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1953-06-27 第16回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十七日(土曜日)     午後一時本会議     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員請暇の件  緒方国務大臣北九州豪雨による被害状況報告  過般の台風第二号による西日本被害並びに今次の北九州豪雨による被害状況調査慰問のため、特に院議をもつて議員十五名を派遣することとし、その人選議長に一任するの件(議長発議)  昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)  昭和二十八年度特別会計暫定予算予算補正(特第2号)  昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  中央機関施設整備促進法案今村忠助君外二十九名提出)     午後五時五分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。議員河上太郎君及び同じく西尾末廣君から、ストツクホルムにおいて開催の社会主義インターナシヨナル第三回大会出席及び東南アジア、西欧各国視察のため、七月一日から今会期中いずれも請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。      ————◇—————
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 北九州豪雨による被害状況報告のため、緒方国務大臣より発言を求められております。これを許します。国務大臣緒方武虎君。     〔国務大臣緒方武虎登壇
  6. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 北九州を襲いました梅雨前線による豪雨被害概況をご報告申し上げます。  今回北九州に来襲いたしました梅雨前線による豪雨は、筑後川、遠賀川、嘉瀬川、矢部川、松浦川、菊池川、大分川、白川流域を初め、福岡、佐賀、大分熊本各県に、六月二十五日八時より二十六日十八時三十分に至る三十四時間にわたり、明治二十二年以来六十五年来の大豪雨ともいうべき雨量を持つた雨が降つたのであります。降雨量を申しますと、博多が六百二十四ミリ、熊本が四百七十六ミリ、東京年間降雨量は千五百六十二ミリでありまするが、この東京の一年分の降雨量の三分の一ないし四分の一以上が降つたことになる次第であります。  被害金額総額は、現在水びたしのために調査困難で、今のところまだつかめません。従いまして、応急復旧に要する予算も今のところは不明でであります。警察国鉄の電話を含みまする通信線は、被害は僅少でありまするが、国鉄被害が非常に甚大であります。不通箇所がきわめて多数でありまするが、これは着々復旧いたしております。  現地調査のために、本日午後の飛行機によりまして、戸塚建設大臣篠田農林政務次官初め関係者現地に派遣いたしましたがこの調査の一応の目鼻がつきました上で、さらに現地現地対策本部とでも申すべきものを設けまして、大野国務大臣の出張を求めまして、それぞれ関係事務当局も随伴して参ることにしたいと考えております。  災害の遊女につきましては、罹災各県では、すでに災害救助法を発動いたしまして、応急救助に努めております。警察、消防は、避難民の救援に全力をあげております。治安につきましては、今のところ心配の模様はございません。衣料については、現地要求を待機しておる次第でありまするが、医薬品につきましては、現地限りで心配はないようであります。応急救助の面は、なお今後一層留意して万全を期したい所存であります。  なお、この場合、台風第二号及び六月前の災害について一言申し上げておきまするが、災害復旧予算要求につきましては、被害実態が今のところまだ十分つかめておりませんので、現在大蔵当局に対しまして被害概況及び必要予算の概算について説明を行つておるところであります。  以上御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。過般の台風第二号の被害ならびに根治の北九州豪雨による被害状況調査慰問のため、特に院議をもつて議員十五名を派遣することとし、その人選議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。  議長九州地方水害調査慰問派遣議員を指名いたします。    江藤 夏雄君  金光 庸夫君    熊谷 憲一君  永田 良吉君    松野 頼三君  三池  信君    中島 茂喜君  中嶋 太郎君    吉田  安君  井手 以誠君    田中 稔男君  稲富 稜人君    松前 重義君  佐藤虎治郎君    小林 信一君      ————◇—————
  9. 田嶋好文

    田嶋好文君 予算上程について緊急動議提出いたします。すなわち、昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)、右三件を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  10. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 田嶋君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員長尾崎末吉君。     —————————————     〔尾崎末吉登壇
  12. 尾崎末吉

