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青野武一君 私は、
ただいま
議題となりました
昭和二十八
年度一般会計暫定予算補正第二号その他二つの
予算案に対しまして、
反対の
意思を
社会党を代表して申し上げたいと思います。あわせて、
社会党両派が提案をいたしました、
ただいまの組みかえ
動議の組みかえ案に対しまして、
賛成の
意思を表明するものであります。(
拍手)
昭和二十八
年度予算総額は九千八十二億八千四百三十四万円でございます。四月、五月、六月の
暫定予算の
総額は二千三百四十四億円にな
つておりまして、この
議題になりました七月の
暫定予算の
総額は九百六十七億八千四百九十六万円であります。私たちが
歳入歳出を各項目にわた
つて研究いたしまして、はつきり言い得ることは、特定の
外国の
隷属経済の上に立つた、
こま切れ予算であるということを申し上げたいのであります。(
拍手)
地方自治体の
諸君が
東京に参りますると、四月、五月、六月、七月と
暫定予算が続いていては、いざり勝五郎のように、これは中風のような
予算である、や
つて行けない。——きのうも私は
千葉S件の
印旛沼の
干拓事業をちよつと見て参りましたが、六月
暫定予算一千万円、四月と五月が四千万円、こんな小額の
予算では、農林省の
職員百四、五十名の
諸君が半分以上手をこまねいて遊んでおらなければなりません。一日雨が降れば、
印旛沼、手賀沼のあの氾濫によ
つて、周囲千五百歩が水浸しになる。この重大なる
干拓事業に対して、このような
自由党の
抜き打ち解散によ
つて、
こま切れ予算が次々に出ては、仕事にならぬと言
つておる。(
拍手)
私はこの
内容について二、三関連をして申し上げますが、組みかえ
動議の
内容の
説明が具体的にございましたので、私はそれについて重複を避けるために、細かいことは申し上げません。
問題にな
つておりまする
国家公務員、
地方公務員、
義務教育国庫負担金を
増額することによ
つて教職員諸君の
夏季手当の
半月分を一箇月分にする問題につきまして、私は、これを
要求する同士の
諸君とともに、その
目的完遂のために努力をして参りました一人でございますが、例年の慣例によれば、私の記憶しているところでは、
鈴木正文氏が
労働大臣になり、
保利茂氏がなり、そして
吉武惠市氏がなりましても、一応
国会本会会議場から
自由党政府の
労働行政に対する
説明がいつも行われるはずであります。それを素通りにしておいて、
日本の
労働組合の
諸君の
要求を無視して今度の十六
特別国会に
提出いたしました
ストライキ制限法のごときは、これは明らかに
小坂労働行政の大きな行き過ぎである。今までの
労働大臣もそうでございまするが、
単独立法をも
つて、
公共の
福祉の名によ
つて、いわゆる憲法二十八条の
労働基本権の条章にさわるような行き方が公然と行われているようなことでは、完全なる
労働組合の発展、あるいは
労働者の
生活保障などは、夢にも期待することはできません。(
拍手)私どもは、
ただいま
予算の組みかえの
内容について
説明がありましたように、
国家公務員、
政府関係機関特別会計に属する
公職員の
夏季手当一箇月
分支給、
地方公務員諸君に、これは
平衡交付金を
増額することによ
つて、同じく
夏季手当〇・五の
増加、あるいは
公労法、あるいは
地方公労法の
改正案が、われわれ
両派社会党の手によ
つて、
ただいま
労働委員会で取り上げられておりますがる、こういう点についても、おそらく
自由党の
諸君は
まつ向から
反対してくるでありましよう。
昨年の暮れに、当時
自由党も含めた
労働委員会の二十五名が満場一致で、終戦後八年間、
外国勢力に押されて実現することのできなかつた、
全国三十二万人の
日雇い労務者に対して一人
平均千円
平均を年末
手当として
支給すべしという決定がなされました。ところが、この
夏季手当については、
政府は何らの考慮をこの
予算の中に払
つておりません。今日、
日本の
労働者が、焼野原に
なつた
