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1953-07-27 第16回国会 参議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            木島 虎藏君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君    運輸省自動車局    長       中村  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○請願及び陳情に関する件 ○道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○運輸一般事情に関する調査の件(機  関車乗務員在職年の加算に関する  件) ○港湾整備促進法案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず請願陳情審査に入ります。  速記をとめて。    午前十時五十六分速記中止    ——————————    午前十一時十一分速記開始
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引続き質問のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 岡田信次

    岡田信次君 自動車運送協議会運用のやり方を一つ伺いたいのですが。
  5. 中村豊

    政府委員中村豊君) 自動車運送協議会は、道路運送審議会と違いまして、一つ一つ免許申請案件に関与するのではございません。個々案件について決定するのは、陸運局長ということになりますが、その処分を公正妥当ならしめるためには、自動車運送に関する一般的な物事の考え方といいますか、そういうものを、できるだけ各方面意見を聞いて妥当な心がまえを持つておる必要があると思いますので、そのような基本的な方針調査審議するために、自動車運送協議会陸運局区域ごとに置いたらどうかと思うのでございます。その審議事項は、百三条にございますように、一定区域における適正な供給輸送力というものをどの程度に策定したらよいかということが第一の議題になるわけでありますが、これは比較的具体的な問題になろうと思います。その他輸送需要供給との調整均衡ということについて、いろいろ御意見を承わろうとするのでございます。  第二には、輸送施設の改善、車両の整備というようなことについて、第三には、運賃、料金の基準に関して、第四は、従業員の服務及び養成に関して、その他輸送に関する重要な事項を、いろいろと意見伺つて行政民主化の一助に供しようとするわけでございます。
  6. 岡田信次

    岡田信次君 ここで調査審議をする条項の中の第一番目の「一定区域における」云々というのは、従来の免許基準の殆んど大宗をなすものであると私は考えます。そうすると今自動車局長個々路線についてこういうことをやるのではない、一般的にやるのだと言われましたけれども、実際の運用に当つて陸運局長なんかがいろいろな交通路線に関して常にこういうことをやれるものかどうか。やはり一つの具体的の事例について、この協議会意見を徴するということに相成りはしないか。そうすれば従来の道路運送審議会と殆んど変りがないものになりはしないか、かように考えるのですが、如何ですか。
  7. 中村豊

    政府委員中村豊君) 御承知のごとく、従来の免許基準も今度の改正免許基準も、重要な項目として、需要供給均衡ということを謳つてございますが、その供給力をどの程度にしたらいいかということは、免許に当つての最重要な項目一つになるのはお話通りでございます。そこで、それを従来は道路運送審議会個々案件審査の際に、それを考え合したのでありますが、今回審議会をやめれば、陸運局長だけがそれを判断するということになります。若しその場合に独断があつてはいけませんので、供給輸送力の適正な枠というものだけは、一つ民主的に形成された今回の運送協議会考えてもらつたらどうだろうか。その際に構成としては利用者代表学識経験者も入れて、そのほかに業者代表も入れて、三方面から隔意なき審議をして頂こう、こういうふうに考えたわけでございまして、個々案件審査にはタツチしないことになる。全体の枠の決定については、十分民主的に判定して頂こうと考えたわけでございまして、まあ一つ地域において、自動車運送事業輸送力をどの程度にしたらよいかというような大枠をきめることは、アメリカなんかにもそういう制度があるようでございまして、やはり何かそういうものはめどとして持つていないと個々案件審査の際に、自由意思で不適正な行政処分が行われてはいけないと思つているわけであります。
  8. 岡田信次

    岡田信次君 そういたしますと、自動車運送協議会の実際の運用はどうなるのか。例えば協議会会議を月に一回開いて或る路線供給力、或いはその需要関係なりを調べるというふうにするとか、そういうふうにいたしましても、大体この交通需要供給関係は相当変化があると思うのです。結局三月前にいろいろ調べて見たけれども、そこで或る路線免許を申請する場合、前に調べたのが役に立たんという場合があると思う。又開くというと、結局個々路線についてこれを考え意見を徴する。その意見は而も尊重されなければならないということになつていますから、条文の上では、個々案件についてはタツチしないというふうになつていますけれども、実際の運用については、そういうふうにするよりしようがないのじやないか。結局従来の道路運送審議会と殆んど変らないという結果に陥るように考えられるのですが、そういう虞れはないのですか。
  9. 中村豊

    政府委員中村豊君) その個々案件の場合には、一つ或る特定な狭い地域需要供給考えたり、特定路線のバスの需要供給考えたりしてケース・バイ・ケースになるわけでございますが、ここで考えておりますのは、例を挙げて見ますれば、東京都内における乗用旅客自動車の台数をどのくらいにしたらよいであろうかというような、比較的大つかみなことをきめて審査して頂くわけで、ございまして、個々案件と違いますのは、地域が比較的大きいこと、又特定路線というほどの具体的なものは持つていないわけでございます。それから又個々案件審査するときに、今一つ大きな審査項目は、俗に言ふ資力信用といいますか、申請者適格性そういうことも入るわけですけれども、その点はそういう主観的な条件ではここに入つていないという点は大分違うと思います。客観的な需要供給の問題も非常に広い区域の問題を審議することになるわけであります。なおそれはその都度ではありませんし、そうかといつて長い期間放置しておいても、又交通情勢が変つて参りますから、大体各大きな地域について一年に一回ぐらいずつは策定し直して行くことが実情に合い、経済の変化に応じて行くことができるのじやあないかと思つております。
  10. 木島虎藏

    木島虎藏君 今のお話に関連するのですが、自動車局長お話はこういうふうに解釈していいのですか。具体的に個々の場合を協議会でやるのではなくて、一つ基準をきめるのだ、基準をきめて、陸運局長は、この基準則つて具体案考える、こういうふうに考えてよろしいのですか。
  11. 中村豊

    政府委員中村豊君) 大体その通りでございます。基準といいますか、枠といいますか……。
  12. 木島虎藏

    木島虎藏君 考え方ですね。
  13. 中村豊

    政府委員中村豊君) 考え方の枠でございます。そういうものを考えるのでございます。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 質問が重複するかも知れませんが悪しからず。先般いろいろ質問申上げましたが、今日は、一つ一般方針について簡単にお伺い申上げたいのですが、最近特に貨物輸送関係状態が、各方面殆んどもう飽和状態に達しておる。そして免許された業者も、今ちよつと非常に無理な営業、或いは無理な競争から健全なる経営をやつておるものが非常に少いというか、非常に不健全な経営という面が多い。こういう状況になつておるように聞いておるのですが、今度の道路運送法改正によると、地方状態によつては、一台持つておるものでも免許しても別に法に触れないということになるのですが、そこで、この陸上運送陸運関係の従来の免許といいますか、或いは行政指導というか、そういう一般的な方針として当局のほうはどういう工合考えておられるか。つまり更に具体的に言えば、営業したいというようなものがあれげどんどんこれに免許を与えて、そうしてフリーに競争さしてやつて行こうという考え方か、或いは相当厳格な一つ基準、或いは規制の下に、適正な一つ規模というような形に持つて行こうとされるのか、一般方針についてどう考えておられるか。
  15. 中村豊

    政府委員中村豊君) 一般方針は、前回の国会以来非常に論議された問題でございまして御承知のように、免許制度を廃して、自由競争にさすべきである、運輸省は、既存業者擁護に偏し過ぎておる、という強い批判がございました。又他方、殊に既存業者方面からは、免許制度是非存続してくれ、そうして我々は経営不振だからこれ以上新規免許は絶対反対だという要望があつたのでございます。いずれも余りにも一方的な意見であると運輸省判断をいたしまして免許制度は絶対に堅持し、事業者事業を安定させることによつて義務責任を完全に遂行させるという体制をとらなければいけないと思いまするが、その要望が強く余りに既存業者擁護だけに偏して正当な、主観的、客観的な条件免許を得るに適当であるにもかかわらず何でもかんでも絶対反対であるというので、そのような新規免許を与えないというようなことは、問題を紛糾さすもとでありますので、主観的、客観的条件が、資格がある者については免許を与える。その免許の場合には、地域によつて規模でもやるし、山間部或いは貨物取扱事業者のようなものには一台でも許すということにして実情に合せたということにしたわけでございます。現にそのような方針で実行されておりますし、今回の改正もその趣旨が盛られておるわけでございます。そこで主観的、客観的に資格があるということの判断が極めて公正にやらなければいかんわけでございますが、それを具体的に現わしたのが六条の免許基準でございまして、主観的というのは、簡単に言えば、資力信用、或いは経営能力が十分にあるもの、或いは責任体制が一本に貫かれておるものでございますし、客観的条件というのは、需要供給関係を睨み合せるということでございますので、需要が少くて、供給力が超過しておるような場合には免許をしませんから、そうそう既存業者競争によつて食い込まれて困るということは起らないと思うわけでございます。その辺の判断が非常にむずかしくなりますので、自動車運送協議会で以て、その枠をどのくらいにしたらいいかということで、意見を聞いて判断しようかと思つております。いずれにしても特に偏した処分はすべきではないと思うのでございます。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 今の御答弁は、まあいずれにも偏しないようにしたいという御趣旨のように承わつたのですが、この運送事業というものについては、これはいろいろ外部の利権屋もこれに錯綜して来るだろうし、いろんなややこしい問題が中に入つて来ると思うのです。従つて今の適正な輸送量とか或いは供給量であるとかいうものの判定が非常にむずかしくなつて来るのじやないか、それで実際問題としまして、既存業者の不当なる擁護というか、これは私も賛成いたしませんが、ただ輸送の健全なる発達ということは、やはり輸送母体であるところの経営母体がやはり健全でなければならんということが大きな問題になると思うのです。で、この前の御答弁にもあつたのですが、既存業者が、自分の義務を果さないという面がたくさんあるというような御答弁もあつたのですが、併しこれらの実情をずつと見てみまするというと、いわゆる何といいますか、非常な不適当な事業所といいますか、不適当な場所に免許をしたというようなことから、おのおの不当な競争がおつ始まる。そこで勢い経営も非常に健全を欠くような恰好になつて来る。そういうようなことから、そこに働いているところの従業員も、これも又全部従業員にしわ寄せがやつて来る。御承知のように、運送業というものは、人件費というものが大部分になつているわけであります。従つてこの経営の不振ということ、或いは経営弱体化ということは、ただに経営者だけじやなくして、そこに働いているところの多勢の従業員に大きな影響が出て来る、こういうようなことで、この免許ということについては、いずれにも偏しないのだという答弁があるわけでございますけれども、偏しないという基準といいますか、さつきちよつと聞いておりますと、供給輸送力の枠を認定するというお話があつたのですが、供給輸送力の枠の認定というものは、これは今の自動車運送協議会ですか、ここでおやりになるということなんですが、そこでこの枠の認定という問題について、果してこれの的確な、的確なというと変ですが、まあ一つの非常に確実性のあるような枠の認定方法というものについてこの自動車運送協議会あたりで、その機関だけで、十分であるというふうにまあ考えておられるかどうかということですね。
  17. 中村豊

    政府委員中村豊君) お話の、ごとく、事業者経営を安定させて、安んじて設備を改良して行き、従業員生活も安定させなければいけませんので、その使命を十分に尊重するということは是非とも必要なわけでございます。その意味から、運輸省は、免許制度を絶対に堅持すべきものとして、まあその点をお譲りしていないわけでございますが、その点で是非できるだけの努力をいたしたいと思います。  そこで枠の基準をきめる場合に、この自動車運送協議会で十分であるかどうかは、まだやつてみないとわかりませんし、なかなか非常にむずかしい問題だと思うのでありますが、併しそれを陸運局長だけが判断するよりは、各方面意見をできるだけ聞いたほうがなお一層よいであろうと思つて、こういう制度をとつたわけでありまして、この構成は、先ほども申しましたように、事業者団体の方のほかに、利用者団体の方、又学識経験ある第三者も入れるということで、まあ各方面話の折れ合つたところならば、まあ我慢してもらえるじやないかと思つだわけでございます。やつてみないと……又運用する段階に応じてだんだん立派なものを作つて行きたいと思うわけでございます。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 それでまあこの問題がだんだん終末に近付いて来たと思うのですが、私はこの三つのことについて、はつきりした御意見を承わつておきたいと思うのですが、その第一点は、今ちよつと触れましたところの、この自動車運送協議会構成メンバーですね。これはこの前ちよつと私が申しましたが、労働組合というものは、こういう問題にはタッチすべきじやないというようなお考えのようですが、併しながら今私の申しましたように、その協議会の決定如何ということが、直ちに既存業務に従事する従業員或いは又これから新らしく免許されるであろうところの従業員ですね、こういうような従業者の、何といいますか、死活に関するような問題になつて来るので、従つて単なる利害関係者というものではなくて、やはりこの業務に携つておる、而もこの業務を以てみずからの生活の基盤とするところのこの従業員代表、若しくはその従業員団体の推薦するような者、そういうような者を是非とも入れる必要がある、こういう工合考えるのですが、そういう点について、そういうことを考慮されるのかどうかということについて、意見を承わつておきたいと思います。
  19. 中村豊

