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1953-07-14 第16回国会 衆議院 郵政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 田中織之進君    理事 羽田武嗣郎君 理事 船越  弘君    理事 大高  康君 理事 片島  港君       小林 絹治君    坂田 英一君       武知 勇記君    伊東 岩男君       稻葉  修君    井手 以誠君       佐々木更三君    土井 直作君       木村 武雄君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君  委員外出席者         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 七月十三日  委員濱地文平辞任につき、その補欠として松  永東君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員松永東辞任につき、その補欠として濱地  文平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八〇号)  郵政行政に関する件     —————————————
  2. 田中織之進

    ○田中委員長 これより開会いたします。  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案及び郵政行政に関する件について、前会に引続き質疑を許します。船越弘委員
  3. 船越弘

    船越委員 この郵便物運送委託法の一部を改正する法律案について、今までの同僚委員のいろいろな質疑におきまして、一番心配なさつておられる問題は、独占事業になる憂いがあるのではないか、それからこの独占企業に対して、いろいろ郵政職員との間にいまわしいつながりを将来つけるようなことがあるのではないか、こういうような点を御心配なさつておられるのではないかと私聞いておつたのでありますが、すでに質疑がその点についても終つたのかもしれませんけれども、私が聞いておきたいことは、この日本郵便逓送株式会社株主は、どういうふうな人々によつて構成されておるかということと、かつて郵政職員方々重役になつておられるかどうか、こういうことについて、一度お伺いしておきたいと思うのであります。これが第一点であります。  第二点は、これも同僚委員からお尋ねがあつたように見受けましたけれども直営よりも委託の方がより経済的になるということについて、もしできれば数字をあげてお示しくだされば好都合だと思うのであります。この二点についてお伺いしておきたいと思います。
  4. 松井一郎

    松井政府委員 たいへんごもつともなお尋ねでございますが、日本郵便逓送会社は、その設立の当初におきまして、大体当時六大都市において郵便物輸送請負つておりました業者方々が、合同されたという一つの歴史的な経緯を持つておるのであります。従つてその株主も、当時の運送委託をやつておられました業者方々というものが中心になつております。一万株以上の株主を拾つてみましても、大体その当時において六大都市において運営をしておつた業者方々が残つております。ただ一点、郵政省共済組合が若干株を持つております。これはその当時、ちようど戦争末期において資金調整その他が非常にきびしい折からであつて、どうしても資金の出どころがないので、当時そういう投資を仰いだわけであります。設立の当初におきましては、総株式数の約二四%に及んでおつたのであります。しかしその後会社がだんだん増資して参りまして、私どもの方は種極的にこれを通じてどうこうしようというような意図はないので、そのときの資金繰りを見まして、だんだんとパーセンテージは減つております。最近においては、全体のわずかに一四%くらいの株式数を、共済組合の方で持つております。大体株式分布状況は、おもな点はそういうことであります。  それから重役で、私ども役所出身者がどういう傾向にあるかというお話でございますが、大体重役は、会長、社長取締役で十二名、そのほかに監査役が二名の十四名であります。十四名の重役のうち、元私どもの部内において相当高位の地位を持つてつたというような方々は、大体三名おります。社長、常務一名、平取締役一名、つまり重役総数十四名のうち三名がこの会社に入つております。それがただいまの現状でございます。  それから直営でやつたら経済的であるか、民営でやつたら経済的であるかという問題は、私は非常にむずかしい問題だと思います。と申しますのは、現奥の経営形態ということになりますと、その当時のすべての制度会計制度とかあるいは給与制度といつたようなものが、全面的に個人々々の勤労意欲に大きく影響して参りますので、にわかに頭の上でどちらがいいかということが、数字的に割切れるような性質の問題ではないと思つております。その点について私ども非常に関心を持つて、いろいろと外国事例その他も見ておりますが、それについてこの方が簡単に済むということは簡単に言い切れない。いろいろその国の、あるいはその時代の條件というものが反映して来るのではないか。それゆえに、イギリスにおきましても、国営論が台頭して国営に移行したり、また民営論に逆もどりしたり、いろいろの変遷をきわめておる実情を見ましても、一般論として数字的にこちらの方がより経済的だというように、簡単に割切るわけには行かないだろうと思います。ただ日本の置かれた現状におきまして、私はいろいろな総合的な判断からいたしまして、少くとも現在の段階においては、自動車、四輪車以上のものについては、やはり民営の方が経済的ではないかという総合的な判断を下しておる次第でございます。
  5. 船越弘

    船越委員 そうしますと、郵便逓送株式会社重役の十四名のうちで三名は、かつて郵政省高級官吏であつた、そうして株式の一二%が共済組合の保有に属しておるものだ、こういうことでございますが、この逓送株式会社以外の委託業務をやつておる会社については、どういうようにお考えになりましようか。
  6. 松井一郎

    松井政府委員 御承知のように郵便逓送会社以外の会社は、数は非常にたくさんございますが、その大多数のものはほかの事業と兼営しております。これだけを専属でやつている会社北海道郵便逓送株式会社という一社があるだけでありまして、あとはみんな兼営形態をとつております。従つて特に私ども役所の前歴を持つておる方が、そういうところの重役陣に入つておるという例はほかにはございません。
  7. 船越弘

    船越委員 だからこの法案が出ますときに、同僚委員の方からいろいろの疑問が出て来たのです。今重役になつておられる方についてとやかく言うものではございませんけれども、とかく民間会社に対して天くだり的に役所の役人が出られる。それがいろいろな災いをなす根源になると私は思う。でありますから、私自身の、民間人としての個人的考えからいいますと、特にこういうふうに競争入札によらないようなところには、いろいろな関連をできるだけつけないような方策をおとりになるのが、国民の疑惑を一掃する面から私はよいのではないかと考えております。これは議論でございますが……。  それからもう一点お伺いしておきたいのは、この法案が通過いたしました場合に、随意契約によるために、競争入札であれば委託業務がやられるであろうと思われるもので、除外される会社数はどのくらいになるでありましようか。つまりこの法案が通過いたしまして随意契約によりますために、従来やつておられたところの一般業者が私は減ると思う。もし減らないということならば、その理由を聞かしていただきたい。私は減ると思います。もし減るとすれば、何社くらい減ることになりましようか。それをお伺いしたい。
  8. 松井一郎

