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1953-07-13 第16回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   委員の異動 七月十日委員片岡文重君辞任につき、 その補欠として松浦清一君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            木島 虎藏君   衆議院議員            關谷 勝利君   政府委員    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省海運局長 岡田 修一君    海運省海運調整    部長      国安 誠一君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省国有鉄道    部長      細田 吉藏君    運輸省民営鉄道    部長      山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省船舶局首    席船舶検査官  水品 政雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海事代理士法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○海上衝突予防法案内閣提出) ○臨時船質等改善助成利子補給法案  (内閣提出衆議院送付) ○海上運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○運輸一般事情に関する調査の件  (関門トンネル復旧状況に関する  件)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず海上衝突予防法案議題といたします。  前回に引続き質問のおありのかたは順次御発言を願います。
  3. 東隆

    東隆君 第十三条の問題でありますが、この第十三条から参りますると、勿論日本国内における海上でありますが、海運は差支えはないのでありますから、関係はことごとく国外のものになるわけでありますので問題はないわけでありますが、併し日本には独自の形で海上保安庁があり、これに関連して保安機構ができております。従つてこの機構に関する限りは、私は行動の自由を或る程度維持する必要がある、こう考えますので、さきの委員会でこの第十三条の第二項について読替えをする必要があるのではないか、こういうことを申上げたのであります。即ち第十三条の第二項の最初のほうの、「海軍その他の軍」という所を「海上保安庁」と、それからその次の「軍事機能」の所を「保安機能」、それからそのあとに二つほどございますが、「その国の」と、こうありますのを「日本国の」、こういうふうに読替えるように附則においてそういうような措置をとりますることによつて、公海上におけるいいろな困難な問題が解決をされる、こう考えまするので、この点を研究をして頂きたいと、こう申上げておつたわけであります。それで今日はそれについてお答えを願いたい。こう思うわけであります。
  4. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 只今の御質問に対しましてお答えをいたします。只今御指摘になりました点は、我々のほうで保安庁のほうとも打合せをいたしました結果、結論から申上げますると、特にその規定について読替規定を設ける必要はないということになりました。その旨をお答えいたします。  その理由といたしましては、大体この十三条の規定は、軍艦その他のものに対しまする船舶のいわゆる船燈、或いは信号燈とかいつたようなものについての例外規定であつて、この点につきましては、保安庁の船といえども、その設備をするだけの構造を許されておる、現在すでにそういう構造を有しているので、支障はないという点と、それからまあ一旦緩急ある場合に、特にそういつた形象物船燈の問題でなくて、航法上の問題といいまするか、船が走る場合の問題につきましては、十三条においては特にそういつた例外規定を設けることになつて、その点につきましては、保安庁の船も大体国際海上衝突予防規則に準拠してやるというような意見でありまするが、そういう点におきまして特にこの十三条について、保安庁の船ということの読替規定は必要ないということに結論を得たのであります。
  5. 大和与一

    大和与一君 今の東さんの言つた燈火及び形象物特別規則というのは、軍艦という名前がなければ、日本の国として、国内法として問題はないので、それがあるからこういう意見が出ておるのだから、それを何か軍艦という文字は単なる文字の羅列で大した実際的な内容がないというような言い方をするとどうも少し違うと思うのだ。だからこの問題はこれを一字一句でも変えたら国際協定として認められないと、こういうふうなことを、この前も言つたような気がするのですが、それに準じてただ原字を翻訳しただけだから、従つて日本には軍備軍艦もないのだから、そこに大きな食い違いがあるのは当り前のことなんで、その食い違いをあえて押して行つて国際法国内法との関係は少しも矛盾がない、こういうふうなことでどういうようなことになるかわからんが、その辺がちよつと明確でないような気がしますね。それから今何か保安庁の船は燈火及び形象物についてはこれに盛るわけで、その他まあ大体において準拠しておると言つておるけれども、大体という言葉はどんな意味ですかね。それもちよつと伺いたい。
  6. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 第一点の、この法案国際性につきましては、先般も申上げたのですが、この第十三条は、我が国におきましては軍艦がないから必要ないではないかという御意見がありましたが、これは恐らく軍艦がなくても、外国軍艦我が国領海に入つた場合、この規定の基礎になつておりますところの国際海上衝突予防規則がすべてこういう例外規定を設けておりますので、それに則つて各国作つた国内法従つてその国の軍艦我が国領海に入つた場合には、仮に我が国にこの十三条の規定がありませんと、そういつた軍艦との間に我が国衝突予防法違反の問題が起りまして、絶えず国際紛争の種になるということと、そういつたことがあつては困るからこそ国際的に一応、条約ではありませんが、基準なるものの国際規則というものを作つて各国がこれと同じものを採用しておる。それはまあ採用の形式としては国内法として採用しておるということにいたしておりますので、その点から申しましてもこの法律案といたしましては、この規定をそのまま入れて置くことが適当かと考えます。
  7. 大和与一

    大和与一君 世界正義という立場から言うと、世界中の国がこんな軍艦とか何とかいうものはないほうがいいということは大体これは自明の理だと思うのです。だから日本法律軍備とかそういうことがなくて、憲法従つてできるということはむしろ世界に一頭地を抜いて立派な法律ができることなんです。国際協定においても、やはりこういうふうな立場からそういう立派な法律作つて、それが外国の船がやつて来ていろいろ問題が起るだろうが、それならそれで又話のしようがあると思うのですがね。これに必ず一字一句違つたら動けんということではないだろうし、又入らなくても実際上は現実にはそういう船が動き歩いておるだろうと思うのですがね。
  8. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) まあこの軍艦のない場合の理想的な形態から言いまして、現在外国には軍艦があるというのが、これが我が国領海に入つた場合には、そういう違反行為がしばしば起るのではないかという問題が起りますので、そういつた紛争を避けるために、各国とも共通なものをそれぞれ国内法で採用して規定して行きたいというのが趣旨だと思います。従つて我が国だけそれに外ずれた法律作つておきますると、どうもそういつた国際的な共通性の面から適当でないと考えます。
  9. 重盛壽治

    重盛壽治君 関連質問ですが、そうするとあれですか、十三条のこの軍艦という意味は、勿論日本には軍艦がないので、あなたの考え方は、外国軍艦が来た場合という解釈であり、我々もそういう解釈をしていいかどうか、ちよつとお答えを願いたいと思います。
  10. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 十三条は、我が国におきましては外国軍艦というふうに解釈して頂いてよろしうございます。
  11. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとすつきりこの規定外国軍艦と、こういうふうに入れたらどうですか。日本には軍艦がないのだから、そうすると外国軍艦が来たときと、そういうふうに入れることが一点と、更にこういう国内法ではあるのだが、又国際法に準ずるものであるとするならば、外国から来た軍艦が、この衝突予防法に関する限りは、日本領海に入つておれば、これをやはり守つて行くという見通しがはつきり立つておるかどうか、この二点を……。
  12. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 只今外国軍艦に限つたらどうか、そういつた工合に規定したらどうかという御意見ですが、実質的にはそういうことでございまするが、国際衝突予防規則というものが一九四八年に採択されました場合には、我が国はこれに参加しておりませんでしたけれども、我が国といたしまして拘束されるような実は条約がその前にございますので、それを大体この前も御説明申上げましたが、それをもう一度御説明いたしておこうと存じますが、それは海上人命安全条約というのに我が国も参加しております。これによりまして船舶に設備すべき船燈信号燈等国際衝突予防規則の要件を充足すべきものであるということをお互いに約束いたしております。そういつた点から、この国際海上衝突予防規則内容は、成るべく特に支障のない限りはそのままこれを採用して行きたいというふうに考えておりますが、只今の点も特に「外国の」という言葉を入れないで、そのままこれは我が国といたしましてもこの規定を取入れて行きたいというふうに考えております。
  13. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると実質的には外国軍艦であるけれども、勿論日本にないのだから当然のことだが、こういう字句を使つておかないと、外国軍艦が入つて来た場合に日本衝突法を守つてもらえない、そういうことなんですね、ですから逆に裏返して言うならば、こういう法律日本にあることによつて外国軍艦が入つて来た場合に、この日本衝突法国内法ではあるが、国際法に準じて外国軍艦も守つてくれると、こういうことが言えるのですか。
  14. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) その通りでございます。
  15. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとこの第二項の、先ほど同僚議員質問した問題なんですが、「海軍その他の軍の船舶又は水上航空機であつて」というこの所は日本国内法で行くと、どう考えてもおかしい。あなたの答弁からいつても、海上保安庁打合せてこれで行こうと言つておりますが、それもあなたの勝手の打合せであつて法律を作る人がこれはおかしいと考えた場合には直されることが正しいのではないか。そういうふうに打合せをして来たのだからこれでいいのだという私は説明は少しおかしいと思う。やはりこの「海軍その他の軍の」という十三条の二項に謳つてある意味と全く同じならば、考慮の余地があると考えるが、この法では保安庁のほうの答弁海軍とみなすようなさつき答弁であつた。私の聞き違いかも知れんが聞えたのです。そうであつたとするならば、これは「海軍その他の」ということは、やはり同僚議員の言うようなことなのか。そうでなければ、もつとはつきりやはり海軍ということは外国海軍のことだということであるならば、この法律の一項に国際法に準ずるものであるということが謳われなきやならんわけなんですが、そういう点はどうなんですか。
  16. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 只今の御質問でございまするが、この法律の国際的な共通性という面から申しまして、内容を変えたくないというのが趣旨でございますが、先ほどちよつとお話がございましたように、保安庁打合せしてと申上げましたが、これは打合せということはないので、実際に保安庁船舶がこの法律規則にそのまま従つて、適用を受けて支障があるかどうかという点を保安庁意見をまあ叩いたわけでございます。その場合に、保安庁としてはこの法律をそのまま保安庁船舶に適用しても支障ないということでございますので、我々としてはそういう点を入れたわけであります。
  17. 重盛壽治