    政府委員中村豊君) 従業員のかたの代表が主張されることと、経営者が主張されることと、今まではまあ全くこの点に関しては、新規免許を余り好まないという点に関しては、今まで殆んど同じだつたように思うのであります。それで、まあその点は事業者代表ということで主張は大体通るのじやないかと思うのですが、それで労働組合代表のかたという形じやなしに、利用者であり経験者であるという意味労働関係のかた、或いは勤労関係のかたにも入つて頂いたらどうかと思うのであります。利害関係を直接持つ者としては、事業者代表ということで大体通ずるのじやないかと思うのであります。それからそこへもう一つ労働組合代表のかたを入れると、まあ何といいますか、バランスが少し破れて事業関係に重くなり過ぎるというようなことも考慮しなければいけませんから、それより経験者という意味でそういつた方に入つてもらつたらどうか。そういう点は通牒で明らかにしたいということをたびたび申上げているわけです。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 まあ既存業者に重くなり過ぎるというお話があるのですが、やはり私はこう考えるのですね。既存業者にやはり重点を持つて行く、この既存業者営業が成り立たなくても差支えないのだ、既存業者というものはサービスも悪いし、なにも悪いからというのじやなくて、既存業者をやはり基礎にして考えて、既存業者の能力なり、その地方事業量なりといつたものを勘案して、適正な規模新規免許をして行くという形で、やはり既存業者に重きを置き過ぎるということじやなくて、既存業者というものの、何といいますか、存続といいますか、そういうものを基礎にして考えて行かなければならないのじやないか。そこで私の言うのは、その既存業者の中の従業員労働組合というものを、それだけじやなくて同じ反対するにしてもやはり経営者のほうは利潤追求で以て反対して行くだろうと思う。利潤追求一本槍で……。ところが労働者のほうはこれはその地方々々にやはりこういう労働組合連合会或いは協議会制度がありまして、全般のこういう通運事業に携わる労働者立場から反対、或いはこの程度という意見が出て来るだろうと思うのです。従つて同じく反対立場に立つにしても、反対の根拠というものがやはわ違つて来ると思うのです。従つて私の言うのは、労働者を入れるとか、或いはその労働組合の者を入れるとかという限定をせずに、幸いにこの労働組合という一つ団体があるのですから、商工会議所或いはその他の団体という中に、労働組合のほうにも相談をして頂いて、そうして労働組合の中に適任者があれば推薦をするだろうし、或いは労働組合の中に適任者がなければ労働組合みずからが一つ候補者を推薦するでありましようし、そういうようなものを中へ入れるようにするのだと、こういうことを是非ともその通牒で以て配慮をして頂きたいと思うのです。
  21. 中村豊

    政府委員中村豊君) 個々会社労働組合じやなしに、労働組合一般という意味でそういう代表の方を考えることは是非ともいたしたいと思います。個個の会社の、何とかトラック会社労働組合代表という意味でなしに、トラック従業員或いは交通従業員組合関係代表の方、そういつた形ならば十分考えなければいかん思つております。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 わかりました。そうしますとそういう一般交通運輸関係、いわゆる港湾も海運も電車も汽車もトラックも全部含んだ交通関係組織というのは、今の全日本交通運輸労働組合協議会というのが現にあるわけなんです。そういうような一般交通運輸関係する全交通なら全交通という総合的な組織ですね、そういうものに相談をする、そういうものの候補者も中へ入れるのだ、こういうように考えていいわけなんですね。
  23. 中村豊

    政府委員中村豊君) 地域的な問題ですから、全国的の措置ではありませんが、地域的なそういう何といいますか、支部といいますか、そういうものがあるわけです。そういうところとよく御相談して、そういう性格で入つて頂いたら一番いいのではないかと思います。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 地方的のものということになりますと、これは例えば富山なら富山金沢なら金沢という所に、その他の産業労働者も混えた地方協議会なり或いは地方労働組合協議会なんというものがあるわけなんですが、そういう地方一般労働者代表する組織と、こういう工合考えてもいいわけなんですね。そういうものに一つ相談して、つまり労働者代表する、これは交通業関係には限りませんが、そういう労働者代表するものも入れるのだ、それにはそういう労働者の作つている団体の意向を斟酌して入れるのだと、こういう工合考えてもいいわけなんですか。
  25. 中村豊

    政府委員中村豊君) まあいろんな性格があると思うのですが、利用者代表でもあるし、事業関係する人でもあるし、学識経験ある人でもありますから、まあいろんな性格勤労者労働者代表というものはお願いしたほうがいいと思うわけです。それで、その場合に交通関係自動車関係だけにするか、陸運関係だけにするか、全交通労働関係にするか、或いは他の産業労働関係も合した全労働界にするかということについては、今どれが一番いいかということまではつきり考えておりませんけれども、この点については、是非考えをまとめまして、そういう方面に御相談して、そこから推薦する人或いはその意見の合致した人をお願いするということにいたしたいと思います。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 まあそうすると、要するに労働組合というようなことは別にして、とにかく労働者団体ですね、労働者団体ということも、いわゆる商工会議所その他の団体の中に入つて行くのだと、こう確認してもよろしいのでございますね。
  27. 中村豊

    政府委員中村豊君) そのように考えたいと思います。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 それからこの問題はちよつとこの道路運送法と違うかも知れませんが、中央の最近お取極めになつ運輸審議会の問題ですね。これも同じことが言えると思うのですが。将来運輸審議会メンバーの中に、今私が申上げたような一つのそういう労働者といいますかの代表というようなものも加えて行くというようなお考えがあるかどうかを、ちよつとついでにお尋ねしたいと思います。
  29. 中村豊

    政府委員中村豊君) 運輸審議会については私の所管ではありませんので、答弁できません。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 わかりました。次に、これは非常に抽象的な問題になるかも知れませんが、こういう工合に非常に慎重に論議をされているのですが、その半面、何といつても自家用車或いはその他の闇営業といいますか、闇営業というものが跡を絶たないし、これからもなお相当跋扈するだろうと思うのですが、この取締についてはいろんな方法があるだろうと思うのですが、まあ第一番には、陸運事務所ですか、この事務所も拡張しなければなりますまいし、これがための予算一つ取らなければなりますまいし、或いは食料品とかそういう特定な荷物の運賃といいますか、そういうものも考えなければなりますまいし、或いは陸運事務所の職員が途中でトラックをとめてそうして調べて行くというような権限を与えて、法律の中にそういう条項も謳う必要があると思うし、いろいろな方法があると思うのです。で、この闇営業取締について、まあ今お考えになられておる具体的な問題ですね、これからこうやつて行こうというような点について、もう一回御説明を承わりたいと思います。
  31. 中村豊

    政府委員中村豊君) すでに他の委員さんの御質問答弁申上げましたけれども、もう一度申上げますと、根本的には、是非自家用営業類似行為もぐり営業取締るべきであると思います。是非その通り努めたいと思います。そこでその実効を挙げるためには、予算と定員が今のままでは苦しいものでありますから、それをできるだけ増額するように努力しておりますが、なかなか思うように行かないのを残念に思つております。そこでそのような努力は今後もますます続けますが、現在の情勢としては、限られた予算定員、与えられた範囲で以てできるだけ重点的に人を配置し、仕事を分配して、その方面にも十分な努力を集注することをいたしたいと思つておるわけであります。ところが甚だ遺憾なことには、陸運局はとにかくとしても、陸運事務所が要らないとか、これを地方に移譲すべきとかいう議論が各方面に起つておるのでございまして、その点は運輸省ぱ絶対反対でございますが、若しそのような地方移譲になるとか、或いはこれを廃止するというようなことが起りますれば、この道路運送法の精神はもうすつかりめちやくちやに壊わされてしまうと思いますので、その点は十分に各方面に折衝して、現在の体制を崩さないようにするのみならず、もつと是非強化いたしたいと思つておるわけであります。まあ重点的に仕事を集中し定員を再配分しましたので、比較的第一線の陸運事務所の仕事に応じてその担当者を配置できるような方向に向きつつあることをお認め頂きたいと思うのでありますが、なお具体的な方法として、道路上で自動車をとめることについては、お説のようにいたしたいのでありますが、これは関係の警察方面と話がつかないために、まだまだ法の条文化するまでに至つていないわけであります。そういう御要望が強ければ、又御要望の向きからでもそういう問題を取上げて頂ければ結構だと思います。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 それで陸運事務所お話ちよつと出ましたが、私の考えとしては、陸運事務所はもつと強化をしてそうしてその脱法行為を完全に取締るようなところまで一つ拡張したて頂きたいと思うのですが、ただ廃止せいというような含みも確かにあります。ただ廃止せいという声が起つた理由というものも一つ監督当事者は十分考えてもらわなければならんと思う。それは陸運事務所の職員のその態度といいますか、或いは職務遂行上におけるところのいろいろな問題がとやかく噂をされておるときなんであります。そういうようなものを十分取締つて頂いて、監督指導して頂いて、そうして少くとも陸運事務所事業者或いは一般方面から親しまれて信頼される、相談相手になるというようなそういう一つの民主的な陸運事務所というような家風を一つ作り上げて頂くということが先決じやないか、そういうようなことから陸運事務所が要らないという声が起るわけです。必ずしも本質的な問題じやないのですが、その点特に一つ要望したいと思います。
  33. 中村豊

    政府委員中村豊君) 御懇篤な御注意は有難うございますが、是非そのように愛される陸運事務所と申しますか、そういうような家風を作るように努力いたしたいと思います。  そこでこの機会に一言申上げておきたいのは、そのううに陸運事務所の諸君の態度が廃止論に持つて行つた一つの理由にもなつておつたのでしようけれども、もつと形式的な問題として、国の機関にしておくと人間も殖えない、定員も少い、これを地方に移譲すると人間も殖え予算も殖える。そういうことを地方側に言う人があるので、これは全く私納得できないので、国の予算であろうと地方予算であろうとひとしく国民の血税によつておるのですから、国でこれだけしか認められないならば、地方でも認められるはずはないのです。そういうような議論から地方に持つて行こうということは、何かこう餌で釣つているようにしか思えない、何か一部の策動としか思えないので、この点は十分御認識頂いて御支持を得たいと思います。  それからもう一つ地方に持つて行きますと、警察とよく提携できて取締が非常にしやすいということが一つの主張になつておるようでありますけれども、これ又、警察と手を合せてどんどん取締るということが、地方ならばしやすいということも、何か警察国家のような観念で余り感心しないことで、ございまして、そういうことで地方移譲ということには、全く納得できないのでありまして、十分御理解を得まして、是非御支持を頂きたいと思います。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 今度の法律によると、脱法行為をやつた者、そういう者については、いわゆるそれに使用した自動車を一定期間使わせないということになつておるのですね。それを一歩進めて、そういう行為をやつた者については、一定期間何といいますか、営業をやらせないとか、或いは相当の期間免許というのは出さないのだとか何とかいうような抜本的な一つ取締方法考えておられるかどうか。
  35. 中村豊

    政府委員中村豊君) それは現在の法律では、そういう違法行為をした人を抑えて一定期間営業できないことだつたのですが、今度はその人だけでなしに、車、違法行為をさせられた車は一定期間使えないことにしたので、両方抑えたわけであります。人も車も両方抑えたわけでありますから、取締の万全を期することができるようになつたわけであります。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 まあ今の御答弁によつて、闇行為の取締については、これから具体的に強化をして行くのだという工合に私は受取つたのですが、次にもう一つだけ、くどいようですがお伺いしておきたいのですが、この免許について、先ほどからの御答弁で大体わかつたような気がいたすのですが、更に結局将来免許行為によつて、陸上輸送全般について一つ輸送秩序を乱すとか、或いはその他競争を惹起するとかいうようなことがないようにする具体的な一つの措置、方針というものを厳重に通達して頂く、こういうようなことについては、勿論これは御異存ないと思うのですが、このように確認してもよろしうございますか。
  37. 中村豊

    政府委員中村豊君) そのように法律が実際に合うように運用しやすくなれば、まあ妥当な者には免許は認められるというようなことになれば、それ以外の者はこれは違反でありますから、厳重に取締ができると思うのでありますが、今後はますます取締を強化し、又関係事業者団体にも呼びかけて、この法律励行のための協力ということも事業者団体の重要任務に謳つてありますから、そういう団体の協力も得て取締を強化したいと思つております。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 それじや、最後に一つお尋ねしておきたいのですが、今の現実の問題として、非常に不当な競争が各方面に行われて、従つて運賃コストというものについても非常に不当なものが出て来ておる、その不当な競争によつて一番迷惑をしておるのは、それに携つている従業員なのであるわけです。つまり運送業というのは、これは人件費の頭をはねて営業をしておるような、端的に言えば、そういうような仕事でありますので、業者が不当競争をやつておるということになれば、勢いそいつが全部従業員労働者に引つかぶつて来る、こういうような現状にあるんですが、そういう現在の状況についての取締なり、或いは指導方針なりというものをどういう工合にお考えになつておるか、その点伺いたい。
  39. 中村豊

    政府委員中村豊君) 競争の結果、運賃の不当ダンピングが行われる傾向にあることは私も残念に思います。そこで路線トラック事業に関しては、もうすでに去年の十月以降逐次定額制の励行ということを推し進めておるわけでございまして業界もこの制度の正しい理由を大体理解してくれまして、そちらの方向に進んでおります。まだ多少完璧にはなつておりませんけれども、是非それが事業界のみならず、従業員諸君或いは延いては経済界のためにも必要であるというふうに認識してくれまして、協力してやつております。又中には監視会ですか、そういうものも設けて大分そちらのほうに前進しておることは我々も認めておるわけです。是非このいい習慣を完成したいと思つております。区域トラックの問題は、ちよつと定額制まで行くことは余り実情に合わなくなるんじやないかと心配するもんですから、最高額のみならず、最低額という両方を押えて、まあ多少幅のある弾力性を持たしますけれども、最低額を押えてダンピングの泥沼に入らないようにしようということを今度は考えておるわけであります。それでだんだんと業界が立直つて、又認識が深くなつて来れば、その幅をだんだん狭めて行けばよくなるんじやないかと思います。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 それで今私のまあお伺いしたいことは、業界がそういう工合に公正な明朗なようになつて行くことを希望するというお話なんでございますけれども、これは精神修養や訓示だけではなかなかそういう工合にはならないもので、それにはやはり何かの施策を講じなければいけないと思うんです。そこでこれは将来の問題、こうしたい、ああしたいというのではなくして現在そういうものが起つておる。そこで例えば一つの駅所に小運送なら小運送、区域自動車なら区域自動車、そういうような地域々々に非常に供給量が過剰になつている面もあるように考えられるんです。それでお互いに不当競争をやつて相食み合つてるという状態があるんですが、そういう地域状態に対する当局の施策として何か具体的にお考えになつておることはないかということをお伺いしておるんです。
  41. 中村豊

