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1953-07-11 第16回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十八年七月九日(木曜日)委員 長の指名で次の通り選任された。    主査 葉梨新五郎君       小林 絹治君    西村 久之君       原 健三郎君    船越  弘君       八木 一郎君    小山倉之助君       河野 金昇君    八百板 正君       和田 博雄君    今澄  勇君       小平  忠君    河野 一郎君       黒田 寿男君     ————————————— 会 議 昭和二十八年七月十一日(土曜日)     午後二時三十分開議  出席分科員    主査 葉梨新五郎君       小林 絹治君    西村 久之君       原 健三郎君    船越  弘君       八木 一郎君    小山倉之助君       河野 金昇君    八百板 正君       和田 博雄君    今澄  勇君       小平  忠君    兼務 武藤運十郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         経済審議政務次         官       深水 六郎君         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      平井富三郎君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    西原 直廉君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部会課長) 塚本  茂君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君         外務事務官         (大臣官房長) 大江  晃君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     高野 藤吉君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     及川 逸平君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦澤 大義君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      吉岡千代三君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         特許庁長官   長村 貞一君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君     ————————————— 七月十一日  第一分科所属員武藤運十郎君が本分科兼務とな  つた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算経済審議庁、外  務省及び通商産業省所管  昭和二十八年度特別会計予算通商産業省所管  昭和二十八年度政府関係機関予算通商産業省  所管     —————————————
  2. 葉梨新五郎

    葉梨主査 それではこれから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本分科会昭和二十八年度一般会計予算中、経済審議庁外務省農林省及び通商産業省所管昭和二十八年度特別会計予算及び同政府関係機関予算中、農林省及び通商産業省所管審査を行うことと相なつておりますが、審査の都合上、経済審議庁通産省所管について審査の後、外務省農林省所管審査に進みたいと存じますからさよう御了承を願います。  なおこの際理事会申合せによりまして、本分科会は十三日月曜日四時までに終了いたしまして、主査報告を行うことに相なつておりますから、何とぞ各位の御協力によりまして、本分科会を円滑に進めて参りたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず昭和二十八年度一般会計予算中、経済審議庁及び通商産業省所管昭和二十八年度特別会計予算及び同政府関係機関予算中、通商産業省所管一括議題として審査に入ります。  まず政府より説明を求めます。岡野国務大臣
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま議題となつております経済審議庁予算案について御説明申し上げます。  まず歳出予算総額は三億四千三百八十七万五千円であります。これを前年度予算額に比較いたしますと、前年度行政機構の改革によりまして、経済審議庁は八月一日より発足いたしましたので八月より三月までの所要経費予備費一億六千九百七万七千円、当初予算移しがえ額一億六千円、それに補正予算として御承認を受けました二千三百二十一万九千円とが前年度予算額であります。  今これを比較いたしますために、予備費の八ケ月分一億一千九百七万七千円を、かりに年間十二ケ月に引き伸ばして見ますと、一億七千七百八十一万円となり、前に申し上げました当初予算移しがえ額と補正予算額とを加えますと、合計三億一百三万五千円となりますので、二十八年度要求額は四千二百八十四万円の増額となつています。  この増額なつたおもな科目について申し上げますと、職員基本給が二千五百二十万四千円、職員手当及び職員手当が一千九万二千円の増額となり、国土調査補助金が二千二百四十七万六千円の増額となつております。  また減額なつたおもな科目国家公務員共済組合負担金行政整理による退官退職手当でありまして、これ等は総理府へ一括組入れて要求せられております。  次に経費の内訳を申し上げます。まず第一に経済審議庁の項では、要求額は二億五百二十九万四千円で、前年度一億八千七百八十二万八千円に比較しますと、一千七百四十六万六千円の増額となつております。この要求額人件費一億四千六百四十九万八千円と一般事務費五千八百七十九万六千円であります。  この事務費をさらに内容別に御説明いたしますと、(1)長期経済計画を作成して日本経済復興の指針とし、さらにこのうち半年ないし一年程度の短期の経済予測をいたします経費として、三百二十五万八千円を要求しております。(2)各経済官庁で作成した産業貿易、運輸、財政金融等の諸基本政策計画について総合調整を行い、あるいは審議庁として総合経済政策を企画立案するための経費として、一百万二千円を要求しております。(3)国内国外経済の動きを正確にすみやかにつかんで検討分析し、これを統計指標に現わして経済政策策定資料にし、あるいは経済施策効果を測定するために必要な経費として一千八百十七万六千円を要求しています。  この経費は毎月の定期的な月報類と臨時的な印刷物及び年報にまとめて発表する経済白書等の印刷に要する経費がおもなものであります。(4)国民所得調査して各種経済政策計画の基盤にするための経費も二百八万一千円要求しています。(5)このほかに国民所得の元本ともいうべき国富の調査は、昭和十年以降中絶されておりましたが、戦後経済構造の変化した事情もあつて調査の必要に迫られておりますので、この調査を凖備する経費もわずかながら要求してあります。  次に戦後わが国経済の復興安定をもたらした経済施策内容、経緯、効果を記録しておく必要がありますので、経済安定本部以来の貴重な資料を散逸せしめることなくとりまとめて、戦後経済史として残すため資料の収集  第二に、国土開発調査費の項では要求額一千二百九十五万五千円でありまして、これを前年度予算額一千四百一万二千円に比較いたしますと、百五万七千円の減額となつております。  国土開発費内容を御説明申し上げますと、この経費国土総合開発法電源開発促進法に基きまして、国土総合開発計画電源開発基本計画を樹立する経費と、国土総合開発審議会電源開発調整審議会を、それぞれ運営する経費であります。  国土総合開発審議会委員会と六専門部会のほかに、各種分科会特別委員会から成り立つておりまして、それぞれ国土総合開発計画とその実施について調査審議の上、総理大臣報告または勧告することが目的であります。  また電源開発調整審議会は、委員会河川ごと分科委員会から成り立つておりまして、電源開発に関する基本計画、費用の振りわけ区分、開発担当者の決定、水利権水没補償等の事項を審議決定することが目的でありまして、これらに必要な経費を要求しているのであります。  第三に、土地調査費の項では要求額一億二千十万六千円でありまして、これを前年度予算額九千九百十九万五千円に比較いたしますと、二千九十一万一千円の増額となつています。この増額なつた理由は国土調査補助金として二千二百四十七万六千円を増額したためであります。  しかして土地調査費国土調査法に基きまして国土開発、保全、利用の高度化をはかるため国土の実態を総合的に調査する経費でありまして、その内容を申し上げますと、基準点測量水調査土地分類調査地籍調査に要する経費で、この調査の重点は基準点測量地籍調査であります。基準点測量は、四等三角点新設で、前年度は三千八百点を予定しましたが、本年度人件費等の値上りもあり、予定点数を一応三千四十点程度として、経費におきましては前年度とほぼ同額の七千九百三十六万三千円を要求しております。  次に、国土調査法第九条の規定によつて地方公共団体土地改良区等が地籍調査を行いますときの補助金として、前年度は一千四百万円を補正予算に計上願いましたが、本年度は、町村数の増加と補助率を、前年度は四分の一であつたものを三分の一に引上げまして、三千六百四十七万六千円を要求した次第であります。  これをもつて一応経済審議庁一般会計予算説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議の上御協賛あらんことをお願いいたします。  ただいま議題となつております通商産業省所管予算各案について御説明を申し上げます。  まず二十八年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は五十七億八千一百三十五万六千円でありまして、これを二十七年度総額九十一億七千一百九十二万八千円に比較いたしますと、三十三億九千十七万二千円と大幅に減少いたしておるのでございます。しかしながらこれを内容的に検討いたしますると、二十七年度においては、輸出信用保険特別会計基金として十億円中小企業信用保険特別会計基金として五億円、商工組合中央金庫貸付金として二十億円が含まれておりますので、前年度からこれらの臨時的特殊事情に基く経費を控除して、実質的に比較いたしてみますと、二十七年度予算は五十六億七千一百五十二万八千円、二十八年度予算は五十七億八千一百三十五万六千円となるわけでありまして、差引一億九百八十二万八千円の増額がなされたと言えるかと存じます。  次に二十八年度予定経費中重要なものについて御説明申し上げますると、第一に貿易振興対策といたしまして、まず前年度に引続きまして、海外見本市参加補助四千万円、海外市場調査会補助三千五百万円、海外広報宣伝費一千五百万円を計上いたしましたが、これらの経費はそれぞれ前年度に比し若干増額いたしてございます。  次に新たに海外貿易斡旋所補助三千九百万円、重機械技術相談室設置補助七千万円、東南アジア技術協力団体補助一千万円の予算を計上いたしましたが、まず海外斡旋所補助は、米国日本商品の展示及び貿易あつせんを行う常設機関を設置し、ドル輸出促進をはからんとするものであり、重機械技術相談室設置補助は、東南アジア地区等常設相談室を設置し、専門技術者を配属させて、現地における機械設計工場立地等相談あつせんを行い、プラント輸出促進をはからんとするものであり、また東南アジア協力団体補助は、東南アジア諸国に対する技術者の派遣及びこれら諸国からの技術者受入れ等のあつせん業務を行う団体補助金を与え、東南アジア地域諸国資源開発及び工業化計画促進せんとするものでございます。  次に輸出信用保険特別会計基金は、前年度十億円の繰入れを行つておりますが、二十八年度においては基金増額は必要としない見込みでありますので、当該予算の計上はいたしておりません。  第二に資源開発対策であります。まず重要鉱物探鉱費補助は、金、硫黄、ニツケル、マンガン、クローム、銅、鈴、亜鉛等重要鉱物生産の維持をはかるための補助でありますが、二十七年度一億九十二万二十円に対し、二十八年度一億二千一百七十三万八千円と二千八十万円余増加いたしております。これは特に金鉱業の現状にかんがみまして、金の探鉱のために増額をいたした次第であります。  次に石油試掘費等補助は、二十七年度とほぼ同額の三千七百万円を計上し、前年度と同じく石油試掘及び地質調査に要する経費の一部を補助する経費でございます。  次に新たに試験炭鉱設置運営費として三千万円計上いたしましたが、これは国営の試験炭鉱を設置いたしまして、炭鉱保安技術の向上、その他炭鉱保安上の諸問題の解決を推進せんとするものでございます。  第三に技術振興対策であります。まず新技術応用研究及びその工業化試験補助でありますが、二十七年度四億五千万円を、二十八年度においてもその重要性にかんがみ、工業化試験補助を五千万円増額いたし、合計五億円を計上いたした次第であります。  次に新たに工作機械試作補助として一億円を計上いたしましたが、これは工作機械工具等製造部門が、産業の基幹をなすにもかかわらず、わが国のこれ等工業部門における設備及び技術水準が諸外国に比して著しく低位にありますので、これが遅れをとりもどすため、従来輸入に依存しておりました高性能の工作機械をすみやかに国産化し、これを普及せしめるため、とりあえずその第一段階としてその試作をいたさんとするものであります。  次に発明実施化試験補助発明実施化試験貸付金につきましては、発明単価化重要性にかんがみまして、昨年度とほぼ同額の九百万円と二千万円をそれぞれ計上いたした次第でございます。  第四は中小企業対策であります。  これに関しましてはまず第一に中小企業金融公庫を設立することになつております。本公庫は、中小企業振興のために必要な設備資金及び長期運転資金貸付を行わんとするものであり、さしあたり一般会計からの出資八十億円、資金運用部からの貸付二十億円計一百億円で運営されることとなつておりますが、将来は見返り資金中小企業向け貸付債権及び復興金融金庫中小企業向け貸付債権も本公庫資金源として繰入れられる予定のもとに研究を進めております。なお本公庫出資金八十億円の予算的措置は、形式上大蔵省予算に計上せられてございます。  中小企業対策経費の第二は、中小企業振興指導費補助でありますが、これは二十七年度はわずかに二千五百六十九万円が計上されておつたにすぎませんが、二十八年度におきましてはその重要性にかんがみ五千二百八十一万六千円を計上いたし、差引二千七百万円余の増額を見たわけであります。  また第三に、中小企業協同組合共同施設費補助金につきましては、二十七年度同額を計上し、来年度も引続きその適切な運用を期している次第であります。  第九は自転車及び自動車工業振興対策であります。本経費自転車及び自動車工業振興をはかるため自転車関係七千九百二十万七千円、自動車関係二千四百二十五円をそれぞれ計上いたしておりますが、他の項目に計上されている自転車及び自動車関係予算額合計いたしますと、二十七年度予算額とほぼ同額でございます。  以上をもちまして一般会計予算の概括について御説明いたしましたが、次に二十八年度当省所管特別会計に関しその歳入歳出予算の大要を御説明申し上げます。  まずアルコール専売事業特別会計でございますが、二十八年度歳入予定額は三十四億三千八百三十三万一千円、歳出予定額は三十二億二千七百十七万八千円でありまして、資産、売掛金等関係を加減しますと、二十八年度益金予定額は二億五千万円余となります。  第二に、輸出信用保険特別会計について御説明申し上げます。  二十八年度歳入歳出予定額は、ともに五十三億三千八百八十六万円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入四億五千七百八十一万五千円、前年度剰余金二十九億三千七百二十八万二千円、資金運用収入九千二百三十五万八千円であり、歳出のおもなるものは、支払保除金十九億八千九百十三万七千円、予備費三十三億二千六百八十二万五千円等であります。  第三に、中小企業信用保険特別会計について御説明申し上げます。二十八年度歳入歳出予定額は、ともに三十一億五千一百三十四万人六千円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入六億九千九百三十万円、利子収入七千万円、前年度剰余金二十二億六千二百八十三万七千円等であり、歳出のおもなるものは、支払い保険金四億九千五百六十五万円、予備費二十六億三千二百九十万一千円等であります。  第四に、緊要物資輸入基金特別会計について御説明申し上げます。本会計の二十八年度歳入歳出予定額は、ともに五千三十二万四千円でありまして、時に申し上げることもないと存じます。  第五に、特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。本業務は、戦時中の石炭乱掘に伴う鉱害を復旧することを目的とするものでありまして、二十八年度歳入歳出予定額は、ともに五億六千七百五十万円であり、歳入のおもなるものは、納付金収入四億五千六十三万円であり、歳出はその大部分事業費であります。  第六に、米国日援助物資等処理特別会計について御説明申し上げます。本会計の二十八年度歳入歳出予定額は、ともに十三億五千四百六十八万七千円であり、その大部分援助物資在庫処理及び、未収金回収等に伴う歳入歳出であります。  以上で通商産業省所管一般会計及び特別会計予算の御説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上可決せられんことを御願いいたします。
  4. 葉梨新五郎

