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1953-07-17 第16回国会 衆議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十七日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 尾崎 末吉君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 荒木萬壽夫君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 池田正之輔君       相川 勝六君    植木庚子郎君       江藤 夏雄君    小澤佐重喜君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    高橋圓三郎君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       船越  弘君    本間 俊一君       水田三喜男君    八木 一郎君       稻葉  修君    小山倉之助君       川崎 秀二君    河野 金昇君       河本 敏夫君    竹山祐太郎君       中村三之丞君    三浦 一雄君       勝間田清一君    櫻井 奎夫君       福田 昌子君    三鍋 義三君       八木 一男君    横路 節雄君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       小平  忠君    河野  密君       中居英太郎君    平野 力三君       三宅 正一君    石橋 湛山君       始関 伊平君    根本龍太郎君       黒田 寿男君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 大野 伴睦君        国 務 大 臣 大野木秀次郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵政務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵政務官         (主税局長)  渡辺喜久造君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 七月十五日  委員中川源一郎辞任につき、その補欠として  鈴木正文君が議長指名委員に選任された。 七月十七日  委員倉石忠雄君、鈴木正文君、稻葉修君、櫻内  義雄君、古井喜實君、石山權作君武藤運十郎  君、河野一郎君及び世耕弘一辞任につき、そ  の補欠として小澤佐重喜君、水田三喜男君、三  浦一雄君、荒木萬壽夫君、竹山祐太郎君、青野  武一君、櫻井奎夫君根本龍太郎君及び始関伊  平君が議長指名委員に選任された。 同日  委員青野武一辞任につき、その補欠として三  鍋義三君が議長指名委員に選任された。 同日  理事川崎秀二君の補欠として荒木萬壽夫君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 七月十五日  昭和二十八年度予算に関する陳情書  (第八三四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 尾崎末吉

    尾崎委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事川崎秀二君より理事辞任の申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御異、議なしと認めます。よつて委員会荒木萬壽夫君を理事指名いたします。
  4. 尾崎末吉

    尾崎委員長 昭和二十八年度一般会計予算昭和二十八年度特別会計予算及び昭和二十八年度政府関係機関予算の三案一括議題といたします。  右三案につきましては、すでに質疑は終了いたしております。この際、日本社会党両派共同提案として、八百板正君外十四名より予算三案に対するの共同提案として、小峯柳多君外三十出されております。これより順次その趣旨説明を許します。  まず予算三案に対する編成がえを求めるの動議趣旨説明を求めます。中居英太郎君。     〔「大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  5. 尾崎末吉

    尾崎委員長 今参ります。     —————————————
  6. 中居英太郎

    ○中居委員 私は社会党両派を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました昭和二十八年度一般会計予算外二件に対しまして、政府はただちにこれを撤回し、以下申し述べます両社会党立場に即しましてこれを組みかえ、すみやかに再提出すべきであるとの動議を提出いたしまして、その趣旨弁明を行わんとするものであります。     〔委員長退席小峯委員長代理着席〕  顧みますれば、終戦以来今日まで八年間、かけがえのない時間が経過したのでありますが、この間にあつて吉田内閣はその政権を担当すること五たび、五符年有余にわたりましてわが国の政局の衝に当つて参つたのであります。私はその施策の個々の業績につきましては、すべてこれを否定せんとするものではないのであります。しかしながらその経済政策大綱におきまして、あるいはまた外交政策大綱におきまして、遺憾ながら吉田内閣の過去の施策は、平和な文化日本の前進を示す何ものもなく、再建日本の前途に寄与する片鱗すらも見出すことができなかつたのでありまして、かえつてむしろ逆に、さらに深刻なる段階に日本を追い込んでしまつたという事実を指摘せざるを得ないのであります。  すなわち吉田内閣経済政策は、露骨な資本主義経済に終始して独占資本の復活をはかり、これが擁護に汲々といたしまして、常に勤労国民大衆生活は顧みられず、失業者はちまたに充満し、国民経済は崩壊の寸前に追い詰められ、国民生活困窮はまたその極に達せんとしておるのであります。  また外政面におきましては、占領下という特殊な事情にあつたとは言いながら、不必要なほどの屈辱的な態度秘密独善外交に終始して参つたのであります。行政協定によつて現われました裁判権放棄、あるいは基地問題において見られたような、一方的な要求に唯々諾々として屈服しておるこのありさまを見ましても、向米一辺倒植民地外交といわざるを得ないのであります。このような外交方針は、アメリカの戦略的な便宜外交願使に甘んじたと言われても、おそらく弁解の余地はないと思うのであります。しかもかくのごとき吉田内閣外交方針は、米ソ対立の渦中に日本を巻き込んでしまつたばかりではなく、国家独立の前提ともなるべき白E的な貿易経済にもはなはだしい制肘を加えられまして、アメリかの戦時経済一環に依存いたしまして、経済自立の方途を見九つて今日まで至つておるのであります。国家財政大半アメリカの傭兵的な保安隊の増強に費され、米軍基地要塞化、あるいはばかげきつたような娯楽施設拡充のために、防衛費という名のもとに消費せられ尽して、今日まで八箇年を経過して参つたのであります。政治本来の民生安定と、経済的上のための施策は極度に圧縮せられて顧みられず、厖大な軍事費的な予算をまかなうための血税が、国民からしぼり上げられて参つたのであります。まさにわが国運命は重大なる岐路に立つており、国家経済国民生活は、累卵の危うきに瀕しておると申しましても過言ではないと思うのであります。また米ソ両国の宿命的な対立にもかかわらず、イギリスを中心とするところの西欧諸国家の冷静なる、平和希求態度は、朝鮮休戦決定的到来を招来せしめまして、世界百不安の度合いは急激に平静化しつつあることも御承知通りであります。従いまして第二次大戦以来今日まで、動揺動揺を重ねながらも上昇の一途をたどつて参りました世界経済情勢は、急激に後退を続けまして、その規模は縮小せられ、資本主義経済の必然の運命であります好況、不況の波動は、世界的な規模において、女気後退から経済不況への推移が予想せられる現状なのであります。  かような内外債券のもとにあつて編成せらるべきところの昭和二十八年度一般予算は、いわゆる百平和不況という客観情勢が憂慮せらるるのでありまして、昭和二十八年度予算はまず第一番に、いかにしてこの、平和不況を克服するかという重大なる課題に答え得るものでなければならないと思うのであります。しこういたしましてこの任務を果し得るためには、計画経済によるわが国経済基礎の拡大を目途といたしまして、国内における資源の積極的な開発を行い、雇用量を増人いたしまして国民生活水準を引上げ、もつて大衆購買力の造成をはからなければならないと思うのであります。またそれと同時に中国、東南アジア貿易等をも積極化せしめまして、国際貿易の伸張による自立経済達成への道を開拓して参らなければならないと思うのであります。われわれはかかる観点に立つて、二十八年度予算における財政的処置重点を、経済自立達成のために計上すべきものであると考え、まずその機軸となるべきところの電力の開発、鉄鋼、食糧生産拡充をはかりながら、計画的な再編成を行わんとするものであります。これらのものにつきまして肥料、造船、化学繊維等の各産業における生産力の増大とコスト高生産過程を克服し、物価の引下げをはかることによつて、もつて貿易振興の絶対的な要件であります国際競争力の培養に、その強力なる施策を講じなければならぬと思つておるのであります。またその反面、防衛費あるいは行政費等のごとき件生産過程関係のない、純粋経費と考えられる予算は極力これを抑制いたしまして、これを経済産業開発、あるいは社会保障等費用に充てることは当然であるのでありますが、これと同時に、経済自立のために看過し得ない治山治水あるいは災害復旧国土保全等のための緊急処置を講ぜんとするものであります。また日本における中小企業者の地位を認識いたしまして、これが育成と協同化を推進し、投融資に対する積極的な施策を取上げなければならないと思うのであります、  かくのごとき根本的な経済再建経済自立施策は、決して現自由党吉田内閣の考えておるごとき安易大放任経済では、とうていなし得ざるところであるのでありまして、これこそがわれわれの行う社会主義計画経済のひとりよくなし得る政策であろうと信ずるのであります。わが社会党両派はこのような分析のもとに立ちまして、以上申し述べましたごとき方針をもつて、本年度予算の組みかえを政府に要求し、これが動議を提出せんとするものでありますが、以下数点、その枢要なるものを簡単に説明申し上げたいと思うのであります。  その第一は減税であります。政府予算説明におきまして、またまた一千億減税という看板を、何のおくめんもなく高々と掲げて国民を瞞着せんとしておるのでありますが、自由党の言う減税の実体がいかなるものであつたかということは、過去数年来の苦い経験によりまして、国民は骨の髄まで知り尽しておるのであります。国民所得が五兆六千億にふえても、所得税はその割合に百川せしめないから、減税したと政府は説明しておるのでありますが、一体政府の言うこの国民所得の算定が、昨年以下の所得申告ではこれを受付けないというような、強圧的な水増し数字基礎にしておる限りにおきましては、いかに自分かつてな架空な数上字であるかということを、容易にうかがい知ることかできるのであります。昨年の租税総額が六千七百十二億円であるのに対比いたしまして、昭和二十八年度のそれは六千九百八十九億円でありまして、逆に二百七十七億円の増税であるという数字はつきりと政府原案にも示されておるのであります。しかも本年度における中央地方財政を通じましての純計予算総額は実に二兆八千億に進せんとするものであるということが予想せられておるのでありますが、たとえば政府発表国民所得額面通りであつたと仮定いたしましても、国民はその所得ちようど五〇%に相当する金額を、直接あるいは間接に税として吸い上げられておるという計算に相なるのでありまして、今日ほど国民税負担の過重に坤吟しておるときはないと思うのでありまして、税の本質が、必要なだけ国民から上取上げるという支配者に与えられた合法的収奪の、手段であると考えておるならばいざ知らず、税そのもの国民に福祉をもたらさんとする政治一環であるといたしましたならば、百の施策よりも、税負担の過前からいくらかでも解放せられたいと望んでおるのが、今日の偽らざる国民の心情であると思うのであります。われわれはかかる観点から所得税におきましては家族四人で月収二万円までを免税点といたしまして、年収三十四万円以下の勤労国民の大免税を断行せんと主張するのであります。また中小法人はその税率を三五%に引下げまして、さらに物品税については大衆課税の矛盾を指摘いたしまして、大よそその一割を引下げてここに合計九百二億円の実質的な大減税をなさんとするものであります。もしも政府原案租税収入が一千億減税した数六字であると仮定いたしますならば、政府原案から実質的にさらに九百億円以上の減税措置を講じましたわれわれの案は、実に一十九百億円の減税であるとも言い得るのであります。  第二に申し上げたいことは、防備関係費についてであります。昭和、十七年度予算に計上した防衛支出金安全保障費保安庁経費など一千九百余億円のうち、年度内使用することができずして、未使用のままに本年度に繰越されんとしておるところの金額は、九百五十六億円の多きと相なつておるのであります。財政法第十四条の第三項には「歳出予算経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。前項の規定により判年度に繰り越して使用することができる経費は、これを繰越明許費という」と明らかに指定しておるのでありますが、政府においては昭和二十七年度予算中、これらにつきましては一切財政法に基く繰越し使用所要手続をいたしておらないのでありまして、まなおた本年度予算の中にも繰入れの処置さえも講じていないのであります。このような解釈のもとに、私どもはこの九百五十六億円の未使用防衛費を、法の当然定むるところに従いまして、これを不用とみなしまして、われわれの組みかえんとする本年度予算の中に繰入れんとするものであります。また防衛支出金六百二十億円は不平等条約の締結に基く費用でありまして、安保条約あるいは行政協定の根本的な改訂によつて、当然不用になるものであるとするわれわれの立場から、この金額を全額削除いたしたのであります。保安庁経費について申し上げますと、今日の保安隊装備内容が実質的なる軍備であつて戦力放棄を規定いたしました憲法第九条に違反するものであると思うのであります。従いましてさぎをからすと言いくるめんとするがごとき詭弁を弄しまして、現下国民重大関心事であるところの防御問題をごまかし去らんとするその老獪なる心肝は、唾棄すべきものがあるのでありまして、これが吉田内閣の陰険きわまる政治的な性格を物語るものであると私は思つているのであります。私どもかくのごとき見解に立ちまして、保安隊経費につきましては、これを機動力を有する警察隊に縮小いたしまして、その経費につきましては、またその機能を果すに必要な程度に圧縮いたしまして、その差額四百五十億円はこれを削除せんとするものであります。  第三に米価の問題について申し上げます。最近の農村経済が依然たる低米価肥料高に脅威されまして、その困窮度合いをいよいよ深刻にしていることは、だれ一人否定できない昨夏であるのであります。よつてわれわれは肥料の増産とコスト引下げをその施策重点に揚げまして、その解決をはからんとしておることは先刻申し述べましたところでありますが、米価については米価審議会の決定を尊重いたしまして、再生産を償う価格一石当り一万円をもつて生産者価格とし、しかも早場米供出奨励金現行通りといたしまして、農民経済農民生産意欲とを向上せしめまして、食糧自給態勢確立を推進せんとするのであります。また反面消費者価格は十キロ六百八十円の現行価格を堅持することによりまして、国民生活の安定をはからんとするものであります。この徹底せる二重米価制度の実施に要する国家補償金額五百五十八億円を予算に計上せんとするのであります。  さらに第四の重要施策といたしまして、公務員給与改訂を行わんとするものであります。国家公務員、教職員、地方公務員など三百十四万人に達するこれら公務員給与ベースにつきましては、当面人事院の新たな勧告に基きまして現行ベースの一三%増、すなわち一万五千五百円をもつてベースといたしまして、これを予算化し、さらに夏季手当〇・五を追加いたしまして、これらに要する諸経費合計七百二十二億円を計上せんとするものであります。政府はさきに公務員罷業権を奪い、その代償として人事院勧告を忠実に履行すべき義務をみずから定めながら、常にその勧告は時期的に無視せられ、公務員生活の窮状は見るに忍びざるほどに窮迫しておる現状なのであります。しかも今日のごとき複雑な経済機構の中にありましては、これらの人たち占むる数影響力は、社会に大きな度合いを示しておるのでありまして、ただ単に俸給という意義以上に、その購買力あるいは生活水準が、わが国経済に与える影響は実に至大なものがあることをわれわれは知らなければならないのであります。  さらにわれわれは地方財政確立をはかつて、よつてつて民主主義の母体を健全に育成せんといたしまして、それぞれの所要財政措置を訓じ、赤字補順法を制定いたしまして、地方財政赤字解消をはからんとしておるのであります。  また先般西日本一帯を襲うた風水害によつてこうむつた惨状、被害の甚大に思いをいたしまして、これが災害復旧のための財政措置といたしまして二百七十億円を計上して、すみやかなる復旧をはからんとしておるのであります。  なお詳細にわたりましては、これを各議員に配付いたしました両社会党提出の組みかえ要綱の書類に譲つて省略させていただきますが、先刻来申し述べましたように、私どもはこのような観点に立つて予算を組みかえ、その数字政府原案と比較してみますと、二百二十四億円の増加と相なつておるのであります。しかしながらその内容におきましては、すでに説明申し上げましたように九州地方災害復旧費二百七十億円、公務員給与改訂費七百二十二億円が計上せられておるのでありまして、政府原案がもしもかりに通過したと仮定いたしましても、当然近くこれらのものが追加計上するための補正が約束せられておる内容であることは御承知通りでありまして、実質的にはわれわれの要求する組みかえ予算は、その総額におきまして政府原案に対しましては逆に七百六十八億円の減税となつておることは明らかなところなのであります。  独立国家として初めての自主的編成予算であると銘打つて出されました昨二十七年度予算も、その編成占領中になされたものであることを思うとき、遺憾ながらほんとうの意味での独立予算とは言い得なかつたのであります。しかしながら昭和二十八年度政府予算三案は、名実ともにたれ人の制肘も受けずに、政府独自の意思をもつて編成せられた、いわば独立国家予算第一号に相違ないのでありまして、それだけに国民がこの内容に大きな政策転換期待とを寄せておつたことは、これまた当然のことと思うのでありまして、占領行政のみじめさを味わい知り尽しておつただけに、独立国家としてのいわば初めてのその予算に抱いた黒みというものは非常に大きかつたのであります。しかるに政府原案は、依然として占領行政予算の延長でありまして、占領軍の背景に安逸をむさぼり続けて参りましたその習性が、そのまま吉田内閣性格となつて固定化してしまつていることを暴露する以外の何ものでもなかつたのでありまして、吉田内閣に抱き続けて参りました国民の最後の淡い期待も、このことによつて遂に絶縁するものであろうということを私は予想いたしておるのであります。  国費の大半は依然として防衛費保安庁費など軍事費に濫費計上せられておるのであります。わが国の再軍備促進について、これを強要するアメリカに対しまして、消極的な抵抗を行つておるかのごとき印象を、国民に与えておりました吉田総理大臣の言動は、ただ単なる見せかけのゼスチュアにしかすぎなかつたものであることは、このたびの予算審議を通じまして、論議せられましたMSAあるいは防衛五箇年計画等を契機といたしまして、はつきりとその正体を国民の前に現わしたのであります。再軍備に反対いたしまして、平和憲法を守ろうとする国民大多数の意思を恐れるの余り、どこまでも国民を瞞着しながら再事備を着々と強行せんとしている吉田内閣政策に対しまして、国民はおそらくその存在を許さないでありましよう。・米一辺倒屈辱外交に終始いたしまして、わが国国土とわれわれ国民経済、これが犠牲に供しようとしている亡国的な政策に対しまして、やがて国民の怒りによつて徹底的に打ちのめされるときが来るであろうと思われるのであります。独立日本におきましては、もはや吉田内閣は勢力的にも政策的にも、すでに政権担当者としての能力を失うておるのでありまして、かかる内閣予算原案対しまして、われわれは断固反対を表明するものでありまして、すみやかなる予算成立を要望する国民輿論の中にありながらも、なおかつわれわれがあえて予算組みかえの動議をここに提出せんとするゆえんのものもここにあるのであります。  内外情勢の困難なる中にありまして、よくわが国独立の完成と経済自立を達成せんとする社会党両派は、以上のごとき観点から、ここに予算組みかえの動議を提出したのでありますが、政府はすみやかに原案を撤回いたしまして、その内容を根本的に組みかえ、すみやかに再提出せられんことを強く要求いたしまして、提案趣旨弁明にかえる次第であります。(拍手)
  7. 小峯柳多

    小峯委員長代理 次に、予算三案に対する修正案趣旨説明を求めます。三浦一雄君。     —————————————
  8. 三浦一雄

    三浦(一)委員 私は自由党両派及び改進党を代表いたしまして、昭和二十八年度一般会計特別会計及び政府機関予算案に対しまして修正案を提出し、以下その概要を説明せんとするものでございます。  内外情勢はまことに多端でございまして、しかもわが国を取巻く朝鮮休戦会談以来の産業経済上の情勢を見まするに、われわれは日本再建のため一段と努力して参らなければならぬことは申すまでもございません。しこうして二十八年度予算は、まさにわが日本再建のために、牢固たる決意のもとに、再建の諸方策上最も緊要なる施策を盛り込まなければならぬと考えるのでございます。なかんずく基幹産業を培養いたしまして、その基盤を培養する。第二番目には貿易を振興して、この世界情勢に対処する。同時にまた国民生活に最も重要であります食糧問題の解決にも、一段と用意を重ぬべきときであると考えるのでございます。この観点より、一は貿易振興施策を一歩進める。さらにまた海運についてはわが国情勢に即して、この方面に特段の配慮をなさなければならぬという点、またさらに食糧問題は国家の重要なる問題と考えますので、この問題を取上げ、しこうして現下最も世論の中心になつております諸多の問題がありますが、そのうち緊急やむを得ざる問題を取上げて、この修正案をつくるに至つたのでございます。しこうしてこの修正案をつくるにあたりまして行政費を節約する。しこうしてこの危局に処するの道をとる。さらにまた保安庁の経費等につきましても節約を重ね、これに充てたいということが骨子になつております。  以下その概要を説明申し上げます。  すなわち行政費の節約は約百一億円でございます。これは一般会計中特定項目の経費節約をいたしたのでありまして、このうちには約四十億の保安庁分の節約を含めてございます。なお行政各庁の節約を要請したると同時に、特別会計及び政府機関にもそれぞれの節約を提唱いたしております。  第二番目には保安庁経費を削減及び繰延べをいたしたのでございます。それは六十五億円でございます。この経費をもつて以下述ぶる事項に充てんとするものでございます。  第一は、国民健康保険療養給付費の国庫負担を二割に改訂し、このために十一億二千二百万円を充当せんとするものでございます。  第二番目には、供米の奨励金のために二百億円を支出せんとするものであります。これは食管特別会計をもつて経理いたしますが、そのうち百億円は二十八年度一般会計より食管特別会計に別途繰入れの措置を講ずることを前提といたしております。この奨励金は、農家が米を供出するにあたりまして、一石につき八百円を交付するものでございます。  第三番目には食糧増産費の増でございまして、これに十億円、その内訳は、小規模土地改良補助七億円、畑地灌漑補助二億二千万円、酸性土壌改良補助五千万円、耕土培養補助三千万円を内容といたします。  その次には中小企業金融公庫出資金の増額であります。これに三十億円をつけ加え、出資金を増額せんとするものでございます。  次に輸出促進の諸措置でありますが、輸出促進のため、所得税法、法人税法の一部を改正いたしまして輸出貿易に資せんとするものでございまして、このために本年度減税額は十六億六千六百万円に上つております。  次には海運振興に関する施策約十億でございます。その主要なるものは造船用利子の補給でございます。  その次は文教施策のための費用の増加でございまして、二十七億一千余万円を投ぜんとするものであります。一は科学振興費等の増四億円、二は私学振興費五億円、三は義務教育諸学校老朽弱体校舎改修費の増十億円、四は積雪寒冷地帯中、小学校屋内体操場建築費の増二億円、五、義務教育及び高等学校戦災校舎改築費の増六億円、高等学校教員給与是正に要する経費一千八百万円、以上は当面の文教施策費の増でございます。  次に国土総合開発計画費等の増五千万円、内訳は、経済審議庁所管、国土開発調査費の増一千万円、同土地調査費の増一千万円、建設省所管、国土総合開発調査費中、特定地域調査地域総合開発調査費補助金の増三千万円等、これでございます。  最後に地方財政平衡交付金を増額せんとするものでございまして、これに五十億円をわかたんとするものでございます。この中には公立高等学校教員給与是正のための経費約三億六千万円が包括されんとするものでございます。  以上は三派提唱にかかわる予算修正の大綱でございまして、その概要はすでに配付されてありますが、その骨格を私が説明申し上げました。  なおこれらの問題につきまして細目の点は、同僚議員河本君等の説明をもつて補足さしていただきたいということを申し添えまして、提案の趣旨説明を終ります。
  9. 小峯柳多