日本の再建のために、奥歯をかんで雄々しく労働戦線で働いておる点は、
国家公務員も、
地方公務員も、民間の
労働者も同じことである。一番苦しい立場に追い込まれておるこの
全国三十二万人の
日雇い労働者、これは登録
労働者のことをさしております。これらの
諸君に対する少なくとも四日分ないし五日分の
夏季手当は、当然この七月
暫定予算の中に組まれておらなければならないはずであります。(
拍手)これらの点について、昨年末
手当を出して、どうして
夏季手当を出しては悪いということが言えますか。これは結局
労働行政に冷淡であるという証拠が明らかに出ておるのであります。(
拍手)
今小平君から御
説明がございましたが、これは非常に大切な問題でございまするから、私は一言、農林
関係に関連をしておりますので申し上げたいと思います。本月の四日、五日、六日、七日と昼夜ぶつ通しに降
つて全国を襲い、
北九州を中心として、九州全体から山口を襲いました大雨は、
平均三百ミリから四百ミリ、福岡県の例をと
つても、農作物四十四億一千万円、五十八億の
被害、
全国で三百億、そしてまた二十五日の雨によ
つて、御
承知の
北九州の筑後川の九メートルの堤防が決壊をすることによ
つて、一町四箇村の六千名の人々が家もろともに流されて、大きな犠牲を払
つておる。また久留米のごときは、橋を渡
つて向こうの橋を渡ろうとしたら、前の橋が落ちた、後ろの橋を見たらその瞬間に落ちたということによ
つて、そこでまた何名かの
犠牲者を出したという。この非常に気の毒な
北九州の
豪雨の
災害については、
ただいま
院議をも
つて各党の代表者が
現地に見舞いにおいでになることは、私どもは心から感謝をいたすものでございまするが、こういう点について、
ただ臨時的な応急措置のみを立て、恒久的対策を立ててとらないところに、
吉田内閣の大きな農業政策の欠陥があると思います。(
拍手)私どもは、これらについて、すみやかに
保護救済の対策を応急的に、恒久的に樹立することを、強く
吉田内閣に
要求するものであります。
次に、(「財源を言
つてみろ」と呼ぶ者あり)財源は幾らでもあるのだよ。(「言
つてみろ、言えやせぬだろうが」と呼ぶ者あり)わずか一億円の
予算によ
つて内田農林大臣が保利氏に交代をいたしましたが、
吉田内閣の農業政策というものは、一口に申しますと、終戦直後は
日本の硫安は十七万トンしかできなかつたが、今日は国家のあたたかい一方的な
保護によ
つて、
全国で二百四十万トンの硫安ができているときに、国内で必要なものは幾らか、百九十万トンであります。差引五十万トンを、
吉田内閣は、農林対策として、
日本の農民に十貫俵一俵を九百円で押売りして、そして南方方面の海外には一俵六百円でたたき売
つておる。それが五十万トンある。米にしても、
外国米を一年間二千万石購入しておる。一石一万二千円というばかばかしい金を出して二千万石買うて来ておる金が二千四百億円、
日本の農民から一石七千五百円で強制供出をさせて、そして
外国のまずい米を一石一万二千円で買
つて来ておるというのが農林省の行き方である。しかも、これらの差額四千五百円を二千万石にかけますると、この食料政策のでたらめで、
日本国民の血税による一年間九百億円というばかな金が使われておるのが、吉佃内閣の農林対策であります。(
拍手)
かようなばかげた農林対策を続けている限りは——この
豪雨災害等に対して、あるいは凍
霜害の対策に対しましても、たつた五億八千九百四十万円である。今度の七月
暫定予算に組まれている
災害予備費は、わずが十五億である。今度の九州を中心にして襲いましたところのこの水害は、十五億や二十億では間に合いません。じやがいもは全部腐
つてしまつた。裸麦はすつかり流れた。そして、営農
資金の貸付もなく、わずがに予備費を少し組んだ程度では、今日
被害を受けた農民
諸君は、明日から立ち上ることはできません。私どもは、これらについて、いま少し与党
自由党、
吉田内閣の農林当局は反省すべきであるという点を強く強調しておくのであります。(
拍手)
