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1953-07-07 第16回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)    午前十時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            重盛 壽治君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大和 与一君            東   隆君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省海運局海    運調整部長   国安 誠一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    高等海難審判庁    長官      長屋 千棟君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (九州地方水害状況に関する件) ○外航船舶建造融資利子補給法の一部  を改正する法律案内閣送付) ○海上衝突予防法案内閣提出)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) 運輸委員会を開会いたします。  先ず運輸大臣から九州水害状況について視察の御報告を伺いたいと存じます。
  3. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 先週の金曜日の晩に飛行機で参りまして、翌日福岡でいろいろな話を聞きまして、四日の晩に下関に行きました。翌日朝からトンネルに入りまして、門司側下関側等によつて実情を見て説明を聞いて参りました。詳しい御報告国鉄部長から御説明申上げたいと思います。この間ここでいろいろ御質問等もありましたので、できるだけ最近の実情を知り、それに対する対策等相談いたして来たものを皆様に一番先に御報告申上げたいということを考えておるわけでございます。  五日の日で大体ポンプの備え付けが終りまして、汲み上げが順次始まつておる状態でございます。先ずその時の私の見たままの状態では、下関側から水を揚げております。竪坑から揚つて来る水を見ますると、水は割合にきれいでございました。門司側のほうは濁つておりました。結局門司側の山崩れのために入つた水が主でありますから、結局中のほうに行くと非常に土がたくさん入つておるんじやないか。それをどういうふうにして出すかというようなことを頻りに研究を皆いたしておるようでございました。それから一体これはどのくらいにして引くか。そしてどのくらいにして完全に元へ戻るかという問題が一番の問題でございました。幸いにいたしまして、国鉄従業員の非常な努力によりまして、九州本線もすつかり通じるようになりましたし、だんだん枝線の回復に努力をいたしておる状態でございますが、もうだんだん落着いて来れば来るほど、この関門輸送力ということが問題になつて来るのは当然でございまして、今鉄道関係の船、或いは私のほうの海上保安庁の船と、その他の民間の船も配置いたしまして輸送に協力する体制をとつておるのでありまするが、御承知のようにあの間は短い所であり、これを大きな船を出して運ぶということは、あの連絡だけでありまするとまだ無駄の状態が非常に多く、積込みも相当時間がかかり卸すにも又時間がかかるということでありますので、手取り早く小さい船でどんどん運んで行くということが一番いい方法だろうということになつておるのでありますが、その方法をできるだけやつておりまするが、何せトンネル輸送量に比べますると現在でも一割かそこいらのように聞いておりまするし、こんなことではならないのでありまするが、陸揚げの場所等門司のほうの側で船が横に着いて揚げられるような所もありますが、これがアメリカ側に取られておるものでありますから、併しアメリカのほうからあらゆる援助をするという話があるから、そこを何とかしてこちらに当分トンネルの通らない間貸してもらえぬかという話もしたのでありますが、今は朝鮮の軍の移動関係かなんかでかねてよりも非常に多く使つてアメリカ使つていいことになつておる波戸場以上に日本のほうの側にはみ出して動かしておるというような状態であるから、実際上はなかなか困難であるが、なお折衝するというようなことを言つておりました。中のものが一体何日かかつて出せるかというようなこと等につきましては、私、その日トンネルだけ見て帰りました。国鉄部長を残しまして又いろいろ相談をさせておきましたから、この中の問題は国鉄部長から今詳しく申上げさせようと思います。大体十五日から二十日までの間には通したいということを現場でも言つておりましたそうでありますが、私どもとして十五日から二十日というふうな話が出ると一番近いのを取りたいと思います。十五日までにはやれるものだという観念でそこに行く。素人でありますからポンプの力で水の量を割つて見ると何日ぐらいだ、後、土の問題もあるだろうが、何とかして並行して電気仕事の修復、水のかい出し運び出しというようなものをできるだけ能率的にやつて、一日でも半日でも早くなるような方法一つ講じてくれという、ただ私どもとしては激励と、みんな一生懸命やつておるものに対して、なおこの上頼むということを言う以上のことはどうにもできないことでありましたが、各方面の現在あそこに特別に関係のない人たちも、あのトンネル建造にいろいろ関係のあつたような人たちも何人か来てもらつていろいろ話を聞いたり、計画に参加しておりますかどうか、そこまでは知りませんが、いろいろ古い人たちもみんなあそこへ何人か来ておられるというようなこと等を聞いて参りました。まあそういうような状態で、もう一両日ということが一昨日のことでありますが、もう泥の大よその見当がつく点まで事態が進めばもつと正確な見通しがつくのではないかというような状態のところまで来たというのが、私の見たところであります。  詳しいことは国鉄部長から申上げます。
  4. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ちよつと資料が遅れておりますので、最初に概略を申上げまして、後ほど資料で又詳しく申上げたいと思います。  最初関門隧道状況でございますが、関門隧道排水につきましては、私ども大臣のお供をして見て参つたのであります。最初排水段取りをつけますまでかなり時間的にかかつたようでございます。と申しますことは、私どもが当初考えておりましたよりもパイプの据付け等がかなり困難な、何といいましようか、消防のポンプ据付けにすぐにでも行くというようなわけには参らない。距離といたしましても相当距離でございます。パイプも短いパイプを、而もかなり重い鉄管のパイプを吊るというような作業、それにかなり狭い所で作業をしなければならないというようなことになつておりますので、もう本格的に始まりまして一昨日昨日と非常な減水を見ておる状況でございます。今朝現在で申上げますと、前に約二キロの間に亙つて浸水をいたしておつたということを申上げたのでございますが、この量が約九万トンでございます。それが今朝現在で約二万トン出ておりまして、七万トン程度つておるのでございます。で、今後大体一万五千トン程度一日はけて行くという状況でございまして、まあ十一日頃には水のほうについては引けるのではないかという見通しを持つております。数字的にはこれまでポンプが逐次増加して参つておりますので、これまでの日数の計算と今後の計算とは違つて参るわけでございまして、非常に大量に出始めましたのは、私どもの参りましたのは一昨日でございますが、一昨日あたりからやや本格的に動き始めて参りまして、逐次増加をして行くという形になつておるのでございます。  問題は、水を出すだけの計算は比較的楽にできるのでございますが、只今のところは掘りまして、水を出しましたあとからすぐ線路の清掃をいたしております。いろいろ瓶でありますとか、下駄でありますとか、いろいろなものが入つております。そういうものを掃除をいたします。それから泥が溜まつておるもの、今のところは泥が非常に少いのでありますが、そういうものも清掃して、逐次水が引いて行くに従つてつて参つております。又坑内の電気関係作業なんかにつきましても、水が引くにつれまして並行的に作業を進めて参つております。ただ問題はだんだん真中へ両方から攻めて参るわけでありますが、最健だんだん深い所へ達するにつれて、パイプを延ばして行かなければならんという作業が、揚水の能率が上れば上るだけ、パイプの継ぎ足しの作業というものは殖えて来るわけであります。その点が問題でありますのと、それからもつと基本的にはどれだけ土砂が入つておるか。これをどういうふうにして持出すかというようなことにつきまして、まだはつきりした見通しが立つておらないのでございまして、そういう点で十五日開通するということについては、はつきり十五日は絶対大丈夫ということを言い得る段階まで来ておらないのであります。ただ現地といたしましても、十五日には是非とも開通いたさせたいということで努力をいたしておりますし、又大臣にも見て来て頂いたようなわけであります。  勿論十五日は不可能ということは絶対出ておりません。不確かな要素があるわけでございますけれども、これにつきましては何とか十五日に開通いたしたい、こういうことで考えておる次第でございます。それから現在ポンプは十一台で五百馬力稼動いたしております。  それからなお申し落しましたが、隧道開通させます最後の段階に来まして、いろいろ線路をきれいにする仕事、或いはパイプを撤去する作業とか、或いは電気関係作業そういつたものが非常に狭い所で競合いたしまするので、その辺をよほどうまくやらないとごたごたして仕事が混乱して、そのために開通延びるんじやないかということも現地では非常に心配いたしておりまして、そういうものの段取りにつきまして、鉄道内部関係するところは非常に多いのでございますが、十分な計画を立てて、連絡を密にしてやりたいということを申しておつたようなわけであります。いろいろ細かい、どういうふうにやつておるというような資料はございますが、極くあらましを申上げますと、そういう状況でございます。  それから関門間の十五日開通といたしましても、関門間の輸送力が御案内の通り非常に減つておるわけでございます。旅客につきましては、ほぼ平常に近い状況まで一応連絡船で捌けておるのであります。と申しますことは、数字的に申上げますと、関門間通過人員が、四日には一万二千六百人通つております。それから五日には一万六千三百人関門を通つておるのでございます。本年四月一日平均が一万五千五百人でございます。ですから四月の一日平均よりは五日はすでに上廻つておるという人数でございますが、五日はただ日曜でありますのと、災害関係で人の動きも更にあるというようなことを考えますと、四月の一日平均より必ずしも高い数字であると言つていいかどうか疑問でございますが、いずれにいたしましても、四月一日の平均一万五千五百人に対して五日は一万六千三百人という人員がすでに渡つておりますので、不便の問題は別といたしまして、旅客輸送につきましては関門間の大体力といたしてはついておるというふうに考えておるのであります。  問題は、荷物並びに貨物でございまして、貨物能力は非常に小さいのでございます。大体私、昨日も門司鉄道監理局並びにこちら側の広島の鉄道監理局相談をいたしまして、貨物輸送力増強について協議して参つたのでございますが、現在の能力並びに将来の見込について申上げますと、現在はこういう形になつております。いずれも一日分でございますが、関門丸と申しまして平素自動車航送をいたしております昔の関門の航送船でございますが、この自動車連絡自動車を航送いたすもので小口を約三百トンの計画でございます。実績はこれよりやや下廻つておりますけれども、三百トンの能力、それから艀の積替えでございますが、これは国有鉄道責任におきまして艀に積替える。両端積替えをいたすと、日本通運に下請を請負わさせておるわけであります。勿論国鉄の全責任において運賃等はそのままでやつておるわけであります。無賃のものは無賃でやつておるわけでございますが、これが車扱いで四十車、六百トンという計画をいたしております。それから機帆船、これは国有鉄道所有機帆船でございますが、二隻を使用いたしまして、大体車扱い七十トンの計画をいたしております。このほかに宗谷丸、これは貨物船でございます。これを下関、博多間に四日に一往復いたしております。それで千トンの積荷をいたしまして一日に二百五十トン、これを合せますと小口が三百トンと車扱いが約手二百トン、合計千五百トンくらいな能力になるわけでございます。又この能力相当厳重にやつておりますからこれだけのものははつきりしております。併し平素下り貨物がどれくらいあるかと申しますと、最近でもやはり一万トン程度ございます。能力としましてはもつとあるわけでございますが、下りは空車を入れておりますような関係で、大体一万トン程度貨物を常時送つておるわけでございますが、これに対しまして千五百トンということでございますから、勿論能力的には問題にならないわけでございます。私ども参りまして何とかこれを少しでも増強するということで方法がないかということをいろいろ考えたのでありますが、一番現在隘路になつておりますのは荷揚力のほうであります。鉄道輸送力両端ともついておりますし、船につきましては、これはないとは申せませんで、あるわけであります。一番問題は両港における荷揚力問顯でございますが、これにつきましても、鉄道並びに海運局、或いは関係業界等相当努力をして頂きまして、逐次上つて参るという方向にあるのでございまして、先に申しました車扱いの四十車六百トン、艀輸送は六十車程度にはもう直ちに上げ得るという話でございました。そういたしますと、只今申上げました約千五百トンに対してすぐ三百トン程度増加できる。併しこの六十車これだけでなく、更にもつと増強するというような点について努力要請して参つたような次第であります。問題はただこういうふうに輸送力が非常に少いわけでございますが、一方この救恤品関係物資ですが、これもいろんな関係から実際まだ余り出ておりません。下関滞貨があるか知らんと思つてども参つたのでございますが、実は救恤品滞貨というものはないのでございます。全然今のところないのでございます。そこで私の現地で聞きましたところでは、今日例の農林省で御提案になりました種籾が百車下関に到着することになつております。これは早急に渡さなければいけない。これはかなり大量にまとまつた救恤関係の品物でございます。結論的に言いますと、本日の百車あたりを初めとしましてこれから殺到して来るんじやないかというふうに考えておるのでございまして、十五日仮に開通といたしますと、ここ一週間ほどの間は相当なピークが出るんじやないかと思う。従つてこの一週間というものにつきましては、全力を挙げて輸送力を増強して、まあ一般物資はともかくとして、救恤品については何とか関門間をあらゆる方法を講じて渡してもらうように、渡すという方向一つ考えてもらいたい。で、現地でも海運局長並びに海上保安本部長、それから監理局長、西部の国有鉄道総支配人、そういつたかたにお集まりを願いまして、只今申しましたような線で関門鉄道開通まで何とか一つ、少くとも救恤物資については遺憾のないようにしようと、一週間かそこらの問題でありますが、全力を挙げてやりたいと思つて、又やつてもらうように我々は要望して参つたような次第でございます。  それから若干現地で問題になつて参つておりますのは、救恤以外の問題でも、石炭の問題でございます。新聞にこれはこちらも出たかと思いますが、炭鉱の被害が非常に大きくつて出炭ががた落ちになるというようなことも聞いておりまして、私ども実は輸送の側から見ますと、石炭が出なければ緩和するわけでありますが、本当に石炭が出ておれば大変だというふうに考え、又そういう情報がありましたので、本当に出ないのかと思つてつたのであります。ところが現地で伺つて見ますと、新聞に出たのがどうも間違いのようでございまして、大手筋石炭はどんどん出し得る態勢にあるようでございます。それで筑豊炭輸送要請は非常に強いものがあります。特にこれは需要者の側と申しますよりは、貯炭が山元にございまして、あとつても先のものを、溜まつておるものを輸送しなければ置場がない。従つて水害はこうむつていなくて採れるんだけれども、掘るのをやめなきやいかんというような事態から、非常に要請が強いようでございます。これにつきましては、筑豊石炭列車平素二十四本あるのでございますが、これを五日には五本、六日には十三本動かしております。約半数ちよつとでございますが、この程度旅客列車を欠かしまして貨物物列車を入れております。単線の部分がございますので、そういう形にいたしておるのでございます。これも筑豊線の複線開通ということをできるだけ急ぎまして、港頭石炭を出すということを成るべく早くやりたいというふうに考えておる次第でございます。  大体以上申上げまして、何かはかにいろいろございましたら、御質問お伺いしたいと思います。
  5. 前田穰

