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1953-06-30 第16回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 六月二十九日委員重盛壽治君辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            大和 与一君            東   隆君            木島 虎藏君   衆議院議員            關谷 勝利君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省海運局海    運調整部長   国安 誠一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (九州方面災害状況に関する件) ○海上衝突予防法案内閣提出) ○海事代理士法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○水先法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○海上運送法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○臨時船質等改善助成利子補給法案  (内閣送付) ○日本航空株式会社法案内閣送付) ○地方鉄道軌道整備法案(衆)(内閣  送付) ○臨時船舶建造調整法案内閣送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  最初にお諮りいたしますが、昨二十九日に重盛君が運輸委員を辞任せられまして、本日再び運輸委員に復帰いたされたのでありますが、このため理事一名欠員となりましたので、理事補欠互選を行います。  互選は、成規手続を省略いたしまして、私から指名いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。それでは私から重盛君の理事補欠として、重盛君を再び理事に指名いたします。   —————————————
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、運輸一般事情に関する調査議題といたします。  今回の九州方面災害状況について、政府から御説明をお願いいたします。
  5. 壺井玄剛

    政府委員壺井玄剛君) お手許資料をお配り申上げてございますが、簡単に御説明申上げますと、鉄道関係相当被害がございますが、海のほうは割合に平穏でございまして、と申しますのは、風を伴わない雨だけの災害でございましたためでございますが、非常に災害が少なかつたようでございます。鉄道関係につきましては、鉄道監督局長から詳細に今日までのところの御説明があると思いますので、私からその他の面について申上げます。  海運関係につきましては、詳細は連絡はとれませんが、若し必要な要望がございますならば、相当の船腹を廻し得るだけの準備を整えてございます。例えば客船につきましては、関西汽船、瀬戸内海汽船等に現在就航しております船が、そこにありますように、何どきでも転用できますし、汽船は十万重量トン、機帆船は十五万重量トンばかりはいつでも貨物輸送に当れるという状況でございます。これに対する法律基礎といたしましては、海上運送法の第二十六条に、輸送命令を発して災害の必要な輸送に当ることができるように相成つております。  なお海上保安庁関係といたしましては、すでに門司保安本部から遠賀川、筑後川その他九つの主要な河川の河口に十一隻の巡視船が配置されておりますし、神戸から大型巡視船「くまの」を、救血品を積んで昨日現場に派遣されました状況でございます。  それから港湾関係につきましては、倉庫その他の荷役設備被害が殆んどないようでございますが、労務者が相当災害を受けておりますので、荷役労力といたしましては、約三割くらいの程度しかできないのじやないかという見通しでございます。  次に、航空関係といたしましては、現在のところ飛行場は平常通り使用可能のようでございます。日本航空では早速従来二往復の便を倍の四往復にいたしまして、サービスをいたしております。救血品輸送につきましては、無料を以てこれに当り得るような途が開けておるのでございます。又小型の飛行機は若干ございまして、それぞれ要望がございました場合にはそれに応じ得るだけの準備を整えております。  以上大体の状況でございますが、なお気象の関係で御参考までに申上げておきますというと、今回の雨量は大体六百ミリくらいの雨量でございまして、これは東京の一年の雨量が千五百六十ミリ、全国平均が千六百ミリ、福岡が千五百八十九ミリとなつておりまして、大体、一年の三分の一を一日乃至二日の間に降つたような計算になるような状況でございます。あとに引続きましてヤツプ島の北東方面に、中心地点最大風速五十五メートル、九百五十四ミリバールの台風が現われて、本土に向つて進んでおるようでございますが、これは七月四日頃の見込になるようでございますけれども、その到達地点その他につきましては、只今のところ不明でございます。
  6. 植田純一

    政府委員植田純一君) 鉄道関係被害状況につきまして概略御説明申上げます。  先ず国鉄関係でございますが、お手許にお配りしております資料によりまして、山陽本線は昨日十三時に下関まで開通いたしております。次に関門トンネルでありますが、関門トンネルは二十八日の正午過ぎ、浸水が著しいために、排水要員引揚げたのであります。全線海底部分が約四キロございますが、このうち約二キロが全部満水したような状況であります。それで排水ポンプを以ちまして四六時中排水に着手いたしておりますが、約十万立方米の水を排出するだけ約一週間を要するという見込であります。問題はこの排水後どういうふうな状態なつておるか、いろいろの土砂の堆積状況等を見てみませんと、はつきりした復旧対策は立たないようでありますが、又電気施設或いは信号保安施設等を当然やられておるわけでありますが、そういよううな排水をいたしまして、そのあと状況を見極めませんと、この開通見込も的確に立てにくいのでありますが、一応開通見込を七月十五日という目標を立てまして、鋭意開通に努力するつもりでございます。この開通目標の七月十五日は、排水後約一週間余りというまあ一応の目標でございます。勿論極力それを短縮するように努力するつもりでございます。  次に、鹿児島本線でございますが、門司小倉附近水害で、門司小倉間も不通であつたのでありまするが、これは開通いたしまして、鹿児島本線の大きな不通個所は、遠賀川橋梁附近が先ず挙げられるのであります。これは、遠賀川の氾濫も逐次減水しかかつておるようでありますが、なおもう少し減水して見ませんと、橋脚がどういうふうな状態なつておるか、的確な見当がまだついておりません。ここに「鹿児島本線七月五日の見込」と書いてございますが、これも、水がもう少し減水しまして、橋の状態を的確に調べないとわかりませんが、それほど大きな支障がないという前提で、大体七月の五日という見込を立てておるわけであります。なお、久留米の南のほうの船小屋瀬高間の区間におきましては、矢部川という川がございますが、そこの橋梁橋脚が沈下いたしまして、これも目下不通でございます。この遠賀川区域と、船小屋瀬高間の矢部川区域を除きまして、辛うじて鹿児島本線は、その他の区間は漸く動くようになつております。  それから長崎本線でありますが、鳥栖、佐賀間が漸く開通いたしまして、佐賀肥前山口間が目下不通であります。肥前山口から長崎までは漸く運転可能になつております。これは七月一日開通見込でございます。  日豊本線は六月の二十九日開通いたしました。門司港、小倉間が不通であつたのでありますので、小倉から日豊本線が出ておりましたが、昨晩から門司発日豊線列車が出ております。  大体支線におきましては、まだまだ不通個所がございますが、主な幹線状態は、以上御説明申上げました通りでございます。  この輸送対策といたしましては、下関博多とを結ぶために、臨時徳寿丸という、これは鉄道の船でございますが、これを下関博多間に動かしております。二十九日、三十日と動かしまして、一日からは毎日一往復、朝、下関を出まして、博多を午後立つて、又下関に戻つて来る。毎日一往復、一列車、接続いたしますように動かしております。又鹿児島と、門司小倉方面との連絡のために、鹿児島本線がまだ開通いたしませんので、幸い日豊線開通いたしましたので、日豊線廻りの急行を臨時に仕立てて、鹿児島方面との連絡を図つております。  貨物につきましては、九州方面行の汽車が、広島、岡山その他途中駅にとまつておりますものが、列車でとまつておりますものが二十一本、それから各操作地で抑留しておりますところの貨車が約千三百両となつております。この関門間におきまして、艀輸送等もやつておりすが、とまつております貨車の処置につきましては、それぞれ荷主の指図を仰ぎまして、それに基きまして輸送手配を講じておるわけであります。なお、この六月二十七日から罹災者救恤用寄贈品につきまして、無賃で一カ月間送ることにいたしております。又生活必需品につきましては、五割引で、これは三カ月間割引をする。又罹災者応急建築材料につきましては、これ又五割引で七月十一日まで実施する。鉄道といたしましてはこういう手配をいたしております。なお、その他国鉄といたしましては、対策本部を設置いたしまして、いろいろと集まつて参りましたところの状況に応じました臨機の措置を検討し、指示すると共に、又現地におきましては、西部総支配人を中心現地対策を講じ、且つ本庁の対策本部との緊密な連絡に当つておるわけであります。  国鉄被害金額につきましては、相当莫大な金額に上るということは容易に想像できるのでありますが、金額的にはまだどの程度に上るかという、数字検討がまだできておりません。  次に、私鉄関係でございますが、別の資料をお手許に配付申上げておりますが、福岡県一帯に運転いたしておりますところの西日本鉄道、これは各線浸水を受けました。或いは部分的に道床が流失したというような個所もございまして、全面的に相当大きな被害を受けておるようであります。又熊本電気、これは橋梁が流失した個所がございまして、目下全線不通のようであります。大分交通熊本市電、これも相当被害があるようでありますが、詳細につきましては、まだ情報が入つておりません。私鉄状況につきましては、いち早く派遣いたしております者が明日になりますると帰つて参る予定であります。その上で一層詳しい状況がわかろうかと思います。大体お手許にお配りしてあります資料程度しか現在のところわかつておりません。  大体今回の水害によりますところの鉄道被害状況は以上の通りでございます。
  7. 前田穰

