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1953-07-09 第16回国会 衆議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月九日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 尾崎 末吉君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 池田正之輔君       相川 勝六君    有田 二郎君       植木庚子郎君    江藤 夏雄君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    田中  元君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    稻葉  修君       小山倉之助君    大高  康君       河野 金昇君    河本 敏夫君       中村三之丞君    古井 喜實君     早稻田柳右エ門君    石山 權作君       片島  港君    勝間田清一君       武藤運十郎君    八木 一男君       横路 節雄君    和田 博雄君       岡  良一君    加藤 鐐造君       小平  忠君    平野 力三君       門司  亮君    北 れい吉君       山本 勝市君    黒田 寿男君       辻  政信君    福田 赳夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  岡野 清豪君         郵 政 大 臣 塚田十一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         経済審議庁次長 平井富三郎君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (国際協力局         長)      伊関佑二郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         労働政務次官  安井  謙君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 七月九日  委員稻葉修君、青野武一君、福田昌子君、中村  高一君、三宅正一君、石橋湛山君、三木武吉君  及び辻政信辞任につき、その補欠として大高  康君、石山權作君片島港君、門司亮君、岡良  一君、山本勝市君、北れい吉君及び福田赳夫君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員大高康辞任につき、その補欠として村瀬  宣親君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  分科員並びに分科会主査の選任  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 尾崎末吉

    尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算外二案を一括議題として質疑を継続いたします。庄司一郎君。
  3. 庄司一郎

    庄司委員 最初外務大臣に簡単なお尋ねをして、御相談申し上げたいと思います。  わが国在外抑留同胞並びに不幸な戦犯者のわれわれの同胞諸君を、今回オーストラリア政府が、一昨日送還する旨の発表があられましたので、過般のフイリピン政府あるいはフランス、その他ソ連を除くことごとくの諸外国が、わが国戦犯諸君を送還し、あるいは恩赦、減刑釈放等恩典に浴させる、また中国においても、目下わが国在留同胞を帰還せしめられつつあるのであります。これらすべてのことはその遺家族であると、留守家族であるとを問わず、いな国民全体の心からなる感謝であり、感激であることは、いまさら申し上げるまでもございません。そこで最後残つたのソ連である。このソ連に抑留されておるわれわれの不幸なる同胞は、推定調査において約一万七千余人。この人々が今それぞれ重労働、ノルマを与えられておる。先年ソ連の準官報とも見るべきタス通信社発表によれば、日本ソ連内の抑留者病人あるいは戦犯、これを合せまして約一千四百余名しか残つておらない。その他は現地において釈放済みであるとの発表があつたのでありますが、事実は決してそうではない。高良女史等の御報告は、あれはわれわれの信を置かないところでありまして、現実に抑留されておるわれわれの不幸なる同胞は、戦犯名前を課せられまして——戦犯でも何でもない。日ソ不可侵条約を一方的に破つて、彼らがわが国の脆弱化したる状態を見て、怒濤のごとくソ満国境を越えてやつて来たのである。われわれの同胞軍人軍属その他において、戦犯も何もあつたものではない。けれども現実戦犯等名前を付されて、一万七千余人抑留されておる。最後にわずかに残つたこのソ連抑留同胞に対し、全国留守家族大会遺家族大会等は、声を大にして、ソ連より一日も早れわれわれの同胞を帰国せしめられるよう、政府に対し陳情あるいは請願をいたしておることは、外務大臣承知通りであると思います。先々月の二六日も、外務省留守家族大会代表者が参上して、どなたかにお会いしておるはずである。そこで外務大臣伺いしたいのは、なるほどソ連とりが国とは、いまだ平和条約が締結されておらない。法律的には不幸にしてまだ戦争状態が継続しておる今日ではあるけれども、その他の国々がオーストラリアといい、フイリピンといい、戦犯者までも送還され、あるいは特赦、減刑釈放恩典を与えておる。こういう場合において、ソ連態度はまことに社会正義にそむいた、国際人道に背反したるところの、むしろのろわしい憎むべき行動でもると私は考えております。しかも政府はどんな手を打つておられるか。外務大臣においてはどういう手を打つて、在ソ同胞のすみやかなる帰還のために御奮闘を願つておるか。定めし御奮闘はあるのでありましようが、いやいろいろやつておるのだということだけでは、これは困るのであります。全国留守家族納得の行くように、特に在ソ抑留同胞留守家族等が、心から納得のできるような、外務省として、外務大臣としてそれぞれの手を打たれておるならば、その打たれておる方法、ただいままでの経過、この一点を最初外務大臣にお伺いしたいのであります。
  4. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 お話のように昨日午前中に、濠州大使から私のもとに正式に、濠州における戦争犯罪者日本に送還することについて申入れがあつたのであります。政府としては喜んでその条件を受諾して、マヌス島からの同胞を迎えようとしておりますが、濠州政府もそのとき声明を出しまして、もうすでにソ連を除いてはすべての国が、抑留者等日本に帰らせておる。今残るのはソ連だけだ、こういうようなことを言つておりましたが、その通りでありまして、今お話のようにソ連側では、タスの発表等で数を言つておりますが、千四百八十七名とか、あるいは中国人民に対する犯罪のかどで、中共に引渡さるべきものが九百七十一名というようなことを言つておりますが、昨年五月一日現在でこちらで調べましたところでは、今お話ソ連領に一万七千二百三十、そのほかに南樺太、千島で二千六百二十二名、合計しまして一万九千八百五十二名という数が出ているのであります。もちろんこの数は直接に現地で確かめたものでありませんで、いろいろの方法で入手したものでありますから、全部が全部証拠があつて、必ず生きているというわけには参りませんけれども、とにかくこういう数字が出て来ているのであります。そこで両方のこの食い違いにつきましては、政府としては今日まで国際連合捕虜特別委員会、またはローマ法王とか、その他いろいろの筋を通しまして確かめることに努力しております。また生存者の早急な返還を要求してもらつておりますし、またもし死亡した者があればその名簿とか、死因とか、死亡日時、埋葬箇所等報告また戦争犯罪人と称せられる者につきましては、いつ公判があつたか、その場所、訴因、判決の日時、刑罰内容抑留場所等情報を提供するように、これらのいろいろな機関を通じて要求しているのでありますが、残念ながら今日までソ連国連捕虜特別委員会等努力に対し、何ら反応を示しておりません。しかし今年の八月、つまり来月でありますが、再び捕虜特別委員会が開催せられる予定になつておりますので、これに対しましてさらにわれわれの主張を強く反映いたしたいと思いまして、同様の状況にあります——つまりまだ抑留者が帰つて来ない状況にありますドイツイタリア政府とも連絡をいたしまして、相協力してこの捕虜特別委員会の方に、強くわれわれの考えを反映させようと思つております。またこれはこの機関を通じてソ連側に申し入れるばかりでなくして、この機関代表を送つております、つまり国連加盟諸国に対しましても、われわれの考えを強く徹底いたさせまして、世界の輿論と申しますか、その方面にも働きかけたいと考えております。これにつきましてもドイツイタリア政府と共同して、力を尽したいと考えております。
  5. 庄司一郎

    庄司委員 外務大臣の御報告によつて経過一端を察知し得たのでありますが、どうもそれでは力が足らない。外務大臣が単に国連捕虜特別委員会等に対し適当な手を打たれるとか、あるいはローマ法王の手と言われるが、ローマ法王の手はソ連には何らの効果もありません。むしろ逆効果であります。そこで本院の在外胞引揚特別委員長山下春江女史のごときは、外務省のただいままでの態度ではあきたらない。もうこれ以上、八箇年以上も待てない。外務大臣から旅券を確保して、国会より若干名の代表者を出し、適当なる民間の代表者も選んで、ソ連に談判に行き、あるいは病人、また戦犯慰問等をかねて行つてみたい、そういう意向を引揚委員会等において漏らされておりますが、そうした場合においては、旅券を発給し、御便宜を与えるというような御意図はございませんか。
  6. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういう意図で行かれることにつきましては、旅券についてわれわれは特別の考慮を払う用意があります。ありますけれども、そういう意図をもつてソ連に入国しようとしましたときに、ソ連側で査証をよこすかどうか、これははなはだ疑問であります。また相当外貨等を使つて参るのでありますが、その効果が現われない場合のことも考えなければならぬと思いますが、われわれとしては、今まで努力をし、ソ連側に対してもいろいろの方法で、いろいろの筋から情報を入手しておりまして、そのわれわれの判断に基けば、ちよつとこれは考えさせられる問題であろうと思つております。しかし行こうという人を特にとめる必要は、われわれの方にはないのでありますが、おそらくこれはなかなか問題じやないか。つまり御承知のように、ソ連側では自分の好むとろこの、自分の目的にかなう者については自国に入国を許しますが、それ以外の者に対しては、外国の使臣であつても、旅行については相当の制限をいたしておりますような実情でありますから、そう簡単に入国して、見舞いをするとか、方々へ行くというようなことができるかどうか。私は実は初めから消極的で、水をかけるようなことは言いたくありませんが、実情を申せば、はなはだむずかしいのじやないかと考えております。
  7. 庄司一郎

    庄司委員 外務大臣におかれては、来月の国連会議、あるいはその中の特別な三人委員会等に対して、でき得るだけの全力をあげて手を打つていただきたい。かような希望を述べて、あなたに対する質問は終ります。  文部大臣にお伺いしたい一点は、——どうも与えられた時間がだんだん迫つておりますので、一点だけお伺いいたしたい。文部大臣は、危険校舎臨時措置法とか、あるいは公立学校の支出の国庫補助法とかを出されて、いろいろたいへんありがとうございます。なお青年教育費用のごときは、一昨年は百三十六万円、昨年は五百万円、今回あなたが提案されておる青年学校予算は約七千三百余万円と、たいへん御努力されておる点はありがとうございますが、ここに見逃してはならないことは、今回この国会に初めて頭だけを出した僻地教育に関するところの予算、その予算額はわずかに一千万円弱でございますが、僻地農漁山村分教場教員住宅補助一端に向けるというようなお話を伺つた。これは多年の懸案でありまして、まことにけつこうであります。そこで、文部大臣が、わが国の三、四万あるところの分教場、山奥あるいは離れ小島、そういう交通運輸に恵まれておりませんところの僻地教育に対して関心を持たれて、ただいま申し上げた九百余万円の予算を、僻地教育振興のために初めてこの国会にお出しになつた、これはいいことでありますが、全国僻地教育は、教育機会均等に恵まれておりません。ラジオもない場所がある。むろん児童は汽車や汽船を見るわけに行かない。そういうところの教育はまことに学究上の機会均等を得ないのであります。教育はあらためて申し上ぐるまでもなく、学究機会均等を与えなければならない。教育基本法の精神はその通りであります。そこで、あなたのこの僻地僻村分教場等に対する基本的な教育振興施策、あるいは御信念を伺いたい。ただ単にちよつぽり九百余万円の予算が頭を出されただけでは、分教場教育というものは振興しないのであります。そこでこの点に関してのあなたのお答えを、時間がありませんから、簡単に明快にお伺いしたいと思います。
  8. 大達茂雄

    大達国務大臣 お答えを申し上げます。御指摘の通り僻陬地における教育は、いろいろむずかしい点もありまして、今日まで非常に不行き届きな状態になつております。いわゆる教育機会均等という点からも、何とかこの問題を少しでも充実して行かなければならぬと考えまして、せつかく努力をいたしておる次第であります。ただいま文部省としまして実施をし、また実施せんとしておりますことは、仰せになりましたような分教場と申しますか、あるいは学校先生住宅と申しますか、これは非常に差迫つておりますもの約百二十二名分であります。これについて都道府県に対して四分の一補助をするということで、約一千万円を計上してあります。なお御承知通り僻陬地におきましては非常に先生を得がたいという事情にありますので、その養成の費用として、これは全国十一箇所で養成するために、関係都道府県に二分の一補助をすることにしております。これは金額にしては三百万円ばかりのものでありますが、さようなことをいたしております。  なお僻地手当でありますが、これは県によつて非常に給与の額がまちまちでありまして、今日では先生に対する僻地手当は、少いところで百円、多いところで千八百円、こういうことになつております。これは義務教育費国庫負担法によりまして、府県において支出しております僻地手当が約一億円で、その半額に当る五千万円が、国の負担額として義務教育費国庫負担額の中に含まれておるわけであります。これも非常にまちまちでありまして、むろん十分ということは言えませんので、今後ともできるだけこれを増額するようにいたしたいと考えております。なお小さい学校学級というものの経営は、いろいろな面で、教育的に見まして不十分な点が多いことは申すまでもないのであります。文部省におきましては、二十六年度におきまして、小さな学級経営手引きというものを刊行して、指導しておるのでありますが、二十八年度におきましても、複式学級戸引きというものを刊行する予定であります。その他教材等についても、はなはだ不十分でありますが、今後できるだけこういう面を充実して参りたい、かように考えております。
  9. 庄司一郎

    庄司委員 国土総合開発に関して二、三お伺いを申し上げたいと思います。質問能率化のために、一問一答ではなく、二、三継続をしてお伺いをしてみたいと思います。  国土総合開発は、あらためて申し上げるまでもなく、長い戦争によつて荒廃そのきわみに達したるところのわが国の狭くなつた国土を、科学的に合理的に、あるいは経済開発、あるいは交通運輸の整備、あるいは電源開発土地改良その他各方面の、従来内閣各省セクシヨナリズムによつてばらばらにされて参りましたもろもろの公共的施策を一元化し、これを統合し、これを総合して、最も有効な、効果的な施策を行うということにあることは言うまでもありません。国土総合開発法は改正され、改正法は単なる計画法にあらずして、実体的な予算措置を伴うところの改正法なつたことも御承知通りであります。そこで国土総合開発法によつて全国に十九箇所の特定地域がすでに内閣総理大臣より御指定に相なつておるのである。この全国十九箇所の特定地域工事着工が、はたしていつのときから開始をし、いつのときにおいてその完成を見んと欲するものであるか。この十九箇所の中において、昨年より起工されたものはわずかに宮城岩手の両県にまたがる開発法八条によるところの北上川総合開発だけであります。その他の十八箇所は、いまだ着手の状態にはございません。ただ調査々々をもつて暮しておられるようである。そこで今回本国会関係省が提案されたところの国土総合開発に関する総予算は幾ばくであるか。国土総合開発審議会の諸費及び都道府県に対するところの補助費国土開発法第十三条によつて調査費補助するその補助の額、及び北上川総合開発に関する第二年度の——昨年度は二十二億幾らの予算であつたと思いますが、本年はどの程度予算をもつて、第二次年度の施行をなされんとするものであるか。     〔委員長退席西村(久)委員 長代    理着席〕  それからもう一つ重大なことは、たとえば北上川総合開発の場合に、だれが、どの機関が全責任を負うて、この総合開発指導誘液あるいは監督されんとするものであるかということであります。北海道開発は、北海道審議会に対して、建設大臣長官となつておる北海道開発庁なるものが、あるいはアメリカのTVAにおいても公社、あるいはインドのガンジス川の場合においても公社、そういう責任者がはつきりしておるが、北海道以外の——まあ内地といつては妙ですが、他の十九箇所の場合においては、だれが一体総合的にこれを統制して、工事その他一切の責任を帯びる立場にあられるか、経審長官内閣総理大臣に意見を述べるとか、あるいは建設大臣は勧告するとか、いろいろな職務権限開発法にはうたわれておりますけれども、農林農林予算土地改良をやる、あるいは運輸運輸で、たとえば、北上川の川口でやる、建設省建設省ダムをつくるというふうに、ばらばらにやつて行きましたならば、一箇年のうち、本予算がきまつても、あとは八、九、十月の末より雪が降つて積雪寒冷地帯においては工事施行ができない。屋外のセメント工事等はできないのであります。こういう場合においては、一切の責任は一体どの機関のだれが負うのであるか、トツプはだれか。相かわらず各省割拠ばらばらのやり方であつては、その経済的効果をあげる点においても、工事能率を上げる上においても、はなはだ不安であると私は考えるのであります。  以上たいへんたくさんのお尋ねをしたようでありまするが、関係大臣等より逐次お答えを願います。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えをいたします。総合開発の必要なことはお説の通りでございまして、また特定地域につきましても、われわれの方で着々と準備をいたしております。御承知通りに、開発計画につきましては、現在のところ都府県が計画書を出して、これを審議しまして、いよいよ決定したら実行に移すということになつております。ただいままでに計画書が出ましたのは北上阿仁田澤、最上、対馬など十地域でございます。このうちで北上だけは審議がまつたく終了いたしまして、本年の二月六日だつたと思うのですが、閣議の決定をいたしまして、いよいよ着工することになりましたが、その他のものはまだ審議中でございます。  それで北上特定地域総合開発計画を申し上げますと、大体実施の総事業費が約一千億円ぐらいになると見込んでおります。その中でもう実施しておるものもございますし、それからまたこれが調査終つて実施がすぐできるまでに達しておるものもございまして、その事業費の中で電源開発とか、鉄道建設関係は除きまして、約七百九十一億くらいの費用がいることになつております。そのうち国庫が出しますのが五百九十一億でございます。これに対しまして二十八年度の予算につきましては、公共事業費食糧増産費その他を加えまして約三十六億がございます。これは今お説の通り、昨年は二十一、二億だつたと思います。それに比較しまして三十六億になつておりますから、とにかくただいまのところでは十年間と申しますけれども、初年度でございますので、このくらいの程度でいわゆる十分の一をもつてしなくてはならぬということもなさそうでありますから、多分行くと思います。それでこれにつきまして実施します事業は、ダム建設とか、河川改修とか、農業用水とか、たくさんございます。そういうものをやつて行きます。  それからこれにつきまして、どの機関がやるのか、今お話のように、各省わかれわかれになつて、いろいろなことをやつては総合的の観点からぐあいが悪いというお説、これはしごくごもつともでございます。今後は経済審議庁で調整いたしまして、均整のとれた開発をして行きたい、こういう考えでございます。
  11. 西村久之

    西村(久)委員 長代理 時間の関係かありますから、簡単に……。
  12. 庄司一郎

    庄司委員 ただいま具体的にお示しの北上川総合開発は、わが国トツプのモデル的な、小なるTVA工事であります。従つてこれは最も効果的な、この後着工されるのであろう他の十八箇所の特定地域に最もモデル的な、模範的なものでなければならぬことは言うまでもございません。そこでこの北上地域における総合開発の結果、岩手県あるいは宮城県等々において約十万町歩——これは朝日新聞に一昨日まで約十日間北上川踏査記が詳細に書かれておる。この中にも約十万町歩の新しい水田開拓、あるいは改良等によつて、約百万石の米麦等増産が行われるということが書かれておる。そこでこの総合開発土地改良関係はどうなつておるか。農林大臣の御計画によつて、この地域内における土地改良初年度計画、あるいは将来までの御計画等がありますれば、お伺いをしたいと思います。  これをもつて私の質問を終ります。
  13. 保利茂

    保利国務大臣 お答え申し上げます。北上総合開発特定地域土地改良に関連いたします事業といたしましては、昨年度国営、県営を合せまして、灌漑排水事業に投じております予算が四億六百万円でございます。その事業をただいま進行いたしておりますが、今年度はさらに猿ケ石ダム等建設につきましても、相当の投資が行われることになつております。ただいま審議を願つております予算が決定いたしますれば、ただいま進行いたしております事業を進捗するにさしつかえない予算を計上してあるわけでございます。
  14. 西村久之

    西村(久)委員 長代理原健三郎君。
  15. 原健三郎

    ○原(健)委員 厚生大臣がお急ぎのようですから、先に簡単にお尋ねいたします。申すまでもなく人口問題が日本の国の経済、政治、社会問題の中心であることは言うまでもないのであります。しかるにこの人口問題を単に学者の一部が研究したり、今まで政府においても厚生省の所管で予算を数百万円とつて、人口問題研究所で簡単に研究してみたり、今度は人口問題審議会というものをこしらえたからといつて政府においてははなはだ満足しておるようでありますが、私どもはそういうことで、この深刻なる日本の人口問題は解決できるとは思つておりません。外務省に聞くと、外務省においては、今度は移民局ができたから何とかなるであろうと、はなはだのんきなことを考えております。それで二年に百万とか百数十万ふえる人口を、このままにしておくということは、無計画もはなはだしい。その他のたとえば通産大臣、大蔵大臣などの政府経済政策を聞きましても、決して日本経済がそれほど伸長ずるとは考えられない。そこでぜひこの際人口問題の根本的な解決策、それを妥当なところで研究して処置しなければ、どうしても日本の人口問題の根本的解決に至らないのであります。しかしこれは大問題で、そう簡単に行かないのであるが、この際ぜひ日本においても、今申した厚生省の一部の研究では足らないので、これを全面的に吉田内閣が取上げて、たとえば総理府の中に人口問題調査庁というような一つの庁でもこしらえて、根本的にこれを研究さして、そして万般の政治、経済、社会等の政策を立てるべきであると思うが、緒方副総理がおいでにならぬので、厚生大臣からお伺いいたしたいのであります。
  16. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 お答えを申し上げます。この問題については、当委員会あるいはその他においても、たびたび御答弁申し上げておるのでありますが、ただいま審議庁を設けて、この人口問題の審議、あるいは政策の立案に当つてはどうかというお話であります。ごもつともでありますけれども、この人口問題に関しましては、政府は今後の国政のうちでも、重要な問題として取上げておることは、かねて総理もこの席上でお話のあつた通りであります。ただ現在たとえば行政機構の整理であるとか、あるいは行政費の節減を政府としても取上げ、または一般の輿論もそれを希望しておる際でありますから、とりあえずただいま予算においても審議を願つております人口問題審議会を中心にいたして、あるいはまた現にあります人口問題研究所等も活躍してもらつて、そこでできるだけかねて申し上げておりますような点を中心にして立案を急いで、たとえば産業構造の問題であるとか、あるいは受胎調節の問題であるとか——たとえば受胎調節の問題でありますが、これは厚生省において十分研究もし、またいろいろな施策も講じつつあるのでありますが、できるだけ早くそういうようなものを立案いたし、また方策を立てて、そうして各省において実行いたすということであろうと思うのであります。御趣旨はもつともでありますけれども、ここでは審議庁を設けるというようなことについては、いろいろな点から、ただいま政府においては考えていないのであります。むしろ実効をあげて、早くこの問題の解決に資したいと考えておる次第てあります。
  17. 原健三郎

    ○原(健)委員 人口問題審議庁とか調査庁とかいうような一つの庁をこしらえるということは、考えておらないというお話でありますが、願わくはそういうところまでひとつ考えておいてもらいたい。行政整理もさることながら、くだらないものは整理するし、重要なものはつくることは当然なことであります。厚生大臣は今それよりも実直な、目先の問題である受胎調節その他の問題を、厚生省でやりたいというお話でありますが、今日受胎調節などについての知識は必ずしも普及していない。必要のないような金持ちとかそれらの人は実行しておるが、農村とか貧民とかいうものは、いわゆる貧乏人の子だくさんで、まことにそういう点奇現象を呈しておるのでありますが、この点からいつても、私は厚生省がもつと熱心に受胎調節の知識を、農村の各町村にまで、また都会においては各都会の町内会にまで、これを普及さすことが大事であると思う。さらに普及さすだけではこれは役に立たない。これは費用がかかるので、そういう費用のない困つておる人に子供が多い。したくても、知識があつても、金がないからやれない。従つてこの際器具を無料で与えるとか、適当に処置をしてやるとか、もつと全国的に各町村において、都会においては各町内会くらいにまで、国の費用をもつてもこれをやらなければ、たちまちにして目先行き当るのでありますから、この際今厚生大臣がおつしやつたそれらの研究をやると同時に、ただちに効果のあるこういう政策を今やる考えがあるか。今年の予算にはもちろん組んでないのであるから、来年からでもこれをやられるかどうかをお聞きしたいのであります。
  18. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 人口問題に関しましては、たとえば移民の問題あるいは産業構造の問題、資源等から、人口の吸収力を増大して解決するということ、並びに受胎調節という面から、人口問題の解決が重要でありますことは、仰せの通りであります。その方針で政府も進んで来ておるのであります。御承知昭和二十三年優生保護法をつくつて、いわゆる人工妊娠調節に関して法的な根拠を与えましたが、これにはいろいろいわゆる母体保護の見地からも問題があり、ただいま法的あるいは非合法のものを合せますと、約百万を突破すると言われておりますが、いわゆる母体保護の見地からも、ほんとうの人口問題の解決にはならないというので、御承知昭和二十六年に政府は閣議了解といたして、受胎調節の面においてこの問題の解決に資したいということで、昭和二十七年に御承知の優生保護法の一部改正をいたして、今お尋ねの点に触れます問題でありますが、優生保護相談所を設ける。あるいはこれに対しては、受胎調節の指導員を今お話のように全国に設けて、この受胎調節の普及徹底に当るということで、本年度の予算には三千九百万円ほど計上いたして審議を願つておるのでありますが、今全国にいわゆる医療機関の第一線機関として、保健所が大体七百五十二箇所あります。この保健所が全国の医療の第一線機関でありますから、まずこの七百五十二箇所に優生保護相談所を付置いたして、そうして全国的に徹底普及をはかる。但しさようないわゆる優生保護相談所を付置いたしましても、受胎調節の知識を持つた人が懇切丁寧に指導に当らなければならないのでありますから、指導員制度を設けて、これによつて指導せしめるというので、昨年の七月ごろから本年の四月まで、全国的に今仰せの通り講習会を開きまして、大体二万三千五百人ほど講習会を受けております。そのうち七千五百人くらいは指定を受けて指導員の資格をとつておる。こういうような面から、今後全国的に受胎調節の普及徹底をはかりたい。私も地方に参つて保健所あるいは優生保護相談所等を視察いたしましたが、当初は農村等においては、かような講習にはいろいろな点から皆が認識が足らない。たとえば講習会を開きましても集まりが悪いということでありましたが、最近はむしろ反対にこの講習会に対しては認識を深め、また婦人団体等が中心になつて、なかなか盛況を来しておるようであります。今後これらを中心にいたして、仰せの通り普及徹底に政府努力をいたしたい。本年度はとりあえず三千九百万円ほどの予算を計上いたしておる。今後ともこの点に関しては御趣旨を体して、政府も全力を尽したいと思つております。
  19. 原健三郎