    重盛壽治君 大分さつき意見とは違うようだが、さつきは打合してこういう法律で行こうということに話がついたのだからやるのだ、こういう考え方つた。まあそれはあなたのあと答弁が当然だと思いますので、それで了解しました。
  18. 東隆

    東隆君 保安庁がおいでになつたようですから御質問をしますが、私はこの第十三条では、端的に申しますと、保安庁関係船舶の自由が非常に拘束をされる、こう考えるのです。そこでこの十三条の二項の特定の文字について読替えをするように措置をしたほうがいいのじやないか、こういう考え方なんです。それはどういう意味かと申しますと、例えば竹島の問題を一つ取上げてみましても、竹島に仮に保安庁の船が出動をする、こういうような場合にことごとくこの海上衝突法原則従つて行動するというようなことになつたら、これは非常に困難な状態が起る。まあこれはそういうことは現実には今ないでしようが、そういうことになるのじやないかと、こう考えるので、日本の現状から行けば海軍でないのですから、そこで保安庁の船が保安の大役をやつておるのですから、この意味において行動を自由にやり得るように原則から例外規定を置くことをここできめて、そうしてそれを国際的に知らしておいたほうがいいのじやないか、こういうふうに考えて、そういう意味質問しておきたいのです。
  19. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 保安庁の船につきましては、前回委員会でもお答え申上げました通りに、この法律を適用されましても現在のところ差支えないような措置をいたしておりまするし、又任務遂行上に支障がないと存じております。お尋ねのございましたような竹島その他のような場合にどうかというお話でございますけれども、保安庁船舶は現在政府公船ということになつております。従いまして他の国の船と戦闘行為をするということはないわけでございます。従いまして本法に規定しておりまするいろいろの燈火、形象物その他は一般政府公船と同様の規定従つてつて支障はないと信じております。
  20. 東隆

    東隆君 意見のこれははつきりした食い違いなんですが、私は保安庁関係の船を普通の船と同様に思う場合にはこれは問題でない。併し保安を中心にしてでき上つて来ている以上、私はこの一般の場合における原則に縛られることはこれは当然なんですが、併しそれ以外に途を開いておくことが、これが現実の問題として……、こういう考え方なんです。それは何も海軍関係の船と同じだからと、こういう意味ではない。それで若し極端に悪意にこれを解釈しますと、保安庁考え方はそのうち海軍ができるのだから、これで海軍ができてしまえば何もこの規定で以てどうこうするという考えはない。だからそういうものをつけておかないほうがいい、これは強く解釈するとそういうふうにも考えられます。というのは、現実の問題を解決しておりませんから、現実保安庁の船が一般のそういう船とは違つた形であるが、勿論海軍の船とも違うのである。こういう事実があるのだから、その事実に即したものをこしらえておくほうが便利じやないか。例外規定をこしらえておいたほうがいいんじやないか、こういう考え方なんですが、何も海軍を認めておる、こういうもんじやないのですから、その点は何も保安庁のほうで神経過敏になる必要はないので、国内法として日本にだけあるところの保安庁の船に対して例外規定を設ける必要がないか、こういう考え方なんですが、予算には今そういうものが認められていない。一般原則だけで以てやつて行ける、こういうのと意味が違うわけです。現実の問題に即応した形でこの法規を作つておいたほうがいいんじやないか、こういうのでありまして、それでやつて行けると、こう申しましても不便が必らずある。そういう点をどういうふうに救済しようというのかと、こういうので発言をしておるのですが、そういう点でお答えを願いたい。
  21. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 十三条に規定されておりますることは、特殊の位置燈信号燈形象物又は気笛信号、こういうようなものでございます。保安庁が使用しております船舶について、特別任務遂行のために行動いたします場合に、この法律に基く規定による措置をいたしておりますれば、現在のところ任務遂行上は、私どもといたしましては支障がないのじやないか、こういうふうに考えております。
  22. 東隆

    東隆君 これは同じことになりますので、私の質問はこの程度にいたしますが、私はやはりこれは日本現実から考えて、保安庁船舶に対する行動の自由をやはり或る程度認めるために例外規定をやるほうがいいんじやないか、こういう考え方を持つておるということだけ申上げておきます。
  23. 大和与一

    大和与一君 この協定字句を変えることがどうも国際協定として認められないだろうという言い方がありますけれどもね。本来ならばこんなことは常識から見て文句なくOKです、常識なんだから。ただ問題は十三条の「軍艦」ということが問題になるのだからそうすると如何に譲るといつても、日本憲法ではつきりきめてあることを、これをそのまま軍艦があるような印象を与えるという謳い方をしなくても、これは削除するということを初めから言つたけれども、それは一歩考えてもいいと思います。これは外国軍艦ということを書いても差支えないと思います。それによつて外国が、日本憲法にはちやんと軍備がないということを書いてあるのだから、そういうふうに書いたということを説明してそれをいやだという国はない。どんな国だつて憲法に違反することはいかん。それをあなた方は日本憲法を無視してまで、自分でへり下つてまで無理に書かんだつていいと思う。これは納得できると思うのですがね。これは「外国軍艦」というふうに入れて、国内法なんですから、外国のどこへ行つて説明しても文句はないと、そういうふうに私は考えるのだが。
  24. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) この法律字句その他の修正の問題でございまするが、これはできるだけ原文に近いものということを狙つておるわけでございます。只今の十三条の規定につきましても、これは先ほどから申しました通り、実質的にはお説の通り外国軍艦その他というものに対して適用されるものであります。憲法との関連から申しますれば、或いはお説のような御意見も出ると思いまするが、それほどこれは、何んといいますか、窮屈に考えずに大体このもとになりました国際規則のようなものが、海上人命安全条約によりまして各国とも、我が国もこれを認めるという建前にしておりますのでできるならばこの原文のままにお願いいたしたいと思います。
  25. 大和与一

    大和与一君 そのできるならばというお話はよくわかるのですが、できるならばということにも限界はある。あなたは船屋だから船屋として考えるのだろうけれども、一旦法律として出る場合には、やはりあなたの所管からいつても、法制局長官かなんか知らないけれども、そういうような所からやはり国家全体の問題として確かめて、そうして提案をして頂くという形でないといかんと思いますが、そういうことをおやりになつたかどうかわからんが、これは外国と書いたからといつて問題はない。絶対私は保証します。日本憲法にないのだから、「外国軍艦」と書いたからこの協定全部を認めない、こんなことは絶対にないと思う。どこの国だつてその国の憲法を無視してまでできないのだから、少なくとも幾ら譲つたつて憲法範囲内で、最大公約数を取つたこの国際協約が認められるのであつて、その範囲で結すんだらいいわけなんですね。当然そういうようなことになります。それをできるならばというお言葉であるならば、私のほうで必ずどうしてもそういうことを入れて頂く。そうすれば削除をするということは一応まあ遠慮することを考えないでもない、こういうことです。今のお答えは出てないと困ります。私の言つておることは通るけれども、あなたの言つておることは通らんと思います。これは殆んどこの内容は認めておるのですからね、私のほうは……。
  26. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) この法案審議いたしますにつきましては、只今おつしやつたような政府関係のあらゆる機関に諮りまして作つたものでありまして、勿論そこまでは我々としても手を尽しております。それで只今のお説でございまするが、我々といたしましては、この原文のままこの法律をお認め願いたい。
  27. 大和与一

    大和与一君 政府専門家に聞いたときに、このことについてはどういうふうな理由でこれでいいとおつしやつたか。その理論的根拠を御説明願いたい。
  28. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 政府関係者の間で審議をいたしましたときにも、そういう意見はしばしば出ておりました。これは国際的な共通性の問題だから原文のままを尊重して行きたいということで、こういう結論を得まして原文のまま翻訳をいたしました。
  29. 大和与一

    大和与一君 どうも併しそれじや納得できませんね。東委員の言われている具体的な修正についても、そういうことをすることさえもとても認められんだろうと、こういうふうなお話なんだが、それよりも東委員の言つたことは、随分親切な言い方をしておられると思うのですが、私はやはりこの問題のほうが本質的に大事だと思います。だからこの内容は理解をしているわけだから、ただ初めあなたがおつしやつたように原書だつたかな、原文ですね、英語か何かのその通り訳したと言うのだから、そうならばその通り訳したならその原文というものはそれぞれの憲法従つて、その憲法を侵さない程度に書いたにきまつているのです。それは認めなければいかんと思う。そうして日本憲法は違うのだから、それをちよつと変えて書いたらそれが本当に当り前の翻訳であつて、それをこちらは外国の真似をして、こつちの憲法なんかどうでもいいから、まあ外国の言う通りやろうと、こういういい加減なものだつたら、実質的な国際協約ではないですよ。協定にならんと思いますよ。何も気兼ねせんでもいいから、「外国軍艦」と入れる、フオリン・ウアーシツプでいいですよ。そうすれば向うからちやんと見たらわかるようになつている。それはもう少し納得できるような説明をしてもらわんと、ただ何んとなく話をしたら別に反対がなかつたような気がするくらいじや困るですね。
  30. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  31. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  それではこの議案は本日はこの程度にとどめまして、次の議題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか刀    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  33. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、臨時船質等改善助成利子補給法案議題に供します。  前回に引続き質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  34. 東隆

