○河本
委員 ただいま
修正案の大体のことにつきまして御説明がございましたが、なおその詳細と、あわせて
修正案をつくりましたその基調をなしておる財政、金融、
産業、
貿易政策に関しまして所信の一端を申し述べたいと存じます。
政府提出の二十八
年度予算は、大蔵
大臣の説明にも明らかなるごとく、前国会において衆議院の議決を経た後不成立と
なつた
予算を基調とし、そのあとの
情勢の推移に伴い多少の調整を加えておるが、最近の朝鮮における休戦の見通しが強くな
つておることに対しては、かりに休戦成立するといえ
ども、
予算編成の前提となる
経済情勢に当分急激なる変化は生じないであろうとの見通しのもとに、特にこのための改編は行われておらないのであります。
御
承知の
通り、前国会の不成立
予算が衆議院を通過するに際し、与党たる
自由党より特に附帯決議として次のような四つの条件がつけられております。すなわち第一に、「速かに長期に亘る
経済及び財政計画を樹立し自立自主
経済財政の
方針を闡明すること。」第二には、「財政資金の撒布超過の多額なるに備え、貯蓄増強の
施策を強力に推進すること。」第三に「冗費の節減の為一大財政整理を断行すること。」第四には「速かに中央地方を通ずる財政の根本的調整を行うこと。」以上の四つが附帯条件として決議されておりまして、特に第一項に関しましては、これをさらに敷衍いたしまして、財政
経済にわたる長期の計画樹立の問題に関する本
委員会における
政府の説明を通じて考えられることは、なおそこに若干の研究不十分なるうらみがあることを与党みずから強調しておられたのであります。この点につきましては、われわれもま
つたく同感であります。
以上のことが先般の不成立
予算の致命的な欠陥として指摘されておるのであります。従
つて今回の
政府予算もこの不成立
予算を
基礎として作成せられ、多少の
数字上の調整が加えられておるにすぎないのでありますから、当然先ほど申し上げた
通りの致命的な欠陥があるばかりでなく、かつ
朝鮮休戦後の
経済事情に変更を生ぜずとの断定に立
つておることは、われわれと根本的にその認識を異にするものであります。
われわれはかかる前提に立
つて、時間的な制約や
政府原案の修正という技術的な制約を受けつつ、できるだけ先ほど申し上げた
原案の欠点を是正せんとするものであります。
ただこの際お断りいたしておきたいことは、基本的な修正の
態度はその
通りでありますが、この
修正案は、改進党作成の修正
原案を、政局を考慮しつつ、一応両
自由党の希望をもある程度織り込みつつ、さらに再修正せるものでありますがゆえに、当初の精神が十二分に貫徹されておらないことをまず率直に申し上げておかなければなりません。
第一、今回修正いたしました
金額は、
一般会計におきまして歳入歳出とも約百六十数億、
特別会計におきまして約二百億でありまして、その結果、
一般会計の
予算総額は約九千六百五十四億円となり、
政府原案に比し約二十八億の減少と相な
つておるのであります。
第二に、
一般会計の収支の均衡はこれを保持しつつ、財政資金全体の収支としては、
政府原案よりも一層弾力的な考え方をも
つて臨んでおることであります。すなわち、現在二千八百億を越える財政蓄積資金を
政府原案よりも約二百億円よけいに活用せる結果、
政府原案の散布超過約千百億円が約千三百億円に達しますがゆえに、この際民間資金の吸収を一段と強化するため、預貯金、公社債、合同信託等の利息等課税を源泉一本といたし、その課税率もこれを大幅に
引下げて一〇%にする等の考慮を払
つておるのであります。なおこの機会に特別定期、すなわち割増金付特別定期にも一〇%の課税をいたさんとするものであります。以上の措置によります
減税額は、先ほど御説明の
通り十一億円余りでございます。
第三に、
一般会計において修正せる約百六十数億円の財源として行政費の節約約百億及び
保安庁経費の削減及び繰延べ六十五億を充当いたしております。行政費の節約は改進党
