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1953-06-19 第16回国会 衆議院 郵政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月十九日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 田中 織之進君    理事 大上  司君 理事 船越  弘君    理事 大高  康君 理事 片島  港君    理事 吉田 賢一君 理事 濱地 文平君       菅家 喜六君    小林 絹治君       坂田 英一君    武知 勇記君       櫻内 義雄君    松浦周太郎君       淺沼稻次郎君    土井 直作君       木村 武雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (経理局長)  中村 俊一君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      佐方 信博君  委員外出席者         大蔵主計官   福田  勝君         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     八藤 東禧君         郵政事務官         (大臣官房人事         部給与課長)  土生 滋久君         参  考  人         (公共企業体等         中央調停委員会         第二小委員会委         員長)    石井 照久君         参  考  人         (全逓信従業員         組合中央執行委         員長代理)   横川 正市君         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 六月十七日  塩沢郵便局集配事務開始の請願(河原田稼吉  君紹介)(第一一〇三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  郵政職員給与体系是正調停案に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中織之進

    田中委員長 これより郵政委員会を開会いたします。  郵政行政に関する件及び郵政職員給与体系是正調停案に関する件について調査を進めたいと思います。  郵政職員給与体系是正調停案に関する件につきましては、初めに参考人方々より御意見を聴取した後、質疑を行いたいと思います。参考人の方は、各位のお手元にありますように、公共企業体等中央調停委員会第二小委員会委員長石井照久君、全逓信従業員組合中央執行委員長代理横川正市君の両君でありますが、石井君の方は少し時間が遅れてお見えとのことでありますから、横川さんから御意見を拝聴いたしてから参考人質疑願いたいと存じます。政府当局への質疑は、これは郵政行政一般でありますから、適宜に質疑を許します。  それでは参考人の方にお願いいたします。発言のときは、発言席で御職名と氏名をお述になつてからお願いをいたします。横川正市君。
  3. 横川正市

