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1953-07-28 第16回国会 衆議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)  議事日程 第二十九号     午後一時開議  第一 離島振興対策審議会委員選挙  第二 中央青少年問題協議会委員選挙  第三 外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 日雇労働者健康保険法案内閣提出)  第五 日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件  第六 漁業法の一部を改正する法律案鈴木善幸君外三十四名提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  和歌山奈良地方水害調査慰問議員現地調査報告  日程第一 離島振興対策審議会委員選挙  日程第二 中央青少年問題協議会委員選挙  日程第六 漁業法の一部を改正する法律案鈴木善幸君外三十四名提出)  運輸審議会委員任命につき同意の件  日程第三 外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 日雇労働者健康保険法案内閣提出)  日程第五 日華平和条約附属議   定書第二項の有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件  港湾運送事業法の一部を改正する法律案岡本忠雄君外七名提出)  輸出取引法の一部を改正する法律案内閣提出)  昭和二十八年台風第二号による被害農家及び被害漁家に対する資金融通に関する特別措置法案水害地緊急対策特別委員長提出)     午後一時二十五分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 参議院から。内閣提出行政管理庁設置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して、右回付案議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。    —————————————
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 本案参議院の無修正同意するに御異議ありません     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて参議院修正同意するに決しました。      ————◇—————
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 和歌山奈良地方水害調査慰問議員を代表して、高橋英吉君から現地調査の結果を報告のため発言を求められております。この際これを許します。高橋英吉君。     〔高橋英吉登壇
  8. 高橋英吉

    高橋英吉君 去る七月二十一日、和歌山奈良を中心に南近畿一帯襲つた豪雨被害状況調査並びに罹災者慰問のため、特に院議をもつて派遣いたされました議員団を代表いたしまして、現地調査の結果を御報告申し上げます。  われわれ一行は、即日東京を出発し、翌二十二日より二十四日まで両県下をつぶさに調査し、帰京いたしました。以下、その被害概要等につきまして簡単に御報告申し上げます。  まず最初に申し上げたいことは、議員各位よりこぞつて醵出いたされました見舞金二十三万三千円を両県に差上げ、罹災者に対する衆議院としての慰問言葉を申し述べ、かつ、甚大な被害にも屈せず、早くも復旧に立ち上つている県民各位に対し、心から激励し、本院の意のあるところを十分お伝えして参つたところでございます。この点をまず各位に御報告申し上げます。  次に、今次災害特徴ともいうべきものについて申し上げますと、まず第一に、降雨量が未曽有のものであつたということであります。すなわち、高野山から南部吉野地帯は、紀伊水道に流れ込んでおります有田川、日高川、細川の支流の貴志川、また太平洋の熊野灘に注ぐ熊野川上流に当つておりまして、この山岳地帯に、七月十七日昼過ぎより翌日の朝にかけて、未曽有ともいうべき豪雨が隆り続いたのであります。この豪雨がいかにはげしかつたかということにつきましては、この地方雨量観測所のほとんどが流失し、その機能を喪失して、その資料を得ることができなかつたのでありますが、たまたま日高川上流の八幡村清水小学校の一教員の測定したものによりますと、この間に七百六十ミリ、また奈良県の野迫川檜股小学校では、九時間に六百四十ミリを記録したほどであつて村民の話によれば、これは、豪雨とか、しのつく雨とかいうような、なまやさしいものではなく、バケツの水をぶちまけたようなありさまで、この雨が山はだに当つて奔流する様は、あたかも山全体が一度に水をふき出しているように見え、これこそいわゆる山津波だと感じたとのことでありました。この一事をもつてしましても、いかにこの雨がはげしかつたかということが想像できることと存じます。  第二の特徴は、和歌山奈良両県は、山岳重畳する紀伊山脈が走つており、この山脈は急傾斜で、ただちに太平洋に入る細長い山すそに人家が散布するという特異な地形をなしておることであります。従つて、急激に豪雨が降れば、瞬時にして気違い水といわれる濁流となり、怒濤のごとく押し流して来ることになるのであります。  第三の特徴として、この紀州一帯は、御承知のごとく、全国でも有数の林業地であつた関係上、多数の木材濁流に流された点を指摘することができます。この押し流された木材により想像以上の被害を生ぜしめたのであつて山間地帯のある村においては、崩壊した岩石や土砂と流木が川をせきとめ、満々たる水をたたえた湖をつくり、一時川の流れをせきとめ、それがまた決壊して、一時に多量のいわゆる土石流を流出して、人家を押し流し、堤防橋梁を破壊し、人的被害においては九州水害の数倍の多きにも達したのであります。  以上のごとく、両県下における被害は、地域的には狭隘ではありましたが、降雨量の時間的集中性と、急傾斜山岳地帯という両県の地勢と相まつて、その被害はまことに言語に絶する激甚なものがあつたのであります。  次に、両県下被害の大要を申し上げたいのでありますが、時間の関係上特に省略して、速記録に掲載さしていただきます。御了承願いたいと思います。  次に、これら被害地に対する県、町村応急対策救助活動等について申し述べます。  両県とも、いち早く水害対策本部を設置し、また災害救助隊を組織して、県の全機能をあげて救助に尽しております。しこうして、救助活動は、被害状況の把握なくしては、とうていその成果を期することができないのは言をまたないのでありますが、特に、奈良県下被害地や、和歌山県の山間部についてこれが実情をつかむことは緊急の問題となつております。日高川上流に対しましては、二十三日保安隊奥地に出発いたしました。奈良県では、二十四日に、不眠不休、三、四日もかかつて調査団が帰つて参りましたので、やつと奥地実情を知ることができましたが、香川県の大きさに匹敵する十津川村の調査団は、いつ帰れるかわからないとのことでありました。さらに、両県とも、ヘリコプターを利用して、空中偵察により相当の成果をあげております。  このことに関連いたしまして、通信連絡施設でありますが、今回のような大災害の場合には、有線電話等はすぐに途絶してしまいます。上流状況も一刻も早く下流に知らせることや、水禍によつて孤立した場合、お互いに連絡をとわ合うことは最も緊要のことである以上、完全なる気象予測施設とともに、将来レーダーとか無電施設による通信連絡必要性を痛感いたした次第であります。  さらに、最も焦眉の問題でありますところの食糧輸送状況であります。右のような調査によりまして、実情が判明次第、道のないところには人が肩に米をかついで運んでおります。奈良野迫川村に対しては、五条より和歌山県の高野山を経て徒走運搬をし、また五条より阪本間は索道により、さらに野迫川村までは徒走運搬によるといつたありさまで、二十四日に至りようやく米三十七俵が到着し、同村民は初めて蘇生の思いをしたような次第であります。かくのごとき事情でありますので、米のやみ価格は急騰し、米一斗につき輸送費のみでも千二百円という法外な高値を呼んでいるとのことでありました。また一方、駐留軍の飛行機による食糧投下や、熊野川をさかのぼつてプロペラ船による輸送も開始されております。一方、和歌山県の御坊町に対しましては、フリゲート船により近くの港に揚陸し、ここからトラツク、ダツトサン等を利用して運び込んでおりますが、このような公的機関のほかに、各新聞社等救援物資輸送に協力していることは、まことにわれわれとしても感謝にたえなかつたところであります。しかしながら、他方、たつた一つの連絡道路にひしめいている車両の交通を整理して迅速なる輸送をはかるとか、その道路輸送能力を維持するために、危険箇所を修復する等のことについては、いまだ必ずしも完璧ならず、もよりの町村警察等のいま一層の積極的な協力があつてしかるべきだとの感を受けたところもありました。このようにして、とにかく、二十二日御坊町には三日分の食糧が入つたとのことで、それまでいささか不穏の形勢がありましたこの町も、われわれ一行フリゲート船によりてやつとたどりついたときには、案外平静を保つているごとく見受けられ、やや安堵をいたした次第であります。  次に、堤防決壊場所におきましては、早くも応急復旧工事が進められ、復旧の熱意に燃えた真剣な敢闘の姿もところどころに見受けられました。もとより、奥地被害地救助するためにも、決壊道路応急修理が先決問題でありまして、これも逐次進められております。  また、農地災害復旧には、ブルドーザーを入れて工事の促進をはかるなど、必死の努力をしておりますが、完全に復旧するまでに数年の年月を要するような大被害地に対してはもちろん、山間の小さな農地復旧に対しても、高率適用による国の助成が望まれておらました。  次に、家屋、学校の復旧修理も逐次なされておりますが、特に奈良県の河川流域におきましては、全然家屋、敷地が流失してしまつており、これが復旧は容易ならざるものあり、坪当り復旧単価想像を絶するものがあり、これらの点についても、何らか国の助成措置要望されておりました。  その他、医療対策治安維持のためにもそれぞれ措置がとられておりますが、特に医療施設については、さらに機敏な措置要望せられておりました。すなわち、真夏を間近に控にて、両県下水害地では、すでに疫病発生のきざしが見えて参りました。  翻つて考えてみますに、災害地に対する救助は、まず当該地元においてできるだけの手段を尽すのは当然でありましよう。事実、現地における復旧努力は涙ぐましいものがあるにもかかわらず、この両県の水害のごとく未曽有の大規模なものになりますと、とうてい県の独力で救助の完璧を期することのできないのは言うまでもないことであります。いわんや、完全な復旧を見るまでには、相当母上の国の助成が必要なことはこれまた言をまたざるところであります。以下、県の政府に対する要望の主要なるものを申し述べます。  まず、今次の災害は尋常一様のものではないから、既存の法律等をもつて律し得る範囲をはるかに越えており、国は、このような事態を率直に認識して、最も適切妥当なる対策を講じてもらいたいというのが、両県を通ずる根本的な要望でありました。和歌山県のある地方事務所長は、われわれ一行に向つてこう言いました。私はもう役人であるという気持を捨てましたと言うのであります。これは、法規の執行に忠実でなければならない公務員ではありますが、この大災害に対処いたしましては、規則一点ばりの態度ではとうてい急場の間に合わないということを表現したものにほかなりません。  次に、具体的な問題といたしましては、各種復旧事業費について国庫補助率引上げ国庫助成に伴う事務の簡素化概算支給平衡交付金の増額、代替農作物等について農家に対する資金融通措置住宅復旧のための融資限度引上げ、その他多数ありますが、これらの内容につきましては説明を省略いたしまして、特に重要な問題について二、三申し述べたいと思います。  第一は、道路河川橋梁等応急復旧工事についても、国庫補助を十分にやつてもらいたいという点であります。応急復旧工事といえども、一箇所の工事に巨額の支出を要する場合に、これを全部地方負担といたしますと、応急工事すらできなくなるおそれがあるのであります。特に今度の水害によつて甚大な損害を受けた両県には、この点は復興のかぎとも言うべきものであります。  第二は、失業対策事業災害復旧事業とを結びつける措置についてであります。現行法上は、両者はあくまで別個の建前になつておりますが、災害を受けたところにおきましては、田畑を流失して生業を失つた人々が、収入の道を絶たれて困窮いたしておるのであります。従いまして、これらの人々災害復旧事業に従事せしめて、民生の安定をはかりたいというのは、関係市町村を初め、両県の痛切な希望でありました。  次に、とりあえず応急措置として、十分なるつなぎ融資をしてほしいという要望であつて、これによつて罹災民収入源の確保をはかることは、まさに緊急必要な措置であると考えられます。  最後に、一、二点申し上げたいと思うのでありますが、今次の南近畿地方における水害は、その被害の程度から見まして、先般の九州の大水害にも匹敵するものであることは、ただいま申し述べたところによりましてもおわかりのことと存じます。しかもなお、被害状況は、調査が行き届くにつれて次第に増大しつつあるのであります。かくのごとき事態にかんがみ、本院の水害地緊急対策特別委員会は、その陣容を強化拡充せられ、今次の南近畿地方における災害対策についてもすでに活発な活動が始まつていることを承知いたしております。われわれは、このたびの現地調査によつて水害地における事態があらゆる意味においてきわめて急迫しておることを痛感して参りました。この特別委員会におかれては、早急にこれが対策を講ぜられるよう希望いたす次第であります。  さらに政府は、機敏迅速な応急措置をとり、遺憾なきを期すべきはもちろんでありますけれども、他方水害の恒久的、根本的対策の確立もこの際十分に考究する余地があるものと考えます。たとえば、今次の紀州災害について、ある山間地帯め村長は、今度の水害は必ずしも森林の濫伐のみによるものではなく、植栽後五十年も経た森林欝蒼と茂つているにもかかわらず、なおかつ甚大な被害を受けている。直径一尺もある大木が、枝のついたままぐらぐらとゆり動かされ、遂に根こそぎにされて流失したということは、災害に対する人為的抵抗限度をはるかに越えたものではなかろうかとすら漏らしているのでありました。この言葉よりも推測できるように、今回の降雨量がきあめて異常であつて、もはや過去の記録ばかりを当てにしてはならないことを示しているものとも考えられるのであります。また、気象観測施設にいたしましても、せつかくの設備が雨に流されて役に立たなかつたことなども、今後の水害対策の上に大きな示唆を与えるものであつて、常に正確な機能を発揮する観測施設を整備し、正確なデータに基く根本的災害対策こそ、資源の貧弱なわが国にとつて最も必要なものではないかと思うのであります。  このことは、一例を申し上げたにすぎませんが、われらは、恒久的な災害対策について、この際根本的に再検討をなすべきであり、たとえば、今回の異常な雨量のごときに対しては、はたして人為的にこれを防止することができ得るかどうか、すなわち、われらの国土は不可抗力的に災害をこうむる悲劇的宿命を持つ国土であるかどうか等をこの際根本的に再検討なし、わが国土の保全に万遺憾なきを期すべきであるとの所感を申し述べ、あわせて災害地復旧の一日も早からんことを念願しつつ、和歌山奈良水害調査報告を終る次第であります。(拍手)      ————◇—————
  9. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、離島振興対策審議会委員選挙を行います。     —————————————
  10. 今村忠助

