○今
澄委員 とにかく私は
吉田総理に、一例をあげて申しますれば、年間一千億十箇年
計画で約一兆というようなそういう恒久的土木
関係治山治水の災害対策を緊急に立てなければ、
日本の年々増大しておるこういう災害を防ぐことはできない。この機会にぜひ
総理大臣がそういう基本的な
立案を
当局にお命じになるように私は希望いたしておきます。今の
答弁はそういう基本的な問題とは何ら
関係のないことであります。どうかひとつぜひ御努力願いたいと思います。
そこで私は、この前
質問をして
総理大臣に
お答えを願う問題が二問残
つておるのでありますが、これをお願いして私の
質問を終ります。
第一番は、現在の世界
経済の大勢は、国際物価の低落とそれから
アメリカの軍事
予算の縮小、さらには各国の輸入制限等がありまして、関税その他世界的規模としては、輸出競争が非常に激化して、
日本の輸出は停滞をしておるという現状であります。これに対抗して
日本としては合理化を行い、近代産業
設備のあらゆるコストの引下げをはかりまして、この世界的な輸出競争の激化の中に、
日本が
自立的な貿易収支のバランスを合さなければならぬ、こういう
状態にな
つておりますが、要するに
政府のこれらの世界
情勢に対する見通しは甘いものであり、対策はな
つておらない。ただ輸出振興の対策についても、補給金の問題があるとかいろいろ当面の応急策があるが、これについても通産、大蔵両
大臣の見解が違
つてお
つて、
通産省は補給金を出すと言うが、大蔵
大臣は反対というようなことで、かかる世界
経済のデフレ傾向と、
国内経済のインフレ傾向をいかに調節して、
日本の
経済自立をなすかということが当面の天問題であると私は思います。これに対して
吉田内閣総理大臣は、内閣組閣ここに幾たびかありますが、まず
最初は、外資の導入によ
つてこういう基本的な
日本経済の矛盾を克服される方針でありましたことは、あなたの施政方針演説で明らかであります。しかるにその外資は今日まで七年を経過してわずかに六千六百万ドル入
つておるにすぎないのでありまして、これは民間外資であります。いわゆる
政府導入の
政府的な外資はいまだ一つも入
つておりません、そこで私はこういう
日本経済の矛盾を解決しようとしております
吉田総理の外資導入政策は、この六千六百万ドルという
数字から見る限り、失敗であ
つたと申さなければならぬと私は思うのでありますが、これらの外資導入に関する
吉田さんのこれまでの交渉とその成果は失敗であ
つたとお認めになるかどうか。
第二点は、さらば外資導入がそういうようなことで進展しなければ、やむなく
アメリカからの援助によらなければならぬ。そこで朝鮮の
特需あるいはその他いろいろの貿易外収入が六億もあ
つたのでありますが、これらの収入がだんだんとなくなるというこの見通しの上に立てば、
日本経済の現状を何とか持
つて行くためには、MSAの域外発注であるとか、その他
アメリカのあらゆるそういう
日本経済に対する援助で行くか、それともこれらの援助を期待しないで補給金を出すなり、あるいは重点的な輸出産業への
財政投資をやるなりというような基本的な
考えが二つありますが、
日本の産業構造から参りますと、私は今の内閣でお
考えにな
つておるやり方は、こういう
経済の矛盾を軍需工業で、漸次
防衛生産工業の拡充によ
つて乗り切ろうとしておるのではないか。
日本はMSAを引受けて、これらの発注によ
つて朝鮮
特需の
あとを引続いて行くのではないか。そのために一番大事な
自立経済の中心であ
つた補給金の問題、あるいはその他貿易振興の問題等が、何ら具体的に
政府が取上げ得ない大きな理由ではないか、かように私は
考えるのでありますが、
総理大臣のかかる世界の
経済に対する見通しと、
日本の
自立経済をや
つて行く上に進むべき方途について、ぜひこの機会に私は御見解を承
つておきたいものと思うのであります。