    ○原(健)委員 次に大蔵大臣にお尋ねいたしたいのであります。第一にお尋ねいたしたいことは、最近全国にまたがつておるやみ金融、市中のいわゆる高利貸しであります。株主相互金融とか何とか名乗つておる。名前はいろいろありますが、要するにこういう一連のものであります。銀行でない、銀行まがいのことをやつておる。こういうものに対する大蔵大臣の所信を承りたいのであります。去る七月六日の朝には、日本の勧業振興社長が警視庁に逮捕された。その前には、全国相互金融協会の理事長とか、専務理事とかが逮捕されております。その容疑は、不正増資、あるいは貸金業法違反というような容疑によつて逮捕されておるのであります。それで御承知でありましようが、銀行というものは、全国でも百内外であろうと私は思うのでありますが、これらの業者は、その百倍にもあたる八千、九千、一万、数ははつきりしないが、一万内外もあるという、驚くべき現象を来しております。その集めておる額にしても、私ははつきり数字を持つておりませんが、これは莫大なものである。この預金が銀行に行くのと、こういう高利貸しに集まつておるのでは、日本の生産に対する効果からいつても、雲泥の相違であります。ことにこのやみ金融、市中の高利貸し、いわゆる相互金融というようなものは、主として未亡人とか軍人の遺家族とか、小企業をやつておる人というようなものから、きわめて零細なものを、高利をもつて集めておる。月々利子を払つてやると言うものだから、その利子にひつかかつて、多くの人が出演をしておる。この出資者は、おそらく何百万人、家族を入れるならば、何千万人の多きに達しておるのであります。これは非常に言葉巧みにかき集めておる。利子だけは払うが、株主として元金をもとしてくれと言うと、もどさない。何とかかんとか言つて、やらない。しかも貸付の方はどうかというと、貸付は月一割から、多いのは一割五分、一年で大体元金をとつてしまう。小企業の企業者に貸付をやる場合においても、必ず担保をとる。そうしてまたこのごろは、小企業の人が借りるだけでなく、大企業の人がこのやみ金融から借りておる。なぜならば、銀行はこのごろなかなか金を貸さない。小企業というものに対しては、絶対に貸さない。小企業家は、御承知のように、不動産より担保にするものはない。不動産担保では、市中銀行は貸さないのであります。大企業においても、新しい事業を起そうと思つたり、新規事業をやるのには、銀行は全然貸さない。また古いものに対しても、何とか因縁をつけて貸さないようにしておる。そこでやみ金融に持つて行きますと、何億という金を即座に貸してくれる。これがきわめて便利、重宝であるというので、これにひつかかつたものは、大体半年で、何億という大会社がみな高利貸しに巻き上げられ、取上げられてしまつておる。このやみ金融会社がそういう大企業を取上げて、担保にとつてしまつても、経営能力がないから、つぶれてしまうというのが実情で、今全国に御承知のように、不渡り手形が濫発されておるのも、一つの原因がここに基因していることは、言うまでもないのであります。その結果、まことに恐るべきことが、今目前に来ておる。こんなものはいつまでも存続するはずはないのでありまして、もしやみ金融会社が倒れると、何百万、何千万という、無数の出資した人が、泣かざるを得ない実情であります。また他方においては、中小企業、大企業がみなこれによつて倒産しようとしておる。しかもこの金は、健全な市中銀行にまわらぬと来ておる。えらいことになりそうであります。この際私はぜひお尋ねいたしたい点は、大蔵省は今ごろまでこれをほおかむりをして、何らなすところがなかつた。この一万とか一万以上を起すようなものを、今まで許可したというのは、少くとも大蔵当局において——私は世間のうわさを聞くと、何だか鼻薬をきかされたという、うわさがしきりである。これを今日まで放任しておつたのは、一体大蔵当局はどう考えておるのであるか。これをまず伺いたいと思います。
  20. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 最初にやみ金融のお答えを申し上げますが、御承知のごとく貸金業というものは、許可制度ではないのでありまして、届出をさす制度であります。従いまして、鼻薬云々というような問題は、実は私は聞いたことがないのであります。届け出ましたものが、おそらく原さんが言われたように、今日は一万あるいはそれ以上あるかと思います。しかし届け出ないものも相当ある。それでいろいろやみ金融が行われておりますが、そのうち、私の方といたしまして、今仰せになつたような、貸金業法に違反することをやつておる、言いかえれば、多数不特定の人々からいろいろな名目で預かり金をしておる、預金をしておる、こういうことは、貸金業法の禁ずるところでありまして、従いましてこの法に違反しておる疑いで、先般十数社を取調べましたところ、そのうち大部分が違反しておる。中には軽いものもありましたが、相当重いものもありましたので、厳重な警告を発しました。そこでこの警告を聞いて改善すればよろしいのでありますが、もし改善せぬようなことがございますれば、これにつきましては営業停止等、法に基いて断固たる処置を行う考え方でございます。なお金額につきまして、ちよつとお話でございましたが、もつともやみのことでこれはよくわかりませんが、私どもが一応取調べたところでは、そう多数には上つておらないようであります。しかし今そういうところへ走るのは、銀行が金を融通せぬところから起つておる、なかんずく大企業もそうだというお話もございましたが、大企業につきましては、これは原さんもごらんになつたでしようが、先般来帳簿外でもつて金を借りておるという、経営の放漫なところから来ておるのでありまして、健全な大企業は、さような金を使つておるとは思いません。ただ不健全なものが、そういう一時の金融のやすさに、帳面にも載せないで、手形を濫発しておる。だからああいう整理状況に入つた。こういうことであると思います。しかしこれらの点については、なお実情に基いて私ども処置いたしたいと考えております。  中小企業につきましては、これは御承知通り、私どもでもいろいろ処置いたしております。たとえば国民金融公庫に対しても、本年出資及び預託でさらに八十億円出すことにいたしますとか、あるいは今度は百億円の出資と二十億円の借入金で中小企業金融公庫をつくりまして、それで長期の資金を供給することにいたしますとか、あるいは各種の商工中金の債券に応ずるとか、いろいろな預託金その他のこともやつております。現在国庫の資金運用部の金を預託しておる金額が、たしか二百七、八十億円に上つておると思います。その預け先は、相互金融とか、組合とか、こういうものに預けておりまして、みな中小工業に行渡るようにいたしておるのであります。もつともこれで足りるとは毛頭考えておりません。もつとやらなければならぬのであります。しかし現在のところ、財政資金等の方面にも十分なものがございませんので、その程度のことをいたしておりますが、今後ともこの中小企業者に対する金融につきましては、一層の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 原健三郎

    ○原(健)委員 それで大蔵大臣にお聞きいたしたいのであるが、これは届出制度でありましても、監督はやはり大蔵省のもとにあると思います。これをこのままに放任しておくと、これは今申したように、ゆゆしき重大事になることは明らかであるし、危険千万な事態である。大体大蔵大臣はこういう相互金融会社を調べるとおつしやるが、一万軒もあつて、届出もしないものもある。これを徹底的に取調べる意思があるのかないのか。もしこれを取調べた場合に、違反しておる者はどんどん処分しなければ、将来日本の一大禍根となるが、その方の決意を聞きたい。  さらにそういう危険なものであるということを一般に知らせなければならぬ。一般の人は無知だから、目先の金利が高いから預ける。今申したように、未亡人とか、零細な気の毒な人から集めた金を、ごまかされてはたいへんでありますから、この際そういうものに対しても大蔵大臣として、これは危険なものであることを警告を発する義務がある。それを今日まで放任しておいて、もしこれが一大混乱に陥つたときにはどうする考えであるか。これらの危険なことを一般の人々にも知らせる、こういう程度まではいかがであるか、お聞きしたいのであります。
  22. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 先般十数社を取調べまして、そのうち特に四社に警告を発した際に、大蔵省発表といたしまして、こういうやり方の不法であること、並びにこういう貸出しその他が危険であることについて、大蔵省で発表をいたしております。しかし今後ともこういうことにつきましては、よく私どもも一般を指導して参りますとともに、他方、法に触れないようにやります。ただ原さんは、幾つもあるものをみな徹底的に調べろと仰せになりますが、私どもは、いわゆる見本的に調べたもので警告をして、これにみんながならうようにさせて行きたいというふうな考え方以外に、実はそれだけ検査員等も持つておりませんので、そういうふうに処置いたして参りたいと存じます。すなわちこういうことは改善しなければ違法である、営業停止を食うものであるということが徹底しますれば、そういうことをだんだんだれもやらなくなるでありましようから、私どもはそういうことで、こういういわゆるやみ金融等をなくして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 原健三郎

    ○原(健)委員 大蔵大臣の御答弁によると、非常に消極的なのでありますが、こういういわゆるやみでやるのは、なかなか取締る方もむずかしいし、それはよくわかるのでありますが、やみでやるからなおさらこれは危険なのであります。しかも今るる申したように、無知な一般の大衆が零細な金を投じておるのであるから、これを今において十分警告を発し、今後こういう危険に陥らないようにしてやらなければ、たいへんなことになるのでありますから、特にひとつ大蔵大臣の英断を私は切望申し上げるものであります。それに、この際こういうものを放置しておいて、大蔵当局が調べるとか、警告を発するというようなことくらいでは、とてもそれは始まらない。よろしくこれは法律をかえて、こういうものはできないようにするか、そうでなければ、銀行法による正式の銀行によつてこれをやらすということが、日本の産業の上にも、生産増強の上にも役立つのであるから、正式の銀行に振りかえさすようにするのか、それともこのままでほうつておいていいのかどうか、この際その根本方針をお聞きいたしておきたいのであります。
  24. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これについては、このまま放置していいとは考えておりませんので、今申し上げましたようないろいろな措置を講じておるわけでございます。しからばこれをそのまま法制化するかということは、そいううものを認めることは、今の金融機構を乱ることにも相なりますので、これを法制化して認める考えは持つておりません。しかしながら、これらのものが健全となつて、ほんとうの貸金業者としてだけの使命を果すならば、これは非常に望ましいことだと考えております。またなお銀行につきましては、銀行法規が出ておりますから、この銀行法に基きまして、私ども設立その他の申出があれば、その実際に基いて考えて行くことにいたしたい、かように考えておる次第でございます。     〔「委員長、関連質問」と呼ぶ者あり〕
  25. 西村久之

    西村(久)委員 長代理この際有田二郎君より関連質問の要求があります。これを許します。
  26. 有田二郎

    ○有田(二)委員 今原委員からやみ金融の問題についての質問に対して、大蔵大臣からお答えがありましたが、これは先般大蔵委員会でもいろいろ検討いたしました結果、法務省の民事局長を呼んで調べたのですが、商法にのつとつてつておるわけです。従つて銀行法とか、あるいは相互銀行法とか、信用金庫法とか、貸金業法だけの面から取締つて行くという今の大蔵当局のやり方は、原委員のおつしやる通りに、私は妥当を欠いておると思う。従つてこういうはえを追うようなやり方でなくて、前国会政府は、日歩五十銭以上の金利をとるものは処分をするという立法措置をして参られたのでありますが、大蔵委員会では、そういつたものだけでなくて、総合的なこういうやみ金融の措置に対して立法措置を講じなければ、五十銭以上だけをやるというようなことはおかしいというわけで、審議未了に陥つたのであります。しかしながらこのままの状態ではいけないことは、国民もひとしく認める点であつて、またわれわれも認めておるところであります。従いまして、今のやみ金融と称せられる方々のやつておることは、商法では違反していないのです。ただ貸金業法とか、あるいは銀行法とか、相互銀行法とか、信用金庫法によつて、その違反を間接的に摘発して行つておるのにすぎない。従つて今原委員の御心配になつておられる点をはつきりさせ、また国民がそれによつて迷惑をごうむらないような、根本的な法的措置を御研究になつて——今ただちにはできませんでしようけれども、そういう銀行法とか、貸金業法とかいうもので取締るという行き方でなくて、ひとつ明朗な指導方法を講じていただきたい。これにはおそらくアメリカとかあるいはその他の国々においても、こういつたものは例があるだろうと私は思うのでありまして、御検討願つていただくわけには行かぬかどうか、ひとつこの点大蔵大臣の御答弁を承りたい。
  27. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今有田さんが仰せになることはよくわかります。実は私ども大蔵省で持つている権限に基いてやるとすると、今の貸金業法だということを原さんに申し上げているのでございますが、こういうものが発生している元を断たなければならぬことは、私どももよくわかつております。従いまして、今のような点がございますれば、なおよく私どもの方も根本的に研究することにいたします。
  28. 原健三郎

    ○原(健)委員 これは大蔵大臣だけの考えでもなかなかできないと思うので、この際内閣全体の責任においてやることを、私は強く要望したい。今有田さんのおつしやつたように、銀行法、貸金業法だけでは取締りができない。いわゆる一般の商事会社としてそういうことをやつて、裏をくぐつているのであるから、この際緒方副総理にお尋ねいたしたいが、今有田さんがおつしやつたように、総合的立法をやらなければだめであつて、しかも一年も二年もほつて置いたときには、これがいわゆる零細な金を出した多くの人々を泣かすことになつて来るし、結論的に言うと、そういうことをやれば日本産業の破壊になつてしまう。さつき大蔵大臣は、健全な大企業はそんな金は借らぬと言うが、一体日本において健全なそういうりつぱな大企業が幾つあるか、みな銀行にしぼられて、四苦八苦困つている実情を知らないのであるか。今日の日本は、今の支那とは違いますが、昔の支那と同じである。金融業者ばかりが得をして、企業家は滅びつつある。あまり言い過ぎてはいけないが、大蔵大臣の政策によると、金融業者擁護がはなはだ目立つて来ている。そして今日の日本実情は、金貸しをやる者ばかりが栄えて、企業はみな滅んでいる。中小企業は全然滅んで来、大企業においてもしかり。だれもやみ金融なんか借ろうとは思わないが、経営が苦しくなつて来て、しかたなくやみ金融を借りるのである。それを大企業の経営が悪いからなんだということは、とんでもないことです。それで緒方副総理にお伺いいたしたいのであるが、これはこの際国家的見地でやらなければたいへんなことになるのである。それに大体今日では、相当世間でも注目を引いて来て、一般の、金を巻き上げられた人たちは、これはあぶないということを予感して来ている。でありますからこの際政府としては、今有田委員がおつしやつたような総合的立法を早急にやらなければならぬことは、わかり切つたことである。それをやらないというなら、そういうやみ業者に非常に好意を持つだけである。ただ研究しておきますと言つて逃げるのじやなくて、それをやる意思があるのかないのか、はつきり緒方副総理の答弁をお聞きいたしたいのであります。
  29. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私金融のことはよくわかりませんか、ただいまお話のような事態が現われていることは承知いたしております。大蔵大臣と一緒によく研究いたしまして、その結果を見ました上に、正しい判断をして決定いたしたいと考えております。
  30. 西村久之

    西村(久)委員 長代理原君、時間の関係がございますから、なるべくお急ぎ願います。
  31. 原健三郎

    ○原(健)委員 今の副総理のお話を聞きますと、大蔵大臣と相談をして善処するという意味のことを言われましたが、その善処というのは、そういう総合的立法をやるという意味に解してよろしゆうございましようか、いかがですか。それとも全然やる意思がなくての答弁であるか、あるいはやる意思でそうおつしやられるのか、一ぺん大蔵大臣と御相談の上に、御答弁願いたい。
  32. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 その結果によつてやります。
  33. 原健三郎

    ○原(健)委員 私が相談して答弁してくれということは、あとで相談して、それによつてやるというのは、はなはだ無責任であるから、ここで相談して——実際こんなことはそうむずかしい問題じやない。もう今日の日本においてはきわめて大問題になつていることで、こういうことを大蔵大臣や内閣が不問に付すというようなことは困るのであるから、これは天下の大問題にならぬうちに今からやつた方がいいと思うので、一度御相談の上でこの場で御答弁願いたい。
  34. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 大蔵大臣から御答弁いたします。
  35. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもも、今何らかのことは必要だと考えておりますが、総合的な問題でありますので、どういう立法措置を要するかということは、私どもちよつと今ここで御返事は申しかねますが、しかし何らかの措置をとるべきものだということは考えておる、こういうことを申し上げておく次第であります。
  36. 原健三郎

    ○原(健)委員 何かやる、その何かというのは、私は立法措置をやると了解して行くよりしようがない、相談してくれないのですから。  それでは中小企業のことに入るのでありますが、御承知のように、銀行というのは低金利の金を一般から集めて、そうして高く貸して、そのさやをはねて事業経営しておるわけです。そういうものであるから、金利、コストのかかる中小企業へは金を貸さないというのが、今の市中銀行の実情である。金利、コストがかかるし、小さい企業へ貸してもそれを調べたり担当をとつたりすることはめんどくさいものだからこれを貸さない。現在においては、大蔵大臣も御承知であると思うが、全然貸しません。しかも今日、中小企業といえば不動産担保だから、これは全然貸してくれない。大企業でも新規のものには貸さぬ。そういうようなことをやつておる。     〔「自分のものを見てやれ」と呼び、その他発言する者あり〕
  37. 西村久之

    西村(久)委員 長代理御静粛に願います。
  38. 原健三郎

    ○原(健)委員 そういうふうにいたしまして、今の銀行におきましては、低金利で借り入れて高金利で貸し出して、そのさやをはねておるのでありますが、今申したように、中小企業の人には不動産担保の場合は、ほとんど金を貸さない。しかも大企業でも新規のものには貸さない。そうして、さつき申したように、今日本においては、いろいろな業種の中においても銀行が一番好景気に恵まれておる。それで、至るところに支店を出して、高層建築をやつて多くのビルデイングの中におきましても、その目抜きのところは必ず銀行が占領しておるということで、まことに目に余るものがある。市中銀行においてこの実情である。それで私がお尋ねいたしたいのは、銀行の経営の合理化をもつと促進することが必要であると思うのであるが、政府は一体どういうふうにお考えになるか、これをまず最初にお聞きいたしたいのであります。
  39. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいま原さんのお言葉のうちに、大企業にも貸さぬ、中小企業にも貸さぬというようなお話がありましたが、実は貸出高が年々ふえておりますのを見ましても、貸しておることは数字的に申し上げなくてもよくわかることだと思います。  なお御参考のために申し上げておきますと、中小企業、つまり資本金一千万円以下の貸出しが三月末で八千百億円ありまして、ちようど総貸出高の三割六分、三六月というふうになつておる次第であります。総貸出高の三六%というものは、中小企業に対する貸出しであります。そういうようなぐあいになつておりまして、私どもは、現在の銀行が相当銀行の公共性というものの自覚をしておるということは、これを認めておるものであります。しかしながら、現在のところ、今仰せになつたように、いろいろ店舖などをそれぞれ目抜きの場所へ設けるとか、また相当りつぱな店舗等をつくるということについては、各方面からそういう声もありますので、銀行の当局者にも私どもはこの点に対して固く注意は与えてございます。今後はそういうことはなかろうと存じておりまするし、またそういたずらに支店等をつくつて、いたずらなる競争をしないようにというようなことに措置いたしております。ただ、銀行の経費というものは若干ふえておりまして、そのふえておる主たるものは、やはり人件費等の増加でございますが、その比率が以前に比べて多くなつておりますのは、これは原さんも御承知と思いますが、現在の預金量、貸出量に比べてその経費が多い、言いかえれば預金量及び貸出量は少いということでございます。従いまして、そういうことに対しても、今後資本の蓄積に対する一層の努力をしてもらいたい、かように考えておるわけなのであります  なお、私どもは何ら金融資本偏重といつたような考えは毛頭持つておりません。
  40. 原健三郎

    ○原(健)委員 大蔵大臣の御意見によると、中小企業への貸出しが総額の三六%になつているとおつしやるのであります。これは三六%は間違いないと思いますが、それならば数から言いますと、これは雲泥の相違なのである。中小企業は、そういう業者から見ると、全体の八割五分ぐらいに当るし、土産高でも中小企業は全体の七割ぐらいを占めておると言われておるのであります。三六%といいましても、大企業に比べては、その数から言えば問題にならぬほどの数の率になろうと私は考えている。市中銀行は、大蔵大臣が言うようには一般中小企業にはなかなか貸さないのであります。しかもその熱望は非常に大きい。そう言うと、政府は、すぐに、いやそんなことはない、商工中金があるし、今度は百二十億で中小企業金融公庫というものをこしらえてやるとおつしやられるが、このくらいのものでは、御承知のように全企業の八割五分を占め、全生産高の七割を占めているといわれるこういう中小企業ヘは、なかなか金がまわらないことは言うまでもない。三六%といつても、額はごくわずかなのでありまして、数から言えば零細な者ほど恵みを受けることが少い。願わくは金融資本家擁護にならないように特に心がけてもらいたい。  それで私は一つの提案をしますが、大蔵大臣が今言つたような、商工中金とか、中小企業金融公庫とかいうようなものでは、あるいは今申されたくらいのものでは、決して中小企業の金融対策にはならぬ。そこで、このくらいのことをやつたらどうかという案を提示して、御意見を承りたいのです。それは、全国の各銀行に中小企業金融部というものをつくらせる。しかも全国には各支店がありまして、さつきも申したようにこの支店は今ずいぶんその数をふやしているから、この各支店をして、大企業にも貸してよろしいが、主として中小企業への貸出しに当らせる。このくらいのことをやらしたらどうかと私は考えるのであります。そうすると一番問題になつて来ることは、さつき大蔵大臣も申したが、金利コストがかさんで来ることである。だからますます貸出しの金利が上つて来るというような結果になつては困るじやないかということになるのであります。そこで第一には、対策として、銀行にはもつと合理化をやらせる。第二には、その貸出しに対して、その費用の一部を政府が見てやる。そういうように、合理化をやらせるとか、一部を見てやるというふうにして、今申したように、全国の銀行に中小企業金融部をつくり、支店は主として中小企業金融に当らせる。こういうようなことをやつたらどうかと思うのです。しかもその費用がかかつて金利が高くつくと何にもなりませんから、その合理化に伴つて、また貸出しの費用の若干を政府が見てやる。まあ、このくらいのところではいかがでございましようか。
  41. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実は、銀行の貸出しに対して費用を若干見てやるということはまだ考えておりません。考えておりませんが、今お話になりました中小企業金融につきましては、大銀行は中小企業金融取扱いの店舗を、専門的に持つております。たとえば、どこの銀行へおいでくだされば中小企業の金融を取扱いますというように、大銀行の方はみないたしております。  それから今度は、普通の地方銀行におきましては、大体貸出しの三割以上が、これはどの銀行もそうでありますが、中小企業に対する貸出しでありまして、名前が課とついておるか、部とついておるか、それは私はよく存じませんが、しかし実質におきましては、そういうことはやつております。御趣旨の点はよくわかりますから、なおひとつそういうように各銀行に勧奨して参りたいと思います。
  42. 原健三郎

    ○原(健)委員 費用の点はどうですか。
  43. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 費用につきましてては、ただいまのところ銀行は相当配当しておりますし、また銀行の公共性から見て、私どもはそれくらいの奉仕はすべきものではないか、かように考えておりますので、これを乏しい日本の国の財政のうちからやるということは、実はまだただいまのところは考えておりません。
  44. 原健三郎

    ○原(健)委員 中小企業に対する分はどうですか。
  45. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 中小企業に対する分は、御承知のように、それ自身は何もそういうものを見ておりませんが、預託をしておる。正確な数で言いますと、三月末で二百五十二億円預託をいたしております。そういうぐあいに預託をしておつて、その利ざや等も若干ございますので、特にその費用を見てやらぬでもいいじやないかと、実は今私は考えております。
  46. 原健三郎

    ○原(健)委員 次に農林大臣にお伺いいたしたいのであります。最近農林省ではいろいろな重大法案が問題になつております。第一は農産物価格安定法案というのが問題になつております。第二番目には食糧自給促進法案というので、これはもうこの前から問題になつておる。第三番目には硫安需給調整法案というのが問題になつておる。第四番目には硫安輸出株式会社法案というのが問題になつておる。この最後の二つは最近のものであります。  まず第一に、この農産物価格安定法案というものを出すことについて、大蔵大臣を前に置いてでありますが、なかなか大蔵省の返答がないので難渋をいたしておるというのが実情であります。それでまずこの際、この農産物価格安定法案について、たとえば澱粉とか、菜種とかを買上げる、その買上げ品目の作付統制ができないからといつて、大蔵省が反対をしておるというようなことも聞いておるのでありますが、この法案を出すつもりであるか、あるいは出すとすればどういう内容であるか、農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  47. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘のような諸問題は、まだ検討を終らないで検討中でございます。農産物価格安定法案につきましては、先日も申し上げましたように、農家経済の安定をはかつて参ります上から、多数の農家の重要な農産物となつております農産物の価格の変動から、農家経済を破壊しないようにする措置が、きわめて必要だと考えております。お話のように関係する方面もございますので、ただいま大急ぎで検討を加えております。成案を得ましたならば、すみやかに御審議を煩わしたいと考えております。ただいまのところ、まだ出し得るとも出し得ないとも言明をいたしかねるのであります。
  48. 西村久之

    西村(久)委員 長代理結論を急いでください。
  49. 原健三郎

    ○原(健)委員 今ごろ、もう国会が末期になつてつて、出すか出さないかわからないとおつしやられるが、しかも農林大臣はこれは農家のためにぜひ必要であると言明されておるが、その行き詰まつておる根本的な理由はどこにあるのか、ひとつお聞きしたいのであります。
  50. 保利茂

    保利国務大臣 政府が一定量を価格維持のために買い上げるということは、やはり相当貯蔵性の高い物資でなければならないし、一面また、何と申しても国民の負担による税金にも関係して参りますから、その関係において考慮いたしておる次第であります。
  51. 原健三郎

    ○原(健)委員 さつきも申したように、このほかに食糧自給促進法というよなうものについて、この前の国会のときから農林省案ができており、われわれも見せてもらつたし、また農林省は食糧増産五箇年計画というものを出して今まで検討して来た。しかるに今度の予算を見ても、本年度は四百九十四億より食糧増産費がない。何ゆえにそれらの食糧自給促進法案等をこのたび出されないのであるか。もつと熱意があればこういう法案をどんどん出してもらつて審議をうんとしてもらつて、それが通るか通らないかは国会がきめるのでありますから、そういうものをもつと出されることを要望するものであります。
  52. 保利茂

    保利国務大臣 食糧自給促進法案につきましても検討いたしておりますが、問題は食糧自給の度合いをどうして高めて行くかということで、食糧増産計画を具体的に推進して参るということは、結局予算を伴うものについては、予算を中心として計画を進めて参るわけでありますから、着実に増産の目的を達し得る計画を立てることによつて、必要最小限度の予算は必ず確保し得る、また確保しなければならない、そういう考えを持つております。一応立案しましたものは、さらに検討を要する部分もあるように存じますから、検討させていただきたいと存じます。
  53. 西村久之

