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1953-07-01 第16回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月一日(水曜日)     午後二時四十五分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 倉石 忠雄君 理事 丹羽喬四郎君    理事 持永 義夫君 理事 高橋 禎一君    理事 山花 秀雄君 理事 矢尾喜三郎君    理事 山村新治郎君       相川 勝六君    池田  清君       鈴木 正文君    野田 卯一君       三浦寅之助君    吉武 惠市君       黒澤 幸一君    多賀谷真稔君       井堀 繁雄君    熊本 虎三君       中澤 茂一君    館  俊三君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  中西  実君         労働事務官         (職業安定局失         業対策課長)  澁谷 直藏君  委員外出席者         労働事務次官  齋藤 邦吉君         労働事務官         (労政局労働組         合課長)    山崎 五郎君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    和田 勝美君         専  門  員 浜口金一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法  の規制に関する法律案内閣提出第二一九号)  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(山花秀雄外六名提出衆法第二号)  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律  案(山花秀雄君外六名提出衆法第三号)  労働行政に関する件     —————————————
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案及び労働行政一般に関する件を一括議題といたしまして、質疑を許します。熊本虎三君。
  3. 熊本虎三

    熊本委員 私は一般労働行政に関して質問をいたしたいと思いますが、その前に緊急問題として、西日本に起きました大水害に関してお尋ねをしてみたいと存じます。  新聞紙その他の報道によりましておわかりのように、六十年来の大水害であるということでありまして、これに関する対策といたしましては、内閣としても種々講じられておるようでありますし、国会においても特別委員会が設置されました。そこで私お尋ねいたさんとすることは、この被害によります。たとえば緊急措置の任にあるところの公務員の問題及びその地方における労働者の窮状に対して、労働省としては、特別これに対する緊急措置をどういうふうにとられておるかという点について、お尋ねいたしてみたいと思います。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お答えを申し上げます。西日本におきまする未曽有災害に対しましては、私ども全力をあげて及ぶ限りのことをせねばならぬと考えております。御承知のような臨時災害対策本部が設けられまして、大野国務相政府から行つておるのでございますが、その下部機構の一端をになうために、労働省といたしましても、本日秘書深長特令を帯びさせまして、現地に派遣いたした次第でございます。労働省として、公務員に対し若干の見舞を持たせましてやつたのでございますが、現地におきましては、主として手がけるべき最初の仕事は、官庁等に、水が引きましたあと非常にどろが堆積しましたところもあるのではないか。一般住宅等におきましても、これが優旧作業に非常に人手を要するところがありますのではないかと思いますので、応急失業対策事業わくを使い得るようにして、適宜現地において措置させるように考えさした次第でございます。なおさしあたり労災保険等徴収方法をできるだけ延ばすことを認めたい、あるいはその他の保険支払い等について、多少障害になるようなものがありますれば、応急措置として、できるだけ実情に即した緩和的態度をもつて臨みまして、若干なりともわれわれの立場からできる限りの力になり得るような処置をしてもらいたいということを、特命を帯びさして現地に派遣した次第でございます。
  5. 熊本虎三

    熊本委員 ただいま労働大臣からお答えをいただきましたが、もちろんああいう大被害でありますから、調査その他にも日数を要することであろうと存じますが、たとえば労災保険の問題に関する御答弁のごときは、至つて消極的な面だと考えます。具体的にいいますならば、官公の職員に対しましては、こういう際まことに一切の被害のために困つておると考えますので、やはりこれらについては七月分の給料前払い等積極的措置が必要である。民間労組に関しましても経営体とも共通の被害でありますから、当然労働省におきましては、これらの給与等に対しまして遅欠配の起らざるように、そうしてそこから来る不安がないように十分なる対策を講じて、前払い制度方法でもとるというような積極性がなくてはならないと考えます。これらの問題は、復旧のためにも、まず公務員先頭に立ち、そうして労務者がその先頭に立たなければ、応急処置もできないという現状において、大いにその必要ありと考えるのでありますが、それらの処置をとられておるかどうかをお尋ねいたしたいと存じます。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御指摘のように、私の答弁はやや消極的にすぎたかもしれませんが、労働省に関しまする現状に与えられておるわく内においての指示の範囲を申し上げた次第でございまして、前段にも申し上げましたように、大野国務相が思い切つた措置をとるという権限を持つて現地行つておりまして、その下部機構として行つている次第でございますから、多少とも協力いたしまして、種々懇談もいたして、今御指摘のような思い切つた措置もできるだけ配慮することになると存じます。私個人といたしましても、そういうような積極的な措置をとつて、この災害の際の救助に遺憾なきを期したいと考えております。
  7. 熊本虎三

    熊本委員 重ねてお尋ねいたします。なるほど大野国務相がその責任背負つて向うで御活躍なさつていることは承つております。しかしながら、労働省といたしましては、特別なる配慮によつて、これらの問題はいち早く調査の上、労働省として労働行政に関する重大案件については、内閣に向つて別途試案をもつてこれに臨むべきである。ただ単に内閣がやつておるから、総括的なそれらの対策にゆだねておけばよいというようなことでは、はなはだ私は遺憾だと考えます。特にこういうような重大な事件のもとでは、まず第一に住宅の問題もあろうかと思いますが、それよりか主食入手状態——現在東京あたりでも、やみ米といえば二百円を突破しておるというような現状である。いわんやああいう大災害のときに起きます主食入手等は、非常な困難があろうかと考えておるわけでありますが、もしもそういうものを奇貨として悪質なるブローカーの横行等があるとしますれば、社会の不安はそこから突発するのであります。従いまして、そういう問題に関して特に単純なる労務者、そうして復旧再建への基盤である労務者等に対しては、格段の配慮があつてしかるべきだと私は考えておるのであります。労働省といたしましては、それぞれ関係省に向つて、あるいは備蓄米放出等による主食安全確保、あるいは住宅に対しまして、特別なる処置による彼らの安定をはかるというような施策等があつてしかるべきだと考えますが、重ねてお尋ねをいたしたいと存じます。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 現地におきまして、その実情を見つつ適切なる手を打つということを今申し上げた次第でございますが、もちろん国務大臣としてこちらの方におきまして、御承知のごとき臨時対策本部も設けてある次第でございますので、ただいまお話のような点は及ばずながらやつておるつもりであります。私といたしましては、繰返して申しますが、できる限りの努力をいたしたいと考えております。
  9. 熊本虎三

    熊本委員 重ねてお尋ねいたしますが、たとえば厚生年金積立金にいたしましても、八百億を突破しておるかと存じます。これことごとく労働者が非常の場合に処するを目的としてこういうものがあるのでありまして、こういうときにこそ労働者は積極的にかような積立金等臨時融資等によりまして、労務者対策を立つべきと考えておりますが、それらの積極的な御意思があるかどうか、重ねてお伺いをいたしておきたいと思います。
  10. 赤松勇

    赤松委員長 熊本君、政府の方で事務次官の方からお答えしたいそうですが、よろしいですか。——斎藤事務次官
  11. 齋藤邦吉

    齋藤説明員 お答え申し上げます。先ほど来大臣からお話がありましたように、目下関係各省、農林省、厚生省その他が全部出向きまして、総合的応急対策を講じておりますことは御承知の通りでございます。先ほど来お尋ね食糧等の点につきましても、もとより労働省として関係している面もありますので、そういう手を現地において関係各省おりますから、その場で打つようにということも申し上げ、お願いもいたしております。  厚生年金お尋ねでありますが、こういう際にこういう金を融資できるかどうか、まだ詳細はわかりませんけれども、御質問の御趣旨は十分私ども体しまして、罹災民救助のために努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  12. 熊本虎三

    熊本委員 私は積極的に派遣されておる実地の現状等をここに御報告願つて、そうしてその努力の経過について安心を、したいと考えて実はお尋ねをしておるわけでありますが、今までの答弁では、現地にそれらの者を委託してやつておるのだからという程度お答えよりないようであります。もしわかつてつたならば、かくかくの、ごとき事情のもとにこういう措置を講じつつあるのだ、こういうことをお答え願えるならばまことに幸いだと存じます。厚生年金等融資については、これから何かお考えになるようでございますが、なるかならざるかは、いろいろの法規、目的等がございますから、しかく簡単にそれを右から左にとつて来いというようなことは申し上げませんが、すでにそういうことについて労働省が十分なる積極的な対策意思があるならば、今日までの間に何らかの措置が講ぜらるべきであつたのではないか、かように考えているわけでありまして、もう一度御答弁を願つておきたいと思います。
  13. 齋藤邦吉

    齋藤説明員 御承知のように、飛行機がやつと通ずるような状態でありまして、現地事情につきましては、熊本先生の御承知のように、詳細はまたわからぬわけでございます。けれども現地におきましてはまた現地様子がすぐわかるのでありまして、その様子に応じて即応的な措置を講ずるということで、実は出向くことになつたわけでございます。そこで、先ほど大臣からもお話のありましたように、まず労働省としてさしあたり右から左にとれるということになりますれば、御承知のように、失業保険料なり、あるいは労災保険料というものは、罹災工場からとることはしばらく猶予しよう、あるいはまた失業者というお気の毒な方々でありますので、保険給付も一週間一回安定所に出て払うというやり方でありますが、これを一箇月に一回くらいにしよう、これはもうすでにきめているわけであります。さらにまた現地におきましては、必要によつて被害を受けました市町村のいろいろな跡片づけということのためには失業対策事業を大幅に清川しようという方針はすでにきめまして、現地即応措置をとることにいたしております。そのほかの措置につきましては、先ほど来御質問の御趣旨を体しまして、積極的に努力をいたして参りたい、かように存じている次第でございます。
  14. 熊本虎三

