○八藤
政府委員 ただいまの大高先生の御質問にお答えいたします。御質問を二段にわけまして、前段におきましては現状、それから後段におきましては、私どものこれに対していろいろと検討いたしております状況、かように
お話し申し上げます。
現状でございまするが、まことに御指摘の
通り、公企労法適用職員と一般国家公務員法適用職員との間には、給与体系の法体系が本年一月一日からまつたく異
なつた次第でございます。公労法適用職員に関しましては、先般来調停案を中心といたしまして、いろいろ御
説明申し上げ、あるいは御尽力をいただいておりますので、詳細申し上げませんが、適用されない職員は、御指摘の
通り国家公務員、あらゆる他の官庁と共通な服務、給与、人事という規律を受ける次第にな
つておるところでございます。従いまして公労法適用職員に調停案あるいはいろいろな団体交渉によ
つて給与の改善が行われて見ましても、それは公労法適用職員だけについての問題でありまして、一般それ以外の者は国家公務員法及び給与法、この二つによ
つて規律されておるところでありまして、
従つてこちらでこうしたからこうするというふうに、自動的には参らない現状でございます。と同時にまた国家公務員の一般の給与に関しましての各種の
制度改廃がありました場合におきましては、ひとり
郵政省独自でいるわけではございません。他の官庁と全部共通してこれは適用される。しかしそれはただちに自動的には公企労法適用職員には及ばない、かようなことにな
つておる次第でありまして、これが現状であります。
従つて去る一月一日公企労法適用後、日まだ浅いのではございますけれども、御指摘のような、公務員法適用職員と公企労法適用職員との間に、給与の問題によ
つて若干均衡を欠くというような事実が発生しつつあることは、疑いない事実でございます。
かような現状でございますが、これに対しまして私ども
郵政当局の者といたしまして、いかように
考えておるかということについて概略申し上げますならば、そもそも公企労法が
改正されて適用になるかならないかということが、昨年の六月ごろでございますか、すでに国会で公企労法
改正の際においても非常に御
審議の的に
なつたように思うのであります。その際におきまして、もしも
郵政省の職員二十三万人に公企労法を適用するならば、
郵政省自体が困らないか。中に給与体系が二本建、三本建にな
つてみたりして、不統一に
なつたり、あるいは事務が複雑に
なつたりして困らないか。だからこの際
郵政省の職員に公企労法を適用するのは
考え直したらどうかというふうな御意見も、
政府の部内外に相当あつたのでございます。しかしその間におきまして
郵政省といたしましては、さような事務の複雑化あるいは困難化というものは十分予想される。かつまた適用職員と非適用職員との間の各種の不統一の発生も十分予想される。しかしながらその複雑、困難さ及び不統一さということのために、この際二十三万人に公企労法を適用しないということは私どもは選ばない。さような困難さが発生することはわか
つていても、この際二十三万人に対して公企労法を適用していただくことは、部内の労務管理上及び事務の民主化上、一大飛躍であると
考えるから、それはぜひとも適用してもらいたいというはつきりした態度、方針をと
つておつたのでございまして、国会の御
審議によ
つて公企労法を適用することを得た次第であります。しかしながら一方同じく公企業職員でありながら、私どもいわゆる管理者層の上層部の者につきましては、いろいろと差ができましても、一般公務員と同じ立場にある者として、これは別途に
考えようとすれば
考え得られるわけでありますが、問題になるのは下級の管理職員であろうと思います。これにつきましては御
承知おきのように、
昭和二十六年から人事院におきまして、一般公務員法及び給与法のもとにおいて、郵政現業職員が同じように一律にされているのはやはりいけない。そのいけない結果が出たのは、先般御尽力によ
つて是正されたのでありますが、当時はいけなかつた。
従つて当時の公務員法におきましても、企業職員俸給表という特別の俸給表を人事院でつくつたのであります。そうして当時として最大可能な限度において、現業職員の実態を救おうという努力が払われたのであります。その際においては、私どものような本省あるいは郵政局段階における君たちを除きまして、
郵便局と現業に従事している職員に対しましてはこの俸給表を適用する。但しそれも
郵便局長などで十一級、十二級という非常に高給に属する者については適用しない。それ以下の現業職員に対してだけ適用せらるべきものとして、企業職員俸給表というものがつくられたのであります、当時そういうことにな
つておりまして、公企労法適用前においても、現業の特殊性を見よう、しかしそれについても、
郵政省の中で横割りにどこまでを一般官庁の公務員として扱うべきかということを検討せられて、企業職員俸給表ができたのでありまして、その企業職員俸給表は現行として、公労法非適用職員に適用せられているわけでございます。
従つて現在私ども当面している問題は、二十五万名中二万名のいわゆる非適用職員中、どの線が一般の他官庁の職員と同等として扱
つてしかるべき線であるか、この線からこの線までの者は他官庁、一般公務員と同等として扱わないで、企業職員、現業職らしく扱うべきであるかという線の引き方について、問題が二点ある次第でございます。その第一点が明確になりましても、しからばいかような
法律の政正を行つたならば、公企労法適用職員と対比いたしまして、不権衡あるいは不均衡というそしりを免れないような、換言いたしますれば、非適用職員の人たちも、たとい十分でなくても納得のできるような処置をするためには、一体いかなる法規を
改正していただかなければならないだろうかという点がまた第二点でございまして、この点につきましては、実は私ども在来におきましても、二、三
大蔵省または人事院、法制局と交渉したこともございまするけれども、まだ公企労法適用後一年もけみしておらない段階におきまして、さような不合理と申しますか、不均衡を実証するに足るだけの基礎を持ち得ないで、単なる推測、予測という段階でありましたので、遺憾ながらこれが公に取上げていただく段階には今までのところなかつた次第でございます。しかしながら
ちようどただいま国会において、公企労法等の
改正法律案が議員提出
法律案として御提出にな
つておるやに承
つておるのでございますが、その際におきまして内閣方面から、この法案に対する
郵政省の見解いかんということで、十幾つでありましたか、
改正点に対する数多くの項目についての意見の照会を受けたのでございますが、その際私ども
郵政省といたしましては、省議をもちまして、
改正公企労法の議員提出の原案にはないけれども、かようなことを
郵政省の立場としてはひ
とつつけ加えていただきたいということを出したわけで、ございまして、その中にただいま
お話の、公企労法適用外職員の給与についても、公企労法適用職員と同様な扱いをなし得るような公企労法の
改正を希望するという回答を、省から正式に
関係方面に出した次第でございます。これが
一つの例でございますが、今後さような
法律制度の根本的な改訂をいたしません限りにおきましては、二十五万名中の三万名前後という非適用職員、これはいかんといたしましても一般の他官庁と同じ扱いを受けなければならぬ。
従つて公企労法職員の方が遅れている場合にはいざ知らず、進んだ場合にはそこに落差ができる。法体系が異なり、あるいは原資
関係も異なる今日においては、やむを得ないことであると同時に、これは予測せられておつたところでもあるので、あらゆる機会をとらえて、これが是正の方面、あるいは根本的な対策においても、当面なし得る限度においても私どもは努力して行きたいと
考えておる次第であります。
概略でございましたが、現状及び私の
考えているところは以上の
通りであります。