    尾崎末吉君 ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)に関する委員会における審査の経過並びに結果を簡単にご報告いたします。  本暫定予算は、ただいま予算委員会において審査いたしております昭和二十八年度予算の一部をなしているものであります。しかし、時日関係上、六月中に本予算の成立を期することが困難であると思われますので、この中から七月分に必要な経費を切り離して、規定の四—六月暫定予算に追加し、暫定予算補正第二号として、去る二十二日、本委員会に付託されたものであります。従つて前回暫定予算と比較すれば、基本的にもいささか趣を異にしております。すなわち、さきに成立いたしました暫定予算は、ご承知の通り、防衛支出金その他の特別の理由による経費を除いては、事務的経費のみが計上されていたものでありましたが、この暫定予算は、昭和二十八年度予算案を基礎として編成されております関係上、ただに一箇月分の経常的経費のみにとどめず、特に事業の時期的関係等を考慮して、その促進のため、ある程度の建設的経費をも計上しているのであります。従いまして、委員会におきましては、特に暫定予算だけに集中して質疑を行うという方法を避けまして、本予算と並行的に審査を進めたのであります。  今簡単に七月分暫定予算内容を申し上げまするに、一般会計において、歳入一千四億五千八百余万円、歳出九百六拾七億八千四百余万円でありまして、差引歳入超過額は三十六億七千三百余万となつております。歳入については、七月中において予定される租税及び印紙収入五百十八億九千三百万円、その他約三十億円の収入が見込まれており、なお昭和二十六年度剰余を四百五十五億七千二百余万円も計上されているのであります。その結果、本年度暫定予算としては初めての歳入超過となつているわけであります。  次に、歳出の九百六十七億八千四百余万円は、六月分暫定予算より四十億六千九百余万円の増加となつております。この歳出について特色のある点は、第一に、日米間の行政協定に基いて七月中に在日米軍に交付しなければならない第二・四半期分防衛支出金が計上され、第二に、公共事業費食糧増産対策費住宅対策費等の緊急を要する建設的経費が六月分暫定予算以上に計上されていることにあります。特に公共事業費につきましては、単年度で完成するような小規模の事業及び補助事業等については、時期的関係の考慮が払われております。次に、財政資金投資額は、一般会計よりの出資額六十三億円、見返資金より五十億円、資金運用部資金より百二億円、合計二百十五億円が計上され、これによつて民間及び政府関係事業促進をはかつているのであります。  以上が一般会計に関する予算の概要であります。  特別会計及び政府関係機関予算も、一般会計方針に準じて編成されておりますので、その内容につきましては省略させていただきます。  本暫定予算に関する審査は昨二十六日をもつて終了し、本日午後討論採決を行いました。討論に先だちまして、社会党両派共同による本三案の編成がえを求めるの動議提出され、その趣旨弁明が行われましたが、これらは後刻本会議においても行われるものと思われますので、その報告は省略させていただきます。  採決の結果、社会党両派共同提出動議は少数をもつて否決され、政府提出原案が多数をもつて可決された次第であります。  以上、簡単でありますが、御報告いたします。(拍手
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)外二件に対しては、八百板正君外十四名から三件の編成がえを求めるの動議提出されております。この際その趣旨弁明を許します。小平忠君。     —————————————     〔小平忠登壇
  14. 小平忠

    小平忠君 私は、日本社会党両党を代表いたしまして、昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)については、政府はこれを撤回し、次に申し上げる要領により、すみやかに組みかえをなし、再提出すべしとの動議提出し、その趣旨弁明を試みんとするものであります。(拍手)  この動議提出いたしました基本方針は、先に提出された六月暫定予算に対する両社会党の組みかえ動議とまつたく同一のものであります。すなわち、昭和二十八年度七月分の一般会計特別会計及び政府関係機関予算に対しまして、この際特に緊急を要する風水害及び過般の凍霜害対策費残額並びに公務員夏季手当増額日雇い労務者夏季手当母子福祉生活保護遺家族援護などの社会保障費若干を、最小限度これを増額せんとするものであります。(拍手)  第一は、今や全国官公労はもちろんのこと、地方自治体のいわゆる地方公務員、さらに日雇い労務者の切実なる要求でありまする夏季手当の問題であります。本件に関しましては、連日国会を取り巻くこの切実なる公務員並びに関係者の声は、私があえてこの壇上から申し上げるまでもないのであります。本件に関しましては、先般の六月暫定予算におきまして、われら両党は最小最低限度でありまする夏季手当一箇月分を要求したのでありますが、政府はあえてこれを〇・五箇月というものを支給し、われわれは、この線をあくまでも実現いたすべく、すなわち今回は全国官公労並びに地方公務員日雇い労務者要求に従いまして、次のごとく歳出増額せんと考えておるのであります。すなわち、一般会計特別会計政府関係機関職員夏季手当増額分、これは現行ベースの〇・五箇月分であります。これに要する予算が百億円。次に地方公務員現行ベース〇・五箇月分増のために要する予算が六十五億円、さらに義務教育国庫負担増額分といたしまして、これは学校教職員夏季手当であります。これは現行ベースの〇・五箇月分といたしまして二十五億円、さらに日雇い労働者夏季手当、さらに失業対策費を若干増額いたしまして、最小必要限度四億円を計上いたし、百九十四億円に相なるのであります。