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1953-07-07 第16回国会 衆議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日) 議事日程 第十七号     午後一時開議  第一 一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案内閣提出)  第二 昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提出)  第五 小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案内閣提出参議院送付)  第六 金管理法案内閣提出参議院送付)  第七 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律案内閣提出)  第八 在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十 厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十一 船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十二 国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十三 消防施設強化促進法案内閣提出)  第十四 臨時船舶建造調整法案内閣提出)  第十五 海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十六 臨時船質等改善助成利子補給法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した事件  領土に関する決議案益谷秀次君外三十九名提出)  九州地方水害調査慰問派遣議員団現地調査報告  日程第一 一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案内閣提出)  日程第二 昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提出)  日程第五 小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案内閣提出、一参議院送付)  日程第六 金管理法案内閣提出参議院送付)  日程第七 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律案内閣提出)  日程第八 在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第九 健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十 厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十二 船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十二 国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十三 消防施設強化促進法案内閣提出)  日程第十四 臨時船舶建造調整法案内閣提出)  日程第十五 海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十六 臨時船質等改善助成利子補給法案内閣提出)     午後二時四十一分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、益谷秀次君外三十九名提出領土に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  領土に関する決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します、上塚司君。     〔上塚司登壇
  6. 上塚司

    上塚司君 ただいま議題となりました領土に関する決議案につき、小会派クラブを除く各党派を代表いたしまして、その趣旨弁明いたします。  まず、決議案の全文を朗読いたします。   領土に関する決議案   平和条約の発効以来、歯舞及び色丹島等復帰を図ることは、わが国民あげての宿望であり、また、沖繩奄美大島小笠原諸島等内地施政から切り離されている不便を除去することも国民久しく切望し来つたのである。本院においても、院議をもつてしばしばこれを要望したが、いまなお、その実現を見るに至らないことは、国民のひとしく遺憾に堪えないところである。   よつて政府は、速やかにこれら諸島が完全にわが国に帰属するよう最善の措置を講ずべきである。   右決議する。  サンフランシスコで署名せられました平和条約は、すでにその効力発生後一年有余に及び、わが国民は領土問題の公正なる解決を希望すること切なるものがあります。本案におきましても、同条約に関連してしばしば熱心に論議せられ、特に昨年七月には領土に関する決議、同年十二月には奄美大島に関する決議等をもつて政府に対しすみやかに適切なる措置を講ずべきことを要望いたした次第であります。しかるに、政局の努力にもかかわらず、今日に至るもさしたる進捗を見ないことは、まことに遺憾にたえない次第であります。  そもそも一国の領土はその国民の歴史的、精神的渕源であり、その国民的感情に重大なる影響を及ぼしますことは、いまさら言うまでもないところであります。さらに、わが国が八千五百万の人口を擁し、領土平和条約により四大島及びその付属小島嶼に限定せられました今日において、零細な土地でも国民の生存及び経済の自立にはまことに貴重なる一部であるごと、また理の当然であります。  決議案の最初にあげました歯舞及び色丹島につきましては、平和条約において、わが国千島列島に対する権利を放棄するのやむなきに至りましたが、これらの諸島連合国のいずれの国に帰属すべきかは平和条約において確定しておりません。昭和二十年二月、米、英及びソ連三国間に結ばれましたヤルタ協定は、千島列島ソ連邦に引渡すと定めておりまするけれども、元来この協定は、これら三国がひそかに締結いたしました協定でありまして、直接にわが国を拘束するものではありません。かつ、千島列島範囲、限界につきましては、すこぶる明瞭でなく、関係各国の意見も必ずしも一致していないようであります。わが国の立場から申しますれば、従来日露間の交渉案件となりました安政元年日露和親条約、明治八年の樺太千島交換条約に掲げられました千島は、いわゆる北千島及び中千島でありまして、択捉、国後島のいわゆる南千島を含むものではありません。従つて条約等に現われた千島は、いわゆる北千島及び中千島だけをさしたものと解釈することが歴史家の通説であります。さらに、そのはるか南方に位します歯舞諸島色丹島に至りましては、地理上及び地質上もまつたく千島列島ではありません。その事実は、連合軍司令部占領中に出しました公式文書にも明らかにこれを認めており、サンフランシスコ平和会議の際のダレス米国代表の演説においてもこれを明らかにいたしております。ただ、戦時中わが国千島守備隊司令官のもとに守備せられておりましたため、降伏の際、千島諸島とともに同時にソ連軍占領せられた偶発的事情がありまして、今日なおそのままに占領が継続されておるにすぎないのであります。ソ連わが国とはいまだ平和の回復を見ていないのでありますが、政府は、あらゆる可能なる方法をもつて、これら諸島日本復帰について努力されんことを要望するものであります。  次に、沖繩奄美大島及び小笠原諸島につきましては、平和条約において、わが国は、これら諸島米国を唯一の施政権者とする国際連合信託統治制度のもとに置かれることを承認し、かつ信託統治実現せられるまで、米国がこれら諸島の領域及び住民に対して行政立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有することを認めたのであります。しかるに、これら諸島に対する米国信託統治は、現下の国際情勢上なかなかにその実現に困難な事情がありまして、前述の平和条約の規定により、いまなお米国行政立法及び司法上の権力が行使せられているのであります。元来、これら諸島は、すでに永年にわたり、わが国領土の一部として、歴史的、地理的かつ経済的に、日本本土密接不可分関係にあり、国民はすみやかに内地施政に統一せられんことを切望しており、島民はこぞつて内地施政との分離の現状に不便、苦痛を痛感し、あるいは陳情団中央派遣し、あるいは全島民署名運動その他あらゆる手段を尽してその熱望を訴えている次第であります。もしこれら諸島日本完全復帰が早急に実現困難であるならば、さしあたり教育、産業、戸籍その他各般の問題につき、すみやかに、かつ広い範囲にわたりわが国を参加せしむるよう、政府において格段の努力を要望するものであります。なかんずく奄美大島につきましては、従来最も本土に近接し、鹿児島県の一部でありました関係上、本土住民との血縁的関係もきわめて深く、住民熱望も最も切実でありますので、政府においても特別の考慮を払わるるよう要望にたえません。さらに、小笠原島につきましては、日本国民たる旧住民は全部内地引揚げておりまする関係上、まずこれら住民の帰還を一日もすみやかに実現するよう政府に要望するものであります。  何とぞ各位の御賛同を得まして、全会一致可決あらんことを切望いたします。(拍手
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案に賛成の諸君起立を求めます。     〔総員起立
  8. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立総員。よつて本案は全会一致可決いたしました。(拍手)  この際外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣岡崎勝男君。     〔国務大臣岡崎勝男登壇
  9. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ただいま御決議にありまする諸島復帰につきましては、政府といたしましてもまつたく御同感でありますが、すでに累次本院の決議の次第もありますので、従来からこれら諾島のわが国復帰努力して参つたのでちります。歯舞及び色丹の両島わが国主権に属することは明らかでありますので、わが国としては、その復帰を国際的に主張し得るものと確信しております。しかし、現状は、御承知通り依然ソ連邦に占拠されておりますので、これが復帰実現には今後とも特段の努力を必要とする次第であります。  次に、沖繩等の南西諸島及び小笠原等南方諸島につきましては、わが国主権を有することは明らかでありまするが、同局住民諸君の熱烈なる希望に沿うように、累次米国側と折衝して参りました。その結果、米側も、その軍事上の冨的に支障のない限りは、同地域本土との経済的、文化的関係正常化に対し異存がないのでありますので、現に極力必要の措置を進めております。たとえば、交易上の手続簡易化郵便為替送金実施、学生の進転学研究教員の受入れ並びに交換教授派遣公務員に対する恩給等の支払いについては実施の段階に達しており、さらに渡航手続簡易化につきましても折衝中で、近く実現の見込みであります。しかしながら、さらに全面的の復帰についても政府としては最大の努力をいたすつもりでおります。また、奄美大島小笠原諸島等についてのただいまの御趣旨弁明もありましたが、この線に沿いまして、右両島等につきましてはさらに一層の努力をいたす覚悟であります。(拍手)      ————◇—————
  10. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 九州地方水害調査慰問派遣議員団を代表して金光庸夫君から、現地調査の結果を報告のため発言を求められております。この際これを許します。金光庸夫君。     〔金光庸夫登壇
  11. 金光庸夫