    葉梨主査 これより質疑に入ります。通告順によつて順次これを許可することにいたします。ただいま通産大臣は本会議に行かれましたので、政府委員に対する御質問を願います。小山倉之助君。
  5. 小山倉之助

    小山委員 大臣は見えませんから、政府委員からお伺いをいたしたいのでありますが、おそらくは私のこれから申し上げる問題については、御回答はできないのではないかと思う節もありますから、御回答のできない点は除きまして、できる範囲の御答弁を願いたいのであります。  このMSAの援助に関して、議員と大臣との間にずいぶん詳細な質問応答が重ねられて参りましたが、私はこれを聴取するのにずいぶんしんぼうして聞いて参つたのであります。しかしこの問題には触れません。御承知通り、この点は予算委員会においても質問した点でありますが、日本商業的基礎のもとで外貨のふえたというのは、欧州第一次戦争あとと、今度の朝鮮事変のほかはないのであります。私の知れる限りにおいては、そのほかはほとんど外貨の蓄積というものはなかつた。その後日本が多少の外貨を持ち、あるいは日本商工業が発達したのは、要するに外国に侵略と申しますか、進出して、管理紙幣でつくつて来たものが多い。これからは朝鮮事変特需の結果外貨を得るというような手段もなくなつておるのでありますから、結局商業的基礎のもとで商売をして行かなければならぬ。そこで政府委員諸君の間では、商業的基礎のもとに日本が、はたして現在において競争に勝ち得る見込みありと確信を持つているかどうか、それをまず伺います。
  6. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお尋ねの御趣旨でございますが、われわれといたしましては、できる限り早い機会にそういう正常貿易によつて自立経済をはかつて行かなければならない、またそれに対しての確信と申しますか、これは具体的にはなかなかむずかしい問題たと存じますが、そういう確信を立てることによつて、今後の産業政策ないしは貿易政策というものを強く推進して参りたいと考えております。
  7. 小山倉之助

    小山委員 今度の朝鮮事変でどういう特需があつたかということを、私は簡単に調べてみました。鋼鉄製レール、パイプ、ドラムカン、くぎ、電線、ベニヤ板、乾電池、綿布ダツクキヤンバス自動車飛行機修理品、これはみんなプリミテイヴなもので、世界競争に勝てるようなものではありません。これで特需だ、特需だといつて、非常な利益を上げた。ちようど第一次大戦の後にもコマーシヤル・ベースで行つたんじやない。船が足りないから日本の船が動いた。物が足りなかつたから、日本世界市場で勝てないような品物まで送つて外貨を得たのでございます。日本は占領中に多くの技術上の進歩を得たといいましても、要するに、第二流、第三流国が輸出した製品、それもその規格が合おうが合うまいが、そんなことにかまわない、世界市場競争に勝てないような品物を送つて特需を得たわけであります。このような状態で、正常貿易によつて日本貿易収支を合わせるというようなことがはたしてできるかどうか、私は非常な疑いを持つているものでありますが、私がただいまあげたような品物で、はたして世界のマーケツトにおいて大ぴらに立合うような品物があるかどうか、この中からお知らせ願いたい。こういう品物ならどこでもつくれる品物です。いわんや自動車でも向うのパートでもつて修理する、飛行機でもそうです。あと綿布あるいはダツクキヤンバスのようなものを除いては、世界市場で勝てるようなものはおそらくないと考えるのですが、政府委員の御意見はいかがですか。
  8. 古池信三

    古池政府委員 ただいまの御意見はまことにごもつともだと存じます。戦争中はある種のものにつきましては、相当日本技術も進んたように承知しておりますけれども、それも戦後数年間に外国技術の方が非常な進歩をいたし、結局相対的には日本技術は後退をして参つておるということも十分承知しております。また従来特需関係によつて日本収支のバランスをとつて来た。特需というものは、必ずしもコマーシヤル・ベースというわけではなく、その他の条件によつてドルを得ておつたということも御説の通りであります。しかし日本としましては、いつまでもそういう特需的な収入によるわけには行かないのであります。またただいま御引例になりましたような、自動車でありますとか、航空機でありますとか、そのような高度の技術ないしは生産設備を必要といたしますものについては、遺憾ながら日本はまだ外国にとうてい及ばない段階にあると存じますが、しかし比較的プリミテイヴと申しますか、こういうものにつきましては、今後十分に生産技術あるいは経常の今治理化を徹底いたすことによつて外国競争をするようにいたして参りたい。私も各品目について詳しい知識はまことに少いのでありますけれども、一例を申せば、たとえば今のベニヤ板のようなものは、今後のやり方次第によつては、相当世界競争して行けるのじやないかというような気もいたすのであります。さらにまた目体的な品目につきましては、御質問により他の局長からも補足させてよろしいと思います。
  9. 小山倉之助

    小山委員 御承知通り、ただいま論議となつている二百万ドル云々の問題も、その大部分は石炭とか原料品なんです。これは日本が保存していなければならぬ重要なる資源を売つておるのです。加工や製造したものでなく、日本にあまりないような、日本で保存しなければならぬような大事な石炭などを売つて、そうして外貨を得ておつた。また内地において米人の消費しておるものとか、米人がやむを得ずこつちで買つておるものとか、パンパンの費用とか、そういうふうに実はコマーシヤル・ベース世界競争するということは、今の場合では及びもつかないような現状である。しかも綿布が盛んだ、ダツクが盛んだ、キヤンバスがあるからといつても、これは原料が外国から来るものが多い。かような状態であるということは、何人も認識しておるのであります。  そういうわけ合いでありますから、私はここで皆さん方によくお聞きを願いたいのでありますが、MSAの問題が非常に盛んになつておる。私から見れは実におかしい議論をしておる。MSAなんかいらない、MSAなんか何の役に立たないという、日本の国防の強化というものに対して反対の議論さえあるのです。私はそういう国防の問題とか、外交の問題については、なお本会議において質問するといたしまして、MSAというものは結局受けなければならぬ。世界の今のような混乱状態から見れば、いつ侵略されるかわからぬという状態では、これは受けなければならぬものである。私はそういう議論はいたしません。しからばこれを受けるについては、その点はあなたの方では御答弁ができないかも知れぬが、少くとも日本産業を代表して、将来正常貿易に返るという通産省においては、これをどういうふうに利用するかということはよほどお考えにならなければならぬ。その準備がないということはすでに政府のでたらめである。準備があつてしかるべきである。準備がないということは非常な怠慢であるといわなければなりません。ですから私は皆さん方にも十分御注意を願いたいのでありますが、たとえば軍艦を日本がつくる、今のところではごく軽兵器、どこでもできるような兵器、あるいは爆薬、その爆薬でも向うの機械を入れなければ完全なものはできない。ことに無煙火薬のようなものはできないという状態です。  そういうわけであつて日本はMSAを利用することによつて日本技術あるいは科学の水準が高まるかどうかということをお考えになりませんかどうですか。アメリカの技術、つまり軍の工業化学の粋を集めたこれらの技術をあなた方は利用するという用意があるかどうか。これを利用することによつて日本正常貿易に返る準備がある程度ここでできやしないかということをお考えになるかどうか、その点をお伺いしたい。
  10. 古池信三

    古池政府委員 MSAの援助を受けるかどうかという問題は、これはわれわれ通産省の関与するところの分野が非常に多いのでありますが、またかりにこの援助を受けることになりますとすれば——内容あるいは条件がどうなるかという問題は、ただいまその話合いが進められておるものと承知しております。従つて内容いかんによつて、いろいろと将来条件もかわつて来ると思いますけれども、しかし相当高度な技術をアメリカから導入する、そうすれは武器の製造ということ、またひいてはこれが一般の機械工業の上にも応用できる面が多いのではないかと考えます。そうすれは将来平和的な工業の発達という面からいつてもよい影響なり効果が期待できるじやないか、かうよに考えます。
  11. 小山倉之助

    小山委員 そこでこれは私が報告を得たわけでも何でもありませんが、MSAの内容あるいはMSAを各国で受けている状態、あるいはアメリカから各国に注文をしておる状態から見ますと、たとえば軍艦をつくるといえば、船体は日本でも簡単にできます。しかしその装備がむずかしい。装備にどういうものがあるかといいますれば、あるいは爆雷とか魚雷とかレーダーとか、そのほか最も精巧なマシン、機雷というようなもの、飛行機にもまたこれに付属するものがある。そのためにはレア・メタルをつくる稀少物資もいる。日本産業において材質が悪いということは、これは何人も認めておる。材質の研究もよくできていない。ことにレア・メタルを合金してつくるようなことも日本ではあまりできていない。そういうものはおそらくたくさんパテントとして日本で利用されたものもあるでしようが、そういうパテントは一々プライベートにカンパニーのみで受け入れることができた。MSAを受けることによつて日本でまだ発明されない、また日本でほしいと思う多くのパテントのようなものも与えて、日本でこれを利用することができやしないか、そのパテントの関係からどういう利益があるかということを特許庁長官からお伺いいたしましよう。あるいは従来の成行きでもよろしいのです。日本で今まで使つたパテントはどういう状況にあるか、あるいは将来どういうふうに処理されるか、MSAを日本が受けた場合にそれがどういうふうに利用され、また処理さるべきかということを伺つてもよろしいのです。
  12. 長村貞一

    ○長村政府委員 パテントの関係でございますけれども、御承知のように、現在は各国とも工業所有権制度によりまして、発明につきましては、工業所有権つまり特許権その他によりまして権利を与えておるわけであります。そこで外国発明も特に重要なものと申しますか、相当数のものはやはり日本にも出願されて特許になつておるわけであります。外国技術を使います場合には、自然この日本で特許になつておりますものは、日本の特許権になつております権利を使わなければならぬということになるわけであります。MSAの結果どの程度日本で登録されております特許の発明が使われるかということは、御承知のように、MSAの内容自身も明らかでない今日でありますので、全然ただいまのところはわからぬわけでございますけれども、総じて従来とも外国技術日本でも特許されておりますので、それを実施することによりまして、相当数のものを使つております。御質問に対しまするお答えとしては、やや見当違いかとは思いますけれども、最近の情勢を見ますると、外国からの出願が比較的多くなつております。内容的に見ましても、あるいは電気の関係でありますとか、あるいは化学関係で相当数の出願がありまして、また内容的にもかなりいいものがあるように承知しております。これらのものは日本国内においても相当使われておるのでありまして、将来各種の方法を通じまして外国技術が導入され、また国内で使われることになりますならば、勢いこれらの外国出願によります日本の特許権が相当使われることになるであろうと私どもは予想しておるわけであります。
  13. 小山倉之助

    小山委員 個人会社ではずいぶんパテント料を払つておるようですが、MSAの場合には相当広範囲に向うは使わせるというようなことも、ある国との条約においてはできておるようですが、その広汎なパテントはどういうものであるかということは御想像つきませんか。
  14. 長村貞一

    ○長村政府委員 ただいまのところは見当つきませんでございます。
  15. 小山倉之助

    小山委員 第一次戦争のときのことを私は多少存じておりますが、内地においては飛行機その他の軍需生産についての技術が十年も遅れておるということがいわれておつた。そういうことを言うと、みんな軍部から首を切られた。しかしわれわれは海外でアタツシエに会いますと、どのアタツシエもみな十年も遅れておるということを明白に言つてつた。その結果はあの惨敗を受けるようなことになつたのであります。今日なお日本は十年も遅れておる、今日はもうフリー・トーキングができますから、何人もそういうことは隠さない。今度は命はとられないが、日本人の生活を維持することはできない、正常貿易に帰らなければ、その競争に勝たなければ、日本人の命はやはりスターヴするという結果になるのでありますから、結局これは真剣な勝負で行かなければならない。真剣な勝負で行つて東洋だけで貿易をするというのならよろしい、しかし世界市場にわれわれは争わなければならぬ。最もすぐれた国家がその国に商品を持つて来て日本と争おうとするのですから、今のような状態で朝鮮の特需でもうけたくらいのことでは、日本人は安楽をしていられない、よほどの努力をしなければならない。同時に労働者もこれに協力しなければならない。労働者のうちにまたすぐれた技術家が現われて来なければならぬ。ですから私はこのたびの電気スト、石炭ストの禁止には絶対的に賛成なんです。日本中は協力しなければならぬ、協力して世界競争に勝たなければならぬのですが、いかに協力しようとしても、企業家が外国市場において負けるような品物をつくつてつては、企業家の方の協力にならぬ、従つて労働者の生活の安定を期するわけにはいかない。ですから、この際は企業家も最大の努力を払わねばならず、労働者もまたこれと協力しなければならぬというのが、私は日本回復の根幹でなければならぬと思う。その場合に企業家が世界の水準まで日本の商品を高めるようにするためには、どうしてもそこに非常な大きな努力がいると考えるのであります。MSAはやがては、あるいは今月中にでも速急に受入れる態勢になつて——いろいろな束縛も受けるでありましようが、今日はどんな国だつて集団安全保障のもとで集団的に侵略を守ろうという場合には、相当の犠牲を払つておる。少しあなた方にはほど遠いですが、お互いに国を守らなければならぬということを政府が言わないものですから、基地なんかの問題もなかなか片づかない。それを発表して国民の信を受けないから、こういう状態になつておるのでありまして、商業界の人も、事業界の人も、学者も、このMSAというものを徹底的に研究して、徹底的に彼らの技術を入れ、彼らの知識を入れるという覚悟を持たなければ——十年も遅れたものがよその進んだ国の援助を受けなければできない、それで独立だ、見識だといつたところで、力のないものは見識呼ばわりしたから、独立呼ばわりしたからといつて何もならない。世界競争して立ち得るような力をつくつてこそ、初めて真の独立ができる。日本貿易日本産業の中枢を握つておる皆さん方は、このMSAから、軍艦もつくつて、そのうちの最も粋を集めた世界技術を取入れて、これをさらに平和産業に利用し、そうして世界のいかなる国とも競争のできるようになるよう御研究願いたい。あなたたちの大臣は、MSAはまだ受けないとか受けるとか、何か変なことばかり言つておりますからあなた方は国を背負つて立つようなつもりで十分御勉強いたいと思うわけであります。
  16. 古池信三