この夏季手当の問題に関しましては、先刻予算委員会におきまして、大蔵大臣は〇・二五箇月分の支給について善処することを言明されたのでありますが、大蔵大臣がかかる見解を言明するならば、全国要求であります夏季手当の〇・五箇月分を出すことについては、私は潔くこの暫定予算に組むことが正当なものと思うのであります。(拍手)  次に、ただいま副総理からも説明がありましたが、いわゆる風水害予算であります。先般の西日本一帯を襲いました風水害に対しまする損害は極めて莫大であります。さらに一昨々日から北九州を襲いました豪雨は、これはまさに六十五年ぶりと称せられまするところの甚大なる被害でありまして、本日の新聞紙上で報道されておりまする被害は、これによつて死亡いたしました者、すなわち尊い犠牲者を七十九名も出している。さらに行方不明となつております者が二百九十七名、すなわち三百名に達せんとしている。現在被害状況はまだ不明であつて、私は、この被害はもつともつと莫大なものになるものと想像されるのであります。さらに、農作物あるいは公共施設等被害を考えてみますならば、きわめて莫大なものに達すると思うのであります。私は、これらの根本的な問題を考えてみまするときに、戦時中の山林の濫伐、これに対する根本的な治山治水、あるいは河水調整、これらは全国の強い要望であるにもかかわらず、吉田内閣が五次にわたつてこれらの根本的問題を解決しなかつたところに、私は今次のごとき莫大な被害があつたものと思うのであります。(拍手)  従つて、私は、この際、これら前回風水害並びに今回の風水害に対しまする緊急やむを得ざる処置といたしまして、われら両党は、この風水害に対しまする、あるいは先般全国的に襲われた凍霜害のいわゆる残額予算手当といたしまして、次のごとく計上いたしたのであります。すなわち、凍霜害特別補償、これはいわゆる肥料並びに農薬等に対しまする点であります。農林漁業金融公庫の貸出しに対する利子補給並びに風水害に対する特別補償といたしまして五十億円を計上いたしたのであります。  次に、中共引揚者援護費及び遺家族留守家族援護費といたしまして五億円、生活保護費増額といたしまして二億円、社会保険費増額分五億円、母子福祉貸付経費増額三億円、児童福祉法によります施設費増額分一億円。  以上の歳出増が二百八十五億円でありますが、この財源を、当然計上すべからざる防衛支出金から百四十五億円、保安庁経費三十一億円、官庁営繕の節約でありますが、これを三億円、合計いたしまして百七十九億円、さらに、歳入の面におきまして凍霜害及び風水害農家所得税その他の軽減措置といたしまして二十億円を減額いたしましたために、歳出入の増減によりまする差引不足額は百二十六億円と相なるのでありまして、この百二十六億円を国庫余裕金及び大蔵省証券発行増によつて求めたいと思うのであります。  最後に、附帯事項といたしまして、地方財政の今日の窮乏経済のために、現在政府は百九十億円より計上されていないのでありますが、この地方起債限度を三百億に引き上げるということであります。  以上申し上げました点は、緊急やむを得ざる最低限の予算措置でありまして、私がこの機会に強く指摘いたしたいことは、自由党の三月十四日のあの無謀きわまる解散断行によりまして、四月から六月まで暫定予算によらなければならないという結果を招来し、さらに七月も暫定予算によらなければならないというその結果は、これがために各般の行政一大支障を及ぼし、また長期の財政計画はもちろんのこと、各種の事業計画がきわめて危ぶまれ、さらに国民生活に重大なる脅威を与えたというこの吉田内閣の責任は、われわれは断じて許すわけには行かないのであります。(拍手)  今回の七月暫定予算に対しましても、われわれは、六月暫定予算に対しまする際にこの線を明らかにいたしましたように、きわめてこれは不服であります。しかしながら、今日の国民経済国民生活実態から見て、真にやむを得ざるものとして、この暫定予算審議にあたり、われわれが、全国国民の輿望にこたえまして、本日両社会党が提案いたしました。このいわゆる組みかえ、編成がえの内容は、これは最小限のものであります。どうか自由党並びに改進党あるいは鳩山自由党諸君におかれましては、われらの意を了とせられまして、この組みかえどうぎに賛成あらんことを切にお願いいたしまして、私の趣旨弁明を終わります。(拍手
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより討論に入ります。山本勝市君。     〔山本勝市君登壇
  16. 山本勝市

    山本勝市君 自由党を代表いたしまして、提案されましたいわゆる七月暫定予算につきまして、政府原案並びにこれが編成がえを要求する動議に対するわが党の見解を表明いたします。  まず八百板正君以下十五名の提案されました編成換え要求動議に対しましては、わが党は、政策の根本的基調を異にするという理由によつて反対いたします。  政府提出地足しましたいわゆる七月暫定予算原案に対しましては、結論を申しますと賛成をいたしまするけれども、しかしながら、われわれが六月の暫定予算に対して取りました態度と同様に、きわめて不満な点があるということを申し上げておきたいのであります。  第一に、何よりも不満なことは、この七月暫定予算なるものが、形式的には一応審議終了ということになつておりまするけれども、実際には、この七月暫定予算そのものについては、予算委員会において一言半句質疑も行われていないのであります。このことは速記録をごらんになればおわかりでありますが、一言半句質疑も行う機会をもち得なかつたようなこの予算に対して、不満がないということは、おそらくあり得ないのであります。何ゆえにこのような事態に陥つたかということについて、私の見るところを申しますが、私は、政府の、ことに吉田総理を初めとして二、三の閣僚のとられた態度並びに答弁が遺憾ながら誠意を欠いておられた。