    東隆君 ちよつと一つ、この前も質問があつたのですが、外航船舶関係法案が出ているわけですが、それと今の提案されている臨時船質等改善助成利子補給法案との間で表裏になつているように思いますが、その関係はどんなふうに懸隔があるのですか。
  35. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 別途に提案いたしておりまする外航船融資利子補給法、これは一般的に外航船舶を造ります場合に一定率利子政府で補給しよう、こういうのでございます。それで只今審議願つております臨時船質等改善助成のための利子補給と言いまするのは、一般的なその利子補給のほかに、前回申上げましたような、E型戦漂船を改造しますことに対して利子補給を附加えてやる、こういうことでございます。
  36. 東隆

    東隆君 これは二重にはならないのですね。
  37. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 二重には相成りません。二重には相成りませんと申しますか、一般利子補給の上に、更にこの利子補給が附加わる、こういうものでございます。
  38. 東隆

    東隆君 二重になるんじやないですか。
  39. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 二重という意味は何といいますか、ダブつてやるというのじやなしに、目的の違うものが二つ重なるという意味です。その意味で二重とおつしやるならば二重でございます。
  40. 東隆

    東隆君 そうすると一つの船そのものの建造に対しては二重にならんわけですね。
  41. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 本年度造りまする新造船に対してこの臨時船質等改善助成の方策が適用されることになるのです。従いまして本年度造りまする新造船につきましては、一船の利子補給を受けまするほかに、そのE型船を解体いたしまするためのこの方策でございますね、この改善助成の利子補給をその上に附加えて受ける、こういうことでございます。
  42. 東隆

    東隆君 そうすると二重になつて、非常に助成するときの対象を決定する場合に問題が大分起きて来るのじやないかと思いますが、それの調整の方法はどんなふうになりますか。
  43. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これは本年度まあ財政資金をつけて、一般利子補給を付けて建造いたしまする船は、全部この船質等改善助成方策の対象船といたしまして、すべてE型船或いはそれに相当する船を二隻潰さなければならない。従つてそこに対象船と対象でない船とを選別する煩雑はないわけであります。
  44. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。他に御発言もございませんようですから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  47. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから本院規則第百四条により、本会議における委員長の口頭報告の内容等はあらかじめ多数意見者の承認を得ることとなつておりまするので、これは委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に、本院規則第七十二条によりまして、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  仁田 竹一     加賀山之雄  森田義衞     大倉精一  大和 与一     東   隆  木島虎藏   —————————————
  49. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、海事代理士法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引続き質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  50. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) この前の委員会お答えを留保いたしました点を申上げます。  最初に海事代理士法並びにこれに類似する法律によるところの試験制度に基いた受験者の数並びに合格者の数は現在はどうなつておるかという御質問がございましたが、これにつきましては、二十六年度と二十七年度につきまして調査をいたしました。海事代理士につきましては、二十六年度に四十四名受験いたしておりまして合格者は十一名でございます。二十七年度につきましては四十三名の受験で七名の合格ということになつております。それから税理士法に基いた試験によりますると、二十六年度は四千名受験いたしまして三十五名合格、二十七年度は三千六百名で八十名合格、それから司法書士法に基きますものは、これは試験がございませんで認定をいたしておりまするが、二十六年度の認定の申請者が千五百六十六名、うち認定者が千三百二十六名、それから二十七年度は二千六百二名の申請に対しまして二千五十八名という者が認定されております。それから行政書士法によりますると、行政書士につきましては二十六年度に、これは全国に跨つておりまして、東京都だけ調査をいたしましたが、東京都につきまして申上げますると、二十六年度は七十四名の受験者のうち六十七名が合格いたしております。二十七年度は七十二名の受験に対しまして六十三名合格というような数字になつております。  それから今回の海事代理士法の改正案の中の試験委員を選定する場合には、運輸大臣が関係団体の意見を徴さなければならんというような点につきまして、ほかの関連法律にそういう例があるかというお尋ねでございますが、これは先般申上げましたように、そこまで書きました法律はどこにもないのでございます。司法書士法によりますると、先ほども申上げましたように、これは試験制度にいたしておりません。税理士法につきましては、試験そのものを、これは大蔵大臣ではなくて、委員会を別に作りましてこの委員会が試験をいたしております。行政書士法につきましても同様委員会が試験をいたしております。その場合に委員の中に必ず関係団体の代表者が一名乃至二名は入るようになつております。今回の海事代理士法の改正案におきましては、これは運輸大臣が試験をするという建前になつております。その場合に試験委員を運輸大臣が委嘱するにつきましては、できるだけその他の関連法令にもありますような、関係団体の代表者というものを入れるように考えております。こういうところから、そういつた団体がありますときにはその団体の意見を徴して試験委員を選定いたしたいというふうに考えた次第でございます。更に司法試験法というのがございまするが、これもやはり委員を任命いたします。この委員の任命に当りましては、法務大臣が弁護士のうちから表護士会の推薦に基いて任命すると、多少海事代理士法に近いものがあると考えられます。御参考までに申上げておきます。
  51. 岡田信次

    岡田信次君 只今説明で海事代理士は大体二十六年度四十四名しか試験を受けない。合格した者が十一名。二十七年度は四十三八で七人。海事代理士の全体の数は百三名しかないのですね。それから税理士につきましては、今お話になつたように圧倒的に数も多い。二十六年度四千人に対して三十五人しか及第しない。或いは二十七年度三千六百人に対して八十人しか合格しない。大体、例えば海事代理士とは数そのものも又試験の状況も全くスケールが違うのです。一方においては複雑な法律規定がないというのに、極めて小さなものに対して相当無理と思われるような規定があるのですが、甚だくどいようですが、どうしてこういう特別なる規定を特にこの海事代理士法にだけ設けなくてはならないかという具体的な事情を一つ率直にもう一遍お知らせ願いたい。
  52. 国安誠一

    政府委員国安誠一君) 成るほどこの受験者の数と合格者の数は少いのでございますが、この合格者の率から申しますると割にこれはむずかしい試験をいたしているということがわかるかと思いますが、量の問題でなくて、そういつた質の問題としてこれは我々として考えたいと考えております。同時に、具体的の何か規定がなければ困るではないかという事例はないかとおつしやつた点でございますが、これは具体的に申しますと、特にそういつたものがあるというわけではございませんが、これは先般申上げましたように、まだ海事代理士というものが法律が施行されましてから日が浅くて、この代理士の素質と申しますか、質の向上といいますか、そういつたものを何とか健全な発達の方向に持つて行きたいというところから、法律にそういう名前を出して特に将来の健全な発達に寄与いたしたいというのが狙いでございます。
  53. 岡田信次

    岡田信次君 私の質問はこれ以上はやつても同じですから、これを以てやめます。
  54. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質疑はございませんか。別に御発言もないようですが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  56. 岡田信次

    岡田信次君 私は結局この海事代理士法の一部改正については賛成をいたします。けれども近来のこの法律並びに行政が非常に複雑、煩雑になつておる傾向が強い、従つて国民が或る程度迷惑をこうむつておる面も少くないと思うのであります。この海事代理士法の一部改正の内容を見ましても、ほかの類似の法律と比べまして極めて複雑の点があるのでありまして、その点からみますと余り賛成もできないのでありますが、海事代理士の業務等から考えまして、その運用において余り煩雑にならないように、又行政が複雑にならないように、重大な注意を当局に要求いたしまして、私は賛成いたします。
  57. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言はございませんか。他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 前田穰