    委員長前田穰君) 只今の御説明に対して御質問はございませんか。
  8. 木島虎藏

    木島虎藏君 電気機関車はどうなんですか。電気機関車は濡れておるのですか。これが濡れておると隧道が開いても困るじやないですか。
  9. 植田純一

    政府委員植田純一君) 電気機関車につきましては、実に詳しい情報を得ておりません。その点国鉄としましても十分調査いたします。
  10. 岡田信次

    岡田信次君 ちよつと細かい質問なんですが、監督局長説明数字に少し嘘がある。関門トンネル状況で、全線約四キロのうち二キロ浸水して、その水の量が十万立方メートルと書いてありますが、私の記憶では、この断面は三十平米ですから、二キロだと六万立方メートルにしかならんですがね。これを六万立方メートルを八台のポンプで抜いておりますから、四日ちよつとあれば六万立方の水が出ちやう。
  11. 植田純一

    政府委員植田純一君) この資料の約二キロ、約十万立方米という資料は、実は国鉄のほうから出て参りました資料でございます。この資料が果して十万立米というものが正確を欠いておるというのかどうか、ちよつと私にはわかりかねますが、十分私のほうで調べます。
  12. 岡田信次

    岡田信次君 このトンネル断面の約三十平方メートルというのは、これは事実なんです、つかつた長さが二キロになるか一キロになるかは別として。そうなれば、無論六万立方メートル、或いは六万前後ということは確しかですが、そうなると、六万と十万では大分違いがあるのですがね。
  13. 植田純一

    政府委員植田純一君) 四キロのうち約二キロ浸水ということ自身も、これは私の聞きました話では、二キロがすつかり満水した、こういうふうに話を聞いております。すつかり満水したのが二キロの間ある、かように聞いております。これも正確に二キロであるかどうかということも問題であろうと思いますが、そういう点につきましては、更に国鉄の当事者から説明を聞きたいと思つておりますが、いずれにいたしましても開通見込というのは、一応の目安でございまして、極力これを短縮するというふうに努力いたしておりますので、早く排水ができましたならば、当然それだけ開通見込が早く立つ、かようなつもりでおりますので、数字につきましては十分検討いたしますが、開通見込は、極力事情の許す限り早くするように努力しておるということで一つ御了承願いたいと思います。
  14. 岡田信次

    岡田信次君 それは了承いたしますが、いやしくもこういうところに数字を挙げられるからには、わかり切つた数字については、もう少し慎重な牧字を挙げて頂きたい。
  15. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 応急復旧対策重点をどういうふうに置いておられるか。つまり、例えば関門隧道を開けるということは、これは大事だと思いますが、十五日の見込なつておりますが、これがわからないと大変なことだと思うのだが、これは一日でも早くしてもらわなければいかんと思いますが、その応急復旧対策重点をどういうところに置かれるのか、又その手順をどういうふうにしておられるか。
  16. 植田純一

    政府委員植田純一君) 勿論、何と申しますか、九州幹線の一日も早い開通、本州との連絡ということを重点に置い填おるわけであらます。先ほど御説明申上げましたように、各幹線開通見込をいち旨く立てまして、実は山陽本線開通、幸いにいたしまして、下関まで開通いたしましたが、この山陽本線状況如何によりましては、九州との連絡径路等につきましても、又別の考えをしなければならん、かような状況でもありますので、各幹線開通見込をとにかく早く立て、又その開通を促進するということに勿論重点を置いておりますこの幹線開通見込から見ますると、やはりこのネツクの関門トンネルがどうも一番遅くなるというような状況なつております。従いまして、関門トンネル開通ということにつきましては、先ほども御説明申上げましたが、一応十五日の見込でございますが、極力関門トンネル開通を早くするというふうに努力したいと、かように考えておる次第でございます。本線開通進捗状況を睨み合せまして、この関門トンネル不通の期間の対策というものを検討いたしておる次第でございます。
  17. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかにありませんか。それではちよつと私から簡単にお伺いしたいのですが、七月十五日に関門隧道開通するということは、現在作業しておる八台のポンプで計算して十五日ということでございますか。十八台にやがてなるということになつておりますが。
  18. 植田純一

    政府委員植田純一君) これはポンプ能力といたしまして、八台で極力排水をやる。勿論よそからのポンプ動員もいたしまして、極力排水を早ぐするという建前でおりますが、ポンプ排水の過程におきましていろいろと故障を起きるというようなことも予想されますので、少くともフルに動員できますところのポンプの全能力を挙げて排水に努める。私どうも現地並びに実際のポンプの配置、使用方法等につきましてよく存じないのでありますが、必ずしもそうたくさんポンプがあつたからといつて必ずしもポンプが一遍には使えないような状況だというふうに聞いております。大体まあフルに八台を四六時中使う、そのための相当の予備のポンプも用意いたしまして、そして大体一週間近く排水にかかる、こういうような前提考えておるわけであります。勿論その排水後の状況によりまして、この開通見込というものを的確に立てまして、これよりも極力早くなることを希つておるわけなんでありますが、その中の状況如何によりましては、或いは又改めて見込を立て直さなければならんというようなことも考えられるのではないかと、かように考えております。
  19. 前田穰

    委員長前田穰君) もう一音お伺いしますが、関門隧道をほかにして、幹線目下不通なつておる所は遠賀川の所と、それから船小屋瀬高間、このニカ所だけで、山陽本線は全部開通しておるわけでございますか。
  20. 植田純一

    政府委員植田純一君) 山陽本線下関まで開通いたしております。長崎本線は現在佐賀肥前山口佐賀の少し先でありますが、この区間不通でありまして、これは七月一日、明日開通する見込であります。
  21. 大和与一

    大和与一君 この事態で職員が非常に無理をして働くと思うのですが、それに対する手当とか、その他一つ十分にお考えなつていると思いますが、又自分の家がなくなつたり、或いは壊れたりしておつても、とてもそんなことをかまつておれんから、それで今取りあ、えず復旧に全力を挙げているわけでありますから、そういうことについてあとから遺憾のないように十分御配慮頂きたいと思います。今のそれに対してはつきり返事しておいて頂きたい。
  22. 植田純一