われわれは、社会党両派とは根本的に思想の基調を異にしておるにもかかわらず、なおかつこの両党並びに改進党と歩調をともにして幾多の行動をとらざるを得なかつたということは、一に、吉田総理を初め二、三の重大なる閣僚諸君態度並びに答弁が、いたずらに審議を遅延せしめて、予定のごとく七月暫定予算について質疑を行う余裕がなくて、一般総括質問すらなお終了しないということで遂に今日に至つたのであります。  私は欠かさず予算委員会出席いたしましたが、吉田総理予定の時間に予算委員会に着席されたことは、ただの一ぺんもありません。また、予定の時刻まで委員会の席におられたこともほとんどありません。しかも、この欠席あるいは遅刻、早退の理由は明らかにされなかつたのであります。ことに答弁態度は、皆さんもすでにご承知のごとく、ときには不必要にえ顔を示されるかと思うと、時にはまるで吐き出すように答弁をされる(「脱線脱線」と呼ぶ者あり)皆様は脱線と言われるかもしれませんけれども、われわれは、かつて吉田総理を総裁として推載したものである。何ゆえに、今日この老首相がかくもつつきまわされて、そうして吐き出すような答弁をされねばならぬような事態なつたかということを考えれば、私はまさに感慨無量であります。  昨日の理事会におきまして、きようの暫定予算は、いかなる事情があろうとも、これを討論終結して、午後の本会議には上程する、ただ討論採決にあたつては必ず総理出席を求めるということであつたにもかかわらず、今日、ご承知のごとく、総理は所労の故をもつて欠席されるということになつて、また遅延したのであります。私は、この態度を御自身で反省されない限り、今後の本予算審議の前途にも幾多の不安を持つものであります。六月暫定予算にも、われわれが明らかにいたしましたように、幾多不満があるにもかかわらず、この予算が不成立に終わる場合に、国政並びに国民生活に対する大きな影響を思うがゆえに、これに賛成したのでありますが、今回の七月暫定予算に対してもまつたく同じ理由によつて賛成するのでありまして、もしここに相当の時日があるならば、われわれはこのまま通過させるわけには行かなかつたのであります。  はなはだ簡単でございまするけれども、われわれの党が、組みかえ要求動議並びに原案に対して、反対並びに不満ながら賛成をする理由を申し上げました。(拍手
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 青野武一君。     〔青野武一登壇
  18. 青野武一

    青野武一君 私は、ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計暫定予算補正第二号その他二つの予算案に対しまして、反対意思社会党を代表して申し上げたいと思います。あわせて、社会党両派が提案をいたしました、ただいまの組みかえ動議の組みかえ案に対しまして、賛成意思を表明するものであります。(拍手)  昭和二十八年度予算総額は九千八十二億八千四百三十四万円でございます。四月、五月、六月の暫定予算総額は二千三百四十四億円になつておりまして、この議題になりました七月の暫定予算総額は九百六十七億八千四百九十六万円であります。私たちが歳入歳出を各項目にわたつて研究いたしまして、はつきり言い得ることは、特定の外国隷属経済の上に立つた、こま切れ予算であるということを申し上げたいのであります。(拍手地方自治体諸君東京に参りますると、四月、五月、六月、七月と暫定予算が続いていては、いざり勝五郎のように、これは中風のような予算である、やつて行けない。——きのうも私は千葉S件印旛沼干拓事業をちよつと見て参りましたが、六月暫定予算一千万円、四月と五月が四千万円、こんな小額の予算では、農林省の職員百四、五十名の諸君が半分以上手をこまねいて遊んでおらなければなりません。一日雨が降れば、印旛沼、手賀沼のあの氾濫によつて、周囲千五百歩が水浸しになる。この重大なる干拓事業に対して、このような自由党抜き打ち解散によつてこま切れ予算が次々に出ては、仕事にならぬと言つておる。(拍手)  私はこの内容について二、三関連をして申し上げますが、組みかえ動議内容説明が具体的にございましたので、私はそれについて重複を避けるために、細かいことは申し上げません。  問題になつておりまする国家公務員地方公務員義務教育国庫負担金増額することによつて教職員諸君夏季手当半月分を一箇月分にする問題につきまして、私は、これを要求する同士の諸君とともに、その目的完遂のために努力をして参りました一人でございますが、例年の慣例によれば、私の記憶しているところでは、鈴木正文氏が労働大臣になり、保利茂氏がなり、そして吉武惠市氏がなりましても、一応国会本会会議場から自由党政府労働行政に対する説明がいつも行われるはずであります。それを素通りにしておいて、日本労働組合諸君要求を無視して今度の十六特別国会提出いたしましたストライキ制限法のごときは、これは明らかに小坂労働行政の大きな行き過ぎである。今までの労働大臣もそうでございまするが、単独立法をもつて公共福祉の名によつて、いわゆる憲法二十八条の労働基本権の条章にさわるような行き方が公然と行われているようなことでは、完全なる労働組合の発展、あるいは労働者生活保障などは、夢にも期待することはできません。(拍手)私どもは、ただいま予算の組みかえの内容について説明がありましたように、国家公務員政府関係機関特別会計に属する公職員夏季手当一箇月分支給地方公務員諸君に、これは平衡交付金増額することによつて、同じく夏季手当〇・五の増加、あるいは公労法、あるいは地方公労法改正案が、われわれ両派社会党の手によつてただいま労働委員会で取り上げられておりますがる、こういう点についても、おそらく自由党諸君まつ向から反対してくるでありましよう。  