    今村忠助君 離島振興対策審議会委員選挙については、その手続を省略し、議長において指名せられんことを望みます。
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  議長離島振興対策審議会委員に    西村 久之君  綱島 正興君    岩川 與助君  園田  直君    木原津與志君  辻  文雄君    北 れい吉君を指名いたします。      ————◇—————
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第二、中央青少年問題協議会委員選挙を行います。     —————————————
  14. 今村忠助

    今村忠助君 中央青少年問題協議会委員選挙については、その手続を省略し、議長において指名せられんことを望みます。
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  議長中央青少年問題協議会委員に    坂田 道太君  櫻内 義雄君    古屋 貞雄君を指名いたします。      ————◇—————
  17. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程順序変更緊急動議提出いたします。すなわちこの際、日程第六を繰上げ上程し、その審議を進められんごとを望みます。
  18. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程順序は変更せられました。  日程第六、漁業法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。水産委員長田口長治郎君。     〔田口長治郎登壇
  20. 田口長治郎

    田口長治郎君 ただいま議題となりました漁業法の一部を改正する法律案について、その概要と、水産委員会における審議経過及び結果について御報告申し上げます。  わが国民主化並びに経済再建一環として、昭和二十四年現行漁業法が制定されまして、漁業制度改革がなされた次第であります。本制度改革におきまして、旧漁業権はこれを消滅させ、同時に計画的に新漁業権免許行つたのであります。この漁場整理のため消滅する漁業権等を有する者に対して、政府は、その補償として、約百八十一億円の漁業権証券を交付した次第であります。しかしながら、当時のわが国の置かれている事情等からいたしまして、この補償金にその利子約五十億円を加算した二百三十一億円を見返り財源として、漁業免許料及び許可料と称して、昭和二十七年度以降二十五年間に毎年漁民から徴収する制度漁業法に規定されておるのであります。かくのごとく、わが国民主化一環として行つた漁業制度改革を、一方的に漁民の責めに帰することにつきましては、漁業法制定当初から幾多の疑問が存したのでありますが、かかる制度は、他産業に類例を見ないばかりでなしに、何らの合理性をも見出し得ないのであります。しかも、本年はすでにこの免許料許可料徴収最初昭和二十七年度分六億余円の徴収が行われている次第であります。この漁業制度改革の実効をあぐべきときにあたりまして、免許可料漁民の過重の負担となり、所期の目的達成のためにも大いなる支障となつている次第であります。そこで、本制度を撤廃いたしまして、漁業経営び漁民生活の安定をはかろうというのが、本案提出理由であります。  次に、法律案内容につきまして簡単に申し上げます。まず第一点は、漁業法第五章に規定してありますところの沿岸漁業等免許料及び許可料の条文を削除し、また内水面漁業に関する同様の規定である法第百二十九条を削除して、本制度を撤廃せんとする次第であります。その他、本法の適用については、昭和二十八年度分の漁業免許料及び許可料から廃止することといたしました次第でありまするから、ただいま徴収しておりますところの初年度の分につきましては、従前の通りこれを徴収することにいたしたのであります。  本案は、去る七月二十日、各派の共同提案として、水産委員の全員、その他の委員合計三十五名から提出され、当委員会に付託されたものでありまして、翌二十一日から毎日委員会を開会し、本案に対する審議をいたした次第であります。これが審議の詳細につきましては会議録によつて御了承を願います。  続いて、七月二十三日の委員会におきまして質疑を終り、討論に入り、日野委員から次の附帯決議を付して賛成されたのであります。すなわち  一、政府は、昭和二十七年度分の免許料及び許可料徴収については、災害、接収、演習其の他の事情により納入困難なる者に対しては、減免等措置をすること。  二、昭和二十七年度分の漁業免許料及び許可料の未納入分については納期内に必ず納入せしむる様万全の措置を講ずること。  次に、改進党中村委員から賛成意見が開陳され、討論を終り、採決いたしましたところ、附帯決議を付し全会一致をもつて可決すべきものと議決いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。内閣から、運輸審議会委員太田三郎君及び松浦薫君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて同意するに決しました。      ————◇—————
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第三、外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長關内正一君。     〔關内正一君登壇
  26. 關内正一

    關内正一君 ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給法の一部を改圧する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案の趣旨は、外航船舶建造を促進するため、船舶建造融資総額の百分の三十を限度として、政府が損失を補償しようとするのであります。  本法案は、七月四日本委員会に付託され、七月政府より提案理由説明を聴取し、二十四日、自由党両派及び改進党を代表して、改進党有田喜一君より修正動議提出されました。修正のおもなる点は、外航船舶建造に対する市中金利を五分に、開発銀行金利が三分五厘となるように利子補給金限度を改めるとともに、利子補給を受けている会社が一定以上の利益を得たときは、利益金の一部を国庫に納付させること等であります。  二十五日質疑が行われましたが、内容会議録に譲ることといたします。  二十七日討論に入り、日本社会党を代表して山口丈太郎君よわ、日本社会党を代表して熊本虎三君より修正案反対原案賛成自由党を代表して關谷勝利君より、外航新造船及び外国購入船に対する開銀並び日銀別口外貨貸し金利引下げ等附帯決議案を付して、修正案及び修正部分を除く原案賛成、改進党を代表して臼井莊一君よわ修正案及び修正部分を除く原案賛成、小会派クラブを代表して館俊三君より修正案及び原案反対意見が述べられました。  かくて、修正案について採決の結果、起立多数をもつて可決、修正部分を除く原案について採決の結果、起立多数をもつて可決され、次いで附帯決議案について採決の結果、起立多放をもつて可決され、本法案附帯決議を付して修正議決すべきものと決しました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  27. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。山口丈太郎君。     〔山口丈太郎登壇
  28. 山口丈太郎