    古池政府委員 ただいまのお説は、私どももまことに御同感する点が多々ございます。確かに現在の日本は、技術的に見ますと欧米諸国には相当に遅れておるということもお説の通りであります。通産省といたしましては、ただいま御審議つておりますように、技術向上対策といたしまして、工業技術関係その他の予算も計上しておるようなわけで、これだけではとうてい満足すべきものではないかもしれませんが、現在の財政状態とにらみ合せまして、御不満ではありましようけれども、少くともこれだけはぜひひとつ御協賛を願いたいと思うのであります。  日本人の持つておりまする頭脳は、個々に見ますならば、私必ずしも外国人に比べて劣つておるものとは認めないのであります。現にたとえば湯川博士のごとき非常に有名になつておりますけれども、日本人が外国人に比べてすぐれた頭脳を持つておるということは、単に湯川博士一人ではなかろう、あとこれに続く優秀な人はたくさんにあるではないかと私は考えております。現に私の友人でも、相当外国人の間にまじわつて、その技術ないしは科学の頭脳の面におきまして尊敬を受けておる人を知つておるのであります。でありますから、日本人はそういう学問的な面あるいは科学技術の面においても、決して卑屈になる必要はないと思うのでありまして、将来できる限り国家もこれをお助けして、ともどもに技術の向上をはかり、これをさらに産業の発展なり貿易振興という方面に向けて行けは、なるほど国土は小さくなり、資源も比較的貧弱とは申しなから、幸いに大事な人間の数は多いのでありますから、お説のように企業家もあるいは労働者の方も一緒になつて、かようなすぐれた技術によつて生れた新しい発明発見というようなものを十分に利用し、技術をみがいて行つたならば、ただいまお話のような点にまで行きつけるのではないかというように私どもは考えておるので、及ばずながらその線に沿つて努力をして参るつもりであります。
  17. 小山倉之助

    小山委員 日本人はすぐれた頭脳を持つておる、湯川博士も相当世界的な名声を博しているということは、おつしやるように私もよく承知しております。すぐれておるから、世界各国と競争するような立場に行こう、こういう意味でありまして、わずかな補助金や何かを与えてやるというよりは、あなた方が御指導の上各会社が十分な研究費を出すように——遊興や何かには莫大な金を使うけれども、研究費にはほとんど使わぬ。政府のわずかばかりの補助金を分どりして、わずかでももらおうというけちな考えのものが実業界に多いのですから、むしろ実業界の方面に働きかけて、わずかの補助金なんかやるよりも、彼らにやらした方がいいと思う。その補助金も、十分なる補助金を与えればいいのですが、補助金なんか十分に使いはしない。各企業が生きるには、その企業家が熱心にならなければならぬ。役人のところに頭を下げて行つてわずかな補助金をもらうために奔走させるよりは、むしろ各会社が相当の金を積み立ててやるということが——あなたも御承知通り、アメリカあたりの会社は、日本政府で出すよりも大きな金を一つの会社で使つておる。そういうことが、すぐれた人間をつくるゆえんであり、すぐれた才能を持つているものを生かすゆえんですから、そういうことに将来御指導あらんことを私は希望いたしまして、その点に関する限りはこれで打切りまして、あと大臣か見えますときまで私の質問を留保いたします。
  18. 葉梨新五郎

  19. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私は去る六月二十二日に予算委員会におきまして、外産こんにやくの輸入に関して質問をいたしました。それは概略を申し上げますと、昨年の十一月四日に農林、通産両省の申合せによりまして、二十八年三月までは外産こんにやくの輸入をさせない。その後の事情によつて入れるとすれば、インドネシア方面から入れようというような趣旨の申合せができたのであります。しかるにその輸入をしないという期間におきまして、品名の詐称その他不正な手段によりまして、香港、ジヤワなどから相当量輸入があつたように思われます。第二には、やはり外産こんにやくの輸入に関してでありますけれども、外貨の割当について、通産省当局の取扱いについて公正妥当ならざるやに思われる節があることを申し上げまして、これについて通産大臣にその経過、事情の詳細な説明を求めたのであります。私は綱紀粛正の観点から、あるいは各関係省の取扱いを公正妥当かつ明朗化させるというところに目的があつたのであります。この質問に対しまして大臣は、十分調査をいたして返事をする、それから外産こんにやくの輸入などについては、この問題がすつかり解決がつくまでは禁止をして、輸入を許さないというお話があつたのであります。私はその説明を待つてつたのでありますけれども、その後何ら資料の提出せなければ、報告説明も受けておりません。はなはだ残念でございます。きようは大臣がおられませんから、詳細な質問大臣のおられますときにいたしたいと思いますけれども、この際督促をいたします。至急資料を整備されまして、この分科会質問に間に合いますようにしていたたきたいと思います。資料などにつきましては、先般私は輸入課長、為替課長などにお目にかかりまして、私の求めるところは何であるか、どういう資料がほしいのかということを申し上げておきました。一括して外産こんにやくの輸入に関するる経緯の説明書、外貨割当に関する経緯の説明書、関係書類などというふうに申し上げておきますが、こまかいことは輸入課長、為替課長がおわかりになつております。どうかあなたの方からも督促されまして、たいへんお忙しいところでありましようけれども、できますならば、明日一ぱいくらいに仕上げて私の手元にお届けをいただきまして、月曜日の質問に間に合いますようにおはからいをいただきたいと思うのであります。間に合いますでしようか。
  20. 古池信三

    古池政府委員 この問題につきましては、いろいろ地方の局にも関係があつた内容のようでございますので、今まで取調べておりましたが、ただいま御要望の月曜日には大体資料を御提出申し上げることができると考えております。
  21. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私がお願いしておりますのは、なるべく明日中に……。
  22. 古池信三

    古池政府委員 それでは明日の夕方までにとりそろえられるものはそろえて御提出いたしまして、どうしても時間の関係で間に合わないものは、月曜日のお昼ごろまで御猶予を願いたいと思います。
  23. 武藤運十郎

    ○武藤委員 了承いたしました。
  24. 葉梨新五郎

    葉梨主査 それでは本会議が開会中でありますので、この際暫時休憩をいたしまして、本会議散会後ただちに再開いたして、質疑を継続いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後三時二十九分休憩      ————◇—————     午後四時五十七分開議
  25. 葉梨新五郎

    葉梨主査 それでは休憩前に引続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。  小平忠君
  26. 小平忠

    小平(忠)委員 通産省の政府委員の方に、特に私は肥料問題に関しましてお伺いいたしたいと思います。  現在わが国の化学肥料につきましてまずお伺いいたしたいのは、化学肥料の種類別の各工場におきまする生産量、さらに本年度におきまする需給の見通し、さらに今後のいわゆる肥料の輸出について、どのような計画であるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  27. 葉梨新五郎

    葉梨主査 便宜上、経審庁の岩武調整部長から御答弁を……。
  28. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 工場別の生産量につきましては、後刻御必要でありますれば資料をもつて答えたいと思います。  それで大体の需給のことを申し上げますと、肥料別のこまかい数字につきましては、後刻通産省の方の政府委員からお答えすることにいたしますが、概要を申し上げますと、この肥料年度におきましては、直接肥料のうち硫安を主といたしまして二百三十六万トン、石灰窒素五十七万トン、計二百九十三万トンてございます。このうち輸出につきましては、現在までに五十五万トン程度のものが契約済みで、この年度内に出荷される見込みであります。残余のものにつきましては、期末の繰越在庫が十五万トンあるいは二十万トン弱と推定されますので、大体四需の方には二百十万トン程度のものが出荷されるようなことになります。
  29. 小平忠

    小平(忠)委員 まずただいまの化学肥料の硫安についてお伺いいたしますが、硫安の生産工場は現在幾つあつて、その硫安工場の年間の大体の生産量は幾らになつておりますか。
  30. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 硫安を主とする生産工場は十四社で、その生産量は百九十万トン程度でございます。能力は二百万トンを越しておりますが、電解法等におきましては、電力の関係等もございまして、若干操業を落しておりますが、三百万トン弱の生産でございます。
  31. 小平忠

    小平(忠)委員 生産量百九十万トンに対しまして、経済審議庁は農家の必需量を大体幾らに見ておりますか。
  32. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 御承知のように、化学肥料の需要量は、一つは価格の関係から相当動くこともございますし、また施肥の指導等からも大分動いておるようでございますが、農林省等といろいろ打合せておりますが、大観いたしまして、窒素肥料の化学肥料としまして現在のところ大体二百十万トン前後ではないかというふうに見られております。そのうち石灰窒素等につきましては、いろいろ耕土培養その他の関係で需要もふえるようなことでありましたが、なかなか思う通りに行かないようでございますので、大体二百十万トン程度ではないかというふうに農林省方面では推定いたしております。
  33. 小平忠

    小平(忠)委員 農林省の推定ではなく、経審で計画されておるものとそれから今全体をおつしやいましたが、硫安について伺いたい。
  34. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 御承知と思いますが窒素質肥料の方は、石灰窒素と硫安といろいろ交代に使われるのでございますので、硫安だけはつきり幾らということはむずかしのであります。最近の傾向としましては、大体百六十万トン程度ではないかと見られております。なお経審としましては、農林省のように独自の需要推定等はいたす能力もございませんので、いたしておりません。もつぱら実際に農家の経済状態を見、農業生産を指導する立場でやつております農林省の方に従つております。
  35. 小平忠

    小平(忠)委員 経済審議庁が今年の生産を百九十万トンと押えまして、大体の数字をおつしやられたのですが、百六十万トンの需要量に対しまして、約三十万トンの開きがあります。今年度輸出を考えております硫安の輸出量、さらに今日契約が整つております輸出額、これらはどのようになつておりますか。
  36. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 その点につきましては、通産省の方からお答えしていただきます。
  37. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 昭和二十七年肥料年度生産並びに需給の概要を申し上げます。六月の石灰窒素等については確定の数字でありますが、硫安糸につきましては、七月は生産計画を見まして、本肥料年度の硫安の生産は二百五万トン程度であります。石灰窒素は五十一万トン程度であります。合計二百五十五万七千トン程度であります。このうち六月までに積み出しました輸出は、大体四十九万トン程度であります。石灰窒素が一万四千トン程度出ております、輸出の最盛期もすでに過ぎておりますので、七月の輸出積出し数量は非常に少いのではないかと思います。大体輸出契約の大部分が出ておりまして、輸出契約として残つておる分は非常に少量であります。六月末の在庫数量は、硫安が大体十五万トン、石室は確定数字でありますが、五万三千トン程度、合せまして二十万三千トン程度と考えております。国内の春肥の需要期は大体済んでおりますし、九州、中国方面の風水害の追肥の需要関係から、さらに幾分需要増が期待されるのでありますが、今月までの調べによりますと、二万から二万五千トンではないかと承つております。かりにこれらの風水害によります追肥の需要増がございましても、国内の需給に対しましては心配がない、こういうぐあいに考えております。
  38. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの御説明をされました生産見込み二百五万トンというのは、何月から何月までのもので
  39. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 肥料年度は八月から七月まででありますので、昨年の八月から本年の七月までであります。
  40. 小平忠

    小平(忠)委員 そうしますと、六月までに積み出しました四十九万トン、若干の硫安がまだ残つておるということですが、その若干の量といいますのは、どのくらいであるか。さらに明肥料年度、今年の八月から来年の七月までの生産量並びに輸出量の計画は、どのような構想でありますか。
  41. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 二十八肥料年度につきましては、生産計画並びに輸出その他につきましての具体的な計画はまだ立つておりません。なお新肥料年度にわたりまする輸出のものにつきましては、契約が成立しておりません。交渉中のものはございますが、成立しておりません
  42. 小平忠

    小平(忠)委員 二十七肥料年度において若干残つておりまする輸出量はどのくらいですか。
  43. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 詳しい資料を持ち合せませんが、大体二万トン程度じやないかと考えております。なお詳細なものは後刻御報告いたしたいと思います。
  44. 小平忠

    小平(忠)委員 本肥料年度におきまして輸出いたしました四十九万トン、さらに若干残つております分、これは輸出先別によつて若干、価格が違いましようが、大体平均いたしまして幾らで輸出いたしておりますか。
  45. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 大体五十三ドル前後ではないかと思いますが、数量的積数計算をいたしておりませんので違いがあるかと思います。
  46. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまあなたの御説明によりまして、二十八年度の需給計画がまだ立つておらない、こういうことでありますが、今回御承知のように、非常に問題を起しております輸出会社、これはどこでこのような構想を立てられて発表されたのか。そのいわゆる立案者並びにこれに対しまして通産省当局はどのようなお考えであるか。もう一点、二十八肥料年度の需給計画がまだ立つていないのにいかなる根拠によつて今回この需給操作の法案なりあるいは輸出関係の法案をお出しにならんとしておるのかお伺いいたします。
  47. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 二十八年肥料年度の需給計画につきましては、農林、通産あるいは経済審議庁の正式の審議を経て決定したものがないという意味でありまして、われわれの気持からいたしましては、今日先ほど申し上げましたような生産数字を下まわらい数字で、できるだけ増強したいということで成案を急ぎつつあります。  それからなお輸出会社の構想でございますが、これはいろいろ意見が多いように承つております。要は輸出の円滑化をはかるというような構想で、どういう機構が適当であろうかということを事務的に研究いたしておる段階でございまして、通産省としてこういう案で行くというぐあいに、最終的な仕上げをしておる問題ではございません
  48. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの御返答を得まして、二十八肥料年度の需給計画農林省並びに経済審議庁等、関係省の打合せをした政府としての成案ができていないのであつて、通産省としてはその大体の計画ができておる、こう解釈してさしつかえありませんか。
  49. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 御質問のように通産省としましては、事務的にただいま申し上げました二十七肥料年度の実績によりまして、それを下まわらざる具体的の計画を立てるということで考えて居るのでありまして、関係省とも相談の結果きまりました成案ではございません
  50. 小平忠

    小平(忠)委員 計画を立てる予定であるのですか、それともできたのですか、それをはつきりひとつ……。
  51. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 大体硫安につきましては二百十万トン程度生産をしたいと思つております。石灰窒素については五十万トンの年間計画を立てたい、こういうぐあいに考えております。
  52. 小平忠

    小平(忠)委員 どうも要領を得ないのでありますが、きようは分科会でありまして、時間をとつても恐縮と存じますから、そこで通産省としましては二十八肥料年度の需給計画がもうできておる。月曜日でもけつこうでありますから、もちろん正式に農林省なり、経済審議庁の協議をされたものではなくてもけつこうでありますが、ひとつお願いをいたしたい。よろしゆうございましようか。
  53. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 承知いたしました。月曜日に通産省で考えておりますものを申し上げます。
  54. 小平忠