    委員長前田穰君) 御質問ございましたら……。
  6. 仁田竹一

    仁田竹一君 只今説明で、何か現地では海運局海上保安庁協議の上適当な事務処置をとりたいと、こんなふうな話なんですが、これは私新聞で見たことでありまして責任を持つことは困りますけれども相当新聞の書いておるところを見ますると、中央海運局はこの問題について非常に心配をしておる。貨客輸送について相当計画を立てて鉄道のほうへ交渉したけれども鉄道のほうではその必要がないというので申込を断つた、そのために海運局としては非常な心外の気持でおるというようなことが二号活字で仰々しく相当新聞に出ておりましたが、この辺のことは実際どうだつたのですか。只今の御説明大分違つておりますが、どうだつたのですか。
  7. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ちよつとお答えいたします。実は私先日から出かけておりましてその新聞を拝見しておらないのでございますが、恐らくそのお話は、国有鉄道海運局が折角用意した船を断るということはこれはこういうことじやないかと思います。民間の船を使うにつきましては、国鉄としましては自分のとこの船を使うようなわけにいかないいろいろな条件が起つて来るのであります。それともう一つは、どこへ持つて行くかという問題もあると思います。それで今までの国有鉄道考え方は、自分のところの船を直接使う。それから海上保安本部のほうから、これは国家の船でございますからただでやつてもらつておる。ただというと語弊がありますが、一般業界の船とは違うわけでございます。そういうものでやつております。それからそのほかにつきましては、関門間の艀を増強するほうが最も得策じやないか、国有鉄道が受託した貨物を運ぶことについてはそのほうが一番能率も上るし得策で亙る、こういう意味国有鉄道責任において関門間の艀を増強して行くという方向をとつておると、こういう意味でございます。具体的な問題として断つたかどうかということについては、ちよつと調査してみないとわかりませんが、恐らくそうではないだろうかと、私が現地で話を聞きましたところを総合すると、そういつた意味で或いは多少海運局考え方国有鉄道との考え方の食い違いがあつたのじやないかと、かように考えます。その点に関しましては、実は一昨日でしたか、はつきり私は門司海運局長の和田君にも艀よりも軽い小型の汽船を使つたほうがいい、或いは機帆船を使つたほうがいいという部面も今後或いは出て来るかも知れない、そういう点については門司海運局としても、この際金の問題はあと廻しにして、とにかく能力をつけるということで、国鉄のほうと保安庁と三者話合つてつてもらうようによく話して帰りましたし、それはやろうというお話でございました。具体的な連絡状況がどうであつたか、国鉄が断つたかどうかという点につきましては調べないとわかりませんが、国鉄の今までの考え方はそういうような考えでございましたので、或いはそういつた多少行違いがあつたのじやないかと思います。
  8. 仁田竹一

