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1953-07-14 第16回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)  議事日程 第二十一号     午後一時開議  昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)  昭和二十六年度特別会計予備費使用調書(その2)  昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条に基く使用調書承諾を求める件)  第一 昭和二十七年度一般会計予備費使用調書     昭和二十七年度特別会計予備費使用調書     昭和二十七年度特別会計予算総則第九条及び第十条に基く使用調書  第二 外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案参議院提出)  第五 設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 地方公共団体負担金納付特例に関する法律案内閣提出)  第八 社尊等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第九 木船保険特別会計法案内閣提出)  第十 保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第十一 昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案内閣提出)  第十二 漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第十三 印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第十四 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十五 輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十六 鉄道敷設法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第十七 水先法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十八 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十九 教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十 人権擁護委員法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第二十一 地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十二 社会保険審査官及び社会保険審査会法案内閣提出)  第二十三 医師等免許及び試験の特例に関する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  公安審査委員会委員任命につき同意の件     昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)     昭和二十六年度特別会計予備費使用調書(その2)     昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条に基く使用調書承諾を求める件)  日程第一 昭和二十七年度一般会計予備費使用調書       昭和二十七年度特別会計予備費使用調書       昭和二十七年度特別会計予算総則第九条及び第十条に基く使用調書  日程第二 外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案参議院提出)  日程第五 設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 地方公共団体負担金納付特例に関する法律案内閣提出)  日程第八 社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第九 木船保険特別会計法案内閣提出)  日程第十 保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第十一 昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案内閣提出)  日程第十二 漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十三 印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十四 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十五 輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十六 鉄道敷設法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十七 水先法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十八 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十九 教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二十 人権擁護委員法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     午後二時三十四分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。内閣から、公安審査委員会委員挾間茂君及び広瀬豊作君を任命するため本院の同意を得たいとの申入れがありました。右申入れの通り同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて同意するに決しました。      ————◇—————
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)外五件(承諾を求める件)を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。決算委員長田中彰治君。     〔田中彰治登壇
  6. 田中彰治

    田中彰治君 ただいま議題となりました昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)外五件の承諾を求める件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告いたします。  まず、昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)について御説明申し上げます。昭和二十六年度一般会計予備費予算額は十億円でありまして、このうち昭和二十六年五月一日から同年十二月七日までの間に使用いたしました八億一千五百万円余につきましては、すでに第十三回国会において本院は承諾を与えておりますが、その後昭和二十七年一月十六日から同年三月二十五日までの間におきまして、恩赦実施準備事務に必要な経費公立学校建物風水害復旧費補助に必要な経費沿岸警備力強化に必要な経費等に八千五百余万円を使用いたしました。  次に、昭和二十六年度特別会計予備費使用調書(その2)について申し上げます。昭和二十六年度特別会計予備費予算額は二百二億三千八百余万円でありまして、このうち昭和二十六年五月十五日から同年十二月二十五耳までの間に使用いたしました三十二億七千百余万円につきましては、一般会計の場合と同様に、本院は第十三回国会におきまして承諾を与えております。その後昭和二十七年二月十五日から同年三月二十八日までの間に予備費使用いたしました特別会計は、外国為替資金外十一特別会計でありまして、その使用額は三十八億八千二百余万円であります。そのおもなるものは、健康保険給付費に必要な経費農業共済保険金支払いに必要な経費漁船特殊保険保険金支払いに必要な経費電信電話事業設備に必要な経費労働者災害補償保険金支払いに必要な経費等であります。  次に、昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条に基く使用調書について御説明いたします。昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条の規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、資金運用部外特別会計でありまして、その内訳は、予算総則第七条の規定に基いて支出いたしましたものは、資金運用部特別会計において預金利子支払いに必要な経費四億五千四百余万円、厚生保険特別会計健康勘定において健康保険給付費に必要な経費二十八億三千五百余万円であり、予算総則第八条の規定に基いて支出いたしましたものは、郵政事業特別会計において業務量増加に伴い必要な経費五億五千万円であります。  次に、昭和二十七年度一般会計予備費使用調書について申し上げます。昭和二十七年度一般会計予備費予算額は三十億円でありまして、このうち、昭和二十七年四月二十五日から同二十八年三月三十日までの間において二十七億八千七百余万円を使用いたしております。そのおもなるものは、皇太子英国女王戴冠式参列等に必要な経費経済審議庁等設置に必要な経費防火思想普及に必要な経費破壊活動防止法施行に伴う事務処理に必要な経費神戸商船大学創設に必要な経費十勝沖震災復旧に必要な経費、鳥取市火災復旧に必要な経費等であります。  次に、昭和二十七年度特別会計予備費使用調書について申し上げます。昭和二十七年度特別会計予備費予算額は三百三十六億一千四百余万円でありまして、昭和二十七年七月一日から同二十八年三月三十日までの間に使用いたしました特別会計は、外国為替資金外特別会計でありまして、使用総額は六十七億三千七百余万円であります。そのおもなる事項は、外国為替資金特別会計における融通証券割引差額支払いに必要な経費厚生保険及び失業保険の各特別会計における保険金支払いに必要な経費農業共済保険における借入金の返済に必要な経費国有林野施設災害復旧に必要な経費等であります。  次に、昭和二十七年度特別会計予算総則第九条及び第十条に基く使用調書について申し上げます。昭和二十七年度特別会計予算総則第九条及び第十条の規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、国債整理基金及び郵政事業の二特別会計でありまして、その内訳は、国債整理基金特別会計において、同予算総則第九条の規定に基いて支出いたしました外貨債処理に必要な経費外三件百六十二億六千五百余万円と、郵政事業特別会計において、同予算総則第十条の規定に基いて支出いたしました業務量増加等に伴い必要な経費五億四千万円であります。  以上、昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)外五件の承諾を求める件の概要を御説明申し上げました。  本件は、去る六月二十七日本委員会に付託となり、七月六日政府当局よりその説明を聴取し、審査いたしたのでありますが、七月八日、右六件に対しいずれも承諾を与えるべきものと議決いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 六件を一括して採決いたします。六件は委員長報告の通り承諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて六件とも委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  9. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第二、外務省設置法の一部を改正する法律案日程第三、保安庁法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員会理事上林與市郎君。     〔上林與市郎登壇
  10. 上林與市郎

    上林與市郎君 ただいま議題となりました両案について、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、外務省設置法の一部を改正する法律案は、最近における移民漸増にかんがみ、従来外務省欧米局所管事務の一つであつた移民事務を円滑かつ一元的に処理するため、同省の内部部局として海外移住局を設けようとするものであります。  次に、保安庁法の一部を改正する法律案について申し上げます。保安庁職員の定員は現在十一万九千九百四十七人、そのうち警備官は七千五百九十人となつておりますが、今回同法第七条に改正を加え、警備官二千七百三十三人、保安官並び警備官以外の一般職員四百七十二人、計三千二百五人を増員しようとするのが本案の要旨であります。増員を必要とするに至りましたのは、警備官におきましては、さきにアメリカ合衆国より追加貸与を受けることになりましたパトロール・フリゲート八隻分の要員を初めとして、第二幕僚監部の充実及び部隊学校その他の施設の拡充によるものであります。また、保安官並び警備官以外の職員につきましては、保安研修所及び保安大学校における教育訓練の開始、技術研究所研究調査充実、その他調達、設営等業務遂行の円滑を期する等のための措置であります。  両案は、六月十五日及び二十二日それぞれ本委員会に付託され、政府説明を聞き、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御承知を願うこととし、外務省設置法の一部を改正する法律案については、七月九日討論に入り、改進党の高瀬委員より賛成日本社会党神近委員及び日本社会党鈴木委員より反対意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決し、保安庁法の一部を改正する法律案については、十日討論に入り、日本社会党島上委員及び日本社会党鈴木委員より反対自由党平井委員及び改進党の高瀬委員より賛成意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。島上善五郎君。     〔島上善五郎登壇
  12. 島上善五郎

    島上善五郎君 私は、ただいま上程になりました両法案に対して、日本社会党を代表して反対の意を表明せんとするものであります。  まず最初に、外務省設置法の一部を改正する法律案に対して、簡単に反対事理由を述べます。  この改正案は、移民事務を処理するために、現在の機構を拡充して、一挙に外務省海外移住局設置せんとするものでありますが、御承知のように、今日わが国移民を許可している国はアルゼンチン、ブラジル、パラグワイの三国のみであり、その数も本年度許可分わずかに六百九十家族であり、受入れ態勢等関係で、さしあたり二百五十家族ブラジル移民することと、若干の呼寄せ移民があるのみで、この程度事務処理のためにわざわざ海外移住局などという大げさな機構をつくる必要は、こうも認められないのであります。政府は近い将来に移民送出が大幅に増大されると予想しておりまするが、吉田内閣アメリカ一辺倒外交政策をとり、アジアに背中を向けている限り、そうしてアメリカ自身日本移民に対して積極的な好意を示さない限り、近い将来に移民大幅増大があるなどということは、とうてい期待することができないのであります。(拍手)もちろん、われわれ移民問題を軽視するものではありませんが、今日の状態では、せいぜい移民班移民課にする程度でもつて十分であつて海外移住局などといつて機構の拡大をする必要はなく、将来移民の道が大きく開けたら、そのときに考えたらよろしいと存じます。  次に、保安庁法の一部を改正する法律案に対しまして反対理由を申し述べます。  この法律案は、フリゲート艦及び大型上陸支援艇などを今日までアメリカから五十二隻借りて、その乗組員保安大学職員等増員する、そのために現在の十一万九千九百四十七人を十二万三千百五十二人にしようとするものであります。政府説明によりますれば、残りの十六隻を九月中に借り受ける、また本年度予算の中から三隻の艦艇を建造するということでありまして、これらに要する乗組員もまたまた増員されることは必至であります。このようにして増員される海上警備隊は、単に国内治安を守るという域を脱して、アメリカで伝えられるように、日本海軍復活への様相が次第にはつきりして来ております。  先日、内閣委員会で、木村長官は、この海上警備隊のことを海軍と品をすべらしていました。自由党委員の注意を受けて、あわてて取消しをいたしましたけれども、この海軍という言葉こそ、木村長官の本音ではないかと私ども思います。(拍手吉田総理大臣は、保安隊のことを、かつて新国軍の土台であると言いました。木村長官は、先般九州で、得たとして防衛五箇年計画なるものを語りましたが、政府はいまなお、保安隊海上警備隊のことを、国内治安維持のための警察であると言つております。これこそは、からすをさぎだと言い張るようなものであつて国民は、やみの再軍備、ごまかしの再軍備であると、ひとしくこれを認めておるのであります。