原案では百四十五億円が、保安庁
関係の節約額約四十億を含めまして、結局約百億に減少いたしておりますが、これは百四十五億でも
政府原案の放漫な
支出より見まして、当然節約をし得るのでありますが、これまた諸般の
政治情勢を考慮いたしまして、その一部を減額いたしたものであります。なおこのほか
特別会計で約二十二億、
政府機関で約五十一億、
合計約七十三億の節約をいたしております。この
金額は年額にいたしまして、
一般会計だけで約百五十億に達し、さらに
特別会計、
政府機関会計を
合計する場合には、実に二百五十億円以上に達するのであります。なおこの際特に強調したいことは、
わが国の行政機関は、国力に比しきわめて膨大かつ複雑であり、この際行政機構の徹底的な簡素化によ
つて、なお中央地方を通じまして数千億の
経費節減が可能であるということと、機構が膨大複雑でありますがゆえに、
経費がややもすれば放漫かつずさんに
支出される傾向が強いということを指摘しなければなりません。従
つて今後当然この問題
解決のために、
政府は真剣に全力を傾注すべきものであるということを、この点に関連して強調しておきたいのであります。
また
政府原案では、保安庁
関係費は、
予算外国庫契約分をも含め約八百二十億に達し、昨
年度約五百九十億に比し約二百三十億の増加に相な
つております。しかるに、御
承知の
通り政府は、
保安隊の人員は増加しないが、装備の充実及び訓練の強化によ
つて、順次強化して行くことをたびたび言明しながら、それに
関係する計画も、木村保安庁長官の言明によれば、ないということであり、しいて現在保安庁の持
つておる計画らしきものといえば、先般問題になりました木村試案しかないというのが真相のように考えられるのであります。このために、第一に、長期にわたる財政
経済政策立案のためのこれががんにな
つております。第二には、
防衛生産計画を立案することもできません。さらに第三には、
保安隊予算がかかる放漫かつずさんであり、国費を無計画的に濫費しておる傾向がきわめて強いのであります。すなわち、昨
年度に繰越された
保安隊費は約百五十億円でありますが、本
年度に繰越されたものは約二百八十億円に達しております。しかも本年初め国会で
保安隊予算のずさんのため、その
使用残りがきわめて多いことが指摘されまするや、二月三月の二箇月間で相当多額のものを急ぎ使
つた結果が、なお先ほど申し上げた
金額であります。この
金額もやはり国会での論難を恐れまして、四月から六月までの三箇月間に大急ぎで大部分を使
つてしまつたのであります。また
保安隊の表面上の任務とその
編成訓練、配置等がま
つたく目的に合致しておりません。このため
保安隊員自身がその矛盾に悩んでおるところに志気の上らない結果を来しておるのでありまして、ま
つたく無用の長物となりつつあるのであります。将来自衛軍を創設する場合に
保安隊が
中心となることが予想せられますが、もししかりとするならば、
かくのごとき
保安隊の
現状では、将来
わが国の国防に重大なる暗影を投ずるものと断ぜざるを得ないのであります。しかも
防衛力増強の計画をわれわれは全然知らされておらないので、十分なる
予算審議が不可能であります。このような理由に基きまして、改進党の修正
原案では
保安隊自身を否定するものではないが、長期の
防衛計画が樹立せられ、
保安隊がすつきりしたものにならない以上、いたずらにその
予算を増額すべきでないという趣旨のもとに、保安庁の行政費を約三十億、施設費その他を合せまして約二百億削減することにな
つてお
つたのでありますが、これまた諸般の
政治情勢より、行政費節約約四十億を含めおおむね百億円の削減または繰延べと相な
つたのであります。
以上の節約または削減あるいは繰延べによりまして捻出した約百数十億の財源を、いかなる方面に
支出するかということにつきまして御説明いたします。
まず第一に