    政府委員植田純一君) 十分その点は当局に申し伝えます。
  23. 東隆

    東隆君 私は災害のたびに一応考えるのですが、今回の場合も交通関係その他が非常な打撃を受けて、明治の初めのような状態にこれはなつておるわけです。そして中央に集まる災害関係というものは大分遅れておるのではないか、こう思つております。それで昨年の例の十勝沖の震災の場合にやはりこういう状態になつたのですが、あの場合に短波無線で以て非常に敏速に実は災害関係がわかつた。鉄道には鉄道電話が張りめぐらされて、そして非常に平素は便利なんですが、併しこういう機会短波通信網を私は確立する必要がある。そして敏速にそれに対する手当をすると、こういうことになれば、私は関門トンネルなんか非常に常識的だけれども、入口のほうを両方塞いでしまえば被害はなかつたのじやないか、こう思つたりするのですが、これは私の簡単な解釈ですが、それでできるだけ敏速に災害を予知する方法、それから動員をするために一番先にいつたものは普通の有線電話、それから道路、橋梁鉄道、こういうのがいつてしまうのですから、そういうようなものに災いされない通信網をやはり鉄道が持つことが、これが一番必要だと思うのです。それで十勝沖の場合は、実のところを言うと北海道の各支庁にあるわけです。そこでそれを道庁にみんな報告をしたときに、その報告を全部東京でキヤツチしておる。それから新聞社がそれを全部キヤツチしておるために非常に迅速にわかつたのです。だからそれに対する対応の方法なんかもとられまして、緊迫した情勢なんかになればなるほどそういう問題が必要になつて来ると思いますし、私はそんな意味でこの機会鉄道のほうでそういような計画が考えられておるかどうか、そういうことをお聞きしたい。大臣もおられますから大変いい機会だと思います。
  24. 細田吉藏