(拍手)  先般、私は、富士山麓における保安隊演習を、この二つの目ではつきりと見て参りましたが、あの演習は、バズーカ砲、迫撃砲高射砲戦車、そういうものを持つた軍と軍との攻防戦であります。一体、日本において、今日もしくは近い将来に、戦車迫撃砲高射砲を持つた者が反乱を起して富士山に立てこもるなどということを想像することができるでしようか。(拍手)もし、そういうことをまじめに考えている者があるとしたならば、よほど頭がどうかしているといつて笑われます。(拍手)  また、国内治安を守るための保安隊宏アメリカの服装、装備で、四百人のアメリカ軍事顧問訓練指導を受けなければならないという理由が一体どこにありますか。(拍手保安隊指導者になる者が、はるばる、アメリカへ留学して、アメリカ軍中隊長訓練を受けなければならぬという理由が一体どこにありますか。(拍手)かつて日本の軍閥が、満州国軍なるものをつくつて、それを自分の手足に使いましたが、このような運命が、わが保安隊海上警備隊前途に横たわつていないと、だれが保証することができましようか。(拍手)われわれは、国内治安日本人自身の手で守らなければならないということは当然と考えまするが、それには大砲や高射砲戦車を持つた軍隊は、早こうも必要はないと思います。むしろ、このような軍備をつくるために、莫大な国費を不生産的に使つて国民生活を不安にすることこそが、社会不安を増大する種をまくものであると言わざるを得ません。  今や、この保安隊海上警備隊は、MSAの援助を受けて、飛躍的に本物の再軍備に増大強化されようとしております。このことは、ごく最近のアイケルバーガーの言葉をかりて言いますれば、アメリカにより訓練され装備された日本陸海軍が編成されつつある、こう言つております。また、ダレスの過ぐる九日アメリカ上院における証言を見てもはつきりしております。アメリカが何と言おうと日本日本だ、木村長官はこういう威勢のよい答弁をしましたが、しかし、従来の吉田内閣アメリカに対する追随、屈辱外交から見まして、吉田内閣にそのような骨があるかないか、自主性があるかないかは、おのずから判断することができます。(拍手)かくて、保安隊海上警備隊増強前途には、集団防衛の名のもとに、あるいは自由諸国と協力という名のもとに、アメリカ世界政策に利用されて、アジアにおける軍事同盟に引きずり込まれる危険がいよいよ増大して参つたのであります。(拍手)われわれは、日本の青年をよその国のための犠牲に提供するような危険を断じて黙過することはできないのであります。(拍手)  このような見地から、たとい三千二百五人の増員であつても、わが日本社会党は断じてこれを承認することができないのであります。(拍手
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 冨吉榮二君。     〔冨吉榮二登壇
  14. 冨吉榮二

    冨吉榮二君 私は、ただいま議題となりました保安庁法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表して反対意思を表明せんとするものであります。(拍手)  われわれは、世紀の悲劇ともいうべき大東亜戦争の敗戦によりまして、久しきにわたる帝国主義的な侵略思想からみずからを解放して、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は永久にこれを放棄し、しこうして陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないことを、中外に宣言いたしたのであります。(拍手保安庁法第四条には、わが国の平和と秩序維持し、人命及び財産を保護するため特別の必要ある場合に行動する部隊規定されておるのであります。政府保安隊及び警備隊軍隊にあらずと強弁されておることは御承知の通りであります。しかしながら、その装備訓練配置等、あらゆる方面、角度からこれを見まして、断じて軍隊にあらずという結論が出て参りません。(「同じことを言うなよ」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)正しいことは何べんでも申しますから聞いてください。(拍手)現に百数十名の隊員がアメリカに派遣されまして、アメリカ軍指導訓練を受けつつある事実に徴しまするも、またMSAとの関係から見ましても、ダレス国務長官の議会における証言によつて考えましても、保安隊軍隊であることははつきりいたしておるのでありまして、これを軍隊にあらずと主張することは、日本常識上、世界常識上、絶対に許されません。(拍手)幾百万同胞の血を流して、一億国民が言語に絶する苦難の結果与えられた平和憲法を死文化せんとするこの企てに対しまして、私どもは残念ながら賛成することはできません。(拍手)  吉田総理大臣は、しばしば、国民生活を圧迫するのゆえをもつて、再軍備反対意思を表明して来られました。これはまさしく国民を欺瞞するものと言わなければなりません。木村保安庁長官のいわゆる三百代言的な詭弁をもつていたしましても、この事実を歪曲することはできないのであります。政府の言うところの自衛力漸増ということは、これはまさしく、かつて裏口営業と同じ裏口軍備であると言わなければなりません。かかる欺瞞政策では、叡知と良識を有する国民の納得は断じて得られません。(発言する者多し)黙つて聞きなさい。やがて後悔する日が来ます。(拍手従つて吉田首相の強調される国民道徳の高揚も、真の愛国心の振起も期待できません。既成事実をつくり上げて国民事後承諾を強制されるような非民主的な態度は、わわの容認せざるところでございます。  国内治安維持の必要ということは、もとより言うまでもございませんが、しかしながら、治安警察力軍事力だけで維持できるものではございません。まずもつて国民生活の安定をはかり、労働不安、社会不安を取除いて、国民大衆をしてあすへの希望を抱かしむることが、百万の保安隊にもまさる治安力であることを知らなければなりません。(拍手)あえて万里の長城の故事を引くまでなもく、東独におけるあの強力な軍隊警察力のもとに起つた大規模なる暴動こそ、われわれに最も生々しい教訓を与えておるのであります。巨大資本利益擁護のためには労働者を圧迫したり、あるいは独占禁止法の骨抜きにすることによつて中小商工業者を迫害し、学生をして卒業か失業かを絶叫せしめつつ、高級料理店と待合のみを繁昌せしめて、ゴルフ熱高級自動車の氾濫とを激成するような政治のあり方では、いかに保安隊が強化されても、また木村長官が勉励叱咤するといえども、治安維持は百年河清をまつの愚と言わなければなりません。(拍手)  要するに、内は、乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂うる精神に徹して、まずもつて国民生活を第一義とする政策を遂行し、外は、平和憲法の理念を宣揚し、久しきにわたる侵略主義の迷夢からさめて、世界の平和に寄与せんとする日本国民の熱意を全世界に訴えることこそ、われわれの独立と平和とを確保するゆえんであると信じます。耳をおおつて鈴を盗むような裏口軍備によつて独立を呼号し、国家の安寧を期するがごときは、時代錯誤思想であります。国民をして再び悲劇の主人公たらしめるがごとき危険を内包することをわれわれは知らなければなりません。  ローマは一日にしてならず。かつて、三大強国の……(「何を言つてるだ」と呼び、その他発言する者あり)よくお聞きなさい。三大強国だの、あるいは東亜の盟主だのと肩で風を切つた日本国民が、遂に四面楚歌、今日の苦難に坊復しなければならぬとは、一体だれの罪か。それは為政者の深く反省しなければならぬ点であろうと思うのであります。東洋平和の美名のもとに、国民生活犠牲にして、軍備拡張拡張をもつてして、日本生命線と称して満州を侵略し、大東亜共栄圏の確立を呼号しては大陸と南方を蹂躪し、遂には大東亜戦争に突入して、しかして連戦連勝赫々たる戦果をあげながら無条件降伏をし、討ちてしやまん鬼畜米英と豪語したその口は、米英から送られた麦粉と豆粉でのりをし、辛じて餓死を免れたこの厳然たる事実を忘れてはなりません。われわれが再軍備よりもまず生活安定を主張するゆえんはここにあるのであります。共産主義による間接侵略の陰謀を排し、資本主義による隷属化より日本を救う道は、実に民主社会主義の理念に徹した政治経済の確立以外にあり得ないのであります。  かかる観点に立ちまして、多くの危険を内包する保安庁法の拡充強化に対して、私どもは絶対反対意思を表明する次第でございます。(拍手
