○井堀委員 たいへん明確にな
つたと思うのでありますが、この機会に一言触れておきたいと思いますことは、この失対
関係というものは、今後非常に大きな
社会的役割を正面に浴びて出て来る問題ではないかと思うのであります。今のところは、当面しております日雇い
労務者の待遇問題を
質問しておるのでございますが、今
労働大臣の
指摘されましたように、実質においては日雇い労働が定着しつつあることは、認めざるを得なくなると思うのであります。にもかかわらず、
政府は依然として単なる失対の目標のために予算を組んで行くということは、事実の上に非常な食い違いを生じておる。そんな無理を
承知の上で予算を組むとすれば、その予算は間違
つておるのでありますから、その点の修正をいたさなければならぬことは当然だと思うのであります。その点に対して私は
労働大臣の強い政治力が期待されて来ると思うのでありますが、このことをこういう機会に明らかにしてほしいというのが
質問の
趣旨であります。
さらに私
どもの心配いたしますことは、ここがいろいろな形において労働問題のたまりにな
つて来ておる。たびたび日雇い
労務者が、
社会的ないろいろな心配の種にな
つておりまする、たとえば治安のくずれて来る一角を受持つような、いわば噴火口になる。
社会のいろいろなものがそこに寄り集ま
つて来る。たとえば
政府がパージというような労働政策を行うと、まずあそこへ流れ込んで来るということが一応考えられる。これをはばむものはないわけであります。こういう点から考えても、ここには問題がある。それからここへ集ま
つておる
労務者の
実情をわれわれが見まするのに、いわば世の落伍者が多いわけです。その
労務者は、生活力の上では落伍しておりますけれ
ども、必ずしも知力の上においてきわめて劣性なものが集ま
つておるということはできません。こういうような
関係からしまして、この問題をただ単に失業
対策の一時的な方便として一番
最初考えた意図とは、時代の推移によ
つて非常に質が異な
つて来ておるということを、ぜひひ
とつはつきりさせる必要がある。このことなしに、のんべんとして従来のものを繰返しておるということであ
つてはならないと思う。特に今大きな問題にな
つております特需の切りかえの問題にいたしましても、軍需
産業を平和
産業に切りかえようとする問題にいたしましても、あるいは企業の合理化というようなものが、どういう形で出て来るかは、われわれの見解と
政府の主張とは違
つて来ると思いますが、
労務者の整理というような形で出て来るとすれば、そこでそれを受けて立つということになると、この問題が表に出て来ざるを得ないと思うのであります。でありますから、一方において自由主義経済を主張する
政府が、その線に沿うて企業の整備をやろうとすれば、それを受けて立つ
労働行政というものが、失業
対策の中に具体的に盛られておらなければ、行政整理であるとか、あるいは
労働者の出血による企業の合理化というようなことは、
責任ある政治としては許されぬことだと思う。でありますから、私は一方において、すでに
政府の
産業政策が明らかにされて来た以上、あるいはいろいろな
社会情勢から、どうしても一方において特殊
産業の切りかえが
要求されて来ざるを得ないのでありますから、そういう出血は
労働者の犠牲において行わないということを言う以上においては、労働政策の中に、こういういわゆる具体的な実際問題世の中にはつきりしたものを打出して来なければ、われわれはそういう主張をへんぱなものとしてしか受取れない。私は必ずしも保守政策を否定するものではない。保守政策であ
つても——保守政策であればあるほど、労働政策というものはこういうものについて具体性がなければならぬ。そういう
意味で、
大臣の
答弁としては不満足である。不満足というよりは、恐るべき
労働行政であるとすら懸念するのでありますから、そこら辺を十分のみ込んでいただいて、ひ
とつできるだけ具体的に——これはやりたくてもやれぬ場合もあるでしよう。しかしやりたいくらいのことははつきりさせる必要があると思う。あなたの方の事務官僚は、明らかに質の変化を
説明せられておるのでありますかり、
労働大臣もその上に立
つて、
国務大臣としての
責任をここに明らかにされることを希望しておきます。なおはつきりさせていただける機会がまだあると思いますので、これで終わります。