    小平(忠)委員 さらにその点でお伺いしたいのでありますが、ただいまあなたの御答弁では、輸出会社法の構想については、まつたく事務的な試案であつて、これはまだ成案を得てない、こうおつしやつたのでありますが、その程度のものであるか、あるいはあなたの方の局議を経て正式にまだ省議を経てないという段階のものであるか、それが一点。  次に一番問題となつておりますのは、これはいまさら申し上げるまでもなく、実際に農家に配給いたしまする配給価格と、さらに輸出をいたしております輸出価格との実際の値開き、大体四十九万トンに対しましては五十三ドル前後とおつしやられたのでございますが、キロ換算で日本の貨幣に換算いたしまして、大体最近におきまする農家に対して配給いたしております価格と、それから輸出いたしております輸出硫安の価格の内容をお知らせいただきたいと思います。
  55. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 前段の輸出会社に関します考え方は、むろん省議にかけておりません。もちろん私の手元でいろいろの比較検討しておる程度でございます。  それから国内価格と輸出価格でございますが、国内の販売安定帯価格は八百六十円を中心として上下三十五山開きになつておりますが、FOB価格五十三ドルとこの価格を比較する際には、国内の安定帯価格には輸送費が相当人つております。輸出の場合には積込費を含んでおりまして、輸送費より下まわつております。そういつたようなことを考慮に入れて考えますと、具体的に七百円前後になると思いますが、それは月曜日に正確なものを申し上げてみたいと思います。
  56. 小平忠

    小平(忠)委員 私は主管局長のあなたに最後に特にお伺いしたいのは、国内の安定帯価格は八百六十円、上下の開きが三十五円、同時に輸出価格についてはFOBでただいま大体七百円前後とおつしやいましたが、この数字は間違いありませんか、私はちよつと違つておるのではなかろうかと思います。
  57. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 正確な数字を月曜日に申し上げたいと思います。
  58. 小平忠

    小平(忠)委員 これはきわめて大事なことでありますから、正確にお調べいただきまして、月曜日に的確な価格をお願いいたしたいと思います。  あとの方もありますから、大臣がお見えになりましたので、岡野通産大臣にお伺いをいたしたいと思います。今日わが国の自立経済の観点から大きな問題として取上げられておりますのは、やはり食糧問題の解決であります。それを具体的に掘り下げて参りますと、輸入に依存するという考え方をやめて、国内の食糧増産によつて食糧問題を解決しなければならぬということは、吉田内閣の公約でもあり、これは長い間の主張であろうと思うのであります。ところがこの食糧増産という見地から、増産に欠くべからざる肥料、特にあなたの主管であります化学肥料の面におきまして、昨年来大きな問題として取上げられておりますのは、すなわち農家に対しまする配給価格と輸出価格との大幅なる値開きであります。戦後の肥料の価格統制か撤廃されまして、自由価格になつたその後において、一体どうであろうか。今日硫安のごときはまさに生産過剰であると申し上げても過言ではないと思います。この生産過剰ということを理由にいたしまして、輸出をするというような方法がとられるのでありますが、このことは、わが国は化学肥料についてもつと具体的に生産のコストを引下げて農家にもつと安い肥料を配給しなければならぬが、現に月曜日に的確なる数字を示してもらうことを、今局長にお約束しましたので言いますけれども、この際大臣の基本的な考え方として、現在硫安なら硫安の問題について取上げてみますれば、硫安生産会社は十四社ありますが、その十四社の大企業、大資本家の擁護のために今日肥料の需給操作がなされておるように、私は思えてなりませんので、こういう点について、私はまず大臣の率直な御意見を承りたいのであります。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。食糧問題は、むろんわれわれとしてお互いに非常に注意をしなければならぬ、またできるだけ自給度を高めなければならぬと思いますが、率直に申し上げまして、日本は人口が多く、しかも農耕地はいいところはたいてい耕してしまつたので、これから耕すものは少し段が落ちて来るようなところしかないと私は思います。非常な力を入れましても、人口の増加を見込みますと、昔でいう、いわゆるアウタルキーの性格には、食糧というものはできて来ないのではないかという見通しを持つております。しかしできるだけこれを外国から輸入することをよしまして、日本で大部分ができるという方向に打つて行くというのが、ただいまの考え方ではないかと思います。そこでただいまお話の硫安でありますが、硫安は私の考えといたしましては、そういう意味におきまして、国内の食糧の自給度を非常に向上させて行くのに欠くべからざる大事なものであると思います。硫安をつくるにつきましては、それを目標に持つて行かなければならぬと思います。またそれができましても、農民がそれに対して負担に耐えない、ことに農民の現金支出というものは肥料が一番大きな部分を占めておると思いますから、できるだけ安いものにして行かなければならぬ。そこで設備とかなんとかいうものについても、相当設備は拡張されておりますけれども、これはうんと増産し、多量にするということが、結局値段が安いということになるのではないかと思います。そういたしますと、日本で需要以上に現にできておりますが、まだどんどんつくつてつて、そうして生産コストを下げて、安い肥料が出まわるというようにすることが必要ではないか。同時に一面この硫安の需要というものは、対外的に見ますと、これは日本内地でできますところの原料でできて、しかも近所に相当旺盛な需要地がある。すなわち販路があるというということでございますから、輸出貿易の面から見ましても、外貨獲得の点において役立つものだと思います。そこでたくさんできれば、内地にまわす量がたくさんでき、同時に安くなる。またたくさんできれば余剰ができますから、その余剰を最も近隣において非常な需要のあるところに売れる。しかもそれが全部日本の原材料でできるということになれば鬼に金棒でありますから、そういうようにして増産をうんとやりまして、そうして価格を下げて、同時に輸出貿易に資し外貨獲得に資したい、こういうような両面の目的を持つて今後の肥料対策をして行きたいと考えております。
  60. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの大臣の御答弁でございますが、これは肥料の生産者、また実際に肥料を使う需要者であります全国の農家は、いずれもが非常に満足してその増産に挺進し得るきわめて理解が行く御答弁だと思う。大臣の今の御答弁で行きますならば、私は今日のような矛盾はないと思うのでありますが、しかしながらいかなる理由で輸出価格と国内販売価格に大幅な開きがあるか。先ほど局長の御答弁によりますと、配給価格は輸送費も含まれておるというのですが、一方輸出価格のFOB価格も、工場は全部地方に散在しておるから、輸送費が一俵について百円も二百円も開きがあるはずがありません大臣のただいまの御答弁の構想で参りますと、このような矛盾はないはずでありますが、どういうわけで現在このような矛盾があるのでありましようか。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 とにかくこの硫安工業というものは、一時戦時中まつたく倒れてしまつてつたのが再起いたしまして、今日の状態に至りますまでには、いろいろ無理もして来ておりましようし、経営上の不便もあつたと思いますが、数量だけは日本内地の需要以上にできるようになりました。またもつと増産もできるような設備になつておりますけれども、しかしながらただいまのところでは内地だけでは消化がし切れない。しかし外国へ出すのには、日本の内地のコストが非常に高いから競争できない。そうかといつて、その余剰物資というものを日本でかくまつておいて、腐らしてしまうというわけにも参りません。それでやむを得ず今の段階におきましては、外国から出血的の受注を受けてやつておる。しかしながらこれがもしもう少したくさんでき、同時にこれをプールして行きますれば、今でも計算上はそうなつておると思いますが、外国へ出しましても——その出す値段が安く、内地のものが高い、こういうような仰せでございましようけれども、しかしそれならこれを割切つてしまいまして、今の生産設備において、内地の需要を本にきめて輸出を禁止してしまう、こういうことになつたら、もつともつと高い内地の価格になりはしないかと思つております。あの程度の安定価格で、とにもかくにも会社が経営してやつて行くということは、外国品物が売れておるからだと思います。そういうところは、私は経済的に見まして、ある理想に進んで行くところの過程でありまして、完成した時期じやないと思います。私は輸出貿易というものにつきましていろいろのことを考えております。これは農家との関係で、非常に感情的にいろいろ対立することがありますけれども、私は第一次大戦後アメリカにおりました。アメリカの輸出貿易第一主義というものは、内地における値段と比べてエキスポート・プライスというものは二分の一でありました。当時アメリカは、第一次大戦後に、輸出貿易を盛んにしなければ国が立つて行かぬということでやつておりました。私がおりましたときに、大体エキスポート・プライスというもので、全部自分の身のまわりのものを買つておりました。そとのきには、向うの人か百ドルで買うものも、私はエキスポート・プライスで五十ドルで買つた。どうしてこういうことができるのかと言つたところが、第一次大戦後、当時の生産設備がそのまま残つてつて、これをフル・パワーに働かせなければ採算がとれない。そこで生産通りの値で外国へやつてつて、そうしてどうにかこうにか工場を動かしておるということを聞いておるのであります。理想といたしましては、そういうことはあり得べからざることでありますけれども、われわれ独立後過渡期の経済情勢において、幾分そういうようなプール計算もできるのじやないかとも考えております。
  62. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいま大臣が出血的輸出をされておる、的という言葉を使われたが、それが末端に参りますと、的というような言葉はなくなつて、出血輸出をやつておるというふうに一般の大衆は承知しております。実際問題といたしまして、七百円前後、これはもつと価格が下まわつておりまして、六百五十円、六百二十円というような輸出価格は実際に出血輸出であるのでありますか、それともうそじやないのでありますか。
  63. 岡野清豪

    岡野国務大臣 もし私がただいま的確に硫安工業の内部を検査し、同時に何もかも経営者と同じような知識を得られまして、生産費というものを検討し得ましたならば、あるいはほんとうに出血か、出血的受注か、あるいは全体としてみてどうなるかという計算は出ますけれども、ただいまのところ統制をはずしまして、自由主義経済でやらしておるものですから、その辺のところは私としては判定がつかないのであります。
  64. 小平忠

    小平(忠)委員 大臣ほんとうにそれはつかんでおられないのですか。これは非常に大事な発言でございます。少くとも一国の主管大臣であります立場において、統制をはずして自由経済だからわからないとほんとうにおつしやるのでありますか。それとも大体役所として調べてあるんだけれども、それはタツチすべきでないのでそうおつしやるのですか、きわめて重要な発言ですから……。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは私実際私の経済眼から見ればわからないと思います。あるいは事務当局の方でいろいろ調べておるかとも思いますが、たとえて申しますれば、向うで買いました石炭とかあるいは鉱石とかいうようなものの原単価というものは、そろばんがすぐ出て来ると思います。しかしながら経営というものが多角的でございますし、いろいろ間接的のものでございますし、また内部の経営事情というものは、なかなか秘密もございまして、いらぬところに金を出しておるところもありましようし、また思わぬところで非常に利益を得て、そうして採算が合つておるということもございますので、私は正直に申し上げまして、今統制でもございまして、そうして十分内情を調べたというなら確信のある生産費が出て来ると思いますが、しかしそれでも私はなかなかむずかしいと思います。間接費をどういうふうに分配するとか、これも仮定のことにきめてやるよりほかに方法がないのであります。ただいまのところでございますと、これも今の日本の情勢のしからしめるところでありましようけれども、もしかりに途中で停電ストとかいうことがありましたり、また電気が十分に続けてフル・パワーで働くようになつていないという場合には、労働者の賃金をどう見るか、また生産というものと、それからコストをどういうふうに見て行くかということ、これはなかなかむずかしい問題であります。いわんやもしその会社がほかの事業を営んでおりましたならば、その事業との間の生産費の分配を一体どういうふうにして見るか、これは強制調査というものがありまして、とことんまでこちらで調べ上げてしまつて、初めて生産費がこうでございますと私は御返事できると思います。今お話したような程度のことで、はたして生産費が幾らということはただいまの段階では私はわからぬと思います。
  66. 小平忠

    小平(忠)委員 実際に内容はつかみ得ない。しからば通産省に報告のあります表面上のいわゆる事業報告内容ではどうなつておりますか。これはもちろん課税の標準等にもなりまして、あらゆる角度から見ておるのでありますが、実際に役所に報告されております表面上の形式はどうなつておりますか。
  67. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その辺のところは私よく事務的に存じませんから、事務当局から御説明いたさせます。
  68. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 ただいまの会社の経理に関する事業報告でございますが、政府に経理報告をするような法律的措置をとつておりませんので、通産省にはそういつた事業報告はございません。ただ生産コストに関しましては、先般経済審議庁に設置せられました肥料対策委員会で、業界に提出せしめた資料が、これが今日政府に提出せられた資料のわれわれが聞き及んでおる資料であります。
  69. 小平忠

    小平(忠)委員 大臣に対しまする質疑通告者が非常に多いので、私があまり時間をとつては迷惑しますから簡単にしますが、これは非常に大事な問題です。私はこの問題をあまり予算委員会でやつておつちやいかぬと思つて分科会にまわしたのですが、明確に御答弁願えば簡単に済むのであります。私はここで簡単に結論を出します。
  70. 葉梨新五郎

    葉梨主査 政府委員の方も簡潔に直截に、時間を節約する意味で御答弁を願います。
  71. 小平忠

    小平(忠)委員 私はただいま主査のおつしやつたように、要点だけを簡潔に申し上げます。大臣はきわめて御親切に御答弁願うのでありますが、非常に明瞭になつていない。すなわち私が申し上げたいのは、結局現在出血輸出とおつしやいますけれども、それは大臣なり政府委員の方で実態がほんとうに把握されていないから、そういう出血的とかあるいは実態がわからぬ、こうおつしやるのでありますれば、今後の肥料行政の上に大きな問題になると思うのであります。従つて最後に一点大臣に承つておきたいことは、いろいろ従来の事由がどうあろうとも、今日輸出価格と国内配給価格には大幅な開きがあります。こういう開きは、冒頭に大臣が私に答弁された趣旨から参りますと、矛盾になるのであります。従つてこれを一体どういう方法によつて是正されようとされるのか、さらに具体的に申し上げますと、かりに輸出価格がいわゆるFOB価格で七百円でよろしいという場合に、国内配給価格も大体その線で配給なし得るような政策を今後おとりになるのかどうか、大臣は実際に経済審議庁長官も兼ねておられるわけでありますから、そういう意味でどの程度までこれを接近させて行くお考えか。きわめて大事な問題でありますから、この点を再度承りたい。  最後に私は質問を終るにあたりまして、この肥料問題については、昨年来全国の農民が非常にこの矛盾を指摘し、そうして今日の食糧増産に対しまする切実なる要望も、今日のごとき高い化学肥料では買い切れないというのが実際の姿であります。ですから、これに対しましては政府は、自由経済で、統制ではないのだから、会社にタツチすることはできないというような考え方で参りますれば、すなわち自由主義経済の弊害でありまする独占資本の弊害が国民の大多数に及ぼす影響というものはきわめて大であるということを十分御理解いただきまして、これはかねてからすみやかに何とかする何とかすると言つて今日まで長い年月がたつておるわけであります。これの急速な解決方に特段の御努力を願うことが一点と、さらに私が先ほど申し上げた資料に対しましては、月曜日に間違いなく御提出願いたいと思います。
  72. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ごく率直に短かく申し上げますれば、ただいまはなるほど外国に出す値段と内地に出す値段の開きが多いように思います。しかしそれは、先ほど申し上げましたような、自由主義経済の弊でございましようが、そういうことになつて会社は経営されておるのであります。しかしもう肥料対策審議会の答申も出ておることでございます。これによりまして、肥料に関する限りは自由放任をやめまして、統制をして、対外、対内の値段が同じようになつて行くように、何とか近いうちに結論を出したい、こう考えております。
  73. 小山倉之助