    西村(久)委員 長代理早稻田柳右エ門君。
  54. 原健三郎

    ○原(健)委員 もう一点……。
  55. 西村久之

    西村(久)委員 長代理事会の申合せの時間も相当延長してお許しいたしておつたのでありまして、他の機会にお願いいたします。  この際御了解を得たいと存じます。櫻内義雄君が棄権されましたその持ち時間を、早稻田君の方に加算願いたいとの申出があります。お許ししてしかるべきと存じますから、さよう決定いたします。早稻田柳右エ門君。
  56. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 本委員会において大きく取上げられておる問題は、MSAの問題、あるいは警備計画発表要求、あるいは対米債権等の問題でありますか、これは重大問題とともに国民の強い関心を持つておりますのは経済問題であると思います。日本経済は申すまでもなく農村、中小企業者、働く勤労者によつてささえられておることは言をまちません。私はそのうちの中小企業の切実な諸問題について伺いたいと思つております。  今や中小企業は中元を前にいたしまして、金詰まり、税金の苦しみ、不渡り手形、貿易の不振——災害の復旧等を前にいたしまして、非常な苦しみをいたしておることは論をまちません。これらの問題について相当たくさんお伺いをいたしたいと思いますが、時間の制約等もございますので、なるべく簡明直截にお尋ねをいたします。所管大臣におかせられましても、再質問の必要のないように、納得の行く御答弁をいただきたいと思います。  まず第一番にお尋ねをしたいと思いますのは、中小企業者の組織でございますが、従来協同組合法によつて現に一千二百からの組合ができまして、着着組織が強化をされております。最近政府は中小企業安定法の改正によりまして、調整組合をつくる意図のようでありますが、これから調整組合をつくつてほしいという要望がだんだんふえて来ると思います。その場合、一体政府は調整組合に重点を置くのか、従来の中小企業協同組合法による組合に中心を置くのか、現に業者はその帰趨に迷つておりますが、この際政府の調整方法、いずれに重点を置くかという組織に関しての基本的の問題をまず伺いたいと思います。
  57. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。中小企業協同組合法による協同組合と、小小企業安定法によりますところの調整組合とがございまして、着々組織されつつありますが、この点におきましては発足早々でございまして、まだ十分な実効を上げておらぬと私は思つております。むろん実効を上げるべく皆努力しておるのでございます。そこでただいまのとろこでは、独禁法の改正案がございますものですから、一般の輿論としましては、この協同組合と調整組合というものを同じ法体系に入れて、もう少し強化していいじやないかというような、こういうような御議論がございますが、私はしごくごもつともな御議論だと思いまして、それについていろいろ検討を重ねております。これを法制化するにはこの国会では間に合わないかと思いますが、そういうことを十分検討いたしまして、そういう中小企業の組織の強化をはかりたい、こう存じております。
  58. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 岡野経審長官は常に日本産業の真の建直しは、農村と中小企業に重点を置かなければならぬと言つておられますが、ただいまお説のありましたような抽象的なことでは、基本的に、組織ができ、中小企業が救われるとは考えられません。今お説の独禁法の緩和により大企業の圧迫をこれからだんだん受けることは必然であると思います。こういう場合におきましていかにして中小企業者を育成して行くか、どんな方向へ持つて行くかということについて、もう少し具体的に指示せられんことを要望いたします。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。中小企業と一概に仰せになりますが、この中小企業というものは非常に多種多様でございまして、画一的にこれをどうして健全にして行くかということは、これを一様にして行くというわけには参りません。業種々々、また地方々々によりましていろいろな手を打たなければならぬと思います。その点におきましては私は非常に広汎な施策がいると思います。それにつきまして、いろいろ安定化とか組織化とか、合理化とかいう方面に心をいたして行かなければならぬと思います。まあ、独禁法の点の関係でございますが、独禁法改正によりまして不況カルテルなんかつくりましたときに、中小企業が押しつぶされてしまうのじやないかというような一部の御議論もございますけれども、私はあれは中小企業も大企業も同じ効果を受けるものだと思つております。もしかりに大企業だけによりまして、不況カルテルの場合にそういうものが結成されるといたしましても、そのときには非常な財界の混乱が起きている時代でありますから、ことにこれをこのままほうつておきますれば、自然中小企業は巻添えを食うごとになります。大企業が救われることは中小企業も救われること、また消費者も救われることである、私はこう考えておるのであります。
  60. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 どうも納得が行きません。一国の政治の安定は、強力なる中産階級の形成によつてこそ初めて実現できると思います。全企業の九九%を占めておる中小企業であり、全生産の六〇%をあげておる中小業者であります。これを特色のある組織強化方針をとつておりますベルギーの例によりますと、ベルギーにおいては、産業別に労使の強力なる組織体系をつくりまして、これに対して政府は助成金も出し、あるいは金融の長期、低利の融資もするというような施策を講じまして、相当成績を上げておるやに聞いておりますが、わが国においても、親工場を中心とする組織、すなわち戦前における子組合のようなものでもつくつて、これが助成方針を講じ、金融の道を開くことも適切じやないかと思います。すなわち現在においては、親工場は下請工場を搾取の対象にしておるかの観がある。従つて親工場がつぶれると中小企業が全部やられる、こういう実態でございますが、何か新しい施策を講じて、そうして帰趨を明らかにせんければならぬと思います。先ほども申しましたように、これからは調整組合にたよる面が多くなつて来ると思いますが、今までできておつた協同組合には、ドツジさんが参つて以来、助成金も出さない、一定の指導もしない、技術面の助成もしないというようなことで、まつたくその帰趨に迷つておりますが、こういう面に対して何らか新しい施策政府は講ずべきであると思うが、これに対して所見を伺いたい。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今の日本の現状といたしましては、親工場と下請工場との関係が元のようでなくて、まあどういうふうに申しますか、親工場そのものがしつかりした基礎がないということにもよるのでありましよう。しかし今後われわれといたしましては、各生産業者を十分強化して行かなければならぬとともに、その下請、すなわちその親工場のほとんど手足となり、同時に輸血機関であるところの小工場というものが、もつともつと強い結びつきになつて来なければならぬ、こう考えております。それからその結びつきというものは、私は今後はやはり人的に結びついて行かなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。ただいまのところでは、下請工場が親工場と人的つながりがあまりないじやないかという感じがしております。そういう点も十分考えなければならぬのであります。この密接な二つの関係をいかにして行くかということにつきましては、今後十分注意いたしまして、いろいろな法制的措置もしてみたいとも思つております。
  62. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 中小企業と大企業と労働攻勢の挾撃を受けまして、まつたく悲惨な状態にあることは私から申し上げるまでもありませんから、ひとつぜひ、安んじて生業を営むことのできるような新しい施策を講ぜられんことを希望いたしまして、この組織に関する問題を打切ります。  続いて伺いたいのは、先ほど原君も言つておりました中小企業の金融問題でございます。国立世論調査所の発表によりますると、現在金融難にあえいでおる中小企業者は七七%である。さらに資金難によつて廃業の余儀なきに至つたものが五〇%ある、こういうように発表をいたしております。大蔵大臣は、現在貸出しは八千百億で、そうして三三%これを利用しておる、こう言つておられますが、国立世論調査所の発表では、中小企業に対する貸出しはわずかに三〇%である、生産は六五%あげておるけれども、三〇%にすぎぬ、こういうように言つておるが、一体大蔵大臣の言われる八千百億の中小企業融資は、どういうルートによつて、どんなふうに流れておるかということを一応伺いたい。
  63. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 本年三月末の各銀行の貸出し中、市中銀行等の貸出しも入れまして、一千万円以下の資本金の中小企業に対する貸出しを含めたものでありまして、総貸出高の三六%でございます。
  64. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 中小企業の金融促進に関しましては、先国会すなわち昨年の十二月参衆両院において、すみやかに中小企業金融の促進をはかられるという決議をいたしたわけでありますが、この決議に基きまして、政府は中小企業金融公庫法案なるものを提案いたしまして、先国会で不成立になり、今国会審議されておるようでありますが、この内容を検討いたしますと、放出する財政資金はわずかに百億である。しかもその百億は、一般市中銀行あるいは商工中金系統機関等を通じて出すことになつておりますが、由来零細業者に対する貸出しは、一般市中銀行等の窓口を通ずる場合はなかなか借り得られない。     〔西村(久)委員 長代理退席、委員   長着席〕 その一例は、さきに見返り資金を政府は中小企業を対象として別わくをつくつた。ところがこの別わくは利用されるものがきわめて少くて、遂に国の方に返つて来るというようなことであつたのでありますが、今度もまたそういう結果になることをわれわれはおそれるわけであります。もつとも当時は一応借入れ申込みがあると、金融機関日本銀行と相談をしなければならぬ、こういう隘路もあつたのでありますが、今度はそういうことをするかしないか、あるいは窓口をどんなふうにして監督するか、というような具体的な問題について、国民は聞かんとしておるのでありますので、この点をひとつお示しをいただきたいと思います。
  65. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 御承知のごとく中小企業金融公庫をつくりましても、まず最初にでき上るのは本店だけなのでございます。しかし貸出しは、今仰せの通りに資本金は百億でございますが、借入金が二十億ありますので百二十億と、さらに開発銀行の現在の貸出分を引継ぎますから、それだけの規模のものが最初にでき上るわけであります。しからば今の資本金の百億と借入金の二十億をどういうふうな窓口を通して貸すかということになりますと、これはいずれも本店だけですから、窓口を通さなければならない。この窓口を通すにつきましては、私どもなるべく相互銀行とか信用組合とか、こういう中小企業援護ためにのあるところをよけい使いたい。また現に今までも、これは早稻田さんも御承知でしようが、地方銀行でも非常に中小貸出しに努めておるところがあります。非常に実績を上げておるところがあります。さつき私が三六%と申したのは全体でありますが、地方銀行の中小企業に対る貸出しはたしか三割二、三分に達しておると思います。と言つてもこれは平均ですから、四〇%に達しておるものもあり、二十数パーセントのものもあるというわけで、その実績に基いてよく行き渡るように貸出しをいたしたい、かように考えております。決して窓口を普通銀行のみに限つておるという考え方ではありません。これはよく行き渡るように考えております。
  66. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 農林中金に対しては地方の信連から農林中金へと系統機関ができておりますが、商工中金関係はそうした資金ルートを持つていない。さらにまた今度新しい公庫をつくられるということになると、ますます混乱すると思うが、そういう点やはり農林中金と同じように商工中金も地方の信用金庫、信用組合さらに商工中金というふうに一定のルートをおつくりになる方が簡便ではないかと思うのですが、その点に関する所見を承りたい。
  67. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ルートに対しては今大体御指摘になつたように考えております。ただ御承知のように商工組合の方は、固定した農村の方の組合とちよつと違うところがございます。組合の地域その他の関係もいろいろわかれておりますので、必ずしもそれによりにくいという点が、農村とは事情が違う点があることはよく御了承の通りであると思います。しかしいずれにしても系統的にものを持つて行かなければ資金の流れが悪くなる、そういう考え方は私どももいたしております。
  68. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 大蔵大臣もその点はお認めになつておると思いますが、われわれの仄聞するところによると、大蔵省では、そういう系統機関にすることは、通産省に所管が移つて、大蔵省の勢力範囲を減らすことになる、こういうような偏狭な考え方から無理にいろいろなものをつくつておる、こういうような見方も少くございません。賢明な大蔵大臣はひとつこの際すつきりした系統機関にされんことを私は要望いたしたいと思います。  さらに伺いたいことは、商工中央金庫の利用度がだんだんふえて参りましたが、非常に金利も高く窓口も狭いので、農林中金のようにうまく行つていないことは御承知通りだと思います。この際政府の預託金なんかももつとふやし、そして商工中金がもつと健全な発達をするように、特別の手配をせられる考えはないかどうか伺いたい。
  69. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 商工中金の健全な育成については、私どもも十分配意する考えでおります。従いまして現在預託金中、期限等の到来する分につきましても、期限が到来するから引揚げるということにせずに、引揚げる場合には必ずまた別個のものを出して、新しい預託をするというような方法を講じておりますし、今後ともこの預託金等はできるだけ財政資金の許す限りはふやして行きたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ぜひそう願いたいと思います。それからさらに伺いたいのは、最近不渡手形が非常にふえて参りまして、中小企業者が非常に困つておるということは申すまでもございませんが、一体現在不渡り手形はどれくらい出ておるか、そしてまたそれに対して政府はどんな対策をとりつつあるか、この点伺いたい。
  71. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 こまかい数字的なものは、あるいは後刻表にでもして提出させますが、多少最近不渡り手形がふえておることは事実であります。枚数、金額等いわゆる著しくふえておるということではございません。ございませんが、やはり世相の反映とでも申しますか、若干ふえており、そのうちにたちのよくないものが相当ふえておる、こういう事実を認めておりますが、ただこのうちにはそれとはあまり関連のない、企業の不健全なものから来ておるものが少くありません。しかし私はよく申します通り経済界は有機的に一体となつておるのでありますから、単にそうとは言えないのであつて従つて今のうちから特に対策を立てるほどの今差迫つた事情にはございませんが、その差迫らないうちにいろいろ考えておく必要があると存じまして、日銀あたりとも打合せをしておる次第であります。先般日銀の総裁も関西方面に参りまして、いろいろ報告を受けておりますが、この際まだ特別な措置をとるほどの状態でないことは、その節ちよつと御答弁申し上げておきましたけれども、今のうちから何かとそういうことに対する備えも必要だと考えておるわけ合いでございます。
  72. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 不渡り手形増加の問題について、大蔵大臣は過小に考えられて楽観していらつしやるようですが、いずれの銀行といえども不渡り手形を出すことは、日銀に対する信用が減つて来るというので、なるべくこれは外へ出さないようにしております。従つて大蔵省への報告とは相反して逐次漸増と申しますか、急増しておると私は思います。この点はそうした楽観的なお考えでは混乱を阻止することはできない。私の知つておるだけでも、ある銀行は実際は今十億出ておるけれども、報告は二億だけしかしていないというようなことを現に実際軍役が言つておるのです。だからこれは速急にひとつ対策を講じていただきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのは、円契約による特需の支払いを七月一日から停止されておりますが、そのために各所で経済混乱を起しておる。一体なぜ停止なさつた伺いたい。
  73. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実はその問題はちよつと大蔵省ではないようで、今どこかでやつておるのではないかと思つて調べております。なお早稻田さんが今言われたうちの、十億出ておるが二億ぐらいしか報告していないという事実も私は多少耳にせぬでもございません。そこで私が申しましたのは、表に現われておるのはこうであるが、やはり今のうちから備えなければならぬという意味のことを申し上げたのは、そういう点を考慮したからでございますから、これはそれで御了承願つておきたいと存じます。
  74. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 円契約による特需の不払いの問題は御存じないようでありますが、私どもの仄聞するところによりますと、これは当然防衛分担金によつて支払われる、そこで米国の議会が承認しないから支払えないというようなことであるようでございますが、しかしこれらはわかつていることなのですから、政府は事前に手を打つておかなければならないにかかわらず、打たないでほつておいたということは、政府の怠慢であるといわなければなりませんが、今からでもおそくはありませんから、速急に手を打つていただきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのは、信用組合の員外預金制限を七月十四日からするというのでありますが、本質において信用金庫も信用組合もかわらないにかかわらず、信用組合に限つて員外預金の制限をするという理由はどこにあるか、伺つておきたいと思います。
  75. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私も今初めて耳にしたのでありますが、どうも性格が違うので、信用組合の方は組合員だけに限るということから来ておるのじやないか、こういうことでございます。なおよく調べまして正確な御返事を申し上げることにいたしたいと思います。
  76. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 どうも組合員だけしか預金できないというのは建前なのですが、しかし員外預金も認めてもらいたいということは天下の声である、要望である。そこでこれに従つて員外預金を認めておるのが現在の信用金庫であり、信用組合であります。しかるに中元を前にしてこれを停止するというようなことはもつてのほかだと思いますので、ひとつ大蔵大臣は厳に取締つていただきたいと思います。そうしてその状況等も御報告をいただきたいと思います。  さらにこれも御報告をいただくついでにお願いしておきたいのは、先ほど貸出しが中小企業に八千百億だとおつしやいましたが、しからば大企業に対する貸出しは一体どうなつておるか、大企業、中企業、小企業等にわけて大体貸出状況を一応伺いたいのであります。資料がなければあとでけつこうでございます。  つけ加えてお尋ねしたいのは国民金融公庫の問題ですが、最近国民金融公庫に対してだんだん出資を増額された。これはきわめていい傾向だと思います。現在二百八億出ておるはずでありますが、これも公庫関係の人の話によりますと申込みの三割を満たし得る、こう言つておりますが、残りの七割はおおむね零細企業者でございまして、国民金融公庫といういい機関がありながらこれを利用できない、こういう状況でございますので、さらにひとつ小口を対象とする公庫の資金の増額を要望したいと思う。同時に国民金融公庫が非常に仕事がおそいということは、資金はふえても人員その他を増されぬからであると思います。この点地方の支所等においては人員の増加を要望しております。これもひとつ御調査の上ぜひ速急に対処されんことを要望する次第であります。  それからさらに時間もありませんので次の問題に移りますが、中小企業の設備の問題でございます。さきに大蔵省は、敗戦と同時に賠償指定をされました国の内外にある遊休設備を、指定解除と同時に中小企業の老朽施設を近代化することに使いたい、こういうことを発表されて、われわれもその成果を待望しておつたわけなのです。ところが見ておると遅々として進まない。いわゆるお役所仕事で一向進んでおりません。いまなお赤さびになつて機械は放任されておるという現状でありますが、敗戦と同時に賠償物資に指定されておつたものが解除されたわけでありますが、一体今民間資産あるいは行政財産がどんなふうに処理されておるか、一体どれくらいあつてどこにあるということがわかつてつたら、詳細に伺いたいと思います。
  77. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは数字がありますから、はつきりお答えができます。平和条約発効当時に賠償指定の解除のあつたものが二十五万二千五百一項目あります。そのうち解除当時司令部の許可を得て稼働中のものが五万四千三百六十項目、休止機械が十九万八千百四十一項目、こうあつたのでありますが、仰せになつたような国有財産特別措置法の規定によりまして、この賠償指定解除になつた機械器具のうち、在日米軍及び国連軍の用に供しているものなどを除きまして、約四万八千台をば交換の対象としまして各都道府県に割当を決定いたしました。本年四月現在で交換契約済みのものが一千二百台、それから手続中のものが一万四千台であります。また評価額につきましては、これは大体適正な価格であつて、決して高価な価格ではない。しかしまだお話のごとく三分の一程度しか手続がしてないというようなぐあいでございますから、これはさらに促進することにいたしたいと存じております。
  78. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 今伺いまして努力のほどは認めますが、しかし巷間われわれの聞くところによると、この評価額がきわめて高い。そのために何度入札をいたしましても落札するものがない。たまたま落札したものがございましても、この機械では間に合わぬとかあるいは不足分があるというので返却されるような場合が多うございまして、遅遅としてこの処理が進まない。現在においてはもはやこれらの施設、これらの機械器具よりもはるかに優秀なものが市場に出て参りまして、もうその必要がございません。ただ赤さびにして放任しておきますよりも、むしろ一日も早く評価額をかえて処分されることが国の財源をつくる意味からいつても有効だし、また小企業などでそういうものを安く買いたいという希望を持つておる者も多うございますので、この際速急に処分施策を講じてもらいたいと思いますが、大臣はそういう意図がおありかどうか。
  79. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 よくわかりました。これは私もひとつ調べまして、速急にやることにいたしたいと存じます。 なおさつき早稻田君のお話のうちに国民金融公庫に関する部分がございましたが、あれは今年から実は店舗を七つふやすことにし、また人員も増加することは予算措置がとつてありますので、この点は御了承をお願いいたします。
  80. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 時間がありませんので次へ移りますが、次は中小企業の貿易について伺いたいと思います。わが国の国際収支は当面防衛生産、特需収入によつてまかなつておりますが、これは申すまでもなく一時的のものでございまして、恒久的のものではないことは言うまでもございません。従つて正常貿易の拡大に努め、経済外交体制を強化する必要があると思いますが、その点について政府の所見を伺いたい。
  81. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。中小企業の生産しておりますものでも対外需要があるものもございますが、概して私は中小企業のつくりますもののうちで、東南アジア方面に出る機械とかなんとかいうもののほかは、国内需要が多いように感じております。今後中小企業のつくつて行きますものをいかにして行くかということにつきましては、私は相当考えを改めて行かなければならぬと思います。と申しますことは、東南アジア方面におきましても、みな国内がやはり自立経済をやつて行きたい、また同時に自給して行きたい、こういうようなことを考えておりますので、できました雑貨とかなんとかいうものの売れ口が少し少くなつて来るのではないかというような感じがしております。同時に今度は向うで物をつくるために必要な機械とか器具というものをほしがつておりますから、そういう中小企業の方面努力をして行きたい、こう考えております。
  82. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 そこで外務大臣にひとつ伺いたいと思いますが、現在までに通商航海条約の締結できた国はどことどこであつて、その通商協定並びに支払い協定の内容は、大体どんなふうになつているか、一応伺いたい。
  83. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 通商航海条約のできているのはアメリカだけでありまして、その他には中立国等で、昔戦争前にできておりました通商航海条約を今後復活しようとか、そのうちの一部を改めて復活しようというのがかなりございます。今おつしやいました貿易協定とか支払い協定とか申しますと、それは通商条約のできていない国に対して貿易を行うたみにやつておるのであります。日本と貿易のある国は、ごく少数のものを除きまして、ほとんど全部の国とやつておるような次第であります。
  84. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 現在の世界貿易の縮小傾向を見ますと、この際わが国においても何らかの打開策を打たなければならぬと存じます。さらに新市場の開拓に努力をしなければならぬと思いますが、それらの問題についての対策いかんを伺いたい。
  85. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは主としてまず考えますのはポンド地域でありますが、これはポンド協定の結果、先方で輸入制限の緩和ということを約束してくれましたが、これを命令するわけには行かない。つまり連邦はみな独立国でありますから、命令するわけには行かないが、勧告しようということになつてつてくれております。たとえば濠州なども今回輸入制限の緩和を、多少ではありますが、するようになつたようでありまして、ポンド圏については、各国で輸入制限の緩和ということを主としてねらつております。日本からいえば、輸出するものが楽に入るように、それからまた中東と申しますか、イラン、イラク、トルコ、あの方面のアラビア諸国に対しましては、ほとんど今まで品物が出ておらなかつたのでありますが、これについては先般郵船会社の社長の浅尾君を団長とする経済使節団を出しまして、その結果これは相当順調に行つております。支払い協定とか、または貿易協定等もどんどんできつつある傾向であります。これは初めの額が非常に少いのでありますから、今度行きますと、パーセンテージでは三〇〇%とか四〇〇%となりましようが、今は絶対数からいえばそう多くないのでありますが、かなり売れ行きがあると思います。  それから今度予算が通過いたしますと、アフリカの各地に領事館を置きまして、それを基礎としてアフリカ方面の販路を開拓しようと考えております。コンゴーのごときは、元は非常に日本の物がたくさん行つたのでありますが、ベルギー領コンゴー等につきましては、ベルギーにおります大使に、あそこに出張してよく事情を調査するように、今連絡中であります。そのほかにはドル地域、ことに中米及び南米の一部で、まだ十分開拓のできていない地域でありますが、アルゼンチンとは先般話がつきました。あとは中南米の比較的小さい国でありますが、これらに対しては、あるいは公使館を新しく開き、あるいは領事館を開く等のことによりまして、今年からはさらにかなり強力に販路開拓ができるのじやないかと期待しております。
  86. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 日本はガツトに加入しようとしておるが、米国が互恵通商法を一年延期した関係で、ガツト加入が非常に困難になつたというが、政府の対策いかんをお伺いいたします。
  87. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 アメリカの互恵通商法の決定のときには、メイジヤーネゴシエーシヨンはしないという条件のもとに許されまして、日本との関税協定が一体メイジヤーネゴシエーシヨンであるかどうかということが議論になつておる、そこでそれがメイジヤーネゴシエーシヨンであるということになりますれば、アメリカ政府としてはできないということになりますので、この点は交渉いたしておりますが、場合によりましては、実際上の加入と同じような待遇が受けられれば、さしあたり何とか行けますので、ただいま各方面に対してこの問題で話合つておりますので、もうしばらくお待ちを願わないと、はつきりした結論は出ないと思いますが、やはり今おつしやるように、加入が困難になつた一つの要素であるということは間違いないと思います。
  88. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ガツト加入困難になつた原因は、今仰せのように、単一関税制度である点があげられますが、このほかに、イギリスであるとかフランスはあまり歓迎していない、むしろ妨害しておるというようなことも聞いておる。この際政府は複数関税制度を採用して、英仏の態度に反省を求むるような手を打つ必要があると思いますが、外務大臣はどう考えておりますか。
  89. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 イギリスが日本のガツト加入に反対の意向であるということは、しばしば伝えられたのでありますが、だんだん話をしておりますうちに、そうではないように私どもは考えておりまして、むしろ今日はアメリカの互恵通商法の関係だと思います。しかしながらそれとは別に、日本のガツト加入がはかばかしくない場合には、別に報復という意味ではありませんけれども、日本外国品がどんどん入つて来られて、最恵国待遇で同じ関税を課せなければならぬということになりますと、日本のものが向うへ行く場合には、一種の制限があり、こちらでは制限がないということになりましては、はなはだ不公平でありますから、複数関税制度と申しますか、この問題については、ただいませつかく研究中でありまして、まだはつきりした結論は出て来ておりませんが、大体の傾向はその方がいいではないかというところまで政府部内の意見が傾きつつあるのであります。
  90. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 日米通商航海条約で、米国関係の銀行の既得権を認めることになつておりますが、そうした場合既得権を濫用するおそれがあると思いますが、これに対する方途を大蔵省では考えておられるかどうか。
  91. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この点は過日もちよつと申し上げました通り、三百数十億だけ現在預金関係に含んでおります。そのうち円預金になりますものは、百二十億円と私現在のところ記憶しております。さようなぐあいで、今日全体で三兆円に上る預金数から見ますと、そう大きなものではございませんし、また外人の活動はおのずから限られておりますから、そう大した影響はないと私ども考えておる次第でございます。
  92. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 大蔵省では、外国銀行の預金等業務に関する法律案を出そうというような準備があつたかに聞いておつたが、そういう意図はありませんか。
  93. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 そういうことを考えてみたこともございますけれども、今のところ、特にそれだけの法を出すほどではなかろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  94. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 東南アジアの貿易の必要なことは、昨日の加藤鐐造委員質問にもありましたように、また外務大臣もそれを痛感していらつしやるようでありますが、日本経済を正しい自立コースに乗せるためには、どうしても東南アジアの貿易問題を真剣に考えねばならぬと思います。御承知のように、東南アジアの諸民族は、日本と類似した点が非常に多い、農業事情において、あるいは商取引において、非常に多いが、ただうらむらくは、資本とか、技術とか、経験とかが足りないので、これを強く要望しておるようであります。従いまして、いずれ政府はこれら東南アジアの諸国といろいろな下打合せ、交渉をしていらつしやると思う。インドとかパキスタンあるいはセイロン、ビルマ、タイ、パラオ、マレー、インドネシア、フイリピン等、いろいろな民間側の情報によりますれば、強く要望している面が多いが、政府がどうも弱腰である。ことに政府は東南アジアに昔勢力を張つておりましたオランダ、イギリスあるいはフランス、その他の西欧諸国との摩擦相剋の起ることを恐れて、きわめて消極的であるというので、業者間においてはもう少し政府が強腰にやつてもらいたいという要望が強いわけでありますが、外務大臣並びに通産大臣はどんな考え方でこの東南アジア貿易について対処しておられるか、伺つておきたい。
  95. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれは決して西欧諸国に気がねをしておるわけではないのであります。ただ独立間もないこういう諸国におきましては、独立ということを非常に強く考えておりまして、いやしくも内政干渉になりそうな危険があると考えますと、これをみな排除する傾きにあるのであります。日本の資本、技術というようなことの進出も、こういう点でむしろ現地民の方に気がねをよけいいたしておるようなわけであります。われわれとしてはせめてできるだけその点は謙虚な気持で、先方に理解を求めて、初めは恐れていたでありましようけれども、大体やつているうちにはなるほどということになれば、かえつてその方が早い、こう思いまして、実はじつくりやつているなうなわけであります。
  96. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 東南アジアには一億四千六百万人からの人間が住んでおりまして、しかも天然資源が非常に多いことは申すまでもありません。日本として必要な石油であるとか、米であるとか、香料あるいはキニーネ、クロームとか、タングスデン、鉄、石炭、コバルト、あるいはコプラ、やし油とかいうようなほしい物ばかりでありますが、こういうものを、日本の国内資源によつてまかなわれる貿易品とバーターするということが、当面一番できやすいと思いますが、こういう面について考えられたことがあるかどうか。もしあればどんな方法によることが一番適切であるか、承つておきたいと思います。
  97. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういう面もいろいろ考えておりまして、たとえば今通産省にも外務省にも、いろいろの人に来てもらつて具体的にそういう点を研究しております。ただわれわれの方から言いますと、まだ未開発の資源がたくさんあるのでありまして、それを開発する。今までのものは、たとえば今おつしやるような西欧諸国の既得権みたいなものになつておるものもかなりあるのであります。この点から私どもはアメリカのポイント・フォアのようなことでもつて、さらに新しい資源を開発する。それにできれば日本も一緒にやりたい、そしてそれでできたものをこちらで買いたい、こういうつもりでやつております。しかしその間におきましてはバーターであろうと何であろうと、できるものはできるだけ促進して行きたいと考えております。
  98. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 経済は政治をゆさぶるものであると同時に、経済は政治を安着させる結果にもなるわけでありますが、まだ未開発地の多い東南アジアの諸国は勢い脆弱な経済構造でございますが、今のうちに早く日本側から手を打つておくことが一番大切なことであるとわれわれは考えます。先方からは、フイリツピンでありますか、先般親善使節が日本へ来たようでありますが、わが国からも親善使節等を派遣いたしまして、そして経済上の諸問題の解決、あるいは賠償問題の解決等、こちらから水を向ける必要がある。これに対して外務大臣はいかが考えますか。
  99. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 お話の点はわれわれも考えまして、実は過去において親善使節とも言うべき人をずいぶん何べんか出したのでありますが、最近先方の意向としては具体的の考えを持つて来れば別として、ただ親善使節というような大まかなことでは何にも成果がないからあまり役に立たない。むしろ具体的な提案を持つて来れば歓迎するというような傾きになつておりますので、親善使節というような銘を打たないで、実際の問題によく精通し、またいざとなれば仕事ができるような人に向うへ行つて着実にやつてもらいたい。こういうふうにむしろ考えております。
  100. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ここで私はひとつ特に御考慮をいただきたいと思いますが、大体日本の貿易は先方から原材料を輸入して、そうしてこれを製品にして売るという貿易形態でありまして、加工賃金をとることが主であります。政府はこの加工賃金をとる貿易の数字が大きいのに幻惑されて、ややともすると国内資源によつて外貨を獲得し得る産業を、等閑に付しておる感があると思います。たとえて申しますると、生糸のごとき、あるいは水産物のごとき、あるいは陶磁器のごときはいずれもそうだと思う。わけても陶磁器のごときは、国内の山々から出て参ります資源によつて相当大きな外貨を獲得して、一昨年だけでも三千億でございますか、とにかく相当数の外貨を獲得しておる。ところがこういう産業に対して政府はきわめて冷淡でありますが、こういう産業をもう少し援助助長するような考え方を通産大臣は持つておられるかどうか。さらに外務大臣はこういうような陶磁器等の雑貨を賠償物資の対象にする、あるいは役務賠償の一部に充当するというようにしていただきたいと思いますが、そういうお考えはないかどうか伺いたい。
  101. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お話通りでございなして、われわれといたしましては国内におけるところの資源で、国内の需給にも役立ち、またひいては国内の資源だけでできたものが外国に行くということはなおさら好ましいことであります。われわれといたしましては、先般もちよつと申し上げました通り、合成繊維をうんと政府が助成しまして、そうして綿花、羊毛の輸入にかえると同時に、すなわち外貨の節約をしながら、われわれの日用品に利用して行く、こういうことも考えております。また陶器あたりにつきましても、むろんこれは助成しないわけではない、金の払下げについても、特別のとりはからいで陶器業へは価格を安くしてあるのであります。もし今後お気づきの点がございましたら、われわれひとつ参考にいたしまして、今後その方向に進んで行きたいと思います。
  102. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 普通の賠償で考えられましたものは、先方から原料を持つて来て、こちらでそれに加工して、つまり役務を加えて完成品にして先方に引渡すという形でありますが、今おつしやつたように。日本の国内の原料で物をつくつて向うへ渡すということになりますと、必ずしも平和条約十四条の規定にぴたりと合わない部分があるかもしれないのであります。しかしそういうふうに非常にむずかしく、この条文をこだわつて解釈する必要もありませんから、もし先方で希望いたしますならば、そういう問題は十分考慮はできるとわれわれは信じております。
  103. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 東南アの貿易問題についてはこの程度で終りたいと思いますが、ひとつ政府はすみやかに総合的東南アジア政策を確立せられまして、正常な関係において経済開発、貿易の振興に向うようにしていただきたいと思います。その方途として自由諸国が協力して一体となり、既存の国際会議も幾つかありますが、これをでき得る限り活用し、さらに国際経済会議開催の気運を醸成するような方途をとつてもらいたいと思いますが、外務大臣の御所見はどうですか。
  104. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 お考えの点は、これは規模の大小はあると思います。世界的なものもありましようし、あるいは東南アジア関係のものもあろうと思いますが、趣旨としてはたいへんけつこうでありまして、われわれもできるだけそういう方向に努力したいと思います。
  105. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ただいま有田さんから何か関連質問があるそうですので、私の質問ちよつと中断いたします。
  106. 尾崎末吉