    熊本委員 それでは強く希望を申し上げておきます。まず法的措置においても、官公吏給料前渡し支払いは、できるはずだと私は信じている。それから民間の問題は、先ほども言いますように、経営者労務者ともの被害でありますから、およそこれらの給与措置については行き詰まりを来しているのではないかと考えます。従つてこれらにつきましては、積極的なる措置によつて至急貸出し制度を確立していただきたい。主食の問題につきましては、特にこのことが及ぼす社会治安に対する影響等を勘案いたしまするときに、非常に重大だと考えますから、これも適切なる、火急なる措置をそれぞれの関係に伝達をし、これらに要請して実施ができるようにしていただきたい、かように強く要望いたしまして、この問題に対する質疑は以上で打切りたいと存じます。  冒頭に申し上げましたように、私労働行政一般に関する質問を申し上げたいと思うのでありますが、その前に十七日と記憶しておりますが、第一回委員会懇談会におきましていろいろ取上げられました赤羽日本製鋼におきまする発砲事件に関する事案であります。この問題は、懇談会ではございましたが、持永委員からも、両者を招請してその真相をきわめた方がよかろうというような積極的な御意見すらあつたようなわけでございます。従つて懇談会は、満場一致をもつて何ものにも優先してこれが真相調査をやるということに申合せをいたしました。幸いにも争議解決したそうでございますから、従つてどもがより緊要と考えておりましたその一部については解消いたしておりましたので、私も今日までこれを緊急に取上げて御質問をすることを避けておつたわけでございますが、きようこの問題についてお尋ねをいたします。  それは、この前の懇談会お尋ねをいたしましたときに、これは単なる発砲事件でなくて、事労働争議の最中に行われたる発砲事件である。これは何といたしましても、労働省としては最大の関心を持つてこれが実情調査と、それに対する緊急最大処置を講ずべきであると考えておつたにもかかわりませず、はなはだもつて消極的なことでございましたが、その後積極的にこれに対する処置を講ずるとお答えがございました。その後の処置は一体どういうふうになつておりますか、御答弁を願いたいと存じます。
  15. 中西実

    中西政府委員 先日の懇談会の際には、東京都の労働局からの、日ごろのルートからの一応の報告でございまして、詳細にわたりませんでしたが、ただちに直接係官を派して調査せしめたのであります。事件労使関係の問題といいますよりは、施設区域容内に起りました米側とのトラブルでありまして、その間に暴力行為等があつたかどうかという検察関係事件でございます。この観点からすでに十分着々調査が行われておりますので、本来の権限責任を持つておりますそちらの調査におまかせいたしまして、われわれとしてはその結果を見るべきだというふうに結論した次第でございます。
  16. 熊本虎三

    熊本委員 これは直接労働省処置すべき事案ではないのでありまして、当然間接的な立場にありますことは、私も了承できるのであります。しかしながら、事は労働争議に関連して起きた問題でございますから、私は労働省として、単に所管が違うからということによつてこれをルーズにするわけには参らないと考えます。従つて二、三点伺いますが、発砲した米兵のその後の処置はどういうふうに進捗しつつあるか、特に直接争議団暴力を振つた軍属はどう処置されたか。それから車の搭乗車日本人であつたというのであるが、これは岡崎外務大臣の本会議における答弁等から解釈いたしますと、何かスキヤツプではなかつたかというような印象を強くされたのでありますが、搭乗いたしておりました五名の日本人は一体何者であつたか、この点についてお答え願いたい。
  17. 中西実

    中西政府委員 ただいま仰せの問題は、すべて目下警視庁並びに検察庁におきまして調査中で、ございまして、問題はその方にゆだねべきではないかというふうに考えております。ただ発砲ということ自体につきましては、この間の本会議におきましても、外務大臣は好ましいことでないと申しておりますし、先週の木曜日の日米合同委員会において、このことについての今後の留意方を提案したというふうに聞いております。
  18. 熊本虎三

    熊本委員 次にお尋ねいたしますが、労働争議は幸いにも解決したということでありますが、その労働争議要求に対する解決は、一体どういう情勢になつておるか。その中には給与問題がありますか。あるいはロツク・アウトの際に争議に入つたならば、ユニオン・シヨツプはこれを廃止するとか、あるいは、ベース・アツプは逆転せしめるとか、こういうようなことを経営者言つてつたということの報告を受けておりますが、解決条件の内容について御説明を願いたいと思います。
  19. 山崎五郎

    山崎説明員 給与問題に関しては、争議経営者側より二千四百円アツプ回答が出ておつたのでありますが、その後団体交渉におきまして、経営者側プラスアルフアを提案しておつたのであります。その後の団体交渉におきまして、二千四百五十円すなわち五十円のプラスアルフアを提案いたしました。そのほか団体交渉の対象となつておりました室内の組合活動の問題に関しては、休憩時間中の場外に出ての組合活動を認めるという点と、連絡のために組合役員工場内に入ることを許す、こういう点で基本的には一致を見たという報告をもらつております。ただ争議中の賃金支払つていただきたい、こういう問題がありまして、この問題に関しては経営者側の方では払うことができないと回答し、組合の方では家族手当の分だけでも支払つてほしい、こういうような折衝を目下続けておるようであります。
  20. 熊本虎三

    熊本委員 私は組合要求小銃工場比較して六千円の低位にある、従つてこれが均衡化を目標とした要求であつて組合員要求必ずしも高きに失するとは考えなかつたわけであります。しかるに、それが二千四百五十円で解決を見た、こういう結末を考え合せますときに、米兵がこれに介入して発砲事件を起したり、あるいは銃口を突きつけてピケ・ラインの正当なる行為に対して脅迫的行動をとつた、こういうことが、どうしても争議解決に対十する、相当な不利な立場になつたのではないか、こういうようなことを考えますが、労働省としてはさような御見解はございませんか。
  21. 赤松勇

    赤松委員長 ただいま高橋禎一君から、本日の法務大臣犬養健君に対する質問は、法務大臣が参議院の法務委員会に出席しておりまするので、質問を留保する申出がありました。
  22. 中西実

    中西政府委員 この会社の平均給は、たしか一万七千円に少し欠けておつた程度だと思います。それが高いか低いか。さらに今度争議によりまして、二千四百円のベース・アツプになりました、これが、妥当かどうか。これはわれわれとしまして、にわかに判断はできないと思います。ただ、春以来の争議におきまして、各産業におけるべース・アツプ状況を見ますと、大体は一〇%前後、少いところは四%から五—六%というのもあるくらいで、ございまして、二千四百円のアツプは、そういつた傾向から見ますれば、必ずしも低いものでもないようでありますし、従つて発砲事件がこれに作用したというふうには感じられないように考えております。
  23. 熊本虎三

    熊本委員 環境から来るベース・アツプ状況、これに比較して悪いとは考えない、こういう御答弁のようでございます。これは比較対照の問題でございますから、おのおの感ずるところが違うであろうかと存じます。但し、あのときの参考人の陳述を見ますと、同じ屋根の下ともいうべき小銃工場における賃金と、それから、日鋼における賃金との差が、非常に懸隔がはなはだしいのであります。こういうような点から考えまして、比較対照、バランスの問題は、よく類似の同じような産業に従事するところから比較を出すべきであろうかと考えておるのでありまして、まあ私から言いますと、必ずしも政府の言われるように影響なしとは考えることができません。将来こういう問題については、事いやしくも事件中である限りにおいては、労働省は積極的にかような問題については、その公平を期する意味において、処置を願いたいと存じます。  なお重ねてお尋ねいたしたいことは、あのときの参考人の意気を聞きますと、基準法を無視して婦人の生理休職をも与えない、それから当然与えらるべき有給休暇をも与えることがないというようなことを言つてつたのでありますが、これらの問題については、基準法違反疑い多分にありと存じますので、その問題の処置はどういうふうに相なりましたか、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  24. 和田勝美

    和田説明員 御説明申し上げます。赤羽作業所につきましては、本年の三月に総合的な監督をいたしております。それによりますと、請負代金の問題と組合費控除の問題、これが協定なくして行われておりまして、これに対して是正勧告をいたしましたところ、ただちに協定ができて控除ができるようになりました。それ以外は、私の方で監督をいたしました限りにおいては、全然基準法違反の問題はございませんでした。
  25. 熊本虎三

    熊本委員 重ねてお尋ねいたしますが、参考人公述のときにはおいでにならなかつたかどうか——労政局長おいでになりまして、確かにお聞き取りに相なつたはずでございます。そのときの公述によりますれば、生理休暇もない、有給休暇も与えておらない、こういうことを言つた記憶がございますが、労政局長からひとつ答弁を願いたいと存じます。
  26. 中西実

    中西政府委員 ちよつと当時のことを記憶いたしませんで、そういう発言があつたかどうか、私今覚えておりませんで、まことに申訳ございません。
  27. 熊本虎三

    熊本委員 懇談会で記録がありませんので、逃げようとされればどうにでもなりますが、これは水かけ論になるおそれがありますから、これ以上質問はいたしません。しかしながら私の耳に残つておるものは、私は確かだと思います。従つて基準局においては、さつそく明日でもその調査行つて、そうしてもしこれが事実だとするならば、ただちに基準法違反処置をされますように、私からお願いいたしておきます。
  28. 赤松勇

    赤松委員長 熊本君にお尋ねいたします。資料提出要求でございますか、そうでございませんか。
  29. 熊本虎三

    熊本委員 いや、資料ばかりでなく、処置を願うということです。
  30. 赤松勇

    赤松委員長 政府の方では基準法違反がないというのでしよう。
  31. 和田勝美

    和田説明員 私ども三月にやりましたときには、先ほど御説明申しましたように、一件違反がございまして、ただちに是正を勧告いたしましたところ、ただちに是正ができたわけであります。それ以外には当時違反事件はございません。ただいま熊本委員からの御質問によりますと、生理休暇の問題があるということでございますので、さつそく私の所管監督署を通じまして監督を実施して、もしありましたら是正させたいと存じます。
  32. 熊本虎三

    熊本委員 それでは関連質問もあるそうでございますから、私はごく簡単にお尋ねいたしますが、これは駐留軍あるいは特需関係労務者関係でございまして、行政協定に基く関係もございますから、労働省のみの所管ではないかとも思いますが、労務契約改訂にあたつて最初は三者構成による審議をされておつたようでございます。それが途中から労務者関係を排除して、直接調達庁関係との交渉があつたというふうに聞いております。これはいかなる理由によつて、直接の労務者の参加を拒否されたのであるか、それらの点についてお尋ねをいたしたいと存じます。
  33. 中西実

    中西政府委員 仰せのごとく、当初三者構成話合いをいたしておりました。たしか三月ごろからこれが中止になりまして、組合を除きました二者会談に移つたわけでございます。その理由は、取立ててはないのでありますが、ただ堂々めぐりで、いつまでたつても結論が出にくい。そこで一応三者の話合いは、大体言うところがわかつた、そこで進行をはかる意味におきましても、二者の会談になつたというふうに聞いております。
  34. 熊本虎三