    横川参考人 ただいま委員長の方から御紹介いただきました全逓信従業員組合委員長代理をしております横川でございます。  私ども給与体系是正に関する調停申請を行いましたところ、その調停案の提示された内容について本日郵政委員皆さんから諮問を受け、それを検討される、こういう機会を与えられましたことを心から感謝いたしておるものでございます。この給与体系是正という要求を私どもが提示するに至りました経緯と、現在それがどのようになつて紛争されているかという問題について、簡単に私の方から参考人として御意見を申し上げたいと思います。  御存じのように全逓信従業員組合という組合の性格については、これは一般社会の通念上、全逓というのは何かしら赤い組合である、こういうような印象を非常に強くいたしておりましたことは、終戦後の労働運動のほうはいとして盛り上がつて来る家庭において、私どものとつた態度に対するきつい批判であつたというふうに私どもは考えております。しかしながらその後、全逓組合員、いわゆる郵政職員が、ほんとうに民主的な労働運動を進めたいという意欲のもとに、内部的な相当手痛い痛手を負いながら、組合民主化をはかつたことは、皆さんも御承知のことであつたと思うのであります。昭和二十四年の九月に、共産党のフラクから離脱いたしまして、民主的な労働組合として私どもは発足いたしました。この給与体系是正の問題というのは、この全逓がかつて共産党の勢力によつて支配されておつた当時に、単に賃金というものが、いわゆる経済闘争というものを獲得するための闘争ということよりか、政治的な意図のもとに闘われておつたところの闘争指導方針というものに災いされまして、その災いが現在まで禍根となつて残つてつたところに端を発するわけであります。この間におけるところの私ども実情というものは、これは単にこの体系是正の問題にはとどまらないのでありますが、しかしながら私どもは民主的な組合への発展と、この強化こそが日本の民主化を確立するものであるという建前から、あらゆる障害を克服して現在に至つております。  この給与体系是正の起りましたその原因といたしますところは、二十三年の給与、いわゆる二千九百二十円ペース国会で審議される過程におきまして、まず第一点として申し上げたいことは、当時決定される内容というものが非常に学歴に偏重しておつたということ、それからもう一つは、私ども職場それ自体が非常に役付職員、すなわち課長であるとか、係長であるとか、主事、主任というような、こういうクラスが他省に比して非常に少い、こういうようなことが原因になりまして、当時の他官庁国鉄専売その他の公務員人たちから見ますと、その格付というのは非常に低い、低位に置かれたわけであります。そのことが原因となりまして、今までそういうような状態の中で私ども給与を受けておつたわけでありますが、これを先年の十一月に今度の新しい賃金ベース決定につれて、これを改訂しようとして私ども要求を出しました。ところが当時の実情は、御存じのように去年の八月一日に公企労法適用職員にかわりました電電公社と同じような現業五社として、五社が一月一日に公企労法適用職員としてこれを受けた。この違いが約六箇月間あつたわけでありまして、その間に私ども要求というものはまだ公務員の身分であるということが第一の理由となりまして、当時の私ども要求というものは通らなかつたのであります。しかしその当時政府の方でも私どもに約束される――これは紙に書いた約束ではありませんが、約束されるということで、もし私ども公企労法適用職員にかわつたときには、このベース体系については当然これは是正されるのであるから、それまでがまんすべきであるということが、当時省側の代表ないしは大臣、あるいは閣議の主要な地位にある人たちから私どもは言われたわけであります。そこで一月一日公企労法適用職員になりましたその直後に、当時全逓職員の中にある給与不合理についての調停申請いたしました。その申請によつて五月の二十八日に調停委員会から調停案が提示されたわけであります。  私どもが最初要求いたしましたのは、もちろん現在の給与不合理是正の問題、あるいは他省間とのアンバランス是正の問題、または公務員としてかつて過去には当然既得的な権益として持つておりましたところの調整号俸の問題、こういつたものを含めまして当時の、これを全額的に実施するならば約四十五億、附加されるところのものすべてを入れますと五十八億程度予算財源を必要とするところの内容給与体系是正の案を提示いたしたわけであります。ところが調停委員会といたしましては、この内容とするものが、たとえば法律の改正を必要とするようなもの、ないしは他省に波及してこれが大きく影響し、莫大な予算を必要とするような影響力を持つものについては、これは一切この機会にやることではなしに、別な機会にすべきであるという見解に立たされた。内容とするところは、郵政省の現在の職員の置かれているところの勤務条件職場環境、それから今まで、公社その他の職員と同じような職場環境にあつて受けておりますところの給与アンバランス、こういつたものを郵政に限つたものとしてこれを是正するという調停案が提示されたわけであります。その金額は当初私どもの四十五億の要求に対して約二十七億、附加給を掛けまして三十五億七千万円という、私ども要求に対して約五割五分ないし六割程度のところに調停案が提示されて参りました。私どもはこの内容とするところは、決して私どもの満足するところの体系にはならないというふうには考えたわけでありますけれども、しかしながら労使の紛争という問題が、あくまでも第三者的のあつせんとかあるいは調停仲裁的機関に諮られて問題を解決するという、こういう新しいルールがきめられている限り、不満であるからといつていたずらに紛争を長引かす、あるいはこれを遷延するということは、これはやはり民主的のルールとしてはできないであろう、こういうことから調停案を全面的に受諾をいたしまして、省側に対してこの実施方を要請したわけであります。  ところが省側といたしましては、これに対して二十八年度予算編成途上にこれを実施すべき予算を、大蔵省ないしは内閣と折衝いたしておつたようでありますけれども、現在皆さんのお手元にお渡しになつているところの二十八年度予算並びに七月暫定予算の中には、これが一切盛り込まれておらないわけであります。私どもはこのような事態が起るということ自体、非常に納得の行かない問題であるわけでありますが、しかしながらそれと同時に、この予算の提出されたという事態が起つているにもかかわらず、省側から私どもに対してこれの諾否の回答が出されておりません。その意図するところは、結果的にこれは省側といたしましても合理的であり、しかも筋の通つた要求であるということは大臣以下が認められまして、そうしてこの会議進行途中において何らかの予算措置を講じてこれを是正したい、全面的に実施したいということは私ども交渉の中での回答となつて出て来るわけであります。結果的に私は皆さん委員方々が、あるいは国会の議員の方々が、私どものこの実情というものをよくくみとつていただきまして、ほんとう紛争を早期に解決するという立場から問題を究明され、しかもその上に立つて一日も早く解決をしていただきたいということを心から念願する次第であります。  ただこういうように申し上げまして、内容調停案とそれから要求いたしました内容について簡単に触れてみたいと思いますが、今度の私ども要求の第一の点と申しますのは、先ほど申しましたように郵政職員学歴低位であるということ、それから役付職員のポストが非常に少いというようなこと、こういうことが原因になつて出て参つております。その現状というのは、これは給与というものがある年限あるいはある級に到達いたしますと、頭を打つて昇給をしないのであります。そこまで行きますと約一年半とか二年、三年というくらい昇給をいたしませんし。また相当長年月勤めましても、この人たちには昇進とかあるいは昇給するという道が押えられているわけであります。こういうような給与状態というものは、これは二千九百二十円ベース決定当時の格付が非常に他官庁に比して不合理であつたという点が、まず第一点にあげられると思うのであります。それから郵政というのは皆さん御存じのように、非常に勤続年数が長い、家族構成も多い、そうして年齢的にはその意味において非常に高い、こういう職員が大多数を占めておるわけであります。その生活の状態というものは、おのずと俸給のこの不合理の点から非常に不当に押しつけられておるということは、これは関連の問題としてお察し願える問題であると思うのであります。  そこでひとつ参考までに申し上げたいと思うわけでございますが、電電公社は先年十一月に調停案国会にそれぞれ提示いたしまして、この実施を一月一日からそれぞれ暫定的な措置として行い、二十八年度正式予算でこれを決定するという段階に立つております。この電電公社と私ども職場とは庁舎一つにいたしておりますし、今までの職場環境というものは、一つ講習所を卒業いたしまして、それが電信のオペレーターあるいは事務系統に入つた者、これと郵便のそれぞれの従業員とは、人事交流が常に行われておつたわけであります。その人事交流の行われておりました郵政電電との給与実情というものは、大体これが公社とかわりました当時におきましても、賃金平均ベースにいたしますと約五、六百円から九百円程度郵政職員の方が高かつたわけであります。その高かつたども俸給が、先年の十一月調停案実施されますと、一躍千百円というような大きな開きが現在私ども職場に出て参つております。これは一つ庁舎の中で同じ仕事をしておる、たとえば玄関にすわつております監視員のような職務の中では、電電公社職員で七年程度勤めた者と、郵政監視員で約十二、三年から十四、五年勤めた者とが同じような賃金になつてしまつておる、こういうような不合理がこの場合に出て参つておるわけであります。私どもは、こういうような戦場環境の中に同じように一つの棟で仕事をしておるという者が、このようなはなはだしい給与の差をもつて仕事をするということは、これは明らかに不合理であるということはお察し願えると思います。また職場の経験がある方はおわかりになりますように、かつてども昇給基準というものは、二銭であるとか三銭であるとか、あるいは五銭、十銭というような非常にささやかな昇給が行われておりました当時におきましても、同じように講習所を卒業し、あるいは中学を卒業し、高小を卒業して入つた者が、それが六箇月ないし九箇月の差をもつて、この昇給アンバラによつて先昇給する者が出たり、あとに昇給する者が出たりというような事態が起りまして、そのこと自体職場の中に非常に不明朗な空気となつて残つてつたものであります。そういうことが今度の場合には大幅に、過去においては六、七百円高かつた平均賃金が、現在では千百円程度も低くなつたというこの実態、一人の頭に平均して千七、八百円から二千円近く低くなつたというこの実態は、これはどうしても同じ庁舎の中におる職員といたしまして、何とかして解決しなければならないということを考えますことは、これは私ども無理からぬことであろうと考えるわけであります。  またこの問題をめぐつてどもは、いろいろ解決のために現在まで努力いたして参りましたけれども、第一に問題になりますのは、予算の問題が問題になりましようし、それからもう一点といたしましては、最近私ども大蔵省の正示次長と会見いたしまして、なぜ年度予算の中にこれが盛り込まれなかつたかという理由についてお聞きいたしましたところが、それを私ども実施することによつて平均千円程度のものが他に波及するということが、予算に大きな影響があるから実施できなかつた、こういうことが言われておるわけであります。しかし私どもはこの二点につきましても、現在行われようとしているこの状態というものは、決して妥当な解決の方法ではないと考えておりますし、最も重点的に申し上げますならば、この私ども実施されたことそのこと自体が、他に波及するというふうに考えられる予算編成上の一般論については、あるいはそういう理論があろうかとは考えられますけれども、実際にこの内容というものを検討した場合には、そのようなことが起り得るというふうには私どもにはどうしても考えられないわけであります。単にこれは主観の相違だというふうにはどうしても考えられません。なぜならば、郵政職員の持つておりますところの構成ベース決定いたしました基準、あるいは役付職員が非常に少いということ、あるいは学歴が非常に低位格付された状態というものは、これは過去昭和二十三年にさかのぼつてのことでありまして、そのような問題は、たとえば国鉄の場合には二千九百二十円ベース決定当時に超過勤務手当は一切これを本俸に入れて、その後べースのスライドによつてそれが全部上つて現在支給を受けております。またその他の公務員の問題にいたしましても、役付職員の多い少いの問題については、郵政職場とはてんで問題にならないくらい差があるわけであります。大体こういうようなベース決定する基準が違つておるのでありまして、今私どもがこの不合理是正するということ、そのことが即他省影響するというようなことはあり得ないことでありまして、そういうことは私どもとしてとうてい了解できないことであります。また私どものこの給与の問題について、それぞれの組合が今要求を出しておりますけれども、たとえばこの前一月一日から公企労法適用職員になりました林野、印刷、アルコール専売、造幣、こういうような四つのそれぞれの現業公務員方々は新しい賃金ベース調停委員会に諮りまして、賃金ぺースは新しい賃金によつてこれを解決しようという方向に向つているわけであります。私ども立場といたしましては、公社関係とのアンバラ、あるいは公務員とできておりますところの郵政職員のこの不合理体系というものが是正されない限り、新しい賃金要求いたしましても、この禍根というものは将来末々まで是正されないのでありまして、そのことが即一波万波になるような、そういう原因にはなつていないわけであります。そういう立場から、予算編成技術やあるいは常識上の問題として、千円やつたからあれにもやらなければいけないと、こういうような考え方でこの問題を処理されることについては、とうてい私どもとしては了解できない問題であるわけでありまして、大蔵省正木次長がこのように申したことについては、私はこれが単に編成上の問題であるならば了解いたしますが、実際の郵政職員実態というものをお考えになつた上のことであるならば、これは非常な間違いである、こういうふうに考えておるわけであります。  さらに私どもは今度の場合も、ストライキ権という労働者の基本的なものを与えられておりません。また国家公務員法というわくの中で、団結権だけの組合として、私どもはあえて民主化をはかるための共産党との一大闘争を展開いたしまして、しかもその後三年間に及んで不合理状態の中に呻吟をいたしておつたわけでありますが、たまたま団体交渉権の復活に伴いまして、公企労法適用職員としての与えられたこの権利のもとに、今までの不合理是正したいというこの切なる願いというものは、これは私ども、一人々々が単に皆さんに口で伝えるということ以外に、職場の一人々々の人たちが強く要求し、強く期待しておるところでございます。もしもこれが実施されない場合の今後におけるところの職場の不明朗な状態というものは、これは私どもの力をもつてしては正常な業務につかしめるというようなことは、とうていでき得ないようなことになろうかとも存ずる次第であります。   いろいろこまかな問題についても申し上げたいと思いますが、最後に予算上の問題でありますけれども、私どもはこれを実施するにあたりまして、現在独立採算制のもとで行われております郵政のこれを、必ずしも全部を一般会計からの繰入れで行いたいというように考えるのではなしに、二十六万の従業員が汗水流して働いたその増収、あるいは節約した財源の中から、これを実施したいと考えておるわけであります。ただ今度の調停案予算化が非常に困難になつた第一の原因とされているところは、皆さん御存じのように、郵政事業というものはその六〇%が委託関係業務をやつております。しかも汗水を流して、皆さんの御家庭を訪問した場合でも、辞を低うして貯金であるとか保険であるとかいうものを集めておるわけでありまして、その総額は、貯金にして二千七、八百億という厖大なものでありますし、保険にいたしましても七百億から八百億になんなんとする厖大なものを持つているわけであります。しかしその集めて来たもの、すなわちありがはいずるようにして集めて来ておりますところのこの汗の結晶というものは、これはすべて大蔵省預金部の方へ繰入れられまして、そうしてその一部分が、前国会において半分程度、百八十七億ですか、この保険会計だけが郵政省に委託されたというような、こういう状態であります。こういうことで一切の諸掛経費というものは、私どもの集めたこの金額の中から出て来るのではなしに、大蔵省からいわゆるあてがい扶持でもらつておるというのが実態であります。しかも実施できなかつた調停案の最終的な問題は、基本給にして五億二千万円、附加給をつけて七億程度の金でありまして、これが税金のはねかえり等を考えますならば、三億ないし四億、これくらいの微々たる金になるわけであります。しかもそのことは、すべてこれは貯金会計であつて、いわゆるあてがい扶持事業を運営しなければならない貯金会計だけに限つているという実態は、私どもは非常に了解のできないことであると思うのであります。大臣は少くとも郵政事業というものを運営するにあたつて従業員が働いてそれだけ見合つたところの賃金を与えられるように、そういうふうに事業計画を立てたいということを申しておるわけでありますが、こういう不合理の中から当面の問題が出て来ておるわけでありまして、この点を十分御了察くださいまして、全逓職員がこの調停案に非常に期待し、このことによつて正常な労働運動を今後も続けて行きたいという切なる願いのもとに、皆さんのこの決定に対して絶大な御期待をかけているのでありまして、どうぞこの点を御了察くださいまして、この調停案実施方に対して、全面的な御協力をお願いいたしたい、かように考えるわけであります。  参考人としての意見を終りたいと思います。
  4. 田中織之進

    田中委員長 石井君が今こちらにお見えくださる途中でございますので、これより参考人横川君に対する質疑がありますれば、これをやつていただきたいと思います。
  5. 片島港

    片島委員 今横川君からの意見によつて、ほとんどこの問題については私たち了解をしておるのでありますが、本日は委員会において、大蔵省政府委員及び郵政省からも来ていただくようにお願いしてあつたはずだと思うのでありますが、大蔵省側なりあるいは郵政省側に対しても並行して質問してよろしゆうございますか。
  6. 田中織之進

    田中委員長 委員長からお答えしますが、郵政省側は、大臣は今参議院郵政委員会の方に行つておられますが、政務次官及び関係方々がお見えくださつております。それから大蔵省の方は、大蔵大臣並びに主計局長出席を求めておりますが、参議院の本会議関係もありまして、ここへ主計局の担当の主計官福田君という方が見えておりますから、並行的に質問をしていただいてけつこうであります。
  7. 片島港