昨年の暮れに、当時自由党も含めた労働委員会の二十五名が満場一致で、終戦後八年間、外国勢力に押されて実現することのできなかつた、全国三十二万人の日雇い労務者に対して一人平均千円平均を年末手当として支給すべしという決定がなされました。ところが、この夏季手当については、政府は何らの考慮をこの予算の中に払つておりません。今日、日本労働者が、焼野原になつ日本の再建のために、奥歯をかんで雄々しく労働戦線で働いておる点は、国家公務員も、地方公務員も、民間の労働者も同じことである。一番苦しい立場に追い込まれておるこの全国三十二万人の日雇い労働者、これは登録労働者のことをさしております。これらの諸君に対する少なくとも四日分ないし五日分の夏季手当は、当然この七月暫定予算の中に組まれておらなければならないはずであります。(拍手)これらの点について、昨年末手当を出して、どうして夏季手当を出しては悪いということが言えますか。これは結局労働行政に冷淡であるという証拠が明らかに出ておるのであります。(拍手)  今小平君から御説明がございましたが、これは非常に大切な問題でございまするから、私は一言、農林関係に関連をしておりますので申し上げたいと思います。本月の四日、五日、六日、七日と昼夜ぶつ通しに降つて全国を襲い、北九州を中心として、九州全体から山口を襲いました大雨は、平均三百ミリから四百ミリ、福岡県の例をとつても、農作物四十四億一千万円、五十八億の被害全国で三百億、そしてまた二十五日の雨によつて、御承知北九州の筑後川の九メートルの堤防が決壊をすることによつて、一町四箇村の六千名の人々が家もろともに流されて、大きな犠牲を払つておる。また久留米のごときは、橋を渡つて向こうの橋を渡ろうとしたら、前の橋が落ちた、後ろの橋を見たらその瞬間に落ちたということによつて、そこでまた何名かの犠牲者を出したという。この非常に気の毒な北九州豪雨災害については、ただいま院議をもつて各党の代表者が現地に見舞いにおいでになることは、私どもは心から感謝をいたすものでございまするが、こういう点について、ただ臨時的な応急措置のみを立て、恒久的対策を立ててとらないところに、吉田内閣の大きな農業政策の欠陥があると思います。(拍手)私どもは、これらについて、すみやかに保護救済の対策を応急的に、恒久的に樹立することを、強く吉田内閣要求するものであります。  次に、(「財源を言つてみろ」と呼ぶ者あり)財源は幾らでもあるのだよ。(「言つてみろ、言えやせぬだろうが」と呼ぶ者あり)わずか一億円の予算によつて内田農林大臣が保利氏に交代をいたしましたが、吉田内閣の農業政策というものは、一口に申しますと、終戦直後は日本の硫安は十七万トンしかできなかつたが、今日は国家のあたたかい一方的な保護によつて全国で二百四十万トンの硫安ができているときに、国内で必要なものは幾らか、百九十万トンであります。差引五十万トンを、吉田内閣は、農林対策として、日本の農民に十貫俵一俵を九百円で押売りして、そして南方方面の海外には一俵六百円でたたき売つておる。それが五十万トンある。米にしても、外国米を一年間二千万石購入しておる。一石一万二千円というばかばかしい金を出して二千万石買うて来ておる金が二千四百億円、日本の農民から一石七千五百円で強制供出をさせて、そして外国のまずい米を一石一万二千円で買つて来ておるというのが農林省の行き方である。しかも、これらの差額四千五百円を二千万石にかけますると、この食料政策のでたらめで、日本国民の血税による一年間九百億円というばかな金が使われておるのが、吉佃内閣の農林対策であります。(拍手)  かようなばかげた農林対策を続けている限りは——この豪雨災害等に対して、あるいは凍霜害の対策に対しましても、たつた五億八千九百四十万円である。今度の七月暫定予算に組まれている災害予備費は、わずが十五億である。今度の九州を中心にして襲いましたところのこの水害は、十五億や二十億では間に合いません。じやがいもは全部腐つてしまつた。裸麦はすつかり流れた。そして、営農資金の貸付もなく、わずがに予備費を少し組んだ程度では、今日被害を受けた農民諸君は、明日から立ち上ることはできません。私どもは、これらについて、いま少し与党自由党吉田内閣の農林当局は反省すべきであるという点を強く強調しておくのであります。(拍手)  最後に、木村保安庁長官が先日福岡に参りましたときに、防衛五箇年計画というものを発表いたしました。地上軍が二十万、海軍が十五万、空軍ジエツト機を合んで千五百機が必要であると言つておる。しかしながら、今七月暫定予算内容を見てみますると、防衛支出金が六百二十億円ございまするうち、今度の暫定予算には百四十五億円が計上せられておる。何のために、六百二十億のうち、一拳に七月の暫定予算にこれほど多額のものを計上せなければならないのか。この点について、私どもは大きな疑問を持つものであります、一言御参考までに申し上げたいと思いまするが、スターリンがなくなつて、マレンコフがソ連の政局を担当しております。日本の再軍備へ再軍備へと、アメリカの傭兵制度を確立するために、自由党諸君政府は狂弄しておりまするが、一九五二年の二月に、リスボンで、北大西洋条約加盟国の理事国が集まつて、こういう決議をしております。去年の二月リスボンにおいて協議をしたときに、明年の一九五四年には、ソ連の侵攻がヨーロッパに迫つて来る幾多理由に基く危惧があるから、総数、空軍九千機、陸軍九十六個師団を編成して、それが防衛に当るということを、北大西洋条約国の理事国が集まつて決定した。ところが、今年、一九五三年の四月にフランスのパリに集まつて、リスボン目標の習性のための理事会が開かれましたときに、こういろ決定をしておる、ソ連が武力をもつてヨーロツパに侵入して来るがごときことは全然ないという立場に立つて、この空軍九千機、陸軍九十六個師団の決定をされました理事会の決議は、二十年ぐらい先にこれを延ばそうじやないかという決定がなされておる。