    委員長前田穰君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。それから本院規則第百四条により、本会議における委員長の口頭報告の内容等は、あらかじめ多数意見者の承認を得ることになつておりますので、これは委員長に御一任を願うことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に、本院規則第七十二条によりまして、本案を可とされたかたは順次御署名を願います、   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦    岡田 信次  仁田 竹一     一松政二  加賀山之雄     森田 義衞  大倉 精一    大和 与一   東   隆     木島 虎藏   —————————————
  61. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、海上運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は衆議院において修正されましたので修正案の提出者である關谷勝利君より御説明を願いたいと存じます。
  62. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 衆議院の運輸委員会におきまして、修正案の動議を提出いたしましたものといたしまして、その修正案に対しまする一応の御説明を申上げたいと存じます。  第一は、第十九条の二、第十九条の三及び第十九条の四をそれぞれ第十九条の三、同じく四、五とし、第十九条の次に次の一条を加えるのであります。第十九条の二といたしまして「運輸大臣は、旅客定期航路事業を永続的に確保し、且つ、旅客の利益を保護するため必要があると認めるときは、運輸審議会にはかり、旅客定期航路事業者に対し、当該旅客定期航路事業者が旅客の運送に関し支払うことのある損害賠償のため保険契約を締結することを命ずることができる。」とこれを修正をいたしたのであります。これは現行法におきましては、運輸大臣が保険契約締結の命令を発することができまするのは、「旅客定期航路事業者の事業について利用者の利便を阻害している事実があると認めたとき」、こういうことになつておるのでありまするが、この場合「利用者の利便を阻害している事実がある」、こう書いてありまするのは、事故が現実に発生して、事業者が実際に十分な賠償金の支払をし得なかつた場合があつたとき、こういうふうな意味解釈ができます。併し保険契約は元来、将来発生する虞れがある災害に備えて締結をするものでありまして、実際に事故を起した事業者に対してのみ締結を命ずるということは、これは保険本来の目的を達成するには十分でない。従つて運輸大臣が命令を発する場合を「運輸大臣が旅客定期航路事業を永続的に確保し、且つ、旅客の利益を保護するため必要があると認めるとき」に拡張をいたしまして、そのためには保険契約締結の命令に関する規定を、現行法第十九条、これはサービス改善の命令になつておりますが、これとは別個の規定をする必要がありまするので、これを十九条の二といたしまして、現行法の十九条の二、十九条の三、十九条の四をそれぞれ十九条の三、四、五というふうに一項ずつ繰下げたのであります。  なお、「旅客の利益を保護するため」とは、旅客が海難によつて死傷いたしました場合、被害者が法律上請求し得る賠償金の支払ができると、こういうことにすることでありまして、「旅客定期航路事業を永続的に確保し、」と申しまするのは、事業者が支払うべき賠償金を支払いましても、なお且つ事業の継続が不可能とならないようにするということ、こういうふうな意味であります。  次に、「第三十条第三号及び第三十条の三中「第十九条の三(第十九条の四において準用する場合を含む。)」を「第十九条の四(第十九条の五において準用する場合を含む。)」に改める。」、こういうふうに出ております。これは保険契約締結の命令に関する規定を第十九条の二として、現行法中第十九条の二、第十九条の三及び第十九条の四を一条ずつ繰下げたため、関係条文を改めたものであります。  第四十三条中「適用しない。」の次に「但し、総トン数五トン未満の船舶(ろかいのみをもつて運転し、又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。)のみをもつて営む旅客定期航路事業については、この限りでない。」と改める、こういうふうになつているのであります。現行法の四十三条では、総トン数五トン未満の船舶又はろかいのみをもつて運転し、又は主としてろかいのみをもつて運転する船のみをもつて営みます海上運送事業は、海上運送法の適用範囲から除外されているのでありまするが、旅客定期航路事業の公益性に鑑みまして、旅客定期航路事業については総トン数五トン未満の船舶のみを以て営むものでありましても、ろかいのみによるものでない限り、この海上運送法規定を適用しようということになつているのであります。  第四十四条中「前条中」を「前条及び第四十五条の二中」に改めるのであります。これは第四十四条は専ら河川、湖、沼において営む船舶運航事業について海上運送法を準用し、その場合、第四十三条中の「総トン数五トン未満」とあるのを「総トン数二十トン未満」と読替えることを規定いたしておるのでありますが、新たに海上運送法の適用を受けることにより、総トン数五トン未満の船舶のみによる旅客定期航路事業に関する運輸大臣の職権を、海運局長の委任する規定を第四十五条の二として新たに設けることにいたしましたので、同条中の「総トン数五トン未満の船舶」とあるのは「総トン数二十トン未満の船舶」と読替える必要がありまして、そのために第四十四条中の「前条中」を「前条及び第四十五条の二中」とするものであります。  第四十五条の次に次の一条を加える。職権の委任であります。第四十五条の二「この法律規定する運輸大臣の職権で総トン数五トン未満の船舶のみをもつて営む旅客定期航路事業に関するもののうち省令で定めるものは、海運局長が行う。」、こういうことにいたしておるのであります。これは第四十三条の改正規定によりまして、総トン数五トン未満の船舶のみをもつて営む旅客定期航路事業につきましては、新たに海上運送法が適用されることになるのでありまするが、これらの事業は規模も小さく又特に地方的色彩の強いものでありまするので、手続の簡素化を図りますると共に、地方の実情に即した解決をするためには、地方海運局長の専決とすることが適当であると考えられますので、特に本省の処理を必要とするものを除いて、地方海運局長に職権を委任しようとするものであります。  この2の「この法律規定中運輸審議会に関する部分は、海運局長が前項の規定により委任された運輸大臣の職権を行う場合には、適用しない。」、こうありまするのは、運輸審議会は運輸大臣の諮問機関でありまするので、海運局長に委任せられました事項につきましては、運輸審議会に諮ることを必要としない、こういうことに改めたものであります。  次に、第四十九条第一号中「第十九条の二」を「第十九条の三」に改める。これは第十九条の二として、保険契約締結に関する命令に関する規定を新たに挿入しましたことに伴いますところの条文整理であります。次に、第四十九条の第二号中も、四十九条第一号、二号、両方ともこれは条文の整理と、こういうことに相成つております。  次に、附則でありまするが、これは附則の第一項の、この法律中、保険契約締結の命令に関する規定及びこの規定を設けたことによる他の条文の整理に関する規定は、公布の日から施行する。五トン未満の船舶によりまする旅客定期航路事業に対する海上運送法適用に関する規定は、これらの事業者に対する周知と必要な規則の制定に多少の日時を要しますので、その施行期Hは、この法律公布の日から九十日を超えない期間内において政令で定める、こういうことにいたしたのであります。  附則の第二項及び第三項は、総トン数五トン未満の船舶のみをもつて営む旅客定期航路事業に海上運送法を適用することにしたことによる経過措置でありまして、第四十三条の改正規定が施行される日におきまして、総トン数五トン未満の船舶のみをもつて旅客定期航路事業を営んでおりまするものは、同条の改正規定の施行の日から六十日以内に免許の申請をすることができるといたしたのでありまして、運輸大臣は、申請を受けた日から百八十日以内に免許又は不免許の決定をするものとして、若しその期間内に決定がない場合には、その申請は免許されたものとすることといたしております。運輸大臣の決定期間を百八十日といたしましたのは、五トン未満の船舶につきましては、すべて新たに検査をする必要がありますので、予想されますところの免許申請の数と管海官庁の検査能力とを勘案いたしまして、約六カ月の期間を以て妥当と、こういうことにいたしたのであります。大体事業者数が五百九十四程度と想像されますし、航路の数が六百四十九で、隻数にいたしまして一千五十一隻程度になりますので、その程度の日数をおいたと、こういうことに相成つておるのであります。  附則の第四項は、海上運送法におきまする旅客定期航路事業とは、旅客船による定期航路事業であり、旅客船とは十三人以上の旅客定員を有する船舶でありますので、或る定期航路事業が旅客定期航路事業であるかどうかは、使用船舶の旅客定員が十三人以上であるかどうかということによつて決定されるのでありまして、旅客定員の決定が前提要件となつておるのであります。併しながら現行の船舶安全法は、総トン数五トン未満の船舶には適用されないために、五トン未満の船舶につきましては、法的に定員が確定されていないのであります。従つて五トン未満の船舶のみを以て営みます旅客定期航路事業につきましては、海上運送法を適用いたしますためには、先ずこれらの小型船に船舶安全法を適用しまして、旅客定員を確定をする必要があるのであります。又旅客輸送の用に供される船舶の設備状態の如何は、人命の安全に関するものでありますので、最小限度の安全性の確保は必要でありまするし、この意味におきましても船舶安全法の適用が必要であるということを規定をいたしておるのであります。附則の第四項は、海上運送法の改正により必要となつた船舶安全法の一部改正に関する規定でありまして、第一に、船舶安全法の適用を受けない総トン数五トン未満の船舶の中から、旅客運送の用に供するものはこれを除外することといたしました。第二に、これらの小型船についての検査は、主務大臣が必要と認めたときに随時にこれを行うこととし、その場合の検査の方法その他の詳細はすべて省令に譲つて、できる限りその簡素化を図ることといたしました。第三に、現在帆船は総トン数二十トン未満及び平水区域のみを航行するものは安全法の適用を受けておらないのでありますが、これも旅客輸送の用に供するものは適用されるものといたしたのであります。附則の第五項は、船舶安全法は、船舶の物的面におきまする安全性の確保のための法律でありますが、人的面におきまする安全性の確保のための法律として船舶職員法があり、この両法律は相待つて船舶の安全性の確保の役割を果しているものであります。従いまして五トン未満の旅客船の安全性の確保を図りますためには、船舶安全法の適用と共に、船舶職員法の適用が必要とされるのであります。附則第五項は、その目的を達成いたしますために、必要最小限度の範囲において船舶職員法の一部を改正じようとするものであります。その改正の内容は、第一に現在総トン数五トン未満の船舶は、同法にいう船舶の定義から除かれておるのでありますが、その中で旅客運送の用に供するものはこれを除くこととして、同法を適用することといたしまして、第二に、これらの船舶の職員は小型船舶操縦士又はそれ以上の資格の海技従事者でなければならないことといたしまして、別表に必要な改正を加え、第三に、経過措置としまして別表第七を改正して昭和二十九年八月三十一日までは右の改正は適用はしない、こういうことにいたしまして、更に、この法律施行の際に、現にこれらの船舶の船長でありますものに対しましては、市町村長の証明あるものに限りまして、昭和二十九年八月三十一日までは試験を行わずして小型船舶操縦士の資格についての免許を与えることができる、こういうことにいたしたのでありまして、これが海上運送法の一部を改正する法律案に対しまする修正案として衆議院の委員会で動議を提出いたして通過をいたしたものであります。
  63. 前田穰

    委員長前田穰君) 質問のおありのかたは順次御発言を願います。
  64. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 關谷さんにちよつとお伺いしたいと思うのですが、運輸大臣が保険契約の締結を命ずることができるということになつておりますが、政府案によりますと、利用者の利便を阻害しているということの一つの限界があつたわけですが、その限界のよしあしは一応二義的なものといたしまして、今度修正されたものは、定期航路事業を永続的に確保し、且つ、旅客の利益を保護するため必要であると認めたとき、こういうことなんであります。これですと、いやしくも定期事業をやつておるものの永続性を確保しなければならないことは当然であります。又定期航路事業であります以上、旅客の利便を保護する、これは当然のことであります。従つて修正された字句は、殆んど定期航路事業者としては当然のことを謳つておるわけでありますので、従いまして、運輸大臣が必要があるときには保険契約の締結を命ずることができるということは、具体的に言いまするならば一体どういうふうなときに大臣は保険契約の締結を命ずることができるかということが私どもに納得が行かないのでありまするが、何か具体的な事実がありますれば、こういつたような場合だというふうなことを御説明願えれば結構だと思います。前の利用者の利便を阻害して云々ということのよしあしは、これはおのずから議論があると思いまするが、特に修正された理由がありまするならば……。
  65. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 何と申しまするか、近距離で極めて航路等の激しくないような場合でありまして、非常に安全なと思われるような場合は、これは別でありまするが、危険の虞れのあるような場合にはこれを命ずることができる、こういうふうなことで大体危険が予想せられるというふうな場合を考えて、このようにいたしたのであります。
  66. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと、運輸大臣が保険契約の締結を命ずる場合は、危険があると思われるような場合、こういうふうに考えてよろしうございますか。
  67. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) いろいろ従来からの実績等もありまするので、そのようなところから危険の虞れのある場合には締結を命ずることができる、大体従来の実績等によつて判断がつくのじやなかろうか、このように考えております。
  68. 岡田信次