    尾崎委員長 有田君の関連質問を許します。有田二郎君。
  107. 有田二郎

    ○有田(二)委員 外務大臣お尋ねいたしたいと思います。移民の問題でありますが、先般来中共から陸続と帰国になつておられます方々の中に、当時満州国の移民に行かれた方も相当多数おられるのであります。またこの日本の狭い領土の中に非常に人口がふえつつあるという事態もあわせ考えまして、われわれ今日独立国と相なりました以上、どうしても他の非常に領土が広くて人口の稀薄な所へ日本の移民を送るよう、各国の御了解を得るように政府としても努力しておられると思うのでありますが、今までの各国の移民の状況並びに政府としてこういう手を打つておる、また将来かくありたいというような政府の御所信を承りたいと思います。
  108. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 移民をぜひよけい送りたいというのは、人口問題に直接関係するだけに、送れるかどうかは別といたしまして、国民に希望を持たせるのみならず、通商関係その他にも非常に益するところが多いのであります。従いましてわれわれはいろいろな努力をいたしておりますが、これにはなかなか困難がありますのは、一つには、ヨーロツパ方面ではデイスプレイスド・パースンとかいいまして、たとえば、共産国家になつたために、そちらの方から亡命して来た人間等は、特に西欧諸国の同情で移民として南米等に送り出され、あるいはアメリカにもずいぶん収容されております。とういうものがありますのと、それから今度日本で送りました場合にも、費用が非常に多くなりまして、政府補助がみな必要なのでありますが、一人前の渡航費その他の補助の額が非常に多くなりまして、これはみな国民の負担になるわけでありますので、ある特定の人に非常に多額な補助をするということもなかなか困難な事情があります。しかしこれらの点は考慮に入れなけれなりませんが、できるだけ多く送り出したいという考え方はまつたく同感でありまして、そのために今法案の御審議を願つておりますが、外務省に海外移住局を設けまして、専門にこの仕事に携つて、また各省にもこれは関係がある、農林省にもありますし、その他厚生省にも関係がありますが、こういう各省の事務もここで総合して行いたいと思つております。そして実際にアルゼンチン、ブラジル、ペルー、チリーとか各方面、南米は多いのでありますが、その他できれば少数でも、南アジア方面にも人が出られるところへは送りたいと考えております。そこでこれらについては渡航費等の補助をやりまして、今年度も三億何がしの予算を計上しておりますが、これでは十分でありません。もしよけい移民が送れるようになりますれば、さらに予備費等によつて必要額を追加したいと思つておりますが、相手国の方でも、このごろは経費の節約のためでありますか、なかなか十分なることをまだしてくれません。大体元は相手国でもつて国内へ来てからの費用は立てかえて貸してくれたのでありますが、このごろはそれをやつてくれませんものですから、ますます経理がむずかしくなつております。しかしこういうところを克服いたしまして、できるだけ多く送るように、南米諸国とは話をしておりまして、ことしは昨年に比べると数は非常に多くなる予定であります。しかしこれについてまた問題は船でありますが、外国船で行きますと非常に高くつきますので、日本の船を改造いたしまして、これに充てたいと思つておりますが、日本船にも限りがありますので、この方面の制約も多少あるのであります。しかしわれわれとしては、移住局ができればなお一層努力いたしまして、とにかく一人でも多く送り出すように、今後とも力を尽すつもりでおります。
  109. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 次にお伺いしてたいと思いますのは、補給金政策についてでございます。米の二重価格制が盛んに今論議されておりますが、これは農家に対する生産費補償の考え方と、低額所得者保護の政策であることはもちろんでありますが、これと同じように、輸出補給金による二重価格制度は、国内物価が国際物価に比べて割高である、コスト引下げによつて中小貿易を保護する政策でもあると思います。先般来日本商工会議所あるいは経団連、輸出組合等より、強く当面の輸出競争上の必要に基きまして、特定輸出製品に対してそれぞれ二重価格制の設置を要望しております。補給金を出してもらいたいと要求いたしておりますが、貿易保護の観点から政府は補給金政策を採用する意図があるかどうか、またこれに対して研究をせられておるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  110. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。われわれ輸出貿易を担当いたしておりまする者といたしましては、何とかして日本のコスト高を世界と競争のできるように切下げて行きたいと思つおります。それにはいろいろ方法がございましようが、速効薬としますればこれはとうていできない。為替レートの引下げということもございましよう。その次に次善の策といたしまして補給金を出すということが相当有力に唱道されているわけであります。これにつきましては私ただいま検討中でございまして、はつきりした結論に達しておりませんけれども、補給金がある一つの製品に対して出るということでありますと、その波及するところが非常に大きいということ、もう一つ、その波及するところが大きいために、財政負担がどうなつて行くであろうかということも研究しなければなりません。また補給金を出して二重価格にして輸出貿易を伸張するということになりますれば、せつかく各生産業者が合理化をしながらやつて行つているものが、その合理化が一つはばまれはせぬかという心配もございまして、いろいろ慎重に検討しなければならぬので、まだ結論は出ておらぬ次第でございます。研究はいたしております。
  111. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 輸出振興のために大企業はいずれもコストを引下げようとしております。しかし現在の状況では、組合の力等も強いので、人的整理をしたり首切りをやるというようなことをしてコストの引下げはとうていできません。勢い下請工場にしわ寄せせられまして、ますます下請工場は困つておりますが、こうした中小貿易の危機を打開させるには、どうしても、補給金政策をとる以外に現在方法はないと思います。今通産大臣は及ぼす影響が大きいからとり得ないとおつしやいますが、しかし及ぼす影響が大きいから、私はこれはよく研究をして、特定の輸出製品に対してはただちに二重価格制度を適用されるのが一番いい手当だ、こう思つております。政府は、先般渡来したドツジ氏が竹馬の片足だという補給金政策の悪口を言つて以来、どうもこの補給金政策に対して熱意がない、研究しようともせられない感がございますが。現在の貿易振興についてはこの方途以外に方法はないと思います。この点経団連等の結論もそうなつております。従つて私は補給金制度については真剣にひとつ研究をし、そして保護政策を考えてもらいたい。こう思いますが、先ほど補給金制度の及ぼす影響が大きいともおつしやいましたが、また財政に及ぼす影響も大であるというお話でございますが、一体補給金政策をとつた場合どんな影響があるか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  112. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私が申し上げましたところの補給金制度をとつたときに影響が出て来ると申しますことは、まず財政負担がまかなつて行けるかどうかということ、これが第一次。第二次といたしましてはまず対外的に貿易に対してどういうような感じを与えるか。もし補給金を出しまして安くしたときに、まあそんなことも言うまいと思いますけれども、ダンピングしているというようなことになつても困りますし、そういうこともございますし、また先ほど申し上げましたようなせつかく孜々営々として自分の自力によつてコストを引下げる努力をしております者が、あるいはその努力を見合せはせぬかというようなことにもなります。しかしまつたくこれは研究を打つてそのことはやらないという意見ではございませんで、十分研究しつつやるつもりでございます。
  113. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 お説ごもつともであると思います。かつて補給金制度をドツジ氏が非難した当時はインフレ収束のねらいがあつたと思います。しかし今日ではそういう心配もないかと思いますので、どうしても輸出振興日本経済の重要な課題である限りは、輸出振興の唯一無二の手としてこの際補給金政策をぜひともとつていただきたいと思う。そこで直接補給金政策がとり得ない場合は、これは税と金融面から私は善処してもらいたいと思う。これについて大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたい。
  114. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 税につきましては、私どもの方におきましても御承知のごとく輸出しますものの物品税を全免しておりますことは申すまでもありません。さらに支店設置等の場合の設備の特別なとりはからい方を認め、またそのほかにも各種の滞り貸しといいますか、何かそういつた取引に関するものについて若干の特別な取扱いを認めております。そういうようにいろいろ税制についての特別措置を今度とつておりますが、しかし実はあまり、税制につきましても、たとえば西ドイツでやりましたように輸出品の生産者に対しては三%とかあるいは取扱い業者に対しては一%とかやりますことは、あれは早稲田さんも御承知のように相当物議をかもしていることは御承知通りであります。特に日本のアジアにおける事情と、西欧における西ドイツの事情とはちよつと違う点もございますので、まあ私どもとしては他国を刺激しないで、かれこれ非難されないで行ける程度でも税制については、十分な措置をとりたい、かように考えております。
  115. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 補給金制度をとる場合は、ただいま通産大臣は国際的非難を受ける点、あるいは財政上困るというような面から御研究をなされつつあるというお話であり、さうに大蔵大臣は税金面からの援助もやはり国際的非難の対象になるというような御心配があるようでございますが、私は補給金政策についてはなるほど統制の第一歩であり、現内閣としてはちよつとやりにくいと思います。さらに外国の非難を受けることもあり得ると考えますが、しかし税金の面やあるいは金融の面で援助なされることにはそう御心配はないと私は思います。すべからく物品税のみならず所得税の面においても、輸出品に対しては免税する、あるいは免税点をつくるというようなことをしていだたきたいと思いますが、そういう御意図があるかないか。
  116. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 外国において所得税を受けたものに対しまた日本の国内で二重にしませんようなことは、これは特別措置をとつていることは申すまでもありません。ただ税の措置といたしまして、輸出商に対する所得税を減免するかどうかというお話でございますが、さつきも申し上げました通り支店を設置する場合の特別償却を認めるとか、あるいは輸出品の取引から起つて来るものに対する特別な取扱いを認めるとか、こういうようなことの程度はよいと思いますが、所得税までそれが及んだ場合にどうでありますか、これはさらに検討してみたいと存じます。ただもし西ドイツがやつているようなぐあいに、輸出品の製造業者に対して、あるいは輸出品の取扱いに対して特別な減免をするということは、すでに問題になつていることは御承知通りでありまして、その問題になつたのを知りつつやることが、たとえば今ガツト加入等に対して日本が微妙な立場にある際、実はどうかと思つて、一口に言えばふんぎりがつかぬ次第でございます。
  117. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 御苦心のほどよくわかるのでありますが、ぜひともひとつ貿易振興のために何らかの手を考えていただきたいと思います。  さらに一つ要望い失したいと思いますことは、本邦の輸出関係の中で中小企業者が製造しております雑貨の輸出が相当量に上つていると思います。おそらくこれは全輸出量の四割を占めていると思いますが、この雑貨業者は多岐多端にわたつておりまして、なかなか輸出上に困難が多いと思います。そこで現内閣ではどうも統制の第一歩だからいやだと言うのが本音だろうと思いますが、どうしても組織化した雑貨の輸出をいたしますには、輸出振興法というような法律でもつくつていただいて、その法律に基いて貿易振興会社をつくる、その会社が一手に引き受けて、手形の割引も債務の保証も原材料のあつせんも、あるいは設備の貸付であるとか共同施設、海外の情報収集、市場の開拓というようなことは一手で貿易振興会社ででもやらせるようにしないことには、中小企業者のまちまちの手ではとうていやりきれないと思います。ここに日本の雑貨貿易の弱点があると思いますが、そういうような貿易振興法または貿易振興会社法というような新らしいもくろみをせられる意図は通産大臣にあるかないか伺いたい。
  118. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはちようど私が考えておつたことと同じという感じがいたします。私自身といたしましては、中小企業は非常に多種多様にわかれておりますけれども、日本経済の点から申しますれば、これは一番大事な問題でございますから、それをつくるものが、外国に出ますのにばらばらでございましてはできないことでございますから、何かそういうような振興法とまでは考えておりませんが、中小企業でつくつたものを輸出する場合には、何か一つの機関をつくつてばらばらにならないで、そうして値段もくずされないでやつて行く。同時にそれが行くためには金融方面相当めんどうを見るというふうなことも考えているのでございますが、まだ事務当局に研究さしている途中でございます。まだはつきりした結論が出ぬのは残念であります。
  119. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ただいまの問題については中小企業庁で御研究をなされているように聞いておりますが、ひとつ長官から御意見を拝聴したい。
  120. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 ただいま大臣が御答弁申された通りでございますが、私どもといたしましては、中小企業の貿易振興策の一端といたしましても協同組合というものを十分活用いたしまして、これによつて製品の合理化をはかり、コストの低減をはかるという方面にも使いますし、また注文をとるとかあるいは海外の情報等の収集等においても、労働組合なりあるいはさらに進みましては輸出組合なりの関係におきましても、大体の方向に持つて行けるのではなかろうかと考えております。なおお話のような構想につきましても研究を進めて参りたいと思います。
  121. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 貿易協定なんかなさる場合に、いつの場合でも雑貨が脱落している。これは雑貨輸出業者の嘆いておる点でありますが、一体なぜ貿易協定などなさる場合に雑貨を入れないのが、その理由を伺いたい。——御返事がなければ、私の方から言いますが、先ほどもちよつと触れましたように、大体わが国の貿易は高い原料を買つて安い製品を売るというような出血貿易をやつておる場合が多い。ところが雑貨のみはおおむね国内資源によつてまかなうのでありまするが、その扱い量は少いわけであります。数字は少いが、美質的な外貨獲得にはこの方が多いわけです。数量が少いのと業者に力がないために、いつも通産省においても、外務省においても忘れられると思う。ひとつ今後は忘れぬようにしていただきたい。
  122. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 詳しいことは存じませんけれども、貿易協定の中に雑貨も含めてあるという話でございます。これは調べましてあとから御返事いたします。
  123. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 お調べになるまでもなて、雑貨はいつも落ちておりまして、人づておりません。ひとつ銘記していただくようにお願いいたします。  次は、私の専門である税金問題をお伺いいたしたいと思います。もう時間か大分経過しましたので、なるべく要約してお尋ねしたい。  第一点は、シヤウプ勧告に基く日本の現行税制でありますが、この現行税法というものはどうも日本人の性格に合わないようでございます。私どもはシヤウプ勧告のある浩瀚な税法を読みますると、理論的にはなるほどと思われる節が非常に多い。しかし実際あの順境は申告納税制度については、日本人はどうも歓迎いたしておりません。わけても勤労者にひとしい中小企業者には、これくらい頭痛はち巻な問題はございません。一体大蔵大臣は現在の税制をいいと思つておられるか、日本人の実情に適するような税法に改正する御意思はないか、お伺いいたします。
  124. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもはこのシヤウプ税制も、あの時分において果した役割はあると思いまするけれども、全部が全部現在の日本に適しておるとは思つておりません。従いまして私どもはこの際特に根本的な、中央、地方を通じての税制の改正を行う必要があるように感じております。特に各種の地方交付金等の状況を見ますると財源が一部に偏在しておるような問題にたくさん出くわすのでありまして、こういう点から見ても、税制は根本的にかえる必要ありと私は考えております。従つてごく実際に適した、実情に即した税制の改正をするために、税制改正調査会というようなものを近くつくりまして、各方面——早稲田さんの御希望は中小企業の関係者も入れるということでございましようが、こういう人ももちろん入れます。そうやつて方面の人を網羅した税制調査会をつくつて、その結論をなるべく急がし、そうして早くこれを実行に移したいと考えております。もちろん今までもシヤウプ税制そのままでないことは御承知通りで、数回改正はして来ておりまするけれども、もつと根本的に、日本実情に合うように改正する必要がある、かように私自身は考えております。
  125. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ぜひそうお願いいたしたいと存じます。  最近の税金の徴収状況を見ますると、昨年よりは成績が上つたように思いますが、一体今どれくらいの滞納税金がありますか。
  126. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 主税局長をして答弁いたさせます。
  127. 渡辺喜久造

    ○渡辺政府委員 四月末現在で五百五十億でございます。
  128. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 五百五十億といえばなお相当な滞納額でございまして、こういうように滞納額が非常に多いということは、これは税法が悪いということを裏書きしているものであると思います。大体今の税法による税金の取立て方は、国民の生活費に食い込む。そのために滞納がふえて来ると思いまするが、近時源泉所得による税収入が非常にふえて来ている。昨年も一昨年もそうであります。大体自然増収であると称しまして、源泉所得が非常にふえる、わけても勤労所得が多いわけでありまするが、こういうもので増加いたしましたものを申告所得、すなわち法人税であるとかあるいは所得税の減税に充てている。これはどうもけしからぬことだと思いまするが、一体大蔵大臣はそれでいいと思つておられるか伺いたい。
  129. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 仰せの通り、源泉課税の方は非常に順調に行つております。だが申告所得の方はなかなか思うように行かない。これも御指摘の通りであります。しかしながらこれにつきましては、私どもの方でもこれを改正する案をぜひやりたい、かように考えておる。それで今度は適切なものをつくります。
  130. 尾崎末吉