    熊本委員 その後この契約改訂は、どういう状態になつておりますか。
  35. 中西実

    中西政府委員 向うから提出されました案に対しまして、当方としまして、そのままのみ込みにくい点もありますので、その理由なり意見を付して向うに回付いたしました。米側では、またそれを内部で十分に検討して、最近におきまして、一応の回答はあつたのでありますが、さらにそれに対しまして、こちらに不服の箇所もありますので、それを押し返して目下折衝いたしておるという段階にあります。
  36. 熊本虎三

    熊本委員 その進行中の案件の中に、たとえば間接雇用、すなわち特需等の製作工場においても、かつなお直傭を入れようとする向きがある、並びに基準法に抵触するような箇所が相当にあるということを漏れ承つておるのでありますが、さような不安はないかどうか。
  37. 中西実

    中西政府委員 内容は目下折衝中でございまして、どういうふうな結論になりますか、まだ今のところ明確に申し上げられないのでございますが、直傭の問題につきましては、原則として間接雇用で行くということにつきましては意見の一致を見ております。ただ、ものによりましては、たとえば非常に高度な技術者というようなものにつきましては、あるいは直傭の場合も必要じやなかろうかということで、もし必要があればやはりそれは拒む理由もない。従つて直傭の問題は極力制限して考えておるということであります。  それから基準法の点につきましては、行政協定にも、基準法が大体原則として適用になるということにもなつておりますので、この点につきまして特に制限されるということは、今のところないように思つております。若干三条の関係でその間の調整の問題は残つております。
  38. 熊本虎三

    熊本委員 私の入手いたしました資料によりますと、第五条の保安という欄はこれは空欄に相なつております。従つて米軍が一番直接指示命令を発するものは、保安の箇所にあろうかと思います。従つてその後第五条保安の契約進行の状態は、一体どういうふうにになつておるのかということをちよつとお尋ねいたします。
  39. 中西実

    中西政府委員 空欄になつておると言われます案は、どういうのか存じませんが、おそらく話合いがきまりませんので、その点がまだ明白になつておらない点を言われるのじやないかと思います。この点につきましては、非常に重要な争点でございまして、目下われわれの一応納得し得る限度に譲歩してもらうように、外務省を通じ特調が折衝中でございます。
  40. 熊本虎三

    熊本委員 まだ過程のものでありますから、これより以上議論いたしましてもどうかと考えますから、あまり水かけ論的なことはやめます。但し、間接雇用はあくまでも日本の労組法に基いて処置さるべきであるという原則、従つて基準法に抵触するがごとき案件は、いついかなる場合といえども、これは挿入すべきでないと私は信じてこれを求めたいのでありますが、その点に関する限りは自信を持つて答弁ができるかどうか、もう一度御答弁願います。
  41. 赤松勇

    赤松委員長 これはどなたにです。中西政府委員でよろしいですか。
  42. 熊本虎三

    熊本委員 けつこうです。
  43. 中西実

    中西政府委員 私ども仰せのごとく極力日本の法規ですべてが律せられるように——もちろん行政協定等によりまして向うに管理権その他がございますので、その調整はもちろん必要でございますが、できるだけ国内法に抵触しないようなふうにとりきめが進むようにということを念願いたしております。
  44. 赤松勇

    赤松委員長 非常に重大な問題だと思いますので、この際労働大臣からも一応意思を表示しておいていただきたいと思います。(発言する者あり)委員外の発言を禁じます。
  45. 熊本虎三

    熊本委員 委員長からお説のように、非常に重大であるから、私はこれが決定前に、こういう希望、要求をもいたしたいと考えて質問をいたしておるわけでございまして、当然最後の締めくくりは、労働大臣責任あるお答えを求めようと考えております。  その前にお尋ねいたしたいことは、現行契約はいつまでの効力があつて、現在審議中の契約はいつごろ完成しそうな見通しでありますか、その点をお尋ねいたします。
  46. 中西実

    中西政府委員 すでに昨年の四月で一応改訂の時期にありましたが、その後一月一月と延び延びになつておりまして、一応今年の四月末で期限が来たのであります。その際にさらに三月延長いたしまして、七月末日までは一応有効ということになりました。さらに新しい協定がいつできるか。これはちよつと今時期は言えないのでありますが、そういう状態でありますので、できれば一日も早く結べれば結びたいという努力はいたしております。
  47. 熊本虎三

    熊本委員 最後に労働大臣に私はお答えを願つておきたいと存じます。先ほど来私のお尋ねいたして参りましたことは、これはいやしくも独立日本としてし面目にかけても、どうしても譲るべからざる一線があるはずであります。従つて国内法を適用すべきこれらの労務者に対して、労務契約の面からしてこれを侵蝕し、その権能を蹂躪するが、ごときことがあつてはならない。従つて労働大臣といたしましては、先ほど私が申し上げましたように、労働三法の適用を侵すがごとき、人権蹂躙に類するような条文は、絶対にいかなる場合があつても、これに関する限りはしてはならないと考えますので、そういうような御決意をもつて臨まれるかどうか。このことは時の長短を論ずるよりか、やはり事は基本的な問題でありますから、特にこの点御留意になつて答弁を願つておきたいと存じます。なお関連質問があるそうでありますから、私の質問大臣答弁によつて終りたいと思います。
  48. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 中西政府委員からお答えいたした通りであります。御承知のように、行政協定第三条によりますと、基地内にありますものについては、管理権が米軍側にあるわけでありますから、従つてこれとの調整は要しますが、いやしくも基本的人権を侵されるようなことは、私は黙認できないと思いますし、そういう点をはずさずに調整をいたしたいと考えております。
  49. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの質疑に関連しまして、一応労働大臣お答えを願いたいと思うのであります。  きのうの参議院の本会議におきまして、参議院議員木村禧八郎君のMSA関係質問に対し、小坂労働大臣は、MSAを受諾しても関連企業は当然国内法の適用を受けるから、労働条件の切下げは考えられない。これはきようの日本経済新聞にほんのちよつぴり労働大臣答弁が掲載されていたのでありますが、ただいま熊本君から駐留軍関係の産本的労務契約についていろいろ質問が、ございました。ところが政府委員は、国内法を適用するために努力をする、こういうように言われました。ところが現在労働大臣はきのうの参議院の本会議において、国内法の適用はもうやつておる、こうはつきり答弁されておるのでございます。そこで私の聞きたいことは、これに関連する産業に、国内法がほんとうに適用されておるのかどうか。大臣は自信を持つてこの御答弁をなさるかどうか、いま一度この労働委員会の席上でこの問題をはつきりさせていただきたいと思います。
  50. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 MSAの問題に関連して私がお答えしたのは、お話の通りでありまして、MSA援助を受けるかどうか、また受けるとすれば、いかなる条件において受けるかということは、今後の交渉に待つべき問題でありますけれども、かりに受けるといたしましても、その条件にもよりましようが、受けるといたしましても、それによつて日本の労働法規が曲げられるということは絶対ない、こう確信いたしております。現在も労働法規のわく内で米軍との基本契約は原則としてできておるのでありまして、その点については、私の昨日の答弁そのままにおとりいただいてさしつかえございません。
  51. 山花秀雄

    山花委員 大臣はMSAの援助を受けても、当然国内法は守らるべきであり、またそうしたい。現在も大体さようである、こういう御答弁です。現在関連産業、特に駐留軍関係の、直接の基地の労働条件以外の、俗に特需産業といわれておる工場におきましては、私どもの見解からすると、国内労働法規は守られていない、こう私は確信を持つて言い得るのであります。大臣は守つておるというのです。そこで両者の意見がまつたく相反しておる議論がここに行われておるのでありますが、一体どの工場において守られておるか。特需関係工場は大体限度がございます。この点をこの席上ではつきりしていただかないと、この問題は今後この種問題を論議するのにたいへん支障を来しますから、もう一度大臣のはつきりした御所見を伺いたいと思います。
  52. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 MSA援助にお答えしたのは、基地内における場合とは違うので、どういう形において受入れますか知りませんが、MSAの援助を受けた工場が、労働三法の適用を受けることは当然のことと私どもは考えておるのであります。ただいまお話の問題は、米軍基地内における第三条関係の問題ではないかと思いますが、私が今申し上げたのは、一般民間企業内においては国内法が適用されるのでありまして、現在の、いわゆる特需産業においてもそうなつておるということを申し上げておる次第であります。  それから第三条におきまするものは、管理権が先方にありますので、そこに若干調整を要する点があるということは、御承知願いたいと思います。
  53. 山花秀雄

    山花委員 ただいま大臣の御答弁は、米軍基地内における労働条件は、私ども行政協定の廃止、改訂というようなことにまで論議が進んで行くと思うのでございます。そこで米軍基地以外の、俗にいう特需関係工場、具体的に申し上げますと、蒲田の下丸子にある東日本重工のような工場は、米軍基地内に当てはまるような労働条件であるかどうかという点。私はこれは米軍基地内とは考えませんが、労働大臣の見解はいかがでございましようか。
  54. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 具体的な問題でありますから、正確を期しまするために、政府委員からお答えいたします。
  55. 中西実

    中西政府委員 この下丸子の工場は、たしか基地内のものであるように聞いております。
  56. 山花秀雄

    山花委員 一例として下丸子の東日本重工の問題を出したのでございますが、たとえば日鋼の府中工場、これは御承知のように同一工場内で片一方はビクター・オートといつて、これは私は基地内の作業場だと考えておるのでありますが、府中の日鋼工場は、私の見解からすれば敷地内でない、こう考えておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、東日本重工であるとか、あるいは昭和飛行機の製作工場であるとか、これは北多摩郡の昭和町にございます。それからまた追浜の富士工場のようなところは、私この点ははつきりわかりませんけれども、これら一切関連して、全部華地内の関係労働省は言い切るのであるかどうかという点であります。
  57. 中西実

    中西政府委員 基地は大体きまつておりまして、今どことどこが具体的に基地となつているか、ちよつと手元に資料はございませんけれども、解釈によつて、基地になつたり基地でなかつたりするのではございませんでしようか。向うとの話合いで基地はきまつているというふうに存じております。
  58. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの答弁は、はなはだ不満足です。解釈のしようによつて基地であり基地でない。これによつて日本の労働者が基本的な憲法によつて保障された国内法の適用を受けるかどうかという境目です。そんなあいまいな答弁は、われわれは了承しません。基地であるとかないとかいう点は、はつきりした御答弁を願いたいと思います。
  59. 中西実