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  16. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第四、国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案日程第五、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案日程第六、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事苫米地英俊君。     〔苫米地英俊君登壇
  18. 苫米地英俊

    ○苫米地英俊君 ただいま議題となりました三法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、国有林野のいわゆる立木の売払いにおきまして、それが大量である場合または搬出設備のない奥地林のものである場合には、その現金化に相当長期間を必要とする実情にかんがみまして、右立木売払い代金の延納期間を半年より一年に延長いたそうとするものであります。  次に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、最近設備を中心とする輸出の振興が一段とその重要性を加えて参りましたので、政府が輸出者に対して締結する為替損失補償契約の適用範囲を拡張いたそうとするものであります。すなわち、従来の制限を撤廃して、すべての設備輸出に拡張するとともに、補償契約の期間の限度を五年から十年に延長し、また補償契約の締結の限度額を百億円から二百億円に引上げようとするものであります。  次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、最近における貿易の状況及び日本輸出入銀行の業務運営の経験等に顧みまして、同行の業務の範囲を拡張するとともに、その融資の条件等に改善を加えようとするものでございまして、まず第一に、海外投資のための資金及び海外における生産事業を営むための設備資金を融資の対象に加え、第二に、輸出金融業務の範囲を拡張して、設備以外の製品の輸出資金をも融資対象に加え、第三に、輸入金融業務を拡張して、経済の発展のために緊要な物資で前払金をしなければ輸入が著しく困難である場合には、その前払金について融資し得るようにいたしたのでございます。さらに第四に、融資期限を延長するとともに、日本輸出入銀行が単独でも融資を行い得ることとし、第五には、日本輸出入銀行が、その業務を行うに必要な範囲内に限つて、認可を受けて外国為替業務を営み得ることといたしたいのでございます。  以上の三法律案につきまして審議の結果、去る十日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入りました。まず国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。次に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の両案を一括採決いたしましたところ、いずれも起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  簡単でございますが、右御報告申し上げます。(拍手
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。日野吉夫君。     〔日野吉夫君登壇
  20. 日野吉夫

    ○日野吉夫君 私は、日本社会党を代表し、ただいま上程中の、国の所有に属する物品売払代金納付に関する法律の一部を改正する法律案に対し、次の数点から反対討論をなさんとするものであります。  本案は、国有林野から産出する樹木の売払い代金を、従来半年であつたものを一年に改め、一年間の延納を認めようとする改正案であります。提案の理由は、樹木の現金化に長期間を要する実情によりということになつているのでありますが、われわれは、いまさらかかる理由をもつて法の精神を歪曲することは、あたかも耳をおおうて鈴を盗むやごとき類であつて、断じて許すべからざるものと言わなければならない、思うのであります。  まず、本案の通過によつて利益を得る者は一体だれであるかということであるが、それは明らかにパルプ業者であり、鉱山業者等々の諸君である。(拍手)一例をとつてみると、北海道のごときは、払下げ代金三十億のうち、その十五億が本法の対象となり、その六割五分がパルプ材であり坑木代である。もしこれらの諸君の支払いを猶予してやるためのものであるとするならば、他に別途金融の方法等によるべきであつて、本法の改正をもつて少数の富裕特権者を救済すべきものではないと思うのであります。売渡しの方法は、公売と、指名と、特売、いわゆる随契ということになつているのでありますが、その比率を見ますと、公売が二、指名が二、特売が六となつている。しかも、公売より指名は一割安であり、特売はさらにそれより一割安であるから、従つて二割の割引をして販売しているのであります。もしこれがこれら一切を含むならばまだ話がわかるのでありますけれども、本案の持つところの内容は、この随契に対してのみである。しかも、特売の資格条件として、支払い能力を政府が認め、他に優先して大幅に割引の上売り渡しているものであるにかかわらず、その上さらに支払いを延期してやる措置は、あまりに少数の特定人に対する保護が厚過ぎるものと言わなければならない。(拍手)  わが国の農林行政の中には、まだまだ保護育成を必要とする、支払いの猶予を必要とする幾多の案件が山積しているのである。たとえば、数次にわたつて見舞われた西日本あるいは北九州の水害のごとき、凍霜害等、税金あるいは納付金の延期、免除等、悲惨な災害者の救済の問題等が、予算の制約を受けて、まつたく放置されているのが現状なのであります。過般政府が提案して修正通過した凍霜害特別融資法ですら、生産性の低い日本農民、ことに基礎の弱い開拓農民に対してまで、その苛酷な二箇年の返済期間を強要しておりながら、本案の対象とする富裕な資本家にのみ支払いをさらに延期するがごときは、近代感覚の欠如に基く時代錯誤立法と断ぜざるを得ないのであります。  本案と直接関係を持つところの全農林の労働組合の営林関係職員は、賃金のペースが低いので猛運動をしておる。私も過般会つてこの実情を聞いたのであるが、山林の奥深く、昼夜の別なく働いて、僻地に動物的生活をしておると言つておる。しかも、過勤手当をもらつていないで黙々と働いておるこれらの労働者諸君に対して、政府財源理由にこれを拒否し続けているではないか。政府当局は、これらの事情を見送りつつ、本案のごとき不明朗きわまる立法を通過せしめてはたして労働者諸君の協力を得、勤労意欲を維持して、農林行政の運営の適切をはかり得るのかどうか、われわれは勤労者の立場から、はなはだこれを疑わざるを得ないのであります。(拍手)  巷間伝えられるところによりますと、歴代の林野庁長官は、参議院全国区には必ず当選できるといわれる。現に前長官が二人もおつて、鋭い批判の対象になつておるときであるが、時も時、本国会に本案の提出を見たことは、選挙のひもがついておる不明朗なこの事実を裏書きするものと言われてもしかたがありません。政府は、すみやかに、かかる国の債権は取立てて、営林関係職員の給与の改善その他林野行政のためにこれを資すべきものであるとわれわれは考えるのであります。  政府は、三千や五千の少額債権に対しては、きわめて敏感にこれを取立て、ますけれども、厖大なる高額債権に対してはきわめて緩慢であり鈍感である。過般の予算委員会において問題になつた二百億の対米債権のごとき、あるいは今次法案の内容であるこの厖大なる債権にしても、延期と猶予等の措置に出ることはやるけれども、これをすみやかに取立てることにはきわめて鈍感である。われわれは、この際、財政運営上の重大なる問題であるから、財政本来の原則に立ち返つて、入るをはかつて出ずるを制するという観点から、まず高額債権の急速なる整理に乗り出すべきであると信ずるものであります。  かくのごとき法案が、農政の間隙に乗じて国会を通過し、重要緊急立法が放置されているところに、今日日本農政の貧困があり、農業政策がねこの目玉のごとくかわり、一貫性のないところに、かかる法律が登場するすきがあるのではなかろうか。終戦後、吉田内閣の農林大臣は二十三人、昨年十月選挙以後も、五人もかわつておる。内田農相のごときは、就任より三十二日の寿命であつたということは、日本の農政に対する首相の無定見を物語る以外の何ものでもないのであります。(拍手吉田首相は就任以来百三十人以上の大臣をつくつたといわれるが、この世界的レコードは決して吉田首相の自慢にはならないとともに、八年間に二十三人の農相の更迭も、また決して日本農政のプラスにはならない。かかる無定見、混乱の中に、その間隙を縫つて今度のごとき法律が登場するのであつて、われわれは、かかる火事どろ的立法の登場と、この法律の背景をなすところの諸勢力に対して断固闘わなければならない。  私は、本案に絶対に反対し、賢明なる議員諸君の良識によつて法案を否決し、国民の疑惑を一掃することに御協力賜わらんことをお願いして討論を終ります。(拍手