    松井政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、実はこの法案改正になりましても、従来の業者を減らすというような形は、直接表に出て来ないと思います。と申しますのは、この法案のねらつておる点は二点ございます。一点は、従来の業者で一生懸命誠実にやつておるということがはつきりして、その業者に引続いてやらした方がいいと思われた場合においては、四年を越えた後もなお契約更新することができるという意味合いにおきまして、むしろまじめにやつておる業者にとつては、将来続いてこの業務に従事できるということが一つの大きなねらいでございます。従来やつておる業者が特別に非常に悪いことをやるとか、不能率であるというようなことのない限りは、業者に安心を与えてやりたいというのが大きなねらいでございますから、この改正案によつて、従来の業者が減るというようなことはちよつと想像できないと思います。
  9. 船越弘

    船越委員 委託契約の更改時期はいつになりますか。
  10. 松井一郎

    松井政府委員 大体競争入札をいたしましてから四年間は従来のままでやつておるわけでありますが、四年が過ぎますと、現在の法律は四年を越えて契約をすることはできないというわけであります。ところでこの法律ができまして最初入札をしたときに、その後時期が、そのときどきで状態ははなはだ違つておりますが、最初入札が二十五年の五月ころだつたと思いますが、四年たちますと、来年の五月には、このままで行きますれば、従来の業者業務継続の資格を失つて、あらためて競争入札をしなければならぬというような事態に追い込まれることになるのであります。
  11. 船越弘

    船越委員 ただいまの請負をやつておる業者の中で、この郵政業務について非常にふまじめである、熱がないと思われる業者が現在ございますか。
  12. 松井一郎

    松井政府委員 私どもはそういう業者があつた場合には、ただちに契約を解除しております。現に入札後も、規定の配車をしないというような、要するに契約不履行責任を追究しまして、解約をした業者もございます。しかし現在従事しておる業者でそういうことがあるかというお尋ねであれば、そういうものがあれば、私どもはすぐに解約いたしたいと考えております。
  13. 船越弘

    船越委員 私法案を十分見ておりませんから、愚問かもわかりませんが、もう一点お尋ねいたしたいと思います。同一区間内に業務に非常に熱心なと思われるのが三社以上あつた場合には、競申入札をなさるのでありましようか。
  14. 松井一郎

    松井政府委員 お尋ねの点は、おそらく一般路線を持つてバス運行をやつておる場合であろうと思います。そういう場合において二社以上あつた場合においては、実はそういう一般路線運行しておる場合は、現在運輸省の建前としては、運賃は一律にきまつておるわけでありまして、おそらく東京都内でもどこでも、どちらの会社バスに乗つても、運賃は同じであります。そこにおいて競争入札をするということは、実は成り立たないわけでございます。そこでわれわれはその会社サービスを見まして、サービスのいいと思われる方へ、その郵便物物数に応じて随意契約をするよりしかたがないと思います。もちろん両方の出発が同じ時間であれば、両方を利用するというわけにはいかぬと思いますが、しかし時間がかわつておりますれば、郵便物速達上効果がありと認めた場合は、両者とも利用価値があれば利用する考えでおります。
  15. 羽田武嗣郎

    羽田委員 関連して……。今度北九州の水害というような非常事態のときこそ、民間トラック会社やり方というものが誠実であるかどうかということのバロメーターになるのではないかと思いますが、今回の九州熊本郵政局管内業者やり方は、あの非常事態の中を突破しながら、郵便物配達の迅速を期し、正確を期したかという点について、ちよつと承つておきたいと思います。
  16. 松井一郎

    松井政府委員 私ども郵便物を運送しておる方々については、常に郵便物というものが非常に大事なものであるということを、相当そういう方にも申し上げて、従業員の末に至るまで、そういう心づもりで取扱つていただくことを要望しておるわけであります。平時におきましても、たとえば峠に雪が降つてバスが通らなくても、郵便自動車まつ先に通るというような事例を幾たびも耳にいたしておりますが、今回の九州方面における風水害におきましては、汽車が不通になり、従つて至るところに臨期に自動車運送路を開かなければならなくなりまして、私どもの方からは、先日この席上でも御説明申し上げましたように、郵務局次長の板野君が西日本災害対策本部付向うへ行つておりますが、まだこちらに帰つて来ておりません。しかし私のところへ参りました報告によりますと、現地において新しい路線を獲得するために臨時に人夫がいる、あるいは自動車がいるといつた場合に、こうした請負をやつていらしやる方には、非常に熱心な態度で協力しているということに対する感謝の意を伝えてもらいたいというような現地からの報告が、私のところへ参つて来ております。まだ本人が帰つて来ておりませんので、詳細の内容はわかつておりません。
  17. 羽田武嗣郎

    羽田委員 今現地でそういう方たちが率先して大いに熱心にやつておるということは、まことに感謝にたえないところでありますが、日本郵便逓送会社のほか、幾つくらいのものがあちらでは指定されておるのか、それを承りたいと思います。
  18. 松井一郎

    松井政府委員 北九州地区において主としそういう事業をやつていたのは、日本郵便逓送会社と、それから久留米地帯中心にやつております西日本鉄道会社が、私ども郵便関係受命者になつております。この二つが大きな協力者であつたろうと推定せられます。
  19. 稻葉修