わが国経済を自立せしめるため、国際収支の均衡を達成することが、
現下わが国の最大問題なるにかんがみ、主として
貿易及び海運に対する相当徹底した対策をとることにしたのであります。
政府の説明では本
年度の国際収支の見通しとしては、外貨収入は輸出
貿易約十一億八千万ドル、特需約七億ドル、海運収入約二億ドルを含めまして
貿易外収入が約二億四千万ドル、
合計二十一億二千万ドルに対し、外貨の支払いは輸入約十七億八千万ドル、その他
貿易外の支払い三億四千万ドルとなり、国際収支はおおむね見合う計算と相な
つておりますが、特需及び
貿易外収入に対しましては、われわれもこれとおおむね同じ見通しに立
つておるのであります。ただこのうち特に問題になりますのは輸出
貿易であります。十一億八千万ドルという
数字が出るまで、
経済審議庁では十億四千万ドル、通産省では十三億ドル、大蔵省はおおむねその中間の十一億七、八千万ドル程度の見通しを立てられました。結局中間案の大蔵省の見通しを一応の輸出
貿易の
政府見通しとして、この
委員会に提出せられたのであろうと思います。従
つてこの
数字には大きな根拠はないものと思うのであります。しかしながらわれわれは
朝鮮休戦後の
世界貿易競争は一段と激化するものと思われますので、この
政府の見通しは相当甘いといわざるを得ないのであります。すでに昨年の初め十六億ドルの輸出の見通しを立てましたものが、結局約七割五分に減少して、
年度末には十二億ドルにも達しなか
つたことを思いますときに、これに対処するための特別の対策を急ぎ樹立する必要があります。このために対策の第一といたしまして、目下
政府より提出中の輸出損失準備金制度のほか、
貿易業者や
生産業者の輸出
金額の一定率を総益金より控除する
免税制度を実施することとし、本
年度約十六億円の
減税を実行せんとするものであります。世上ややもいたしますれば、この制度を将来
わが国のガツト加入に障害ありとなす者がありますが、すでに西独ではこの制度と並んで輸出振興準備金制度を一昨年四月より実施、異常な成果を上げております。しかも最近さらにこの制度を一段と強化せんとしておることよりも、かかる心配は当らないと思うのであります。なお本制度に関しましては
大綱だけが決定いたしておりまして、その細目は法案審議を通じまして調整せられることに相な
つております。
対策の第二といたしましては造船用鋼材規格料を廃止するがごとき金融上の措置をと
つたことであります。
わが国の
産業は戦前は繊維工業を
中心とする軽工業でありましたが、今後は重化学工業を
中心とする
産業構造にならざるを得ないし、またなるであろうという見通しについては、われわれも
政府とま
つたく同意見でございます。従
つて輸出商品も重化学工業が
中心となることは当然予想せられるのであります。しかしながら昨年東南アジアに対する機械の輸出を例にと
つてみましても、
わが国はわずかに昨年に比し三%前後の増加であるに反し、英国では一二%、西独では三二%増加とな
つておりまして、
わが国は著しく立ち遅れておるのであります。しかも
朝鮮休戦後は米国が鉄鋼
関係の輸出国として登場し、英国及びシユーマン・プランによる西欧諸国は強力な競争相手となることが予想せられるのであります。また
肥料の輸出のごときも、台湾、朝鮮においてすら西欧諸国に敗れておる状況であり、
わが国の重化学工業の輸出
貿易の前途は、まことに暗澹たるものがございますが、しかもそのいずれもが
価格が外国に比し一割ないし三割高いところにその原因があり、かつその原因たるや設備の近代化、経営の合理化あるいは
政府の金融、税制、為替面よりする
コスト引下げの方法がとられましても、依然として鉄鉱石や粘結炭、塩等その他原料を外国より輸入しなければならないというハンデイキヤツップが残るきわめて困難な問題が残されておるのであります。最終的にはこの問題を
解決するためには、補給金
政策を考慮せざるを得ないということは当然考えられるのでありますけれ