    説明員細田吉藏君) 只今お話がございました災肇用の無電につきましては、戦後国有鉄道としましても取上げておりまして、だんだん拡充して参つておる状態でございますが、詳細につきましては、ちよつと資料等を持つておりませんので、今回もどの程度まで利用いたしましたかにつきましては、改めて国有鉄道管理者が参ることになつておりますが、参つておりませんのですが、国有鉄道としましては、戦後逐次無線整備ということには重点を置いておりますし、又運輸省といたしましても、そういう方向を推進いたしますように努力はいたしておる次第でございます。
  25. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御質疑がなければ、一応本件についてはこれで打切りたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ありませんようですから、それでは次に、海上衝突予防法案議題といたします。政府から提案理由の御説明を願います。
  27. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今提案されました海上衝突予防法案につきまして、提案理由を御説明いたします。  現行海上衝突予防法は、一八八九年ワシントンで開催された国際海事会議において採択された国際海上衝突予防規則内容をそのまま取り入れて明治二十五年に制定され、その後同国際規則の一部改正に伴い、所要の改正を行なつて来たものであります。然るところ、一九四八年ロンドンにおいて開催された海上における人命の安全のための国際会議において、この現行法基礎なつている国際規則について全面的に検討が加えられました結果、新たに一九四八年の国際海上衝突予防規則が採択されたのであります。この国際規則は、我が国を除く主要海運国のすべてを含む三十九カ国によつてすでに受諾され、一九五四年、即ち、明年の一月一日から受諾国において実施されることとなつております。  従いまして、我が国におきましても、同国際規則受諾する建前の下に、これに則つて現行海上衝突予防法を全面的に改正することが必要となつたわけであります。  この法律案は、海上における衝突予防に関する規定の持つ国際的性格に鑑み、現行法の場合と同様に、一九四八年の国際海上衝突予防規則内容をそのまま取り入れたものでありますが、これを現行海上衝突予防法と比較して、その主なる相違点を挙げると次の通りであります。  第一は、水上にある水上航空機衝突予防に関して遵守すべき燈火又は形象物の表示、信号航法その他運航に関する事項をおおむね動力船規定に準じて新に規定したことであります。  第二は、船舶が表示すべき燈火の視認距離を一部延長したことであります。  第三は、停泊中の船舶は、昼間、一定の形象物を掲げるべきことを新たに規定したことであります。  第四ば、狭い水道を航行する場合の信号を新たに規定し、又、若干の遭難信号を追補したことであります。  第五は、一般船舶と漁撈中の船舶の間の航法に関する規定を改めることであります。  最後は、操舵号令に関して新たに規定したことであります。  なお、この国際規則受諾に関しましては、同国際会議主催国たる英国政府から再三の要請もありますので、本法律案が国会の可決を経た後、速かにその手続をとる所存であります。  以上簡単でありますが、この法律案提案する理由を御説明申上げます。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第でございます。
  28. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑は次に譲りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  30. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に海事代理士法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由の御説明を願います。
  31. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今から海事代理士法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申上げます。  この法律案は、次の三点について現行海事代理士法改正しようとするものであります。  先ず第一点は、現行海事代理士法によりますと、対価を得ないでする代願行為は、同法の適用を受けないこととなつておりますが、現実の問題として対価を得ているか、いないかと云うことは不分明な場合があり、対価を得ない旨を主張して法の適用を免がれようとする者も生じ、これらの者を放置するときは、私法上の権利関係及び船舶の安全航行、管船行政等にも悪影響を及ぼすこととなりますので、この際対価を得ると否とにかかわらず法の適用を受けしめるように改めることであります。  第二点は、海事代理士試験を行う際に、学識経験者の意見を聞くことになつておりますが、この学識経験者の選定に当りましては、最近各地区に海事代理士会が組織されておりますので、この意見を聞くと共に、海事代理士に事務を委託する者の団体からも意見を聞くこととすることであります。  第三点は、木船運送法及び航海の制限等に関する件に関する業務は、現状から見て海事代理士のみが行い得るものとすることは、必ずしも必要でなく、海事代理士以外の者がこれらの業務を行い得る途を開くためにこれらの法令を別表から削る必要があるのであります。又臨時船舶管理法は、本年四月二十七日限り失効いたしましたので、同法を別表から削ることとしたのであります。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  32. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑はこれも次に譲りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないようでありますから、次回に譲ります。   —————————————
  34. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に水先法の一部を改正する法律案議題に供します。政府から提案理由の御説明を願います。
  35. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今提案されました水先法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  この法律案によつて改正しようとする要点は、次の二つの点であります。  第一は、水先を強制される船舶の範囲を改めること。第二は、一部の水先区について、その区域を改めること。  右の改正について以下順を追つて申上げます。  第一は、水先を強制される船舶の範囲に関する改正であります。強制水先制度は、昭和二十五年三月一日以降、横浜、神戸、関門、横須賀及び佐世保の五港において実施されておりますが、現在、外国船舶についてはすべてが、日本船舶については、外航船舶はすべて、内航船舶は総トン政五百トン以上のものが強制水先の対象とされているのであります。併しこれらの船舶のうちには、強制水先制度実施後の実情に鑑み、必ずしも水先を強制する必要がないと認められる比較的小型の船舶も含まれており、又水先の業務に使用する水先艇その他の施設も現在の業務量に比べ未だ十分とは申されない状況にありますので、実情に即するように水先を強制される船舶の範囲を改めることにより、船舶の運航能率の増進と水先業務の円滑な遂行を図る必要が認められるのであります。  即ち、右のような現状に即応する措置といたしましては、外国船舶については、実際上水先を必要としないと認められる総トン数三百トン未満のものを、日本船舶については、外航船舶は外国船舶と同様総トン数三百トン未満のものを、その他の船舶は常時国内航海に従事している改E型船舶等を除く二ととして総トン数千トン未満のものを、それぞれ強制水先の対象としないことといたしました。なお、日本船舶について水先強制免除の資格を有する船長が運航することにより強制を免除される場合は、現在、内航船舶のみに限られているのでありますが、これを外航船舶にも及ぼすことといたしたのであります。  第二は、一部の水先区の区域について、実情に副わない点があるのを是正しようとするものであります。即ち、留萌及び新潟水先区についての改正は、港域の変更に伴い、水先区の区域を港域のそれと一致させるためのものであり、佐世保水先区については、水先人の乗下船が現在の水先区の区域外で行われ填いる事実に鑑み、水先区の区域を拡大しようといたすものであります。  以上簡単でありますが、この法律案提案する理由の御説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。
  36. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑は次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  38. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に海上運送法の一部を改正する法律案議題に供します。提案理由説明政府からお願いいたします。
  39. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 海上運送法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  現在我が国におきまして、海上運送法による免許を受けて旅客定期航路事業を営んでおります事業者の牧は、四百七十一に達するのでありますが、全事業者中約九六%がいわゆる中小企業の範疇に属するのであります。一方、これらの事業者の運ぶ旅客数は、五十総トンの船舶を例にとつて見ましても、五十名乃至百名程度の旅客定員を有し一千総トンを超える船舶は、優に五百名を超える旅客定員を有しておるのであります。従いまして、一旦、これらの船舶について海難が発生いたしました場合に、事業者が遭難者及びその遺家族より要求される賠償金、引慰金等は莫大な額に達するのであります。従来、このような事故の場合には、被害者は、経営者の資産能力が薄弱であるため、満足な賠償金や弔慰金が得られない事例もしばしばあつたのでありますが、かくては、旅客の利益の保護において十分とは申せないのであります。このような場合に、事業者が完全に賠償に応ずるとしますれば、爾後の事業の継続が不可能な事態に立ち至る虞れも少くなかつたのであります。以上の実情に鑑み、一旦事故発生の場合において、旅客定期航路事業の経営者をして、よくその賠償の責に任ぜしめ、以て旅客の利益の保護に遺憾なからしめると共に、事業の健全な運営を維持し得るよう、万全の備えをなさしめる必要があるのであります。  この法律案は、以上述べましたような見地に立ちまして、運輸大臣が必要と認める場合には、旅客定期航路事業者に対して、その事業者が旅客の運送に関して支払うことのある損害賠償のために保険契約を締結するよう命ずることができることとするものであります。何とぞ慎重に御審議の上速かに御可決あらんことをお願い申上げます。
  40. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑は次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  42. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、臨時船質等改善助成利子補給法案議題に供します。提案理由説明政府から願います。
  43. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 臨時船質等改善助成利子補給法案について説明申します。  現在我が国海運の現状を見まするに、一方において、我が国経済の自立に資するため、優秀なる外航船舶の建造を促進する必要がありますることは周知の事柄でありますが、他方、我が国海運は、戦時中に急造いたしました戦時標準船と言われる粗悪な船舶を大量抱えておりまして、この内大型船で外航に就航し得るものは、殆んどこれを改造して外国航路に就航させておりますが、なお国内航路だけにしか就航できない小型の戦標船その他これに準ずる低性能船舶相当大量残しているのであり、これらの船舶は極めて性能が悪く、船主経済的には殆ど価値の無いものであり、而も国内航路就航船腹量は、国内沿岸荷動量と比較して、二十五万重量トン程度が絶対過剰の現状であり、これら低性能船舶の整理は、我が国海運再建上喫緊の要務であります。  かかる事情からして、邑これら小型戦時標準船の解撤を促進すると同時に、外航船舶の建造を図るといういわゆる船質改善助成を行い、以て日本海運を健全化せんとするのが、この法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案による船質改善助成のあらましを申上げますと、昭和二十八年度外航新造船を建造する船主が、これに関連して、戦時標準型E型船舶及びこれに準ずる低性能船舶を解撤する場合には、当該外航船舶の建造資金の融通を行う市中金融機関に対して、その資金の融資について年二分乃至五厘の利子補給を政府が行うことができることとし、これによりE型その他の低性能船の解撤を促進することをその骨子といたしております。  なお、本法案を実施するための予算措置としては、昭和二十八年度以降八カ年度を通じ、総額一億八千五百二十二万円の利子補給金予算が支出されるはずであり、うち二十八年度予算としては、三千四百万円が計上される見込であります。又これによつて、昭和二十八年度内に外航新造船三十万総トンの建造に伴い、戦時標準型E型船舶その他これに準ずる低性能船舶を約七十隻、十万重量トン解撤することが可能となるものであります。何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを希望いたします。
  44. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑は次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  46. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、日本航空株式会社法案議題に供します。提案理由説明政府からお願いいたします。
  47. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 日本航空株式会社法案の題案理由について御説明申上げます。  航空事業殊に国際航空事業は国際交通の促進、貿易外収支の改善等に寄与すること多大なものがあり、今や近代国家の進歩発展に必要不可欠のものであると共に、ますますその重要性を加えることは明かであります。従いまして、世界の航空界に比べて著しく立ち遅れているわが国といたしましても、速かに国際航空事業を開始することが極めて緊要であると存じます。併しながら、自主的な国際航空事業により、且つ公正な競争にまつて国際航空界に進出するためには、相当多額の資金を要するのでありまして、例えば優秀な航空機は一機七、八億円もいたすのでありますが、これは民間の資本力のみを以ては中々困難なことであります。これがため、英、仏、蘭その他主要各国は国際航空運送事業に対し、国家出資、各種の補助金その他直接間接の助成を行なつているのでありまして、政府といたしましても右の各国の実例に徴し、この事業に積極的な国家的助成策を講ずることとし、十億円の政府出資を本年度の予算案に計上すると共に、民間の資本力をも結集して、我が国の資金、施設、技術の全力を一本に集中して、強固な基礎を有する特殊法人を設立し、これをして国際線及びその基盤となる国内幹線を総合的に経営せしめることが最も妥当であるとの結論に達した次第であります。以上の意味において、その特殊法人の基礎法規として、ここに本法律案提案した次第であります。  なお、この日本航空株式会社なる新会社は、政府出資による特殊法人ではありますが、政府の干渉はできるだけ排除し、民間企業の長所を発揮し得るよう特に十分なる考慮を払つた次第でございます。  以下その内容を大略申上げます。  先ず会社の目的でありますが、本会社は、国際路線及びその基盤となるところの国内幹線における定期航空運送事業並びにこれに附帯する事業を経営することを規定しております。本会社が国際航空のほか、国内幹線をも実施することにつきましては、何分にも当初は少い機数を以て、これを最も効率的に使用する必要がありますので、国際線と共通に使用できる大型機を使う国内幹線を包含せしめた次第でありまして、このことは単に航究機の効率的運用の点のみならず、整備施設の充実、乗員の訓練及び間接費の低減という点からも必要であると存ずる次第であります。  本会社の株式は、会社の性格上記名式、額面株式とし、又その所有については航空法第四条の趣旨に基き、三分の一以上の外国資本を排除いたし得るよう株式の譲渡制限に関する規定を設けたのであります。  次に、政府は本会社に十億円出資することをこの法律の附則において明らかにしており、且つ本会社に対しては、政府出資の外、助成策として、社債発行限度を通常の株式会社の二倍まで拡張し、又公益上必要のある路線の運営維持のために将来補助金を交付し得る途も開いてございます。  次に、本会社に対してはできるだけ民間企業の特色を発揮し得るよう政府の統制を避けるのが趣旨でありますが、ただ政府出資等の会社の特殊性から、最小限度の規制はこれを行う必要があるのでありまして、かかる規制といたしましては、代表取締役の決定の決議、定款の変更、社債募集その他重要な財産的処分を運輸大臣の認可の対象といたしました。その他、毎営業年度終了後における財産目録等の提出、日本航空株式会社の商号の独占その他この法律の施行を確保するため必要な罰則について規定いたしました。  最後に、附則において会社設立の際の手続及び経過的措置を定めたのでありまして、即ち、本法は公布の日から施行いたすこととし、会社の設立事務は運輸大臣が任命する設立委員に行はせることといたしております。  又現在の日本航空株式会社は、株主総会の特別決議があつたときは、本会社に営業全部を出資し、本会社にその権利義務を承継して解散することを定めましたが、その際における現在の日本航空株式会社の資産については臨時運輸省に置く評価審査会の公正な評価によつて本会社に引継ぐようにいたしました。その他、本会社設立の際の政府出資分等に対する登録税の免除、運輸省設置法の改正関係法令についても所要り改正を行うことといたしております。  以上簡単ではありますが、本法案の提案理由ならびにその内容の概略を御説明申上げた次第であります。何とぞ十分御審議の上、速かに可決せられますよう御願いいたします。
  48. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  50. 前田穰