    稻葉委員 この法案提案理由の説明には多少疑問がございますので、ちよつと質問したいと思います。郵便物運送委託法の一部を改正する法律案提案理由の中に、「従いましてこれが受託者の選択にあたつては、慎重を期さなければならないと同時に、委託を受けた者は、業務の正確な運行を確保するためには責任者はもちろん、現場の従業員に至るまで、積極的かつ長期にわたる努力と訓練とを必要とするのであります。ところが現行法によりますと契約期間終了とともに、あらためて競争契約によることとなつており、期間満了後、はたして継続して業務を執行することができるかいなか不安定なので、契約期間満了期の近ずくにつれて業務遂行の熱意を失わしめることとなる等、不都合の点が多いのであります。」とあります。こういうことがこの改正案提案の大きな理由になつておるようでありますが、考えようによつては私は逆ではないかと思う。といいますのは、結論を申しますと、不安定にしておくのが業者の励みになつてサービスがよくなる原因になりはしないか。必ず期間終了後は、継続して指名を受けるということになつておれば、遂に官僚的惰性に堕して、なまけてサービスが悪くなるというおそれもあるのではないかと思うのですが、その点はいかがです。
  20. 松井一郎

    松井政府委員 私ども契約期間終了後必ずどんなことをやつてつても、その契約を続けて更改してやるという意味ではございませんので、契約期間中ほんとうに一生懸命にやつたということがあつた場合には、郵政大臣の方でそういうことをやる権限を留保する、こういう形でございます。従つて不良にやつてつても必ず継続してやるという趣旨のものではなく、また事実そういう不良のものがありましたならば、契約期間満了を待たずして、契約はいつでも解消したいと考えております。
  21. 稻葉修

    稻葉委員 この会社成立後、郵政大臣として今までそういう途中でやめさたり、あるいは期間更新のときにほかの会社にやらせたりした実例はありましたか。
  22. 松井一郎

    松井政府委員 これは昭和二十五年に最初入札をいたしましたが、その後四年間というものは、特に契約を更改する必要もありませんので、引続いてやつておりますが、途中で不良なために郵政大臣の方から契約を破棄した例はございます。
  23. 稻葉修

    稻葉委員 どういう理由で破棄されのですか。
  24. 松井一郎

    松井政府委員 契約書内容には、毎日ある一定の単数をある一定の日時に必ず一定サービスを提供するというようなことがあるのですが、ところが会社内部のいろいろな事情で車がそのときに間に合わなくて、規定の時間に車を持つて来ないというようなことをやつた場合には、それがやむを得ない場合は別といたしまして、そういうことを繰返すようでは、郵便運送安全性が保てないというので、契約期間中間においても契約を破棄することになつております。
  25. 稻葉修

    稻葉委員 今承りましたような実例が過去にあつた点にもかんがみまして、この更新期間の四箇年というのは、少しく長過ぎるのであつて、これを二箇年くらいに短縮するのが適当であるように思うのですが、この点についてはやはり四年でなければいけませんでしようか。
  26. 松井一郎

    松井政府委員 一般契約としては若干長いような感じをお持ちになるのはごもつとだと思いますが、大体現在自動車というもの、特にトラックなどは四年間で減価償却をしてしまうというもくろみが、業界の慣習になつておるようでございます。かつまた外国立法令を見ましても、こういう場合においては初めから一年、二年では非常に不安定なので、四年ならば何とか採算が会うからというような一つの見方から、四年というものに区切られておるわけであります。
  27. 稻葉修

    稻葉委員 別なことに移りますが、山村僻地においては、郵便物が三日も四日もかかるような現状ですが、この点はこの会社に対して今まで郵便物は敏速を最も要求されるものでありますから、郵政省当局としては、会社を鞭撻して来ておるのか、どういうことをやつておるか、その点伺いたいと思います。
  28. 松井一郎

    松井政府委員 郵便物スピードということになりますと、これは配達の度数がどうなつておるか、中間輸送のルートが一日のうちに何便あるかといつたようなことが結びつきまして、結局郵便物スピードというようなものが決定せられるわけであります。そこで配達につきましては、全国的に今日大体郵便区市内と申しまして、大体郵便区の中心地区の中につながつておるところでございますが、そこは一日に二回配達郵便区市外と申しまして、ずつと郊外の方になります分は一日一回というのが、全国的に今日私どもの持つておる配達サービス基準でございます。ところでその中間において非常にたくさん便がありますと、ある時間に出された郵便物が次の便によつて運ばれて、たとえば午後の配達便に間に合うというようにうまくつながるのであります。しかし地方の方に参りまして、非常に物数がわずかしかないというところにおいて、便をふやして行くということは、そのために非常に多額経費を必要とする、むだな経費がそこに非常に多く出て来るというような観点から、おのずから地方では物数流れに応じて便を設定してございますので、そんな関係が反映いたしまして、郵便物速達の時間が若干ずれるという問題がありますが、これは請負しておる業者が一生懸命やらぬという問題とは直接関係はないと思います。
  29. 稻葉修

    稻葉委員 郵便物の数が少くて利益が上らぬからというようなことが、やはりどうしても影響するだろう、それは営利会社だからです。やはり民主政治というものは、山村僻地においても同時に政治の恩沢を受けるということでなければならぬ。それから知識の程度、都会と山村と貧富の差があつては、批判政治である民主政治というものは発達しない。そういう点も大いに関係する業務だから、もし逓送会社なるものがあまりに利害打算採算にとらわれてそういう点をおろそかにするようなことがあれば、これは重大問題ですから、その点については、やはり郵政省としては相当厳重な警告を発する、あるいはもしそういう点が改まらなければ、そうして現在実質的に四年間というものをすえ置いて、あるいはさらにそれを更新して八年間、十六年間というようなことになるのが実情であるとすれば、いつそ官業にしてしまつて、そういう採算を度外視した、民主政治の確立の関係においてやるという方向に行かなければならぬと思うのですが、今承つておると、どうしても採算に重点を置いて、どうももうからぬから向うの方うはおろそかになりがちであるという答弁で、私は満足できない。
  30. 松井一郎

