはやらないし、独善的なことはやらない。若しやる場合には必ず適当な機関にかけて、そうしてみんなの声を聞いて、その上で勧告をそれぞれ発動するのだというお話があつたので、その点はいいです。いいですが、第三号に書いてあります業務監査ですね、業務監査というと会計監査、経理の監査、私はこれは相当厳重におやりになつていいだろうと思うのです。併し業務の監査ということになると、非常にこいつはやり方によつては、役所のほうも困るだろうし、会社のほうも非常に迷惑だろうと思うのです。業務というと、とにかく船荷証券を発行してから運んで、どういう調度品を買つたとか、どう使つたというようなことが業務の監査には入る、まあそういうふうな非常識なことをなさるとは思わんのだけれども業務の監査というものを濫用されると、これは非審に船会社としては今度は仕事をする上に困つた結果になる、従つてここに書いてある業務の監査というものを、冗費を節約し不当な支出を抑えて行くというような面から業務にも触れる場合があるという意味で考えたいのですけれども、そういうふうに考えていいでしようか。
  159. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 提案者といたしましては相当の助成を、助成と申しますか、いわゆる利子補給を思い切つてつておる、従いまして停止とか返還とかいう措置も講じましたが、やはり同時に経理の改善に関する監査と申しますか、監督といいますか、それは相当やらなくつちやならん、それがまあ本筋なんです。ただ経理に関連するような業務があればいい。例えばここにもありますように、不当な競争をやつて経費を使つたりする面があるわけです。従いまして経理が中心ですが、それに関連するところの業務を監査する必要もあるだろう。又監督の場合には、不当な競争の排除というようなふうに限定しよう、こういうような気持から、かような規定を設けたのでありまして、飽くまで業務の面は関連業務というように提案者考えております。我々も運輸省の今の海運規則に対する行政監督の考え方から見れば、そう無理なことをやられるようにも思わないので、今の運輸省を信頼しておるわけなんです。併しこういうような、例えば勧告のようなことをやられるときには、これはまあ大臣も同様な意見のように承わつたのですが、例えば今御承知のように海運造船合理化審議会というようなものがありますが、ああいうような機関にいよいよ発動するときには諮るとか、又そういう機関に諮らなくても相当懇談的にこういうことをやるがどうかというような、正式の勧告の前のような措置も実際の運用としては講ぜられるのじやなかろうかと、こういうように提案者考えておりますが、恐らく運輸当局もさようにお考えになつておると私は信頼しておるようなわけであります。
  160. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今有田議員提案者として言われたような業務監査でありますと、これは絶対必要だと思うのです。併し一般的にこう業務を監査する、これはとても能力もないし、お互いにこれは非常に迷惑なことになるのです。特にこれがそのあとにある報告に関係することと思うのです。こういう条文をおくと、報告を取ればいいのだというので、丁度総司令部があつたときに、必要か必要でないか知りませんけれども、実にたくさんの報告書を各会社とも取られて弱わつただろうと思うのです。非常にたくさんの人件費をかけてああいうふうな無用な報告をただ書箱に積んでおくようなものを取らないように……。ですから省令なり、或いは政令なりで適当に、業務に関してはこういう報告は必要であるということを限定してお書きになると、その範囲がもつと明確になつて来ると思いますので、特に運輸当局はこの辺に御注意を願いたいわけであります。  それから損失補償のことですが、これは有田議員のほうの修正案には、損失補償に触れておりませんが、海運局長ちよつと聞きたいのは、その第七条と九条の関係ですが、これはこういうふうに了解していいのだろうと思うのですが、第七条で書いてありますのは、「予算で定める金額をこえることとならないようにしなければならない。」という意味は、損失補償というのは、毎年予算に計上するのではなくて、損失が生じたときにこれは予算に計上されるのだろうと思いますので、これに書いてある「予算」云々という意味は、予算書に補償契約をしてもいい限度をお書きになるのだろうと思うのです。その限度を超えて補償契約をしてはいかんということを第七条に書いてあるという意味でよろしうございましようか。それからもう一つ、損失補償に関して、ここでは融資総額の百分の七十ということを考えておられるのであります。これは勿論損失補償のやり方はいろいろあると思います。で、場合によつては実損害額の何%という損失補償の仕方もあるわけです。金融機関としては、その第九条に書いてあるように、融資額の百分の七十のほうが安全感があるのですが、その点は金融機関の意見を聞いて御覧になりましたか。その二点をお答え願います。
  161. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 第七条につきましては、お説の通りでございます。補償金の最高の総額が予算で定める金額を超えてはならないという規定であります。  それから第九条の融資総額の、これは百分の三十でございます。七十ではございません、百分の三十でございます。これは以前には損失額の八〇%を補償するというふうなことがございましたが、その後一般的に政府の損失補償は、大体百分の三十というのが通例でございまして、金融機関の意見では、金融機関としては、いずれが是とも非とも言つていないようでございますが、大体百分の三十程度で金融機関としては一応満足する、こういうことでございまするので、他の一般の例に従つて百分の三十ということにいたしております。
  162. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  163. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をつけて。
  164. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 じや、もう一つだけ伺つておくのですが、仕様書の問題ですが、十四条の問題で仕様書に関係して、つまりここに多少修正がありましたが、原案にも関係するのですが、「船舶の仕様について」というのは、これは船型のことだと思うのですが、そうするとやはり提案者も今後とも標準船のようなものを造つたほうがいいというお考えで、何といいますか、その点なんですが、勿論同じ航路で働く船については、一番いい標準の経済船の設計ができれば、それによるのがこれは船価を安くするのに非常に効果があると思うのですが、併しここで見ますと、何か十四条の第二項に、日本の貨物船について利子補給対象になるような船については標準船型で行くのだというような意味が現われておるように感じるのですが、そこまで強い意味じやないのですか。特に提案者としてそのところ何か御議論があつたのかどうか。
  165. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) この仕様について必要な勧告をなすということは、我々が戦争中にあつたような戦時標準船的なもの、ああいうことをやろうということは毛頭考えていないので、ただややもすると、今日の海運界の現状に鑑みて、少し贅沢な仕様がちよちよい見受けられるのです。我々は一方において利子の補給なんかをやつて、いわゆる国際水準並みに利子を下げるという方途を講ずると共に、一方船価を安くしたい、その措置として一つ造船用鉄鋼材を安くする。もう一つ造船業者との、関連業者との合理化を図つて行きたい。と同時に一方船主のほうも、余り贅沢なことをやらないように、かような意味合いでこの条項を入れたのでありまして、決して戦争中のああいう標準船を造つて一つ枠にはめてしまおうなんて、さような考え提案者としては毛頭ないのであります。
  166. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私提案者に対しては大体この程度にしておきます。あと運輸省に対してもう二点ほどありますから……。
  167. 木島虎藏