    小峯委員長代理 ただいまの説明に対する補足を河本君から伺うことにいたします。河本敏夫君。
  10. 河本敏夫

    ○河本委員 ただいま修正案の大体のことにつきまして御説明がございましたが、なおその詳細と、あわせて修正案をつくりましたその基調をなしておる財政、金融、産業貿易政策に関しまして所信の一端を申し述べたいと存じます。  政府提出の二十八年度予算は、大蔵大臣の説明にも明らかなるごとく、前国会において衆議院の議決を経た後不成立となつ予算を基調とし、そのあとの情勢の推移に伴い多少の調整を加えておるが、最近の朝鮮における休戦の見通しが強くなつておることに対しては、かりに休戦成立するといえども予算編成の前提となる経済情勢に当分急激なる変化は生じないであろうとの見通しのもとに、特にこのための改編は行われておらないのであります。  御承知通り、前国会の不成立予算が衆議院を通過するに際し、与党たる自由党より特に附帯決議として次のような四つの条件がつけられております。すなわち第一に、「速かに長期に亘る経済及び財政計画を樹立し自立自主経済財政の方針を闡明すること。」第二には、「財政資金の撒布超過の多額なるに備え、貯蓄増強の施策を強力に推進すること。」第三に「冗費の節減の為一大財政整理を断行すること。」第四には「速かに中央地方を通ずる財政の根本的調整を行うこと。」以上の四つが附帯条件として決議されておりまして、特に第一項に関しましては、これをさらに敷衍いたしまして、財政経済にわたる長期の計画樹立の問題に関する本委員会における政府の説明を通じて考えられることは、なおそこに若干の研究不十分なるうらみがあることを与党みずから強調しておられたのであります。この点につきましては、われわれもまつたく同感であります。  以上のことが先般の不成立予算の致命的な欠陥として指摘されておるのであります。従つて今回の政府予算もこの不成立予算基礎として作成せられ、多少の数字上の調整が加えられておるにすぎないのでありますから、当然先ほど申し上げた通りの致命的な欠陥があるばかりでなく、かつ朝鮮休戦後の経済事情に変更を生ぜずとの断定に立つておることは、われわれと根本的にその認識を異にするものであります。  われわれはかかる前提に立つて、時間的な制約や政府原案の修正という技術的な制約を受けつつ、できるだけ先ほど申し上げた原案の欠点を是正せんとするものであります。  ただこの際お断りいたしておきたいことは、基本的な修正の態度はその通りでありますが、この修正案は、改進党作成の修正原案を、政局を考慮しつつ、一応両自由党の希望をもある程度織り込みつつ、さらに再修正せるものでありますがゆえに、当初の精神が十二分に貫徹されておらないことをまず率直に申し上げておかなければなりません。  第一、今回修正いたしました金額は、一般会計におきまして歳入歳出とも約百六十数億、特別会計におきまして約二百億でありまして、その結果、一般会計予算総額は約九千六百五十四億円となり、政府原案に比し約二十八億の減少と相なつておるのであります。  第二に、一般会計の収支の均衡はこれを保持しつつ、財政資金全体の収支としては、政府原案よりも一層弾力的な考え方をもつて臨んでおることであります。すなわち、現在二千八百億を越える財政蓄積資金を政府原案よりも約二百億円よけいに活用せる結果、政府原案の散布超過約千百億円が約千三百億円に達しますがゆえに、この際民間資金の吸収を一段と強化するため、預貯金、公社債、合同信託等の利息等課税を源泉一本といたし、その課税率もこれを大幅に引下げて一〇%にする等の考慮を払つておるのであります。なおこの機会に特別定期、すなわち割増金付特別定期にも一〇%の課税をいたさんとするものであります。以上の措置によります減税額は、先ほど御説明の通り十一億円余りでございます。  第三に、一般会計において修正せる約百六十数億円の財源として行政費の節約約百億及び保安庁経費の削減及び繰延べ六十五億を充当いたしております。行政費の節約は改進党原案では百四十五億円が、保安庁関係の節約額約四十億を含めまして、結局約百億に減少いたしておりますが、これは百四十五億でも政府原案の放漫な支出より見まして、当然節約をし得るのでありますが、これまた諸般の政治情勢を考慮いたしまして、その一部を減額いたしたものであります。なおこのほか特別会計で約二十二億、政府機関で約五十一億、合計約七十三億の節約をいたしております。この金額は年額にいたしまして、一般会計だけで約百五十億に達し、さらに特別会計政府機関会計を合計する場合には、実に二百五十億円以上に達するのであります。なおこの際特に強調したいことは、わが国の行政機関は、国力に比しきわめて膨大かつ複雑であり、この際行政機構の徹底的な簡素化によつて、なお中央地方を通じまして数千億の経費節減が可能であるということと、機構が膨大複雑でありますがゆえに、経費がややもすれば放漫かつずさんに支出される傾向が強いということを指摘しなければなりません。従つて今後当然この問題解決のために、政府は真剣に全力を傾注すべきものであるということを、この点に関連して強調しておきたいのであります。  また政府原案では、保安庁関係費は、予算外国庫契約分をも含め約八百二十億に達し、昨年度約五百九十億に比し約二百三十億の増加に相なつております。しかるに、御承知通り政府は、保安隊の人員は増加しないが、装備の充実及び訓練の強化によつて、順次強化して行くことをたびたび言明しながら、それに関係する計画も、木村保安庁長官の言明によれば、ないということであり、しいて現在保安庁の持つておる計画らしきものといえば、先般問題になりました木村試案しかないというのが真相のように考えられるのであります。このために、第一に、長期にわたる財政経済政策立案のためのこれががんになつております。第二には、防衛生産計画を立案することもできません。さらに第三には、保安隊予算がかかる放漫かつずさんであり、国費を無計画的に濫費しておる傾向がきわめて強いのであります。すなわち、昨年度に繰越された保安隊費は約百五十億円でありますが、本年度に繰越されたものは約二百八十億円に達しております。しかも本年初め国会で保安隊予算のずさんのため、その使用残りがきわめて多いことが指摘されまするや、二月三月の二箇月間で相当多額のものを急ぎ使つた結果が、なお先ほど申し上げた金額であります。この金額もやはり国会での論難を恐れまして、四月から六月までの三箇月間に大急ぎで大部分を使つてしまつたのであります。また保安隊の表面上の任務とその編成訓練、配置等がまつたく目的に合致しておりません。このため保安隊員自身がその矛盾に悩んでおるところに志気の上らない結果を来しておるのでありまして、まつたく無用の長物となりつつあるのであります。将来自衛軍を創設する場合に保安隊中心となることが予想せられますが、もししかりとするならば、かくのごとき保安隊現状では、将来わが国の国防に重大なる暗影を投ずるものと断ぜざるを得ないのであります。しかも防衛力増強の計画をわれわれは全然知らされておらないので、十分なる予算審議が不可能であります。このような理由に基きまして、改進党の修正原案では保安隊自身を否定するものではないが、長期の防衛計画が樹立せられ、保安隊がすつきりしたものにならない以上、いたずらにその予算を増額すべきでないという趣旨のもとに、保安庁の行政費を約三十億、施設費その他を合せまして約二百億削減することになつてつたのでありますが、これまた諸般の政治情勢より、行政費節約約四十億を含めおおむね百億円の削減または繰延べと相なつたのであります。  以上の節約または削減あるいは繰延べによりまして捻出した約百数十億の財源を、いかなる方面に支出するかということにつきまして御説明いたします。  まず第一にわが国経済を自立せしめるため、国際収支の均衡を達成することが、現下わが国の最大問題なるにかんがみ、主として貿易及び海運に対する相当徹底した対策をとることにしたのであります。政府の説明では本年度の国際収支の見通しとしては、外貨収入は輸出貿易約十一億八千万ドル、特需約七億ドル、海運収入約二億ドルを含めまして貿易外収入が約二億四千万ドル、合計二十一億二千万ドルに対し、外貨の支払いは輸入約十七億八千万ドル、その他貿易外の支払い三億四千万ドルとなり、国際収支はおおむね見合う計算と相なつておりますが、特需及び貿易外収入に対しましては、われわれもこれとおおむね同じ見通しに立つておるのであります。ただこのうち特に問題になりますのは輸出貿易であります。十一億八千万ドルという数字が出るまで、経済審議庁では十億四千万ドル、通産省では十三億ドル、大蔵省はおおむねその中間の十一億七、八千万ドル程度の見通しを立てられました。結局中間案の大蔵省の見通しを一応の輸出貿易政府見通しとして、この委員会に提出せられたのであろうと思います。従つてこの数字には大きな根拠はないものと思うのであります。しかしながらわれわれは朝鮮休戦後の世界貿易競争は一段と激化するものと思われますので、この政府の見通しは相当甘いといわざるを得ないのであります。すでに昨年の初め十六億ドルの輸出の見通しを立てましたものが、結局約七割五分に減少して、年度末には十二億ドルにも達しなかつたことを思いますときに、これに対処するための特別の対策を急ぎ樹立する必要があります。このために対策の第一といたしまして、目下政府より提出中の輸出損失準備金制度のほか、貿易業者や生産業者の輸出金額の一定率を総益金より控除する免税制度を実施することとし、本年度約十六億円の減税を実行せんとするものであります。世上ややもいたしますれば、この制度を将来わが国のガツト加入に障害ありとなす者がありますが、すでに西独ではこの制度と並んで輸出振興準備金制度を一昨年四月より実施、異常な成果を上げております。しかも最近さらにこの制度を一段と強化せんとしておることよりも、かかる心配は当らないと思うのであります。なお本制度に関しましては大綱だけが決定いたしておりまして、その細目は法案審議を通じまして調整せられることに相なつております。  対策の第二といたしましては造船用鋼材規格料を廃止するがごとき金融上の措置をとつたことであります。わが国産業は戦前は繊維工業を中心とする軽工業でありましたが、今後は重化学工業を中心とする産業構造にならざるを得ないし、またなるであろうという見通しについては、われわれも政府とまつたく同意見でございます。従つて輸出商品も重化学工業が中心となることは当然予想せられるのであります。しかしながら昨年東南アジアに対する機械の輸出を例にとつてみましても、わが国はわずかに昨年に比し三%前後の増加であるに反し、英国では一二%、西独では三二%増加となつておりまして、わが国は著しく立ち遅れておるのであります。しかも朝鮮休戦後は米国が鉄鋼関係の輸出国として登場し、英国及びシユーマン・プランによる西欧諸国は強力な競争相手となることが予想せられるのであります。また肥料の輸出のごときも、台湾、朝鮮においてすら西欧諸国に敗れておる状況であり、わが国の重化学工業の輸出貿易の前途は、まことに暗澹たるものがございますが、しかもそのいずれもが価格が外国に比し一割ないし三割高いところにその原因があり、かつその原因たるや設備の近代化、経営の合理化あるいは政府の金融、税制、為替面よりするコスト引下げの方法がとられましても、依然として鉄鉱石や粘結炭、塩等その他原料を外国より輸入しなければならないというハンデイキヤツップが残るきわめて困難な問題が残されておるのであります。最終的にはこの問題を解決するためには、補給金政策を考慮せざるを得ないということは当然考えられるのでありますけれども、これらの基本的問題を解決することは、現在の政治情勢では不可能に近いのであります。  かような理由によりまして、われわれはこの際重化学工業のうち、とりあえず多少の金融上の対策を考慮するならば、たちまちにして相当額の輸出契約の期待せられる造船業に、とりあえず応急の措置をとらんとするものであります。すなわちわが国の造船業は繊維工業とともに世界の最高水準を行くものであり、しかもその能力は現在の施設をフルに操業するときは百万トンを越えるといわれ、従つて国内船その他雑船を毎年三十数万トン建造いたしましても、なお外国よりの注文を年間六、七十万トン、金額にいたしまして約一億五千万ドル消化することが可能であります。幸い諸外国ではいずれも四年ないし五年以上の注文を持つており、わが国だけがその受注能力を持つておる状態であり、かつ最近六箇月間では約二百六十万トンすなわち約六億ドルになんなんとする引合いがあるにかかわらず、結局一割ないし二割程度の価格の相違のために、一隻も成約を見ないというのが現状であります。しかもこの原因がわが国の鋼材の価格世界水準よりも上位にあり、鉄鋼施設、主として厚板の圧延施設の近代化がなされておらないために、諸外国ではその例もない、いわゆる特殊規格料というものがトン当り相当額かかつておるところに、最大の原因があるわけであります。よつてわれわれはこの対策といたしまして、製鉄会社の日本銀行よりの外貨借入れ金利五%を二分五厘に、開発銀行の金利一割を七分五厘にとりあえず引下げ、これによつて生ずる年間十五億、本年度約十億円をもつてこの規格料に該当する価格引下げの措置を講ぜんとするものであります。これは本修正には表面上現われておりませんが、来年度以降日本銀行及び開発銀行の政府の納付金の減少となつて予算面に計上せられるはずであります。もちろんこれはごく部分的な対策でありまして、きわめて不完全なものであります。これによつて十分なる成果が上るものと期待することは早計であり、政府はさらに今後早急に重化学工業全般のコスト引下げのための総合的かつ機動的な対策を樹立すべきであります。なおこの問題も大綱のみが決定し、その具体的な実行方法を大蔵、通産、運輸三省間において協議決定することに相なつております。  対策の第三は、現在の輸出入銀行の金利七分ないし五分、平均五分四厘見当のものを約一分引下げて四分五厘になるごとくすることに決定いたしましたために、現行の最低分が、最低の金利三分ないし三分五厘前後に引下げられることに相なるわけであります。  対策の第四は、輸出前貸手形の割引料は、現在再割手形一銭九厘、担保手形二銭三厘でありますが、これもおのおの七厘程度引下げることを目標として、とりあえず二厘程度の引下げをするごとく措置をすることを決定いたしました。これまた明年度以降、輸出入銀行及び日本銀行の政府納付金の減少となつて予算面に現われて来る予定でございます。  以上の措置を併用することによりまして、われわれは本年度約二億五千万ドル前後の輸出貿易の増加を見通しておりますが、政府原案十一億八千万ドルが先ほど申し上げた通り非常に甘く、われわれの見通しでは政府原案の対策のみをもつてしては、十億ドルを割るとすら考えられておりますので、差引本年度輸出貿易の見通しは、今後客観情勢に大きな変化を生じない限り、おおむね十二億ドル前後に相なるものと予想せられるのであります。  次に貿易外収入の大宗をなす海運対策につきまして御説明を申し上げます。  本委員会における政府御答弁によりますならば、昨年の海運による外貨収入約一億八千万ドル、また五年後には毎年約三十万トンずつ船舶を増強いたしまして、約三億二、三千万ドルに達するであろうという政府の御答弁でありますが、われわれの見通しでは、商船隊の量を戦前程度に回復し、戦前のごとく第三国間にも相当量就航せしむるように努力するならば、海運によつて五年後年間五億ドル前後の外貨を獲得することは、さして難事ではないという見通しのもとに立つておるのであります。しかるに貿易と並んで外貨獲得の二大支柱であるところの海運業が崩壊寸前にあるゆえんのものは、諸外国に比し建造費が高く、しかも金利が著しく高いために、国際競争力がないということが二つの大きな原因であります。これが対策といたしまして、建造船価を若干引下げるために、八月以降輸出船舶と同様に、国内船に対しましても鋼材規格料の引下げをはかることにいたしましたが、最大の問題である金利の引下げに関しましては、八月以降開発銀行の金利を五分といたしまして、貨物船は六次船、油槽船は八次船よりそれぞれ一分五厘の利子補給をいたしまして、実質上三分五厘とし、また市中融資に対しましては、同様に貨物船は六次船以降、油槽船は八次船以降、十年間利子補給をしてその金利を五分に引下げることにいたし、このための所要経費約十億円を計上いたしておるのであります。現在わが国の船舶経費中におきまして金利の占める割合は、全額借入金によるものといたしまして、わが国では約六〇%、英国では約二五%であります。今回の措置によりまして、今後の新造船は、船舶経費のうち、その金利経費は約三〇%見当に引下げられることに相なりますが、なお実際的には英国の海運は戦時の補償と戦後のブームによつて自己資本が充実しておるために、新造の場合借入金はおおむね二割以下となつておるので、現実には二五%の二割、すなわち五%見当がコスト中の金利負担となつておるのであります。これに反しましてわが国では、戦時中沈没した約八百万トンの船舶の補償金約二十七億、現在の時価に換算いたしまして約一兆億に近いものが打切られ、明治初年以来八十年の蓄積が一挙に消滅し、戦後は無よりスタートしたため、全額借入金による必要上なおこれだけの助成策をとりましても、英国の商船隊に比し金利負担は約二五%のハンデイキヤツプが残つておるのであります。なおこの補給金の詳細につきましては、運輸委員会等の法案審議を通じまして、最終的に決定することに相なつておるのであります。  次に中小企業対策について申し上げます。政府原案では、中小企業に対し一般会計より新たに八十億、商工中金に対する政府貸付の肩がわりに二十億を、合計百億の資本金をもつて中小企業金融公庫をつくると同時に、資金運用部よりこれに二十億の貸付をすることになつております。国際経済競争の激化に伴い、今後、金融の重点化、企業の合理化に伴い、そのしわ寄せが強く中小企業にせられることが当然予想せられるのであります。このために、中小企業の危機は政府の見通しよりもさらにはげしいものがあるといわなければなりません。このためには、われわれは、一般会計より三十億円を増額いたしまして中小企業金融公庫に出資せんとするものであります。  以上貿易、海運、中小企業対策が、ただいま提出いたしました修正案のうちのおもなる産業政策でございます。  次に、農業問題につきまして御説明をいたします。ただいまの三浦委員の説明に関しまして補足的に申し上げますと、基本米価の引上げが完遂奨励金という名目で行われるのでありますから、名前のいかんにかかわらず、完遂の有無にかかわらず、供出米全部に対して支払われることになつておることは当然であります。なお、これに必要な経費は、とりあえず食管特別会計から二百億計上せられておりますけれども、これは今後当然予想せられる補正予算の際に、とりあえず百億を一般会計より繰入れすることに相なつておるのであります。なお、米価問題と表裏一体をなす食糧増産費、これは十億を増額致しておりますが、政府原案の弱点であるところの小規模土地改良事業を中心としてこれを出す予定に相なつております。  次に、科学技術の振興と文教の振興に関して簡単に御説明を申し上げます。科学振興費のうち、科学振興費の増額約四億円に相なつておりますが、これは国立国会図書館におけるPBレポート、原子力資料購入並びにこれが閲覧に伴う経費の補償約一億円、それから文部省所管科学振興費中、補助金及び交付金の増一億八千万、産業教育振興費の増二千万円、通産省所管工業技術員の予算の増一億円、以上の通りであります。なお、文教振興費中、義務教育の諸学校老朽弱体校舎改築費が政府原案では十二億となつており、これは建築年齢五十年代以上の危険校舎を四箇年計画で改修せんとするものに対し、修正案は三十年代、四十年代の危険校舎を急速に改修する必要を認め、全危険校舎総坪数八十六万坪と推定、四箇年計画、国家補助三分の一、初年度十億円を追加計上したものであります。  次に積雪寒冷地帯小中学校屋内体操場建築費は、政府原案は五億円と相なつておりましたが、これは新築坪数二十四万坪を六箇年計画で完成せんとするものを、われわれは年額七億五千万円、四箇年計画で完成することを目標とし、さしあたり本年度二億円を追加計上いたしまして、七億円といたしたものであります。  第三に、義務教育諸学校戦災校舎修築費は、政府原案九億円は、復旧を要する坪数百十万坪を五箇年計画で復旧するものでありますが、この金額にとりあえず六億円を増額いたしまして、二箇年半に急速にこれを完成せんとするものであります。このうち老朽校舎と戦災校舎の改築復旧工事は、完成計画年数に比し、やや少額であるがゆえに、次年度以降さらに大幅の増加の必要を生ずるわけでございます。  以上のような文教対策と並行いたしまして、金額はわずかでありまするが、教員給与準則改訂に要する経費を若干計上いたしております。これは現行教員給与体制の欠陥を是正いたしまして、大学教員、高等学校教員、小中学校教員の三本建とし、その実施期日を二十九年一月以降とするため要する経費であります。なおこれに伴い、公立の高等学校に要する経費は、別途計上しておる平衡交付金の増五十億の中に含まれ、計上しておるのであります。さらにまた、文教振興、義務教育費等、これらに対する地方財政を考慮するために、合計七十五億円の公募公債の増加を予定しておりますることをつけ加えておきたいのであります。  次に地方財政問題につきまして、簡単に御説明いたします。本修正案に五十億の平衡交付金の増加が計上せられておりますが、これは昨年までの地方財政の赤字は、自治庁の見込みによりましても、最低約二百億に達し、本年分を入れまするならば、相当の巨額になる見込みでありますが、現在のわが国財政上、行政費と地方財政が二つの大きながんになつておることを考慮するときに、いたずらに地方よりの陳情に耳をかすべきではなく、この際早急に、地方制度並びに地方財政制度を解決しなければならぬことは当然でございます。しかしながら、何分にも地方の財政窮乏ははなはだしいものがありますので、とりあえず五十億円の平衡交付金を計上いたしまして、給与の改訂に伴う不足額百四十二億の一部に充当せんとするものであります。また地方行政費の節約に関しましては、中央と同様に行うものといたしまするならば、大蔵省の計算では、本年度約二百二十七億、自治庁の計算では約百億となつておりまするが、すみやかにその節約額の目標を両者間において調整いたしまして、地方に強力なる指示をなすとともに、それを実行せしむるよう指導すべきであると考えるのであります。  最後に、改進党原案におきまして、郵政職員の給与体系是正のために要する経費として五億円を計上しておきましたが、本修正案でそれが削除せられましたゆえんのものは、郵政のほか、その後引続き林野、造幣、印刷と調停がせられておりますが、これらはいずれも調停の翌月よりこれを実施するものとし、それに必要な財源として、特別会計における経費節約によつて、これを調達実行するがために、このような結果に相なつたのであります。  以上が修正案大綱の明細でございます。以上をもつて私の説明を終ります。
  11. 小峯柳多