    松井政府委員 若干私の申し上げ方が、言葉が不足で誤解されておりはしないかと思います。というのは、そういうことは業者自身がやるわけではございませんで、郵政省の方でここの区間は何便やるというふうにきめますので、もちろんそのために便数が少いとか多いとかいうことは、これはひとえに郵政省自身責任でございます。もちろんわれわれの仕事が営利ばかりに傾いてはいけない。公益的な使命というむのが非常に大きいのであります。それゆえにこそ北海道のすみずみの山の奥も越えて、わずか一円くらいの料金でもつて従業員が、熊の出るところにまで新聞を配達しているというようなこともあえてやつておるわけであります。ただ郵政事業が今日全般として独立採算でもつてわくをはめられていて、この範囲でやれということになると、不経済な線をたくさん設定すると、そのロスを結局どこかへ転嫁して行かなければならぬ。そうしますと、一般にほかに転嫁されますので、余力によつて経済路線を設定する限界というものがおのずから出て来るのではないか。公益的なものだから便を幾らでもふやすに越したことはありません。しかしわずか数通の郵便物を運ぶために、相当多額運送費を払つて経営するということになりますと、やはりそれだけの赤字は他ヘ転嫁しなければならぬ。転嫁される点については、これはおのずから私どもの持つている全体のわく限界がございますから、そういう点については実際の必要もにらみ合てし—しかし何本路線を設定するか、何時にどこをスタートする線をつくるかということは、業者の問題ではなくして郵政省自身の問題であります。
  31. 船越弘

    船越委員 ただいまの稻葉君の質問に関連して、ちよつとお尋ねしたいのでありますが、実はこういうような例があるのであります。私の選挙区に上下町という町がある。そこの郵便局より五十町離れておるのですが、その村は上下郵便局集配区間にはなつていない。その隣の高蓋というところの集配区間になつておる。ところが赤バスはその路線を通らないで、数十箇村隔てたところへ向つて行つて、そこから今度は南の高蓋の局ヘおりて来る。でございますから、虞際上下町から郵便物を出しますと、隣の隣の村まで三日かかるという状況になつておる。これは先ほど郵務局長が仰せられましたように、バス会社責任では全然ないのでありますが、最近聞くところによりますと、移動ポストとかいう制度をお設けになりまして、非常に便益を得ておるわけであります。そういう場合には移動ポスト制度で、実際には他のバスが通つておるのでありますが、五十町しか離れていないのに郵便物が三日もかかるという不便さは、経済的の方途がどうとかおつしやいますけれども、何とか打開していただくよう努力してもらいたいと思うのでありますが、移動ポストの方法を御採用くださることはどうなんでございましようか。
  32. 松井一郎

    松井政府委員 郵便路線の設定につきましては、大体郵便物のおもな流れ従つてつておるわけであります。そこで距離的に郵便物流れ路線からごくわずかはずれたがために、そういう三日もかかるというような事態の起り得る場合もあり得ると思うのです。それを解決するためには、もちろんそこに新しい路線を設定すれば、これに越したことはございません。しかし先ほども申し上げましたように、すべての郵便物を全部そういうふうにいたしますことに対しては、これはその経済性から申しましても、予算もかかることでございます。そこで案は移動バスポストというのを昨年から私が思いつきまして、今日においては、終戦後異常にバス路線が発達しておる。これを簡単に利用するために、ある一定方向向うバスポストをつけて、バスの終点では必ずそれを開凾するということになれば、非常に救われるのではないかということを考えつきまして、それを各地方郵政局関係バス会社と話し合つてくれ、これは私どもの方でもちろんポストをつけるに必要な実費その他はお払いしますということで話したのでありますが、しかしバス会社の中には、そういうことは自分の方はめんどうくさいとかたんとかいうので、簡単には応ぜられない向きも拠るようでございますが、私自身の気持といたしましては、バス会社の方で承諾していただけば、移動ポストというものはできるでけ普及して行きたい。またこれによつて最も安い経費郵便速達がはかり得るのではないかというような考えを持つております。現に最近も松江から広島あての、これは非常な長距離バスでございますが、これにバスポストとをつけております。そういたしますと、広島へほんの五、六時間のうちに、郵便物が自然にバスにつけられて来るようなことになつております。これは新しいくふうとして、最近思いついて試みておりますけれども、まだ実際の成果その他については、私自身確信は持ち得ませんが、どうしても新しいバスの発達に対応して、最も経済的に郵便物の送達をはかるために、やはりそういうものを普及して参りたいというような実情であります。
  33. 船越弘

    船越委員 経済的なロスがありましても、できるだけこの方法は御採用くださいますか。
  34. 松井一郎

    松井政府委員 これは経済的なロスと申し上げましても、ごくわずかな手数料でございますから、そのために専用の車を動かしたり、専用の人を使つて運ぶことに比べれば、はるかにコストの少い、ものでございますから、私どもとしては当分の間は、バスポストのために経費が圧迫されて、考え直さなければならぬというときはまだ来ないだろうと思います。
  35. 稻葉修

    稻葉委員 逓送会社自動車を見ておりますと、いかにもかぶと虫がはうようで、非常にスピードがのろいようですが、こういう点は改善できないものですか。
  36. 松井一郎

    松井政府委員 大体私どものほうといたしましては、各立寄り局の間の時間というものがきめてございまして、その時間の範囲内において、間違いなく運行されるということでございまして、やたらにスピードを出して走るということを必ずしも奨励しておりません。おそらくあのスピードというものは、きめられた交通量の中の最も規定に違反しないスピードをとつているのだと思います。町の自動車には、相当規定以上のスピードで走つているのが多いので、非常におそく感じられるのじやないかと思います。
  37. 稻葉修