    中西政府委員 基地にするかどうかは、合同委員会できめまして、そうして官報に告示するということになつております。
  60. 山花秀雄

    山花委員 そこで私のお尋ねしたいのは、基地であるかどうかということをお尋ねしているのです。
  61. 中西実

    中西政府委員 その点実は今資料がございませんので、どれが基地に入り、どれが脱けているか、調べてからお答えいたしたいと思います。
  62. 山花秀雄

    山花委員 ただいま資料がないから、後刻調べて回答をするということでございます。私どもは、先ほど申し上げましたような工場の若干は、基地でないと確信をしておるのであります。従つて後刻正確な資料の御提示を願つてから、この問題に関する質疑を続行して行きたいと思います。ただいま熊本君に関連する質問はこれで終ります。
  63. 赤松勇

    赤松委員長 資料提出はいつごろまでに要求されますか。
  64. 山花秀雄

    山花委員 これは調べればすぐにわかることでございますから、次回の労働委員会のときまでに提出の運びにお願いしたいと思います。
  65. 中西実

    中西政府委員 恐れ入りますが、どことどこで、ございましたか、もう一度お教えいただきたいと思います。
  66. 山花秀雄

    山花委員 ただいま私は一、二の例を上げたのでございますが、特需の関係をやつている各工場、これは大体おわかりだろうと思いますが、そう多くは、ございませんから……。
  67. 中西実

    中西政府委員 基地はわかりますが、特需の数は非常に多くあるようでありまして、ちよつと短時日ではわからないのではないかと思います。
  68. 山花秀雄

    山花委員 特需関係をやつている工場が多くて、短時日にはわからないと、おつしやいますが、大体代表的特需工場というのはおわかりになると思うのです。労政局長の管轄の中において、特需関係の労働組合連合協議会が行われていることは、これは労働省よく御承知だと思います。その範囲内でけつこうでございます。関東特需関係の労働組合協議会を持つている工場が基地内であるかどうか、それだけでけつこうでございます。
  69. 赤松勇

    赤松委員長 先ほどの山花君の御質問は、労働大臣の参議院における答弁において、国内法は特需関係においては適用されているという御答弁があつたが、これが実際に適応されていない事実があるが、確信を持つて適用されていると言い切れるかどうか。もし適用されていない、国内法に違反しているという事実があつた場合には、労働省はどうか、こういう御質問でございますか。
  70. 山花秀雄

    山花委員 その質問でございます。ところがそれは基地内とか基地外とかいうような議論に花が咲きましたから、一応その問題の所在をはつきりしておつかけ質問をして行きたいと思います。
  71. 赤松勇

    赤松委員長 わかりました。
  72. 館俊三

    ○館委員 関連質問です。今こういう変則的な労働条件の中に立つている労働者が非常に多いので、そういうところで労働三法が正確に守られているかどうかということについての疑念が山ほど出たのですが、私たちもそれについて非常に疑念を持つておるのであります。現在この関連質問をすることは、今起きている問題についてお話を聞きたいのでございますが、急に調べたことですけれども、立川に中国民間航空輸送会社というものがあるのです。これはアメリカの資本と蒋介石政権の資本とで合作して朝鮮や沖縄や台湾、フイリピン等への軍民輸送をやつておる会社だそうであります。ここに労働者の問題が起きたのです。約二週間くらい前に、飛行機の整備をやつておる日本人従業員、これが約二百六十名おるのですが、今まで労働組合をつくつておらなかつた。それが労働組合をつくつて賃金問題について団体交渉に入つたのであります。ところが、会社側の重役になつておるのがジエームス・テイトという男だそうですが、これが団体交渉を断つている。これは不都合なことだと私は思つておる。その言い分がおかしい。従業員の代表なら会うけれども、労働組合の代表なら会わないといつてつている、こういう事実が起きておるのであります。こういうことを労働省でお調べになつておるか、労働省の耳に入つておるかどうか。
  73. 中西実

    中西政府委員 本日申告がございまして、目下調査中でございます。
  74. 館俊三

    ○館委員 私の調べたところによりますと、従業員代表なら会うが、労働者代表には会わないといつてつているということが事実であるとして、その上に立つたならば労働省はこれをどうお考えになりますか。
  75. 中西実

    中西政府委員 本日聞きまして目下調査中でございますので、その調査を待つてから処置したいと考えます。
  76. 館俊三

    ○館委員 それはさきに承つたのです。私の聞くのは、従業員代表なら会うが、労組代表なら会わぬといつて拒絶した、こういうことがもし事実であつたならば、これはどつちがいいのかということを聞いておる。
  77. 中西実

    中西政府委員 これもやはり具体的に調べませんと、はたしてどういうふうないきさつがあつたかわかりませんが、正当な事由なくして団体交渉を拒めば、もちろん不当労働行為ということにはなります。しかし、事実がどうであるか、これはひとつ調査の上で考えたいと思つております。
  78. 館俊三

    ○館委員 今のお答えもきわめてそらしておられるようですが、私の言うのは、どういう場合であつてもいいのです。この問題に関して言つているのじやない。従業員代表なら会うが、組合代表には会わぬという拒絶の仕方をした場合には、それは正しくないというふうに労働省が考えられるということは、今の言葉でわかつたのですが、それでよろしいのですか。
  79. 中西実

    中西政府委員 正当な事由があつて拒めば、これはさしつかえございませんけれども、正当な事由なくして団体交渉を拒むことは、不当労働行為になります。
  80. 館俊三

    ○館委員 どういう事由であるか私わかりませんが、その理由は、従業員代表なら会うが組合代表なら会わぬという表現の上に立つてお答えを願いたい。——この問題について、言つているのじやない。
  81. 中西実

    中西政府委員 先ほど言いましたように、正当な事由がなくして拒めば不当労働行為になります。
  82. 館俊三

    ○館委員 従業員代表なら会うが、労組代表には会わぬということは、正当な事由がなくしてそう言つているのだからいけないとおつしやつておるのだと認定してよろしいのですか。
  83. 中西実

    中西政府委員 さように申しておるのではありません。それが正当か正当でなかつたか、事実を調べませんとわからない……。
  84. 館俊三

    ○館委員 そういう押問答をしても始まらないが、労働省の建前としては、従業員代表なら会うが、組合代表なら会わないというのは、正当ならざる拒絶の仕方もあると解釈するのが正当だと私は思つておる。組合委員長の山内一道という人なんですが、労働三法はもちろん自分たちに適用されるのであつて、われわれは法的権利を持つておるのであるといつて主張しておるのであります。ところが、そういう事態になつてつて、その後三日目組合の副委員長を首切つておる。坂本副委員長を首にしておる。首切つたのは人事課長のチー・シー・ワンというおそらく台湾系の人だろうと思いますが、組合は首切りの撤回をして賃上げの要求をしておるのであります。二十八日にストライキをやることに決定をしておつた。二十九日以後はそういう形で団体交渉をやろうとしておるけれどもできない状態になつておる。これでもなおかつそういう種類の労働者諸君に対する労働三法が徹底して行われておるとお考えになつているかどうか。しかもおかしなことには、基準監督署なり労政事務所などはその任務を果しておらない。見て見ぬふりをしておる、そういう事実が上つて来ておるのであります。組合としてはこの七月一日に都労委に不当労働行為として提訴をする。こういう場合に裁判所に対してもおそらく身分保全の仮処分をやるでありましようが、この労働者がきのう三十日に労働省をたずねておる。労政局なり基準局係官に面会して事情を訴えたけれども、言うことがどうもおかしい。訴えたところが、どうも植民地みたいな事情になつているからというような答えで、はつきりした態度を示してくれない、指示してくれない、こういうことを言つておるのでありますが、この事実があつたかどうか。
  85. 赤松勇

    赤松委員長 館君どうでございましようか、今の事柄は非常に重大でございますから、至急労働省の方で不当労働行為があつたかどうかということを調査させて、本委員会報告してもらうようにしたらどうでございましようか。
  86. 館俊三

    ○館委員 それも実に必要なんでありますが、労働省を訪問して事情を訴えておるのに取合わないということを言つておるのでありますから、この点についてどういうことであつたか、御返事を願いたい。
  87. 和田勝美

    和田説明員 実は私が直接会つてその申告を受けたわけでは、ございません。私の方は課員が会いまして、その事情を聞いたわけでございますが、私の信頼する課員がそういうことを言つたということを、私は承知しておりません。課員がただちにこういう事情だから、課長、どういたしますかということを、私に聞きに参りましたので、それはただちに所管監督署に連絡をして、違反の事実があるかどうかをただちに監督するように、こういうように、私の方からは言つてございますので、そういう事実はまずないものと存じております。
  88. 館俊三

    ○館委員 労働省でもお調べになつていただきたいのでありますが、こういう事実がどしどし方々に起きておるので、ここにおいて熊本君なんかの質問が出て来るのであろうと私は思う。この基地内における労働者状態というものは、労働三法なんかは常に踏みにじられておる。日鋼におきましても、こういうところにおきましても、労働組合運動そのものが非常な抑圧をこうむつておる。二、三人集まつてお昼休みの時間に話をしましても、すぐ目をつけられる。たとえば、つりの話をしても、碁将棋の話をしても、これが何かの組合運動のごとく弾圧されているという事実が方々にあるのであります。こういうことで日本の労働者立場というものは非常に困難な形になつている。この問題については私の方でも十分に調べて後日質問いたしたいと思いますが、労働省自体として、急速を要する問題でありますから、調べられてこの委員会報告していただきたいと私は思う。
  89. 赤松勇

    赤松委員長 労働省の方はよろしゆうございますか。
  90. 中西実

    中西政府委員 よろしゆうございます。
  91. 赤松勇

    赤松委員長 ではさようとりはからいます。
  92. 山花秀雄

    山花委員 熊本君の質疑に関連して一応質疑は終つたのでありますが、ただいま館君の方から立川基地内における中国民間航空会社の質問がありましたから、関連して一言労働省の見解をただしたいのであります。  これは基地の中にある一つの民間航空会社であります。ところがこの民間航空会社は、基地の中に存在しておるという理由のもとに、労働者との関係における国内労働法を蹂躙しておるということであります。そこで労働省の見解といたしましては、基地における労働条件というものは、基地以外の人の手になる一つの私企業の会社においても、こういう事態があつていいかどうかという点について、ひとつ労働省の見解をお述べ願いたいのであります。
  93. 中西実