    山口丈太郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案に対する修正案について反対し、さらに政府原案に対し条件付で賛成の意を表明せんとするものであります。(拍手)  政府は、外航船の増強による自国船貿易を目的とし、その建造融資利子補給法の一部を改正する法律案提出したのであるが、その後、自由党両派及び改進党の三派共同提案と称し、この政府原案とは、まつたく予算規模において、また性格においても異なつた修正案、いな、むしろ政府案に対抗すると思われる対抗案を出して来たのであります。このような修正案でありますために、政府は案の審議にあたつても答弁に自信なく、修正法案成立後の実施の前途を危ぶまざるを得ません。  政府原案によりますと、融資利子の補給は昭和二十八年度よりとなつており、その額は五十九億七千万円であります。しかるに、修正案によりますと、貨物船にあつて昭和二十五年十二月一日以降の、また油槽船にあつて昭和二十六年十二月一日以降の、各請負にかかる融資に対し適用するというのでありまして、その補給額は八十五億四百七十三万円となるのであります。これに、政府説明によると、昭和二十八年度におけ船舶建造計画による財政資金融資は二百三十一億となるというのであります。また、造船設備の改善と合理化のため、昭和二十五年度以降、主要二十工場に対し、その所要資金五十五億円を支出しており、さらに本年度においては、造船会社に対し三十億、関連工業に八億、計三十八億を開発銀行より融資せんとしておるのであります。このように、本年度だけを見ましても、政府の融資あるいは利子補給は実に莫大な数字に上るのでありますが、それにもかかわらず、将来に対してはまつたく無計画であつて、長期年次計画のごとき確固たる方針は、その片鱗だに見出すことができないのであります。  造船は、他の営造物と異なり、所要資金額の大なることはだれも承知しておるところであります。また、敗戦によつて壊滅に瀕したわが国海運を急速に立て直す必要のあることも論をまたないところであります。さればこそ、日本海運を助成するためには、単に造船部面のみを保護助成しても、それは実効を伴わないのでありまして、石炭、鉄鉱、製鉄等の基幹産業及び付随産業の助成と製品コスト引下げを総合的に計画し、これが達成のため長期年次計画を実施する必要があるのであります。しかるに、吉田内閣は、政権の長期掌握にはあらゆる手段をもつて臨んでおりますが、かんじんの自立経済達成のために必要なわが国産業の総合的計画等は、夢にも考えていないのであります。この無計画、自由放任政策が造船にも災いをし、おのずから造船界はこのままでは崩壊すると嘆ぜざるを得ない状態に陥つておるのであります。  修正案によりますと、先述したごとぐ、昭和二十五年度より、すなわち朝鮮動乱後、金利増によつて外航船舶建造に大きな障害を来しているというのでありますが、この金利増は所要経費増によるものであることは、論をまたずして当然と思うのであります。政府は、昭和二十五年以降、造船施設改善等の所要経費として年々経費をつぎ込み、見るべき成果をあげたと言つておるのでありますが、この修正案による先述いたしました説明と後者の成果とは、まつたく食い違いを見せておるのであります。(拍手)また、政府案は本年度請負分よりとなつておるのに、修正案昭和二十五年度にさかのぼるのでありますから、修正という意味のものではなく「実は修正に名をかる政府案に対する対抗案であります。案審議にあたつて政府はまつたく答弁に窮する始末と、だらしなさであります。これでは、一体この法案成立実施の責任はだれが負うのであるか、責任の所在すら疑われるのであります。  私は、この修正案の発案者は、造船業者が私企業であることを忘れられているのではないかと思うのであります。(拍手)朝鮮動乱という思わざるブームにあつた船舶業者は、時には莫大な利益をあげて高額の配当までしていたものもありい配当のできた時期もあつたのであります。今造船界が多少不景気になつたからとて、その配当もできた好況時期にまでさかのぼつて補償を与えることは、まつたく国費濫用のそしりを免れ得ないと思うのであります。(拍手)これでは私企業に対する片手落ちの措置と思われますと同時に、わが国経済の発達は造船のみではないのであり、産業の重要度は、石炭、鉄等は言うに及ばず、貿易手段に必要なわが国製品の全部についても言い得ることであります。これらの関連産業においても、現に貿易不振等のために苦しみ、特に中小企業は倒壊の寸前にあると言われておるのであります。しかるに、これらのことを考慮せず、造船界のみがますます国家補償を増加して行くことと、この好況時期にまでさかのぼり補償を行うということは、あまりにもあまやかし政策であると言われてもいたし方がないと思うのであります。(拍手)  政府は、この点では理論的にも正しく、本年度分よりとしているのであつて、われわれもこの点には賛成できるのであります。しかしながら、政府の場当り政策は、自己の出した案にまつたく自信を失つたのか、与党たる自由党が自信を失つたのか、まつたく筋の通らないこの修正案賛成して来るとは、何たる醜態であるかと言いたいのであります。(拍手)私は、修正案でいうごとく、好景気には配当を意のままにして、不景気になれば政府補償を出す、こんな安全私企業はどこにも見当らないと思うのであります。今日こんなことに費す金があれば、少しでもこれを節約し、未曽有といわれる水害等による罹災者救援や復興対策費に充て、国難とも称すべき眼前の事態補償すべきこそ最大の急務と存ずるのであります。(拍手)  しかしながら、今日の現状における外航船舶建造助成の急務なることを否認するものではないのであります。わが党は、自由党吉田内閣のごとく、場当り的その場しのぎの補償制度ではなく、すべての産業の総合的長期年次計画経済政策を持つていることは、たびたび本院においても明らかにいたしたところであります。また、重要産業の国営国管もわれわれ日本社会党の主張しているところであります。自由党吉田内閣は、自由主義経済を主張し、国家の補償制度等は採用しないことをたびたび聞いているのでありますが、事実は、日本の経済がこれらまつたくの自由経済を許さないことを裏づけるものであると確認すべきであると思うのであります。(拍手)  この意味において、私は、政府原案を現今の社会情勢より見て修正案より適切なるものであると認め賛成し、修正案は、その補償を行わんとする時期の起算において、また予算の規模の過大において、造船偏重のそしり多大である点、さらに先に申し述べましたごとく、特に本年は救難復興の急務を要請される点においてまつたく背馳せるものとして反対の意を表するものであります。  最後に一言いたしたいことは、各種産業に対する国家補償あるいは助成の場合において、監査制度を明確にすることであります。いかに自由党が自由企業主義をとるにしても、補償助成にあたつては経営監査を明確に規定し、この点いささかの妥協もあつてはならぬと思うのであります。この点において、政府案は確かに修正案に劣つているものと言わねばなりません。従つて、私は、ここに、本案実施にあたつて、経営監査を厳重にするとともに、造船関係者に公企業たるの自覚を強く要望し得る政府の適切なる政策を条件として、政府原案賛成するものであります。  以上をもつて私の討論を終ります。(拍手
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 臼井莊一君。     〔臼井莊一君登壇
  30. 臼井莊一

    臼井莊一君 私は、改進党並びに両派自由党の三派を代表いたしまして、ただいま上程されました外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案に対する改進党並びに両派自由党三派共同提案修正案並びに附帯決議及び修正分部を除く政府原案賛成するものでございます。  わが国の国際収支における海運、造船の重要性にかんがみ、船腹の積極的拡充をはかり、かつ日本海運の対外競争力を強化し、外貨獲得に飛躍的増加を期すべきことは、いまさら論をまたないところであります。しかるに、海運企業の現状を見ますと、高金利、高船価に災いされて、その国際的進出を著しく阻害されているのが実情であり、なかんずく最近の海運市況の悪化によりまして著しい苦境に直面しているのであります。わが国海運のかくのごとき状況にかかわらず、従来これに対する政府の施策の見るべきものがなかつたのは、まことに遺憾とするところであります。  この点にかんがみまして、改進党といたしましては、海運・造船政策を確立することが何よりも急務であることを痛感し、患い切つた施策をとるべきものと考え、このために、具体的方策として、一、海運企業に対する金利を大幅に低減して国際金利並にすること、二、船舶価格の低減をはかるために造船用鋼材価格の引下げ措置を講ずることの二点を中心とした施策を提唱して来たのであります。今回、昭和二十八年度予算修正に伴いまして、わが党の海運・造船政策の実現を見、また今回わが党及び両派自由党の共同動議によりまして必要なる法案修正が行われることになりましたことは、この施策の一部を実現するものでありまして、この措置により、わが国海運の経営基礎が強化され、その国際的競争力が相当程度付与され、国際収支の改善、ひいては自立経済達成の上に裨益するところ人なるものがあると期待されるのであります。  一部には、本案があたかも大企業のみを援助する案かのごとく誤解いたしておりますが、事実はしからずして、たとえば造船業に関連する産業は実に二百数種に上り、素材工業を除けば、その大部分が中小企業者でありまして、現在最も経営困難をきわめつつあるこれら中小企業者のみならず、これに関係する七十万労働者諸君を潤すところ人なるものがあると信ずる次第であります。さらに、本案に対しましては、海運組合初め健全なる労働組合の諸君も賛成でありまして、その数十万労働者諸君の意思をも尊重する本案に対して反対する諸君の意図の了解に苦しむ次第であります。(拍手)  本案内容におきましても、利子補給を受けた会社において、政令で定められた一定率以上の利益をあげた場合においては、その率に相当する助成金額を国庫に返納しなければならないことになつており、その限りにおいては、一種の貸付制度とも解されるのであります。なお、山口議員の討論におきまして、利子補給昭和二十五年度に遡及するかのごときお話でございましたが、これは決して遡及するのでなくて、なるほど、すでにでき上つた船あるいは建造中のものにも適用されますが、その適用するのは、今後本案が通りましてから、八月以降についてであるということを申し添える次第であります。  さらに、本案目的達成のため、運輸大臣は、会社に対し、不当な経理の是正、その価経理の改善に関する勧告、及び不当な競争の排除についての必要な勧告をなし得ることになつており、会社の業務または経理の監査権も持つておるのでありまするから、附帯決議案にもありますように、政府においては、海運及び造船会社に対、適切な指導及び監督の重大なる責任を果すべきであると信ずるのであります。もともとわが国自立経済確立の一環としての本案でありますので、これを機会に、ことに朝鮮休戦協定の成立の今日におきましては、政府においては、さらに進んで産業自立の総合的長期計画をすみやかに樹立せんことを要望するものであります。  以上の諸点から本案賛成いたすものでありますが、国家的補助が企業努力を減退せしめた例は絶無とは言えないのでありまして、各海運、造船会社はこの点をよく反省し、経営の合理化に邁進し、本法の趣旨たる海運企業の健全なる振興という国家的要請に沿うべく一層の努力をはかり、また造船会社及びこの関連工業は、船価低減のためにさらに努力を傾注されんことを望む次第であります。  以上の理由により、本修正案並びに附帯決議及び修正部分を除く原案賛成いたしまして討論を終了いたします。(拍手
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 熊本虎三君。     〔熊本虎三登壇
  32. 熊本虎三