    金光庸夫君 去る六月二十七日の本院の議決によりまして各党から選出されました十五名の派遣団水害調査慰問状況につきまして、派遣団を代表いたしまして御報告申し上げます。実は詳細に御報告申し上げたいのでありますが、運営委員会より時間の制約を受けましたので、遺憾ながら大部分を省略いたします。なお詳細は書面をもつてお手元まで御報告申し上げることといたしまして、かつ災害対策特別委員会へも御報告いたすつもりでございます。  派遣団一行は、二十八日の夜出発しまして二十九日正午より七月三日にわたつて不眠不休の熱心な調査をいたしました。以下、その被害概況、その惨状について御報告いたします。御報告にあたりまして、各位から醵出せられました見舞金四十六万六千円を被害各県に手交いたし、かつ慰問申し上げましたことを御報告申し上げます。その他至るところで、衆議院の名前でそれぞれ罹災者を慰問いたしました。まず各県の被害実情を申し上げるにあたり、罹災者並び救助作業中に尊き命を断たれました人々のあることを御報告いたしますとともに、調査団一行は、胸迫る思いで、各位とともに復旧の一日もすみやかならんことを熱望いたす次第でございます。  調査団は、現地福岡において三班にわかれて福岡大分の各県を第一班とし、佐賀長崎県を第二班、熊本県を第三班といたしましてつぶさにその被害状況調査いたしました。ただいまより災害の概要並びに調査実情につきまして御報告いたします。なお、これから申し上げます数字は、きわめて最近に県当局から提出されました数字の各県の集計でありますが、なお続々と判明して参りますので、さらに増加するものと御承知を願いたいのであります。  死者及び行方不明——行方不明、すなわちなくなつたので、ございましよう。その死者の合計が一千百三十六名、重軽傷者一千八百七十五名、罹災者総数百七十五万人の多きに上つております。住宅の全壊、流失、半壊一万八千百九十四戸、住宅浸水五十一万五千百四十戸、道路決壊一万一千二百二十二箇所橋梁流失千九百箇所堤防決壊四千八百八十九箇所田畑被害二十七万五百八十五町歩被害総額は二千百十億円に達しております。そのうち、土木関係被害額は三百十億円を越えておるのであります。  次に、順次各県の主要なる被害箇所及び調査団一行がまのあたりに調査した地域惨状を申し上げます。  まず、福岡県について御報告いたします。  本県は、災害の最も甚大なる筑後川においては、堤防決壊は十箇所に及び、特に大福村のごときは一千メートルの長きにわたつて決壊して、支流の巨瀬川、陣屋角、高良川、宝満川等、ことごとく決壊しない河川はないのであります。このため、流域一帯久留米市を中心として、朝倉、浮羽、三井、三潴の各部筑後平野は一面どろ海と化し、人家流失、倒壊、埋没続々と生じまして、さらに朝倉郡等においては、再び二十八日の豪雨によつて、どろ海となつて、軒先まで浸水しまして、三井朝倉一帯は、長きはすでに六十時間以上を経過したときにおいてさえ、依然として孤島の不安にさらされている地域が多く、全域にわたつて死傷者あるいは行方不明者多数を生じ、まことに惨状をきわめている次第であります。久留米市は、ほとんど全市浸水を見まして、商品はほとんど全部冠水しています。次に、矢部川及び遠賀川流域全村はほとんど浸水しまして、住民はいかだを組んで避難したのであります。なお、関門トンネルは前例のない浸水に見舞われまして、門司市は、突如としてものすごい山津波に襲われ、人家流失死傷者多数に上り、電車道には四畳大の巨岩を初め、岩石堆積して交通をはばみ、さらに門司小倉を結ぶ延命手トンネルも土砂で埋もれ、交通遮断され、小倉市は山くずれのために六十名が生埋めになり、さらに筑豊炭田地帯においては、完全水没二十数鉱、一部浸水三十四鉱に及んでおります。  次に、福岡県当局とつ応急措置について一言いたしますが、災害発生と同時に、災害救助法による救助隊を組織しまして、罹災者救助に当つたのであります。しかしながら、舟艇不足のために救助が著しく困難でありましたが、あらゆる方法を講じて懸命の努力をしたということであります。災害中心地筑後地域に対し、保安隊二千数百名の応援を得て、速日救助作業を続けて、遠賀川流域に対しましては、保安隊出動のほか、芦屋地区駐留軍応援を得まして、鉄舟による救助を続け、孤立化した罹災民救助に成功しております。なお、政府米百七七五トンを配給し、政府手持ち乾パン十八トンを手配し、その他衣料等物資飛行機にて投下しておるような現状であります。従つて、幸いにして餓死した者はないようですが、連絡困難な箇所におきまして、孤立している罹災者の中には、雨中戸外に夜を明かし、一回にわずか握り飯一個の給食を受けたそうであり、校舎等に集団して収容している者も、夜具はなく、ぼう然自失してその日を過しているありさまであります。なお、医療、防疫、住宅河川道路農作物等関係におきましても、その対策を講じ、例をとりますれば、苗を他県から移入するとかいたしております。  次に、大分県の被害状況について御報告いたします。  