    中西政府委員 具体的な内容によりまして判断したいと思いますけれども、原則論を申しますれば、基地内の問題は、第三条による管理権との調整がございますけれども、国内法的には同じでなければならないというふうに考えております。
  94. 山花秀雄

    山花委員 ちよつと今の答弁は、あるいはぼくの聞き違いかどうかわかりませんが、基地内における民間会社である限りにおいては国内法を適用すべきである、こういうような御答弁でしたか、そうでなかつたでしようか。
  95. 中西実

    中西政府委員 私の申しましたのは、基地内にある工場の条件と基地外  の工場の条件が違つていいかという御質問だと思いまして、それは基地内におきましては、三条の管理権との調整がございますが、原則論を言いますれば、基地内の工場の労働条件も、外の工場の労働条件も同じでなければならぬというふうに申し上げたのであります。
  96. 山花秀雄

    山花委員 ぼくの質問の仕方がまずかつたから、あるいは十分御理解が行かなかつたのではなかろうかと思うので、もう一回はつきり質問したいと思います。これは立川の基地にある中国人経営による民間航空会社であります。従業員を大体百二十名ほど使用しておる会社であります。仕事はもつぱら米軍の請負仕事をしておる会社であります。そしてこの会社は羽田にも発着地を持つておる、俗にいう民間航空会社であります。そしてこの民間航空会社に雇われておる労働者の労働条件は、私どもの見解からすれば、米軍の基地内にあつても、当然国内法が適用さるべきであると思いますが、労働省はこれに対してどうお考えになりますか。
  97. 中西実

    中西政府委員 国内の労働法が適用になつていいものと考えます。
  98. 山花秀雄

    山花委員 そこで、今館岩がいろいろ質疑をいたしましたように、中国民間航空会社の経営者の言い分は、行政協定第三条の米軍の基地内という理由のもとに、国内法の一片だけに適用していないというのが事実で、そのことを多分労働省に訴えに行つたのではないか、私はそう推察するのであります。労働省の見解によりますと、当然これは国内法の適用ということになると私は思います。私はそれは当然だと思うのです。そこでそういう御相談がありました節には、ひとつ親切に指導していただきたい。  もう一つ、つけ加えてこの際申し上げておきたい。これはもつぱらのうわさです。うわさをこのような会議の席上で申し上げるのは、はなはだ恐縮ですが、この飛行機は当然羽田に着いて、税関の検査を経てから立川の基地に入らなければならぬ性質のものでございます。ところが羽田の基地に着かずに米軍基地内に入ることによつて、税関の検査を受けることを免除されておる。ここに密輸の疑いがあるということがもつぱら流布されておるのであります。そういう種類のところは、ほかにもあるかもしれませんが、政府当局におきましては十分この問題に関して調査をしていただきたい。
  99. 熊本虎三

    熊本委員 次に、私の質問いたしたいことは、一般労働行政、特に失業対策についてお尋ねをいたしたいと存じますが、その前に特に緊急迫つた問題がございますので、この問題について御質問を申し上げたいと存じます。それは関係当局には幾たびか陳情、要請等が参つておるはずでありますが、現在の安定所の日雇い労務者の問題でございます。この問題は、五箇条の条文をあげまして、現在の労働省を通じてきわめて熱烈なる要望をいたしておるはずでありますが、この問題の処置についてどういうふうに扱われておるかを伺いたいと存じます。
  100. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 はなはだ恐縮でございますが、ただいまの五大要求について、熊本先生の方からその内容を申し上げていただきたいと思います。
  101. 熊本虎三

    熊本委員 まず第一は賃金の値上げ、第二は夏季手当について、第三は日雇い労務者の健康保険に関しての改訂方、それから第四は就労日数の増加であります。第五は日雇い労務者の失業保険を改正してもらいたいという、かような五つの条件をまとめて熱烈な要望をしておるはずであります。これを私にお聞きになるのはいささかどうかと思うのでありますが、お尋ねによつて私から答弁いたします。
  102. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 間違つて答弁いたしますと、はなはだ恐縮でございますので、念のためにお伺いいたしたのでございます。  第一に賃金の値上げの点でございますが、これは御承知のように、緊急失業対策法によりまして、失対事業に就労をしておる労務者賃金は、民間の同種の仕事に従事している労務者賃金を基準として定めるということになつておるのでございます。具体的に申しますと、基準局の方で実施しております一般職種別賃金、PWといつておりますが、このPWを基準といたしまして、それより一割程度低く定めるというのが建前でございます。従いまして、失対事業の賃金を引上げる場合には、当然その前提といたしましてその基準となつておるPWの改訂が必要となつて来るわけでございます。それでそのPWに関しましては、労働基準局におきまして去る五月に全国の調査をいたしたので、ございまして、目下これが集計中でございます。おそらく七月の中旬、ころまでにはこの結果が判明すると思います。従いまして私どもといたしましては、その集計結果の判明を待ちまして、その結果を見て、必要があれば必要な措置を講じて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  第三点の夏季手当につきましては、これは先生も御承知かと思いますが、昨年の暮れの越冬対策といたしまして、失対事業の労務者に対しましては、初めての措置といたしまして三日間の賃金増給の措置を講じたのでございます。昨年の夏季の対策といたしましては、もちろんそういつたよう対策を講じておりません。大体一日ないし二日程度の就労日数の増加という措置で対処して参つたのでございますが、昨年の暮れの越冬対策の例もございますので、今度の夏季対策といたしましても、昨年の例に準じまして、二日分に相当する賃金増給ないし就労日数の増加の措置を講ずることと決定いたしまして、すでにこれは全国に指示してございます。  それから三番目の日雇い労務者健康保険制度改訂の問題でございますが、これは御承知のように、厚生省の所管でございます。かねてこの問題につきましても、組合等から種々陳情等がございましたので、厚生省の当局におきましても慎重にいろいろな点を検討したようでございますが、財政当局との話合いによりまして、前国会に提出しましたと同一内容の法案を今国会に提出することにきまりましてすでに提出済みでございます。  それから四番目の就労日数の増加の問題につきましては、これも御承知のように、昨年度におきましては全国平均月間就労日数の二十日という線で予算を編成し、実施して参つたのでございますが、日雇い労働者の生活の実態にかんがみまして、少しでも就労日数の増加をはかりたいということで、大蔵省当局とも折衝いたしました結果、本年度からは就労日数一日を増加いたしまして、全国平均月間就労二十一日を確保する建前で予算を編成し、現在審議を願つておる次第でございます。なお七月は暫定予算でございましたけれども、日雇い労働者の生活が困窮しておりますので、特にこれは大蔵省にも御了解を願いまして、七月の暫定予算から二十一日の就労日数の確保をはかる、こういうことで、すでにこれも指示済みでございます。  最後に、失業保険の待機の期間短縮ないし撤廃の問題でございますが、これは法律の規定によりまして、保険経済を基本といたしまして、この保険経済が好転した場合は待機日数を短縮する、悪化しました場合には逆に待機日数をふやさなければならないという失業保険法の規定がございます、それで現在の日雇い保険保険経済はどうなつておるかと申しますと、遺憾ながら非常に悪い状況でございまして、昨年二十七年度一年間を通じて六千五百万円の赤字を出しております。従いまして、こういつた保険経済の現状におきましては、遺憾ながら待機期間の短縮は非常に困難でございます。労働省といたしましては、でき得る限り保険料の枯渇を防止する、保険料の滞納を一掃する、こういつた点に力を注ぎまして、保険経済の健全化、赤字を出さないように努力をいたしまして、その結果保険経済の黒字になつて参りましたときにこの待機期間の短縮の問題を検討してみたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  103. 熊本虎三

    熊本委員 労働省立場からのお答えは、一応総括的にわかりました。そこでお尋ねいたしますが、現在平均二十一日の就労を目途として予算措置がなされておるということでございますが、それが全国必ずしも平均をしておりません。私は三年間も中央の失業対策委員をやつておりまして、いささか経験を持つておりますが、今日の全国における最大の就労平均と、それから最低の就労平均の数字をお知らせ願いたいと存じます。
  104. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 最大のところは月間二十四、五日になつております。最低のところは京都あたりが代表的な事例でございますが、京都が大体十七日から八日、大体そういつた状況かと存じます。
  105. 熊本虎三

    熊本委員 大体要請書の中にもあげてありますが、全国で就労日数最低は依然として京都のようであります。就労日数の最低の指数は、四、五年間京都が最悪であります。こういうような状態はどこから出て来るか、要するにいろいろその自治体自治体内の内容があろうかと思うのでありますが、しかしそういう事情があるということによつて、毎年々々同じような最低の劣悪条件の中に追い込められておる同じ労務者を、そのままの形で平然としていてよろしいかどうか、このことについて何か御検討になつたことがあるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  106. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、これは御承知のように、現在の失業対策事業は、府県なり市町村自治体に対する補助金の建前で実施しておるわけでございます。すなわち労力費におきまして三分の二の補助でございます。従いまして、これを実施する場合は、府県市町村におきまして残りの三分の一、資材費につきましては二分の一の義務負担額を持たなければならないという建前になつておるわけでございます。京都の事例のごときは、非常に失業者の数が多うございまして、これを実施して就労の日数をふやして参りますと、これに伴つて県なり府なり市の財政負担が非常に過重になつて来る。こういう観点から、就労日数二十日を確保するということが非常に困難な状態に置かれておるわけでございます。労働省といたしましては、なるべくそういつたでこぼこをなくして、全国大体歩調のとれた態勢に持つて参りたいというふうに考えて努力をしておるわけでございますが、いかにせん自治体の財政負担能力との兼ね合いがございますので、思うようにならぬ点はまことに遺憾に存じておる次第でございます。
  107. 熊本虎三

    熊本委員 そこで京都のように、何年でも十五日ないしはせいぜい十七日というように、まことに就労日数の低いところについての対策としては、先ほど運営、経理についての話がありまして、それは私も存じておりますが、従つてそれをそのまま放置せず考究する必要があると私は考える。しかし、そのことはその係において十分適切なる方法を御勘案願うといたしまして、次に移りたいと思いますが、かりにそういう京都のようなところは別といたしましても、平均二十日の就労があつたと仮定して、一体登録労働者の一箇月の月収は幾らになりますか、お示しを願いたいと思います。
  108. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 大体全国の最近の就労は、平均いたしまして二十一日を若干下まわつておる程度でございます。それで現在の賃金の全国平均は二百五十円でございます。従いましてこれの二十倍で五千円、それに日雇い失業保険の給付を受けますので、大体全国平均で六千円とちよつとというところじやないかというふうに考えております。
  109. 熊本虎三