    熊本虎三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております外航船舶建造融資利子補給並びに損失補償法案につきまして、政府提出いたしました原案賛成し、三派共同修正案反対討論をいたそうとするものであります。(拍手)  わが国の海運業の発展、育成強化が国家的見地より緊急要務であることは、いまさら言うまでもないのでありまして、わが党は、すでに長きにわたつて、これが実現に努力を重ねて参つておるのであります。しかるに、種々の悪条件が伴いまして、正露なる発展の実現を見るに至らなかつたことは、まことに遺憾のきわみであります。  この原因がどこにあるかを検討いたしますならば、第一には、わが国の海運業者の熱意の欠如であります。第二に、造船用資材が諸外国に比べて高価であることであります。第三に、金利がこれまた諸外国に比較してことに高率であることであります。  以上の三点をあげることができるのでありますが、その第一の、業者の経営努力の欠如は、ひとり海運事業に限つたものではないことはもちろんであります。かつて、終戦直後、日本経済の再建と国民生活の安定に重要なる基礎産業に対しまして、あらゆる援護策が講ぜられ、なかんずく産業復興金融公庫並びに生産補給金等の支給があげられると存じます。しかるに、この政策がドツジ・プランによつてやり玉にあげられました。そうして竹馬経済の廃止が行われたのであります。その原因は、言うまでもなく、日本の資本家階級、すなわち経営者が、国よりの援助、補助のみに依存して、融資金をあたかも与えられたもののごとくに考え、放漫経営によつてこれを濫費し、さらに補給金の受給に対しては、ただこれを増額することのみ汲々として、何ら国民の血涙による犠牲にこたえようとしなかつたところにあるのでありまして、(拍手)これがかえつて悪性インフレを増大し、国民生活を極度に圧迫するにもかかわらず、平然として顧みざるところに重大原因があつたことは、あまりにも明白な事実であります。(拍手)しかるに、その後船舶建造問題が国家的見地より重大、緊要との論議が高まるや、このチヤンスを利用して、業者は再び国家国民の犠牲を要求して便乗経営を画策し、利益のみを追求せんとしつつある現状を、われわれは断じて見のがすことはできないのであります。(拍手)  第二点の造船資材、特に鋼材の価格高でありますが、これは吉田内閣の経済政策の無為無策に原因するのであります。(「その通り」、拍手)鋼材価格の引下げは、もとより朝一夕にはできない困難なる問題ではありまするが、しかしながら、根本は、政府のアメリカ追随外交とその貿易に災いされたものであつて、われわれの常に主張するごとく、国家産業全体の計画経済に基く真の企業合理化によつてのみコストの引下げは実現されるのであります。(拍手)  第三の高金利の問題でありますが、これも諸外国に比べて数倍という現状において、船舶事業に及ぼす影響の甚大なることは言うまでもありません。しかし、政府や三党提案説明者が口をそろ、えて答弁いたしておりますように、この法案をもつて金利策の一環としてというがごときは、まことに欺瞞もはなはだしいと言わなければなりません。(拍手金利高の原因は、政府並びに自由党の主張する自由放任経済に基く営利本位の金融機関の独占によるものであつて、本法案のごとき国家の利子補給及び損失補償のごときは、逆に高金利を維持し、これを増長せしめる悪作用を起す結果と相なるのでございます。真に低金利政策の実現は、英国におけるがごとく、金融機関を国家管理に移し、営利資本の独裁と暴利追求を規制しなければ、絶対にその目的を達成することはできません。  以上述べましたごとく、今日の海運事業の行詰まりの責任は、あげて経営者の熱意の欠除と、吉田内閣の資本家擁護に汲々とした国家再建方式の誤つたところにあることを断言せざることを得ないのであります。しかしながら、われわれも、単に政府及び保守党の責任追究のみによつて緊急重要案件の打開がただちに可能であるとは考えておりません。従つて、本件については、根本問題は別といたしまして、応急措置としての国家の補給補償により、さしあたり現状打開のための熱意は十分に持つておるのであります。そこで最初に述べたごとく、政府原案賛成し、その範囲内において最大最高の成果を求めようといたしておるのであります。  われわれが三派共同提案反対する具体的内容をこれから申し述べたいと存じます。第一に、本修正案は、開発銀行利子その他補給は年四分に及び、市中銀行利子補給約六分、その上損失補償百分の三十というのでありまして、厖大に過ぎる点があります。すなわち、現在わが国経済界の全般的バランスを考えざる特定産業偏重的なる助成策にして、あまりにも他産業への関連影響が大きいことであります。  第二に、補給金の被補給者の利益配当の制限につき、明確なる規定がうたわれていないということであります。すなわち、提案説明によれば、後日政令をもつて、一割配当をすれば補給を停止し、一割五分以上配当すれば、その利益の半額を国庫に償還せしめると言つているのでありますが、もし業者にこれを運用せられ、増資、再評価、無償交付など行われる場合には、唯一の制限条文がまつたくの死文化になるのでございます。  第三に、予算で定める市中銀行融資に対しての利子補給が百六十三億円、損失補償五十九億七千万円、開発銀行利子補給八十五億四百七十三万円、合計三百七億七千四百七十三万と厖大なる政府支出を予算化し、さらに今後逐年相当額これに増加して行くにかかわらず、これら補給金を受ける業者に対しての業務監督、経理監査の主管庁の責任と権限が不徹底であり、また、受給者の悪意ある作為に対しての罰則として、この金額に対する罰金わずかに三万円は、あまりにも非常識過ぎるものであると言わなければなりません。  第四は、わが国海運、造船関係の労働者は、古くから世界的にも優秀と認められており、今後これら業界の運命は、一にかかつて彼らの良識と熱情にあり、この実情よりいたしましても、労働者をも経営経理に参画せしめ、よつて企業者並びに一部の悪徳者の不正を監視せしめるとともに、その豊富なる経験を生かして、業界のすみやかなる立直りをはかるべきでありますが、この点に何らの考慮が払われておらないということであります。  第五に、船舶法によれば、日本船舶を所有することができる会社は、役員について制限がありまするが、株式保有についてはまつたくの制限がなく、将来外国人により本修正案は悪用せられる懸念なしとしないのであります。(拍手)  最後に、本修正案の趣旨は、表面的には不況にあえぐ海運界を救済するというにあるのでありますが、その隠れたる実体は、最近の不況を奇貨として、占領政策の行き過ぎ是正を名として、かつての権力の回復であると言われてもしかたがないと存ずる次第であります。(拍手)  われわれは、以上の理由によりまして、独占資本の攻勢の一連のつながり、そうして保守反動政策の強行以外の何ものでもない本修正案には絶対に反対を主張するものでございます。  以上申し上げまして、私の討論を終りたいと存じます。(拍手
  33. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成起立
  34. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  35. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第四、日雇労働者健康保険法案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員長小島徹三君。     〔小島徹三君登壇
  36. 小島徹三