    尾崎委員長 もう時間が超過しておりますので、他との振合いもございますから、なるべく簡潔に願います。
  131. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 今のお説によりますると、勤労所得など源泉課税でとるものはとりいいからとる、ほかのものはとりにくいから減らしてやろう、こういうことも受取られるわけでありますが、弾力性のない源泉課税、勤労所得をぐんぐんとつて、弾力性のある法人税や個人所得税の減税に充てるというようなことは、どうも不合理であると思います。先ほどおつしやつたように、税制全般にわたつて根本的な再検討を要すると思います。これについては税制調査会をおつくりになるというお話でありますが、もちろん中小企業者の代表、農民の代表、勤労者の代表を入れられると思いますが、はつきりお入れになるかどうかをこの際伺つておきたいと思います。
  132. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ちよつと私の言葉が足らなかつたかもしれませんが、私は、源泉課税のみをどうこうしない、そしてあとの申告所得の方をかげんする、そんな意味のことは毛頭申さないつもりであります。もしそういう響きがいたしましたならば、それは非常に間違つておるのであります。私の申し上げましたのは、税制については根本的改正をする、もちろん私どもも勤労所得者の税をなるべく軽減したいという考え方から、勤労所得者に対しまして常に特別の控除、そういつたものについてはだんだん増加して参つおることは御承知通りであります。ただ私が申したのは、申告の方後かくとりにくい点があるから、これをとりいいように税制を改正しようというのでありまして、その方をゆるめてやるといつたような考えで申したわけでは毛頭ありませんから、この点御了承願います。なお税制調査会の委員には各方面でどなたがごらんになつてもしかるべき人という人を私は良心的に選任しまして、諮りたいと思つております。
  133. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 勤労者の代表もお入れになるのでございましようか、はつきり伺つておきます。
  134. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいまのところ勤労者の代表も入れる考えております。
  135. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 ただいま大蔵大臣非常に気にしておられたようでありまするが、決して私は、大蔵大臣のお説のうちに勤労所得をそのままにして法人税その他を削るというようなにおいがしたわけじやありません。大蔵大臣のお説はよくわかりまするが、現実は、現在大蔵委員会にかかつている法案を見まずると、源泉課税についてはこれは減らしてございません。勤労者に対しては減らしてありませんが、しかし法人税や個人税は減らすという法律が出ているわけです。だから私は申し上げたわけでございまして、こういう点は、当然年々増収する源泉課税によるものもこれに並行して減らすような方途をとつていただくように、賢明なる大蔵大臣の御対策を伺つておきたいと思います。
  136. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 法案をよくお読みくだされば、さようなことはございません。ちやんと勤労所得に対しても控除率を増加し、勤労所得者に対してはむしろどちらかといえばよけい減らすことになつているので、全然ないと今仰せになりましたが、これは早稻田さんにも似合わぬことで、ひとつよく法案をごらん願います。
  137. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 これは申すまでもございませんが、なるほど若干の減額はしてありまするが、予算上からいうと非常にふえているわけです。そういう点から申しまして、均勢がとれていないということを申し上げたわけであります。  そこで次に移りまするが、本年すでに政府はそういう方途を講じていらつしやるが、さらに大幅な基礎控除あるいは免税点の引上げというようなことについて考慮を願いたいと思います。わけても零細企業の場合などは、これは所得でなくて、実際は勤労所得なんです。従つて大幅な控除の増額、免税点の引上げ等について所見を伺いたいと思います。9小笠原国務大臣 今の中小企業の方方に対しましても、たとえば今度五万に基礎控除を引上げていることは御承知通りであります。しからば今後はどうかということでございまするか、国の財政事情とこうみ合せて、国の財政の収入が必要とする——これは減税したいのはやまやまですが、一方で非常にたくさんの支出の御要求があつて、その資金の按分上、財政の措置上やむを得ぬことなのでありまして、私どももできるならばなるべく減税をいたしたい、この心持は終始かわりはございません。
  138. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 お説ごもつともとは存じまするが、しかし最近アメリカでは中小企業等を救う対策といたしまして、年間十万ドルの純所得まではこれを非課税にするという方法を講じております。さらにそういう場合、政府の歳入は一応減りまするが、そのかわりに雇用と所得の増加によつて負担は相殺されて、決して収入減にはならないということを、はつきりアメリカでやつているわけであります。日本においてもこのような考え方が今必要であると思います。先ほどシヤウプ税制を根本的に改正して、実際上不合理のないように、金詰まりの原因が重税であることを確認せられまして、審議会等をつくつて研究する、こういうお説でありまするが、そういう場合ぜひこれは取入れていただきたいと思います。すなわち勤労所得等におきまして減税を断行して実質賃金を上げてやれば、賃金闘争なんというものはないと思います。この間うちも賃金闘争があつて政府もお困りでありますが、これは税金が食い込むからであります。これを税金の食い込まないように減税をすれば、闘争などというものはあとを断つと私は思います。税金と賃上げの悪循環で、やがて生産コストの引下げが困難になる。こういうような点から考えましても、ぜひともひとつ地方、中央を通ずる税制財政の根本的刷新をおはかりいただきたい。この点は吉田首相も施設演説で強調されたのでありまするから、ひとつすみやかにそういう方途をとつて当面の税金苦を救つていただくようにしていただきたいと思います。  そこでさつき、基礎控除をちよつとふやしたがという、大分御自慢のようなお話でありましたが、基礎控除については私はこういう考えを持つている。はがきが一銭五厘でございましたときは、税金の控除は大体二千円でございました。現在はがきが五円でございまするから、ちようどこれは三百三十倍になつております。この勘定で行くと、はがきの一銭五厘であつたころに二千円であつた基礎控除は、今日この三百三十倍、すなわち六十六万円基礎控除せんければならぬことにならぬことになる。そうすると税金をとるところがなくなりまするから、今五万円や六万円にしていらつしやるが、これだけ控除したから、もうこれで国民はありがたく思えというようなお考え方は決して当らないと思います。こういう点についていずれまた御検討願うときがあると思いますが、時間がありませんので、私は最後に一つ要望だけしておきたいと思います。  これは中小企業関係の要望として、日本中小企業団体連盟の税制改正にあたつての要請でありますので、一応記録に残しておきたいと思います。第一点は、中小法人の資本蓄積を可能ならしめるため、その所得の最初の一定金価額五百万円未満につては税率を大幅に軽減することを御考慮願いたい。さらに第二点は、所得税軽減のため各種控除を引上げると同時に、中小企業者の所得は資本に対する利潤のみではなく、その勤労に対する報酬たる部分が多いのであるから、勤労控除に準ずる特別控除をお認め願いたい。第三点は、家族専従者控除適用の範囲を拡張しまして、控除額を年十万円にしてもらいたい。これは私から言えば六十六万円ですが、日中連は十万円を要望いたしております。第四点は退職給与引当金額算入の制度は、従業員十人未満の中小企業にも適用し得るようにしてもらいたい。第五点は、中小企業の組織化を促進し、経営の合理化に資するため、中小法人の法人性を否定するがごときに所得税法及び法人税法の改正を行わないこと。これは大蔵委員会でも問題になつておりまするが、現行改正法案を見ると、中小法人の、特に協同組合の法人性を否定するがごとき改正法案であることを特に申し上げたいと思いますが、こういうことをしないようにしてもらいたい。さらに事業体税、特別所得税は国税附加税とし、かつ税率を引下げること。これは先ほどもちよつと触れまして、大蔵大臣も賛成いたされましたが、シヤウプ税制改正にあたりましても、やはり日本人の性格に合つているものとしては昔の附加税制度の万がいいと思う。一枚の令書を出すと、国税も地方税もとれるというのが一番簡便で歓迎されると思いますので、こういう点をひとつ特に御検討を要望いたす次第であります。弟七点は、物品税を廃止すること。これはひとつあとで御返事いただきたいと思う。大蔵大臣は物品税は悪税だということはよく御存じですが、廃止する意思があるかどうか。毎年物品税問題で中小企業者はずいぶん難儀しておりますが、この点ははつきり伺いたいと思います。第八点は、第三次資産再評価を実施の場合は、中小法人の再評価を促進するため、再評価税を廃止すべきであるが、少くとも再評価差額の最初の一定金額については、税負担の軽減を考慮せられたい。以上が日中連の要望であります。私の質問を省略いたすために、この要望を申し上げて質問にかえたわけでありますが、今の物品税の問題はひとつお答えちようだいいたしたいと思います。
  139. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 税制については、さつき申した通り根本的にひとつ税制改正調査会でやりますが、ただ申し上げておかなければならぬのは、今何かアメリカで十万ドルまでは非課税だとおつしやつた。十万ドルというとたいへんなことです。年俸十万ドルという人間はアメリカでも幾人もあるまいと思います。私どもは全然耳にしたことはありません。大統領の年俸でも五万ドルであります。十万ドルというとたいへんなことですが、これは何かお間違いじやないですか。  それから今の物品税その他の問題につきましては、よく承つておきまして、私の方で考えます。但し物品税につきましては財源等の関連もございますので、ただいまのところある程度で忍んでいただくほかないと思います。
  140. 尾崎末吉

    尾崎委員長 先ほどの御質問に対しまして雑貨の問題で通商局次長から答弁をいたしたいとの申出がありますのでこれを許します。松尾政府委員
  141. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 雑貨の輸出計画につきましては、全体の輸出計画の中におきましてもかなり大きなウエートを置きまして考えております。先般御提出いたしました国際収支見通しの中におきまする今年の輸出計画十一億八千万ドルのうちにおきましても、五千数百万ドルの輸出計画を見込でおりますし、各国との貿易協定におきましても、できるだけ雑貨を買つてもらうように交渉をしつつあるわけであります。国によつて日本の雑貨についてあまり興味を示さない国もあるわけでありますが、日本といたしましてはできるだけ雑貨の輸出のできるようにやつておるわけでありまして、協定の形式によつて若干違いますが、附属の貿易計画において大なり小なりの雑貨を計上しているわけであります。特に台湾との協定におきましては、先方からも若干バナナ等を買う関係もありまして、わが方からはその金額より以上の雑貨を買つてもらうというような貿易計画になつておるわけでございます。繰返して申し上げますが、先ほどの貿易協定附属の貿易計画によりまして、雑貨というものは、おおむね計上しているわけでございます。
  142. 尾崎末吉

    尾崎委員長 早稻田君に申し上げますが、相当以上に時間が超過いたしております。他との振合い上当予算委員会では野党各派も非常に御協力を願いまして、理事会の申合せを非常によく守つて来ていただいたのであります。あまり大幅にこれを許しますれば他に影響いたしますので、その点堪能の早稻田君でありますからよく御勘案を願いまして、もう一間に願います。なおまた申し上げますが、明日から分科会が開かれますので、詳細な点につきましては分科会にお譲りを願いたいと思います。もう一問お許しいたします。
  143. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 委員長の仰せもありますのでなるべく簡潔にいたしますが最後に伺つておきたいことは、地方自治庁長官がおられませんが、大蔵大臣からひとつ聞いておきたいと思います。地方財政の年々膨脹するのを政府は一体何と見られるか。どこまで行つたらとまるかわからないような状態であります。首相も言つておられるように、地方財政については国家財政とにらみ合せてもちろん検討はなさると思うが、この際地方財政が国家財政のがんになる面が多いと思います。これは根本的に検討を加えなければならぬと思うが、所見はどうでございますか。
  144. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今日地方財政が膨張して八千数百億にも達して、日本の財政のほとんど八割以上にも逹するというような状況でありますることは、私ども非常に痛心いたしておる次第であります。従いましてこの地方財政をどう持つて行くかということについて、また地方財政がどうして膨張しておるかということについての原因等につきまして、今地方制度調査会で検討しております もうこれも相当長くなつておるから、この八月中には答案が出るということを自治庁長官は言つておりましたから、それらに基きまして適切な措置を講じたいと考えておる次第でございます。
  145. 尾崎末吉

    尾崎委員長 それでは午後二時三十分より開会することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十九分休憩      ————◇—————     午後四時十二分開議
  146. 尾崎末吉

    尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。大高康君。
  147. 大高康

    大高委員 委員長お尋ねいたしますが、郵政職員の給与体系是正に関する調停案につきましては、去る二月二十二日郵政委員会の決定に基き、予算委員会にこれが実施上必要な措置を講ぜられんことを申し入れておきましたが、その後委員会におきましてはいかがとりはからつておりますか、委員長からお聞きしたいと存じます。
  148. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいまの御質問に関しまして、この際御報告申し上げます。郵政職員の給与体系是正の調停案に関して、予算委員長あてに次の趣旨の申入れが参りました。本委員会は昭和二十八年五月二十八日公共企業体等中央調停委員会が勧告した郵政職員の給与体系是正に関する調停案は、内容調査の結果、両当事者において受諾することを適当と認める。よつて政府はすみやかに必要の措置を講ぜられたいという趣旨でございます。御報告を申し上げます。
  149. 大高康

    大高委員 今回の郵政職員の給与体系に関する調停案は、郵政職員の気の毒な待遇を緊急に必要ある限りにおいて最小限度是正する内容のものであります。しかも十分実態を調査し、現在少くともこれだけは実施すべきものであるという点にとどまつております。さらに調停案はこのことが他の一般公務員に波及すること、または他の公社等に波及することのないように波及することのないように配慮されております。元来調停は多少不備であつても両当事者が納得して問題の解決をはかろうとする誠意の上に、これをのんで行くということであります。労働関係を安定するという点から調停を尊重することが公企労法の精神であります。政府においては調停制度を是認する立場からも、また立法の精神を尊重する建前からも、予算化することが妥当な処置であると考えております。以上の理由からぜひ委員長におきましては、ただいま御報告がありましたように、今後これを予算化するように、なお一層の御努力あらんことを要望するものでございます。
  150. 尾崎末吉

    尾崎委員長 ただいま大高委員より御発言の御趣旨に沿うて、委員長において努力することといたします。  和田博雄君。
  151. 和田博雄

    ○和田委員 農林大臣から御尋ねしたいと思います。時間が非常に制約されておりますので、どうか簡単に要領を得てお答えを願いたいと思うのであります。  第一にお聞きしたいのは、来年度の食糧需給の大体の見通しであります。もちろん今は生産もはつきりとわかりませんが、大体どういうような見通しを持つておられるのか、その点をまずお伺いいたします。
  152. 保利茂

    保利国務大臣 お答えをいたします。二十八会計年度の需給計画見通しといたしましては、内地米の持越しが千四百九十二万、買入れ二千八百二十五万、合計四千三百十七万石と相なつております。外地米の方は、持越しを九十万四千、買入高六百七万、合計六百九十八万、なお砕米を加えまして、二十八会計年度の供給見通しは、合計いたしまして五千五十万四千石と見通しをいたし、これに対しまする需要の関係は、主食用といたしまして二千六百二十七万、加工用として百十七万七千、減耗その他を見込みまして二千七百七十七万、外米におきましては、主食用としまして六百二十八万一千、加工用十四万九千、減耗七万七千と見まして六百五十万八千石、なお砕米をこれに加えまして需要の見通し総額としましては三千四百五十九万六千石と見通しまして、従いまして、次年度への持越しを千五百九十万石、今年度へ持ち越しました千五百三十九万石に比して多少の余裕を見通しまして需給計画を立てているような次第でございます。
  153. 和田博雄

    ○和田委員 大体来年度への持越しはことしの持越しと大差ないということに了解していいわけでございますね。そこでやはり農林大臣とせられては、国内の食糧の自給度を高めるために、食糧増産のいろいろな施策は本年もおやりになるのであろうと思うのでありますが、予算にも載つておりますが、大体そのやり方については、今までやつて来た事柄のほかに、何か特に新しい方法でやるといつたような事柄が、予算面にでも現われておるのでございましようか。それともこの前の不成立になつたあの二十八年度の予算に盛られたものと、大体同じ方法で食糧増産をやつて行く、こういうように考えていいのですか、どちらですか、その点をお伺いしたい。
  154. 保利茂

    保利国務大臣 これは、大体は今までやつて来ておりました方向を、強く推進して参りたいと思いますが、さらに着実に増産目的を達しまする上に、くふうを要すべきものがあればくふうしなければならぬということで、検討をさらに加えたいと思つております。
  155. 和田博雄

    ○和田委員 これはちよつとこまかくなるかもしれませんが、事務当局の方でもわかつておりますれば、簡単に御答弁願いたいのでありますが、今いろいろ供米をやつておる農家がありますが、その供米農家の、いわば階層別といいますか、そういつた数字がわかつておれば、ラウンド・ナンバーでもけつこうですし、あるいはパーセンテージでもけつこうですから、その点ちよつとお聞きしたいと思います。
  156. 保利茂

    保利国務大臣 政府委員の方でも詳しいものを持つていないようであります。
  157. 和田博雄

    ○和田委員 私がこれをお聞きしますのは、一概に農家といいましても、米の生産農家だけをとつて見ましても、その生産量の非常に多い、いわゆる中農以上の農家もあれば、あるいは貧農階級もあるのでありまして、そういうような全国の農家が供出をしておるわけであります。従つて日本の場合においては、供米の数量からいえば十俵以下の零細農家が多いと思うのであります。これは同時に米の増産をやります場合にも、農林省としてどういうところを主たる対象としてやつて行くかということが、非常に大きな意味を持つて来ると思うのであります。農家といいましても、半分以上は米を消費しなければならないような農家もたくさんありますし、また農家の経営調査を見ましても、その収入の大部分——大部分というと少し言い過ぎかもしれないが、大半が労賃収入によつておる農家も多いのでありまして、そういうように今日本の農家は非常に階層別に分化をしておる、こういうような過程にあるときでありますので、生産をやるといいましても、従来通り平面的に、ただ耕地をふやすとかいつたような、あるいは反当収量をふやすというだけの方策を続けて行つてつたのでは、増産の見通しはすぐ限界まで来てしまうのではないかということを私は憂えるのであります。従いまして増産をやつて行きます上からいいますれば、もつと根本的に日本の農業の仕組みの中に入つて行つて、そうして生産力をふやして行き、同時に農民の労働の問題も解決して行くような方途をとられることが、実は必要だと考えるのであります。その点で一番問題になりますのは、長い間日本の農業で叫ばれておりますけれども、一向に政府として実績のあがらない面が私はあると思うのであります。それはやはり農業の機械化の問題だろうと思います。最近は非常にいい農業の機械ができておるわけでありますが、農業の機械化ということについて少し農林大臣にお伺いしたいと思うのであります。今農林大臣は、本日の農業の機械化においてどういう方面が一番機械化されておるとお考えになつておりますか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
  158. 保利茂

    保利国務大臣 日本の耕地構造が非常に小農場となつておりますから、従つて農業の機械化ということは、農業労働の過重から申しまして、特に農村婦人の過重等の現実からながめまして、できるだけ機械化、合理化を促進して参ることは大切だと考え政府におきましては従来——昨年度におきましても農機具等の助成につきまして相当力を入れて参つております。ただいま国会におきまして議員各位に農業機械化促進に関する法律案の御審議をいただいておるようでございますが、小農場とは申しながら、最も労働力を多く要しますのは、やはり耕耘の時期である。特に裏作を奨励して、土地改良等によりまして二毛作地帯がふえますれば、この表作と裏作で短期間に非常に多くの労働を要する。その場合に耕耘機等による機械化ということは最も必要なことであろう、そういう点に、あるいは融資の面、助成の面において予算上、相当力を入れるようにいたしておりますけれども、これでもつて十分だとは決して申し上げるわけではございません。ねらいとしてはそういうことであります。
  159. 和田博雄

    ○和田委員 今まで農業が機械化された面は、大体加工面が多かつたわけでありますが、今農林大臣お話では、耕作面にも直接機械化の手を進めて行きたいという話で、その点は私もそうなければならぬと思うのでありますが、この方向をとることは、従来政府のとつて来ておりました農業政策のやり方の重点を相当移して行かないと、なかなかこの機械化の問題は進展しないと私は思うのであります。日本農業の労働力の問題を解決しますためにも、今までのように、ただ手の労働を非常にたくさん注ぎ込んで、一番農繁期のときの労働力の需要量が、日本農村の労働所要量を決定するような、従来のやり方をこれによつてかえて行くべきでありますから、婦人の労働を農業から解放し、そこに新しい一つの農業の機構をつくつて行くことになるわけであります。そこで農業のそういう耕耘の面における機械化をやろうとしますと、今農林大臣が一言触れられましたように、農地の非常に小さな現在の状態、あるいは非常に多数の農家が貧弱な状態にあるこの現実、こういうような問題を何かの形で打破して行くことを同時に考えてやらないと、農業の機械化と言つてみても、機械化され、機械を取入れて行く農家というものは、今のままで進んで行けば、大体において中農あるいはむしろ中農以上の人たち、こういうことにだんだんなつて来やせぬかと思うのであります。ところが日本は、御承知のように、貧農が多いのであります。かような貧農について、同時に経営が機械化され、合理化されて行くためには、農業の組織の面でいろいろとお考えになる面がたくさん出て来やせぬかと思うのであります。農業の機械化ということを真つ正面から取上げて、この機械化を普及して行くということを今手がけられているわけでありますが、これは私も非常にけつこうであると思うのであります。同時に農民自体の組織といいますか、そういつた共同化という面についても、ごくふうがあつてもしかるべきだと思うのですが、そういう点については、農林大臣として今後日本の農業というものをどういう基盤において持つて行こうとされているのか、その点についてのお考えがあれば、承つておきたいと思うのであります。
  160. 保利茂

    保利国務大臣 お答え申します。伺いましてもかなり広い問題を示唆されているように存じます。たとえば機械化を促進して参ります、また機械の利用度を高めて行きます上に、たとえば耕地の交換分合を促進して行くということも、一つの面から見た問題だと私は思うのであります。従つて交換分合は耕作経済の上から行きましてもきわめて大事だとは存じますが、同時に、これは私は常に感じておりますことは、日本のような災害の頻々として起るところでは、一箇所にまとめて危険を集中するということは、今日の零細な農業を営んでいる形においては——平坦部においては一面災害防除の施設を講じて行けばいいと思いますが、同時にまた相当広い分野にわたつて、山間地帯の田畑という点も考慮に入れつつ、その点は考えて行きたい。なおまた今お話のように、主として機械化を利用して行くのは中農以上の農民に片寄つて行く。そういう意味から、協同組合による利用ないしは協同組合によらずとも、数人の共有利用というようなことに、意を注いで行くべきであろうというようにも考えておる次第であります。
  161. 和田博雄

    ○和田委員 耕地の分散が危険分散であるということは間違いでありますが、あえて追究いたしません。耕地が非常に狭いということ、また日本に山が多いということ、そういうことはもちろんあなたのおつしやる通りでありますが、日本がそういう状態にあるのを、機械化して行くためには、やはりその難関も同時に打破して行くことを考えなければならぬと私は思うのでございます。機械化の問題をただ平面的に考えておつたのでは、これはいつまでたつても進むことはないのでありまして、政府の今度の施策を見ておりましても、こういう基本的な問題に対して非常に冷淡といいますか、ごくわずかな予算をとつているだけでございまして、そうでない従来のしきたりのものだけに重点があるような気がして、ちよつとお聞きしたわけでありますが、やはり私は日本の農村の問題を解決する一つの糸口は、この近代化、機械化の問題を総合的に推し進めて行くことだろうと思うのであります。これらの問題につきまして、まだいろいろ詳しくお聞きしたいと思うのでございますが、まだ先の問題もありますので、いずれ機会があるときに、分科会か何かででも多少こまかく聞くことにしまして、きようはこの問題はこれで打切つておきます。しかし私は農林省とせられては、やはり農村の問題を解決して行き、農村問題を解決することと同時に、農民の生活を向上させて行くという方向に進めて行かれるとするならば、どうか農業政策をやられる場合に、農家というような一律な考え方ではなしに、農民についていろいろな層があるということ、そしてその農民の各層の要求がいろいろ違つているということ、しかもその違つているものをよく理解してやらないと、結局農業政策というものは、ちようど昔はどんな農業政策をやつても地主擁護に帰したことになつたと同じような結果が出て来るのじやないかと思うのであります。ことに私が最近憂えるのは、農家が非常に階層の分解をやつて来ている、いわゆる貧富の懸隔といいますか、それがだんだん大きくなつて来ているという感じを持つのであります。大部分が労働収入によるような農家がどなんにたくさんふえてみても、日本の農業そのものはちつともよくならないのでありまして、しかもその農業が依然として機械なんかを使わずに、たくさんの安い労力を使つて食糧の生産をしているというような状態では、将来はまことに憂うべきものがあると思うのであります。この点について農業機械化の問題を今度使わずかながらも農林大臣として取上げておりますので、なお一層この問題と真剣に取組んでもらいたいということを、私は希望として申し上げておきます。  もう一つは、これは水産の問題についてちよつとお聞きしたいのでありますが、われわれがまだ和平条約を結んでいない国との国交調整をすることが日本の前進のためには非常に必要だということは、繰返しあらゆる面で今までもお尋ねして参つたのでありますが、水産の方も私は同じだと思うのでありまして、たとえば北洋のさけ、ます流し網漁業あるいは母船式、こういつたような北緯四十七度以南でやつておりますいろいろな漁業について、今非常に制約を受けている。依然としてきゆうくつな状態にある。こういうような点は、政府として今までとつて来た外交政策がアメリカ一辺倒であつた結果でもありますが、こういう状態は、私はやはり国としては早く解消して行くことに、政府が絶えず努力をして行かなければならぬと思うのであります。ところがこの国会でいろいろ質問をしますと、総理大臣はまだ向うにたくさんの懸案があるのだから、それが解決しないうちは何ともならぬとか、いろいろそんな答弁をされて、一向にそういう交渉が進んでいるようにも思えないのであります。しかし漁民は毎日々々生活して行かなければなりませんし、また漁業を営んでいる企業家も事業をやつて行かなければならぬ、そういう状態でありますだけに、またいろいろとそこに事業上のトラブルも起つて来ておるのであります。こういう点については岡崎外務大臣には今までもずいぶんとお聞きして参つたのでありますが、漁業関係において、そういう国交調整について何か今具体的にやつておられるか、また今後どういう方針で、どのような段取りでやられて行くのか、はつきりとしておいていただけば非常にけつこうだと思います。  もう一つ、これも岡崎さんにお聞きしたいのですが、例の李承晩ラインの問題であります。これはこの前の国会でも非常にやかましい問題になりまして、各同僚が質問されたところでありますが、その後一向にこれが打開されたようにも見えぬのであります。いわゆる防衛水域というものを引かれて、日本の漁民が非常に苦しんでいる。朝鮮の休戦が成立しようとしているときに、日本としましてはこの問題についてどういう打開の努力をしているかということを、ひとつ御答弁願いたいと思うのであります。
  162. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 国交のまだ開かれていない国についてのさしあたりの漁業問題としては、ソ連、中共と、それから朝鮮とかインドネシア、フイリピン等があるのです。それで朝鮮とは、御承知のように、ただいま会談を続行中でございまして、これは魚族保護の意味でお互いに自制し合つて、仲よく漁業をして行こうじやないかという趣旨で、われわれはまとめようと思つてつております。そこで防衛水域の話でありますが、これにつきましては、ただいまのところは、日本の標識をつけ、政府から証明書を出した船を送るから、これについては特別の必要がなければ、退去等を命じないようにということを、国連側に申し入れてあるのであります。防衛水域はおそらく休戦会談が成立しますればなくなるか、あるいはあつても警戒の必要が非常に少くなると考えております。しかし一方李承晩ラインはこれと別にあるのでありますから、この方はただいま申したように、韓国との間の話合いでできるだけお互いに自制してやつて行きたい、こう思つております。フイリピンやインドネシアの問題は非常にむずかしいことはないのでありますが、これもときどき近海であるとかあるいは沿岸であるとかいうような議論で、問題を起しますので話はいたしております。中共とソ連との間の問題が一番むずかしいのでありますが、これにつきましては、われわれの方は常にサンフランシスコ条約を基本にいたしておりまして、たとえばソ連がこれに賛成であるならば、国交調整はむずかしくないと考えておりますが、さしあたりのところは、ソ連側の根本的の考えが違いますので、漁業問題なるがゆえに旧全体の問題を譲歩して、ソ連の言い分によつての講和条約を結ぶということも困難かと考えております。
  163. 和田博雄

    ○和田委員 漁業の交渉だけをやつて行くということはできないものですか。
  164. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはわれわれとしてはできますれば非常にけつこうだと思います。ですから決してやらないとか、やる必要がないとかとは申しません。しかしながら先方ではあの方面の防衛の関係もありましようし、それから主義としては、占領中にマツカーサーラインが引かれたわけであります。ところがソ連としてはまだ講和条約をつくつておらないので、このマツカーサーラインが存在しておるのだという建前をとつておりますので、根室のところからずつと元のマツカーサーラインの外に出ると侵犯だという態度をとつておりますから、この間の調整はなかなかむずかしいと思いますが、漁業だけについて話合いがつくならば、われわれは非常に歓迎するところでありまして、決してこの話合いをいとうものじやありません。
  165. 和田博雄

    ○和田委員 私はやはりそういう解決しやすい個々の問題をとらえて、政府としてはソ連とも交渉して問題を解決して行き、一歩々々前進して行く。ちようどチャーチルが言つたように、全面的に改正ができなくても、一歩々々やつて行くというような態度——ちようど貿易について政府はイデオロギーにかかわらずやるのだということを言つておるのですから、これはぜひやつて行つてもらいたいと思うのです。これはやはり積極的にいろいろとお互いに話をして行けば、それはすぐすらすらと行くとは思つておりませんが、やはり多少努力してやつて行くことによつて、具体的に問題はだんだん解決して来る面がかなり多いのではないかと私は思うのであります。たとえば貿易面をとつてみましても、漁船の問題でも、ソ連は漁船がほしい。中共だつて漁船がほしい。日本からいえば漁船は日本でつくれる。しかし今出て行かない。魚をとるそのこと自体でも、日本人は今までも非常に得意な面もありますし、ソ連としてもやはり必要な面もある。これは岡崎君もよく御承知だと思いますから、そういうことは述べませんが、どうか今のように、こちらとしてもできれば積極的にやりたいという意欲を強く持たれて、個々に解決してやつていただきたい、こう私は考えます。  それから立ちましたついでにちよつと岡崎外相にお聞きしたいのは、例のMSA問題ですが、この間本会議質問いたしましたときに、MSAを受けると、これは軍事援助を受けるのだから、どうしても日本の中国に対する貿易は、形の上では非常に困難になつて来る。おまけにバトル法は真正面から適用があるのかどうかという御質問をしましたときに、あなたは、バトル法は直接は適用がないということをお述べになつたのでありますが、私はやはり適用はあるのだと思うのであります。その適用を、日本政府努力によつてどれだけ緩和して行くかという問題はあろうかと思いますけれども、やはり、援助を受けている国は、アメリカと敵対的な関係にある国には実質的な援助をしてはならないということは、当然そこから出て来る意味なのでありますから、バトル法はやはり適用になつて来ると思うのです。ぼくはその点はやはりそう考えざるを得ないと思うのですが、いかがでしようか。
  166. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私もこの前の本会議では、バトル法の適用がないのだとは申さなかつた記憶なんであります。適用があるかないかは今後の問題で、交渉の結果であろうけれども、適用があつても、西欧諸国、イギリスやフランスにもバトル法は適用があるとわれわれ了解しておりますが、しかしながら、現に西欧諸国の方が日本よりも制限が緩和されてよけい貿易をやつていると言われているくらいでありますから、バトル法が適用になつたからといつて、それで制限がさらに加重されるということはないだろうと私は思つております。こう申し上げたのであります。
  167. 和田博雄

