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河野(一)
委員 私は
自由党を代表いたしまして、ただいま
議題とな
つております七月分の
暫定予算政府提案に
賛成をいたしまして、
社会党両派の提案いたしておりまする案に、
反対の意思を表示するものであります。
いずれ両案に対するわれわれの主張は、本
会議場において同僚より詳細申し述べることに相な
つておりまするが、私はこの機会にいささか所見を述べて、特に
吉田総理その他閣僚諸公にお聞きとりをいただいておきたいと思うのであります。
第一は、現在
わが国の置かれておりまする立場が、世界の情勢の中にありまして非常に重大な段階にありますることは、あえて私が申し上げるまでもありません。しかも政局は非常に不安定でございまして、
国会の
運営、
従つて日々おそらく総理も安んじて
運営して行くことはできないような気持がせられるだろうと思う。現に
予算委員会におきましても、今までのような気持で
委員会の出席をことさらにはばまれて、
委員会の
運営に支障を来すというようなことは、われわれのはなはだ遺憾とするところであります。
暫定予算のごときもわれわれは全面的に協力いたしまして、すみやかに通過することに取運ぶように、
理事会その他においてもきめておるのであります。しかるに総理が何のゆえか大磯に帰られるために、われわれは当然定刻より始める
委員会も開けなければ、本
会議もいまだに開くことができないというような、この
政治の停滞は、あげて
吉田総理の
責任であります。(
拍手)かくのごときは、この内外重大な際において、はなはだわれわれは遺憾とするところであります。かくのごときは、総理において今後そういうことのないように、厳にみずから戒めていただきたいと私は思うのであります。
さらにまたこの機会に申し上げたいことは、総理は
国会の
運営、
政治の推進について、少しも積極的
熱意を持
つておられぬという感を私は深くする。たとえば当然
提出せられなければなりませんところの重要法案等が、今日少しも現われて来ない。一体警察法の改正であるとか、義務教育費の問題であるとかいうようなことはどうなさるつもりか。前回の
国会において、あれほど国家緊急の要務であるということを主張せられながら、
事態は一体どうな
つておるか。今日の
わが国の置かれておる
現状はどうな
つておるか。
社会の治安維持の衝に
責任を持
つてあなたは当る確信がおありになるのか。現に
保安隊の問題にしても、
保安隊の
予算を少しも節減するような方向には向わずに、
社会治安が悪い、国内の治安が悪い。
従つてその防衛のために入用だということをあなたはおつしやるが、それならばなぜすみやかに警察法の改正を提案なさらないのか。かくのごとき緊急な要務に対して全然
熱意を持
つておられない。こういうことは
国民とともにはなはだ遺憾であります。さらに
夏期手当の問題にいたしましてもそうであります。これらのことは、
政府においてすみやかにその
態度を決定して、そうしてこれらの
社会不安の原因になるようなことを、根本的に除去されることが当然であります。ところが周囲からいろいろと攻め立てられて、そうして
政府の
態度を左右するというようなことは、はなはだ遺憾であります。こういうことは、総理が率先して結論を出して、これに信念を持
つて向われますれば、世の中はおのずからその方向に向うのであります。しかるに
国会の
態度等に対して右顧左眄し、少しも結論が見出されないというようなこと等は、はなはだ遺憾でありまして、現に本日のこの
委員会において友党より提案せられようとするところの
動議等に対して、われわれの方に向
つて賛成してくれるか、くれないかとかいうような、そういうような
態度では、断じて
日本の
国政はこの世界の重大な段階に対して、うまく行くものではないと私は信ずるのであります。どうかそれらの点については御配慮を煩わしたいと思うのであります。
さらにつけ加えて申し上げたいと思いますことは、
吉田総理は、かねがね行財政整理に対しては、非常な
熱意を持
つておられるはずであります。私もしばしば伺
つておる。しかるに最近の
吉田首相の
態度を見ますると、これに対して
熱意があるのかないのか、全然わからないような様子である。たとえばわが党より議員自粛に関する各種の申出をいたしましても、あなたの
与党はこれに対してどういう
態度でありますか。あなたはよろしくこれに対して、ほんとうに行財政整理をしなければならぬ、国家のためにやらなければならぬという信念をお持ちならば、これに率先賛同を与えて、この実現に邁進せらるることこそ、それを基盤にしてほんとうに国家の行財政整理を実現することの正しい行き方だと私は思うのであります。しかるにこれらに対しては何ら発言もしなければ、全然
熱意もない。こういうことでどうして今日の国家財政の難局に処してほんとうの
政治ができましようか。これらについてははなはだ遺憾の点が多いのであります。
かくのごとく総理が引続き
国会に対して
熱意を欠き、出席したかと思えばすぐ帰
つてしまうというような
態度でありますれば、
予算審議その他各種の
委員会は十分な
審議ができません。
国会軽視もはなはだしい。こういう
態度をあなたが続けられるならば、おそらくはこの
予算案も七月中には通過しない。そうして八月の
暫定予算をまたここにわれわれは
審議しなければならぬような、はめに追い込まれるのではないかということを、国家のためにはなはだ憂うるものであります。万一そういう
事態になりますれば、その
責任はあげて全部総理が負わなければならぬということを御
承知おきいただきたいのであります。
以上申し上げました諸点について、十分なる御反省を煩わして、原案に
賛成するものであります。(
拍手)