    木島虎藏君 じや、提案者に、先ほどの御説明で一割以上の配当をしたら、停止とか何とかいうお話でございますね。新谷さんから一割一分ならどうするのかというお話でございましけけれども、私の考えは、そういう会社はないと思います。一割以上になつたときは、必ず増資をやりまして、そうして一割にならんようにすると思いますが、結局この法文は、この条項は空文になりまして、増資奨励法ということになりますが、増資は無制限にやらせるという考えですか。
  168. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 先ほど御説明しましたように、今日の海運界の資本構成というものは、非常に変則なんです。自己資本というものが一割七分くらいなんです。二割にも満たないのです。外部資本で八割以上やつておる。非常な変則なんです。従いましてこの補給の停止を免れるために増資の傾向に行くということはむしろ歓迎すべきことじやないかと私は考えております。併しその間に余りに行過ぎということがありますれば、そういう場合には、先ほど言いました十四条に基きまして、適当な経理の是正その他経理の改善に関する勧告がありますので、そのほうの運用で実は行きたい、かように提案者考えております。
  169. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると或る程度増資を奨励しようということに了解してよろしいですね。
  170. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 大体さように了解して頂いてよろしうございます。なお補足をしておきますが、大よそ一割ということを言いましたが、これは先ほども言いましたように、利益率で来るものでありますから、必ずしも高配当主義をとることと堅実主義をとることによつて配当額を一割と限定するわけじやありません。ノルマルの状態で一割の配当ができるということをめどにおいて利益率を算出して欲しい、こういう拝案者の考えでありすす。
  171. 木島虎藏