本県豪雨は古今未曽有といわれる驚異的なものであり、その降雨量は、最高森町において九百十五ミリという驚くべきもので、かつて県下猛威を振つたキジア、ルース両台風の降雨量の二倍に近いありさまで、このため、県下各地は、おびただしい山くずれ、道路決壊橋梁流失等炉発生し、これに加えて、水稲の植付期にあたり満水の状態にあつたので、耕地流失埋没浸水冠水等による被害は甚大なものであります。そのおもなる被害箇所は、県下全域にわたつておりますが、特に大分川、山国川、玖珠川、日田市を中心とする筑後川流域であります。このため、日田市、日田郡、玖珠郡、大分市、大分郡、直入郡、下毛郡等の一帯被害甚大をきわめ、死傷者多数を出し、まことに目に余る惨状をきわめております。調査団は、大分市、大分大分川附近より中津町に入り、これより非常な困難を冒して日田郡及び日田市に入り、つぶさに、本県下で最も被害の甚大なる日田郡、日田市及び大分郡、大分市の惨状をまのあたりに調査し、住氏並びに関係当局者を慰問激励いたしました。なお、夜明のダムが、流水により、その損害は二億に達しておる由であります。  県におきましては、緊急議会を召集して、応急措置費として四億七千余万円を計上いたしました。当局とつ応急対策といたしましては、特に災害救助法の発動、保安隊出動を求め、罹災者救助に当り、あらゆる努力をしておる次第であります。衛生治安状態はきわめてよく、物資の配給もよく行われ、応急対策には万全を期しておる次第であります。  次に、佐賀県の被害状況について申し上げます。  本県は、大別して山岳地帯山麓地帯及び平坦地帯にわけられるのでありますが、山は急峻であつて平坦地干拓地を含む大平野であるため、今回のごとく短時日に九百十六ミリという多量の降雨があつた場合、山くずれ、堤防決壊氾濫家屋流失浸水田畑冠水、塩水の浸入、交通杜絶等被害をこうむりやすいのでありまして、嘉瀬川、城原川、田手川等の堤防決壊し、佐賀平野はたちまちにして氾濫状態に陥つたのであります。また、筑後川においては増水はなはだしく、計画水位を超過すること実に一メートル五十にも及び、秋光川、大木川、安更川等の決壊により、三養基郡、神埼郡の十余箇町村は一面どろ海と化し、数日間五万人の罹災者に食糧、飲料水飛行機または船で補給するほどの惨状を呈し、公務員三名の殉職を見たほどであります。一方、松浦川流域は、耕地流失埋没はなはだしく、同市の水源地は崩壊し、伊万里川、佐代川等、決壊氾濫せざるはなく、その箇所は実に六百になんなんとし、その被害地域は全県の八割に達し、罹災者は二十二万を越える状況で、実に六十年来未曽有の大水害となつたのであります。県知事の指揮のもと、一千八百町歩県営種苗圃設置など、県当局の適切なる措置と、保安隊駐留軍等の献身的な努力によりまして、応急対策に日夜その成果を上げつつあるのであります。  次に、長崎県の被害状況について申し上げます。  県北部の佐世保、北松浦郡及び県南部島原半島南辛は甚大な被害を受け、その惨害は言語に絶し、鉄道及び国道は寸断され、電信電話も連絡は絶たれ、県はほとんど孤立状態となり、山津波による道路農作物家屋等被害は甚大なるものがあつたのでありますが、特に、かねて蠢動していた地すべりは、この豪雨のために特に活発となり、北松浦一帯において、がけくずれ、地すべりを惹起し、なかんずく今福町石倉山及び雇尾地区の大地すべりは、鉄道及び国道埋没して、いまなお進行中であります。その他、世知原町長田代柚木等は目下活動中であり、いつ大地すべりとなるかわからない危険な状態に置かれているのであります。  次に、熊本県について御報告申し上げます。  出水はまず菊池川水系鹿本菊池両部に始まり、五名郡これに準じ、続いて白川水系阿蘇郡方面に移り、転じて熊本市を中心とする地域猛威を振つたものであります。菊池川白川等を初め、各河川はたちまちにして怒濤の奔流するところとなりまして、熊本市を初め、阿蘇菊池鹿本、三名、飽託その他各部河川沿岸地域は、一瞬にして阿鼻叫喚の修羅場を現出したのであります。  以下、おもなる罹災地概況を御報告申し上げます。まず、被害の最も甚大なる熊本市の状況を見まするに、白川氾濫がかかる惨状を招来した根本原因であると思われます。白川橋梁は、十七箇所のうち、完全に残るものはただ一箇所であります。市の中心部にして、水深五尺より一丈に達しました。大江町の養老院が一挙に倒壊し、逃げ遅れた病人など五十二名がその下敷となつたのを初め、火山灰土を主とする泥濘と濁水の中に逃げ惑う市民、浮流する家財、商品、右往左往の混乱状態を呈したのであります。白川上流に当る阿蘇郡におきましても、まず小国町、南小国村一帯は、山津波による被害が甚大で、なかんずく奴留湯部落は全戸押し流され、五十四名の行方不明を出すという集団犠牲が発生いたしました。さらに、杖立、天ヶ瀬温泉のごときは全滅したと言われております。  今回の水害による概数は以上の通りでありまして、一瞬にして一千百余の人命を奪い、二千億円の大被害を与え、わが国の記録にいまだかつてなきできごとでありましで、筑後川上流のごときは水位増嵩十二メートルに達し、二百年前の建築といわれる家屋流失したところさえありまして、ただただ驚嘆のほかありません。