    片島委員 先日の郵政委員会において、郵政省側意見を私たちは十分お聞きしたのでありますが、さらに本日全逓組合側からも意見を聞いたわけでありますが、大蔵省側の、いわゆる予算編成を担当する方の側からまだ何らの意見も聞いておらなかつたのであります。私はここに並行して、関連して大蔵省の方にひとつ質問をいたしたいと思うのであります。郵政省の方としても、大体私たちが当つてみました範囲においては、この調停案は適当なものであるということを、大臣以下認められておるようでございますが、大蔵大臣として予算的にどうしてもこれは受諾できない、予算的にこれを処理できないというような理由について、大蔵省の方からひとつ御意見を聞きたいと思います。
  8. 田中織之進

    田中委員長 片島さんに申し上げますが、大蔵省から見えておられるのは、説明員として主計官福田君が見えておるので、ただいまの御質問のような点については、委員長の方でも大臣出席を実は本日も求めておるわけでありますが、大臣なり責任ある政府委員、少くとも主計局長あたりからお答え願つた方が適当じやないかと思うのですが、重ねて委員長の方から主計局長だけでも出席していただくように連絡をいたします。参考人横川君に対する、いわばこの調停案を受けることに決定しておる組合側に対する御質問があれば、この際お願いしたいと思います。
  9. 大上司

    ○大上委員 二、三お尋ねしたいと思います。参考人のお話を伺つておりますと、同情にたえないのでありますが、私たちとしても特に皆さん方の立場を十分了解いたしました。そこでお尋ねしたいことは、私の聞き間違いかとも思うのですが、今次の問題の要求の第一点といたしましては、頭打ちと申しますか、職員学歴低位である、あるいは役付職員他省に比べて非常に少い、こういうふうに受取れたのですが、従つて当面の問題として、皆さん方がこの郵政行政に携つていただいて、苦しい中で、勤続年数が非常に長い、なお家族も多い、こういうようなことを伺つたのです。そこで他省と比べてどの程度――全従業員の中で役職員学歴が少いもののパーセントがどの程度であろうか、私たちも勉強が足らないので、まことに汗顔の至りですが、たとえば労働賃金その他の問題について頭脳労働と認定すべきものが何パーセントおられて、肉体労働と銘打つものが何パーセントおられるか、そのパーセンテージがおわかりであつたらお示し願いたいと思います。
  10. 横川正市

    横川参考人 お答えいたします。頭打ちと役付職員他省との比較の問題でありますが、今ここに資料を持合せておりませんので、あとから先生の方へお届け申し上げたいと思います。  それから第二の問題でありますが、二十五万が大体定員法によるところの定員でありまして、そのうちに給与関係としてわかれておりますのは、公企労法適用職員というのが二十三万、それから一般俸給適用職員がその残りの二万、こういうのが大体給与からわかれた内容であります。  それから実質的に頭脳労働と肉体労働というふうにわけられておる数字については、たとえば役の取扱いについても、外勤の集配をするもの、内勤の郵便を区分するもの、あるいは小包を取扱うものというふうに、そのそれぞれの職務を肉体労働というか頭脳労働というか、その区分は今ここで判別できませんので、ただ公企労法適用職員として現業労務員というものが二十三万、これだけおります。
  11. 大上司

    ○大上委員 今度は郵政省側質問したいのですが、ただいまのお話の中では、貯金の一千数百億円あるいは簡保の七、八百億円等は、ほとんど大蔵省のあてがい扶持と言つておりますが、われわれもこれは了承しております。さすれば、たとえば貯金にしてもあるいは簡保にしても、われわれが一番問題にしているのは、大体物には製造原価というものがございます。従つてたとえば八万円の最高限度の簡保を募集した場合の人件費あるいは事務費等、それぞれを加えての募集の原価をお聞かせ願いたい。そこでこれがあてがい扶持であるならば、当然給与ース等に響き、あるいは諸般の事情から当然これが地方債にかわつて行く、あるいは産業資金等にも配分せられて行くのですが、これ等から見ましても当然大蔵省の処置それ自体が、あてがい扶持であつてはならない。円満なる行政事務をしていただくについては、当然原価が問題になるのではないかと思いますが、それがおわかりになりましたら当局からお示しを願いたいと思います。
  12. 佐方信博

    ○佐方政府委員 お話の保険募集あるいは貯金募集の原価ということでありますが、原価計算等いろいろやつておりますけれども、募集した場合に幾らかかるかということは非常にむずかしいやり方になつて参りますけれども、結論から申し上げますと、今まで国家公務員法の適用並びにその給与の適用によりまして、現在の定員に対して法律が定めておりますところの給与単価をかけまして、そうして出ました実費を全部預金部からもらうという建前をとつたわけであります。それで最近におきましては、その途中に貯金特別会計というものができておりますけれども貯金特別会計から郵政事業として郵政従業員に必要な経費は、全額繰入れてもらうという建前をとつております。ところが貯金特別会計におきましては、法律によりまして郵政省が集めましたところの貯金というものが、二十八年度におきましては約三千億になるわけでありますが、その三千億を資金運用部に預ける。それに対しましては六分四厘の利子をくれる。その六分四厘の利子をもらいまして、その中から郵政事業特別会計へ必要な経費を入れる。なお預金者に対する利子を支払つて行くということにいたしますと、六分四厘ではどうしても足りないので、一般会計から貯金会計が三十一億の補給金をもらつて来ておる、そういうような関係になつております。その間におきまして六分四厘という率をきめたために、赤字が出ておるわけでありますが、ただでき上つた姿を見ますと、その分は赤字だ赤字だというふうな意見が出ることがあるわけであります。従いまして今の予算の建前といたしましては、一応は郵政事業従業員に必要な経費は全部もらつておるというやり方をしておるわけであります。個々の原価が幾らになるかということはちよつと複雑でございまして、にわかに御返事ができないのではないかと思います。
  13. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 横川正市さんに伺います。過日この委員会郵政大臣から、本調停案について政府の内部においては、この調停案政府が受諾すると、他の一般公務員ベース・アツプの問題にも波及するおそれがあると述べられておるということを聞いたのであります。そこではたしてこの調停案は、今申したような他の一般公務員ベース・アツプに波及するというような事情があるのかないのかについて、あなた方側における所見を伺つておきたいと思います。
  14. 横川正市

    横川参考人 お答え申し上げます。他の公務員に波及するかどうかという問題の重要なところは、調停案理由の説明の中に書かれてありますように、本調停案は他官庁または他公社職員との間におけるところの給与アンバランス是正を第一目標としたものではなく、また一般公務員について共通の問題となり得るような給与体系上の一般的問題についての解決を試みたものでもないというようなことが、調停委員会から明確に指摘されて来ておるわけでありまして、この点からも私どもとしては、他の一般公務員ないしは現業公務員に波及するという性格のものではないというふうに考えております。その理由といたしましては、他の省との間の比較の問題について、たとえば頭打ちというような状態が起きたのはなぜか、あるいは役付職員が少いという状態から結果的にどうなつたかということが、今度の給与体系是正の根本的な問題でありまして、そういうような原因が、ほかの公務員あるいは現業公務員にない限り、この問題は他に波及いたさないわけであります。ただ俸給体系から申し上げますと、一号俸から大十一号俸までをそれぞれ結んだ線というのは、大体直線に近い傾斜線でもつて結ばれているわけでありますが、郵政省職員の場合、個々においては非常にでこぼこのある状態が出ておつて、結ばれない線が出ている。それは結局役付職員が少い、あるいは学歴低位格付されたというような問題から出ておるのでありまして、ほかの省との間で同一理由によるところの内容は出て来ないだろうと私どもは考えておりますから、他に波及するというふうに言われることは、一般予算編成上のいわば常識であつて、実際にこういう原因を追究した場合には、その原因というものは、他にない限りそれは決して他に波及する原因ではないと考えているわけであります。
  15. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 政府部内におけるところの他に波及するとかなんとかいう、そういう具体的な理由、根拠というものをあなたはお聞きになつたことはないのですか。
  16. 横川正市

    横川参考人 実はこのことについて大蔵省の正示主計局次長にお会いしてお話申し上げたときに、非常に一般的な例題を出された。それは隣の家でいわしを焼いておつてそのにおいをかげば、こちらの家でも食いたくなるのと同じだということを言われたわけでありますが、それはあまりにも上つらをなで過ぎた見方でありまして、実際に郵政省職員の現在の給与アンバランスというものをほんとうに真剣に考えてもらえば、そのようなことは私は言えないのではないか、かように考えるわけです。
  17. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵省大臣主計局長出席方を要求しておきましたが、どうして出られないのですか。
  18. 田中織之進

    田中委員長 委員長の方からも厳重に督促しておつたのですが、大臣参議院の本会議に、主計局長は夏季手当の〇・五関係で衆参人事委員会その他の関係で今出ておるので、どうにも連絡がつかない。そこできようはこの委員会できわめて重要な大蔵省側意見を求めておるのだから、せめて政務次官だけでも出席するように重ねて連絡に行つております。
  19. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、ただいま出席しておられる方は説明員福田主計官ですか。その方はいないのですか。
  20. 田中織之進

    田中委員長 その方一人であります。
  21. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 福田主計官は、大臣が述べるごとく責任を持つて答弁できるようになつておるのですが。
  22. 田中織之進

    田中委員長 説明員ですから、その点は……。
  23. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 福田説明員に伺いましよう。大蔵省側で、この調停案政府がのむと、他の一般公務員給与ベース・アツプに影響するということを非常に心配しておられるらしいのですが、あなたは数字の専門家なんだが、どうなんです。これは実際にさようなおそれがあるのかないのか。きようはいろいろその道の専門化が集まつておられるところなんですが、率直に事務当局として御説明を願つてみたらと思います。
  24. 福田勝