    政府委員中村豊君) 地域によつて自動車によつて供給過剰になつておる所がないとも言えないのでありますが、既得権を奪うということは、これはなかなか困難だし、できるだけ避けたほうがいいと思いますので、免許されたものは共存共栄でやつて行けるように協力を勧めておるわけであります。併しその協力、協調を破つて不当競争をやる、殊に定額制を破るというようなことが余り甚だしくなれば、そういう事業者にはお気の毒ながら事業の停止、免許の取消までやつて整理いたしたいと思います。この点はまだ定額制を実施して間がありませんから、暫らくかすに時日を以ていたしますけれども、若し依然としてその趣旨を弁えずに定額制を破る、その他法律上の義務を守らない場合においては、営業停止、免許の取消をやるつもりでおります。警告をもうすでに発しております。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 それでは今の営業停止とかそういう極端なことは、これは非常に問題になるのですが、私が一番最後に心配することは、例えばトラック事業なんかは、不当競争の結果、勢い運転手なんかが非常に苛酷な労働条件の下に働かされる、従つてトラックの事故なんというものも、そういうところから非常に大きな事故が起きて来ている。これは私はちよちよい調べているのですが、きちんと労働組合を作つて一定の労働条件でやつている所よりも、やはりそういううんと労働協約なり労働条件というものを持つておらずに、無制限の時間でどんどんやる、そういうような働き方をやらされている所のほうが事故が非常に多いように思うのですね。こういう傾向は一つの公益事業として人間の生命を預つたり、大切な荷物を預つたりする自動車運輸事業としては非常に重大なことだと思います。それで先般の免許の問題にも、取締の問題にもからんで来るのですが、そういうようなことを十分勘案されて今後不当競争ということについては、特に一つ具体的な指導方針、指導計画というものを立てられて、そういうような事態の起らないようにする一つ御対策はないか、お伺いするわけです。
  43. 中村豊

    政府委員中村豊君) お説御尤もと思いますので、できるだけそのように努力いたすつもりであります。
  44. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この法律は従来の法律とそれほど、まあ改正なつた点についてはいろいろありますけれども、根本的に見てこの自動車運送の非常な発達から、自動車運送事業者或いは直接自動車を運転する人のモラルとか行動というものを高めるといつたことのために、更に一段と高い法律規定がいるのじやないかというような気がするのですが、一方道路運送は、道路の建設は建設省、或いは交通取締は警察というふうに、非常に法域とか行政取締官庁が区々になつている。そのためにそういつた総合的なことができないのかも知れないのですが、そういうことに対するお考えは如何ですか。
  45. 中村豊

    政府委員中村豊君) 自動車行政の重要な部分が、他の官庁に分れているということは御指摘の通りでございまして、甚だ残念に思うわけであります。あらゆる機会にその一元化ということを、我々事務当局も各方面要望しているのでございますが、まだその機を得ておりません。今後もできるだけ努力をして行きたいと思つております。ただ運用上は、比較的関係官庁同志で連絡がとられて参りまして、まあ閣議なり懇談をしつつ事態を進めているわけでありますが、根本問題につきましては、どうしても意見の対立があり得るわけでありまして、できるだけ一元化について我々としても努力したいと思つております。
  46. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この自動車運送協議会のところで、このことについて二号に「輸送施設の改善に関すること。」というのがあるのですが、これは車両等のことだけを言うのですか、それとも踏切設備とか、そういつた交通関係のある施設も含めておりますか。
  47. 中村豊

    政府委員中村豊君) これは自動車運送に関する施設だけを考えまして、今の自動車或いは車庫というようなものを第一義的に考えているわけであります。踏切については、是非整備すべきことであると思いますけれども、これは自動車関係はむしろ利用者側にあるわけでございまして鉄道と道路関係が協力して立派なものにして頂かなければいけないので、別途その鉄道及び道路関係に緊急整備方をお願いしているわけであります。
  48. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 先ほど申しましたことからして、この自動車の発達、増加というものは、この事業者たる自動車を動かす人が一番困るのは、この交通施設の道路並びに踏切の問題であらうと思いますが、従来は地元から国鉄に陳情があつて、あそこのガード下は拡げてくれ、或いはあそこを立体交叉にしてくれというて、いわゆる地元と鉄道の直接なあれになる、そういうような点から見て、私はこの自動車協議会というもの、又中央に運輸審議会があるならば、そういつた重要問題は、その必要如何というようなことは、一番関係の深い自動車運送事業の面からこれを持ち出す、そうして国としての施策として国鉄にもそれを強制するというふうな立場で行かないと、なかなか直らないのじやないか、かような気がするわけですが、如何でしようか。
  49. 中村豊

    政府委員中村豊君) この直接の審議事項は、陸運局長の権限に属することについてでございますので、踏切りの問題は直接審議決定するわけには行きませんのですが、百三条の第四項によりまして、関係行政庁に建議する権限を持つておりますから、踏切りに関しては、是非こういうところでも審議して関係官庁に建議要望することはして行つてもらいたいと思います。
  50. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 次に、第四の従業員の服務及び養成に関することですが、これは非常に大事なことだと思うのですが、道路交通取締は警察の手にありましようが、最近の自動車の増加、従つてその交通事故の増加に伴つて、私はこの直接従業をする人、いわゆる運転手諸君については、特別の養成が必要であろう、かように考えるのですが、これに関しまして、自動車運送協議会が諮問に応じて方針審議されるそうでありますが、私はその養成に努力されると同時に、最近又運転手諸君の非常にいろいろな受難がある。これらの受難の保護についても非常に考えて頂かなければならんと思うのですが、それらの点について、いわゆる運輸省だけでどうしてもできない面があるのじやないかと思うのですが、それらについての御感想は如何ですか。
  51. 中村豊

    政府委員中村豊君) 服務、養成につきましては、是非今後も力を入れなければいけない問題でございますので、この協議会審議するときには、先ほどから他の委員さんからも御要望のありましたように、労働者関係の方にも入つて頂いて、十分に適切な結論を得て頂きたいと思うものであります。なお受難の問題、自動車強盗なんか盛んに頻発して困つておるのでございますが、運輸省としては、どうもその防止のために直接考えられることは、車両の設備と申しますか、受難防止設備を取付けることを慫慂する程度でしかないと思うのであります。更に進めば法規で必ず車にはこういう被害防止設備を付けなければならないという義務規定を置くことは考えられまするけれども、まだそのような適当な案がないのと、これが備付けを強制しますと費用がかかり、その費用を現在の経営態勢では事業主でなくして運転手諸君に持たすようなことになつたりしておりますので、まあこれは名義貸の問題もからんで在ると思うのですが、そこを一つはつきりさせないと、事実励行しにくい。むしろ運転手諸君はそれだけの負担をするならば、そんなものは要らないというような話まであるので、それを一つ経営のやり方にまで触れて解決したいと思つております。その他の被害防止については、警察関係でございますが、最近又特にその問題について、現地陸運局長は警視総監初め、その他関係者とタクシーの根本解決について打合会をやるということを問いでおりますから、逐次いい結論を出して行くことと思います。
  52. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今の問題について、非常にタクシーが飛ばすのですが、これはいわゆる歩合制度なんかの点もあろうかと思いますけれども、一つは私が聞いたところによると、この受難防止にはスピードを出すのが一番だということも言つておるので、これはまあ乗客の生命の問題にもなるので、これは放つておけない問題だと思うので、これらの点については厳重に取締官庁と御協議なり申入を願いたいと思うのであります。それからこの第百二十五条の二の、自動車運送に関する資金の融通の斡旋とか、或いは自動車事故による損害賠償を保障する制度の確立に努めなければならないと、運輸大臣が言つておられますが、資金の融通の斡旋について具体的措置は、今回の中小企業金融公庫等の問題もあろうかと思いますが、そのほかに何か具体的な方法考えておられるか。又自動車事故による損害賠償を保障する制度の確立ですが、これも最近非常に遠距離の貨物輸送が行われ、そうしてこれらの輸送は殆んど鉄道輸送と異ならないように重大であり、いわば幹線輸送にも匹敵すべきものと思うのですが、それらについての今までの運賃、料金制度の面から見ても、又それらの損害賠償に関する荷主の保護、或いは業者の損害を保障するという制度についても非常に不十分だと思いますが、それらについて具体案を考えておられるかどうか。
  53. 中村豊

    政府委員中村豊君) 百二十五条の二は、如何にも修身規定のように見えまするけれども、極めて重大な運輸大臣の権限について、できるだけの努力をしろという条文でございますので、この法律を御決定願えれば、できるだけの努力をいたしたいと思つております。資金の融通斡旋につきましては、今まで努力しましたのは、自動車事業は比較的中小企業、或いはそれよりちよつと越した程度のものが多いので、大企業並みの国家的な大掛りな資金斡旋を受けていないのでございます。そこでどうしても市中銀行相手の仕事になりますので、営利を主眼とする市中銀行からの融通はなかなかできなかつたのであります。そこで中小企業の信用組合でございますか、それとか商工中金、そういうところにいろいろ御相談をして多少ずつの斡旋を願つておりました。又昨年に至つて開発銀行の融資対象事業に漸く自動車をしてもらいまして、それによつて取上げられた事業会社が約十二、三会社、資金の斡旋額は二億円以上に上つたわけであります。で、今後もこの開発銀行による政府資金の融資斡旋は勿論したいと思いますが、丁度今中小企業金融公庫ですか、それができれば、そちらに開銀の仕事が肩替りされるであろうと思いますので、中小企業金融公庫のほうに今後折衝して行きたいと思います。  それから損害賠償の保障制度については、御説のごとく自動車がこれだけ殖えて、事故が頻発するようになりますれば、自然の現象として事故が止むを得ず起るものだということを前提にせざるを得ませんので、是非賠償保障制度を確立いたしたいと存じまして、目下その法案を着々準備しつつあります。その考え方としては、自動車事業者のみならず、自家用自動車も含めて自動車所有者は全部強制保険に入らなければいけない、まあ保険会社を使うか、保険組合によつてやるかは、テクニツクとして今後の研究問題でございますが、そういう強制保険制度による被害者の救済ということを主眼とした関係法規を整備いたしたいと、目下着々準備中でございます。恐らくこの次の通常国会には提案申上げて、御審議願うことになろうと思うわけで、準備を急いでおるわけでございます。
  54. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 それからもう一つ、これは技術的な問題ですが、二十四条の事業区域、この事業区域のきめ方というものは、従来通りになるのか、それとも例えば貸切りなんかの事業について、関東一円というようなきめ方があるようですが、それらのきめ方については、変らないのですか。それとも変えるという御意思があるのですか。非常に広範囲を事業区域にきめておられると思うのですが、このきめ方は非常にむずかしいと思うのです。
  55. 中村豊

    政府委員中村豊君) 事業区域は、その発地及び着地のいずれもが事業区域外にある旅客及び貨物の運送をしてはいけないということでございますので、又帰りはいいということで実情に合うようにしてありますから、御質問団体貸切という場合に、関東一円という広いものは少し再検討しなければいけないと思つてはおります。営業所所在地を主にしてその附近一定区域というものを頭において、それを事業区域にいたしたいと思います。それから出るもの、又帰りはこれは実情に合つてよろしいということになりますけれども、全く他に入り込んでそこだけで営業をやるということは、これは禁止されることになります。
  56. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 従来のあれで行くと、例えば山形県とか福島県とかいうような自動車が関東の遊覧地にバスを持つて来て入つて来ておるんですが、ああいうのは事業区域としては定めあるのに従つてつておるのか、或いは違反をやつておるのですか、どういう関係になつておるのでありますか。
  57. 中村豊

    政府委員中村豊君) 営業所というものは、東京都内に持つておれば東京都内から、都内で旅客と契約することはできるわけですけれども、営業所がないのに新たに東京都内で運送契約をして旅客を積んでおるという場合には、帰り車の利用以外は違反になるわけでございます。今まででもそういうものは殆んどなかつたと思うわけであります。山梨県の会社が山梨県の人を東京に連れて来てこの辺を遊覧して廻るというだけで、又その帰りのお客を積んで行くということであつたと思います。若し東京だけで新らしいお客さんを見付けて東京だけで営業をしていることは違反になりますし、今後は厳重に取締るつもりでおります。
  58. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 いや、私の目に触れたところ、或いは聞くところによると、全くないのみならず、国会の玄関に列んでおるバスにしてもかなり遠くから団体貸切で来ておる。又私ども途中自動車にすれ違つても、非常に遠くから、箱根とか日光とかいうよその府県の自動車が来ておるのを見ておる、見かけておるんです。これは絶無とは言えないと思うのですが、これが取締は非常に現在の、これは陸運局でやられるよりしようがない、むずかしいことと思うのですが、それらの取締の必要の有無、或いは可能性、不可能性について何かお考えがありますか。
  59. 中村豊

