○平田
政府委員 ただいま
大臣からお一答えになりました
通りでございますが、補足して御説明申し上げておきたいと思うのであります。何かまだ割当をや
つて、るのじやないか、こういう点は一時よりも減りましたが、最近でも、なおこの
国会におきましても、ときどき御非難を承
つていることでございます。てございますが、御
承知の
通り、少しく申し上げますと、終戦直後にインフレーシヨンによりまして徴税が非常に危機に
なつた時代、このときにやむを得ざる便法といたしまして、実は税務署に努力の目標を示したのでございます。事実でございますから
はつきり申し上げますが、それによりまして努力するようにということでございました。それはその当時としましては、いろいろな弊害がございましたか、一応目的を達したと思
つているのでございますが、しかしむしろ逆効果と申しますが、弊害が多い。こういうことを続けていたのではとうてい円滑な納税ということは不可能だということになりましたので、たしか
昭和二十五年度かにそういうことを全部やめまして、その後におきましてはそのような
予算方法は採用いたしておりません。従いまして先般も主税
局長からも申し上げたかと思いますが、中央の方針としまして割当てるというようなことは、毛頭
考えてもおりませんし、またやるというつもりもございませんし、またや
つてもいない。ただ御指摘の
通り、また先ほど申し上げました
通り、遺憾なから納税者にそのような印象を今なお与えているこの事実は、私
どもも率直に申し上げまして認めておるのでございます。認めた上でこれをどうして直すか、これは率直に反省しまして、適正を期したいということで努めておるわけでございます。
少し詳しい話になりますが、
個人の
所得税は理想から申しますと、納税者の帳簿につきまして
所得をよく調べまして、それによ
つて納税者の申告して参る場合もありますし、また税務署も帳簿を調べて必要な決定をする、これが本来のあるべき姿でございます。できる限りそのような方向に、実は努力いたしておりまして、実額
調査と称するものも最近は相当ふえております。ただ遺憾ながら一方におきましては、納税者が帳面がない、あるいはありましても完全なものが少い。こういうのが、ことに中小の納税者になりますと、相当多数であるということもこれは事実でございます。そこでそのような人々についてどういう
方法で
所得を計算しているかということでございますが、それは結局やはり納税者につきまして、まず売上げでございますが、これをいろいろな
方法で、帳面がございません場合は推定によ
つて調査する。
調査する際におきまして、帳面によ
つて調べのつきました納税者との比較権衝という、権衡
調査――
中村さんもよく御
承知と思いますが、このような
方法を用いまして、売上げ金をできるだけ的確に調べまして、それに対しまして帳面のあります納税者につきまして調べました業種別の
所得の標準率というものを適用いたしまして、
所得を出して行く。これは税法もそのことを認めておる
方法でございますが、いわば広い意味の推定
調査をせざるを得ない、こういう実情でございます。
その際におきまして、御指摘のように、前年度に比べてどう
なつているだろうかということも、これはもちろん私
どもとしましては参考にせざるを得ない、またした方がいい結果を生ずる。ただ問題はその際におきまして、よく調べもしないで、前年度からの比較増減だけでけりをつけているというような場合がありはしないか、これは私
どもも率直に申し上げまして、一番戒心すべきところであり、直すべきところである。私
どもことしにおきましても――これはたびたび繰返してもいいことでございますので、ことしの
所得税の決定にあたりまして、ことにこの
方面だけの通達も実は出しまして、一律に出さないように、あくまでも
個人の納税者の実態をよく調べまして、個別的に妥当な結果を生むようにという趣旨のことを、特にそれだけの通達を出しまして、善処するようにいたしたのでございますが、何しろその辺のところになりますと、多数の納税者のことでございますので、末端の税務官更になりますと、よく説明し得ない場合に御指摘のようなことを使
つておるということがなきにしもあらずであります。これは
大臣から先ほど
お話がありましたように、そういうことがありますれば、これはいけないことであると思いまして、直して行かなければならぬというふうに
考えておる次第でございます。
さらに恒久的な
方法といたしましては、これは結局やはりめんどうでも納税者に記帳してもらうということでなければ、
所得税の円満な解決はできにくいのであります。
わが国の場合におきましては、小
所得者が多くてなかなかむずかしい問題でございますが、しかし私は長い目で見ますと、ある
程度記帳ということは普及し得るのではないかということを
考えまして、ことしから特に例の青色申告の記帳事項を徹底的に簡素化いたしまして――省令でできることに
なつておりますので、先般実行に移しまして、本年は途中でございますが、十五日限の新たに青色申告
所得の受付を認めまして、極力推進をはかりたい。今までは複式簿記の
方法によ
つて記載することを命じておりました
関係上、中小の納税者の場合はなかなか記帳はしにくい、こういう非難がございましたので、今回は思い切りまして、小売業とかサービス業のような面に対しましては、現金の出納帳簿を中心にしました単式簿記の線まで認めるということで、簡素化をはかることにいたしまして、目下実行に移して普及に努めておるところでございますが、いろいろな
方法を講じまして、御指摘のような御非難を受けることがないように、適切な効果を生むように私
どもは今後さらに一層の勉強をして行きたいと思
つておる次第でございます。