ヨーロッパにおいてすらも、そういう決議を、あのヨーロツパの各国が集まつて協議し決定をしたときに、日本では、何を戸惑いしたか、夢を見て寝言を言つておる。  木村長官が防衛五箇年計画というものを立てて、そうして来る日も来る日も予算委員会では、吉田総理から緘口令をしかれて、その内容については私の試案であります、保安庁の保安局長をもつてつくらしたものでございまするから、これは発表することができませんという言明、そして、自由党を除くほか、各党の委員諸君が起立をいたしまして、多数でこの内容を発表することが決議されたのでありまするが、これについて、いまだにこの内容が発表せられておりません。ヨーロッパにおいては、すでにリスボン会議の目標の修正が行われ、日本においては、あの強圧的に来るアメリカの政策の前に、何らの抗議をすることなく、二百名の自由党諸君が、だらしなく、アメリカの傭兵制度のために自分たちの節操を売つておる。見てごらんなさい。今度は百四十五億円というものが防衛支出金、七百十八億円というものがこの保安庁の経費に見込まれておる。このようにして、再軍備はしない、あるいは憲法の改正はしないと言つておきながら、することは何だ。自由党政府がやみの軍隊を十一万つくつておるではないか。(拍手、「何を言つておるか」「いい気になるな」「外でやれ」と呼ぶ者あり)いろいろな法規をたてにとつて文句を言うけれども、君たちは日本憲法を蹂躪して、外国の雇い兵をつくろうとしておる。日本の青年に海外の出兵が強要される。そのような行き方のときに、アメリカ軍事力の前に、たいこ持ちのように頭を下げて、何ら抗議をすることなく、アメリカの言う通りにMSAの軍事援助をもらうことによつて日本の再軍備を強化して、完全なる日本の独立を度外視して、諸君はアメリカのための隷属国をつくらんとしておるではないか。(拍手)  そのような目的のために、この隷属的な経済の上に立つて組まれた七月分暫定予算などというものは、これはいわゆる片ちんばの暫定予算である。だから、労働行政にしても、夏季手当の問題にしても、防衛問題にしても、何らとるに足らない。私どもは、勤労大衆の生活の安定と祖国日本の独立と平和のために、あくまでも諸君の反動性の前に立つてつて行くために、この七月分暫定予算に対しては絶対に反対意思を表明し、社会党両派提出いたしました組みかえ動議に対しては双手をあげて賛成するものであります。(拍手
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 吉川兼光君。     〔吉川兼光君登壇
  20. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 私は、ただいま議題になつておりまする政府提出の七月分暫定予算の三案に反対いたしまして、先刻わが党の小本忠君から御説明申し上げました政府原案組みかえの動議賛成するために、社会党を代表してここに立つたのであります、(拍手)私が十五分の持ち時間で申し上げようと用意いたしておりました若干の事実は、すで説明者及びただいまの賛成討論でほとんど完膚なきまでに論議されましたので、私はできるだけ簡単に意思表示を行いたいと思いのでございます。  皆さん、暫定予算といいますものは、すでに皆様も御存じのように、本予算が間に合わない間に行政の運営が行き詰まらないために、それこそ臨時処置として行いますのが暫定予算でありますことは御存じの通りであります。このような暫定予算が、すでに四月、五月分が一回、六月分が一回、さらに今回の七月分というように、三回も連続して同じ国会提出されますということは、いかに政府が無計画であるかということ、すなわち、いかに政府の計画性が欠除しておるかということを暴露する以外の何ものでもないと言わなければならないのでございます。(拍手)  皆さん、私は、暫定予算というものの性質を知りまするがゆえに、その内容にわたつて多く論及守ることを避けたいのでありまするが、しかし、政府は知るや知らずや、あるいは知つてつて、わざわざこういうことをやつたのではないかと思われる節もなきにしもあらずでございます。すなわち、七月予算に、ただいま青野君も指摘しましたように、百四十五億円というような防衛費を組み入れておりますことは、まことに陰謀的な行為であると私どもは指摘せざるを得ないのでございます。(拍手暫定予算といいまするものに——、今MSAの問題を初めとして、あるいは予算委員会においても、御存じのように、防衛五箇年計画が問題になつております。こういう際に、百四十五億円からの金を、防衛費として、この七月——八月よりの本予算ではなくて、七月の暫定予算に組み入れているというところに、私は再軍備を企図すると言われますところの吉田内閣の陰謀が露呈しておるということを指摘せざるを得ないのでございます。(拍手暫定予算というものは、このような大きなものを組み入れるものでないことは、少くとも政府は御存じでなければならない。われわれは、こういうような政府のやり方を考えぎする場合には、七月の暫定予算は、政府としては本予算で行い得るだけの時間が明らかにあつたにもかかわらず、わざわざ暫定予算にこれを持つて行つたところの陰謀が含まれておるということを申し上げなければならかいのでございます。(拍手)  まず、私は、これは自由党諸君なり、あるいは吉田内閣なりの政治的良心といいまするか、あるいは議会政治に対する良心といいまするか、こういうものをはかるところのバロメーターになるのではないかと言わざるを得ないのであります。いやしくも多くの論議が行われており、今たまたま山本勝市君からも申されましたように、この予算は、われわれの列席しておりまする予算委員会において、遂に一回の質問も行われなかつたのであります。こういうような間隙に乗じて、質問の時間がない——(「やつたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)やつていいと言うことは、諸君委員会の事情を御存じにならないからそういうことを言う。