    小山委員 大臣に対する保留分の質問は残しまして、今のに関連してお伺いいたしたいと思います。
  74. 葉梨新五郎

    葉梨主査 この際保留分まで一緒に簡単におすませください。
  75. 小山倉之助

    小山委員 今大臣のおつしやつたことはごもつともだと思うのです。日本の工業を生かすために、あるいは内地の消費者には幾分負担させる。外国は相手のあることですから、外国が高く買つてくれなければ、やはりそれを下げるよりほかしかたがない。ですから、この問題は農村におけるなかなか大きな問題で、どうもそれが明らかじやないと、十分私ども説明がしにくいのです。こういう数字はむしろある程度わかつただけ明らかにしてくださつた方がいいと思うが、どうでしようか。外国の輸出の生産費を、大体のラウンド・ナンバーでいいですから、このくらい違う。外国は相手があるから、こつちの生産費で売るわけに行かぬ。内地は多少高いが、こういう生産をやつているということをむしろ数字を明らかにしてくださつた方が、私ども地方へ行つて説明したりするのにもいい。日本の工業を生かすためには、こういう政策をとらなければならぬのだというようなことも、話せばやはり理解するのですから、生産費は大体幾ら、内地における消費者に対しては、これだけの負担分でやらなければならぬ。つまり肥料の工場を生かすためである。外国には相手があるのだから、日本通りに売るわけにはいかぬ、こういうことだと思うのです。そこを何だか逃げ口上みたいで、何かひつかかるのがこわいというふうに見えてしようがないのですが、もつと正確なことはあとで御報告つてもよろしいのですが、もつとはつきり数字を示していただきたい。わかつただけでよろしいのです。
  76. 岡野清豪

    岡野国務大臣 何か私数字を隠しているようにお聞きとりじやないかと思いますが、事実わからないのです。先ほども事務当局から御答弁申し上げましたように、今まで通産省ではその生産費の内容をとつておりません経済審議庁で今度肥料対策審議会をつくりましたものですから、そのときに、四月から九月までのものですか、ごく短期間でございましたが、その間の生産費と称するものを業者側が自分でこしらえたものを持つて来ているのです。それが的確であるかどうかということは審議会で研究しているのたろうと思いますが、しかしこれは常識的に考えますと、四月から九月までぐらいのものではほんとうの生産費はわかるはずがない。これは雷も落ちましようし、電源ストもありましようし、それから石炭不足が去年の暮れと今年の春とは違います。ですから、ある程度長期間のことを見まして、そうしてどういうふうになつて行くかということを研究しなければ、ほんとうの生産費というものは出ないと私は思う。ですから、内地で売つているものより安く外国に売るから、出血受注をしているんだろう、こういうことで出血受注という言葉が出ましたけれども、今の制度のもとにおいては、全体として二百万トンできたのを、外国へあれだけで競争ができて、内地へこれだけで売つているから、会社全体としてはどうにかやつて行けるんだろうという想像がつくのです。そこで農民の方で、それはけしからぬじやないか、外国へ安く売れるくらいなら、わしの方にも外国並に安くしたらいいじやないかということが、当然出て来る無理のない御議論でございますが、それじや外国に出すだけの金で一百万トン全体を売つたら、会社も立ち行かなくなることは当然の話です。そこで農民の方によく御理解願いたいことは、外国へ出しますのも、内地へ売りますのも同じ値段でするように、今後この答申を基礎にしてわれわれはやりたいと思いますけれども、ただいまのところでは、もしかりにこれを外国へ出すということをやらないで、ピシヤツと切つてしまつて、百六十万トン程度のものだけしかつくらないで内地だけにして、輸出をとめたとした場合には、あなた方農民のお買いになる値段はもつと高くなりますぞということだけは御説明つたらどうかと思うのです。これはどうもそういう御答弁以外にちよつとできません
  77. 小山倉之助

    小山委員 だからそれは一箇月でも二箇月でもいいじやないですか。一年を通算しなくてもいいじやないですか。それを平均すればいいんですから……。
  78. 葉梨新五郎

    葉梨主査 政府側は答弁ありませんか。——それではこの際その程度にして、河野金昇君の発言を許可いたします。河野金昇君。
  79. 河野金昇

    河野(金)委員 どうも最近の国会における政府並びに議員の質疑応答を見ていると、政府は議会を非常にうるさがつてつて、何とかごまかしてその場を通してしまえばよい、議会が終つたころにすべて問題を解決するという方向に行つているのであります。この間も予算委員会で問題になつたMSAにいたしましても、これを受けるとか受けないとか、特に岡野さんはあいまいにしておられますけれども、おそらく政府はもうこれを受けることにきめておる。そうして議会が終るころは、この前触れとして池田氏でも向うへやつておいて、あとで外務大臣かだれかが行つて正式にとりきめて来るであろうと思うのですけれども、ああいう人だけをやつておくと、結局向うにできておる兵器とか、あるいは朝鮮で使い古しになつたような兵器を持つて来て、そうしてそれをさも恩着せがましく援助の形で持つて来ることが多かろうと思う。自由党政府の言つておられるのは、自衛力漸増というのは日本経済復興と相まつて行くのだ、日本経済の自立をはかりつつやつて行くのだと言つておられますが、そういう古手の兵器や向うでできた兵器を持つて来られるだけでは、経済自立には何の役割もなさないわけであります。通産省なり経済審議庁としては、やはり日本の自衛力の漸増というものが、日本経済の復興を促進し、役立つて行くようにしなければならぬと思うから、当然私は、政府はMSAは受けるものとしておられると思います。だから岡野さんはここでは言わぬかもしれないけれども、二人きりになつたときには、きつとその通りだとおつしやるだろうと思うのです。そうすると、私は通産省、あるいは経審としては、やはり何かの案がなければならぬと思う。何も五箇年計画とかむずかしいことを言うわけじやないが、岡崎さんや池田さんがアメリカに行くときには、通産省なり、あるいは経済審議庁としては、こういう方向に持つて行きたい、こういうふうに交渉してもらいたいという心構えがあるであろうと思うのでありますが、もちろん具体的な計画はないにしても、経済自立とにらみ合せて、MSAの援助をどういうふうに受けたいと思つておられるのか。この議会はやがて終りますけれども、われわれは日本国民の一人として、日本経済の自立を真剣に考えているものとしては、議会後のことではありましようけれども、承つておかなければならぬと思いますので、岡野さんの心構えをお聞きしたいと思います。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は二人になつてからないしよであなたにお話し、また委員会であるから白々しいことを言うという人柄じやございませんで、同じことなのでございます。それからMSAを受けるか受けぬかということは、岡崎外務大臣が申しておることがほんとうなんでございます。と申しますことは、吉田総理の考え方としまして、自分自身で自衛力をつくるのが一番大事なことなんだ。経済自立につきましても、MSAとか特需とかいうものをのけて経済の自立を考えろ、そうしなければいかぬということを私に言いつけておるわけでございます。でありますから、私がこの間事務当局に申しつけましてつくらせました自立経済計画というものも、特需は今ある程度のものがこの二、三年はあるたろうということにして立ててみろ、しかしこれは漸減すべきものだ、なくなるのだということを前提にしてやるということにしております。MSAはてんで初めから勘定に入れないで自立計画を立てておるわけであります。しかし大体においてああいうふうになつて来ているのですが、受ける受けぬはもちろんそのときの情勢でございましようが、しかし私自身の率直な考えを申し上げますれば、特需によつて日本経済が堕落した——堕落したという言葉がいいか悪いか存じませんけれども、日本経済が、生活水準は高くなりましたけれども、コスト高になつたという原因の一部分は、そういうところにあると思います。でございますから、できるだけそういう援助によらないでわれわれは生きて行きたいというのが、経済審議庁長官としての理想でございます。そういう意味でやつておりますが、しかし今後いかになつて行くかは、近々開かれますところの外交交渉によりまして、向うとこちらの話合いによりまして、どういうことになつて行くかわかりません。しかしその点はもう私の腹の底から考えておる次第でございます。
  81. 河野金昇

    河野(金)委員 自力でできればそれに越したことはないのでありますが、国会では外務大臣はいろいろ答弁しておるが、アメリカのいろいろの資料などを調べてみると、MSAの問題についてももうすでに一月ごろからいろいろ話をしておられるのであつて、先月の二十四日に質問書を出して二十六日に来たというのは、これはなれ合いであるということは、常識のある者ならわかつておることでありまして、結局あれは受けることを前提として、なれ合いの手紙を出したわけでありますから、岡野さんはどういう気持を持つておられようとも、吉田さんや岡崎さんは必ず受ける方向に行くと思う。国会が終つたころには、きつとこれは成立するであろうと思います。そうするとあなたがどんなに自力でやりたいとおつしやられても、受けることはおそらく確実であろうと思いますから、受けるならば、おかしな兵器をもらつたりなんかしないで、少しでも日本経済に役立つように、これを利用する——というと語弊があるかもしれませんが、そうすることが当然だと思うから、きようここで私は何もかみしもをつけた御答弁をいただこうとは思わぬけれども、経済をあずかる役所の長官としては、当然考えておかなければならないことであろうと思いますから、どうかひとつ自立経済に役立つようなことを今から考えておいていただきたいということを御警告申し上げておきたいと思います。  それから、あなたのところから出されておる貿易振興対策の費用でありますが、貿易振興に重点を置いておると言つておりながら、予算を要求するのは実に非常に控え目であります。こういうことでは、私はほんとうに期待するような貿易振興対策というものは生れて来ないと思うのであります。岡野さんは予算折衝の過程においておそらくもつと要求したであろうが、とれなかつたのたろうと思うけれども、われわれは貿易振興に重点を置いておるから、これは相当ふやして、岡野さんにもう少し働きやすいようにしてやろうと思つておるわけですが、あなたは一体ここへ出して来たこの程度でいいと思つておられるか。いいと思つておられるならば、われわれは無理をして修正をする必要はないと思うのですが、一体どうお考えになりますか。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 予算の編成につきましては、私が就任した後に提案されることになつたのでございますから、もちろん責任があるのでございますけれども、大体今度の予算の出し方というものは、この前解散国会に出しましたその方針を踏襲して、あまり動かさずにやつて行こうというような閣議の決定でありましたから、元のままのあまり情勢のかわつていないときに出たもので、しかしその後情勢がかわつておるのでありますから、少しかえなければならなかつたのでございますけれども、時日の関係上、それを検討して織り込むことができなかつたのであります。しかしこの半年ほどの間に休戦の成立が非常に濃厚になつて、いよいよ成立する事態が出て来た以上は、私はこの振興費ては遺憾に思つております。
  83. 河野金昇

    河野(金)委員 なるべく岡野さんに感謝していただけるように、われわれの方も努力したいと思つておりますが、この貿易振興予算的措置をすることも必要でありますが、貿易業者の基礎が弱いと申しますか、昔の三井、三菱のような力を持つておりません。その上に輸入業者にしても、輸出業者にしても、実績をつくろうとする気持から、輸入する場合には競争して輸入の金額を上げるような傾向がある。同時にまた輸出する場合に、採算などを無視しても、仲間をやつつけても、とにかく自分の地盤を獲得しなければならぬというところから、業者自身はそれこそ出血を覚悟の上で、将来のことを考えてめちやをやつておるような傾向があるのであります。この基礎の弱い、基盤の狭くなつ日本貿易業者が、この輸出に対しても輸入に対しても、不必要な競争をするということは、国家的見地から見てこれは非常に損のことであろうと考えるのであります、しかしこれは業者自身としてはどうしても競争意識もあるからやらざるを得ないのであります。そこで何か一つ方法を考えてやらなければならぬじやないかと思うのであります。農民とか中小企業者というような弱い者が、大きいものと、力のあるものと対抗するために、いろいろ企業組合なり協同組合なりつくつて、みずからの利益を守るように、日本貿易業者も外国貿易業者と比べると、現在は弱いのであります。従つてそういうような弱い業者というものに対しては、これは彼らが自発的に協同組合的のものをつくつてやるならそれに越したことはありませんけれども、そういうことができないとすれば、政府として何らかここに措置を考えなければ、日本貿易業者というものは、結局輸出においても輸入においても、競争に負けるんじやないかと思いますが、何らか共同化と申しますか、輸入業者を守る——輸入業者を守ると言うよりは、日本経済を守る意味から、何らか輸出入業者に対しての措置というものを考えておられるか、守る意味において何らかの案がありますかどうか、ありましたら承りたい。
  84. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今回出しております輸出取引法の改正案には御趣旨に沿うようなある改正がしてあるのでございますが、しかし私の考えではまだそれでも足りないんじやないかと思います。ただ問題は、今も問題になつておりますあの独禁法の問題でございますが、独禁法というものが一般の消費者とか中小企業とかいうものに対して、非常にいい結果を及ぼしておるということは、これは認めなければなりませんが、底の浅い日本経済の地盤で、外国貿易をやつて行くというような場合には、私はもつとお説のようなことをとつて行きたい、こう考えておりますけれども、ただいまのところは取引法の改正くらいの程度で済まして行きますが、今後はやはりそういう趣旨に沿つて、輸出貿易第一主義をとります以上は、やはりこの弱い経済の地盤、ことに商社の弱いものを強くして、無用の競争をせずして外国と立つて行くように、こういう処置をいたしたいと思つております。輸入業者があまり競争し過ぎて、向うの売手の方にうんと暴利をむさぼらすということも聞いておりますし、また輸出するときに競争し合つて、たたかれて、非常な損をして行かなければならぬということも事実見ておりますから、この点は速急に想をまとめて、少くとも対外的には競争力を強くして行きたい、こう考えております。
  85. 河野金昇