    福田説明員 私大蔵省主計局で、郵政関係予算を担当しております主計官であります。私の地位についてただいまいろいろお話がございましたが、政府委員ではございませんので、説明員としての範囲のことを申し上げるしかしかたがないのでございますが、主計局の内部の問題としては、御承知のようにあらゆる問題が通過する局でございますので、首脳部はほとんどあらゆる方面にひつぱりだこになりますので、大体主計官が上の方の考えを国会その他に代理で御説明申し上げざるを得ない立場にございますので、その点について最初に御了承を得たいと存じます。  この郵政職員調停の問題は、なかなかデリケートな問題でございまして、調停案内容皆さんよくごらんになりましたように、非常にデリケートな表現が使つてあるように考えます。特勤のスライドの問題であるとか、あるいは頭打ちの問題であるとか、そういうような過去において行われた純粋な技術的な問題を契機として、現在の郵政職員給与を考えまして、それから得られる大体において千円程度ベース・アツプという言葉を用いますと多少語弊があるかと存じますが、全体として結果において千円ぐらい上る程度の総体の財源の範囲内で、給与体系是正をするのだということが趣旨になつておるように思うのでございます。ただいま御質問の、一体これが他に波及する問題であるのか、あるいは郵政省だけの固有の問題であるのかという点になりますと、ただいま組合側の方から御指摘になりましたように、明らかに調停の文句の中には、これは波及するものでない、特異な問題であるというふうに書かれてあるわけでございます。それに対してあえて政府――政府と言うと語弊がございますが、大蔵省としてとかくの表現をもつてここに申し上げるということは、はなはだどうかと思うのでございますが、しかし事実として一応われわれの手元に考慮しなければならない問題としてあることを申し上げますと、先ほど正示主計局次長がやや漠然たる表現で、郵政省職員方々にこの問題についてお答えをしたようなお話がございましたが、実際におきましては二つの問題から検討しなければならぬように思うのです。  一つは、先ほど申し上げましたように、調停委員会がこれを是正しなければならぬ契機としてとらえている頭打ちの問題、それからもう一つは、特勤のスライドの問題というような事実が、はたして郵政だけの過去の事実であつたか。従つてお尋ねのように、その問題についてほかに何も事実がなかつたとするならば、漠然と全然理由がなかつたほかのところから文句が出るはずがないではないかというような点についての問題であります。頭打ちにつきましては、最近私の方の給与の担当官が研究いたしましたところによりますと、郵政省において二八%程度の頭打ちの現象があつたようであります。印刷関係におきましては同じころに三五%程度の頭打ちの問題があつたようでございます。造幣において三〇%、アルコール専売におきまして二七%程度の頭打ちがあつたということに相なつております。従つてもし郵政に対してこの問題を取上げるという態度を示すならば、今申し上げましたような方面から同じような問題が提起されて来れば、それに対してもやはり同じ態度を示さなければならないということがございます。  それから特勤スライドの問題でございますが、これも不幸にして他に実例があるのでございます。詳細な計数について申し上げる材料を今持つておりませんが、昨年の末における国鉄の裁定においても、実は国鉄組合と当事者側の間で問題になつた点の、一つなのでございます。そういうわけで調停に問題になつておりますところの主要な二つの事由につきましても、他に全然例がない、従つて全然波及のおそれはないというふうには、大蔵省としては考えることがむずかしいのでございます。  それから郵政が千円上れば、ほかも千円上るおそれがあるという問題でございますが、今郵政組合側から御指摘になつたよう理由によつて、かりに職員給与の改善が行われ、千円上つたという現象が起きた場合に、それが一般公務員であるとか、国鉄専売その他公社関係、もしくは国有林野というような同じ公労法関係職員の一般的ベースの問題に波及するかどうか、これはなかなか判断がむずかしい問題であろうと存じます。私自身は国鉄予算も、専売予算も、電電公社予算も担当しておりますが、そういう経験からわれわれの方では予想できないようなことを、実際問題としては国鉄組合の方がおつしやる。大蔵省ではどこにも不公平にならないように、できるだけ公平になるように努力をしているつもりでございますけれども組合同士で見られますと、電電が上ると国鉄の方から見ると、あれは上り過ぎるというか、向うが上げれば自分の方はもつと上るべきだという話をわれわれの方に盛んにされるのでございます。従つて一体そういう主張が正しいかどうかという問題になりますと、非常にこれは批判の余地があるのです。結果的にある場合に千円のべース・アツプがあると、それが全然他に波及しないであろうという自信を持つことも、困難なのではないかというように想像するのであります。しかし今申しましたような特勤の問題であるとか、あるいは頭打ち是正の問題のような現実の事実がそこにあるのではないのでありますから、将来一体千円の問題が全般的に波及するという危険があるかどうかという見通しと、全体の、先ほどからいろいろお話になつたよう電電公社郵政省との間柄は、昔からの伝統もあつて、なかなかむずかしい問題ですが、そうでないほかの方の関係になつた場合に、はたして同じようにそれが波及するのだと言えるかどうかということについては、組合側もしくは郵政省側から見れば、そんなことはないだろうとおつしやると思いますが、何分日本全部のあらゆる要求を受けて立つております大蔵省といたしましては、ある一線において起つて来る問題についても、常にあらゆる面における慎重なる考慮を払つてやりますもので、われわれの方としては、そういうふうに千円上つた場合には全体で四百七十二億、かりに最悪の場合に不幸にして一千円のベース・アツプが全般的に行われることになつたとしたらどうなるかということを計算してみますと、一般会計において九十三億、特別会計において五十四億、合計で百四十七億になり、さらに国鉄その他の政府関係機関で百十五億、地方公務員二百十億、全部合計して四百七十二億程度事態が起るかもしれぬということを、一応数字的には考えざるを得ないのではないかというような立場にあるのだと存じます。大体率直に申し上げてそんなところだと思います。
  25. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいまの御説明では、この間大臣が述べておりました給与が千円上る。これが他へ波及するおそれがあるというようなことを大蔵省は言つておるというお話でありましたが、今説明員の説明を聞くと、これは一つの見通しであつて、そうも言い切れないというような、何かそこに非常に漠然とした常識でそういう理由づけがされておるように考えられるし、またその前の頭打ちの問題について、何か印刷とか、造幣とか、アルコール専売を顕微鏡的に探し歩いて比較するような御説明もありましたが、どうもその辺は、やはり説明員のお立場からやむを得ぬのかと思いますけれども、森羅万象ほかにはないかと探し歩く式ならば、何らとりくつは立つでありましようが、そうでなしにやはり法律によつて政府もあるいは申請人側も尊重せねばならぬ調停が厳として現われたのでありますから、この厳として現われたものには、企業体系上一般問題についての解決を試みたものでないということで一線を画して、他へ波及しないということを確認したような明文が出ておるのでありますので、こういつたときにおける政府の本委員会に対する答弁といたしましては、やはり今の末梢的な現象を探し歩いて、拾い出してというようなことやら、常識的に漠然とした意見というものではなしに、確固として政府の所見を披瀝してもらう、こういうことに持つて行くことがわれわれは結論を得る上において必要なことと思います。
  26. 田中織之進

    田中委員長 ちよつと速記をとめて多ください。     〔速記中止〕
  27. 田中織之進

    田中委員長 それでは速記を始めて。郵政当局への御質疑がありましたら……。
  28. 大上司

    ○大上委員 郵政当局にお尋ねします。本日の資料で郵政職員給与体系是正についての要請書が全逓から出ておるのですが、その中の第二項に「調停案実施に要する財源」結論はこの財源の問題に帰着するのではないかと思うのです。そこでその三行目を見させていただきますと、「二十九億の経費は、それぞれの会計の収入増によつて捻出することができます。」こういうふうに述べておられるのですが、そこで昨日でしたか、郵政大臣にお尋ねしたのですが、独立採算制の意味からいたしまして、このように全逓組合からは出ておりますが、これを実施する面において、どのような点をどういうふうにすれば収入増になるのか、すなわちどのようにするなら捻出ができるのか、なぜこれを既往にやらなかつたか。この二点を事務次官にお尋ねいたします。
  29. 大野勝三