    熊本委員 登録労働者の全国平均家族数は三・九となつておると思うのでありますが、これを今度は逆に、いわゆる生活保護法をもつて三・九の家族に与えられる救護費は幾らになりますか、お示しを願いたいと存じます。
  110. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 この点は、生活保護法の場合は、その都市、それからその受ける対象によりまして非常に区区でございます。今私の手元に正確な数字がございませんけれども、一応概算的に申し上げますと、全国平均にいたしまして大体六千円程度じやないかと思われます。これは正確な数字ではございませんので、間違いがありましたならば、その点は御了承を願いたいと思います。
  111. 熊本虎三

    熊本委員 私の手元に来ております資料、これも必ずしも間違いがないとはいえませんが、よくその数字を調べまして、私の今日までの調査によれば、間違わざるものと確信を持つておる数字であります。先ほど言いましたように、生活保護者としての扶助を同じ家族数によつて受けますならば、それは現在六千三百六十六円という数字を示しておる。ところが現在の登録労務者が受けます一切の二十日間の収入は五千四百八十円という数字になる。そういたしますと、同じ家族数によつてまるまる国家が援護いたしますところの家族よりか、働いていながらにして約一千円の減額であるというこの事実は、数字が明確でないとは言われますけれども、先ほどの御答弁の中にもありましたように、大体の目安は御了承願えると思う。こう考えて参りまして、この数字に間違いがないといたしますならば、賃金改訂については、基本となるべき要素がいろいろあるのでありますから、目下調査中であるとのことではございますけれども、それは登録労務者のごとくに就労に制限のない収入者の給与である。こちらの方は、先ほどから言われるような条件下において就労日数に制限がある。特に京都の、ごときことを考えますならば、被保護者と労務者との関係においては、優に二千円からの差額があると考えるのでありまして、かような実情の中において、いかに失業対策といえども、はたしてこれらの諸君が生活できるかどうか。これは常識の判断をもつていたしましても、そこに大なる矛盾があり、これの改訂の必要が認められると思うのでありますが、政府当局の考え方を承つておきたいと存じます。
  112. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 ただいまの数字につきましては、熊本委員御自身も正確な点は保証せられておらないようでございますが、かりにその数字が正確と仮定いたしましても、生活保護法の場合と失業対策事業の場合とは、その建前を異にしておるわけでございます。言うまでもなく、生活保護法の場合は、労働能力のない生活困窮者に対しましてその最低生活を保障するという建前に立ちまして、その家族の構成員、あるいは住宅がないとか、あるいは学校に行つている子供があるとかいうような条件で、非常に違つた内容になつて来るわけであります。これに反しまして、失業対策事業の場合は、あくまでも賃金という建前をとりまして、民間の同種の職業の賃金と均衡をとりまして、そうして実際に労働したその反対給付として賃金を定める、こういう建前をとつております。従いまして、その家族構成員がどうであるかというようなことには、もちろん関係なく定められておりますので、これを同じ平面に並べまして比較するということは、必ずしも当を得たものではないのではないかというふうにも考えているわけでございます。それから次に生活保護法の場合におきましては、一応の保護法による標準扶助額というものが定められているわけであります。熊本委員の今申されました数字は、三・何人かの家族を持ちました場合の標準扶助額が六千円なら六千円ということでございますけれども、これを実際に支給されます場合、どの程度支給を受けているかということを調べてみますと、これも正確な数字を手元に持つておりませんけれども、この前の厚生省との話合い、照会の結果は、大体全国平均におきまして四割程度の減額をされて支給されているのが実情でございます。従いまして、実際のこの保護対象となつている家族の受ける生活扶助額は、標準扶助額よりも相当下まわつているということが事実でございます。それから、他方失対事業の方におきましては、全国平均一応六千円というこの賃金は、そのほかに減額されることはないわけでございます。またその家族が家で内職をするとか、あるいはよそへ行つて手伝いをするとかいつたような収入のあります場合は、これは逆にその六千円にプラスになつてつておるわけであります。現に昨年の十一月、六大都市につきまして、労働省で日雇い労働者についてその収入状態調査した結果によりますと、東京都の場合は、一世帯の百平均収入が一万一千六十三円となつておるわけであります。従いまして、これを見ましても、大体失業対策事業労務者の場合は、失対事業で賃金として、あるいは日雇い失業保険保険金としてもらつています収入のほか、実質上の世帯収入が相当あるということが、実情調査の上に現われておりますので、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。
  113. 熊本虎三

    熊本委員 先ほどのお答えの中に、援護法を、受ける者と、それから失業対策事業として行われる登録労務者との関係について御説明がございました。現在の措置法としてそういうことになつておることは、私も心得ておるのでありますが、その現在行われておるところの慣行なりあるいはその処置が、やはり——よく政府社会通念ということを言われますが、この社会通念上からいつても、単に保護だけを受ける者より、働いている者の方が、逆に千円から千五百円というような収入減があるというこの事実をわれわれは十分に勘案して、そうしてこれに対するところの給与及び就労日数の点につきましては、当然考えられなければならない。給与面において、もし言うがごとくにして、対照すべき指数とこの賃金指数との上に多くの食い違いがないといたしまして、その面からは上げる余地がないといたしましても、就労日数をふやすということは当然でなくてはならない。従つて、現在の慣行や現実を私は論じておるのではなくて、事実の問題について、現実の措置方法を私は論じておるのではなくて、現在の社会常識に基いて、われわれは改訂さるべきであると信じて、その御意思があるかないか、努力されるかされざるかをお尋ねいたしておるのであつて、この問題につきましては、非常に予算措置との関連において重大でありますから、労働大臣から特に御答弁を願つておきたいと存じます。
  114. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。失対事業費の総体の予算に関しましては、私もできるだけ努力をいたしまして、予算総額におきましても、十七億円の増額をいたしたのでございます。ただいま失対課長からも御説明いたしましたように、就労日数におきましても、あるいはまた一日の稼働人数にいたしましても、そのわく内でふやして来ております。なお詳細に申し上げますと、前予算におきましては十五万五千人ばかりであつたのが、今回の予算におきましては、十六万八千人程度になり、就労日数も一日増加した次第でございます。  なお、これについてどう考えるかということでございますが、今後の問題といたしましては、先ほども失対課長からお答えいたしましたように、PWの調査をいたしております。これは五月末に終りまして、現在集計をいたしておりまして、出て参りますのは大体七月半ばになるかと思いますが、その調査の完了を待つて適当なる処置をとりたい、こう考えております。
  115. 井堀繁雄

    ○井堀委員 ちよつと一箇所だけ伺つておきたいと思いますが、今課長さんの御答弁の中で、日雇い労務者の給与の基準について、一応賃金の形式を主張されております。労務の対価として、反対給付として支払うという考え方を主張されておるようでありますが、そうだといたしますと、現在の失対の賃金の問題につきましては、よほど大きな問題が生れて来ると思うのであります。でありますから、明らかにいたしておきたい。先ほど、例に東京都の場合をとつたのでありますが、一世帯の労務収入をあげることは、こういう場合適当でないと思う。ことに最近の日雇い労務の形態が、だんだんずれて来ておる。こういうものをどういうぐあいに理解しておるかを、この機会に明らかにしたいと思う。私ども承知しております範囲では、相当長期にわたる日雇い労働が増加しております。でありますから、一方においては、職業紹介の実があがつていないということにもなると思うのでありますが、他方には、ことに私どもの警戒を要すべきことは、民間に対するこれとの労務の配置が、一般の労働雇用よりは非常に簡易である、雇い主の負担がきわめて軽微である。他の一つには、給与が民間の雇用よりははるかに低いということから、これらの労務を要求しつつある現状は、非常に顕著なものになつていると思う。こういうものに対する御調査がありますならば、この機会に明らかにしてもらいたい。  それから直轄事業にいたしましても、私どもの知る範囲におきましては、土木関係におきましては、相当熟練度を積んで来ておる。少しかげんをすれば、りつぱな熟練労働として採用できる。たとえば年齢やその他の関係で制約をされておるけれども、労働の質については十分に見合うようなものが生れて来ておる。そういうものに対する労務の対価としてもし労働者要求した場合に、今のようなお答えであるとするならば、給与については段階をつける必要が生れて来ると思うのです。こういう点に対して、従来政府は、失対事業というものは、労務の対価というよりは、失業救済を主として答弁されておるようでありますが、この点の食い違いをどういうふうにわれわれは判断して参るか、きわめて重大な点だと思いますから、係の方と大臣の御答弁を明らかにしておいていただきたいと思います。
  116. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 失対事業に就労している労務者が長期にわたつて増加しつつあるという現状は、遺憾ながら事実でございます。できるだけこれを失対事業に固定化することを防ぎまして、できるだけ一人でも多く民間の方にあつせんしたいということで、極力努力はしておるわけでございますが、遺憾ながら全般的に日本の雇用量がはかばかしく伸びて行かないという事情に制約されまして、現在のような状況になつておることは、はなはだ遺憾であります。  それから、第一問の方の御質問の趣意がよくわかりかねたのでございますが、私のお聞きしましたところでは、失対事業の賃金が低い。それでこれを雇う雇い主の負担が軽微であるために、これに対する要求が非常に多いのではないかというような御質問の趣意かとお聞きしたのでございますが、その点は、失対事業の労務者は、失対事業のみに固定させておくわけではございませんので、先ほども申し上げましたように、あくまでも民間なり公共事業に優先的に紹介する、こういう建前をとつておるわけでございます。そうして民間なり公共事業に就労しました場合は、当然その民間賃金、それから公共事業なら公共事業の賃金をもらつて来るわけでございます。そうしてそういつた民間なり公共事業の就労の機会がなかつた場合に、この失業対策事業で救済をする。その場合は、ただいま申しましたように、緊急失業対策法に定められておりますように、民間の場合よりも約一割程度低く定める賃金で働く、こういう仕組みになつておるわけでございます。  第二の、最初は救済事業であつて、最近になつて貸金という考え方をいたして来たのではないかという御質問でございますが、この点は緊急失業対策法にはつきり賃金という名前で規定されておるわけでございますので、性格はもちろん国の救済事業だろうと思いますけれども、その収入は当然賃金という考え方で初めから法が定められておるわけでございます。ただ四年以上、五年になんなんとしておるわけでございますが、実施して来ております過程におきまして、当初は比較的軽易な、焼け跡の整理であるとか草むしりであるとかというような軽易な作業をやつておりましたけれども、二年前から、資材費も入りました。本年度になりますと、さらにこの資材費も増額されました関係上、仕事の内容がだんだんと本格的な建設的な内容になつて来ておることは事実でございます。従いまして、それとあわせて労務者が長期にわたつて働いておるという事実もありまして、その働いている労務者の熟練度なり仕事の内容が相当かわつて来ております。こういう実情に対処いたしますために、労働省といたしましては、一昨年の半ば、ごろから賃金に段階を設けまして、段階別賃金制を実施して参つて来ておるわけでございます。
  117. 井堀繁雄