    河野(金)委員 なかなか輸出が思うように行かないから、一方においては不必要な、奢侈的な輸入というものは制限したいということを、岡野さんはおつしやつてつたのでありますが、何だか聞くところによると、外車の輸入なんか、高級品は輸入をとめたとは言いながら、日本に持つて来れば、日本自動車に比べれば当然高級品であるようなものは、かえつて非常にふやしておられるというように承つておるのであります。岡野さんのこの間の本会議の話じや、外貨は今後の貿易に備えてなるべく残しておきたいというようなことでありましたが、今日の段階において、国会でも自動車の買入れを遠慮することになつたし、各官庁の行政費も削減しますから、当然この各官庁の自動車も減らすのです。ふざけたことと思うが、役所の課長級の人がみんな自動車で行つたり来たりしている。国会議員が少しこれを買うというと、すぐ国会は非難の対象になるのであります。国会自身も自粛いたしますが、われわれは役所の人たちももう少し自粛をさせたいと思うのであります。そういう意味からいつても、今通産省が計画しておられる自動車輸入というものは、少し大き過ぎるのじやないか。数字がきようはわかつておらなければ今度でけつこうでございまするが、月曜日にいろいろ肥料の問題もあることでありますから、これは資料としてひとつ外車を今年度はどれほど入れられるつもりであるか。それから現存持つておられるものと、これから今年度輸入しようとしておられるもの、そしてそれを役所側にどれだけ、業者側にどれだけというふうに、ひとつ数字がお示しが願いたいと思います。  それからこれは通産省が援助されるでおろうと思うが、九月にインドで機械の見本市といいますか、展示会のようなものがあるようでありまして、日本のいろいろなメーカーもいろいろな機械を送ることであろうと思うのでありますが、こういうような場合にも、これは輸送費もかかることであろうと思いますし、インドとかあの付近の東南アジアなんかが一体どういう機械を必要としておるかということは、あの辺の農業状態や何かから考えれば当然わかることであろうと思いますから、むだなものを送るのじやなしに、しかも日本の恥とならないような優秀なものを見本として送つて、そして機械の輸出なんかということに対しても力を入れていただきたいと思います。これは希望だけ申し上げておきます。それからもう一つ承りたいのは、結局輸出が振わないのはコストが高い。コストの最も大きい部分は炭価がその一つであることは、これはもう議論の余地のないところでありますが、一体日本の炭鉱業者は政府の財政投資なり、その他の政府あつせんの金を多量に入れておりながら、朝鮮向けの石炭なんかにしても、たとえば麻生君のところの炭鉱なんかが石炭を何十億と送つておるというようなことで、炭鉱業者は政府から非常な保護を受けておりながら、こういうべらぼうな高い炭価にしておるわけであります。そういうべらぼうな高い炭価にしてそれでもうからないかというと、もうかつて、炭鉱業者が日本の財閥のずつと上位に位しておるというような現状は、国民から見ると、実に不可解きわまることであると思うのであります。炭鉱業者はこの政府の金を借りてやつておるが、しかもこういうような高い値段になつておる。聞くところによるとコストを下げられぬという。こういう水害で炭坑に水が入つたり何かすると、外国の安い石炭を持つて来ない限り、やはり内地の石炭は下らないであろうと思うのであります。もう日本の炭鉱業そのものも相当老朽に入つて来て、今の掘り方ではなかなか炭価を下げることができぬと普通にはいわれておるのであります。そうするとなかなかこのコストを下げるということはできないのであります。しかし政府は、これを縦坑にかえれはまだ相当炭価を引下げることができると言つておられ、今まで開発銀行なりその他の融資が相当縦坑開発の名目のもとに炭鉱業者に流れておるにもかかわらず、今日までほとんどその成果を見ておらないのであります。どうも炭鉱業者というやつはうまいこと言つて政府の金を持つて行きながら、ほかの方へ流しておるような傾向があるのでありますが、一体通産大臣としては石炭業者に対して今後どういう態度で行くか。コストを下げるのにどういう処置をとられるのか。縦坑なんかに重点を置いて行くとすると、今後また相当な政府資金を入れなければならぬが、政府資金を大部分仰ぎながら、そうして炭鉱財閥をつくつて行くということは、国民としてはこれはどうしても納得の行かないところなのであります。だからほんとうに個人企業なら別であるが、政府の資金を多量に受け入れているような企業というものに対しては、普通の私企業とは別な考え方を持つて行かなければならぬのじやないか。特に日本の石炭業というようなものは、私は何か公共企業体的な考え方をするとか何かしないと、今のままではべらぼうな高い値段の石炭に、政府の資金をこれ以上人れて、炭鉱財閥がなおもうけて行くとするならば、政府が炭鉱財閥の傀儡だとののしられるのも無理はありません。私の選挙区なんかでも、この間まで吉田自由党にいた人が、今度は鳩山自由党に行つたら、吉田内閣は炭鉱財閥の傀儡であるという大演説を方々でやつて相当受けておつたのでありますが、それが実質であろうと思うのであります。一体この石炭を取扱つておられる主管大臣として、炭鉱財閥をつくつて、そうして石炭をべらぼうな高いものにして、コストを高くして輸出を妨げておるこの現実に対して、どういう御処置をおとりになるおつもりであるか。同時に政府の資金を受け入れておる石炭企業なんというものは、私企業じやなしに、何らかの方法を考えなければならぬと思いますが、とうお考えになりましようか。
  86. 岡野清豪

    岡野国務大臣 炭鉱の経営者が金持番付の十人のうちに八、九人占めておる、これも事実でございます。ただあれにはひとつこういうこともあろうかと思います。それは個人企業であつて、いわゆる企業の利益とか、何の利益とか、何もかも一緒にしまして、収入、税金というものが出て参るのでございますから、それでああいうような現われ方をしておるんだろうと思います。しかしその点は私はよく存じませんが、しかし政府資金を受けておりながら値段が下らぬというのは、お説の通り私も割切れぬ感じを持つております。今後縦坑を開発いたしますために相当の金を出すことになつておりますが、その点におきましては、私は野放しに政府資金を使われるということよりは、これだけの投資をしたのなら、このくらいな値段は下るはずじやないかというようなことで臨んでみたい、こう考えております。自由、手放しに借りた金、政府資金を幾らでも出してやる、同時に値段の出し方はかつてにさせるというようなことは私はどうかという感じを持つておりまして、その点御同感でございます。今後適当に善処いたしたいと思います。
  87. 河野金昇

    河野(金)委員 ほかの関係がありますから、もう一問だけ……。
  88. 葉梨新五郎

    葉梨主査 簡潔に願います。
  89. 河野金昇

    河野(金)委員 わかりました。  問題は別でありますが、通産大臣が吉田内閣になつてから十何人かわつておるのですが、今度は岡野さんはひとつ腰をすえていただきたいのですが、四日市の燃料廠の問題ですが、これは大臣なつたときは、いつでもすぐ解決するといつて何らかのことを言われるが、しまいごろになると、いつでもぐずぐずとなつてつてしまつているのであります。なぜああいう厖大なものをいつまでも眠らしておくのか、そうして業者の共同経営にまかせると、何も圧力のないときはそういうことを常識的におつしやるが、しまいごろになるとどこかから圧力が加わつて来て、何か三菱との関係ができて来て、これがスムーズに解決しておりませんが、一体ああいう国家の財産々何年も雨ざらしにしておくということは、国家の損失である。だから岡野さんは腰をすえられるはずでありますから、ひとつこの問題を急速に解決していただきたいと思うが、一体現在どうなつており、どういう解決をされるつもりであるか、これはひとつ岡野さん腹をすえて答えていただきたいと思います。妙なものの圧力を感じないで、ひとつ率直にお話願いたいと思います。
  90. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。四日市の問題はこの間実は閣議で決定しまして、通産委員会で私申し上げておいたのでありますが、今まで高橋大臣のときに、三菱、シエル関係の方に内定したということはございました。それから池田通産大臣になりましてから、まあ、白紙に返しておこうということになりました。それから小笠原大臣のときにはそのままになつてつたのでありまして、閣議で決定したということは、私ちつとも存じておりませし、またそういうこともなかつたのであります。先般同僚委員の方から御質問がございましたが、これは私自身だけでなく、閣内を拘束するような決定をして、それから御答弁申し上げることにいたしまして、そうして先般の答弁になつたわけであります。それでどうするかというお話でありますが、むろんあの遊休施設をそのまま遊ばせておくということは、大きな金を寝かせておくことと同じですから、これを働かすことに異存はございません。それで働かすにつきましては、最もお国のためになる、同時に今つくりますと、三、四百億円もかかるでございましよう。それだけの金をかけてあの施設はつくられたのであります。これは国民の血税から出ているのであります。そういたしますれば、国民がこれに与えて運営させたのが一番よかつたというような形式の適当のものにまかすべきだ。今そのまかす段取りをしつつあります。ただ御承知通りに、そういう目的を一つ持つてやりますと、なかなか人の関係、会社の関係、いろいろ複雑な関係がございまして一致いたしませんけれども、しかしこれはみな業者が自己の利益というわけでもございますまいが、利害が相衝突するものでございますから——しかし利害が相衝突するからといつて、国家のために利益になるような会社にしなければ、あとでお国のためにならぬことになりますから、そういう意味におきまして最も適当だと存ずる形の会社をつくり、その会社に——会社をつくるにあたつてそういうふうにまとめまして、それに許可したい、こういうふうに考えております。
  91. 葉梨新五郎

  92. 和田博雄

    和田委員 簡単に質問をしますから、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。前の質問者が触れた点もありますから、そういう点については略しますし、またいろいろ聞きたい点は明後日に延ばして今日簡単なことを三つだけ聞いておきたいと思います。  岡野さんは本会議でも、予算委員会でも、MSAと自立計画との関係で、自分としては国力の充実といいますか、そういうものをはかるのに一生懸命であつて、MSAの点は自立計画に関連しては考えていないと盛んに言うのですが、これはやはり岡野さんの考えが間違いだと思うのでありまして、現に今念のために取寄せて見たのですが、わが国経済の自立について、岡野試案というものの中には、五年後の国際収支に対しては、外貨収入の場合に、東南アジアに対するMSA援助等によるドル収入というものを二億ドルばかり実は計算されているのであります。MSAの援助をこちらで受けないのに、MSA東南アジアに対する域外買付のドル収入というものをこれだけ大きく期待することはできないのであつて、現にアメリカの方でも外務省に号つて来たあの回答最の中に、日本がMSAを受けるならば、域外買付も大きく期待を持てるだろうということをはつきり言つている。MSAについては、あなたが自立計画をお考えになるときには、これは論理上当然何らかの形で初めに予定しなければ立たないのであつて、それをただ無関係にお考えになつていることは、私はどうもただ答弁だけしておるような気がするのでありまして、この点はよく御再考になつて、あさつて外務大臣と一緒にもう少し詳しく聞いてみたいと思いますから、その点はよく打合せておいていただきたい。  それから第二点は、実は東南アジアの開発に関する関係であります。東南アジアの開発という点で協力して行く点と、技術の上で協力して行く点と二つあるだろうと思います。それは岡野さんの御存じの通りと思うのです。ところが東南アジアの開発協力関係になつて来ると、これはどうしても東南アジアの諸国で行われている長期計画との間の調整という問題が必然的に起つて来ると思うのですが、その点について何か経審の方で——向うの長期計画とあなたが五箇年後の自立計画というものをとにかく試案として立てられておるそのときに、向うの東南アジアの開発については向うの長期計画と何かそこに関連を持してお考えになつておるのであるかどうか。その点をちよつとお伺いしたいと思います。
  93. 岡野清豪

    岡野国務大臣 東南アジアの開発につきましては、むろん向うの計画に応じてわれわれがこれに参加してやつて行く。そうして、その計画は私は存じませんけれども、事務当局はそれを考慮に入れてやつておると思います。ただ問題はその三十二年分をつくるのに忙しゆうございまして、その計画にぴしぴしと当てはまるような年次計画はまだできておりませんけその点におきましては事務当局で十分検討した結果と私は存じております、
  94. 和田博雄

    和田委員 東南アジアの開発をいろいろ政府が主張される以上は、むしろ見通しただけではなしに、現に開発協力としてはどの程度具体的に協力できるのかということをお考えにならないと、当面の東南アジア開発の政策にならないと私は思うのでありまして、それはあさつててもひとつ詳しくお考えを御説明願えればけつこうだと思うのであります。  それから最後に簡単にお聞きしたいと思いますことは、例の石炭の問題です。奢侈品の輸入を極力抑制される方針を政府としてとるわけでありますが、これは私は当然のことだと思うのであります。しかしこの奢侈品の抑制をとる上において考えなければならぬのは、一方においてほんとうに必要なものは削減しない、切らないということだと思います。一例をとつていえば、練炭なり豆炭なりの原料になりまする無煙炭の輸入を削るということをされるようでありますが、こういうことをやられると国内のいわゆる家庭燃料に対しては相当大きな影響があると私は思うのです。どうもうわべの非常に華やかな面だけは、よくこういう輸出入の制限をやつたりするときに表面に出て来るわけでありますが、ほんとうに各家庭の主婦たちの一番気苦労になるような問題に対しては、とかく忘れられがちなのでありまして、食糧の問題にしましても米がゆたかなときにはいつでもゆたかな感じになつて、食糧のいろいろな不足から起る問題をつい忘れてしまうのでありますけれども、一つ災害があると大騒ぎをして、その場その場の計画を立てて行く。こういうことでは経済の政策なり政治なりが、国民の生活に密接なもの、台所のすみすみまで行き渡つた政治であるとは言えないのでありまして、今度の外貨の節約をするという意味でやられる大きな政策についても、その面の配慮というものはやはり十分して行くことが必要だと思うのでありまして、ことに家庭の燃料なんかで、山の木を切つて坊主になるのを防いで、しかもむしろ収入の少い人たち、庶民の人たちが使つておるところの練炭なり豆炭なりというものは、やはり燃える練炭なり豆炭なりをつくらせて行く。こういう配慮は、輸入の、ことに無煙炭がわずかな数量で済む以上は、その外貨が大したものでない以上は、やはりまず最初にそれを削るべきじやなくて、最後削つてもちつとも国全体の政治上からは悪い影響はないだろうと思うのでありまして、そういう点についてはこれは岡野さん十分御存じだと思いますが、そういう配慮をしていただきたいと思うのであります。その点についてのお考えを伺つておきたいと思います。
  95. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説しごくごもつともでございまして、われわれが奢侈品と申しますことは、日本人になくてもいいものと、また世界の富裕な人種が使つておるぜいたく品というようなものは、当然輸入を防遏すべきものだと思います。しかしお説のように、日本の家庭生活に必要欠くべからざるもので入れなければならぬというものは当然入れるべきだえと考ます。
  96. 和田博雄