    ○小島徹三君 ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  健康保険制度が広く一般被用者を対象としているものであり、全被用者が本制度利益を享受すべきにもかかわらず、日雇い労働者はいまだその被保険者になることができず、現行制度利益にあずかり得ない実情であります。しかるに、日雇い労働者は、就労の浮動、低賃金等のため常に生活基盤が不安定であり、傷病によつてただちに深刻な困窮に陥ることの多い現状にかんがみ、これに健康保険制度を創設して療養の給付及び家族療養費の支給を行おうとするのが、政府の本法案提出理由であります。  本法案の要点について申し上げますれば、まず第一は、本保険制度の保険者は政府といたしております。第二に、適用の対象といたしましては、まず健康保険の適用事業所に使用される日雇い労働者を被保険者として、健康保険との制度的均衡をはかるとともに、失業対策事業または公共事業に就労するいわゆる日雇い労働者を被保険者としておるのであります。第三に、保険給付につきましては、保険料負担限度を考慮いたしまして、被保険者及び被扶養者に対し健康保険に準じて療養の給付及び家族療養費を支給することとし、その療養期間は三箇月といたしております。第四に、受給要件としましては、被保険者が疾病にかかりまたは負傷した日の属する月の前二箇月間に通算して二十八日分以上の保険料が納付されていることを必要としておるのでありまして、日雇い労働者の就労の実態と、日雇い労働者に対する失業保険との制度的バランスを考慮することといたしております。第五に、保険料につきましては、日雇い労働者に対する失業保険の方法を取入れ、一級と二級とに区分して、事業主に印紙をもつて納付させることといたしておるのであります。  本法案は、六月二十日本委員会に付託せられ、七月七日政府より提案理由説明を聴取したのでありますが、同じく六月二十耳、八木一男君外十名提出日雇労働者健康保険法案が本委員会に付託せられましたので、七月七日提案者八木一男君より提案理由説明を聴取しだ後、政府提案の法案と並行して審査を行つてつたのでありまして、特に適用対象の範囲、給付の内容、受給要件、保険料並びに国庫負担等の諸点について、きわめて熱心なる質疑応答が行われたのであります。  かくして、政府案は本月二十一日、両派社会党案は同二十四日、それぞれ質疑を打切り、昨二十七日両案を一括して討論に入りましたところ、自由党を代表して審柳委員、改進党を代表して古屋委員より、それぞれ、国家財政め現状よりして、ただちに給付費半額の国庫補助は困難なる点をあげ、かつ近き将来における内容改善を強く政府要望して政府案に賛成、両派社会党案に反対意見が述べられ、日本社会党を代表して柳田委員よりは、社会保険立法として政府原案はむしろマイナスであるとの理由をもつて、また日本社会党を代表して杉山委員よりは、内容の貧弱なる点をあげて、それぞれ政府原案反対、両派社会党案に賛成意見を述べられたのであります。  次いで採決に入りましたところ、多数をもつて政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。  次いで、改進党の山下委員より次の附帯決議提出せられ、可決せられたのであります。朗読いたします。    日雇労働者健康保険法案内閣提出第六〇号)附帯決議   政府原案は日雇労働者の保護に必らずしも満足の効果を与えるものとは思われぬから、その実施に当つて政府は、次の事項に充分に留意することを要望する。  一、本法案がその所期の目的を達成し得るため、政府は全責任を以て、その運用に遺憾なきよう十全の努力を払うこと。  二、本案の実施に関しては、政府は将来、社会保険制度の体系確立上   支障を生ぜざるよう充分指導する   こと。   右決議する。  以上御報告申し上げます。(拍手
  37. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。八木一男君。     〔八木一男君登壇
  38. 八木一男

    ○八木一男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました政府提出日雇労働者健康保険法案反対討論を行わんとするものでございます。現在、一部の特権階級を除く国民の九五%以上を占める勤労大衆の生活がまつたくその日暮しのものであり、一たび疾病、死亡あるいは失業等の事故が起りました場合、たちまち窮乏のどん底に陥つておりますことは、いまさら申し上げるまでもないことでございます。現に、そのために一家離散、一家心中のような悲惨事が毎日各所で起つておりますることは、同僚議員各位の御承知の通りでございます。かかる状態を反映いたしまして、社会保障制度確立を要望する声が全国にほうはいとして起つておりますことは申すまでもございません。にもかかわらず、引続く吉田内閣の社会保障制度軽視の政策のために、国民の待望するものとははるかにかけ離れた現状にございますことは、まことに遺憾のきわみであります。(拍手)この間、現行制度のもとで比較的よくその任務を果していると考えられますものは健康保険制度でございます。全国数百万の労働者は、低賃金にあえぎつつも、本制度がございますために、最小限度の安心感を持つて毎日を過している状態でありますが、この健康保険法は常雇い労働者のみに適用せられるものでありまして、いわゆる不特定の事業所に不定期に働く日雇い労働者は健康保険の恩恵を受けておらないのであります。ところが、これらの労働者は、たとえば安定所に働く自由労働者または何々組等に働く土建労働者、あるいは派出婦、看護婦等々の人々でありまして、働こうとしても仕事があることはきわめて少く、また就労し得た日もはなはだしく低賃金でありまして、飢え死一歩手前の生活をしている人々が大部分でございます。従つて、傷病、死亡、出産等の場合の困窮などは想像に絶するものがあり、一般労働者よりも健康保険制度を必要とする度合いははるかに多いのでございます。(拍手)  われわれは、かかる状態にかんがみまして、独立した日雇労働者健康保険法の制定の必要を痛感し、日本社会党両派共同のもとに、今国会に日雇労働者健康保険法案提出いたしたのであります。一方、政府側においても同名の法案提出せられたわけでありますが、再軍備に狂奔し、民生安定を無視する吉田内閣は、この法案に不可欠の要素である保険給付の国庫負担を全然考えておらないため、その内容は極度に貧弱なものでありまして、社会党案とはまつたく似て非なるものであり、健康保険という名を冠するのもおこがましいと考えられるものを出して参つたのであります。(拍手)  われわれは、厚生委員会の委員各位の良識を信じ、社会党案の委員会通過を期待しておつたのでありまするが、先ほどの委員長報告にありました通り、日雇労働者健康保険法の名前に真に値する社会党案が葬り去られ、欺瞞的な内容を有する政府案が可決を見ましたことは、心から遺憾とするところでございます。  私は、全国百万の日雇い労働者とともに、憤りと悲しみを込めて、政府案の致命的な欠点を、しかもこの法案の柱であるべき保険給付、国庫負担、給付要件、適用範囲のすべてにまたがる致命的欠点を述べて、われわれの反対理由を明らかにいたしたいと存ずるものでございます。(拍手)  その第一は給付内容であります。政府案は、わずかに療養の給付、療養費の支給、家族療養費の支給を三箇月に限つて行うのみであり、一般の健康保険や社会党案にあります傷病手当金、埋葬料、分娩費、出産手当金、保育手当金、家族埋葬料、配偶者分娩費、配偶者保育手当金等を全部削除しておるのでありまして、その内容の空虚なることに実に唖然とせざるを得ないのでございます。特に注視しなければならないことは、傷病手当金のないことでございます。常雇い労働者と異なりまして、日雇い労働者の場合は、病臥いたしました場合はたちまち生活ができなくなるのでありまして、この傷病手当金がない場合、おそらく本人は、幼い子供たちを食べさせるために、医師の指示にも従わず、命がけではげしい労働をする場合が想像されるのでありまして、これこそ仏つくつて魂入れずという結果に陥るでございましよう。さらに、分娩費、出産手当金等のない政府案は、女子労働者の特別な要素を全然顧慮しておらないものでありまして、はなはだしく片手落ちであると言わざるを得ないのでございます。しかも、わずかに残つている療養関係の給付も三箇月で打切られ、結核その他の重病にはほとんど役に立たないことになるのでありまして、まつたく社会保険と言い得ないものであると言つてもあえて過言ではないのであります。その証拠には、本政府案についての社会保障制度審議会の意見書には、その給付内容が貧弱であるのは遺憾と言うほかはない、極言すれば、今日かかる制度を実施することは、将来社会保障制度を確立するにあたつて、かえつてその妨げとなるやの懸念さえないでもないと言つておるのであります。  第二の点は国庫負担であります。これが第一点と密接不可分なものでありますることはもちろんであり、この点において政府案の根本的な欠点が露呈されておるのであります。この保険の被保険者の経済状態より見て、一日八円以上の保険料納入が困難でありますることは、政府も認めておるところであります。それゆえに、給付に対する国庫負担を認めない場合、保険給付の内容が第一に申し上げましたような内容に相なるのは保険経済上当然でございまして、この意味におきまして、社会党案のごとく、保険給付の二分の一の国庫負担が絶対に必要に相なるわけであります。このことは、社会保障制度審議会の意見書において強力に明白に裏づけされているのでありまして、給付に対する国庫負担を全然考えておらない政府案のごときは、事の本質をまつたく無視したやり方と言わなければならないのでございます。(拍手)  第三の点は、保険給付を受ける要件であります。政府案は、二箇月に二十八日以上の保険料納入を要件といたしておるのでありまするが、この要件は、日雇い労働者失業保険においてすでに失敗済みでありまして、この事実に目をおおつて、同じ方法をとろうとする政府の態度に対しては、われわれは断じて賛成することはできないのであります。(拍手)まじめな勤労意欲を持ち、日雇い保険適用を希望している人たちが、一時的な偶然な就労日不足から適用を受け得ないような気の毒なことが起らないように、二箇月二十四日以上、あるいは六箇月六十日以上のいずれか一つの要件を満たせばよいとする社会党の考え方が最も適切であると信ずるものであります。この考え方に対し、要件の緩和は保険料収入の低下を意味するという山縣厚生大臣の答弁のごときは、社会党案並びに本案が強制保険であり、逆選択の危険性がまつたくないことを忘却しているのであつて、その研究不足と無理解の態度はまさに糾弾さるべきであると考えるものでございます。(拍手)  第四の点は、適用範囲の問題であります。政府案によりますと、適用事業所の規模と職種におきまして多くの制限があるのであります。百万を優に越えると推定される日雇い労働者の半数に満たない数しかその対象になつておらないのでありまして、付添婦、看護婦、山林労働者等のごとき人々適用されることができないのであります。われわれ社会党案においては、適用事業所の規模と職種を最大限に拡張し、さらに労働組合員が認可を受けて被保険者となり得る道を開き、もつて、法律の欠陥のために健康保険の恩恵を受け得ない人が一人でも少くなるよう配慮いたしておるのでありますが、それに反して、その問題の解決をはかろうとする努力を怠り、いたずらに他の法律のまねをして、もつて事足れりとなし、この法律施行後も健康保険制度の恩恵に浴し得ない数十万の人々を見捨てて顧みようとしない政府の態度は、断じて許さるべきものでないと信ずるのでございます。  以上の通り、この政府案の四本の柱には、すべて致命的な欠陥を包蔵しておるのでありまして、すなわち、第一の柱、給付内容は、はなはだしく寸足らずの柱であります。第二の柱、国庫負担は、まつたく中がからつぽの、空洞の柱でございます。第三の柱、給付要件は、倒れかかつた隣の家から持つて来た、使い道のない古材木であります。第四の柱、適用範囲は、他の法律のまねをし、さるまねをした、陳腐な腐れ材木でございます。われわれは、このような案を出す政府政府なら、それに賛成する与党も与党だと言いたいのでございます。この法律案については、十五特別国会においてすでに論議せられ、社会党案の長所と政府案の短所は自由党の諸君も明らかに認めておられたところでございます。与党たる自由党の諸君は、何ゆえ政府案の内容修正して提出せしめることができなかつたか。二百名の多数の代議士を擁する政党のこの無気力は、民主主義政治のためにまことに慨嘆せざるを得ないのでございます。(拍手)  さらに申し上げたいことは、社会党案並びに政府案の審議委員会において終結に近づいたとき、予算関係との調整をはかりつつ社会党案の長所を生かした修正案を出そうとする努力が、野党である日本自由党を中心として続けられたことでございます。われわれは、野党である日本自由党人々のこのまじめな御努力に対し大いに敬意を表するものでありますが、反面、改進党においては、一部の理解の深い方々の熱心な御努力にもかかわりまぜず、党としては修正案提出を拒絶せられたのは、はなはだ遺憾でありまして、社会保障制度拡充を唱え、是々非々主義を主張せられる政党としては、はなはだ筋道の通らない態度であると断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)ともあれ、与党たる自由党並びに改進党の諸君は、一応芽を出すのだという立場を主張せられて政府案に賛成せられたわけでありまするから、その芽を早く成長さす責任を負われたおけであります。われわれは、その政治的責任を果されるやいなやを常に厳重に注目していることを、この際はつきりと申し上げておきたいと存じます。  われわれ社会党は、先ほど申し上げました通り、この致命的な欠陥を四つも持つております政府案には断じて賛成するわけには参りません。その上、政府案の施行期日は、社会党案の十月一日と異なつて、まつたくあきれ返つたことに、明年の一月十五日であります。給付開始は三月十五日でございます。われわれは、このような発芽のおそい、腐つた芽を育てるよりも、来るべき次の国会において、完全と信ずるわれわれの案を、三百万の日雇い労働者並びに家族の名において、同じく働く人々の生活の安定をこいねがう全勤労大衆の名において、三たび提出する決心を披瀝いたしまして、政府案に断固として反対し、討論を終るものでございます。(拍手
  39. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 杉山元治郎君。     〔杉山元治郎君登壇
  40. 杉山元治郎