    小峯委員長代理 これにて編成がえを求めるの動議及び修正案趣旨説明は終りました。  これより修正案に対する質疑に入ります。順次これを許します。八百板正君。
  12. 八百板正

    八百板委員 先ほど説明せられました修正案についてお尋ねをいたします。与党も加わつて、こんなに大きな修正が野党と一緒になつてされ、しかも通過が予想されておるということは、前例のないことでありますから、おそらくこういう重大なる修正に対しては、政府は責任を感じておやめになるであろうと思うのでありますが、ただいま修正案に対する質問なので、政府の御意見を承ることができないのは、まことに残念であります。  まず修正案提案者にお聞きいたしますが、先ほどの長時間の御説明でございましたので、申合せの二十分という短い質問の時間で尽し得るかどうか疑問でございますが、簡潔に要点だけ尋ねますから、お答えの方も長くとも一分以内ぐらいにまとめて、御回答をいただきたいと存じます。  まず第一に、米価に関連してお尋ねいたしたいと存じます。消費者米価は上らないという保証が確約いただけますかどうか、お尋ねいたします。
  13. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 今回の予算修正に盛られた財源は、今回の本年度米価には加えないということを、三党の間で政府にも約束をいたしております。
  14. 八百板正

    八百板委員 消費者米価が上るか、上らないか、これをお答えいただきます。
  15. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 予算上からは米価は上る原因はありません。
  16. 八百板正

    八百板委員 予算上ではなくて、実際上出来秋に、消費者米価は結果として、上げられるという事態が起ると考えられるか、起らないと考えられるか、どちらかということをお答えいただきたい。
  17. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 米価審議会によつて決定をされる米価は、政府の責任でありますから、われわれの答弁の限りではありません。
  18. 八百板正

    八百板委員 米価審議会の責任によつて決定せらるべき米価に関する事項を、国会において、科学的な米価審議会内容を無視して、おきめになるという考え方は、今のお話自体が大きな矛盾と思いまするが、いかがでございますか。
  19. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 矛盾と考えておりません。
  20. 八百板正

    八百板委員 どうもただいまの御答弁は、吉田総理大臣の最も悪い御答弁をおまねになつたのでありまして、今まで一緒にやつて参りました野党の代表の答弁としては、私もまことに遺憾に存ずるところであります。  それではお尋ねいたしまするが、八百円というのは何ですか。
  21. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 八百円は、われわれは少くも今日の財政負担において上げ得る額を千円と考えておりましたが、しかし調整の間におきまして財政上やむを得ず八百円にせざるを得なくなりましたから、免税措置を合せてこれを補うことにいたした結果、出た額でございます。   〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 八百板正

    八百板委員 八百円の額は何の額でありますか。
  23. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 奨励金の額であります。
  24. 八百板正

    八百板委員 奨励金というのはお米に対する奨励金だと思いまするが、それは農民に支払う限り米価と心得てよろしいか、お伺いします。
  25. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 われわれはそれぞれ党の立場によつて考え方は違いますが、予算上の措置といたしましては、米価に準ずるものとして奨励金として考えております。
  26. 八百板正

    八百板委員 党の立場が違うので、一方は米価に準ずるものと考え、一方は奨励金と考えるという、二重解釈がこの二重米価の実体と理解してよろしゆうございますか。
  27. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これはそれぞれ政党の立場が違つておりますから、考え方が違うことはやむを得ないと考えます。
  28. 八百板正

    八百板委員 提案者は、農村問題に対して農民立場をよくしようという立場に立つておられる方だと私は理解しておりますが、この八百円によつて何を上げようと考えておられますか。
  29. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 農家の収入を増そうと考えておるわけであります。
  30. 八百板正

    八百板委員 農家の収入を増すというだけでは政治にはならないのであります。その結果生産力の増大を来すとか、それぞれの政治的効果が期待されて、初めてそのお話はうなずけるのでありますが、その点農業の生産力の増大に役立つところの最もよい支出の方法であると理解せられておるかどうかお伺いします。
  31. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これは長く答弁することを禁じられておりますからやむを得ませんが、われわれは米はできるだけ高くするという点においては、自由党の池田氏とも話し合つて意見は一致をしております。従つてできるだけ生産費を償うように高くするということは、八百板君のお考えとは何も違つておらないつもりであります。従つて生産を増すための手段方法については、私がここから申し上げるまでもなく、いろいろな財政投資と価格政策と相伴つて行くということが本来の筋道と考えますので、不十分ながら両方の道で、修正に際してもさような方法をとつたわけであります。
  32. 八百板正

    八百板委員 完遂奨励金と名づけられたのはどういう意味ですか。
  33. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これは修正案予算のために、現在の予算に書き上げられております名称が完遂奨励金となつておりますので、新たなる項目をつくることは修正の技術上不可能でありますので、この名称をやむを得ず採用をいたしたわけであります。
  34. 八百板正

    八百板委員 名は体を表わすということがございまするが、完遂しない者に対して完遂奨励金をやるという、そういう政治をやつてよろしいのでございましようか。
  35. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 もちろん完遂をすることに努力をすることには、だれも異存はないと思います。ただこの金の使い方は政府がきめるのでありますし、そのきめ方のもとは、この提案者たる三党の話合いによりまして、先ほど提案理由の説明の際申し述べたようなことをきめておりますから、これを政府にやらせることは、私は少しも間違いではないと考えております。
  36. 八百板正

    八百板委員 なぜ基本米価の中に織り込む努力をしなかつたのでしようか。
  37. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 先ほど申し上げましたように、十分なる財政負担ができるならば、そうしたかつたのでありますが、米価の中に入れますと免税はできませんし、財源的に不十分でありましたので、奨励金として免税処置をして、農家の実質的な収入を補う方法をとつたからであります。
  38. 八百板正

    八百板委員 免税ということは別個の処置でありまして、別の処置によつてまかなうのであります。少くも農民生産したお米に対して支払うものは、あくまでも農民の労働に対する正当なる代価でなければならないのであります。これをこのようなゆがめた形において農民に与えるということは、明らかに農民の地位を愚弄するものであります。農民の労働に対する正当なる代価を払うという態度を捨てて、農民に対してあたかも恩恵的態度をもつて臨むがごとく、御褒美をやるというような考え方は、明らかに封建的年貢制への逆転であると考える。この点米価政策、農業政策に対する逆コースであるとお考えにならないかどうか。   〔「なりません」と呼ぶ者あり〕
  39. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これは政党のそれぞれのお立場がありますから、御意見としては尊敬いたしますが、われわれは逆コースとは考えておりません。
  40. 八百板正

    八百板委員 基本的な米価の問題について自由党、改進党それぞれの立場の違う考え方を、単に自由党政権にかじりつくために、こういうまぎらわしい作業をやつたということは、まことに遺憾にたえないところでありますが、こういう大きな修正をやられまして、その後の執行について、改進党を初めとする今まで野党の立場に立つておられた方には、どの程度に責任の限界をお考えになつておられるか。是々非々の立場をとると、今までおつしやつておられたのでありますが、間近に岡崎外務大臣、木村長官の不信任案の問題が勢いのおもむくところ必ず出るであろうと予想せられておりますが、与野党が一緒になつて予算の修正をされ、その予算が執行せられる場合における責任の限界、並びに是々非々主義をとるという改進党の方の今日までの態度、これを今後どういうお考えと態度によつて続けて行かれるか、この点に対してお伺いいたしたいと存じます。
  41. 川崎秀二

    川崎委員 改進党の是々非々主義というのは、御承知のごとく国会の審議を通じて、いい法案、いい議案、いい予算案には賛成をするし、修正をすべきものがあれば修正をする、しかしてこれは国家のためにはならぬと思いますものについては当然正面から反対をする、これが是々非々主義の真骨頂であると考えております。従つて今回修正をいたしました予算につきましては、元来自由党政府が提案いたしたものでありますから、わが党として受入れられない部分については修正をいたします。従つて修正部分については共同の責任があるものと考え、この予算の執行につきましても、十分に政府を監督するつもりであります。
  42. 八百板正

    八百板委員 自改両党の修正案は、明らかにインフレ要因を一層大きくしておると見られるのでありますが、先ほど散布超過が千三百億という数字があげられましたけれども、もつともつといろいろな意味におけるインフレ要因が重なつておりますので、散布超過はもつと大きくなると考えますが、この点について提案者は、どのようにお考えになつておりますか。
  43. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 お答えをいたします。数字的にはいろいろ見方がございましようけれども、提案者からさつき申し上げました通り、一応千三百億の散布超過という数字が言い得るかと思います。しかしその中には百億の当然次の臨時国会におきまして一般会計より繰入れる予定になつております食管会計分がございます。それを差引けば政府案よりは百億円の増というかつこうになりますが、その百億といえども財政の許す限りにおきましては一般会計で負担すべき性質のものである。従つて臨時国会におきましては、補正をする措置をとるべきものと心得ます。のみならず先ほども説明申し上げましたように、いろいろの預貯金吸収政策をあわせ行いますことによつて、散布超過の何がしかはこれをもつて吸収できること等も考えあわせ、さらにはまた全国的に地方公共団体も含めて、行政費を節約するということ等を考えあわせますならば、必ずしも散布超過の懸念が政府原案以上に厖大になつたということは考えられないと存じております。
  44. 八百板正

    八百板委員 インフレ要因が、一層増したということはすでに一般に見られている事実でありまして、われわれはただいまの答弁に賛成をするわけには行かないのでございますが、時間もございませんから次に移ります。  まず第一に従来避けておりましたところの補給金的性格を、まず利子補給という形において、船の方に大きく出して参つたわけであります。今後の予算の上でもそういう考え方で進む、さらにこの考え方は単に今回のことに限らず、重要なる産業に対する利子補給という考え方で、だんだん発展して行くものである、こういうように了解してよろしいかどうか。
  45. 三浦一雄

    三浦(一)委員 海運の振興のために、特に利子補給を提唱いたしまして妥協いたしましたが、一般的傾向としてお説のようなことに、すべてを持つて行こうという考え方はございません。
  46. 八百板正

    八百板委員 自由党の政調会長の池田さんは、この利子補給はやがて配当がふえるとか、経理内容がよくなるというふうな場合には返してもらうのだということをある機会に述べておりましたが、そういうものですか。
  47. 三浦一雄

    三浦(一)委員 それは両者の話合いからこういうふうになつておりまして、われわれもそういうふうに考えております。先ほどの御説明にも触れておつたと存じます。
  48. 八百板正

    八百板委員 保安庁経費を削られましたが、再軍備を唱える改進党とMSA援助を受けようとして一層警備計画をやらなければならないという立場にある政府、その与党たる自由党がどういう根拠に立つて保安庁経費を削られたか、また一方においてそれと矛盾する債務負担行為を容認するという態度をどういう根拠に基いてとられたか、明快に御答弁をいただきたいと思います。
  49. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 先ほどの提案理由の説明にもございましたように、われわれは保安庁の存在そのものを否定するものではございません。ただ吉田内閣がやつておられる何かしら再軍備的なごまかしのやり方には賛意を表し得ないところでありますが、そのことは一応別といたしまして、実質的に見まして予算審議の過程上も皆さん御承知通り、前年度からの繰越しないしは本年度計画等を検討いたしまして、少くとも数百億の不用額が考えられるのではあるまいか、必ずしも明確ではございませんけれども、われわれはそれを約二百億は減額してしかるべしと判断をいたしまして、修正原案はそういうことで折衝を始めました。しかしながら一方におきまして、その節約しました額を何に使うかというわれわれの主張を具体的に提示しておりまして、それとの関連上財源的の意味合いから、約百億円を保安庁経費に依存する。表面上は六十五億と出ておると存じまするけれども、いわば予算修正のしわ寄せを、財源的に保安庁経費に持つてつた保安庁経費の節約余力は以上申し上げたような意味合いにおいて、われわれは理解しておると御承知を願いたいと思います。  なお予算外国庫負担行為に移しました点は、率直に申しましていわば妥協であります。しかしその妥協につきましては政府側ないしは与党側とも相談をいたしまして、一応の具体的根拠ありとして予算外契約と申しますか、債務負担行為を認めるという態度にいたした次第でございます。
  50. 八百板正

    八百板委員 妥協も政治のある場合においてやむを得ざる事柄でありますが、あくまでも適法なる妥協でなければならないのでありますが、この予算外契約の債務負担行為は、計画的な保安庁の警備計画なり、それぞれなりの計画表示なくして、数年間にわたつて行われる債務負担行為を容認するのでありまして、これは明らかに財政法上からいつても適法ならざる妥協であります。この点についてどうお考えになるかお答えいただきたい。
  51. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 先ほども申し上げました通り政府提案の保安庁経費のうちには、今度修正をいたすにつきまして節約いたしました額以上が期待できるのでございます。従つてどもはもし政府側から今後さらに具体的な、ぜひかくあらねばならないという説明を納得しない限りにおきましては、今後の国会において補正予算等におきましても、一つの財源がそこに残つておるという考えのもとに、この修正案には臨んでいるような次第でございます。予算外契約に移しましたことは、先ほど申し上げた通りでございます。
  52. 尾崎末吉

    尾崎委員長 横路節雄君に関連質問を二点に限つて許します。横路節雄君。
  53. 横路節雄

    ○横路委員 提案者にお尋ねいたしますが、ただいまの問題と関連してでございますが、この提案者といたしましては、補正予算を一体お考えになつているのかどうか。私たち本修正案を見ました場合に、第一番目に考えます点は、ただいま前の質問者からお話がございましたように、提案者の方では政府のいわゆる保安庁経費に関する点、すなわち改進党としては、保安庁経費は再軍備につながるものであるという観点がどうも明確でない。従つて今後本国会で問題になつたいわゆる警備計画とか、あるいはMSA援助によるところの防衛計画が強化されて、政府自体が具体的な案を出されて来るようになれば、改進党といたしましてはそれに伴つて保安庁経費を増額するというような補正予算を組まれる考えがあるかどうか。その点お尋ねいたしたいと思います。  なおそれとの関連において本修正案の非常に欠点になつております点は、率直に申し上げまして公務員給与ベースに関する点が何らないのでございまして、この点は私たちの組みかえ動議の中にも、約七百九十億近いものがいわゆる公務員給与ベース・アツプについて組んであるわけですが、この点について提案者といたしましては、この年度には全然公務員給与ベース改訂をやらないのか、やるとすれば当然これは補正予算に組まなければならない。補正予算に組むとすれば総額は約一兆以上に上るだろうと私どもは想像するのでございます。  ただいまの保安庁経費に関しまして、先ほど申し上げましたように、政府が具体的な警備計画、MSA援助に伴うところの防衛計画が具体的になれば、補正予算総額の修正をするのか、増額をなさるのか、さらに公務員給与ベース等についても、あわせて補正予算をお組みになるのか、その点をまず第一番目にお尋ねいたします。
  54. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 保安庁の経費につきまして増額するかいなか、MSAとの関連においてさらに増額があるかどうかは、私どもの関知する限りではございません。先ほど臨時国会補正予算と申し上げましたゆえんのものは、さし当り西日本の九州を中心としまする水害の対策費を、今度の修正案には一つも具体的には盛つておらないわけでございますが、これは当面の災害予備金で一応のことはまかなえる。さらには一般予備金も二百億はたしかあつたかと思いますが、そういうもので当面の措置ができるけれども、しかし西日本一帯の水害対策費としましては、相当厖大な国費を必要とするであろうことが推定されるのでありまして、これをあえて本予算の修正に盛つておりませんゆえんのものは、この段階において、単に名目的な計上をしますことは、かえつてふまじめである。なるべくすみやかにその実態を把握して、十分なる措置を講ずべく、なるべくすみやかに臨時国会を政府は召集して補正予算を組むべきものという見解のもとに、補正予算に言及したような次第でございます。  公務員ベースにつきましては、今回は一つも考慮をいたしておりません。このことは今後の検討にまつべきものと心得ております。
  55. 横路節雄

    ○横路委員 ただいまの点で、私一番最初の提案説明を聞いておりまして、荒木さんにもう一度お尋ねするのですが、先ほどの河本君の提案説明でありましたか、その中にいわゆる保安庁経費を削減した理由は、どういうふうに政府に聞いても警備計画というものが明確でない。従つてその警備計画が明確でないのに、こういう厖大な経費は出す必要がないのであつて、もしもこの点が明確にされるならば、当然その言葉の裏としては、考慮すべきであるという意味を含んでおつたと思うのでございます。そこで私は今御質問いたしたのでございますが、ただいまの御答弁では、そういうことは提案者としては、もつと考えるべき筋ではないかというお話でございましたが、その点はいささか先ほどの提案の説明とは、違うのではないかと思うのでございます。  なおもう一つ重ねて、給与ベースについては、これは現実の問題として昨年の例等にもよりまして、本国会に組めなければ、これは当然適当な機会に補正予算を組まなければならないのでありまして、こういう点等についても、当然お見通しの上で、本予算に対する修正の態度をおきめになつたと思うのでございまして、その点もう一度はつきりお答えをいただきたい。
  56. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 保安庁経費につきましての修正案の説明者と私の申し上げることに、趣旨において相違はないものと思います。もし違つてお聞き取りいただいたならば、私の表現の方法がまずかつた点があるいはあろうかと思いますけれども、その趣旨に相違はございません。  賃金ベースの問題につきましては、先ほど申し上げました通り、この修正案を相談いたしまするときに、当然の内容として考慮しなかつたということであつて、今後の検討にまつべきもの、検討の結論として補正でも必要であるとするならば、そのときの問題だと申し上げたつもりでございます。
  57. 横路節雄