ども、これらの基本的問題を
解決することは、現在の
政治情勢では不可能に近いのであります。
かような理由によりまして、われわれはこの際重化学工業のうち、とりあえず多少の金融上の対策を考慮するならば、たちまちにして相当額の輸出契約の
期待せられる造船業に、とりあえず応急の措置をとらんとするものであります。すなわち
わが国の造船業は繊維工業とともに
世界の最高
水準を行くものであり、しかもその能力は現在の施設をフルに操業するときは百万トンを越えるといわれ、従
つて国内船その他雑船を毎年三十数万トン建造いたしましても、なお外国よりの注文を年間六、七十万トン、
金額にいたしまして約一億五千万ドル消化することが可能であります。幸い諸外国ではいずれも四年ないし五年以上の注文を持
つており、
わが国だけがその受注能力を持
つておる状態であり、かつ最近六箇月間では約二百六十万トンすなわち約六億ドルになんなんとする引合いがあるにかかわらず、結局一割ないし二割程度の
価格の相違のために、一隻も成約を見ないというのが
現状であります。しかもこの原因が
わが国の鋼材の
価格が
世界水準よりも上位にあり、鉄鋼施設、主として厚板の圧延施設の近代化がなされておらないために、諸外国ではその例もない、いわゆる特殊規格料というものがトン当り相当額かか
つておるところに、最大の原因があるわけであります。よ
つてわれわれはこの対策といたしまして、製鉄会社の
日本銀行よりの外貨借入れ金利五%を二分五厘に、
開発銀行の金利一割を七分五厘にとりあえず
引下げ、これによ
つて生ずる年間十五億、本
年度約十億円をも
つてこの規格料に該当する
価格引下げの措置を講ぜんとするものであります。これは本修正には表面上現われておりませんが、来
年度以降
日本銀行及び
開発銀行の
政府の納付金の減少とな
つて予算面に計上せられるはずであります。もちろんこれはごく部分的な対策でありまして、きわめて不完全なものであります。これによ
つて十分なる成果が上るものと
期待することは早計であり、
政府はさらに今後早急に重化学工業全般の
コスト引下げのための総合的かつ機動的な対策を樹立すべきであります。なおこの問題も
大綱のみが決定し、その具体的な実行方法を大蔵、通産、運輸三省間において協議決定することに相な
つております。
対策の第三は、現在の輸出入銀行の金利七分ないし五分、平均五分四厘見当のものを約一分
引下げて四分五厘になるごとくすることに決定いたしましたために、
現行の最低分が、最低の金利三分ないし三分五厘前後に
引下げられることに相なるわけであります。
対策の第四は、輸出前貸手形の割引料は、現在再割手形一銭九厘、担保手形二銭三厘でありますが、これもおのおの七厘程度
引下げることを目標として、とりあえず二厘程度の
引下げをするごとく措置をすることを決定いたしました。これまた明
年度以降、輸出入銀行及び
日本銀行の
政府納付金の減少とな
つて予算面に現われて来る予定でございます。
以上の措置を併用することによりまして、われわれは本
年度約二億五千万ドル前後の輸出
貿易の増加を見通しておりますが、
政府原案十一億八千万ドルが先ほど申し上げた
通り非常に甘く、われわれの見通しでは
政府原案の対策のみをも
つてしては、十億ドルを割るとすら考えられておりますので、差引本
年度輸出
貿易の見通しは、今後
客観情勢に大きな変化を生じない限り、おおむね十二億ドル前後に相なるものと予想せられるのであります。
次に
貿易外収入の大宗をなす海運対策につきまして御説明を申し上げます。
本
委員会における
政府御答弁によりますならば、昨年の海運による外貨収入約一億八千万ドル、また五年後には毎年約三十万トンずつ船舶を増強いたしまして、約三億二、三千万ドルに達するであろうという
政府の御答弁でありますが、われわれの見通しでは、商船隊の量を戦前程度に回復し、戦前のごとく第三国間にも相当量就航せしむるように努力するならば、海運によ