    ○大野説明員 私に答えろということでございますので、政府委員ではございませんけれどもお答えを申し上げます。財源の捻出の問題は御指摘の通り、なかなかこれは簡単な問題ではございませんので、簡単にできることなら最後にお話がございましたように、今までに当然できておるはずのものでございます。戦後郵政会計の現状が赤事々々ということで、非常に苦しい立場が引続きましたので、従業員の諸君も、何とかして事業の財政を確立するということが、すべての先決問題でなければならぬということをよく認識せられまして、各方面であらゆるむだを節約する、増収となる面はいろいろな手を講じて増収策を講じるといつたようなことで、御承知のように本年度もどうやら予算はバランスのとれる見通しが立ちそうになりました。昨年度も何とか均衡財政が維持できたのでありますが、このたびの新しい給与問題に関連いたしまして、さらに財源をよけいに必要とする、そうするとまた別途に何か増収策を講じなければならぬということになるわけです。ところがただいまも申し上げました通り、なかなか増収の問題につきましては、そう新規な非常に奇抜な手があるわけではございません。その財源内容はすでに大上委員も御承知の通り、大体他の会計からの繰入れという形で形成されておる部分が、比重としてはたいへん重くなつております。たとえば電気通信の関係事業をとつてみましても、これは公社の方で現実に会計の責任をみんな負担しておられますから、この部分は当然委託業務をやる上に、それだけの経費がかかるということでなければ、公社の会計としても決してお楽とは思いませんけれども、何とかその分はこの際ひとつ奮発して繰入れの増をしていただくということをお願いしよう、これは事業自体の増収ということではございませんで、つまり公社自体としてはそこに金繰りの努力、苦心、いろいろ御研究を願わなければならぬ面があると思いますけれども、私どもの直接の会計といたしましては、これだけかかりますから何とかこれだけくめんをしていただきとうございますという方法をもつて、繰入増をはかろうとするわけでございます。そういつた関係のものが貯金とか保険、その他厚生省関係の労災保険とか、農林省関係の森林特別会計とか、たくさんございますが、そういうのを一々お願いいたしまして、必要なだけの繰入増をしていただく、そうして最後にどうしても郵政事業プロパーでまかなわなければならぬものが残つて参ります。それが郵便と為替振替の関係でございます。これは固有業務とでも申しますか、今回の調停案をそのまま実現いたしますためには、この固有業務で負担すべきものが約十五億円ほど財源として必要だということになつております。その十五億円をどうして捻出するかということになりますと、さしむきとしてはどうにもしかたがありませんので、予備費として計上されておるものをこの方に振りかえて行くという方法を考える。これは私どもの案で、ございまして、終局的には大蔵省と相談をいたしまして、協議成立をいたしませんともちろん実行はできませんけれども、私どもの案、考え方といたしましては、まず予備費を何とかこの際そつちにまわしていただくようにしよう。あるいはまた事業自体の増収もはからなければなりませんが、その増収といたしましては、年賀郵便というようなもの、これがおかげさまで、古い昔からありますよい慣習とでも申しますか、年に一ぺんお互いの親疎を尋ね合おうじやないかという、これがだんだん復活して参りまして、年々年賀郵便の利用がふえて参つております。予算では、もちろんかたいところを押えまして、大体四億枚くらい今年の年末には年賀郵便が出るのじやないかというふうに押えてあると思いますけれども、それをもう少し勉強をいたして、ひとつ御利用増を願おうというようなところで、何がしかまた増収ができないだろうか。これも一面におきまして、行き過ぎますと労働強化というような問題がありましてそう事柄はやさしくございませんけれども、そういうことをやる。その他の面におきましても、何とか切り詰められるだけ経費を切り詰めて財源を浮かすというようなことをするとか、そういうことをやつて、かつかつ十五億の財源は調達しようという腹をきめておるわけであります。そこで増収策としましては、冒頭に申し上げましたように、私ども仕事の性質が仕事の性質でございますから、何か奇抜な方策があつて、それをやればとたんに非常に収入が上るというようなものはないわけであります。もつぱら苦心、努力して、何とかかき集めようというようなことに落ちるわけでございます。
  30. 田中織之進

    田中委員長 それではこれから零時四十五分まで休憩いたします。     午後零時十七分休憩     ―――――――――――――     午後一時開議
  31. 田中織之進

    田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  公共企業体等中央調停委員会第二小委員会委員長石井照久君がお見えになりましたので、これより石井君より御意見を聴取いたしたいと思います。まず発言のときは、御職名と氏名をお述べになりましてからお願いいたします。石井照久君。
  32. 石井照久

    石井参考人 東京大学の教授の石井照久であります。今回の全逓調停案につきまして、調停委員の一人といたしまして、若干御説明を申し上げたいと思います。ただ調停案のこまかい内容につきましては、すでにいろいろの資料も出ておりますことでありますし、また調停案においてもある程度の説明をいたしておりますので、これはむしろ一般的な考え方について、私の考えておる点を申し上げたいと思うわけであります。われわれが調停案を作成いたします場合の基本的な態度というふうなものを、最初に申し上げてみたいと思います。  三公社及び五現業といつたような、いわゆる官公業の労働者につきましては、申し上げるまでもなく争議権がない労働者であります。従つて争議権のない労働者につきまして、賃金などを調停委員会として決定します場合には、非常な責任を感ずるわけでありまして、十分慎重に検討いたしまして、納得の行くようなものを出したいということを、まじめに考えざるを得ないわけであります。同時にこういう労働者賃金関係につきましては、多かれ少かれ予算との関連を持つということも十分考慮いたしておるわけでありまして、それだけにわれわれといたしましては、十分に慎重な検討をいたしまして、あらゆる方面から、これならばもつともであるという線を打出したいものとして、苦心をいたしておるわけであります。そういう意味におきまして、今回の全逓調停案につきましても、結局組合からは若干の不満があるとはいえ、承諾の回答を得ましたし、郵政当局からも正式な回答は得られないのでありますが、大体調停案は適当であるということで、この線で実現したいというふうな御意思を伺つておるわけであります。こうした事情は、調停案が大体合理的な線を打出し得たということを裏書きするものではないかとわれわれ考えておるわけでありまして、郵政当局といたしましても、その担当する労務管理の責任者として、このくらいならば責任を持てるというふうにお考えになつたものと確信するわけであります。  この制度につきまして、従来調停と仲裁とを非常に区別するという誤つた傾向がありますので、この際一言申し述べさせていただきたいと思います。仲裁になつたならば考慮する、しかしまだ調停であるから考慮に値しないというふうなこと、あるいは調停は非常に水割りが多いといつたようなことをかつていわれたことがありますが、公労法改正後の調停においては、少くともそういうことは調停委員会としてはない。今申し上げたような基本的な方針で、調停をして来ておるわけであります。ことに大事なことは、仲裁というのは結局法律の力によりまして、当事者が納得しようとしまいと強制する制度であります。調停の方は、ともかく調停案を、多少不満ではあるけれども、両当事者が納得してのんで、これで行こうというのでありますから、労使関係を安定するという点から考えましたならば、まさに調停というものを尊重することが、公労法の精神であると私どもは確信しておるのであります。その点従来のところ、政府その他におきまして調停を十分に尊重するだけの心構えがないということは、遺憾に存ずるわけであります。せつかく公労法によりまして、法律上の制度として調停、仲裁を認めながら、この制度を生かして行こうという政府の積極的な心構え、これがないならば何にもならないことになるわけでありまして、せつかく政府が遵法精神を説きます以上、政府みずからが法律上の制度は、合理的である限り尊重するという遵法精神を示していただきたいと考えるわけであります。  次に今回の全逓調停にあたりましては、従来の郵政関係労働者の置かれた不当な状態を、この際緊急に是正する必要がある限りにおいて、最小限度必要なものを直すという方針をとつたわけでありまして、不当な頭打ちというふうな問題につきまして、十分実態調査などもいたしまして、現在これだけは少くともしなければならないというぎりぎりなところを、われわれは調停案としてしましたものと考えているわけであります。  と同時に調停案の作成にあたりましては、調停案にもうたいましたように、他の一般公務員関係に波及するとか、他の公社に波及するというふうな問題でないことを十分明らかにしているつもりであります。たとえば現実には電電公社職員郵政職員が、同じ屋根の下で働きながら給与のバランスがとれていないということは、まことに遺憾なことで、それを直すということが一つの意味を持つたことは否定いたしませんけれども、そういつたような形を表面にとらえまして、お互いに給与の違いを追つかけ合いするというようなことでは、いつまでも一方がよくなれば一方が追つかけて来る、そういうふうな形をとることは思わしくないという考え方を調停委員会はとりましたので、あくまでも郵政職員の労務の特殊性ということをつかまえて、この郵政職員の労務の特殊性に応じて給与体系是正する、合理化するという考え方をとつたのであります。しかもその合理化するという点につきましても、公務員体系の中に一般的に置かれましたそのことによる不合理を、最小限直そうという努力をしたにすぎないのであります。従つて特殊勤務手当につきましても、当局及び組合がともに納得されまして、これは郵政に特殊なものであると両当事者が承認されたもののみをつかまえまして、その頭打ち是正の原資を打出すといつたような方針をとつたわけでございます。従つて一般公務員についても、共通に問題となるような事項について本格的な改革をするとか、解決をするということは、意識的に避けたわけでありまして、その意味におきまして他の関係に簡単に波及するというふうに考えることはできないと私どもは思つておるわけであります。  なお現実に調停案実施のためには、すでに数字に示されておりますような原資がいりますが、一般会計からの繰入れといたしましては七億、しかも税金のはねつ返りを考えますと、三、四億くらいのもので済むのではないかと思います。そこで考えなければなりませんことは、郵政関係事業は非常に公共性を帯びておりますから、料金その他におきましても、そうむやみに上げることができないことは当然だと思いますし、またその余裕資金におきましても、大蔵省預金部その他において公共的な運用をされておるわけであります。これは事業の公共性からやむを得ないことでありますが、しかしその公共性のために従業員賃金その他が不当に押えられていいということにはならないわけでありまして、一般会計からの繰入れということが極端に押えられますならば、事業の公共性についての犠牲は、ただ労働者だけが負担するということになりまして、この点はまことに不当なことではないかと思うのであります。そういう点から考えまして、予算にも影響を及ぼすことから、慎重な考慮をいたしましたが、そういう点も考えまして、この程度ならば合理的であり、最小限郵政職員給与不合理を直すに必要なものとわれわれは信じて、これを出したわけであります。  なお、何ゆえにこのような調停案実施に対して困難が示されるかという点は、私などの想像にすぎないので、一々その反対の理由に対していろいろ申し上げることは差控えたいと思います。しかし俗に、この調停実施しますと、いわば、一波万波を呼んで、他の方に波及するということが言われておるやに伺うのでありますが、それは先ほど申し上げましたように、あくまでも郵政職員の特殊性を考えて、公務員体系の中に置かれたことのゆえに存在した不合理を、最小限直すということしか考えてないということを申し上げたいのであります。そしてそのことを直すことは、まさに現業職員を公労法の適用範囲に持つて来たことの精神であるということでありまして、これを直すことが何ゆえにいけないかということについては、私どもは理解し得ないところでありまして、公労法の適用関係に持つてきた以上、われわれはそれを適正化する任務を持つておるというふうに確信するわけでありまして、そのことのゆえに一般に波及するというふうなことで、これを問題として取上げることは適当でないし、また公労法の精神を生かす道でもないというふうに考えておるわけでございます。  こまかい数字にわたる説明は省略いたしますが、両当事者がある程度合理的な線であると考えておる事実、われわれが調停にあたつてつております基本的な態度、公労法の精神というふうなことを勘案しまして、この調停案が無事に実現を見ることを、心から希望してやまないわけであります。公労法の改正というふうなことも問題として取上げられておりますが、私は法律をつくりかえるということよりもつと大事なことは、政府が法律上予定している制度を誠意を持つて生かして行こうとする心構えを持つかどうか、政府の遵法精神にあると考えております。この意味におきまして、政府当局方々が十分この点について協力されることを心から希望いたしまして、私の説明を終りたいと思います。
  33. 田中織之進