    稻葉委員 昨年夏ごろ、ブラッセルで開かれた万国郵便会議には、日本としては何か提案をなされましたか。
  38. 松井一郎

    松井政府委員 実は昨年のブラッセル会議には、私も全権を承りまして出席いたしましたが、郵便條約というものは、御承知のようにブラッセルの会議は第十三回目であります。五年ごとに開かれております会議のことに、條文の全部にわたつて再検討をして、その新しい時代に即応するように直すことになつておりますが、すでに十三回を経ております。従つて郵便事業というものの合理的なあり方としては、行くべきところに大体行つておると思いますが、新しい事情の変化に応じた技術的な修正というものは、これはやはり相当多数に上つております。現に千八百件に上る議題があつたのでありますが、その中で日本側から提案いたしましたものも数十件ございます。しかしその多くのものは、万国郵便條約というものは、主として郵政庁と郵政中との間の取扱いを規定しておる内部の技術的な問題が大部分でございまして、直接私どもの提案で一般の国民の方々に影響を与えるというようなものにつきましては、たとえば一件大きな問題があつたのであります。これは残念ながら九十対二票の差でもつて敗れました。これは日本の特殊地位を強調したものでありまして、たとえば現在通常郵便における小型包装物というまのは、一キログラムまでしか引受けていない、日本はぜひこれを二キログラムまでふやしたい。と申しますのは、日本が将来輸出国として立つて行くためには、どうしてもこの小型包装物というものをふやしたいという熱意を持つているのであります。この点については、昔のヴエノスアでの会議の時代においても、日本とドイツとはこの案を強硬に主張したのでありますが、ついに多数のために敗れた。しかしこの案は日本は伝統的に持つておる案でございまして、今度の場合においても、その伝統政策の一環として持ち出したのでありますが、どうも世界の環境は私ども考えている以上に悪くて、ついに九十対二票で敗れたというような問題がございますが、あとの多くの問題については、これは技術的な問題が多かつたのでございまして、あとのその他の日本の提案は、ほとんど大部分これが認められたと申し上げてさしつかえないと思います。
  39. 稻葉修

    稻葉委員 国際間の郵便物の料金の問題、日本とアジア諸国の郵便物の料金は、ヨーロツパ・ブロックなんかにおける各国間の料金よりも非常に高いようですが、これはどういうことなんでしよう。
  40. 松井一郎

    松井政府委員 大体外国郵便の基本料金というものは、條約できまつておるわけであります。しかしあるブロツクの国が集りまして、そのきめられた料金よりも安い料金で相互にやることは、何らこの條約は禁止しておりません。御承知のようにヨーロッパにおまましては、たとえば北欧ブロックというようなものがあります。それぞれの隣接国との間には、特別の料金協定をしておるのであります。日本も戦争前におきましては、日支郵便約定というものをつくりまして、中国は外国ではございますが、日本と中国との経済関係の緊密性にかんがみまして、大体お互いに国内料金がそのまま行くようにしようじやないかというような約定までやつてつたのであります。しかし終戦後そういう道は断たれました。従つて今日私どもとしてはアジアの諸国との間に特別な協定は結んでおりません。最も近い朝鮮との間において、そういう特殊協定を結ぼうじやないかとついうことを申し出たこともありますが、今日の朝鮮の政治的情勢が、まだれそれを受入れる段階に達しておりません。やはりごく隣の朝鮮に向つて、高い一般外国郵便料金を適用せざるを得ないという状況になつております。
  41. 稻葉修

    稻葉委員 そこでひとつ郵便とか電信電話とか、こういう国際性の特殊な問題を通じて、大きくアジア諸国の友好関係を増すという意味からいつても、外務省にまかせておいてはだめですから、郵政省に大きな働きをしてもらわなければならぬと思うのですが、爾今ヨーロッパ各国に行われておるような情勢に、アジアの国際関係を、そういう大きな面から推進してもらえるように特に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  42. 田中織之進

    ○田中委員長 井手以誠君。
  43. 井手以誠

    ○井手委員 郵便物運送委託法のことについてお尋ねいたします。郵便逓送事業は、その事業の特性からいたしまして、当然直営でなくてはならぬと私は考えておるのであります。従つて直営についての御研究が相当進んでおつたと思うのであります。もちろんその間今日まで、いろいろ御説明がありましたように、当面やむを得ない過渡的な便法として、請負させるということに承つたのであります。やはり基本的に国営化すべき、直営化すべきであるならば、その研究は進められておるはずだと思うのであります。従つて先般も、これに関する資料がほしいということを、当委員会として希望いたしておりましたが、本日出された資料では、まだ請負料の予定価格の算出方法だけでございまして、これだけでは直営した場合の有利、不利、現在の請負の適否ということについては、容易には判断しかねるのであります。いろいろ総合してみると、現在では請負の方がよろしいという判断を、郵務局長は繰返してここで申されておりますけれども郵務局長はさように判断されておるかもしれませんが、私どもでは容易に判断しかねるのであります。そこで私は直営した場合にどういうふうになるかという、具体的な資料をひとつぜひ早急に出していただきたいことをお願いいたしますとともに、この機会に郵政省はほんとうに直営にしようという決意があるのかどうか。現在ではやむを得ないけれども、準備の進み次第、資金の見通しがつき次第にやりたいという決意があるかどうかを、私はここではつきりと承つておきたいと思うのであります。もし大臣と協議の必要があるならば、後日でもけつこうでありまするが、少くとも直営化すべきであるということについては、何人もこれは突然うなづけることであると存じます。研究が進められておりますならば、その資料をこの機会に出していただきたい。  なおこの資料によりますと、基本額は一日八時間とか、あるいは六十キロというのがありますが、これはどういう内容のものであるか、お尋ねいたしたいと思います。  さらに資料の提出をお願いします場合に、先日も郵政大臣は、問題は請負料金の内容であると申されたのであります。従つて請負料金の適用を研究する資料となるものを、ぜひひとつ一緒にお出し願いたいということを希望いたす次第でであります。
  44. 松井一郎