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 淺香忠雄君。     〔淺香忠雄君登壇
  22. 淺香忠雄

    ○淺香忠雄君 ただいま議題となりましたうちの設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の両法案に対しまして、私は自由党を代表して心から賛意を表するものであります。  朝鮮の休戦を契機とする国際経済の新しい段階に対処して、わが国自立経済達成のために貿易の振興をはかることは、目下の緊急事であることは申すまでもございません。ことに、朝鮮の休戦を契機として、わが国経済は特需依存から脱却し、正常貿易を国をあげて真剣に考えなければならぬとき、なかんずくプラント輸出を中心とする輸出の促進が強く要望せられておることは当然であります。政府はこの目的のため、貿易振興政策の一環として、輸出市場拡大のためには、輸出産業の原料の輸入に対する、免税、金利の引下げ等の方策を今日とりつつあります。さらに、これと並行して、今回日本輸出入銀行の業務を拡張して、輸出入金融の円滑化をはかるため、設備輸出に対して日本輸出入銀行が融資する期限を最長十年まで延長しようといたしますことは、きわめて適切な処置でありまして、反対される理由は微塵もないはずであります。  また、為替損出補償契約の期限を十年まで延長することにつきましては、右派社会党から異論があるようでありまするけれぎ、最近ますます激烈となつて参つたところの設備輸出に関する国際市場競争に、手をこまねいて傍観しているわけには参りません。ことに、米英、ドイツ等の貿易政策を見ますとき、なかんずくドイツの海外貿易は驚くべき躍進を示しており、たとえば為替損出補償契約の期間は言うまでもなく、金融、税の減免等、貿易商社の強化については特別の措置をとるなど、貿易助成の方策が積極的に講ぜられているのであります。従つてわが国も、競争相手たる諸外国に劣らず有利な支払い条件を提供することが強く要請せられておる現状であります。ことに、世界注視の的であつた朝鮮休戦も実現の機運となり、国民にとつてまことに喜ばしい平和への希望に直面しておりながら、その半面、特需経済から正常経済へと自立態勢を急速に確立することの必要がいよいよ痛感されて参つております。  かえりみれば、過去三年にわたる朝鮮動乱に伴う特需等の増大によつてわが国経済の回復が促進されたことも事実であります。しかしながら、他面、一時の好況によつて、経済自立への努力がかえつて等閑に付されたことも、また率直に認めざるを得ないのであります。これがため、今回日本輸出入銀行の設備輸出に対するところの融資の期間と為替損失補償の契約期間をそれぞれ最長十年まで延長しようとすることは、以上の要請に応ずるきわめて時宜を得た適切なる措置であると信ずるものであります。右派社会党においては、輸出入銀行の融資期間を短縮して、その資金を社会保障施設に利用すべきであるとのお考えのようでありまするけれども、これはきわめて視野の狡い、へんぽな物の考え方であつて、そのおつしやる源をなすものは、輸出を振興して積極的に外貨の獲得をはかることが先決であります。これがひいては生産を増強して、もつて雇用を増大し、国民生活の安定をはかることになるのでありまして、この面よりして社会保障施設に寄与すべきであると信ずるのであります。各国の輸出市場獲得は、米英を初めとして、西欧州各国がしのぎを削りつつあるこの際、日本もまた一日も早く、特需依存から正常貿易へと、自立経済達成への決意を新たにし、さらに全世界との貿易の拡大をはかるためには、日本としてその競争に打ちかつために最善の努力をいたさなければなりません。  この意味におきまして、世界情勢とわが国貿易の現状にかんがみ、積極的な振興策の一つであるこの両法案に対して心から賛成の意を表しますと同時に、本法案は、前第十五国会においては、社会党の左右ともに賛成し、全会一致で通過したものであることは、よもや社会党の諸君といえどもお忘れになりますまい。(拍手)しかるに、わずか四箇月後の今日、早くもこれをくつがえし、反対されますことは、失礼ながら議員諸君の不勉強からか、それとも党としての一貫したる精神の欠如か、このように定見なく、信念なく、場当りに終始していることを如実にみずから暴露して余すところがありません。(拍手)このような豹変は、右派社会党のためにまことに惜しむべきことであつて将来の反省を求め、私は本案に対し賛成討論を終るものであります。(拍手
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 春日一幸君。     〔春日一幸君登壇
  24. 春日一幸

    ○春日一幸君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供せられました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案並びに設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案に関するただいまの委員長報告に対し反対いたすものであります。(拍手)以下、その理由について申し述べます。そもそもこの二つの法律は、プラント輸出の特性にかんがみまして、その振興のため、これに必要な国家融資を行うことのために制定された法律であります。従いまして、この法律には、わが国の財政がこの目的のために動員し得る能力の限界を規制いたしました。すなわち、その融資は、コマーシヤル・ベースの本質を尊重し、市中銀行との協調融資の場合にのみ限定し、またその業務範囲は設備輸出の輸出契約の成立せる場合のみを対象となし、特にその融資期限については、これを最長五箇年を限度とする等、その他幾多の業務規制を設けておるのでございますが、しよせん、これら規制の意図するところは、本輸出入銀行の活動がわが国経済の実態より逸脱することを厳に防止することにあつたと思うのであります。  しかるところ、政府は、今次ここに上程されました改正案によつて、この輸出入銀行法の各種の制限規定をほとんど野放図に解放せんといたしておるのであります。たとえば、融資対象のわくを大きく拡張いたしまして、ただにプラント輸出にとどまらず、一般製品にして延べ払いとなる輸出一切、その地無為替輸出及び入札保証金までを対象といたしまして、さらに新しく海外投資にもこの窓口を開かんとしておるのであります。まだ市中銀行等の協調融資の規制を大幅に緩和いたしまして、新しく輸出入銀行のみの単独融資の道を開かんといたしておるのであります。特に重要なことは、その融資期限を、現行最長五箇年のものを一躍十箇年に延長せんとし、さらに事情のあるものについては実に十五箇年までの超長期融資の道を開かんといたしておるのであります。  一体、わが国の当面する財政力は、かかる茫漠たる資金需要を満たす能力をはたして持つておるのでありましようか。しかして、かかる放漫なる融資を行うことなくしては輸出振興の方途は他にはないというのでありましようか。たとえば、輸出入銀行の融資計画によりますれば、昭和二十八年度においては、年間二百四十億の融資を行わんとしておるのであります。かりにこれを十年期限の貸出しに充当いたしまして、さらに二十九年度以降においても輸出入銀行が年々これとほぼ同様の事業を断続いたしました場合、この融資金額の累積は数年を出でずして一千億を越えることは必定であり、しかもこの貸出し残高は、本改正による輸出入銀行の業務を維持断続する限りにおいては、これは恒常的融資残高となるでありましようが、かくのごとき放漫厖大な海外投資は、わが国が当面せるこの行財政の貧困をもつてして、将来はたして国際競争に占勝し得るの施策たり得るでありましようか。  もとより、経済の自立を標榜し、その方途を貿易の振興に求めんとするわが日本社会党は、輸出の促進に役立たせるための財政投融資の必要性を決して否定するものではありません。しかしながら、国家財政による投融資には、おのずからその使命と限界があるのでありまして、いかに輸出振興のためとはいえ、この範疇をはずれては相ならぬのであります。本改正案は、明らかに、国家財政の直接投融資によつて国際貿易に競合せんとする点において、ときにソーシヤル・ダンピングの疑いをはらむものでありまして、よつてもたらす国際的影響は甚大であります。さらに、かかる国家資金の活動は、勢い商業資本の活動力をおのずから退嬰せしめる結果となつて、遂にはこれがかえつてわが国貿易の健全なる発展を阻害するの結果に陥ることなしとせず、私どもはこの点を最もおそれるものであります。  