    仁田竹一君 只今お話よくわかるようでもありますけれども、殆んど常識論でして、いやしく本役人同士の話なんですから、今あなたのおつしやることは、私ども委員が聞いていても成るほどと思います。特に役人同士同じ運輸省管内仕事をしますのに、今いつたような説明をしますと、恐らく海運局長は納得するだろうと思います。ところが非常な不満を感じておるもののごとく新聞も書き、書いておるところをみますと、あなたのおつしやるようなふうの納得の行くような話でなかつたろうと思う。これは私の想像なのです。なお又只今輸送に関する御方針左のですが、勿論鉄道ででき得る限りそういうふうなことをなさることは、鉄道責任において当然なことであると思います。そこがいわゆる緊急措置なのであります。その緊急措置がどの程度状態であつたかということが問題になるわけなんで、何も平常のことでありますならばこれは申すまでもないのですが、現在なお如何にして貨客輸送をしようかと腐心しておられるところをみますと、必ずしも完全に行つておらない、そのような点については超越して考えなければならないこともあり得るのではないかと、このように考えますが、そんなことは折角相当新聞に仰々しく出ておりましたから、一応御調査を願いまして適当に御善処願いたいことと、あなたのほうで海運局その他と完全なる協力の下でやつたということは、必ずしもそうでなかつたということをお話申上げたいと思います。
  9. 岡田信次

    岡田信次君 先ほどの鉄道部長お話関門トンネルの話なんですが、七月十五日までに何としても開けるというような御様子は単線分だろうと思います。あとのもう一本ですね、それから又これから先大雨雨季を控えておつて、今後あの程度の水はないにしても相当な雨が降るという場合に、それに備えて水抜きトンネルというものがあつてその中にポンプがある。これも恐らくつかつちやつて駄目になるのですが、これらに対する今後の大雨雨季に対する備えはどうなつているんですか。
  10. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) お答えを申上げます。実は現地でもそうしたいろいろな話がたくさん見においでになるかたから出ておりますし、新聞社方面からいろいろ出ておるのですが、ありのままに申しますと、十五日開通単線開通になると思いますし、又信号関係等は間に合うかどうか、通信閉塞でやらなければならないのじやないかということも考えられるのですが、いずれにいたしましても、現地といたしましては、とにかく単線開通、十五日までにはこれを少しでも早く開通させたい。このためにまだ幾多の問題があるわけでございまして、その点に全力を集中いたしておりますので、このあと、例えば台風が来た場合どうするかといつたような問題でありますとか、或いは排水ポンプの壊れたのはどうするといつたような点につきましては、正直に申しまして、現地といたしましてはまだそこまで至つておりません。まだ私ども参りましたときは本格的に全部のポンプが動いておらんというような状況でございまして、まだパイプの取付をやりましたし、いろいろなことでごつた返しておりますし、まだその先の問題は、例えば真中に流入しておる土砂をどういうふうにして掻き出すかというようなこと、そういつた開通全力を集中しているような状況でございました。私実は昨晩遅く、十二時過ぎにこちらに帰つて参つたのでございますが、これはむしろ現地と申しますよりは中央におきまして、国有鉄道の本庁、並びに運輸省の本省におきまして、この問題につきましては至急に検討をするということにいたさねばならんと考えております。現地は今のところそれどころでないのでございまして、全くもうてんやわんやでやつておるわけでございます。そういう方向でとにかく一日でも、一時間でも早くあそこを開けると、単線でも何でも開けるということに全力を集中することが妥当じやないか。その先の話につきましては、むしろ中央として考えることではないかと考えておるのでございます。早急に中央においてそういう点につきましては検討をいたして行きたい、かように考えております。
  11. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 溜つた貨車を運ぶのに船を使わなかつたのですか。
  12. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 私この四、五日留守をいたしておりましたので或いは間違つておりましたらあとで修正させて頂きますが、汽船を使つて今溜つておるものをはくということはやつておらないと考えます。ただ溜つております貨車につきましては、規定によりまして、荷主さんにその処置方を照会をいたしておるわけでございまして、或いは発駅送還いたしますものもございますし、着駅変更を行なつたものもございます。それから先ほど申上げましたように、宗谷丸で運びましたものにいたしましても、それから発駅に積替えて運んだものにいたしましても、救血物資が本格的にまだ出ておらんのでございまして、そういつた今まで溜つておりましたものをはいておる、又一部救恤物資も入つておりますが、主力としては、今まではむしろ溜つておるものをはいておるという形でございまして、汽船に切替えて運んだという事実はないように承知しております。六日現在で約二千両御承知のようにございました貨車が千百八十両ばかりに減つております。これは一部渡したものと、それから一部は発駅咲還或いは着駅変更のために減つたんじやないかと思います。約半分程度に減つております。大体そういう状況じやないかと思いますが、汽船の状況が若し私承知しない間に変りましたら……。
  13. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 これはまあ着駅したものは目的地へ行けばいいんで、まあチヤーターの問題とか荷揚港の問題、積込み港の問題もあると思うのですが、まあ早いところチヤーターをして吹田なり大阪から船で博多なら博多、小倉なら小倉に荷揚げさせれば一番よかつたと思うのでありますが、その着駅変更なり発駅送還のものがどれだけあつたか、ここで今おわかりになつていないと思いますが、若しわかりましたら二千両から溜つた貨車についてどれだけあつたかお聞かせ願いたい。
  14. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) その点は早速調査いたしまして御報告いたしたいと思いますが、なおちよつと申し落しましたが、私どもも実は神戸港なり大阪港なりを使つて九州に運ぶということもいろいろ考えたのであります。門司港につきましては、経費はいずれにしても揚げなければ問題になりませんが先ほど申上げました荷揚力が一ぱいでありまして、むしろ荷揚力がつけばつくだけ艀をもつと強化して行くということで考えておりました。博多につきましても、これは相当荷揚力が詰まつておりまして、荷揚関係で実は汽船の代替輸送というもので掣肘を受けるというような状況もございましたので、一つは汽船の利用が国有鉄道としても非常にむずかしいというような状態もあるんじやないかと思います。なお数字の点につきましては調査をいたしまして一つ……。   —————————————
  15. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質問はありませんか。他に御質問ないものと認めます。  次に、外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず政府より提案理由の御説明を願います。
  16. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 外航船腹を拡充整備いたしますことは、我が国の自立経済達成のため喫緊の要務でありますが、この目的を達成いたしますことは、現下の海上運賃市況並びに海運会社の経理状況より見ますると、従前のごとき政府の助長策では不十分でありますので、今後の新造船につきましては、財政資金の融資援助を七割程度にまで強化いたしますと共に、市中融資について利子補給制度を実施することといたしたのであります。  然るに、その後も引続き運賃市況は好転の兆が見えず、他面過去の船舶建造資金の融資も既に巨額に上つておりまして、その返済も困難な状況にあること等によりまして、市中金融機関から新規の造船融資を期待することは極めて困難な状況であります。  併しながら、市中金融機関の理解と協力の下に、船舶建造資金の融資が円滑に行われますことは、外航船舶建造のための絶対的条件であり、これがために何らかの措置を政府において講ずる必要が生じて参つたのであります。  而して現在考え得る最も効果的な方法は、戦前にも造船助長方策として実施されておりました制度、即ち市中金融機関による造船融資について、政府が損失を補償するという方法であります。従つて、この際外航船舶建造融資利子補給法を改正して、これに損失補償制度を加え、一環の助成施設を確立しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について簡単に御説明申し上げます。現在、新造貨物船建造については約七割、油槽船については約二割の資金が開発銀行から融資せられることとなつておりますので、市中銀行は残高を融資するとして、この市中融資分について、政府が金融機関と損失を補償する旨の契約を結び得る制度を実施することがこの法律案の根本であります。なお、政府が補償する金融機関の損失の額は、金融機関が担保権を実行してもなお取立不能となつた元本及び利子について、融資額の百分の三十を限度といたします。本制度は、海運会社に対し、利子補給制度と相待つて国家による強力な助成を与えることとなると思います。従いまして、国家といたしましては、起り得べき損失を最小限に食いとめる意味からも、海運会社に対して相当な監督をいたさねばなりません。このため、本法案では、海運会社の行う利益金の処分等に関しまして、必要な規制を加えることといたしておるのであります。  なお、本年度におきましては、約三十万総トンの外航貨物船及び油槽船の建造を対象とし、これらに対する市中融資について契約し得ることといたしておりますが、この契約による損失補償の限度額は、将来に亙り五十九億七千万円であります  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを切望する次第であります。
  17. 前田穰