その悲惨なる事例は枚挙にいとまありませんが、その一、二の例をあげますれば、佐賀県においては、村の警固隊員の一人は、堤防にて勇敢に防護に従事しておるうちに、堤防が前後二箇所にて決壊しまして、絶望に瀕するや、手をあげて、皆さんさようならと笑つて濁流にのまれて行つたとのことであります。その悲壮なる責任観念は表彰に値すると思います。また、大分堤防決壊により、大分市の孤立家屋に二十四名の人々が屋上にはい上つて阿鼻叫喚救いを求め、中に三歳の小娘が、両手を合せ、群衆に向い、お母さんを助けてくださいと伏し拝むありさまを見て、泣かない者はなかつたということであります。幸いにして、海上保安隊が危険を冒して上陸用舟艇よりモアイ銃を発射して、最後の一発が命中し、ロープをつなぐことができて救援に成功したとのことであります。その功績は没すべからざるものがあります。ただ、保安隊出動後の行動は、米駐留軍救援のともに感激にたえない次第でありますが、当初県当局保安隊出動を懇請したに対して、一部においては、中央の指令がなければ動けぬとて、数日遅れたのは遺憾にたえない次第であります。下部機構としては無理からぬこととは存じまするが、非常事態に際しては機宜の措置をとり得るようにしておきたいものであると存じます。(拍手)これと相似たものに農業倉庫事例があります。遠賀川べりの植木町の倉庫に一万三千俵の米が貯蔵してあつたが、これを取出すには上司の印を要するとて、水浸しになつてしまつたとのことであります。かかる事例は至るところにあります。これらも非常の場合の措置をあらかじめ考慮しておくべきであるとの声がありました。  また、至るところ遭難者収容所を見舞いましたが、ただぼう然自失、一切の表情を、忘れたるやの観があります。実にお気の毒にたえません。すみやかに応急対策を講じて、これに希望を持たしむることが必要であると思います。ある罹災者いわく、私どもは、家屋、家具その他一切の財産を喪失しましたが、田地さえあればまた立ち上る手段もありますが、これが表土を流失し、砂利に埋没したのでは、砂利を搬出せねばなりません。また熊本の水田は、ヨナ、すなわち火山灰の強酸性泥土堆積のため、これを搬出して普通の土壌と入れかえて、米作に適するよう復旧するには十年を要するとのことであります。転業のほかはあるまいが、それも見込みがつかぬとて、あすからの身の振り方に悩んでおる者も多いのであります。至急に、福井の例にならつて家屋建築資金及び土地復旧補助を要すると存じます。また、稲の植付のできるところでも、堤防決壊箇所の応急修理をして用水の施設をしなければ植付はできません。せつかく植えつけても、また旱害にかかるということになるのであります。それも、よほど急がねば間に合わないのであります。また、材木の流失によつて、資材不定のために素材の払下げも急を要すると言われています。大分川では、橋げたの上三メートル以上の水位で、その上と下の堤防とも大決壊をして、家屋は全部流失しておるところがあります。しろうと目にもわかることは、架橋の位置は、上部の川幅の三分の一に狭められております。その設計に大いなる無理があつたのではあるまいかと存じます。  次に、救護及び医療について急速なる機動性を要望する声があります。なお、現地における政府関係機関の有機的な密接な連絡について一般のくふうを要望する声がありました。応急つなぎ資金は概算五十億見当が必要だと思われます。その他、各種施設の復旧はもとより、肥料の補給、営農資金の貸付並びに補助、起債わくの拡張、諸税の減免、災害救助法の改正、災害特別法の制定、その他幾多の施設対策が要望せられておりますが、すべてこれらは特別委員会に譲りまして省略いたします。  終りに臨みまして一言いたしたいことは、娑婆という言葉は、譲り合い、助け合うという言葉だと聞いております。願わくは、お気の毒な難民諸君に対して、深甚なる御同情のもとに、超党派的にすみやかに対策を樹立すると同時に、今回の大災害にかんがみて、今後再びかかる災禍にかからぬよう、転禍為福の道を講ぜられんことを切望してやみません。  これをもつて報告を終ります。(拍手)      ————◇—————
  12. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案日程第二、昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案日程第三、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案、第四、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案日程第五、小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案日程第六、金管理法案、右六案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。     〔淺香忠雄君登壇
  13. 淺香忠雄