本改正案によれば、貸付期限を現行五箇年より十箇年とし、さらに特殊の場合は十五箇年に延長せんとし、その理由とするところは、英米その他の諸外国との支払いタームの競争のためとの趣でありますが、しからば、本法改正後、これら競争国が、その強力な経済力を発揮して対抗し、さらに貸付期限を十五箇年、二十箇年に延長の挙に出ることは当然起り得ることでありましようが、その場合、わが国は、再びこれにせり合つて、その延べ払い競争に立ち向うことができるのでありましようか。かかる見通しと決意なくして、自信のない競争に血道をあげることは、軽卒愚劣のそしりを免れるものではありません。古来、十年は一昔と申します。およそビジネスは代金の回収が生命であります。物品を販売して、一昔にわたつて代金の回収のできしないようなビジネスは、真のビジネスとは言い得ないものであります。かかる畸形の取引を擁護するために、幾多緊急焦眉の政策をさしおいて、国民の血税がこのような方向にむぞうさに流用されることは、厳に戒められなければ相ならぬのであります。  さらに指摘いたしたいことは、輸出本来の目的と本法の効果との矛盾についてであります。言うまでもなく、輸出の目的は外貨の取得にあるのでありますが、本法によつて輸出された商品に対する外貨は、その延べ払いの期間中はわが国へは入金せざるものであり、また海外投資に至つては、外貨そのものの海外放出を意味するものであります。今やわが国の保有外貨は減少の一途をたどり、特に本年上半期の貿易統計によれば、その輸入超過五億六千万ドルをとなえるとき、輸出振興のための施策は、この当面の外貨事情に重点を置いて、これらの諸問題は慎重に検討さるべきものと考えるのであります。もとより、わが国アジア唯一の工業国として、アジア未開発地域の開発のために負うべき任務は、わが党の最もこれを重視するところでありますが、しかしながらこのためには、世界銀行、ワシントン輸出入銀行、ポイント・フオア計画、コロンボ計画等、幾多の世界資本がすでに活動を開始している現情勢の渦中にありましては、わが国はむしろこれらと相提携して、これら欧米資本のアジアへの導入の促進をはかるべきでありまして、われらの能力はそれへの技術参加を第一義とすべきであつて、これに対抗して、乏しきを割いた財政力をみだりに散布するがごときは、蟷螂のおののたとえの愚策なりと断ぜざるを得ないのであります。  なお、本法による貨付対象は、汽車、船舶、鉱山、発電を初めといたしまして、おおむね少数の大企業のみに恩典を与えるものでありますけれども、一方、これは中小企業に均霑するところ、ほとんど皆無であります。ここに、かかる厖大なる国家資金をもつて輸出振興の策を講ぜんとするならば、すべからく中小企業をも含めた一般産業がひとしくその対象となり得る規模と条件をもつて、その政策は樹立せらるべきでありましよう。かくのごとくにいたしまして、それはひとり本法改正案のみならず、吉田内閣の大企業一辺倒の本性が本国会に提出された幾多の法律案の随所に潜められていることは、国民大衆とともに、まことに憤激にたえざるところであります。  およそ貿易の振興は、かかるへんぱな施策によつてその目的を達成いたし得るものではありません。たとえば、借財だらけの会社が品物を売つて、その代金を十年間も相手に貸し付けたり、わが家の経理のつじつまも含まぬのに、飢えに泣く子供をよそに、貴重な金を十五箇年も他人に貸し与えたりする、かかる取引は、悪質で横着な取引と称すべく、かかる経営は無謀無軌道のそしりを免れることはできないでありましよう。  今や貿易をめぐる国際情勢は大きく展開しつつあるのであります。政府は、わが国輸出の振興のために、いたずらに窮乏せる国家資金の底をはたいて、これを海外に放出せんとし、また輸出代金の回収を十年、十五年というがごとき、ほとんど出世証文にもひとしき延べ払いを認めるがごとき、かかることが輸出振興対策と言えるでありましようか。今日わが国輸出不振の原因の一つはコスト高にあり、そのコスト高の原因は、金利高、原料高、設備の老朽化にあるのでありまして、輸出振興のためには、まずこの解決こそが急がれなければなりません。  また、吉田内閣自主性なき向米一辺倒の外交政策も、これはアジア諸国の顰蹙を買い、これら諸外国の政治的な輸入制限の原因ともなつてわが国の進出がはばまれておることも、吉田政府の反省すべきところのものでありましよう。ことに、中共貿易促進の大政策を意地悪く故意に回避して、鉄鉱石、粘結炭、工業塩等の格安原料の入手の道を開こうとはせず、一方、英独の中共市場における活躍に目をとざして、隣国四億五千万人の大消費を黙殺するがごときは、およそ輸出を妨害する政治悪の極致と断ぜざるを得ません。金融機関の利益を擁護して、コスト切下げのための金利値下げを妨げる吉田内閣アメリカに追随し、自主独立の気禀を失つて善隣諸国の白眼にさしぐむ吉田内閣、朝鮮動乱の特需という隣邦人の血肉の犠牲で三箇年の長きを惰眠した吉田内閣、かかる政権の存する限り、経済の自立はもちろん、輸出の振興など、とうてい思いも寄らないものでありますが、かかる状況下において、ここに輸出入銀行漢を改正し、貴重な国民の血税を冗長放漫に放出するがごときは、あたかも種を砂礫の上にまくに似て、決して当を得たものではないと思うのであります。(拍手)  以上申し述べました幾多の理由により、わが日本社会党は、この両法律改正案わが国の当面する国内外の実情に即せず、かえつて輸出の振興を阻害するの危険ありと断じまして、これに強く反対いたすものであります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。(拍手
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よりて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  27. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第七、地方公共団体負担金納付特例に関する法律案日程第八、社寺等無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案日程第九、木船保険特別会計法案日程第十、保険業法等の一部を改正する法律案日程第十一、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案日程第十二、漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案日程第十三、印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案、右七案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事内藤友明君。     〔内藤友明君登壇
  28. 内藤友明

    ○内藤友明君 ただいま議題となりました七法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、地方公共団体負担金納付特例に関する法律案について申し上げます。この法律案は、最近における地方公共団体の財政状況にかんがみ、国の行う直轄事業について、地方公共団体が道路法、河川法、土地改良法及び港湾法等の法律に基いて負担する負担金については、当分の間政令で定めるところにより、当該地方公共団体の発行する地方債の証券をもつて納付することができることといたそうとするものであります。  次に、社等等に無償で貸し付けてある国有財産処分に関する法律の一部を改正する法律案は、昭和二十二年以来、神社、寺院等に無償で貸し付けてあつた国有財産処分にあたり、大蔵大臣の諮問機関として大きな役割を果して来た社寺境内地処分審査会が、現段階におきましてはおおむねその設置の目的を達成したと認められるに至りましたので、この際社寺境内地処分審査会等に関する規定を削除しようとするものであります。  次に、木船保険特別会計法案は、別途今国会木船保険法案が提出され、去る六月三十日本院を通過いたしておるのでありますが、この木船保険法が実施されることとなる場合におきまして、政府の再保険関係の経理を明確にするため、木船保険特別会計設置し、一般会計と区分して経理いたそうとするものであります。  次に、保険業法等の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、航空保険事業の現状にかんがみ、海上保険事業と同じく航空保険事業について私的独占の禁止及び公主取引の確保に関する法律等の適用を除外するとともに、所要の規定を整備しようとするものであります。  次に、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案は、特定道路整備事業特別会計におきましては、道路整備特別措置法に基き実施せられる国の道路整備事業及び地方公共団体に対する資金の貸付等に関する政府の経理を取扱つておるのでありますが、昭和二十八年度におきましては、その財源に充てるため一般会計より二十五億円を繰入れることができることといたそうとするものであります。  