    木島虎藏君 わかりました。
  172. 東隆

    ○東隆君 木島さんが先ほど言われた問題ですが、合理化をする場合に、私はこんなにたくさん船主があり、それからオペレーターのほうはまだたくさんある、こういうことなんですが、これを合理化する場合に、これだけの助成をし、これだけの力を国が与える場合に、これはやりようがあると思います。もう少し合理化を促進する方法にこの法律を使えないものでしようか。
  173. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 私はそれは一つの行政方針で行くのが適切じやないかと思います。私のことを言つて変ですが、私は電力をやつておつた時代は、電力管理を提唱いたしまして相当合理化といいますか、一元的にすべてを運用した。船をやりましたときには、電力のような一元的運用は適切でないというので、むしろ自由企業的に任そうという方針をとつた。これは私はイデオロギーで言うのじやなくて、その企業の性格に応じてさような考えを持つたのでありまして、電力のような、一元的にやることがより以上低廉豊富になるというものは、そういうふうにやつた。ところが海運企業というものは、御承知の通り非常に国際性の仕事でありまして、余りこれを合理化合理化といつて、合理化結構なんですけれども、いわゆる強制的にやることは考えものだと私は考えております。むしろそれは先ほども言いましたように、適切なる行政運営で適当な合理化を進めて行くほうが、法理的の措置で合併命令をするとか或いは譲渡命令をやるというような措置は、それについては私は適切じやないというふうに考えておる。一に行政措置によつて適切なる方法を講じたい、かように考えております。
  174. 東隆

    ○東隆君 私は国内における不当な競争の範囲、この法律の意味するところは国際的な関係ですけれども、もつと強力なものが出る必要がある、こういうふうに考えると、国が国民の金を使うのに死に金を使うような気がして仕方がない。もう少し却つて強化したほうがいいような気がしますが、これは意見に亙りますが、そういう形で却つて海外におけるいろいろな支店でも、そんなものも統合したり何かするような方法がある。いろいろな問題が国際的に競争をするという意味において考えられなければ、国内において鎬を削つてみても、場合によつては国内においてはいろいろな点で価格が安い船賃なんか得られるかも知れませんが、併しそれは決していい方法じやないかと思うのですが、そういう点逆に考えますると、これは先ほど申しましたように意見になりますからお答えしなくてもいいのですが……。もう一つ、これは私は日航機の場合に、航空会社法の場合にもこれはお聞きしたのですが、これにはどういう工合に外資が入つて来ておりますか、私は相当な形で以て入つているところがあるのじやないかと思うのですが、そういうようなものが入つておることによつて合理化をする場合に邪魔になる、そんなような場合があるのじやないか、そんなような点がいろいろ考えられるのですが、そういうような中身がどんなふうになつていますか。
  175. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) 前段の不当な競争云々という問題ですが、この法律対象は、御承知の通り外航船舶に主としておいておるので、内航船ではないのであります。ただこの十四条にもありますように、国内の船力が外国に向つて大いに伸びなければならないところを、お互い不当な競争をやつてその力を鈍らすというようなことが出ることを恐れるのでありまして、かような場合には必要な勧告をなして、これを是正するようにという趣旨を十四条で講じておるわけであります。これも一つの消極的ながら合理化の現われだと思います。その他かような企業に対する合理化の問題につきましては、先ほど来くどく申しておりまするように、行政措置で適切なる方法を講じたほうがいいと私は考えております。  それから次の問題の外資の問題ですが、これは政府のほうにお聞きになつたほうが適切かと思いますが、私の知つている範囲では、海運企業に現在のところは大きな外資は入つておりません。タンカーなんかの一杯か二杯かぐらいはいわゆる外資が入つておりますが、それは短期の外資で、そう長期なものではないように私は記憶しております。而もその外資が入つている会社は、自国船の上から見れば、外資なんていうものは極く少数でありますから、その外資によつて日本海運業者が経理上いろいろな左右を受けるということは、現在のところは毛頭ありません。なお御承知の通り外資法がありまして、外資が入ることはおのずから制限がありますので、外資によつて日本海運企業が外国人によつて自由にされるとか、日本人が思うようにならないとかいうような不都合な結果は招来しないのじやないか、かようにこれは行政の措置の許可の問題にかかつて来ますから、私はないのじやないかという疑問符を持つのであります。そういうような気がするのですが、行政さえ円滑になつて来れば、外国人によつて左右されるということは絶無だと申してもいいと思います。
  176. 東隆