    ○淺香忠雄君 ただいま議題となりました六法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、昭和二十八年度において一般会計歳出財源に充てるため、緊要物資輸入基金特別会計の緊要物資輸入基金から十五億円を限り一般会計に繰入れることとするとともに、基金に属する現金に不足が生じたときは、一時借入金をし、または融通証券を発行して一時これを補足することができる道を開くことといたした次第であります。  次に、昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、昭和二十一年度における一般会計、旧帝国鉄道会計及び旧通信事業特別会計借入金につきましては、その償還期限昭和二十八年八月一日まで延期せられておるのでありますが、同期限までに償還いたしますことは困難でありますので、償還期限をさらに昭和三十一年三月三十一日まで延長することとし、その間において、必要な場合には公債に借りかえることができることとしようとするものであります。  次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、補助貨幣回収準備資金状況及び一般会計財源の必要から見て、造幣局特別会計の補助貨幣の製造に要する経費並びに同特別会計の固定資産の拡張及び改良に必要な金額を補助貨幣回収準備資金から使用することができるようにするとともに、従来一般会計に納付することとなつておりました同会計の決算上の利益金につきましては、これを回収準備資金に編入することに改めようとするものであります。  次に、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案について申し上げます。この法律案は、最近における財政状況にかんがみ、昭和二十八年度において国債の元金の償還に充てるための一般会計から国債整理基金特別会計への繰入金について特例を設けるとともに、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が一般会計に対し負う債務の償還金等を国債整理基金特別会計の歳入として受入れて、経済の簡素化をはかることといたそうとするものであります。  次に、小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案について申し上げます。この法律案は、最近における取引の実情に即応して、一円以下の臨時補助貨幣並びに一円未満の貨幣、小額紙幣及び日本銀行券を整理するとともに、今後一円未満の通貨発行を停止することとし、さらにこれに伴い、現金支払いの場合における支払金端数計算の基準を定めて、取引の円滑化をはかろうとするものであります。  次に、金管理法案について申し上げます。この法律案は、最近における金の生産及び金に対する実需の状況に即応いたしまして、政府としては、新産金の一部のみを買い上げることとし、それ以外の金につきましては一切の統制を廃止いたしまして、価格及び取引ともに自由にいたそうとするものであります。  以上の六法律案につきましては、審議の結果、去る四日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに一括採決をいたしましたところ、いずれも起立総員をもつて原案の通り可決すべきものと確定いたした次第であります。  はなはだ簡単でありますが、以上御報告申し上げます。(拍手
  14. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 六案を一括して採決いたします。六案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて六案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  16. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第七、国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律案日程第八、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員会理事福田篤泰君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔福田篤泰君登壇
  17. 福田篤泰