    政府委員中村豊君) それは問題はわかりましたが、それは非常にむずかしい問題だと思うのです。非常に遠くからやつて来ましても、その営業所がある地元の人を乗せて来る場合は、極端に言えば何百キロ先までも行けることになつておるわけであります。そこで行けることになるわけであります。それをどういうふうに考えたらいいかという問題だと思いますが、自動車は中距離までは活動範囲で、それ以上は行くべきでないと一概に言い切つて、これを取締つてしまうことも、これは非常にむずかしい問題でありますし、取締もなかなか励行されない思うのです。そういう点は発着地主義といいますか、発着地のいずれかが営業所を中心とする事業区域内にあれば、それ以上はどこへ行つてもこれは自動車より旅客に委すということで行くより仕方がないのじやないか。あと旅客がその場合に自動車を使おうか、場合によつては鉄道がいいということで鉄道を使おうかということは、運賃とか、時間とか、或い乗り心地とかいろいろのサービス、旅行条件というものを考えて、結局旅客に選択させるということが、国民経済的にもいいのではないかと思うわけでありましてそれを何百キロ以上は鉄道でなければいかん、自動車は何百キロ以内にとどめろということを簡単にきめるということはちよつとむずかしい。非常に疑問の多いことじやないかと思うわけでございまして、只今のところちよつとそれは考えていないわけであります。
  60. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私どもが申上げましたのは、何百キロというきめ方は、これは勿論不合理だと思うのです。事業区域を折角きめられて或いは事業区域というものをきめないこのあれはないんじやないかと思うのですが、貸切なんかについてそれをきめられる場合に、おのずからやはりこれを無制限に非常に広い範囲にすれば、この法律が狙つておる需要供給関係も非常に紛糾して来るし、又非常に馴れない所に遠くの自動車を持つて来るということは危険性を増すし、いろいろの問題が出て来ると思うので、そこらにおのずからいわゆるきめ方がありはしないか。単に鉄道が困るからということだけでなしに、或いはありはしないかと思つて実はお尋ねしたわけであります。
  61. 中村豊

    政府委員中村豊君) まあおのずから限度があると思うのでありまして時間とか運賃、乗心地、従つて道路の状態が影響して来ますから、今のところどれだけという線を引くつもりは、ございませんが、それが非常に問題になつて来れば検討したいと思つております。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと私は関連してお伺いするのですが、ハイヤーですね、ハイヤーの免許については、やはり今度のこの道路運送法改正と同様に、たとえ一台でもその実情に即応して免許するという方針をとつておるというのか、ちよつと参考のためにお伺いいたします。
  63. 中村豊

    政府委員中村豊君) 一台でも免許するということは、非常に大きく響きまして、非常に不安を持たれまして、不安と申しますか、一般利用者のかたは不安を持つておられると思いますが、それは非常に特殊の例外で、山の中とか本当に僻地を考えておるわけです。そのような所では一台は余りおかしいじやないか、予備車としてもう一台、合計二台は持たなければいけないじやないかという議論もありますので、その点はもう一度研究したいと思います。いずれにせよ辺鄙な所において問題になるわけでございます。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 これはちよつと貨物輸送と人間の輸送とは本質が違うので、例えば貨物自動車の場合には、こうめちやくちやに免許をして既存業者を圧迫するのはいけないと思つておるんですが、タクシーの場合には、これは一台でも二台でも三台でやろうと思つて既存業者をそう圧迫するということにならんと思うのですが、この辺の御見解はどうですか。
  65. 中村豊

    政府委員中村豊君) やはり全体の営業の車が殖えて来れば、限られたお客さんを取るようなことになり、既存業者を圧迫すると思います。その場合に許容される範囲内で規模はどうでもいいかというお話ならば、その点は比較的緩和して考えられると思うのです。ただ併し何といいますか、他の委員さんの中には、一台は絶対にやるべきではないという強い御希望を持つておられる方もあるので、もう一度その点は研究したいと思います。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 今ハイヤーの免許基準についての台数についての基準はどうなつておりますか。
  67. 中村豊

    政府委員中村豊君) 台数については、基準は全然ございません。あるとすれば、伝えられているところでは、一つのめどに過ぎないので、基準ではございません。
  68. 大倉精一

    大倉精一君 そうするとやはり実情に応じてという恰好になるのですか。
  69. 中村豊

    政府委員中村豊君) その通りでございます。
  70. 大和与一

    ○大和与一君 重複するかも知れませんが、輸送需要に対してこれは書いてない。あとはまあ画一的に、形式的に……これが新らしい分野を開拓する場合には、大体客観的に見ても、これは免許考え方が割合にはつきりしていると思うんですが、今まである交通網の中に入つて新らしいものを求める場合、そのときは主観的、主体的条件を主に考えるのか、或いぱ客観的な条件を主に考えるのか、どつちですか。対抗する資力とか、或いはその他の力、客観的には既存の能力、既得権というか、それとの兼ね合い、重さというふうなものはどういうふうな……。
  71. 中村豊

    政府委員中村豊君) 既存業者のところへ入つて来る場合には客観的条件需要供給関係を十分考えます。主観的条件も、これは無視するわけに行かないから両方になります。その客観的条件は非常に問題にして考えるわけです。
  72. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、例えば他の輸送需要ということを考えた場合に、極端に言つて一台なら一台の自動車を持つてつても、その人がどつかでやれば生きて行けるかも知れない。或いは生きて行けなくても、輸送需要というものを重点的に考えた場合に、生きて行けそうには考えるが、輸送需要の統計を取つたりした場合、客観的に見て経営は成立たない、こういうふうな状態が間々ありがちなんです。そういう点を十分考慮されて一旦許可したならば、それは成り立たん、或いは非常に不当な競争が激しくなつて交通全体の需要供給の、賃金なりその他輸送統制の問題についてアンバランスが起つて来る、こういうふうなことが起るのじやないかと思うのですが、そういう点も全部監督局長一存できめるわけですね。
  73. 中村豊

    政府委員中村豊君) 輸送需要度の関係均衡を十分考慮するわけですが、そのときに輸送供給力をどのくらいにしたらよいかということについて、地域的に大きな枠は自動車運送協議会に諮問してきめるわけでございます一存では、万一独善に陥るといけないわけですから、運送協議会を使つて大きな枠を検討してもらおうと思つているわけです。
  74. 大和与一

    ○大和与一君 この自動車運送協議会性格が今まで論ぜられたと思うんですが、これはやはりちよつと違うんじやないですかね。基本的な方針を協議する、具体的なものは一切触れない。今までのいわゆる審議会的なものは基本的方針も、具体的方針も全部一応は俎上に上げてやつて来た。今回のこの運送協議会性格が従来の審議会と違うところは、基本方針だけ、こういうふうな説明をお聞きしておつたような気がするのですが、その辺はどうですか。今の説明と……。
  75. 中村豊

    政府委員中村豊君) 説明が足りなかつたかも知れませんが、その通りでございまして、個々条件については一切触れません。ただその一定の地区の或る事業種別についての適正な供給力をどの程度におくかという大枠については審議することになりますから、それは比較的具体的な話になりますけれども、併し個々案件とは全然関係ないわけです。
  76. 大和与一

    ○大和与一君 そこら辺のところがちよつとあいまい模糊としているところですね。だから何も自動車運送協議会に諮問することが甚だ民主的で、監督局長が権限を以て専決することが民主的でないということはないわけなんですがね。そこら辺があいまいですね。あなたがたの御都合でそれはよりよくきめるために活用されることはいいのだけれども、法律のきめ方に、こういうふうなことを書いてあると、これはもう少しそこに何か区切りを付けておかんと、それこそそういうふうな運送議会に諮問をする場合もいろいろな幅があるし、それから六条の免許のやつは抽象的、形式的、画一的に流れることなく実情に副うようにやるのだ、輸送需要のことは一番大事だと思うのだが、こういうことが書いてあると、そこにはつきりしないところがあるように思うのですね。
  77. 中村豊

    政府委員中村豊君) この点のけじめは十分付けたいと思つております。これらの趣旨は、そう申しては何でございますが、前国会に各党一致のこういう提案があつたものですから、その趣旨を全面的に受入れさして頂いたわけでございます。
  78. 大和与一

    ○大和与一君 細かい基準というものは何かできめるわけですね。きまつておりますか。この法律だけでなくて今おつしやつたようなことをもう少し何かできめるのですか。
  79. 中村豊

    政府委員中村豊君) いいえ、それはきめずに個々案件について具体的に審査をするわけですね。
  80. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、具体的に言うと、この前もちよつと御質問しましたが、例えば国際バスが、あれだけをやつておつた場合には商売にならん、そういうふうなときに今までのようなことで公平にきめるということであつたが、先ほどのお話で主観的条件よりも客観的条件にウエイトをおいて公平におやりになる、こういうふうに考えてよろしうございますか。
  81. 中村豊

    政府委員中村豊君) まあどちらをどちらとも言いかねますが、両方が重要な条件でございます。客観的な条件も無視できない重要な条件でございます。国際バスの問題は、運輸大臣の権限で自動車運送協議会とは関係ございません。
  82. 大和与一

    ○大和与一君 協議会の場合は、別に具体的なことについてきめるのでなくて、法律の観念からいつて協議会性格が諮問機関であるから、こちらから聞きたいときに聞いてそれに答えてそれを尊重するという程度ですからね。その程度でしよう。その尊重はするが、それが必ず通るとは限らんし、審議会との性格は、その基本方針をやるということだけが違うと言う、違うとすればそこら辺をもう少しけじめを付けておかないと、何でも彼でも、一応その辺はあなたのほうの考え方でどうでもなるような、ちよつと法律の解釈がはつきりしないような気がするので質問したわけです。
  83. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 審議会協議会に変りますね。そうしますと個々路線等についての認可申請等が、説明書にある簡素化と相待つて速かに解決がつくということに一応なるわけですね。実際問題として生じたのは、認可申請を出したのが一年以上公聴会を開くとも何とも言わない。このようなことは、近頃のように非常に変転極まりない世相では一年たつてしまうと、全然客観情勢か変つて来てしまう。このようなことは一体あなたのほうでは御存じないかも知れないけれども、地方陸運局ですか、そこではどんなふうに考えておるんですかね。免許の申請を出して一年にもなつて公聴会も開かないで一体そのまま放つてある。
  84. 中村豊

    政府委員中村豊君) 具体的に承わりないと、ちよつとはつきりしたことはわかりませんが、一般論としましては、申請を受付けるときに、書類がいろいろ不備だと受付けるときにいろいろ御注意して書類を直してもらつたりするのにちよつと時間がかかると思うのです。その上で出て来たときにいろいろ現地について調査をし、内容を検討して大体の見当を付けてから公聴会を開くのが例でございます。と申しますのは、公聴会に付議する案件が、日に数十件もあるというようなことで、理想としては公聴会だけで知り得た事実によるのが妥当なんですけれども、それでは運用上到底できませんので、下調べと申しますか、そういうものを或る程度つておりましてそれにひまがかかる。そうして大体検討する内容がかなりわかつたあとで公聴会にかけるわけですが、その公聴会も陸運局によりましては、予算関係もあつて三月に一回というような所もございますが、次の公聴会までお待ちになるとそれだけたつてしまう、こういうようなことで遅れると思います。公聴会が済めば、あと引続いて道路運送審議会が開かれ、割合早く答申が出ているようでございます。若しそれが運輸大臣の権限を以て、バス又トラックでございますと、今度はその上で本省に上つて来て運輸審議会にかける、運輸大臣の判断が入れられるというようなことになりまして、それでますます遅くなるわけですが、具体的な場合を承わればもつと問題の焦点がはつきりすると思います。
  85. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 大体従来の審議会制度のときには、どれくらいの書類を受理して、大体どれくらいの見当だつたか。今度のような協議会になれば、およその見当はどのくらいで片付くことになるのですか。およその見当でこれは妙な話ですけれども、一年以上はかかるというのが普通なんですか。
  86. 中村豊

    政府委員中村豊君) 陸運局長権限の仕事だと目に見えて早くなるはずでございますが、今までかかつていたのが平均してどのくらいになりますか、やはり一年以上になつていたと思います。併し今度道路運送審議会がなくなり、公聴会がなくなれば、それはまあキ年以内には結論を出さなければいけないと思います。もつとスピード・アツプして行かなければいけないと思うのであります。その点やつてみないとわからないのでありますが、目に見えて早くするようにしなければいけないと思います。
  87. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 早くやつてもらわないと困る。
  88. 一松政二

    ○一松政二君 観光バスが最近著しく目立つてほうぼう出かけているのですが、事業区域と観光バスとの関係をどういうふうに考えているか、承わりたいと思います。
  89. 中村豊

    政府委員中村豊君) 非常に長距離に亙つて来る場合でも、自分の営業所を中心にして、一定の経済圏を考えて、そこは事業区域にするわけですが、その事業区域の中からはお客さんを何といいますか、つかんで乗せて行くことができるわけであります。遠くまで出かけることはできるわけであります。併し事業区域外で新らしくお客さんをつかんで、事業区域外で降すという、区域外だけの単独の営業はできないことになるというふうにいたしたいと思います。
  90. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると団体であるか、まあ個人々々であるかは別問題として、例えば東京の自動車が長野の善光寺へ行つて来る、往復する、それから或いは上高地へ行くということは、今後ますますそういつたような恰好のものが、たくさん出て来る趨勢にあると思うのですが、或いは日光へ行くとか或いは鬼怒川へ行くとか、或いは遠く福島県へ出て行くという、ますます道路のよくなるにつれてそういうことになると思うのですが、一体東京を中心とした場合に、観光バスの事業区域、或いは各地方から東京へどんどん出て来ているという事業区域というものは、観光バスと経済圏というものは平仄が合わんと思うのですが、その場合どういうふうにお考えになつていますか。
  91. 中村豊

    政府委員中村豊君) 上高地、長野へ行くことも今度の改正案でもできるわけでございます。東京にお客さんを積んで行く場合、その場合距離が遠過ぎやしないかとか、或いは鉄道との関係をどう考えるかという問題ですけれども、只今のところは、そのような場合に鉄道によるか、自動車としては非常に行き過ぎじやないかというような問題については、運賃、乗り心地、道路の状態というようなもので決定され、経済価値がどちらがいいかということで決定されるものとして、特にそれを規制しようという考えは持つていないわけであります。将来それが鉄道との関係は、一例ですが、そういうことで規制しなければいけないというようなことでもあつて、そういうことが適当であるということになれば考えなければいかんと思いますけれども、今のところはその考えは持つておりません。従つて事業区域は比較的大きく考えられるのであります。
  92. 一松政二