    岡田信次君 衆議院送付修正案によつて新たに免許を受けなくてはならない業者と申しますか、数はどのくらいですか。先ほど何か五百とか……。
  69. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 事業者の数にいたしまして大体五百九十四、航路の数にいたしまして六百四十九、隻数にいたしまして一千五十一隻で、トン数で四千七百三トン程度であろう。これは何と言いますか、以前には石油の配給の関係あたりで殆んど確実な数がわかつてつたのでありますが、石油が自由に購入ができるというこになつて後の確実な数字とは言えないのでありまして、その当時から推しまして大体こんなところだろうか、大体こういうことであります。
  70. 岡田信次

    岡田信次君 只今の数は大体現在やつている業者と考えていいと思うのですが、これらは大体免許を申請すれば、特別の事情がない限りには免許するというお考えなんですか、その辺御説明を願います。
  71. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは大体その安全性が確保せられているというふうな、更に経営者がはつきりしているというようなことになつておりますれば、原則的にはこれは許可する、こういうふうなことに考えております。
  72. 岡田信次

    岡田信次君 ところがこの修正の動機が、私察しますのに、相当五トン未満の船が定期旅客のあれをやつている。従つて或る程度危険も多いし、それから五トン以上の定期船をみだすという虞れがあるということでやられたのだと思いますが、そういたしますと免許基準で「当該航路における全供給輸送力が全輸送需要に対し著しく供給過剰にならないこと。」という免許基準を適用して、現在やつている者も免許されないということに相成る虞れはありませんか。
  73. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは五トン未満の船舶に対しましては取締の対象になつておりませんために、定員というものも何にもありません。そのために非常にたくさんの物を乗せて航行するというふうなために、今まで事故が頻発をいたしているような状態でございますので、これを許可いたしまして取締の対象にいたしまするというと、定員というものははつきりいたしますからこれを厳守せしめる。なおいろいろ船舶の安全性もございまするし、なおこの何と申しますか、職員あたりにおきましてもよく注意をせしめまして、そうして安全を確保することができるというふうな見通しがつきますものは全部これを許可する。大体今までは取締の対象でありませんために、定員というようなことも何ら顧慮せずにやつておりますことが事故の原因だろう、こういうふうに存じますので、定員の確保、なお船舶安全法によりましていろいろ検査するというようなことで、その事故を未然に防ぎたい、こういうふうに考えておりますので、そういうことを厳守するということを条件といたしましてこれは許可する、こういうふうに考えております。
  74. 岡田信次

    岡田信次君 今度河川、湖沼のあれですが、従来は二十トン未満のものは免許は要らない、海上運送法の適用を受けないということになつておりますが、今度はこれは五トン未満のものは湖沼でもやはり適用を受けるということになるのですか。その辺はつきりしないのですが……。
  75. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これははつきりと先ほど御説明申上げましたように、河川、湖沼等におきましては二十トン未満、こういうことになるわけであります。
  76. 岡田信次

    岡田信次君 ちよつと今關谷さんのお話わからないのですが、二十トン未満でも海上運送の適用は受ける、こういうのですか。
  77. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 勿論それは含まれることになります。
  78. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると二十トン未満と言えば、五トン米満も入るわけでありますが、特に湖沼、河川はこういう必要はないと思いますが、どうですか。
  79. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは湖沼、河川の場合にも五トン未満を二十トン未満と読替えることになります。五トン未満になると五トンから二十トンの間に空白ができるというので、そのためであります。
  80. 岡田信次

    岡田信次君 次に、今度は運輸当局に伺いたいんですが、この五トン未満の船がですね、海上運送法の適用を受けるということになりますと、今の船舶安全法なり或いは船舶職員法の関係から相当業務量が殖えると思うのですが、現在の予算の範囲内で円滑にこれを実施し得る見込があるかどうか。
  81. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 担当部の局からその辺の御答弁を申上げます。
  82. 水品政雄

    説明員(水品政雄君) 船舶検査関係について説明を申上げます。理想的な検査を行うと申しますか、大体年に一回くらい検査をするというふうな前提に立つて考えて行きますと、全国で検査官の数が二十二名くらい必要ではないかというふうな推定をいたすのでございますけれども、この改正案に載つておりますように、検査は必要に応じて随時行うものであるということになつておりますので、私どもといたしましては、現在の定員を、ひまのときをできるだけ利用いたしまして、実際上の定員を殖やして行うというようなことは極力避けたいと考えております。従いまして、現在、実際上この適用になる船の数がはつきりいたしておりませんので、詳細な計画はできませんけれども、逆にどのくらいの人手がそれにさき得るかという面から、検査の程度、方法、時期等を考えて研究して参りたい、こんなふうに考えております。
  83. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、この修正案は大体小さな船の旅客輸送の安全を図ろうということが主なる目的であるにかかわらず、検査は随時ひまなときに行うというと、ちよつと合わないような気がするのですが。
  84. 水品政雄

    説明員(水品政雄君) ちよつと説明が足りなかつたかも知れませんが、検査の基準につきましては、早急に作成をいたすのでございまして、又、その基準作成に当りましては、この種の船舶の事故が多く転覆等による被害が多いのでございますので、転覆を防止するというような観点から、船の復元力の基準等の制定をやりたい、或いは夜間航行するものにつきましては、航行等に関する最小限度の要求をしたいというような、まあ最小限度の基準は制定をいたすのでありまして、ただその基準を守つて頂くのは、船主の多く自主的な面に任せまして、検査官はでき得る範囲でやつて行く。勿論、定員が増加できれば、さつき申しましたように、一年に一回くらいはやらせたいと考えております。
  85. 岡田信次

    岡田信次君 先ほど關谷衆議院議員お話によりますと、大体五トン未満でも、或いは湖沼について二十トン未満でも現在やつてつて相当なあれがあるならば、大体まあ免許を申請して来れば認可をするだろうというようなお話があつたと思うのですが、そういたしますと、この附則の経過規定の百八十日というのは、相当長くないですかね。
  86. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは一齊に直ちにやりまするど、日数は極めて短期間に済むのでありますが、その他のいろいろな検査事務がありまするので、そのほうに支障のないようにと、こういうふうなことで特に危険であろうかと思われるような所あたりから随時やつて参りますために、その検査員の活動も考慮いたしまして、百八十日以内にやつてもらおうということで、この百八十日というのは最大限の日にちを示しておるのでございまして、できる限り早くやつてもらいたい、こういうふうに考えておるのであります。
  87. 岡田信次