次に、漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、漁船損害補償法第三条第二項の規定による特殊保険について、昭和二十七年四月一日から同年十一月三十日までの間における漁船保険特別会計損失を補填するため、昭和二十八年度において、一般会計から五千万円をこの会計の特殊保険勘定に繰入れることができることになつておるのでありますが、同年十二月以降引続き特殊保険保険事故が異常に発生し、本年三月までにさらに二千八百万円余の損失を生ずるに至りましたので、一般会計からの繰入額五千万円を七千八百万円にいたそうとするものであります。  最後に、印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、印刷局、造幣局、国有林野事業、アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計におきまして、能率の向上により収入が増加し、または経費を節減した場合においては、公共企業体労働関係法の適用を受ける職員に対し、その増加額または節減額の一部に相当する金額を特別の給与として支給することができることといたそうとするものであります。  以上の七法律案につきましては、審議の結果、去る十日、質疑を打切り、討論を省略して、ただちに一括採決いたしましたところ、いずれも起立総員をもつて原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 七案を一括して採決いたします。七案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて七案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第十四、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案日程第十五、輸出信用保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員会理事中村幸八君。     〔中村幸八君登壇
  32. 中村幸八

    ○中村幸八君 ただいま議題となりました中小全業信用保険法の一部を改正する法律案並びに輸出信用保険法の一部を敏正する法律案の二件につき、通商産業委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  まず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のごとく、中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、金融機関の中小企業者に対する貸付につき政府が信用保険を行う制度としまして、昭和二十五年十二月に発足いたしたものであります。続いて一昨年十一月の改正により、指定法人の行う中小企業者の債務の保証をも保険の対象に加えまして、もつぱら中小企業者の信用を補完することにより、中小企業金融の円滑化に寄与して参つたものであります。かかる調度は、その普及とともに、利用は逐次上昇の一途をたどつているのが実情でありまするが、現在の金融情勢下においては、なお多大の困難を有する中小企業金融を促進するために、この際本制度に及ぶ限りの改善を加え、その運用を一層効果あらしめんとするのが、本法律案の提案の趣旨であります。  次に改正の要点を申し上げますと、第一に、中小企業者の定義を改正し、資本の額並びに常時従業員の数の制限を、五百万円以下から一千万円以下に、二百人以下から三百人以下に引上げ、新たに医業を主たる事業とする法人と調整組合及び調整組合連合会を対象に加えたのであります。第二に、相互銀行、無尽会社の行う給付を貸付に準じて保険することにいたしたことであります。第三は、金融機関を相手方とする保険について、保険金額の保険価額に対する割合を百分の七十五から百分の八十に引上げたことであります。第四に、保険金支払い請求権行使の始期を、現在の保険事故発生後六箇月経過時から三箇月経過時に繰上げたのであります。第五に、指定法人を相手方とする保険につき、保険金の填補率を現在の五〇%から六〇%に引上げたことであります。第六に、中小企業金融公庫、日本開発銀行及び国民金融公庫の行う代理貸しに際し、代理金融機関の債務の保証につき保険する制度を設けたのであります。以上が改正の主要な点であります。  本法律案は、六月二十九日当委員会に付託せられ、七月二日政府より提案の理由を聴取いたし、八日、十日と両日にわたり質疑が行われたのであります。その内容については会議録を御参照願います。  十日、質疑終了後、自由党小川平二君より本法律案について修正案が提出されたのであります。その内容は、附則の施行期日が八月一日となつておりますのを、今回の西日本水害にかんがみ、一刻も早く本法律案を実施せしめ、中小企業者の金融を促進せしめるべきであるとの趣旨により、公布の日をもつて施行するように修正いたしたものであります。  続いて、討論を省略し、採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案について全会一致をもつて可決した次第であります。  次に、輸出信用保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  輸出信用保険は、昭和二十五年にこの制度が設けられて以来、数次にわたる改正を経て、現在四種類の保険を包含する制度に進展しているのでありますが、最近の輸出取引の実情にかんがみ、輸出振興の本旨を達成いたしますために所要の改正を加え、制度全般の利用度を高め、その普及をはかろうとするのが、本法律案の提案理由であります。  次に、本改正案の主要なる点を申し上げますと、第一は、新たに輸出手形保険制度を設けたのであります。現在、わが国におきましては、外国為替及び外国貿易管理法の規定により、信用状に基く輸出代金の決済方式を標準決済方法とし、輸出取引は原則としてこれによるべきことといたしておりますが、最近、貿易の正常化に伴い、かつまた海外の競争の関係もあり、信用状なしの取引に対する要請が逐次生じて参り、政府としては、貿易市場の拡大のため弊害を伴わないと思われるものにつきましては、かかる信用状なしの取引を標準外決済方法として許可して行く方針をとつておるのであります。しかしながら、かかる際に代金回収のため振り出された為替手形が不渡りとなり、銀行が損失を来すおそれがあるため、手形買取りを拒否することもあり得るので、この際外国為替銀行の手形買取りによる損失をカバーするために輸出手形保険制度を創設しようというのであります。第二は、現行甲乙丙丁の各種保険の名称をわかりやすく変更いたしたことであります。第三は、各種保険の填補率を引上げたことであります。すなわち、普通輸出保険並びに輸出代金保険の填補率を現行の百分の八十から百分の九十に、輸出金融保険の填補率を現行の百分の七十五から百分の八十に引上げておるのであります。第四に、輸出金融保険並びに海外広告保険の適用地域の制限を撤廃したことであります。第五は、輸出に伴つて提供される技術の対価についても保険し得ることといたした点であります。以上がその大要であります。  本改正法律案は、七月一日当通商産業委員会に付託せられ、翌二日政府委員より提案の理由を聴取し、越えて十日、質疑及び討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  33. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。日程第十四の委員長報告は修正でありまして、日程第十五の委員長報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  35. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第十六、鉄道敷設法等の一部を改正する法律案日程第十七、水先法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長關内正一君。     〔關内正一君登壇
  36. 關内正一