    ○一松政二君 今の御答弁は誠に結構なんです。私は観光のために用いる乗合自動車については、いわゆる事業区域というものは殆んどきめられないじやないかと思つておるわけであります。それで遠かろうが安かろうが、例えば一晩泊りで行くとか何とかいうことになれば非常にそれが便利であり、且つ安くなれば安くて結構だ。鉄道と競争になることは誠に結構だ。これが競争だから、私が今まで言つているのは、何らか競争をチェックするような思想ちらちらある。それが私はこの間申上げた鉄道の独占事業にどちらかというと馴れて、とかくそういつたよう考え方が起るのじやないか。私は競争誠に結構だと思うのです。競争して共倒れになると申しますけれども、共倒れになつた場合は殆んどない。共倒れになつた瞬間に必ず新らしいやつが一つつているというのが今までの成り行きであると思う。観光バスに対する今の局長のお考えは先ずそれでわかります。結構であると私は考えます。ただ私はこの何条かに、何か運賃をきめるという法文があるように思うのですが、八条ですか、この運賃基準を、例えばこれを東京のタクシーに例をとりますと、運賃をきめるのは、実際問題としてはどこでお扱いになるのでありますか。
  93. 中村豊

    政府委員中村豊君) タクシーは陸運局でございます。
  94. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、タクシーが法律又は命令に従つて運賃をきめられて、それ以上走らしたり、或いはそれ以下に走ることはまさに違反だと思いますが、さようですか。
  95. 中村豊

    政府委員中村豊君) その通りでございます。
  96. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、局長は今日法律をくぐつていないタクシーが東京市内におありと思いますか。
  97. 中村豊

    政府委員中村豊君) いろいろの点ですが、運賃に関する限りのお話でございますか。
  98. 一松政二

    ○一松政二君 そうです。
  99. 中村豊

    政府委員中村豊君) 全部を調べたわけではございませんが、大体現在においては規定通り運賃で動いておることと思つております。高過ぎる場合と、安過ぎる場合と二つあるわけですが、高過ぎることは現在では競争の結果殆んど跡を断つたと思つておりますが、安過ぎることがちよちよいあるやに聞いておりますけれども、これもメーターを備えて参りましたし、事業者及び運転手諸君の協力で、運賃違反をすることは殆んどなくなつて来たように聞いております。
  100. 一松政二

    ○一松政二君 局長はどうかなさいましたね。私は局長が、雨が降つたときの各駅の構内、或いは芝居のはねたときの、或いは映画館の帰りの円タク、その他について私は実地に局長みずから御経験になることをお勧めいたします。それは殆んどそういうことをやらないタクシーは私は珍しいと思います。それから私は運賃を安く乗せるタクシーは結構だと思います。運賃を今きめておるというのは、実際問題としてはタクシーの運転手よりも経営者に入る建前で運賃が相当高くなつていると思います。それで東京の都内の運転手を私は一々について聞いたことじやございませんが、大体ミニマムが四千円とか六千円とかきまつてつて、それから先はつまり歩合のきめになつておる。そこでもう或る程度稼ぎができれば、それから先はメーターを出さずに歩つているのは、私は局長みずから御経験もあるだろうと想像するのです。それでそういう場合にそれを一々法律違反であるということになれば、私は法律が悪いと思うのです。そういう法律をきめていることが実情に副わない。法律実情に副うようにあつてこそ法律の値打ちがあり、法律を無視するような場合には、法律それ自身が間違つていたら犯罪者ばかりが出るようになる。殊にタクシーは運賃で……、白バイ何かがまあメーター通りつているかやつていないかをときどき取締つているそうでありますが、私はそれは一体乗客の迷惑を考え取締つておるのか、経営者の味方をするために取締つておるのか、私にはその意味がよくわからない。で、できるだけ乗客としては運賃の安いことを欲する。その今日のように経営者がたくさんの車を持つて、そうして運転手にはそれを請負で貸している。従つて運転手は車に対する責任感が非常に薄いのです。昔のように一台持つてオーナー・ドライヴで運転をしているときには、前に円タクと称せられる時代に麻布から丸の内くらいまで面白半分に私は三十銭で乗つたこともある。併しそれはオーーナ・ドライヴであつて、車に対する考え方は非常に緻密であります。そうしてもうそれ以下には断じて行かんが、どうせ空で走つて行くんだから行くと言つて行きますが、車に対する彼らの関心は、自分の車ですから、一台といえども非常にその車の痛むことに対して責任を持つている。今日のように免許許可制度であつて、そうして一定基準を定めて自動車会社を標準に許認可を与える場合には、結局車に対する責任感は運転手は持つておりません。全然持たんと言うことはこれは言い過ぎでありますけれども、何か故障があつたり、或いは何か少々おかしいと思つても、その日が過ぎればもう自分の責任はないし、その日の稼ぎ高が問題なんでありますから、あくる日は又次の人が当りまして、その人の番のことは考えない。自分が稼げればいいというような観念が非常に多いということを聞いております。従つて車に対する注意は、一車か二車持つておるオーナー・ドライヴよりも、今のように経営者がたくさんの車を持つてこれを運転手に請負で運転させておるような状態では、乗客は前の一台か二台持つて気を付けて運転してもらつておる運転手のほうが安心感があると思います。従つて経営者が幾ら資力があり能力があるということを標準にいたしましても、それは私は許可、認可の根拠にする場合には大いに疑問があると思う。走らせておるのは運転手であつて、運転手は或る意味においては単なる……その人がずつと継続的に車を運転しておるのじやないのだから、今日は甲の車に乗り、明日は乙の車に乗りまして、そうして自分がその車に対して責任感を持たないでも営業できる組合せになつておる。従つて資本の高や経営者の能力を標準にして許認可をするということについて、私は大きな矛盾があると思う。そういう点に対して局長如何に考えておるか。殊に大都市においてはタクシーなりハイヤーなりで免許基準がきまつておるが、その免許基準のきめ方が私は少し、今の方針でいいかどうか、伺いたい。
  101. 中村豊

    政府委員中村豊君) 免許基準については、十分考えなければいけないことでございますが、この経営規模、資金、資本というようなものは形式的には基準にしていないわけでございます。ただ事実問題として、従来そういうことが言われたことはございますけれども、それは全然今後は問題にしないということにいたしておるわけでございます。今後どういう基準で行くかという問題になりますと、この法律の条文にあるだけのことで考えるわけでございます。東京のタクシーが特にまあ問題がいろいろありますので、その業態もいろいろお話のありましたことを十分考えまするし、又事業者なり、従業員なり或いは利用者の方の意見を聞いて東京の業界を明朗なものにするというようなことを是非やらなければいけないと思います。今のところ、直ちに何台がいいとか、何台にするとかいう意思は毛頭持つていないわけであります。実情どういうふうにしたらいいかということを十分研究したいと思います。
  102. 一松政二

    ○一松政二君 局長に伺いますが、その明朗なという意味はどういうことですか。つまり法律通り、賃金を規定通りきちんと、お客さんが少くても或いはお客さんが余つてつても規定通り運賃一つも貧らず、一つも値を下げないということを明朗なというのじやないかと思いますが、さように解釈していいのですか。
  103. 中村豊

    政府委員中村豊君) 明朗なというのは、利用者も安心して乗せ、差別待遇もせずに公平に扱つてもらえるということ、又車もできるだけ立派ないい車にだんだんと改善されて行くような業界を作り出すことを、まあ明朗と申したわけです。
  104. 岡田信次

    岡田信次君 午前中はこの程度にして休憩したらどうですか。
  105. 一松政二

    ○一松政二君 結構です。
  106. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩    ——————————    午後二時三十九分開会
  107. 前田穰

    委員長前田穰君) 休憩前に引続き運輸委員会を開会いたします。  道路運送法の一部を改正する法律案を引続き議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  108. 東隆

    ○東隆君 この法律に非常に関連があることでありますが、お伺いをしておきたいことは、在来農業協同組合がやつておりますトラック輸送について特免のため、協同組合の本質を非常に阻害をされておるような点があるのでありますが、これは伺いますと、農林委員会のほうで大分お話が妥協点に到達しておるように聞いておりますが、その点この機会に御発言を一つお願いしたいと思います。
  109. 中村豊

    政府委員中村豊君) 農業協同組合が持つ自動車の免許の範囲について、従来から問題がございまして、それについて農業協同組合及び農林省方面から是非限定の範囲を拡張してくれるようにという御要望がしばしばあつたのでございます。その点について、いろいろど実情及び法律適用の問題を研究しておりましたが、お話のごとく、農林委員会からも強い要望がございましたので、最近農林省と隔意なき懇談をしました結果、大体各方面が満足して頂けるような一応の結論を得られたのでございます。  その要点を申上げますと、第一は、農業協同組合連合会自動車運送事業については、単位農協のみならず、組合員のためにする、組合員というのは農民になるわけでございます。組合員のためにする農業協同組合法の第十条、第一項、第三号、これは「組合員の事業又は生活に必要な物資の供給」、第三号の二、これは「組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設の設置」、それから第六号が「組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蔵又は販売」及び第十二号、これは「前各号の事業に附帯する事業」、これらの事業を認めることにいたしたいわけであります。単位農協のみならず、組合員たる農民のためにする、今申上げたような事業に関する自動車運送ができるようにいたしたいと思います。  第二は、車両の集約をかねがね要望しておるのでございますが、未だ完全に実施しておりませんので、これをより完全なものにするということでございます。  第三が、将来において連合会の車両集約が困難になつた場合には、実情に即応して単位組合にも組合員のためにする第一の事業を認めるものとするということでございます。つまり車両集約をしてできるだけ県農協、或いは県連合会と申しますか、それに集約して免許を集中したいのでありますし、その努力は十分今後も重ねて行きますが、それが困難な場合には、単位組合そのものに免許を認めて実情に合わそうという考えでございます。  第四は、問題の点ですが、員外利用については、農業組合の経済的、社会的目的を達成するために必要であると認められる範囲については、実情に即応するように措置いたしたいということであります。  第五は、農林省としても連合会の車両集約をより完全なものにするために必要な指導を行うものとするということであります。  第六が、前記各事項は速かにこれを実施するものとし、この場合において必要な事項は、両省の通達によつてその取扱を明確にして実施を容易ならしめる、ということでございます。  大体、このような考え方で農林省とは意見が合致いたしましたし、農林委員会も大体御承認願えるように承わつております。
  110. 東隆

    ○東隆君 私はこれで満足だと思いますが、ただ一点政府が買上げたものですね。それを運びますときに、農協はこれを運びますときに在来は大分困難だつたようですが、この点はこれで解決が付きますか。
  111. 中村豊

    政府委員中村豊君) 政府が買上げたものについては、移り変りのときに落してしまつたのだというような事情もあるということを伺つたのでありますが、その点がまだはつきりいたしませんので、それを十分検討し、又農林省のほうでもいろいろと内部で研究されておるようですから、それの話のまとまるのを待つて、何とか解決したいと思つております。その点だけは農林省の研究も待つて解決をしたいと、保留しておるわけであります。
  112. 森田義衞

    ○森田義衞君 この免許基準につきましては、かなりお話も出たようでありますが、大体今後のこの基準と申しますよりは、実際の今後の免許の根本方針といいますか、それについても或る程度お話があつたようですが、まだ十分実は了解が行きませんので、一応具体的な事例について御質問をしたい。例えばその免許基準にですね、この第六条の第一号に「当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。」或いは第三号におきましては「当該路線又は事業区域に係る供給輸送力輸送需要量に対し不均衡とならないものであること。」、こういつたよう輸送需要といつたもの、或いは供給輸送力といつた問題をこの免許基準のこれのなにに考えておられますが、例えば現在でも業務の改善命令が出せるのではないか、そうなれば新らしく新規免許を申請して参りましても、そこに二台か或いは三台待てばいいという問題が出て来るが、既設の業者に対しまして、そういつた改善命令だけでやつて行けるといつた面もあると思いまするが、新らしく申請して来た者と、或いはこういつたよう既存業者に対する改善方式でやつて行くかどうかというような仮に例があるとすれば、どういつた方針をおとりになるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  113. 中村豊

    政府委員中村豊君) 輸送需要供給との均衡を見ながら免許の可否を判断するわけでございますが、その場合に輸送需要がどのくらいあるか、供給力をどのくらい作つたらいいかということは非常にむずかしい問題でありますので、その点については、個々案件について検討すると同時に、その地区における全体的な総枠というものもいろいろ問題になるであろう思いまして、自動車運送協議会で研究審議する重要な項目にしてあることは、今まで申上げた通りでございますが、その場合に、若し供給が足りない場合に、既存業者に対して改善命令で増車で行くか、新規免許で行くかということも、これは非常にむずかしい問題でございますが、どちらでも結果は同じでございますけれども、自発的に増車して来る場合はいいのですけれども、改善命令を出して増車をさせるというようなこは、なかなか法規上も実は困難ではないかと思うのであります。それは現行法でも、それから今度の改正法でも、公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、改善命令を出せるということにしてありまして、積極的に公衆の福祉を確保したり、増進したりするためには改善命令は出せないことになつております。従つてもつと車があつたほうがいいからという場合でも、増車を命令することはできないような建前になつておりますので、自発的に増車をして来ない場合には、余裕がある場合には新規免許を認むべきだと思うのでありますが、又自発的に増車をどんどんして来ても、その場合に増車だけを認めて、既存業者の少数の人だけを保護するか、或いは現在のような世の中の事情ですから、まじめな事業をやろうとし、而も需要に余裕がある場合には、或る程度既存業者は我慢してもらつて、増車を控えてもらつて新規業者に新らしく免許を与えて何といいますか、その業界に入つて事業をやれるたけのその余地を、機会を与えて上げるということも、こういう時代ですから、できるだけたくさんの人が正業を得るという意味でいいのではないかと思うわけでございまして、増車の問題と新規免許の問題は十分実際に合うように考えますが、或る程度新規免許にも機会を与えるべきだという気持を我々としては忘れてはならないのではないかと思います。
  114. 森田義衞