    委員長前田穰君) 本案に対する質問は次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  18. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  19. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、海上衝突予防法案を議題にいたします。  引続き質疑のおありのかたは順次御発言を願います。なお本日は高等海難審判庁長官が出席いたしております。
  20. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この法律を見ますと、海上衝突の起りました場合の責任の問題乃至罰則適用の問題につきましては、第二十九条に規定があるようでありますが、なお海難審判法との関係についてお伺いしたいと思います。即ち予防法に違反した場合に如何なる処罰が行われるかということは、海難審判によつてその処罰が決せられるであろうと想像いたすのでありますが、そうといたしますれば、海難審判法におきましてこの海上衝突の予防義務を行なつた場合にはどういうふうな処罰を行なつて行くかというような処罰の種類、範囲等につきまして海難審判庁長官の御見解を伺つておきたいと思います。
  21. 長屋千棟

    政府委員(長屋千棟君) お答えいたします。これは衝突予防法だけではございませんが、海難を審判いたしまして、その結果責任が海技免状受有の者でありまする場合には懲戒をいたします。これは海難審判法の第五条の規定がございまして「懲戒は、左の三種とし、その適用は、所為の軽重に従つて、これを定める。」一、免許の取消、二、業務の停止、三、戒告となつております。「業務の停止の期間は、一箇月以上三年以下とする。」、こういうことになつております。
  22. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この点は本法律案のうちに明示しておかれたほうが適切ではないかと考えておりますが、その点につきましては、明示と言いますのは、この責任を免除するものではない、それならどういう責任を負うかということは、一応明示しておいたほうが法律の態様として、体裁としてよろしいように思いますが、その点は調査部長、どういうふうにお考えになりますか。
  23. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) この法律の中にそういつた罰則適用の例示をしたらどうかという御質問でございまするが、これは只今審判庁長官から申しましたように、海難審判法の適用を受けると、事情によりましては、又民法或いは刑法の適用を受ける場合があるわけでございます。と同時に、これは国際規則をそのまま採用いたしまして、それに合わして作つた関係上、各国ともいろいろ適用される法律なり何なりが違つております関係から、特にその規則にはそういうことは書いてないわけです。従いましてここには書かずに、そういつた事件が起つた場合に、それぞれの法律を適用するということでよろしいのではないかと考えております。
  24. 一松政二

    ○一松政二君 私は、一応当運輸委員会としては逐条審議をいたしてやつて頂きたいと思う。逐条審議と言つても別にこれは事実上の問題ですからそう長くはかからぬ。但し文章は私は一応吟味しておく必要があると思うのです。私はまだ一読しただけで、大体その当時自分で疑問に思つた個所が二、三カ所ありますから、それをちよつと伺いたいと思うのです。それは主義とか政策とかいうものと関係ないのですから、別にむずかしい問題はないと思いますが、第一条の三項のいわゆる定義を下してある中に、一応この法律に言ういわゆる「船舶」とは、「水上輸送の用に供する船舟類をいう。」、この「類」は一体何を指されるか。
  25. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) ここに申します「船舟類」と申します「類」は、例えば筏のごときものを指すのですね。
  26. 一松政二

    ○一松政二君 普通の場合、筏は筏それ自身を輸送するのが目的であつて自分が荷物となつて行くのが目的であつて輸送を目的としているとは考えられない。輸送を目的としているというのは、木が流れて行くのも、木を引張つて行くのも、そいつも輸送と言えばこじつけられんこともないかも知らんが、そうすると筏その他海上に浮いて、人が引張つても何でもいいが、人一人を載せても丸太一本載せて引張つてつてもこれは「類」の中に入りますか。これは物事をはつきりするためには極く極端なことを言つてみないとわからないわけでありますが。
  27. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の極端な例の丸太一本でどうかというお話ですが、この筏のごとく或る程度の何といいますか、材木の組合せで、それによつてその上にいろいろな何と申しますか、棹を立てたり、或いはその他標識を立てたりするような仕組みができるものならばこの中に含まれる。併し丸太一本ではそこまでも参らないだろうと思います。
  28. 一松政二

    ○一松政二君 丸太一本というのは極端なことを言つたのであつて、私はそれくらいのことを一応……これは答弁の中に織込んで頂きたくはない。私は極端なことを言うのであるが、なぜそれを言うかというと、この法律で船舶とはおよそ船舟類を言うとくぎつておいて、随分この「類」という言葉で拡げてあるのです。つまり物の輸送、私はこの類以外に船舶があるような書き方があるからこれを不思議に思つたのです。なぜかというと、五条の三項ですが、「引かれている航行中の船舶が二隻以上ある場合は、その最後部の船舶以外の船舶」、これは私は曳舟その他によつて伝馬を引張つて、伝馬ならまあ「船舟」の「舟」に入るでしよう。或いは筏を引張つておいて何かを載せるような、物を引張つている場合を私は想定されると思うのです。これは何を指しているか。
  29. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 今の第五条の三項の「その最後部の船舶以外の船舶」のことは、これは普通の船舶のことを指しておるのでございまして、最後部、船舶がたくさん並んで来るその一番あとの船以外の船ということを言つておるのであります。
  30. 一松政二

    ○一松政二君 この条文によつて船舶というものがちやんと規定があつて、その筏の類なんか知らんが、何か載つけて輸送に供せられる曳船でも止むを得ないか知らんが、物を載せられるのが船舶と規定してあるのです。この定義で規定があるのにかかわらず、又そういう船以外の船ということは私にはわからんのです。
  31. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) わかりました。これは図を書くとわかりますが、例えば船舶が、筏であつても、その他船の船舶であつても二隻以上あつた場合、その最後部以外の船舶、これを……。
  32. 一松政二

    ○一松政二君 それは答弁にならんですよ。この法律で以て船舶というものは「船舟類」のその「類」、筏の類まで船舶と言つているのですよ。それではこの定義はどうなるのですか。船舶というものはその船及び小舟以外にですね、今あなたがおつしやるような筏まで船舶と称しているのです。だからこの法律で船舶以外の船舶ということがおかしいのですよ。分らない。だから私は最初この「類」という言葉を聞いたわけなんです。
  33. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) この第三項の「その最後部の船舶以外の船舶」というのは、以外の船舶というのではなくて、その最後部の船舶以外の船舶。
  34. 一松政二