    ○井堀委員 たいへん明らかになつてつたと思うのでありますが、第一に今明らかにされました民間に対するあつせんの場合であります。日雇い労働者の形のままであつせんしていることを私は伺つたのであります。それが職業紹介の正規のルートを通じてそれぞれ固定した就職へ移動している場合には、あなたのおつしやられた通りであります。ところがカードの状態のままで民間に相当放出しているという事実を私は指摘しておるのであります。でありますから、もしあなたがおつしやられるように、民間に行く場合には、民間の給与と均衡したものを支払う、とつてあげるという建前であるとするならば、現在民間にカードの労務者を放出していることは誤りであります。でありますから、それが労働省の考え方だとするならば、地方における日雇い労働者民間にカードのままで放出していることは、これは間違いだと考えてよろしゆうごさいましようか。  いま一つは、第二に言われました労働の質に対して見合う賃金に切りかえるために、段階を設けたとおつしやられました。その段階は、私から見ますと、はなはだしい相違を調整する程度であつて、決して賃金の本質の上に立つての段階だとは理解できないのでありますが、ただいまの答弁によりますればそうだということであります。そこで労働大臣お尋ねいたしたいのであります。一方においては労務管理の立場から労働行政の見解が生れて、実際においては失業対策は一つの失業救済事業の形において、労働の質とは別に、多少でも労働に対する報酬の形態をとるというふうに、失業対策の方針とは非常にかわつて来ると思うのです。そうだとすると、先ほど熊本委員質問をいたしております核心に触れて来るのであります。実際、今政府委員の御答弁がありましたような実態になつておるということは、私もまつたく同一の見解をとつておるのでありますが、政府のおとりになつております失対事業についての予算措置というものは、まつたく時代に適応しない状態のものを押しつけておるということになるのでありますから、この点に対して労働大臣としては、この予算措置の中にどのような具体的な御意見なり御方針をお持ちになるかということを、この際明らかにされなければならぬと思いますので、この点に対する所信をできるだけ具体的に伺いたいと思うのであります。
  118. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お答えを申し上げます。本来緊急対策事業というものは、場就労の機会を職安活動によつてあつせんしまして、一般の私企業なり公共事業なりへのあつせんがなおできないという谷間を、応急的に埋めるという趣旨でございますが、これが漸次失業の恒久化ということを見て、御指摘のような問題があるいは生れて来るのではないか。この点については、私も認めるにやぶさかではないのであります。ただカードのままで一般の私企業に放出しておるというお話でございましたが、これはやはり一般の私企業の側においての仕事が、一時的なものであるというような場合もあるのではないかと思うのであります。ただ緊急対策事業の対象が、やや恒久化して、小型の公共事業化しておるという現状につきましては、ある程度この事実を認めねばならぬと思つておりますけれども、これに対しましては、私どもとしては、これを本来の形とは考えておりませんで、冒頭に申し上げましたように、公共事業なり一般私企業なりの吸収し得ざる谷間を埋めて行くものである。こういう谷間はできるだけ短かい狭いものにしたいという趣旨でやつておるということを申し上げる次第でございます。それが現実に長期化して、谷間が非常に広くなつておるために、これが焦げついておるという形であることは認めざるを得ません。これはただ単に労働政策だけで解決し得る問題ではないのであります。他の一般経済政策と非常に関連を持つものでございまして、私は国務大臣立場において、経済相その他に進言等もいたしておるようなわけでございますが、そのようにいたしたいと考えております。
  119. 井堀繁雄

    ○井堀委員 たいへん明確になつたと思うのでありますが、この機会に一言触れておきたいと思いますことは、この失対関係というものは、今後非常に大きな社会的役割を正面に浴びて出て来る問題ではないかと思うのであります。今のところは、当面しております日雇い労務者の待遇問題を質問しておるのでございますが、今労働大臣指摘されましたように、実質においては日雇い労働が定着しつつあることは、認めざるを得なくなると思うのであります。にもかかわらず、政府は依然として単なる失対の目標のために予算を組んで行くということは、事実の上に非常な食い違いを生じておる。そんな無理を承知の上で予算を組むとすれば、その予算は間違つておるのでありますから、その点の修正をいたさなければならぬことは当然だと思うのであります。その点に対して私は労働大臣の強い政治力が期待されて来ると思うのでありますが、このことをこういう機会に明らかにしてほしいというのが質問趣旨であります。  さらに私どもの心配いたしますことは、ここがいろいろな形において労働問題のたまりになつて来ておる。たびたび日雇い労務者が、社会的ないろいろな心配の種になつておりまする、たとえば治安のくずれて来る一角を受持つような、いわば噴火口になる。社会のいろいろなものがそこに寄り集まつて来る。たとえば政府がパージというような労働政策を行うと、まずあそこへ流れ込んで来るということが一応考えられる。これをはばむものはないわけであります。こういう点から考えても、ここには問題がある。それからここへ集まつておる労務者実情をわれわれが見まするのに、いわば世の落伍者が多いわけです。その労務者は、生活力の上では落伍しておりますけれども、必ずしも知力の上においてきわめて劣性なものが集まつておるということはできません。こういうような関係からしまして、この問題をただ単に失業対策の一時的な方便として一番最初考えた意図とは、時代の推移によつて非常に質が異なつて来ておるということを、ぜひひとつはつきりさせる必要がある。このことなしに、のんべんとして従来のものを繰返しておるということであつてはならないと思う。特に今大きな問題になつております特需の切りかえの問題にいたしましても、軍需産業を平和産業に切りかえようとする問題にいたしましても、あるいは企業の合理化というようなものが、どういう形で出て来るかは、われわれの見解と政府の主張とは違つて来ると思いますが、労務者の整理というような形で出て来るとすれば、そこでそれを受けて立つということになると、この問題が表に出て来ざるを得ないと思うのであります。でありますから、一方において自由主義経済を主張する政府が、その線に沿うて企業の整備をやろうとすれば、それを受けて立つ労働行政というものが、失業対策の中に具体的に盛られておらなければ、行政整理であるとか、あるいは労働者の出血による企業の合理化というようなことは、責任ある政治としては許されぬことだと思う。でありますから、私は一方において、すでに政府産業政策が明らかにされて来た以上、あるいはいろいろな社会情勢から、どうしても一方において特殊産業の切りかえが要求されて来ざるを得ないのでありますから、そういう出血は労働者の犠牲において行わないということを言う以上においては、労働政策の中に、こういういわゆる具体的な実際問題世の中にはつきりしたものを打出して来なければ、われわれはそういう主張をへんぱなものとしてしか受取れない。私は必ずしも保守政策を否定するものではない。保守政策であつても——保守政策であればあるほど、労働政策というものはこういうものについて具体性がなければならぬ。そういう意味で、大臣答弁としては不満足である。不満足というよりは、恐るべき労働行政であるとすら懸念するのでありますから、そこら辺を十分のみ込んでいただいて、ひとつできるだけ具体的に——これはやりたくてもやれぬ場合もあるでしよう。しかしやりたいくらいのことははつきりさせる必要があると思う。あなたの方の事務官僚は、明らかに質の変化を説明せられておるのでありますかり、労働大臣もその上に立つて国務大臣としての責任をここに明らかにされることを希望しておきます。なおはつきりさせていただける機会がまだあると思いますので、これで終わります。
  120. 山花秀雄

    山花委員 熊本委員と井堀委員の質問に対して、ちよつと気づいた点で関連質問をしたいと思います。先ほど、賃金の段階制を考えるような事態に立ち至つたと言われた。そこでただいま現実に賃金の段階を設けておるのでありますが、この種の賃金は全国平均二百五十円と聞いておるのであります。その二百五十円のわくの中で段階制を設けるということになりますと、幾らかでも多くなつた方は一応多くなるのでございますから、これはいいといたしまして、この枠の中で少なくなつた方は、私は非常にお気の毒だと考えます。先ほど賃金価上げの問題は、公務員の人事院勧告あるいは全国の物価水準、その他そういう統計が出て来てから考慮さるべき問題だというふうな御答弁があつたと思うのですが、賃金の段階制を設けるならば、その上つた分一だけはこのわくからはみ出なければならぬと思うのですが、貸金の値上げに円というのは、全国の標準の賃金でございます。たとえば東京都の場合を例にとりますと、東京都に対する標準の補助対象額としましては、三百円ということになつております。それでこの三百円を中心にいたしまして、その上に最高がが三百三十円、それからその下位のものが二百七十円、こういつた最上と一番下をきめまして三百円を中心として五段階にわけて実施しておるというのが実情でございます。それで予算といたしましては全国平均二百五十円ということで予算を組んでありますので、今度もしもPWの調査の結果その他によりまして、かりに一割の賃金引上げを実施するということになりますと、その標準賃金の二百五十円を基礎といたしましてその一割を値上げする、こういうことになるわけでございまして、その値上りしました一割の額が、たとえば東京都の場合で申しますと、五段階別にそれぞれ一割程度の引上げ、こういうことになるわけでございます。
  121. 山花秀雄