    ○和田委員 これは速記録を見ればわかることですから言葉じりはとらえませんが、今までのようにMSAを受けずにおつた時代においても、政府としては、ヨーロツパよりももつと強い制限をかけておられたわけなんです。それをだんだんと緩和されて来ておる。この間も四十六品目ですか、多少除かれて緩和しましたけれども、しかも今でも、ヨーロツパが受けている制限よりも日本はきびしいのではないかと思います。ですから私の心配しているのは、受けていないときでもそれほどなんだから、いよいよ正面から、今西欧か受けているようにバトル法の適用を受けるということになつて来ると、政府が今後いろいろと交渉されて緩和されようとするならば、今までよりもよほどの努力を払わないとできにくくなるのではないかと私は考えるのです。それでこの間のような質問をしたわけでありますが、MSAというものを受けることによつて正式にバトル法の適用を受けるということになれば、私はどうもその点がやはり心配になるのでありますが、そういう点は大丈夫なんでありますか。
  168. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は、MSAを受ける結果制限が加重されるということはないと思います。ないと思いますが、また、おつしやるように緩和する方向に今努力をいたしておりますが、それが十分に行かないといううらみが多少あるかもしれないという懸念はあります。しかし私どもの方としましては、パリのココムの会議におきまして、どちらから足並をそろえるかは別としまして、とにかく一致した歩調で同じことをすべきであるというふうに主張をいたすつもりでおります。
  169. 和田博雄

    ○和田委員 その主張は完全にできますか。バトル法を正面から受ける、そうすれば日本は、今までのような特別な待遇を受けずに、ヨーロツパ側と一緒にしろとということが言いやすくなるというようなことがあり得るでしようか。
  170. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は言いやすくなるとは考えておりません。言いやすくなるとは考えておりませんが、今までと特に違つた状況ではなかろうかと思つております。そこで、今までと同様の主張をいたして、とにかく日本の方が近いのですから、どうしてもこの日本から——こういう事情なんであります。つまり、中共は国連で侵略者とされているが、ほかの共産国家はそうじやないのであります。従つて、西欧諸国からほかの共産国家に送る品物は、中共に送るものよりも制限を緩和されている。そこでその西欧諸国から共産国家へ送つたものがさらに中共へ流れて行く、そのために制限の緩和されたものが送られて それがずつと中共に行くということになりますから、行き先のデステイネーシヨンを見ますと、中共に対する貿易は日本よりよほど緩和されているという結果になる。日本としては、共産国家に対する貿易というのはほとんど中共だけなのでありますから、直接に強い制限を受けておる。こういう結果になると思いますが、そこの間をもう少し調整できる可能性はあると私は考えておりまして、足並をそろえようというつもりでおります。
  171. 和田博雄

    ○和田委員 今の点は非常に重要な点でありまして、今あなたのおつしやつたように、西欧諸国からほかへ行くようなものがみな中共に流れて入つています。ですから、イギリスやその他の国の貿易が非常にふえておる。ところが日本は非常に近いにかかわらず、また民間の要望が非常に強いにかかわらず、結果的には非常に貧弱な状態であるということですから、今ほんとうにそこが緩和できれば、これは非常に日本の貿易にとつてはプラスだろうと思うのであります。その点は今あなたのお話ではできる見込みがあるということですから、私も、一応それはぜひそういうように努力して、その道を打開してもらいたいと思うのであります。私がやかましくこの問題を繰返して言うのは、今言つたような状態であると、結局日本がいざ貿易が正式にできるようになつたときにはもう手遅れになつてしまうからです。向うの生産計画の中へ入ればまた来年でも続く可能性があるものまでも、遅れれば遅れるほど非常に困難になつて来るということを実はみんな心配しているのであります。この点はどうか政府としては、最後までがんばつて、その点の打開にはぜひ務めてもらいたいと思う。  それから、これは国内問題で農林大臣にお聞きしておきたいと思うのですが、例の免許料、許可料の撤廃の問題であります。私のところにいろいろな陳情や請願が参るのでありますが、この免許料、許可料については、漁業制度の改革をやるときにかなりの無理があつたと私は思うのです。農地の場合と違つて、完全に所有権が移るものではないから、一応それを払つて、あとで代金をとつてそれを埋めて行くという行き方は、財政的な理由とかGHQとの間の関係もあつたか思いますが、考え方自体としては非常に無理だと私は思う。ですから、われわれとしては、これはとらない、撤廃するというのが筋だと思うのであります。今の情勢から言いまして、これに対する反対は非常に強くなつて来ておるし、政府としてもまた苦慮されておるところだと思うのでありますが、この点について、政府としては今どういう程度のことを考えておるか、その点をごく簡単でけつこうですから承りたいと思います。
  172. 保利茂

    保利国務大臣 これは和田さんが最もよく御承知のように、筋として無理があるように、制度としてもまことに通らないものがあるのじやないかと思います。ただ、漁業改革というすべての改革の際に伴う一つの弊害が現われて来る。まあ、ただいまとしましては法律の示しますところによつて徴収をいたしておりますが、必ずしも徴収成績もよろしくございません。従いまして、これは問題の本質にかんがみまして善処をいたす必要があるということで研究いたしております。
  173. 和田博雄

    ○和田委員 ぜひそういうように至急お願いいたしたいと思うのであります。それから保安庁長官ちよつとお尋ねしたいのでありますが、今まで、保安隊は戦力であるか戦力でないかといういろいろな議論がありましたが、この際ちよつとお聞きしておきたいのは、保安隊というものの隊の編成の上から言いまして、今の装備は、長官がごらにんなつてどの程度のものであるか。たとえば一個師団なら一個師団として、ちやんとその装備の均衡のとれた——あなたはおきらいでしようが、これなら十分戦闘、防衛ができるんだというようにあなたはお考えになるかどうか。また保安隊全体にわたつてあなたが均衡がとれた装備がちやんとできておるというのは、一体全体としてどのくらいの部分に当るのか、そういつたような点をひとつ具体的にお答え願いたいと思います。
  174. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。多少冗長になるかもわかりませんが、お聞き願います。  ただいま保安隊は、第一管区、第二管区、第三管区、第四管区というように四つの管区にわかれております。それから方面隊というのがありまして、これは直結部隊であります。これだけであります。それで、各管区とも、普通科部隊、特科隊、通信隊、衛生隊、偵察隊、施設部隊、こういうのを配属しております、そこでその編成はと申しますと普通部隊が中心になつてやつつておるのであります。これは近代的装備といたしましては、どうしても新しいものを持たせなくてはならない。ことは通信だとかあるいは施設、そういう面に重きを置きましてそれを配属しておるのであります。最もわれわれが重点を置きたいのは施設、通信、そういう点であります。ところでこれはなかなか技術面にわたることで容易でないのであります。しかし着々その整備は完了いたしております。現にこの間の北九州の災害にあたりまして、これはむろん若い人でありますが、普通部隊が出ておるのであります。それから何といたしましても、施設とか衛生、通信、これは一番必要であります。これらの点にふだんから重点を置いてやつておるわけであります。しかしこの部隊の編成につきましても私はまだ完璧であると申すことはできぬと思います。何といたしましてもいろいろ金のかかる面が多いのであります。通信機一つつくるにいたしましてもなかなか容易でありません。施設にいたしましても御承知通り昔の施設と違いまして、今は金がなかなかかかるのであります。しかしながらこれらの点につきましてもわれわれはできる限り難関を突破いたしまして、十分間に合うようにいたしたいとせつかく努力中であります。
  175. 西村久之

    西村(久)委員 長代理和田君、時間の関係がありますから結論をお願いいたします。
  176. 和田博雄

    ○和田委員 それではこの問題だけひとつ……。保安隊の今の管区、方面隊その他いろいろ聞いたのですが、そうすると武器としては今のままでもう十分他の武器以外の装備と均衡のとれた、たとえば一つの師団なら師団、大隊なら大隊として動いて行く場合に、十分につり合いのとれた、でこぼこのない、いわゆる自衛力として現在においては十分活動できるものだ、こういうふうにお考えになつておりますか。
  177. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。これは程度いかんによりまするが、まあとにかく今のままで行けるものと考えております。しかし私が常に申し上げます通り、これはアメリカから借りておるものでありまして、必ずしも日本人向きではありません。きのう辻さんからもお話がありましたように、M二四のことですか、今の特車、昔の戦車、これは日本の地形にはマツチしていないのであります。やむを得ずこれは訓練片として使つておりますか、これなんかも私は将来改善の余地があるんじやないか、もつと考えなければならないと思つております。
  178. 和田博雄

    ○和田委員 そこからいろいろな問題が出て来るのですが、たとえば兵器その他の点について十分つり合いがとれ、完全だということになつて来ると、MSAの関係はあまり重要さがなくなつて来る。日本としては妙な立場——私どもはMSAの援助を受けることは反対ですけれども、今まで政府の言つて来たことから言うと、きわめて変な立場に政府は追い込まれることになると思うのですが、きようは時間がありませんから、いずれまた総括質問なんかのときにその点は十分聞いただすことといたしまして、これで私の質問は終ります。
  179. 西村久之

    西村(久)委員 長代理 岡良一君。
  180. 岡良一

    ○岡委員 私は今日すべての国民がその実現を要求しておりまする社会保障制度の実現について政府の所信をただしたいと思うものでありますが、その前に一言大蔵大臣にお尋ねいたしたいと存じます。それは、最近新聞紙上などでもいろいろ物議をかもしております保全経済会の問題であります。先般午前の委員会にはいてもやみ金融に関していろいろと論議が尽されましたが、この保全経済会という名前において運営されておる匿名組合の組織、その数は相当あるようでありますし、その取扱い金額も四百億などと言われておりますが、この点についての大蔵大臣の御所信を承りたいと思います。
  181. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 岡さんのお尋ねの保全経済会とか、最近そういう性質のものが相当つて、しかも金額についてはいろいろ言われおります、多いものは一つで四、五十億集めておると言われ、総体では三、四百億にも達すると言われておるのでありますが、実は私の方でもこれは貸金業法とか何とかいうふうな特別な取調べをする法的根拠をまだ持つておりませんので、内容はまだ詳細にわかりかねております。
  182. 岡良一

    ○岡委員 商法の商行為の五百三十六条によりますと、「匿名組合員ノ出資ハ営業者ノ財産ニ帰ス」と相なつております。そういうことでありますからして、営業者の個人資産として、結局組合員が守られないというふうな結果になつて来るわけであります。このようなことについてわれわれはまことは不都合だと思いますが、大蔵大臣の御所信はいかがでありましようか。
  183. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この問題につきましては、先般ちようど一般の株式組織その他のものによるやみ金融の取締りと相まちまして、一ぺんこの関係を法律的によく取調べてもらいたい、そしてなおどういう点が法の盲点となつておるか、どういう点を改むべきであるかということを検討してもらいたい、こういうことを実は申してあるのでございますが、まだ私はそのこまかい答申に接しておりません。従いまして今日のところ、これを卒直に申しますが、その法的解釈は私はちよつとわかりかねております。
  184. 岡良一

    ○岡委員 同じく商行為の五百三十八条においては「出資カ損失二因リテ減シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員ハ利益ノ配当ヲ請求スルコトヲ得ス」こういうことにもなつております。そういうようなわけから、結局この保全経済会の名において無知識な大衆が犠牲となつて、悪徳者が利を博しておるというようなことになつておるのでありますが、要は、結局商法の大きな欠点がここにあるのでありまして、この際やはり大蔵省としても、預金者たる組合員を守るためにも、この商法の改正を英断をもつてお運びになるべきではないかと思いますが、その辺についての大蔵大臣の御所信を承りたい。
  185. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいま御答弁申し上げました通り、実はその問題は私も非常に気がかりでございまして調べてもらつております。調査が整いまして、これをかえる必要があるというときには——おそらくそういう結論に達するだろうと思います。法の盲点があつてそういうことが行われておるのだと思いますので、その点十分配意いたしたいと考えております。
  186. 岡良一

    ○岡委員 法の盲点は大体明らかだと思いますので、この処理については急速にお運びを願いたいと思います。  さて本論に入りまして社会保障制度の問題でありますが、御存じのように現在日本の国民の千世帯の中で四十五世帯が生活保護法の適用を受けております。千人の中で二十四名がやはりこの扶助を受けておる。こういうような統計の数字を見ましても、日本経済だけではなく、日本の国民生活というものが非常に底が浅い、非常に不安定であるということを明瞭に物語つておるわけであります。こういうような事態でありますから、当然日本政府としては社会保障制度の実現をできるだけ急がねばならないと私どもは信じておるのでありますが、本年度の予算を見ましても、社会保障制度に組まれておる予算というものは総予算の九%そこそこというようなことに相なつておりまして、これは国民の生活をこの制度によつて守り得るにはなかなか前途遼遠な気持もし、われわれとしては遺憾に感じておるのでありますが、大蔵大臣は、いかなる観点からこの程度で社会保障制度の予算を押えられておられるのか、その点を承りたいと思います。
  187. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今日の社会情勢から見まして、社会保障費の予算相当増額すべきものであると認めておりますが、本年度の財政配分の状況から見ますと、昨年より相当増加しておることは岡さん御承知通りであります。それで、ただいまのところの財政配分状況では、この程度でやむを得ぬと、実はかように考えておる次第でございます。
  188. 岡良一

    ○岡委員 昨年は、戦争犠牲者の援護費を含めての総予算に対する比率は、大体八%余であつたのでありますが、今年度もこれに比べて大してふえてはおりません。別にペダンテイツクなことを申し上げるわけでもありませんが、最近ものの本を見ますと、西ドイツのごときは、社会保障の費用が昨年度においては三〇%を越えておる。軍事費も三〇%を越えておる。これはあながち西ドイツばかりではなくて、各国における社会保障制度への力の入れ方を見ますと、もはや国民の生活を守ることは、国の平和を守ることとシノニムというような、非常に大きなウエートがかけられておるのであります。そういう点から見まして、日本が単に財政規模がなかなかそこに至らないということだけでは私どもは納得ができないのでありますが、その点大蔵大臣としてはまだまだひとつふんばつていただきたいと思います。この点重ねて大蔵大臣の御所信を伺いたいと思います。
  189. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ちようどお手元へも差上げてあると存じますが、この数字に基きましても、昨年二十七年度の五百六十三億に比べまして、本年は七百十億で、百四十七億円を増加いたしております。なおそのほかに五百億円、軍人恩給遺家族等に対する分もございまするので、私どもとしては昨年よりは相当これに努めた心持でございます。けれどもこれをもつて十分であるとはまだ考えておりませんので、今後ともこの社会保障の問題には、相当予算の配分等に努めて参りたい所存ではおります。
  190. 岡良一

    ○岡委員 今申しましたように、昨年度のパーセンナージにつきましても、私は五百六十余億の一般の社会保障制度費のほかに、遺家族等に対する援護費を加えたものが、総予算に対するパーセンテージがなお八%余りである、こう申し上げたのでありますが、数字のことについてはそうとらわれたくはないと思います。とにもかくにもああして大幅な社会保障制度費、軍事費に対応するような社会保障制度費をもつて、国民の生活を守つておる西ドイツが、今日大蔵大臣も御存じのように、ぐんぐんその経済復興においても、貿易の伸張においても見るべき成績を示しておる。この国では、言うまでもなく労働者の経営参加権を認められておる。ところが日本では、今日われわれが眼前に見るように、スト規制法をめぐつて国会がデモに取巻かれておる。実に思い半ばに過ぎるものがあるのでございまして、われわれはこういう点から考えましても、いかに国力の充実、あるいはまた生産の増大、経済の自立と申されても、やはり生産の根本の要素は働く労働者であり、農民であり、また中小企業者でありまするので、しかもこれが先ほど申しましたように、非常に底の浅い、不安定な生活の間に間にただよつておる。これに対しては政府としても思い切つた社会保障の手を差い延べるということが、今日の当然な政府の任務であろうと思いますので、この点は十分今後ともひとつ御勘案願いたいと思います。  なお飛び飛びになりますが、大蔵大臣にお伺いいたしたいことは、これもいろいろな委員会で物議の種になつておりまするが、例の厚生年金保険の積立金の問題なのです。これは御存じのように、やがて七百億にもなんなんといたしております。しかも年々百五十億余の増加が見込まれておることも御存じの通りであります。これが今日、本年度予算においては、どの程度に労働者の福祉に還元されておるのか、この数字を承りたい。
  191. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 すべての予算が、一切の国民の利益のためでございますが、直接のものについて申しますと、勤労住宅費二十五億円でございます。
  192. 岡良一

    ○岡委員 保険勘定の財政法規を見ましても、労働者の福祉に、被保険者の福祉に還元することができるとうたつてあるのであります。今お話のように、わずかに二十五億というようなことでは、私どもは納得ができないのであります。少くともこれは法律によつて、労働者としては義務的に源泉徴収の課税のような形で取上げられておるものでありますから、言つてみれば法律によつて強制された、強制貯蓄といつてもいいものです。こういうものが七百億も積立金としてあり、しかも年年百五十余億の増を示しておる。これはもつともつと今ただちにともいたしかねると思いますが、やはり二十五億というような低調なものではなく、もつともつと大幅に、これは漸を追うてでけつこうでありますが、特に何か別途のフアンドを設けて、七百億をまるまるとは申しませんが、かりに百億でも二百億でも、やはりこれはフアンドを設けて、そのフアンドを民主的に管理をしながら、これはもちろん当然私は支払わなければならぬ事実もあるのでありますから、その安定は十分に考えなければならないと思いますが、別途のフアンドを設けて、民主的な管理のもとに、労働者の福祉に還元する、こういうふうな御構想がないでありましようか、お伺いしたい。
  193. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 岡さんの仰せになる点はよくわかります。なお地方債を引受けておる点もあることをちよつとさつき忘れておりましたが、これは私の考えを率直に申し上げるのでありますが、お考えはよくわかるのであります。しかしその財源とこれを使う予算と申しますか、財政投資と申しますか、その投資とを、あまり厳格に結びつけますと、——ある程度のことは必要と思いますが、これをあまり極端に結びつける場合を想像してみますと、かえつて一国の面、国民全体の面から見れば、よくないじやないかという点もないではございません。そういう集まつた資金を、どの方面に財政投資をすべきかということは、やはり国全体からものを考えなければいかぬのじやないか、かように思いますが、しかし仰せになる点は、よくわかるのでありまして、将来はこの方面に努めて参りたい所存でございます。
  194. 岡良一

    ○岡委員 大蔵大臣はお急ぎのようでありますから、重ねてお願いをいたしておきたいと思うのでありますが、ともあれしかし、法律上源泉徴収の課税のような形で、義務的に積み立てておるものであり、いわば労働者の大きな負担において、強制的な貯蓄となつておるようなものである、こういうものは、何も直接に結びつけるつけないというようなことではなく、やはり政府の好まれる筋を通した活用ということで、まるまるでなくてもけつこうですが、これも他国の立法例などを見ますと、スイスでもフランスでも、一般の財政投資にこれは流用しておりません。こういうものは、当然政府の方で何とか労働者の福祉に還元するための積極的な手を打つべきではないか。勤労者住宅にいたしましても、今日二十五億、住宅金融公庫の出資にしても、大体公営住宅というものの増設計画がだんだん低調になつて、結局個人の出資による住宅難になつておる、しかも住宅は、年になお三百万戸近いものが不足しておる、でありますから、住宅の場合でも、もつともつと勤労者の住宅のための資金にこれを放出していただきたいし、あるいは将来労働金庫法などができましても、やはり預託制度その他によつて、この金庫法の運営のためにも活用される、いろいろ手はあると思いますが、今後そういう点を十分に御活用を願うように、この際お願いをいたしておきたいと思います。  では、大蔵大臣に対しての質問はこの程度にいたしまして、経済審議庁岡野さんに尋ねたいと思うのであります。この間の予算委員会で、わが党の河野委員からの質問に、岡野さんもまことにその通りであるということを御答弁になつておられたのでありますが、要するにわれわれとすれば、今日経済の自立をはかるとすれば、いわゆる二律背反的な矛盾した条件の中で経済の自立をはかるとするならば、重点的に行くべきである、あるいは鉄鋼であるとか、あるいは電力であるとか、あるいは食糧、こういうようなものを中心にして、またその周辺には化学肥料なり、化学繊維なり、造船なり、石炭を配置させながら、あらゆる生産の要素というものを、組織的に計画的に動員し得るような、年次的な経済建設計画を立つべきである。こう河野氏は申したのであります。これには岡野長官もきわめて同感の意を表しておられましたが、先般新聞で見ましたところの、いわゆる岡野試案といわれておるあの長期経済計画なるものは、目標数字を羅列したようなものにすぎないのであつて、われわれは非常に遺憾に存じておるのであります。この点岡野審議長官の御意見を聞きたい。
  195. 岡野清豪

    岡野国務大臣 新聞でごらんを願つた私の長期計画というのは、どの点でございましようか。私は経済安定委員会と通産委員会で、一応私の考えを事務当局にまとめさせました、いわゆる中間報告なるものを、御説明申し上げた次第でございますが……。
  196. 岡良一

    ○岡委員 それです。
  197. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それにつきましては、むろんあれは中間報告でございまして、まだ年次的なものもできておりませんし、十分なものもございません。一応こんなことを考えておる、同時に、これに対してどういうものをつけ加えたらいいだろうか、どういうふうにしたらいいだろうかということを、皆様方に御鞭撻をいただきまして、あれを更正して行きたいと存じます。またあれだけにつきましても、年次的な計画はまだ十分にやつておりませんので、内容的には、御説明する点まで行つていないような次第であります。
  198. 岡良一

    ○岡委員 私が特にこの点を長官にただしたいのは、私どもがいかに社会保障制度の実現を申しましても、要はやはり国の経済の、生産の増大ということと、完全雇用計画というものが並行的に解決されなければ、社会保障制度の本質的な実現がないという立場から、実は長官のさらに具体的な御説明を承りたくて、お尋ね申し上げたわけなんです。それでは、その中間報告に載つておりまする分で、こういうことが載つておりまするが、これはやはり長官の試案なのでございましようか。たとえば雇用計画に関して、人口は三十二年には九千一百余万人になる。しかも雇用は、総人口に対する労働人口の割合を現状通りとすれば、労働力人口の増加は、経済規模の拡大で吸収し得る、こういうことが記載されておりますが、これはやはり長官のお考えでありましようか。
  199. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。この積算の基礎は、もし御必要でございましたら、政府委員から御答弁申し上げます。結論といたしましては、あの計画で参りますと、産業活動が一二%ぐらいふえることになります。そして人口が四%ぐらいの増加になるから、産業の振興と基盤の拡充ということにおいて、大体雇用は支障なく行く、こう考えておるのでございます。しかし先ほども申し上げましたように、まだ年次的に探究をいたしておりませんが、ああいうふうに積み上げてみまして、五年先のことを考えますと、ちようど経済の活動力というものが一二%進んでおる。それから人口の増加は四%にしか当らない。今程度、もしくは今以上の雇用関係がなければならない、こう断定したわけであります。もし御必要でございましたならば、詳しい人口増加の数字を政府委員から御答弁させましよう。
  200. 岡良一

    ○岡委員 詳しい資料等は、いずれ後の機会に見せていただくことにいたします。経済建設計画には必ず雇用計画が伴わなければならない。この両者が並行的に解決されない限りにおいては、社会保障制度の実現は、いかにうたつても意味のないことであるという立場から、私は申しておるのであります。実はこういう中間報告なるものにおける労働人口、その吸収に関する見通しでございますが、この点に関しても、日本の人口動態に対する認識が、非常に誤つておると私は思う。単なる総人口の増加ではなく、日本の人口増加の特徴は、ここ数年来、生産年齢人口が非常に急激に上昇しておるということは、長官も御存じだと思う。現にまた、今日でもすでに政府に登録されておる、いわゆる完全失業者に類するものも五十万近くあり、あるいは半失業者というものも八十万近くある。あるいは現在どうやら農村の封建的な家族扶養の形において、一応潜在しておりますけれども、いわゆる次男坊、三男坊対策で物議をかもしておる農村の遊休労働力というものも相当ある。こういうものは、今のような形で大づかみにつかまれますと、ねずみ算的にだんだんこれがふえて行く結果になる。こういう点をやはり雇用計画というものを、板いついた、責任のある計画としてお建てになるときには、単なる数的な総体としての人口増加ではなく、日本の今日の産業、半失業者、潜在失業者の状況、あるいは増加する人口が、生産年齢人口において幾何級数的にふえて行こうとしておる今日の人口動態の実態に即した、雇用計画を並行された、そうした経済建設計画をお立てになるように、ぜひともお願いいたしたいと思います。  それでは外務大臣がおられますので、外務大臣の御答弁を煩わしたいと思います。これも大臣の御存じのように、去年の六月に、ジユネーヴでILOの総会がありまして、この席上には、日本からは労働省の次官も御出席であり、労使の代表をそれぞれ出席して、そうして社会保障の最低基準に関する条約を採択しておることは、御承知通りであります。この条約につきましては、実は今年の一月の、ラングーンで催されましたアジアの社会主義者会議においても、全会一致をもつて、アジア各国の政府がぜひともこれが批准をなすように勧告しようということが、決定されておるのであります。本条約の内容については一々申しませんが、社会保障を九つの部門にわけて、そのうち三つの部門が基準に達しておれば、この条約は批准ができるごとになつておりますが、わが国ではすでに十分にこの条約を批准し得るだけの資格を持つておる。ただアジアの諸国では、遺憾ながらまだこの条約を批准し得るだけの社会保障制度を、国内的に整えておる国はない。そういう意味からいたしましても、わが国が一日も早くこの条約を批准をし、社会保障に対する熱意を加盟各国に示すだけではなく、今日アジアの貧困を克服することが大きな問題になつておるときに、わが国のこの決意のほどをアジアの諸国にも示す、こういうことは、単に条約の批准の手続上の問題ではなく、政治的にも非常に大きな意義がある、こういうように私どもは信じておるのであります。外務大臣としては、この条約批准のために、国会に承認の手続をおとりになる御意思はあろうと思いますが、できるだけ早くこの手続をとつていただきたいと思います。外務大臣の御所信を承りたいと思います。
  201. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 御承知のように、ILOの労働総会できめた条約案等は、一年半のうちにそれぞれの国内の権限ある機関報告するということになつておりまして、それはつまり日本においては国会に提出することになります。そこで今年の暮れまでにその手続をとるかどうかをきめるわけであります。ただいまのところは、主管省である労働省で、これがわが国実情から見て適切であるかどうかということを研究をいたしております。その研究が済みますれば、政府としては、今年の暮れの期限の来る前までに、その態度をきめて、国会に提出するなり、適当な措置をとるつもりでおります。
  202. 岡良一