    ○一松政二君 いや、そんなこと何ぼおつしやつたつてこの法律の中に船舶というのは定義が出ているのです。そうしてその船舟のほかに筏まで船舶と言つてあるのですよ、第一条では。だから私はこの法律で一応この船舶というものが定義をきめてあるからですね、そこでこの船というものが船舶なりと解釈してあるのです。それでいて船舶以外の船舶という言葉が出たから私にはわからない。この法律に船舶以外の船舶という言葉が出て来たことが私にはわからない。筏か何か知らん、何か二隻以上のものがあつてあとで引張つているのは、それは明らかに船舶なんですよ。第一条の「船舶とは、」という定義に従つて「類」という言葉を持つて来ている。そこで類は特に筏みたいなものを指していると、あなた今御答弁になつた。ところがここで聞いていると、船舶以外の船舶と言つたのでは船舶の定義がわからんじやないですか。
  35. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 今の御質問の要点が少し違つているのじやないかと思いますが、この「以外の」と言えば、今最後部以外の船舶という意味に我々は解釈しておりまして、船舶以外の船舶でなくて最後部の船舶だから最後部と中央と、最初のとあるわけですね。最後部以外の。
  36. 一松政二

    ○一松政二君 最後部に船舶以外の何か。最後部は船舶よりほかないでしよう。あなたはそれを船と筏とを区別して考えているからそういうことを言うのです。筏も船舶なんですよ。あなた今そう答弁しているので、丸太一本は船舶じやないけれども、二本か三本組合せたやつは船舶だと、あなたさつきおつしやつたでしよう。
  37. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 仮に第三項の船舶全部筏と考えて見ましても、筏が二隻以上あるという場合には、その最高部以外の筏がここに言う……
  38. 一松政二

    ○一松政二君 最後部以外とは、最高部以外は何もない。最後部まで船舶なんです。
  39. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 二隻は航行中の引かれておる船舶ですから繋がつてつておるわけですね。
  40. 一松政二

    ○一松政二君 だけれども「最後部の船舶以外の船舶」というのはどうも意味はつきりしない。
  41. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  42. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて下さい。
  43. 一松政二

    ○一松政二君 それでは書き方が悪いですよ。試みに聞きますが、意味はわかつたけれども、私は文章ではわからない。それからその「船舟類を」というこの「類」というのは、まあ英語ではどうせ、さつき原文がどうとかこうとかおつしやつてましたが、原文はエトセトラですか何ですか。
  44. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 第一条の船舟類の原文はお手許にもございますと思いますが、エヴリー・デイスクリプシヨン・オブ・ウオーター・クラフト、このあらゆる種類のウオーター・クラフトという言葉が使つてあります。そのあとに、それ以下水上飛行機というものを除外したすべてのウオーター・クラフトという言葉が使つてあります。そこでこれは、訳し方は実際いろいろあると思いますけれども、まあ我々の関係者、主としてこの法律を適用し、或いは適用される側の立場から、最もわかりやすい名前は、何かいい言葉はないかというような見地から探して見ました結果が船舟、大きい船、小さい舟、船舟等という訳し方もあるわけでございますが、その他の等ですね。ところが等と言いますと何となく、例えばさつき筏も入ると申上げましたが、筏以外の一本の丸太本等へ入つて来るんじやないか。ところが類と言いますと多少大きい船か小さい舟に類似したというふうな意味から、丸太一本は除外されて来やしないかというふうなことから「船舟類」という言葉を特に作り出したことなんです。
  45. 一松政二

    ○一松政二君 その点は一応わかりましたから次に伺いますが、私がちよつと腑に落ちないと思つたことが一つあるのです。それも単なる技術的の問題ですが、五海里離れた所からと三海里離れた所から、私初めて見たんだが、「視認される」というようなことはこの法文で初めて見たのであつて、前にあつたかどうか存じませんが、非常にむずかしい言葉を案出されていると思うのです。そこでこの動力船が五海里離れた所から視認される性能を有しなければならんとあるのですが、水上航空機の場合に三海里になつているのはどういうわけですか。
  46. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御質問ございまするが、これほ第二条のこの一番ですね、これは原文の国際規則にそういうふうに距離が書いてございますので、それをそのまま持つて来たのでございます。
  47. 一松政二

    ○一松政二君 ところが、或いはそれが間違いから起つているのじやないかという気がしたから私はそれを質している。原文はもつとあつて、間違つて三海里になつたのではないかと思つたのですが、前の一のほうには「動力船の航行中における燈火の表示については、左の各号による。」と書いてある。ところが「水上航空機の航行中における燈火の表示については、左の各号による。」となると、速力の速いやつが、私は動力船より本水上航空機のほうが当然速いということはこれは常識であろうと思う。それが距離の短いもので而も速力の速いのでそれでいいということになると釣合いがとれないと考えるのですが、どうですか。
  48. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その理由はちよとつまびらかにわかりませんが、原文に書いてある関係と、もう一つは総合して見まするに、水上航空機は水上にある間だけこの法律の適用を受けまして、それが走つて水を離れますると今度は航空法のほうの適用を受けるという関係で、水上の間は極く僅かのものであるということから、こういうことになつているのじやないかと考えておりますが、そういう今原文を作成したところの事務当局といいますか、中心の国たる英国に照会して見なければよくわからないわけです。
  49. 一松政二

    ○一松政二君 それは答弁にならんと思います。水上航空機は停止している場合は規定があるのですが、それが離れるまではかなり速い、普通の考え方で、外国の船の十七ノツト、十八ノツトという程度のものではないと思います。それが空中にあつて航行中ということであれば速力はかなり速い。それが三海里で、それが原文になつているから、それをそのまま翻訳して、法律に出したというのでは答弁にならん。理由を説明して下さい。
  50. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の理由は私もつまびらかにいたしませんと、これは大体そうしたようなことじやないかと思つたのでありますが、多少スピードが速いから、少しおかしいじやないかと言われれば、その通りだと思います。立案者に照会して見なければわからんと思います。
  51. 一松政二

    ○一松政二君 それでは私はこういう法律を作つて一般に強いる場合に、私はこれを翻釈し、それを出される人がそれに対して疑問を持たなかつたら私は不思議だと思うのです。私はただこれを素読して行つただけなんで、素読をして行つてちよつとわからんから私はマークしたわけです。
  52. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) この国際規則は我々が実は一見しましてもいろいろ不合理な点がたくさんあるのでありますが、それは今ここで我が国だけ変えたものを作るわけに行かないので、一応それをそのまま呑んで採用して、この次のこういつた国際規則の会議があるときにはいろいろ我が方から不合理な点の改正案を提出するというふうに考えております。
  53. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、この法律案はどこからか強要されたわけですか。
  54. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは強要でありませんで、各国の自発的意思によつて採用し、国内法を作る建前になつております。
  55. 一松政二

    ○一松政二君 それは独立国である日本になつたのですから、自分の腑に落ちない案をそのまま焼き直して国会に出されることは、国会は迷惑します。どうしてもそいつをすつきりした形の法律案に、そういう疑問の余地のたいようなことを御研究になり、そうして当局それ自身が脇に落ちてから後に提出して頂いて、今日まで従来のやつで間に合つていたのなら、何も急いで腑に落ちないものを我々に審議を求めるということは、我々は腑に落ちなければ審議するわけに行かない。それは延ばしたら何か差支えがあるのですか。
  56. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは冒頭に、この国際規則の採用された経過を御説明いたしたと思いまするが、お手許の資料にもお配りしてあると思いまするが、来年の一月一日にこれは施行されることになつております。大体世界各国の三十九ヵ国がこれを皆採用しておりまして、従来通りの我が国の現行法をそのまま我が国だけやつておりますると、ほかの採用した三十九ヵ国の間の釣合いが非常にうまくない。同時に我が国だけが違つた古い法を採用することになつて、実際の国際的な海上衝突予防法という規則の建前からいづて、甚だこれは妥当ではないと考えまするので、この際我が国もこれを採用する、こう考えたわけであります。
  57. 一松政二