    田中委員長 これより参考人石井照久君に対する質疑があれば、これを伺いたいと思います。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 調停進行の過程におきまして、申立人並びに政府のいずれもがこの調停案の趣旨、特に第一項につきましては、大体一致した点で調停をした、さような御説明が今ありましたが、さように承つてよろしゆうございますか。
  35. 石井照久

    石井参考人 その意味でございますが、調停のやり方にも関すると思いますが、過去のことは申しません。私個人が担当しました調停に関して申し上げるわけですが、なるべく両当事者が納得できるような線を打出したいということを、調停の基本方針にいたしております。従つて調停の過程におきましても、調停案が示されて初めて驚くといつたようなものでなくて、お互いの意向をそれとなく打診しながら、この線ならばおそらくは納得できるのじやないかというふうなものを出したつもりでおります。従つてその過程において、両当事者の意思を私は推測してこの辺ならば納得されるであろうという確信を持つたということを申し上げておきます。はつきりとこれでいいということは、おそらく調停案が示されまして、いろいろな形がとられるまでは、承諾はおできにならないということは申し上げられると思います。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ある方の説明によりますと、事実上基本給に千円の増額がされることになつて、その結果千円給与が上つたという一般への印象が、ひいては他の公務員給与引上げということに波及する、こういうような説明があるのであります。今調停案内容に対する御説明が一応ありましたが、その点について重ねて御説明を願いたいと思います。
  37. 石井照久

    石井参考人 実質上千円程度のものが上る、それが一般に波及するのではないかという点の御質問にお答えいたしますが、特に御注意申し上げたい点は、現在三公社組合が一万八千円ベースの賃上げを要求しておりますが、これとこの調停案とはまつたく違うのでありまして、現に全逓でもこの調停申請とは別に、一万八千円ベースの貨上げを申請して来ておるわけであります。従つて現在の調停委員会にひつかかつておりますところの問題は、純粋のベース・アツプの問題だと思います。しかしこの全逓の取上げました、従つてこの調停案内容としておりますものは、従来公務員体系に置かれたことから、現業労働者が頭打ちその他において非常に不合理な形に置かれていた、それを公労法体系に持つて来ましたならば、どうしても是正しなければならない、その最小限のものをここに取扱つておるわけでありまして、この是正を前提としてさらに一万八千円べースというものの実現が、全逓としては論理的に考えられるということだと思います。でありますから、現在のベース・アツプは別でありますが、さらにこれが一般に及ばないかという御質問でありますが、この点につきましては、われわれ実態調査もいたしまして、いろいろ実情を調査いたしました結果、郵政職員が、こまかい数字は申し上げませんが、給俸などの点において、非常に不当な頭打ちを受けておる、あるいは特殊勤務手当において、昔ながらの非常に安いものがそのままになつておるという事実を発見しましたので、そうしてその事実は、これこそは郵政にのみ特殊なものであるというふうに考えましたので、その限りでこれを直したということになりますから、当然一般に波及するものとは考えておりません。ただしかし、他の五現業などにおきしましても将来、自分たち給与体系公務員体系に置かれたために、いかに不合理であつたかということを理解しまして、それをあらためて調停申請された場合には、全逓のこのような解決のことが、将来例になるかもしれません。しかしこれは現在の問題ではありません。またそういうものは取上げておられないということをお答えできると思います。
  38. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に私は大蔵省に伺いたいと思いますが、石井委員長にはおさしつかえありませんか。
  39. 田中織之進

    田中委員長 それではほかに小委員長に対する質疑があれば、先にお願いいたします。
  40. 大上司

    ○大上委員 今吉田委員からもお話がありましたが、この問題は一般に波及しないというのが、一つのキー・ポイントかと思われます。そこでただいまのお話で、これは郵政職員が頭打ちというか、特殊なもので、その給与体系を直すのだということもよく了承しました。なお五現業についてはこれは、今日の段階ではない、おそらく将来の問題である、従つて現在これを云々すべきでないというふうに伺えたのですが、そこでもしもこの給与体系等が調停案の通り出たと仮定して、おそらく政府は専門の方で、こういうふうな他の五現業等にもいろいろ折衝があるかともこちらは推測するのですが、将来こういう傾向が他の現業官庁で起り得るやいなや、あるいはわかれば、いつごろこういうふうなものがほかにも及ぼすであろうというような、推測でけつこうですが、時期等がわかつておられましたならば、お知らせ願いたいと思います。
  41. 石井照久

    石井参考人 私の推測を申し上げることは、必ずしも適当でないというふうに思います。従つていつごろ起るかどうかというふうなことは、組合が自主的におきめになることでありまして、どうもここでいつ出すであろうと組合外の第三者が申し上げることは、適当でないと思います。ただしかしながら、組合がもしまじめに自分たち給与体系を研究せられて、それがいかに不合理であつたかということをはつきり認識されましたならば、そのときには自主的に問題を取上げることがあるであろう。それが遠いか近いかは組合にかかつておる。われわれはそれを受けて考えるということを申し上げるほかはないのです。
  42. 田中織之進

    田中委員長 それでは、まだ石井さんは一時半ごろまではおいでくださるようでありますが、大蔵省から愛知政務次官がお見えくださいましたから、午前中から保留しておる方から、この際質疑願います。
  43. 片島港