    和田委員 その点についてはひとつさつそくに処置をしてもらいたいと思います。現に外貨予算では削つておるのありますから、そういうことのないようにやつて、これは至急に措置をとつてもらいたいと思うのであります。こういうことはすぐやれば大臣の権限の限りでやれることでもあるし、しかも影響するところは非常に多いのでありまして、そういう点はひとつよく実情も十分御存じだと思いますので、重ねて念を押しておきたいと思います。
  97. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私よく事情を存じませんけれども、削つておくかどうか調べます。しかしあとのお言葉だけは私は承服できません大臣の権限て何もやるということはこれは独裁でございまして、やはり十分事務的に検討しまして、そうして納得が行つて大臣が決裁するということがほんとうだろうと思います。
  98. 和田博雄

    和田委員 今ちよつと誤解されておるようですが、あなたの権限内にあることなんだから、あなたがやるという意思があればできることなんだからやつてくれということなんであります。
  99. 岡野清豪

    岡野国務大臣 わかりました。とにかく通産大臣としてやれるのであつて、ほかの大臣の制肘を受けなくてもやれるという意味のことを大臣の権限とおつしやつたんですね。
  100. 和田博雄

    和田委員 そうであります。当然のことであります。それから私は通商航海条約や、その他機械工業について岡野さんにはずいぶん聞きたいこともあるのですが、いずれあさつてもあることですから、外務大臣との関連において聞きますので、質問を留保しておいてきようはこれでやめます。
  101. 葉梨新五郎

    葉梨主査 今澄勇君。
  102. 今澄勇

    今澄委員 私はちよつと思い出したので、ぞひひとつ通産大臣にお伺いしたいことは、今、日韓会談が大体結末を目前にして閣議の方でこれに対する根本的な態度をきめられたんじやないかと私は思いますが、非常に行詰つた状態であることは岡野さんも御承知通りであります。そこで外貨の割当で、自動車その他いろいろのものはどんどん割当てられておるが、かんじんの日本と韓国との貿易についての外貨の割当というものが、こういう日韓会談の見通しを待てということで、ここ今年以来ずつと外貨の割当がないわけでありますが、通産省としてはこの日韓会談の見通しと朝鮮貿易、特に魚その他についての外貨の割当等についてはとういうふうなお考えでおられるか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  103. 岡野清豪

    岡野国務大臣 日韓会談もずいぶん難航しておりますが、しかし外務大臣のお話によりますと、近いうちにこれも何とかどちらかに解決がつくだろう、こう言つております。しかし私はいつも申し上げました通りに、あのときは輿論が非常にやかましゆうございまして、むしろ政府よりは業者、国民の方で商売をすることをやめたらいいだろうというような輿論もありましたので、今日のようになつておりますけれども、しかし私の立場といたしましては外交上いかがあろうとも、商売は商売としてやるべきものだという主義を通して来ておりますから、近いうちには日韓の間に貿易促進できるように努力しようと思つております。
  104. 今澄勇

    今澄委員 そこで外務省の大体の情勢を私はあした聞こうと思つて調べたのでありますが、日韓会談は今のままではどうにも解決しそうにないから、漁業の問題は漁業委員会、在外資産の問題はそれらを処理する委員会を形式的につくつて、これを日韓会談の結末として打切るという結果になるであろうという見通しを私どもはしておる。しかもそれは長くはないというのであるから、通産省としては、これらの解決を待つてそういうふうな商売をお許しになるか、それともそういう見通しに立つて——私は大体七月の中旬過ぎれば、それらの業者も多数あることであるから、外貨の割当をされた方がいいという見通しを持つておりますし、また私はそういうふうに行くのが当然だと思いますが、やはり通商第一主義で、見通しが立ては通産省としてはおやりになる、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  105. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私はその見通しをつけようと思つて、外務大臣といつも閣議の席上で話しておるわけであります。外務大臣も近いうちということを言つておりましたから、それはこちらにおまかせを願つておきたいと思います。
  106. 今澄勇

    今澄委員 それからもう一つ通産大臣にお伺いしておかなければならぬのは、今非常に問題になつておるのが競輪場でありまして、私は関係局の方にはお伺いをしておるのであるが、競輪場の新設についてはいろいろ各地方から巨額の費用をかけて運動しておる。現下の日本の財政状態その他を勘案しても、この際競輪場を増設するということが、わが国の新しいスタートにプラスであるかないかということは、およそ国民の輿論としては結論が出ておると私は思うのでありますが、これに巨額の費用をつぎ込んで常に運動しておるという現状は、まことにむだな話である。競輪審議会等ができて、これらの新設の問題等について審議をいたしておるので、競輪場の設置を希望しておるところが大きく運動して、まことにつまらぬ国費な費しておるのだが、競輪場の新設はこの際やらないならやらないという一つの通産省としての基本方針を明示してはどうか。競輪場もだんだんそろばんに合わぬところもうんと出て来ておるのであるから、競輪場のかわりに、地方府県営の保険をやるとかすれば、競輪をやらなければ財政が立たないということはない。府県営の保険その他のいろいろの問題があるのであるが、通産省としては競輪についてそういう基本的な態度を大臣の意向をもつて表明されたことがないので、一体今後競輪はなお新設をお許しになるのか、それとも将来廃止の方向に向つて、新設はやらない、今そろばん上赤字の出ているものも漸次押えて行つて、町村はやはり健全なる地方財政の方向に進むように通産省としても思いをいたされるのか。これらの問題について通産大臣の御見通しをひとつ伺つておきたいと思う。
  107. 岡野清豪

    岡野国務大臣 競輪の問題でございますが、これは地方財政を担当しておつた者といたしまして、私の道徳的観念から申しますれば、競輪場によつて得た金をもつて地方の行政費に充てる、しかもそれが時によれば学校の建築費になる。これはなるほど日本人の昔の——まあ私は古いものですから、昔の頭から考えれば、教育の冒涜じやないかというところまで考えたこともございますが、しかしなにさま国か戦後非常に困りまして、地方財政か、あなたも御承知通り、赤字々々で困つておるときでございまして、競輪で補つてつているということは、消極的に容認しなければならぬことだと思います。しかしこれを新設させて、それによつて地方財政をうるおして行こうという考えは毛頭私は持つておりません。しかしながら御承知通りに九州の風水害が起りまして、あれたけ困つている。そうすると地方におきまして、どうせ税金もそうたくさんとれるわけじやないから、競輪場でもつくるか、競馬場でもつくつてその財政を埋めて行かなければ、地方の財政はつぶれてしまうという輿論もきつく起きておりますから、これは相当慎重によく考えなければならぬと思います。しかし私の考えといたしましては、国の財政、地方の財政をよくして行くことは第一の理想であります。しかしながら国民が塗炭の苦しみをしておるときには、やむを得ないからそういうことでもしなければならぬ、条件をつけてでもある程度の容認をしなければならぬ、こういうことでありますから、慎重に考えまして善処いたしましよう。
  108. 今澄勇

    今澄委員 分科会ですからこの問題はこの程度でおきますが、私は所産大臣としてやはり基本的によく御検討をなさるべぎ問題であると思うので、一言申し上げておいたわけであります。  最後にもう一つ、今度の風水害によつて非常に中小企業にも被害がありました。農業関係は農業災害補償法その他の法律によつて、一応これらの諸君は当面とにかく法律のささえがある。ところが中小企業者に至つては、今日法的にはこれらの諸君を助けて行く根拠が何もありません。しかしながら家も流され、商売も流されたということになると、融資だけではなかなかこれらの中小企業者は立ち直り得ないのであるが、通産省としては、今次の風水害によつて被害を受けた中小企業者に対して、国家補助をできるだけやつて更生に資するような対策をお考えになつておるかどうか。そういうお考えがあるならばそれを伺つて、そのお考えがなければ、それにかわるべき融資の面においては、年限を特に延長するとか、保険制度によつて特別なとりはからいをするとかいうような、罹災者の中の中小企業者に対するお考えがあれば、通産大臣にお伺いしておきたいと思います。
  109. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今伺いました点については、私もそう考えておつたのであります。農業災害補償法は非常に農民を優遇した法律でございます。ところが先般風水害を受けましたいろいろな中小企業のことを聞いてみますと、農業災害補償法に匹敵するような保護法律がないのです。これは私は少し片手落ちではないかと思つておりますので、さつそくそういうことを考えさせようと思つております。しかしこれは先のことでございまして、今現に災害を受けておる中小企業者に対しては、どうしたらいいかということは別問題でございます。これは災害対策委員会の方にいろいろ通産省の案も出しておるそうでありますか、詳しいことは存じませんので、中小企業庁長官から考えていることを申し上げさせましよう。
  110. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 お説の通りでありまして、農林対策と比べますと、中小企業の災害対策は従来から非常にないのであります。昭和二十四年でございましたか、一ノ関の方面にやはり水が出ましたときに、中小企業者に銀行が貸しました金の金利を一ノ関市が立てかえて払う。その立てかえて払う金利の半分を国が資金的に応援したという例があるのであります。今度におきましては、やはり国から補助でやり繰るということは、農業と商工業の性質の差から考えまして、若干やりにくい点がありますので、まず信用保険におきまして、今度の水害等でみんな信用力が減つておろうと思いますから、信用保険を受けやすい形にしたい。その意味におきまして、国と公共団体とが保険料三分のうちおのおのが一分ずつ負担することにいたしまして、銀行並びに金を借ります被災の中小企業者は合せて一%の保険を持てばよろしいというように、至急目下準備中でございます。それによりまして、信用保険によるつなぎが比較的得やすくなろうかと考えておるのであります。なお開発銀行から五億程度の金を至急に罹災地に出してもらいまして、その金利は六分五厘程度でやらしてもらうこれは中小企業金融公庫ができますれば、これで肩がわりをいたす予定に考えておるのであります。開発銀行は本来が設備資金しか取扱いませんので、商業の店舗につきましては、この開発銀行の金ではちよつと手が及びかねる点があるのが欠点であります。そこで住宅金融公庫の金はどうかと申しますと、これが新築ないし新築に準ずる程度でありませんと、住宅金融公庫の金が出にくい。そこで大蔵省の方といろいろ相談いたしまして、国民金融公庫の金等を積極的に増額するようにお願いをいたしまして、それらによつて中小企業者の金融を円滑にいたしたいと考えております。なお商工中金におきましては、最近政府からの預託金等も数次にわたつて出ておりまして、若干の資金の余裕がございますから、商工中金はさしあたり自己資金で十億程度のものを現地で払うようにいたしております。国民金融公庫政府から大体六億程度のものを災害地に打つて行くような考えであります。なお政府の指定預金といたしましても、市中銀行、商工中金、信用金庫、相互銀行等に合計で十二億程度のものを流ししまして、応急の金融態勢をやつておるというふうなことでございます。現在のところでは、さしあたり金融措置で、災害を受けました中小企業者の復興の一助にいたしたい。その裏打ちとして信用保険の保険料率を下げた。それから金利等につきましては、国民金融公庫についても、また開発銀行から出しますものにつきましても、普通よりは安い金利を適用するように用意したというような段階でございます。
  111. 今澄勇

    今澄委員 遅くなりましたからやめますが、私今いろいろ承りましたが、この前予算委員会で風水害に対する中小企業、その他炭鉱、機械関係の被害を聞いたところ、通産大臣は千億というような答弁でしたが、人もよけいおつたし、調査も不十分であろうということでそのまま了承しておきましたが、今度の総括質問で、私はこれらの中小企業が今困つておるが、当面これを救う国家の補助はできないであろうけれども、将来これらの中小企業者を、農民の災害補償の法律その他に対応するような、同じ国民であるのであるから、これを保護すべき基本的な構想その他について、ぜひ早急に岡野さんとしてはおまとめ願つて御答弁願わぬと、私は全国の中小企業者としては承服できがたいものがあるのではないかという点を申し上げまして、外務大臣見えましたが、質問はあさつてに留保することにいたします。
  112. 葉梨新五郎

    葉梨主査 原健三郎君。
  113. 原健三郎

    ○原(健)委員 時間が参りましたから二、三分で終るように簡単に申し上げます。  今中小企業のお話が出ましたが、大蔵省の話を聞くと、どうしても大蔵省のやり方は金融資本家を擁護する、通産省の話を聞くと、どうしても通産省としては大資本家、大企業家保護の政策がきわめて多いのであります。中小企業は、言うまでもなく業者の数からいつても、生産量からいつても、七割も八割も占めております。それに今一番困つておるのは金融である。それならその対策ができておるか。ここ数年の間に商工中金ができて、遅ればせながら中小企業金融公庫ができて、今度の予算で八十億やつておるということですが、窓口が狭いし、または商工中金は組合員だけに貸すというので、焼け石に水で話にならぬ。労働組合は組織をつくつて大いにストライキをやつてあばれる、農民は農業組合とかその他をつくつてしつかりやつておるが、中小企業はどうしても団結もできないし、泣き寝入りであります。これは大いに声を大にしてやつてやらぬとかわいそうで、国家的に見てもはなはだ不公平千万である。災害の話が今もありましたが、災害を受けない常日ごろから全面的に中小企業が圧迫を受けて、その企業の経営も生活も危険にさらされておる。労働者や農民よりももつとひどい。国家は何らやつていないといつてもあえて過言でないと私は思うのであります。そこで金融機関の中でも、今申した二つの銀行なんかほとんど役に立たない。それで市中銀行を活用しなければ金融はうまく行かぬと思うが、今日中小企業に担保になるものは不動産よりない。そんなことでほとんど融資いたさないのであります。この間大蔵大臣に聞きますと、それは三五%くらいしておるから十分だという口吻であつたが、実際は総額の七〇%も八〇%もやつてあたりまえのことであつて、その半分くらいしかやつていなくて十分だという口吻でありました。三五%といつても、これは数がごく少いと思う。この金融対策をもつと市中銀行を動員してしつかりやらさなければならぬと思うのですが、これは大蔵省の力が強くて、通産省においても中小企業庁などというものをこしらえてごまかしておりますが、このくらいのことがやれない。金融については日本的な非常な権威者でもあるし、重鎮でもあられ、また過去の経歴がそうでありました岡野通産大臣には、この方面に大いに力を注いでもらいたいのでありますが、中小企業救済の金融策についての御所見をお聞きいしたいのであります。
  114. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は長年の経験もありますが、ただいまの状態では中小企業の金融というものは非常に困難なんです。と申しますことは、金融と申しましても、もし国家の金をただでやるというようなことにいたしますならば、これは別問題でございますけれども、しかしこれを採算をとつてやる、いわゆる預金をもとにした市中銀行が、没頭して中小企業の金融をやつて行こうというのは、これはなかなか至難な問題たと思います。でございますから、中小企業の金融をつけるという意味から行きましても、中小企業の経営の合理化、また経営というものをほんとうに金融の対象になるように改善して行かなければならぬと思います。そういたしますと、ただ単に金融だけの問題につきましても、中小企業そのものの形態をまず整備して行かなければならぬと思います。その点におきましては、安定化とか合理化とかいろいろあるのでございますが、それを大いに強化し、同時に細部にわたりまして打つべき手を打たなければならぬと考えております。
  115. 原健三郎