    ○一松政二君 これを出されるには相当準備期間があつたはずだと思います。一ヶ月や二ヶ月でこんなものを求めて来られるはずがない。そうすると十分私はそれを、私は何も理窟を言つているわけではない。私自身が納得行かんから聞いておるわけです。ところがたまたまあなたがたのほうもほかにも納得行かない点があるけれども、原文のまま取りあえず急いで実施しなければならないからやるというのでは、それではどうかと思つてつているのですが、疑問があつたらそれを照会するだけの努力はして欲しいと思います。
  58. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御指摘の点は御尤もでありまするが、我々としましてもできるだけそういつた疑問の点を英国に照会いたしたのでありまするが、この規則を制定された当時の議事録その他そういつたものを送つてくれませんのでつまびらかにすることができなくて今日に至つているわけです。大体この規則は国際会議で採択されるときに我が国は入つておらなかつたそういつた関係資料は手許にないわけです。然らばこの次の国際会議で手に入れるまで待つかといつて、それを待つわけに行かないというので、内容が特にどうしても行かないという場合はともかくですが、今の法律の構成とか、字句の問題その他多少疑問の点もありまするけれども、まあまあこれならば採用して行つてもそう支障がない。取りあえずむしろ採用しないで新らしい国際規則に外れた古い規則を採用して行くほうが弊害が大きいではないかというふうに考えますので、この際これを採用したいというように考えたわけであります。
  59. 一松政二

    ○一松政二君 それでは私納得行きませんけれども、幾ら押し問答してもその程度以上に出ませんから、次にマークしてある点で伺いたいのですが、七条の第三項ですか、三項の航洋船に積載されるような小型の動力船は、これはどういうものをお指しになるのですか。
  60. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) ここに小型の動力船という意味は、大体救命艇というようなものを指すものと考えております。その大きさなどは大体一九二九年の国際海上人命安全保障条約の第三章第五規則に、船舶に積載される救命艇の長さは四・九メートル以下であること云々という言葉があります。大体そういつた程度のものを指すのではないかと考えております。
  61. 一松政二

    ○一松政二君 そうするとこの説明は、航洋船に積載されておる動力船の積ままれてる状態の時に、この「同号の白燈をげん縁上二・七五メートル未満の高さの位置に掲げることができる。」というのは、積まれておるこの船にそういうものをしろというわけですか。
  62. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) それは積まれておる状態でなくて、やはりこれは航行している状態の場合の規定だと思います。
  63. 一松政二

    ○一松政二君 そうするとこの程度の小型の船については何か規定があるんじやないですか。
  64. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 小型の動力船についてはほかに規定があります。
  65. 一松政二

    ○一松政二君 法案の三十一頁十五条ですね、九号に「二十トン以上の漁ろうをしている漁船は、一分間をこえない間隔で、一回吹鳴し、これに続いて号鐘を鳴らさなければならない。但し、これに代えて、高低交互に数回連続する調子の一回の吹鳴を行うことができる。」、私は大体意味はわからんことはないと思うけれども、これはもう少し上手な日本語に直せないものかと思います。これでは、恐らくこれは原文を見ないけれども、順序は原文の通りだと思います。この順序からも、この法文解釈からいうと、ちよつと私読んだ時に腑に落ちなかつた。だんだん読んで行つてこういう意味だなと思つたわけです。それならもつと書き方はあるんじやないか、それで伺つているんです。但し以下は、「これに代えて、」をちよつと省いて、高低交互に数回連続する調子の一回の吹鳴を以てそれに代えることができる、とこういう意味なんだろうと思います。そういう意味であるかどうか、伺いたいと思います。
  66. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 今おつしやつた意味と同じでございます。
  67. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると私は外国語に慣れない人には少しどうかと思います。ちよつと吹鳴を行うことができると言いますけれども、吹鳴でこれに代用することができるわけなんですから、行うことができるではちよつと私は日本語としてはまずいと思います。私は占領直後の総司令部があつて、OK以上一言一句も変えることができないというような時代もあつたんですが、そういう時代ならいざ知らず、今日ではもう少しこれを誰が見てもわかるような日本文のわかりやすい形にこれは書替えて頂きたい。今私は特別の推敲も何もしませんけれども、先ほど申しましたように「代えて」なんていう言葉をここへ持つて来ることは私は最もまずいと思う。一回の吹鳴で以てこれに代えることができるというのが日本語として常識であるし、日本文の体裁なんです。そういうふうに私はこれを国会で修正する必要があると思います。修正するとせざるとは私どもの審議権に属することですから、ここであえて私はその可否を問おうとはいたしませんけれども、私はこれをちよつと見た時に首をかしげましたから、一応この点だけ注意を喚起して頂きたいと考えて取上げたわけです。私は本法案に対しては、大体以上のようなことが、素人として何の予備知識を持つていない私が素読して感じた点でありますから伺つた次第であります。  私は以上の質疑を以て一応この法案に対する質疑を終りといたしまして、又何かのついでがあつて気が付いたようなことがあつたら伺うことにいたします。
  68. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の翻訳のわかりにくいというお説、これはいろいろ御意見もございましようと思いますが、この原文を翻訳いたします点につきましても、お手許に実は法案作成の経過という資料を差上げてございまするが、約一年くらいかかりまして、大体この法案に関係する官民合せて約十五、六名の者がいろいろと訳文につきましても、あれやこれやと実は検討して参つたわけであります。これを実際に適用される側の船舶の乗組員側、或いは漁船の乗組員の側というような代表者も入りまして、或いは実際これを適用する側の海上保安庁なり或いは海難審判庁なりという方面の人々も入つてもらいまして、大体そういつた方々の了解できるような訳文にして頂いたつもりでおります。従いましていろいろすらつと読んでおわかりにくいというお説もおありでございますが、できるならば原文のままお通しを願うようにお願いをしておきます。
  69. 一松政二

    ○一松政二君 私は質問が終つたつもりでおりましたが、又今発言がありましたから、然らばこれはあとで皆さんと御相談しますが、私が申上げたような意味のほうがわかりいいのか、原文のままのほうがわかりいいのか、これは小さな二十トンくらいの漁撈船のようなものですから、そういうかたが読んだ時にこういう書き方がいいのか、それよりも「これに代えて」を除いて、そうして一回の吹鳴を以てこれに代えることができると書いたほうがはつきりしておるのか、これは何人が何年かかつておやりになろうと、これは一々の文章をそう吟味するほど熱意を以ておるかたが何人もあろうとは思われません。丁度今国会にかかつて私も気が付いた。そういつたわけで何人の厳めしい人間の顔を揃えて、これだけの人間が一年かかつてつて吟味したんだからこれが一番いいだろうとおつしやつても私は納得行きません。これだけ附加えておきます。
  70. 大和与一

    ○大和与一君 これはどういうわけでこの条文が入つているのかお尋ねします。
  71. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 十三条は「この法律の規定は、軍艦、護送されて航行している船舶又は水上航空機が二以上である場合」に例外の規則を作つてもかまわないということを書いてあるわけであります。恐らくそういつた軍艦なり、或いは軍艦で護送される船舶については、特別の何か信号なり燈火なりが必要ではないかという見地から特にこの規定が入つたものと考えております。
  72. 大和与一

    ○大和与一君 軍艦だということになるとこれは軍備なんでしよう。今説明しているのが外国の船の話をしているのか、日本の国の話をしているのかよくわからない。日本の国であるというと、ここに書いてある十三条は要らないと思います。全部削除してかまわないと思います。どういう意味でこの条文が入つているのか。軍艦を今すぐ造るためにこれを今から入れておくというのか、それがわからないんですがね。
  73. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは軍艦が必ずしもこれは我が国のものでなくても、外国の軍艦が我が国の領海内に入つて来た場合には、我が国の海上衝突予防法の適用を受ける。ところがこういう十三条のような例外規定がありますると、その国の例外規則を優先するというか、認めなければならんという立場になるわけであります。
  74. 大和与一

    ○大和与一君 それは外国の軍艦が軍事行動をして来る場合に、その国に何か特例があつたりした場合に、それにちやんと従つて航行しますか。それは確信がありますか。自分の所で作つた法律に外国の軍隊、陸軍、海軍、そういうものが従つたことがありますか。アメリカなんかは今までその国の言うことを聞かないで自分の思う通りにやつておる、そういうことは確信がありますか。
  75. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 今まで私どもの知つている範囲では、大体こういつた国内法規、特に警察関係の法規といつた、こういつたようた法規には、大体外国の軍艦といえども従つておるように聞いております。
  76. 大和与一