    ○森田義衞君 今言つた後段の忘れてはならないという面が、特に日本のようなこの失業状態で、而も人の生命財産を預かる大事な輸送ですけれども、一応は戦前では別に届出なくてもできたという時代もありますだけに、或る程度の機会均等が与えられないと、既存業者の保護といつたことだけに、運輸省が逆に法の適用如何によつては矢面に立つのではないかといつたことを実は心配してお聞きしたわけなんですが、その点の法の運用について、今言つた両建でおやりになるといつた関係でございますね。  それからもう一つの定期定路線的な営業をやるべき所で、実際問題として、そういつた路線免許を持つていながら業務を開始していないといつた路線があるかどうか、ちよつとお聞きしたい。
  115. 中村豊

    政府委員中村豊君) 数字で申上げますと、免許を受けたキロ数ですが、九万三千四百九十五キロございます、全国で。そのうち休止をしている、権利を持ちながら休んでいる線は、全国で二千三百六十八キロでございますので、その率は二・五%でございます。これはバスでございますが、あとの路線トラック、その他は大してそういう休止状態は殆んどございませんが、バスが一番問題になるわけです。そこで戦前の模様なんかを見ましても、免許に対して五%以内の休止率は常態であろうというふうに考えております。ということは、道路が決壊したために一時休んで他の道を使う。ところが道路が直れば又復活するわけですから、それは廃止せずに休止ということで残して置くわけであります。それから交通需要が急になくなつたから、一応休むけれども、又そこに人家や工場なんかができたら復活しなければいけないというので、もう少し模様を見るために廃止せずに休止して置くというものがいろいろあるものですから、二・五%程度は、これはまあまあいい状態じやないか。戦前戦後を通じて一〇%以上二〇%近くも休止率があつたのですけれども、それをここまで復活して参つたわけでございます。大体具体的に調べましても、この程度は我慢できることだと思いますが、余りこれも長くなれば権利の上に眠るものとして廃止を慫慂するということをしておるわけでございます。
  116. 森田義衞

    ○森田義衞君 第七条に「免許を受けた者は、運輸大臣の指定する期日又は期間内に、運輸を開始しなければならない。」となつておりまするし、休止をすれば、やはり休止期間というものを見極めを付けて監督なさるのが当然ではないかということを考えるのですが、中には戦前にやつてつて輸送需要がまだそこまで行かぬ、或いは採算点から見て、ほかは合うが、そこは合わないというので権利の上に眠る者があるやに私は承知するのですが、そういつたものも整理をされまして、そうして又新らしい別の業者がやろうといつたところもあるようですが、そういつたものははつきり整理をして頂いて、やらせるものはやらせるし、或いはやらないなら、やらないというようにして頂いたほうがいいのではないかと思います。
  117. 中村豊

    政府委員中村豊君) お話のごとく権利の上に眠る者はできるだけその権利を遠慮してもらわなければいけませんから、この二年ばかり相当積極的に廃止するか、復活するかどちらにするかということを迫つたわけであります。その結果が今申上げましたような形に現われて来たのでございまして、今後もそのような問題がないように努力いたしたいと思います。
  118. 森田義衞

    ○森田義衞君 それからこの比較的引合わない線といいますか、そういつた所は交通需要量全体が確かに少いのですが、一日僅かに三往復とか四往復といつたことで、交通機関としては余り態様をなしていない。ために利用者も余り殖えて来ないといつたような面があつて或いはそういつた業者が全体とすればほかでは儲かつているが、そこでは余りサービスがやれないといつた線があるやに考えるのですが、ほかの鉄道でも或いは何でも比較的こういつた交通の公共的使命に鑑みて、そういつた若し合わなければ補助してやろうといつたような精神は他の企業にもあるようですが、この自動車事業にはそういつたものが余りないといつたところ、或いは現在私企業的には引合わないが、或いはそのために鉄道建設とか、でかい要求もあるのだが、そういつた所も国家が或る程度面倒を見てやれば、或いはそういう自動車だけでも間に合うような路線もあるのではないか、そういつたものに対する今後の御方針はどうですか。
  119. 中村豊

    政府委員中村豊君) お話のごとくバス路線の中には交通量が多くて、非常に収益のいい所と、山間部のような所で収益の悪い所とございますが、収益の悪い所は、現在の運賃制度としては、賃率は一本ですけれども、その地方における賃率は一本でございますけれども、山間割増とか、雪国割増というようなことで、割増は多少付けておるわけです。ところがこれはコストがそれだけかかるという意味から付けておるのでありますから、経済的に不採算線でも運行しなければいけないということによる犠牲をカバーするまでには至つていないわけでございます。そこで是非そういうような路線については、何といいますか、この山間路線の補助助成といいますか、丁度離島航路の助成金をやるように、そういう考え方是非とりたいと私個人は思つておるのでございますけれども、まだ運輸省としてそこまで確定したことにはなつておりませんが、是非そういう方向に何か関係個所の意見をまとめて持つて行きたいと思つております。
  120. 森田義衞

    ○森田義衞君 儲かる所はどんどんと新規業者免許申請もたくさんあると思うのですが、そういつた所も実際問題として地方輸送需要は、といいますか、いわゆる業務開始の希望は多い。だから国営バスとか、いろいろな議論も出て来るのではないか。国営バスでなくても、民業でやれるのだと結構だから、それでやるのだといつた方針をおとりになつているのだが、そういつた面をもう少し国全体として大きく取上げてもらう必要があるのではないか。或いは今申上げた鉄道線路その他と見合つても、鉄道の整備あり、トラック、バス、その他の整備ありと言つても、こういつた総合計画を自動車運輸なり、或いは鉄道運輸と共に建てるべきではないかということなんですが、是非そういつた方向に持つてつてもらいたいと思います。
  121. 中村豊

    政府委員中村豊君) 御激励を頂きまして、是非そういうふうに問題を解決したいと思います。
  122. 一松政二

    ○一松政二君 今の森田さんの丁度関連になりますが、私も今の問題は自動車の発達のほうが道路に先行しちやつて道路のほうがめちやくちやになる。そうして道路の修復は到底その実情に及ばずに、至る所、殊に雨でも少し降ればひどい道になつてしまつて、而も貨物自動車、バス、大きなトラックが間断なく往来を往き来しておるわけです。この道路運送事業は、ただ路線のそういう業者の許可ばかりで、これは甚だ残念なことには道路行政とは全然別に離れてしまつている。ところが一般の住民或いは国民の立場から言うと、悪い道路にそういうものがたくさん来て、そうして附近には埃を浴せ、濛々たる塵埃を上げて非常に迷惑をかけているのが殆んど全国的であろうと思うのです。ただ少数の舗装道路においてはこれがない。これは頗る少いだろうと思う。でありますから運輸省はそういう自動車の運送について行政をされるが、これは建設省と相待つて道路運送は道路の修復及び建設と並行して、両方とも遺憾なきように処置をせられるように希望いたします。私はこれは意見になりますけれども、恐らく自動車局長も頗る同感であろうと思うのですが、一応御意見を伺いたいと思います。
  123. 中村豊

    政府委員中村豊君) 全く御同感でございます。それで免許処分に当つては、道路管理者の意見を聞いておりまするが、根本的には業者が協力して道路を整備して行かなければいかんと思いますので、今後も十分に努力いたしたいと思います。
  124. 一松政二

    ○一松政二君 道路運送法で、これは経営者のほうは取締るが、実際の運行に当つては、いわゆる交規通則、その他はこれは違つた当局が整備しておるのが実情ですが、車の安全或いは交通事故を起さないようにするのは、私は経営者の台数、或いは資本金とは直接の関係はない、むしろ輸送しておる本人の心掛次第であつて私は午前中も申上げたように、むしろ自分で車を持つている、或いは共同して持つている、この車は大切なのであるという運転手が私は最も道路規則をよく守つて安全じやないかと思います。徒らに資本金と台数に捉われることは私は決して道路運送を秩序あらしめ、或いは大衆の利益を得るゆえんではない。むしろ責任のあつて、そうして極く小じんまりと、確実に車に気を付けながら経営をして行く少数の台車の所有者にも私は免許をやることは、何もこの道路運送を不秩序にし、或いは大衆に迷惑をかけるゆえんではないと考えるわけですが、如何でございますか。
  125. 中村豊

    政府委員中村豊君) 事業規模、台数というものは、免許基準にも書いてないわけでございます。実際の運用に当つて、今までそういうことも問題になつたところがあつたことは我々も承知しておりますので、それはもうやめよう、基準にもないことでありますから、そういうことを問題にしないということにもう現在すでにしておるわけでございます。ただ何だか感じから申しますと、小さい事業者よりも大きい事業者のほうがよさそうだという感じがあるのでありますけれども、併しそれは感じでございまして、科学的た根拠も、又実際の運営に当つても、そうだとも言い切れませんから、その点は十分にフランクに考えて行くようにいたしております。
  126. 一松政二

    ○一松政二君 私は運輸当局に夜遅く芝居のはね、或いは路面バス、或いは軌道のなくなつたあとの、残りのお客さんを拾つているタクシーなり、或いは芝居のはね、或いは映画の終つたときに、その辺におるタクシーに一つ時折の心持を持つてお乗りになつて頂きたいと思います。どういうことを実際においてやつておるか、それから今の答弁で台数及び資本金に必ずしも、法律にもないことであるから、制限をしていなかつたのであるが、現実にはいろいろな意味でできておると、これを今後大いに考えるということは、大変結構でございますが、今の市内を流しておるタクシーは殆んど営業者が流しておるのではなくして、ほんの運転免状を取つて、或いは日借りをしておると考えてもいいような実情の運転の仕方をしていると思うのです。一々一日幾らという稼ぎ高を命じて、そうしてそれに歩合を定めておる実情でありますから、車に対する責任よりも稼ぎ高の一文も多からんことを望んでおりますから、むしろ車に対しては責任観念が割合薄いのであります。でありますか場ら、むしろこれは今の御答弁にもありましたように、実情に応じた一つ免許をして、少数のまじめな営業者にも営業のできるような取計らいをすべきであると考えますから、重ねてその点を局長のお考えを伺つておきたいと思います。
  127. 中村豊

    政府委員中村豊君) まじめな経営をしようとする人に免許の途を開いて、正しい事業をやつてもらうように、そういう体制を作るように是非努場力いたしたいと思つております。昨年暮に出しました通牒でも、そのような趣旨は語つてございますので、だんだんとそういう空気が各地にできて来たこととは思いますけれども、なお今後とも一層の努力をいたしたいと思います。
  128. 一松政二

    ○一松政二君 なお、もう一言念のために申上げておきたいのは、事故が起つたときの責任、これは又一般利用者にも、それから通行しておる人にも、これは重大な関心事である。事故ができたときに、轢き逃げをしたり、どつかへ行つて責任者がさつぱりわからんというようなことは、非常に不将なことになりますから、私は営業免許を受けようとする者に対しては、同時にそういう事故に対しては、これは保険があるはずでございますから、必ず傷害致死、或いは車の破損、車の破損は自業自得なんですが、他に対する賠償能力については、これは必ず保険に入ることをむしろ私は条件として免許の措置をとつて頂くべきことと考えますが、如何ですか。
  129. 中村豊

    政府委員中村豊君) お話通り考えを持つておりますので強制保険の義務を持たす法制を是非作りたいものと、今準備しておりますので、成るべく早い機会に御審議を煩わしたいと思います。
  130. 一松政二

    ○一松政二君 それではその期間は、法律上の強制はできないにいたしましても、行政措置としてできるだけ勧誘してそういうことを未然に防止するような御努力を願つて、私の質問を終りたいと思います。
  131. 中村豊

    政府委員中村豊君) その法制ができるまでの期間は、できるだけそのような努力をいたします。
  132. 東隆

    ○東隆君 私は甚だ変なことを聞くようですけれども、今一松さんの御意見は私は都会を中心にした考え方が非常に多いと思うのです。それで私は却つて田舎のほう、或いは不便な所、こういうふうな所では問題は逆で、却つて道路よりも自動車のほうが先と、自動車が通るようになつて道路がよくなると、こういうのが、これが普通でないかと思うのです。それでこれは北海道だけだという人もあるかも知れませんけれども、事実は自動車が入つて、そうして道路がよくなつた、こういう論理のほうが、恵まれていない所には正しいと思うのです。それでそういうような所に、如何に免許をしても動かないところでは動かないのですから、だからこれは問題にならんと思うのです。だから却つて自動車をたくさん入れるようにやるほうが、これは道路をよくする、こういうことになると思うのです。又必要に応じて道路は立派に直つて行く、こういうのが私は少くとも恵まれていない地においては正しいと思うのです。そういう考え方は、これは今一松さんの考え方とは大分かけ離れてはおりますが、それで私はいいのではないかと、こう思いますが、これは意見に当りますから、私は余りはつきりしたお答えは願う必要はないと思いますけれども、併し監督を強化して強く統制を加えて行くという場合には、そういう手心を一つ考えて頂きたいと、こう思います。
  133. 一松政二

    ○一松政二君 御答弁を願う前に一つ私の名前が出ましたから……。少し東さん誤解していらつしやると思うのです。私は自動車が多過ぎるから道を悪くして、だからこれを監督せよとか、或いは免許を少くしろという意味で申上げたわけじやない。道路が余り悪過ぎて、道路が遅れ過ぎるから、自動車を通すと同時に、道路についてもう少し、行政上の権限は違うけれども、どうせ同じ所を通るのだから、同じ路面を利用するのだから、利用する路面についても私は政府一体として、当然これは考えなければならん。そして道路が悪くなるのだから自動車の台数を少くしろとか、或いは自動車を通せば道路が悪くなるからというような消極的の考えで申したわけではないから、東さんどうぞ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  134. 中村豊