最後に、木村保安庁長官が先日福岡に参りましたときに、防衛五箇年計画というものを発表いたしました。地上軍が二十万、海軍が十五万、空軍ジエツト機を合んで千五百機が必要であると言
つておる。しかしながら、今七月
暫定予算の
内容を見てみますると、
防衛支出金が六百二十億円ございまするうち、今度の
暫定予算には百四十五億円が計上せられておる。何のために、六百二十億のうち、一拳に七月の
暫定予算にこれほど多額のものを計上せなければならないのか。この点について、私どもは大きな疑問を持つものであります、一言御参考までに申し上げたいと思いまするが、スターリンがなくな
つて、マレンコフがソ連の政局を担当しております。
日本の再軍備へ再軍備へと、アメリカの傭兵制度を確立するために、
自由党の
諸君や
政府は狂弄しておりまするが、一九五二年の二月に、リスボンで、北大西洋条約加盟国の理事国が集ま
つて、こういう決議をしております。去年の二月リスボンにおいて協議をしたときに、明年の一九五四年には、ソ連の侵攻がヨーロッパに迫
つて来る
幾多の
理由に基く危惧があるから、総数、空軍九千機、陸軍九十六個師団を
編成して、それが防衛に当るということを、北大西洋条約国の理事国が集ま
つて決定した。ところが、今年、一九五三年の四月にフランスのパリに集ま
つて、リスボン目標の習性のための
理事会が開かれましたときに、こういろ決定をしておる、ソ連が武力をも
つてヨーロツパに侵入して来るがごときことは全然ないという立場に立
つて、この空軍九千機、陸軍九十六個師団の決定をされました
理事会の決議は、二十年ぐらい先にこれを延ばそうじやないかという決定がなされておる。ヨーロッパにおいてすらも、そういう決議を、あのヨーロツパの各国が集ま
つて協議し決定をしたときに、
日本では、何を戸惑いしたか、夢を見て寝言を言
つておる。
木村長官が防衛五箇年計画というものを立てて、そうして来る日も来る日も
予算委員会では、
吉田総理から緘口令をしかれて、その
内容については私の試案であります、保安庁の保安局長をも
つてつくらしたものでございまするから、これは発表することができませんという言明、そして、
自由党を除くほか、各党の委員
諸君が起立をいたしまして、多数でこの
内容を発表することが決議されたのでありまするが、これについて、いまだにこの
内容が発表せられておりません。ヨーロッパにおいては、すでにリスボン
会議の目標の修正が行われ、
日本においては、あの強圧的に来るアメリカの政策の前に、何らの抗議をすることなく、二百名の
自由党の
諸君が、だらしなく、アメリカの傭兵制度のために自分たちの節操を売
つておる。見てごらんなさい。今度は百四十五億円というものが
防衛支出金、七百十八億円というものがこの保安庁の
経費に見込まれておる。このようにして、再軍備はしない、あるいは憲法の改正はしないと言
つておきながら、することは何だ。
自由党と
政府がやみの軍隊を十一万つく
つておるではないか。(
拍手、「何を言
つておるか」「いい気になるな」「外でやれ」と呼ぶ者あり)いろいろな法規をたてにと
つて文句を言うけれども、君たちは
日本憲法を蹂躪して、
外国の雇い兵をつくろうとしておる。
日本の青年に海外の出兵が強要される。そのような行き方のときに、アメリカ軍事力の前に、たいこ持ちのように頭を下げて、何ら抗議をすることなく、アメリカの言う通りにMSAの軍事援助をもらうことによ
つて日本の再軍備を強化して、完全なる
日本の独立を度外視して、
諸君はアメリカのための隷属国をつくらんとしておるではないか。(
拍手)
そのような目的のために、この隷属的な経済の上に立
つて組まれた七月
分暫定予算などというものは、これはいわゆる片ちんばの
暫定予算である。だから、
労働行政にしても、
夏季手当の問題にしても、防衛問題にしても、何らとるに足らない。私どもは、勤労大衆の生活の安定と祖国
日本の独立と平和のために、あくまでも
諸君の反動性の前に立
つて闘
つて行くために、この七月
分暫定予算に対しては絶対に
反対の
意思を表明し、
社会党両派の
提出いたしました組みかえ
動議に対しては双手をあげて
賛成するものであります。(
拍手)