    ○關内正一君 ただいま議題となりました鉄道敷設法等の一部を改正する法律案及び水先法の一部を改正する法律案につき、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、鉄道敷設法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  鉄道敷設法の別表、すなわち予定鉄道線路につきましては、大正十一年この法律制定以来ほとんど改正せられていないのでありますが、戦後におけるわが国産業経済の情勢の変化にかんがみ、今回鉄道建設審議会の答申に基き、新たに十三の線路を追加しようというのであります。  さて、本法案は、七月一日本委員会に付託され、同六日政府より提案理由説明を聴取し、九日質疑を行いましたが、その詳細は会議録によつて承知を願いたいと存じます。  かくて、七月十日質疑を打切り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して川島金次君、小会派クラブ館俊三君はそれぞれ本法案に対し賛成意見を述べられました。  右をもつて討論を終局し、採決の結果、本法案は全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました。  次に、水先法の一部を改正する法律案の要点を簡単に御説明いたします。  第一点は、従来水先を強制される船舶は、すべての外国船と、日本船では外航船の全部及びその他の船舶のうち総トン数五百トン以上でありましたが、最近の実情にかんがみまして、これを外国船及び外航船については総トン数三百トン以上、その他の船舶につきましては総トン数千トン以上に改めようとするのであります。第二点は、一部の水先区につきまして、最近における現地の実情に沿い、その区域を変更しようとするものであります。  本法案は、六月二十二日本委員会に付託され、二十七日政府より提案理由説明を聴取し、七月十日質疑が行われましたが、その内容は会議録に譲ることといたします。  同日討論を省略して採決いたしましたところ、本法案は起立総員をもつて政府原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  37. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————     〔坂田道太君登壇
  39. 坂田道太

    ○坂田道太君 ただいま上程せられました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案につきまして、両法案を一括いたしまして、その内容の要点と審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず初めに、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、御承知の通り、現在の義務教育諸学校職員の給与は、市町村立学校職員給与負担法に基きまして、都道府県が負担し支給することになつておりまして、その種類が第一条に列挙されております。一方、公立学校の教育公務員の給与の種類及びその額は、教育公務員特例法第二十五条の五によつて、当分の間国立学校の教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定めることになつております。こうした関係がら、昨年末に、国立学校の教育公務員については、一般職の職員の給与に関する法律改正せられ、年末手当を期末手当に改め、同時に勤勉手当が加えられましたので、この点を改正するのであります。  次に、教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案の主要な点を申し上げます。その第一の点は、養護教諭の職務と、その需給状況とを考慮し、また保健婦、助産婦、看護婦法の一部が改正されましたので、養護教諭の養成機関において看護婦を再教育する従来の方式に関する規定の一部を改正すると同時に、新たに大学等においても養成し得るように改正するのであります。第二点は、従来の現職教育のほかに、なお教員検定試験によつても上級の免許状を受けるのに必要な単位をとることができるようにするのであります。第三点は、大学の教員養成課程は、その適当であるかどうかということが非常に教員の素質に関係いたしますので、文部大臣は今後教育職員養成審議会に諮問し、その結果適当と認められた課程で教員養成を行うことにしようとするものであります。第四点は、現職教員の便宜のために、中学校または高等学校の教諭免許状を持つている者は、現職教育や教員検定試験によつて修得した単位によつて免許の教科をふやすことができるようにするのであります。第五点は、僻陬地などの小規模な中学校、高等学校等の教員構成の実情を考慮いたしまして、都道府県教育委員会の許可があれば、免許状を持たない教科でも一年以内を限り担当することができるようにするのであります。第六点は、中学校の芸能、体育等の教科の教諭免許状を持つている者は、小学校の当該教科の教員になることができるようにするのであります。  以上両法案とも慎重な審議をいたしましたが、特に教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案に関しましては、社会党左派を代表いたしまして辻原弘市君より、この法律は、今回の改正案を必要とするに立ち至つた点にも明らかな通り、ひどく複雑多岐であり、根本的な問題も伏在するもののように認められるので、なるべく早い機会に徹底的改正を行うべきであるとの要望がございました。採決の結果、両注案とも起立総員をもつて可決せられました。  右御報告申し上げます。(拍手
  40. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  42. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第二十、人権擁護委員法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員会理事鍛冶良作君。     〔鍛冶良作君登壇
  43. 鍛冶良作

    ○鍛冶良作君 ただいま議題と粗なうました人権擁護委員法の一部を改正する法律案につきまして、提案の要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、現行法は、全国の市町村に人権擁護委員を設け、人権侵犯の予防とその救済並びに基本的人権思想の普及高揚に当らしめて参つたのでありますが、過去四箇年の実績にかんがみまして、同法本来の目的を達成するため必要な改正をなすことが本法律案の趣旨であります。  次に、その改正点のおもなるものを申し上げますと、まず第一点は、人権擁護委員の推薦手続の改正であります。すなわち、市町村長が定員の倍数の人権擁護委員の候補者を推薦しますときは、法務大臣の委嘱に際し、常に半数は委嘱から落されることになり、運用上支障が多いので、市町村長は単に候補者を推薦すればよいという規定に改めたのであります。第二点は、市町村と人権擁護委員との関係の緊密化をはかるため、市町村長に対し協力義務の規定を新たに設けたのであります。第三点は、人権擁護委員の任期が従来二箇年であつたのを、一年延長して三箇年とした点であります。以上が本法律案の提案要旨であります。  さて、当委員会におきましては、人権が侵害された場合に、人権擁護委員の活動は実効が伴わないのが実情のようであるが、政府の対策はどうかとの質問がありました。これに対し、政府よりは、現在全国の三千七百余名に及ぶ人権擁護委員は、法務局、地方法務局と一体となつて、市町村、弁護士会及び各種民主団体の協力を得て、人権尊重思想の普及高揚に努めるとともに、人権侵犯の予防救済に活躍しておるのであるけれども、何分にも歴史が浅く、かつ人員並びに予算上の制約があり、十分の成果をあげ得られないのは遺憾であるが、今後大いに研究して善処したい旨の答弁がありました。次に、人権擁護委員の任命は、公選が理想であるが、今ただちに実施することは困難なので、これが推薦に際しては市町村長の独善に陥らぬよう、その地域の労働組合、農民組合、教員組合、青年団、婦人団体等の意見を広く徴して、民主的方法で候補者を推挙するよう、運営上の強い要望意見があり、政府もこの趣旨を了承いたしました。  かくて、質疑を終了し、討論省略の上採決いたしましたところ、人権擁護委員法の一部を改正する法律案は全会一致をもつて政府原案通り可決されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  44. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告み通り可決いたしました。     —————————————
  46. 今村忠助

    ○今村忠助君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  47. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十七分散会