    山花委員 私の聞いておりますのは、ただいま失対課長が御答になつたことはもう百も承知でございます。段階制を設けたときた、段階制に適応する賃金の増加をはかるべきが至当ではないかという点なのでありますが、それが行われていないままに今日に来ておる。そこで人事院の勧告あるいは全国の物価指数が集計されて、かりに一割上るのが妥当だとしたときに、段階制の分をも含めて上げなければ、これらの労働者は、少くなつたところは大なる被害をこうむるではないか。この点について労働省はどうお考えになつしおるか。
  122. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 段階制を実施いたしましたのは二年前でございますが、その場合も標準の賃金二額で予算をとつて、また流しておつたわけでございますから、たとえばわかりやすい例をとりますと、二百五十円に対して百名分の予算がある。その総わくの範囲内で段階をきめる、こういうやり方にいたしたのでございますので、その段階制を設けたために予算が必要になるということはなかつたのではないかというふうに考えております。
  123. 山花秀雄

    山花委員 段階制を設けたために予算の必要がないという御答弁でございましたが、私はこの段階制を設けたために少くなつた分が非常にお気の毒ではないか、こう考えるのであります。従つて段階制を設けたときに幾らか予算を増さなければ、正確な従来通りの賃金体系が出て来ない。コツプの中の一合の水を一合一勺にして、その二勺を段階制にまわすというならわかるけれども、一合の水でそれで段階制を設けるということになると、結局少くなつて犠牲になる面が出て来るのではないか。そういう措置労働省はとつてなかつたように考えるが、将来埋め合せるために、今度の賃金値上げのときに、単なる人事院の勧告、あるいは物価指数の集計と別にそういう点を考慮されるかどうかという、点であります。これは渋谷さんの方では答えにくいと思いますので、労働大臣からひとつ明確に御答弁願いたい。
  124. 齋藤邦吉

    齋藤説明員 事務的なことでありますから——二年前に応能性賃金を採用いたしましたときのいきさつを詳細申し上げますと、これはこういう結論になつております。御承知のように失対事業の賃金一般賃金より一割少いもの、こういうことでございます。そこで、たとえば東京で例を引きますと、重作業、軽作業とわけまして、重作業がかりにその当時三百三十円であるということになりますと、これを三百円にしたわけであります。軽作業民間で二百八十円、それで二百何十円にした。こういうことにいたしまして、それの平均をとりましたのが先ほど来申し上げております東京の平均賃金三百円、こういうふうにいたしたわけでございます。すなわち具体的に重作業、軽作業にはめまして、そうして平均を出したのが三百円、こういうやり方にいたしてございます。従つてお尋ねのように、そのときに貸金のわくとして多少ふえたかもしれませんけれども、私どもの方といたしましては、そのわくのことはあまり計算に入れませんで、民間の重作業について失対の重作業は幾ら、軽作業について失対の軽作業は幾ら、こういうことでその平均を出したのが三百円、こういうやり方をいたしたわけでございます。コツプのわくが、あるいは多少ふえたかもわかりませんけれども、気持といたしましては重作業、軽作業というやり方で行つたわけでございます。
  125. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの御答弁によりますと、そのときには幾らかコツプのわくがふえたかもわからぬというきわめてあいまいしごくな御答弁でございました。幾らかわくがふえたかもわからぬということは、その賃金だけの面でそういう段階制を設けたことの不合理を、私は労働省においてお認めになつておると解釈するのでございます。そこでこの問題は私はもう質問いたしませんが、今度の賃金改訂のときには、この点を十分考慮に入れてお考えを願いたいという希望を申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、先ほど熊本委員からも質問がございましたように、夏季手当の点でございますが、これに対するものの考え方をひとつ労働省としてはお考えを願いたいと思います。もちろんただいまの御答弁は、去年はなかつたが、暮れの例によつて本年度は二日分出たんだ、こういう御答弁でございました。ところが、登録労働者の生活あるいは仕事の関係は、これは失対課長さんは十分御承知だろうと思いますが、暮れより夏季手当の方が比重が非常に大きいのです。それは第一につゆの期間で、仕事をしない面が非常に多くなる。それから暮れの場合には、一般民間においても非常に仕事の量が多くて、就労の機会が非常に多い。従つて一般の雇用におけるお正月の賞与と中元の賞与は、一般の場合には中元の賞与は少いですけれども、登録労働者の場合にはむしろ夏の方を少しよけいにしてもらわなければ、生活の補助ができないというのが登録労働者実情でございます。こういうような点をお考えになつておるかどうか。一般民間給与の形で、正月よりお盆の方が少くていい、そういう考え方で夏季手当の操作をなすつたかどうか、こういう点をひとつはつきりしていただきたいと思います。
  126. 澁谷直藏

    ○澁谷(直)政府委員 お答えいたします。手当というものの考え方はどうかという御質問つたと思いますが、これは御承知のように緊急失業対策法によりますと、あくまでも正常なる雇用機会のない場合に、暫定的な形として国が失業対策事業を興して、これに就労をさせる、こういう考え方でございますので、あくまでもその雇用の形式は毎日々々雇い入れの形をとるというのが法律上の建前でございます。従いまして、その建前で法律ができておりますので、これに対する一般の常勤公務員に対するような意味における手当というものは、理論上出て来ないわけでございます。それで、従来はそういつたものを出さないで運営して参つたのでございますが、他面におきましてだんだんと長期に固定化するという実態が現われて参りましたので、そういつた考え方で押し切るということも実情に沿わぬ点がございますし、昨年の暮れにおきまして衆議院の労働委員会の決議にもございましたので、賃金増給という形式によつて三日分の実質上の手当を出したわけでございます。従いまして今度の夏季手当につきましても、昨年の暮れと同じような考え方に立ちまして、実質上の夏季の手当というものを賃金増給という形で出して参りたいということで、考え方としてはそういう考え方でございます。  それから一般労働者の場合と日雇い労働者の場合は、暮れとお盆の関係が違う、こういうお話でございます。あるいはそういう点もあるかと思われますが、われわれといたしましては、大体日本の慣習と申しますか、一般の例にならいまして、暮れが三日でございましたので、お盆としましては二日ぐらいが適当じやないかということで決定をいたした次第でございます。
  127. 赤松勇

    赤松委員長 ちよつと委員の皆さんにお願いをいたしますが、先ほど各派の理事の諸君と御相談申し上げまして、本日は五時までということになつておりまして、時間は五分前でございますが、熊本虎三君からなお発言の要求がございますが……。
  128. 山花秀雄

    山花委員 了承しております。ただいま失対事業の性格についていろいろ御答弁がございました。私もその点は十分了承しておるのでございます。去年の暮れの三日分の手当も、これは法律というよりも運用の面で解決していただいたと思うのであります。従つてこれは夏の面もやはり運用の面で解決して行く性格のものだと私は考えておるのであります。そこで問題は、従来の日本の慣習に従つてという御答弁でございましたが、失対事業に働く登録労働者の場合には、なかなか従来の日本の慣習で律し切れないような特異な条件があるので、そういう特異な条件を、運用の面でひとつ有効にやつていただきたいという希望を申し上げておきたいと思います。  そこで、私はこれで質問を終りたいと思いますが、昨日、本委員会に対して私は、基本的な問題が残つているので労働大臣法務大臣並びに総理大臣の出席を御要求申し上げたのです。法務大臣の出席につきましては、委員長の方から先ほど御答弁が、ございました。私どもはこれを了承いたします。ところが総理大臣の出席については、委員長から何らの取扱いにつき御答弁がなかつたのであります。はなはだけしからぬと思うのであります。この際この委員会の終了に先だちまして、この取扱いに関して委員長はどういう処置をとられたかということを、はつきりしていただきたいと思うのであります。
  129. 赤松勇

    赤松委員長 実は本日の予算委員会は総理大臣出席のないために流会に終つたようでございます。総理大臣から急性気管支炎で四日間静養をさしてもらいたいと、診断書を添えて申出があつたようであります。そこで野党の諸君はただいま大磯の方へ出かけたようでございますが、なお委員長としましては、その間の事情はよくわかりませんので、その間の事情をよく調べまして、そして可及的すみやかに総理の出席をばお願いするようにとりはからいたいと思います。熊本虎三君。
  130. 熊本虎三

    熊本委員 時間が切れそうでございますから、きようは私ただけじめだけをつけておきたいと思います。非常に関連々々の質問がございましたので、私の質問がはかどりませんで、私この調子で参りますと、あと二時間ぐらいの質問をいたしたいと考えておるのでありまして、明日また劈頭から続けさせていただきたい、かように委員長にお願いをするわけであります。  先ほどから賃金でいろいろございまして思い出しましたので、特に政府にお考え置きを願いたいのでございます。先ほどからいろいろ論議されましたものと関連いたしまして、たとえば民間事業におきましても公立事業におきましても、特に公共事業は一つの制約があるわけでありますが、しかるにもかかわらず、安定所労務者使用に非常な忌避の態度が強いのであります。これは当局者はみずから御体験のことと存じます。何ゆえに、そういうふうに一つの条件を付されておるにもかかわらず、公共事業の中でこれを忌避するかというと、同じような仕事、ある場合においては安定所から参りました者が、普通の労働者より以上の技術を持ち、それから能力をあげるにもかかわらず、賃金面においては百円ないしはなはだしきは三百円からの開きがある。しからば、そういう実情の中において、これは人間である限りどんなにまじめに努力しようと考えても、やはりその後の実行の妨げられることはやむを得ないと考えます。そういうような関係からいたしまして、義務づけられた公益事業、特に四〇%はこれを使用すべしというようなことであつてすら、これを忌避するという実情は、まことにわれわれは残念だと考えます。従つて先ほどからPWの調査である、こういうふうに言われておりますが、比較対照となるべき調査の指数は、おおむね最低の数字が現われて来るはずであります。でありますから、賃金体系につきましては、これが賃金としての基礎の上に立つた算定の方法である限りは、やはりそういうことを勘案して労働大臣は十分なる御努力を願いたい。そして襲い来るであろうところの失業洪水の中に、これらの処置の態勢を立てていただきたい。私は明日一般労働行政と失業対策に関する総合的なものについて、質問いたしたいと考えておりますから、御答弁はそのときでもよろしゆうございます。  なお、私の質問五項目の問題について山花君が関連としてすでに二項目は入つてくれたようであります。しかし、あとの三項目につきましても、これは非常に緊急であり、重要でありますから、なお明日質問することを申し上げておきまして、きようはこれでやめたいと存じます。
  131. 赤松勇

    赤松委員長 山花、委員の総理大臣の出席の要求につきましては、委員長より官房長官にその旨の手続をとるよう手配をいたしました。  次会は明二日午後一時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三分散会