    松井政府委員 郵便物の場合に、運送については直営が原則であるかどうかということについていろいろな見方もあり、御見解もあろうと思われます。そうしてこれを直営にするか、委託契約をとつて行くかということは、あるいは私から申し上げるのは少し行き過ぎであつて、むしろ大臣にお答え願つた方がいいのではないかと思います。  それから直営化した場合にどうなるかということでございますが、これは非常にむずかしい問題だと私は思います。役所として直営化した方が有利か有利でないかということは、先ほども申し上げましたように、こういう自動車の維持におきましては、取扱い方いかんによつて、四年しか持たないものもあれば、八年使えるようなものもある、そういうこまかな配意というものが、経営上に非常に大きな影響を持ちます。しかもそういうことに対して軽軽しくわれわれが頭が想定して、数字を割出すということは、非常に避けなければならぬ問題じやないか。実際においてそういう場面があるとすれば、それが事案の資料としては間違いない問題であろうと思いますが、あまりにも多くの仮定を條件とした数字をつくらなければならぬ、それはわれわれの手ではちよつとできない問題じやないかと考えております。この点は、先日委員会から直営民営との比較論を数学的に出せというお話があり、また先ほど船越委員からもそういう御要望がありましたが、これは私どもとしては多くの仮定というもの、推定というものを前提としなければつくれない数字でございますので、ここで簡単な比較的な数字を出すということだけは、ちよつと私どもの手に簡単に負えない仕事であるというので、本委員会に提出ができなかつたわけでございます。その点あしからず御了承願いたいと思います。  それから請負料金の算定の仕方でございますが、ずつと最初にお配りいたしました資料にありますように、たとえば第八條関係一般航路を持つ船、路線を定めているバスとかあるいはその他の問題については、運輸省の方できめました基準が運輸省の告示でもつて出されております。それはたとえば郵便物の行嚢一個については船の三等運賃の幾らに換算するというような形できめられておりまして、それが現在われわれが実際支払つております対象になつておるわけであります。そのほかの専用自動車運賃につきましては、これは従来御承知のように競争契約でやつておるわけであります。そこで競争契約のあり方としては、それの最高というのを押え、これ以上のものは、たとい落札しても認めないというわくがあるだけの話でありまして、幾らでなければ契約しないという建前はもとよりあり得ないのであります。それ以下であれば安い方にやらしておる、これが従来の競争契約のいきさつでございます。そうしてその場合において私どもとしての最高の押え方というものは先ほど差上げました専用自動車請負料予定価格の算出方法というところに出ております。これはいろいろ書いてございますが、要するに、昭和二十六年一月二十三日付で、当時の物価庁統制令に基く最高運賃というものがあつた、ところがこの一般トラック運賃というものと郵便物請負料との間においては、若干その形態が違つておる。たとえば一般トラック運賃の基本をなしておりますものは、大体重量物といいますか、重量でもつてつておる。ところが郵便物というものは、御承知のように軽量物でありまして、むしろその容積の方が中心になつておる。そこで重量中心のものを容積に換算したという程度のものが、現在われわれとして持つておる予定価格でございます。そうしてこれ以下において落札したものによつて、それぞれの契約をしておるわけでございますから、各地区々々における予定価格いうものは、おのずから若干違つております。そういう点御了承願いたいと思います。
  45. 井手以誠

    ○井手委員 直営の場合の研究はいたしておらないということでありますが、私はここに日本逓送会社のいろいろな書類もあります。研究するという考えであるならば、さほどむずかしい作業ではないと私は患う。全然知らない人ならどうか知りませんが、たいていの事務官ならば十分できる仕事だと私は思う。いろいろな御関係があつてお出しにならないかもしれませんが、私はお出しにならなければお出しにならなくてもけつこうですが、出されないような資料ではないことを私は申し上げておきたいと思います。  次に当面の問題である請負料の問題でございます。いろいろ御説明がありましたが、少くとも最高価格をきめる基準というものは、郵政省にはあるはずであります。ここに示されておりますように、大型の方は三千九百円、小型は千五百円である、この金額の生れた基礎というものがあると私は思うのであります。私はここで会社内容についていろいろと追究したいとは考えませんけれども、この請負料がはたして適正であるかどうかということについては、もう少し掘り下げて承らなければならぬと考えております。それに関連して、一日八時間あるいは六十キロということ、それからほかの営業と逓送事業とは営業方法その他においてかなりの相違があるということも、われわれは承知しているのであります。その点からいろいろ考えますと、もつと詳しい資料がほしいのでありまして、その資料に基いてさらに私はお尋ねいたしたい。会社が非常な創意くふうによつて、年間に資本金に近い利益を上げたことについては私は多くは申しませんけれども請負料金についてはさらに資料によつて納得さしていただきたいと思います。
  46. 松井一郎

    松井政府委員 先ほどもちよつと簡単に御説明申し上げたのでありますが、この三千九百円とか、千五百円とかいうこの数字は、実は私ども自身の方でそれほど全国の下ラックにおける原価計算というものを持つてつたわけではございません。そこで当時物価庁がトトラック一般運賃をきめる際に、全国からいろいろな資料を集めまして、それを計算いたしまして、たとえば重量四トン積みのものを三千九百円にする、あるいは重量三トン積みのものを幾らにするというのをちやんときめたわけでございます。そこで私どもの方では重量別に車種をわけるわけには参りませんので、物価庁のきめました数字をそのままこちらの容積量に換算いたまして——しかしこれも郵政省だけでやるということは、あるいは越権のさたでもありましようし、また穏当を欠く場合もおそれられますので、こちらの案を物価庁の方へ提示いたしまして、物価庁の方もそれでよろしいという確認を得たのが、この数字になつております。この三千九百円の内容構成がどういうふうになつているかについては、実はその当時の重量トンの計算、最高価格をやつた物価庁における資料というのを、そのまま流用したという形になつているわけでございます。
  47. 井手以誠

    ○井手委員 郵務局長は郵政部内で手腕家だと私は聞いておりたのでありますが、ただいまの答弁は納得しかねるのであります。この逓送事業郵政事業の大きな部分だと思う。末端の一部の仕事ではないと思う。ところがその中心をなす事業請負料をきめずに、物価庁がよろしいというから、大体それによつたということでは、逓信事業を担当する局長の答弁としては、私はいささか物足らぬではないかと思うのであります。
  48. 松井一郎