    ○横路委員 私は平衡交付金と地方債の点についてお尋ねをいたしますが、先ほどの提案説明の中で、平衡交付金千二百五十億を千三百億に増額、すなわち五十億の増額修正をしたのでございますが、その説明を聞いておりますと、二十七年度末までの赤字約二百億あるが、とりあえずそこで五十億やるのだ、こういうお話でございましたが、その五十億の基礎的な内訳としては、給与費の不足百四十二億をこれに充当いたしたいというお話であつたのでございます。なお一番最初の三浦さんの説明の中には、この五十億の中にはいわゆる教員の俸給の三本建に伴うところの公立学校の教員、約三億六千万円についても考えているというお話であつたのでございます。そこで私はこの平衡交付金についてお尋ねをいたしたい点は、この給与の三本建には私どもは反対でございますが、こういうもの、いわゆる公立学校の職員について不足分三億六千万円を組むとすれば、当然地方財政計画の中で今まで問題になりましたいわゆる義務教育に関する分、すなわち昨年まで問題になりました三百五十六円も今日は七百九十四円以上になつておると思うのでございます。この点がすでに二十七年度だけで、いわゆる義務教育職員だけで二十三億、それから昨年度〇・二五支給したために交付公債、地方債等でこれを支払えないという不足な分十億を入れますと、約三十三億は義務教育学校分としては、私は当然改進党側として、この修正案の五十億の中に含まれておるものと、私どもは解釈をいたしておるのでございますが、それでよろしゆうございましようか、その点お聞きいたしたいと思います。それから重ねていわゆる義務教育の危険校舎の起債の補助の分であるとか、中学校の屋内体操場建築費増加の分であるとか、公立学校の戦災復旧の分等に関しまして、それぞれ増額修正になつておるのでございますが、これに伴うところの地方債につきましては、これをひつくるめまして公募公債を七十五億にするということは、これは地方の財政計画からいつて、まことに穏当を欠くのでございます。この点につきましてはこれは公募公債でなしに、いわゆる資金運用部資金の方で、それは当然いろいろな計画はあろうかと存じますけれども、この七十五億を公募公債にすることは、地方のいわゆる金融機関を圧迫して、地方の中小企業をますます圧迫することになるわけでございますので、この点は七十五億は公募公債でなしに、当然資金運用部資金でやらなければならないと思うのでございまして、せつかくここまで修正をするのであるならば、なぜ一体地方債でやらなかつたか、その二つの点についてひとつ納得の行く説明をしていただきたいと思います。
  58. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 五十億の平衡交付金の内容につきましては、先ほど御説明があつた通りでございます。七十五億の地方起債のわくの拡大の問題でございますが、そのうち二十五億が今お示しのような、各種の屋内体操場、戦災校舎等の引当てでございますけれども、これは現在資金運用部の会計が必ずしも潤沢でございませんので、今後の貯蓄増強その他の成果が上るに従いまして、実行上お説のように資金運用部引受けにする配慮をしよう、しかしながらそうでなくても一応わくとしましては公募のわくを拡げますけれども、実行上は努めて資金運用部資金をもつて引受けるような具体的措置を講じたい、政府側におきましても、与党側におきましても、そういう意向でございましたので、さよう御了承をいただきたいと思います。あとの分につきましては公募公債として消化できるものと考えております。
  59. 尾崎末吉

    尾崎委員長 河野密君。
  60. 横路節雄

    ○横路委員 いま一つですが……。
  61. 尾崎末吉

    尾崎委員長 申し合せでありますから厳守を願います。
  62. 横路節雄

    ○横路委員 いやわかりました。まあいいです。
  63. 河野密

    河野(密)委員 私は、ただいま提案になりました組みかえ修正案というものは、これは自由党と改進党との両派でお出しになつたものであります。従いまして自由党を代表しておりますものは政府でありますから、政府も当然この案には責任があるものと考えますので、ひとり改進党の諸君にお尋ねをするばかりでなく、政府に対して、私はこれに対する責任ある御答弁を願いたいと思うのでございます。
  64. 尾崎末吉

    尾崎委員長 河野君に申し上げますが、本日の質問は提案者に限る、政府には行わないという理事会のかたい申合せになつておりますので、しかるべく御了承願います。提案者に対する御質疑を願います。
  65. 河野密

    河野(密)委員 委員長に申し上げますが、この問題に対する政府の見解を聞くことは、私は政府に質問をすることじやないと思います。見解を尋ねるのであります。
  66. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御理由のいかんにかかわらず、理事会は強い申合せをいたしまして、提案者に限つてといたしておりますので、それは許しません。(発言する者多し)  それはけさほどの理事会で厳重に二回にわたつて申し合せておりますから、許しません。
  67. 河野密

    河野(密)委員 この案に対する見解がわからなければわれわれとしては……。   〔発言する者多し〕
  68. 尾崎末吉

    尾崎委員長 けさほど理事会で申合せしておりますから、その点は委員長としては許しません。河野君、御発言を願います。提案者に対する御質疑を願います。
  69. 河野密

    河野(密)委員 それでは自由党の提案者にひとつ……。(発言する者多し)今委員長の言われたことは私としては納得できないのですが、理事会の申合せ……。   〔「自由党の総裁を呼べ」「自由党の提案者はだれだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  70. 尾崎末吉

    尾崎委員長 河野君、御質疑を願います。御静粛に願います。   〔「何が静粛だ、提案者を呼べ」「出ているじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  71. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ちやんと着席いたしております。ごらんの通り着席いたしております。
  72. 河野密

    河野(密)委員 私はこの際、このいまだかつて例のなかつた重大なる修正に対しまして政府の見解を承るのは、われわれ議員としての当然の職務上の権利であると考えるのであります。しかし委員会理事会において申し合せたというならば、その線に従つて質問をいたします。しかしどうしても聞かなければならない点があつたならば、しかるべく委員長においておとりはからいが願いたいと思います。  私はこの場合に第一にお尋ねをいたしたいのは、予算を提出する権限は、行政権でありますからこれは政府にございます。しかしこれを審議し、これをいかように決定をするかということは、国会の権能に属するわけであります。そこで国会の権能として自由党と改進党との両派の方々が、この修正案を提出いたしました以上は、この修正案に対する責任は一体何人が負うのであるか。吉田内閣が負うべきものであるか、それともこの予算の通過を機会としてこの内閣の改造をして、あるいは吉田自由、重光改進との連立政権をつくるのか、そういうことによつてこの予算に対する責任を明らかにするのが、私は当然の筋道だと思うのでありますが、この点に対する両党の責任者からの御見解を私はまず承りたいと思うのであります。
  73. 三浦一雄

    三浦(一)委員 今河野君からお話がありました通り予算修正の権限はわれわれが国会法上の権限として持つておる。従いまして予算修正の問題につきましては、その法律上の権限によつてし得ることは当然のことであります。さらに進んで政治的責任をわかち得るかどうかは、われわれ各党が党是に従つて善処すべきものと心得ております。
  74. 河野密

    河野(密)委員 自由党の代表者から責任ある答弁を承ります。
  75. 水田三喜男

    ○水田委員 御説の通り予算案の提出権は政府にございますが、国会は修正権を持つておりますので、これに与党が参加するかどうかは、私どもも非常に問題でございまして、与党は参加しない方針で臨みましたが、いろいろ三党で話合いをしました結果、また私ども政府に対して同意を得たために、三党の修正案ということになつた次第でございます。それで今後の責任というような問題でございますが、三党の妥協によつて予算を修正するという以上は、今後のいろいろな問題についても、相当他党の緊密な協力を得られるものと期待して臨んだ次第でございます。
  76. 河野密

    河野(密)委員 ただいまの自由党を代表せられる水田君からの発言によつて、少くとも政府をつくるかつくらないかは別として、この予算の修正に参加した政党は当然この予算の執行にあたつては責任をわかつべきものである。そういうことを期待するという答弁がございました。私はこれはしかるべきものだと思います。しかるに先般本委員会の席上において、改進党の中村三之丞君は意見を述べられまして、予算は修正する、しかしその執行の責任は政府にあるのだから、われわれは予算を修正するだけであつて政治については責任を負わないのだ、こういう、意味の発言があつたのであります。しかるにこれはただいまの自由党の代表の方の意見とは、まことに食い違つているのでありまして、私はこれはゆゆしき問題であると存じますので、改進党の代表者からさらに明確なる御意見を承りたいと思います。
  77. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 この点につきましては先ほど八百板君のお尋ねに対しまして、同僚川崎君よりお答えをした趣旨でございますが、繰返して申し上げまするならば、御説のごとく憲法ないし国会法の趣旨に基きまして、われわれが政府提案の予算を審議し、その結果といたしまして、要すれば今回のごとく修正をすることも当然のわれわれの権限でございます。その結果の政治責任いかんというお尋ねに対しましては、私ども国会を通じてこの予算の修正部分を中心としての執行につきましては、国会の一員として国会を通じての政党としての機能において、政府を監督する、監視する、そういう意味における責任を感ずるのであります。さらにまたこの修正部分に関しまする立法措置等につきましても、協力してこれが整備をはかることにつきましても当然の責任ありと心得ます。そのほかの政治的責任というものは、当然にこの問題に関連して起つて来るものとは考えません。
  78. 河野密

    河野(密)委員 私はただいまの発言は、立憲政治の根本に触れるゆゆしき問題だと思います。予算の一部分についてわれわれは責任を持つけれども予算全体については責任を持たない、われわれは修正した部分だけに責任があるけれども、その修正せざる部分については責任を持たないのだ。こういうことであるといたしまするならば、立憲政治の責任一体いずこにありやと私は言わざるを得ない。今日の国会政治というものの根本をわきまえざるものであると私は思います。重ねてその点についての明快なる御見解を承りたいのでありますが、私は責任ある答弁を求めておきます。
  79. 川崎秀二

    川崎委員 御承知のごとく予算案を成立せしめますことは、今日国民の要望のうちの最も大きなものであると私は考えております。これを端的に申せば至上要請と申してもいいのではないか。従つてこの予算案をすみやかに成立をするために必要な衆議院議員の過半数というものを制しての成立ということは前提でありますが、今日何と申しましても自由党は第一党であり多数党ではありますが、予算案を成立させることを独力で完遂するところの力はないわけであります。従つて、いずれかの政党が、時局収拾のためにはこれと協力をしなければならぬことは必然でありまして、最も近い政策を持つ政党がこれに協力する。順番からいえば鳩山自由党が第一にこれに協力しなければならぬ立場にあるのであります。その次には、改進党としては、過半数を制して予算案を成立させるためには、これと協力することは当然である。それならば、今後の政局全体に対する責任ということになると、これは予算案以外の重要な外交政策、あるいは財政上の基本政策がありますから、それとこれとは別ものである。それらについて同一の見解に立たない以上は、河野君が先ほど来言われておりますような線に沿つての協力は、われわれはできないのであります。
  80. 河野密

    河野(密)委員 私は、ただいま言われた川崎君のラジオ討論会的答弁というものには、決して満足するわけには参りません。しかしこれは川崎君を相手にして議論しても始まらないのでありますからやめておきます。  そこで私は、予算案というものを一体どう考えるかということを、御両党の方々に、はつきりと承つておきたいと思うのであります。吉田内閣吉田茂が総理大臣だから吉田内閣であります。重光葵が総理大臣になれば、吉田内閣ではありません。そのように、自由党政策を盛り、自由党吉田内閣政策を盛つた予算であるがゆえに、これは自由党予算であり、吉田内閣予算である。同時にそれは一体としての予算であります。しかるに、これが政策を異にする自由党と改進党両派の間における妥協によつてできた予算であるといたしまするならば、すでにその予算というものは自由党のみの予算でもなく、いわんや改進党のみの予算でもなく、両者の苟合によつてできた予算であります。この予算に対しては、おのずからこの執行の責めに任ずべきところの責任を両党の間において負うべきものである。これは国民に対する責任であると思うのであります。それを否定するならば国会政治、責任政治は一体いずこにありやといわざるを得ない。その点について私は実際は政府の見解を聞きたいのであります。政府は、それでもなおかつこの予算を責任を持つて執行することができるかということを、政府の代表者に聞きたいのであります。そのことがはつきりせずして、修正案を多数で通したらそれで事が済むというならば、これはわれわれも何をか言わんやであります。私は、予算こそは両党の性格を現わすところの顔である。吉田吉田内閣の顔であり、重光が重光内閣の顔であると同時に、予算はその内閣性格を現わすものであり、その政党の性格を現わすものである。これをかえたならば、おのずからその責任者にも交代をしなければならぬ当然の理由があると思うのであるが、この点について、両党の代表者に一ぺんはつきりした答弁を願いたい。
  81. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 先ほど申し上げた通りでございますが、私どもは、先般の総選挙において国民によつて与えられましたる政治分野における力によつて、与党と相談をしつつではありましたけれども、この修正を実現せんとしておるのでありまして、このことは選挙の結論として、国民によつて与えられたるところの当然の権利を執行しておると心得ております。成立しました予算そのものは、執行権、執行義務は政府にあるわけでありますから、われわれは執行面については責任を負う限りではない。執行をするについて、国会の意思として決定しました予算通りに行くか行かぬかを監督する責任は痛感するのでございます。さような意味合いにおいて先刻申し上げたわけであります。私は、先刻社会党の両派の方々が組みかえ要求をお出しになつたようですけれども、もしこれが成立したと仮定しまするならば、その政治論議はひとしく同じで、河野君の御質問の通りの問題をはらむものと思います。ただそれが成立しないから問題が具体的に起らないだけである。国会対政府との関係における予算を通じての政治の分界点は、さように私どもは考えるのであります。保守連携とか、いろいろな言葉でおつしやいましたような事柄は、それ以外の他の問題であると存じます。
  82. 河野密

    河野(密)委員 私はただいま荒木君から言われましたことは重大なる問題であると思いますから、重ねて申し上げます。私たちは総選挙以来の一貫した方針として、いやしくも予算を共同に組む以上は、その共同に組んだ政党は、その予算を執行するにあたつて、連立内閣の形におけるか、何らかの形においてその執行の責任を負うべきである。こういう見解は一歩もわれわれは曲げておりません。重光内閣に対してなぜ賛成をしないかという見解もありました。けれども、われわれは予算を共同に組むことのできないような政党に一票を投ずるわけには参らぬ。この見解というものは左右両派の議員とも動揺しておらないと思います。われわれは、今回社会党両派において共同組みかえ案を提案いたしましたときに、この共同組みかえ案が、かりに国会を通過いたしまするならば、執行のために左右両派は政権を担当してもよろしいという覚悟のもとに、提案をいたしておるのでございまして、荒木君の言うがごとく、きようは野党連合に顔を出すが、あしたは与党と一緒に予算の組みかえをやるという態度は、絶対にわれわれはとらないつもりであります。この点は明確にいたしておきたいと思います。これが私は予算性格であると思う。みずから内閣を共にし、その執行にあたつて責任をわかつものでなければ、予算の共同修正案というものはでき得べきはずはないと私は思う。この点については、私はいくら改進党の諸君が千言万句を費しても、天下の輿論がこれを許さぬと思う。その点については、これ以上申し述べることは差控えます。私は、語気は少し強かつたかもしれないが、私の言わんとするところは、改進党は早く野党にお帰りなさい、こう言いたいのであります。(笑声)  そこで私はその次にお尋ねを申したいのは、先ほどから言われましたことと重複いたしますが、改進党のこの予算の組みかえ案というものの中には、三つか四つの重大なポイントがあると思います。一つは社会保障の問題、一つは二重米価の問題、それから一つは防衛計画の問題である。この三つの問題を改進党は自分の政党の生命であるとお考えになつて、この予算の組みかえ案にお臨みになつたのでありますが、社会保障というのは一体この組みかえ案に幾ら入つておりますか。十一億幾らです。この十一億の金額で、改進党の皆さんは、わが党は社会保障を堅持するものであるということをお考えになることができるかどうか。二重米価ということは、あれほど改進党の生命線であるとまでお考えになりましたが、現在においてこの予算の中に一体どういうふうに組み入れてあるのでありますか、食管特別会計によつて二百億の食糧証券を増発するという数字を出して、これによつてまかなうというのでありますが、おそらく二重米価の問題のねらいというものは、この秋をして増産するかしないかという重大なる時期に今当面をして、二重米価を保証することによつて農民の増産意欲を刺激するというところに、私は重大なるねらいがなければならぬと思うのであります。しかるにこの二重米価については、ほんとうに出るのやら、出ないのやら、これは何人にも保証できない。食管特別会計の操作によるのでありますから、もしこれを実行する大蔵大臣が、まことに改進党の政策を実行することはできませんでしたと、おじぎをされれば、これは改進党の諸君がいくら頭をかかれても、実際においては何ともならないというのであります。私はこういうことで改進党の諸君がここまでのあれを忍んでまで、何のゆえに自由党と一緒に予算の組みかえ案をやらなければならなかつたか、その真意のほどを疑わざるを得ない。改進党の掲げられたるところの政策というものと、現実に盛られたところの組みかえ案というものについて、私は非常なる矛盾をお感じになるのが当然だと思うのでありますが、この点について承りたいと思います。
  83. 川崎秀二

    川崎委員 今の御質問のうち、社会保障の部分だけお答えいたします。御質問の趣旨はごもつともでありまして、私どもの政党としては、長年来社会保障制度の拡充確立ということを申しております。基本的な方策としては、一昨年の十二月に社会保障制度審議会の勧告した第一次勧告なるものは、一日も早く実施したいと考えておるのであります。従つて今回の予算措置としてとられた社会保障費の増額、つまり健康保険の医療費の二割国庫負担という線だけでは、そのことが果せられないことは御指摘の通りでありまして、決してこれで満足をいたしておるのではありません。しかしながら今回緊急にとられた予算に対する修正の措置でありますし、でき得れば、それらの点は二十九年度予算の提出にあたつて、改進党としては党として社会保険の統合を中心にする国民保険法とも名づくべきようなものを提出して、そうして輿論に報いたい、こういう考え方でありまして、今回の修正に満足をいたしておるものではございません。
  84. 荒木萬壽夫

    ○荒木委員 第二点の、食管会計の操作によつて、実質上の二重米価の骨幹たる操作をするならば、政府の考え次第ではどうなるか当てになるものじやないじやないかというお尋ねであつたと思います。この関係は食管会計でありましようとも、一般会計でありましようとも、政府が院議を尊重しないで、違つたことをやらないまでも、なまけるならば、りくつは同じことであろうと思います。吉田内閣といえども、院議を無視して、こうしろとおきめになつたことをなまけることはないと信じております。
  85. 河野密

    河野(密)委員 私も時間がありませんから簡単に申し上げますが、院議になつておれば、あなたがおつしやるように政府を縛れるかもしれない。それまでお考えになるならば、なぜ院議になるように予算の項目の中にそれをおあげにならぬか、こういうのです。食管特別会計食糧証券の発行を二百億ふやすということそれだけのことでもつて、これは二重米価ですと、一体政府の責任が縛れるのですか。そういうことは私は子供だましの議論だと思うのでありまして、政府とあなた方との間に、あるいは自由党と改進党との間の公約以外に、政府を縛るものはないじやないか。それほどに政府を縛つて予算に対して責任を持つと考えられるならば、私は当然にこの項目の中にそれを計数の上に表わされたらいいと思うのであります。もし計数の上に表わすならば、予算規模がふえるというならば、改進党が健全財政というようなことをお言いにならなければいいので、そういう点は私は納得が行かないのであります。しかしもう私はこれ以上追究をいたしません。  最後に私は政府に、これは委員長を通してお聞きをいたしたいのでありますが、先般来この委員会において政府は、補正予算を組むとも組まないともわからないということを言つておりましたが、この修正案が出た以上は、補正予算を組むことは必至であるということであります。私は、このたび政府は、近い将来において補正予算を組むのであるということを、政府自身が言明なさるべきものであると思います。そうしてその補正予算においては、かくかくの問題を取上げるということを言明するにあらざれば、ただいま改進党の諸君が言われた食管特別会計によつて政府は裏切るものではないという、その言質にはならぬと私は考えます。  さらに私は、この際政府にその反省を促したいと思いますことは、占領治下の政治占領政治でありまして、これはアメリカとの関係が最も重要なる要素であつたがゆえに、吉田あるいは芦田というような、いわゆる外交畑の一応の先輩というものが政権を担当するのも意味があつたと思います。しかし今日の重大な問題は、経済の問題であります。日本経済自立をいかにするかという問題であります。この経済自立をいかにするかという問題になりますと、横から見ても縦から見ても、現在の吉田総理は適任者じやありません。はつきり申し上げて適任者ではありません。その適任者でない人が政府の首班となつて、すべての折衝その他のものを人にまかせるがゆえに、こういう事態が生ずると思うのであります。政府の首脳者が経済に対する理解を有せざるところに、こういう事態を生ずる根本の理由があると思います。こういう意味合いにおいて、私はこういう事態を中心として、政府が政局の前途をいかに考えるかということを真剣に考えてもらいたい。この二つの点を委員長を通して適当の機会に政府より言明を……。(「今だ」「そんな申合せはしていない」と呼び、その他発言する者多し)もし政府の答弁が得られるならば、政府の答弁をこの際に承りたい。
  86. 尾崎末吉