    ○杉山元治郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする日犀労働者健康保険法案に対しまして、政府提出案に遺憾ながら反対をするものであります。(拍手)  ここに一言誤解を避けるために申し述べておきたい点は、私どもは労働者諸君の福祉を常に願つておる者であります。従つて、労働者の健康保険法の出ますることについて、そのものに反対するのではございません。前弁士も申し述べましたように、両派社会党の提出案が、どの点から見ましても政府案よりは優秀であるのであります。(拍手)しかるにかかわらず、これを否決して、最も劣悪であると言われ、またはなはだ貧弱であると言われているところの政府案を可決する点に、われわれは反対しておるのであります。(拍手)  日雇い労働者は、その名の示しており手書に、その日その日の労働によつて、ようやくその日の生活のかてを得ておる人々であります。この人たちの過去を調べてみますると、実にいろいろの人がおります。中には将軍もおる、あるいは技師もおる、あるいは学士もおる、あるいは会社重役もおる、こういうように、実にりつぱな生活をしておつた人たちでおります。しかし、いろいろな個人的な原因もありましようが、特に社会的な原因によつて今日に至つておる人々も多いのであります。しかし、あの人たちは、自暴自棄もせず、また生活保護にもたよらないで、せつせと働いておるのであります。社会保障制度は、まさにこの人たちにこそ手を延ぶべきであり、社会保険は第一に私はやるべきであると考えておるにかかわらず、今日に至りまするまで、これがなされておらなかつたということは、政府の怠慢であると言わねばなりません。(拍手)  日雇い労働者諸君の多年の要望によつてようやくできた政府案を見ますると、あまりに内容が貧弱なもので、審議の途中においても、与党諸君ですら驚嘆しており、このようなものならば、むしろない方がましだと呼んだ人すらもあるのであります。(拍手)また、日雇い労働者諸君に私どもが政府案を見せて伺いましたところが、われわれの要望しておつたものとあまりにかけ離れておる、このようなものならば、むしろなくてもよろしいと、私どもに多数の者が申したのであります。私は、社会保険が相互扶助の実践として、社会連帯意識の活動として、いかなる人々にも、よりよいものを実行して行かなければなりませんが、特に日雇い労働者の健康保険は、他の社会保険に比して、一層内容の充実したものにせなければならぬと考えるのであります。(拍手)しかるに、政府案を見ますると、前述のごとく与党の諸君すら驚くほどの内容の貧弱なものであり、その方面の権威者の集まりでありまする社会保障制度審議会におきましても、この案を見まして、その答申のうちに次のように述べておるのであります。「本案内容は、さきに本審議会が社会保障制度に関し勧告した趣旨と隔たるところがあまりにも大きい。これを健康保険法と切り離して立法化しようとしておる点もそうであるが、特にその給付の内容が貧弱であるのは、遺憾と言うほかはない。極言すれば、今日かかる内容制度を実施することは、将来社会保障制度を確立するにあたつて、かえつてその妨げとなるやの懸念さえすらもないではない。」と述べておるのであります。  私は、政府案に反対する理由を明らかにするために、政府案とわれわれ両派社会党案とについて、数点比較対照してみたいと存ずるのであります。  第一は、国庫負担の問題であります。すべての社会保険は、御承知のように、事業主と被保険者と国家とで費用を分担しておるのが普通であります。先般、本国会においても、国民健康保険の医療給付の二割まで補助するようになつたことは、御承知の通りであります。しかるに、本案では、わずかに事務費として本年内に三億円を見積つているだけで、給付等については一円の補助も与えていないのであります。国民健康保険において医療給付の二割も補助する国家が、経済力の最も弱い日雇い労働者の健康保険に何ゆえに一円も出さないのでしようか。われわれが給付の二分の一を負担して可なりと主張したのは、この点にあるのであります。(拍手)  第二に、国庫負担の有無は被保険者の負担に影響するところがございます。すなわち、政府案では、被保険者が、一日の賃金百六十円以上の者をふ級として、一日につき八円を負担し、百六十円以下の者を第二級として、一日につき五円を負担することになつておるのであります。しかし、第二級は全体のうちでわずかに一四%で、問題にならないものである。第一級の一日百六十円以上の者が一日八円の保険料を支払いますことは、収入の約五%に当ります。もし二百四十円といたしましても三%に当るのでありまして、普通の健康保険の一割一分、一割二分、そういうものに比較いたしまして非常に高率でございます。高額所得の者でも、三%ないし五%の負担を保険にいたしますことは相当に重荷だと存じまするが、特に経済力の弱いこの日雇い労働者が、三%ないし五%の健康保険の負担をいたしますことは、生活上電圧を感ずるものであることは申し上げるまでもありません。ゆえに、われわれは、他の社会保険と同様に、国家が相当の負担をなし、日雇い労働者の一日の負担をできるだけ軽減すべしと主張して参つたのであります。  第三は、保険給付の期間のあまりにも短かいことであります。前弁士も申し述べましたが、政府案では、同一の疾病または負傷、これによつて発した疾病に関しては、その開始の日から起算して三箇月を経過したときは療養給付を行わないというのであります。たとえば、生活環境の悪い日雇い労働者にありがちな、最初かぜを引いたくらいに思つてつて診察を受けたが、これは肺疾患のごく初期のものであつたりする。十分な栄養と休息をとりまするならばなおるのでございましようが、日雇い労働者は働かねば食えぬから、無理をして毎日働く。もちろん栄養をとることはできない。従つて、病気はますます進行するばかりで、長引いて参ります。最初に診療を受けた日から三箇月を経過すれば医療給付を打切られるというのであります。あらゆる社会保険が今回改正されて、給付年限が二箇年であつたものが三箇年に延長されたことは、皆さんの御承知の通りであります。しかるに、本法案は、政府案でわずか三箇月で打切り、その後は生活保護の医療給付を受けよとつつばなすような無慈悲なやり方になつておるのであります。いな、その生活保護にすら自然に移行するような手続をとつておらないのであります。両派社会党は、少くとも三箇月を六箇月に延ばすようにいたしておるのであります。そうして、その医療給付が消えまするときには、自然に生活保護に移行して行くように手続をとつております。  第四は、政府案では傷病手当のないことであります。日雇い労働者が疾病にかかり、この保険によつて、たとい療養給付は三箇月間受けることができたといたしましても、傷病手当がなくては、どうして食い、どうして一日でも休息することができましようか。日雇い労働者は、しかたなしに病を押して働かねばならぬのであります。両派社会党は、この点にかんがみて、少くとも一日百五十円、最大限六箇月は傷病手当金を与えるように、また治療と休養をする機会を得しめて、そうしてこの人たちの健康が回復し、また国家生産のために寄与するように考えておるのであります。(拍手)  第五は、受給要件の点でありますが、政府案では、日雇い労働者が保険給付を受けるのには、受けようとする日から計算して、前二箇月間に二十八日以上保険料が支払われていなければならぬというのであります。政府調査したところでは、就労日数は平均二十日になつているから、二箇月間に二十八日、すなわち一箇月に十四日であるならば大丈夫であるというのでありまするが、しかし、天候が悪かつたり、あるいは疾病や悪条件が重なりますときには、一箇月十四日もかせげないことも往々あることは、われわれは目の前で見ておるのであります。せつかく保険料を支払いなから、一日あるいは二日欠けたことによつて給付を受けることができないとするならば、あまりに気の毒な状態であります。われわれ両社会党は、前二箇月間に二十四日以上保険料を支払つている者か、前六箇月間に六十日分支払つている者は給付を受けられるようにいたしておるのであります。  以上申し述べましたように、われわれが提案いたしましたものと政府案とを比較してみまするならば、あまりに政府案が貧弱であり、また無慈悲なものであることが、おわかりいただけると思うのであります。(拍手政府は、試験的で、漸次改善すると言われておりまするが、私は、社会保障的立場よりするこの法案としては、最初からでも、もつとよりよきものを盛るべきであつたと思うのであります。御承知のように、神戸等において行われておりますところの私設の労働者の保険事業においても、もつとよりよいものがなされておるのであります。政府自体が行いまするところの日雇い労働者の保険事業においては、神戸、尼崎等におけるものよりも、もつとよりよいものがなされなければならないにもかかわらず、それよりも実に内容の貧弱な、こういう政府案に対しては、われわれは遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。(拍手)  私は以上をもつて私の討論を終ることにいたします。(拍手
  41. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成起立
  42. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  43. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第五、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員会理事並木芳雄君。     〔並木芳雄引登壇
  44. 並木芳雄