    松井政府委員 あるいは私の言葉が足りなくて、若干誤解されているのではないかと思われますが、ここに出しました数字は、どこまでも私どもがこの価格で契約するという意味合いのものではなくして、落札価格でやるのだが、その落札がこれより高くては困る。というのは、当時物価統制令で価格の最高限が押えられておつた、それに照応したものがこれでございます。従つてどもはこれでもつてやるのではなくして、これより安ければ安いほどいいというのでやつたわけであります。しかし将来もしもわれわれが随意契約にかわつてやる場合においては、こういう最高価格程度のものではなくして、適正運賃というものを案出して、それによつてやらざるを得ないと思います。ただ落札制度というものを前提とした場合には、私ども自身がそうこまかな適正価格を出すことは、あまり意味のないことでございます。やはりその当時の、これ以上いけないという社会通念と申しますか、その当時の社会で受入れられた情勢というものを郵便に換算をしたものを一応ここで出すというのは、やむを得ない施策であつたと思います。
  49. 井手以誠

    ○井手委員 おつしやる通り、これは最高価格であることはわかる。しかし最高価格で契約なさる場合もあることも考えられるわけであります。従つてこの基本額の算定の基礎というものは、私は非常に重要だと思う。自分の方では確信があるとか、物価庁がどうとかいうことでは、おそらく委員の人は納得できないと思う。かりにそれが物価庁の考えであつても、その基礎はあるはずであります。詳しく承りたいとは考えませんけれども、大体の基礎を私はぜひ承りたいと思います。その資料が提出できるかどうか。さらに先刻から申しましたように、基本額にいう一日八時間とか大十キロというものは、これは仕事を始めてから終るとき、その間の実働であるか、その辺のことまで承つておきたい。
  50. 松井一郎

    松井政府委員 一日八時間または六十キロと書いてありますが、そのまたはというところに選択的な意味がございまして、業態によつては拘束八時間の場合もある、あるいは拘束八時間を前提とした場合、あるいはそうでなくして実際は八時間以下であつても、六十キロ走るというような場合においては大体この基準をとるというのが、この基本額を設定したときの條件になつておるわけであります。従つてこれ以上のわくに出れば、その限度においてやはり考慮せられる必要があるということでございます。
  51. 井手以誠

    ○井手委員 そういたしますと基本額について詳細でなくともいいけれども、これより詳しい資料をお出しになる御用意があるかどうか。
  52. 松井一郎

    松井政府委員 三千九百円、三千五百十円のそれぞれの数字を出したその当時の物価庁の原価計算調書があると思いますから、それをできれば手に入れてごらんに供したいと思います。
  53. 井手以誠

    ○井手委員 ぜひ御提出になるように重ねて希望いたしまして、その上でざらに検討さしていただきます——。これは委員長お尋ねしますが、郵政一般についてもよろしゆうございますか
  54. 田中織之進

    ○田中委員長 郵政行政に関する件の調査もあわせてやつておりますから、よろしゆうございます。
  55. 井手以誠

    ○井手委員 それでは続いて郵務局長お尋ねいたしますが、ここに特定郵便局舎の関係資料が提出されております。それによると、一万三千幾らの特定局がある中に、二十八年度は三十局を新築することになつておるのでありますが、過去の数字から見ますと、毎年々々新築の局舎数が減つているように考えられるのであります。私は先回のこの委員会の質問応答を聞きまして、特定局は国有化しなければならないことは当然だと思うのであります。従つてその国有化に関する当局の資料を提出願いたいことを要望しておきます。これに関しても資料が出ていないようでありまして、あるいはそういう計画がないのかもしれぬと思いますけれども、私はその事業の性質から考えまして当然国有化しなければならぬ、その計画が当然当局では持つておらねばならぬと考えるのであります。その計画があるかどうか承つておきたいと思います。
  56. 松井一郎

    松井政府委員 私ども局舎をよくしたいということは、これは事業運営上非常に重要なことでございます。ところで事承知のように、各重要都市におきまする局舎というものが戦災のためにひどくやられました。これの復旧といつた点に追われ、それと同時に戦災後の各都市においてまた都市計画が施行せられる。従来の局舎の位置ではいけないから、これはどうしても移転しなければならない、あるいはその後における土地、建物の異常なる高騰といつたような問題が続々と起つて来たのであります。しかも他方御承知のように、郵政事業というものは一昨年までは赤字を出しておつた業務の運営自身ですら持つて行けなかつた、こういう状況にあつたわけでありまして、もう出て来る局舎ののつぴきならぬ問題の処理ということに追われ続けておつたの現状であつたわけであります。そこで私どもとしてはこの局舎を何箇年でどういうふうにするというようなことを、つつ込んでやるいとまがまだなかつたのであります。しかしおかげさまで郵政事業の基礎も、最近はここ一年来やつと健全な状態をとりもどしましたし、また各地区における状況というものが、終戦後の混乱状態から脱却して来たようでありますから、われわれとしては今後は全国の実情を詳しく調査して、何かそういう御指摘のような案をつくつて行きたいという気持を持つておりますが、残念ながらまだただいまのところそこまで手がまわりかねておるというのが、率直に申し上げた事情であります。
  57. 井手以誠

    ○井手委員 郵政事業が漸次健全化して来ておるということは、まことにけつこうであります。そういうふうに漸次健全化しておるならば、新局舎の建設が毎年ふえて行かなければならないのに、逆に減りつつあるのはふしぎな現象のように考えられます。
  58. 松井一郎

    松井政府委員 これは毎年々々の建築に使う寂しい予算というものの金額は、決して減つておりません。ただ私どもとして終戦直後の急場と違いまして、最近におきましては建てるならばできるだけ本建築を建てたいという要望がありまして、昔は木製で簡単にやつてつたのを、本格的な建築にするというような方針に転換した結果、建築費のコストが非常に高くなる。一方またここ一、二年来における各地方の地価というものの異常な騰貴率というものが反映いたしまして、全般としての建設勘定は、金額的にふえておるが、具体的な局舎の数は、その結果若干減つておるということになつておるのでありまして、われわれとしてこれを決して減らそうという意思はないのであります。
  59. 井手以誠