    ○岡委員 厚生大臣がお見えになりましたので、さつそくですが、お尋ねをいたしたいと思います。先ほど来、私は経済審議庁長官である岡野長官に対しまして、経済建設、これをぜひともその樹立を急いでもらいたいし、またそれには必ず責任のある具体的な雇用計画が伴わねばならない。生産の増大と雇用の増大、この二つの問題が同時的に解決されるときに初めて日本における社会保障制度というものもその実を結ぶのである、こういうふうに実は申し上げて、大臣の所見を聞き、私どもの要求を申し上げておつたのでありますが、私が厚生大臣の所見を求めますのは、やはりこういうふうに経済建設計画が樹立される、これに裏づけとなる雇用計画も策定される、これと同時に並行して社会保障制度の年次計画というものが伴わねばならない。ここに初めて生産の増大と雇用の増大と、そして生活安定への政府の顧慮、これが三位一体とならねばならない。これが社会保障制度実現への正しい大通りであると私どもは考えておるのでありますが、現にフランスのごときにおきましても、やはりモネ。フランによつて生産増大をやるとともに、やはり生産大にスライドして年金の引上げをやるという自動的な社会保障制度の完璧を期する制度をやつて、現に実現に移しつつあるのであるが、われわれは社会保障制度を実現するのには、やはり経済建設現実的なプラン、それを裏づける雇用プラン、それに伴う社会保障制度の年次的なプラン、この三者が一体的に結合されるように厚生大臣としてはお考えになつていただきたいと思うのでありますが、この点についての大臣の御所見を承りたい。
  203. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 社会保障制度に対して、政府は年次計画を持つかどうかという御質問であるやに伺いますが、社会保障制度の推進に関しましては、社会保障制度審議会が二回にわたつて勧告をいたしております。なおまたその実施に関しての勧告もあります。従つて政府といたしましては社会保障制度審議会の勧告の線に従つて、国家財政の許します範囲で、その推進に対しては努力をいたして参つておるのであります。これに対して年次計画を打つかどうかというお尋ねでありますが、これは年次計画と申しましても、たとえば結核のごときは昭和三十年までに十九万床という一応の計画を立てて、五箇年計画でやつております。それに対して本年度も予算上一万床の増床あるいはいわゆる結核療養所に対する公正病院等からの三千五百床の転換、それらの計画をもつて、大体昭和二十八年度末までにおいては十四万八千床に相なります。従つてこの五箇年計画というものは——いわゆる社会保障制度は御承知通り大体社会保険、それからいわゆる公衆衛生、国家扶助、社会福祉、この四つが大きな面でありますが、そのうちのいわゆる公衆衛生の面においては、さような点から一応の計画を持つておる。たとえばなおまた公衆衛生の面からいいますと、保健所は大体十万人単位で一箇所という計画も社会保障制度審議会の勧告にありますが、これは大体十一万人対一ということになつております。なおまた社会福祉の面におきましては、それと同様の単位で社会福祉事務所を置くようにという勧告もありますから、大体その線に沿つて予算措置をとつておる。なお社会保険につきましては、勧告の中にあります通り、現在国家財政の点から見れば、まずもつて社会保障の中核をなすものは社会保険である。しかも社会保険の中核をなすものは国民健康保険である。従つてとりあえずこの社会保障従つて社会保険、その社会保険の中核である国民健康保険に対して給付費の国庫負担の道を開くべきであるというのが勧告の線でありますから、これまた国家財政との関係も見て一割五分の給付費負担を開始いたさんとしておるのであります。さような意味で厳格な意味における年次計画は立てておりませんけれども、たとえば社会福祉の面におきましても、社会福祉事務所の面あるいは母子家庭に対する援護あるいは対策も御承知通りつて来ておりますから、一応社会保障制度審議会の答申というものを頭に置きつつ、国家財政の点をも勘案いたして、年次計画を立て得るものは結核対策のように立てますし、その他の点は大体勧告の線を頭に置きつつ、厳格な年次計画ではございませんけれども、その線に対しては推進いたしておる次第であります。
  204. 岡良一

    ○岡委員 年次計画については別に結核病床の増設計画のように何年度何床というわけには行きますまいが、やはり並行的に問題を解決しようという心組みのもとに社会保障制度という体系の整備をはかつて行くという観点から——特に私は年次計画と申しましても、多少誤解がありまするが、今申しました年金の問題なんです。年金の問題で、たとえばこの十一月からは石炭山の坑内夫は厚生年金の支給を受けることになつておる、ところがこれは今の法律では一箇月に百円しかもらえない、年間千二百円しかもらえないのです。およそこれは現在の物価事情と比べましてナンセンスになつておる。今度は政府の方でも厚生年金法の改正をなさりましたが、一番かなめな給付の金額そのものを物価にスライドして——せつかく被保険君たちが自分の乏しいふところからかけておつたこの積立金の中から、今少しく現状に即したものを期待しておつたにかかわらず、月百円というナンセンスとしか思われないような給付しか受けられないことになつておる。この点年次計画というよりももつと端的に今日の物価事情、労働者の生活実態に即した給付を断行すべきものであると思うが、一体この問題について厚生大臣はこれをいつ解決される御所存であるか。
  205. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 社会保険に関しては、本国会におきましても健康保険の適用範囲の拡大、あるいは標準報酬の引上げ等をいたして来ておるのであります。なお厚生年金につきましては、仰せの通り本年末から坑内夫について少数のいわゆる年金の支給が開始されますが、これに関しては御承知通り労使双方から保険料を出してやつております。従つて厚生年金の保険の改正に関しましては、労働者側においても、今仰せのようないろいろ意見がありますと同様、現在経営者側においても、あるいはそれ以上のいわゆる日本の現在の経済の運営の困難の点から見て、ことに現在の健康保険の範囲拡大あるいは療養期間の一年延長、あるいは標準報酬の引上げ等に対しましても強い反対があつたのであります、これはいわゆる国民医療の点から見て、政府はさような反対がありましたが、押し切つてこの国会に提案をいたしておるような次第であります。しかしこの厚生年金に関しましては、まだ労使双方、ことに経営者側においてはいろいろな点において相当のいわゆる意見があります。しかし政府といたしましては、今お説のような点につきましては、たとえば今回一部標準報酬を引上げておりますし、いろいろな点において標準報酬が上りますれば、かりに保険料が同一の率でありましても、すでにいわゆる厚生年金の給付の内容をよくするだけのことができるわけでありますから、ただ今申したような労使双方にいろいろな意見が対立いたしておりますので、政府は公正な立場に立つてこれらの点を検討いたして、できますればできるだけ早い機会にこれの改正案を国会に提出いたしたいと思つて、ただいませつかく検討中であります。
  206. 西村久之

    西村(久)委員長代理 時間の関係がありますから、結論を急いでください。
  207. 岡良一

    ○岡委員 厚生大臣の御答弁にちなんでですが、これはすでに日経連の方でも、この間の新聞に厚生年金の給付の引上げは反対であるという発表をしておる。しかし考えていただきたいのは、大体社会保険というのは、なるほど財政的負担というものについては労使双方がやつておりますけれども、保険制度そのものの目的は労働者の保護にある、労働者の福祉のためのものである、従つてこの行政の責任の衝にある厚生大臣としては、今の御答弁では日経連の方がやかましいから、月に百円でがまんしてもらわなければならぬというようなことでは私は困ると思うが、この点法律の改正をしなくては引上げることはできない、早くやらなければ十一月はもう迫つておるのであるが、一体いつなさるおつもりであるか、お尋ねしたい。
  208. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 私は先ほど日経連の意見があるがゆえにこの改正が遅れておるとは決して申しておらぬのであります。日経連の意見にかかわらず政府は公正な立場において今回の健康保険その他の内容の改善にあたつては、さような反対を押し切つて今回の改正案を提出いたしておるのであります。この点は誤解のないように申し添えておきます。なお坑内夫について一部養老年金が起つて参りますが、お話のような百円程度で年千円ということには相ならぬと思つております。これは当然法律の改正を要しますが、その予算的の措置は、一応本年度はごく少数でありますから、移用金その他の措置でもつて遺漏のないようにいたしたいと思つております。
  209. 岡良一

    ○岡委員 時間の関係がありますので簡単に三点だけ伺つておきたいと思います。一つは今お話に出ておる年金問題でありますが、私は日本の社会保障制度は大体立法的にはもう年金の立法が山になつて来ておると思う。これは現に恩給法の改正、いわゆる軍人恩給の復活等の問題、あるいは人事院でも国家公務員に関する退職年金法の新しい制定がすでに発表もされておるようである。しかしここでわれわれが考えたいことは、今日の日本の年金制度というものは、いろいろな点でいわばその発生の歴史から見ての矛盾がそのままに今日まで残存しておる。現に文官恩給について見ましても、明治初年のいわゆる終身官を想定した、まことに恩恵的な制度がそのまま温存されておつて、近代的な社会保障の立場というものがあまり考慮されておらないように見える。現に今日復活されようとする軍人恩給を見ても、古色蒼然たる階級差というものがそのままに温存をされておる。また国家の補助などについて見ましても、厚生年金は給付費の一割、文官恩給では八割、軍人恩給では全額が国庫の負担というふうに、国庫の処遇についてもきわめて不均等である。しかしこれらの国庫負担を負担するものはやはり農民であり、中小企業者である。やはりひとしく国民がこれを負担しておる。新しい社会保障制度の概念からするならば、やはりこうした農民や中小企業者や、みずからの税金によつて他の部分の国民の老後の保障をささえている者が、何らの老後の保障がないということは、日本の年金制度の根本的な欠陥であると私は思う。そういう点で正しい社会保障の理念に基くならば、現在税金だけは負担して、しかも何ら老後の生活の保障を受けておらない農民だとか中小企業者にまでも、やはり年金制度というものは広めなければならぬ。従つて退職金やあるいはまた公務その他に基くところの災害の補償というものは、今日やはり別個に切り離したところの制度をつくつて、とにもかくにもやはり年金制度の体系化の前提としては、一番税の補助を受けておる年金制度は全国民を包括する、こういうような構想の上に立つて、逐次国民年金制というふうな形に、今日の年金制度を持つて行くということが当然に必要であり、またその段階に今日は来ておると私どもは見ておるのでありますが、厚生大臣の所見を承りたいと思います。
  210. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 国民年金制度に関してはいろいろ政府にも、その国情、経済状態に関連して論議があります。私は国民年金制度というものは一つの理想としてはけつこうであろうと思いますが、日本の現在の社会状態、ことに経済情勢から見まして、国民年金制度をただちにしくということにつきましては、まだ疑問を持つております。ことに社会保障制度審議会におきましても、その勧告のうちに、ただちに国民年金制度を取上げてこれを実施せいとは言つてないのであります。社会保障制度審議会の勧告の中には、国家財政とにらみ合せてこの際は社会保険の面においては国民健康保険を中心にやるべし、年金制度等は将来の理想としては可であるけれども、ただちに実施はしがたいであろうということを言つておるのでありますから、お説は拝聴しておきますが、国家財政の見地その他から見ましても、ただいまただちに実施をするということは困難であろうと思うのであります。
  211. 岡良一

    ○岡委員 社会保障制度の第一次の勧告は、仰せのごとく被用者についてはその金額は二千円ということを指定しておりますので、とりあえずの問題としては厚生年金の給付額は、現実にこの秋からその資格の生じておる坑内夫については最も適切な納得の行く方法を講ぜられんことを重ねてお願いすると同時に、これまでの経審長官、大蔵大臣、ことに厚生大臣の御答弁も、私社会保障制度審議会の勧告の作業をいたしたものとして、実は非常に不満なのです。今度は再び大内会長にも返り咲きをしていただいて、われわれとしては大いに政府を鞭撻して、ぜひとも社会保障制度実現のために格段の御努力をお願いいたしたいと存じますので、厚生大臣としても責任をもつて善処方を心からお願い申し上げておきます。  次に一括してお尋ね申し上げますが、これは外務大臣でも伊関局長でもけつこうでありますが、行政協定の二十六条に基く日米合同委員会の運営であります。日本の土地その他で私用のものであろうと国有のものであろうと、駐留軍の用に供されるために日米合同委員会がその衝に当ります場合の、初めから終りまでの手順をひとつお教えいただきたいと思う。     〔西村(久)委員 長代理退席、委員   長着席〕
  212. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 合同委員会は、御承知のように日米双方から一名ずつ委員が出ております。そして特別に必要がある場合は別でありますが、普通の場合は一週間に一度ずつ外務省で開催しておりまして、その議長は双方交代で一回ごとにかわつてつております。そしてこれにはまたその下に各種の分科会的なものがずつとありまして、たとえば農林問題なら農林省の関係官が出て来る、労働問題なら労働省の関係の者が出て来るというようにしてそこで議論をいたしておりますが、なお詳しいことが御必要でありますれば、ここに局長がおりますから、局長から説明申し上げます。
  213. 岡良一

    ○岡委員 具体的な事例について御説明を伺うと一番けつこうなのですが、たえば浅間山を長期山嶽戦の演習場として使いたいということを米軍が申し出る、それを日米合同委員会の専門家が集まつて検討する、そこで日米合同委員会の成規の議にそれが付される。そこでものはきまるのでありますか、きまらないのですか。
  214. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 詳しいことはいずれ局長から申し上げますが、きめる前には閣議の決定を要しまして、日本側としてこれでさしつかえないという閣議の決定がありますと、これで承諾するというわけであります。日本側が承諾しなければできないわけでありますから、閣議の決定が実質的には一番中心の問題になるわけであります。
  215. 尾崎末吉

    尾崎委員長 岡君にちよつと申し上げますが、厚生大臣はほかに用事があるそうすが、厚生大臣への質問はもうよろしゆうございますか。
  216. 岡良一

    ○岡委員 けつこうです。  それではこの場合に、国有財産であろうと私有の財産であろうと、これは駐留軍の用に供される、要するに行政協定の実施に伴いこれは処理されるわけでありますが、そうするとその処理の法律的根拠は、やはり法律第一一〇号あるいは第一四〇号の国有財産の管理に関する法律あるいは土地収用法の特別措置法、これに準拠すべきものと思いますが、この点はいかがでしよう。
  217. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 お答えいたします。国有財産につきましては特別な法的根拠によつておりません。国有のものでございますから国が決定して処理する。私有財産につきましては、今までの例では持主との話合いによつて提供しておるケースが多いのでありまして、最近むずかくなりましたので、土地収用法に関する特例を使わなければならぬというケースがぼつぼつ出かけて参つております。
  218. 岡良一

    ○岡委員 いずれ明日、その後においても、基地関係の参考人の公述も聞かれますので、またその機会に詳しいことを聞きたいと思いますが、最後に承りたいことは、占領下にあつた当時、占領軍に提供しておつた土地等で、講和発効後それが引続き使用されておるというようなものがたくさんあるのでありますが、さらにこれが広い面積をもつて使用されるとか、あるいは同様な状態で使用されるときには、日米合同委員会の議にあらためて付して、そして閣議決定の上で、おそらく米軍に使用してもいいという通告でも出した上で使用されるものと考えておるのであります。聞くところによると、まだその手続がとられていない箇所がかなりあるやに聞いておるのでありますが、そういう点はいかがでしようか。
  219. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは原則としてはもちろんおつしやるように、閣議の決定を経てはつきりとりストに載せて発表するわけであります。しかし行政協定締結当時にこういう話合いがあつたのであります。つまりだんだん都心からいなかの方に移る。そしてかりに、これは例でありますが、都心にある建物を持つておる、そこでこれをいなかに移すためにいなかに施設をする、できたら移る、こういうことになつております。ところが何かの理由で移る方の施設が遅れて、できれば必ずそこへ移るのであるけれども、何かの理由で遅れて移れないという場合には、できるまでは元のところにいることもやむを得ない、これは私とラスクとの間の話合いで、一時的にできるまで元のこころにいるということになつておりますために、そのできるのを待つていただいて、そのためにごく短期であるという予想のもとに成規の手続をせずにおりまして、まだそれが実際上は移れないでいるようなものが、ただいま報告によりますと約二十件残つておるそうであります。
  220. 岡良一

    ○岡委員 もう一年以上もたつておるのであつて、その間国内法も整備されて、ちやんと合同委員会の議に付し、また閣議決定において初めて駐留軍の用に供するという段取りがついておるにもかかわらず、なおまだ二十数箇所のものが成規の手続をとられておらないということは、私ども非常に遺憾でありますが、この点も委員会に譲りたいと思いますので、私の質問はこれで打切りたいと存じます。
  221. 尾崎末吉

    尾崎委員長 小平忠君の関連質問を許します。小平忠君。
  222. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は北海道日高門別町におきます駐留軍の演習地として接収の問題に関しまして、外務大臣農林大臣にお伺いしたいのであります。質問の要旨を簡単に申し上げますれば、日本がいわゆる占領治下にありました昭和二十六年に、この門別町を中心にいたしまして、海面におきましては高射砲の実弾射撃演習場と化し、さらに連絡飛行場として七十三町歩が当時無条件で強制収用されたわけです。これに関しましては当時関係住民なり関係者が強く反対いたしまして、当時の演習のための被害につきましてもいろいろ要請いたしておりましたが、その当時はわずか八十万円の見舞金というか涙金を提供されたままで、その後うやむやになつておる。ところが問題はさらに大きく発展いたしまして、今回同一門別町の地区に海面二万ヤードにわたります、面積にいたしまして約三千五百町歩にわたります広大なる地域を、米軍が陸海空の総合演習を行う目的のもとに接収せんとする問題であります。この点に関しましては、行政協定に基きまして米軍に対しまする演習地の提供は、全国至るところ問題になつておりますが、しかし現実問題として、この地域に関しましては大体年額二億五千万から三億円に相当する生産量のあります点であります。さらに海面におきましては、日高漁業の最も中心地といわれる地点でありまして、及ぼす影響はきわめて甚大であります。これに関しましては特に先々月の五月二十四日米軍の参謀大佐パソール、並びにギボン少佐の一行と、さらに外務省、大蔵省、特調、農林省のいわゆる日米合同委員会の関係者が門別町に乗り込んで、門別町の町議会議事堂におきまして合同委員会が持たれた。それを契機といたしまして、最近の情報によりますと、ここ一週間以内にこれを決定するやの情報を私は耳にいたしたのであります。日高支庁長を初め関係町村長並びに北海道道議会におきましては、これはあくまでも困る。地元北海道といたしましてはこういう三千五百町歩にわたりまする地帯は、現に農耕地といたしましては、田が百五十町歩、畑が八百六十九町歩、牧野が八百八十町歩、さらに山林が一千十五町歩、原野その他が五百六十町歩、そのうち結局田畑が少くとも二千町歩に及ぶというような開拓地を含めた地帯であります。そういう見地から、そのほかに候補地といたしまして十勝の大津、襟裳岬の百人浜、さらに勇払浜と三候補地を駐留軍にこの地帯はどうかという折衝をいたしておりますが、らちが明かぬということなのであります。これが私のお伺いせんとする点の概要でありますが、これに対しまして外務大臣はいかなる見解を持つて進まれるか、日米合同委員会におきまする経過について、外務大臣の所見を承りたいのであります。
  223. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 今までのものは別といたしまして、新しく今度拡張しようという地域につきましては、もちろん地元の利害等も慎重に考えて決定しなければならぬことは当然であります。ただいま合同委員会の分科会でいろいろ検討をいたしておるようでありますが、おつしやるように、地元の産業にも影響する部分が非常に多いと考えますから、特にこれは慎重に研究をいたす考えであります。早急にきまるかどうかは私はわからないと考えております。なおこまかくいろいろの点につきましては、関係しております農林省の局長もおりますから、それから御説明いたします。
  224. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これはきわめて重要な問題で、昨今起きた問題ではありません。すでに昨年の暮れから問題になつております点であります。従つて私は外務大臣に重ねてお伺いいたしますが、この問題に関しまして日米合同委員会におきましてどのような論議がされたか、あるいは外務大臣としてこれに対して、昨今突発的に起つた問題ではありませんから、どのようにお考えか、あらためてお伺いしたいと思います。
  225. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 今おつしやつたように、これはいろいろ地元との関係がむずかしい問題でありますので、長引いておるような次第でありますが、われわれの今の考えでは、それほど大きくとらなくてもいいのじやなかという気がいたしておりまして、なるべく狭い範囲でがまんができるように米側とも話をいたしております。
  226. 小平忠

    ○小平(忠)委員 外務大臣の見解は大体わかりましたが、そういたしますとこれはつい最近の話でありますが、あなたの部下であります外務省の、これはもちろん伊関局長の配下にあるのでありましようが、担当をいたしております藤丸事務官が、日高支庁長に一週間以内に大体この三千五百町歩のいわゆる演習地を接収することにきまるのではなかろうかということをおつしやつておられたそうでありますが、こういうことになりますと、ただいま外務大臣の、そのような厖大な地域というものはいらないのじやないだろうかという御意見と、若干食い違いがあるかと思うのでありますが、いかがでございましようか。
  227. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は実はその事務官がどう言うたかということを聞いておりません。おそらくそんなことは事務官が言うはずはないと思いますが、なお取調べてみます。しかしわれわれの趣旨とするところは、アメリカ側の必要とする演習地等は提供いたしますけれども、これは先方でも了解しておるのでありますが、必要の最小限度にする。また同じことであるならば、一番産業に影響のない所を使う、これは当然のことでありますかう、その趣旨でできるだけ善処いたしたい、こう考えております。
  228. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、ただいまの前に御答弁願いました、三千五百町歩いらないのじやないかと思うので、そういう見解のもとに折衝いたす、こういうお話でありますが、そういたしますと、冒頭に私が申し上げたような事情がありましても、外務大臣といたしましては、この地帯の演習地として接収されますことに、基本的には賛成なのでございましようか。
  229. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 実は私は自分で合同委員会に出ておるわけじやないのでありまして、また合同委員会にはその下に分科会がありまして、これが専門的にいろいろの面から研究して、結論を出すわけであります。それに対してわれわれは、きわめて常識的なことでありますけれども、これはあまり多いとか少いとか、少いということは言いませんが、常識的な判断を一般的に下すわけであります。そこで私の基本的な考えと申しますのは、いるものは最小限度に出すことが必要である、こう考えております。今問題になつております地域が、ここでなければどうしてもいけないのか、あるいはほかよりもここの方がいろいろな関係で都合がいいのかということは、専門的に研究しての結論を出すよりしかたがないと思います。しかし私は、先ほど申しましたように、これは常識的に見て少し広過ぎやしないか、こう考えておりますが、農林省その他の方でも研究をしまして、かえ地みたいなことができるものかどうか、またそれができないにしても、ぜひこれだけ入用なのかどうか、こういう点は専門的な検討をまつて、その結論を見てからわれわれは決定を下したい、こう考えておるわけであります。
  230. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの問題に関しまして、農林大臣の所見をまず承りたいのであります。
  231. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまの問題に関しましては、あの地帯の水産業に占める地位、あるいは農業、牧畜の上から占める地位からいたしまして、どこかほかでひとつ探してもらうわけに行かないかということを、第一には強く主張をしております。どうしてもほかに適地がないということであれば、これはもう必要最小限に提供の地を狭めてもらう。いずれにいたしましても、農漁業の上から大事な所でございますから、農林省といたしましてはそういう考えで、もし最悪ここでなければならぬということであれば、最小限にとどめてもらうように努力いたしておるのでございます。
  232. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は農林大臣のただいまの発言をきわめて重要視いたすわけであります。なぜならば冒頭に申し上げましたように、大体その地帯は年額二億五千万円から三億円という厖大な生産量があります。さらに日高はいわゆる漁業といたしましては、きわめて重要な地帯であります。さらに漏れ承るところによりますと、大体この地帯の陸海空の総合演習の実態は、戦車三百八十台から四百台、歩兵が二千五百から三千人、その他砲兵、工兵、上陸用舟艇等が参加いたしまして、それに海軍、空軍、こういつたような観点から、大規模な陸海空の総合演習を行うということになりますと、この演習地帯を縮小いたしましても、その及ぼす影響は自然きわめて大なるものがあるわけであります。従いまして、占領治下にありました二十六年に強制収用されたこの七十三町歩と、連絡飛行場の使用につきましても、爾来たびたび農耕地に戦車なり、あるいは実際の演習をいたしますために部隊が入りまして、農作物その他家畜や、あるいは高射砲の実弾射撃によつて魚獲は皆無である。それに対して今日までわずか八十万円という涙金であります。こういう実態から見て、これはきわめて重要なる問題であり、先般内灘問題については、重要なる問題として国民の重大関心となり、国会においてもいろいろ論議されましたが、これがただいま外務大臣の見解なり、農林大臣の見解から申しますと、他に候補地がないということになれば、面積を最小限に縮小して提供しなければならぬのではなかろうかというような話があつたのでありますが、これはきわめて重要な問題であると思うのであります。日米合同委員会の結論の最終決定は閣議である。すなわち最終は閣議において決定されることになるのでありますが、現地でありまする北海道の道議会におきましては、これは全会一致をもつて反対の議決がなされて、近々数日のうちに代表が上京して、政府当局に陳情をなさる予定になつております。さらにただいま日高支庁長なり現地の門別町長が参つておりまして、すでに北海道の各党派、自由党はもちろん、改進党あるいは両社会党関係の衆参両議員にはこの話を持ち出して、すでに正式に衆議院、参議院では党派を越えて請願をいたしております。こういう現状を見て、最も被害をこうむりますものが農民、漁民というような見地から、主管大臣として農林大臣はどのようにお考えでありますか、もう一度承りたいのであります。
  233. 保利茂