    尾崎委員長 答弁はありません。  これにて修正案に対する質疑は終了いたしました。  これより予算三案に対する編成がえを求めるの動議及び修正案並びに政府原案を一括して討論に付します。灘尾弘吉君。
  87. 灘尾弘吉

    灘尾委員 ただいま議題となりました昭和二十八年度予算三案に関し、私は自由党を代表して、改進党、分自党並びに自由党共同提案にかかる修正部分を除く政府原案並びに三党修正案に賛成の意を表しまするとともに、社会党両派の組みかえ要求の動議に反対するものであります。  以下政府原案、三党修正案社会党両派の組みかえ要求の動議の順序で論及いたしたいと存じます。  まず第一に政府原案についてであります。御承知通り昭和二十八年度当初予算案は、去る三月衆議院において多数をもつて可決せられ、参議院において審議中でありましたが、衆議院の解散によつて不成立となりました。今回提出せられました予算案は、この不成立予算を踏襲して編成せられ、ただその後の情勢の変化に伴つて、適宜の修正が加えられたものであります。すなわち本予算案は、大体において不成立予算とその性格内容を同じくするものでありますので、すでに前国会において十分審議を尽しております関係上、本予算案に対する当委員会の質疑も、自然予算内容そのものというよりも、むしろ政治問題に集中されたことは御承知通りであります。従いまして、本予算案性格、特色等につきましては、野党諸君におかれましても十分御理解済みであると存じますが、一応わが党が政府原案に賛成の理由を要約して申し上げますれば、第一に、わが党公約の通り一千億円を突破する減税の措置が講ぜられております。第二に、食糧増産対策、公共事業、財政上の投融資等、いわゆる生産部面に重点が置かれ、経済自立の達成に向つて数歩を進めております。第三に、民生安定のために住宅の建設、結核対策、国民健康保険、遺家族、留守家族の援護、旧軍人恩給の復活等社会施設の強化充実をはかつており、第四には、文教関係施設の整備をはかり、さらに第五には、中小企業対策については特に意を用い、中小企業金融公庫を新設して、設備資金及び長期資金の供給を円滑にし、他方におきましては中小企業信用保険制度を拡充して、企業の育成に努めんとしております。第六には、実情に即し、保安庁関係経費の縮減をはかつております。右のほかわが党が公約した各種政策の実行に必要な財政支出を大体本予算案に盛り込んだのでありまして、われわれはこれをもつて独立回復後の困難な事情の中を一歩々々堅実なる足取りをもつて進まんとする、きわめて妥当なる予算であると確信するものであります。今回改進党の修正意見に基き、三党折衝の結果共同修正案が成立いたしましたので、私はこの部分を除き、その他の部分につき政府原案に賛成する次第であります。  次は、三党提案にかかる修正案であります。思うに現在国民諸君が最も渇望しておりますのは、何と申しましても予算案が一日も早く通過成立することであります。しこうしてこの国民諸君の要望にこたえ、本予算案をすみやかに成立せしめ、もつて経済運行の正常化をはかり、民生の安定に資することがわれわれに課せられた最大の要務でありまして、このことにつきましては、与党たると野党たるとを問わず、いやしくも国民生活に責任を感ずる者の、思いを同じくするものと信ずるものであります。もちろん政党にはそれぞれ厳とした基本方針があるはずでありますが、これをはずさぬ範囲内においての妥協、歩み寄りは、この予算案を早期に通過せしめるために必要であります限りにおきまして、政治の実際として忍ばねばならないと存じます。この修正案は、先般改進党より政府原案に対する修正意見の御提示があり、わが党としては慎重なる検討を必要と考えるものがありますので、数次にわたる話合いの結果として、現段階においては予算の成立をすみやかならしむることが国民諸君に忠なるゆえんと考えまして、真に大乗的立場から忍びがたきを忍んで、この修正案に同意し、共同で提案するに至つたのであります。  本修正案におきましては行政費百億円、保安庁経費六十五億円、計百六十五億円を節減し、これをもつて食糧増産対策費、国民健康保険国庫負担、貿易振興対策費、文教施設費、国土総合開発費、地方財政平衡交付金の増額等に充当いたしておるのであります。これらの増額は、政府原案におきましても、昭和二十七年度予算に比較いたしましておおむね相当増額されておるのであります。これをさらに増額することは、そのこと自体としては、財政が許しますならば望ましいことと申さねばなりません。財源とせられました行政費の節約につきましては、政府原案においても、すでに不成立予算に比較いたしまして四十億円余の節約を見ておりますために、重ねてこの節約は行政運営上若干の懸念なしとは申しがたいのであります。ただ国家財政現状にかんがみ、かたきを忍んでこの際の財源捻出に寄与せしめますことは、真にやむを得ないと考える次第であります。この場合、中央における行政費を節減しながら、地方に対し平衡交付金を増額することは筋が通りにくいとの批評もありますが、地方財政きわめて困難な現状におきましては、一面において中央の例にならつて、地方においても行政費の節約をはかりますと同時に、これを前提として、この程度の交付金増額をあわせ行うこともまたやむを得ざるところであります。  なおこの際申し上げますが、この行政費の節約に関しましては、今日中央地方ともに行政費はきわめて厖大なものであり、これが中央地方の財政を相当圧迫しておることは御承知通りでありまして、その合理的節減につきましてはわれわれは今後さらに検討して参りたい所存であります。しかしてこのことは必然的に行政整理の断行ということと結びつかなければならないのであります。われわれは今回改進党より行政費の大幅節約の御提案がありましたことは、必ずや行政整理の断行についても期せられるところがあるものと信じ、従つて近き将来においてわれわれが行政整理を行わんとする場合には、全幅の御協力を期待し得るものと考えまして、この節約案に御同意申し上げましたことを申し添える次第であります。  ただ問題は、食糧管理特別会計における米の買上げに関するものであります。わが党の方針としては、さきに麦の統制を撤廃し、さらに将来は米の統制を撤廃して、自由販売制をとることを主張し来つたのであります。いわゆる二重価格制による米価引上げのごときは、わが党としては何としても同意いたしかねる問題であります。しかしながら本修正案は、基本米価及び消費者価格については、予算政府原案通りでありまして、新たに石当り八百円の供出完遂奨励金を計上するとともに、よつて生ずる所得に対しては免税することといたしたものであります。この供出完遂奨励金は、前年度におきましてもすでに生産者に対して石当り百円を支払つてつたものでありまして、現下食糧事情や農民諸君の供出意欲の実情に顧みますと、この際これを石当り八百円に増額することはまずもつてやむを得ないと考えるものであります。但しこの所要経費は、義務供出数量を二千五百五十万石といたしますれば、二百数億円に上るわけでありますが、国民消費生活の実情や物価事情等の見地よりいたしまして、その半額は将来これを一般会計で負担し、その限度においてこれを消費者価格に織り込まない計画と相なつておるのであります。米価の問題につきましては、われわれは今ただちに結論を出すことなく、なおしばらく研究したいという強い希望を持つてつたのであります。しかしながらこの改進党の修正意見は、必ずしもわが党の米価政策の基本に牴触するものではないと存じまするので、予算の早期成立を強く希望する立場から、やむなくわれわれは真に大乗的見地において、これに賛成することに決した次第であります。  なおまた、修正案では一般会計において約二十八億円ほど政府原案より縮小されておりますが、本年度国庫対民間収支は、政府原案によつても資金の散布超過が一千百億円となる予想であり、この修正案ではさらに二百億円ほど増加して、約千三百億円の散布超過となり、インフレ要因を加重するうらみがあるのであります。これに対しましては金融面の操作等に万全を期すべきはもちろんのことであります。  最後に、社会党両派の組みかえ要求であります。防衛支出金の全額及び保安庁費の大部分の削減を要求されております。しかしながら前者は日米安全保障条約に基く米軍の駐留に関連する日本の義務的負担であり、また後者はわが国の治安維持のため欠くべからざる経費でありまして、これに対しかくのごとき巨額に上る削減はその機能をすこぶる困難ならしめるものであります。かくのごときことは、いやしくも責任を持つて実際政治を担当せんとするわれわれといたしましては、とうてい同意することができないのであります。従つて社会党両派の組みかえ要求の動議に対しましては断固反対する次第であります。  最後に私は一言いたしたいと存じます。独立回復後のわが国の境遇はきわめて困難であります。政局また決して安定せりとは申しがたいのであります。われわれは、このたび三党共同してこの修正案を提案いたしました事実は、わが国政治現状に照しきわめて意義深きものがあることを覚えます。予算案に対する広汎な修正案が時局の要請に即応して短期間にまとまりましたことについては、われわれ与党としてはしばしば申し上げまするごとく、まことに忍びがたきを忍んだ点もあるのであります。私は改進党におかれましても、その強き主張のもとに、この重大なる修正をわれわれと共同して提案することとなりました以上、この予算成立の上は予算全体について共同の責任ありと確信いたします。のみならず、何ゆえにわれわれがこの修正案並びにこれが共同提案に同意するに至つたかという根本の心持は、国民諸君が政局の混乱を避け、予算をすみやかに成立せしめてほしいということを熱心に希望しておる事実に基くのでありまして、改進党、分自党の諸君も、これについては十分御認識をいただいておることと存じます。われわれはこの国民立場から、予算において責任を分担することとなりました三党は、今期国会における各種重要法案の審議についてもまた政局全般の安定と国政の建設的遂行についても、相ともに国民諸君の期待に沿うよう懸命の努力をすべき政治的、道義的義務ありと申し上げて、私の討論を終ります。(拍手)
  88. 尾崎末吉

    尾崎委員長 小山倉之助君。   〔「総理はどうしたのですか」と呼ぶ者あり〕
  89. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいま参ります。   〔「ただいまといつて、大事な予算の討論に来られないのはおかしいじやないか。」「総理が来るまで休憩だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  90. 小山倉之助

    ○小山委員 ただいま議題となつております昭和二十八年度予算各案に対しまして、自由党、改進党、鳩山自由党の共同修正案及び共同修正案を除く政府原案に対しまして賛成の意を表し、社会党の提案につきましては遺憾ながら反対の意を表明するものであります。  この修正にあたりまして、第一に財源として求めましたものは行政費の節約であります。これは吉田総理大臣が第一次吉田内閣以来施政方針の大本としながら、かつて実現を見なかつたのであります。しかも自由党内閣は、さきには二百八十五名あるいは二百四十五名の絶対多数を擁しておつたにかかわらず、これを実現することができなかつたのでありますが、この節約を改進党の強力なる主張によつて、少額でありまするが、整理の一端を現わすことができましたことは、御同慶であると存ずるのであります。今年度における政府一般会計予算等を見ましても、その総額は九千六百八十二億となつておりますが、そのうち狭義の行政費は二千三十九億円に達しています。すなわち全予算の二割一分は官吏の消費的支出に埋められておるのであります。この二千三十九億の厖大なる消費予算のうち、一般会計において僅々百億程度、特別会計において数十億程度の節約を見ましても、さしたる効果はないように思われまするが、一般、特別、政府機関各会計を通じまして、基本給、扶養、勤務地両手当、超勤手当等、およそ官吏の配当金に属するものを、一切節約の対象にしなかつた、すなわちこれに緩和を加えたこと。また国立学校教官研究費、国際学術会議出席費、文部省の在外研究生や、外務省の在外公館赴任旅費等を節約の対象から除きましたことと、また警察、検察等の治安関係経費の節約を緩和したり、まつたく実情に即した節約であるのであります。すなわち現機構をそのままにいたしまして、すえ置いての節約でありますが、百億円程度ではありといえども、まず一応承認せざるを得ないと思うのであります、願わくばこれを端緒といたしまして、明年度以降においては抜本的な行政機構の簡素化を断行し、占領以来国家財政国民負担力に適応せざる厖大なる人員と経費を要する現在の日本の行政組織を、徹底的に圧縮いたしまして、その財源をもつて国民負担の軽減とわが国産業基盤の拡大とに転換していただきたいと思うのであります。  第二の財源の目標となりましたものは保安庁経費の節約であります。保安庁の予算を検討してみますに、過大、ずさん、濫費のあと瀝然たるものがありまして、いまだその類例を見ないのであります。政府は保安庁予算は不成立予算に比較いたしまして百億の減少となつていると説明をしておりまするが、百億の予算とは、予算外契約という予算技術を濫用したものでありまして、私どもの承服しあたわざるものであります。さらに二百八十億に上る繰越金と三十二億円に達する不用額を持つておるのであります。保安庁予算は、警備に関する何らの計画なくして編成されたものでありますことは、木村長官の本会議並びに本委員会の説明によつてもまことに明白であります。今やMSAに関する米国との交渉が開始せられんとするせつなまで、何らの計画なくして交渉に当らんとするがごときは、常識には理解のできないことであるにかかわらず、なおあえて言を左右に托し、逃避して来ましたことは、立憲政治家としてはすこぶる怠慢であり、かつ議会を無視することはなはだしきものであるというそしりを免れないのであります。しこうしてまた無責任なる行為であるのであります。ゆえに共同修正案は、保安庁の予算の一部、すなわち六十五億円を減少して、緊急やむを得ない支出、すなわち二十八年度予算修正案の財源に充てようとするのであります。私ひそかに思いますのに、今国会における保安庁の費用は正味一千八十九億円に達し、そのうちわずかに六十五億円を削減し、これに行政費の節約による保安庁分の節約が三十九億九千万円に達するのでありまして、この百億円程度削減いたしたことは、その目的なくして放漫な支出をいたしますことが、国民の血税によつてまかなわれております事実の前に立つとき、とうてい納得しあたわざるところであります。しかるになおなさざるにまさるという意味合いにおいてやむを得ずこの削減に賛成したものであります。願わくは政府におきまして、一刻も早く独立国が国防力を持つことは当然であるということを国民に自覚せしむることに努力をいたしますと同時に、この防衛軍の真の目的は、これがちようど昔のアツチラ、あるいはジンギスカンが世界を征服して侵略を遂げ、その侵略したる土地を封鎖して物資の交流を許さなかつたがために、今日世界の人類を恐怖と欠乏に脅えさせて来たのでありまして、この侵略政策に対抗するために生れたのが集団防禦であります。  それの一員として、自由国家群と協力せんとする崇高なる理想のもとに、全世界の平和を持ち来さんとする、しこうしてさらに全人類の幸福をはからんとするこの大いなる理想を国民に徹底せしめることができますことを、私は要望するのであります。すなわち自主的な性格を持つ自衛軍の建設的な年次計画を立てまして、国民の血税を最も有効に行使せらるるよう切望せざるを得ないのであります。  支出面におきましては、二重米価制度はわが改進党の従来主張し、かつ堅持して来たものであります。この制度は社会保障の意味を多分に含んでいるのでありまして、消費者には低物価、農家には再生産を保障する趣旨に出でたるものであります。国民生活の安定を期し、諸物価の上昇を防いで賃金を安定させることは、最も重大なる役割を演ずるものであると信ずるのであります。修正案は供米完遂奨励金をさしあたり八百円とし、生産米価は引上げるが、その財源は一応食糧管理特別会計の余裕金に求めることといたしまして、消費者米価は本予算米価におきましては現在通りとすることに修正案を妥協したものであつて、その趣旨を深く了とする次第であります。買上げ米価の額の点はしばらく別問題といたしましても、社会党の諸君もこの趣旨においては御賛成であろうと思われるのであります。  しかるに十四日深更自由、改進、分自三党の予算修正案がかかる妥協に達した翌十五日の朝刊におきまして、早くも政府方は、食糧庁長官をして、改進党の修正案になる買入れ米価八百円の値上げに伴う損失の穴埋めのために、消費者米価の値上げはしないが、昨年出来秋の産米買付に伴う食管会計の赤字百数十億円は、今後の消費者米価の値上げによつて補うというようなことが声明されておるのでありまして、もしこれが改進党の二重米価制度を即日粉砕せんとする意図に出でたものであるといたしますならば、政治上、道徳上許すべからざる行為でありまして、はたして事実であるといたしますれば、政府がこのような精神を持つて消費米価の引上げを行う補整予算ないし二十九年度予算を提出して来ましたならば、われわれは断固として反対するものでありまして、このことをあらかじめ断言してはばからないのであります。  施策の第二といたしましては、貿易の振興であります。提案者の説明によりますと、輸出品製造業者あるいは輸出品取扱い貿易業者への減税、輸出前貸し手形割引料の引下げ、輸出入銀行の貸出し利率の引下げ、さらに輸出保険料の引下げなど、一連の体系がありまして、この施策を推し進めんといたしますることはまことにわが意を得たるものであります。その運用面において万遺漏なきを期せられ、せつかくこの施策を躍動せしめまするよう周到なる注意と、果断なる態度をとられんことを希望する次第であります。吉田内閣は組閣以来絶叫しておられまする通り、敗戦後のわが国は、貿易を枢軸とするにあらざれば国の難関を切り抜けることはできないのであります。しこうして国民生活をささえることもできないのでありまして、これはまことに自明の理であります。わが国は長い間の占領の過程において、貿易の競争相手たる連合国によつて貿易の致命的衰退を招く幾多の法令を押しつけられた事実があります。これがために、いかに勤勉な国民が努力いたしましても、輸出を伸ばすことができないのみか、衰退の一途をたどつて来ました。今や占領中の圧力を全部はねのけて、輸出貿易に手厚い援助の手を差延べる百千の施策を施さなければ、わが国貿易は死滅を待つのみであります。ここに掲げられた施策は、日本独立して以来初めての実施し得る重要施策であります。吉田さんは何もせぬとうわさされるようなこともありまするが、これはおそらく吉田さんではなく、その内閣の官僚諸君ではないかと思わるるのであります。官僚諸君は依然として占領下の行政の惰性に煩わされまして、こういう保護政策をとればイギリスからにらまれるだろう、こうも助成すればアメリカからしかられるであろうというように左顧右眄して、あまりに外国の干渉に恐れておる。そのことがほとんど修正になつて彼らの言うがままになつて来ましたことが、貿易を阻止する大いなる原因となつたのであります。御承知のごとく英国は、米国の外交政策に反しているにもかかわらず、中共を承認して、今日相当額の貿易が増加しております。またかつて日独攻守同盟を締結いたしましたときに、フアルケンハインはドイツの武器を支那に盛んに供給いたしまして、その武器によつて日本人が多く傷ついたという事実も想起せらるるのであります。日本が生きんがためには、われわれ友邦に対しては、勇敢に遠慮なくわれわれの施策の了解を得ることに努めなければならぬと存ずるのでありまして、これらの例は、もつて他山の石とすべきものと考えらるるのであります。輸出貿易の振興のためには、わが国は工業の技術、設備を世界のレベルまで高めることが根本の問題でありまするが、この予算の修正折衝の時間的関係から、根本問題の解決策を予算に盛ることができなかつたのは残念でありまするが、崩壊の危機にさらされているわが国の商品貿易を正常の地位に建て直すという当面喫緊の要務にこたえるために最も適切なる施策といたしまして、前項に掲げた諸施策に対して賛成の意を表するものであります。  海運について申し上げまするが、海運の振興をはからんといたしまするのには、戦争で大量に破壊された船舶の復興、海運並びに造船業者の致命的な不採算の現状を打開することを目的とするものであります。わが国船舶、ことに外航船の欠乏によつて外国船の進出を著しく増しまして、わが輸入原料の多くを外国船に依存するのやむなきに至り、異常の高率の運賃を払つて来ましたことは、いかにわが国経済力の回復を遅延させたかということにかんがみまして、積極的船舶増強によつて正常貿易の脆弱性を補填し、わが国の国際収支改善に役立たしめんとするものであります。いわんや船舶の外国よりの注文の盛んなる現状において、有力なるプラント輸出貿易になつて、受取り勘定に大いなる役割りを占めておるのでありまするから、この施策を進めて行かなければならぬと存ずるのであります。この海運業並びに附帯産業である造船業の保護育成は、わが党施策の力強い表現でありまして、総理大臣もこの点に言及されたことでありますから、徹底した国家的援助によつて業界の合理化精神を高めて、急速に海運の振興をはかられまするような原案に対しまして、無条件に賛成の意を表したいのであります。但しこれに伴つて、船舶用特殊規格割増料に見合いまする減税措置を受ける鉄鋼会社が、安きになれて合理化を怠り、あるいは造船業者も原価の引下げを怠るようなことがありましては、わが国産業建直しの上に置いて間然するところがありますから、業界の自覚と政府の周到なる指導を要望するものであります。  さらに中小金融公庫の出資に対する三十億円増についても、満腔の賛意を表するものでありまして、中小企業者は、農民と並んでわが国人口の過半数を占める中堅層であります。この中堅層なくんば、わが国は大資本家階級と労働者階級と二つに分裂して、ことに現在のような経済基盤の脆弱なわが国の場合におきましては、労使の対立の激化を招く容易ならざる事態を招来しないとも限らないのであります。ゆえにわれわれは、いかにしてもこの中堅階級の育成助長を行つて行かなければなりません。ことに過剰人口の貯水池としての中小企業は、経済政策の対象としてこれを取扱わなければならぬ性質のものであります。しかるに自由党内閣のこの問題に対する対策は、従来冷淡であつたごとく見えるのでありまするが、この点はすこぶる遺憾であります。さらに中小企業は、大企業の下請工場として大いなる役割を演じて来ましたこと、また輸出貿易品製造家として日本貿易進展に貢献して来たこの階層の実情を見まして、その保護育成はまことに急務であるということを痛感しております。この層の現在使用人三百人以下の中小企業者の借入金総額は一兆に達しております。うち政府の助成により経営されている商工中央金庫の融資はわずかに三分にすぎません。ほとんど実効があがらないといつてさしつかえないのであります。この時にあたり、少額なりといえども三十億の政府の出資を増額し、政府原案の運用金百二十億円を加えて、百五十億円となさんとする修正の趣旨は、まことにわが意を得たものであります。願わくは今後この中小企業の社会的地位と輸出振興上の大いなる役割にかんがみまして、さらに一層の助成を加えられんことを切望してやみません。  さらに社会保障の問題であります。われわれ改進党は敗戦による創痍から回復するために、国力の復興を早急に実現することを期して参つたのであります。戦争によつて受けた多数国民の窮乏を救い、海外よりほとんどすつ裸で帰還した同胞にあたたかき救助の手を延べ、さらに社会悪から生じた多くの悩める人々の生活を保護育成するために、社会保障費を優先的に計上することに努めて参つたのであります。元来社会保障の大いなる目的は、国民生活の維持と、労働能力の保護をはかり、一般社会の進歩をはからんとするものでありますから、わが党は共同修正案においては、政府原案のほかに国民健康保険医療給付費二割国庫負担として、これの増額をはかつたのでありまして、これより漸次未組織の団体にまで福祉施設を拡張せんとするものであります。しかるに現在の制度は社会保険、国家扶助、公衆衛生と医療、社会福祉の四部門の行政になつているのであります。これがためにセクシヨナリズムに煩わされて、冗費もかさみ、事務の煩瑣から効率もあがりません。漸次統合整理を必要と考えておりますが、本予算の修正にあたつては、その余裕はありません。社会保障制度は、敗戦後における日本国民解決すべき重大なる課題であります。政府は将来一段とこの解決に努力せられんことを望んでやみません。  地方財政の整理のためには、およそ五百億円が必要なりといわれております。修正案においては五十億円を補給し、起債のわくを少しく拡げたからといつて、根本的赤字補填とはならないのであります。従つて抜本的行政機構の縮少と人員の整理が必要であります。しかるに大蔵大臣地方財政整理について、政府の負担すべき性質のものであれば、これを補給するにやぶさかではないが、目下調査中であると言つておることは、地方負担と政府負担の限界が明白でないことを示すものでありまして、政府はその行政事務をやつたらに地方に押しつけながら、財源を与えない。地方行政庁もまた平衡交付金の増額を、あるいは知事や代議士を動かして貫徹することができるというような安価な考えをもつて推移したことから、みずから放漫行政を行つて来たことは明白であります。ここに中央地方の紛争が出て参つたのであります。ここにも中央地方を通ずる行政整理を徹底的に断行する必要が厳として存在するのであります。修正案は姑息なる臨時救済をもつてやめなければならなかつたのでありまするが、この点はまこと遺憾であります。  さらに教育の点でありますが、教育の重要なことは言をまちません。これがため、その増額を期し、われわれは政府原案のほかに、科学振興費、義務教育老朽弱体校舎改築費等を増額いたしまして、積雪寒冷地帯における児童のために屋内体操場の不足をも補わんとし、その他義務教育戦災校舎復興のために増額をなしたのであります。現内閣の教育行政に対する態度は、とかく一貫性を欠いておりまして、教育費国庫負担の問題について大いなる禍根を残しました。これは十五国会における教育行政に対する過誤から始まつたのでありまして、その波紋は十六国会まで引継がれたのであります。政府は義務教育費を富裕府県から除外し、理論を貫くことができないために、財源の欠乏を理由として、差別待遇を目的とする法案を提出しようとしていることは、狼狽の馬脚を現わしたものといつてさしつかえないのであります。この際政府に要望いたしますことは、教育の方針自立経済達成のために役立たしめることに努力をしていただきたいということであります。自立経済とはわが国経済力を高め、東亜の諸国と経済協力を実現するために、どうしても科学技術振興に重点を置いて、高等学校時代から仕事を実習させる方法をとつて、付近の工場などとも連絡をとつて、見学を奨励することに努めていただきたい。私は、りつぱなフオーア・マンとなり、あるいは職工となる、そういう教育方針をとれば、各会社もこれに協力して、その就職も多くなるであろうと思うのであります。法律経済書生が氾濫して就職難をかもし、共産思想に感染して行くという実情にかんがみまして、その必要を特に痛感せざるを得ません。また東洋の地理、歴史、ことに地理の教科と語学を主とする学校を育成するか、既設の学校をしてその科目を設けさせるようなことを条件として補助金を利用させるということが必要であります。大学の数いたずらに多くして、学生は十分なる実力がつかないで、大学卒業生という虚名にはせて結局就職口もなく、肉体勤労をいとう多くの卒業生を社会に送ることの弊害に堕せざるよう、特別の考慮をはかられんことを希望する次第であります。  最後にMSAの援助について申し上げたいと思います。MSAの援助は明白に集団防衛上の軍事的義務を負うものであると確信いたします。MSAの援助をわが国経済のために貢献させることができるかいなかは、わが国民にとつてはまさに一大試錬であります。すなわち直接援助でありましても、わが国に受入れ態勢ができていなければ、米国でつくつた完成品のみが与えられて、わが国の工業の整備発達にはそんなに役に立たないことになるでありましよう。域外注文はほとんど商業的基礎に立つものであつて、これを受け得るだけの受入れ態勢ができていなければ、外国貿易において、世界の市場において諸外国と輸贏を決することができないのであります。どうしても外国と輸贏を決し得るだけの技術の進歩を、われわれは持つていなければなりません。すなわち技術も製品も、価格においても納期においても、わが国が外国と競争ができる立場にあることであります。その力がなければ入札の場合においても負けるのは当然であります。わが党の修正案には、工業力、生産力を増強させる施策を織り込んでおりますが、もとよりいまだ満足すべきものではありません。自立経済と申しましても、プランばかりでは何にもなりません。みずから立つの精神がなければその計画もから念仏に終つてしまうのであります。将来はまつたく一時の僥倖によつて得た朝鮮特需景気を夢見るようなことがあつてはなりません。終戦後わが国民がまさに飢餓に陥らんとしたときに、日本にとつて最も必要な食糧と原料を供給してもらつた米国の援助を再び期待することもできないのであります。また援助物資の代金を支払わねばならぬ性質のものであるにかかわらず、期限がついていないので返済しておりません。要するに多くの借金を支払わないでおるのであります。諸外国から賠償を要求されていますが、いまだ決定を見ておりません。日本経済は払い切れないほどの借金を負うていながらこれを払わないで、架空の景気に惑溺して来たのでありまして、まさに噴火口上に乱舞している姿でありました。しかるに特需も減り、貿易の不振から、国民はようやく噴火口から降りて、国民の自力によつて立ち直らなければならぬ立場に追い込まれて来たのであります。自粛自制を促すとともに、この難関を切り抜ける施策を多少なりともこの修正案に織り込まんとするのが、私どもの企図するところでありました。しかし今日上程を見ております二十八年度予算案は、朝鮮事変の終了前の最も噴火山上に乱舞しておつたときに作成されたものでありまして、世界情勢に順応する幾多の施策を受入れたといたしましても、もとより語るに足らない程度のものであります。  本修正案政府国民も耐乏生活を覚悟しなければならぬということを示唆しておるものであります。他面またさらに国運開拓のために、一方においては積極的に大胆に国策を遂行しなければならぬ示唆をも与えておるのでありまして、もとより不十分ではありますが、二十九年度予算編成にあたつていかなる政策を織り込むべきかをもさらに示唆しておると考えておるのであります。この意味において自由、改進、分自各党の修正になる本案に賛成の意を表明するものであります。これが実行は、執行機関である政府の責任においてなさるべきことはもとより当然であります。(拍手)
  91. 尾崎末吉