諸君の方から、質問をしないでくれということで、こういう陰謀をやつておるのが、このたびの提出であるのであります。(拍手)なるべくならば、諸君は、自由党の忠実な党員として、あまり党の最高政策に反するようなやじはなさらないでください。  こういうようなことで、私は、このいわゆる暫定予算といいますものは、少くとも自民党なり吉田内閣なりが、もう少し国会を尊重いたしまして、国会審議を通して政治を行うというところの良心的な考えをお持ちでありまするならば、将来もあることでございましようが、こういう陰謀はこれ限りにしてもらいたいと思うのでございます。少くとも五月十八日に召集いたしましたところの、このたびの特別国会は、それを十五日くらい前に召集いたしまして、会期を六月一ぱいくらいにしますならば、私は暫定予算は六月だけで済んだと思う。四月、五月並びに六月の予算暫定予算の形をとるということは、やむを得ないと私は考えておるのでありますが、七月の暫定予算だけは、いかに考えましても、政府の政治的怠慢か、あるいは陰謀、そういうことによるということを指摘せざるを得ないのでございます。  皆さん、私は、反対理由といたしまして、いろいろ申し上げたいことがあるのでありまするが、先刻お約束しましたように、時間のために重複を避けます。要するに、今小平君から御説明申し上げましたよ万な、いわゆる組みかえ動議の財源は、防衛費並びに保安庁費その他の行政費の余りを節約いたしまして、そういうところに財源を求めるところの根拠を明示いたしておるのでありまするから、現下のこの情勢、労働攻勢なり、あるいは風水害なり、凍霜害なりの、この七月における重要な焦眉の予算をを要するところの問題を顧慮されまして、自由党諸君社会党の組みかえ案に御賛成ありまするよう切望いたしまして、私の討論を終ります。(拍手
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず八百板正君外十四名提出昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)外二件の編成替を求めるの動議採決いたします。八百板正君外十四名提出動議賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立少数。よつて八百板正君外十四名提出動議ば否決されました。  次に昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)外二件を一括して採決いたします。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて三件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  郵便一法の一部を改正する法律案  (内閣提出
  24. 田嶋好文

    田嶋好文君 誠案上程についての動議提出いたします。すなわち、内閣提出郵便法の一部を改正する法律案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 田嶋君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。郵政委員長田中織之進君。     〔田中織之進君登壇
  27. 田中織之進

    ○田中織之進君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に関し、郵政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、去る第十五国会政府より提出せられ、解散のため不成立に終つたものと同一内容でありまして、提案の理由とするところは次の通りであります。  現行小包料金は、昭和二十六年六月、鉄道小荷物運賃との均衡をはかるために、従来の均一料金制を地帯別料金制に改正したものでありますが、本年一月十五日から実施の鉄道小荷物運賃の改正に伴いまして、この料金をそのまますえ置くときは、本来鉄道に差出さるべきものが郵便に転嫁されるととなり、書状やはがき等の重要郵便物の送達に対しても好ましくない影響を及ぼすおそれがあるので、政府は、現行小包料金を適宜改正するとともに、この機会事業合理化の見地から若干の制度の改正をも行おうとして、本法律案提出するに至つたものであります。  しこうして、本法案のおもな内容は次の三点であります。  改正の第一点は、前記の小包料金の改正でありまして、事業本来の姿と鉄道運賃との均衡とにかんがみ、重量、容積の軽小なもの、及び比較的近距離あてのものの値上率をできるだけ低率とし、現行料金による総収入に対し、役一割三分程度の値上率にとどめようといたしております。  第二点は、航空郵便制度を廃止したことであります。現行の航空郵便制度は、配達については別段の措置をとることなく、単に運送だけを航空便によるもので、速達方法として不充分の点があるばかりでなく、運送自体についても、わが国の実情においては、かえつて鉄道便による方が速達となる場合が多く、実効をあげ得ないうらみがありますので、これを廃止して、次に述べるように速達郵便制度に統合しようといたしておるのであります。  第三点は、速達郵便制度についての改正であります。まず、速達郵便物の運送につき、省令の定めるところに従い、航空便によることができる道を開くとともに、その配達区域が現行規定では法定されているのを、郵政大臣が実情に即するように定め得ることと改めるほか、速達小包郵便物に関しては、その取扱い手数にかんがみ、重量、容積の制根及び料金の引上げにつき規定を設けているのです。  