    ○大和与一君 この十三条はわざわざ外国の軍艦のためにこれは作つてあるんですか。
  77. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは特に外国の軍艦の場合もありますけれども、大体この原文にありましたのでそのままこれをのつけたわけであります。
  78. 大和与一

    ○大和与一君 そこが一松さんの言われたように、日本は独立国になつたんだから、そういう遠慮気がねは要らんので、ぼつぼつ日本の自主的な法律を作つて行かなくちやこれは相当問題になると思います。政府はそういうような所見であるかどうか。あなたが確信を持つて御返事ができるならして頂きたいと思います。
  79. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今ちよつとよく聞き取れなかつたものですから、恐縮でございますが、もう一回お願いいたします。
  80. 大和与一

    ○大和与一君 今のお答えでは不十分で、外国の軍隊、軍艦などのためにこの法律活かしてわざわざ作つたんだとおつしやるのですが、これは日本の政府の答弁としてはおかしいと思うのです、そういう適用なんか。従つて外国の軍艦が日本の国内的な法律に従つておると思われる言い方ですがね、あなたのさつき言つたことはそれだけでは不十分ですね。日本の憲法に明示してある通り、これはなくて本文そのとき話ができるんじやないのですかね。
  81. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは例えば仮に外国の軍艦が我が領海におつた場合に、こちらの日本の一般の商船とすれ違う、或いはいろいろ衝突の惨事に会うという場合に、向うの軍艦のために書いたというか、そういつた例外が軍艦についてあるということをはつきりすることが、我が国のそういつた商船について、向うの軍艦を避けるとか或いは方向を変えるとか或いは進路を間違えておるということを我が国の船員側にも明らかにする必要があると考えております。ですからこれはのけますと、軍艦には例外規定があるということを我が国の船員が知らないということがあつては困ると思うのです。
  82. 大和与一

    ○大和与一君 それはこの法律の書き方がパツシヴではなくてアクテイヴですよ。日本の法律ですよ。そういうことであなたの言つておることは納得できない。いわゆる屍理窟であつて全然お話にならんと思いますね。これは削除していいと思いますがね。
  83. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 今の十三粂は「軍艦等」と書いてありまして、「水上航空機が二以上」というのがありますが、これは水上航空機が二以上あれば、これは例外規定になつておりますから置かなければならんと思います。
  84. 大和与一

    ○大和与一君 これはそう言うだろうと思つたが、「護送されて航行している船舶」、この護送されているということは、軍の指令に従つておるのです。それはあなたの今言つたことは詭弁でお話にならない。それでさつき言つた軍艦等というのは飽くまで軍備、そういう範囲内でこれは書いたのだ、だから「護送されて航行している」と書いてありますが、水上航空機などと言つたつてこれは軍の命令で、軍の命ずるままに動いておるわけですよ。だからこれは一般の船舶とは当然違うと思うのですが、そうでないですか。二つの意味を含めてこの条文に書いてありますか。
  85. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 「護送されて航行している船舶」は、これは軍の指令に従つて護送されておるという解釈をしておりますが、水上航空機は護送されておる関係にないと思います。
  86. 大和与一

    ○大和与一君 これは水上航空機だけが軍に関係のない枠に入つておる、こういうふうに解釈できますか。
  87. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) そういうふうに解釈しております。
  88. 大和与一

    ○大和与一君 いや、それはおかしいですよ。「軍艦、護送されて航行している船舶又は水上航空機が二以上」ということであつて、船舶までが上にひつついておつて、水上航空機だけが全然別だというのはこれはおかしいですよ。それは原文の検討を要するでしよう。それは違うのです。
  89. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今のお説は、原文を読んでも水上航空機は別のほうに解釈できると考えます。
  90. 大和与一

    ○大和与一君 「航行している船舶又は水上航空機」と書いてありますね、これは日本語の文法解釈になると思いますが、これは軍艦又は護送されておる船若しくは水上航空機、これは日本語で当り前じやないですか。それを殊更離して、そして護送されておるのは船舶だけで、水上航空機は護送されていないと言うのですかね。そういう場合を顧慮してこの法律はできておるんじやないのですか。そしてそのあとに、これらの船舶又は水上航空機に掲げたものはこうこうだと書いてありますから、これは護送される範疇に当然入る。そうでなければ十三条の頭に掲げた「等の」ということは、これは軍艦と軍備その他を含んで一緒に書いてあるのじやないですか。そういう意味ではないというふうに私は初めお話を聞いてから話を進めておるのですがね。
  91. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 「軍艦等の」今の水上航空機も入つて意味でその「等」という意味だと思いますが、護送されておる船舶と、それから水上航空機というものを「等」でひつくるめて言つたと思います。
  92. 大和与一

    ○大和与一君 その特別規則というものは、軍艦とそれから護送されておる船舶と水上航空機と、これだけだということですか。その他には特別規則はないということですか、そういう言い方ですね。
  93. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) まあそういうことでございます。
  94. 大和与一

    ○大和与一君 それは条文の中にあれもこれもちやんぽんに書いておくことはないのですよ。水上航空機のことはたくさん書いてありますね。ここに至つては十三条は明らかに軍艦等のそういう軍事行動に対するそういうものの特別規則になるということを前書に謳つてありますから、そういう中で軍艦も一般の船も個人で動かすやつもみんな一緒くたに書いてあるということは、そういう解釈は絶対できないのですね。十三条を削除するか……何か軍艦等があつて、そして日本の政府が認めておるような恰好ですよ。もうじき造るから入れておいていいということではこれは国民に誤解されますから、これは政府のために気の毒だから、そういうことのないようにしなければいかんですね。
  95. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 今お述べになつたように、同じ条文の中に性質の違つたものが入つておるじやないかというような御質問でございますが、たしかそういうことは、実はここばかりでなくあちらこちらに見えるのですが、法律体系としても我が国の国内法としてうまくないということは再三我々のほうでも論議をいたしましたが、法制局でも頻りにそういう点が問題にされましたが、結局そういつた条文をばらして整理をいたしますとわかりよくはなりますが、そういうことによつてこの規則の国際性を傷付けることになりはしないか。まあいずれにしても採用した規則ですから、同じ条文に同じことが書いてあつて、内容は同じことであつてもばらばらにしてしまえば非常に条文が難解になるということもありまして、そういう点はおかしいと思いますけれども、わかればよい、止むを得ないということで呑んだわけでございます。
  96. 大和与一

    ○大和与一君 その一項のほうは了承したのですが、二項の場合は「この法律の規定は、海軍その他の軍の船舶又は水上航空機」、ここはちよつと文法的には前の書き方と違うのですね。それで考えられないでもないのですがね。前のやつは何と言つてもその通り読んで行つて、絶対にこれは水上航空機は違つた他のものだとは考えられない。逆に言うと日本の軍艦というのは海上保安庁の船舶、そういうふうに解釈できますか。
  97. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その点は、この前も保安庁の官房長から御答弁がありまして、保安庁の船舶については、この法律は適用されるということを言明いたしております。
  98. 大和与一

    ○大和与一君 そういうふうな言明をされておることは私も今までの質疑の過程で知つておるのです。そうなると、日本には特別規則がないわけです。そうなればこの十三条は、こんなものを外国の軍艦のために書いておかなくても、或いは話合いでできる。外国の軍隊の邪魔にならんように、ぶつからんようにして行けということは話合いでつくでしよう。誰が見たつて軍備の話です。そういう十三条をこんなにたくさん書いて、そうして天下に公表しなくても、ちつともあなたのほうでも困らないのだから削除するのは当り前です。水上航空機だけ言いたかつたら一行ぐらい書いたらいい。刑事訴訟法の特別措置について、水上航空機についてはこうだということをどうしても入れたかつたら入れて、あとは軍備のことにしても、どうも日本の憲法に真向からぶつつかりますから、それは日本の特別規則としては甚だよろしくないと思います。水上航空機だけでしよう、あなたのおつしやつておるのは。ほかのことは軍備だということはわかるのですね、軍艦のことは……。
  99. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今おつしやつた通り、軍艦以外の、軍のもの垣外の水上航空機が我が国にもあり得るということは只今のところでは考えておりませんが、それと一面、先ほどもおつしやつたような、我々も申しましたように、我が国の一般商船その他の漁船がそういつた外国の軍艦なり或いは護送して航行しておる船舶に対するこういう例外規則もあるということを知るために何らかの規定が要るということをお認め願つたようですから、まあそういう点で今までやつて頂いても、大体この規則の国際性の関係から、まあ特に弊害もないのじやないかというふうに考えております。
  100. 大和与一