つて五年後年間五億ドル前後の外貨を獲得することは、さして難事ではないという見通しのもとに立
つておるのであります。しかるに
貿易と並んで外貨獲得の二大支柱であるところの海運業が崩壊寸前にあるゆえんのものは、諸外国に比し建造費が高く、しかも金利が著しく高いために、
国際競争力がないということが二つの大きな原因であります。これが対策といたしまして、建造船価を若干
引下げるために、八月以降輸出船舶と同様に、国内船に対しましても鋼材規格料の
引下げをはかることにいたしましたが、最大の問題である金利の
引下げに関しましては、八月以降
開発銀行の金利を五分といたしまして、貨物船は六次船、油槽船は八次船よりそれぞれ一分五厘の利子補給をいたしまして、実質上三分五厘とし、また市中融資に対しましては、同様に貨物船は六次船以降、油槽船は八次船以降、十年間利子補給をしてその金利を五分に
引下げることにいたし、このための
所要経費約十億円を計上いたしておるのであります。現在
わが国の船舶
経費中におきまして金利の占める割合は、全額借入金によるものといたしまして、
わが国では約六〇%、英国では約二五%であります。今回の措置によりまして、今後の新造船は、船舶
経費のうち、その金利
経費は約三〇%見当に
引下げられることに相なりますが、なお実際的には英国の海運は戦時の補償と戦後のブームによ
つて自己資本が充実しておるために、新造の場合借入金はおおむね二割以下とな
つておるので、現実には二五%の二割、すなわち五%見当がコスト中の金利負担とな
つておるのであります。これに反しまして
わが国では、戦時中沈没した約八百万トンの船舶の補償金約二十七億、現在の時価に換算いたしまして約一兆億に近いものが打切られ、明治初年以来八十年の蓄積が一挙に消滅し、戦後は無よりスタートしたため、全額借入金による必要上なおこれだけの助成策をとりましても、英国の商船隊に比し金利負担は約二五%のハンデイキヤツプが残
つておるのであります。なおこの補給金の詳細につきましては、運輸
委員会等の法案審議を通じまして、最終的に決定することに相な
つておるのであります。
次に中小企業対策について申し上げます。
政府原案では、中小企業に対し
一般会計より新たに八十億、商工中金に対する
政府貸付の肩がわりに二十億を、
合計百億の資本金をも
つて中小企業金融公庫をつくると同時に、資金運用部よりこれに二十億の貸付をすることにな
つております。国際
経済競争の激化に伴い、今後、金融の
重点化、企業の合理化に伴い、そのしわ寄せが強く中小企業にせられることが当然予想せられるのであります。このために、中小企業の危機は
政府の見通しよりもさらにはげしいものがあるといわなければなりません。このためには、われわれは、
一般会計より三十億円を増額いたしまして中小企業金融公庫に出資せんとするものであります。
以上
貿易、海運、中小企業対策が、ただいま提出いたしました
修正案のうちのおもなる
産業政策でございます。
次に、農業問題につきまして御説明をいたします。ただいまの
三浦委員の説明に関しまして補足的に申し上げますと、基本
米価の引上げが完遂奨励金という名目で行われるのでありますから、名前のいかんにかかわらず、完遂の有無にかかわらず、供出米全部に対して支払われることにな
つておることは当然であります。なお、これに必要な
経費は、とりあえず食管
特別会計から二百億計上せられておりますけれ
ども、これは今後当然予想せられる補正
予算の際に、とりあえず百億を
一般会計より繰入れすることに相な
つておるのであります。なお、
米価問題と表裏一体をなす
食糧増産費、これは十億を増額致しておりますが、
政府原案の弱点であるところの小
規模土地改良事業を
中心としてこれを出す予定に相な
つております。
次に、科学技術の振興と文教の振興に関して簡単に御説明を申し上げます。科学振興費のうち、科学振興費の増額約四億円に相な