    保利国務大臣 先ほど申しますように、他にかわるべき所があれば、ここはどうかかえてもらいたい。しかしどうしてもここよりほかにないということであれば、これは日米協定の建前もございますし、外務大臣の言われますように、とにかく最小限の提供はやむを得ない場合もあろうかと存じます。その場合につきましては、もとより十分の処置をとらなければならぬと考えております。
  234. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間も大分過ぎておりますから、最後外務大臣にお伺いいたしまして、終りたいと思います。先ほどの外務大臣の御答弁によりますと、きわめて事務的に、それから日米合同委員会の委員責任を転嫁されていると言つては、語弊がありますけれども、それに一切の責任が専門的な見地からいつてあるのであるというようなお話であります。これはやはり最終決定は閣議であります。特に外交折衝の見地から、こういつた現実の問題が外務大臣考え方によつて左右されることが非常に大きいのであります。ですからこのようなきわめて重大なる問題に関しまして、外務大臣はこれを日米合同委員会のいわゆる事務当局、あなたの直接の部下に一任されて、この意見に従つて閣議も決定しようとお考えであるか。さらに日米合同委員会なるものに対しまして外務大臣は何らの発言権もないのか、あるのか、この二点をお伺いいたしたい。
  235. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 第一に申し上げなければなりませんことは、演習地等の必要なものは最小限度にわれわれは提供する条約上の義務があるのであります。またこれは実際上も必要なのであります。しかるに日本の国内は狭いのと人口が多いのでありますから、どこの場所をとりましても農耕なり漁業なりに影響をしないという所はないのであります。どこをやりましても必ず一定の犠牲者が出て来るのであります。そこでもしそういう問題がない所があるとおつしやるなら、それを教えていただきたいのですけれども、実は私はそんな所はないと思います。従つてどこにしましても最小限度の必要なものはとるということであれば、それに相応する地元民の困難ということが起るのであります。それは何も日高町だとか、どことかに限つたことではございません。ほかへ行つてもそうなのであります。従つて私自身が日高の町ならこれだけの損害がある、どこの町ならばこれだけの損害があるということを自分で比べて計算をするだけの能力もないし、専門的な知識もないのでありますから、一体どこが一番さしさわりのない所であるかということは、専門的に研究してもらうよりしかたがない。またさしさわりがないとしても演習の目的にかなうかどうかという点も、また専門的に見てもらうよりしかたがないのであります。責任を負わせるという意味ではないけれども、実際上私が一々日本中のそういう場所を調べて、こことこことを比べてみるというようなことは事実できないのであります。従つて専門家に研究を依頼するよりしかたがない。しかしながら行政協定にも申しておりますように、合同委員会で話がつかなければ、両国政府の話合いにするということにもなつておりますし、また合同委員会で話がつく場合といえども、閣議の決定を経なければ、日本側の意見は公式に述べないことになつておりますから、そこで最終的の責任政府にある、これは当然のことであります。決して責任をのがれるとかなんとかという意味ではございませんが、現にどこへ持つて行くということをお考えになるか知りませんが、かわりの場所を見つけてごらんになつてもそこの地元が何も損害がない、大いに歓迎して、ぜひ来てくれと言う所は非常に少いか、あるいはないのじやないかと私は考えます。
  236. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの他の候補地の問題でありますが、先ほど申し上げましたように十勝の大津海岸、同じ日高管内の襟裳岬の百人浜、それから胆振の勇払の浜、この三候補地があげられて、これも折衝いたしたかのごとく聞いておるのです。しかしこの地帯はまつたく海面なり、あるいは農産物に被害皆無であるということは申されないのでありましようが、これはただいまの問題になつております門別町の実態とは比較になりません。この候補地の場合においてはほとんど被害がなくて済む、むしろ北海道としてはそういう地帯を選んでもらいたいという希望があるのであります。そのことも外務大臣は十分に御了承を願いたい。それでこの問題は与党である自由党の関係者も一致して反対しております。同時に外務大臣農林大臣の立場からこれは三千五百町歩にわたる広大な地域はいらないから、もう少し面績を狭めてはどうかということも考えておるというような考え方でなくて、そのような実際に被害があり、そのような地元の強い反対があるならば、他に候補地を考えてみよう、あるいはひとつ根本的に再検討してみようというような方向に善処願いたい。  最後外務大臣の真意を承りたいのは、日米合同委員会におきまして、今日どのような結論にあるのか、それは出席されておらなくても聞いておられると思う。今日の段階におきまする日米合同委員会の結論なり今後の見通しを承りたいのであります。
  237. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 小平君のお話は、地元の犠牲の面だけをお考えになつて、ほかならないだろうというお話でありますが、これは演習なり何なりの目的があるのでありまして、そちらの方の目的にかなう土地でなければいくら提供しても意味がないことであります。両方の条件が満たされることが必要なのでありまして、そこに困難があるわけであります。今の御質問は、日米合同委員会の分科会で検討をいたしておりまして、ただいまお話なつたような、他の三つの候補地についてはこれは考慮してみたようでありますが、演習の目的から言うと不適格地といわざるを得ないのであります。しかし日高町等の問題については、いまだ検討中でありまして、結論は出ていないと私は承知しております。
  238. 小平忠

    ○小平(忠)委員 きわめて重要な発言でありますから……。(「関連質問の範囲を出ているぞ」「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり)これでやめますから……。
  239. 尾崎末吉

    尾崎委員長 小平君にあと一問を許します。
  240. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま外務大臣はきわめて重要なる発言をされた。これは相手方があるのだという点ですが、もちろん相手方の都合ということも一応ありましよう。しかし行政協定に基きまする演習地の接収につきましては、本国会においても常に明らかに、日本国側の意図は十分に参酌して、わが国政府といたしましても決して地元の意思を無視するようなことはしないということを言明されている外務大臣が、先方の都合もあるし、演習地として不適格な地域は困るのではなかろうかというきわめて——行政協定の内容についても外務大臣みずからが、この行政協定については幾多矛盾があるから改訂したいということを、先般の私の質問に対しても答えられているのであります。その見地からただいまのお答えについては私は了解に苦しむものであります。  同時にこの問題について日米合同委員会ではまだ結論を得ていないということでありますから、それについての今後の推移につきまして、私が以上申し上げました質問の要旨に従つてどうか善処されんことを要望いたしまして、私の質問は終ります。
  241. 尾崎末吉

    尾崎委員長 船越弘君。
  242. 船越弘

    ○船越委員 私は各大臣に質問する前にちよつと委員長お尋ねしておきたいと思います。委員長がこの国民が待望しているところの二十八年度の予算案が一日も早く上るようにといろいろ御苦労、御心配をなさつていることは了承いたしているのであります。本日も理事会におきまして各委員質問時間を限定しているのであります。しかるに与党の委員はこれを厳重に守つているけれども、野党の委員はなかなか守らない。それがために審議が非常に遅延しているように思います。委員長は私たちの先輩でございますから、その御苦衷はよくわかりますけれども、今後の本委員会の審議状況をとくと御勘案くださいまして、十分なる運営の円滑を、しかも早急に本予算案が上るように御努力願いたいと思いますが、御所見いかがでございますか。
  243. 尾崎末吉

    尾崎委員長 御質問の御趣旨よく了承いたしました。私もその通り努力いたします。
  244. 船越弘

    ○船越委員 委員長が今後名委員長ぶりを発揮されまして、できるだけ早く本予算案が上るように私は希望いたしておきます。  長い間待つていただきました岡野通産大臣から最初お尋ねしておきたいと思います。問題は非常に簡単な問題でございますが、去る七月一日の新聞に、通産省におきまして補給金制度が慮されておるやに報ぜられておるのであります。わが国の輸出の行き悩み、あるいはまたコスト高の状況に対しまして、この補給金制度は、今の段階ではとるべきものでないと私は考えております。大体基幹産業の企業合理化がまだ済んでおらないと思います。なおコスト高の是正につきましても税制面、あるいはまた財政面から、いろいろ努力すべき問題も多々あると思います。なおまたこういう補給金制度が再開せられますと、国際間におきまして、あるいは再びわが国がダンピング制度をとるのではないか、こういうような反感か生れて参りまして、かえつて輸出振興を阻害する方向へ行くのではないか、私はこういうふうに考えております。それで岡野通産大臣は、あるいは下僚が考えてたのだと考へておられるのか、岡野通産大臣自身がこの補給金制度をお考えになつておられるのか、その点について簡単にお伺いしてみたいのであります。
  245. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は原則として、考え方の根本は補給金制度には消極的であるのであります。ただ民主政治の今日におきまして、あちらでもこちらでも補給金を出したらよいだろうという意見がございますから、この意見をただ私自身の今までの考え方によつて打消してしまうということは、国民に対する政治として良心的なところではないと考えまして、十分検討しなければならない、こう考えております。それで検討はいたしております。いたしておりますけれども、お説のようにただいまようやく企業の合理化ができつつある場合に、もしこれを補給金を出すことにいたしますれば、そのために合理化促進というものが停頓しはしないか、そういう非常に重大なことがありますし、またお説の通りにダンピングとして、かえつて補給金を出しても役に立たないという結果を来すこともありましよう。またこれは内政的なことでありますけれども、補給金を一つのものに出すということになりますれば、非常に財政的な負担が重くなつて来るということも考えねばならぬ。もう一つはせつかく官僚統制というものがなくなつたのに、また補給金を出すということになれば、この統制が復活するというようなこともあります。かたがたいろいろ利害得失を研究してやらなければならぬと思いますけれども、お説のような欠陥があるので、ただいまのところは補給金というものに対して消極的に考えております。また一般の財界におきましては、恒久的の補給金でなくともよいが、臨時的の措置にしたらどうかということもありますので、今十分検討いたしつつある次第であります。
  246. 船越弘

    ○船越委員 岡野運産大臣はこの補給金につきましては非常に消極的である、こういうお考えでありますが、しからば二十九年度の予算編成にあたりまして、現段階におけるわが国経済情勢下において、補給金制度をとるべきでないというお考えを持つておられるでありましようか、どうでありましようか
  247. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は二十九年度、三十年度という考えではございませんで、原則的に補給金制度をとらずに行けるならばそれでやつて行きたい。それで先般もちよつと非常にずさんなものではございますが、五箇年後のいろいろコストの切下げとか、経済の情勢とかいうものを検討させておきましたけれども、しかし五年先になりまして、コストが下つたのではただいまの間に合わない、そこで私どもは目先の問題といたしまして、金融の面、税法上の面についてお説のような考えを十分活用いたしましてコストの切下げをして行きたい。それでございますからいろいろ研究はしいたしますけれども、しかしはたして補給金を出さなければならぬという結論になるとは限りませんが、私の考えといたしましては、ならないように傾けたい、こう考えております。
  248. 船越弘

    ○船越委員 岡野通産大臣の御所見よくわかりましたので、引続きまして大達文部大臣にお伺いしてみたいと思うのであります。  わが国の文部行政が占領治下におきまして、私は国民の一人として何か一貫しないものを感じておりましたが、独立をいたしまして占領治下に置かれた文部行政がそのまま継続をされていいかどうか。こういうことにつきましても私は疑問を持つている一人でありますが、まずお聞きいたしたいことは、昭和二十四年に定員定額制が実施されまして、平衡交付金の中にこの文教費が編入されました。それがために各府県におきましては五十名の定員に対して教員が小学校では一・五、中学校では一・八人の平衡交付金の基礎数字になつているように思いますが、その通りに厳重に実施いたしまして、本度においては現行法によりますと、半額国庫負担ということになつております。それで半額国庫負担になりました場合に、定員定額制をそのまま実施してやつて来た府県におきまして、いろいろな地形的な関係から実学級数に比較いたしますと、教員数の率が非常に高い府県がたくさんある。そういうところへこの現行法を実施されますと、教育機会均等の建前から不公平があるのではないか、こういうように私は感じるのでありますが、御所見をお伺いいたしたいのであります。
  249. 大達茂雄

    大達国務大臣 ただいま御指摘になりました小学校においては一・五、中学校においては一・八これは御承知の地方団体の基準財政需要額の教育費の教員に関係する算定の基準であります。もちろんそれぞれ府県の事情によりましてその通りには行われておらぬのであります。またその通りに行われることを期待しているわけでもありません。ただ教育費を平衡交付金の中に見込みます場合、さような基準を一応採用して算定しているということでありまして、御指摘の通り、県によつて非常に違つております。ことに僻陬地の多い県等におきましては、どうしても一学級の生徒数が五十人以下になることが多いのでありますから、さような関係におきましてもどうしても先生の数を多くしなければならない、こういう実情であります。それで今回の予算に計上してございますいわゆる二分の一負担ということになりますと、これは実際の支出額に応じてその半額を負担するのでありますから、府県がそれぞれの需要によりまして定員を増しますれば、それに応じてやはり二分の一を国庫で負担して行くということになりますので、むしろこの点は今回の法律に従つた予算の計上によりまして、地方といたしましては、定員の——定員と申しますか、教員数のアンバランスを是正する上におきましては役立つものであります。国としては、地方が増しましても、それは結局増すに従つて国はあとからついて行つて半分を負担する、こういう仕組みであります。
  250. 船越弘

    ○船越委員 そういたしますと、各府県において文教費を多く出す、そうするとこのたびの現行法によりましてその半額を国庫が負担するのだから、前の定員定額制よりも、より以上アンバランスを是正するような機構になつておる、こういうお考えのようでございます。ところが地方公共団体の財政の逼迫は御承知通りであります。特にこの文教費により多くの費用を支出するような府県におきましては、この定員定額制のときの実学級数二対する教員の数も非常に多いのであります。問題は貧弱県におきまして、そういう文教費を出すことができない、従つて学級に対するところの教員の数が率が非常に低くなつておる、文部大臣お話によりますと、まず県の方で文教費を出してくれれば、その半額を負担するのだからいいじやないか、こういうお話でございますが、これを先に国の方から何かの措置によつて出していただくような方法はないのでございましようか。そうすることによつて貧弱府県は国から多くもらえるのだから、予算の編成のときにもそれにマツチするような予算をつくることができるのであります。貧弱府県から先に文教費を出すということにつきましては非常に困難なのです。何かその点名案はないものでございましようか。
  251. 大達茂雄

    大達国務大臣 ただいま申し上げますように、国庫負担法の関係におきましては、府県で実際支出額、支出したその額の二分の一を負担する、こういうことでありますから、府県で支出しないものに対しまして、特に貧弱県なるがゆえをもつて別途の支出をするということは、少くとも国庫負担法の関係においてはできないわけであります。ただ従来と比べますと、平衡交付金の中に見込んでおりまして、必ずしもそれがはたして教育費に全部見込んだだけがまわるかどうかということも保障されておりません。今度はそれは引出して二分の一国庫負担としてはつきりした数字で出るのでありまして、その点から言うと、教員数に対してはそれだけのものは必ず支出されるということは保障される次第でございます。従つて府県におきましてそれぞれの事情に従つて教員の数を増さなければならない、むしろこれは貧弱県において多いことは御指摘の通りでありますが、これに対しましては、それによる支出の増した分は、半分ずつは国が負担するということになりますから、従来から比べますと、さような特殊の事情にある府県においては、教員数を増して行くことには非常に便利になつておる、かように考えます。
  252. 船越弘

    ○船越委員 これは文部省の資料でございますが、一番たくさん教員のおるところで、中学校におきましては一学級あたり一・八五、それから小学校におきましては一・三三ということになつております。一番少いところは中学校が一四に小学校が一・一九というふうな非常に大きな開きを示しておるのであります。それでこの半額国庫負担法によりますと、結局各県が、貧弱県が文教費を増額しない限り、アンバランスの是正はできないという結果になると思いますが、それでいいのでございましようか。
  253. 大達茂雄

    大達国務大臣 大体はただいまお話になりました通りでありまして、府県の方で文教費の支出をしない限り、つまり教員数を増すということでなければ、国の方でそれを別途の方法補助する、あるいは教員をこれだけの者は必ず置け、こういう指示をする筋合いには実はなつておらぬのでありますが、ただ一・五、一・八ということは、先ほど申し上げましたように、一応の標準として府県の財政需要額を算定するときの基礎に用いられておるだけでありまして、何もそれが法制的な基礎があるものではありません。
  254. 船越弘

    ○船越委員 大達文部大臣への質問はこの程度にいたしまして、保利農林大臣にお伺いいたしたいのであります。  国際情勢からいたしまして、結局わが国は自立経済を確立しなければならない。ところが自立経済を確立するためには輸入物資の節減、いわゆる外貨の効率的利用ということが考えられるでありましようし、また外貨の節約につきましては、一番大きなるところの食糧費あるいは綿花の費用、こういうものを何とか考えなければならないということが、本委員会におきまして各大臣のお話で明瞭となつたのであります。従いましてわが国の自立経済確立の一つの大きなる方法は食糧増産にある、その食糧増産に対しまして歴代の内閣がいろいろ努力なさつたことも私にはわかるのであります。ところが先般の公聴会におきまして朝日の土屋さんから食糧増産については自分も異議はないけれども、これが重点がぼけておる、だからこういうふうな食糧増産対策費はむしろ削減して、もつと効率的な方向へ使うのがよいのではないか、こういうふうな御所論も出て参つたでのあります。なお国民の一部分にはこういう食糧増産対策費に対して非常に危惧の念を持つておるといいましようか、反対の空気もあるのではないかというふうにも考えられるのであります。それで私はこの過去八箇年の食糧増産対策費の総額と、その食糧増産対策費の経済的効果といいましようか、それをこの際はつきりさせていただきたいと思うのであります。
  255. 保利茂

    保利国務大臣 お答えを申し上げます。食糧増産がどういう手段によるにしましても、自立経済達成への最大の課題であるという観点に立ちまして今日まで食糧増産を推進して参つております。過去五年間に食糧増産という目的をもつて財政支出並びに財政投融資をいたして参つております総額は、おおよそ一千三百億を越えておると思うのであります。御承知のように今日の食糧需給の状況を見ますれば、年々増加して参ります人口増による消費の増大を百四十数万石、おおよそ百五十万石と見当をつけなければならぬ、一方におきまして災害による潰廃、工場敷地、道路敷地等への転用等によります減収が百万石、荒見当で見当をつけますれば、そこに二百五十万石内外の需給上のきゆうくつさを生じて参るわけであります。従いまして、この食糧増産の手をもしゆるめまして推移いたしますならば、五年後には今日よりもさらに千二、三百万石の不足を生じて参る。従つて御意見のように外貨の節約をはかる一番大きい問題は、食糧の輸入の節約でなければならないわけでありますが、食糧増産の手をゆるめますならば、それが節約どころか、さらに増大をして来るということになりますから、これはひとり政府考え——むろん責任政府でありますけれども、政府考えのみならず、あらゆる衆知を集めて食糧増産に集中して行きたいれと私は考えております。食糧増産に今日まで使われております財政上の負担が効果を現わしていない、こんなものはやめてしまつてほかの方法をとればいいじやないか、ほかの適切な方法がありますれば、いかなる手段を講じても食糧増産をやるにやぶさかではないわけでございます。ただ食糧増産というのは、船越さんもよく御承知のように、ことし投資をしたらただちにこれですぐ何万石と目に見えて、はかりではかるようにしてきて来るものでもございませんし、従つて多少の時間的な余裕をもつてこれは見ていただかなければならぬと思います。そういう意味からいたしますれば、これはもう統計から申すことでございますから、あるいは見方によつて違うかとも存じますけれども、終戦直後の状況から今日を見ますれば、終戦直後の米の生産、麦の生産等は、昭和九年から十一年に至る平均生産額の米においては六六%麦においては七六%、これは終戦の年に非常な災害がありましたからそういう数字も出ていると思いますが、同時に今日までつぶれ地による荒廃、つぶれ地による減収もあり、あるいは年々の災害等による減収もありますけれども、昨年度におきましては御承知のように米の生産においては、戦前基準年度の一二%を上まわつて来ている。麦におきましては二九%も上まわつて来ているということは、これは長い期間を通じて見ていただきますならば、今日いたしている食糧増産のねらいが必ずしも誤つていない。私ども増産計画を立てますにつきましては、御承知のように総理大臣のいわば諮問機関みたいなことで農政顧問、各界の権威の方々に長い期間御検討を願つて増産計画を立てて、その上に立つて政府はさらに検討を加えまして現在の増産計画をやつているわけでございます。そういう趣意でむろん私どもは食糧増産に対するいろいろの御意見を十分取入れて行かなければならぬということは、もうよう承知をいたしております。今日続けてやつております増産計画はより強くまたやつて行かなければならぬというように考えております。
  256. 船越弘

    ○船越委員 この食糧増産対策につきまして保利農林大臣は、先ほども和田委員からの何か質問があつたように思いましたけれども、何か特別に食糧増産についてこの点に重点を置いてやろう、こういうような新しい構想をお持ちであるかどうか、これがまず第一点。  第二点はいろいろ財政的な投融資が行われておりますけれども、また積寒地帯の問題にちよつと触れますが、二割の助成費があります。この二割の国庫の助成費くらいでは、なかなか末端まで二割おりないのであります。各町村におきましてはこの二割がまるまる入らないというような実情になつている。すなわち外郭団体がいろいろあるのであります。これは農村行政ばかりの問題ではございませんが、いろいろな各省にわたつてこういう外郭団体がある。そういうところで手数料としてとつているのであります。そういうようなものがたくさんありますので、いろいろ国が補助あるいは助成金を出しましても、末端の町村までこれが届かないという実情になつております。こういう外郭団体に対して、農林大臣は今後どういうふうなお考えを持つておられるか。こういうものはむしろ行政的措置によりましてやめさせる方がいいとお考えになるか。あるいはこういう外郭団体があつた方がいいと考えになるか。その点についてお伺いしておきたい。
  257. 保利茂

    保利国務大臣 食糧増産に関する諸経費が、増産の目的に使われないで他に使われて行くというようなことは、これは私は絶対に抑制して行かなければならぬと考えております。ただ食糧増産に関する諸事業を取上げます場合におきましては、農林省におきまして直接相当検討いたし、また出来高につきましても農林省の係官及び現地の係官が十分審査をいたしておりますが、しかしお説のようなことがあるといたしますれば、そういうところにこそ行政監察の必要なるゆえんが生ずるわけであります。行政監察の必要なるゆえんを言われる理由の一つにもしそういうものが上つているのじやないか、ということを私おそれるわけであります。いずれにいたしましても、増産の目的に用いらるべき経費が、その目的以外に用いられるということは、絶対にやらないように十分注意して参るということは当然のことでございます。
  258. 船越弘

    ○船越委員 私はこういうような考え方を持つているのであります。憲法の弟二十九条によりまして財産権がわれわれ国民に保障されている。この財産権に制限を加えられる場合には、必ずそれに対して何かの補償をしなければならぬようになつております。ところが現在は農民に対しては統制を強行されている。まあ強行されると言うと今の段階では少し言葉が言い過ぎるかもしれませんが、少くとも強制供出の制度が現在行われているのであります。そうしてこの農民のつくるところのお米というものは、農民の唯一の財産であると私は思う。その財産を強行的に供出させるのでありますから、何かこれに対して裏づけになるところの補償を国家が与えるべきであると私は考える。このお米は七千五百円ということになつておりますが、この米価については何かそういう補償をひつくるめたものが入つているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  259. 保利茂

    保利国務大臣 米価の決定にあたりましては、農家の生産費特に再生産を保障するところの適正な価格を生み出すための現在のパリテイ基準の方式をとつているわけであります。お話の趣意としましては、昨年の米価決定にあたつてとりまして特別加算の方式が、多分御趣意の線に入り得ると思います。
  260. 船越弘

    ○船越委員 農林大臣にお伺いいたしますが、憲法の二十九条によりまして財産権を保障されておるということは、御承知通りであります。またお米が農民の負産であるということも御承知通りでありますが、私の見るところでは、この米価の中には、憲法に保障しておるところの何ものも含まれておらないと思う。しからばそのほかに何か保障が与えられておるかといいますと、保障は何も与えておられない、こういうふうに私は考えるのでありますが、その点いかがでございましようか。
  261. 保利茂

    保利国務大臣 私はそういうことからいたしましても、お互いに主張として、できるだけ国で統制管理をするという建前から脱却することが、最も必要であるということで、本日までお互い努力して来ておるわけであります。しかし食糧の現実の事情が、まだそこまで行き得ないというこの現実もまた認めなければならない。従いましてただいまお話になりましたような趣意を十分とつて米価を決定して行く。むろん農家にいわゆる出血供出をいたさすべきものではないわけであります。そこで適正な、再生産を確保し、農家経済を立てて行く合理化的な米価がそこにでき得ますれば、今日は一応その建前に米価はできておるわけでありますが、さらに新米価の決定に際しましては、十分研究させていただきたいと思います。
  262. 船越弘

    ○船越委員 現在農民が持つておるところの財産である農耕地、この農耕地にも担保力が何らない。なおまた自作農創設特別措置特別会計ですか、その方から政府が、農耕地を手放すような農民に対しましては一反五千円という単価で、一応買上げをなさつておられる。そうして三十年年賦でそれを償還させるような制度をとつております。これはなきにまさるのではありますけれども、現在こういうふうな農民の財産に重大なる制限を加えておる以上は、一反五千円程度の価格で、これを買い上げるというようなことでは、とうてい農民の金融対策にはならないと私は思う。五反百姓といいますと、反五千円で五反で二万五千円であります。こういうわずかな金では、とうてい農民は金融難の打開はできないと思います。そこで私はこの反五千円というものを大幅に引上げてやつていただきたいと思う。あるいはまたこういう農村の金融情勢でありますから、食糧費を、田植え時分に農民がいろいろとお金に困つておるときに、強制供出をさせるのでありますから、米代金の前払いをしてやるのが私は当然だと思う。タバコにしましても現在二割の前払いをやることになつておる。唯一の農民の財産であるところの米について、私はこれができないことはないと思うのでありますがどうでございましよう。
  263. 保利茂

    保利国務大臣 農業金融の、特に不動産の金融の問題は、お話のようにきわめて今日不便を感じておるわけでございますが、これは根本的な問題として研究をさせていただきたいと思います。供出代金を前払いして、営農資金の調達に充てるようにしたらどうか、一つのお考えだと思いますが、今日は御承知のように、農業手形の制度と協同組合からの融資という方法をもつてつておるわけでございますが、大体の目的は達しておろうかと存じます。供出代金の前払いという問題につきましては、一つの研究の課題とさせていただきたいと思います。
  264. 船越弘

    ○船越委員 時間もございませんから、私は農林金融の問題につきまして、いま少しくつつ込んで聞きたかつたのでありますが、今後の予算委員会の運営の都合によりましては、この点だけ保留をさせていただきたいと思います。ただいろいろ、農業手形、あるいは信連、つまり農林中金を通ずるところの信連、あるいは農業協同組合を通じまして、農民が借りるところのお金は、金利が非常に高い。はなはだしきは一割三、四分とられております。こういうふうな高率な金利では、とても農民はやつて行けるものじやありません。いかに営農資金だと言われましても、こういう高利ではやつて行けないのであります。そこで私は利息の全然つかないところの、当然秋になれば供出するのでありますから、その米代金を私は先にやつてもらいたい、こういうのが私の趣旨なのであります。どうぞよろしくお願いいたします。私の質問はこれで終ります。     —————————————
  265. 尾崎末吉

    尾崎委員長 この際御報告いたします。先日委員長に御一任を願いました分科会の区分及び主査の選定につきましては、次の通り定めましたから御了承願います。  第一分科会、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(経済審議庁を除く)及び大蔵省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、主査庄司一郎君。  第二分科会、法務省、文部省、厚生省及び労働省所管、主査本間俊一君。  第三分科会、経済審議庁外務省農林省及び通商産業省所管、主査葉梨新五郎君。  第四分科会、運輸省、郵政省及び建設省所管、主査羽田武嗣郎君。  以上であります。  なお同じく委員長に一任されました分科員の配置は、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこの程度にしまして、次会は明十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後六時五十八分散会