    ○福田篤泰君 ただいま議題となりました二法律案について、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律案は、いわゆる引揚者の帰国のための臨時措置の対象となる在外国民を除き、一般に領事官の駐在している地に在留する在外国民が、困窮のため帰国を余儀なくされ、あるいは在留する国の官憲による退去強制の処分を受ける場合におきまして、それらの者が自己の負担で帰国できないときには、領事官が、その職務の一端として、帰国を援助する等の措置を定めることを目的とするものでありまして、主として日本船舶の船長に対する送還命令、帰国のための旅費等の貸付、帰国費、帰郷費の償還等を規定しております。  次に、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を御説明申し上げます。去る第十三国会において在外公館名称及び位置を定める法律等が制定せられ、昭和二十七年度内に設置すべき在外公館について諸規定が定められましたが、その後、わが国の平和回復とともに、外交施策の推進、特に通商関係の発展を期するため、昭和二十八年度においてさらに在外公館の増置を必要とするに至りました。従つて、この法律案は、在キユーバ、在コスタリカ、在パナマ、在ヴエネズエラ、在ボリヴイア、在イラン、在オーストリア、在ルクセンブルグの八公使館並びに在ベレーン、在ダツカ、在ナイロビー、在ラゴスの四領事館、合計十二館の増置を規定し、かつこれに伴う関係法の改廃を行うものであります。  これらの二法律案は、ともに六月十九日内閣から衆議院に提出され、本委員会に付託されましたので、同二十四日及び七月四日の両日委員会を開き審議をいたし、まず政府委員から提案理由の説明があり、委員から質疑が行われましたが、その詳細は委員会議録により御了承を願います。  続いて、討論は省略し、採決の結果、両法律案ともそれぞれ全会一致をもつて原案の通り可決せられました。  この段御報告申し上げます。(拍手
  18. 原彪