    尾崎委員長 和田博雄君。
  92. 和田博雄

    ○和田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、議題になつております二十八年度一般会計特別会計政府機関予算政府原案には反対をいたし、また自由党両派、改進党の提出しました修正案にも反対いたしまして、社会党両派が提出しました組みかえ動議に賛成の意を表明いたすものであります。(拍手)順次その理由を述べたいと思います。  二十八年度予算は、最初十五国会において不成立になりました。その不成立予算を組みましたときの国際情勢と、今度の国会に提出されました、今議題になつておりまする予算を組みましたときの国際情勢とは、非常にかわつております。従いまして、国内の情勢もともにかわつておると私は考えるのであります。しかるに政府は、今度の予算を組みますときに、なるほど朝鮮の休戦は漸次進行はしておるが、国内の経済情勢は当面急に変化することはないという前提の上に立ちまして、予算を組んでおるのであります。しかし私は、政府のとられたこの編成方針について、どうしても賛成をするわけには参らないのであります。御承知のように、今日本経済現状を一番端的に現わしておりますものは、外国為替資金特別会計において示されておりますところのもろもろの数字であろうと思うのであります。政府の提出せられました今度の予算の説明書を見てみましても、二十七年度におきましては、輸出は十一億六千八百万ドル、駐留軍関係の収入は八億二百万ドル、貿易外収入が二億四千百万ドル、計二十二億一千百万ドルという数字をあげております。二十八年度の見通しは、これより若干数字は減つております。それは駐留軍関係費用が七億ドルに減つておるのと、多少輸出がふえておるということにはなつておりますが、差引すると、二十八年度は二十七年度よりも経済的に見て国全体としては規模が小さくなつております。これは何を意味するか。言いかえますと、われわれ八千六百万の国民が生きて行くために、いろいろの産業に携わつておる、国としては輸出をやつておる。しかしこの八千六百万の人間が生きて行くためには、二十八年度の見通しにおいては七億ドル、二十七年度においては八億何千万ドルの駐留軍関係費用がなければ、われわれ国民全体としてはもつと生活程度を下げて、そして苦しい生活をして行かなければならないということでございます。これは本委員会においてもしばしば論ぜられ、また諸君の十分承知されておることでございます。言いかえますと、日本経済が正常な貿易によつては成り立つて行かないのであつて、いわゆる日本経済は、駐留軍関係のこの消費があるがゆえにこそ持つて行くということを意味しておるのであります。そして今当面私たちが一番重要と考えますのは、政府もしばしば言つておられるように、日本経済の自立であります。われわれ政治家が一番心を悩ましておるのは、日本経済自立をどうして達成するかということでなければならないのであります。そして、それをやるのにいろいろの政策を行つておるのであります。政府予算を組んで、その政策を実行して行くのであります。としますならば、予算編成のときの国際情勢、あるいは国内情勢の分析は、どこまでも正確に、衆知を集めてこれをやるべきであります。それをもとにして政府予算を組んで、そして国民の税金を合理的に、最も国が繁栄して行くように、勤労階級の生活が向上して行くように使うべきであろうと思うのでありますが、二十八年度のこの予算編成方針を見ますと、相かわらず安易な気持になつております。そして他のところでは、大蔵大臣もあるいは総理大臣も、すべて特需というものがまだ期待される間に、日本経済自立のために、もろもろの政策を行つて行かなければならない、経済自立を達成しなければならないということを繰返し言つておられるのであります。ところがこの予算の面に少しく入つて検討してみますと、その点については、まつたく羊頭を掲げて狗肉を売ると申しますか、予算の面においても、きわめて貧弱な施設しか行われておらないのであります。私はこの点において、今度の二十八年度予算というものを、政府がかつてまず最初の独立予算であると言われている以上、この予算面において、少くとも経済自立日本のほんとうの独立基礎を達成するだけの創意と創造力と、そして気魄とがほしかつたのであります。その点について、非常に欠けるものがあるという点におきまして、まず私は、政府原案には反対をしたいと思うのであります。  第二に私が申し上げたいのは、今度の予算が非常にインフレ的な傾向のある点について、指摘したいと思うのであります。この点に関しましては、不成立予算につきましても、この前の国会において、当予算委員会においても、あるいは本会議においても、ずいぶんと討論をされました。ことに自由党の植木君はインフレ予算ではないということについて、数点をあげて討論をされたことを記憶しております。今再び私はそれをここに繰返すつもりはございません。ただ私が特にこの際注意しておきたいのは、予算規模が、国民所得と比較して前年度より少しく比率が下つたからといつて、これはインフレ予算ではないという断定を下すことは、非常に早計だと思いますし、誤りではないかと私は思うのであります。問題は、予算の構成そのものであります。御承知のように、二十七年度予算におきましては、まだまだ財政蓄積は相当あつたと思います。今度は、相当その財政蓄積をひつぱり出しております。また純軍事費と見られるところの防衛支出金がありますとか、あるいは保安庁の費用でありますとか、これらを加えたものは、二十七年度と二十八年度とを比較しますならば、はるかにふえております。それだけではなしに、二十七年度の未使用分が九百五十六億円という多額に上つております。これは今年度において使われるべきものであります。これらを加えますならば、予算総額の中で、ほんとうに非生産的であると考えられるところの金額は、二十七年度に比べてはるかに厖大なのでございます。こういうふうに、再生産の過程に再び入つて来ないこの費用が多いということ、それと同時に、これはあとで述べますが、改進党のいわゆる修正案にも関係いたしますが、米価の問題であります。ことしは西日本、北九州は、水害等によりまして、おそらく作が悪いと思います。少くとも平年作を期待することはできません。食糧上の不安というものが来るのであります。ところが米価に入るのか入らないのかわからないような、八百円というものを加えて、そして基準米価を低いところに置いておいて、一体政府はどうして供出をやるつもりでございますか。この修正案をのんでは、責任を持つて供出を完遂し、配給制度を維持して行つて国民生活そのものの基本を安定せしめるということは、私は非常に困難だと思うのであります。食糧の面について不安があれば、この予算の中に含まれているところのインフレ的な要因は必ず顕在化して来ます。じつと底にとまつておるのではなくて、表面に出て来ます。この予算の中では、自由党が従来排撃して来た公債政策をとつております。資金の散布超過が一千百億、改進党その他の修正案によれば一千三百億、これらを勘案して考えてみるときに、私はこの予算の中に包含されたインフレ的な要因は、再軍備費といわず、散布超過といわず、すべてのものが顕在的な状態になつて来ると思うのであります。この意味において、インフレによる労働階級への収奪というものは必至だとさえ、私は心配いたします。一つの間違つた米価についての修正をやることによつて、私はこの予算が持つインフレ的要因の顕在化は必ず来ると考えます。それは、政府は今まで極力インフレというものの抑止を考えておるとわれわれは考えておつた。われわれがこんな必要はないではないかと言つておるほど考えておつた。このときに、今インフレが非常に傾向として強くなつて来るときにおいて、あの米価の修正を見たことは、私たちは非常に遺憾だと思うのであります。その意味において、政府はある意味からいえば、時期的な感覚のずれがあるのではないかと思います。ドツジ・ラインを採用することによつて、インフレを押えるために、われわれから見れば、まつたくの超均衡予算を組んで、もつと産業開発の方面に投資すべき事態があつたにもかかわらず、そのときには一生懸命になつて、インヴエントリーを守つて来た。今こそインヴエントリーを守らなければならないときに、今こそインフレを阻止して行かなければならないときに、そうして日本の物価を下げ、合理化を行い、勤労階級をほんとうにインフレーションから守つて行かなければならないときに、ただ目先のことにとらわれて、この大きなインフレの要因を多分に含んだ予算を組んでおるということは、私たちとしては、どうしても納得が行かないのであります。ことに世界情勢が、今申しましたように平和の方向に動いて行つておるときに、九百五十億円になんなんとする厖大な未使用分を残しておるときに、日本だけがなぜ防衛費をふやし、そうして一方においては、公務員ベース・アツプも考えないような予算を組むのでありましようか。私はその点において、本予算に反対せざるを得ないのであります。  第三は、今触れました公務員の給与のベース・アツプの問題であります。政府原案におきましても、改進党その他の修正案におきましても、この点については触れておりません。しかし人事院勧告は、やがて出されるでありましよう。出される人事院勧告は、一万五千五百円のベースと伝えられております。多数の公務員を使つておるいわゆる使用者の立場に立つ政府といたしましては、この点において、まず第一に公務員の給与の点を処置することを、少くとも予算面において考えておくのが、常道であろうと思うのであります。政府は、一面においては大きな資本家であり、使用者であります。その使用者と被使用者との労使の関係が、合理的に合法的に処理されることこそが必要で、外見は非常にはなやかであつて、実は精神的にはきわめて封建的な要素の多分にある日本の財界、資本家たちを十分に指導して行く具体的の指導力を、政府はこの点において持つべきだと思うのであります。ところが政府におきましては、この点について、常に人事院勧告を無視する態度に出て、予算編成する場合においても、これに対する慎重な考慮を払わないということでは、私は吉田内閣の反動性を云々されても、しようがないことだと思うのであります。われわれはこういうところから、日本の労働関係を合法化し、合理化して行く努力を、少くとも政府自体はやるべきだと考えます。しかるにかかわらず、今度の場合においては、何らこの点について考慮を払つていないという点が、私の反対したい第三点でございます。  第四は、経済外交についてでございます。政府経済外交につきましては、施政方針の演説におきましても、しばしば繰返して述べておられます。しかしその実行面においてはどうであろうかと見ますると、これはきわめて貧弱であります。ほんとうに貧弱であります。しかし私が考えますのに、日本の現在におきまする経済的なこの窮乏も、その原因の一半は外交方針、いわゆる外交にあると考えざるを得ないのであります。第一日本は、まだかつての交戦国のすべてと平和条約は結んでおりません。未調印国はたくさんあります。平和関係は回復されていないのであります。そうして、平和関係が回復されていないことこそが、経済面においては、貿易のその他の点において、あるいは漁業といつたような面において、非常なさしさわりになつておるのであります。吉田内閣が今までとつてつたアメリカ一辺倒の外交政策のしわ寄せが、実は今現在自由党内閣が、吉田内閣が苦しんでおるこの日本経済の自立、貿易の打開の点のネツクとなつておるというように考えられるのであります。この点については、私どもはしばしば繰返して、早く未調印国との調印を完了し、政府の言う友好善隣の関係をどしどしと進めて行くことを、私どもは常日ごろ主張して参つておるのであります。ところが、どういう事情があるかしりませんが、この点に関する限り、私は吉田外交は非常に怠慢であつたと思うのであります。自主性がなかつたと思うのであります。東南アジアの開発を、政府は口をきわめて国民に訴えております。今までいろいろの使節を出されたのも承知しております。しかしながら東南アジアの開発ということが、かつて吉田内閣国民に対してしばしば宣伝した外資の導入と同じように、なぜ振興しないのか。向うも、必ずこの日本との間の経済的な提携は欲しておると思うのであります。日本も欲しておるのであります。ところが、アジアの国々の間における貿易関係が一向に進展せず、友好善隣の関係が進展しないのは、政府のとつておる外交の基本と、東南アジアの国々のとつておる外交の方針の基本とが異なつておるからだと私は思うのであります。私はその意味において、政府はほんとうに自立経済を達成しようと思うならば、外交面における自主性を回復し、アジアの国々との間におけるその調整をやることが大事だと思います。これは、最初われわれが主張したときには、政府はあまり耳をかさなかつた。しかしだんだんと時がたつに従つて、結局外交そのものから打開して行かなければ、貿易関係も打開しないということは、もはや私は、政府諸公も御承知になつておることと思うのであります。この点について、今度の予算に、私はどういう点で具体的なそれらの施策予算化しておるかということを調べてみましたが、また不成立予算についても質問してみましたが、はなはだこれは貧弱であります。この点について、われわれとしましては、この東南アジアとの提携、東南アジアにおける貿易開発、こういう点につきまして、政府がこの予算でやつて行こうとすることに対しては、きわめて不十分を感ずるものであり、われわれとしては反対せざるを得ないのであります。  第五は、これは減税の問題でございます。今日本経済界を襲つておるところのこの不景気、生産の停滞、貿易の停滞、そうして消費だけがふえている。いわば斜陽族の経済にも似たようなこの日本経済不況を、どこから一体打破して行くか、どこに一体突破口を求めて、どこから打破して行くかということは、おそらくこれは、皆さんたちの重大な一つの関心事だろうと思うのであります。私はこの点の一つの突破口として、国民購買力をふやして、庶民大衆に購買力を与えて、その方法としての減税をわれわれは主張したいのであります、その減税によつて国民大衆に購買力を持たせると同時に、投資の面においては、自由放任な投資を捨てて、重点的に、社会主義的な計画経済をもととして投資をやつて行く、この二つの突破口によつて行く以外には、日本経済の打開の道は私はないと思うのであります。今日本の大衆に購買力を与えることは、ただ消費面にそれを向わせることではないと思うのであります。日本のように、まだまだ貨幣についての信用のあるこの国民性を考えますときに、国民大衆にほんとうの購買力を与えることこそが、政府の念願している民間資本の蓄積においても、十分な貢献をすると思うのであります。しかるに政府減税は、いつでも税法上の減税であります。千億減税といいましても、税法上の減税である。公務員ベース・アツプについてすら、自己の使用しているものについてすら、何らその購買力をふやすことを考えていないせいか、一般の国民に対する減税もまた同様でありまして、これは何度繰返しても、税法上の減税であり、真の減税ではないのであります。ここに、この予算案において政府が声を大にして言つている減税が、真に今の不景気突破口にはならない。われわれは、あの両派共同提案において、説明者の説明いたしましたように九百二億の減税を行つて、民間資本の蓄積、国民購買力増大による生活の安定に資したい、こう考えた次第でございます。  次は、この予算と重要法案との関係でございます。これは、この前の不成立になりました予算につきましても、各党派の方々が十分に論ぜられました。ことに社会党両派は、この点について十分な討論をいたしたわけであります。政府は、この前と違つて五大法案は出しませんでしたが、スト制限、あるいは恩給法、または独占禁止法改正案も出して参つておるのであります。この三つの法案を考えますときに、政府が民主主義を守り、日本平和憲法を守つて、民主的な政治日本に植えつけて行く、こういう態度に立たれる限り、この三つの法案については、私は非常に遺憾に思い、賛成することはできないのであります。なぜこういう法案が今必要なのでございましようか。日本経済の民主化、そうしてまた政治の民主化が、今までわれわれが政治をやつて来た、立場こそ違え政治をやつて来た大道であつたと思います。政治の柱であつたと私は考えるのであります。ことに、民主主義を守るほんとうの支柱である労働階級の労働運動を、結局は抑圧し弾圧する結果になるスト制限の法案を出すに至つては、われわれとしては納得できないのであります。電気や、あるいは石炭のような公共の事業の労働争議というものは、どこの国でも、今までこれは非常に苦しんで来たのであります。公の利益、そうして労働権との間におけるこの悩みは、どこの国でもきわめてデリケートな、困難な問題であつたと思うのであります。しかしながら、それを解決する解決の仕方は、労働階級の叡知と資本家階級の理性に訴えて、そうして輿論の公平なる判断に訴えて解決して来ておるのであります。政府がすぐ権力を用いて、一方の側に権力を与えて、権力によつて解決して来たものではないと思うのであります。それこそが民主主義の行く道であります。一方において権力のみにたよつて、困ればすぐ何か上の権力にたよつて、われわれ自身の問題を解決して行こうという態度こそが、私は暴力にいざなうところの態度であろうと思うのであります。資本家の側における利潤については、何らの政策をとることなく、ただ労働の側においてのみ政府が権力を用いて行くというやり方こそが、新しいフアシズムを生んで来るのであります。この意味において、われわれは、今度の法案を政府が再び出したということは、まつたくもつて驚くべきことであり、いま少しく自由主義の立場に立つ人であるといえども、理性を用いてもらいたいのであります。われわれがこういう間違つた方向をやつて行けば、知らず知らずの間に、新しいフアシズムがここに台頭し、吉田内閣はそのフアシズムを進めることともなり、日本の国が再び軍備中心とした軍国主義にかえつて行くことは、これは火を見るよりも明らかであります。そうして、ある段階に来て日本経済が破綻し、暴力的な主義が横行したときに、だれが責任を負うのであるか、私はその意味において、この重大法案と本予算案との関係から言いましても、この予算にはとうてい賛成ができないのであります。  次に、私はMSAの点について一言しておきたいと思います。MSAの問題は、この委員会におきましても、また他の委員会におきましても、この国会の論議の中心であつたと思います。しかし私は、MSAは、吉田首相の期待するような、日本の軍需産業を援護するところの経済援助ではございません。これは、はつきりと集団安全保障体制をつくるための援助であると私は思います。日本における自衛力の漸増ということを、新しい協定を結ぶことによつて義務づけ、そうして防衛態勢を強化促進しまして、アメリカにおける世界政策、いわゆる巻返し政策をアジアにおいて完成したいというものであることは、今後吉田内閣が交渉されるに従つて、ますます明瞭になつて参りましようし、また日本が負うべき義務は、外務大臣政府の考えておるように、そんなになまやさしいものでないことも、これまた私は明らかになつて来ると思うのであります。このことは、日本経済自立——今特需の上にわずかに均衡を保つておるきわめて不安定な日本経済、この経済的な均衡を、MSAによつて置きかえることであり、そうして、日本がますますアメリカの桎梏から脱却することを困難にすることであり、日本が自主的な経済を持ち、自主的な外交政策を行い、国内の政治を行つて行こうとしても、そこに大きな制約が必ずだんだん出て来ることを、私は物語るものだと思うのであります。われわれ日本人は、真の独立を欲します。MSAの形における再軍備の道は、今まで軍備をしないと言いながら、実際には軍備を進めて来た、そのことを政府みずからが認めることになるのであります。私は、このMSAをてことして巻き返し政策を完成し、日本アメリカ世界政策一環として編入されてしまつて行くような、こういう国としての道は、歩みたくないのであります。また歩んではならないのであります。今これを阻止するのでなければ、これが進んでしまつて、MSAを受けたあとにおいて、どうしてこれをかえて行くことができるものでありましようか。いわば、その意味において、日本は今までよりはもつとむずかしい、もつと重大な時期に来ておると思うのであります。国際的ないろいろな変化を考え、国内において、今政府のとつておる反動的な政治を考えてみるときに、われわれは国民の一人として、この二十八年度のような予算をそのままうのみにしてしまうことは、とうていできがたいのであります。  最後に、私は、改進党の修正案について、一言しておきたいと思うのであります。この修正案は、なるほど行政費を節約し、あるいは保安庁費を削り、その他予算規模を多少少くしております。しかし、そういうことは本筋ではないのであります。むしろこの予算は、政府原案よりももつとインフレ的な要因を多く含み、日本のインフレーシヨンを危険な状態にもたらすものだと、私は考えます。ことに、この案における一番の基礎は、民間の資本蓄積を増進するということであります。そうして、いろいろな利子をまけております。しかし、これによつて出て来るところの数字上の蓄積が、真の蓄積になるかどうかということは、何ら保証はないのであります。利子をまけたからといつて、それがすぐに蓄積の方にまわるというものじやございません。むしろ、それよりは堂々たる減税をやつて、大衆に購買力を与えながら、大衆自身の消費性向といいますか、蓄積性向というか、こういうものを信頼して、日本の民間資本の蓄積をはかつた方が、はるかに私はいいと思うのであります。もしこの点が破れれば、改進党等三派の修正案は、根本からくずれ去つてしまうのであります。この意味において、何ら保証のない、きわめて不安定な民間資本の蓄積というものに基礎を置いておるところの三派修正案というものは、きわめてりくつの通らない、脆弱なものだと思います。また一言前に触れましたように、米価を、こういうように米価であるのか米価でないのかわからないような、八百円の奨励金をつけるようなきめ方をすることは、食管特別会計というものに、ただ赤字をふやさせるだけではなしに、米の配給制度そのものを混乱に陥らしめることだと私は思います。今まで政府が困つてつたことは、だんだん割当が困難になつて来て、そして供出が困難になつて来たことであります。ことに、ことしのような特殊の状態においては、米価が低ければ米価を上げたらいいのであります。今までわれわれは、米価が低ければ、一万円に上げろということを言つております。そして一般の消費者のために、また農民階級の中の三分の一を占める消費農民のために、政府がその間の補給をして、そして二重米価制度をとつて行けばいいのであります。これは日本の今の食糧事情、経済全般の事情から言つて、やむを得ない一つの制度であります。しかしながら、やむを得ない制度であるが、これは国全体の経済を動かして行く根本であります。食糧の不安が増大したときに、どうして政府は治安を維持し、またこの予算を守つて執行して行くことができるでありましようか。補正予算は必至であります。また自由党としては、原案においては、私どもから見て曲りなりにも筋が通つていたと思うのであります。一つの政党が予算を組む以上は、自分の信ずるところの政策予算に盛り込んで、これを実行しているのであります。これが政治的な責任であります。この政治的な責任を忘れて、ただ予算を早く通したいために修正案をのむというに至つては、われわれは、議会政治そのものの基礎がすでにゆらいでいる感じがするのであります。自由党は、自由主義の立場に立つてつておる政党であります。改進党は、修正資本主義の立場をとつております。しかし、いやしくも自由党からなつているところの吉田内閣がこの二十八年度予算を出す以上は、自由党として、これは根本の政策であるというものをすべて盛つているだろうと思うのであります。われわれは、それを信頼して今までこの予算委員会において審議をし、またきようこうやつて討論しているのであります。それが、いつでも本質すら危ぶまれるような修正を、ただ政権を維持するためにのむのだというに至つては、われわれとしてとうてい納得は行かないのであります。そういう意味におきましても、この改進党の修正案並びに原案に対しては、反対を表明するものであります。  われわれは、両派共同で出した組みかえ案に賛成をします。その理由は、提案者が説明いたしましたので、私はその点について触れることは避けたいと思います。  これで終わります。(拍手)
  93. 尾崎末吉