    ○井手委員 特定局の実情から申しまして、また経済上から申しまして、急にこれを固有化することの困難であることは、本員もよく承知しておりますが、しかしそういう国有になさなければならぬという建前であるならば、何箇年計画かの案を持つて進むごとが、私は順序だろうと考えております。ただいまのように、一年間三十局か三十数局の新築では、四百年以上を要するのではないかと、この数字から好きますと考えられるのであります。それではいかに国有化という看板を持ちましても、その案が伴わないことははなはだしいのであります。私ども何箇年というはつきりした見通しを持たないが、あるいは五箇年とか、十箇年とか、二十箇年とか、そういうような案をひとつ早急に樹立されて、またこれに要する財源についても、あるいは郵政事業の財源によつて、あるいは公債によつてというようなことも考えられるでありましようが、これを早急に建設計画を立てられる御用意があるかどうか、それを承つておきたい。
  60. 松井一郎

    松井政府委員 先ほど申し上げましたように、大体私どもの方の内部の仕事も安定して参りましたし、これからはひとつ全国の局舎の実情というものをよく調査いたしまして、御指摘のような何年かの見通しの立つた一つの計画、並びにそれに伴う資金計画の樹立にとりかかりたいと思つております。
  61. 井手以誠

    ○井手委員 ただいまの御言明を信頼いたしまして、早急に計画が立てられますように希望して、本日はこれで質問を打切ります。
  62. 田中織之進

    ○田中委員長 委員長から、先ほど井手君から要求のありました資料の問題について、さきに本委員会に提出のあつた郵便物運送委託法の一部を改正する法律案資料の八ページにある、郵便物連送委託法第五條に基く運輸省告示、それから道路運送法第八條の三号にある「第一項の運賃及び料金は、定額をもつて明確に定められなければならない。」という、この道路運送法の第八條の関係と、委託法第五條に基く関係と、さらに現在の主として日本郵便逓送会社との間の契約による委託料金というものを、具体的に数字が私は出ると思う。その数字が、この両法律関係から割出した料率と同じものであるのか、そこに差があるのかというような点、具体的に数字に出していただければ、さきの井手委員の要求資料に合致するではないかと思います。
  63. 井手以誠

    ○井手委員 私どもといたしましては、道路運送法において適正運賃主義というものを定められております以上、これができ上りますれば、当然この運賃によつて契約をやり直さなければならないと考えております。ただ残念ながら今日までのところ、これの具体的適用というものは、まだ適用時期になつておりませんので、適正な運賃定額法をもつて定めるということは、これはまだ現在の法律では、八月一日から切りかえることになつております。それでこれが実施になりますれば、道路運送法に基く運賃に切りかえるということに当然しなければならぬ問題だと思つております。
  64. 田中織之進

    ○田中委員長 そこで先ほど井手君から要求した点で、現在の日本郵便逓送株式会社郵政省との間の契約になつておる具体的な料金率、これを次会に提出していただきたいと思います。  それから、これは本日きわめて簡単な資料が出ておりますが、郵政省で運送事業直営した場合の、もう少し詳細な——これは想定した数字になるという郵務局長の御答弁でありますけれども委員長から考えて、直営をすると、あるいは現在の委託会社よりも高い数字が出るかもわかりませんが、いずれにしても直営する場合には、それに対する所要人員その他の関係の数字が出て来るわけで、もし現在委託しておるものを全部直営にすると、定員の問題でどの程度の増員をやらなければならないとか、それは現在の郵便物の運送料から見て当然割出されると思います。そういう資料は本委員会に提出していただくわけに参りませんか。
  65. 松井一郎

    松井政府委員 先ほどの日本郵便逓送会社との料金の率でございますが、これは日本郵便逓送会社と基本料幾らという形の契約はしておりませんのでございまして、全国の各地における、無数というわけでもございませんが、郵便線路ことに、個々の線路における、どういう中型車におけるどういうサービスというものを基本にして、それに対する落札金額幾らというものがたくさんあるわけでございます。これを全部お出しいたしましても、あまり煩雑な資料でありますし、意味がないのではないか。と申しますのは、実は日本郵便逓送会社と一括契約しておるわけではございませんで、各地区々々における線路を競売に付して、それを郵便逓送会社の支店なり何なりがお互いにとつておるので、場所々々によつて若干違つております。そのときの競争者の状況とか賃金の状況とか、それが私どもの算出内規以下であれば、それを落札者としてやつたわけでございます。そういうことが各線路別単価ということになつております。どの程度のものをお出しすればいいかということになるわけです。
  66. 田中織之進

    ○田中委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  67. 田中織之進

    ○田中委員長 速記を始めてください。  委員長から申し上げますが、先ほど来懇談の形でもはつきりしたと思いますが、井手委員から要求いたしました資料を、次会までに間に合うように出していただきたいということを政府側に希望申し上げておきます。なお船越委員からも資料の要求があります。
  68. 船越弘

    船越委員 この郵政業務に対しまして、農山村では非常に不便を感じておりまして、まだ簡易郵便局のない村がございます。それから簡易郵便局であつて無集配局にしていただきたいという強い要望がたくさんあるわけであります。それがいろいろな定員法あるいは予算という問題で、なかなか地方の要望に応じられていない模様でありますから、この際あわせて全国の一万余の町村の中で、簡易郵便局のないところが何簡所ありますか。また簡易郵便局あるいは無集配局の昇格を非常に要望しておるところがたくさんありますから、全国でそういうものが幾つあるかということの資料、それから本年度のそういうものを昇格させるための予算、そういうものもあわせて次の委員会まで御提出願いたいと思います。
  69. 田中織之進

    ○田中委員長 船越委員からの要求の資料も、あわせて次会までに御提出願いたいと思います。本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十七分散会