    ○副議長(原彪君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  20. 原彪

    ○副議長(原彪君) 日程第九、健康保険法の一部を改正する法律案日程第十、厚生年金保険法の一部を改正する法律案日程第十一、船員保険法の一部を改正する法律案日程第十二、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小島徹三君。     〔小島徹三君登壇
  21. 小島徹三

    ○小島徹三君 ただいま議題となりました健康保険法の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案及び国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案、四法案の厚生委員会における審査の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  まず、健康保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。最近の社会的、経済的情勢の推移にかんがみ、適用範囲の拡大その地本制度の拡充をはかるため、所要の改正を行わんとするのが政府の本法案提出の理由であります。  本法案のおもなる改正点を申し上げますれば、第一に、現行の適用範囲を拡大し、新たに土木、建築、教育、研究、調査、医療、通信、報道、社会福祉及び更生緊急保護事業を適用事業とすることであります。第二は、標準報酬を、現行最低二千円から最高二万四千円までの十九等級を改め、三千円から三万六千円の二十等級とするとともに、その決定を毎年定時に行おうとすることであります。第三は、療養の給付期間を現行の二年から三年に延長することであります。  次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。本改正案は、健康保険法の改正に伴い所要の改正を行おうとするものでありまして、そのおもなる点を申し上げますれば、第一に、適用範囲健康保険法の改正と同範囲、すなわち土木、建築、教育、研究、調査、医療、通信、報道、社会福祉及び更生緊急保護事業を適用事業とすることであります。第二に、標準報酬を、現行最低二千円から八千円までの十等級を改め、これを三千円から八千円までの六等級にするとともに、その改正は毎年一回定時に行おうとすることであります。第三に、傷病が治癒しない場合における廃疾の認定時期を、療養の給付開始後三年経過の時といたそうとするのであります。  次に、船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。本改正案のおもなる点は、第一に、療養の給付、傷病手当金及び家族療養費の支給期間を三年に延長せんとすることであります。第二に、傷病がなおらない場合における廃疾認定の時期を、療養の給付開始後三年を経過した時といたすことであります。  次に、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案について申し上げます。現行法は第十三回国会において制定せられ、保険者の診療報酬の未払いを解消し、国民健康保険の再建整備を助成することを目的としておるものでありますが、同法の施行の実績を見まするに、予期の半はにも達せぬ実情にありますので、今回貸付金額を増額する等所要の改正を行い、所期の目的を達成せんとするのが、政府の本改正法案提出の理由であります。  次に、本改正法案のおもなる点を申し上げますれば、第一は、現行法では昭和二十六年度末までの診療報酬の未払いを昭和二十九年度までの間に解消することになつておるのを、昭和二十七年度末までの診療報酬の未払いを昭和三十年度までの間に解消するようにいたすことであります。第二に、現行法では貸付対象額は未収保険料の百分の五十となつているのを、百分の八十に引上げ、これに伴い、保険者が未払い診療報酬の支払いに充てるべき自己資金は、現行法では貸付金額と同額となつておるのを、貸付金額の四分の一に引上げようとすることであります。第三は、現行法による昭和二十七年度における貸付実績の低調にかんがみ、昭和二十六年度末までの未払い診療報酬の支払いに充てるため、昭和二十八年度においても貸付ができることとし、前項の改正にならつてその貸付対象額を増額することができるようにすることであります。  健康保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案の二法案は六月十九日、船員保険法の一部を改正する法律案は六月二十二日、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案は六月二十三日、それぞれ本委員会に付託せられ、前三法案は同二十三日、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案は同二十四日、政府より提案理由の説明を聽取した後、数回にわたり審議に入りましたところ、医療給付費の国庫負担、療養期間延長に伴う医療費の増加、厚生年金積立金の還元融資、年金保険給付額の改訂、診療報酬の適正化、各種保険の統合等につき、きわめて熱心なる質疑応答が行われたのであります。  かくて、七月三日、以上四法案の質疑を打切り、同六日四法案を一括して討論に入りましたところ、自由党を代表して田中委員より、健康保険法の一部を改正する法律案については附帯決議を付し、その他の法案については希望を述べて賛成の意見が述べられ、日本社会党を代表して柳田委員、日本社会党を代表して杉山委員、自由党を代表して中川委員、改進党を代表して須磨委員より、それぞれ希望意見を付して賛成の意見が述べられたのであります。なお、詳細については会議録により御承知願います。  次いで、採決に入りましたところ、四法案は全会一致原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  なお、健康保険法の一部を改正する法律案について自由党の田中委員から提案せられた附帯決議を朗読いたしますれば、    附帯決議案   健康保険法第五十七条の医療期間延長に伴い、政府は此の際医療の万全を尽すため可及的速かに懸案中の諸問題の解決と医療給付に対する国庫負担の実現努力せられんことを望む。でありまして、本附帯決議案は全会一致をもつて議決せられた次第であります。  右御報告申し上げます。
  22. 原彪

    ○副議長(原彪君) 四案を一括して採決いたします。四案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  24. 原彪

    ○副議長(原彪君) 日程第十三、消防施設強化促進法案議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長中井一夫君。     〔中井一夫君登壇
  25. 中井一夫