    片島委員 私は愛知政務次官にお尋ねしたいと思うのでありますが、実はすでに前の委員会から本日にかけても、いわゆる両当事者と、今調停委員長のお話を承つて、ほとんどの郵政委員は、調停案が妥当なものであつたということを認めるに至つておるのであります。大蔵省としてこの調停案が出ました場合に、もし両当事者とも、これは大体において妥当である。今調停委員長の言われたように、大体において妥当であるということを認められて調停案を出された以上、もし財政の元締めである大蔵省の方で御意見がなかつたとするならば、当然受諾されたものと思うのであります。その元締めである大蔵当局としては、どういう理由によつて、たとえば予算措置が、財政上の困難のためにできないのか。あるいはほかの類似的な組合との関係においてこれを受入れること。財政的な措置を講ずることができないのか。大体この二つの点から検討せられて、この財政的な措置が講ぜられなかつたものと思うのでありますが、どういう理由で、どういうところを特に重く見て、この調停案を受けて、また郵政当局とこれを相談せられた結果、予算的な措置を講ずることができなかつたかという一番大きな理由について、御説明を受けたいと思います。
  44. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 この際まず第一にちよつとおわびを申し上げたいと思うのでありますが、今朝来当郵政委員会におかれまして、大蔵大臣あるいはその他の大蔵当局を招致せられたのでありますが、他の委員会、本会議等におきまして、手がまわりかねまして、ただいままで遅れましたことを、まず第一におわび申し上げます。  お尋ねの点の第一でございますが、政府全体としての立場からいつて、公労法を尊重するということは申すまでもないことでございますから、できれば財政当局といたしましても、十分これに御協力をした結論を出したいということは、常々考えて参つたわけであります。ただ政府全体として見ますと、郵政省側からも、ただいま郵政大臣がお見えになつておりますが、郵政大臣あるいはその他の郵政当局からも、非常に事態をわけての十分な御説明も伺つておりますが、大蔵省意見を求められたことに対して、いわゆる財政当局としてこの調停案に対してどう考えて参つたか、またその研究の結果等を一応ここで御報告申し上げることが適当かと思います。すでに御承知の点が多いと思いますけれども、ちよつと時間をお許し願いまして、一応私どもの勉強いたしました経過を御説明申し上げたいと思うのであります。なお調停委員長からもただいまお話が、ございましたが、その御趣旨はわれわれも十分理解しておるつもりであることも、あわせて申し上げておきます。そこで私どもの財政当局という限られた立場から、この調停案に対してどういうふうに考えておつたかということを、次に申し上げておきたいと思うのでありますが、便宜上一応調停案内容で、財政当局としてこういう点が非常に大事なポイントであるということを最初にまず指摘して、それから意見を申し上げることにいたしたいと思います。  第一に調停案内容でございますが、その中の一つは、申すまでもなく過去における号俸の頭打ちの平均一・二八号を是正するために所要の措置を講じなければならないということであります。その額が十二億九千余万円になつておるように承つております。それから第二は特殊勤務手当を、二千九百二十円ベース当時から本俸がずつと上つておりますので、その上昇率が大体五倍、この上昇率にスライドすることが必要であるという内容でございますが、その所要の金額が約十四億というふうに計算ができるかと思うのでありまして、この二つの関係の所要の金額は二十七億円、これを原資として団体交渉によつて給与体系是正したいということが、案の内容の重要な点かと思うのでございます。  さらに進んでこの調停案を受諾して、先ほど申しました二十七億円ほどの額の原資によりまして基本給を改善するということになるといたしますと、先ほど吉田さんの御指摘にありましたように、月額約千円の引上げとなつて附加給を含めますと、全体の所要額は三十五億七千百万円ということになるかと思うのでございます。その財源調達の計画は、一つ一般会計から七億一千四百万円を充当するということになつております。そのうち郵便貯金関係が五億二千五百万円と承知しております。それから簡易保険から七億五千五百万円、電電公社から六億四百万円、郵政会計の予備費を全額充当することができますれば六億八千六百万円、年賀郵便のはがきを一億枚増売りをいたしまして、これによつて四億円の財源が調達できる。なお小包料金の値上げによりまして四億一千二百万円ということになりますと、ちようどこの総額の三十五億七千百万円という原資が財源として調達できる、こういうことになつておるように思うのでございます。この調停案は、この点が委員長の御説とやや私どもの受ける感じが違うことを率直に申し上げるのでありますが、何と申しましても、一般公務員に共通する問題を含むように考えられるのであります。  その内容と考えます点を数点御参考までに申し上げたいと思いますが、その一つは頭打ちの問題でございます。一・二八号の平均是正ということでございますが、実は私どもが調べましたところによりますと、この頭打ちの問題は、郵政においても顕著な問題ではございますけれども、実は他の現業であります印刷の関係、造幣の関係、アルコールの関係というふうに、私どもから見ますると、郵政特有の問題ではなくして、他にも同様の問題があるのでございます。これをそれぞれの現業について人員で調べてみますると、印刷においては三五%、造幣局において三〇%、アルコールの関係では二七%というふうに人員が頭打ちになつておるのでございまして、郵政の場合は比率としては二八%である。こういう点については他の現業とやはり共通の問題があるかと考えられるわけであります。  それから第二の特殊勤務手当、いわゆる特勤のスライドの問題は、他の公務員公社職員にやはり共通する問題であるのではなかろうかと考えるわけでございます。それからなお率直に申しますると、基本給の是正、千円の一律ベース・アツプと申しますか、そういうことがここで取上げられるということになりますると、むしろ頭打ち是正ということとは矛盾するような考え方になるのではなかろうか。また申し上げるまでもございませんが、この点については当然他の同様の種類の労働者方々に、非常に至大の関心を持たれておるのではないかと考えております。  それから、これも御承知のことと思いますが、公労法の対象から除外されておりまする郵政職員としては、管理職員が私どもの調べでは二万一千九百四十一人あるように勘定されるのでありまして、郵便局長がその内容になるかと思うのでございますが、これについても頭打ち問題も特勤の問題も共通しておるのではなかろうか。そうであるとすると、この管理職員に対する関係をどういうふうに考えて行くかということが問題ではなかろうかと思うのであります。  次は電電との均衡の問題でございますが、もちろん石井委員長の御説明でも、電電との不均衡の是正ということは第一義ではないというふうに承つておるのであります。また経理上、郵政事業は値上げないし他会計への転嫁を伴うという点も、実際として電電との関係を律しまする場合には、問題として不適当の点があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  最後に、財源の調達上の調停案内容でございますが、それについてやはり私ども意見を一応申し上げますならば、まず一つは予備費を全額六億数千万円充当するということでございますが、予備費の性質上から申しまして、非常の予想されないような事態が起りました場合に困るのではなかろうかということが考えられるわけでございます。それから小包料金の値上げが一応考えられておりまするが、この際こういうことはとるべきであろうか、どうであろうかという点も、私どもとしてはさらに考えさせていただきたいと思います。それから郵便貯金以外の一般会計財源及び電電公社からの繰入金は、件数単価によつて算定することになつておりまして、ベース・アツプのために単価を修正して繰入金を増加する余地はないのではなかろうかと思うのであります。なおこれも御参考までに申し上げるのでありますが、現在の単価は一件七十円ということになつておるようであります。税以外の歳入歳出金の場合は五十円になつておるのでございますが、これに取扱い金額の一%を加えたものでありますから、相当高位にありますので、これ以上引上げますことは、これは他との振合い上いかがかと考えられる点があるのであります。たとえば一例として一件五千円の場合には国税金でありますと百二十円、国庫金百円に対しまして振替貯金が二十五円、日銀代理店が五円、銀行為替百四十五円というようなことになつておりますので、郵政の取扱い料金との均衡ということをはたして考えないでよいかどうか、こういうことも考えられるわけであります。  なおそのほか郵便貯金の事務費等を考えてみますと、現在相当高い程度になつておりまして、大体三分九厘くらいになつておるようでありますが、戦前の三厘でありましたのに比較いたしますと、非常な高さになつております。これ以上引上げますと、貸付金利との関係も生じて参ります。また貯金会計そのものが赤字でありますので、一般会計に直接転嫁されるおそれがある問題でなかろうか。  大体冒頭にお断り申し上げましたように、私がただいま申し上げましたことは狭い財政当局という立場から、この調停案に対して意見を求められました場合に、過去においてもこういうふうな点はわれわれの問題とする点として、郵政当局の方にも御連絡を申し上げておるわけでありまして、これらの点についてはなお郵政当局との間にも十分の研究をいたしたい、こういうように考えておるわけであります。
  45. 片島港