    ○並木芳雄君 ただいま議題となりました、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件に関し、外務委員会における審議経過並びに結果について報告申し上げます。     〔議長退席、副議長着席〕  木協定の目的は、わが国と中華民国との問の通商航海に関する日華平和条約附属議定書の暫定とりきめ存続の期間を延長しようとするものであります。  わが国と中華民国との間の通商及び航海に関する事項は、日華平和条約が昨年八月に効力発生以来、同条約附属議定書第二項の通商及び航海に関するとりきめによつて律せられて来ました。しかるに、同とりきめは、日華間に通商航海条約が締結されるまでの暫定とりきめでありまして、その存続期間も一箇年で一来る八月四日をもつて満了することになつております。ところが、日華両国間にはいまだ通商航海条約を締結するの段階に至つておりませんので、日華両国政府間で交渉の結果、現行とりきめをさらに二年間、または通商航海条約もしくは協定が締結されるまでのいずれか早い方の時期まで延長することに妥結を見るに至つたのであります。この議定書締結によりまして、日華両国は、過去一年間におけると同様、それぞれ相手国の国民、生産品及び船舶等に対し、最恵国待遇を与えることになるわけでありまして、このことは、両国間の通商貿易関係の増進に資し、相互の利益に合致するゆえんであると思うものであります。  本件は、七月二十一百本委員会に付託されましてから、二十七日まで二回にわたり慎重に審議を行いました。本件に関する本委員会における審査の経過の詳細については委員会議録に譲ります。  質疑応答を終り、続いて討論を行いましたところ、日本社会党の田中稔男委員は、さきに締結せられた日華平和条約に反対したものであるから、それに附属する議定書第二項の延長のごときは当然に反対である、中国大陸を含めた中国全体との貿易をもつと尊重すべきである旨を述べて反対せられ、日本社会党の戸叶里子委員は、台湾政府は中国本土の一部であるにすぎない、中国全体とは隣接国として友好関係を維持することが必要である、従つて、日本と中国全体との平和条約が締結せられ、また通商航海条約が結ばれることが望ましい、今回の協定において、現行とわきめをさらに二箇年間、または通商航海に関する条約または協定の結ばれるまでのいずれか早い方の時期というがごとき無定見の態度には反対である、戦前のごとく中国との通商関係を盛んにするように努力をせられたいと述べて反対され、討論を終り、採決の結果、本委員会賛成者多数をもつて本件を承認することに決定したのであります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  45. 原彪

    ○副議長(原彪君) 討論の通告があります。これを許します。田中稔男君。     〔田中稔男君登壇
  46. 田中稔男

    ○田中稔男君 私は、日本社会党を代表して、本案反対の態度を表明するものであります。  そもそもわが党は、日華平和条約そのものの締結反対したのでありますから、当然にその附属議定書第二項の有効期間延長せんとする本案にも反対する次第であります。わが党が日華平和条約の締結反対した理由は、すでに天下周知のところでありますが、ここにあらためてその要点を指摘するならば、次の通りであります。  すなわち、第一に、本条約は蒋介石の国民政府を相手方として締結されておりますが、国民政府はもはや中国五億の国民を代表する正当な政府ではないのであります。(拍手)この政府は、中国本土においては言うまでもないことでありますが、その根拠地である台湾におきましても、広く中国人の怨嗟の的となつている、いわゆる残存政権にすぎないのであります。ただこの残存政権をささえているものは、アメリカのMSAによる強力な軍事援助にほかならないのであります。もしアメリカの軍事的支柱が取払われましたならば、蒋介石は宋美齢とともに、その専用機に乗つてアメリカに亡命し、同時に国民政府は土崩瓦解する運命に置かれているのであります。しかるに、中国本土においては、すでに約四年前中華人民共和国が生誕し、北京にある毛沢東を主席とするその中央人民政府は、東北の復興に、西北の建設に、さらにまた全中国にわたる農村の徹底的改革と大規模な工業化に着々として成功しているのであります。かくして、毛沢東の北京政府は、中国五億の国民の信望を集め、その威信は深く蒋介石の支配下にある台湾にまで浸透しつつあるのであります。かかる際において、毛沢東の北京政府を相手とせず、蒋介石の台湾政府を相手として日華平和条約を結んでおる不自然にして不当な政府の外交措置に、わが党は強く反対するものであります。  次に、本条約ば台湾と膨湖諸島とを中国本土から切り離そうとしておるのであります。わが国は、ポツダム宣言を受諾することによつて、台湾と膨湖諸島が中国に帰属すべきことを承認したのであります。これらの地域は、歴史的にも地理的にも、また民族的にも中国の一部であることは、何ら疑いをさしはさむ余地はないのであります。日本による領台五十年の歳月をもつてしても、遂にこの事実を変更することはできなかつたのであります。日華平和条約は、この厳然たる事実を人為的に歪曲ぜんとするものであります。かかる試みは、台湾及び膨湖島をアメリカの永久的な軍事基地たらしめんとする計画に通ずるものであります。わが党は、日中の友好と極東の平和の見地から、この点に関連して本条約に反対するものであります。  以上私が申し述べましたような理由によつて、わが党は、日華平和条約の締結と、今日におけるその存続とに強く反対して来たのでありますが、ここに議題となつておりますところの本条約附属議定書第二項は、両国間の通商航海に関する事項を規定したものであります。日本と台湾との間の貿易は、オープン・アカウントの方式によつて決済されているのでありますが、昨年度の貿易実績によりますならば、輸出入とも約五千万ドルであります。日本から小麦、小麦粉、繊維製品、化学製品、金属及び金属製品、機械類等を輸出し、日本へ米、砂糖、バナナ等を輸入しているのであります。しかし、台湾米及び台湾糖の輸入価格は国際的に著しく割高であります。また、日本の化学肥料とのバーターにおいて、バナナのようなものを多量に輸入するということは、今日の日本の経済にとつて決して好ましい取引ではないのであります。さらにまた、台湾政府の中央及び地方の官僚が、物資の集荷、販売、購入、輸送等、流通面に介入して参りまして、利権をあさり、賄賂をむさぼり、これが正常貿易を阻害する重大か要因になつていることも、われわれの注目するに値するところであります。さらにまた、アメリカによるMSA援助が、域外調達となつてわが国にも若干向けられておりますが、わが国の業者は、入札における国際競争力におきまして有利な立場を保つことができなくて、その買付は多く言うに足りないほどであります。要するに、アメリカの植民地的基地経済に苦しんでおりますところの台湾との貿易は、今日の日本経済にとつて大きな利益をもたらす取引と考えることはできないのであります。  これに反して、中国本土との貿易の魅力は、日本にとつてきわめて大なるものがあるのであります。日中貿易促進議員連盟に属する各党の有志議員が超党派的に連合いたしまして、明日本院において日中貿易促進に関する決議案を提出することになつており、自由党の議員のどなたかがその提案の理由説明されるということでありますが、かかる動きは、朝鮮休戦を機として潮のごとく高まつておりますところの中国貿易に対する日本の財界、多数の中小企業者及び労働者大衆の関心と期待を反映するものであります。(拍手)日本なくして中国なく、中国なくして日本なしとは、孫文の唱えた言葉でありますが、両国の経済関係にとつて、特にその感を深くするものであります。日本は、鉄鉱石、強粘結炭、塩、大豆等、工業の主要な原材料を中国に求め、中国へ鋼材、機械、車両、化学製品、繊維製品等を出すことができますならば「両国の貿易の発展の可能性はおそらく無限大だと考えられるのであります。戦前、満州を含めた中国との輸出入が、時に消長はありましても、正常な年において、大体日本の対外貿易の約二〇%を占めておつた。しかし、その大部分は満州へ向けられ、中国本土の占める割合は比較的軽少であつたということを指摘し、さらに、現在の中国の貿易が国家管理であるという事実から推断して、今後の中国貿易の可能性をきわめて低く評価する者も少くないのでありますけれども、かかる中国貿易に対する過小評価は、吉田首相を初め、一知半解の徒の言にすぎないのであります。(拍手)われわれは、中国の全土において、今日かつての満州におけるような大建設が進行しつつあるという事実、従つて建設資材への需要がきわめて旺盛であるという事実、同時に、民度の急速なる向上に伴い、消費資材に対する需要が日々増大しつつあるという事実、これらの事実を正当に理解しなければならないのであります。ただし、中国においては貿易を含めた全経済が一定の計画のもとに運営されておりますから、わが国に余つた不要な商品をただ漫然と中国に売りさばく、またわが国が必要とする物資なら、いつでも、幾らでも、かつてに買つて来るというような、利己的にして無計画な貿易は、とうていうまく行かないのであります。中国貿易の飛躍的発展を期待するためには、われわれは、よろしく中国の計画経済に対応して、真に互恵平等の立場を確立することが絶対に必要な先決要件であります。特需を失つた日本経済は……。
  47. 原彪