つておりますが、これは国立国会図書館におけるPBレポート、原子力資料購入並びにこれが閲覧に伴う
経費の補償約一億円、それから文部省所管科学振興費中、補助金及び交付金の増一億八千万、
産業教育振興費の増二千万円、通産省所管工業技術員の
予算の増一億円、以上の
通りであります。なお、文教振興費中、義務教育の諸学校老朽弱体校舎改築費が
政府原案では十二億とな
つており、これは建築年齢五十年代以上の危険校舎を四箇年計画で改修せんとするものに対し、
修正案は三十年代、四十年代の危険校舎を急速に改修する必要を認め、全危険校舎総坪数八十六万坪と推定、四箇年計画、
国家補助三分の一、初
年度十億円を追加計上したものであります。
次に積雪寒冷地帯小中学校屋内体操場建築費は、
政府原案は五億円と相な
つておりましたが、これは新築坪数二十四万坪を六箇年計画で完成せんとするものを、われわれは年額七億五千万円、四箇年計画で完成することを目標とし、さしあたり本
年度二億円を追加計上いたしまして、七億円といたしたものであります。
第三に、義務教育諸学校戦災校舎修築費は、
政府原案九億円は、
復旧を要する坪数百十万坪を五箇年計画で
復旧するものでありますが、この
金額にとりあえず六億円を増額いたしまして、二箇年半に急速にこれを完成せんとするものであります。このうち老朽校舎と戦災校舎の改築
復旧工事は、完成計画年数に比し、やや少額であるがゆえに、次
年度以降さらに大幅の増加の必要を生ずるわけでございます。
以上のような文教対策と並行いたしまして、
金額はわずかでありまするが、教員給与準則
改訂に要する
経費を若干計上いたしております。これは
現行教員給与体制の欠陥を是正いたしまして、大学教員、高等学校教員、小中学校教員の三本建とし、その実施期日を二十九年一月以降とするため要する
経費であります。なおこれに伴い、公立の高等学校に要する
経費は、別途計上しておる平衡交付金の増五十億の中に含まれ、計上しておるのであります。さらにまた、文教振興、義務教育費等、これらに対する
地方財政を考慮するために、
合計七十五億円の公募公債の増加を予定しておりますることをつけ加えておきたいのであります。
次に
地方財政問題につきまして、簡単に御説明いたします。本
修正案に五十億の平衡交付金の増加が計上せられておりますが、これは昨年までの
地方財政の赤字は、自治庁の見込みによりましても、最低約二百億に達し、本年分を入れまするならば、相当の巨額になる見込みでありますが、現在の
わが国財政上、行政費と
地方財政が二つの大きながんにな
つておることを考慮するときに、いたずらに地方よりの陳情に耳をかすべきではなく、この際早急に、地方制度並びに
地方財政制度を
解決しなければならぬことは当然でございます。しかしながら、何分にも地方の財政窮乏ははなはだしいものがありますので、とりあえず五十億円の平衡交付金を計上いたしまして、給与の
改訂に伴う不足額百四十二億の一部に充当せんとするものであります。また地方行政費の節約に関しましては、中央と同様に行うものといたしまするならば、大蔵省の計算では、本
年度約二百二十七億、自治庁の計算では約百億とな
つておりまするが、すみやかにその節約額の目標を両者間において調整いたしまして、地方に強力なる指示をなすとともに、それを実行せしむるよう指導すべきであると考えるのであります。
最後に、改進党
原案におきまして、郵政職員の給与体系是正のために要する
経費として五億円を計上しておきましたが、本
修正案でそれが削除せられましたゆえんのものは、郵政のほか、その後引続き林野、造幣、印刷と調停がせられておりますが、これらはいずれも調停の翌月よりこれを実施するものとし、それに必要な財源として、
特別会計における
経費節約によ
つて、これを調達実行するがために、このような結果に相な
つたのであります。
以上が
修正案大綱の明細でございます。以上をも
つて私の説明を終ります。