なお、以上のほか、書類郵便物の転送または還付の際納付する書類料の引下げ、郵便省によつて行う国民貯蓄積券の売りさばき等の事務に関し、無料郵便物の範囲を拡張することをも規定いたしております。  本法案につき、提案理由並びに内容報告申し上げたのでありますが、本法案の付託を受けました委員会としては、本日提案の理由並びに内容等につき政府より詳細説明を聴取し、ただちに質疑に入り、社会党両派吉田賢一君、片島港君等より熱心な質疑が行われましたが、その詳細はすべて会議録に譲りたいと存じます。  かくて、委員会は、本日質疑を終了し、改進党櫻内義雄君の動議により、討論を省略の上、ただぢに採決を行いましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決を見た次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  28. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  中央機関施設整備促進法案(今村  忠助君外二十九名提出)     (委員会審査省略要求事件)
  30. 田嶋好文

    田嶋好文君 議案上程についての緊急動議提出いたします。すなわち、今村忠助君外二十九名提出中央機関施設整備促進法案は、提出者の要求の通り委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 田嶋君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  中央機関施設整備促進法案議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。今村忠助君     〔今村忠助登壇
  33. 今村忠助

    今村忠助君 ただいま議題となりました中央機関施設整備促進法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  御存じのように、首都におきまして、立法、司法及び行政の各中央機関で運営能率の増進と公衆の利便をはかるためには、都心部に中央機関施設を定め、その施設の整備を促進する必要がありますことは、かねてより各方面から要望されておるところでございますが、この法律は、このような要望にこたえまして、中央機関の運営能率の増進と公衆の利便をはかるため、その施設の整備を促進することを目的といたしております。法律案の要旨、審議の経過等は速記録に譲ることにいたします。     —————————————     〔参照〕  まず、この法律におきまして中央機関と申しますのは、国会、最高裁判所、会計検査院及び内閣をさすことといたし、さらにここに内閣と申します物には、府、省、これらの外局及び人事院をも含ましめることといたしました。さらに、右に述べましたようなこの法律の目的を具体的に実現いたしますためには、まず首都建設法第四条の規定によりまして、中央機関の庁舎その他の施設の整備に関する中央機関施設整備計画が作成されることを前提といたしまして、この計画の実施に必要な土地を収容し、または使用することができるように規定をいたしますとともに、その土地の収容及び使用に関しましては、土地収用法の規定を適用することにいたしました。そして、この収用及び使用は総括的に建設大臣が行うことになつております。  しかるに、土地収用法の規定によりまして、都地の収容または使用をいたしますためには、同法第十六条以下の規定によりまして、事業の認定を受けまければならないことに定められているのでありますが、この事業の認定を受けるためには、まず事業認定申請書を提出しました上、関係行政機関等の意見の聴取、公聴会の開催、事業認定申請書等の縦覧並びに利害関係人の意見書の提出等、きわめて複雑な手続を必要とするとともに、これがために相当の日数をも必要といたしますので、この法律におきましては、首都建設法第九条の規定により、中央機関施設整備計画の公告がありましたときには、土地収用法第二十条の規定により、建設大臣が事業の認定をしたものとみなすことに定めまして、前記のような事業の認定に関する複雑な手続を省略して、迅速に土地の収容または使用が実行くされるようにいたしました。  そのほか、この法律の施行について必要な事項は建設省令で定めることといたし、また、かねて御承知のように、首都建設委員会におきましては、首都建設法第九条の規定により、昭和二十七年首都建設委員会公告第十一号をもつて中央官衛地区整備に関する首都建設計画を公告しておりますので、この計画は、この法律の適用につきましては、この法律の施行の被に首都建設法第九条の規定により公告された中央機関施設整備計画とみなすことに、この法律の附則で規定をいたしまして、これにより建設大臣が当該地区においてこの計画の実施に必要な土地を収容しまたは使用することができるように措置をいたしました。そのほか、この法律の規定により、建設大臣の権限に新たなものが加えられましたので、所要の改正を建設省設置法に加えるよう、附則においてさだめられております。  以上がこの法律案の規定の要旨であります。     —————————————  なお、この法律案の立案につきましては、数回にわたり両院議院運営委員会庶務小委員会合同打合会において打合せおいたしたものでありますが、本日の議院運営委員会において審議の結果、各派の御賛同を得て提案の運びに至りました次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
  34. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。  明後二十九日は定刻より特に本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十九分散会