    ○副議長(原彪君) 時間が経過しておりますから、簡単に結論を願います。
  48. 田中稔男

    ○田中稔男君(続) 特需を失つた日本経済が、援助によつて生きるか、貿易によつて生寺てるか、これが今日財界における最大の課題であります。そして、それはまた多数の中小企業者や労働者大衆の死活の問題であります。真剣に日本の独立を希望し、熱心に世界の平和を念願するすべての国民は、いずれも正常貿易にこそ日本経済の進むべき道を求めているのであります。そして、中国貿易に最大の期待を寄せておるのであります。蒋介石の支配下にあるアメリカの軍事基地台湾との貿易が言うに足りないことは、すでに申し述べたところであります。台湾に対するMSA援助の域外調達につきましても、日本としては大した期待を持てないことは明らかであり、またこれに大なる期待をかけることは、日本の安全の上からむしろ危険であるのであります。台湾貿易は、台湾が中国に帰属して、中国の大建設に参加するに至つたあかつきにおいて、初めて中国貿易の一部分として大幅に拡大することができるのであります。     〔「時間々々」と呼ぶ者あり〕
  49. 原彪

    ○副議長(原彪君) 結論をお急ぎ願います。
  50. 田中稔男

    ○田中稔男君(続) もうすぐ終ります。今から結論。——しかるに、今日、中国貿易はほとんど禁止同然の状態に置かれております。それはアメリカのさしがねに基くものであり、戦略物資の対華輸出を禁止する国連の決議に準拠しておるのであります。朝鮮休戦の結果、やがて国連によつて中国のひたいに押されている侵略者という烙印が取消され、この禁輸決議もその効力を失うことが予想され、われわれは中国貿易打開の機がここに到来したことを喜ぶものであります。さらに、正統政府としての北京政府の国際的承認及び中国の国連加盟も、アメリカの強硬な反対にもかかわらず、自由党の強硬な反対にもかかわらず、結局実現するに至ることは明らかであります。その論理的帰結として、台湾の中国への帰属もまた時間の問題にすぎないと考えるのであります。(「時間々々」と呼び、その他発言する者多し)これからいよいよ結論。——私は、朝鮮休戦後におけるかくのごとき極東情勢の新たなる展開に対して、わが国としては、むしろこの日華条約を破棄し、中国との国交調整につき、北京政府に対し積極的に働きかけることが必要であると考えるものであります。政府がかかる努力を怠つている間に、在華同胞三万人の帰国が、日赤その他民間三団体の協力によつてほとんど実を結び、また日中漁業協定を締結して、漁船拿捕事件を永久になくそうという民間諸団体の動きが、今日ますます活発となつて来ているのであります。かかる際に……。
  51. 原彪

    ○副議長(原彪君) 時間が経過しております。
  52. 田中稔男

    ○田中稔男君(続) 日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長せんとする本案は、時代錯誤の愚案であり、絶対に承認することはできないのであります。  これをもつて私の反対討論を終ります。(拍手
  53. 原彪

    ○副議長(原彪君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成起立
  54. 原彪

    ○副議長(原彪君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  55. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、岡本忠雄君外七名提出港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  56. 原彪

    ○副議長(原彪君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長關内正一君。     〔關内正一君登壇
  58. 關内正一

    關内正一君 ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案の要点は、はしけ運送事業、沿岸荷役事業及び適用港湾の範囲の整備、登録基準の明確化をはかるとともに、運賃料金の変更方の勧告及び公益命令等について新たに規定を設けようとするのであります。  本法案は、七月二十一日本委員会に付託され、翌二十二日、提出者の代表岡本忠雄君より提案理由説明を聴取し、二十五日及び二十七日質疑が行われましたが、内容会議録に譲ることといたします。  二十八日、自由党關谷勝利君より、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が二十五日本院において修正議決されましたので、これに伴い関係条文を整理するよう修正動議提出されました。  次いで討論に入り、日本社会党を代表して山口丈太郎君より、改正法第三十三条の三により、港湾運送事業の登録を必要としないものについて、登録の趣旨に従つた適正な行政指導を行う等の附帯決議案を付して賛成意見が述べられました。  かくて、修正案について採決の結果、起立総員をもつて可決され、次いで修正部分を除く原案について採決の結果、起立総員をもつて可決され、引続き附帯決議案について採決の結果、これまた起立総員をもつて可決されました。よつて、本法案附帯決議を付して修正議決すべきものと決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  59. 原彪

    ○副議長(原彪君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  61. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出輸出取引法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  62. 原彪

    ○副議長(原彪君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつで日程は追加せられました。  輸出取引法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員会理事中村幸八君。     〔中村幸八君登壇
  64. 中村幸八

    ○中村幸八君 ただいま議題となりました輸出取引法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  御承知のごとく、輸出取引法は昨年制定せられたのでありまして、不公正な輸出取引の防止をはかり、輸出取引の秩序を確立する必要上、輸出業者の協定または輸出組合の設立を認めて参つたのであります。しかるに、輸出取引の面におきまして、輸出業者間の協定または輸出組合の活動のみをもつてしては、いまだ仕向国の不安を除去し、かつ国内の輸出取引の秩序を確立するため不十分な場合が生じて参つておるのであります。他方、輸入取引の面におきましても、現行法にはこれに関し何らの規定がありませんので、この際過度の競争から貴重な外貨を浪費する結果を考慮し、輸入業者の協定または輸入組合の設立を認める必要が生じて参つたのであります。以上が本法案を提案いたしました趣旨であります。  本案は、七月三日当委員会に付託せられ、翌四日政府委員より提案理由を聴取いたしたのであります。七月十四日質疑に入り、十六日参考人を招き意見を聴取いたしました。その内容については会議録を御参照願います。  越えて七月二十八日、質疑終了後、日本社会党中崎敏君より各派共同提案をもつて修正案が提案されたのであります。引続き、討論を省略し、修正案並びに修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、全会一致をもちまして可決した次第であります。  右御報告申し上げます(拍手
  65. 原彪

    ○副議長(原彪君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  67. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、水害地緊急対策特別委員長提出昭和二十八年台風第二号による被害農家及び被害漁家に対する資金融通に関する特別措置法案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  68. 原彪

    ○副議長(原彪君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  昭和二十八年台風第二号による被害農家及び被害漁家に対する資金融通に関する特別措置法案議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。水害地緊急対策特別委員長村上勇君。     〔村上勇君登壇
  70. 村上勇

    ○村上勇君 ただいま上程になりました昭和二十八年台風第二号による被害農家及び被害漁家に対する資金融通に関する特別措置法案提案理由を御説明申し上げます。  張る六月の台風第二号及び五月下旬から六月中旬までの問の長雨による被害は、その程度が激甚であり、またその及ぶところも西日本約三十府県にわたる広汎なものでありまして、被害をこうむつた農家及び漁家の損失もきわめて大きいのであります。水害地緊急対策特別委員会は、この事態に処すべき対策につき、きわめて熱心に審議を重ねましたが、その結果、被害農家及び漁家が今後その経営を維持するために必要とする経営資金が円滑かつ低利で融通せられるための措置を講じ、もつて被害農家及び漁家の経営の安定をはかる目的をもつて、ここに本案を提案するに至つたのであります。本法律案の施行に必要な経費につきましても、政府において予算上の措置を講じ、なおまた被害農家の購入する種子、肥料等の購入費、種苗の輸送費、病虫害予防費等に対する助成を行うことと相なつたのであります。  次に、本案内容概要を御説明申し上げます。まず第一は、農林中央金庫、府県信連、農業協同組合その他の金融機関が被害農漁家に対して経営資金融通する場合に、その金融機関に対して都道府県及び市町村利子補給及び損失補償を行う経費の一部を国庫から助成する措置であります。すなわち、今次の台風等の被害により、平年生産量に比し三割以上の被害を受けた農漁家に対し、金融機関が期限三年以内、年利六分五厘以内の金利で経営資金を貸し付け、その金融機関に対し府県または市町村が年五分以内、政令で定める場合は六分以内の利子補給、及び融通額に対し四割以内の損失補償を行つた場合に、国が、融資総額四十五億円の範囲内において、当該利子補給金または損失補償額の二分の一を府県に対して補助しようとするものであります。第二は、農業共済基金の業務の特例を設ける措置であります。すなわち、農業共済基金は、農林大臣の指定する農業共済組合連合会に対し、当該連合会が台風第二号等による菜種の共済にかかる保険金の支払いに関して必要とする資金の貸付をなすことができることにしようとするものであります。  本案の起草については、水害地緊急対策特別委員会において西日本風水害地対策に関する小委員会検討を進めることに決定し、同小委員会は、数回にわたつて会議を開き、鋭意協議を重ねました結果、以上御説明いたしました通りの結論に達しましたので、これが本日委員会報告があり、六委員会において全会一致をもつて委員会案の通り決定し、これを委員会提出法律案として提出いたした次第であります。  以上、簡単でありますが、本案提案理由を御説明申し上げました。何とぞ満場一致御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。(拍手
  71. 原彪

    ○副議長(原彪君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。  明二十九日に定刻より特に本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十四分散会