    委員長前田穰君) それじや速記を始めて。  次に、地方鉄道軌道整備法案議題に供します。提案者から提案理由説明を願います。
  51. 關谷勝利

    衆議院議員(關谷勝利君) 只今議題となりました地方鉄道軌道整備法案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由並びにその概要を御説明申上げます。  第一に、鉄道新線の建設を促進することによりまして、天然資源の開発、電源の開発、国土の総合開発その他産業の発達を図ることができるのであります。又、既設線の大改良を促進することによりまして、生産コストを引下げ、旅客輸送の混雑を緩和して産業の維持振興を図ることができるのであります。更に、他に適当な交通機関がない等のいわゆる陸上の離島航路のような既設線の維持を図ることによりまして、その沿線住民の生活を確保するのほか、特に、山間地帯、降雪地帯におきましては、唯一の交通機関になつておりますので、僻陬地の発達に寄与するところも大であります。従いまして、産業の振興上特に重要な鉄道新線の建設並びに産業上重要な既設線の大規模な改良を促進いたしますと共に、国民生活上存続を必要といたします地方鉄道、軌道の維持を図るために、国家におきまして適当な助成措置を講ずる必要があります。  第二に、地方鉄道、軌道の公益性を維持するためには、日本国有鉄道の新線建設に伴いまして生ずる地方鉄道、軌道の損失を補償することが必要であります。  以上述べましたような事情と現在の国家財政の実情とを勘案いたしまして慎重検討を重ねました結果、成案を得ましたので、ここに法律案として御審議を願うことにいたした次第であります。  以下法案の大要を申上げます。  第一点は、助成する地方鉄道、軌道の決定とこれに伴う監督及び助成であります。産業上重要な地方鉄道、軌道のうち、建設又は大規模な改良を行うもの並びに国民生活上不可欠な既設線を運輸大臣が定めることになつております。監督といたしましては、これらの地方鉄道、軌道につきまして適切な経営を図らせるため、財産の運用、兼業、投資等につきまして、必要ある場合には、運輸大臣が適当な指示をいたすことができることにいたしました。助成措置といたしましては、次の諸点を考慮いたしました。その一は、建設又は大規模な改良を行う地方鉄道、軌道の場合におきましては、その完了後十年を限り、投下資本の六分の範囲で国庫補助を行い、又、営業の維持が困難な地方鉄道、軌道の場合におきましては、欠損額以内を国庫において補填することにいたしました。なお、右の地方鉄道、軌道が、相当程度の利益を上げましたときは、補助を停止いたしますと共に利益の一部を、受げた補助金額の範囲で国庫に納付させることといたしました。その二は、地方鉄道業者並びに軌道業者が、運輸大臣の指示する改良に要する資金の借入を行いましたときは、その利子の一部を補給することにいたしました。この改良は前述しました大規模な改良計画に基くもの以外におきまして特に必要あるものに限定されることになつております。その三は、地方税中固定資産税及び事業税の減免を行い得る原則を明文化することにいたしました。  第二点は、地方鉄道、軌道に対する損失補償であります。現行地方鉄道法及び軌道法に規定する補償に関する規定を廃止いたしまして、日本国有鉄道の新線建設に伴いヒうむる地方鉄道、軌道の損失を日本国有鉄道が補償することを規定いたしました。損失補償は、地方鉄道、軌道の営業の廃止による損失又は営業の継続が可能なるも収益の減少による損失のいずれかを補償することにいたしました。なお、日本国有鉄道の新線建設が政府の命令に基く場合には、政府が、日本国有鉄道に補償金額を交付することにいたしました。第三点は、地方鉄道補助法及び北海道拓殖鉄道補助ニ関スル法律の廃止であります。地方鉄道、軌道の補助に関しましては、一元的にこの法律によるのが望ましいと考えましたので、地方鉄道補助法及び北海道拓殖鉄道補助二関スル法律を廃止いたしますと共に、現在、北海道拓殖鉄道補助二関スル法律によつて補助を受けている者の既得権は、十分に尊重するようにいたしました。  第四点は、最近に建設を完了いたしました地方鉄道、軌道に対する特例であります。この法律施行のときまでに運輸開始後十年を経過しない地方鉄道、軌道につきましては、新線とみなしてこの法律による助成の対象とすることにいたしました。  以上が、この法律案の概要でございまして、これらの措置を講じて地方鉄道、軌道の建設及び改良の促進並びに公益性の発揮を、図ることにより、産業の発達及び民生の安定に貢献いたしたい所存でございます。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第でございます。
  52. 前田穰

    委員長前田穰君) 質疑は次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  54. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、臨時船舶建造調整法案議題といたします。質疑のおありのかたは順次御質疑を願います。
  55. 一松政二

    ○一松政二君 運輸大臣にお尋ねいたしますが、臨時船舶建造調整法ですか、この法律がなければどういう支障がございますか。
  56. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今外航船舶等を財政資金を使つてつておりまする関係がありまするので、こういう規定がありませんと、そういうふうな場合に政府の何と申しますか、財政資金を貸して造船をやらせるという場合の監督の方法がつかないだろうと思うのであります。
  57. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、この法律の目的は財政資金を斡旋した、或いは民間銀行から貸出を斡旋して、そうして船を造つたものを、それを監督するためにこの法律が必要であるとおつしやるのですか。
  58. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 金を貸しておるということは、建造する場合に金を貸してやつて行くのでありますが、国際海運の立場から見まして、こういう方法がいいか、こういう船がいいかということをきめるために必要だろうと思うのであります。
  59. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、船を造ろうとするものに一定の標準と申しますか、或いはその能力と申しますか、そういうものと、或いはその運航或いは経済的の船であるという必要があるということに対して、この法律が何か目的を達するというふうに解釈してよろしいのですか。
  60. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは、その許可をするような船が健全な国際海運の発展に支障を及ぼさないとか、いろいろここ書いてあるような点を考慮しながら許可をするのでありますが、これは船積がどうと申しまするよりは、どういう船が実際必要であるかということが特に主眼になつ考えられるものだと思います。
  61. 一松政二

    ○一松政二君 どうも私にはよく呑み込めないのですが、一体許可制にするということは、むやみに船ができちや困るから許可制にしようとおつしやるのですか。或いは金を世話しなければならんのだから許可制にするのか。金を借りないで、或いは外国の人と提携して、その金を借りて船を造ろうと、政府の資金も日本の銀行の金も借りない、但し日本の海運には大きく寄与する、非常に経済的で、能力のいい船を造ろうとするものにも、何か許可の必要があるのですか。
  62. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 財政資金の場合以外を考えますと、今お話のように外国と話し合つてこしらえるという場合と、或いは自己資金というような場合とがあると思います。そういう場合でも、外国に対しましては、それの支払問題とか、いろいろな問題も関連するでありましようし、日本の海連の全体から見れば、政府さえ金を貸さなければいいということでなしに、全体の海運状況を見、造船状況を見るために一律に許可の制度にしておいたほうがまだいいのではないかと思います。
  63. 一松政二

    ○一松政二君 今の大臣説明だと、船腹を調整する、或いは日本の造船業と申しますか、或いは海運全体から一つの統制の枠をはめるというふうに解釈できるのですが、今の政府は米の統制でさえ撤廃したい、できれば撤廃したいのだ、成るべくそういうことを、その方向に向つて進んでおるというふうな説明を総理大臣みずからされているのですが、そういうことと、今の運輸省考えている造船に対してそういう細かい、業者に任せておけば何ら差支えない今日の時代に、どういう適船を造れば将来自分のためになるか、或いは日本のためになるかということは、業者自身が、私は役所よりも業者のほうがそういうことについては最も敏感だろうと思うのです。その点の政府全体としての、或いは自由党の作つている政府でございますから、自由党の考え方の基本線と本法との関連について、大臣はどういうふうにお考えなつておられるか、承わりたいと思います。
  64. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今私どものやつております、又やりたいと思つておることは、船舶の統制というほどまでに考えていないのでありますが、まだこれから先、日本の船をどんどんこしらえて、或る点まで戦前の力に回復し、世界の競争に耐え得るようにだんだん持つて行きたいというのが主眼でありまして、その線から見ていろいろ造船の上で注文も出したいという程度でありまして、余りむずかしい意味の統制には引つかかつて行かない、そういう線まで持つて行くつもりはないのでありますが、大体そういうふうに考えております。
  65. 一松政二