    岡田信次君 それからその第四十五条の二の「省令で定めるもの」というのがありまするが、この「省令で定めるもの」としてはどのようなものを大体考えておるわけでございますか。
  88. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは五トン未満のものでありましても、これが二つの海運局に跨つておるというふうな場合があるのでありますが、そういうふうな場合におきましては、これはその一方の海運局長、又両方の海運局長の所に行くというふうなことになりますので、特に本省でこれを取扱うと、こういうふうなことになるわけでございます。
  89. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 それではちよつとお尋ねしたいと思うのですが、運輸大臣が保険契約の締結を命令する、その場合保険金の金高というふうなものも命令しますか。
  90. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは大体相当程度のものにしたいというのが本来でありますが、直ちにというふうな、これはまあ強制的にできるものでもないのでありますから、何といいますか、適当と思われるような金高で、大体今のところやつておりまするのが、一人に対して十万円とか或いは二十五万円程度のものまでやつておるようでございますが、これは金高までも命ずると、こういうふうなこと、そこまでは命令はしにくいのではなかろうか、このように考えております。
  91. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと保険契約の締結を命令することができますけれども、金高までを幾らにしろということの命令はできない。従つて業者のそのときの事情によつて決定すべきことになると聞いていいと思うのでございますが、御案内のように、特に五トン未満の小さな船などに保険をかけさせるということになりますと、この五トン未満等は殆んど運賃も五円或いは十円或いは二十円といつたような少額の運賃もあり得るわけでございますが、而も万一の場合には、運賃何千円の航路の場合も、十円の船に乗つた場合も、万一の場合は、その人の受けます乗客の損害は同じことなんです。従いまして、その金高を業者に勝手にきめさすことになりまするというと、業者はその運賃と睨み合わせて保険に入る以外に、業者としての保険料の捻出の途はないということになると考えますが、若し金高を大臣のほうで指示できないとするならば、そこらの矛盾というのも妙ですが、実際問題として、そういうふうな場合どのように金高と運賃の関係等をいたすつもりでございますか、お伺いいたしたいと思います。
  92. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) これは何と申しまするか、五トン未満あたりで船舶安全法あたりを適用いたして、定員等を厳守いたしまするというと、五トン未満のものは比較的近距離のものが多いのでありまして、定員等を厳守いたしまするならば、私たちはこの危険率が非常に少いのではないかというふうに考える。従つて運賃も極く近距離でありますので少額でありまするために、この保険と申しまするか、保険金の掛金も従つてそういうふうなものが少いというようなことが現実に即したものではなかろうかと、このように考えております。
  93. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 御案内のように、この船舶運行業者には免責、委付の商法上、の委付によつて免責できることになつておりますが、こり免責委付とこの保険との関連と申しますか、関係についての御意見を承わつておきたいと思いますが、こういうふうなことのために免責、委付の、商法上の業者を保護する法律が、実際に裁判になりました場合に非常に弱められはしないか、この法律によつて。これが一つ、それからもう一つは、委付することによりまして免責がなされた場合、すでに解決がついた場合、そうしたほうが業者として有利だと思つて解決した場合に、この保険料はやはり支払つてもらえるかどうか、この点について。
  94. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今の点、どういうふうな何でしようか。大体船客保険の場合は、本人の死傷の場合の見舞金でございますね。それを補填することになるのですが、その場合に免責委付というとどういう事態が起りましようか。
  95. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 必ずしも見舞金とは私は限らないと思いますので、傷害保険でありますから、若し被害を受けたものがあります場合は、法律上請求し得る正当の金額に対しての保険料であつて、むしろ慰藉料のほうが第二義になる、このように考えております。慰藉料ではない。
  96. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) おつしやる通り見舞金、私の言葉が悪かつたのですが、私は慰藉料のようなものを含めての船会社から払うべきものを保険会社がその船会社に対して補填する、こういうふうな意味の保険契約なんですが、今仁田委員のおつしやつたその免責とか委付とかいうのは、どういう具体的な事態が起るのでしようか。その点の内容が少しはつきりしないのですが、とにかくこれは旅客が死傷して、そうしてそれに対して船会社が払うべき損害を保険会社が補填する、こういうものだと思うのでございます。
  97. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 ちよつと十分でないと思いますが、それはそれといたしまして、従来こういうふうに乗客に対して傷害保険を附しておつた例もあるわけでありますが、それはどこまでも任意にやつていたと思いますが、今回は法律によりまして、危険があると思われる場合は、大臣が締結を命ずるということになつて来るので、これは御案内だと思いますが、現在の定期船業者の経営状態は非常に苦しい状態になつておりまして、恐らく現在の定期旅客船業者の中で減価償却を完全にやつて、株主に配当し得る会社は恐らく一社もないのが現状だと思います。而も将来そういうことがあるかもわからないといつたような性質のものに保険をかけなければならないという命令を受けますことは、業者として非常な苦痛だろうと思つております。船のほうは或いはそういうことがあるかも知れませんが、お互いのように必ず死ぬるということがわかつておりましても、なかなか生命保険はかけられません。ましてや沈没することがあるかも知れない、そのときの場合に保険をかけておく、而もその会社の内容は減価償却すらも完全に払えないという場合は、保険契約は非常に業者としては苦しい状態になるだろうと思います。而もこの保険金をかけると申しましても、その船会社或いは個人としましても乗客の運賃以外には収入はないのでありまして、これがすべての財源になつて来るわけでありますから、従来の運賃の査定の基準と申しますか、そういうふうなものは大体その会社或いは個人の減価償却、或いは一定の利潤、そういうようなものが運賃査定の基準になつていると想像されます。而もその運賃の基準では今日どの会社も減価償却すらもできないという事情にあります場合に、これを命令されるということになりますと、会社は一層減価償却もできない、或いは会社の収入その他の手加減をしなければならないというようなことになりまして、人命の傷害に対しては確保できるかも知れませんけれども、そういうふうな危険な状態におかれる会社の内容なり、或いはサービスの改善をおろそかにいたしますとか、或いは修理の手加減をいたすとかいつたような、殊に一方では命令によつて定められている場合に、どうしても保険をかけなければならないというようなことになりますので、而もその財源は運賃収入以外に何もないというようなことになつて来ますが、若し大臣がこの保険の加入を命ぜられる場合、今言つたような事情を十分参酌されまして、或いは運賃査定の基準のうちにこの保険料率を加味して運賃査定をするとか何とかいうふうな方法を考えてもらいません限り、到底現在の業者にそのような余裕はありません。この点につきまして保険料を如何にして業者は払い得るか。ただ危険だというので保険の締結を命ぜられましても、業者はその負担に堪えられないというようなことが事実あると思いますが、運賃査定の場合におきまして、これらのことを考慮したその上において大臣は命令するのだ、こういうような措置にいたしてもらいません限りは、業者としてはなかなか大変だと思います。これらの点についての御意向を承わつておきたいと思います。
  98. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) お説の通りに、旅客定期航路事業者の財政状況は一般的に余り良好ではございません。更にこの保険契約締結の命令を出すことによりまして、財政状態をなお悪くするということに、一方においてその航路の安全性を阻害するという事態も起り得るわけでありまして、いろいろこの命令を発します場合には、そういう点を十分勘案いたしました上で命令を出すようにいたしたいと存ずるのでございますが、なお、お話のありました料金改訂等の場合につきましては、改訂と申しまするか、料金の認可の場合におきましては、この保険契約締結の措置による保険料、これをその料金構成の要素といたしまして、それを織込むように考えたい、かように考えておりますし、併しそれが一方において余り運賃の値上りになりますると、旅客の利便を阻害することになるわけでありまするが、私どもの考えでは、この保険料は、総運賃の約二・五%、二分五厘程度でございまして、仮にそれを運賃の構成要素といたしましても、旅客のほうに負担をかけるということにはならない。又負担をかけるにいたしましても極めて微々たるものである、かように考えております。
  99. 一松政二

    ○一松政二君 十九条の二ですが、「旅客の利益を保護するため必要があると認めるときは、」、こういう条件が付いているわけです。この必要があると認めるというのは、一体どういう場合のことを予想しておるのであるかこれを伺いたい。必要の基準を伺いたい。
  100. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) ちよつと今お話をしておりまして十分御質問趣旨がわからなかつたのでありますが、旅客の利益を保護するため必要があるというふうなこと、この意味は旅客が事故があつた場合に船会社等がこれを支払うことができないようなことがあつた場合に、そういうことのないようにと、こういうふうな意味に考えております。
  101. 一松政二

    ○一松政二君 私はその答弁には満足することができないのです。こういう事故が起るときには、予想せざるときにおおむね事故が起る。例えば川の上でも突風で以てやられるのです。やられた場合にはすぐ慌ててこれは危いといつたところで、そこで命ずる。命じた後には二年も三年も一向何ら事故がないというようなことは、これは何も川でもないし、或いは海上の運送にいたしましても、例えば若松、戸畑みたいな所は、まさにあの渡しは海上運送であるから入るだろうと思う。ところが何年か何十年に一回あつたこともあるし、或いはないこともある。だから命ずるならば国家が再保険するとか、木船のようなふうに再保険をするから非常に安いレートで全般の旅客を保護すゑ意味でやるのはわかるのですけれども、これをただ損害保険会社に一つの保険を、そういうことを請負わせるという場合に、先ほど同僚の仁田議員からもその料率についてのお話がありましたが、これは私は非常にむずかしいのではないか。事故があつたあとに、そこへ必要があつたと思つたつて、必要があるのは事故のある前なんです。だからそれを何によつてきめるかということを私は伺いたいわけです。
  102. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) いろいろ従来の実績等で判定するよりほかないと思います。
  103. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、今特にそういうことの必要が感ぜられるのは、例を挙げればどこが一番そういう必要がおありになると考えておられますか。
  104. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) まあどこと具体的に例を挙げることは困難でございますが、例えば北海道方面の航路でございますね、小樽、利礼とか、或いは稚内、利礼とか、或いは江差、奥尻でございますか、ああいうふうな所、これは相当冬場危険でございます。やつている会社自体が若し事故の起つた場合に完全にそういう死傷者に慰藉料と申しまするか、損害を賠償し得る力があるかどうか、恐らく困難だろうと思います。そういう場合にあらかじめそういう事故に対する積立金をさせると同様の意味において、保険契約をさせることが必要であるということを痛感しておる次第でございます。
  105. 一松政二

    ○一松政二君 そうするとその船会社別に、航路別に、損害保険会社といわゆる予定契約を結ばして、そうして一一の申込でなくして、大よそその人数を大体打合わしておいて、船の発すると同時に、或いは中間で乗ると同時に、その人員を保険会社に通告すれば、おのずから保険が契約できるようになるというふうにお考えですか。
  106. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 旅客定期航路事業者におきましても、そういう事故の場合に処する方法として保険契約をする必要性を認めているのです。ところが個々に契約いたしますると保険料率が非常に高くなる、そこで最近定期旅客事業者のうち約百十社余りが団体として旅客保険を保険業者の主なもの十三社と団体的に契約をする、こういう措置をとつているのでございます。今度こういう法律ができた、通過し、これで命令するような事態が起りますと、当然その業者もそういう団体に入つて来て引下げられた料率の保険料を支払う、こういうことに相成るかと思います。
  107. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、命令をすることができるのであつて、必ずしも命令はしない、そうして命令をする場合には必ず恐らく事故があつてから慌ててその航路を命令するようなことに事実はなるのではないかと思われるのです。そこで木船の船舶保険についていわゆる国家が再保険の責めに任ずるということであるから、それはやはり旅客の危険を保護するのと同時に、船会社も経営が成立つように考えてやらなければ、これはそういう団体に入つて、そうして保険会社と折衝する場合には結構ですが、まだ弱小のいわゆる旅客運送の業者が、これが五トン未満になつてしまえば、今一千トンもあるというのですから、それが果して一々保険会社と契約して、そうして離れたところにあるものが団体を組織して、そうして一々の保険会社に、殊に離島の間で行われれば如何に……、瀬戸内海の離島の場合で恐らく行われることがあり得ると思うのですが、保険会社との連絡或いはその申込、事故がなければ保険は申込まんほうが保険料が助かるのですから、事故があつたときには慌てて日にちを遡つてその船につけて置いたというようなことはこれはあり得ることです。これは代理店と馴れ合いでそういうことをやることができる、そういう場合の措置は何か法律上お考えになつておられますか、実際上の手続において。
  108. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 法律上考えておりませんが、実際上のやり方といたしまして、先ほど申しました百十余りの定期船業者が一つの団体をこしらえて、その団体を通じて保険会社と団体契約を結んでいるわけでございます。従いまして保険に入らせる必要ありというふうに認めました場合には、行政指導でそういう団体に加盟して契約を結ばしめる、こういうふうにいたしたいと考えております。法律の発動によつて命令を出すということは極めて稀なことであります。どうしても政府側で非常に危険である、而も先ほど申しましたように、財政状態からいつて事故が起きた場合に旅客の損害が補填せられないというふうな虞れがある会社でありながら、どうしても保険に入ろうとしないものというもののみに発動しよう、かように考えております。
  109. 一松政二