    ○東隆君 私は金利外国のもののほうが安いし、国内の金利は非常に高い。全体に株は多くなつておる。相当外人が所有するという、そういうことも考えられる。そういうことから進みますと、事実は船を買う場合には、或いはその他のものを注文したりする場合に、殆んど向うに左右をされるというような問題が起きて来るのです。こういうことを恐れるのですが、折角国民の資本使つて助長をするのですから、私はそれをできるだけ避ける方途を講ずべきだ、こういう考え方を持ちます。それでそういうふうに考えて参りますと、大分危険性があるのじやないか、外国の金が入る危険性がこれはある、そういうように考えた場合に。助成をする場合に、或いは補給をする場合に、利子の補給その他の場合に、そういう点を或る程度条件とすべきじやないかと思うのですが。
  177. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) この法律対象となつておる船は、開発銀行の金と、それから市中銀行の金でありまして、外資で造る船はこの対象となつておらない。その点は御心配は要らない。ただあなたの御心配のあるのは、会社の株なんかが外国人に流れて左右されないかという、そういう御心配だと思いますが、それは私の記憶に間違いなかりせば、外資法によつて相当制限されておると思つております。その法の運用によりまして、許可しないと勝手には持てないはずであります。その運用によつてさような御心配のないような措置が講ぜられると、私は政府に期待いたしております。
  178. 東隆

    ○東隆君 日本航空会社法の場合は、あれは三分の一まで外資が入つてもいいというふうな、そういう規定があるわけです。ところがこの場合は殆んど全部オープンです。株がオープンになつておるから、非常に危険性がある。それでこれだけの助成をする場合に、その点についての制限を加えると申しますか、心配があるかどうか、こういう意味です。
  179. 有田喜一

    衆議院議員有田喜一君) これは意見の相違と言えば相違なんですが、私は今の段階におきましては、それほどの心配はない、かように考えております。
  180. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止
  181. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  182. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 残つたところで政府委員に二、三お尋ねしたいのですが、一つは先ほど午前中にお話がありましたが、何らか最近の機会措置をするという改造船の問題です。当局のほうでも事情はよくわかつておられるので、私は一々これは言いませんが、改造船の中にもどういう船種か忘れましたが、或るものは丁度七次造船くらいの時期に改造した船もあつて、こういつたものは非常に改造の費用が高くなつているし、こういう船の対外的な競争力を高めるという点から言いますと、この買船の問題やら、或いは新造船の問題やら、これは殆んど趣旨は同じだと思うのです。今日まで三派の申合せでここまで手が伸びなかつたのだろうと思いますが、これは特に運輸省としては、この点に留意をせられて、個々船会社を保護するのじやない、一つ海運政策として統一性のある、而も公平な態度で臨まれるのが、却つてよろしいのじやないかと考えますので、この点について特に御留意を願いたい。若し御意見があれば伺いたいと思います。
  183. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 今度の利子負担軽減の方策といたしまして、先ほど利子負担の点からみますると、今度の措置が一応或る程度バランスがとれまして、理由付けられるわけですが、併しその政策の適用という面から行きますと、非常にアンバランスがある。そこでまあ、私どもといたしましては、今度政策対象として漏れておりますのは、五次船改造船である、従いましてこういうものにつきましても買船の開銀融資の利子を七分五厘を五分に下げる、これと同時に七分五厘から五分に下げるという措置がとられるべきであろう、かように考えておるのであります。これはできるだけ早い機会にそういう方向に持つて行くように努力いたしたい、かような気持でおります。
  184. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 どうかそういうお話通りに是非実行して頂きたいと思います。それから先ほど問題になりました買船関係でございますが、御承知のように造船所の設備、つまり能力は非常に過剰で、造船所のほうはむしろ仕事がなくて困つておるような状況でございますし、それから今度の措置によつて鋼材の値段も相当安く手に入る、又金利負担関係日本で新造した場合に相当競争力のある船ができるようになる、こういつた状況になつて来たので、貝船を今後、例えば財政資金が少し足りないで、そんなことはめつたにありますまいが、外貨のほうが少し余計にあつて外国の古船を買つて来ようというような政策は、今後おとりになるまいと思うのですけれども海運造船の今の状況からみて私の申上げるように、今後はやはり日本の内地新造第一主義で進んで行かれるものと考えてよろしいのですか。
  185. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) お説の通り考えを以て進みたいと考えております。すでに買船につきましては、お手許に資料を配つておりますように、約三十一万総トンの船腹をきめております。これはいずれも相当の老齢船であります。更にごの上輸入によつて不経済船を追加する必要を認めないわけでございます。
  186. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 最後にもう一つお尋ねしますのは、必ずしもこの法律に直接に関係はないのですが、要するに財政資金の貸付の分量の問題です。今までやつておられるように、貨物船とタンカーとは非常に差別を付けられる。これは恐らく当時のマーケツトの工合からそれくらいの程度の貸付でも船ができるだろうということで、タンカーには相当著しい開きを付けておられる。ところが最近タンカーの状況も余りよくない。今後もマーケツトは絶えず変動するわけですから、相当にこれを釘付けにされるということは困難な状況にあるだろうと思います。そこで今内定しておるところを仄聞すると、タンカーについては、二割を四割に引上げるように措置をするということを考えておられるようですが、この点は今後とも余り目先の現実の問題に捉われないで、私はむしろ貨物船は一本として、財政資金が許せば、又許すようにしてもらいたいと思いますが、許せば貨物船としてやはり一般のカーゴー・ボートと同じような程度財政資金の貸付をしてやつて、タンカーなんかけ特に繋船が多いから、そういう点を考えての措置が望ましいと思います。この点如何でしようか。
  187. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 御承知の通り財政資金が非常に乏しいわけでございますから、そのときの市況で相当負担力のあるものについてはこれを削減いたしまして、限られた枠の財政資金でできるだけの多くの船舶建造を図るようにいたしたいのでございます。併し現在タンカー市況も貨物船市況と同様でございます。又お説の通り長い目で見ますと、いずれが有利でいずれが不利ということも言い得ないわけでございまするので、次年度、以降の計画におきましては、両者の間に何ら差別を付けるべき理由が見出せないかと思います。従いまして同様の取扱をする必要があるかと存じます。
  188. 前田穰