    ○一松政二君 大臣のお気持はよくわかるのです。又政府考え方も私は大体了承しておるのですが、どうも、この法律はなくてもやつて行けるものを殊更に法律を作つたような気がしてならないのです。行政整理は吉田総理大臣は如何なる場合でも口にされているのですが、行政整理をするためには法律から整理してかからなければならんと思うのです。地方の自治体における煩雑な業務をさせるために、地方に非常に地方公務員が多い。従つて中央の政府にもそれに呼応する人が多い。法律から整理をしてかからなかつたら、人員だけの整理はできないわけです。で、私は今の海運界の情勢と今運輸省がやつていらつしやるこの四年計画ですか、政府の資金を導入しよう、或いは民間の銀行から金を斡旋しようというのに対して、運輸大臣は非常に焦慮されている。承わるところによると、まあ事実かどうか存じませんが、銀行にまでも出かげるようなことがなきにしもあらずというように、日夜心胆を砕いておられるやに承わつているのでありますが、そういうことをして船を殖やそう、それでも現在においては差当りの三十万トン計画がまだ果してその通り行くかどうかが危ぶまれているようなときに、何で二の外航の船舶を許可制にする必要があるかということが、どうしても私は納得が行かないのです。許可じやなくして、むしろ造れ造れといつたつて、一人歩きができないで造れないでいるのだから、それを運輸省が手を引つ張り、足を押してやつて腰を立てて、そうして船を造ろうとされているのに、そうする船に限つては、私は無論何らかの形において国家がこれを見る必要がある、私はむしろそういう金を貸したり、斡旋したりするよりも国が船を造つたらいいと思うのです。そのほうがむしろ一番はつきりしていると思う。そうして一定のチヤーター・レージで貸せば、そのチヤー夕・レージと造船費用と、或いは償却費などの見合いが、その損失は当然国家の損になる。それは一番はつきりしておるが、むしろ国家の金及び民間の金まで、そして普通では考えられんほど御心配をなさつて船を造らして、その監督はするけれども、それは民間に任せてある。そうして損失はこれは補償してくれという要求が非常に多いわけです。それから世話をやく、それで従つて世話をやくのは、この法律は違いますけれども、世話をやかなければならん問題が非常にたくさんおありになると思うのです。そうすれば私はこの原案についても、外航船、主として大型の海外に出かける船について、何らかの法律が御入用だという考え方なら、幾らかそれもわかるのですけれども、この五百トン以上という枠も私には呑み込めないし、それから元来今のような恰好で、而も四年間臨時的に今の船腹を充実するための法律であるならば、私はこの法律がなくなつて十分に目的を達し得ると考えておるのですが、どうしても法律がなければやれないという理由が私は呑み込めないんです。どういう点が法律がなければ支障があるのでしようか。この法律がなければ、船腹の拡充に支障がありましようか。
  66. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 船を造るだけの問題であれば、必要があればこしらえるであろうし、又それに対する資金の面その他はこういうものがなくても保証すれば船はできるということは、筋はそういうことでありますが、又先にも申上げましたように、日本の船がひどく立遅れの状態なつており、これを回復してそうしてあの航路この航路とだんだんと大事な航路から、又その航路に適するような船を順々にこしらえて満たして行く。次にその航路を満たすというようなことを考えて見ますとこれは放つておいても皆考えると言えばそうでありますが、政府のほうからそういうことについてできるだけの全体的な考えをして各業者が船をこしらえる場合に、この機会を捉えて、そうして日本の海運の復興を早くして、一番進みやすい線をだんだん充実して行くということが私は必要じやないかと思うのであります。その意味からいたしまして、やはりこういうふうな規定を置きまして許可をするような方法をとつたほうが、割合に放つておくよりはずつといい結果を来たすんじやないかと、そういうふうに考えます。
  67. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、大臣の御答弁を承わりますと、造船そのものよりも、あとの運航或いは配船について御心配があるようですが、船をどの航路用に造るとか何とかというようなことを考えて、私は船を造ることは、タンカーかなんかの特別な船でない限り、ニユーヨーク航路に使おうと、或いは欧州航路に使おうと、インド洋航路に使おうと、これは近海と近海又遠洋に分けるだけの話であつて、どの航路に向つても船は適船でなければ、或るときは甲がいい、或るときは乙がいい、乙がいいかと思えば今度は丙の航路がいいというときもある。定期船でない限り、定期船は別問題ですが、又定期船だけでは日本の船腹は稼げない。つまりいわゆるトラムパーを造らなければならんということは同感であろうと思いますが、そういうものは最初から、私は船の建造のときには航路別に船を造るというようなことは私は考えられないと思うのですが、大臣は最初から、船を造るときから……特定の航路は別ですが、ニユーヨーク航路にいる船を欧州航路に廻しても一つも差支えない。
  68. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 大体今考えて今年あたりの計画をやつておりますものは、定期航路を主眼として船をこしらえたほうがよい。先ずそのほうが充実してないから、そのほうに主として力を入れるというようなことから、只今申しセようなこと全申したのでありますが、ニユーヨーク航路にするとか、欧州航路にするとか、インド航路にするとかいうことは第二の問題でありまして、大体において定期航路にするように、スピードの早いような船、それに向くような船を先ず第一番目にこしらえて、そうでないような定期航路外のものはあと廻しにするというような程度のことまでは進めながらやつておるわけであります。
  69. 一松政二

    ○一松政二君 大臣は法務委員会に御出席なさりたいような、今御要望がありましたので、私は、この問題は、午後又は他日、大臣の都合のいいときまでに質問を留保いたしまして、大臣が法務委員会に御出席になることを了承いたします。   —————————————
  70. 前田穰

    委員長前田穰君) 先刻九州被害につきまして、木島君並びに東君の質問に対して、説明員から補足的の説明のために発言を求められておりますから、これを許可いたします。
  71. 細田吉藏

    説明員細田吉藏君) 先ほどお尋ねがございました車両関係につきまして、先ず申上げたいと思います。  電気機関車並びにデイーゼル自動車につきましては、全部待避いたさせまして無事でございました。幸にして一両の浸水もございません。客車につきましては九両水につかつたものがございます。客車は門司の駅の構内でございます。電車は幡生の工場に修繕のために入場いたしておりましたものが七両水につかつております。貨車につきましては、両数は判明いたしておりませんが、ボツクスまで浸水いたしましたものが数百両あるのでございますが、両数につきましては、只今のところはつきりいたしておりません。大体そういう状況でございます。  それから先ほど無電のお話がございましたが、無電につきましては、災害時に全国的に使えるような態勢になつておるのでありまして、今回も九州とこちらの間、又特に九州の相互間におきましてその威力を十分発揮いたしておるという報告只今国鉄のほうから受けております。  先ほどのお答えに補足いたしまして申上げます。
  72. 前田穰

    委員長前田穰君) それではこれで暫らく休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。    午後零時二十一分休憩    —————・—————    午後二時二十五分開会
  73. 前田穰