    片島委員 いろいろとこまかく御説明を承つたのでありますが、私どもは財政の問題についてそうまでこまかい数字、詳しいことはわかりませんが、調査いたしました資料によりますると、類似の公共企業体の従業員と比較いたしまして、国鉄は基本給が一万三千五百円、専売が一万三千百円、電電が一万三千四百円、郵政は今度の調停案にいたしましても一万三千三百円、こういうような状態になつておりまして、他との類似的な事業従業員との関係ということになりますれば、むしろ調整することによつて水準が合つて来るというふうに考えておるのであります。特にまた一般国家公務員との関係を見ます場合に、公労法の適用を受けるということは、これらの一般の公労法の適用を受けておる公社職員などとレベルを合せるために、一般の行政事務をとつておらないが、いわゆる現場の従業員であるというために公労法の適用を受けたのでありまして、公労法の適用を受けるということが、すなわちこれらの公社職員などの給与の面において、レベルを合せるということを意味しておるものではなかろうかと思うのであります。そこでほかの関係でありますが、ほかは今いろいろお話になりました、たとえば造幣、林野、印刷、アルコール、これらのものに波及するかしないか、これはおそらく人のところが上れば自分のところが今ちようどよくてもなお上げてもらいたい、あそこが上るくらいならおれのところも上げてもらいたいというのが人情であります。しかしこれが適当であるかないかということを考えるのは、これら公労法下にあるところの企業の組合要求を出して、要求がけられたら調停委員会にまわして、また調停委員会においてはいろいろな関係を考慮して、適当な調停案を出す、こういうことになるのであつて、もしこれをやるならば、こういうことも起るのではなかろうかということを前提にしてそろばんをとつてみて、将来のことまで考えるということになると、そのときどきの非常に緊急な問題がそのために解決しないのじやないか、私はかように思うのであります。特にこれはベース・アツプでなくして、ただ単に今までの頭打ちその他の特勤などの関係におけるいわゆる是正ということを意味しておる。特に予備費などについて、政務次官は非常に心配しておるようでありますが、私たちは実は大蔵当局の意見を聞く前に、すでに郵政当局の御意見も十分拝聴いたしております。それによりますと、要するに従業員の非常な熱意によつて、努力によつて、緊急な場合に使うべき予備費を使つても、なおかつ事業の自然増収によつてこれをまかなつて行きしたい。これは非常に責任のある決意を必要とすることでございまして、使つてしまつたところが、赤字になつて、実際は何もできなかつたということになれば、郵政大臣の方に責任がかかつて来る。ところが郵政大臣は、いわゆるこの七億円以外のものについては、特に郵政事業本来の経費については、責任を持つて必ず自分の方でやつて行き得るということのお話を私たちは承つております。また小包料金が一割値上げになるかならぬか、まだきまつておらぬから怪しいと言われますが、これもおそらく郵政大臣は政治的に責任を持つておられるであろうし、特にこの問題のごときは前の議会から各政党ともに実は了承いたしまして、途中においてから解散となつてこれがお流れになつておる問題でありまして、そういう事情を十分郵政当局としては考え、また組合の方もそういういろいろな事情を勘案した上で、これだけのことはできる、そういうふうにいろいろなことを考え合した末で、適当であるということを言われるならば、大蔵省として考うべきものは、むしろこの七億円の財源をいかにしてはき出すか、しかもこれは税金のはね返りということを見るならば、三億か四億の金をいかにしてはき出すか、この一点をさえ考えるならば、これは解決できるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。この問題がなおほかの方で――私は不敏にして知りませんが、この問題が解決したならば、二十八年度の予算にただちに他の方から攻撃が参り、それの組みかえをさらにやらなければならぬような事例が現在あるのかないのか。私はまだ聞いておりませんが、そういうことはおそらくないのじやないか。それがないとすれば、私はどうしてもこの今の他との均衡という問題、それから財源的な問題、ただこの七億円をいかにするかという問題だけにしかかかつておらないと思うのですが、私は愛知政務次官、特にこの数字の詳しい大蔵当局として長い経験を持つておる愛知次官から、もう少し基本的な問題について何か伺うことがあるのではないかというふうに考えるのであります。この各与野党全部集まりました郵政委員会は、郵政当局及び郵政省職員との両方の意見、及び調停委員長意見を非常に熱心に詳細に今まで聞いて参つております。この郵政委員会としては何とかしてまとめて、両者がこれを受諾できるような方向に持つて行きたいと考えておるわけでありますが、もしいろいろな情勢からこれは妥当であるという証拠がつかめますならば、さらに大蔵当局としてはこれを考慮していただく用意があるかどうか、この点について私はひとつ次官の御意見を伺いたいと思います。
  46. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 今お話が、ございましたが、私どもとしてはまつたく他意はないのでございまして、誠実にこの調停案についてわれわれとしての研究したところを、きわめて率直に申し上げたわけであります。ただ従来この給与の問題につきましては、財政当局としてもいろいろと最近経験を積んで参りました、と申し上げるのははなはだ恐縮なんでございますが……。それならばこの調停案をのんだ場合に、どこにどういうものが当然に出て来ることを予想しておるかというような趣旨のお尋ねもございましたが、これは的確にこれとこれと申し上げることはできないのでございますが、大体予想されるような案件が数件――数件と言いまするが十件近く実はございます。たとえば――これは見解が違うと言われることかもわかりませんが、先ほど申しましたようないろいろな原資、財源の調達方法を考えて、十円の基本給の引上げというようなことをお考えになるということになりますと、そこだけの千円上げということだけをとらえられまして、他の水平運動が起つて来るおそれがあるのではなかろうか。これは思い過しかもしれませんが、もしかりにそういうことが出て参りました場合においては、私どもはひそかに試算しておつたのでありますが、一般会計だけでも九十何億円、ほかの政府関係機関、それから地方の公務員等に対して平衡交付金の増額というようなことをあわせ考まえすと、五百六十五億円くらいの予算の問題になりますので、われわれといたしましては非常に乏しい財源で全体をやりくりするという与えられた立場から申しますと、そういう関係がやはりわれわれとしては非常に心配になるのであります。これは私どもの気持を率直に申し上げたわけでございます。
  47. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵当局に伺いますが、政務次官は、根本的な大蔵省の態度としては公労法を尊重し、委員会意見を尊重するということを申しておられましたが、ところでこの調停案理由の説明によりますと、この調停の主文を決定するに至りました理由といたしましては、一般官庁と異なる郵政職員の、独自の要素を持つておるこれらの人々の仕事給与等につきまして目をつけておられることは、この文章を一読すると明らかであります。のみならず、さきにお聞きになりました、ごとくに、これは給与の引上げではない。給与の引上げということになるならばやはり郵政当局、すなわち調停の相手方であつた郵政当局におきましても、相当そこは別の議論が出ただろうと思いますが、そうではなくして、やはり郵政業務における特殊事情というものをあくまでも考えて、その点に双方の意見が一致したものである、こういうふうにこの文章からは見られるし、石井委員長のさきの御説明の趣旨を聞いても、そういうふうに見てとられるのであります。真に大蔵省が公労法の精神を尊重し、調停委員会意見を尊重するということを率直にお認めになつておるのならば、やはりここに書かれておりまする理由書につきましても、これを認めることが私は大局から見て実に当然の態度でなければならぬと思うのであります。なるほど認めるとはいいながら、根本では何か認めないという態度をとつた場合に、反対理由は何かないかとせせつて行きますならば、それはいろいろと指摘し得る場合もあるかもわかりませんけれども、やはり調停でありますから、一方的に押えつけてというのではなしに、双方の立場、双方の意見各般の経過にかんがみての調停案なんです。だから調停というものは白か黒かをきめる判決とか、あるいは仲裁裁定ではないと思いますから、その調停の趣旨を尊重するということが公労法を尊重するゆえんであり、またあなたのおつしやる委員会意見を尊重することに帰します。そこで調停はさような各般の事情からかんがみて、郵政の特殊な事情に基いて、あるものを限つて調停した、こういうような説明になつておりますので、ここはやはり率直にお認めになるということが、大蔵省の前提の態度に沿うゆえんであろうと考えますが、いかがでございましようか。
  48. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 まことにごもつともで、ございまして、私どもとしてもできればそういたしたいわけなんであります。ただやはり財政当局としての全体の予算編成立場ということから申しまして、政府部内でこれを認めるといいますか、承認するかどうかということについての意見決定されます場合に、財政当局としてはこの調停案に対してこういうふうな見解を持たざるを得ないということの意思表示をいたしますることは、また財政当局としても当然とるべき態度ではないかと思うのでありまして、これからあとは今のお話のような趣旨に沿うて、いわゆる政治的に大局から考えてどうであるかということをきめるべき段階ではないかと思うのでありまして、私といたしましても、そこまで参りますると、答弁の仕方がないと思うのでありますが、御了承願いたいと思います。
  49. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いろいろな時間の関係もありまして、委員会としましてできるだけ早く意見、態度をきめることが適当であろうと私も考えておる一員であります。そこでなお伺いますが、これは郵政大臣の前会の御答弁によりましても、やはり受諾することが適当だという態度をなお持しておられるとわれわれは理解したのでありますが、もし財源調達、そういつた方面がおもな理由ということになつて来るのでありましたら、金額にいたしましても、またさきの説明をお聞きになつたと思いますが、繰入れその他の数字の動かし方につきましても、これは国家財政の大きな数字から見ましたら、この問題を解決するために、きわめて小さい代償にすぎないかと思いますので、大蔵省といたしまして、今最終の態度を表明なさることは、あなたでは御困難かもしれませんけれども、各般の情勢から最も妥当適切な結論を生むというために、委員会の意思表示をしたり、あるいは重ねての郵政当局の申入れなりがあれば、これに対しましてできるだけこれを尊重して、その線に沿うて、一層好意的に積極的に考慮する、こういうふうに持つて行かれるべきでないか、こう思いますが、いかがですか。
  50. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいまの吉田さんの御発言でございますが、郵政委員会のお立場は私は非常によくわかると思います。従つて郵政委員会としての意思表示ということになりますれば、これは政府としては、もしそういうことになれば、もちろんそれを尊重しなければならぬのは私は当然のことだと思います。ただ私が本日この段階において、まことにどうもこれは申訳ない言い方でありますが、すでに政府としては二十八年度の本予算国会に提案いたしております。また七月の暫定予算も同様でございますが、それをきめましたときの政府の態度としては、部内の協議の結果、一応これは含まれていないわけでございます。それを前提として私が今お答えをいたしますれば、政府としては非常に困難な事情にあるということをつけ加えて申し上げなければならないと思います。
  51. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいまの政務次官の御説明では、七月の暫定予算の提出の直前であり、あるいはまた二十八年度の本予算は提出済みであるので、それらの経緯からただいまの答弁が出たようでありますが、やはり国会の意思がもし調停委員会決定を尊重するということに決定しましたら、同時にまた予算については組みかえ等の方法もあるわけでありますから、何もそれによりまして、動きのとれぬことに今なつておるわけでないと思いますので、この点につきましては将来にまかして、それぞれの国会のなす手続につきましては、政府としてこれに応じて行かれる、こういうふうになさつて、筋が通つておるのではないかと思いますので、重ねてその点について御意見を伺つておきます。
  52. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 国会としての御意思の御決定がどういうふうになるかということについては、私ども申し上げる範囲ではないのですが、そういうことにかりになりますれば、これは先ほど申しました通り、政府側としても十分考慮しなければならないと考えます。
  53. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 予備費の問題ですが、予備費につきましては、約七億円というものを要求されておりまするが、これにつきましては、いろいろな突発的な災害を予想しなければならないということでありますが、なおはね返りの四億円ほどの計算がここへ来ますので、こまかく数字をいじくるようでありますが、必ずしも金額ということにならなくても、数字は一応できるのではないかと思いますが、いかがでございましようか。
  54. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 その点もごもつともでございます。ただはね返りの金額は、とうてい半分とか四億という程度にはならないと思います。ある程度はね返りが出ますことは当然でございまして、先ほどの説明からはその点は抜けておりました。
  55. 片島港

    片島委員 今、本会議開会中であり、あまり長く時間をとることもどうかと思いますので、私の締めくくりだけをつけておきたいと思います。先ほどからの次官のお話で、千円をベース・アツプすると、一般の公務員及び地方公務員を合せて五百億くらいの予算がいるということでございましたが、このことについては、次官はとくとお考え願いたいのであります。と申しますのは、これはべース・アツプではないということであります。実は今郵政職員全体の間で、方々紛争が起きております。三割の休暇というような問題から、官側と組合側との間に現に紛争がおきておる。これはベース・アツプを獲得するというのではなくて、郵政職員としてみましたときには、実はベース・アツプというのは御承知の通り一八ベースといつて一万八千円ベース要求しておりまして、これは政府全体の問題、公務員全体としての問題でありますが、この調停案の問題について今紛争しておりますのは、実は全逓だけの、極端に言うならば内緒の闘争をやつておるようなものであります。ほかのところへ波及しないように自分たちだけの問題として、内輪で闘争をやつておるのでありまして、それが非常に紛争をかもしておる。これがもしさきにお話のようにべース・アツプということでお考えになるならば、五百何十億、一八ベースということになれば、これはまたさらに大きな問題になり、共通的な問題でありますが、これはベース・アツプではない。あくまでいわゆる郵政部内における内緒の問題であるというように考えをはつきりと固めておいてから、この問題は善処して、たたきたい。そろばんをいろいろとつて、千円ならあそこにも上げてやる、ここにも上げてやるというようにすることはけつこうですが、五百何十億というそろばんをとつてみても、決してほかの一般の官公労の職員は、これをもつて満足しておりません。この闘争の目標は、いわゆる千億にも、二千億にも及ぶところの一八ベースという大きしな問題で闘つているのである。これだけはそれとは切り離して、別の問題で善処するということを、ひとつ大蔵大臣の方で考えていただきたいと思うのであります。この点についてはひとつ認識をはつきり新たにして善処されんことを望みます。
  56. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 この点は先ほど申し上げたときにもお断りしたつもりでありましたが、なお補足しておきますが、かりにその点だけをとらえて、かりに勘定してみればということを申し上げたのでありまして、率直にこの点は申し上げたいと思います。今の調停案の立て方、あるいは現在の段階におけるところの全逓のお立場というものは、私はよくわかつているつもりであります。
  57. 田中織之進

    田中委員長 それではこの程度にとどめまして、一言参考人の方にごあいさつを申し上げます、本日はお忙しいところをおいでくださいまして、長時間にわたり、あらゆる角度からいろいろと貴重なる御意見をごひろういただきまして、われわれの調査の上に大いに参考になつたことを厚くお礼を申し上げます。  次会は明日午前十一時より開会することといたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時二分散会