    ○一松政二君 従来の例ならば五トン未満じやない、もう少し程度の高いものがやつてつたのですが、五トン未満にすると、そういう問題の行政指導的な監督の方法というものが私は非常にむずかしいだろうと思うのです。例えば極く一キロか五百メートル離れたような所を、そこだけを往復するというようなものもあり得ると思うのですが、そういうものは殆んど定期か何かで、学生の通学の往復などは殆んど定期でやつているだろうと思うのです。そういうものの保険の申込は、一体一一それをどういう方法によつてチエツクしてやるか。事故が起つたときにやれば、離れている所ですから、日付を遡つてどんなにでもできるし、それから保険料は僅かだが、事故が起つたときには非常に大きな金額を請求することになる。これは実際問題として、私は実際問題が起つた場合にはそういう問題があり得ると思うのですが、保険というやつは事故がなかつたら純然たる損ですから、事故のあつたときには大変だけれども、事故がなければ保険料ほ損したような気になるのは、仕事をやつている者の誰でも考えることなんですが、その際に保険会社と船会社との間に争いがなく、そうして旅客の利益を完全に保護する方法をお考えになつておるかどうか。そういうことの監督が私は到底今の海運局の陣容で、そんなことは行政指導も何も私はできんだろうと思います。一々定期券で乗つているお客さんが、定期を発行しているからその人はわかるけれども、その人がその船に乗つているか乗つてないかはチエツクのしようがない。それから人数ももういわゆるラツシユ・アワーで、この船を外ずしたら学校に間に合わんといつて、丁度我々が電車のドアーを押開けて乗るようにして乗つて行く。あいにく事故がそのときに起つた、こういうことになつて、どうしたらばそういうことが繁文縟礼に流れずして、そうしてその船会社はそう大した負担もなくスムースにそういうことが行われるか。ただ命令の出しつ放しや法律の出しつ放しは、これは法律を出したほうに多くはその罪があると思います。法律がなければいいのですが、出した以上はそこまで考えていなければ必ずその欠陥が暴露して来る。我々はやはりそういう観点も一応考慮して審議の参考に私はしたいと思うわけです。
  110. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 五トン未満の旅客船につきましては、先ほど提案者から御説明がありましたように、実際問題として、そう危険な海面を航行するものはないのであります。従つてこの法律で強制的に保険に入れという事態は殆んどないのじやないか、かように考えるのでございます。先ず当面の措置としては、このたび議院修正で五トン未満の旅客船の安全性を確保する方策が講じられんとしておるわけですが、これが実施されますと、これによつて先ず船舶の安全性を確保する、こういう面に政府としては力を注がなければならない、かように考えておるのであります。それから一人々々の乗客について保険をかけるというやり方ではございませんで、大体その航路に年間何百人人間が動く、これは過去の実績によつて推定いたしまして、従つてその推定人員について幾ら保険をかける、こういうやり方でやる。そうしてその推定人員について事故が起つた場合に幾ら払うかというふうな保険金額をきめまして、そうして保険料を払うということでございまするので、そう煩雑な手数にならないかと存じます。
  111. 一松政二

    ○一松政二君 大体のお考えはわかりますが、事故の起るときは大体大抵超満員で事故が起るわけです。そこで今の定員をおきめになる、併し定員が守られるとお考えになりますか、それを伺いたい。
  112. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 定員をきめますると、これは船舶の見やすいとこ、ろに掲示をするわけでございますから、その励行は海上保安庁或いは地方警察、関係官庁と申しますか、海運局、こういうところで十分励行し得る、かように考えます。
  113. 一松政二

    ○一松政二君 私は政府は観念上はそういうことの御答弁があろうけれども、警察もなければ、海上保安官もいない所は全国にたくさんある。そういう所のほうが船で運ぶ率は多いのです。現に坂道とか曲り角に差しかかつた乗合自動車などが事故を起すときは大抵満員の場合に起る。そうして不安定であるが故に曲り角のカーブや何かでしくじりを起す。この場合に定員がきまつている、この定員のきまつているものを見過ごした責任は一体どうなつておりますか。私は未だ曾つて余り行政官庁でそれが問題になつた試しを不幸にして聞いていない。特に電車においても汽車においても私は定員の守られている実例を聞いたことがないのです。船においてそういうことがどうして守れるか。
  114. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 妙な話ですけれども、これは当局よりかはむしろ私のほうがよく知つているのですが、協会が団体保険に加入しておるのでありまして“定員の問題でありますが、定員も仮に百への定員の場合はたしかその一倍半か二倍、仮に一倍半としますが、一倍半までは保険料を払う、こういうことになつております。従いましてその定員外に乗つておりますものの取締りは又おのずから別ですから、これはあなたのおつしやるようにいろいろの機関によつて取締をやつてもらう。保険料に関しまする限りは、定員以上乗つておりまする場合も、一倍半までは払う、こういうようなことの契約でやつておりますことと、もう一つは、五トン未満の船の加入等は非常に困難であろうという点尤もであります。実は各地区の海運局管内で地区ごとに協会を作つておりまして、その協会が大体全部加入します。今までは二十トン以上の船は全部各地区で一つの組合を作りまして、今度は五トン未満のものも組合を作り、一括して各地区がその申請といいますか、そういうような世話をするようになつております。無論本人が入らないというならば別でありますが、本人が入るという希望のありますものは全部まとめ得るような大体機構になつております。その点は局長より私は詳しいと思いますから……。
  115. 一松政二

    ○一松政二君 同僚の議員から説明を伺つたのですが、当局のほうより同僚議員のほうがその点は詳しいようですから、それはそれで了承してよろしいですが、これは別に当局を責めようと思つているわけでも何でもないのですが、そうすると定員の一倍半までの保険料は大体徴するのでしよう、それは常識から考えて恐らくそうだと思うのです。従つて定員の一倍半までの事故ならばその損害の責に任ずる。ところが、私は定員の倍くらいは、或いはそれ以上乗るのがラツシユ・アワーや或いはお祭りがあつたとか、何とか催し物があつたり、事故の起るのはそういうときなのです。そうして制止も聞かず、これを遅れたら或いは明日まで泊まらなければならん、或いはこれを遅れたらあと二時間も待たなければならんというので、丁度いわゆる須磨の浦で平家が負けて、屋島に逃げるときに手まで斬つてつておる者だけが逃げた、例は少し極端でありますが、ともかくそれは飛び乗つて来るわけです。事故はそういうとき起るのです。そのときに今仁田さんから承わりますれば、定員の一倍半まではこれはもう保険料もそういうふうな予定をして取るというのだけれども、そうであればあるほど、もつと人間が私は乗ると思うのです。そういう場合に、今度は保険会社は一倍半までしか認めないというので、この点についてはよほど何かお考えにならなければ、そうそう料率の問題に対しても、一応そういう点を実際に則して、そうしてこれは命令でやるとか何とかいう、今のような行政指導の面と違つて、私は先ほどの岡田議員から今の予算内でやれるかという、船舶安全についてのことでありますが、これは保険の料率についても、損害の起つた場合においてはこれは思わざるときにあるので、如何に平水航路だからといつて安全だとは私は絶対に限られんと思う。危いと思つていれば木から落ちないのです。人間は木に登つてつても、危いという感じがしている間は落ちないのだ。大丈夫だと思つているときに落ちるのですよ。であるから私はそういう観点からこういうものを考えるときには、私は非常に不安である。殊に検査官が随時やるとおつしやるけれども、僅かの定員なんです。そのうち行つてみよう、下手すると、見た翌る日に事故が起るかもわからん。船舶は安全であるかも知らんけれども、人間が過剰に乗つたらどうにもならん。そこに又折悪しく突風でも来たら、それは安全の問題というよりも、天候の異変なんです。平素は如何に平水であろうとも、千葉県の海岸であろうと、船が引つくり返つて、川の口へ行つて死んだようなもので、ああいう所は日頃は誰も危険だと思つていないのですが、突風が起つて来ればそういうことも起つて来る。これは川の渡しでもそうです。でありますから、私は必要があれば認めることができるというこの条文は、私はどうも余り実は合点が行かない。それならばそれで、むしろ全国的にプールして、そうしてそういう人命を非常に安い税率で、運賃に一割とか或いは運賃に五分か程度の、或いは二分か三分の程度の、これはまあ税率を計算してみなければわかりますまいが、そういう程度にして船舶業者の負担にならず、乗客の負担にならず、国家としてもそれほど負担にならない何らかの方法ができなければ、折角ここまでやつても、私は仏作つて魂入れずの虞れになることを心配しておるのです。そして船の安全を保証するといつても、船は安全であつても事故は起るのです。それは如何に復元力があろうと何であろうと、事故は起るのです。非常に安全だと思うところに事故は起るのです。ですから折角そういうところに考慮されて、法律を作る以上は、そこまで考えをめぐらして欲しいと考えるわけです。むしろ私は、これは意見のほうになつて、今の必要があるときは命ずることができるということの御答弁は、私は甚だ遺憾ながら満足することはできないわけです。一応この辺で私は質問を終ります。
  116. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 岡田委員の御質問ちよつと重複するかも知れませんが、この法律を施行しまして、約六百五十ほどの航路が引つかかるように書いてありますが、そのうちでどのくらい廃止になるような御予想なんですか、これが引つかかつて。不合格ですね。
  117. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 航路の状態から言いまして、廃止になるということは言えないのじやないかと思いますがね。併し使つておる船が非常に危い船であるというふうな場合のみそれを不許可にするというふうなことが起るかも知れませんが、それ以外の船はそのまま認めるということに相成るかと思います。現にそういう業者がそこで事業を営んでおるということは、それだけ輸送事情があつて、それを満足するというふうにみなされておる。併し非常に船が危険であつて、誰が見てもそれをやらすべきでないという場合には、或いはこれを廃止せしめるか、或いは新たな船を保有せしめるか、こういう措置が必要になつて来ると思います。
  118. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そういたしますと、この法律が適用されまして、今度新たに検討を加えられるものは原則として許可しよう、こういうことなんですね。その原則としてというのは、安全の法規とか何とか、そういうようなことに触れなければ、輸送量の適否があるとかいうことは、一応呑んでしまうというお考えなんですか。
  119. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 若しこの法律が成立いたしました場合、できるだけ現状尊重という気持で政府としては臨むのが妥当でないかと、かように考えておる次第でございます。
  120. 前田穰