    政府委員中村豊君) お二人の委員さんの御意見も別に食い違つてないようでございますから、私もそのように自動車と道路とどちらが先かという前後の関係よりも、その間が調和をとれて円滑に発達するのがいいのだと思いますので、関係各局と十分連絡協調して行きたいと思います。地域によつてどちらかのほうが押しているということはあると思うのですけれども、自動車を発達さすためには是非とも道路を整備することが必要でございますので、建設省とは最近たびたびそういう打合せはしておる次第でございます。
  135. 森田義衞

    ○森田義衞君 法文の解釈ですけれども、第六条の第一号の「輸送需要に対し適切なもの」という意味は、事業の種類に対して適切のものということですか。一と三の違いはどうなるのですか。一と三はよく似たものなんですが。
  136. 中村豊

    政府委員中村豊君) 一のほうは、質的な審査、研究ですが、第三のほうは、量的な研究ということでございます。質と量と両方で考えようというわけでございます。
  137. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をやめて。    午後三時十四分速記中止    ——————————    午後三時四十八分速記開始
  138. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  139. 大倉精一

    大倉精一君 大体この問題の質問は、基本的には終つておると思うのですが、この機会に関連的な質問ちよつとしておきたいと思うのですが、道路運送法の第二十七条の問題ですが、「自動車運送事業経営する者の事業用自動車の運転は、年齢、運転の経歴その他政令で定める一定の要件を備える者」ということになつておりますが、この「政令で定める」という点について将来現行以上に何か更に厳格に資格要件というものを限定されるようなお考えがあるかどうかということについてちよつとお伺いしておきたいと思います。
  140. 中村豊

    政府委員中村豊君) 二十七条の問題としては変更はないわけでございます。ただ改正案として、三十条の改正を出しているわけです。三十条で「この法律に規定するものの外、」の下に「事業用自動車の運転者、車掌その他旅客又は公衆に接する従業員の選任、」という言葉を入れましてあと同様の現行法通りの云々があつて、それは「運輸省令で定める。」と、こういうことになつておるわけであります。そこで選任について運輸省令で定める何らかの規定をおいたらという改正をお願いしているわけです。
  141. 大倉精一

    大倉精一君 それで今の大体資格基準で当分は行くのであつて、その資格基準について変更修正をするという御意図は今のところないわけですか。
  142. 中村豊

    政府委員中村豊君) 別に特に厳にするというようなことは考えておりませんが、いろいろと議論のありますうに、運転事故が非常に多いとか、乱暴な運転とかいう問題もありますので、そういう点について十分に注意してもらいたいと思つて考えておるわけであります。そういう規定ができましても、これはまあ従来すでに採用されておる従業員の方に影響があるということは考えられないわけであります。
  143. 大倉精一

    大倉精一君 それではもう一つ、これも道路運送法には関係ないことですが、この機会に御質問しておきたいのですが、この市場関係の運送の問題ですね。例えば東京における中央市場或いは大阪の市場、そういう市場は御承知のように東京とそれから日本通運とそれから荷受機関というようなものが三者協定のような恰好になつておるのですが、この市場に対して更に複数制にされる、いわゆる他の競合する業者もここへ入れようという計画があるように聞いておるのですが、この問題に対して当局の御方針といいますか、意見はどういうような方針をとつておるのでございましようか。
  144. 中村豊

    政府委員中村豊君) そのような問題についての意見はまだ確定しておりません。その前に、一昨年でございましたか、公聴会をやつて、大阪の市場については実情をいろいろ検討しました結果、複数制にするのは適当でないということで、新規免許しなかつたのでございます。ところがその後まあ二年くらい期間がたちまして、事情が変つたということをいろいろと陳情する人が言われるものでありますから、そういう点について公聴会或いは聴聞会をやつてみまして、事情に変更があるかどうかを検討した上で決定しようと思つておりますので、只今のところは、実情をもう一度調べて見ようという段階にあるわけです。
  145. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、或いは私がそういう関係出身者であるからということで、誤解を招くかも知れませんが、私はそうでなくして、公正な立場からこの種の問題については、得てしていろいろな策動といいますか、暗躍がつきものなんですが、こういう鮮魚を扱うという特殊の業者においては、これは競合関係に置くということは、非常に現場の混乱を招くというようなことになりますので、これは本当の公益の観点からも、そういうような策動には乗つてもらつちやいけない、こう考えますから、その点は一つ十分に御考慮願いたい。必要があれば、それは関係者に現場を監督して頂いて、相当慎重にこの問題の取扱はやつて頂くということを一つ要望しておきます。
  146. 中村豊

    政府委員中村豊君) この作業及び環境の特殊性は十分認識しておりますから、実際に合わないような処分はいたさないつもりでおります。
  147. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言はございませんか。御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  149. 岡田信次

    岡田信次君 私は本法案に賛成いたします。  ただ、この道路運送の問題は、非常に国民生活なり或いは国の経済活動に大きな力を持つておりますということは申すまでもないのであります。而も道路運送事業というものは、非常に複雑雑多でありまして、いわゆる大運送に相当するバス事業或いはトラック路線事業、又小運送に譬うべきハイヤー、タクシーなど種々さまざまでありますので、本法の適用に当つては、十分緩急よろしきを得まして、利用者の安全を阻害するとか、或いは利用者の利便を阻害することのないように十分な注意を払つて頂きたい。且つ免許制度の撤廃ということが一部では非常に強く叫ばれております現状に鑑みまして、免許基準の適用とか、或いは免許事務の促進という面につきましても、格別の留意を払われんことを強く要望いたします。  ついては、私はこの法律案に次の附帯決議を付けたい、かように思うものでありすす。今附帯決議を読み上げますと、   政府は、自動車運送事業に対する事業区域を定めるに当つては、行政区域にこだわらず、国民経済活動の実態に即してこれを行うべきであり、又ハイヤー、タクシー等路線を定めない自動車運送事業免許に当つては、従来その免許基準厳に失し、実情に反し弊害の伴うこともある事情に鑑み、政府は将来これら事業者に対してよく実情に合致するよう免許の措置をなすべきことを要望する。  以上の決議案を付けて賛成いたしたいと思います。
  150. 大倉精一

    大倉精一君 今の決議案についてはもう一遍読んでもらうか、何かやはりちやんとしたものをもらわないと審議に困るのですが……。この決議案とは別に私は自分の討論をしたいと思います。  私は道路運送法の一部を改正する法律案については、次の要望を付して承認をしたいと思つております。  それは第一番には、この闇営業について、闇行為というものについては、依然として跡を断たない。将来も又この取締は非常に困難であるというようなことを言つておられますけれども、従来闇行為によつて、闇の実績というものを却つて足場にして免許を与えるとかいうような例もしばしばあります。そういうものについては、むしろこの闇行為についての取締を十分すべきである。今後当局が責任を持つてこのような闇行為については、効果的な取締方策を考究されまして、そうして実効を挙げるように、全面的に努力をして頂くということが第一点と、次には、新規免許については、今までの実例によると、十台以下のトラックの所有者或いは車の所有者を免許した数が相当多くなつております。これはあたかも免許撤廃と同じような実効を挙げておるように思うのですが、これは飽くまでもそういう業者の在立を危うくしない、こういう観点に立つて、不当競争を余儀なくせしむるような事態を発生しないような指導施設の確立ということについて、十分に考慮を願つて、この免許については、厳重に一つこれを査定して頂きたいということ、それから次には、自動車運送協議会委員の任命につきましては、これはこの協議会の運営如何というのが、業界はもとより業界に従事する従業員生活、労働条件の死命を制するような結果に相成ろうと思いますので、これについては、先ほど質問で御回答を得たように、労働者団体の推薦する者をこの委員の中に含めて頂く、こういう三つのことを要望条件としまして、これを承認したいと思います。
  151. 木島虎藏

    木島虎藏君 私は本法案に賛成するものでありますが、一言この法案取扱につきまして希望を述べておきたいと思います。  第一点は、とかく自動車の免許に当りましては、いろいろの政治勢力その他の勢力に影響される虞れが多いのでありますが、事務当局といたしましては、厳正に事態を認識して、そうしてそういう勢力に押されて免許をなされたようなそしりを受けないような取扱をして頂きたいと思います。  第二点は、今度道路運送審議会が廃止されまして、自動車運送協議会と変りましたが、この協議会の運営につきましては、本当に陸運局長の諮問機関の実を示されるように、陸運局長がこの協議会意見を厳正に取入れられるような機構の運用をなされるように希望をいたしておきたいと思います。
  152. 東隆

    ○東隆君 私はこの法律案に賛成をいたすものであります。  自動車の免許に当つては、免許を希望する者の多い所は、これは或る程度統制を加える必要があると思いますが、希望の少い所はこれはできるだけ免許をする。そうしてこの自動車が、交通機関が隅々まで行き亙るような、そういう方向にこれは持つて行くべきだと思います。  こういう考え方を以てこの法案に賛成を申上げておきます。
  153. 一松政二

    ○一松政二君 私は、道路運送法の一部を改正する法律案について、大体の私の感じとしましては、おおむね事業者の観点から立つて法律整備がなされているのじやないかという感じがいたします。むしろ私はこれを利用する者は国民であつて、国民の利用する側に立つて特段の努力を払つて頂きたいということを一言附加えまして、他の同僚委員と共に、本法案に賛成をいたします。
  154. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。  御発言もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中にございました岡田君提案の附帯決議を付することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 前田穰

    委員長前田穰君) 多数でございます。よつて附帯決議を付することに決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容と事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされました方は、例により順次御署名を願います。    多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  一松 政二     森田 義衞  大倉 精一     大和 与一  東 隆     木島 虎藏   —————————————
  159. 木島虎藏

    木島虎藏君 今、さつきの機関車乗務員在職年の加算に対する件を一つ議題として頂きたいと思います。
  160. 前田穰

    委員長前田穰君) 只今木島君から発案がございました懇談会の際の内閣委員会に対する申入書について、お諮りをいたします。  それでは木島君から朗読を願います。
  161. 木島虎藏

    木島虎藏君 それでは発議の理由を述べさして頂きます。   鉄道事業における蒸気機関車乗務員は、不健康にして且つ危険な業務に従事していますから、現行恩給法では、在職年加算の特例が与えられていますので、全国鉄機関車乗務員は、国家においてその職務の実体を認められたるの故を以て大なる誇りを有していたのであります。今回の法律改正でこれが削られますと、既得権益を剥奪されるのみならず、国鉄輸送の安全を確保しようとするこの種職員の志気を害するばかりでなく、将来この種業務に対する有為の青年の吸収を困難にし、延いては鉄道輸送の安全を低下させる虞れがあります。   なお、恩給法第三十八条ノ四に示す運輸関係の職員についても、今回の改正案は妥当を欠くので、右のように修正の手配を願いたいのであります。
  162. 古谷善亮

    ○専門員(古谷善亮君) 先を朗読いたします。    一、鉄道事業における蒸気機関車乗員としての現業勤務に引続き六月以上服務する者の在職年を計算する場合においては、現行通りその服務期間一月につき半月を加算するよう現行法第三十八条ノ四及び関係規定の削除を改め、所要の改正を加へられるか、又はむしろ改正法律案附則第四条を改正して「当分の間」この関係部分の改正規定の適用のないようにせられたいこと。   二、若し前項の実現の困難なる事情があるならば、危険職に在る者の恩給資格年限を、警察監獄職員と同様に扱はれたいこと。以上であります。
  163. 前田穰

    委員長前田穰君) 只今朗読をいたしました案文を内閣委員会に申入れることについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それでは内閣委員会べ只今の案文の申入をいたします。   —————————————
  165. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、港湾整備促進法案議題に供します。  質疑のおありの方は順次発言を願います。
  166. 一松政二

    ○一松政二君 第二条において「港湾法に規定する重要港湾又はその整備を促進することが著しく国民経済の発展若しくは国土の開発に寄与すると認められる地方港湾であつて政令で定めるものにおいて港湾管理者が行う左に掲げる工事をいう。」とありますが、この港湾法における重要港湾のほかに、「整備を促進することが著しく」云々と、こういうのが入れてあるのですが、これはどういう所を指しておるのか御説明願いたい。
  167. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) この重要港湾以外の港湾で新たに政令で指定しようといたしまする港湾は、国民の経済に非常に密接な関係があり、又国土の開発に寄与することが大なる港湾等でございまして今のところ、国土総合開発法によつて特定地域に指定されました地域の中心となる港湾、即ち岩手県の大船渡とか徳島県の橘を考えておりますし、又産業の開発に相当著しく関係のございまする千葉県の千葉とか、或いは大阪府の堺、それから岡山県の水島等の臨海工業港を考えております。そのほか、石炭の搬出に相当重要な役割をやつておりまする長崎県の江迎等、おおむね十内外の港湾考えておるのでございます。
  168. 一松政二

    ○一松政二君 この法案に、いわゆる英語でポート・オーソリテイという、港湾管理者ですね、この港湾管理者のこれは法人格によるものであるか、或いは地方の都市がそのままなつておる所もあるやに承知しておるのですが、この点を御説明願いたいのであります。
  169. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 港湾管理者は、只今では港湾法によつて設立いたすことになつておるのでございますが、重要な港湾は大体その地方の県或いは市が管理者となつております。併し港湾法によりまして地方公共団体の県、市がなるほかに、別に港務局を設立することも許されておりますし、又地方自治法により一部事務組合を設立してこれが港湾管理者になることも認められておるのでございまして、名古屋港は県と市が一緒になりまして一部事務組合を作りまして、港湾管理者になつております。又関門は、いわゆる港湾法による港務局として港湾管理者が設立されております。そのほか洞海湾におきまする若松、戸畑、八幡三市が一緒になりまして港務局を設立することになつております。小倉も県と市が一緒になりまして港務局を作ることになつておりますし、新居浜におきましては、県と市とその地方港湾使用者が一緒になりまして港務局を設立することになつております。
  170. 一松政二