    ○中井一夫君 ただいま議題となりました消防施設強化促進法案に関し、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。  年々増加する火災の損害に対し、市町村の消防施設はきわめて不完全なものでありますが、現下の窮乏せる地方財政をもつてしては、とうてい思うような措置を講ずることができないのであります。しかして、消防組織法第十五条の規定によりますと、消防の施設に対し国庫補助金を出すには別に法律を制定しなければならぬことになつておるのでありますが、従来いまだこの法律が制定せられておりませんので、今回本法案を提出し、国庫補助に関する具体的事項を定めんとするものであります。  法案は、去る六月十六日内閣より衆議院に提出せられ、同日本委員会に付託、六月二十三日政府委員から提案理由の説明を聽取した後審議を重ね、七月六日質疑を終了いたしましたところ、自由党、改進党及び日本社会党各委員共同をもちまして、法案の第七条中、「消防施設の購入若しくは設置について必要な指示を行い、」を削り、それに伴つて第六条第一項第三号を削るという修正案が提出せられました。これは地方自治権尊重の趣旨から、かつは報告書の徴取または実地検査をもつて監督の目的を達するに足るとの見地から、第七条の内閣総理大臣の指示権は不必要なものと認めたためでありまして、討論採決の結果、全会一致をもつて修正案並びに修正せられた部分を除く原案を可決いたし、かくて本案は修正議決すべきものと決せられた次第であります。  なお、一般公共事業費の面における消防の補助に関する予算は、従来は建設省の所管でありましたのを、爾今国家消防本部にこれを移管するように努力する旨政府委員から言明のあつたことを、この際付言いたしておきます。  右報告いたします。(拍手
  26. 原彪

    ○副議長(原彪君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  28. 原彪

    ○副議長(原彪君) 日程第十四、臨時船舶建造調整法案日程第十五、海上運送法の一部を改正する法律案日程第十六、臨時船質等改善助成利子補給法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長關内正一君。     〔關内正一君登壇
  29. 關内正一

    ○關内正一君 ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法案海上運送法の一部を改正する法律案及び臨時船質等改善助成利子補給法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、臨時船舶建造調整法案趣旨並びに内容を簡単に御説明いたします。  従来、鋼船の全部と二十総トン以上の木船の建造は、臨時船舶管理法により許可を受けることになつておりましたが、同法は本年四月二十八日限りで失効となつたのであります。しかしながら、わが国の国際海運の健全な発達を期するためには、なお当分の聞建造される船舶について調整する必要がありますので、臨時的措置として、総トン数五百トン以上の国際航海船に限りその建造を許可制にしようとするのであります。  本法案は、去る六月十七日本委員会た付託され、二十三日政府より提案理由の説明を聽取し、七月一日及び六日質疑を行つたのでありまするが、内容は会議録に譲ることといたします。  かくて、七月六日採決の結果、本法案は起立総員をもつて政府原案通り可決すべきものと議決いたしました。  次に、海上運送法の一部を改正する法律案について申し上げます。  従来、旅客船が遭難の結果旅客が被害をこうむつた際に、被害者またはその遺族から賠償金または弔慰金を請求されましても、満足に支払えない事例がしばしば生じおるのであります。このような場合に備えて、利用者の利益を阻害している事実があると認めるときは、運輸大臣が保険命令を出すことができるように改めようとするのであります。  本法案は、六月二十二日本委員会に付託され、二十四日政府より提案理由の説明を聽取し、七月六日、自由党關谷勝利君よわ、保険命令を事前に発し得るようにするとともに、総トン数五トン未満の旅客船については、海上運送法、船舶安全法及び船舶職員法の適用を受けしめることとして、旅客並びに船舶の安全を期すべきであるとの修正案が提出されたのであります。この修正案について質疑が行われましたが、その内容は会議録に譲ることといたします。  次いで、修正案について討論に入り、日本社会党川島金次君より、本法の実施に伴い、五トン以下の船舶による旅客定期航路事業者の負担の増加を免れないので、政府はこれら中小業者の保護育成に万遺憾なき措置をとられたい旨の附帯決議を付して賛成の意見が述べられました。かくて、修正案について採決の結果、起立総員をもつて可決され、次いで、附帯決議案について採決の結果、これまた起立総員をもつて可決され、本法案は、附帯決議を付して修正議決すべきものと決した次第であります。  次に、臨時船質等改善助成利子補給法案について申し上げます。  現在、わが国の船腹量は、外航船は著しく不足しておりまするが、一方内航船は、沿岸荷動きに比較して約二十五万重量トンが過剰であり、しかもその大部分はきわめて性質の悪い不経済な船舶なのであります。これらの船舶の整理は、わが国海運再建上喫緊の要務と存じます。かような見地から、低性能船舶の所有者がその船を解撤して外航船を建造する場合に、建造資金の融資について政府が和子の補給を行いまして、船質の改善を促進しようとするのであります。  本法案は、六月二十四日本委員会に付託され、二十七日政府より提案理由の説明を聽取し、七月一日及び六日質疑を行いましたが、内容は会議録に譲ります。  次いで討論に入り、日本社会党山口丈太郎君より、低性能船の解撤に際し、当該船舶の船員の中から犠牲者が生じないよう、政府並びに船主は万全の措置を講ずることを希望条件として賛成の意見が述べられました。引続き採決の結果、本法案は起立総員をもつて政府原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  30. 原彪

    ○副議長(原彪君) 三案を一括して採決いたします。日程第十四及び第十六の委員長の報告は可決でありまして、日程第十五の委員長の報告は修正であります。三案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 原彪

    ○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告通り決しました。  明八日は定刻より特に本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十九分散会