○小坂
国務大臣 お答えを申し上げます。最初にスト規制についてでございまするが、これは
河野さん御承知のように、新たに労働者のストライキ権を制限するという
考えではございませんで、従来鉱山保安法なり、旧公益事業令なり、あるいは労調法第三十六条なりによりまして、本来不当であり、あるいは社会通念上非と認められておるものの範囲を明確にする、こういう
考えでおるわけでございます。そこでこうした
考え方でも
つて、一部の人のある基準を逸脱した行為のために、大多数の
国民が非常な迷惑をこうむるというようなことから守ろうという
考えを持
つておりまするけれ
ども、
お話のように、そういうことをも
つて能事終れりと
考えておるわけではもちろんないのでございます。労働政策というものは、申すまでもなく、労働政策単独にこれを樹立して解決すべきものではございません。他の経済政策と関連させ、
お話のように、公益事業というものを非常に活発にして、そこに就労の機会をつく
つて行くということが望ましいのでありまして、その
意味で
政府といたしましては、公共事業の活発化なり、あるいはそれに入
つて来ない者の応急失業対策なり、あるいは一般私企業への職安活動を活発化して就労の機会をあつせんするとかいうことで努力をしておるのでございますが、私といたしましてこの際
考えておることで今までと違
つた一点を申し上げますと、賃金なり、雇用の
国民経済の中におきまするあり方というものを、ひとつみんなで、
国民全体で
研究してみようじやないかということなのであります。そのためには非常に正確な統計が必要であると
考えるのでありますが、現在経済
審議庁なり内閣統計局なりの統計を集積いたしてみますと、たとえば
国民全体の所得の中における賃金の占める割合というものは、戦前では三九%であることは御承知の
通りでありますが、現在は四五%にな
つておるのであります。これはどのくらいの勤労者によ
つてこの賃金の所得を占めておるかと申しますと、全体を一〇〇として三六であります。それによ
つて四五%を占めておるわけであります。これを外国の例と比べてみますと、
アメリカにおきましては八一・二%のものを六四、イギリスにおいては九一%のものを六五で占めておるのであります。賃金の
国民所得の中において占める割合をこうした統計だけからはじいてみますと、
日本の勤労者の取り分というものは必ずしも少くないということが数字的に出て来るの、であります。しかも勤労者の生活がゆたかでないということはよく
了解できますが、これは結局
日本経済全体の拡大にまたなければならない、こういうことを特に感ずるのでございます。そういう
意味から
日本経済を拡大し、豊富にするということのために、他の
関係大臣とも十分
お話合いをして参りたい、こう
思つております。