    尾崎委員長 今澄勇君。
  94. 今澄勇

    今澄委員 私は、日本社会党を代表して、政府予算案と改進、分自両党の修正予算案に反対し、社会党両派予算修正案に賛成する理由を述べんとするものであります。  反対の理由を一言にして申しますれば、政府原案及び修正案に現われた諸政策は、日本政治的、経済独立を強化発展させ、迫り来る世界的景気後退に積極的に対処するものとは認められないがゆえに、私どもはこの予算案に反対いたします。  なるほど政府は、予算の説明において、経済基礎はいまだ脆弱であるから、一日も早く特需依存を脱却して、経済自立態勢をすみやかに確立する必要があると言つております。しかも、そのためには、財政の投融資を拡充強化して、経済基盤の確立を促進し、国内物価の国際的割高を是正し、財政支出重点的に使用しなければならぬとも言つているのであります。その言はまことによろしい。しかし国民政府に望んでいるものは、言葉ではなく実行であります。政府がこの予算案の執行を通じて行わんとするところは、その言うこととまつたく反対であります。すなわち政府は、朝鮮休戦後の特需の消滅と、国際的輸出競争の激化、世界的景気の後退傾向に真実に対処せんとするならば、国内物価を二割ないし三割方引下げねばなりません。この前提条件が達成されて、初めて輸出競争力を高め、正常な商品輸出と貿易外収入の増加が実現できるのであります。かく経済の自立化を促進し、米国に対する隷属的な政治的、経済的、半独立状態が脱却できるのであります。国民は一日もその早からんことを願つております。  しかるに政府は、MSAの受諾を通じて、日本経済の自立化でなくて、経済の脆弱化を促進せんとしております。昭和二十八年度修正予算案は、この目的のために役立つにすぎません。このことは、予算案予算の背後情勢を分析すれば、ただちに納得できるのであり、われわれがこの予算案に反対する理由もそこにあるのであります。  第一に、MSAの受諾は、国内治安のための防衛期待を変じて、防衛義務に転化させる憲法違反の行為でありますが、政府はこれを通じて、特需消滅後のドル貨の取得を期待しております。だがすでに、ロンドン・エコノミスト誌が日本経済の展望と題する小論文において指摘したように、朝鮮の戦争特需にかわる復興特需、米国のアジア向け経済援助による日本の域外買付、東南アジアのポイント・フオア資金の支出による買付等は、MSAを受諾したからとて、従来の特需以上に日本に与えられるという保証は少しもないのであります。これらの支出いかんは、アメリカ政府の意向次第によつて決定され、しかもアメリカ国内の政治情勢のいかんによつて左右される、きわめて投機的、浮動的なものであります。加うるに、タフトはアメリカ上院において、海外援助予算は、明会計年度から廃止すると言明し、上院またこれを議決しております。かかる不安定にして投機的なMSA援助を受諾して、予算案もこれを前提として実行するということになれば、日本経済の脆弱性が深刻化するということだけでなく、日本経済運命そのものが、恐るべき破滅に瀕することになりましよう。  第二に、MSAの受諾には、その前提条件として、数箇年にわたる防衛計画が相互に了解されるのが慣例であります。英国の再軍備四箇年計画を含む西欧諸国の共同防衛体計画が、このことを明らかに立証しております。今この予算に計上されている防衛支出金六百二十億円、保安庁費七百二十億円は、数箇年にわたる防衛計画の第一年度支出にすぎません。しかるに政府は、言を左右にして、防衛計画を国民の前に明白にせずして、その通過をはかる非立憲的行為をあえてしております。七月十日号のアメリカのU・S・ニユーズ誌が指摘するように、米国極東空軍は、本国の国防総省に提案して、アメリカのために、ジエツト偵察機と軽爆撃機からなる日本空軍を再建し、重爆撃機を擁する米空軍の統制下に置かんとしております。政府は、かかる強制された防衛計画を受諾し、今後数箇年に一兆数千億円に及ぶ不生産防衛支出国民に隠蔽して承認し、しかも明年からMSA援助が皆無になるか、あるいはまた急速に減少することはすでに明白であり、国民はいたずらに兵器と税金の重圧下に呻吟するのみであります。われわれは、かかる不生産的、インフレ的支出を削減し、これを国民生活水準の向上と、社会保障費の充実に転用せんとするものであります。  第三に、政府は、MSA援助と巨額の再軍備予算によつて、兵器産業中心とする軍需資本家に、巨大な財政援助を与えんとしております。五百三十二億円の過去の蓄積を含む二千八百三十三億円の財政資金の五割以上は、直接間接にこのために支出されんとしております。国際的に見て、まつたく低能率にして高コストのわが国の軍需産業は、その出血受注の犠牲を、このような国家資金によつてまかなわんとしているのであります。彼ら軍需会社の経理内容がいかにずさんであり、弥縫的なものであるかは、先般の不渡り手形の続発が雄弁にこれを物語つております。この劣悪な軍需産業が、内灘初め、全国各基地の住民の犠牲において、MSA援助と財政投融資によつて繁栄するような吉田内閣政策予算案には、われわれは、国民とともに絶対に反対するものであります。  第四に、自立経済政策を達成するための物価引下げ、コスト低下は、この予算案そのものの性格によつて、すでに破綻しているのであります。すなわち政府原案の一千百億、修正案の一千三百億円に及ぶ政府資金の散布超過は、有力なインフレ要因であります。それのみでなく、政府は独占禁止法に違反する繊維類、その他の操短を既定事実として認め、その価格維持を黙認し、さらに進んで独禁法を改正して、カルテルの合法化によつて物価の引下げ傾向を阻止せんとする矛盾した政策を、臆面もなくとつておるのであります。さらにまた、政府支出の抑制と繰延べ、日本銀行の貸出し抑制、市中金融機関の貸出し回収、政府預託金の引上げ等の金融政策のデフレ化によつて、これを行わんとしているのであります。ことに、政府支出の抑制と繰延べ政策のごときは、それが下半期のインフレ化を調整せんとするものであるといつても、この予算案自体がいかにインフレ的であり、しかも不急不要の諸経費を計上しているかを、みずからが物語つているものにほかならないのであります。かかるデフレ的財政金融政策によつて、最も影響を受けるものは中小金融と中小企業者であります。これは、デフレ的金融政策によつて中小企業の倒産を促進し、旧財閥系大企業の独占と集中を露骨に強行する独占資本擁護の政策であります。それのみではない。政府はコスト切下げの犠牲を、ストライキ禁止法の制定による労働者の罷業権の不当なる制限と弾圧、社用族の厖大な寄生的消費生活を放任して、生活必需品の価格低落の阻止と重税との圧力をもつて、勤労者の生活水準引下げに転嫁しようとしているのであります。なかんずく、生活水準引下げの重圧は、政府原案によれば、租税政策の面から給与所得者に最もはげしくのしかかつているのであります。すなわち、国民所得のうちで、業種所得と法人所得が前年度よりも増加するにもかかわらず、申告所得税と法人税は前年度よりも減少することになつているのであります。しかるに源泉所得税は、勤労所得の増加率以上に増加しておるのであります。このように徴税しやすいもののみに重課し、徴税上の煩わしき手数を伴うもののみを軽減している所得税のごときは、欧米のいずれの国においてもその類例を見ないのであります。源泉所得者に対するかかる不正にして不公平な課税は、一日も早く廃止すべきであります。われわれは、その修正案において、月収二万円以下の所得者をすべて免税とし、中小法人の税率を三五%に軽減して、勤労意欲の向上と生産性の向上をはからんとしているのであります。  第五に、改進党提案の修正案は、以上に述べて参りました政府原案のすべての欠点をそのまま受継いでいるのであります。それのみではなく、政府原案のインフレ的性格は、供米完遂奨励金二百億円を含む食糧証券の発行限度増加によつて、いよいよインフレ的性格を濃化しておるのであります。この米価改訂問題に関して奇怪なことは、自由党政府は、改進党との協約に反した行動をとらんとしていることであります。すなわち八百円の供米奨励金の引上げは予算米価に限るものとし、生産者に対する事実上の支払い米価は、秋になつてから決定し、また消費者価格を十キロ当り二十円方の引上げをなさんとしているのであります。さらに、修正案の重要点はことごとくぼかされ、予算の実行上、または関係法令の審議の際に決定すると逃げを打つていることであります。保安庁費六十五億円の削減を大半予算外契約に振りかえるということ、預金利子課税を源泉一割に引下げるが、割増し定期預金にも課税するというのを中止せんとしていること、老朽学校校舎等十億円を資金運用部資金から充当しないで、地方債公募にゆだねんとしていること、これらはみな自由党政府の不純なる政治的取引を物語る以外の何ものでもございません。改進党もまたかかる態度を十分承知しながら、無責任な宣伝効果のみをねらつて、きわめて不明朗な政治的取引を強行したのであります。結果においては、自由党政府政策でもなく、改進党の政策から割出された修正方針でもない、無性格にして体系のない予算案を、ただひたすら政権維持のために、改進党と分自党の数を利用することによつて通過させんとしているにすぎません。日本の国政史上、かかる奇怪にして定見なき修正予算案は、その例を見ないのであります。われわれは、日本の立憲政治確立のために、このような男女を識別しがたい中性的予算案には、絶対に承伏できないのであります。  これに反して、社会党両派の修正予算案は、戦時経済から平和経済への世界情勢に対処して、平和産業を中軸として、日本産業構造の重化学工業と軽化学工業との拡大的、均衡的発展を目標として編成し、特需とMSA援助を断固切断して、日本政治的な、かつまた経済独立を完遂せんとするものであります。また、減税と物価の低水準での安定を通じて、国民経済の中軸をなす勤労者の生活と、中小企業の活動を擁護せんとするものであります。買弁化した一連の軍需資本家と独占資本が、国家予算と官僚機構を利用して、私益を追求実現せんとする企図は、われわれの修正予算案によつて完膚なきまでに破砕されるであろうことを確信してやまないものであります。  以上の理由をもつて政府予算原案と、改進、分自両党の修正予算案に反対し、両派社会党共同提案になる組みかえ動議に賛成いたします。(拍手)
  95. 尾崎末吉