    委員長前田穰君) 暫時休憩いたします。    午後五時十六分休憩    —————・—————    午後七時四十二分開会
  189. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは休憩前に引続き運輸委員会を再開いたします。  外航船舶建造融資利子補給法の一部改正の法律案議題にいたします。  質疑のおありの方は引続き順次御発言を願います。別に御発言もございませんか。御発言もないようでありますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議左いと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  191. 岡田信次

    岡田信次君 私は本案賛成をいたします。  我が国の進展を図るためには、海運の興隆を図ることが肝要であるということは申すまでもないのであります。それがためには、戦争によつて潰滅的の打撃を受けました日本船舶を、海連に対しまして助成或いは保護をするということも勿論必要であろうと思うのであります。併しながらただ海運の興隆のみによつて我が国の進展を期し得ると考えるのも、又一つの行過ぎであろうと、かように考える次第であります。本法案が、他の企業或いは産業に対するこの種政策の先駆と申しますか、或いは模範となつて、以て我が国の全体の復興に寄与するように切望したいのであります。又、貴重且つ巨額な国費を投ずることでありまするので、海運業者がこういう補助政策に安んじて、立ち上る気分を失うというようなことのないように、経営者も又従業員も十分自粛、奮起いたしまして、以て国のこの補助、保護政策に対し、国民の期待に副うように十分の努力を要望いたしたいと思うものであります。  つきましては、次のような附帯決議を付して、賛成をいたす次第であります。附帯決議を読みますると、  一、本法の施行に伴い、海運会社は国家から手厚い助成を受けることとなる事実に鑑み、会社の経営者は厳粛に自らを戒しめ、その企業努力を一段と強化すると共に、従業員も亦この精神に則り、之に協力し得るよう適切な措置を講じ、以て国民の期待に背かざるよう、政府において、その指導監督に遺憾なきを期すべきである。  二、造船事業及びその関連工業の合理化と近代化を促進し、ひいては船価の低減を図るため格段の創意工夫を凝らし、一層の努力を払うよう、政府において適切なる指導を行うべきである。  三、会社の会計及び業務の監査は極めて微妙なる事柄で、これが実施には深甚なる考慮を払うべきであるが、むしろ会社自体の自粛により、政府の監査の必要がなきように指導することが肝要であると認める。  四、外航船舶拡充計画を的確に推進するため、政府は所要の財政資金を確保するの措置を講じ、これを国民に明示すべきである。  以上の附帯決議を付しまして賛成いたします。
  192. 松浦清一