    ○原(健)委員 そこが私らと見解が違う。中小企業に対してそういう打つべき手を打つて、金融の対象になりにくいからしようおつしやるが、私から言うと、今日において日本で一番跋扈しておるのは金融資本家である。御承知でもございましようが、非常に高金利であります。昔は借入れと貸出しの金利の開きが二分五厘くらいであつたそうでありますが、今日は七分とか八分くらいます。銀行がそのさやをはねて、手数料というか、これで経営をやつてつて、しかも合理化は少しもやらぬ。やるのは何か、大きな豪壮なビルデイングを至るところに建てておる。その中に巣くうておる資本家は合理化をみずからやらずして、しかも国家は金融資本家を非常に托擁護して、中小企業に貸すと手間がかかる、そうだからめんどうくさい、貸倒れになつても困る、担保がはつきりせぬ、そんなめんどうくさいものに貸すよりも、大きなところにまとめて貸す方がいいというのが今日のやり方である。これを放任しておかずに——大蔵省がそういうような傾向に拍車をかけやすい。いわんや岡野さんは金融出身者だから、そういうふうに好意を持つておつしやられるかもしれませんが、少くとも通産大臣とし、経済審議庁長官としては、中小企業のために銀行に対する政策をもつと大蔵省にねじ込んで行かなければいかぬと思いますが、いかがでございますか。
  116. 岡野清豪

    岡野国務大臣 銀行家出身だから銀行のひいきをするというようなお言葉でございますけれども、しかしこれは金融業の本質でございまして、金融業というものは、もともと人の金を預かつてあげて、大事な財産を保存して差上げるというのが、まず第一の役目なんです。ただそれを保存しておいてはもつたいないから、まあひとつ自分自身のデイスクレシヨンにおいて、御迷惑をかけぬ程度に預金を人に融通しようというのが、銀行発生の歴史なんであります。そこで預金者が何十万、何百万の命から二番目に大事な財産をなくするということは、非常な社会混乱を起す、社会正義に反することでございますから、預金者に迷惑をかけないで金を出して行けるということに、銀行の方針がなるのは当然の話であります。そこで先ほど申し上げましたように、それでは一体中小企業に現在の段階において、預金者の金をまわして安心して行けるかというと、つい安心してできないという結論が出るので、金融が逼迫して中小企業の方ヘはまわらぬ、こういう結論になる。しかしそれはよくないことでございます。私はそれが絶対にいいとは申しません。これは金融業者のその目標は目標としておきまして、国家がある程度補助もしくは助成をし、同時に保証をして、銀行に安心して貸出しをさせて行くというような体系を、中小企業にとらせる方策を講ずるのが、通産大臣並びに通産省の責任だと思います。その意味におきましては、今後そういう方向に進んで行きたいと存じます。
  117. 原健三郎

    ○原(健)委員 もう一つだけ事務当局からお聞きしたいと思います。中小企業に対する貸出しは、金額にすると三〇%ぐらい出しておると大蔵大臣はおつしやるのですが、大企業に貸し出しておる数と中小企業に貸し出しておる数ですね、それがおわかりでしたらお教え願いたい。
  118. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 数の点でございますが、全国銀行の二十八年三月の貸出し残高から申しますれば、総貸出し残高は二兆二千四百四十四億でありまして、そのうちの八千百三十七億が中小企業向け、いわゆる一千万円以下の資本の会社に対する貸出しであります。その比率が三六・三%に相なるということでございます。数はちよつと資料として持つておりません
  119. 葉梨新五郎

    葉梨主査 それでは船越弘君。
  120. 船越弘

    船越委員 私は経済審議庁政府委員の方でけつこうでありますから、郷川の電源開発の点について、一点だけお伺いしておきたいと思います。中国電力は十四万キロの計画を持つておるといいますし、また岩崎さんの案は五十万キロという話でありますが、審議庁ではどういうふうな御計画をなさつておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  121. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 御承知のように郷川の開発問題に関しましては、ただいまのところ二つの案がございまして、両方からそれぞれ開発方を申し出ております。いろいろ検討はしておりますが、あの地点は特に郷川が残された一番大きな川でございますので、需給関係その他いろいろ考慮した結果、ただいまのところでは電源開発株式会社にこの地点を調査させまして、その調査の結果を待つてやりたい、こういうふうに考えております。この前第九回の審議会と思いますが、その審議会であの地点を開発会社で調査をさせるというふうにきめまして、今後調査に入る予定になつております。
  122. 船越弘

    船越委員 その調査は大体いつごろに終るのか、その調査に基いていずれ御計画をお立てになると思いますが、電源の開発ももちろん必要なことでございます。ところがこの川に沿いまして、三江鉄道という陰陽連絡の最も便利のいい鉄道が、本年度から着工されることになつたのであります。これで五十年来の広島県あるいは島根県の県民の要望が達せられたのであります。もし電源開発がされまして、この三江鉄道の従来の計画が水底へ入るようなことになりますと、この両県の県民は非常に落胆するのです。電源開発計画によりましては、あるいは山の上を通るような鉄道になるかもしれませんが、それではこの三江鉄道の陰陽連絡の意味をなさないことになります。木次線という鉄道がありますが、これは山の上を通つてつて、牽引力が非常に削減されておる。三江鉄道はこの郷川に沿いまして最も平坦なところに建設されることになつている。だから牽引力も非常に大きいのであります。もし御計画をなさるとすれば、そういう交通部面からも総合的な御勘案をなさつて、三江鉄道が現在計画いたしております路線に支障のないような案を立てていただきたい、こういうふうに考えるのでありますが、いかがでございましようか。
  123. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまのお話の通りでありまして、島根県、広島県並びに運輸省の方から、その点は再三お話がございまして、できますれば御希望に沿いますような方法で開発をいたしたいと思つておりますけれども、先ほど申し上げましたように、何しろ中国地方としては残された一番大きなところでありまして、現地の状況、補償問題等兼ね合いまして、今後の研究の結果きまることでございますから、今のところははつきりしたことは申し上げられませんけれども、御希望の趣旨は十分考慮いたしたいと思います。
  124. 葉梨新五郎

    葉梨主査 それでは通商産業省所管について留保いたしました質疑は明後日行うことといたしまして、経済審議庁所管についての質疑は、これにて一応終了いたしました。     —————————————
  125. 葉梨新五郎

    葉梨主査 次に、昭和二十八年度一般会計予算中、外務省所管について政府より説明を求めます。岡崎国務大臣
  126. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 外務省所管昭和二十八年度予算について大要を御説明いたします。  予算総額は五十一億三千五百二十三万三千円で、これを大別いたしますと、外務本省十六億九千五百三万三千円、在外公館三十四億四千二十万円であります。ただいまその内容について御説明いたします。  第一、外務本省一般行政に必要な経費五億二千六百七十万一千円は外務省設置法に定める本省内部局及び附属機関の一般事務を処理するための職員千二百七十四名の人件費及び物件費等でありまして、前年度に比して五千二百三十万円の増加は、職員の給与改訂及び人に伴う経費増額等であります。  第二、外務行政連絡調整に必要な経費一億二千七百七十五万七千円は、本省と在外公館との事務連務のための電信料、郵便料及び旅費等でありまして、前年度に比し四十六百十二万六千円の増加は、在外公館の増加と連絡事務の増加したためであります。  第三、外交文書編纂公刊に必要な経費四百七十七万八千円は、明治以来の日本外交史実を編集し、公刊するための経費であります。  第四、外交電信に必要な経費四千百九十一万六千円は、在外公館との通信施設の改良整備等に必要な経費であつて、前年度に比し九百十一万七千円増加したのは、在外公館新設に伴う電信機械購入の増加によるものであります。  第五、外交運営の充実に必要な経費二億四千万円は、外交再開第二年目において各国との外交交渉により幾多の懸案問題の解決をはかり、また各種の条約協定を締結する必要がありますが、これらの交渉をわが国に有利に展開させるため必要な工作費で、前年度に比し二億一千万円の増額となつております。  第六、アジア諸国に関する外交政策及び賠償実施政策の樹立に必要な経費一千三百八十七万二千円は、アジア諸国に関する外交政策の企画立案、その実施及び賠償実施政策の樹立のため必要な経費であります。  第七、欧米諸国等に関する外交政策の樹立に必要な経費二千二百四万四千円は、北米、中南米、西欧及び英連邦諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施に必要な経費と、今秋京都において開催される太平洋問題調査会の太平洋会議補助金二百七十万七千円、及び在パリ日本会館補助金九十二万五千円であります。  第八、海外渡航関係事務処理に必要な経費七百九十七万二千円は、旅券の発給等海外渡航事務の経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための委託費四百六十万円であります。  第九、国際経済情勢の調査並びに資料の収集に必要な経費八百五十一万七千円は、世界経済の正確な把握を期するため内外の資料文献を広く収集整理するための経費であります。  第十、通商貿易振興に必要経費五千五十三万二千円は、通商利益の保護増進をはかるため、国連の後進国開発計画に即応し、東南アジア諸国に対する将来の貿易振興を期待し、財団法人国際学友会の事業として、東南アジア諸国技術留学生の受入れ施設の建設拡充のための補助金四千九百八十五万五千円と、訪日通商使節団の国内視察の際の同行旅費であります。前年度に比し四千五百四十三万六千円の増加は、前述補助金を増加したためであります。  第十一、条約締結及び条約集編集等に必要な経費一千五百二十二万一千円は、国際条約の締結、条約集等の編集、条約典型の作成、条約及び国際法並びに内外法規の調査研究のため必要な事務費等であります。  第十二、戸籍法及び国籍法関係事務処理に必要な経費三百四十八万九千円は、在外邦人の身分関係事務、及び二重国籍者の日本国籍離脱に関する戸籍法上の事務に必要な事務費であります。  第十三、国際連合への協力に必要な経費六千六百四十八万三千円は、国際連合各機関の調査研究に必要な事務費及び後進国経済開発技術援助拡大計画拠出金二千八百八十八万四千円と、国際連合国際児童緊急拠出費三千六百十万五千円であります。  第十四、国際労働機関アジア地域会議負担金支払いに必要な経費一千七百十四万一千円は、今秋東京において開催される国際労働機関主催の第二回アジア地域会議に対するわが国の負担金であります。  第十五、日米合同委員会日本側事務局の事務及び国連軍協定実施に関する事務処理に必要な経費四百四十一万二千円は、日米安全保障条約第三条に基く行政協定の実施機関である合同委員会日本側事務局の事務、及び国際連合軍との協定実施に関する事務に必要な経費であります。  第十六、情報啓発事業実施に必要な経費二千五百九十二万九千円は、国際情勢に関する資料の入手、海外に対する本邦事情の啓発及び国内啓発等のため必要な経費であります。前年度に比し三百四十万六千円の増加は、通信購読料と啓発資料作成の増加したためであります。  第十七、国際文化事業実施に必要な経費一千五百五十四万一千円は、文化交流を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝資料の作成、購入の経費、及び国際連合協力の意思を盛り上げるため国家的事業の一環として財団法人日本国際連合協会補助金六百八十八万五千円と、日本文化の海外紹介の事業を主とする財団法人国際文化振興補助金二百八十万円であります。前年度に比し一千八十六万六千円の増加は、前述の補助金の増加と文化紹介資料の購入、作成の増加によるものであります。  第十八、未引揚邦人調査及び外地にある遺骨引取に必要な経費二千六百十四万八千円は、未帰還邦人の氏名、生死等を明らかにし引揚げ促進のための外交交渉及び留守家族援護策の実施に必要な資料を整備するための事務費、及びこの事務の一部を都道府県に委託するための委託費九百六十七万九千円と、外地において戦没した同胞の遺骨引取り、墓地保存等の協定に必要な事務費等であります。  第十九、旧外地関係事務処理に必要な経費五百五十七万七千円は、朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官庁職員の給与、恩給、その他残務整理に必要な経費であります。  第二十、旧外地官庁引揚職員等の給与支給に必要な経費六千万円は、二十八年度中の旧外地官庁引揚見込み職員三百二十四名と、未引揚職員七百三名の留守家族に対する俸給その他諸給与であります。  第二十一、移民振興に必要な経費一億六千二百四十八万四千円は、ブラジル開拓移民一千二百五十人を送り出すための渡航費貸付金一億四千八百二十八万三千円、及びこれが事務を移民団体に委託するための経費五百九十二万円等であります。  第二十二、神戸移住あつ旋所事務処理に必要な経費七百九万六千円は、移民の本邦出発前における健康診断、教養、渡航あつ旋等の事務を行うため必要な経費であります。  第二十三条、国際会議参加及び国際分担金支払等に必要な経費二億四千百四十二万三千円は、海外で開催される各種国際会議わが国の代表を派遣し、また本邦で開催される国際会議に必要な経費と、わが国が加盟している国際機関の分担金であります。  第二十四条、在外公館一般行政に必要な経費三十三億六千二百九十四万二千円は、既設公館六十二館三百十七名と二十八年度新設予定の在米大使館ニユーヨーク分室、キューバ、ヴエネズエラ、カンボジア、イラン、オーストリアの五公使館、へルシンキ総領事館、べーレン、ダツカ、ラゴス、ナイロビの四領事館に必要な職員三十六名及び既設公館の職員の増加六十五名計四百十八名の給与、赴任、帰朝、出張旅費、事務費、交際費等であります。昨年度に比し二億四千百三十一万五千円の増加となりますが、そのおもなるものは職員給与の改訂、事務費及び交際費の増加であります。  第二十五条、対米宣伝に必要な経費二千五百五十五万一千円は、日米親善に寄与するため、わが国の政治、経済、文化等の事情を組織的にアメリカ合衆国各地に紹介するための資料作成費、講演謝礼、及び事務費等であります。  第二十六条、在外公館営繕に必要な経費三千四百七十万七千円は、イント駐剳大使の公邸新営費及び在フランス大使館事務所の修理費等であります。  第二十七条、国際会議事務処理に必要な経費千七百万円は、在外公館所在地で開催される国際会議の事務処理に必要な事務費であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和二十八年度予算の大要であります。詳細御審議のほどをお願いいたします。
  127. 葉梨新五郎

    葉梨主査 以上をもつて外務育所管説明は終了いたしました。  質疑は明後日午前十時より行こうとといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後七時十二分散会