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岡原政府委員 ご
もつともの御質問でございまして、この点は十分私
どもの方も事前に
研究いたしまして、第十条の第一項第三号の
決定がありました場合に、これをどういうふうに行政機関が取上げて行くかという問題については、考え
ようとしては二つあると思います。
一つはそのままうのみにして行くこと、
一つはそれに対してもう一度何か別段の考慮を払う。この
国際法の全体を通じましていろいろ
研究いたしましたところ、一八八〇年の
国際法学会のオツクスフオード決議の二十条におきまして、被
請求国は
裁判所がその
引渡しの
要求が受理すべきでないと判定したときは、
引渡しをすべきでないというふうにしておりますが、この点に関するフランス及びドイツの引渡法におきましては、
政府に対する諮問機関的な効果を与えるということをはつきりさせている
ようでございます。ベルギーの
考え方もその
ようでございます。なお先ほど引用いたしました一九三五年のハーヴアード大学の
条約案の第十八条におきましても、司法の
決定の効果という点で、ち
ようど今回の私
どもが
立案したと同じ
ような
考え方を採用いたしております。おそらくその
考え方といたしましては、か
ような対外的に非常に大きな効果を持つその
決定を、
裁判所の全責任に負わせるというのも、司法機関のあり方からいかがであろうかというふうなことも、ございまし
ようし、また
決定の後に、いろいろ社会情勢、
国際情勢の変遷等によりましてかわつたことが出ないとも限らないのでございまして、さ
ような点について、一応留保的な、行政機関によるレヴユーと申しますか、ただいま御
指摘の
ような
考え方が出て参るわけであります。この点についてもう
一つ問題になりますのは、先ほど申しました
決定に対する
異議の
申立てが許されるどうかという問題に関連して参るわけでございます。この点について、
異議の
申立てができるということになりますと、これはどこまでも司法機関の裁定がそのまま
最高裁判所まで
参つてこれが対外的にきつぱりそのまま出てしまうということにならざるを得ないのでございますが、さ
ようなここも、
国際的なさ
ような
性質の重大な効果の伴うものにつきましては、いかがなものであろうかというので、諸
外国におきましても、いずれも司法機関による
決定を諮問的なものとしておるのではないかと私
どもは考えた次第でございます。そこでその裏打ちとしまして、先ほど申しました行政機関に対する
行政訴訟というものを、ここに設けまして、十四条による
引渡しの法務大臣の
命令のありました際に、これに対して行政的なものとして争い得る、さ
ような
建前を
とつたわけでございます。この点は、理論的にはさ
ようでございますが、運用の面におきましては、もちろん十分さ
ような点について、ちぐはぐがない
ようにはなろうかと存ずるわけであります。