    ○大和与一君 「軍艦等」というのは軍艦その他、例えば水上航空機、これは軍艦じやない、そういうふうに考えるのだつたら特別規則はできるわけです。その特別規則は日本においては保安庁関係の船舶においも絶対に必要でない。こういうふうに今まで言明されておる。そうしたら何にも要らないのです、そういうふうに答えておるのだから。保安庁には軍艦はございません。どんな恰好をしていても、変なものがくつ付いておつても軍艦じやない。それなら特別規則は要らないわけです。この十三条というのは外国の船が来たときにこれがなければ困る、そういうお話でありますが、大変な親心で、そういうふうな観念を持つておるからとかく誤解されることがあるのですから、それは今おつしやつたように「軍艦等」というのは、軍備その他のものを含むとしたらこれは特別の規則だから、特別規則の施行を妨げない。これは今まであなたは必要ないとおつしやつて、言明されておるのだから、全然日本には必要ない。今問題になるのは、保安庁の船だけですから、それは露さらさら心配ない、こうおつしやつておる。それは削除して水上航空機だけ見るならば、前にそういう字がたくさん出て来ておりますから、どこかにくつ付けて書いておけば十分です。どうしてもこの十三条の条項を設けたことが何かしつくりしないですね。これは単に条文の解釈とか法律の形ということでなくて、これはつまり本質に触れる問題だと思うのです。だからそういうことは、私の言うことは十分わかつておるはずです。あなたのほうで肚をきめればちやんとそういうことになるのです。
  101. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御意見につきましては、この案を審議いたしました先ほど御説明申上げました審議会がありますので、そこに一応諮りまして御返事申し上げます。
  102. 大和与一

    ○大和与一君 これは言葉上の解釈としてはおつしやるように、軍艦と水上航空機は違うようにおつしやるけれども、これはやはり二項だけでは軍事機能を害される、これは骨組みですよ。頭のほうは触れずに尻尾のほうに触つて、えらく気にしてこんなものを作らなくても、これはやはり本質的に憲法の問題にも触れるし、国民に誤解を受ける虞れもあるので、条文の書き方が悪ければ、この悪い所は直して頂いてどこかにくつ付ければいいのです。そのあとは軍備のことですが、これはいろいろおつしやるけれども、「軍艦等」ということは軍備以外のことを強く言つておるのじやないと思うのです。これは軍備ということの範疇に入つた問題だと思いますから、それで十分一つ研究して頂いて明確な回答を一つこの次に又お願いいたします。この点では納得いたしませんから。
  103. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 関連した問題になりますが、私もまだ研究が足りないので或いは見当が外れるかも知れませんが、そうしますと、今のようなお話を聞いておりますと、一年もかかつてこういう有名な人がたくさん集まつて専門家が作つたのだから万遺漏なきを期しておる、こういうふうに私には聞えるのであるが、これは結局日本で作つても、併し運用の場合には国際法になるということですか。
  104. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その点は国際法としては通用するわけではなくして、やはり国内法として通用するわけです。
  105. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると今のような問題になつて来るのだが、外国の或いは軍艦或いは大きな輸送船等すべてのものが入つて来た場合に、幸いにして日本の法律を守つてくれればいいが、日本の船は守つたが、若し向うの船が守らないために事故が起きたという場合の措置はどういうふうになりますか。
  106. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) そういつた場合に起つた事故につきましては、こちらの領海内であれば海難審判をいたしまして、その結果措置を行うと思います。
  107. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 何かよく聞えないのですが、できた実態に即応して措置するということですか。
  108. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) できた実態と申しますか、事故が起つた場合には、我が国の領海内であれば我が国の海難審判にかけてそこで判決を下すということになります。
  109. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そういう場合にいわゆる独立国になつた日本の現状から言つて、日本の法律で大体措置ができるという御確信がありますか。
  110. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) できると考えております。
  111. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そういうことでやつては国際法にならない。又日本の法律だけで措置できると考えておるということになれば、さつき言つた或る程度国際法の意味が含まれ、それで一年もかかつて研究されたもので、よその国でもこれと全く同じものを作つておる。講和を締結しない国は別ですが、講和を締結された国においては全部これと同じものを作つておるということはどうも納得が行かない。軍艦という文字が入つても、それはよその軍艦が入つて来たときという解釈ができるかも知れませんけれども、国内法で実体ができた場合、国と国との関係でやるということになれば、これは少し先を見過ぎた形でありはしないか。それはそのときになつて考えても遅くないのではないか。今は現実に即した法律を作つて衝突を避けるというにとどめて置いていいのじやないかというふうに私は常識的に考えるのでありますが、その点は如何ですか。
  112. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今お話の、この法律が国内法であるから国際性に乏しいのではないかという御説でありますが、それは理論としてはその通りでありまして、これは飽くまでも国内法であります。併しながらその前提に国際規則というものが採択されてできるので、それに即したものを各国で国内法として制定するという建前をとつておりますので、実質的には各国共通の法律になるというふうに考えられるのであります。従つて、できるならば我が国としても、その実質的に共通するところの国際規則に合つたものを作つて置きたい、こういうふうに考えるわけであります。
  113. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると全くこれと同じ趣旨の法律を作つておるのはどことどこが作つておりますか。
  114. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 大体原文が英文とフランス文でありますので、そういつた国語の国は全部そのままこれを採用しております。それからその他なお英米を入れまして三十九ヵ国が全部これを採用しておりまして、これは皆国内法として採用しております。
  115. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると、これは国際法的ものでなくして国内法である、併し作るのにどこを基準にしたらいいかということは、米国やフランスで作つたのを基本にして、それを参考にして作つたということになりますね。これを作つておる国はお互いのどういうところで、外務省で話すか、運輸省の海運局で話すか知りませんが、そういうことを話合つて作るのではなくして、ただ参考に見せてもらつたという域は出ていないわけですね。
  116. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) この国際衝突予防規則は、その源は国際海上人命安全条約の一部として別個の規定として一九二九年頃からこれを置くべく各国で会議されたものであります。従いまして丁度我が国は今回の改正された国際規則の会議に参加いたしておりませんでしたが、そういう我が国も以前は会議をしたところの条約に基いてこういう条約を各国共通なものを作ろうということにしたわけであります。それに基いたものであるが、今回の改正された国際予防規則となつて現われたわけであります。改正の際には我が国は参加しておりませんでしたけれども、大体趣旨としましては我が国もこれに賛成すべきものであるというふうに考えて、それに則つて今回我が国も国内法を整備いたしたわけでございます。
  117. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 どうもよくわからん点がたくさんありますけれども、今日は私まだ出かけなければなりませんので、質問を打切ります。
  118. 大和与一

    ○大和与一君 これは、軍事基地は岡崎・ラスク秘密会談がありますが、これについては勿論そんなものは全然ないんでしようね。次に行きます。原文の通り正確に訳をした……ちよつとうつかりしておりましたが、その通りですね。殆んど原文に近いようにやつたと……。
  119. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) そうです。
  120. 大和与一

    ○大和与一君 その通り書いたから十三条がいけないのです。それはほかの国では軍艦があつて普通の船があるからそういうふうにできていいわけです。それを日本では独立国でも軍艦がないのにそういうふうにするから、政府はとんでもない間違いをしておるので、あなたの先ほどの言質の中に証明されたから、一つ是非これは要らんところは削除して頂く、こういうことは当然考えられると思います。日本の独立の法律として、これはよろしいでしようね。これはお返事頂けると思います。
  121. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その点はこの改正法の審査会議というものがございますので、先ほど申しましたように、そこに諮りましてお答えいたします。
  122. 大和与一

    ○大和与一君 成るほど原文の通り書いてある。それをよく聞いておればまあ間違いだということがよくわかつたから、今日はこのくらいにしておきます。
  123. 一松政二

    ○一松政二君 ちよつと速記をとめて下さい。
  124. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  125. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後零時三十四分散会