    委員長前田穰君) 私がちよつと御質問申上げますが、先刻岡田委員質問に対する提案者の御答弁中に、ちよつと私にわかりにくい所があつたので、明瞭にしておきたいと思うのですが、四十五条の二の「省令で定める」というのは、どういう内容かという御質問に対して、二局に跨がるもののごときだというふうな御答弁があつたのですが、これは御趣旨は大体特定のもののほかは海運局長に任せるのだという御趣旨でないかと思うのですが、例に挙げられた二局に跨がるということについて私はちよつと疑問を生ずるのですが、それは四十五条の二項、海運局長に任したものは運輸審議会にかけないので、海運局長に任せないものは運輸審議会にかけるのだ、こういうことと、第一項の省令の内容として、二局に跨がるものという例を挙げられたということの関係ちよつとよくわからないのですが、同じような航路で一局で始末がつけば、運輸審議会にはかけないのだ、つまり場所的に二局に跨がるものである場合には、同条二項によつて運輸審議会にかけるのだ、こういうことになるようなので、省令の内容の例として挙げられた事柄と、四十五条の第二項の規定との関係が私によくわからないのです。どつちからでも、提案者からでも海運局長からでも御答弁願います。
  121. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) まあ同じ程度の航路でありましても、二局に跨がつておりまする場合、いずれの海運局長に任すということも妥当でない。従つてまあ運輸大臣がこれを取扱う。従つて運輸大臣が免許すべき事項については、これは運輸審議会に諮つて決定する、こういう法の建前になつておりますので、その建前に従つて運輸大臣はやる。従つてその事の軽重からいうと、同様その運輸審議会にいずれも諮るか、或いはいずれも諮らないようにすればいいのじやないかという御疑問かと存じますが、一応法の建前では、運輸大臣が行うべき決定は、運輸審議会に諮るべしと、かようになつておりますので、その運輸審議会に諮るというふうにいたして差支えないのじやないか。実際の処置としては政府部内でその間簡便な方策を講じて頂くようにする、かように考えております。
  122. 前田穰

    委員長前田穰君) 陸上の同じような種類の事柄の場合に、軽微な事項は運輸審議会にかけないというような取扱がしばしばあるようですが、そういうことをこれはやはりやつて権衡をとろうというようなお考えでもありますか。
  123. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 実際の処理といたしましては、さように考えておる次第でございます。
  124. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちよつとお伺いしたいのですが、やはり四十五条の二なんですが、省令で定めて、海運局長がやるものについては、運輸審議会に諮る必要はないんだ、こういうことなんですが、例えば新らしい業者に免許をするとか、或いはそういうような場合にも、ここで省令で以て、海運局長がやるというようなこともあり得るのかどうか。
  125. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 免許は、一応海運局長限りでやつてはどうか、かように考えておる次第でございます。
  126. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう工合になつた場合には、さつき木島さんからもちよつと御質問があつたと思うのですが、まあこれも本当の肚というと変ですが、この法律を改正するという場合にはこれはまあ条約の安全とか、そういうことになつておりますが、そういうような免許といいますか、新規免許といいますか、そういうようなものについてやはり申請して来るものは、いわゆる自由競争の原則従つて、どんどん免許するというようなこともあり得るわけなんですね。これは当局のほうではこれは需要供給の原則従つて、過重にならないようにするんだというようなお話があるのですが、併しながらそういう工合な恰好で行けば、やはりその間のいろいろ情実や何かもからんで来るだろうと思うのですが、そういう場合にやはりそういうものを免許をして行く、いわゆる申請者は免許して行くんだというような方針をとられることもあり得るんだと思うのですが、その点はどうですか。
  127. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 新規のものの申請に対して、現在の考えでは、海運局長限りで免許して行きたい、かように考えておりますが、その場合におきましても、やはり実際のやり方としては中央にこういう申請があつて、中央の免許事業と、こういう競合関係になるがいいかという意見を聞き、中央の全般的な睨み合せからの意見を聞いた上で海運局長が認可するということになるかと思いますが、その場合にもやはり何らかの、認可する場合の一応の基準というふうなものを作りたいと、かように考えております。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは一つだけお伺いしたいのですが、海運局長は、運輸審議会を省いて新規免許に関して海運局長限りでやるというようにお考えになつた理由をお伺いしたい。
  129. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) まあこれは提案者の意向を付度しますと、私ども意向を承わつたところ、並びに私どもの考えておるところでは、五トン未満或いは二十トン未満のものは殆んど全部が極めて地方的なものであつて、中央の運輸審議会に諮つて意見を徴するよりは、現地の実情に即した措置をするのが妥当である、さような考え方でむしろ海運局長に任したほうがいいのではないか、さようなことであります。
  130. 前田穰

    委員長前田穰君) 本日はこの程度で質疑を一応終りたいと思いますが、次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  132. 前田穰

    委員長前田穰君) 政府委員から関門隧道の復旧状況について発言を求められておりますので、これを許可したいと思います。
  133. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 関門隧道の復旧について、お手許に配付いたしました資料に基きまして簡単に御報告を申上げたいと存じます。  御承知の通り六月二十八日の水害によりまして関門隧道に浸水いたしまして、それ以来不通となつてつたのでございます。その後十五日を開通目標にいたしまして鋭意努力をいたして参つたのでございますが、予定よりも少しく早まりまして、本日十九時から試運転を実施いたす運びに相成りました。下り線が単線開通をいたしております。で、明日の零時から旅客、貨物列車を単線で運転をいたすことにいたした次第でございます。  運転の計画といたしましては、差当り明日からは旅客列車を上下各十一本、小荷物列車を上下各二本、駐留軍の予定臨時旅客列車を上下各二本、貨物列車を上下各十五本、合計三十本の運転をいたすことに相成つております。上り線は十八日に完成をいたす予定にいたしておりまして、二十一日から複線を、下り線の整備が要ります、今取りあえず十四日からは通すわけでございますが、いろいろ信号その他の整備をいたしまして、二十一日からは平常の運転に復するということにいたしておる次第でございます。  旅客につきましては、六月二十九日から御承知のように下関、博多間及び下関、小倉間に臨時連絡船を運行し、又七月三日からこれをやめまして関門連絡船の三十五往復ということだけで当つておるわけでございますが、ここにございますように、特急一往復、急行七往復、準急一往復、普通二往復、小荷物二往復、合計十三本、ほかに駐留軍列車二往復を通しますので、このほかの列車につきましてはまだ足りませんので、関門の連絡船によつて輸送いたすということに相成るかと思います。  貨物についてでございますが、いろいろ上に経過が書いてございますが、今日約千両が本州から九州向けのものが溜つておるのでございます。で、先ずこれをはきまして、それから逐次輸送の制限を解除いたして参りたい、かように考えている次第でございまして、貨物の見通しとしましては、十四日から平常の約六割、十六日から約八割、二十往復でございますかにいたす予定でございます。それから二十一日からは複線開通となりますので、おおむね平常通りの輸送ができるのでございます。  一番最後に、当分の間一お約七百五十車程度の使用を計画しておる、と申しますことは、現在溜つているものがございますので、それの見通しが立ちますまでという意味でございまして、二十一日以後も七百五十車でそのまま続けるという、あながちそういつた限定した意味ではございません。溜つております貨車がはけますに従いまして、輸送の状況を睨み合せまして逐次殖やして参りたい。下旬には正常の状態に返り得る、かように考えている次第でございます。大変簡単でございますが……。
  134. 前田穰

    委員長前田穰君) 何か御質問ございますか。(「なし」と呼ぶ者あり)  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会    —————・—————