  96. 始関伊平

    始関委員 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております、政府提出の昭和二十八年度予算関係三案に対しまして反対いたし、両自由党並びに改進党の共同提案になります修正案に賛成するものであります。以下今次修正案政府原案と異なる諸点について、わが党の所見をいささか申し述べたいと存じます。  およそ予算編成に際しては、ともすれば放漫に流れやすい予算の膨脹を極力抑制して、しかも内外諸般の情勢にかんがみ、緊急不可欠と思料せられる方面に所要の必要経費を確保いたさねばなりません。これがためには、消費的支出ないしは不要不急の支出を極力削減すべきであつて、この観点よりすれば、従来吉田内閣の下において幾たびか企図せられながらも、常に龍頭蛇尾に終らざるを得なかつた行政機構の整理簡素化を抜本的に断行すべきでありますが、この際とりあえずの措置として、一般行政費について、その中に含まれる冗費、諸経費について大幅の節約を断行せんとするのは、時宜に適したものと考える次第であります。  このように、今日政府予算の節約を断行し、官公吏に対して自粛自戒を促すとともに、また一般国民に対しても、日本再建のため耐乏生活を要請せざるを得ない実情にあるにかんがみ、まずもつて国権の最高機関たる国会において、国民に範を示すということでなければならないのであります。このような観点から、国会の経費についても、むしろこれが節約に努むべきであるとのわが党の主張にかかわらず、全国会議員の滞在費増額を初めとし、国会の経費において、全体としては従前に比して増額を見るに至つたことは、深く遺憾とせざるを得ないのであります。ただ、わが党の主張に基きまして、国会関係施設費及び旅費について若干の削減を見るに至つたことは、まことに時宜を得たるものと存ずる次第であります。  次に、前年度において多額の繰越額ないしは不用額を出した防衛費について、相当の削減をいたしたことも、また適切なりと考うるものであります。わが党は、すみやかに権威ある調査機関を設けて憲法を改正し、真に魂のこもつた自衛軍の創設を主張いたしておるのでありますが、この点についての政府態度は、不明瞭かつあいまいであり、将来の計画もまつたく明らかでないのであります。のみならず、現在の保安隊は、その編成、装備ないし訓練など、すべてアメリカの模倣であつて、特に兵器のごときも、大体においてアメリカの廃兵器の陳列であるの感を免れず、わが国の実情に合わず、このままでは、直接侵略に対して役に立たぬはもちろん、遊撃戦の形をとるであろうと思われる内乱、いわゆる間接侵略に対しても、何らの備えも訓練もない実情であると思われます。不十分であるというようなことではなく、もつと根本的に、ないしは本質的に考え直し、建て直して参らなければならないものといわざるを得ないのであります。これらの点は、わが党の石橋委員、また辻委員などの質問に対して、木村保安庁長官も率直に認めているところであると考えます。私はこれらの点について、政府が善処せられ、すみやかに抜本的な改善、建直しを実行せらるべきことを期待して、この削減案には賛成をいたすものであります。  次に、今度の修正案作成の過程において論議の中心となりました米価問題に対するわが党の見解でございますが、いわゆる二重価格制の採用や、補給金制度の復活については、われわれは、元来望ましくないものと考えているものであります。しかしながら、現在でもある意味においては、またある程度においては、すでに二重価格制度になつているのでありまして、恒久的な制度としての二重価格制には反対であるにいたしましても、現行の制度のもとにおいて、現下食糧事情にかんがみ、できうる限り農民生活の安定の基礎の上に、食糧増産を遂行せねばならぬのでありますから、米の再生産を妨げない程度の適正価格農民に対して保証するという意味合いにおきまして、生産者価格の実質的引上げは、この際やむを得ないものと考えるものでございます。また米の消費者価格の引上げは、賃金引上げの理由となるばかりでなくて、米価は石炭、電気などのいわゆる燃料、動力費とともに、わが国物価の一般水準を決定いたしまする最大の要素となるのでありますから、われわれは、目下わが国の当面する最大の課題である、自立経済を達成いたすための不可欠の前提条件として、物価水準を維持し、ないしは低物価政策を推進する、そのための礎石といたしまして、消費者価格のすえ置きにもまた賛成をいたすものであります。従いまして、政府は、今後政府が認可権を有する電気などのいわゆる公益事業の料金を引上げましたり、あるいは近く問題になると思われる郵便料金ないしは鉄道運賃など、今回相当額の国庫負担をあえてしてまで米の消費者価格をすえ置いた趣旨と矛盾撞着し、あるいはこれをまつたく無意義ならしむるような措置をとることがないものと了解し、また要望いたすものであります。  次に、平衡交付金についてでありますが、地方財政の窮乏が、一方において強く叫ばれている実情にかんがみまして、その増額は一応やむを得ないものと考える次第であります。しかしながら、今日地方財政はきわめて不健全な状態にあり、限りなく膨脹を続け、見通しもなく平衡交付金の増額が行われ、ひいては、中央の財政についても重大な困難が生ずるような、憂慮すべき状態にあると思われます。かくのごときは、現在の地方制度及び租税制度に内在する根本的な欠陥に由来するものでありまして、今日の市町村及び府県には、ほとんど財政の自主性がなく、事ごとに国家財政の援助に依頼せざるを得ない実情であります。これがために、地方自治は名あつて実なく、混乱をきわめ、無用の経費の増加や能率の低下は、実に計量しがたきものがあるのでありまして、選挙場裡の腐敗のごときも、ここに基因とするところが少くないと思われます。われわれは、この際すみやかに権威のある調査機関を設けまして、地方制度とあわせて租税制度のあり方を研究いたしまして、その抜本的改革を行うべきことを主張いたしたいと存ずるものでございます。  次に、貿易の伸張と海運の振興に関する金利の補償ないし減税などの措置についてでございますが、金利問題や減税の問題は、もつと広い見地から検討すべきでありまして、今回のような局部的なやり方では、他の重要基幹産業との間に均衡を失するおそれがないでもないことを私ども承知しておりますが、本案に一応賛成いたしますのは、断じて造船業者、海運業者などの救済のためではないのであります。わが党といたしましては、自立経済達成のための各般の総合的な方策を用意しつつあるものでありますが、さしあたりの応急策として、この措置を認めて参りたいと存じております。しかしながら、応急措置は応急措置として、運賃の引下げなり、あるいは貿易上の対外競争力増加の上におきまして、今回の措置が十分なる効果を上げるように、政府におかれまして、万全の注意を払われんことを要望いたすものであります。  義務教育を含めまして、一般国民の教育上に大きい役割をにない、また科学の振興に寄与するところもきわめて多大である私立学校につきまして、従来国家の保護は、ほとんど言うに足るものがなかつたのであります。今回わが党の主張に基いて、私学振興費の増加を見るに至つたことは、まことに適切なる措置と考えておる次第でございます。その他文教施策の充実、食糧増産、中小企業振興、国民健康保険などに関する経費の増額についても、賛成をいたすものであります。  われわれは、今回の修正案をもつていたしましても、なおかつ幾多の不満と批判とを有するものでありますけれども政府の怠慢と無為無策とによりまして、暫定予算のまま、すでに数箇月をけみしたる今日、本予算をすみやかに成立せしむることは、国民全般の強い要望でもありますし、その成否は、中央、地方の行政ないしは国民経済影響するところ甚大なるものがございますので、大局的見地より本修正案に賛成いたすものであります。  従いまして、両派社会党の提出になります組みかえ動議には、遺憾ながら賛成をいたしかねる次第であります。(拍手)
  97. 尾崎末吉

    尾崎委員長 黒田壽男君。
  98. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、一般会計予算案外二案に対するわが党の態度を明らかにいたします。  まず改進党外二党共同提案修正案、及びこれを除く政府原案には反対いたします。  反対の理由といたしましては、両社会党委員諸君の詳細な説明を承りました、私も同感であります。私は反対の理由として、これらの理由をそのまま援用いたしたいと思います。しかし私は、最後の討論者になつておりますので、少し私の反対理由をもつけ加えてみたいと思います。  わが党のこの予算案の反対の根本理由は、この予算案が、その性格上再軍備予算であるという点にあります。従つて、部分的に案の内容のよしあしを論ずるような立場ではないのであります。  第二に指摘したいと思います点は、再軍備予算の根本性格を持つておりますこの予算案が、特定外国の政策影響のもとに作成せられた再軍備予算であるということであります。すなわち、独立国の予算案内容を持つていないという点であります。この予算案の二つの性格、すなわち再軍備予算であるということと、独立国の予算ではないということ、この二つの性格について、私は少し考えてみたいと思います。政府がこのような根本的な性格を持つ予算案を作成いたしましたことにつきましては、強力な国際的背景があるのであります。米国政府は、日本軍隊を含むアジア人地上部隊を編成し、装備し、訓練して、米国独占資本の帝国主義の戦争勢力の一環としてこれを利用する、こういう政策を持つておりますが、この方針は、朝鮮戦争の休戦の見通しにかかわらず、何らの変更も見ず、かえつて既定方針を、そのまま着々推進させておるのでありまして、わが国に対するMSAの軍事援助の意図は、ここにあると私は思います。この軍事援助を受入れることによりまして、米国政府から無償で与えられた米国軍隊の武器で武装させられ、米国軍人の指導を受けるところの植民地雇い兵的軍隊が、わが国につくり出されようとしておるのであります。MSA相互援助協定の新たな締結によりまして、保安隊名実とも軍備に発展せざるを得ないということは、一昨日のMSAの交渉におけるアリソン大使のあいさつの内容を検討するまでもなく、相互安全保障法によつて明らかであります。私は総理に対する質問において、先般この点を指摘したのであります。そのとき総理は、そのようなことは、米国政府に聞いてくれというような無責任な答弁をされたのでありますが、MSA交渉の開始にあたり、アリソン大使がそのあいさつの中で、米国政府方針を、首相の御注文の通りに明らかにしたのであります。すなわち、わが国がMSA五百十一条の(a)項四の義務を受諾する必要があるということを明らかにしたのであります。すなわち安全保障条約に基く軍事的義務、これは五百十一条(a)三の義務であるが、この義務以外に、さらに五百十一条(a)四による義務、すなわち軍隊を意味するところの自衛力を持つ義務を課せられることになるということを明らかにしたのであります。そして岡崎外務大臣も、昨日参議院外務委員会におきまして、直接侵略に対する自衛力、すなわち軍備を持つ義務を課せられることになるということを明らかにされました。木村保安庁長官に至りましては、陸軍だけでは戦力ではないというような、頭脳の健全性を疑わしめるような発言をされておるのであります。外務大臣及び保安庁長官は、ともに従来再軍備の義務があることをごまかしておつたのでありますけれども、アリソン大使の発言に応じて、その義務を認めざるを得ないという重大な答弁上の変化を来さざるを得なくなつたと私は思う。しかしながらそのことは、元来米国が保安隊の前身である予備隊を、マツカーサー元帥の指令によつて吉田内閣をして創設せしめました当時からの米国の意図でありまして、日本政府もその当時から、同様な意図を持つてつたものであります。ただ憲法上の建前から、今までごまかして来たのでありますけれども、もはやそれがごまかし切れない段階になつた、そこまで今追い詰められて来ておるのだと思うのであります。米国の世界政策に押されて、植民地雇い兵的軍備の実現をはかるその意図が、二十八年度予算案に現われておる。それが二十八年度予算案を、再軍備予算たらしめておりますところの国際的要因であると考えます。しからばこの予算案の中に再軍備費、すなわち不生産的な防衛関係費用がどのような形で計上されておるかということは、これは社会党委員諸君が指摘せられたところでありますので、私は重ねて同じことは指摘いたしませんが、しかしすでに指摘せられましたもの以外に、追究して指摘をしておきたいと思うことがあります。それは、防衛費の中には、いわゆる間接的な防衛費もあるということであります。たとえば公共事業費の中の道路費、港湾費などの中で、米国の軍事基地の設定に伴つて、道路、港湾の新設、改修を行うための費用、これもそのような防衛費の一種でありまして、また鉄道、電信、電話、通信等の特別会計における米軍駐留に関連する費用等も、同様な性質のものであると思います。その他、私は幾多指摘することができますが、ここでは省略いたします。これらはいずれも間接的な防衛費であります。一般会計歳出総額を、不生産的な広義防衛費と民生費にかりに分類するといたしますならば、この間接防衛費をも含めました防衛費の割合は、毎年次第にその割合に増加している事実を私どもは見のがしてはならぬと思います。  次に、再軍備予算編成せしめました国内的要因について、少し考えてみたいと思います。すでに世間周知のごとく、わが国の大資本家の団体でありまする経団連及び日経連は、朝鮮休戦後のわが国経済の基本計画について、それぞれの案を発表しておりますが、それは一言にして言えば、兵器生産中心とするわが国産業構造の軍事的再編成の計画であると思います。これは国内の恐怖状態と対外貿易の不振を、兵器生産による最高の利潤追求によつて打開しようとするものでありまして、これが二十八年度予算案を再軍備予算案たらしめた国内的要因であると私は思います。このような経済計画は、米国の軍需発注に依存することを特徴としておることを見のがしてはなりません。ここにわが国独占資本家の、アメリカに対する経済的従属性が現われておると思うのであります。このような計画は、少数の旧財閥を中心とする一連のいわゆる死の商人に利益を保障するかもしれませんけれども、その反面に、合理化による労働強化と、低賃金を労働者にしいるものでありまして、労働者階級の反抗は必然であります。必至であります。このことを見通して、その反抗を抑圧しようという意図のもとに、制定を急ぎつつあるのがスト規制法であると思う。政府はこのように、一面において労働者抑圧の新しい方策をつくり出すとともに、他面わが国産業基礎をなす電力、あるいは石炭、あるいは鉄鋼、造船等のいわゆる基礎産業を育成し、強化しようといたしまして、二十八年度予算案において、多額の財政上の投融資を計上しておるのであります。  以上私は二十八年度予算が再軍備予算であること、独立国の予算ではないということ、その二つの性格を持つ予算案作成の国際的及び国内的要因を明らかにいたしました。米国軍隊の基地にわが国土を提供して、わが国の、アメリカから見ればいわゆる人的資源を、米国の軍事的支配のもとに隷属させ、米軍発注の兵器生産わが国産業の骨格としようとする。問題がこのように進行いたしますれば、わが国は軍事的にも、政治的にも、経済的にも米国の支配下に置かれ、わが国は米国の植民地的位置に落されるのであります。われわれは二十八年度予算成立の背景、要因、内容等を見まして、わが国がこのようなみじめな国際的地位に落されて行く姿をそこに見るのであります。私は、吉田内閣政策は、このような政策であると思うのであります。これを財政政策の上に現わしたのが、私はこの予算案であると考えます。私どもは絶対に賛成することができません。改進党外二党の修正案も、この予算案の根本的性格をかえるものではありません。またこの修正案につきましては、両社会党委員諸君が詳細に論評されましたので、私はこれに関する議論は省略したいと思います。  このように吉田内閣は、米国の世界政策に押されまして、わが国を再軍備、戦争政策に引きずり込もうとしておりますが、しかし、これは世界の大勢に逆行するということを、私は特に指摘したいと思います。今平和を求める声は、世界各国を通じて日々に増大しつつあります。朝鮮戦争の休戦調印も、ただ日時の問題だけとなつていると思います。朝鮮戦争の休戦は、世界の平和的傾向に一層の拍車をかけるものであります。と申しますよりか、むしろ世界にみなぎる平和要求の声が、朝鮮戦争の休戦を実現させたと言うべきであるとさえ、私どもは考えても間違いでないと思う。平和を要求する声は、わが国内においても同様に力強く盛り上つております。世界情勢の分析と国内の大衆の要望に基いて、今こそわが国経済を平和経済に全面的に切りかえる時期である、こう私どもは考えるのであります。わが国経済は、今転換期に立つております。わが国土の軍事基地化に反対であるという声、そういう農民の声は、全国各地に上つております。経済の軍事化に反対であると労働者は絶叫しておるのであります。平和政策、民需生産再建、その育成、すべての国との自由な、正常な貿易の回復、これによつて国民経済の破綻を防ぎ、国民大衆を生活の不安から救い出せという声は、資本家の中からさえも上つておるのであります。国土の荒廃を防ぐための徹底的な自然大改造を要求する声も、九州大水害の経験から、全国民の反省の声となつております。国の費用を非生産的に使つてはならぬ、建設事業に使えという声は、全国至るところに上つております。私はこういう意味におきまして、これらの要求にこたえる平和予算編成以外に、わが国の正しく進む道はない、こういう確信を持つ者であります。平和経済への転換、平和予算編成、これが予算案編成に関する私どもの根本的な態度であります。  私はここまで考えて参りまして、最後に両社会党が共同で提案されました組みかえ動議について考えてみたい、そして私ども態度を明らかにしてみたいと思います。この動議提出の精神が、平和経済建設の熱意から出たものであることは明らかであると思います。そしてこの動議の中で取上げられております個々の項目についても、同意すべきものがはなはだ多いのであります。それにもかかわらず、われわれはこの動議内容上、大きな問題点があると思います。それは、再軍備予算としての政府予算に対決する態度において、不徹底なものがありはしないかという点であります。たとえば、さきに指摘いたしましたような防衛費の範囲には、単に狭義の防衛費のほかに、公共事業費の中に含まれた道路費、港湾費等の中に、米国の軍隊の基地設定に伴つて、道路、港湾の新設、改修等に充てる費用が含まれております。鉄道、電話、通信などの特別会計におきましても、米軍の駐留のために生ずる電話、電信、あるいはその他の施設に関連するところの間接の生産的な防衛費がかなり含まれております。これらの費用がどれだけになるかということは、なかなか計算のむずかしい問題であります。先ほど申しましたように、一般会計防衛費と、それ以外の民生費というふうに大ざつぱにわけてみますならば、この民生費の少くとも一割程度は、このような間接費が含まれておるという見方さえなされておるのであります。われわれは、再軍備予算に対決する限り、このような間接的な防衛費の削除にも触れなければ、対決の態度としては徹底しないと考えます。その点両社会党動議では、これに触れていないように思われますので、私どもは、この点に無視できぬ問題がありはしないかと思います。保安庁経費の削除につきましても、多少私は疑問を持つております。社会主義政党が、再軍備推進の保守政党の予算案に、平和予算をもつて対決する以上は、その態度はあくまでも徹底的でなければならぬと私は思う。もつと適切な用語を用いるならば、あくまで峻厳でなければならないと思います。特に防衛関係費の削除におきましては、特別に徹底的でなければならぬと私は考える。この点におきまして、この動議は、遺憾ながら徹底を欠くものがあることを私は見のがし得ないことを、非常に残念に思うのであります。私どもも、社会党の諸君と同じ問題にぶつかつたのであります。私どもも、平和予算に対する構想を持たなければならぬと考えた。しかしそれは、政府原案とは、立案の精神、性格内容等につきまして、根本的に異なつておるものでありますから、われわれの経験から申しますならば、政府原案に基いて、この中のここをこう削り、かしこにあるものをかくかくに加えるというような方法では、われわれの平和予算案は組めない。こういう経験を私どもは持つておるのであります。私はこのことを率直に申し上げます。これは社会党諸君の御啓蒙をいただきたいと思う。政府原案を完全に離れて、われわれの再軍備反対の態度から、自由に、全然別個のものをつくるという以外には、平和予算案を大衆に示す正しい道はない、私どもはそう考えたのであります。そこでわれわれは、この二十八年度予算、この再軍備予算案に対しては、両社会党動議のごとき方法で組みかえ動議を提出することをやめて、むしろ簡潔に、政府原案反対という態度をとつたのであります。  私は右の理由で、はなはだ残念でありますけれども、両社会党共同提案動議には賛成しかねるのであります。以上をもちまして、私の討論を終わります。
  99. 尾崎末吉

    尾崎委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず日本社会党両派共同提案として、八百板正君外十四名より提出された予算三案に対する編成がえを求めるの動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 尾崎末吉

    尾崎委員長 起立少数。よつて八百板正君外十四名より提出された予算三案に対する編成がえを求めるの動議は否決されました。  次に、予算三案を、小峯柳多君外三十三名より提出された修正案通り修正議決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 尾崎末吉

    尾崎委員長 起立多数。よつて予算三案は、小峯柳多君外三十三名提出の修正案通り、いずれも修正議決されました。  委員会報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。去る六月二十日審議を開始して以来、幸いに各位の理解ある協調によりまして、議事の進行を見まして、本日予算三案の議事を終了いたしましたことに対し、委員長として厚くお礼申し上げます。またその間、ふなれな委員長に対してお示しくださいました各位の御協力に対しまして、衷心より感謝の意を表する次第であります。  これにて散会いたします。    午後六時八分散会    ————◇—————   〔参照〕  昭和二十八年度一般会計予算に関する報告書  昭和二十八年度特別会計予算に関する報告書  昭和二十八年度政府関係機関予算に関する報告書   〔都合により別冊附録に掲載〕