    松浦清一君 只今岡田委員から御提案になりました附帯決議並びに本案に対して賛成をいたします。  本案の目的は、申上げるまでもなく、昭和三十二年に至りますまでの間に、貨物船二百七十七万トン、タンカー船八十二万トンに日本海運を増強いたしまするためには、どうしても利子の補給及び損失補償等をやらなければできない、こういう現状に現在の日本海運事情が置かれているということは周知の事実でございます。若しこの法律が制定されないままに放任されますと、今年の暮頃までには、日本の主要な造船工場二十四、従業員九万人に余る諸君が職を失うことになるわけであります。更に又先般国会を通過いたしました、戦標船の解体に関する法律の制定に伴いまして、約七十隻の戦標船が解体をせられますに伴つて、二千人に余る失業船員ができることになつているわけであります。従つてこの種の助成策を講ずることによりまして、計画されておりまする造船計画通りに完遂されることによつて、これらの失業船員が救われて行くわけであります。この法律案が上程されますと、他の産業界方面から海運に灯してのみ余りに厚い国家の財政補助であるという若干の非難を受けた向きもございましたけれども、申上げるまでもなく、海運造船等は、外国との競争に打ち勝つて行かなければ存立の意義のない産業でございまするので、ほかの産業に比べてやや大きな補助ではありまするけれども、それをすることによつて多くの外貨を獲得することが可能であるとしまするならば、日本の国の財政経済の面から見まして、決して国の損失にはならないわけであります。而もこれが終局的に国家の損害にならないようにするためには、只今御提案になつておりまする附帯決議の内容にありまするように、船会社の経営者が誠心国家の厚い補助に報いるため精励努力して、日本海運発展のために尽さなければならん、こう考えるわけであります。政府当局におかれましては、この計画造船が完全に履行せられるように、又船舶会社がこの厚い補助に報いるための精力的な努力を捧げるように指導せられんことを希望いたしまして賛成をいたします。
  193. 大和与一

    大和与一君 社会党第四控室としましては、本法案に反対であります。外航船舶の融資助成については、我が党としてもかねてから十分賛意を表してその公正妥当な法案の樹立については努力をいたして参つたのでありますが、今回のこの法案は、我が党としては予算委員会において反対をいたしております。それが第一の理由です。  第二には、三派修正前の政府原案には賛成をいたします。例えば二十八年以降の利子補給について云々、こういうふうに書いてあつて、それは現在の不況時代においてはそれくらいが妥当ではないかと、こういうふうに考えておりますが、いわゆる三派修正案と言われるこの法案は、二十五年に遡つて貨物船、或いは二十六年に遡つて油槽船、こういうものに対しても補給をすることになる。当時丁度朝鮮事変のいわゆる船舶ブームといいますか、そういう中で最高四割、最低一割くらいの配当がされておつたというように聞いております。そういうような配当をされておつたらば、補給をしない、こういうふうな条文が確かにあると思うのであります。そういうことを考えますと、私たちとしては賛成ができないわけであります。又新聞の報ずるところですから真偽のほどは正確ではありませんけれども、改進党、自由党では更にこれを九億くらい又多くやるのである、こういうような又噂もある、こういうようなことでは一部の資本家を利益させ、一部の造船所と結託する、こういうような疑いなきにしもあらずであつて、そういう点からも反対いたしたいと思います。従つて現在の予算において非常に過大である、こういうふうに考えるわけであります。ましてや今回の西日本、南近畿の水害は国難的の水害と言われるのでありまして、それに対して政府は先ず何よりも重点的に災害復旧に全力を尽さなければならん、こういうふうに考えますので、この法案に対して我が党としては反対をいたします。
  194. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私は本案に対しまして賛成するものでありますが、この機会に希望意見を二つ付したいと思うのでありますが、それは第一は、この法律案によりまする、各般の措置を講じましても、なお現在諸外国が実行しておりまする海運助成策に比べまするとなお相当に懸隔があると思います。従つて政府は、対外競争力を強化するために、更に必要とする税制の改正或いは船価の低減等の措置を急速に講ずる必要があると考えます。  第二は、この法律案規定いたしておりまする運輸大臣の行う不当競争排除に関する勧告は、その影響は極めて重大でありまして、若し一歩誤るならば、我が国海運の進展の芽を摘むような結果となる虞れがありまするので、いやしくも独善に陥り、濫用に流れることを慎むと同時に、その手続につきましてもできるだけ慎重な手続をとるべきであると考えます。  以上の希望意見を付して私は本案賛成いたします。
  195. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  197. 前田穰

    委員長前田穰君) 多数でございます。よつて本案原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中にございました岡田提出の附帯決議を付することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  198. 前田穰

    委員長前田穰君) 多数でございます。よつて附帯決議を付することに決定をたいたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容等事後手続は、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に、本案を可とされました方は、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  一松 政二     加賀山之雄  新谷寅三郎     東   隆  松浦清一     木島虎藏
  200. 前田穰

    委員長前田穰君) 本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十六分散会