    委員長前田穰君) 午前中に引続きまして運輸委員会を開会いたします。  海上衝突予防法案議題に供したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めて議題に供します。  大臣提案理由説明がありましたが、補足して説明されることがあれば政府委員からお願いしたいと思います。
  75. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 海上衝突予防法案大臣提案理由に少し補足いたしまして、私から一言お断りを申上げておきたいと思います。  この法案は、大臣説明いたしましたように、船舶交通の国際性に鑑みまして、できる限り世界共通のものであることに努めることが望ましいので、本法案も国際海上衝突予防規則と同一内容及び同一形式のものとするように努力をいたしたのでございまするが、併しながら原文が非常に技術的でございますし、これを翻訳いたしますのに非常にむずかしい点がございまして、そのまま直訳をいたしますると、我が国の法文といたしまして解釈が非常に難解であるというような点が多々ございましたので、そういう点はできるだけ原典に忠実に翻訳はいたしましたが、中には一、二カ所日本文といたしましてわかりやすいように書替えた点もございます。例えば法案の第二十六条「漁ろうをしていない航行中の船舶は、底びき網その他の網又はなわ」、その次に括弧いたしまして「引なわを除く。」とございまするが、この括弧の中の「引きなわを除く。」という括弧は、実は原文にはないのでございましたが、法文の解釈上、全般的な解釈上からこういう括弧を入れたほうがわかりやすいという結果、この括弧を特に挿入いたしたようないきさつでございます。  そういう点を特に御了承願いたいと思いまして、一言補足いたしまして御説明いたしておきます。
  76. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは質疑に入りたいと思います。御質問のあるかたはどうぞ順次御発言を願います。
  77. 岡田信次

    岡田信次君 現在海上衝突予防のためにいろいろな設備をやつておると思うのですが、それの現在の設備とこの法律が実施されたあとの設備とは非常に差があるのですかどうですか。
  78. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御質問にお答えいたしまするが、この改正案によりまして設備が如何ように改正されるかという点でございまするが、この点は、実は只今船舶安全法に基きますところの船舶設備規程又は漁船特殊規程というものには、すでに一九二九年の国際海上衝突予防規則のいろいろな諸規則が取入れてございまして、今回の海上衝突予防法案改正によりまして新らしく設備自体を変えなければならないものは殆んどないのでございます。たつた一つ水先動力船の設備につきまして、これは新らしく赤いあかり、紅燈、これを取付ける必要があるというだけでございます。
  79. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、この法律を実施しても設備の上では殆んど金もかからんというふうに解釈していいわけですね。
  80. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) さように考えております。
  81. 岡田信次

    岡田信次君 もう一つお伺いいたしますが、この法律は海の上の衝突予防なんですが、海の上の衝突を予防するために何か陸上に設備をするというようなことは考えられないのですか。
  82. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今のところそういうことは考えておりません。
  83. 岡田信次

    岡田信次君 それからもう一つ、保安庁関係船舶にはこの法律が適用されるのかどうか。
  84. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは保安庁関係船舶にも、実は軍艦につきましては除外例というものを認めておりまするが、保安庁の船は軍艦でないという建前から、この法律の適用があるものと考えております。
  85. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、只今のお話で保安庁の船舶にもこの法律が適用されるといいますと、何か保安庁の船の構造上とか或いは任務の上から支障になるような虞れはありませんか。
  86. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の保安庁の船舶の構造に対するお話でございますが、これは保安庁の船舶の構造につきましても、特にこの改正案によりまして特別な支障はないというふうに打合せてございます。
  87. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御質疑ございませんか。
  88. 大和与一

    大和与一君 今の保安庁の船の話ですが、現在現品を受取らないからわからないけれども、あなたがたはよく知つているわけです。あなたがたから見られて、これは本当の船なのか、軍艦らしきものかということはよくわかつているんじやないか。それからいろいろ変なものを軍艦に、船にひつ付けて行つた場合、大変これは困ると思います。そういうことはよろしいのですか。何とか漸増ということになつておりますと、政府考え方も、漸増ということはいろいろなものを船にひつ付けるようなことです。そういうことはあれですが、一般の船として、やはり法律的解釈はいいとして、あなたがたが現品を見ておつて、これは単なる汽船とか或いはバージ・ボートというわけには行かんだろうと思いますが、如何ですか。
  89. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今のお話でありまするが、構造上から申しますと、とにかく大体余り支障はない。あとはそれを受けて実際に運航する場合に何か支障はないか。この点も特に支障のないような運航法がいろいろと研究されております。例えば本改正案の中に規定していないようないろいろの信号なり、その他無線電話なりというものを使つてやるというので、特に運航上も支障がないように保安庁のほうと打合せております。一
  90. 大和与一

    大和与一君 今のところはフリゲート艦という軍艦をもらつたけれども、フリゲート船というふうに日本政府は解釈しておるというようなことになりますか。
  91. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その点我々は特に軍艦ではないと考えております。
  92. 東隆

    東隆君 今の問題ですが、船と解釈しても一向差支えないのですか。将来次第に航空母船のようなものができたり、或いは潜水船のようなものがだんだんできて行くのじやないか、こう考えるのですが、そういうような場合にはおのずからこの規定では非常に無理なことになるわけでありますが、その辺は何か打合せでもありましたらお聞かせ願いたい。
  93. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) そういつた将来の点まではまだ打合せをいたしておりませんが、又そういつた解釈といいますか、将来の見込というようなものにつきましては私どもはよく存じませんから、保安庁のかたにお聞き願いたいと思います。
  94. 東隆

    東隆君 これは非常にデリーケトな関係なつておるので、私は割切つておいたほうがいいように思うのですが、これは海上保安庁関係のかたからその辺お聞きをしたいと思います。そういうようなふうに委員長のほうでお取計りを願います。
  95. 前田穰

    委員長前田穰君) 本日保安庁の当局者の出席を要求したのでありますが、今予算委員会のほうで手放せないので、暫らく待つてくれ、こういうことなんであります。或いは次回に留保するのも止むを得ないじやないか、こういうふうに実は考えてこれを始めたわけなんですが。ほかに御質問ございませんか。なければ私一、二点お伺いしたいのですが、この燈火とか、或いは航法等について規定をいろいろ塾するということになつておりますが、そしてこれを明年一月一日から円滑に施行するためには、それぞれ船舶なりに対して、十分法律を周知徹底させる必要があると思うのでありますが、その点について当局はどういう措置をとられるのでありましようか。
  96. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 本法案が公布されまして後の周知徹底の問題でございまするが、これにつきましては、実は成るべく長期間時間が欲しいと思つて、この前の国会で御審議を急いで頂いたのでありますが、これからでもなお遅くないと思いまして、この周知徹底につきましては、運輸省関係の地方機関、或いは海上保安庁の地方機関その地海運関係の民間団体等を利用いたしまして、あらゆる方法で周知徹底を図つて明年一月一日に実施するまでには津々浦々まで周知するように努めたいと考えております。
  97. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御質問ございませんか。差当りほかに御質問がなければ、先刻東君の御要求もありまするし、委員長もその必要がありと認めまするので、次回に保安庁の当局者の出席を求めて質問を続行することにして、本日は本法案の質問は一応これで打切りたいと思います。それでは本法案は一応これで打切ります。   —————————————
  98. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、海事代理士法の一部を改正する法律案議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  99. 岡田信次