    ○一松政二君 この京浜、東京のこの京浜港はこれはどういうことになつておりますか。
  171. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 東京港は東京都が港湾管理者になつております。横浜は横浜市が港湾管理者になり、川崎市は川崎市が港湾管理者になつておりますが、横浜と川崎は密接なる関係がございますので、管理者ができますときに、できるだけ早い機会に両者が一つになつて港湾管理者を設立したらよかろうという運輸審議会の勧告に基きまして、そのことを伝えてございます。
  172. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、この港湾整備促進法によつて起債その他融資の斡旋を受けて、そういう県と市或いは事業組合で管理者になつている場合に、その当事者が負債を負つて仕事をやつて、うまく行つたときはいいのですが、まずく、仮に予定の通りに行かなかつたというようなときに、責任の帰趨が明確になつておりますかどうですか。
  173. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 港湾管理者が地方債の借受けをやりまして事業をやりますので、責任者は港湾管理者でございます。
  174. 一松政二

    ○一松政二君 港湾管理者でありますがです、港湾管理者はその実体から言うと、事務当局はあるけれども、その実体は寄り合い世帯じやないかと思う。その場合に県なり市なりのその負担を、実際面において填と市が或いはなすり合うとか、或いは組合の間でなすり合いが起るというような危険は、この港湾管理者という制度ができて、そういう点は一つも心配ないということでございますか。
  175. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 港湾管理者が県か市かいずれか一方であります場合は、県か市が責任を持つことになつております。  それから港務局のほうは二、三の構成団体が一緒になりましたところは、定款を作りまして定款によつて構成団体責任を負うことになつております。
  176. 森田義衞

    ○森田義衞君 これは港湾管理者が大体やることになつて建前がこういつた融資斡旋のことをやるが、この管理者がやつても大体借入金及び利子の返済は可能であるといつたことで融資斡旋してもいいといつた場合に、港湾運送事業者もそういつたものを希望した場合に、これらの資金獲得に困つておる、そういう場合にどちらを優先されるのですか。
  177. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) これは港湾管理者でありまする地方公共団体がやります場合には、地方債のようなものの貸付でございます。それから業者がやります場合は、これは開発銀行等の融資が行われるわけでございます。この融資に対しまして、運輸省が斡旋をしておりまして、業者がやります場合の途は、一昨年からそれらの閣議決定によつて、その方法が行われておるのでございます。
  178. 森田義衞

    ○森田義衞君 閣議決定でございますか。それは法律で以てそういつた港湾管理者に対して、何といいますか、はつきりと裏付けをしておる、その力のウエイト問題ですが、同じようなものに対してどの程度に行くものですか、どうですか。
  179. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) どちらを優先するかというお話のように伺いますが、開発銀行から借りる分は、もうそれぞれの業者が或る程度借りております。地方公共団体が借ります場合には、この枠が違うのでありまして、地方債の枠になつております。併しながらこれに対しましては、地方債の借受をいたします場合に、どうしても地方港湾管理者としては、この事業が補助の対象になつて、これを優先的に考えて起債を得るために、全然補助の対象になつておらない上屋、荷役機械、埠頭施設に対しましては、なかなか必要であるにもかかわらず、資金の獲得が困難なのでございまして、そこでこの法律によつて地方債の枠を拡げようということでございます。
  180. 森田義衞

    ○森田義衞君 非常に結構で、荷役施設は大いにやつてもらいたいのですが、その前に、何と申しますか、直接の埠頭施設ですね、こういつたものは大体やつてるわけなんですが、例えば新潟のように、自分で私企業で港湾施設をやつてる例があるのですが、こういつたものを先ず国として基本的に補助してやるといつた恰好に行きますかどうか。
  181. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 私企業が埠頭施設をやります場合には、開発銀行から融資が行われております、一昨年から。それで新潟臨港埠頭のような場合におきましても、その荷役機械に対しましては、会社が行う事業として開発銀行から融資が行われております。
  182. 森田義衞

    ○森田義衞君 ちよつと質問と違うのですが、荷役機械でなく、ああいつた私企業で埠頭施設をやれば、なかなか荷役費その他が頭にかかつて来て困るのじやないか、そういうのはむしろ国の補助を先にしてくれないか、こういう質問なんです。
  183. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 私企業の埠頭工事につきましては、これが公共的に使います場合には、公共事業費の対象になりますので、公共事業費のほうの補助があるわけでございますが、一会社で純然たる民間の個人が対象になります場合には、これはこの法律によつては補助の地方債は得られないのでございますが、併しその会社経営状態がいい場合には、開発銀行のほうから融資ができることになつております。
  184. 森田義衞

    ○森田義衞君 ちよつと質問と違うのですが、こういう意味なんですよ。新潟に、すでに私設港湾的なものがあるのです。それはすでに投資したものである。そういつたものをやはりそこで以て荷役業者として扱う場合にですね、そういつたことで負担した施設のやはり利廻りの関係から荷役費にかかつて来る。こういつたものは国でやれはかからない。安い荷役料金になつて来るのじやないか。そういつたものを国で買収するとかいつたことはしないかもつともとの問題なんです。
  185. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) その施設を港湾管理者の管理下におけばできるのでございますが、新潟のような場合は、なかなか会社がそれに応じないのでございます。現在取りあえず水面だけでも港湾管理者の管理に移したらどうかということを慫慂いたしているのでございますが、この分については、大体協議が調つたようでございまして、その公共的に使う航路とか、泊地につきましては、公共事業のほうの対象になり得るかと思います。
  186. 森田義衞

    ○森田義衞君 そうしますと、例えば埠頭施設とか水面を一般の共用にするといつた恰好になれば、国として買収なり補償なりはなさるのでございますか。
  187. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) それは港湾管理者がやることになつております。国はいたしませんです。
  188. 森田義衞

    ○森田義衞君 そうすると管理者は予算的にも、何といいますか、裏付けなり力がないとできない。そうなりますと県なりその他でやる場合、国がそれに対する、新らしい建設工事は別なんですが、勝手にやるものに対して国の補助というものはないのですか。
  189. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 現在民間が持つているものにつきましては、ございませんです。
  190. 岡田信次

    岡田信次君 この提案理由の説明によりますと、上屋とか荷役機械等は暫らくの間公共事業費の対象にまでなるくらいであつたということが言われたのですが、公共事業費の対象となるためには、何か法律があるのですか。
  191. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 公共事業費の対象となりますためには、現在港湾法によつて補助が出ているのが実情でございますが、これは一般の公共用に使う施設であれば公共事業費の対象になるわけでございまして、或る会社が特別にその会社のために施設をやろうといたします場合には、公共事業費で取上げることは困難だと存じます。
  192. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、まあここで大体問題になつておる上屋とか荷役機械というのは、一つ会社のみが使うのでなくてやはり数十とか或いは十数会社がいわゆる一般の公共用に使うのだと思うので、公共用の対象にならんのはおかしいと思うのですが。
  193. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) ここに考えております上屋、荷役機械、埠頭用地は、一般の雑貨を扱う埠頭用地でございまして、県なり市のような港湾管理者が管理している埠頭施設でございます。この埠頭施設の中に上屋とか荷役機械は入つているのでございますが、上屋、荷役機械につきましては、五年なり七年なりに償還ができるという収益率があるというので、補助の対象にならないのでございます。それでこれらの施設を港湾管理者が整備するのに、資金もどこからか持つて来なければならん、その資金を起債でやろうとするのでございます。この起債に対しまして、政府が斡旋をするのでございます。
  194. 岡田信次

    岡田信次君 私の言うのは、補助の対象にならんというのはおかしいので、さつきのお話じや、或る程度収益があるから補助の対象にならんと言われておりますが、いやしくも港湾の中の設備の公共的性質を持つているというのですから、公共事業費の対象になるようにもう一遍規則を変えたらどうかと思いますが。
  195. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 戦前或いは戦時中に一部の港湾の上屋、荷役機械に対して一割、二割程度の補助が出ておつたことがあるのでございますが、終戦後、港湾法を設定いたします場合に、そのような収益が上つて採算がとれるような施設は管理者が単独でやるのがいいじやないかということで補助の対象にいたしておらないのでございまして、その後事務的には関係方面と、これらの施設に対しても補助の対象になるように折衝を続けているのでございますが、現在の段階では、なかなかそこまで参らないのでございます。
  196. 岡田信次

    岡田信次君 どうも公共事業費といい、それからここに出ております資金運用部資金その他の資金であつても、同じ金であつて、こつちのほうから出るというのに、片つ方が出ないというのは甚だおかしな話で、むしろ公共事業費に統一したほうがすべての点が簡略になり、行政機構も簡略になると思うのだがな。
  197. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 公共事業の対象となりますような外郭施設、水域施設のようなものは補助になるのでございまして、国が公共事業費のほうから補助することになつているのでございまして、今ここにこの法案で考えておりますのは、国の貸付になることでございます、貸付、それよりほか方法がなかつたのでございまして当初は相当道路整備のように特別会計の方法考えて事務的にも折衝等を進めたのでございますが、特別会計によることができなかつたために、このように国の金を貸付けるという方法をとつたのでございます。
  198. 岡田信次

    岡田信次君 今度そうすると問題は別にしまして、この法律ができ上りますと、例えば国鉄の室蘭であるとか小樽であるとかいうような石炭の積出港において、石炭荷役の機械を据付けるというような場合に、国の補助の対象になるかどうか。
  199. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 小樽、室蘭等におきまして、石炭の搬出に現在の能力では不足しておるので、港湾管理者がその必要を認めまして、これによつて国の貸付を受け、港湾管理者としてその施設を作りました場合に、そのあとの運用港湾管理者に任されておりますので、港湾管理者と国鉄が若し運営を希望なさるならば、協議によつてこれを運営する途は残されておろうかと思います。
  200. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  201. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  202. 入交太藏

    ○入交太藏君 この案で見ますと、荷役設備、上屋というようなものがこの対象になつておるようでありますが、この理由書にもありますように、港湾施設、例えば岸壁その他の港湾施設というものを切離して、そのほうは公共事業の対象になるが、今の上屋なりそれから荷役機械というのはならないから、この法律によつてそれに対して援助する、こういうことでございますね。それから港湾ですが、港湾には御存じのように、いろいろな重要港湾、幾種類もあるわけでありまするが、どの港においても、相当重要な港に限ると思いますけれども、何種のものじやないといかんとかいうような制限はございますか。
  203. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) それは原則として、重要港湾に限られておるのでございます。第二条によつてきまつておるのでございますが、重要港湾のほかに、先ほど御説明申上げましたと存じますが、国土総合開発等によつて特定地域に指定された地域の中心になる港湾でございますね、例えば北上川開発の中心になる大船渡のようなもの、或いは石炭の荷役のために相当経済的に重要なもの、例えば北松炭を搬出いたしまする長崎県の江迎のようなものは、これはこの法律港湾に政令できめる中には入れられるわけであります。
  204. 入交太藏

    ○入交太藏君 それでは余りだくさんはないのですね、今の予定しておるのは。
  205. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) そうでございます。大体今のところ九つぐらいのものでございます。
  206. 入交太藏

    ○入交太藏君 その融資を受ける程度でございますね、例えば工事費がこのくらいかかるので何%ぐらいの融資ができるとか、何とかいうことは何か規定があるわけですか。その融資方法というか、それはどんなふうになつているのですか。
  207. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 特別の規定はございませんが、荷役機械を作りまする場合には、大体荷役機械を製作するための工事費全部を考えております。
  208. 木島虎藏

    木島虎藏君 室蘭のような大きな港のことは聞きたかつたのですけれども、岡田委員からお聞きになつて重複するそうですから、今度はそうでなくて小さいほうの港ですね、小さいほうの港で、港には近頃はクレーンがないと港にならんと思うのです。ところが小さい港でクレーンを港のほうで付けなくて、国鉄が付けたりしている場合、国鉄は自分のほうの必要でそれを取つたり外したりする可能性があるわけです。そうすると国鉄のほうがクレーンを自分の必要なやつでとつてしまえば、従来は国鉄のクレーンの空いているときはほかのほうに使つている、そこで総合的に港としての使命を果しておつたのが、それが国鉄が持つてつてしまうというようなときには、実質的に港でなくなるわけです。そういうふうなところを今度は法律で、小さい港で整備するというようなことは含まれているのですか。
  209. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 小さい港にも限度がございまして、大体先ほどもお話申上げましたように、重要港湾程度に限定しているわけでありまして、重要港湾は五十六港ほど全国にございますが、そのほか今お話のありました石炭の積込み設備等につきましては、重要港湾でなくても、国の経済に相当重要な影響がございますので、政令でそれらの港湾をきめたいと思つております。
  210. 木島虎藏

    木島虎藏君 今の小さい港と申しましても、外航船の入る程度の小さい港です、私の言うのは。
  211. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 外航船の入る港は大体重要港湾になつております。重要港湾は一県少くとも一つの港がございます。
  212. 木島虎藏

    木島虎藏君 岡田さんと重複するかも知れませんが、先ほどの室蘭なんかよい例でありますが、室蘭なんか混み合うときは、船でなくて港の設備が船の運航を左右しているわけです。だから今度のように船のほうに幾ら補助をなさつても、港のほうに補助をしなければ何にもならん、だからそういうことを根本的におやりになるお考えはないか。
  213. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) お説の通りでございまして、私ども平素からそのように努力しているのでありまして、室蘭におきましては、今年度は従来の港湾整備事業にプラスしまして、一応石炭埠頭ができるような予算をプラスして計上いたしております。なお先ほど岡田委員からも御質疑が、ございましたが、室蘭のようなところで石炭荷役設備をやりますような場合には、一応この法の対象にはなるわけでございます。
  214. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  217. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に、本案を可とされました方は、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  森田 義衞     大倉 精一  東 隆     木島 虎藏
  219. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時四十五分散会