    岡田信次君 現行法におきましては、運輸大臣が海事代理士の試験を行う場合に、試験規程の制定だとか、或いは試験の問題、全合格者の決定は、相当の地位及び海事代理士の業務について広い経験を有する者三名の意見を徴してやるということになつているのですが、今度の改正案を見ますると、右の五名は、運輸大臣が海事代理士の団体又は海事代理士を利用する者の団体の意見を徴して選定しろというふうに相成つているのですが、私は特にこういう法律規定を作らなくても行政の運用上なし得るのではないかというふうに考えるので、特に、何と申しますか、一見蛇足と思われるようなこの改正案を提案しなくてはならなくなつた何か特別の理由があるのかどうか、その辺を一つ伺いたいのでございます。又この海事代理士に類似する行政書士法であるとか、税務書士法であるとか、税理士法ですとか、そういつた方面のこういう試験の場合の関連規定はどうなつているか、その二点を一つ伺いたいと思います。
  100. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御質問にお答えをいたします。先ず最初になぜ学識経験者を選定する場合に、海事代理士の団体、又はこれを利用する者の団体の意見を徴するかという御質問でございまするが、これは現在でも運用上そういう団体に意見を徴してやつておりまするけれども、実はこの海事代理士の団体がまだ育成途上にございまして、我々といたしましては、できる限りこういう団体の健全な発達を図りたい、そしてもぐりのいろいろそういつた類似の業者の践冒するのを防ぎたいという気持から、こういう海事代理士は健全なる組合に加入してもらつて、健全な発達を遂げてもらいたいという気持から、できるだけそういつた組合というものを、法律上にも或る程度確認されるような地位に置いて育て上げて行きたいという気持から、特に法の上にもそういう団体の意見を徴するということを書いたわけでございます。そういたしますれば従つて、一方的に海事代理士だけの意見を徴するのもどうかと思われまするし、実際には事実上これを利用するほうの団体、例えば船主協会とか、造船工業会といつたような団体のほうの意見も徴しておりまするし、これも併せて意見を徴することに規定をいたした次第でございます。  それから第二点、ほかの類似法律にそういつた団体の意見を徴する例があるかという御質問でございましたが、これは私只今のところまだほかの法律にあるのを見ておりません。
  101. 岡田信次

    岡田信次君 こういう団体は現在幾つあるのですか。
  102. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 海事代理士の団体は、この地方海運局の地区ごとに一つずつできておりまして、これが全国の連合会を一本結成いたして只今でき上りつつあります。それから海事代理士を利用する者の団体といいまするのは、これはいろいろございまするが、先ほど申しましたような船主協会、或いは造船工業会、或いは又日本機帆船連合会といつたようなもの、これはたくさんございますが、その中でその全部というわけではございませんで、運輸大臣が省令を以て定めるところの団体の意見を徴するというふうに考えております。
  103. 岡田信次

    岡田信次君 ちよつと先ほどの御答弁ではつきりしなかつたのですが、どうもこの法律にしなくても、行政的の措置でやれると思うんで、結局こういうふうに法律で明らかにすることは、そういう海事代理士の団体ですか、それに或る程度の何といいますか、オーソライズをするという目的以外にないと思うのですが、どうですか。
  104. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 法律規定いたしましたのは、実際やつておりますることを、法に書いたほうが更によいということが表面の理由でございまするが、そういう只今申上げましたような団体育成ということも裏の理由として考えております。
  105. 前田穰

    委員長前田穰君) ほかに御質問ありませんか。それでは御質問がなければ、私から一つお伺いいたしますが、改正の第一点、「対価を得て」というのを削るということは、御趣旨は一応私どもにもわかるのですが、今度は逆に、どういう状態においてでも、とにかく代願行為があれば全部海事代理士法にひつかかるのだということは、逆に行過ぎるような場合があるとも思いますが、そういう点についてどういうふうにお考えなつておりますでしようか。
  106. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御質問でございまするが、これは代理士業という業として把握する場合には、簡単に一度、二度そういうことをやつたから海事代理士であるということではなく、長期に亘りまして繰返しそういうことをいわゆる業として営む。通常の観念から判定いたしまして、誰でも彼でもこれにひつかかるということには必ずしもならない。実際には大体こういうものをやつている者の状態というものは或ろ程度わかつて参りますから、大体そういうところの空気を、意見を徴しますれば、誰と誰とが本当に営んでおつて、誰と誰とはほんの一時のものであるというような区別が、政府といたしましても識別し得ると考えております。
  107. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  108. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  109. 東隆

    東隆君 この改正する法律案の第二の点の、海事代理士会或いはこれを利用する団体の意見を徴するという理由は、これは運輸大臣が海事代理士だの、その他の者の意見を徴するその人数ですね、これをどういうふうに見ておるか。
  110. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その趣旨は、海事代理士の試験を行なつておりますが、その試験をやるに際しまして、どういう方法なり、どういう問題なり又如何なる時期に行うべきかといつたようなことを運輸大臣がきめて試験を実施いたしております。その場合に、運輸大臣だけで選考いたしますると多少問題がありますので、そういつた代理士側の意見並びにこれを利用する者の意見というものを全部総合いたしまして、そういうことをきめて行くというのが趣旨でございます。
  111. 東隆

    東隆君 そうすると、いわゆる一般の学識経験者は勿論入りますね。
  112. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) これは学識経験者と申しましても、大体只今予定いたしておりまするのは、やはりそういつた関係に明るい人という意味で、ただ一般的に学識経験者という意味ではございません。やはりそういつた問題に特に明るい学識経験者を選ぶことを予定しております。
  113. 東隆

    東隆君 簡単に言えば、例えばこの方面に非常に明るいというと語弊がありますが、学校の先生、そういうような人はこれを排除する規定なんですか。選挙する時にそういう人を排除する規定なんですか。
  114. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 必ずしもそういうものを排除するということは別に予定いたしておりませんが、そういつたものを排除すべきや又は入れるべきやといつたことをそういう団体に相談をしながらやつて行くという趣旨です。
  115. 前田穰

    委員長前田穰君) 私からもう一点。先刻の質問に念を入れておきたいと思いますが、業とするということは、少くとも常識的には対価を得るということが条件のように思うのですが、その点はどうでしようか。
  116. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 業とします者はお説のごとく、対価を得てやるのが普通でありまするが、併し逆に又「対価を得て」と書きまするとその裏をくぐりまして、対価を得ないで自分は業でないからと、実は業であつても対価を得ないということの理由のために、この法律をくぐる者がある。このほうの弊害が恐ろしいというので逆な書き方をしたのであります。
  117. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 十七条の違反は罰則で六カ月以下の懲役又は二万円以下の罰金、大変なことでございまするが、他人の委託による場合が条件になつておるようですが、船舶業者或いは運送業者自身が、このような書類の手配をすることが多年の経験によつて生じておる場合に、これをやつたときには十七条の違反になるかならないか。なお又業というもの、今ちよつとお話がありまして、非常にぼんやりしていると思いますが、対価を得て而もなおその業としておる。業としておるけれども対価を得ておらない。或いは対価を得ておるけれども業としておらないということも考え得るのですが、実際にこの十七条による罰則が、人から頼まれたものであり、而も対価を得て、而もそれを職業としておる者に限定されておるようですが、実際問題としてそのようなことがつかみ得ますか。十七条違反が六カ月と書いてありますが。
  118. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) ちよつと今御質問の要点が聞きとれなかつたのですが……。
  119. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 十七条ですね、「海事代理士でない者は、他人の委託により、対価を得て、業として」と、こうなるわけですね。これに対する罰則は六カ月以下の懲役又は二万円以下の罰金ですかになつておるわけなんですが、従つて非常に大きな問題ですね。罰則がありますから、この他人の委託によつた場合に限定するわけです。そうしますと船舶業者或いは船舶所有者等が、従来その手続だけを知つておる者もおるんです。そのような者がやつた場合には、第十七条の違反にはならないと解してよろしいのですか。
  120. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) その場合には、この違反にはならないと解してよろしい。
  121. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 なお又対価を得て、業としておるわけですから、対価を得ておつても、それを職業としなければいいと思うのでが、同時に又職業としておるけれども金をもらつておらないのだといつた場合にも又第十七条の違反にはならないと解釈をしなければならんと思いますが、それでいいわけですか。
  122. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 只今の御質問の十七条に、「対価を得て」と書いてございまするが、これは今度の改正に「第十七条第一項中一対価を得て」を削る」と、この点を削るようにいたしてございます。
  123. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうすると業が生きるわけですか。
  124. 国安誠一

    政府委員(国安誠一君) 業が生きております。
  125. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言はございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  126. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時二分散会